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2018-05-31 第196回国会 参議院 経済産業委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十年五月三十一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十九日     辞任         補欠選任      石上 俊雄君     古賀 之士君      辰巳孝太郎君     小池  晃君  五月三十日     辞任         補欠選任      二之湯武史君     松村 祥史君      渡辺 猛之君     宇都 隆史君      古賀 之士君     石上 俊雄君      小池  晃君     辰巳孝太郎君  五月三十一日     辞任         補欠選任      宇都 隆史君     渡辺 猛之君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         浜野 喜史君     理 事                 井原  巧君                 滝波 宏文君                 吉川ゆうみ君                 大野 元裕君                 石井  章君     委 員                 青山 繁晴君                 宇都 隆史君                 北村 経夫君                 松村 祥史君                 丸川 珠代君                 宮本 周司君                 渡辺 猛之君                 渡邉 美樹君                 矢倉 克夫君                 石上 俊雄君                 鉢呂 吉雄君                 真山 勇一君                 岩渕  友君                 辰巳孝太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        廣原 孝一君    参考人        早稲田大学理工        学術院創造理工        学部建築学科教        授        工学博士     田辺 新一君        公益財団法人自        然エネルギー財        団常務理事    大野 輝之君        龍谷大学政策学        部教授        経済学博士    大島 堅一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 〇エネルギー使用合理化等に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 浜野喜史

    委員長浜野喜史君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、二之湯武史君及び渡辺猛之君が委員辞任され、その補欠として松村祥史君及び宇都隆史君が選任されました。     ─────────────
  3. 浜野喜史

    委員長浜野喜史君) エネルギー使用合理化等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。  御出席いただいております参考人は、早稲田大学理工学術院創造理工学部建築学科教授工学博士田辺新一君、公益財団法人自然エネルギー財団常務理事大野輝之君及び龍谷大学政策学部教授経済学博士大島堅一君でございます。  この際、参考人皆様に一言御挨拶申し上げます。  本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。  参考人皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、本案審査参考にさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、議事の進め方について申し上げます。  まず、田辺参考人大野参考人大島参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員質疑にお答えいただきたいと存じます。  御発言の際は、挙手していただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。  なお、参考人質疑者共に御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず田辺参考人お願いいたします。田辺参考人
