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2018-06-14 第196回国会 参議院 内閣委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十年六月十四日(木曜日)    午前十時四分開会     ─────────────    委員異動  六月十三日     辞任         補欠選任      豊田 俊郎君     礒崎 陽輔君      野上浩太郎君     中西  哲君      宮本 周司君     石井 準一君      榛葉賀津也君     舟山 康江君  六月十四日     辞任         補欠選任      中西  哲君     野上浩太郎君      舟山 康江君     榛葉賀津也君      田村 智子君     大門実紀史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         柘植 芳文君     理 事                 藤川 政人君                 和田 政宗君                 西田 実仁君                 矢田わか子君     委 員                 有村 治子君                 石井 準一君                 礒崎 陽輔君                 江島  潔君                 岡田  広君                 山東 昭子君                 中西  哲君                 野上浩太郎君                 山下 雄平君                 熊野 正士君                 榛葉賀津也君                 舟山 康江君                 相原久美子君                 白  眞勲君                 田村 智子君                 大門実紀史君                 清水 貴之君                 山本 太郎君    国務大臣        国務大臣     茂木 敏充君    内閣官房長官        内閣官房長官  野上浩太郎君    副大臣        内閣府副大臣   越智 隆雄君        内閣府副大臣   田中 良生君        外務大臣    佐藤 正久君        文部科学大臣  丹羽 秀樹君        農林水産大臣  礒崎 陽輔君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        村井 英樹君        経済産業大臣政        務官       大串 正樹君    事務局側        常任委員会専門        員        藤田 昌三君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       藤本 康二君        内閣官房TPP        等政府対策本部        政策調整統括官  澁谷 和久君        内閣地方創生        推進事務局審議        官        村上 敬亮君        内閣知的財産        戦略推進事務局        次長       川嶋 貴樹君        公正取引委員会        事務総局経済取        引局長      菅久 修一君        公正取引委員会        事務総局審査局        長        山本佐和子君        総務大臣官房審        議官       泉  宏哉君        法務大臣官房審        議官       加藤 俊治君        外務大臣官房審        議官       石川 浩司君        外務大臣官房参        事官       林  禎二君        財務大臣官房審        議官       柴崎 澄哉君        国税庁長官官房        審議官      並木  稔君        文化庁長官官房        審議官      永山 裕二君        厚生労働大臣官        房生活衛生・食        品安全審議官   宇都宮 啓君        農林水産大臣官        房総括審議官   天羽  隆君        農林水産大臣官        房輸出促進審議        官        新井ゆたか君        農林水産大臣官        房審議官     岩本 健吾君        農林水産大臣官        房審議官     小野  稔君        農林水産大臣官        房国際部長    渡邉 洋一君        農林水産省生産        局農産部長    岩濱 洋海君        農林水産省生産        局畜産部長    大野 高志君        林野庁林政部長  渡邊  毅君        水産庁漁政部長  森   健君        経済産業大臣官        房審議官     吉田 博史君        経済産業大臣官        房審議官     小瀬 達之君        経済産業省通商        政策局通商機構        部長       渡辺 哲也君        経済産業省商務        情報政策局商務        ・サービス政策        統括調整官    江崎 禎英君        中小企業庁経営        支援部長     高島 竜祐君        観光庁審議官   瓦林 康人君    説明員        会計検査院事務        総局第五局長   堀川 義一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○環太平洋パートナーシップ協定締結に伴う関  係法律整備に関する法律の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件 ○連合審査会に関する件     ─────────────
  2. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、榛葉賀津也君宮本周司君、野上浩太郎君及び豊田俊郎君が委員辞任され、その補欠として舟山康江さん、石井準一君、中西哲君及び礒崎陽輔君が選任されました。     ─────────────
  3. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  環太平洋パートナーシップ協定締結に伴う関係法律整備に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官藤本康二君外二十八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 環太平洋パートナーシップ協定締結に伴う関係法律整備に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。茂木国務大臣
  6. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) ただいま議題となりました環太平洋パートナーシップ協定締結に伴う関係法律整備に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  この法律案は、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定締結し、これを実施するため、環太平洋パートナーシップ協定締結に伴う関係法律整備に関する法律について、一部の改正を行うものであります。  次に、本法律案要旨を御説明申し上げます。  第一に、法律の題名を環太平洋パートナーシップ協定締結及び環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定締結に伴う関係法律整備に関する法律に改めることとしております。  第二に、施行期日を、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定日本国について効力を生ずる日に改めることとしております。  このほか、環太平洋パートナーシップ協定を引用している箇所については、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定発効にも対応できるようにする等改めることとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨です。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  7. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 岡田広

    岡田広君 自由民主党の岡田広です。  環太平洋パートナーシップ協定締結に伴う関係法律整備に関する法律の一部を改正する法律案に関連して質問をいたします。  先日、マレーシアマハティール首相が、政権交代後初めて来日をされました。マハティール首相は、十一か国による新しいTPP協定について、マレーシアのような小国にとって現在の合意条件は不利、あるいは、反対ではないが再交渉する必要があるなどと発言をされたことが報道されました。TPP11が早期発効すれば、コロンビアタイなど新しい国、地域参加関心を示していることもあり、マハティール首相が翻意をしたり、ひいては米国復帰にもつながるのではないかと考えます。再交渉という意見がこれ以上出ないように対応をするということも大事だろうというふうに思っております。  WTOはスイスに事務所がありますが、TPP本部事務所規定がありません。マハティール首相のこういう発言は、正式に話があるということ、まあどういう形でやるのか、これはちょっと私も分かりませんけれども、いずれにしても、TPP11協定早期発効させるべきではないかというふうに考えていますが、これについての政府対応についてまずお尋ねをしたいと思います。
  9. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) お答え申し上げます。  TPP11についてでございますが、各国とも国内手続を進めておりまして、メキシコは先月国内手続を終えるなど、予想以上のスピードで動き出しているところでございます。マレーシアにつきましても、国内関連法案の準備を事務的には進めているというふうに承知しているところでございます。今週月曜日でございますが、メキシコグアハルド大臣茂木大臣会談をいたしまして、早期発効に向けて連携していくということで一致をしたところでございます。  TPP協定は、ちょうど昨日、参議院会議で御承認いただいたところでございますが、この国内法TPP法案につきましても早期成立をお願いしているところでございまして、政府として全力で取り組み、先生指摘のとおり、TPP11の早期発効に向けた機運を高めていきたいと思っているところでございます。  TPP11協定発効した後は、新たな国、地域が加盟するということで、保護主義に対して、TPPの新しいルール、これを世界拡大していくということが視野に入ってくるところでございます。既にコロンビアタイあるいは台湾など、様々な国や地域参加関心を示していることを歓迎しているところでございます。  御指摘マハティール首相発言、新聞のインタビューなどでそういう発言をされたと承知しているところでございますけれども、新政権になったわけでございますが、マレーシア政府当局に対しましても、私どもの方からTPP意義等について改めてきちんと説明を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  10. 岡田広

    岡田広君 是非政権が替わったからということで離脱ということのないように、アメリカオバマ大統領のときからトランプ大統領政権が替わって離脱ということになったわけでありますから、このTPP世界に広げていくことのためにも、日本リーダーシップとなって是非この発効に向けて努力をしていただきたいというふうに思っております。  四月の日米首脳会談において、自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議FFR合意され、六月七日に行われた日米首脳会談では、第一回会合を茂木大臣ライトハイザー米国通商代表との間で七月に、来月開催する方向で調整していくことが確認されたと伺っております。米国ムニューシン財務長官も、対日FTAを望むと記者会見をされております。ハガティ駐日大使も、マスコミインタビューで、速やかにウイン・ウインの日米貿易関係の構築に向かうことを楽観していると二国間協定締結に意欲を示しています。さらに、米国は、TPP離脱米国内の農業界から不満が噴出をしている報道も出ております。日本市場開放を求める分野について、農業優先順位は高いと発言もされております。  このような中で、農業関係者からは、この協議日米FTAに向けた議論を加速するのではないかと受け止め、不安を感じているとの声も多く聞こえてまいります。これについては衆議院所管委員会でも議論の中心であったのではないかと思いますが、参議院にこの法案が来たわけでありますから、改めて、このような声に対して、私は、TPP日米両国にとって最善であるという立場に立って、農林水産物についてもTPP以上を議論する必要はないと考えております。  FFRを立ち上げたことによって日米FTAに向けた議論が加速するのではないかとの受け止め方に関して、現場の不安に対して、茂木大臣の見解をお尋ねしたいと思います。
  11. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) まず、先ほどのTPP11に関してでありますが、昨年の一月二十三日、米国TPPから離脱をする、この宣言をした後、間違いなく日本が十一か国での議論をリードし、結束を固め、昨年十一月、ダナンでの大筋合意、そして今年の三月八日、チリのサンティアゴでの署名に至ったわけでありまして、これまでも日本としてこういったリーダーシップ、主導的な役割を果たしてまいりましたし、まだこの協定発効しておりませんので正式な事務局というのはありませんが、間違いなく日本が様々な国との連絡調整であったり、また共通認識を確立する、こういった立場から事務局的機能を担っているということは間違いないわけであります。  そういったことは引き続き続けていきたいと思っておりますし、同時に、確かに政権交代が起こる国というのはあるわけでありますが、このTPP11が持つ意味、そして、それがマレーシアであったり様々な国にとっても大きなメリットをもたらすものである、こういったことを改めて丁寧に説明をしていきたいと、こんなふうに思っております。  その上で、四月の日米首脳会談合意をいたしました自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議FFRと、このように呼んでおりますが、これは、日米間の貿易投資を更に拡大させ、公正なルール、これに基づいて自由で開かれたインド太平洋地域を実現するための方策についての議論であります。もちろん、マスコミ報道ですと様々な、何というか、期待といいますかそれぞれの思いというのはあると思いますが、我々としては、二国間のFTA、これは念頭に置いておりません。この点についても、日米首脳会談、私も同席をいたしましたが、米側にも強調したところであります。  したがいまして、本協定日米FTA交渉と位置付けられるものではなく、その予備協議でもございません。日米二国間の協議は行いますが、それイコール二国間協定というわけではなくて、ハガティ大使もおっしゃっているように、双方の利益となるような様々な成果というのは考えられると思っております。  確かに、米側、二国間のディールというものに関心を有しているのは確かだと思いますが、我々としてはTPP日米両国にとって最善であると考えておりまして、農業分野につきましてはTPP合意したラインが最大限であると考えておりまして、こういった立場を踏まえて今後の議論にも臨んでいきたいと考えております。
  12. 岡田広

    岡田広君 是非日本リーダーシップを取って、このTPP発効に向けて努力をしていただきたいと思います。  先月三十日にトランプ大統領が、三月に発動した鉄鋼、アルミニウムの輸入制限について、EU、カナダ、メキシコへの適用除外期限を一か月間延長すると発表する報道もありました。日本産品は当初から課税対象となっていますが、これらの除外アメリカに求めているのかと思いますが、日本除外する見返りにFTAを求めてくるのではないかという懸念も現場にあることも事実であります。WTOには、世界貿易機関には紛争処理機能を持っておりますので、是非これも世界貿易機関WTOでの解決を主張すべきということをこれは要望をしておきたいと思います。  TPP11につきましては、元々のTPP12の特徴であるハイスタンダードを維持するという観点から、米国が抜けたことを踏まえた協定内容自体修正等は行わず、知的財産関連などごく一部のルールのみを凍結することで合意したものと伺っております。このため、乳製品関税割当て枠や牛、豚のセーフガード発動基準数量についてはTPP12のときのままとなっております。したがって、TPP11では、米国以外からの農林水産物輸入が急増した場合であっても、米国参加を前提に設定された輸入枠の範囲内であれば輸入が可能となってしまい、セーフガードも発動しにくく、我が国農林水産業に大きな影響が及ぶのではないかと懸念する声が現場から多く聞こえてきます。  TPP11における乳製品関税枠割当て、あるいは牛、豚のセーフガード発動基準数量は、米国復帰しなくてもそのままだと考えておりますが、確認の意味であります、TPP効力を生ずる見込みがない場合に見直しをするということでありますが、これはいつの時点をもって判断するのか、この辺についてお尋ねをしたいと思います。
  13. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) お答え申し上げます。  乳製品などのTPPワイド枠のお話、それから牛肉などのセーフガード発動基準数量、いわゆるTPPワイドで設定されている数量について、お隣の部屋の農水委員会で何度か御質問いただいているところでございますが、改めて御説明をさせていただきたいと思います。  今、岡田先生指摘のとおり、TPP11におきましては、知的財産などごく一部のルールのみが凍結されて、いわゆる市場アクセス部分については修正をしておりませんので、御指摘のとおり、TPPワイド枠はそのままの数量になっているところでございます。  これについてはいろいろ議論があったところでございまして、署名までに直すべきじゃなかったのかという御意見も頂戴しているところでございますが、これは、十一か国でいろいろ議論をしている中で、実は私どもと同じようなTPPワイド枠を持っている国もほかにもあるわけでございます。そうした国も含めて議論をした結果、十一か国としては、アメリカ復帰を促すという立場であるというこの基本に立ち返りまして、基本的にはそのままにしておいて、アメリカ復帰が見込めなくなったその暁にはきちんとその必要な修正を行う規定第六条というものを設けたところでございます。  これはどういう場合かということでございますけれども米国通商政策の新たな動向などを踏まえて判断するということでございますが、米国復帰をすることが見込まれなくなった場合には、日本としては、TPPワイド関税割当て枠数量、それからセーフガード発動基準数量については必要な見直しを行うということを各国に何度も伝えて十分な理解を得ていると、したがって必要な場合には必要な調整を行うというふうに考えておるところでございます。
  14. 岡田広

    岡田広君 今、澁谷統括官から答弁がありましたが、米国参加をしなくなったというこの判断というのはどのぐらいのインターバルがあるのか、その判断はイレブン全てでやるんだろうと思いますが、その辺のこと、もし分かったら教えていただきたいと思います。
  15. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 米国通商政策、まだ現政権通商政策は、まさに週替わりと申しますか、いろいろ動いているところでございますのでよく見極める必要があるわけでございますけれども、明らかに米国政権通商政策としてこれはもうTPPへの復帰がないということをある締約国判断をした場合に締約国が必要な見直しを行うという、そういう協議をできると、こういうことでございますので、その場合に必要な判断をしていきたいというふうに考えております。
  16. 岡田広

    岡田広君 このTPP12のときには、これは甘利前大臣、そして茂木大臣澁谷統括官努力をしなければこれは合意に至らなかったと私は考えておりますけれども是非アメリカ復帰をさせるということで努力をしていただきたいと思っております。  このTPPによりまして農林水産分野においては生産額が減少するのではないかといったマイナス面報道が出されておりますが、十一か国の人口は五億人、GDPは十兆ドルという大きな経済圏が生まれるということにもなります。TPPは、単に関税を下げるだけではなく、知的財産保護など幅広い分野について二十一世紀型の自由で公正なルールを作り出すものだと考えておりますが、良いものが良いと評価される広大なマーケットが生まれ、我が国農業者中小企業にとっても大きなチャンスが生まれるのではないかとも考えます。  政府は昨年の十二月に経済効果について試算をしていると承知しておりますが、TPP経済効果あるいは我が国の成長を後押しするプラス面など、このTPP優位性についてもっと積極的に国民にPRをして情報を発信すべきだと考えておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
  17. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) お答えを申し上げます。  先生指摘のとおり、TPP11の経済効果につきましては、私どもの方でGTAPというモデルを使った分析を行っているところでございます。GDP押し上げ効果が約一・四九%、二〇一六年度のGDP水準で換算いたしますと七・八兆円の押し上げでございます。労働も約〇・七一%増加ということでございます。  アメリカがいなくなったわけでございますが、米国貿易量TPP12の中では約半分を占めておりますので効果は半減するかと思ったところですけれども、四割減にとどまっているところでございます。これは、ルール面で特に途上国参加国との貿易投資のコストが下がるという、その効果が意外に大きかったというふうに考えているところでございます。  TPPなどのこういう経済連携によりまして、関税削減だけではなくて貿易投資拡大することで国内生産性向上、さらには労働供給拡大につながる、こういういい循環が生まれるというふうに考えているところでございます。  これまでTPPにつきましては、12のときからを含めて何度となく説明会等も開催をしているところでございますし、情報を幅広く提供しているところでございますけれども先生指摘のとおり、今後とも、経済効果も含めて、TPP優位性意義等についてより積極的に丁寧な説明を心掛けていきたいと考えております。
  18. 岡田広

    岡田広君 今、丁寧に説明国民の皆さんにも説明をしていただくということで、是非その努力をお願いをしたいと思います。  一方で、このTPPによりまして、農林水産物生産減少額が約九百とか千五百億という数字が出されております。また、日EUEPAでは約六百から約千百億。この試算が甘いのではないかという指摘もありますけれども、これに対しては、TPP日EUEPA発効を見据え、昨年十一月に、総合的なTPP関連政策大綱を改訂をされました。改訂された大綱に基づく体質強化対策について、二十九年度の補正予算において三千百七億円が予算を措置されました。この予算だけで農林水産業マイナス分がカバーできるわけではありません。生産性を向上させる、あるいは六次産業化を進めるとか、さらに輸出拡大など、あらゆる政策を通してこのマイナスをプラスに転じていくということが大事だと思っております。  今日は、その中で、輸出拡大について少し取り上げたいと考えております。  先日、党の小泉委員長の下で、自民党の農林水産物輸出対策促進委員会で、輸出にやる気、関心がある生産者、産地等を登録してコミュニティーを形成し、その参加者が取り組む輸出用の産地形成を支援すること等を内容とする提言、グローバル・ファーマーズ・プロジェクトがまとめられたところであります。国内の人口が減少傾向にある中で、世界に目を向け、我が国の高品質な農林水産物を海外へ輸出していくことは不可欠です。  今般の提言を踏まえ、輸出向けの産地育成等に積極的に政府でも取り組んでいただきたいと考えます。二〇一九年の一兆円目標を超えた輸出促進を実現して、さらに日本農林水産物の輸出先進国に変えていかなきゃならないと考えております。  個別品目の輸出について考えると、我が国においては米の需要が毎年約八万トンぐらいずつ減少している中で、米、米加工品、日本酒を輸出していくことも重要になると考えております。米の輸出を更に拡大していくために、農林水産省では、昨年九月にコメ海外市場拡大戦略プロジェクト構想を立ち上げ、十万トンの目標を掲げ、輸出事業者や米の産地が連携して行う戦略的な輸出の取組の後押しを進められておりますが、今後、米、米加工品、日本酒の輸出促進についてどのように取り組んでいくのか、お尋ねをしたいと思います。
  19. 岩濱洋海

    政府参考人岩濱洋海君) 自民党の農林水産物輸出対策促進委員会において提言されましたグローバル・ファーマーズ・プロジェクトの取組については、現在、農林水産省において具体的な実施内容の検討を進めているところでございます。  委員指摘の米、米加工品の輸出については、我が国の米消費量が毎年八万トン減少していく中で輸出量を飛躍的に拡大するため、コメ海外市場拡大戦略プロジェクトを昨年九月に立ち上げ、オールジャパンで輸出量十万トンを目指すこととしたところでございます。本プロジェクトは、戦略的に輸出に取り組む輸出事業者、輸出産地、輸出ターゲット国を特定し、それらが連携した個別具体的な取組を強力に後押ししていくものであります。現時点で輸出事業者として五十七の卸売業者、商社などがプロジェクトに参加し、合計十三・三万トンの目標が示されております。また、産地としても二百五十三もの産地、団体が参加しております。  現在、農林水産省としては、本年作付けが進んでおります三十年産米における取組の拡大に向けて、本プロジェクトの参加事業者、産地について、日本産米のニーズを踏まえた情報交換、地域ごとの説明会、海外実需者のインタビュー動画の配信等により丁寧にマッチングを行っております。また、海外における日本産米の需要を確保、拡大していくため、輸出事業者が行うプロモーション等の輸出拡大のための取組を支援しております。さらに、包装米飯、米菓等の米の加工品、日本酒についても、海外への輸出が拡大すれば、その原料となる国産米の需要が拡大することになります。関係団体、輸出業者等と連携したプロモーションを通じて輸出の拡大に向けた取組を行っております。  今後とも、輸出の促進に向けて強力に推進してまいります。
  20. 岡田広

    岡田広君 是非輸出拡大に向けて更に努力、支援をしていただきたいと思います。  米についても、生産調整の廃止とか、まさに環境変化が著しい中で、海外で日本産米の需要を拡大をしていくというのは大変重要だと考えております。海外における日本食レストランも、二〇〇六年に約二万四千店だったのが昨年は十一万八千店と、もう九万四千店、数字で言うと伸びております。是非これを広げていくということが私は大事だろうと思っております。  日本酒を今日はちょっと伺いたいと思いますが、日本酒の輸出に当たっては高い関税が課せられる国もあると聞いております。中国や台湾は四〇%近い関税、韓国も一五%から二〇%という。香港やシンガポールは無税です。今回合意された日EUEPA関税が撤廃ということで、この高関税の壁を取り除いていくというのが輸出拡大にもつながるんだろうと思います。  これは、関税の削減、撤廃は政府にしかできないことと考えておりますけれども、こういう関税がある中で、関税以外にも付加価値税等が掛かりまして、日本酒の価格が日本で売られている三倍、五倍になってしまうということ、それでも富裕層を中心に非常に好評を博していることは御承知のとおりでありますけれども、更にこの輸出を拡大していくためには、関税の削減、撤廃、あるいは茨城の酒でも福島の酒でも、中国等には三・一一の風評被害がまだあり輸出ができないという、そういう状況になっておりますから、こういう点も踏まえてどう対応していくのか、御答弁をお願いしたいと思います。
  21. 並木稔

    政府参考人(並木稔君) お答え申し上げます。  国税庁では、政府全体の取組でありますクールジャパン推進の一環として、官民で連携いたしまして日本産酒類の輸出拡大に向けた取組を進めております。この結果、平成二十九年の清酒、日本酒の輸出金額は約百八十七億円となっておりまして、八年連続で過去最高を記録しております。  政府としては、こうした取組の一環といたしまして、各国とのEPA交渉などを通じ、関税を始めとする輸入規制の撤廃の働きかけを行ってきておりまして、TPP11の交渉結果では全ての交渉参加国において全ての酒類について関税撤廃を確保し、また、昨年十二月に交渉妥結した日EUEPA交渉でも全ての酒類について協定発効時にEU側の関税が撤廃されることとなっております。  他方、委員指摘のとおり、韓国や中国など、日本産の輸出に際して比較的高率な関税が課される国が存在することは事実でございまして、これらの国につきましても、一層の輸出促進の観点から、RCEPあるいは日中韓FTAなどの国際交渉の機会を通じまして、関係省庁とも連携しながら、引き続き関税率の引下げを求めていきたいというふうに考えております。  風評被害の方は、お答え……(発言する者あり)分かりました。  風評被害につきましても、安全性を証明することが重要ということで、独立行政法人酒類総合研究所と連携しまして震災直後の平成二十三年六月から放射能の分析を実施してきておりまして、そういう中で、これまで分析した酒類については我が国における一般食品の基準値を超過する放射性物質は検出されておらないということでございまして、この意味でしっかり酒類の安全性は証明できていると考えております。  しかしながら、依然として日本産酒類の輸出に対する規制を行う国がございますので、こういうところにつきましては、これからも様々な機会を通じまして日本産酒類の安全性をPRするとともに、様々な輸入規制を実施している国について、いまだ輸入規制を実施している国に対しましては、こちらも関係省庁と連携し、規制の撤廃を粘り強く働きかけていきたいというふうに考えております。
  22. 岡田広

    岡田広君 是非日本酒の関税につきましては、水戸にも天下の副将軍というお酒造っている明利酒類ってあるんですけれども、これは、オーストラリアは関税ないんですけど、やっぱり台湾は関税が四〇%近く、高いということで、この辺のやっぱり改革をひとつしていただきたいという要望であります。  十一日の決算委員会の准総括で景気対策で質問をさせていただきましたが、そのときに地方金融機関の役割というのを質問をさせていただきましたけれども、やはり金融支援ということではなくして、地域の金融機関は地方の企業で生きているわけですから、地方の活性化にもつなげていくということが非常に大事だと思っております。  先月の十六日に、茨城のメーンバンクである常陽銀行は、北海道銀行、さらには同行が出資する北海道総合商事と連携して、急成長するロシア市場に向けて農産物の本格輸出をすることを公表をして、連携協定を結びました。四月にイチゴの試験輸出に成功しており、今後は、協定締結を契機に、日本一の茨城のメロン、ブドウ、梨、あるいはジェトロの協力でベトナムでも販路拡大をしていますが、様々の県産農産物や加工品、日用品などの本格輸出につなげるということであります。  四月の二十六日から六日間にわたって経済交流イベント、日ロ経済の観光交流ミッションがモスクワで開かれまして、茨城県の大井川新知事も参加して、大成功に終わったということでありますが、四月にはJA茨城旭村が出荷した鉾田市産イチゴ、とちおとめが初めてロシアの富裕層向けに試験輸出されました。これはやはり地方金融機関のいい例だと思いますので、こういうことを広げていきたいということを要望しておきたいと思っております。  ちょっと時間が来てしまいましたが、和田政宗委員の御理解をいただきまして、最後に食料自給率について伺いたいと思っています。  年間六百二十一万トン以上の大量の食品が廃棄されており、また金額換算での食品ロスは約十一兆円に上るという推計もあります。その一方で、国連の推計によれば、世界の人口については二〇五〇年に百億人近くまで増加することが予想されており、そのときに日本は一億という人口減少になるわけでありますけれども、経済成長による畜産物消費の増加によって穀物需要も更に増加する中で、例えば二〇〇七年から八年にかけての世界的な食料価格高騰時には、各国で自国内の食料の安定供給を優先し輸出を制限する動きがあったことを踏まえると、我が国が今のように自由に食料を輸入し続けれる保証はどこでもないわけであります。  こうした中で、食料はやはり自国で賄うのが基本であり、食料自給率を向上させていくことが重要と考えていますが、食料自給率は、御承知のようにカロリーベースで三八、生産額ベースでも六八%ということで、先進国の中でも最低の水準です。こうした状況の中で、政府ではどのようにこの予算の中で食料自給率の向上を図っていくのかというのをお尋ねしたいと思います。
  23. 天羽隆

    政府参考人(天羽隆君) 食料の安定供給を将来にわたって確保していくということは、国家の国民に対する最も基本的な責務の一つと考えているところでございます。  御質問をいただきました食料自給率の向上策でございますが、食料・農業・農村基本法におきましては、その第十五条第三項におきまして、食料自給率の目標は、その向上を図ることを旨として定めるということとされているところでございます。  農林水産省といたしましては、食料自給率の向上に向けまして、国内外での国産農水産物の消費拡大や食育の推進、消費者ニーズに対応した麦、大豆の生産拡大や飼料用米の推進、付加価値の高い農水産物の生産、販売や輸出の促進、優良農地の確保や担い手の育成の推進などの施策を講ずることとしておりまして、引き続き、自給率の向上に向けまして各種の施策を総合的かつ計画的に講じてまいりたいと考えております。
  24. 岡田広

    岡田広君 食料の自給率、自給力の向上って大変重要であります。  先ほど、食品ロス量六百二十一万トンと言いましたけど、なかなかどのぐらいの量か分かりません。金額に直すと約十一兆円という数字出ていますけれども、東京の予算は年間七兆円、横浜は一兆七千億で、私の茨城県は年間予算一兆一千億ですから、約十年間分を一年間で日本人は食べ残しをしている、大型十トントラック毎日千七百台分を廃棄しているというそんな計算になりまして、年間一人当たりの食品ロス量四十九キログラムと出ています。日本人が一人当たり年間米の消費量約五十四ですから、全く同じぐらいになっているということで、世界には約八億人、飢えや栄養失調で苦しんでいる方々もいるということであります。これは二年前のG7の農業大臣あるいは環境大臣会合でも議題になりまして、各国が協調して積極的に取り組んでいくことで合意をされました。国連でも、二〇三〇年までに食品廃棄を半減すると目標を掲げております。  この食品ロス削減につきましては、自民党では山東昭子先生が会長で中心で議論をしているわけでありますが、食べ残し、これ十一兆円って本当にいかにもったいない、飽食、豊かという言葉が使われる国なんだろうか。廃棄処分するのに二兆円掛かるんです。二兆円って、当時、これ十年ぐらい前の数字ですけれども、今は農林水産省でも消費者庁でもこの数字出していませんけれども、十年前、ベトナムの年間予算が二兆二千億ぐらいですから、それと匹敵する分が食べ残しの廃棄処分に使われていると。一方で、世界では、約八億人と今数字を挙げましたけれども、飢餓や飢えで、そして水も悪いんだろうと思いますけれども、一日四万人、子供たちを中心に亡くなっていると。時間に直すと平均五秒に一人亡くなっているという、そういう計算になるわけですから、いかにやっぱり食料が大事かということをまた再認識をしていただきまして、この自給率の向上にも取り組んでいただきたいと思っております。  以上で質問を終わります。  和田政宗委員、済みません、時間を超過して申し訳ありません。
  25. 和田政宗

    ○和田政宗君 引き続き、自由民主党・こころ、和田政宗でございます。  岡田広委員から日本酒の話がありましたので、これは質問通告しておりませんので、日本酒のことについて少し申し述べたいというふうに思うんですけれども。  これは先ほど答弁の中でもプロモーションの話がございましたけれども日本酒についてはこれは積極的にプロモーションをしていただきたいというふうに思っております。業界団体でありますとか各酒造メーカー、酒蔵がそれぞれの取組でプロモーションをやっておりまして、ヨーロッパですとかアメリカ、シンガポールなどではレストラン、高級レストランにおいて日本酒がメニューのラインナップの中に載っているという形でございまして、例えば、我が宮城県におきましてもある酒造メーカーが四合瓶で三万円の商品を出しておりまして、これシンガポールで飛ぶように売れるということで、シンガポールで売るときにはもう十数万の値段になっているという形でありまして、非常に、日本酒について、一旦飲んでいただいて、その質の高さ、味についてしっかりと味わっていただければ、またこの需要拡大につながっていくというような形であるというふうに思うんですが。  私もヨーロッパなどの方と意見交換をする中で、こんなに日本酒って今おいしいんですかというようなことで、今ってどういうことですかというふうに聞きますと、過去に飲んだときに、これは保存状態が良くなかったのか、それとも日本に来て飲んだときの印象なのか分からないですけれども日本酒というのはもっと、こういうフルーティーな香りではなくて、何というか、金属臭というか、よく言われるのが、ケミカル的な味だと思っていたというようなことを言われるわけでございますけれども、これはもう全然今そんなことはないわけでございまして、純米酒を中心に非常にフルーティーであるということ。  また、先ほどの価格の面も、これは、日本酒、とてつもなく高いものが果たして消費者的な需要の面でいいのかというようなところはあるかとは思うんですが、ワインにつきましても、もうこれ高級なものは数万円、また、はたまた十万円を超えるようなワインというものがございますので、それを考えた場合には、この日本酒というものも、海外戦略の中で、一般の価格帯だけではなく高級酒、高級な価格帯についても私はこれ十分勝負できるというふうに思いますので、まず、日本酒というのはどういうものなのか、こういったところをしっかりと政府としても後押しをして、また、業界団体とも意見交換などをしていただきながら展開に努めていただければというふうに思っております。  あともう一点、これもお願いといいますか、丁寧な説明をということで申し述べておきたいのは、アメリカTPP復帰について、これは先ほど岡田広委員茂木大臣のやり取りでもございましたけれども日本というのは非常に私は頑張っているというふうに思っておりますし、国会質疑の他の委員会の議事録等も読みましたけれども政府におかれましては、質問があった場合にはこういったことをしっかりと説明をしている。  日本が主導して自由で公正な貿易を環太平洋地域において行っていく、これは大臣記者会見でも述べておられますし、また、いわゆる記者のぶら下がりのような会見、種々の会談の後等にあるわけでございますけれども、こちらの方も私は丁寧に、また、アメリカがかなりごり押しをしてきているのではないかというふうに言われますけれども日本としてしっかりとこのTPP、この決めたことが原理原則であるというようなことでアメリカ側にも伝えているというふうに思っております。  ただ、これがなかなか、何というか、アメリカ側の様々な要求でございますとかトランプ・アメリカ大統領のツイッターでの発言等によりまして、かなり日本側が押し込まれているのではないか、こういったことも国民の中には思う方があるわけでございまして、これにつきましては、引き続き、政府におかれまして、繰り返し繰り返しになるとは思うんですけれども、丁寧に国民の皆様に説明をしていただければというふうに思っております。  それでは、法案に関連して質問をしてまいります。  まず、このTPP11、TPPによりまして、輸入牛肉、こういったものが増える可能性というのがあるわけでございますけれども輸入牛肉、海外の肉牛生産における肥育ホルモンの問題についてお聞きをしたいというふうに思っております。  肉牛を育てるに当たりまして、オーストラリアですとか北米におきましては肥育ホルモンの投与がなされているところがございます。日本におきましては二〇〇〇年代に入りましてこれはもう使わなくなっている、またEUにおいてももう使わないということで、このホルモンを使った牛肉に対しましてEUと北米などで様々な問題というものが起きているわけでございますけれども。  この残留ホルモンがどうなのかということ、また、結局これは輸入するときにはそのホルモンの値というのは基準値以下若しくは検出されないということが日本輸入の基準になっているわけでございますけれども、海外の種々の論文を見ますと、全く影響がないんだというような論文もございますし、また、肥育ホルモンが使われた、これは当然肉牛になるときにはその値というのは消えていても、これはなかなか一概に完全に健康であるということは言えないのではないか、こういった論文も実際にあるわけでございます。  そこでお聞きをしたいというふうに思いますけれども日本における輸入牛肉、これにおける残留ホルモンの対策、検査は万全なのかどうかということ、また、ホルモン使用の履歴、こういったものの有無についてこれは輸入の時点で確認できるのか、この点についてお願いをいたします。
  26. 宇都宮啓

    政府参考人(宇都宮啓君) お答えいたします。  我が国では、肥育ホルモンが使用された牛肉につきまして、科学的根拠に基づいて人の健康に悪影響を与えることのない量として、国際的なリスク評価機関であるJECFAといいますが、そちらが定める一日当たりの摂取許容量を下回る範囲内で肥育ホルモンの残留基準を設定し、これに適合するもののみ輸入や販売を認めているというところでございます。  牛肉の輸入時の検査に当たりましては、生産段階での肥育ホルモンの使用の有無を確認することは困難であるということを考慮いたしまして、残留基準値を超える残留がないか、国際的にも認められた統計学的手法に基づきまして、サンプルを抽出してモニタリング検査を行うことによって我が国の基準への適合状況を確認して食品の安全性を確保しているということでございます。  引き続き、適切な監視指導を徹底するための体制の整備を図りまして、輸入食品の安全性確保に万全を尽くしてまいりたいと考えてございます。
  27. 和田政宗

    ○和田政宗君 これは小売の独自の取組として、実はオーストラリアでも、肥育ホルモンが使用されていないものについてホルモンフリーだというようなことで表示をしているというようなこともありますので、これはしっかりと検査は行われているということでございますから、あとは、例えば小売店が輸入先とのいろいろなやり取りの中でもしそういうような表示ができるということであればしていくということで、これは過去の答弁でもそういうようなことは各企業の取組によってできるということでございましたので、そういうようなことでしっかりと安全を保っていく、そして、消費者の取捨選択ができるような形にしていかなくてはならないというふうに思っております。  今のこともそうなんですけれども、いろいろ消費者の方々と話を聞きますと、TPPによって今までの国内基準というものが緩和されていくんじゃないかというような懸念がある。いやいや、そんなことはないんですよということは言っておるわけでございますけれども、やはりそういった疑問が寄せられておりますので、その点についてお聞きをしていきたいというふうに思っております。  食品添加物です。日本では食品衛生法で使用できるものが決められておりまして、約八百品目を食品添加物と数えることが多いわけでございますけれどもTPP締結した場合に、日本でこれまで禁止されていた添加物を認めなくてはならない可能性はあるのかどうか。また、日本で、農産物の収穫後に使用が認められている農薬、ポストハーベスト農薬が新たに追加で認められることがないのか、こういった意見聞きますから御質問申し上げたいと思いますので、答弁をお願いいたします。
  28. 宇都宮啓

