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2018-02-07 第196回国会 参議院 国際経済・外交に関する調査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十年二月七日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員氏名     会 長         鴻池 祥肇君     理 事         三木  亨君     理 事         宮本 周司君     理 事         吉川ゆうみ君     理 事         大島九州男君     理 事        佐々木さやか君     理 事         武田 良介君     理 事         東   徹君                 猪口 邦子君                 今井絵理子君                 小野田紀美君                 尾辻 秀久君                 大野 泰正君                 酒井 庸行君                 藤川 政人君                 丸山 和也君                 宮島 喜文君                 小林 正夫君                 古賀 之士君                 杉尾 秀哉君                 鉢呂 吉雄君                 熊野 正士君                 里見 隆治君                 木戸口英司君                 伊波 洋一君     ─────────────    委員異動  一月二十二日     辞任         補欠選任      東   徹君     石井 苗子君      古賀 之士君     江崎  孝君     ─────────────   出席者は左のとおり。     理 事                 三木  亨君                 宮本 周司君                 吉川ゆうみ君                 大島九州男君                佐々木さやか君                 武田 良介君                 石井 苗子君     委 員                 猪口 邦子君                 今井絵理子君                 小野田紀美君                 尾辻 秀久君                 大野 泰正君                 酒井 庸行君                 藤川 政人君                 丸山 和也君                 宮島 喜文君                 小林 正夫君                 杉尾 秀哉君                 鉢呂 吉雄君                 熊野 正士君                 里見 隆治君                 木戸口英司君                 江崎  孝君                 伊波 洋一君    事務局側        第一特別調査室        長        松井 一彦君    参考人        東海大学海洋学        部教授      山田 吉彦君        NGOピースボ        ート共同代表        核兵器廃絶国際        キャンペーン(        ICAN国際        運営委員     川崎  哲君        東京海上日動リ        スクコンサルテ        ィング株式会社        主任研究員    川口 貴久君     ─────────────   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○国際経済外交に関する調査  (「アジア太平洋における平和の実現地域協  力及び日本外交在り方」のうち、国境を越え  る諸問題の現状解決に向けた課題国際平和  実現への取組)について)     ─────────────    〔理事三木亨会長席に着く〕
  2. 三木亨

    理事三木亨君) ただいまから国際経済外交に関する調査会を開会いたします。  本日、鴻池会長が都合により出席できませんので、会長の委託を受けました私が会長の職務を行います。  委員異動について御報告いたします。  去る一月二十二日までに、松村祥史君、古賀之士君及び東徹君が委員を辞任され、その補欠として猪口邦子君、江崎孝君及び石井苗子君が選任されました。     ─────────────
  3. 三木亨

    理事三木亨君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三木亨

    理事三木亨君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事石井苗子君を指名いたします。     ─────────────
  5. 三木亨

    理事三木亨君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国際経済外交に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 三木亨

    理事三木亨君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 三木亨

    理事三木亨君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 三木亨

    理事三木亨君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国際経済外交に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ政府参考人出席を求め、その説明を聴取することとし、その手続につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 三木亨

    理事三木亨君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  10. 三木亨

    理事三木亨君) 国際経済外交に関する調査を議題といたします。  本日は、「アジア太平洋における平和の実現地域協力及び日本外交在り方」のうち、「国境を越える諸問題の現状解決に向けた課題」に関し、「国際平和実現への取組」について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。  本日は、東海大学海洋学部教授山田吉彦参考人NGOピースボート共同代表核兵器廃絶国際キャンペーンICAN国際運営委員川崎哲参考人及び東京海上日動リスクコンサルティング株式会社主任研究員川口貴久参考人に御出席いただいております。  この際、一言御挨拶を申し上げます。  各参考人におかれましては、御多忙のところ本調査会に御出席いただきまして本当にありがとうございます。  各参考人から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。  本日の議事の進め方でございますが、まず、山田参考人川崎参考人川口参考人の順でお一人二十分程度御意見をお述べいただいた後、午後四時頃までを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、山田参考人から御意見をお述べいただきます。山田参考人
  11. 山田吉彦

    参考人山田吉彦君) よろしくお願いいたします。東海大学海洋学部山田でございます。  私、フィールドワークを常に行っておりまして、年間の大体半分近くは地域あるいは海外研究活動現地調査を行っております。特に昨年は中国三回、実際に中国研究者と北京、南京、そして上海において意見交換を行うとともに、現実的な両国の抱えている問題についても議論してまいりました。  また、尖閣諸島の問題もありますので、沖縄地域、特に石垣島、与那国島等、月に一度近く回りながら現状を確認し、そして地域感じ方、考え方を入手してきているつもりでございます。  まず初めに御報告させていただきますのは、かねてからの懸案になっております尖閣諸島周辺海域中国公船侵入。これは昨年来、徹底して月に三回、一回三隻から四隻のペースということは堅持されております。そしてまた、重要なのは、中国公船活動中国中央電視台を使いまして対外的に発信され、国際的に認知され始めているという事実がございます。  一昨年、私のところにアル・ジャジーラの記者尖閣諸島問題についての意見を聞きたいということで取材に参りました。その際に、私の方から逆に、今、尖閣諸島の問題についてどのような感じ方をしているのか、海外のメディアはどう感じているのかということを聞きましたところ、もう既に日本尖閣諸島を必要としていないんじゃないかとすら感じるという強い意見がございました。  私、日本海の問題あるいは尖閣諸島問題等、あるいは北方領土の問題などで海外取材を受けることも多いのですが、必ず、取材を受けた場合、私の方から尖閣諸島をどう見ているかということを逆に問うようにしております。昨年末、北朝鮮の船の件で私のところに取材に来たドイツの記者も、ほぼ同じような感じ方を受け止めているという中で、日本戦略というのがなかなか海外に伝わっていない、しっかりとして実効支配しているという現状を伝え切れていないという問題が多分にあると思います。  また、中国戦略としてはエスカレートしてきているのは事実だと思います。それは、今年一月十一日、中国潜水艦接続水域通過。これ自体で直接国際法に触れるという問題ではありませんが、両国関係上、非常に緊迫した事態にならざるを得ない。更に中国が一歩駒を進めてきたということが言えようかと思います。  といいますのは、今まで尖閣諸島周辺海域は、あくまでも海上保安庁中国海警局がお互いににらみ合うような形でバランスを取ってまいりました。しかも、しっかりと日本尖閣諸島を囲み込むような形で守り、その周辺中国公船通過していくという流れでしたものが、今回、あえて軍事力を近くに置いてきたという問題は大きいと思います。  さらに、昨年、中国軍用機日本周辺通過件数が極めて増えております。その中でも、紀伊半島沖まで侵入してきた事案。これは防衛的に非常に問題な海域まで侵入していると。そしてまた、対馬海峡を通過するという事案も起こっております。  そしてまた、中国の船なんですが、中国漁船団大量侵入という事件がほぼ二年置きの形で起こっております。  二〇一二年七月には、五島列島、この写真なんですが、五島列島玉之浦という入り江に百六隻の中国公船、百トンから五百トンクラスの中国公船侵入しまして、一週間にわたって滞在したという事案がありました。  このとき、台風緊急避難という目的で侵入してきたのですが、台風緊急避難と言われますと、海上保安庁、受け入れざるを得ない。ですが、この玉之浦日本中国の間の漁業境界線よりも百キロ以上離れているということで、通常であれば侵入してくることはあり得ない海域。この年、御記憶にあると思いますが、尖閣諸島国有化へ向けた動きが始まった年でございました。同年三回、百隻単位中国公船侵入しております。  このとき、この玉之浦の湾内にいた中国漁民の数は二千人、旧玉之浦町の人口は千八百人。旧玉之浦町、これ、もし、浅い入り江なので、上陸を始めた場合どう対応するかと。このとき対応できた海上保安庁は、巡視船が一隻、巡視艇、ボートが一隻で百六隻を管理すると。もしも上陸した場合どうなるかといいますと、五島列島の場合は警察が対応することになります。旧玉之浦町にいる警察官、駐在が一人です。命を懸けてもどうにもならないような状況でした。  そして、二〇一四年十月には、小笠原諸島に二百隻を超えるサンゴの密漁船という船が侵入しております。そして、二〇一六年には、尖閣諸島沖に千隻近い船が入ってきている。また、二〇一六年には、日本海にも、大和堆ぎりぎりのラインまで千隻近い中国漁船侵入しております。  このように、実は日本周辺海域、極めて多くの中国漁船活動しております。これは安全保障上以外の問題も含めまして、例えば、北海道東北沖根室沖サンマ漁、ここにも大量の中国船台湾船韓国船が入っております。また、太平洋日本排他的経済水域の外側、公海ではサバの漁が行われていて、そこにも千隻単位中国漁船が入っております。また、東シナ海では、日中漁業協定に基づく形で中国漁船が千隻、そして、先ほどもお話ししましたように、日本海にも千隻単位中国漁船が入っております。この日本海中国漁船の問題、後ほどお話しさせていただきます。  二番目としまして、シーレーン安全確保の問題でございます。南シナ海における中国人工島建設は着実に進んでおります。既に三か所。中国は、仲裁裁判の受入れを拒否した形で進んでおります。三つの人工島はほぼ完成し、軍事拠点が形成されていることは、一昨日改めて報道もされております。  また、ASEAN諸国が目指しております南シナ海行動規範における法的拘束力も含めた案件合意ということなんですが、なかなか中国の同意を取り付けることができないということで、今足踏みをしているような状況になっております。  特に、ASEANの場合、十か国全てが合意をするという形で物が進みますものですから、特にカンボジア反対を受ける、ラオス反対を受けるというような形でこれがストップしてしまうということなんですが、実際にASEANの中を見ましても、南シナ海の問題ですと、ラオスは海がない。カンボジアの海といいますとタイランド湾で、実際には南シナ海には面していない。さらに、ミャンマーも直接的には南シナ海に関われないというところで、ASEAN諸国の中での温度差も激しいかと思います。  また、中国真珠首飾り戦略、これが非常に進んでまいりまして、昨年報道されておりますが、スリランカ、ハンバントタ港は九十九年の租借租借といいましても、実際には企業が借り受けるという形でこの港の管理を行っております。同じように、パキスタンにも拠点形成を行っているという形で、さらにジブチ中国海軍拠点がつくられるという流れになっております。  そして、ここに、シーレーン確保の中に表を掲示させていただいております。マラッカ海峡安全確保というところで、管理協力というので、あえて表を付けさせていただきました。マラッカ海峡日本にとっても生命線と言われるほど非常に重要な海域日本人が使う、輸入しております原油の八〇%以上はこのマラッカ海峡通過していると。その中で、このマラッカ海峡、今どういう位置関係にあるか、誰が使っているのかということをあえて表にしてみました。  二〇一二年のデータ、これは若干古いように思うのですが、実際にこのマラッカ海峡データを具体的に集めましたものでは、この二〇一二年のが最新のデータになっております。仕向け国といいまして、マラッカ海峡通過した直後、最初に入港した港はどこなのかといいますと、シンガポール、マレーシア、インドネシアの沿岸三か国を抜きますと圧倒的に中国、既に日本韓国の下、これは途中切れておりますが、十二位が日本になります。そして、仕出し国マラッカ海峡通過する直前に出港した港ということでも中国が圧倒的に多いと。  実際に、日本関係する船も、中国を経由してマラッカ海峡を通り、インド洋からヨーロッパへ向かっていく、あるいは中東へ向かっていくと。また、逆に、マラッカ海峡ヨーロッパあるいは中東から日本に向かう船も、一旦中国に寄ってから日本にやってくるという形で、シーレーン安全確保といいますのは、矛盾している中で、あえて中国との連携というのも視野に入れなければいけないということが言えます。これは、逆に中国側も非常に意識し始めております。  これは、先ほど申し上げました真珠首飾り戦略インド洋側あるいは南シナ海がつながりましても、このマラッカ海峡影響力を及ぼせない限り真珠首飾りはつながらないと。むしろこのマラッカ海峡といいますのは、日本が徹底して管理協力してきたエリアでございます。  特に、マラッカ海峡にあります五十数基の航路標識のうち、四十五基は日本支援によって作られ、日本支援によって今も管理されております。そして、人的な協力、航行安全を守る人の人材育成日本が行ってきたという現実がありますので、今でもマラッカ海峡管理には日本が大きな影響を及ぼしている。そして、日本協力を受けた上で現在も管理しているという状況にあります。  これが中国にとってはマラッカ・ジレンマと言われます。マラッカ海峡、強引に勢力を及ぼそうとし紛争となった場合、マラッカ海峡通過が自由にならない、不便を来すということになりますと、マラッカ海峡を通れないイコール中国に対して積荷が滞ってしまうということになりますので、マラッカ海峡管理におきましては、あくまでも平和裏に、そして力を誇示することなく中国戦略を立てなければいけないという状況になっております。  また、三番目に、先ほども若干話しましたが、日本近海における外国漁船操業ということで、まず、日本海におけます中国北朝鮮船不法操業。二〇一六年には二百隻ほどの中国漁船侵入しております。そして、それを取り巻くように北朝鮮船侵入してきてイカを捕っていると。そのために、能登半島の漁師たち大和堆と言われる日本海における好漁場に進入することができず、漁場を諦めるという事態になっております。  そして、北海道東北沖におけます台湾中国韓国漁船サンマ乱獲。昨年、一昨年のサンマ水揚げ量の減少というのは実はこの乱獲とは直接的には関わっておりません。といいますのは、一個一個の個体が小さくなっております。漁獲量は少なくなっても、例えば二〇一四年、一五年のサンマ釧路沖での大きなものは二百グラム以上ありました。二百二十グラムぐらいあったものが、昨年、一昨年は百四十グラムぐらいまで減っていると。それだけで三割減、ちょうど水揚げが減っている分はそのぐらいの数字であると。  といいますのは、これは、今、地球温暖化という流れの中でも、大きくは氷河期に向かっていると言われるぐらいでありまして、数年に一度は北極海の氷が解けない年があります。それが四年ほど前にありまして、その影響でプランクトンが育っていないということが一つの理由に挙げられます。ただし、現在、このまま北海道沖におけます台湾中国韓国サンマ漁が続きますと、いずれ資源量影響を及ぼしてくるということになろうかと思います。  ちなみに、二〇一六年、日本サンマ水揚げ高は十一万トン、台湾が十六万トン、中国が五万六千トン、台湾中国を合わせますと日本倍サンマを捕っているという形になっております。これは、そろそろ警告をして国際ルールをしっかりと作っていきませんと、サンマ漁獲高に近い将来影響が出ていくことになろうかと思います。  同じように、太平洋側EEZ外では中国漁船サバ漁を行っております。そして、東シナ海中国漁船乱獲。これは、虎網漁という、極めて強い集魚灯を使いまして魚を集め、一網打尽にしてしまうと。そのために、五島半島漁師たち東シナ海漁場へ出るのが怖くなる。  私が直接話を聞きました漁師は、実際に中国漁船によって船の周りを網で囲まれてしまった、それ以降、東シナ海漁場へは出ないということを言っておりました。ちなみに、東シナ海に一番近い五島ふくえ漁業協同組合、千人の漁業組合員で、水揚げは八億円しかございません。一人当たりは平均八十万円にしかならないと。何と高齢者漁師たちは、自分の漁業の収入より年金の方が多い、我々は年金漁師というような言い方もするぐらい今実は危機的な状況に陥っております。  また、オホーツク海におけるロシア漁船密漁。これも、ロシア協力要請によりまして、日本密漁されたカニの受取をやめております。韓国も今極力警備を厳しくしておりまして、オホーツク海のロシア船による密漁カニは、北朝鮮に入り、そこから中国に回っているということが言われております。  ただ、この漁獲の問題は、外国船だけではなく、日本漁船乱獲という問題も常にあります。沿岸での小型マグロ、あるいは外洋でのマグロ漁等国際的に非難を浴びる状況になっておりますので、これも自発的に、自主的に何らかのルール作りが必要になってこようかと思います。  そして、中国以外の隣国との問題にあえて触れておきますと、まだ北方領土問題、解決しておりません。特に北朝鮮の問題が起こりまして以降、安全保障上、アメリカの兵器が、ミサイル等北朝鮮に向いている以上、ほぼ隣国であるロシア、非常に緊迫した情勢になっております。本日、北方領土の日でございますが、この北方領土周辺にはロシアの地対艦ミサイル拠点、造られております。防衛体制しっかりとなっていると。また、北方領土、国後と択捉の間の海域は実はロシア潜水艦通過路になっております。そう簡単には、現状日本海が揺れている間、北方領土返還の話というのはなかなか進みづらいという事態になっていようかと思います。そのためには、まずは経済交流から、共同経済行為から始めていくのは有効であると考えます。  そして、日本は、まず今、海洋資源開発、非常に積極的にかつ順調に行われている段階であると考えております。  メタンハイドレートの開発、二〇一七年、二回目の海洋生産試験が行われました。実は、この生産量二十万立米というのは、ほぼ同じレベル中国南シナ海でも成功しておるレベルと同じです。海底資源開発の動向に関してはアジア一体となって両国協力するということも一つ視野に入ってこようかと思います。  また、海底熱水鉱床と言われます一種の海底鉱山なんですが、昨年、これは沖縄沖合です、伊是名、伊平屋の沖合連続揚鉱試験に成功しております。これは世界で初めて海底熱水鉱床から鉱物資源を取ることができたということで、期待できるものだったと思います。  海洋安全保障に係る国際協力としましては、海賊対策、これは日本が中心になって成功してまいりました。アジア海賊対策地域協力協定、二〇〇四年に採択し二〇〇六年に発効、既にアジアの国以外にも二十か国が加盟し、海賊に対する情報共有を進めていくということで、現在、かなり海賊は減ってまいりました。  この延長線上でソマリア海賊対策が行われました。海上保安官の乗船した自衛隊の艦船が派遣され、そしてジブチ拠点活動し、P3C哨戒機が派遣されるということで、これも非常に海賊対策には有効に機能しておりまして、私もジブチに行ってまいりましたが、現地でも最も貢献したのは海上自衛隊のP3Cではないのかという、空からの警戒が、そして中立的な立場で各国に情報提供できた日本自衛隊の役割というのが実は非常に大きかったという報告を受けております。  アジア各国海上警備機関育成ということでも日本はかなりかつてから力を注いでまいりました。そして、巡視船の供与という形で進めております。どうしても軍事的組織になりますと、各国政治体制あるいは力関係等問題になりますが、国際法を守るということで海上警備機関協力というのは、これは不可欠であると。そして、同じ海洋法を守るという視点でいきますと、海賊対策を始めとし、前例としまして、今後、有効に機能するんではないかと思います。  この枠組みを使いますと、これから話題になってまいりますサイバー、特にマリタイムサイバー、海の上のサイバーテロに関しましては、この情報共有機関が海賊と同じようにサイバーに対しても情報を共有していくということで役立つのではないかと思います。この海賊対策地域協力協定、そこの事務局長は、情報共有センター長は日本の外務省OBが代々就任しておりますし、日本海上保安官も出向しております。  そして、隣の中国に関しまして、一帯一路戦略、非常に注目し推進しているところなんですが、中国にとって陸路、一帯は費用が掛かり過ぎるし、余り良いプランがないというところで、海路に今注目をしております。大量輸送が可能である海の利用、ただし先ほど言いましたように、まだ中国は主導権を持っておりません。この主導権を中国が持つ、あるいは中国が持たないでも、中国も他国と足並みをそろえて動くことができる関係づくりということを中国は求めております。  特に、中国の主要輸出先はアメリカです。アメリカへの航路というのは、実は日本沿岸通過していくことが最も近い。対馬海峡、津軽海峡を通るのが最短であり、そして大隅海峡を通らなければなかなかアメリカに近づくことはできない。といいますと、これから先、中国はどうしても日本沿岸通過することということが必要になってきます。となると、日本がしっかりとした海洋管理体制を取るというところがもう一つのポイントになってこようかと思います。日本の海洋管理体制、これを確立することが実はアジア海域の平和に最も寄与する、そしてアジア海域のバランスを構成する上でも最も有効な手段であると考えております。  そして、本年から北極海航路の商業航路が開発されます、運用されます。まず、そのために日本も、商船三井、三隻の北極海航路用LNGタンカーを造りまして、北極海から中国に向けた輸送を行うということになっております。  まず、私、まとめとしまして、日本沿岸管理体制の充実が何よりもこのアジア海域の平和、安定に寄与するものであると考えております。そして、日本海上保安庁をモデルとしました国際法に基づく海上機関の連携、各国のコーストガードが連携していく。既に、中国とも韓国とも十分に話し合うチャンネルを持っております。さらに、ロシアとも持っております。これを充実し、アジア全域に広げていく。航行安全、環境保全、水産資源の保護を一元化しまして海洋問題を連携していくことは有効であると思います。  私、持論としておりますのは、まず、尖閣諸島の問題含めまして、この東シナ海、まずは海洋環境そして航行安全という視点から、日本中国韓国台湾、あるいは利用国も含めた形での海洋調査、そして海域管理体制を取っていく必要があろうかと思います。環境という切り口から入った場合には、中国も表立って反対することはできない。しかも、日本としても絶対必要になってくることだと思います。  そして、今、ちょうど現在、東シナ海でタンカーが一隻沈んでおります。この船、中国海域で事故を起こし、日本のEEZ内で沈没しました。現在は中国がこの対応に当たっておりますが、技術力的には、日本の方が近いですし、日本の力の方が高いと。いち早く日本中国、これは話合いを行いまして、両国の最善の技術をもちまして今沈んでいる油の抜取りを行う必要があろうかと思います。  もう少し時間がたちますと、船内にたまった超軽質原油、これは実は不純物をたくさん含みます。水銀等不純物を含んでおりますので、早く抜き取った方が賢明であると。これは、いずれ対馬海流に乗りまして日本海側に回る可能性があります。韓国沿岸にも流れ着くことになろうかと思いますので、いち早く両国、日中の協力の下、撤去する必要があろうかと思います。  まず、このような事案から、国境を越えた海上警備、そして海上環境保全等、海洋管理協力体制、進めていく必要があろうかと思います。  御清聴ありがとうございました。
  12. 三木亨

