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2018-03-22 第196回国会 参議院 政府開発援助等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十年三月二十二日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  二月十六日     辞任         補欠選任      江島  潔君     石井 準一君      高野光二郎君     三宅 伸吾君      豊田 俊郎君     木村 義雄君      馬場 成志君     大家 敏志君      渡辺 猛之君     野村 哲郎君      里見 隆治君     新妻 秀規君      石井 苗子君     藤巻 健史君  三月二十日     辞任         補欠選任      大家 敏志君     藤木 眞也君      野村 哲郎君     今井絵理子君      藤巻 健史君     清水 貴之君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山田 俊男君     理 事                 井原  巧君                 大野 泰正君                 中西 祐介君                 松下 新平君                 相原久美子君                 矢倉 克夫君     委 員                 朝日健太郎君                 有村 治子君                 石井 準一君                 今井絵理子君                 岩井 茂樹君                 宇都 隆史君                 木村 義雄君                 藤木 眞也君                 丸川 珠代君                 三宅 伸吾君                 石上 俊雄君                 小西 洋之君                 長浜 博行君                 新妻 秀規君                 宮崎  勝君                 井上 哲士君                 辰巳孝太郎君                 清水 貴之君                 又市 征治君                 蓮   舫君               アントニオ猪木君    国務大臣        外務大臣     河野 太郎君    副大臣        外務大臣    佐藤 正久君    事務局側        第一特別調査室        長        松井 一彦君    政府参考人        外務大臣官房審        議官       大鷹 正人君        外務大臣官房審        議官       飯島 俊郎君        外務大臣官房審        議官       牛尾  滋君        外務大臣官房参        事官       志水 史雄君        外務省中南米局        長        中前 隆博君        外務省国際協力        局長       梨田 和也君        財務大臣官房審        議官       阪田  渉君        厚生労働大臣官        房審議官     橋本 泰宏君        資源エネルギー        庁次長      保坂  伸君        国土交通大臣官        房審議官     掛江浩一郎君    参考人        独立行政法人国        際協力機構理事        長        北岡 伸一君        独立行政法人国        際協力機構理事  江島 真也君        株式会社国際協        力銀行常務執行        役員インフラ・        環境ファイナン        ス部門長     弓倉 和久君        株式会社日本貿        易保険取締役   岡田 江平君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成三十年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成三十年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成三十年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (政府開発援助関係経費)     ─────────────
  2. 山田俊男

    委員長山田俊男君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十日までに、石井苗子君、里見隆治君、江島潔君、豊田俊郎君、馬場成志君高野光二郎君及び渡辺猛之君が委員辞任され、その補欠として新妻秀規君、石井準一君、木村義雄君、三宅伸吾君、清水貴之君、今井絵理子君及び藤木眞也君が選任されました。     ─────────────
  3. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、外務大臣官房審議官大鷹正人君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会独立行政法人国際協力機構理事長北岡伸一君、同理事江島真也君株式会社国際協力銀行常務執行役員インフラ環境ファイナンス部門長弓倉和久君及び株式会社日本貿易保険取締役岡田江平君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 去る十九日、予算委員会から、本日一日間、平成三十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、政府開発援助関係経費について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  政府から説明を聴取いたします。河野外務大臣
  8. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) おはようございます。  平成三十年度政府開発援助に係る予算案について概要説明いたします。  平成三十年度一般会計予算案のうち政府開発援助に係る予算は、政府全体で対前年度比○・二%増の五千五百三十八億三千七百万円となっており、三年連続増額となる予算を計上しております。  このうち、外務省所管分については、前年度比○・〇三%増の四千三百四十四億五千万円となっております。開発協力我が国外交の最も重要な手段一つです。  今回の予算案計上に当たっては、一、不透明さを増す国際情勢に対応し、戦略的な外交展開する、二、テロ等の脅威から在外邦人や国内を守る、三、日本経済を力強く外交面で後押しする、四、戦略的な対外発信を維持強化する、これらを外務省予算全体の柱とし、国益に資するODAの更なる拡充をこれらの諸課題を実現するための重要な手段と位置付けております。特に、自由で開かれたインド太平洋戦略具体化や持続可能な開発目標達成等のグローバルな課題への対処を通じ、不透明さを増す国際情勢に対応する戦略的な外交展開していくことが重要と考えております。  次に、協力形態ごとに概略を御説明申し上げます。  まず、無償資金協力については、さきに述べた柱に沿って、対前年度比一・六%減の千六百四億七千百万円を計上しております。  技術協力については、政府全体で対前年度比一・三%増の約二千五百四十億五千万円となっております。このうち、独立行政法人国際協力機構運営費交付金等は、対前年度比○・〇一%増の約千五百四億七千三百万円を計上しております。  国際機関への分担金拠出金については、政府全体で対前年度比○・四%減の約九百十七億六百万円となっております。このうち、外務省所管分については、対前年度比○・一%増の約五百十七億五千三百万円を計上しております。  最後に、有償資金協力については、質の高いインフラ推進などに円借款等を戦略的に活用していくべく、出融資の計画額は対前年度比七・二%増の一兆三千六百三十億円となっております。  以上が平成三十年度ODAに係る予算案概要であります。  なお、平成二十九年度補正予算(第1号)については、ODA予算は、政府全体で約千二百九十九億二千九百万円となっております。このうち、外務省所管分については、約千二百四十九億二千九百万円となっております。生産性革命に資する中小企業等海外展開支援平成二十九年度当初予算編成時に想定されなかった緊急性のある追加的経費に限定した予算を計上しております。  外務省としては、開発協力大綱の下、国際協調主義に基づく積極的平和主義観点から、国際社会の平和と安定及び繁栄により一層積極的に貢献し、それを通じて国益の確保を追求していきます。その際、有償資金協力枠組み等、多様なツールを活用するとともに、中小企業を含む民間企業、地方自治体、NGOなどと連携しつつ、戦略的、積極的な開発協力を実施していく考えです。引き続き、山田委員長を始め、理事委員各位の御指導と御鞭撻を心からお願い申し上げます。
  9. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 井原巧

    井原巧君 おはようございます。自民党井原でございます。  私は、昨年十二月にODA調査派遣の第四班として、豊田議員石井苗子議員の三名で、キューバ共和国並びにジャマイカ派遣をされました。そのときの印象、感想でありますけれども、両国とも我が国無償資金協力あるいは技術協力に対する評価も非常に高うございました。また、有償資金協力についても両国から様々要望をいただいたわけでありますが、ただ、キューバの場合は債務負担能力を把握するために財務データが示していただけていないということでございまして、現状は難しい状態というふうにお答えをしてまいりました。  両国始めカリブ海というのは島国でございまして、自然風土大変我が国と似ております。各国とも最近の気候変動による環境の変化とかハリケーンの非常に大きな被害等に悩まされておりまして、この分野で経験、知見のある我が国協力支援も強く期待をされていたと、そのような感想を抱きました。  今回の派遣からも、我が国ODAは、友好関係を築くためにも非常に有効で、世界の中の日本として引き続きしっかりと展開していくことの重要性を改めて認識をいたしてまいりました。  そこで、質問に入りたいと思います。  ODAは、ただ単に予算規模がその国の貢献度を示すものではないということは言うまでもございません。相手国に寄り添ったきめ細やかな人、技術、そして資金援助をしっかり連携機能させて行う質の高さが重要であると私も思っておりますが、しかし一方で、財源がなければ難しいことも事実であります。  さて、我が国一般会計当初ベースで見た政府全体のODA予算、先ほど大臣からも御説明ありましたが、平成九年度が一兆一千六百八十七億円をピークになった後、平成十一年度以降、残念ながら十六年連続で対前年度比減ということでございました。ようやく平成二十八年度から増額に転じ、三十年度の予算案でも対前年比十一億円増と、三年連続での増額が維持できた。また、外務省所管分につきましても、一億円ではありますが、八年連続の前年比増となっているところであります。ODA予算につきましては、世界的な国際協力の潮流の中で増額したことは大変大きな意味があると、このように感じております。  さて、河野大臣でありますが、長年、河野大臣は我が自民党行政改革推進本部長を務められ、行政事業レビューを実施しておられました。私も一年間、たしか文科省厚労省担当だったと思いますが、担当をさせていただきましたが、その真意というのが、国民からお預かりしている大切な予算の費用対効果を高めて、限りある財源の質の高い運用について熱心に尽力されていたというふうに思っております。その思いは、事業予算執行に当たり、同じ財源で最高の効果が出るように政府はもっと知恵と工夫を凝らせるべきだと、PDCAサイクルをしっかり回し、同じ財源なら倍の効果を、同じ効果なら半分の財源であえてきつく迫って行政改革を推し進めようというのが大臣真意だったと、このように私も理解をしておりまして、大変賛同していたところであります。  そんな中で外務大臣に御就任したわけでありますけれども、これまでの衆参の予算委員会でも何度か取り上げられておりますけれども、質問者の意図が、大臣就任前の発言ODA予算について半減をと大臣がおっしゃったことを捉えまして、切り込みが少し足りていないのではないかと、そういうような趣旨の質問があったように思われます。大臣も義務的な分担金増額等で結果として一億円の増額となったような御説明もされていたというふうに記憶しておりますが、どちらかというと、少しネガティブな議論に聞こえたようにも思います。ただ、大臣真意は、決してネガティブではなくて、限られた財源の中でもっと効果を出すと、こういうような思いで答えられていたというふうにも思っております。  むろん、厳しい財政状況の中、ODAだけ大幅に増額することは考えられないわけでありますが、国際的に比較しても、例えばOECD各国の中で対国民所得比ODAの量を〇・七%としようという国際的目標がありますが、我が国は現在〇・二%程度で、開発援助委員会加盟国中二十位程度と決して高いとは言えないと考えます。  そこでお伺いをするわけでありますが、予算規模が単にその効果貢献度を示すものではありませんが、ODA予算について、世界の中の日本国際協調の時代にその国際比較の中でどのような認識をお持ちであるのか、また、三十年度の外務省ODA予算規模や一億円の増額について、ネガティブではなくポジティブな思いも込めて、その評価と今後の考え方について大臣にお伺いしたいと存じます。
  11. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) この政府開発援助外交一つ政策手段であるということは間違いないことだろうと思います。しかし、我が国の現在の財政状況を見るにつけ、このODAといえども財政の制約を飛び越えたことはできません。さらに、国民皆様からの税金で行う以上、きちんとした説明国民にできなければならないというふうに思っております。  来年度の予算案を見ますと、まず無償資金協力について二十六億円減額をいたしました。JICA運営費交付金等につきましてはほぼ前年度並みでございますが、国際機関への任意拠出金は三十五億円を減額させていただきました。しかし、この義務的拠出金部分分担金義務的拠出金部分が二十億増えたというのも現実でございます。さらに、来年度、外務省足腰予算を少し充実をしようということで、財務当局にもお願いをし、足腰予算を充実いたしました。その結果、在外公館の中の一定の予算の割合がODAカウントされるということで、その分が実質的に二十七億円の増ということになっております。そうしたこともありますので、トータルでODA一億円増えております。  しかし、国民皆様から頂戴をしている税金でございますから、きちんとその効果効率性説明できるようでなければならない、それはこれからも継続してやってまいりたいというふうに思っております。  また、どの国と話をいたしましても、特にODAを受けている国からしてみると、この日本ODAに対する信頼というのは極めて厚いというのがよく分かります。日本といたしまして、途上国を対等なパートナーと考え、その国の発展あるいは地域の安定のためにどのように我が国として貢献できるのか、これからも真剣に向き合ってやってまいりたいと思います。
  12. 井原巧

