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2018-06-07 第196回国会 参議院 総務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十年六月七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月四日     辞任         補欠選任      太田 房江君     岡田 直樹君      こやり隆史君     自見はなこ君      古賀友一郎君     武見 敬三君      森本 真治君     古賀 之士君  六月五日     辞任         補欠選任      武見 敬三君     古賀友一郎君      松下 新平君     吉田 博美君      古賀 之士君     森本 真治君  六月六日     辞任         補欠選任      岡田 直樹君     太田 房江君      自見はなこ君     佐藤  啓君      吉田 博美君     松下 新平君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         竹谷とし子君     理 事                 島田 三郎君                 堂故  茂君                 森屋  宏君                 秋野 公造君                 吉川 沙織君     委 員                 太田 房江君                 片山さつき君                 古賀友一郎君                 佐藤  啓君                 二之湯 智君                 松下 新平君                 溝手 顕正君                 山崎 正昭君                 山田 修路君                 山本 順三君                 魚住裕一郎君                 礒崎 哲史君                 森本 真治君                 江崎  孝君                 杉尾 秀哉君                 那谷屋正義君                 山下 芳生君                 片山虎之助君                 又市 征治君    国務大臣        総務大臣     野田 聖子君    副大臣        総務大臣    坂井  学君    大臣政務官        総務大臣政務官  小林 史明君    事務局側        常任委員会専門        員        小野  哲君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       平垣内久隆君        内閣規制改革        推進室次長    林  幸宏君        総務省自治財政        局長       黒田武一郎君        総務省情報流通        行政局長     山田真貴子君        消防庁次長    緒方 俊則君        国土交通省総合        政策局次長    松本 年弘君        国土交通省鉄道        局次長      山上 範芳君        観光庁審議官   秡川 直也君    説明員        会計検査院事務        総局第五局長   堀川 義一君    参考人        日本放送協会経        営委員会委員長  石原  進君        日本放送協会会        長        上田 良一君        日本放送協会専        務理事      木田 幸紀君        日本放送協会専        務理事      坂本 忠宣君        日本放送協会専        務理事技師長  児野 昭彦君        日本放送協会理        事        松原 洋一君        日本放送協会理        事        黄木 紀之君        日本放送協会理        事        松坂 千尋君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○日本放送協会平成二十五年度財産目録貸借対  照表損益計算書資本等変動計算書及びキャ  ッシュ・フロー計算書並びにこれらに関する説  明書(第百八十七回国会提出) ○日本放送協会平成二十六年度財産目録貸借対  照表損益計算書資本等変動計算書及びキャ  ッシュ・フロー計算書並びにこれらに関する説  明書(第百九十回国会提出) ○日本放送協会平成二十七年度財産目録貸借対  照表損益計算書資本等変動計算書及びキャ  ッシュ・フロー計算書並びにこれらに関する説  明書(第百九十二回国会提出) ○日本放送協会平成二十八年度財産目録貸借対  照表損益計算書資本等変動計算書及びキャ  ッシュ・フロー計算書並びにこれらに関する説  明書(第百九十五回国会提出)     ─────────────
  2. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、こやり隆史君が委員辞任され、その補欠として佐藤啓君が選任されました。     ─────────────
  3. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本放送協会平成二十五年度財産目録貸借対照表損益計算書資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書並びにこれらに関する説明書外三件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官平垣内久隆君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本放送協会平成二十五年度財産目録貸借対照表損益計算書資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書並びにこれらに関する説明書外三件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、日本放送協会経営委員会委員長石原進君外八名を参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 竹谷とし子

  8. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 日本放送協会平成二十五年度平成二十六年度平成二十七年度及び平成二十八年度財務諸表等について、その内容の概要を御説明申し上げます。  本資料は、放送法第七十四条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  まず、平成二十五年度貸借対照表一般勘定については、平成二十六年三月三十一日現在、資産合計は九千三百四十二億円、負債合計は三千七十三億円、純資産合計は六千二百六十九億円となっております。  損益計算書一般勘定については、経常事業収入は六千五百五十二億円、経常事業支出は六千四百九十六億円となっており、経常事業収支差金は五十六億円となっております。  次に、平成二十六年度貸借対照表一般勘定については、平成二十七年三月三十一日現在、資産合計は九千九百七十一億円、負債合計は三千三百五億円、純資産合計は六千六百六十五億円となっております。  損益計算書一般勘定については、経常事業収入は六千七百三十億円、経常事業支出は六千五百六十一億円となっており、経常事業収支差金は百六十九億円となっております。  次に、平成二十七年度貸借対照表一般勘定については、平成二十八年三月三十一日現在、資産合計は一兆四百三十二億円、負債合計は三千四百七十八億円、純資産合計は六千九百五十四億円となっております。  損益計算書一般勘定については、経常事業収入は六千八百五十九億円、経常事業支出は六千六百七十億円となっており、経常事業収支差金は百八十八億円となっております。  次に、平成二十八年度貸借対照表一般勘定については、平成二十九年三月三十一日現在、資産合計は一兆九百十五億円、負債合計は三千六百八十億円、純資産合計は七千二百三十五億円となっております。  損益計算書一般勘定については、経常事業収入は七千十九億円、経常事業支出は六千八百八十五億円となっており、経常事業収支差金は百三十三億円となっております。  何とぞ慎重御審議のほどお願いいたします。
  9. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。上田日本放送協会会長
  10. 上田良一

    参考人上田良一君) ただいま議題となっております日本放送協会平成二十五年度、二十六年度、二十七年度及び二十八年度財務諸表等概要につきまして御説明申し上げます。  初めに、平成二十五年度につきまして御説明申し上げます。  貸借対照表における一般勘定当年度末の資産総額は九千三百四十二億円、一方、これに対する負債総額は三千七十三億円、また、純資産総額は六千二百六十九億円でございます。  続いて、損益計算書における一般勘定経常事業収入は六千五百五十二億円、経常事業支出は六千四百九十六億円でございます。以上の結果、経常事業収支差金は五十六億円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加え又は差し引いた当期事業収支差金は百八十二億円となりました。  なお、当期事業収支差金につきましては、全額、事業収支剰余金として、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものでございます。  引き続きまして、平成二十六年度につきまして御説明申し上げます。  貸借対照表における一般勘定当年度末の資産総額は九千九百七十一億円、一方、これに対する負債総額は三千三百五億円、また、純資産総額は六千六百六十五億円でございます。  続いて、損益計算書における一般勘定経常事業収入は六千七百三十億円、経常事業支出は六千五百六十一億円でございます。以上の結果、経常事業収支差金は百六十九億円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加え又は差し引いた当期事業収支差金は三百九十六億円となりました。  このうち、建設積立金繰入れは三百八十六億円であり、事業収支剰余金は十億円でございます。なお、この事業収支剰余金は、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものでございます。  引き続きまして、平成二十七年度につきまして御説明申し上げます。  貸借対照表における一般勘定当年度末の資産総額は一兆四百三十二億円、一方、これに対する負債総額は三千四百七十八億円、また、純資産総額は六千九百五十四億円でございます。  続いて、損益計算書における一般勘定経常事業収入は六千八百五十九億円、経常事業支出は六千六百七十億円でございます。以上の結果、経常事業収支差金は百八十八億円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加え又は差し引いた当期事業収支差金は二百八十八億円となりました。  このうち、建設費に充てた資本支出充当は九億円であり、建設積立金繰入れは二百七十八億円でございます。  引き続きまして、平成二十八年度につきまして御説明申し上げます。  貸借対照表における一般勘定当年度末の資産総額は一兆九百十五億円、一方、これに対する負債総額は三千六百八十億円、また、純資産総額は七千二百三十五億円でございます。  続いて、損益計算書における一般勘定経常事業収入は七千十九億円、経常事業支出は六千八百八十五億円でございます。以上の結果、経常事業収支差金は百三十三億円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加え又は差し引いた当期事業収支差金は二百八十億円となりました。  このうち、建設積立金繰入れは八十億円であり、事業収支剰余金は二百億円でございます。なお、この事業収支剰余金は、翌年度の財政安定のための財源に充てるものでございます。  以上につきまして、平成二十五年度、二十六年度、二十七年度及び二十八年度財務諸表とも、監査委員会意見書では、会計監査人監査意見は相当と認めるとされており、また、会計監査人意見書では、財務諸表が、放送法放送法施行規則及び我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、全ての重要な点において適正に表示しているものと認めるとされております。  以上をもちまして概要説明とさせていただきますが、今後の協会運営に当たりましては、公共放送の原点を堅持し、事実に基づく公平公正で正確、迅速な放送をお届けしてまいります。さらに、視聴者の皆様から一層信頼される公共放送を目指し、NHKグループ経営改革を断行し、コンプライアンス徹底と効率的な経営推進に取り組んでまいる所存でございます。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  11. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 次に、会計検査院から検査結果についての説明を聴取いたします。堀川会計検査院事務総局第五局長
  12. 堀川義一

    説明員堀川義一君) 日本放送協会平成二十五年度、二十六年度、二十七年度及び二十八年度決算につきまして検査いたしました結果を御説明いたします。  協会平成二十五年度、二十六年度、二十七年度及び二十八年度財産目録貸借対照表損益計算書資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書並びにこれらに関する説明書等は、二十五年度につきましては二十六年六月三十日、二十六年度につきましては二十七年六月三十日、二十七年度につきましては二十八年七月八日、二十八年度につきましては二十九年七月十二日に、それぞれ内閣から送付を受け、その検査を行って、それぞれ二十六年十一月七日、二十七年十一月六日、二十八年十一月七日、二十九年十一月八日に内閣に回付いたしました。  協会の二十五年度決算につきまして検査いたしました結果、検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二件であります。  これらは、いずれも職員不正行為による損害が生じたものでありまして、検査報告番号三百九十九号は、放送技術研究所職員が、工事を行わせたように装い、技術調査研究費を領得したものであります。検査報告番号四百号は、旭川、釧路両放送局職員が、虚偽の航空賃支払請求を行って旅費を領得したものであります。  なお、これら二件につきましては、損害額の全てが補填済みとなっております。  協会の二十六年度及び二十七年度決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。  また、二十八年度決算につきましては、二十八年五月二十三日に、参議院から、国会法第百五条の規定に基づき、協会における関連団体との取引の状況関連団体剰余金及び協会に対する配当状況並びに関連団体の不適正経理再発防止に向けた指導監督状況について会計検査を行い、その結果を報告することを求める要請があり、二十九年三月二十九日にこれに関する報告書参議院に提出し、その概要検査報告に掲記いたしました。  その概要を御説明いたします。  検査しましたところ、業務委託額妥当性を検証する実績原価調査の結果が業務委託費積算等見直しに結び付いていなかったり、子会社による明確な投資計画が示されないまま特例配当要請を行わない判断が行われていたり、関連団体における不適正経理再発防止に向けた協会取組にもかかわらず不適正経理が依然として生じていたりなどしていました。  検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、協会において、実績原価の確認の結果を適切に反映し、業務委託額削減等に努めること、適切な特例配当要請を行うことを検討し、子会社利益剰余金額を適切な規模とするための指導監督を適切に実施していくこと、経理適正化策について関連団体事業全般対象として関連団体に対する指導監督を更に徹底していくことなどに留意して、関連団体事業運営に対する指導監督を適切に実施する必要があると考えております。  本院としては、協会における関連団体事業運営に対する指導監督が適切に行われているかについて、今後も引き続き検査していくこととしております。  以上をもって概要説明を終わります。
  13. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  14. 島田三郎

    島田三郎君 おはようございます。自由民主党・こころの島田三郎でございます。  今回、NHK決算審議平成二十五年から二十八年にまたがった対象でございます。これ、まず、これほどたまったのかという気もありますし、やはり本来なら決算というのは毎年毎年行うべきものであると思います。それが緊張感を保つ私は一つになろうかと思っております。私ども議員といたしましても、このNHK決算について、また特に決算参議院としてしっかり審議をしてまいりたいと思っております。  また、この決算、二人の会長任期にまたがっております。松本会長並びに籾井会長任期でございます。その中で、受信料値下げや、また大きな不祥事など、様々な出来事があったわけであります。そういうところでしっかりと今回議論をさせていただきたいと思っております。  まず、東日本大震災影響平成二十四年十月の受信料値下げにもかかわらず、この期間を通じて黒字決算となっております。支払率向上経営合理化など、民間企業出身松本籾井会長経営手腕によるところであると私は思っております。  上田会長平成二十五年から常勤の監査委員として務められておりますが、この間の経営面成果をどう評価をされているのか、まずお伺いいたします。そして、一方で、立て続けに大きな不祥事が明らかになっているところでもありますが、不祥事撲滅に向けた会長決意も併せてお伺いをいたします。
  15. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  平成二十五年度は、平成二十四年十月からの受信料値下げ通年化による大幅な減収影響がありましたが、全組織を挙げた業績確保等取組によりまして、受信料減収を最小限にとどめ、事業収支差金では黒字を確保いたしました。  平成二十六年度以降は、受信料値下げ影響を乗り越えて、過去最高受信料収入を更新し続け、計画を上回る事業収支差金を確保いたしました。営業改革の一層の推進やターゲット80などの全局的な増収の取組とともに、効率的な事業運営によって支出の抑制にも努めたことが黒字決算という成果につながったものと考えております。  不祥事は、そうした役職員による努力の成果や国民・視聴者からの信頼を損なうことになる。築城三年落城一日という言葉を心に刻み、引き続き、不祥事撲滅に向けて職場の隅々にコンプライアンス意識徹底させてまいりたいと考えております。
  16. 島田三郎

    島田三郎君 昨年十月に、平成二十五年七月に首都圏放送センター勤務をされていた佐戸和記者過労死をされていたことが明らかになりました。働き過ぎによる尊い命が失われることは二度とあってはならないものと思います。上田会長以下、そのような決意の下、業務運営に取り組んでいただきたい旨、この場で強く申し上げたいと思っております。  また、NHKは昨年十二月、働き方改革宣言を発表し、ドラマ等の収録時間削減泊まり勤務廃止等に取り組んでいると伺っておりますが、特に、佐戸さんのような記者勤務についてどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
  17. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  未来のある記者が亡くなったことは痛恨の極みでありまして、大変重く受け止めております。公共放送を共に支える大切な仲間を失うようなことは二度とあってはならない、命と健康を守ることを最優先として、昨年十二月に公表いたしましたNHKグループ働き方改革宣言実現に取り組んでまいります。  記者勤務につきましては、昨年四月に勤務制度見直しを行い、専門業務型裁量労働制を導入いたしました。記者に求められる自律的な働き方を担保しながら、勤務時間を把握し、法的裏付けのある健康確保措置を実施してまいっております。以前と比べると勤務管理健康管理が強化され、意識改革も図られたと考えております。  具体的な施策といたしましては、地域放送局記者泊まり業務について、拠点局を除いて、緊急対応の整備を進めながら段階的に廃止することを目指しております。また、外勤の多い記者に対し、業務用スマートフォンを用いた外勤先での勤務打刻の試行を開始し、勤務状況の速やかな把握に努めております。  記者の休みの取得につきましては、昨年度連続取得目標として、九連休一回、五連休一回、三連休三回の取得を掲げ、効果を上げました。  これからも、記者のめり張りのある働き方実現に向けて取り組んでまいる所存であります。
  18. 島田三郎

    島田三郎君 まずもって、この意識を更なる高まりをもって、あのような悲劇が二度と起こらないようにお願いを申し上げたいと思っております。  さて、次は関連団体についてお伺いいたします。  平成二十七年十二月に、NHKアイテック従業員架空発注等により二億円を着服していることが発覚をいたしました。平成二十八年五月には、参議院より、平成二十六年度決算議決に対し、NHKによる徹底的な全容と原因の解明や再発防止徹底を行うとともに、子会社からの適切な還元在り方について検討を強く求める警告を、決議を行ったわけであります。  NHKにおいては技術系子会社合併配当拡大等を進めていると承知をいたしておりますが、まだ生ぬるいところがあると思っております。今後、更なる見直しを進める考えがあるか、お伺いをいたします。
  19. 黄木紀之

    参考人黄木紀之君) お答えいたします。  子会社配当につきましては、平成二十八年度に五十一億円、二十九年度は五十五億円の大型の特別配当を実施いたしました。その結果、普通配当と合わせまして、平成二十八年度は七十二・一億円、二十九年度にはこれまで最高の八十四・一億円の配当を行っております。  また、グループ在り方につきましても、技術系子会社合併に向けて準備を進めておるところでございます。  今後も、利益剰余金のうち配当可能な原資を適切にコントロールしてまいり、還元を進めてまいりますとともに、技術系に限らず子会社等在り方検討を進めて、グループ経営改革に取り組んでまいります。
  20. 島田三郎

    島田三郎君 平成二十五年度から二十八年度の間、支払率は七四%から七八%まで向上し、経営基盤の強化に大きく貢献しておりますが、他方、受信料の着服や不正な契約など、契約収納現場において不適切な事案が相次ぎ、総務省から行政指導も行われたと聞いております。受信料制度を合憲とした最高裁判所の判決を受け、更なる支払率向上などが期待される反面、それを背景に現場で強引な契約勧奨など不適切な行為が行われることも懸念をいたしております。  契約収納に関わる職員委託会社管理監督をどのように図っていくか、お伺いをいたします。
  21. 松原洋一

    参考人松原洋一君) お答えします。  受信料の支払や受信契約をいただく際は、受信料制度の趣旨をよく説明し、御理解をいただくことが最も大切であるというふうに考えています。訪問要員に対しては、視聴者への説明の際に最高裁判決について言及することがないよう指導を行っているところです。丁寧な視聴者対応の徹底に向けて、定期的な講習の実施や、契約をいただいた視聴者に対し、電話やはがきによる訪問員の対応ぶりを確認するなどの取組も実施しているところです。  また、御指摘のあった、昨年十二月に職員による受信料の着服が判明したことを受け、職員や訪問要員が不正を行う可能性があるものについて、外部の専門家の助言を受けながら総点検を行いました。その点検結果に基づき、本年、三十年二月に抜本的な再発防止策を取りまとめ、公表をしています。具体的には、契約収納業務における現金の取扱いルールを見直すというほか、営業システムのチェック機能の強化などを行っているところです。  職員や訪問員による不正が発生しないよう、引き続き再発防止策を徹底していきたいというふうに思っています。
  22. 島田三郎

    島田三郎君 受信料というのは、ある意味では国民の税金であります。これをちゃんと管理をする。着服などは決して許されない行為であるわけであります。やはり、経営をつかさどる会長を始めとして、きちんと受信料はある意味国民の皆様方の大事なお金であるということを改めて認識をし、このような不正を行わないように絶えずチェックをお願い申し上げたいと思っております。  次に、NHK国際放送には、放送法で、我が国の文化、産業等を紹介し、我が国に対する正しい認識を培い、普及させることが求められておりますが、とりわけ、地方の魅力を広く世界に発信し、訪日観光客の増加や特産品の海外需要の拡大などに貢献することが非常に期待をされているわけであります。  これまでも、国際放送についてはその充実強化が図られてきました。特に、本年四月からは、海外における知名度の向上に向け、名称をNHKワールドJAPANに変更し、一層の発信力強化に向けて取り組まれておられます。海外への地域の魅力発見について今後どのように取り組んでいくか、お伺いをいたします。
  23. 木田幸紀

    参考人(木田幸紀君) お答えします。  日本各地の魅力を世界に発信することは、NHKの国際放送の重要な役割の一つだと考えております。日本発であることをより強くアピールするため、今年度から名称をNHKワールドJAPANに改め、更なる充実強化に取り組んでいるところであります。  NHKワールドJAPANでは、ある地域を取り上げた番組を集中的に放送するなど、積極的に地域の魅力を世界へ発信する取組を行っています。例えば、昨年度は、熊本地震から一年となる四月に九州熊本を特集したほか、九州北部豪雨からの復興が進む大分県や、大震災から七年の東北地方に関する番組を集中的に放送しました。また、ニュースでも、地域の放送局と連携し、毎年二百本以上の地域を取り上げた番組を放送しているほか、国際放送キャスターが現地から伝えるキャラバンというものを実施するなど、充実に努めております。  地域の活性化に貢献するため、日本各地の話題や魅力を積極的に海外に発信していきたいと考えております。
  24. 島田三郎

    島田三郎君 我が国は、インバウンドの強化というのが今後の課題であります。そういう中で、NHKの海外放送というのは重要な位置に私は立っていると思っております。  そして、もう一点は、やはり非常にNHKの国際はなかなか視聴率がつながらないわけであります。やはり、より魅力的ないわゆる映像というものを今後とも御努力をお願い申し上げ、例えば、私は、BS番組、当初始まったときは、正直言って余り面白くはございませんでした。何か暇潰しに何かやっているなという状況も感じたわけでございますが、今、BSは非常に面白い番組を放映をいたしております。私自身も時間ごとにBSを見て楽しんでおるわけでありますが、やはりそういった番組作りを国際放送についても丁寧に作っていただきたいと私は思っております。  次に、4K、8Kについてお伺いをさせていただきます。  4K、8K放送については、いよいよ今年十二月に本放送が開始されますが、国民の皆様に超高精細映像によるこれまでにない視聴体験がもたらされるとともに、我が国の経済成長の牽引力としても期待をしているところであります。その早期普及に向けて、国民の皆様に超高精細映像の魅力を感じていただけるコンテンツが提供されることが大切であります。  まず、視聴可能な受信機の動向やテレビ内容について積極的に周知、広報を行っていくことも大切であります。本放送までに半年を切り、NHKにはこうした早期普及に向けた取組について是非先導的な役割を果たしていただきたいと考えておりますが、いかがでございますか。
  25. 坂本忠宣

    参考人(坂本忠宣君) お答え申し上げます。  4Kは超高精細な映像を身近に楽しんでいただく番組を、また、8Kは世界一の画質と音響を堪能できる最高品質の番組を提供すべく、それぞれのチャンネルで魅力的なコンテンツを蓄積してまいりたいと思います。  この六月一日には、放送開始半年前セレモニーも執り行われました。NHKとしましては、放送開始に向けて、集中的に総合テレビなどの放送でサービス内容の周知、広報を行ってまいりたいと考えております。さらに、受信の方法の御案内など、A—PAB、放送サービス高度化推進協会や、JEITA、電子情報技術産業協会、また地域の電気店など関係業界、団体と連携しまして、4K、8Kの放送を視聴できる環境ができるだけ早く整いますように努力してまいりたいというふうに考えております。
  26. 島田三郎

    島田三郎君 これはNHKだけではなくて、総務省もやはり努力をしていただきたいと思っております。4K、8Kのテレビを買って機械を伴わなかったら、ただの箱であります。やはりそういうことをきちんと子供から大人まで理解ができるようなコマーシャルといいますか、そういうものはやはり必要であると思っておりますし、景気の牽引力になるためにはやはり4K、8Kのテレビを買っていただくということが大事であります。やはり、そのためにも4K、8Kの仕組みというものをしっかりと理解をしていただく努力を総務省、またNHKも併せてお願いを申し上げたいと思っております。  さて、常時同時配信についてお伺いをさせていただきたいと思っております。  今、大変焦点となっている常時同時配信について、海外の多くの公共放送ではテレビ番組をインターネットで見ることもできます。つまり、常時同時配信が実際、諸外国では配信を実施をされているわけであります。NHKでも来年度、二〇一九年に実施をしたいという意向だとお伺いをいたしておりますが、NHKとしてその必要性についてどのようにお考えになっているか、お伺いをいたします。
  27. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  NHKが実施いたしますインターネット活用業務は、放送を補完し、その効用、効果を高めるものであり、国民共有の財産であります放送番組等を広く国民に還元することが目的です。常時同時配信もその一環であり、放送で流れている番組をそのままインターネットでも見ることができるようにする、言わば視聴機会の拡大であると考えております。  先生御指摘のとおり、海外では多くの公共放送が常時同時配信を実施し、視聴者・国民の利便性を高めております。NHKといたしましても、視聴者・国民がインターネットを通じていつでもどこでも必要な情報コンテンツを得ることができるよう、視聴機会の拡大を図り、災害時、緊急時などにも放送と同様に同時配信を視聴していただくことにより、信頼される情報の社会的基盤としての役割を果たしてまいりたいと考えております。
  28. 島田三郎

    島田三郎君 NHKでは、常時同時配信の開始時は受信契約者の世帯が対象で、追加負担はなくサービスを実施したいという考えだとお聞きいたしております。ただ、やはり将来的には受信料についてどのような方針で臨んでいかれるのか、お伺いをいたします。
  29. 坂本忠宣

    参考人(坂本忠宣君) お答えいたします。  常時同時配信の開始に当たりましては、公平負担の観点も考慮しまして、受信契約世帯向けに追加負担なく利用できるサービスとして実施したいと考えているところです。  ただ、NHKとしては、テレビを持たない世帯に対しても公共性のある情報や番組を常時同時配信によって広く届けるという観点はとても重要であると考えております。テレビを持っていない方への対応につきましては、今後、サービスを進める中で様々な御意見もいただきながら検討してまいりたいというふうに考えております。
  30. 島田三郎

    島田三郎君 それでは、常時同時配信のサービスを実施する際のコストはどの程度掛かるものでありますか。初期投資や維持運用のコストはどの程度掛かるか見積もっておられますか。また、ネット配信のための権料も掛かると思いますが、費用が膨らむことを避けるための措置はどのようにお考えになっているんでしょうか。
  31. 坂本忠宣

