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2018-02-07 第196回国会 参議院 資源エネルギーに関する調査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十年二月七日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員氏名     会 長         鶴保 庸介君     理 事         赤池 誠章君     理 事         石井みどり君     理 事         渡辺 猛之君     理 事         浜野 喜史君     理 事         杉  久武君     理 事         山添  拓君     理 事         清水 貴之君                 青山 繁晴君                 井原  巧君                 石田 昌宏君                 島田 三郎君                 そのだ修光君                 高階恵美子君                 藤木 眞也君                 森 まさこ君                 渡邉 美樹君                 礒崎 哲史君                 長浜 博行君                 森本 真治君                 矢田わか子君                 三浦 信祐君                 市田 忠義君                 山本 太郎君                 中山 恭子君     ─────────────    委員異動  一月二十二日     辞任         補欠選任      清水 貴之君     浅田  均君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         鶴保 庸介君     理 事                 赤池 誠章君                 石井みどり君                 渡辺 猛之君                 浜野 喜史君                 杉  久武君                 山添  拓君                 浅田  均君     委 員                 青山 繁晴君                 井原  巧君                 石田 昌宏君                 島田 三郎君                 そのだ修光君                 高階恵美子君                 藤木 眞也君                 森 まさこ君                 渡邉 美樹君                 礒崎 哲史君                 長浜 博行君                 森本 真治君                 矢田わか子君                 三浦 信祐君                 市田 忠義君                 山本 太郎君    事務局側        第三特別調査室        長        山内 一宏君    参考人        一般財団法人日        本エネルギー経        済研究所中東研        究センター研究        理事       保坂 修司君        東京大学公共政        策大学院特任教        授        芳川 恒志君        東京大学名誉教        授        内閣SIP「        次世代海洋資源        調査技術」プロ        グラムディレク        ター       浦辺 徹郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○原子力等エネルギー資源に関する調査  (「新たな時代に向けた我が国資源エネルギ  ー像」のうち、我が国資源エネルギー戦略(  資源エネルギー安全保障))     ─────────────
  2. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) ただいまから資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、清水貴之君が委員を辞任され、その補欠として浅田均君が選任されました。     ─────────────
  3. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) まず、理事補欠選任を行いたいと存じます。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事浅田均君を指名いたします。     ─────────────
  5. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  原子力等エネルギー資源に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  原子力等エネルギー資源に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ政府参考人出席を求め、その説明を聴取することとし、その手続につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  10. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 原子力等エネルギー資源に関する調査を議題といたします。  「新たな時代に向けた我が国資源エネルギー像」のうち、「我が国資源エネルギー戦略」について調査を行うに当たって、本日は「資源エネルギー安全保障」について参考人から意見を聴取いたします。  御出席いただいております参考人は、一般財団法人日本エネルギー経済研究所中東研究センター研究理事保坂修司君、東京大学公共政策大学院特任教授芳川恒志君及び東京大学名誉教授内閣SIP次世代海洋資源調査技術プログラムディレクター浦辺徹郎君でございます。  この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げたいと思います。  本日は、御多用のところ本調査会に御出席をいただきまして誠にありがとうございます。  皆様方から忌憚のない御意見をお述べいただき、調査参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。  議事の進め方でございますが、まず保坂参考人芳川参考人浦辺参考人の順にお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、保坂参考人からお願いいたします。保坂参考人
  11. 保坂修司

    参考人保坂修司君) 日本エネルギー経済研究所保坂と申します。よろしくお願いいたします。  私がお話しするのは、中東というエネルギーの本筋から若干離れている部分だとは思いますけれども、しかし、非常に重要なポイントになるのではないかと思っております。(資料映写)  いわゆるエネルギー安全保障を考えるとき、恐らく多くの人たちは、一九七三年のいわゆる石油ショック、オイルショックを思い浮かべるのではないかと思います。第四次中東戦争きっかけ中東産油国石油武器戦略を発動したため、石油価格が一気に上昇し、いわゆる狂乱物価あるいはトイレットペーパー騒動が起こったり、あるいは中東産油国日本石油を売らないといったことまで出てきまして、日本中がパニックになりました。我が国エネルギー政策はこの年を境に大きく変貌したと言っても過言ではないと思います。  現在の我が国における石油中東の位置付けは、一九七〇年代のそれとは大きく異なっております。しかし、依然、中東我が国エネルギー安全保障上重要な位置を占めておりますし、地政学的なリスクを抱える地域として認識されております。  中東というのは、非常に、地理的な概念というよりは、むしろ政治的、文化的な概念でございます。見る人によって伸び縮みしまして、エネルギー業界で言うところの中東日本における一般的な中東範囲はかなり異なっております。こちらがエネルギー業界で言うところの中東になりまして、我々が考える中東よりも大分狭い範囲になっていることが分かると思います。よく言うエネルギー中東依存度といった場合の中東と、それから我々が考える中東と、領域的にかなりずれている点は注意が必要ではないかと思います。  中東が大きな問題になるのは、単にエネルギー供給源というだけではなく、宗教あるいは民族といった軸で考えると、中央アジアあるいは東南アジアなど、政治的、宗教的、文化的、経済的にも影響を及ぼしていくということが言えるからではないかと思っております。  我が国は、サウジアラビアUAEからだけでも石油の約六割を輸入しております。その他の大口の輸入元も多かれ少なかれ中東ということになります。一方、天然ガスに関しましては、オーストラリア、カタールマレーシアなどから多く輸入しております。石油と比べると若干多様性はあるとは思いますが、ここでもやはり実は中東役割というのはかなり大きなものがございます。  先ほどお話ししました中東依存度という問題なんですけれども、石油中東依存度は現在約八七%というふうに言われております。ただ、実際には、サウジアラビアUAEなどいわゆるGCC六か国、それにプラスしてイランイラク、この八か国がほとんど全てになります。ほかの中東の国からの輸入は本当に微々たるものにすぎません。他方天然ガス中東依存度は約二四%。しかし、これにインドネシアとかマレーシアあるいはブルネイといったイスラムという宗教を通じて中東と深く結び付く国々を含めますと、実は六割近くを占めることになります。これをイスラム依存度というふうに言ってもいいかもしれません。石油で見た場合、石油イスラム依存度は九割に達します。  中東重要性は、単に資源国というだけではなく、その資源を運搬するシーレーン上の要衝が含まれている、これも非常に大きな問題点になっています。例えばイランとオマーンの間のホルムズ海峡、ここには石油の約八〇%、天然ガスの二五%が通過しております。ここが封鎖されれば日本アジア諸国は深刻な影響を受けることになります。そのほか、例えばバーブルマンデブ海峡スエズ運河ジブラルタル海峡、こういった地点は、日本の海運、貿易にとって極めて重要なチョークポイントとなっておりまして、それだけでもこの地域の安定が日本経済にとって不可欠であるということは理解できると思います。  一方、日本の対中東貿易を見ますと、エネルギー輸入の面で重要なことは言うまでもありませんが、輸出市場でもそれなりの地位を占めていることが分かると思います。ただ、中東市場での日本プレゼンスは残念ながら徐々に下がってきております。代わって、中国などアジア諸国貿易面で大きな地位を占めつつあるというのは御存じのとおりだと思います。  他方中東地政学的リスク、これがこの地域に内在する多数の国際紛争に起因しているということは言うまでもありません。中東の抱える諸問題の中でも中東和平、すなわちパレスチナ問題、これが古くから最も中心的なテーマとなっております。前述のとおり、この問題がきっかけとなって石油ショックが起きたわけですので、このときの中東産油国石油武器戦略、これが多くの石油関係者エネルギー関係者のトラウマになっていることは間違いないと思います。  また、現代のテロ問題、これの多くも中東を根源としております。一九九〇年以降、イスラムあるいはジハードの名の下で犠牲になった日本人の数は既に六十人を超えております。こうしたことからも、我が国中東進出あるいは対中東投資をちゅうちょさせる大きな原因になっているわけです。  そのほか、クルド問題あるいはイランの核問題、また民主化、あるいは人権の問題、これも非常に重要なポイントになっております。  中でも、我が国エネルギー安全保障にとって頭の痛い問題がサウジアラビアイラン対立になります。サウジアラビアスンナ派アラブイランシーア派のペルシャ、したがって両者対立は必然であると。こういった宗教対立、あるいは民族対立、あるいはイデオロギーの対立原因を求める論調は少なくありません。もちろんこれは一面真理をついたものではありますが、実際には、一九九〇年代から二〇〇〇年代初めまで、両国関係は実は極めて良好でした。  それが、二〇〇三年のイラク戦争きっかけアラブ諸国シーア派やあるいはイラン影響が増加すると、両者関係に亀裂が生じてきます。サウジから見れば、イランからイラクを経てシリア、レバノンと、ちょうどシーア派が多数派を占める、あるいはシーア派が重要な地位を占める国がサウジの頭を押さえ付けるようになっております。こうした状況をしばしばシーア派の三日月と呼んでおります。  また、二〇一五年以降は、イエメン内乱イランイエメンシーア派勢力を支援しているとされまして、サウジアラビアシーア派から四方を囲まれるという状況になっております。そのような中、二〇一六年一月にサウジイランと断交し、以来、両国は子飼いのメディアを使って非難合戦を続けております。  日本は、サウジから石油の三〇%以上を輸入しております。また、イラン中東の大国であり、石油のみならず天然ガスでも潜在的に日本エネルギー安全保障中核になり得る存在でございます。この二つの国が対立し続けることは、当然、日本にとってプラスではありません。この二国は、単に当事者同士だけでなく、周辺諸国をめぐっても激しく対立しておりますが、中東の二大資源強国、この対立がこうした域内紛争の解決を遅らせていると言ってもいいと思います。  もう一つ重要なポイントは、昨年六月、サウジアラビアUAEなど四か国が、同盟国であるはずのカタールと断交しました。サウジUAEの二国だけで日本石油輸入の約六割を占めております。また、カタール日本天然ガス輸入で重要な役割を果たしております。東日本大震災日本の原発が止まったとき、カタールから急遽大量の天然ガス輸入したのは記憶に新しいと思います。  この対立日本にとっては深刻な問題でございます。前述サウジイラン関係でもそうでしたが、このサウジUAEカタール対立でも、例えば米国サウジ側支援を明確にしております。しかし、日本はこの両陣営と長く良好な関係を構築しておりました。また、石油ガスの両面で我が国にとって重要な国であることは言うまでもありません。米国のように簡単にどちらか一方を支持するということは日本にはできませんし、またそうすべきであるとも思いません。  中東産油国、より具体的に言いますと湾岸産油国は、いずれも大きな経済力を持っており、域内域外で、単なる政治力だけではなくて経済面でも強い影響力を発揮しております。仮に、それらの国々政治的に混乱し、石油ガス輸出に支障が出れば、日本だけでなく様々な国に悪影響を及ぼすことになります。もちろん、湾岸産油国が直面するのはそうした政治的な紛争だけではありません。もっと根の深い、彼らの政治経済あるいは社会システムそのものに根差した問題が彼らの未来に暗い影を差しているというふうに言うことができると思います。  湾岸産油国政治社会構造は、しばしばレンティア国家と呼ばれます。天然資源を海外に輸出して、その収益を国庫に入れて、そこから福祉や教育など政府サービスや公務員の人件費を捻出する、そういったシステムになるんですけれども、特にGCC諸国では、所得税もなく、歳入の大半を石油あるいはガスからの収入が占めております。よく知られておりますように、湾岸産油国はこうした収入を背景に豊かな福祉国家を実現いたしましたが、それもこれも石油があればこそということになります。  しかし、この石油に依存するシステムというのは極めて脆弱で、例えば油価が下がれば一気に財政赤字になってしまいます。何よりも、石油は有限であり、いずれ枯渇いたします。また、近年の地球温暖化などで化石燃料に対する批判が高まっていることを考えますと、枯渇するよりも前に使われなくなる可能性が高いということも言えます。  石油業界では、つい最近まで、石油供給ピークを迎える、つまり石油の生産が徐々に減少していくという議論が盛んでしたけれども、近年では、むしろ、石油はどんどん使われなくなる、石油の需要がピークになるんだという議論が盛んになっております。私の所属する研究所試算では、二〇三〇年ぐらいから油価は低落していくというふうに予想しております。しかも、湾岸産油国では人口が増加しており、必然的に国内エネルギー消費も拡大します。となると、これまで輸出に回していた石油ガス国内で消費しなければならず、本来外国に売って収益を得ていたはずの資産まで食い潰していくとなってきます。そうなると、主たる産業石油しかない湾岸産油国は危機的な状況に陥ってしまうわけです。  そこで、産油国の多くは新たな対策を立てることになりました。具体的に言いますと、経済を多角化したり民営化することで非石油部門を増強する、あるいは補助金をカットして歳出を減らすと、こういった対策ですね。ただ、産油国である湾岸諸国の安定は、日本エネルギー安全保障上、依然として重要であることは言うまでもありません。さらに、湾岸諸国の安定は、中東域内域外の安定にとっても不可欠でございます。  日本エネルギー安全保障における湾岸産油国重要性は、石油が一次エネルギー中核を占めている限り変わりません。したがって、その間、湾岸産油国日本を含むエネルギー消費国に安定的あるいは持続的に資源を供給するシステムが必要であり、そのために我が国はどうすればいいのかということが問われることになります。  まず一つは、中東諸国が抱える様々な紛争で仲介や調停の役割を積極的に取るという点でございます。サウジイランUAEカタールなど、対立する勢力と友好的かつ深い関係を維持している日本だからこそできることがあるのではないかと思います。  もう一つは、中東産油国の脱石油依存のプロセスを支援していくことです。我々の試算では、二〇五〇年頃まで石油は重要なエネルギーであり続けます。ただ、そのときになって産油国石油依存をやめようとしても、時既に遅しということになります。その前から、産油国石油依存体質からソフトランディングさせていく必要がございます。  例えば、サウジアラビアは、二〇三〇年をターゲットにサウジビジョン二〇三〇というプログラムを発表しております。既にサウジアラビアとは、日・サウジビジョン二〇三〇という形で、日本サウジ構造改革を支援していくことで合意しております。似たような枠組みでどれだけほかの産油国の脱石油依存に貢献できていくかということが一つの鍵になっていくのではないかと思います。  もちろん、石油依存を下げ、中東依存を下げていくことは重要ですが、少なくとも化石燃料が使われなくなるまでは安定供給を維持する必要があり、そのためには中東との緊密な関係を維持していく必要があります。一方、産油国側ではアジアへの輸出依存度が増してきています。近年の中国あるいはインドの中東におけるプレゼンスの拡大には目をみはるものがあります。当面の間、こうした域内の強力なライバルと競合して日本が安定的なエネルギー供給を確保するためには、日本のうまみを生かした独自の対中東関係の構築が必要だというふうに考えられます。  そのためには、上流権益の確保も必要ではないかと思います。ここでも中国日本の強力なライバルになっております。日本はかつて失敗しましたアラビア石油権益更新、この失敗をきちんと分析して、その失敗を次に生かす必要があるのではないでしょうか。サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコのIPOも、その意味では検討課題と言えるでしょう。  また、産油国人口増エネルギー消費増に対処するため、産油国の省エネあるいは再生可能エネルギー分野での協力、こうしたものは日本得意分野でもあり、大きな可能性を含んでおります。既にサウジなどとは協議が進んでおりますけれども、化石燃料から水素を製造するプロジェクト、これは既存の石油産業のインフラをある程度利用できることからも、中東産油国とウイン・ウインの関係を構築し得る有望な分野と言うことができます。  いずれにせよ、エネルギー安全保障のために石油依存度中東依存度を下げることには意味はありますが、その結果、中東における日本プレゼンスを下げてしまっては、かえって逆効果になってしまうと私自身は考えております。  私の意見は以上のとおりでございます。  ありがとうございました。
  12. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) ありがとうございました。  次に、芳川参考人にお願いいたします。芳川参考人
  13. 芳川恒志