    井原巧君 ありがとうございました。中身をしっかり見据えて編成にも取り組んだというふうにお聞きし、大変心強く感じました。  次に、我が国強みを生かした開発協力推進についてお伺いしたいと思います。  国際開発協力現状を見ますと、世界最大援助国である米国が、トランプ政権の下、対外援助予算大幅減額を打ち出す一方で、一帯一路構想を打ち出した中国が戦略的に協力を進め影響力を拡大するなど、開発協力を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。  そのような中で、しばしば対中戦略の一環としてODAが語られることがありますが、経済財政状況などを考えた場合、さき大臣もおっしゃっていただきましたが、金額という同じ土俵で中国と渡り合うことは難しいし、またそれは適当ではないというふうに私も考えます。開発協力大綱に掲げられているような人間の安全保障自助努力といった理念をしっかりと体現した日本らしい援助途上国開発に貢献していくことが、長期的に見て我が国国益にも資する国際社会の実現につながっていくというふうに思っております。  そこで、私たちは改めて日本らしい援助とは何かを今後考えていく必要があろうというふうに思っておりまして、今日も御出席いただいておりますが、先日の当委員会北岡JICA理事長からお話あったときに、相手の立場を考え援助JICAの特徴であって、教育、衛生、医療などの分野での人づくりに力を入れること、法整備支援などは中国にできない支援だと思っているというような発言もございまして、まさに私もそのようなものだなと感じた次第であります。質の高いインフラ整備支援なども積極的に進めていく必要もありますが、国づくりの基盤となる人づくり支援にもっと日が当たってもよいのではないかなと思っております。  そこで、お伺いをいたします。  三十年度予算におきまして、こうした人づくり支援に関し何か特徴的な施策が盛り込まれているのか、御説明いただきたいと存じます。また、最近の技術協力開発予算の推移とその評価について、河野大臣にお伺いいたします。
  13. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 政府全体の技術協力関係予算につきましては、直近の五年間、約二千五百億円規模でおおむね横ばいとなっております。平成三十年度においては、二千五百四十億円と前年度比一・三%の増加となっております。  相手国のニーズに対応したきめ細かな支援というのは日本支援強み一つだと思っておりまして、例えば、俗にカイゼンと言われている生産性向上の取組を現地化する、あるいは我が国からの税関システム巡視艇監視艇、そうしたものの供与と併せて職員の訓練も実施するなど、日本強みを生かした人づくり支援を重視してやってまいりました。  平成三十年度の外務省ODA予算についても、北岡理事長肝煎りJICA開発大学院連携を始め、途上国開発を主導する人材を育成する技術協力重点を置きながら取り組んでまいりたいと思います。
  14. 井原巧

    井原巧君 ありがとうございました。  次に、JICA北岡理事長にお伺いしたいと思いますが、先ほどお話ししましたが、私は昨年十二月にキューバジャマイカに訪問しまして、大変JICA皆さん方にお世話になりました。そのときは、キューバ政府キューバJICA事務所早期開設を要請したところでありましたが、おかげで一月に正式に事務所開設を迎えたそうであります。  ちょっと余談になりますけれども、キューバは原則、一国一機関関税特権を与えているということでありましたので、当然、日本大使館関税特権が与えられていたんですね。なので、JICAがどうなるかがすごく懸念をされておりまして、例えば自動車の関税が八〇〇%あるので、同じ車をJICAで調達しても、もしその特権が与えられていなかったら一千万円以上掛かるということで大変心配していたんですけれども、結果的にはその特権も与えていただいて事務所開設になったということで、ほっと胸をなで下ろしているところであります。  そこで、理事長にお伺いいたしますが、JICA現地事務所ODA活動展開していく上で大変重要な拠点であると思います。JICA現地事務所整備状況や今後の展開、また大使館あるいはジェトロ等現地我が国機関との連携はしっかりできているのか、JICAとして今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。
  15. 北岡伸一

    参考人北岡伸一君) 委員には昨年、キューバを御訪問いただき、ありがとうございました。御案内のとおり、また御指摘のとおり、JICA事務所法的ステータスの問題をめぐりまして若干その開設が時間が掛かったんでございますが、先生方の御訪問の成果もあり、大使館内の組織とみなすということで了解ができまして、無事、三月九日に開設式を迎えることができました。御礼申し上げます。  キューバに限らず、大使館JICAとの連携効果的にODA事業を進めるためにも不可欠のものでございまして、各国におきまして、大使館JICA事務所、また、その他の日本政府関係機関等で構成される現地ODAタスクフォースを設置しまして、新規案件の形成、事業進捗状況、管理などについて意見交換するなど、密に連携を図ってございます。
  16. 井原巧

    井原巧君 ありがとうございました。  持ち時間は二十一分までなので、それでは、最後質問ですが、佐藤大臣にお伺いしたいと存じます。  いろいろ、ちりも積もればではないですけれども、様々財源をしっかり見付けて、効果的でめり張りの利いた、やっぱり今後ODA援助が必要だなというふうに思っております。我が国との比較において、世界の主要なドナー国における援助供与国数現状我が国は結構広く援助しております、それと比べて他国はどうなのか。そして、援助供与先選択集中について、インド太平洋戦略などを打ち出しておりますが、その関係も含め、佐藤大臣考え方をお聞かせいただきたいと存じます。
  17. 佐藤正久

    ○副大臣佐藤正久君) お答え申し上げます。  OECD開発援助委員会によりますと、二〇一六年のODA供与実績では、我が国は百四十一か国の国・地域供与している一方、他の主要ドナー国としてアメリカが百三十五、ドイツが百三十九、英国が百二十七、フランスが百三十六の国・地域供与しております。  委員案内のとおり、やはり国民からの税金でございますので、説明責任を果たす意味でも選択集中、これは極めて大事だと思っております。そういう観点から、その対象地域中身というものは大事になっております。  御指摘のとおり、自由で開かれたインド太平洋戦略の下に、質の高いインフラ整備、これを重点というものの一つとするとともに、国づくりに欠かせない人材育成、先ほども議論ありました人材育成をそれに組み合わせる。また、持続的な開発目標達成を念頭に、これまで日本がやってきました難民や貧困、あるいは保健といった人道上の問題への対応というものを組み合わせながら、選択集中、これに重点を置いたODAを実施してまいりたいと思います。
  18. 井原巧

    井原巧君 終わります。ありがとうございました。
  19. 相原久美子

    相原久美子君 民進党の相原久美子でございます。おはようございます。  先ほど井原委員からも御質問ございました、まずODA予算について伺ってまいりたいと思います。  このODA予算というのは、対国民所得比で〇・七%という国際的目標があるようです。我が国実績平成二十八年は〇・二〇%。この二年ほど、そして今年の予算でもということで連続して増加はしているようですけれども、それでもピーク時の半分という状態です。日本財政状況も厳しいことはありますけれども、外務省として今後のODA予算についてどのようにお考えになっているのかお伺いしたいと思います。
  20. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 先ほど申し上げましたように、外交一つ政策手段としてODAの活用というのは大事なことだというふうに思っております。  しかしながら、こうした財政状況の中でございますから、財政の制約を飛び越えてODA予算考えるということはできないというのも現実でございます。しかしながら、第二次世界大戦後、昨年、難民、避難民の数が最多に上ったというように、世界情勢も極めて混沌としていると言ってもよろしいかと思います。  その中で、こうしたそれぞれの地域の安定化に資するということは、それぞれの国の国民の皆さんを支援するだけでなく、ひいては日本の平和と安定にもつながってくるということでございますので、この〇・七%という目標を見据えながら、国民皆様にきちんと説明ができるように気を付けながら、しっかりと日本ODA考えてまいりたいというふうに思います。
  21. 相原久美子

    相原久美子君 恐らく更問いになってしまうかと思うんですが、日本財政状況が厳しい中でなぜ途上国支援をしなければならないのか、国民の中には疑問を感じている方もいらっしゃるかもしれません。政府開発援助と言われるODA予算を確保するという意味合いについて、今お話しいただきました外交一つの政策、そして世界考えるという意味合い、もう一度更に強調していただければと思いますが、いかがでしょう。
  22. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 厳しい財政状況であるというのは申し上げたとおりでございますが、日本自身も戦後、海外からの支援をいただいて発展をしてきたという事実がございます。そういう意味で、やれることについては、世界に恩返しをするという意味も含め、支援をしなければなりません。  そして、先ほど申し上げましたような難民、あるいは今世界中に広がってしまったテロという問題、あるいは貧困、そしてSARSを始めとする感染症対策、こうしたものは、それぞれの国、それぞれの地域課題であると同時に世界規模課題であり、日本についても、テロあるいは感染症といったものがいつ日本国民に影響をもたらすか分からないという中で、こうしたものに対する世界規模での取組に日本としても一緒になって取り組むというのは非常に我が国国民のためにも大切なことだというふうに思っております。  財政厳しい折ではありますが、世界全体の平和と安定、そして繁栄に日本としてしっかり貢献をしながら、その上で、国民皆様に、これが皆様から頂戴をした税金として有効、有益に、そして効率的に使われているということをきちんと御説明申し上げながら、このODAについてはやってまいりたいと思います。
  23. 相原久美子

    相原久美子君 ありがとうございます。  私も戦後すぐの生まれなものですから、本当に日本が急激に発展してきた、それは我が国国民だけの思いではなくて、世界からの大きな支援があったんだろうと今更ながらに思いますので、是非その辺をしっかりと私たち自身も考えながらと、そのように思っております。  その一方、大臣、就任前に、無駄が多いとしてODA半減をうたっておりました。しかし、今お話しいただきましたようなそういう状況の中で、恐らくお考えは若干変わってきたんだろうと思います。  そして、外務大臣として世界を見、そして途上国へもおいでになったと思います。日本ODA、この支援の何か好事例等々見られた感想なんかがありましたら、お願いしたいと思いますが。
  24. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) ODAを減らせと私が主張してから大分政府全体のODAが、これは別に私が言ったからというわけではなくて、減ってきたというのも現実でございます。  また、更に効率的にやらなければいけない、無駄を減らさなければいけないというのは事実でございまして、これだけ様々なプロジェクトをやっていれば、どうしても効果を生むことができなかったというものがあるのも、これは認めざるを得ないと思いますが、それについてはきちんと評価をし、その失敗を繰り返さないというのがこれは大事なことなんだろうというふうに思っております。  そうした中で、例えば、様々な学校、病院の建設一つ取ってみても、日本は単価が高いという御批判をいただくことがある反面、日本が造った建物は数十年たってもきちんと機能している、そういう御評価をいただくわけでございます。  先般、パレスチナを訪問したときに、パレスチナの大学の医学部にかなり昔に日本支援をした機材というのがありまして、受け取った方は本当に丁寧にメンテナンスをしてくださって、日本にはとても感謝をしている、しかしながら、もうその機材が日本国内で作られなくなってしばらくたつものですから、消耗品あるいはスペアパーツといったものの供給ができなくなってしまって、それがないゆえに、機材は立派にメンテナンスされているけど、使えなくなったというようなことがございました。  それだけ大切に使っていただいているということは、それこそ援助のしがいがあったんだろうというふうに思います。そうした本当に丁寧に我々の援助を使ってくださっている、大事に使ってくださっているというのを見るにつけ、やはり日本が一生懸命心を込めて先方のことを考えてやってきた援助が高く評価されているというのは、外務大臣としてとてもうれしいと思います。その大学についても、できる限りの予算の範囲の中で新たな機材、最新の機材というものを、少し計画を立てて、残念ながら一遍に全部切り替えることはできませんが、長期的な計画を立てて、少しずつ必要性の高いものから援助をしてまいりたいというふうに思いました。  こういう、先方が本当に日本支援を大切に使ってくれていて、そこで育った人間がその国で今度は代わりに人づくりを先頭に立ってやってくださっているという例は枚挙にいとまがないと言ってもよろしいのではないかと思います。そういう先輩たちがやってきた丁寧な人づくりに直結するようなODAというのは、今後もしっかり心して続けてまいりたいと思います。
  25. 相原久美子