  4. 田辺新一

    参考人田辺新一君) 本日は、参考人として意見を述べさせていただく機会をいただきまして、誠にありがとうございます。  早稲田大学建築学科でも教育研究を行っております。私のモットーとして、快適で健康で生産性の高い環境省エネで行うということが研究テーマでございます。また、公益社団法人空気調和衛生工学会の今会長をさせていただいております。  表紙が黒い資料で説明をさせていただきます。  まず、開いていただいて、二ページを御覧ください。  日本全体の最終エネルギー消費量の動向を示した図です。最近では減少傾向にあります。図に年を入れておりますけれども、二〇〇八年のリーマン・ショックは、非常に実はエネルギー消費に大きな影響を与えています。また、二〇一一年三月十一日の東北地方太平洋沖地震によって起こった東日本大震災以降、また減少しています。二〇一〇年度は大変暑い年で、少し増えておりました。経済活動気温は、エネルギー消費に大きな影響があります。二〇一三年度のところに矢印を引いておりますけれども、ここがエネルギーミックス基準年になっております。  次のページを開けていただきたいと思います。  この資料は、国際エネルギー機関、IEAから出されたものを引用したものです。右のグラフは、二〇三五年までの世界経済成長を示したものです。世界経済成長の六五%は、何とこの非OECDアジアによって起こるというふうに予測されています。  そのため、アジア地域エネルギー需要はますます旺盛になるというふうに推測をされておりまして、中国は二〇三五年に日本の九倍、インドは三倍以上になるというふうに予測されておりまして、エネルギー自給率が現在八%しかない我が国では、日本のことだけを考えていても駄目でございまして、エネルギーセキュリティーを常に考えておく必要があるというふうに考えています。  次の四ページを御覧ください。  この図は、いわゆる二〇三〇年度の長期エネルギー需給見通し、いわゆるエネルギーミックスにおける省エネ位置付けを示したものです。前提として、経済成長により二〇三〇年のエネルギー需要は増加するとまず予測しています。  そこから五千三十万キロリットルを削減するということなんですけれども、五千三十万キロリットルは、もう大きいか小さいというのはいろいろ議論があると思うんですけれども、私は実は極めて大きいと思っていまして、どうしてかと申しますと、現在家庭で使われているエネルギー全部足すと四千九百五十万キロリットルなんですね。ですから、これをなくそうというので、今家で使われているテレビとかなんとか全部なくせというのと同じぐらいの努力をしなさいということを言っています。オイルショック後ほどの効率効果はやっぱりやっていかないと、この五千三十というのは減らないというふうに思います。  それでは、五ページ御覧ください。  省エネは、今回の法改正分野だけではなく、様々な分野で網羅的に行う必要がございます。本日、ちょっと時間も限られていますので、三点に課題を絞ってお話をしたいというふうに考えています。省エネ委員会の、私、メンバーでございますけれども、省エネ全般について議論はしております。  まず第一として、一番左の、産業業務部門企業間連携による省エネです。今回の法改正対応するものです。第二として、荷主輸送業者連携強化です。これも今回の法改正対応するものです。一番右側に、私の専門でもあります住宅建築物省エネについて、課題三としてお話をしたいというふうに思います。  開けていただいて、六ページを御覧ください。  これが課題一です。産業業務部門はもう大丈夫だという御意見があるかもしれないんですけれども、ここ数年でエネルギーが減っているのは、多消費産業生産が低調であること、気温要因などが実は影響しています。したがって、省エネ対策が必ずしも順調に進んでいるわけではないというふうに考えています。対策強化が必要であるということです。さらに、原単位といいまして、物を作るときのエネルギーの量が必ずしも向上していないと。日本産業構造が今後どうなるか、成長するのかということも含めて考えないといけないんですけれども、もちろんこういう部分もよく考えておく必要があります。  左の図は、企業経営が多様化して、もし上工程工程をほかの会社に集めてしまって集約するようなときに、下の会社は今までですと増エネとなっていたんですけど、これを統合して省エネを考えることをできるようにしようというものです。また、右は、食物なんかを作ると、天候が悪いと余り売れないかもしれない、そういうものを天気予報などで予測してフードロスもなくそうと、こういったことについて考えています。設備投資に関する減税も行われるというふうに伺っております。  次の七ページです。  課題二ですけれども、私も、自宅とか大学で最近、ネット通販Eコマース、大変利用することになりました。