運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2018-02-14 第196回国会 参議院 資源エネルギーに関する調査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十年二月十四日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  二月七日     辞任         補欠選任      そのだ修光君     自見はなこ君  二月八日     辞任         補欠選任      自見はなこ君     そのだ修光君  二月九日     辞任         補欠選任      浅田  均君     儀間 光男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         鶴保 庸介君     理 事                 赤池 誠章君                 石井みどり君                 渡辺 猛之君                 浜野 喜史君                 杉  久武君                 山添  拓君                 儀間 光男君     委 員                 青山 繁晴君                 井原  巧君                 石田 昌宏君                 島田 三郎君                 そのだ修光君                 高階恵美子君                 藤木 眞也君                 森 まさこ君                 渡邉 美樹君                 礒崎 哲史君                 長浜 博行君                 森本 真治君                 矢田わか子君                 三浦 信祐君                 市田 忠義君                 山本 太郎君                 中山 恭子君    事務局側        第三特別調査室        長        山内 一宏君    参考人        公益財団法人地        球環境産業技術        研究機構理事・        研究所長     山地 憲治君        一般財団法人電        力中央研究所エ        ネルギーイノベ        ーション創発セ        ンター研究参事  浅野 浩志君        みやまスマート        エネルギー株式        会社代表取締役  磯部  達君        京都大学大学院        経済学研究科/        地球環境学堂教        授        諸富  徹君     ─────────────   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○原子力等エネルギー資源に関する調査  (「新たな時代に向けた我が国資源エネルギ  ー像」のうち、我が国資源エネルギー戦略(  再生可能エネルギー))  (海外派遣議員の報告)     ─────────────
  2. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) ただいまから資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、浅田均君が委員辞任され、その補欠として儀間光男君が選任されました。     ─────────────
  3. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) まず、理事補欠選任を行いたいと存じます。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事儀間光男君を指名いたします。     ─────────────
  5. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 原子力等エネルギー資源に関する調査を議題といたします。  「新たな時代に向けた我が国資源エネルギー像」のうち、「我が国資源エネルギー戦略」について調査を行うに当たって、本日は「再生可能エネルギー」について参考人から意見を聴取いたします。  御出席いただいております参考人は、公益財団法人地球環境産業技術研究機構理事研究所長山地憲治君、一般財団法人電力中央研究所エネルギーイノベーション創発センター研究参事浅野浩志君、みやまスマートエネルギー株式会社代表取締役磯部達君及び京都大学大学院経済学研究科地球環境学堂教授諸富徹君でございます。  この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げたいと思います。  本日は、御多用のところ本調査会に御出席をいただきまして誠にありがとうございます。  皆様方から忌憚のない御意見をお述べいただき、調査参考にいたしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  議事の進め方でございますが、まず山地参考人浅野参考人磯部参考人諸富参考人の順にお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、山地参考人からお願いいたします。山地参考人
  6. 山地憲治

    参考人山地憲治君) 地球環境産業技術研究機構、英語の略称RITEというふうに呼ばれることが多いんですが、そのRITE研究所長を務めております山地でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。  私は、再生可能エネルギーに関する審議会のメンバーを幾つか務めておりますけれども、先週は、調達価格等算定委員会で来年度以降のFIT、固定価格買取り制度の買取り価格等について意見を取りまとめたところでございます。また、昨年末から審議を始めておりますが、再生可能エネルギー大量導入次世代電力ネットワーク小委員会委員長も務めております。このような経験を踏まえまして、本日は再生可能エネルギー大量導入の課題と対応というテーマで話をさせていただきます。  お手元に一枚物の要旨が配られていると思いますが、その要旨に沿って、まず改正FIT法等による対応を含めまして現在の再生可能エネルギー状況を説明させていただき、その後で今後の対応について私見を交えて私の意見を申させていただきたいと思います。  まず、要旨の最初の世界的な再生可能エネルギー大量導入ということでございますが、過去十年、二〇〇六年から二〇一六年の十年間で、太陽光発電は約五十倍になりました。六ギガワット、ギガワットというのは百万キロワットでございますが、六百万キロワットから三億三百万キロワット。それから、風力発電では約六倍、七千四百万キロワットから四億八千七百万キロワット太陽光、最近は数千万キロワット、多分昨年度七千万キロワット入りましたので、恐らく現在は太陽光は四億キロワットに近いというふうに思います。  我が国でも、FIT導入後、太陽光発電中心に再エネ発電は非常に急増しております。FIT導入前、これは二〇一二年六月末ですが、と比べまして、昨年度末、一七年三月末、この間五年弱でございますが、この間に太陽光は約七倍になりました。五百六十万キロワットだったものが三千九百十万キロワット、現在は四千万キロワットを相当超えております。  二〇一六年度、昨年度の電源構成において、水力以外の再エネ電源太陽光風力バイオマス等ですが、この発電量水力発電を少し上回りました。水力発電が、ちょっと昨年度は少し水力の出が悪かったんですけど、七・五%、全体のですね、その他の水力以外の再生可能エネルギーは七・八%でございまして、一五・三%、今や一五%を超えているということで、二〇三〇年のエネルギーミックス目標が、再生可能エネルギー、二二から二四%ですから、それに近づきつつあるということです。  それから、認定量というのがございます。後でちょっと説明いたしますが、二〇一七年の三月末、昨年度末ですね、FIT認定量では、太陽光バイオマスは二〇三〇年のエネルギーミックス目標を過剰達成しているという状況でございます。ただ同時に、買取り価格の水準は、まだ欧米、特に欧州ですね、二倍以上で、国民負担も非常に急増しております。  二〇一七年度の賦課金賦課金というのについても後でちょっと説明しますが、キロワットアワー当たり二・六四円、電力消費の特別な産業を除いて電力消費者に均等に負担が掛かっているわけですが、これによって年間賦課金としては二兆円を超えました。これは大体ほぼ二十年続きますから、この規模での再エネ事業者への補助が行われているということであります。  賦課金と申しますのは、買取り価格を決めますが、それから電気としての価値といいますか、回避可能費用といいますけど、これは今、卸市場に連動しているんですけど、それを差し引いた部分賦課金として消費者に割り当てる。例えば、太陽光発電事業用税抜きで四十円から始まったわけですが、電気価値あるいは市場価格で十円ぐらいですから、その三十円分というのは賦課金という形で、電気事業者負担するんではなくて、皆さんのところへツケが回っていると、そういう感じでございます。  この二兆円を超える補助というのは、エネルギー政策費用としては空前の規模だと思います。これが二十年近く続くというわけですが、比較しますと、サンシャイン計画というのを御存じの方多いと思うんですけど、第一次オイルショック後行われた、これ約二十年間続いたんですけど、総額で四千四百億です。九〇年代に我が国太陽光発電住宅用太陽光発電設置補助というのを始めましたが、これがピークのときで年間百億円ぐらいです。それと比べて桁違いの補助が行われているということは現実でございます。  さて、それで、改正FIT法というものが二〇一六年の国会で成立いたしまして、これはまず、太陽光に偏った導入が行われている、それから国民負担が今言ったように年間二兆円を超えて急増している、それに対応するために、二〇一六年の五月に改正FIT法が成立して、昨年の四月から施行されている。  これ、幾つ項目がありますが、まず一つは新認定制度というものであります。これの目的は、未稼働案件の排除ということで、従来は系統接続を申込みした段階認定されておりましたが、系統接続契約をしたと、それで負担金を払うということの確認した後の認定ということで、認定時期を後ろへずらしました。それとともに、認定から運転を開始するまでの期間を制限することができるようにしました。太陽光の場合、事業用の場合は三年。  それから、適切な事業規制。これは特に小型の場合に多いんですけれども、五十キロワット未満ですと住宅宅地分譲みたいな形でかなり広いところを分割して売る、それで景観破壊とかあるいは森林伐採とかといういろんな環境問題が顕在化したので、それを健全な事業を継続させるということで、規制の強化であるとか、あるいは所有者が誰なのかということを看板を作るというような情報開示ということをこの事業規制の中で整備いたしました。  それから、新認定制度認定の問題ですけど、認定された段階の、時点での買取り価格が適用されるわけです。改正前は接続申請時の認定でしたので、それから実際工事をして運転開始するまでにかなりの時間がありますが、太陽光の場合は本当は早いんですけれども、ただ、太陽光パネル、物すごく価格が急落していますので、認定時の高い買取り価格を維持したまま稼働を遅延させてもうけようというインセンティブが働く、これを防止するための対応を取ったということです。  それから二番目は、コスト効率的な導入ということで、これはまず、大規模太陽光発電から入札というものをやりました。それから、中長期的な買取り価格目標というものを決めることにしました。  まず、今年度から始めたものは、二メガワット、二千キロワット以上の大型太陽光発電について、今年度一回、来年度二回、試行的な入札をやって制度整備をするということになっています。今年度の一回目は終わったんですが、募集規模ほど実は落札がありませんでした。その原因等を調べると、意欲はあるんだけど、ちょっと保証金の没収のルールとか、その辺りでなかなか進まないということがあったので、保証金の取扱いなどを今修正した、意見をまとめたところであります。  それから、中長期目標という意味では、事業用太陽光発電目標は二〇二〇年には十四円、三〇年には七円、風力についても二〇三〇年には八から九円、陸上風力ですが、そういうことを目標を決めました。  また、それ以外に、逆に地熱とかすごく時間が掛かるものもあるので、そういうリードタイムの長い電源導入促進のためには、少し先の買取り価格も提示ということもやるようにいたしました。  以上が改正FIT法対応でありますけど、その次で、先ほど申し上げた、長い名前なのでちょっと略称にしましたが、再エネ大量導入次世代電力ネットワーク小委員会での対応でございます。  これは審議中なのでありますが、この小委員会で決定した事項については適宜実施ということで、実際並行して実施されております。この小委員会は、エネルギー基本計画を作っている基本政策分科会からのタスクアウトであって、再エネコスト競争力を持たせて主力電源にしよう、それから一方、実は今、足下問題になっているのは、系統制約というのが目立っている、それの克服ということを目的としたもので、幾つ項目はありますが、三項目まとめましたが、更なるコスト低減をしてコスト競争力のある主力電源に持っていく、そのために、やっぱり入札制度の活用を更に広げていく。太陽光大型から見ましたが、来年度からは木質バイオマスの一万キロワット以上とかというものも入札対象とする。それから、太陽光発電以外にも、認定から運転開始の期限を付けるというような対応をしております。  それから、事業環境整備。これは、規制リバランスといっているのは、規制をある程度、環境問題を起こしているので厳しくするところもあるんだけれども、しかし環境アセスで余りにも長い時間が掛かっているというようなところに関しては少し緩和していく、そういう意味リバランス。  それから、FIT期間終了後、実は家庭用の買取りは十年なものですから、本格的な買取りが始まる前、自公政権時代に決定して二〇〇九年の十一月でしたか、導入した住宅用家庭の買取りが来年終わります。その後、じゃ自立させなきゃいけないというので、その自立支援促進。  それから、洋上風力。ヨーロッパで非常に盛んなんですけれども、日本でも今、だんだんだんだん始まっているんですが、これをどう促進していくか。そういうことに対応した海洋、海域の利用ルール整備とか、そういうものをやっております。  また、FIT期間終了後の自立促進としては、電気自動車とか、あるいはゼロエネルギービルとか、ゼロエネルギー、ZEBとかZEHとか言っていますが、そういうものと組み合わせて自家消費を促進するとか、あるいはVPP、バーチャルパワープラントの電源として活用するというようなことの整備を進めています。  それから、問題は系統制約克服であって、今、日本版コネクト・アンド・マネージということが言われているので、これは次の項目で説明しますが、それとともに接続に伴う費用負担が過大であるとか公平であるとか、そういうことがあるのでそれの見直し。  それから、系統情報開示、公開、そういうことですね。つまり、系統が空いているのにつなげないのはなぜかとか、接続費用、何でこんなに高いのとか、手続遅いね、そういう苦情に対応するということを今やっております。  今注目されているのは、その日本版コネクト・アンド・マネージと言われているものですが、これは、電気というのは瞬時瞬時需給バランスを取らなきゃいけない、こういう電気の特性について理解不足というところもあるんですが、ただ、送配電部門が中立化していくという、今、電力システム改革制度整備がまだ遅れているという側面もあります。  かつては、発電送配電、販売というのが、垂直一貫という言い方をしていましたけれども、電気事業を行っていたわけで、送配電部門整備とか運用というのも電力会社の回線の中で行われていたわけですね。電力会社は、キロワットアワーという電気エネルギーを販売して収入を得ていますけれども、現実には容量であるキロワットとか調整力であるデルタキロワットとか、そういうものを総合調整して電気の質と安定供給を実現していたわけです。  今は、それぞれの市場キロワットアワー市場キロワット市場、デルタキロワット市場調整するというものを準備している段階にあるわけです。ここを認識しておかないと、私は見ていると、無用の誤解であるとかあるいは疑心暗鬼が起こっているというふうに思います。  実際に何をやろうとしているか。これも三つあるんですけど、まず一つ想定潮流合理化というものです。  これは、ここに電源稼働蓋然性評価とか自然変動電源出力評価と書きましたが、今までどうやってきたかというと、接続契約をしている電源は、定格、最大の出力で動くと想定してどれぐらい空いているか、それを配分していたわけですけれども、実は、垂直一貫のときも、空いているところを、今定格で動いていないところが空いていればほかのものを運用していたわけですが、今、そこを分離されたものだからなかなかそれができなくなっているというわけです。だから、どれぐらい電線電気が流れるのかを現実に即して想定をきちんと行って、空きを見付けてそこを接続契約させよう、これが想定潮流合理化です。  二番目は、ちょっとまたニックネームが付いているようですけど、N―一電制と呼んでいます。これは送電線事故時に瞬時電源制限を行って運用容量を拡大しようというものです。ただ、電源制限費用負担の分離をさせなきゃいけないというところがあります。  ちょっと詳しく説明しますと、N―一というルールは、これも瞬時瞬時供給に係っている、どの送電線が一本故障しても停電が回避されて周波数とか電圧が健全に保てると。普通、電線というのは、二回線というか二本通っているんですけど、一本落ちても通せるとなっているから、基本的にこのN―一ルールとなると二回線の場合には五〇%しか流れない。この部分を、しかし、いつも事故が起こるわけじゃないんだから、事故が起こったらリレーで瞬時電源を切ると、そしてその予備として持っていた部分も活用しようというのがN―一電制です。ただ、電源制限された電源というのは販売できなくなるので損をするわけですけど、その損は、しかし、制限された電源だけが持つんじゃなくて損害の負担ルールを決めようと、そこがまだ決まっていないものですから、切られる電源費用負担が一致する場合には来年度からでもやろう、そういう議論を進めています。  それから、あと電源制限された部分、ごめんなさい、ちょっとその次を見てください、時間がないので。ノンファーム接続というのがございます。これは送電容量のそもそも枠を与えないんだけど、空きがあるときは送ってもいいよと、そういう接続です。これもかつての電気事業はやれていたはずなんですけど、今、プレーヤーが分かれたからできなくなりまして、この新規電源接続を、空き容量が存在、与えないんだけども、空いていたら使ってもいいよ。  ただ、この場合、問題になるのは、市場の中でゲートクローズというのがありまして、キロワットアワー取引で一時間前にゲートクローズをする、その後、実はリアルタイムで調整するんですが、ゲートクローズまでに枠を与えちゃうわけです、このノンファームにも。じゃ、そのゲートクローズ後の調整をどうするか、費用負担をどうするか、そういう議論をしているところであります。  以下、私見のところにあるんですけれども、基本的に皆さんの前でまず申し上げたいところは以上でございますので、時間が参りましたので、その残りの部分については、質疑がございましたらその中で御対応したいと思います。  以上でございます。
  7. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) ありがとうございました。  次に、浅野参考人にお願いいたします。浅野参考人
  8. 浅野浩志