    参考人芳川恒志君) ありがとうございます。  御紹介をいただきました芳川と申します。おはようございます。よろしくお願いいたします。  私は、本日は、我が国の取るべきエネルギーミックスの在り方について、これを十五分で話せというふうに言われていまして、到底私の能力を超えるものですから、本日はこのようにお話を申し上げたいというふうに思っております。先生方は高い立場から、高い視点から政府エネルギー政策についてアドバイズをされ、御指導をされるというお立場から、このエネルギーミックスを検討するためにどういうことが基本になるのかということを、その基本的な要素、私が考える重要な基本的な要素はどういうことかということをお話をしていきたいと思っております。  ただ、資料は以下の三部構成になっております。(資料映写)  まず最初が、基本的なこととは何か、それを幾つか解説をしております。  それから二つ目が、これは、我が国エネルギー政策エネルギー構造を見るに当たって、これを現実に当てはめるとどういうことかということを十五ページ以降、解説をしております。  最後に、ちょっと私、後でも申し上げようと思うんですけれども、グローバルな視点が非常に重要だということから、昨年の末に発表されました、国際エネルギー機関、IEAの毎年の著作でありますワールド・エナジー・アウトルック最新版を、日本語版を付けております。これは、事務局長のファティ・ビロルの代わりにグールドさんという課長が来て発表したものをそのまま付けさせていただいております。  以上申し上げた上で、今、保坂さんがおっしゃったことも言及しながら、ちょっとお話を進めたいと思います。  それでは、お話を十五分でさせていただきたいと思いますけれども、私が重要だと思うこと、このようなことであります。  ちょっと二つ目から申し上げますと、この三つのE、今お話があったエネルギー安全保障、環境、それから経済性経済成長であります。この三つのEがすごく大切だと。特に福島以降はセーフティーが重要だということで、三つEプラスSという議論もありますけど、伝統的にはこの三つのEのバランスを上手に取っていこうというのが基本中の基本であります。あらゆるエネルギーに関する著作、特に政策に関する著作はこのことが頭の当然の前提として入っておりますので、これを強調したいと思います。  二つ目が、一番最初になりますけれども、エネルギーというのは、今の三つのE等々を含めて様々なこと、安全保障とか外交とか健康とか様々なことにタッチをするんですけれども、特に最近のCOP以降、COP20、パリ協定以降は、このエネルギーとCO2の排出問題がすごく強調をされてきます。それをちょっと最近のトレンドとして強調をさせていただきたいと思います。  あとは、エネルギー政策といって、政策が全てが解決するんじゃなくて、やっぱり市場と対話しながらエネルギー政策を進めていくことが極めて重要だということと、そのためにも価格指標を絶えず注目していくことが大切だし、そのためにもその価格を上手にファンクションさせることが重要だと。ここに書いてあります、ゲット・ザ・プライシーズ・ライトということと、下にちょっと出てきますエビデンス・ベースド・ポリシー・メーキング、これ、私がOECDで勤務していたときに、二つ非常によく言われた標語みたいなものであります。だから、正しくそのマーケットでプライスが反映されるように、それに注目していこうと、こういうことであります。  それから、特に、また繰り返しになりますけれども、パリ協定以降はイノベーションということがすごく強調されています。エネルギー政策地球温暖化政策とこのイノベーションというこの三つの輪っかが、できるだけこれを同じように解決していこうというのが世界的なトレンドであります。  それから、あと、ここまでが私が今日特に強調したい四つの話でありまして、もし時間がありましたら、政策ツールの問題、特に炭素税をめぐる問題、割とずうっと日本だけやや特殊な議論をしておる話が一つ。それから、いろんな時間軸、この温暖化問題も含めると非常に長い時間軸の中で物事を見ていく必要がありますよということと、やっぱりグローバルの視点が重要ですよと、こういうことをちょっと強調して、各論を時間の許す限りお話を申し上げたいと思います。  まず、この六ページを御覧をいただきたいと思います。  もう皆さんよく御存じで、こんなこと知っているよということだろうと思います。ただ、改めて申し上げたいと思います。エネルギー政策基本は、この安定供給エネルギーセキュリティーと、環境性、特にCO2の排出、温暖化ガスの排出問題です、それから経済性経済成長にいかに貢献していくか。この三つの輪っかをできるだけ大きくバランスを取っていくということであります。  この発想は、特に一個一個、例えば石炭は経済性はいいけれども、安定供給はいいけど環境性は悪いとか、そういう議論とともに、より以上に、将来のエネルギーミックスを考えるときに、全体としてこの三つができるだけ大きくなるにはどうしたらいいのかということを考えるときに特に重要になります。  一個一個ちょっと見ていくと、この安定供給エネルギーセキュリティーというのは、保坂参考人もおっしゃったように、日本エネルギー供給構造、グローバルなエネルギー供給構造を見て、これまでは、まあ今もそうですけれども、中東依存度が高いじゃないかとか自給率が低いじゃないかと、こういう議論になってきています。今日はちょっと詳しくお話しする時間が多分ないと思いますけれども、このワールド・エナジー・アウトルックを見ますと、世界はすごい変わっていますよと。それは、一次エネルギー供給から電力の安定供給になっているんですよ、こういうとば口に我々は立っていますよということが言われています。  したがって、このエネルギー安全保障の問題も、中東依存度ももちろん重要ですけど、電力の安定供給ということがより重要になっているぞと、こういうこともちょっと踏まえていただきたいというふうに思います。  それから、この環境性ということについては、CO2、温暖化ガスの排出問題なんですけれども、これも今のSDGの議論を踏まえますと、この中に、CO2排出だけじゃなくて、いわゆる中国で話題になっていますいわゆる環境問題なんかももちろん重要だということになっていますし、この最後の経済性のところは日本だと電気料金の問題等々に還元していくということになります。  これ一ページめくっていただくと、ちょっと私がまとめてみたんですけれども、従来のエネルギー政策は、三つのEといいながら、むしろこの二つのE、特に安全保障経済性、これが中心に議論されてきて、特に、どうでしょう、二〇一六年までの例えば十年ぐらい、この安全保障経済性が特に強調されてきていると思います。御覧いただいたように、ロシアも米国も自らの安全保障と競争力を特に重視してやってきたんです。私は、特にパリのCOP以降、少しずつ風向きは変わってきているかなという感じがちょっとしています。環境という問題、特にCO2、温暖化問題が重要性が増してきていますし、これを競争力とくっつけて、セキュリティーとくっつけて議論しよう、特に中国、そういうことになってきているんじゃないかなという気が実は強くしています。  最後にちょっと書きましたけれども、このドイツの例、脱原発、二〇二二年全部原子力はやめますということですけれども、FITでどんどんリニューアブルを進めていますが、彼らは、産業用の電気料金は比較的安く、家庭用は比較的高く、これは彼らのよって立つ産業をサポートし、同時に、何というんですか、国民所得も高いので、意識の高い消費者に割と負担を寄せていっている、それを支える消費者がいると、こういう前提になっています。  日本は、私、ちょっと最近来た私に対するビルを持ってきたんですけれども、先生方エネルギーの御専門の先生方ですからこれよく御覧になると思うんですけど、これ実は東京ガスでやっているんですけれども、私の場合は、電気も、七千四百円です、電気料金。そのうちの再エネ促進賦課金、お幾らだと思いますか、大体。七百二十八円です。一割、大体一割。これがどんどんどんどん将来増えていくんじゃないかと、こういう議論ですね。これFITのレベルの問題ですけれども、こういうことにもちょっといろいろと御注意をいただくといいかなというふうに思います。  ちょっと戻ります。  今、三つのEの話をしたんですけれども、繰り返しになりますけれども、パリ協定以降、やっぱりグローバルな課題、経済成長エネルギー消費と温暖化問題って重要じゃないかということがすごく言われています。  ちょっと振り返ると、非常に古い話なんですけれども、人類が東アフリカで、ホモサピエンスが出てきてずっと、十万年前ですか、それから産業革命まで、これがエネルギー消費ですね、産業革命が終わってぐらいから消費がどんどん増えています。これが一八〇〇年ですから、ここぐらいから化石燃料の消費とともにこうやって増えているということです。  これちょっとまず頭に入れていただいて、その上で、GDPとエネルギー消費とCO2排出量、大体同じように、大体リーマン・ショックと同じようにこれが伸びているというのがよく分かると思います。これは、GDPの対エネルギー消費あるいはCO2の弾性値がほぼ一定だということになります。今の課題は、経済成長は当然したい、しかしCO2の排出は削減しようということになっていて、この間を切りましょう、デカップリングしましょう、こういう議論なんです。これをしないと地球がどんどん温暖化していきますと、こういうことであります。  そのためにはどうしたらいいのかということであります。一つはちょっと、もう一回戻りますと、済みません、すごく端的に言うと、これを切るためには一番有効なのは省エネする、つまりエネルギーを使わない経済構造をつくっていく。このエネルギー消費とCO2の関係を切るためには、保坂先生もおっしゃいましたけれども、化石燃料を使わないようにすると、こういうことであります。こういうことをこれからしていきましょうというのが世界の流れになってきています。  ちょっと時間も押してきていますので、この辺を全部飛ばして、ここだけ最後にお話をしたいと思います。あとは御質問をいただければというふうに思いますが。  これは、実はいろんな似たようなグラフが世の中にあるんです、特にパリ協定以降ですね。これはIEAが作った割と有名な四五〇ppmシナリオ、二度シナリオというやつです。二度というのは、世紀末において地球の平均気温の上昇が二度以内に収まるように大気中のCO2濃度を管理しましょうと、こういう目標です。いつから二度か御存じでしょうか。冒頭申し上げた産業革命前です。人類がそんなにCO2を排出していなかった時代に比べて二度上昇にとどめましょうといったあれです。  これが、ざっと言うとCOPで日本も含めてコミットした、措置をとった場合のルートです。これがあらまほしき二度にするためのCO2の排出です。こんなにギャップありますよと、このまま行くと二度どころでは済みませんということです。  日本もそのためには温暖化対策計画を閣議決定しておられますし、そのためには二〇三〇年二六%減、二〇五〇年八〇%減、これをコミット、ディクレアしておられるわけですけれども、このぐらいのことを達成するためにはイノベーションが必要だと。冒頭申し上げたように、エネルギー政策と温暖化政策とイノベーション、この三つを統一的に実施するような政策環境をつくっていくということであります。  したがいまして、三つのEを達成しながらこの新たなファクター、イノベーションも含めて、皆様方に問題意識を持っていただいて日本国をリードしていただきたいというのが私の最後のメッセージであります。  大変失礼しました。ありがとうございました。
  14. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) ありがとうございました。  次に、浦辺参考人にお願いいたします。浦辺参考人
  15. 浦辺徹郎