    参考人(坂本忠宣君) お答えいたします。  常時同時配信のサービスを本格的に始めた場合の維持運用のコストは、受信契約の確認などに係る費用などを含めまして年間五十億円前後と試算しております。また、サービス開始に当たっての初期投資は五十億円前後と試算しているところです。ただし、この中にはネット配信のための権料は含んでおりません。  放送番組をインターネットで同時に配信する場合、放送と配信では別々に権利処理が必要であり、大きな課題となっているところです。このため、これまでも文化庁に対しまして、放送番組の同時配信について権利処理が円滑に進むよう、著作権法の改正を要望しているところであります。  今後、同時常時配信に係る費用につきましては更に精査を進めていくことになりますけれども、いずれにしても、上限を定めて効率的に運用してまいりたいと考えております。
  32. 島田三郎

    島田三郎君 お伺いしておりますと、例えば常時同時配信を行ったり、4K、8Kで本放送が始まり、チャンネル数が二つ増えるなど、どんどんどんどん業務は肥大化していくわけであります。今後、チャンネル数の削減など業務の見直しをしていかなければ、今黒字形態でありますNHK経営も赤字になる可能性もある。また、今、渋谷の建て替えを計画されている。  これから、今後様々な支出があるわけでありますが、どのような業務を見直しされているか、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドがどのようにされるか、お伺いをさせていただきます。
  33. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  三か年経営計画では、4K、8Kの普及段階を見据えた衛星放送在り方など、二〇二〇年度以降の放送サービスについても検討を進め、経営資源の再配置に着手することを掲げました。  限りある経営資源の中で公共メディアとしての役割をしっかり果たしていくため、この三年間のうちに二〇二〇年度以降の放送サービスや経営資源の再配置などについて検討してまいりたいと思います。既に業務改革推進会議というのを立ち上げまして、その場で具体的な討議に入っております。  それから、チャンネル数に関しましてですが、国の基幹放送普及計画、これは平成二十八年四月に施行されましたけれども、これでは、BS左旋の超高精細度のテレビ放送が普及した段階で、NHKのBS放送全体のチャンネル数について見直すことが示されております。  この基幹放送普及計画も踏まえまして将来の放送波の在り方検討することになりますが、視聴者・国民にとって何が有益かという視点に立って、しっかりと検討してまいりたいと考えております。
  34. 島田三郎

    島田三郎君 重ねてお願いを申し上げたいと思っております。佐戸未和さんの件でございます。  私事で恐縮でございますが、私の娘は今年の四月、就職をいたしました。やはり子供を持つ身としては、あのような状況というのは本当に耐えられないものであります。また、周りの方々が、なぜ彼女に、もうちょっと怠けなよというようなことでも言える環境というものをやっぱりつくらなければなりません。無理するな、もうちょっと怠けろと、そういう体質がNHKになかったのではないかと私は思わざるを得ません。とにかく頑張れ、頑張れ、頑張れ。頑張れの十乗であったと私は思っております。  やはりこの体質をしっかりと、今回の反省を踏まえ、NHKとして対応のほどをお願い申し上げ、私の質問を終わらさせていただきます。  ありがとうございました。
  35. 佐藤啓

    佐藤啓君 改めまして、おはようございます。自由民主党の佐藤啓でございます。  まずもって、質問の機会をいただきましたことに関係各位に感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。時間も大変限られておりますので、早速質問に入りたいと思います。  まずは、NHKに与えられているこの公共放送としての役割についてであります。NHKは、放送法に定める公共放送としての役割を十分に果たしていると認識しているのかについて、まずお伺いをいたします。
  36. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  NHKは、公共放送としての役割を果たすため、放送法に基づいて国内番組基準を定め、ニュースや番組の制作に当たっております。受信料で成り立つ公共放送として、放送の自主自律を堅持し、豊かで良い放送を行うことによって、公共の福祉の増進と文化の向上に最善を尽くしてまいっております。  今年度からの新しい経営計画においても、放送法に基づいてNHKが追求する六つの公共的価値を定め、放送を太い幹としつつ、インターネットも活用して、信頼される情報の社会的基盤の役割を果たしていくことを明示いたしました。  NHKは、今後とも、こうした基本原則にのっとった番組作りを行い、公共放送としての役割を十分に果たしてまいる所存であります。
  37. 佐藤啓

    佐藤啓君 ありがとうございます。  今ほど、ある意味、放送法の例えば八十一条一項の掲げられている目的であったり、を述べていただいたと思います。  そしてまた、新たな経営計画の中で六つの価値ということで、このまさにNHKが追求すべき価値を言語化していただいたということは、私はこれは大変重要なことであると思います。通常の企業であれば、企業理念があり、ビジョンがあり、そしてその下に戦略があるというものであって、やはり言語化されて、それをしっかり職員に伝えていくということが大事でありますから、逆に言いますと、これまで言語化されていなかったということが私は逆にちょっと驚きを感じたんですけれども、これは非常にいいことであるのかなと思っております。  一方で、今NHK自身としては公共放送としての役割を十分に果たしているということでありますが、公共放送としての役割を果たしているかどうかの判断といいますのは、これはやはり受信料を払っている皆様、また幅広く国民の方々がそうであるかどうかを評価するということだと思っております。どのような今客観的な根拠で会長はこの公共放送としての役割を果たしているとおっしゃられたのか、その考えをお伺いをいたします。
  38. 坂本忠宣

    参考人(坂本忠宣君) お答えいたします。  NHKでは、視聴者の皆様のNHKに対する期待を的確に把握し、NHK全体で応えていくことを目指し、公平・公正や文化の創造・発展、地域社会への貢献など、十四の経営指標について半年ごとに世論調査を行っております。  NHKは、三か年経営計画で五つの重点方針を掲げて取り組み、六つの公共的価値の実現を追求していく、十四の経営指標についてNHKに対する期待度と実現度を尋ねまして計画の進捗を把握、評価していく、期待度に実現度をできるだけ近づけていくことを目指しまして、事業運営や業務改革を進めているところであります。  放送サービスの充実などの様々な取組を通じまして、期待度に実現度を近づけていきながら、公共放送としての役割を果たしてまいりたいと考えております。
  39. 佐藤啓

    佐藤啓君 ありがとうございます。  NHKでは、毎年二回世論調査というのを行って、十四の達成すべき目標というものに関して、国民の方がその価値に対してどれだけ期待されているのかということと、また実際にそれをどれだけ達成しているかということを聞いていただいているということであります。  これを一個一個具体的に見てみますと、公共放送としてやはり公平公正であるということは非常に大事であると思いますけれども、NHKが公平公正であるということを期待されている方というのは大体七五パーから八〇%ぐらいという数字になっています。  一方で、それを実際に実現できているかということに関しても、大体七五%近いということで、これに関しては期待度と達成度が限りなく近いということだと思います。これはいいことであると思うんですが、一方で、期待度が七五パーから八〇パーしかないということは、そもそも、まあうがった見方をしますと、残りの二〇パーから二五%の方は、そもそもNHKは公平公正であることを求めていない。求めていないというか、もしかしたらNHKにそんなことはできるはずがないというふうに考えているのかもしれません。ですから、この期待度をしっかり上げていくということも、これは私は非常に大事ではないかなと思っております。  公平・公正に関しては、これ非常に高い数値、また、正確・迅速な情報提供ということに関しても、これはもう期待度も八割を超えておりますし、非常に高い数字であると思いますけれども、一方で、例えば受信料制度への理解促進という項目があるんですけれども、これに関しては、期待度はまあ大体五割、ちょうど五割ぐらいです、五割ちょっと超えるぐらい、かつ、実現度に関しては大体三割ぐらいということで、まあ期待度と達成度の差も大きいですし、そもそも期待度が物すごく低いということであります。  この期待度がかなり低いものもあったり、また、高いものでも裏を返せば四分の一ぐらいは期待をしていないというこの現実に関して、どのように受け止めていらっしゃるか、お伺いをいたします。
  40. 坂本忠宣

    参考人(坂本忠宣君) お答えいたします。  委員御指摘のように、十四の経営指標につきましては、期待度が八割程度のものから五割程度のものまで、それぞれということであります。  NHKとしましては、視聴者の理解を得ながら、今後も放送サービスの充実や受信料の公平負担などに取り組んで、期待度を高めつつ、その期待度と実現度の差を縮める努力を続けていきたいというふうに考えておるところです。
  41. 佐藤啓

    佐藤啓君 ありがとうございます。  この期待度を高めていくということですね、どうやって高めていくかということは、これなかなか難しいことであるのかなと思います。今の御答弁の中でも、期待度をどうやって高めていくかということに関しては具体的な御答弁がなかったように感じましたけれども、できるだけ、この期待度と実現度、両方を高めていただく方策を何とか考えていただきたいなというふうに思っております。  次に、また済みません、このちょっと続きでありますが、この項目の中に新規性・創造性という項目があります。私は、NHK公共放送として新規性を追求し過ぎてもどうなのかなとも思いますし、だからといって新規性を全く追求しないということでもないと思います。この項目が期待度と実現度の差が非常に大きいわけであります。大体、この新規性・創造性ということに期待をしている方、大体六五%ぐらいおられます。一方で、じゃ、実現できているかということに関しては大体四〇%少しということで、大体二〇%ぐらいの差が常にあるような状態であります。  これはいろんな捉え方があると思うんですけれども、NHKを見ていらっしゃる方というのは、比較的シニアな層が多いというふうに認識をしています。ですので、現役世代はシニアの層よりは見ていない。一方では、民放はシニアの世代も見ていますが現役世代もかなり見ているということで、そこで視聴されている方の構造というものがNHKと民放というのは大分違うということになります。  そのときに私が思いますのは、これはまあ社会保障と一緒でありますが、受信料というのは現役世代もシニア世代もみんな納めているわけですけれども、ただ、放送している内容はシニア世代中心のものになっているということで、ある意味、これ、NHK放送の仕組み自体も社会保障と同じように支え合いの仕組みになってしまっているんですね。皆さんの受信料で、高齢者、シニア世代向きの放送ばかりやっている、現役世代は余り見ていないという状況になっているのかなと思います。  この点に関してどのように考えているかということをお聞きしたいということと、あと、改めてでありますが、受信料の公平負担ということに関しては、これも期待度とそれから実現度に非常に差がありますので、この差がある二つについてどのようにお考えになって、また取り組んでいくおつもりなのか、お伺いをしたいと思います。
  42. 木田幸紀

    参考人(木田幸紀君) 初めに、新規性・創造性の方ですが、この指標の実現度が低いということは、この結果については真摯に受け止めなければならないと認識しております。若い世代や現役世代の方々にも楽しんでいただけるような番組の開発に積極的に取り組んでいるところであります。  その一環として、夜七時台、八時台では、より幅広い世代の視聴者から支持される番組の充実に努め、新年度は、金曜日の夜間に、親子で身近な雑学を楽しみながら学ぶ番組を新設したところであります。また、平日夜十時、十一時台は、対象とする世代を明確にした番組のラインナップを心掛け、仕事や家事を終えた三十代から五十代の方々のライフスタイルに合わせた多彩な番組やニュースを編成しております。また、週末深夜には、SNSを活用した視聴者参加番組や音楽番組なども編成し、テレビ離れが進んでいると言われる若者にもテレビに接触してもらいたいというふうに考えております。  今後も、幅広い世代の皆様に御覧いただける番組の開発に取り組んでいきたいと思っております。
  43. 松原洋一

    参考人松原洋一君) 受信料関係についてお答えをします。  受信料に関する指標の期待度と実現度の乖離について委員から御指摘がありましたけれども、二十九年度末に八〇%を超える過去最高支払率を確保しているんですが、更なる公平負担の実現を求める声が多いというふうに受け止めています。  受信料の公平負担については、これからの三か年経営計画においても、営業改革を着実に進め、支払率を毎年度一ポイントずつ向上させるという計画にしています。今後も、視聴者の期待に応えるべく、公平負担の徹底に向けて最大限取り組んでいきたいというふうに思います。
  44. 佐藤啓

    佐藤啓君 ありがとうございました。  少し話題を変えまして、地域放送局の積極的な活用という観点でお伺いをしたいと思います。  上田会長は、昨年の就任以来、地方重視ということで明確にそのビジョンを打ち出されて、経営計画におきましても、多様な地域社会への貢献ということを重点方針に掲げられています。  NHKの強みとして、やはり全国の地域放送局を持っているということは、これは非常に大きな強みであると思います。また、上田会長御自身が全国の放送局を回られたということでお聞きしておりますけれども、回られたその感想と、経営計画でこのような項目を重点方針として掲げていらっしゃる、そのお考えをお伺いいたします。
  45. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  私は、今先生がおっしゃってくださいましたように、会長に就任する前の経営委員会委員監査委員時代に全国の放送局を回りました。また、就任後も、拠点局での会議などの場で全国の放送局長と会い、それぞれの地域の現状や課題を把握するとともに、地域に寄り添った放送サービスの実現を求めております。  まさに、全国に五十四の放送局のネットワークを持ち、地域放送、全国放送、国際放送を併せ持つのがNHKの強みであると実感いたしております。この強みを生かして、地域の課題や解決策を提起するとともに、多様な自然、歴史、文化、人々の暮らしなど、それぞれの地域ならではの魅力を広く伝えたいと考えまして、経営計画の重点方針の一つに多様な地域社会への貢献というのを掲げて、これに取り組んでいるところであります。
  46. 佐藤啓

    佐藤啓君 ありがとうございます。  地域放送局がそれぞれの地域にとって必要な情報を提供するということはもちろん大事でありますが、一方で、地域放送局から全国に向けても積極的な情報発信することが大事だと思っておりますが、現状と今後の取組についてお伺いをいたします。
  47. 木田幸紀

    参考人(木田幸紀君) 地域の放送局は、テレビ、ラジオなどを通じて、きめ細かい防災・減災情報の提供などにより地域の安全、安心に寄与していくという役割があります。  地域向けの放送では、暮らしに身近な情報や関心の高いテーマを平日午後六時台のニュースや金曜夜間の地域情報番組などで伝えております。地域放送時間は二十九年度と三十年度で大きな変化はありません。総合テレビで大体一日当たり二時間三十分程度でありますが、より地元に密着したきめ細かなサービスの充実に努めたいと思っております。  全国に向けてなんですけれども、地域の自然や文化の魅力、地域の切実な課題などを積極的に発信し、各地域の視聴者の方々の期待に応えるサービスの強化を図っております。  具体的には、平成三十年度の番組の改定においては、総合テレビ、平日の昼間の生中継番組をリニューアルしまして、日本各地の魅力をお伝えする番組「旬感・ゴトーチ!」というものを新設したほか、平日午後の番組でも地域情報の全国発信を進めているところであります。また、BS1では、視聴者が参加し、地域を元気にするアイデアを競う番組「ザ・ディレクソン」というものであるとか、東京オリンピック聖火リレーのルートを改めてたどる「聖火のキセキ」などを新設しております。
  48. 佐藤啓

    佐藤啓君 ありがとうございました。  それに加えまして、地域放送局から海外への情報発信というのも是非やっていただきたいというふうに思っておりまして、余り地元のことをお話しするのも恐縮でありますが、私は奈良県の選出でありますので、平城京として栄えた奈良県には様々な世界遺産、それから国宝、重要文化財など、すばらしい文化がありまして、そういうものを世界に発信をしていただきたいなと思っておりますが、この点についての取組について、もう時間もありませんので簡潔にお答えいただければと思います。
  49. 木田幸紀

    参考人(木田幸紀君) 例えば、今年の四月には、関西特集として、奈良、滋賀、和歌山の三県の番組を編成して奈良放送局が制作した「春日さんと暮らすまち」を英語化して放送するなどしました。また、国際放送キャスターが現地から伝えるニュースキャラバンも実施して、平城宮跡から生中継で伝えるなど、奈良の魅力を世界に発信をしております。  二〇二〇年を控え、海外からの観光客が日本各地に足を運ぶようになっておりますので、今後も日本の各地域の魅力を世界に届けていきたいというふうに考えております。
  50. 佐藤啓

    佐藤啓君 ありがとうございました。  公共放送としての役割、国民の皆様の御意見をしっかり感じていただきながら、また、その中でなかなかいろいろと難しい部分もあることももちろん承知をしておりますけれども、海外への発信など新しいことにも積極的に取り組んでいただければと思います。  時間も参りましたので終わります。ありがとうございます。
  51. 秋野公造

    ○秋野公造君 公明党の秋野公造です。お役に立てるように質疑をしたいと思います。  まず、NHK経営についてお伺いをしたいと思います。  今回の審議対象は、平成二十五年から二十八年の決算ということであります。先ほど来御質問もありましたが、上田会長は、二十五年六月より、民間企業での財務の専門家としての御見識を買われて常勤の経営委員会委員監査委員をお務めになって、この経営についてつぶさに見られてきた存在の方であります。  東日本大震災影響もあったかと思います。そして、繰り返してはなりませんが、不祥事もありました。結果的には四年連続で見込みを上回る黒字決算を達成しておりますが、ちょっと私、視点を変えて、経営面でどのような取組がポイントであったかとお考えになるか、まずそれについてお伺いをしたいと思います。
  52. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  平成二十五年度は、平成二十四年十月からの受信料値下げ通年化による大幅な減収影響がありましたが、全組織を挙げた業績確保等取組によりまして、受信料減収を最小限にとどめ、事業収支差金では黒字を確保いたしました。平成二十六年度以降は、受信料値下げ影響を乗り越えて、過去最高受信料収入を更新し続け、計画を上回る事業収支差金を確保いたしております。  業務改革の一層の推進やターゲット80などの全局的な増収の取組とともに、効率的な事業運営によって支出の抑制に努めたことが黒字決算という成果につながったものと考えております。
  53. 秋野公造

    ○秋野公造君 その黒字決算成果ということで、負担軽減につながったということかと思います。  三月に質疑、確認をさせていただきました負担軽減についてお伺いをしたいと思いますが、本年四月に開始をした社会福祉施設への免除拡大に続きまして、来年二月からは奨学金受給対象などの学生への免除ということになります。この新しい免除では、受給条件が経済要件を課している奨学金を対象とするということでありますが、免除開始後、対象となるこの学生さんたちに確実に申請を行っていただくためには、この免除の対象となる奨学金の範囲を可能な限り特定した上で、学生に対して事前に丁寧な周知、申請を働きかけを行う必要があるかと思います。  この奨学金事業の実施団体にヒアリングを行うという御答弁が三月の御答弁でありましたが、その後、免除開始に向けてどのように取り組まれるのか、お伺いをしたいと思います。
  54. 松原洋一

    参考人松原洋一君) お答えします。  奨学金受給対象などの学生への免除の開始に当たっては、委員御指摘のとおり、免除の対象となる学生の方に対し、可能な限り広く事前の周知を行うことが重要であるというふうに考えております。  免除の対象となる学生への周知を徹底し、確実な免除の申請を行っていただくため、奨学金を受給している学生の多くが利用している日本学生支援機構と連携し、周知や手続の具体的な方法について、今協議を行っているところです。  また、NHKのホームページでの周知や、現在、家族割引の適用を受けている学生へのダイレクトメールの送付等を通じ、確実な免除申請の受付に向けた取組を進めていきたいと思っています。
  55. 秋野公造

    ○秋野公造君 協議を行っているということで、どうかよろしくお願いをしたいと思います。  あわせて、この負担軽減策としては、来年四月から多数支払における割引を開始するということで、二契約目以降を半額とする事業者割引と、衛星契約数に応じて割引される多数一括割引の併用が可能になるということであります。  ホテルや旅館や病院といったところの負担軽減を図るものでありますが、ここにつきましても、対象となる事業所に確実に申請を行っていただいて、負担軽減策の恩恵を享受していただかなくてはなりません。この点につきましても確実に周知を行うということで、来年四月の開始に向けてどのように取り組んでいくのか、お考えをお伺いしたいと思います。
  56. 松原洋一

    参考人松原洋一君) お答えします。  来年四月から開始する多数支払における割引においては、衛星契約が十件以上あり、既に適用要件を満たしている事業者については、申請手続を取ることなく自動的に割引が適用されるということになります。  一方、現在、適用要件を満たしていない事業者に対しては事前の周知を丁寧に行うことが重要であるというふうに考えております。ダイレクトメールの送付や業界団体の御協力も得ながら、周知徹底を図っていきたいというふうに思っています。
  57. 秋野公造

    ○秋野公造君 そういう意味で、この平成二十五年度NHK決算を振り返りますと、二十四年十月の受信料の引下げの影響を考慮して、収支均衡予算ということで事業収支差金ゼロで予算を計上していると、結果として、これは百八十二億円の黒字計上に至ったということであります。  二〇一八年から二〇二〇年度NHK経営計画においても、新たに実施する受信料の負担軽減策の実施の影響、これも考慮して、同様に二〇一九年、二〇二〇年度も収支均衡となると、こういう見込みで作られておりますけれども、この平成二十五年の決算と同様の結論が導き出されるということも十分想定がされるということになります。  五月八日にNHKが公表した二十九年度決算の速報値では、前年度から百三十億円増の七千二百四億円の事業収入というのが計上されておりまして、今後も事業収入の増加が見込まれるのではないかということを考えますと、国民・視聴者の目線に立つならば、収入が増えたからその分支出も増やすんだというようなことがあってはならず、公共放送として真に必要な業務が何かということを改めて見直した上で削減できる部分は削減をすると、その上で、受信料額の引下げを含めて国民・視聴者の更なる負担軽減に取り組む必要があるのではないかと考えます。  NHKを支える国民・視聴者の理解が得られるような真摯な検討を早急に行うべきかと考えますが、御見解をお伺いしたいと思います。
  58. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  今後の受信料額の適正な水準や更なる負担軽減策など受信料体系の在り方につきましては、中長期的な事業計画や収支見通しを踏まえた上で検討すべき重要な課題だと認識いたしております。  検討に当たりましては、今先生から御指摘いただきましたように、収入が増えた分支出も増やすという考え方に決して立つことなく、NHKが公共的価値の実現の観点から、真に実施すべき業務かどうか不断の見直しを行うとともに、創造性と両立する形で業務の一層効率的な運営を徹底してまいります。
  59. 秋野公造

    ○秋野公造君 その上で、私は、三月二十九日の質疑におきまして、生活保護受給者よりも経済的に困窮をしている高齢者の方が存在をしていると、具体的には、資力がなくお独り暮らしで国民年金のみで生活をしなくてはならない方の存在があるということを会長の方にも御指摘をさせていただいたところであります。  こういった資力がなくお独り暮らしで国民年金だけで暮らさなくてはならない、暮らしている方々の支援に対して検討をお願いいたしましたが、その後の対応についてお伺いをしたいと思います。
  60. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  三月二十九日の総務委員会で先生から御紹介ありました、鹿児島県の高齢者住宅において、経済状況に応じた料金設定を設けるなどの家賃減免制度が導入されていることは承知いたしております。  受信料の免除につきましては、他の受信料をお支払いいただいている方の負担の上に成り立つ制度であり、外部の有識者から成る受信料制度検討委員会の答申、これは平成二十九年、昨年の九月頂戴いたしておりますが、これにおいても、限定的に運用するという基本的な方向性を継続することが適切であると指摘されております。  更なる受信料免除の拡大につきましては、中長期的な事業計画や収支の見通しをしっかりと踏まえた上で慎重に検討することが必要であると考えております。
  61. 秋野公造

    ○秋野公造君 これは、会長、認識をちょっと改めていただかなくてはならないと私は思います。  それは、今御指摘をいただきましたが、国土交通省において家賃減免制度を導入したサービス付き高齢者住宅ということで制度は既に始まっておりまして、具体的には、生活保護受給者からは家賃二万四千円をいただくという形であり、資力がなくお独り暮らしで国民年金だけで暮らさなくてはならない方に対しては家賃ゼロ円ということでありまして、生活保護受給者よりも手厚い対応、これが社会保障の観点からも成り立っているものであります。  そういう存在の方がいらっしゃいますので、他省庁では既にこういった取組も始まっておりますので、そういった意味では公平性、合理性のあるものとして国民にも十分に受け入れられ、喜ばれている案件であります。  改めて、先ほど会長が引かれた平成二十九年九月十二日の答申、これは、常に公平性、合理性のあるものとして広く視聴者・国民に受け入れられることが必要という御指摘ということを考えますと、現に、そう多くはないが、僅かなところに生活保護受給者よりも経済的に困窮している方が制度の谷間として存在をしているということを、これ認識をして御検討いただかないとならないと思いますが、御見解、改めてお伺いをしたいと思います。
  62. 上田良一

    参考人上田良一君) 私が会長に就任した後に受信料制度検討委員会というのを設けまして、これは期限を設定しない委員会になっておりまして、ここでの検討を通じて、今先生から御指摘ありましたようなことも含めましていろいろ検討させていただいているわけで、真摯に引き続き、いろんな角度、公平性の観点、それから今先生が指摘していただきましたような観点も踏まえて検討してまいりたいというふうに考えております。
  63. 秋野公造

