○小川勝也君 私は、
大臣が御就任をされる前からこの
農林水産委員会で再三同じことを申し上げてきて、与党の先生方にも御迷惑をお掛けしております。それは何かといいますと、私も北海道の北部の田舎の出身でありまして、実家の家業は鍛冶屋であります。最盛期の人口が一万二千人を超えていた町で、今の人口が三千六百人ということでありまして、いわゆる
農業者が減っていくさまをずっと見続けたということをこの
委員会で叫び続けております。
それから、私が今気にしておるのは、現
政府が行おうとしている
農業政策、すなわち昨年来議論されているいわゆる農協改革や、その前の農地の
中間管理機構、こういう
政策がいわゆる農村の人口を減らしていくのではないかというふうに危惧を持っているからであります。美しく活力のあるの活力は、人であります。どんどんどんどん今の
政策のまま人が減らしていくような農村になりますと、活力どころか、野生鳥獣に活力を持たせることに私はなるのではないかというふうに思っています。
ともあれ、私たちはこの国の人口が
減少していることもよく分かっておりますし、これから
農業従事者が減っていくことも分かっております。ですから、前のようにもっともっと農村に人口を増やせと言うつもりはありません。しかし、もっと頭を使って、知恵を絞って、様々なことを考え合わせながら施策を融合していかないと、後で取り返しの付かなくなることになりますよということをずっと申し上げているわけであります。
一つは、ゾーニングの話であります。まずは人口が、
農業人口が減っていくわけでありますので、いわゆる
耕地農業はたくさんの人がやるよりも少ない担い手でやる方が合理的だというのが今の
政府の考え方であります。そしてまた新規参入もどんどん来ているので、ハウスとかいわゆる高付加価値を伴う
農業もあるということだろうというふうに思いますので、このことはしっかりとゾーニングをしながら、
耕地農業、園芸
農業、そして集落の人口といろいろ考え合わせながらやらないと、まあ今の
政策だとやみくもにということになるんだろうというふうに思っています。
それから、この議論もさせていただきますけれ
ども、例えば私が今気にしたのは
新規就農者、どういう思いで就農しているかということであります。
それから、先ほ
ども議論ありましたけれ
ども、
農業所得が上がることはいいことだと、これはもう当然のことでありますけれ
ども、
農業者は何をもって幸せな暮らしをしてきたかということであります。収入は多ければ多いほどいいわけでありますけれ
ども、
農業者の幸せはそれだけではないというふうに思っています。この
委員席に座っておられる先生方は多分御共感をいただけることだろうというふうに思いますけれ
ども、
農業者の幸せは
所得が多いことだけではありません。例えば家族に、子供たちに、弟、妹に安心の米を送ることができる、安心の
野菜を
供給することができる、親子三代で暮らして子供や孫に指導する機会がある、
農業の先達として子供や孫に尊敬される存在である。それから、例えば子供の頃から一緒に遊んだ先輩、後輩、友達とずっと同じ地域に暮らすことができる、自分が手入れしてきた田畑とあるいは土地、家屋を相続させることができるなどなどであります。
しかし、今、
大臣の所信のこの紙を見ますと、そういう
農業者の心とか幸せの感覚とかには全く触れられていないですね。お金が増えます、人数が増えます、これが心ない今の安倍政権の農政そのものだと思うわけであります。もっと言うと、
新規就農者が多いことはうれしいことであります。しかし、なぜ増えるんでしょうか。それは、都市、都会で働いている
人たちにとって余りにも過酷な国だからではないでしょうか。就職しようにも、たくさんの企業で面接を受ける前にたたき落とされる、就職氷河期が二十年続く、あるいは正規社員の門戸が小さくなる。それだったら、自分でコントロールできる
農業を選んでみようかという若者が、あるいは少し年のいった若者が農村を目指すのではないでしょうか。
私は、農村の持つ多面的機能は、まさに
大臣の御理解のことだけではありません、都市で痛めた心を癒やす場所にもなります。農村の持つ多面的機能はもっともっと大きいということと、そしてお金以外の価値にももっともっと着目してもらいたい、そのことを私は
大臣にお願いをしたいというふうに思っております。
ですので、ゾーニング、農地法に関する議論も法案であるようでありますので触りだけ申し上げますと、先ほど申し上げましたように、
耕地農業として大きな面積を確保して耕作する農地、それからコンクリートを張ったり、いわゆるハウス、屋根を造ったりして、いわゆる高付加価値を得る
農業、これが組み合わさって農村をつかさどるわけでありますので、乱暴な議論ではなくて、もっと緻密な議論の下に、みんなが幸せになる、そして
国民の
食料もしっかり確保される
農業を持続をしていただきたいというふうに思ってございます。
それでは、次の
質問をさせていただきたいと思います。
TPP11についてであります。紙
委員からも
質問がありました。
アメリカ合衆国が抜けて、我々の国の、いわゆる
農業でのダメージではないメリットの部分が大分小さくなっているのではないかというのが巷間の思いであります。言うなれば、GDPやあるいはマーケットが
アメリカ合衆国が圧倒的に大きかったわけであります。しかし、我々の市場開放、すなわち
農産物等の打撃の部分だけは変わらないわけであります。
このことについて、私が
農林水産省であれば、これはあり得ないと、12であれば何とか我慢できても、この11の非対称的な協約はあってはならないものだと私なら訴えたいところでありますけれ
ども、
農林水産省や
大臣は、この
TPP11について、
農林水産省の思いとしてどういう考えを伝えましたでしょうか。