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2018-05-15 第196回国会 参議院 農林水産委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十年五月十五日(火曜日)    午後一時二分開会     ─────────────    委員異動  五月十一日     辞任         補欠選任      相原久美子君     小川 勝也君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩井 茂樹君     理 事                 中泉 松司君                 舞立 昇治君                 田名部匡代君                 紙  智子君     委 員                 礒崎 陽輔君                 上月 良祐君                 進藤金日子君                 野村 哲郎君                 平野 達男君                 藤木 眞也君                 山田 俊男君                 谷合 正明君                 横山 信一君                 徳永 エリ君                 舟山 康江君                 小川 勝也君                 川田 龍平君                 儀間 光男君                 森 ゆうこ君    国務大臣        農林水産大臣   齋藤  健君    内閣官房長官        内閣官房長官  野上浩太郎君    副大臣        内閣府副大臣   田中 良生君        文部科学大臣  丹羽 秀樹君        農林水産大臣  谷合 正明君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       上月 良祐君    事務局側        常任委員会専門        員        大川 昭隆君    政府参考人        内閣沖縄振興        局長       北村  信君        内閣食品安全        委員会事務局長  川島 俊郎君        外務大臣官房審        議官       飯田 圭哉君        文部科学大臣官        房審議官     下間 康行君        厚生労働大臣官        房生活衛生・食        品安全審議官   宇都宮 啓君        農林水産大臣官        房総括審議官   天羽  隆君        農林水産省消費        ・安全局長    池田 一樹君        農林水産省食料        産業局長     井上 宏司君        農林水産省生産        局長       枝元 真徹君        農林水産省経営        局長       大澤  誠君        農林水産省政策        統括官      柄澤  彰君        水産庁長官    長谷 成人君        国土交通省鉄道        局次長      山上 範芳君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (人口減少下における農業政策に関する件)  (日米間の通商交渉に関する件)  (ネオニコチノイド系農薬の規制に関する件)  (国家戦略特別区域における獣医学部の新設に  関する件)  (農林水産物輸出振興に関する件)  (水産政策改革に関する件)  (鯨類科学調査に関する件) ○厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組  合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共  済組合法等を廃止する等の法律の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 岩井茂樹

    委員長岩井茂樹君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十一日、相原久美子君が委員を辞任され、その補欠として小川勝也君が選任されました。     ─────────────
  3. 岩井茂樹

    委員長岩井茂樹君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣沖縄振興局長北村信君外十二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩井茂樹

    委員長岩井茂樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 岩井茂樹

    委員長岩井茂樹君) 農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 平野達男

    平野達男君 三十分、時間いただきましたので、質問をさせていただきたいと思います。  今日、人口減少ということに関連しまして、これから人口減少、もう始まっておるわけですけれども、様々な影響が出てくるわけですが、これを議論するともう議論がどんどんどんどん拡散しますので、ちょっとテーマを農業、特に土地利用型農業、更に言えば、農地をどうやって守っていくかということに専ら焦点を当てながらこれから幾つかの質問をさせていただきたいというふうに思います。  先般、厚労省国立社会保障人口問題研究所日本地域別将来推計人口というのを出しました。二〇一五年から二〇四五年という期間を設定しての推計でありまして、今日お手元にそのペーパー、二枚紙、ちょっと添付させていただいておりますけれども、質疑を聞きながらちょっと見ていただければ有り難いと思います。  これによりますと、二〇一五年から二〇四五年、三十年間で、全国的には一億二千七百万人から一億六百万人まで人口が減るだろうというふうに言われています。約一六・三%ということでありますね。  日本は、一九七〇年代の半ば、一九七六年だったと思いますけれども、合計特殊出生率が二・〇八を割っています。それからずっと低下をし続けまして、いっときは一・二八ぐらいになりまして、今そこからちょっと反転して一・四四ということですね。御案内のとおり、合計特殊出生率の二・〇八、まあ二・一でもいいんですけれども、二・一を割りますと人口は減るということになりますが、日本は一九七五年からですから、もう四十年以上にわたってその二・一を割り続けているという状況にあります。  人口減少は、御案内のとおり二〇〇五年から始まっています。一九七五年から二・〇八を割って人口減少が起こらなかったのは、その間、日本人の寿命がずっと延びたからでありますね。今、日本は世界に冠たる長寿国でありまして、健康寿命も非常に延びているということなんでありますが、この合計特殊出生率が一九七〇年代の半ばから二・〇八を割っている、二・一を割っているということは、今の日本人口の構成の中で人口減少は不可避であるということを表す、もうしっかりビルトインされているということだと思います。  希望出生率が一・八ということで今安倍内閣は設定していますが、仮に、仮にですね、これはあり得ない話ですけど、来年、合計特殊出生率が二・一に復活したとしても、人口歯止めが掛かるためには六十年掛かるとも言われています、人口減少歯止めが掛かるためには。だから、それぐらいある意味では深刻といえば深刻なのかもしれませんが、要は、もうこの人口減少が続くという中でどういう政策を立てていかなければならないのかというのをあらゆる面においてやっぱり検討していかなくちゃならないという時期に入っているということなんだろうと思います。  しかも、先ほど言った人口減少全国一本なんですね。全国で一本でいきますと一六・三%の減少ということになりますが、これを地域別で見ますと全く別の構造がまた見えてくるわけです。  そこで、県別人口減少の推移をまとめたのが、あくまでもこれは推計でありますから、推計なんですが、このお手元ペーパーでありまして、全国でマイナス三〇%、三割以上減るだろうと言われるのが六県あります。そのうちの五県が何と東北なんですね。残り一県が高知です。で、沖縄は最も減らない。そういう県になっています。  さらに、市町村別状況を見ますと、更にまたばらつきが出てくるわけです。市町村別状況を見ますと、後ろ側に図だけ入れてありますが、五〇%以下になるというところもあれば、八〇から一〇〇%とかと、かなりばらつき、その差にかなり幅が出てきます。  大事なことは、ここは農林水産委員会ですから、一次産業推進する地域で圧倒的に人口減少が進むということでありますね。この人口減少が進むために、人口減少歯止めを掛けなくちゃならないとか、様々なことをこれからやっていかないかぬわけでありますが、しかし、繰り返しますけれども、人口減少は進むんです。しかも、先ほど、ちょっと話変わりますが、東北は意外と、出生率高いように見えていますけれども、そんなに高くないんです。西の方が高いんですね。しかも、東北の場合は流出人口も多いという中で、これから東北全体どうするかというのは大きな問題があります。ありますが、今日はその問題をちょっとこっちへ置きまして、じゃ、そういう中で農業はどうなっていくんだろうか、農地はどうなっていくんだろうかということで、特に土地利用型農業ということについて私自身はちょっと今日これからいろいろと質問していきたいわけでありますけれども。  まず、この人口減少という中で、消費減の問題だとか様々な問題があるかと思いますが、大臣、これから農業を考えるに当たってどういうことを考えていかなければならないのかということについての御認識をちょっと伺いたいというふうに思います。
  7. 齋藤健

    国務大臣齋藤健君) 大変重要な御指摘をいただいていると思います。  我が国におきましては、昨年一年間だけで四十万三千人の人口減少となりました。これは一昨年より七万人以上多い拡大ペースであります。二〇一七年四月の国立社会保障人口問題研究所推計では、今後も人口減少ペースは加速をしていって、そして二〇五〇年には一億人程度になるとされております。これは委員指摘のとおりです。私たちが生きている間は、恐らく人口は減り続けるんだろうと思います。  人口減少我が国農業に与える影響につきましては、需要面供給面、それぞれ分けて考える必要があろうかなと思います。  まず需要面ですが、人口減少が進んだ将来の食料消費につきまして、農林水産省研究機関であります農林水産政策研究所が二〇一四年六月に将来推計を行って公表しております。それによりますと、二〇五〇年の国内食料消費につきまして三つのケースを想定して推計を行ったところ、二〇一二年の水準から二〇五〇年は約三割から四割、国内食料消費減少するという結果となったところでありまして、人口というのは人の口と書きますから、口に入れるものを生産している産業にとりましてはこれは大変な事態だろうと思います。  一方、供給面におきましても、農業従事者平均年齢が六十六歳を超えている現状を踏まえますと、場合によっては人口減少スピードを上回る速さで農業者の数が減る可能性もございます。  このように、本格的な人口減少社会の到来を迎え、我が国農業は大変大事な局面に立ち至っているのではないかと認識をしております。  このため、農林水産省といたしましては、長期的に見て国内食料需要減少せざるを得ないのであれば、旺盛な海外の食料需要を取り込んでいくというのが一つの方途であろうということで、輸出の促進です。それから、生産サイドだけで利益を得るということではなくて、流通、加工に進出することによりまして生産サイド付加価値を取り込んでいくというのが二つ目方向だと思いますし、あるいは農地中間管理機構を活用して担い手への農地集積、集約を図るですとか、それから地域農業農業者所得向上に全力投球できるような農協改革を進めるなど、各般の改革に全力で取り組んでいるところであります。  人口減少社会においても農業が魅力ある成長産業となるように、引き続き農政改革を強力に進めてまいりたいと考えております。
  8. 平野達男

    平野達男君 ありがとうございます。  農業就業人口は、私はもう間違いなく人口減少スピードを上回って減っていくと思います。数年前までは六十五歳が農業を支えているということで、そういう認識でしたけれども、今はもう七十歳にならんという方々現場で頑張っていると。しかも、俺の代で、おらほの代で終わりだと思っている方々が、農家がたくさんいるというのは、これは現場感覚でもうそのままです。  そういう中で、これからは農地ということについてちょっと焦点を絞らせていただきたいと思いますけれども、農地流動化ということについては、元々は農地流動化というのは経営規模拡大ということでやってきたわけです。最近は、その農地流動化というのは、どちらかというと、それにプラスして使われていない農地を何とか使おうということで、今農業委員会なんかもそういうことを中心農地流動化というのをプラスしてやっている、規模拡大と合わせて。だけど、これからは急激に農業就業人口が減ってくるという中で、農地流動化というのはこの農地を守るという色彩というのが今まで以上にやっぱり強くなってくると思うんです。  経営観点からではなくて、その就業人口が減っていく中でどういう形で農地を守っていくか。そのためには、もう農地流動化しかないというか、農地流動化をこれ以上にやっぱり積極的に進めていく必要があるということだと思うんです。そういう認識について、大臣、共有していただけるでしょうかということですが。
  9. 齋藤健

    国務大臣齋藤健君) 基本的には同じ認識を有しております。  農地流動化は、今御指摘のように、高齢化が進む状況の下で、もうリタイアをする農業者の方がおられると。そういう農業者の方から、将来の農業を担う担い手の方に円滑に農地利用を移動するという、そういう側面もあるわけでありますので、それを推進をしているところであります。  これは、担い手にとっては規模拡大につながりますし、農地にとっては放置すれば遊休化する農地地域にとってはですね、遊休化してしまいかねない農地有効活用ということでありますので、推進をしているところでありますが、一方、御指摘のように、近年では遊休農地拡大や将来の担い手がいない地域の増大といった問題の、これへの対応の重要性というものが増してきているんだろうと思います。  したがいまして、遊休農地等については、都道府県の知事の裁定によりまして、農地中間管理機構農地利用権を取得して、やる気のある人に貸せる仕組みですとか、それから所有者不明農地について、簡易な手続によりまして機構利用権を取得してまた貸せるような仕組みですとか、利用されないおそれのある農地担い手集積をしていく努力というものもこれまで以上に私ども大事になってくるんだろうと思っておりますので、基本的には委員の御指摘のとおりだと思います。
  10. 平野達男

    平野達男君 農地改革前は少数の大規模地主と多数の零細小作、これからは日本農業は、少数とは言わないけれども、ある程度の数の大規模小作、それで、多数とも言いませんけれども、ある程度の数の小規模地主、そういう時代になると言ったのは渡辺美智雄先生農林水産大臣のときなんです。当時は私、その意味分からなかったです。分からないんですけれども、だんだんだんだんその方向になってきているし、これからもまたその方向になるということなんですね。  今、遊休農地も、その解消ももちろん大事なんですが、それは同時並行的にやっていくということなんですけれども、今、現場に行ったときに、あの家はあと何年ぐらいまでは農家続けるけど、もう後継者はいないねと。その農地どうするんだろうかということについて話し合っているところと話し合っていないところと、それからあと、いろいろあります。生産法人で非常に活動活発なところは、そろそろ預かってもいいよといって預けてもらって、預かって、それで農業活動をやっているところもありますし、様々なんです。  ただ、私は、これからは、農地台帳というのがありまして、かなりこれ精度が高くて、非常にいいシステムつくりました。一筆ごとにこの農地、何年後ぐらいまで、何年までは今の所有者がやります、その後その所有者はどういうことを考えているか、そういう調査を悉皆でやれとは言いませんけれども、悉皆的にしっかりとという、駄じゃれ言っているわけじゃないですけれども、そういうことをやる状況に入ってきているんじゃないかと思います。  その上で、恐らくかなりの農地がやっぱり預かってもらいたいと。感情的があって農村は理屈どおりいかない面がたくさんありますから簡単にいかない面はありますけれども、そういう、何というんでしょうかね、受け手、受け取ってくださいという農地は結構出てくる可能性があるわけです。それをつかんだ上で、じゃ、担い手はどうなるかということをやっぱり併せてセットでやっていくことが大事なんだと思います。  そういうことをやる時期に来ているんじゃないかと思いますけれども、どうでしょうか。
  11. 大澤誠

    政府参考人大澤誠君) お答えいたします。  非常に貴重な御示唆だと思いますけれども、まず現状から御説明をいたします。  まず、現状につきましては、農地については、農地法上の責務である農業上の利用を確保する。今は、全農地を対象にやっておりますのは、農業委員会による利用状況調査でございます。その結果、遊休農地になっている、あるいはそのおそれがあるというものについては一筆ごと所有者意向を確認している、これが法律上の現在の建前でございます。  それを超えて、先生の御指摘はもう少し調べるべきではないかということでございますが、我々もやはり将来どうするかということについては非常に心配でございますので、今現状としては、義務という形ではなくて、人・農地プランという形で、現場において地域農業の在り方、あるいは地域中心となる担い手を明確化するというプロセスを踏む、その中で農地ごと意向を調べるというやり方でやっております。ただ、それがなかなか現実に、実際にそういうふうに出し手意向まで出ているかどうかというところについては、やっぱり地域によって差があるということでございますし、下手をしますともう強制的に農地を出さされるのかというふうに誤解されるおそれもありますので、そこはやり方を工夫しながら一生懸命やっているというところでございます。
  12. 平野達男

    平野達男君 そこは問題意識をきちっと説明すれば地域は大体分かってくれます。一気に悉皆というのはなかなか難しいと思いますけど、是非、モデルとか何かをつくりながら、地区を選定しながら、農協土地改良区と農業委員会市町村と、それから関係地域と、そういう話をするような、そういう仕組み是非設けてもらいたいと思います。  実は、私、この全く同じ話を農業者戸別所得補償法案を提出したときにやっているんです。もう今から十年前です。でも、あのときは何を念頭に置いていたかというと、急激にこれから高齢化が進んで農地出し手がいっぱい出てくるから、少し農地出し手歯止めを掛けるために戸別所得補償政策を入れるんだという、かなり強硬な理論だったんです。だけど、ちょっと出すのが早過ぎたかもしれません。当時の民主党の議論の中では、併せて農地流動化もつくるという計画まであったんです。ところが、急いで仕上がったために、法律戸別所得補償という直接支払だけの法律になりましたし、政策導入も直接支払のところだけがスタートしてしまったというのがちょっと残念な面ではありましたけれども、考え方としては間違っていなかったんじゃないかと思いますし、実は今こそ本当は戸別所得補償が必要だと言うと、私もうここ立っていられなくなりますから、ここでちょっと止めますけれども。  言いたいのは、急激な勢いでとにかく農地放したいという人が出てくるという中で、やっぱり高齢でも何でもやりたいという人はやるという仕組みを用意しながら、かつまた五年後、十年後、十五年後の農地流動化をやっぱりしっかりつくりながら、誰に農地集積していくかということを今度こそしっかりやる仕組みをやっぱりつくっていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。  その上で、一点だけ。今、中間管理機構出し手にいろいろ補助金出していますけれども、そろそろやっぱり受け手対策にもっともっと力を置くべきじゃないかと思いますけれども、そこに対しての簡単な見解をちょっと、簡単でいいですから、見解をちょっと伺っておきたいと思います。
  13. 大澤誠

    政府参考人大澤誠君) 農地については、我々は、現在の認識としましては、平場の整備済み農地については出し手が少なく、一方で借受けの希望は多い、中山間の未整備農地については借受けの希望が非常に少ないというような需要の差がありますので、地域状況によって、受け手出し手、それぞれにどちらに施策を講じる必要があるかというのはやっぱり地域によって違ってくるのではないかというのが現状でございまして、それに応じて、例えば受け手対策といたしましては、農家負担のない基盤整備事業、それから機械、施設の導入に対する支援であります経営体育成支援事業出し手対策としては、御指摘のような機構農地を貸し付けた場合の経営転換協力金などもありますし、機構にまとまった農地を貸し付けた地域においては地域集積協力金というのを交付しまして、地域の合意に基づいて受け手出し手に柔軟に配分できるような仕組みも設けているところでございますが、現場ニーズというのは刻々変わってくるだろうと思っておりますし、先生の御指摘のような人口減少影響は確かにあると思いますので、今後とも、現場ニーズを分析、検証しながら、どういう仕組みがいいのかというのは常に考えていきたいと考えております。
  14. 平野達男