    参考人浅野浩志君) 電力中央研究所浅野と申します。  私は、再エネ電源を拡大するために、今ボトルネックになっているのは電源調整力と呼ばれるものなので、その調整力を確保するのに、皆さん聞き慣れないと思うんですが、電気を使うユーザーお客さんが持っているディマンドレスポンス資源をうまく使うことによってできるだけ円滑に系統に再エネ電源をつなげようという話をします。  今、話がありましたように、今実際に普及が進んでいる再エネ電源は、既存の水力に続いて太陽光です。太陽光はCO2を減らせる重要なシステムなんですけど、これは電気需要に合わせて出力をコントロールできません。この欠点を補うのに、電気自動車とか、あるいはお客さんが置いているバッテリーとか給湯器を多数集めると、あたかも電源のように運用して、天気予報が外れても系統運用者調整力を確保できるという、そういう新しいスキームが今実証されつつあります。これを本格的に使うということを今日は御提案したいと思います。  これは、電気を使っているユーザーにとっては、電気自動車使っていないときはその調整力として供給して経済的な価値を得ます。それから、アグリゲーターという新しい需要側資源をかき集める事業者にとっては収入源。それから、たくさん太陽光を持っている再エネ事業者にとっては再エネ出力抑制を避けられる。それから、系統運用者にとっては安定供給を続けるという、言わば誰にとってもウイン・ウインになる解決策なので、これは国民経済的に望ましい。したがって、合理的に太陽光等の再エネ電源を拡大するためにこのディマンドレスポンスを進めましょうという話をいたします。(資料映写)  これは、ディマンドレスポンスというのは、電力側からユーザー価格とかあるいは系統運用状況を信号で伝えて、需要を自ら変えることをいうんですけど、直近では、先月の終わり首都圏で大雪がありまして、暖房需要が非常に増えまして、それから、厳気象対応というんですけど、めったに起きない異常気象のときに電源Ⅰダッシュというのを発動せざるを得なかったんですね。実は、その中に、かき集めた電源以外にネガワットと呼ばれる節電を入れました。この節電を使って初めて東京電力需給バランスを取ったということで、これは実は今年度から始まった調整力の公募の結果の成果であります。  今までは需要に合わせて供給力をつくっていただいたんですけど、今は発電側風力とか太陽光のように変動しますから、その変動に合わせて需要を使いましょうというのがこのアンシラリーサービス型ディマンドレスポンスの原理であります。これはICTの進歩があって、今まではそんなことはマニュアルでできなかったんですけど、自動的にできるようになったということですね。しかも、重要なのは、太陽光がたくさん発電しているときに電気が余るんですけど、その電気を有効に使うために上げのDR、今までは下げる方だけやっていたんです、節電やっていたんですが、需要をつくる方も今からは実用化しましょうということで、今日はそのお話をします。  それはなぜかといいますと、今までは電力需要変動が毎日プラスマイナス三%ぐらいあったんですけど、これに太陽光とか風力変動が上乗せされて、系統運用者が余分に上げたり下げたりする調整力を持たなきゃいけないという状況になっているからなんですね。こういう新しいタイプのDRをやっていく必要があると思います。  DRディマンドレスポンスは、平常時は電力価格を安定化できます。それから、緊急時は停電を避けられます。それから、今日の話の中心であります太陽光等をたくさん入れるときには系統周波数を維持できる。それから、今これも問題になっていますけど、配電系統太陽光をつなげるときに、接続容量に限界があるんですが、太陽光接続を容易にする可能性があります。環境面では、調整力として今使っている石油火力なんかを減らせますので、CO2が減る。それから、これも長期的にDRを使うと基幹系統とか配電系統需要を減らして長期的に流通設備の投資を効率化できるので、これも電気料金の抑制につながるという、こういうメリットがあります。  一方、まだ上げDRとか周波数調整DRは実験段階です。今技術的に実証をして、これからビジネスを行う段階なので、制度をつくる必要があります。これが今日皆さんにお願いしたいことでございます。  それから、そもそもこの需要側の資源を使うということは広くまだ国民に知られておりません。ですので、政府としては、このDRが再エネの普及に役立つということを伝えてDRの普及につなげることが今後の課題と思われます。そのために今、VPP、仮想発電所という新しい考え方を政府の補助事業で実験が始まったところでございます。  今日の一番の目的は、再エネ電源出力抑制を回避できる。実は、次の図で説明しますが、九州電力管内、離島では既に太陽光出力抑制を行っています。次は本土でいつ起きるかということなんですけど、せっかく作った太陽光出力抑制するのはもったいないですから、これを下げるために太陽光の余っている電気を充電したり、お湯を沸かす、こういった実験を今行っているところであります。  今一番進んでいる実験は、今月始まったところなんですが、関西電力と日産が日産の電気自動車を使って遠隔で六十台の電気自動車の充電試験をやっています。これで実際に、本来走るためにある電気自動車をこういう再エネ普及に使えるかどうかという実験を今行っている段階であります。ただ、制度化はこれからなので、今日のお話を踏まえて制度化に進めていっていただきたいと思っています。  今、足下で起きている問題は、昼間たくさん太陽光発電して、しかも電力需要の少ないゴールデンウイークとか秋に、火力発電所はこれ以上絞り切れないとか、揚水を目いっぱい使って太陽光電気を使い切れないと、長周期の変動に対して何か対策をしなくてはいけない。それから、特に夕方急に、お日様が沈んでから電力需要が増えるんですけど、この時間帯に天気予報が外れると、太陽光出力が予測どおりないと、急に火力をたきますとか、そういう系統運用の難しさがあるので、このときに、いざというときには分散型電源とか分散型の蓄電池、こういった需要側資源が使えないかということが今日の話の中心になります。  先ほどありましたように、今、来年の終わりから住宅用太陽光のうち百二十万キロワットぐらいがFIT切れになりまして、そうすると、電力会社に引き取ってもらうよりは自分で使った方が安いので、蓄電池を買うインセンティブが湧きます。そうすると、蓄電池は二十四時間ずっと充電したり放電しているわけではないので、こういう太陽光が余っているときに充電してもらうことをアグリゲーターが指令するとうまく太陽光電気を活用することができます。  今までは、ネガワットと言いまして、大雪が降ったときに、需給バランスを取るための、右側にあったような伝統的なディマンドレスポンスをやっていたんですけど、これからは、左から二番目にあるアンシラリーサービス型、系統運用を円滑にするためのサービスにこの上げDRとかが使えないかということになっています。実際、我が国に先立ちまして、フランスとかアメリカの一部ではこういったものが市場として成立しております。  先ほど申し上げましたように、今、国の実証試験でVPPを行っていますが、実際にどういったところでそういう資源があるかと申し上げますと、実際には工場の自家発とかこういう建物の空調というのが一番有望です。そういう大きな需要家は自分でエネルギーマネジメントシステムを持っていますので、きめ細かくコントロールしていますので、そこに電力会社からディマンドレスポンスの信号をDRサーバーを通じて打つことによって需要が自動的にコントロールされます。  実際に、国のネガワット実証試験に基づいて、我々が、じゃ全国でどれだけこういった需要側の資源があるかということを推定しています。その中でやっぱり大きいのは、この青い部分の建物の空調です。これは夏とか冬しかないかと思われるかもしれませんが、実は、商店とかこういうビルは中間期も空調を使っていますので、年間を通じてこういう資源として使います。あとは工場にある自家発ですね、これもコントロールできますので、こういった分を足すと、日本全体で、今の日本全体で使っている電気の九%ぐらいは技術的なポテンシャルはあるので、この中で経済性のあるものを使えば十分再エネ資源に使えるということが分かっています。  今、国の実証試験というお話をしましたが、例えば豊田市では、再生可能エネルギーの地産地消を目指して、中部電力と協力して産業用、家庭用、業務用、あらゆる分野の需要家リソースをかき集めて、今のところ数百キロワットなんですけど、このディマンドレスポンスの試験を行って地産地消ができるかという試験を今年度からスタートをしているところです。一番進んでいるのは、実は、次、配電レベルで混雑が起きているんですけど、そこも潮流制御をすることによって太陽光をうまくつなげる、そういった試験も来年度始める予定でございます。  じゃ、これから太陽光とか風力をたくさん連系するために我々はどんな準備をしなくちゃいけないかというのを、将来の柔軟性とか調整力資源構成を事前に評価するモデルを我々は開発しています。実際に、今は系統運用者は火力発電所とか水力発電所でこの調整力を確保しているんですけど、将来は御家庭で使う給湯器、今は夜間お湯を沸かしてタンクにためているんですが、これを昼間太陽光電気でお湯を沸かして夕方使う、あるいは業務用空調の設定温度を変えることによって調整力を賄う、あるいは蓄電池を使う、こういったことで今より安く調整力を供給できる可能性があるということであります。まあ、これは将来の話ですね。  今、足下で行っていることは、先ほどの話で、電気事業者の機能を三つに分けて、今、一般送配電事業者という事業調整力を公募しています。これは実は今年度から始まった制度でございまして、これで実際に、今までは自分の電源だけを使っていたんですけど、ネガワットという、節電ネガワット事業者から調達しまして、実際に厳しい基調になったらこれを発動したということです。  次の段階は、二〇二〇年に、政府は需給調整市場で、これ一年に一回公募するだけじゃなくて、市場を開けてネガワット事業者がその調整力を供給できる、要するにお金の価値が付く市場を今つくる準備をしている段階でございます。  アメリカの一部とかヨーロッパの一部では、電気の最大需要の数%をこの需要側の資源で、要するに火力発電所とか水力発電所と同等に契約をしているという実態がありまして、日本目標はこれを二〇三〇年ぐらいまでにこのディマンドレスポンス資源を六%とか九%に持っていくという計画を持っています。  それは、同じく政府の資料によりますと、実際に御家庭にあるHEMS、ホームエネルギーマネジメントシステム、あるいはこういうビルに入っているエネルギー管理、工場のエネルギー管理、あるいは電気自動車、プラグインハイブリッド、こういったものを系統側と双方向でつなげると相当大きなポテンシャルがあって、その中の一割でも調整力で使えれば、千三百万キロワットなので、国全体の電力需要の一〇%弱ぐらいはポテンシャルがあるのでさっきの目標は十分実現可能ということなので、今からそういった制度を進めることが重要だと思います。  まとめますと、国としてこれから再エネをできるだけ合理的に連系して調整力を賄っていくためには、まず、安価な資源であるディマンドレスポンス資源を使うこと、それから、実は再エネ電気だけではなくて熱あるいは自動車の燃料としても使えますので、電気を熱に変換するヒートポンプだとかエネルギー貯蔵、水素、あるいは電気自動車、これを組み込んだ次のエネルギーシステムを組み込む方向で低炭素なエネルギーシステムに行くというのが大きな方向性だと思います。  具体的な制度の話ですと、既存のリソースをたくさん使うために、国のエネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス検討会で、例えば蓄電池の計量には今計量法が必要で非常にお金が掛かっていますから、計量法に基づいて今までどおり計量するのか、もっと簡便な方法でできるかという実務的な検討を行います。あと、先ほど、上げのDR、下げのDRとして自家発が使えると言いましたが、自家発には今再エネ賦課金は掛かっていないので、まあ安い燃料費なので、それをやめて電力会社から電気を買うというのは今のところインセンティブにはなっていないので、このFITの方の改正も必要だと思われます。  最後に申し上げたいのは、こういう需要側の資源というのは全ての電気ユーザーが供給できる可能性がありますので、まず、こういうことができるということを国民に広くアピールするために情報提供する。それから、再エネの賦存状況とかそれから需要の構造も地域によって違いますので、地域ごとにきめ細かく、どういった資源が使えるか、後ほど新電力の取組もあると思いますけど、地域ごとに再エネを増やすために需要側資源をどう使うかということを国として支援していただきたい。  それから、グローバルな観点からいいますと、電気の国際的な標準化団体であるIECでは、日本が主導して今このリソースアグリゲーションに関する国際標準策定の準備を行っています。こういったことを日本が先駆けて進めることによって、我が国のこの分野の技術の優位性とかあるいは産業力の競争力の強化につなげていく機会になろうかと思います。  以上で私の意見陳述を終わります。ありがとうございました。
  9. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) ありがとうございました。  次に、磯部参考人にお願いいたします。磯部参考人
  10. 磯部達