この新しいビジネスに対応する省エネが必要とされているんですけれども、右の図を見ていただくと、緑の部分は今まで省エネ法の網が掛かっていたんですが、赤いところは実は対象外でした。自分自身のことを考えてみると、ネットで商品を購入します。Eコマース事業者の中にはその対象外が大手十社中五社あったんですが、それは、私が買うと荷主は私になってしまうんですね。ですから、大きな裾野に対して掛けたものということで、今回その荷主定義を変えるということが大きなものでして、また、我々も再配送ないように極力少なくすることが必要ということで、人材不足にも対応できるということです。  八ページが、建築住宅に関するものです。  この部分は、省エネ法から建築物に関する部分が取り出されて、いわゆる建築物省エネ法というものになりました。一番上に赤い枠があるんですけれども、ここが二千平米以上の非住宅建築物です。ここは省エネ基準に適合しないと建築ができなくなっております。それから、三百平米から二千平米のビル、建物住宅などは届出をしなさいということになっています。また、小規模な三百平米以下の建物努力義務ですけれども、その中でも、年間百五十軒以上住宅を分譲している事業者には、住宅トップランナー制度といって、適合をちゃんと平均値で守ってくださいということをお願いをしているところであります。  九ページ見ていただくと、ちょっと国交省資料を私の方でアレンジしたものなんですけれども、年間着工棟数エネルギー消費を示しています。  赤い部分がさっきの二千平米以上の非住宅に当たります。数は大体年間二千九百六十四棟、三千棟ぐらいです。数では、日本で建っている家とか含めて、〇・六%しか数ではありません。ところが、左の図を見ていただくと、この部分が三三・七%エネルギー使っていますから、数が物すごく少ないけれども使っているので、この部分はやっぱり規制的にきちんとやっていただく必要があるのではないかと。青い部分が三百平米から二千平米以上の建築物で、棟数では七・五%で、約三万七千棟ぐらいあります。この部分が二八・五%のエネルギー使用しています。黄色い部分は三百平米以下の建築物で、多くは住宅です。数では九一・九%、約四十六万棟ぐらいあります。ここが三七・八%のエネルギー消費をしています。  この中で、先ほど申し上げた住宅トップランナー対象が、大体五万棟ぐらい一年間に建っています。ここの方々は、いわゆる比較的安めの住宅を提供されている方なんですけど、制度が五、六年前始まったときは三割ぐらいしか適合していなかったのが、実は九十数%今適合していまして、非常に大きく適合しています。  それから、二〇一六年度にはゼロエネルギーハウスが三万四千棟建てられています。これらによって窓とか断熱材のマーケットが非常に変わってきていまして、かなり安く手に入るようなことになっています。この部分まで義務化するかというのは、行政のコストなども考えながら慎重に考えていく必要があるんじゃないかというふうに思います。  十ページでございます。  十ページは、単純に基準に適合するというだけでは、先ほど申し上げた省エネにはちょっと不十分であります。更に進んだものを建設していこう、あるいは改修していこうというのがゼロエネルギービル、ゼロエネルギーハウスです。  二〇一五年に、先ほど御紹介した学会ガイドライン基盤としまして、ZEBZEHと言われる定義を決めたことで非常に認知をされることになってきました。設計ガイドライン等も公開しておりまして、三万件ぐらいのダウンロードがあります。単に、こういうものを建てていきますと、我慢の省エネから賢い省エネ、冬のお風呂で亡くなるとか夏の熱中症なども少なくなっていくんじゃないかと思います。  この中で、ZEHに関しては、最近、経産省だけではなく、国交省環境省、同じ目標に向かって連携してタッグを組んでいってくださるということをされています。ZEBに関しては、完全にゼロにするのは少し、四階建て、五階建て以上になると難しいので、半分にエネルギーをしたものをZEBレディーと呼んでいまして、ここを広い意味ZEBというふうに呼んでおります。  十一ページは、アメリカでは、国会議事堂の前で大学対抗省エネ住宅、ゼロエネルギーハウス建てて、コンテストをやっています。二〇〇二年からなんですけど、アメリカ大学教育には非常に大きな影響がありまして、ここからイノベーションなどもできております。  日本では二〇一四年からエネマネハウスのコンテストが始まっておりまして、早稲田は三回出しておりまして、去年十二月に大阪で、この下の住宅建てまして、これ、改修でゼロになって更にエネルギーも売れるような住宅というのを建てさせていただいています。  十二ページが日本住宅ストックです。  日本の家というのはどうなっているかということなんですが、日本の家は大体今、五千二百十万戸あります。そのうちの持家と借家というのでは六対四なんですね、戸数では。