    政府参考人(宇都宮啓君) お答えいたします。  環太平洋パートナーシップ協定TPP締結に伴いまして、科学的な根拠に基づいて食品の安全基準を定める我が国の制度の変更が求められるものではございません。そのため、収穫後に保存を目的として使用するポストハーベストを含めまして、食品添加物として使用するためには、食品安全委員会でのリスク評価結果を踏まえまして、薬事・食品衛生審議会の審議を経て厚生労働大臣が指定するという、安全性を確認するための手続を経る必要があるということについても変わりございません。  厚生労働省といたしましては、引き続き、科学的な根拠に基づいて人の健康に悪影響を与えることのない適正な基準を設定することにより、我が国の食の安全を確保してまいりたいと考えているところでございます。
  29. 和田政宗

    ○和田政宗君 もう一点、消費者の疑問の声についてお聞きをしたいというふうに思います。  遺伝子組換え食品についてです。これは大臣の方からそういったことはないということで御答弁いただけるものというふうに思っております。やはり不安というのは、遺伝子組換え食品について、このTPP締結以後、国内制度や基準が緩和されるのではないか、こういう声でございます。これについて、大臣の方から見解をお願いをいたします。
  30. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 和田委員おっしゃるように、国民の皆さんにとって食品の安全って極めて関心の高いテーマだと思っておりまして、TPP協定におけます食品安全に関わるルールWTOルールと基本的に同じでありまして、我が国の食品安全を脅かすようなルールは入っていない、このように考えております。  なお、TPP11では、食の安全に関するSPS、衛生植物検疫措置、そしてTBT、貿易の技術的障害、これに関しますTPP12のルール、これは凍結をしないということになっております。
  31. 和田政宗

    ○和田政宗君 明確な答弁をいただいたと思っておりますし、このTPP協定、しっかりと締結され、また、こういうような疑問が寄せられたときには我々もしっかりと説明をしていかなくてはならないというふうに思っております。  輸出をしていく観点から次の質問をしていきたいというふうに思っております。  オーストラリアの検疫についてお聞きをいたします。  オーストラリアはほかの主要国と比較して非常に厳しい検疫規制を実施しておりまして、サケ、イクラについては輸入がこれオーストラリアはしないと、日本が輸出をしようとしてもこれは認められていないわけでございますけれどもTPPがこれ締結されますとこのような事例はどのように扱われるのか、答弁をお願いいたします。
  32. 森健

    政府参考人(森健君) お答えいたします。  TPP協定におきましては、SPS、衛生植物検疫措置章が存在するわけでございますが、ここでは、このSPS措置に適用される全体的なルール、例えば透明性の向上といったような点について定めているものでございます。他方、個別具体的な規制措置につきましてはTPP協定の中では取り扱われず、基本的にWTO・SPS協定ルールに従いまして別途の二国間問題として扱われることとなっております。  したがいまして、TPP協定発効後におきましても、例えば、サケ、イクラについての現行の規制は基本的には継続されるというものと考えております。
  33. 和田政宗

    ○和田政宗君 これも、やり取りさせていただきましたけれども、粘り強く、やはりこれは他国においては当然に、当然にといいますか、輸入というものがなされているわけでございますから、いろいろそのオーストラリアの特殊事情というような、地理的事情というものもあるのかもしれないですけれども、これは粘り強く交渉していただきたいというふうに思っております。  このオーストラリアですけれども日本の生産者や食品メーカーにとって有望な輸出市場の一つであるわけでございますけれども、実際の検疫の事例などを聞きますと、えっ、そんな規制があるんですかとか、それは検疫官の判断でそこまでできてしまうんですかというようなことも含めて厳しい検疫規制というものがあるわけでございまして、オーストラリアのこういうことに関しましては、やはり国としてしっかりと交渉していくということも重要であるというふうに思います。  国としてどのように販路拡大の支援を行っていくのか、お願いをいたします。
  34. 森健

    政府参考人(森健君) お答えいたします。  委員指摘のとおり、豪州につきましては、サケ、イクラの輸入に関しまして、いわゆる水産防疫、例えば魚病の蔓延防止といったような観点から非常に厳しい規制を設けているところでございます。このサケ、イクラの輸出解禁に向けましては、現在、我が国の防疫体制につきまして豪州側の理解を得るべく、農林水産省、厚生労働省と先方の農業・水資源省の間で継続的に協議を行っているという状況でございます。  豪州につきましては、非常に国民の所得、生活水準が高く、高級品に対します購買意欲が強いということから、高価格、高品質の日本産品を中心に非常に有望な輸出市場というふうに考えているところでございます。  そういった意味では、将来的にサケ、イクラについても輸出が可能となるよう、豪州側との協議に非常に精力的に引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
  35. 和田政宗

    ○和田政宗君 よろしくお願いをしたいというふうに思います。  次に、本法の著作権ですね、コンテンツ保護の観点からお聞きをしていきたいというふうに思っております。  海賊版などについては、これまでは親告罪による部分というのが極めて多かったわけでございますけれども、本法によって非親告罪の対象というものが広がりますけれども、この点について御説明を願います。
  36. 永山裕二

    政府参考人(永山裕二君) 委員指摘の著作権侵害罪の一部非親告罪化に関する改正におきましては、以下の三つの要件の全てに該当する場合に非親告罪とすることとなってございます。  第一の要件が、侵害者が侵害行為の対価として財産上の利益を得る目的又は有償著作物などの販売によりまして権利者の得ることが見込まれる利益を害する目的を有していること、これが第一の要件です。第二の要件が、有償著作物を原作のまま販売したりインターネット送信する侵害行為又はこれらの行為のために有償著作物などを複製する侵害行為であること、これが二つ目の要件です。三つ目の要件が、権利者の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合であること。この要件全てに該当する場合、非親告罪となるわけでございます。  これによりまして、国民の規範意識の観点から容認されるべきでない悪質な侵害行為が告訴をしないために放置されたり、また告訴期間、これは犯人を知った日から六か月となっておりますけれども、その告訴期間の経過によりまして告訴ができなくなると、こういう事態が避けられ、海賊版対策の実効性を上げることにつながることが期待されると考えております。
  37. 和田政宗

    ○和田政宗君 海賊版の規制というものがこれは主になるわけでございますけれども、これはTPPによって、各国間がこういうような共通のルールというものを持つことになるということになるわけでございます。  このTPPによりまして、私はこのコンテンツ、これは映像コンテンツですとか音楽コンテンツですとかそういったものになってくると思うんですけれども、こういった輸出に寄与する部分があるというふうに思いますけれども、その点について政府はどのように分析をしているでしょうか。
  38. 川嶋貴樹

    政府参考人(川嶋貴樹君) お答え申し上げます。  映画、アニメ、放送コンテンツといった我が国コンテンツは、クールジャパンとして世界で注目をされており、我が国の経済成長を担う重要な産業の一つであると考えてございます。  我が国コンテンツビジネスの成長に当たりましては、海外市場からの収益の拡大が課題であると認識してございます。一方で、模倣品、海賊版による被害は、経済活動のグローバル化に伴い地球規模での広がりを見せてございます。このため、コンテンツの輸出に当たりましては、正規版の流通と一体となった模倣品、海賊版対策の推進が不可欠となってございます。  TPP協定によりまして、手続、権利行使の共通ルール化や締約国における模倣品、海賊版対策の強化を通じまして、日本のコンテンツが知的財産侵害からより一層守られることとなると考えてございます。これによりまして、我が国コンテンツが海外展開していく上での環境がより整備され、コンテンツの海外輸出の後押しとなることが期待されるところでございます。
  39. 和田政宗

    ○和田政宗君 これについては、まさに国一体として、クールジャパンに絡めて、放送コンテンツ、また映像コンテンツの輸出というものは推進をされているというふうに認識をしておりますけれども、ほかのアジア各国もかなりこれ強力に推進をしているところがあるというふうに思いますので、しっかりとこのTPPも生かしていただきながら、政府一体となって推進をしていただければというふうに思っております。  次に、本法案公正取引委員会、独禁法についての部分についてお聞きをしていきたいというふうに思っております。  独占禁止法に反する疑いのある行為を企業が行ったとしても、競争上の問題を公正取引委員会と事業者との間の合意により自主的に解決できる制度、確約手続、これが今回の法改正によって導入をされるというわけでございますけれども、これは早めに違反の疑われる状態を解消してビジネスが滞る事態を防ぐものとされております。  しかしながら、これ、そもそも現状の法制度からの後退にならないのかどうか、この点について答弁を願います。
  40. 菅久修一

    政府参考人菅久修一君) お答え申し上げます。  この確約手続でございますが、独占禁止法の規定に違反する疑いのある行為につきまして、公正取引委員会と事業者との間の合意によって解決する仕組みでありまして、競争上の問題を早期に是正しますとともに、公正取引委員会と事業者が協調的に問題解決を行う領域を拡大することとなるものと考えております。  この確約手続は、独占禁止法の規定に違反する疑いのある行為につきまして、公正取引委員会が公正かつ自由な競争の促進を図る上で必要があると認めるときに、事業者に対して法律規定する通知を行うことによって始まるものでございまして、これに対して事業者がその行為を排除するために必要な措置の計画を自主的に提出し、それが十分と認められれば、公正取引委員会がその計画を認定するというものでございます。  さらに、入札談合、価格カルテル、行為が悪質であるようなもの、また、関係人が独占禁止法に違反する行為を繰り返しているとき、そういう場合には、排除措置命令や課徴金納付命令を行うことによって厳正に対処することが適当と考えられる事案ということになりますが、そういうものにつきましては確約手続を適用しないこととなると考えております。  このため、確約制度は独占禁止法のより効果的、効率的な執行に資するものと、そのように考えております。
  41. 和田政宗

    ○和田政宗君 今の答弁の内容の確認ですけれども、そうしますと、例えば過去において課徴金を納付しないといけないような違反があったとして、これ例えば、同様の事案などがその企業なりで引き起こされた場合というのは、これはその確約手続に入るかどうかということについては、これは原則適用しないことも含めて慎重に判断するということでよろしいんでしょうか。
  42. 菅久修一

    政府参考人菅久修一君) お答え申し上げます。  入札談合、価格カルテル、そうした委員指摘の課徴金の対象になるような行為、これは典型的な独占禁止法違反行為でございますので、そういったものにつきましては、今後、確約手続の適用ということはないものというふうに考えております。また、繰り返し行う事業者、これに対しましては、しっかりと実態を解明して措置をとることが適当というふうに考えますので、これにつきましても基本的には確約手続の対象にはならないものというふうに考えております。
  43. 和田政宗

    ○和田政宗君 丁寧に答弁をしていただいてありがとうございます。  やはりこういう公正な取引、また海外企業などが参入をしていくときに、しっかりとルールにのっとった国際的にも通じるルール、こういったものを日本国内で、これはいたずらに緩和をされるということではなく、適正に行われていくことが重要であるというふうに思っておりますけれども、それは国内の商慣行においても私は是正されるべきところは是正をしていかないと、これは、海外の例えば企業が乗り込んできたときに、こういう商慣行はどうなのかというようなことで思われるということは極めて私はマイナスであるというふうに思っております。  今の公正取引の件に絡むんですけれども、この委員会でも質問したことがありますけれども、新聞の押し紙の問題ですね。これは、いわゆる購読部数以上のものを新聞社本社が販売店に半ば押し付けるような形での取引が行われているという形でございまして、これは実際に私も販売店の方々に、何社か、何人かの方に聞きましたけれども、これはかなり経営的にも苦しい状態であるというようなことを実際に聞いております。  公正取引委員会が販売店から押し紙の申告あるいは情報提供を受けた件数というのは何件なんでしょうか。
  44. 山本佐和子

    政府参考人山本佐和子君) お答え申し上げます。  お尋ねの押し紙でございますが、日刊新聞の発行業者が販売業者に対し、正当かつ合理的な理由がないのに、販売業者が注文した部数を超えて新聞を供給すること、又は販売業者に自己の指示する部数を注文させ、当該部数の新聞を供給することにより販売業者に不利益を与えることは、不公正な取引方法として独占禁止法上禁止されているところでございます。  御質問の申告等の具体的な件数でございますが、公正取引委員会による今後の事件審査や端緒の情報収集に支障が生じるおそれがありますことから、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
  45. 和田政宗

    ○和田政宗君 これは実際に公正取引委員会また関係機関に対して、私は、これ押し紙をやられていて苦しいというようなことは実際に申告なされているというふうに、情報提供がなされているというふうに思っているんですけれども、これ、その具体的内容については調査に関わることなので答弁できないということでありましたけれども、では、お聞きをいたしますけれども、これ、情報提供を受けた場合、公正取引委員会はどう対応をしているのか、御説明願います。
  46. 山本佐和子

    政府参考人山本佐和子君) お答え申し上げます。  公正取引委員会といたしましては、申告があった場合には、その内容を確認しましたり事案に関連する情報を収集するなどいたしまして、独占禁止法に違反する疑いがあるのかどうか、そういった具体的な事実に接した場合には違反事実の把握のために必要な調査を行っていくことになるところでございます。
  47. 和田政宗

    ○和田政宗君 過去の政府答弁では、実際に新聞社に対して注意というようなことを行ったことがあるということでございますけれども、これもいわゆるその是正の過程の中ということで、なかなかこの件数についても答弁は厳しいということでございますので、答弁いただけるところでお聞きをしたいというふうに思いますけれども公正取引委員会が新聞社に対して行政処分を行った件数というのは、これは何件なんでしょうか。
  48. 山本佐和子

    政府参考人山本佐和子君) お答え申し上げます。  平成元年以降、公正取引委員会が、いわゆる押し紙につきまして新聞社に対して行政処分を行った事例が一件ございます。
  49. 和田政宗

    ○和田政宗君 公正取引委員会には適切に対応していただきたいというふうに思います。  これは先ほどの質問の前の部分でも述べましたけれども日本独自の商慣行的なものであり、また、これは果たして公正な取引なのかというようなところが言えるというふうに思いますし、また、販売店が非常に弱い立場で苦しい状況に置かれている、こういったことを鑑みても、私は公正な取引が行われるべきであるというふうな認識を持っております。  次に、農産物のことについて更にお聞きをしていきたいというふうに思っておりますけれども日本産の米の販売促進についてです。  先ほど岡田広委員の方から質問もございましたけれども、私は、何というか、売り込むプロモーションだけではなく、ニーズをつくり出すプロモーションというものも非常に重要だというふうに思っておりまして、これは、私も国会議員になる前から発展途上国のスポーツ支援、主に野球の支援をやってまいりまして、アフリカなどにも伺ったことがありますけれども、アフリカの方々というのはお米を食べる地域というのは限定をされています。私が野球支援をやった地域ですと、ガーナなどは、トウモロコシ、こういったものをすり潰して餅状に練って発酵させてそれを主食で食べるというようなことでありまして、当然お米ではないというようなところです。  ですので、そういった国々にお米をどうやって食べていただくのかというようなところで、これはもう食べる習慣がないわけでありますから、やはりお米に触れてもらうというようなこと、そういったことが重要になってくるわけでございます。  また、その中で、これは四年前ですか、シンガポールのある日系スーパーのところに行きまして、日本産のお米がこれ飛ぶように売れているわけですね。現地の人、日本産米はおいしいということで食べるわけでございます。そこに行きましたら、東北のあきたこまちでありますとか山形のつや姫、非常においしいお米であるというふうに思っておりますけれども、宮城産のササニシキとかひとめぼれが置いていないという状況でございまして、これ何で置いていないんですかというふうに現地法人の社長さんに聞きましたら、売り込みに来ないというようなことを言われまして、これはすぐに宮城県ですとか農協さんの方に連絡をして、その後はさすがに売り込みに行っているんだというふうに思うんですが。  実はこれ、海外において産地間競争になりまして、そうなりますと価格の交渉というものもありまして、値下げ交渉というような形になりかねない事態、これはお米以外の産物が主であるというふうに私は聞いているんですけれども、こういったような状況で、結局、輸出をしても産地間競争のディスカウントによって利益が上がらない、こういったような事例もあるというようなことでありますので、当然それぞれの産地の競争というものは必要であるわけでございますけれども、こういったことが過度に行き過ぎないというようなことをしっかりと国の方でも全体的な例えばプロモーションをやっていただいたりですとか、先ほどのお米の話でもありましたけれども、じゃ、売れるところはどこなのか、売れない場合にはどうやっていくのか、こういったことはやはり国がしっかりとやるべき、アイデアを出してやっていくべきだというふうに思いますので、そういったところも見ていただきたいというふうに思います。  海外にどのように米を売り込んでいくのかについては先ほど岡田委員の方からの質疑でありましたので、これ、輸出促進のための国内対策についてお聞きできればというふうに思うんですが、答弁、いかがでしょうか。
  50. 岩濱洋海

    政府参考人岩濱洋海君) 我が国の米の消費量が毎年約八万トン減少している中で、食料自給率、食料自給力の向上、米農家の所得向上を図っていくために、産地においても海外市場に向け積極的に米を供給していくことが重要であると考えております。  海外市場を拡大させるためには、海外の需要に対応した日本産米を安定的に供給できる流通、販売ルートを確立するとともに、その流通、販売ルートに対して価格競争力のある米を低コストで生産し供給できる産地の体制を整えていくことが重要であると認識しております。  このため、農水省としては、昨年九月に立ち上げたコメ海外市場拡大戦略プロジェクトにより輸出事業者と輸出産地を特定し両者のマッチングを行うとともに、産地パワーアップ事業、農畜産物輸出拡大施設整備事業、強い農業づくり交付金による生産コスト低減等に必要な機械、施設の導入を支援しております。また、産地交付金による内外の新市場開拓を図る米の作付けへの支援、十アール当たり二万円でございますが、こういう支援を行っているところであります。  今後とも、米の輸出が促進されるよう、輸出用米の産地づくりを進めてまいります。
  51. 和田政宗

    ○和田政宗君 しっかりと国内対策やっていただければというふうに思います。  あと、これは国がということではないのかもしれないですけれども、海外のいろいろ輸出の道筋を付ける事例を聞いたり見たりしておりますと、例えば、海外の県知事さんが、うちの産物を買ってください、じゃ、よろしくということで終わりではなく、向こう側の例えば地域のトップに、じゃ、どれだけ輸入してくれるんだ、我々はこれだけ輸出できるけれども、どれだけ輸入してくれるんだというような、そういう数量でありますとか具体的な話、こういったことまでやはりやっている諸外国というものが私は多いというふうに認識をしておりますので、これは各自治体の首長さんがおやりになること、また、例えばその産地の団体のトップであるとか、そういった方々がおやりになることであるのかもしれないですけれども、国としてそういったことがしやすい環境というものも何か促すというか、環境整備整えていただければというふうに思っております。  ですので、海外におけるプロモーションが、プロモーションをやりましたから、はい、これで輸出が増えますということは私はないというふうに思っておりますので、より一歩進んだ形というものを考えていただき、後押しをしていただければというふうに思っております。  次に、GIの制度についてお聞きをしたいというふうに思います。  農産物や加工品などの地域ブランドを政府が登録いたしまして保護する地理的表示の基本的なルールが設けられているわけでございますけれども、これ、地理的表示については産地をめぐって論争が起きている産品なども実はあります。具体的事例は愛知県の八丁みそなんですけれども、県の組合と岡崎市の老舗メーカーなどが、ちょっと八丁みその名称をめぐって論争が起きているということがございます。  この地理的表示の認定に当たって、地域や製造者の意見を丁寧に聞くというものがこれ極めて重要であるというふうに思うんですけれども政府としてどのように取り組んでいるのか、またどのように対処をしているのか、お願いをいたします。
  52. 小野稔

    政府参考人(小野稔君) お答え申し上げます。  地理的表示の登録に当たりましては、農林水産省において法律に基づき審査を行っているところでございます。  申請後の手続といたしまして、三か月間公示をいたしまして広く意見を受け付けた上で、学識経験者の御意見を伺って、農林水産大臣が登録を行うという仕組みになってございます。産地の範囲などをめぐりまして生産者の間で意見の相違があるというような産品につきましても、意見書に記載された意見ですとか学識経験者の御意見、こういったものを踏まえまして慎重に判断しているというところでございます。  農林水産省といたしましては、今後とも、関係者の意見を十分に聞いた上で、地理的表示の登録を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  53. 和田政宗

    ○和田政宗君 せっかくこの地理的表示において海外にも打って出ようという中で、これ、地元がもめてしまったら元も子もないことでありますので、その辺りはしっかりと対応をお願いしたいというふうに思っております。  この地理的表示が海外でも保護されるわけでございますけれども、その得られる効果、具体的に輸出面でどんなことを考えられているのか、お願いをいたします。
  54. 小野稔

    政府参考人(小野稔君) お答え申し上げます。  地理的表示につきましては、国際的に知的財産権として位置付けられていることから、相手国との国際約束によりまして、相手国におきまして日本のGIを保護するということが可能でございます。  例えば、日・EUEPAでございますけれども我が国の産品四十八産品、それからEUの産品が七十一産品、これらの農産物の相互保護につきまして合意をしたところでございます。この協定発効すれば相互保護が開始されるということになります。  この日EUEPAにおきましては、GIの生産地ですとか品質基準などを定めた明細書に沿わないものにつきましてはGIの類似名称を使用できないことが明記されております。そのため、例えば第三国産の神戸ビーフというものが現在欧州市場でも販売されているという事実がございますけれども、これらを含めました非真正品、真正品でないものの名称使用が排除されるということになります。  さらに、欧州市場におきましては、GIの登録産品が同種の登録されていない産品と比べまして約一・五倍の価格で取引されているという調査もございます。  EPAで保護されるGI産品につきましても、そのブランド価値が高く評価されているということが期待されているところでございまして、こういったようなことを輸出促進につなげていきたいというふうに考えてございます。
  55. 和田政宗

    ○和田政宗君 ありがとうございます。  TPP、これはEPAも加えてということでございますけれども日本がなぜこういったことをやっているかといえば、これは自由で公正な貿易世界において行っていく、それは我が国がしっかりと主導をする形、また中心となって行っていく、そういった決意でもあるというふうに思っております。  主にTPPでございますけれども、やはり国内の不安としましては、これは受け身になって、海外からどんどんどんどん物が入ってきて、日本のものが廃れてしまうのではないかということを意見として聞くわけでございますけれども、私は、逆に打って出るためのもう絶好の機会であるというふうに思っておりますので、日本がまたこの輸出においてしっかりと経済発展をしていく、こういったことが可能になるということがこのTPPであるというふうに思いますので、しっかりと推進をしていかなくてはならないというふうに思います。  時間が参りましたので、これで終わります。     ─────────────
  56. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、中西哲君が委員辞任され、その補欠として野上浩太郎君が選任されました。     ─────────────
  57. 熊野正士

    ○熊野正士君 公明党の熊野正士です。  私は、まず林業への影響について伺っていきたいと思います。よろしくお願いをいたします。  TPP11及び日EUEPAによる農林水産業への影響について、政府として影響試算をされていると承知をしております。重要五品目を含めた農産物と同様に、この林産物にも多大な影響があると予想されております。昨年末の報道なんかによりますと、TPP11と日・EUですね、林産物に対するダメージということで、安価ないわゆるアジア産の木材とそれから高級な欧州産、もうこの板挟みだというふうなことも報じられておりました。  この林産物への影響について、政府試算を踏まえまして見解を求めたいと思います。
  58. 渡邊毅

    政府参考人(渡邊毅君) お答えをいたします。  TPP11と日EUEPAの林産物への影響ということでございます。  まず、TPP11の方でございますけれども、こちらにつきましては、マレーシア産の合板などと国産品が競合するという関係にございますが、交渉によりまして長期間の関税削減期間の設定などを獲得したところでございまして、影響は限定的と見込んでおりますが、長期的には、関税引下げの影響によりまして、国産品の価格が関税削減相当分下落をするのではないかと考えております。このため、TPP11による合板等の生産額への影響額につきましては、体質強化対策による国内生産量維持の効果も踏まえまして、約二百十億円と見込んでいるところでございます。  一方、日EUEPAにつきましては、今度はフィンランド産の構造用集成材などが国産品と競合するという関係にございます。交渉におきましては、即時撤廃を回避をいたしまして一定の関税撤廃期間を確保いたしましたことから、当面、輸入の急増は見込み難いと考えておりますが、長期的には、関税引下げの影響と国内対策との効果によりまして、国産品の価格が関税削減相当分からその半分程度の範囲内で下落をするのではないかと考えております。このため、日EUEPAにおきます構造用集成材などの生産額への影響額につきましては、体質強化対策によります国内生産量の維持の効果も踏まえまして、約百九十億から三百七十億円と見込んでいるところでございます。
  59. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  TPP11の方で大体試算として先ほど二百十億円と、それから日・EUの方で最大で三百七十億円ということでございました。輸入品のいわゆる関税が削減をされる、撤廃をされる相当分と同様に下落をして、国産の木材も価格が下落をしていくということで、その影響を緩和するということで、体質強化というような表現をされておりましたけれども国内対策をしっかりと講ずるということでございまして、生産コストを削減、低減をさせて採算性を合わせていくというか確保するということだろうと思いますけれども、よく分かるんですが、しっかりとやっていくということだと思うんですけれども、そもそも我が国の林業の産業基盤の衰退というのが顕著になっておりまして、コスト削減というところでいくと、いろいろ、生産段階でのコスト削減であるとかあるいは加工段階でのコストの削減とか、さらには流通段階でコスト削減ということが考えられるわけですけれども政府としてどのようなシミュレーションを行っているのか。もしその具体的な数字等あれば、是非分かりやすく説明していただければというふうに思います。  また、先ほどおっしゃっていただいた体質強化ということで、具体的な施策についても併せて御答弁の方をお願いしたいと思います。
  60. 渡邊毅

    政府参考人(渡邊毅君) お答えをいたします。  まず、TPP11と日EUEPA発効を見据えた国内対策につきましては、我が国林業の国際競争力強化を図るため、平成二十九年十一月に策定をされました総合的なTPP等関連政策大綱に基づきまして、木材加工施設の生産性向上支援ということでございますとか競争力のある品目への転換支援、ないしは効率的な林業経営が実現できる地域への路網整備ですとか高性能林業機械の導入などの集中的な実施、また木材製品の国内外での消費拡大対策などの措置を平成二十九年度補正予算に計上したところでございまして、これらの対策を講じてございます。  また、今後、成長産業化に向けた改革の方向性といたしまして、川上の方では、先般通していただきました森林経営管理法に基づきまして集積面積を現状の三割から五割に引き上げるですとか、川中の生産性向上につきましては大体二割、流通全体のコスト低減も二割程度引き下げる方向で政策を実施してまいりたいと思っております。
  61. 熊野正士

    ○熊野正士君 是非、林業の基盤強化という意味で本当にしっかりと取り組んでいただければなというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。  この林業の発展のためには、先ほど川上から川下というような表現ございましたけれども、いわゆる木材を生産するところから消費に至るまでの流れというのが非常に大事だというふうに思います。木材の消費拡大といいますか利用拡大、こういったことも取組が必要だというふうに思います。特に国産材の需要をいかに拡大していくかということが大きなポイントであろうというふうに思います。  政府では今、JAS構造材ですかね、そういうものの非住宅分野への利用の拡大であるとか、あるいはCLTの利用の促進であるとか、あと公共建築物には木造化を推進しているとか、いろんな取組が行われているというふうには承知はしておりますけれども、更なる需要拡大というか利用拡大が必要だと、急務だというふうに思いますけれども、その辺の見解を伺いたいと思います。
  62. 渡邊毅

    政府参考人(渡邊毅君) 先生指摘のとおり、需要拡大は非常に重要だと思います。  戦後造成されました人工林が本格的な利用期を迎えているということでございますので、林業の成長産業化に向けましては、国産材の安定的な供給を図るとともに、その需要拡大が非常に重要な課題であると考えているところでございます。  このため、農林水産省では、国産材の需要拡大に向けまして、まずは建築物の施主である企業さんなどに対して国産材を建物に使っていただくという理解の醸成を図るなど、木材利用促進の環境整備を行っていきたいと考えております。  そのほか、今先生から御指摘がございましたけれども、公共建築物を始め、これまで余り木材が使われてこなかった中高層ですとか中大規模の建築物ないしは住宅以外の建築物の木造化ですとか内装木質化、また低層住宅におきましても国産材の利用の促進ですとか、あとは木質バイオマスを地域内で持続的に活用する地域内エコシステムの構築というものに取り組んでまいりたいと思っております。  また、これらに加えまして、先生からも御指摘のありました品質、性能の確かなJAS構造材を活用する事業者への支援にも取り組んでまいりたいと考えております。  こういう施策の推進によりまして新たな木材需要を創出しまして、国産材の需要拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
  63. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  さらに、これ、輸出ということでもしっかりと取り組んでいるというふうには聞いているんですけど、今、中国とかで木材の需要がかなり増加をしているというふうに聞いております。    〔委員長退席、理事藤川政人君着席〕  日本産の木材の輸出を促進する取組も非常に大事じゃないかなというふうに思います。この木材の輸出に関する支援といいますか、そういった取組状況についても教えていただければと思います。
  64. 渡邊毅

    政府参考人(渡邊毅君) お答えいたします。  国産材の需要を図る上でも、木材の輸出促進は非常に重要なものだと考えてございます。  現在の我が国の木材輸出の現状でございますけれども、輸出額が平成二十五年以降五年連続で増加をしておりまして、平成二十九年は対前年比三七%増の三百二十六億円というところまで伸びてきております。ただ、その四割は丸太での輸出ということになっておりまして、今後とも輸出額を増やしていくためには、付加価値の高い製品での輸出を増やしていくことが課題だというふうに考えております。  このため、農林水産省では、付加価値の高い木材製品を輸出を進めるために、展示会への出展ですとか海外での展示施設の設置、また海外のバイヤーの招聘ですとか商談会による販売促進ですとか、あと輸出先の需要を踏まえました木材製品の製造に向けました企業連携というものを取り組んでいただくというようなことですとか、あと、新たな輸出先としてシンガポールなどが有望な輸出先と考えられておりますけれども、こういうところにおけるポテンシャル調査の実施、そういうものに対しまして支援措置を行う、支援を行っているところでございます。  さらに、先生指摘のありました中国におきましては、日本の建築基準法に相当いたします木構造設計規範というものが昨年改定をされまして、本年八月から施行されると聞いておりますけれども、この中では木造建築に使用できる構造材として日本の杉ですとかヒノキなどが位置付けられたものですから、今後、この規範改定への対応を促進するために、講習会の開催などに対して支援を行うこととしております。  今後とも、ジェトロなど輸出関係団体等と連携をいたしまして、付加価値の高い木材製品の輸出促進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  65. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  次に、先ほど和田委員の方からも触れられておりましたGI制度について伺いたいと思います。  GIとは地理的表示のことで、生産地と結び付いた特色のある農林水産物の名称を登録、保護するものであります。このGIの海外での保護を通して農林水産物の輸出を促進するというふうに理解をしております。  このGI登録農産品も増えているというふうに聞いておりますけれども、ここでお伺いしたいと思います。  現在GI登録されている農産品のうち、輸出状況についてまず教えていただきたいのと、これ、いわゆる林業分野に応用が、いわゆる登録状況というものを教えてもらいたい。さらに、このGI登録で大事だと思うんですけれども、サポート、支援といいますか、そういう体制があるのかどうか、ちょっと教えていただいたらと思います。
  66. 小野稔

    政府参考人(小野稔君) お答え申し上げます。  地理的表示保護制度が始まりましたのが平成二十七年六月でございまして、三年経過しております。海外輸出に積極的に取り組むGI産品というものも出てきているところでございます。  例で申し上げますと、農産物では長野県の市田柿という干し柿がございます。これまで香港、台湾、タイというところに輸出されておりましたけれども、新たにマレーシアへの輸出というものが開始されております。また、徳島県に、ユズでございますけれども、木頭ゆずというものが登録されております。これにつきましては、フランスを中心としたEU市場に輸出を拡大させているという話を聞いております。  それから、農産物でございますけれども、現時点では登録しているものはございませんけれども、申請中のものといたしまして、岩手県の岩手木炭というものが申請されておりまして、現在、農林水産省のウエブサイトで公示をしているところでございます。  農林水産省におきましては、登録申請を支援するという観点からGIサポートデスクというものを設けまして、申請に向けた助言ですとか相談受付、こういった支援を行っているところでございます。農産物につきましても、GI登録が可能な産品は多く存在するというふうに考えております。制度の周知、申請のアドバイス等の支援に一層力を入れてまいりたいというふうに考えてございます。
  67. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  先ほどから林業のコスト削減、生産性向上の取組について伺いましたけれども、林業従事者の方は非常に過酷な労働環境だというふうに聞いております。作業中の事故というのもほかの産業に比べると十数倍あるというデータもございます。そうした林業従事者の方々の負担軽減も大事な施策だろうというふうに思いますけれども、機械化もどんどんどんどん実は進んでいるというふうにもお聞きをしておりますけれども、この導入を、もっともっとこの機械化を促進すべきだというふうにも思いますが、今この林業における機械化導入に向けた支援策等、どうなっているのか伺いたいと思います。
  68. 渡邊毅

    政府参考人(渡邊毅君) お答えをいたします。  先生指摘のとおり、林業は、急傾斜地などの作業環境の中でチェーンソーなどの刃物を使用いたしまして重量物である木材を扱うということで、過酷な労働条件にございます。労働災害発生率も他産業と比べて大体十四倍程度ということで高い状況にありますことから、機械化を進めていくことで、現場での従業者の作業の負担軽減や安全性の向上のために重要だと考えております。  このため、農林水産省におきましては、立木の伐倒ですとか枝払い、玉切りを行うハーベスタ、ないしは丸太の積込みですとか集材を行うフォワーダ、簡易な架線集材を行うスイングヤーダといったような高性能機械を林業経営体が導入するに当たりまして、その購入経費ですとかリースに要する費用に対して支援を行っているというところでございます。
  69. 小野稔

    政府参考人(小野稔君) 済みません、先ほどの答弁でちょっと言い間違い、一箇所ございました。済みません。  最後のところで、GI登録が可能な産品は多く存在すると言ったところで、農産物と発言したようでございますが、林産物の誤りです。済みませんでした。
  70. 熊野正士

    ○熊野正士君 また、林業の従事者の負担軽減のために、今いろいろと具体的に機械化のことを教えていただきましたけれども、更なるイノベーションが必要じゃないかなと。そのためのいわゆる研究といいますか開発といいますか、そういったことももっともっと推進すべきじゃないかなと思いますが、こういった研究とかに関しては、今の取組状況等、もしあれば教えていただければと思います。
  71. 渡邊毅

    政府参考人(渡邊毅君) お答えをいたします。  伐採ですとか搬出などの素材生産の作業の負担軽減につきましては、今御答弁申し上げましたような高性能林業機械の導入というものを進めておりますけれども、植林ですとか下刈りといった造林作業につきましては機械化されていないことが大きな課題だと考えております。  このため、造林作業につきましても、作業の労働負担を軽減する林業用のアシストスーツといったようなものの開発ですとか、傾斜地でも作業が可能な小型の乗用型の下刈り機械というものの開発というようなものに取り組んでいるところでございます。これらの取組によりまして、林業の作業負担の軽減に向けて、植林ですとか下刈りなどの造林作業の機械化を推進してまいりたいと考えております。    〔理事藤川政人君退席、委員長着席〕
  72. 熊野正士