    ○秋野公造君 どうかよろしくお願いをしたいと思います。  4K、8Kについて私からもお伺いをしたいと思います。  NHK、地域の魅力を取り上げる、全国に発信をすると、この地域の活性化に大きな貢献をしてきたと私は思います。この十二月からいよいよ4K、8Kの放送が開始となるということでありまして、この新しいメディアでも迫力満点の臨場感ある映像が国民の皆様方、視聴者の方に楽しんでいただけるということ、そういった魅力を全国に是非伝えていただきたいと思います。  こういう番組を地方でも実施するということで、より地域の活性に貢献をするのではないかということ、また野田大臣からの意見でも、放送センターの建て替えに際し、機能の地方分散についても積極的に検討するといったような指摘もなされているところであります。  全体の事業支出が膨らんでしまっては本末転倒でありますが、スクラップ・アンド・ビルドによって4K、8Kの時代において地域における情報発信機能を更に強化すべきと考えますが、御見解をお伺いしたいと思います。
  64. 木田幸紀

    参考人(木田幸紀君) お答えいたします。  御指摘のとおり、4K、8Kの番組の制作は地域の放送局でも積極的に実施し、地域の魅力の発信を強化することで活性化に貢献したいというふうに考えております。  そのための具体的な取組を進めておりますが、例えば青森局では、現在、ねぶたを取り上げた「NHKスペシャル」を4Kで制作しています。地域の放送局に4Kでの制作のノウハウを蓄積し、地域の魅力を超高精細の美しい映像で全国に発信できるものと期待しております。また、熊本局では、熊本地震の爪痕を活断層に沿って8K超高精細カメラで撮影し、地震のメカニズムを解析する番組を制作しています。防災の面でも地域の経験を全国に発信するとともに、未来への記録として共有していきたいというふうに考えています。  なお、限りある経営資源を有効に使うために、4K番組と2K、普通のハイビジョンの番組との一体制作というのを進めているほか、4K、8Kで撮影した素材を地域放送番組でも使用するというようなことを通して効率的、効果的に強化を図ってまいりたいというふうに考えております。
  65. 秋野公造

    ○秋野公造君 この十二月から始まると今売られているテレビでは受信できないということでありますが、私はこれ、かなり混乱をするのではないかということをちょっと懸念をしております。  放送開始まであと六か月です。どのように取り組むか、まずは国の御見解をお伺いしたいと思います。
  66. 山田真貴子

    政府参考人山田真貴子君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、既に市販されております4Kテレビ、8Kテレビをお使いいただいてこれから始まります新4K、8K衛星放送を視聴していただくためには、今後発売予定の対応チューナー等が必要になってくるところでございます。  この点につきましては最も周知徹底が必要な事項でございまして、これまでも、家電販売店あるいは受信機メーカーにおきまして、関係団体が作成いたしましたリーフレット等を活用した店頭における丁寧な御説明をしていただくこと、また、店舗の4Kテレビの価格表示の周辺において注記の掲示をしていただくこと、また、製品カタログあるいは取扱説明書において同じような注記の記載をしていただくといったようなことなどに取り組んでいただいているところでございます。  しかしながら、今年二月に関係団体が行った調査によりますと、対応チューナー等が必要となるということを知っている方の割合はまだ低い水準にとどまっているのが実情でございます。このため、先般六月一日に行われました新4K、8K衛星放送開始の半年前のセレモニーにおきましても、野田総務大臣から関係者に対して、改めてあらゆる手段を活用した周知徹底要請をさせていただいたところでございます。今後は、更に効果の高い方法といたしまして、放送番組を通じた周知、広報が本格化をする予定でございます。  総務省といたしましても、国民・視聴者に混乱が生じないように、引き続き関係者と一丸となって周知、広報に取り組み、新4K、8K衛星放送の円滑な開始、普及に努めてまいりたいと考えておりますし、なお、既に受信機メーカーからは新4K、8K衛星放送の受信機能を内蔵した4Kテレビ、あるいは対応チューナーの発売計画の公表等が行われているところでございまして、今後、対応受信機の普及も順次進んでいくかなというふうに期待をしているところでございます。
  67. 秋野公造

    ○秋野公造君 会長にもう一回、耳の痛いことを申し上げたいと思います。  番組宣伝をすることも当然大事でありますが、4K、8Kの周知も必要ではないでしょうか。NHK取組についてお伺いをしたいと思います。
  68. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  NHKでは、今年十二月の4K、8K放送の開始に向けまして、視聴者の皆様に安心して御覧いただけるよう、総合テレビの放送やホームページ等を通じまして受信方法に関する御案内を行うとともに、個別のお問合せにも丁寧に対応してまいっております。さらに、A—PAB、放送サービス高度化推進協会、また、JEITA、電子情報技術産業協会、地域の電気店など皆様と連携いたしまして、4K、8K放送を視聴できる環境ができるだけ早く整うよう努めてまいりたいと考えております。
  69. 秋野公造

    ○秋野公造君 よろしくお願いをしたいと思います。  次に、大規模災害時の取組についてお伺いをしたいと思います。  大規模災害時の迅速で確実な情報提供、これは今までNHKが果たしてきた大切な役割であります。放送センターの建て替えが行われておりますが、第一期工事の業者選定を終えて基本設計に着手をしているということをお伺いしているところでありますが、私の関心がありますのは、例えば首都直下地震など首都圏が大規模災害に見舞われた場合においても、建て替え中も含めて全国へ災害情報の提供を維持、継続していくことについて、どのような考え方で設計をしているのか、お伺いをしたいと思います。
  70. 木田幸紀

    参考人(木田幸紀君) おととし公表しました放送センター建て替えの基本計画では、基本コンセプトの一つとして防災・減災報道の拠点にということを掲げて、この考えに基づいて現在、基本設計を進めております。  とりわけ、防災・減災報道の中心的な役割を担う情報棟は免震構造とするなど、どのような災害が起きても国民の命と暮らしを守る報道を続けることができるよう、強靱で機能的な放送センターを建設しようとしております。情報棟以外の建物につきましても、阪神・淡路大震災クラスの震度七の地震に耐えるように設計を進めています。建て替え期間中は新しく建設する建物と現在の建物が併存することになりますが、現在の建物についても震度七の地震に耐えられる構造となっていますし、更に必要な耐震補強も行う考えであります。  また、首都直下地震の対策では、万が一、東京渋谷の放送センターから放送が出せなくなった場合に備え、大阪放送局から放送を続けるバックアップ設備の整備を行っております。  大規模災害の発生時に正確で迅速な情報を視聴者に提供することは、公共放送NHKにとって重要な使命であると認識しております。NHKでは、いかなる災害時にも放送を中断させることなく継続し、迅速に災害情報を提供できるよう、放送設備や実施体制の強化を進めていく所存です。
  71. 秋野公造

    ○秋野公造君 よろしくお願いいたします。  NHKが果たしてきた暮らしのセーフティーネットの強化の観点から、高齢者の方や障害者の方、こういった方が誰もが生きがいを持って暮らすことができるよう、情報へのアクセス機会の確保は非常に重要かと思います。  二〇一八年から二〇二〇年度経営計画におきましても、気象情報の手話、それから東京五輪のときには競技データの音声化、字幕化、高齢者や障害者の方に誰もが快適に御覧になるための人に優しい放送サービス、こういったことをICTも活用して構築をすると書かれているところであります。  こういった分野こそ、NHKは先導的な役割を果たすべきだと私も思います。NHKにおける技術研究や技術開発について、検討状況伺いたいと思います。
  72. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  NHKでは、人間の視覚や聴覚に関する長年にわたる研究成果と最新の技術を組み合わせまして、高齢者や障害者、あるいは日本語以外を母語とする方を含め、誰もが豊かで高度な放送サービスを楽しめるよう、人に優しい放送技術の研究開発を進めてまいっております。  代表的な研究は、気象情報などの手話のCGを自動で作る技術、字幕制作のための音声認識の技術、視覚に障害のある方にスポーツの競技進行などを人工の音声で伝える音声ガイド技術、物体の形や硬さなどの情報を伝える技術などであります。  誰もが豊かな放送サービスを楽しむことができるよう、ICTも活用いたしまして、しっかりと研究を進め、早期の実用化に結び付けてまいりたいと考えております。
  73. 秋野公造

    ○秋野公造君 すごい話でありますが、例えばでありますが、追加をして、例えば字幕化、字幕化などはこれなかなか大変な作業と伺っておりますが、こういったものは、例えばAIなども活用をしながら、必ずしも正確じゃない場合もあるかもしれませんけれども、AIを使った先導的な研究又は技術開発を行うといったことも提案をしたいと思いますが、御見解、お伺いしたいと思います。
  74. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  今先生から御提案ありましたようなことも含めまして、しっかりと研究、検討していきたいと思います。
  75. 秋野公造

    ○秋野公造君 ありがとうございます。  次に、国際放送の充実強化についてお伺いをしたいと思います。  この国際放送を費用で見ますと、平成二十五年から二十八年の間、決算ベースで百六十二億円から二百三十四億円に伸びておりまして、着実な充実といいましょうか、拡充、図られているかと思います。  放送法におきまして、国際親善の増進、外国との経済交流の発展に資するようにしなければならないとされているものでありまして、世界中の注目を集めて多くのインバウンド旅行者が期待をしている二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを二年後に控え、更なる多言語化あるいは海外の知名度向上、短期集中で一層の充実強化をすべきと考えますが、ここについてどのような計画をお持ちか、お伺いをしたいと思います。
  76. 木田幸紀

    参考人(木田幸紀君) 東京オリンピック・パラリンピックを控え、日本に対する関心が高まる中、日本を世界により積極的に発信していくための重要な機会だと考えております。このため、今年度から、国際放送の名称もNHKワールドJAPANと改めた次第です。  重要な施策の一つとして、映像コンテンツの多言語化に取り組んでおります。旅、食、文化などの様々な番組に多言語で字幕を付け、英語を母国語としない方にもいつでもどこでも見ていただけるよう、インターネット上でビデオ・オン・デマンドで提供しております。中国語、韓国語、インドネシア語など、アジアの言語を中心に八言語で配信を始めており、今年度は千本以上提供する予定です。  また、観光客や在日外国人の方々の安全、安心を守るため、今年二月から、地震、津波などの緊急時にスマートフォンなどで英語で速やかに情報を伝えるプッシュ通知サービスも始めました。  こうした様々な取組をSNSなどを活用して積極的にPRして、NHKの国際放送の一層の認知度の向上を図っていきたいというふうに考えております。
  77. 秋野公造

    ○秋野公造君 よろしくお願いします。  常時同時配信についてお伺いをしたいと思います。  二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けてNHKが常時同時配信の実施を求めておりますが、この意義、それから狙いにつきまして、改めてお伺いをしたいと思います。
  78. 坂本忠宣

    参考人(坂本忠宣君) お答え申し上げます。  二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けまして、日本の社会全体がそこを一つのターゲットとして様々な分野で新しいサービスや技術革新を、技術刷新を目指しております。放送でも新しい技術を生かしたサービスを目指すことが大切ではないかと考えているところです。  放送と通信の融合が進む中で、NHKは、経営計画で、東京オリンピック・パラリンピックで最高水準の放送サービスを届けることを掲げております。これまでにない規模で競技を放送でお伝えするとともに、同時にインターネットも使って配信し、いつでもどこでも楽しんでいただきたいというふうに考えているところです。
  79. 秋野公造

    ○秋野公造君 私もスマートフォンやネットでNHKが見れるようになると大変便利だと思いますけれども、ちょっと懸念することについてお伺いをしたいと思います。  一つ目は、ネットで配信をする際にも県域単位で配信をするのか、そのことは技術的に可能なのか、お伺いをしたいと思います。
  80. 坂本忠宣

    参考人(坂本忠宣君) お答えいたします。  NHK受信料制度検討委員会の答申では、常時同時配信につきまして、地域における民放との二元体制を維持していく観点から民放への配慮も十分考慮しつつ進めていくことが望ましいと指摘されているところです。この答申も踏まえまして、常時同時配信の開始後、段階的に地域放送の配信を拡充する際は、視聴できる地域を限定して配信するいわゆる地域制限を行いたいと考えております。  昨年度、同時配信の試験的提供を行いましたけれども、大阪と静岡で地域制限を掛けた実験を行っております。こうした結果も踏まえまして準備を進めてまいりたいというふうに考えているところです。
  81. 秋野公造

    ○秋野公造君 もしも常時同時配信ができた場合は、ネットから受信料を徴収することになりましょうか。もしもしないのであれば、ただ見が可能になるのではないかと懸念をしますが、どのように対応することになりましょうか。
  82. 坂本忠宣

    参考人(坂本忠宣君) お答えいたします。  常時同時配信の開始に当たりましては、受信契約世帯向けに追加負担なく利用できるサービスとして考えているところです。これは、有識者から成ります受信料制度検討委員会から昨年七月にいただいた答申を踏まえ、公平負担の観点も考慮したものでございます。  こうした公平負担の観点も考慮し、受信料をお支払いいただいている受信世帯を対象とするということでありますけれども、サービスの詳細につきましてはなお検討中でありますけれども、利用の際に受信契約者の名前と住所などを登録していただき、受信契約と照合することを考えております。契約が確認できない場合は、例えばBSのようにメッセージ付き画面などの視聴にとどめるといったことも考えております。  テレビをお持ちでなく受信契約を結んでいない方への対応につきましては、今後様々な御意見もいただきながら検討してまいりたいというふうに考えているところです。
  83. 秋野公造

    ○秋野公造君 今少しお話がありましたが、オリンピック、パラリンピックの際に訪日された外国人の方、こういった方もネットでNHKを見れる何らかの手だてはありましょうか。お考えがあればお伺いをしたいと思います。
  84. 坂本忠宣

    参考人(坂本忠宣君) 常時同時配信の開始に当たりましては受信契約世帯を基本としておりますけれども、東京オリンピック・パラリンピックについては、インターネットを使って多くの人に情報を届けるという観点はより重要であると考えております。  訪日外国人を含めて、テレビを持っていない方への対応については、今後のサービスを進める中で様々な御意見をいただきながら検討してまいりたいと考えております。
  85. 秋野公造

    ○秋野公造君 一方で、ネットを見ない方もいらっしゃいます。そして、地域によってはネットに接続ができない、あるいはブロードバンドの環境が整っていない、こういった地域もあろうかと思います。  NHKとして、通信においてもネットでもあまねく配信を目指していくということになりましょうか、その場合はインフラ整備をどのようにお考えになっておられるか、お伺いをしたいと思います。
  86. 坂本忠宣

    参考人(坂本忠宣君) お答えいたします。  NHKが実施しますインターネット活用業務は、放送を補完し、その効用、効果を高めるものであり、国民共有の財産であります放送番組等を広く国民に還元することが目的であります。放送法第十五条で、NHKはあまねく日本全国で放送を受信できるよう措置することが義務付けられております。そして、インターネットはその補完として活用を図っていきたいと考えているところです。  御指摘のネットでのインフラ整備につきましては通信事業者が取り組むと、こういうふうに承知しているところであります。
  87. 秋野公造

    ○秋野公造君 ブロードバンドが前提の話になろうかと思いますので、そしてまた、4K、8Kとなっていきますと、ブロードバンドといいましょうか、超ブロードバンドと、そういったような環境が前提となってくる議論かと思いますので、ここにつきましてはまた国も含めて議論を進めていきたいと思います。  関連団体改革についてお伺いをしたいと思います。  NHKアイテック不祥事を受けて、現在関連団体改革、取り組んでおりますが、中身と進捗状況についてお伺いをするとともに、NHK関連団体が行う業務が民業の圧迫とならないようにすべきと私は考えておりますが、見解をお伺いしたいと思います。
  88. 黄木紀之

    参考人黄木紀之君) NHKアイテック不祥事を受けまして、NHK本体が指導監督機能を発揮してグループ各社が緊張感を持って経営を行う体制を構築するため、平成二十八年、おととし一月にNHKグループ経営改革の方針を決めまして、様々な改革に取り組んでおります。  具体的には、子会社九社で常勤監査役に所要の知見を有する公認会計士の資格を持つ外部の人材を起用しました。また、子会社三社の非常勤監査役や、財団法人二団体でも外部の人材、公認会計士を監事などとして起用をしております。また、グループ意識の醸成のために、NHKの入局式と各団体の入社式を合同で実施、研修も合同で実施するようにいたしました。  次に、関連団体を所管するNHK本体の部局を明確化して、その本体の局長が責任を持って管理をする体制を構築いたしました。この体制の下で所管部局と子会社のマネジメント連絡会を毎月開催いたしまして、NHK経営意思をきちんと反映することができる仕組みを整えました。  また、関連団体へのNHKからの委託業務等につきまして、取引データの分析を進めて、NHKとの取引で受信料がより適切に使われていることを確認し、見直して、更なる向上を図っております。  そして、子会社利益剰余金につきましては、普通配当配当性向を三五%から五〇%に引き上げましたほか、最低保有資金、必要運転資金と考えていただいたらと思いますが、これにつきまして、これまでの売上げの三か月相当額から一・五か月相当額に圧縮するなどの新しい配当指針を定めて、これに基づいて随時特別配当を実施して適切にコントロールしてまいりたいと考えております。  今後も、グループガバナンスの強化によりまして、NHK関連団体に対する指導監督機能を発揮して適切な業務運営を行っていくよう注力してまいります。  また、関連団体の業務の在り方についてでございますが、子会社等は、公共放送の使命達成に協力するNHKグループの一員であることを認識いたしまして、NHKからの委託業務に限らず、それ以外の事業につきましても節度と良識ある事業活動を行うよう管理、指導を行ってまいりたいと考えております。
  89. 秋野公造

    ○秋野公造君 先ほど、働き方改革について島田理事からも御質問がありました。昨年十二月、NHKグループ働き方改革宣言を公表して、そして様々な取組については御説明がありました。  実際に、例えば毎月の職員の労働時間が減少したといった具体的な効果は生じておりましょうか。そして、点検、検証、改善、具体的にどのような体制でどのように行っていくお考えか、お伺いをしたいと思います。
  90. 松坂千尋

    参考人(松坂千尋君) お答えいたします。  NHK働き方改革の取組を進めておりますが、御指摘のとおり、点検、検証し、改善を続けていくことが重要であると考えております。  これまでの取組で数値面の改善も見られております。平成二十九年度一般職員の年間総労働時間ですけれども、平均で二千四十三時間となり、二十八年度と比べると二十三時間少なくなっております。  また、二十九年度から専門業務型裁量労働制を導入いたしました記者についても、働き方改革を推進し、休日の確保が進んでおります。二十八年度と比較しますと、二十九年度は、年間でおよそ七日、記者の休暇取得日数が増えました。  働き方改革や勤務状況を点検、検証する体制といたしましては、今年二月からワークプロデューサーと名付けた管理職を各職場に新たに位置付けまして、取組を進めております。このワークプロデューサーを中心に、業務の集約ですとかフローの見直しを進めているほか、毎月一回、働き方点検の日を設定しまして、全ての職場でよりきめ細かく業務と勤務を管理して働き方を見直す取組を行っております。  また、会長以下で構成します働き方改革推進委員会を設けまして、取組について定期的に検証しております。役員レベルでは、このほか、勤務状況の毎月ごとのデータを共有して、特に課題のある職場の把握と改善などに努めております。
  91. 秋野公造

    ○秋野公造君 終わります。ありがとうございました。
  92. 森本真治

    森本真治君 国民民主党・新緑風会の森本真治でございます。  午前中の最後でございます。十二時半前までということで、ちょっとお昼過ぎますが、どうぞよろしくお願いいたします。  NHK決算の質問に入る前に、野田総理、今日は全く御発言がありませんので……(発言する者あり)前もちょっと言ったかもしれません。野田大臣野田大臣、今日は発言がありませんので、何点かお伺いしたいと思います。  今週の月曜日、森友学園に係る決裁文書の調査報告書、財務省の方が内部調査ということで公表をされました。  この森友学園の決裁文書改ざん案件というのは、これは財務省だけではなくて、政府、安倍政権全体として大変大きな問題だという認識をお持ちでしょうか。
  93. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 財務省における書類の改ざんにつきましては、やはりEBPMということを今標榜している政府にとって、そのEの部分に問題があるということで、国民の皆さんに対して大変失礼な話でありますし、問題であるということを私はこの委員会でも何度か指摘させていただいてまいりました。
  94. 森本真治

    森本真治君 今回の財務省の報告というのは、改ざんのことに関してということでございますけれども、麻生大臣は、そもそもこの動機ということについて、それが分かれば苦労せぬのですよ、それが分からぬからみんな苦労しているんですというようなコメントをされていらっしゃいます。  ということは、今回のこの報告書を出されておりますが、安倍総理、かねがね、うみを出し切るんだというようなことも言われておりますけれども、今回の報告書が出されたからといって、この改ざん問題については解決した話ではない、担当の大臣自体がまだこの動機については分からぬと言っているわけでございますから、これはまだ途中過程だという認識でよろしいでしょうか。
  95. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) その件について直接麻生大臣とやり取りをしていませんので、麻生大臣がどう思われているか分かりませんが、いずれにしても、調査した結果、当時の局長が首謀者であったということ、改ざんの主たるその責任者であったということ、このことについては大臣にはほとんど情報が、ほとんどというか、全然情報が行っていなかったということも明らかになりましたし、また、このことに対して書換え等を拒んだ職員もいたということも明らかになりました。  調査報告によって様々な私の存じなかったことも明らかになったところで、ということで、総務大臣としては、そういう調査をしたことによって私の知り得る、情報も得たということになりますので、今後も引き続き麻生大臣が主体的に、これからの国会のやり取りの中で、その調査結果で十分だったかどうかというのはそれぞれやり取りがあろうかと私は思っておりますので、そこでのしっかり対応をしていただいて、御判断いただければいいと思います。
  96. 森本真治

    森本真治君 今回の報告書を受けて、与党の方からも、まだこれは十分ではないんではないかというような声が上がっているというようなことがいろいろと報道などでも私も伺っておりまして、これはやはり国会としても引き続きしっかりとチェックをしていかなければならない、追及していかなければならない問題だというふうに思っておりますし、ちょうど昨日、消費者問題の特別委員会が開かれていたので、消費者問題の特別委員会が、私、担当の福井大臣とも少し公文書の在り方について考えを聞かせていただきまして、福井大臣も、大変この問題は国民の信頼を失墜させる大きな問題なので、政府全体としても気を引き締めて今後もやっていかなければならないというお話もいただいたところだったんですね。  それで、ちょうど昨日、福井大臣の方から公文書管理について、これは一昨日だったと思うんだけれども、閣議の後に総理の方から、閣僚懇談会というんですか、そこで公文書の管理についての徹底の指示があったというお話までは聞いたんですけれども、公文書管理はこれは総務大臣も所管でございますから、どのような指示があって、今後どのようにこの公文書管理について対応していくのかということをお話を聞かせていただければと思います。
  97. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) ごめんなさい、通告いただいていなかったので詳しい資料がないんですけど、公文書に関しては梶山大臣、そして私の方は電子決裁等のそういう担当ということで、こういう事態が発生したことを深く反省し、そして今後二度とそういうことが起きないように、主体は梶山大臣、そして私が電子決裁の部分等は引き受けさせていただいて、全閣僚、力を結集して取り組もうというような会議の趣旨であったと思います。
  98. 森本真治

    森本真治君 ごめんなさい、ちょっと私も十分にこれ通告できていなくて、大臣のお答えできる範囲で結構でございますから確認をさせていただきたいということでございます。  かねがね電子決裁システムの導入、促進というようなことも総務省としても取組をされていらっしゃるんだというふうに思いますけれども、これちょうどおとといか、大臣記者会見のされている中で、電子決裁への移行加速化ということで記者会見をされているというふうに思うんですけれども、電子決裁だけを見ていては駄目だということですというような気付きなどもお話もされていらっしゃると思うんですけれども、この間は電子決裁の促進ということで、これ九〇%以上だったと思うんだけれども、今導入が進んでいるということですが、これ更に加速をさせていくんだというふうにこの間は言われていたと思うんですけれども。  これはちょっと確認ですけれども、各省庁に促進をしてくださいというお願いだけができるのか、今後しっかりとこれ義務化を進めていくということですよね、そういうところまで制度としてはやっていくことができるのかどうかというところを、ちょっとそのことについてお伺いをしたいと思います。
  99. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 記者会見で申し上げたのは、まず電子決裁の速やかな導入に当たって、それぞれの役所が今どういう取組をしているかということを調べさせていただきました。おおむね取り組んでいるんですけれども、中にはスタックしてしまう、できないところがあると。その一番大きなものは、例えば、入口が紙、国民からの申請が紙で始まってしまうとどうしても紙で進めていくとか、またPDFに変えてしまったら本来の電子決裁の意味がなくなるとか、そういうことがもろもろ出てきました。  これをもう一回問題解決をすることで第二ラウンドに入っていこうということで、命令ベースではなくて要請ベースという形でそれぞれ自主的に取り組んでいただく中、私たちがやりづらいところがあったら御相談に乗って伴走させていただくというスタンスを取っています。
  100. 森本真治

    森本真治君 大臣のお考えで結構でございますけれども、先ほど、課題というか、今はお願いベースでということで、技術的な問題なども含めてその辺りをクリアしていかなければならない、コストのことなんかもあろうかと思うんですけれども、やはり今回の問題なんかが起きた以上は、しっかりとこれは電子決裁システムというものを導入をする、一〇〇%しっかりとそれでやっていくということで努力をしていく必要があるんだというふうにお考えか、それも、そのためにはやはり義務化もしっかりしていかなければならない、制度としてというふうにお考えなのかということだけ、最後、ちょっとお伺いしたいと思います。
  101. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 義務化にするかどうかというのはさておいて、もう電子決裁で進めていかなければならないという状況だと思っています。しっかり、閣僚会議がありますので、そこで、私はどちらかというと圧を掛けていく方で、今までそれをしてこなかった役所に対しては速やかにどう変わっていけるかということに取りかかっていただければと思っています。
  102. 森本真治