ところが、面積で見ると、持家は八、二ぐらいになります。  緑のところ見ていただくと、ここ戸建てなんですけど、戸建て持家が実は日本住宅のほとんどだということです。この住宅の三八%が無断熱なので、エネルギーを考えるときはこのストックをどう考えるかというのは非常に重要です。  断熱強化しても、欧米のように画期的に暖房が減るわけじゃないんです。元々使っている量が少ないのでなかなか減らないので、こういう健康面とか長寿社会ですとか百寿社会ですとか、こういうことも考えて政策を行っていく必要があるのではないかと思います。  そして十三ページです。  これまでの省エネは、つくると書いていますが、つくられたものが送られて使うというのが我々の今までで、使うところを少なくするのが省エネと言われていました。ところが、再生可能エネルギーをもっともっと使っていかないといけませんから、これを操る技術が必要になってきています。これがスマートグリッドであったりスマートハウススマートコミュニティーでありまして、早稲田では林泰弘先生中心研究グループを組みまして、いろんな実証ですとかこういう分野研究をしています。操るというのが新しい省エネ概念になっているということです。  次は、早稲田実証センターに、ディマンドレスポンスのサーバーですとか系統電力のシミュレーターですとか、こういったものを住宅とつなげたりするとどういうふうになるのか、再生可能エネルギーを入れていかれるのかと、こういった研究を行っております。  最後、いただいて、十五ページでまとめたいと思います。  日本最終エネルギー消費量減少傾向にあるんですけれども、これは、エネルギーの多消費産業生産の低調さですとか機器効率の向上はございますけれども、気温要因などもあります。したがって、省エネ対策が必ずしも順調に進展しているわけではないということです。  産業業務分野においては、原単位改善が必要とされています。今回の法改正では、企業連携による大規模投資エネルギーマネジメントのようなIoTを活用したものを促すとともに、荷物を送る人、受ける人、また輸送業者連携強化して省エネ対策の進展を加速しようとするものです。  住宅建築物対策については、支援措置を活用するとか、不動産価値ESG投資と言われていますけれども、こういうものを活用していくことが重要であろうと思います。  再生可能エネルギー利用拡大を考えると、これまでの省エネ概念とは異なる新しい省エネ概念構築が必要になっているのではないかというふうに思います。  以上でございます。  御清聴ありがとうございました。
  5. 浜野喜史

    委員長浜野喜史君) ありがとうございました。  次に、大野参考人お願いをいたします。大野参考人
  6. 大野輝之

    参考人大野輝之君) 本日は、参議院経済産業委員会におきまして意見陳述機会をいただきまして、誠にありがとうございます。  本日の議案省エネ法改正というものでございますけれども、なぜ自然エネルギー専門とする財団常務理事参考人なのかという疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんので、最初に、省エネとの関わりについて、二点お話をさせていただきます。  私が常務理事を務めます財団は、自然エネルギー基盤とした社会を実現するということを目的にしまして、二〇一一年の八月に設立されたものでございます。この目的の実現のために、まず、太陽光発電風力発電、あるいは水力、地熱など、様々な自然エネルギー普及拡大が必要でございますので、中心的にはそのために必要な政策研究調査研究を行っております。  しかし同時に、エネルギーの使い方を効率化をしまして、社会生活でございますとか経済の発展に必要になるエネルギーを量を減らしていきますと、自然エネルギー基盤とした社会、究極的には自然エネルギー一〇〇%の社会を実現することもより容易になるということでございます。こうした観点から、私どもの財団では、エネルギー効率化省エネルギーに関する政策研究も行っていると、これが第一の理由でございます。  それからもう一点は、私個人のこれまでの経験に関するものでございまして、この自然エネルギー財団に参加したのが二〇一三年なんですが、それ以前の十五年間、私は東京都で環境エネルギー政策の担当をしておりました。特に二〇〇三年以降は、企業省エネエネルギー効率化を進めるための施策立案を担当いたしまして、二〇〇八年には、省エネ法の求める以上の対策を進める新しい制度の導入を実現いたしました。  この制度温室効果ガス総量削減義務排出量取引制度という名前のものでございまして、国の省エネ法削減努力義務にとどまりまして、また原単位改善だけを目指したものであるのに対しまして、総量削減義務化をするというものでございます。  こうした経験を踏まえまして、現在も、エネルギー政策に関する環境省でございますとか東京都の検討会委員などをやっております。