    ○熊野正士君 是非、実用化に向けて強力に推進をしていただけたらなというふうに思います。  先日、私、奈良県の森林担当の方とお話をいたしました。その方は、奈良県というのは森林面積が約八割を占めておりまして、ブランドの吉野杉でも有名な森林県であるわけですけれども、その担当の方が森林の役割ということでまずおっしゃったのが防災の面でございました。  実は、平成二十三年に紀伊水害というのがございまして、台風十二号だったでしょうか、甚大な被害が起こりまして、そういう意味でいうと、この森林の防災における役割というか、そういったものを非常に痛感をしているということでした。  そのほかの森林の役割としては、もちろんその経営的なこともありますし、生物の多様性といったものもございますし、あるいはまた癒やされるというか、観光面もございます。こうした森林の持つ様々な機能を生かしていくために、総合的な視野で管理できる人材といったものを奈良県としてもしっかり育成していきたいんだというふうなお話でございました。  スイスではフォレスターと呼ばれる人がいるんだというふうなお話も聞きまして、森林管理、経営に精通したプロフェッショナルがいて、こういう方々はスイスでは憧れの職業の一つになっているというふうにも聞きました。  日本でもこうしたフォレスターと呼ばれるような人材をしっかり育成していくことが大事じゃないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。
  73. 渡邊毅

    政府参考人(渡邊毅君) お答えをいたします。  林業の成長産業化ですとか森林の多面的機能の維持向上を図っていくためには、森林・林業に関しまして専門的かつ高度な知識、技術を有しまして、豊富な現場経験によりまして地域の森林づくりですとか林業の牽引車となるような人材が不可欠だというふうに考えております。  このため、農林水産省といたしましては、長期的な視点に立って森林づくりの知識を有して市町村への技術的支援や指導、助言などを行います森林総合監理士、これは日本型フォレスターと呼んでおりますけれども、こういう人たちの育成を図っていこうということでございまして、その数を、平成二十九年十二月現在で大体千二百名ほどおられるわけですけれども、これを平成三十二年度末には大体二千名に増やすということを目標に掲げているところでございます。  その目標を達成するための具体的な取組といたしまして、森林技術総合研究所などにおきまして、新たに森林総合監理士の国家資格の取得を目指す者に対しまして育成研修を実施をするですとか、森林総合監理士に対しまして地域の課題をテーマにしました実践的な研修を行うことによりまして技術水準の向上を図ったりと、こういうことをしているわけでございます。  このような取組につきまして、森林総合監理士の質的、量的な充実を図りまして、今後とも地域全体の森林づくりについて支援をしてまいりたいと考えております。
  74. 熊野正士

    ○熊野正士君 よろしくお願いいたします。  次の質問に移りたいと思います。  TPP11ですけれども、このTPP11、自由貿易を守るということで大きなメリットもあろうかと思います。  そこで茂木大臣に伺いたいと思いますけれども、このTPP11のメリットについて是非教えていただければと思います。
  75. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) このTPP、これまでの二国間のEPA等と違いまして、二十一世紀型の自由で公正な新たな共通ルールをアジア太平洋地域につくり上げて、人口でいいますと五億人、そしてGDP十兆ドル、さらには貿易総額五兆ドルという巨大な一つの経済圏をつくり出していくものでありまして、昨年末に公表いたしました政府経済効果分析では、日本の実質GDP、これを七・八兆円押し上げて四十六万人の雇用増と、これが期待されると試算をされているわけであります。  具体的な効果について申し上げますと、日本以外十か国の参加国の工業製品、九九・九%の関税が撤廃をされることになりまして、日本の大企業だけではなくて中小企業等にとっても輸出拡大効果が期待をされるわけであります。また、農業者にとっても、品質が非常に高くて海外でも人気の高い日本の農産物の販路を拡大する新たなチャンスをもたらすものであります。一方、日本の消費者にとりましても、域内の様々な商品を安く、そして手軽に入手することが可能になると考えております。  そして、このTPP11協定、これは単に関税の問題だけではなくて、進出先での技術移転要求の禁止といった投資ルールの強化、さらには関税手続の迅速化、知的財産の一層の保護、さらにはコンビニなどサービス業の出店規制の緩和、これまで出店規制があるために、日本のコンビニ、非常に優れている、ノウハウも持っているわけでありますけれど、海外に出ようとするとどうしても現地の資本と提携をしなきゃならない、若しくはそういった手続があるためになかなかそれをちゅうちょしている、こういう部分があったわけでありますが、こういった出店規制の緩和等が盛り込まれたわけであります。その結果、中小企業を含みます日本企業の海外展開、これが後押しをされると思っております。  TPP11、これを早期発効実現するとともに、中小企業の海外展開の支援であったり農林水産業の体質強化策などTPP等関連政策大綱で取りまとめた施策、これを着実に実施していくことで、今申し上げたような効果、最大限に発現をしていきたいと、このように考えております。
  76. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  TPP11で拡大した市場において、日本の優れた技術を持った企業、特に地方とかの中小企業が、大臣もおっしゃっていただきました、大きなビジネスチャンスになるというふうに思います。そのためには、この中小企業の皆さんが、これはビジネスチャンスなんだというふうに捉えていただいて、メリットがあるというふうにしなければいけないというふうに思います。そのために、どうすればそれ生かしていけるのか、どういった取組をすればいいのかという、そういう周知をすることも非常に大事ではないかなというふうに思います。  この周知のやり方と、それから中小企業への具体的な支援策について御説明をお願いしたいと思います。
  77. 大串正樹

    大臣政務官(大串正樹君) TPP11では、関税のみならず、投資、サービス等も含めた市場アクセスに係る諸条件も改善されます。例えば、我が国で部品を製造してTPP11域内のA国で組み立て域内のB国へ持っていくような場合にメード・イン・TPPとして関税引下げが可能となるルールが導入されたことで、我が国において基幹部品を製造する中小企業国内に拠点を維持したまま海外に部品を輸出することが容易となります。  こういったメリットを持つTPP11でありますが、議員御指摘のとおり、制度はつくるだけでなく、実際に使われることが重要でございます。経済産業省といたしましても、地方の中小企業等においてもこれを契機に海外展開へチャレンジできるよう、二つのアプローチで周知、支援を講じていくこととしております。  まず第一に、中小企業TPP11を新たな市場開拓のチャンスと認識していただくために、TPP11を始めとする経済連携協定のメリットや利活用のための支援策について説明会を実施しておりまして、引き続き丁寧な情報提供を行ってまいります。  また、第二に、日本貿易振興機構、ジェトロが事務局となりまして、中小企業基盤整備機構などの支援機関を結集いたしまして設立した新輸出大国コンソーシアムにおきまして、市場情報収集、計画策定から販路開拓に至るまで、様々な段階にある企業をきめ細かく支援してきたところでもございます。  このようなTPP11のメリットが全国津々浦々の中小企業へ行き渡るように、引き続き丁寧に周知、支援を行ってまいりたいと考えております。
  78. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  TPP等関連政策大綱の中に、TPP等を通じた地域経済の活性化の促進といった項目がございます。地方創生に係る取組との文言もございまして、TPPを活用することで地方創生にもつなげるというふうなことで、非常に大事なことだなと思っておりますが、この地域経済の活性化、地方創生に向けた取組についても答弁をよろしくお願いいたします。
  79. 高島竜祐

    政府参考人(高島竜祐君) お答えいたします。  地方創生の取組への支援についてでございます。  TPPを契機として地域中小企業が海外需要を取り込んでいくことによりまして、地域経済の活性化につなげていくということは極めて重要なことだというふうに考えております。  このため、私ども中小企業庁では、ふるさと名物応援事業といたしまして、地域資源を活用した新商品ですとか新サービスの開発、またその販路の開拓などに係る経費の一部を補助する事業を行っているところでございます。その中で、特に地域中小企業・小規模事業者の方々が地域産品の強みを生かしてブランドの確立を図る、そうした目的で海外展開戦略を策定をし海外の展示会へ出展する場合、そういった場合などについて、費用の一部を補助するJAPANブランド育成支援事業という事業も行ってきているところでございます。  また、これらに加えまして、平成二十九年度の補正予算を活用いたしまして、インバウンド型の観光消費を促進をするために、地域文化資源を活用して、体験型、交流型の要素も取り入れまして、いわゆるニューツーリズムと呼ばれますようなそういった観光商品を開発すること、これに対しても補正予算で支援を始めているところでございます。  中小企業庁といたしましては、今後とも、中小企業のアウトバウンド、インバウンド両面の対応を支援することによりまして、TPPを通じた地域経済の活性化を促進してまいりたいと考えております。
  80. 熊野正士

    ○熊野正士君 よろしくお願いをいたします。  成長戦略というふうに考えたときに、医療分野におけるアウトバウンドというのも非常に大事ではないかなと、大きな柱になるんじゃないかなというふうに思っております。特にアジアに向けた医療分野の輸出促進ということが大切ではないかなというふうに認識をしておりますけれども、この点、政府としてこの医療分野における海外輸出、特にアジアというところでの何か取組がございましたら、答弁の方をお願いいたします。
  81. 藤本康二

    政府参考人藤本康二君) お答えいたします。  医療を含みますヘルスケア分野日本世界に貢献できる分野というふうに認識しております。政府といたしましては、総理を本部長とし全国務大臣本部員となっております健康・医療戦略推進本部におきまして、平成二十八年七月にアジア健康構想に向けた基本方針を決定いたしまして、アジア健康構想を推進しております。  アジア健康構想は、高齢化が進みますアジアにおきまして、医療、介護を中心に、疾病の予防などのヘルスケアサービス、健康な生活のための町づくりなど、裾野の広いバランスの取れたヘルスケアの実現を目指そうというものでございます。そのために必要な産業の振興や人材育成を行うべく、アジア諸国が相互互恵的に協力して具体的な事業を積み重ねていくということとしております。日本も、産官学、医療界が一体となり取り組んでおります。  本構想を通じて日本の医療とつながりのありますアジアのヘルスケアが実現されるということは、日本の医療機器、医薬品等がアジアの医療、介護を支え貢献する際の環境整備の役割も果たすというふうに考えております。日本とアジアが協力いたしましてアジアにおいてヘルスケアが自律的に自給自足できるよう、そしてその中で日本の技術、製品、サービスが貢献できますよう、引き続き努力してまいります。
  82. 熊野正士

    ○熊野正士君 分かりました。  今答弁にはございましたけれども日本というのは優れた医療サービスということで海外でも高い評価を実は受けているんですけれども、残念なことに、日本で開発された技術にもかかわらず海外の方でどんどんどんどん研究が進んで、逆に日本が取り残されるといったようなこともあるというふうに聞いております。  医療機器に関して言うと、例えば内視鏡とかは日本の企業が国際的にも高いシェアを占めております。日本で強みのある分野というのも、医療分野でもあるというふうに思います。  今、がんの治療の機械でBNCTというのがあって、これ治験が行われているわけですけれども、今治験でいろいろ症例を積み重ねているところですけれども、このBNCTというのも、これ日本発の技術でございます。こういった日本発の治療技術といいますか、そういったものを本当にうまく活用しながら成長戦略に是非ともつなげていってほしいなというふうに思うわけでございます。  そういう意味でいうと、この日本発の技術を、日本が強みを持っている分野について特に力を入れて国際展開すべきじゃないかなというふうに思いますけれども、どうでしょうか。
  83. 江崎禎英

    政府参考人(江崎禎英君) お答えをいたします。  委員指摘のとおり、日本が有します最先端の医療技術の海外展開でございますが、これは新興国における医療水準の向上に貢献するとともに、我が国医療産業の育成を通じた経済活性化に資するものと認識しております。  ただ、しかしながら、医療機器を始めとする医療サービスの国際展開には、利用する側の技術水準の向上が不可欠であることから、人材育成も含めた環境整備が求められます。このため、これまで既にインドネシア、タイ、ベトナムにおきまして御指摘の内視鏡医療センターを開設しまして、現地の医師に対しまして技術指導を行う等の支援を行ってきたところでございます。  さらに、今言われましたBNCT等の高度な医療機器の導入には、継続的なメンテナンスを始めとするアフターサービスの充実、こうしたものが不可欠でございます。したがいまして、現在、医療関係者や医療機器メーカー、さらには商社等の参加の下、サポート体制の整備に向けた検討を行ってまいりました。  今後とも、相手国の医療ニーズ、そして技術水準、これを的確に把握するとともに、充実したサポート体制の整備を通じてより良い医療サービスの国際展開に努めてまいりたいと考えております。
  84. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。  以上で終わります。
  85. 西田実仁

    ○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。今の熊野議員に引き続いて御質問させていただきます。  このTPP11に関しましてまず私が取り上げたいのは米中の通商摩擦への対応ということで、そういう切り口でお聞きしたいと思います。  本年五月四日、北京で米中の通商協議の初会合が行われました。ムニューシン財務大臣、ライトハイザーUSTR代表、ロス商務長官、ナバロ大統領補佐官に、中国側は劉鶴副首相が出席して米中の通商協議が始まりました。その課題は、中国の市場開放であり、知財権の保護であり、為替調整や内需拡大というものも取り上げられております。  保護貿易というのはもちろん許されるわけではありませんが、実際に中国の市場が閉鎖的であるということを言う定量的な指標があることも事実でして、今日お配りをさせていただきましたのが、OECDが一九九七年に開発しました外国直接投資の制限指数であります。この指数は一に近づけば近づくほど規制が強いことを示しておりまして、逆にゼロに近ければ近いほど規制が弱いということを意味しております。  これを見ますと、日本は二〇一七年〇・〇五二、アメリカは〇・〇八九、OECDの平均は〇・〇六六なのに対しまして、中国は〇・三一六、参考としてインドも掲げましたが、〇・二一二と高いということが見て取れるわけでございます。  こうした背景の下で米中通商摩擦の協議が始まりまして、中国としては、この対米貿易摩擦に先んじて、既に企業への打撃軽減策として五月から、法人税四千六百億元超、七百二十三億ドルの減税を実施し、増値税率、消費税ですけれども、付加価値税ですが、製造業を一七から一六へ、運輸・交通、建築を一一から一〇%などへ実施しております。一方、アメリカの方も、レーガン政権以来の大規模減税、十年で一・五兆ドルというのを実施しているわけであります。  この米中通商摩擦の先行きにつきましてはまだ不透明でありますが、仮にこれが激しくなったときにどういう影響を及ぼすのかということも考えておかなければならないと思います。  そこで、主要国の対米輸出、対中輸出のGDP比を見ますと、対米で最も多いのはメキシコ二八%、カナダ一九、ベトナム一九、香港一三、シンガポール七、台湾六、韓国五、中国三、日本は二・八%であります。対中国輸出、これは当然香港が一番大きく九三%、それからシンガポール一五、ベトナム一四、台湾一四、韓国九、マレーシア八、日本は二・七%ということであります。  米中通商摩擦によりまして米国の対中輸入が削減を仮にされ、かつ中国以外からの輸入も削減される、あるいは、中国も対米輸入及び米国以外からの輸入も削減するということを想定しますと、最も影響を受けるのは、対米、対中輸出依存度の高いベトナムあるいはシンガポール、メキシコマレーシアでありまして、これはいずれもTPP11加盟国であります。また、台湾や韓国などTPP11への加盟希望国への影響も大変に大きいということも分かります。  この米中通商摩擦の行方は予断を持つことはできませんけれども、今後この波及効果をできるだけ軽減するには、TPP11の早期発効、そしてその拡大というものが急務ではないかということも知らされるわけでございます。  さらに、日・EU経済連携協定は昨年十二月に既に合意をし、今夏には署名し、一九年春まで発効を目指すというふうにされておりますし、日中韓FTA交渉加速化ということも先般の日中韓サミットでも一致してございます。  まず茂木大臣にお聞きしたいのは、この米中通商協議が始まりました。この行方はなかなか予断を持っては見られませんが、その波及効果をどう見るのか、また日本としてどう対応していくのか。七月から大臣自らが交渉として大変御苦労いただく日米通商協議ということにも加えまして、やはりTPP11の早期発効とその拡大ということがこうした課題に応える意味でも大事ではないかと思いますけれども、御所見をお聞きしたいと思います。
  86. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 西田委員の方から各国投資制限の数字も具体的にお示しいただいたところでありますが、強制的な技術情報の開示であったり外資系企業に対します差別的なライセンシングなど市場歪曲的な措置、これは日本にとっても深刻な懸念でありまして、これまでも日米で様々な協力を行ってきているところであります。また、日本ルールに基づく多角的な貿易体制を重視しておりまして、各国の措置がWTO協定と整合的な運用となることを求めてきているところであります。  その上で、米中の通商摩擦についてお話があったところでありますが、もちろん誰も対抗措置のエスカレーション、こういったものは望んでいないと思っておりますし、世界GDPの第一位、そして第二位の中国が様々な摩擦が生じるということは世界経済全体にとってもマイナスの影響と、こういったものも懸念をされるところでありまして、引き続きまして、米中間での事態の進展、こういったものを注視をしてまいりたいと考えております。  日米は、四月の日米の首脳会談におきまして、自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議、いわゆるFFR、これがスタートすることになったわけでありますが、これは、日米間の貿易投資を更に拡大させ、そして公正なルールに基づく自由で開かれたインド太平洋地域を実現するための方策について議論をするものでありまして、この協議の場、これを通じまして、日米両国が、日米二国間の問題だけではなくて、これはアジア太平洋地域の問題についてもいかに協力すべきか、建設的な議論を行っていきたいと思っております。  世界的に保護主義、こういったものが台頭する中で、TPP11、これを推し進めるということは極めて重要だと考えておりまして、既にメキシコは先月国内手続を終えるなど、予想以上のスピードで各国の手続というのが今進んでいるところであります。  我が国におきましても、昨日、TPP11の協定は承認をいただいたところでありまして、TPP国内法案についても早期に成立できるよう政府としても全力で取り組みまして、TPP11の早期発効に向けた機運を高めていきたい、こんなふうに考えているところであります。  このTPP11、六か国が国内手続を終え、そして寄託国にそれを通知し、六十日で発効ということになるわけでありますが、発効しましたら、このTPPの新しいハイスタンダードルール世界に広めていくと、こういったことが視野に入ってくるわけでありまして、こういった観点から、南米のコロンビア、さらにはアジアにおきましてはタイ、インドネシア、台湾、さらに英国、こういった様々な国や地域TPPへの参加関心を示していること、歓迎をしたいと思っております。  新規加盟に対します対応方針、こういったことについても、我が国が主導して必要な調整、今後行ってまいりたいと考えております。
  87. 西田実仁

    ○西田実仁君 大変に重要なこれから日米通商協議もございますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  次に、中小企業FTA等の活用についてお聞きしたいと思います。  世界経済連携というのはFTAとかEPAですけれども、加速度的に重層化、複雑化しております。例えば、日本マレーシアとの間では、日・マレーシアEPA、日・ASEAN・EPAに加えまして、これが、TPP11ということが加わっていけば、こうしたものが法的には併存し続けていくということになります。  そこで、まず外務省にお聞きしますが、日本が関与するFTAEPAのうち、既に発効済みのもの何件あり、ほかに署名済み未発効交渉妥結未発効、さらに交渉中のものは幾つあるのか、事実関係をお聞きしたいと思います。
  88. 林禎二

    政府参考人(林禎二君) お答えいたします。  我が国が関与いたしますEPAのうち、既に発効済みのものは十五件ございます。それから、署名済みですが未発効のものが二件、交渉は妥結しておりますが未発効のものが一件、実質的に交渉中のものが四件ございます。
  89. 西田実仁

    ○西田実仁君 また、この輸出入の申告の際に付されるHSコード、これは各国ごとにおよそ幾つぐらいあるんでしょうか、財務省にお聞きします。
  90. 柴崎澄哉

    政府参考人(柴崎澄哉君) お答えいたします。  各企業がEPA税率を適用する場合に利用しますタリフラインにつきましては、各EPAにおきまして国ごとに規定されております。  例えば、TPP協定におきましては、我が国が設定しているタリフラインの数は九千三百二十一となっておりますほか、各国が設定しているタリフラインの数はおよそ一万前後となっております。
  91. 西田実仁

    ○西田実仁君 こうした複雑かつ重層化する経済連携網を中小企業が利用しようとしますと、幾つもの壁に阻まれます。  まず第一に、外国に輸出しようとしますと、日本側の輸出用HSコードを物品に付さなければならないため、HSコードの正確な把握は不可欠であります。加えて、相手国の税関当局から輸入許可を得るためには、相手国での輸入申告の際に付されるHSコードも必要になります。今御答弁いただきました国別に約一万品目のHSコードを正確に把握した上に、日本が関与するFTAEPA発効済みのものでも十五件ということでありますので、膨大な、掛け算でいいますと、HSコードの把握が求められます。  第二に、世界中に張り巡らされましたFTAEPAのどれを利用することが自社にとって有利なのかの判断が必要になります。今回のTPP協定でもそうですが、例えば関税について、カナダ向けの乗用車は現行税率六・一を五年目に撤廃、ニュージーランド向け工業製品は七年目までの撤廃等々書かれているんですが、完全撤廃までの税率スケジュールを把握しないと比較考量はできません。輸入開始時にはベストな特恵関税率だったFTAが、二年後には別のFTAより条件が劣位に置かれるケースが生じるということがあるわけです。  例えば、ある日本の衣料、着るものの製造販売会社がベトナムから綿織物を輸入する場合、輸入開始時には日・ASEAN・EPAを利用することがベストの特恵関税率だったものが、その二年後には日本・ベトナムEPA関税率の方が低くなって、日・ASEAN、日・ベトナムEPAの間で関税の逆転現象が起こってくるわけですね。これに気付かないと関税削減効果を逸してしまう、使い漏れということになります。  ジェトロでは、こうした世界関税情報のデータベースを提供しているんですね。日本に居住している人なら誰でも無料で利用できるということで、私も登録してみました。ちなみに、このデータベース、アメリカのフェデックス・トレード・ネットワーク社が有料で提供しているデータベースでありますが、ジェトロとの契約により日本の居住者は無料で利用できると書かれています。このジェトロの関税関連ウエブには、フェデックス社の提供するデータベースで今申し上げた各国関税情報が入手できるんですね。HS番号をクリックすると輸出国別の税率も確認可能なんです。  しかし、私も登録していて、ふと思いました、住所とか名前とか書いて。なぜアメリカの会社のデータベースに私の個人情報を提供しなければ世界各国関税情報が入手できないのかと、何でそんな仕組みになっているのかと。しかも、フェデックスというのは、御存じのとおり、まさに貿易に関わっている世界的な会社でありまして、これだけ日本が関与するFTAEPAが増えてきており、今後も増えていく中、やっぱりこれ自前のデータベースをしっかり構築していかないといけないんじゃないかと。日本人の個人情報がそのままフェデックスに流れていくのにちょっと抵抗を感じながら登録して、しかし便利だなと思って見ていたんですけれども、その点いかがでしょうか。
  92. 渡辺哲也

    政府参考人(渡辺哲也君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、ジェトロにおきましては、我が国の事業者が輸出入する際の関税率を容易に検索できるように、アメリカのフェデックス社と契約いたしまして、同社が提供いたしますデータベースにより関税情報を提供しているところでございます。  先生指摘のように、フェデックス社のサイトは有料でございまして、一人一年間契約しますと約四千ドル取られるところでございまして、この有料の関税情報の閲覧ベースをジェトロがフェデックス社と契約をいたしまして、その上で国内の利用者の方に無料で御利用いただいていると、そういう仕組みになっております。ちなみに、二〇一七年には三万八千件以上の御利用をいただいているところでございます。  フェデックス社のデータベースは世界百七十五か国における関税率をカバーする非常に網羅的なものでございまして、先生指摘のように、いろんなEPAとかございますので、それを把握するという意味では代替するものはないというところでございます。ジェトロにおきましては、自前で独自のシステムを構築するよりも、このデータベースを活用するということにしているところでございます。  ただ、議員御指摘のとおり、データベースを利用するに当たりましては、氏名と会社名、それから会社の住所、それからメールのアドレスを同社に登録してIDの発給を受けると、そういう仕組みになっております。これは、ジェトロとフェデックス社との間の、を通じて登録された日本国内の居住者であるということを確認する仕組みということでございます。  先生指摘いただきましたように、同社との契約は一年ごとでございますので、来年度の契約に当たりまして、登録情報の範囲を更に小さくするとか、そういうことを交渉する等、検討してまいりたいと思います。
  93. 西田実仁

    ○西田実仁君 このデータベースでは、対日本の税率も、EPAFTAの種類とともに税率の引下げスケジュールが分かるようになっているんですよ。しかし、私も実際にクリックしてみました。すると、まずこの表が崩れていてもう非常に分かりづらいです。本当に分かりづらいです。そして、日本・ベトナムEPAを利用するのがよいのか、それとも日本・ASEAN・EPAを利用する方が得なのか、比較考量できないんですよ。一つ一つ全部自分で調べていって、年数を何年目とか見ていくと、逆転するのがいつなのかというのも、ぱっと、あっ、このときまでは日・ASEANがいいなと、これから先は日越がいいなというようなことが比較考量できないと、さっき申し上げたような使い漏れになってしまうわけであります。  一輸入国対一輸出国という検索になっているんですけれども、多輸出国対多輸入国ということの検索が可能になるようシステムインフラを整えないと中小企業は利用しにくいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  94. 渡辺哲也

    政府参考人(渡辺哲也君) 御指摘いただきましたように、表示の見やすさ、それから中小企業の方々が分かりやすい形で、今どの税率を使ったら一番関税が低いのか、WTOの税率なのか、あるいはベトナムですとバイのEPAもございますし、それから日・ASEANもございます。それから、これからTPP11の税率も適用されることになって、それをどれを一番使ったらいいかというのを見やすくお示しするというのは大変重要なことだと思っております。  それから、関税率の逆転ということでございますけれども、このフェデックスのサイトは、最終税率は出ていて年ごとも出ているんですけど、この時点でこの年度でどっちを使ったら、どれを使うのが一番有利かというのは必ずしも見やすくないわけでございまして、中小企業の方々が一目で見て今どれを使ったらいいのかということがはっきり分かるように、来年度の契約に当たりまして対応を検討してまいりたいと思います。
  95. 西田実仁

    ○西田実仁君 是非こういう、TPP11、これからもどんどん増えていくわけですから、重層的、複雑化していく経済連携協定中小企業がもっと使いやすく、本当に。これ、そもそも英語だけなんですよ。そんなの当然、フェデックスですからね。それも普通の中小企業、抵抗ある人も多いと思いますよ。そういう意味で、システムインフラをしっかり整えるということも大事だということを申し上げております。  三つ目に、中小企業にとって課題になるのは、原産地規制が複雑であり利用しにくいことです。  実際、今日お配りした資料にも、FTA利用上の問題点の中には、原産地基準、原産地判定、原産地証明書の発給等が課題であることがジェトロの調査で分かっております。  この経済連携協定を用いて関税を減免して輸入を行う場合、原産地証明が必要なんですけれども、その原産地証明の真偽を確認する検認と言われる一種の監査がございます。FTA先進国とも言われる韓国では、二〇一二年三月に米国とのFTA発効EUとは二〇一一年七月に暫定発効、その発効五年経ずして、既に米国EUから多数の検認を受けていると聞いております。コンプライアンス対応の問題であります。  この事実関係を財務省にお聞きしたいと思います。
  96. 柴崎澄哉

    政府参考人(柴崎澄哉君) 韓国がEU米国からどの程度検認を受けているかという御質問でございますけれども、韓国の関税庁が二〇一五年の十二月二十八日に公表した資料がございまして、これによりますと、韓国が二〇一四年にEUから受けた検認数は二千八百二十二件、同年に米国から受けた検認数は四百八十二件となっているものと承知してございます。
  97. 西田実仁

    ○西田実仁君 まさに、二〇一一年、EUの間接検認が六十七件と私は把握しておりますけれども、それが二〇一四年には二千八百二十二と今おっしゃいました。また、アメリカの直接検認、二〇一二年には六十九件だったのが、今は、御説明だと二〇一四年四百八十二件と急増しているわけですね、やっぱり年数がたつと、この検認。したがって、中小企業のコンプライアンス対応というのは非常に大事になってきます。  そこの支援をどうしていくのかということを、もう時間がないので、最後大臣にお聞きするために説明で済ませますけれども、新輸出大国コンソーシアムというのを経産省で、中小企業、中堅企業に対して様々な専門家がこれ支援するという仕組みを既につくっておられます。  最後に大臣にお聞きしたいと思います。  今、中小企業FTA等の利用について、特にシステムインフラの整備ということを申し上げました。様々な協定が結ばれても、やはり中小企業がみんな使うということもすごく大事だし、そのためのいろんな整備、支援ということが必要ですが、特に私は今日はこのシステムインフラの整備のところに着目をしてお聞きをいたしました。中小企業の海外進出を支援するためにこうしたシステムインフラも含めた支援を更に進めていくべきではないかと思いますけれども茂木大臣の御見解をお聞きして、終わりたいと思います。
  98. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 西田委員指摘の点、極めて私、重要だと思っておりまして、これは単に通商のデータベースだけの話ではなくて、例えば検索でもそうです、それからEコマースでもそうですけれど、巨大なプラットフォーマーと、これが生まれることによって世界的に寡占化が進む、データの世界ではそういったことが起こっているわけでありまして、そこの中で日本がどういう立ち位置に立って、日本の企業にとってメリットのあるようなデータベースを作っていくのか。  先ほどの関税のお話も聞いていますと、例えばホテルでしたらトリバゴでやればどのホテルが一番安いとか分かるわけでありまして、中小企業にとっても簡易に様々なものが比較できるようなものを作っていく必要があると思っております。  そういった意味において、日本、先ほどの答弁にもありましたように、既に十幾つの経済連携協定結んでおります。たしか、日・シンガポールが最初で、十五、六年前になるんじゃないかなと思いますけど、そういったものをやはりできるだけ一覧的に中小企業の皆さんにとっても見やすいものにしていく、同時に、我々様々な形で各地での説明会であったりとか個別の相談も受けているわけでありまして、個別の中小企業がどういう点に関心を持っていらっしゃるのか、どういう情報があったら見やすいのか、こういったこともしっかり把握をした上で、丁寧な情報提供、そして説明に心掛けていきたいと思っております。
  99. 西田実仁

    ○西田実仁君 終わります。
  100. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 午後一時十五分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十分休憩      ─────・─────    午後一時十五分開会
  101. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、田村智子さんが委員辞任され、その補欠として大門実紀史君が選任されました。     ─────────────
  102. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 休憩前に引き続き、環太平洋パートナーシップ協定締結に伴う関係法律整備に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  103. 舟山康江

    舟山康江君 国民民主党・新緑風会の舟山康江でございます。  たくさんお越しいただいておりますけれども、私、できるだけというか、基本的に政務三役の皆様に質問の通告をさせていただいておりますので、そのように対応いただきたいなと思っています。  今日趣旨説明のありました法案というのは、つまりは、元々進めてまいりましたTPPからアメリカ離脱をするという中で、TPP発効が見込めないと、そういう中で、もうこのまま漂流するのかなと思いましたら、アメリカ抜きのTPP、いわゆるCPTPPですけれども日本ではTPP11とよく言われておりますので分かりやすくこの11という言葉も使っていきたいと思いますが、三月にチリのサンディアゴで署名式が行われたと、こんなことであります。  何か、ぎりぎり詰めた、利害得失をきちんと考えたというよりは、とにかくまとめることが最優先だったんではないのかなと、そんな印象が拭えません。そもそも元々のTPPとは内容、影響が全く違うということですよね、アメリカが抜けたこと、投資関連を中心に二十二項目の凍結項目があるということ。細かい主張はしないと言いながら、他国は、マレーシア、ブルネイ、ベトナム、カナダ、様々な主張をして特別扱いが認められております。日本は、とにかくまとめるということを優先する余りに特に何も例外を主張しなかったと、こういうことでありますけれども。  考えてみると元々のTPPは、やはりアメリカがいるから日本にとってもメリットがあるんだということで、アメリカの存在そのものがTPPへの参加の大きな理由だったと思います。米韓FTAをにらみながら、このままでは韓国に負けてしまう、このままでは駄目だということで、やっぱりアメリカがずっとTPPに入るインセンティブとして大きな存在だったと思いますけれども。  改めて茂木大臣にお聞きしますけれどもアメリカ抜きでも推進した理由は一体何なんでしょうか。アメリカがなければメリットがないということはずうっとこれまで政府は言い続けたと思いますけれども、なぜここに来て急にアメリカ抜きでも、まあグローバルスタンダードをつくるとか言っていますけれども、そうではない本当のこの具体的な理由は何なのか、教えてください。
  104. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 昨年の一月の二十三日に米国TPPからの離脱を宣言したわけでありまして、その後、急にとおっしゃいますけれども、昨年の三月の時点から各国協議をいたしまして、米国抜きでもTPP早期署名発効させることの重要性について一致をし、結束を維持をして、今年の三月の八日、チリのサンティアゴだと思います、サンディエゴではなくて、そこでの署名式を行ったところであります。  TPP11、これは二十一世紀型の自由で公正な新たな共通ルールをアジア太平洋地域に作り上げ、米国抜きで考えても、人口でいいますと五億人規模、そしてGDP十兆ドル、貿易総額五兆ドルと、こういう巨大な一つの経済圏、これを世界の成長センターでありますアジア太平洋地域につくっていくものであります。そして、そこでは、関税が削減されるだけではありません。投資先での技術移転など不当な要求がなされない、そして知的財産が適正に保護されるなどルールが共有されることから、我が国の海外進出企業、中堅・中小企業にとっても多くのビジネスチャンス、こういったものが広がると考えております。  この自由で公正な二十一世紀型の新しいルールを確立するという意義は、TPP12においても、そしてTPP11、こう言った方が多分分かりやすいと思いますので12、11と言わさせていただきますが、このどちらにおいても基本的に変わらないと考えているところであります。  自由で公正な共通ルールに基づく自由貿易体制こそが世界経済成長の源泉でありまして、TPP11によりまして日本が二十一世紀型の新たなルールを作っていく、そのリード役になっていく、こういった意味合いは非常に大きいと思っております。これは、我が国だけではなくてアジア太平洋地域全体の将来にとっても画期的な成果であると、このように考えております。
  105. 舟山康江

    舟山康江君 失礼いたしました、サンティアゴですね。失礼いたしました。  自由で公正というようなお話をされました。ただ、TPPの元々の協定に当たって、日本アメリカとの二国間協議の中で相当一方的な、まあ自発的なですね、協定とは別途、自発的な譲歩というか妥協というか約束をたくさんしていると、こんなことです。これは、残念ながらアメリカが抜けても生き続けていると。まあ自発的な約束ですから協定がなくなっても生き続けているということで、例えば自動車の低関税輸入枠ですね、こういったものもそのまま、それから検疫関係も緩めた、保険関係も随分と妥協して差し出しているものがあるということであって、本当にTPPに入るという前提でいろんな妥協をして、それだけが残っていて、そしてまた別途やっていくということですから、何か私は交渉の仕方として果たして国益にかなっているのかなという疑問がいまだに残っております。  加えて、これ先ほど来、午前中の質問でも、岡田議員始め午前中の質問でもありましたけれども、今、日米首脳会談の中で、最初に提起されたのは四月ですけれども、先日の六月七日の日米首脳会談においても、FFR日米の新たな貿易協議というものを設置して、具体的に七月から動かすと、こんな話がありました。  やっぱり、TPPに戻ってくるようにということを言っていながら、また別途二国間のディール、取引、何か全然協定とは違うと言いながら、なかなかこれ分かりにくいと思うんですよね。二国間でこういった貿易のいろんな協議をする場をつくるということは、やはりそこで何かが決まっていくんではないか、そういった懸念を多くの皆さんが持っていると思います。TPP11に加えて、プラスアルファで日米でまた何か約束するんじゃないか。  さっき言いましたとおり、TPP交渉のときにも、この協定とは別枠で二国間でいろんな約束をしていると。まさに、これは明文化された約束ではなくて、むしろ自発的ということを装わされながら実際にはやらされているということですから、こういうことが協定ではなくて二国間協議、自発的な取引という中で一方的にこれを開放しますとか、例えば鉄鋼、アルミ、これに対してもどこまで強く抗議をしたのか分かりませんけれども、これと引換えに、じゃ、輸出を増やすような、アメリカにとってですよ、日本への輸出が増えるような、そういったことを約束しろと言われかねないような何か場をつくってしまった。私は、非常にこれ、このタイミングでつくったというのはちょっと怖い、危ないんではないかと思っています。  改めて、このFFRの目的と具体的な内容について教えてください、大臣
  106. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) お答えいたします。  本年四月の日米首脳会談におきまして、茂木大臣とライトハイザー通商代表との間で、今御指摘のありましたFFR、自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議、これを開始することで合意をいたしました。  この協議の目的でございますが、公正なルールに基づく自由で開かれたインド太平洋地域の経済発展を実現するため、日米双方の利益となるよう、日米間の貿易投資を更に拡大させていくという目的で行われるものであります。  ただ、我が国といたしましては、TPP最善であるというふうに考えておりまして、その立場を踏まえて引き続き協議を、あるいは議論を臨んでいきたいと思います。議題も含め、具体的な事項は米側とこれから調整してまいります。
  107. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 今、事実関係については佐藤副大臣の方から答弁のあったとおりでありますが、FFRと、こういう言葉に略称されますように、フリー、自由で、フェア、公正、そしてレシプロカル、お互いに、日米相互にとって利益になるような、プラスになるような協議を行っていきたい、そのように考えているところであります。  二国間で協議を行います。しかし、二国間で協議を行うことイコール二国間で協定を結ぶということではありません。様々な成果というのが期待できるのではないかなと考えております。  例えば、日本にとりましてはエネルギー。これから調達先も多角化をしていかなきゃならない、こういう状況で、カタールだけにガスを依存する体制から、例えばLNG、アメリカからも持ってくると、こういったことで日本の安全保障上も、エネルギーの安全保障上もプラスになるという面もあると思います。  そういった意味で、お互いに利益になるような成果というのは何なのかと、こういったことについて建設的な議論、これを進めてまいりたいと考えております。
  108. 舟山康江