    理事三木亨君) 山田参考人、ありがとうございました。  次に、川崎参考人から御意見をお述べいただきます。川崎参考人
  13. 川崎哲

    参考人川崎哲君) この度は、意見を申し述べる機会をくださいまして誠にありがとうございます。  核軍縮・不拡散、とりわけ昨年成立しました核兵器禁止条約に関連して、日本が果たすべき役割についてお話をさせていただきたいと思います。  今日、北朝鮮による核兵器とミサイルの実験、開発が、日本はもちろん、国際社会に対して深刻な脅威をもたらしております。と同時に、これに対して米トランプ政権が軍事力行使も辞さないとの態度を取り、両国間で挑発の連鎖が続いているのは憂慮すべき事態であります。何らかの誤算で軍事的衝突が起これば、核兵器の使用にまで発展し得る現実の危険性があります。  一九六二年のキューバ危機で核戦争の脅威を危機一髪で回避したラテンアメリカ及びカリブ諸国は、その直後に地域の非核化を宣言し、その五年後には世界で初の非核兵器地帯条約を成立させました。今日、北朝鮮の核の脅威を圧力のみによって除去することはできませんし、軍事的な抑止力だけで永続的な安全を得ることもできません。危機を回避した先の出口戦略を描かなければなりません。核兵器禁止条約はその出口を示しております。  本日、配付資料一ページの下のスライドにありますように、今日の世界には約一万五千発の核兵器が存在します。かつて最大六万発を超えた冷戦期の一九八〇年代から見れば、確かに数は減りました。それでも、人類を何回も殺し尽くす数であることに変わりはありません。原子力科学者会報は、先月、人類の滅亡を午前零時に見立てた終末時計の針を二分前にまで進めました。一九八〇年代には針は三分前でありましたので、当時よりも私たちは終末に近づいたということになります。  次のページを御覧ください。  こうした核の脅威に対処するために、これまで要であるとされてきました核不拡散条約、NPTにも根本的な限界があります。五つの核兵器国の核保有を正当化しているために、周りの国もそれに続こうとするのです。実際、核拡散防止という名目とは裏腹に、NPTの下で核兵器は拡散してまいりました。一九九〇年代にはインドとパキスタンが、二〇〇〇年代に入りますと北朝鮮が核保有国となりました。とりわけアジアにおいて、核兵器の拡散は深刻化しております。  このページの下にございますように、昨年七月に国連で百二十二か国の賛成により採択されました核兵器禁止条約は、こうしたNPTの不備を補強し、核兵器がいかなる国の手にあれ許されないものであるという国際法規範を形成したものであります。これは、二〇一〇年の赤十字国際委員会による声明以来、オーストリアやメキシコなどの諸国が推進してきた、いわゆる人道イニシアチブの成果として作られたものです。生物兵器や化学兵器が大量破壊兵器として禁止され、対人地雷やクラスター爆弾が非人道兵器として禁止されているのと同様に、核兵器も普遍的条約によって禁止し、そこから廃絶へつなげようという大きな運動の成果であります。  これまでの経過を次のページの上半分にまとめてございます。核兵器廃絶国際キャンペーンICANは、市民社会としてのこの運動への貢献を評価されまして、昨年、ノーベル平和賞の受賞という光栄にあずかったところです。  そのページの下半分にございますように、核兵器禁止条約は、その前文で、被爆者と核実験被害者に言及をし、いかなる核兵器の使用も国際人道法に違反するとしております。そして、核兵器に関わるあらゆる活動を例外なく禁止すると同時に、核兵器の完全廃絶への道筋を定めております。  次のページの上にこの条約の制度的な取決めを並べてございますけれども、この条約は、五十か国が批准して九十日で発効をいたします。現在のところ、五十六か国が署名をし、五か国が批准をしております。  条約が発効いたしますと、締約国会議が二年に一度開かれることになります。言わば、核兵器禁止条約プロセスが始まることになります。このことによって、近い将来、国際的な核軍縮の議論は、NPTプロセスと核兵器禁止条約プロセスという二本線で進むことになると言えます。この中で、日本が果たすべき役割を考えていきたいと思います。  このページの下半分にございますように、これまでのところ日本政府は、核兵器禁止条約に対しては極めて後ろ向きな姿勢を取ってきました。核兵器禁止条約の交渉開始決議には反対し、条約交渉には参加せず、条約が採択されるとすぐに日本は署名、批准しない方針であると表明をいたしました。  その理由としまして、政府は、核兵器廃絶の目標は共有するけれども、日本政府のアプローチは核兵器禁止条約のアプローチとは異なるものだからというふうに説明をしています。そして、国民の生命と財産を守るためには核抑止力が必要不可欠であり、核兵器禁止条約は核抑止力の正当性を損なうものであるとも述べております。さらに、核軍縮のためには核兵器国と非核兵器国の協力が重要であり、日本としては橋渡しの役割を果たしていくとしています。  先月、ベアトリス・フィンICAN事務局長が来日した際、国会議員会館におきまして、外務副大臣及び与野党十党会派の代表によります討論集会が開催をされました。フィン事務局長は、米国との同盟関係を維持したままでも核兵器禁止条約に加入することは可能であると強調をいたしました。核兵器に関わることはしない、同盟による安全保障協力は核兵器以外で行うということを決めれば、加入はできるということであります。  フィン事務局長は、日本が禁止条約に加入できるようになるための条件について国会で調査をしてほしいと述べました。それに対して、副大臣や各党代表が様々な見解を述べられましたけれども、日本が核兵器廃絶の目標を支持しているということ、そして核兵器禁止条約はその目標に向けた一定の価値を有するということを否定する意見一つも出ませんでした。その上で、二つの論点が浮き彫りになりました。  一つ目は、核抑止力についてであります。核抑止力は、安定と平和をもたらすものなのか、それとも危険と混乱を生み出すものなのか、意見は分かれました。二つ目は、日本が核兵器禁止条約に加入することの可能性、条件、影響を国会が調査することについてであります。与野党双方から、そのような調査をすることに前向きな関心が出されました。  実際、日本政府も、将来、世界の核兵器の数が減って、いわゆる最小限ポイントに達成すれば、その後に核兵器禁止条約を構想し得るとしています。だとすれば、日本が禁止条約に参加し得る条件を調査するということは、政府のこの立場を補強し、一歩前進させるということにつながります。  これらを踏まえまして、日本がこれから具体的に検討し行動すべき点について幾つかの提案を行いたいと思います。  次のページを御覧ください。  第一に、核抑止力を批判的に再検討することであります。  日本は、国家安全保障戦略により、核兵器の脅威に対しては核抑止力を中心とする米国の拡大抑止が不可欠としています。しかし、一方で、核兵器の使用は国際法の基盤となる人道主義の精神に反するという政府見解を維持しており、近年の核兵器の非人道性に関する共同声明や国際会議にも参加をしています。すなわち、日本は核兵器という非人道的な手段によって国家の安全を保障するという政策を取っていると言えます。日本のこのような政策が現状のままでよいのか、変更や制限を加える必要がないのかということが議論されるべきです。  論点といたしまして、核抑止力に依存することの道徳性、有効性、必要性、そして核抑止が破れた場合の対応が挙げられます。  まず、道徳性についてです。核抑止政策は、核兵器の使用を前提とした政策です。核兵器の非人道性に対する国際的な認識がここまで高まった今日、唯一の戦争被爆国である日本が核兵器の使用は正当な防衛手段であるとのメッセージを発し続けることがいかなる意味を持つのか。日本の道義的立場との関係でその是非が問われなければなりません。  次に、有効性についてです。核兵器は大国間の戦争を抑止してきたと言われますけれども、実際には核戦争の引き金が引かれる寸前にまで行った事例は数多くあります。抑止のバランスというのは極めて脆弱なもので、人類は幸運に支えられてきたにすぎません。さらに、歴史上、核保有国や同盟国に対して戦争が仕掛けられたという例も数多くあります。また、米国の強大な核兵器は、北朝鮮が核兵器を開発することを抑止しませんでしたし、九・一一テロも抑止しませんでした。自爆を恐れない勢力は、核兵器に全く抑止されません。  さらに、必要性についてです。日本が核抑止力を必要とする根拠として、よく北朝鮮の核の脅威が挙げられます。しかし、北朝鮮が核以外の通常戦力で抑止できないという合理的な根拠が十分に示されているとは言えません。政府は核による抑止力が必要不可欠であると述べていますけれども、その根拠は何でしょうか。  そして、万が一、核抑止が破綻し、核兵器が使われた場合、何が起こるのかについても現実的に検討しなければなりません。甚大な破壊と放射能汚染により人道上の救援も不可能であるということは、広島、長崎の惨害の記憶からも、また今日の科学的研究成果からも明らかです。核戦争が地球規模の気候変動と飢饉、通信網の破壊と世界経済の破綻をもたらすとの報告もあります。偶発的な核使用や核兵器に関わる事故、テロやハッキングなどによって意図せずに核爆発が起きるというリスクも現実のものであります。こうした事態に対する責任の所在も明らかにされておりません。  これら批判的な観点を踏まえ、今日の安全保障にとって核兵器が果たす役割を再検討する必要があります。検討の結果、核兵器の必要性を今すぐに完全否定できないという結論が仮に出たとしても、核兵器の先制不使用など一定の制限を掛ける措置は可能なはずであります。  ところが、米国は、さきの核態勢見直し、NPRで核兵器の役割をむしろ拡大する路線を打ち出しています。通常兵器やサイバー攻撃にも核で反撃するといった内容が含まれておりまして、これは核のリスクをいたずらに高めるものであります。日本は本来、こうした動きに警告を発しなければなりません。  政府は、核兵器禁止条約は核抑止力の正当性を否定するものだから参加できないと言います。確かに、この条約は核兵器を非正当化するために作られたものと言えます。しかし、日本がこれに対する反動として核兵器の正当性を発信するというような態度を取ることは、唯一の戦争被爆国の外交姿勢として大いに疑問であります。  第二に、国会のイニシアチブにより、核兵器禁止条約への加入の可能性について調査する委員会を立ち上げることを提案したいと思います。  ページの下半分にまとめましたように、既にノルウェー、イタリア、スウェーデンなどでこのような動きが出ております。とりわけ、米国との同盟国やそれに準ずる国々にとって、同盟上の政策と核兵器禁止との関係が問題となります。核兵器禁止条約は、第十八条で、この条約と矛盾しない限りにおいて他の条約上の権利義務を害さないと規定しております。  次のページを御覧ください。  禁止条約は、第一条で、核兵器の開発、保有、使用、威嚇、配備などを包括的に禁止しています。このうち、非核三原則を国是とする日本は、核兵器の開発、保有、配備はしないと国内外に約束をしています。禁止条約に加入すれば、これらが国際法上の義務になります。  日本にとって恐らく問題となるのは、核兵器の使用とその威嚇、またそれらの援助、奨励、勧誘です。米国との同盟関係にある日本の政策は、米国による核兵器の使用またその威嚇を援助、奨励、勧誘するものに当たるのかということであります。  ページの下半分にまとめましたように、国連憲章第二条四項は、加盟国による武力の威嚇や行使を一般的に禁止しています。さらに、日本は、憲法九条一項で、武力の威嚇や行使を永久に放棄しています。それゆえ、自衛隊による自衛権の発動には厳しい要件が課されており、米国による武力行使との一体化やその後方支援の解釈をめぐっては国会での議論が積み重ねられてきたところであります。これらとの関係で、日本のいかなる行為が米国の核兵器の使用また威嚇の援助、奨励、勧誘、あるいは一体化や後方支援に当たるのか、法的な議論が必要となります。  政治的には、日本が米国との同盟関係を維持しながらも核兵器の使用については援助や奨励を一切しないという立場を取った場合に、それがもたらす影響を論じる必要があります。米国の選択肢を狭めることになるので日米関係に悪影響だというふうな見方もある一方で、非人道的な戦闘行為にはくみしないと表明することで日本の道義的地位を高めるとの見方もあります。また、核兵器が使用しにくくなれば戦争が起こりやすくなるのだという見方もあれば、逆に、通常兵器による戦闘が核戦争に至ることを予防する効果を持つのだという見方もあります。  このような諸問題を調査する委員会は、日本が核兵器禁止条約に加入する場合の影響に加えて、加入しないままでいた場合の影響についても議論をすべきであります。すなわち、唯一の戦争被爆国が核兵器禁止条約を拒み続けることのもたらす国際影響についてであります。  次のページを御覧ください。  仮に、日本がすぐに核兵器禁止条約に加入しないという場合であっても、禁止条約に定められた事項の中で日本が既に具体的な行動に移せる事項を二つ指摘したいと思います。それは、核廃棄の検証措置と核被害者の援助であります。これらを言わば核兵器禁止条約の部分的な履行として実施することができます。  ページの下半分を御覧いただきますと、核廃棄の検証措置についてまとめてございます。核兵器禁止条約の第四条では、時間枠を伴った検証可能で不可逆的な核廃棄が定められております。  かつて南アフリカは、核兵器を開発し保有に至りましたが、アパルトヘイトを廃止し国際社会の仲間入りをするに当たり、これらの核兵器を廃棄し国際的な検証を受け入れました。この経験を踏まえ、核兵器禁止条約は、現に核兵器を保有することでも、核兵器をなくすということを決めれば禁止条約に加入することができるというふうに定めています。国際機関が廃棄の検証を行い、再核武装を許さないよう保障することとされております。  北朝鮮に対する圧力と対話を通じた外交が将来実を結び、同国が核の放棄を受け入れるような合意が生まれたとしましょう。そのとき、国際的な監視下で同国の核武装を解除していくプロセスが開始されなければなりません。そのような手続はNPTには規定されていません。NPTは、今核を保有していない国が今後も保有しないことを定めているだけであります。これに対して、核兵器禁止条約は、核保有国による核の廃棄を具体的に規定した初の多国間条約と言うことができます。  北朝鮮が核を放棄するということを想定した場合、それが一定の時間枠の中で、国際的な監視の下で不可逆的に行われるということは、日本にはもちろんのこと、世界的な安全保障上の利益になります。そのような検証制度や保障措置の詳細は、今後、核兵器禁止条約の締約国会議で議論され、議定書として条約に附属されていくことが想定されています。  既に日本は、核軍縮検証のための国際パートナーシップ、IPNDVを通じて、この分野での研究を進めております。これを発展させて、核兵器禁止条約の検証規定の強化に活用することができます。この分野で国際センターを日本に設置するというようなこともできるでしょう。禁止条約の締約国会議には非締約国でもオブザーバー参加できますので、そうした取組の成果を締約国会議に還元すれば、国際的にも歓迎されるでしょう。  次のページを御覧ください。  核兵器禁止条約は、第六条で、核兵器の使用、実験の被害者に援助を行うとともに、汚染された環境を回復する義務を締約国に課しています。これはまさに、広島、長崎の被爆者援護、福島の除染を経験してきた日本こそが行うべき課題だと言えます。  日本政府は、二〇一四年に専門家委員会による核兵器使用の多方面における影響に関する調査研究を発表しています。同様の形で、広島、長崎の被爆者や世界の核実験被害者が受けている被害の実態や、援助や環境回復の在り方に関する研究を行い、指針を示すことができるでしょう。  結論を申し上げます。  ページの下半分にありますように、核兵器禁止条約について与野党での議論を深め、以下のことへの合意を目指していただきたいと思います。  第一に、核兵器禁止条約への加入を、仮に長期的にであったとしても、目標として定め、その条件や影響調査する委員会を設置すること。第二に、核兵器の非人道性を踏まえ、核抑止力の批判的な再検討とその役割縮小を進めること。第三に、核廃棄の検証措置や核被害者援助など、具体的に貢献できる分野では直ちに行動を開始することであります。  御清聴ありがとうございました。
  14. 三木亨

