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2018-06-28 第196回国会 参議院 内閣委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十年六月二十八日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  六月二十八日     辞任         補欠選任      野上浩太郎君     進藤金日子君      榛葉賀津也君     田名部匡代君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         柘植 芳文君     理 事                 藤川 政人君                 和田 政宗君                 西田 実仁君                 矢田わか子君     委 員                 有村 治子君                 石井 準一君                 江島  潔君                 岡田  広君                 山東 昭子君                 進藤金日子君                 豊田 俊郎君                 野上浩太郎君                 山下 雄平君                 熊野 正士君                 榛葉賀津也君                 田名部匡代君                 相原久美子君                 白  眞勲君                 田村 智子君                 清水 貴之君                 山本 太郎君    国務大臣        国務大臣     茂木 敏充君    内閣官房長官        内閣官房長官  西村 康稔君        内閣官房長官  野上浩太郎君    副大臣        内閣府副大臣   越智 隆雄君        厚生労働大臣  高木美智代君        農林水産大臣  谷合 正明君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        村井 英樹君        総務大臣政務官  小倉 將信君        外務大臣政務官  堀井  学君        外務大臣政務官  堀井  巌君        農林水産大臣政        務官       上月 良祐君    事務局側        常任委員会専門        員        藤田 昌三君    政府参考人        内閣官房TPP        等政府対策本部        政策調整統括官  澁谷 和久君        内閣官房内閣人        事局人事政策統        括官       長屋  聡君        法務大臣官房審        議官       佐々木聖子君        外務大臣官房参        事官       安藤 俊英君        外務大臣官房参        事官       林  禎二君        外務省中東アフ        リカ局長     岡   浩君        文化庁長官官房        審議官      永山 裕二君        厚生労働大臣官        房生活衛生・食        品安全審議官   宇都宮 啓君        農林水産大臣官        房総括審議官   天羽  隆君        農林水産大臣官        房輸出促進審議        官        新井ゆたか君        農林水産大臣官        房参事官     徳田 正一君        農林水産省生産        局畜産部長    大野 高志君        農林水産省農村        振興局農村政策        部長       太田 豊彦君        林野庁林政部長  渡邊  毅君        水産庁漁政部長  森   健君        経済産業大臣官        房審議官     吉田 博史君        経済産業大臣官        房審議官     小瀬 達之君        経済産業省商務        情報政策局商務        ・サービス政策        統括調整官    江崎 禎英君        国土交通大臣官        房審議官     早川  治君        観光庁審議官   秡川 直也君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○環太平洋パートナーシップ協定締結に伴う関  係法律整備に関する法律の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  環太平洋パートナーシップ協定締結に伴う関係法律整備に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房TPP等政府対策本部政策調整統括官澁谷和久君外十九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 環太平洋パートナーシップ協定締結に伴う関係法律整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 江島潔

    江島潔君 おはようございます。今日は、このTPPに関しまして水産という視点から幾つか質問をしていきたいと思います。  日本は、言わずと知れた海洋大国であります。日本国土面積は、本当に小さな国、順番でいっても六十番目とか六十一番目とか、国土面積は決して本当に大きな国ではないんですが、日本を囲む排他的経済水域EEZ、この面積世界の中で比較しますと日本世界第六位という、もう堂々とした海洋大国であることは間違いありません。だからこそ、日本はこの海洋資源というものを古来から日本人の食料の糧とし、又は産業の基幹として長い間私たち生活そのものを支えてきたところでございます。今回、この水産業も含めてTPPという新しい経済の枠組みの中でこの運営がなされていくところでございます。  まず、政府の方に質問申し上げたいのは、今回のこのTPP加入によりまして水産分野に関しましてはどのような影響が見込まれるのか、その試算を教えていただければと思います。
  6. 森健

    政府参考人森健君) お答えいたします。  TPP11における水産物国境措置につきましては、ノリ、昆布などの海藻類につきましては、関税削減によりまして関税が維持されたと。それから、アジ、サバ等につきましては、即時関税撤廃を回避をいたしまして長期の関税削減期間を確保するといったようなことになっております。  その上で、国内対策につきましては、TPP、さらにTPP11協定大筋合意といった新しい国際環境の下で生産者が安心して再生産に取り組むことができるよう、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき対策を講じているところでございます。  先ほど委員が言及をされた影響関係試算関係につきましては、このような国内対策の効果も踏まえたものとして行ったところでございます。関税削減等影響価格低下により約七十七億円から百五十四億円の生産額減少が見込まれるということでございますが、体質強化対策によります生産コストの低減、品質向上経営安定対策等によりまして、引き続き生産所得が確保され、国内生産量は維持されるというふうに見込んでいるところでございます。
  7. 江島潔

    江島潔君 今、影響試算としては、水産物生産減少額が七十七から百五十億、ざっくり百億前後ということであります。これは、言ってみれば、日本水産業攻められているという意味をしているんではないかと思うんですけれどもTPPというのは、攻められるところもあるけれども、当然攻めていく部分もあるわけでありまして、この守り攻めとをトータルで勘案した結果、TPP加入というのが日本の将来のためになるという判断の下でこの度前進をしようとしているわけでありますので、当然、攻め部分守り部分もありますけれども、この水産業に関しましても積極的に攻めていかなければいけないというふうに思っています。  日本は本当に昔からの水産大国ということを私たち自身も認識をしているわけでありますけれども水産業そのものでいいますと、実は日本は圧倒的な水産物輸入国でありまして、今現在で、輸出額がざっくり二千五、六百億ぐらいかと思いますけれども輸入額に至っては一兆六千億ぐらいになっているかと思います。ざっくりと輸出金額の六倍ぐらいが実は輸入に頼っている国なわけでありますので、これは様々な要因もあると思います。日本の例えば漁業者の賃金が上がってしまったとか、あるいは海外で大規模養殖事業が始まっているところとの価格競争の中で輸入が大幅に増えている等、もろもろの原因があるかと思いますけれども。  このTPP加入一つのきっかけとしてこの日本水産業体質強化をするということは、もう是非とも、水産業界にとっても悲願ではないかと思いますが、この辺に関しましては政府はいかがお考えでしょうか。
  8. 森健

    政府参考人森健君) お答えいたします。  委員指摘のとおり、水産業体質強化というのは大変重要な課題でございます。この水産業体質強化を図るためには、経営環境の大きな変化の下でも安定的に操業が継続できる経営体を育成していくということが大変重要であると考えております。  このため、複数の浜の機能の再編でございますとか、あるいは高鮮度な水産物供給といったことに向けました産地施設整備でございますとか、漁業者収入向上の基盤となる漁業機器漁船整備等を推進をしているということでございます。その中でも、漁船等の基幹的な生産設備生産性向上でございますとか、省エネ、省コスト化が大きな課題となっているところでございます。  このため、漁船リース事業でございますとか機器等導入事業によりまして、漁業者の方々が所得向上に取り組むために必要な新たな漁船機器導入支援をしているところでございます。さらに、漁業構造改革総合対策事業、いわゆるもうかる漁業創設支援事業におきまして、漁業者の新しい操業生産体制への転換の促進のために様々な収益向上実証支援をしているところでございます。  こういった事業等も活用をいたしまして、今後とも水産業体質強化対策を推進してまいりたいと考えているところでございます。
  9. 江島潔

    江島潔君 今日、委員の皆様にお配りしている資料は、これは現在の日本水産物輸出額の現状及び品目別の割合を示したものであります。これは昨年度のデータなわけでありますけれども品目でいうと、ホタテガイ真珠サバ、この順番日本輸出しているわけでありますけれども国別でいうと、一位が香港、二位が中国、三位が米国と、いずれも今回のTPP11の国ではありません。四番目にベトナムが初めて出てくるわけであります。それから、あとは、タイ、台湾、韓国、ナイジェリア、飛んでいって次に出てくるのがシンガポール、これがTPP11の加盟国であります。  こうして見ると、まだTPP11の加盟国にはそれほど水産物輸出していないということが分かるわけでありますけれども、この辺の今後の、まずはTPP11の加盟国に対する積極的な働きかけというのが攻めTPP水産分野における大変重要な役割ではないかというふうに思います。  一方で、輸入に関して言いますと、これはTPP加盟国の中で一番有力な、有力というか、大口の輸入国がこれがチリになるわけであります。チリというのはいわゆるチリサーモン、もうすっかり私たちの食卓にもなじんできたわけでありますけれども、現在ではノルウェーチリというものが世界を二分をして、それぞれ四割弱ぐらい作っているわけですから、非常に大きなサーモン輸出国であり、日本もそれを輸入をしているところであります。  今後、このチリからのサーモン輸入というものは、このTPP11の発足によって影響するのかしないのか、その辺の政府見解を教えてください。
  10. 森健

    政府参考人森健君) お答えいたします。  サケマス類輸入につきましては、全世界からの輸入量、二〇一七年で二十二・七万トンとなっておりますが、このうちチリからの輸入量が約五八%というふうに最も多いという形になっております。  一方で、日本チリの間におきましては、二〇〇七年九月に日本チリEPA発効をされておりまして、このサケマス類についても段階的な関税撤廃ということが合意され実行されているということになっております。もう既に、二〇一七年の四月以降、チリから輸入されるほとんど全てのサケマス類関税は既に無税という形になっております。  このため、TPP11では、このサケマス類について段階的な関税撤廃あるいは即時関税撤廃という措置をとることとしておりますけれども、このような日本チリとの関係状況を踏まえますと、TPP11による特段の影響は見込み難いというふうに考えているところでございます。  ちなみに、チリからの輸入量につきまして、この日・チリEPA発効いたしました二〇〇七年とそれから二〇一七年を比較すると、ほぼ同等の輸入量というふうになっているところでございまして、過去のこの日本チリEPAによります関税削減に連動して輸入量が大幅に増加したという状況にもないということでございます。
  11. 江島潔

    江島潔君 サーモンに関しての今の例は、すごく私はTPPの今後に対しては前向きに捉えていいのかなという気がしております。この日・チリEPAが二〇〇七年から十年間掛けて関税を徐々に撤廃をしていったという過程におきましては、当然、政府による関税撤廃影響というのを最小限に収めるための様々な国内での競合する分野への応援というものがあったんだろうと思いますけれども、結果として、この十年間、税率がゼロになる過程において、そんなに急激なこのチリからの輸入量はなかったと、増えなかったということは、その分徐々に日本国内企業も力を付けていったのかなというふうに理解をしていいのかというふうに思います。  このサーモンに関しては、これは日本でも大変に今後の成長が見込まれる分野じゃないかというふうに思います。私も国内幾つかのサーモン養殖事業を視察をしてきましたけれども、例えば青森県の深浦サーモンとか、あるいは鳥取県で境港サーモンというのも作っていますけれども、この海面養殖というのは日本で本当に成功している事例一つじゃないかというふうに思います。  さらに、チリの例をさっきちょっと挙げてどういう影響かということをお話を申し上げましたけれどもチリサーモンというのは、これはまさしく日本水産技術が大きくチリで花開いた好例ではないかと思うんですよね。元々サーモンというのは北半球にしかいなかった魚でありますから、それをどうやってこの地球の反対側の南半球で作るかということは、これは日本人が全て、技術者が行って、大体一九七〇年代にこの技術を定着をさせたわけでありまして、今では世界ノルウェーと二分するサーモン輸出国になった、そのチリ一大産業であるサーモンというのはまさしく日本水産技術が花を開いたものではないかと思います。  これは、たまたま今回チリTPPに入るということになりましたけれども、こういう形でいろいろ、単に日本水産輸出するということじゃなくて、日本のこの水産技術力をいろんな国々に展開をすることができる一つの本当にいい事例ではないかというふうに思います。  今後、TPP11を通じても、またほかの国からも日本へのこのサーモンの参入というのはもしかしたらあるかもしれません。その中にあって、冒頭に申し上げました国内産業の御当地サーモンと言われている、いろんなところで今ブランドを進めています。  この辺は、まず政府として育てていく気概というか意思はどれぐらいあるのか、その辺を是非聞かせていただければと思います。
  12. 森健

    政府参考人森健君) お答えいたします。  近年、日本各地におきまして、国内での生食用サーモン需要の増加があるということで、これに応じまして、いわゆるその国内供給の現在大半を占めております輸入養殖サーモンの方に対抗して国内サーモンブランド化を図っている、いわゆる御当地サーモンというものの養殖が盛んに行われている、あるいは行われ始めているといったような状況があるわけでございます。さらに、海面で非常に効率的な生産を目指した大規模生食用サーモン養殖取組も開始される動きがあるというところでございます。  他方、若干、いわゆる課題と申しますか、もあるところでございます。例えば、ノルウェーなどのいわゆる輸出先進国に比べて、我が国海洋環境、海水の温度が非常に高水温であるといったような点、これにどう対応していくかと。そのために、この我が国海洋環境に適した品種の開発というものをどう進めるかと。あるいは、サーモン用のワクチンの開発といったものをどう進めていくかといったようなボトルネックを克服していく取組が必要であるというふうに考えているところでございます。  私ども水産庁といたしましても、現在、例えば研究機関養殖業者が連携して実証試験を取り組むということ等に対しての支援というのも行っているところでございます。  引き続き、国内外の需要を見据えて、いろんな課題の解決に向けて官民一体となって取り組んで、このサーモン養殖を含め、養殖業成長産業化というものを図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  13. 江島潔

    江島潔君 サーモンは、攻められると困るけれども攻めていく可能性もある非常に大きな分野一つとして取り上げたわけでありますけれどもサーモンも含めて、今後、各水産物分野において、このTPP11の発効によって関税等が下がってくるであろうと思います。即時もあるし段階的にというものもあると思うんですけれども、そのときにどうやってその攻め部分、このいわゆる輸出を伸ばしていくかということは本当に大きな課題であろうというふうに思います。何度も申し上げていますけれども輸出している金額の六倍ぐらいを輸入しているわけですから、まあ同等とは言いませんけれども、まだまだ水産物輸出というのは可能性が非常に大きいんではないかというふうに思っています。  この辺の、今後のその水産物輸出全体の後押しというのは、政府はどういうふうに考えていますでしょうか。
  14. 森健

    政府参考人森健君) お答えいたします。  委員指摘のとおり、TPP11によりまして、例えばベトナムメキシコ等国々において多くの水産物関税撤廃されるなど、輸出拡大の契機となることが期待をされているところでございます。そういった点を踏まえて、私どもとしても、この水産物の一層の輸出拡大に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。  この水産物輸出拡大につきましては、農林水産業輸出力強化戦略でございますとか、先ほども申し上げました総合的なTPP等関連政策大綱に基づいて、平成三十一年の農林水産物・食品の輸出額一兆円目標達成に向けて現在取り組んでいるところでございます。  例えば、水産物水産加工品輸出拡大協議会によるオールジャパンでのプロモーション活動でございますとか、大規模拠点漁港におけます高度な品質衛生管理体制の構築、これに対する支援、さらに、輸出先国・地域によりましてはまだ様々な輸入規制といったものがございます。こういった各種輸入規制の緩和、撤廃に向けた対応等取組、これまで以上にこれを推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  15. 江島潔

    江島潔君 水産物輸出で私がまず真っ先に思い起こすのは、日本からフグアメリカ輸出をしたという件であります。  これはもうTPPとかのはるか昔の話になるんですが、一九八九年に、ニューヨークレストラン日本という日本人が経営しているレストランがあるんですが、そこでフグ食を提供したいということに対して、下関フグ屋さんが組合をつくって輸出をしたわけでありますけれども、実は大変な高いハードルがありました。まず毒魚だと、毒を持つ魚だということでアメリカの方が頑として受け入れなかったのを、これを相当いろいろ苦労して、HACCP、アメリカの基準をクリアするというようなこともしながら、現在では大体約年間に一トンぐらいのフグ下関からニューヨークに送られています。  これは、ニューヨークから今度は米国内に広がっているわけでありますけれども、なかなかこの水産物輸出というのは、非常にそうやって各企業が努力をして突破をしないとというような感じがしてならないわけであります。なかなか国が護送船団をつくってどんと輸出していくというような、他の産業に、自動車とかいろんな機械とかで見られるような形でのバックアップというのはなかなか見られない。ですから、成功した事例は記憶に残りますけれども、恐らく諦めて敗退してしまったというような事例ももう無数にあるのではないかと思います。  その辺は是非戦略的に、日本の、海洋大国である、EEZ海洋面積世界第六位というこの強みを生かして伸ばしていってほしいなと思いますけれども、現在、ホタテ真珠サバというのが品目的には一、二、三位を占める輸出品目ですけれども、このTPP11を受けてという形で今後どのような品目を伸ばしていける可能性があるか、政府見解を教えてください。
  16. 森健

    政府参考人森健君) お答えいたします。  現在、水産物輸出につきましては、平成二十九年で二千七百四十九億円ということで、これ前年比四・二%増となっておるところでございますが、このうちホタテガイ及びホタテガイ調製品が五百五十七億円と約五分の一を占めておるところでございます。若干、近年、平成二十六年度に低気圧の被害等影響がございまして、少しこのホタテガイ等輸出、伸び悩んだり減少したりというふうな状況でございますが、やはりこのホタテ関係につきましては今後とも非常に重要な輸出品目であるというふうに考えているところでございます。  このほか、養殖によります安定的な生産が期待できますブリでございますとか、近年アフリカや東南アジア向け輸出が好調なサバなどにつきましても期待できる輸出品目と考えているところでございますが、とりわけTPP11の国々におきましては、例えばベトナムでは冷凍ブリが一〇%、冷凍サバについては一三%の輸入関税があるわけでございます。あるいは、メキシコでは、生鮮、冷凍サバ、一五%の現在輸入関税があるわけですが、このいずれも、これらの関税即時撤廃ということでございます。そういった意味で、これらのブリサバ等につきましても今後の更なる伸びが期待できるというふうに考えているところでございます。  今後とも、こうした品目を含めまして、日本水産物市場拡大に向けて、やはり戦略的な視点に立って取組を推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  17. 江島潔

    江島潔君 平成二十九年度の日本水産輸出金額が二千七百四十九億円だということでありますけれども、今、政府目標としては平成三十一年、二〇一九年、来年になりますけれども農林水産物で全体で一兆円という輸出目標を掲げておりますし、その中の水産物目標は三千五百億円という目標であります。これは、去年の二千七百億円台から来年の三千五百億というのは相当頑張らないとこの水産物に関しての目標達成はならないわけでありまして、これは本当に覚悟と決意を持ってこの水産物輸出というものを、ありとあらゆる手だてを講じて、そしてこのTPP11加入をきっかけとして、積極的な輸出に向けてのプロモーション活動をしていっていただきたいと切に願います。  これは、日本水産というものは、単に水産業に従事する方だけの問題ではなくて、まさに海洋立国、日本人が誇りとする、海と共に生きてきた日本人の支え、心の支えでもありますので、水産業が元気がなくなってきたということを聞くのは、水産業に従事する人間以外の人にとっても非常に何か日本の没落というか、何か衰退を感じてしまうものになるんです。もう是非とも、この水産業の振興、攻めの形で、輸出というものを通じてこのTPPを大いに活用していただければと思います。  もちろん、今日は水産だけをテーマとして取り上げていったわけでありますけれども、このTPP11に加入をする以上は、やはり攻めていくということが日本の将来に、明るい将来に直結しているわけであります。  この攻めTPP、ともすると議論は、守りの方とか攻められるものをどう緩和するかというような議論に集中しがちになってしまいますけれども攻め部分も是非、政府対策本部が中心となって、各分野において、水産も含めて取り組んでいっていただきたいと思いますが、その攻め部分に関しまして、是非、茂木大臣のお考えを教えていただければと思います。
  18. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 水産業、海洋立国であります日本にとって極めて重要な産業であると考えております。  先ほど江島先生の方からフグ輸出の話もありましたが、フグ、秀吉の時代に禁食令が出されて、そして江戸時代を通じてずっと禁食という形でありましたが、これを解禁したのは先生の御地元の伊藤博文公であったと、このように考えているところでありますが、日本にはすばらしい、農産物だけではなくて、工業製品も含めてそういったものがあるわけでありまして、攻めTPPを進める、極めて重要だと考えております。  TPPによりまして、日本以外の参加国におけます工業製品の九九・九%については関税撤廃されることになります。日本の中小企業等にとって輸出の拡大が期待をされるわけでありますし、また、TPP参加国でのビジネス環境、これに関する様々なルールが規定をされておりまして、日本企業が安心して海外に、海外展開にコミットできるようになると考えております。日本企業の裾野を形成するのは中堅・中小企業でありまして、ここにも大きなメリットをもたらすものだと思っているところであります。  また、日本農林水産業にとっても、TPP輸出拡大の大きなチャンスでありまして、委員先ほど御指摘いただきましたように、一昨年の八月には輸出一兆円目標、これを一年前倒しをして、平成三十一年の達成を目指すことにいたしました。確かに、高い目標でありまして、相当な対策を打っていかなければいけないと思っておりますが、この目標達成に向けて、海外市場のニーズの把握であったりとか需要の掘り起こし、そして国内農林水産業、食品事業者の販路開拓のための相談体制の強化や商談会への出展等への支援など、積極的な支援を行ってまいりたいと考えております。昨年の十一月には総合的なTPP関連政策大綱、これも改訂をいたしました。  こういったことを踏まえて、しっかりした攻め支援、これを行ってまいりたいと考えております。
  19. 江島潔

    江島潔君 今、攻めTPPに関しまして大臣から心強いお言葉を頂戴いたしましたが、このTPP11への加入日本の明るい未来を、各分野において、各産業分野において築いていくことを大いに期待をいたしまして、質問を終わりとします。
  20. 和田政宗

    ○和田政宗君 引き続き、自由民主党・こころ、和田政宗、質問をしてまいります。  まず、TPPの意義を改めて考えてみますと、環太平洋地域で自由で公正な貿易が行われるというところにあるというふうに思います。これ、安定的に各国と経済的なつながりを持つということは、私は、この環太平洋地域の平和、ひいては世界的な平和にこれはつながっていくというふうに思っております。  この委員会質疑でも既に申し述べさせていただいておりますけれども、さきの大戦、第二次世界大戦に向かう状況というのは、まさに欧米の宗主国が植民地とのブロック経済、こういったものをつくったことによって様々な争いが各国間で引き起こされた、そういったところにあるというふうに思います。私は、このような保護主義ではなく、しっかりと自由で公正な貿易を行うというような各国が手を携えていくことが重要であるというふうに思っております。  TPPのみならず、RCEPという枠組みもございますし、また日・EUのEPAというような形もございまして、このように世界各国で公正なルールに基づいて自由な貿易を行っていく、これはまさに、経済的なつながりが増えるということは、そこに分断が生まれにくいということになるというふうに思いますので、これは我が国としても進めていかなくてはならないというふうに思っております。  そこでお聞きをいたしますけれども、この内閣委員会の参考人招致におきまして、渡邊頼純参考人より、TPPに中国を引き入れるべきであるとの意見がございました。中国を自由で公正な貿易に引き入れることが重要との視点であるとの指摘です。私はこの考え方についてはまだニュートラルな考え方であるわけでございますけれども、より自由で公正な貿易に参加する国が増えるということは私はしていかなくてはならないというふうに思っております。この渡邊参考人の中国をTPPに引き入れるべきであるということについては、大臣の御見解はいかがでしょうか。
  21. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 基本的に、中国も含めて様々な新興国があるわけでありますが、そういった国々が、自由で公正な貿易ルール、これを尊重すると、さらには、フリーライダーではなくて、レスポンシブルステークホルダーとしてしっかりした活動をしていくということは極めて重要だと思っております。  我が国は、自由貿易の旗手として、世界で最もダイナミックに今成長しておりますアジア太平洋地域において自由で公正な貿易・投資ルールを構築していくため、TPP11の早期発効を目指すとともに、RCEPであったり日中韓FTAの早期妥結など、アジア太平洋地域での経済連携の拡大に向けて現在もまさに交渉を進めているところであります。  TPP11につきましては、新たな国そして地域の加盟を通じてTPPのハイスタンダードな二十一世紀型の新たな共通ルールを世界に広めていくことがTPP参加国の共通の思いであります。このTPPの求める高い水準を満たす用意がある、そしてまた参加に関心を持つ国、地域があれば、我が国として歓迎をし、必要な情報提供を行いたいと思っております。  一方で、我が国、今、中国を含みます十一か国とRCEPの交渉を進めておりまして、中国との関係ということで申し上げますと、まずはRCEPの早期妥結を目指して交渉を進めたい、このように考えております。  我が国にとって、経済連携の推進、これは道半ばであると、このように考えておりまして、かつてエネルギーの調達においても、石油は中東から幾らでも買えると、こういう油断がある意味一九七〇年代の石油ショック、まさに油断ちなんですよ、これにつながったと、油断が油断ちにつながったわけでありまして、手を緩めることなく、TPP、RCEP、そして日EU・EPAと、こういった経済連携進めてまいりたいと考えております。
  22. 和田政宗

    ○和田政宗君 大臣、ありがとうございました。  国民生活をしっかり守るという視点と、あと、さきの大戦の話を先ほどいたしましたけれども、やはり資源をめぐるものというものがまさに争いにつながっていったわけでございまして、これをしっかりと、各国との自由で公正な、そして責任ある貿易体系というものをつくっていけば、より我が国の国民生活にも寄与し、また我が国を中心としてこの環太平洋地域、世界の平和にも貢献をしていくというふうに思っておりますので、大臣、ありがとうございました、この御答弁いただいたような視点を持って我々も推進をしていかなくてはならないというふうに思っております。  次に、TPPに関連して、著作権関連のことについて質問をしていきます。  保護期間の延長です。五十年から七十年に延長されるわけでございますけれども、改めて、この経済的なメリットでありますとか延長による経済効果、どのように考えているのか、お答えください。
  23. 永山裕二

    政府参考人(永山裕二君) お答え申し上げます。  著作権の保護期間の延長によるメリットでございますが、まず、保護期間が延長することによりまして長期間にわたりクリエーターが収益を得られるということによって、新たな創作活動の展開、また新たなアーティストの発掘、育成が可能になるなど、文化の発展、また産業の進展というものにつながるものというふうに考えております。  またさらに、政府のクールジャパン政策におきまして、アニメや漫画などの著作物を利用したビジネスは我が国の重要な輸出産業というふうに位置付けられております。特に、我が国のコンテンツの国際的な競争力が高い漫画、アニメといった分野を中心に長期にわたり人気のコンテンツが利用されることで、中長期的に著作権料収入の増加が期待されるというふうに考えております。
  24. 和田政宗

    ○和田政宗君 それに関連してお聞きをいたしますけれども、通告の二の四のところでございますが、これ、期間の延長がなされることによって権利者が不明である著作物が増加をするとの懸念も出ております。これについて、政府の見解、また具体的な対応策についてお答えください。
  25. 永山裕二

    政府参考人(永山裕二君) 委員指摘のように、保護期間の延長に伴いまして権利者不明著作物などの増加も予想されることから、文化庁といたしましても、その利用の円滑化を図ることは重要な課題であるというふうに認識をしております。  この点に関しまして、現行の著作権法では、権利者が不明で連絡が取れないなどの場合に備えて文化庁の長官の裁定制度というものがございまして、裁定を受ければ補償金を供託することで適法に利用ができるという制度が裁定制度でございますが、この裁定制度につきましては平成二十一年度より継続的な改善を行っております。  例えば、裁定の申請があれば、実際の裁定がある前であっても、あらかじめ補償金、担保金を供託した場合には著作物を利用できるという制度改正を行うほか、また、さきの五月に成立いただきました著作権法の改正法によりまして、補償金などの支払が確実な国や地方公共団体等につきましては補償金の事前供託を不要としたところでございます。  さらに、こうした裁定制度の改善とともに、そもそも著作物等の権利者が不明の状態に陥ることがないようにすることも大切であるというふうに考えております。そのため、文化庁では現在、音楽の著作物に係る権利情報というものを集約したデータベースの構築に向けた実証事業というものにも取り組んでいるところでございます。  今後とも、著作物の利用円滑化について必要な方策を検討、実施してまいりたいというふうに考えております。
  26. 和田政宗

    ○和田政宗君 では、この著作権の延長に関連、また保護に関連をいたしまして、戦時加算、このことについてお聞きをしていきたいというふうに思っております。  先ほど、さきの大戦という言葉、私の方から述べさせてもいただきましたけれども、この著作権の戦時加算とは、旧連合国民が戦前戦中に取得した著作権を日本において戦争期間の実日数分長く保護することでありまして、サンフランシスコ平和条約でこれは定められているという形です。これはまさに二十世紀半ばにつくられたわけですけれども、これいまだに続くということで、日本はまだ戦後を引きずっているというような形になります。  具体的にどういったものかということを述べていきたいというふうに思うんですけれども、JASRAC、日本音楽著作権協会のホームページにも分かりやすく書いてあるんですけれども、ドレミの歌というのは皆様御存じだというふうに思うんですが、この作詞者として有名な米国人のオスカー・ハマースタイン二世がラバー・カム・バック・ツー・ミーという曲の詞を、戦争中、さきの大戦の間の一九四三年三月三十一日に公表をしております。  ハマースタイン二世は一九六〇年に亡くなりましたので、死後五十年を経過した二〇一〇年の末をもって、その歌詞の日本での著作権は消滅するはずなんですが、これは戦時加算があるために、一九四三年三月三十一日から、講和条約、平和条約発効前日の一九五二年の四月二十七日までの三千三百十六日分が加算されて、この詞の日本での著作権は、二〇二〇年一月二十九日まで存続していることになります。  TPPによって保護期間が死後七十年になる、これは、いろいろな観点から今回このように著作権を長く保護しようということにはなったわけでございますけれども、これに日本が掛けられている戦時加算が掛かりますと、この作品は作者の死後八十年近く保護されるという形になります。  この戦時加算の解消と保護期間の延長というのはTPPの交渉時においてはリンクしていたとも考えられるわけでありますけれども、この戦時加算の解消の見通しはどうなのか、また、アメリカは今回TPP12から抜けたという形になっておりますけれども、このアメリカの戦時加算解消の見込み、これはどうなんでしょうか。
  27. 林禎二

    政府参考人(林禎二君) お答えいたします。  委員指摘のとおり、TPPいわゆる12交渉におきましては、戦時加算対象国でありますアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、四か国の政府との間で、著作権保護期間についてのサンフランシスコ平和条約の日本の義務に関する二国間の書簡を交わしました。これらの書簡では、我が国の著作権保護期間が延長になることを踏まえまして、戦時加算問題への対処のため、権利管理団体と権利者との間の対話を奨励すること、必要に応じ、これらの対話の状況及び他の適切な措置を検討するため政府間で協議を行うことの二点を確認してございます。  御指摘のあった米国につきましては、アメリカTPPからの離脱表明に伴いまして、改めて今年四月十三日付けで同様の書簡を交わしたところでございます。これらの書簡によりまして、権利管理団体間の取組及びこれらを政府間で後押しすることを通じまして、対象国において戦時加算分については権利を行使しないという対応が期待されます。  官民連携による問題の現実的な打開に向けて意味のある一歩を踏み出すことができたと考えているところでございます。
  28. 和田政宗

    ○和田政宗君 これは、政府の方にも昨日ヒアリングをしましていろいろなことを聞いて、しっかりやれているのかというところの確認をする中で、まさに今答弁にありましたように、サンフランシスコ講和条約、平和条約が、これが存在しますので、なかなかそれを変えるということができない、その中でやれることの交渉を政府はやってくださったというふうに思っております。また、書簡を交わして、しっかりとその戦時加算解消につながるような実質的な担保を取りに行ったという努力というものはこれありますので、それは評価をしたいというふうに思います。  ただ、とはいえ、戦時加算の解消は、これ条約上の義務ではないというところがあります。これ、最悪の場合、戦時加算の解消ができないまま保護期間の延長に伴う著作権使用料の国際収支だけが悪化することになりかねないのではないかというような懸念もございますけれども、この点はどうでしょうか。
  29. 林禎二

    政府参考人(林禎二君) お答えいたします。  委員指摘のとおり、サンフランシスコ平和条約は、ほかに領土の確定や賠償問題の解決を含め我が国戦後処理の法的な基礎でございまして、戦時加算義務の法的な解消は同条約の権利義務の変更が必要になりますので、現実的には困難でございます。その上で、今回、関係政府と交わした書簡に基づきまして、政府としては民間主導の取組の進展を注視していきたい、それが必要であると考えてございます。  例えば、著作権協会国際連合、CISACという機関がございますが、こちらは、二〇〇七年に、加盟する海外の権利団体に対して、日本が保護期間を延長する場合には会員である著作権者に対して戦時加算の権利を行使しないように働きかけることを決議してございます。その具体化に向けて、同協会からは、日本の働きかけを全面的に支持するという意向も示されてございます。また、我が国日本音楽著作権協会、JASRACの働きかけ等を受けて、海外の権利団体の中には戦時加算の権利行使を控えるといったことを表明する事例もございます。  これらを踏まえまして、戦時加算問題の現実的な打開に向けては、民間主導の取組は既に一定程度進められているものと考えてございます。また、政府としても、国内の権利団体を通じまして、対象国の戦時加算対象作品の権利行使の状況について情報収集を行うとともに、必要に応じ対象国政府へしっかり働きかけに努めてまいりたいと考えてございます。
  30. 和田政宗

