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2018-02-21 第196回国会 参議院 国民生活・経済に関する調査会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十年二月二十一日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員の異動  二月二十一日     辞任         補欠選任      森屋  宏君     佐藤  啓君      山田 修路君     太田 房江君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         増子 輝彦君     理 事                 井上 義行君                 上野 通子君                 中西 健治君                 石上 俊雄君                 横山 信一君                 岩渕  友君                 藤巻 健史君     委 員                 朝日健太郎君                 小川 克巳君                 太田 房江君                 佐藤  啓君                 自見はなこ君                 進藤金日子君                 豊田 俊郎君                 中泉 松司君                 中西 祐介君                 元榮太一郎君                 森屋  宏君                 難波 奨二君                 吉川 沙織君                 高瀬 弘美君                 宮崎  勝君                 川田 龍平君                薬師寺みちよ君                 平山佐知子君    事務局側        第二特別調査室        長        林  浩之君    参考人        明治学院大学社        会学部教授    河合 克義君        株式会社高齢社        代表取締役社長  緒形  憲君        特定営利活動        法人自立支援セ        ンターふるさと        の会代表理事   佐久間裕章君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国民生活経済に関する調査  (「あらゆる立場人々が参画できる社会の構  築」のうち、豊かな国民生活実現高齢者を  めぐる格差への取組)について)     ─────────────
  2. 増子輝彦

    会長増子輝彦君) ただいまから国民生活経済に関する調査会を開会いたします。  国民生活経済に関する調査を議題といたします。  本日は、「あらゆる立場人々が参画できる社会の構築」のうち、「豊かな国民生活実現」に関し、「高齢者をめぐる格差への取組」について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。  御出席いただいております参考人は、明治学院大学社会学部教授河合克義参考人株式会社高齢社代表取締役社長緒形憲参考人及び特定営利活動法人自立支援センターふるさと会代表理事佐久間裕章参考人でございます。  この際、参考人方々一言御挨拶を申し上げます。  御多忙のところ本調査会に御出席をいただきまして誠にありがとうございます。  本日は、皆様方から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願いいたします。  本日の議事の進め方でございますが、まず河合参考人緒形参考人佐久間参考人の順でお一人二十分程度意見をお述べいただいた後、午後四時頃までを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、河合参考人からお願いいたします。河合参考人
  3. 河合克義

    参考人河合克義君) 明治学院大学河合と申しますが、社会学部の中に社会福祉学科という学科がありまして、福祉系大学での福祉の教育ということでは最も古い大学一つであります。その中で、中心的には高齢者生活実態地域調査の中で考えているんですが、同時に住民のいろいろな組織あるいはNPOとか住民の主体的な活動等研究領域に入っておりまして、このところは総務省都市部のコミュニティーの在り方に関する研究会座長とか、それから、今、内閣府で現在、昨年からやっているんですが、男女共同参画局で、これも少し狭いテーマですが、町会、自治会における女性会長割合が現在五%であるものが、これ政策目標として一〇%というのを掲げて閣議決定されているんですが、それを実現するための検討会座長も仰せ付かっております。あと、それから、厚生労働省関係高齢支援課関係在り方検討会委員長も仰せ付かっております。  今日与えられたテーマは、「豊かな国民生活実現」というこの大きなテーマの中での格差の問題、高齢者の問題、高齢者格差ということで検討されるということで、本日、ここにありますように高齢者貧困社会的孤立現実ということで、二十分という限られた時間ですが、お話をさせていただきたいと思います。(資料映写)  今日、お手元資料、二種類ありますが、パワーポイントデータがこれだけ大きく印刷されていれば、もう一つの二種類目のはパワーポイントの方ではデータが小さくて読めないんじゃないかと思いましてこちらを用意したんですが、このパワーポイントの方が大きいので、これだけでもいいかと思います。特に国勢調査データ、少し細かいものですから別に用意させていただきましたが、主にこのパワーポイントデータ、見ていただければと思います。  私、研究領域としては高齢者領域調査をやってきておりますが、自己紹介的にまず私のスタンスといいますか、研究の視点ということでお話しさせていただきたいんですが、それは、科学の出発点がそうですが、対象論といいますか、高齢者でいいますと高齢者自身がどういう課題を抱えているのかという、高齢者というその対象の属性、特徴、そういうものを調査の中で明らかにするという、そういうスタンスでここ何十年も調査をやってきています。  その際、この格差問題が今回テーマになっているということで、非常に私うれしく思いました。ここ四十年の日本の、私自身研究生活の中でも、高度成長期日本は世界でも有数の豊かな国で、こういう格差の問題というのは余り注目されないでずっと来ておりました。しかし、現在、この格差問題というのは非常に大きな課題になって、参議院でもこういう形で格差問題を取り上げていただけるというのは、非常に私自身うれしく思います。  この格差を取り上げる際に考えなければいけないのは、私は、高齢者生活水準というものを幾つかのグループに分けて、自分でできる安定している層から非常にハンディを抱えていて不安定な方々まで、後ほどお示ししますが、幾つかのグループに分けてそれぞれの生活特徴を見、そこから制度政策在り方というものを考えるべきではないかという立場研究をしてきておりました。  社会福祉学科だからではありませんが、その際、私は出発点は、一番底辺で苦しんでいる方々の問題をきちっと捉えて、どうその生活をきちっと安定的なものにするか、この作業は、その上に連なるグループ生活、学問的には社会階層という言い方がありますが、ソーシャルクラス、階層、上に連なる階層方々生活の予防にもなるんじゃないかということで、かなり底辺部分を見てきております。  当然、ということでこの貧困問題というのが一つテーマになるわけですが、この貧困問題は、貧困状態になると孤立問題を伴うということで、七〇年代から私、この貧困問題プラス孤立問題にこだわって研究調査をしてきておりました。  それからもう一つ、大切なのはこの四番目ですが、地域高齢者を見ていますと、なかなか自分で困っていることが言えないとか、制度の知識がない、制度を利用しようとも思わない、そういう存在が気になりまして、制度はあるけれども利用しない、あるいは制度がなくて困っている方々、そこら辺のもう一つこだわりがありまして、一つは、制度はその時代時代対象とする領域というのは変わってきております。例えば生活保護でいうと、かつては冷蔵庫は駄目な時代もありました。それが今は一般的に認められておりますが、政策による対象の切取り、余りいい表現ではありませんが、その時代時代制度がカバーする領域というのは違っていると。そういう中で、声を上げない、そういう対象方々にこだわっている。その意味で、潜在化しているなかなか見えない問題、そこもきちっと見たいということで、その一つの手法として、私は地域調査基礎自治体単位地域調査をやってきております。  ここに挙げているのは一部なんですが、地域調査というのは、その地元の行政とか調査に関わる組織とかあるいは当事者、そういう人たちの理解を得なければできないんですが、非常に幸いなことに、資金も含めまして、沖縄の宮古島から、ここには入っていませんが北海道まで、あちこちで調査をやってきております。  特に今日は、自治体財政では日本一豊かと言われる東京港区と、それから農村地域を含むということで山形県、ここで全市町村独り暮らし高齢者調査をやることができまして、この二つデータを主に紹介しながら、私の今日、貧困と孤立問題、この現実というところでお話をさせていただきたいと思います。  皆様方も御承知のように、二〇一〇年からNHKがかなり意図的に無縁社会ということで孤立問題をテーマにした番組作りをしてきております。  一番最初が、「無縁社会」、行旅死亡人自治体で把握されているので、全自治体電話をして葬祭執行したその数を把握しようということで、それをベースにした番組が一〇年の一月三十一日に放映されました。一時間ぐらいの番組ですが、NHKによれば三万二千人いた、遺体が引き取られないので自治体葬祭執行費を出したという数ですね。しかし、この時点では私関わっていないんですが、その後、NHK一緒にいろいろな番組を作りましたが、この三万二千人というのは、まず調査回収率が七割ということで、三割は分からない、それから、引き取った部分かなりあるわけですが、引き取られた方々はこの数に入っていないということで、この三万二千人というのは氷山の一角ではないかというのがNHKの言うことです。  この年の十月に、視聴者参加型の三時間番組で、無縁社会を解決する方策というそういうものを中心にした番組を作りました。私、シナリオから関わりまして、最後にはその三つの提案一つ提案させていただいたんですが。  それと、それから三番目にあります、今もやっていますが、「老人漂流社会」の一環で、一四年九月に「老後破産現実」という番組ですが、五十分番組ですが、これは独り暮らし高齢者貧困問題を扱ったものですから、シナリオ作り企画段階から関わり、そしてデータも提供し、事例も三人の方が登場しているんですが、二人は私が紹介したものです、そういうもの。  それから、最後の八番目ですが、昨年の八月二十日の朝七時からの「おはよう日本」で、十分ちょっとぐらいの特集番組なんですが、ニュースですけど、孤立死というものが高齢者ではよく言われている、しかし、現役世代もこの孤立死が起こっているということでニュース番組が作られました。これも私関わって、いろいろ助言もしたんですが。  その最初の一〇年の十月の無縁社会をどう克服するかということで、三人、解決方策提案をいたしました。一人目が湯浅さん、生活困窮者自立支援法という形で成っていますが、できる前、まだ実験段階のときの発言。それから、二番目は結城さん、地域の支え合いというレベルでの提案。それから三番目、これが二〇一〇年時点では非常に、何という時代遅れなという、公的ヘルパーというものを私、提案させていただきました。ちょっと、こういう画面ですが。  なぜこの公的ヘルパーというものを提案したかというと、先ほど言ったこととも関わるんですが、自分から声を上げない高齢者というものが制度に結び付いていないと。ところが、政策的には二〇〇〇年の介護保険以降、制度基本自分から制度を利用選択する、それから契約制自己選択契約制という、そういうシステムにシフトしてきまして、自分から利用しようという気持ちのない、気が付かない、そういう人たちが、高齢者地域に潜在化していると。そこへ向けて権限を持ったヘルパーアウトリーチをしていく、そういうシステム提案させていただきました。これ、後ほど具体的にお話しさせていただきたいと思います。  それから、二〇一四年の「老後破産現実」、これは非常に反響がありました。とても暗い三人の事例を積み重ねたものですが、港区からももうごみの山に暮らしている男性高齢者事例が紹介されたんですけれども、非常に暗いテーマでしたけれども、人ごとではないという電話、ファクスがNHKに殺到いたしました。そういう番組作りをして、この映像は私の研究室で鎌田さんと三時間ぐらい議論して、そこから番組に一部分使われたものです。本当はお見せすればよろしいんですが、時間がありません。  それから、昨年の八月二十日のものは、これは六十五歳以下の若者、二十歳代から孤立死が発生しているということで、NHKがそういう番組を作りました。私のコメントも載ったんですが、そのときにディレクターとの話で、私も知らなかったんですが、日本少額短期保険協会という組織がありまして、二〇一一年から孤独死保険というものがあるということで、それが、ここ二〇一五年から一七年までで千件を超えるこの保険が支払われた。賃貸住宅の家主に払っているものですが、そういう保険まで出てきていると。  東京都のデータですが、東京都は変死体は全て監察医務院に送られますが、ちょっと時間が余りないので飛ばしますが、非常に一人で亡くなっている高齢者が多い、既に三千人を超えているというデータです。後ほど御覧ください。  全国的に、私、独り暮らし高齢者出現率というものを計算しておりまして、ここにあるのは都道府県単位ですが、東京都が一番独り暮らし割合が多い、鹿児島、高知と、こうなるんですが。低い方ですけれども、山形が一番低いんですが、福井とか石川、ここにマークしたのはちょっと訳があるんですが、福井新聞社から二〇一五年の秋に連絡がありまして、福井は今データをお見せしたように独り暮らしも少ない、同居率が高い安定した県と言われてきたけれども、遺品整理会社が大繁盛している、なぜかということですね。これは私、地域調査もやっていますが、大都市のみならず、同居率の高いそういう地方でも孤立死が発生していると。石川県でもしかりということですが。  孤立問題発生背景としてよく言われるのは、独り暮らしが多くなっている、夫婦のみが増えている、それからもう一つは、親と未婚の子、八十歳代の親と五十歳代の男性の、働いていない、親の年金で暮らしている親子世帯というのも一つ最近問題になっています。こういう問題の背景を、私、一つ日本家族というものが大きく、家族関係が変わってきているんじゃないか。  私の調査では、お正月三が日一人で過ごした人というのを把握しています。都市地方を超えて三割前後、お正月一人で暮らしている。それから、一番下ですが、国際統計で一か月に親、子供と食事をする回数というものの比較したものがあるんですが、日本の場合はこれなかなか、食事をする、一か月単位では回数が出てこないですね。  昨年の夏にパリの自治体国際化協会というところで職員研修がありましてちょっと話してきたんですが、ここにフランス人職員がいるんですが、あなたは一か月に食事、何回親としますかと聞いたら、もう普通に二回から三回ぐらいは親と食事をしていると。日本の場合は月単位では出てこないということで、この家族関係というのが非常に日本の場合大きく変わってきているんじゃないか。それから、地域社会もそうでして、非常に地域関係が希薄化している。  そして、私、独り暮らし高齢者の、国勢調査で、多い、自治体単位で計算しているんですが、ちょっとこのパワーポイントでは小さいので後ほどお手元で見ていただきたいんですが、一つは、大都市が一九九五年には、これ上位三十自治体だけ選んでいるものなんですが、大阪の二つだけだったんですが、今や大都市が十四自治体までに増えている、都市部独り暮らしが急速に増えている。それから、実は農村部、島も同じでして、増えてきているんですが、町村合併でちょっと見えなくなっている面はあるんですが、そういうものです。パワーポイントでは見えませんが、これは一番高い青ケ島から始まって上位自治体のリストを載せさせていただいております。東京都分もデータありますが、ちょっと時間がありませんので。  私、港区で一九九五年から全数調査、二〇〇四年、二〇一一年、一一年も全数調査をやっているんですが、もう一つ山形で全市町村調査、九五%の回収率ですけれども、この生活保護基準相当額の方、港区で五割半、山形でも同じぐらいの割合、五割半という、私の調査から出てきております。  港区の調査で、これはちょっと最後に載せております参考文献読んでいただきたいんですが、安定層から不安定層まで五つの生活類型に分けてそれぞれの指標を見ますと、例えば社会参加率などは、一番下のは三割程度ですけれども、安定層は七割をしている、健康の格差も非常に大きいということで、こういうそれぞれの生活階層ごと生活状態を把握する必要があるのではないか。  公的ヘルパーというのを提案しましたが、私、港区の政策創造研究所というところの初代所長を仰せ付かって調査をやりました。その調査結果から、制度を利用していない、声を上げない高齢者を把握するということで、ふれあい相談員というのを提案させていただきました。政策になっているんですが、これは「老後破産現実」で実際に登場して訪問しているものですが、介護保険福祉サービス、病院へ行っていない人をリストアップして、港区で四千人ぐらいなんですが、そこを全数訪問するという、そういうシステムです。  政策的に、一言だけ申し上げますが、社会保障というのはいろいろな構成要素がありまして、社会保険社会手当公的扶助福祉サービスあるんですが、日本の場合は社会保険中心になってきて福祉サービスが非常に軽んじられていると、そこから起こる問題がしっかり把握できないという問題もあるのではないか。  ここに挙げている養護老人ホーム一般財源化とか、それから二〇〇七年には国家予算から老人福祉費という費目がなくなっているということで、私、もう一度この福祉サービスというものの意義というものを考える必要があるんじゃないか。それは、声を上げない、潜在化している、そういう問題にどうアプローチするか、社会保険システムではカバーできない問題があるのではないか、そこら辺がこの貧困問題、孤立問題の日本の非常に厳しい現実を醸し出している、つくっているんじゃないか。  フランスの私の恩師一緒なんですが、何で日本でこれだけ孤立死多いのか、フランスであり得るとしたら、用意周到な自殺以外考えられない、意図的に関係を切って自分から命を落とすということ以外、一週間、何か月も発見されないということはフランスでは考えられないというふうに言われて、非常にショックを受けました。
  4. 増子輝彦

    会長増子輝彦君) 河合参考人、大変恐縮でございますが、大分時間が超過しておりますので、おまとめいただきたいと思います。
  5. 河合克義

    参考人河合克義君) はい、終わります、一言で終わります。  フランスではモナリザという国民的な孤立問題を解決するそういう組織ができています。それから、御承知のように、イギリスではついこの間、孤独担当相という大臣が新設されて、日本よりも、孤立問題、かなり様相違いますが、フランスイギリスでもこういう形で政府も含めて重視しているということを最後に申し上げて、終わりたいと思います。  失礼しました。
  6. 増子輝彦