    参考人浦辺徹郎君) 浦辺でございます。  私の方は、エネルギーではなくて鉱物資源の、特にまた海洋の方の鉱物資源についてお話しさせていただきます。(資料映写)  お話を始める前に、去年の九月に大変いいニュースがありました。これは、JOGMECさんが沖縄の千六百メーターの海底から海底熱水鉱床の鉱石を揚げることができた、この揚鉱というのはこの生産プロセスの中で最も難しいところでございますが、それの連続揚鉱に成功したという大変明るいニュースがございました。これでその生産に一歩近づいたということになります。  今日はそれに関して、周辺の状況から今、海でどういうことが起こっているか、ちょっと広範にお話をしたいと思います。  この地図は、日本のEEZを地球の上にプロットした図でございます。非常に大きいということがお分かりいただけると思います。EEZの下を、大陸棚というふうに言いますけれども、これは日本の管轄権が認められた国土のようなものでございますので、これをどうやって管轄していくのか、これは非常に大きな問題でございます。その一つのやり方として、資源それから環境というもので調査をしていくわけでございますけれども、今回、SIP次世代海洋資源調査技術という中で、こういうものをなるべく安く早く効率的にやる方法が開発できたということで、それについてもお話をしたいと思います。  この広い日本のEEZ、大陸棚でございますけれども、どういう資源があるかというのがこの図でございまして、まず沖縄、伊豆、小笠原の海底熱水鉱床、それから赤で書いておりますコバルトリッチクラスト、それから青山先生がやっておられるメタンハイドレート、そういうふうなものがございます。これらはいずれも非在来型資源でございまして、この開発にはいろんな技術的な開発が必要でございます。  特に、今日は鉱物資源の話でこの三つのことをお話ししたいと思います。まず海底熱水鉱床、コバルトリッチクラスト、それからマンガン団塊でございます。このほかにも幾つかの海底資源というのは知られているわけでございますけれども、経済性という意味ではこの三つが代表的なものなので、今日の話はこの三つに限らせていただきます。  これを表にしてみますとこうなります。  マンガン団塊というのは、平らな海底の中にゴルフボールから野球ボールぐらいの大きさのものでございまして、コバルトリッチクラストというのは、露岩、海山の露岩をべたっとアスファルトのように十センチぐらいの厚さで覆っているものでございます。この二つは鉱物組成なんかが非常によく似ておりまして、冷たい海水から百万年に三ミリ程度、千年に三ミクロンずつという非常にゆっくりしたスピードででき上がる、そういうものでございます。それに対しまして海底熱水鉱床というのは、海底火山、海底火山には海洋が割れて広がる大洋中央海嶺というものと日本の周辺海域のような海底の島弧の火山という二つの場所が大きいんですけれども、これに伴って三百度ぐらいの温泉が湧いて、その熱水から沈殿をする、全く違うメカニズムのものでございます。  どこにあるかということですけれども、公海の底、大陸棚、延長大陸棚でやってみますと、マンガン団塊は八〇%以上が公の海、コバルトリッチクラストは半分半分ぐらい。これちょっと数字が間違っていて、八五と書いてありますが五八の間違いでございまして、申し訳ありません。基本的には、このコバルトリッチクラストと海底熱水鉱床は、先ほどの図にもありましたように、EEZ内の資源であるというふうにカテゴリーを分けることができます。  資源量、このノジュールが一番大きい、それから一桁下がってコバルトリッチクラスト、更に一桁下がって海底熱水鉱床ということになりますので、これは海底熱水鉱床は小さ過ぎるのかなということもありますけれども、熱水鉱床の資源量というのはこの大洋中央海嶺のもののみで六億トンでございます。島弧のものはまだ統計がありません。それから、島弧の中には、海底面に露出していない、活動を止めている潜頭性鉱床というのがあって、これが非常に大きな資源量に寄与してきますので、これを探す方法が今までなかった。それをSIPでつくることができたということでございます。  それと、もう一つ特徴、これらの特徴は、ここに主要金属、随伴金属、いろいろと書いてございますけれども、それぞれタイプによって違いますが、非常に多種多様な鉱物が、金属が含まれている多金属型である、いずれの三つも多金属型という特徴がございます。  その金属、どういうものが必要なのか。これ、OECDが今年、現在及び二〇三〇年に重要鉱物、クリティカルメタルというのを予想しています。こちら、左側の図は、日本に必要なものと世界に必要なもの、大体比例をしていて、例外もありますが、そういうものです。それから、右側の図は、基本的には、あと何年、今の知られている埋蔵量で、生産量で割ってあとどれぐらいもつかということで、一番足らないのがアンチモン、一番足りているのがレアアースというふうな図が出ております。  これを図にしてみますと、こういうふうになります。縦軸は、要するに代替が利かない、そういう特殊な金属の性質によって利かないもの、リスクが高いものが上、それから、横軸は地政学ですね、ある特殊な国にしか産しないということで、リスクの、上の方が高い、右の方が高いということでございます。ここに赤や青で印が書いてございますけれども、これは、赤は海底熱水鉱床に出てくる金属、青はコバルトリッチクラストに入っているものでございまして、これが、見てみますと、大体そういうふうなものがカバーされている、量のことはちょっとまだあれでございますけれどもカバーされているということで、こういうものを探す、開発してはどうかというふうな機運が高まっているという状況でございます。  じゃ、それは本当に経済性を持ってできるのか。これは悲観論と楽観論があります。  悲観論で見ますと、量的に、先ほど量のことを申しましたけれども、年間の使用量からいいますと、金属によりますけれども、多いもので十年分とか、少ないものだと数か月分というぐらいしか入っていないということで、余り量的には重要でない。それから、そういうものはできない。ただ、ナショナリズムとかそういうふうなものがあるので、それは考えなくちゃいけないというふうな悲観論がございます。ただ、経済性というもの、これがやれるということが分かればどおっとスタンピードで入ってくるだろうと、そういうことも悲観論の中で予測しているわけです。経済性は海底熱水鉱床が一番いいだろう。それから、マンガン団塊とコバルトリッチクラストは採算ぎりぎりということですけれども、海底熱水鉱床の場合には、基本的には日本を含めた太平洋島嶼諸国というものが対象になるだろうと、中央海嶺ではない。    〔会長退席、理事渡辺猛之君着席〕  楽観論は、それの反対でございます。この海洋経済、ブルーエコノミー、ブルーグロースというものの中では、膨大なそこに新しい経済フィールドがあるんだという指摘があります。その根拠になっているのは、一番下ですね、海底油ガス田の開発のスピード、それから、最近でいいますと、いわゆるシェールガス、シェールオイルの開発のスピードを考えますと、技術というものができた途端に膨大な進化があるんだということが楽観論の根拠になっていて、真実は恐らくこの間にあるんだろうと思います。  それで、これは陸上の結果でございます。この青の線は、ずっとこのところ見付かっている、これはウランなんかも入っていますけど、基本的には金属、希金属とベースメタルと思っていただいて間違いないんですが、ずっとコンスタントに鉱床が見付かってきていると。これは左軸で見ていただくんですが、最近、このブルーのラインがほぼゼロに向かって物すごいスピードで下がっている。これが大きな構造的な変化ではないかという見方が進んでいます。  お金の面で見てみますと、赤は、これは探査に掛けたコスト、五千億円ぐらいですね。これは得られた鉱床の価値、この間では大体二・三倍ぐらい、五千億掛けても一兆何千億は見付かっていると。ところが、最近の十年ではその比が五分の一になって、掛けたお金の〇・四七ぐらいしか見付かっていないと。  こういうのがたまたまなのか大きなトレンドなのかという議論がありますけれども、これが大きなトレンドであろうということが心配されていて、そうすると、この年間一兆円ぐらい使われている探査費が海に向かうのか向かわないのか。今は向かっていませんけれども、それを主導できるのかどうかというのが大きな問題になってきます。  ここで、そのためには技術開発が必要です。民間の資源開発、この資源の開発というのは、民間において商業化されて初めて資源となるわけでございますので、そうすると、探査技術、探査の実施、こういうふうな様々な技術がございます。探査技術、これから申し上げますが、うまくいっている。それから、採鉱技術は、先ほど最初のスライドでお見せしたように、日本が世界のトップを走っている。それから、選鉱、製錬、これは余り話題には上らないんですけれども、JOGMECさんが非常に綿密な調査をして、今パイロットプラントができております。  それで、あと重要な政治的な課題としては、事業への投資、それから、芳川先生もおっしゃいました環境影響評価、そういうふうなもの全てやっぱり政策的に主導していただければいいのではないかというふうに思います。  次に、探査のことについてお話しいたします。  これはSIPでつくりました統合海洋資源調査システムというもので、広い海域、先ほども言ったような広い海域から、足の速い船であるとか自律型海中ロボット、AUVと言っているようなものをたくさん使ってだんだん絞り込んでいく。最後は、海底設置型のような、余り機動力はないんだけれども情報が得られるようなもので絞り込んでいくと、こういうふうなシステムでございまして、これは技術移転が民間に済んでおります。それから、高効率、低コストで陸上の探査とほぼ同じぐらいの価格でできるような、そういうふうな技術開発がSIPでできたということでございます。  その実例です。こちらは黄色いものが映っていますが、これは海上を走るロボット、赤いのが何台か映っていますが、これは海中を潜って様々なセンサーを積んで海底の探査をするロボットです。複数のロボットを同時運用することによってコストを大幅に下げることができる。  そして、どういうデータが得られるかというと、例えば、船上からのデータだと地形図ぼやっとしているわけですけれども、AUVからの地形図だとこういうふうに凸凹がはっきり見えます。この凸凹一つ一つが海底熱水鉱床であるということで、こういうものの重要性がはっきりするわけでございますが、先ほど申しましたように、海底面に出ているものは見えるが、海底面下のものも見えるというのが今年の成果でございます。  これは久米島西方域で、こういうところにへこみがあるわけですが、これを自然電位という非常に単純な物理探査の方法をやりますと、この濃いブルーの異常帯が周りの緑色の中から出てきます。これは、いろいろやってみますと、確実にほぼ海底面上にある、海底面下にしか見えない、そういうものにかかわらず、きちんとアウトライン、平面的な分布が非常にきれいに見えてきました。さらに、精査で音波探査をして、断面図、ここの断面図ですけど、断面図を見ますと、上に堆積物があり、その下に赤で示した鉱石があって、その下に変質帯があるというふうなことがはっきり分かってきた。これで三次元的な分布も分かるということが、船の調査でこういうふうなシステムを使うと分かるということになってきたわけです。  さらに、この分布、熱水鉱床の分布でございます。日本がここでございますけれども、西南太平洋ですね、太平洋の島嶼諸国にも同じようなものがあるということがこの図から分かります。  ですので、結論としては、我が国のEEZには非常に大きい、それからたくさんの資源がある。それから、経済的な現実性が大分見えてきた。それから、海洋調査産業による資源調査というものが陸上の探査とほぼ比肩できるぐらいのことが出てきますので、是非こういうところに日本が先鞭を取っていくべきではないか。それから、JOGMECが生産の技術についてはうまくいっている。それで、まず最初に我が国の大陸棚の資源調査を実施すべきではないか。それから、その技術を太平洋の島嶼諸国にも応用することによって海洋及び資源安全保障につながると、そういうふうなことを考えております。  今日はどうも御清聴ありがとうございました。
  16. 渡辺猛之