    ○和田政宗君 これは、今答弁にありましたように、政府の方でも、しっかりと注視をして、必要な働きかけをしていただきたいというふうに思っております。  TPPというのは、まさに自由で公正な枠組みを世界各国でつくっていこうということでございますけれども、それに関連してこの戦時加算、これは日本のみがそういったことを引き受けなくてはならないというような、自由で公正なということを考えた場合には著しい不利益の部分というのもあるというふうに思いますので、政府としてそういったことがないようにという努力をされてきたということは、繰り返しになりますけれども、評価をしたいというふうに思いますので、それがしっかりと運用されるのかどうかということを政府としてこの後見ていっていただければというふうに思います。  次に、総合的なTPP等関連政策大綱についてお聞きをしていきたいというふうに思います。  初めに、通告の三の三の農林水産関係をお聞きしていきたいというふうに思います。  このTPP等関連政策大綱の中の農林水産業、強い農林水産業の構築ということで、いろいろなアイデアとともに、この農林水産業分野においては、受け身になるのではなく、しっかりと国内対策も行って、また攻めて打って出ていけるような対策というものが私はここでうたわれているというふうに思っております。  そこで、畜産の関係で具体的なことを聞いていきたいというふうに思っております。  この中では、二〇一九年における農林水産物・食品の輸出額一兆円目標達成を目指すということが明記をされておりまして、畜産・酪農収益力強化総合プロジェクトの推進の中では、国産チーズ等の競争力を高めるとともに、その需要を確保し、将来にわたって安定的に国産チーズ等の生産に取り組めるようにする、また、原料面で原材料の低コスト、高品質化の取組の強化、製造面でコストの低減と品質向上ブランド化等を推進するというふうにあります。  まさに乳製品の加工品というところでは、欧米を中心とする各国、オーストラリアも含めてというところでありますけれども、この非常にチーズというものについては評価が高いという中で、日本国においてしっかりとした競争力を確保して、またこれは海外にも日本の高品質のチーズで打って出ようというような考え方であるのではないかということをこの書きぶりからは私は理解をしているわけでございますけれども、狙いを含めましてこの辺り、具体的に更に説明をいただけたらというふうに思います。
  31. 大野高志

    政府参考人(大野高志君) お答え申し上げます。  委員指摘の総合的なTPP等関連政策大綱におきまして、国産チーズにつきましては、原料乳の低コスト化、高品質化、製造コストの低減と品質向上ブランド化、推進することとしております。  このため、大綱に基づく国産チーズの競争力強化対策としまして、平成二十九年度補正予算におきまして百五十億円措置したところでございまして、まず、原料乳の低コスト化、高品質化につきましては、チーズの味や歩留り、こういったものに影響する原料乳につきまして、実需者の方々が求める高い品質を確保するために、酪農家の方々が更なる飼養管理の高度化あるいは乳質管理に取り組む場合、その費用の一部を御支援させていただきますとともに、畜産クラスター事業におきまして国産チーズ振興枠を設けまして、チーズ工房等も参画して、原料乳のコスト低減や高品質化に取り組む畜産クラスター協議会に対して施設整備や機械導入支援することとしております。  また、製造コストの低減と品質向上ブランド化等につきましては、チーズの熟成庫あるいは加工施設、こういったものの整備、それから技術研修会の開催、海外研修への参加、そして国際コンテストへの出品等、こういった取組に加えまして、その国産チーズの需要拡大に向けた取組としまして、国産チーズの試食会やイベント、PRの開催、こういったものを支援することとしております。  農林水産省としましては、これらの対策を通じまして、国産チーズの国際競争力の強化等、輸出を含めた国内外の需要フロンティアの拡大、これを強力に支援してまいりたいと考えているところでございます。
  32. 和田政宗

    ○和田政宗君 これ実は、今日質問をするに当たって、改めてもっと概括的な、概略的なことを聞こうというふうに思ったんですけれども、このTPP等関連政策大綱に書かれていることでありますとか、様々な農林水産省の関係の会議のいろいろ議事録でありますとか公表された資料を改めて読み込みましたところ、今回のTPPに関連して、やはり、こういった会議には大野畜産部長が出て発言も多くなさっているわけでございますけれども、本当に、こういうふうに個別具体的にいろいろな品目、また種々の品目についてどういうふうに具体的にやっていくのかということが農林水産省の中で多く練られているというふうに思っております。  ですので、農林水産省として、こういう発信をしていくとともに、大野さんもこのように様々練られているわけでございますから、こういったことを農林水産省内でしっかりと皆に、外に向けても発信するんだよというようなこととともに、具体的にこのTPPが法案が通って進んでいくというようなことになりますれば、しっかりとこういった具体的な対策というものが実行されていく形になるというふうに思いますので、私は、ここまで具体的にいろいろな検討がなされているというのは、ある意味当然のことではありますけれども、すばらしいこと、また、その中で足りないものがあれば更に改善をして、しっかりと農林水産、特に畜産の部分、こういったところを、日本の畜産の強化、さらには攻めていくということが重要であるというふうに思いますので、何とぞよろしくお願いをしたいというふうに思います。  そして、この総合的なTPP等関連政策大綱の中で、クールジャパン、ビジット・ジャパンの発信、連携、推進による販路拡大、日本ブランドを生かした対日理解促進等を推進するというふうにございまして、ロンドンのジャパン・ハウスが今月開館をしているわけでございますけれども、ちょっとそれに対して、地元の方からこういった声を聞きましたので、お聞きをしていきたいというふうに思うんですけれども、この館内の運営でありますとかイベントの企画に伝統工芸でありますとか芸能を理解している日本人が関わっていないんじゃないか、その辺りは大丈夫かというような声が上がっておりますけれども、これは具体的にどうでしょうか、大丈夫なんでしょうか。
  33. 安藤俊英

    政府参考人(安藤俊英君) お答え申し上げます。  ジャパン・ハウスは、これまで日本への関心が高くなかった人々を含む幅広い層を引き付け、親日派、知日派の裾野を拡大していくための発信拠点でございます。そのため、一方的に発信するということではなく、現地の専門家、民間の知見を生かしまして、現地のニーズにきめ細かく対応して発信するための対応を組んでございます。  かかる観点から、ジャパン・ハウス・ロンドンにおきましては、館内の運営、イベントの企画を主に担当する館長及び企画局長に英国人を据えているところでございます。  館長につきましては、英国内外の文化施設運営の経験が豊富で、成熟したロンドンの文化事情に精通した人物を置いておりまして、また、企画局長につきましては、御指摘ございました日本の伝統工芸や芸能を含め日本の文化に造詣が深い人物を置いております。更に申し上げますと、伝統工芸や芸能を含め質の高い事業を実現するため、ジャパン・ハウスの総合プロデューサーを務める原研哉氏の助言を得つつ、事業を企画しているところでございます。
  34. 和田政宗

    ○和田政宗君 これは海外での発信ということでありますので、当然、外国人の方、まさにロンドンにおいては英国人の方々が運営の中心に携わっているということで、また、その方は日本での滞在経験なども長い方が入っていらっしゃったりということで、そういった視点も極めて重要であるというふうに思いますし、また、その中で足りない部分というものがあるのであれば日本側からフォローするというような答弁でありますので、その部分をしっかりと、何というか、任せましたということはある程度重要なのかもしれないですけれども、本当に日本の真の発信になっているのか。  こういった言い方をしたら失礼なのかもしれないですけれども、外国人の方々が考える日本の良さというのは当然あって、それは我々はしっかりと有り難いなと思って発信をしていかなくてはならないわけでありますけれども、時に、何というか、少し形を変えて日本の本来のものに対して欧米的な視点が加わっていく、これも日本文化の発展としては非常に重要なことだと思うんですけれども日本文化のそのままの発信ということになりますと若干違ってくる部分もあるというふうに思いますので、一つとしてそういう発展させた発信もありだとも思いますし、日本文化は伝統的にこうなんですよという発信も、そういったことがしっかりできるようにしていかなくてはならないというふうに思っているんですが。  これは、ロンドンの方、日本人の方からの声でありますとか、ロンドンのジャパン・ハウスのホームページを見ますと、昨年企画されたイベントで、いわゆる下町のちんどん屋さんでありますとか、落語において色物と呼ばれる太神楽ですとか曲芸、こういったものがイベントとして披露されたという形です。  下町の伝統芸能というものは、私も東京生まれですので、そういったものには親しんできましたので、非常に重要なことであるというふうには思うんですが、これ、日本の代表的な芸術芸能であります能や狂言、また東京ということでありますと歌舞伎、こういったものが非常に海外においてはポピュラーであり、また見たいという要望というものがあるというふうに私は認識をしておりますけれども、この下町文化というものの発信というのは私も極めて重要だとは考えておりますけれども、一部分の文化の発信だけにとどまってしまう懸念があるんじゃないか、これはロンドン在住の日本人の方から実際に聞いた声なんですけれども、そうではなくて、私はもっとしっかりと、日本の文化全体の発信をこれからしていくんだというふうに思いますけれども、そういった懸念の声に対しては、これいかがでしょうか。
  35. 安藤俊英

    政府参考人(安藤俊英君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、昨年七月でございますけれども、まだジャパン・ハウス・ロンドンが開館前の状況ではございましたが、ちょうど当時、大英博物館において葛飾北斎展が開催されておりました機会を捉えまして、大英博物館において共催の広報イベントを実施いたしました。これは、御指摘ありました北斎が生きた時代の庶民の生活や世相をテーマとしたイベントで、委員指摘のパフォーマンス、NHK制作の北斎ドキュメンタリーの上映会、日本酒の提供等を実施いたしました。これによって、開館前のジャパン・ハウス・ロンドンの認知度向上に貢献するイベントとなったというふうに考えております。  そして、ジャパン・ハウス・ロンドン、いよいよ先週二十一日に開館をいたしまして、これからは、伝統芸術から現代美術、先端技術、ポップカルチャーまで日本の多様な魅力を発信するジャパン・ハウスの事業を本格的に行っていきたいと考えております。  具体的に申し上げますと、当面の日程でございますけれども、気鋭の建築家である藤本壮介氏による展示を皮切りに、地域の魅力を発信する事業である燕三条地域の高水準の金属加工技術を紹介する工場の祭典と題した企画、3Dプリンター等を使った日本の先端技術を紹介する山中東大教授によるプロトタイピング展等を実施予定でございます。  このように、ジャパン・ハウス・ロンドンにおきましては、伝統的なものから先鋭的なものまで、バランスの取れた事業を進めることで現地の関心を引き付けていきたい、このように考えております。
  36. 和田政宗

    ○和田政宗君 御答弁ありがとうございます。  まさに客観的に日本の発信がどうなのかというふうに見ているのは現地在住の日本人の方であるというふうに思いますし、また、当然、ロンドン地域を中心とするところに住まわれておられる英国人の国民の方々への発信ということでありますわけですから、そういった方々へのヒアリングというか、ヒアリングというような仰々しい形じゃなくても、いろいろな意見をその都度聞くことによって、しっかりとした日本の文化の発信につなげていっていただきたい、こういったことがまたTPPの考え方、また日・EUの自由貿易の関係でも非常に有効になってくるというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。  以上で終わります。
  37. 熊野正士

    ○熊野正士君 公明党の熊野正士です。よろしくお願いをいたします。  アメリカの通商拡大法二百三十二条に基づく自動車に関する調査が五月に開始したと承知をしております。六月二十四日付けの日経新聞には、自動車関税引上げかといった記事も掲載されておりました。そして、今日の読売新聞にもアメリカの自動車関税の引上げに関する記事が出ておりまして、その中で、アメリカのトランプ大統領が、EUからの輸入車について、関税の調査が間もなく終わる、EUはずっと米国を利用してきたが、最終的には公平になるだろう、長い時間は掛からないと、こういったことをツイッターに投稿したと記事は書いておりました。  自動車についても鉄鋼やアルミのような関税の引上げが行われるんじゃないかと、そういった懸念が出てきたというふうに思いますけれども政府としての御認識を確認させていただければと思います。
  38. 堀井巌

    大臣政務官堀井巌君) お答え申し上げます。  委員御案内のとおり、先般、米国商務省が自動車及び自動車部品の輸入に関し、通商拡大法第二百三十二条に基づく調査を開始したところでございます。具体的な措置が決定されるか否かについての見通しを含めて、現時点において予断を持ってコメントすることは差し控えたいと存じます。  いずれにせよ、ルールに基づく多角的貿易体制を重視する我が国としては、いかなる貿易上の措置もWTO協定と整合的であるべきと考えておりまして、今後も日本に悪影響が生じることのないよう動向を注視し、適切に対処してまいりたいと存じます。
  39. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  六月の十九日に内閣委員会におきまして参考人質疑が行われました。三人の参考人の方から御意見を賜りました。昨年、アメリカTPPから離脱をしたわけですけれども、そのことに関して、慶應大学教授の渡邊参考人からは、TPPに参加しないで困るのはアメリカだというような意見を述べられまして、その理由を二つ挙げられておられました。一つは、中国などに対してアメリカのグローバルな存在感というものを非常に低くしてしまうことになるというのが一つ、それから二つ目は、実利的な意味で、ワインとかそれから牛肉などの農産物の輸出に関して他国の後塵を拝する状況になっていると、そういうようなことを理由として挙げられておりました。さらにまた、TPPこそが日米FTAであるというふうにもおっしゃっておられました。こうした議論をアメリカ大使館の方々にも説明しているんだというふうにもおっしゃっておられました。  こうした渡邊参考人の意見を踏まえまして、政府としての見解、また、実際にアメリカと交渉されておられます茂木大臣にお伺いをしたいと思いますけれどもアメリカ側の受け止めは現在どういったものなのか、そういったことを教えていただければと存じます。
  40. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 確かに、熊野委員、参考人の御意見、引いていただいておっしゃった点、特に米国側の強い関心を持っております新興国の一部によります強制的な技術移転、そして知的財産、さらには市場歪曲的措置等の問題への対応策としてハイスタンダードなマルチの枠組みが有効であると、このように我が国としては考えております。四月のフロリダ、マーラ・ラゴでの日米首脳会談におきましても、安倍総理からトランプ大統領に対しましては、TPPの早期発効を目指すと、こういった我が国の立場であったり、TPPの意義、そしてTPP米国経済や雇用にもプラスになること、そして、今申し上げたように、投資ルールや知財の保護など新たな共通ルール確立のメリットについてしっかりと説明をしたところであります。今回、FFR、新しい通商協議、私とライトハイザー通商代表の間で立ち上げることになったわけでありますが、これらの点も含めて改めて米国にしっかり訴えていきたいと思っております。  同時に、TPPが実際に発効する、これ御案内のとおり六か国が国内上の手続を終えて六十日後ということになるわけでありますが、来年早々にもそういった時期が来るんではないかな、こういったことが予想されておりますが、そうなりますと、米国に対しても、このTPPのメリットというのを具体的に示して現実的なものにすることによってより説得力のあるものになっていくと、このように考えております。
  41. 熊野正士

    ○熊野正士君 同じく参考人質疑の中で、九州大学の教授の磯田参考人からは、日米の二国間交渉においてアメリカの圧力が強まれば、特に農産品について更なる関税引下げといったことが焦点になるのではないかといった、そういう御懸念を表明されておられました。  この点につきましては、六月十四日の内閣委員会において、岡田先生の御質問に対しまして茂木大臣から、農業分野につきましてはTPPで合意したラインが最大限であると考えておりまして、こういった立場を踏まえて今後の議論にも臨んでいきたいというふうに御答弁があったわけでございますけれども、改めて大臣からこの点に関しまして御所見をいただければと存じます。
  42. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) FFRの具体的な議論の対象、いわゆるTORについてでありますが、これは日米の事務方で調整中でありますが、我が国としては、TPPが日米両国にとって最善であり、御指摘いただきましたように特に農産品についてはTPPで合意したラインが最大限であると考え、こうした立場を踏まえて議論に臨んでいきたいと思っております。  FFR、フリー、自由で、フェア、公正に加えて、レシプロカルでありますから、日米双方にとって利益となるような合意を目指していきたいと考えております。
  43. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  アメリカの離脱によりまして一旦はもうTPPそのものが頓挫したというふうに思われたわけですけれども、残りの十一か国が団結をし、また、日本大臣を始めリーダーシップを発揮することで、TPP11として締結に向けた道筋が見えてまいりました。アメリカは残念ながら参加しておりませんけれどもTPPとして自由で公正な新しい共通ルールをこのアジア太平洋地域に作り上げることができるというのは非常に意義のあることだというふうに思います。  このTPP11ですけれども、参考人の方からもいろいろとお話がありました。先ほど和田委員の方からもありましたけれども、中国ですね、中国がこのTPP11についてどのように見ているのか、また、中国への影響といいますか、そういったものはどういったことが予想されるのか、政府の見解を求めたいと思います。
  44. 林禎二

    政府参考人(林禎二君) お答えいたします。    〔委員長退席、理事藤川政人君着席〕  TPP11協定は、二十一世紀型の自由で公正な貿易・投資のルールをアジア太平洋地域に構築するために、加入を希望する国、地域には開かれた協定でございます。まずは、TPP11協定の早期発効に全力を挙げていく所存でございます。  また、現時点で中国が加入の意向を示しているわけではございませんけれども発効後、TPPの拡大ということを視野に入れていく中で、仮に中国がTPPの求める高い水準を満たす用意があり、参加に関心を示すということであれば、我が国としても必要な情報提供等を行ってまいりたいと考えております。
  45. 熊野正士

    ○熊野正士君 RCEPの交渉官による交渉が今月二十六日から始まったというような報道がございました。七月一日には閣僚会議があるとも伺っております。  このRCEPについては、渡邊参考人の方から、TPPとは相互補完的だというふうなお話がありまして、日本企業が東南アジアで構築してきた生産のネットワークの維持強化のためにはRCEPの推進が重要であると、そういった御意見もいただいたところでございます。  先ほど茂木大臣の方からも、中国との関係という意味でいえば、このRCEPの妥結というのを目指すのがいいんじゃないかというふうな御答弁もございました。また、先月、五月には日中韓サミットが開催をされまして、その際、日中韓のFTAの交渉、加速化させるということで一致したというふうにも聞いております。  このRCEPそして日中韓のFTAも、保護主義に対する防波堤として、また貿易開放を促進する上でも非常に重要だというふうに考えておりますけれども、このRCEPまた日中韓のFTAの今の進捗状況についてお教え願えればと存じます。
  46. 林禎二

    政府参考人(林禎二君) お答えいたします。  世界成長センターであります東アジア地域における貿易の自由化及び円滑化並びに委員の御指摘にありました生産ネットワーク、いわゆるサプライチェーンの構築は、我が国経済成長にとって必要不可欠だと考えてございます。また、委員指摘のとおり、東アジアの経済において大きな地位を占めます、かつ経済連携協定我が国締結していない中国との経済連携を進めていくことは、我が国にとって喫緊の課題でございます。  御指摘のRCEP、日中韓FTAについては、先月東京で開催された日中韓サミットにおいて、首脳間で、質の高いRCEPの早期妥結及び日中韓FTAの交渉の加速化に向けて連携していくことで一致したところでございます。特に、RCEP交渉におきましては、御指摘のとおり、七月一日に東京で中間閣僚会合を開催し、我が国は議長国として交渉の対象となる全分野について政治的課題を絞り込み、市場アクセスとルール分野のバランスが確保された形で協定が妥結するよう、その道筋を付けたいと考えてございます。  RCEP及び日中韓FTAの交渉の妥結の見通しを現時点において述べることは困難なところはございますけれども、RCEPについては、我が国としては、一定の質が確保されることを前提に年内妥結を目指すというASEANの立場を支持しており、引き続き、包括的でバランスの取れた質の高い協定の早期妥結を目指して精力的に交渉を進めていく考えでございます。
  47. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。年内妥結を目指すというふうなことでございました。  続きとしまして、今回、新たにタイとかインドネシア、台湾、コロンビア、イギリスなどがこのTPPへの参加に関心を示しているというふうに言われております。当委員会においても、我が党の西田議員への答弁において、大臣の方から、新規加盟に対します対応方針、こういったことについても、我が国が主導して必要な調整、今後行ってまいりたいと考えておりますというふうに御答弁がございました。  この新規加盟する場合の手続といいますか、流れといいますか、そういったことについてちょっと教えていただければと思います。
  48. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) お答え申し上げます。  先生今御指摘いただいたとおり、コロンビア、タイ、インドネシア、それからイギリス、台湾など、様々なレベルでTPP11への参加に関心を持っているというような、そういうことを伺っているところでございます。こういう様々な国や地域がTPPへの参加に関心を示しているということはまずもって歓迎をしたいということと、我が国としては、そうした国々、地域に対して必要な情報提供を行っていきたいと考えております。  先生御指摘のとおり、新規の加入の手続でございますけれども協定上は、発効した後、その加入を希望する国や地域がニュージーランドにその旨の通報をして、その後、そのときの締約国が合意する条件に従って加入をすると、こういうことが定められているのみでございまして、詳細は我々の方で発効までに詰めなきゃいけないということでございます。  特に、正式な手続が開始する前に、どういう形でその予備的な調整を行うかということも含めて、まさに十一か国で発効までに細部を詰めていかなきゃいけない。来月、我が国で十一か国の首席交渉官会合の開催を予定しているところでございまして、その中で、むしろ我が国がそうした議論をリードして各国との調整を行っていきたいと、このように考えております。
  49. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  続きまして、日・EUのEPAについてお尋ねしたいと思います。  日EU・EPAは、昨年十二月に合意をして、この夏には署名をするということで大詰めを迎えているというふうに承知をしておりますけれども、この署名に向けた状況、また発効までの取組について御説明いただければと存じます。
  50. 堀井巌

    大臣政務官堀井巌君) 日EU・EPAにつきましては、委員御案内のとおり、昨年十二月八日に安倍総理とユンカー欧州委員会委員長との間で交渉妥結を確認したところでございます。    〔理事藤川政人君退席、委員長着席〕  現在は、署名に向けた作業を進めているところでありまして、政府としては、本EPAの早期署名、発効を目指し、引き続き最大限の努力を傾注してまいる所存でございます。
  51. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  この日・EUのEPAですけれども、これについても経済効果について試算をしているということでございますが、その試算について、経済効果の、お教え願えればと存じます。
  52. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) お答え申し上げます。  日EU・EPA経済効果につきましては、昨年の末、TPP11の経済効果と併せて公表させていただきました。GTAPというモデルを使いまして私どもの方で分析を行ったわけでございますが、日EU・EPA発効して新たな成長軌道に乗った時点で、GDPの押し上げ効果が約一%、数字にいたしますと約五・二兆円。それから、新たな労働供給が増えるという、そういう結果も出ておりまして、〇・五%、数字でいいますと約二十九万人の新たな労働供給が増えると、こういう大変大きな効果が見込まれると試算しているところでございます。ついでに申し上げれば、TPP11の経済効果と合わせますと、結果としてTPP12の経済効果とほぼ同じということになるわけでございます。  私どものモデルの分析では、経済連携協定によって関税削減等の直接的な効果がまずあるわけですけれども、それが国内生産性向上それから雇用の拡大につながり、それが経済を後押しすると更にまた貿易、投資が促進されるという、つまり対外的な経済連携の推進が国内経済成長という好循環につながっていくと、こういう分析を行っているものでございまして、まさにTPPとともに日EU・EPA日本経済の強力な成長エンジンと考えておりますので、政策大綱に基づいた必要な施策をしっかりとやっていきたいと、このように考えているところでございます。
  53. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。TPP11と日EU・EPATPP12と同じぐらいだというふうな御説明ございました。  一方、やっぱりこの日EU・EPA農林水産業における影響というものもあろうかと思います。その辺もお教え願えればと思います。
  54. 天羽隆

    政府参考人(天羽隆君) お答え申し上げます。  日EU・EPA農林水産分野への影響について御質問をいただきました。  日EU・EPA交渉におきまして、重要五品目を中心に関税撤廃の例外をしっかり確保し、関税割当て、それからセーフガード等の措置を獲得したところでございます。  それでもなお残る農林漁業者の不安を受け止め、安心して再生産に取り組めるよう、平成二十九年十一月に改訂されました総合的なTPP等関連政策大綱に基づきまして万全の対策を講じていくこととしてございます。  これにより、日EU・EPA我が国農林水産業への影響につきましては、まずは関税削減等影響で価格の低下により、合意内容の最終年において約六百億円から千百億円の生産額減少が見込まれると。さらには、体質強化対策による生産コストの低減、品質向上や経営安定対策などの国内対策により、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されるというふうに見込んだところでございます。
  55. 熊野正士

    ○熊野正士君 先日の委員会で私も質問をさせていただきまして、日EU・EPAによる林業への影響ということで質問しましたけれども、このときに、日EU・EPA生産額減少が約百九十億円から三百七十億円というふうなことでございました。TPPが二百十億円ということですので、ある意味最大の、取りますと、むしろ日EU・EPAの方が生産額減少が見込まれているということです。フィンランド産の構造用集成材などが国産品と競合するというような御説明がございました。TPPによる林業への影響に対しては体質強化策を講じるということです。  日EU・EPA影響についても、上乗せで体質強化を講ずるというふうに理解をしているわけですけれども、この上乗せ対策、どういったことが行われているのかについて御答弁をよろしくお願いいたします。
  56. 渡邊毅

    政府参考人(渡邊毅君) お答えをいたします。  先生御指摘のとおり、日EU・EPAにおきます林業に対する生産額影響というものにつきましては、国内体質強化対策による生産量維持の効果も踏まえまして、百九十億円から三百七十億円程度ということでございます。これに対しまして、日EU・EPA発効を見据えた国内対策ということで、林業の国際競争力の強化を図るために総合的なTPP等関連政策大綱に基づきまして対策を講じているということでございます。  具体的には、木材加工施設の生産性向上支援というものですとか、これはTPPでもやっておりますけれども、日・EUについては更に競争力のある品目への転換支援ということで、柱材から内装材への転換などを図ろうとする事業者に対して支援を行うということをやっております。また、TPPと共通でございますけれども、路網整備ですとか高性能林業機械導入等への集中的な支援もやっております。さらに、日EU・EPAの追加的な対策として、木材製品の国内外での消費拡大対策というものを講じておりまして、これらは二十九年度補正予算に計上して今施策を講じているところでございます。  このような施策を通じまして、我が国林業の国際競争力の強化と国産林産物の確保を強力に推進してまいりたいと考えております。
  57. 熊野正士

    ○熊野正士君 よろしくお願いします。  やっぱりTPP11でも林業に対する影響があると、日EU・EPAでも林業に対する影響がひょっとしたらTPP11より大きいかもしれないという試算もあるわけですので、更なる林業に対する支援といいますか、よろしくお願いしたいと思います。  次の質問に移りたいと思います。  TPP11による経済効果分析において、四十六万人の雇用増が期待されるというふうにありますけれども、先日も当委員会でこの分析の仕方といいますか、信頼性や根拠が乏しいんじゃないかといった議論もございました。  この雇用増に関しまして、その根拠といいますか詳細について、分かりやすく御説明いただければと存じます。
  58. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) お答え申し上げます。  先ほど御紹介した、昨年末に公表いたしましたTPP11、日・EUと併せて経済効果の分析結果を公表いたしましたが、同じくGTAPモデルを用いた試算でございます。GDPそのものが一・五%、八兆円押し上げ効果ありまして、その一つの要因であり、結果でもありますけれども、労働供給が〇・七一%、四十六万人増加という試算でございます。モデル上、まず貿易、投資が拡大することでそもそも所得が高まる、また企業生産性そのものも高まるということで賃金自体が押し上げられ、労働賃金が押し上げられることで労働供給が増加する、こういう試算を行っているところでございます。  賃金が上昇することによって労働供給が増加するということにつきましては、TPP12のときに、三人の専門家の方の御指導をいただきながら12のときは経済効果分析を行ったわけですけれども、その際に、我が国も含めた複数国における実証研究例でこの関係が示されているということでございまして、実質賃金が一%上昇することで労働供給が〇・八%増加する、弾性値を〇・八と仮定をして、その前提で試算を行ったと、そういうところでございます。
  59. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございました。  先日、TPP11のメリットについて大臣から具体的にいろいろと教えていただきました。その中で、コンビニなどのサービス業の出店規制の緩和ということを具体的に例示していただきました。日本のコンビニは非常に優れているノウハウを持っているけれども、海外に出ようとすると、現地資本との提携であるとか手続上の制約などで出店が規制されていたと。そういったものが、TPPにより出店規制が緩和されるということでございました。  お聞きをすると、ベトナムとかマレーシアでの出店規制がちょっと厳しい、強いということで、今後はこういったベトナムであるとかマレーシアでのコンビニ展開が期待されるということですけれども、このコンビニ展開の見通しでありますとか具体的なメリットについて御説明をお願いしたいと思います。
  60. 小瀬達之

    政府参考人(小瀬達之君) お答え申し上げます。  TPP11は、議員御指摘のとおり、ベトナムやマレーシアにおける流通業の出店規制や外資出資規制の緩和など、サービス、投資の自由化を進展するものも含まれております。コンビニエンスストアを始めとする流通産業の海外展開のチャンスが拡大していくものというふうに考えてございます。さらに、コンビニエンスストアなどの海外展開に伴いまして、食品、日用品など日本各地の優れた産品、商品が海外のコンビニエンスストアなどの店舗で販売されることによりまして、我が国中小企業の海外展開の機会も生まれてまいります。  経済産業省では、平成二十八年に、コンビニエンスストア業界とジェトロとの間で、TPPを契機としたコンビニエンスストアの海外展開及び中堅・中小企業の商品の海外店舗における販売支援などに関する連携を進めるための協議会を創設しました。  この協議会の下で、平成二十八年にはベトナムのファミリーマート、ミニストップ、イオンの約二百店舗におきまして地方産品、商品を約二か月間にわたりテスト販売をし、昨年には約二百六十店舗に拡大してテスト販売をし、多くの商品販売継続につながったところでございます。また、昨年八月から約四か月間、復興支援として被災地の梨をイオングループがベトナム輸出し、さらに、昨年十二月から今年の二月にはイオン、ミニストップ、ファミリーマートにおいてリンゴを販売したところでございます。  引き続き、TPPを契機としたコンビニエンスストアなど流通産業の海外展開と、それに伴います日本各地の産品、商品の販路拡大をしっかり後押ししていきたいというふうに考えてございます。
  61. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 今、政府参考人の方からの説明あったところでありますけれど、若干二つに分けて考えた方がいいと思うんですけれど、今、ベトナム幾つかの国でコンビニ等に対する出店、出資規制があるわけでありまして、それでも大手のコンビニ等は出店をいたしております。ただ、そのやり方が現地資本と提携をしないとなかなかできないという形でありまして、経営の自由度であったりとか、どういう商品ラインナップをすると、もっと日本の商品を持っていきたいというところにどうしても制約が掛かってしまう。  一方、日本のコンビニの中でも、そこまで大手ではなくても非常に特徴のある、そういう小売店もあるわけでありまして、そういったところは、現段階におきましては、こういった出店規制また出資規制によりましてなかなか思い切って出店をできない。これが、TPPによりまして規制が大幅に緩和をされることによって、新たな海外展開につながるということだと考えております。
  62. 熊野正士