    会長増子輝彦君) ありがとうございました。  次に、緒形参考人にお願いいたします。緒形参考人
  7. 緒形憲

    参考人緒形憲君) 株式会社高齢社緒形憲と申します。どうぞよろしくお願いいたします。  本日は、このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。  それでは、高齢社概要課題ということでお話し申し上げますけれども、皆様へ、何か今後のお仕事上、国政にお役に立てることができれば大変幸いでございます。  それでは、パワーポイントと、お手元には弊社のパンフレット、そして概要を書いたものと私のプロフィール等がございますので、御覧いただければと思います。パワーポイントの方で説明申し上げます。(資料映写)  タイトルはこのようなことで、一人でも多くの高齢者に働く場と生きがいをという会社でございますが、大変まだまだ小さい会社であります。その辺についても御紹介いたします。  高齢社は、六十歳以上の高齢の方を、定年を迎えてもまだまだ元気、気力、体力、知力があるのに家にいるというのはもったいないじゃないかということでつくった会社でございまして、上田研二、後ろにおりますけれども、東京ガスのOBでございます、私もそうなんですけれども、二〇〇〇年の一月に創業いたしまして、ユニークな名前とちょっと変わった仕事のやり方で始めておりまして、現在に至っております。資本金は一千万円でございます。今、五億五千万ぐらい、昨年度決算ですが、本年度、今期三月は六億四千万ぐらいになるのではないかということで、右肩上がりでおかげさまで成長してきております。東京ガスさんのいろいろ御支援いただいておりますけれども、資本関係はございません。関係企業との取引が六割になっております。当初はもうほとんど、九五%東京ガスさんのお仕事でございました。  私どもで働いているのは、派遣という形で働いていただいております。平均年齢、今は七十歳を超えているという形でございまして、今現在就労率は四割ぐらいで、本社で働いている方は二十六名で、こちらは六十三歳でございます。  創業の上田ですけれども、一九三八年生まれということで今年八十歳になります。進学を断念と書きましたけれども、いろいろ苦労されまして、東京ガスの赤字の子会社も立て直しまして、二〇〇〇年のときにこの高齢社を起業いたしました。二〇〇二年には関係会社ユメニティだとか、それから、パンフレット入れてありますけれども、かじワンという家事代行会社、この辺もつくって、女性活躍支援も始めております。現在はユメニティという社長、そこに専念しておりまして、パーキンソン病でございましたので、いろいろ身体障害者雇用拡大ほか取り組んでおります。いろいろやっておるというところで。  高齢社企業テーマでございます。こちらは、基本方針としましては元気な高齢者がたくさん働く高齢社会、これはもうどうしたって高齢社会になりますので、そういった方が活躍するというのはどうしても必要であるということが基本にございます。  我々の社員は生き生きと明るく元気に働いておりまして、目標、目的をきちんと定めて前進しておるわけでございます。我々の目標というのは、労働者活用の一翼を担って、シニアの人が元気に安心して働ける会社として存続して、社会貢献に資するということを目指しております。社会に必要な仕事を確実、丁寧にしっかりやっていくということをビジョンとしてやっておりまして、現場で働く人、この皆さんを中心に活動している、人本主義、資本主義じゃなくて人が財産の会社を目指しております。一人でも多くのシニアの方に働く場と生きがいを提供するというコンセプトでございます。  考え方、重ねて申し上げますけれども、日本の都会では特に人手不足、今現在本当に人手が足らなくて困っておりまして、現役の方々は時間外、休日出勤、休みも取れない、余裕がないということで、これを収拾しなきゃいけませんということで、政府でも働き方改革ということでいろいろ御検討されているというふうになっておりますが、一方で、現実は定年した方が暇を持て余しているとか、経験がたくさんあるのに、気力、体力があるのにもったいないと。しかも、奥様の生活リズムを乱している。俺の御飯はどうなっているのとか、どこ行くのというような実態があろうかと思います。そういった皆さんに仕事をしてもらおうじゃないかということで、上田が九〇年代に橋本龍太郎さんの講演を聞きまして、これからはシニアの働く時代が来るというような講演があったそうでございまして、なるほどということで起業、創業したと聞いております。高齢者が活躍する時代という到来があるので、労働者不足を補うのは、ちょっと大変失礼ですけれども、女、老、外、ロボット、ロボットというのはAIかもしれませんが、こういう時代が到来しているということかと思っております。  私たちの事業の推移です。これ、二〇〇〇年が一番左でございます。ちょっと小さくて恐縮ですが、紙の資料もございますので後で御覧いただければと思います。最初は二十人、三十人で年商も一千万に満たなかったわけでございますが、右肩上がりで人数そして売上高も増えてございます。これが二〇一六年で、二〇一七年では更にこの上、六億円を超えております。  こちらの次のグラフは、現在の登録されて働いている方でなくて、登録されている方の状況でございまして、ここは九百二十四人ですが、本日現在九百三十九人になっておりまして、どんどんどんどんおかげさまで増えてはいます。その方々にお仕事をどうやって提供していくかということを考えてやっているわけです。  このグラフを御覧いただくとお分かりいただけますように、六十から六十四歳はほとんどいないんです。我々の会社では、ここは若手と呼んでいます。若手の人はこれしかいません。したがって、六十五歳以上の方が皆さん元気に働いているというのが実態でありまして、まさに六十五から六十九は働き盛り。そして、こちらにありますように、就労率は四二%で、七十・三歳が働いている方の平均でございます。  働き方なんですけれども、どうやって働いているかということであります。条件は、今言ったように六十歳以上、中にはちょっとお若い方もいらっしゃいますけれども、七十五歳未満で定年退職された気力、体力、知力のある方、まあ前向きな方と書きましたけど、基本的に仕事を好きな方ですよね、仕事に対してもう嫌だからしようがないとか、そういう方ではなくて、仕事生きがいを求めてしっかりやっていく方、そういう方が我々に登録をしていただいております。  勤務形態なんですが、働く人の都合優先になっておりますので、どうしても、まあ九百人以上いますけれども、働いている方は四百人弱ということになります。週三日程度の働き方で、一つ仕事をワークシェアということでやっていただいていまして、週四日は、残りの四日は御自身のやりたいこと、旅行とか趣味だとか御家庭の用事だとか病院だとか、そんなボランティア等々、働きますので、お仕事生活が非常にバランスよく保てて大変結構かなと思っております。  収入は八万—十万です。大体一日一万と思っていただければいいと思います。この辺もいろいろ問題、課題がございます。本当はもっと欲しい人はもちろんいます。生活のためには倍以上働かなきゃいけないんですが、そこまでやりますと、また後で申し上げますけど、いろんな、社会保険制度に入らなきゃいけないとか、年金をまた払わなければいけない、又は年金が減らされるといったようなことがございまして、この辺が課題と思っております。私どもは、毎月のお手当のほかに、年度末にある程度の経常利益が出ます、それについては社員とそれから我々のスタッフで期末手当という形で分け合っております。  働いている方には定年制度はございません。本人と、皆さんと働き先の皆さんの都合で、七十五歳以上で働いている方もいらっしゃいます。この辺も後で写真で御覧いただければと思います。ここには、また一つ、今話題になっておりますけど、無期雇用、有期雇用という問題があります。これも本当は全然シニアの方には余り関係ないんですよね。でも、それが全て派遣ということで一からげになりまして適用されることになりますので、対応に会社側としては苦労しております。  派遣の事例等については、東京ガス関係がおかげさまで今は六割ぐらいになりまして、いろんな仕事がございます。これ、ちょっと後で写真で御覧いただきます。東京ガス以外は三五から四〇になりました。これ、売上げベースでございまして、いろんな仕事ございますので、これもちょっと後で御覧いただきます。  働く皆さんの様子は写真でこれから御紹介いたします。元気だから働くのではなくて、働くから元気ということで、皆さん頑張って働いていただいていると。  こちらは、東京ガスライフバルさんというお店がございまして、こちらでガスメーターの閉栓ということで、自転車で、又はバイク等で皆さん元気にこうやってにこやかに働いています。  お手元のパンフレットがございますけれども、このパンフレットに登場しているモデルは全部我々で働いている皆さんでありまして、にこやかに働いていただける様子がお分かりいただけるかと思います。  こちらの仕事をしているのは、ライフバルのやはりお店で倉庫管理、倉庫のいろんな物品や製品、ガス器具等々を出し入れします。若い人が、朝来て、出し入れします、帰ってきます。そういうときに、いろんな、まだちゃんとできない人もいます、そういう人にきちっと注意をするというようなこともやっていただきまして、お店からは大変喜ばれておりますし、この真ん中の方はもう八十三歳になって、これ最初から八十三じゃなくて、もちろん、二〇〇五年ぐらいから働いていて、いつの間にか八十三になったという山崎さんであります。  こちらの仕事もライフバルさんのお仕事で、これは制服をきちんと管理しているんですね。東京ガスの制服というのは、お客さんの中に入れちゃうんです、自宅に入れてしまいます。したがって、それはきちんと管理をしなきゃいけません。ところが、若い社員はなかなか持って帰ったりしませんので、それはもうお店の中で洗いましょうと、管理もそんなに、そうすれば助かりますし、お互いにそれでいいでしょう、きれいな制服でお客さんも大変喜びますしということで、お店の中で一日六十着とかそういう数の制服を洗濯して、乾燥して、アイロン掛けをしていると、こういうお仕事をしている方もいらっしゃいます。これは女性の方ですね。  またこれもマンションの内覧会という仕事で、年末だとか年度末に集中いたします。マンションは今大変首都圏で多くなっています。新築マンションで説明をするのに、ガスの床暖房ですとかサウナだとか新しい機器がございますので、それの説明をするというために一生懸命勉強をして、内覧会のために備えているということでありまして、こちらで一生懸命勉強した後、一杯やるというのも楽しみでやっておるという写真でございます。  これも創業当時からやっている仕事でありまして、最初はこの仕事でやっていたわけです。ガス給湯器が、これもマンション等に付いておりますので、その性能を試験をいたします。現場に行って、湯沸器が朝行って性能が出ているかどうかを火を付けて測るということをやるわけですね。この仕事も、若い方はなかなか仕事を休日とかできませんので代わりに我々がやっておりまして、こんな研修会をやっております。  こちらはまた全然変わった仕事でありまして、東京ガスは、LNG、これ液化天然ガスですね、この右側にありますこういうローリーで三百六十四日、一日につき六台ぐらい、御殿場の工場に行き来しております。その受入れのとき、高圧ガス取扱主任という資格がないとこれは危険ですから、そのときに立ち会う必要がございますので、四人の方がワークシェアで毎日遠方まで行って立ち会っている仕事でございます。七十五歳とかいう方も中にはいらっしゃいます。  これ、東京ガス以外の仕事であります。東京ガスのライフバルさんでもやっていますけれども、機器修理等で家電のメーカーさんがお客様のところに行くときに、東京都内ではどうしても次々にお客さんの時間が守らなきゃいけませんので、そこに車、なるべくお客さんのそばに置きたいんですね。駐車場に置いて、そして道具や部品を持っていってまた帰ってというと時間が掛かって仕方がありませんし、じゃということでお客さんの横に置きますと必ず駐車違反で捕まりますので、横に乗っているだけなんですけれども、こういった仕事をいろんなお手伝いしながら高齢の方がやっているという現場であります。ただ座っていればいいということではなくて、また多少のお手伝いもしますし、若い修理の方といろんなお話をしながら、いろんな経験談やマナーの話とかいろいろされているということで、大変喜ばれております。もちろん余り重い器具を持ったりなんかというのはできませんから、その辺は逐次若いアルバイトの方を採用したりということでやっている仕事でございます。  ということで、我々は高齢者が元気に働く社会実現を目指しておりまして、働けば元気になるということで、適度な緊張感と責任感が健康を維持いたしますので、健康寿命が延びます。そして、健康寿命が延びれば社会保障費が軽減されて現役世代の負担軽減に結実いたします。働く高齢者が多くなれば消費も活性化されて税収も伸びるということでありまして、高齢者が働きやすい環境づくりを進めて、高齢者が働くことは特別じゃないというふうに変えていきたいと思っております。ただ、ここにはいろいろあって、こういうことが前提で働いているわけではありません。  次に、じゃ、働く方はどんなメリットがあるかということであります。これは、もう簡単に申し上げますけど、週の中で働く場所があるということは今日行くところ、今日用があるということでありまして、教養、教育ではなくて行く場所、用があるということであります。これはもう本当に切実でありまして、定年になったらいろいろできるなと言っているんですけれども、しばらくいたしますとこれでいいのかなと。じゃ、お金が掛からない居場所はどこかというと、なかなかそこには、いつも図書館は、昔は受験生ですけど今はシニアの方でいっぱいであります。今日行くところも、いろんな趣味、行けばお金が掛かりますので、ばかにならない交通費ということでありまして。また、本当に大事なのは奥様との生活、もうどうしても二人の生活になりますので、こういった旦那の面倒をずっと見ている、一日中、三百六十五日見ていくのもなかなか大変かなということでありまして、八割近い奥様が働いているのを喜んでいるということで、亭主元気でやっぱり留守がいいのかなと。そして、三日程度でございますし、ワークシェアリングでありますので、その残りの四日間はいろんなことができますので、そして、その費用というのは会社で働くことで得られますし、会社、家庭でも感謝されますし、つながりがあって頼られて期待されてと。役立つ喜び、達成感もあると、自分に収入があるということでございまして、八万—十万ではありますけれども、現役時代のお小遣い三万円程度かなと思えば、それに比べてずっと高いということは言えるのではないかと思います。  じゃ、お客様と高齢社のメリットなんですけれども、こちらも、派遣のメリットということなんですけれども、期間変動に対応できます。労務管理も軽減できます。コストも社員よりは安いと。即戦力です、これが大きいと思いますね。人生の先輩ということでいろんなアドバイスもできると。  我々のメリットなんですけれども、これは本当に皆さんが真摯に働いていただいておりますので、この真摯に働いていることが信用につながって、そして次の仕事増えていくということで、どんどんどんどん今はおかげさまで仕事が増えているのかなと、本当にこれは実感しております。派遣の方、そして派遣先からも感謝されるということが我々の大きな喜びであります。高い評価が次の御用命につながっております。口コミでいろいろ業容拡大しております。社会奉仕をしておりますので、まあそういうこともあるかなと思っております。  課題最後に申し上げて、終わりにしたいと思います。  やはり、高齢者ゆえの健康問題がございます。これは日頃、管理をしなきゃいけませんので、我々も健康チェックは必ずしてくださいねということはしております。  それから、マッチングはやはり難しいです。内容といろいろ適合しなきゃいけませんし、いろんな条件も必要なお仕事もございます。それから、自分の都合があります。  あと、登録者の確保も問題ございます。  あと、一番大きいのは認識のずれでありまして、こんな年寄りが働けるのということがありますので、どうしてもそこは変えていきたいなと思っております。  あと、法規制です。これは社会保険の問題、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、どうしても長く働いて週何時間、三十時間とか働きますと社会保険に入らなきゃいけなくなりますので、そこは負担が増えます。それから、無期転用の話もちょっと申し上げましたし、あと有給休暇や在職老齢年金、これも働けば働くほど給料増えますと厚生年金は減らされるということがございます。  あとは再掲になりますので、いろいろ書いてございますが、御参考にいただければと思っております。  以上で私の方の説明を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
  8. 増子輝彦