    参考人磯部達君) 福岡県みやま市から参りました磯部でございます。  お手元に自治体エネルギー会社が進める地方創生というタイトルの資料をお配りしておりますので、配っていただいておりますので、これに従って御説明をさせていただきます。  私たちは、福岡県みやま市が過半数を出資する地域のエネルギー会社です。地域にある再生可能エネルギーをできるだけ活用し、あるいは、これからも住民、市民の方と再生可能エネルギーを使いつつ、地域の中で電力の売買というエネルギーを循環させることによってその収益を地域課題の解決につなげていこうという趣旨であります。  したがって、電力会社のように電力の売買によるROEの最大化、株式会社としての価値の最大化ではなくて、その収益をいかに地域の中に還元して、そこに住みやすい、そこに住み続けられるような地域をいかにつくっていくか。その地域の課題というのは様々です。高齢化の課題、あるいは子育ての要求、あるいは健康づくり、様々なんですけれども、それぞれの地域の優先課題に従った形でその収益を活用していく、それによってエネルギー事業による地方創生を進めていくということで今活動をしております。  一ページ目ですけれども、多くの地方自治体が人口減少あるいは高齢化、それによる活力減退に直面をしております。安定した雇用を維持し、あるいは若い世代の希望をかなえるためにいかに行政がいろんなサービスを提供していくかということで日々活動しておられるわけですけれども、その中で、エネルギーを基盤にしたエネルギーの地域資源というのを有効に活用できる地域がたくさんあります。実は、そうした埋もれているエネルギーを使って地域の活性化をしていくということです。  再生可能エネルギーの普及にもつながりますし、経済の循環という視点でいうと、例えば、みやま市は人口三万八千人ちょっとの非常に小さな町ですけれども、およそ電気代が年間四十億円から五十億円ぐらいかと推定をしております。その中で、大学の先生におよそ全国のマーケットを聞いておりますと、電気代の中のおよそ半分ぐらいは発電所のメンテナンスですとか電線とか電柱の交換、メンテナンス費用に使われて、残りの半分のうち、日本の場合は電力の自給自足率が六%と、ほとんどは海外に、その電力をつくるための資源を海外から求めなきゃいけませんので、九四%は実は地域の電力会社を通じて資源を海外に求めてキャッシュアウトしているということを考えると、およそ五十億円のみやま市の電気代のうち二十億円ぐらいは地元九州電力を通じて海外から資源を買ってきて、それを燃焼させて化石燃料として電力をつくり出して供給をしていると。この二十億円を、実は地域の中の再生可能エネルギーを余すところなく活用できる形になれば、海外にわざわざ流出させることはないんじゃないか、それによる地域活性化の効果というのは一定規模で考えられるのではないかということも一つの考え方です。  幸い、制度が大きく改正をいただきまして、電力の小売自由化が認められ、新規の電力事業者である私たちのような会社がその地域の貢献を目的として活動できるようになりました。しかも、その電力の料金ですとかメニューみたいなものは、その地域の特性に合わせて作ることができる、交渉で決定することができるという現状でございます。  三ページですけれども、政府の目的は、電気料金を低減させてより消費者に多くの選択肢を与える、サービスのメニューの提供を与えることができるということにするということなんですけど、実は、最後に御説明いたしますけれども、こうした電力の自由化によって、地域地域が地域の知恵で事業を進めることによって新しいビジネスチャンスを生むことができているということが、イノベーションが生まれる環境が地域に存在をしているということが挙げられると思います。  五ページを御覧ください。  我々のビジネスモデルを単純化すると、地域の中にある太陽光発電、あるいは小水力、あるいは自治体が所有しているクリーンセンター、ごみ発電所のような電力を地域のために活用する、電力の売買を地域の住民、市民あるいは地域の企業に対して提供する、その利益を、その収益を更にその地域を良くするための市民サービスあるいは産業振興に使っていくという目的で、こうしたモデルをみやま市が少し先行的に始めさせていただきましたけど、今、多くの自治体さんから、このモデルのような形で地方創生を進めていきたいという御相談をいただいておりまして、こうした地域再生可能エネルギーを活用した地方創生の在り方をこれから日本の中で定着していけるようになればということでございます。  六ページですけれども、私たちの基本的な考えは、今申し上げましたように、地域の中に再生可能エネルギーを循環させて電力を販売する、その収益をもって市民へのサービスを行っていく、地産地消の産業振興に充てていくということであります。  七ページを飛ばして、次、八ページ目でございます。  こうした市が保有するメガソーラーがございました。元々、東京の事業者に土地を貸して、そこで電力の収益、土地の収益を上げていこうという考えもあったようですけれども、市長は、地元のために、地元の人たちと一緒にこの再生可能エネルギーをつくり、地元のために使っていこうということで、市内の商工会議所のメンバーに声を掛けて、市役所が筆頭株主になって発電所を造りました。今、この電力は私たちが地域のために使っています。  一方で、実は、私たちの調達電力の最大のボリュームはこの左の住宅の屋根に付いている太陽光で、おうちで消費された自家消費の残りの余剰電力をたくさんの方々から調達をして買い集めて、FITという制度で九州電力に今までは売っていらっしゃいますけれども、それを地域のためにということで私たちがお声掛けをして買い集めて、それを地域の市民の方々に更に循環をさせていくということで、地域の住民、市民とともに再生可能エネルギーをその地域の中で使いこなしていくという活動をしています。  一方で、そうした地域エネルギーの取組とともに、九ページですけれども、今ちょうど、人口減少に伴って小学校の統廃合を幾つか進めておりますけれども、その跡地を利用したバイオマスのプラントの建設を今ちょうどしているところで、この秋に完成予定でございます。  生ごみや食物残渣やあるいはし尿といったものを集めて、市民の方々のそうした生活そのものの資源をメタン発酵させて堆肥にして、液肥にして、それをまた農家、農民の方に配ってお米、果物、野菜を作っていただき、それをまた市民の方々が口にし、残渣を処理をして液肥にする、堆肥にするというような資源循環の町化、こうした取組もエネルギーとともに進めていこうということで、今行っているところでございます。  ということで、十ページにありますように、我々は、行政が五五%を出資して、市民のために電力及びサービスを供給する会社として設立をいたしました。  十一ページですけれども、御覧のように、みやま市の人口統計が出ていますけれども、毎年五百人ずつ人口が減少しています。二百人が社会減、三百人が自然減ということで、社会減と言われる、子供たちが結婚だとか就職を機にみやま市から出ていってそのまま帰ってこない。それによって高齢化が進み、独り暮らしの方々が非常に増えてきて、若者が流出することによって地域が疲弊をすると。これは地方に共通した課題だと思います。  そうした地域の課題を市民とともに、何とかこの町をもう一回元気にするためにどうしたらいいんだろうということを、市民のアイデアとともに、この電力の収益基盤をもって地域課題を解決をしていくということで、十二ページですけれども、輸入に頼らずに自給自足を目指して、可能な限り、徐々にですけれども、長期目標を定めて、目標値としては再生可能エネルギー一〇〇%の地域を目指していこうということです。そして、市内で雇用を増やして経済を活性化して、高齢者にも働く機会をつくり、そして、みやまにずっと住み続けたいと思っていただけるような若い世代をつくり上げていくという、元気な町をつくっていくためにこの再生可能エネルギーを活用しているということでございます。  私たちの会社の資本構成は、十三ページにありますように、みやま市が五五%、地元の地銀さん、筑邦銀行さんが五%、そして、みやま市に本社がある民間企業みやまパワーホールディングスの三者で構成をしております。私が代表を務めておりますが、みやま市の市長、筑邦銀行の役員、みやまパワーホールディングスの会長がそれぞれ私たちの取締役に入っていただいて、四者で構成をしていると。  そうしたエネルギーの収益の使い道ですけれども、次の十四ページ、こうした一例として、タブレットを配っております。その中には、行政として市民に直接届けたいお知らせ情報、防犯とか防災とか、あるいは、こうした寒い季節ですから水道管の凍結の防止みたいな呼びかけを、タブレットを通じて私たちが行政と連携をしながら情報配信をしています。  それと、このみやま横丁という紫色のボタンですけれども、ヤフーとか楽天とかアマゾンとかというような普通のインターネットのショッピングサイトと同じなんですが、違うところは、みやま市の商工会に加盟している地元の商店でお買物ができ、地元でお金を落としていって地元で経済を回していこうという目的で、電力の御契約をいただいた方にポイントを付けて、そのポイントでお買物をしていただくということで、我々の社員が集荷をして配達をしています。配達をするときに、御高齢の御利用でしたら、ちょっとお声掛けをして見守りの目になったり、それと、見守りサービスというのは、電力データを利活用した、ふだんと違う電気の使い方を私たちが把握をして、そのことでお年寄りの安否を見守る、あるいは子供が帰ってきたときの状態、情報を働くお父さんやお母さんに知らせるというようなことをしています。  それ以外に、比較的やはり高齢化率が進んでおりますので、高齢者に優しい町づくり、何とかして行政の福祉サービスだけでは手が届かないようなところを私たちがカバーをして、より安心、安全に暮らしていただけるような地域づくりをしていこうという活動でございます。  十五ページは、その一環として、この写真の真ん中にあるのが私たちの本社ですけれども、地域の中で六次産業化、農業就業人口率が六〇%の本当に穏やかな農業地帯ですけれども、新鮮な野菜や果物を通じて、ジャムにしたりジュースにしたりというような加工品を市民とともに作り出していこうというスペースのためにコミュニティースペースをつくりました。  そのコミュニティースペースでは、高齢者のタブレット教室ですとか子供たちの環境学習の場ですとか月に一回ぐらいはコンサートを開いたりとか、地域の方々が集まって、そこで様々な意見交換をしたり課題を認識したり、そしてこの町づくり、この町をどうしたらもっと元気な町にしていけるのかというようなことを、コミュニティーのスペースとしてもこの電力の収益を活用しながら地域の拠点としております。  実は、電力の売買というのは非常に技術的に難しいと言われているんですけれども、私たちは、今、グループ全体で五十数名、この二年ちょっとで五十名の雇用をしております。地元ばかりです。全て内作をして、システム導入からシステムのオペレーションから、東京とは限りませんけれども、大阪や東京の企業に頼らずに全て地元の人たちで運営をしているということで、地域の課題解決につながるような取組を今行っているところでございます。  一つ、最後に、十八ページですけれども、実は電力というのは目に見えないのでなかなか分かりづらいところはあるんですけれども、家電ごとに電力波形が違いますので、エアコンが黄色、例えば冷蔵庫が赤、照明が緑というように、全ての家電ごとに色分けができます。そうした部屋ごと、家電ごとの電気の使い方を我々が電力データを分析することによって、もっとあなたの御家庭だったらこういう行動をすれば省エネルギーにつながりますよ、CO2削減につながりますよというようなメッセージの配信ができます。それを今、環境省の委託事業で進めておりまして、これちょうど一年間二百世帯の方々からデータをいただきまして、今その効果の御報告を環境省に対してする予定でございます。  そうした地域全体のCO2削減だけではなくて、例えば地域のイノベーション、ビジネスとして考えたときには、家電ごとの買換え提案ですとかエコリフォームの提案ですとか、先ほどから山地先生や、御報告がございましたけれども、例えばエコキュートを買い換えたらどうですかというような単なる商品の提案ではなくて、個別具体的な、その御家庭の電気の使い方に合った御提案を我々が地域の家電店、地域の工務店とともに提案をすることによって地域が更に元気になっていくという、経済活動が進んでいくというようなことで、電力データを利活用しながら地域を元気にするという方法としては非常にいろんなことがこれから考えられるのではないかなと思います。  最後に、二十ページですけれども、行政が関与する意味や必要性というのが非常に大きいと思っておりますので、こうした公的サービスを提供して、地域の中で持続可能な経営を地方自治体とともに考えていくということがこれから非常に重要になってくるのではないかなというように思っております。  以上で私の意見陳述を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  11. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) ありがとうございました。  次に、諸富参考人にお願いいたします。諸富参考人
  12. 諸富徹

    参考人諸富徹君) 京都大学の諸富でございます。よろしくお願いいたします。  私の方からは、再生可能エネルギーの現状と課題と題してお話をさせていただきたいと思います。このような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。(資料映写)  さて、最初ですけれども、私、実は欧州に調査に行ってまいりまして、その話から始めさせていただきたいと思いますが、これ、今スライドに示しておりますように、ノルウェー、それからデンマーク、ドイツ、これらはいずれも再生可能エネルギーの比率がかなり高い国々でありまして、一〇〇%、六〇%、そして三五%という形でかなり大きな比率になっております。  これらの国々を調査して回って非常に印象的だった一つは、再生可能エネルギーを大量に導入するに当たって非常に大事なことは、系統全体で言わばのみ込む、再生可能エネルギーは確かに変動電源ではございますが、これを系統でのみ込む、つまり電力融通を広域で積極的に行うことを通じて再生可能エネルギー大量導入を可能にしているということであります。  それから、もう一つ大変印象的でしたのは、送電会社ですけれども、発送電分離後、日本も二〇年に予定されておりますけれども、以前は再生可能エネルギーに対して非常に消極的ではあったんですけれども、送電会社として自立いたしますと、やっぱり自らの収入を最大化していく上でも再生可能エネルギーを積極的に受け入れて、そしてそれを、送電サービスを実施していくことによって収入を最大化していこうという行動に変わってきているということであります。  そして、以前は自社の中で電力需給を一致させるようにしていたんですけれども、それよりは、やはりドイツ全土でやる方がより効率的でありますし、それから、現在はさらにENTSO―Eというプロジェクトが動いておりまして、全欧州的な送電会社のネットワーク化、そして系統建設、汎欧州的な電力やり取りをするための系統建設、それからコード、共通コードですね、電力をやり取りするための共通コードのルール形成、こういったところへ突き進んでいるということは非常に印象的でございました。  ただ一方で、再生可能エネルギーがこれだけ入ってきますと、系統による負荷も掛かってまいります。具体的には系統混雑それからループフローという形でして、ドイツの南に電気を送るために、実はドイツの系統容量がいっぱいになってきておりまして、東欧だとかベルギー、フランスをぐるっと迂回して南ドイツに電気を送るというようなことが起きていて、他国からやはり批判をされているというようなこともございます。こういった辺りから、現在、次のスライドにございますような形で、系統建設を南北でどうやって進めていくかというのがドイツの一大課題になっております。  こういった課題もありますが、非常にあと印象的だったのは、発送電分離後の送電網については、やはり公益性、公共性、中立性、そしてさらに透明性といったところがキーワードになりまして、既存の電源と新規参入する新しい再エネ電源との機会競争の均等化ということがかなりきっちりとルール化されているということも非常によく分かりました。  このようなことを見た上で、日本の現在の再エネの課題ということですけれども、一つは、山地先生からも御指摘のあった費用の膨張問題ということが確かにございます。こちらにございますように、再エネというのは、FIT導入以降、大変な勢いで伸びてきている。これは大変すばらしいことでございますが、一方で、このような、スライドにございますように、買取り費用がどんどんと膨らんできている。これは、再エネの増大に伴って必然的に起きてくることではございます。ただ、これをどうしていくかということは大きな課題になっています。ただ、それに伴って急速に再エネの買取り価格については引き下げられてきております。  他方で、これも山地先生から御説明のあったところですけれども、今、やはり再エネ事業にとって最大の課題は系統容量の制約の問題でございます。公開データにこういうふうにありますように、次々と電力会社において系統容量がもうゼロであると。ここに、例えば事例で赤でくくってあるようなところは系統容量がもうゼロになっていくということを示しているわけですが、こういったところから、接続したくても接続電力会社に断られる、あるいは接続が可能であるとしても系統増強が必要であり、そのために相当な金額の負担金を求められて、それを負担すると全く事業採算性が見通しが立たなくなってしまうというような事例が相次いでおります。  私が支援しておりました長野県の飯田市のいわゆる限界集落における小水力発電事業につきましても、ほぼ詳細設計まで来たところで中部電力とやはり接続の協議を行いましたところ、駄目だと、接続できない、系統容量がもういっぱいだというふうに言われまして、仮に設備増強をやる場合には十九億円が必要であると言われました。しかも、その工事に七年間掛かるので接続できるのは八年目からであるということを言われて、ほぼもう事業としては絶望的な状況に陥っているわけでございます。こういったことが全国各地で起きてきております。  この系統容量ゼロ問題をどう考えるかということなんですけれども、実は私たち京都大学では、京都大学再生可能エネルギー経済学講座という講座を設けておりまして、そこでこの容量問題について調査研究をしようということでやっております。特に、特任教授の安田陽教授を中心調査をしてまいりました。  その結果、ちょっと、こちらは公開情報ですけれども、実は空き容量がある、つまり表ではゼロというふうに言っているんですが、実際には空き容量があるということが分かってまいりました。  例えば、調査対象となった東北電力系統を図に示しております。例えばここの十和田幹線というところを一つ事例に取ってみましても、ブルーで真ん中の方に線のように書いてあります、これが実際に使っている容量でございまして、空き容量という形で赤で示しているところは実際には利用されていないことを示しております。次のスライドでは大体利用率が何%なのかということを算出しておりますけれども、それで、最大でも一八・二%、一桁のケースも多いということになっております。北海道に関しても調査しましたところ、ほぼ同じような結果が出てまいりました。  というわけで、実は、系統容量いっぱいで、もはや再生可能エネルギーの受け入れる余地はないということで全国の再生可能エネ事業者が諦めてきている状況だったわけですけれども、実はそうではないということが判明してまいりました。  これについては、実は先月末、大きなシンポジウムを東京の大手町で行いましたところ、立ち見の出る盛況でございまして、そこで資源エネルギー庁の新エネ課の山崎課長にも御登壇いただきましたし、それから東北電力、東京電力からも系統の責任者の方々に御登壇をいただきました。その中で議論した結果、やはり何らかの形で解決の方策を見出していく必要があるということでほぼ一致をできたかと思います。その中で、山地先生も御指摘になった日本版コネクト・アンド・マネージというような方向性、これは議論が出てきたことは大変私たちも高く評価をさせていただきたいと思っております。  また、これまでなぜこのような問題が起きてきたかの根本原因には、先着優先のルールということで、長期的には十年先まで系統を押さえることができるというルールですね。実際には当日使わないことがあっても系統を押さえることができる、こういったルール系統利用の在り方自体を見直していくこと、これがまず非常に大事なポイントだというふうに思います。  それからもう一つ系統増強というふうに書きましたが、それでその系統が、まず日本状況というのは、ドイツとは異なって、既に空いていることが判明してきた系統をうまく使うことでかなり再生可能エネルギーが入るというふうに思います。  ただ、それでもいっぱいになってきた場合には、増強投資というものが必要になります。増強投資になった場合に次に問題になってくるのは、その費用負担の在り方でございます。現在のところ、既に先ほど事例のケースで申しましたように、主として再生可能エネルギーが入ってくることに伴って系統の増強工事が必要になった場合は、その費用負担はかなりの程度を再生可能エネルギー事業者の方に負担を求められてくることになります。  ところが、例えばドイツを中心とする欧州におきましては、一旦送電会社が負担をいたしまして、これは受益者負担ルールと呼ばれておりますけれども、電力の利用者が広く薄く負担をしていく、つまり電力料金に転嫁をされていくということになります。こうすることによって、新規で系統に入ってくる、新たに電気事業に参入してくる事業者と既存事業者の間での費用負担の公平性が図られる、そして競争促進的になるという利点がございます。  そういう意味で、系統というものをどういうふうにこれから考えていくか、送電網をどのようにして考えていくかということは、これからの電力システム日本における電力システムの在り方を考える上で決定的に重要なポイントだというふうに考えます。  電力システム改革が進展しておりますけれども、今お示ししています図にございますように、送電部門、以前、これまでは、あるいは現在も、上にあります電源発電部門、それから送電部門、配電部門、そして一番下に小売、需要家というふうになっていくわけですけれども、これらが今までは電力会社の中で発電、送電、配電、小売、一体化していたわけですけれども、電力システム改革の精神というのは、このうち送電部門を切り出しまして分離した上で中立化を図っていくということだというふうに思います。  その意味では、既存電源、ピンクで塗っておりますけれども、それから新規電源、緑で塗っておりますけれども、こういった事業者が送電部門に対して中立的に、また競争条件も均等化をしていく、これがこれから目指されるべき競争ルールだというふうに考えております。そういう意味では、ここに細かく書いておりますが、系統利用ルールをこういった競争条件の均等化という方向に向けて議論していくことが非常に重要ではないかというふうに思います。  また、系統容量の計算に当たっても、計画潮流で行うのではなくて、いわゆる実潮流、実際にどれだけの電気系統が流れているのかというデータをきっちり取った上で、それに基づいて幾ら空き容量があるのかということを見ていく。これは、ほぼ今、国際的なスタンダードになってきております。  それから、費用負担ルールに関しても、今、繰り返しになりますが、受益者負担原則に基づいて、なるべく受益者負担に基づいて電力利用者が薄く広く負担するという方向へ転換していくことが私は望ましいというふうに考えております。  なぜそういうふうな方向に向かっていくのが望ましいのかということについて、例えばこれはメリットオーダーということになりますが、やはり再生可能エネルギーを大量に入れていくことというのは、私自身は、国家的に見て非常に重要な課題であり、国益にかなうというふうに考えています。  ここに緑に書いておりますが、再生可能エネルギーは基本的には燃料費というものが掛かりません。一旦、設備が建ってしまいますと、ほとんど限界費用はゼロで入ってくる電源であります。これを利用しない手はないんではないか。そして、原発のような事故リスクもございませんし、石炭火力のように大量にCO2を排出するわけでもございません。そして、何よりも、国産の資源でありますので、いわゆる所得や富の海外流出というものを防ぐことができる、これも大きな利点でございます。ですので、むしろ再生可能エネルギーを積極的に国家戦略として資源開発していくという姿勢があってもよろしいのではないかなというふうに思います。  最後に、今のようなお話の言わばバックデータとして、今先行しているドイツでどうなっているかということをお話しして閉じさせていただきたいと思います。  現在、ドイツにおきましては、再生可能エネルギー比率が二〇一七年実績で三六・一%まで参りました。この実は三五%目標というのは二〇二〇年に達成することを予定されていたものですので、前倒しでドイツは再エネが増えて、目標達成がなされているということであります。  それから、賦課金。これは現在、日本で大変問題になっているところですが、ドイツは実は、この絵にございますように、賦課金が二〇二三年にピークを打って、その後、賦課金負担というのは減少に転じるということがほぼ明らかになってきております。  これはなぜこうなるのかということなんですが、再エネ自体はどんどん増えております。しかし、かつて高い買取り価格を適用された電源が徐々に、二十年を経て買取りを終わっていきます。ですので、いわゆる高い負担をもたらす再エネ電源が外れていきますので、再エネが増えても徐々に負担は減っていくというフェーズに入っていくということでございます。  実は、日本は、これ、今右肩上がりの、負担が右肩上がりの局面にいるので大変だ大変だと言っているんですが、二十年で高いものは切れていきますので、この大変胸突き八丁のような負担の増加のピークを超えていけるかどうか、この時期を、そしてまた国民に対してそういう負担の説得をできるかどうかという辺りに鍵があるのかなというふうに考えております。未来永劫の負担増ではないということでございます。  その背景には、ここにございますように、非常に大きく低下したやっぱり再エネコストがございます。そして、実は再エネ供給が増えているために、卸電力市場の料金、電力価格というのはどんどん下がってきております。そして、こちら欧州における電力価格ですが、ノードプールといいまして、北欧に次いでドイツは低い水準になっておりますし、何と、ドイツは原発をゼロにしていくと隣のフランスから原発の電気を輸入することになるんだろうと言われていたんですが、実は現在、ネット、純の輸出国、あらゆる領域に対して、国に対して輸出国になっております。  将来ですけれども、シミュレーションによりますと、ドイツのこの絵は再生可能エネルギーでこれから増やしてやっていった場合のコストから既存電源でやっていった場合のコストを引いたものでございます。再生可能エネルギーが増えると、純粋にコスト増の期間がしばらく続いていきます。ところが、二〇二一年以降、そして特に二〇三一年以降に入りますと、再エネが既存電源を大きく下回ってコストが下がってまいりますので、国民負担は大幅に減少すると。つまり、再エネに依存していく方がかえって国民経済的には有利な状況になっていくということがはっきりしてきております。  これは再生可能エネルギーの受入れの状況を示しておりまして、再生可能エネルギーが増えた場合には既存電源出力を絞ることによって再生可能エネルギーを受け入れている状況でございます。  これは、場合によっては卸電力市場でマイナスの価格が付いているということを示しておりまして、これは必ずしも怖いことでなくて、ある意味でマーケットが非常に柔軟に機能しているということを示しております。  これで最後の二枚ですが、実は再エネが増えたときにはこうやって価格が、水色になっておりますが、下がっております。このときにどういう状況になっているかというと、実は既存の電源出力を落としている。これは原発や石炭、その他既存電源で、いわゆるベースロード電源と言われるものも再エネが増えたときには下がるというような調整をして、そして再エネを受け入れているということがございます。  以上のような形で再生可能エネルギーが増えてきている状況で、こちらに示しておるのはコストが抑えられているということ、それから、電力停電日数については、一番右上ですけれども、むしろ下がる傾向にある。再エネの増加とともにむしろ電力の安定性は高まっているということが示されているということでございます。  このような形で、再エネは二〇一一年を境に投資額がむしろ既存の電源を逆転して増えてきているというのが世界の状況でございます。  最後に、メッセージとしましては、再エネ産業はもう幼稚産業段階から徐々に成長産業に移りつつある、そして、いずれ電力網のデジタル化というのが進むと思いますし、インダストリー四・〇と言われるものと融合していき新産業が生まれてくるということが見えてきております。そういう意味では、日本の国益という観点からも、こういった再エネの進展を見ながら電力システムの在り方を考えていく必要があるのではないかということで、終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  13. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。  質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから着席のまま御発言いただくようお願いいたします。  また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくようお願いいたします。  なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるよう御協力をお願いいたします。  それでは、質疑のある方は挙手を願います。  藤木眞也君
  14. 藤木眞也