    ○熊野正士君 大臣、ありがとうございます。  たしか、僕も海外に行ってコンビニ行って、余り日本の製品が多くないなというふうに感じたこともございますので、そういった意味でいうと、このTPPでそういう規制が緩和されることで、資本も、であれば日本の商品がもっと並ぶというふうに理解してよろしいでしょうか。ありがとうございます。  次に、TPPのメリットとしては、税関手続の簡素化、迅速化ということが挙げられております。具体的な内容について、どういったルールが適用されて、そのルールを通して期待されるメリットについて分かりやすく御説明いただければと思います。
  63. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) ありがとうございます。  TPP協定の第五章、税関当局及び貿易円滑化章というチャプターがあります。大変地味なチャプターですので余り御注目いただけないんですけれどもTPP12が大筋合意をした直後に、日本商工会議所の関係者の方から、このチャプターの内容を読んで中小企業関係者は本当に喜んでいるというお言葉を頂戴したのを私は今でも覚えているところでございます。  特に、これまたその中でもすごく地味な条文なんですけれども、事前教示という条文があります。五の三というところでございますけれども、大企業の人たちは、よくいろいろ自分たちで調べて手戻りのないように輸出入やるわけですけれども、中小企業の方、日本の中小企業の方がどこかの国に輸出をするときに、輸出先によって関税分類がみんな違うわけです。この商品の関税分類がどうなのか、これは聞かないとなかなか分からないんですけれども、不正確な形で書類を出して、しばらくたってから、これ全然違うからやり直しということで、すごい手戻りがあったりするんですね。かといって、その税関当局に問合せをしてもなしのつぶてというのが結構多いと、そういう話は聞いていたところでございますが、TPP国にあっては、例えば日本企業から事前教示の要請があれば必ず書面で百五十日以内に回答すると、必ずこれ回答するということになっているわけでございまして、これは本当に有り難いというふうな御意見をいただいたところでございます。  それから、どこの国とは申しませんが、生鮮食料品を輸出したときに、税関でいろいろ、単に手続が遅いということもあるのかもしれませんが、物すごく通関手続に時間が掛かって、結果的にその生鮮食料品が腐ってしまうと。そういう国にはなかなか輸出もしにくいわけでありますけれども、急送便という形で送った急送貨物については、必要な税関書類の提出後六時間以内に必ず引取りを許可しなきゃいけない、これは義務規定でありまして、これ他の通商協定にもないような画期的な条文でございます。  それ以外の、急送貨物以外についても、これは可能な限りという努力目標でございますけれども、貨物到着から四十八時間以内の引取りということでございますので、ここも、自分でなかなかリスクヘッジできない中小企業の方々にとっては本当に有り難い規定だと、このように言われているところでございます。  こうした規定、財務省の方におきましても、各税関において説明会をやっておりますけれども、引き続きこうした手続について周知徹底を図っていきたいと、このように考えているところでございます。
  64. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。御丁寧に説明をいただきました。特に中小企業、すごい喜んでいるというふうに理解をさせていただいたところです。  また、次の質問に移りますけれども、先日の参考人質疑ですけれども、農業を営んでいらっしゃいます農民運動北海道連合会委員長の山川参考人の方から、御意見ですが、産地パワーアップ事業など、規模を拡大しないとこの支援が受けることができない、現状維持を望む農家も少なくない、規模拡大一辺倒ではなくて、現状のままで農業を続けたい農家を支援してほしいと、こういった御意見だったわけですけれども、こうした意見に対しまして政府の答弁を求めたいと思います。
  65. 谷合正明

    ○副大臣(谷合正明君) 御質問ありがとうございます。  総合的なTPP等関連政策大綱におきまして、体質強化策につきまして、これは、引き続き実績の検証等を踏まえた所要の見直しを行った上で必要な施策を実施するとされているところであります。  御指摘の産地パワーアップ事業につきましても、真に事業効果が上がると見込まれる計画を採択する必要があると考えております。このため、事業実施地区に対しまして、生産コストの低減や販売額の増加等といった産地の収益力強化に関する成果目標を設定することを要件として求めているところであります。  しかしながら、例えば、中山間地域におきますと、もう規模拡大がなかなかこれ以上進まないですとか、あるいはもう先進的な産地であれば既に生産コストの削減を進めていて更なる生産コストの削減等は難しいといった声があることを承知しております。  このため、現場の実態、また現場からの意見、声を踏まえまして、土地の制約がある中山間地域におきましては、中山間地域所得向上支援事業と連携した取組については面積要件を撤廃できる措置を創設するとともに、規模拡大を行わなくても高品質化などを行う農家が取り組みやすくするよう、所得額の一〇%以上増加などの新たな成果目標を創設するなど、意欲ある農業者の収益力向上に向けた取組支援できるよう改善を行ってきたところでございます。  引き続き、現場の実態、意見をお聞きしながら、こうした政策については、これまでの実績の検証等を踏まえて所要の見直しを行いつつ、効率的、効果的な事業の実施に取り組んで、我が国農林水産業体質強化を図ってまいる所存であります。
  66. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございました。  平成二十八年十一月に政府において農業競争力強化プログラムというものが決定されております。そのプログラムの中に収入保険制度の導入というのがございます。この収入保険制度ですけれども、これは公明党も力を注いできたわけですが、この収入保険制度が来年、平成三十一年の一月からスタートをいたします。まず、この収入保険制度の概要について御説明いただければと思います。
  67. 徳田正一

    政府参考人(徳田正一君) お答えいたします。  農業の成長産業化を図るためには、自由な経営判断に基づき経営の発展に取り組む農業経営者を育成することが必要であると考えております。こうした中で、従前の農業共済では、自然災害による収入減少が対象であって、価格低下などは対象外となっております。また、対象品目が限定的で農業経営全体をカバーしていないといった課題があったところでございます。  このため、先生から御発言いただきましたように、平成三十一年一月から、品目の枠にとらわれずに、農業経営者ごとに収入全体を見て総合的に対応し得る収入保険を導入することとしたところでございます。これにより、収益性の高い野菜等の生産や新たな販路の開拓等にチャレンジするなど、意欲ある農業経営者の取組支援することができるものと考えております。
  68. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  農業をされている方の経営努力だけでは避けられないような例えば自然災害であるとか農産物の価格の低下などで売上げ減少した場合に、その減少分の一部を補填する保険ということだと思います。  例えば、今いろいろと議論になっていますこのTPPで、海外から多くの安い輸入品が入ってくることによって価格が低下するという危惧もあるわけですけれども、こういった場合もこれ適用されるということでよろしいんでしょうか。
  69. 徳田正一

    政府参考人(徳田正一君) お答えいたします。  新たに導入する収入保険につきましては、自然災害による収量減少だけではなく、価格低下ども含め、農業者の経営努力では避けられない収入減少を広く補償するものであります。このため、収入保険に加入した農業者は、TPPいかんにかかわらず、基準収入の一定割合を下回った場合に一定の金額が補償されるものでございます。  なお、収入保険では、収入の減少だけではなくコスト増も補填するマルキン等が措置されております肉用牛、肉用子牛、肉豚、鶏卵につきましては、対象品目から除外しているところでございます。
  70. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  やっぱりこの収入保険制度というのは、国費も入っているわけでして、大事な制度ではないかなというふうに本当に思います。ただ、これ来年の一月からということで、任意加盟というふうにも聞いておりますけれども、この収入保険制度の周知をしっかり図っていくことも大事ではないかなと。  ホームページを見ましたら、課長が分かりやすく動画で説明してくださっていて非常に勉強になる、分かりやすいなと思って見ているんですけれども、この周知ということについてはどのようになっていますでしょうか。
  71. 谷合正明

    ○副大臣(谷合正明君) ホームページまで御覧いただきまして、ありがとうございます。  農家にとりましてはセーフティーネットの政策の選択肢が増えるということだと思っておりますし、また収入保険ならではのメリット措置というのもございますので、こうした収入保険、大事な制度でありますので、しっかりと周知していくということは大事であると思っております。  それで、この収入保険につきましては、関係法律の成立後、農林水産省は地域ブロックごと及び都道府県別の農業者等向けの説明会を開催するとともに、農業共済団体は、地方公共団体やJA等と連携しまして、地区別の説明会や、また青色申告に関する相談会を開催するなどの取組を進めてきたところでございます。  また、現場からの要望を踏まえまして、一つ大きかった声としては、収入保険と既存制度の掛金、補填金との比較を行いたいということがありましたので、そうした比較ができるように、農業者自らのパソコンでできるようにしたいということで、その比較、あるいは経営規模の拡大や過去の収入の上昇傾向を反映した基準収入の計算を行ったりすることができるシミュレーションファイルを農業共済団体等のホームページで公表し、活用を推進しているところでございます。  収入保険の実施主体となります全国農業共済組合連合会が本年四月二日に設立されたところでございます。引き続き、全国連合会はもとより、各地域の農業共済組合との連携をしっかり図りながら、地域ごとの説明会の開催による加入推進の取組、また加入手続をしっかり行っていくためには簡便に行う必要もあると思っておりまして、そのためのタブレット端末ソフトの開発等を進めて、本年秋の加入申請に向けた準備に万全を期してまいります。
  72. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。いろんな様々な取組をされているということで、よく分かりました。  次の質問に移りたいと思います。  今回、TPPの議論の中で何度も取り上げられてきた話題でございますけれども、食品の安全性ということでございます。  当委員会においても、和田委員や矢田委員の方からいろいろと御質問もございました。日本では現時点では使用されていない肥育ホルモンのことでございますとか、あと食品添加物でありますとか、また遺伝子組換え食品のことなど、様々なことが議論をされてまいりました。  一番やっぱり大事なことは、こうした食品の安全に対する、国民が不安に思っておりますので、丁寧に説明を行って、食品の安全性について国民の理解を得る努力をずっと続けることではないかなというふうに思っております。  そこで、厚労省の方にお尋ねしたいと思います。  食品の安全管理体制、もうこれ何度も聞いておりますけれども、どうなっているのか、そして国民に広く理解を得るための努力をどのように行っているのかについて、厚生労働省からの答弁を求めたいと思います。
  73. 宇都宮啓

    政府参考人(宇都宮啓君) お答えいたします。  我が国におきましては、御指摘いただきました食品添加物、残留農薬、あるいは肥育ホルモン、遺伝子組換え食品などにつきまして、国際基準や食品安全委員会の科学的なリスク評価等を踏まえまして、人の健康に悪影響を及ぼさないよう科学的根拠に基づいて規格基準の設定などを行っているところでございます。  具体的に申し上げますと、例えば残留農薬や食品添加物につきましては、まず食品安全委員会におきまして、人が一生涯にわたって毎日摂取したとしても健康への悪影響がない量であります一日摂取許容量、これADIと申しますが、それをまず設定いたします。そして、ADIを超えないよう、厚生労働省におきまして、基準を設定する食品から摂取される残留農薬や食品添加物の摂取量を推計し、全ての国民の健康に影響が生じないということを確認して基準を設定しているところでございます。  また、御指摘のいただきましたように、食品安全に対する国民の信頼を確保する上でリスクコミュニケーションなどということにつきましては大変重要でございまして、このため、消費者や関係事業者などが参加する意見交換会を全国各地で開催しているほか、ホームページやツイッターを活用しまして、在留農薬の基準設定方法なども含めた情報発信やリーフレット、ポスターなどを用いた広報等にも取り組んでいるところでございます。  今後とも、食の安全が損なわれることのないよう、食品安全委員会の科学的リスク評価結果等に基づきまして食品の規格基準を設定するとともに、必要な情報を積極的に発信して、国民の皆様方の理解を深めてまいりたいと考えているところでございます。
  74. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  日本においては、食品安全委員会できちっとリスク評価をして、そのリスク評価を踏まえた上で厚生労働省で基準値等を決めて、それをまたしっかり監視しているというふうに理解をいたしました。それをしっかりと国民に広く理解を求めるということで、リスクコミュニケーションということでやっていただいているというふうに理解をいたしました。  この食品の安全管理に関しましては、やっぱり水際での検疫業務、非常に重要だというふうに考えます。近年、外国からの輸入量も増えているというふうに聞いておりますけれども、それに伴って検疫業務も増加しているというふうにお聞きをしております。  現状の検疫業務について、現場では一生懸命やってくださっているわけですけれども、業務負担が増えているとか、そういったことも踏まえまして、業務内容の実態について御説明いただければと思います。
  75. 宇都宮啓

    政府参考人(宇都宮啓君) お答えいたします。  輸入食品の安全性確保におきまして、今、水際段階についてのお尋ねでございました。この水際段階におきましては、輸入事業者に対しまして、まず輸入前の事前相談に対応するほか、輸入の都度、届出を義務付けてございまして、検疫所では、これに基づいて審査を行うとともに、違反リスクに応じて検査を行っているところでございます。今後の輸入食品の増加の可能性を踏まえまして、検疫所職員の資質の向上、あるいは必要な職員や検査機器の確保など、適切な監視指導を徹底するための体制の整備に加えまして、事前に違反食品の輸入を防止する効果が高い輸入前相談の充実を図ることとしているところでございます。  さらに、今国会で成立いたしました改正食品衛生法におきましては、食肉等に関しまして輸出国にHACCPに基づく衛生管理を求めるなど、輸入食品の更なる安全性の向上を図ることとしてございまして、こうした取組を含めて輸入食品の安全性の確保に万全を期してまいりたいと考えているところでございます。
  76. 熊野正士

    ○熊野正士君 業務量は結局増えているんでしょうか。
  77. 宇都宮啓

    政府参考人(宇都宮啓君) お答えいたします。  輸入件数の増加に伴いまして業務量は増えてございます。それに対しまして職員等の体制の強化ということも図っているところでございます。
  78. 熊野正士

    ○熊野正士君 今回、TPPでありますとか日EU・EPAによって更に輸入量が増えてくる可能性があります、予想されるわけです。  今ほど答弁にもありましたように、業務量がちょっと増えているということでございました。そうすると、同じ人員であれば当然一人の負担が増えるわけでございますので、さらに、昨今は国民の食品安全に対する関心が非常に高まっておりますので、今後は、食品安全委員会でありますとか厚生労働省でありますとか、先ほど御答弁いただいた水際での検疫業務など、食品安全管理体制の充実というものが必要不可欠だというふうに考えます。  人材育成も含めました対策が重要だと思いますけれども、例えば人員を増加させるとか、そういったこともしっかり検討しなければいけないんじゃないかなと思いますけれども、最後に政府の見解を求めたいと思います。
  79. 長屋聡

    政府参考人(長屋聡君) お答え申し上げます。  国の定員管理でございますけれども、引き続き財政状況が厳しいということで、不断の業務の見直しが必要でございますし、また定員管理の方も厳格性が求められるということでございますけれども、その一方で、必要なところには適切に定員を配置するということで、政府の重要課題に機動的かつ柔軟に対処できる体制を構築していくということが基本であると考えてございます。  そうした中で、食品安全管理に係る増員でございますが、これまで輸入食品の安全性の確保、それから食品輸出促進に向けた国際基準の導入といった事柄に重点的に措置を行ってございまして、具体的には、輸入食品の増加に伴う検査、審査体制強化、それから添加物の安全基準の策定、衛生管理に係る国際基準の導入、さらにリスク評価体制の強化、こういった要求に対応してきているところでございます。  査定側としての内閣人事局としましても、食品の安全管理の重要性、これは十分認識してございます。なかなか定員事情、全体としては厳しい事情にございますけれども、現場の実情、それから状況の変化を踏まえまして、要求内容を丁寧に伺いながら定員査定に臨んでいきたいと考えてございます。
  80. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。  これで私の質問を終わりたいと思います。
  81. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十九分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  82. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、野上浩太郎君及び榛葉賀津也君委員を辞任され、その補欠として進藤金日子君及び田名部匡代さんが選任されました。     ─────────────
  83. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 休憩前に引き続き、環太平洋パートナーシップ協定締結に伴う関係法律整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  84. 田名部匡代

    田名部匡代君 お疲れさまでございます。国民民主党の田名部匡代です。  ふだんは農林水産委員会にいるんですけれども、今日はこの委員会に出張させていただきまして、しっかりと青森県を代表して、また一次産業関係する方々を代表して思いを伝えさせていただきたいと思いますが、大臣大臣は青森にも何度か多分お越しになったことがあると思いますけれども大臣の青森の印象といいますか、青森といったら何を想像するか、そして、青森の印象というのはどういう感じなのか、少し教えていただけますか。
  85. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 青森、やはり自然環境に恵まれているところだなと、こんなふうに思っておりますし、それから、同じ青森県内でも、八戸であったり弘前であったり、気候風土違う地域も兼ね備えている。さらには、ねぶたであったり、様々な伝統等もあります。さらには、先生のお父様、私もいろいろ御指導いただきましたが、農水大臣をお務めになるなど、非常に立派な政治家を輩出している地域でもある。このように考えております。
  86. 田名部匡代

    田名部匡代君 済みません、大臣、ありがとうございます。父も大変お世話になりました。  今大臣おっしゃっていただいたように、青森、広いですから、私の地元八戸はどちらかというと水産業が非常に発展していますし、といっても大分元気がなくなりました。津軽に行けば、リンゴ、そしてお米。まさに農業県でございます。  そういう意味では、このTPPについては今もって現場の方々からは不安の声が上がっているし、いろいろと対策打つから大丈夫というふうになっていますけれども、今日はこの後、影響試算についてもまた改めて、しつこいようですけれども触れさせていただくんですけれども、本当にそんなことで生き残っていけるのかというふうに思っているんですね。  大臣は交渉をされるに当たって、やっぱり国のいろんな産業、全体の経済も含めて、いろんなものを背負って国を代表して交渉されておられると思います。そういう意味では、非常に影響が大きいと言われるこの一次産業農林水産業のことについても、その関係する方々の思いを背負って交渉していただいていると私は信じています。  大臣、今、日本の農業の現状、どうなっているかということを、大臣、どんな御認識をお持ちでしょうか。
  87. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 通商交渉も含めて、様々な政策を進めていくという段階におきましては、特にそれぞれの地域、それは農業の関係者の皆さんもそうでありますし、中小企業・小規模事業者、こういったまさに地域の産業や雇用を支えていらっしゃる皆さんの不安というのも当然あるわけでありまして、そういった不安を払拭する、そのための対策もきちんと打っていかなければいけないと思っております。  もちろん、農業の問題、農水省が所管でありまして、先生、お父さんも先ほど申し上げたように農水大臣も経験されて、私より農業のことでよく御存じだと思いますが、御質問いただきましたのであえて答弁をさせていただきますと、我が国の農業、人口減少に伴いますマーケットの縮小の問題、さらには農業者の減少であったり高齢化の進行、そして耕作放棄地の増大など、大きな曲がり角に立っておりまして、その活性化は待ったなしの課題だと、こういうふうに考えております。  他方、日本の農業、これは同時に大きな潜在力を秘めた産業でもあると考えております。お米もそうです。そして、先生の御地元のリンゴ、私の地元のイチゴを含め果物であったり、さらには畜産物、どれを取っても高い品質、安全性。そして、海外に行ってマーケット見ても、あれだけきれいなリンゴが並んでいるということないと思うんです。粒ぞろいの本当にいいものがあるという形でありまして、海外においても多くの消費者、特にハイエンドの消費者から高い人気であるのは間違いない。  こんなふうに考えているところでありまして、こういった農業の伸び代、大きい産業であると、これをしっかり伸ばしていく。同時に、農林業の方々が再生産ができる、経営ができる、意欲のある方が農業に従事したい、そう思うような産業をしっかりつくっていくことが重要だと考えております。
  88. 田名部匡代

    田名部匡代君 今の農業の抱える課題について、大臣からも待ったなしだというふうにおっしゃっていただきました。私もそのとおりだと思っているんですね。  今回、このTPPに関連していろいろと国も対策打ち出していますけれども、でも、私は全く不十分だと思っていますし、最近、農林水産委員会で成立する法律を見ていると、何を目指しているんだろうと疑問を持たざるを得ないものが非常に多いんです。現場の声を全く無視して、規制改革推進会議なるものが提案をする、まさに成長だ、競争だと言うけれども、その成長にもつながらない、競争できる環境も整わないようなことが進んでいる。加えて、種子法の廃止もそうです。何か、民間企業が参入すれば農業うまくいくとでも何か勘違いをしているのじゃないかな。  例えば、本当に私の地元、特に津軽平野なんというのは、岩木山をバックに本当にただただ広い農地、田んぼが広がり、そして岩木川が流れ、私はああいう景色を見たときに本当に美しいと思いますし、ただ、その一方で、美しさの裏には、苦労して苦労してその農地を守り、そして生活をしていらっしゃる方々がいる。何としても守りたいという気持ちがどんどん強くなるんです。  でも、そうやって何か、そんな農地にコンクリート張りの巨大野菜工場が造られて、そしてそれでも農地なんだというような法律も通りました。そして、全国津々浦々、まさに食文化を守り、その需給バランスを取り、価格調整機能を果たしてきた卸売市場の法改正もありました。待ったなしの課題があるんだけれども、全くその不安は払拭されず、真逆の方向に農業政策が進んでいるのではないか。  影響試算でも、対策打つから、影響がないと言っているんだから影響がないと言われても、こんな説得力のない話はないわけでありまして、私は、大臣おっしゃっていただいたけれども、農家の皆さんというか現場の皆さんの不安というのは全然消えていないというふうに思うんです。  今回、本会議でも申し上げたんですけれども試算のみならず、アメリカが離脱したにもかかわらず、まさに牛肉や乳製品のセーフガードの問題であるとか、また低関税枠というのは何にもいじられていない、守り切れていない。アメリカが抜けたんですから、本来そこはしっかりと交渉して、日本の国益を守るために私は大臣に闘っていただきたかったなと。  当時、昔、私たちが政権のときに稲田前防衛大臣おっしゃっていましたけれども、民主党は農業を犠牲にしてでも貿易自由化を進めるということなんです。私、立場は違いますけれども、こういうふうな受け止め方は正しいと思っていますよ。で、農業は単なる産業ではありません、地域を守る、文化を守る、伝統を守る極めて重要な役割を担っています、お米は日本人の主食であり、米作りは日本の文化であり、水田は日本の美の象徴です、農業を守ることは、すなわち日本を守ることです。  当時、あのときは与野党を超えて、鉢巻き締めて、そして関係者のところに行き、拳を上げて守ろうと言い切ってきた、言ってきた。総理は守り切ったと言うけれど、私は、全く守れていない、衆参の農水委員会で決議されたこともそれは守られていない、決議に反しているというふうに思っているんです。  加えて、TPPに参加をしても自給率も下がらないというふうになっているんです。大臣、今、日本の自給率がどのぐらいか御存じでしょうか。四割を切っています。今の状況でいいというふうにお考えですか。そして、TPPに参加をして、それでも日本の自給率は守られるというふうに大臣はお考えでしょうか。
  89. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 日本の食料自給率、ヨーロッパの国々国土面積が決して広くない国々と比べても、決して高い状況にないと。この状況がこのままにしておいていい状況であるとは考えておりません。  そして、先生おっしゃるように、これまで日本の農業、これは単に産業だけではなくて、様々な多面的な要素を持って、日本の国土であったりとか歴史、文化を維持してきたと。そして、農業の従事者の皆さんが田に水を引き、そしてまた草を引き、そしてまた東北においてはやませに苦しんでもまた次の年に再生産をすると、こういう御苦労の上に今成り立っていて、さらに次の世代の農業経営者の方が魅力を持って農業に、農林水産業に就労する、こういった環境というのはしっかりつくっていかなきゃならない。  総合対策、昨年の十一月にも改訂をさせていただいたところでありますが、そういった農業の皆さんの抱えている不安というものにもしっかり応えられるような対策をこれからもしっかり打っていくことが重要だと考えております。
  90. 田名部匡代

    田名部匡代君 やっぱり、そのためにはきちんとした影響試算が大事なんですよ。輸出も考慮しない、輸入影響を受けるものも対策打つから大丈夫といって考慮しない、生産性は維持される、価格が下がってもそれも大丈夫、所得も維持される、こんな都合のいい試算ありますか。大臣の御地元が独自で計算され、試算をしたものでも、県内五品目で最大三十二億円の影響が出ると。  伺いますけれど、じゃ、これ、輸出でどのぐらいメリットがあるのか、対策は打つけれど実際輸入でどのぐらいデメリットというか影響を受けるのかという、何でこういう計算をされなかったんでしょうか。
  91. 谷合正明

    ○副大臣(谷合正明君) 今のお尋ねは輸出また輸入ということでお尋ねだと思いますけれども、今回、農林水産省といたしまして影響試算を発表させていただきました。その農林水産省の試算は、輸出量また輸入量が増加するかどうかではなくて、国産品が輸入品によってどの程度置き換わるかどうかという観点から試算を行ったということでございます。  具体的には、もうこれ度々答弁していることでありますけれども、重要品目を中心に関税撤廃の例外をしっかり確保し、国家貿易の維持、長期の関税削減期間等も獲得したというTPP大筋合意の内容も踏まえ、総合的なTPP等関連政策大綱に基づく国内対策によってコストを下げる努力、品質を良くする努力を行うことによって日本の農業の競争力も上がっていくと評価した上で試算を行ったわけでございまして、今回、結果といたしまして、関税削減等影響で国産品の価格低下により生産額減少が生じるものの、国内対策を講ずることで引き続き生産や農家所得は確保され、国内生産量は維持されると見込んだということであります。  重要なことは、繰り返しになりますけれども輸入量が増加するかどうかではなくて、国産品が輸入品によってどの程度置き換わるかどうか、それにより意欲ある農林水産漁業者の方々が再生産できるのかどうかということでありまして、政府といたしましてはその観点から試算を行ったということでございます。
  92. 田名部匡代

    田名部匡代君 どういうものがどのぐらい輸入されるのか。それで、置き換わるかだけではないですよね。価格がどのぐらい影響を受けるのか。例えば、安い物が入ってきたときに、価格競争になれば価格下げざるを得ないかもしれない、そうしたら農業者の皆さんの所得は下がりますよね。そうしたら、生産量にも影響があるかもしれない、それ続けていけるかどうかということにも影響するかもしれない。いろんなことをちゃんと組み込んで計算するのが当たり前じゃないですか。さっき申し上げたように、影響ないから影響ないみたいな、そんな無理な試算はないわけですよ。  じゃ、伺いますけれども、価格が下がってもいろいろ補填するから大丈夫。例えば、酪農はどうでしょうか。いや、まだ質問終わっていないです。  加工原料の乳価がキロ当たり最大八円下がるというふうに政府試算をしています。じゃ、補給金が八円増加するということなのか、例えばクラスター事業等でしっかりとその生産費というものが八円以上下がるということなのか、どうですか。
  93. 大野高志

    政府参考人(大野高志君) お答え申し上げます。  TPP11交渉の結果、脱脂粉乳、バターにつきましては国家貿易制度を維持し、ホエーは長期の関税削減期間確保しますとともにセーフガードを措置しまして、また、チーズ、ソフト系のカマンベールとかそういうやつは関税維持、そして、ハード系、それからクリームチーズ等は長期の関税削減期間を確保すると、こうしたところでございます。  このため、当面、輸入の急増は見込み難く、牛乳も含めた乳製品全体の国内需給への悪影響は回避できるものと見込んでおりますが、一方で、長期的には加工原料乳価の下落も懸念されるところでございます。  このために、総合的なTPP等関連政策大綱に基づきまして、まず、体質強化対策としまして、酪農については、畜産クラスター事業によります搾乳ロボットの導入など省力化機械の整備等によります生産コストの低減あるいは品質向上など、収益力、生産基盤の強化を進めることとしております。  また、経営安定対策といたしましては、協定発効に先立ちまして、昨年度、平成二十九年度から、加工原料乳生産者補給金制度の対象に生クリーム等の液状乳製品追加いたしまして補給金単価を一本化すると、こういう措置を実施しておりまして、この見直しによりまして、乳製品向けの生乳の中で将来的な需要の伸びが期待できるこの生クリームを支援の対象としますとともに、その単価を一本化することによって、乳製品ごとのニーズに応じた柔軟な生乳供給促進等、酪農家の方々の収益性の向上を図ることができるようになったと、こういうふうに考えております。  農林水産省としましては、生産者の方々の不安、御懸念払拭して、意欲ある生産者の方が将来にわたって希望を持って酪農経営に取り組んでいただけるように必要な対策をしっかりと講じてまいりたいと、こういうふうに考えているところでございます。
  94. 田名部匡代

    田名部匡代君 大野部長、私、東日本大震災のとき、大野部長と一緒にお仕事させていただいて、当時、本当に被災地が大変な中で、大野部長、ずっと現場に張り付いていただいて、あちこちの被災者の皆さんの御苦労というものを、苦しみというものを受け止めてくださっていたのをよく存じ上げていますし、まさに専門家ですから、今ある現状をよく分かっていらっしゃると思うんですね。  今の御答弁が心からそういう御答弁なのか分かりませんが、今までだって一生懸命いろんな対策をやってきていますよね。でも、今の日本の現状ですよ。いろいろやって、対策がうまくいって日本の畜産でも酪農でも上向いてきている、その従事者も増えて所得も上がってという状況なら対策もこうして結果として出てくるのかなと思うけれども、別に、やられてきたことは否定はしません、一生懸命やっているの分かっていますから。でも、机上の空論じゃ困るんですね。  どういう影響があるか、今もチーズの話ありましたけれども、確かに、TPPではアメリカからハード系のチーズのことを関税撤廃と言われて、カマンベールなんかのソフト系は守ったとおっしゃるけれど、じゃ、EUとの協定どうですか。そういういろんなことを考えたら、国内で受ける影響は、私は見通し甘いというふうに思いますよ。  今申し上げたように、じゃ、最大八円下がる、八円って、何か耳で聞いたら八円というのは大したことないと思われるかもしれないですけれど、農家の皆さんにとったら死活問題ですからね、続けていけるかどうかという話ですよ。  それに対して、そんなクラスター事業もやるんですとか、畜産も酪農もそうですよね、どんどん大規模規模、その現状に付いていけていないような中で、対策打つから大丈夫というのは、私はちょっとあり得ないんじゃないかなというふうに思っていますし、いつも私こういう質問と違うことをしゃべり続けて質問する時間がなくなるんですが、いろいろ海外の試算なんかでも、例えばこれ、カナダの発信しているものでありますけれども、カナダなんかでも、CPTPP、まさにTPP11発効後の経済効果の試算をウエブサイトで公開していますけれども日本への輸出は約十八億カナダ・ドル増加するとしていて、米国を含むTPP12が発効した場合の経済効果試算よりも四億カナダ・ドル上回っているんです。つまり、さっき申し上げたように、セーフガードや輸入枠ですよね、守り切らなかったことで、こうやってより大きな経済効果が生まれるだろうという予測をしている。  実はお米も、日本のお米は確かにどこにも負けないだろうと多くの方が思われると思いますけれど、決してそんなことはない。五月二十九、三十の日本農業新聞、これ特集で書かれていましたけれども、農産物の対日輸出額が最大のオーストラリア、今二百二十ヘクタール。まさに土地の規模も全く違うし、だからこそ、掛かるコストも全く違うわけですよね。それでもやっぱり日本のお米はおいしいから戦ってこれたけれども、まさに日本輸出される米をもう作り始めているわけですよ、研究をして。食味も負けない、甘みも負けない、そして価格は安い、そういうものがあとはもうTPP発効を待つだけと、まさにそれは楽しみに待っている。既に日本人好みの米というものがスーパーに並んで、一七年産の日本輸出は三万トン、一六年産に比べて四倍にも増えている。  じゃ、実は消費者どうかというと、特に外食産業なんかは、味もそんなに変わらない、安いんだったら安いもの買おうというふうに流れていく。お米なんか置き換わるわけはないという試算されているかもしれないけど、本当にそういうことなのか、世界状況を見ているのかというふうに思うんです。  テレビのニュースでもやっていましたけれども、たしか中国産のお米がスーパーに並んでいて、炊きたてのお米を、食べ比べをそのスーパーに来た人にさせていたんですね。いや、それは普通に考えたら、やっぱり日本のお米ですよねとなるかと当然思って見ているわけですよ。そうしたら、食べた人たちは、あっ、どっちが日本のお米か分からないと。まあ炊きたてですから、日本のお米というのは御存じのとおり冷めてもやっぱりおいしい、甘みが残っておいしいという特徴ありますけれども、そういう状況。で、値段を見て、ああ、味も大して変わらないんだったら、全然値段違いますからね、安いお米買っていこうという、そんなニュースですよ。  ほかの国では徹底的に直接支払などで農業を守って戦いに出ている。日本はどうですか。戸別所得補償をやめてしまって、直接支払もない。それで世界と戦えとか競争で生き残れとか、むちゃくちゃなわけですよ。守り切るものも守り切っていない。だけれども成長するとおっしゃっている。  政府試算をするこの成長のメカニズムってどういうものなんですか。生産現場だけではなくて、そこに関わる二次産業、三次産業、そういうものまで影響あるに違いない、そういうことまできちんと考えた上で、それでも成長だ、影響はない、こんなふうにおっしゃっているんですか。
  95. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 内閣官房が実施したGTAPモデルによりますマクロ経済効果分析の御質問だと理解をしているところでございますけれども、GTAPモデルはあくまでマクロ経済モデルでありまして、経済連携協定締結に、発効によって一国の経済、特にGDPがどういう形で成長するかということを導き出すものでございます。カナダのように品目ごとにいろいろ出している国もあると思いますが、恐らくそれは相当な仮定、前提を置かないとなかなか難しいということだと思います。  私ども、マクロモデルという形であくまで国全体の経済効果を導き出すということで、関税率が下がる、それに伴って価格や貿易数量に変化が生じて、結果としてそれが所得増につながる、それが需要、投資増につながって、貿易が開放されると国全体の生産性が押し上げられ、実質賃金も上がり、労働供給も増え、それがまた生産を押し上げる、こういうような形で要は経済連携協定締結国内経済成長の好循環に結び付く、こういうようなメカニズムを想定して試算を行ったと、こういうことでございます。
  96. 田名部匡代

