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政府参考人(
多田明弘君) お答え申し上げます。
今御
指摘のとおり、
我が国の宇宙
機器産業、これは官需が約九割を占める言わば官頼みの構造となっておりまして、今後の宇宙
産業の持続的な発展のためには、民間
事業者の活力を取り込むということで官頼みの状況から脱却することが必要不可欠であると、このように私どもも
認識をいたしております。
そのためには衛星等の宇宙インフラを私どもが直面いたします社会課題、これの解決に役立てて、
海外を含めましてその
ユーザーを拡大させていくということが重要ではないかと、このように
認識をいたしております。
このための大きな鍵の一つが衛星データの活用というふうに
考えております。宇宙で取れるデータ、まさにビッグデータでございまして、宝の山と言って差し支えないと思います。例えば、地球観測衛星データからは稲の生育状況等を広範囲に把握できます。これを使いますと、
生産管理の徹底というものを通じまして高付加価値を創出することが可能となります。
このように、いわゆる従来の宇宙
分野だけではございませんで、農業でございますとか防災、あるいは建設、物流、さらには金融と、こういったような様々な
分野におきまして衛星データの
産業面での活用というのは大きな可能性を秘めていると思っております。
したがって、こうした
認識に基づきまして、私どもといたしましては、まず、衛星データを活用しました民間
事業者の参入でございますとか
新規ビジネス等の創出を促進するために、今年度中に民間
事業者や個人が
政府衛星データを容易に利用することのできるオープン・アンド・フリー・プラットフォーム、これを立ち上げを目指しているところでございます。
加えまして、やはりこの関連の裾野を広げていくことが大事だと思ってございまして、
内閣府とも連携いたしまして、宇宙
分野とIT、あるいは農業、さらには不動産とか様々な
分野で、これまで宇宙というものと直接
関係してこなかったような
分野との交流というものを促進する、S―NETと私ども呼んでいますが、そうしたイベントを全国各地で開催しているところでございます。さらに、民間資金を取り込むべく、新しいビジネスアイデアと投資家をつなぐようなS―Matchingというものを立ち上げる、これを明日、二十日から本格運用する
考えでございます。
また、先生から御
指摘のありました
海外展開、これも極めて重要でございまして、民間による標準化とか
コスト削減の
取組はもちろんでございますけれども、私ども
政府といたしましても、センチメートル級の高精度測位サービスを提供する準天頂衛星、これのアジア太平洋地域でのサービス
事業化というものを視野に入れて
支援をしているところでございます。
具体的には、タイにおけますルートガイダンス、これ渋滞を解消する、こういった実証
事業でありますとか、あるいは
市場の大きいオーストラリア、ベトナムにおける
産業利用というものを目指したワークショップ、これを二月、三月に開催する、こういった形で様々な
海外展開に取り組んでいるところでございます。
いずれにいたしましても、昨年五月に取りまとめられました宇宙
産業ビジョン二〇三〇、ここでは、現在約一・二兆円の宇宙
産業全体の
市場規模を二〇三〇年代早期には倍増すると、こういう目標を掲げてございますので、この目標の実現に向けて、
関係省庁連携して取り組んでいきたいと思っております。