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大塚耕平君 民進党・新緑風会を代表して、政府四演説に対して総理に質問をいたします。
初めに、一昨日の
草津白根山の
噴火被害に遭われた皆様に、お悔やみ、お見舞いを申し上げます。政府においては、今後の
被害拡大を防ぐために、万全の対策を講じることをお願い申し上げます。
総理は
施政方針演説の最後において、憲法について、議論を深め、前に進めていくことを期待していますと述べました。一月四日の
年頭記者会見においても、憲法のあるべき姿を国民にしっかりと提示し、議論を一層深めていくと発言されました。
憲法のあるべき姿とは、どういう意味でしょうか。また、それは誰にとってのあるべき姿なのでしょうか。総理にお伺いいたします。
あるべき姿、すなわち、べきという言葉は、そのことの正当性を示す接尾語であります。あるべき姿の正当性を誰が担保するのでしょうか。あるいは、それは
総理自身があるべき姿と考えるということでしょうか。総理の認識を伺います。
施政方針及び
年頭記者会見における発言は、今年は議論を一層深めていくことに徹するという意味でしょうか。あるいは、今年中に
改正発議を行うことを目標にしているのでしょうか。総理の認識を伺います。
憲法改正の内容については、昨年十二月二十日に
自民党憲法改正推進本部が
論点取りまとめを公表しました。その中で、自衛隊について、
緊急事態について、合区解消・
地方公共団体について、
教育充実についての四つの論点が示されました。それぞれについて、
憲法改正が必要と考える緊要性、立法事実に関して、総理の御認識をお伺いいたします。
国会法第六十八条の三は、
憲法改正原案の発議に当たっては、内容において関連をする
事項ごとに区分して行うと定め、
個別発議の原則を掲げています。しかし、関連する事項の定義等については明示されていません。
平成十八年十一月三十日、衆議院の
日本国憲法に関する
調査特別委員会における
国民投票法案の審議の際に、提出者の船田元議員が、
条文ごとに賛否を問うのではなく、相互に関連するというものについてはなるべく
ワンパッケージとして国民に問いかける必要があると答弁しています。
そこで、総理に伺います。
現行法制において、
個別発議の原則における関連する事項の定義をどのように認識しているのでしょうか。
個別発議の原則に基づいて、逐条で
国民投票を行うことが重要と考えますが、総理の見解を伺います。
憲法改正案は、
憲法審査会での採決、
衆参両院で三分の二の賛成を得て発議されます。逐条ではなく、複数の条文をまとめた
憲法改正案及び
国民投票とすることが法理上できるのか、総理の見解を伺います。
残念ながら、総理には信頼できない過去があります。反対の多い法案と
全会一致の賛成となるような法案を束ねて
一括法案として、
安保法制等を強行に成立させてきました。今国会でも、働き方改革において八本の
関連法案を
束ね法案として提出しようとしています。この手法を顧みると、
憲法改正発議についても懸念を抱かざるを得ません。
憲法改正はあくまで
個別発議であり、
国民投票も逐条で行うということでよいか、総理の認識を伺います。仮に、現在の
国民投票法では、厳格な
個別発議、厳格な
逐条投票を求めていないという認識であれば、
憲法改正の内容の議論の前に早急にその点についての検討を行うべきと考えます。総理の認識を伺います。
国民投票の際の運動は、できるだけ自由に行うという原則の下、投票日前十四日間における
テレビ等の
スポットCMが禁止されているだけです。しかし、
改正発議から
国民投票までは六十日から百八十日の期間があるため、資金力のある団体等が強力な
広報宣伝活動を展開し、世論を誘導することに歯止めが掛からないおそれがあります。特に、
国民投票法が成立した二〇〇七年当時と比べ、
SNS等の影響も著しく、
インターネット環境等が大きく変化しています。
有料広告宣伝等の扱いについても、コンセンサスが形成されていないと思います。
世論誘導や不公正、不適切な
国民投票運動が行われない環境を担保するために、
国民投票運動のルールや
広告宣伝の在り方についても早急に議論を行うべきと考えますが、総理の認識を伺います。
総理の
施政方針は、働き方改革、
人づくり革命、
生産性革命、
地方創生、外交・
安全保障の五つの項から構成されています。そのうち、外交・
安全保障以外の項は、昨年十二月八日に
閣議決定された
人づくり革命、
生産性革命を柱とする新しい