    相原久美子君 非常に申し訳ないのですが、実は、この委員会の前の日が祭日だったものですから、質問通告も本当にちょっとぎりぎりになってしまって、外務省さんのお考えをなかなか確認できなかったという面もあるものですから、質問が恐らく前後しましたりとか、それから大臣思い受け止め切れないというところもあったかと思います。  私もラオスの方に行きまして、日本のこのODA支援の建物を見ましたときに、現地の方が本当に日本の繊細さというのを絶賛していたんですね。そういうのを聞きますと、私は、議員前の、そういうODA支援等々は分かりませんでしたけれども、本当にうれしくなるなと、そんな思いがいたします。是非、このパレスチナの医学校も、大事に使っていただいているけれども、まだまだその後のやはりフォローということが必要だと思われているようですので、是非よろしくお願いしたいと思います。  それでは次に、国連では一五年の国際的目標としてきましたミレニアム開発目標、これMDGsと呼ばれておりますけれども、これが達成期限を迎えまして、次なる目標として、持続可能な開発目標、今度はSDGsが掲げられております。我が国はこれまで開発目標に積極的な姿勢を取ってきたとは思います。国内では、しかしながら、いまだ認知度が低いのではないかと言わざるを得ません。  先日、民間企業がSDGsについて一般消費者の意識調査をした結果を公表いたしました。これによりますと、SDGsという言葉を知らない人は七四%に上り、また、内閣府の調査では、自治体レベルの認知度も、SDGsを認知しているのは六百八十四自治体のうちの三百十四自治体と、四五・九%にとどまっております。存在を知らないと言っているのは五四・一%と、大変お粗末な結果でございます。  MDGsには八つの目標ありますけれども、まあ、お恥ずかしいのですが、私自身も、このMDGsの次のSDGsに移行するという、こういう状況の中でも、残念ながら、世界的にその目標がどの程度達成されてきたのか、我が国がどの程度貢献できたのかは認識していないという状況でございます。次なる目標の持続可能な開発目標達成のためにも、MDGsの達成度等についての広報が必要なのではないかと思います。  外務省は、今年度の予算で二億円を計上してSDGsやODAの広報啓発活動に取り組むとしていますけれども、今までの認知度の結果を聞いて、何を取り組んできたのか、今後どのような活動をすべきと考えるのか。また、私自身は学校教育の現場での啓発教育も必要なのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  26. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 今おっしゃっていただきました認知度の数字をお聞きするにつれ、これはちょっと力不足であるということは素直に認めざるを得ないのかなというふうに思います。やはりSDGsをしっかりやっていこうと多くの国民皆様に共有、その思いを共有してもらうためには、SDGsというのがあって、それがどうなっていてというのをやはり知っていただかなければ思いの共有のことにもつながらないわけでございます。  これまで、民間企業、市民社会との連携の事例を幅広く共有しようということで、ジャパンSDGsアワードというのを実施したり、PPAPで有名なピコ太郎さんや吉本興業などエンタメ業界と連携をして少し国民皆様に興味を持っていただいたり、SDGsの動画発信といったことをやっていこうということで取り組んでまいりました。  若い方に見ていただくためにLINEの漫画あるいはユーチューブといった新しい媒体を使ったり、あるいは国際協力に携わってこられた多くの経験者の直接的な体験を伝えるイベントというようなものを推進をしてきておりますが、やはり国民の圧倒的多数が認識をしていただいているという状況にないわけでございますので、そこはしっかりこれからもいろいろなことを考えながら、効果的、効率的な情報発信に努めてまいりたいというふうに思っております。
  27. 相原久美子

    相原久美子君 一番大事な点は、やはり先ほど大臣がおっしゃっていましたように、これ国民税金の使い方です。国民が理解をしていただかなきゃならないという点でいいますと、本当にやっぱり啓発、そして経験の話、そして実際に支援国がどのような状況にあるのかということの広報というのは非常に大切だと思うんですね。よく最近は海外支援協力員の方たちのテレビ放送等々があったりしますので、あれ本当に、あっ、そうかというような思いを共有できるという面では非常に大事なことだと思いますので、是非そこの部分について進めていっていただければと思いますし、これ、やっぱり国際協力をしてきた方たちの経験というのは次の支援に対してのまた示唆にもなるんだろうと思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  では次に、多国籍企業の活動範囲が拡大しておりまして、先ほど来いろいろな形で指摘をされておりますけれども、なかなか一国とか二国間では対応が及ばなくなってきているんだろうと思います。そういう中で、労働権や環境権、人権の侵害というものももたらされていると。そうした世界情勢の中で、低賃金と不安定な労働条件で働かされている労働者が多くいます。本来、ODAの主役は受取国の地域住民であって、独裁者を助けたり企業の利権の巣窟になったり、政治的に活用されることを禁じるべきだと思います。  このため、そのような基本的在り方について、ODA基本法を定めて、きちんと途上国住民の生活改善に資するODAとなるように、多国籍企業に国際労働基準を尊重する責任を求めるなど、枠組みを定めることも必要だと思うのですが、いかがでしょうか。
  28. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 今、様々な企業が、自分のバリューチェーンあるいは生産チェーンを振り返ってみて、今御指摘されたようなことがないようにそれぞれが取り組んでいるという事例が出てきたように思います。一つ一つの企業がそうしたことを考えてやっていただくというのは非常にいいことだというふうに思います。  我が国ODAが、そのODAを受け取る国・地域で逆に問題を起こさないようにということで、環境社会配慮ガイドラインというのを、それぞれJICA、JBIC、様々なところで制定をしていただいております。この環境社会配慮ガイドラインに照らし合わせて、日本ODAが受け取った地域で逆に問題を起こさないかどうか、一つずつ確認をしていただくという仕組みになっております。そういう環境社会配慮ガイドラインの中にどういうものを盛り込んでいったらいいのかというのは、これは不断の見直しが必要なことだと思います。  これからいろいろなことが議論される中で、当然に日本のこのガイドラインについても見直しの議論というのを必要なときにしっかりとしていく必要があるのではないかと思います。
  29. 相原久美子

    相原久美子君 これは一国だけでできることではなかなかないのだろうとは思いますけれども、これから、民間企業の活用ということが相当言われておりますし、連携も進めていかなきゃならない、その中にあって、やはり本当に労働基準というものがしっかりと、やはりこれは認識されていかなければならない問題だろうと思っておりますし、それから、せっかく善意の下で支援をしていっても、それがまた悪用されてもならないと。本当に途上国のやっぱり国民にとって資するものということが必要なんだろうと思いますので、是非ともよろしくお願いしたいなと思います。  我が国支援をしてきた国は今まで多々あるのだろうと思いますけれども、今後、やはり限られた財源を有効に使って支援を必要とする国に資するものとするために、卒業国のその後について検証をする必要もあるのではないかと思うのですけれども、そのような検証はなされているのでしょうか。
  30. 梨田和也

    政府参考人梨田也君) 卒業国、いわゆるDACリストに載っていない国に対しては、開発協力大綱にあるとおり、一人当たりの所得が一定の水準に達した後でも、例えば特別な脆弱性を有するといった国に対しては、相手国開発ニーズや負担能力などを踏まえながら引き続き必要な協力をやっていくという方針にございます。  具体的には、カリブにある小さな島国、こういった国々に対しては、防災、環境、省エネといった分野技術協力を実施しております。これ以外にも必要に応じて不断の検討を行っていく考えであります。
  31. 相原久美子

    相原久美子君 先ほど大臣がおっしゃいましたように、パレスチナのその病院のお話もあります。本当に、ここはまあまだまだ継続をしなきゃならない点だろうとは思うのですが、恐らく卒業国であっても、まだ一遍に、一度に早々改善されるものではないんだろうと思います。ですから、やはり我々は、支援をした、その後、終わってしまった、知らないよということではなくて、更にしっかりと支援の必要性を検証していただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  では、最後になりますけれども、アジア開発銀行、これをADBと言うようですけれども、昨年創設五十周年を迎えまして、横浜で年次総会が開催されました。今年は五月の初めに年次総会が開催されると承知しております。  そこで、日本政府のこのアジア開発銀行に対する政策方針についてお尋ねをしたいと思います。  アジア開発銀行は、包括的目標として貧困削減を掲げております。私は、このアジア開発銀行の崇高な目標と使命を高く評価いたします。と同時に、やはり質の高い公共サービスの推進が貧困削減のために重要であるんじゃないかと考えております。昨年の五月の報道では、質の高いインフラ整備に加えて、感染症の拡大防止など保健分野支援強化の方針も打ち出しまして、この分野支援では、国際協力機構、JICA連携する覚書を結んだということでございます。  また、このアジア開発銀行は、官民連携パートナーシップ、いわゆるPPPを通じまして、開発のために民間資金を動員する取組を強化しております。  私は、基本的に公共サービスへの官民連携パートナーシップという導入は極めて慎重であるべきと考えます。特に、このJICA連携いたします保健分野においては、利益追求ではなくて、質の高い公共サービス推進という考え方を明確にしていくべきだと思いますけれども、これは財務省も関連すると思いますし、それからJICAが覚書を結んだということですので、外務省ももし御意見があれば伺いたいと思います。
  32. 阪田渉

    政府参考人(阪田渉君) お答え申し上げます。  日本としてのADBに対する基本的な政策方針でございますが、アジア太平洋地域、三億人を上回る貧困人口を抱えていることに加え、自然災害、パンデミックの脅威などにもさらされているほか、格差拡大、高齢化、気候変動といった課題にも直面してございます。  まさに、議員が御指摘された保健分野もそうでございますが、こうした課題に対応するために、包摂的かつ持続的な経済成長の実現、そして様々な危機に対する強靱性の強化等の視点が重要と考えており、ADBがこうした視点を踏まえ、インフラ整備や保健システムの強化、防災などの分野に取り組み、貧困削減等を促進していくことを強く期待しているところでございます。
  33. 梨田和也

    政府参考人梨田也君) ただいまの財務省からの答弁に若干付け加えますと、JICAが行う支援、必ずしも日本企業の利益を追求しているのみではございません。公共性の高いもの、特に保健分野などはまさにその好例ではあろうかと思います。  委員も御指摘のとおり、資金需要は非常に旺盛で、我が国一国でなかなか賄い切れないところもございますので、ADBを始めとする国際金融機関や、さらには民間資金などとも緊密に連携して効果的な援助をやっていきたいと考えます。
  34. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 実はADBについて、アメリカのティラソン国務長官と少しいろんな議論をしていたんです。ところが、国務長官がお辞めになってしまったものですから、ちょっと今までの議論をどうしようかなというふうに思っていたところでございまして、ここについては、またカウンターパートがアメリカで決まり次第、少しこういう議論をしていたんだけどということは申し上げたいとは思っております。  それから、先ほどの卒業国の話でございますが、これは卒業国に援助をしても全く問題はない、ただこれはDACのODAに計上されない、だからやってもやっても日本ODAには、海外の統計に反映されないということはございますが、別にその統計に反映されることを目的にやっているわけではございませんので、必要なところにはしっかりやっていきたい。  実は、モルディブに行ったときに、モルディブは、観光産業が発達して一人当たりのGDPが上がって、このDACのリストとの関係でだんだんそうした支援を受けにくくなっているというようなお話もございました。その後、ちょっと非常事態というようなことになってしまったものですから、なかなかモルディブとその後の議論というのができておりませんが、おっしゃっているような問題意識は実は外務省も共有をしておりまして、統計には出てこないけれども、やらなければいけないものについてはやはり考えていく必要があるねと、しかしまあせっかくやっているのにそれが全く反映されないというのもある面残念ではありますが、そこは、やはり日本としてやるべきところはしっかりやっていくという方針で今後考えてまいりたいと思います。
  35. 相原久美子