    理事三木亨君) 川崎参考人、ありがとうございました。  次に、川口参考人から御意見をお述べいただきます。川口参考人
  15. 川口貴久

    参考人川口貴久君) 皆様、こんにちは。東京海上日動リスクコンサルティングの川口と申します。委員の皆様、今日はよろしくお願いいたします。  まず初めに、私はエンジニアではございません。元々、外交安全保障を専攻しながらサイバーリスクの分野に関する調査研究、提言を行ってまいりました。したがいまして、本日はこういった観点でサイバーセキュリティーをめぐる現状課題について御報告を申し上げます。報告としましては、まずサイバー攻撃の現状、今どうなっているのか、次いで政策や国際協力を考える際の視点、最後に提言とさせていただければと思います。  まず、サイバー攻撃に関する現状でございます。  恐らく、国民の大半にとってサイバー攻撃というのは非常に難しいテーマだと考えております。理由は幾つかございまして、目に見えない、メカニズムが複雑である、難解な専門用語が出てくる、非常に難しいテーマであるというふうに認識をしております。しかしながら、サイバー攻撃の結果という観点で見れば、非常にシンプルなものでございます。サイバー攻撃の手法は様々、日進月歩ではございますが、結果という観点では、情報やデータを盗む、情報やプログラムを改ざんする、サービスや機能を停止させる、あるいはデータや物を壊す、これらの組合せでございます。  皆様、お手元の別紙一を御覧ください。  こちらは、過去十年間に非常に影響が大きかったサイバー攻撃の事例を列挙してございます。この中から二つの事例を御紹介させていただければと思います。  一つは、盗むに分類されております米国民主党全国委員会へのハッキングでございます。  これ、御記憶にあろうかと思いますが、二〇一六年、米国の大統領選挙期間中に民主党のいわゆる選対がハッキングを受けました。結果、民主党内の選挙事情、あるいはヒラリー・クリントンに関する情報がリークされ、これがウィキリークスというサイトにアップをされました。米国のインテリジェンス機関は、このサイバー攻撃とSNS上でのフェイクニュース、これらを組み合わせて反クリントン・キャンペーンが展開されたんだというふうに明言をしております。  もちろん、このサイバー攻撃によって大統領選挙の結果が変わったかどうか、これは分かりません。ただ、二〇一六年の大統領選挙の正当性というものは非常に揺らいだのではないかというふうに思っております。  もう一つの事例を御紹介しますと、壊すに分類されております二〇一〇年のイランの遠心分離機の破壊という事例を御紹介させていただきます。  これは、非常に外交安全保障分野では衝撃的な事件でございました。当時、イランはいわゆる遠心分離機、濃縮ウランを分離をしていくというプログラムを進めているというふうに考えられておりました。この遠心分離機システム自体は、インターネットにはつながっていない、いわゆるクローズドのシステムでございました。しかしながら、USBフラッシュメモリーでございますね、こちらを経由してマルウエアウイルスが感染をし、どうやらこの遠心分離機が通常よりも速く回転をした。したがいまして、遠心分離機自体は壊れてしまうといった事象に陥っております。通常であれば、監視員の方がこの遠心分離機の速度を監視しながら正常であるかどうかを確認しておるんですが、その監視モニターさえも偽装され、結果的に遠心分離機は破壊されたという事案であります。  こちらの事案については、遠心分離機が少なくとも一千台、多く見積もれば八千台以上破壊されたという事案でございまして、サイバー空間にとどまらず現実世界のものが壊れたという事件で、非常に大きなインパクトがございました。  このように、サイバー攻撃の影響という観点では、国策プロジェクトから選挙制度まで多岐にわたっております。また、金融やエネルギーといった重要インフラ、自動車や家電といったような生活機器、非常に多くのものがリスクにさらされております。こうした現実を踏まえまして、国際協力あるいはサイバーセキュリティー政策に関する議論を深めていく必要があろうかと思います。  しかしながら、議論を行う上での前提や視点というものが異なっているというだけではなく、実際には現実が考慮されてない点が多々あるのではないか、このように思っております。  一九九〇年代、情報技術分野、特にインターネットは劇的に発展をいたしました。この頃につくられた認識というのは、今日明らかに間違っているとは言えないまでも正しくはない、私はこれを神話あるいは幻想というふうに呼んでおります。そういった観点で、私はサイバーセキュリティーをめぐって五つの神話があるというふうに思っております。  皆様、別紙の二を御参照いただけますでしょうか。  サイバー空間はデジタル上の仮想空間である、サイバー空間は公共財である、国境がない自由な領域である、これらは実態を反映していないというふうに考えております。お時間の関係もございますので、かいつまんで御説明をさせていただければと思います。  一つは、サイバー空間は仮想空間だという神話でございます。サイバーという言葉自体は、やはりデジタル、そういったイメージと結び付くものかと思います。しかしながら、サイバー空間というのは実際には物理インフラや地理に密接に依存をしております。  例えば、国際的なインターネット通信の九五%以上は海底ケーブル、世界にある約二百本以上の海底ケーブルを通じて行われております。さらに、日本国内の海底ケーブルの陸揚げ拠点、こちらは千葉県あるいは三重県の志摩、こういったところに集中をしてございます。このように考えますと、韓国中国についても特定の都市や場所に依存をしておるという状況でございまして、このサイバーセキュリティーという政策をつくっていく上では物理的な視点も必要である、こういうふうに考えております。  二つ目は、サイバー空間は公共財ではない、そういった話でございます。よくサイバー空間は、海や宇宙と並びまして国際公共財だ、グローバルコモンズだと呼ばれることがございます。しかし、これは誤りでございます。サイバー空間は自然空間ではなく、人工的な空間でございます。我々がサイバー空間と呼ぶときに実際何を指しているのか。それは通信チャネルや通信デバイスや、あるいはデータストレージでございます。そして、これらは全て企業や個人の所有物であり、さらには企業が投資やコストを掛けて維持をしている、そういった実態がございます。  かつて米国も、二〇一〇年頃、国家安全保障戦略や国防見直しの中で、サイバー空間はグローバルコモンズなんだ、そのように位置付けておりました。しかしながら、最近ではコモンズという言葉は消えまして、共有空間である、こういった言葉が使われております。これは、サイバー空間自体が民間のインフラストラクチャーや投資を前提に成り立っているんだ、そういった前提での認識変化というふうに考えております。  昨年末、米国の連邦通信委員会は、ネットワークの中立性という原則を見直しました。この原則は何かといいますと、インターネット上のデータは、ユーザーはお金を払っているかどうか、政府のものなのか、あるいは私的なサイトなのか、それを問わず、インターネット上のデータは平等であるべきだという考え方でございます。  これ自体はインターネットの黎明期から脈々と維持されていた、支持されていた原則でございますが、トランプ政権はこれを見直しました。その根拠というのは、やはりこのインターネットのインフラストラクチャー自体は民間が莫大な投資をしているんだ、その投資の上に成り立つインターネット上のデータは平等であっていいのか、そういった観点から見直しを決定をいたしました。  私は、この見直し自体が妥当であるというふうには思いません。しかしながら、サイバー空間は民間のインフラと投資を前提に成り立っている、こういった観点でサイバーセキュリティー政策を構築する必要があろうかと思います。  時間の関係でもう一点、四点目の神話についてお話をしたいと思います。  かつてサイバー空間の広がりというものは、主権国家のパワーを相対化すると考えられてきました。サイバー空間では個人やテロリストが主権国家と同様にサイバー戦争やサイバー攻撃能力を持つんだ、そのように信じられてまいりました。実際にそういった小説や映画、数多く出ておりますが、しかしながら、洗練されたサイバー攻撃、これはほぼ全て地政学的な対立や国家による関与、これが背景にございます。先ほど御紹介しました別紙一の例、こちらの事例はほぼ全て国家による関与が強く疑われるものでございます。  したがいまして、このサイバー攻撃のリスクを最小化する、極小化をする、すなわち国家間の対立を最小化する、地政学上の対立をマネジメントすることにほかならないというふうに思います。  残念ながら、アジア太平洋地域は伝統的な国家間対立が色濃く残っております。こういった対立を前提としたビットコインの窃取、資金の窃取、知財の窃取が行われておりますので、あくまでも国家間の対立をいかにマネジメントするのか、そういった観点でサイバーセキュリティー政策を構築する必要があるというふうに思います。  こうした視点を踏まえて、最後に提言を申し上げたいと思います。  まさに日本外交が目指す姿は、中長期的にはサイバー空間に法の支配を確立し、自由で開放的な、かつ安全なサイバー空間を維持することでございます。こうした目標に対して、二つの国際協力のアプローチがあるというふうに考えております。  一つは、国家が合意をして規範を作るもの、いわゆる条約や国際法の世界でございます。しかし、全ての主権国家が議論をして包括的なルールに合意するのは難しい状況でございます。現状では基本的な合意さえ議論の余地がございます。例えば、国連憲章を含む既存の国際法体系がサイバー空間に適用されるのかどうか、これさえ各国では議論がある、合意ができていない。そういった現状を踏まえますと、全ての国が合意をするルール作りではなく、あくまでも価値観を共有するような国々で、まずは先行してルールを作っていくことが重要だというふうに考えております。  具体的には、北大西洋条約機構、NATOは、非公式文書でございますが、タリン・マニュアルというマニュアルを策定いたしました。これはサイバー戦争あるいは平時のサイバースパイ活動をルール化するというものでございます。これはあくまで非公式文書ではございますが、全くルールがないところにルールを作ろうとしていると、こういった取組でございます。あるいは、伊勢志摩サミットでは、日本が主導してG7各国がサイバー空間に国際法が適用されるんだ、こういったことを確認をしてまいりました。したがいまして、まずは価値観を共有する国々でルールを作っていくことが必要かと思います。  また、ルールの内容という観点では、現実的なのはデジタル空間でのジュネーブ条約であると考えております。これはマイクロソフトのブラッド・スミスさんが提唱するものでございまして、国家による民間企業へのサイバー攻撃を禁止するものでございます。これは当然に、一九四九年の文民保護に関するジュネーブ条約からのアナロジーでございます。  しかしながら、国連でのルール作り、あるいは有志国家でのルール作りは非常に時間が掛かることでございます。海洋法の分野ではグロティウス以来四百年、核軍縮や不拡散の分野では約六十年の歴史があってこその現状でございます。サイバーセキュリティー分野は時間を掛けられません。したがいまして、もう一つのアプローチが必要というふうに考えております。  こちらのアプローチにつきましては、実践ベースの国際協力と呼んでおります。これは何かといいますと、ルールに先行して国家が、政府が、あるいは国会が行動を起こしていくデファクトな規範作りでございます。具体的に申し上げますと、全てのサイバー攻撃をゼロにすることはできません。しかし、国家や社会にとって許容できないサイバー攻撃、こちらについては、サイバー攻撃の発信源を特定をし、それを公開し、場合によっては制裁を行う、そういった行為を是非お願いしたいと思っております。  こちら、制裁といっても、単に名指しで批判をする、経済制裁を行う、あるいはハッカー個人を刑事訴追をする、外交的な手段に訴える、様々なオプションがあろうかと思います。実際に、昨年五月、ワナクライ、いわゆる身の代金ウイルスが全世界的に流行いたしました。この事案の約七か月後、米国は実行犯である国として北朝鮮を名指しで批判をいたしました。その際に、日本、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドも同様の声明を発出しております。これは恐らく、事前にサイバー攻撃の発信源に関する技術的な情報共有、あるいは政策調整があったというふうに推察をしております。  しかし、サイバー攻撃を特定するということも非常に大きな作業でございます。サイバー攻撃を特定することは、一般的にアトリビューションと呼ばれております。このアトリビューションというものは、技術的な証拠集めだけではございません。ネットワークあるいはこういったものを見るだけではなく、ハッカーの戦略的な意図は何なのか、そこに地政学的な対立はあるのか、こういったことを統合的に分析をし、サイバー攻撃の発信源を特定をする、これがアトリビューションでございます。実際に、このアトリビューションというものは、ほとんど諜報活動、インテリジェンス活動でございます。したがいまして、日本がインテリジェンス活動を行っていくのみならず、やはり有志諸国でのインテリジェンスでの協力というものが不可欠かというふうに思っております。  最後にまとめますと、提言といたしましては、やはり、国際法や条約、こういったルールベースでの取組というものは不可欠でございます。ただ、時間を掛けていては、サイバーセキュリティー、現状のサイバー攻撃に対処はできません。したがいまして、許容できないサイバー攻撃については、発信源を特定をし、それを公開し、必要に応じて制裁を行っていくことが必要不可欠であるというふうに思っております。  最後に、是非、調査会の皆様におかれましては、何が許容できないサイバー攻撃なのか、これを是非議論していただきたいと思っております。  私としましては、国家によるサイバー攻撃のうち、民間セクターへのサイバー攻撃、営業秘密を盗む、知財を盗む、こういった攻撃、二つ目に重要インフラに対するサイバー攻撃、電力や通信、金融に対するサイバー攻撃、そして最後に国政選挙に対するサイバー攻撃、これ自体はやはり日本の民主制度の根幹を揺るがしかねないサイバー攻撃でございますので、こういったサイバー攻撃については、これは是非、国会として許容できないレッドラインである、したがいまして、国会としてのサイバー攻撃に関する調査、攻撃元の特定、さらには制裁といったオプションを是非整備していただきたいと思っております。  私からは以上でございます。御清聴ありがとうございました。
  16. 三木亨