これが第二の関わりということでございます。  前置きはこの程度にいたしまして、本日の議案でございますエネルギー使用合理化等に関する法律の一部を改正する法律案について意見を述べたいと思います。  改正案の主たる内容でございます複数事業者が一体的に又は連携して省エネ対策を行う制度並びに貨物の荷主定義見直しと準荷主位置付け、この二つにつきましては、事業者省エネを促進する仕組みとして必要なものでございまして、その意味で妥当な改正であると考えております。特に後者は、今もお話がございましたように、インターネット販売拡大規模とテンポを考えますと速やかな改正が必要なものと思って、賛成をいたします。  ただ一点、複数事業者が一体的に又は連携して省エネ対策を行う改正については懸念がございます。  これまで、年間千五百キロリットル以上のエネルギー消費を行う工場は、個別に毎年エネルギー使用状況報告義務がありました。改正案で、認定管理統括事業者が設置された場合に、定期報告は一括して提出されると、こういうものでございますので、その際に個別工場エネルギー使用量がこれまでどおり明らかになるものか法律の文面からは分かりません。一体化された合計使用量だけしか報告されないということになりますと、効果的な省エネ対策に必要な個別工場エネルギー消費量が分からなくなってしまいます。この点は法律改正事項ではないと思いますので、今後、政令や告示において適切な対応をされるものと思いますが、その点を明確にしていく必要があるというふうに考えております。  ここまでが今回の改正案の条文に即した意見でございます。  これに加えまして、今回の改正については何点か意見を申し述べたいと思います。  今回の改正案提案理由を拝見しますと、徹底した省エネ対策に必要な措置を講ずるためと書かれています。問題は、我が国が現在直面しております課題、徹底した省エネ対策を進めるために、今回の改正案以外にもほかに速やかに導入すべきものがあるのではなかろうかということでございます。  私の配付資料の一枚目を御覧いただけますでしょうか。一枚目に、図表の一と書かれたものに上段に書いてございますのは、今回の改正前提となりました国の省エネルギー小委員会意見の目次の一部でございます。今回の改正案は、このうち三の(四)の複数事業者連携省エネ、それから四番の運輸部門省エネ対策取組強化に関わるものでございます。この省エネルギー小委員会意見には、このほかにも、(一)の工場等判断基準、(二)の事業者クラス分け評価制度について、現行制度が有効に機能していないという指摘がございます。  特に重要なのは、この図表一の下段に書きました工場等判断基準に関しまして、経営層を巻き込んだ大規模省エネ投資を促すには必ずしも至っていない、経営層を巻き込み、現場のエネルギー管理を踏まえた大規模投資判断を促進する見直しが必要であると、こういう重要な指摘がされていることでございます。  今回の改正案を見ますと、これらの点については必ずしも対応がされていないと考えます。恐らく、こうしたものについては資源エネルギー庁におかれて順次対応を図っていくということだと思うんですけれども、我が国省エネ対策も、これを考えますと早急な制度改正が必要ではないかと考えております。  早急な対応が必要ということを説明するために、幾つかの資料を御用意いたしました。  図表の二を御覧いただけますでしょうか。図表二は、国のエネルギー白書二〇一七から取ったものでございます。ここには製造業エネルギー効率の推移が示されております。七〇年代の後半から八〇年代後半には、確かに石油危機対応がございましてかなりエネルギー効率改善が進んだということがこれを見て分かります。しかし、問題はその後でございまして、一九八〇年代後半から今日まで、三十年もの間エネルギー効率改善が見られない、こういう状況でございます。  図表の三を御覧ください。これは、同じく省エネルギー小委員会の第三回、二〇一四年七月二十四日に開催されたものでございますけれども、ここに一般財団法人省エネセンターから提出された資料でございます。ここでは、設備老朽化メンテナンス不足によりエネルギーロスが全部門で増大しているという指摘がございます。  ここに写真がございますが、これは屋外のパイプ類断熱材が劣化している例として示されているものです。こうした箇所から熱が漏れまして保温ができないということになりまして、エネルギーの損失が生じていると。その量でございますけれども、これは左下に円グラフがございますが、製造業全体の消費エネルギーの一一%にも当たる非常に大きな量が漏れているということでございます。  それから、図表の四を、次のページを御覧ください。これは、エネルギー生産性エネルギー効率日本とほかの国で比較をしたグラフでございます。この赤い線が日本でございます。