    ○藤木眞也君 ありがとうございます。自由民主党の藤木眞也と申します。  四名の参考人の方には、今日は貴重なお話を聞かせていただきまして、大変ありがとうございました。  私も、個人でありますけれども太陽光発電をやっていて、ちょうど今、九州電力の方からピークカットのパワコンに替えろと言われて、何か納得ができないんですけれども、機械を替えさせていただいているという中で、今日、それぞれの皆さん方からの話の中でも、そういうやはり電気がなかなかうまく連結できていないというようなお話も聞かせていただいて、なるほどなというふうに思わせていただくことが多々ございました。  そういう中でありますけれども、エネルギー政策を考える上での最も重要なキーワードは、安定供給ではないかと考えます。ただ、これは電力の供給という面だけでなく、環境配慮や産業発展など多面的に考えていかなければいけない問題かなというふうに思ってございます。  そこで、それぞれの参考人の方にお伺いしたいわけですが、再生可能エネルギーに関してお話があった中でも、太陽光中心に近年急速に取組が進んできたというふうに思っております。そうした反面、設置が個々の個人や事業者単位で進み、全体としての効果や利活用など中長期的な視野に立つと今後のビジョンがどうなるのかという面では大変不安な面もございます。  この再生可能エネルギーを安定的に供給していくには国内で消費されるエネルギーの約何%くらいを目標にしていくべきなのか、今後三十年後の目標を四人の参考人の方々の御所見を聞かせていただければというふうに思います。
  15. 山地憲治

    参考人山地憲治君) 今後、三十年後の再エネ目標について聞かれたというふうに認識しておりますけれども、まず、先ほどちょっと私の発言の中でも申し上げましたけど、今改定の審議中ですけど、今のエネルギー基本計画で二〇三〇年に二二から二四%の再エネ電源比率を目指すと、現状一五・三%来ているということですよね。それを踏まえて、三十年後というお話でございますよね。  私は、その再エネの中の構成の問題があると思います。それは、太陽光とか風力のように自然変動性を持つ再エネもあれば、バイオマスとか中小水力とか地熱のように、特にバイオマスは一般の火力のように出力調整もできるわけで、そういうものの全体の構成を見ないと再エネ全体で幾らかということはなかなか申し上げにくいと思います。  ただ、大ざっぱな私の感覚としては、それは地域によってそれぞれ違うでしょうけど、四〇%程度までは行けるんではないかと思います。ただ、その中には、再エネの、さっき言った自然変動性のものは一定程度抑えるということと、先ほど、お隣の浅野参考人が述べましたディマンドレスポンスというような需要側の調整もちゃんと使うと、そういうことが前提になるかと思います。ただ、これはもう全く感覚の問題でございますので、きちんと研究者として検討したというわけではございません。
  16. 浅野浩志

    参考人浅野浩志君) 私もなかなか定量的なことは申し上げにくいんですが、ちょうど三十年後は、温暖化の中期の目標が二〇五〇年なので、ほぼそれに近いんですけど、一応計算をすると、半分ぐらいは再エネにしないとその目標を達成できないので、四〇ないし五〇%ぐらいは目指すべきだというふうに思います。  ただ、私が最後に申し上げましたように、今余りにも電力利用に偏っているので、再エネを直接熱で使うとか、あるいは車の燃料で使うとか、多様化することによって電気だけでのみ込めない分は広げていく可能性があろうかと思っています。  以上でございます。
  17. 磯部達

    参考人磯部達君) 私も今、山地先生、浅野先生がおっしゃられた四〇%、五〇%ぐらいかなと思うんですけれども、我々の会社の実態からしますと、およそ半分ちょっとぐらいのときがあります。そういう意味では、五〇%ぐらいと今先生方がおっしゃった数字を目標にするのは一つの基準なのかなと思います。  ただ、我々のような田舎は、夜の使用量、極端に減ったり、あるいは土曜日、日曜日の電気の使用量ってがくっと減ったりしますので、分母をどういう形で置くのかによってその目標設定の割合というのは変わってくるかと思います。もう都会と田舎じゃもう全く構図が違うと思いますので、そういった意味で、半分ぐらいが利用ができたらなと思います。  ただ、途中、浅野先生がおっしゃったように、太陽光を昼間いかに活用するのかということがまだまだできておりませんので、今、私たちも実験的に多数の、多数のって十台ぐらいですけど、エコキュートを入れて、それを遠隔操作で昼間動かして、夕方お風呂に入るのに、今の状態は前の日の夜に深夜電力を利用してお風呂のお湯を作って、で、一日ためて次の日の夜入っていると。文献を読むと、およそ、この昼間沸かしてお風呂入ることによって省エネルギー率というのは一七%と聞いておりますので、今そのデータを私たちも実際に取っているんですけれども、そうした昼間の太陽光をいかに活用するのかということとセットで考えていくことによって利用率というのは随分変わってくるんじゃないかなというように思います。
  18. 諸富徹

    参考人諸富徹君) 私は、六〇%は行けるんじゃないかなと考えております。あくまでも、私、経済学ですので、技術的なことについては素人であることを御考慮いただきたいと思いますが、現在、二〇三〇年に二二から二四%台の基本計画上の目標でございますが、御案内のように、もう既に再エネについては一五%前後に大規模水力も合わせますと来ております。その現在の伸び具合からいって、恐らく二〇三〇年には三〇%ぐらいには実は行くのではないかなと。それのほぼ倍増が大体二〇五〇年前後ですよね、先生がおっしゃるのは。ですので、ぐらいは行けるのではないかなと。  これはかつてドイツでも、再エネというのは四、五%しか系統に入らないんだということを電力会社が大広告打ったという、二十年前頃のことなんですけれども、ところが、今お示ししましたように三六・一%まで今来ております。  我々、再エネの実力を過小評価しがちなんですけれども、想像以上に技術進歩と量産効果によって価格がやはり低下をしてきていること、それから、系統における技術進歩が非常に進んできておりますので、実は思っている以上に入ってくる可能性があるんじゃないかというのが私の考えでございます。
  19. 藤木眞也

    ○藤木眞也君 ありがとうございます。  時間が余りなくなってきましたので、もう一つ磯部参考人の方に。  私もみやま市のお隣の熊本県の出身でありまして、いろいろな資源がたくさん私の身近なところにもあるなというふうに思って、これを生かせないものかという考えは持っておりましたが、これまでみやまの方で取り組まれた中でいろいろな御苦労があったというふうに思いますが、大きな課題といいますか、乗り越えられた問題というのは何か教えていただければと思います。
  20. 磯部達

    参考人磯部達君) ありがとうございます。  やはり、再生可能エネルギーを使って地域を元気にするんだという理念だけではなかなか動かない方もいらっしゃる。どれだけ安くなるんだ、自然エネルギーにしたらどれだけ値段が安くなるんだ、九州電力に比べてどれだけ安くなるんだと、やっぱり基本です。  そうした中で、再生可能エネルギー、地域の中でこうしたエネルギーを使うことの大切さ、あるいはそのことによって町が変わっていくんだよというようなことを市民の方々一人一人に納得をしていただくような場面を、商売ということではなくて、本当の普及啓発というか、そういったところに力を入れて、地域全体が協力していくというような姿がまだ十分ではないかなというように思っております。  先ほど、諸富先生がおっしゃったドイツのシュタットベルケ、ドイツでは千四百ぐらいのいわゆる地域が地域のエネルギーを活用した電力事業をやっているわけですけれども、そこで、平均かどうかはちょっと分かりませんけど、七五%から八五%ぐらいの方がその地域の会社から電力を買っている。郷土愛みたいなことが非常に定着をしている。私たちも、こうした地域エネルギー会社が地域の人たちの郷土愛を引き出せるようなそういう活動に持っていかなきゃいけないなというところが大きな課題かなと思っております。  以上でございます。
  21. 藤木眞也

    ○藤木眞也君 ありがとうございました。  終わります。
  22. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) それでは、矢田わか子君。
  23. 矢田わか子

    矢田わか子君 民進党・新緑風会、矢田わか子と申します。  本日は様々に示唆に富んだ教えをいただき、ありがとうございました。  再エネの効率を更に高めていくということは、この日本エネルギー政策にとっても大変重要な課題であるというふうに認識をいたしております。それぞれの皆さんにいろいろお聞きしていきたいんですが、ちょっと時間の関係もありますので、まず最初に、同じ会社の出身である磯部さんにお聞きをしていきたいというふうに思います。  民進党も、これまでエネルギーの地産地消を大きな政策目標に掲げまして、議員立法などに取組を実はしてきております。実際に、このみやま市の成功事例を見ますと、これを全国規模に拡大できるのではないのかというふうに思うんですけれども、一方で、この自治体による電力事業が、地域のエネルギー安定供給にとどまらず、みやま市の事例でいけば、本当に日本の一番の課題としている地域経済の活性化とか、若しくは福祉文化活動の推進、さらには雇用の創出まで踏み込んでいるというのはすばらしいことだなというふうに思っております。  ただ、これが全ての市において、全ての自治体において本当に通用するのかという疑問もありまして、まず一つはその規模感ですね、自治体の規模感。みやま市が一・四万世帯という規模があって、住民の協力も得られながら進めてこられるという点において、この規模感がやっぱり最適な規模なのではないか、余り大き過ぎると本当にこれができるのかという、そういう疑問を持っております。  それからもう一点は、幾ら国とか都道府県の支援策、発電事業者の協力があっても、やっぱり首長、それから役所の皆さんの情熱とか熱意、そして住民の皆さんエネルギー問題とか地域問題の関心が高くならなければ、一体感がなければ事業は前に進まないんじゃないのかなというふうに思いますし、また磯部さんのような方が入り込んでしっかりとイニシアチブを取って旗振っていかないといけないことでもありますが、全国に磯部さんがいらっしゃるわけではありませんので、そういうことを考えると、やっぱり最初のきっかけづくりというんですか、一定のノウハウを持った企業とかNPO、そういう方々が先導するということが必要かと思われますが、御経験から、政策方針を具体化していく上で、具現化していく上で最も重要だったなと、重要ではないのかと思われるようなことがあれば、御示唆いただけませんでしょうか。
  24. 磯部達