    森本真治君 いずれにしても、ただ、これ、電子決裁と紙ベースのところが様々な事情、理由で残っていくと、やはり今回の問題というのをどこまで深刻に受け止めて二度とこのような状況を起こさないのかということを考えたときには、もしかしたら、各役所、省庁の方でいろんな理由を付けて、本当に、まあ余り考えたくはないですけれども、電子決裁を導入しないことによって曖昧の部分を、逃げ道をつくろうというようなことがあったときは、やはりこれはこのような事案がまたこの後繰り返されるという可能性が残るわけでございますから、しっかりとその辺りは強い決意を持って制度を実現していくということは非常に私は重要だということを、突然の質問で申し訳ございませんでしたけれども、せっかくの質問、大臣とお話しできる機会でございましたので、ちょっと取り上げさせていただきましたので、ありがとうございました。  それでは、本題の方のNHK決算についてお伺いをしたいというふうに思います。  今回、平成二十五年度から二十八年度ということでございますけれども、その前年の平成二十四年度、この年にNHKは取り巻く環境が大きく変わったというふうに思っております。  一つは、東日本大震災というような、これは日本全体として大きなことが起こりました。その年に受信料の七%引下げということですね。それを受けて、先ほどもちょっと少し議論があったわけでございますけれども、その中で、受信料値下げの中でどのように経営を維持していくのかというようなことがあったわけでございますけれども、平成二十五年度、この年に当時の松本会長、給与体系の見直しというようなことも始めたわけで、その中で経営をしっかりとやっていこうということがあったわけでございます。平成二十五年度から五年間、約一〇%の給与の抑制、人件費の抑制ということが決まったということですね。全体最適と呼ばれる組織業務改革、これはまさに労使で共有して改革に取り組んでいったということだったというふうに思います。  そこで、まずちょっとNHKさんにお伺いしたいんですけれども、労使で共に努力をしてこの全体最適ということでの組織業務改革を進めていったわけでございますけれども、振り返りまして、どのような成果があったのか、またその課題点についても併せてお伺いしたいと思います。
  103. 坂本忠宣

    参考人(坂本忠宣君) お答えいたします。  全体最適の改革は、持続可能な業務体制をつくるため、そして取材・制作力を強化し、スーパーハイビジョンやインターネットを活用した新しいサービスなどに対応する要員を確保するために、本部と地域の業務や体制を見直し経営資源の再配置を行ったものであります。こうした全体最適の考え方が浸透しまして、限られた経営資源を有効に活用する選択と集中の意識が醸成されたことは大きな意味があったというふうに考えております。  その一方で、公共メディアへの進化を目指す中で持続可能な業務体制をつくっていくためには、NHK本体だけでなく、関連団体も含むNHKグループとして創造と効率を追求する体制をつくっていくことが課題だというふうに考えております。
  104. 森本真治

    森本真治君 この組織業務改革ということが五年間ということで、先ほどもちょっと、そこで働いている皆さんの協力もあって進んだということだったというふうに思うんですけれども、この改革期間の中で、先ほど、スタートは松本会長ということでスタートしたんだけれども、途中で会長籾井会長に交代されたということでトップが替わったということがあったんですけれども、この業務改革の中で、先ほどいろいろ評価をお話しいただいたんですけれども、会長が交代したことの影響というのはあったのか。まあ当初の改革どおりに進んだのか、若干そのスピード感なども含めて影響があったのかということですね、そのことについてどのように評価されているのか、そこも併せてお伺いしたいと思います。
  105. 坂本忠宣

    参考人(坂本忠宣君) 全体最適の業務体制の改革は、平成二十五年に策定した当初から、業務の見直しと要員シフトによる影響を検証しながら平成二十九年度にかけて遂行する計画でありました。  全体最適の改革は会長の交代の際にも引き継がれまして、当初の計画を踏まえ、実行されたというふうに考えております。
  106. 森本真治

    森本真治君 会長が替わったことの影響はなかったというふうな今答弁ですかね、そういうふうには受け止めさせていただきました。  その一方で、今回のこの決算審議も関わってくるんですけれども、特に、籾井会長の時代には予算の審議等でもいろんな影響があったというふうに思います。本来、この予算の、我々がNHKの予算について審議するのはお金のことだけではないですね。どのような改革をNHKがしていくのか、視聴者からの集めた受信料、これについてもどのように有効に使っていくのかということ、さらには公共放送としての在り方、そのようなこともしっかりと議論すべきだったんですけれども、残念ながら、その当時の会長では、まあ御自身の様々な不適切な発言ということもありました。それが個人の資質、トップとしての個人の資質などの議論もこの国会の中でもやらなければいけないということもあったんですね。残念ながら、充実したこのNHKの予算審議とならないことがあったというふうに私は思っております。  その結果として、今回、決算審議もしているうちの三年間分は全会一致でなかったんですね、予算がですね。まさに異例中の異例ということでその予算が議論をされた。その予算が今回の決算にも今来ているということでございます。  その間の、全体として、全会一致にもならなかったような、NHKに関する議論が十分に私はその当時はできていなかったんではないかというふうに理解しておるんですけれども、NHKの方はその当時どのように総括をされているのか、お伺いしたいと思います。
  107. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  公共放送であるNHKは、視聴者・国民の皆様からの幅広い信頼の基盤の上に成り立っておりまして、国民を代表する国会において全会一致で予算承認をいただくことがその信頼のあかしになると考えております。  平成二十六年度から三年続けて全会一致で予算承認を得られなかったことにつきましては、当時の浜田経営委員長が、痛切に反省し、執行部とともに受信料で成り立つ公共放送の意味を再確認すると総括しており、経営委員会の一員だった私も同様に感じております。  これからも、全会一致で予算を承認していただけるよう、誠心誠意、丁寧に説明責任を果たしてまいる決意であります。
  108. 森本真治

    森本真治君 国会への説明というのは、まさに国民への説明責任でございます。  くしくもというか、今回の決算審議に当たりましても事前に幾つかの資料をいただいております。まさに予算が全会一致にならなかった年度の中での平成二十七年度、二十八年度NHK決算の要約ということもいただきました。その前の二十五年度、二十六年度決算の要約もいただいております。  二十五年度、二十六年度の、まさに全会一致になった頃の決算資料はA4四ページ、丁寧に資料も作っていただいております。二十七年度、二十八年度決算の要約、A4二枚ですね。非常に丁寧さが失われているという、これ、まさに当時の体制が、そのまま姿勢が反映されているような資料になっています。なぜこのような違いになっているのかということを御説明ください。
  109. 松坂千尋

    参考人(松坂千尋君) お答えいたします。  委員御指摘の決算要約ですけれども、決算状況が一目で分かるように、ポイントを一枚にまとめた資料でございます。このほかに、NHK決算の資料としては、お手元にお配りしております業務報告書ですとか財務諸表決算説明資料、それからさらに、業務の実施状況や科目別の内訳などを分かりやすく説明した決算概要という冊子を作成して公表しております。  受信料で成り立つNHK事業運営について、視聴者の皆様に御理解いただくことは非常に重要であると考えております。御指摘も踏まえ、資料作りに当たりましては、決算要約を含め、より分かりやすい資料となるように努めてまいりたいと考えております。
  110. 森本真治

    森本真治君 ちょっと質問に答えていただけていなかったのかなというふうに思いますけれども、丁寧な説明に努めてまいるというのは分かるんだけれども、何でこのように年度によってこの資料の中身、要約ではありますけどね、その細かい話は全部こちらに、ここにありますけれども、我々ももちろん全部一つ一つ丁寧に確認していかなければならないんだけれども、ある程度ポイントを絞っていただくという部分においてこのように違いを付けた理由が何でなのかなというふうに疑問に思ったものでしたから。特に、予算の全会一致になっていない年度の方が簡略化されているわけですよ。そのことが疑問に思ったのでちょっとそのことを聞いたんです。もう一度答弁お願いします。
  111. 松坂千尋

    参考人(松坂千尋君) この時期は連結決算の速報も、連結決算決算についても併せて報告するということを取っておりまして、表裏一枚で決算の要約というのを作ったので資料が簡便になった面があるというふうに思っておりますけれども、決算の要約という資料は、非常にコンパクトで分かりやすいことが、なおかつ内容があることが必要でございますので、御指摘も踏まえて、より分かりやすく内容があるように改めてまいりたいというふうに思っております。
  112. 森本真治

    森本真治君 まあ余りこのことに時間も費やせられないんですけれども、何か突如としてこの年だけ、年度だけこのような対応を取っていることで変な疑念を、ちょっと勘ぐってしまったので指摘をさせていただきましたけれども、何度これ聞いてももしかしたらこれ以上のお話はないかもしれませんので、ちょっと次に行きたいというふうにも思います。  それで、各年度決算、冒頭に総務大臣からの意見も、お話もあったわけでございますけれども、先ほどの籾井体制の中で様々な指摘が特にまた出ていたというふうに思います。様々な出張旅費の不正受領、工事費の不正受領などの事案が発生して、ガバナンスの問題、このことがいろいろと指摘をされたということです。  総務大臣の指摘を受けてどのような改善を行ってきたのか、また、いるのかということですね、お話を聞かせていただきたいと思います。
  113. 黄木紀之

    参考人黄木紀之君) NHKアイテック不祥事を踏まえまして、NHK本体が指導監督機能を発揮してグループ各社が緊張感を持って経営を行う体制を構築するために、平成二十八年一月にグループ経営改革を抜本的に見直しまして、改革に向けた施策を速やかに推進していくという方針を定めました。  これに基づきまして、具体的には、コンプライアンス、不正防止施策の徹底のため、関連団体におきましても、懲戒規程及びその公表基準、リスクマネジメント規程、コンプライアンス規程をNHKと同水準に引き上げております。  また、子会社につきまして、常勤監査役に所要の知見を有する公認会計士の資格を持つ外部の人材を起用して、順次拡大し、現在九社になっております。この九社にはNHKの本体側から若手の管理職を出向させまして、経営部門でグループマネジメントの経験を積ませております。さらに、グループ意識を醸成するための、NHK本体の入局式と各団体の入社式を合同で実施することなども行っております。  さらに、関連団体を所管するNHK本体の部局を明確化して、本体の局長が責任を持って子会社を管理する体制を構築いたしました。この下に、関連団体経営目標についても、この所管部局が各団体と協議をして設定するようにいたしております。さらに、NHK本体の内部監査室が、平成二十八年度子会社を、また平成二十九年度は関連公益法人等を調査して、改善の必要なものについて指摘をするということも行っております。  また、関連団体へのNHKからの委託業務等につきましても、この取引データの分析を進める、いわゆる見える化というものに取り組みまして、NHKとの取引の透明性、適正性の確保に努めて、必要があれば見直しを行っております。また、関連団体NHK以外と取引しているものにつきましても同じように見える化を進めまして、子会社の間で重複して行っている一部の事業については再整理を進めております。  さらに、子会社利益剰余金につきましては、配当指針を見直しました。普通配当配当性向を三五%から五〇%に引き上げましたほか、いわゆる必要運転資金についても圧縮して、いわゆる還元可能な配当可能額というものを算定いたしまして適切に利益剰余金をコントロールするようにいたして、それに基づき、二十八年度と二十九年度に大型の特別配当を実施いたしております。  さらに、関連団体在り方につきましても、各団体の役割分担ですとか既存業務の見直しに着手しております。その中で、技術系子会社につきましては、NHKのメディアテクノロジーとNHKアイテックの統合に向けて具体的な検討を現在進めております。  こうした政策を進めることによって、グループガバナンスの強化が次第に図られてきているというふうに考えております。引き続き、関連団体の適切な事業運営が行われますように指導監督を進めてまいりたいと考えております。
  114. 森本真治

    森本真治君 まさにグループ経営改革というようなこと、また、在り方などについても今いろいろとお話があったわけでございます。まさに、その子会社在り方そのものをゼロベースで見直すことが急務であるというような指摘もあったわけでございますので、まず、そもそも論のところをもう一点だけ聞きたいのが、そもそもこのグループ子会社というか、それの存在意義というか、どういう目的でそういうグループ子会社というところが今あるのかということなんですね。  今、役割分担とかというような話とかはあったんだけれども、そもそもその存在意義自体などについてももう少し考え方、NHKとして何でそういうことが必要なのかということ、もしそこの部分まで問われてきたら会社自体の整理というようなことまで入ってくるかもしれませんが、まず、その必要性や意義についても考え方をちょっと聞かせていただければと思います。
  115. 黄木紀之

    参考人黄木紀之君) NHK関連団体子会社等の主な役割としましては、公共放送の業務を補完、支援し、NHK業務を効率的に推進すること、この役割をしっかり果たすということだと考えております。それに基づきまして、今年度平成三十年度からの三か年の経営計画では、これまで以上に関連団体との連携を強化して、グループ全体で効率的で透明性の高い組織運営を実践してまいるように計画をしております。グループ一丸となって、4K、8Kですとか、放送と通信の融合など、新しい経営課題への取組を進めてまいりたいと考えております。
  116. 森本真治

    森本真治君 効率性といった観点などから、この子会社グループとしてやっていくということは非常に重要なんだというようなお考えだったというふうにも受け止めさせていただきました。その中で、ただ、一方で様々な不祥事などがある中でガバナンスの部分等の強化ということが今後やはりしっかりと徹底していかないと、やはり国民の側からしたときの不要論みたいなものが出てくる可能性もあるということですから、そのことについてはしっかりとまた取組をお願いしたいというふうに思います。  ちょっとこの項で最後に総括的に会長の方にもお伺いしたいと思うんですけども、会長がかねがね、予算のときにもいろいろとお話をされた、会長の方針である公共放送から公共メディアへということですね。その中でのグループとしての変革を今またこれからも進めていかなければならないわけでございますけども、先ほどの全体最適の改革の中で会長が替わったことによるある意味影響は余りないようなお話があったというふうには伺っているんだけども、少なくとも、この間の総務大臣からの意見などでもガバナンスの問題とか子会社の問題を指摘されたり、国会での審議もそうでございました、指摘があったりというようなことで、この間は、ただ、やはり本来の進めていく改革の中にいろんなちょっと弊害もあったというふうに私は思っています。  そういう面においては、場合によっては、そのような対応がなければ、上田会長が目指そうとしていることがもっと前の段階からでもできておったんではないかというようなこともあると思うんです、過去のことはもう戻れませんけれども。そういう面では、まさに今やらなければいけないグループ全体の改革などの部分が実際は、でも今あるわけでございますので、そういう中では会長が目指そうとする今の改革プラスアルファのところもやっぱり置かざるを得ないというようなことだというふうに思うんです。  そのようなところの中で、改めて会長として今後のNHKの改革に向けての思い、聞かせていただければというふうに思います。
  117. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  前の三か年経営計画の策定に当たりましては、東京オリンピック・パラリンピックが開催されます二〇二〇年に最高水準の放送サービスを実現することを目標にして、二〇一五年度から六年間のNHKビジョンというのをお示しいたしました。三年間をその第一ステップと位置付け、創造と効率を追求する組織への、今おっしゃいました全体最適もそうですけども、様々な改革に取り組んでまいりました。  今年度からの三か年経営計画は第二ステップと位置付け、公共メディアへの進化を見据えて、働き方改革、地域改革、グループ経営改革の三つの内部改革を一体で行うとともに、NHKグループ全体で業務改革を推進し、持続可能な業務体制を構築すべく取り組んでいるところであります。
  118. 森本真治

    森本真治君 それでは次に、NHK働き方改革というような観点からもお伺いしたいと思います。  先ほど、全体最適の改革についての御説明もいただいたわけでございまして、先ほど言及させていただいたように、これまでの全体最適という組織業務改革においては、受信料値下げに合わせて職員の給与を削減して進めてきたというところがあったわけでございます。実際に、先ほど少し御説明いただいておりますけども、改めて、これまでの給与の削減などによって業務の改革、業務抑制ということもあったというふうに思うんですけども、数字としてはプラスになっている部分があったと思うんだけども、やっぱり負の側面ということもあったんではなかったのかなというふうにも思うんですね。  もう少し、この間の業務改革、業務抑制というような観点から、取組について説明をしていただければというふうに思います。
  119. 坂本忠宣

    参考人(坂本忠宣君) 給与制度改革は、平成二十五年度以降、年功序列的な要素を抑えまして、努力やその成果をより反映させる制度に見直すとともに、平成二十九年度までの五年間で基本賃金の一〇%を目安に引下げを行っております。  こうした中でのその全体最適の改革でありますけれども、持続可能な業務体制をつくるため、また、取材力、制作力を強化してスーパーハイビジョン、インターネットを活用した新しい業務に対応する要員を確保するために、本部と地域での業務、体制の見直しを行い、経営資源の再配置を行ったものであります。  この業務の見直しに当たりましては、ワーク・ライフ・バランスに配慮した活力ある職場をつくることを基本に据えております。繁忙感の軽減や人材育成の強化などを視野に、業務の棚卸しなどを通じまして要員と業務量のバランスを整えると、こういう取組を進めてまいったところでございます。
  120. 森本真治

    森本真治君 この全体最適の組織業務改革のそのまさに期間に起きたのが、平成二十五年七月のその女性記者が亡くなられたという大変痛ましい事件であったというふうに思います。二十六年の五月に過労死の労災認定を受けたということで、本来であれば、そのときの全体最適の中の改革の中でしっかりとこういう働き方の部分について対応ができていたのかということですね、むしろそこがマイナスの方に行っていったのではないかというような私はちょっと疑念を持ったんですね。  そして、今の上田会長になってのまたこの働き方改革ということだったんだけれども、そういう面では、この全体最適の改革の中できちんとしたこの働き方改革ができていなかったのではないかというふうに私は疑念に思うんですけれども、改めてその辺りについてどのように考えているか、お伺いしたいと思います。
  121. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  未来のある記者が亡くなられましたことは痛恨の極みでありまして、過労死の労災認定を受けたことは大変重く受け止めております。  全体最適と申しますのは、持続可能な業務体制をつくり、将来にわたって公共放送の使命を果たすため、選択と集中の視点から業務を見直して、インターネット活用など新サービスへの対応や取材・制作力強化のための要員シフトを行うもので、平成二十五年度に策定され、平成二十九年度にほぼ達成いたしました。  今後も、働き方改革の視点を踏まえた上で、持続可能な業務体制の構築を目指し、関連団体も含むNHKグループ全体として更なる業務改革を進めてまいりたいと考えております。
  122. 森本真治

    森本真治君 今現在、NHKの方でNHKグループ働き方改革宣言というものを公表をされるなど、この委員会の中でもいろいろとNHKの中での働き方ということが議論されて、取り組んでいるということについては理解をさせていただいているところでございます。  実際にNHKで働く皆さんの方々からも、今の体制になって、職場の雰囲気なども含めて変化が起きているというような声も事実届いています。そういう面では、これからも上田会長を先頭にしっかりと、そこで働く皆さんの安心、安全、健康といった部分も含めてしっかりと取り組んでいただきたいということは、改めて私からもお願いをさせていただきたいというふうに思っております。  残り時間も少なくなってまいりましたので、次の通告の内容でございますけれども、受信料収入についてお伺いしたいというふうに思います。  今回の平成二十五年度から平成二十八年度決算全てにおいて、受信料収入等の事業収入が予算を上回ることになっているということで、収支の差も、これ予算を毎年大きく上回っているという状況になっています。平成二十九年度決算速報においても同様であるわけでございまして、予算と決算がこれ乖離する状況が続いているということで、これちょっとNHK総務省と両方に、この状況についてどのように評価されているのかということですね、見解を持っているのかということをお伺いしたいと思います。
  123. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  平成二十五年度から二十九年度決算につきましては、契約収納体制の強化や放送と連動した活動を行うなど、全局的な取組によりまして受信料が増収となっております。また、支出面においても、放送サービスの充実など、公共放送の使命、責任をしっかりと果たす一方で効率的な事業運営に努めてまいりました。これらの役職員の努力の成果に加えまして、視聴者の皆様にNHK事業運営を御理解いただいたことが決算に表れたと考えております。  これらの経営努力によって確保した事業収支差金につきましては、放送センターの建て替えに備えて建設積立資産に積み立てましたほか、財政安定のための繰越金に繰り入れ、今後、4K、8Kの設備投資の財源に充てる計画であります。また、視聴者の負担軽減策として、三十年度からの三か年では受信料の免除対象の拡大などを百七十億円規模で実施することといたしております。
  124. 山田真貴子

    政府参考人山田真貴子君) お答え申し上げます。  NHKは、国民・視聴者に御負担いただく受信料によって支えられているものでございまして、受信料につきましても、国民・視聴者にとって納得感のあるものとしていく必要があると考えております。  今御審議いただいております平成二十五年度から二十八年度NHK決算における事業収支差金は先生御指摘のとおりでございまして、また平成二十九年度決算速報値におきましても、事業収入、繰越金共に前年度から増加となっているというふうに承知しております。  こうした状況を踏まえまして、NHK平成三十年度予算に付する総務大臣意見で指摘したように、既存業務全体の見直し受信料額の引下げの可能性を含めた受信料在り方について真摯に検討を進めていただきたいと考えているところでございます。
  125. 森本真治

    森本真治君 国民の納得感というようなお話もちょっとあったと思うんですけれども、経営計画、二〇一五から一七年度の三か年総括に掲載されている世論調査というのがあって、結果ですね、最も期待度と実現度に大きな差がある指標というのは受信料の公平負担ということですね。これは、その差というのが前回の調査よりも拡大しているというようなデータもあるというふうに見させてもらいました。  受信料支払率はしっかりと上がっているんですね。にもかかわらず、この受信料の公平負担の指標に改善が見られない理由、その辺り、どのようにお考えになっていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  126. 松原洋一

    参考人松原洋一君) お答えします。  受信料に関する指標の期待度と実現度の差が大きいということについては、平成二十九年度末、支払率は八〇%と過去最高を確保していますけど、更なる公平負担の徹底が必要だという声だというふうに受け止めています。  向こう三年間の経営計画の中でも、受信料の公平負担について、支払率を毎年度一ポイントずつ向上させるという計画にしています。まずはこの計画をしっかりとやっていくことが大切だというふうに思います。さらに、受信料制度等の理解促進にも併せて取り組んで、視聴者の期待に応えるべく、公平負担を徹底していきたいというふうに思います。
  127. 森本真治

    森本真治君 お話しいただいたんですけれども、受信料の公平負担の指標の低さ、私はこの背景、やはり国民・視聴者への還元が適切に行われていない、いろんな今免除の取組なども説明されているんですけれども、まだまだ国民・視聴者の中で、そこがやはり納得感というか、信頼というところが上がっていないということですね。  そういう面では、改めてやはりこの受信料の引下げなどについて、今後の備えというようなことでこれまでもお話しされているんだけれども、やはりその引下げの部分についても検討していくということですね、その制度の在り方についても考えていく必要があるというふうに思うんですけれども、もうちょっと、何度か答弁されていると思うんですが、改めて、今後の考え方、方針について私の意見を踏まえてお答えいただければというふうに思います。
  128. 坂本忠宣

    参考人(坂本忠宣君) お答えいたします。  今後の受信料額の適正な水準や更なる負担軽減策など、受信料体系の在り方につきましては、中長期的な事業計画や収支見通しを踏まえた上で検討すべき重要な課題だというふうに認識しております。  視聴者・国民の皆様の理解が得られますよう、中長期的な視点に立って検討を進めてまいりたいと考えております。
  129. 森本真治