    田名部匡代君 いや、もう、価格下落以上に生産は伸び、下がるはずの賃金は上がり、GDP増加と同率で投資が増えとか、失われる雇用もなく、生産量も維持されて、置き換わるものも対策打つから大丈夫、こんな恣意的な試算で本当にいいのかと。いや、私は、せめてきちんと試算をしてほしいと、その上でどういう対策が必要なのか、そんな農家の皆さんをごまかすような、まあこれで大丈夫ですなんという話じゃなくて、やるならきちんとやってほしいということを申し上げているんです。それをやりもしないで、都合のいい数字を並べ立てて、都合のいい試算をして、それで大丈夫って、一回壊れたらもう取り戻すことできないじゃないですか。そのことを申し上げているんです。  私たちのときに試算をした数字と全く違いますよね。民主党政権のときの、TPPの話が出てきて、どれだけの影響が出るかという話のときに相当大きな数字だった。私は、その数字の見方はある意味正しいと思っているんです。何もしなければこのぐらい、そして、このぐらいの影響が出るよね、でも対策打つからこうやって雇用は守られるんですとか、ちゃんとやっぱりそれは真摯に受ける影響を踏まえて何をすればいいのかと考えなきゃいけないし、輸入だって、いろんなものに影響が出るとは思いませんよ、でも、一部相当ダメージ受ける産業あるわけじゃないですか、畜産だって、酪農だって。もしかしたら、お米だって影響出てくるかもしれない。  輸出でそれはメリットを受ける人たちもいますよ。リンゴやホタテ、青森でいったら、今、輸出、一生懸命頑張っていただいて、大分頑張ってもらっている。いい面もありますよ。でも、輸出で伸びるところというのは全体の何割ですか。  一部の人たちだけが生き残って、これだけ世界各地で気候変動の影響もあり、大規模災害が起こって、そして人口増えて食料不足で危機が訪れると言われているときに、日本そのものが自国の食料も守らず、まさに食を制する者は世界を制す、種を売り渡して、そして農家を潰すようなことをやってはならないというふうに思っているんです。  冒頭、大臣に農業の現状をお伺いしました。大臣はいろんな分野を見なきゃいけない、その上で最大のメリット、利益をこの国にもたらすためにどうするかという判断をしなければならないというお立場は分かります。でも、一部の利益で多くの大事な食の産業が潰されたんでは、これは私は本末転倒だと思っていますし、メリットばかりを計算していますけれども、じゃ国内対策にどれだけ掛かるのかという試算だってしていないじゃないですか。  TPP対策、幾ら掛かるか試算していますか。入ってくる関税、本来であれば畜産や酪農に掛ける、支援策に掛けるものだって、これ入ってこなくなるわけですよね、お金が。どうやってこれ財源確保して対策打っていこうと思っているんですか。そんな試算もしていないでしょう。お答えください。
  97. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) TPP12がまとまった後の政策大綱、それから、今回改訂した大綱も一緒でございますけれども、ウルグアイ・ラウンドの際の対策がかなり大きな金額を複数年度にわたって最初に設定したということについてのいろいろな反省なり思いなりというような御意見もございまして、TPP等政策大綱において、総額幾らという金額を設定することなく、毎年の予算編成の中でやっていこうと、こういう判断になったものでございますが、政策大綱の中で、関税等の収入あるいはマークアップ等の収入が減少することを踏まえて、農林水産省の予算に影響を与えない、政府全体の責任で予算を確保するという一文がしっかり入っておりますので、そういう中でしっかりと私どもは予算を確保していきたいと考えているところでございます。
  98. 田名部匡代

    田名部匡代君 時間なのでやめますけれども大臣の御地元の声をお届けします。十年、二十年掛けて真綿で首を締め付けられるような合意内容、影響は必ず出る。  まさに審議不十分であります。しっかりと試算をやり直して、そして対策を見直して、しっかりと農業を、一次産業を守っていく、食の安全保障をしっかり守っていく、こういうところからもう一度始めていただきたい。そのことを申し上げて、終わります。
  99. 矢田わか子

    矢田わか子君 国民民主党・新緑風会、矢田わか子です。今日もよろしくお願いをしたいと思います。  今、田名部委員からもありましたとおり、今最も私たちが腑に落ちていない点は、このTPP11の発効によって生産額影響を受けるけれども生産する量は減らないという、ここのところだと思っています。この生産量を、国内生産量を独立変数として取り扱っているということに私は課題があるのではないかと思っています。したがって、今日は少し資料も自分自身でまとめてお持ちしまして、もう一度この課題意識を共有させていただくところから始めたいと思います。  この独立変数として取り扱われている国内生産量、都道府県によっては、きちっとその試算を出して、やはり食品の種類によっては輸入量が国産品に取って代わって確実に生産量は減ると予測されている自治体も出てきています。その一つの例が熊本県です。  資料一を御覧ください。  これは熊本県で試算をされた数字ということです。左下にありますように、生産現場の要望や不安の声をしっかりと受け止め、県内農林水産物への影響をできる限り幅広く整理する観点から、国の試算に加えて、品目の追加や米の追加ほか、そして生産量への影響試算に加えてこれを導き出しているということです。  水色のところが国、黄色い部分が熊本県。熊本県は、簡潔に言うと、緑の面積が、分かりますか、縦軸に価格、横軸に生産量と取って、価格も、Aですね、減るけれども、量、Cです、量もやっぱり減るんだと。熊本県独自で二百四トンから四百八トンの影響を受けるというふうなことの試算を出して、真摯にこの数字と向き合うという対策を取られています。ところが、国の試算はこの国内生産量を不変としているということなわけです。  二枚目の資料を御覧ください。  ちょっと私自身が頭を整理するためにも、どうこのTPP11、日EU・EPA生産、消費に与える影響があるのかというパターンを考えてみました。現行の国内生産量、そこに輸入が入ってくる、それによって国内消費量が減らないという前提、連動しないという前提で今この絵を描いております。  まず、パターン一のように、国内消費量を増加した場合、要するに、消費が伸びる、たくさん食べる、胃袋二つも三つもないという話がありますけれども、膨らまないんですけど、胃袋が大きくなるという前提であれば確かに減らないということであります。パターン二、これは胃袋が膨らまないので、せっかく作ったものがやっぱり売れ残って在庫になり、備蓄したり、若しくは廃棄をするというふうなケース。若しくは、何らかの形で輸出を大きく伸ばすことができれば、当然国内生産量は減らすことがないということであります。パターン三は、そうではなく、やはり国内消費がそのままで輸出も伸びなかった場合、在庫や廃棄もしたくない場合には当然国内生産量減少するということでありますので、こういったパターン三つを考えたときに、一体どこに当てはまるのかということをもう一度検討し直す必要があると思います。  輸入量の増加による影響、複雑で総合的なプロセスを経てから現れてくるものと思われますが、これを見る限り、やはり生産量の減少は十分に起こり得るという、想定し得るものだというまず前提に立たなければ、いろんな対策が打てないのではないかと思います。  そもそも、生産額が減るだけでも当然農家の方々の不安は大きくなるわけです。ところが、それに、いや、生産量は変わりませんからと何度言われても、理解ができていなければ結局説得したことにはならないわけであって、皆さん、腑に落ちていないから、こういった不安の声が今も続いているということであります。  是非、こうした絵を見て、まずどうお感じになっていらっしゃるのか、お答えいただければと思います。
  100. 上月良祐

    大臣政務官(上月良祐君) 熊本県の例、そして矢田委員から御指摘があったこの絵を見させていただきました。各県、それぞれに対応しておりますので、いろいろな県でいろいろな試算の仕方がある。大半の県は国と同じやり方をやっておられますけれども、一部に県独自の考え方で試算をされている県もあるということは十分認識をいたしております。それぞれの考え方があるんだと思いますので、それに対して特にコメントはさせていただかないことにさせていただいております。  矢田委員のお考えにつきましては、私も見させていただきました。非常に参考になるといいますか、大変勉強になる分析であるというふうに思っております。  その上で、我々の考え方なんですけれども、先ほど谷合副大臣も御答弁をさせていただきましたけれども輸入品の置き換わりを見るという観点からやっているんですが、大変重要なことは、まず、一年で起こることと十年から二十年掛けて起こることは、農業、特に農業という現場を抱えている産業としては大変重要な違いがありまして、関税撤廃の例外をきちっと確保した、それから国家貿易の制度を維持できるようにした、それから大変長期の関税削減期間を持ってその間もセーフガードをきちっと張るようにさせてもらったということは大変重要な意味があると我々も思っております。  その上で、まだまだ足りないというお声は真摯に受け止めないといけないと思っておりますけれども、これ相当程度手厚い対策をやったこともこれ事実でありまして、我々としては、現状、万全の対策を打っているんだというつもりであります。大いに議論もさせていただいて、私は途中段階では議論をする方というか要望する方でもあったわけですけれども、相当手厚い対策をしていただいたことも事実だと思っております。  その上で、更に重要なことを申し上げますと、TPPの大綱は、これは先ほど澁谷さんから御答弁も一部ありましたけれども、総合的なTPP等の関連政策大綱の中に、一回限りじゃないと、要するに、我々はこういうふうに今見通しているわけですけれども、ただ、引き続き実績の検証等を踏まえた所要の見直しを行っていくということを申し上げておりまして、必要な施策をやっていくんだということ、これはもう総理も含めて御答弁をさせていただいております。そして、それに必要な予算も全体の中できちっと確保していくということをわざわざ一文立てていただいて、書いているわけであります。  だから、そういう意味では、実績の検証をちゃんとやっていくと、その際に、矢田委員から御指摘のあったようなこの示唆は大変示唆に富むものですので、十分に頭に置かせていただいて対応していく必要があるのかなと思っております。
  101. 矢田わか子

    矢田わか子君 私が申し上げたいのは、とにかく国内生産量は減らないと言い切られるのでみんな不安になるわけなので、減るかもしれないという、そういう前提に立って、いろんなパターンを想定してリスク管理をしてほしいというお願いなわけです。それを是非とも、もう一度改めてお願い申し上げたい。  そして、パターン二のように、もし廃棄せずに、捨てない、捨てたくないですよ、みんな。一生懸命作ったものをなぜ捨てるようなことができますか。そう思えばやっぱり輸出を伸ばしていくしかないわけで、前回御指摘したとおり、農業競争力強化プログラムの中に、きちんと日本の商品、ブランド力を付けて輸出量を一兆円増やすんだというふうな目標数字も上げていらっしゃいます。したがって、こういうことに向かって、一旦国内の中での販売は減るかもしれない、けれども、是非皆さんこうやってやっていきましょうと前を向けるような、そんな御示唆をお願い申し上げておきたいなと思います。  午前中も委員から攻めTPPという言葉もありましたけれども、私たち甘んじて待っているだけではなくて攻めていくんだと、輸出伸ばすんだということの旗印を掲げていただくことで、きっと皆さんの安心感が高まる、少しでも高まるのではないかと思いますので、是非お願いを申し上げておきたいというふうに思います。  続いて、また重なってしまうんですが、輸入の食品の安全性についてお伺いをしていきたいと思います。  午前中も熊野さんから質問がありましたけれども、この輸入の食料品、必ず増加します。増加したときにその安全性をいかに確保していくのかということであります。  様々な安全委員会なるもので食品の安全性を担保していくというふうなお答えもありましたけれども厚生労働省の平成三十年度輸入食品監視指導計画では昨年の四月から九月までの半年間の検査結果を発表されています。まず、検査体制、検査件数、それから違反した事例などについて簡潔に御説明をお願いしたいと思います。
  102. 宇都宮啓

    政府参考人(宇都宮啓君) お答えいたします。  輸入食品についての水際段階における監視体制でございますけれども、まず、輸入事業者に対して、輸入前の事前相談に対応するほか、輸入の都度、届出を義務付けておりまして、検疫所ではこれに基づいて審査を行うとともに、違反のリスクに応じた検査を行ってございます。  体制ということでは、このような輸入食品監視を行う体制としまして、全国の主要な三十二の海の港、海港や空港の検疫所に輸入窓口を設置するとともに、六か所に検査課、二か所に輸入食品・検疫検査センターを設置して、四百二十名の食品衛生監視員を配置してございます。  また、ただいまお尋ねいただきました昨年の四月から九月までの輸入届出件数につきましては百二十二万五千件ございましたが、そのうち十万三千件について検査を実施いたしまして、違反件数は三百八十四件ということでございました。
  103. 矢田わか子

    矢田わか子君 百二十二万件入ってきて届出があって、検査したのは十万件、一割にも満たないわけであります。これをカバーするために、行政としても、輸出国生産段階からの対策を講じるというふうなことも含めて、法律違反防止に努力をしていただきたいというふうに思います。  今日、資料三をお配りしました。これ、六月に入ってきたもので、違反した事例を一覧表にしたものであります。違反事例としては、ここではアメリカが圧倒的に割合を占めております。そして、ベトナムメキシコ等が並んでいます。六月だけの分であります。  見ていただきたいのは、アメリカのうち、ほとんどのものがアーモンドや落花生で、不適格の内容がアフラトキシンというものです。このアフラトキシン、調べますと、発がん性の物質、毒性を持ったカビなわけです。十分の一だけ引き抜いて、それを検査して、のけたとしても、あとのもしかしたら十倍のもの、九割、あとのものは日本の中に流通しているかもしれないという、その怖さがあります。皆さんもアーモンドを食べますよね。私もローソンとかで買って食べますけれども、もう食べれなくなってしまう、怖い、アフラトキシンがあるのではないかという、この怖さがやっぱり皆さんにも付きまとうわけであります。済みません、変なことを言ったかもしれませんが。  とにかく、この流通している食品、たった十分の一しか検査できないということについてもかなり不安があります。したがって、こういったものを水際対策で当然検査していただかなければいけないんですが、熊野委員からもありましたとおり、もう検査員が四百名しかいない。これからもっと輸入量が増えるんです。四百名でカバーできるんだろうかと、本当に不安に思えてなりません。  是非とも、検査体制、整備をしていただきたいと思いますし、加えて、今は、例えば検査するときのこん包、要するに荷ほどきをするようなことは、人でなくても機械でできるようなことも、生産工程、パナソニックに任せていただいたらありますので、そういったことも含めて、是非、機械を活用する。若しくは、科学検査についてもAIとかICTを用いれば人を介さなくてもできることはあると思います。より強い検査体制のその強化に向けて、是非何かあればお答えいただければと思います。
  104. 高木美智代

    ○副大臣高木美智代君) お答えいたします。  現行の輸入時の審査におきましては、輸入届出がシステムでなされておりまして、我が国で使用が認められていない食品添加物を含む、そうした可能性のある食品など違反リスクの高い食品につきましては検査に該当するものとして自動的に分類されるなど、審査を支援するシステムを導入しております。また、残留農薬等の分析におきましては自動連続分析による終夜運転を行うなど、検査の迅速化を図っております。  さらに、今後の、委員指摘のとおり、輸入食品の増加の可能性を踏まえまして、検疫所職員の資質の向上、また必要な職員や検査機器の確保など、また、さらには適切な監視指導を徹底するための体制の整備、こうしたことに加えまして、輸入前相談というのがあります。これは、事前に違反食品の輸入を防止する効果が高いと言われておりまして、この輸入前相談の充実を図ることとしておりまして、輸入食品の安全性の確保に万全を期してまいる所存でございます。
  105. 矢田わか子

    矢田わか子君 ありがとうございます。  食品はやっぱり身近にあって、皆さん、国を信じて、普通に流通しているものは安全だと思って食べるわけです。口に入れたときに、それにもし発がん性の物質が含まれていたら、これほど不幸なことはありません。もう一度申し上げますけれども、これだけ輸入量が入るという前提に立って、是非とも検査体制の強化をお願い申し上げておきたいというふうに思います。  続いて、TPP協定におけるWTOの追加交渉への対応についてお聞きをしていきたいと思います。前回、これ、参考人の質疑で九州大学の磯田教授が指摘をされた点であります。  TPP協定協定発効後の段階で働いてくる関税の見直しや規制の見直しに関する協議メカニズムが組み込まれているということで、TPP協定は、第七章の衛生植物検疫措置、SPSの章において、WTO・SPS協定の権利義務を制限するものではないというふうな記載がありますが、国際的な基準等に適合していない場合、より高い規制の水準に対しては、入ってきたときに、それを、これは駄目なんですということを客観的な、科学的な根拠に基づいていることを確保しなければ輸入を受け入れなければいけないというような規定になっております。  この条文に基づいて、輸出国側から日本に規制や基準の緩和が更に求められてくるんじゃないかという、そういう懸念があります。是非、このことについてどのように対応されるのか、見解をお聞かせいただければと思います。
  106. 高木美智代

    ○副大臣高木美智代君) 従来の貿易上の食品安全に関するルールでありますWTO・SPS協定におきましては、各国が自国の食品の安全を確保するために必要な措置をとる権利を認めた上で、科学的な原則に基づいてその措置をとることを求めております。  TPP協定におきましてもこの権利や義務を確認をしておりますが、そもそも我が国は科学的根拠に基づいて食品の安全の基準を定めておりまして、TPP協定締結によって我が国の制度の変更が求められるものではないと考えております。  今後とも、食品中の添加物や遺伝子組換え食品などにつきましては、国際的な基準や食品安全委員会によるリスク評価などの科学的知見を踏まえ、基準設定や安全性確認を行い、輸入食品を含めた食品の安全を確保してまいりたいと思います。
  107. 矢田わか子

    矢田わか子君 ありがとうございます。  日本で許されている化学指定系の食品添加物は四百五十四品目です。これに対して、アメリカは一千百四十八と倍以上の項目があります。日本が長年蓄積してきた科学的根拠を是非とも踏襲していただいて、そういった、私たちが不安になるようなものが入らないようにお願いをしたいなというふうに思います。  時間が限られてきましたので、最後に、是非、茂木大臣にお伺いをしたいと思います。  今後、大臣は、安倍総理大臣の意向によって、TPPへのアメリカの復帰を呼びかけられるということになります。アメリカ、ライトハイザー氏とでFFR交渉、臨まれるわけでありますけれども、さらに、TPPは七年後に市場アクセス増大目的での関税割当て及びセーフガード適用に関する協議が義務付けられているということでもあります。  厳しい交渉が見込まれると思いますが、国会決議、関係者の意見などを尊重し、今日のこの意見も是非参考にしていただきながら、何としても国益を守るという視点で交渉に当たっていただきたいと思いますが、何か戦略等あればお聞かせいただけますか。
  108. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 御指摘いただきました日米間の新たな通商交渉でありますトークス・フォー・フリー・フェア・アンド・レシプロカル・トレード・ディールズ、FFRと呼んでおりますが、これから協議を始めるところでありまして、協議内容について今事務的にTOR、調整中でありますが、我が国としては、TPP、これが日米両国にとって最善でありまして、特に農産品についてはTPPで合意したラインが最大限であると考えておりまして、こういった立場を踏まえてライトハイザー通商代表との議論にも臨んでいきたいと考えております。  また、御指摘TPP協定にあります協定発効七年後の再協議条項につきましては、関税撤廃であったり削減の義務を我が国に負わせるというものではないと考えております。  いずれにしても、いかなる国との間でも国益に反するような合意はしない、こういう固い立場で交渉に臨んでまいりたいと考えております。
  109. 矢田わか子

    矢田わか子君 大臣、ありがとうございました。  大臣日本の将来の農業や日本の将来の食の安心が懸かっていると言っても過言ではないと思っています。是非ともよろしくお願いを申し上げて、質問とさせていただきます。ありがとうございました。
  110. 白眞勲

    ○白眞勲君 立憲民主党の白眞勲でございます。  まず、先日の予算委員会で我が党の福山議員が安倍総理に質問した件で官房副長官にお聞きいたしますが、F15戦闘機、墜落した件につきまして、中止について我々が申入れを行い、二日間ではあるが中止、点検したと総理が御答弁されましたが、在日米軍司令部は、嘉手納基地を含め、在日米軍はそのような飛行中止の要請を受け取っていないという回答でした。  この点について、昨日の党首討論で安倍総理は何かいろいろ答弁されていましたけど、要は、中止は申入れはしていなかったんですよね。
  111. 西村康稔

    内閣官房長官(西村康稔君) お答え申し上げます。  まず、今御指摘ありました六月二十五日の参議院予算委員会におきまして、安倍総理は次のように発言をしているところでございます。F15戦闘機の墜落事故については、米側に対し、安全管理、再発防止の徹底について強く申し入れ、米側は徹底的な点検のため飛行を中止した、そういう旨を明確に述べられているところであります。  その上で、福山委員から、二日後に再開している等々更に問いかけがあったため、改めて総理から、様々な事件、事故が残念ながら発生したことは事実でありますと、我々としては、安全確保が第一であり、事件、事故が起こってはならない、そう考えておりますと。その上で、そこで、今回についてもですね、中止について、我々が申入れを行い、二日間ではございますが、中止をし、点検をしたということでございましたというふうにお答えしたものであります。その申入れの内容は最初の答弁で述べているとおりでありまして、申入れの結果、二日間中止を行ったということであります。  ですので、注釈を加えるとすれば、この二つ目の答弁の中止についてというのは、今回の米軍が措置した中止について、説明をすれば、我々が申入れを行い、二日間ではございますが、中止をし、点検したという、注釈をすれば、間の言葉を言えば、そういう趣旨で答弁をしたものということでございます。
  112. 白眞勲

    ○白眞勲君 だから、要は、安倍総理からは中止してくれとは言わなかったということですよね。中止について、今おっしゃった、その安全管理云々かんぬんというのを強く申し入れたということは御答弁されています。だけど、中止をしてくださいよというはっきりしたことは言わなかった、そこだけ確認なんですよ。
  113. 西村康稔

    内閣官房長官(西村康稔君) 先ほど答弁をしたとおりでありますけれども、米軍に対して安全管理、再発防止の徹底について強く申入れを行って、米側は、徹底的な点検のため、申入れの結果、二日間飛行を停止、中止をしたというふうに承知をしております。  この安全管理、再発防止の徹底のためには当然飛行停止をして点検することもあり得るわけでありまして、現に結果として米軍は二日間中止をしたということであります。
  114. 白眞勲

    ○白眞勲君 だから、もう何度も、ここでTPPの話しなくちゃいけないのでここで止めたくないんだけど、要は、中止は、していないということを今も副長官はおっしゃっているわけで、中止してくれとは言っていないんですね。  だから、安全管理はしてくれよね、そうしたら結果的に中止はしたんですよということを言っているだけであって、やっぱり私は、ちょっとこれ、安倍総理言っちゃったから、しようがないから、頑張ってテンパっているところはあるのかもしれないけれども、やっぱりそこは真摯に、中止ということは直接は申入れしていませんよということはやっぱり言わなきゃいけないと思います。  これ以上言っても、これは水掛け論になるからこの程度にしますけれども、もう一つ、IAEAの関係について、米朝首脳会談を受けて総理は、核関連施設などの査察は必要だ、日本政府が査察の費用を負担する考えを示している。あるいは、河野大臣としては、安倍総理の意向も踏まえて、北朝鮮がIAEAの査察を受け入れる場合を想定して緊密に連携していくことを確認するとともに、査察の進め方や費用負担などについても意見を交わしたいという考えだと。  ここで、外務省にお聞きいたします。私が疑問なのは、北朝鮮が造ったんですよ、これ、様々な核関連施設。その査察の費用を、仮にIAEAが査察するにせよ、基本的に北朝鮮が造ったものなんだから、それは北朝鮮が負担するのが当たり前なんじゃないんですか。これ、どう思われますか。
  115. 堀井学

    大臣政務官堀井学君) 北朝鮮の非核化は、我が国自身の安全保障上極めて重要な課題であると考えております。この非核化を進める上では、IAEAが有する検証についての知見を活用することが重要であります。北朝鮮の核の脅威がなくなることによって平和の恩恵を享受する国などが北朝鮮の非核化の検証のために必要な費用の一部を負担することは自然であると考えております。  こうした問題意識の下、今後、北朝鮮の非核化が進み、IAEAが北朝鮮での検証活動を再開する場合、我が国としても応分の支援を行う用意があるとの考えであります。  なお、支援の具体的な内容については、様々な状況を踏まえて総合的に判断していく所存であります。
  116. 白眞勲

    ○白眞勲君 堀井さん、私が聞いているのはそうじゃなくて、要は、北朝鮮が造ったものなのよ、それを査察するための費用を何で日本が負担しなきゃいけないんだと。日本はそれによって安全になるからですということかもしれませんが、本来は北朝鮮が費用負担するんじゃないのか、その辺りを明確にするべきなんじゃないかということなんですよ。もう一度御答弁いただきたいと思いますが、どうですか。
  117. 堀井学

    大臣政務官堀井学君) 先ほどの答弁の繰り返しとなりますけれども、北朝鮮の核の脅威がなくなることによって平和の恩恵を享受する国などが北朝鮮の非核化の検証のための費用を、必要な費用の一部を負担することは自然な流れ、考えだと思っております。
  118. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、だから、私が申し上げているのは、そもそも造ったのは相手なの。我々が造ってくださいと言って造ったものじゃないですよ。それによって迷惑を被っているのは我々なんですよ。  そこで、副長官に今の話をちょっと聞きたいと思うんですけれども日本は北朝鮮の核開発とか弾道ミサイルで相当迷惑被っているんですよ。日朝平壌宣言にも違反しているわけですね、これ。だったら、IAEAの査察費用などは、仮に日本側が最初に負担したとしても、最終的には北朝鮮からもらうのが筋だと思いますけれども、官房副長官、どうですか。
  119. 西村康稔

    内閣官房長官(西村康稔君) 今、堀井務官から答弁したとおりでありますけれども、必要な費用の一部を負担する用意はあるということを、これはアメリカ側にも伝え、国際社会にも表明しているわけでありまして、その後、どういう形で費用分担をしていくのか、これは今後の国際社会での協議によるということでありますので、日本としてはその用意はあると。まずは北朝鮮を非核化させることが大事でありますので、IAEAの査察が入ることが大事と。それについては、日本として応分の負担をする考えがあるということを伝えているわけでございます。
  120. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、ですから、その後なんですよ。そこはいいんですよ。その後どうするのというの、その金。その金は最終的には北朝鮮からもらわなきゃいけないんじゃないかというのを私は言っているんですよ、これ。当たり前じゃありませんかと。  その弾道ミサイルで、私が計算したところはもう二兆円ですよ、この国は、弾道ミサイル防衛で負担している金額だけ見ても。それだけの迷惑を被っていて、Jアラートでみんな避難したりなんなりしている。そういったことを考えたら、それは当然、最終的には北朝鮮側からもらうのが当たり前なんじゃないか、それが筋というものなんじゃないんですかということを言っているので、その辺りについてどう思われていますか。
  121. 西村康稔

    内閣官房長官(西村康稔君) 二つの段階があると思うんですね。一つは、IAEAが査察に入って、その査察を行っていく。そのためには、それがどのぐらいの規模のお金になるかは、北朝鮮が正確に申告してもらって、全ての核施設を言ってもらって、それに対して、それを全て破棄して非核化していくには、完全な非核化、CVIDをやるにはどのぐらい掛かるかという、その次の段階の議論と二つあります。  まず、IAEAが査察に入ってきちんと調べていく、そのための最初の段階のところについて日本はまずは用意があるということを申し上げております。  ただ、いずれにしても、その費用も、それから、その後、非核化のプロセスが進んでいく、完全非核化していく、これは巨額なお金が掛かるものと想定されますけれども、これについても、いずれにしても、国際社会で協議をして、どのような形で進めていくかということ、費用負担についても議論をしていくことになります。
  122. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうなんですよ。だから、その後の件についてですよ、今で言う二つに分けたという、その後の件についてどういうふうに費用を国際社会で分担し、その中で北に対してどういう請求をしていくかということも考えていかなきゃいけないんじゃないか、それも含めるべきなんじゃないかというのが私の質問なんです。その辺についてはどうでしょうか。
  123. 西村康稔

    内閣官房長官(西村康稔君) 具体的な規模がどの程度になるのかも含めて、これから国際社会で協議をしてまいりますので、しっかりと協議をしていきたいというふうに思っております。
  124. 白眞勲

    ○白眞勲君 協議をすることになりますからしっかり協議するというのは当たり前の答えなんですよ、それは。要は、その後にどういう、北朝鮮に対しても負担させてもらわなきゃいけないよねという、念頭に置いておかなきゃいけないと思うんですよ。  国際社会でどういう結論になるか分かりません。北にそれだけの金があるかどうか、それも含めて、しかし地下資源もあるじゃないかと、どうするんだと、その辺りについてしっかりと念頭に置きながらやるべきなんじゃないか。その辺はどうでしょうか。
  125. 西村康稔

    内閣官房長官(西村康稔君) 過去にリビアであるとか、いろいろな形、各国で行った経験もありますので、そういったことも踏まえながら各国でしっかり協議をしていきたいと思います。
  126. 白眞勲

    ○白眞勲君 では、TPPについてお聞きいたします。  我が国は、TPP12の交渉への参加に当たって、秘密保持契約を結んだ上で交渉に参加したはずだと思います。この秘密保持契約そのものは現在に至るまで公表はされていないということですけれども、この秘密保持契約の内容はTPP12のときから引き続き継承されているのかどうか、この辺の理解はどういうふうになっているんでしょうか、お答えください。
  127. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) TPP11協定ではそのような秘密保持書簡は交わしておらないわけですけれどもTPP11協定は、御存じのとおり、TPP12協定を組み込んだものでございます。その組み込んだ、つまり、条文の大半を占めている、その元々のTPP12協定のこの条文に関することにつきましては秘密保護に関する書簡が引き続き対象になっていると、こういうことでございます。
  128. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、ですから、TPP11はそれを継承しているものだというふうに理解してよろしいんでしょうかと聞いているんです。
  129. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 継承するという意思決定をしているわけではありませんが、12を組み込んでいるので、結果として条文についての様々な経緯等については秘密保持に、秘密保護に係る書簡が引き続き適用されると、こういうことでございます。
  130. 白眞勲

    ○白眞勲君 TPP政府対策本部のウエブサイトには、ニュージーランド政府が公表して、政府もほぼその内容に沿っていることを認めている秘密保持契約のひな形が掲載されているということです。  その要約によると、全ての交渉参加者は、交渉テキスト、各国政府の提案及びそれに伴う説明資料、交渉内容に関する電子メール、その他の交渉の文脈の中で交換された情報については、各参加国は公開に同意しない限りは秘密のものとして保持されるという前提で提供されていることに同意するとある一方、全ての交渉参加者は、TPP協定の効力発生後四年間又は協定が効力を生じない場合は交渉の最後の会合から四年間、これらの文書の秘密のものとして保持される予定であるとなっている。  そうすると、前段の記述は、各参加国が公開に同意しない限り秘密は保持される、しかし、後段の記述は、協定発効から一定の期間、まあ四年と書いてあるんだけれども、交渉過程は原則公開されることにしていると。何かこれどうなっているんだろうなという感じがするんですけど、これ、ちょっと説明してくれませんか。
  131. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) ひな形は公開されておりますけれども、実際に各国が何をどういう形で結んだかというのはこれは全ての国が公表しないということで、日本が交渉参加する前にそういう意思決定がなされたというふうに承知をしているところでございますので、まあ、四年間かどうかはともかくとして、いずれにしても、一定期間、秘密保持するという、そういう契約でございます。  その一定期間が経過した後、じゃ、どういう対応をするかということについては、その時点で締約国で十分議論しようと、こういう形になっていると理解しているところでございます。
  132. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、だから、その後もそうすると、このTPP参加国が公開に同意しない場合は、まあ一定期間と今おっしゃいましたけれども、四年なら四年という期間以降も継続して秘密はそのままなのねということなんでしょうか。その辺りはどうなっているんですか。
  133. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) ニュージーランドのホームページにひな形が公開されたと、日本が交渉参加する前ですけれども、ニュージーランドが注釈を付けていたと思いますけれども、元々、外交交渉、通商交渉についての情報は他国との信頼関係等があって基本的には情報は公開しない、秘匿性というものを重視するんだということが従来の取扱いとしてあって、この秘密保護に関する書簡はそれを確認したものだというふうに、これはニュージーランド自身が解説をしているところでございます。  いずれにいたしましても、先ほど申しましたとおり、これは各国の同意でこの運用を決めるわけでございますので、今後どうするかということについてはその時点で締約国とよく相談をしていくと、こういうことになっていると思います。  ちなみに、TPP12の交渉中においても、必要な情報は適宜開示をするということをやってきたわけですが、いずれもそれは他の国とよく相談しながらやってきたということでございます。
  134. 白眞勲