    理事三木亨君) 川口参考人、ありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。  質疑及び答弁の際には、挙手の上、会長の指名を受けてから着席のまま御発言いただくようお願いいたします。  まず、大会派順に各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言いただきたいと存じます。  委員の一回の発言時間は答弁を含め十分以内となるよう、また、その都度答弁者を明示していただきますよう御協力をお願い申し上げます。  それでは、質疑のある方は挙手を願います。  吉川ゆうみ君。
  17. 吉川ゆうみ

    吉川ゆうみ君 自由民主党、三重県選出の吉川ゆうみでございます。  三人の先生方、大変貴重なお話を賜りまして誠にありがとうございました。また、貴重なお時間を賜りましたことにも心から御礼を申し上げたいと思います。  まず、私からは、少し漠とした大きな質問になってしまうかもしれませんけれども、ちょうど今予算の季節でございますので、防衛費について、皆様からの個人的な御意見で結構でございますので、お伺いをさせていただきたいというふうに思っております。  平成三十年度の防衛予算でございますけれども、五兆二千億ということで、昨年、二十九年度よりも少し上乗せということで、マスコミなどでも様々な報道されておりますけれども、私、絶対比で見てもGDP対比で見ても、我が国の防衛費というのは決して高いものではないと。今、先生方から様々なお話がございましたように、今我が国を取り巻く環境というものは非常にこれまでにない危機的なものがあるというふうに認識をいたしておりますので、私たち日本人が安心して、そして安全の下で暮らしていくためには、こういった部分の充実化ということは私は必須であろうかというふうに思っております。  そういった中で、先生方の御専門の分野も含めて、この我が国の防衛、情報セキュリティー、サイバーセキュリティーの分野とか様々な御専門で違うかと思いますけれども、先生方の御専門の分野も含めて、我が国の安全を守るための費用、予算というものに対しての考えをお聞かせ願えればと。簡単で結構でございます。時間、一人十分ということになって、私の質問時間十分ということで、ほかにも少しお伺いしたいことありますので、簡単で結構でございますので、お教えを願えればと思います。
  18. 三木亨

    理事三木亨君) 全ての参考人の方にですね。  では、山田参考人から順にお答え願いたいと思います。
  19. 山田吉彦

    参考人山田吉彦君) ちょうどこの防衛に関するものというのは、代替時期が来ているものもかなりあると思います。特に、急速な発展、技術の発展に伴いまして、新しいタイプの装備、特に専守防衛に関する装備というのは非常に重要になってきているということと、急速に展開しておりますグローバル化の中で、日本の海という価値観、例えば領海と排他的経済水域だけでも四百四十七万平方キロメートルと、世界で六番目に広いと言われる海を持っております。さらに、そのシーレーン、世界の海が連携しているというところから、海洋国家としてこの海全体を守っていくためにはやはり海上防衛、そして、海だけではなく空も含めまして、何よりも今問題となっておりますのは沿岸警備。となると、陸上自衛隊のもの等含めましての防衛予算というのは、ある程度費用を掛けなければいけない時期に入っているんだと思います。  そしてもう一つ、防衛予算ではないのですが、北朝鮮の漂流船の問題等踏まえまして、やはり何よりも海上保安庁の予算というのが、人員的にも装備的にも他国に比べましてまだまだ脆弱だと言わざるを得ない状況。これだけの海洋国家であれば、ダイナミックに海洋警備機関の充実を行っていただけたらと望んでおります。
  20. 川崎哲

    参考人川崎哲君) ありがとうございます。  日本の防衛費が年々、今ちょっとデータございませんけれども、例年伸びてきているということが周辺諸国に対して悪影響、つまり防衛費増強の連鎖をもたらすのではないかということを懸念をしております。  世界の軍事費は、今世紀に入りましてずっとアメリカの対テロ戦争という政策によって右肩上がりで伸びてまいりまして、冷戦末期を超えたわけであります。二〇〇八年から一〇年ぐらいの間、リーマン・ショック等世界経済の影響があって世界の軍事費全体が横ばいから下降に向かう流れがあったんですが、ここ数年でまた微増になってきております。  世界の地域で見ておりますと、これまではアメリカが半分、世界の軍事費の半分ぐらいはアメリカ合衆国のものだったわけですけれども、それがぐっと減ってきて、逆に中国が第二位でかなり大きなポジションを占めるようになったわけですけれども、地域で見ますと、東アジアがここ数年の間で軍事費増の非常に顕著な地域になってきていると。例えば、中東地域とかアフリカ地域、実際にいろんな紛争があるところに比べても東アジアが大きくなっていると、このような状況でありますので、日本中国が軍事費増強の連鎖反応を起こしていくということに対して懸念をしております。
  21. 川口貴久

    参考人川口貴久君) まず、サイバーセキュリティーに関する予算は、恐らく防衛費だけには限定されないと思っております。各省庁の予算も入ってくるかと思います。  さらに、重要なのは、実は重要インフラ、こちらは民間企業の投資の対象でございます。したがいまして、サイバーセキュリティー、日本全体のサイバーセキュリティーを考える際に、これはコストではなく投資なんだという観点で、全省庁あるいは民間企業に対しても目を光らせていただきたいというふうに思います。
  22. 吉川ゆうみ

    吉川ゆうみ君 ありがとうございます。  今の川口先生のお話、まさに本当にそのとおりだと思っておりまして、コストではなくて投資というのは本当にそのとおりだと思います。  済みません、そちらもお伺いしたいのですが、山田先生のタンカーの問題、私も、環境汚染の問題ですね、非常に危惧しておりまして、山田先生がおっしゃった、環境という分野であれば逆に様々な国家間の問題を超えて協力し合うことができるのではないかというふうに私も思っておりますので、ちょっとその辺りをお伺いしたいんですが。  今回の問題も、二〇一〇年のメキシコ湾のディープウオーター・ホライズンよりも、あれが過去、史上最悪だなんて言われておりましたけれども、更に悪い、過去三十五年間でも史上最悪の影響を及ぼしていると言われておるところでございますが、実は、様々な他国からの応援要請をなかなか受けてもらえないうちに日本海域にまで流れてきてしまったであるとか、そういった話も聞いておりますし、元々、例えば我が国と中国の、あるいは日中韓三か国環境大臣会合のような形で、そもそもこういったものが起きたときにしっかりと手当てをする仕組みというのをつくっていきましょうというものがあったかと思うのですが、それが、誤解を恐れずに言うと、少し形だけになってはいないかというところも大変危惧をしておるところでございます。  そういった意味では、他国の事例も含めて、環境でありますとかダイレクトな問題の外からうまく国家間の問題を解決していく、そういった事例、あるいは、こういったやり方がいいのではないかという方策ございましたら、山田参考人に是非お伺いをできればというふうに思います。
  23. 山田吉彦

    参考人山田吉彦君) メキシコ湾の事例もそうなんですが、基本的に油汚染の事故というのは原因者負担、起こした人間が対処するということで、一つは保険制度がかなり充実しております。費用をまずは心配することは余りない。  なので、特に今回も、相手がイランの船会社、所有者がイランであるということもありますので、求償は十分にできるということも踏まえまして、いち早くこれは当事者も含めまして議題にしなければいけないところなんですが、今回の問題、実は日本韓国中国も十分に話合いできる環境なんですが、ここ、この沈没した海域というのは抜け落ちている海域なんです。日本排他的経済水域、中間線をもって主張している部分と、中国沖縄トラフまでの大陸棚延長理論において自国の管轄海域だと主張している、実は両国の管轄、特に油防除に関するものが抜け落ちた海域での事故だということで、当局も積極的に関与できていない場面だと思います。  ただ、マラッカ海峡で起きる事故の場合には、マレーシア、インドネシア、シンガポール、そして利用国が全て被害を被るということで、これはもう国際的な協力体制の下、シンガポールに油防除の機関が置かれておりまして、具体的に実動隊として動いていくと。そして、国連国際海事機関、ロンドンに本部がある国連の海事専門機関を舞台として交渉が進められていくという流れになりますので、もういち早く国際的な枠組みをつくって対処しなければいけないという問題だと思います。特に、このコンデンセートの事故というのは極めてまれなので、実はどういう影響が出てくるのかまだ計り知れないものがあります。  いち早く対処していかなければいけない、そのためには、もう早急に中国韓国含め、あと、あるいは原因者であるイラン含めた形での対応、進めなければいけないところだと思います。
  24. 三木亨

    理事三木亨君) もう時間になりました。
  25. 吉川ゆうみ

    吉川ゆうみ君 ありがとうございました。  時間なので終わります。
  26. 三木亨

    理事三木亨君) 大島九州男君。
  27. 大島九州男

    大島九州男君 今日はどうもありがとうございました。  時間、簡潔に、それぞれの皆さんに一問御質問させていただいたら、共通の質問をさせていただきますので、答弁は一分ぐらいでお願いしたいと思います。  まず、山田参考人。当然、日本は島国でございますので、やはり日本の国防は海またこの海岸線、ここが非常に重要だと認識をしておりまして、沿岸管理体制の充実ということで、具体的にどういうことをすればいいのかというのを先生から御指導いただければというふうに思います。  それから、川崎参考人。先日、オバマ大統領の核戦略をうちの日本の外務大臣がもう熱烈に支持をするような発言をしたと聞き及んでいるんですが、それに対する……(発言する者あり)あっ、トランプですね、ごめんなさい。トランプでした、間違えました、トランプ大統領の。それのちょっと御意見をいただければというふうに思います。  それから、川口参考人。サイバー攻撃というのはもう防ぎようがない、必ずやられるんだと。そのやられるのを分かっていながら、じゃそれをどういうふうに対応していけばいいのかという、そういうちょっと知恵があれば、それをお答えいただければと思います。  お願いします。
  28. 三木亨

    理事三木亨君) では、山田参考人からお願いいたします。
  29. 山田吉彦

    参考人山田吉彦君) まず、沿岸警備体制、何よりも重要なのは機動力であると思っております。衛星、航空機、そして巡視船艇、あるいは防衛、海上自衛隊間の連携による対応。これは、海は広い、かなり広い分野ですので、衛星そして航空機からが不可欠になっております。ただし、もっと例えば北朝鮮の漂流漁船のような細かい案件になるとなかなか大所からでは見づらいというところで、これは日本の海洋で生活している方々、具体的に言うと漁師さんあるいは海運事業者との連携体制というのを確立していく中で、細かい情報と、そして大局から見た機動力をもって入手していく情報の連携、それを統括する組織を確立していくことが重要だと思います。  今、警察、海上保安庁自衛隊そして水産関係、これが情報連携はしていてもまだばらばらであり、統一した意思決定がなされないという状況ですので、海の安全を中心で監督できる機関というのが必要だと思います。
  30. 川崎哲

    参考人川崎哲君) トランプ政権のNPRというのは、内容的には核兵器の役割の拡大、また小型核というようなより使いやすい核の追求といったような内容を含んでおりまして、その前のオバマ政権のときの核なき世界という目標を根本から否定するように読めるものであります。これに対して河野外務大臣が高く評価するというふうなメッセージを出したことは、非常に誤解を招く危険があるというふうに思われます。  NPTで既にアメリカは核軍縮を行っていくということについてコミットしているはずであるにもかかわらず、今回の政策内容を見ると、これまでのコミットメントと明らかに異なる部分があるわけですね。少なくとも、それらの整合性はどうやって取るのかということの説明を求めないことには、これを手放しで評価するというのはちょっと理解に苦しむ対応だというふうに思います。
  31. 川口貴久

    参考人川口貴久君) おっしゃるとおり、サイバー攻撃をゼロにすることは不可能でございます。したがいまして、被害を前提とした対策を講じる必要があります。  二つございまして、一つは早期の復旧でございます。サーバーやシステムがダウンしても早期に復旧をさせること。もう一つは代替性でございます。サイバー攻撃を受けたとしても代替的な手段を取る。例えば、山田参考人の御専門である海洋分野では、米艦船がナビゲーションシステムが壊れてしまった、機能しなくなった。その場合は昔ながらの天体航法に戻るんだという形で、システムが使えなくてもオフラインでの継続はできますので、この早期の復旧と代替性、こういった対策を講じる必要があるというふうに思います。  以上でございます。
  32. 大島九州男

    大島九州男君 ありがとうございます。  それぞれの分野でやはり皆さんがお話をされた、やっぱり最終的にはそういうコンピューターがあれしたときでも人。やっぱり、いろんな意味で情報だったり、そういうものがすごく大切だと。  私がさっきオバマさんと言ったのは、オバマさんの核戦略とか核に対する方針を日本の国民が当然支持するなら分かるけれども、トランプさんの戦略を我々被爆国であります唯一の日本人が、外務大臣が支持をするというのは僕も甚だちょっと疑問なので、しっかり聞いてみたいと思うんですが。  今テレビやマスコミで、まさに北朝鮮がミサイル撃ってくるんだと、だから若い人たちはそれに対して武器を持たなきゃいけないという話をするんですが、私はふと、その武器というのは何なのかと。ミサイルにミサイルということではなくて、日本は、やはり我々が今まで経験した被爆、それから今回の原子力事故のそういった悲惨な事件や事故、これに対するいろんな対策、こういう技術を世界に広めていくとか、またいろんな国際貢献をしていくという、そういったことが日本の武器になるのではないかと、私は個人的にそういうことを思っていて、それぞれの参考人の皆さんがそれぞれの分野で、そういう諸外国の攻撃に対して、日本は、そういう戦う武器ではなくて日本にはこういう武器があるぞというのがあったら是非ちょっと教えていただきたいと思うんです。  それぞれ、ちょっと難しい質問ですけれども、そういう具体的な武器ではなくて、日本はこういうことで国際貢献をしている、そういうことに対する世界の貢献が戦争を抑止する武器になるというものがあったら教えていただきたいと思います。
  33. 三木亨

    理事三木亨君) では、山田参考人からお願いします。
  34. 山田吉彦

    参考人山田吉彦君) 最も日本の、特に海洋の世界での武器になり得るのは、やはり人、人材協力、そして海洋国家として発展してきたこの過程、戦後復興の過程。造船も含めまして、やはり何よりも人材、そして、この海の安全は日本海上保安庁が培ってきた警察権で守っていく海というところの協力アジア一帯に広めていくというところでも、当然その後ろ盾になる防衛力というのは必要になってきますが、まずは海上警備機関協力体制、これは着実に進んできている状況だと思います。更にダイナミックに展開していき、大国もそれに同調してもらえるだけのネットワークづくりというのは欠かせないことだと思います。
  35. 川崎哲

    参考人川崎哲君) まさに国際法国際条約を通じた核軍縮・不拡散の枠組みというもの自体が今おっしゃったようなものになっていくというふうに思います。  確かに、北朝鮮の核の脅威、目の前の脅威に対しては何らかの対応が必要なんですけれども、そこで怖い、大変だということだけ言っていても解決にならないわけでありまして、今日、私、先生方にお考えいただきたいと思いましたのは、この核兵器禁止条約というのが今の危機を何とか解決した後のきちんとした出口になっていく、そのための整備をするということを今からきちっと議論をしていただきたいということでございます。
  36. 川口貴久

    参考人川口貴久君) 武器という観点では、他国のキャパシティービルディングができる人材というふうに考えております。  発展途上国では、セキュリティー状態が良くない端末やサーバーが放置されております。これは、彼らが被害に遭うというだけではなく、彼らが加害者になってしまう、つまり乗っ取られてさらに第三国に攻撃をしてしまう。そういった観点で、こういったセキュリティー環境は改善する必要がございます。  したがいまして、日本の人材の中でも、他国でキャパシティービルディングができる、つまりエンジニアであり英語ができるという人材は非常に大きな武器であるというふうに考えます。
  37. 大島九州男

    大島九州男君 今お話をお伺いさせていただいても、やはり人、日本は資源のない国で、やっぱり人材だということを改めて認識をさせていただきました。  まさにそういう人というものが、それぞれの社会、それぞれの世界の中で生きていると。我々よく教えてもらっているのは、元々同根ですから、みんな同じところから派生して生まれて人類ができているわけですから、そういう環境とか条件とかいろんな国の思惑とか、それぞれの利害関係の中で起きていることはそれぞれの枝葉であって、本来、やはり我々この地球を守っていこう、自然を守っていくという中でいったときには、それぞれの利害の枠組みを超えていかなければ、当然、国境はあっても、それぞれそれは我々が便宜上つくった境であって世界は一つであるという、そういう認識の下に我々政治家も戦争がない国をつくるということが大事であるし、そういう意味ではそこが、人が起こすものでありますから、我々もそういうことをしっかり頭の中に入れながら、世界平和を築くように尽力をさせていただく参考に、今日は大変いい勉強をさせていただきました。  本当に感謝を申し上げて、質問を終わります。どうもありがとうございました。
  38. 三木亨