    平野達男君 現状においては地域地域でやっぱり違っていくというのはそのとおりだと思いますが、ただ、今局長も言ったように、やっぱり人口減少はどんどんどんどん進んでいきますから、特に中山間地域は今本当に加速的に進みつつあると思ってもいいと思います。だから過疎対策とかいろんな対策を講じつつあるんですけど、農業農業としてやっぱりしっかりやっていかないとという観点で、是非、先ほど言いましたけれども、農地管理台帳農地台帳を使ったような、活用したような仕組み、それからあと、これからこの地域、どういう担い手農業をやっていくか、守っていくかというようなことをみんなで議論するような仕組みというのを是非つくっていただきたいというふうに思います。  それからあと、あわせて、これは要望だけしておきますけれども、今回、農業経営基盤強化法の改正、それからあと、林業に関して言えば森林管理法ですね。それからあと国交省の方でも、法律の名前忘れましたけれども、いわゆる所有者不明、共有地利用権の設定のための仕組みというのは整備されまして、これでこれからできるだけ土地は使っていこうというこの法的枠組み整備されたと思いますけれども、前回か前々回の委員会でも質問申し上げましたけれども、やっぱり登記が、進めていくということがやっぱり基本だと思います。是非農地管理台帳農地台帳整備、運営と併せて、この登記をせよという運動も併せてやっていただきたいということを強く要望として申し上げておきたいというふうに思います。  そして最後に、最後の五分、農業経営基盤強化法に関連してやった例の農地コンクリート化に関連して、ちょっと一点、質問をしておきたいと思います。  あの議論の中で、野党の先生徳永先生とかが、非常にいい議論がやっぱりあったと思います。それは何かといいますと、自民党の内部の我々の議論の中でも触れていなかった議論なんですが、いわゆる植物工場のできたときに、私のイメージは当初小さい工場というイメージだったんですが、ある程度大きなものが出てきたときに、転用で処理するのか、新たな法律で、枠組みで処理するのか、これは一義的には農業委員会がまず判断する話になるのかもしれないし、誰が判断するのか分からないんですけどね。その基準がちょっと明確じゃないなと思います。  大事なことは、農業委員会がやって、これは農地だよということは、これがもしその植物工場が役割を終えたときは必ず農地へ戻すということが絶対条件になります。だから、それはぎっちり確認されるということであれば、それは今の仕組みだということになると言っていいと思うし、ここが一つの大きな判断基準になるんだろうと思うんですが。  一方で、大きな植物工場というのは、仮にその操業をやめたときに、じゃ、本当に農地に戻せるかどうかという、そういう疑念も出てくるわけですよ。それをどうやって担保するかというのもよく分からない。下手すると、これは固定資産税の減免のためだけにうまく使ってしまってというふうにも取られかねないという状況になりますから。これは転用でやるべきか、今度の法律の枠組みでやるべきかということについての考え方は、やっぱりきちっと整理した上で、この間出した、所有者も場合によったら農地へ戻すときの負担を迫られる可能性がありますよという指導もするということになっていますけれども、そういったものとセットで、もう一回課題を整理して、今回の法律の改正の趣旨と運用ということについてということで指導をする、指導というか、考え方をしっかり整理して示すことが大事だと思います。  せっかくこれだけの委員会やっていて、この間の野党というか、皆さん、各同僚議員の指摘というのは非常に大事な指摘だったと思うので、取り入れるところは取り入れてやっていかなくちゃ駄目だと思いますから、是非そこについての見解をちょっと伺っておきたいと思います。
  15. 大澤誠

    政府参考人大澤誠君) 御指摘の農作物栽培高度化施設、いわゆる底地をコンクリート張りした施設につきましては、五月十日の本委員会で採択された附帯決議におきましても、省令を定めるに当たって、周辺の農地に係る営農条件に支障を及ぼさないように規模等について必要な基準を定める、農地の面的集積農業の有する多面的機能の発揮への影響について考慮する、現場への運用に当たっては、混乱が生じないよう、基準は具体的に定める、農業委員会が適切に判断できるようきめ細かく方針を示す、それから、施設の範囲や複数の施設を一体として扱うことによって広範囲をコンクリート等で覆うことを許容するのような法改正の趣旨を逸脱する運用を行われることがないようにすると、このような御指摘をいただいておりまして、これを十分踏まえながら対処していきたいと思います。  具体的には、専門家の意見を十分聞きながら、施設の要件についてはなるべく数値を用いて客観的な基準を示す。それから、排水施設の要件につきましても、これは規模等も関係いたしますので、ハウス全体の規模に応じて必要となる排水施設の基準をそれぞれ段階別に定めるなどやっていきたいと、なるべく客観的に決めたいというのが一つでございます。  それから、例えば先生のおっしゃったその所有者に対する指導も一つでございますし、今回、農地に造るということは、指導は逐次入るということでございますから、まあそれも大事なんですけれども、最初の指導というのが一番大事だと、施設を造る際の指導が一番大事だと思っておりますので、例えば経営の悪化等で施設の一部が遊休化して農作物の栽培に供されなくなったということになれば、施設を改築をお願いすることもあるのだよということを、あらゆる心配事については初めにあらかじめ伝えておくと、明確に相手方に伝えておくというような考え方も大事だと思っております。  いずれにしろ、附帯決議の趣旨を十分に踏まえながら適切に対処してまいりたいというふうに考えてございます。
  16. 平野達男

    平野達男君 今回の新しいスキームでやるか従来の転用でやるかの違いというのは、もう一回繰り返しになりますけれども、用途が廃止された場合には間違いなく農地に還元するということが前提になるはずなんです。それがちゃんと担保できるかどうかということにやっぱり行き着くかもしれませんね。それをどういう形かで約束、明らかにした上で、それで今のスキームで使うと。そこで、だから固定資産税の減免というメリットもそこで出てくるということであるし、そういう考え方の下で、この運用のルールというのを是非、細かなルールを、ルールというか、分かりやすいルールにして運用していただくことを是非お願いしたいと思います。  野村部会長からも既にそういう指示が多分行っていると思いますが、ここは農林水産委員会ですからあれですが、場合に応じては部会等ででもまたお聞きできればしたいと思いますので、よろしくお願いします。  時間が一分ちょっとありますけど、私の質問はこれで終わります。ありがとうございました。
  17. 横山信一

    ○横山信一君 公明党の横山信一でございます。  水産政策改革方向性に沿って、農林水産業・地域の活力創造プランの水産資源の適切な管理と水産業成長産業化という改訂が進められております。そこで、この機会に、漁業関係者の納得と理解を得られるような改革となるように、以下数点質問してまいりたいと思います。  農協改革のときに、漁協や漁連では、非常にどんなふうになるのかなというのを皆さん注目しながら見ていたことの一つに、信用事業の監査ということがありました。これ、漁協でいうと全漁連監査というのが行われているわけでありますけれども、農協改革のときにも公認会計士による外部監査の導入というのが図られました。  農協と漁協というのを単純に比較をしますと、漁協は経済事業中心です。一方、農協のような巨大な信用事業は持っていないということになります。しかも、その信用事業の多くは信漁連、信用漁業協同組合連合会ですね、信漁連に既に譲渡をされていると。このような現状の下で、信用事業についてはどのような改革方向性を考えているのか、また、信漁連に対する全漁連監査についてどう考えているのか、大臣に伺います。
  18. 齋藤健

    国務大臣齋藤健君) 漁協系統におきましては、水産業協同組合法に基づきまして、全国連合会である全漁連が、貯金額等合計額が二百億円以上の漁協、これは全部で七漁協ありますが、及び全ての信漁連、これは二十八連合会ありますが、に対しまして、公認会計士及び監査士で構成されるJF全国監査機構を設けて、そして、かつ、その監査の品質管理の観点から、監査法人と契約を結び、その指導、助言等を受けた上で財務諸表等の監査を実施をしているというのが現状でございます。  これは、委員指摘のように、准組合員資格を有する者の範囲が漁業関係者に限定をされていることから、信用事業の利用者が原則として漁業関係者であるということ、それから、生活関連融資の割合が少なくて漁業関連融資が中心となっているということなど、漁協系統の信用事業の実態を踏まえたものになっていると思います。  漁協の信用事業の健全性の確保等の観点からは、監査の更なる充実強化が必要と考えております。ただ、信漁連等に対して公認会計士監査を導入するかどうかといった点につきましては、今検討の最中でありますので、漁協系統の実態も十分に踏まえつつ、検討して結論を出してまいりたいというふうに考えております。
  19. 横山信一

    ○横山信一君 今大臣最後におっしゃられたように、その系統の実態を踏まえてしっかりと検討していただきたいということであります。  漁業権行使料の問題、質問はちょっと飛ばしまして、指定漁業のお話、質問に移ります。  今回、遠洋・沖合漁業等については、漁船の大型化等による生産性の向上を阻害せず国際競争力の強化につながる漁業許可制度とすると、そして、IQが割り当てられている漁船についてはトン数制限等のインプットコントロール等に関する規制を見直すということになっているわけであります。  指定漁業の多くというのは、これは漁獲対象魚種が限定されているという場合が多いわけであります。そういう意味では、今までなぜインプットコントロールというかトン数制限をしてきたのかと、その効果をどう見るのか、これは長官に伺います。
  20. 長谷成人

    政府参考人(長谷成人君) お答えいたします。  漁船のトン数につきましては、漁獲能力の大きさを反映しているものとして漁業許可制度の中で従来制限してきたところでございます。こうした漁船のトン数に関する規制は、漁業調整や資源管理を進める上で一定の効果を上げてきたと認識しております。  なお、我が国の資源管理の手法としては、漁獲可能量、TACの設定等により漁獲量を制限し、漁獲圧力を出口で制限する産出量規制、アウトプットコントロールとも言っておりますけれども、この産出量規制も導入されておりまして、現状におきましても、指定漁業の漁獲量ベースで見ますと、かなりの程度このTACの対象となっているところでもございます。
  21. 横山信一

    ○横山信一君 TAC対象になっていてアウトプットコントロールもしっかり効いているということでありますが、今現状で公海というか、各国の船が競い合って漁業をする遠洋漁業の実態を見ると、非常に船が大型化をしていると。中国、韓国、台湾、大型化をしていて、沖合にずっと浮かんでずっと漁業をしていた方が生産性がいいし効率がいいわけですから、そういう意味では、今のその世界の環境の中にあって、日本がインプットコントロールをしているがゆえに、その大型化の波に日本が乗り遅れてしまっているという現状があるんだろうと思います。  そういう意味では、日本の漁船の大型化のためには、そのアウトプットコントロールにシフトをするというのは私は正しい選択だというふうに思うんでありますが、一方で、じゃ、その船を大きくするということについては、これはもうかる漁業なんかを利用してやっているわけですけれども、その漁船の、今度は大型化する導入支援というのをどう考えているのか。これ、大臣に伺います。
  22. 齋藤健

    国務大臣齋藤健君) 漁船のトン数につきましては、今長官からお話ししましたように、漁業調整や資源管理の観点から、漁獲能力の大きさを反映しているものとして、現在、漁業許可制度の中で制限をしているわけでありますが、一方で、漁船の安全性ですとかあるいは乗組員の居住性を確保するための規制緩和というものは随時行ってきているわけであります。  また、昨年四月に策定されました水産基本計画におきましても、漁船の大型化による居住環境の改善や安全性の向上が必要だという認識が示されておりまして、もうかる漁業創設支援事業の活用などによりまして、居住性等に優れた漁船の導入を進めていく考えでございます。
  23. 横山信一

    ○横山信一君 その漁船の大型化を進めていくということについていくと、指定漁業の中でも特に大型になっていくというか、大型化が必要なのは恐らく大中巻き、巻き網船だというふうに思います。  この巻き網船に関して言うと、これは沿岸漁業と、それから操業区域や漁獲対象魚種など細かく調整をしている海域があります。これは現時点でも有効な資源管理になっているというふうに思うわけですが、ここの調整をしているその海域で大中巻きが大型化をすると、こうなると、調整されている沿岸漁業の人たちは、うんっというふうに当然なってくるわけでありまして、特に近カツとか、近海カツオ、マグロなんかも含めて混乱するんじゃないのかということも予想されるわけでありますが、この点どう考えているのか、伺います。
  24. 長谷成人

    政府参考人(長谷成人君) 大臣からもお答えしたところでございますけれども、指定漁業を始めとする漁船につきましては、居住環境の改善、安全性、作業性の向上を図っていくことは重要でありまして、これまでも、例えば日本周辺で操業する大中型巻き網の場合ですと、魚を実際に網で巻く網船、本船とも言いますけれども、のほかに、魚を探す探索船、あるいは運搬船など含めて船団で操業するわけでありまして、その船団の中の隻数を、網船は大型化するとしても船団の隻数としては縮小するなどして、その船団としての漁獲能力といいましょうか、努力量は増大させないというような形を取るなどして、関係漁業者の理解を進めながら、理解を得ながら大型化図ってきているところでございます。  一方で、委員からも御指摘あったとおりであります。近年、我が国周辺水域においては大型の外国漁船が操業を活発化させておりまして、また、我が国漁業の国際競争力強化が重要という認識でございます。この観点からも漁船の大型化が検討課題となっているところでございます。  このような漁船の大型化を進めていくに当たりましては、当然のことながら、漁場や魚種の競合する漁業種類等の調整を十分に図りながら進めていく必要があると考えております。
  25. 横山信一

    ○横山信一君 その漁船を大型化するということは非常に大事ですね、特に指定漁業にとっては。これは国際競争力を確保するという意味で大事です。反面、その調整も大事ということでありますので、そこはしっかりやっていただきたいと思います。  ちょっと一問、MSY飛ばしまして、TACの話になります。  我が国のTAC、漁獲可能量ですけれども、これは七魚種十九系群、系群というのは産卵単位のことですけれども、この十九系群、これに新たに太平洋クロマグロが加わるわけでありますが、このTACの話をするときによく誤解されるのは、TACがABCを、ABCというのは生物学的漁獲可能量のことでありますけれども、より学術的な資源量というのは、資源量というか漁獲可能量がABCでありますけれども、TACがABCを上回っていると、だから日本は乱獲をしているんだと。確かに、TACは行政的なさじ加減というのもありますので、二〇〇八年まではそのようなこともあったと思います。  しかし、重要なことは、漁獲実績、実際の漁獲量というのはTACよりも多かったのかということなんですね。多かったならばそれは確かに乱獲だけれども、実際そのTACと漁獲実績との関係はどうだったのか。これ、長官に伺います。
  26. 長谷成人

    政府参考人(長谷成人君) 我が国のTAC魚種につきましては、漁獲実績がTACを上回ったことは過去三回、平成九年と十七年にサバ類で、それから平成十九年にマイワシでということでございます。それ以外は超過の事例はございません。  さらに、乱獲との関係で、ABCとのこともありましたのでちょっと説明させていただきますと、乱獲との関係で、資源への影響ということでいえば、ABCとの関係を見るべきであるというふうに思っております。  TAC制度が導入された当初、平成九年に漁獲実績等を勘案して、導入時だったものですから、TACを設定することによって、開始されました当初はTACがABCを超えることもございましたけれども、平成二十年のTAC有識者懇談会での議論等を踏まえまして、それ以降、ABCとTACを一致させることを旨に運用改善の取組が行われまして、平成二十七年以降は、それまで唯一例外となっておりましたスケトウダラ日本海北部系群におきましてもABCとTACが同数量とされたところでございます。
  27. 横山信一

    ○横山信一君 ということで、漁獲実績がTACを上回ったのは過去三回しかないと。しかも、今は、平成二十七年以降はスケトウダラも含めてTACとABCは一緒になっているということでありますので、いわゆるそのTACの話をするときに、取り過ぎじゃないかとか、それから乱獲しているんじゃないかということがすぐ言われるわけでありますが、実態としてはそういう実態はないということであります。  その上で、TACの対象魚種をこれから増やしていくと言っているわけでありますから、TACを増やすというのはいいと思うんですけれども、ただ、じゃ、TACを守っていれば資源量は維持されるのかというと、ここはこれでまた別のことでありまして、スケトウダラを見ても分かるように、あるいはスルメイカやサンマを見ても分かるように、TACが設定されていても漁獲量は減るものは減るわけです。これは、大自然を相手にしているわけですから、地球的規模での環境変動等の影響を受ければ、日本近海での資源量だけを算定していてもその魚全体の資源量にはなかなかどんな影響が出るのかというところまで推測しづらいというものもあります。  そういう意味では、TAC以下の漁獲実績を続けていても漁獲量が減るときは減るという意味では、新たにTACを増やしても駄目になるものは駄目になるし、良くなるものは良くなるという、そういうこともしっかりと踏まえた上でTACを増やすということを考えていかなきゃいけないと思うんですね。例えば、今、ホッケなんかも検討されていると思うんですが、なかなか、ホッケに、じゃ、TAC導入したらちゃんとホッケが増えていくのかというと、増えればいいですけれども分かりませんよということもやっぱり含んでおかなきゃいけないというふうに思います。  その上で、TACの対象魚種の資源評価のデータというのは、水研センターはもちろんやっているわけですけれども、都道府県の水産試験場も、北海道なんかは特にがっちりやっているわけですが、しっかり協力をしてきていると。じゃ、水研センターの資源評価の予算というのはちゃんと確保されているのかというと、これも減っている、また、都道府県の水産試験場の定員も三位一体改革以降減っていると、しかも、漁船、調査船の隻数も減っていると、しかも、予算も削減されていると。  こういう状況の下で、じゃ、そのTACの対象魚種を増やしていくというのはどういうふうにやっていくのか、増やせるのかということでありますけれども、これは大臣にお伺いいたします。
  28. 齋藤健