    ○白眞勲君 ということは、要は、それから後もまた話をいろいろして決めようねということで、どうなるか分からない。  そういう中で、新規に加入したいという国、今も話題になりましたけれども、いろんな国々がやろうかと考えている。そうすると、今までの交渉経緯などをチェックしたいといった場合にこの秘密保持契約との関係はどういうふうになっているんでしょうか。
  135. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 新規加入、まずは、その加入を希望する国に対してどういうような形で調整をするか、正式に加入した後どういう形で接するかということについて特段の取決めがないので、午前中申し上げたとおり、これから発効までの間に各国とよくそこは詰めていきたいと。来月の首席交渉官会合でも十分そこは話題になるところだと思います。
  136. 白眞勲

    ○白眞勲君 ということは、話題になっているとか、まだ決めていない、詰め切れていない。そういう中で、今、さっきもあったんだけれども、各参加国が公開に同意しない限りという話と、一定期間秘密を保持する、これ、各国が公開に同意しないということは、十一か国の中でもう一か国でも駄目だと言ったら未来永劫駄目になっちゃうんじゃないかと。  そうすると、この一定期間との関係、これどうなっているんだろうなと、私はすごい不思議でしようがないんだけど、この辺ちょっと説明してくれませんか。
  137. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 日本TPP12の交渉に参加した後、例えば首席交渉官会合の日程と場所、これは一切公にしないというのが、日本が入る前にそういう運用であったわけですけれども日本が交渉に参加した後、日本が他の十一か国を説得をして、首席交渉官会合がいつあるかと、私どもが出張すると新聞記者が付いてくるものですからどうせ分かるわけなので、そこは公表しましょうと。で、日本としては、毎日毎日記者会見していく、首席交渉官会合でどういう議論がされたかという概要は公表しますということを申し上げて、それは理解を得るのにかなり苦労、私は大変苦労したんですけれども、十一か国を説得したということでございます。  したがいまして、今後、あり得るべき情報提供の仕方、コミュニケーションの仕方等について各国とよく十分議論していきたいというふうに考えております。
  138. 白眞勲

    ○白眞勲君 情報提供の仕方についても各国と十分議論していきたいということですが、ここでもう一回西村内閣官房長官にお聞きします。  内閣府副大臣当時、その後撤回はしましたけれどもTPP協定の条文案については、米国の連邦議員と同様に国会議員への閲覧を検討する考えを示していらっしゃいました。当時の発言の真意は何なのか。  そして、もう一つは、今はもちろん御退任されて官房副長官になられたわけですけれども、国会には交渉過程の情報というのはほとんど提供されていないまま、最終的に協定は承認されていると。西村副長官は、副大臣当時の平成二十七年五月十三日の答弁において、我が国我が国の制度を前提とした対応を行うことが必要でございまして、今後どのような情報提供の工夫ができるか、ちょっと途中省略しますけど、引き続き検討したいとおっしゃいました。そうすると、検討したんですか、その後。どういうふうに、何か引継ぎやられました。
  139. 西村康稔

    内閣官房長官(西村康稔君) 御指摘のとおり、二十七年五月に、私が内閣府副大臣TPP交渉を担当しておりましたときに、詳細の情報開示に関して、相手国との信頼関係など一定の制約がある中で、今の秘密保持契約など一定の制約がある中で今後どのような形で情報提供の工夫ができるか、これを検討していきたいという趣旨の発言をしたところでございます。  その後、政府として、もちろんこの点も含めて、後任の高鳥副大臣には、TPPの業務、今のことも含めて全体しっかりと引き継いだところでございますけれども、その後、政府としてTPPの情報提供に関してできる限りの対応をしてきているものというふうに承知をしております。  例えば、もちろん各委員会の要請に応じて理事会の場で委員の皆様方に対して丁寧な説明を行ってきており、また、交渉中の公表テキストの概要を用いて一般国民向けの説明会も開催しているところというふうに承知をしております。さらに、同年十月のTPP協定大筋合意後も、直ちにどの国よりも詳しく協定内容について資料を公表したところであります。  現在審議中のTPP11についても、工夫しながら丁寧に情報提供、説明を行ってきておると承知をしておりますし、引き続き丁寧に説明を行っていく考えであります。
  140. 白眞勲

    ○白眞勲君 政府の言う丁寧というのは、丁寧、丁寧、丁寧と言いながら中身は申し上げられないという丁寧さなんですよ。そういうことだけ申し上げたいと思います。  農水省にお聞きいたします。  これ、もう何度も何度も言っているので、私がもう最初の本会議から言っていたやつですよ。いまだに分からない。胃袋四つないよというやつですよ。  私の家に入っていた新聞の折り込みチラシにはこう書いてある。昨日一日限りということで、豪州産アンガスビーフ肩ロース百グラム当たり百九十八円と大きく出ていたんですよね。これ、TPPで例えば三割下がったとすると、百三十九円になっちゃうんです。やっぱりこれ買いますよ、これは。百グラム百三十九円ですよ。(発言する者あり)安い。自民党席からも安いという声があった。やっぱりそれは買いますよ。あら、うちの子供にこれだったらたらふく食わせられるわねってなるわけですよ。やっぱり輸入量増えるに決まっているの。当たり前じゃありませんか、これ。いや、国産の品目も下がるからいいんだといったって、やっぱり買いますよ。やっぱり買いますよ、財布と相談して、ということ。  もう一つは、今まで国産牛じゃないとなかなかねという人たちも、これだけ安いんだったら買ってみようかしらという部分も出てくる。そういう部分も含めて、これ一言、副大臣、どうですか。
  141. 谷合正明

    ○副大臣(谷合正明君) 度々御質問いただいている件でございますけれども、まず、農林水産省の影響試算でございますけれども、これ、国境措置の変更に対する農林漁業者の方々の不安を解消することが重要であるという観点から、輸入品が国産品に置き換わり得るかどうかという観点でお示ししたものでございます。  六月十四日には礒崎副大臣からも御答弁させていただいておるところでございますけれども、重要品目を中心に関税撤廃の例外をしっかり確保して、国家貿易の維持、また長期の関税削減期間等も獲得したという大筋合意の内容も踏まえて、そして、政策大綱に基づく国内対策によってコストを下げる努力、品質を良くする努力を行うことによって日本の農業の競争力も上がっていくことを評価した上で試算を行ったということであります。国産品の価格低下により生産額減少は生じるんだと、しかし、国内対策を講ずることで生産所得が確保されて国内生産量が維持されると見込んだということなんです。  競合するものについては、我々の影響試算でもその関税分が引き下がるという前提で計算をさせていただいているわけでございます。そうした中で、一つ一つ、三十三品目の個別の品目を計算して、国内対策も加味した上で、置き換わらないという結論を出させていただいたということです。  なお、一般論においては、また関税削減等による価格低下が生じれば国内需要が増えるということも考えられますので、輸入が増加する可能性はありますが、これとて全部が輸入品かどうかということも、はっきりとは、定量的にはなかなかお示しすることは難しいというふうに考えております。
  142. 白眞勲

    ○白眞勲君 終わります。
  143. 相原久美子

    相原久美子君 立憲民主党・民友会の相原久美子でございます。  先日に引き続きまして質問をさせていただきたいと思いますが、相当重なる部分が、他の委員との重なる部分があるかと思いますけれども、恐らくそれは皆さんもなかなか理解していないがために重ねて質問をするんだというように是非受け止めていただければと思います。  まず、TPP11の第六条でございます。  各委員の皆さんが懸念して指摘してきたことでございますけれどもアメリカが離脱したにもかかわらず、どちらかというと希望的観測で輸入枠がそのままである。これ、当然、最大の輸出国であるカナダなど、先ほど田名部委員がお示しになっておりましたように、これはやったというような形の声になるんだろうと思います。しかも、アメリカは今、日本との二国間協定を望んでいるという報道もあります。  アメリカとの関係、あくまでもTPP復帰以外は考えていないということでよいのでしょうか。また、今後、アメリカの通商政策の動向を見据えて、協定の改正ですとか関係する事項の検討のために運用の見直しなどを求めると理解してよいのでしょうか。
  144. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) まず、四月のマーラ・ラゴでの日米の首脳会談におきまして合意をされました、自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議、FFRと呼んでおりますが、これは、日米間の貿易や投資を更に拡大させて、公正なルールに基づく自由で開かれたインド太平洋地域を実現するための方策について日米間で議論するものであります。これから協議を始めるところでありまして、今の段階で協議内容を予断することは差し控えたいと思いますが、日米両国が日米経済関係及びアジア太平洋地域の発展にいかに協力していくか建設的な議論を行い、レシプロカルでありますから、日米双方にとって利益となるような成果を目指していきたいと思っております。  一方、TPP11でありますが、これ昨年の一月二十三日にアメリカTPPから離脱を表明をすると、その後、残った十一か国でどうするかと協議を始めまして、三月の段階で、これは十一か国であってもこのTPPを進める意義そして効果は極めて大きいということで結束を確認して、TPPのハイスタンダードを維持しながら早期に合意をしたいということでありまして、基本的にはマーケットアクセスの部分、ここについては触らずに、ごく限られた知財であったりとかそういった項目、二十二項目でありますけど、最終的にはそれについて凍結を行うということで合意をしたわけでありまして、そこの中でのTPP協定の六条では、米国を含めたTPP協定発効する見込みがなくなった場合等には締約国の要請に基づいて協定の見直しを行う旨規定をしている。今の段階でTPP12が全く発効しなくなったとも発効するとも断言しているわけではなくて、両方の可能性は現実に残っているわけでありますから、そういう形を取っております。  これは、例えば米国の通商政策、この新たな動向などを踏まえて判断することになりますけれども、十一か国ある中で、締約国の一か国だけでも、日本だけでも要請をすれば見直しが行われる、こういう規定になっております。
  145. 相原久美子

    相原久美子君 文書交換をしていないとかいろいろとございましたけれども、これは議事録に残っておりますので、是非そういう姿勢でやっぱり見直しを、アメリカが復帰をしないという状況のときの、やはり状況は変わるということで、是非その構えで交渉に臨んでいただければと思います。  それで、これはもうずっと皆さんが指摘されていまして、今も指摘がございました。農水産物における影響評価でございます。先ほど、谷合副大臣から不安を解消するためにという答弁がございましたけれども、全然不安が解消されていないんですね。そして、恐らく生産者の皆様からもそういう声が上がっているということで、どうしても私たちはこの部分を再度お伺いしなきゃならないと思うんですね。  単純に考えまして、国内政策を打つことで九百億から千五百億円の影響が出るということでございました。だとすると、この国内政策を打たない場合の影響額というのは幾らくらいになるんでしょうね。  私、やっぱり通常の場合、自分のうちのお財布を考えても、まあ物が入ってくるということによる影響とか、例えば、子供が何年生になったらこういう出費があるわとかというのって、恐らく計算するだろうと思うんですね。そういうときに予測が付かないことってたくさんあるんだと思うんです。例えば、自分の子供が大学行くという予測を立てました。このときに、まあ学資貯金をしているから安心だわと言っていた。でも、十年後、その予測は狂ってしまった。学費はどんどん上がっていった、家計の収入も落ちてきた。あり得るんじゃないかと思うんですね。  ですから、私は、結果としてこういう、それ、この例えで言っちゃうと多分前回御説明いただいたところに、どつぼにはまっちゃうかなと思うんですが、そのときに対応しても遅いということになりかねないわけですけれども、でも、やっぱり対応策というのは、大体どれくらいの影響が出るからこういう対策を打つ、でも、結果としてその対策で間に合わないこともあるということでの見直しというのは必要なんだと思うんですけれども、なかなか今回のような政府のこの試算部分については理解ができないんです。もうちょっと単純にちょっとお示しいただければなと思うのですが。
  146. 上月良祐

    大臣政務官(上月良祐君) この農林水産物への影響試算につきましては、現実に起こり得る影響試算すべきものだというふうに我々は考えておりまして、そういう意味では、協定自体の発効に加えて国内対策の効果も併せて考えるという考え方でお示しをいたしているところであります。    〔委員長退席、理事藤川政人君着席〕  今、相原委員からいろいろと御指摘がありました。先ほども矢田委員にお答えをしたんですけど、国家貿易の仕組みを残したり、あるいは、一番重要なのはやっぱり長期間の期間を取っていると、十年以上、長いものでいうと二十一年取っているわけであります。農業は、きちっと対策を取っていくのも、やはりすぐに変われといっても変われない部分もありますので、きちっとそういうふうに期間を取っている。きちっとセーフガードも張っております。さらに、まだまだ足りないというお声は真摯に受け止めますけれども、相当程度手厚い対応をしていることも、これは事実なんでございます。  その上で、さらに、このTPP等関連政策大綱の中で、ここ大変重要なんですけれども、これは委員の今御指摘の中にもありましたように、しっかり実績を引き続き検証していくんだということでありまして、そして、それを踏まえて所要の見直しを行って必要な対策を取っていくんだと、そういうセットのアプローチにしてあるんです。一回言ったからそれで終わりではなくてですね。  それぞれの作目ごとに、それぞれの品目ごとに影響の出方ももうばらばらに違ってくるわけです。長い時間を掛けて少しずつ関税が削減されていくというようなものも多いものですから、その対応をしっかりやることで、額のところはこれはもう仕方がない面があると思っているんですけれども生産についてはもう何としてでも守れるような対応をしっかりやっていくと、こういうような意味で今の試算を公表させていただいているということでございます。
  147. 相原久美子

    相原久美子君 もちろん、長期的な形で、関税も段階的なものもあるでしょうし、そういう意味では本当に時々にきちっと検証していかなければならないというのは分かるんですけれども、ちょっと出だしから少し私は理解がなかなかできなかったんですね。    〔理事藤川政人君退席、委員長着席〕  そもそも農水産物生産額影響というのが、政府TPP協定と日・EU間のEPAにおける影響を別にしているわけですよね。これ、現実には、両方が発効するということになりますと、輸入物はこれ国内で競合するという状況になってくるんだと思うんですね。そうすると、これ、単純に合計したものとはやっぱり異なってくるのではないかなと、影響額は。その辺はいかがなんでしょうか。
  148. 上月良祐

    大臣政務官(上月良祐君) TPP11と日EU・EPA影響試算につきましては、それぞれにまずはきちんと説明をする必要があるということから、それぞれの協定ごとに、何というんでしょうか、もう一方がない場合を含めてですね、含めてといいますか、一方がない場合と比較した影響試算をそれぞれにお示しをした形にしております。  両協定を併せた総合的な試算というのは現在行ってはおりませんけれども、あえて申し上げれば、もちろん今委員から御指摘がありましたように、輸入をするとした場合のこちらの、何というんでしょうか、胃袋は一つであるということからしますと、もちろん足したものよりは小さくなるんだと思っております。  日・EUはまだ未署名でもありますので、今はTPP11の影響に基づいて議論をさせていただいておりますので、その後になれば、また政府全体の考え方の中で我々もしっかり対応していきたいと思っております。
  149. 相原久美子

    相原久美子君 当然のことだろうと思います。  やはり、これ、先ほど熊野委員もちょっと指摘をされておりましたし、それから田名部委員指摘されておりましたけれども、チーズとか何かはどこが強いのかとかいろいろあるんだと思うんですね、国によって。そう考えますと、結局、このTPP11のみならず、日・EUのEPAも相当にやっぱり影響してくるということによって計算が変わってくるだろうと思いますし、対応策もやはり変わってくるんだろうと思うんです。是非、その辺は本当にしっかりと対応をお願いしたいと思います。  それから、TPP等の関連予算について伺いたいと思いますが、政府は二十七年度の補正予算から三十年度の予算までで約一・七兆円をTPP対応ということでの計上をしてきておりますが、この一・七兆円掛かる施策というのはどのようなものがあるんでしょうか。それから、また今後、今お話ししましたように、TPP11それから日EU・EPA、これの発効で更なる予算措置が必要になるのではないか。これは多分それぞれの省庁によってもまた出てくるんだろうと思うんですけれども、その辺の検討というのは今後どうされていくのか、お願いします。
  150. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、総合的なTPP等関連政策大綱を実現するための予算という形で、私ども内閣官房の方で整理をした各省の予算、先生御指摘のとおり一兆七千億余でございますが、そのうち、農林水産関係が九千七百億円余りということでございます。  政策大綱に掲げられた施策、二種類ございまして、今やっておりますような二本柱でございまして、中小企業なんかの海外展開の支援、総合的なコンソーシアムをつくって一体としてワンストップで支援をしていく、こういう施策と、それから、農林水産業体質強化、これは発効前からやる必要があると、そういうものでございます。  それに加えまして、発効した後必要となるものは農林水産業のいわゆる経営安定対策と称するものでございまして、例えば米につきましては、TPP等が発効した場合はそれによって国別枠で輸入が増えますので、増えた分は備蓄米として国産米をその分量、全量買い取ると。先ほどの矢田先生で言うとパターン二になるわけだと思いますけれども国内市場の影響を完全に遮断するというそういう対策を掲げておりますので、それは輸入量によって毎年の予算は変動するという形でございます。  それから、牛肉と豚肉の経営安定対策として、いわゆるマルキン、法制化するとともに補填率を引き上げるということでございますけれども、これも実際の経営状況等によって実際の額が変わってくるんだと思いますけれども、そういう形で、実際の発効後は主として農林水産業の経営安定対策が従来からやっておった体質強化対策に付け加わると、こういうふうに考えているところでございます。
  151. 相原久美子

    相原久美子君 是非、必要な予算は、影響が出る部分に対して対策を打たなきゃならないということで、私どももしっかりとここの部分については要請もしていきたいと思いますが、是非本当に十分な対策を取っていただけるようにお願いしたいと思います。  さはさりながら、関税に関わる収入がなくなるとか、国家予算はどんどん厳しくなるという状況でございますので、めり張りのあるというところが必要かと思っておりますので、是非我々も予算に関して今後考えていきたいと思っております。  それから、食の安全の観点からなんですが、先ほど熊野委員からの検疫体制の部分について質問がございまして、確かに輸出をする中小企業にとっては時間の短縮ということでのメリットはあるかと思うのですが、逆に言えば、輸入する側、我が国ですね、現在の検疫通過平均九十二時間と言われています。TPPの場合、原則四十八時間以内に国内に流通させると。このような事態に対応する施策も必要かと思いますけれども、いかがお考えになっているか。  それからまた、前回も指摘させていただいたんですが、食料自給率ですね。私たちは本当に考える必要があるかと思うんですね。命を守る役割とともに、農地というのは環境保全に大切な役割も果たしています。このまま離農者が増えて耕作放棄地が増えていくことは、国土保全の意味からも決して良い状況とは言えないだろうと思っております。  政府として、農業政策が農家を守ることばかりでなくて、農地の多面的役割が国民生活を守ることにつながっているということを大々的に周知する必要が今まさにあるのではないかと思っておりますので、その辺についてのお考え方も知りたいと思います。
  152. 高木美智代

    ○副大臣高木美智代君) それでは、まず輸入食品の安全性につきまして申し上げさせていただきます。  この輸入食品の安全性確保は、食品衛生法に基づきまして、三段階で対策を実施しております。すなわち、輸出国段階、また輸入時の水際段階、そして国内流通段階となっております。特に、水際段階におきましては、輸入事業者に対して、輸入前の事前相談に対応するほか、輸入の都度、届出を義務付けておりまして、検疫所ではこれに基づき審査を行うとともに、違反リスクに応じて検査を行っているところでございます。  今後の輸入食品の増加の可能性を踏まえまして、一つは、添加物や農薬等の多様化に対応するための分析技術研修などを実施することによりまして、検疫所職員の資質の向上、また輸入届出の審査や検査に必要な職員、そしてまた分析機器の最新機器への更新も必要ですし、そうした検査機器の確保など、適切な監視指導を徹底するための体制の整備に加えまして、さらに事前に違反食品の輸入を防止する効果が高いと考えております輸入前相談の充実を図ることとしておりまして、引き続き、輸入食品の安全性の確保に万全を期してまいりたいと思っております。  また、先ほど四十八時間というお話がございました。TPP協定におきましては、可能な限り物品の到着後四十八時間以内とされておりますが、輸入の要件が満たされない場合まで、物品の到着後四十八時間以内に物品の引取りを許可することを求めるものではないと考えております。このため、食品衛生法に基づく審査や検査などを実施した結果、到着後四十八時間を超えたとしても、協定に違反することはないと考えております。
  153. 上月良祐

    大臣政務官(上月良祐君) 農業は、食料供給の機能以外にも、農村で農業生産活動が行われることを通じて様々な機能を発揮をいたしております。委員が御指摘ありましたように、多面的機能、大変我々は重要だと思っておりまして、例えば、雨水を一時的に貯留することにより洪水発生を防止する洪水の防止機能でありますとか、地すべりや土砂崩壊などの災害を防止する土砂崩壊防止機能でありますとか、土壌の浸食、流出を防止する機能でありますとか、河川の流況を安定させる機能でありますとか、地下水の涵養とか、様々な機能があるわけであります。  また、大切なことは、この多面的機能というのは農業生産活動がきちっと行われることにより生じている、守られている機能だということだと思っておりまして、そういう意味でも、我々、事業で下支えできるところはやりながら、きちっと農村における農業生産活動が続いていくようにしっかりやっていく必要があると思っておりまして、今、委員指摘がありましたように、そのことをちゃんとPRしなさいということはよく頭に置いて、折に触れてしっかりそれはPRもさせていただきたいと思います。
  154. 相原久美子

    相原久美子君 ありがとうございます。  今、人員体制のことでお話ございました。先ほども指摘された委員がいらっしゃったわけですけれども、今なかなか公務員の定数の問題で非常に厳しいというような人事局のお話もございましたけれども、事やはり食品の輸入に関しましては、私はやっぱり国民の安心、安全の担保になるものだと思っておりますので、是非力を入れてここの部分の人員確保をお願いしたいと思っております。  それから、雇用分野についてお伺いしたいと思います。  TPP協定発効による雇用分野は、安倍総理のお話によりますと、雇用については四十六万人の雇用創出が見込まれると答弁をされていました。どの分野で増えるのかお伺いしたいと思いますし、また、現状では労働力不足が予測されることによって、外国人労働者の受入れなども議論をされてきています。先日の私の質問の中にも入れさせていただきましたが、なかなかここが低賃金労働の状況にあるということで、それがやはり広まっていくことによって、結果、国益にはかなわないという状況になりかねないものですから、この辺についての観点もお伺いしたいと思います。
  155. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 先ほども御答弁申し上げたとおりでございまして、GTAPのモデルを使って試算したわけでございますが、貿易、投資が促進することで所得向上してGDPが増える、その結果として賃金が上昇する、実質賃金が上昇すると、〇・八という弾性値を使いまして、その分労働供給が増えると、こういう試算をしているところでございます。  GTAPというモデルは完全雇用モデルでございまして、これはマクロ経済上の一定の仮定に基づく試算なわけですけれども、したがいまして、完全雇用でありながら労働供給が増えるということは、今まで働いていなかった人が賃金水準が上がるということに伴って働き始めると、こういう想定を置いているものでございます。  賃金が上がると、これ経済学的に二説ありまして、所得効果、代替効果とあって、賃金が上がるから働き始めようという人と、賃金が上がるならその分余暇に回そうという、この両方の説があるようでございますが、日本の場合、実証研究を踏まえて〇・八という弾性値を置いて、労働供給が増えるという、そういう前提で試算をしているものでございます。  したがいまして、これは従来働いていなかった人たちが新たに市場に参入するということであって、それがどういう賃金の人なのかとか、あるいは外国人なのかという、そういうことで特段の想定を置いているものではございません。ただ、TPP発効後の世界は、モデル上は今より豊かな世界というのを想定しておりますので、当然賃金水準は今より上がっている、こういうことでございます。
  156. 相原久美子

    相原久美子君 本当にバラ色の世界になるとよいのですが、様々な方たちがいろいろな方面から指摘をされているこの課題をクリアしなければバラ色の世界は来ないということになります。  そして、私たちは次の世代にやっぱり責任があるわけです。ですから、我々がこのTPP発効に懸念のある部分について明らかにしていかなければならないという、この思いを是非受け止めていただければと思います。  野上さんにお伺いしたいと思うのですが、前回の私の質問で、いわゆる経済財政運営と改革の基本方針、新たな外国人材の受入れということで、これ、女性活用のときからもうずっと我々は思いがありまして、冗談じゃないと、人間を活用なぞという言葉で使ってはほしくないと、そういう思いがあったわけです。労働者は、これは外国人であろうと国内人であろうと、やはり言葉というのは、人権を重んじる国としてやっぱり適切な使い方をするべきだというように思っております。  前回、ちょっとお答えが違う、外国人労働の部分にのみ行っていたものですから、この言葉の使いようというのを、今後様々な文書等々も作られるかと思いますけれども、やはりしっかりとこれは、失礼のないようにということばかりではなくて、我が国としてやっぱり人権尊重の国であるという思いを是非受け止めていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  157. 野上浩太郎

    内閣官房長官野上浩太郎君) 委員指摘の外国人材の活用という表現については、今月十五日に閣議決定しましたいわゆる骨太の方針二〇一八において、観光立国の実現等の項目で外国人材の活用を推進するという表現を使用しております。  一般に、人材とは才知ある人物、役に立つ人物という意味であり、活用とは生かして用いるという意味であると承知をしておりますが、今回の骨太の方針における表現について、政府としましては、有能な外国人の方々の能力を十分に生かしていただけるよう、雇用や生活においての受入れ環境を整備するなどしてその受入れを推進していきたいと、こういう趣旨で用いているものであります。  我が国には、就労、勉学等様々な目的で外国人の方が在留されておりますが、その方々の人権が保護されなければならないのは当然のことであるというふうに思います。  いずれにしても、政府としては、新たな外国人材の受入れに当たっては、人権尊重の観点を踏まえ、我が国でその能力を十分に生かして就労していただけるように、受入れ環境の整備等しっかり行ってまいりたいと考えております。
  158. 相原久美子

    相原久美子君 まだまだ幾つか投げかけていたのですが、時間がなくなりましたので、またの機会にさせていただきたいと思いますが。  最後に、私、皆さんが、能力のあるとか、それから意欲のあるとかとおっしゃる、この意味合いがどうも好き嫌いで言うと好きではありません。なぜなら、農業に携わっている方も林業に携わっている方たちも、皆さんまず生活権を得るためにということで働いていらっしゃる。そして、それでいいとされている方もいらっしゃる。競争しなくてもいい、世界のひのき舞台に出なくてもいいと思っている方もいらっしゃる。そういう方たちの生活を守るためにも政治はあるのだと。勝つためだけではない、そんな政治を望んでいきたいと思っております。  終わります。
  159. 田村智子

    ○田村智子君 日本共産党の田村智子です。  私は、前回の続きからやらなければならないんですね。TPP協定第六条の協定見直しについてと。  第六条は、アメリカTPP離脱が決定的になった場合に見直しができるとしています。アメリカ抜きのTPP11でありながら、これまでもありましたとおり、日本政府は、牛肉や豚肉の輸入量が急増した際に発動するセーフガードの基準さえも、アメリカからの輸入を見込んだTPP協定の基準のままに合意をいたしました。  このことを何度もいろんな委員会で問われて、茂木大臣は、アメリカの離脱が決定的になればセーフガード発動の基準も見直しの対象となるんだと、なぜなら私が繰り返し発言したからだと、日本側が繰り返し発言し、私も閣僚会議で発言したからだというふうに答弁を繰り返されました。  じゃ、どういう発言したんですか、他国代表の発言はどうだったんですか、そう聞くと、今度は正式な議事録はないと。でも、大臣の発言原稿や日本側のメモはあるでしょうというふうにお聞きをすると、繰り返しお聞きしても、大臣はメモの存否さえも明らかにはされませんでした。  そもそも、日本側も他国政府も、交渉当事者がずっと同じポジションで仕事をするということはあり得ないわけですよ。ですから、それぞれの国の発言の記録がないという状態では、これ日本政府の中でも一体どうやって引継ぎをされるおつもりなのかなというふうに思うんですが、いかがですか。
  160. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) まず、TPP11協定の第六条でありますが、アメリカが云々というよりも、このTPP12が発効することが見込まれる若しくは発効する見込みがなくなった場合にどうするか、このことを規定した形になっております。それで……(発言する者あり)そうおっしゃったので、そのように確認をさせていただいているところであります。  その上で、昨年十一月八日からのベトナムのダナン会合の件について御質問ありましたので、これ、大筋合意に向けて、長時間にわたります緊迫して複雑な調整が予想されて、各国の主張も状況を見つつ変わってくる性格のものでありました。また、会議も、閣僚会合をずっと開いているというよりも、閣僚会合の途中にショートブレークを入れる、そして、バイの会談で利害関係国と調整してまた全体会合を再開すると、様々なプロセスを経る、そういった閣僚会合でありました。  実際、二日目の夕方から夜半までに及びました閣僚会合で、一旦大筋合意したものが御案内のとおりカナダによって翻って、その次の日、十日の夕方から五時間以上掛けて一項目ずつ確認をして改めて大筋合意に至ると、こういう、言ってみますとシナリオのないドラマと、こういった閣僚会合であったわけであります、実際に。  その際に、議事録を作成すると各国間の事前合意も成りませんでしたし、実際にも相当長時間にわたります調整、協議の内容を各国の確認を得て作成したものはございません。三日間十六時間に及びます会合の最終的な成果でオープンにしているものは合意文書の形で反映をされているところでありまして、ダナンにおける合意文書は閣僚声明の附属書のⅠとⅡとして公表いたしております。これが実態でありまして、通商協定、これは最終的には合意されたものが全てであると考えております。
  161. 田村智子

    ○田村智子君 だから、その中で、セーフガード発動基準の見直しがこういう場合に行われますなんという約束事の文書はないじゃないですか。しかも、それだけ今大臣が言われたような難しくて複雑で何度にもわたる協議だったら、なおのことメモが残されて日本政府の中で引き継がれなかったら主張することができないじゃないですか。そういうことを聞いているんですよ。複雑な交渉をまとめられたという御努力は、大臣なりの御努力を別に否定しません。それだけ複雑だったら記録が必要でしょうと聞いているんですよ。  仮に、セーフガードの基準についてTPP11の交渉の過程日本側の方が見直しをそもそも求めていたんだと、ところが他国から異論が相次いだのでまとまらないと、それじゃ分かったと、セーフガードの基準はそのままにするけれどもアメリカが決定的にもう入ってこないと分かったらもう一度協議をお願いねと、仮にこういう交渉過程があったのならまだしも、日本側が見直しを元々主張していたと、違うじゃないですか。報道を見る限り、日本側はそもそも見直しとかほとんど何も求めずに、できるだけ早くTPP12の形のままでの発効というのを求めていたという報道ばかり私たちは接しているわけですよ。  じゃ、セーフガード発動の基準について見直しが必要だということを主張されたということですか、TPP11の交渉の過程で。
  162. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 午前中から答弁をさせていただいておりますが、TPP11、どういった形で協議をして合意に至ったかということでありますけれど、昨年の一月二十三日にアメリカTPPから離脱をすると、(発言する者あり)聞いてください。そこの中で、十一か国はどうするかということについて三月に協議をいたしまして、米国が離脱をしてもなおこのTPPを実現する意義そして効果は大きいということで、TPPのハイスタンダード、これを維持しながら早期に合意をしたいということでありまして、基本的にはマーケットアクセスの部分は触らないと、その部分についてはTPP12を組み込むという形にして、最小限の凍結項目、知財を含めた二十二項目について最終的には凍結ということになったわけでありますけど、そういう合意をしたわけであります。  日本だけではなくて、TPPワイド枠、これについて要望を持っている国はあるわけでありまして、それにつきましては六条を規定しましょうということを言いました。そして、箱根会合以降、数次にわたります首席会合、交渉官会合のたびに、また各国のNC、首席交渉官が日本を訪日したり首席交渉官が会うたびに、日本の立場も、また相手国の立場もあります、そういった主張をさせていただいて、日本がこの六条についてどのような要請を持っているかということについてはしっかり各国の理解が得られていると。  そういった理解を踏まえて、ダナンの会合におきましては、私から、確認の意味も含めて、累次御報告申し上げてきたような内容につきまして閣僚会合で説明をさせていただいた。そのときは共同議長をやっておりましたけれど、共同議長の立場からこの場は離れて、日本の閣僚として発言をさせてもらいますということでその趣旨の発言をして、各国からも異論がなかったということでありまして、この六条につきましては、各国がそれぞれの要望を持っている、そして日本の要望につきましても十分な理解が得られていると、そして、このTPP11協定合意に至ります過程で各国の間では強力な信頼関係ができておりますので、その信頼関係に基づいて、見直しが必要な場合はしっかり見直しが行われるものと考えております。
  163. 田村智子