    森本真治君 ちょっともう時間の方も残り少なくなりましたから、質問の方は以上にさせていただきたいというふうに思いますけれども、やはりNHKの使命というようなことを、役割というものを考えたときに、予算だけではなくて、やはり決算の方でしっかりと我々としても振り返りというかチェックをさせていただいて、この国会の中で出てきた意見なども踏まえて次の例えば予算などにも、経営計画などにもしっかりと生かしていただきたい、そういう思いを述べさせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  130. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十五分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  131. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、日本放送協会平成二十五年度財産目録貸借対照表損益計算書資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書並びにこれらに関する説明書外三件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  132. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 立憲民主党の吉川沙織でございます。  平成二十五年六月から昨年一月に会長に就任されるまでの間、今回の決算審査対象期間は平成二十五年度から二十八年度まででございます。この間ほぼ全てにおいて常勤の経営委員かつ監査委員であられた会長に、今回の決算審査に臨む姿勢について端的にお伺いいたします。
  133. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  NHKは国民・視聴者の皆様からの信頼という基盤の上に成り立っており、国民の代表である国会において決算をお認めいただけるよう、誠心誠意、丁寧な答弁に努めてまいります。
  134. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 NHKの歴史の中で、経営委員監査委員からNHK会長が選任された例は、昭和三十五年、現職会長の病気による途中退任に伴い、当時経営委員長だった阿部氏が会長に就任した一件しか例はございません。放送法は執行部を監督するのが経営委員会であることを規定しており、法の趣旨からすれば、経営委員から会長を選ぶということは至極異例であったと言わざるを得ませんが、これらの点も踏まえつつ、主として平成二十六年度から平成二十八年度決算について質疑を行います。  NHK放送センターの件、これも今日、会長説明でもありましたとおり、事業収支差金なんかはずっと積み立てられています。渋谷の放送センターは、昭和四十年の運用開始から五十年が経過し、老朽化及び狭隘化が進んでいることから、平成二十三年に専任の組織を置いて新放送センターの検討に着手するとともに、平成二十三年度決算から建設積立資産の積立てを開始しています。  四年にわたる検討の結果、現在地で建て替えること等を基本とする基本整備方針を決定し、その後、現在の最終的な放送センター建て替え基本計画は、平成二十八年八月三十日の第千二百六十六回経営委員会を経て、公表されています。工期は物すごく長くて、二〇二〇年から十六年間、建設想定費は一千七百億円とし、本年四月には建設の建て替え工事の落札者も決定しています。  平成二十三年度決算から積立てを開始した建設積立資産は、平成二十八年度末時点で一千七百七億円となっており、二〇一五から二〇一七年度経営計画において見込んでいた一千二百八十二億円を大きく上回る状態となっています。  そこで、会長にお伺いします。  平成二十八年八月三十日の第千二百六十六回経営委員会では、経営委員として放送センター建て替え基本計画に了承されていますが、この計画内容について変更点はないかということ。それから、このとき一千七百億円という概算になっていましたが、工期は長く、複雑です。これも変更はないか、あるかないかだけお伺いいたします。
  135. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  NHK放送センターの建て替えに当たっては、おととしの八月に基本計画を公表し、第一期と第二期以降の想定建設費を合わせて千七百億円としました。現在、第一期工事を落札した共同企業体が基本設計を進めておりますが、基本計画にも記載したとおり、今後の社会経済情勢の変化や協会を取り巻く環境の変化に応じて計画を見直すこともあり得ると考えております。
  136. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 変更することもあり得るとの御答弁でしたが、この最後に決定をされた建て替えの基本計画の「建替にあたっての方針」のところでは、NHKホールの継続使用が大きな項目として掲げられています。  NHKホールは、もう言わずもがな、NHKのシンボルとして継続使用するとされていますが、その着工時期は建て替え対象となっているほかの建物と同一時期であり、建築基準法に基づく現行耐震基準が導入された昭和五十六年以前の竣工です。継続使用の期間はこれから検討し、継続使用期間によって改修や更新計画を決定しますと建て替え計画の三十三ページに記載がありますが、このNHKホールについて何か検討していることがあれば、あるかないかだけお答えください。
  137. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  NHKホールは、本館と同じ昭和四十七年に竣工いたしました。以来、紅白歌合戦やNHK交響楽団のコンサートの舞台として皆様に長く親しまれてまいりました。  このため、おととし八月に公表いたしました基本計画では、ホールは継続使用とし、その期間についてはこれから検討するといたしておりました。その一方で、老朽化が進んでいくことは間違いなく、いつまで使うのか、その後どうするのかなど、今後のホールの扱いについては幅広く検討していきたいと考えております。
  138. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 幅広く検討していきたいというお答えでございました。  ほかの建て替えする棟と同じぐらいの時期で、現行の耐震基準を満たしていない。今答弁ございましたように、紅白歌合戦とかN響のコンサートが行われる場所ですから、なぜ一昨年の計画のときに継続使用と書いたのか。これからもし建て替えるとかそういう方針が出るようなことがありますならば、経営委員会等で諮ればよいのかも分かりませんが、受信料を使って膨大な金額を使ってやるわけですから、予算にも決算にも連動することですから、その辺もしあるのであればお考えを伺いたいとは思いましたが、私は、今、今日はあえて会長にしか答弁に立っていただくつもりはありません。それはなぜかと申しますと、冒頭申し上げましたとおり、平成二十六年度から二十八年、もっと言えば二十五年度も全て監査委員かつ経営委員でいらっしゃったからですので、その頃にあった様々な論点について、これからお伺いをしたいと思います。  平成二十年十月二十八日、NHK第二次コンプライアンス委員会が取りまとめた最終答申、NHKコンプライアンス体制の確立に向けてでは、関連団体を含めた取組についてこう書いてあります。「NHKグループ全体のガバナンスの基本的ありかたに不明確な部分があり、そのことがコンプライアンス体制の確立およびコンプライアンス施策の不徹底を招く一因となっている。」、こう指摘されています。  放送法第二十二条及び第二十三条において、業務の適切な執行等を図るため、NHKから関連団体への出資や業務委託が認められています。NHK関連団体は、現在、子会社十三団体、関連会社四団体、関連公益法人等九団体で、放送番組の制作、販売、番組関連イベントの実施、放送設備等の建設等の事業を行っています。  NHKのこの一連の関連団体の問題については、前会長の就任直後である平成二十六年三月、NHKビジネスクリエイトにおいて架空売上計上事件が発覚した後、立て続けに、NHK出版において架空外注費計上事件が発覚いたしました。これらの不祥事を踏まえ、前会長は、NHK関連団体ガバナンス調査委員会を設置し、当該二社の事件の検証及びNHK関連団体における不祥事発生の再発防止策について検討を行いました。この調査委員会に約五千六百万円を要した一方、同時期にNHK内部監査室による調査も行われ、これに約五千万円掛けていたこと、さらには、これら調査を行っていたにもかかわらず、その時期に発生していた別の不祥事を全く見抜けなかったことなどが問題視され、当時私もこの委員会等で質疑をさせていただきました。  そこで、最初に、事実関係のみ会長に確認をさせてください。  これらの支出、ガバナンス調査委員会と内部監査室に掛かった費用の支出は、平成二十六年度中に行われましたでしょうか。
  139. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  そのとおりだと思います。
  140. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 ガバナンス調査委員会報告書に掛けた費用は国会にも明らかにされましたが、内部監査室による調査に要した費用について、会議録をたどっても約五千万円としか答弁がございません。正確な数字をお答えください。
  141. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  ガバナンス調査委員会は五千六百二十二万円、内部監査室報告は五千三百四十六万円となっております。
  142. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 平成二十八年の国会答弁で当時の会長は、経営委員の皆さんの総意をいただいてこのガバナンス調査委員会の設置を行った旨の答弁もなされていますが、当時、会長は、監査委員として、このガバナンス調査委員会はいいよということで了とされたんでしょうか。
  143. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  NHK関連団体ガバナンス調査委員会については、平成二十六年三月十一日の経営委員会で執行部側から設置するとの説明を受け、八月二十六日の経営委員会で調査報告の説明を受けておりますが、あくまで会長の権限により、その直属の調査委員会として設置されたものと認識いたしております。
  144. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 上田会長は、当時、経営委員監査委員として、今の御答弁の趣旨は十分分かるんですけれども、それはもう問題なくどうぞということだったんでしょうか。
  145. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  ガバナンス調査委員会の指摘を踏まえて改善策を実施しており、調査や提言の成果はあったと考えております。  外部の監査法人のパワーを活用した内部監査室の調査についても、関連団体不祥事をただすための必要な調査で妥当な支出と考えております。
  146. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 多分、次の答弁じゃないかと思うんですけど。  今、済みません、問うたのは、会長会長の権限としてガバナンス調査委員会を置くと。何で今、上田会長にお伺いしたかと申しますと、平成二十七年四月二日、参議院の予算委員会で当時の会長は、このガバナンス調査委員会の設置について、「経営委員会の中にもいろんな意見を持っておられる方はおられます。しかしながら、総意として御納得いただいたというふうに私は思っております。」と答弁をされていますので、もしかしたら当時の上田経営委員監査委員は、経営委員会の中にもいろんな意見ということで、当時の会長に対してしっかりと苦言を呈されたのではないかと思ってお伺いしたんですけど、そういう一人ではなかったんでしょうか。
  147. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  先ほど答弁させていただきましたけれども、執行部側から説明を受けて、経営委員会としては了としたということです。
  148. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 経営委員会として了としたということで、総意でそうだったというお答えのみでしたけれども、例えば、ガバナンス調査委員会に対して、内部監査室が行った調査については、平成二十八年三月十日、衆議院総務委員会において当時の上田監査はこう答弁されています。「実際に六月下旬ぐらいになりまして経費の概算を私の方で確かめております。」、また、「きちんとプロジェクトをコントロールし、支出額もきちんと管理するように、適宜注意を促してまいりました。」と続け、さらには、「調査目的を優先したというふうに聞いておりまして、執行部の裁量の範囲で行われたものというふうに認識しております。」と答弁されております。  当時の監査委員から現在会長の立場になられて、約五千万円の支出は執行部の裁量の範囲内と考えておられるのか、執行部の裁量の範囲について現在の認識をお伺いします。
  149. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  当時、私が監査委員としては、今、吉川先生がおっしゃいましたように考えておりまして、現段階では会長として実際にそういう経費を伴うようなこと、まだ発生していませんけれども、あるときにはしっかりとどういうふうにやるべきかというのは検討した上で進めたいと、こういうふうに思っています。
  150. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 今はそういうことはないということでございましたが、例えばNHKホールなんかあったとするならば、しっかり受信料を払っている視聴者、国民、それから我々国会の前で明らかにしていただきたいと思います。  ガバナンス調査委員会と内部監査室の調査に関しては、会計検査院への証拠書類の提出を当時失念し、国会における指摘を踏まえ、ようやく提出されたことも明らかになっています。  そこで、平成二十六年度から平成二十八年度において、会計検査院法に基づき検査院への報告対象となった支出の件数をそれぞれ答弁していただきたいと思います。また、それぞれの年度で報告期限とされている支出の翌月末日までに報告を失念した件数についても併せて教えてください。
  151. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  NHK平成二十六年から二十八年にかけて会計検査院に提出いたしました証拠書類は、平成二十六年度千二百九十五件、平成二十七年度千二百九十九件、平成二十八年度千三百十二件の合計三千九百六件となっておりまして、このうち二件の提出が遅れております。
  152. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 平成二十六年から二十八年度までで会計検査院に報告すべき取引の件数は総計で三千九百六件、うち二件だけ翌月末日、これ法令で定められていますけれども、これ、二件間に合わなかったの、何と何が間に合わなかったんでしょうか。
  153. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  いずれも平成二十六年度に行った関連団体ガバナンス調査委員会、法律事務の委任に関する契約と、関連団体十二社特命調査に関するアドバイザリーサービス契約の二件です。
  154. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 二十六年度から二十八年度まで三千九百六件、会計検査院にしっかり報告をしているのに、二件だけ失念をした。その失念をした二件はガバナンス調査委員会と内部監査室による調査、これ合わせて一億超えですけれども、これだけ忘れたというのは私はいかにも不自然かと思います。  この会計検査院への報告を失念していた件について、平成二十八年三月十日の衆議院総務委員会において、当時の担当理事はこの件についてこうおっしゃっています。「当初、監査法人との契約の見込み額で三千万以下だったために、報告対象として把握しておりませんでした。 後に、最終的に支払い額が三千万を超えたことが判明しまして、本来平成二十六年十月に会計検査院に報告すべきでありましたが、失念をしておりまして、平成二十八年二月二十九日に報告をしてございます。」。  続いて、「ガバナンス調査委員会契約につきましても、これは二十六年五月以降六回にわたって支払ってございます。最後の支払いが二十六年十月でございまして、本来は二十六年十一月に報告すべきでございましたが、これについても失念をしていたために、二十七年六月二十六日に会計検査院に報告をしてございます。」と答弁なさっています。  これは法令で定められている手続です。この法令で定められた手続を失念の一言で済ませる当時の執行部には、コンプライアンス意識が欠如していると指摘せざるを得ません。五月雨式に支出したから検査院への報告対象となる支出を認識できなかったなんという答弁も、NHK受信料により経営されているにもかかわらず、当時の執行部にコスト意識が欠けていたことの証左ではないかと思います。  当時の執行部のコンプライアンス体制とコスト意識について会長にお伺いいたします。
  155. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  起きてしまった事案への必要な対応として掛かった経費であり、その成果は得られたと考えております。
  156. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 今お伺いしたのは、会計検査院への報告、これ法令で定められた手続です。でも、それを翌月末日までに報告できなかったのは、三年間で三千九百六件あって、二件を忘れたと。その二件を忘れた理由について、二年前の衆議院総務委員会で担当理事は、支払額がどんどん増えていったから失念していました、それから、五月雨式に支出していった結果、法令に定められている枠を超えたからやっぱり忘れていました。  これは、法令に定められた手続を失念するということは、受信料に対する意識コンプライアンスの欠如、どっちとも言わざるを得ないんですが、当時の執行部に対するそれらの意識についてどうですかとお伺いしております。
  157. 上田良一

    参考人上田良一君) 今、吉川先生がおっしゃられましたように、遅れた理由は三千万円未満の見込みであったが最終的に三千万円を超えたというふうに報告を受けておりまして、報告遅延に対するNHK再発防止策というのをその後しっかりと導入しております。
  158. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 当時のコンプライアンス体制とか意識に対するお伺いですので。今は、事実、五月雨式に額が増えていって最終的に遅れましたということだったんですが、当時の執行部のコンプライアンス意識とかコスト意識というのは、相当、この答弁からも見て取れますが、ひどいと言わざるを得ませんし、当時、二十八年三月十日、上田監査もこう答弁されています。「担当者の失念などにより会計検査院に対して契約書類の提出が大幅におくれたことは、誤解を招きかねず、大変遺憾」とおっしゃっていますので、そういう答弁ができれば欲しかったと思います。  ガバナンス調査委員会報告書は約五千六百万円を掛けて作り上げられたものでございますが、当時の経営委員かつ監査委員として、この報告書はもちろん御覧になっていますよね。
  159. 上田良一

    参考人上田良一君) はい、見ています。
  160. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 この要旨の方は公表されているんですが、この本体ですね、国会には提出されていませんが、匿名版と右上に書かれている、黒塗りが完全に外れた報告書を私は見ております。五千六百二十二万円も掛けた報告書であるにもかかわらず、NBC事件に至っては、適正化委員会平成二十三年三月二十五日に提出した調査報告書の引き写ししか書かれていません。また、調査時期と重複して不正が行われていたNHKアイテックに関する記述はたった十行です。十分な調査が行われたとは言い難いと思います。  会長は恐らく匿名版ではない報告書に目を通しておられると思いますが、ガバナンス調査委員会については約五千六百万円、内部監査室、これ五千三百四十六万円掛けて作ったとされていますが、この内部監査室が作った報告書をガバナンス調査委員会も引用して作っているということは当時の会長が答弁されているので、トータルで一億円超掛けてこれらの報告書を作ったわけですが、これ、一億円以上掛けて作った意味のある報告書であると捉えていらっしゃるか、見解をお伺いします。
  161. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  ガバナンス調査委員会の指摘を踏まえて改善策を実施しておりまして、調査や提言の成果はあったと考えております。
  162. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 本当にあったとお考えですか。だって、後で伺いますけど、この報告書、一億円掛けて作った報告書、そのとき、当時の会長は新たな不祥事は見付からなかったと何回も答弁されたのにもかかわらず、その後、残念ながら、不祥事協会本体で物すごく増えています。だから、本当にあったのかというところは、これからまたお伺いしていきたいと思います。  だから、今の答弁は説得力に欠けるんじゃないでしょうか。しかも、要旨は公表されていますが、この調査報告書、私は右上に匿名版と書かれたものは個人的に拝見しましたけれども、これは一般に公開されなければ、それが本当に一億円超掛けて作った報告書なのかというのは我々に判断することができませんので、説得力に欠けます。材料にも欠けます。  会長は、当時の監査委員としてこのような支出を容認し、当時の監査報告書、全部拝読しましたけれども、あくまで協会取組監査委員としては注視するということを連発されています。平成十九年に改正された放送法でガバナンスの強化が盛り込まれ、監査委員会が設置されたことはもちろん承知していますが、執行部によるこのような疑義のある支出に対して、監査委員として報告を求め、注意喚起を行い、注視することだけが監査委員の務めだったのでしょうか。当時の監査委員で現会長である上田会長伺います。
  163. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  当時、NHKでは、関連団体ガバナンス向上プロジェクトを発足させ、関連部局が連携して子会社の内部統制の体制や規程などを整備する取組を開始いたしておりました。  監査委員会は、これらについて報告を聴取し、関連事業統括理事の認識を確認するなど、きめ細かく対応を取っておりました。
  164. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 きめ細かくというか、監査委員会は本当に平成十九年の法改正で設置された権限のある委員会でしたので、もっと取組を、当時、注視するの連続ではなくて、もっと踏み込んだ対応をやっていただいてもよかったのではないかと思います。  過去を振り返れば、NHKでは、これこそ本当に大きなことでした、平成十六年に番組プロデューサーによる番組制作費不正支出事案を契機に一連の不祥事が発覚し、その後、信頼回復に向けた取組に加え、内部統制システムの構築とコンプライアンスの体制を整えてきました。それにもかかわらず、平成二十年一月には、職員によるインサイダー取引という、報道機関として決して許されない事案も発覚しました。  平成十九年に、経営委員会より、コンプライアンス体制強化に向けてのガバナンスの在り方と内部統制システムの整備、運用状況に関する評価について諮問を受けたNHK第二次コンプライアンス委員会は、最終答申においてこう書いています。「NHKという組織の風土を根本から変えていかない限り、経営委員会から諮問されたコンプライアンス体制の強化や内部統制システムの構築はありえない、」、こう書いています。  また、この最終答申は、NHKには不祥事の原因となりかねない特殊な風土がある、さらに、「不祥事に対する対応策・再発防止策の多くが、個々の不祥事の後追い、「もぐら叩き」的な対応に終始しており、予防的かつ総合的対策が十分とは言えない。」。  ここに書いてありますとおり、「NHKには、不祥事の原因となりかねない、特殊な組織風土がある。」との指摘に対し、外部から招聘されて、今、福地会長、それから松本会長、前会長上田会長、四代続いていますが、外から招聘された会長として、特殊な組織風土ってあるとお感じになられますでしょうか。
  165. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  それぞれの企業や組織にはそれぞれの風土はあると思いますが、いずれにいたしましても、当時とはガバナンス体制やコンプライアンス意識の強化が図られていることは確かで、今後も不祥事撲滅に向けて不断の取組を進めてまいりたいと考えております。
  166. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 当時と比べて減っているみたいなお答えで、お伺いしたことについてはお答えいただけませんでしたけれども、恐らく、この第二次コンプライアンス委員会の最終答申、これ全て拝読する限り、本当にじくじたる思いで当時の委員の皆さんがまとめられた。例えば、「一抹の徒労感が交錯する、複雑な思いを感じている。」なんて答申の終わりに書いている答申、余り見たことありませんから、よほどのことがあったんだと思います。  平成二十六年以降の関連団体の不正事案の発覚を見るに、この答申において指摘された問題点は答申後も改善されたとは言い難く、モグラたたきは何か起こったら対症療法的にやる、これが続いているように思います。  それでは、平成二十六年、前会長肝煎りのガバナンス調査委員会を受けて、懲戒処分の対象となるようなNHKの不正事案や不祥事は本当に減少しているのか。前後比較できるよう、平成二十五年以降のNHKグループにおける不正事案、不祥事について、把握している件数、年度ごとに、件数だけで結構ですので、お答えください。
  167. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  平成二十五年度以降、NHKが公表いたしましたNHK本体とグループ会社の不祥事の件数を申し上げます。  平成二十五年度は本体四件、グループ一件。平成二十六年度は本体三件、グループ三件。平成二十七年度は本体四件、グループ三件。平成二十八年度は本体四件、グループ一件。平成二十九年度は本体九件、グループゼロ。平成三十年度は今のところありません。
  168. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 今、平成二十五年度からそれぞれお答えいただきました。  あの前会長肝煎りのガバナンス調査委員会報告書、私は匿名版を見ておりますが、内容は全然ぺらっぺらです。薄っぺらです。でも、それをもって、今減っていると一つ前の答弁で会長おっしゃいましたけど、今お答えいただいた平成二十七年度は本体四件、関連三件、二十八年度は本体四件、関連一件、二十九年は本体九件、関連ゼロ件。増えています。はっきり言って、効果があったのかどうかというのは疑問に感じざるを得ません。かえって残念ながら増加しています。  ガバナンス調査委員会の報告以降、平成二十六年九月から、先ほどの答弁で少し触れられましたけど、関連団体ガバナンス向上プロジェクトが実施されました。このプロジェクトの目的はこう書いています。「関連団体ガバナンス調査委員会報告書およびNHK関連部局による子会社調査の結果に基づき、関連団体のガバナンスと内部統制のレベルアップを図り、コンプライアンス徹底の体制を構築する。もってNHKグループに対する信頼を高める。」とされていますが、先ほど答弁ございましたとおり、不祥事状況は残念ながら増えています。コンプライアンス徹底は少なくとも図られていないようにも思われます。  会長は、ガバナンス調査委員会の設置から調査結果、結果を踏まえたその後の対応を全て経営委員かつ監査委員として間近で御覧になっているはずですが、これらの対応策により、抜本的な再発防止策、ガバナンスは実現している、あるいは実現に向けて進んでいると捉えておいででしょうか。御認識をお伺いいたします。
  169. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  不祥事の根絶を目指し、一つ一つの原因を究明した上で、ルールやチェック体制の在り方などを検証いたしております。公共放送人としての倫理教育の徹底を始め、不祥事を起こさせない仕組みづくりを根本に立ち返って総合的に進めており、コンプライアンス徹底、ガバナンスの強化を着実に進めてまいる所存です。
  170. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 残念ながら、平成二十六年度中の支出として一億円超掛けて調査をしたものは内容は伴わず、その後のプロジェクトの結果も伴わず、残念ながら増えている状況でありますが、会長のリーダーシップ、これまで監査委員として御覧になってきたわけですから、それらを踏まえてしっかりやっていただきたいと思います。  それから、協会経営の根幹を成す受信料について少しお伺いしておきたいと思います。  三月二十九日の当委員会で、私は、受信料契約収納業務の法人委託と受信料契約に関する一一〇番件数についてお伺いしたところ、会長は、通報事例等については承知している旨答弁なさいました。NHKはウエブサイトで、NHKと新規事業を始めませんかと、受信料契約収納業務の受託法人を広く募集しているものと承知しております。  契約収納業務の受託法人に関しては、売上げの大半をこの業務が占める企業が異例の新規上場を果たしたとの報道が今週ございました。実際に、この企業が五月二十九日に公表した有価証券報告書によれば、当社の主力業務は放送受信料契約収納代行業務であり、その主要取引先はNHK一社であります、当社の売上高は八〇%以上をNHKに依存している状況とあり、平成二十九年三月から三十年二月二十八日のNHKを相手先とする売上高は三十一億円となっています。  このような例を見ると、受信料契約収納業務は民間企業の大きな収益源となっていることもうかがわれますが、委託を行うに当たって、NHKはどの程度費用を負担しているのでしょうか。
  171. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  平成三十年度予算で二百四十九億円を見込んでおります。
  172. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 本年三月二十九日の当委員会で、警察への通報事例に関して、そういう事例は承知しておりますと答弁がありまして、その後、会長はこうおっしゃいました。「今後とも引き続き丁寧な説明で、国民・視聴者の我々に対する信頼が最も根幹になりますので、しっかりした説明をやっていきたいと、それを徹底させたいというふうに考えております。」と答弁なさいました。  受信料契約収納業務が営利企業の大きな収益源となっている側面は、先ほど少し紹介したようなこともありますとおり、紛れもない事実だと思います。であるならば、NHKは、委託の趣旨と受信料を原資として支払う委託料、先ほど平成三十年度見込みの額を答弁いただきましたけれども、これらについても説明する必要があるのではないかと思います。  その上で、契約収納業務の委託を続けるのであれば、受託法人によって脅迫まがいの受信料契約が行われているようなケースももしあるのであれば、公共放送としてのNHKの信頼そのものに関わるものであって、あってはならないことだと思います。  受託法人においても、協会関連団体もいろいろ件数ありますけれども、受託法人においてもコンプライアンス徹底を図るべきではないかと思いますが、会長の見解をお伺いします。
  173. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  受信料契約収納業務において、委託先事業者が収益を上げるために無理な活動を行うことはあってはならないと考えております。委託先事業者に対しましては、丁寧なお客様対応に努めるよう指導を徹底してまいっておるところであります。
  174. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 私、初めてNHKの関連の質疑に立たせていただいたのは平成二十年三月で、当時は会長は福地茂雄会長でいらっしゃいました。  そのときに、何度かこの場でも取り上げましたけれども、当時、訪問集金を廃止するということが一つの大きな柱となっていました。ですので、平成二十六年の一連の本当の大きな不祥事があったとき、支払拒否をされた方が多く出て、でも、前会長のときはもう振り込みとかそういうことになっていたので、それほど下がるということはありませんでした。  ただ、当時、監査委員として、私の質疑、最長で一回百十分なんかありましたけれども、そのときもずっと、当時は上田会長監査委員としてお付き合いいただいて、やり取りを覚えておいででいらっしゃるか分かりませんけれども、苦情の件数はたくさんあって、視聴者の信頼は損なわれた側面は否めないと思います。  今日、上田会長は、冒頭、平成二十五年度から二十八年度決算についての説明の中でこうおっしゃいました。NHKグループ経営改革を断行し、コンプライアンス徹底と効率的な経営推進に取り組んでまいる所存でございます、こうおっしゃいました。  これまで、つぶさに前体制の混乱にあった三年間御覧になっていたと思いますので、これらの反省を踏まえて、視聴者・国民から信頼されるNHKにしっかりしていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  175. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 立憲民主党・民友会の杉尾秀哉でございます。吉川委員に続いて質問させていただきます。  まず、私は、基本的に放送内容に介入するというのは慎重でなければならないという立場ではございますけれども、最近、ちょっと見過ごすことができない放送がありましたので、まずこれについて伺いたいというふうに思います。  NHKの解説委員による討論番組「解説スタジアム」、四月三十日の放送です。テーマは力と民主主義ということでございました。この中で、岩田明子解説委員がこういうふうに説明をしました。フィリピンのドゥテルテ大統領は独裁者のレッテルを貼られているが、麻薬対策や国益をもたらしたことで成功した例と、こういうふうな発言をしております。  そこで、まず伺いますけど、こうした放送があったことは事実でしょうか。
  176. 木田幸紀