    会長増子輝彦君) ありがとうございました。  次に、佐久間参考人にお願いいたします。佐久間参考人
  9. 佐久間裕章

    参考人佐久間裕章君) 佐久間です。よろしくお願いいたします。(資料映写)  私は、ふるさとの会と申しまして、元々、東京の山谷地域で、一番最初、一九九〇年ですね、ホームレス支援の団体としてスタートしました。ですから、一番最初は炊き出しとか、そういう本当の生活困窮者の支援からスタートしました。九九年に法人格を取りまして、その後、宿泊所等をつくってまいりました。  一番最初は私も炊き出しとかやったりしていたんですけれども、現在はむしろ、路上生活とかを経験していないような身寄りのない単身の高齢者地域生活をどうするかということが一番大きな問題というか課題になってきています。  ですから、山谷なんかですと、高度成長の頃ですよね、だから前回のオリンピックぐらいになるかと思うんですけれども、北関東とか東北、北海道も含めて大量の金の卵というか、そういった方々が恐らく上野駅とかに着かれて、そうした方々ももう七十、八十というふうなお年になられて、単身で、恐らく、河合先生がおっしゃったような都市部の中の単身の高齢者の中の少なくない割合が私たちが支援させていただいている方々だと思っています。ですから、もう人生の晩年になられて、御家族をつくるというほどの経済的な基盤をつくることもできず、現在七十、八十ぐらいで身寄りがないような状態で老いていく、そういった方々地域でどうやって支援していくのか、それが一番大きな問題になってきています。これが冒頭の問題提起です。  一番最初は台東を中心にやっていたんですけど、現在、墨田、荒川、それからぐるっと回って豊島、新宿と、区内の五つのブロックで事業を展開いたしております。この五か所で支援させていただいている対象者が一千百三十三名になります。地域特徴なんですけれども、これはいわゆる生活保護の保護率が比較的やっぱり高い地域ですね。東京の中ですと、先生方は全国からだと思うんですが、東京ですと、一番保護率が高いのがやっぱり台東区ですよね、山谷を控えている、墨田、荒川というのも軒並み高いです、新宿も元々三〇パーミルを超えるような高い地域です、で事業展開をしています。  じゃ、ふるさとの会ではどういう人が利用しているのかということで、利用者像の御説明をいたします。  共同居住といいまして、職員が夜間も含めて常駐しているような、施設のキャパが大体三百ぐらいあります。そういったところ、そういった住まいの場所についてなんですが、実は一番多いのは、前居所といって、どこから来るのかというと、病院から来るケースが一番多いんです。大体三〇%ぐらい。これはなぜかといいますと、私もこの仕事をして初めて知ったんですが、身寄りがない単身の方とかが、恐らく脳梗塞とか、典型的な例では、急性期の病院に運ばれて、それから転院をして病状が安定します。ただし、家族とか、退院した後、その方を迎えに来て、住居とか生活支援をする場所を確保できないということで、実際にはいわゆる社会的入院ですよね、いっときぐるぐる病院とかと報道されたんですけれども、私もこの支援やるまで全然知らなかったんですね。  お付き合いのある親しいケースワーカーの方から、佐久間さん、何とか受けてもらえませんかと。いや、でも介護必要な人ですよね、うちは介護施設でもないし、ちょっとそれは厳しいと思いますよと言っていたら、やっぱりこういう転院、転院で、病状的にはもう固定はしているんだけれども帰来先がない、その人を迎え入れて家族若しくは家族代わりのような形で支援してくれるような場所、そういったところがあれば全然退院はできるんだけれども、できないんだということで、そういう話合いをしていって、私たちは、だったら単なる居所の提供ではなくて、介護とか地域ヘルパーステーション、在宅の往診の先生方も入ってくれるような、そういった地域の資源を取り込んでやっていくような高齢者向けの宿泊所をつくりましょうといって、それが一番最初の頃の大きな転機でした。実際やってみたんですけど、やっぱり大変でしたよね、やっぱり介護を要する人とか御高齢の方とか。  ただ一方で、内部で議論したんですけれども、僕らは現にテラスとか公園で本当路上生活をしている人の支援から始めたんだけれども、現にやっぱり三か月単位ぐらいで転院を繰り返すというのはすごい苦痛ですよね。そういった方々も含めて広義、広い意味でのやっぱりそれはホームレス問題ではないかと。それにぶつかった以上は、やっぱり甘んじてというか、その矛盾を引き受けていこう、その代わり新しい解決策、従来の形でやるのは無理があるからということで、行政の方ともお話ししながら新しい類型というものをつくってきました。  あともう一つあるのが、刑事施設、これはいわゆる高齢受刑者ですよね。私たち、入所の際に連絡票といって、役所の方からフェースシートといって生活歴とか既往歴とか書いたのをいただくんですけれども、時々、例えば前科二十犯とか書いてあって、現場のスタッフに緊張が走るんですね、どんな人だろうと。いらした方が腰の曲がった八十代くらいの方で、かくんとするような感じで、結局貧困の問題だったんですよね。窃盗なんです、コンビニでおにぎりをちょっと拝借したとか。それもだから、おなかすいたとか、炊き出しとそれだけではやっぱりもう生活できないから、もう一度戻ろうと思ったんだとか。  そういうのがあったので、私たち、関連の法人で更生保護法人同歩会というものをつくりまして、路上とかそういう状態になってから相談をいただくんではなくて、出所の際に先に連絡をいただいて、台東区とかそういうところで生活歴長かった方ですから、ふるさとさんの方で地元の福祉事務所の方に事前につないでおいてもらえますかといって、ああ分かりましたと。で、担当の相談係長とかに事前にお話しして、もう八十歳でお一人、ああもうそれは保護要件満たしますよね、分かりました、じゃ、その朝連れてきてくださいみたいな。そういうふうにすると、その方は直接福祉サービスにつながって、再犯をすることもなく地域で普通の介護サービスを受けたり、認定を受ければデイサービスに行ってお風呂入って帰ってくるとか、そういった生活につなげようというのをやっています。  あと、この間増えているのが、どのような人がということで、自宅、これはだから低年金の問題ですね。私たちは、基本的には山谷系というか日雇とかを経験された方が多かったんですけれども、この間の入所依頼はそういった経験はない人が増えてきています。アパートの立ち退きとかで、もう例えば何十年もお住まいになったところを出ないといけない、低家賃アパートはどんどん減っていますから、その後はなかなか確保できないんですよね。一番安い年金だとやっぱり六万とかそれぐらいですよね。六万六千円で、しかも賃貸、持家じゃないという方、切り詰めて切り詰めて、貯金を。で、もう無理だというふうな形で役所の方に御相談、申請においでになって、そこからの御相談というのがこの間は増えてきています。ですから、これは低所得、低年金の方の住まいと生活支援をどうしていこうかというテーマに恐らくつながるかと思っています。  一千百三十三、実際どれぐらいの利用者像かということで御紹介いたします。  共居というのは共同居住を略して、これは施設系ですね、三百六十一。独居、これはアパートとかで独り暮らしをされている方、この方が大体七百名ぐらいですね。  全体を通して言えるのが、高齢化率、六十五歳以上が六〇%を超えている。やっぱりすごい高齢化が進んできています。全体の中でも一番多いのがやっぱり七十歳以上ですから、もうこれからどんどん後期高齢者になっていく方ですよね、これが全体の中の四百五十三名。全体の中でも要介護、介護認定とかを受けている方が二百七十四、だから二五%ぐらいですよね、四分の一ぐらいは使っている。  そこに、一番難しいのは独居なんですよね。共同居住は職員がいるので、救急車も呼べますし、病態悪くなれば早めに気が付いたり、いろんな手が打てるんですが、独居の方ですよね。独居が一番七百七十二で多くて、かつ、七十歳以上の方ももう四百名近い。その上で、介護が必要になったり、重ねて認知症、あと、独りで身寄りがなくて、かつ、がんの方、こういった方々も増えてきています。でも、共同の居住とかってそうそう簡単には増やせられないんですよね。物件確保も難しい。そうなってくると、地域の中でどうやってこういった身寄りがない、かつ、低所得で低年金の人も含めての、そこに疾病であったり認知症、認知症になるとやっぱり更新がなかなかできないとか大家さんからも拒絶されてしまうというふうな、そういった方々地域で支え続けるための取組、これが喫緊の課題になっています。  これは私たちのミッションです。認知症になってもがんになっても、あと、家族やお金がなくても、地域で孤立せず最期まで暮らせるように。ですから、最も弱い人が地域で最期まで暮らし続けられるようにということがミッションになっています。  ふるさとの会の支援スキームなんですけれども、まずはハウジング。元々居所をお持ちでない、若しくはアパートの立ち退きとかで居所が不安定な低所得の高齢者対象としておりますので、まず住まいの提供から始まります。あと、生活支援。これは単身で身寄りがない、家族若しくは家族に類するような方がいらっしゃらないということで、食事の提供であったり、シンプルに言えば日々のその人の変化に気付くような、家族代わりの支援ということをやっています。次は、仲間づくり。これは、支援するされるという関係だけではなくて、そこで暮らすほかの利用者さん、仲間同士の関係をつくっていって、互いに支え合うというふうな関係をつくっています。そして最後に、在宅みとり。これはやっぱり、もうこれ以上転院とか、病院とかもう入りたくない、最期までここで暮らさせてほしいというふうな要望を受けて、これまで十名以上の方のみとりも行ってきています。  この構造をもう一つ、雇用の方から御説明いたします。  住まいで二百から三百近い方々のキャパとしてやりますと、そこに生活支援として実はいろんな仕事が生まれます。例えば、一番規模の多い施設は定員が八十名です。そうすると、そこで配膳とか清掃とか、いろんな仕事が生まれてきます。このことが思わぬ副産物といいますか、高齢で要介護の方も大勢いらっしゃるんですが、もう一方で、まだまだ働く意欲も持っていらっしゃる高齢の方、あとメンタルとかうつとかいろんな事情があってフルタイムでは働けないけれども、こういった支援付き就労であれば働ける若者も大勢いらっしゃいます。そういった方々のここは雇用の場になっております。  私含めて、ふるさとの会、常勤、非常勤、パート合わせて二百八十九名が働いております。この中のうち百八名、ですから約四割強はこういった支援付き就労、現に生活保護等の公的な支援を受けていたり、かつて路上生活等を経験された方が支援される側からする側に転換して、今百八名の方が働いています。  あと、これは地域マップです、台東区の。ちょっと時間の関係で割愛しながら話しております。  今度、独居の方を支えるために、こういったサロンをつくっております。あと、独居の方、なかなか物件確保が、契約できないんですね、保証人いませんとかと言うと。そのために賃貸保証の事業、株式会社ふるさとというものをつくって、ここと連携してやっています。  あと、実際上、独居の利用者さん、どんな形、どんな利用者像なのかということで少し具体例を用意いたしました。  例えば、ここの上から三番目の七十代の方。介護保険ヘルパー入っているんですが、認知症でやっぱりADLもどんどん落ちてきている。服薬も忘れている。こういった方は、アパートで在宅でぎりぎり公的なサービスも入れて支えているんですけれども、やっぱり行く行く難しくなってきている。  あと、この上の八十代後半の方。八十後半だから元々あれなんですけれども、下肢に障害があって介護保険を使っている。アパートが老朽化してきて生活しづらくなってきている。役所のケースワーカーの方からもやっぱり御相談多いんですが、やっぱり古いアパート、もうどんどん取壊しが進んでいっています。古いアパートだから生活保護基準内の住宅扶助で入れていたんですけれども、建て直したときにはやっぱり住宅扶助基準より絶対高いアパート造りますよね。今、風呂なしのアパートを新築で造るようなところってまずないですから。そうなってくると、生活支援だけじゃなくて居所をどうするのかということがある。僕らも一生懸命探しても、老朽アパートから老朽アパートに転宅するんだと、これは何の意味があるんだというのもあるので。  それを考えていった際に、住まいと生活支援が合わさった、そういったものがやっぱり必要だろうということで、私たち、行政の方とも御相談して自立援助ホームというものをつくっています。  例えば、これは山谷地域にあったホテルを改装して、二〇〇五年につくりました。この頃はやっぱり療養型病床の再編とかあったりして、社会的入院を余儀なくされていった方々がどっと地域に、ただ、地域での受皿がない。福祉事務所の皆さんもすごい苦慮されて、何とかこういった人たち地域で介護とか生活の支援とか受けながら暮らせるようなものをつくろうということでつくりました。  とともに、私たちだけではなくて、地域の団体で、急性期の地域の救急病院とか地域包括支援センターの方とかいろんな方と連携して、地域ケア連携をすすめる会というのをつくりました。末期の人があるのでちょっと訪問介護入れますかといったら大丈夫ですよとか、今急性期なんで入院大丈夫ですかといったら医療相談の人がうちで一床用意しますよとか、そういった具体的な連携もしています。  こういった形で既存の住宅をリノベーションしたり、あと新築するような形で、こういった資源を地域につくってまいりました。これなんかは晃荘といいまして、左側にあるのはビフォー、アフターですね。アパート晃荘といって、地元のオーナーさんも、建て直そうと思ったんだけれども、便も余りいいところじゃないので、恐らくがら空きになってしまうだろうと。昔からお付き合いがある地元の不動産屋さんが、だったらふるさとさん向けに高齢者施設用途で造ったらどうですかと。これを私たちの高齢者施設用途で造っていただいて、NPOで一棟借りですよね、だから一括リースみたいな形です。そうすると、地域の老朽物件、オーナーさんも困っていたというのが逆に地域福祉資源と変わっていくと。こんな感じですね、お風呂があって新築で、リビングも設けてという。  あと、こういう形で、基本、住まいなんですね。施設というよりかは基本、住まいで、必要な介護とか医療とかというのは地域の往診とかそういうので支えていただく、地域の資源で支えていただく。職員地域に出ていっていろんな顔の見える関係をつくっていったり、コーディネート、生活支援をするというのが仕事になります。  さっきの支援付き就労なんですけれども、例えばこんな感じですよね。一方では介護とか生活支援を要する高齢の方が地域にはたくさんいる、一方ではまだ働く意欲も能力もある高齢及び若年の困窮者がいる、この両方をリンクさせていって、地域の中でお互いに助け合う、かつ、そこで雇用もつくっていく、そして社会的入院の受皿として地域移行を可能としていく、こういったことを事業として取り組んでおります。  あとは、そのための職員育成ということをこのスライドのように実施しております。  時間の関係で残りのスライドは参考までとさせていただきます。御清聴どうもありがとうございました。
  10. 増子輝彦

    会長増子輝彦君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。  まず、各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず発言いただけるよう整理をしてまいりたいと存じます。  質疑を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って御発言くださいますようお願いいたします。  質疑及び答弁は着席のまま行い、質疑の際はその都度答弁者を明示していただきますようお願いいたします。  なお、できるだけ多くの委員発言の機会を得られますよう、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるよう御協力をお願いいたします。  それでは、質疑のある方は挙手を願います。  自見はなこさん。
  11. 自見はなこ

    ○自見はなこ君 よろしくお願いいたします。自見はなこでございます。  今日は高齢者をめぐる格差への取組ということで、河合参考人緒形参考人佐久間参考人、それぞれから実態に基づいた取組研究ということで、本当に敬意を表したいと思います。本当にありがとうございました。  私からは、まず緒形参考人に初め二問ほど質問させていただきます。  今、健康寿命延伸に最も貢献しているのは就労であるということも言われておりますし、また医療界の中でも高齢者の定義そのものを変えていこうですとか、あるいは人生百年時代にどうやって生き生きとした人生を送っていくのかという議論も、我々も立法府の場面でも盛んにこの一年でもされるようになってきたというふうに認識をしております。  その中で、緒形参考人のスライドの中にも六十五歳から六十九歳が働き盛りでありますとか、それから、たくさんの写真が、高齢者が本当にはち切れんばかりの笑顔であるというのが大変印象に残っているわけですけれども。  まず、一問目お尋ねしたいんですけれども、人生百年時代を私たち迎えていくわけでありますけれども、その中でそれぞれの国の行政機関としてハローワークというものがあります。また、あるいは自治体の事業としてのシルバー人材センターというものがあります。シルバー人材センターは六十五歳以上の元気な方対象ということで、それぞれきめ細かい自治体でのサービスというものも提供しておりますが、私は、これから二人に一人、生まれてくるお子さんが百年時代、あるいは様々な元気な高齢者のことを考えますと、過去においてのシルバー人材センターの役割というものと今後というものは恐らく変わっていく必要があるのではないかというふうに感覚として感じているところでありますけれども、緒形参考人は現場でまさに高齢者方々と接している中で、そして彼らの就労支援をしている中で、このハローワークとシルバー人材センターというものを今後、国としてあるいは自治体としてどう運営していくのが適切だとお考えなのか、お聞かせください。
  12. 緒形憲

    参考人緒形憲君) それでは、今の自見様の質問にお答えいたします。  大きな違いは特にないんですけれども、基本的に登録するときに私どもは無料なんですけれども、シルバーさん、ちょっとお金いただいているのかなと思います。また、我々はその人一人一人に対してこういう仕事がありますよということで御紹介しています。それは今ハローワークさん又はシルバーさんではおやりになっていなくて、御自身でコンピューターの前に座って探しているのかなと。そして、仕事に就いた後も、我々は何かトラブルがあったりなんかすると、一応すごくきちんとフォローをすると。結構御高齢の方なので、薬を飲み忘れたとか病気になったということ、現場で起こります。そのときのトラブルは我々のスタッフがきちんと、お客様とのトラブル等々、交通事故なんかもなくはありませんので、そこはきちっとフォローすると。この二点が違うかなと思います。  今、シルバー人材センターやハローワークでも、国からのいろんなサジェスチョンやいろんなことがあって、そういった取組をしていこうかなという動きがあるというのは聞いております。
  13. 自見はなこ

    ○自見はなこ君 ありがとうございます。  二問目なんですけれども、資料をお配りいただいた中の二十一ページにも書いていただきました課題のところの最後に、法規制について書いていただきました。社会保険制度ですとかそういったものが高齢者の雇用、就労に関して何らかの足かせになっているのではないかといった趣旨の御発言だったのかと思いましたが、もう少し詳しくこの点についてお伺いしたいと思います。
  14. 緒形憲