    ○田村智子君 かなり我慢強く聞いたんですけれども、セーフガード発動基準の見直しが必要だということを日本側が主張したのかと聞いたんですよ。
  164. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 先日発言させていただいたとおり、きちんと発言をいたしております。
  165. 田村智子

    ○田村智子君 いや、先日の発言の中でそういう発言はなかったと思うので改めて聞いているんです。  セーフガード発動の基準の見直しが必要だという主張はされたんですね。
  166. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  167. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 速記を起こしてください。
  168. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 二十六日の委員会で私が答弁した内容を改めて確認をさせていただきますと、新協定六条を発効する必要が生じた場合、我が国としては、TPP全ての締約国を対象とした関税割当て数量及びセーフガード措置の発動基準を見直す、このように答弁をさせていただいております。
  169. 田村智子

    ○田村智子君 微妙に擦れ違っているような気がするんですけど、その交渉のときに、そもそもTPP11の協定の合意事項でセーフガード発動の基準の見直しをして協定を結ぶべきだという主張を交渉過程の中でされたのかというふうに聞いているんです。
  170. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 先ほど申し上げたように、TPP11協定をどう進めるかということにつきましては、昨年一月の二十三日に米国TPPから離脱を宣言をする、そういった中で、残り十一か国は今後どうしていくかということにつきまして協議を行いまして、米国抜きでも、TPP、これを進める意義、これは非常に大きいということで、TPPのハイスタンダードを維持しつつこれを早期に実現することが重要だということで、TPPのマーケットアクセス部分については基本的には触らずに、ハイスタンダードを維持しつつ早期に合意をするという形の中で協議を進め、合意に至ったものであります。
  171. 田村智子

    ○田村智子君 触らないという協議をもう最初からやっていたということじゃないですか。  じゃ、もう次、聞きたいことがまだありますので、それじゃ、アメリカTPPから完全に離脱でTPPそのものの発効が見込みがないと、こういう判断基準についても確認したいんです。  具体的に、どういう場合に第六条で言うもうTPP発効しないという判断になるんですか。
  172. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 済みません、おとといも御答弁させていただきましたけれども、元々こういう懸念があるのは、アメリカの通商政策の新しい動向によって、TPPワイドの今の枠、これが現在の割当て枠を超えるようなことになると、そういう懸念。つまり、TPPの別枠でまた新しい枠が、また新しい数量分が出てしまうということになるとそれは非常に困るというのが元々の関係者の懸念であったわけでございまして、そのような懸念が現実のものとなる可能性が非常に高いと判断される場合、これは日本が判断すれば締約国の一人として第六条発動するということでございますので、そういうことでございます。
  173. 田村智子

    ○田村智子君 具体的にと聞いているじゃないですか、具体的に。  どこかの答弁で、TPP参加国とアメリカとの二国間交渉、これがもう合意なのか始まったときなのか分かりませんけど、こうなるとTPPとは別の交渉で別のことが決められていくから、これはもう完全にアメリカは戻らないと、TPP発効しないという判断になり得るというような答弁を読んだ覚えがあるんですけれども、この理解でよろしいですか。
  174. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 確かに別な場所の答弁で、例えば米国TPP諸国と個別に貿易協定交渉を始めるなど、通商政策の動向を踏まえ、米国を含めたTPP発効する見込みがなくなった場合等と、これを一つの例示として答弁しているところでございます。  ただ、例えば、これ全くの例えでありますけれども、新しい貿易協定といっても、投資に関するものだけであれば例えば乳製品の枠はおよそ関係ないわけでございますので、先ほど申しましたとおり、それに加えて、実際にTPPの枠数量に影響を与えるという、そういう懸念が現実のものとなりつつある、こういう場合に判断するということでございます。
  175. 田村智子

    ○田村智子君 そうすると、これ、どこかって非常に難しいと思うんですよ。交渉が長期化、例えばTPPの参加国と、日米でもいいですよ、交渉すると。だけど、たとえ交渉で、具体的にその交渉が始まっていったとしても、いやいやまだ例えば牛肉とか豚肉とかそういうことが合意になっていないんだからこれは違うというふうになっちゃったりとか、ほかの国だっていろんな考え方を持ち出す場合がありますよね。  一体どこでこの見直しということができるという判断になるのか。これ、どんな合意になっているんですか。
  176. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 合意といいますか、第六条は、元々締約国が第六条の発動、一つの締約国ができると。恐らく通商協定の中ではかなり異例な規定だと思いますけれども、一義的にそれを要求する締約国がまず判断するということでございます。そこは各国にも説明をして、第六条の規定ぶりから見ても、そこは十分理解されたというふうに考えております。
  177. 田村智子

    ○田村智子君 いや、理解されていないんじゃないかと本当に思うわけですね。  大臣がずっと繰り返し御答弁になっているように、相当難しい協議であった。しかも、この見直しができるぞというその判断基準も極めて曖昧と言わざるを得ません。それなのに、何の議事録もないと、日本側でいえば、メモも私たちに存否も明らかにしないと。これ、非常に私、無責任だと、こう言わざるを得ないです。  例えば牛肉ですよ。輸入量の推移を見てみれば、BSE問題でアメリカ産の牛肉の輸入が規制をされたら、途端にオーストラリア産の牛肉が大きく伸びて置き換わったわけですよね。TPP11で低税率の牛肉、豚肉の輸入米国抜きで始まれば、当然米国産からの置き換えをカナダ、ニュージーランド、オーストラリアなどが狙うのはこれ明らかです。一方で、BSE問題とは異なるわけですから、アメリカ側からの輸入を規制するわけでもないわけですよ。当然、トランプ大統領は自国の貿易赤字を重大問題としているわけですから、牛肉などについても対日輸出をより増やそうというふうにしていくことはこれまた目に見えているわけですよ。  TPP11を急ぐ余りに、セーフガード発動の、さっきのマーケットのこの枠と茂木大臣おっしゃっていましたけれども、そこに手を付けない、これは余りにもひどい、余りにも農業について置き去りにした合意だとこれ言わざるを得ません。ここの点は引き続き追及しなければならないと思います。  その上で、対米交渉について確認いたします。  TPP協定では、アメリカに対して、例えばミニマムアクセス米の外枠で、お米の五万トン、これ発効時、そして十三年目で七万トンという国別輸入枠をTPPで決めました。ミニマムアクセス米のうち主食用米の輸入量というのは、昨年見てみると全体で十万トン、そのうち六万トンがアメリカですから、このTPPで決めたアメリカ枠というのは大きいんですよ。決して小さくありません。  このミニマムアクセス米の外枠の輸入国別枠、またアメリカTPPに加わらない限り、そうですね、これはアメリカTPPに加わらない限りは認めないということでよろしいのか。同じく、牛肉、豚肉のTPP協定での低関税、これもTPPアメリカが戻らない限り、二国間交渉の中でもこんなことは議論できないと言って、はねつけるということでよろしいですか。
  178. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 分かっている事実を申し上げれば、TPP協定にあるアメリカを対象とした国別枠、これは、現在アメリカTPPに参加しておりません、発効するTPPに恐らく最初からアメリカがいないという形になりますので、アメリカがいない場合は、つまり締約国になっていない場合はアメリカ向けの国別枠は全く適用されないと、これは明らかであります。  FFRで今後どういう議論がされるかということにつきましては、先ほど大臣が申したとおりでございまして、農業について決して国益を損ねることのないようしっかりとやっていくということに尽きると思います。
  179. 田村智子

    ○田村智子君 農水省に先日レクで聞きましたら、それはあり得ないと、農水省はそういう立場で私に説明しましたよ。TPPに戻らない限り、ミニマムアクセス米の外枠で五万トン、こんなことはあり得ませんと。二国間交渉でこんなことが話し合われて合意されることはあり得ませんと、農水省はそう私に説明しましたよ。違うんですか。
  180. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) TPP11につきましては、今、澁谷統括官の方から話があったところであります。さらに、何度も申し上げておりますが、今後、アメリカとの間で行われます新たな通商協議、FFR、私とライトハイザー通商代表との間で行われるわけでありますが、今、いわゆる協議事項をどうするかと、TORと呼ばれるものでありますが、これも事務方で調整中という段階でありまして、議題も決まっていないと。これから協議をする段階で予断を持ってどういうことはします、どういうことはしませんと申し上げるのは差し控えたいと思っております。
  181. 田村智子

    ○田村智子君 上月政務官、それでいいんでしょうか。TPPの枠だから五万トンと決めたんだと、TPPに入らなかったらこんなのもう無効だと、二国間交渉でこんなこと決められていったら、TPPにはしがみつく、その上、アメリカとの二国間協定でも五万トンの枠はあり得るかもしれない、こんなことでいいんですか。農水省は違うと言いましたよ、私に。どうですか。
  182. 上月良祐

    大臣政務官(上月良祐君) FFRの交渉については今、茂木大臣からお答えしたとおりであります。日本国としては是非TPP、11じゃなくて12に戻ってきてほしいというふうに思っているわけですから、そのことも含めてこれからしっかり交渉していただくことに尽きると思っております。
  183. 田村智子

    ○田村智子君 これじゃ、譲りっ放しになり得ますよ。とんでもない答弁ですよ。驚きましたね、農水省の説明と全然違うので、ちょっとびっくりしましたけれども。  トランプ大統領、批准しないというふうに明言をして、でも、TPP前提としない二国間協議にかじを切る。なのに、TPPで約束したものもこれ話合いの対象になり得るということになっちゃいますよね。五万トン拒否する立場は取らないということなんでしょう、茂木大臣。あらかじめ言えない立場だと言うのかもしれないですけれども、これもう本当に譲りっ放しになる危険性が相当にあるというふうに言わざるを得ません。  加えて言いますと、そもそも戻ってくる可能性があるという立場を日本政府取っているものだから、TPP協定アメリカと結んだサイドレター、これ、事実上実行しているんじゃないだろうかと思えるような動きを私は感じます。例えば、保険等の非関税障壁に関するサイドレター、対日投資を行うに当たって外国投資家や利害関係者から意見、提言を求め、その意見を検討、実行するために規制改革会議に付託し、規制改革会議の提言に従って措置をとるなどの約束が含まれています。  日本再興戦略二〇一六では、事業者目線で規制改革、行政手続の簡素化、IT化を一体的に進める新たな規制・制度改革手法の導入というのが掲げられているんですね。その中では、外国企業日本への投資活動に関する分野以外についても、先行的な取組が開始できるものについては年内に具体策を決定し、速やかに着手するなどなど盛り込まれて、実際に、規制改革推進会議、未来投資会議、対日直接投資推進会議などでは外国企業のトップなどを構成員に加えての検討というのが進められています。  麻生副総理とペンス副大統領による経済対話でも、日本の医療政策に重大な影響を与える薬価制度について協議が現に行われています。ライフサイエンス・イノベーションに関する償還政策について意義ある透明性を引き続き確保するという約束、これが麻生副総理とペンス副大統領の経済対話の中での約束なんですけれども、ここで言う償還政策というのは日本の公的医療保険制度のことを指します。そして、透明性というのは、新薬の価格決定であるとかその価格が日本の制度に基づいて下げられていくときに、アメリカ側は常に透明性が欠如しているということを日本の側に何度も何度も要求を伝えてきているという問題なんですよね。これ、日本の公的医療制度さえも日米間で引き続き協議の対象と現になっているわけですよ。  実際、規制改革推進会議でどんな方が、TPP協定が合意になってから行われているのかなというのを見ても、ATカーニーの方とかゴードン・ブラザーズ・ジャパンの方とか、あるいは在日米国商工会議所、米国研究製薬工業協会、こういうところが次々に参加して現に議論に参加している、意見を述べている、こういうことになっているわけですね。  これ、政府は、TPP条約が発効していないけれどもアメリカとのサイドレターに記されたアメリカ側の要求に既に応えるということをやっているんじゃないですか。
  184. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 御指摘いただいたサイドレター、二年前の特別委員会でも随分御議論の対象になったところでございますけれども、そもそも国際約束を構成しない文書でございます。日米双方の理解を確認したという性格のものでございまして、国際約束を構成いたしませんので、そもそも今効力があるとかないとかという議論の対象にならないというふうに理解しているところでございます。  このサイドレターの内容は、委員もお話ございましたが、外国人投資家を含め、国の内外を問わず、広く規制改革に関する提案を受け付ける、これは元々規制改革会議の従来の役割を確認したものにすぎないものでございます。したがいまして、そのサイドレターが発効しているのかどうかとか、あるいは自主的にやっているのかと、そういうことじゃなくて、外国人投資家を含めて広く規制改革に関する意見を受け付け、その実現可能性に関する関係省庁からの回答とともに検討し、必要に応じ規制改革会議において議論される、このように承知しているところでございます。
  185. 田村智子

    ○田村智子君 実態として進んでいるんですよ。  もう一点、TPP協議と並行して日米間で交わされた四本のサイドレター。このうち、自動車の非関税措置に関する日本政府アメリカ合衆国政府との間の書簡、また保険等の非関税措置に関する日本政府アメリカ合衆国政府との間の書簡。これも法的拘束力のない約束とされていますけれどもTPP協定が両国について効力を生ずる日までにこれらの成果が実施されるという約束になっているんですよ。  それで、今、日本の側は、アメリカは戻ってくるかもしれないと、こう言い続けているわけですね。これ、発効するまでにやることという約束なんですよ。ということは、これ、引き続きこの二つのサイドレター、措置を実施していくという立場なんですか。
  186. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 先生御指摘のとおり、国際約束を構成しない文書でございますので、あくまでも我が国としては我が国としての自主的な判断でやっていくと。ちなみに、自動車の並行交渉に関するものはTPP協定の中に日米自動車付録として組み込まれておりますので、これはTPP発効しないと発効しないということになると思います。
  187. 田村智子

    ○田村智子君 これ、戻ってきてください、戻ってきてくださいといって、アメリカ側の要求で現にいろんなことが進んでいると。そういう立場の下で二国間協議やられたらどうなるかですね。これ、戻ってこなくても五万トンの輸入枠はもしかしたら生じてしまうかもしれないという、そういう危険性さえ指摘をしなければなりません。本当にこれでは足下を見られた交渉にならざるを得ないんじゃないかという危惧をしなければなりません。  前回質問できなかった農林水産物の各品目についての影響、その試算について私も質問いたします。  これまでずっと議論にありました。例えば牛肉の生産減少額は約二百から三百九十九億円、豚肉は約百二十四から二百四十八億円などなど、こういう品目について生産減少額というのを確かに農水省出しています。これは、関税引下げによって輸入品の価格が、国内での販売価格が下がる、この影響で国産の農産物の値段が下がる、その影響額を示したものだという理解でよろしいですか。
  188. 上月良祐

    大臣政務官(上月良祐君) そういう御指摘のとおりでございます。
  189. 田村智子

    ○田村智子君 価格が下がるんですよ。だけど、コスト削減や農業支援策によって国内農家は値段引下げに耐えることができる、あるいは、高品質で勝負できるので輸入品に置き換わらない。言ってみれば、耐えて耐えて、価格競争に耐えて耐えて耐えることができる、だから国産品の生産量は減らない、だから生産減少率はゼロ%、こういう理解でよろしいですか。
  190. 上月良祐

    大臣政務官(上月良祐君) 基本的には御指摘があったような形でございまして、そのために必要な対策をしっかりやっていって、もちろん頑張っていただくところは頑張っていただいて、それを耐えると言うのかというのはありますけれども、基本的な枠組みとしては今おっしゃったような形でございます。
  191. 田村智子

    ○田村智子君 やっと理解ができました。私も、ずっとこれどういう意味なんだろう、その影響ゼロってどういう意味なんだろうというふうに思っていたんですけれども。  そうすると、元々価格の安い輸入品が更に低関税になって価格が低下しても、国産品は勝負できるんだと。そこまでの支援策が行き渡ってからTPP11が発効するということになるんでしょうか。
  192. 上月良祐

    大臣政務官(上月良祐君) 今日、私、何度か御答弁しましたように、それぞれの品目ごとにかなりの長期間の、しかも段階的な関税削減期間を勝ち得ておりまして、しかも国家貿易をきちっと残しているものもあります。そして、ゆっくり段階的に下がっていく中で更にセーフガードも張っているわけであります。そういったことをやっていくという、一年でその影響額が出るわけではないという前提の中で、我々、必要な対策を今もう二十七年の補正から毎年打っているわけであります。  それは、それぞれの、何というんでしょうか、作目、品目ごとに影響の出方も違うので、現時点で考えられる対策を打っておりますけれども、先ほども申し上げましたけど、大綱の中で、今後しっかり実績の検証等を踏まえた上で所要の見直しを行った上で必要な対策を講ずるということになっておりますので、もちろん、できる限り必要なものは前倒ししてというんでしょうか、早めにやっていく必要があると思えばそういうふうになっていくと思いますけれども、そういう対策をしっかり取っていくことで、今おっしゃったような効果を我々としては出していきたいと思っております。
  193. 田村智子

    ○田村智子君 今の言い方は、言い換えれば、一気に下がるわけじゃないと、じわじわじわじわ十年以上にわたって、ずうっとずうっと価格競争を、これでもか、これでもか、これでもかとやられ続けるという意味にもなるわけですよ。そこに耐えて耐えて耐え抜いた農家だけが生き残っていくと、こういう支援策で日本の農業が果たしてどうなるのかと。  今日、まだ質問したいことがいっぱいあったんですけど、その支援策の一つがやっぱり大規模化あるいは機械化ということなんですよね。  それで、その大規模化、機械化、機械を入れて過重な負担を、今も家族経営の方だって過重な負担になっていますから、二十四時間生き物を扱っているわけですから、畜産農家の方なんかでいうと、そこに対して機械を入れて過重な負担を減らす、こういう判断あるのは、私、あり得ると思いますよ。あるいは、参考人質疑でお越しいただいた北海道の山川参考人は、自分は分家だったので、元々土地が分割されたものを集約したいので借金背負ってでも農地を増やすということをやりましたというふうにお話をされて、そういう規模の拡大というのはあるだろうなというふうに思いますよ。それは農業の力付けていく、農家の支援になると思いますよ。  だけど、今度やろうとしているのは違うと思うんですよ。安いものが入ってくるぞと、それに対して耐えて耐えて耐えるために、コスト削減するために借金抱えてでも機械入れろと、借金抱えてでも規模、大規模化しろと、こういう支援策になっていっちゃうんじゃないんですか。相原議員もおっしゃったように、そうではなくて、やっぱり適正な規模での農業をやっていきたいと、生活するために農業をしていきたいと、機械の買ったがための負債を返済するためだけの農業になんかしたくないと、こう思っている方々が本当に潰されていく、その危険性を、私、どうしても指摘せざるを得ません。  茂木大臣、大変御丁寧に御答弁いただいたために、また質問を積み残しました。次回につなげたいと思います。
  194. 清水貴之

    ○清水貴之君 日本維新の会の清水です。どうぞよろしくお願いをいたします。  まず初めに、おとといの委員会でもお聞きしましたところで、アメリカ輸入制限措置に対する様々な影響、そして対応などについてお聞きをしていきたいと思います。  日本経済へのまずは影響についてお聞きしたいと思います。日本からの鉄、アルミニウムを始め、車などの輸出品に関税がこれ掛かってくるということですから、もちろん影響が大きいんだと思います。  それに加えて、例えばですけれどもアメリカのハーレーダビッドソン、これはもうアメリカ国内で造っている工場を他国に移そうなんという話も出てきています。こうなると、ハーレーダビッドソンの中で、ちょっと細かくは知りませんけれども日本の例えば部品、製品なども使われている可能性もありますよね。そうしますと、また更に間接的にこの影響というのが広がっていくんじゃないかというふうに考えますが、まずは、こういった今の報復関税、まずは輸入制限措置があって、それに対する報復関税が様々な国から起きていて、こういう世界が混沌としている中で日本への影響というのをどのように考えているんでしょうか。
  195. 林禎二

    政府参考人(林禎二君) お答えいたします。  アメリカ輸入制限措置日本への影響等に対する御質問と承りましたが、御承知のとおり、戦後、日本は自由貿易体制の下で最大の受益者として現在の繁栄を実現してきております。自由で開かれた国際経済体制こそ、日本を始めとする国際社会の繁栄を約束するものだと確信してございます。  実際に、議員御指摘のとおり、鉄鋼、アルミを米国輸出しておりますし、また、今御指摘があったような間接的な影響というのも当然懸念されるところでございます。このような貿易上の一方的な措置の応酬はどの国の利益にもならないと考えてございまして、世界市場を混乱させ、WTOルールに基づく多国的貿易体制にも悪影響を及ぼすものということで極めて遺憾と考えてございます。  我が国としては、ルールに基づく多国間貿易体制を重視しておりまして、いかなる貿易上の措置もWTO協定と整合的であるべきと考え、この考えの下にアメリカ措置に対しても対応してまいりたいと考えてございます。
  196. 清水貴之

    ○清水貴之君 その具体的な影響なんですが、先ほどもこのTPPでどれぐらい農業の生産量が減るとか、そういう話が出てきていますけれども、例えば、このアメリカ輸入制限措置などによって、これもういろんなパターンがもちろんあると思います。  ですから、一概にこうだと答えを出すのは難しいのかもしれませんけれども、いろんな頭の体操でシミュレーションはできるんじゃないかというふうに思うわけですね。それをつくった上でのまた様々な対策は打つべきではないかと思うんですが、そういう具体的な影響試算というんですかね、シミュレーション、こういったものというのはしているんでしょうか、それともするつもりはあるんでしょうか。
  197. 林禎二

    政府参考人(林禎二君) 現在、米国措置におきましては、ある意味ちょっとまだ措置が完全に捉えていないところがございます。例えますと、国別の追加関税という意味では日本は除外されていないわけでございますけれども委員御承知だと思いますが、製品別の除外というのも今検討されてございます。六月の二十日に、アメリカは製品別除外の第一弾というのを発表いたしました。こちらでは、例えば日本の製品が四十二件除外をしてございます。この実際の申請件数は一万件あるようでございまして、まだまだ検討が続いているということでございます。  ですので、委員指摘のような試算というところまでなかなかすぐは行かないとは思いますけれども政府としては、例えば業界のヒアリング等もやってございますし、そうしたアメリカ措置の動向をしっかり注視して、更なる必要な対応を取っていきたいと考えているところでございます。
  198. 清水貴之

    ○清水貴之君 そんな中ですけれども、今度は、アメリカがイランに対する経済制裁の一環で、世界各国にイランの原油を輸入しないようにと呼びかけているという話です。  これは、輸入制限措置とは違います。経済制裁の一環ではありますけれども、原油を輸入している日本からしたら大変大きな影響があると。しかも、イランという国とは長年のいろいろ様々な関係があるわけですから、その中でアメリカからこういう指示といいますかプレッシャーを受けるというのは大変大きな影響があるんじゃないかと思いますが、これに対しての政府の考えをお聞かせください。
  199. 岡浩

    政府参考人(岡浩君) お答え申し上げます。  イラン産原油の輸入にも関係いたしますアメリカの対イラン制裁の再適用につきましては、現在、今お尋ねいただきましたとおり、日米間で協議中でございます。内容につきましては、外交上のやり取りということがございますので、詳細については差し控えさせていただきたいと思いますが、政府といたしましては、アメリカ措置が及ぼす影響につきまして注意深く分析しつつ、日本企業に悪影響を及ぼされることがないよう、関係省庁間でしっかり連携し、引き続きアメリカと協議を行ってまいりたいというふうに思っております。
  200. 清水貴之

    ○清水貴之君 大臣、様々、大変難しい状況に今あるように感じます。先日の委員会質疑でも、じゃ、輸入制限措置に対して日本としてどう対応するんですかという質問をして、総理からは、日本としてはすぐに対抗措置をとることは考えていない、オプションとしては持っているけれども、すぐには考えていないと、粘り強く交渉をしていくんだというお話がありました。当然、まずはそのような対応というのが必要なんだというふうに思います。  その一方、ここはあくまで日本アメリカ関係ですけれども世界がこれだけ混乱した状態になっている中で、じゃ、日本が果たす役割というのも私はあるのではないかというふうに思っています。これは、総理もサミットの際に、G7が協調して世界経済の安定に寄与していくというメッセージを発信すべきだというふうにおっしゃっています。  そういった安定状態をつくるために日本ができること、こういったものについては大臣はどのようにお考えになるでしょうか。
  201. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) まず、各国ですね、今回のいろんな制裁に見られるように、追加関税を課すと、それに対して報復関税、こういったエスカレーション、望んでいる国は基本的にはないんだと思いますね。これによって、世界貿易、これに世界経済に悪影響が及びかねない、そういった行動をどう自制していくかということでありまして、日本、自由貿易の旗手としてルールに基づく多角的貿易体制を重視しておりまして、各国のやはりこういった措置というものがWTOに整合的であるべきと、こういったことは引き続き求めていきたいと思っておりますし、ここで議論いただいておりますTPP、まさにハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型の新たな共通ルール、世界に広めていくと、改めてこの重要性というのを認識していただけるんではないかなと。  米国に対しても、世界経済のグローバル化、さらには技術革新が一番進んでいるのはアメリカでありますから、TPPアメリカにとってもアメリカ経済や雇用にプラスになる、こういったことを改めてしっかりと訴えていきたいと思っております。
  202. 清水貴之

    ○清水貴之君 その今最後おっしゃった、TPPアメリカにとってメリット、プラスになるという話。TPP全体で見ても、もちろんアメリカが入ることで相当この経済圏が大きくなるわけですから、自由貿易を進めていく上では各国にとってもメリットがあるんだと思うんですが、おっしゃった、そのアメリカにとってのメリットの話なんですが、アメリカにとってのメリットというか、まあ日本にとってというか、ほかの国にとってなんですけれども、これだけアメリカ・トランプ政権が発端となって混乱を起こしているわけですね。さあ、そのアメリカがこのTPPに戻ることが果たして本当にいいのかどうかというのは、もう何かやっぱり最近疑問に感じてきております。  戻ってきて、じゃ、トランプ大統領がしっかりしたまた改めての交渉に臨むかといったら、これだけ自国優先の主義を取っているわけですから、せっかくバランス良く、今、TPP、頑張って十一か国で進めていこう、新しい国も入っていこうという中で、アメリカが入ることで余計混乱して乱れるんじゃないかなというふうにも私は感じてしまうんですけど、大臣、それでもやっぱりアメリカは入って進めていくべきだというふうにお考えになりますか。
  203. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 今、アメリカ側のとっております措置、二三二条と三〇一条があるわけでありますけど、二三二につきましては、ある意味、物品の輸入に関する、アルミ、鉄鋼、自動車、自動車部品でありますが、三〇一は違ったルールに絡んでくる分野ということでありまして、米国、こういった分野に強い関心を持っておりまして、新興国の一部が強制的な技術の移転であったりとか知的財産、市場歪曲的な措置、こういうのをとっていると、こういう問題に対する対応策としても、TPPのようなハイスタンダードの共通ルールを世界の中で確立していく、こういったことは極めて重要であると思っておりまして、清水委員おっしゃるように、二三二の立場から見たらどうなんだろうかというのはありますし、一方で三〇一の立場からしたらこういったルールがやっぱり必要なんだということも含めて、アメリカとは議論していきたいと思っております。
  204. 清水貴之

    ○清水貴之君 茂木大臣も担当大臣として個別で交渉されるでしょうし、総理もトランプ大統領とも個別に人間関係築いていらっしゃるということですので、多分、恐らくすごく難しい交渉になるんじゃないかと思いますが、そこはもう本当に、もちろん日本のことを考えるのも、国益大事ですけれども、もう世界のことも見据えて、是非リーダーシップ取っていただけたらというふうに思います。  次が、クールジャパンについて、これも先日に引き続きということで重ね重ねの質問になってしまうんですけれども、この前質問をさせていただいて答えをいただいて、それをまた見直してみてもう一度質問をしたいなというところでお聞かせをいただけたらと思います。  まず、やっぱり、オールニッポン・ネットワークでしたっけ、ANEWですね、の投資事業なんですが、蓄積されたノウハウの活用という話がありました。二十二億円使って結局映画一本も作れなかったわけですが、ただ、既存作品の原作者、脚本家における著作権や著作者人格権の権利処理が必要になる、そういったノウハウは活用できると、そういったものが蓄積できたという答弁でした。  この蓄積というのが私、よく分からなくて、これもう事業としては売却をしてしまっているわけですね。じゃ、そのノウハウはどこか国のところにちゃんと保持されていて、次に新しく事業をしようというそういう人が出てきた場合に生かされるものなのか、ここがはっきりと分からないんですが、これについてはいかがですか。
  205. 吉田博史

    政府参考人(吉田博史君) オールニッポン・エンタテインメントワークスが産業革新機構に出資を受けていた間に、様々な案件を扱ってきております。それに当たって、まず、国内コンテンツの海外におけるリメークのためには、まず、その既存作品の権利の整理、処理ということが必要となります。その様々に扱ってきた案件の中には、企画開発に着手まで行った案件、あるいはそれに至らなかった案件、様々な案件を扱っております。その際には、日本あるいは海外も含めて内外の事業者が、オールニッポン・エンタテインメントワークスだけがやっているわけではなくて、いろいろなところと連携してそういうことをやっているということでございます。  実際に、作品はおっしゃるとおり一本にもなっていません。企画開発まで行ったというのは七本ございますし、それに至らない案件というのも、じゃ、その権利処理がどうなるんであるのかということをやる中で、なかなかそこまで至らなかったというような案件も多々あるとは思います。そういう様々な段階のものがある中で、そういう参画した様々な企業、少なくとも日本企業も一以上それぞれの案件に絡んでいるわけでございます。そういうところでノウハウを共有しているということでございます。  リメークというのは、過去にも御存じのとおりヒットした作品ございます。「ゴジラ」とか「リング」とか、有名なところございます。元はやっぱり質が高いものがあるんだろうと思っておりますけれども、一方で、これ数が少なかったということで、この障壁の一つがこの権利処理の問題ということでございます。  ですから、そういう権利処理に関するノウハウというのを原作の権利を有している側が、できるだけ多くの方々が有していくことによりまして、こういう多くの日本作品を原作としたリメークの実現の可能性が、必ずとは言いませんが、可能性が高まっていくんではないかと思います。そういうことを通じて、リメークによるクールジャパンの展開ということを進めばよいというふうには考えております。
  206. 清水貴之

    ○清水貴之君 ということは、今回の企画に参加した各企業がそれぞれノウハウを手にしたという理解でいいんですかね。  私が考えていたのは、もうそれぞれ参加してそれは関わったわけですから、もちろんノウハウは手に入ると思います。その一方で、国として二十二億円出資しているわけですから、クールジャパン機構としてそういうノウハウの蓄積があって、また全然違う会社がまた新しいこういうことやりたいんだといったときに、ああ、それでしたら前に一回やってちょっとうまくいかなかったけど、前やった経験があるのでといって提供できるような仕組みだったら、これはノウハウの蓄積だというふうに思うんですね。でも、参加した企業だけが、ああ、いい勉強になりましたというんでしたら蓄積では私はないと思っておりまして、その辺りはいかがですか。
  207. 吉田博史

    政府参考人(吉田博史君) 御指摘のように、産業革新機構が何か体系的にそれを例えば文書あるいはマニュアルのような形にして持っているということではございません。ただ、それは投資という形でございますので、投資した企業、あるいはそれによる事業活動をしてパートナーとなった企業、そこに、蓄積という用語が、そこの用語がおかしいということであれば、そういうところが経験している、あるいはノウハウを有するに至ったということで考えております。
  208. 清水貴之

    ○清水貴之君 もう一点、これ平成二十八年の十月の共同契約の締結を第一号、したということをこの前も答弁されております。七本の企画開発のうち一本、契約まで行ったと。この契約で一つの成果が上がった段階でエグジットをしたという話なんですが、ここもやっぱりどうもすっきりしないところがありまして、それから半年後にもう事業を売却しているわけですね。  契約して、結局、契約だけして何も実を結ばない段階で売ってしまうというのは何も成果が出ていないというふうに当然思うわけですが、これを何か、いや、契約したんだ、一本は契約まで至りました、だからエグジットしたんですというのは、どうも何か流れとしてはおかしいんじゃないかと思いますけれども、これについてはどのように考えますか。
  209. 吉田博史