    舟山康江君 自由で公正というのは貿易ルール全てに言えることだと思います。WTOだって自由で公正でフェアで、そういったものですよね。もう基本的に国際交渉、いろんな場というのは、全てやっぱり公正でなければいけない、どちらかが一方的じゃなくて、互恵というのはこれ当たり前の話ですから。  そういう中で、TPPアメリカを戻すためにこれは有効に働くとお考えなんでしょうか。
  109. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) FFRの場、今後具体的なアジェンダといいますかTOR、これは両国間で調整をしていくということになるわけでありますが、そういった場におきまして、我が国として自由貿易ルールの重要性、さらには自由貿易体制を守ることの重要性、そしてTPPの持つ意義、さらにはこのTPP世界で最もグローバル化、さらには技術革新進んでいるのはアメリカであります、間違いなく。アメリカにとっても、アメリカの経済、さらには雇用にとってもプラスになる、こういった意義等についてもしっかり説明をしていきたいと思っております。
  110. 舟山康江

    舟山康江君 これ、ディールという言葉がまた更に怪しげなんですよね、ディール、取引。何か、協定というのであれば本当に非常に分かりやすい、目に見えるような形ですけれども、ディール、取引というのは、やっぱり見方によっては、これを出すからあっちを出せというような取引、それこそ、鉄鋼、アルミのいわゆる報復関税解除するから、じゃ、日本も何か差し出せとか、そういうことになると、ますます表に見えない形でいろんなことが進んでいってしまう。逆に怖いというふうに思うんですよ。アメリカから見れば、わざわざ明文化した協定に入らなくてもその取引の中で前に進むのであれば、こんなに有り難いことはないと思うんですよね。TPPだって、今この時点に至っても、やはり再交渉でもっとアメリカに有利にならなければ入らないと言っているわけですから。  TPPは再交渉で何か中身を変える余地というのはあるんでしょうか。
  111. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) このTPPTPP12の時代からそうでありましたが、特に今TPP11、この協議を進めるに当たりまして、TPPの持っているハイスタンダード、こういったものを維持しながらバランスの取れた協定にしていきたい、こういった思いで、参加十一か国、様々な利害があるわけでありまして、こういった利害調整を行った上での協定でありまして、言わばガラス細工のような協定であります。一部のみを取り出して再交渉する、一部のみを取り出して変える、こういったことは極めて困難であると、このように考えております。
  112. 舟山康江

    舟山康江君 じゃ、確認ですけれどもアメリカが今、再交渉で何かもっとアメリカにとってプラスになれば入るということは絶対に受け付けないという理解でよろしいんでしょうか。
  113. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 先ほど申し上げましたように、TORについては今後調整をしてまいります。そこの中で様々な議論というのは進むわけでありまして、これは通商交渉も外交交渉も全てが予見できるわけではありません。そこの中でしっかり日本の国益を守っていく、また国益に反する合意はしない、こういった方針で臨んでまいります。
  114. 舟山康江

    舟山康江君 今の大臣発言じゃ、怖くてこんなTPPなんていじれないですよね。認められないですよ。もしかしたら、アメリカから強く要求されれば見直すかもしれないと。日本は、だってガラス細工だから、細かいこと言ったらこれ壊れてしまうから何にも要求しなかったわけですよね。一方で、今回のTPP11でも、ほかの国は例えばサイドレター等でいろんな約束していますよね。そういったこともせずに、アメリカに関しては二国間ディールでいろんな約束をし、その上、場合によってはTPPの中身も再交渉する余地があると。そんな姿勢では国益にかなうような交渉にはならないと思いますけれども、もう一度お願いします。
  115. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 国益に沿った交渉を進めてまいります。また、国益に反するような合意を行うつもりはございません。
  116. 舟山康江

    舟山康江君 だから、そういった再交渉というのは基本的にないとか、そういったことを何で明確に言えないのかなというのが、やはり非常にこの協定そのものに対して疑念が深まる理由なのかなと思っています。  さて、茂木大臣は、このTPPいわゆる11の議論のときに、農業分野のことを念頭に置きながら見直し協定、いわゆる第六条ですね、第六条を入れた、この背景にはやっぱり農業分野のことを念頭に置きながらということをおっしゃっておりました。果たしてこの六条の解釈、実効性があるのかなというのが大変疑問だと思っています。  まず、TPP効力を生ずる見込みがないと、これも午前中の質問でもありましたけれども、見込みがないとする判断の基準、例えば何か月後まで、又は何年でもいいですよ、発効しなければもうそこは見込みがないとするとか、そういう明確な基準というのはないんでしょうか。もう一回お願いします。
  117. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 第六条につきましては十一か国の中でかなりの議論をいたしました。実は、先生指摘のように、例えば何年たったらというような数字を入れようかという議論も最初の頃はあったんですけれども、じゃ、実際にその数字を当てはめると、そんなに早く見直しをするのかとか、あるいは逆にそんなに待つのかといったような議論が出てまいりました。  基本的にはアメリカ復帰を皆期待しているというのが十一か国の総意でございますので、いつまで待ったらもう諦めようとかというのを数字で表すのはいかがなものかと、こういう議論でこのような書きぶりになったということでございます。
  118. 舟山康江

    舟山康江君 非常に、この判断基準というのはすごく難しいと思うんですよね。今は、だってアメリカは入らないと言い切っているわけですよ。そして、入るとすればもう相当有利な見直しをしてくれないと入らないと言っているというのは、つまりはもう入らない、つまりはTPP発効の見込みはないと言えると思いますけれども、でもそういう判断はしないんでしょう。いつ、どうしたらその判断をするのか、その基準曖昧なままでは、これは結局明文化したと言いながら死文と同じではないのかなというふうに思います。  逆にアメリカが入ったとき、アメリカ復帰した場合に、今はTPP11に対してはほかの国も興味を持っていると、場合によってはTPP11に入ろうという国があるかもしれません。その国が入った後にアメリカが入ってくると、その場合にはこれどうなるんですかね、どちらが生きてくるんですか。TPP11、要は、元々の12からいろんな凍結項目があって、だったら入ろうということで判断した国もあると思いますけれども、その辺も曖昧だと思いますけれども、その辺いかがなんでしょうか。
  119. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) アメリカTPPに戻るという場合に、これ理論上は二種類ございまして、TPP11にこれは新規加盟ということになります。今先生指摘のように、アメリカが戻ってくる前に新しい国が入っているかもしれませんが、いずれにしてもアメリカはその場合は新規加盟という扱いでございます。  もう一つの可能性は、元々あのオークランドで署名をしたTPP12、これをそのままの形でアメリカ国内手続を終えて、さらに、日本とニュージーは終えていますので、プラス三か国が手続を終えれば12が発効するということになりますが、ただ、この場合も署名をした内容というのが条件でございますので、アメリカが万が一何かそこを変えたいということであれば、それは全く新しい交渉ということになるかと思います。
  120. 舟山康江

    舟山康江君 確認ですけれどもアメリカがもし入るとなったときには11に入るという理解なんですか。
  121. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 先ほど申しましたとおり、11に新規加盟するというパターンと、12に、つまり元々の12に、アメリカ国内手続を終えるとこの二種類のパターンがあるかと思いますが、アメリカ国内において元々戻るという話が今の政権しておりませんので、そのどっちだというような議論が具体的にされているということは承知をしておりません。
  122. 舟山康江

    舟山康江君 どちらに戻るかというのも非常に曖昧ですし、それは取りも直さずアメリカが戻ってくるのはなかなか難しいだろうなということの裏返しなのかなと思います。  さて、例えば、見直し規定がうまく機能して見直しをするということになった場合に、具体的にその中身をどう見直すのか。日本は、アメリカが入らないんであれば、例えば約束数量を減らそう、減らしてくれと、農業を念頭にということはそういうことだと思いますけれども、そういう交渉をしていくと思いますけれども、一般的に考えて、受けるかどうかは相手国次第であって、今この新しい協定の中でメリットを享受している国が、あえて自分のメリットが減るような見直しに応じるんでしょうか。その辺の担保はどのように考えているんですか。
  123. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 我が国としては、各国に対しまして、第六条を発動する必要が生じた場合、TPP全ての締約国を対象とした関税割当て数量及びセーフガード措置の発動数量を見直すと何度も明確に説明をして、そのような修正を行うことについて理解が得られていると、このように理解をいたしております。この問題につきましては、昨年三月、チリでの首席交渉官会合以降、首席交渉官及び澁谷統括官の方から会合のたびに、あるいは関係国等の首席交渉官が来日するたびに説明をして、各国の理解、これを徐々に得てきたところであります。  こういった累次の会合での説明を経て、昨年十一月、ベトナム・ダナンでの閣僚会合の直前、舞浜での首席交渉官会合までの間に主要国から事務レベルでの理解を取り付け、最終的にダナンでの閣僚会合では、それまで事務レベルで理解を得ていることを前提に、確認の意味で自分から、私、アイン商工大臣と共同議長を務めておりましたが、その席で、ここからは議長としてではなく日本立場説明させていただきたいということで先ほど申し上げたような趣旨を説明して、出席閣僚、十一か国の出席閣僚、一切反対はなかったところであります。  TPP11の交渉、なかなか難しい交渉でありました。各国との利害調整をしていかなきゃならない、そういったことも日本が主導して、信頼もしてもらいました。そういった中で、各国の間、強い今信頼関係が生まれております。そして、このTPP11全体については、各国が利益を享受をするものでありまして、そういった中で必要な見直しを行うということについては、個々のプラスマイナスではなくて全体のプラスマイナスと、こういったことで各国も理解していると、このように考えております。
  124. 舟山康江

    舟山康江君 要は口約束なんですよね。口約束では危ないから、それぞれ皆さんがサイドレターを交わしたりとか、いろんな交換公文できちんと明文化したりとか、だって担当者も替わるわけですから。そういう中で、カナダもそうですよね、文化例外を求めるのにサイドレターでちゃんと交わしているんですよ。それをせずに口約束だけというのは、担保なんか絶対ないと思うんですよね。だって、実質、輸入枠拡大された国が、減らしますけれども乗ってくださいって、誰が乗りますか、普通に考えて。  何か、とにかくまとめることを優先したということ。ガラス細工は分かりますよ。だけど、そういった大事なところの担保も取らずに口約束で済ませるというのは、私は、この第六条というのは実質的に意味がない、意味を持たない、そんな条文ではないのかなと思います。そこは交渉官として、担当として、私は、もうちょっとシビアにきちっと、幾らリードをしたからといって、じゃ、リードしているからこそ、ここ一番は、だって例外も求めなかったわけですから、ここぐらいは明文化の、まあサイドレターでいいですよ、そういうものをなぜ交わさなかったのか、非常に私はこの担保が曖昧で怖いなと思っています。  さて、今日の法案というのは、要はさっき言ったようにこのTPP11の発効に伴って国内整備法を少し変えるということですけれども、これ題名がいわゆるTPP及びTPP11ですよね、両方の締結に伴う関係法律整備に関する法律と、二つの法律整備を併せて今回上げているんですけれども、これ、どういう意味なんでしょう。
  125. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) お答え申し上げます。  TPP11協定は、TPP12を十一か国で実現するための法的な枠組みでございまして、内容はTPP12とほとんど同じということでございます。  ただ、これは全く技術的な話でございますけれども、法技術的にTPP11協定は12協定とは別個の協定でございます。あくまでも理論上の話でございますけれどもTPP12協定発効する可能性はゼロではない、11よりも先に発効する可能性も理論上はゼロではないということでございますので、本法案は12協定と11協定の双方の締結対応する、こういう法律になっておりますので、その趣旨を明らかにするために題名をそのように変えさせていただいたということでございます。
  126. 舟山康江

    舟山康江君 そのことは多分ほとんど理解していないと思いますよ。今回は、いわゆる凍結項目を設けた、アメリカがいなくなった、残りのTPP11の締結をどうするのか、昨日可決された条約もそうですけれどもTPP11を動かすために何が必要なのかという中で国内関連法を改正するという理解が、私もそうですし、ほとんどではないかと思います。  そういう意味では、今回必要なのは11の分。だって、また12が新たに発効するとすれば、そのときにきちんと整備をすると。全く、何というんですか、必要がないものをあえてここでまとめてやるというのはおかしいと思いますけれども、今回、11の分の締結に伴って必要となる国内担保措置で十分ということではないんでしょうか。
  127. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) これは純粋に法技術的な話でございますが、先生のおっしゃっていることが、仮にTPP11に関する国内法というものを二年前に可決していただいた12整備法とは全く別の新法として制定すべきだということであれば、そういう考え方もあろうかと思いますけれども、その場合でも、理論上、12が先に発効するという場合があります。国内法の改正内容がほとんどダブっておりますので、どちらか一方が先に発効した場合はどちらか一方の法律が要らなくなると。したがって、これは双方に調整規定を置くという形になります。  したがって、今回、同じ法律を改正するという形で、その中に、12が先に発効した場合という理論的な可能性も含めて附則の中に調整規定を設けていると。すなわち12法の改正という形が法技術的に望ましいと、こういう判断でございます。
  128. 舟山康江

    舟山康江君 何か私は、そのやり方というのは非常に悪乗りというか、これに乗じて今必要のないものまで併せて改正してしまおうというやり方は、この一つ一つの法を軽視しているんではないかと思います。  本来は、そもそもこれらの幾つかの法律は別々に審議をする、だって、今回著作権法だって別途審議されているわけですから。そういう中で、なぜ一括してまとめて短時間で審議をするのか。しかも、11のためと言いながら12の分までも今回併せて改正するというのは、非常にこれ、悪乗りとしか思えないと私は思っています。  なぜそのような別々に審議すべきものを一括にしたんでしょう。
  129. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 二年前の12の整備法のときも同じような御議論をいただいたところでございますけれども、私ども協定締結すると、ニュージーランドに国内手続終了の通知をするという場合には、協定そのものを御承認いただくだけではなくて、必要な関連法、これを全て成立させることが必要でございます。  二年前も御議論いただいたところでございますけれども、例えば農業のマルキンのようなものですね。これは協定上の義務ではないわけでございますが、これは、政府としてはそうしたものと全て一体として国内制度を変えるということでTPPを施行すると、こういう政府の考え方の下、全てこれらは必要不可欠なものだ、一体として御審議いただきたいということで12のときも一括法とさせていただきまして、今回もその改正ということでございますので、同じようにさせていただいたということでございます。
  130. 舟山康江

    舟山康江君 確認ですけれども、今例が出ましたマルキンですね、マルキンはTPP上義務は負っていないけれども一括してというのは、つまりTPPへの対策としてマルキンの法律を作るということ、そういった理解でよろしいんでしょうか。
  131. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) そのとおりでございます。
  132. 舟山康江

    舟山康江君 そうしましたら、ちょっとマルキンのことはまた後で触れさせていただきたいと思います。  さて、おととしの十二月、元々のこのTPPの方の、今回の基になる関連法が成立いたしました。その際に附帯決議が幾つか付けられておりますけれども、附帯決議というのは、これ法律そのものには入っていませんけれども、やっぱりこの法を施行するに当たって、一つの条件というか、国会が是非これだけは絶対やってくださいということの条件として付けたものだと私は理解しております。  さて、この附帯決議ですけれども、この中身が守られているのかどうか、具体的にお聞きしたいと思います。これは関連法公布以降の話としてお答えいただきたいと思います、関連法が公布された後にはちゃんとこの附帯決議を守ってくださいというものですから。  関連法公布以降、まず一番目ですけれどもTPP協定の内容及び効果について、国民全体に対する引き続きの情報提供と丁寧な説明をどのように行ってきたんでしょうか。
  133. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) お答え申し上げます。  正確に言いますと、附帯決議はこの法律の施行に当たりと書いてあるところでございまして、まだ残念ながら施行されていないわけでございますけれども、御指摘が、先生の御質問が公布以降ということでございます。  既に、TPP12の大筋合意後、国会審議、大変長い時間していただいただけではなくて、その間、様々な方からの資料要求等がございまして、四千ページ以上の資料をホームページで公開をして、説明会でも説明をさせていただいたところでございますけれども先生指摘の公布後ということであれば、各地で説明会、これは公布後ということであれば十一回実施しているところでございます。また、その他様々な場を通じまして各方面に丁寧な説明を行っているということでございます。  附帯決議につきましては、政府としても重く受け止めているところでございまして、引き続きしっかりと対応していきたいと考えております。
  134. 舟山康江

    舟山康江君 公布以降、言ってみれば、去年、今年辺りの話で、おととしの十二月にこれが公布されておりますので、去年、今年、十一回ですか。様々な形での情報提供というのはちょっと足りないんじゃないんでしょうか。  TPPについて非常にガラス細工とおっしゃいましたけれども、さらに今TPP11の方に変わりつつあると、アメリカがいなければメリットがないと言っていたものが、いなくなってもやろうとしている、これに対してももっときちんとやはり説明等をしていかないと国民は分からない。何か、説明会等をせずに関心を薄めさせて、そのうちにそのままやってしまおうという、そういったことであるとすればこれ大問題ですから、引き続き、このTPP及びTPP11のPRというんでしょうか、説明会というのはもっとやっていただかないと、ほとんど分かっていないと思いますよ。  あの当時でさえ、よく分からないとか反対という声がいっぱいあったということはもう重々御承知だと思いますけれども、それを押して、国会での採決の中で、私にとっては不本意でしたけれども、結局進めることになりました。しかし、やはり国民の理解はまだまだ進んでいないというのはあのときもお認めになっていたはずなんですので、しっかりとこれはやっていただかなきゃいけない、ちゃんと丁寧に説明していただきたいと思います。  そして、項目の二番目ですけれども農林水産物の重要品目についていろんなことをやると言っていますけれども、特に米についての経営安定と安定供給のための対策というのは一体何なんでしょうか、主食用米ですね、教えてください。
  135. 礒崎陽輔

    ○副大臣礒崎陽輔君) お答えいたします。  現行の国家貿易制度を維持するということが一番大きかったわけでございますが、そのほか、枠外税率三百四十一円を維持した上で、新たにオーストラリアにSBS方式の国別枠を設定されることになりましたが、先ほど言ったように、枠外税率は維持いたしましたので、国家貿易以外の輸入の増大は見込み難い状況にあります。  他方、国別枠により輸入米の数量拡大することになりますが、それがそのまま実現すれば国産米全体の価格水準が下落することがありますので、この国別枠の輸入量の増加が国産の主食用米の需給及び価格に与える影響を遮断するため、毎年の政府備蓄米の運用を見直しまして、国別枠の輸入量に相当する国産米を政府が備蓄米として買い入れることにより市場に影響を与えない、そういう措置をとっているところでございます。
  136. 舟山康江

    舟山康江君 これ、項目二の意味は違うんじゃないんですか。  いろいろ不安がたくさん渦巻く中で経営安定対策をしっかりとしていきますと。確かにその影響遮断というのも一つかもしれませんけれども国内政策としての経営安定対策、米について何かきちっとした、安心して米作りができるというような経営安定対策とか安定供給ですね、その対策は何か取ったんですか。
  137. 礒崎陽輔

    ○副大臣礒崎陽輔君) これは委員の方がよく御存じのとおりでございますけど、水田の安定のために大きな水田フル活用の予算もつくっておりますし、また既に収入保険というような制度もつくりましたし、いろいろの米の安定生産のための施策は種々講じているところでございます。
  138. 舟山康江

    舟山康江君 今、農村の現場がどういう状況になっているのか。いろいろ議論されておりますけれども、耕作放棄地とか、今回法案審議もありましたけれども、要は相続ができないとか誰も引取り手がないとか、そういうことで中間管理機構をつくったりとか流動化を進めたりとかいろいろやっていますけれども、その原点は、農業ではなかなか食べていけない、所得が上がらないということですよ。  特に米なんかはそうですよね。今年から国による生産数量目標の配分もなくなりました。そして、国のいわゆる経営安定対策ですか、我々が所得補償、直接支払と言っていたものですけれども、そういった戸別所得補償もなくなりました。そういう中で、農村、とりわけ条件不利地域においては、もう米なんか作っていられない、農業なんかやっていられないと、こういう状況なわけですよ。  国際交渉の中で農業は守りますと、これ公約だったはずじゃないですか。そこに対する対策、特に主食用米に関して余りにもぬるい、甘いと思いますけれども、いかがでしょうか。
  139. 礒崎陽輔

    ○副大臣礒崎陽輔君) 減反というのを今年から廃止するわけでありますけど、今の全国的な状況を見れば、かなり全国的に協力をいただいておりまして、その中で、確かに直接支払がなくなったことも不安はいただいておりますけど、最近の傾向としては米価もきちんと上がっております。  そうした中で、さらに、万が一の場合には、既にお認めいただいておりますけど、収入保険制度もこの秋から募集を始めるというようなことで、我々はぬるくないと思います。しっかりと、やっぱりこれは、主食である米はもう一番大事な作物でありますから、しっかりと引き続き支援をしてまいりたいと思います。
  140. 舟山康江

    舟山康江君 いや、政府の皆様も与党の皆様も、多分、米というのは単に食料の供給だけじゃなくて文化なんだということは皆さんいろんなところでおっしゃっているわけですよ。この文化を守るために国は、じゃ、何をするのか、全部民間任せ、市場任せでいいのかということは本当にもう一回考えていただかないと、ますます農村の現場は厳しくなるということを是非改めて申し上げておきたいと思います。  そして、同じ項目の後段ですけれども、食育の推進ということがありますけれども、この食育の推進、この辺はどのように取り組まれているんでしょうか。
  141. 礒崎陽輔

    ○副大臣礒崎陽輔君) 附帯決議の前でありますけれども、前は内閣府が所管だったのでございますが、二十八年四月から農林水産省に食育の総合調整事務が移管されました。それから、それまでもそうでございます、それから特に農林水産省としても努力をいたしておりまして、健康的な食生活を支える、栄養バランスに優れている等といった特色を有する日本の食文化を継承していくことは重要であり、第三次食育推進基本計画においても食文化の継承に向けた食育の推進が重点課題の一つとして位置付けられたところでございます。  具体的なことを申し上げれば、和食給食の普及に向けた献立の開発、子供や学校関係者等を対象とした食育授業等の開催への支援、それから学校給食での郷土料理等の積極的な導入など、民間団体とも一体となって食文化の普及に現在も取り組んでおるところでございます。
  142. 舟山康江

    舟山康江君 続いて、項目四のところですね、残留農薬、食品添加物、食の安全、遺伝子組換え等。こういったものに対する具体的な措置、そしてその成果ですね、対策の成果というのは何だったんでしょうか。
  143. 宇都宮啓

    政府参考人(宇都宮啓君) お答えいたします。  お話しの附帯決議を尊重して、食品の安全を確保するために適切な措置を講じているところでございます。  具体的には、まず残留農薬や食品添加物につきましては、国際基準や食品安全委員会における科学的なリスク評価の結果を踏まえて、科学的根拠に基づいて規格基準の設定等を行っているところでございます。  次に、遺伝子組換え食品につきましては、品目ごとに、食品安全委員会による科学的なリスク評価の結果を踏まえまして、その安全性が確認できたものについてその品目を公表し、食品としての流通を認めているところでございます。  さらに、BSE対策につきましては、国内、国外の双方でBSEが発生するリスクが低下してきたため、国内の検査体制、輸入条件といった対策全般につきまして、食品安全委員会の科学的な評価結果に基づいて必要なリスク管理措置の見直しを行っているところでございます。  加えまして、輸入食品の検査につきましては、今後の輸入食品の増加の可能性を踏まえて、検疫所職員の資質の向上、必要な職員や検査機器の確保等、適切な監視指導を徹底するための体制の整備を行いますとともに、事前に違反食品の輸入を防止する効果の高い輸入前相談の充実を図ることとしているところでございます。  今後も、これまでと同様、食品安全委員会の科学的なリスク評価結果等に基づいて規格基準を設定するなど、適切に対応して食品の安全を確保してまいりたいと考えているところでございます。
  144. 舟山康江

    舟山康江君 科学的根拠とか国際調和というのはそれはいいんですけれども、現実には、TPPを契機として、例えば食品添加物の基準が若干緩められているんじゃないかと、そんな懸念もあります。実際に認められている品目が増えたりということありますよね。日本の基準というのは世界標準から見て厳しいのかと思いきや、結構残留基準なんかは甘いものがすごくあると思うんですよ。その辺はしっかりと見直していただきたいと思いますし。  今、輸入食品の検査のことを触れていただきましたけれども、実際に輸入食品の検疫所における検査率が低下しているという現状があると思いますけれども、この現状認識と対策、人を増やすと言っていましたけれども、これから関税の撤廃、削減によって輸入の増加というのはやはり避けられない部分があるんだと思います。それに負けないように国内の体質強化というのが必要ですけれども、しかし、やはり絶対量として増える可能性が非常に高いという中で、輸入の増加と、また一方で輸入手続の簡素化というようなものも求められていますよね。ルールの調和という中で簡素化というのも求められています。それが同時に進むと、ますますこれ検査体制、検疫、大丈夫なのかという疑問がありますけれども、大丈夫でしょうか。
  145. 宇都宮啓

    政府参考人(宇都宮啓君) お答えいたします。  輸入食品の安全性確保につきましては、食品衛生法に基づいて、まず輸出国の段階、次に輸入時の水際段階、そして国内の流通段階の三段階で対策を実施しているところでございます。  まず、輸出国の段階では、日本の法規制等の情報提供、検査技術協力、それから二国間協議等を通じまして輸出国政府による輸出国内での安全対策の推進を図ってございます。  また、輸入時には、輸入事業者に対しまして輸入前の事前相談に対応するほか、輸入の都度、届出を義務付けてございまして、検疫所ではこれに基づいて審査及び検査を行ってございます。  全国の港や空港の検疫所では、我が国の食品の安全に関する基準に適合しない食品が輸入されないように、まず、食品添加物、残留農薬、遺伝子組換え食品等を検査するために、サンプルを取って行うモニタリング検査、それから、モニタリング検査などの結果、食品衛生法の違反の可能性が高いと判断された食品を対象に輸入者の経費負担で全量を留め置いて検査する命令検査など、違反リスクに応じた検査を実施してございます。  このような違反リスクに応じて実施した結果として、先ほど御指摘いただきましたが、輸入食品の検査率、現在八%台となっているところでございますけれども、検査対象とならない……
  146. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 答弁は簡潔にお願いします。
  147. 宇都宮啓

    政府参考人(宇都宮啓君) 失礼いたしました。  対象とならない食品につきましても届出情報に基づく審査を行って、安全性に問題ないと考えているところでございます。  それから、先ほどのとおり、検疫所の体制を強化しまして、また、今回成立した改正食品衛生法におきましては輸出国に対してHACCPに基づく衛生管理を求めるなど、輸入食品の更なる安全性の向上を図っているところでございます。  失礼いたしました。
  148. 舟山康江

    舟山康江君 国際調和の中で迅速化とか簡素化というものが求められていると思いますけれども、決してこの安全が脅かされることのないように、しっかりとしていただきたいなと思っています。  続きまして、TPPの影響試算ですね。今日は農林水産物への影響について取り上げさせていただきたいと思います。  お手元の資料を御覧ください。これ、三つの影響試算があります。左二つが元々のTPPのときの二〇一三年の試算、二〇一五年の試算です。そして、二〇一七年、TPP11になっての試算ということで三つ並べました。  左の二つは、全く前提が変わらない中で、二年たってこれだけ影響が違うと。当初に出されたものは、生産減少率非常に大きいですよね。砂糖なんか一〇〇%ダメージ。加工用トマトもそうです。それが何と、次の試算、要はTPP国内の承認が近づいたときには生産減少は全てゼロ。非常に不思議なんですよね、こういう試算そのものが。しかも、ちょっと見にくいんですけれども、鶏卵以下幾つか下線が引いているものがありますけれども、これはどっちも結果的に関税がゼロということで何の前提も変わっていないのにこれだけ試算が変わっていると。非常にここも不可思議なわけだと思っています。  そして、二〇一五年と二〇一七年は多分同じ前提で、要はアメリカがいるかいないか、そこの違いだと思いますけれども、ちょっと時間がなくなりましたので、そういう中でかなり、農林水産物全体で九百億円から千五百億円ということになっています。  ただ、いろんな自治体とかの試算、それからまた海外のカナダとかニュージーランドとかほかの国から見ると、絶好の風が吹く、もっと輸出が増えるんだ、もっと日本は大きな市場なんだということで随分大騒ぎしていると。  こういった状況の中で、この試算は都合のいい仮定を置いた過小評価ではないかと思うんですけれども、いかがなんでしょうか。
  149. 礒崎陽輔

    ○副大臣礒崎陽輔君) TPP11における農林水産物の影響額につきましては、定性的な影響分析の結果を踏まえながら、個別品目ごとに、国産品及び輸入品の価格を出発点として、国産品と輸入品の競合関係を踏まえて価格の動きについて一定の仮定を置きながら、国内対策の効果を考慮しながら合意内容の最終年における生産額への影響を算出し、これを積み上げて試算としたものでございます。その結果、今御指摘のような、11については約九百億円から千五百億円の生産額の減少が生ずるものの、体質強化等の国内対策により引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込んだものでございます。  このように、TPP11の影響試算は様々な要素を考慮しながら個別品目ごとに試算を積み上げた結果であり、過小評価になるような前提を置いているものとは思っておりません。
  150. 舟山康江

    舟山康江君 一例を申し上げますと、カナダですね、カナダは、これもその国の勝手な言い分だとしても、カナダは政府として、例えば牛肉。牛肉に関してはTPP11で二百億から三百九十九億生産が減少すると見込んでおりますけれども、カナダは三百四十億円輸出が増えると、日本向けのですね、そういう試算を出しています。豚肉については五百十億円。もう生産減少額を大きく一国だけで上回っております。  そういった試算がある中で、またもう一つ不思議なんですよね。輸入はやっぱり確実に、関税が下がれば増えるわけですよ。そういう中で生産量は減らないというのは、これどういうからくりなんでしょうか。
  151. 礒崎陽輔

    ○副大臣礒崎陽輔君) 我々の計算は、現在の生産量は維持される、それは結局、食料ですから、需要があるわけですから、その中で、価格が下がってくる、価格が下がってくれば、単純にいけば国内の競争力は落ちるわけでありますけれど、そのために国内対策をしっかりやることによって現在の生産量を維持するという計算をしたものでございまして、いや、輸入が増えないとは言っていないわけでありますから。ただ、輸入の増えるとすれば、それはその前に需要が増えるということですよね。(発言する者あり)いや、需要が増えればそれは輸入の場合もあるし国内生産額も増える場合もあるわけですから、それは両方があって、必ずその需要が増える分が全て輸入で賄われるという話じゃない。  それは、だから、今から外国と国内で競争する部分も出てくるのかもしれませんし、その辺は、その前に、今の現在ある生産量をきちんと維持するという試算をさせていただいたということでございます。
  152. 舟山康江

    舟山康江君 需要がそのまま維持されるというか、要は、輸入が増えても国内生産が減らないということは、輸入の分を更にちゃんと受け入れられる余力があると。それが国内の胃袋なのか、まあ白さんよくおっしゃるように胃袋四つもないですからね、一つしかありませんから、食べる量というのは決まっていると思うんですよ。若しくは輸出が増えるという前提を置いているのか。しかし、今の例えば輸出額見ると、牛肉が大体、最大生産減少が四百ぐらいですね、四百億円と言われる中で、このTPP対象国への輸出は十五億円ですから、十倍に増えたって追い付かないわけですよ。  そういう中で、本当にその輸入がどん、どんと大きく増える中で、胃袋が変わらない、輸出も大して伸びないとしたときに、生産量の減少が全てゼロというのは余りにも虫が良過ぎるんじゃないのかなと思いますし、この過小評価と見えるような影響試算を基に国内対策を打つということは、これ国内対策そのものも甘過ぎるんじゃないかという疑問が非常に大きいと思っています。対策をするからにはお金も必要ですから、やはりここも考えていかなきゃいけないと思います。  ちょっと時間がありませんので説明しますけれども、二枚目の資料ですね。やはり、関税が下がるということは関税収入も減ると。更に言えば、農産物についてはマークアップというものも取っておりますので、これを合わせるとかなり大きな、農産物だけで一千億円弱ですね、このぐらいの関税が減るとなると、やはりこの対策で使えるお金はもっともっと減ってしまうということですよ。大丈夫なんでしょうか。  政府はしっかりと確保すると言っていますけれども、ちゃんと確保できるのか。これは、TPPを一生懸命進めた、自分がまとめたとおっしゃっていた茂木大臣にお聞きしたいと思います。ちゃんとお金は確保してくれるんでしょうか。
  153. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 農家の方々、しっかり安心していただけるような予算の確保、これはTPP関連政策大綱に沿ってしっかり確保していきたいと思っております。
  154. 舟山康江

    舟山康江君 さっき、牛・豚マルキンはTPP対策としてつくっていくんだということを言いましたけれども、じゃ、この牛・豚マルキンに必要な予算も既存の農林水産予算とは別枠できちんと対策として取っていただけるということでよろしいんですね。
  155. 礒崎陽輔

    ○副大臣礒崎陽輔君) これも委員御承知と思いますけれども農林水産省の予算関税で賄われているわけではありませんので、関税が減るというのはそれは財務省当局はいろいろ頭の痛いところもあるかもしれませんが、我々は農家を守るための予算はしっかりと確保する、それは当然のことだと考えているところでございます。
  156. 舟山康江

    舟山康江君 今の質問は、牛や豚に対する対策、マルキンでやるわけですけれども、これは既存の農林水産予算とは別枠でTPP対策としてきちんと政府として責任を持って確保してくれるということでよろしいんですかという質問です。
  157. 礒崎陽輔

    ○副大臣礒崎陽輔君) ちょっと農水省の既存の予算と別枠という意味が私はっきり言ってよく分かりかねますけれど、これは、既にこの御提案している法律の中でもTPPあるいは日・EU発効からきちんとやらせていただくわけでございますから、それに必要な予算はきちんと確保してやるのは当然のことだと思います。
  158. 舟山康江