図の左端、一九九五年は世界でも二番目に効率が高いという状況だったところでございますが、その後各国の効率改善が進みまして、右端、二〇一五年で見ますと、もうかなり下の方に行ってしまっている、残念ながらそういう状況でございまして、もはや今日では世界省エネ大国とはやっぱり言えないというような状況になっているということでございます。  やっぱり、省エネルギー小委員会意見にございますように、経営層を巻き込む大規模な投資がなされない、なかなか遅れているという状況の中で、設備の老朽が進み、日本エネルギー効率は他国に追い越されてしまっているという状況かなと思います。  実は、私が東京都で省エネ対策を所管していたときにも、同じような省エネ対策の行き詰まりに直面いたしました。東京都では、二〇〇二年から都内の大規模事業所に省エネ対策、これは言葉を換えれば地球温暖化対策でございますので、これを自主的に取り組んでもらう制度を導入していただきましたが、実際に先にはなかなか進みませんでした。工場や事業所のエネルギー管理の現場を都の担当者が訪問しますと、一様に聞かれましたのは、もっと省エネができることは分かっているんだけれども、経営陣の理解がなくてなかなか大規模省エネ投資ができないという声でございました。  当時、東京都は新たな温室効果ガス削減目標を定めまして、当時の国よりも高い、二〇二〇年までに二〇〇〇年比二五%削減という目標を決めていました。この目標の実現のためには、自主的な削減努力にとどまっていたこれまでの東京都の制度、また省エネ法も上回る総量削減を大規模事業所に義務付ける制度が必要であるという結論に至りました。  図表の五、次のページでございますが、これは当時の東京環境審議会が出した答申の一部でございます。この中で、総量削減義務排出量取引制度、いわゆるキャップ・アンド・トレード制度の導入が必要だという中身が書かれています。その目的の一つが、ここに二つ目にございますけれども、温室効果ガス削減、つまりこれは省エネということですが、省エネを現場レベルの問題から経営者が真剣に考慮すべき課題に変えるということでございました。  次のページ、図表の六は、この制度の導入の効果を見たものでございます。二〇一〇年度に制度を開始しましてから結果の出ている二〇一六年度まで、二六%という大幅削減が実現をしております。これはCO2排出量と書いてございますが、東京都の場合は排出係数というものを固定をしていますので、これがほぼエネルギー削減率と考えていただいても大丈夫だと思います。  図表の七は、これを国と比較をしたものでございます。一番上の点線になっているのが全国の産業業務部門エネルギー消費量の推移でございまして、一番下が東京都で削減義務の掛かっている大規模事業所のエネルギー消費量、CO2排出量の推移でございます。  二〇〇五年を一〇〇としてグラフを示しておりますが、都の大規模事業所、削減義務の掛かっている事業所では、全国を上回る削減が進んでいるという状況が見て取れるのではなかろうかと思います。  図表の八を御覧ください。これは、二〇一四年度に、東京都が削減義務の対象になっている事業所にアンケートを行った結果でございます。CO2削減、すなわち省エネ対策に対する経営者の関心が高まったかという質問に対して、合計七二%の方が大いになった、あるいは、なったという回答をしています。  右側でございますけれども、設備更新の際に高効率機器の採用に積極的になったかという問いかけに関しても、やはり合計七二%が大いになった、なったと回答をしているということでございます。高効率の機器は、やはり導入に要する初期費用が高うございますので、従来はなかなか導入が進まなかったものです。東京都の総量削減義務制度の導入の目標の一つは、先ほど申し上げましたように、省エネ対策を現場の問題から経営層の関与する問題に変えるということでございますので、そういう意味では意図どおりの効果を発揮したのではなかろうかと思っております。  国の省エネ委員会意見には、先ほど冒頭に言いましたように、経営層を巻き込み、現場のエネルギー管理を踏まえた大規模投資判断を促進する見直しが必要ということでございまして、東京都の経験は、省エネ対策を自主的な努力義務にとどめるのではなくて、総量での削減義務にすることが、経営層を巻き込んで投資のレベルを引き上げるためにも一つの重要な解決策になり得るということを示したのではなかろうかと思います。  東京都の制度は、総量削減義務排出量取引制度を組み合わせております。排出量取引制度は、炭素税とともに、いわゆるカーボンプライシングと呼ばれる制度でございます。図表の九でございますが、図表の九は、世界各地でこのカーボンプライシングが拡大をしている状況を示しております。東京都が十年前に導入をいたしましたこのカーボンプライシング、排出量取引制度は、国ではいまだ本格的には導入されておりません。  