    参考人磯部達君) お答えさせていただきます。  まず、今、幸い、こうした取組を少し勉強してみようということで、自治体さん、あるいはそれに関係した企業の方々の視察が非常にたくさんございまして、去年一年間でおよそ二百ぐらいの自治体さん、お越しいただいております。その多くは、物見遊山では全くなくて、本気で勉強して、本当に自分たちの地域の中を良くしたいという方が大半でございましたので、まだ数は分かりませんけれども、少なくとも百以上の自治体は具体的に勉強し、これから検討していきたいというところで、全国の中でそうした形は確実に広がってきているのかなというように思います。  御質問がありましたように、確かに規模感というのがあります。具体的に言いますと、事業ですから、契約容量五千キロワットというのが一つの目安だと一般的に言われています。契約容量五千キロワットがあると、それ以上だと事業として赤字にならない規模だと言われています。  みやま市の事例で申し上げますと、人口三万八千人で、四十か所ぐらいの公共施設がございまして、その全部で三千八百キロワットという規模でございますので、公共施設だけ考えると、もう少し大きな規模の自治体さんであれば、事業としては確実に成り立つ。  ただ、地方自治体は、例えばごみ処理を一緒にやるとか、公共インフラを地域の自治体さんと連携をしながら、広域連携中枢みたいな格好で進めている自治体さんがたくさんございます。したがって、今幾つかのお話の中では、自治体が広域的に、その町だけが良くなるという話ではなくて、その地域全体で、例えば観光資源ですとか様々な資源の活用も含めてこうしたエネルギーのことを共通して考えていこうという動きが広がってきていると思いますので、必ずしも一自治体が単独でということではなく、連携しながら進められる可能性もあると思います。  一方で、先月、新聞発表もしているんですけれども、私どもと目黒区、東京都目黒区も提携をして、目黒区は、東北復興支援ということもあって、宮城県の気仙沼市にある電源を目黒区に持ってくる、地方の再生可能エネルギー需要地である目黒で使っていくと。それを通じて、人の交流、産業の交流を更に進めていきましょうというように、大都市、大需要家で、再生可能エネルギーがその地域の中になかなかつくれなくても、地方を応援をする、地方のエネルギーを都市で使うというような連携の仕方もあろうかと思いますので、それが地産地消ではないかも分かりませんけれども、少なくとも都市の交流、地域の地方を応援をするという様々な形はあろうかと思います。  それで、それぞれの自治体がこうした事業計画を作るときには、やはり精緻にその地域にある再生可能エネルギーのポテンシャルを調査をして、本当にどれぐらいの売り先があるのかということをきちっと調査をする必要があり、それなりにやはり時間とコストも掛かることでございます。  そうした、曖昧な事業計画ではなくて、本当に市民の方々あるいは議会を通じて、正しく計画をされた形をいかに伝えることができるのか、市民一人一人が納得するような事業計画を作れるかというところがポイントでございまして、ある程度やはり専門的な、その段階では専門的な知識も要ると思いますので、何らかの形で、先生方の予算措置も含めて政策誘導的な御支援がいただければこうした動きが広まっていくのではないかなというように思っております。  以上でございます。
  25. 矢田わか子

    矢田わか子君 ありがとうございます。  続いて、山地参考人にお伺いしたいんですが、山地参考人は、いろんな文献を読ませていただきますと、このFITの在り方について、国民負担の増大、それから電力系統運用への影響という視点から見直すべきだというふうな御意見ではあるというふうに思うんですけれども、再生可能エネルギー発電事業者を育成するという視点に立つと、事業者の投資意欲の問題、経営上の問題、さらには融資をする側の金融機関の動向、あるいは倒産企業を中国の事業者がどんどん今買い占めているというような、そんな現状もある中で、どのようにこうした状態を捉えられているのかということや、買取り価格の引下げ、送電インフラの負担などによって事業者を淘汰されていくという競争原理の導入、避けられないのかという点についての御見解を伺えればというふうに思います。
  26. 山地憲治

    参考人山地憲治君) 問題意識としては、再エネは入ってきたけど、余りにも国民負担が大き過ぎるという認識です。  それは、改正FIT法で少しは修正いたしましたけれども、そもそものFIT法の中で、再生可能エネルギーを種類別に分け、規模別に分け、設置形態別に分けて、それぞれの区分の中で効率的な供給を行った場合に通常要する費用に利潤を配慮して買取り価格を決めると、こういうことになっているわけです。そうすると、高いものは高い価格で買い取るということになります。この部分一つ突破口としてコスト削減を目指すということで入札というものを決めたし、それから買取り価格中長期目標を決めたのですが、それだけでは力不足かなというふうに私は考えております。  ただ、現行の法制度の下でやれることにはある程度限りがありますので、今、改正FIT法の下でその再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委でやっているところが、現行法制の下での限界までは追求したい。  ただ、やっぱり最終的には、これ私よく申し上げるんですけど、私はFIT法案作るときの審議会、当時は新エネルギー部会という名前の審議会でしたが、部会長を務めておりまして、元々のFIT法案は震災当日の午前、二〇一一年三月十一日に内閣案として閣議決定されたわけですが、そのときは、先行している住宅用太陽光は高くするけれども、それ以外の再生可能エネルギーは区分を設けずに一律価格で買い取るという案でした。それも、買取り価格自体は私の理解では政策変数であって、国民負担が大きくなり過ぎるとか、あるいは量が少な過ぎるとか、あるいは多過ぎるとか、そういうときには買取り価格調整する、つまり政策変数として買取り価格を動かす、そういう認識でおりました。それと現行はすごく違っておりますので、私は、長期的には今の原価プラス利潤で買い取るという方法をやっぱり根本的に改めないとコントロールは利かないというふうに考えています。
  27. 矢田わか子

    矢田わか子君 ありがとうございました。  質問終わります。
  28. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 杉久武君。
  29. 杉久武

    ○杉久武君 公明党の杉久武でございます。  本日は、参考人の先生方、貴重な御意見いただきまして大変にありがとうございます。  私の方からも、今の矢田委員の質問に関連して、山地参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。  やはりこの再生可能エネルギー導入の方向性については、恐らく国民的には皆さん賛同される方向だとは思うんですけれども、やはりこのコストが高いというところについてはこれはやっぱり乗り越えていかなきゃいけない課題だというふうに認識をしております。  やはり、本日お配りいただいた資料の中にも書いてありますけれども、国際水準レベルの再生可能エネルギーのコストを実現していかなきゃいけないと思いますが、今、入札制度の活用というのを一つ御説明いただきましたけれども、他の国での実績等も踏まえられて、そのほかに何か具体的に、こういった手法を活用すれば更なる削減が実現すると、するかどうか、何かお考えがあれば御教示いただければと思います。
  30. 山地憲治

    参考人山地憲治君) ごく簡単に要旨の中にもメモをしたんですけれども、今具体的に取り組んでいるものの一つとして洋上風力。  洋上風力というのもいろいろあって、浮体式とか着床式とかあって、着床式の中にも港湾に建てるものとか一般海域に建てるものがありますが、一般海域に建てるものについて、一般海域の利用ルール、これを法制化して、つまり環境アセスメントとかそういう手続を効率的に進めて、しかも相当大規模に開発ができる。ヨーロッパはこれセントラル方式という名前で呼ばれているんですが、この方式でもって非常に安い、キロワットアワーで十円以下の洋上風力が今できておりますけれども、そういうものに近づけていく。もちろん、海の深さとかいろいろ条件が違うところはありますけれども、洋上風力についてそういう事業環境整備を行っていくというところで進めていこうというのが一つ取り組んでいるところでございます。
  31. 杉久武

    ○杉久武君 ありがとうございます。  続いて、浅野参考人にお伺いをさせていただきます。  今日、様々いただいたお話の中で私も非常に興味深くお伺いいたしまして、特にディマンドレスポンスの、下げるという方は比較的分かりやすいかなとは思うんですが、これを上げるという調整をするというところについてはやはり様々対応していかなきゃいけない課題がまだまだ多いんではないかなというように考えております。ただ、これだけ情報通信技術も発達をしてきておりますので、大きな需要創出というよりかはやはり小さなものの積み上げの中でのやっぱり調整ということになっていくんじゃないかなというふうに感じましたが、そういった中で、今後、このディマンドレスポンスをより形にしていくために、特にこの需要を上げるという面において、制度的にどういうふうな方向性を向いていけばいいのかという点について教えていただければと思います。
  32. 浅野浩志

    参考人浅野浩志君) 御質問ありがとうございます。  まさに先生が御指摘になったとおりに、今下げのDRだけが国のガイドラインがあって、DRアグリゲーションがビジネスとして成り立ったところなんですが、上げDRは今から制度化すると。それは、まず需要を増やすと。一つは、従来の省エネ法と不整合を起こすということなので、省エネ法の中で、ごく短時間需要を上げても省エネ法上規制されないように法律を改正するというのが一点。  それからもう一つは、お客さんにとってみると、余分に電気を使うので電気代が上がるということがありますので、じゃ、上げDRの場合のインセンティブの設計をどうするかというのがまた大きな課題になっています。これも、もうかればいいって、そういう事業者だけではやっぱり問題なので、長期的にビジネスをするためには適正なインセンティブのつくり方、これもある程度の国のガイドラインが必要だと思いますので、上げについても制度化が必要だと思います。  ただし、もう外国では一部行っていますのでかなり参考になると思います。それは、上げDRが必要になる時間帯には、あなたは何キロワットの上げDRができますか、そのキロワットを用意するだけでキロワット何百円払いますよという予約金を払って、かつ、本当に、中間期に出力抑制必要なときには電気代が損しない程度に実績に基づいてキロワットアワー何十円払いますと、こういうような事例がありますので、そういうのを参考にすれば、それほど難しくなく早く実行できるんではないかというふうに思っております。  以上でございます。
  33. 杉久武

    ○杉久武君 続いて、諸富参考人にお伺いをしたいと思います。  空き容量の問題について様々今日教えていただきましたが、その中でちょっと私も難しくてよく分からないところがあったんですが、表面上はゼロとなっているものについて、実際これだけ空きがあって活用できるんではないかという点について、もう少し詳しく教えていただければと思います。
  34. 諸富徹

    参考人諸富徹君) 元々、例えば発電所を建てたときに、その出力の関係からどのぐらい容量が必要かということはあらかじめ定まると思いますので、それについてある程度系統容量の取り置きを行うというような手続が取られるということですね。その分は空き容量が取り置かれることになりますので、残りの容量について新規電源は入ることができるということになっています。  ところが、それは、いわゆる計画潮流というような言い方もされますけれども、計画として流れることになっているということなんですけれども、そこと区別しないといけないのがやっぱり実潮流ということで、実際に物理的に電気を、当日流れるかどうかというのが実潮流ですけれども、実はその間には乖離があるということですね。  その大きな原因としては、例えば原発が再稼働しない、原発が稼働するつもりで容量を取り置いているけれども実際にはしない場合。それから、火力なんかでも老朽火力がそうですけれども、コストの問題やCO2の問題で休止をしているケースなんかは、実際には系統は取り置かれているんですけれども動かないので電気は流れない。そうした場合に、やはり、表ではゼロなんですけれども実際には空いているという状況が生じてしまう、こういう問題でございます。
  35. 杉久武

    ○杉久武君 最後に、磯部参考人にお伺いをしたいと思います。  今日御説明いただいたみやま市のモデル、私も非常に興味深く聞かせていただきました。特に住民サービスと連携をして行われるというところ、見守り等の活用にも使われるというところについて非常に興味深く感じさせていただいたところなんですが、実際、ただ、これをやっぱり広げていくとき、利用者を増やしていく中で課題等があれば教えていただければと思います。
  36. 磯部達

    参考人磯部達君) 地域貢献の在り方として、必ずしも個人向け、例えばお年寄りでお買物が行けないぐらいの人が、私たちが買物代行をしましょうというようなサービスの仕方ですとか、あるいは、本当に御家族が近くにいらっしゃらないような方というような個人向けのニーズを満たすような形で広げていった方がいいのか、それとも健康づくりというような地域全体のニーズに対して私たちが行政とともに計画をしていった方がいいのかというところが非常に分かれるところでして、もちろん一定の個人の方は、私のためにこうしたサービスを提供してくれていると喜ぶと思います。  認知症の方々の徘回を見守るというようなこともやっていますけれども、ある特定の方だけに適用するようなサービスの仕方よりも、むしろ地域全体の課題が広く行き渡るようなサービスの提供が必要ではないかなということで、その両方を、本当に地域のために人々が、住民の方々が喜んでいただけるようなサービスの在り方について今考えているところでございます。
  37. 杉久武

    ○杉久武君 以上で終わります。ありがとうございました。
  38. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 山添拓君。
  39. 山添拓

    ○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  参考人皆さん、今日は本当に貴重なお話をありがとうございます。  諸富参考人に伺いたいと思います。  政府のエネルギー基本計画では、発電コストが低廉で、安定的に発電でき、昼夜を問わず継続して稼働できる電源をベースロード電源としています。中でも、原子力や石炭は重要なベースロード電源とされ、昨年五月のこの調査会では、当時の高木陽介経産副大臣が、再生可能エネルギーをベースロード電源にするという考え方は持っていないと、こういう答弁もされています。  しかし、これでは原子力や石炭火力への依存度はいつまでたっても下がっていかずに、また再生可能エネルギー大量導入へも進まないのではないかと思います。  諸富参考人のいただいておりました論文の中では、ベースロード電源は必要かと、こういう問題提起もされておりました。ヨーロッパでは、ベースロード電源という考え方にこだわることをやめた、そういう指摘もございました。  ベースロード電源と言われますと、それなしには電力需要を賄えないかのような印象もあるんですけれども、ヨーロッパではそれと違った考え方が取られているのはどういう理屈によるものなのかと。また、海に囲まれて外国からの電力融通が利かない日本では、やはりベースロード電源という考え方が必要なのかどうか、現状や今後の展望について御意見を伺えないでしょうか。
  40. 諸富徹

    参考人諸富徹君) 御質問ありがとうございます。  まず、ベースロード電源という考え方についてですけれども、これは現在、再生可能エネルギーが大量に入ってきた場合にベースロード電源の位置付けというのはある程度落とすことができる。全くベースロード電源というものをなくすことというのは難しいのかもしれませんが、以前、火力や原子力を中心とした電源システムだった時代に比べて、再生可能エネルギー中心とするような分散型の電力システムに移行していく場合には、ベースロード電源を下げて、ベースロード電源というふうに一言で言いますと、二十四時間定格運転している、まさにこのようなイメージでございますけれども、むしろ原子力と褐炭の発電ですね、ヨーロッパでは、なかなか実際には出力調整するのに時間が掛かって、実際柔軟に上げ下げできないんですけれども。特に天然ガスの発電については、ガス発電については、再生可能エネルギー変動性に合わせて、つまり再生可能エネルギーがたくさん発電するときは天然ガスの方が出力を下げていく、そして再生可能エネルギーが十分、風が弱まるとか太陽光が弱まる等によって再生可能エネルギーを縮小する場合には天然ガスが逆に出力上げていくようにして、柔軟に再生可能エネルギー変動に合わせた運転をしていく。  このような形で変動性を言わば穴埋めしていくようなスタイルの系統運用というんですか、その電源運用によってかなりの程度再生可能エネルギー変動性を補っていくということが一つは可能になってきているということであります。  もう一つは、やはり広域の系統運用をしていくということだというふうに思います。日本でも可能なのかという御質問にも連なっていく点でございますけれども、やはり日本では北海道や東北で相当風力の、風のやっぱり賦存量がございますので、ただ、それを全部北海道や東北で消費することが難しいということであれば、必然的にそれは首都圏や中部、関西に流していくという形でかなり広域に系統運用しつつ、再生可能エネルギー電力を利用していくというような系統運用の仕方ということを実現していくことは可能だというふうに思います。  日本ではこれは難しいという議論がよくございますけれども、言わば日本の一国、日本でいうと、例えば東北、首都圏あるいはまた東京電力あるいは中部電力あるいは関西電力は、ほぼヨーロッパの一国レベルの人口規模電力消費量に相当しますので、そして気候も北から南まで様々で、天候も様々で、資源賦存量も様々でございます。ですので、様々な多様な電源がお互いに補い合って電力融通を可能にすることによって、欧州で行われているような電力融通をほぼ日本電力会社間でやっていくということで十分再生可能エネルギー大量導入は可能だというふうに考えております。
  41. 山添拓