    相原久美子君 ありがとうございます。  確かにやってきたことがどこで評価されるのかというのはなかなか難しい点だと思うんですが、しかしながら、これODAというのは、やはり我が国の姿勢と、それから援助を受ける国の思いなんだと思います、基本的には。ですから、私もラオスへ行ったときに、やっぱり過去の援助であっても非常に評価されますと、やっぱり、ああ、相手国は受け止めてくれているんだなと、そんな思いがいたしました。是非、統計上が出なくてもそういうことをやっていくことがある意味外交ということに本当に結び付いてくる支援なんだろうと思いますので、是非その辺をよろしくお願いしたいと思います。  ちょっと検証の部分は、前回、私はまだODAで海外のところを見に行ったことはないのですが、行かれた方たちにお伺いしますと、やはり、なかなか一度そこへ伺ったからというだけでは済まないのかなという気がいたしました。やはり、委員会でも何年かたってもう一度行ってみると、自分たち自身が受け止めてきた課題がどうなっているのかということの検証もある意味必要なのではないかなと、そして次に生かしていくということ、これを考えていくべきだなと先日の報告も伺って思った次第でございますので、この委員会とそしてそれぞれ関係する省庁としっかりと連携をしながら、やはり日本世界の中でやっぱり何か、ああ、本当に有り難いと思ってもらう、まあ、それもちょっと押し付けになっちゃうわけですけれども、自己満足であってもそういう支援を続けていければなと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  36. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 公明党の矢倉克夫です。河野大臣始め皆様、よろしくお願いいたします。  先ほど大臣予算の御説明をしてくださいました。国益に資するというODA、強調されておられた部分もあったかなというふうに思います。当然ですけど、予算を使ってやる政策である、その政策で国益考えない政策というのはないことであり、当然の健全な御主張であるかなというふうに思います。  その上で、このODAについては、国益相手国の利益とそして世界益、こういうものが両立し得るような、いかに事業を選んでいくのかという視点がやはり重要であるかなというのが私の思いではあります。その視点で何点か御質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず、この国益相手の国の益の合意、一致、これ一番分かりやすい例は、今回の予算の中でも項目として掲げられている質の高いインフラの輸出であるかなというふうに思います。特に、日本の場合は、アフターケア、メンテも含めた長期間のケアをするということで、非常に評判の高いインフラ輸出というものがございます。  まず、大臣に、この質の高い整備支援への政府の取組、この意義と今後の方針についてお伺いをしたいというふうに思います。
  37. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 新興国を中心としたインフラ需要というのはかなり膨大でございます。特に、このアジア太平洋地域、あるいはインド太平洋地域と言ってもいいのかもしれませんが、非常に大きなインフラ需要がございます。その一方で、途上国インフラ需要というのはリスクも高いものですから、なかなか民間企業が単独で出ていくというところに二の足を踏むということがございます。  そういう中で、少し官民ある程度一体となった取組というのが必要だということから、政府は、インフラシステムの輸出戦略において、インフラを海外展開するために有償資金を始めとするODAを戦略的に活用していこうということにしてございます。二十八年の五月に質の高いインフラ輸出拡大イニシアティブを発表いたしまして、インフラの海外展開に資する円借款、無償協力技術協力の形成を積極的に行うということにしております。また、民間資金をこのインフラ案件に積極的に動員を促進しようということで、日本企業からの提案に基づく調査スキームを整備したり、有償資金協力無償資金協力の制度の改善などを行ってまいりました。  また、質の高いインフラの理解の促進に向けて、日本としては、途上国を含む各国首脳との会談、G7、G20といった国際会議において、初期費用に限られないライフサイクルコスト、あるいは技術移転といった要素を加味した質の高い、そういう意味での質の高いインフラ重要性というのを主張してまいりました。また、様々な国際会議の成果文書の中でそうしたものを、重要性を確認するような文言を入れてもらうというような、質の高いインフラの取組を主導してまいりました。  ODAをこれからも戦略的に活用するために、我が国の質の高いインフラのしっかりとした海外展開というものをやってまいりたいと思います。
  38. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 まさに資金供与と、さらには日本の優れた民間企業のこの官民一体という形が非常に重要であるかなと。  私も、平成二十七年なんですが、インドとベトナム、ODA派遣させていただいて、特にベトナムで現地の方に見せていただいたのが、上は凸凹の橋で、下はきれいな橋だと。これはどちらが日本の橋か分かるかと我々に聞かれて、下だったんですね。やはり長い期間を通じてちゃんと残るのは日本が造ってくれた橋だと、現地の人も分かっている。こういう、最終的に長いスパンで見ればコスト的にも安くなるのが日本のものだというこの強みをしっかりと訴えていかなきゃいけないなと。  また、現地で思ったんですけど、現地企業と日本企業がジョイントベンチャーを組んでやっていらっしゃる。現地企業の育成というところも、日本企業、しっかりやっていらっしゃるところもありますし、さらには、質の高いものがどうあるべきかということを朝礼なども通じてやっていらっしゃる姿も見てまいりました。  こういう日本企業の姿勢そのものもODAを通じて海外に輸出していくというのは非常に重要であるし、最終的には相手国の益になっていくものなのかなというところを改めて感じたところであります。  その上で、私も今、ベトナムまたインドに行かせていただいたときに改めて感じたのが、特に交通インフラを通じた流れの中で、どうやって日本の優れた企業の力を安値攻勢でなられる中にいろいろ競争がある中で入れていくのかというところで、一つポイントかなと思ったのは、私、現地で国土交通省から派遣で行かれている方とお話をしました。その方は、向こうの政府の一員として入札の在り方なども含めて制度設計まで関与されていた。やはりどうしても通常の入札ですと、向こうの政治家の感覚からしたら、安く仕上がったぞということをすぐに国民にアピールしたいというところで、そこだけで決定してしまう部分もあるわけですけど、そこを制度的にどうやって抑えるか。  やはり入札にしても、価格だけではなくて総合評価である、そういった制度をしっかり構築する動きから日本が関与していくことが、最後日本の企業がしっかりと入っていく下地にもなりますし、最終的にはその国の皆様の生活にも良いサービスが提供されるきっかけにもなるんじゃないかなと。  そういう点での、先ほど大臣おっしゃった技術協力というところが需要もあるかなと。そういう制度構築も含めた在り方、向こうの高官の方にこちらに来ていただいて、こういう制度があるということを交流する部分もあるかもしれない。そういう技術協力、特に交通インフラについての技術協力の在り方についてどのように御認識をしていただいているか、今後どのように進められるか、これは国交省にお伺いをしたいというふうに思います。
  39. 掛江浩一郎

    政府参考人掛江浩一郎君) 国土交通省では、質の高いインフラの海外展開を強力に推進するため、国土交通省インフラシステム海外展開行動計画を作成しております。この中で、人材育成支援や制度構築支援等の技術協力が極めて重要である旨位置付け、その取組を一層強化することとしております。  例えば、高速鉄道分野では、インドのムンバイ—アーメダバード間の高速鉄道事業において、高速鉄道の運行、維持管理を担う人材日本に招いて研修を実施するとともに、研修施設を現地に設け、人材育成支援を行うこととしております。  また、道路、港湾などインフラに関する各分野におきましても、相手国政府等へのJICA専門家の派遣相手国政府の研修員の受入れなど、人材育成支援に積極的に取り組んでおります。  また、制度構築につきましても、ASEAN諸国等において、土地、建設関連制度や都市計画制度、自動車検査・登録制度等の構築を支援しているところでございます。  我が国が提唱する質の高いインフラ各国で広く受け入れられるよう、国土交通省としては、今後とも様々な技術協力をより一層強力に推進してまいります。
  40. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 引き続きよろしくお願いします。  また外務省にお伺いしたいと思うんですが、私も、その後ベトナムで会った方が、日本中小企業だったんですが、現地で魚介の加工とかで出てくるアラを使って最終的に肥料などにもしているという、そういう取組をして成功されている方がいました。現地にとってみたら、これまで廃棄物だったものが栄養素にもなっていき、さらにそれを使って非常に食の安全というのも図られるようなものも作られるという、両立可能な技術日本技術ODAを使って展開されたということで非常に喜ばれておりました。日本の中でも役に立つかもしれない、ただ、日本中小企業にとっても日本でなかなか芽が出なかったものが実はODAを使って海外で評価されたという事例であったと聞きました。  こういう形で、日本の優れたものを向こうにとっても良い形にし、更に日本の企業にとってもチャンスにするという、そういう役割も今回ODAは持っているというふうに思いますし、その意味も込めて中小企業展開というふうに書かれているというように理解しているわけですが、この部分についての今後の展開についてお伺いをしたいというふうに思います。
  41. 梨田和也