    政府参考人(吉田博史君) 御指摘のとおり、私、確かにおとといの答弁におきまして、二十八年十月に一本の案件が共同開発契約の締結に至ったということを申し上げました。そういう状況の中で産業革新機構が株式売却を行ったということがございました。そこは、済みません、因果関係というよりは周辺状況でございまして、出資をしてから五年間が経過している中で、これは産業革新機構が様々な状況を判断して売却をしたというふうに理解しております。ですから、一件あったからそれを理由に売却したというふうに理解しているわけではございません。  当然、その売却の判断というのは機構が行ったものでございますが、こういう、種々御指摘、何度にもわたって御指摘いただいたとおり、投資としては成功したと私どもとしても考えておりません。それは産業革新機構も同様の認識と思っておりますので、今後、官民ファンドによるコンテンツビジネスへの投資がうまくいくよう、こういう今回の事業、つまり成功しなかった事業で得られた教訓、反省というものを今後の投資案件に生かすべく、産業革新機構の中でPDCAのサイクルを、プロセスをしっかり行っていくことがまずは重要だと考えております。
  210. 清水貴之

    ○清水貴之君 そういった、うまくいかなかった場合についての責任についてもお聞きをしました。その答弁としましては、株式会社の形態を取っていますと、経営責任については一義的には会社法などの法令、法規に基づいて判断をしていきますという御答弁でした。  確かに、株式会社ですから法的にはそうかもしれませんが、ただ、道義的にどうかという今度は話になってくると思います。二十二億円の投資をして、結局そのままほぼほぼ損になってしまっているわけですね。その場合に、結局、じゃ誰がどう責任を取るのかと、こういった責任の所在が明確ではないとやっぱり同じことが何回も何回も繰り返されてしまう気がするんですね。  ですから、法的なことは分かりますが、道義的な責任、これは何でもそうだと思う。どの民間企業でも何でもそうだと思うんです。やっぱりそれだけのお金をつぎ込んで結果が出なかった場合は何らかの責任なり処分なりというのはあってしかるべきだと思いますけれども、これはいかがでしょう。
  211. 江崎禎英

    政府参考人(江崎禎英君) お答えをいたします。  お尋ねの件でございますけれども、まずクールジャパン機構でございますけれども、これは、法律に基づきまして、法律の中では、我が国の生活文化の特色を生かした魅力ある商品又は役務の海外における需要の開拓を通じて我が国経済の持続的な成長に資することを政策目的にしております。  クールジャパン機構は、国の資金を投入した株式会社として、民間が投資をためらうようなハイリスクな事業を支援することで法律の定める目的を実現するとともに、平成四十六年三月三十一の業務終了時に最終的な収益が一・〇倍超、すなわちとんとんちょっとプラスというのを目指して進めることになっております。したがいまして、監督官庁としましては、この目標達成するために、クールジャパン機構の適切な運営に向けまして業務実績の評価や必要な監督命令を行うこととなっております。そして、最終的な政策責任につきましては、こうした法律の定める目的の達成状況を踏まえて総合的に判断されるものと認識しております。  現在、そうした観点から、この政策責任を果たすために、政策決定プロセスの迅速化やポートフォリオの明確化、さらにはガバナンス改革など、不断の業務見直しを通じて、その政策的意義の実現と収益性の向上に向けた取組を進めているところでございます。
  212. 清水貴之

    ○清水貴之君 今回の場合は、何らか誰かが責任を取ったりとか、そういうことというのはあったんですか。
  213. 江崎禎英

    政府参考人(江崎禎英君) クールジャパン機構は、今申し上げましたように、業務終了時に対して全体をとんとんにするということですから、加えて民間が投資をためらうようなハイリスクな事業を行いますので、個々の案件につきましては当然マイナスになったりプラスになったりするものもございます。特に、こうした全く未知の分野で行う投資でございますので、立ち上げ期におきましては総じてやっぱり投資の部分が多くなることもあります。そうしたものを踏まえながら、大体後半に盛り返してきて最終的にはとんとんにするということを目的にしながら進めているものでございますので、個々の個別案件についての責任どうのということはございません。
  214. 清水貴之

    ○清水貴之君 その将来的な話なんですけれども、これ、結局、出資計画というのはかなりの額を目標にしているわけですね。ちょっと古い数字で恐縮なんですが、一三年から一六年度で一千五百億ぐらいを出資する計画。ただ、実績は三百億ぐらいなわけですね。足りていないと、五分の一ぐらいしか出資ができていないと。でも、そんな中でも、今年度でも百三十五億の政府予算というのを獲得しているわけです。ですから、出資はもう大きくどんどんしていきたいということで予算は取って目標も高く掲げているんだけど、なかなか実績が伴っていない。  でも、これは非常に僕は矛盾していると思っていて、もうやっぱり額ありきではないですよね。これ目標だけ高くしていると、どんどん余り筋の良くない案件にも投資、もう額だけ上積みするために投資するということにもなりかねないですよね。そうすると、最終的にとんとんとおっしゃいましたけれども、とんとんさえ難しい。もう既にもう赤字が大分出ているわけですから、難しいんじゃないかと思います。  その辺の見通しの何かバランスというのが私にはいまいち伝わってこないので、どういう目標で、目的でその投資をしようとしているんでしょうか。
  215. 江崎禎英

    政府参考人(江崎禎英君) お答えをいたします。  クールジャパン機構におきましては、機構法に基づく毎年度の経済産業大臣の予算認可、この際に、当該年度に見込まれる新規支援決定案件や既存案件の出資の見込みなどを踏まえまして事業規模を設定しております。その上で、投資手法や投資分野など、その方針を掲げるものとして経営計画を策定しております。  こうした契約の下で投資事業に取り組んでおるところでございますけれども、文化も商慣行も異なる地域を対象とした事業の実施でございますので、前提となる条件が変更となることも非常に多うございます。このため、必ずしも計画どおりに投資実行を行うわけではありません。このため、前提条件の変更に伴う不断の計画の見直し、これを行っておりまして、最終的に機構全体で収益を確保するとともに、政策意義が達成されるように取り組んでいるところでございます。
  216. 清水貴之

    ○清水貴之君 もう一点、これもお聞きしたかったんですが、これはこの前も答弁はいただきましたが、途中経過の公表なども、この辺も非常に個々の事業というのは経営戦略的なこともあるので難しいという話もありましたが、やっぱりしっかりとしたチェックの目を入れることも必要だと思いますので、この辺はまた引き続きいろいろ質問させていただけたらと思います。  次は、外国人材の活用ということで、やはりTPP進めると人的往来も非常に多くなるということで、まずは大変人手不足が深刻な五業種で新たな在留資格を設けて進めていくという話になっています。それ以外にも、技能実習拡大したりとか、特区で農業とか家事労働に外国人材認めていくような流れになっていたりとか、様々、やはり人手不足と言われている中、いろんな施策を打っているのは理解をするんですが、どうもやっぱり何か短期的な視野になっているんじゃないかというふうにも感じます。  今足りないところを取りあえず手当てしていこうという形で、もう場当たり的に、しかも実態と現実が懸け離れているような状態で、技能実習なんか特にそうだと思いますけれども、どんどんどんどん拡大をしていくという中で、どこかでやっぱりしっかり立ち止まって、外国人労働者に対する日本の姿勢とか、移民政策まで行くとちょっと話がなかなか膨らんで難しいのかもしれませんけれども、これだけ外国人労働者が今入ってきて、もう町中たくさんの方が働いている状況ですから、考えていかなければいけない時期なんじゃないかなというふうに思うわけですね。  これについて、まずは長期的な視点に立って外国人労働者をどう受け入れていこうとしているんでしょうか。これをまずはお聞かせください。
  217. 佐々木聖子

    政府参考人佐々木聖子君) お答え申し上げます。  今委員指摘のように、今回、骨太の方針二〇一八におきまして、現下の深刻な人手不足の状況に対応するため、現行の専門的、技術的な分野における外国人材の受入れ制度を拡充し、真に必要な分野に限定して一定の専門性、技能を有する外国人材を受け入れるため、新たな在留資格の創設等を行うということが決定をされました。今の御指摘の観点から申し上げますと、これまでも専門的、技術的な外国人材につきましては日本として積極的に受け入れるという方針を取っているものでございまして、今回もその方針の延長線上の施策を組み立てていこうというものでございます。  ただ、今後、様々な形での外国人の受入れを図っていくに際しまして、やはり日本の社会の中で外国人と日本人が上手に共生をしていくという観点が大事でございますので、その意味での取組を強めて、いい形での外国人の受入れを図っていこうというものでございます。例えば、関係省庁、地方自治体等との連携を強化しつつ、我が国で働き、生活する外国人の方々のために例えば日本語教育の充実等を始めとする生活環境の整備を推進していくということにつきましても、今次の骨太方針に盛り込まれているところでございまして、御紹介させていただきます。
  218. 清水貴之

    ○清水貴之君 要するに、外国人の労働者が入ってきた中で問題となっているのが偽装難民の問題です。申請から六か月後に、難民申請をしたら就労可能になるということで、日本で働く抜け穴として、去年一年間でもう二万人近い方が難民申請をしたわけですね。実際は数十人しか難民認められていないわけですから、ほとんどがもう働くための難民申請なわけです。  今年一月から、これをちょっと見直さなきゃいけないなということで、申請の手続など大分見直したというふうに聞いているんですが、その後の状況というのはいかがでしょうか。
  219. 佐々木聖子

    政府参考人佐々木聖子君) 今御指摘のように、近年、難民申請が急増している中で、やはり、そもそも難民条約上の難民の定義に当てはまらない内容での申請をする方、いわゆる濫用、誤用的な難民申請が増加しているところでございます。  そこで、当局では、真の難民の迅速な保護を図るため、平成二十七年九月の難民認定制度の運用の見直しに続きまして、今御指摘の本年一月十五日からの見直しを行っているところでございます。  具体的に御説明申し上げますと、我が国に正規に在留する外国人の方が難民認定申請をした場合に、難民である可能性が高い申請者など真に庇護が必要な申請者に対しては、そのことが判明次第、就労を認めることにより、これまでより早期に生活の安定が図れるようにしております。  他方で、借金問題のような難民条約上の迫害事由に明らかに該当しない事情を申し立てるなど濫用、誤用的な申請を行っている申請者に対しましては在留を認めない措置をとり、また、失踪した技能実習生等、本来の在留資格に該当する活動を行わなくなった後に難民申請をした申請者などに対しては就労を認めない措置をとり、これまでよりも厳格に対応しているところでございます。  その後の様子でございますけれども、本年一月十五日からこの見直しを行いまして、一月から三月までの難民認定申請数は速報値で三千十五人でありまして、平成二十九年の同時期に比べまして約一三%減少しております。これは、第一・四半期といたしましては、平成二十二年以降、八年ぶりの減少となってございます。さらに、一月十五日から三月末日までに限ってみますと、この間の平日一日当たりの平均難民申請数は四十三・一人でありまして、平成二十九年一年間の平日一日当たりの平均難民認定申請数七十九・八人と比べると約四六%減少しております。まだ見直しから五か月でございますので、その効果について言及するのは時期尚早と考えておりますが、一定の効果はあったものと思われます。  引き続き、真に庇護を必要とする申請者への迅速な保護に努めてまいりたいと考えております。
  220. 清水貴之

    ○清水貴之君 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。
  221. 山本太郎

    ○山本太郎君 自由党共同代表、山本太郎です。社民との会派、希望の会を代表し、質問をいたします。  TPPについて、TPP協定と先頃改正法が成立した官民連携の手段であるPFI事業との関係についても聞いていきたいと思います。  まずは大臣になんですけれどもTPPにおいてコンセッションは政府調達の対象に含まれるでしょうか。
  222. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) TPP協定の第十五章、政府調達の規定の適用範囲となる対象調達については、各国ごとに附属書の十五のAに規定が置かれているところであります。  同附属書において、我が国の対象調達において規定した日本国の表においては、同項のPFIにおけるいわゆるコンセッション事業は対象外となっておりまして、TPP協定第十五章、政府調達の規定の適用範囲に含まれていないと考えております。
  223. 山本太郎

    ○山本太郎君 ありがとうございます。  条文を引用しながらのちょっと硬い感じで御説明いただきましたけど、含まれないということですよね。  PFIのコンセッション制度とは、公共施設の所有権を自治体などが有したまま施設の運営権を民間事業者に設定する方式だと。TPPにはこのコンセッションは含まれないとのことでした。TPP協定では、第十五章が政府調達の章、各国の特殊事情を考慮した附属書というパートがありますと先ほど大臣も教えてくださいました。  資料の一です。日本に関する附属書十五のAというものですよね。その中に、PFI法、つまり、民間資金等の活用による公共施設等の整備等促進に関する法律という名前が書かれている、いわゆるPFIの正式名称が書かれている箇所が二つあると。F節、建設サービス、主に建設を主とするPFI事業と、G節、一般的注釈であると、この二つであると。  F節には、二〇一一年十一月三十日時点のPFI法の適用範囲内の建設事業について適用とあり、G節では、二〇一〇年十二月十日の時点での適用範囲の事業に係る調達について適用とあります。二つの節では適用対象となるPFI法の範囲が違いますと。G節では、二〇一一年よりも古いPFI法の対象事業しか対象にしていない。もう一方のF節では、二〇一一年十一月三十日時点とある。  その日何があったか。PFI法でコンセッション制度が認められた、改正が行われた日だと。あっ、じゃ、やっぱりTPPにコンセッションは含まれるんじゃないかって最初私は勘違いしたんですけれども、よくよくF節をちゃんと読めば、PFIの適用範囲内の建設事業について適用と書かれている。コンセッションは運営権についての部分ですので関係がない、大臣がお答えいただいたその内容だと思いますけれどもTPPにコンセッションは含まれないということになりますと。  資料の二。TPPよりも加盟国が多いWTO、世界貿易機関における政府調達ルールの日本国の付表六と七においても、実はF節とG節と同じ内容が書かれている。つまり、PFI事業の中のコンセッション事業については、TPP政府調達ルールにおいてもWTOの改正ルールにおいても含まれないということになるんだと。  資料の三。今年五月十六日の衆議院内閣委員会の議事録です。TPP整備法審議の際、立憲民主党の福田委員が、自治体の水道事業についてTPPで民営化されたらというような内容を御質問されたんですけれども政府側の澁谷参考人の答弁が、ラインが引かれています。読みます。「水道事業につきましては、どちらかといいますと、これは公営サービスということで、政府調達の分野に属するのではないかと思いますけれども、コンセッションも含めて、今回は政府調達の対象にしているところでございます。」。この答弁、明らかに、コンセッションはTPP十五章の適用範囲に含まれないというような感じにはちょっと伝わりづらいんじゃないかなと思うんですよね。  大臣から非常に細かく、硬いお言葉といいますか、正しい内容でお伝えいただきましたけれども、例えば対象調達とかいう言葉ですよね。これは、TPP十五章、政府調達の中に小さな適用範囲があって、そこのことを対象調達と呼ぶんだと、この中に入っているものしか適用されないんだというような細かい説明をなされたんですけれども澁谷さんの場合はもっとざっくりと説明をなさっているので、非常に誤解が生まれやすいと思うんですね。  澁谷さんのされた御答弁は、これ、TPP十五章の適用範囲に含まれないというようなふうに受け取りづらいというふうに私は思うんですけれども、これはこういう答弁の仕方で問題ないのかということを大臣にお伺いしていいですか。駄目ですよ。いやいや、ちょっと待ってください。これは、説明、当時答弁をなされた澁谷さん、その澁谷さんの答弁内容がそのまま受け取ってちゃんと理解できているかということに関してしっかりとコメントを大臣からいただきたいんですよ。(発言する者あり)いや、それは後で時間設けますから、大臣、お願いします。
  224. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) まず、私に御指名いただきましたので、基本的な考え方、TPP協定政府調達章の中で我が国が約束している内容、これは先ほどもありましたように、既に我が国がWTO政府調達協定において約束しているものと同様でありまして、現行の国内制度を変更したり、新たな市場を外国企業に開放したりするものではありません。  また、多分御懸念をいただいておりますISDS等につきましても、投資受入れ国の政府我が国投資家の利益を不当に侵害させない、こういう効力を持つものでありまして、我が国の中小企業等の海外展開を促進する効果を持つと考えております。  他方で、TPP協定の投資章では、投資受入れ国が公共の福祉に係る正当な目的のために必要かつ合理的な措置を講ずることは妨げられないこととされておりまして、また、必要な留保等を行うことなどによりまして国内法との整合性をしっかりと確保しているところであります。  その上で、五月十六日の澁谷統括官の答弁、確認をさせていただきましたが、通告をいただいていない御質問であったため、いわゆる建設事業を民間に委ねるような、コンセッション以外のPFI事業を念頭に置いて答弁したため、答弁で間違えたということでありまして、コンセッションは先ほど申し上げたように対象ではなく、誤った答弁であることから、議事録の修正等、必要な対応を取ることとしたいと思います。
  225. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 今大臣が申し上げたとおりでございまして、山本先生が御配付の資料三、今朝拝見をいたしまして、自分の間違いに気付きました。先ほど大臣が申し上げたとおりでございますが、大変申し訳ないと思っております。
  226. 山本太郎

    ○山本太郎君 実際とは違う内容が議論されて、それが答弁として議事録として上がっているって、これ大問題なんですよ。大問題じゃないですか。だって、TPP十五章の適用範囲に含まれない、コンセッションは含まれないということを、全く違うふうに取れるように答えているわけですよね。  で、間違いだというふうに言われたという話なんですけど、このような間違いが恐らくほかにもあるんじゃないか。当然ですよね。TPP12、元のTPPの話になっていったら、もっと複雑、もっと量が多いわけですよ。これ、ちゃんとした議論ができているかどうかということは、精査されなきゃ分からないという状態なんですよね。このままTPP、まあ11という形、もう12が組み込まれているから同じことだけれども、これを採決するなんてあり得ないんですよ、はっきり言って。  今朝気付いたんですよ、間違いだってことが。恐らくこの資料を挟み込んだ時点でということですよね。資料を確認した時点で内容を見ていったら、これは違うかったと。適用されないものを適用されるというふうに言ってたということですよね。これ、まずいでしょう、それは当然。大臣、これはこのまま採決していいような話じゃないと思うんです。やっぱり議論深まっていないと思うんですね。  で、このような間違いがちゃんとないように、ええ、統括官がそのように理解が深まっていなかったと。まあ、これ、かわいそうですよ。だって、もう超天才一人に荷物を全部預けてしまっているような状況で、一人で答弁なさっているから、スーパーマンみたいにね、こういうことも生まれるということなんですよ。やっぱり澁谷さんみたいな人がもういっぱいいて、それぞれがみんな掘り下げられるという状態にして答弁もできるという状態にできていないということですよね。これ、非常に悲劇的なことだと思うんですけれども。  今の状態でこれ、今日間違いが見付かりましたと、このまま進んで採決なんてあり得ないということなんですよ。丁寧に、採決までに一旦、採決する前にもう一度チェック、今までの答弁、TPP12のときの答弁から間違いがないかということですよね、そういうことをちゃんともう一回掘り下げていくという作業をまずやらなきゃ、これ、とてもじゃないですけれども無理ですよ。  それに加えて、こういうことがあるという話だったら、恐らく相手国とのやり取りでもこういうことがあり得るという話になってくるんですね。当然ですよね。いや、外国では気を引き締めて言っていますのでという話じゃないでしょう。じゃ、日本ではどうなんだという話になりますから。そういうことではないんです。これ、非常に大きな問題だと思っています。大臣、いかがお考えでしょうか。
  227. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 先日の答弁につきましては先ほど申し上げたとおりでありまして、通告をいただいていないことに対して誤解した形で答弁をして、そこに間違いがあったということで、そこは謹んで訂正をさせていただきたいと思っておりますが、先日、山本委員から政府調達について御指摘を受けました。私の方で、先生の御意見違うんではないかなという話を差し上げて、次回、先生も自分の発言が間違いだったと。そういったことはあるんだと思います、基本的に、いろんなやり取りの中で。正しいことを確認していくということでありまして、決して私はあのときに鬼の首を取ったように先生のことを責めたことは全くなかったと、このように記憶をいたしております。
  228. 山本太郎

    ○山本太郎君 申し訳ないんですけど、説明者と質疑者、ここに対して、質疑者が間違えるということが、それはあるでしょう。もちろん、質疑者も、質問者も間違えることはあるでしょう、それは。でも、絶対的に間違えちゃならない部分で間違われたら困るという話なんですよ。鬼の首取ったようにという話じゃないですよ、大臣。基本中の基本ですから。  だって、この日に政府調達、十五章の中のコンセッションを含まないことを聞かれると思ったという話でコンセッションの話になったから、これ答えられなかった、違う認識で答えちゃったという理解ですよね。でも、これ、十五章の政府調達、この中で対象調達となるもの、PFIに限ったという話で話していけば当然コンセッションが外に出るというのは、これ、私、何度も確認して、びっくりしたんです。要は、政府答弁、政府側の答弁はこう言うし、これ、PFIの係の人にも外務省にもTPPとの関係で調べていっても、えっ、でも、何か違うのかなと、自分が違うのかなって、そのような混乱を生み出しているという話なんですよ。  鬼の首取ってという話なんですけど、それ、全然違う話なんです。だって、統括官であったり……(発言する者あり)いやいやいや、言われたじゃないですか、今。
  229. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 個人間の対話はやめてください。
  230. 山本太郎

    ○山本太郎君 個人間の対話じゃないんですよ、これ。  鬼の首取ったようにという話ではなく、これは、だって、説明していただかなきゃいけない方々、完全に理解された上でこれを国会で説明をしていただくという場においてこのような間違いがあった。私、当然です、間違えることありますよ、だって山本太郎ごときですもの、間違えることあります。先日、大臣とのやり取りの中でも謝罪させていただきましたよね、先日私間違えていましたと。(発言する者あり)いえいえ、だから、私から言ったんですよ。それを鬼の首取ったように言わなかったでしょうという話じゃないんですよ。間違いは間違えたとして認めますと、私はそういう立場です。  間違いとして認めていただいたんですけど、一議員が質問のときにその内容を間違えたという間違いと、これは、統括官が重大な国際協定において、これ本当に……(発言する者あり)そうですよ、交渉にも関わっていた人がこのような間違いがあったというのは大問題だという話なんですよ。そこを同等に捉えられているという時点でちょっとお話にならない感じがするんですけれども。  これ、済みません、もう一度、採決どうしたとか出口ありきの話ではもうなくなったんです、この時点で。これ、もう一回やり直しが必要だと思っています。これ、一旦仕切り直しということをお願いしたいんですけれども委員長に。
  231. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) ただいまの提案につきましては、後刻理事会で協議をいたします。
  232. 山本太郎

    ○山本太郎君 いやあ、本当に、ということは、いろんなところで同じようなことが起こっている可能性があるということですね。日本の国益を担ってTPP交渉の中心で活躍されてきた方の説明が事実とは正反対、それが伝わるというのは大変まずいことであると、同じような間違いであったり説明不足だったり誤解をさせたまま外国との交渉が行われている可能性も否めないじゃないですかと、このことは大変危うい事態だということを大臣に危機感を持っていただきたかったんですが、あなたも間違えたけどそのときには私たち言わなかったというような答弁というのは、非常に筋違いといいますか全く違った話であって、要は、説明者と、説明責任を果たすというところの側にいるということを少しお忘れになっているのかなというふうにも思います。  PFIのコンセッションはTPP政府調達の対象調達にはならない、つまり、十五章の義務の適用から逃れるということで、次に参りたいと思います。  現在のPFI法でのコンセッション、建設含まないものですけれども、資料の四、新聞記事、これは、二〇一三年、日刊建設工業新聞の記事。この中で、今のコンセッション制度には存在しない、施設全体を対象として新設や改装も伴うフルパッケージ型へと展開させていく戦略が書かれています。新設というのは建設を伴うという意味ですよね。将来的に、国内のPFI法改正やTPPの見直し協議があった場合には含まれる余地はあるはずです。  TPPにおける政府調達章では、附属書十五のAに記載のあるように、地方における一定の基準額以上の公共事業あるいはPFI事業については十五章における内国民待遇の遵守が求められることになっています。その基準額に満たない事業に関しては、外資が入ってきた場合には、入れるけどルールでは守られませんよという理解であると。  資料の五。TPPにおける政府調達ルールは、協定の効力がスタートするときにはWTOと同じルールなんですけれども、別途、TPP十五・二十三条、二十四条では、政府調達に関する小委員会という締約国同士の会議で自由化の範囲を議論することになっています。先日の磯田参考人もそのようにお話をくださいました。補足すると、小委員会開催は、TPP11では三年以内が五年以後に変わったそうです。    〔委員長退席、理事藤川政人君着席〕  これ、数年後の小委員会において、日本政府調達の適用範囲、これが拡大されるという可能性も当然ありますよね。大臣、いかがお考えですか。
  233. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 第十五章の二十四条の追加的な交渉は、元々これはアメリカなど州政府を開けていない国が五か国ほどあったものですから、それらの国に対して、TPP協定においては我が国も地方政府は開けておりません、地方政府を持っていながら開けていない国に対して、まずは地方政府はWTO協定並みに開けてくれという交渉をするというのが追加的な交渉の一番の趣旨でございます。  もちろん、条文上それ以外のことも協議できるということでございます。もちろん、これは協議ですので、誰かがこういうことを協議したいと言えば、それは小委員会の議論の対象になるわけでございますが、小委員会での意思決定は全てコンセンサス方式ということでございますので、我が国の意思に反して合意がなされるということはないということでございます。
  234. 山本太郎

    ○山本太郎君 じゃ、大臣、数年後のこの小委員会日本のこの政府調達の分野が適用拡大されるということは、大臣御自身はないんじゃないかなというふうに思われるんですか。
  235. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 小委員会におけます決定、これはいずれの国からも反対がないことが条件となっております。この点は協定の二十七の三条において全ての決定をコンセンサス方式で行うと明記をされておりまして、我が国の意向に反して合意がなされることはないと、そのように考えております。
  236. 山本太郎

    ○山本太郎君 一国でも断ればそれは成立しないというお話なんですかね。なるほど、ありがとうございます。    〔理事藤川政人君退席、委員長着席〕  でも、それはこの三年以内、五年以後、まあ11と12で違いますけれども、そこからの流れでどういうふうに転んでいくかということは全く先が読めないわけですよね。小委員会によってその平等性を広げていく範囲が広まっていくんだよと、外資も平等に入れてやれよという話になるのが普通の流れですもんね。  そればかりか、日本という国はといいますか、安倍政権によるこの外交交渉という部分に関しては、ハイスタンダード、自由貿易の旗手という部分を表に出して、先ほど、何でしたっけ、アメリカの例を出されて、二三二、三〇一というようなお話が出て、鉄鋼、アルミ、自動車、それと三〇一がルールという役回りで、二三二よりも三〇一なんだというようなアプローチのお話をされたと思うんですけど、とにかく実を取るというよりか、大きなルールを、そこを作っていくというところに重きを置かれているような部分があると思うんですけど、そう考えると、これ、政府調達においても開かれていくという可能性は否めないものだと思うんですね。  TPPにおいてコンセッション事業を十五章に適用させている参加国を教えてくださいという話だったんですけれども、私が答えますね。今のところ、オーストラリアが確認できると。コンセッション方式を含む幅広い方式を活用していて、明示的に除外する規定は存在していないんだと。コンセッションに限れば、そこだけはオーストラリアは取りあえず扉を開いているわけですよね。だとしたら、この後、オーストラリアに続けという話になる可能性も否めないという話だと思います。  日本が譲っていない部分で既に譲っている国があると。日本側も、自由化に向けて、常に前向きにどこよりも率先してその姿勢を示すスタンスでしたよね。この数年間の間、何も交換していないのに勝手に差し上げているものもありますもんね。  これ、PFIの話を脇に置いたとしても、十五章、政府調達では、ハイスタンダードのグローバリズムを目指すため、十五・二十三条、十五・二十四条の政府調達に関する小委員会で追加的な交渉を行い、調達機関の表の拡大、基準額の改定、それに加えて、差別的な措置の削減及び撤廃を議題にするということがもう書かれているわけですから、どんどん自由化をしていく。対象機関の拡大、適用基準の引下げ、地方自治体を中心にどんどん行われていくということが盛り込まれた条文なんだろうなと思うんですけれども、自由化のためのTPPなんですから、後戻りは許されないはずですよね。自由化に向かって進んでいくというのは当然だと思います。  大丈夫ですか。騒がしいですけど、何かあるんですか。急に採決とか、そういう話じゃないでしょう。大丈夫ですか。(発言する者あり)そうですか。いやいやいや、そんなことないですよ。何かイベントがあるんじゃないですか、この後。そういうことじゃないんですか。
  237. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) どうぞ質問を続けてください。
  238. 山本太郎

    ○山本太郎君 いやいや、これも質問のうちに含まれています。私から今質問したんです、皆さんに。  続けます。もう一回、コンセッションに戻します。  TPP十五章の政府調達章の対象調達にはならないということなんですけど、でも、そうは言ったって、コンセッション以外の建設などのPFIについては十五章が適用されるが、コンセッションについては除外していると。また、コンセッションについては、九章で言うところの政府調達の網の中には入りますから、資料の六、前々回の大臣の答弁のとおり、九・四条、九・十条、内国民待遇とか履行要求の禁止も対象にならない。  一方で、コンセッション以外のPFI事業については、十五・四条の内国民待遇の義務に係ると。まあ、いろいろ外されているから安心なのかなとは思うんですけれども、でも、コンセッションがTPPの十五章の適用から外れているとしても、コンセッションに参加あるいは参加しようとしている事業体が外資系企業である場合には、九章により保護される投資家や投資財産に当てはまるわけですよね。九章の中で、政府調達が適用されないとなっている義務以外の部分、つまり、前回の質疑で取り上げた資料の七、九・六の公正衡平待遇、九・八の収用及び補償に関しては、その違反を理由にISDSで訴えられる危険、依然として残っていると思うんです。投資する目的は政府調達に参加するためかもしれないけれども、投資した、何かを会社設立しましたとなると、会社自体が投資財産になるじゃないかと、そうなるとISDSの対象になってしまうよね、九章は投資章だからと。  非常に、もうISDSのどこでも引っかかるというような作られ方がしているのかなというふうに思っています。非常に悲惨なことにならなきゃいいなと。もちろん、ISDSに対して一番危機感を持っていた自民党の皆さんですから、私の言っている意味は非常に御理解いただけるとは思うんですけれども。  続きまして、資料の八。ちょっと話、話題変えますね。以前、TPP特別委員会で、福島みずほ議員の質疑に対する当時の石原大臣の答弁です。ライン部分だけ読みます、要点なので。「TPP協定では、いわゆる予防原則について明示的には触れられておりません。TPP協定のSPS協定の規定は、」「WTOのSPS協定と同様に、加盟国に食品の安全を確保するために必要な措置をとる権利というものを認めております。」。  政府見解、これ、今も間違いがないということで、大臣、よろしいですか。
  239. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) TPP協定におけますSPS、衛生植物検疫措置に関するルールはWTOのルールと基本的に同じでありまして、我が国の食品安全を脅かすようなルールはないと考えております。  TPP協定においては、いわゆる予防原則について明示的に定める規定は存在してございません。
  240. 山本太郎

    ○山本太郎君 ありがとうございます。  明示的には書かれていないけれどもという話ですけど、じゃ、シンプルに、TPPで予防原則に基づいた食品の安全のための措置というのは行えるんでしょうか。大臣にお願いします。大臣です。いや、大臣ですよ。
  241. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 先ほど申し上げましたように、TPP協定においては、いわゆる予防原則について明示的に定める規定は存在いたしません。  また、TPP協定のSPS章、第七章になるわけでありますが、ここはWTOのSPS協定と同様に、食品の安全を確保するため各国に科学的根拠に基づく適正な措置をとることを認めるものでございます。
  242. 山本太郎

    ○山本太郎君 TPPには、だから、予防原則に立てるというような明示的なものはないということですよね。けれども、科学的に立脚したものであればそのような措置がとれるというお話をしたと思うんですけど、ということは、それ、予防原則には立てないということじゃないですか。予防原則には立てないということでよろしいですね。大臣ですよ。
  243. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 先ほど来、同様の質問に対しまして厚生労働大臣等々も答弁をしているところでありますが、各国に科学的根拠に基づく適切な措置をとることを認めるものだと、そのように理解をいたしております。
  244. 山本太郎