    ○山添拓君 大変参考になりました。  もう一問、諸富参考人に伺いたいと思います。  この間、小泉純一郎、細川護煕両元総理が顧問を務める原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟が、運転中の原発は直ちに停止させ、廃炉計画を策定する、運転停止中の原発は今後一切稼働させない、自然エネルギーへ全面的に転換するなどを柱として、原発ゼロ・自然エネルギー基本法案を提唱されています。日本共産党の立場とも一致するもので、全面的に賛成をしています。一方で、電気料金や気候変動問題への対応エネルギーの海外依存度などを理由に、原発ゼロは責任あるエネルギー政策とは言えないという意見もあります。  福島原発事故を経験し、それが国民的に共有もされて原発再稼働に反対する世論が揺るぎないものとなっており、また事故の原因究明や使用済核燃料の処分問題も解決しない、こういう下で日本で原発への依存を続けていく必要はないと私は考えています。政府の二〇三〇年度の電源構成では、発電電力量で再エネ二二%から二四%、原子力二二%から二〇%などとされていますが、原発はゼロにして再エネはもっと積極的な目標を、先ほども少しお話ありましたが、掲げていくことは十分に可能ではないかと思っています。  基本法案についての御意見も含めて、今後目指すべき電源構成の在り方について御見解をいただけないでしょうか。
  42. 諸富徹

    参考人諸富徹君) 大変悩ましい点でございます。私も再生可能エネルギーに非常に、研究を温暖化問題からシフトしたのは、原点はやっぱり福島第一原発事故でありました。ですので、原発をできる限り低減したいという個人的な思いはございます。  ただ一方で、山添委員御指摘のように、地球温暖化問題、CO2の排出削減というのは非常に大きな課題として日本にございますし、例えばそういう場合にも、やはりドイツを見ますと、原発はゼロというのは着実に実は彼らは進行させておりまして、順次廃炉していっているんですね。しかし、電源構成をやっぱり見ていますと、石炭が減っていないですね。ですので、必要な電力を、じゃ、原発が引いた後、再エネが確かに伸びているんですけど、ちょうど、絵を見ていますと、原発の減った分を再エネが増えて補っている感じですね。なかなか石炭のところが減るところまで今行っていないです。ですので、彼らはCO2を減らしたいんですけど、当面そこに彼らのジレンマがあって、原発は減らしたい、だけどCO2も減らしたいけどCO2が難しいので後回しになっているというのがドイツの置かれた状況であります。  ですので、我々、その二律背反というか、原発を低減しながら、でもCO2も減らすにはどうするかというかなり大きなジレンマに入っていきますので、何を時間軸で見て優先順位としていくかをやっぱり決めていかなきゃいけないなという気がいたします。
  43. 山添拓

    ○山添拓君 ありがとうございます。  最後に磯部参考人に伺います。  みやまスマートエネルギーの実践、自治体主導で再エネを活用して、電気の地産地消で地域の課題解決にも役立てようという取組、非常にユニークで興味深く伺いました。再エネを受け入れる側の送電網の容量が制約となっているということがこの間、少し報道もされ、先ほど諸富参考人意見の中にもありました。電力の大手が再エネを含む新規の発電、売電を阻んでいるのではないかという指摘があります。  みやまスマートエネルギー事業を進められる中で、既存の電力大手の送電網を使うに当たって課題に直面されたという経験がございますでしょうか。また、自営の送電線を使った電力供給にも着手するという計画があるようですけれども、既存の送電網では限界があるということなのでしょうか。
  44. 磯部達

    参考人磯部達君) 御質問ありがとうございます。  まず、私たちは、九州電力送配電部門電線を借りて、託送料金という形で借りて事業をしておりますので、そこは何らか阻まれているとかということではなくて、あくまでも料金を払って使わせていただいているということなんですけれども、九州の場合は、実は託送料金というのは電気料金のうちの三分の一ぐらいを占めます。ですから、月一万円ぐらい払っている方の三千数百円は電線の借り賃として払っている状況ですので、そこをできる限り自前化をすることによって電気料金の更なる削減には努力していきたいなと思っています。  ただ、様々な制約の中で、全く、例えば福島のような、新しい町を一からつくっていくときには民間事業者電線網を自前で保有をするということも法律的には可能なんですけれども、既存の町の中で既にある電線網の中に、それを生かさずに私たちが電線網を更につくっていきますというのはまだまだ法律の制約もあるようでございますので。ただ、その制約の中でできる限り自分たちが電線網を保有することによって新たなサービスだとか新たな利便性を提供できるのであれば、そこは追求をしていきたいなと思っています。  一方で、系統制約ということは、大きな制約、大きな系統網の中ではそういうことがあるんですけれども、我々のような地域の中で電力需要と供給を全部バランスさせていくということは可能ではないかなと思っております。  先ほどから山地先生、浅野先生がおっしゃっているようなデマンドレスポンスの手法ですとかVPPの手法を使いますと、その地域の中で様々な設備をコントロールをしながら需給を安定させていくことによって、その地域の中で更に系統に迷惑を掛けずに再エネを増やすということは十分可能ですので、自前の電線網を持つというようなことも検討しつつも、地域の中でエリアマネジメントを実現することによって、再エネをその地域の中で、その地域の単位の中で増やしていくということもやっていこうと、やっていけると思っております。  したがって、みやまだけではなくて、地域地域でそうしたエネルギー事業会社がマネジメントできるような形を取っていければ、その地域発の再エネ普及という形が技術的には十分可能であるという状態だと思っています。  以上でございます。
  45. 山添拓

    ○山添拓君 ありがとうございました。
  46. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 儀間光男君。
  47. 儀間光男

    儀間光男君 日本維新の会の儀間でございます。  我が党は、結党以来五年が少し経過いたしましたけれども、五年前に、原発はフェードアウトをするんだと、二〇三〇年までにフェードアウトをするんだと言って五年、あと三〇年まで十二年しかありませんが、これが到底できるものだとは今思っていません。ただ、当時ふわっとした政策をつくってしまって、今自業自得になって苦しんでおるんでありますが、これを、こういう機会を得て、先生方から知見を得て、もう一度政策を見直そうというような状況にあります。  そこで、諸富先生、ちょっと教えていただきたいんですが、この再エネが、太陽光中心に再エネがどんどんどんどん開発される中で、先生方研究者の中で、フェードアウトできる、ゼロにできる時間的軸というのはいつ頃なのか。私どもは共産党とそこは一致するんですが、原発はゼロにすべきであると、福島の例などを見ていると原発はゼロにすべきであると。再生可能なエネルギーをどんどんどんどん開発していけばできるんじゃないかということで我々は三〇年と言ったんですが、それを大幅に見直さなければならないことに直面しております。  先進国と言われているドイツでも急激に三六・一%、先生の資料ですが、伸ばしていって、三五年ですらまだ六〇%程度だというようなことを見ると、かなりの長きにわたるロードマップを作らぬといかぬのかなと思うんですが、先生のシミュレーションの中で大体今から何年ぐらいになるのかちょっとお教えいただきたいと思います。
  48. 諸富徹

    参考人諸富徹君) 私、そういうシミュレーションをしているわけではございませんので正確なお答えはちょっと難しいかと思うんですけれども、先ほども申し上げましたように、ざくっとした私の感覚として、二〇五〇年に六〇%は実は堅いのではないかと、再生可能エネルギーの比率を六〇%にすることは堅いのではないかなというふうに考えております。で、残りをできる限り天然ガス、火力を用いる場合にはなるべく天然ガスに転換できないかというふうに考えております。  原子力発電所については、二〇五〇年までに引き下げていく、そしてゼロにしていくことは私は可能だと思いますし、ドイツを見ていますと、かなりの程度、これは政治的な意思によって決まってくる部分が大きいのではないかなと思います。経済性から見てどうなのか、経済合理性から見てどうなのかということを決めていくというより、国民の合意として原発をどのように、いつ、どういうスケジュールで、ゼロにするという場合にはゼロに向けてスケジュールを組んでいくかということだというふうに思います。そうしますと、そこから遡って、バックワード的に考えて取り組むべき内容というのは、省エネをやはりやっていかなければいけないということ、それから再生可能エネルギーを引き続き支援していくということが必要でありますし、再エネのやっぱり目標を必ず、引上げ目標を決めていかなければいけないというふうに思います。  それから、やはり火力における電源構成をどういうふうに考えるかということは、日本の今度パリ協定後の目標を達成するために非常に重要なことだというふうに思います。ですので、火力の中のミックスをどういうふうにしていくか、このまま放っておきますと石炭火力が非常に増えていきますので、そこも注意しておかなければいけないと思います。  そして、それらのやっぱりコストですね、先ほどから議論になっています、トータルでコストがどういうふうに推移していくのかを慎重に経済モデルを回して計算しながら合意形成をしていくということが重要かなというふうに思っております。
  49. 儀間光男

    儀間光男君 もう一回お尋ねしたいんですが、例えば、原発はベースロードとして使ってやってきましたけれど、しかも低コストで安心で安全で供給が十分できると、計算が立つんだというようなことでやってきたんですが、福島以降、決して安全、安心じゃないと。安全神話が崩れて、しかも、その後の復興事業等へ投資するコストを見ていると決して原発は低コストじゃないというような立場を取るんですが、逆に言うと、この再生エネルギーは原料が無料ですから逆にコストが安くなるというようなこと等からすると、経済性の面、安全の面からコストも含めて、はるかに再エネがいいように、そういうふうに思うんですが、御見解をいただきたいと思います。
  50. 諸富徹

    参考人諸富徹君) 私も先生と全く同じ意見でございます。やはり、国民経済にとってどうなのかということをエネルギー問題として考える場合に、再生可能エネルギーの利点というのはもう先生が今おっしゃったことに尽きている部分があるかと思います。  もちろん、系統、今日議論させていただきました系統につきましても、増えていく場合には系統の増強というものが必要になってきますし、また、調整電源という言い方をしましたけれども、再生可能エネルギー変動に合わせて柔軟に天然ガスを始めとして既存電源が上げ下げしていくような調整も必要になってきますので、そのコストも掛かってくるという現実はあります。  ただ、再生可能エネルギーのやはり発電コストの驚異的な低下というのはグローバルにやっぱり確認されているところでございまして、最後のスライドにもお示ししましたように、もはや再生可能エネルギーの投資総額というのは既存電源をもう上回り始めておりまして、もっとそのコストというのは、低減の先が見えないぐらいまだまだ下がっていくということでございます。  ですので、最終的には、現在は高い高いという議論になっておりますが、この先をずっと将来を見据えていきますと、再生可能エネルギーに懸けていくということがやはり国民経済的に得である、プラスになっていくという方向は揺らがないのではないかなというふうに考えております。
  51. 儀間光男

    儀間光男君 もう一言、先生。  この原発のコストと再生可能エネルギーの設備コストとクロスするのは大体供給の何%ぐらい来たときに、再エネがですね、ベースロードと言われている電源に対して何%ぐらい来たときに採算が展開していくんでしょうか。
  52. 諸富徹

    参考人諸富徹君) 一義的にこのパーセンテージで逆転が起きるとかいう数字があるわけではございません、必ずしも。しかし、ドイツの経験等を見ていますと、再生可能エネルギー、狭義の意味での、厳密な意味での再生可能エネルギー比率がやはり二十数%、四分の一ぐらいを超えてきた辺りで、いわゆる分岐点といいますか、そこに到達をしているというのを観察していますので、日本の場合、まだ厳密な再生可能エネルギー比率、つまり、大規模水力を除きますとまだ七、八%ですので、まだまだちょっと頑張らなければいけないというふうに思います。  日本の場合は、もっと再生可能エネルギーを大量に導入していくことを通じて、コストが量産効果だとか技術進歩を起こすことによって下げていく必要、それから日本特有の建設コストがどうしても掛かってしまうということ、土地代その他も高いという、こういうような事情もございますので、その辺りをどうしていくかも含めて、増やしながらどうやってコストを削減していくかというのは考えていかなければいけない点だと思います。
  53. 儀間光男

    儀間光男君 ありがとうございます。  関連して、磯部参考人に聞きたいんですが、自治体で、地域でエネルギーを供給していく、非常にいいことだと思うんですね。ただ、今お話があったように、この再エネエネルギーをつくるときに非常に大きな耕地が要る、例えば田畑やあるいは山林の一部や、太陽光ですと。ということで、そういう面の影響もかなり心配していくんですが、その面一つと、それから近隣市町村との連携は将来可能なのかどうか、その辺、時間ないんですが、聞かせていただければ。
  54. 磯部達

    参考人磯部達君) 御質問ありがとうございます。  まず、再生可能エネルギー太陽光のコストですけれども、今、諸富先生や皆さん方からお話しされているように、例えば製品のコストですとか施工費のコストだとかが高過ぎて、もっともっと導入量を増やしながらコスト低減をというのはそうなんですが、それ以外に、ビジネスモデルで考える方法もあると思っています、ビジネスとして。  例えば、先ほどの山添先生の御質問もありましたけれども、託送料金で考えると、例えば住宅の屋根に太陽光を載せた場合には、託送料金って掛からないんです、自家消費するわけですから。それを、例えば御本人が設置をしようが私たちのような地域エネルギー会社がそのおうちの屋根に設置をしようが、託送料金って掛からないわけで、そうなると、その電気料金というのは、ざっと三分の一、電気掛からないんですね。  そういうビジネスモデルで考えたときに、私たちがその費用負担をして、その御家庭に無料で太陽光をたくさん載せていって、もちろん、託送料金が掛からない分のうちの一部を私たちのビジネスの償却費として取っていけば、御本人は電気代は下がる、私たちは償却費で運用ができる、その電力を活用できるというような、必ずしも製品や施工費で考えるのではなくて、ビジネス全体で考えたときに再生可能エネルギーを増やす方法もあると思うんです。  したがって、山を削って太陽光設備を、大きなメガソーラーを造るんではなくて、市民とともに、そうしたビジネスモデルというか、地域の中で増やしていくためにどうしたらいいんだという方法をみんなで議論をしながらやっていく、それで増やしていくという方法も十分に成り立つぐらい、実は今、EPCのコスト、モジュールのコスト、施工費のコストは下がっています。ですので、それが可能になる分岐点は迎えているんではないかなと思っています。  一方で、近隣市町村に関しましては、非常に協力的に御支援をいただいているところがございまして、例えば、私たちみやま市のお隣は柳川市というところで、その隣が大木町というところですけれども、いずれもエネルギー協定を行政同士が結んでいただいて、地域全体の環境保全の活動を自治体が連携しながらやっていきましょうという協定を結んでおられます。そういった協定を基に我々の電力を公共施設に供給する一方で、こうした取組を市民、住民の方に伝えていこうというような取組もしておりますので、自治体が連携しながら、いわゆる再エネを増やす、環境保全をしていくという活動は順次行っています。  必ずしも、電力のいいところは、ガス管や水道管のようにパイプラインがなくても電線網は全て共通で通っておりますから、他の離れたところの自治体に対しても電力のやり取り、電力の供給もしております。  連携している自治体が持つ再生可能エネルギーを、先ほどの系統容量の問題はありますけれども、少なくとも、少し電気が足らなかったら、ナスビや野菜取れ過ぎたから今日はお裾分けねというぐらいの電気の融通というのは日々可能ですので、九州の中でしたら特にそこはもう全く系統の問題関係なく、電力の融通はお互いに行っています。私たちが、晴れた日に太陽の設備がたくさん太陽光発電ができたときには、その電力を離れた鹿児島に送ったり、逆の場合もありますので、そういった自治体間同士の融通みたいなことも地域の中で、必ずしも隣町には限らず、連携していくということがこれからの可能性としては大いにあると思っています。  以上でございます。
  55. 儀間光男