    政府参考人梨田也君) ありがとうございます。  平成二十四年度から中小企業支援するスキームをつくりました。おかげさまで大変好評で、これまで、今日に至るまで、平成二十九年の昨年末に至るまでですね、六百六十六件の案件を採択しております。これは、なかなか海外でビジネス展開がしたくても、パートナーが見付けにくいとか、果たしてビジネスとして成功するであろうかといった中小企業皆様に調査を支援すると。案件の成熟度によって支援する額は異なりますけれども、なかなか今まで二の足を踏んでおられた方々も、このサポートシステムによって、今申し上げたようにかなりの案件の採択をしております。大変好評でございまして、なかなか倍率もどんどんどんどん高くなっています。そういう意味では、私どもとしてはできる限りこの中小企業皆様を応援する予算を拡充をできるだけ図って、なるべく多くの技術あるいは企業を海外に展開していただくよう後押しさせていただきたいと考えております。
  42. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 よろしくお願いいたします。  大臣、先ほど予算説明の中で柱として二つほどおっしゃっていただいたかなと思っております。一つは自由で開かれたインド太平洋戦略、こちらのこの柱として掲げられていること、これは、大きな世界の秩序ということ、どうあるべきかという大局的な視点から、それをODA連携されていらっしゃるという視点で考えておりますが、とりわけこの中国の方には一帯一路というものがございますが、これとの対比という視点も踏まえながら、この意義、戦略的な意図について改めて大臣から御所見をいただければというふうに思います。
  43. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 戦後日本が発展をしてきた中には、この法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序というのがあった、この自由で開かれた海洋秩序というのは今でも国際社会の安定、そして国際経済の繁栄の礎になっているんだろうと思います。その中で、アフリカ東岸からアメリカ大陸の西岸に至る、インド太平洋地域と我々呼んでおりますが、ここはもう世界の人口の半数以上を養っている世界の活力の中核と言ってよろしいかと思います。この地域の海洋秩序を法に基づく自由で開かれたものにする、自由で開かれた国際公共財にしていくということで、この地域全体の平和、繁栄を確保していきたいというのが我々の思いでございます。  こうした法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序というのが国際経済の繁栄と安定的な国際秩序につながっているという考え方に賛同してもらえる国は、どこの国にもこの考え方、この戦略に協力をしていただこう、これはもちろん中国を含めてでございます。そうした国々と協力して、一つは海洋の航行の自由、そしてそれが法の支配に基づいている、そして、その中で自由貿易を普及、定着させていく、もう一つは、この地域の連結性を高めるために、先ほどから申し上げている国際スタンダードにのっとった質の高いインフラというものをしっかり整備をして、この地域の連結性を高めていく、そして三つ目に、海上における法執行能力を向上するために必要な人材育成を含め必要な支援を行っていくと同時に、防災その他に対する支援をきちんとやることによって、それぞれの国の能力を高め、それが地域の安定あるいは世界の平和につながっていくようにしていきたいというのがこの自由で開かれたインド太平洋戦略でございます。  その中に一帯一路、つまり、中国の唱える一帯一路は、ある面、この法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序があってこそ一帯一路が成り立つという部分もございます。また、一帯一路については、インフラをどの国にも開放する、それから、インフラの整備についてきちんと何が行われているか、どう行われているか、透明性を担保する、あるいは一つ一つのプロジェクトが経済的に合理性があるかどうか、あるいはインフラの投資を受け入れる国がきちんと受けた融資を返済をできるか、その受け入れた国の財政の健全性、こうしたものを国際社会全体の共通の考えとする中で、こうした考え方を十分に取り入れて地域世界の繁栄と平和に前向きに貢献をしていけるというのが一帯一路であるならば、こうした観点から中国とも協力をしてまいりたいというふうに思っております。
  44. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 ありがとうございます。  まさに、日本の戦略的な観点、これをどう広げていくか、それをまた中国と補完し合えるような関係になるかというところもまた重要であるかなというふうに思っております。  もう一つ、SDGs、先ほども相原先生からもお話もありました。私も党のSDGsの総合対策本部の事務局長もさせていただいております。今まで人間の安全保障という概念、これも引き継がれているわけでありますが、それを取り込んだ上で、さらに一人も誰も取り残さないという社会をつくっていく、それを発信する日本にしていくという意識もあるかというふうに思いますが、改めてこのSDGsに向けた取組を大臣、お答えいただくとともに、時間の関係で、ちょっと併せて、大変恐縮ではありますが、最後大臣が就任会見でODAについて、納税者の理解を得るためにはODAが成果を上げて貧困の撲滅、世界平和の構築等が最終的にも日本にも還元されていることを認識してもらえるODAを進めていきたいと、この御発言は非常に重要な御発言であるかなというふうに思います。冒頭申し上げた国益、そして相手国益、さらには世界益というものが一体となるような、そういうものがODAだということを国民にも理解してもらうというような趣旨も含まれているかなというふうに思います。  大臣、大変恐縮ではありますが、併せて御答弁をいただければというふうに思います。
  45. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) SDGsは、ノーワン・イズ・レフト・ビハインド、誰一人取り残さないという、そういう社会を実現しようということを掲げております。持続可能な開発目標には、日本国際社会に示してきた人間の安全保障という理念がしっかりと反映をされているというふうに思っておりまして、この理念に基づいて、保健、教育、防災、あるいは女性活躍といったSDGsの主要部分において、しっかりと国際協力我が国としても推進をしてまいりたいというふうに思っております。  また、このODA、やはり納税者の理解を得ることが大事であって、そのためにはこのODAがしっかりと効果を上げているということを理解をしていただくと同時に、そこに無駄がない、まあ、なかなか全てのプロジェクトが一斉に全部成功するというのは、これは正直言って難しいものですから、中には幾つかプロジェクトの中に俗に失敗と言われているものもございます。そういうものについては、きちんとレビューをしてその失敗を繰り返さないというのが大事ですし、その計画段階で失敗をする要素を取り除くというのをしっかりやっていくことが大事だと思っております。  東日本の大震災のときに非常に多くの国々から我々支援を頂戴をいたしましたが、その中には、日本ODAを受けてきた、日本援助を受けてきた国が今までの御恩返しといって支援をしてくださった、大変多くの国が実はやっていただきました。そういうことが国民皆様に、今まで日本ODAをやってきたこと、これはやはり世界の中でしっかり理解をされているんだなということを理解していただくことにも少しつながってきたのではないかと思っておりますし、我々としても、ODAでこういう成果が出ているということを押し付けがましくなく日本国民皆様にもきちんと理解していただけるように発信をしていくというのが、御理解をいただく上で大切なのではないかというふうに思っております。  これからも皆様税金でこの開発援助をやらせていただくわけでございますから、効果的、効率的に、そして相手の国の立場に立って日本ODAが行われているということを国民皆様にお示しできるように、御理解いただけるように取り組んでまいりたいと思います。
  46. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 時間が参りましたので。  SDGsにまで戻しますが、SDGsは一般の方が全然関係ないような概念に思われているかもしれませんが、本当に日常のありふれた中で、どういう一人も取り残さないような取組をするかという、日常の中での活動方針であるかというふうに思います。それを地域の連帯、またいろんな多様なニーズ、アクターを取り込むODAをつくる、その中心の核としてSDGsというものを持っていき、それが世界益にもつながっていく、その意識をまた国民一人一人が持つという循環もまた重要であるかなというふうに思っております。引き続き、是非推進していただければというふうに思います。  以上で終わります。
  47. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  インドネシアの西ジャワ州でのインドラマユ石炭火力発電所事業についてお聞きいたします。  外務省JICAはインドネシア政府とともにこの事業ODA推進をしておりますが、まず計画の出発から契約などの事実関係、そして現在までの経緯について説明をいただきたいと思います。
  48. 江島真也

    参考人江島也君) お答えします。  このインドラマユ石炭火力発電所事業は、インドネシアの西ジャワ州インドラマユ県に超々臨界技術を活用した石炭火力発電所、発電容量千メガワットを建設し、電力需給逼迫の緩和及び供給の安定性の改善を図り、投資環境の改善などを通じまして西ジャワ地域の経済発展を図るものであります。  JICAでは、二〇〇九年の十一月から二〇一〇年九月にかけまして、本事業のフィージビリティースタディーを支援するための協力準備調査を実施いたしました。二〇一一年八月に日本政府とインドネシア政府との間でエンジニアリング・サービスに係る交換公文が締結されたのを受けまして、二〇一三年三月にJICAではインドネシア政府との間で借款契約を調印いたしました。二〇一六年一月に、実施機関であります国有電力会社PLNがエンジニアリング・サービスに係りますコンサルタント契約を締結しまして、現在、コンサルタントによる基本設計を実施しているところであります。
  49. 井上哲士

    ○井上哲士君 エンジニアリング・サービスの借款契約について、貸付けの実行状況はどうなっているでしょうか。
  50. 江島真也

    参考人江島也君) お答えいたします。  エンジニアリング・サービス借款は、プロジェクトの実施に必要なコンサルティングサービスを建設資金向けの借款に先行して融資するものであります。このエンジニアリング・サービス借款では、基本設計、入札補助、施工監理などを対象としております。現在、これまでのところ、約五億円の貸付実行を行いました。
  51. 井上哲士

    ○井上哲士君 全体十七・二七億円の契約と承知しておりますが、お手元に毎日新聞の二月二十八日付けを配付をしておりますが、この事業をめぐって現地で激しい反対運動が起きております。建設予定地の周辺には非常に豊かな農地が広がっていて、地権者の下で小作農が営まれております。隣接地に既に火力発電所が建設をされていて、その際に農地収用が行われ、漁業にも、漁場の制限であるとか温排水、運搬船による漁網切断の大きな被害がありましたし、環境被害も起きていると。  新たな火力発電所の建設で、千五百人に上る農民が農地から追い出されることや、一層の環境、農業、漁業被害への懸念が広がっておりますが、こういう現地住民による反対についてJICAはどのように把握されているでしょうか。
  52. 江島真也

    参考人江島也君) これまで現地住民との協議やいただきました書簡などを通じまして、現地で反対運動が起きているということは承知しております。  現在、国有電力会社、PLNが、反対派の住民の皆さんに対して補償する生活水準の維持の提案を行い、事業に対する理解を得るべく取り組んでいるところであります。我々JICAからも、国有電力会社、PLNに対しましては、反対派住民の皆さんから寄せられている懸念を累次伝えてきております。
  53. 井上哲士

    ○井上哲士君 懸念を累次伝えているということでありますが、元々も、この国際環境NGOのFoE—JAPANの調査によりますと、現地ではこのインドネシアの公共事業の土地収用法に基づいて行われた住民協議に、当初、地権者とか宗教リーダー、村長など、選ばれた者しか招待されなかったと。農民や漁民など、同法で規定されるこの影響を受けるコミュニティーの参加が確保されなかったと言われております。  そして、協議では、この事業による農地、漁場、健康へのマイナス影響についての説明もされなかったと。それから、この反対派の住民のネットワークは土地収用法に基づいて事業に対する異議申立てを西ジャワ州の知事に提出したけれども、回答がないままに立地許可を承認をしたと。こういうことが続いているわけですね。  こういう事態は、社会的合意の確保やステークホルダーの参加を求めたJICA環境社会配慮ガイドラインに適合していないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  54. 江島真也

    参考人江島也君) JICA環境社会配慮ガイドラインに従いました検討は、今後、発電所の建設に対する、いわゆる発電所そのものに対する円借款支援の要請がなされた場合には適切に行っていきます。  国有電力会社、PLNに対しましては、この借款、本体、企業への借款の供与を望む場合には、JICA環境社会配慮ガイドラインの遵守が本支援の条件となることを累次説明してきております。
  55. 井上哲士

    ○井上哲士君 本体のときにはこの適合が考えられるけれども、今のこのES借款のときにはいいんだと、こういう話でありますけどね、現地では既に様々な被害が起きているわけですね。声が上がっているわけですよ。私は、これはやっぱり問題だと思うんですね。  補償の点でも様々な問題があるとされております。適切な価格交渉の機会を与えられないままに合意を強要されたとか、それから地権者から小作農に作物補償を手渡したことから補償に不公平が生じたりと、これもガイドラインに反しているんじゃないかと思うんですね。  しかも、重大なことは、今非常に看過できない人権侵害が言われております。二〇一六年三月以降、この反対派住民ネットワークのリーダー等に対して軍や警察等の様々な干渉がありましたし、お手元の新聞にもありますように、昨年の十二月十七日には、地元警察がこの住民グループの農民を国旗侮辱罪ということで逮捕しているんですね。国旗を上下逆さまに掲げたと、こういう理由なわけであります。その後、釈放されましたけれども、保釈されましたけれども、毎週、出頭、報告を課せられると、こういうことになっております。二月二日には大量の警察や軍を動員をして反対住民を押さえ付けて建設作業が進められたと、こういうことも起こっておるわけですね。これらは、やはり反対派住民を黙らせようとする深刻な人権侵害だと思います。  公権力によって反対の声が封殺されるような、そういう案件推進するということはこれもガイドライン上問題だと思いますけれども、いかがでしょうか。
  56. 江島真也

    参考人江島也君) これまで、現地住民との協議や、いただきました書簡などを通じまして、現地で警察等の関与が指摘されていることは承知しております。インドネシア側には、警察等の関与に係る懸念は累次伝えてきております。
  57. 井上哲士

    ○井上哲士君 懸念は累次伝えているとおっしゃいますけれども、やっていることは違うんですよ。  この本件の環境アセスメントが不備だとする住民の訴えに対して、昨年の十二月の六日、バンドン行政裁判所が環境許認可の取消し判決を言い渡しております。ですから、これ、上級審で判決が変わらずに、もう違法な計画になるという可能性もあるわけですよ。事業の見通しは極めて不確定なんですね。ところが、この判決が出た後、十二月六日、その直後の十二月十五日から七回もこのES契約の貸付けが実行されているんですね、二億円。そして、それは、そのうち六回は、先ほど述べた十二月十七日の不当逮捕の後にも貸付けが実行されているわけですよ。ですから、懸念を伝えておると言いながら、日本政府は、その一方では、JICA推進の貸付けをしていると。これ、本当住民の皆さんも怒ってらっしゃいますよ。  言っていることとやっていることが違うんじゃないですか。これ、中止すべきじゃないですか。
  58. 江島真也