    国務大臣齋藤健君) TAC制度につきましては、現在、八魚種二十系群について導入されているところであります。  TAC管理に必要なデータ収集や調査を今御指摘のように都道府県の水産試験場等を含む試験研究機関が行うため、このための予算を確保してきたところであります。それで、水産資源を維持、回復し、漁業を成長産業化させるため、国際的に遜色のない科学的、効果的な評価方法及び管理方法を用いながら、今後は操業実態や科学的知見の蓄積状況を踏まえて、順次TAC等数量管理の対象を拡大をしていくということとしております。  TACを設定をするためには、科学的知見が不足している魚種につきまして今後データ収集や調査を充実させていく必要があります。昨年十二月に決定された農林水産業・地域の活力創造プランに盛り込まれた水産政策改革方向性におきましても、資源調査を抜本的に拡充するとされておりますので、今後、そのための予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
  29. 横山信一

    ○横山信一君 ここは予算ですので、しっかりと、我々も応援しますけれども、ここがちゃんとできないと、お金が確保できないと体制の強化というのはできませんので、幾らTACを増やしますよ、資源管理しっかりやりますよと言っても、ここはなかなか、絵に描いた餅になってしまいますので、しっかりやっていただきたいと思います。  IQの話ですけれども、漁業の実態を踏まえつつ可能な限りIQ方式を活用するということになっております。この場合のIQはインディビジュアルクオータですから、個別割当て量のことですけれども、国管理のIQにはミナミマグロとか大西洋クロマグロとかベニズワイとか、あるいは、今サバのIQの実証事業もやっていますけれども、こういったものがあります。これに加えて、都道府県で資源管理方針を定めた資源管理計画に基づいて行われている事実上のIQというのもあります。これは、北海道ではケガニ籠漁とか、こういうのが当てはまるわけなんですが。  この知事許可漁業のいわゆるIQは全部で今十三あるというふうに認識をしておりますけれども、今後、可能な限りIQ方式を活用するということでいうと、国のIQももちろん検討していくんでしょうが、いわゆる知事許可漁業の中でのIQというのも増やしていくことになるのではないかと、増えるのではないかというふうに思うんですけれども、そうすると、やはり都道府県の体制強化というか水産試験場の強化というのも必要になってくるんじゃないかというふうに思うんですが、これは長官、どうでしょうか。
  30. 長谷成人

    政府参考人(長谷成人君) 昨年十二月に決定されました農林水産業・地域の活力創造プランに盛り込まれました水産政策改革方向性におきまして、アウトプットコントロールについては漁業の実態を踏まえつつ可能な限りIQ方式を活用するとしておりまして、これを踏まえ、対象となる漁業種類等も含め今後検討を進めてまいりたいというふうに考えております。  知事許可段階での取組については、今後都道府県の方とよく御相談をしながら進めていくということだと思っておりますけれども、その取組を進めていくとすれば、水産試験場の体制強化は重要というふうに思っております。  大臣からも御答弁しましたとおり、これまでも資源管理の基礎となる資源評価に必要なデータ収集や調査を都道府県の水産試験場等を含む試験研究機関が行う予算を確保してきたところでございますけれども、今後もしっかり予算の確保に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  31. 横山信一

    ○横山信一君 ちょっと最後大臣にお答えをいただきたいんですが、今回、漁業の成長産業化という言葉が使われるわけです。先日も大臣はノルウェーに行かれたというふうに聞いておりますけれども、ノルウェーやアイスランドというのは、元々漁業は国内産業というよりは輸出産業で成長してきたということがあります。  一方で、日本に目を向けると、我が国の食市場は縮小していっていると。また、魚離れもなかなか止まらない、皆さん一生懸命努力しているんですけれども。でも、一旦海外に目を向けると、食市場はどんどん拡大をしている、また水産物消費も拡大をしていると。そういう状況の中で、日本は、じゃ、ノルウェーやアイスランドのようないわゆる効率的な輸出産業としての漁業に変えればいいのかというと、日本近海の魚種を見ても非常に多種多様ですし、そういうふうに変えれるものもあります。また、変えるのも難しいのもあるという状況の下で、この漁業の成長産業化というのはどこに向かおうとしているのか、これ最後大臣に伺います。
  32. 齋藤健

    国務大臣齋藤健君) 今委員からノルウェーのお話ありましたけど、私は、我が国の漁業はノルウェーとは全く異なる自然条件や漁業の発展の歴史的背景を有していると思います。  漁獲、養殖される魚種が日本の場合は豊富で、大規模で効率的な遠洋・沖合漁業、小規模でも高付加価値な沿岸漁業、魚類のみならず貝類や藻類も含めた養殖業など、圧倒的に多種多様な漁業種類が営まれているのが我が国でございます。また、全国津々浦々の漁村では地先の漁場を活用して様々な漁業が営まれておりまして、水揚げされた多様な魚介類を活用して浜ごとに所得の向上という、そういう取組が行われてきているところであります。  さはさりながら、一方、我が国の漁業の成長産業化を進めるに当たっては、ICTを活用した漁獲あるいは販売の手法、海外市場の徹底したマーケティングに基づく輸出拡大など、ノルウェーの漁業から学ぶものも私はあろうかというふうに思っております。  農林水産省としては、今回の水産政策改革で、我が国の水産資源の適切な管理と水産業成長産業化の両立ということを実現をして、そして漁業者の所得向上を図っていくということとしておりまして、浜で頑張っている漁業者の所得向上につながるものとなりますように、ノルウェーの良いところを取り入れつつ、我が国にふさわしいやり方について検討を深めてまいりたいと考えております。
  33. 横山信一

    ○横山信一君 終わります。
  34. 徳永エリ

    徳永エリ君 皆さん、お疲れさまでございます。国民民主党・新緑風会の徳永エリでございます。  まず最初に、質問通告をさせていただいていないんですが、今朝の日農新聞の一面、やっぱりこういうことになったのかと驚きましたので、御質問させていただきたいと思います。  「種苗の自家増殖「原則禁止」へ転換」という記事が今日掲載されました。種苗法の第二十一条で、自家採種、これ原則的には容認されております。省令で定められている例外的に禁止する作物があって、それが徐々にその種類が拡大してきているということは存じ上げておりますけれども、原則は容認されているということでありました。  なぜこれが禁止ということになるのか、まずはその理由についてお伺いしたいと思います。
  35. 井上宏司

    政府参考人(井上宏司君) お答え申し上げます。  新しい植物品種の育成は農業競争力の源泉となるものでございますので、植物新品種の保護について定めた国際条約でありますUPOV条約におきまして、新品種の開発を促進するために自家増殖についても育成者の独占的な権利が及ぶ、すなわち自家増殖は原則禁止とされているところでございます。  我が国におきましては、UPOV条約の考えに沿いつつ、平成十八年以降、順次種苗法で自家増殖を制限する植物を追加をしてきているという状況でございまして、その際、自家増殖を禁止する植物の選定に当たりましては、農家の自家増殖についての実態を調べ、パブリックコメントで広く意見を聴取し、農業への影響を十分配慮した上で行ってきているところでございまして、これは現在の時点でもこのような方針で進めてきているという状況でございます。
  36. 徳永エリ

    徳永エリ君 種苗法を改正するということでいいんでしょうか。
  37. 井上宏司

    政府参考人(井上宏司君) 今後につきまして、新たに何か方針を、方向性を出したとか、案を今持っているという状況ではございません。
  38. 徳永エリ

    徳永エリ君 UPOV条約では自家増殖が禁止されているということで、恐らくそのUPOV条約との整合性が更に高まるということになるんだと思いますけれども、一方では、平成二十五年の六月に国会承認されていて、二十五年の十月に効力が発生している食料及び農業のための植物遺伝資源に関する国際条約というのがあります。  この九条では、農業者の権利が保障されております。すごくいい条約なので、ちょっと読み上げてみたいと思います。「締約国は、地域社会及び原住民の社会並びに世界の全ての地域農業者が世界各地における食料生産及び農業生産の基礎となる植物遺伝資源の保全及び開発のために極めて大きな貢献を行ってきており、及び引き続き行うことを認識する。」となっています。この九条の二項では、「締約国は、農業者の権利が食料及び農業のための植物遺伝資源に関連する場合には、これを実現する責任を負うのは各国の政府であることに合意する。締約国は、そのニーズ及び優先順位に応じ、適当な場合には、国内法令に従い、農業者の権利を保護し、及び促進するための措置をとるべきである。」、そして当該措置ということで、まずは「食料及び農業のための植物遺伝資源に関連する伝統的な知識の保護」、そして「食料及び農業のための植物遺伝資源の利用から生ずる利益の配分に衡平に参加する権利」、さらには「食料及び農業のための植物遺伝資源の保全及び持続可能な利用に関連する事項についての国内における意思決定に参加する権利」、そして九条の三項には、「この条のいかなる規定も、農場で保存されている種子又は繁殖性の素材を国内法令に従って適当な場合に保存し、利用し、交換し、及び販売する権利を農業者が有する場合には、その権利を制限するものと解してはならない。」となっています。  UPOV条約というのは、種子開発企業の知的財産を守るためのいわゆる企業のための条約と言っても過言ではないと思っています。こちらの条約は、農業者の権利を守るということであります。  これ、どちらも条約としては非常に大事なんではないかと思いますけれども、なぜ種子開発企業のメリットになる条約を優先して農業者の権利が書かれている条約をないがしろにするのか、この点についてお聞かせください。
  39. 井上宏司

    政府参考人(井上宏司君) ただいま御指摘のございました食料・農業植物遺伝資源条約と称されております条約でございますけれども、これは、農業者の権利といたしまして、今後も農業者が生産活動において保存してきた遺伝資源を農業者自身が積極的に活用し、品種の利用により利益が農業者に適切に配分されることを求めるものでございますけれども、これ自身、登録品種による育成者権を問題としているわけではないというふうに考えてございますが、いずれにしましても、先ほどの種苗法の関係の自家増殖に関しましては先ほど申し上げましたとおりの方針で対応してきていることでございまして、何か新たに方針を決定したとかいうことはない点、繰り返しでございますけど、申し上げさせていただきたいと思います。
  40. 徳永エリ

    徳永エリ君 主要農作物の種子法もそうでありましたけれども、農家の皆さんは、企業による種子の寡占化とか、それから農家負担が増大するのではないかということで大変心配している。その中で、今度は自家採種の原則禁止ということでありますから、本当に農家の皆さんの心配は尽きない状況だと思います。  前回も種子法のお話で申し上げましたけれども、今、全国各地で種子法復活を求める市民運動というのが広がっております。どうか、こういった農家の皆さん、そして食料の安全、安心を守りたいと思っている国民の不安を大きくさせないように慎重な対応をお願いしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  41. 齋藤健

    国務大臣齋藤健君) 今回の記事につきましては、今、井上局長から答弁させていただいたとおり、何か私どもが新しい方針を決定したんで報道されたというものではなくて、従来やってきていることを新聞なりに書かれたんだろうと思いますけれども、そういう意味では、何か新しいことを今アクションを起こしているわけではないということは御理解いただきたいと思います。  また、種子法については従来からお話を申し上げているとおりでありますので、引き続き丁寧には御説明をしていきたいと思っておりますが、農家の皆さんの御理解を得なければいかなる政策も前進させることができないと思っておりますので、丁寧に対応していきたいと思っております。
  42. 徳永エリ

    徳永エリ君 今日は通告していなかったのでこのくらいにしておきますが、またこの点についてはしっかり議論をしていきたいと思っております。  続いて、種子の偽装問題についてお伺いしたいと思います。  種苗、飼料販売大手の私の地元札幌の雪印種苗が、牧草などの複数の種子を混ぜたり、品種表示を偽って販売していたことが分かりました。これ、農林水産省に情報提供があって調査をしたということでありまして、外部からの情報提供なんだと思いますけれども、この偽装が発覚するまでの経緯についてお伺いいたします。
  43. 齋藤健

    国務大臣齋藤健君) 昨年夏に、農林水産省に雪印種苗による牧草種子の販売に問題があるとの情報提供がありました。このため、当省から同社に調査を求めるとともに、独立行政法人の家畜改良センターに対して種苗法第六十三条に基づく種子の集取検査を命じたところであります。  この結果、種苗法違反の表示による牧草等の種子の販売の事実が、違反の事実が確認をされたことですので、本年二月十五日に同社に対し、種苗法違反の表示の内容や発生原因、それ以外の法令違反の有無や再発防止策について、種苗法第六十五条に基づく報告を行うように命令を発しました。  この命令を受けまして、四月二十七日に同社から、作物名や品種名の表示が不適切であったり、登録品種の種子を含む商品に登録品種名を表示していなかったり、失効した品種登録の番号を表示するなどの種苗法違反の表示による牧草等の種子の販売が長期間にわたり行われていたということに加えまして、平成十四年以降、平成二十六年までの間におきまして四件の品種偽装が確認をされたと、そういう旨の報告を受けたところであります。  これらの行為は種苗の流通に対する社会的信頼を損なうもので、大変遺憾でありまして、再発の防止を確実に確保する必要があります。このため、農林水産省としては、五月二日に、再発防止策の実施状況を定期的に報告するよう種苗法第六十五条に基づく報告徴収命令を発出したと、これがこれまでの経緯でございます。
  44. 徳永エリ

    徳永エリ君 この農林水産大臣に提出した報告、その後に報道機関の調査で、この会社の内部調査でこのことはもう大分前に発覚をしていたのに隠蔽していたということが分かりました。さらには、長年広範囲で行われていたということも分かったわけでありますけれども、その背景には一体どんなことがあったというふうに農林水産省として受け止めておられるんでしょうか。
  45. 枝元真徹

    政府参考人枝元真徹君) お答え申し上げます。  今の経緯の中で、雪印種苗が第三者委員会を設置いたしまして様々なことを調査いたしましたけれども、まずは表示違反の発生原因でございますが、雪印種苗の種苗法に対する認識不足、あと社内の表示の統一的な運用をする体制の不備。あと、品種偽装の発生原因といたしましては、商品の不足や在庫処理といった動機、関係者が少数で発覚の可能性が少ないといった機会、また従前からの行為で顧客に不利益がないという行為を正当化する理屈という三要素がそろっていたこと。また、商品の廃棄抑制圧力などの売上げ、利益優先の姿勢、コンプライアンス意識の欠如などが指摘されておりまして、農林省といたしましても同様の認識を持ってございます。
  46. 徳永エリ

    徳永エリ君 お手元に違反表示の具体事例という資料をお配りいたしましたけれども、これ別に手の込んだ複雑な偽装ではないんですよね。もう誰が見てもすぐ分かるような、本当に基本的な表示偽装という形になっております。種苗法があっても、これ守られなければ全く意味がないわけでありますし、それから、本当にこれは雪印種苗一社だけの問題なのかということであります。  この機会にしっかりと農林水産省としては各こういった種苗メーカー等に通達を出すなりして調査をする必要があるのではないかと思いますが、今後の対応についてお伺いしたいと思います。
  47. 枝元真徹

    政府参考人枝元真徹君) お答え申し上げます。  今回の雪印種苗の種苗法違反等の事案を受けまして、農林水産省といたしましては、五月の二日に、飼料作物種子の業界団体であります日本草地畜産種子協会に対しまして、同協会から会員、種苗会社に対して法令等の遵守状況について改めて点検をし、十分な再発防止の取組を行うことを指導するように文書で要請をいたしております。  業界団体ですとか他社から点検結果の報告があるとか、また畜産農家等からの情報提供があるとか、そういうことがありましたら、事案に応じましてまた適切に行政上の対応を行ってまいりたいと存じます。
  48. 徳永エリ

    徳永エリ君 しっかり企業に厳しく、農家に厳しく企業に優しいということではなくて、こういったことが二度と起きないようにしっかりお取組をお願いしたいと思います。  続いて、前回もちょっとバレイショのお話をさせていただきましたが、今回もバレイショのお話、触れさせていただきたいと思います。  一昨年の長雨や台風で国内生産の八割を占める北海道のバレイショの生産量、出荷量が減少したことで品不足が発生いたしまして、昨年は比較的高い価格で推移していたバレイショの価格が、最近になって急に下がったという声が現場から上がっています。  その価格が下がった理由について、昨年、緊急輸入した加工用の輸入バレイショが生食用として市場に流れているのではないかとか、それからポテトサラダの食中毒がありましたけれども、まだその影響があってなかなかポテトサラダが売れていないから、そのせいなんじゃないかとか、いろんなうわさが流れているんですけれども、このバレイショの価格が今年に入って急に下がった理由、一体どんなことがあるのか、お聞きしたいと思います。
  49. 枝元真徹

    政府参考人枝元真徹君) お答え申し上げます。  青果用のバレイショの価格でございますけど、先生今御指摘のとおり、本年の三月頃から平年を下回っておりまして、五月以降若干戻りつつありますけれども、依然として安値水準という状況にございます。  この理由といたしましては、主産地、また卸売業者からの聞き取りによりますと、昨年春にバレイショの価格が高値であったことから、鹿児島県の奄美群島におきまして作付面積が増加したということ、あと、その奄美においては昨年の十一月から本年の二月にかけて、また一方の主産地でございます長崎県においては三月以降天候が良好に推移して生育が良好となったことから出荷数量が平年を上回ったことも一因ではないかというふうに考えてございます。  なお、加工用のバレイショにと青果用のバレイショ、御存じのとおり品種も違いますし、価格も相当違うということでございますし、あと食中毒の件も、私ども小売から聞いている範囲で言いますと、それによって買い控えとかそういう大きな影響があったというような情報は接しておりませんので、今申し上げたような要因が主ではないかと存じております。
  50. 徳永エリ