    儀間光男君 ありがとうございました。  浅野先生、山地先生、今日は質問しなくて済みません。次の機会にまた伺いたいと思います。  ありがとうございました。
  56. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 山本太郎君。
  57. 山本太郎

    ○山本太郎君 ありがとうございます。自由党共同代表、山本太郎です。  参考人の先生方、大変貴重なお話ありがとうございました。  まず、磯部先生にお聞きしたいと思います。  今まで外に流出していた富を地元にとどめて地域に還元しようと、これはもう本当に地元の人たちにとってはすごくうれしいことというか、エネルギーを自分たちのために使えるんだと、電気以外のことにも使えるんだということで非常にテンションの上がる話だと思うんですけれども、その中でも、地域サービス受けられるという、利用者は地域サービスを受けられるという仕組みも本当に、特に高齢化が加速している中で非常にもっと全体的に考えていかなきゃならないという、非常に参考になるようなお話だったと思います。  で、今先生の頭の中にもしあれば、これからチャレンジしたい住民サービスだったりとかというものがあれば教えていただきたいということと、そして、ほかの地域の取組で、あっ、これ、いい視点だなとかいいサービスだなと思われていることがあれば教えていただけますか。
  58. 磯部達

    参考人磯部達君) 御質問ありがとうございます。  先ほどから少し触れていますように、私は健康と教育ではないかなと思っていまして、まず、地域の健康づくりというのは、高齢者の比率がどんどん高くなってきます。そうはいいながら、元気なお年寄りの方が多いんですけれども、やはり生活習慣病の改善につながるような、日々の運動とか食事の提供だとかみたいなことを、それも一つのコミュニティーだと思っていまして、地域の人たちがコミュニケーションをより深くするために健康に必要なサービスを提供するというのが非常に地域の皆さんの理解が得られやすいのかなと思っています。  それと、今、少しずつ市役所の職員の方とも相談をしながら、あるいは教育長とも相談をしながら計画作りを今スタートをしているんですけど、やはり未来を担う子供たちへこうした再エネの重要性、地域づくりの重要性を、小学校には小学生の教え方、高校生には高校生の教え方、それぞれに合った形で、いかにそういった再エネの活用の重要性あるいは地域づくりの重要性というのを教える機会を、我々の活動を通じて、そうすることによって、一旦例えば外に出ても、ああ、子供のときに刷り込まれたそうした思いがあって、ある年代になって経験をされてきたらまたUターンをして地元のために尽くそうという子供たちが増えると思いますので、やはり健康と教育というところに力を入れてやっていきたいと思います。
  59. 山本太郎

    ○山本太郎君 ありがとうございます。  日本版シュタットベルケ、これを拡大していく上で、これちょっと障害になっている、若しくはなり得るなと思うような何か規制だったりとか法律というのは存在しますか。
  60. 磯部達

    参考人磯部達君) 先ほどから先生方の御質問ありますように、電力の安定化と。安定という意味では、今の法律の中で、電力の大手の一般電気事業者、私たちでしたら九州電力等の御支援をいただける形は取れていますけれども、例えば今直面している問題としては、この冬、例年になく雪が多い寒い日が続いています。どうしても地域にある再生可能エネルギー一〇〇%というわけにいきませんので、電力卸市場からの電力の調達をしています。  そういう意味で、安定供給の法律的な仕組み、制度は整っているんですけれども、こうした冬寒い日が続きますと、新聞紙上でも出ていますけれども、西日本は特に例年の八割アップみたいな単価になっています。五十円を超えるようなというのは、キロワットアワー五十円というのは、一般の家庭の電気代というのがおよそ二十何円かぐらいですから、その倍ぐらいの値段で電気を調達せざるを得ないというところがございますので、ただ単に寒いからということだけではなくて、様々な、結果として電力市場の安定化が保てないとすると、そうした市場の公平な取引に対してきちんと目を向けていくような、もっと厳密的なルールや法律みたいなこともあればなというように、日々の活動の中ではそう思っております。
  61. 山本太郎

    ○山本太郎君 ありがとうございます。  続きまして、諸富先生にお聞きしたいと思います。  発送電分離についてなんですけど、日本では法的分離という方法を取ると。一つ電力会社が送電だったり発電だったり小売だったりということを同一のグループに置くことができますよということだと思うんですけれども、これ結局、地域独占でやってきた旧来の巨大電力会社送電線を握り続けることになっちゃうんじゃないかな、本当の自由化とは言えない状態に陥る可能性が高いんじゃないかなと思います。そこには不公正がないようにと強い権限を持った電力・ガス取引監視等委員会が存在するというんですけど、これ国会での人事ではないと。任命するのは経産大臣であるので、時の権力のありようによっては自由化が阻害されるおそれもある、そういうふうに思っちゃうんですよね。  例えば、この日本の監視機関に付け加えるべき権能あるとするならば、例えばどんなものがあるでしょうか。
  62. 諸富徹

    参考人諸富徹君) ありがとうございます。  この発送電分離を成功させることができるかどうかというのは、非常に重要な日本のこれからの電力システム改革上の重要な分岐点だというふうに思います。そういう意味では山本先生の御指摘のとおりでして、そういう意味では、監視委員会とそれから広域の機関、広域系統に関する広域機関が非常に重要な役割を果たすと思います。それに加えて公正取引委員会、これらが恐らく、発送電分離後、確かに法的分離という形で欧州がやってきた所有分離に比べますと一見弱いとも見えるわけですけれども、ただ、こういう形で法律が通りましたし、スタートさせたわけですから、できる限りその枠の中で送電部門における中立性というものを担保する方向にやっぱり持っていくというのが重要かなというふうに思います。  その意味で、既に幾つか人事交流だとか様々なことが進んではおりますが、新たに与えるべき権能としては、やはりその監視委員会の役割は非常に重要だというふうに思いますが、やはり電力系統状況容量問題とも関わりますし、それから市場の取引、磯部参考人からも問題提起のあった点でございますが、市場の活性化、市場の取引が本当に公正に行われているのかどうか、透明な取引が行われているのかどうかに関してきちっとそのマーケットから監視委員会の方に情報提供が常時行われる、それからその系統の使用状況についてもリアルタイムの情報がやはり監視委員会の方に届けられる、それについてのやっぱり分析をきっちり監視委員会の方で行っていくというようなことが今後必要かというふうに思います。  そして、競争条件の公平性が損なわれていると判断された場合、あるいは市場取引において十分な、客観的かつ透明な取引が行われてはいないというようなケースが見られた場合について、やっぱりその条件に照らして適宜監視委員会が当該問題について取り上げ、そして調査を行い、場合によってはそれについてペナルティーを含めた措置をとることができる権限、ちょっと私も法律をつまびらかに存じ上げていませんので、既に現存の権限で十分なのかどうかということについては私も深くは存じ上げていないんですけれども、こういった一連の権限が十分必要かなというふうに考えています。  以上でございます。
  63. 山本太郎

    ○山本太郎君 ありがとうございます。  最後に二つ聞きたいんですけれども、一つはざっくりと。全体的に見て、日本電力自由化、これは順調に進展していると言えるのでしょうか、それとも言えないのでしょうか。そしてもう一点、自由化の障害になり得る事情があるとするならば、先生の陳述をお伺いした中でいえば空き容量だったり先着優先、系統接続辺りになるのかもしれませんけれども、その中で一番自由化への抵抗が強いであろうものについてお話を伺わせていただけないでしょうか。よろしくお願いします。
  64. 諸富徹

    参考人諸富徹君) 自由化の進展、順調かどうかと言われれば、私は今のところは日本のこれまでの議論の文脈の中ではそれなりに順調に進展してきているのではないかなというふうに思います。最大の次の課題は、やはり山本先生御指摘のあった、発送電分離をきっちりやることができて送電部門の中立化を果たすことができるかどうか、そして再生可能エネルギーのような新規の事業者とそれから既存の事業者の競争の公平性を担保できるかどうか、この辺りが次の試金石になっていくというふうに思います。  障害ということになりますと、やはり今このプレゼンテーションでも取り上げさせていただきました系統容量の問題、これは最大の問題でございましたが、一定程度解決の方向に向けて動き始めております。  続いて、大きな問題として次の課題だと私が考えておりますのは、やはり卸電力市場ですね。これをやはりどのように育て、活性化し、そこで透明かつ公平公正な取引というものが行われていくかどうか、これも次の重要なポイントかというふうに思います。今までは、電力市場を通さない形で相対取引、電力会社の中で発電されたものを電力会社の小売部門が受け取って販売するという形だったんですけれども、新規事業者がそこへ入ってきますと、取引市場というものの客観性、透明性、公平性というものが非常に重要なポイントになってきます。  ただ、これについては僅か、これまでは、つい最近まで市場の占める比率は二、三%でしかございませんでした。ようやく最近一〇%近くになってきたんですが、これをどうやって大きく育てることができるかどうか、ここが次の大きなポイントかというふうに思っております。
  65. 山本太郎

    ○山本太郎君 終わります。
  66. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 中山恭子君。
  67. 中山恭子

    ○中山恭子君 希望の党の中山でございます。  今日は、非常に貴重なお話を、参考人の皆様、ありがとうございました。  再生可能エネルギーということで、ただ、お話を伺いながら、この問題、非常に幅の広い問題で、ふだんの生活だけではなくて、国全体の経済問題、さらには場合によっては国際的な経済、政治、外交に関わるというような、非常にあらゆる面に関わってくる問題であるなということをつくづくと感じながら、私自身、実はまだつかみ切れていないというのが現状でございます。  参考人の皆様の中でも、特に諸富参考人には、昨年、日経新聞で「内部留保課税の是非」という論文をお示しいただきまして、再生可能エネルギーと内部留保課税とどうつながるんだろうなどと思うくらい非常に幅の広い、今回、四人の参考人の皆様からお話を伺ったと思っております。  しかも、再生可能エネルギー需要がどんどん、電力というか、分単位で需要変動する、また供給も自然現象によって変わってくるという、両方がばらばらに、がたがたに動いているこの電力を、エネルギーをいかに上手にきちんと国内で調整していくかというのは非常に難しい問題であろうかと思いますが、あの東日本事故の後、ここまで発展してきているのかという感慨も覚えるところでございます。  山地先生から、買取り価格、原価プラス利潤というこの体制は改めるべきだというようなお話もありました。それから、浅野先生からは、非常にいろんな問題に加えて、また、電力のみならず、熱や燃料利用の面まで関わってくるというようなお話もありました。磯部参考人からは、実践している中で非常に成功していらっしゃるという、これも感動するお話でございましたし、諸富先生からも、送電網のお話ですとかいろんな問題があるということを教えていただきました。私自身、非常に感動を覚える四人の参考人からのお話でございました。  ただ、この再生可能エネルギーの中に水力発電の問題というのが今回は全く出てきておりませんが、この水力発電に関して、日本は水が豊かな国だという中でどのようにお考えになっているのか。それも含めて、四人の先生方から、今、国としてなすべきテーマを山地先生を始めとして四人の参考人の中からお話しいただけたら有り難いと思います。
  68. 山地憲治

    参考人山地憲治君) ありがとうございます。  たくさん御質問の内容があったと思うんですけれども、まず、この再生可能エネルギーの問題というのは非常に幅広い問題だというのは私も感じております。そういう意味では、私の要旨の中で、先ほど時間の都合で私見のところはほとんど話さなかったんですけど、一つその関連で取り上げますと、私の要旨の一枚物の、大きいポツがありますけれども、下から三つ目の電力システム改革について書いたところがありますので、この点、先ほど来ちょっと議論が出ていますので申し上げさせていただきたいと思うんです。  現在の電力システム改革の中では、キロワットアワーを扱う、JEPXと書きましたけど、要するに卸市場、それと、OCCTOと言われているのは広域機関ですけど、これはキロワット容量を扱う市場、それからBGというのはバランシンググループで、これは浅野さんからあったかな、一般送配電事業者の給電です。ここはデルタキロワットという調整力を扱う。これが並行して制度設計されていて、必ずしも、タイミングも少しずれている。実は再生可能エネルギーを入れるには、この前後の調整が必要なわけです。そこの部分を、しかもこれ、それぞれを担うところが、機関が違うわけですね。  私は、電力システム改革全体を動かすというのは大きな問題だと思いますけれども、この三つの機関と機能をやっぱり連携、統合、あるいは一つに機能を統合化した方が私は望ましいと思っている。そのために、この所有と運営の分離による広域化、効率化というのを書いたわけですけれども、これは先ほど山本先生がおっしゃった、まあ会計分離はやっていたわけですね、かつて。法的分離か機能分離かというと、私は実は機能分離を進めたかったんですけど、今法的分離が進んでいますが、機能分離を行えば所有はそのままで広域化できるわけです。それが所有と運営の分離で、それでこの三つの機関を統合していく、これが再生可能エネルギーを含めて全体の電力調整をするには望ましい姿だと私は思っている。  それから、それ以外の質問のところでは、再生可能エネルギー電気以外いっぱいあるじゃないと。私もそれ感じていて、この発電以外のと書いたのはまさにそこでございます。特に忘れられているのは、昔、バイオエタノール、バイオディーゼル、今バイオジェットが取り上げられていますけど、燃料系、これはほとんど政策が止まっている状態ですね。これも動かす必要があろうというふうに考えております。  あと最後、水力ですが、水力に関しては長い歴史があるものですから、有望地点はほとんど開発されている。あとは少し小さいところを拾っていく。FITはそれを拾っていっているので、これは時間が掛かるけれども、もう少し待てば、そんなに大きくはないけれども増えていくというふうに考えています。  以上です。
  69. 浅野浩志

    参考人浅野浩志君) 私も最後の水力について少しコメントしたいと思いますが、確かに大規模なダムを造るような水力はほぼ限界になっているんですけど、先ほどみやまさんの紹介でもあったように、その地域地域に小水力、元々農業用とか多目的水力使っていますので、実はそれが結構放置されております、なかなか手間が掛かるので。そういうのをリパワリングすると。確かに、太陽光だけとか風力だけよりは、再生可能エネルギーいろんな種類を組み合わせると地域の中でより安定的に使えますので、中小水力、今限定的という話もありましたけど、まだこれから長い目で育てるべきだと思います。
  70. 磯部達

    参考人磯部達君) 今の浅野先生の御発言と一緒です。  地域の中には、例えばちょっとしたため池だとか農業用水ですとか、活用可能な小さな水力発電所ってたくさんあります。しかも、多くの場合は、例えば土地改良区だとか水利組合を自治体の首長さんが理事に入って管理運営をしているというケースがございますので、地元のために水力発電をうまく活用するというのは、量は大きくないですけれども、その地域のための安定電源としては非常に役立つと思っております。  以上でございます。
  71. 諸富徹

    参考人諸富徹君) 私も地域の活性化のために小水力、非常に大事だと思います。  大規模なダムは、浅野参考人御指摘のように、もうほぼ開発は止まっておりますけれども、やはり人口減少に悩んで消滅集落となりそうなところが、やはり将来を切り開く上で小水力発電の可能性を追求していくというのは非常に重要なことだと思いますし、また、戦前、電気組合という形で農民が自分たちの地域で発電をしていく場に大抵やっていたのは小水力ですので、現在適地と言われているところは戦前実は開発されていたところも数多くございます。そういう伝統を引き継いでやっていくというのは一つの可能性かと思います。
  72. 中山恭子