    参考人江島也君) コンサルタントが行いました設計業務の対価としまして、実施機関であります国有電力会社PLNから貸付実行の請求がなされたものに対しまして、確かにJICAは貸付実行を行いました。実施機関から提出された請求内容が適切である限り、JICAは契約に基づいて貸付実行を行う義務がございます。  環境許認可の有効性が認められなかった判決をもって直ちに借款契約上の事項の不履行が生じて貸付実行を停止するという状況にはないというふうに判断いたしました。
  59. 井上哲士

    ○井上哲士君 それはその判断、おかしいと思いますよ。  ガイドラインに合致しない状況とか人権侵害と指摘される事案が発生をして、かつ、この環境許認可を違法とする判決も出ているわけです。ですから、先ほど言われた二〇一〇年九月の時点のJICAの実行可能性調査の完了時点、それから一三年三月のES借款の契約時点とは、事業を取り巻く実態が全く変わっているわけですよ。にもかかわらず、言われれば義務だから払うと、これはちょっと違うんじゃないでしょうか。  理事長、いかがでしょうか。私は、このES借款も中止をして全体を見直すべきだと、根本的に、こう思いますけれども、いかがでしょうか。
  60. 北岡伸一

    参考人北岡伸一君) お答え申し上げます。  インドラマユ石炭火力発電事業におきましては、JICA環境社会配慮ガイドラインに基づき、発電所本体への借款供与の検討のタイミングで環境社会配慮上の要件を満たしていることを確認することが想定されております。したがって、その反対運動、人権侵害への懸念、環境許認可の無効判決といった御指摘の状況だけをもってES借款の貸付実行を停止する理由にはならないと認識しております。つまり、この判決については、被告のPLNや地元政府は控訴しておりまして、どれが最終的なインドネシアの意思であるかということを見定める必要があるかと考えております。  インドネシア側に対しては、本体借款の供与を望む場合には、JICA環境社会配慮ガイドラインの遵守が条件となることをちゃんと引き続き説明しております。今後、インドネシア政府より発電所の建設に係る円借款の本体の要請があった場合には、JICA環境社会配慮ガイドラインに基づき個々の状況を確認するということになります。
  61. 井上哲士

    ○井上哲士君 少なくとも判決が確定するまでは私は中止すべきだと思いますね。そして、本体についてもおよそ認めるようなものではないと思っております。  最後外務大臣、お聞きいたしますけど、そもそも石炭火力発電の推進はパリ協定にも全く整合しないものでありまして、これを成長戦略などとして世界推進する日本の姿勢には国際的に様々な批判がされておりますし、先ほど予算説明でも触れられました国連の持続開発目標、SDGsにおいても気候変動とその影響に立ち向かうために緊急対策を取るとしていることとも反すると思います。  大臣の下で気候変動に関する有識者会合が本年二月にまとめたエネルギーに関する提言では、パリ協定と調和した脱炭素社会を掲げて、石炭火力発電は最新のものであったとしてもパリ協定の二度C目標と整合しないとしております。そして、国内の火力発電の廃止とともに、途上国への支援はエネルギー効率化と再生可能エネルギー開発を中心としていく、石炭火力輸出への公的支援は速やかな停止を目指すと、こうしております。  この指摘に従えば、ODAで石炭火力を推進をする政策は私やめるべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  62. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) まず、JICA環境社会配慮ガイドラインは、これは制定をするときにNGOを始め市民社会に深く関与していただいて策定をいたしました。これは非常に国際的にも高く評価されているものだろうというふうに思います。  この環境社会配慮ガイドラインは手続についても定めておりますので、JICAのプロジェクトは手続を含めこのガイドラインにのっとって行われなければならないというのは言うまでもないとおりでございます。  外務省の有識者会議について今御提起いただきましたが、これは、国際的な動向と気候変動やエネルギーに関する最新の知見というものを踏まえて有識者が作って取りまとめていただいたものでございます。  パリ協定を見れば、化石燃料からどう脱却するかというのは非常に大事なことでございますし、石炭に頼るべきでないというのが今後の一つの方針になろうかというふうに思いますが、その上で、エネルギーの安全保障あるいは経済性の観点から、石炭をエネルギー源として選択せざるを得ないような国に限り、当該国から我が国の高効率石炭火力発電への要請があった場合には、OECDのルールに踏まえ、OECDのルールにのっとって、相手国のエネルギー政策や気候変動対策と整合的な形で、このOECDの二〇一五年十一月の合意内容にのっとって、超超臨界以上の発電整備について導入の支援を検討するということもあります。  今後、このJICA環境社会配慮ガイドラインあるいはこのOECDルールを踏まえた検討が当然に行われていくことになろうかと思います。
  63. 井上哲士

    ○井上哲士君 時間ですから終わりますが、先ほど言いましたように、有識者会合の提言は、石炭火力発電は最新のものであったとしてもパリ協定に整合しないと言っているわけですから、この提言をしっかり生かしていただきたいと思います。  以上、終わります。
  64. 清水貴之

    清水貴之君 日本維新の会の清水と申します。よろしくお願いいたします。  まず初めに、河野大臣ODA予算に対する考え方をお聞きしようと思っていたんですが、これまでにも質問で出て聞かせていただいておりますので、それは省かせていただきます。ただ、これまでにも行革に本当に熱心に取り組んでこられた大臣でいらっしゃるので、おっしゃるとおり、全てが完璧にいくことはもちろんないと思いますが、その中でも、本当に限られた予算の中で効率的に費用対効果なども考えながら積極的に進めていっていただきたいというふうに思います。  私は、パプアニューギニアにありますブーゲンビル自治政府についてお聞きをしたいと思います。  パプアニューギニアにブーゲンビル島という島があります。日本の戦地にも、第二次世界大戦の戦地にもなった場所でして、日本兵の戦死者、大体三万人を超える戦死者がここでは出たと言われています。山本五十六司令官が乗っていた戦闘機も撃墜されて、その残骸が今もこの島にあると言われている、そういった場所で、いろんな意味日本との関係も深いのかなというふうに思うんですが、そのパプアニューギニアの中の一つの自治政府なんですが、この自治政府が独立をしようと、そういった国民投票をしようという動きが今起きているということで、来年にも国民投票がされるんじゃないかという話が出てきているんですが、この辺りについての、運動に対する、パプアニューギニア政府との関係ももちろんあると思います、でも独立運動も起きている中で、どう日本政府として向き合っていくのか、この辺りをお聞かせいただけますでしょうか。
  65. 志水史雄

    政府参考人(志水史雄君) お答え申し上げます。  我が国は、二〇〇一年のブーゲンビル自治政府の樹立等を定めるブーゲンビル和平協定の締結以降、三回にわたりまして実施された自治政府大統領選挙の公正かつ民主的な実施を支援するため、それぞれ二、三名の選挙監視要員を派遣してきたところでございます。  現在、委員指摘の、二〇一九年六月十五日にブーゲンビル独立を問う住民投票が予定されているということでございまして、これに向けてPNGの政府、それからブーゲンビル自治政府によって準備が進められていると承知しております。準備の遅れも指摘されているところではございますけれども、我が国といたしましては、本件住民投票が予定どおりかつ平和裏に実施されるよう注視していく考えでございます。
  66. 清水貴之

    清水貴之君 そもそものところをお聞きしたいんですが、そのブーゲンビル自治政府若しくはその島に対する政府としての、いろいろな見方があるとは思うんですけれども、今後の観光資源であったり、ほかの鉱物資源であったりとか、戦地であったこととか、いろんなことに関する考え方というのはどういうふうに今捉えているんでしょうか。
  67. 志水史雄

    政府参考人(志水史雄君) お答え申し上げます。  ブーゲンビル島を含むパプアニューギニアは、我が国にとりまして歴史的、経済的に重要なパートナーでございます。LNGを含む海上輸送の重要なシーレーンに位置しているほか、周辺海域は重要な漁場となっております。  このブーゲンビル島におきましては、大規模な銅山が所在しているところでありますけれども、紛争時に発生いたしました補償問題が未解決のために再開の見込みはまだ立っていないというふうに承知しております。  また、これも委員指摘ございましたが、ブーゲンビル島におきましては、第二次世界大戦中に多くの日本人が亡くなり、また南部には山本五十六元帥の搭乗機が残されているなど、日本と歴史的に深いつながりを有しているところでございます。このほか、パプアニューギニア中央政府及びブーゲンビルの自治政府には遺骨収集や慰霊事業協力をいただいているというような、このような関係がございます。
  68. 清水貴之

    清水貴之君 先ほど、来年の住民投票を注視していきたいという話だったんですけれども、なぜ私こういう質問をしているかというと、住民投票が実施されて、まだ結果はもちろん分かりませんけれども、一つの国として独立する可能性もあるわけですね。そういったときに、この辺りの、太平洋の島嶼国の辺り、行ってお話聞いたりとか、関係者の方、お話聞くと、この辺り、今もうやっぱり中国の勢いが強くて、台湾派と中国派とこう島によって分かれていたりするんですけれども、やっぱり中国がどんどんどんどん積極的に援助をしてきてとか、そういう話を聞くわけですね。  そんな中で、もしかしたら一つの国が誕生するかもしれない、しかも、日本と大変元々いろんな意味で深い関係のある国が生まれるかもしれないというときに、私としては、もちろん本国、パプアニューギニアとの関係というのも考えなければいけないと思いますが、できる手だてというのはなるべく早いうちからしておくという、こういった必要性というのもあるんじゃないかと思ってこういった質問をさせていただいているんですけれども、そういった意味で、ODAもパプアニューギニア全体としては入っていると聞いているんですが、そういった意味での支援であったり、そういったものについての考え方をお聞かせいただけますでしょうか。
  69. 梨田和也

    政府参考人梨田也君) ブーゲンビルは、パプアニューギニアの中では最も開発の遅れた貧困地域でございます。そういう意味で、和平協定締結以降、支援を実施してきております。  具体的には、教育、コミュニティー開発、産業人材育成など、無償資金協力を通じて行っておりますけれども、これに加えまして、主要幹線道路に架かる橋あるいは生活道路の整備といったインフラも実施してきているところでございます。
  70. 清水貴之

    清水貴之君 それはもちろん、今パプアニューギニア全体としてということでありますよね。  改めてお聞きしたいんですけれども、注視するのは、もちろん今の現状ではそうだと思うんですけれども、今後を見越してのその対応であったりとか、一つの国が生まれるかもしれない、そういう可能性について日本としてどう向き合っていくかと、この辺り、もし今お話しできるならお聞かせいただけますでしょうか。
  71. 梨田和也

    政府参考人梨田也君) そういう、今申し上げた支援というのは、そのブーゲンビル地方にやっている支援の内容を御説明申し上げたものでございますけれども、そういう意味では、大洋州十四あるうち中国関係があるのが八か国でございますか、今年の五月には福島県で太平洋・島サミットも開催されます。今、それに向けて各国に対していかなる支援を継続していくか、複数年度にわたるような支援も含めまして考えているところでございます。このように、また新しい国ができる可能性があるということもその検討の中に含めて考えていきたいと思います。
  72. 清水貴之