経済政策パッケージを前提としています。
人への投資は、民進党が従来から掲げる政策の柱です。人への投資に注力することで
国民生活の向上を図る、それが民進党の立場です。その観点からいえば、表現は違いますが、
人づくり革命といって人に焦点を当てている点は従来の
安倍政権からの
方向転換のような気もしますが、人を単なる
生産要素、単なる労働力という捉え方をしないことを求めます。
人の尊厳を重んじた政策を行うことによって、社会や経済の中で人が生き生きと活動できる姿を実現することが人への投資の意味と考えます。民進党が訴えてきた人への投資は、生活が良くなることで経済が良くなるとの考えの下、従来型の
公共事業偏重や既得権益的な
予算配分を改め、
子育て支援や
人材育成の予算に大胆にかじを切っていくものであります。そうした立場から、以下、質問いたします。
総理は、過重な長時間労働を促進する
高度プロフェッショナル制度の創設や
裁量労働制の
対象業務拡大、時間外労働の
上限規制、同一労働同一賃金等の八つの法案を束ねた働き方
改革法案を国会に提出しようとしています。長時間労働を促進する内容と是正する内容、趣旨が真逆の法案を一つに束ねて審議を要求することは適切でないとさきの
特別国会でも申し上げました。総理は、いずれの施策も働く側のニーズに応じていると説明していますが、
高度プロフェッショナル制度や
裁量労働制の
対象業務拡大は働かせる側のニーズが高いと言わざるを得ません。
日本経済の
国際競争力は相対的に後退しています。好調な
企業業績は、
海外景気、
金融緩和、そして
労働分配率の低下や
労働者へのしわ寄せによってもたらされている傾向を否めません。日本の企業や産業の戦略、そして国の
経済政策等が奏功しているとは言い切れないことに真摯に目を向ける必要があります。
そうした中、総理は
施政方針において、働き方改革は、戦後の
労働基準法制定以来、七十年ぶりの大改革と自賛しています。しかし、ただいま申し上げました
日本経済の実情と深層を踏まえると、今回の法案の内容は、
過労死等を誘発する大改悪になる危険性があることを認識すべきです。かつて、一九九九年の
派遣対象業務の拡大や二〇〇七年の
製造業派遣期間の延長等、派遣法の
規制緩和を進めたため、
派遣切り等の問題が深刻化したことを思い出してください。そのような認識を与野党が共有し、思慮深い議論を行うことが必要です。
高度プロフェッショナル制度と
裁量労働制の
対象業務拡大を働き方改革の法案から削除し、断念すべきと考えます。総理の答弁を求めます。
次に、同一労働同一賃金について伺います。
不合理な待遇を是正するため、待遇に関する使用者と
労働者の
情報格差を正すことが不可欠です。現時点で判明している
政府案では、事業主に対し、
正規雇用労働者との
待遇格差の内容や理由を非
正規雇用労働者に説明する義務を課すとしています。
非
正規雇用労働者が収集できる情報が限定的なものとならないよう、
情報開示の義務を課す項目等について、より具体的に定めるべきです。どのような項目を定めるのか、総理の見解を伺います。
また、
政府案による
説明義務は、短時間・
有期雇用労働者、
派遣労働者から求めがあったときに限定しています。
政府案は説明を求めたことを理由とした不利益な取扱いを禁止していますが、果たして立場が弱い非
正規雇用労働者が事業主に説明を求められるでしょうか。こうした懸念が現実化しないよう、他にどのような対策を講じるのか、総理に伺います。
また、
政府案には
説明義務に違反した場合の罰則は設けられておらず、現行法に基づいて助言、指導等が行われるにすぎません。
政府案の
説明義務は十分な実効性が確保されていると言えるのか、総理の認識を伺います。
今回の働き方改革の法案には触れていませんが、
労働者の使い捨てにつながりかねない解雇の
金銭解決制度の検討も続いています。厚労省の検討会は、副業について、企業や事業主が
就業規則等に定めることに関するガイドラインの案を取りまとめました。さらに、政府は、
大手広告代理店の
新入女性社員の
過労自殺の要因の一つと言われる
パワハラ対策の
法改正等には及び腰です。また、オリンピックメーンスタジアムの建設に従事していた
建設会社の
若手男性社員の
過労自殺という痛ましい被害も出ました。
労働者に無理な
事業計画やノルマを課すことは、
パワハラや過労を誘発します。
働き方改革が働く側のニーズと強弁するのであれば、改めて総理に伺います。
解雇の
金銭解決制度の検討をやめること、副業を推奨するような政府の姿勢を改めること、企業が