    理事渡辺猛之君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。  質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから着席のまま御発言いただくようお願いいたします。  また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくようお願いいたします。  なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるよう御協力をお願いいたします。  それでは、質疑のある方は挙手を願います。  島田三郎君。
  17. 島田三郎

    島田三郎君 ありがとうございます。  まず、貴重な御意見をいただきました三人の参考人の方々に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。  御承知のように、我が国石油危機を乗り越えて世界有数の経済大国になったわけでありますが、一方で、今日御説明がありましたように、エネルギーも鉱物資源も、そして自給率も低い。更に我が国が発展していくためには、安定的な確保というものが求められております。本日は、こうした観点から、各参考人の御意見をお伺いできることを誠に良い機会であると改めて感謝を申し上げたいと思っております。  さて、保坂参考人にお聞きいたします。  日本エネルギー中東地域に大きく依存しております。中東日本にとって大変重要な地域であると思っておりますが、そういう中で、他方、私どもが分からない、理解できない部分もたくさんあるわけであります。例えば、テロ問題、内乱、そして地域紛争等、絶えず目まぐるしく変化をしていくことについて、まあ先ほどの先生の御説明である程度理解ができたわけでございますが。ただ、今私どもの日本日本がどうするべきかとのお話がありましたが、そこで、改めてエネルギー安全保障を確たるものにするための日本中東政策の在り方について先生にお伺いしたいというふうに思いますが。
  18. 保坂修司

    参考人保坂修司君) 御質問、どうもありがとうございます。    〔理事渡辺猛之君退席、会長着席〕  私のプレゼンの中においては余り具体的な話は時間の関係もありまして出せませんでしたけれども、結論だけ言いますと、まず重要なのは、やはり中東依存あるいは化石燃料への依存度を下げることは重要ですが、その一方で、中東における日本プレゼンスを下げてしまうのは極めて危険であり、逆効果であるということになろうと思います。つまり、日本がこの地域に深くインボルブされることによって、それを逆に中東地域あるいは域内の安定性につなげていく必要がある、そのためには何をすべきかということになるんだと思います。  もちろん、各様々な形での紛争あるいは対テロ戦争も含めまして、日本ができ得るものというのは限られているのではないかと思います。御承知の、まあ釈迦に説法でございますけれども、自衛隊の海外派兵の問題も含めまして、日本政治的にできる問題というのはそれほど大きくはないと思います。ただ、日本がこの地域で比較的、よく我々は白い手というふうに言うんですけれども、中東においては非常に高く評価されている、友好国が非常に多いという点を生かすことによって何らかの形で仲介の役割を果たせるというふうには考えております。  もう一つ、これもお話の中で触れさせていただきましたけれども、日本化石燃料に依存しているのと同じように、中東、特に湾岸産油国化石燃料に依存しておりますので、その依存を下げるための努力を日本が協力していくという点がやはり非常に今後は重要になっていくんではないかと思います。  その意味でいいますと、サウジアラビアとの間で結んだ日・サウジアラビアビジョン二〇三〇、これはある意味、今後の中東との関係を予言するような、新しい、しかもより深い試みになっていくんではないかというふうに思っております。
  19. 島田三郎

    島田三郎君 ありがとうございます。  次に、芳川参考人にお伺いいたします。  今、世界では地球規模での気候変動問題への効果的な対策が求められております。そして、エネルギー政策においても、安定供給経済性、そして環境性が安全性とともに重要であるとおっしゃいました。  まず、日本エネルギー政策の方向性について改めてお聞きいたします。また、一方で、気候変動問題への対策は国際社会が協調して取り組む必要があります。各国の経済発展段階の違いから、現実的には取組に非常に差異が生じていると思っておりますが、こうした違いを超えた効果的な対策について御所見をお聞きいたします。
  20. 芳川恒志

    参考人芳川恒志君) ありがとうございます。  まず、二つ御質問いただいたというふうに承知しております。私が申し上げたことを踏まえて、島田先生のおっしゃったことをベースに、日本エネルギー政策の方向性いかん、それから二つ目は、それをいかにして国際協調をしていくのかということだったと思います。  まず、最初の点でございますけれども、これ今改めて申し上げたわけですけれども、国際的な議論のトレンドを踏まえて、私は、一般論でありますけれども、いかにして日本らしい三つのEを実現をしていくのかということに尽きる、抽象的にはですね、尽きると思っています。しかしながら、それでは答えになっておりませんので、じゃ、どういう新しいトレンドを考慮をしたらいいんだろうかということについてちょっと補足をさせていただきます。  資料の二十二ページを御覧をいただきたいというふうに思います。これが、私もおりましたIEAのワールド・エナジー・アウトルック最新版の最近の四つの変化ということで書いてございます。この二十二ページでございます。これを四大変化、英語でアップヒーバルズといって表現をしていたと思いますけれども、これ四点あるんです。  それで、まず一つは、二つが国に関すること、中国とアメリカ、それからもう一つが太陽光発電に関することで、最後が電化に関することです。  繰り返しになりますけれども、アメリカが、シェール革命の結果、世界の化石燃料のトレードのリーダーになっていくだろうと、これが一つです。数年前までは世界最大の化石燃料輸入国で、石油輸入国であったわけですけど、それが急速に世界の、今はガス輸出国ですけれども、二〇二〇年までには石油輸出国にもなって、化石燃料の一大プレーヤーになるだろうと、これが一つです。  二つ目は、中国です。私は、この中国の動きの方がより重要ではないかというふうに思いますけれども、ブルースカイアゲインということで、特に温暖化、リニューアブルを中心としたエネルギー政策に非常に力を、省エネとリニューアブルですね、脱石炭というか、これにすごく力を入れています。これが大きな二つ目です。  それからもう一つが、これもよく言われている話ですけれども、太陽光を始めとするリニューアブルが、再生可能エネルギーが世界で最も建設される発電電源に今なりつつあります。特に太陽光の価格はがんがん下がっています。したがって、これが彼らはシェールに代わるセカンドレボリューションだと、こうIEAでは言っているんですけれども、これが三つ目です。  最後が、ちょっと私も冒頭のところで触れさせていただいた、電化こそが今後の重要な局面と。これどういう意味かというと、ちょっと私の資料で触れる時間がありませんでしたけれども、八ページをちょっと御覧をいただくと、日本は一次エネルギー供給で見ると依然として石油が重要です。これは、左の方の石油が、最後の最終消費の形でどうなるかということなんですけど、ちょっとこれを、グラフが非常に分かりにくいんですが、一次エネルギー供給、生の形で自然界に存在するエネルギー日本にどういうふうに入ってくるかというのが一次エネルギー供給です、石油が四三%。これがずっと、発電され、送電ロスをされ、最終的にこの電力消費ということになるんですけれども、この一次エネルギー供給と同じベースで見ると、電力になるのはこの二〇一三年の時点で一六%しかありません、一六%ですよ。だから、日本エネルギーセキュリティーを考えると、まだこのベースが重要だと。これ、保坂参考人がおっしゃったとおりです、石油が重要だと。しかしながら、今後はこの電力の重要性が増しますよと、こういうことです。  そういうことで申し上げると、こういうトレンドを踏まえたエネルギー政策日本はしていくべきだというふうに私は思います。それが一つです。  それから、国際協調をどうやって進めていくかということでありますけれども、これはパリ協定の中にも、一国でやるよりも、グローバルな課題には国際協調でやりましょうということになっております。日本もいろんなところで、そういうふうに書かれております。  私が特に懸念をしますのは、そういう本当の枠組みに日本が本当に入っているんだろうかと、日本が技術力を持って、政策を持って、本当にそういう枠組みに、プレーヤーになっているかなと、なっていてほしいなと、なっていくべきだし、なっていてほしいなと。そういうことについて問題意識を持って、政府とかいろんな国の御指導をいただければ大変有り難いと私は思います。  以上であります。
  21. 島田三郎

    島田三郎君 一言だけ。  浦辺先生、研究頑張ってください。よろしくお願いします。  以上であります。
  22. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 礒崎哲史君。
  23. 礒崎哲史