    清水貴之君 島サミット、本当に日本が積極的に行っていて、今年も福島でということです。こういった取組というのは本当に大事だと思うんですね。その中の一つの大事な重要な要素として、是非積極的に捉えていただきたいと思います。  最後、もう一点、遺骨収集事業、三万人以上の方が亡くなっているということなので、今どういう状況に、なかなかお話聞くと、かなり未開の地で、もう人種間の対立もあったりして、治安も悪くて大変だというふうには聞いているんですけれども、現状、取組など、聞かせていただけますでしょうか。
  73. 橋本泰宏

    政府参考人(橋本泰宏君) お答え申し上げます。  さきの大戦におきます戦没者の遺骨収集につきましては、平成二十八年に制定されました戦没者の遺骨収集の推進に関する法律に基づきまして、平成三十六年度までを集中実施期間として、今その推進を図っているところでございます。  お尋ねのブーゲンビル島でございますが、昭和二十九年度から遺骨収集を開始いたしまして、戦没者約三万三千五百人に対しまして、平成三十年二月末までに九千九百三十九柱の御遺骨を収容しております。なお、昨日帰国いたしました遺骨収集団が持ち帰りましたものが三百十二柱ございまして、これを加えますと一万二百五十一柱を収容したということになります。  現在、オーストラリアの国立公文書館等から取得いたしました日本人戦没者の埋葬地に関する情報等を基にしまして現地調査を実施しているところでございまして、何とか私どもとしては、これを遺骨収集につなげていきたいというふうに考えております。  今後とも、現地政府の御協力をいただきながら、外務省や防衛省とも連携いたしまして、可能な限り多くの御遺骨を収容できるよう全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  74. 清水貴之

    清水貴之君 以上で終わります。ありがとうございました。
  75. 又市征治

    ○又市征治君 希望の会、社民党の又市です。  今日は、ODAを使った原発問題について幾つか伺っておきたいと思います。  最近、この原発輸出に関連するニュースが幾つか伝えられております。トルコ、イギリスにおいて、日本企業が関わる原発建設について様々な問題点が指摘をされています。また、一昨年十一月、ベトナムの議会は、日本支援で建設を予定していた原発計画を白紙に戻したということも伝わっています。  東京電力福島原発事故以降、世界のエネルギー政策は大きく変化をしてきたということは紛れもない事実だと思います。原発安全神話が崩れたということやら建設コストの大きさ、そして事故が起こった場合の被害の甚大さや、あるいはその後のコストの問題等々、従来の予想を大きく超えるものになったということがこの変化となって脱原発の大きな流れになっているんだろうと思う。  そこで、最初に基本的な問題ですけれども、ODAの枠組みを利用して原子力発電のプラントを建設することはできないというのが政府の見解だと思いますけれども、その理由をまずは一つ説明をいただきたい。もう一つは、この原子力の発電プラントそのものではなくて、原発関連施設に対する支援はできるのか、もしできるというのであればそういう事例があるのかどうか、これも教えていただきたい。
  76. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 日本は、OECD公的輸出信用アレンジメントのルール、これは法的拘束力のない、言わば紳士協定ではございますが、このOECD公的輸出信用アレンジメントのルールに基づいて、アレンジメントの参加国と同様に原子力発電所の建設等に対する援助を行わないこととしており、そのような援助の実例もございません。また、送電網やアクセス道路などの周辺設備については、ODAにより支援することは可能でありますが、これまでに我が国としてそのような支援を行った例はございません。
  77. 又市征治

    ○又市征治君 東日本大震災から七年が過ぎて、先日、私も追悼式に参列をいたしましたけれども、遺族の皆さんの無念さが今も、今日も伝わってまいります。七年を経過しても、この原発事故によって避難地域に指定されて避難している市民が現在でも五万人を超える、こういう状況にあり、これに行政から切り捨てられようとしている自主避難者が更に加わるわけであります。  つまり、この福島原発事故はいまだに収束をしていませんし、その原因すら究明されたという状況になっていない、こういう状況にあるわけですから、そのような状況の中で、政府インフラシステム輸出戦略の中で原発関連施設が取り上げられるとするならば、これはやっぱり無責任のそしりは免れないんだろうと思うんです。大臣から、今のところ、現状そういう事例はないということでお話がありました。  経産省に聞くんですが、この輸出戦略の中で原発関連施設、このことについては外務省考えは今あったんですけれども、経産省の方はどのように位置付けているんですか。
  78. 保坂伸

    政府参考人(保坂伸君) 海外におきましては、エネルギー安全保障、地球温暖化対策、発電コストなどの観点から原発建設の計画を進めている国は依然としてございまして、福島第一原発事故後におきましても日本の原子力技術に対する期待の声が各国から寄せられているところでございます。  日本としては、このような各国のニーズに応えるとともに、原子力技術人材の基盤を維持強化していくことを通じて世界における原子力の平和利用、気候変動問題への対応にしっかりと責任を果たしていきたいと考えているところでございます。  今後も、福島の知見や教訓を生かしながら、安全最優先はもちろん取り込んでいくところでございます。こうした考えの下、御指摘のとおり、インフラシステム輸出戦略におきまして、先進的な低炭素技術海外展開支援の一環として原子力発電に関する協力が位置付けられているところでございます。
  79. 又市征治

    ○又市征治君 どうも外務省ODA考え方と相当違うように思いますが、このインフラ輸出といっても、少なくとも鉄道や水道などと原発は全く違うわけですよね。日本では原発産業に未来がないから、だから政府が一生懸命輸出を促進しているのではないかという批判さえいろんなマスコミにも報じられているくらいですよ。原発あるいは関連施設の輸出を考える前に、やはり福島原発事故がどのような被害をもたらしたかを海外に伝えることこそ、私は日本政府の責任だろうと思いますね。  そこで、一部報道によると、あるメーカーがイギリスにおける原発新設プロジェクトに国際協力銀行や日本貿易保険が支援する意向を示している、こういうふうに伝えられております。ですから、社説でも、福島の事故を起こした日本が原発を海外に売ることは根本的に疑問がある、こういうふうに指弾されています。  これは多くの国民思いだろうと思いますね。そういった重大な疑念がある上に、原発輸出はビジネスであって、その危険性について多くの市民が肌でやっぱり感じ取っている。だからこそ、この世論の大勢が原発の再稼働に反対だ、いろんな世論調査やってもそういう状況にあるということだと思うんです。  そういう中で、原発事業支援税金が投入されるということは許される話ではない。さらに、事故が起こって損失が生じた場合、その穴埋めに公的資金が投入されるなどということはもってのほか、こう言わざるを得ないと思うんですが、国際協力銀行なり日本貿易保険は英国における原発新設プロジェクトにどのように関わっているのか、あるいは関わろうとしているのか、お聞きをしたいと思います。
  80. 弓倉和久

    参考人弓倉和久君) ありがとうございます。お答えをいたします。  現時点で、私どもJBICといたしまして、英国の原子力発電プロジェクトに関し、具体的に何らかの決定をしたという事実はございません。  その上で、一般論としてお答えを申し上げるならば、日本事業者による要請を受けた場合、私どもJBICといたしましては、日本政府の方針を踏まえるとともに、対象国や個別案件のリスクなどを総合的に勘案した上で検討する所存でございます。
  81. 岡田江平

    参考人岡田江平君) お答え申し上げます。  個別案件の私ども日本貿易保険の取組につきましては、個別企業のビジネス上の利害に影響がありますので、基本的には相談の可否も含めてお答えを差し控えさせていただいておりますが、英国における原発の計画につきましては、私ども、もちろん報道はよく承知しておりますけれども、何らかの支援を決めたという事実はございません。  また、一般論として言わせていただくと、海外のこのようなプロジェクトについて、保険について相談いただいた場合には、民間の金融機関とプロジェクトの経済性とか環境、社会配慮の状況とか、そういったものも含めまして精密に審査をさせていただくということになっております。  以上でございます。
  82. 又市征治

    ○又市征治君 両組織とも、今のところは決めていないと。ただ、一般論として、政府の方針を踏まえてというお話のようですけれども。  もう少し、先ほどからずっと大臣もおっしゃっていますが、基本的には、ODAなどというのは人間の安全保障という理念が基本に座ってなきゃならぬということであって、そういう意味では、皆さんがもう少し自主的に物事を考えて判断することが必要じゃないか、こう思います。少なくとも、日本で現実に、この東京電力福島原発事故の原因究明さえもなされていない、大変な被害が起こっている、いまだに七年たってもまだ何万人という人たちが避難をさせられている、裁判が幾つも幾つも起こっている、こういう状況などということを考えたときに、そういう意味では、この原発の問題などというもの、あるいは、関連するインフラだからといってそれを推進するなどということがあってはならないし、先ほども申し上げましたけれども、もしこのイギリスの場合に、もし関わることによって公的資金が投入されるとか、あるいは、そのことに万が一でも事故が起こった場合にそうしたことが起こってくるなどということがあってはもうならぬわけですから、もっと主体的に判断をし、この福島原発事故の同じ轍を踏まないように強く求めておきたいと思います。  時間が参りましたから、以上で終わりたいと思います。
  83. 蓮舫

    ○蓮舫君 立憲民主党の蓮舫です。  お手元に資料をお配りをさせていただきました。ロイター電、ザ・ガーディアン紙、エコノミスト、AP通信、表紙だけ、タイトルだけなんですけれども、安倍総理夫人絡みの学校スキャンダル再び、公文書改ざん問題に焦点を当てたもの、そのことによって支持率急落に関しても日々英語で世界に発信をされています。  河野外務大臣、このことは御存じですか。
  84. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) このロイター、ガーディアンといった報道は、今、エコノミストですか、配られたやつを今拝見をしております。
  85. 蓮舫

    ○蓮舫君 今初めて。是非もっと敏感になっていただきたいと思うんですね。  一番最初のページに付けているロイター電ですけれども、タイトルに「sontaku」、つまりもう和製英語が新たに生まれているんです。ソンタクとは暗黙に指示に従うことと報じられ、そして二枚目なんですけれども、項目が作られて、「WHAT IS SONTAKU?」、こんなことまで解説をされている。言葉の語源まで報じられているんです。つまり、日本の異質性、あるいは総理夫人がスキャンダルを呼び起こしたことで総理、内閣を直撃して支持率が下がっている、こうした報道が実は今日も後を絶たずに英語で世界に発信をされて、リアルタイムでネット等で読むことができる。  外務大臣、ある意味国益を損じていると思いませんか。
  86. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) フォローイング・アンスポークン・オーダーズというのは、恐らくどこの組織でもこれは国内外問わず起きることなんだろうというふうに思います。それ自体が悪いかといえば、それ自体が悪いわけではなくて、最近の一連の公文書の問題その他、説明がしっかりできていない、そこがやはり問題なんだろうというふうに思います。
  87. 蓮舫