  39. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。  今日は、三人の参考人の先生方、貴重な機会をいただきまして誠にありがとうございます。  まず初めに、川崎参考人に二問お聞きしたいと思います。  今日は大変貴重なお話を伺いました。先日の、国会で、議員会館で行われました討論集会での議論からまた更にこの具体的な御提案をいただいたなというふうに思っておりますけれども、質問としましては、まず一点目といたしまして、日本政府としても、政府の立場に立った上で、ここにもございますが、核兵器国と非核兵器国の協力と、その意見の対立というものを日本が橋渡ししていくことが重要だと考えているということを表明をしておりまして、そのための具体的な取組も幾つか行っておりますけれども、このことに対する参考人の御評価、これについてまず一点お聞きをしたいと思います。  もう一点は、日本が果たすべき役割として非常に具体的な御提案をいただいて、その中で、日本が今すぐにできる措置ということで、核廃棄の検証、そして被害者援助、環境回復と、この大きく二つを挙げていただいております。先ほども御説明はいただいたわけではあるんですけれども、この二点を挙げられた理由、どうしてこれが日本が果たすべき、今すぐすべき措置だとお考えになるのか、もう少し詳しくというところと、それから、これに対しては、日本政府として、この核兵器禁止条約に対する立場を前提といたしますと、ここにすぐできるとは言われているけれども、やはり矛盾するのではないかというような意見が出ることも予想されるわけですけれども、それに対します反論といいますか、そうではないのだということがございましたら、そこをお伺いしたいというふうに思います。
  40. 川崎哲

    参考人川崎哲君) ありがとうございます。  政府が橋渡しをしていきたいというふうにおっしゃっていること、これは非常に貴重なことだというふうに思っております。  橋渡しである以上、やはりこの禁止条約を推進する諸国の主張、それから核保有国の主張というのを双方重視をしてやっていくということが重要であるというふうに思いますけれども、やや残念なのは、この一、二年、政府の姿勢で見られているのは、核保有国側の立場をしっかり代弁するけれども、禁止条約については、例えば日本が提出する国連の決議の中で禁止条約のことにそもそも触れないであるとか、そういった対応をしていますので、その辺りを改めて、むしろ今政府がなさっていることを禁止条約を発展させるためにも生かすというような形で転じていただければ、これまでやってきたことと矛盾なく実際の橋渡しになるのではないかと、こういうふうに思うところなんですね。  この点が、二点目のこの検証措置と、それからまた被害者援助ということに重なるわけですけれども、検証措置というのは、まさに今このIPNDVという国際枠組みの中で日本が主導的な役割を果たして研究を進めておるわけですね。これは核兵器禁止条約そのものの強化にも生きますし、かつまた日本安全保障にとってもプラスなわけですね。  つまり、どこかの時点で北朝鮮の核放棄ということが本当に実現するのであれば、北朝鮮を核放棄させなければいけないわけですね。しかし、今の国際的な法的な枠組みや技術的な制度の下では、北朝鮮が本当に核をなくしたのか、あるいは再核武装のおそれがないのかということを確認するすべがないわけですね。NPTに戻れと言っても、NPTに戻ったところでそれを確認できないわけですね。ですから、そのようなことを今のうちから技術的にも法制度的にもつくることは、まさに日本安全保障にプラスなわけです。そのことで、かつ禁止条約という大きなこの枠組みにも生きるということでありますから、まさに橋渡しになっていくということであります。それがよくある批判に対する答えにもなるかと思います。これは、世界的な核軍縮という大きな目標に貢献すること、プラス日本安全保障にとってもプラスであると、これが特にこの検証措置については言えるというふうに思います。
  41. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 ありがとうございました。  今日は大変テーマが広くございまして、時間も限られてはいるんですけれども、こうした調査会一つこのテーマについて議論ができるというのは非常に有意義かなというふうに感じております。ありがとうございました。  次に、ほかの参考人の先生にお伺いしたいんですが、山田参考人にお伺いしたいと思います。  山田参考人からは、海洋分野の御専門ということでお話をいただきました。お話の中でもございましたが、海洋安全保障に係る国際協力ということで、アジア各国との連携というところがこれからも非常に重要であると思います。  その中で、人材育成というところに日本がこれまで取り組んできたことも非常に評価すべきでありますし、有意義であったと思っておりますけれども、よりこういう人材育成を通じた各国との連携を強化していくために重要だとお考えになっていることが何かをお聞きしたいんですけれども、お話の中でもアジア各国海上警備機関育成というところで少し触れていただきましたが、時間が限られていたので、もう少し補足で御説明がありましたら是非お聞きしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  42. 山田吉彦

    参考人山田吉彦君) 現在、海上保安大学校に留学生を受け入れております。ただし、やはり人数的にも限られているということと、どうしても日本が受け入れる、全面的に一国で受け入れるという形になっております。であれば、ASEAN協力、あるいはASEANプラス3の形で多国間の枠組みの国際的なコーストガードの育成機関、例えば、世界海事大学というものがあります。そこでは海洋問題等、国連機関の大学として人材育成をしておりますが、その中で、国際的な国際法に基づいた海上警備機関育成というのを、日本が中心になって、海上保安庁とはまた別な枠組みで国際的な海上警備機関で働く人間を育成していく大学、特に大学院大学のような形で、できるだけ最終的には上層部に行く人材を育成していく必要があろうかと思います。  海洋政策を教えている大学というのは極めて少なくて、本格的に海上保安政策で大学院を持っているのはオーストラリアにあるウーロンゴン大学というところなんですが、ここの大学院生、ほとんどが軍人です。海軍の軍人が海洋政策を学んで、自国に帰り、そして安全を守っていくという形になっています。残念ながら、日本からは、防衛省からは人は出ておりませんが、アジア全体、各国の人間はそこに通うというような形で、共通の高度な知識、そして共通の理解を持って対処していく人材の育成、それが一つの大学では、一国の大学ではなくて、私は国連大学のような形で国際的な警備大学ができることが望ましいと考えています。
  43. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 ありがとうございました。  最後に、川口参考人に、サイバーセキュリティー分野においても、今お話の流れがあった人材育成といいますか、そういったところが重要なのではないかと思っているんですけれども、そこについて、日本が抱える課題と御認識がありましたら教えていただければと思います。
  44. 川口貴久

    参考人川口貴久君) ありがとうございます。  やはり、サイバーセキュリティー分野の人材は非常に足りない足りないというふうに言われております。ただ、これ一般的に足りないと言われておりますのはエンジニアの人材不足でございます。一方で、政策サイド、例えばサイバーセキュリティーに関する法律や、あるいは貿易政策、こういった専門家はほとんどいないという状況でございますので、まさにエンジニアサイドだけではなく、いわゆる政策サイドのサイバー人材の育成についても是非御検討いただければと思います。
  45. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 ありがとうございました。  以上で終わります。
  46. 三木亨

    理事三木亨君) 武田良介君。
  47. 武田良介

    武田良介君 日本共産党の武田良介です。  今日は三人の参考人の先生、貴重な御意見ありがとうございました。  川崎参考人にお伺いをしたいと思います。  昨年の七月に、国連加盟国百二十二か国の賛成で核兵器禁止条約が採択された。まさに歴史的な快挙だというふうに思いますし、歴史的転換点になる条約採択ではないかなというふうに思います。  ICANのノーベル平和賞の受賞も心から祝福をしたいというふうに思います。今回の受賞の理由の中に、この核兵器の使用がもたらす破滅的な人道上の結末への注目を集め、核兵器を条約によって禁止するための革新的な努力をしてきたことというのが挙げられていること、私も非常に注目をしておりますし、今日も先ほどのお話で非人道性ということをお話しになられておられました。  そこで、この非人道性を国際的な共通認識にしていくことの重要性をどうお考えであられるかということと、とりわけ日本では被爆者の皆さんがこの非人道性ということを訴えてこられた強いメッセージがあったというふうに思いますが、今後、被爆者の方が直接語り部として語っていくことがなかなかできないようになっていく状況あろうかと思いますけれども、そういう意味で、この核兵器禁止条約、私は大きな意味を持っているんじゃないかなというふうに思いますけれども、その点でいかがでしょうか。
  48. 川崎哲

    参考人川崎哲君) ありがとうございます。  今回の禁止条約は、核兵器が使われた場合の結末、何が起きるか、その非人道性ということをベースに国際人道法の考え方で作られた条約でありますので、それまでの核軍縮をめぐる、あるいは核軍備管理をめぐる議論の枠組みを大きく変えたわけであります。伝統的には軍事バランスの問題として軍備管理の協定が作られていたわけですけれども、誰の核兵器であろうとも使われたら大変なことになるという非人道性の観点での議論が高まったと、そのようなことを市民社会やあるいは核の被害者、広島、長崎の被爆者たちが頑張ってやってきたということで、ノーベル平和賞の受賞にもつながったということでありますし、国際的な議論が高まったということであります。  ですので、この視点、誰が使おうと結末が大変であるというこの視点をきちっと維持していくことが、国際社会がこの核兵器に向かうときに、この議論をするときにぶれない一線になると思うんですね。そのようなぶれない線を出せるのは、やはり被爆国の日本であろうというふうに思います。  先生おっしゃるように、実際にはもう八十二歳、平均年齢を超えた被爆者の方々が語っていくということが困難になっていきますので、むしろ今回作られた法規範を活用して、核の非人道性、これ使用されたら大変なことになるということの警告をしていくことを、むしろ日本の国の役割として運用し、発展していくということが求められていると思います。
  49. 武田良介

    武田良介君 ありがとうございます。  川崎参考人に引き続きちょっとお伺いしたいんですが、今後の課題という点ですけれども、それぞれの国が、今後、政策転換をしていく必要性もあろうかというふうに思っております。  振り返れば、たしか南アフリカ、かつて核持ったけれどもそれを廃棄する、国際的な査察ですかね、受け入れていくという流れもあったかというふうに思いますし、今回の条約でも、NATO加盟国ではたしかオランダが参加をされていたかというふうに思います。  そういった国々での変化ということも私注目しておりますけれども、今後の各国の政策転換の可能性、意見陳述の中では日本の立場をどうするのかということで具体的な提案もいただきましたけれども、各国の政策転換の可能性について御意見いただければと思います。
  50. 川崎哲

    参考人川崎哲君) 今日の資料でもお示ししましたように、NATO加盟国の中でノルウェーとイタリアの両国が、このNATOの義務を果たしたまま核兵器禁止条約に入るということがいかにして可能か不可能かと、そのことについて調査するというプロセスを正式に議会の決議を踏まえて始めております。まだ結論は出ておりませんけれども、そういったことを真剣に考えておると。  それから、御指摘のようにオランダも、NATO加盟国ではありますけれども、禁止条約の交渉には参加をしたということであります。  スウェーデンの場合は、NATOの加盟国ではありませんが、NATOに比較的近い防衛政策を取っている国で、やはり同様の調査プロセスが始まっているということでありますので、米同盟国であるから一律に駄目だということではなくて、同盟とこの核兵器禁止ということをどういうふうに両立できるかということの真剣な議論がヨーロッパでありますので、これを日本でどのように同じような議論をしていくかということが大きな課題になると思います。
  51. 武田良介

    武田良介君 もう一問、川崎参考人に。  北朝鮮の脅威に対してということで、先ほどもお話がありました。これはやはり、今国民的にも非常に大事な論点になっているかというふうに思っておりますが、日本共産党はこの点でも、北朝鮮に核兵器の廃棄を迫っていく上でも日本も核兵器禁止条約に参加をしていく、もう日本も核抑止に頼るということではなくて平和解決を目指していくんだと、そういう立場に立つことが北朝鮮に対して核兵器廃絶を迫っていく、もちろん政治的にも論理的にも強い立場を持って迫ることができるようになるだろうというふうに考えておりますけれども、そういった点で、北朝鮮の脅威という点、もう一言いただければというふうに思います。
  52. 川崎哲

    参考人川崎哲君) この北東アジアに非核兵器地帯をつくるという考え方が長く提唱されております。つまり、北朝鮮の核問題の解決のその先の姿として、地域の国々が非核化、地域として非核化するということであります。これは、今ある核兵器禁止条約に例えば北朝鮮韓国日本の三か国が同時に加入をすれば、そのような事実上の非核兵器地帯になるということであります。  北朝鮮に関しては、さきに述べたように、国際監視下で核を放棄すると。そして、韓国日本に関しましては、禁止条約に入れば、これらの両国の国土には核兵器を配備できない、あるいはそれらの国々は核兵器の使用を援助することができないということになりますので、地域の非核化が達成されるとともに核の脅威を大幅に削減するということに寄与しますので、もし日本が単独で今条約に加入できないのだという議論が強いようであれば、どうやって地域で同時に加入できるかということを追求することも一つの方法だろうと思います。
  53. 武田良介

    武田良介君 今の点に関連して、アジア太平洋地域、東アジアというか、もう少し広げてアジア太平洋地域ということで見ると、例えばインドだとかパキスタンだとかそういった国もある、正確な、正確なといいますか、核保有国五か国以外の国も含めて、持っているだろうと言われている国も見れば、非常にこのアジア太平洋地域というのは重要になっているかなというふうに思いますけれども、もう少し視野を広げた点で何か御見解があれば。
  54. 川崎哲

    参考人川崎哲君) 先ほど軍事費の話でアジアで増えているということを言いましたけれども、核兵器に関しても、インド、パキスタンまで視野に入れますと、このアジアの核保有国がどんどんと核兵器を増強させているという現実があるわけですよね。  ですので、日本、朝鮮半島、こういった辺りから核兵器禁止条約にコミットしていくということによって、アジアでの核軍拡競争を抑制していくという措置をとらないといけないんじゃないかと思うんですね。今、北朝鮮の核に対して対応が必要だという議論に、その軍事的な議論に傾斜し過ぎてしまいますと、逆に現実に起きているアジアの核軍拡のサイクルというのを悪化させてしまうというふうに懸念しております。
  55. 武田良介

    武田良介君 最後に、川崎参考人一つだけ。  先ほどの質問にもありましたけど、アメリカの核態勢の見直し、日本の態度についての質問があったんですが、この核態勢の見直しそのものについての評価といいますか分析といいますかがあればお聞きしたいと思います。
  56. 川崎哲

    参考人川崎哲君) 核の役割を縮小するとかあるいは新型核を目指さない、そういったことを追求しないということは、実はこれまでのNPTの再検討会議の中で積み重ねられてきた合意でありまして、これ全会一致の合意ですから、アメリカ合衆国も拘束されているわけですね。  ですので、今回のトランプ政権のNPRというのは、これまでのNPT合意とどう整合性が取れているのかということを恐らくアメリカ政府はこれ説明しなければいけなくなるわけでありまして、日本政府は、禁止条約は駄目だけれどもNPTは重要だと、NPTの下での核軍縮があるからそれが大事なんだというふうに言ってきた立場でありますので、NPTの下での軍縮合意と今回のトランプ政権の出してきている事実上の核軍拡のためのというふうに見える核戦略との整合性の議論が今必要になってくると思います。
  57. 武田良介

    武田良介君 ありがとうございました。  ずっと聞きたいことがあって、二人の参考人にはちょっと失礼しましたけれども、時間になりますので終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
  58. 三木亨