労働者に無理な
事業計画やノルマを課したり、オリンピックの準備を含め、それを誘発するような様々な分野における政府の無理な施策や運営を総理自らが先頭に立って是正していくお気持ちがあるのか否かを伺います。
働き方改革に関連して、
労働者の所得、税制についてもお伺いします。
総理、今週月曜日の
大手経済紙の一面
トップ記事の見出しを御存じでしょうか。日本の賃金、世界に見劣り、
生産性の伸びに追い付かず、
国際競争力を左右、G7のうち日本だけが賃下げ、
人材流出のおそれとなっています。ゆゆしき事態です。
そうした中、今年度の政府・与党の
税制改正案は、一部の
労働者にのみ負担を求める内容になっています。また、
所得税制の複雑化を更に進めるものであり、公平、中立、簡素という租税の大原則からも評価できません。昨年の
配偶者控除引上げも同様でした。
政府案を取り下げ、かねてより民進党が主張しているように、所得再
分配機能の回復、強化、ライフスタイルに中立で公平な
税制構築、
労働力人口増加を促す
成長戦略の観点等から、
人的控除の整理を含め、
所得控除から
税額控除に転換を図り、さらには、
税額控除から
給付付き税額控除、手当へと税体系を本気で変えていくことを提案いたします。総理の見解を伺います。
人づくり革命の一環として、政府は二〇二〇年度までに保育の受皿三十二万人分を整備して
待機児童を解消する方針ですが、申込みを断念した人を含む
潜在的需要を勘案すると、三十二万人分では足りないと思います。
厚労省は、昨年十二月、保育を必要としているものの申込みに至らないケースも把握することを求める通知を都道府県に発出しました。その結果次第では三十二万人分という目標を見直すのでしょうか。総理に伺います。
政府は、三十二万人分の
受皿整備のために、七・七万人の
保育人材を確保することを目指しています。しかし、新しい
経済政策パッケージに保育士の抜本的な
処遇改善は盛り込まれておらず、七・七万人の保育士を確保できるか疑問です。
待機児童を解消するためには、全ての保育士を対象に抜本的な
処遇改善を行うべきだと考えますが、総理の見解を伺います。
幼児教育の
無償化については、
子供たちを、親の所得や、認可、
認可外等、通う施設によって区別することがあってはなりません。実施に当たっては、全ての子供を対象にすべきと考えます。
無償化の
対象範囲についてどのように考えているのか、総理の答弁を求めます。
高等教育の
無償化は、
住民税非課税世帯の学生の学費を免除する方針と聞き及びますが、授業料の高さを考えると、対象を更に広げるべきと考えます。今後、
支給対象は拡大されるのでしょうか。総理の考えを伺います。
また、全体として、
対象世帯の考え方について一貫性と整合性を欠いています。三歳から五歳の
幼児教育無償化は
所得制限なし、
高等教育無償化は
住民税非課税世帯等に限定、
私立高校の
授業料無償化は年収五百九十万円未満の世帯。更に言えば、
民主党政権が
所得制限なしでスタートした
高校授業料無償化は、
安倍政権下で約九百十万円の
所得制限が設けられています。
総理は、このような
所得制限のばらつき、子供、
子育て世代に対する支援の在り方についてどのように考えているのでしょうか。現在示されているそれぞれの基準の
合理的根拠とともに伺います。
次に、
生産性革命について伺います。
新しい
経済政策パッケージでは、二〇二〇年までの三年間で、我が国の
生産性の伸びを二〇一五年までの五年間の平均値である〇・九%から倍増させ、年二%を実現すると記しています。その際、新しい
経済政策パッケージでは、ここでの
生産性は
労働生産性とすると明記しています。
そこで伺います。総理は
生産性の定義をどのように理解しているのでしょうか、お答えください。
生産要素には、労働以外にも資金や設備等の資本、土地等が含まれるほか、それらの
生産要素以外の要因を包括する全
要素生産性、TFPがあります。労働以外の
生産性について、どのような目標を設定して新しい
経済政策パッケージが構成されているのかを伺います。そして、なぜ
労働生産性と限定しているのでしょうか。総理に伺います。
労働以外の
生産要素の
生産性が向上し、
実質GDPが増加すれば、
労働者の働き方が変わらなくても
労働生産性は結果として向上します。総理は、
労働生産性は
生産性向上の結果と考えていますか、それとも原因と考えていますか。今後の
政策論争の基礎となりますので、総理の認識を伺います。
新しい
経済政策パッケージや
施政方針には、