    礒崎哲史君 民進党の礒崎哲史でございます。  今日は、お三人の参考人の方に来ていただきました。大変貴重なお話をいただきまして、ありがとうございます。  今、島田委員の方からもありましたけれども、やはりエネルギー安全保障日本の国のやはり根幹、我々が普通に生活をしていく、あるいは企業が事業活動をしていく上でこれはもう欠かせないもの、なくなれば我々の生活成り立たないわけですから、大変重要なものだという認識に私も立ちまして、今日はスペシャリストの三人の方にいろいろとお話を伺えればというふうに思います。  今、時間がなくて浦辺参考人に質問が、先生、できませんでしたので、私、浦辺先生の方からまず御質問をさせていただこうかと思いますが、海底資源についての様々なお話をいただきました。  私も元々ちょっと技術屋の端くれだったものですから、やはり技術的にそもそもこういうものは成り立つのかという観点、あるいは世界のトレンドとして、先ほどその調査量そのものも減っているし、新たな発掘の件数も減っているということからすると、単純にあのグラフを見ると、世界のトレンドは余りそこを追っていないのかなというふうにも、あのグラフだけを短絡的に見るとそういう見方もできてしまうんですが、世界的に見て、海底資源に対する発掘、あるいはそこに対する開発費含めて、トレンドとして、世界のトレンドとしては今どういう状況にあるのかということと、やはりそこに向けて今実際に動きを取っている日本の、JOGMEC含めてその活動、日本として今後進めていく上で何か課題、体制ですね、日本の体制として何か課題があればその点についての御指摘をいただければと思います。
  24. 浦辺徹郎

    参考人浦辺徹郎君) エネルギー重要性にもかかわらず鉱物資源の質問をしていただきまして、大変ありがとうございます。  技術的なものでございますが、これは資源ですので、まず探して、それから生産をして、それを処理して、金属にするという四つの過程が必要でございます。今、世界ではなかなかそれは難しいわけですけれども、日本政府の取組がありまして、JOGMECの取組、それからSIPの取組で、その四つについてほぼ見通しができたという段階であります。  ただ、まだ経済性というのは、これから来年JOGMECさんが経済性の検討をされるということになっておりますけれども、海底熱水鉱床に関しては大分の問題が解決できてきたかなと。それで、今のリスクとしては、むしろ資源量が足らないというのがリスクになります。経済産業省の方では、大体五千万トンの鉱石が海底で見付かると次々に船を、船団を移動してやっていけますので、陸上の鉱山のようにインフラを全部つくっていく、学校まで建ててというふうなことは余り必要がないわけですね。そういうふうなことで五千万トンというのを目標にしておりまして、それに向かって動いているということだと思います。  それから、十一ページの表は、これは陸上の鉱山でございます。海はまだ全く進んでいません、大変説明が悪くて申し訳なかったんですが。陸上の鉱山は、例えばこの参考資料の二十一ページを見ていただきますと、リオ・ティントという世界第二の資源メジャー、金属のメジャーでございますが、これが書いていることは、一言で言うと、今まで陸上の資源は千個プロジェクトをつくると三つは鉱山になった。ところが、これは二〇〇七年の資料でございますけれども、十年ぐらい前から、一万個そのプロジェクトをつくらないと三つの鉱山が見付からない、千三つから万三つに変わっている。そういうふうに、様々な指標が陸上の資源開発、探査というものが行き詰まっているということを示しているわけです。  我が国の課題としては、我が国はもちろん一〇〇%、金の一部を除いて鉱物資源は一〇〇%輸入でございます。それから、資源の消費量というものは、エネルギーは省エネが進んでいるんですが、省エネを進めるために省資源というのは遅れているんですね、世界的に。そのために資源の消費量の方、伸びがずっと何倍も高いわけです、エネルギーのものよりも、もちろんエネルギーの方が大事なんですけれども。そういうこともあって日本が海底資源の開発に向かっていこうというふうにしているわけですけれども、先ほども指摘させていただきましたように、技術の方は着実に前に来ているわけですけれども、それを企業がその技術を使って生産に乗り出しましょうという決断をする必要がございます。そのための法整備であるとか環境整備、そういうものを是非着実に進めていただければ有り難いと、そういうふうに思います。
  25. 礒崎哲史

    礒崎哲史君 ありがとうございます。  資源のない日本資源を持つ国に生まれ変われるチャンスが海の中にあるという、そんな観点で御質問をさせていただきました。  それと、あと、また違う観点で、今度は保坂参考人の方にお伺いをしたいと思いますが、中東の大変興味深いお話もお伺いしました。中東をもう少し広い単位で見たときに、今の中東の様々な政治的な混乱の中にロシアもやはり入ってきているというふうに思っています。  そうすると、今後、中東の動きを見ていく上でロシアとの関係というものもしっかりこれ見ていかないと、先ほど言われました日本プレゼンスの低下等を気にするときに、そういう部分も含めて見ていく必要があるのかなと思うんですが、ロシアという登場人物をここに加えたときに、日本としてやはり気にしていかなければいけないことはどういう点があるのか、その点についてお聞かせいただければと思います。
  26. 保坂修司

    参考人保坂修司君) 御質問ありがとうございます。  今御指摘にありましたとおり、ロシアの役割はここ数年の間だけでも極めて大きくなっております。特に、ロシアがシリアにおいてアサド政権を支援する、あるいはイランを支援するということによって、中東安全保障あるいは紛争の多くが形を変えているわけでございます。その意味でいえば、ロシアは今現在中東において最も得をしている国の一つであろうというふうに私自身は考えております。  ただ、日本がこのロシア、新しい役割で、どういった形で付き合っていくべきかという問題に関しましては、非常に難しいところがあるんではないかと思います。  まず一つは、もちろん安全保障エネルギー安全保障視点から見れば、ロシア自身がエネルギーを持っているということで、エネルギーを媒介にした日本とロシアの関係を含めた形で、それをそのまま中東に持っていくことは、これはできないということになります。  というのは、シリアの問題にしろあるいはイランの問題にしろ、必ずしも日本の外交政策と利害が一致しているわけではございませんので、その点は、やはりロシアの役割というのは、どちらかというと抑制、日本から見ると抑制的にならざるを得ないのかなと。ただ、仮にロシアとうまい具合に利害を一致させることができるとするならば、恐らく中東の様々な問題はよりポジティブな方向で変化していくんではないかというふうにも考えております。
  27. 礒崎哲史

    礒崎哲史君 ありがとうございました。  それと、あともう少しだけ時間がありますので、芳川参考人の方にお伺いをしたいと思います。  先ほど、新しいトレンドの中に日本もやはりプレーヤーとしてというお話がありました。やはり、今後、AIですとかIoTですとか、あるいは自動車の電動化というものを進めていったときに、新興国の経済発展も伴えば、グローバルでいけば、もう間違いなく電力の消費というのはどんどんどんどん大きくなっていくと思います。  そういう中において、一次エネルギーの中に、何か今ぱっと発想として浮かんだのは、電力というそのものが、一次エネルギーの中といいますか、二次エネルギーというよりももっと一次エネルギーに近いような形でエネルギー安全保障の中にやはりこれ加わってくるのかなということも思ったんですけれども、将来的にその電力というものがそういう位置付けでエネルギー安全保障の中にどういう役割を果たしていくのか、ちょっとその観点、先ほどのもう少し詳しいところをお聞かせいただければと思います。
  28. 芳川恒志

    参考人芳川恒志君) ありがとうございます。  基本的な発想、考え方としては、礒崎先生おっしゃるとおりであります。ただ、電力特有の安全保障ということを考えますと、いろんなことがありますけれども、三つあると思います。  一つは、発電そのものの量の問題であります。ただ、日本は、今後、高齢化とか省エネとかでそんなに、さほど電力が増えるわけではありませんので、それは心配がないかと思います。  二つ目は、送配電網の問題であります。ここは、リニューアブルの立地と、それが送電線網と長々つなぐと、こういう大きな問題があるので、この送配電網の整備それ自身に相当量の投資というか、そういうものが必要だろうというふうに思います。  最後は、仮にリニューアブルの、今の長期計画で二二%から二四%、これ今改定中かもしれませんけれども、なっていると思います。これをもっと増やしていくということになると、この不安定な電源をグリッドに入れていくということになりますので、これに対する対応が必要だということで、電力の安全保障ということに対する特別な要素もまた必要かなというふうに考えております。  以上であります。
  29. 礒崎哲史

    礒崎哲史君 ありがとうございました。終わります。
  30. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 三浦信祐君。
  31. 三浦信祐

    三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。  参考人先生方には、大変示唆に富む、また知見あふれるお話をいただきまして、本当にありがとうございます。  まず、保坂参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。  先ほど、中東情勢と石油資源エネルギーをめぐるというタイトルでお話をいただきました。当然、世界のエネルギーの活用方法が変わってきている中で、中東の位置付けがいろいろ変化をしていくだろうと。その上で、石油というもの自体の価格決定力というのはこれまでOPECが担ってきていたというふうに承知をしております。ところが、その価格決定力というのが、決して中東だけではなくて、世界各国の中の産油国の中で決められてきているということを考えますと、全体、OPECに加盟をしている国々が世界とどう今後付き合っていかなければいけないか。  また、日本としてはこの対OPECという関係よりもむしろバイの関係をどんどん進めていかなければいけないのかなということを少しお話を伺う中で疑問に感じているところがあるんですけれども、今後、その辺の国際関係のことについて御所見をいただければと思います。
  32. 保坂修司

    参考人保坂修司君) 御質問ありがとうございます。もしかしたら、OPECに関しましては芳川参考人の方が詳しいかもしれませんけれども。  確かに、今おっしゃられたとおり、OPECの力というのはやはり大分落ちてきているというふうに思っております。ただ実際に、今、例えば中東地域においていろいろ事件が起きたとしても、それが必ずしも石油価格にそのまま反映しているわけではございませんので、全体的に、やはり中東のみならず石油そのものの役割自体が、あるいはOPECの役割自体がほかの要素にかなり影響を受けているのではないかという感じがしております。  OPEC自身もここのところ様々な動きを示しておりまして、例えばロシアとの協調ですね、それによって実際減産合意を得たわけですので、恐らく今後は、非OPEC諸国との共闘であったりとかそういったところも進んでいくことによって油価を安定的にしていこうという思惑は恐らく今後は持ち続けていくのではないかと思っております。  また、非常に重要なポイントとして、OAPECという別の概念がございます。これはアラブ石油輸出国機構という概念でして、実は、第一次石油危機のときにはここが根源だったわけで、今後もやはり政治的な役割としてはOPECないしはOAPECにも依然として政治的な潜在能力というのはあるというふうには見ておりますが、長期的に見ればやはり下がっていくであろうというふうに思っております。
  33. 三浦信祐

    三浦信祐君 ありがとうございます。  引き続き、保坂参考人に教えていただきたいと思います。  大型船舶の今後の、石油、原油を使うということでSOx規制が掛かっていくとなってきますと、LNG船舶がこれから世界中で増えていく傾向にあると思います。我が国としてもLNGのバンカリング施設を造ろうということで準備が国交省を中心に始まっていると思うんですけれども、そうなると、LNG、当然自動車とかというレベルとは使う量が違うとしても、今後、グローバル化社会の中で物流が更に効率化を図っていくとなったときの、これまでの石油を使ってきた船舶の割合に対して明らかにLNGが増えてきたとなったときに、様々、今度は輸送機械に対する石油の依存度からLNG依存度に変わってきたときに、構成する産出国が変わってくると思いますけれども、ここと日本との関係、今後どう考えていけばいいのかということを一つ教えていただきたいと思います。
  34. 保坂修司

    参考人保坂修司君) LNGの問題、少なくとも電源という意味でいえば、LNGが極めて大きな役割を果たしてきているということはこれは間違いないと思いますし、基本的には石油とLNGはすみ分けはできているという認識でおります。  一方、LNGの輸送につきましては、先ほどちょっと触れましたけれども、ホルムズ海峡という極めて重要なチョークポイントを通る比率が、石油は八割を超えているのに対してLNGに関しましては二割強という形で、より地政学的なリスクとしてはLNGの方が低いということは言えますけれども、しかし、LNGを産出している国自身も、これも触れましたけれども、実は、オーストラリアを除けば、マレーシアであったりインドネシアであったり、中東と深い関係のある国々でございますので、依然としてその点での注意はやはり必要ではないかというふうには思っております。  タンカーそのものにつきましては、ちょっと私自身はっきりした知識は持っておりませんので、ちょっとお答えはしかねるという状況でございます。済みません。
  35. 三浦信祐