    理事三木亨君) 石井苗子君。
  59. 石井苗子

    石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。  三名の参考人の皆様、今日はありがとうございます。私は、この三つの分野にほとんど素人でございまして、質問というよりは教えていただきたいという感じがしているんでございますが、三名の方々に一度に御質問をいたしますので、時間の関係上、もし途中で分からなくなったら聞いていただきたいと思います。  まず、山田参考人からですけれども、私は、これ私の観察なんですけれども、中国というのは生産量を高めて売っていかなければいけないと考えている国ではないか、しかも、外に売らなければいけないと考えていると。その影響力を及ぶようにするために一帯一路というのをつくっているというふうに理解をしております。陸のシルクロードがなかなか滞って難しいので、資金も掛かりますので、海のシルクロードを先につくっていこうと考えているんだと理解しているんですが。  南シナ海を埋め立てたりして領土の広がりを求めようというような、少しそういう陸と海が一体となってやっていって、攻撃をしても紙くずのようなものだといって全然相手にしてくれないわけですが、そういう国に対して、一番目の質問なんですが、海上保安庁のような、警察も含めて、海上の保安の力を高めていくということもあるでしょうが、ここ、自衛隊が関わるようにしていくというのも必要なんではないかと。私の意見ですが、それが一番目の質問です。  二番目の質問は、その漂流船なんですけれども、気が付かないというのがまずもって問題なんではないかと思っておりまして、例えば、島にあった発電機が泥棒されて初めてそうかというような感じであったりするわけですね。これは民間の方々から提携をしながら何かやっていく方法はないんでしょうかというのが二番目の質問です。  三番目に関しましては、ちょっと私も素人なんですが、北朝鮮の漁民に関しては軍が監視をしている、監視をして押し出しているのではないかという情報もあります。荒波の中にもまれて漁民と称して着いているわけなんですが、武装している船も見られるわけですね。そういった視点でも、ただ漁業の人たちが漂流しているという考え方だけではいけないと思うんです。中に工作員がいらっしゃるかもしれない。英語の辞書を持っていたという人もいらっしゃいますし、ウイルスというのは特定されませんが、そういう心配もあります。大体、質問としては、何日間ぐらい漂流している人たちなのかというのが次の質問で、なぜ軍が関与していると見られているのかというのが私の質問です。  その漁業権というものがあるんですけれども、北朝鮮中国に売っているという、外貨をそれによって獲得しているという情報があるんですが、漁業権自体を売り渡しているということ、これは本当なのでしょうかという、これ最後の質問です。  川崎さんに質問いたしますが、私は、核兵器禁止条約の意義とは何かというのを考えたとき、日本の態度というのは、非核国であり、しかしながらアメリカに対しては核兵器で守ってほしいという。しかし、北朝鮮は、アメリカが何かもしやるかもしれないから、開発等をやめるとなったときには、無力化をして二度と使えないような国にしていく必要性があると私は思うんですけれども、この条約の体制の中では核兵器を持っていない国が管理していくというルールであって、持っている国というのは今のところ対象になってないわけです。持っている国が破棄しなさいというときに反対をしていて、これ保障措置の制度としては、核保有国に対して私は不十分なのではないかと思っています。  条約の意義というのはそこにあって、核兵器禁止条約の実効性がないことが問題であって、法の規範というものがもしあるんだとしたら、専門家でもないんですが、規範として非人道的であり、それは悪であるという主張をしていますと、核保有国の立場は悪くなりますよね。それでいたたまれなくなって、結局、破棄していこうという動きができなくなっていくんではないかと思っております。今持っているものはなくし、持っていないものの国はそのままとしていく方法があるかどうか、質問です。  川口さんのサイバーセキュリティーに関してなんですが、仮想通貨でもそうですが、サイバーというのは侵入であって、サイバーの発信源を突き止めるというのは大変根本的には難しいと思います。インターネットというのは、元々、自由で効率的に情報をやり取りできることを目的に設計されているわけですから、効率よく情報が回るためにつくられているわけですよね。  そうなりますと、攻める側が有利な構造となっているインターネットで、そういうことを踏まえてどうやって守っていくのかということが問題になると思うのですが、例えばさっきのミサイル発射をしていこうと威嚇している北朝鮮というのがあって、強いミサイル防衛システムを持っているからやめようと思いとどまらせると、これが抑止ということではないかと思うんですけれども、サイバーのときでもそういった抑止を持っていかないとならないんじゃないかと私は思っております。どうでしょうか。  インターネットの構造が攻める側で、発信源を突き止めるのが難しいとなりますと、技術的な問題にしても発信源の特定というのが、例えばアメリカなんか高度なインテリジェンスがありますが、対策はある程度できていると思うんですね。特定の発信源を突き止められることができれば、ロシア中国かぐらいまで分かれば、その後は政府が責任を持つといったようなルール、共通認識が広まっていけばいいのではないかと思うのが質問なんですが、いかがでしょうかと。  例えば、中国の人民解放軍がコンピューターで何かIPアドレスでやったとしても、中国側に何かの根拠があるんだとなると、個別のことまでは分からないというふうに言ってくるかもしれませんが、その辺の政府の、国際的に共有されるようになれればいいなと思うのですが、御意見をお伺いしたい。  最後に、この八十二ページを読ませていただきまして、国に関してなんですが、原子力発電所のコンピューターに関する原子炉のこととかいろいろ八十二ページに書いてありますが、我が国は各省庁で所管分野がありまして、ばらばらだとこれ将来的にできないのではないかと。防衛を高めようとしていると言いますけれども、知見のある人が少ない、追い付いていっていないのではないかと思うんですが、御意見をお伺いしたいと思います。  以上です、済みません。
  60. 三木亨

    理事三木亨君) 時間が大分限られておりますので、参考人の先生方、誠に恐縮でございますが、できるだけ簡潔によろしくお願いいたします。  では、山田参考人から順にお願いいたします。
  61. 山田吉彦

    参考人山田吉彦君) 海上警備力、あくまでも防衛力の後ろ盾があってのお話だと思います。陸上であれば警察権の充実だけで対処できますが、外から迫りくる脅威に対しては、それぞれの国の対応が違います。  特に中国という前提になりますと、中国海上警備機関、もう武装の程度が日本でいうと自衛隊と相当する武器、自衛の原則からいうと自衛隊が出なければいけないぐらいのレベルまでなっていると。あくまでも後ろにしっかりとした備えがあって初めて海上警備力は有効になってきます。そのためには、やはり防衛力と合致した形での海上警備力の充実というのは不可欠であると思います。  あと、漂流船に関しまして、由利本荘に関しましても松前小島に関しましても、一か月漂流していたというんですが、十月の二十四日前後、十一月の十一日前後、日本沿岸は波高が六メーターから七メーター近くあった。あの程度の、十メートル前後、十五メートルぐらいの漂流している船ではとても耐えられるレベルではない。少なくとも、かじやエンジンが故障していた船が耐えられるレベルではないと考えます。となると、何らかの意図を持ってしていたと。  私がお配りした資料に、これ、私、テレビで取材を受けたときに見付けた靴の写真があるんですが、漁師が革靴を履いて、船内に革靴があった、しかもかかとが高い。さらに、この船からは英語の書いてあるジャケットが見付かっていると。恐らく、この船の乗っていた人間は、上陸するということは想定していたのではないかということが考えられます。  そういう中で、確かに昨年七月に水産庁の警備船が北朝鮮漁船から銃口を向けられるという事件も起きております。船の中には確実に軍人も入っております。というのは、北朝鮮漁船がほとんど軍の管理下に置かれています。しかも、大和堆という日本の管轄海域まで来れる船というのは大体三百隻ぐらいなんです。そのうち百隻が漂流しているということは、三分の一の人間は帰れない、要は三分の一の人間は死んでこいということで送り出されているわけです。それは、あくまでも意図を持たない限りには起こり得ない。しかも、燃料代を考えますと、とても採算に合う漁ではない。となると、国家の意思を持って漁民が派遣されている。おおよそは漁業を、強制的に漁業をさせられているんだと思いますが、その中には一部日本に漂着することを目的としている者が入っているだろうと。必ずしも工作員とまでは言えないにしても、少なくとも別の意図を持って上陸してきていることが考えられると思います。  北朝鮮、確実に中国に対して漁業権を売っております。私の試算でいきますと、年間百三十億円ぐらいは中国企業に対して売却をしています。これは朝鮮日報、韓国のメディア等ではかなり報道されているものです。それを積み重ねていくと百三十億円。ちょうどそれは北朝鮮の水産物の輸出高と相当する、対外的な輸出高と相当するものを漁業権の売買ということで売っております。  以上です。
  62. 川崎哲

    参考人川崎哲君) 時間の関係で手短にしたいと思いますけれども。  核兵器禁止条約といいますか、核兵器のない世界を目指していくときに、まず、この禁止をするという部分と、それから、それに実効性を持たせて、違反があった場合に検証して執行するというその部分と、二段階あるわけですよね。今回できた禁止条約というのは、これは許されないものであるという規範を作るということをまずしたわけでありまして、おっしゃるように、核保有国等による検証措置がしっかりしなければ実効性がないわけであります。どのようにこの核の廃棄を検証するかということは、核保有国が参加してくれないとできないわけですね、核兵器に関する技術は核保有国が独占しておりますので。その意味で、禁止条約はあくまで前半であって、後半が必要になってくると、こういうことでございます。  しかし、その部分がないから禁止条約に意味がないという批判で止まっていては物事は前進しないわけで、そこで、先ほど佐々木先生との議論の中でもお話をしたように、核廃棄の検証措置に関する技術開発というものをしっかりと日本がして、こうすればきちんと核がゼロの状態が保てるんだという、そういった制度的、技術的な保障ができるようになれば、ある意味では保有国や今の同盟国も安心して入れるようになるわけですから、そこの技術開発というような部分、検証の部分を日本が貢献するということは、つまり禁止条約の弱点を補強するということでありまして、まさに橋渡しとして役に立つと、こういうことであるので、両者を矛盾させずに一緒にやっていくという道はあるというふうに考えております。
  63. 川口貴久

    参考人川口貴久君) ありがとうございます。  まず、抑止力が必要かという観点については、これは間違いなく必要だと思っております。  先生から御質問がございましたのは、どちらかというと防衛力、いわゆるミサイル防衛のような抑止力であったかと思います。これをサイバーセキュリティーに直せば、いわゆるファイアウオールでございますとか、こういったセキュリティー措置に当たります。  ただ一方で、もう一つの抑止力も必要だと思っております。これはいわゆる懲罰的な抑止力でございまして、攻撃に対して反撃をする。そこで、私は今日、意見陳述の中で、経済制裁、刑事訴追、そして外交的な措置ということを御案内させていただきました。  先日発行されましたNPR、こちらは恐らくサイバー攻撃を念頭に置きながら、甚大なサイバー攻撃については核を使うんだ、核で抑止をするんだ、懲罰をするんだということを主張しておりました。これ自体が妥当かどうかはまた別の問題でございまして、ただ一方で、通常兵器、いわゆる通常の軍事力であるだとかサイバー的な手段による報復も含めて、懲罰的な抑止力は検討していくべきだというふうに思っております。  二つ目の御質問とも重なりますが、やはり懲罰をするということは、対象が分かっていなければいけません。つまり、サイバー攻撃の発信源を特定しておるというのが前提条件でございます。  これは元々、インターネット黎明期から、サイバー攻撃の発信源は特定できないんだ、あるいは難しいんだという見方が主流でございました。ただ、二〇一二年頃からこの見方自体は変わってきておりまして、やはりできるんではないかと。それは技術的な証拠保全、あるいは戦略的な意図の分析、地政学上の背景の分析、そういったものをトータルで特定できるんじゃないか、こういった見方が強くなっております。  ただ、御質問にございました、とはいっても国家は否定するだろう。卑近な例を挙げますと、二〇〇七年のエストニアへのサイバー攻撃、こちらはモスクワ市内からサイバー攻撃が行われたということが分かっておりました。しかしながらロシア政府は、それは愛国的な青年たちが自分勝手というか自主的にやったことであって、政府とは関係がないんだ、こういうふうに抗弁をしております。この政府と代理人、プロキシー、ハッカーというのは非常に大きな問題、難しい問題でございます。  一方で、最近の国際協力合意の中では、疑われた国は少なくとも捜査の邪魔をしない、むしろ協力をする、疑わしきサーバーがあればそれを可能な範囲で公開をする、合理的に公開できない理由がない限りですね。こういった場合、規範を作っていくことが国家間同士の国際協力にもなりますし、国家以外のサイバー攻撃主体に対して、ハッカーに対して攻撃元を特定していくことにつながるのかなというふうに思っております。
  64. 石井苗子

    石井苗子君 ありがとうございました。
  65. 三木亨

    理事三木亨君) では、木戸口英司君。
  66. 木戸口英司

    木戸口英司君 参考人の皆さん、ありがとうございました。希望の会(自由・社民)の自由党の木戸口英司でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、山田参考人にお伺いをいたします。  昨年十一月にASEANの首脳会議がございました。南シナ海問題がどの程度の話題になるかということであったわけですけれども、やはりフィリピン、ベトナムというその当事国、どちらかといえば中国との接近が見られたと。対立から協力ということで、その言葉を見れば歓迎する部分もあるかもしれませんが、現状維持ということが見られるんじゃないかと。もう一点言えば、アメリカの関与、関わりというものが、その関与度が下がってきているのではないかという見方もあります。  この点についてお伺いをしたいことと、先ほど来、一帯一路の話が出ております。その中で、特にこの海路の件については日本が主導的な役割を果たすべきだということを先生も御指摘されておりますが、この中で、やはり一帯一路、この中に日本も参画していくべきではないかという議論、また、なかなか、AIIBとの関係もあって、透明であるか公正性があるかという問題の中で課題もあるようであります。その中で、参画というよりは、やはり日本がもう少し独自にアジアそしてヨーロッパと結んでいく、そういう立ち回りをするべきではないかという議論もあると思います。この点、御意見を頂戴したいと思います。
  67. 三木亨

    理事三木亨君) では、山田参考人、お願いいたします。
  68. 山田吉彦

    参考人山田吉彦君) ASEAN首脳会議、確かに、かなりベトナム、フィリピン、ASEAN諸国はトーンダウンしております。これは、確かにアメリカの関与、アメリカの航行の自由作戦自体が形、形式だけのものに感じられ始めているということが大きいかと感じております。その中で、この仲裁裁判の中身ということをフィリピンも理解し、そしてベトナムも感じ始めていると。  というのは、南沙諸島の島々が全て岩である、要は、領海を認めても排他的経済水域は認めないということになりました。そうすると、実はあのルールを、あの判決を一番準用されると島を減らしてしまうのはベトナムになりかねない。フィリピンも中国以上に海域をなくすことになる。となると、新たな火種を生むことになりかねないというところで、現状維持という抑えた形での先送りを覚悟をしている。ただし、決して中国開発が止まったわけではないというところにジレンマがあります。できれば、ASEAN日本協力した形で、制裁措置も含めた行動規範の作成というのを支援していくことが有効であると思います。  また、航行の安全というところでは、日本も積極的に関与し、それは沿岸国、ベトナム、フィリピン等の海上警備力の育成を手伝っていく、サポートしていくということが重要だと思います。  一帯一路に関しましては、海の世界、もうどこの国のものであるということは言えなくなっております。船は国際的なアライアンスの中で共同で運航しているケースが多い。そして、船乗りたちは混乗、フィリピン人、日本人あるいは中国人、インド人、いろんな多国籍で、船籍はパナマを始め便宜置籍国となっている中で、これはもう荷主として、あるいは利用国として日本が積極的に関与していく、応能主義、能力を持つ日本がこの海運の安全、そして海運の一元、一体化に協力していく必要があると思っております。  ただし、AIIBに直接今踏み込む、どうも私も、あの内容を見ていくと余りいい案件というのは成立していないし芽もない、むしろ既存の世界銀行を始め国際的な金融機関を中心に進めていくべきであると。その方がより現実的であり、国際的なジャッジも起こり得ると。  実際に、中国からも直接シルクロード資金を借りたような国は、返済ができない、結果的には港の権利を売ってお金を返すしかないという、これが実際にスリランカでは起こっていることですので、やはり日本はその辺もチェックをしっかりしながら、日本の独自のスタンスを確認し、そして、米国も含めまして、国際協力的な金融制度の下、一帯一路に関与していくことが重要であると。  中国一つの駒になるのではなく、日本が主導したアジアヨーロッパをつなぐ経済圏の確立というのは、私は望むところだと思います。
  69. 木戸口英司

    木戸口英司君 ありがとうございました。  それでは、川崎参考人にお伺いいたします。  まずは、ノーベル平和賞受賞おめでとうございます。  その中で、やはり出口という先ほど来お話があります。武器使用、そして平和利用ということも言われるわけですが、全体としてやはり出口というものを考えていかなければいけない時期に来ているんだと思います。  参考人も、福島の問題、あとは日本が大量のプルトニウムを保有している、核兵器五千発分ということで、こういった核管理、そして核処理、核廃棄ということ、もちろん技術的な問題もあります。そういう中で、福島を経験した日本としては、やはりこういった部分で先頭に立っていくべきだと私も思うんですが、今後の運動の中でこういったことも意識されていくのか。また、こういったことの議論、非常に悩ましい問題でもあると思うんですけれども、避けて通れない問題だと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
  70. 川崎哲

    参考人川崎哲君) ありがとうございます。  やはり福島からの教訓が今のこの核なき世界に向けた国際的な努力につながることは多数ありまして、一つはまず安全の神話ということがありますよね。あの事故が起きてから実は安全神話だったとなると、じゃ核兵器に関する安全神話はないのかと。核抑止論というのは一つの神話であります。お互いのバランスはきっと拮抗するはずなんだということでありますけれども、それがもし破れてしまってから、実際の核兵器が使われてしまってから神話でした、想定外でしたというわけにはいかないわけですから、そこをチェックをしっかりしなければいけないということであります。  それから、やはり核テロの問題があります。福島が見せ付けたことは、冷却装置をストップすればそれは甚大な被害を周辺にまき散らすということでありますから、物理的な攻撃を原発に加えればなおのことでありますけれども、核テロの脅威というものが現実問題になってきたと。そのことが御指摘のプルトニウムの問題とも関係するわけで、原発の使用済燃料の中からプルトニウムが取り出せてしまうと。現在、日本が五千発あるいは七千発ぐらいの核兵器に相当するだけの使用済燃料からの分離したプルトニウムを持っているということをどういうふうに管理強化していくのかということがありますので、この禁止条約の話は規範形成の話でありますけれども、それと並行してこういった問題についての規制強化ということをしていくことが大変重要だと思います。
  71. 木戸口英司