    徳永エリ君 事情は分かりました。  一方では、加工用のバレイショがまだ不足しているということが言われておりますけれども、昨年、ポテトチップスの販売休止などポテチショックという事態が起きて、農水省は今年度予算に三十億円を計上して、加工用バレイショの種子の増産や作付けの拡大に取り組む全国のジャガイモ農家に対して必要経費の半額を助成しています。今年は、加工用、これ需要に追い付くだけの生産量をしっかり確保することができるのかどうか、現状をお伺いしたいと思います。
  51. 柄澤彰

    政府参考人柄澤彰君) お答えいたします。  加工用のバレイショにつきましては、御指摘のとおり、平成二十八年の台風被害によりまして、主産地であります北海道において不作となりましたので、国産原料需要に対しまして国産供給が追い付かない、いわゆる需給のミスマッチが顕在化したところでございます。  このため、平成二十九年度の補正予算でございますけれども、新たに畑作構造転換事業ということで三十億円を措置したところでございます。この事業によりまして、省力作業機械の導入、病害虫抵抗性品種の導入など新技術の導入、種子バレイショの産地育成や品質向上技術の導入などの取組を総合的に支援して、加工用バレイショの増産を図っているところでございます。  国産原料の需要が御指摘のとおり高まっている中で、本事業による支援もございまして、北海道における現時点での平成三十年産の加工用バレイショの作付け計画面積を見てみますと、約一万四千ヘクタールということで、これは前年の平成二十九年産に比べて四百ヘクタール程度増加しておりますし、過去数年間のタームで見ましても最高水準の作付面積となることと見込まれているところでございます。さらに、この事業によりまして、病害虫リスクの低減ですとか湿害回避等といったことも、あるいは単収の向上といったことも期待されているところでございます。  しかしながら、全体として見ますと、加工用バレイショにつきましては特にポテトチップ用を始めとした需要の増加に国産の供給が追い付いていないという状況は依然ございますので、農水省といたしまして引き続き加工用バレイショの供給拡大に向けた取組を進めてまいる所存でございます。
  52. 徳永エリ

    徳永エリ君 米国からの輸入圧力というのが掛かっているということでちょっと心配をいたしておりますので、しっかり国産の加工用バレイショ増産に取り組んでいただきたいと思います。  それから、でん原用バレイショについてもお伺いしたいと思います。  でん原用バレイショも作付面積が減少傾向にあるということです。私の地元北海道では、連作障害を克服するために、バレイショ、てん菜、豆、それから麦という三輪作、四輪作という輪作体系が確立されています。輪作の本場はフランスやドイツですけれども、そういったEUの技術者も十勝やオホーツクに視察に来るほど北海道の輪作体系は世界に誇るすばらしいものであります。この輪作体系をしっかり維持するためにも、でん原用バレイショの生産を維持していかなければなりませんが、畑作四品、麦、大豆の作付面積は増加傾向にありますが、高齢化、それから労力負担の大きさ、こういうことも相まって、バレイショやてん菜の作付面積が減少しています。  バレイショは、前回御質問させていただいたシストセンチュウやシロシストセンチュウによる減少影響していると思います。畑作四品の構成比率で見ると、麦は四割以上を占めていますが、てん菜やバレイショの比率は二割を切っています。輪作体系のバランスの維持という観点からも、でん原用バレイショの作付面積を増やさなければなりません。  農林水産省としては、でん原用バレイショの増産や作付けの拡大についてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いします。
  53. 柄澤彰

    政府参考人柄澤彰君) 御指摘いただきましたとおりでございまして、畑作におきましては、同じ作物を作り続けますと、病害虫の発生増加ですとか収量、品質の低下などのいわゆる連作障害が発生するということになりますので、輪作によるのが極めて重要でございます。  しかし、近年、労働負担が大きいバレイショとてん菜の作業が競合するといった事情の中で、輪作体系が乱れているというようなことに対する対応が課題になっているということは認識してございます。  このため、先ほども申し上げました平成二十九年度の補正予算において新たに措置しました畑作構造転換事業におきましては、先ほどの加工用バレイショの増産のための支援のみならず、でん粉原料用や種子用バレイショ、さらにはてん菜の支援も措置しているところでございます。  こういった御支援も通じまして、大規模畑作農家の省力化を進め、輪作体系の適正化を図ってまいる所存でございます。
  54. 徳永エリ

    徳永エリ君 現場状況をしっかり見ながら、しっかり支援をしていただきたいということを改めてお願い申し上げたいと思います。  それから、ホクレンやJAさんでは、平成三十四年までにはシスト抵抗性品種一〇〇%導入を目指しているということでありますが、この点については、新品種の開発も含めて農林水産省としてはどのように御支援をいただけるのでしょうか、お伺いしたいと思います。
  55. 上月良祐

    大臣政務官上月良祐君) ジャガイモシストセンチュウは農薬等による防除が困難でありますので、その拡大を防止するためにも抵抗性品種への速やかな移行が重要であると考えてございます。  北海道及びホクレンさんでは、でん粉原料用バレイショにつきまして、平成三十四年度までに全てを抵抗性品種に移行することを目標とされていらっしゃいます。種バレイショの増産には三年程度、原原種から原種採取というふうには三年程度掛かりますから、その元種となります原原種を生産しております農研機構種苗管理センターにおきましても、平成三十一年度には抵抗性品種のみの生産に移行するということを予定しております。  それ以外の生食用、加工用につきましても速やかに抵抗性品種に移行することが重要であると考えておりまして、関係者の理解を得つつ速やかな移行を図ってまいりたいと考えております。
  56. 徳永エリ

    徳永エリ君 前回も申し上げましたけれども、本当に現場ではこのシストセンチュウ、シロシストセンチュウの問題は深刻でありまして、生産量も減りますし、それから減収にもつながるということでございまして、意欲の低下にもつながってしまいますので、しっかりと御支援をいただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  続いて、捕鯨についてお伺いいたします。  昨年六月十六日に成立した議員立法、商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律鯨類科学調査実施法の基本方針案がやっと先月示されました。基本方針の閣議決定と、その後の大臣による鯨類科学調査計画の策定を待っておりますが、今後どのようなスケジュールで進められるのか、お伺いしたいと思います。
  57. 齋藤健

    国務大臣齋藤健君) 昨年六月に制定されました商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律におきまして、政府が策定することとされております鯨類科学調査の実施に関する基本方針につきましては、現在、五月二十六日までということでパブリックコメントを募集しているところであります。パブリックコメントにおいていただいた意見を踏まえて、内容について改めて調整を行い、今月末に予定されております水産政策審議会資源管理分科会に報告した上で、できる限り早期に閣議決定を行いたいと考えているところでございます。  また、同法において、鯨類科学調査計画について、この法律におけるこの計画につきましては、現在実施している新南極海鯨類科学調査計画と新北西太平洋鯨類科学調査計画の双方とも、基本方針の策定後は、同法の附則に基づき基本方針に即したものとして同法上の鯨類科学調査計画として位置付けられる、そういうこととなっているところ、御承知のとおりでございます。
  58. 徳永エリ

    徳永エリ君 よろしくお願いいたします。  基本方針、それから調査計画、これは商業捕鯨の再開と鯨類科学調査の実施に関する政府の基本的な考えを踏まえるものであります。  また、今年の九月には、ブラジルでIWCの総会が開催されることになっております。その総会に向けての対応方針にも大きく影響するものと考えますけれども、齋藤大臣の捕鯨政策についての基本的なお考えを伺っておきたいと思います。お願いいたします。
  59. 齋藤健

    国務大臣齋藤健君) 我が国は、鯨類について、他の水産資源と同様に科学的根拠に基づき持続的に利用していくべきものと考えています。また、鯨類の利用我が国の文化に根差すものでありまして、文化の多様性の観点から尊重されるべきであると考えています。このような考え方の下で商業捕鯨の早期再開を目指しているところであり、目指していきたいと考えています。  このため、IWCにおける今後の道筋の議論、これに合わせまして我が国の目指すべき商業捕鯨の姿について検討を進めまして、本年九月のIWC総会の機会を含め、商業捕鯨の早期再開のため、あらゆる可能性を追求してまいりたいと考えています。
  60. 徳永エリ

    徳永エリ君 力強い御答弁をいただきまして、ありがとうございます。  そして、ちょっと心配なことがあります。北西太平洋で捕獲しているイワシクジラ、これが捕獲できなくなるのではないかという心配の声が上がっています。  ワシントン条約の附属書Ⅰに掲げる動物の国際取引は、学術研究を目的とするもののみ可能で、商業目的は不可、禁止されています。イワシクジラは附属書Ⅰの掲載種です。しかし、国際捕鯨取締条約第八条の下に、我が国は二〇〇二年から北西太平洋における調査捕鯨によって捕獲を行っており、同八条の二項、捕鯨した鯨は可能な限り加工しという文言を根拠に販売を行っているものと思います。  昨年末に開かれたワシントン条約の常設委員会の会合では、日本が行っているイワシクジラの調査捕鯨について商業目的であり条約違反という声が相次いで、常設委員会は実態を調べるために調査団の日本への派遣などを含む勧告案を了承したということであります。調査団がもう入ったという話もありますし、一回入ってまた二度目入るんじゃないかとか、いろんなお話もありますけれども、これ、条約上、入ったか入らないか、いつ入るのかということは教えていただけないということでございますけれども、いずれにせよ、その調査の結果を踏まえて今年の十月に開催される常任委員会で結論を出すということであります。  我が国としては、今後この問題についてどう対応していくのか、ワシントン条約違反ともし決議されるようなことになったらどうするのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  61. 谷合正明

    ○副大臣谷合正明君) 委員から御指摘いただいた点でございますが、改めてこちら説明をさせていただきますが、イワシクジラはワシントン条約の附属書Ⅰに掲載されておりまして、我が国は同種の北太平洋個体群について留保を付していないということで、北太平洋の公海において捕獲された標本を主として商業的目的のために我が国へ輸送することが規制されていると、これは委員指摘のとおりでございます。  我が国としては、新北西太平洋鯨類科学調査で捕獲されたイワシクジラは国際捕鯨取締条約に基づく科学的研究のための調査に使用されていること、また、ワシントン条約の規定に基づいて必要な証明書を適切に発給していること、そして、調査副産物であります鯨肉等につきましては国際捕鯨取締条約の規定に従いまして加工されて、また、その販売の売上金は商業的目的に利用することなく調査経費に充当することを義務付けているということから、我が国が行っているイワシクジラの輸送というものはワシントン条約の規定に整合的であると考えております。  委員指摘いただきましたが、我が国としては、引き続きこうした我が国の立場を条約事務局や関係各国に対してしっかりと丁寧に説明してまいりたいと思っております。
  62. 徳永エリ

    徳永エリ君 理解を得られるように、しっかりと説明をしていただきたいと思います。  我が国は、一九八七年開始の南極鯨類捕獲調査以来、南極海、そして北西太平洋において鯨類科学調査を継続実施してきました。三十年の長きにわたる科学調査我が国の姿勢は、科学的成果を蓄積して、水産基本計画にも明記されている商業捕鯨再開に向け、関係者や地域希望を抱かせるばかりではなく、反捕鯨国や妨害団体による理不尽な圧力に屈しない、その我が国に賛同し支持してくれている多くの国々から国際的信頼を得てきたわけであります。  我が国が南極海及び北西太平洋において鯨類科学調査を継続実施していることの意義について、齋藤大臣に改めてお伺いいたします。
  63. 齋藤健

    国務大臣齋藤健君) 我が国は、責任ある漁業国として、全ての水産資源について科学的根拠に基づき持続的に利用していくべきだと考えています。その上で、鯨類についても例外ではなく、どのような海域であれ、科学的な資源評価の結果、十分な資源が存在するのであれば、持続的な利用を可能とする範囲で商業的な捕獲を行うことが認められるべきであると主張をしております。  このような主張の下で、南極海と北西太平洋は、これまで我が国が行ってきた鯨類科学調査によりまして持続的な利用が可能となる十分な資源が存在することが確認をされておりますので、我が国はこれらの海域における商業捕鯨の再開を目指し、鯨類科学調査を実施をしているということであります。  今後とも、引き続き鯨類科学調査を継続をいたしまして、商業捕鯨再開の科学的妥当性を強化をいたしまして、IWCにおける議論を主導するとともに、得られた科学的情報を活用して、商業捕鯨が再開された際に、より適当な捕獲枠の算出につなげてまいりたいと考えております。
  64. 徳永エリ

    徳永エリ君 鯨類は、食料資源として、科学的調査に基づき持続的に利用していくべきとの考え方に基づいて商業捕鯨の再開を目指す方針を堅持するという考え方は、我が国の政府の方針であります。そのためにも、太平洋沿岸だけではなくて、南極海における我が国調査体制と科学的能力を活用して鯨類科学調査を続けることが重要であります。  捕鯨を取り巻く環境は大変に厳しくなっているということは私もよく分かっておりますけれども、日本の食文化としても、将来的な食料不足に向けての食料確保という観点からも、我が国の立場をより多くの国に理解してもらえるように、しっかりと水産庁と外務省が連携して頑張っていただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  さて、時間が大分なくなってまいりましたけれども、最後に水産改革についてお伺いしたいと思います。先ほど横山委員も御質問されていて、ほとんどかぶっておりますので。  まずは大臣に、ゴールデンウイーク中に、五月二日ですか、ノルウェーに行かれて、サンドバルグ漁業大臣と会談されまして、先進的な巻き網漁船を視察、それからサーモンの養殖施設にも行かれたということですが、視察された御感想と、今後の我が国水産政策改革に参考になるなと思った点がありましたら、お伺いしたいと思います。
  65. 齋藤健

    国務大臣齋藤健君) 今回、五月一日から五月三日までノルウェーを訪問いたしまして、御指摘のように、サンドバルグ漁業大臣との意見交換、少人数で効率的な巻き網漁船、これ乗船をいたしました。自動化、省力化が進んだサーモン養殖場の視察、それから漁業者等との意見交換、こういったことを行ってまいりました。  先ほどもお話し申し上げたように、我が国の漁業はノルウェーとは異なっておりまして、漁獲、養殖される魚種が豊富で、大規模で効率的な遠洋・沖合漁業、小規模でも高付加価値な沿岸漁業、魚類のみならず貝類や藻類も含めた養殖業など、多種多様な漁業種類が営まれているのが我が国の漁業の特徴でありまして、こうしたものが国民への水産物の供給となっているという特徴を有しております。  一方、今回のノルウェーの出張におきましては、両国は限りある水産資源を適切に管理しながら水産業の振興を図るという考え方は共通しているなというふうに確認をいたしました。特に、私が感銘を受けたのは、ノルウェーではニシンやタラの資源危機というのがありまして、危機感が高まったんだろうと思います、それを経て、一九九〇年代以降、厳格な漁獲量の管理というものを導入をして資源回復に成功をしていると。  それから、漁船の大型化や省力化等による生産性の向上。これは、私が乗った巻き網の船は本当に中もきれいでありまして、九人の乗組員がいるんですけど、その方々は船に乗ってから降りるまで魚に一切触らないという全自動化が進んでおりまして、したがいまして運動不足になるのでジムが中にあるみたいな、そういうクルーズ船みたいな、そういうものでありました。それがそのまま日本で使えるというわけではありませんが、居住環境の整備という点では随分差があるなということも、正直なところ驚きを禁じ得ないものがありました。  また、海外市場での徹底したマーケティングに基づく輸出拡大というのは、そもそも輸出戦略が出発点だというところはノルウェーはあるんでありますけど、それでもなお参考となる部分はあろうかなと思いました。  農林水産省としては、今回の水産政策改革我が国の水産資源の適切な管理と水産業成長産業化を両立させる、私はこれ両立というか密接不可分じゃないかと思っているわけでありますが、漁業者の所得向上をこの両立を通じて実現をするということにしておりまして、ノルウェーの良いところは取り入れつつ、水産物の安定供給はもとより、水産業及び漁村の多面的機能にも資するよう、我が国にふさわしいやり方について検討を深めてまいりたいと考えております。
  66. 徳永エリ