    参考人緒形憲君) それでは、僣越ながら申し上げますが、まず社会保険につきましては、週三十時間以上働くとここに入らなきゃいけないんですね。これはシニアであるとかないとか関係ありませんので、そうしますと、高齢の働く方、そして会社側にも負担が生じます。これは社会保険の中で特に、まあ雇用保険とかはしようがない、健康保険等はある程度仕方がないのかもしれませんが、年金も払わなきゃいけないんですよね。だから、六十五から七十歳の間ですよね。七十以降はいいんですけれど、その間の方でたくさん働く方がいると、その方はまた年金を払わなきゃいけないんです。  しかも、余り払うと、在職老齢年金制度というのがあるんですけれども、年額たしか四百七十万とかそれを超えますと、その超えた分の半分を年金からカットされると。せっかく自分が一生懸命働いてきて年金もらえるようになったにもかかわらず、それ以降働きますと年金カットされてしまう。これは余り納得感がないのでそれ以下で働こうということをしたり、それはもう仕方がないということで一生懸命頑張っている方がいらっしゃる。例えば、今のパンフレットの中で、真ん中の方ですね、こちらの方は週六日働いているんです。物すごく元気で、もう一生懸命働いて、その残りの一日はゴルフをするという生活をもう何年もやっている方なんですね。こういう方はもう社会保険ももちろん払わなきゃいけない。そんな必要があるのかなというのが社会保険制度や老齢年金制度についての疑問でございます。
  15. 自見はなこ

    ○自見はなこ君 貴重な御意見ありがとうございました。  配偶者控除が壁になっているという話も税調とかでしている中ですけれども、いろんな観点から議論を進めなければ真の意味で高齢者の方が生き生きと働いていただけないんだなということで、いろんな課題を提供していただきましてありがとうございます。  続きましての質問ですけれども、佐久間参考人とそれから河合参考人にお伺いしたいと思います。  様々現場の御苦労を伺って、本当に敬意を表しているところなんですけれども、端的に時間が限られている中でお答えいただけたらと思うんですけれども、それぞれのお立場から、まず佐久間参考人からお伺いしたいんですけれども、地元の医療機関との連携というところで何かの御要望といいますか、こういったことを改善していただけたらもっと自分たちがスムーズにできるとか、そういうような具体的な御要望があるかということをそれぞれの、順番として佐久間参考人河合参考人からお伺いできたらと思います。よろしくお願いします。
  16. 佐久間裕章

    参考人佐久間裕章君) 医療機関に、いつもはお世話になっていますというふうな感じではあるんですが、もし細かいことであれば、病院の中の介護とか通院中の体制というのが恐らく御家族いらっしゃるというのを前提にされているので、私たちのようにあと単身の方が増えてくると、院内介助というのを、ヘルパーさんというのは、病院まで行って、あと迎えだけで、間は介護保険の給付にならないから基本的には引き揚げるんですよね。でも、低所得の方がそれを自費で負担できるかといったらとても無理なので、病院と時々押し問答になるんですね。うち無理ですから、いや、でも、うちも無理ですよといって、じゃ、どうするのといって。病院によってはそういうボランティアを導入したりとかあるんですけれども、その辺りは一病院だけでは多分解決付かないことだと思うので、そこを何か地域の中でうまくやっていけたらいいなというふうな、ちょっとお答えになったかどうかあれなんですけど。
  17. 河合克義

    参考人河合克義君) 医療機関との関係という話ですが、私、先ほど紹介した「老後破産現実」の中で、高齢者の実際の収入額ですよね。私の山形なんかでもそうなんですが、地方へ行くと持家率が高くなりまして、港区は独り暮らしでいうと半分ぐらいですが、山形へ行くと九割方持家になりますけど、家はあるんですが、収入が山形でいうと四万とか三万の方がほとんどで、「老後破産現実」では秋田の独り暮らし女性の方の事例を紹介したんですが、年金二万円で、月の医療、病院へ行っているんですが、二千五百円払わなきゃいけない、二か月に一回ですので、五千円ずつ隔月で払っているんですが。  この医療費の負担、それだけじゃなくて、格差の問題でいうと、低所得の高齢者の実際に払える能力といいますか、そういうものをきちっと把握し、なおかつ、これが制度間でばらばらにいろいろな利用料とか負担が高齢者にかぶさってくるわけですね、介護保険関係とか医療の自己負担とか。その世帯、私、制度間調整という言い方をしているんですけど、各分野ごとに各担当省庁が負担を決定して、それがある高齢者の世帯に総額としてどういうことになって、それが生活できるのかどうかというそういう評価、判断がもう一つ弱いのではないかと。  例えばヨーロッパでいいますと、例えばフランスなんかでも、最低の生活水準を置いておいて各制度はそれを下回らないような調整をしているんですけれども、日本の場合は、その二万円で生活しているのに医療費だけでも二千五百円という、そういうような設計というのは私はやっぱりもう少し、是非議員の皆さん方が、制度を縦割りにするんじゃなくて横串にして、ある世帯にとってどうなのかというそういう是非調査、検討していただきたいなというふうに思っております。
  18. 自見はなこ

    ○自見はなこ君 ありがとうございました。
  19. 増子輝彦

    会長増子輝彦君) 石上俊雄君。
  20. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 民進党・新緑風会の石上俊雄でございます。  今日は、三名の参考人皆様、本当に貴重な話をありがとうございました。そして、日頃からの皆様の活動に心から敬意を表したいと思います。  まず、佐久間参考人にお聞きしたいと思います。  特別養護老人ホームで暮らす方々が現在全国で五十七万人おるというデータがあります。一方で、希望しておりますけれども入居ができない、待機されている方が三十七万人おられると。三年前の調査は五十二万人おられるということで、三割ぐらい減っているというところになっているわけでありますが、まだこの待機を解消するには程遠い水準になっているわけです。  そんな中で、じゃ、これがどういうふうになるかというと、市場原理的には無届け介護ハウスというところで対応していくというふうに流れるかもしれませんが、それでは、平成二十一年に群馬県で起こりました静養ホーム「たまゆら」の火災事件とかがあって、そのときに浮上しました介護移住の問題というところについても解決できていないということになるわけであります。  したがいまして、都市部では行政が施設を中心に対応を取るとコストが上がってしまうので低所得者のニーズには合わなくなる、一方で、遠方の他県においてでは、無届け施設の増加というところについては、住所地の特例の不適用で市町村の財政が圧迫されるという課題が出てくるというふうに思っておるんです。  そうしますと、そのどちらでもなく、参考人が今取り組んでおられる地域における移住支援と生活支援、言わば四重苦を抱えられている低所得者や生活困窮者の皆さんも含めて、誰もが生き生きと生活できる新しい地域包括ケアモデルの方が、人間として高い幸福度、高い尊厳、それだけではなくて、経済財政的な全体最適も実現できるのではないかというふうに思うので、その辺についてのお考えと、この地域包括ケアのモデルを展開しようとした場合ですね、ほかの地域でも、市町村へのこの補助率アップを含めて、どんなことをやってもらったら広がっていくかということについてお聞きしたいと思います。
  21. 佐久間裕章

    参考人佐久間裕章君) 御質問どうもありがとうございます。  私たちも、どうやったら、そういう身寄りがない方とか低所得の方も含めて地域で安心して暮らしていくことができるかということで、先生今おっしゃっていただいたとおり、一つは、やっぱり介護の問題だけではなくて少しトータルにやるのが大事かなと思って、というのは、彼、彼女たちを地域で支え続けるということは決して地域にとっての重荷ではないんだと。  例えば、社会的入院とかを余儀なくされて他県にいた方々が戻ってくる、そうすると、空いていた物件がまずそれで地域に家賃を落とすようになっていく。二十から五十からの人が暮らし始めると、そこにいろんなニーズがあって、訪問看護が入ってくる、ヘルパーが入ってくる、そしてそこに担い手としての雇用も生まれてくる。そうなってくると、排除したりするんではなくて、地域の中でむしろきちんと受け入れて支えていくということが、経済的な意味でも、そしてミッションとしても、より地域を豊かにしていくんだというふうな、まず一つはここの考え方ということを共有していけたらというのがあります。  あと、こういった包括ケアを広げていくために、自治体であったり、どのようなことがというのがありまして、現に今、国会で二月に、宿泊所といいますか、支援が付いているようなところには何らかのインセンティブを付けていこうというふうな法案等動きが始まりましたので、まず一つはこれを私たちとしても歓迎したいというふうに思っております。  直前に加藤大臣も私どもの宿泊所を視察に来ていただいたので、その生活支援の内容とかも御理解いただいたので、ただ、その一つだけで解決付くわけではないと思いますが、一つは、こういった地域にある資源に積極的な意味合いを、最低基準とかそういうのを付与した上でよりいいところを伸ばしていく、そこからまだまだ出てくる課題はあると思いますので、こういった意見交換の場とかを継続していければよりいいものをつくっていけるんじゃないかなというふうに思っております。
  22. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 ありがとうございました。  続きまして、河合参考人にお聞きしたいと思います。  参考人は、高齢者生活保障体系は現在介護保険制度中心だけれども、その利用者は全体の一割半にすぎず、深刻化する貧困と孤立の問題はその対象外で起きているのだから、介護保険とは別の福祉サービスの再構築が必要だと、先ほども資料の中にありましたが、そして公的ヘルパーを提言されているということでございますけれども、具体的にどのようなイメージを持ったら我々はいいのかと、ちょっと教えていただきたいというふうに思います。  先ほど、イギリスで孤独問題担当大臣というのができたというふうにありましたが、それは日本でもつくった方がいいというふうなことなのかどうか、その辺も含めて教えていただきたいと思いますし。  また、参考人の主要課題である独居と孤独死に関連して、日中独居の問題があるというふうに思うんですけれども、どのようなアプローチや視点をお持ちなのか。例えば、日中独居は家族不在時に死亡しても統計上は孤独死としてカウントされないというふうにお聞きしているわけでありますけれども、現在、一方で急増している可能性もあるという話も聞きます。加えて、訪問介護の生活援助においては、日中独居というだけでは障害とか疾病その他やむを得ない理由に当たらないということで算定されないということになっているということで、どうにかしてもらえないかという要望や問題視する声が多く出ているということを聞くわけであります。  制度が当初つくったときに、そのど真ん中にこういう事案が考えられていなかったというのも一つの問題だというふうに思うわけでありますけれども、参考人は、この日中独居で、介護保険制度とは別の福祉サービスの再構築で対応していく方が必要というふうにお考えなのか、それとも介護保険自体で日中独居の対応をしっかりしていくべきものなのか、その辺のお考えについてお聞きしたいと思います。
  23. 河合克義

    参考人河合克義君) 御質問、幾つかの論点があるので全てお答えするにはちょっと時間がないと思うんですが、非常に適切な鋭い御質問で、敬意を表したいと思いますが。  最初の佐久間さんの話とも、質問とも通ずるんですが、特別養護老人ホームというのは介護認定を受けている方が対象になっている介護保険施設です。法律上は老人福祉法の措置というのが残っていますが、現行の特別養護老人ホームに措置で入る人はもうほとんど例外的な状態で、ほとんどは介護保険の施設、つまり、認定を受けてかなり重度の方じゃないと今は入れなくなっていますので、そういうことになっていますが、ところが、佐久間さんがやっているのは、介護保険も含めてもっと広い、生活、住宅も含めたそういう支えを、石上先生おっしゃっていたようなまさに地域包括的な広い対応しているわけですが、無届け施設の話もありましたが、私は、もっと大きく高齢者の住まい、それから、特養だけではなくて、私、委員今やっていますが、先ほどちょっと言った養護老人ホームとか、この養護老人ホームは、まさに高齢者の犯罪を犯して刑務所から帰ってきた人とか、家族から虐待を受けて地域に放り出されている人とか、いろいろなケースがあるんですが、そういう生活問題を抱えた人を支える施設なんですが、現在この養護老人ホームは定員割れを起こしているんですね。  地方自治体は、措置をすると自治体の財政が、具体的には一般財源が減っていくという、税源移譲したものですから、二〇〇五年から、ということで措置をしない、それから、介護保険中心に動いているので養護老人ホームという存在を知らない自治体の担当者もいるということで、私は、介護保険だけではなくて生活全体を見るときには、冒頭申し上げたように福祉サービスというものも位置付け必要だと思うんです。  ドイツの場合、介護保険法、日本より先にやって、それを見習って日本介護保険導入したわけですが、ドイツでは社会扶助法という、いわゆる福祉サービスですが、施設体系も地域サービスもこれ両方きちっと置いているんですね。バイエルン州の担当官に私調査したことあるんですが、介護保険で全て高齢者問題カバーできないと、やっぱり介護保険というのは一部分であって、それ以外の生活をどう支援するかという、そこの部分は残っていくだろうということで考えなきゃいけないんじゃないか。日本の場合はやはりどうも介護保険中心で、もう少し広く高齢者のところで起こっている問題を見るということが必要じゃないかというふうに思っております。  日中独居の問題に関しては、これ、私、ちょっと長期視点で、もうちょっと日本家族とか日本地域社会在り方をもう少し、どうつくり変えていくのかという。親族関係が非常に弱くなっています。地域社会も非常に希薄になってきている。そこをもうちょっと政策的に、十年後こういう地域をつくろうと。フランスの例出しましたが、実際にフランスでは、土日、パリでも夕方、といっても夏ですと九時以降に歩かなきゃ日没になりませんが、あちこちで親と別れる子供のそういうシーンをよく見かけるんですけど、日本は非常に親族関係しっかりしていた国と言われていましたが、どうもやっぱりかなり怪しくなっているんじゃないか。お正月、三が日一人。  それから、独居で私の身近にもこの二週間で二人亡くなっているんですが、お風呂で急に亡くなって一週間発見されないという、私のかみさんのお母さんの友達が、昨日、一週間前に亡くなっていて連絡がないとかということもあって、もう少しやっぱり日本家族関係とか地域社会をどう再構築するのかという、そういう政策志向というのを是非日本は必要じゃないか。その意味で、あのかなり年金制度も進んでいる、サービスも日本よりは高いですが、それでも孤立問題というのを重視して、フランスとかイギリスとか、ああいう一歩踏み出しているわけで、大臣をつくればいいというものじゃないと思うんですが、もっとやっぱりそういう孤立問題も日本で真剣に考える必要があるのではないかと思います。
  24. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 ありがとうございました。終わります。
  25. 増子輝彦

    会長増子輝彦君) 宮崎勝君。
  26. 宮崎勝

    ○宮崎勝君 公明党の宮崎勝です。  今日は、高齢者の孤立、働き続けられる社会生活困窮者の支援ということでそれぞれ大事な、貴重な御意見を頂戴いたしまして、大変ありがとうございました。  私、お一人に一問ずつ最初に質問をさせていただきたいと思います。  まず、河合参考人に御質問したいと思いますが、孤立の背景には貧困の問題があるということですけれども、高齢期に貧困に陥らないための予防的な措置というんでしょうか、例えば現役の時代のパートタイムの厚生年金の適用拡大であるとか、あるいは普通、教育費とか住宅費という部分が現役時代企業が負担するような形で賃金に上乗せされているわけですけれども、そうしたものを企業というよりも社会化して仕組みとしてそういうものを導入するという、例えばの話ですけれども、そういう貧困に陥らないための予防的な措置というものについて御提言がありましたらお聞かせをいただきたいということです。  それから、緒形参考人にお伺いしたいのは、再就職をする際の研修ということでございます。先ほどのお話の中でも、登録者と仕事のマッチングがなかなか難しいということでお話がございました。御社の資料を読みますと、研修というと結構心構えとかマナーとか、そうした部分の研修もしっかりやっていらっしゃるようですけれども、例えば現役時代に培った経験とか技術を生かせる仕事というのがあればいいんですけれども、それがない場合の研修ですね。例えばこれからICT社会とかいろいろそういう情報技術が発展していく中で、そうした研修を改めて受けたり、そういうことをする必要性というんでしょうか、そうしたものをどうお考えになっているかということをちょっとお聞かせいただければと思います。  それから、佐久間参考人には、事前にお配りいただいた資料の中で、このふるさとの会で築いてきた生活の互助というものを地域でどう広げていくかということが課題だということを御指摘いただいて、そのためにも必要なのは支え合いを支えるキーパーソンであるという御指摘がありましたけれども、ここについてもう少し御説明をいただければというふうに思います。  以上です。
  27. 河合克義

    参考人河合克義君) 時間がありませんので、手短に話させていただきます。  予防の観点から御質問いただいて、本当に私うれしく思います。貧困問題、孤立問題は、やはり予防の視点というのは非常に私、政策的に大切だと思っております。  実際に私、調査をいろいろやっていますが、高齢者の現時点生活状況を把握すると同時に、もう一つ、一次調査で、調査というのはなかなか個人特定できませんが、本人オーケーということで、二次調査を考えているので住所、名前、電話番号を書いてくださいという形で個人を特定して書いてくださるんですが、そして二次調査でその生活幾つかに分けて訪問するというやり方をやっています。  生活歴を重視して聞いているんですが、高齢者貧困、孤立の現状は、やっぱり若い頃からの、御質問にありましたように、おっしゃるとおりこの生活歴の結果として表れておりますので、そこを、若い現役時代生活の安定をどうするのかというその視点というのはおっしゃるように非常に大切だと思っています。  いろいろな手法があるかと思いますが、現役時代のやっぱり雇用、それから生活費、それは年金額にも関係してきますし、それから年金の方でいうと、やっぱり年金の最低保障というのをどう考えるのかと。これも西ヨーロッパと比べますと、日本の国民年金の最低額で生活できる、この差というのはやっぱり歴然ですので、そこら辺も、高齢期の生活保障をどうするのか。それから、若い頃からのおっしゃるようないろいろな施策をやっぱり打って予防ということで考えるというのは非常に私すばらしい、そのとおりだと思っております。
  28. 緒形憲