最後、図表の十でございますけれども、これは、このカーボンプライシング制度が導入された国におきまして炭素生産性改善しまして、日本をしのぐようになっているという状況を示しております。この炭素生産性と申しますのは、先ほど図表四で見ましたエネルギー生産性に近い、パラレルに動くものであると考えております。図表四と同様に、かつての日本は上の方にいたんですが、これが下がってきているという状況です。  停滞しております日本エネルギー効率改善を進めまして、国際的な課題である温室効果ガス削減を進めるためにも、日本ではカーボンプライシングの導入を急ぐべきではなかろうかと考えております。  今回の省エネ法改正議論の中でもこうした論点が深められることを期待しまして、私の意見表明を終わりたいと思います。  どうも御清聴ありがとうございました。
  7. 浜野喜史

    委員長浜野喜史君) ありがとうございました。  次に、大島参考人お願いいたします。大島参考人
  8. 大島堅一

    参考人大島堅一君) 龍谷大学政策学部の大島堅一と申します。  この度はこのような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。  私は、エネルギー利用に関わる環境経済学、環境政策論を二十五年以上研究してまいりました。特に、気候変動問題に関しましては、気候変動枠組条約第一回締約国会議、ベルリンですけれども、に参加して以来、強い関心を持って取り組んでまいりました。  本日は、三点申し上げます。一つはエネルギー環境政策の基本的な考え方、二つ目はエネルギー基本計画について、三つ目は気候変動問題並びに省エネルギー政策についてです。  まず、エネルギー政策の基本的考え方について述べさせていただきます。二ページ目を御覧ください。  なぜ今エネルギー政策が重要なのか。それは、エネルギー消費の在り方が環境問題と不可分になったからです。これは、チェルノブイリ原発事故や福島原発事故、更に気候変動問題を念頭に置けば明らかであります。  エネルギー政策の立案に当たって重要なのは、環境への影響を極力小さくし、環境社会を持続可能なものにするという考え方です。環境と人間社会が持続しなければ、全ての政策意味がなくなります。それゆえ、持続可能性は最も重要な原則であって、エネルギー政策に貫かれていなければなりません。  その上で重要なのは、この原則を踏まえた社会のつくり替えを実行するということです。持続可能性の観点から、必要性がなく無駄になりつつあるのは大胆にリストラクチャリングすること、逆に、次世代に必要な産業はそれらのビジネスが成り立つような公正な市場環境を整備することです。  例えば、原子力産業や石炭産業は、持続可能性の観点からは斜陽化するのは必然であり、早期の撤退が必要です。逆に、再生可能エネルギーは、追加的な負担と捉えず、次世代ビジネスのための投資と捉えて、再生可能エネルギービジネスのための環境を整備するという必要があります。何もかもが重要、選択肢とするのではなくて、大胆に構造転換を促す必要があります。  エネルギー基本計画には3EプラスSが重要と述べられているわけですが、幾つかの考え方を並列的に、平板に並べているにすぎません。何が根幹になるのか、どのような社会をつくるのかという点が極めて重要です。このことをまずは強調しておきたいと思います。  次に、三ページ目ですが、エネルギー基本計画について述べます。  さきに述べた持続可能性の観点からすれば、エネルギー源として原子力発電や石炭は絶対に推奨できないことは明らかです。言うまでもなく、原子力発電は深刻な事故を引き起こす可能性があり、実際に日本は福島原発事故を経験しました。また、事故を起こさなかったとしても、放射性廃棄物を十万年以上にわたって管理する必要があります。原子力は、それゆえ、環境適合的な電源ではありません。  一方、石炭は、大気汚染を引き起こす上に、最新鋭のものであってもLNGに比べ大量の二酸化炭素を放出します。それゆえ、世界は石炭への投資を控えるようになっています。資源として存在していてももはや使うことができない資源となるということが予想されています。  こうした資産をストランデッドアセットといいます。座礁資産とも申します。原子力発電と石炭火力発電を前提としないエネルギー政策が構築される必要があります。  四ページ目です。  この観点からすると、政府において作成されようとしているエネルギー基本計画には問題が多いと感じております。このままでは、社会を誤った方向に導くのは明らかです。  例えば、まず冒頭に、原子力に関して誤解を与える表現があります。エネルギー基本計画には、避難、被害者に関して、避難指示を受けている者を対象にということで二・四万人という記述がございますが、現在の、調べましたところ、福島県の即報値で四万六千人いらっしゃいます。それは明らかに過小評価を、誤解を招くような表現ではないかというふうに私は非常に懸念しております。  