    徳永エリ君 きっとそのノルウェーの水産業現場を見られて、やっぱり我が国は遅れているなと思われたんじゃないかと思います。私も海外に行くといろんな面で、いつの間に、日本は世界の最先端を行っていたはずなのに、気が付いたら本当に大きく水を空けてしまったなというふうに感じるんですけれども、先ほど横山委員から予算という話がありましたけれども、やっぱりしっかり付けるべきところにしっかり付けて、やるべきことをしっかりやってこなかったということが今の日本の姿なんだと思います。  成長産業がいいかどうかというのは別の問題ですし、あと、先ほど平野委員からもお話がありましたけれども、やっぱり我が国の深刻な問題は、人口減少ということと、それと一次産業従事者がこれからどんどん減っていくんじゃないかということ、それから、食料の消費量もどんどん減っていくわけですから、次の我が国の在り方をどう考えていくかという中で、今までは国内需要に対して供給してきたわけですけれども、海外に輸出をしていくということも十分考えなければいけないことだとは思います。  ただ、やはり日本には魚食文化が根付いていますし、一週間に一回も魚を食べないなんという子供たちがいっぱいいて、極端な話、切り身見ても何の魚か分からないという子供たち、若い人たちばかりでありますから、やっぱりその魚食文化というのをこれからもしっかり維持していくということ、継承していくということも必要でありますので、成長産業、お金もうけというだけではなくて、国内にしっかり日本の食の文化を残していくということも考えていかなければいけないと思いますし。  それから、やっぱり沿岸の漁業者の方々、確かにノルウェーと比べれば一人当たりの漁獲量も少ないかもしれませんけれども、この国会の中でも沿岸の漁業者の方の集会があって、私もお邪魔させていただいたんですが、資源管理をしっかりしていかないと持続可能な水産業にならないということで、船を小さくして、その日食べていけるだけの収入があればいい、必要以上のものは捕らないという取組をして、その浜単位で漁獲量の制限をし管理をしているという取組をこつこつ行っているところもありますから、単純に数字だけでは比べられないところもありますから、もちろん一方では成長産業も重要ですけれども、もう一方ではどうやってその国内の沿岸漁業者を守っていくかということもしっかり視点の中に入れて考えていただきたいなというふうに思います。  それから、やはり漁業の持つ多面的機能というのがありまして、北海道に北朝鮮の船が来て上陸までしていたというケースもありますけれども、やっぱり国境警備とか、それから海難事故があったときにも漁業者の方々がすぐ飛んでいって人命救助をすると、これ命の問題にも関わってくる。それから、やっぱり沿岸の漁業というのは、その浜に加工業者もあってつながっているわけですよね、地域経済と。ですから、やはりそういった沿岸の漁業者がこれから先もきちんと漁業を続けていける、そういった環境をつくっていくということも、繰り返しになりますけど、一方でしっかり考えていただいて、水産改革方向性、きちんといろんな形の漁業者の方々が納得できるようなものにしていただきたいなというふうに思います。  実は、私たち野党で有志の水産政策研究会というのを立ち上げまして、それで、政府から水産政策改革の骨組みが出てくる前に大臣のところにお邪魔して申入れをしようかというものをまとめてありますので、一度またお邪魔させていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  それでは、時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
  67. 川田龍平

    ○川田龍平君 立憲民主党・民友会の川田龍平です。  まず、四月十日に続いて、食の安全という観点から、まずはネオニコチノイド系農薬の規制について幾つか質問させていただきます。  大臣、ゴールデンウイーク中、ヨーロッパに行っていらしたということなんですが、四月二十七日、EUは蜜蜂に毒性の強い三種類のネオニコチノイド系農薬をほぼ全ての用途で使用禁止することを決定いたしました。  まず、この事実について農水省は情報を把握していますでしょうか。
  68. 池田一樹

    政府参考人(池田一樹君) お答えいたします。  委員今御指摘のように、四月の二十七日でございますが、欧州委員会の動物・植物・食品及び飼料に関する常任委員会におきまして、三種類のネオニコチノイド系農薬に対しまして、蜂へのリスクを考慮し、常設の温室以外の全ての用途で禁止するという新しい使用規制措置を承認をいたしまして、欧州委員会が今後採択する予定ということは承知しております。
  69. 川田龍平

    ○川田龍平君 これは、日本でも農水省の調査により、農薬が原因と思われる蜜蜂の大きな被害が明らかになっています。二〇一三年度が六十九件、二〇一四年度が七十九件、二〇一五年度が五十件と。さらに、一巣箱当たりの被害が一万匹を超える被害も年に三回から四回報告されており、我が日本でもネオニコチノイド系農薬が原因の蜜蜂の大量死が起こっていると考えるべきです。  このような蜜蜂への悪影響を踏まえ、現行の農薬取締法の六条の三に基づき、職権で速やかに規制すべきではないでしょうか。
  70. 池田一樹

    政府参考人(池田一樹君) お答えします。  欧州の措置でございますが、これは、二〇〇〇年代から蜜蜂の大量死が見られたということに端を発しております。一方、我が国では、使用方法が欧州のような蜜蜂の大量死を引き起こすような方法とはちょっと異なっていること、あるいは、その被害の多くは水稲のカメムシ防除の時期に発生しておりまして、蜜蜂が殺虫剤の散布時あるいは散布後の水田の周辺に飛来したためと考えてございます。  今の委員指摘のように、年間被害五十件程度でございますが、これは蜜蜂の飼養戸数約九千戸に対して五十件程度にとどまっておると、そのような状況でございます。  このため、我が国におきましては、農家と養蜂家の情報共有、あるいは農薬散布時の蜜蜂の巣箱の退避などの被害軽減対策を進めております。これまでこの対策が有効であるということは調査でも明らかになっております。引き続き、農薬散布による巣箱の退避などの対応を強化してまいりたいと考えているところです。
  71. 川田龍平

    ○川田龍平君 決して少なくないですよね。九千のうちの五十件ですよ。さらに、年間に一万匹を超える被害も三回から四回もカウントされています。  これ、蜜蜂への悪影響については、これらの農薬が登録された一九九二年以来変えてこなかった評価方法を最近になってようやく更新すべく検討を始めたようですが、そもそもなぜこれまで二十年間もこれを変えてこなかったのでしょうか。今後いつまでにこの評価方法を更新するおつもりなのか、今後の工程表を明確にお示しください。
  72. 池田一樹

    政府参考人(池田一樹君) これまでは、我が国では、農薬登録に際しまして、蜜蜂の成虫が直接農薬を浴びたり、あるいは農薬を浴びました花の蜜などを食べたりした場合の毒性の強さを評価いたしまして、販売時のラベルに蜜蜂の巣箱やその周辺に掛からないようにするなどの注意事項を付すよう求めてきたところでございます。  一方、今国会に提出を予定してございます農薬取締法の一部を改正する法律案におきましては、二〇二〇年を目途に農薬の評価の充実を図ることとしていることに併せまして、蜜蜂についても、農薬を浴びた花粉あるいは花の蜜を巣箱に持ち帰ることによる幼虫などへの影響も考慮した評価方法をできるだけ早く確立してまいりたいと考えております。
  73. 川田龍平

    ○川田龍平君 確認ですが、二〇二〇年までに評価方法を新しくするということでよろしいですね。
  74. 池田一樹

    政府参考人(池田一樹君) 二〇二〇年を目途にやらせていただきたいと考えております。
  75. 川田龍平

    ○川田龍平君 そもそも、このネオニコチノイド系の農薬についてはカメムシには効果がない、むしろ逆効果であると、先週NPOの民間稲作研究所の方から陳情を受けました。この団体は、二〇〇〇年に栃木県から種子法に基づく認証を受け、有機コシヒカリの種もみを生産している実績のある団体です。その根拠の一つは、今年の二月に宮城県が発表したカメムシの発生動向のデータ、もう一つは栃木県で二〇一〇年にネオニコチノイド系農薬が誤散布されたことによってカメムシが異常発生したという会員の報告です。  これらについて、農水省の見解を求めます。
  76. 池田一樹

    政府参考人(池田一樹君) お答えします。  委員指摘の稲のカメムシ類の防除でございますが、これはほかの病害虫と同様に都道府県が防除基準を策定いたしまして、これに基づいて、あぜや水田周辺の除草、あるいは防除適期を捉えた薬剤散布などを指導してございます。  ネオニコチノイド系農薬の効果についてですが、御指摘の根拠としてお示しいただきました宮城県の資料によりますれば、カメムシが多く発生している要因としましては、水稲の出穂日とカメムシの発生最盛期との間隔が近くなった場合、あるいは水田内の雑草がカメムシを誘引すること、こういったことが挙げられておりますが、水田の天敵昆虫が減少するといったことについては言及をされてございません。あるいは、カメムシ類の発生動向を見ましても、年によって大きく増減してございます。こういったことから、必ずしも効果が落ちていると、そういうことは言えないのではないかと考えてございます。  いずれにいたしましても、都道府県の病害虫防除所による発生予察情報あるいは防除指導に基づきまして適切に防除を行っていただくということが重要であると考えております。
  77. 川田龍平

    ○川田龍平君 今年の三月十九日に更新された宮城県のホームページの統計データを見ると、これカメムシの発生が増えたのは平成十二年からでした。平成九年に、これはイネミズゾウムシやイネドロオイムシ、ウンカの防除にネオニコチノイド系農薬やフィプロニル農薬の箱施用の、全国に普及をしてから三年目と、今まで注目される害虫ではなかった小さなアカスジカスミカメムシが斑点米被害を引き起こすという事態になって、二〇〇〇年に、これ平成十二年に植物防疫法の指定有害動植物に指定されました。防除のためにこのネオニコ系の農薬がラジコンヘリで散布されるようになりましたが、逆に被害が増えて一向に減らないという皮肉な結果になっています。  これは、やはりこの農薬というのは、皆さん薬だと思っているかもしれませんけれども、毒なんですよね。毒によってやっぱり防除をするという、虫を殺すということをしてきているわけですが、その結果、水田におけるクモですとか、タガメですとか、最近などはもうほとんど見られなくなっているコオイムシとか、そういったものが捕食をしてカメムシを食べている、そういう動植物までも殺してしまっている、そういったことがカメムシの大量発生につながっていると。実際、有機農業をやっている人たちからすると、有機農業で作っている米であったり特別栽培の米だったりというところにはカメムシの被害が少ない、起きてないというんですね。  本当にそういう意味では、ちゃんとしたあぜの草刈りなどの時期も大変重要だということですけれども、そういう意味で農薬というよりも、薬じゃなくて、ある意味毒性があって、カメムシの天敵である虫やそれから動物までも、カエルなんかもどんどんいなくなっていくわけですけれども、そういった生態系を壊すことによるやっぱり今のカメムシの被害なのではないかと。  それから、そのカメムシの被害によるものも、今はそういった斑点を機械によって、色彩選別機を掛けたりして、かなりこういったものは防げるようになってきているわけですから、そういった方法を検討して、やっぱりしっかりと農薬を減らす方法というのを考えたらどうかというふうに思います。  特に、フィプロニルなどは、これネオニコチノイドと似たものですけれども、これ昨年の夏に、ベルギー、オランダを発生源として、鶏卵、卵にこのフィプロニルが入ったことによって回収騒ぎがドイツでも大手スーパー、アルディで卵を回収するというようなことも事件になりました。覚えている方いらっしゃるか分からないんですけれども、日本ではほとんど話題にはなっておりませんが、本当にこういった大量の卵が回収されて非常に大きな問題となって、フィプロニルもこれヨーロッパでも規制の対象になってきていますし、規制というか使わなくなってきて、農薬としての登録をしなくなって使わなくなっているというような状況もあります。  そういったことを、実は国会が開かれていなかったこともあり、昨年国会が開かれなかったことで、このフィプロニルによる鶏卵の回収問題というのは国会で質問している議員が一人もいなくて、あれどうなったのかなと思って調べてみたら、この問題全く取り上げられなくて、フィプロニルについて聞いているのは、小川さんが二〇一五年ぐらいに聞いているのが前で、それっきり農薬の問題というのはずっとこのフィプロニルについては聞いている人がいないんですけれども、本当にこういった問題は、やっぱりしっかり農薬の問題を考える人がもっと必要ではないかと思っています。  先週の陳情には環境脳神経科学情報センターの黒田洋一郎先生も同席されて、このネオニコチノイド系の農薬が発達障害などの子供の脳の発達の異常な増加の原因になっているとの研究成果も示されました。  このような人体への影響からもネオニコチノイド系農薬を規制すべきではないかと考えますが、まず農水省、いかがでしょうか。
  78. 池田一樹

    政府参考人(池田一樹君) 農薬は、登録をいたしますときに、効果と安全性につきまして厳正に審査をした結果、問題がないと確認したもののみ登録してございます。さらに、登録後の安全上の問題が明らかになった場合には農林水産大臣が職権で登録の変更あるいは取消し、こういったことが行うことができる仕組みが設けられてございます。  こういった仕組みの中で、実際の農薬の評価でございますが、関係府省が連携をいたしまして対応しております。  御指摘の発達神経毒性のように、農薬の食品を通じた人への影響につきましては、食品安全委員会がリスク評価機関として、客観的で中立公正な立場からその専門性を生かして評価を行ってございます。その評価の結果を踏まえて、農林水産省として登録の変更あるいは取消し等の必要を検討すると、こういった仕組みになってございます。
  79. 川田龍平

    ○川田龍平君 厚労省はいかがでしょうか。
  80. 宇都宮啓

    政府参考人(宇都宮啓君) お答えいたします。  食品中の残留農薬の基準設定に当たりましては、必要なデータとして一律に発達神経毒性試験成績を求めているものではございませんが、ネオニコチノイド系農薬につきましては、基本的には申請企業等から発達神経毒性試験のデータが提出されてございまして、そのデータを含む科学的な根拠に基づく食品安全委員会のリスク評価を基に適切に基準値を設定しているというものでございますことから、現時点において基準値を見直す必要はないものと考えているところでございます。
  81. 川田龍平

    ○川田龍平君 食品安全委員会はいかがですか。
  82. 川島俊郎

    政府参考人(川島俊郎君) 食品安全委員会におきましては、厚生労働省あるいは農林水産省等のリスク管理機関からの諮問を受けまして、科学的データに基づき客観的かつ中立公正に食品健康影響評価を行っております。  具体的には、農薬につきましては、その人への影響に関しまして海外や国際的な機関における評価に関する情報を収集、参照をしつつ、リスク管理機関から提出されました試験成績等に基づき、我が国における一日摂取許容量、これは人がある物質を毎日一生涯にわたって摂取し続けても現在の科学的知見から見て健康への悪影響がないと推定される一日当たりの摂取量のことでございまして、私どもADIというふうに訳しておりますけれども、こういったものを設定して答申をしているところでございます。  御指摘ネオニコチノイド系農薬につきましても、評価時点でリスク管理機関から提出された発達神経毒性に係ります最新の情報を含む各種資料も踏まえまして、適切に評価を行っております。設定されたADI等に基づきリスク管理措置が実施されれば問題はないというふうに考えているところでございます。
  83. 川田龍平

    ○川田龍平君 そうはいっても、発達神経毒性については農薬のリスク評価項目には入っていないわけです。  それは、農水省によれば、リスク評価に入れるかどうかは食品安全委員会が自律的にこれ決定することと主張していますが、そもそもリスク管理機関である厚生労働省や農水省が自発的にそういう項目に入れるように評価機関である食品安全委員会に検討の諮問をするのが筋ではないでしょうか。お互いにこれ責任をなすりつけてしまって、諮問機関である食品安全委員会に押し付けるというのは国家としてこれは余りにも無責任ですし、一刻も早く余りに無責任な状態をなくすべく評価項目とするべきだというふうに思いますし、評価試験の方法を通知等で定めるべきと考えますが、農水省、厚労省食品安全委員会、それぞれに御所見を伺います。
  84. 池田一樹

    政府参考人(池田一樹君) 農薬の登録申請に係ります試験成績でございますが、農林水産省の通知で、例えば急性経口毒性試験あるいは急性神経毒性試験などを要求しておりまして、こういった各種の毒性試験データを用いまして、御質問ございます発達神経毒性につきましては食品安全委員会で評価が行われていると承知しております。  このように、現在では発達神経毒性試験という形で明示的に要求はしてございませんが、こういった試験を要求するか否かにつきましては、今後関係府省で検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
  85. 宇都宮啓

    政府参考人(宇都宮啓君) お答えいたします。  農薬の残留基準値の設定に際しまして必要な資料は農林水産省の通知により示しているところでございますが、そのうち神経毒性の資料として急性神経毒性試験成績、急性遅発性神経毒性試験成績等を要求してございますが、発達神経毒性試験成績については一律に要求してないところでございます。  しかしながら、申請企業等からOECDのガイドラインに基づく発達神経毒性試験結果の提出があった場合には、食品安全委員会ではその内容も考慮してリスク評価を行い、その評価結果に基づいて残留基準を設定しているところでございます。  農薬の残留基準を設定いたします厚生労働省といたしましては、御指摘いただきました発達神経毒性試験を必要な試験とすべきかにつきまして、リスク評価を実施する食品安全委員会、農薬登録を行う農林水産省とも協議してまいりたいと考えているところでございます。
  86. 川島俊郎

    政府参考人(川島俊郎君) 農薬の食品健康影響評価におきましては、海外や国際的な機関における情報を収集しつつ、農林水産省が定めますいわゆる農薬テストガイドラインに沿って、リスク管理機関から提出された試験成績等に基づき評価を行っております。  その評価におきましては、一般的に急性毒性や発がん性あるいは遺伝毒性、こういった各種試験結果を基に、先ほど御説明申し上げました一日摂取許容量等について判断しておりますけれども、農薬の毒性の特性に応じまして発達神経毒性等の毒性についても評価を行っております。  御指摘のネオニコチノイド系の農薬の評価に当たりましては、農薬テストガイドラインでは発達神経毒性データは明示的に要求されていないものの、評価時点でリスク管理機関から提出された発達神経毒性データに係る最新の情報を含む各種資料を踏まえて適切に評価を行っているところでございます。  食品安全委員会といたしましては、本日の議論も踏まえまして、農林水産省あるいは厚生労働省、関係省庁と連携をして、発達神経毒性試験の必要性について検討してまいりたいというふうに考えております。
  87. 川田龍平