    参考人緒形憲君) 研修制度なんですけれども、派遣の研修というのは必ずそれを記録しなさいと派遣法でなっておりまして、それはなぜかというと、正社員とかなるためにということなんですね。もちろんそれは私どもやっておりますけれども、基本的に我が社では、現役時代に培った能力をそのまま即戦力としてお客様と行けるという方をその会社に紹介しているというのがベースでございますので、そういった技術的な、新しい技術を習得するというふうな、別の仕事というのの研修はやっておりません。ただ、新しいモデルが出たとか新しい機器が出たと、燃料電池ですとかいろんなもの出てきますので、そういったものの研修はきちんとやっておりまして、それの記録ももちろんやっております。  ですから、一般的には、私どもシニアで正社員になりたいという方はいませんので、そこは違うとは思いつつ、いろんな研修はきちんとやっております。そのほかに、昨今話題の運転ですね、車の運転につきましても注意を喚起すると、いろんなこともありますので、シミュレーションによる教育ということもやっております。  以上です。
  29. 佐久間裕章

    参考人佐久間裕章君) 御質問どうもありがとうございました。資料もお目通しいただきまして、本当ありがとうございます。  御質問いただいた生活の互助を地域の互助にということで、今日の発表の中ではほとんど御紹介する時間がなかったので、お話しさせていただけたらと思います。  主に生活の互助というのは、今日スライドで出したような共同居住の場所ですよね。ああいった場所ですと、動線も重なったりして、大勢の方が暮らしていて、ちょっとしたトラブルになったりして、洗濯機の使い方とか、それでみんなでミーティングをしてルールを作って、なぜその人がそう使ってしまったのかという理解を深めていって、で、困ったこと、ああ、あの人認知症だったんだ、じゃ、それで忘れちゃったんだとか。  もう一方は、地域の互助づくりというのは極めてやっぱりやっていて難しいんですよね。というのは、やっぱり一つ一つのお部屋とかアパートとかで暮らしているので。私たちは、まだ実験段階なんですけれども、例えば小ぶりの一軒家とかを借りて三人ぐらいで暮らして、そこの周辺にサロンを置いて、そういった戸建てを何棟か、本当は半径百メートルとか二百メートルぐらいで。そうすると、定員五十とか、さっきの施設の特養みたいな形ではなくて、地域一つの住まいみたいな感じになって、そこを巡回して回っていく、で、サロンでみんなでミーティングをする。互助は自然発生的にはできないですから。  一番いいのはトラブルあったときなんですね。そこにスタッフが行って、何でトラブルになっているのと。いや、こいつが当番やらないからといって、どうして当番やらなかったのといったら、忘れていたとか、実は言いにくかったけど先週から体調悪くてとか。そうすると、ほかのメンバーも、ああ、何だ、サボっているように見えたんだけど実はつらかったんだねといって、だったらこういうふうにしようというふうにルールを作って、それを地域に広げていくといっていった際に、それは介護保険というふうな認定を受けた人に限定できないですし、より広く言えば単身での地域生活が困難な人たちですよね、そういった人たちの小ぢんまりとした緩やかなシェア居住をつくっていったり、単身でもいいんですけれども、それを支えていく。  その地域の互助というのは、私たちの利用者さんだけではなくて、よく訪問していたら隣の人が出てきて、どうしたのといって、いや、私たちこういう者で訪問しているんですといったら、そういうのがあるんだったらちょっと私も訪問してほしいとかって時々言われることあるんですよね。それはふるさとの会だけでやる必要はないと思うので、地域包括の方とかと連携して。ただ、地域で孤立した世帯を発見するというふうな役割は比較的私たちは持っているので、そこに対する何か支援とか仕組みができてくれば、だから、孤独死とか誰もそれを知らなかったというのはあるんですけれども、むしろそこを何らかの形でアウトリーチで早めに入っていって、包括の方に、管内に実はこれだけ孤立した重篤な方がいらっしゃいますよといって、一緒に訪問しませんか。現にそういうふうにしてごみ屋敷状態になっていた方の訪問をやっていったことがあるんですが、それを担保するような何らかの仕組みというものを議論していけたらということで書かせていただきました。  本当、取り上げていただいたことに感謝いたします。ありがとうございます。
  30. 宮崎勝

    ○宮崎勝君 終わります。
  31. 増子輝彦

    会長増子輝彦君) 岩渕友さん。
  32. 岩渕友

    ○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。  参考人の皆さん、今日は本当にありがとうございます。  今、六十五歳以上の高齢者が三千万人に上るような状況になっておりますけれども、老人福祉法で、高齢者は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者、豊富な知識と経験を有する者だとして、敬愛されるとともに、生きがいが持てる健全な安らかな生活を保障されるというふうに明記をされています。ところが、高齢者世帯のうち年収二百万円以下の層が四割を占め、国民年金だけを受給する人の平均受給額は月五・一万円。厚生年金でも女性の平均受給額は、基礎年金分を含めて月十・二万円にすぎないという状況になっています。生活保護受給者の半分は高齢者で、自殺される方の中に高齢者が占める割合日本は世界のトップクラスになっているということで、高齢者が安心して暮らせる社会をつくるということは政治の重要な責任だというふうに考えています。  そこで、参考人の皆さんにお聞きをしたいんですけれども、初めに緒形参考人にお聞きをします。今回のテーマ高齢者をめぐる格差への取組ということもあるので、現場から見える格差の実態で御存じのことがあればお聞かせいただきたいと思います。
  33. 緒形憲

    参考人緒形憲君) 格差については、弊社の場合はそれほど見受けられないということもございます。つまり、私どもで九百人ほど登録されている方いらっしゃるんですけれども、東京ガス関係の方というのも多かったりするということがございますので、正直なところ私どもでは、それほど格差というのは弊社では分からないところでございます。
  34. 岩渕友

    ○岩渕友君 ありがとうございます。  では次に、佐久間参考人にお聞きします。  先日、福島県の磐梯町というところに伺ったときに、百歳で独り暮らしをされているという方にお会いをしたんです。地域の皆さんに助けられて暮らしていますというお話をお聞きしました。そして、昨年伺った団体の中に北海道生活協同組合連合会というところがあったんですけれども、非常に高い高齢化率の中で高齢者が安心して地域生活できるようにということが最大のテーマだということで、市町村と協力をして宅配であるとか配食事業で見守りを進めている、こうした取組なんかについても話をお聞きしました。独り暮らし高齢者が今増える中で、安心のネットワークづくりというのが大きな課題になっているかなと思います。  このネットワークづくりの現状と課題、そして国に求められることについてお考えのことがあったらお聞かせください。
  35. 佐久間裕章

    参考人佐久間裕章君) 分かりました。なかなか大きいテーマですね。  地域包括ケアづくりとかでいろんなネットワークづくりとかというのは私は結構されているんじゃないかなというふうに思うんですよね。ただ、そのときに、一つは先ほどの回答と一緒になるんですけれども、やっぱり孤立した世帯がどこにいるのか、大抵は何か一週間たってからとかそういうふうになっていってしまうので、アウトリーチというか、そういった世帯がまずどこにいるのかということを知るための方策というのがやっぱりあった方がいいと思っているんですね。  私たち、もうクローズしたんですが、以前新宿の方でコミュニティーカフェをやっていて、それはカフェというよりかは相談しやすいから。だから、今相談するところって困窮者自立支援室とかいろんなたくさん一時相談支援とかあって、ただ、本当にぎりぎりまで生活保護の申請に来ないような年金の人とか、あとお亡くなりになるような方というのは、多分、来所申請的な支援だと難しいと思うんですよね。むしろ、何らかの形で訪問していったり、あとは喫茶店みたいなインターフェースでお茶飲んでいって、お近くの人ですかとか、最初からずばっと聞かずに、二、三回話している間に、いや、実はちょっと電気も止められて困っていてといって、ああ、それは大変ですねといって、取りあえず一杯お茶飲みますかとか言いながら、何かそういった仕掛け。具体的なお答えになっていないかもしれないんですけれども、最もそういった行政の支援とかから離れていってしまう人にこちらからアウトリーチする仕組みと、あとその人が相談に来やすいような、ちょっとくつろげるような場所とか、商店街の中の一つでもいいんですけれども。  あとは、周囲の人から情報をもらえるという、どうも隣のあの人何かおかしいんだよねというふうな、で、見に行ってもらえないかとか、お茶に誘うとかというふうな、すごい細かい話になってくるんですが、リスクが高い層をどうやってアウトリーチだったり発見していくのかということを一つ主眼に置いてもいいのかなというふうに思っています。
  36. 岩渕友

    ○岩渕友君 ありがとうございます。  次に、河合参考人にお聞きします。  先日、新しい高齢社会対策大綱が閣議決定をされました。公的年金の受給開始を七十歳超えても可能だということにする制度改定の検討などが盛り込まれています。年金をめぐっては、年金が減り続けているということであるとか、先ほどどなたかのお話にもあったんですけど、低年金や無年金が問題になっています。また、その受給者の半分が高齢者だというふうになっている生活保護も五年に一度の生活扶助基準の見直しの年になっていて、生活扶助基準の引下げの方針が決められるということで、こうした政策をどのように見ていらっしゃるのかということと、あと高齢者生活にどのような影響が出るというふうに考えられるか、お聞かせください。
  37. 河合克義

    参考人河合克義君) 難しい質問ですけれども。  私は、これは制度間調整とも関係するんですけれども、やっぱり日本高齢者なら高齢者の、憲法で言う例えば健康で文化的な生活水準というものを具体的にどういう線で設定するのか。通常は、例えばフランスなんかでいいますと、済みません、私、フランスとの比較しているのでフランスの例ばかりなんですが、最低賃金というものがあって、それよりちょっと低いところで国家的なミニマム保障の生活水準というのを設定するという、そこへ向けて各制度が調整するという、そういうシステムになっているんですが、今回の生活保護基準の改定に関しては、私は基本的にはおかしいと思っています。つまり、低所得の実際の生活のところが生活保護よりも低いから、そこへ下げていこうという、そういうことはやっぱり無理があると思っているんですね。  もっと大きく国民的な、私、地方調査やってつくづく思いますのは、最低生活という、食べていく、特に地方へ行くと、家が持家で、周りに畑があって、もらい物があって、実質四万でやっているというところが多いわけですけど、ただ、山形なんかで見ていても、およそ文化的な要素というのは非常に格差があります。東京港区の独り暮らし高齢者山形独り暮らし高齢者を比較しますと、地方ほどこの文化的な要素がない、そういう生活をしている。その意味では、私は、文化的な要素も含めた基準というのをきちっと設けて、そこへ向けての年金とか生活保護とか、そういうものを積み上げていくという発想がないと、今の日本のこの各制度ばらばらなところで検討されるようなやり方ではやはり高齢者生活をきちっと保障していくということにはならないんじゃないかと。その意味で、まさに健康で文化的な最低限度の生活の中身をどう客観的に組み立てるのかという、そういう作業が必要ではないか。  私も今、母数は三百六十万世帯の生活実態調査をやろうと準備しているんですが、四月からスタートしますが、全数はやりませんが、抽出しますけれども、その際に重視しているのは、文化的な生活とは何か、その国民的合意というものをどう構築するか、その材料をつくる調査を今やっております。
  38. 岩渕友

    ○岩渕友君 ありがとうございました。     ─────────────
  39. 増子輝彦

    会長増子輝彦君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、森屋宏君が委員を辞任され、その補欠として佐藤啓君が選任されました。     ─────────────
  40. 増子輝彦

    会長増子輝彦君) 藤巻健史君。
  41. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 日本維新の会の藤巻です。よろしくお願いいたします。  質問、二つあります。  一つは、緒形参考人にお聞きしたいんですけれども、先ほど自見委員の方からちょっと質問があってダブってしまいますが、今日お話を聞いて一番質問したいと思うのは、自見委員最初にお聞きした内容なんですけれども、昨日おとといと財政金融委員会で地方を回ってきたんですけど、青森と函館回ってきて一番経営者の方から声が出たのが、人手不足である、大変だという話だったんですけど、それで、外国人をもっと受け入れてくれというような発言があったんですが、外国人を受け入れるぐらいだったら、高齢者の方がせっかく働きたいんだから、まず高齢者を働いていただくのが一番だろうと。これは当たり前の話だと思うんですけれども、そのときに、やはり社会保障制度とか税制によって働きたいのに働けないとかいうのは極めて大きい問題だと思うわけですね。  要するに、社会保障制度若しくは税制制度が国に重要な労働資源を妨げているということで、非常にもう生活、生き方改革、働き方改革どころでなくて、全くできていないんじゃないかと思っちゃうんですが、まずそういう認識が、要するに、高齢者が働きたくても働けないような社会保障制度、年金制度、税制制度をきちんと国が認識していると思われるかどうか、若しくは御社の方からそういうことを多少なりとも申し上げたことがあるのか。それから、どういう形にすれば高齢者が一番働きたいだけ働けるような仕組みができるのかということをお聞きしたいと思います。  二つ目が、河合参考人にお聞きしたいんですけれども、先ほど来、年金の最低限を上げよとか生活保護基準を見直すなとかいうお話があったんですが、今の高齢社会で私、一番格差があると思うのは、高齢者と世代間格差だと思うんですね。我々、私ももう高齢者ですけれども、世代間格差で、我々の高齢者世代はそば屋行ってそば食って食い逃げしているようなもので、伝票を若者に渡して、おまえら勘定払っておけというような状況が今の現状だと思うんですが、こういうふうにまた更に財政赤字を、千六十九兆円の財政赤字を、いろんなことをやって赤字を増やしていけば、今先生の研究対象はごく一部かもしれないけれども、若者の世代になったらもう山ほどそういう低所得者層が起きちゃうわけですよ。  だから、今だけの、今の高齢者人たちだけのことを考えれば、それはそういう制度でもいいのかもしれないですけど、もっと長い目で考えると、この財政赤字をほっておくということこそがまさに老人の、高齢者の、何というかな、低所得者層を非常に生み出すことになるんじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  42. 緒形憲

    参考人緒形憲君) 質問ありがとうございます。  大変難しい質問なんですけれども、我々も高齢者の皆さんに働いていただきたいということで取り組んでおります。その中に、今パンフレットで、この裏表のパンフレットというか一枚ぺらがあると思います。こちらに言いたいことが載っているのかなと思っております。  まず一つは、高齢の方が仕事ができないと皆さん思っているんですよね。それをまず払拭していただく。特に企業側、お客様側ですね。例えば、この人絶対最適だと思っても、現場の方はそれでいいですよ、この方でいいですよといっても、上司だとか幹部の方に行くと、この年で大丈夫ですかと、こうなって不採用になってしまうということがございます。ですから、まずそういう先入観を払拭していただきたいということ。  そしてもう一つ、裏側にありますように、年を取ってやりがいがある仕事に就けるのと、御本人の問題ですね。これも大事なことであります。しかも、下の方に勝手に六つの心得なんて書いてありますけれども、こういうふうにプライドが高かったり、若いやつの言うこと聞くのは嫌だとか、そういう心掛けだと働くことはできません。プライドというか、難しい仕事とか、総務だとか経理だとか企画とか編集だとか、そういう格好いい仕事はもう年寄りというかシニアには回ってきませんので、誰でもできると言ったらあれなんですけれども、ただ、必要な仕事というのはあるんですよね。そういう仕事に就けるんですよ。ですから、そういうふうにチャレンジしていただきたい。  チャレンジするには、これもシニア、ハローワークなんかの話もちょっとしましたけれども、きちんとフォローをしていただく体制が必要なんですね。我々はそれをやっているつもりでありますが、各地方それからハローワーク等でそこはフォローできるような体制になっているかどうか。そうじゃないとなかなか、ただ仕事に私行って大丈夫かなということで不安になりますから、チャレンジする心を大事にしていただいて、フォローしていただく体制を取っていただくというようなことが大事かなと。  この三つがあれば、地方でも十分皆さん働けるし、そういう職場、機会があると考えております。  以上です。
  43. 河合克義