    三浦信祐君 ありがとうございました。  次に、浦辺参考人に二点ほど伺わせていただきたいと思います。  まず、このSIP次世代海洋資源調査技術、極めて前進的ですごいなというふうに感動しておりますけれども、日本が一番ここの分野が進んでいると同時に、一番気を付けなければならないと思っているのが知財戦略の体制、ここをしっかり握れないと、技術者が流出をしたり技術そのものが流出をしたりということで、国益にかなうようなことも踏まえて、今後、この知財戦略の体制、また重要性の認識、ここについて伺わせていただければと思います。
  36. 浦辺徹郎

    参考人浦辺徹郎君) 御質問ありがとうございます。  SIPで開発している技術、大きく分けて二つございます。一つは、先ほど説明しました探査技術です。もう一つは、開発をする際に最も重要になってくるのは、環境影響評価をどのようにやっていくかということだと思います。それで、前者の探査技術の方は、基本的には細かいことはノウハウとして隠していくという戦略で、内閣府さんの御協力を得てそういうふうな方針でやっております。一方、環境影響評価の方は、いわゆる国際的な基準を作るためにそれをリードしていく、その議論をリードしていくという必要がございます。  お手元の資料の最後の方ですけれども、三十三ページに環境影響評価技術の開発という点がございます。ここには大きく二つの環境影響評価の技術が書かれておりまして、これを、一番上にありますように、SIPでは、国際標準化に向けた環境影響評価技術ロードマップを立て、ISO、国際標準化機構での規格化を推進、実際に今やっております。それで、ほかの既存手法とも組み合わせて国際標準を日本主導でやっていくと。この場合には、先ほどの探査技術と違って、むしろ、これ、もう英文でこういうことをきちっと書いて、ビデオを作って、こうやればこういうふうなことができますよというふうな形で積極的に売り出しておりまして、国際海底機構という公の海の担当する機関がございますが、そこにも行ってきちっと説明をしています。そういうふうな形で、違った知財戦略を取っております。  以上です。
  37. 三浦信祐

    三浦信祐君 ありがとうございます。  最後に、端的に。このSIPの出口戦略が極めて重要だと思います。恐らく財務省にたたかれるのはその出口戦略が不明確だということでこれまであったと思うんですけれども、今お話ができる範囲で、今後の研究技術の進展性だったり、また社会実装化、そのところのビジョンを是非教えていただければと思います。
  38. 浦辺徹郎

    参考人浦辺徹郎君) この出口戦略、悩ましいところでございます。  ただ、これは海底資源の開発、先ほども申しましたように、まだ始まっていないと。それから、国の方針としては、平成三十年代後半以降にJOGMECを中心として民間の参画する資源開発を行うという国の方針がございます。それに向けてJOGMECさんもSIPも着々と協力をして進めているわけでございます。  ですので、なかなか今すぐぽっとお金になるというものではありませんけれども、一番重要なことは、やはり資源開発というのは民間主体でございますので、今我々の持っている技術、これは、探査の技術も環境影響評価の技術も全て民間の企業グループに一〇〇%やっていただけるような状態をつくっています。  ですので、当面はJOGMECさんが行われる探査の技術、それから環境影響の評価の技術に使っていただくということがあれですけれども、なるべく早く太平洋島嶼諸国に乗り出せればいいな、そのときにも両方の技術は用意をしている、しかも民間に全て技術移転をしているというところでございます。
  39. 三浦信祐

    三浦信祐君 ありがとうございました。
  40. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 山添拓君。
  41. 山添拓

    山添拓君 日本共産党の山添拓です。三人の参考人の皆さん、今日は本当にありがとうございます。  まず、保坂参考人に伺いたいと思います。  今日のレジュメ、資料の中にも中東地域の安定はエネルギー安全保障にとって決定的な重要性という言葉もありまして、エネルギー自給率六%と言われている日本ですので、省エネの徹底や再生可能エネルギーの本格的な導入、自給率を高めていくことが必要ですけれども、依然として中東地域から輸入する石油に依存する状況というのは続くのだろうということだろうと思います。  そういう中で、中東情勢への日本の関わり方が問われてくると思いますが、トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都とする認定をする方針を示したことに関して御意見を伺いたいと思っています。  日本共産党は、トランプ政権の方針というのは国連の諸決議に反する、問題の公正な解決や中東の平和と安定に逆行する暴挙であって、速やかに撤回するように求めています。  国連総会が昨年十二月二十一日に緊急の特別総会を開いて、エルサレムの地位を変更する決定は無効で、撤回されるべきという決議案を百二十八か国の圧倒的な賛成多数で採択をしましたが、この問題でトランプ政権の世界への逆流というのが異常なものではないかと思っています。  各国はこの問題でアメリカを批判する中で、日本政府は、総会決議には賛成をしましたが首相や外務大臣が公式の声明を出していない、中東和平に重大な障害を持ち込んで地域の緊張を高めるこのトランプ政権の行動を正面から批判できない、言わばトランプファーストというような異常な外交姿勢ではないかと考えますが、このエネルギー安全保障への影響も含めて、参考人はどのようにお考えでしょうか。
  42. 保坂修司

    参考人保坂修司君) ありがとうございます。  私自身、専門がアラビア語でございまして、私も、そのアラビア語の先生の一人がパレスチナ人だったということもありまして、この問題につきましては必ずしも公平中立な立場になり得ないかもしれないんですけれども、やはりトランプ大統領のエルサレム承認発言あるいは大使館の移転発言というのは、中東和平そのものにとっても大きな脅威であったというふうに私自身も考えておりますし、また同時に、日本政府の対応に関してもやはり不満に思う部分はございました。ただ、その一方で、中東和平そのものが完全に頓挫している、停滞しているという状況は間違いございません。  したがいまして、トランプ大統領の発言そのものに関しましては納得できる部分というのはほとんどないんですが、これがある意味呼び水となって、新しい形で中東和平に多くの人たちが関心を持ってくれるのであれば、それはもしかしたらプラスに働くのかなというふうに考えております。  以上です。
  43. 山添拓

    山添拓君 ありがとうございます。  もう一問、中東の情勢に関わって伺いたいんですが、ISなどの過激集団によるテロ、これはいかなる理由があっても許されません。テロをなくすための国際社会の協力が必要ですけれども、アメリカやフランスやイギリスやロシアがISに対して軍事作戦行ってきたのは、逆にこのテロを世界中に拡散させてきたのではないかと。そもそもISの台頭というのは二〇〇一年のアフガニスタン戦争や二〇〇三年のイラク戦争がつくり出したもので、テロと戦争とが悪循環にしかならないということもはっきりしているのではないかと思っています。  この点で我が党は、テロを根絶するために三つの点が大事だと、国際社会一致して取り組むべきだと提唱をしています。一つは、国連を中心として、法の裁きを基本に、テロ組織への資金や人や武器の流れを断つと、そのために国際的な協力を行う。もう一つは、貧困を削減し教育を改善する、テロが生まれる根源を除去すると。そして、三点目に、テロを特定の宗教や文明と結び付けるのではなく、異なる文明間の対話と共存の関係の確立に力を尽くすという点です。  テロをなくすためには、軍事一辺倒ではなく非軍事の対応を基本に据えるべきであり、そこでこそ日本役割を発揮できると考えますし、また、先ほどの保坂参考人意見陳述の中でも日本への評価について言及がありましたが、この辺りについて御意見ありましたら伺えますでしょうか。
  44. 保坂修司

    参考人保坂修司君) ありがとうございます。  確かに、対IS対策としまして、今現在軍事作戦もいまだに継続中であることは間違いないと思います。私、個人的には軍事作戦が不要であるというふうには考えておりません。ただ、その一方で、今先生が御指摘のとおり、軍事作戦のみでの解決というのはこれもあり得ないというふうに思っております。その辺りで日本が対応できる、あるいは貢献できる分野というのは様々な形であると思っておりますが、ラッカあるいはモスルというISの拠点が陥落して以降、ヨーロッパあるいはアメリカ国内においても様々な形でテロが頻発しております。  そういった対策として、過激化した若者たちのリハビリテーションであったりとか、あるいは社会への再統合ですね。テロリストの多くは何らかの形で社会から疎外されている人たちが多いですので、そういう人たちを社会に再復帰させるためのプログラム、こういったものにおいて日本が貢献できる分野というのは様々な形であるんではないかと思いますし、また情報収集あるいは、テロ情報のですね、収集、分析その他において日本が各国政府と協力しながらやっていくことも必要ではないかというふうに思っております。  以上です。
  45. 山添拓

    山添拓君 大変ありがとうございました。  続いて、芳川参考人に伺いたいと思います。  最近の報道なんですが、欧米の機関投資家が、化石燃料やたばこのように環境や健康への負荷が高い企業から投資の引揚げを相次いで表明しているということが報じられていました。世界の投資家の間で、環境社会、企業統治を重視する投資、ESG投資というそうですが、これが広がっていることによるもので、欧米の市場で投資撤退が広がっていると伺います。  二〇一六年にはノルウェー政府の年金基金が、中国電力や北陸電力などの電力六社について、石炭火力発電の比率が高いということで資金を引き揚げたということも報じられていました。もちろん、ESG投資、こういう観点からすると、福島第一原発事故の収束だとか原因究明が進まない中で原子力発電やその事故がもたらす環境ですとか社会への影響というのも計り知れないものだろうと思います。  それから、先ほど少し御指摘もありましたが、投資という点でもむしろ再生可能エネルギーへの投資が史上最高になっているという話も伺います。エネルギー戦略やエネルギー安全保障を考えるに当たって、こうした世界経済の面からも、石炭火力や原子力から再生可能エネルギーへ、こういう流れが大きく働いていると考えますが、この点についてどのようにお考えでしょうか。また、その変化に日本政治経済が対応できていないところがあるんではないかと思うのですが、御意見を伺えますでしょうか。
  46. 芳川恒志

    参考人芳川恒志君) 御質問ありがとうございます。  おおむねというか、世界のトレンドとしては、資料の二十四ページをちょっと御覧をいただきたいと思います。これはまたIEAのワールド・エナジー・アウトルックの抜粋ではありますけれども、これまでの二十五年と次の二十五年を比べたものです。グラフの濃い部分が中国で、薄いところがグローバルです。これを下の記述を御覧をいただくと、低炭素エネルギー天然ガス、さっき御質問ございましたけれども、世界のエネルギー需要増の八五%だと。で、石炭はマイナスに、中国がマイナスになってきてどんどん風が吹かなくなってくると、こういうトレンドであります。  おっしゃったように、グローバルなビジネスも、私、実は時間があれば御紹介しようと思ったんです。私、ちょっと先月に出張に行ったときフィナンシャル・タイムズを見ていて、全くおっしゃったとおりなんですけれども、一月十日の水曜日のフィナンシャル・タイムズの社説で、グローバルな保険屋さんが石炭火力をする人たちから引き揚げているというような記事が載っています。これが、恐らくやや強調、ヨーロッパのことですから強調されていますけれども、特に石炭火力、石炭発電についてはネガティブな投資行動に出るということがちょっと世界のトレンドになっています。これは事実であります。原子力を含めてそうかということまではちょっとあれしていませんけれども、少なくともさっきのCOP21の動きからして、石炭についてはそういうことになっているのはそのとおりであります。  ただ、日本政府が、これも非常に重要ですけれども、高効率の石炭発電については非常に高い日本国が技術を持っているものですから、何とかそれで世界に貢献したいというのは分かりますけれども、そこのどういう折り合いを付けるかというのは結構、おっしゃるように大きな課題ではないかというふうに考えております。  以上です。
  47. 山添拓