    ○山本太郎君 絶対に言わないんですけど、予防原則に立てないんですよ、要は。そういうのは予防原則とよう言わないんですよと。だから、ずっと言っているんです。分かりながら言ってはるんです、石原大臣の時代からずっと。食の安全が守られるなんて大うそなんですよという話なんですよ。  WTOルールと一緒だって、じゃ、WTOルールのとき、どうでしたかって。ホルモン牛輸入しようとした、違う、ホルモン牛を輸入していた、ホルモン、成長剤を打たれたというのをアメリカ、カナダがヨーロッパに、輸入するということに対しては、ヨーロッパはもう入れないと、これ人体に影響あるかもしれぬからと予防原則の感覚で立てたけれども、これ全く無視したじゃないですか、WTOのパネルが、上級審も。結局、決断下ろさなかったでしょう、決断しなかったんですよ。予防原則に全く立てないってことですよ、これ。どうやって国民の命守るんですかって。  予防原則に立てずにこの国に一体どんなこと起こったのかってことを考えてくださいよ、国民の生命、財産を守ると言うんだったら。予防原則に立てないような新たなTPPというルールをこの国のSPSに含めるのかという話ですよ。  例えば、水俣病でどうですかって。原因が分かって、そこから対処されるまでにどれぐらいの長い期間が掛かったんですかって、二十年ですよ。ほかにはと、例には事欠かないじゃないですか、この国に。すごいなって。魚介類の捕獲、発売が禁止されたのは、最初の兆候として現れたもの、猫が狂い死んだんですけど、そこから数えたら二十年間何もやってこなかったんですよ、この国は。それで今どうなっているかって、認定された患者だけでも三千人と、既に亡くなった方、認定されていない人を含めると十万人だと。二十年間放置しっ放し。  国が予防原則に立って判断をしていれば、こういうことにならないんですよ。でも、TPPでは予防原則立てないじゃないですかって。予防原則に立とうとしたら、これ、また訴えられる話になるんじゃないですかってことですよ。  予防原則の非適用による典型的な失敗例、アスベスト被害も有名。環境省、アスベスト問題に関する環境省の過去の対応についてというレポートで、予防的アプローチができなかったことがアスベスト被害を拡大させた原因と認めている。  ほかにもどんなのあった。イタイイタイ病、四日市公害、六価クロム鉱滓事件、土呂久ヒ素公害、カネミ油症事件、杉並病などなど。被害が確認されてから対症療法的に取り組んだのでは手遅れだって。取り返しが付かないんよ。だから、予防、予見的なアプローチが求められる、だから予防原則が重要なんだって。  暫定措置にもなっていないんじゃないですか、ほとんど、WTOの扱いは。判断を避けた、二つの闘いになった、牛を入れる入れない、その話と、もう一個はそれに対する対抗措置。牛の方はややこしいからと判断するのをやめて、結局ヨーロッパ側が年間四万トンを超えるような牛をアメリカから関税ゼロで入れることになったじゃないですか。そういう目に遭うんですね、この国も。予防原則に立てないんですね。  TPPになれば、これ、パネルで闘うんじゃないですよ。国と国とのやり取りじゃないじゃないですか、これ。ISDになったら企業と国なんでしょうって。何でも入れなきゃいけなくなるんじゃないですかって。  TPP11も、TPP12に関しても全く議論が深まっていない。答えられる答えさえ、答えない。メモはあったんですか、紙があったんですか。なかったですという一言も言えない。基本的なことも言えないような議論で、どうやって深めて、どうやって採決するんですかって。無理です。もう一度やり直しですよ、こんなのは。  よろしくお願いします、委員長。仕切っていただきたいと思います。どのような段取りにすればいいのかは、私、ごめんなさい、ちょっと今、キャリアが少ないので、なので、ちょっとあっち行ってですか、お願いします。
  245. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 後刻理事会で協議をいたします。
  246. 山本太郎

    ○山本太郎君 終わります。
  247. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 暫時休憩いたします。    午後四時十三分休憩      ─────・─────    午後四時二十五分開会
  248. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、環太平洋パートナーシップ協定締結に伴う関係法律整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  249. 田村智子

    ○田村智子君 私は、日本共産党を代表し、環太平洋パートナーシップ協定締結に伴う関係法律整備に関する法律の一部改正法案に反対の討論を行います。  まず、討論に先立ちまして、本日採決することに抗議をいたします。  私の質問の最後にも申し上げましたとおり、まだ質疑は尽くされておりません。確かに、衆議院の時間を超える審議時間を本委員会で行ったことは、参議院の審議の在り方に一石を投じる在り方であって、これは今後も尊重していただきたいと思いますが、問題はどれだけ審議時間を取ったかではないと思います。  農林水産委員会との連合審査の中でも、いかなる交渉を行い、いかなる発言を行ったのか、茂木大臣のその発言の原稿なり、日本側のメモなり、そういうものの提出ということを求めましたが、いまだこのことについて的確な説明を私たちはいただいておりません。そしてまた、茂木大臣の大変非礼な答弁か、あるいはいんぎん無礼な答弁か、どちらかの答弁になるがゆえに的確な御答弁をいただけず、質問を積み残したままになっております。  このような状態で採決を行うことは、このTPP11を批准した際に国内産業にいかなる影響が与えられるのかということを、私たちが審議を尽くした状態であるとはとても言えないということを指摘しなければなりません。  本法案によって、TPP11の批准に必要な国内整備が行われることになります。TPP11は、TPP12の関税撤廃、非関税障壁の緩和水準をそのまま受け継いでいます。凍結事項は極めて限定的であり、食の安全、ISDSなど、二〇一六年の国会審議で明らかとなった問題点は何ら解決されていません。多国籍企業の利益のために我が国経済主権や食料主権を侵害する協定の批准は断じて認められません。  しかも、TPP11では、アメリカが抜けた状態であるにもかかわらず、乳製品の低関税輸入枠や牛肉のセーフガード発動基準などがTPP協定のままになっています。既にカナダ、ニュージーランドなどが対日輸出の大幅増を見込んでいます。アメリカの畜産業界も日本への輸出枠拡大を諦めるはずはなく、今後の日米協議によって、日本の農業はTPP協定よりも深刻なダメージを受ける危険性さえあります。  米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の重要五品目関税撤廃の交渉から除外すること、これが全会派が一致して採択された国会決議ですが、重要五品目のうち無傷のものもなく、明白な国会決議違反であると言わざるを得ません。  政府は、本法案によって国内農業の体力強化をうたっています。しかし、法案質疑では、TPP11によって農林水産物輸入がどれだけ増えるかという試算さえ行っていないことが明らかとなりました。にもかかわらず、国内生産量の維持が可能、農家所得も食料自給率も変わらないという根拠はないままに説明が繰り返されました。ただただ日本の農家に規模拡大とコスト削減を求め、輸入農林水産物との価格競争を十年以上にわたって強いることは、余りにも無責任と言わなければなりません。  参考人質疑では、北海道十勝で小麦などを生産する農家から、大規模化は億単位の借金を背負うことになる、地域社会の形成にも困難をもたらすなどの指摘が行われました。政府支援策は農家の不安にも全く応えていません。また、他の参考人からも、そもそも国土も環境も国によって全く異なる農業は自由貿易の対象とすべきではないとの指摘もありました。  TPP11交渉で多くの国が凍結事項を主張し、訪日したマレーシアのマハティール首相が再協議に言及したのはなぜなのか。多国籍企業の利益追求から国内産業や自国民を守るためにほかなりません。各国の経済主権、食料主権を尊重しながら、国際的な経済関係を築く新たなルールの構築にこそかじを切ることこそ求められています。  本日の採決に対して再度の抗議を行い、反対の討論を終わります。
  250. 山本太郎

    ○山本太郎君 自由党共同代表、参議院、自由党共同代表、社民との会派、もう一回やり直していいですか。はい、ありがとうございます。  自由党共同代表、山本太郎です。社民との会派、希望の会を代表し、反対討論をさせていただきます。  何で採決やってるんですかって話になるんですよ。採決なんてやれるわけないでしょうって。当たり前の顔して何で採決できるんですかって。今日も明らかになったじゃないですか、田村智子さんの質問で。先週から続いて、紙があるのかないのか、その答えさえもはっきり一言で言えなく、いつまでもいつまでも答弁を続けて、大切な質問時間を削り続けて、そのようなことで審議が深まるわけありませんよねって。  ずっとその手法じゃないですか、この委員会に限らず。総理大臣がそういうやり方をするからこそ、ずっとどの委員会でもそういうやり方が許され、どの大臣でもそのような振る舞いになっていくような、まるでそれを、その姿を見ていく、余りにもあり得ないようなやり方。全然、心ないじゃないですか、国会審議に。詰まっていないの丸分かりでしょう。あり得ないですよ、本当に。  しかも、TPP統括官、実際に交渉にまで行っていた人、国会で全く逆の答弁しているんですよ。それは、そのときに質問通告をもらっていなかったからとか、質問通告もらうもらわないの話じゃなくて、超基本的な部分の質問なんですよ。それに対して真逆の答弁を堂々としてしまっている。これはもう一回、今まで行われたTPP、最初のTPPからTPP11のこの質疑に関してどういう答弁をしているのかということを洗い直し、一からやり直しですよ。当たり前じゃないですか、国益掛かっているんでしょう。  国民の生命、財産守るって、いつも口ばっかりじゃないですか。野党時代、どんな振る舞いだったんですか、自民党の皆さん。このバス乗ったらどこ行く、地獄行くみたいな話ずっとしていたでしょう。  TPP米国の基準を日本が受け入れ、日本における米国の利益を守ることにつながるからだ、それは日本日本でなくなること、日本が目指すべき理想を放棄することにほかならない、TPPバスの終着駅は日本文明の墓場なのだって。こんなこと言っていたの一人じゃないですよ。これ言っていたの、もう皆さん御存じですよね、稲田朋美さんですよ。二〇一一年十一月、TPP交渉参加を打ち出した当時の民主党政権を厳しく批判した文章。  これにも負けず劣らず、TPP大反対って言い続けていたじゃないですか。北海道の比例区では、うそつかない、ぶれないとかっていうポスターもあったじゃないですか。これがまかり通るんですかって。選挙終わって政権取って百八十度手のひら返すっていう、これ詐欺ですよ。その詐欺が政治だったら許されるんですかって話ですよ、国民の税金使って。で、国民には自助共助、あり得ない話じゃないですか。  このTPP11に関しても、一体何を得たんですか、差し上げた分の見返りは。当たり前でしょう、国際的な交渉なんでしょう。得ていない、あげてばっかり。何であげてばっかりなんですかと言ったら、何とか形にしたいからって。知らぬわ、そんなもんって。何なんですか、その利益。それによって、実際に畜産やられている方だったり農家の方だったりとか、どんな思いをしなきゃならないんですかっていう話なんですね。  まあ、先ほどの稲田さんのように、骨があるかに聞こえるような言葉を吐き続けた自民党議員は、野党時代には多くいましたが、政権を取った段階でほぼ絶滅。TPP米国に食われると危機感を訴えていた野党自民党が、政権を取ってからTPP大推進に豹変。歴史に残る見事な手のひら返し、もちろん黒歴史ですけどね。  しかし、結局、米国は損をするからとTPPに入らないことに。その際、安倍総理は、TPP米国抜きでは意味がない、根本的な利益のバランスが崩れてしまいますとAPECで訪れたアルゼンチンでは語っていたのに、米国なしでもTPPやる、ついには、米国にいつか帰ってきてもらうと妄想を膨らませ、野党時代の主張からどんどん趣旨が変わる一貫性のなさ。  損をするから入らない、そう言う米国に戻っていただくためには、前よりももっと譲らなきゃ駄目じゃないですか。当たり前ですよ。だって、入らない理由は損するからですから。今まで以上に譲らなきゃならない。TPPじゃなくても事前に譲るようなことになっていくんじゃないんですか、それがFFRなんじゃないですかという話なんですよ。ただでさえ、事前に多くを譲ったのに蹴られた。国益に反する交渉はしないなど無理な話でしょう。  米国抜きで形になったのがTPP11、米国は得するが他国は得しない部分、ルールに関して二十二の凍結項目を設けたと、作ったと。アメリカが復帰するまでの凍結。とにかく十一か国でまとまったという部分だけを手に入れるために、日本は凍結を一つも要求しなかった。いいカモというんですよ、こういうのをね。国益に反する交渉は行わないをキャッチフレーズに国益を損なう交渉をしていたことは、11見たら分かるじゃないですか。  例えば、著作権物保護期間、作者の死後五十年から七十年に延長する部分、凍結ですから、これに対応する国内法の制定、TPP11では国際約束ではない、その義務でもない二十年の延長を今回の整備法で行う理由を、日本がグローバルな基準を作っていくことを主導すると意味不明な答弁。さらに、保護期間延長で、漫画、アニメ、音楽、日本の競争力のあるコンテンツが中長期的には収入が増える、メリットがあると答弁。二十年延長でどのように利益が出るか試算したんですか、政府に聞いても、定量的に試算することは困難であるため、試算は実際には行っておりませんと答える。ニュージーランド、していましたよ。自分たちが主張していることの根拠すらない、イメージにすぎないことが明らかに。これはもはや国権の最高レベルでやるやり取りじゃないですよ。もう居酒屋で語っている夢レベルですよ。  日銀国際収支統計、日本はここ五年、著作権等使用料は毎年年間八千億円もの巨額赤字、その大半は対米赤字、アメリカは著作権分野だけで年間十兆円強という驚異的な外貨を稼ぐ国。著作権の保護期間が二十年延びれば、それだけ日本の国際収支、赤字額は大幅に増え、もうけるのはアメリカ。国益無視で何の交換もなくストレートにプレゼントを差し上げる姿は、交渉とは呼ばない、隷属と言います。  牛肉のセーフガード発動基準数量について、米国がいたTPPで決定された数量五十九万トンをTPP11でもそのまま引き継いだ。つまり、米国分を引き下げなかった。要は、TPP11に残ってくれた国々輸出を増やしてもらう考え。米国分はここにはカウントされないので、輸出が全体に増えてもセーフガードは発動されづらくなり、国内の畜産農家が苦しむことは目に見えていますよね。  先ほど農水省の方、お話しいただいていましたけど、この先、経営安定政策、補給金、いろんなものある、対策費を重ねていったら、じゃ、幾らになるんですかって、答えられない。毎年の予算でやっていくって。しばらくの間は助けるけど、いつまでも助けないという話じゃないですか、これ。毎年やっていく、相当手厚い対応、対策やっているとおっしゃっていましたよ。でも、これって未来永劫、TPPに対しての経営安定策や補給金、続けるわけじゃないでしょう。結局これ、勝てないところ淘汰される以外ないんですよって。  わざわざ、世界の競争に十分な競争ができる準備がまだできていない国内生産者巻き込んで、何で勝手にマーケットもっと広げているんですかって。望んだんですか、農家の方が。関税撤廃、非関税障壁の撤廃、望んだんですか。望まれないことばっかりしていませんか。決められない政治から決められる政治へ、決めていること、ろくでもないことばっかりやん。わざわざ世界の競争にそうやっていろんな人々を巻き込んでいく。強い農業をつくるというんだったら、TPPやめた上でその相当手厚い施策をやることが重要なんじゃないですか。それこそが強い農業をつくるという話なんですよ。それこそが食料の安全保障なんでしょう。それ、やらないんだ、すごいですね。  国益無視で何の交換もなくストレートにプレゼントを差し上げる姿は、交渉ではなく隷属と言います。先ほどの文章をもう一回読み上げているような状態ですけどね、でも、何回でも言いたい。交渉じゃないやん、全部差し上げているやん。  澁谷さん、びっくりしましたよ、もっと違う答弁来るのかと思った。全く違う国会内での答弁を、これ間違いですよねって、認めると思わなかったけど、すんなり認めていらっしゃった。百八十度違うことをやっていた。「水道事業につきましては、どちらかといいますと、これは公営サービスということで、政府調達の分野に属するのではないかと思いますけれども、コンセッションも含めて、今回は政府調達の対象にしているところでございます。」。おかしいやん、それ。コンセッション含まれへんやん。コンセッション含まれることにしているやん、答弁で。百八十度違うようなことを別の委員会で、衆議院で話、しちゃっているんですよ。やり直しに決まっているやん、こんなの。  ほかにもありますよ、こんなことが山ほど、恐らく探していけば。余りにもあり得ない。これは、この一回間違えたとか、この澁谷さんだけの問題じゃないんですよ。なぜならば、TPPとPFIは関係する話なんですから。PFI法の方で梶山大臣がお答えをしてくださった内容と矛盾が出てくるんですよ。  こんなおかしな国会、ないでしょうって。ちゃんとどのような政策体系になるかということの話合い、されていないんじゃないですかって。軽い気持ちで国会に臨まれるから、こんなことになるんじゃないですか。百八十度違うことを言う、普通。言わないですよ。言えないですよ。  つまりは、TPPにおいても、政府調達、PFI、コンセッション事業においても地元企業を優遇するやり方があるといった趣旨の梶山大臣の答弁、ずっとおっしゃっていました。私が外資に食われるんじゃないのと言ったら、いや大丈夫だと。そこまで軽くは言いませんけれども、でも、大丈夫だと、ちゃんとやっていくんだということをずっとおっしゃっていた。けれども澁谷さんの、コンセッションは今回の政府調達の対象になっていると。コンセッションも含めてTPP十五章の対象にしていると理解されるような間違った答弁をされたら、当然、矛盾生まれますよ、澁谷さんの答弁をそのままうのみにすると。コンセッションまで十五章に適用されるという話にしちゃっているんだから。  今まで、PFIの審議のときの、梶山さんが地元企業を優遇とか地元企業を育てるんだと言ってきたけれども、十五章が適用されるということは、その十五・四条の内国民待遇も適用されるということになり、外資も平等に入れてやっていこうという話になるじゃないかって。ちゃんと統一された政策の体制が、体系がつくられていないんじゃないかって。絶対間違えちゃ駄目なところですものね。  大臣は私におっしゃってくださいましたよ。そんな鬼の首取ったみたいに私たち言ったことないでしょう、山本さんも間違えるじゃないかと。そうですよ、間違えますよ、たかが私ですから。でも、一生懸命間違わないようにいろいろ調べてやっていますけれど、間違えることはあります。  私たちベストを尽くしているから間違えることだってあるじゃないかというのは、そちら側に言ってもらったら困るんですよ。だって、交渉内容とか全部秘密なんでしょうって。私たち、知らないんですよ、どんなやり取りが行われてきたか。どうしてこういう内容になっているかということを知れないんですよ。条文読むしかない、以外は何も情報入ってこないじゃないですか、ほとんど。知っているのはそっち側なんですよ。なのに、そっち側の答弁が間違っているという時点でアウトじゃないですかって。百八十度違うことを言っていたことを認めたじゃないですか。だとしたら、採決やっている場合じゃないんですよ。  採決やっていいんですか、これ。当たり前のこと、基本的なことにも答えない、当たり前のことにも答えられないような答弁で人の質問時間をどんどん削っていきながら、衆議院よりも多めに質疑したからいいだろうって。だったら、もう参議院なんて要らないじゃないかという話ですよ。衆議院の時間を上回ったら駄目なんですか。そういう慣例があるだけ。議論が詰まっていないんだから時間は取りますよ。当たり前じゃないですか。良識の府なんでしょう、熟議の府なんでしょうって。  何も話していないのと等しいんですよ、この十何時間。何も詰まっていないんですよ、中身が。何で採決するの。あり得ないですよ。いやいやいやいやいやいやいやいや、こいつがしゃべり疲れたら採決できると思っているでしょう、皆さん。いやいやいや、行かせない行かせない、そんなの。なしなし。まだ言いたいこといっぱいある。
  251. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 発言をおまとめください。
  252. 山本太郎

    ○山本太郎君 はい、何でしょう。
  253. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 発言をまとめてください、ぼちぼち。
  254. 山本太郎

    ○山本太郎君 これ、なかなかまとめるの大変ですよ、委員長。頑張ります、委員長からそう言っていただけたんだったら。  もう一回思い出していただきたいんですよ。いいんですかね、このままで、官邸の言われたとおり、竹中平蔵さんの言われたとおりみたいなね。参議院の独自性って何なんですかという話になっていきませんかね。私、そう思うんですよ。  どうせ通るんだから、おまえ諦めろよという話あるけど、そんな諦められる話じゃないんだという話なんですよ、これ。中身知れていないじゃないですか。交渉の経緯も知らないじゃないですか。その交渉の経緯の中身を知っている、ずっと出席していた澁谷統括官の答弁の中身が百八十度違うことがそのままにされていたんですよ。こんなでたらめな話ないでしょうって。それに気付いたのが今日だったって、あり得ないでしょうって。  要は、日本国内での今までのやり取りの中でもそういった百八十度違うことで答弁を行っていた可能性もある。それだけじゃない。このTPPの元々の交渉からその後の交渉に至るまででも百八十度違うことを言っている可能性、これ否めないですよということなんですよ。だとしたら、これ採決している場合じゃないんですよって。何で採決するんですか。あり得ない。  先ほどお話しさせていただきましたよ。要は、TPP入ったら……
  255. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) もうぼちぼち発言をまとめてください。お願いします。
  256. 山本太郎

    ○山本太郎君 努力しますね。ありがとうございます、委員長。  先ほど、食の安全というのもすごく問題になっている話じゃないですか。アメリカから言われてアルミニウム開放したりとか、いろいろ今までしてきたわけですよね。遺伝子組換え作物、これからもどんどん増えていくだろうと、ポストハーベスト、これからもどんどん増えていくだろうと、そんな中でこれ開いちゃっていいんですかって話なんですよ。だって、基本的にもっと開放する方向に持っていくための自由貿易のルールなんでしょう。厳しくするってことないじゃないですか。今まであったものを撤廃するという方向はあったとしても、厳しくする方向には働かないはずですよ、自由貿易ですから。それをずっと言っていたじゃないですか。それがハイスタンダードなんでしょう。ハイスタンダードだからこそ……
  257. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 山本さん、もう少しでまとめていただけないでしょうかね。
  258. 山本太郎

    ○山本太郎君 まとめたいんですけどね、もう。  じゃ、もう一回、質疑、今日にせずに、審議していただけませんか。そうしたら私、ここで発言やめます。(発言する者あり)いや、審議をお願いいただきたいんです、本当に。  じゃ、もうちょっと聞いていていただきたいです。ありがとうございます。  とにかくですね、一番大事だと思いませんかって。
  259. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 常識の範囲内でひとつまとめてください。お願いします。
  260. 山本太郎

    ○山本太郎君 ありがとうございます。  委員長は、委員長になられる前から非常に、何でしょうね、お優しい方で……(発言する者あり)いや、本当に。関係あるんですよ、これ非常に。常識的な方で、必ずエレベーターでお会いしたらお話をしてくださったりという方なんですね。なので、余り荒いことは言いたくないんですけど、常識的な範囲って、常識的な範囲超えている話じゃないですか、このTPPの、今採決するということ自体が。常識の範囲って、常識超えたことばっかりやってきているのに、都合のいいときだけ常識の範囲って言葉使うんですかって。だって、普通に答弁求めて、二週にまたがって質問時間をほとんど削られたという田村さん。これ、ちゃんと常識の範囲で答弁してくださいよ、内閣府。常識超えているじゃないですか、さっきの澁谷さんの話も百八十度違うって。  五十年から七十年の延長、著作権の話、ただで差し上げた、勝手に開放した、何とも交換しなかった、常識外れているじゃないですか。セーフガード、アメリカ抜けるのにアメリカ分一緒に削らなかったって、常識外れているじゃないですか。
  261. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) もう発言をまとめてください。お願いします。
  262. 山本太郎

    ○山本太郎君 努力しますね。  余りにもおかしいじゃないですか。常識的な範囲という範疇に入らないことだらけじゃないですか、ここでやられていること、永田町でやられていること。  そのセーフガードに関して、またこれ第六条でやり直しできるんだと、アメリカがやめるかやめないかということがはっきりしたらねという話ですけど。でも、それに対しての紙ありますかって、文書ありますか。紙ありますか。それにも答えないじゃないですか。どこが常識的範囲なんですかって。一番常識から外れたところにここがあるじゃないですか、永田町が、その中にいる人たちが。百八十度手のひら返しするんでしょう。誰を守るんだって、保守はどこにいるんだって、保身じゃないかよって。  それでは、第二章に入りたいと思います。
  263. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 山本委員
  264. 山本太郎

    ○山本太郎君 食の安全ってすごく重要なんです、本当に。だって、毎日口に入るものじゃないですか。それがよりとんでもないもの、普通に毒性の高いものが行き来するようになっちゃったら困るじゃないですか。
  265. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 発言をまとめてください。
  266. 山本太郎

    ○山本太郎君 ありがとうございます。まとめたいと思います。  一番大事なのが、やっぱりこの国において予防原則ということがずっとされてこなかったことでたくさんの被害を生んできたじゃないですか。WTOルールと一緒だって、SPSの協定。WTOルールと一緒なんだよ、SPSルールがと言うけど、WTOで予防原則認められへんかったやんって。大臣もそこはよく御存じなので、予防原則が認められるということは一切言わない、当然なんですけど。でも、WTOでもしもそういうことがあったとしても、パネルじゃないですかって。パネルでの闘い、国対国でやるんでしょうって。二審制でしょうって。じゃ、TPPはどうですか、投資家対国じゃないですかって。  そんなことやって何の意味があるんだって、それを長引かせて何のつもりがあるんだって。私、このままあれですよ、週末まで突入してもオッケーな態勢ですよ、はっきり言って。だって、こんなろくでもないものを通すというのがあり得ない。せめて、私にそういう思いがあっても、プラスになるということを考えている人がいるんだったら議論を深めたい。だとしたら、今、採決するときじゃないでしょうって。誰のスケジュールに合わせているんですか、一体。総理のお出かけですか、議長のお出かけですか。圧倒的に少ないに決まっているじゃないですか。
  267. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 発言をまとめてください。
  268. 山本太郎

    ○山本太郎君 ありがとうございます。  あり得ないですよ、はっきり言って。(発言する者あり)議論する場を下さいよ、じゃ。議論する場を下さいよ、じゃ。何も詰まっていない話に対してどうやって採決するんですかって。(発言する者あり)次の機会にはもうこれが実際に通っちゃっている話じゃないですか。(発言する者あり)ルール守らない、憲法守らない、そういうグループもありますけどね。ルール守ろうとか、本当にふだんルール守っている人たちが言わないと意味ないんですよ。常識的範囲でという言葉を言うにも、常識的範囲の政治をやられている……(発言する者あり)みんなが決めたルール。例えば何でしょう。いいですよ。(発言する者あり)はい。じゃ、憲法違反を犯してまで安保法を通した理由は何ですか。何ですか、じゃ、TPPに関して何て言い訳しているんですか、地元で。私は反対なんだけどねとかいう話、しているんですか。
  269. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 議論が終局いたしておりますので、もうおやめください。
  270. 山本太郎

    ○山本太郎君 皆さんが反対していたときのTPPと、ISDSと、今とどう変わったんですか。本質変わっていないじゃないですか。本質変わっていませんよ。  ルールを守ろう、常識的範囲で、本当にそのようなことが行われている場所であれば、私もそうする。でも、全くそうじゃないじゃないですか。  内閣委員会においては、恐らく私、この中でも長い間いさせてもらっていると思います。先生も、先生に御指導していただきながら、先生にもそうです。だから、どちらかというと、私も長いこといます。こんな内閣委員会で振る舞いしたの、私、初めてです。だって、内閣委員会は本当に熟議してきたから。変わっちゃいましたよって話なんですよ、このTPPの後半から。内閣委員会はそういう場所じゃなかったんですよ。私みたいな者にもちゃんと物教えていただいて、私、ちゃんと昔より今の方がましになれているのは内閣委員会の先生方の御指導のおかげなんです。本当にそうですよ。ありがとうございます。  だけど、少なくともちゃんとした議論はしていくという話の下にあったんですよ。ちゃんとした議論されていないもの、これに関しては。これをこのまま、一般質疑のときにこれやりゃいいだろうという話にはできない。だって、この後、採決なんだもの、さっき決めた。(発言する者あり)  だって、その話、ちゃんとまとまった時点じゃなくて、急にじゃないですか。ちゃんと、ちゃんとみんなで合意した上でじゃないですか。だって、いつ……(発言する者あり)いや、オブザーバーにも、だって認められているから当然出席させていただいたという経緯があります。(発言する者あり)いや、でもやっぱり議論が、与野党関係なくお聞きいただきたいんですよ。このような議論があった中でこれを通すというのはありですかって。ありなんですか。全く百八十度違うような答弁があったとしてもありなんですか、これ。だとしたら、もう政治なんて要らないねって話になりませんか。(発言する者あり)もちろんです。
  271. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 山本さん。
  272. 山本太郎

    ○山本太郎君 じゃ、衛視呼んでください。はい、衛視呼んでください。だとするならば、強制退去させてください。  本当に申し訳ありません。何の恨みもないです。TPPだけはおかしい話なんです。お願いします。TPPは通せない。通せないですよ。今からですね、本会議もあるし、でも本会議では無理じゃないですか、確実に。ボタンで決まってしまいますもん、だって。排除していただくしかないです。(発言する者あり)いやいや、排除してくださいよ。(発言する者あり)
  273. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 討論を、しばらくちょっとやめてください。  速記を止めます。    〔速記中止〕
  274. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 速記を起こしてください。  どうぞ、山本さん。討論を続けてください。
  275. 山本太郎

    ○山本太郎君 いいんですか。
  276. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 終わりましたか。
  277. 山本太郎

    ○山本太郎君 あっ、まだやっていいんですか。(発言する者あり)ああ、まとめてくださいですか。  到底無理くりなんですよね、私がやっていること。本当、皆さんにおわび申し上げたいです。ごめんなさい。私がやっていること、本当、むちゃくちゃだってこと分かっています、これルール上ね。でも、これ以外止めようないんだもんって。(発言する者あり)無理だっておっしゃっています。
  278. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) おまとめください、山本さん。
  279. 山本太郎

    ○山本太郎君 はい、今まとめようとしています。  本当に、選挙で勝つしかないなということをしみじみ思います。(発言する者あり)ええ。本当にひっくり返させていただきますんで、ええ、そのときは、力合わせてこのTPPも離脱できるような動きをみんなで一緒にやっていただきたいと思います。だって、元々TPP反対だったんだから、皆さん。お力貸してください。  終わります。
  280. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  環太平洋パートナーシップ協定締結に伴う関係法律整備に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  281. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、矢田さんから発言を求められておりますので、これを許します。矢田わか子さん。
  282. 矢田わか子

    矢田わか子君 私は、ただいま可決されました環太平洋パートナーシップ協定締結に伴う関係法律整備に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・こころ、公明党、国民民主党・新緑風会、立憲民主党・民友会及び日本維新の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     環太平洋パートナーシップ協定締結に伴う関係法律整備に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。  一 TPPに対する国民の不安・懸念を払拭するため、引き続き、その内容及び経済効果について情報の提供に努めるとともに、国内対策に係る取組について周知を図ること。また、情報の提供等に当たっては分かりやすく整理して、丁寧に説明すること。  二 農林水産物生産額への影響試算を含むTPP経済効果分析については、他のTPP参加国における試算例や各県の試算例も参考として、より精緻なものとなるよう、見直しに努めること。  三 TPP協定附属書に規定する七年後の再協議においても、我が国農林水産業が引き続き再生産が可能となることを基準として協議に臨み、我が国の国益に反するような合意は一切行わないこと。また、米国の参加を前提として設定された乳製品等の関税割当ての枠数量及び牛肉等のセーフガード発動基準数量については、TPP11協定の規定に基づき、必要な場合には適切に対応すること。  四 世界的に保護主義の台頭への懸念が強まる中、諸外国の活力を我が国成長に取り込むとともに、自由かつ公正な貿易の推進・深化及び我が国生産ネットワークの強化に資するため、広くアジア地域における経済連携協定の推進はもとより、多角的自由貿易体制の強化・再構築に向けて、世界第三位の経済大国として、積極的にリーダーシップを発揮すること。  五 米国との経済対話や「自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議(FFR)」においては、TPPの合意水準を上回る米国からの要求は断固として拒絶し、我が国の国益に反するような合意は決して行わないこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  283. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) ただいま矢田さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  284. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 多数と認めます。よって、矢田さん提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、茂木国務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。茂木国務大臣
  285. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。
  286. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  287. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四分散会