    ○中山恭子君 大変貴重なお話、ありがとうございました。
  73. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) ありがとうございました。  一巡いたしましたが、他に御発言ございますか。浜野喜史君。
  74. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 民進党の浜野喜史と申します。  浅野参考人一つ、それから諸富参考人一つ、二問連続してお伺いしたいと思います。  分散型の電力システムというようなこととか電力の地産地消を求めていくべきだということを盛んに議論されるわけでありますけれども、それらを成り立たせるためには強固な送配電網がやはり必要であるということ、これが忘れられてはならないことだというふうに私は思うんですけれども、浅野参考人の御見解をお伺いしたいのが一つです。  それと、諸富参考人に続けてお伺いしますけれども、冒頭の御説明の中で、再エネの普及に伴って停電率が低下してきているというような調査結果があるという御説明をされたというふうに思うんですけれども、再エネの普及によって停電率が下がるというその因果関係が、私、ちょっとイメージが正直なところできませんで、どのような分析がなされてそのようなことが言えるのか、説明をいただければというふうに思います。  以上でございます。
  75. 浅野浩志

    参考人浅野浩志君) 今日の議題であります再エネをたくさん連系して活用するためには、まず送配電網、これがきちんと機能することが大前提でございます。  今問題になっているのは、連系を待っている例えば太陽光とか風力、増強するにも時間が掛かるので、これはしかも投資が必要です。なので、これは今は、さっき出ている電取監視委員会が託送料金の在り方というのを議論スタートしているんですけど、やっぱり再エネ連系を促すような託送料金の在り方とか送配電のインセンティブ規制という、やや専門的なんですけど、頑張って連系させているところはそのインセンティブを与えるとか、まだまだ送配電網の将来的な投資あるいは保守に関しては制度整備が必要だと感じております。  今、ちょうどいいのが、デジタル化、IoT、センサーということで、今どんどんそういうところのメンテナンスをする人が減っているんですけど、そういうところに新しい技術を入れたら、それは送配電網をうまく機能させているということで送配電事業者にインセンティブを与えるとか、何らかの工夫はできるんではないかと思っております。  以上でございます。
  76. 諸富徹

    参考人諸富徹君) 御質問ありがとうございます。  これ、図は私たちも分析をしているわけではございませんで、また文献に理由が書いてあったわけでもございません。単に、再生可能エネルギーが増えてよく電力安定化が損なわれるという批判がございますので、実態はそれとは逆であるということを示したかったためにお示ししたので、実はそのきっちりした分析はないんですが、恐らく、ドイツでずっとやってきたことを振り返ってみますと、一つは、きちっと系統投資を、増強投資をしっかりやってきているというのが第一点です。  それから、再生可能エネルギーが入ってくると変動電源で需給を一致させていくことが難しくなってくると通常は考えられてきたわけですが、それに関しては様々な試行錯誤がもちろんあったと思いますけれども、それで習熟を恐らくしてきたということであると思います。それを可能にする実は電力市場のマーケットの改革が順次行われてきたということでございます。  一番大事なのは、直前まで、それまでは、以前は一か月前、電力供給の何と一か月前に電力供給計画を提出しなければいけなかったんですけれども、当然、天候は変動しますので、当日になってみますと思っていたとおりに供給できない、そしてたくさんのペナルティーを科されるということが常態化していたんですけれども、実は、前日の十二時までに電力供給計画を提出すればよいというふうに電力のマーケット改革が行われるようになりました。それで、現在の水準ですと、天候予測でかなりの程度正確に一日前でしたら予測することが可能になりまして、そういう意味では電力の需給をバランスさせるということが非常に容易になってきた、そういう市場改革が行われたということでございます。  さらに、実は調整市場というのが、特に北欧の場合ですと、ゲートクローズになった後、実は実供給の一時間前から四十五分前までの十五分間、最後に調整市場が開きまして、そこで最後の電源の入替えが行われるというようなことになっておりますので、そういう形で、直前まで引っ張る形で電力の需給を合わせるマーケットの仕組みというのが工夫されてきたことによって、恐らく物理的な供給時間にトラブルが起きるということを回避することができるようになってきたのではないかと、そういうふうに考えております。
  77. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 終わります。
  78. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) それでは、もう一方。矢田わか子君。
  79. 矢田わか子

    矢田わか子君 申し訳ありません。先ほど質問ができなかったので、山地参考人諸富参考人一つだけ追加で質問させていただきたいと思います。  エネルギーの基本政策の目標である3EプラスS、これを基本に置いたときに、やっぱり再生エネルギーというのはどうしても安定性だとか経済効率がどうなのかということが当然課題になっているというふうに聞いております。  その中で、諸富さんのおっしゃるような構図が本当に実現できるのであればもっと再生可能エネルギーを強めていこうというふうな機運が高まると思うんですが、それを確実なものにしていくために、特に経済効率を高めていくということにおいては、やはり技術開発を推進するだとか日本の物づくりをもっと推奨する、これは裏返せば日本の経済そのものを活性することにもつながっていくというふうに思いますが、その点において、誠に残念な話ですけれども、やはり、例えば太陽光パネルの製造、開発だとか、風力発電についても、事業者を育てるだとか、コージェネもそうだと思いますけど、いろいろ開発している、そういう現場も目の当たりにしてきているんですが、やはり中国等が台頭してくる中において、私どもが関わってきたような事業でいうと、撤退するとかもうやめてしまうというふうな事業者も多くなっているんですね。  そういう面において、当分の間、一定の国内市場を確保していくべきだというふうな意見も見られるんですけれども、こうしたことについて、山地参考人諸富参考人はどうお考えなのか、御意見を伺えればと思います。お願いします。
  80. 山地憲治

    参考人山地憲治君) 何を問われているのかが十分理解していない可能性があるんですけれども、いろんな次期エネルギー基本計画に向けての議論の中でも、コスト競争力のある再エネ電源主力電源として育てようと、そういうことであります。コスト競争力という意味で、日本の企業がコスト競争力を持てば日本の中に落ちるでしょうけれども、液晶パネルとか太陽電池のパネルとか、今までずっと日本でまず開発したんだけどコモディティー化して外国企業に負けていると、そういう現象が起こっていくわけですから、そこに関しては日本の強みを発揮していくというところが必要かと思います。
  81. 諸富徹

    参考人諸富徹君) やはり私も先生が御指摘になった産業の行方というのは大変関心の深いところでございます。  太陽光パネル日本でもかつてはシャープ始めパナソニックあるいは三洋、京セラ、いずれもトップメーカー、世界のトップメーカーでございました。しかし、コスト競争に巻き込まれていく中で難しい状況に陥っています。  ただ、これは家電全般が陥った状況とやっぱりよく似ておりまして、単純に物づくりでコスト競争が、やっぱり競争力の優位の、やっぱり一番重要なファクターであるというような商品においては、どうしても中国等、大量生産をやってコストを下げてくる余力の大きいところに負けてしまうということがございます。  実は、ドイツもかつては太陽光パネルの生産をたくさんやっておりましたが、FITで伸ばしたんですが、中国が入ってきて敗れていくということがありました。ですので、結局その後、何といいますかね、モジュールとかそういうところに、より複雑な製品の方にドイツ企業もシフトしていったんですが、最終的にそこでもコスト競争に敗れていくということがございます。  結局、何で今ドイツの産業はマーケットを確保しているかというと、ある種のインダストリー四・〇といいますか、第四次産業革命のところでございます。どういうことかというと、例えば、一つの事例としては、シーメンスが今何をやっているかというと、再生可能エネルギー変動性を吸収できるような形で天然ガス発電をセットで売って、それに天候予測を組み合わせて需給を一致させることができるような発電運用あるいは系統運用を実はセット売りするというビジネスであります。  ですので、発電所を造って物だけで単体で売って、はい終わりということではなくて、変動性を吸収する電力運用とセットで売っていく、つまりソフトの面を併せて売っていく、そして、一回売り切ってさようならじゃなくて、常時顧客とその後も接していくというような形で、言わば物づくりのサービス産業化を進めているということであります。  日本も恐らくそういったことを進めていかないと、単に物を売り切って終わりというビジネスをやっている限り、常に中国との競争にさらされ、市場を失っていくという繰り返しになっちゃうんじゃないかなというふうに考えております。
  82. 矢田わか子

    矢田わか子君 済みません、思いがあふれてしまって、質問を矢継ぎ早にいたしました。  物づくりなどを育てていくという側面からも、やっぱり日本産業として、もちろん国際競争力を高めるという企業の責任もあるんですけれども、国としての支援も何らかの形で、皆様からも参考になるお話をいただけないかという思いで質問をさせていただきました。  ありがとうございました。
  83. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 他に御発言もなければ、以上で参考人に対する質疑を終了いたします。  なお、今回、先生方に時間の都合で割愛をしていただき、御協力をいただいたことも申し添え、また、感謝を申し上げておきたいと思います。  山地参考人浅野参考人磯部参考人及び諸富参考人におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、ありがとうございました。  本日お述べいただきました御意見は、今後の調査参考にさせていただきたいと思います。本調査会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。  ありがとうございました。(拍手)  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  84. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) それでは、速記を起こしてください。     ─────────────
  85. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 先般、フランス共和国、スペイン王国及びモロッコ王国における原子力及び再生可能エネルギーの開発並びに鉱物資源政策等に関する実情調査並びに各国の政治経済事情等視察のため、本院から議員団の派遣が行われました。  調査結果につきましては、既に議院運営委員会に報告されておりますが、本調査会調査に資するため、派遣議員からその概要について報告を聴取したいと存じます。  それでは、派遣議員を代表して高階君から報告を聴取いたします。高階恵美子君。
  86. 高階恵美子

    高階恵美子君 平成二十九年度重要事項調査第二班は、フランス共和国、スペイン王国及びモロッコ王国における原子力及び再生可能エネルギーの開発並びに鉱物資源政策等に関する実情調査並びに各国の政治経済事情等視察のため、去る平成二十九年九月四日から十三日までの日程でこれらの国々を訪れました。派遣議員団は、金子原二郎議員を団長とし、青山繁晴議員、森本真治議員、浅田均議員及び私、高階恵美子の五名でございます。  以下、調査の概要を御報告いたします。  最初に訪問いたしましたフランス共和国では、同国における電力事情及び原子力政策等について調査を行いました。  まず、フランス電力公社(EDF)におきましては、現在、フランス国内において加圧水型の原子炉五十八基で六十三ギガワット発電しており、これにより同国の電力価格は欧州諸国の中で非常に安く抑えられていること等の説明がありました。  次に、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)におきましては、同機関は低中レベルの放射性廃棄物処分場を操業するとともに、高レベル放射性廃棄物処分に関する深地層処分の中心的機関として、地下研究施設における研究開発等を計画していること等の説明がありました。  次に、ITER国際核融合エネルギー機構(IO)におきましては、ビゴ機構長から、核融合技術には、第一に、原料となる水素が地球上に無尽蔵にある、第二に、本質的に非常に安全である、第三に、健康、環境、気候に悪影響をもたらさないというメリットがあること、また、我が国、欧州、ロシア、米国、中国、韓国、インドの七極が共同で立ち上げた大型プロジェクトであるITERは、現在、二〇二五年の運転開始(ファーストプラズマ)に向けた準備段階にあり、建設サイトでは炉心本体を囲う遮蔽壁の建設、周辺施設の建設、電源設備の設置等が進められていること等の説明がありました。  次に、AREVAメロックス工場におきましては、同工場がMOX燃料の加工成形において世界最大規模を誇っており、世界の軽水炉原発の一〇%がこのMOX燃料を利用し、我が国も利用していること、IAEAなどにより工場内の核物質のモニタリング、監視が常時実施されており、本工場から環境に排出される放射線量は非常に少ない量にとどまっていること等の説明がありました。  続いて訪問いたしましたスペイン王国では、再生可能エネルギーの開発状況等について調査を行いました。  まず、イベルドローラ社再生可能エネルギー運用センター(CORE)におきましては、同センターは風力発電、小規模水力発電等の再生可能エネルギーによる発電の最適化を実現すべく二〇〇三年に設置されたものであり、同センターを介して、スペインに大小含めて約千か所ある風力発電所の稼働状況をリアルタイムで把握できるようになったこと等の説明がありました。  次に、エネルギー・観光・デジタル省におきましては、ナヴィア長官から、現在スペインで稼働している原発のほとんどが四十年の使用耐用年数の期限を迎えるが、第一に、代替エネルギー技術が進みコストダウンが期待できること、第二に、世論が非常に厳しいこと、第三に、新規建設には莫大なコストが掛かることから、稼働延長はあっても新設はないと考えていること、また、再生可能エネルギーについては経済危機からの脱却及び回復を機に再び導入を進める方針であり、それに当たっては環境問題への対応、安価な電気料金の確保等を施策の中心に据え、取り組むこと等の説明がありました。  次に、レッド・エレクトリカ社(REE)におきましては、同社はスペイン全土への電力供給を行うオペレーターの役割を担っており、実際の需要に応じた供給を確保することが求められていること、自然条件に大きく左右される再生可能エネルギー導入拡大されるようになり供給制御が困難になったため、中央制御室を設置し、世界で初めて国内全ての再生可能エネルギーを管理することになったこと等の説明がありました。  次に、ヘマソラール太陽熱発電所におきましては、同プラントは世界で初めて実用化された商業用太陽熱発電所であり、二〇一一年から発電、売電を開始し、約二万五千世帯に電力を供給しているほか、年間二万五千トンのCO2削減に貢献していること、蓄熱機能を利用することから昼夜発電が可能であり、技術改良によって実際の需要に応じられるようになったこと等の説明がありました。  最後に訪問いたしましたモロッコ王国では、再生可能エネルギーの開発並びに鉱物資源政策等について調査を行いました。  まず、モロッコ王立リン鉱石公社(OCP)におきましては、同社はリン鉱石探査・開発・商品加工に関して独占的な事業を行う大規模な専売公社であり、世界市場のリン製品の三〇%を供給していること、OCPの基本方針は地球規模で世界を豊かにすることであり、具体的事業として農家に対して肥料の配付を行っており、世界人口が増加傾向にある中で食料安全保障の観点からも世界的に貢献していること等の説明がありました。  次に、住友電工集光型太陽光発電所(CPV)パネル実証サイトにおきましては、従来の太陽光パネル(PV)はエネルギー効率が悪く、高温下では発電量が低下しモロッコのような砂漠地帯には向かないのに対し、同社が開発したCPVは単位面積当たりの発電量が二倍以上あり、高温下でも変換効率の低下が少ないこと、二〇一六年十一月にはCPV施設を我が国のJICAの支援で砂漠地帯に建設したこと等の説明がありました。なお、同プラントの蓄電技術につきましては、来る二十二日に視察予定の住友電工横浜製作所において開発されたものを持ち込んでいるとの説明がありました。  次に、モロッコ持続可能エネルギー庁(MASEN)におきましては、バクリ長官から、モロッコは砂漠化、水力不足などの気候変動の影響を受けているため、再生可能エネルギーの割合を二〇二〇年までに四二%、二〇三〇年までに五二%にするという目標を掲げていること、将来的には、太陽光風力水力のみならずバイオマスにも注力していくこと等の説明がありました。  次に、モロッコ参議院におきましては、ラライシ農業・生産部門委員長らとの懇談の中で、モロッコにおいてもエネルギー問題は政策課題であり、同委員会では再生可能エネルギー導入エネルギーミックスについて活発な議論を行っていること等の説明がありました。  最後に、エネルギー・鉱山・持続可能な開発省におきましては、ラバハ大臣から、モロッコはエネルギーの九三%を国外に依存しているため、再生可能エネルギーの比率向上は喫緊の課題であること、将来的には再生可能エネルギーを国内市場だけでなく海外への展開も希望していること、また、エネルギーの効率化についても考えなければならず、電力使用の効率化については、農業のみならず工業、家庭でも進めていく必要があること等の説明がありました。  以上が調査の概要であります。  最後に、今回の調査に当たり、多大な御協力をいただいた訪問先及び在外公館の関係者各位に対し厚く謝意を表して、報告を終わります。
  87. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 以上で報告の聴取は終了いたしました。大変御苦労さまでございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十六分散会