    舟山康江君 昨年十一月のTPP等総合対策本部の決定によると、TPP等が発効し影響があった場合には、既存の農林水産予算に支障を来さないよう政府全体で責任を持って毎年の予算編成過程で確保すると書いてありますから、そういう理解をしっかりとさせていただきたいと思いますし、地元にもそういう説明をさせていただきたいと思っています。  続いて、RCEPですね。七月一日にRCEPの中間閣僚会合が東京で開催されると聞いておりますけれども、この中で多分知財分野議論が進んでいくような話を聞いておりますけれども、どのような分野交渉があるのか、どのように配慮していくのか。  もう一つ、あわせて、これ全く交渉内容が明らかでなく、国民の理解が進んでおりません。こういった会合を開かれるときに、市民団体向けのステークホルダー会合等を常に開いていると思いますけれども、今回もやるのかどうか、そこも併せてお答えください。
  159. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) お答えいたします。  七月一日のRCEP中間閣僚会合においては、RCEPが交渉対象としている全分野にわたって政治的課題を絞り込んで、一定の質と市場アクセスとルール分野のバランスが確保された協定の妥結に向けた道筋を付けるための会合と認識しております。  二点目の国民理解を進めるための方策でございますが、一般に、RCEPを含めまして外交交渉の経緯を開示することは、相手国との信頼関係が損なわれ、また我が国の手のうちをさらすことで類似の交渉に悪影響を与えかねないことから、一定の限界があります。その上で、RCEP交渉会合では、例えば、二〇一七年二月二十七日から三月三日に神戸で開催されました十七回交渉会合の機会に、NGO関係者、研究機関や大学関係者の有識者、国内外の民間企業関係者等の意見交換が行われました。本年七月一日に開催される中間閣僚会合の前にも御指摘のステークホルダー会合が開催できるよう、関係国と今調整をしているという段階でございます。
  160. 舟山康江

    舟山康江君 先ほど申しましたとおり、RCEPは本当に理解進んでいないと思うんですよ。知らない人も多いと思います。是非きちんと説明を、国民の理解が進むように努力をいただきたい。そして、ステークホルダー会合なんかもきちんと開いていただきたいということを改めて要請をしたいと思います。  最後ですけれども、加計学園の問題、国家戦略特区の問題、若干触れさせていただきたいと思います。  二〇一五年二月二十五日に総理と加計理事長が面談をしたといういろんな記録がありましたけれども、それは架空だったということに今なっております。架空だったとすれば、架空話を持ち出して、停滞していたから架空の話を持ち出してうそをついて、そこから物事を動かしたということ、そうなるとこれは詐欺じゃないかと思うんですけれども内閣官房の御認識、いかがでしょうか。
  161. 野上浩太郎

    内閣官房長官野上浩太郎君) お答え申し上げます。  政府としましては、今治市と愛媛県から正式な提案書を受け取り、その上で、民間有識者の主導の下、関係法令に基づき適正にプロセスを進め結論に至ったものでありまして、一連のプロセスは適正だったとの認識に変わりはございません。
  162. 舟山康江

    舟山康江君 だって、うそをついて、そこで資料を出したとか言って、その資料を基にいろんな話が進んでいるわけですから、こんなの詐欺としか言いようがないと思うんですけど、それでもなお言い張るというのは全く理解できませんね。  会合があったとすれば、全部つじつま合うんですよ。でも、なかったんでしょう。だったら詐欺じゃないですか。  法務省にお聞きしますけれども、一般論としてお答えいただきたいと思います。一般論として、架空の話を持ち込んで、それをもってして事業認可を受けた場合にはどのような罪になるんでしょうか。
  163. 加藤俊治

    政府参考人(加藤俊治君) お答えを申し上げます。  詐欺ではないかとのお尋ねでございますが、犯罪の成否は捜査機関により収集された証拠に基づいて個別具体的に判断される事柄でありますので、その点のお答えは差し控えさせていただきます。  なお、あくまで一般論として申し上げれば、詐欺罪というのは、人を欺いて財物を交付させた場合等に成立するものと承知をしております。
  164. 舟山康江

    舟山康江君 一般論としては非常に分かりやすい説明だったと思います。その可能性は否定できないということがよく分かりました。  さて、この国家戦略特区、これは、この加計学園の問題に限らず、これもまた、まさに一般的に、総理や官邸と近しい関係にある企業を特例的に優遇するためにあるんじゃないかという疑いがいろんなところで見受けられるんですよ。  一つは、例えば外国人家事労働者の受入れ。これ自体は議論の中で進んだかもしれませんけれども、それを、受入れ側の企業の会長は国家戦略特区諮問会議の有識者議員である竹中平蔵さんです。病床規制に係る医療法の特例を受けたその会社ですね、瀬田クリニックグループの理事長がまさにワーキンググループの委員だった。農業生産法人に係る農地法の特例を受けたのも、これは直接、国家戦略特区ではありませんけれども、様々な政府の諮問機関等で御活躍をされておりますローソンの前の社長だったりとか、それからオリックスの前の社長だったりとか。  そういう方々がそこで穴を空けて自分がその利益を受けるというのは、これ、利益相反というか、問題ではないんでしょうか。国家戦略特区の担当の副大臣、お願いします。
  165. 田中良生

    ○副大臣(田中良生君) 当然、この国家戦略特区においては、利害関係者というものに関してはその会議の中のメンバーに、決定機関には入ることはできないということでありますが、今回のこの案件に関します国家戦略特区のプロセスでありますけれども、これ、政府だけでなくて、第三者である民間有識者が主導する諮問会議ですとかワーキンググループで行っているということであります。議事もルールにのっとって全て公開するオープンな形という、透明性の高い仕組みであるということであります。そういった意味では、総理ですとか官邸、恣意的に運用する余地は全くないということであります。  また、この加計問題に関しては、実現したこの制度、これを活用する段階では、自ら規制改革、これを提案した事業者であっても、またなお必ず公募を経て区域会議の構成員とならなければその成果を利用できない、こういう仕組みとすることで、透明性、公平性、これをしっかりと確保しているということであります。
  166. 舟山康江

    舟山康江君 ちょっと今の、御自分で説明されていておかしいなと思っていないでしょうかね。だって、政府が入って、そこに利害関係者の民間委員が入って自分の得になるようなことを決めて、そして決まった暁には自分が受けると、これは大問題だと思いますけれども、そういう問題をきちんとしていかないと。  また、透明、公正、オープンだと言いますけれども、議事録も公開されずに議事概要ですよ。これはもう加計学園の議論のときに明らかになっていると思います、肝腎なところは出席者も伏せていたりとか。  こういう状況の中で、まさにこの国家戦略特区そのものが今非常に疑いの目を向けられているということをきちんと認識した上で、在り方を再検討していただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  167. 白眞勲

    ○白眞勲君 立憲民主党の白眞勲でございます。  今日、佐藤副大臣いらっしゃっているんで、法案に先立ちまして、ちょっと私、佐藤さん来るんだったら、ちょっとどうしても聞きたいなと思っているんですけれども、副大臣御就任のときの挨拶の件です。自衛隊員の服務の宣誓の一部を話しましたよね。何でこれ話したんですか。
  168. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) 私の就任時の挨拶の件でございますけれども、御案内のとおり、自衛隊服務の宣誓のうちの一部を引用したことは事実でございます。  ただ、私の思いとしては、服務の宣誓をしたつもりではなくて、その一部の中で、やはり日本の安全保障をつかさどる外務省の副大臣としてしっかり脇を締めて行うという観点から自分の思いの一端を述べたというふうに御理解いただければと思います。
  169. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、自衛隊の服務の宣誓の一部を引用したのは事実ですと今おっしゃいました。極めて重い問題ですよ、それは。  服務の宣誓というのは、じゃ、逆に言いますけれども、一体何ですか。
  170. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) 私、服務の宣誓というのは、自衛隊員の心構え、まさに自衛隊の服務に服するというときの基本の考えというものを示したものだと思います。  ただ、私が言いましたのは、服務の宣誓を行ったものではなくて、服務の宣誓に書いてあるその精神、その一部を使ったということで御理解いただきたいと思います。
  171. 白眞勲

    ○白眞勲君 服務の宣誓の精神を引用したと、これまた問題なんですよ。  自衛隊の服務の宣誓というのは自衛隊法施行規則で、これは佐藤副大臣よく御存じだと思いますが、定められておりまして、自衛隊員は全員、武人としてその心得を署名、押印するものでよろしゅうございますね。
  172. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) 私の理解は、武人ではなく特別職の国家公務員である自衛隊員、その心構え、服務の、その心構えについて宣誓をしたというものでございまして、先ほど私が申しましたのは、服務の宣誓をしたわけではなくて、服務の宣誓に書いてあるその一部を引用したと、その一部の精神について自分の心構えを話したということでございます。
  173. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、もう一回聞きますけれども、服務の宣誓の文章の中で一番重要な箇所はどこですか。
  174. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) 服務の宣誓、結構長うございます。どれが一番大事か、どれがそうではないかということは一概にお答えすることはできないと思います。
  175. 白眞勲

    ○白眞勲君 武人としての心得の重要な一部を外務大臣就任の冒頭の挨拶、なおかつ、佐藤正久ですとおっしゃった後にこの文章を話したわけなんですね。これ、武人としての心得を外務大臣の就任の挨拶で話したことになりませんか。
  176. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) 私の理解としては、この服務の宣誓というのは、武人というよりも自衛隊員、つまり、自衛隊員には自衛官もいれば、事務官、技官も全部自衛隊に含まれます。防衛省の職員、つまり自衛隊員、全ての心構えの基本として服務の宣誓があるというふうに認識しております。  ということを踏まえた上で、私は別に武人としての宣誓をしたわけではなく、あくまでも副大臣として服務の宣誓のうちの一部の引用をしたと。また、服務の宣誓全てをやったわけではなくて、私は副大臣として、やはりいざというときに外務省としても邦人保護やいろんなことがございます。そういう点におきまして自分の心構えの一つとしてそこの一部を使ったということでございます。
  177. 白眞勲

    ○白眞勲君 これは、自衛隊法施行規則第三十九条には、隊員となった者は次の宣誓文を記載したと書いてありますね。私、ちょっとこれは認識よく分かっていないんですけれども、文官もこの宣誓をするということですか。
  178. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) 私の理解ではそのとおりです。自衛隊員には、自衛官だけでなく文官、例えば事務次官あるいは官房長やあるいは技官、あるいは研究職の人間も自衛隊員でございます。皆さん入るときに服務の宣誓しますし、あるいは外務省等ほかの省庁から防衛省の方に出向するというときにも、職員になりますから、そういうときにも服務の宣誓は行うというふうに理解をしております。
  179. 白眞勲

    ○白眞勲君 副大臣にお聞きしますけれども、事に臨んではというところ、この文章は一体何を意味しているんですか。
  180. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) それは服務の宣誓の事に臨んではでしょうか、それとも私の就任の挨拶における事に臨んでは、どちらの意味でしょうか。
  181. 白眞勲

    ○白眞勲君 失礼いたしました。自衛隊員の方です。
  182. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) 自衛隊員というのは平時におけるいろんな活動がございます。情報収集やあるいは警戒監視というものを平時の任務としてございます。あるいは、状況に応じては災害派遣の命令が出たときの行動、あるいは治安出動の命令が出たときの治安出動における行動、そしてあとは防衛出動とか重要影響事態とかいろんな事態に応じた行動に基づく援護、いろんなものがございます。そういうものを全て、平時から防衛出動までいろんなことの事態ということにおけることを含んでいるというふうに理解をしております。
  183. 白眞勲

    ○白眞勲君 佐藤副大臣の就任の御挨拶、私はビデオで拝見しましたところ、ちゃんと文書に書いているものを読んでいらっしゃいました。これ、自衛隊員の服務の宣誓と同じだということは御認識してお話しされていたわけですよね。
  184. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) 繰り返し答弁しますが、自衛隊の服務の宣誓と同じではありません。服務の宣誓は、読んでお分かりだと思いますけれども、結構長うございます。私は服務の宣誓をやったわけではなくて、服務の宣誓のうちの一部というものについて外務大臣としての立場での心構えというものを述べたものであって、服務の宣誓をやったわけではありませんし、自衛隊における自衛隊員としての心構えというものではなく、あくまでも副大臣としての就任における心構えというもののいろんなことを言いました。いろんなことを言ったうちの一部にそれがあるだけであって、私は最初から最後まで服務の宣誓というものを読み上げたということではございません。
  185. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私が聞いているのは、自衛隊員の服務の宣誓の、じゃ、一部と同じだと認識して文書に書いたんでしょう。
  186. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) 文章自体は同じですけれども、当然立場が自衛隊員ではありませんから、ありませんから、文章的には同じですけれども、心構えの中に、それは当然、事に臨んではの部分は、私が災害派遣とかあるいは防衛出動行くわけじゃありませんから、そこの中身は当然違います。
  187. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私が聞いているのは、自衛隊員の服務の宣誓だということを、同じだということを意識して文書を作ったのかどうかを聞いているんです。
  188. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) 繰り返しますが、自衛隊員の服務の宣誓では、同じではありません。服務の宣誓は結構長うございます。だから、服務の宣誓全てを私は読み上げたわけではありませんし、服務の宣誓をしたわけではございません。  服務の宣誓、読んでもらえば分かりますけど、結構長うございます。その一部と同じ文の文言を引用したのは間違いありませんが、ただ、中身は、私は副大臣ですので、外務大臣として場合によっては邦人保護という場合、あるいは外務省員という、保護という、いろんなことがあります。そういう自分の範囲の中でその部分を引用したと、自分の心構えを言ったというものでございます。
  189. 白眞勲

    ○白眞勲君 普通、こういう就任の挨拶文というのは、私も副大臣をさせていただいたとき考えると、大体事務方の方で作成してワープロで作ってくれるんですね。そうすると、今回は、その事務方でそういう文章ができていたのか、それとも、後ほど佐藤さんがその文章を見て、これを入れろということを言ったのか、これはどうなんですか。
  190. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) これは、私が自分で最初から書いたものでございます。
  191. 白眞勲

    ○白眞勲君 だから問題なんですよ。  事に臨んで、今大分長うございます、大分長うございますと言うけど、長いか短いかというのはこれは一つの主観によるものだと思いますけれども、事に臨んではというのは、この宣誓の中の三分の一ぐらいの量ですよ。四行のうちの一行半ぐらい、四行半ぐらいのところの一行です。  ですから、そういった面で非常に私は、武人としての心得を意識して文章を作ったということは、これは文民統制上極めて問題なんですね。安倍内閣は、文民でなくて武人で、いわゆる軍人の考え方を持っている人物を内閣に入れているんじゃないか。これ、憲法六十六条、内閣総理大臣その他の国務大臣は文民でなければならないという、明確にこれには違反するということを私はまず申し上げたいというふうに思います。
  192. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) 服務の宣誓は、私の記憶、今手元にありませんけれども、三行とか四行というものではなく、もっと長いと思います。服務の宣誓、長いもので、三行、四行と……(発言する者あり)はい。今御指摘が、今言われましたので。長い文章の中の一部でございます。  今回、私があくまでも挨拶したのは外務大臣としての挨拶、これも結構長いものであります。長いもののうちで数行、その服務の宣誓と同じものを引用したのは御指摘のとおりでございますが、中身は……
  193. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 答弁者は簡潔にお願いします。
  194. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) 自衛隊員の事に臨んではと外務大臣の事に臨んでは、これは違いますから、そういう思いで私は挨拶をさせていただいたということでございます。
  195. 白眞勲

    ○白眞勲君 もうこの辺で、TPPやらなきゃいけないからこの辺でやめますけど、佐藤さん、長い挨拶をしていますと言っている割には、二十行ぐらいの中の三行がこれですよ。  私は、こういう、もう一回言いますけれども、今も言いました、外務大臣としての挨拶の中に服務の宣誓をそのまま、服務の宣誓の一部を佐藤副大臣が入れたことは事実なんだよ、これ。あなたは副大臣としての心構えを、決意を申し上げたと言っても、事実として自衛隊員の服務の宣誓、特に一番、この事に臨んではというのは非常にポイントとしては一番大きなポイントですよ、これ。事に臨んではというのは、場合によっては戦闘という意味あるわけですよ。そういったところの武人としての一番重要な意識の部分をそこに言っているというから問題なんだということを指摘したいと思います。  では、法案につきまして聞きます。  まず、私、先日、本会議質問に関連して今日は聞きたいなというふうに思っておりまして、まず茂木大臣にお聞きいたします。  私の本会議における総理に対する質問の中、自民党がいわゆる選挙で公約違反ではないかというような質問に対しまして、総理はこうおっしゃっています。全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することは求められてないことを私自身が直接確認した上で交渉参加を決断したものでありますと答弁されました。  ただ、私、これ変だなと思ったのは、結局無傷のものはなかったということなんですよ。要は、総理はよく結果責任という言葉を口にしますけれども、今回、結果的に、交渉参加を決断したんじゃないんですよ、私が言っているのは。交渉参加した後に結果的に無傷だったものはなかったという観点からいえば、明確なこれ公約違反ではないんでしょうか、どうでしょうか。
  196. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 選挙公約というのは恐らく二〇一二年の衆議院選挙における我が党の選挙公約であると思いますが、それで関連の部分、聖域なき関税撤廃を前提とする限りTPP交渉参加に反対するというものでありました。  どういう条件、どういう前提の下での協定であるかということに関しまして、我々、二〇一二年十二月の二十六日に政権復帰をいたしまして、その政権復帰後間もない二〇一三年の二月に日米首脳会談、安倍総理、オバマ大統領との間で行われたわけでありますが、このTPP協定について、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することは求められない、こういったことを確認したわけでありまして、つまり、先ほど申し上げたような聖域なき関税撤廃を前提としたものではない、こういったことを確認した上で交渉参加、決断したものであります。
  197. 白眞勲

    ○白眞勲君 交渉参加することよりもその結果じゃないんですかと私は申し上げているんですね。聖域なき関税撤廃、前提というふうに言っていますけれども、結果的にその前提全部崩れているんですよ、交渉が終わったら。私はそれを申し上げているということなんです。  そういう中で、衆参の国会決議についても私は質問いたしました、本会議において。安倍総理は、私の本会議における質問に対して、政府としては、国会決議等を踏まえ、重要五品目を中心に関税撤廃の例外をしっかり確保し、結果として、生産者が再生産可能となるような措置を交渉を通じて勝ち取ったものと考えておりますと答弁されましたけれども、決議ではどう書いてあるかというと、重要五品目について除外又は再協議の対象とすることと書いてあるんですね。  これ、全く今回の交渉、結果的に除外も再協議もしていないんじゃないんでしょうか、茂木大臣、お答えください。
  198. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 今回のTPP交渉では、重要品目について、乳製品などは関税割当てを導入することによりまして枠外の関税については従来の関税を引き続き維持すると、これとともに、牛肉などでは十年を超えるような長期間の関税削減期間を確保する、こういったことによりまして関税撤廃の例外をしっかり確保したと考えております。  決議違反ではないかと、こういう御指摘でありましたが、政府としては、国会決議等を踏まえて、重要五品目を中心に関税撤廃の例外をしっかりと確保し、また、実際に生産者に影響が出るかどうかということは注目をしながら交渉して、結果として生産者が生産可能となるような措置を交渉を通じて勝ち取った、このように考えております。  同時に、何度も答弁をさせていただいておりますが、様々な形で農林水産業の体質強化をする、そのための大綱をまとめ、また改訂を昨年の十一月に行い、必要な予算措置等々もとっているところであります。
  199. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、茂木大臣、本会議と同じような御答弁をされているんですけれども、要は、私が聞いているのは、決議の内容は除外又は再協議の対象とすることということでした。今の話は、要は、やってみたら、一生懸命頑張ったから、こんなふうにしましたけれどもという内容ですけれども、結果的に今の決議とはこれは内容が違うのではないんでしょうか。
  200. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) TPP12の国会審議でも同様の御質問、何度となくいただいたところでございます。  当時の石原大臣あるいは岸田外務大臣が何回か答弁しているところでございますが、除外あるいは再協議という言葉の定義について通商交渉において確立したものはない、この内容についてはそれぞれの交渉の中で決まっていくということでございます。  御指摘の決議は平成二十五年四月に衆参の農林水産委員会でなされたものでございますが、その二か月前の平成二十五年二月の日米首脳による共同声明では、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められることはないということを確認されておりますが、もう一つ、TPP交渉参加する場合は全ての物品が交渉の対象とされるということも確認されているところでございます。  要するに、元々のTPPというのは、最初のP4のときからそうなんですけれども、基本的には原則関税全て撤廃であります。撤廃の例外というのは、即時撤廃ではなくて五年とか十年というステージングを付けている、こういう交渉だという中において、撤廃の例外を取りたければテーブルにのせて勝ち取るんだと、交渉で勝ち取れという、そういうメッセージだったわけでございます。  それを踏まえて、二十五年の四月に決議がなされたわけでございまして、全ての物品を交渉のテーブルにのせる。従来の日本EPAでは、そもそも交渉のテーブルにのせないことを除外と呼んでいたわけでありますが、これは要は交渉によって異なる概念だというふうに理解しているわけでございますが、ぎりぎりの交渉を行った結果、原則関税撤廃という中において、そもそも撤廃しないというラインをかなり確保したと。そういう意味では、関税撤廃の例外をしっかりと確保したということで、国会決議の趣旨に沿うものと評価していただける、これは二年前の衆参の特別委員会において石原大臣等から御説明申し上げた内容でございます。
  201. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、不思議ですね。この決議というのは、私たち、当時は多分民主党の時代だと思いますが、民主党だけが言っていたわけじゃありません。決議ですから、当然当時の野党、全部一緒になってやったものが、今のお話ですと、除外とか再協議というのは定義がはっきりしていないからよく分からないという話じゃ、これ話にならぬですよ。  それと、今、その趣旨に沿うものというふうにおっしゃっていますけれども、重要五品目について除外又は再協議とすることを決議で求めていたにもかかわらず、結局全て手を付けられているのであるならば、これは決議の趣旨にも完全に反しているんですよ。趣旨にも完全に反している。趣旨ですら守られていない。もっと言えば、この決議無視されているんじゃないんですかということを聞いているんですけど、いかがでしょうか。
  202. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 二年前の衆議院の特別委員会で、たしか当時の玉木委員の方から、私どもは、五品目の中で関税撤廃の例外、四百二十四ラインが例外であって、そのうち関税を維持したものは百五十五ラインだという御説明をしたところでございます。その中で、枠内と枠外をラインで分けているものが幾つかあるわけでございますけれども、それを一品目として数える、そういう仮定の下で、枠外と枠内のどっちかをいじっているものはこれはいじっているというふうにカウントしたらどうなんだと、こういう御質問でございましたが、当時の森山農水大臣から、そういう数え方であれば関税を維持したものはないと、そういう御説明をしたところ、無傷の品目はないと、こういうようなお話になったところでございます。  しかしながら、枠外の高関税率を維持するために輸入枠を増やすなど、国内生産に影響を与える重要なタリフラインに影響が出ないように、ここは十分検討しながら措置したところでございます。  また、牛肉、豚肉といった重要五品目の中でもラインとして丸ごと関税を撤廃したものもございます。これは当時から御説明しておりますが、例えば牛タンのように、牛肉の範疇でありますけれども既に九四%が輸入品である、国内生産に影響がない。豚肉の調製品、これは、元々ソーセージは輸入豚肉を使って日本で加工するわけでありますから、ソーセージという調製品を輸入しても結局輸入豚肉が減るだけでありますので、国内には影響はない。こう一品一品、農林水産省においてそのような検証をした上で判断をした、国内生産に影響のないような十分な配慮をして交渉に応じたと、こういう御説明をさせていただいているところでございます。
  203. 白眞勲

    ○白眞勲君 細かい内容というよりも、国会決議というのはもっと大きな形で、それに対して、その趣旨を踏まえた形でという御答弁をしているわけですけど、ですから、そういった面で、我々が決議において私たちの理解とは違うところで説明をされても、それはおかしいのではないのかなというふうに思いますが。  そういう中で、TPP11で、この件、決議の趣旨を踏まえた形では交渉はされたんでしょうか。
  204. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 私どもTPP12の交渉において、決議を、私ずっとポケットに決議を入れて交渉に臨んでおりましたけれども交渉に臨んで合意をしたという認識をしておりまして、TPP11においては、そういう意味では全く市場アクセスには手を付けていないということでございます。
  205. 白眞勲

    ○白眞勲君 やればよかったじゃないですか、せっかく交渉の場がもう一回できたんだから。  先ほど舟山委員からもありましたように、やはりこういう交渉の場がもう一回できて、あるならば、そういうプラットフォームがあるならば、この辺はもう一回やろうかなという部分は考えなかったんですか。
  206. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 世界的な保護主義のいろんな動きがある中で、アメリカ離脱宣言をした後、残された十一か国で、とにかくこのTPPを十一か国で早く発効させようと、こういう思いでまとめたのがTPP11ということでございます。十一か国の合意が今の内容ということでございます。
  207. 白眞勲

    ○白眞勲君 先日、安倍総理は日米首脳会談やG7に出席したわけです。これ、外務省にお答えいただきたいと思いますが、今回、本会議で私、鉄鋼、アルミニウムについて質問しました。その際、安倍総理からは、今後、G7、日米首脳会談においても、いろんな場を通じてこういう交渉をしていきたいということはあったんだと思いますけれども、今回は交渉はいたしましたか。
  208. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) 今回というのは六月の日米首脳会談のことだと思いますけれども、今回の六月における日米首脳会談では、議題が北朝鮮に集中したため、鉄鋼、アルミニウムの、関するやり取りはありませんでした。
  209. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、G7はどうだったんですか。
  210. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) G7サミットでございますが、他国の発言は引用しないことになっておりますが、G7サミットの貿易議論の中で、全体として貿易制限措置に関する議論が活発に行われました。米国通商拡大法第二百三十二条に基づく措置や各国が課しております関税措置等について各国から指摘がございました。  安倍総理からは、G7が貿易制限措置の応酬に明け暮れることはどの国の利益にもならないこと及び多角的貿易体制の重要性とWTO体制を評価すべき旨を指摘した上で、不公正な貿易投資慣行に断固対抗し、自由で公正なマーケットを守っていくべき旨を主張したところでございます。
  211. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、安倍総理は、この鉄鋼、アルミニウムについては不公正な貿易取引だという認識でよろしいんでしょうか。
  212. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) 今回の鉄鋼、アルミ、そして追加関税というものについては、我が国としては、米国WTO協定上約束している譲許税率を超える税率の課税を賦課するものであり、関税及び貿易に関する一般協定第二条との整合性にも懸念がある措置というふうには考えております。
  213. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私が聞いているのは、今、安倍総理が御発言された部分における不公正な貿易取引というのには鉄鋼、アルミニウムを当てはめているのかどうかということを聞いているんです。  じゃ、事務方がしゃべりたそうだったら事務方でいいですよ、これ、じゃ。
  214. 林禎二

    政府参考人(林禎二君) お答えいたします。  米国による鉄鋼、アルミニウムに関する今回の貿易制限措置でございますけれども我が国といたしましては、世界市場を混乱させて、WTOに基づく多国間貿易体制にも悪影響を及ぼしかねないものということで、極めて遺憾と考えてございます。  こうした立場につきましては、大臣等からも米国に対して繰り返し表明してきたところでございます。それから、さきの日米首脳会談でも安倍総理から、日本からの輸出品が米国の安全保障に悪影響を及ぼすことはなく、むしろ高品質で多くの代替困難な日本製品は米国産業や雇用にも多大な貢献をしているということが我が国立場だと主張してきてございます。  こうした立場は繰り返し説明してございますが、米国には粘り強く働きかけていくというのが我が国の方針でございます。
  215. 白眞勲

    ○白眞勲君 ちょっともう一回確認するんですけど、日米首脳会談というのは六月の日米首脳会談ですね。
  216. 林禎二

    政府参考人(林禎二君) 失礼いたしました。  今申し上げた日米首脳会談は、四月のときの日米……
  217. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 済みません、挙手してください。指名を受けてから言ってください。
  218. 林禎二

    政府参考人(林禎二君) 失礼いたしました。  日米首脳会談は、四月の際の日米首脳会談でのお話でございます。
  219. 白眞勲

    ○白眞勲君 私が聞いているのは、先ほど佐藤外務大臣が御報告された安倍総理の発言ですよ、G7における。不公正な貿易取引の中に鉄鋼、アルミニウムが入っているかどうか、それを、入っているかどうかのそれをお答えいただきたいと言っているんですよ。(発言する者あり)
  220. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  221. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 速記を起こしてください。
  222. 林禎二

    政府参考人(林禎二君) G7の際の総理の御発言についての御質問ですけれども、先ほど申し上げましたとおり、G7で貿易制限措置等について活発な議論が行われる中で、一般論として不公正な貿易投資慣行については断固対抗するということを申し上げたもので、特定の措置についての御発言ではないと承知しております。
  223. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、もう一回聞きますけれども、鉄鋼、アルミニウムはこの不公正な貿易取引には入っていないんですか。
  224. 林禎二

    政府参考人(林禎二君) 先ほども申し上げましたとおり、米国の今回の鉄鋼、アルミニウムに関する貿易制限措置は、正確に申し上げますと、世界市場を混乱させて、WTOに基づく多国間貿易体制にも悪影響を及ぼしかねないと、そういうものであると認識してございます。
  225. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、聞いたことに答えていませんよ。だから、不公正な貿易取引と、今、佐藤外務大臣が安倍総理の発言として御紹介されたことについては含まれるかどうかを聞いているのに、何でこんなに時間掛かるんですか。ここでずっこけられると先に進めないじゃないですか。もっと先でずっこけさせようと思っているのにと思っているんだけど。ちゃんと答えてくださいよ。
  226. 林禎二

    政府参考人(林禎二君) 済みません、繰り返しになりますけれども、総理がG7の場というところで御発言されましたのは、貿易制限措置についての議論の中で、一般的なお話として、不公正な貿易投資慣行に断固として対抗し、自由で公正なマーケットを守っていくべきという主張をされたものと承知してございます。(発言する者あり)
  227. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 答弁者は、質疑者の答弁に、正確に答えてください。  白先生、もう一度質問をお願いします。
  228. 白眞勲

    ○白眞勲君 私が聞いているのは、もう一回聞きますよ、佐藤副大臣が、安倍総理がG7において御発言されたその不公正な貿易取引の中に鉄鋼、アルミニウムは入っているんですかということを聞いているんですよ。お願いします。(発言する者あり)
  229. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  230. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 速記を起こしてください。
  231. 白眞勲

    ○白眞勲君 ここで本当にそのぐらいのことは答えていただかないとね。まあ、いずれにしましても、今日は何か答えられそうもないので、こんな簡単なことを答えられないんじゃあれなんだけど、ちょっと文書で後で出してください。理事会でちょっとお願いいたします。
  232. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 後刻理事会で協議をいたします。
  233. 白眞勲

    ○白眞勲君 茂木大臣にお聞きします。  茂木大臣、この前もアメリカへ行かれていましたよね。それで、今度またライトハウザーさんとFFRという場でいろいろなお話をされる中に、当然自動車というのはこれは含まれるということでよろしゅうございますね。
  234. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 恐らくライトハイザー通商代表のことをおっしゃっているんだと思いますけど、TORは今調整中であります。
  235. 白眞勲

    ○白眞勲君 調整中ではあるかもしれませんけれども、思いとして、当然自動車というのは私はこれは大きなポイントだと思いますよ。これ入れるべきだと私は思いますけれども茂木大臣のお考えはいかがでございますか。
  236. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) それぞれの関心事項、そういったものを調整をする中でTOR、決まっていくものだと考えております。
  237. 白眞勲

    ○白眞勲君 それは、茂木大臣関心事項の中には自動車は入っているんですか。
  238. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 御案内のとおり、このFFRと呼ばれる新たな協議でありますが、これは、日米両国の間で貿易そして投資を更に拡大をすると、そして公正なルールに基づいたアジア太平洋地域をつくっていく、そのために日米がどう協力をしていくかと、こういったことを話す場ということになってくるわけでありまして、これは、個別の品目に議論が及ぶ場合もありますし、より広いルールの問題、先ほども委員、不公正な貿易投資慣行と、こういう話もありましたが、例えば強制的な技術移転の問題であったりとか知財の保護をしっかりしていく、こういった問題もあるんだと思います。日米で共通に確立していくべきルールと、こういったことも含めて議論できればと思っておりますが、まさに交渉はこれから始まるということでありますから、予断を持ってこういう交渉になるということは申し上げるのは難しいと思っております。
  239. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、別に交渉の行方についてお聞きしているわけじゃありません。自動車は当然入って当たり前なんじゃないかなと私は思っております。ただ、それは、今日お話しされたくないんだったら、もうこれ以上お話聞いてもしようがないなと思いますが、一点だけ。  先ほど岡田広先生からもありました、私もこれ気になっています。マハティール首相ですか、十五年ぶりにマレーシアの首相に復帰されましたけれども、先日、TPP11について、否定はしないが再交渉は必要だと明言されています。  これ、茂木大臣にお聞きしますけれども、これどう思われました。
  240. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) マレーシアにおいては、新政権が誕生する、マハティール首相政権に就いたわけでありまして、当然、それぞれの国、新政権ができますと、前の政権とは必ずしも全てについて同じ政策を取るというわけではありません。我々として、これまでマレーシアも含めてTPP11というものをまとめてきたわけでありまして、これはマレーシアにとっても今後経済成長していく意味で必ずプラスになるようなマルチの枠組みであると、こんなふうに思っております。  マハティール首相も、全面的にこのTPPについて否定していると、このようには理解をいたしておりません。ただ、恐らく、細かい項目について、まだ政権発足したばかりでありますから精査はされていないと、この状況は十分考えられるわけでありまして、他の参加国含め、日本としてもこれまで交渉を主導してきたわけでありますから、必要があればマレーシアに対しても、このTPP11の枠組みであったりとか具体的な内容、さらにはその意義、そして、我々として、マレーシアに対して様々な形でマレーシアの利害、これも配慮してきたわけでありまして、こういったことも説明をしたいと思っております。
  241. 白眞勲

    ○白眞勲君 先ほど岡田先生への御答弁の中で、マハティールさんと茂木大臣はお会いになったんですか、今回来日の際に。その辺はちょっと、会っているか会っていないかだけ、何か今、お会いしたような御答弁があったので、ちょっとその辺を確認なんですけれども
  242. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 私、今週、メキシコのグアハルド経済大臣とはお会いをいたしております。その話も一部させていただいて、若干もしかするとその混乱があったのかもしれませんが、私は岡田先生に対する質問に対してもマハティール首相とお会いしたとは言っておりません。実際に会っておりません。
  243. 白眞勲

    ○白眞勲君 分かりました。  それじゃ、ちょっと外務省さんにお聞きします。  ホームページによりますと、日本マレーシア首脳会談は記載されている。その中で、TPP交渉についての記載はないです、マハティールさんとの。実際、TPPについてマレーシア側からは提起されていないかどうか、これはどうなんでしょうか。
  244. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) 通告がありませんでしたので、後ほど調べて報告をさせていただきたいと思います。
  245. 白眞勲

    ○白眞勲君 それじゃ、続きまして、これ外務省にお聞きしますけれども、私、外務大臣に本会議で質問したときに、一番最初に質問したのは、外務大臣にですね、トランプ大統領発言です。覚えていらっしゃる方もいらっしゃると思いますが、彼ら、これトランプさんが言ったんですよ、彼らはいいやつで私の友人だが、こんなに長い間米国をうまくだませたなんて信じられないよとほくそ笑んでいる、こう言ったわけですね。これ、日本人全体を侮辱しているんじゃないかなと、そういうふうに私は指摘しました。で、抗議したのかとの問いに、河野大臣はコメントは差し控えると答弁しました。  ここで一つお聞きしたいのは、これ大臣は、まずこの件に答えなかったんですよ、そのとき、答弁では。その次の質問です、鉄鋼、アルミニウムについての答弁からスタートしたんですよ。何で私の質問の順番を変えたんですか、これ、答弁で。これ、お答えください。
  246. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) この質問についても事前に通告がございませんでしたので……(発言する者あり)順番を入れ替えたということについては、少なくとも私は承知しておりませんので、後ほど確認したいと思います。
  247. 白眞勲