    山添拓君 終わります。ありがとうございました。
  48. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 浅田均君。
  49. 浅田均

    浅田均君 三人の参考人先生方、貴重なお話、ありがとうございました。  私の方からは、まず保坂参考人にお尋ねしたいと思います。  先生、先ほどのお話の中で、化石燃料の割合は下げていくべきだと、それから、産油国自身も化石燃料依存しているので、これも下げていくべきだというお話がありました。エネルギー安全保障安定供給ということを考えるときに、先生のお話の中でいろいろ出てきました中東リスクというものがあります。  それで、これ芳川先生の資料では四三%になっているんですが、一次エネルギー供給石油の割合、四三%。で、化石燃料の割合を下げるべきだというふうに御発言されておりますけれども、これ具体的な数字というのは難しいと思うんですが、どの程度下げるべきであるというふうにお考えになっておるのか。あるいは、お話の中にありましたように、二〇三〇年頃から下がらざるを得ない状況が出てくるだろうという御発言もありましたので、先生御自身、どの程度まで一次エネルギー石油の割合を下げるべき、下がるべきとお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  50. 保坂修司

    参考人保坂修司君) 非常に難しい御質問なんですけれども、私自身はちょっと数値的な目標というのは持ってはございません。特にこの場合には、タイムテーブルと、それからもちろん環境の問題と、それから中東諸国の脱石油の進行度、この様々な点を掛け合わせないと具体的な数字はちょっと出にくいんではないかというふうには思っております。  ただ、少なくとも環境問題について言えば、これは待ったなしの部分がございますので、恐らくかなり急速に、とりわけ電気自動車、あるいはEVシフトとか、あるいは燃料電池車、こういったものの普及が進めば、恐らくかなり加速度的に下がっていくのではないかなというふうには考えております。  済みません、残念ながらちょっと数字として何%というのは言えないんですけれども、私はそういうふうに考えております。
  51. 浅田均

    浅田均君 加速度的に下がっていくということで結構でございます。  それで、今の質問と関連して、次、芳川参考人にお尋ねしたいんですが、先ほどグローバルな安定供給、供給構造のところで、オイルというか、化石燃料よりもむしろ電力の安定供給という観点からの方に関心が移っていっていると、いくべきであるというふうな御発言がありました。加えて、脱化石燃料という御発言がありまして、私どもは脱原発依存という考え方を持っております。脱化石燃料で脱原発依存という二つを実現させようと思うとエネルギー供給源が全くなくなってしまうということに、困ったことになりまして、トリレンマ以上のものが私たちに課題として突き付けられるわけでありますけれども。  脱化石燃料、それはパリ協定なんかも考えると当然の流れだと思うんですけれども、先生御自身、その原発政策に関して純粋にどういうふうにお考えになっているのかということをお聞かせいただきたいと思います。
  52. 芳川恒志

    参考人芳川恒志君) 御質問いただき、ありがとうございます。  まず、原発についてのちょっとお考えを申し上げる前に頭の整理だけさせていただくと、将来のエネルギーミックスにおいて、一〇〇から化石燃料を引くと、再生可能エネルギーと原子力が残るわけであります。今の長期計画に基づきますと、再生可能エネルギーが二二から二四、原子力が二〇から二二だと。大きい方を取ると二四足す二二でだから四六、したがって残りは五四だと、こういうことになるわけであります。  このエネルギーミックスがこの三つのEに照らして本当に日本が取るべき方向性なんだろうかと、こういう問題設定になるんだろうと思うんですね。そのときに、一方で原子力の割合は将来的に低減させていきましょうと、これ今の政府の方針であります。逆に言うと、見直しが進んでいるというか、今の頭の整理は、そういう中でできるだけ再生可能エネルギー、FITを、固定価格買取り制度を用いて、最大限増やして二二から二四なんですよね、二〇三〇年に、こういう頭の整理になっているわけですね。その上で、現実的に考えると、私自身は、さっき三つのEプラスセーフティーと申し上げましたけれども、安全性を十分確保して再稼働を進めていくということは、脱CO2ということを考えると取らざるを得ない方向性ではないかというふうに思っております。  したがって、再稼働を慎重に進めていくということを前提にしないと、このエネルギーミックスというのはなかなか達成できないのでないかというふうに私自身は考えております。
  53. 浅田均

    浅田均君 それで、日本政府は、パリ協定に関しまして、二〇三〇年のそのエネルギーミックスに占める原子力の割合というのはやっぱり二〇%から二二%という数字を提出しているんですね。今の先生のお話をお伺いしますと、やっぱり二〇%から二二%という数字はもっと下がっていくべきはずだし、下げるべきだと私どもは思うんですけれども、先生はどういうふうにお考えでしょうか。
  54. 芳川恒志

    参考人芳川恒志君) すごく率直に言うと、なかなか今の再稼働の状況とか見ていくと、これを単純に伸ばしていくと、二〇三〇年に二〇に到達するのは現実的には難しいのではないかと個人的には考えています。だからといって、原子力発電所、この努力をしなくていいかというと、全く別問題。ただ、このトレンドを増やしていってもなかなか二〇に到達しないのではないかなと、これをどういうふうに評価するのかという問題だろうと思います。
  55. 浅田均

    浅田均君 それでは、浦辺参考人にお尋ねしますけれども、今、芳川先生との話で、私たちは困った状態にあると、困った状態を救うために毎年一・一兆円の投資をして、この投資を継続して、その中でエネルギーミックスの足りない部分を補うような資源が、海底資源が何か出てくるというふうな期待を持っていないといったら、言えないと思うんですけれども、何かありますか、何か期待のできるもの。
  56. 浦辺徹郎

    参考人浦辺徹郎君) なかなか難しい質問ですね。  もちろん、省エネと同時に省資源というのは、もうこれは絶対にやっていかなければいけないことでございます。世界の金属の耐用年数、埋蔵量を年間の生産量で割ったもの、短いものは十年を切っていますし、一番長いのは千年というものもありますけれども、基本的には大体数十年の金属が多いわけですね。まあ数十年たつとなくなるかというと決してそうではなくて、探査活動が続いていきますので、そういうふうなことがずっと一九七〇年代から続いてきています。ところが、二〇〇五年から二〇一四年ぐらいまでの十年間にコモディティープライスが非常に高くなったスーパーサイクルというのがあって、そういうものに対する疑問が発生しているわけですね。  資源ナショナリズムみたいなのが出てくるということで、それの対策としては、もう本当に省資源、それからリサイクル、そういうふうなものを進めていく、これはもう鉄則でございますけれども、やはりそれは世界でもやっているんだけれども、資源の消費の伸びが止まらないということで、何かカタストロフィックなことが起こるのが困るということで、海底資源がそういうもののバーゲニングパワーになるんではないかということの意味の方が大きいのかなというふうに思っています。  日本のまだ海底は十分調べられていないんですね。何となく、科学者の人がやって分かっているんではないか、日本には「しんかい六五〇〇」もあるしと思われている方が多いと思うんですけれども、非常にそういう意味での調査はほとんどなされていないので、どれぐらいあるかということは本来でいえば全く分からないと。えいやっと決めたものの数字を先ほどお見せしましたけれども、あれは、陸上でぱっと高いところに登って、この中に銅や金はどれだけあるか言えと言われるのと同じような状況でございます。  ただ、日本の大陸棚が非常に世界の平均に比べると圧倒的にポテンシャルが高いということだけが分かっているので、それは自分たちの財産にするためにはきちっと調査をする必要がある。その先に日本が救えるようなものがあるかどうかは、これはもうそういう望みを持ってやるしかないと。大変答えになっておりませんけれども。
  57. 浅田均

    浅田均君 ありがとうございました。
  58. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 山本太郎君。
  59. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。自由党共同代表、山本太郎です。自由・社民の会派、希望の会を代表してお聞きいたします。  参考人先生方、大変勉強になるお話、ありがとうございました。  まずは、芳川先生にお聞きしたいと思います。  先ほど、エネルギー政策という部分において達成するべきは三つのEというお話をしてくださったと思います。環境性、安定供給経済性、これは恐らくエネルギーミックスというものをもってそれぞれの長所を組み合わせていくんだよという意味合いのお話だとは思うんですが、これを、申し訳ないんですけれども、単体として、エネルギー、いろんなものをミックスという考え方ではなくて、単体としてこの三つのEを一番満たしていると思われるものは何だと思われるかということをお聞かせ願えますか。
  60. 芳川恒志

    参考人芳川恒志君) これは、私が言っているんではなくて多くの人が言っているんですけれども、省エネであります。この三つのEを矛盾なく全部達成できるのは省エネ。ただ、マイナスのエネルギーというか、そういうことになりますけれども、そういうことであります。
  61. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。  今、既存のというか、メジャーのエネルギーの中でこの三つを一番満たしているだろうというエネルギー、単体で考えるとどんなものがあるでしょうか。
  62. 芳川恒志

    参考人芳川恒志君) なかなか難しいんですけれども、従来はこういうふうに言われていました、原子力だと、従来はですね。  ただ、安全性に対する福島の事故後の議論とか、あるいは価格に、コストに対するいろんな意見とか、そういうのがあって今はどうか分かりませんけど、従来は原子力がこの三つのEにいずれも貢献するというふうに議論がありましたし、今でいうと、現実的には、私はリニューアブルがそれに近づいているとも思いますし、ただ、これは供給の安定性ということでクエスチョンマークが付くのかもしれません。あるいは、化石燃料でありますけれども、天然ガスというのは比較的中間的な存在だというふうに思われていて、したがいまして、いずれもこの単体で議論するということはなかなかないんですけれども、一つ議論すると、なかなか全てをミックスするのは難しいと、こういうことになると思います。
  63. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。  一昔前は原子力がこれに値するんじゃないかと言われていたと。でも、福島の事故であったりとか、この先起こるであろう南海、東南海、首都圏直下、東海地震などを考えたり、あとバックエンドの部分を入れていなかったという部分でなかなか満たすということは難しいのかと。先生が言われたようなリニューアブルという部分に関しては不安定性というものが当然あるだろうという意味で、何ですかね、天然ガスという部分に関しては私も共通するというか、同じ思いであります。  では、続きまして、浦辺先生にお聞きしたいと思います。  日本の排他的経済水域だけじゃなくて公海域、公海域にも資源は埋まっていると、恐らくそうであろうと。じゃ、この部分をどうやってシェアするんですかと、この人類共同の財産であるという部分をどうやってルール化していくかということが非常に重要かなと思います。  公海といったコモンズにおいて、海底の鉱物資源を公平にシェアするその枠組み、環境に過剰な負荷を掛けないというようなルール作りというものは今世界でどうなっているのかということを御存じであれば教えてください。
  64. 浦辺徹郎

    参考人浦辺徹郎君) 公海の底、主に先ほど申しましたようにマンガン団塊というのが非常に大きな資源量を持っていて、これが人類共通の財産というふうに言われています。  これを決めた国連海洋法条約というのは、一九八二年に決まりました。その後、九二年にはリオのサミット、二〇〇二年にはヨハネスブルグの地球サミットがあり、二〇一五年には御存じの持続可能なための開発目標というものができてきて、海洋法条約ができた後、物すごく環境シフトが起こっています。それは元々に入っていなかったものですから、今海洋法条約の下でつくられている国際海底機構の中では、環境の規則をどうするのかという議論が非常に活発に行われている。その一方で、実際の開発のための規則のものはまだできていないということで、非常に予定からは遅れています。  そうなると、EEZの中のものが開発されるのか公海のものが開発される、どちらが先かということに関しては、大分EEZの方が先ではないかというふうな考えができてきていって、なかなか環境問題というのが極めて毎年毎年厳しくなっていて、それにどう追い付くかがまだ決まっていないという状況だと思います。
  65. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。  少し答えづらいかもしれないんですけれども、私、これもっと力入れて研究するべきだと、世界の先頭に立ってやるべきだと。いつ実用化ができるか分からないけれども、先行投資という意味でがんがんやるべきだと思うんですけれども、予算あと幾らあれば世界の先頭に立てると思われますか。幾ら要求したいですか。皆さんいらっしゃるので、是非。
  66. 浦辺徹郎