    参考人(木田幸紀君) お答えいたします。  四月三十日放送の「解説スタジアム」は、力と民主主義をテーマに八人の解説委員が出演し、冷戦終結後の世界の民主主義について討論しました。  解説委員の発言は、フィリピンのドゥテルテ大統領が強権的な政策を進める一方で、深刻な麻薬対策などで国民から一定の支持を集めている実態を指摘したものです。
  177. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 御存じの方も多いと思うんですけれども、ドゥテルテ大統領、麻薬に対する厳しい取締りで有名でございまして、超法規的殺人と言われる政策の結果、ヒューマン・ライツ・ウオッチという人権団体でございますけれども、およそ一万二千人が殺害されたと、こういうふうなことも言われております。確かにその麻薬対策、治安の改善には役立ったのかもしれませんけれども、余りにもやり過ぎじゃないかということで、人権団体、それから海外メディア等で批判されております。  こうした指導者を、あたかも独裁の成功例、良い独裁者だと、こういうふうな放送をするというのはやっぱり公共放送としていかがかと思うんですけれども、NHKの見解を伺います。
  178. 木田幸紀

    参考人(木田幸紀君) 番組全体としては、力に頼った政治や自国第一の内向きの政治によって民主主義が脅かされていることに一層の注意が必要だということを伝えようとしたものです。  解説委員の発言は、独裁的な指導者が一定の支持を集めるという民主主義が抱える問題の深刻さを伝えようとしたもので、ドゥテルテ大統領本人や彼の政策を称揚したものではないと考えております。
  179. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 確かに、この発言の後に別の解説委員が、その国に住みたいと思いますかと、こういうふうに切り返しをしていて、疑問を投げかけていて、全体ではバランスが取られているとは思うんですけれども。  ただ、ここであえて私が取り上げましたのは、御承知の方多いと思うんですけれども、岩田解説委員、安倍総理に最も近い記者の一人だと、こういうふうに言われております。放送で岩田解説委員がしばしば安倍総理を擁護するかのような発言をしているというのは巷間よく言われるところでございます。うがった見方かもしれませんが、この良い独裁論というのは安倍政権擁護論にもつながるような、そういう見方をする向きもございます。  そこで、以前、山下委員も私も取り上げましたけれども、NHKのKアラートという内部告発に基づいた質問でございますけれども、報道局長の頭文字を取った言葉ですが、このK報道局長が番組の編集責任者に森友問題のニュースの扱いなどについて細かい指示を出していると、こういうことを以前の委員会でも質問させていただきました。  こうした状況の中で、森友問題でスクープを飛ばしていた大阪放送局記者が、今月、番組のチェックを行う部門、考査室に異動になったと、こういうふうに私聞いております。これは事実でしょうか。
  180. 松坂千尋

    参考人(松坂千尋君) お答えいたします。  職員の人事に関しては、原則お答えしておりません。一般的に、人事はそれぞれの能力や経験、職場での配置のバランスなどを総合的に勘案して行っております。
  181. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 私は、これは定期異動だというふうには聞いております。ただ、ちょうど森友問題が、この間財務省の、つい先日報告書も出ましたけれども、こういう時期に普通は私は異動させないんじゃないかと。こうした一方で、岩田記者とも近いというふうに、同期というふうに聞いていますけれども、総理官邸キャップ、安倍政権になってから五年半異動していないんですね、全く。これ、私も政治部にいたんですけれども、ちょっと普通では、通常ではない人事なんですけれども、片や森友問題でスクープを飛ばしていた記者異動させて、総理に一番近い官邸キャップをずっと置いておくというのは何か矛盾するように思うんですけど、いかがでしょう。
  182. 松坂千尋

    参考人(松坂千尋君) お答えいたします。  一般的に、人事異動ですとか各部局での担当については、それぞれの能力や経験、配置のバランスなどを総合的に判断して行っております。  今後も、そうした方針の下、業務上の必要性に応じて適切に行ってまいりたいと考えております。
  183. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 先ほどの解説委員のケースも含めてなんですけれども、いろんな方面からこれNHKは批判をされるという宿命かもしれません。いわゆる右からも左からもということなのかも分かりませんけれども。こうした中で、この後触れますけれども、最高裁、去年の十二月の判決で受信料が事実上これは義務と、義務化とも言っていいような状況の中で、受信料を払いたくないとか、NHKを見ない自由がないのはおかしいと、こういった人も中にはいらっしゃるわけです。  先ほど、満足度、それからNHKの中立性についての世論調査の引用もございましたけれども、こうした声を経営陣はどういうふうに受け止めているのか、会長、お答えください。
  184. 上田良一

    参考人上田良一君) 申し訳ありません。今、先生の質問のポイントがちょっと分からなかったので、もう一度お願いできますか。
  185. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 NHKに様々な批判がされている中で、経営陣としてその批判をどう受け止めているかということです。
  186. 上田良一

    参考人上田良一君) 番組内での発言等、放送法NHKの番組基準に照らして適切に行われておると理解していまして、報道機関として自主的な編集判断に基づいて放送していると考えております。  御指摘のあったような、例えば放送、討論番組では、視聴者の判断のよりどころとなる情報を多角的に伝えていくということが狙いであり、こうした放送公共放送NHKの役割と考えております。  今後も、引き続き、公平公正、自主自律を貫き、視聴者の皆様の期待に応えていきたいというふうに考えております。
  187. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 じゃ、番組についてはこれぐらいにしまして、次は決算受信料について伺います。  二〇〇三年から、ちょっと長いスパンで取ってみたんですけれども、NHK受信料収入支払率のグラフを資料として配付させていただきました。二〇一二年に、それまではずっと伸びていたんですけれども、月額百二十円を下げて一旦受信料収入は落ちましたけれども、その後は順調に回復して、二〇一七年度、これは速報値で、このグラフには入っておりませんけれども、六千九百十四億円と過去最高を更新している。  これ、赤い折れ線グラフになっていますが、支払率が二〇〇五年ぐらいですかね、その辺りからずっと一貫して伸びておりまして、一七年度、これ速報値ですけれども、八〇%の目標を達成したと。  こうした一方で、これは資料は御用意しておりませんけれども、ひときわ支出として目立っているのが国内放送費の決算ベースでの伸びでございまして、平成二十四年度からの四年間で二千七百七十四億円から三千百四十七億円まで三百七十億円増えている。一年平均で九十億円ぐらいずつ大幅に増加しているということなんですけれども、ここで伺いますけど、この決算の数字というのは正しいんでしょうか。
  188. 上田良一

    参考人上田良一君) 今の先生のお尋ねは、国内放送費の推移の数字ということですね。  平成二十四年度で二千七百七十四億円、これが平成二十五年、二十六年、二十七年と過ぎて、二十八年度で三千百四十七億円という数字になっております。
  189. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 確認させていただきました。  一方の民放なんですけれども、この間、民放キー局、経費削減を進めておりまして、例えば番組制作費、先ほどのNHKの国内放送費と全く同等のものではないというふうに思いますけれども、番組制作費ベースで見てみますと、日本テレビ、日テレさんですね、やや増えているんですけど、ほぼ横ばいに近い九百七十九億円、一千億円足りていません、業界トップです。TBSが、これは完全に横ばいの九百八十一億円。かつて民放の雄と言われたフジテレビが大幅に経費を削減しておりまして、百億円ぐらいこの間減らして八百八十二億円になっている。テレビ朝日は逆に制作費を増やしておりまして、八十億円ほど増えて九百八億円ということです。  こういうふうに、経費を切り詰めている民放と、毎年九十億円ずつ国内放送費を伸ばしているNHKの差はこれは歴然でございまして、例えば番組制作費で見ますと、私がいたときも、NHKさんは本当に制作費がいっぱいあっていいなと思うことがたくさんあったんですが、人もいっぱいいるし、制作費もいっぱいあるしという、とりわけ災害報道のときにはもう本当に愕然とするほど物量が違っていたんですけれども。  例えば、ドラマの一本の単価で見ますと、これはお金を掛けているドラマだと思いますけど、大河ドラマが一本六千万円。これ、かつてこの委員会でもそういう数字が出たことがあったと思います。一方、私がいた民放ドラマというのは、これはもちろん幅がありますけれども、おおむねこの半分以下ですね。安ければ二千万とか一千万円台とか、そういうものもございます。  そこで、上田会長伺いますけれども、これからもこうしたNHK受信料収入が順調に増えていくということになりますと、こうしたNHKの独り勝ち状態、これがますます固定化する、いわゆる官民格差というのがますます開いてくる、これについてどういう認識をお持ちでしょうか。
  190. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  NHKは、視聴者の皆様から頂戴いたしました受信料を元に、東日本大震災を踏まえた公共放送の機能強化とか、4K、8K放送への取組を重点的に進めるとともに、平成二十四年十月には受信料額の引下げ、平成三十年度からは受信料の負担軽減策を実施するなど、視聴者の皆様への還元を行ってまいっております。  NHKは、全国に五十四の放送局、海外にも三十の総支局を有するなど、民放キー局との比較は難しい面がありますけれども、民間放送との二元体制の下で、広く受信料によって支えられる放送機関としての基本姿勢を堅持し、国民の知る権利を充足するとともに、健全な民主主義の発達と文化の向上に寄与してまいりたいと考えております。
  191. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 先ほども触れましたけれども、受信料について去年十二月に最高裁判決がございました。この後、受信契約が急増したというふうに聞いております。さらに、今年の二月には、受信契約を拒む事業者、これはホテル運営会社ですけれども、この事業者に対して受信料の支払を命じる、これ事業者としては最高裁で初めての命令というふうに聞いております。  こうした結果、去年の十二月以降、この契約世帯数の伸び、これは実際にどれぐらいになっているのか、現状まで教えていただきたいんですけれども、対前月比の数字を含めて教えてください。お願いします。
  192. 松原洋一

    参考人松原洋一君) お答えします。  最高裁判決後の二十九年度の各月における受信契約の増加数は、昨年十二月に前年同月を九万九千件上回る十万五千件、一月には前年同月を六万五千件上回る七万七千件、二月に前年同月を四万六千件上回る五万一千件、三月が前年同月を六万件上回る七万三千件の増加となっています。その結果、最高裁判決後の四か月間の増加数は前年度を二十七万件上回る三十万六千件となっています。
  193. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 一時期に比べて伸びは落ちてきてはいるようですけれども、順調に増えていて、先ほどのこのグラフで見ますと八〇%を超えて、さらに、この受信料収入も過去最高を更新し続ける、こういうことになるんだと思うんです。そうしますと、先ほど受信料の負担軽減措置の話はありましたけれども、当然、これから受信料はやっぱり下げるべきじゃないかと、こういう声が大きくなってくるのは必至じゃないかというふうに思います。  そこで、上田会長石原委員長伺いたいんですけれども、まず上田会長伺います。  上田会長は、経営委員時代、委員会で経費削減について積極的に発言をされていたと思います。例えば、二〇一四年九月の議事録を見ますと、こういうふうに発言されています。受信料の更なる値下げが可能ではないかという議論に堪えられるような経費削減をと、こういうふうに発言をされています。こうしたその発言を見ますと、上田会長は元々、経営委員時代は経費を削減して値下げにつなげるべきだと、こういうふうな考え方を持っておられたように見えるんですけれども、いかがでしょうか。
  194. 上田良一

    参考人上田良一君) 委員の御指摘は、平成二十六年十月に経営委員会が執行部に提出した次期経営計画に対する意見、要望書の内容についてであると思いますけれども、これは当時の経営委員の総意として作成されたものであります。この中で、当時の執行部案では三か年の増収分を重点事項の経費増分に充てる印象があったことから、受信料の更なる値下げが可能ではないかといった議論に堪えられるような経費削減を盛り込むことを要望しております。これは、経費削減により受信料値下げすべきという趣旨とは異なると認識しております。  なお、受信料額の適正な水準につきましては、中長期的な事業計画や収支見通しを踏まえた上で検討すべきものと考えております。おととしの経営委員会で、受信料三%値下げが当時の執行部から提案されましたときも、単年度の事業収支だけでなく、具体的な事業計画に基づく中長期の収支見通しを踏まえて検討すべきだという意見を経営委員として申し上げております。
  195. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 今の御発言ですと、値下げよりも経費削減の方に発言の趣旨があったと、こういうことですね。  実際に、籾井会長が月額五十円の値下げをされたときには、このときに反対されています。籾井会長が、当時、上田さんの考え方が何で変わったんだろうみたいなことをおっしゃっていたという話も聞いたんですけれども、今の受信料値下げに対する考え方はいかがですか。今度は会長として。
  196. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  繰り返しになりますけれども、この受信料の体系に関しましては、これは中長期的な事業計画とか収支見通しを踏まえた上で検討すべきと考えておりまして、単年度だけで議論すべきじゃないというふうに考えております。
  197. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 それから、石原経営委員長にもお越しいただいておりますので、石原委員長伺います。  今年の一月だったと思うんですけど、記者会見で委員長は、一旦値下げすればそれを再度上げるのはなかなか難しいと、こういうふうに発言されましたけれども、そのお考えは今でも変わりないんでしょうか。
  198. 石原進

    参考人石原進君) お答えいたします。  受信料検討に当たりましては、中長期的な視点で、NHK公共放送としての使命を継続して果たしていくための財源として適切であるかどうかを慎重に見ることが必要だと考えております。経営委員会といたしましても、合理的な見通しの下で受信料額の引下げを行い、視聴者の負担を軽減することは望ましいことだと考えております。引き続き、中長期的な視点で検討してまいりたいと考えております。  いずれにしても、受信料在り方には、視聴者・国民の皆様の御理解をいただくことが何より重要であると考えております。
  199. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 あのときの記者会見で、たしかこういうふうにも聞かれたと思うんですけど、お金は入るだけ使うという考え方なんですかみたいなふうな質問があったと思うんですけれども、それについてはいかがでしょう、委員長
  200. 石原進

    参考人石原進君) いろいろな質問の中で、部分的にそういう取られ方をするような発言もあったかもしれません。ただ、私の考えている受信料の扱いについての考え方は先ほど申し上げたとおりでございます。  いずれにしても、収入を確保して厳格かつ効率的な経費執行を行うということは経営の基本であるわけでありまして、執行部においては予算、事業計画の着実な実行にまず努めていただく、その上において余裕が出れば、中長期的な観点で検討をすると同時に、国民に対する、視聴者の皆様に対する受信料還元値下げ含めてですね、ということも行っていく必要があると思っております。
  201. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 さっきもちょっと申し上げましたけれども、前回も取り上げたんですが、あれ国際放送の例を挙げたと思うんですけれども、やっぱり現場の声とか、そういう中からの声を聞いてみますと、本当に経費削減の努力がどこまでされているんだろうか。確かに4K、8Kというお金が掛かる事業もございますし、ただ、本当に8Kは物すごくお金が掛かるらしくて、4Kでもいいのに8Kでわざわざ撮って、それを何か4Kにダウンコンバートするみたいな、そういうふうなこともされているとも聞いておりますし、経費削減というのはやっぱり引き続き、元々の会長の考え方であるならば、お願いしたいんですね。  さっきちょうど質問がありましたけれども、これ、島田委員だったと思うんですが、チャンネル数の削減、これ、ごめんなさい、通告していないんですけれども、今度の十二月から4K、8Kで二チャンネル増えて、今、九波ですか、それに更にチャンネルが二つ増えるということになります。中には、二チャンネル増えるんだったら二チャンネル減らすべきだと、こういう論もありますけど、チャンネル削減についてのちょっと具体的なお考えあったら聞かせてください。
  202. 上田良一

    参考人上田良一君) 先ほど申し上げましたけれども、4K、8Kというのは総務省のロードマップでも導入することとなっていまして、今年の十二月一日から本放送を開始いたします。その上で、将来的には、今先生が御指摘になられましたように、チャンネル数を維持するということは極めてNHKにとっても負担の大きな問題なので、これはしっかりと検討していきたいというふうに考えております。
  203. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 これも通告していないんですけれども、やっぱり二〇二〇年東京オリンピック、これ以降、NHKをどうするかというのは非常に大きなテーマだと思うんですね。やっぱりそろそろそういうグランドデザインを考えるべき時期ではないかというふうに思うんですが、これも通告していませんけれども、アドリブなんですけれども、会長、何かお考えありますか。
  204. 上田良一

    参考人上田良一君) 今先生が御指摘なさいました件に関しましても既に検討を開始いたしておりまして、公共放送から公共メディアへの変換ということを申し上げておりますが、その中で一番大切なのは、やはり放送を軸足としてインターネットに配慮し、また公共ということを離れた形でのインターネットへのビジネス展開というのは望ましくないということで、公共的価値というのをしっかりと定義したわけです。  その上で、じゃ、将来的な公共メディアというのはどういうNHKの形になるのかというのは、既に中堅の働き盛りの人間を集めまして、ファシリテーターだけ外から呼んできまして検討させまして、この前、私も一緒にプレゼンテーションを聞きました。  プレゼンテーションした方も非常に熱が入っていましたけれども、NHKには二十二階に会議室があるんですが、もう立っても入れないぐらいのすごい盛況で、皆がやはり将来NHKはどうなるんだろうという関心を非常に強く持っているということを認識しましたし、若い中堅の方々も将来のNHKに対するやはり不安みたいなのがあるので、一緒にとにかく、公共メディアへと転換していく中でどういうNHKにあるべきだということを、いわゆる他人事ではなくて、経営からだけじゃなくて、みんなでコミュニケーションを取りながら自分事として考えていこうということで今やっているところであります。
  205. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 今、原稿がなくて自分の言葉でしゃべっていらっしゃったので、とても分かりやすかったです。実は会長はよくお話しになる方で、先日、長野マラソンで、私の地元でございますので、スタートに来られていたのでお話をしたときにすごくよくお話しされていて、これからも是非アドリブでお願いいたします。済みません、申し訳ございません。  ちょっと次の質問に行きます。  ちょっと波紋あるかと思ったんですけれども、資料を配らせていただきました。「ZAITEN」という雑誌。昔、「財界展望」という雑誌があって、「財界」と「財界展望」と二つあったんですけど、その「財界展望」が「ZAITEN」という雑誌になりまして、六月号に「NHKを操る二十人の正体」と、こういう特集記事が組まれました。上田会長の顔が真ん中にどんとありまして、先ほど申し上げた解説委員が右にいると、こういうふうな感じなんですけれども。この幾つかの特集記事の中でNHK関連会社の天下り百人リストという記事がございまして、これを読んだ関係者の話では、相当詳しいと、これはどう考えても内部の人間か内部の人間が話した内容を書いたとしか思えないと、こういう関係者の話もございました。  これは実際に平成二十九年の会計検査院報告書でも指摘されておりますけれども、例えば、NHK本体との契約の大半が関連会社、競争性のない随意契約であること、それから、NHK本体の職員が昭和五十五年からは六千七百人減って一万人ちょっとぐらいですか、となっている一方で、関連団体職員数が六千四百人に上っている。これは会計検査院の報告ですけれども。一緒に付けさせていただいた資料の三を見てみますと、確かに、これだけ国内子会社・関連会社社員数が伸びている一方で、本体職員数はこのところは横ばいですけれども、非常に差が接近してきているという、こういう実態。そして、利益剰余金配当、それから不適切経理の問題、先ほど来話になっておりますけれども、これは会計検査院の報告でも挙げられております。  また、こうした関連団体の幹部や役員というのはNHK出身者の天下りで占められていて、参考資料四として付けさせていただきました。これはNHK関連の子会社と関連会社ですけれども、真ん中にずらっと名前が並んでいるということですね。もちろん、理事さん、役員クラスから局長さん経験者から、いろんな方がいらっしゃる、こういうことですね。  この会計検査院報告でも指摘されました、この委員会でも何度か取り上げられました子会社、関連会社のこうした、言葉は悪いかもしれませんけれども、利益ため込み、これとNHK関連団体などで相次いでいる不祥事の背景には何かつながりがないか、過剰な剰余金と天下りを中心とした組織の問題があるのではないかという指摘がありますけれども、これについて、会長、どういうふうにお考えでしょうか。
  206. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  NHKでは、NHKグループ経営改革として子会社利益剰余金の適正な還元在り方検討し、平成二十八年度平成二十九年度には二年連続で大型配当を行いました。この利益剰余金には、入居するビルや機材、在庫等の固定資産や、企業として必要な日常の支払のための運転資金、さらには、4K、8Kやデジタルなどへの投資を目的とした資金も含まれていますため、今後は配当可能な原資を適切に管理し、計画的に配当していく方針であります。  また、NHK関連団体が行う業務の多くはNHKからの委託業務や展開業務などであります。その際に、NHK退職者が在職中に培った知識、経験、人脈を生かして高品質で効率的に業務を担ってもらうことは経済的で合理的であると考えております。したがいまして、いわゆる天下りとNHK関連団体への再就職とは異なっていると認識いたしております。こうした再就職はグループ経営を遂行する上で必要なものであると考えております。
  207. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 趣旨はそういうことなんだと思います。ただ、実態がどうなんだろうかということなんですが、本来は本体業務でやるべき業務なんだけど、それをアウトソースして子会社でやる、こういうこともあるでしょう。  ただ、その子会社の場合、これは利益をこれ確保するためにいろんなビジネスを手掛けている。例えば、この一覧表の真ん中の方にもありますけど、NHKプロモーションという子会社がございます。展覧会とかイベントを手掛けているということで、ここには書いてありますけど従業員が僅か五十二人で八十四億円の売上げという、これ、かなりのものだと思うんですよね、会社としては。  この会社が手掛けている事業にスター・ウォーズ展というのがあると思うんですけど、いかがですか。
  208. 黄木紀之

    参考人黄木紀之君) スター・ウォーズ展は、平成二十七年四月、東京六本木から始まりまして、札幌、松山、横浜などを巡回して、平成二十九年四月まで実施した展覧会であります。  NHKプロモーションは、このうち東京と横浜で主催者として、それ以外の地域では制作協力者として参加をいたしております。
  209. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 今おっしゃったとおりなんですけれども、この記事の中では、このNHKプロモーションにとってスター・ウォーズ展というのはドル箱の自主事業でございまして、二〇一五年の、今説明があったように、四月から六月の末まで開催されて、これをキックオフにして全国展開しているんですけど、このスター・ウォーズ展の開催の前後に、NHKの番組として「スター・ウォーズ」を特集した番組というのはありましたか。
  210. 黄木紀之

    参考人黄木紀之君) 「スター・ウォーズ」シリーズの新作映画が十年ぶりに公開されることを受けまして、多くの視聴者の関心に応えようと制作した特集番組がこの時期、関連団体の展示会と連動したものではなく、二本ございます。放送は共に総合テレビで、一本目は、二〇一五年、平成二十七年五月四日放送の「まるごと STAR WARS」、五十九分番組。二本目は、二〇一六年、平成二十八年一月五日放送の「ハリウッド 映像王国の挑戦 スターウォーズとILMの四十年」、四十三分番組でございます。
  211. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 今、連動していないというふうにおっしゃいましたけど、これ連動しているんですよね。だって、展覧会が四月二十九日に始まって五月四日に放送しているんですから、これは連動しているんです。  これ、余りそういうふうに言うと、かえって何か疑念を招くように思うんですけれども、実際に五月四日、調べてみました。Hey!Say!JUMPというアイドルグループがリポーターになりまして、これ民放でよくやるんですよね、展覧会のときにそれとリンクして連動させた番組を放送して、イベントの方に更にお客さん来てもらうようにしようと、こういうことなんですけど、これは民放では確かによくあることなんですけれども、ただ、ずっとここでもテーマに上がっていますように、これは視聴者の皆様の受信料で成り立っている公共放送でございます。しかも、公共の電波を使っているわけです。そういうところで、いわゆる番宣番組をして、そこで集客をして、更にそのスター・ウォーズ展みたいなふうな形でイベントでもうける、これはやっぱり公共放送として、あるべき姿とはちょっと違うような気がするんですけど、私には違和感があるんですけれども、実際にNHKの方、その辺について正直どういうふうに思っていらっしゃるんでしょうか。
  212. 黄木紀之