    木戸口英司君 ありがとうございます。  それでは、川口参考人にお伺いをいたします。  企業がこれをリスクと捉えず投資として捉えるべきだということ、お話、そのとおりだと思います。  情報セキュリティー管理最高責任者を置くとか、まあこれは企業、まだなかなか進んでいない状況もあるようで、三割ぐらいですか、報道によりますと。また、日本シーサート協議会ですか、二百六十一チームと大分増えてはいるようですけれども、これだけで全ては語れないと思うんですが、まだまだこれからという部分だろうと思います。  そういう中で、これを政策的にどう誘導していくか、先ほど来お話はあると思うんですが、もう一つ確認をさせてください。その中で、大学の役割というもの、人材育成という話が先ほど来ありますけれども、現状課題と併せてお聞かせいただければと思います。
  72. 川口貴久

    参考人川口貴久君) ありがとうございます。  まず、政策的な誘導でございますが、既にサイバーセキュリティ基本法の改正が現在議論されておるところかと思います。その中でも、やはりサイバー攻撃を受けた情報をどのように公開をして共有するのか、これは非常に難しい問題だと思っております。  当然、個人情報を漏えいしてしまえば、当然これは法律にのっとって開示をしていく必要がある場合がございます。一方で、営業秘密、例えば知的財産になる前の研究開発情報、あるいは防衛情報、これが漏れたということを公開すれば、その企業はどうなるのか。株価が下がります。したがいまして、やはり企業としては、サイバー攻撃を受けたこと自体がリスクになってしまう、それを公開すること自体も更にリスクになってしまうという現状を変えるためには、やはりこの不名誉な、あるいは被害情報を積極的に公開できる仕組みをつくるというところが一番重要かと思っております。  また、大学と兼ねて人材育成課題ということでございますが、先ほど申し上げたように、やはりエンジニアがいない、この課題は恐らく、今、日本社会で共有されていると思います。  一方で、このサイバーセキュリティーの問題はエンジニアだけの問題ではございません。法律を作る方、貿易政策に反映をさせる方、あるいは外交安全保障政策をつくっていく方、こういった方々がやはり必要かと思いますので、このサイバーセキュリティーというのは、一つの分野ではなくて、もう社会全般を反映している問題、あるいは社会全般に関する根幹でございますので、やはり様々な分野の方が専門家として社会に貢献していく必要があろうかと思っております。
  73. 木戸口英司

    木戸口英司君 ありがとうございました。
  74. 三木亨

    理事三木亨君) 江崎孝君。
  75. 江崎孝

    江崎孝君 立憲民主党の江崎でございます。  山田先生、一昨年でしたね、北方領土に御一緒させていただいた、ビザなし渡航で。済みません、最初気付かずに、余りにもそのときの雰囲気と違っていましたので、お声を聞いてあっと思って、申し訳ございません。  そのこともあって山田先生にちょっとお話を聞きたいんですけれども、たしか、あのとき船内で北方領土の返還のことをお話をさせていただいたと思うんですね。やっぱり、全島返還の難しさ、その中で例えば二島返還がどうなのかという議論もさせていただいて、まずは経済援助等々の話もさせていただいたと思います。  その後、安倍・プーチン会談が起きて、安倍さん、日本ロシアへの援助が決まりました。あの決まり方の中身についていろいろ御批判もあるようなんですけれども、先生はあの内容について、決定した内容についてはどうお考えになっていらっしゃるんでしょうか、それをお聞きします。
  76. 山田吉彦

    参考人山田吉彦君) ビザなし渡航の際はお世話になりました。  実際に、まず、返還に関しまして、四島一括というのはかなり難しい。というのは、時間的なずれは、四島返していただかなければいけないのは確かなんですが、これは、先ほど申し上げました実は軍事的な意味合いもあって、国後と択捉の間の国後水道はロシアにとって非常に重要な潜水艦通過路になっているということもあり、一度に返還というのはかなり厳しいと。  昨年の安倍・プーチン会談の提案の中でですが、やはり実現しなければ意味がないというところで、ロシア側の視点はあくまでも極東開発、それの一環、延長線上にある北方領土問題であるという認識の下、では我々は何ができるのか。  まずは駒を進めなければいけないというところで、やはり経済交流。ただし、北方領土は一万七千人なんです。一万七千人の経済規模の交流であるということ。余り大上段に構えずに、できること、そしてお互いの、例えば北海道東北部にお住まいの方々、あるいは北方領土に住んでいるロシア系の方々の幸福を考えると、地道な商取引であれば十分に可能であると。  また、私の世界でいいますと、この海の環境の問題、そして水産資源の、養殖も含めて水産資源の確保の問題。これは両国民に対して必ずプラスになり得ること、これからまずお互い進めていくことが可能かと。  できれば、研究者という立場であればお互い動きやすいのではないか。まずは水産に関する研究者、あるいは環境に関する研究、若しくは観光という分野での研究。実際にそれを具体的な事象として実現していくのには私はそんなに時間は必要ないと思いますので、背伸びをしないレベルで、身の丈に合った一万数千人規模の交流を前提にすれば、私はすぐにでもハードルは越えていけるんではないかと考えています。
  77. 江崎孝

    江崎孝君 ということは、安倍・プーチン会談の中身については、それなりの肯定的な意見をお持ちだということでよろしいでしょうか。──はい、分かりました。ありがとうございます。  一帯一路の話が出ました。  私、驚いたんですけれども、今年の安倍さんの施政方針演説で、初めて自由で開かれたインド太平洋戦略という言葉が出たんですね。これはTICADでアフリカも本当は入っていた中身、二〇一六年にたしかTICADの中で安倍さんが使った、外務省が使わせた戦略だと思うんですが、それが今年の一月の総理の施政方針演説の中に入ったという、これ、結構大きなことだと思うんですね。  何で入ったかと思うと、その前のトランプさんがアジア歴訪したときに、まるで自国の戦略のようにこの言葉を使ったと。多分、トランプさんの戦略の中にはアフリカはないわけですよ。多分、一帯一路に対して、日本の外務省、日本が考えている自由で開かれたインド太平洋戦略というのをまるでアメリカの戦略のように使って、これを安倍さん使われたと思うんですね。これ、結構覚悟が要ることだろうと思うんです。誰が見ても一帯一路とこちら側のインド太平洋戦略というのが同じようになるわけですから。  そういう意味でいくと、先生の御専門の中で、先ほど木戸口さんもおっしゃったんですけれども、一帯一路に対するこのインド太平洋戦略の絡み方、これは決して安全保障だけの問題じゃなくて、いきなり軍事衝突という話じゃないわけでありますから、それに向かっての日本がやるべきこと、あるいはあえて総理が使ったことの意義、どうお考えになっているのかなという御質問です。
  78. 山田吉彦

    参考人山田吉彦君) インド太平洋戦略、これは実は中国を最も刺激する、刺激できる言葉でもありました。かなり中国はこの言葉に今振られている、これをどう解釈していいのかというところに、恐らく日本研究者かなりから意見を聞いているところだと思います。これは、一帯一路とインド太平洋戦略、恐らくどこからかかみ合ってくる問題であると。  そこに私は、まずは、アメリカが前面に出てくるよりも、日本としてのスタンスを決めて、まずは日本としてどう対処していくのかを前面に出していくべきであると思います。それはなぜかといいますと、中国はこのインド太平洋戦略日本を飛び越してアメリカと話をすればいいんではないかという考え方を持つ研究者もいますので、まずは日本のスタンスとして進めていくべきであると。  ただ、インドということにこだわってしまうと、中国の一帯一路、終点はイタリアまで延びている中で、当然、中東安全保障政策も踏まえて一貫した安全保障政策を取っていく。日本安全保障政策が分断して考えていたのでは、恐らく、中東で今後起こり得る危機に対して、日本シーレーン、そして日本のエネルギー補給というのが滞ってしまう可能性もあるというところで、当然、政府はインド太平洋戦略のその延長線上も考えていることだと思うんですが、私は、まずはそのしっかりとした日本のスタンスを示していただきたい、それは船会社に対しても国民に対しても、あるいはビジネスをしている方々に対しても示していただきたいと思います。
  79. 江崎孝

    江崎孝君 私もそれが大事だろうと思うんですね。  ですから、やっぱり慎重に対応していかなきゃいけないし、まあいきなり軍事衝突とかという話は先生も考えていないわけでありますから、その中で、海上保安庁の整備というのは、充実というのは、これはもう僕もそう思います。やはり、いきなり公船が出てきた、だから自衛隊だという、非常に短絡的なことにつながっていくんですけれども、まずは、これだけ重要な海上保安庁というのを持っているわけですから、ここをどう活用するのか、あるいは整備拡大していくのか、あるいは東アジアの国々と海上保安庁ができることはないかという、これは一帯一路のインド太平洋戦略との関係で一緒になって考えていくべきことだと思うんですが。  最後に一つ質問ですが、とすれば、その大和堆の、イタチごっこですよね、これ。来た、出た、来た、出た。でも、あんな大きな海原で、実際に、じゃ、どう取り締まるのかというこの現実的な問題、どう対処したらいいとお考えですか。これを最後の質問にします。
  80. 山田吉彦

    参考人山田吉彦君) まずは、今、北朝鮮が相手だということで、かなり慎重な取締りをしております。明らかな密漁に対しても拿捕はしない。やはり日本の国内法に従った形で、法的な手続をした上で、追い返していく戦略というのを取っていく必要があると思います。まず、怪しげな船、そして中核になっている船、必ず母船がいますので、母船を狙って、それに対して警戒を強くしていく形を取れば、当然小さい木造船は姿を消していくことになると思います。あくまでも法執行の体制を確立していくこと。  そして、実は日本海まで海上保安庁は手が回り切れていないと。尖閣の警備も厳しい、たまには小笠原にも出てしまうということなので、これはやはり、更なる海上保安庁の船艇、人員の増強、何よりも人材育成が重要だと思います。
  81. 江崎孝

    江崎孝君 終わります。
  82. 三木亨

    理事三木亨君) 伊波洋一君。
  83. 伊波洋一

    伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一です。  本日は、御三名の参考人の皆さん、いろいろお話聞かせていただきありがとうございます。  最初に、山田参考人にお伺いします。  最初のペーパーの方に、今、五島市、旧玉之浦町のこの中国漁船団大量侵入という項目がありますが、昨年、私も外交防衛委員会の視察でそこへ行ったんですが、たしか、この漁船の例は国際取決めによる避難港への避難というふうに理解しているんですけれども、確かに何日かにわたってそこにいたことによって地域の町民の皆さんには大変な不安が生まれたと思いますが、そのこと自体についてはどうお考えなんですか、山田参考人
  84. 山田吉彦

    参考人山田吉彦君) この玉之浦、二〇〇一年までは国際避難港に指定されておりました。ただし、日中漁業協定が発効した以降、国際避難港には指定されておりません。  といいますのは、先ほども話しましたが、日中漁業境界線より百キロ以上離れている。通常であれば避難することは考えにくい港、入港してくることは考えにくい港であります。ただし、台風緊急避難ということで、事前に海上保安庁に通告があった場合には受け入れざるを得ないという現実はあります。
  85. 伊波洋一

    伊波洋一君 しかも、この場合は通報してやっているということで、いろいろ具体的な何か事件があったかということについては、それはなかった旨聞いておるんですが、やはり、本来ならば、台風等のそういうことにおいて日中が協力できる関係を維持することは日中にとってはいいことなのではないかと思いますが、いかが思いますか。
  86. 山田吉彦

    参考人山田吉彦君) この案件、この場合、安全保障上の被害はなかったんですが、実は一週間にわたって、実は三回来て、ふん尿が垂れ流しなんです。海域がかなり汚染されました。この年、カキが食べられなくなるという被害も出ていると。  という意味で、やはり理由が明確でない船の侵入ということに関しては、これは日中、ちゃんと抗議ができて、原因は究明して、答えを求められるだけの関係というのはつくっていかなければいけないと思います。余り遠慮せずに、ちゃんと突き付けて問題提起をし解決に向けていくという意味では、私は日中の会話のチャンネルというのは非常に重要だと思います。それは、安全保障、さらには、できれば防衛関係まで深いチャンネルができることが望ましいと思います。
  87. 伊波洋一

    伊波洋一君 昨年の説明はそういう趣旨の説明ではありませんでしたのでお伺いいたしました、現地でのですね。  それからあと一つマラッカでの中国の船の通過量の多さというのは、日本と比べるとはるかに多いということが分かります。真珠首飾り自体が、そういう意味ではシーレーン安全確保、あるいはこれは中国にとってもとても重要なことだと思いますけれども、今、参考人のお話では日本が役割を果たすべきだというような指摘ですが、より中国もこの責任を果たすべきというふうには考えませんか。
  88. 山田吉彦

    参考人山田吉彦君) 私は、中国よりも米国よりもあえて日本が役割を果たすべきだというのは、攻撃的な防衛力を前面に出す国ではないということなんです。  日本の役割というのは、海上警備をしっかりと、シーレーンを守るというところに注力し、そして防衛力を持っているということなんですね。必ずしも脅しのような、あるいは強引な戦略を取らない、しかも国際法に基づいてシーレーンの運用をしてきた国であるという実績を踏まえて、私は、日本が中核になり、そして国際法に基づいた形でのシーレーン形成というのをリードしていくべきなんだと考えています。
  89. 伊波洋一

    伊波洋一君 今政府は中国をいわゆる脅威の国として位置付けていないんですね、公式には。今、何といいますかね、要するに、脅威のあるような、そういう趣旨の御発言だったと思いますが、具体的に中国がこの地域、いわゆる海洋地域で、何らかの脅威をそれぞれの国において具体的に起こしているというふうに御理解ですか、今起こっているということでしょうか。
  90. 山田吉彦

    参考人山田吉彦君) 少なくともフィリピンは十分脅威を持っているから仲裁裁判に訴え、そして確実に三つの島に人工島が造られてそこが防衛拠点になっているという事実を踏まえて、これから先の脅威に備えていかなければいけない。これは、抑止という問題も踏まえて、更にこれ以上にエスカレートしないためには、やはり日本のようなしっかりとした考えを持った上での防衛体制、そして海上警備体制をしいている国がリードすべきだと。それは、むしろこれからは国際的な戦略を前面に出していくべきだと思っています。
  91. 伊波洋一

    伊波洋一君 一九九五年の中国のGDPは日本の四分の一でした。二〇一五年のGDPはその十一倍になりまして、日本の二倍以上になりました。今からも成長していきます、中国はですね。  そういう中国が責任を負わずに、私たち日本、要するに、同じように二〇一五年も四兆ドル台なんですね。つまり、成長していない国が、さらに、この海洋の利用も少なくなっている国が責任を負うということは、やはりこれはかなり無理があると思います。そういう意味では、むしろ日本中国協力し合いながらやるべきじゃないでしょうか。どう思いますか。
  92. 山田吉彦

    参考人山田吉彦君) オール・オア・ナッシングのことは申し上げたつもりはありませんので、当然、中国中国としてやっていく。ただし、中国一辺倒でなく、当然、協力ということも踏まえて、それは中国だけではなく、国際的な、インドも含め、あるいはシンガポール、ASEAN諸国、EUも含めた形で国際的な協力、それを、中立的な考えを持てる、そして警備機関の力を前提とした日本がリードしていくべきなのではないかと。決して中国シーレーンを守っていこうという考えに対して否定をしているわけではございません。
  93. 伊波洋一

    伊波洋一君 ありがとうございました。  次に、川崎参考人にお伺いします。  核兵器禁止条約に対して日本反対をしているといいますか、賛成しなかったことについて、これまで日本を、非核、被爆国としてやはり日本の提起をいろいろ受けてきた国々からかなりのいろんな意見がありますが、日本の評価を大きく下げたと思いますけれども、そのことについてどうお考えでしょうか。
  94. 川崎哲

    参考人川崎哲君) 一番端的にそれが表れたのは、条約ができた後の昨年の秋の国連総会のときだったと思いますけれども、日本は毎年、核軍縮の、核兵器廃絶を目指した国連決議を出していると。それは昨年も繰り返されたわけですが、核兵器禁止条約への言及をあえて避けたわけですよね、全く言及しなかったと。このことに対して大変大きな驚きと失望がありまして、私自身、現地外交官、関係者等から直接電話やメールで、非常にがっかりした、アウトレージャスであると、言語道断というような意味ですけれども、そういうような反応を聞きました。  そのぐらいの衝撃があったわけでありまして、日本は、アメリカの同盟国ながらも核兵器廃絶についてはきちっと物を言う国だという、その評価を大きく傷つけてしまったのではないかなというふうに思います。
  95. 伊波洋一