    参考人河合克義君) 私、財政問題、専門じゃないのでちょっと十分にお答えできないかと思うんですが、若者の世代のところでの一つ格差というのがあります。それから、高齢者部分でも格差、それから、おっしゃるように若者と高齢者とのこの差というのもありまして、私は、やっぱり生活現実から見ようということで、格差の大変な層、食べていけないようなそういう状態の人をどうするのかという、そこからの発想をしておりまして、まずはそこを考えなきゃいけない。財政的にもやっぱりその状態をどうするのかということで考えなきゃいけないということで、藤巻先生おっしゃるように国家全体としてどうなのかということになりますと、これはちょっとまた別な財政論的な話になっていくかと思うんですね。  ただ、私、健康保険制度、年金制度、両方含めて公的制度への国民の信頼度ということでいいますと、これ国によってかなり差があります。私、ヨーロッパの研究者との付き合い多いんですが、日本の国民健康保険それから国民年金の要するに保険料を払っていない方の割合がこれだけ多いというのは研究者としてどうなのか、公的な制度としてはもう完全に破綻しているんじゃないかぐらいまで厳しく言われるんですけれども、この公的な制度をどう信頼してもらうかというそれがないと、今実際に若者はかなり年金保険料を払わない、そういう層が増えているわけで、それは高齢期の格差にもつながっていくわけでして、公的な制度の国民的な信頼をどうつくっていくのかというのも大きな課題ではないかと。  世代間のこの差というのは確かにそうですけど、やっぱり現在の高齢者がどういう生活をしているのか、それが公的にどう支えられているのかというその信頼感がないと、若い方も掛金を払っていかないという今の、全てとは言いませんが、かなり割合としては高いわけでして、そういうこともあるのではないかと。  財政的には、私は、国民間の負担と同時に、もっと税制を構成しているのはいろいろな主体があるわけでして、その全体の中でどう財政を捻出するのかという、そういう検討も必要ではないかというふうに思っております。
  44. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 あとちょっと一分だけあるので。  緒形参考人のおっしゃったことというのは確かにもっともであるし、緒形参考人がやっていらっしゃる仕事って僕は非常に重要だと思っているんですけれども、ただ、社会がこんな年寄りで大丈夫とか、それはちょっとなかなか政治の世界じゃ解決できない問題ですけれども、要は、働きたいのに年金の計算とか社会保障の問題で働けないということはまずくて、それこそ国が変えていかなくちゃいけないことだと思うんですよね。だから、その辺をもうちょっと我々も考えなくちゃいけないし、アピールしていただければと思っております。  以上です。ありがとうございました。     ─────────────
  45. 増子輝彦

    会長増子輝彦君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、山田修路君が委員を辞任され、その補欠として太田房江さんが選任されました。     ─────────────
  46. 増子輝彦

    会長増子輝彦君) 川田龍平君。
  47. 川田龍平

    ○川田龍平君 立憲民主党の川田龍平です。  今日は、三人の参考人の皆さん、貴重な時間をありがとうございました。御意見ありがとうございました。  佐久間参考人にまず伺いたいんですが、佐久間参考人とは、先ほど名刺交換をしたとき久しぶりですと言われて、そうだ、五年前に厚生労働委員会で視察に行ったんですよね。新宿の施設を見させていただいていて、そのときに伺ったときと今と五年間たって比べて、何が変わっていて何が変わっていないか、その中で、国としてやっぱりこういう仕事を国がするべきということが何かありましたら、是非言っていただければと思います。
  48. 佐久間裕章

    参考人佐久間裕章君) 五年ですから二〇一三ぐらいですかね。二〇一二に新宿にサポートセンターをつくり始めたので、二〇一三はまだもう本当立ち上げの頃で、いろいろやっていた頃かと思います。  あの頃と比べてというと、これはいいことかどうかは分からないんですけれども、「たまゆら」の火災があって、その後、私たちは地域で最期まで支援できるようにとやっていたんですけれども、現実には県外にサービス付きの高齢者住宅、サ高住がすごい増えていって、都内の低所得の高齢の方の少なくない数がやはり行って、そのことの是非というよりかは、やっぱりその流れが一つできてきたという。  だから、一旦、介護療養型の病床をどうしようかと、縮小する、でもその受皿はどうするといって、なかなか地域の中につくれないという中で、届出、無届けの問題もありながら、県外の方の施設の利用というのが恐らく大都市圏、東京で顕著だった話だと思うんです。全国だとまた全然事情が別だと思うんです。特養は別にまだ空いていますよとか、介護保険三施設で全然いけますという都道府県もあると思うんですが、東京においては一つはそういう流れができてきたということで、ただ、それが中長期的に本当にいいことなのかという。住所地特例とかをずっと何十年も使うというのもすごい不自然な形でありますし、やっぱりどこかで地域で安心して暮らせるような仕組みをそうはいってもつくるべきではないかという議論は、やっぱりじっくり時間を掛けてやっていく必要があるのかなと。  ですから、あのときは地域でどうやってつくっていこうかと。今もその思いは変わらないんですけれども、情勢としてはあのときは、論点は、届出がある施設であるかどうかよりかは、なぜ東京の被保護者がそんな遠方で亡くならざるを得なかったんだという、住み慣れた地域で暮らせるようなものをどうつくろうかということで、東京都も軽費老人ホーム、都型ケアハウスを打ち出したりというのがあったんですが、それが現状の運用としては、届出があれば県外でもいいんではないかというふうになっていっている、全てじゃないんですけど、そういう流れがあるということはちょっと残念なことかなというふうには思っております。
  49. 川田龍平

    ○川田龍平君 佐久間参考人河合参考人にお伺いしたいんですが、昨年、住宅セーフティーネット法というのが成立をしまして、それによって、なかなかまだ、施行がされて十月からで三か月ですので広がっていないという中で、東京ではまだ登録がゼロだということで、その住宅セーフティーネットについて、何かこうした方がいいんじゃないかという御意見があれば是非お聞かせ願えないでしょうか。
  50. 佐久間裕章

    参考人佐久間裕章君) 住宅セーフティーネットのやつは私たちも注目しておりまして、具体的にまだこうしたらというふうなものはないんですけれども、一つは、全国、ナショナルの基準だとは思うんですが、東京というのは、私たちも事業をやっていて極めてやっぱり物件確保が難しくて、例えば厚労省とか生活保護とかでも一定の基準はあるんですが、大都市事情というふうな形で平米とか居室面積というのは一定程度配慮いただいているので、やっぱりそういった大都市事情に応じた運用の仕方というものは考慮していただけると現場ではすごい運用しやすい。例えば、すごい広い、広いというか、他県であれば十分取れるような面積であっても、東京というのは極めてそこがまず難しいという制約条件があるということを加味いただけると制度としても有り難いなと思っております。
  51. 河合克義

    参考人河合克義君) 住宅問題ですが、高齢者にとってやはり住まいというのは非常に重要でして、例えば港区でいいますと、東京と大阪は公営住宅が多いんですが、例えば神奈川へ行くと全国平均ということになりますし、地方へ行くともっと公営住宅というのは限られてくる。セーフティーネットということを言いますと、私はこの公営住宅の役割というのは非常に大きいと思うんですね。港区の高齢者自身も、例えば都営住宅に入るのも非常に難しくて、何か宝くじに当たるような、実際に八回申し込んでも落ちているとか、そういうことで、この公営住宅をどう考えるのかというのは一つ重要だと思います。ただ、持家主義でずっと来ていますから、地方ではほとんど持家でなってきている中で難しい問題もありますが、公営住宅を一つ考える必要があると。  それから、イギリスなんかで見ていますと、公営住宅がしっかりしているのと同時に、プラス家賃補助の制度、ヨーロッパでは多いんですね。ここのところもやっぱり日本一つのこの住宅セーフティーネット法絡みの課題としてあるんじゃないかなというふうに思っています。持家主義で、やはり一番セーフティーネット以下のところの支えというのはなかなか難しい問題がありまして、住宅政策の結果としてあるわけでして、現状ですぐどうのこうのというのは難しいと思いますけど、ただこの住宅の問題というのは非常に大きいと思います。  ただ、一点だけ言わせていただくと、ちらっと増えた高齢者にとっての生活施設、公的な生活施設をもっときちっとする。例えば、養護老人ホームがそうですが、そこら辺は佐久間さんがやっておられる部分とも関わるんですが、もっと養護老人ホーム、定員割れしているわけでして、そこを活用するということを、そこからもう少し広げて、高齢者にとっての社会的な生活施設とは何かという、この議論もこの住宅セーフティーネット法との絡みで重要かなと私は思っています。
  52. 川田龍平

    ○川田龍平君 緒形参考人に、私も高齢者の方と接していると今日用が大事だと言われて、今日用があることが大事だと、先ほどの話なんですけれども、やっぱり非常に高齢者の方がこれから、高齢者の方と接していると八十歳でも全然元気で、本当にもう普通に頭も回転も回っていて、大体そういう人は歩いていたりとか、何か健康に関することをやっている人は大体すごくさえているんですけれども、その方たちが、今後定年制度が延びていって七十歳定年制とかになっていった場合に、その場合に、会社としては、雇う人たちはもっと上の層になっていくのかなというような将来的なことであったりとか、それから競合するような他社が出てきた場合に会社としてどうなっていくのかなとか、そういったことのこれからの課題については、多分前向きに考えておられるので大丈夫だと思うんですけれども、緒形参考人からお聞かせいただければと思います。
  53. 緒形憲

    参考人緒形憲君) 定年制については大変なかなか厳しい問題と考えておりまして、私どもの現場で働いている皆さんには基本的に定年制はないということにしております。ただ、七十五歳になったときに一度お集まりいただきまして、今後どうしますかというのはお聞きしています。ただ、皆さん本当にお元気なので、これで辞めたいという方はいません。ただ、やはり、もうそろそろいいという方もいらっしゃる。でも、ほとんどいません。  私どもスタッフが、これまた大変難しいんですけれども、一応七十歳で定年ということを決めております。ただ、今度、昨日おとといやったんですけど、制度を変えたいと、専任嘱託制度というのをつくりました。七十以上でも周りの方がこの方はどうしても必要だという方について、そして周囲が見ても元気で、もう必ず職場というか仕事をやっていく上でも必要だという方については、この方も七十五までは働くということにしていただこうじゃないかということで、取りあえずというとあれなんですけど、今回一人そういう方を決めていきたいと思ってやり始めたところであります。  もう一つは、先ほどもちょっと申し上げましたけど、無期雇用、有期雇用の話なんですね。これをやるとなると、どうしても皆さん、そういう権利が出てきます。無期雇用の権利が出てきて、手を挙げた方には無期雇用ということになって、それは私どもが必ず雇用していかなきゃいけない。ただ、こちら、そこの場合はいろんなデメリットもございまして、私どもがこの仕事をやってくださいという仕事を拒否できないんですね。有期だったらそれは拒否できますし、さっき言った、いろんな仕事について、これ嫌だとか、そういうわがままといったらあれですけど、そういうことができるんですけど、無期の場合はできないとかですね。したがって、無期雇用の場合は、私どももここは定年制度をつくることにいたします。  というようなことで、大変これは個人差もありますし、現役時代のこともあるし、周りの評価とかいろいろございますので大変難しいんですけれども、これも評価制度というのをつくったりしながら、いろいろ試行錯誤しながらやっているところでございます。
  54. 川田龍平

    ○川田龍平君 ありがとうございました。
  55. 増子輝彦

    会長増子輝彦君) 薬師寺みちよさん。
  56. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。  本日は本当にありがとうございました。  まず、佐久間参考人、お伺いしたいんですけれども、これまで私ども、子供、若年者、で、今日は高齢者なんですが、いかに格差を是正していくのかということを、取組を有識者の皆様方に伺って、あと若しくは当事者の皆様方に伺っているんですけれども、やっぱりこれ伺っていると、行政ではなかなかできない部分を民間団体、NPOの皆様方というのがすごくきめ細やかに埋めてくださっている部分が私あると思っております。そういう方々を更に私どもは増やしていきたいですし、それを全国的にも様々な横の展開をしていただきたいなと思うときに、もし今、何か弊害になっていること、若しくはもっと行政にこういうことを自分たちのNPOに対してやってもらいたいなというような願いがございましたら、教えていただけますでしょうか。お願いいたします。
  57. 佐久間裕章

    参考人佐久間裕章君) 御質問どうもありがとうございます。  すぐにこうしてほしいというのがなかなか思い付かないところがあるんですけれども、こういった支援を広げていくということで、仙台のやっぱり震災とか困窮者支援をやっている団体と一緒に、昨年度から合同の人材育成の研修をやっているんですね。今日はちょっと仕組み論が多かったかもしれないんですけど、やっぱり眼目は、私たち、対人援助の支援論だと思っているんです。  そのミーティングをやっていったり、一番弱い人の側になってもう一度ルールを作っていこうとか、そういったものを研修会やってきて、あと、いろんな調査研究とかの受託もいただいているんですけれども、そこを民間の取組を広げていくときに、こういうお金の付け方してくださいというところまでははっきりはしていないんですけれども、今、仙台とか秋田とかいろんなところから居住支援のネットワークをつくろうと。要するに、やっぱりどこでも同じような課題を抱えているんですよね。そこでみんなで暮らせるような、助け合って暮らせるような場所をつくろう。  その際に一番大事になってくるのは、そこで絶対利用者同士のトラブルがある、だから、支援者と支援されるという関係だけだったら絶対無理になってくるので、そこにいる利用者同士で支え合いをつくっていく。でも、それは自然発生的にはできないですよね。いわゆる私たちが支え合いを支えるというのは、職員仕事はやっぱりそこだと思うんですよね。  職員が一生懸命あれやってあげる、これやってあげるではなくて、トラブルがあった際に、Aさんは実はこのことで困っていたんだと、そのことを周囲の人には知ってもらって、ああそうだったんだと、それができないんだったら、じゃ、俺が手伝うよとかといって。そうすると、今回支援されたAさんは、でも、逆の場面だったら今度はBさんを応援するような場面もあるという、仕組みというかそういったものを、共同居住という住まいがあるということと、でも、そこにいろんな雑多な層の人が来たら単にトラブルばっかりが起こるということであって、そこの支え合いを支える人材育成。  あと、これを民間の取組を広げるための応援というものが、私たちももっと情報発信しないといけないんですけど、少なくとも仙台の団体とそういうのをやっていて、そこに高齢者であったり独り暮らしが困難な人たちが助け合って暮らすような住まい、そこにはもしかしたら消防とかいろんな設備的なお願いということも出てくるかもしれないんですが、眼目はやっぱり、最も弱い人の側に立ってルールを作ったり。そうじゃないとやっぱり規則違反で退所ですとか、結局いろんなところを転々とせざるを得ないですから、そういったソフトづくりを一番重視していて、そこに何らかの形での御支援とかがいただけると、それを私たちは広げていく用意があるというふうな、直接のお答えになったかどうか分からないんですけれども、御質問いただきましてどうもありがとうございました。
  58. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  いつも本当に皆様方取組、すばらしいなと思って聞いているんですけれども、でも、多分かなりの部分がボランティアベースでやっていらっしゃる方々もいらっしゃると思うんですね。それでは長続き、やっぱり継続性ございませんので、しっかりとそこは私は声を上げていただきたいところだと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
  59. 佐久間裕章

    参考人佐久間裕章君) 是非、声を上げていくのでよろしくお願いします。ありがとうございます。
  60. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 じゃ次に、緒形参考人にお願いをいたします。  私、取組聞いておりましたら、東京ガスというかなりバックアップがあって、今、仕事というようなものが得られている部分があるのかなというふうに聞きました。そこで、やっぱりこういう大きな会社さんが様々その仕事を切り取りながら、これだったら高齢者皆様方にもやっていただけるのではないかなと、私は協力体制が絶対的に必要だと思っております。  ですから、例えば、そういうものを切り取ってもらうためにも、企業にインセンティブがなければなかなかそれは難しいのかなというふうに考えると、今経産省でもいろんな表彰を行っております、なでしこ銘柄であったり、様々その分野分野であるんですけど、やっぱり高齢者皆様方に働きやすい職場を提供している、もう表彰みたいなものであったり、若しくはそういうものをやっていらっしゃる企業さんに少し税制優遇したらもっと高齢者仕事が増えるんじゃないかなとか、あと、やっぱりいろんなアイデアをいただきたいなと思っております。  我々生産年齢の者も、結局、これから様々機械に置き換わっていってしまって、そういう職業というのは将来的になくなってしまうんじゃないかというぐらいまで危機感持っております。ということは、いわゆる単純作業のようなもの、障害者であったり高齢者皆様方がやっていただけている仕事というのがそういうものに取って代わられてしまうというよりも、やっぱりしっかりそこは残していただく、たくみの技を私は生かしていただきたいと思うんですけれども、そういう仕組みづくりについて何か御意見ございましたらいただけますでしょうか。
  61. 緒形憲