    参考人黄木紀之君) この二つの特集番組は、いずれも「スター・ウォーズ」シリーズの新作映画が十年ぶりに公開されることを受けまして、多くの視聴者の関心に応えようと制作をしております。この「スター・ウォーズ」の制作の舞台裏ですとか、最先端のCG技術、あるいは制作に携わった日本人スタッフの活躍ぶり、さらには世界中のファンが集うイベントの模様などを紹介した内容でございます。  番組は、この前後にNHKプロモーションが開催した展示会と連動したものではなく、御指摘には当たらないと考えております。
  213. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 いやいや、そんな連動していないとか何度も言われると、ますます何かううんと思うんですけれどもね。  いや、NHK子会社が手掛けているビジネスは本当にたくさんあって、例えば宝くじなんですけれども、あの抽せん器、あの特許をNHKアートさん、これも関連会社、子会社です、NHKアートさんが持っている。ちなみに、皆さんも御覧になったことあると思いますけど、宝くじの抽せん会はNHK放送しております。あの抽せん器は実はNHKアートさんが特許を持っているとか。  それから、子会社で、先ほど話も出ておりましたけれども、この度、メディアテクノロジーとアイテックが、これ技術系の会社ですけれども、合併して、従業員二千人規模というふうに聞いています。これ、整理統合するという考え方は非常に分かりますし、いいと思うんですけれども、これ二千人というと相当な規模で、民放のキー局でも千二、三百人とかそんなものですから、それを考えると、いかにNHK子会社、関連会社の規模が大きいかということですよね。こういう実態がほとんど実は知られていない。  私は、金もうけするなと言うつもりは全くございませんが、先ほども申し上げましたように、今のNHKの姿が公共放送としてののりを越えていないか、これについては十分自覚して、十分よく考えていただきたいというのがお願いでございます。これは質問ではございません。  残りの時間が二分、三分でございますので、先ほどから話になっておりますネットの常時同時配信について、一つ、二つ聞きたいと思います。  実は、前回の総務委員会でも取り上げました、政府規制改革推進会議、この百七十項目にわたる答申がまとまりました。今週月曜日に出されました。焦点になっております放送法四条の撤廃、それからソフト、ハードの完全分離、これは盛り込まれませんでしたが、今取り上げた常時同時配信の促進というのが答申の中に盛り込まれた。  しかし、民放、とりわけ財務体質が弱いローカル局にとってはこれは非常に負担が大きい。先ほど来話をしましたNHKの肥大化、それから官民格差の問題にもつながってくるんですけれども、こうしたテレビ放送のネットでの常時同時配信について、NHKの更なる独り勝ちを懸念する声がとりわけ民放、それからローカル局の間で出ている。この辺の影響というのはどういうふうに認識されておられますでしょうか。会長、いかがでしょうか。
  214. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  まず、常時同時配信につきましてですが、NHKが実施するインターネット活用業務は、放送を補完し、その効用、効果を高めるものであり、国民共有の財産である放送番組等を広く国民に還元することが目的であります。常時同時配信もその一環でありまして、放送で流れている番組をそのままインターネットでも見ることができるようにする、言わば視聴機会の拡大であると考えております。  海外では、多くの公共放送が常時同時配信を実施し、視聴者・国民の利便性を高めております。NHKとしても、視聴者・国民がインターネットを通じて、いつでもどこでも必要な情報、コンテンツを得ることができるよう視聴機会の拡大を図り、災害時、緊急時などにも放送と同様に同時配信を視聴していただくことにより、信頼される情報の社会的基盤としての役割を果たしてまいりたいと考えております。  ローカル民放の懸念について、一言触れさせてください。  受信料制度検討委員会の答申では、常時同時配信について、地域における民放との二元体制を維持していく観点から民放への配慮も十分考慮しつつ進めていくことが望ましいと指摘されております。指摘も踏まえまして、常時同時配信の開始後、段階的に地域放送の配信を拡充する際は、視聴できる地域を限定して配信する、いわゆる地域制限を行いたいと考えております。また、昨年度の試験的提供の実験では、地域の放送局を含めた民放の要望も踏まえて行いました。  いずれにいたしましても、民放の皆様の理解を得ながら常時同時配信を実現してまいりたいと考えております。
  215. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 答申の中で、共通のプラットホーム、NHKとこれについて検討してくださいというのがありましたけど、考えありますか。
  216. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 上田会長、簡潔に答弁をお願いいたします。簡潔にお願いいたします。
  217. 上田良一

    参考人上田良一君) じゃ、簡単にお答えさせていただきます。  テレビ放送のネット配信につきましては、権利処理や配信基盤など民放と共通の課題も少なくないと考えておりまして、昨年度実施いたしました同時配信の試験的提供の実験結果は民放とも共有いたしております。また、現在、民放ラジオ局が共同で運営いたしておられますラジコでNHKラジオを実験的に配信しています。  こうした課題を共有し、相互にメリットをもたらす連携ができるのであれば検討してまいりたいと考えております。
  218. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 終わります。どうもありがとうございました。
  219. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  四日の日に、規制改革推進会議の第三次答申が出されました。報道では放送法四条の撤廃見送りが大きく報じられましたけども、しかし、今回の答申には放送事業に大きな影響を及ぼす内容が含まれていると思います。そこで、今日は、私が一読して心配な点、慎重な対応が必要ではないかと感じる点について大臣の認識を伺いたいと思います。  答申では、放送を巡る規制改革の中心に、通信と放送の枠を超えたビジネスモデルの構築をうたっております。そこには、インターネット同時配信の推進、つまり、既存の放送事業者のテレビ番組をインターネットを通じて同時配信する、言わば放送の側からの通信への乗り入れを可能にする規制緩和。また、答申は、放送事業への新規参入を促進ということも書いてありまして、これまでの放送事業者だけでなく、他業態などから新たに参入する事業者への期待は大きいとして、言わば通信の側から放送への乗り入れを可能にする規制緩和も提起されていると思います。  要するに、規制改革推進会議が目指す通信と放送の更なる融合というのは、通信と放送の相互乗り入れのことであろうと私は理解いたしました。しかも、それが、新たなビジネスモデルを構築するとか、国際競争力を高めてグローバル事業を展開するなど、主にビジネスとか事業の視点から論じられているのが特徴だなと思います。  そこで、大臣伺いたいんですが、放送と通信の相互乗り入れとなりますと、私は双方にそれぞれ心配な点が出てくると感じております。  まず、放送については、放送法一条、おさらいですけれども、放送による表現の自由を確保すること、放送が健全な民主主義の発展に資するようにすること、同じく放送法に、四条、放送番組の編集に当たって政治的に公平であること、報道は事実を曲げないですることなどの大事な放送における観点、役割、基準が曖昧にされたり低められたりすることはないだろうか。一方、通信やインターネットについては、玉石混交の自由さが特徴であって、ネット世界に放送のような規制を掛けるのは時期尚早という心配の声もあります。  つまり、放送、通信、それぞれに大事な役割あるいは特質があるわけですが、それが、融合することによって、弱められたり死んでしまうようなことがあってはならない。しかし、そういうことが起こるんじゃないかという懸念を持っております。  そこで、大臣伺いますが、規制改革推進会議の第三次答申には、こうした私が今言ったような点も含めて様々な問題が生起する内容があると思いますけれども、大臣の認識、伺いたいと思います。
  220. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 山下委員にお答えいたします。  急速な技術革新によって、国境を越えて多種多様な情報やコンテンツが流通して、様々なデバイスを通じて情報サービスが提供される動きが加速していくということは想定されます。  このような中で大切なことは、放送事業者が、産業としての競争力を維持しつつ、環境の変化に柔軟に対応すること、そして、放送法規定にのっとって放送サービスを提供することにより、国民一人一人に必要で正確な情報を届ける基幹的メディアとしての社会的役割を十分担っていくこと、そして、何よりも利用者にとって便利で豊かなサービスが実現できるようにすることであります。  総務省は、これまでも放送と通信をめぐる環境変化を踏まえ、必要に応じて規制の在り方について検討を行ってまいりましたが、今後とも、放送が果たしてきた役割の重要性をしっかりと留意しつつ、関係者の意見を丁寧に聞きながら、放送のあるべき姿について不断の検討を重ねてまいります。  あと、もう一言申し上げれば、放送と通信の融合という言葉はもうすごい古い言葉なんです。多分、二十年ぐらい前にそれが出てきたと思います。なぜかというと、その当時からインターネットというのを真剣にこの国は消費者が使い始めようと、新たな産業、そのときに技術者たちは、いずれ速度が速まり、容量が大きくなって、そして動く絵としては放送とそう見た目は視聴者にとって変わらなくなるよということが放送と通信の融合、つまり、技術的な話だったと思います。  ただ、今日に至っては、やはり御指摘のように、放送が今まで果たしてきた役割は、動画を見せることではなくて、放送法によって、きちっと国民が判断できる、民主主義の下で判断できる正確な情報を自主自律の下で出してきたという、そういうところがやっぱり特徴であったと思うので、むしろ、そことの、やっぱりそれが今後どう生かされていくかということに懸かってくるんではないかと思います。
  221. 山下芳生

    ○山下芳生君 大事な御視点が示されたと思います。  私も懸念するのは、やはり、放送がこれまでずっと長い歴史の中で、また放送法によって規定されてきた、先ほど正確な求められている情報を提供する、民主主義の下でという言葉が大臣からありましたが、それは非常に大事で、つまり、今ネット上にはいろんな番組や情報が氾濫しております。もう率直に言って、特異な政治的な主張をする番組もあれば、他民族への蔑視、ヘイトに基づく情報もどんどん流されております。  そういうものが、今度、公共の電波を通じて流れるようなことは、私は大変なことに、民主主義に反するようなことが起こってくるのではないかと思いますし、逆に、ネット上では今、ユーチューバーのいろんな企画の発信が若い人たちに大変好評で、中学生のなりたい職業のナンバーワンにユーチューバーみたいなことが出てくるぐらいの新しい文化をつくる面もあると。  そういうところは、やはり自由なネット空間だからできると、両方の役割と特徴が損なわれるようなことはあってはならない。特に、放送の民主主義の発展に資するという、正確な情報という点では今のネットの状況がそのまんま持ち込まれるようなことになると完全に損なわれるということを心配しておりますので、慎重なこれは対応が必要ではないかということです。  それから、答申では、放送事業におけるソフトとハードの分離にも触れているところがあります。これはローカル局について述べたところですけれども。  これは、振り返りますと、二〇〇九年、情報通信法という構想が浮上したときに通信と放送の融合が議論になったんですが、そのときは、コンテンツ、伝送サービス、伝送設備の三層に分けることが検討されました。しかし、そういう分離をすることに対して、民放連から、公権力の関与を現行制度以上に強める危険があるということで懸念が広がって、これは実現されませんでした。  具体的に言いますと、放送への行政の直接的関与というのは電波法に基づく放送用無線局の免許に対してのみでありまして、直接な関与というのは。番組ソフトは免許の対象ではありません。しかし、ソフトだけを担う放送事業者が独立して現れることになりますと、今は自主的、自律的に基準が守られている放送番組の内容に行政の判断が入ることにもなりかねない、認定等の過程で権力の恣意的な番組内容への介入が起こり得る懸念があるということで、民放連からはそういう声が出たんだと思いますが。  大臣放送のソフト、ハード分離、これも慎重に対応する必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  222. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) お答えいたします。  御指摘の放送法は、放送事業者の自主自律を基本とする枠組みであります。放送事業者は、自らの責任において放送番組を編集する立場にあります。  こうした中で、放送分野におけるいわゆる上下分離については、平成二十二年の放送法改正により、経営の選択肢を拡大する観点から、無線局の設置、運用、ハードに関する免許、放送の業務、ソフトに関する認定について、一致又は分離のいずれも選択可能というふうになっているわけです。現在、全ての地上放送事業者はハード、ソフト一致を選択されていますが、放送事業者としての自主的な経営判断の結果だと認識しています。  今般の三次答申では、ハード、ソフト分離について具体的な提言は行っていないと承知していますが、いずれにしても、総務省としては、放送政策全般について、急速な技術革新を始めとする環境変化を踏まえつつ、関係者の意見を丁寧に聞きながら、利用者目線に立った検討を行っていくことに何ら変わりはありません。
  223. 山下芳生

    ○山下芳生君 大事な御答弁だったと思います。  やはり、健全な民主主義の発達に資する、あるいはもう文化にも非常に大きな影響を与えるのが放送ですので、私は、この規制改革会議の視点が、新たなビジネスモデルをつくるとか国際競争とか、どうしてもこの産業政策的な視点が強過ぎるという危惧を持っておりますが、今大臣がおっしゃった視点が非常に大事なので、慎重に関係者の意見をよく聞いて対応を検討していただきたいと思います。  関連して、NHKに聞きます。  先ほど来の答弁の中で、インターネット常時同時配信を来年から開始を目指すということだと承知しておりますが、当面、受信料契約者に対して無料配信を行うということだそうですが、そうすると、若者は今、テレビも見ないという方がいる、持っていないという方もいる。テレビを持っていない、テレビを見ない、しかしネットは一生懸命利用されているという方がNHKの受信契約していないわけですね。そうすると、テレビも持たない、ネットでもNHKの情報が全く届かない一群が生まれることを、契約者だけに無料配信、ネットで同時配信することになりますとそれに恩恵にあずかれない人がもう残るということを前提にした方針ではないかと思うんですね。  国民が様々な権利を行使する、先ほど会長から、災害時の対応、ちゃんと必要な情報を知ることも権利でしょう、あるいは主権者として必要な情報というのもあるでしょう、そういうものを、そういう基本情報を誰でも入手できるところに私は公共放送の公共たる役割があると思いますが、これは商業放送だとか戦前のような国営放送には期待できません。公共放送だから期待される役割ですが、せっかくネットとの融合的なことを検討されるのに、公共放送の役割を更に多くの若い人たちも含めて広げていくという点で、今のやり方だとちょっとこれは矛盾が起こるんじゃないかなと思うんですが、その点、どうお考えでしょうか。
  224. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  常時同時配信の開始に当たりましては、公平負担の観点を考慮しまして、受信料、受信契約世帯を基本として設計しておりますけれども、今先生が御指摘なさいましたように、広く情報を届けるという観点は極めて重要でありまして、テレビを持っていない方への対応につきましては、今後、サービスを進める中で様々な御意見も頂戴しながら検討してまいりたいと考えております。
  225. 山下芳生

    ○山下芳生君 それをやればまた別の問題が出てくるという関係もありますから、関係者の声を広く聞いていただいて進めていただきたいと思います。  次に、4K、8Kについて聞きます。  六月一日、今年の十二月に始まる新4K、8K衛星放送の半年前式典が開かれたことがニュースでも報じられました。  まず、NHK伺いますけれども、4K、8K放送の視聴見込み、どうなっているでしょうか。
  226. 坂本忠宣

    参考人(坂本忠宣君) お答えいたします。  一般社団法人電子情報技術産業協会、JEITAでありますけれども、そのまとめによりますと、4K対応テレビの出荷台数は今年四月末の時点で累計四百万台を超えております。今後発売されますチューナー、それからチューナー内蔵型テレビを考えますと、二〇二二年までに二千百万台程度普及が見込まれております。また、一方の8Kでありますけれども、一部のメーカーが本放送開始までに販売を始めるということを発表しております。JEITAの予測では二〇二二年までに日本国内で約五十万台が普及するというふうにしております。  いずれにしましても、政府総務省の4K・8Kロードマップを踏まえまして、4K、8K放送をより多くの視聴者の皆様に楽しんでいただけますよう、コンテンツを充実させ、普及促進の取組を加速させてまいりたいと考えております。
  227. 山下芳生

    ○山下芳生君 4K、8K合わせて二千百五十万台ぐらいですかね、見込んでおられるということなんですが、そうすると、一つ心配なのは、これはもう既に法案の審議のときにも議論になったことですが、4K、8K放送を視聴するために右左旋対応アンテナというものを設置する必要がありますが、ブースターやプラグを改修しないと電波漏えいが起こるという問題が指摘されております。  この電波の漏えいが起こると、信号品質が劣化してもう4K、8K放送が受信できなくなってしまうケースも起こるし、それから、WiFiの無線局に混信を与えて通信速度が低下するということも起こり得ると聞いております。それから、特に集合住宅の場合は、隣接する複数の部屋に同時に思わぬ電波障害による影響が及ぶケースもあるというふうに聞いておりますが、もう十二月から始まるわけですので、適切な対応を進めるための周知がなお一層必要だと思いますが、総務省の方に伺いますと、電気工事店がアンテナ設置の際に視聴者になる方に説明をして工事もやっていっているということなんですが、この工事が必要ですよということをちゃんと知らせていって電波漏えいがないようにしていくことがいよいよ重要だと思いますが、どうされるんでしょうか。
  228. 山田真貴子

    政府参考人山田真貴子君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、電波漏えいによりまして、視聴そのもの、また他の無線サービスへの影響というものが懸念されるところでございまして、また、これも御指摘のとおり、実際に工事を行っていただく業者の方々に御理解をいただくために、電気工事店を対象とした説明会などを昨年度三百か所、今年度は更に百九十か所でも開催をいたしまして周知を図っているところでございます。  また、視聴者の方々にも、リーフレット等を活用いたしまして電波漏えい対策の必要性に関する周知に取り組むとともに、今年度より、電波漏えい対策のための受信設備の改修に対しまして経費の一部を助成する補助事業も開始をしております。  こうした取組を通じまして、工事業者、視聴者の双方に周知と対策の促進を図るべく、関係者連携して多面的に取り組んでまいります。
  229. 山下芳生

    ○山下芳生君 総務省さんに簡潔に答えていただいたらいいんですけど、アンテナだけ先にもう設置して、そのブースター等の対応ができていないところもあるのではないかと思うんですが、そういう場合は、もう電気工事業者さんはアンテナは付けましたというふうになって、その工事が、対応が漏れるということがあるかもしれないとも心配しているんですけれども、その辺の対応はどうなるんでしょうか。
  230. 山田真貴子

    政府参考人山田真貴子君) 先生今御指摘のような事態が生じないように、電気工事店等の協力を得ながら周知、また対応に取り組んでまいります。
  231. 山下芳生

    ○山下芳生君 やっぱり電気工事店を通じた周知、対応が私も鍵だと思います。一般の消費者の皆さんがそういう対応が必要だということを認識されていない方の方がむしろ多いと思いますので、やはり、工事をする際、あるいはテレビを設置する際にそういうことを、電気工事業者さん、電器販売店も必要かもしれません。そういうことを通じて、近隣の皆さんが全く知らない間に電波障害を受けるようなことがないようにしていく必要があると思います。  最後に、人に優しい放送について質問したいと思います。  まず、字幕放送についてNHKさんに伺いますが、平成二十八年度の付与実績を見ますと、対象となる放送番組における字幕付与の番組の割合は九七・四%、計画が九四%程度というふうに聞いておりますので、それは達成しておりますし、あと僅かだと思うんですが、どのようなあと課題が残っているのか、紹介していただきたいと思います。
  232. 木田幸紀

    参考人(木田幸紀君) 字幕放送の国の指針では、総合テレビの七時から二十四時の番組のうち技術的に字幕付与不可能な番組を除く全ての番組について、平成二十九年度までに字幕を付与することを目標としております。  NHKは、平成二十八年度には、今御紹介ありましたように、対象となる番組の九七・四%に字幕を付与しました。平成二十九年度については、国会中継を除く全ての対象番組に字幕を付与しました。生放送の字幕付与というのは、文字の間違いであるとか、字幕の表示の遅れが避けられません。特に国会中継は、事前の準備が難しく、国政に関する専門用語が頻繁に使われるために、字幕の付与について正確さや政治的公平性の保証が難しいなど、こういった課題が多いというふうに考えております。
  233. 山下芳生

    ○山下芳生君 国会中継が残っているというのは、我々にも非常に重要な問題ですので、知恵を出したいと思います。  それから、解説放送について伺います。  解説放送が付与された番組の割合は一二・七%、これも計画、九・七%と比べれば達成しているんですが、一割強しか解説放送は付いておりません。視覚障害者の方にとって、ドラマなどでせりふの入らない無音のときだとか、ニュースで外国語のコメントのときなどは、内容が解説放送によって理解できるということになります。  私、この質問をするときに、いつも朝の連続テレビ小説で自分自身体験するようにしているんですけど、非常に人気が高いですね、今、「半分、青い。」も。先ほど、お昼の休憩時間を利用して、テレビ画面に背を向けて音声プラス解説放送の音だけで聞いてみました。主人公の女性鈴愛と幼なじみの男性律が登場する場面で、二人のせりふの間に解説放送が入ります。夜仕事が終わって駆け込む鈴愛、涙の止まらない鈴愛、戸を開ける鈴愛、律小さくほほ笑む。番組のクライマックスは、鈴愛の口元にナポリタンのケチャップという感じです。  これは、これがないと視覚障害の方はドラマの流れが分からない。この解説放送というのは、いつも私、感じるんですけれども、ドラマの流れに本当によく合った、これ自身が芸術性を持った内容になっております。松田佑貴さんがいつもそういう役割を果たしておられますけれども。  残念ながら、それが一割強しか付いていないんですね。一層引き上げる必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  234. 木田幸紀

    参考人(木田幸紀君) NHKでは、総合テレビ、それからEテレ共に、平成二十六年度に指針の目標は一度達成したのですが、その後も自主的に拡充を続け、二十八年度には、総合テレビでは一二・七%、Eテレでは一七・九%に解説を付与しております。  今年度からの新しい国の指針では、十年後までに総合テレビの解説付与可能な番組の一五%、Eテレの解説付与可能な番組の二〇%に音声解説を付与することとしております。この指針の達成を目指すだけでなく、音声解説の拡充を公共放送の使命と位置付け、自主的、積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  235. 山下芳生

    ○山下芳生君 最後に、手話放送について伺います。  先天性の聾者の方、幼少に失聴した方にとって、聴覚を用いないで獲得した手話が基本の言語となっております。重要なコミュニケーションの手段なんですが、そういう方々にとっては字幕放送よりも手話放送の方が理解しやすいということになっております。しかしながら、平成二十八年度、手話放送は、実績が〇・二一%、極めて低いです。  私、十年前に当委員会の質問で、イギリスでは、字幕放送、解説放送に加え、手話放送についても目標を持って各放送事業者が達成していっていると。残念ながら、日本の場合は字幕と解説には目標があるんですけど、手話にはないんですね。ですから、残念ながら〇・二一%になっていますが、イギリスは、例えばBBCOneは、手話放送の目標五%で実績値は五・二%ですから、もう桁が違うんですね。  やはり日本でも目標を持つべきだと提起いたしましたが、総務省、その後どうなっているでしょうか。
  236. 山田真貴子

    政府参考人山田真貴子君) 総務省で定めております放送分野における情報アクセシビリティに関する指針を本年二月に改定をいたしまして、三十年度以降の普及目標の中で、NHKの地上テレビジョン放送は平均で週十五分以上に手話を付与という数値目標を設定したところでございます。
  237. 山下芳生

    ○山下芳生君 ようやく目標が持たれたということです。ただ、週の中で十五分ですから、これは恐らくBBCの五%と比べてもまだまだ低いと思うんですね。  大臣、是非、こういう人に優しい放送というのは、4K、8Kと比べても劣ることのない技術を活用して、しっかりそういう方向での貢献ができるように、総務省としても、またNHKとしても努力していただきたいと思うんですが、大臣としてのイニシアチブを発揮していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  238. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 「半分、青い。」は岐阜県の番組でございまして、今、先ほど山下委員のナレーションでまた新鮮な思いをして聞かさせていただきました。  人に優しいというのは、これからの日本が目指す日本の魅力の一つではなかろうかと。やはり高齢者が増えていく国家にあって、若いときにできたことが高齢になってできなくなるというのは当たり前のことなんですね。ですから、そういうやっぱり国家像を描いて、是非、ガイドラインで一生懸命クリアをしてもらっているんだけれども、まだまだ日本の急速な高齢化にはキャッチアップできていないんじゃないかなと。  そういうことで、字幕も解説も手話も積極的に取り組んでいければと思っています。
  239. 山下芳生

    ○山下芳生君 終わります。
  240. 片山虎之助

    片山虎之助君 片山虎之助です。  質問いたしますけれども、本題に入ります前に、前回の質問の積み残しをまず処理させていただきます。できるだけ手早く片付けたいと思いますので。  前回、民泊についてお聞きしました。よその国に比べると、日本は民泊の比率が低いんですよね。住宅を宿泊施設に提供して金もらうと、有償というのが日本は極めて低い、先進諸国の中で。だから、今回インバウンドが増えますからそれを広げるというのはいいんですけれども、しかし、日本のそれぞれの市町村などのコミュニティーが歓迎しているかどうかはまた別なんですね。  それから、東京なんかで違法な民泊施設が多いんで、うそか本当か知りませんが、東京には十四万室、ホテル、旅館があるんです。今、民泊まがいが二万あるというんですよ。ところが、これからオリパラまで二万室ぐらいホテルと旅館が増えるんです。そうなると、今の二万はかなり違法状態のものですから全部撤退するんじゃないかと。それじゃ増えたことになりませんわね。  その辺をどう監督官庁というか、関係あるところはお考えかというのをまず一つお聞きしたいのと、それから、地域社会は民泊をあちこちつくられるのは困るんですよ、騒音だとかごみだとか治安だとか。それで、必ずしも、今の百八十日の上限があるけれども、それを更に切り込もうという動きがかなり私はあるんじゃないかと思うんですが、それ、ざっとした話をしてください、関係のところ。
  241. 秡川直也