    伊波洋一君 長崎原爆資料館に行きますと分かりますが、非核地帯というのが世界で広がっています。南半球は既にそうなって、ASEANもそこに来ていて、そういう中で、先ほどの提案である日本やあるいは朝鮮半島、モンゴルなどへの非核地帯の提起が今行われているわけですけれども、やはり、今の世界の状況と、先ほど来言っている東アジアだけが緊張があって、これが何か核抑止力が有効なエリアとして位置付けられている現状とのギャップというのはどのようにお考えでしょうか。
  96. 川崎哲

    参考人川崎哲君) 世界に南半球を中心に大きな非核兵器地帯条約がどんどん広がってきたと、これは極めて現実的な安全保障政策としてつくられてきたということであると思います。  ついこの核軍縮の話というのは、軍縮というのは理想であって現実には核抑止力であると、こういうような単純な対比で議論されてしまうことがあるかと思うんですけれども、冒頭申し上げましたように、例えばラテンアメリカは、キューバ危機があったからこそ、このような危機を繰り返さないためにということで非核兵器地帯条約をやったわけであります。  今、様々な緊張、今日の海洋の話も含めてでありますけれども、厳然と北東アジア地域に脅威がある、核の脅威がある。だからこそ条約を通じた核兵器の禁止の体制がこの地域に必要であるということでありまして、もちろん、それがそれだけで完全に十分とは言い切れない面があると思いますけれども、その安全保障上の側面ということを直視して、軍縮に前向きな検討を行っていくということが必要になると思います。
  97. 伊波洋一

    伊波洋一君 ありがとうございます。  あと一点だけ、川口参考人に聞きたいと思います。  サイバーセキュリティーの問題ですけれども、今やビッグデータというものの取扱いが大きなテーマになっていますが、中国などで、やはりデータそのものの存在を自国の中に置くというような取組が始まろうとしていますね。そういうときに、アメリカやあるいは日本、あるいはそれぞれの国は、どんな感じでこれから対応していくのか。  あわせて、個人のパソコンにもセキュリティーソフトがありますが、今、日本ではロシア製とかあるいは外国製が多いわけですけれども、それに対して日本製があるのかどうかということはちょっとかなり疑問ですよね。そういう意味では、このサイバーに関する意味では、なかなか国の関与が弱過ぎるのじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  98. 川口貴久

    参考人川口貴久君) ありがとうございます。  一つ目の御質問は、まさにデータローカライゼーション、そのデータをどこに置くか、そのサーバーがどこに置くかという問題かと思います。これに関しましては、御存じのとおり、ロシアでございますとか各国ロシアの国内にサーバーを置くように、例えばSNSを運営している会社に要求をしております。  一方で、こういったデータローカライゼーションの要求に対して民間企業がどう対応しているかというと、それをお断りしているケースとそれに従っているケースがございます。当然に、ロシアからすれば安全保障上の理由等から自国にデータを置けというところではございますが、やはりこのサイバー空間の自由な情報の流通という観点では、やはり一定程度のところでそこはお断りをするべき問題かというふうに思っております。  もう一つは、まさにこの民間企業、民間セキュリティー会社がどうかという問題でございます。  恐らく、皆様がお持ちのパソコンにセキュリティーソフト、アンチウイルスソフトが入っているかと思いますが、恐らく多くは米国製、場合によってはロシア製かと思っております。実は、日本国内にこのセキュリティー関係、アンチウイルスソフト会社自体が余り成熟していないという状況は、先ほど申し上げたようなサイバー攻撃を特定する能力という観点では実は非常に日本は弱い立場にあると言わざるを得ません。  したがいまして、親方日の丸のセキュリティー会社をつくるのか、しかしそれは恐らく現実的ではないと思いますので、やはり同盟国のセキュリティー会社と協力をしながら政策に生かしていく、サイバー攻撃を特定していくということが現実的な政策かと思います。
  99. 伊波洋一

    伊波洋一君 ありがとうございました。  時間ですので終わります。
  100. 三木亨

    理事三木亨君) 以上で各会派一巡をいたしましたので、これより自由に質疑を行っていただきます。  質疑のある方は挙手を願います。  吉川ゆうみ君。
  101. 吉川ゆうみ

    吉川ゆうみ君 再度の質問の機会をいただきましてありがとうございました。  また山田参考人にお伺いをさせていただきたいんですけれども、先ほどいただきましたお話の中で、真珠首飾りの部分で、中国シーレーンをもうしっかりと押さえていこうという中で、我が国そしてアメリカがマラッカ海峡を押さえているというのは非常に有効であると。こちら側からヨーロッパに行くにも、あるいは欧州からこちら側に、必ず中国をという、関わらなければならないという中においてマラッカ海峡の重要性ということをお話しいただきまして、これからの海洋開発における、先ほど北極の方の航路のお話はいただきましたけれども、特にこのTPP11などのお話もある中で、各国の方とお話をしていると、やはり非常に気にしておられるところが、この海洋の部分というのも非常に気にしておられるところがございまして、そういった部分において、マラッカ海峡を押さえる以外の部分でも、我が国が存在感といいますか、その辺りでしっかりと日本があるぞというところを押さえていくことができるには、どういった方策ということが有効であり、今後どういったところに気を付けて政策を取っていくということがいいと思われるか、是非ともお教えをいただければと思います。
  102. 山田吉彦

    参考人山田吉彦君) 北極海航路の問題も含めて、北極海航路でいきますと、アジアのハブ港、中核となる港が、今の香港、上海、中国の港から、いずれは、夏の間、北極海航路が使える七月から十一月は日本の港の方が先に来ると。そして、先ほども言いましたように、中国の船はアメリカ航路も重要になってくると、日本沿岸管理というのは非常に重要になってきます。日本の能力としての海域管理、海峡の通航の管理、これはマラッカ海峡でも実績がある中で、これは衛星も含めて船の管理システムを構築していく。そして、いつ、どこに、どういう船が動いているのか、これはサイバーセキュリティーの問題も含めて非常に重要なんですが、航行管理に関して、日本の知見そして今まで日本のやってきた技術というのは有効に機能していくことになろうかと思います。  そしてもう一つは、チョークポイントと言われるパナマ運河、スエズ運河を中心とした運河の管理に関しても、日本は積極的に発言をし、関与していくことがこれからは重要になってこようかと思います。
  103. 吉川ゆうみ

    吉川ゆうみ君 ありがとうございます。  まさに我が国、民間の船会社もその辺りの情報、拠点の情報というのをしっかりと持つという仕組みを持っているかと思いますので、そういったところも含めてということで、非常に分かりました。ありがとうございます。
  104. 三木亨

    理事三木亨君) よろしいですか。他に御質問の方は。  杉尾秀哉君。
  105. 杉尾秀哉

    杉尾秀哉君 民進党・新緑風会の杉尾秀哉でございます。  三人の先生方、大変貴重な御意見、興味深く聞かせていただきまして、ありがとうございます。  先ほどのお話の中で幾つか更にちょっと突っ込んで聞きたいことがありまして、まず、山田参考人に伺いたいんですが、海洋問題なんですけど、冒頭に、尖閣、中国がCCTVを使って対外的なアピールを強めている、そのことに関して取材も受けたと、こういうお話されましたけど、逆に日本の方がうまくいっていない。  今この分野で日本がすべきこと、とりわけ日本政府の対応に望まれることはどういうことでしょうか。
  106. 山田吉彦

    参考人山田吉彦君) どうしても日本の政府、報道機関に対して情報提供を悩んでしまう。報道のされ方の問題もあるんですが、なかなかダイレクトに情報を伝えていない。  例えば、日本海における北朝鮮の漂着漁船の問題も余り情報が出てこないというところで、これは積極的に当然情報公開をしていかなければいけないんですが、ダイレクトに伝えられるチャンネルというのをしっかりと確立していくべきだと思います。当然、NHKも含めて海外に発信しているメディアもあります。そしてまた、今のこの時代ですので、ネットを含めましてできるだけリアルタイムに現状を報告できるシステム、それを縦割りじゃなく横軸にならした形で報告していくことが重要だと思っております。  何よりも、これは日本語だけではなく、できるだけ多くの国の言葉で情報を発信する制度、外務省も今必死につくっておりますが、その内容の充実ですね、それを最新の手法に変えていくことが有効だと思います。
  107. 杉尾秀哉

    杉尾秀哉君 もう一問、山田参考人に伺います。  先ほど海洋資源開発の話がありました。メタンハイドレート中心なんですけれども、私もうろ覚えなんですけど、太平洋側にも日本海側にもメタンハイドレートがかなりの量あると推定されていて、ちょっと太平洋側は水深が深いのでなかなか技術的にも大変だけど、日本海側は浅いというふうにも聞いていますけれども、これ実際に経済的な問題も含めてペイするのかどうなのか。時期的なことも含めてなんですけれども、果たして、日本、資源小国、資源がない国ですけれども、どこまで有効なのかという、これちょっと正直なところを聞かせていただきたいんですけど、いかがでしょう。
  108. 山田吉彦

    参考人山田吉彦君) ガスは買っていた方が安い、それが今の現状なんです。要は、海外から買った方が安い。資本主義国家ですので、研究開発までは国家が支援できますが、それは実際のビジネスになると企業が投資しなければいけない。そこまで行かないんですね。結果的に買った方が安い。であれば、国家が資金を出してでも利用できる、例えば原発見合いのエネルギーとしてメタンハイドレートを供給していくような構図ができれば、国家として先に進められることが可能だと思うんですね。  何よりも、今の中東情勢を見ておりますと、私はかなり危機的な状況になっていると思います。イスラエルの問題も含めて、イスラエルの沖には世界最大級のガス田、発見だけじゃなくて、もう開発が始まりました。利用も始まっております。イスラエルと中東諸国の問題も踏まえて、これから中東の安全というのは非常に疑問に感じております。  そこで、やはり自前のエネルギーはいつでも確保できる体制を取っておかなければいけないとなると、ある程度国として利用に結び付けるだけの次の施策、研究開発を超えた施策というのが必要になってくると思います。
  109. 杉尾秀哉

    杉尾秀哉君 分かりました。  それでは、川崎参考人に伺います。  先ほどの話の最後のところで、与野党が合意を目指すということを提言されていて、委員会の設置等も提言されておられます。実際には、先ほどのお話ですと、ノルウェー、イタリア、スウェーデンという三つの国を挙げて、特にノルウェーについては具体的な記述があるんですけれども。  そこで伺いたいんですけれども、日本が今の日米安保とアメリカの核抑止力の下で実際に条約に加入した場合にもたらす結果について、その日米安保政策との関係、法的、政治的問題、それから入ることのメリットとデメリット、これについて、正直にどういうふうに考えていらっしゃるのか、そして現状でも入ることが可能だというふうにお考えなのか、お聞かせください。
  110. 川崎哲

    参考人川崎哲君) 私自身は、現状で入ることは実は困難だというふうに思っています。といいますのは、今、日本が取っている核抑止依存の政策ということは、恐らく、ここがまさに調査しなければいけないポイントなんですが、恐らく核兵器禁止条約がいうところの核兵器の使用又は威嚇の援助、奨励、勧誘に当たるのだろうというふうに思います。  例えば、安倍総理とトランプ大統領が昨年二月に出した首脳声明の中には、アメリカは核兵器を含む圧倒的な戦力によって日本を防衛することをコミットするというふうにしております。それを明言しておりますから、ある意味で最終的には核兵器の使用を奨励しているというふうに読めるわけであります。  ですので、それがある以上は今のままで条約に署名するということは恐らく無理で、日本が署名するとすれば、日本とアメリカの同盟関係は引き続き堅持し、かつアメリカによる日本に対する抑止の提供、拡大抑止の提供ということは引き続きするけれども、核兵器による抑止ということ、これは取り除くと、そして核兵器の使用や威嚇に対する援助、奨励も行わないという、極めてそれは大きな政策転換になりますけれども、それをしないと恐らく入れないということになると思います。ですから、一つの論点としては、そういうことをすることの、まさにそれが是か非かということであります。  先ほども申し上げたように、恐らくそれは、そのようにすればアメリカが日本を防衛するという選択肢を狭めるのでこれはよくないのだというのは伝統的な考え方から出る意見だろうと思います。しかし一方で、今の核の非人道性と核兵器を非合法化すべしという国際潮流に照らせば、その核という手段はやりませんというふうに日本が言うことは、ある種被爆国としての道義的な立場として評価をされるという点もある、あるいは核のリスクを下げるという点もあると、この辺りが議論すべきポイントになると思いますね。
  111. 杉尾秀哉

    杉尾秀哉君 ありがとうございます。  ここの最後の、その参加を目標として定めて委員会設置を提言されている、この意見を重く受け止めさせていただきたいと思います。  最後に、川口参考人に伺いたいんですけれども、先ほどの話の中で、日本がサイバーセキュリティーの分野で弱い面があるというふうにおっしゃいました。とりわけ、防衛分野等々で日本のサイバーセキュリティーについての脆弱性ですね。今度、自衛隊、サイバー部隊の体制、人員の強化ということも盛り込まれていますけれども、予算の中にもですね、その辺について率直な御意見を聞かせていただけますでしょうか。
  112. 川口貴久

    参考人川口貴久君) ありがとうございます。  やはりサイバーセキュリティーかつ外交・防衛分野につきましては、やはり課題が大きいというふうに思っております。  その中でも、一つは、やはりこのサイバー空間は防御も攻撃も混然一体という状況でございます。現行ですと専守防衛という形で、この方針にのっとって大綱と計画を立てておりますが、やはりこのサイバー空間については、この専守防衛というのは余り意味がないのではないかというふうに考えております。  実際、前回の中期防衛整備計画の中でも、済みません、言葉自体は正確ではないかもしれませんが、敵対者、サイバー攻撃者がサイバー攻撃を行うための能力を妨げる、その研究開発を行うという非常に曖昧な御計画がございましたが、やはり更に踏み込んで、実際には攻撃と防御はないという世界の中で計画を作っていく必要があろうかと思います。  もう一点、あと、やはり日本の計画の中では、いかにこの防衛省・自衛隊のネットワークを守るのか、さらに内閣サイバーセキュリティセンターが政府のネットワークを守るのか、こういった観点で対策を講じていますが、やはりこの重要インフラ、本日繰り返しになりますが、民間企業が持っているこの重要インフラをどう守るのか、そこに政府がどう関与をするのか、この観点がまさに議論を是非お願いしたい点であります。
  113. 杉尾秀哉

    杉尾秀哉君 時間が来たので終わります。ありがとうございました。
  114. 三木亨

    理事三木亨君) 武田良介君。
  115. 武田良介

    武田良介君 山田参考人一つお伺いをしたいと思います。  お話の中でも、この国際協力での日本の果たす役割について重要だというお話がありました。質問といいますか、ちょっと私が聞き漏らしたのかもしれませんけれども、もう少しお話をお聞きしたいということなんですが、ジブチ自衛隊活動が、中立的な対応ができ、非常に国際的に評価をされたという話がたしかあったかと思います。先ほどの話の中でも、攻撃的ではないだとか、脅しではないという話もありましたけれども、このジブチでの評価、大いに評価していただいたというのは、これは誰の発言なのかだとか、ちょっとそのジブチの話がもう少しお聞きできればというふうに思っています。
  116. 山田吉彦

    参考人山田吉彦君) 実際、私もジブチへ行ってまいりました。  ジブチのこの発言に関しましては、まず、アメリカの研究者、そしてヨーロッパ研究者、具体的にイギリスの研究者ですね。そしてこれ、中国研究者からもその発言というのを聞きました。  一番はP3Cの運用ですね。空から見る、空から見てそれをできるだけ近くにいる警備機関に対して連絡をする、それを特定のチャンネルだけではなく、最も近くにいる警備船、各国警備船に連絡をすることによって、より速やかな動きが取れると。空をP3Cが飛んでいることによって、それを見た海賊船が動きを閉ざしていく、もう引いていく、見られている以上は運用できなかったと。具体的に動いていることが見えておりました。  そして、日本の対策、体制をよく分かっている、これは中国研究者も言っているんですが、分かっている中で、自衛隊の船、艦船の上に海上保安官を乗せるというやり方で法的なクリアをし、実際に今、これは苦肉の策で、日本海賊対処法に基づいてソマリア海賊を今法廷にかけて懲役刑執行しているところですが、そういう具体的な動きができたというところで日本は高く評価されている。実際に具体的な動きを取ったということが評価されています。
  117. 武田良介

    武田良介君 ありがとうございました。  川口参考人にもお伺いしたいと思ったことがあったんですが、他の先生の話で既にお答えいただいたものがありましたので、時間の関係で省かせていただきたいと思います。  今日はありがとうございました。
  118. 三木亨

    理事三木亨君) それでは、他に御発言もないようですから、本日の質疑はこの程度といたします。  一言御挨拶を申し上げます。  山田参考人川崎参考人、そして川口参考人におかれましては、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、おかげさまで大変有意義な調査を行うことができました。調査会を代表し、各参考人のますますの御活躍を祈念いたしまして、本日の御礼とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十九分散会