    参考人緒形憲君) ありがとうございます。  確かに大手の企業の協力というのが大変大きな力になっているのは事実なんですよね。そこは、例えば私どもの会社東京でやっておりますけれども、大阪や九州、北海道等々からいろんな方が同じように仕事を、こういう高齢者仕事をしたいということでおいでになりますけれども、うまくいっているところは二つだけなんですね。あとはまだ、諦めたとか断念したと、一生懸命頑張っているけど難しいということになります。また、首都圏でもいろんな企業の方が同じようなことでおいでになりますので、私どもこうやっていますよということをお話はしているんですね。やはりそういう中で立ち上げてやっていくということが大変難しいんですけれども、そのためには企業のバックアップがどうしても必要であって、協力してやってくれよという一言があるかないかなんですね。  そこで、立ち上げ時は二、三十人で始めたということなんですけれども、そのスタートができるかどうかに懸かります。幸いなことに、上田と当時の東京ガス幹部関係の信頼関係等々ありまして、上田のためにやろうじゃないかということでスタートできたということですね。それで今十八年になりましたけど、何とか続けてきているということでございます。
  62. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  緒形参考人、そこで、例えば高齢者皆様方がこのような形で起業するときに、助成があったらいいなとか、何かそういうようなアイデアなんかはございますか。
  63. 緒形憲

    参考人緒形憲君) そこは大変難しいところで、やはり余り口出しをしてもらいたくないというのがあるんです。ですから、一番最初に申し上げた、東京ガスの資本入っていないんですね。だから、人事権なり、おまえこいつ使えとか、これは困るので、そこはやっていません。  そうはいっても痩せ我慢をしているところはもちろんあって、給料関係は非常に安いんですよ。スタッフも、それから働いている方も安いです。最低賃金は守っておりますけれども、週三日というのもありますので、八万—十万というところもございます。働いているスタッフも安いです。ただ、そうはいってもということがあって、今年はベースアップをいたしますということで皆さんに申し上げましたけど、まだまだ不満がございます。  でも、そうはいっても、それよりは、そうやって感謝していただいているということを生きがいにみんな頑張っていただいているということで何とかもっているんですけれども、大きく飛躍できるかというとそこは難しいかなと思いますけれども、何とか踏ん張っていきたいと思っているところでございます。
  64. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  時間もちょっと迫ってまいりましたが、河合参考人にお願いをしたいと思います。  フランスはやはり、子供もそうですけれども、すごくやっぱり家庭というものを大事になさいますですよね。フランスの中でもなぜあれだけ手当が出るかというと、やっぱり消費税がきっちり取っているからだというふうに私は伺ったことがございます。これからしっかり家族支援をするために、やっぱり一回、この日本のやっぱり財源が限られた中では相当難しい部分があると思いますけど、何かアイデアございましたら、短い時間ですけど、お願いできますか。
  65. 増子輝彦

    会長増子輝彦君) 河合参考人、大変恐縮でございますが、時間が過ぎておりますので、簡潔にお願い申し上げたいと思います。
  66. 河合克義

    参考人河合克義君) はい。  ありがとうございます。  消費税の問題、確かにフランスも高いですが、北欧も非常に高いですけれども、ただ、使い方の問題も一つあると思うんですね。どういうふうに支出するかというところが一つあって、そこら辺の国民的合意というのがあるかと思うんですが、もう一方、フランスの場合は、企業負担というのがヨーロッパは多い国多いですけれども、企業がかなり財源的に社会保障を支えているという面もあって、消費税だけではないというふうに思いますが。
  67. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございました。
  68. 増子輝彦

    会長増子輝彦君) 平山佐知子さん。
  69. 平山佐知子

    平山佐知子君 国民の声の平山佐知子です。  今日は、三人の参考人皆様、貴重なお時間をありがとうございました。  まず、河合参考人に伺いたいと思います。  いただいた資料の中の十六ページに、高齢者孤立問題発生背景という表をいただいているんですけれども、前回の調査会がちょうど若年者をめぐる格差への取組ということで、そこでも話題になったんですが、若年者の住まいが、やはりぎりぎりまでというか、親と一緒に同居というのが増えているという話がちょうどありました。これを見ても、親と未婚の子のみの世帯というところで、これがなぜ貧困に直接つながっていっているのか、その背景とか、孤立以外でもこういう問題があるということを、何か課題等、現状あれば教えていただきたいと思います。
  70. 河合克義

    参考人河合克義君) 親と未婚の子のみの世帯ですが、全てとは言いませんが、先ほど言いましたように、子供の収入、就労収入が十分じゃなくて親の年金で暮らしているとか、それから精神的な問題を抱えて家に閉じこもっている方とか、いろいろなパターンがあると思うんですが、若者のやはり生活条件が十分じゃないという中でこの親と未婚の子という世帯が増えてきています。  私も、港区のシンクタンク、政策創造研究所の所長として初年度は独り暮らしやったんですが、二年目は七十五歳以上の高齢者を含む二人世帯という、こういう限定で全数調査をやりました。それはなぜそうしたかというと、七十五歳以上の高齢者がいる二人世帯となると、この親子世帯が入ってくるんですね。実際に港区で、報告書がネットでもありますので見ていただければと思いますが、二人世帯のうち一割はこの親子世帯で、夫婦世帯と親子世帯比べると、この親子世帯の収入がずっと低いですね。個別の事例も追いましたけど、実際に親の年金を頼りに暮らしていると、親が亡くなったらもうその先の展望はない。逆に、親の介護のために安定した子供が入ってきているというのももちろんあるんですが、全国的に言うとこの親と未婚の子の問題というのは非常に大きいと思います。  先ほど話した養護老人ホームに入ってくる虐待ケースは、この親子世帯のところがかなり多いですね。息子と親という、こういうパターンで、息子から虐待を受けて家から放り出されて、マンションのベランダで一週間とかスーパーの軒下で一週間とか、そういうような事例。それから、刑務所から出てきた方とかいうことで、ここのところを私は非常に重視しています。つまり、若い方の生活がかなり不安定になっているという社会的な背景があるということでは、子供の貧困現役世代貧困問題も影響しているのではないかというふうに思いますが。
  71. 平山佐知子

    平山佐知子君 ありがとうございます。  本当に、先ほど河合参考人お話にもありましたけれども、やっぱり大きな意味で家族在り方とか、そういうことも含めて考えていかなくてはいけないんだなというふうに改めて感じましたけれども、そういう意味では、地方ではやはりどうしても、例えば中山間地に住む家族なんかは、子供さんは就職のためにそこを離れなくてはいけないとか、お孫さんも学校のために、どうしてもちょっと中山間部には学校がなくて離れなくてはいけないという実情も地方にはあると思うんですね。その辺りをやはりしっかりと考えていかなくてはいけないのかなというふうに思いますが、今の家族在り方の現状で何かまだ気付くところがあれば教えていただきたいと思います。
  72. 河合克義

    参考人河合克義君) 大きくは今おっしゃったとおりだと思うんですが、ここは状況は非常に厳しいです。例えば地域関係というのも、おっしゃるように仕事がなくて、例えば沖縄の宮古島なんかはそうですが、高校を卒業したら本島、那覇の大学東京とか大阪が多いですが、という形で出ていくという。ただ、沖縄はまだ帰ってくる率は高いんですけれども、日本の沖縄以外のところでいうと、やっぱり中山間地は仕事がないがゆえに出ていって、残された高齢者夫婦、片方が亡くなって独り暮らしという、こういうパターンになっていますので、やっぱり地域経済という問題に触れざるを得ないと思うんですね。  フランスは、食料自給率だけで測定はできませんが、でも農業が日本とは違って格段に元気ですので、田舎に行っても若者がたくさんいますし、仕事もやっていますし、自営業もまだまだ元気なわけでして、やっぱりそういう地域経済の問題が一つある。  ですので、そういう形での再建となるとこれは年数が必要ですので、これはやっぱり政治の課題だと思うんですね。どういう日本地域をつくろうかと、東京とか大阪、そういう大都市だけで日本が成り立つのかどうかという、そういうことでもあると思うんです。これは政治の課題だと思います。  それから、家族に関しては、結果としてやっぱり家族関係は悪くなっているというか希薄になっているのは事実ですが、私は、かなり意図的に、最近近居みたいな概念もはやっていますけど、意図的に家族関係をどう再構築するのかという、国民の側の、我々の側の努力というのも必要かと思うんですね。そういう親との関係をつくる、そういう何か政策的なものというのも、これは家族に政治が入ってどうなるというのはあるんですが、しかし、そういうことを言っている事態ではないと私は思っていまして、政治のレベルでも家族関係をつくり直す、そういう努力というか課題あるかと思うんです。  私のところに最近韓国のKBSが何度も取材に来ていまして、韓国は日本よりも急速に家族関係が崩れてきて、日本の今の高齢者現実は明日の韓国の問題、今はまだいいと、しかし、妙ですが、ああいう日本にはなりたくないという、そういうマスコミの認識なんですね。私のところに取材、KBSが来て、昨年は二月にソウルにまで招待されてシンポジウムやってきましたが、私はやっぱり、政治も含め国民も含めて、どう家族を再構築するのかという、そういう主体的な努力というのはもっともっとやっていいと思うんです。  フランス高齢者に、孫と付き合う方法に関する本がたくさん、パリ市の図書館なんかに行きますと、高齢者向けのところに行くと、孫とどう付き合うかというそういうようなハウツー的な本もたくさんあって、関係いいですけど、すごい努力していますね。  だから、もっとやっぱり日本は、これだけ深刻な家族状況がある、認識をして、もっと家族をどうつくっていくかという。お盆と正月だけ会っていればそれでいいかということじゃないと思います。もっと日常的な支援が、アメリカも西ヨーロッパも接触度ということでは、データもあるように、日本とは格段に日常的な接触があるわけでして、公的な制度以前に、やっぱり家族が支えるか支えないかは独り暮らし高齢者では決定的ですね。子供がいるかいないか、近くにいるかいないかというのは大きいと思います。
  73. 平山佐知子

    平山佐知子君 ありがとうございます。  政治的な課題も具体的におっしゃっていただきまして、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。  それでは、緒形参考人に伺います。  資料を読ませていただいて、現在御社に登録されている女性の方一五%前後という、元々のお仕事上そういうこともあるかもしれませんが、現在、この女性の方で面接に来る方、そして働きたい、そして働く場所、そういう、どれぐらいあるのかというのを、大体で結構なんですけれども、教えていただければと思います。
  74. 緒形憲

    参考人緒形憲君) 私どもの女性は、経理だとか総務、そして工事の設計なんという方もいらっしゃいます、CADというやつですね。それから、電話の受付ですとか、それから受け付けた後の契約書の作成ですとか、そういうこと。それから、六十五過ぎてもレストランのウエートレスをやっている方もいらっしゃるということで、多岐にわたるんですね。それで、あと求められているのが、最近は、朝六時からという仕事なんですね。これ、なかなかいらっしゃらない。でも、そういう仕事あります。六時からおむすびを作るとか、ホテルの朝食を作るとか、そういう仕事あるんですよ。あるんだけど、なかなか六時からというのは難しいですね。でも、そういう方、女性でなくてもいいんですけれども、向いているのかなと思ってお声掛けても、やっぱり六時というのは通勤も難しい、朝起きるのも四時頃になりますので。それが一つ。そして、あと家事代行業というのを子会社でやっておりまして、こちらは百人以上女性高齢の方が登録してやっていただいております。  以上です。
  75. 平山佐知子

    平山佐知子君 あと、短くですけれども……
  76. 増子輝彦

    会長増子輝彦君) 平山委員、もう時間が過ぎておりますので。
  77. 平山佐知子

    平山佐知子君 ごめんなさい。ありがとうございました。
  78. 増子輝彦

    会長増子輝彦君) 以上で各会派の一巡目の質疑は終了いたしました。  他に質疑の希望のある方は挙手を願います。  吉川沙織さん。
  79. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 民進党の吉川沙織です。  今日は、三人の先生方、貴重なお話ありがとうございました。  最初に、三人の先生方に伺います。今日、それぞれの先生方の資料を拝見しますと、高齢者の根拠として、資料に大体六十五歳ですとか、シニア六十五歳、それから支援対象者六十五歳以上というような資料がありましたけれども、先生方が考える高齢者の下限をそれぞれ年齢の数だけ伺いたいと思います。河合参考人から。
  80. 河合克義

    参考人河合克義君) これは、私はやっぱり、生活現実から高齢者を定義するということでいうと、これなかなか難しいですね。生活格差ということでいうと必ずしも年齢で切れないということはあるんですが、ただ、ヨーロッパで、例えばフランスなんかで最近多いのは、やっぱり七十歳あるいは七十ちょっと超えたところで生活が大きく変わるという、そういう客観的な調査からいってきて、やはり七十ちょっと過ぎた辺りから本格的な高齢者政策を考えていくという、そういう手法を取ってきておりますので、一律に六十五歳で切るということでもないと思うんですが、ただ、難しいのは格差というのは六十以前でも出ているということもあるので、肉体的、健康上で元気だから七十歳にしようと、こういう政策はやっぱり間違いかなというふうに思います。
  81. 緒形憲

    参考人緒形憲君) 先ほどのグラフにも記載のとおり、私どもは六十歳以上の方を来ていただきたいんですけれども、各企業は就労義務が六十五までということになっておりますので、どうしても六十五歳以上の方がそうかなと思っております。  以上です。
  82. 佐久間裕章

    参考人佐久間裕章君) お答えの仕方がどうしようかと思いまして、六十五歳以上というのは、資料は一般的な定義ということで、じゃ、ふるさとの会で高齢の方の就労支援、ケア付き就労もかなりやっておりますので、若い人というか、むしろ、今日の今の時間ぐらいでもやっぱり配膳に入っているんですね、八十近くぐらいの人が。じゃ、八十まで大丈夫ですかといったら、それは個人差があるので、むしろその人の体調とかそういうのを配慮しながら、フレキシブルに週三回だったのをじゃ二本にしましょうとか一本にしましょうとか、そろそろ介護保険の手続準備しましょうかとか、そういうトータルな関わりの中で働ける年齢層を広げていったり可能性を広げるというのが一番私たちにとっては適切なお答えかなと思っております。
  83. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 ありがとうございました。  それでは次に、緒形参考人に伺います。  今日の資料に基づいてですけれども、登録者の状況ということで最新の人数、お話の中で人数がありましたけれども、その中で九百三十九人とおっしゃいましたが、男女比について教えてください。
  84. 緒形憲

    参考人緒形憲君) 正確にちょっと不明なんですけど、約一五%でございます。
  85. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 今日時点で九百三十九人、おおよそ一五%が女性と教えていただきました。実は、今日の資料の十九ページに働く高齢者のメリットのところで、奥様の生活圏を乱さないということで、これ男性前提の資料かなとちょっと思ってしまいましたので、参考までに伺わせていただきました。  それでは次に、佐久間参考人に伺います。  今日、支援の構造と雇用創出ということで、高齢者に対する支援と同時に貧困に陥っている若年層の雇用も創出する、そういう側面があると教えていただきました。二百八十九名の雇用創出ということを教えていただきましたけれども、その中でいわゆる三十五歳から四十五歳ぐらいまでの若者、若者というか中高年というか、入っていますけど、どのくらいがいわゆる四十五歳以下の方で占められているか、お分かりでしたら人数を、もし把握していらっしゃらなければ大体のパーセンテージを教えてください。
  86. 佐久間裕章

    参考人佐久間裕章君) 手元にないので大体になるんですけど、若者というよりかは私たちも、緒形さんと同じぐらいで六十代といったら結構若い方なんですね、支援付き就労で。ですから、割合でいったら三十、四十代の人というのは二五から三〇%ぐらいだと思います。実際には、中高年から七十、一番多いのは六十代、七十代が一番多いです。
  87. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 ありがとうございます。  それでは最後に、河合参考人にお伺いしたいと思います。  今日のお話の中で、現役世代も孤立化をしている、これはNHKでも取り上げて、私も放送は見ましたけれども、今生活保護制度、先ほども少し話出ましたけれども、被保護人員のうち、最新の調査によりますと六十五歳以上の方が全体の四五・五%を占めているような状況にあります。このまま放置しますと、先ほどのやり取りの中でも出ましたけれども、現役世代も、まあ私自身も就職氷河期世代の一人なので、どれだけ靴の底をすり減らして就職活動をしても多くの同世代が非正規のまま社会に出て、非正規だとなかなか正規職員に転換することがこの国ではいまだできません。  実は、今六十五歳以上の方々というのは、先ほど集団上京のお話もありましたけれども、比較的職はあった時代です。でも、私の世代、今三十五歳から四十五歳ぐらいの世代があと二十年たって年金受給世代、そのとき六十五歳が受給開始年齢かどうかは分かりませんけれども、そうなったときにもっと貧困になるんじゃないかと思います。なるかならないか、見通しだけで構いませんのでお教えいただければと思います。
  88. 河合克義