    ○白眞勲君 私はちゃんと質問通告しています。この順番を入れ替えたという質問通告はしていないけど、これ徹底的に聞きますよと、本会議の質問についてはということは私は聞いているんですね。当然、こういうのは別に質問通告されなくたって答えなきゃいけないですよ、これは。私はそう思いますよ。  大体、失礼ですよ。当然、質問要旨の上から順番に答えてくれるものだと私は思っているわけですよ。あっちこっちに答弁飛ぶと検証できないの、ちゃんと。何でこういう意図的に順番変えたのか、これもきちっと後でお答えいただきたいなというふうに思います。
  248. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) 白先生の質問の趣旨が分かりました。本会議における白先生の質問についてこの委員会で質問するということは受けておりましたので、その順番を、答弁の順番を入れ替えたということの細部までは承知しておりませんでしたので、後ほど確認してお答えさせていただきたいと思います。
  249. 白眞勲

    ○白眞勲君 私の知っている限り、順番入れ替えて答弁した例というのはないんですね。もちろん、同じテーマで後の質問を先に答えたというのはあるんですよ。あるいは、答弁漏れというのはある、確かに。しかし、順番を、普通は順番どおりに答えていく。だから、それについてきちっと後でお答えをいただきたいというふうに思います。  私が聞きたかったのは、内容は、この発言が失礼ではないかということを外務省、外務大臣アメリカ側に抗議したのかどうかを聞いたんです。別に、河野大臣、コメントを差し控えますなんて言っていますが、コメント差し控えるんじゃない、抗議したかどうかを聞いている。その事実関係をお答えください。
  250. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) 本会議において河野大臣トランプ大統領発言一つ一つについてコメントは差し控えるという答弁だったというふうに理解しておりますが、いずれにしても、アメリカの鉄鋼、アルミニウムに関する広範な貿易制限措置は世界市場を混乱させ、WTOルールに基づく多角的貿易体制にも悪影響を及ぼしかねないものであり、極めて遺憾であるというふうに思っております。  日本からの鉄鋼、アルミの輸入というものは、アメリカの安全保障に悪影響を与えるものではなくて、むしろ高品質の日本製品は米国の産業や雇用にも多大に貢献すると思っております。そういう観点から、日本のこの懸念事項を含めまして、日本の基本的な立場、これについては、四月の日米首脳会談の機会を含め、様々なレベルで伝えているということは御理解いただきたいと思います。
  251. 白眞勲

    ○白眞勲君 佐藤さん、違います、私の聞いているのは。先ほど私申し上げたとおりです、トランプ大統領発言です。日本人を侮辱しているんじゃないんですかということです。鉄鋼、アルミニウムはその後の答弁です、鉄鋼、アルミニウムについてはまさに。  それについての御答弁ではなくて、日本人全体を、彼らはいいやつで私の友人だが、アメリカをうまくだませたなんて信じられないとほくそ笑んでいるよと、こうはっきりと、私これ確かにニュースでも見ました。ほかの方もみんな見ていたと思います。これ、本当にひどい発言ですよ。これに対して抗議したのかどうかという、その事実関係を聞いています。
  252. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) 今回のトランプ大統領の今委員の御指摘発言というものは、米国が発動した鉄鋼、アルミニウムの輸入制限の関連の中で出てきたものというふうに承知しておりまして、その観点から、鉄鋼、アルミに関する日本立場、懸念というものは様々な立場で伝えているということでございます。具体的に一つだけ申し上げますと、先般の六月における日米首脳会談においては、議題が北朝鮮に集中したためにこのやり取りはありませんでした。  ただし、鉄鋼、アルミという問題につきましては我々も非常に懸念事項を持っておりますので、これ、引き続き除外を求めていくための交渉というものはしていきたいと思います。
  253. 白眞勲

    ○白眞勲君 ほくそ笑んでいるとか、そういった言葉について、余りにもあなた、こういう言い方はないんじゃない、同盟国にということですよ。佐藤副大臣、どう思われますか。
  254. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) やはり、アメリカの大統領の発言一つ一つについて、私も外務大臣同様、コメントをやっぱり差し控えたいというふうに思います。
  255. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、発言一つ一つについてコメントしている場合多いですよ、外務省は、ほかの国の場合は。アメリカだけコメント差し控えるというのはおかしいじゃないですか。何でそういうふうにアメリカにはコメント差し控えなきゃいけないんですか。ほかの国の何とか大臣か何かがしゃべった場合には結構抗議していますよ、外務省、外交ルートを通じて抗議しましたと言っていますよ。何でそれをアメリカにはやらないんですか、コメント差し控えるんですか。  今の話というのは、どこかの何か週刊誌に出たことについて、一々その週刊誌についてのコメントは差し控えるだったら私は分かる。責任ある、ましてその国のトップですよ、トップがそういうことを言ったことに対してコメントを差し控えるでいいんですかということですよ。
  256. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) 今、外交の中でいろいろやり取りをしています。今回の鉄鋼、アルミについてもいろいろやり取りをしている最中です。  そういう観点から、外務大臣が大統領の発言、これについてコメントを差し控えておりますので、副大臣の私もコメントを差し控えたいというふうに思います。
  257. 白眞勲

    ○白眞勲君 やり取りするからコメントするんじゃないんですか、何だこれはって。そういうことを言ってその先進むんじゃないんですか。私はそういうやり方をしますけどね。まあ、これ以上言うとまた時間がどんどんなくなっちゃうから、先へ行きますけれども。  ちょっと飛ばしましょう、これ。  日本政府は、様々なチャンネルを通じて、今度、北朝鮮の問題です、米朝首脳会談について。完全かつ検証可能な不可逆的な廃棄、いわゆるCVIDですね、拉致問題について働きかけを行っているということなんですけど、結果的には米朝首脳会談の共同声明には言及されていませんよね。この件について政府としてはどういうふうに思われます、米朝首脳会談について。この共同声明については言及をされていませんよね、拉致問題。
  258. 佐藤正久

    ○副大臣(佐藤正久君) 御案内のとおり、今回の日朝首脳会談における共同宣言、これには……(発言する者あり)米朝首脳会談における共同宣言、これには拉致については言及はありませんが、これはあくまで米朝間における首脳における共同宣言でございますので、日本政府としてこの件についてコメントするということは差し控えたいと思いますが、今回の米朝首脳会談においては、この宣言に書いてあること以外についてもいろいろやり取りがあったということはトランプ大統領が述べております。その一環として拉致問題についても提起をされたということは言われておりますので、そういうふうに私は理解しております。
  259. 白眞勲

    ○白眞勲君 この点は余り長くしたくないですけれども、一つだけ。今、二国間の件についてどうこうとおっしゃいましたけれども記者会見トランプ大統領は、非核化については韓国と日本が大規模な支援をするだろうと言っているんですよ。私、びっくりしちゃったのよ。あれっ、請求書はこっち回してくるわけということですよ。まあ、これ以上、私はこれ言いません。  ただ、ここでちょっと、礒崎さんがまだずっとじっとしていらっしゃるから、ちょっとここで、礒崎さん、農水の方ちょっと聞きたいと思います。  これはもう皆さんもあのときに、私の本会議の質問聞いていたときにお分かりいただいたように、ちょっと農水省、礒崎さんに聞きますけれども関税下がれば当然消費者はそちらを志向しませんか。そちらを買いませんか。
  260. 礒崎陽輔

    ○副大臣礒崎陽輔君) 本会議の……
  261. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 指名終わってから。
  262. 礒崎陽輔

    ○副大臣礒崎陽輔君) 失礼いたしました。
  263. 柘植芳文

  264. 礒崎陽輔

    ○副大臣礒崎陽輔君) ありがとうございます。  本会議での大臣答弁についてということでございますが、ちょっと若干そこは繰り返しますけれど、農水省の試算は、TPP11合意内容を踏まえ、国境措置の変更により輸入品が国産品に置き換わるかどうかという観点で検討したものであり、また、農業、漁業者の方が安心して再生産に取り組めるよう、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき万全の対策を講ずることとしており、その効果を踏まえて試算したものであります。その結果、関税等の削減の影響で国産品の価格低下により生産額の減少が生じるものの、国内対策を講ずることで引き続き生産や農家所得は確保され、国内生産量は維持するという試算をしたものであります。  その上で、今、だから、輸入が増えるのではないかと。もちろん、輸入の前に、さっきもちょっと言いましたけれど、その前に、価格は下がりますから、需要が上がることはあると思います。その需要が上がった結果、それが、輸入品が増えるということもあるし、あるいは国内生産が増えるということもあると思います。ただ、それは、さっき言ったように、我々の試算というのは今の国内生産量を変えないという試算を行ったものでありますから、仮にそういうことがあったとしても、その外の話であるというふうに考えておるということで御説明させていただきたいと思います。
  265. 白眞勲

    ○白眞勲君 何か外の話と言われても、どこから外なんですかということになるんですよ。  今も礒崎大臣がおっしゃったように、価格が下がりゃ、私、本会議場でも再質問したんですよ、価格が下がりゃ輸入量増えるでしょうと。それでいて生産量変わらなければ国内に物があふれる形になるんじゃないんですかと。だから、私は、人間の胃袋は一つしかないんだと、四つもありませんよと言ったわけですよ。だから、それがさっぱり分からない。生産量が変わらないという前提で計算なんかできないんですよ、これ。私はそういうふうに思うんですけれども。  そもそも関税が減れば、安ければ買うの当たり前じゃありませんか。何でスーパーのチラシがあるんですか。安いから、あっ、これいいなと。お一人様一点限りって何であるんですかということですよ。やっぱりそれを考えれば、当然安くなればお客さんは買いますよねということなんじゃないんですか。それが、生産量変わりません。これ、さっぱり理解できない。  今の説明も、今文章を読んで、長々文章を読んでくださいました。あれ、全く議事録の文章と同じ文章ですよ。だけれども、さっぱり分からない。つまり、逆に言うと、国内の、じゃ、ここで質問しますよ、国内の生産量は落ちないということは、輸入量は関税を下げても変わらないということと同義語だということでよろしいですね。
  266. 礒崎陽輔

    ○副大臣礒崎陽輔君) そこは先ほど、最初に言ったとおりで、我々の試算というのは、国内生産量を下がらないようにするための国内対策をしっかり講ずるということをTPP大綱で決めておるわけでありますから、国内生産量は変わらないんです。ただ、価格が下がったら、輸入が増えるんじゃなくて、まず需要が増える可能性があるものもあります。例えば、米のような主食は価格が下がったからといって需要は増えませんが、嗜好品のようなものであれば、価格が下がれば需要が増えることがあります。その需要の一部が輸入品に行く、あるいは国内品に行くということはあるのは私は否定しませんが、その前の段階で、我々の試算というのは、それだけの国際的な競争力があるような状態に我が国農業を持っていって具体的な生産量の減という影響がないようにするということを申し上げておるわけでありまして、私はおかしくないと思います。
  267. 白眞勲

    ○白眞勲君 さっぱり分からないですよ。分からないですよ。  だから、生産量を変えないということにして、でも、何か好きなものが増えるから量が増える。確かにそういうのはあるかもしれない、チーズみたいなものは。昔と違ってみんなチーズを、日本人、私の子供の頃なんて余りチーズというのは食べなかったですよ。最近はチーズいっぱい食べるようになったから、当然それは消費量は増えるかもしれない。しかしですよ、肉、牛肉とかそういったものというのは、もちろん価格が下がることによって需要が喚起される部分はあるかもしれません。しかし、その分どこかにしわ寄せは来ますよ。どこかにしわ寄せは来る。牛肉食べる分だけ、もしかしたら鳥肉を食べなくなるかもしれない。さっき言ったように胃袋一つしかないんだから。  ましてや、これから高齢化ですよ、この国。私、最近、ラグビー好きで見に行くんですよ。何か六食食べているとか、そういう若い人たちもいらっしゃるということですけれども、我々は三食やっと食べていますよ、今。それは、別に食べれないということではなくて、もうおなかいっぱいになっちゃうから。そういったことを考えたら、これからは国内の消費量はそんなに増えないんじゃないんだろうかという中で、今みたいな議論というのは私はナンセンスだと思いますよ。  もう一回聞きます。輸入が増えないということを確約できますか。
  268. 礒崎陽輔

    ○副大臣礒崎陽輔君) 先ほどから言いますように、価格が下がったときに輸入が絶対下がらないとは一言も私は申し上げておりません。  ただ、我々の試算は、国内生産量を下げないようにしっかりと国内対策を取るということはこれはTPP等の政府大綱で決めておるわけでありますから、我々は、日本農業を守るために、今の国内生産量を減らすことのないようにしっかり対策を取る。その上で、需要が拡大することによって輸入が増えたり、あるいは国内生産額も更に増えることはあり得ないと私は言っているわけではありません。
  269. 白眞勲

    ○白眞勲君 やっぱり分からないですよ。要は、前提が、今の話だと、政府はそう決めたんだから、生産量が変わらないと決めたから生産量は変わらないんですと言っているのと同じじゃないですか。それでいて輸入は増えるわけでしょう。これ、礒崎さん笑っているけれど、自分で言っていて変だなと思いませんか。生産量が変わらないという前提で試算をしましたというふうな議論というのは、私はこれ、どうしても理解できない。  じゃ、もう一回聞きます。この舟山先生の出してくれた資料、これ見ると、二〇一三年試算と一五年試算で、これ同じような、生産減少率が何でこんなに違うんですか。お手元にありますよね。これ、同じ政府試算していてもこれだけ変わるって、一体どういうことなんですか、これ。
  270. 礒崎陽輔

    ○副大臣礒崎陽輔君) 一三年の影響試算につきましては、全ての関税が即時撤廃され、追加的な国内対策が全く行われないという単純な試算の下で積算をしたものでございますので、約三兆円という大きな額を出ておるわけでございますが、その右の二つにつきましては、先ほど言いましたように、国内生産量は減少させない下のきちんとした国内対策、あるいはTPP交渉の中の結果もあります、そういうことを全部踏まえてそういう試算をしたわけでございます。当然、全然額は違ってくるわけであります。
  271. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、農水省はこういう試算をしましたということは、これゼロ%ですね。今、礒崎大臣もおっしゃったように、生産量は変わらないという、そういう試算ですね。  じゃ、これ、生産量変わったら責任取れるんですね。想定外なんということは言わせませんよ、私は想定しているんだから。責任どうやって取るんですか、これ、ゼロからマイナスになったら。減少率が、まあ減少率というか、生産量がマイナスになったら、これ誰が責任取るんですか。
  272. 礒崎陽輔

    ○副大臣礒崎陽輔君) 先ほど言いましたように、国内生産量を下げないための国内対策等を取るということは、これは政府の閣議決定したことでございますから、それは我々がきちんと責任を取らなければならないと思います。
  273. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、だから、閣議決定だと言っても、今、舟山さんもおっしゃっていた、私も見たら、カナダは政府が、日本に対しては相当な金額、輸出が増えていると言っているわけですよね。そういう中で、今、閣議決定したからゼロ%なんです、だから、ゼロからもっと減ったらこれは、ゼロというか、今よりも生産量が減ったら、そうしたらそれは政府が責任取りますという。どういう責任取るんですか、じゃ。
  274. 礒崎陽輔

    ○副大臣礒崎陽輔君) その前に、ちょっと今、TPP大綱TPP本部決定であります、閣議ではございません。それは訂正させていただきます。  それは、だから、いずれにしても政府全体で決めたことでありますから、それは責任を取らなきゃなりません。ただ、もちろん、まあ想定外は駄目だとおっしゃいましたが、想定外のことが起これば更に大綱の改正をして追加的な国内対策を取るということはあり得るということは申し上げておきたいと思います。
  275. 白眞勲

    ○白眞勲君 一つ、著作権についてお聞きしたいと思いますけれども。  今度、五十年から七十年になりますよね。これ別に、いや、何か結局アメリカを利するだけで、今はTPPに入っていないにもかかわらず、アメリカは入っていないのに、急いでやって金を無駄に使う必要ないというふうに僕は思うんですけれども、いかがでしょうか。
  276. 永山裕二

    政府参考人(永山裕二君) 著作権について、保護期間についてのお尋ねでございます。  TPP協定への対応につきましては、TPP11協定締結における凍結項目の取扱いも含めまして、政府全体で、内閣官房TPP政府対策本部を中心に検討されてきました。  具体的には、TPP11協定において凍結されることとなった事項につきましては、我が国として当該事項について制度整備を行う国際的な義務は負わないところでございますけれども、一点目として、我が国TPP11協定交渉におきまして、TPP12協定ハイスタンダードな内容を維持するとの立場で臨み、限定された数の凍結項目でまとめたということ、二点目としては、交渉を主導してきた我が国として、交渉中の立場を一貫して具体的に実践することによりまして、凍結項目の解除等を十一か国で議論する際におきましても、我が国国内整備済みであることを背景に議論が主導しやすくなるという効果が期待されること、三点目として、凍結項目の実施につきましては各国の自主的な判断に委ねられている、このことから、TPP11協定発効を機に、全ての凍結項目を含むTPP12協定の内容につきまして我が国において実施することとしたものです。  文化庁、文部科学省としましては、こういう政府全体の方針を踏まえまして著作権についても対応するというものでございまして、今回の法整備によりまして、国際的な制度調和、また国際的な競争力が高い我が国の漫画、アニメ等につきましても、中長期的に見て著作権使用料の増加につながり……
  277. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 答弁は簡潔にお願いします。
  278. 永山裕二

    政府参考人(永山裕二君) 文化の発展につながるというふうに考えております。  以上でございます。失礼いたしました。
  279. 白眞勲

    ○白眞勲君 長々話していただく割には私の質問にはほとんど答えていないというパターンなんですけれども、もう時間が時間になりました。  最後に、茂木大臣にちょっとお聞きしたいと思います。  今いろいろな、様々な、TPP、今日、私以外の論点、方々の話も聞いていても、例えば、生産量は変わらないという前提の下で国内対策しますから生産量は変わりませんという、よく分からないような御答弁を普通にされている。ただ、一番重要なポイントは、もっともっと重要なポイントが私はあると思います。この国の将来をどうしていくんだということだと私は思っております。その戦略がどうも何か見えない、私にとってみてね。だから、何かもう少し、アメリカに迎合しているんではなくて、将来を見据えた日本としての独自の戦略をしっかりと取らなければいけないんではないんだろうか、世界の潮流にそうしないと乗り遅れるんではないんだろうか、そういうふうな私は危惧をしております。  そういう中で、何といってもやっぱり私たち日本の強みというのは、中小企業の皆さんの層の厚さと日本人の勤勉さ、さらに先端的な様々な技術の蓄積、こういったものがあるわけですね。ところが、それらが今何かだんだん、この国、失われつつあるんではないか。であるならば、政府もこういったものに対して本腰を入れて、イノベーションをもっと進めていかなければいけない、私はそういうふうに思います。  先日、私も茂木大臣に、ロボット庁をつくったらどうですかと私は申し上げました。そうしたら、大臣の方からこう答弁されている。省庁の枠組みをどうするのかと、ロボット庁をつくる、人工知能庁をつくるとおっしゃいました。私はロボット庁をつくればいいと言ったのであって、人工知能庁というのはこれ茂木大臣から出してきた言葉でして、私はつくれとは言っていなかったんですけれども。  でも、大臣の方からそういうお話があって、もちろん行政のスリム化ということもあるけれども、やっぱりロボット庁とか、そろそろこれ検討してみたらどうでしょうか。最後に答弁お願いします。
  280. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 今後の成長戦略を考えるに当たって、一つはやはり第四次産業革命、これの様々なイノベーション、技術革新、この中には、白委員おっしゃるようなロボットの問題、そしてまたAIの問題、IoT入ってまいりますが、これをいかに社会実装していくかと。今まさに世界が熾烈な競争を展開しているところでありまして、これを日本として進める、そのための様々な制度的な枠組み、規制緩和も含めて必要な部分は出てくると思っております。  そして、もう一つは、これからはデータ駆動型の社会になっていきます。様々なデータを安全な形でしっかりと集め、それを例えばリアルなデータとして物づくりの現場で活用していく、さらには、予防であったりデータヘルス、こういう世界をつくっていく、そういったことは極めて重要であると思っておりまして、そういった方向で取組を進めていきたいと思っております。  ちなみに、先ほど副大臣の方からも答弁ありましたが、我々として、TPP、この協定によりまして日本農業農林水産業に影響が出ない、こういう万全な対策を取っていきますが、もちろん全体の農業の生産、これは様々な、天候要件であったりとかそういったものにもよって決まっていきます。さらには、経済の動向によって、まずは可処分所得がどれだけあるか、可処分所得の中でどれだけ消費をするか、消費の中に、耐久消費財を消費するのか、それとも食料に回すのか、様々な消費者の判断の中で組み合わさってくるものでありますが、いずれにしても、農業についてマイナスの影響がTPPによって出ない、こういう最大限の対策は取ってまいりたいと考えております。
  281. 白眞勲

    ○白眞勲君 終わります。     ─────────────
  282. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、舟山康江さんが委員辞任され、その補欠として榛葉賀津也君が選任されました。     ─────────────
  283. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  二年前もTPPの特別委員会参加をさせていただきました。あのときやり残した質問がまだ残っておりますので出てまいりましたけれども澁谷さんもお久しぶりでございます。    〔委員長退席、理事藤川政人君着席〕  先ほど、舟山さんとの議論もありましたけど、政府は、茂木大臣もそうなんですけど、TPPの意義について繰り返し、自由で公正な貿易ルール云々と、各国地域経済や国民に繁栄をもたらすということを繰り返し述べてこられました。  ちょっと最初ですので、そもそも論を聞きたいんですけれども、あと、自由貿易に反対するものを保護主義というふうなレッテルも貼ってこられたわけですけれども、何かあたかも遅れた考え方のような、言われてきましたけれども、ただ、世界見渡しますと本当にそうなのかと。自由貿易という括弧付きで私は思っておりますけれども、それは本当に全ての人々の繁栄をもたらすものなのかとかですね。本当にそういうものならば、なぜこの間アメリカで、TPP含めて、NAFTAも含めて、自由貿易に対してあれだけの反対の国民の声が上がるとか、ヨーロッパでもアジアでも、自由貿易がこのままでいいのかと、本当に恩恵が及んでいないというような声が本当に各国で上がっているわけですけど。市民運動としても、市民運動は昔はNGOとか環境団体が多かったんですけれども、最近は商工業団体までこういう自由貿易に対して批判の声を上げておられるようになったというのが世界の状況だと思うんですけれど。  そんなに各国を繁栄させて国民に繁栄をもたらすものなら、なぜ今世界各国でこれだけの自由貿易に対する批判の声が上がっているのか、茂木大臣の認識を聞きたいと思います。
  284. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 自由貿易がプラスかマイナスかと、これはデービッド・リカードの世界からもうずっと続いている論争もあるわけでありますが、例えば自由貿易によって格差が拡大する、こういった意見も一部にあるのは承知しておりますが、格差を生じさせる主な原因、現在においては、グローバルなレベルで進む技術革新などほかの要因によるところが大きいと、こういう見解も多いと考えております。  自由貿易、間違いなく、消費者にとっては購買力の向上、そして生産者にとっては生産性の向上をもたらして経済成長につながるものでありまして、これは、大企業だけではなくて中小企業、小規模零細事業者、さらには農林水産業者、そして労働者、消費者にとっても新たな経済的機会をつくり出していくものであると考えております。こういった経済的な機会を中小企業であったり農林水産業が幅広く活用できるように、政府としてもしっかりとした支援策を取っていくことが必要だと考えております。  細かい施策について御質問があるようでしたら、追加してお答えをさせていただきます。
  285. 大門実紀史

    大門実紀史君 いや、別に細かいことを聞くつもりはないんです。要するに、そういうふうにおっしゃるならば、なぜ起きているかということを聞いたわけですね。  アメリカなんかは、調査団でも行ってきましたけれども参議院のですね、簡単に言いますと、アメリカの場合は、製造業よりも、金融、IT、農産物、これで世界展開を考えると。その犠牲になったのはアメリカの中の国内産業、製造業であって、雇用が失われて、そういうグローバル企業の株主はもうかって、雇用は失われて、低賃金化が進んで格差が広がるということで、茂木大臣がおっしゃったとおり、格差というのはいろんな要因で起きるのは確かですけど、ただ、このグローバル化の中でも起きているということで、トランプさんが当選するに至るぐらいのことになっているということであります。日本の場合は、逆に製造業で世界展開をしてきて、国内産業と農業を犠牲にしてきたというような、その国によって違いますけれども世界展開する多国籍の企業を中心のグローバル化、自由貿易になっているからそういうことが起きて、いろんなことが起きているという現実を申し上げているわけでございます。    〔理事藤川政人君退席、委員長着席〕  茂木さんとは、二〇〇一年ですかね、アフリカのブルキナファソでIPUの会議があって、ずっと一緒にはいられませんでしたけれど、いろいろお話も聞きましたけど、世界にはやっぱり光と影があって、いいことばっかりおっしゃいますけど、やっぱりその影の部分、いろいろ起きている部分を見ながらやっぱり政治というのは考えていかなきゃいけないと思いますので、そういう点を申し上げているということでございます。  余りこれだけで議論するつもりはないわけですが、そういう認識を問いたかったわけでございます。  そういう点で、次に、TPP11で本当に日本経済が成長して国民が豊かになるのかという点ですけれども、とにかく政府の話は何かみんな良くなるバラ色の話が多いわけですけれども、その点で具体的に、政府が出されましたTPPの影響試算について伺います。  農林水産物の影響評価については舟山さんからも白さんからもありましたけれども、要するに意味不明の答弁が繰り返されております。要するに、政府がおっしゃっているのは、影響が出ないように対策を取るから影響が出ないみたいな話ですね。で、その対策とは何かというと、生産性の向上だと。  つまり、いろいろあるけど頑張ればいいんだというような、何かいろいろ聞いていると余り科学的な試算でも何でもなくて、ただの精神論じゃないかというふうに思うんですね。したがって、JAとか農家の方々も既にもう目いっぱい頑張っていると、TPPの二年前の議論もそうですけど、これ以上何頑張れと言うんだという声があるわけであります。  この点で最大の打撃を受けるのは農業の問題なんですけれども、これは後、連合審査もあると思うので、そのときにまた我が党の紙智子議員が出てきて厳しく追及させていただくと思いますので、今日は私、経済全体の効果について、お手元に配りましたけれども、ちょっと、これそのものも疑問が幾つかありますので、お聞きしたいというふうに思います。  資料を配付いたしましたけれども、まず、茂木大臣、経済財政の担当大臣でもありますので、この試算のメカニズムですね、根拠について説明をしていただけますか。
  286. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 大門先生とは、たしか二〇〇一年九月十一日だったと思いますが、ブルキナファソで御一緒させていただいた、今でも鮮明に記憶に残っているところでありますが。  今回、御案内のとおり、政府としてはGTAPモデル、これを用いまして分析というのを行っております。この経済効果につきましては、GDP押し上げ効果、これが七・八兆円、四十六万人の雇用増と大きな効果が見込まれると、このように試算をされているところであります。  そして、これ、GTAPモデルでありますので、ダイナミックなモデルということで、経済連携協定によります関税削減等の直接的な効果だけではなくて、貿易投資機会の拡大国内生産性向上、雇用の拡大につながることを示したものでありまして、まさに海外への経済連携の推進、これが国内経済の拡大にもつながると、こういったTPPによる成長のメカニズムを定量的に明らかにしたものであると理解をいたしております。
  287. 大門実紀史

    大門実紀史君 この中身なんですけど、そもそもこの経済分析のやり方なんですけれども、GTAPのモデル使うのはほかの国もやっていることなんですけど、問題はそこに入れる数値とか使い方なんですけどね。  そもそもこの経済分析はいわゆる静学モデルといいまして、要するに、何といいますか、時間的な経過とか、何かから何かの変化のですね、原因と結果とか因果関係とか、そういうものを全く無視をして、ある状態からある状態の変化だけを取ったものなんですね。つまり、TPP11に参加する前の状態と、TPP11が発効していろんなことが起きて我が国が新たな成長過程に乗って均衡状態に達した、良くなったときですね、この参加する前と、いずれ良くなるだろう、良くなったときを単純に比べたのがこの試算でありまして、つまり途中の話がないんですよ。  例えば、TPP11の参加によって、農業にしろ、ある国内産業、ある分野が競争で負けたり衰退して失業が起こると。で、失業者は仕事を探して苦労するわけですね。そして、やっと見付けると。しかも、賃金はまだ安いというようなこととか、いろんなつらさとか苦しみがあるんですけど、その時間の長さというものが一切考慮されなくて、いずれ良くなるだろう、良くなったときとの差だけ示しているようなモデルです。静学モデルというのはそういうものだから仕方がないといえば仕方がないんですけれども、余り人に説明するときはこういう、みんなが心配するときにはこういうモデルを使うべきなのかと、一つ思います。例えば、農業をやっていた方が、仕事を失っても翌日から自動車の技術者になれるみたいな、即時完全雇用が実現するというような錯覚を与えるような試算でありまして、余りこういうモデルを示されるのは私は適当ではないというふうに一つ思っております。  また、その試算もちょっとこれ、幾ら何でもいいかげんじゃないかと思うんですけど、二段目のところに、成長メカニズムを内生しているということで①、②、③とあるんですけど、これどういう根拠なのかということなんですけれども、聞いても説明ちゃんとできないんですよね、はっきり言って、内閣府。  まず、①で、所得増が需要増、投資増へつながると。これは、こうなったらいいですけれども、これ、ただの希望ですよね。  ②、貿易開放度上昇。つまり、いろんな輸入品が入ってくると競争が激しくなって、これはそうでしょう、生産性を上げる努力をするでしょう。それはあるかも分かりません。生産性向上が実質賃金を引き上げと、生産性が上がれば賃金が増えるという理屈が入っていますけれど、これはそうなっていないですね。多国籍企業が賃金の安い国に生産拠点移していますから、国内でも非正規雇用増やしていますから、生産性向上が賃金に結び付いておりません。だから問題になっているんですね。生産性向上分が内部留保に積み上がっているから今問題になって、安倍内閣も賃金を引き上げようとおっしゃっているわけでありますので、②のこのベクトルは何を根拠におっしゃったのか、実際は何も起きていないんじゃないかと思うんですね。  ③もまた変なんですね、実質賃金の上昇が労働供給拡大すると。これ、どこの国の話かと聞いたら、オーストラリアとノルウェーでそういう現象がありますと。たまたまそうなっている国を持ってきた。日本はどうなんだと聞いたら、日本にもそういうことを書いた論文がありますと。私、その論文読みました。これ、「金融研究」の中に出ている個人の論文でありまして、全然オーソライズされておりません。若干言いますと、そこに出てくる労働供給という意味は雇用の増ではありません。雇用の増ではありません。労働供給の増というのは、実質賃金が上がったら稼げるからもっと働こうということまで含めたのが労働供給なんですね。そうでなきゃ余暇に回る、稼いだから休もうと、そういうふうな数字でありまして、これがなぜ雇用の増の数字のところに持ってくるのかと。これ、フリッシュ弾性値というのがあるんですけど、そもそも学界でも余り現実味がないものに書かれた論文なんですね。それがこの③の、いかにも何かオーソライズされたようなもので出てくるんですね。  ですから、①、②、③とも、何かいかにも、何ですか、これ、成長メカニズムの内生といったらよっぽど何かすごい話に見えますけど、ほとんどこれ、データの捏造とまで言いませんけど、都合のいいデータを、やり方を持ってきた非常にトリッキーな、トリックっぽい試算だというふうに思います。  大体、生産性向上効果というのは、今、安倍内閣大変好んで使いますけど、これ大変マジックなんですね。生産性向上というのはマジック、どこでも使えるマジックなんですよ。生産性向上と入れちゃえば何だって話ができちゃうと。例えばこのTPP11の関係でも、輸入が増えて価格が下がっても生産性向上すればコストダウンをして利益はそのままというふうに、どこでもこれを使っちゃうと何だってうまくいくような、使えるのが生産性向上という大変マジックの言葉なんですね。  ですから、茂木大臣、これ率直に言って、この出された経済効果というのは専門家は誰も信用していないんじゃないかと思うんですよ。もうこの際撤回されたらどうかと思うんですが、いかがですか。
  288. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 私の方から御説明させていただきますが、TPP12のときと同じやり方をさせていただいております。  今先生お配りいただいた資料、①、②、③と書いているわけでございますが、元々のGTAPモデルで①は内蔵されているものでございます。②、③は、三年前ですかね、TPP12のときの経済効果分析で……(発言する者あり)はい。  いずれにしても、これはこうなるという予測ということではなくて、私どもとしてこういうメカニズムでTPP効果が成長につながるんだというメカニズムを表すことで今後の政策展開につなげていきたいと、こういう趣旨でこういう分析をさせていただいたということでございます。
  289. 大門実紀史

    大門実紀史君 ですから、これは一つのただの仮定みたいな、仮定というか、非常に作り上げた仮定、こんなこともあるでしょうぐらいのものなんですよね。それをこんな政府が大々的にそんな宣伝して、良くなりますよと宣伝に使うような代物ではないというふうに思います。  実は、二〇一六年の五月にアメリカ政府の国際貿易委員会、ITCですね、ここは正直ですよ、二〇一六年の五月に、TPP経済効果はないというふうな衝撃的な報告書を出しまして、アメリカ政府としてですね、これがアメリカの世論を変えたんですよ。何だ、そうだったのかと、だったら考え直そうということで、後にトランプさんが当選するほど、何だ、そういう話だったのかということで反TPPの世論が広がったわけであります。つまり、こういう政府のトリッキーな試算というのは大変国民を惑わして、あらぬ方向に世論を導くということでございますので、もう本当、これやめた方がいいですよ。厳しく指摘しておきたいというふうに思います。  その上で、TPP11というのは、農業を始め国内産業、医療、食の安全、様々な危惧、懸念、問題点が示されておりますけど、実はTPP11というのは個人情報保護との関係でも大変懸念が広がっておりますので、この問題を取り上げたいと思います。  現在、巨大IT企業の情報占有が急速に拡大しております。ちなみに、アップル、マイクロソフト、グーグル、フェイスブックの四企業で全人類の個人データの八〇%が占有されております。その下であの例のフェイスブックの個人情報が大量流出して世界的に大問題になりました。日本人の個人情報も十万人以上流出した可能性があると言われております。そういう中で、個人情報の保護というのがもう世界的な課題になってきております。  こういう状況の下にもかかわらず、TPP11では電子取引、個人情報がどう位置付けられているのかということで、ちょっと時間の関係で私の方でもう紹介しますが、第十四章にこう書かれております。十四章の十一条、事業のために、ビジネスのためにですね、個人情報を含む電子的手段による国境を越える移転を許可していると。ただし、公共目的のための規制は妨げないと。一応この一文はあります。また、そういう類するものがいろいろ書かれていて、要するに、このTPP11の第十四章の十一条では、個人情報の国外移転については原則自由だと。で、規制は例外的にやると。しかも、十一条の中には、必要以上に情報移転を規制してはならないという条文まで入っているわけですね。つまり、個人情報保護よりもビジネスを重視するという立場になっております。  TPP11に参加すれば、この個人情報の保護がおろそかになっていくんではありませんか。大臣、いかがですか。
  290. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 細かいこと、時間の関係で、もしありましたら御説明を申し上げますが、確かに委員おっしゃるように、公共政策の正当な目的の達成のために電子情報の国境を越える移転、フリーフロー・オブ・データですね、これを規制することを妨げない、こういうふうに明記をされております。  重要なのはバランスでありまして、電子情報を過度に規制して移転をさせない、こういったことも問題で、自由な移転というのは必要でありますが、同時に、消費者保護であったり個人情報保護、このバランスをどう取っていくかという問題でありまして、TPPにおきましてはそのバランス、しっかり確保していると考えております。
  291. 大門実紀史

