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政府参考人(奥田哲也君) お答え申し上げます。
トラック運送業におきましては、荷主や配送先の都合によりまして荷待ち時間が
発生するなどといった業務の特性や取引慣行の問題があることなど、個々の事
業者の努力だけでは解決できない課題もあることから、荷主も一体となった
取組を進めることが重要であるというふうに考えております。
貨物自動車運送事業法に基づく荷主勧告制度は、トラック事
業者の法令違反行為について処分を行う場合におきまして、その法令違反行為が荷主の指示によることが明らかであるなど荷主の行為に起因するものと認められるときに、
国土交通大臣が当該荷主に対しまして、トラック事
業者の法令違反の再発防止のための措置をとるべきことを勧告するものでございまして、加えて、勧告を行った場合には荷主名を公表することとされております。
また、荷主の関与が主体的とまで言えず荷主勧告に至らない場合におきましても、トラック事
業者におきまして、過積載運行でありますとか、荷主の荷さばき場で荷待ち時間が恒常的に
発生し、それにより過労運転防止の違反が
発生しているなどのように、荷主の関与の蓋然性が高い法令違反行為が認められ、かつ荷主が特定できた場合には、荷主に対する協力要請、さらに、トラック事
業者の法令違反行為に荷主の一定の関与があった場合には、荷主に対する警告といった通達に基づく措置を講じることによりまして、荷主に対する働きかけを行うことといたしております。
しかしながら、これまで荷主勧告の実績がなかったこと等を踏まえまして、荷主勧告を行うための荷主の関与の
判断基準を明確化するとともに、行政処分の有無に関わらず、早期に荷主に対して協力要請を行うなどの見直しを行いまして、昨年七月一日から新たな運用を開始いたしました。
運用見直し後、荷主勧告につきましてはまだ実施の実績はございませんが、警告につきましては、
平成九年四月の運用開始以来、昨年六月まで通算二件にとどまっていたところ、運用見直し以降九か月間で新たに五件発出をいたしました。これらにつきましては、同一の荷主に対して更に同様の
事案の再発が認められました場合には直ちに勧告を行うことといたしております。また、協力要請につきましては、過去三年間平均で年間約五十件程度でございましたが、運用見直し以降九か月間で既に百四十件発出をいたしたところでございます。
今後、働き方改革のために講じてまいります諸施策に加えまして、本制度を適切に運用することで、労働
環境の改善でありますとか安定的な輸送の
確保に向けて必要な荷主の協力の
確保に努めてまいりたいというふうに考えております。