生産性革命との関連でIT、IoT、AI等に関連する施策や記述が多岐にわたっています。IT、IoT、AI等の分野に関して、日本は進んでいるのか、遅れているのか、どの分野が進み、どの分野が遅れているのか、総理の
基本的認識を伺います。
中国では、
金融機関から融資を受けたり、ファイナンスを得ることに関し、三・一・〇という表現が普及しつつあります。スマホや
ネット経由で融資を申請するために
必要情報を入力する時間が三分、融資の可否はAIが一秒で下し、
融資業務に係る
マンパワーはゼロという意味のようです。
日本で起業家や
スタートアップ企業が融資を受ける際の煩雑さは十分には改善されておらず、
フィンテック等の分野でも世界からの遅れが目立ちます。クラウドファンディングも十分に普及していません。中国の
科学技術予算は、二〇一五年には日本の六倍に当たる二十・七兆円に達しており、現在の
予算格差は更に広がっていることでしょう。
毎年開催されるAIの
国際学会である
NIPS、ニューラル・インフォメーション・プロセッシング・システムズは三十一年目を迎えました。世界のIT、
AI関連の
主要企業も学会に参加し、昨年末に米国で開催された直近の
NIPSには約八十社が参加しました。ところが、日本からの参加は
ベンチャー企業一社のみ。主要国の
AI関係者から、日本は蚊帳の外と言われているようです。
AIに関する日本の遅れの打開策について総理の考えを伺うとともに、当初
予算案にどのような施策が盛り込まれているのか、お答えください。
生産性革命に関連して、もう一つお伺いします。
施政方針において、
ビッグデータ時代に対応し、行政が保有する様々なデータから新たな価値を生み出すため、公開、
民間開放を原則としますと述べています。公開、
民間開放を原則とするというのは、どのような
行政情報を対象として考えているのでしょうか。
個人情報保護の観点とのバランスをどのように考えているのでしょうか。従来は非公開であったものを公開とする際の
法的対応をどのように考えているのでしょうか。それぞれ総理にお伺いします。
人づくり革命、
生産性革命に関連して、予算について伺います。
平成二十九年度
補正予算案の
編成理由として、総理は、第四次
安倍内閣の初閣議及びさきの
特別国会において、
災害復旧を強調していました。しかし、直接的な
災害復旧等として計上された予算は〇・三兆円にすぎず、それ以外の項目において
公共事業を中心に約二・四兆円もの歳出が追加されています。
利権の温床との批判も多い
土地改良事業について、当初
予算案で四千三百四十八億円計上されていますが、
補正予算案にも千四百五十二億円計上されており、総額五千八百億円に及びます。
このような
予算編成をしていては、
国民生活や
科学技術に関する予算を潤沢に捻出できるわけがありません。
当初
予算案は、九十七・七兆円と過去最大です。残念ながら、当初
予算案で
国民生活の向上に資する項目が手厚く配慮されているとは感じられません。
農林水産省所管の
公共事業である
土地改良事業費だけでなく、
国土交通省所管の
公共事業費も増加しています。
国土強靱化を口実に、
大型公共事業に偏重する傾向が強まっており、
予算構造が先祖返りしている印象を受けます。総理に所感を伺います。
注目すべきデータを一つ御紹介します。
IMF統計に基づいて私自身が試算したところ、一九六〇年から二〇一五年の五十六年間の日本の
公的資本形成の対
GDP比は七・七%、実額にして千三百八十九兆円。同時期のG7の他六か国合計の対
GDP比は三・九%。日本の半分です。仮に対
GDP比が
欧米並みであった場合、日本の
公的資本形成は六百八十五兆円多い計算になります。
物価水準を勘案して現在価値に引き直すと、九百五十六兆円。
単純比較はできませんが、欧米比で約一千兆円多い
公的資本形成を行っていた計算になります。約一千兆円を教育や
科学技術、
社会保障等に投入していたら、現在の日本は随分違う姿になっていたのではないでしょうか。総理の所見を伺います。
この現実をどのように是正するかは重要な課題です。過去のこの現実についての総理の所感を伺います。また、今後これをどのように変えていく考えがあるのか、そうした観点から、当初
予算案ではどのような留意がなされているのか、総理にお伺いいたします。
防衛費についても伺います。
我が国を取り巻く
安全保障環境が厳しさを増す中、国民の命と平和な暮らしを守るために必要な予算は確保しなければなりません。しかし、何でも認めるというわけにはいきません。
昨年、会計検査院は、F35AのFMS、