    大門実紀史君 実はそうならない危険性があるので質問しているわけなんですけれども、このTPP11の第十四章というのは実はTPP12から引き継いでおりまして、十一条もそのまま引き継がれているわけですね。  すなわち、元々この個人情報対応のところは日米で、しかも日米政府だけではなくて日米の財界と一緒に検討してきた経過があるわけです。  振り返りますと、両国の民間経済団体によります民間作業部会というのがありました。もう一つは、インターネットエコノミーに関する日米政策協力対話というのがございまして、これは政府も入ったものですけれども、この電子商取引について検討を進めてきて、それで、その民間作業部会が、TPP12の方ですね、アメリカがやると言ったときの話ですけれども、が合意された後の二〇一六年二月に公表した共同声明では、むしろこんなことを言っているんですね。日米両国を含むTPP交渉参加者が、国境を越える情報の自由な移転を義務付けたと、自由に移転しようということを義務付けたことを歓迎していると。同時に、規制する国に対しては日米両国共同で規制緩和、撤廃を働きかけていくと。つまり、先ほど申し上げましたけれども、原則としてビジネスのために個人情報をどんどん利用、活用していこうと、規制する国があったら日米共同で取り除いていこうということを打ち出して、その流れがずっと来ているわけですね。  そうはいっても、茂木大臣おっしゃったように、個人情報の保護を真っ向から否定はできませんので、そこで、一定のルールは守るということでこの共同声明の中でも触れられているのが、資料をお配りいたしましたけれども、CBPR、クロスボーダープライバシールールというものでございます。  この仕組みについて、経済産業省、ちょっと説明してくれますか。
  292. 吉田博史

    政府参考人(吉田博史君) お答えいたします。  CBPR、クロスボーダープライバシールールズの略でございますが、これは、越境移転される個人情報が適切に保護されるためのAPECの仕組みでございまして、二〇一一年十一月のAPEC閣僚会議で承認されたものでございます。アメリカメキシコ、カナダなどが参加しており、日本は二〇一四年から参加しております。  具体的には、企業の個人情報保護体制を、APECの情報プライバシー原則に基づき、各国において独立した第三者認証機関が認証する制度でございます。加えて、その第三者認証機関は、認証された企業のモニタリング、認証企業に対する苦情への対応、また状況に応じて認証の一時停止や取消しを行う機能を有しております。  また、APECの情報プライバシー原則はOECDのプライバシー原則に準拠して策定されており、プライバシー保護の国際的な準則に則したものとなってございます。
  293. 大門実紀史

    大門実紀史君 これは、以前のといいますか古いといいますか、今いろいろ問題になっている前に合意されてきたルールで、もちろん一定保護しようと、ルールにはなっているんですよ。ただ、先ほど述べましたように、これは元々原則はどこにあるかというと、個人情報の自由な越境移転、海外越えると、これがまず原則で、その上で例外的に、原則自由、規制は例外的というものであって、TPPの文書にもなっているとおり、まず自由にやって、規制はしてもいいけれどもそれは限定的という流れの下で作られているのがこのCBPRでございます。  もう一枚めくっていただいて、時代は変わってきております。  先月の二十五日から施行されているのが個人情報保護のための規制を大幅に強化するものでありまして、GDPRというふうに、呼び方をしておりますが、EUが打ち出したものでございます。これは、EUがこの十年余り、先ほど言いましたフェイスブックのような事件がまだ起きる前から、アメリカのIT企業が個人データを半ば勝手に入手してプロファイリングまでやって営業に生かすような、いろいろ勝手に加工して使ってきたことに対してEU各国が対抗措置を打ち出したということで議論されてきて、二十五日から施行されているものでございます。  この新聞の比較を見てもらうと分かりやすいんですけれども、左が今の日本の個人情報保護の現状で、CBPR、先ほど申し上げましたCBPRはこの程度でございますが、右の方のEUGDPRというのは大変それに比べて厳しいものになっております。例えば、保護すべき個人情報の定義の範囲とか個人データに対する権利、被害の救済、違法行為への罰則など、様々な面で規制が強化されております。そもそも基本的なスタンスが、CBPRと違いまして個人情報の域外移転、海外移転については原則は禁止なんだというスタンスから組み立てております。  これは、何といいますか、今まで一部のフェイスブックやグーグルなどの巨大企業が情報を占有していろいろ使って、本人の知らない情報をいろいろ使ってプロファイリングまでして、とうとう事件まで起こすというようなことに対して、EUだけじゃなくて世界に広がっている危惧を一つ反映した改革案であります。  こういうものを考えていかなければいけないときに、このTPP11というのはもう何年も前の発想で個人情報保護を捉えているんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  294. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) TPPの電子商取引、これは、電子情報の自由な国境を越える移転を認める一方で、先ほど申し上げましたが、締約国が公共政策の正当な目的の達成のために電子情報の国境を越える移転を規制することを妨げない、こういったことが明記をされている。その上で、今後の国際的な個人情報保護政策につきましては、個人情報の保護を図りつつ国際的なデータ流通を円滑に行うと、こういったことが重要であると認識をいたしております。  EU、御案内のとおり二十数か国から形成をされておりまして、当然EUとしては、EUの域内に住む人たちのメリット、そしてEUの域外に住んでいる人たちの差別化、こういったことは考えるということは当然理解できるわけでありますが、我が国として、日・EU間の相互の円滑な個人データの移転を図る枠組みの構築も含めて、今後もしっかりと取組を検討してまいりたいと考えております。
  295. 大門実紀史

    大門実紀史君 今はTPP11の議論をしております。TPP11の問題点を議論しております。将来政府として考えている方向を聞いているわけじゃなくて、このTPP11の中の重要な問題として、個人情報の保護が何というか後にされて企業のビジネスチャンスが先だというようなことが明確にTPP11に入っているわけですから、このTPP11をこのままでいいのかという議論をしているわけであります。  これ、ちょっと専門的かも分からないから澁谷さんに聞きますけど、EUは、逆に言うと、二十五日からこれを施行しておりますから、EUのデータを日本企業が個人情報を扱わせてもらおうと思うと、今の日本の、先ほどこの新聞で比べたこの状況では基本的には駄目ですよとなります。今はそれぞれの企業が厳しくやりますからと言ってやっているところがありますが、国対国との関係では、こういうGDPR、これ私は世界の流れだと思います。これだけ情報が、一部の四つの企業で八割の人類の情報が独占されている、事件が起きる、勝手にプロファイリングやるというようなことになってくると、これはもう世界の流れで、アメリカの中だってこういう声起きていますからね、なってくると思います。  そういう中で、日本が、日本の企業がEUの個人情報を使わせてもらいたいと思ったとき、国と国との関係ですけど、やっぱりこのCBPR、今のレベルじゃなくて、GDPRの方向に国として合わせていかなければいけないのではないかというふうに思いますけれども、いや、TPPのというか、個人情報の制度じゃないんです、さっきと同じような答弁じゃないんですよ。TPP貿易の点でどうですかということを言っているんです。
  296. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) どちらですか。
  297. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) まず私が。
  298. 柘植芳文

  299. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) TPPの観点からということの御質問であれば、このTPPの御指摘いただいた電子商取引章を受けて私ども国内制度も一切変えないということでございますので、TPPによって何かが変わるということではなくて、個人情報保護制度を我が国としてどうするかという問題をまた別途政策的な御議論をいただきたいという、そういう趣旨でございます。  では、経産省の方から。
  300. 大門実紀史

    大門実紀史君 そうじゃなくて、TPP11に入っている今の条文というのは、先ほど説明したでしょう、どこから来ているかというと、TPP12で日米協議の中で政策対話があって、そういう経過でできたんですよ、そういう経過で。その一つのモデルにCBPRがあるわけですよ。TPPとは関係ないじゃなくて、TPPの11の中に組み込んでいるこの十四章の十一条というのはそういう流れでなっているわけです。だから、TPP11とは関係なく制度をつくっていくということではなくて、このTPP11の十四章十一条が想定しているのはCBPRレベルだからこれでは駄目じゃないですかということを聞いているわけです。何か別に制度があるということじゃないんです。お分かりでしょう。
  301. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 御紹介いただいた第十四の十一条は第一項がございまして、各締約国が必要な自国の規制上の要件を課することができることを認めるというのがまず第一項で書いてあって、その上で、先ほどから先生御紹介いただいたように、原則データフリーフローであって、三項めに個人情報の保護は可能であると、こういう立て付けになっております。  したがいまして、この第一項が、ある意味、今後、各国においていろんな政策を取る上で様々な規制を課すことができるという規定でございますので、このTPP発効しても十四・十一条の第一項があることをもって国内の別途の個人情報保護の流れに十分対応できるというふうに考えているところでございます。
  302. 大門実紀史

    大門実紀史君 そうならないと思うんですけど、何度も言っても同じこと言うでしょうから。  この経過をよく御存じだと思うから、澁谷さんね、日米で作ったこの経過というのは、そもそも原則自由、規制は例外と。ヨーロッパ、EUが今出してきているのは、世界の事件も含めて原則駄目と、それで海外越境は例外という。立て付けが違いますから、もしそうおっしゃるのならば、この第十四章十一条を入れ替えなきゃいけないんですよ、入れ替えなきゃ、条文をですね。まず越境は原理的に考えて例外としてという、そうしないと今申し上げた方向にならないわけでありますから、おっしゃっていることがちょっと矛盾をしていると私は思います。  もう時間がないので、申し上げたいことは、非常にこれアリバイ的な対応だということでありまして、冒頭申し上げましたけど、自由貿易とは何かというところで、この問題でも表れていると思うんですね。企業のビジネスを最優先するか、人間の個人の情報、個人情報の保護を優先するかと、これが問われているということを、こういうことが問われていることを最初申し上げたわけでありますので、このTPP11はそういう点では本当に個人情報の保護の観点からも国民を危ない世界に招き入れてしまうという点でもう廃棄すべきだということを申し上げて、質問を終わります。
  303. 清水貴之

    ○清水貴之君 日本維新の会の清水です。どうぞよろしくお願いいたします。  私もまず総論的なところで、国内対策を打って、そしてその影響がどうなるか、そしてその試算の状況、この辺りからお聞きしたいんですが、これまでも質問出ているところと私も全く同じことを思っておりまして、やっぱり対策を打つから大丈夫ですというのではなくて、いや、やっぱりTPP11、TPPに入っていくことによってこういう影響が出ます、だからここに対策を打たなければいけません、そのために予算は幾ら掛かります、それを、対策を打った結果がこうなりますというのがやっぱり自然な流れではないかなと。そうじゃないと、やっぱりどこに問題点があって、どこにどう対策を打っていくべきかというのがはっきりしない。しかも、そこに多額の予算、もう既に一・七兆ですか、使われているわけですから、我々国会でもそうですし、そういった予算の使われ方のチェックも及ばないんじゃないかなというふうに思ってしまうんですね。  先ほどの舟山先生の資料、私もお借りしますと、二〇一三年ではそういう試算をしているわけですね。ですから、こういう二〇一三年のこれを見て、ああ、ここにはこういう施策が必要だなと、だからやっていきましょうと、その結果こうなりますよ、二〇一七年みたいになりますよと示していただけたらすっきりするんですけれども、どうもここは私もやっぱり何かすとんと落ちないところがありまして、大臣、この辺りはまずはいかがでしょうか。
  304. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 二〇一三年の試算、これは関税が完全に撤廃をされるという、現実とは違う、実際に交渉してどんな形で重要五品目を中心に日本の国益を守っていくと、そういう姿とは違って、仮に全てがこうなった場合どうなるかという話でありまして、それに対して、二〇一五年、一七年、これはTPP12、TPP11でありますが、現実的にこういった枠組みができました。そういう中で、更に国内的な対策を打ったときにどうなっていきます、こういった形でより現実的な試算をしているという形でありまして、前後という考え方も確かに清水委員おっしゃったようにあるかと思うんですけれど、何にも対策打たない、現実には起こらないこういう仮定に基づいて政策を考えるのか、現実に想定され得ること、そこでの経済効果、こういったものを最大限に発揮させるためにどういう政策を具体的に打っていくのか。政府としましては、後者の立場に立って政策を作り、また実行してきております。
  305. 清水貴之

    ○清水貴之君 としますと、例えば個別のものをしっかりと大臣、やっぱり見ていかないといけないんじゃないかと思うんですよね。ですから、ここの部分に今回はこういう影響が出ますと、だからこういう対策を打ちます、で、実際その対策を打った、もう既に予算使っているところもありますし、これからなのかもしれませんけれども、その結果がどうなったかというのも見ていって次につなげていかなければいけませんし、次の予算申請に、そこに反映させていかなければいけないというふうに思うんです。  ですから、大臣今おっしゃっているように、対策を打った結果がこうですということなら、それはそれで一くくりになっているのは分かるんですが、その中で個別のところというのをしっかり見ていくような仕組みになっているんですか。なっているんでしたらまだ理解はできる部分あるんですけれども、その辺りはいかがでしょうか。
  306. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 政策大綱は、TPP12のときに一度作成をいたしまして、たしか去年の一月、12の方の締結が終わった時点で各省から状況を私ども内閣官房の方でヒアリングをして、一応フォローアップは、内容は公表させていただいているところでございます。  また、昨年の十一月、日・EUの大枠合意等を踏まえて改訂版を出したわけでございますが、改訂に当たっても、各省のまさに施策の状況等について私どもの方で聴取をして、それを踏まえて改訂を行ったということでございます。  また随時そのようなフォローアップ、先生の御指摘は非常によく分かりますので、今後ともそのようなフォローアップをきちんと重ねていきたいというふうに思っております。
  307. 清水貴之

    ○清水貴之君 そのフォローアップ、重ねていただいて、それを是非やはり見える形にしていただかねば、これだけ大きなことをやるわけですから、今後にもつながっていくことですし、繰り返しになりますが、多額の予算がここには投入されるわけですから、我々国会としてもしっかりチェック機能を果たしていきたいというふうに思っているわけですね。  別にこれは、何か変なこと隠しているんじゃないか、何なんだというつもりは全くなくて、しっかりとやっぱりオープンにしていくべきじゃないか。今日も一日質疑をしていてほかの議員からも同じような質問が何回も出ていますが、やっぱり同じ疑問を持つ議員が多いというのは是非頭に入れながら進めていっていただきたいなというふうに思います。  もう一つ、その影響についてなんですけれどもTPP日EUEPAがあります。これも私は、別個のものなんですけれども、互いにやっぱり関連してくる部分もあるんじゃないかというふうに思うわけですね。もちろんエリアも地域も違いますけれども、でも、農産物でいったら、例えば輸入でいったら重なってくる部分もあるでしょうし、それによって影響が減る場合、減少される場合なんかもあるというふうに思うんですね。ですから、こういうところも、個別の影響、そして個別の対策ではなくて、やっぱり総括的に見ていく必要があるんじゃないかというふうに、大臣、思いますが、いかがでしょう。
  308. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 私も、このGTAPモデル、詳細な内容を聞く前は清水委員と同じような可能性あるんじゃないかと、こういったことで確認を取りましたが、このGTAPモデルを使いました経済効果分析につきましては、例えばTPP11だけが効力を発するときと、それに加えて、じゃ、日EUEPAが起こったときにこちらのTPP11に何らかの影響が出るかといいますと、その二つは独立したものでありまして、ですから、効果につきましてもTPP11で七・八兆円、日EUEPAが五・二兆円、こういうGDP押し上げ効果は変わらない、このような説明を受けております。
  309. 清水貴之

    ○清水貴之君 続いて、総合的なTPP等関連政策大綱、これ読ませていただきまして、この辺りは、先日私も登壇しましたのでそこでも質問をさせていただきましたが、やはりちょっと疑問に思っているところがあるので質問をいたしますけれども、訪日外国人旅行消費額とTPPとの関係ということで、大綱の中に外国人旅行者をこれぐらいまで増やす、消費額これぐらいまで増やすんだと目標を立てているわけですね。我が国技術等の普及に努めるとともに、農林水産物国内外の需要、消費の拡大を図る、観光プロモーションの推進、クルーズ船の受入れ環境改善、まあ外国人旅行者が来やすい、こういった項目が並んでいるんですけれども、いいです、いいんですが、ただ、こういった施策というのはもう既にいろんな省庁で行われています。  また、TPPとの関係でいっても、果たして、TPPってやっぱり交易、貿易と関係のところと外国人旅行者というのがどうつながっていくのか、なかなかすっきり、はい、そうですかと理解できるところがないので、この辺りも説明いただけたらというふうに思います。
  310. 瓦林康人

    政府参考人(瓦林康人君) お答え申し上げます。  訪日外国人旅行消費額につきましては、インバウンドの拡大効果国内地域の経済活性化につなげていく上で極めて重要な指標として位置付けておりまして、昨年は約四・四兆円に達したこの消費額を更に増加させるため、旅行者数と一人当たり消費額の拡大に向けまして様々な取組を政府一丸となって進めております。  TPP協定発効が単体でどの程度訪日外国人旅行消費額の増大に寄与するかを定量的にお答えすることは困難でございます。その上で、例えば関税撤廃による日本の農水産物の国際競争力の向上でございますとか輸出拡大効果を活用いたしますと、日本の食の魅力をアピールして、旅行者数、そして消費額の一層の増加を図ることができるというふうに考えてございまして、このため、関係府省とも連携しながら、食を切り口としたプロモーションの充実を進めていくこととしております。  また、TPPによる関税撤廃で原材料コストが低下して日本国内での消費、サービスの価格が下がることとなりますと、訪日旅行中の消費の拡大にもつながることが期待されているところでございます。  観光庁といたしましては、TPP協定による効果も最大限活用して、訪日外国人旅行消費額二〇二〇年八兆円、二〇三〇年十五兆円の目標を達成できるよう、全力で取り組んでまいります。
  311. 清水貴之

    ○清水貴之君 食の話だと、日本の食を海外にアピールして、日本を好きになってくれた方が外国から来てくれて、まあ分からなくもないんですけれども、果たしてこれをこの大綱に入れる内容なのかなというのは若干疑問です。  もう一つ、同じような疑問なんですけれども、サービス産業の労働生産性向上TPPの関係ですね。これ、目標として、革新的な技術の開発やイノベーションを生み出す環境の整備を実施する、二〇二〇年にサービス産業の労働生産性上昇率を二・〇%にすると、こういった目標が大綱の中に入っているわけなんですが、労働生産性向上というのは国内の話なわけですから、これが果たして、じゃ、TPPとどうつながっていくのか、これも謎なんですけれども、お答えいただけますでしょうか。
  312. 小瀬達之

    政府参考人(小瀬達之君) お答え申し上げます。  自由で公正なルールに基づく経済圏が構築されることは、おもてなしの心に裏打ちされました我が国の良質なサービスが真っ当に評価され、新たな付加価値が生まれることを通じ、サービス産業の生産性向上につながる大きなチャンスであるというふうに認識してございます。  こうした観点から、総合的なTPP等関連政策大綱におきましては、サービス産業の高付加価値化に係る取組を進めることとしており、昨年から運用を始めましたおもてなし規格認証などにより、サービスの質の見える化を推進するとともに、そうした制度の海外展開にも取り組むこととしているところでございます。
  313. 清水貴之

    ○清水貴之君 そうした制度の海外展開というのがよく分からない。具体的にどういうことをやるんですか。
  314. 小瀬達之

    政府参考人(小瀬達之君) 今、昨年より始めましたおもてなし規格認証、いわゆる質の高いサービスに対して国民の皆さんにそのレベルが分かるようにする認証でございますけど、これをまた海外の方にも、例えば海外の店舗に対してもこうした規格認証を導入することによって、日本のサービスの質、例えば日本の企業が出ていくことによって、日本の質の、サービスが高いということを例えば海外の市場においてもそういうことを示すことができるんではないかというふうに考えてございますが、いずれにしても、これは今まさに現在検討を進めているところでございます。
  315. 清水貴之

    ○清水貴之君 その認証したものを、例えば海外のお店とかレストランとか会社とかに、ここは認証されていますよと、ISOみたいな形で何かステッカー貼って、ああ、すごいサービスのいいところなんだということを示すんですか。それとTPPがどう関係あるんですか。
  316. 小瀬達之

    政府参考人(小瀬達之君) 海外に日本の企業、多くの企業がこれ進出しているわけでございますけれども、海外において日本の企業が提供するサービスについても、こういう認証を導入することによって、例えば海外において、要するに質が高いというサービス、日本の企業の提供しているサービスが質が高いということを、まさにそのマーケットにおいて仮にそれ普及がすれば、質の高いところ、どこの店舗が質が高いかというのが明確になることによって、その高いサービスについて日本の企業がもし提供できるんであれば、日本の企業、日本の提供しているサービスが質が高いということが当該マーケットにおいてもよく明確になることによって経済的な裨益も生じてくるんじゃないかなというふうに考えてございますが、いずれにしても、これにつきましては今まさに検討を進めているところでございまして、具体的な中身はまだこれからのところでございます。
  317. 清水貴之

    ○清水貴之君 分かりました。また今後の展開を見させていただきたいと思います。  続いて農業なんですけれども、輸出目標額ということで、二〇一九年に輸出額一兆円という目標設定をしています。順調にこの輸出というのは、日本産の様々な農産物は評価されていますので伸びているんですが、ただ、ちょっとここで伸び悩んでいるというか、頭打ち傾向にもあると。二年連続して伸び率が一桁ということですから、あと二年で一兆円と、もう二年じゃないですね、来年には一兆円という目標ですから、なかなかこれは高い目標なのかなというふうに思いますけれども、この輸出に関しては、今のところどういった見通しで、もし何か今伸び悩んでいる理由、その辺りの見解などありましたら教えてもらえますでしょうか。
  318. 新井ゆたか

    政府参考人新井ゆたか君) お答え申し上げます。  我が国農林水産物・食品の輸出額は平成二十九年で八千七十一億円となりまして、五年連続で過去更新を、更新しております。しかしながら、平成三十一年の輸出額一兆円の目標を達成するためには年率で一一・三%伸びをするということでございまして、一層の取組強化が必要となっております。  このため、政府といたしましては、農林水産業の輸出力強化戦略等に努めまして、本年一月から本格開始いたしました日本食品海外プロモーションセンター、JFOODOによります戦略的なプロモーションの実施、海外バイヤーを招聘して行います日本食品輸出EXPOの開催、輸出拠点や加工施設等の輸出拠点施設の整備への支援、輸出先国・地域輸入規制の撤廃、対話に向けた交渉など、政府が主体となって行う輸出環境の整備等、様々な取組を進めているところでございます。  今後とも、これらの取組を強力に進めまして、輸出拡大それから目標の達成に取り組んでまいりたいと考えております。
  319. 清水貴之

    ○清水貴之君 今、今後取るべき対策の中に恐らく入っていたと思うんですが、その輸出の伸びに貢献するものの一つとして、これが解除されたらというところで、やはり東日本大震災による影響ですね、福島県産を始め周辺地域の農産物輸入の禁止措置をとっている国というのがまだ残念ながらたくさん残っています。まあ一時期よりは、当初よりは半分ぐらいにはなっているということですが、それでもまだ多くの国で残っております。もちろん、それぞれの国のこれは対応ですから難しいのかもしれませんが、ただ、やはり我々、日本としては、むしろ逆に福島、東日本大震災のその影響のある地域のものをどんどん積極的に輸出してもらって安全だよということを知ってもらいたいなというふうに、それがまた東日本大震災の復興にもつながると思いますので、ここに是非力を入れてほしいなというふうに思いますけれども、ここに対する対策というのはいかがでしょう。
  320. 新井ゆたか

    政府参考人新井ゆたか君) 東京電力福島第一原発事故に伴いまして、諸外国・地域におきまして、日本産の農林水産物・食品に対し放射能物質に関する輸入規制措置が設けられております。こうした輸入規制に対しましては、撤廃、緩和に向けた取組を進めてきました結果、事故直後は五十四の国・地域におきまして輸入規制が講じられておりましたが、これまで二十七か国が規制を撤廃してきたところでございます。  一方、日本農林水産物・食品の有力な輸出先のうち、例えば香港は五県からの一部の農林水産物・食品に対しまして、中国は十都県からの農林水産物・食品に対しましてそれぞれ輸入停止措置が講じられておるところでございます。  先般、WTOパネルにおきましては、韓国による日本産水産物等の輸入規制措置がWTO協定に反すると認定される報告書を公表いたしまして、韓国に対して措置を協定に適合させるよう勧告をしております。このことはこれまでの我が国の主張に沿うものでありまして、パネルの報告書も踏まえて、韓国と同様に日本産食品の輸入規制措置を継続している国、地域に対しまして、撤廃、緩和に向けて一層の働きかけを行っているところでございます。  引き続き、あらゆる機会を捉えまして、科学的根拠に基づく輸入規制の撤廃、緩和が進むよう、関係府省とも連携しつつ、粘り強く交渉を行っているところでございます。
  321. 清水貴之

    ○清水貴之君 WTOの勧告の話出ましたけれども、確かにWTOがそういう判断を示すというのはそれは大きいことだなというふうには思うんですが、ただ一方で、争ってやるというのも何か余り後味のいいものではないなというふうに思っておりまして、やっぱり交渉でこれはうまく理解してもらって進めてもらうのが形としては一番きれいじゃないかというふうにも思うんですね。  茂木大臣、済みません、これ通告はしていないんですけれども、その輸入禁止の中に、岡田先生の茨城県もそうですが、茂木大臣の栃木県も、やっぱり多くの地域輸入できませんというところに、エリアに入っております。これ、やっぱり政府一丸となって是非進めていただきたいというふうに思うんですけれども、御意見いただけましたらお願いします。
  322. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) ありがとうございます。  風評被害も含めて、栃木県産のおいしくて安全な農産品、世界各国に更に展開をしていきたいと思っております。とちおとめ、そして最近はスカイベリーと、すばらしいイチゴも出ているわけでありまして、様々なものを国際展開する機運は高まっていると、そのように考えております。
  323. 清水貴之

    ○清水貴之君 是非よろしくお願いします。  今出していただきましたスカイベリー、とちおとめなんですが、次、その話なんですけれども、こういった非常においしくてブランド力のあるものが、ただ知的財産の保護がうまくいっていないがために、海外にこれ行った場合にはもう自由に作れてしまったり、勝手にその名前が名のられ、もうどんなイチゴか分からなくても勝手に名前名のられてしまったりして、こういったことが非常に大きなダメージになってくるという話があります。岡山県のシャインマスカットなんかもそうですけど、本当においしくて、ブランド力を高めて、高いけれども売れると、農家さんももうかると、そういったものを皆さん努力して作られているんですが、海外に持っていかれたら、先に商標登録されてしまえば全然何か対策を取ることができないという現状ですね。  じゃ、日本として何もできないのかというと、しっかりと国内で品種登録を出して、二百八十三品種、これ農水省の調べちょっと使わせてもらいますが、二〇一四年から一七年の間で品種登録を国内で出したんだけれども、海外で登録出願したのは二十品種だけということなんですね。これはある程度期間が過ぎてしまうと海外での登録はできないから、決まった期間にしっかりと登録をしておかなければいけないわけですが、ただ、現実を考えると、やはりなかなか農家さんなんかでその知識がなかったり経験がなかったりして難しいんじゃないかというふうに思います。でも、ここは非常に重要なところだと思っておりますし、輸出の金額を増やしていくためにも貢献する部分だと思いますが、この農産物の知的財産対策、これについても見解を是非お聞かせいただきたいと思います。
  324. 新井ゆたか

    政府参考人新井ゆたか君) 委員指摘のとおり、我が国の高品質な農産物については海外でも人気が高く、優良品種の流出が懸念されているところでございます。  こうした我が国の優良品種の海外への流出を防ぐためには、海外で知的財産権を確保いたしまして、仮に流出を発見した場合には、栽培や販売の差止め禁止等を行うことができるようにすることが重要でございます。このため、平成二十八年度補正予算から植物品種の海外流出防止対策を開始いたしまして、海外での品種登録を支援することで無断増殖を防止するほか、今年度からは侵害対応のための予算措置をするなど、対策を強化しているところでございます。  このほか、地域で長年育まれてきた高い品質等を有する農産物の名称を知的財産として保護する地理的表示、いわゆるGI制度につきましては、国際協定を結ぶことで海外でも日本のGIを保護することが可能となっております。日EUEPAにおきましては、我が国の四十八品目とEUの七十一品目の農産品の相互保護について合意をしておりまして、この協定発効いたしますとこのGIの保護制度が開始されることになっております。  引き続き、これらの対策を通じまして、我が国にとって重要な農産物の知的財産を保護してまいりたいというふうに考えております。
  325. 清水貴之

    ○清水貴之君 是非よろしくお願いをいたします。  そして、農業分野におけるTPPの影響での国内対策についてなんですけれども、ある新聞記事を見ていましたら、日本のこの国内対策というのは攻めと守りだと書いてありまして、どういうことかといいますと、攻めの対策としては、TPPで競争が激しくなるので、例えば新しい生産設備の導入を支援する、技術研修の支援をする、さっきの話じゃないですけど、ブランド力の強化、こういったところに対策を取っていく、こういったことが攻めの対策だという一方で、守りとしては、牛肉とか豚肉の赤字の補填、この率を上げる、金銭的な補償をするというところですね。あと、米の輸入政府が買い取るとか、こういったお金によって農家さんの収入が減る分を助けていくという、こういったことを守りというふうに書いていました。  守りの部分も、急激に変わる場合、激変緩和措置としては必要かもしれませんが、この守りの部分も私たちは是非攻めに転じるような政策を取っていただきたいなと思います。米がもう海外から入ってくるから大変だ、生産量が減る、お金で何とか助けてあげよう、その補償をしてあげようではなくて、じゃ、お米の品種改良を促して、海外に売れるような、もっと高く売れるようなものを作るための手助けをするとか、そっちの方にどんどん政策、発想を変えていく方が日本農業は強くなるんじゃないかと思いますけれども、これについてはいかがでしょうか。
  326. 礒崎陽輔

    ○副大臣礒崎陽輔君) 大変いい質問をいただいたと思います。  先ほど、国内対策一般のお話もありましたけど、こういう表にしますと、国内生産量がゼロ%減で、何か政府が都合のいい数字を作ったんじゃないかと思われますが、例えば、米はどうするんですかとか、牛肉はどうするんですか、豚肉はどうするんですかと聞いていただければ、納得いけるそれぞれの政策があるわけで、ここは是非そういう御理解をしていただきたいと思います。  その上で、今のおっしゃったように、今後のやっぱり農業TPPの下でも成長させていくためにはやはり所得補填だけでは駄目であって、やはり産業として発展させることが是非とも私は必要だと考えております。  ここ三年、補正予算で、TPPはまだ発効しておりませんけど、体力増強の予算は組んでまいりました。例えば、産地パワーアップ事業であるとか、畜産では畜産クラスター事業、それから最近はICTも活用しておりまして、低コストの水管理システムだとかいう革新的技術の利用、それから、先ほど言いましたように、輸出額一兆円ということで農林水産物の輸出額を一兆円目指して今やる、こういうのは攻めの農林水産業でありまして、そして、今後は、協定発効後には、これはむしろ経営安定対策として、米の政府備蓄米としての買上げ、牛・豚マルキンの法制化と補填率の引上げ、それから糖価調整法に基づく加糖調製品の調整金の対象の追加とか、こういうこともやっていきますので、両方、いわゆる農業を発展させるための政策といわゆる農業を守るための政策、両方我々はコンビネートして、TPPの中で、先ほど言ったような影響がない形をつくっていかなければならない。  そのために、先ほど、もう一度繰り返しになりますけど、個々の産物についてそれぞれ細かい政策を立てて、そして、こういうことは全部関係生産団体とも調整してやっていることでございますので、是非御理解を賜りたいと思います。
  327. 清水貴之

    ○清水貴之君 おっしゃるとおり、もう攻めの部分と守る部分、両方必要なのは大変よく分かるんですが、ただ、これだけやっぱりもう世界的な競争がこれから起きる中で、技術革新も、おっしゃったとおりどんどん農業というのも進化していますので、そういった支援といいますか政策というのも是非積極的に取っていただけたらというふうに思います。  続いて、クールジャパンについてお聞きをいたします。  今回のこの大綱でも、クールジャパン、項目に入っていまして、日本産コンテンツの海外売上高、これを二〇二〇年度までに五百億円を目指すというふうに入っています。ただ、目指す前に、もうこれも先ほどのとちおとめとかスカイベリーとかの知財の話じゃないですが、やっぱり海外で様々な海賊版というのがもう生まれてしまっていまして、すごく大きな日本の損失になっています。日本の、本当に御存じのとおり、もう映画、音楽、アニメも海外で大人気ですから、こういったところが本当にうまく対策が取れていないんじゃないかと思うぐらい。  ちょっと古いですけれども、もし新しい数字あったら教えていただきたいです。二〇一四年では、もうおよそ九千三百億円ぐらいの損失になるんじゃないかというふうに言われています。ここについてはどのように今後、若しくは今やっているのか、若しくは今後やっていく、対策を取っていくんでしょうか。
  328. 川嶋貴樹

    政府参考人(川嶋貴樹君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、映画、アニメ、放送コンテンツといいます我が国のコンテンツはクールジャパンとして世界で注目されておりまして、我が国の経済成長を担う重要な産業の一つであると考えてございます。  我が国コンテンツの海外展開の一層の進展が期待される一方で、海賊版による被害は、経済活動のグローバル化に伴い、地球規模での広がりを見せてございます。業界団体が取りまとめた調査によりますと、海外における日本コンテンツの海賊版による被害額は、推計ですけれども、正規版コンテンツの展開による正規の収入金額の約二倍程度になるというふうに言われてございます。  こうした認識に基づきまして、政府知的財産戦略でございます知的財産推進計画では、コンテンツの海外展開とともに、海賊版対策を重要な柱の一つとして取り上げてございます。具体的には、侵害が発生しております国、地域への官民での模倣品、海賊版対策の働きかけ、あるいは政府間連携、協力の推進、あるいは相手国の取締り機関職員に対する人材育成などにつきまして、関係省庁協力の下、継続して取り組んでおります。  今後とも、私ども内閣府でございますけれども、関係省庁と連携し、海賊版対策の強化を図ってまいりたいと考えてございます。
  329. 清水貴之

    ○清水貴之君 その海賊版あるいは偽物対策というのはしっかりやっていただく一方で、じゃ、正規で日本が海外でクールジャパンやろうとしていても、これもなかなかうまくいっていないことが散見されまして、クールジャパン機構の話、それから、その中の一つ、具体的にANEWという会社、この話を聞きたいというふうに思います。  日本の漫画とか邦画のハリウッド映画化などを目的に、二〇一一年に設立されました。クールジャパン機構が関わって二十二億円を投資、職員も社外取締役として派遣をした。二〇一二年から一七年の間に七本のハリウッド映画の制作を行うと発表したんですが、結局一本も作ることができず、設立二年目以降は億単位の赤字を出し続け、去年の六月には京都市の投資会社に売却と。売却額は三千四百万円、投資額の僅か一・五%で売ったということなんですね。  この会社、何がしたかったんですかね。
  330. 吉田博史

    政府参考人(吉田博史君) 今御指摘の株式会社オールニッポン・エンタテインメントワークス、先生指摘の大体経過をたどりましたが、産業革新機構の出資によりまして平成二十三年十月に設立し、コンテンツの海外市場展開を行うことを目的に、日本のコンテンツを原作としたグローバル市場向けのリメーク映画などの共同プロデュースを行ってきたということでございます。産業革新機構が出資してきた間、御指摘のとおり、七つの企画開発を行い、そのうち一作品については共同開発契約までは締結しているということでございます。二十九年五月、産業革新機構におきまして、今後の事業展開におけるシナジーなどを考慮し、米国拠点の会社に全株式を売却しております。  経済産業省といたしましては、本件は、著作権などの権利関係の整理が想定以上に複雑であったなどの理由から投資としてはうまくいかなかったものと認識している一方で、権利処理のノウハウ蓄積など、一定の意義はあったものと評価をしてございます。
  331. 清水貴之