    政府参考人(秡川直也君) お答えを申し上げます。  今、東京都の話出ましたけれども、東京都では、ホテル、今約七百軒、十万室、旅館の方で千二百軒、五万室ございます。それ以外に、既に大田区で簡易宿所が約千軒、それから特区でのものが五十軒ほどございます。本年の三月十五日から民泊法に基づく届出の受付が始まっておりまして、五月十一日の時点におきまして、東京都における届出件数が約百九十五件ということになってございます。  今、担当の地方自治体の窓口等に相談が非常に多く来ているということなので、今後増えていくものというふうに考えてございます。
  242. 片山虎之助

    片山虎之助君 詳しくやる時間がないのであれですが、今の上乗せを条例でやっているところはどのくらいありますか。皆さんが把握している中で、百八十日の営業期日を上乗せしてもっと制限しているとか、それからトラブっている例がありますか、トラブっている例。
  243. 秡川直也

    政府参考人(秡川直也君) お答え申し上げます。  民泊法におきましては、政令で区域等を制限することができるというふうに定められております。現在、東京都の中におきましては、区域、期間の制限の条例を定めているところが二十三区の中で十八区ございます。私ども、自治体と頻繁に情報交換の会議をやっておりますが、条例制定等でトラブルというふうな報告は聞いておりません。
  244. 片山虎之助

    片山虎之助君 それから、権限移譲は、保健所を設置する市がやると言って手を挙げたら、皆認めるわけですね。国と、あれは都道府県と協議するんだったかな、どうですか。簡潔に。
  245. 秡川直也

    政府参考人(秡川直也君) 条例を制定できるのは都道府県と保健所を設置できる市ということで、合わせて百五十ございます。現時点で条例を制定しているのは四十八自治体ということで把握してございます。
  246. 片山虎之助

    片山虎之助君 そして、もう一つ、民泊で怖いのはやっぱり火事ですよ。管理する人がいないというようなケースも多いので、関係者が。  どういう安全防火対策を取るのか、消防庁、答えてください。
  247. 緒方俊則

    政府参考人(緒方俊則君) お答えいたします。  家主などが常時不在となっています民泊につきましては、利用者が不慣れな火気使用設備を用いることによりまして出火のおそれが高まっていくことや、建物に不案内であることによりまして避難に時間を要することなどが懸念をされています。  そのために、民泊サービスを利用されます方の安全が確保されますように、火災を早期に覚知しまして迅速に避難や消防機関への通報が行われますように体制を整備していくことが重要と考えておりまして、これを踏まえまして、消防法令におきましては、家主等が常時不在の民泊につきましては、ホテルや旅館等と同様に扱いまして、小規模なものでも自動火災報知設備を設置いたしまして、火災の早期覚知体制を確保してまいります。
  248. 片山虎之助

    片山虎之助君 それから、パラリンピックやるんだから、バリアフリーですよ。  私は東京周辺でバリアフリーのトイレというのは余り見たことないんだけれども、その整備状況、どうなっていますか。外国からいっぱい来られたときに支障がないのかどうか、答えてください。
  249. 山上範芳

    政府参考人(山上範芳君) お答え申し上げます。  鉄道駅のトイレでございますが、バリアフリー法に基づきまして、障害者等の円滑な利用に適した構造のトイレの整備を進めております。例えば、新宿駅、四ツ谷駅、丸の内付近の鉄道駅につきましても、JR、地下鉄、民鉄問わず、各駅にバリアフリー化されたトイレを整備してございます。
  250. 片山虎之助

    片山虎之助君 それで、今までのバリアフリーは点なんだよね。それを今度は面で捉えて、そのバリアフリー間の連絡や連携もスムーズにいくような重点整備地区というの、何かそういうことやれといって今皆さんやっているわけでしょう。それ、うまくいっていますか。何か計画かあるいはマスタープランか、何とか構想か知りませんが、状況を言ってください。
  251. 松本年弘

    政府参考人松本年弘君) バリアフリー法に基づきます基本構想の作成市町村は、平成二十九年度末時点で全体の約二割にとどまっております。基本構想には具体の事業に関する計画を定めることが要件になっていることから、市町村が基本構想を作成することで、例えば駅や周辺の公共施設、さらにはそれを結ぶ経路について一体的かつ計画的に市町村のバリアフリー化が推進されるものと考えております。  しかしながら、現在の作成状況を考えれば、踏まえれば、今後、より多くの市町村においてこの基本構想の作成を進めていただきたいと考えております。このため、バリアフリー法を改正して、基本構想の作成を促進するためのマスタープラン制度の創設や、基本構想作成の努力義務化等を措置したところです。  これらの措置も活用し、基本構想の作成について市町村に対して働きかけを行うなど、面的なバリアフリーを一層推進してまいります。
  252. 片山虎之助

    片山虎之助君 それで、今まではその地方に対して財政措置がなかったんですよ。それを本年度から地財計画で、公共施設重点整備何とか推進、長い名前のね、その特別の地方債を認めるようにしたんですよね。  それは、もう認めっ放しじゃ駄目だ、元利償還をある程度交付税か何かで見てやらないと地方はやらないので。状況をちょっと説明してください。
  253. 黒田武一郎

    政府参考人黒田武一郎君) お答えいたします。  地方公共団体の有する数多くの既存の公共施設につきましては、適切な維持管理や改良を行うことによりまして、できる限り長い期間にわたって有効に活用できるようにしますとともに、障害の有無でありますとか年齢、性別等にかかわらず、多様な方々ができる限り利用しやすいものとしていくことが求められております。  そのため、これらの取組計画的に推進していくための措置の一つとして、平成二十九年に策定されましたユニバーサルデザイン二〇二〇の行動計画に基づきまして、平成三十年度から、御指摘のように、新たに公共施設等適正管理推進事業債の対象にユニバーサルデザイン化事業を追加いたしました。  それで、これを推進していくために、特に財政力の弱い団体であっても必要な取組を着実に実施する必要がございます。この公共施設等適正管理事業につきましては、従前は長寿命化でありますとか転用、立地適正化事業につきましては交付税措置率を一律三〇%としておりましたが、今回の拡充を機に、財政力に応じまして最大五〇%まで引き上げることとしまして、ユニバーサルデザイン化事業についても同様の措置を講じて推進してまいりたいと考えております。
  254. 片山虎之助

    片山虎之助君 分かりました。答弁必ずしも満足じゃないけど、仕方がないわ、時間ない。また時々質問してフォローアップしますから、関係のところ、よろしく。委員長の許可を得たら帰ってもよろしいから、今答弁した皆さん、御苦労さまでした。  それじゃ、NHK決算の方なんですが、決算の数字が全部いいですね。本来事業で百億近い、百億超えるケースもあるけれども、プラスが出ている。収支差金でいうと、二百億、三百億でしょう。それ、例の放送センターの千七百億はもう完全に今積立てができて、あと繰越しが一千億超えているんじゃないですか。  それで、会長経営委員長さんは、どのくらいまでそういうものがあればいいというんですか。今、黒字決算がずっと続いて、金がどんどん、今言っていることは、今日の議論もあります、たまっていくんですよ。幾らでもためようと、こういうことですか。それともこの辺が限度だと、こういうことなのかな。
  255. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  剰余金は、放送センターの建て替えに備えた建設積立金と財政安定のための繰越金で構成されております。このうち財政安定のための繰越金につきましては、大規模な災害、事故、物価の高騰など、経済状況の急激な変化による事業収支の不足や設備投資などに対応する資金であります。  EUでは、公共放送財源として、繰越金の規模を支出の一〇%程度の水準とするガイドラインを定めております。日本の場合は、地震等の災害リスクが高いことを勘案すると、事業支出の一〇%以上の繰越金が必要であると考えております。
  256. 片山虎之助

    片山虎之助君 委員長さんにお聞きしますけれども、民間ではどうですか。七千億の財政規模で、特別の設備投資のために千七百億円別にためて、さらに繰越金が一千億を超えているんですよ。こういうとき、民間どうしますか、委員長ならどうされますか。
  257. 石原進

    参考人石原進君) お答えいたします。  ただいま上田会長がお答えしましたけれども、財政安定化の繰越金、これは三十年度以降、災害等や不測の事態に対するもの以外に、特に最近は4K、8Kとか、あるいは放送センターの予定された以上のものが出た場合どうするかとか、そういったことがいろいろ想定される。従来とちょっと状況は違うかなと考えておりまして、そんなにたくさん余裕を持ってためることは私はもちろんないと思っておりますけれども。4K、8Kについては、特に今後三年間の、今、中期計画に入りましたけれども、それで三百たしか十五億だったか、それぐらいの新たなる出費もここから出るという予測もありまして、そういう点では、今一千億ですけれども、金額としては絶対額はこの三年間で減少していくと聞いております。  大体、NHKの場合は、全体の収入が七千億とすれば、その一割、七百から八百ぐらいこの繰越金の規模があればいいんじゃないかなという感じがしております。まあ大体一般企業、企業の業績によって、業種によって違いますけれども、まあそういうことではないかなと思っておりますが。
  258. 片山虎之助

    片山虎之助君 それは中長期の財政需要を考えなきゃいけませんわ。それ国民のために、いい番組を見せるためにNHKあるんだから。とにかく切り詰めればいいとか、ためればいいとかというものではないので、必要なことがあったら使えばいいと思うんです。その上で、その上でですよ、やっぱりその受信料の引下げというのを私はある程度検討する必要があると思う。そういう時期にそろそろなりかかっていると思いますよ。  仮に、放送センターが千七百で足りなければ、機器はまた別計算でしょう、それで機器については別にちゃんと償却しているからお金があるんだというお考えのようですけれども。中長期でこれだけ要るんだとはっきり言われて、しかし将来の見通しはこうなるんで、これはまあ余るわけじゃないけれども、国民負担の切下げ、あるいは即時同時配信をやるんですから、いずれにせよ、時期はともかく、そういうことにどうするんだということを堂々と私言うべきだと思うね。  どうですか、会長
  259. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  今後の受信料額の適正な水準や更なる負担軽減策など、受信料体系の在り方につきましては、中長期的な事業計画や収支見通しを踏まえた上で検討すべき重要な課題だと認識いたしております。  検討に当たりましては、収入が増えた分支出も増やすという考え方に決して立つことなく、NHKが公共的価値の実現の観点から真に実施すべき業務かどうか不断の見直しを行うとともに、創造性と両立する形で業務の一層効率的な運営を徹底してまいる所存であります。
  260. 片山虎之助

    片山虎之助君 これ以上言いませんけど、それから、この前、私は予算のときに、視聴率競争しちゃ駄目ですよと。公共放送であるNHKが民放に負けまいと、気持ちは分かると言ったんです、同じ放送人として。じゃ、そんな競争にうつつを抜かすべきでないと言うたら、していないそうですから結構ですけど。  朝ドラも大河ドラマもニュースも大変よろしい。上の方、NHK独占ですよね。それで、私は思うんだけれども、本当に朝ドラだとか大河ドラマは地方活性化に一番いいんですよ。政府がいろんな補助金を出して、交付金を出して笛や太鼓でやっているけど効果ない、余り。それを大河ドラマ一発やったらいっぱい人が来るんだから。ただ、一年かもしれませんよ、効果は。  だから、どこをどうやるかというのは、これは慎重にやってもらわないと。みんな関心持っている。まあ次の次の年まで決まっているそうですけど、それは納得がいくように透明度の高い決め方してくださいよ。誰がどう決めているかは私はよく分かりませんけれども、それは係の方であれしているんだろうけど。それから、朝ドラだってそうですよ。是非そう思いますよ。それが一つと。  地方回りの放送が多いですよね、「のど自慢」を筆頭に。日曜日か土曜日に回るのもあるし、タモリさんや落語家の方が。いいんですよ、あれも。地方の宣伝になるし、地方はみんな喜んでいますよ。しかし、それもえこひいきがないように、当該地方とコミュニケーションを良くして納得ずくでやってくださいよ。それだけ影響力あるんだから。  いかがですか、会長。それから、総務大臣もうなずいているから、総務大臣の意見も聞きます。
  261. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  今の先生御指摘のとおりで、いろんなところから私も要望を受けておりますけれども、現場の責任者も踏まえて、公平に対応していきたいというふうに考えております。
  262. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 先ほどの山下委員の御指摘がありましたように、今の朝ドラの場所というのは岐阜県でありまして、やっぱりそれで知事を先頭に様々なキャンペーンをしてPRができるということはすごい効果があるんだなということを感じているところです。  だから、今おっしゃったように、フェアに、きちっと透明性を担保した上で、その影響力が大きいということを踏まえて、地方の活性化にも一役買っていただければと思います。
  263. 片山虎之助

    片山虎之助君 それから、障害者の質問が今さっきありましたけれども、東日本大震災なんかを見ると、障害者の方は聴覚障害や視覚障害も障害のない方の倍以上の方が亡くなっているんですよ、比率を見ると。だから、ああいう非常時は、やっぱりハンディのある人をどうやってちゃんと教えるかということを考えるべきだと思うんですよね。それで、それについては相当私は努力されていると思うけれども、それがどうなっているのか、先ほども答弁ありましたけれども。  それから、オリンピック、パラリンピックがあるでしょう。こういうイベントというのは、また障害者の方は大変楽しみなんですよ。一般の、健常者よりも私はそうだと思うので、そういう人も平等に分かるようなことをひとつ特別に考えてくださいよ。先進国になってくださいよ、そういう障害者対策の放送の。いかがですか。
  264. 木田幸紀

    参考人(木田幸紀君) 今、最後に御指摘のありました東京オリンピック・パラリンピックでは、ユニバーサル版のハイライト番組の放送を今検討しております。  その中では、視覚障害者の方にも分かりやすいスタジオの解説コーナーであるとか、聴覚障害者向けの手話を交えたトークコーナーなどを今検討しております。また、競技中継においても、副音声を使って視覚障害者の方にも競技を分かりやすく伝える実況放送などを検討しております。  先ほど片山先生のお話のとおり、NHKは、障害のある人やない人、国籍、性別、年齢などにかかわらず、全ての人にとって分かりやすいユニバーサル放送サービスの一層の充実に取り組んでいこうと考えております。
  265. 片山虎之助

    片山虎之助君 それから、ネットの即時同時配信は、私はいずれやらなきゃいかぬと思うんですよ。どうせやるんなら、パラリンピックやオリンピックが大きな一つの契機ですよ。だから、急がないかぬと思うんですよ。ただ、それは、皆さんが懸念されているように、民放との関係、特にローカル局の関係がありますよ。だから、これについてはどういうことで打開されるのかね。  それから、今度の規制改革推進会議の答申ね、何を書いてあるかよく分からぬところがありますよ。共通のプラットホームをつくれとか、まあ民放と仲よくやれということなんでしょうけどね、具体的にあれを受けてどういうアクションを起こされることになるんだろう、NHK総務省も。それについて答えてください。
  266. 坂本忠宣

    参考人(坂本忠宣君) 答申の内容につきましては今後精査をしてまいりたいと考えておりますけれども、テレビ放送のネット配信につきましては、権利処理や配信基盤など、民放と共通の課題も少なくないと考えております。昨年度実施しました同時配信の試験的提供の結果についても、民放と共有をしているところであります。また、民放のラジオ局が共同で運営しておりますラジコにNHKのラジオを実験的に今配信をしております。こうしたそれぞれの課題を共有しながら、相互にメリットをもたらすような連携ができるものであれば検討していきたいというふうに思っております。  常時同時配信を実現するためには国による法制度の整備が必要でありますので、NHKだけで進められるものではございません。引き続き、民放各社を始め関係者と丁寧に対話を進めまして、共通の課題について協力できるよう努力を重ねてまいりたいというふうに考えております。
  267. 片山虎之助

    片山虎之助君 再来年のオリンピック、パラリンピックに間に合うのかどうかということを私、特にお尋ねしているんです。それから、来年はラグビーのワールドカップもあるんです。その他もあるでしょう、国際的なイベントが。間に合うんですか。
  268. 坂本忠宣

    参考人(坂本忠宣君) NHKとしては、二〇一九年度にサービスを始めたいということで、関係方面と今お話合いをさせていただいているというところであります。
  269. 片山虎之助

    片山虎之助君 それから、坂本さんだったかな、先ほどの答弁で、即時同時配信にはお金が、初度の投資ね、設備投資が五十億円とランニングコストが五十億円と言われた。しかし、そのネットワークにつなぐデリバリーネットワーク何とかというのが、これもお金掛かるんでしょう。  お金だけからいうと、私、百億円というのはそんな物すごいお金じゃないと思うんだけれども、今言ったような民放とのいろんな協調関係、納得を得るということがね、それはできるのかどうか、それはどういう形で進めるのかを教えてください。言えないことあるかもしれない、言える範囲でいいですよ。
  270. 坂本忠宣

    参考人(坂本忠宣君) 民放各社の皆さんとは、これまでも定期的にいろいろな意見交換をしてきておりますので、更に今後その協議を強めまして、それぞれの課題の解決を目指していきたいというふうに考えております。
  271. 片山虎之助

    片山虎之助君 それから、テレビを持っている人だけがその同時配信が受けられるというのも、これも妙な話なんだわね。それはチェックはできるでしょう。しかし、相当な手間もお金も掛かるし、私はそこは国民合意の中でやらなきゃいかぬけど、それなら国民合意は何かということですよ、結局ね。  それは、テレビを持たない人は排除するなんということは、それは通るのかな。それは通らないと思いますよ。通らないときに、それじゃ、そのテレビを持っている人とネットだけの人との格差というのか、アンバランスがあるんで、そこはどういう負担関係を取るのかというのは大きな課題ですよ。ドイツなんか思い切って税金みたいにしているでしょう、全部取るように。いい悪いの議論はあるけれども、それは国民合意、国民合意って、誰がどう取るんですか。国民投票するわけじゃないのよ。  だから、それはそういう空気をつくっていかないと、提案をしてと思いますけれども、いかがですか、会長
  272. 上田良一

    参考人上田良一君) 先生御指摘のとおりだと思います。  取りあえず、常時同時配信の開始に当たっては、公平負担の観点も考慮した上で、受信契約世帯向けに追加負担でなく利用できるサービスとして実施したいと考えてはおりますけれども、NHKとしては、先ほど山下先生の御質問にもお答えしましたように、テレビを持たない世帯に対しましても公共性のある情報や番組を常時同時配信によって広く届けるという観点はとても重要であると考えておりまして、テレビを持っていない方への対応については、今後サービスを進める中で、様々な御意見をいただきながら検討をしてまいりたいと思います。  いずれにしても、法改正が必要なので、その点も含めて関係各所にしっかりと説明をしていきたいと思います。
  273. 片山虎之助

    片山虎之助君 それと、放送と通信の融合は、いずれにせよ相互乗り入れですよ。そういうときにどう考えるかということで、放送はこれまでこれだけの実績があるんですよ、ある意味では、四条を守って。だから、もし通信の方が放送的なことをやりたいんなら、手挙げ方式で、私は、放送の今までの手続や基準を守りますと、番組編成の考え方を守りますと、手挙げ方式をやらせたらいいと思うんですが、総務大臣、どうですか。軽々に言えないね。検討してくださいよ、それじゃ。検討
  274. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) お答えいたします。  一つ検討に値すると思います。
  275. 片山虎之助

    片山虎之助君 それじゃ終わります。ありがとうございました。
  276. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 他に御発言もないようですから、四件に対する質疑は終局したものと認めます。  これより四件について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  277. 礒崎哲史

    ○礒崎哲史君 国民民主党・新緑風会の礒崎哲史です。  私は、会派を代表いたしまして、ただいま議題となりました平成二十五年度NHK決算の承認に賛成、平成二十六年度、二十七年度、二十八年度NHK決算の承認に反対の立場から討論を行います。  平成二十五年度につきましては、受信料の引下げの影響通年化する中、給与体系を五年間で約一〇%抑制することに労使で合意をし、組織改革、業務改革を開始するなど、現場の尽力、経営の努力が認められます。ただし、首都圏放送センター記者が過労で亡くなられた年でもあり、二度と過労死が起きないよう、働き方改革を是非進めていただきたいと思います。  平成二十六年度から二十八年度は、籾井前会長の下、受信料に支えられている公共放送としての社会的責任が問われた三年間であります。前会長自身が失言を連発をし、資質に疑念の声が上がる中、子会社の架空発注問題ですとか、記者のタクシーチケット私的使用問題など、不祥事が続発をし、NHKは混乱を極めました。信頼回復の場とすべき国会審議におきましても、籾井前会長は不誠実な答弁に終始をし、国民に対する説明、信頼回復を放棄したとしか思えない対応を取り続けました。  当時、審議が深められず、説明責任がしっかり果たされなかった数々の疑義が含まれる平成二十六年度、二十七年度、二十八年度決算を承認することはできません。  この三年間、事業収支の数値の改善など、現場職員の皆さんの努力の結晶とも言える実績が認められることを踏まえれば、この間の議論が正常に行われていれば改革がもっと進展したのではないかと考えられ、大変残念と言わざるを得ません。  体制一新を契機に、コンプライアンス徹底、綱紀粛正に努めるとともに、子会社を含むグループ全体としての経営改革に組織を挙げて迅速かつ確実に取り組み、公共放送としての社会的使命を全うすることを求めまして、私の討論とさせていただきます。
  278. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 立憲民主党の吉川沙織です。  私は、会派を代表いたしまして、平成二十六年度平成二十七年度平成二十八年度NHK決算に対し、反対の立場から討論を行います。  四年前の三月三十一日、参議院本会議で、私はじくじたる思いで平成二十六年度NHK予算案の反対討論に立ちました。NHK会長の就任会見に端を発し、国民の知る権利、表現の自由、報道の自由、そして独立かつ自律であるべき公共放送としてのNHKが危殆に瀕している中、前会長の下で執行されることになる予算案は承認することができなかったからです。  平成二十六年度から平成二十八年度までの三年間、NHK予算案の全会一致承認は、前会長の下、崩れ続けました。  戦後、権力に対して異論を唱える場を確保し、社会が安易に一丸となることを防ぐため、放送が不偏不党、真実、そして自律を保障されることによって表現の自由を確保し、公共的に重要な様々な意見が放送されることによって国民の理解が一層深まり、民主主義の発達に資する、これが放送法制定の眼目です。  政府権力を批判的に検証し、抑制することがNHKを含む報道機関が担う公共性の根幹であり、公共性の本質は言論の自由と不可分です。その中でも重要な役割を果たすのが公共放送としてのNHKなのです。  だからこそ、これまで不祥事が多発し、国民の信頼が揺らぐことはあっても、NHKに対する国民の信頼は続いてきたのです。ただ、前会長体制の三年間でその信頼は著しく毀損してしまいました。  前会長体制の混乱下、例えばガバナンス実現のために一億円超を掛けて行った調査後も不祥事が多発しており、その検証材料たる調査報告書が存在するにもかかわらず、国会には提出されておらず、価値があるか否か判断する材料に欠ける中、このような支出を是認することはできません。  昨年一月に就任された上田会長の下、公共放送に対し、国民・視聴者からの信頼回復に努めていただくことを期待するとともに、その取組に対し、国民の代表者たる立法府の立場から引き続き厳しく視線を注いでいくことを申し上げて、私の反対討論といたします。
  279. 山下芳生

    ○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、NHKの二〇一三、一四、一五、一六年度決算に対して、反対の討論を行います。  二〇一四、一五、一六年度の予算案について、我が党は反対しました。当時の籾井会長の二〇一四年一月就任以降の発言は、放送法への不理解が露呈したものであるとともに、日本軍慰安婦問題で歴史を歪曲するなど、公共放送を担う会長としての資質が根本から問われるものでした。視聴者・国民の批判は強く、NHKにも数多くの批判が寄せられました。  また、会長のハイヤー問題、職員のタクシー券の私的利用、子会社における空出張や架空発注による着服などの不祥事が相次ぎ、会計上の信頼も大きく揺らぎました。さらに、一四年度の消費税率引上げに伴う受信料値上げや、一六年度の海外通信・放送・郵便事業支援機構に対する二億円の出資などについても、とても容認できるものではありませんでした。  決算においても、視聴者・国民から籾井会長辞任を求める声が最後まで続いていたこと、二〇一四年三月に籾井会長が設置したNHK関連団体ガバナンス調査委員会はその後発覚した不祥事もチェックできなかったこと、二〇一五年ないし一六年にあった職員による着服について一年以上内部チェックが働かなかったことなどを踏まえると、反対せざるを得ません。  こうした問題を含んだ決算委員会で議論されず、今回四年分の審議を一括して行わなければならなかったことは、国民が負担する受信料を基盤とするNHK決算審議在り方としては問題があり、今後改善されるべきである点も指摘して、討論を終わります。
  280. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、日本放送協会平成二十五年度財産目録貸借対照表損益計算書資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書並びにこれらに関する説明書について、これを是認すべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  281. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと決定いたしました。  次に、日本放送協会平成二十六年度財産目録貸借対照表損益計算書資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書並びにこれらに関する説明書について、これを是認すべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  282. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと決定いたしました。  次に、日本放送協会平成二十七年度財産目録貸借対照表損益計算書資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書並びにこれらに関する説明書について、これを是認すべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  283. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと決定いたしました。  次に、日本放送協会平成二十八年度財産目録貸借対照表損益計算書資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書並びにこれらに関する説明書について、これを是認すべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  284. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと決定いたしました。  なお、四件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  285. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十二分散会