    ○川田龍平君 まあ、一学説ではありますけれども、この発達障害と農薬の関係については、単位面積当たりの農薬使用率が一番世界で多い韓国、そして日本、そういったところが自閉症や広汎性の発達障害の有病率と一致するようなグラフも出ています。本当に世界では規制をしているにもかかわらず、そして韓国や台湾などでもこういう規制の方向に進んでいる中で、日本だけがやっぱりその規制がまだまだされていないということで、日弁連やNGOなど多くの方がEUの取組を評価し、予防原則に立った規制を求めています。  大臣、農薬取締法の改正案の施行を待っていてはこれは何年も先になってしまいます。どうも今の農水省の考えでは日本の農薬メーカーの海外展開の促進に重点を置いているようですが、国民の命、とりわけ子供の命や健康を犠牲にしたビジネス推進などは決して許されるものではありません。  まずは、発達神経毒性の評価試験を規定するものをしっかりと決めてください。そして、予防原則に立って、改正案を待たずにネオニコチノイド系農薬の規制を行っていただきたいと思いますが、大臣、子供たちの未来のために御決意を伺います。
  88. 齋藤健

    国務大臣齋藤健君) 関係省庁からも答弁ありましたけど、発達神経毒性については、EUと同様に各種毒性試験により総合的に評価が行われていると。発達神経毒性試験という単独の形での要求はしていないというのが今実情でございます。  事は、次世代への毒性という観点であります。今、OECDでは、先ほど答弁しましたように、発達神経毒性も含めた次世代への毒性を評価するための試験方法が検討されているというところでもございます。  私としては、なぜその単独の形で要求ができないのかということについて、ちょっと今まで勉強不足で分かっていないわけでありますが、事は次世代への毒性を評価しなくてはいけないということでありますので、こういった試験を要求するか否かも含めて関係省庁で検討ということになっていますので、これは早急に検討するようにしていきたいと思います。
  89. 川田龍平

    ○川田龍平君 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。  残り五分ですので、あっ、十分ぐらいありますね、次に有機農業の普及策について伺います。  二〇一八年度までに耕地面積の一%という国の目標は達成が困難な状況ですが、一方で、新規就農者には、有機農業をやりたいという方々が三割、興味があるという方が六割以上に上っています。  私は、有機農業の普及はこの国の農業の将来への大変光であり、まさに省を挙げて取り組むべき課題だと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
  90. 齋藤健

    国務大臣齋藤健君) 有機農業につきましては、消費者の高度化し多様化する農産物に対する需要に対応するものでありますし、また、農業生産に伴う環境への負荷を低減をするとともに、更に言えば、農産物の有利販売にもつながっていくというものであると考えています。  また、近年、欧米諸国では、有機食品市場が急拡大する中で、有機茶を始め我が国で生産された有機農産物やその加工品の輸出拡大も期待をされています。  農林水産省では、有機農業推進に関する法律第六条に基づきます国の基本方針におきまして、我が国の耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合をおおむね平成三十年度までに〇・四%から一%にするという目標を今掲げているところであります。この目標の実現に向けて、自然環境の保全に関する農業生産活動を支援する環境保全型農業直接支払、あるいは有機農産物の販売先を確保するためのマッチングフェアの開催ですとか、あるいは輸出拡大に向けた有機JAS、この有機JAS認定取得支援ですね、こういったことを推進することによりまして、有機農業をこの目標に向けて前進をさせていきたいと考えているところであります。  今年度は、新たに有機農業者のネットワークの構築による産地化、これを支援するほか、販売戦略を企画、提案するオーガニックプロデューサーの派遣などの支援をすることといたしておりまして、有機農業を目標達成に向けて着実に前進をさせていきたいと考えております。
  91. 川田龍平

    ○川田龍平君 これは、ロシア、中国も有機農業国を目指しております。  大臣、これ通告しておりませんが、ブータン王国、この国は化学農薬と化学肥料の販売を禁じることで世界初の完全有機農業国を目指すとしていることを御存じでしょうか。
  92. 齋藤健

    国務大臣齋藤健君) 不勉強で申し訳ありませんが、ちょっと今初めて伺いました。
  93. 川田龍平

    ○川田龍平君 日本のJICA、それからNGOが全面的に協力して、一歩一歩これは困難を乗り越えながら進んでいるそうです。是非大臣にも、これ注目していただきたいと思います。  去る二月二十八日の超党派の有機農業議員連盟において、農水省の担当者は産地化が鍵の一つとの発言をされていましたが、それに対して、出席した実践者の声として、単一作物での産地化は結局農薬や化学肥料に頼ることとなり有機農業の理念に反するので、多品種の産地化をいかに実現するかが重要ではないかとの御指摘がありました。  農水省の見解を伺います。
  94. 枝元真徹

    政府参考人枝元真徹君) お答え申し上げます。  有機農業ですけれども、除草又は防除に手間が掛かりますので、小規模経営かつ少量多品目の生産を行う生産者が地域に点在をしておりまして、出荷ロットが小さいことから供給が不安定であるということが問題だと考えてございます。それで、そういう意味からすると、その振興を図るに当たっては、有機農産物等のロットの確保と安定供給ができる体制の構築を図っていく必要があるというふうに考えております。  このため、平成三十年度予算におきましては、少量多品目であります有機農産物等について、ロットの確保ですとか安定供給体制の構築を図るための有機農業者同士のネットワークの構築、こういうものによる産地化の支援を図ることとしております。  また、本年三月に開催いたしました未来につながる持続可能な農業推進コンクールにおきましても、多品目生産を営んでいる団体が農林水産大臣賞を受賞するなど、優良産地の事例もPRしているところでございます。  今後とも、地域、品目に応じた多様な産地づくりを推進してまいりたいと存じます。
  95. 川田龍平

    ○川田龍平君 他方で、この輸送コストが値上がりする中で、産直をしている有機栽培農家は、お互いの顔が見える、自分で配達できる地域内販売を増やそうと努力しています。幼稚園や保育園、学校給食との連携を農水省としてもっと応援すべきではないでしょうか。
  96. 井上宏司

    政府参考人(井上宏司君) 学校給食におきまして、有機農産物を含めた地元の農産物が活用されるということは重要と考えておりまして、他方で、有機農産物の供給に当たりましては、食材費の上昇分を転嫁できるのかといった課題でありますとか、一定の規格を満たした量を不足なく納入できるのかといったようなことがございます。  地域ぐるみで学校と生産現場の双方のニーズや課題を調整しつつ、こうした取組をされているところもございまして、農林水産省といたしましては、学校給食と生産現場をつなぐコーディネーターの派遣や育成といった形で関係者が連携して取り組めるような体制づくりを支援してきているところでございますし、今後とも、こうした取組を通じて学校給食における有機農産物を含む地場産農産物の利用を促進をしてまいりたいと考えております。
  97. 川田龍平

    ○川田龍平君 私は、まだまだ農水省の取組、努力が足りないと思っています。支援メニューの要件を緩和するとか、是非もっと知恵を絞っていただきたいと思います。  千葉県の、これ大臣の千葉県ですけれども、いすみ市においては、有機農業議連のカウンターパートでもあるNPOの民間稲作研究所の技術支援の下で、市内の小中学校の給食において、ポストハーベスト農薬で汚染された輸入小麦を原料とするパンの代わりに、全て地元の無農薬米で賄うことが実践をされています。今年の七月には、いすみ市でブータンから人を招いて国際会議も開かれる予定で、同じ千葉県の木更津市でも同様の取組を進めようと検討が始まっています。  こういった取組が全国に広がって地元の有機農産物を使った食育ができるよう、国が率先して取り組むべきことについて、文科省にも伺います。
  98. 下間康行

    政府参考人(下間康行君) お答え申し上げます。  学校給食において有機農産物を含む地元の農産物を使用することは、子供たちに地域の自然や文化、産業等に関する理解を深め、生産者の努力や食に関する感謝の念を育む上で有意義であると考えております。このため、平成二十八年度より、学校給食において地場産物を効果的に活用する手法を開発するモデル事業を実施し、その成果の普及に努めているところでございます。  議員御指摘の千葉県いすみ市における農薬、化学肥料不使用の地元産有機米の給食利用の事例など、有機農産物につきまして、一部の地域において学校給食の中で有機栽培米や有機栽培した地域の農産物について献立に取り入れたり、有機栽培などを行っている地元生産者との交流会を行って、生産者の思いや農作業での苦労と工夫について理解と感謝の心を深める食育の取組が行われていると承知しております。  文部科学省といたしましては、こうした取組の実施については、地域の実情を踏まえ、関係機関との連携の下、地域ごとに適切に判断されるべきものと考えておりますが、今後とも農林水産省とも連携しつつ、先進的な事例の積極的な発信、共有を図るなど、学校における有機農産物を含む地元の農産物を活用した食育の推進に努めてまいります。  以上です。
  99. 川田龍平

    ○川田龍平君 私も、山田先生とこの間、米と純米酒を促進する議員連盟と、米フォーラムに出させていただきましたけれども、私はやっぱり地産地消を前提にこの学校給食、これ無償化に国が取り組んでもいいのではないかと思います。多額の費用が掛かるのは分かりますが、これ、食料自給率の向上、食育、そして本当に体に良いものを子供たちに食べてもらうためにも、大臣、これ学校給食への取組の強化、お願いできませんでしょうか。
  100. 齋藤健

    国務大臣齋藤健君) 学校で有機の農産物を提供するということは、これは非常に大事なことだと私も思うわけでありますが、一方で、その分高くなるのをどうするかという問題を解決していかなくちゃいけないんだろうと思います。現在は、その地元でよく話し合いながら、そういう形で学校給食にうまい形で提供できないかどうか、地域が努力してやっているということであります。  したがいまして、私どもとしては、そういった地域ぐるみの活動をいろんな地域でほかに展開できないかとか、そういう努力をまずしていきたいと思っておりますが、やはり根本的にその少し高くなるところをどうするかという問題の解決については少し検討が必要かなというふうに思っております。
  101. 川田龍平

    ○川田龍平君 私はこういった取組が、価格というよりも、やっぱり食育ですとか、様々、健康ですとか、そのときだけの経済的な利益だけではなく、本当に農業の多面的な効果をやっぱりそういうところでしっかりと発揮すべきではないかと思いますし、特に今、小麦などは、小麦のポストハーベストというよりもプレハーベストというんでしょうか、今、収穫を効率化するためにプレハーベストという形で小麦に使われていて、それによって小麦の農薬の使用と、例えば今小麦アレルギーなど、そういうセリアック病とか大変増えているのと、その農薬の相関関係もこれも出ています。  そういう意味で、そういった農薬によるやっぱり身体への健康への影響、そういったものがこれだけ今発達障害なども増え続けていて、それに対する対策も全く取られていない状況ですので、是非そういった意味でこの農薬の問題をしっかり根本から改めて考え直していただいて検討を速やかに進めていただけるように、大臣、よろしくお願いいたします。  私の質問を終わります。ありがとうございました。
  102. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  今日は、今、北海道の置かれている状態について触れながら議論をしたいと思います。  北海道は、道民の生活や基幹産業である農林漁業をめぐって大きな岐路に立たされています。道民の生活という面からいいますと、JR北海道が単独維持困難路線を公表したことから、住民の交通権を守るという点でも、それから農産物の物流という点でも大きな岐路に立たされています。基幹産業という点では、農産物の自由化、この影響、問題ですね、漁業、それから水産業における日ロ関係の影響など、産業や北海道の経済という面でも重大な局面に立たされています。  北海道の農業は、寒冷地であるという条件の中で、先人の多くの努力があって、その中で生産基盤を形成してきました。現場の生産者の皆さんの頑張りで日本の国民の食料を支える大きな拠点になってきたと思います。当然、この生産基盤を確立すると同時に、それを運ぶ物流も確立をして次の世代につなげていかなきゃいけないと、これは私たちに課せられている課題でもあると思います。  それで、齋藤大臣にお聞きしたいんですけれども、外交交渉が北海道の農業や林業、水産業に与える影響、これ大きいものがあるわけですけれども、加えて、農産物を運ぶ物流としてJR北海道が果たしている役割をどのように認識されているでしょうか。
  103. 齋藤健

    国務大臣齋藤健君) 人手不足から今トラック輸送コストが上昇している中で、農産物はしっかりと安定的な輸送を確保していかなくてはいけないということでありますので、鉄道や船舶への切替えということも含めた物流の効率化ということが今まで以上に積極的に取り組むことが必要になっているのだろうと思います。  特に、今御指摘の北海道のように、広大な生産地の農産物をいかに効率的に輸送するかということが課題となっている地域につきましては、鉄道輸送の役割というものは私は非常に大きなものがあるんだろうというふうに考えているところでございます。
  104. 紙智子

    ○紙智子君 それで、これからの農業がどうなっていくのかということで、日米経済関係についてもちょっとお聞きしたいと思うんです。  安倍晋三首相とアメリカのトランプ大統領が四月の十七、十八と首脳会談を行いました。そこでは、新たに茂木大臣と今度アメリカのライトハイザー通商代表との間で、自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議を開始するということで一致をしました。新たな経済協議というふうに言われているわけですけれども、なぜ新たな枠組みが必要になっているのでしょうか。  昨年の二〇一七年二月の日米首脳会談で、麻生太郎副総理とアメリカのペンス副大統領との経済対話の枠組みが合意をされたわけです。経済対話で、貿易・投資ルール、それから経済、構造政策、それから分野別の協力の三分野で協議が行われています。こういう枠組みがあるのになぜまた新しい枠組みが必要になったのか、そして経済対話とは一体何が違うのか、説明をしていただきたいと思います。
  105. 飯田圭哉

    政府参考人(飯田圭哉君) お答え申し上げます。  委員指摘のように、日米経済対話は、貿易・投資のルール、課題に関する共通戦略、それから経済及び構造政策分野における協力、それからインフラやエネルギーなどの分野別協力の三つの柱で議論しているところでございます。このうち、この三つのうち特に貿易と投資について担当閣僚を配置して議論していくのが、今回開始した自由で公正かつ総合的な貿易取引のための協議でございます。この中では、公正なルールに基づく自由で開かれたインド太平洋地域の経済発展を実現するために、日米双方の利益となるように、日米間の貿易、投資を更に拡大させていくとの目的で行われるというふうに理解をしているところでございます。  なお、本協議は茂木大臣とライトハイザー通商代表の下で行われ、その内容は日米経済対話に報告されることとなっているところでございます。
  106. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっと聞いたことにちゃんと答えられていないなと。どうして新しい仕組みが、枠組みが必要になったのか、経済対話と違うことについて何でわざわざ必要になったのか、その辺ちょっともう一回お願いします。
  107. 飯田圭哉

    政府参考人(飯田圭哉君) 今までは、副大統領とそれから副総理の間で幅広く議論をしていたところでございます。その中で、やはりこの項目については担当閣僚を配置して、まさにTPPの交渉を担当された茂木大臣とライトハイザー通商代表の中でより具体的な議論をしていくということになっているわけですが、この本協議の具体的な在り方については今後日米間で調整をしていくということになっているというふうに考えております。
  108. 紙智子

    ○紙智子君 日米経済対話は、今お話あったんですけれども、日本の担当者、事務方の交渉というか対話を担ってきたというふうに思うんですね。要所要所では大臣があったと思うんだけれども、だけど日常的にはこの担当者のところがやってきたと。アメリカから見れば、これはなかなか交渉が思うように進まないと、成果が出ないんだったら、もっと迅速に進めるために閣僚級協議にする方がいいということになったんじゃないんですか、違いますか。
  109. 飯田圭哉

    政府参考人(飯田圭哉君) アメリカ側の思惑については、なかなか日本政府としてコメントすることはちょっと難しいというか、差し控えさせていただきたいと思いますが、我々としては、やはり目的に従ってこの協議を進めたいと思っておりますし、ただし、アメリカ側の関心にかかわらず、この本協議で具体的にどういうことを議論していくかということについては、今後日米間での調整次第だというふうに理解をしているところでございます。
  110. 紙智子

    ○紙智子君 アメリカは日米FTAに関心があるというふうに言っているという言い方を日本政府はしているわけですよね。関心がある、関心を示すというだけじゃなくて、実際上FTAを今まで求めてきているんだと思うんですよ、鉄鋼問題もありますし。そういうアメリカの圧力をかわすために経済協議という枠組みをつくったんじゃないかということも、いろいろ読みますと言われているというふうに思うんですね。  新たな経済協議は、FTAを進める、その交渉を進めやすいという、FTAよりもですね、FTAをなかなか言いにくいということで、FTAよりも進めやすいからなんじゃないかというふうにも思うわけです。  なぜかというと、FTAになりますと、これは国会の批准手続が必要になるし、FTAをめぐっては様々な議論がありますから、そういう意味では国内手続だけで、この国会の関与もなく国内の手続だけでやるということでは、この日米協議というのはもっと自由にできるんじゃないかと。両国の閣僚級で合意すれば、国会の関与もなく、いろいろ実施に移せるんじゃないかと。新たな経済協議というのは、これはFTAよりも、トランプ大統領が言うところの、要するにディールが好きだというふうに言っているそうですけれども、要するに取引ですね、そういう進め方がやりやすいからということなんじゃないんですか。
  111. 飯田圭哉

    政府参考人(飯田圭哉君) 答弁申し上げましたように、この協議は、インド太平洋地域の経済発展を実現するため、あくまでも公正なルール、自由で開かれた貿易、投資というものを実現させていく、あるいは日米で貿易、投資を更に拡大させていくという目的で行われるものでありまして、委員指摘があった日米FTAの交渉と位置付けられるものでもなく、その予備協議でもないというふうに承知をしております。  また、米側が二国間ディールに関心を有していると承知はしておりますけれども、我が国としてはTPPが日米両国にとって最善と考えておりまして、その立場を踏まえ引き続き議論に臨んでまいりたいと思っております。  いずれにしましても、我が国としては、いかなる国とも国益に反するような合意をするつもりはないという覚悟で臨んでまいりたいというふうに思っているところでございます。
  112. 紙智子

