○
山本太郎君
山本太郎です。
私は、
株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法の一部を改正する
法律案に対し、
反対の立場から
討論をいたします。
いわゆるこの二重
ローン法案をざっくり言うと、
被災地で
事業をしているが借金で身動きが取れない
方々の
債務を肩代わりして
復興の後押し、その
法律の
期間延長を行うもの。その
重要性、私も大いに理解していますが、
本当の
復興を成し遂げるために大切な部分を追加する
必要性を強く感じ、
修正案を準備いたしました。
しかし、
修正案提出は認められませんでした。ぎりぎりでの
提案がその
理由だそうです。その上に、
質疑も許されない。結果、このような
討論のみになりました。これは、
国会議員の
質問権を奪う行為ではないでしょうか。
質問させない
理由を、
日切れ法案であり、
期限があることをその
理由に挙げられました。
期限切れまではまだ二十二日あります。それでも早く上げる必要があるというならば、
さきの
国会で
議論する場をつくるべきではなかったでしょうか。
本
法案に限らず、
さきの
国会では十分に
復興について
議論ができる場がなぜつくられなかったのでしょうか。昨年五月十日を最後に
復興特での
質疑は行われていません。その原因は、野党の求め続けた憲法に基づく
国会開会の要請を無視し続けた
政権にあるのでしょうか。意味不明な
国難解散などにより、
国会がなかなか開かれなかったからでしょうか。
本
委員会では八か月以上も
復興について
議論なし、本
法案に対して
質疑もさせない
理由は、
委員長提案で
全会一致で通すはずだったものに波風を立ててほしくなかったからでしょうか。
理由はどうあれ、
被災地の
復興なくして
日本の未来はないと言いながら、
被災地の声を届けるための場所で質問することもできないとは余りにもおかしな話ですが、ぎりぎりの御判断で何とか
討論の
機会だけでも与えてくださった
委員長、与野党の
理事、
委員の
皆さんにはお礼を申し上げたいと思います。
本題に入ります。
本
法案で一番の懸念は、
原子力事故により
避難区域に指定されたエリア、現在は解除され
帰還できるとされている
地域、帰りたいけど当面は帰れない、帰らないと判断された
方々が大勢いらっしゃいます。
理由は、線量が高いというものはもちろんのこと、
インフラや
帰還住民の少なさなど様々でしょう。
本
委員会に参加されている
皆さんにお聞きしたいんです。
皆さんが
政治家として
被災地で実現したいことは、
本物の
復興ですよね。地震、津波、
原発事故によって壊されたコミュニティー、
人々のつながり、
営みを
復興させるんですよね。
では、
復興はどこまでやれば成功でしょうか。
住民の十分の一が戻れば
復興完了ですか。
住民の半分が戻れば
復興したことになりますか。
皆さんが考えていらっしゃるのは、その程度のせこい
復興ではありませんよね。少なくとも、
震災前の
状態に戻る、又はそれ以上の
営みやにぎわいが生まれる
状態になってこそ、
本物の
復興ですよね。
楢葉町では、継続的に公表している
避難が解除された
地域にどれだけ人が戻ってきたかを示す
住民居住率、昨年末では三〇・八五%。これと同じ要領で、飯舘村、浪江町、富岡町の
居住率を計算すると、一〇・二%、二・六七%、三・〇一%です。実際、
避難指示解除されても
帰還率は低いまま。
ちなみに、
復興庁としては
住民の
帰還率さえ把握していません。何をもって
復興庁を名のっているんでしょう。憤りを感じます。これまで行われていた
帰還を前提とする
施策では
本当の
復興は難しいということを認識する必要があるのではないでしょうか。これでは、
復興庁が廃止される三年後以降は、
人口減が加速していくことが目に見えます。
本
法案に該当するのは、既に戻っている
人々です。当面は
被災地に戻れないが、いつか戻って
復興に寄与したいという気持ちを持った
方々は含まれていません。ここを含む
施策がなければ、将来
本当の
復興に
結び付きようがありません。当面は戻れない、そう考えるいわゆる
避難者の
皆さんは、
現行法十八条三項にもあるとおり、「
自己の
責めに帰することができない
事由」、これがあったわけです。それによって
避難しているんです。今
避難している人が直ちに
帰還できないのも、彼らの
責めに帰すべき
事由じゃない、そういう話です。
本
法案の
適用者を戻っている
人々のみ限定の
支援とすれば、逆に、当面は戻れない、でもいつか戻りたい、そう考える
人々の
機会を奪うことになりませんか。そういった
人々が将来故郷で
事業をするためにも、今支えておかないと、戻ってこようという意欲すら失われませんか。戻ってくるためにも、今手を差し伸べなくてどうするんですか。戻ってきたら手を差し伸べるけど、戻ってこなければ差し伸べない、これでは結局、将来戻ってくる人の数を最終的に減らすことになります。
今回かなわなかった
修正案には、附則として、政府は、
東日本大震災によって
被害を受けたことにより過大な
債務を負っている
事業者であって、当面は
東日本大震災の
被災地域以外の
地域においてその
事業の
再生を図る者に対する
支援に必要な方策について、
機構法の一部を改正する
法律の施行後速やかに
検討を加え、その結果に基づいて、必要な法制上又は財政上の
措置、そのほかの
措置を講ずるものとするものとする。このように対策を取るように求めていました。この当面、この当面という文言に私の思いを込めさせていただいておりました。
どうか、今後、
復興特別委員会が
本物の
復興に向けて多くの
議論がなされる場になるように、よろしくお願いいたします。
核災害の
被害者である
避難者を将来の
復興に寄与する
人々として含まない
復興の考え方、今回の
法案に関して
質問権が奪われたことはもちろん、ここまで開かれない
委員会運営や
政権の口だけ
復興に対して、本
法案に
反対をもって問題提起したいと思います。
ありがとうございました。