    参考人浦辺徹郎君) 大変力強い御支援の言葉、ありがとうございます。  やはりこれは、技術開発、これはもうずっと続けていかなければいけません。それで、今、JOGMECさんと、それからSIPSIPはあと一年で終わってしまいますので、そういうものを引き続いて技術開発をして、それからJOGMECさんが実際の探査をし、それから先ほどいろいろな揚鉱試験の、今はパイロットスケールですけれども、実施スケールに近づいていくというふうなことを来年度から始まります海洋基本計画の第三期に書かれる予定でございまして、それにのっとって進めていくということで、予算の額は私はちょっと大変弱くてよく理解しておりませんので、控えさせていただきます。
  67. 山本太郎

    山本太郎君 済みません、むちゃぶりをしてしまいました。  それでは、保坂先生にお聞きしたいと思います。  先ほど共産党の山添先生の方からトランプ大統領の米大使館移転のお話があって、その日本側のスタンスという部分には私も本当に同じ思いです。  これまで大使館移転という部分に関してはほかのトップの口からも出たことはあると。けれども、ここまで世界中が非難決議を出し、その上で今年の一月に二〇一九年末までに移すとペンス副大統領がイスラエル国会で演説までしているというような状況を見た場合に、この方針というのは本当に実現するのでしょうか。そして、これがもし国内向けのリップサービスなんだと、アメリカ国内向けのリップサービスなんだというならば、これ一体どのような勢力に向けてされているリップサービスだとお考えになりますか。
  68. 保坂修司

    参考人保坂修司君) 済みません、私、この問題につきましては中東の専門家に聞くよりは多分アメリカの専門家に聞いた方がよろしいんではないかと思うんですけれども、確かに、御指摘のとおり、歴代大統領、大統領選挙中にはほぼ確実と言っていいぐらいアメリカ大使館のエルサレム移転というのは公約として掲げて、結果的には公約破りという形になっていたと思います。ただ、トランプ大統領の場合には、選挙戦中からやはりほかの人とはちょっと違うなという感じがしておりまして、実際、案の定そうなってしまったという結果だったんではないかというふうに思っております。  果たしてこれが覆されるかどうかというのは、一つ大きな問題点は、現在のトランプ政権の中に中東の専門家あるいはその中東政策を立案に当たって責任者となる人たちがほとんどいないという、まだ決まっていないという点が重要なのではないかと思います。もう既に一年たっているわけですが、いまだに本当の意味での専門家、責任者がいないと。仮に、国務省の中であったり、あるいはいわゆる中東の専門家がそこに就けば、場合によってはひっくり返る可能性がありますけれども、今のところ中東問題をトランプ政権の中で担っているのはジャレッド・クシュナー上級顧問でございますので、その点もちょっと難しいのかなというふうには考えております。  先ほど申しましたとおり、私自身は是非撤回していただければというふうには思っておりますし、場合によっては、トランプ大統領、ビジネスマンですので、ビジネスの問題に絡めた場合にはもしかしたらひっくり返るという可能性はなきにしもあらずなのかなというふうに思っております。
  69. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。  加えて、トランプ政権、イラン政策見直しだということを言っていると思うんですけれども、イランの核合意、これ多国間においての約束事なのでなかなかこれを破棄するということはないんじゃないかって考え方もあると思うんですけれども、多国間協議であってもパリ協定のように破棄することも以前確かにあったということを考えれば、これ破棄するということに踏み込む可能性はあるんでしょうかということが一点。  もう一点、アメリカがそのような方針転換をした場合には、日本も当然その方針に引きずられる可能性があるんじゃないかと。例えば、二〇一〇年に、アザデガン油田、この権益というものをブッシュ政権の強硬政策に翻弄されて失うというようなこともありました。もうちょっと、この政策、エネルギー政策に関してはもっとずるく、アメリカとここは一体ではないよというような立ち回り方というのが私は安全保障上必要な部分なんじゃないかなと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。
  70. 保坂修司

    参考人保坂修司君) ありがとうございます。  確かに、御指摘のとおりではないかというふうに思っています。ただ、イラン核合意、確かに、多国間合意ですのでこれを破棄するというのは非常に難しいというふうに我々も考えておりますし、そうすべきではないというふうにも考えております。  ただ、トランプ政権が今やろうとしていることは、必ずしも核合意の枠組みだけではなく、それ以外の例えばミサイルの問題であったりとか、そういうところで逆にこの核合意をがんじがらめにして無効化していこうという方針が見られますので、その点に関しては非常に難しい、ほかの国々がこの問題でトランプ大統領を説得するのは非常に難しいのかなというふうにも考えております。  この問題でやっぱり重要なのは、イランを取るかアメリカを取るか、特に企業の場合にはそういう突き付け方をされていますので、今、日本企業にとってアメリカという市場を失ってまでイランに肩入れするというのも、これもまた非常に難しい状況にはあるんではないかと思っています。
  71. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 他に御発言はございますか。  そのだ修光君。
  72. そのだ修光

    ○そのだ修光君 それでは、我が国資源安全保障として海底資源のことを先ほどから浦辺参考人にいろんな質問もされておられるみたいでありますけれども、ちょうど昨年、私、東京大学の加藤参考人が南鳥島周辺の大量のレアアース泥確認に関してお話をいただいたところでありました。その際、私の地元の鹿児島湾の海底で確認されたアンチモン鉱床を含む熱水鉱床の開発には困難が伴うとお伺いをしました。  今日はまた、そのことで、浦辺参考人のこの海のジパング計画という先生のあれを読ませていただいたりしたわけでありますけれども、やっぱり鹿児島湾から沖縄県の島々にかけて海底熱水鉱床が数多く見られて、メタンハイドレートも太平洋側には多く存在するということであります。また、海底資源調査や開発のために様々な技術開発が行われているとお伺いをしております。  我が国の大陸棚には世界有数の海底資源があるということでありますけれども、我が国資源エネルギー安全保障にとって今後一層重要度が増すんだろうと。今委員先生方も質問されているとおりだろうと思います。特にまた、山本議員からは予算がどれぐらい必要なのというような具体的なことを尋ねておられましたけれども、そこで三人の参考人にお伺いをしたいと思います。  浦辺参考人にお伺いします。  我が国にとって石油天然ガス等のエネルギーと同様に資源の安全確保は重要な課題でありますけれども、参考人は、メタンハイドレートの採掘、また世界で開発した国のない海底熱水鉱床の採掘に関してそれぞれ商用化までの見通しはどの程度なのか、今まで少し重複しておりますけど、もう一回先生からお聞きしたいと思います。また、我が国の商用化に進めるに当たって、やっぱり国の支援をどういうものを先生はまず要望されるのか、ちょっとお伺いしたいわけです。
  73. 浦辺徹郎

    参考人浦辺徹郎君) どうも質問ありがとうございます。  鹿児島湾のアンチモンというのは非常に面白い、世界にも例のない資源でございます。これについては非常によく調査が進んでいて、全貌がほぼ全て写真で撮られております。それから、資源量の評価も一応簡単にはされていて、水深が百メーターちょっとというふうな浅いところでございますので、まだどうやって取るかとかいう検討はもちろん公式には進んでいないんですけれども、それほど困難がなく取れるのかな。むしろ、鹿児島湾、非常に住民の方々のお住まいになっているところも近いし漁業も行われておりますので、環境の問題の方が大きいかなというふうに個人的には思っております。アンチモンは、先ほどの資料にもありましたように、最も耐用年数が少ない元素でございますし、それから産出国が中国等に限られているということもあって、非常に注目すべきものだと思います。  それで、要するに、海底資源の開発というものは、はっきり言えば、ちょっと前までは夢物語というふうな意見が非常に強かったと思います。しかも、日本の企業の体質として、余りそういう新しいものに突っ込んでいかないという体質もすごくありました。ですので、なかなか将来、先の話ということに皆さん思っておられるわけですけれども、先ほど紹介しましたように一歩一歩進んでいて、国の大方針であります平成三十年代後半以降に民間の関わる開発をするという方針を変える必要がないと、それに向かって一歩でも早く進むということに関しては可能ではないのかなと個人的には思っております。もちろん、これは金属の価格とかの問題、いろいろとありますけれども、今のところ、ラフに計算をしてみますと、一応、商業的に成り立つコストと取れるものの価格の関係でございますけれども、成り立つのかなというふうなところまでは来ているように思いますので、着実に進めていくべきだというふうに思っています。
  74. そのだ修光

    ○そのだ修光君 ありがとうございます。  商用的に成り立つというか採算が合えば、もう民間でもどんどんどんどん、そこにやる呼び水みたいなのはやっぱり国がやっていかなきゃならないんですよね。そのことはやっぱり、次代、これから国の責任でやるべきことはしっかりやって、そして民間がそこに補うという形でできるようにしていきたいと思っているところであります。  そこで、芳川参考人保坂参考人にお伺いしますけれども、海底のエネルギー資源であるこのメタンハイドレートが商業ベースで採掘できるようになった場合に、シェール革命以上の影響が生じると考えておりますけれども、メタンハイドレートが我が国エネルギー政策に与える影響、また中東などの産油国に与える影響をどのようにお考えか、お聞かせください。
  75. 芳川恒志

    参考人芳川恒志君) ありがとうございます。  浦辺先生今おっしゃったように、日本エネルギー政策にまずインパクトを与えることになるかどうかということは、価格と量に依存をするということだろうと思います。したがいまして、相当量が、この価格というのも、ほかの化石燃料価格との相対価格において競争力があれば、サプライチェーンの中にどんどん入っていくということだろうと思います。したがいまして、もし原油価格がすごく安かったりするとこれはなかなか難しいということにもなりますし、仮に百ドル、百五十ドルになれば、量が仮に比較的少なくとも高価格でも競争力があるということになって、したがって、マーケットにやっぱり依存をするということなんだろうと思います。  したがって、一体どのぐらいの量のものがどういう用途に使われるのかということに結構依存をしてきますので、この時点でシェール革命あるいはどのぐらいのインパクトがあるかということを見通すのはなかなか難しいかなというふうに思います。それは、シェール革命のようにどおんと来るのでは恐らくなくて、仮にすごくうまくいったとしても少しずつ実現するということかなという印象がございます。  それ以上はちょっと、私、知識を持ち合わせておりませんので、以上にさせていただきます。ありがとうございました。
  76. 保坂修司

    参考人保坂修司君) 中東への影響に関しましては、今のところは限定的だというふうに思っております。石油に関して言えばですけれども、今のところ、燃料あるいはガソリンという形で燃料に使われるケースが大半でございますので、メタンハイドレートがそこの分野に進出すれば別ですけれども、そうでもない限りは中東への影響は限定的であろうというふうに考えております。
  77. そのだ修光

    ○そのだ修光君 終わります。
  78. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 他に御発言はございませんか。──他に御発言もなければ、以上で参考人に対する質疑を終了いたします。  保坂参考人芳川参考人及び浦辺参考人におかれましては、長時間にわたりまして貴重な御意見をいただきましたこと、誠にありがとうございました。本日お述べいただきました御意見は、今後の調査参考にさせていただきたいと思いますし、また、本調査会を代表いたしまして改めて御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後零時八分散会