    ○紙智子君 目的に反する合意はないというふうにおっしゃるんですけれども、私、やっぱり思い出すのが、日本がTPPに参加する際に入場料を払ったことなんですよ。アメリカに合わせてBSEの当時対策の輸入規制を緩和をすると。それから、自動車とか保険もこれ米国の要求を受け入れて、それを入場料としてやったという記憶が残っているわけでありまして、トランプ大統領は日米貿易赤字について削減を求めて、これまでも、それを問題にしてきたというふうに思うんですね。  一方で、TPPには戻りたくないというふうに言っているわけですよ。二国間協議がいいんだと一貫して言っていまして、短期間でやっぱり何らかのことができると、二国間でやった方がということを言っているわけで、日米経済対話で協議されるであろうBSE対策の月齢制限の撤廃とか、あるいは牛肉のセーフガード制度の見直し、こういうことが一気に進むんじゃないかというふうに思うんです。  ハガティ駐日大使は、新たな枠組みというのは日本の農産物市場開放や自動車が優先的に話し合われるだろうというふうに言っているわけですよ。そうなれば、アメリカの対日要求の格好の場を提供する枠組みになるんじゃないんですか、いかがですか。
  113. 飯田圭哉

    政府参考人(飯田圭哉君) そういう発言の趣旨については、私からちょっとコメントすることは差し控えたいと思いますが、ただし、いずれにしても、一方的要求という御指摘もございましたけれども、我々は日米相互に貿易、投資を拡大していく、それぞれの関心をお互いにアドレスをしていくという、そういう姿勢でこの協議に臨んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
  114. 紙智子

    ○紙智子君 昨年の経済対話で、日本国内でも説明もないままアイダホ産のバレイショの輸入が解禁されたわけですよ。北海道の人たちは驚きと怒りの声が出ました。  国民の皆さん、そして北海道の農家が求めているのは、これ、交渉で何が議題になっているのか、どんな交渉が行われているのか、交渉状況をやっぱり知りたいと、情報を提供していただきたいということなんですよ、結果だけでなくて。やっぱり、ハガティ駐日大使は日本の農産物の市場開放が議題になるというふうに言っているわけです。  何が議題になっているのか、何が論点なのか、これはやっぱり情報提供するべきだと思いますけれども、齋藤大臣、いかがでしょうか。
  115. 齋藤健

    国務大臣齋藤健君) 今御指摘の新しくできる日米の協議については、私どもが承知をしているのは、正確に言えば、自由で公正かつ総合的な貿易取引のための協議である、そしてそれはFTA交渉と位置付けられるものではない、それからその予備協議でもないと。そして、議題はこれから調整をしていくということが今私ども承知をしているこの協議でありまして、アメリカとこれから調整をしていくんでありましょうが、農林水産省としては、いつも申し上げているように、いかなる交渉におきましても我が国農林水産業の維持発展を旨としてきちんと対応していくということは変わりありません。
  116. 紙智子

    ○紙智子君 今までも情報を出さないでずっと来ているわけですよ。やっぱり新たな経済協議をこれアメリカからの譲歩を迫られる場にしない、そこのところは強く求めておきたいと思います。  それから次に、農産物を運ぶ物流、JR北海道について聞きますけれども、JR貨物によりますと、二〇一四年、北海道から本州に陸上貨物輸送の総出荷量は五百四万トンだと。そのうち鉄道が約半分の二百四十八万トンを占めています。主にジャガイモとかタマネギが主力なわけですよね。カーリングで有名になった北見。北見から出る北見タマネギ列車というのは、八月から翌年の四月までタマネギを送っています。  道外に発送する農産品のこの鉄道のシェアというのは非常に高くて、食料を安定供給するための大切なライフラインだというふうに思っているんですけれども、大臣、この点の認識も伺いたいと思います。
  117. 齋藤健

    国務大臣齋藤健君) 先ほど申し上げましたように、今やトラック輸送コスト上昇している中で、鉄道や船舶の輸送というものの重要性というのはむしろ増大しているということだろうと思います。  したがいまして、特定の路線どうするかということもさることながら、そういう状況を踏まえて、今、国土交通省、経済産業省のほか、全農、全日本トラック協会、日本物流団体連合会等と協力して、鉄道や船舶での輸送を含めた効率的な物流対策の検討、実施ということに取り組んできているところでありまして、この中で問題があれば適切に議論して対応していきたいというふうに考えているところでございます。
  118. 紙智子

    ○紙智子君 JR北海道の問題で、次、国土交通省にお聞きしたいんですけれども、JR北海道が単独維持は困難だとする路線を公表して以降、JR北海道の線路、鉄路の存続を求める運動が広がってきているんですね。私の議員事務所にも多数の方が要請に来られています。私たち日本共産党としては、鉄道政策懇談会ということで提言も出して開きました。多くの団体でもこれ懇談会やシンポジウムなどが多彩に行われています。今年四月には、農協の総代会でJR北海道の路線存続に向けた特別決議も採択をされています。  国土交通省にお聞きするんですけれども、北海道新幹線がこれ営業を開始して札幌までの延伸工事が進んでいるんですけれども、完成すると三十年間の平均で年間三十五億円の収支改善効果があるということが言われているんですけど、端的に、これそうなのかどうか、説明をお願いしたいと思います。
  119. 山上範芳

    政府参考人(山上範芳君) お答え申し上げます。  整備新幹線の新規着工に当たりましては、整備新幹線事業を実施する前後を比較いたしまして、整備新幹線の営業主体に生ずる収支の改善効果を算定をしてございます。  北海道新幹線、新函館北斗―札幌間の着工に当たりましても、同区間を整備した場合と整備しなかった場合を比較し、整備新幹線に加えまして既存線の関連線区の収益の変化も踏まえ、全体でJR北海道に生ずる収支の改善効果として年間三十五億円の収支改善効果があるとの試算結果になってございます。
  120. 紙智子

    ○紙智子君 それで、開業して以降、北海道新幹線は赤字が続いているんですよね、今、函館までなんですけど。財務省は、北海道新幹線は赤字だが、在来線の単独維持困難路線の赤字がなければ経常損益の黒字化が見通せたなどと、これ新幹線と在来線のセット論を論じているんですね。  国土交通省、立場について、これに対して説明していただきたいと思うんです。どういう立場なのかということをおっしゃっていただきたいんですけど。
  121. 山上範芳

    政府参考人(山上範芳君) 四月二十五日の財政制度等審議会財政制度分科会における財務省からの説明の中で、現時点の概算に基づき、北海道新幹線の平成二十九年度の営業収支が百三億円の赤字となる見込みが示されたものと承知をしてございます。  JR北海道は、北海道新幹線の収支改善に向けまして、営業施策の展開や新幹線の運営の効率化など様々な取組に努める方針であると承知をしてございまして、国土交通省としても収支改善に向けて指導を行っているところでございます。  他方、JR北海道は、地域人口減少、マイカー等の他の交通手段の発達に伴い、輸送人数が減少し、大量高速輸送という鉄道特性を生かすことのできない路線が増加をしていることから、平成二十八年十一月に単独では維持困難な線区を公表いたしまして、各線区の置かれた状況を踏まえた持続可能な交通体系の在り方について地域の関係者の方々への説明、協議を進めているところでございます。  国土交通省といたしましては、JR北海道の厳しい経営状況を踏まえて、JR北海道の事業範囲の見直し、経営自立に向けた方策につきまして関係者とともに検討を進めているところであり、夏頃までに大まかな方向性について取りまとめてまいりたいと考えているところでございます。
  122. 紙智子

    ○紙智子君 つまり、新幹線は新幹線と、在来線は在来線と、それぞれで改善を図るという立場ということでよろしいんですよね。
  123. 山上範芳

    政府参考人(山上範芳君) いずれの課題も大変重要でございまして、JR北海道の北海道新幹線、収支改善は図る必要があると考えておりまして、国交省としても指導をしていきたいと思っておりますし、他方で、地域の路線の問題につきましては、地域の関係者の方々への説明、協議、これがJR北海道において進められておりますので、これを踏まえまして、国土交通省としてもその話合いに参画をいたしまして解決策の方向性を出していきたいと考えてございます。
  124. 紙智子

    ○紙智子君 やっぱり、新幹線という稼ぎ頭の赤字を理由にして、この地方路線を廃止してもやむを得ないなんというのはとんでもない意見だというふうに思いますよ。JR北海道が困難になっているのは、元々はやっぱり国鉄民営化以来の問題があるわけで、やっぱり国としては線路を存続させる支援や責任があるんだと思うんです。  廃止やむなしというメッセージはこれは出すべきではないということを申し上げまして、時間になりましたので質問を終わります。
  125. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございます。日本維新の会の儀間光男です。  農水委員会ですから、一般質疑を行いたいと思います。    〔委員長退席、理事舞立昇治君着席〕  我が国人口減少、これでもって国内の市場は縮小化に歯止めが掛かりません。これは誰が言ったって同じことです。しかし一方では、世界の食料市場は、平成二十一年の三百四十兆円、広がるんですよ、大きくなるんです、から平成三十二年には六百八十兆へと倍増をしていく予想がされております。特にアジア全体では、市場規模が平成二十一年の八十二兆円から三十二年には二百二十九兆円と三倍に増加をしている現状にあります。その中で、世界の農産物の食料品は約百五十兆と推計され、そんな地位は高くないということがここに示されております。  さて、そういう前提に立ちながら質問をさせていただきますが、海外の日本食の普及に伴い、日本レストランは実に十二万店舗にまで広がりを見せているようであります。特に最近では、日本食が欧州を中心として大変に好調でありまして、その中で、海外産の米を使用した日本酒、みそ、しょうゆ、ソースなどが海外で生産されて、日本のブランドですよ、生産されて輸出をする動きも活発になっているように聞こえています。  一体、こういった情勢を鑑みて、海外マーケットでの日本の食品は日本食レストラン、食堂の店舗拡大と相まっていわゆる売手市場のように見受けられるのですが、政府見解はどうなっているか、お答えください。
  126. 井上宏司

    政府参考人(井上宏司君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、海外における日本食のレストラン、ますます増加をしておりまして、昨年で十一万八千店まで増加をしておりまして、海外における日本食の人気は高まっているという状況にございます。このような機会を捉えまして、海外への輸出拡大を図っていくことが重要と考えております。外食レストランの中では、一つ例を挙げさせていただきますと、中国のラーメンチェーンが四百店舗において日本産の米を使用した定食メニューを販売するといったような取組も出てきているところでございます。  また、委員指摘のように、日本の食品製造業者が国際競争力の強化のために経営戦略の一環として海外に進出をし、現地で生産、販売を行っている事例もございますけれども、こうした取組につきましても、国産農林水産物需要者である日本の食品製造業者の事業基盤の強化に資するとともに、現地での日本食文化の発信につながることによりまして日本食に対する現地マーケットの裾野の拡大にも貢献をするものと考えてございます。  日本で生産された食品につきましては、品質の高さ、安全、安心の面で海外から高いニーズがございますので、今後とも、ブランド化の取組、また国産原材料を活用した新商品の開発への支援等によりまして輸出拡大を促進をしてまいりたいと考えております。
  127. 儀間光男

    ○儀間光男君 今お答えのあったように、日本ブランド、非常に人気があっていいんですけれど、どうも現地米と比べると高過ぎる。あるいは、私が昨年回ったモロッコやドバイ、あの辺へ行くと、ロット数が少なくて、量が少なくてなかなか回ってこないというようなことなんかがあったんですね。この価格がネックになって一般庶民に浸透していない。これは今、後で出ますけど、日本の米、いわゆる米ですね、加工品じゃなしに、米の輸出が一万一千トン、四十二億ぐらいだとしますけれど、これをもっともっと拡大して、米単品でもってももっともっと拡大をしていかなければ、日本の市場が減少すると同時に毎年八万トンの消費が減っていく。それを、農家を支える意味では海外展開してその分だけ海外へ出して、農家農家として残していく必要があると思うんですね。  したがって、この米単体での輸出、後で出ますけど、一兆円貿易は米と食品加工、二本立てで一兆円ですが、この米単体、粒単体でですね、玄米、白米、単体でもっともっと伸ばしていかぬというと、日本の市場の減少とあるいは消費量の減少による農家に対するしわ寄せが大きくなってくると思うんですが、その辺どうお考えかをお示しください。
  128. 柄澤彰

    政府参考人柄澤彰君) 御指摘ございましたように、国内の主食用米の需要が残念ながら減少をしている中で、全く御指摘のとおり、海外に目を向けて海外のマーケットを目指して輸出をしていくということは米政策にとって極めて重要な課題だというふうに存じております。  元々、平成三十一年の農林水産物・食品の輸出額目標一兆円の内訳におきまして、米につきましては、粒の米だけではなくて、日本酒あるいはお煎餅などの米菓も含めまして、米、米加工品の輸出額目標として六百億円を設定してきていたところでございます。  委員指摘のとおり、実質的な米の輸出が伸びるということが重要でございますので、昨年、大臣のイニシアチブの下で立ち上げましたコメ海外市場拡大戦略プロジェクトにおきましては、あえて、金額目標に加えまして、数量目標として平成三十一年に米、米加工品で十万トンという輸出数量の目標を掲げて輸出拡大に取り組んでいるところでございます。    〔理事舞立昇治君退席、委員長着席〕  その際、仮に米菓あるいは日本酒といった加工品の輸出でございましても、その原料に日本産米が使用されていれば実質的に日本産米のマーケット拡大につながるということでございまして、そうなれば結果として食料自給率あるいは自給力の向上や米農家所得向上にも資するということになりますので、今回のプロジェクトにおきます数量目標につきましては、こういった米加工品も含めて十万トンという目標を設定してきておるところでございます。  なお、実績としましては、貿易統計に基づきまして、毎月毎月、米の、委員指摘の粒そのものと、それから米菓、日本酒それぞれの加工品の分野ごとに数量、金額を公表して透明化を図っているところでございます。
  129. 儀間光男

    ○儀間光男君 今御答弁あったように、なるほど政府が一兆円の輸出目標を農林水産関係でやるということで、米、米加工品、これで一兆円ということで、その中に清酒が入っている。これはそれでいいんです。尊敬する上月務官とこの前ちょっとやって、残したまんまなんですけれど、これは、それはいいんです、もう。  ところが、前おっしゃったように、日本酒の米というのは、これは前回もやって続くんですが、シリーズ物でやっていますから続くんですが、国内市場で仕入れをして造った清酒が外国へ行って消費されたからといって、清酒は消費されたけど、国内の米は国内で、米は国内市場で加工している。二本立て、それはいいんです。ということは、なぜかというと、生産地から加工で工場へ、加工場へ下ろした途端、ここはもう二次産業、工業産業になるんですね。経済産業マターになるんですよ。  だから、一兆円目指すのはそれでいいけれど、私は単体にしてやるべきだということは、しっかりとした米農家支援する意味で、まあ米に特化しておりますが、その他もありますけれども、米農家支援する意味では単体で引き離してやっていくべきだということなんですね。  だから、産業統計では一兆円目指すって二本立てしたからいいけれど、本来ここに入る分じゃないんじゃないかというような思いを、まだ政務官の説得のみでは納得していないんですが、いかがでしょうか。
  130. 上月良祐

    大臣政務官上月良祐君) 我々としましては、例えば日本酒に加工して輸出をすることで、玄米一キロ当たりの輸出金額は、米そのものだと、今の大きな試算ですけれども、キログラム当たり例えば二百七十円であるものが、米菓、米のお菓子になると千二百八十円、一キログラム当たりですね、日本酒になると千四百十円になる、付加価値が増えているわけです。その付加価値国内に落ちるわけでございますので、米を食べていただきたい、あるいはお酒という形で飲んでいただきたい、それはどちらも重要だと思っておりまして、日本酒の方を一生懸命、まあJFOODOの重点品目なんかになってやりますけれども、それをやるから米の粒の方をおろそかにするという意味では決してないわけです。  そういう意味で、今回、今、十万トンの中は米、米加工品となってはおりますけれども、今までにないこのコメ海外市場拡大戦略プロジェクトということで、産地とも連携をしながらしっかり米の粒の方も伸ばしていきたいというふうに考えておるところでありまして、目標の中でそこが未分化というか、分化していませんけれども、我々としてはどちらもしっかりやっていきたいというふうな姿勢でやっているところであります。
  131. 儀間光男

    ○儀間光男君 そうでもしないと、例えば、米以外の加工品を見ると、この大半が輸入農作物を原料として生産して、輸出もするし、国内マーケットも回るというようなことがあるわけですよね。これとの関係解釈はどうするか。非常に私の哲学、私の方程式で解けなくて、まだ悶々としているんですが。例えば、私、ブラジルで経験したことがあるんですが、ブラジルへ行ったら、日本の大手しょうゆメーカー、みそメーカー、ソース、それから調味料メーカーが現地生産して、日本物ですということでやっておるんですが、あるいは農林中金総合研究所の資料などを見ますと、そういうものは日本農家にとってそんなに所得倍増につながる話ではないというようなこと等も問題指摘があるわけですね。  だから、その辺を思うと、その日本農業の加工品が、今言う米菓や清酒以外の多くの加工品は海外に原料を委ねているということが大きいことから、なかなか農家への、その他の農家やあるいは水産業への還元はないんだというような等々も指摘されておるわけですが、その辺に対してはどういう考えがお持ちか、示してください。
  132. 井上宏司