    ○清水貴之君 一定の意義があったんですかね。  その間も、じゃ、ずっと調子悪い、まあ最初から調子悪いままで、ずっと何も対策を取らなかったかといったらそうではなくて、これ、二〇一四年に十一億円の追加投資、当時の経産省の内部評価基準では順調な経営と評価されているわけですね。  こういったところに更にお金を入れて損失を拡大させているわけですね。こういった評価というのが本当に経産省として正しかったんですか。
  332. 吉田博史

    政府参考人(吉田博史君) お答えします。  産業革新機構の投資案件の意思決定につきましては、当時の産業活力再生特別措置法の条文に基づきまして、社会的ニーズへの対応、成長性、革新性の観点から産業革新機構において判断しております。  経済産業大臣はその際に意見を述べているということでございますけれども、そういう形で産業革新機構におきまして適切に判断しているものと認識してございます。
  333. 清水貴之

    ○清水貴之君 適切に今判断とおっしゃいましたが、それでは決して、何というんですかね、ここから何も学んでいないんじゃないかなというふうに思ってしまいます。もちろん、投資案件ですから、うまくいくこともあって、失敗することもあって、これはもう当然だというふうに思うわけですね。でも、途中で事業も見たときに、さらにそこで順調だといって投資をしていて、それからまた数年してこのようにほぼほぼ破綻状態で安く売却をしてしまっているわけですね。  そもそも、外国からこれプロデューサー連れてきて数千万の給料払って映画七本作る。七本作って当たると思いますか、海外で日本が急に映画作って。すごく難しい作業ですよ。こういうことやるんだったら、例えば、今、是枝監督の「万引き家族」みたいに、もう地道に作られた映画がカンヌで評価されて、日本国内でもはやって海外でもという、こういうところを支援するような、何か、自分たちで何かやろうとするんじゃなくて、こういうサポートの方が僕は正しいやり方じゃないかなというふうに思うんですけれども。  これ、さらに、クールジャパン機構についてもお聞きしたいんですけれども、となると、じゃ、クールジャパン機構そのものなんですけれども、会計検査院、せっかく来ていただいていますので、会計検査院さんが調査をこれしているんですね。会計検査院の最近調査された話をちょっとお聞かせいただけますか。
  334. 堀川義一

    説明員(堀川義一君) お答え申し上げます。  先生お尋ねのクールジャパン機構に関してですが、官民ファンドの業務に係る平成二十八年度末の資産、負債及び純資産の状況等について検査いたしましたところ、株式会社海外需要開拓支援機構、いわゆるクールジャパン機構につきましては、繰越損失等が生じており、純資産の計が資本金等を下回っている状況となっておりました。  また、官民ファンド運営法人における政策目的の達成状況等の評価の状況について、会計検査院が法人全体のKPIをその設定内容により、政策目的、民業補完及び収益性に分類して見たところ、このうち政策目的のKPIについて、同機構が設定している法人全体のKPIは支援を終了した案件のみを評価の対象としており、支援中の案件の進捗状況や達成状況を含めた評価結果が公表されていない状況となっておりました。  以上のようなことなどが見受けられましたことから、会計検査院の所見といたしまして、最終的に国が政府出資等の額を回収できるように、繰越損失を解消するまでの計画等について必要な見直しを継続的に行い、必要な施策を講じていくこと、政策目的のKPIの内容について設定の見直しや評価結果の公表等を検討することなどに留意することが必要であることを記載したところでございます。
  335. 清水貴之

    ○清水貴之君 今、クールジャパンって一つのはやりのキーワードになっていますので、クールジャパンで予算が付くわけですね。このクールジャパン機構も、もう多額、これぐらい投資しなきゃという大きな目標を立てているんですが、じゃ、目標のために投資をして結局中身が良くないという話になってしまうわけです。  しかも、問題は、今、会計検査院はこうやって調査をしていますけれども、基本的には、こういう中の、何というんですかね、損失の状態とか、そういった例えば議事録とかいろいろなものが、民間企業という扱いで公表されないわけです。チェックするような、判断するその中身がないわけですね。この辺も大変問題だと思っていますので、またこのクールジャパンに関してはチェックをしていきたいと思います。  質問を終わります。以上です。
  336. 山本太郎

    山本太郎君 自由党共同代表、山本太郎です。社民との会派、希望の会を代表し、いわゆるTPP11についてお聞きしたいと思います、関連法案ですね。是非、中学生でも聞いて分かるようなやり取りができればと思います。ありがとうございます。  資料の一、TPP11において凍結された項目。これらは、米国離脱したことにより凍結された項目です。凍結されたのは全部で二十二。これらは基本的に米国に有利な項目で、他国にとっては不利になり得る項目でもあります。TPP11にはアメリカがいないんだから凍結しても問題ないでしょうということで凍結が合意されたと。  ラインが引かれた部分、著作権等の保護期間の延長。つまり、著作物等の保護期間を原則著作者の死後五十年から七十年に延長する予定だった部分に関しても、TPP11において凍結項目になりました。凍結項目に対応する部分の国内法の制定は、TPP11参加のために必須ではありません。  資料の二、平成二十九年十二月十一日、TPP11の説明会。澁谷内閣官房TPP調整統括官の御発言が、ありがとうございます、資料にさせていただきました、分かりやすいんです。今回凍結されたものについては、凍結されるので適用されないということで、その義務はなくなるということになる。つまり、十一か国がTPP11を発効するに当たって、この凍結された部分の義務を履行する必要がなくなるという趣旨になる。したがって、著作権は五十年にしなくてはいけないというのを決めたのではなく、七十年に延ばすという義務が凍結されたと御理解いただきたい。要するに凍結されたので、今は国内法をいじる必要がないという御説明をされていると思うんですね。つまり、アメリカ様がカムバックするまでは別に五十年のままでもいいわけですよね。  でも、今回、先回りして国内法を改正して、著作権の保護期間、五十年から七十年に変更しようとしていると。何でそんなことするんですかってことを聞きたいです。
  337. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 引用していただいて、ありがとうございます。  著作権の保護期間の延長を含むTPP11協定において凍結されることとなった事項、まさに私がこう言っているのを御引用いただいたわけですけれども我が国としてこの制度整備を行う国際的な義務は負わないという、おっしゃるとおりでございますが、我が国は、まず、TPP11協定の閣僚声明にありますように、11の協定交渉において、12協定ハイスタンダードな内容を維持するという立場で臨み、なるべく凍結項目は限定しようという、そういう趣旨で日本が主導してまとめたというのが一点目でございます。  二点目に、TPP11協定交渉を主導してきた我が国として、12のハイスタンダードを維持するというそういう交渉中の立場を一貫して具体的に実践することにより、凍結項目の解除等を十一か国で将来議論する際も、我が国が既に国内整備済みだということを背景に議論を主導しやすくなるという効果が期待されること。  三点目に、凍結項目については、まさに私が言っているとおりでございますけれども、義務はなくなったわけですけれども、するなということではないわけですので、各国判断で実施することが可能だということでございます。  政府として、11協定発効を機に、全ての凍結項目を含む12協定の内容について我が国としては実施するという判断をしたところでございます。
  338. 山本太郎

    山本太郎君 大臣、これ、今すぐはやらなくてもいいんだけど先回りして先にやっておくよということに関しては、欧米の基準であったりとかグローバルなルール日本国内法を近づけるということの理解でいいんですよね、今の御説明だったら、恐らく。  そういうことって必要な、大切なことなんですかね、いかがでしょう。
  339. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 今、澁谷統括官の方から説明、答弁をさせていただきましたように、まず今回、TPP11をまとめるに当たっては、ハイスタンダードなものにしたい、凍結項目はできるだけ絞り込みたいと、こういう日本側は主張をしてきたわけでありまして、そういった立場に沿っている。さらには、将来的にこの凍結を解除していくというときに、日本は既にこれは実施済みなんですと、七十年にできています、こう言う方が当然説得力もあるという形であります。  そして、委員、欧米の基準と、こういう形で御指摘をいただきましたが、グローバルな基準なんだと思います。いかに日本がグローバルな基準を作っていくことを主導するかということが今後重要になってくると私は考えております。
  340. 山本太郎

    山本太郎君 グローバルスタンダードを日本国内法でやっていくんだと、先にその姿勢を示すということが大切だということでよろしいですか、いかがでしょう。
  341. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) そういう姿勢も大切であります。同時に、先ほど来、日本の優れたコンテンツであったりとか、そういう議論も行われているところでありますが、著作権等の保護期間延長、そして長期間にわたりそこから収益が得られるということになりましたら、新たな創作活動であったりとか新たなアーティストの育成と、こういうものが進みまして、委員も芸術の世界にいらしたからよく御案内だと思いますけれど、文化の発展と、こういったものにも寄与することが期待されると、このように考えております。
  342. 山本太郎

    山本太郎君 ごめんなさい、何度もやり取りして申し訳ないんですけど、そのグローバルなハイスタンダードという部分を日本が引っ張っていくということが大切か大切じゃないかということを教えていただきたいんです。  これ、今回、国内法というものをそのままにしておく、凍結になったんだからもう一回戻してもいいわけじゃないですか。そうじゃなくて、グローバルなハイスタンダードルールを、日本国内法をそのままにして、これは世界に対して引っ張っていくという姿勢を見せているんだと、こういう姿勢というのは大切だということでいいですか。
  343. 柘植芳文

  344. 山本太郎

    山本太郎君 違いますよ、大臣ですよ、御説明いただきましたから。
  345. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 澁谷さんが先に答えてください。
  346. 山本太郎

    山本太郎君 澁谷さん、ここ答えるところじゃないんですよ。  はっきりと言っていただいていないから。グローバルなハイスタンダードルール日本が牽引していくということが必要だという理解でいいんですよねということで、それは大切なんですかということを聞いているんで、大切であれば大切であるということをお答えいただきたい、大臣に。
  347. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) TPPを始めとした新しい共通のルールハイスタンダードルール、こういうルール作りを日本が主導していくと、こういったことは極めて重要だと考えております。
  348. 山本太郎

    山本太郎君 よりによってどうしてこれなのかなという話なんですよ。ハイスタンダードな、グローバルでハイスタンダードルール日本が率先してやっていくという姿勢、今まで余り見られてこなかったんですよ。さんざんいろんな条約批准しておきながら国内法そのままでというよりも、世界中から非難されているのにグローバルでハイスタンダードルールに置き換わっていないんですよ、日本国内ルールが。  例えば、一九七九年に批准した市民的及び政治的権利に関する国際規約、自由権規約、B規約について、二〇一四年七月十五日、十六日にジュネーブの国連欧州本部日本政府に対して、男女平等、ジェンダーに基づく暴力、ドメスティック・バイオレンス、性的指向及び性的認識に基づく差別、ヘイトスピーチ及び人種差別、死刑、慰安婦に対する性奴隷慣行、人身取引、強制労働被害者、技能実習制度、非自発的入院、代替収容制度、代用監獄及び自白強要、庇護申請者及び不法移住者の退去及び収容、ムスリムの監視、公共の福祉を理由とした基本的人権の制限、特定秘密保護法、福島原子力災害、体罰、先住民の権利、アイヌの人々、琉球、沖縄などの是正を勧告。  是正のために何かしら法改正されたものって何だろうって。強いて言えばヘイトスピーチの対策法と技能実習法くらいですかね。その問題の根本の解決を目指すような改善はしていない。結局は、勧告まで受けておりながら、そのまま手付かずなんですよ。  ILO、国際労働機関からは、一九六七年八月二十四日に批准した同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約に対して、同一の職務、職種、雇用管理区分を超える広い範囲での比較が一般的に行われていない、男女格差があると指摘を受けているが、国内法の改正、制定は行っておらず。同様に、一九九九年七月二十八日に批准した民間職業仲介事業所に関する条約に対して、派遣労働者の権利保障のための法的枠組みの必要性についても全然国内法整備されていない、指摘されていますよ。完全無視ですよ。ハイスタンダード、グローバル、何の話ですかって。優先順位何か違うんじゃないですかって。  ほかにも、一九七九年に批准した経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、A規約について、高校教育授業無償化プログラムから除外されている朝鮮学校を適用すること、学校に通っていない多数の外国人児童も義務教育に適用すること、中等教育、中学、高校で入学料、教科書費も無償対象に入れること、過労死、過労自殺が発生し続けていることへの懸念、社会権規約委員会が、二〇一三年五月、日本に対しての総括所見で勧告。無視どころか、今、国会でも高度プロフェッショナル制度みたいな過労死促進法、労働環境の破壊し続けるようなものを生産し続けているじゃないですか。  今私が読み上げたようなものに関しては、アップデートする必要ないんですか。ハイスタンダードでグローバルなルール日本が牽引するような形、牽引どころか置いていかれていますけれども、このようなものも当然アップデートしていく必要があるというふうに大臣は御認識されているということでよろしいでしょうか。
  349. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 様々な国際条約があります。世界の百九十数か国で全ての条約を批准している国というのは私はないと思います、私の記憶が確かであれば。そうすると、それぞれの国が置かれている国内状況等々に従いながら、国際約束、国際的なルール、これに対応していくという形でありまして、個別の問題、個別の課題について、それはアメリカの場合もフランスの場合も日本の場合も、条約に入っていない、こういう状況は生まれるんだと思います。  個別具体的な条約に対する日本対応につきましては、担当府省の方にお尋ねいただければと思います。
  350. 山本太郎

    山本太郎君 批准しているものに関しても、どうなってんの、これって。批准しているよね、おたくらって。全然それが是正されていないんだけど、ちょっと変えた方がいいんじゃないのという話をされているわけですよ。数々の事柄を勧告されてまでも、アップデートどころか長期間放置しっ放し。なぜ著作権の保護期間だけは、凍結されているにもかかわらず元に戻さないんですかって話なんですよ。優先順位よく分かんないなって。  多分なんですけれども、これ、もっと別の事情がある。というのは、やっぱり環太平洋でもっとビジネスしやすくしようよというような元々のものがありますよね。もっと自由貿易やっていこうよという元のものがあるから、恐らく著作権に関しては、この将来性ということも含んでビジネスチャンスがあるから、ここに関してはまずやろうと、この七十年を五十年に戻すんじゃなくて、そのまま置いておこうという感じなんですかね。ビジネスチャンスという部分も大きいんですか。いかがでしょうか、大臣
  351. 永山裕二

    政府参考人(永山裕二君) 今回TPP11の締結に当たりまして、著作権の保護期間については、凍結されているものを日本として率先してといいますか、保護期間の延長をするという判断をしたのは、TPP本部、これ政府全体の立場として全ての凍結項目について実施するという判断があって、それを踏まえて政府として決定したものでございます。  当然、文化政策、著作物の振興という観点からも、保護期間が延長されれば、当然それが次の創作活動につながったり次の創作者の育成につながったり、また中長期的に見れば、漫画とか音楽、日本の競争力のあるコンテンツが海外に浸透することによって中長期的には収入が増えていくという様々なメリットがあるというふうに考えております。
  352. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。  今お答えいただいた方のお答えを受けて、大臣、やはりそういう中長期的な部分を見たとしても、日本は、凍結されているけれども七十年のままでいいじゃないかと、もう一回五十年に戻してというよりも、このままでいて世界にその姿勢を示そうと。これ、中長期的なそのビジネスチャンスという部分につながるというビジョンがおありだからそうなったんですかね、いかがでしょうか、大臣
  353. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 先ほども答弁申し上げましたが、単にビジネス的な観点だけではなくて、先生もその世界にいられたから御存じのようにということを申し上げた上で、文化の振興にも寄与するということを明確に私は申し上げさせていただいたと思います。  さらには、この著作権の延長と凍結につきまして、全体的にはハイスタンダードを維持しながらバランスを取るという観点から凍結項目二十二項目設けたわけでありますが、日本としてはできるだけこの凍結も少なくしたいと。しかし、そこの中で早期に十一か国の合意を取りたいという観点から、様々な利害調整をして取りまとめたものであります。そういった日本立場、さらには今後この凍結を解除する、将来的にそういう場面において、日本は既にこういった措置を国内的にもとっているんだと言った方が当然説得力があるわけですから、そういった観点も含めて今回のような対応を取らさせていただいているということであります。
  354. 山本太郎

    山本太郎君 だって、そもそも凍結ってアメリカ待ちの凍結なわけでしょう。アメリカがいないんだからそこ凍結しようという話になっているわけで、それを示すも何も、アメリカが帰ってきたら凍結が解除されるというだけの話なんじゃないですか。日本がそのままやっているからどうだという、その姿勢を見せるという話ではないと思うんですけれどもね、TPP11の中では。  でも、先ほど御答弁、その前に御答弁いただいた方が、中長期的に見たらビジネス的にすごく将来性がある部分も考えられるだろうというお話をされたんですけれども、では、この著作権、五十年から七十年になるに当たって、改正するに当たって、どのように利益が出るのかという部分を試算されましたか。
  355. 永山裕二

    政府参考人(永山裕二君) お答え申し上げます。  著作物は、いわゆる動産とか不動産の有体財産とは異なり、無体財産でございます。また、その種類は様々なものがございます。さらに、著作権というものは、無方式主義と言っていますが、登録を要することなく発生するものであることから、市場において利用されている著作物を把握した上で、それが保護期間の延長によりどのような影響を受けるのかを定量的に試算することは困難であるため、試算は実際には行っておりません。  なお、政府のクールジャパン政策等におきましては、アニメ、漫画などの著作物を利用したビジネス、我が国の重要な輸出産業と位置付けられておりまして、特に我が国のコンテンツの国際的な競争力が高い分野を中心に長期的にわたり人気コンテンツが利用されることで、中長期的には、先ほど申し上げましたが、著作権料収入の増加につながるものと期待しております。  以上でございます。
  356. 山本太郎

    山本太郎君 つながると期待していると言ったって、だって試算もしていないんでしょう。日本の漫画が、アニメが人気だからという理由ですか。何か全然説得力ないんですけど、それで五十年が七十年にされているという理由になるのがちょっと不思議だなと思うんですよね。だって試算もしていないんだから。  著作物は無体財産であり定量的に試算することは困難と言いながら、これはまた別の部分ですけれども、ほかの部分で見れる部分があると。  資料の三、日銀国際収支統計。ここ五年の著作権等使用料は毎年年間八千億円もの巨額赤字で、その大半は対米赤字であるということは皆さん御存じのとおりです。当然ですよね、アメリカは著作権分野だけで年間十兆円強という驚異的な外貨を稼いでいる、世界を席巻するコンテンツ、IT系企業がほぼ米国勢で寡占されているということは有名なお話。例えば、身近なところで、ほとんどのパソコンに入っていますマイクロソフトのウィンドウズ、ワードやパワーポイント、エクセルなどのオフィスソフト、アイフォン、スマホのOSであるアンドロイド、ほかにもフェイスブック、ツイッター、インターネット検索サービスならグーグル、ヤフーなどがあり、そのほかにも多くの米大手企業やベンチャー企業がIoTや人工知能関連の新しい技術をどんどんどんどん世の中に登場させており、どう考えても日本がこの分野で黒字化することは至難の業としか言いようがないんじゃないですか。  アニメや漫画を売り出していけば日本の著作権ビジネスが潤うとも聞きます、というか政府側からね。圧倒的なアメリカからのコンテンツ輸入額から比べれば、圧倒的に小さな額じゃないですか。著作権の期間が二十年延びればそれだけ国際収支の赤字額は大幅に増えること間違いないんじゃないですか。誰が一番もうけられるかといったら、そのほとんどアメリカのじゃないかという話なんですよ。誰をおもんぱかったんだという話なんですよ。凍結無視。凍結されているんだからもう一回戻せばいいやんって話なんですよ。二十年延ばすことによって特に得する人たちがいるんだろうって話なんですよ。  いかなる国とも国益に反するような合意は行うつもりはないということは、我が国としては、攻めるべきは攻め、守るべきは守り、最善の結果を追求していくとの意味であり、この方針に変わりはないと本会議でも言われていました、総理がね。だけど、何か信憑性ないんですよ。だって、どれぐらいもうかるかも試算されていないし、普通戻すだろうって、凍結されているんだよって。  資料の四、著作権の延長が凍結になり、ニュージーランドが出した声明。直訳で申し訳ないです、読みます。ニュージーランドは著作権の保護期間を五十年から七十年に延長する必要がなくなります。映画や録音、録音された音楽を含むの著作権は、刊行された年の終わりから五十年後に失効します。書籍、脚本、音楽、歌詞、芸術作品の著作権は、作者が死亡した暦年の終わりから五十年後に失効します。ニュージーランドの消費者にとって、この延長の長期的な費用は年間五千五百万ドルと推定されていました。これは、元のTPP協定の国益分析における主要な定量化可能な費用の一つでした。これがニュージーランドが出した声明なんですって。  著作物は無体財産であり定量的に試算することは困難と言う日本とは大違い。延長されなかったから五千五百万ドル浮きましたよ、そう声明出されているわけですよね。国益を損なうような交渉をしないためにも国益分析は当然きっちりと行っているんだという話なんですよ。日本はお経のように国益に反する交渉は行っていないと繰り返すが、行っていなかったのは国益に反する交渉ではなく著作権延長に関する試算の方でしたねという話なんです。  TPP米国が入らなかったのは内容に不満があったからですよね。アメリカ様に入っていただくためには、普通に考えて当然再交渉あるでしょうって。TPPに戻ってきてくださいとのお願いがアメリカに届かない場合には、当然先々、日米FTAだったりとかという交渉も安倍政権ではあり得るかもしれない。今日、先生方が皆さん御懸念されていましたよね。  著作権、五十年から七十年というカード、交渉のためのカード、そのためにも置いておくというのが国益を守るための姿勢ではないんですかって。凍結なのにわざわざ今回関連法案として、凍結なのにわざわざ、一回戻せるのに戻さない、交渉カードを何の交換もなく差し上げたまんまにするという話なんですよ。これ、おかしくないですかって。グローバル、ハイスタンダードということのためだけにこのカードを手放したまんまにするんですかって。  著作権五十年から七十年を凍結させずに七十年のままにしておくんだという判断、これ、考えたの誰なんですか。総理ですかね、それとも大臣ですか、それともほかの人なんですかね。これを発案された方、御存じだったら、大臣、教えていただきたいんですよ、お名前を、その方の。
  357. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 政府全体としてそのような判断をさせていただいたものであります。  そして、なぜそのような判断をしたかにつきましては、先ほども答弁を申し上げたとおりでありますが、国内の政策、これをどのような形で進めていくか、まさに国益に沿って進めるものでありまして、何らかの外交交渉のカードに使う、これを基本にして政策というものは決められるべきではない、これが国際社会の常識だと考えております。
  358. 山本太郎

    山本太郎君 あれっ、ぎりぎりのところで交渉していたとか、タフネゴシエーターとかと言われる人いなかったですか、何か御病気になられる前までは。TPPの特別委員会にはほとんど出てこなかった方ですよね。交渉があるから交渉行ったんでしょう。言われていたじゃないですか、ダナンに行かれたとかサンティアゴに行かれたとかという話もされていたじゃないですか。大臣はね、違いますよ、ごめんなさい、甘利さんの話です、今の前段は。申し訳ございません。(発言する者あり)いや、駄目ですか、今までの、だって歴代の方々がいらっしゃるわけじゃないですか。その方々がやられてきたことは交渉なんですよね。  国内のことを交渉の場でカードとして持ち出すというのはまずいんですか、だって。だって、関税、非関税障壁に関して、これ世界の国々と環太平洋の中でこれハードル下げていこうという話なわけでしょう。だったら、交渉するに決まっているじゃないですか。普通の話でしょう、それ。  近時の国家間交渉においては、単一イシューの条約よりも複数イシューの通商条約が選ばれやすいと。その理由は、例えば、途上国に薬などの知的財産権を保護する内容を認めさせる代わりに先進国が農業の市場アクセスの拡大を認めるなど、こちらにはそれほど重要ではないかもしれないけれども相手の欲する項目を譲歩し、差し出し、こちら側の最重要項目を得るという交渉をすると。だって、その方が妥結しやすいやんって話なんですよね。  にもかかわらず、自ら著作権延長カードを交渉前に手放す。日米FTAなどにおいて、農業分野等での更なる譲歩を迫られることになるのは明らかじゃないかって。当然、これ同じように手放したのはセーフガードもありますけど、何もやっていないじゃないかという話になるんですよ。  交渉のカードを自ら手放すってどういう話なんだということですよ。この決定をした人間、そのセンスを疑う、そう言うしかないんですよ。だから、どなたですかって聞いたら、政府全体で決めたって。いっせいので言うたんですか、じゃ。誰か発端がいる、あるはずじゃないですか、この人がそこの部分を引っ張っていたという。大臣、教えてくださいよ、その人の名前を。
  359. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 政府全体としてそのような決定をさせていただいたところであります。  もちろん、累次答弁をさせていただきましたように、TPP11におきましても、それぞれの参加国、様々な利害というものがあるわけでありまして、その利害を調整した上で難しい交渉をまとめて、三月八日、チリのサンティアゴにおきまして合意に至ったという形でありますが、私が申し上げたのは、国内の政策を進める、正しいと思う政策を進めるということと、必ずしも、外交交渉で全てカードに使うということは違うということを申し上げたわけでありまして、国内政策でしっかりいいことをやっていくということを、国内政策上はいいことなんだけど、日本の発展にはつながるけど、交渉があるから何にもしない、こういう姿勢は恐らくどの国も取らないだろうということであります。
  360. 山本太郎

    山本太郎君 ちょっと言っていることがよく分からないですよ。だって、凍結になったんでしょうって、凍結になったんじゃないですか。ということは、七十年を五十年に戻してもいいんですよ。だって、これ、アメリカからしたら有り難いカードですよ、五十年から七十年にということは。戻せばいいやんという話なんですよ、交渉カードの一枚になるやんって。それもなく、手放しであげるということが、一体誰の代理人なんだって話になっていくんですよ。意図的に別の国の国益を優先したとしか思えないような様々なことがあるじゃないですか、著作権だけじゃなくて、セーフガードの話もそうだし。  加盟予定国以外で、TPP参加したいとの希望があれば、太平洋以外の地域や国からの希望があれば対応可能ですかということを事前にお聞きしたんですよね、省庁に。そうしたら、今日もいろんなお話がありましたけれどもコロンビアだったりとかイギリスだったりとかタイだったりとかというところから興味を持たれているというお話なので、歓迎したいというお話なんですよね。  で、TPPの中で、私、懸念するのがISDS条項なんですよ。当然ですよね。WTOでの紛争解決はパネルだと、国対国なんだという話なんですけど、これ違うじゃないですか、ISDSは。投資家が国を訴えられるんだからという話ですよ。  この後もいろんな、例えば南米エクアドルで石油開発事業を行ったアメリカ企業のシェブロンの子会社が大規模な環境汚染を起こしたのに、地元で裁判所が損害賠償をという話になったのに、これをISDSで訴えられて仲裁廷に持っていかれて逆転されちゃったという話もある。その国に生きている人たちの憲法上の権利であったりとか、被害を被ったという民法上の当然の権利までも覆されるのがISDSだという話を本当はもっと詳しくしたかったんですけど、やり取りが、ごめんなさい、スムーズにいかなかったので、先に行きますね。  このISDS、当然凍結の項目には入っていますが、恐らくこの先、アメリカが帰ってきたらまたISDS復活ですよね。  これ、日本は訴えられないということをずっと言われていたんですよ。日本はISDSで訴えられづらいって、考えづらいって言われていたんです。どうしてですかと言ったら、今まで一回も訴えられたことがないからというのがTPPの特別委員会、数年前の特別委員会でずっとお話しだったんですよね。でも、そうじゃないだろうって。日本投資側だから、相手国に入って投資をする側だったから、今までISDSを結んでいたようないろんな途上国みたいなところが日本側に入ってきて投資をするということはないだろう、なかなかという話だったんですよ。  でも、今回、TPPになってから違うでしょうって。例えばPFIとかどうですか。海外企業、日本に入ってきますよ。そのときに何か投資側から言われる可能性もあるわけじゃないですか。しかも、そのPFIに関してというよりも、このTPPの枠組み、もっと広げたい、歓迎したいという話になっているわけですから。  先日、梶山大臣と、PFI、本委員会のPFIの審議でちょっとお話をさせていただいたんですよ。で、結局、地元優先でできるという話をされていたんです。でも、最後に言われた言葉があるということなんです。要は、WTOにおける基準額という話ですね、その話をなさった。TPPと同じ額ですよね。例えば政府調達、十五章ですよね。このTPPで、TPPWTOも同じぐらいの値段、中央政府で七億円ぐらいですか、地方政府で二十億円ちょっと超えるぐらいですか、その額を超えたら、WTOだったりとか、恐らくTPPであったりとかというもののルールの中で守られるよという話なんですけど、PFIの中身いろいろ見ていくと、過去事例、二〇〇〇年から見ていくと、その中身のほとんどがその基準額を超えるような大型のPFI事業だらけなんですよ。ということは、海外資本どんどん入ってこれるねという話なんですね。これ、非常にやばい話なんですよ。  先日のやつでもちょっとお話ししたんですけれども、資料を順番に見ていただけたら分かると思います。例えば、資料の六、TPP第十五章、政府調達の附属AのG節。この章が日本のPFI法に基づく事業にも適用される規定ですよね。資料の八、都道府県、政令指定都市がロックオンされると。資料の九、内国民待遇、差別はできない。資料の十、内国民待遇の規定があり、これはTPP九章ですよね、内国民待遇という部分と合致するという部分で、十五章違反は九章違反にもなり得るという話なんですよ。  これ、かなり世界中からもISDSって避けられていて、今回のTPP11でも、各国がサイドレターでTPP使わないようにしようぜということは、もうカナダでもニュージーランドでも、その辺の周辺の国家といろいろ約束事を結んでいるんですよね。恐らくヨーロッパの協定に関しても、ISDSということで、投資の章が結べない状態になっていると思うんですけど。  これ、ISDSにこだわる理由というのは何なのかということを知りたいんですよ。二十一世紀型のルールを目指すという話なんですけど、今やもうISDSのやり方が時代遅れの状況に入ってきちゃっていると思うんですね。ハイスタンダード、グローバルというところからは外れて、最先端ではなく、今やヨーロッパが提唱しているようなICSのような常設の裁判所、一回だけで終わるんじゃなくてもう一回控訴できる裁判所も常設しようじゃないかという方向に今変わってきているじゃないですか。  大臣日本のISDSというものの考え方を、ヨーロッパの方向、ヨーロッパが考えているような、今もう二国間ですけど動いていますよね、ヨーロッパでは。こういう形に変更していくというか、変わっていくという可能性はあるんですかね。
  361. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) TPP11に盛り込まれましたISDS、これまでの経済連携協定投資協定のISDSの制度と同様に、投資受入れ国の政府我が国投資家の利益を不当に侵害させないという現実的な効力及び抑止効果を持つものであると理解をいたしております。  一方、日本にも当然投資というのは入ってくるわけでありますが、投資受入れ国が公共の福祉に係る正当な目的のために必要かつ合理的な措置を講ずることは妨げられないことと、こういうふうになっておりまして、我が国として適切な対応を取っていると考えております。
  362. 山本太郎

    山本太郎君 済みません、一人で焦っていたのは終わり時間を五分見誤っていたんですよね。済みません、もうちょっとちゃんとゆっくりやればよかった。ありがとうございます。もう少し茂木大臣とゆっくりお話しできそうです。ありがとうございます。  ISDSもちゃんと使われているんだよという部分をお話しいただいたと思うんですけれども、でも、そういう使い方がなされていないといいますか、どちらかというと、投資家村というか仲裁村みたいなものがもう既にでき上がってしまっていて、金額が高い案件になっていくと集中的にその裁定に関わる人間が決まってくるというような調べもいろいろされているんですよね、いろんなシンクタンクから。  世界中が何を言っても、資料の十三なんかを見ていただくと、またニュージーランドの政府プレスリリースになるんですけど、皆さん御存じのとおり、五つの国、ブルネイ、マレーシア、オーストラリア、ペルー、ベトナムとISDSを互いに排除する旨のサイドレターを交わしていると発表していると。つまり、ニュージー、ペルー、ベトナム、オーストラリア、ブルネイ、マレーシアの間では、TPPに加盟していてもISDS使わんとこなという話なんですよ。  ほかにも、資料の十四、カナダ政府のプレスリリース。カナダ、チリ及びニュージーランドは共同宣言を発表したと。ISDS条項について、責任ある形で利用すること、国家による領域内での正当な公的政策の権利を再確認することなどをこれ約束していると。かなり皆さん、ISDSに対して、これやばいぞという感じになっているということなんですね。  だけど、こういう例えば、何ですかね、サイドレターであったりとかという部分に関しては声掛かったんですかね、日本に、一緒にやらないかとかということを。短めに教えてもらえますか、時間がないので。ありがとうございます。
  363. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) TPP12交渉のときから我が国はISDS推進派でありまして、そういう立場各国に非常によく知られていたと。  それから、12のときも豪州とニュージーランドで同じようなサイドレターを結んでいるわけでありますが、いつだったか、首席交渉官が集まった雑談の場で、これは私自身が言ったのでよく覚えているんですが、民間企業が提訴できるというその権利を国際協定で認めているのに、国同士でサイドレターを結んでやめようねというのはどういう意味があるんだ、効果ないじゃないかということを私が問いかけたところ、全く返事がなかったということもありましたので、恐らく声が掛からなかったんじゃないかというふうに考えております。
  364. 山本太郎

    山本太郎君 ISDSに対して打つ手なしだという話なんですよね、恐らく、そういう話になっていくと。そういう話にならないですか、だって。投資側から訴えられることを、国同士で約束してどうやって止めるんだという話ですよね。澁谷さんが直接聞かれた言葉なんでしょう。ISDSは投資側から訴えられちゃったらもうどうしようもないんだろう、意味なくないかという話をしたということですよね。でも、お互いの気持ちを確認したということではすごく大きい話ですよね。  これだけ多くの国がISDSに対して非常に危機感を覚えているということに関して、当然、二十一世紀型のルールをとかという話になっていて、ハイスタンダードでグローバルでと言っているんだったら、これISDSの在り方、超推進国の政府に対してやめてくれという話も変ですけど、なかなか聞き入れられないでしょうけど、世界とやはり周回遅れみたいな状況でそれを牽引し続けるのは非常に危険じゃないかと思うんですね。  最後に、資料の十六、EUの提案しているICS、その特徴という中身を皆さんそれぞれまた見ていただきたいんですね。どういうことかというと、先ほど言いました、カナダやベトナムとのFTAでは、EUはISDS条項に代わる紛争解決方法として常設の投資裁判所を設置することを合意したんだよということなんですよね。一回勝負じゃないんだということなんですよ。もう一回控訴できる、それも常設の裁判所があるという、そういうセーフティーネットですよね。今のままだったらちょっと戦々恐々となる状況であるからこそ、国同士はレターを交換し合っているという状態。  このISDSがある限り、だって、皆さん、さんざん言っていたじゃないですか、ISDSについて。国家主権奪われるとか、野党時代言われていたじゃないですか。だからTPP駄目なんだということにISDSをまず声高に挙げていたじゃないですか。  残念、今日読み上げるつもりでたくさん用意してきたのに……
  365. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 時間が過ぎておりますので。
  366. 山本太郎

    山本太郎君 分かりました。次回に譲りたいと思います。  ありがとうございます。
  367. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  368. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  環太平洋パートナーシップ協定締結に伴う関係法律整備に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  369. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  370. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  371. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  環太平洋パートナーシップ協定締結に伴う関係法律整備に関する法律の一部を改正する法律案について、農林水産委員会から連合審査会開会の申入れがあった場合には、これを受諾することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  372. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  373. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  374. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 次に、連合審査会における政府参考人出席要求に関する件及び参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  環太平洋パートナーシップ協定締結に伴う関係法律整備に関する法律の一部を改正する法律案審査のための連合審査会政府参考人及び参考人出席要求があった場合には、その取扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  375. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時七分散会