    参考人河合克義君) 予測というのは難しいですが、今若い現役世代の雇用不安というのは非常に今の高齢者の世代よりも深刻だというふうに思います。  実際に有期雇用とかいろいろな形の雇用形態がもう出てきていますので、全体的に言うと非常に私は悲観的に見ておりますが、ただ、やはり、何といいましょうか、生活保護だけではなくて、若い世代から高齢期までの生活をどう保障するかという場合のいろいろな制度をどう組み合わせていくかという、そこの考えといいますか、そこでの工夫というのがもう少し日本の場合あっていいのではないかなと。それはまさに議員の先生方に期待するところなんですが、生活保護のところでいうと確かにそういうことなんですが、もっと若い世代からのものを考える必要があるかと思っています。
  89. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 それぞれの参考人の先生方、貴重なお話ありがとうございました。これからに生かしてまいります。
  90. 増子輝彦

    会長増子輝彦君) ほかにございませんか。  川田龍平さん。
  91. 川田龍平

    ○川田龍平君 ありがとうございます。  河合参考人に、先ほど二十分で話し足りなかったところがかなりあったんではないかと思いますので、是非お聞きしたいんですが、特に二十ページの地域社会というところでいかに取り組むかと。  先ほど家族の話はあったんですが、私も本当に自分家族考えても、先月は父と母、父と食事はしたんですけれども、確かに年に何回かなんですよね。そういう意味では、やっぱりそういう家族関係というのと、それと次にその地域社会というところがありまして、そういう地域社会の説明のところで、フランスの先ほども話が出た食料自給率の問題で、フランスというのが地域社会が非常に発達していて、そういったところがやっぱり参考になるんではないかということでここ書かれていると思うんですが。  それと、先ほどモナリザの話がちょっと途中で終わってしまって、モナリザについてちょっと詳しく、フランスに併せて話をお聞きできればと思います。
  92. 河合克義

    参考人河合克義君) 御質問ありがとうございます。  ちょっと十分じゃないのと、それからフランス語のままで恐縮なんですが、このモナリザというのはこの頭文字を取って、なかなかしゃれた名前をフランス語は付けるなとつくづく思うんですが、高齢者の孤立問題と闘う、言葉で言うと国民的動員というような、直訳するとそうなんですが、ただ、日本で国民的動員というと、今、我が事・丸ごとみたいな感じになっちゃうんですが、もっとフランスの場合はNPO団体が非常に強力で、そこが国家責任とか行政責任も追及するようなタイプのものが多くて、これは国家も地方自治体もNPO団体、住民も含めてみんなで考えましょうという、そういう組織ができて三、四年ぐらいなんですが、この本部ができていまして、ちょっと資料としては付けていませんが、各自治体にこのモナリザ宣言というのがあって、それに合意して、署名して、それぞれの団体がこの中央組織で認定するという形なんですが、地方都市にフラグが立っているんですが、物すごい数の団体ができています。その中には、例えばカトリックの、スクールカトリックとか赤十字とか歴史のあるこういう、フランスのNPO法は一九〇〇年にできていますので歴史が全然違うんですが、最近の国連の言葉にもなっている社会的排除なんて言葉はフランスのNPO団体がつくり出したものですけど。ですので、日本とはかなり違いますが、しかし、日本でもこれだけ問題になっている中で、もっとみんなで考えましょうという、国民的なそういう検討をしていく、こういう組織というのは参考になるかと思うんですね。  ただ、違いもあるので、取りあえずは、是非皆さん方議員団で視察に行かれるといいんじゃないかと。パリと、それからロンドンに行って是非このトレイシー・クラウチ大臣に、あるいは、組織としてどういうことをしようとしているのかというのはまだまだニュースレベルしか紹介されていませんので、調査団を組んで例えばこの二つの国を調べるというのはとても有用ではないかなというふうに思っています。  モナリザに関しては、ちょっと、私、昨年の九月に写真にあるように調査してきましたので、簡単に雑誌のレベルですけど紹介したいと思うんですが、実際に活動している地域調査というのも必要かなというふうに思っています。
  93. 川田龍平

    ○川田龍平君 ありがとうございます。  やっぱり各地で地方自治体などがしっかりそういったことも取り組むというのはすごく大事だと思うんですが、調査河合参考人はたくさんしておりまして、悉皆調査などもやっていて、悉皆調査ってなかなか自治体でも取り組んでいるところ少ないと思うんですが、それをどういうふうにすれば悉皆調査まで行くのか、大体抽出調査なのをどのようにして悉皆調査まで持っていったのか、その辺のお話が聞ければと。
  94. 河合克義

    参考人河合克義君) これは、いろいろなケースですが、地方自治体が、まず一つはやっぱり国レベルがもっとこういう地域調査をしっかりやるということを皆さん方が仕向けてそういうことをやることが必要だというふうに思います。  地方自治体レベルの反応は、悉皆調査というか、こういう調査やりますと、議会で出てきた、市がやった、自治体がやった結果で追及されるのは市長なんですね。市が、当局がやったら、それは、じゃ、どう政策化する、解決するんだという、そういう形に直結するので、なかなか理解得られないので、これ戦略ですが、私は、社会福祉協議会とか民生委員団体、まあ社会福祉協議会が多いんですが、そういうところで地域課題を丸ごと明らかにして住民一緒に考えるという、そういうスタンス調査を組む。そうすると、出てきた結果が議会で市長追及、当局追及に直結しないということで、そういう形でやっています。  非常に私、恵まれて、これだけの量の自治体単位、全て自治体単位です、一地域ではなくて。それも悉皆調査というのもできていますので、データ的には非常に貴重だと思いますが、ただ、是非やっぱり公的にこういう調査をもっと、国レベルの調査、全国的な調査はありますけど、もっとやっぱり地域ごとの調査をやらないとこれは見えてこないところがありますので、私は、やっぱり地域調査基礎自治体単位のところでしっかり見るということをやってきています。  特に、町村合併で広域で合併してしまっていますので、地域格差自治体内での地域格差が非常に大きいですので、二〇一五年の国勢調査、これ自治体単位独り暮らしの率、出していますが、これ、今回の二〇一五年の国勢調査では二〇〇四年の合併する前の町村のデータも、あれは総務庁ですか、旧総務庁が出していて、実際に中に内訳で入っているんですね。そこまで見ると、かなり差があります。港区も五つの地域に分かれていますが、非常に格差があります。湾岸の方は百メートルを超える高層住宅建っていますし、それから古い住宅もありですね。やっぱり、もう少し地域の細かいところを見るには、基礎自治体単位調査というのは非常に重要かなというふうに思っています。
  95. 川田龍平

    ○川田龍平君 ありがとうございます。  河合参考人資料、本当に参考になるところが多くて、東京都の独り暮らし高齢者出現率資料、二十四ページ、二十五ページにありますが、ここも見ると、島嶼部がやっぱり非常にこの出現率が高くて、一方、檜原村とか日の出とかあきる野とか結構、村の方が意外と少なくて、ただ高齢化率は高いんですけれども、そういう意味では、やっぱり同じ東京でも地域によって違ってきて、その中でそれぞれ、やっぱり島だともっとコミュニティーが、地域社会があると思うんですね。そういう意味では、本当に東京の中でも都市部の方が、やっぱり一人世帯というのは非常に孤立化の傾向があるんではないかと思うんですが、この見方というのをちょっと教えていただければと思います。
  96. 河合克義

    参考人河合克義君) ありがとうございます。  実は、別のページにありますが、港区は独り暮らし高齢者が非常に多い自治体です。具体的にちょっとデータを、どこかにあったと思うんですが、二十六ページですかね、ここに独り暮らし高齢者の港区の出現率が出ていますが、九五年には全自治体中百二十三位、これ、私が計算しているものですが、二〇〇〇年で三十七位、二〇〇五年に十三位、全国十三位なんですね。島嶼部を除いて第一位なんですが、今御指摘のあった東京都のデータを見ていただくと、港区は現在五十三番目になっているんですが、全自治体東京都下でも順位が下に落ちているんですが、あれは高層マンションが建ちまして、そこに結構高齢者夫婦世帯も入ってきているので、母数が増えていることなんですが、しかし独り暮らしは非常に多い地域です。一見豊かな、もう繁栄の中心のような自治体ですが、この独り暮らしというのは非常に多くて、深刻な地域です。  二十三区全体で見ると、私、注目しているのは杉並と中野区が非常に独り暮らし高齢化率も高くなっているんですが、今まで例えば杉並というのは住宅地が中心の安定した区という位置付けだったんですが、急速に高齢化して独り暮らしが増えてということで、杉並、それから中野もそうですが、急速に条件は悪くなっているんじゃないかと、これは前から言っていたんですが、もういろいろなことで事件が起こり始めています。そういうことで、港区が上位にあったんですが、ほかの区がどんどん上がってきているという、そういうことがあります。  ただ、大阪は昔から多い、どうして多いのか、大阪の市全て非常に独り暮らしが多いです。
  97. 川田龍平

    ○川田龍平君 時間ですので、ありがとうございます。また詳しく河合参考人には個別に聞きたいと思います。ありがとうございました。  どうもありがとうございました。
  98. 増子輝彦

    会長増子輝彦君) あとお二人の方から挙手をいただいておりますが、お二人に御質問をいただきたいと思いますので、若干閉会が延びるかもしれませんので、皆様方の御理解、御協力をお願い申し上げたいと思います。  自見はなこさん。
  99. 自見はなこ

    ○自見はなこ君 ありがとうございます。  佐久間参考人に御質問させていただきたいと思います。  健康の社会的決定要因という言葉がございまして、これは公衆衛生学上の言葉なんですけれども、小さいときから子供に対して教育を付与していたことで、その子が一生涯で受ける例えば家庭内暴力が減るですとか、その子が大人になってから使う一生涯の医療費が適正化されるというようなことを健康の社会的決定要因という言葉で、公衆衛生学上にそういう言葉がございます。  そういった観点からですけれども、今日は高齢者をめぐる格差への取組ということではあるんですけれども、取組をしていただいているふるさとの会で、もし関わっておられる方々の中で、例えば幼少期のことを考えて、こういったことが幼少期、社会全体として取組があればもう少し違う姿であったのかもしれない等々の子供の教育に対するお考えをあえて、高齢者ではあるんですけれども、社会全体で中長期的に考えるという視点から何かコメント、御意見がいただけたら有り難いと思います。よろしくお願いいたします。
  100. 佐久間裕章

    参考人佐久間裕章君) 御質問どうもありがとうございます。今日なかなか伝え切れなかったんで、でも、それすごい大きいテーマだと思っています。  私たち、高齢者支援と若年の支援、リンクさせようとしていて就労支援ホームというものをやっているんですが、生育歴を見た際には、やっぱり幼少期に虐待を受けていたり、あと、本当もうゼロ歳児とかそれぐらいから養護施設で育っているという若者がやっぱり多いというのは、これは特徴です。年々増えていると思っています。  大都市圏の大きいターミナル駅とかの福祉事務所の相談係長とかと話していたら、やっぱり要保護であるという方、若いけれども要保護ではあることは分かると。ただ、援助方針を立てるのが極めて難しい若者が増えてきていると。だから、高齢世帯がどんどん入ってくるというのは、それはもう織り込み済みというか、もう金銭給付やってあれなんだけど、若い人がずっと、二十代とか三十代の人が八十歳まで生活保護というわけでもないですし、でも、かといって彼、彼女たちが育ってきた背景を思えば、単に単純に就労指導してハローワーク行ってくださいというだけでは。  ですから、私たちもやっぱり役所の方とも連携しながら、住まいと生活支援、安定した場所があって、自分はここにいていいんだということと、あと仲間をつくっていく中で居場所を持って、自分の自己承認であったり、やっぱり基本的信頼関係がすごい低いので、だから短期でどうしても辞めてしまったり、それは本人の勘ぐりであったりする場合が多いんですけれども、そういった自分がここにいてもいいんだというふうな安心感をつくって、誰かの役割になっているんだというのを持っていくことで、ゆっくりとですけど、時間を掛けて。  その際に私は、そういう彼、彼女たちと高齢者支援というのは相性はいいと思っています。おじいちゃんたちが、ああ、よく来たねとか、いつもありがとうねといって、そういう中で自分で居場所を見付けたり、その利用者さんが具合悪くなったら自発的に見舞いに行ったり、その代わり亡くなったらすごい悲しんだりというふうな、その中で、これを仕事にしようと俺思っているんですというふうに変わっていくこともあるので、やっぱり一方で、地域で暮らし続けることが困難な若い人と御年配の人と、それがお互いに支え合えるようなものをつくっていければ、可能性はあるんじゃないかなというふうに感じております。
  101. 自見はなこ

    ○自見はなこ君 ありがとうございました。  愛着形成期という言葉もございまして、ゼロ歳から主に三歳までとは言われておりますけれども、今の子供さんの二人に一人は百歳まで生きると言われている中で、国全体としてこの愛着形成期をどう考えていくのかと、非常に大事な課題だと思っています。  また、今教えていただいたのは、仮に虐待を受けたり、あるいは自分自身なかなか自信を持てない、人との人間関係で問題があるようなお子様も小児科外来や児童精神科に来るんですけれども、そのときに愛着形成期のやり直しというようなことをカウンセリング等々を通じて、やっぱり自分はここに存在していいんだということを確認する作業というのを時間を掛けてやっていくというふうに小児科の医療ではしているんですけれども、今の佐久間参考人お話は、まさにそういったことを高齢者と若者との間でもされているということで、大変参考になりました。  ありがとうございました。
  102. 増子輝彦

    会長増子輝彦君) 平山佐知子さん。
  103. 平山佐知子

    平山佐知子君 済みません、ありがとうございます。  最後一つだけ伺いたいなと思ったんですが、佐久間参考人に。  自立援助ホームなど、先ほど支え合いというお話もありましたけれども、様々な、例えば介護も一つではない、もういろんな形の方がいらっしゃる中で、職員の方はやはり二十四時間どうしても気の抜けないような状況が続いてしまうんじゃないかなというふうに想像するんですけれども、その職員の方とか働く方々の何か現場での現状とか課題などあったら教えていただきたいなと思います。
  104. 佐久間裕章

    参考人佐久間裕章君) 御質問ありがとうございます。  確かに、おっしゃっていただいたとおり、良くも悪くもやっぱり私、雑多性ということが大事だと思っていて、例えば火災のときとかも、自力避難ができない利用者さんだけだと逃げようといってもお互い逃げられないみたいな感じで、メンタルの障害はあるけど体は元気ですとか、体は不自由だけど口は達者ですとか、いろんな人がいるから、季節に一回防災ミーティングをやっているので、ちょうど札幌のやつもあったので、みんなで夜間は喫煙駄目だよとかいって、役割関係を持つんですね。その際には、車椅子の人だったら、俺はちょっと足は不自由だけど、火が出たよと、声はでかいから俺はその役割をやるよといって、うつとかのある若いお兄さんなんですけれども、僕は大声とかはちょっと苦手だけど、力はあるので隣の人をおんぶしますよみたいな。だから、そういった雑多性と、あと何かミーティングをやって関係をつくっていく、お互いの役割をやっていくというのがやっぱりそこの支援のだいご味かなと。  職員自身もやっぱり同じなんですよね。利用者さんにだけ支え合いというのを言うんじゃなくて、やっぱり職員の間でもつらさを出せるような関係をやっていこうと。だから、つらさを出したら、おまえ、そんなこともできないのと言うのではなくて、ああ、そう、やっぱりそれはつらいよねと言って、そのことをきちんと課題化して、会議とか小ぢんまりとしたミーティングでもいいんですけれども、そこでみんなの、だからキーワードとしては一人一人の課題をみんなの課題にというふうにしていて、それは支援論だけではなくてガバナンスにも生かしていこうというのが、それがどれだけできているんだと言われると、職員からは、佐久間さん、全然不十分ですよと言われると思うんですけど、目指しているのはそこです。  支援者もどうしてもやっぱりそれだけのつらい場面に遭ってくるので、かといって、それに遭わせないように利用者さんから引き離せばいいというものではないから、そのつらさをちゃんとシェアして、それはあなた個人のつらさではなくて、先ほど御質問いただいたように、すごいやっぱり若い人で生育が難しくて、何でこんな大変なんだろうというのと、でも、多分そういうのを形成する同じ時代に僕らは生きてきたねという同時代感覚はあるんですね。彼が僕ではなかった保証はどこにあるのかと。幼少期にひどいいじめを受けて対人恐怖になったという利用者さんが、でも、僕でなかった可能性は運でしかもしかしたらないかもしれないと、ともあれ、みんなで支え合っていこうと。職員間でも、だからそれは、ガバナンスに支援論は生かしていこうというのをまだまだ不十分ながら目指しております。
  105. 平山佐知子

    平山佐知子君 ありがとうございます。以上で結構でございます。
  106. 増子輝彦

    会長増子輝彦君) それでは、予定の時刻が参りましたので、参考人に対する質疑はこの程度といたします。  一言御挨拶を申し上げます。  河合参考人緒形参考人及び佐久間参考人におかれましては、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。本調査会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十八分散会