    政府参考人(井上宏司君) 海外に輸出をされております加工食品について、国産の原材料がどれだけ使われているかという割合についての詳細な統計はないわけでございますけれども、産業連関表等を用いまして試算をしてみますと、我が国の食品製造業の国産原料の調達割合は全体で約七割という試算結果もございまして、輸出品につきましても一定程度のものが国産原材料で調達をされているものというふうに考えてございます。  また、御指摘のとおり、加工食品の中には原料としては海外のものを使っているものも多くあるわけでございますけれども、これにつきましても、その加工食品が海外に輸出されることで日本の食文化の海外への発信につながることで、日本産の農林水産物、食品全体のマーケットの拡大にも貢献をしているところがあるというふうに考えてございます。
  133. 儀間光男

    ○儀間光男君 もう時間もそんなにありませんけれど、とにかく今回の一兆円には、加工品、酒、米菓、煎餅、その他ありますけれど、それは一兆円を目標にして二本立てにしたということは理解できるんですが、どうも経産省マターの、何というんですか、産業登録に行くものを農林水産省に持ってきたと。海外へ行けば今度は財務省マターになっていったりして、なかなか素直に、この缶詰が、この加工品が農林水産省産業統計に入るんだということは解せないんでありますけれど、それはまた、短く何かありますか。
  134. 上月良祐

    大臣政務官上月良祐君) 特にはないんでございますけれども、先ほど来御答弁申し上げておりますように、加工品であれ、その物がそのまま出るとしても、農家の所得になるためには、やはり、何というんでしょうか、価格というんでしょうか、ブランド化というんでしょうか、そういったものをしっかりやりながら販売戦略を立てていかなければいけないということではないかと思っております。
  135. 儀間光男

    ○儀間光男君 そのまま平行線でいきましょう。しようがありません。  それで、この農業分野が、農林水産分野が安倍総理の成長産業あるいはアベノミクスの三本の矢の中の成長産業として取り上げられてから、昨年や今年にかけて、昨年八本の法律案、改廃も含めて、今年九本出ていて、この法律を見ていると、種子法もそうだし、今回のコンクリート法もそうだし、どうもアベノミクスの三本の矢の成長産業が、経済マターに入りながらも法整備をして競争力を増すような産業に育てていこうという心意気がよく見えて、それには異存ないんですが、必ず反動というのがあって、そうなれば中山間地やあるいは零細農家が置き去りにされる可能性があると。あの法律だってそうですよ、コンクリート法案、この前行きましたけど、関東平野にあれが建ってごらんよ、農業って言っちゃおれませんよ。そういうことで、非常に慎重になってほしい、これは平野先生からも少しありましたけど。  中間地やあるいは小規模農業が、たとえ輸出には貢献できなくても、一兆円産業には貢献できなくても、国土の保全とか水の涵養とか、あるいはコミュニティーを形成するのに必要。コミュニティーを形成していくということは、これ日本社会で決して避けてはならないことで、そういう意味では、棚田を含めて零細農家が営む農業にもなりわいとして立っていけるようなことをして政策を打っていかなければならないと思うんですね。  それには、私は、大規模農業、つまり企業化された資金力のある農家が海外進出する、それができない小規模農業、これ国内マーケットですみ分けするぐらいのダイナミックな政策を打っていく必要があろうと。これ、そういう輸出産業国内に下ろしてはならないとは言いませんよ。あるいは、小規模農業だから六次産業に乗っちゃいけないという、そんな話じゃなくて、小規模農業であっても営々として担い手をつくって、継続して、なりわいとしていけるんだというような所得確保をするために、これはさっき言ったように、国土の保全と涵養、水の涵養をするとか、そういう文化、あるいは伝統文化、そういうものを守っていく、コミュニティーを守っていく。安倍総理が好んで使う瑞穂の国、どこかの瑞穂小学校ってありましたけど、瑞穂の国をつくっていくにはそういう配慮が絶対必要だと思うんですね。それ、大臣並びに政務官、どうお思いか、ちょっと思いを聞かせていただきたいと思います。
  136. 上月良祐

    大臣政務官上月良祐君) 御指摘は大変ごもっともだと思います。  農政には攻めと守りと両方あるんだと思っておりまして、成長産業化をしっかり図っていくというところは、これまでどうしてもちょっと取組がやや相対的には弱かった面があるのではないかということで、輸出も含めて一生懸命、大規模化も含めて一生懸命やりますけれども、一方で、委員指摘のように、中山間を含め、まあ離島も含めだと私は思っておりますけれども、特に人口減少下では、社会になっているので、そういったところは大変重要だと思っております。  したがって、その守りのところを忘れては車の両輪が両方回らないわけでありまして、そちらにつきましても私は大変重要な産業だと思っております。したがって、中山間地域対策を始め農水省でもいろいろ対策を取っているわけでありますけれども、その御指摘をよく頭に置いて、これからもしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
  137. 岩井茂樹

    委員長岩井茂樹君) 時間を過ぎております。質疑をおまとめください。
  138. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。  是非そういうことに配慮して、取り残しのない農家政策を打ってください。  それから、沖縄振興局長、今日お呼びしたけど、残念です、次の機会にしたいと思います。  ありがとうございました。
  139. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 希望の会、森ゆうこでございます。  この一年ぐらいの間、何回も質問をこの農林水産委員会で行わせていただきましたけれども、初めてじゃないかな、資料を配らないのはというような気もいたします。  思い起こせば、約一年前、六月六日のこの農林水産委員会で、質問の順番が来るまでの間、今治市公開資料を持ち込み、紫の風呂敷包みで、七千八百枚あったうちの一部ですけれども、その中から引き当てた、これは女の勘ですが、それが、平成二十七年四月二日、首相官邸、今治の関係者が訪れた、でも誰に会ったかは黒塗りであったと。  でも、こんなことで一年掛けて、まだ分からないんですよね。いや、分かっているんですよ、これは絶対おかしいと、えこひいきをしたんだと。最初から加計がこの獣医学部開設をすることは決まっていた。最初に決まっていたんですよ。あとはアリバイづくりであった。誰が見たって分かるんですよ、これ。いつまでやっているんですか、こんなことを。ということで、まあ、今更もう資料を配ってもしようがないなというふうに思いました。  まず、加計学園の問題について質問をする前に、農林水産大臣、セクハラ問題、この間質問をさせていただいたときには、まあ随分前ですけれども、連休も挟みました。農水省ではどうなっているのか、ちょっと調べていただけていないということでしたので、その御報告をまず伺いたいと思います。
  140. 齋藤健

    国務大臣齋藤健君) 農林水産省で相談窓口を設置しているというお話は前回させていただきました。その窓口におけるセクシュアルハラスメントの相談件数、二十七年度は一件、二十八年度も一件、そして平成二十九年度は五件でございました。  これらの相談についてはいずれも対応をさせていただいておりまして、対応済みでございます。
  141. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 対応がしっかり行われていなくて、相変わらず女性の職員からしっかり対応してほしいというふうに言われているような案件は全くないと、今回の調査ではもう何もないということでよろしいですか。
  142. 齋藤健

    国務大臣齋藤健君) 私の推測で、今、森委員が頭にある案件というものについてちょっとお話ししますと、今年三月に外部から確かに匿名の投書というものがございました。そして、内部調査をいたしまして、一部不適切と認められたわけでありますので、当事者及びその上司等に対して三月中に矯正措置の、まあ外でありますけれども、口頭注意を行うということをさせていただいたものが一件ございます。
  143. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私の方でこれ裏を取ることもなかなかこれは難しい問題なので、あえて具体的な事実は申し上げずに質問をさせていただいた。大臣の方から率直にそういう事件があったということで。  実は、私のところにも投書がございました。中身は詳しく述べません。結構深刻な問題じゃないかなというふうに思います。こういう内容であれば、これセクハラの対応としては、そのセクハラを訴えられた上司、要するにパワーがある方がハラスメントを行うわけですから、そういう人は異動しなきゃいけない、あるいは定年に達しているんだったら退職させなきゃいけないというふうに思うんですよ。ただ、私のところに来たのは、本来であればもう退職しているはずなのにまだ居座っていると、何とかしてほしいという訴えだったんですけど、これちょっと違うんですかね。
  144. 齋藤健

    国務大臣齋藤健君) 本件、外部からの匿名の投書ということでありましたので、それで、そこに書かれている人物について調べて、そして、先ほど申し上げましたように、今後二度とそういうことのないような注意を行ったということでございます。
  145. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それでも相変わらず私のところまで投書が来るわけですから、もう一度よくお調べになった方がいいと思いますし、厳重注意だけで本当に済むのかどうかという問題であるというふうに思います。これ以上詳しくは述べません。私もそこまで言う何というか材料がないので。ただ、きちっと対応していただきたいと思います。  今回のセクハラの問題で、私も本当に驚きました。相変わらず昨日の麻生大臣の、財務大臣の発言、もういいかげんにしてほしいと思いますよ。自民党の中で何とかならないんですか。繰り返し二次被害、三次被害。相変わらずはめられたというようなことも言っている。とんでもないですよ。いや、セクハラ罪はないと言いながら親告罪だと、全く矛盾したことを言っている。大丈夫ですかと。  これ、我々さんざんいろんなことで追及したって、安倍内閣へっちゃらですよ。きちっと自民党の中で自浄作用を発揮してください。とんでもない話ですよ。もう一体何時代なんですか、ここは。  今日、先ほど内閣委員会で、政治分野の男女共同参画推進基本法、超党派、もちろん自民党さんも入ってのことですけれども、これが可決され、明日恐らく本会議で可決するんだと思います。でも、それ以前の問題だと思います。本当にひど過ぎる。  大臣内閣の一員として、やはりもう、あの発言、野放しにしない。もう、ちょっと本当にひど過ぎますよ。まあ立場あるのは分かっていますけれども、これどうにかしてください。私はここで農水大臣に申し上げるしかないんですよ。あとは本会議でやじ飛ばすしかないんですよ。どうですか、本当にひどいですよ。
  146. 齋藤健

    国務大臣齋藤健君) 私に今できることは、そういう、森委員から、私の思いはおいておきますけれども、そういう御指摘を受けたということを麻生大臣に直接お伝えをしたいなと思っております。
  147. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ありがとうございます。  昨日、予算委員会、全部見れませんでした。ニュース程度でしか見れませんでしたけれども、謝罪がしたことないんですね、あの方ね。謝罪できないんだなと改めて思いましたけど、しっかりとお伝えをいただきたいと思います。また、先ほどのセクハラの問題についても慎重にもう一回調べていただきたいというふうに思います。  加計学園問題についてなんですけれども、文部科学省、苦言を呈したいと思います。委員長の方からも御指導いただいたと、ありがとうございました。委員会としての、文部科学大臣がこの間おいでになって、メールの話をあったのかなかったのかということで、分かり次第報告しますと御答弁にここでされたのに、実はその次の日、朝の閣議後の会見で林大臣が、ありましたと。  私、前の日ですよ、さんざん委員会が止まって、そういうメールがあったかないのかぐらい言えないのかって。でも、次の日には閣議後の記者会見で林大臣が、ありましたと答弁された。そして、その内容も発表された。でも、肝腎のその前日にあれだけ委員会が止まって、質問した私のところには何の報告もないんですよ。何の報告もないまま、ネット上でいろんな先生方が、こんなのが文科省から来ましたといって資料が上がっているわけですよね。私はそれを見て、何これと思って。  どういうことなんですか。委員会での答弁というのはそんな軽いものなんですか。その場をやり過ごして、森ゆうこの何かが通り過ぎればもうそれはそれで済んだんだって、そういうことなんですか。そのことについてまず言ってもらわないと。
  148. 丹羽秀樹

    ○副大臣(丹羽秀樹君) 過日、四月二十日に公表いたしましたとおり、平成二十七年の四月二日に愛媛県等が官邸を訪問されたことについての事前連絡等に関する文書につきまして、当該この委員会で前回、存在を確認中という答弁をさせていただいておりましたが、翌日、林大臣が閣議後の記者会見で存在の確認を公表したところでございます。  森先生におかれましては、当該委員会質問を受けておりましたが、野党PTの方で説明をさせていただいておりますので、御了承いただいているものだと考えております。
  149. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 委員長委員長がせっかく対応がおかしいというふうに指導していただいたのに、PTで説明しているからそれでいいって、それ時系列違いますから。  PTでその話は私が苦言を呈したんですよ、何で私のところに持ってこないんだと。それ、その後ですから。前の日に私がさんざんここでやりました。もうその週の月曜日の夜には分かっていたんですよ。私は火曜日にも質問したし、木曜日にも質問した。だけど、あるともないとも、そういう簡単な質問にも答えない。で、分かったら報告するとここで約束した次の日の朝の閣議後の会見で発表しました。ニュースにも出ました。各委員に、関連する委員に配られました。でも私のところには持ってこなかった。午後になって催促してようやく持ってきた。その後のことですよ、PTは。そのことも含めてPTで苦言を申し上げたんですよ。何変なこと言っているんですか。委員長からも注意が行ったはずですよ。
  150. 丹羽秀樹

    ○副大臣(丹羽秀樹君) 済みません。時系列に誤りがあったのは訂正いたします。申し訳ございませんでした。  委員がおっしゃられたとおり、当該のその資料につきましては、この委員会で確認作業中ということで答弁させていただいておりましたが、その後に報告を受け、存在の有無を確認できた次第でございます。
  151. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 いや、もう農水委員会も権威をおとしめるようなそういう対応。まあでもずっとですけどね、加計学園問題に関して言えば。何を聞いても本当のことを言わない。これはあるだろうと言って、ありません、確認できません、しばらくするとやっぱりありましたと、こういうことが行われて一年たったんですよ。もういいかげんにしてもらいたいですよ。  内閣府にお聞きしますけれども、藤原審議官に対する加計学園の便宜供与。あれだけ私たち聞いていたわけですよ。それで、いまだに旅行命令書、支出負担行為決定書、つまり旅費の精算に必要な書類、届いていないんですけれども、ないんですか。ないんですか。私に届いていないだけですか。
  152. 田中良生

    ○副大臣(田中良生君) 今委員から御指摘の資料等でありますが、この件に関しては、今資料を収集しているところであります。集まり次第、その資料に関しては委員に提出をさせていただきたいと、そのように考えております。
  153. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 旅費法第十三条には何て書いてありますか。
  154. 田中良生

    ○副大臣(田中良生君) 今の御質問でありますが、ちょっと突然の御質問であって、その条文に関しては今お答えすることはできません。
  155. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 いや、昨日、大臣が旅費法との関係、公務員倫理規程との関係で調査していると言っていましたよ。旅費法との関係で何が問題なんですか。十三条、問題じゃないんですか。調べてないということなんですか。
  156. 田中良生

    ○副大臣(田中良生君) 繰り返しになりますが、今の旅費法の件でありますが、その条文に関しては、今突然のお尋ねであって、今答弁することは申し訳ございませんができません。  ただ、資料に関しては今収集しておるところであります。集まり次第、これは提出の方をさせていただきたい、そのように思っております。
  157. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 もう質問やめますわ。そんな、いや、旅費法十三条では、これ当然ですけどね、皆さん、公務員された方。だから、きちんと添付書類を付けて申請しなかったらそれは返還しなきゃいけないんですよ。そういう裏付けがなかったら旅費払っちゃいけないんですよ、公費ですから。だから、支出負担行為決定書はどうなっているんですかと、なきゃおかしいでしょうって。全部まとまって、それは五年保存なんですよ。別に私、詳しく調べたわけじゃないんですよ。当たり前のことなんですよ、こんなの。昨日、大臣が旅費法の関係で調べているって言ったじゃないですか。そんなことも分からないで答弁しているんですか。  だから、例の去年の、私が、六月六日、ここに七千八百枚のうち持ってきた資料というのは、何を抽出して、この中に何かいいものがあるかなと思って持ってきたかというと、支出負担行為決定書、旅行命令書、復命書、この三種類というのは、これがなければ出張費の精算ができないので、大抵の場合、どんな問題があったとしても、ほかのところはごまかしていても、ここは絶対ごまかし利かないんですよ。会計検査院も必ずここで見て、検の印を押すんですよ。情報公開請求やったことがあるから分かりますよ。何でこんなことが分からないんですか。なきゃおかしいでしょう、五年保存なんだから。何で出せないんですか、いまだに。何やっているんですか。まだやるんですか、こんなことを。まだ私にやらせるんですか、こんなことを。
  158. 田中良生

    ○副大臣(田中良生君) 繰り返しになりますけれども、後日、資料集まり次第、また提示の方はさせていただきたい、そのように思っております。
  159. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 もう終わっていますよ、国会、本当に。この国の行政と立法府の関係、完全に壊れていますよ。  終わります。
  160. 岩井茂樹

    委員長岩井茂樹君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  161. 岩井茂樹

    委員長岩井茂樹君) 次に、厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。齋藤農林水産大臣
  162. 齋藤健

    国務大臣齋藤健君) 厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  農林漁業団体職員共済組合制度は平成十四年に厚生年金保険制度と統合をされ、現在では、統合前の旧農林共済組合員期間に係る職域年金相当部分を、統合後もなお経過的に存続する農林共済組合が特例年金として支給しております。  しかしながら、平成二十二年度から、特例年金に代えて一時金を選択できる仕組み導入したことにより、年金受給者が大幅に減少するとともに、一人当たりの支給額の少額化が進んでおり、農林漁業団体と年金受給者団体の双方から一時金支給の義務化による特例年金給付の早期完了の要望が出されているところであります。  こうした状況を踏まえ、特例年金の給付事務の合理化を図るため、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。  存続組合は、旧農林共済組合員期間を有する者に対し、特例年金給付に代えて、将来分の特例年金の現価に相当する額の特例一時金を支給することとしております。  以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  163. 岩井茂樹

    委員長岩井茂樹君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時八分散会