有償軍事援助の
調達状況の問題点や
防衛装備品調達における過払いの可能性を指摘しました。こうした点について、どのような改善を行った上で当初
予算案を編成したのか、総理に伺います。
施政方針では、
専守防衛は当然の大前提としながら、従来の延長線上ではなく、国民を守るために真に必要な防衛力のあるべき姿を見定めてまいりますと述べています。従来の延長線上ではなくとはどういう意味でしょうか。総理に伺います。
当初
予算案には、射程九百キロメートル超の
巡航ミサイルの
配備関連経費が計上されています。
巡航ミサイルは、一般的には
攻撃的兵器であり、自衛のための
必要最小限を超えると受け止められ、
安全保障環境に緊張をもたらすことが懸念されます。
施政方針にも明記されている
陸上配備型弾道ミサイル迎撃システム、イージス・アショアの導入に関しては、ロシアの
ラブロフ外相を始め近隣国が懸念を表明しています。このような兵器が
専守防衛の範囲内であるか否か、総理の認識を伺います。
施政方針では
専守防衛は当然の大前提としていますが、新三要件により
集団的自衛権を一部容認している現在の政府の立場は
立憲主義に反しています。
総理は、
集団的自衛権行使の根拠を、平成二十六年の七・一
閣議決定において、昭和四十七年十月十四日の
政府資料に示されていることを根拠にして、今日まで
安全保障法制の合法性、
憲法適合性を主張し続けています。しかし、当時の
内閣法制局の担当者が、昭和四十七年の
政府見解は
集団的自衛権を前提としたものではなかったと証言していることが報道等で指摘されています。
総理は、
施政方針の外交・
安全保障の項で、自由、
民主主義、人権、法の支配といった
基本的価値を共有する国々と連携すると述べています。
法の支配とは、
国際法規のみならず、
法治主義、
立憲主義に忠実であることが前提です。そうであってこそ、
日本自身も、他国から信頼される法の支配という
基本的価値を共有する国と言い得るのです。
平成二十七年の
安保法制の
強行採決にまで至った総理の
立憲主義を軽視する姿勢、
束ね法案を濫用して
国会審議を形骸化する姿勢こそが、総理が熱意を燃やす
憲法改正論議に国民や野党が信頼して応じられない最大かつ根本的な理由です。
総理、
安保法制の
違憲部分の見直しに真摯に向き合い、与野党のみならず、国民全体が納得できる環境をつくってから、改めて
憲法改正論議を行うことをお勧めします。総理の所見をお伺いします。
多くの人命が失われ、未曽有の被害をもたらした
東日本大震災から、間もなく七年がたとうとしています。
阪神大震災からは二十三年が経過しました。今なお被災で苦しんでいる方々のために民進党は全力を尽くします。
東日本大震災からの
復興復旧はいまだ道半ばです。
民進党は、
被災者生活再建支援金のうち
加算支援金を最大五百万円に増額する
被災者生活再建支援法案、
災害関連死について国が一定の基準を設ける
災害弔慰金支給法案、
所有者不明等の用地について手続中であっても
権利取得、
土地利用開始を可能とする制度を創設する
東日本大震災特区法案、
津波被害等で使うことができなくなった土地の処分を円滑に行うための
土地等処分円滑化法案から成る
復興加速四法案を提案しています。
いずれも、昨年の
衆議院解散で廃案となりましたが、再び提出し、是非成立させたいと思います。御賛同いただけるかどうか、総理の御見解をお伺いいたします。
今国会における焦点、論点は、以上申し上げた内容以外にも枚挙にいとまがありません。
北朝鮮問題への対応、沖縄での
米軍機事故への対応、年金、医療、介護の諸課題への対応、
財政健全化への対応、総理が
説明責任を果たそうとしない
森友学園、加計学園問題への対応、新たに発覚した
スーパーコンピューター開発をめぐる
補助金詐欺疑惑への対応について、総理の
基本的姿勢を伺います。
総理は、
施政方針の冒頭で会津藩の
山川健次郎翁の名言を引用しました。会津藩といえば、
子供たちを教育する集まりであった什という組織がよく知られており、「什の掟」も今に伝えられています。その第三は「虚言を言ふことはなりませぬ」であり、「ならぬことはならぬものです」と締めくくられています。山川翁も反すうしたであろう「什の掟」も踏まえ、総理には全ての問題に真摯に向き合っていただきたいと思います。
最後に、民進党は
国民生活の向上のために全力を尽くすことをお約束申し上げ、
代表質問とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