    ○蓮舫君 説明がきちんとできていないから問題になっているんではないと思います。河野大臣、私もですけれども、河野大臣も行革に大変力を注いで、お互い公文書担当大臣も務めています。担当大臣を務めると、やはり公文書のその歴史の重み、そして国民の知る権利に応えるために努力をしようとしてきた先人たちの知恵、それをどのように守っていくかという責任、非常に大きいことを感じるんですが、今回は、説明し切れていないではなくて、国会答弁に合わせて公文書を改ざんをしてしまったという重大な、重大な問題なんですね。このことについてもう少し何かお考えはありませんか。
  88. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) おっしゃるとおり、公文書の管理担当大臣を務めさせていただきました。そんな中で、公文書館に度々足を運び、また外務省には外交史料館というのもございます。本当に、おっしゃったように、先輩方が、先輩方と言うとちょっと軽いのかもしれませんけれども、先人が文書をしっかり取って保存をしてきてくださったということにある面感動する部分すらございます。  そんな中で、例えば、日本とデンマークが国交樹立百五十周年を祝ったんですが、そのときの条約が日本側は失われてしまっていて、それをデンマークからお借りをして、日本技術で複製を作らせていただいたということもございます。そういう経験をすると、一度失われてしまったものは、まあこれはたまたまチャンスがあって、複製ではありますが戻せたわけでありますが、やはりこの公文書というものをしっかり管理していくというのは極めて大事でございますし、特に外交ではこの文書を管理するということが様々交渉事にもつながってくるということを考えると、この文書の管理というのは極めて大切だというふうに思います。  そういう中で、公文書が、御指摘をいただきましたように、書き換えられるということは断じてあってはならないということでございまして、そこについてはそうしたことが二度と起きないようにしっかり襟を正さなければならぬというふうに思います。
  89. 蓮舫

    ○蓮舫君 巧みに事の本質が外務省だけの問題になっているのが非常に残念なんですが、私、外務省はやっぱり大変な努力をされてきた省庁だと思っています。  平成二十二年の六月これは四日、外務省一つの調査報告書を公表しました。外交文書の欠落問題に関する調査、これ当時の外務大臣岡田克也さんだったんですが、核の持込みであるとか、朝鮮半島有事の際の戦闘作戦行動、これ日米関係、日米の間においての密約、四つの密約について調査をしろと命じました。これに対して、外務省は調査チームを結成して、外務省本省及び在米大使館など約四千四百冊ものファイル、これを徹底的に洗い出したんですね。その結果、これまでは日本政府は公式にないとしていた核持込み密約の根拠を成す文書が実は保管ファイルにあったということも判明をしました。  他方で、本来あるべきはずの重要文書が欠落、写ししかなくて原義がない重要な事実も浮き彫りになって、調査をした報告書がこの六月の四日に発表されました。  そのまとめで書いてある文章の重みは私は非常に大きいと思うんですが、外交文書を失うことは歴史を失うことであると。明らかになってないこともいっぱいあるんですよ。今までないと言われていたものがあった。誰がそれを保管していたのも分からないとか、あるいは、前の外務官僚の方が持っていたというものを引き継いでいないとか、幾つもの疑惑がまだ明らかになっていませんが、ちゃんと調査をすれば、ないとされたもの、改ざんされたものを正すことはできると思うんです。  この外務省の努力についてどのようにお考えですか。
  90. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 当時、そういう調査が岡田外務大臣の下で行われ、今御指摘をいただいたようなしっかりとした調査ができたというのは、非常に良かったんだと思います。  おっしゃるように、文書がなくなるということは、その部分外交が欠落をする、特に外交文書は機密文書であることが多いわけですから、それが公開される前になくなってしまうということは、一体全体どういう外交が行われたかが分からなくなってしまうということにつながるわけですから、外務省としてやはりこの機密文書を含めた文書管理というのは極めて大切でありますので、外務大臣としてしっかりと外務省を指揮してまいりたいと思います。
  91. 蓮舫

    ○蓮舫君 そうすると、まあ外務大臣の指導力というのもとても大切だと思うんですけれども、そうした歴史を成し得る公文書を有する、その最終責任者は大臣ということでよろしいですか。
  92. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 恐らく、外務省の場合には外務大臣が指揮をしておりますから、文書の管理を含め、外交の責任者は外務大臣ということになろうかと思います。
  93. 蓮舫

    ○蓮舫君 財務省においてはどうだと思いますか。
  94. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 今、公文書のこの改ざんの問題で財務大臣の下徹底的な調査が行われておりますから、財務省の調査の結果を見守りたいと思います。
  95. 蓮舫

    ○蓮舫君 是非、行革にこれまで力を注いできた河野大臣ですから、期待も申し上げて、以前予算委員会のときには、安倍総理、安倍内閣に染まらないでほしいとエールを送ったことを今思い出したんですが、是非、財務省の省内の調査結果がこの外務省がこれまで出した調査報告書のように精度が高いものでない場合、内閣の一員として、やはりそこは厳しく厳しく閣内で発言をしていただきたいと期待をしますが、いかがでしょうか。
  96. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 財務大臣の指導の下、しっかりとした調査が行われていると認識しております。
  97. 蓮舫

    ○蓮舫君 終わります。ありがとうございました。
  98. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 元気ですか。春が、そして桜が早く咲きますように、いつもより声を大きく張り上げたら、冬が何を勘違いしたのか雪までしょって戻ってきてしまったという。まあ、暖かくなってきたので良かったんですが。  ちょうど、おとといも質問しましたが、ちょっと、皇太子様がブラジルに行かれまして、多分今日ですか、もう帰ってこられているんですかね。日系の関係を大変私は重要視し、また日系ブラジル人のやっぱり出稼ぎとかいろいろありましたので、これから大きくブラジルが成長してもらいたいと、そんな思いも含めまして質問に入っていきたいと思いますが。  二十九年度予算比較し、三十年度は大幅に予算が計上されています。日系社会の継続的な発展に向け、ビジネスや次世代育成など広い分野で中南米社会との連携強化をとありますが、何を具体的に強化するのか、その点についてお聞かせください。
  99. 中前隆博

    政府参考人(中前隆博君) お答えを申し上げます。  中南米には世界最大の日系社会が存在しております。この日系社会は、現地社会の尊敬と信頼を集め、各国の親日感情の基礎となっており、日本との懸け橋として日本と中南米の関係強化に大きく貢献しておられます。  一方で、世代交代の進展等に伴いまして、日系社会や日系人の意識にも変化が現れつつある、そういう中で、時代の新しい要請に即した形で日系社会との連携を強化する必要があると考えてございます。この点につきましては、昨年、中南米日系社会との連携に関する有識者懇談会が外務大臣の下に設置され、五月にその旨の報告をいただいたところでございます。  これを踏まえまして、平成三十年度予算案におきましては、次世代の日系社会、日系指導者等の招聘、現地日系ネットワーク形成の支援、日系社会の実相調査あるいは在外公館の文化事業などの取組を強化して、現地日系社会が引き続き発展していくことを応援し、もって日系社会との連携を一層強めてまいりたいと、かように考えてございます。
  100. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 二〇一八年、ブラジルにおいて、テメル大統領の任期満了に伴う大統領選挙が行われようとしています。また、今日の朝では、前の前の大統領ですね、非常に政治的に混乱して、我々日本から見るとこんなのでいいのかなと。必ず出てくる、大統領が汚職で捕まるのか、また裁判になるかという。そんな中で、選挙結果を踏まえ、情勢の分析、今後、どういうふうに変わっていくかという、なかなか、なってみなきゃ分かりませんが、その辺の、これから大変資源を、全ての資源があり、そういう中では、ブラジルと日本関係は大事にすべきだという思いがあります。  経済要素が必要になってくる、その点についてどんな準備を日本はしているか、お聞かせください。
  101. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) ブラジルは、例えば国連の安保理改革などでG4というグループを日本、インド、ドイツと一緒につくるなど、国際場裏でも様々日本協力をしております。また、ブラジルに進出している日本企業は七百社近くに上っており、日本の経済にも非常に重要な国でございます。  御指摘いただきましたとおり、今年の十月七日に大統領選挙、そしてそれだけではなく上院議員選挙、州知事などの選挙が同時に行われます。ブラジルは昨年、二〇一七年、三年ぶりのプラス成長を達成するなど、経済も少し明るい兆しを見せておりますので、おっしゃるように、政治経済の情勢について、やはりしっかりと注目していく必要があると思います。  現地の大使館、そして総領事館などを通じて、しっかり情勢分析、情報収集やってまいりたいというふうに思います。
  102. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 本当に、交通の便というんですかね、今まではアメリカ経由で来ると一番速かったんですが、アメリカのチェックが、物すごい税関がうるさくて、一回、トランジットなのに荷物を開け、その中でまたチェックして、またチェックインをし直すという、この辺はまあ外国のことですから何とも言えませんが、何でこういう、時代が逆行してしまうのかなというのが、この間、十二月にブラジル行って、帰り、こっちはドバイ経由で帰ってきましたので非常にスムーズにいきました。  そこで、インド太平洋地域につくる自由で開かれたインド太平洋戦略について、先ほど同僚議員からも質問が出ました。以前、安倍総理が、自由で開かれた海洋こそ平和と繁栄の源である、既に東南アジア及び南アジアでは、民主主義、法の支配、市場経済が根付き、自信、責任、リーダーシップの目覚めがありますと演説されました。  先日、中国の融資の建設したスリランカのハンバントタ港、昨年、中国の国有企業に引き渡され、そこに現在中国の国旗が掲げられていると報道されています。私も、ちょうど去年とおととし、二回行ったんですけど、まあすごい中国人の人がもうあふれているというような感じで、そのときにちょうど前の大統領の、大統領選挙中だったんですね。その方が中国に随分いろんな権利を渡してしまった。良かったことか、大統領は替わりました。そして、スリランカは、中国に港の管理会社、株式の七〇%、九十九年間の譲渡をすると、十一億二千万ドル、約千二百四十億円の合意文書に調印し、港は先月中国側に渡ったとなっています。報道に、債務の返済に窮したスリランカが借金のカタに海のインフラを奪われたとも書かれています。港は親中派のラジャパクサ前政権に着工され、建設費の大半は中国から融資し、最高六・三%の高金利だそうです。  今後、スリランカの事案についてどう思われているのか、また、日本の独自の外交はどう考えているか、お聞かせください。
  103. 志水史雄

    政府参考人(志水史雄君) お答え申し上げます。  スリランカのハンバントタ港につきましては、昨年七月、スリランカ政府中国国有企業との間でコンセッション合意文書に署名し、この結果、この中国企業がハンバントタ港の管理会社の株式の約七〇%を保有、港の運営権が九十九年間譲渡されることになったと承知しております。  我が国といたしましては、スリランカの港湾を含め、インフラ整備は、インフラの開放性、透明性、経済性、対象国の財政健全性など、国際社会共通の考え方を十分取り入れることが重要と考えております。日本とスリランカは、スリランカ国内のあらゆる港湾施設がスリランカ政府の完全な管理下に置かれ、開放され、透明性を持って商業目的で利用されることが重要であることを日本とスリランカの間で確認しているところでございます。  我が国といたしましては、ハンバントタ港の運営については引き続き注視していく考えでございます。
  104. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 なかなかあちらに関しては我々も意識が薄いのか、一つには、一帯一路構想というのも質問させてもらったことがあります。パキスタン、ネパール、ミャンマーなど、インフラの建設案件が相次いで、また、中止、延期になっています。  我が国が、一帯一路、中国連携していくのであれば、こういった点、警戒していかなければならないと思いますが、大臣の見解をお聞かせください。
  105. 志水史雄

    政府参考人(志水史雄君) お答え申し上げます。  アジアの旺盛なインフラ需要に日本中国協力して応えていくことは、両国の経済発展にとどまらず、アジアの人々の繁栄に大きく貢献するものと考えております。  委員指摘の一帯一路につきましては、先ほど申し上げましたが、インフラの開放性、透明性、経済性、対象国の財政健全性など、国際社会共通の考え方を十分に取り入れることで、地域世界の平和と繁栄に前向きに貢献していくことが期待されます。我が国といたしましては、このような観点から協力していきたいと考えております。
  106. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 G7についてもお聞きしようと思いましたが、時間がなくなりました。  どうもありがとうございました。
  107. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 以上をもちまして、平成三十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、政府開発援助関係経費についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十分散会