更に言えば、次ですが、四ページ目そのままですけれども、原子力に関してこのような記述がございます。これは福島原発事故とほとんど全く変わってございません。このような位置付けであれば、原子力は使い続けましょうということになります。しかも、このようなことは日本以外に聞いたことがございません。原子力は、本当にこのような理想的なエネルギー源なのでしょうか。  全ての問題点をここでは申し上げられませんが、原子力の位置付けのところで放射能汚染の現実は触れられておりません。また、事故の現実やリスクについても触れられておりません。さらに、準国産ということに関しましては、高速増殖炉の開発は政府によっても中止され、もはや準国産ということは言えません。そもそも、準国産というような経済的な財はないのであって、用語自体が非科学的です。また、運転コストが低廉ということについても大変疑問です。  次のページです。  五ページ目ですが、有価証券報告書や国の予算書などを基礎に実績値を計算いたしますと、火力や水力に比べて原子力は最も高い電源でした。つまり、原子力は最も不経済です。そもそも東芝が経営危機に陥ったのは、原発の建設費用が高騰したためです。運転コストが低廉の一言で済ますのは全く理解できません。  六ページ目です。  原子力に典型的に見られますが、エネルギー基本計画は認識の誤りも数多く含まれています。にもかかわらず、その誤った認識を前提に発電量に占める原子力の割合を二〇から二二%にするというのです。  ごく簡単に試算いたしますと、七ページ目ですが、二〇から二二%にしようとすれば、運転期間を二十年間延長し、さらに二〇三〇年の時点で、可能性のある原発を全て再稼働させなければなりません。これは計画時点で不可能、ないし控えめに言っても非常に困難な、野心的過ぎる目標です。  八ページ目です。  他方、再生可能エネルギーの目標は二二から二四%とされていますが、これは低すぎる目標です。二〇一二年の固定価格買取り制導入以降の伸びをそのまま延長したとすれば、これは水力を除いてございますが、二〇三〇年を待たずして達成できてしまいます。原子力については野心的過ぎ、再生可能エネルギーについては過小です。  このように、エネルギー基本計画の内容は非常に問題が多いと考えております。このままの内容でエネルギー基本計画を定めるべきではございません。  最後に、気候変動問題とエネルギー政策の手法、これに関連して、省エネルギー政策の問題点について述べさせていただきます。  さて、気候変動問題は、エネルギー政策環境政策が統合的に実施されなければ解決できない最重要課題の一つです。  九ページ目を御覧ください。  二〇一五年十二月に策定されたパリ協定では、産業革命以前から気温上昇幅を一・五度ないし二度未満にすることを求めています。そのためには、できるだけ早めに温室効果ガスの排出量を世界的にゼロにする必要がございます。  十ページ目、御覧ください。  原子力や石炭は持続可能な観点から除外されますので、排出量をゼロにするためには二つの考え方の組合せが必要です。第一に、エネルギー源を環境負荷の小さい再生可能エネルギー源へと転換すること、第二は、エネルギー消費量の絶対量を大幅に減らしていくことです。再エネについてはここでは割愛いたしますが、まだ審議には入っていないと聞いております海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案については、事業者の後押しをする観点からも早期の成立が必要というふうに私は考えております。  さて、十一ページ目ですが、省エネルギーについて述べさせていただきます。  これは、エネルギー消費量が少なくなれば再エネで賄うことも容易になり、また温室効果ガス排出の大幅削減も可能になります。それゆえ、省エネルギーというのは、エネルギー環境政策の柱と考えます。  経済にとっても省エネルギーは大変よいものです。というのは、エネルギーに掛かっていた費用を節約できるからです。省エネ対策の多くは、投資費用を節約金額が上回ります。マイナスの費用、言い換えれば、利益が生まれるのが省エネルギー対策です。多くの研究において省エネルギー対策は最も経済効果が高い対策として捉えられております。  十二ページ目を御覧ください。  政策を進めるに当たっては幾つかの手法がございます。ここでは、環境エネルギー政策の手法について四点申し上げます。  第一は、義務や命令を含む規制的手法ないし直接規制。第二は、国や自治体などの公共的主体と民間企業が一種の契約を結んで実施する協定、ないしは公害防止協定ですね。第三点は、環境税や排出量取引などの経済的手法。第四は、事業者が自主的に環境目標と施策を定めて実施する自主的対策です。  日本は、高度経済成長期に生み出した公害問題を対処するために、協定や直接規制が主に取られ、大きな成果を上げてきました。これらの手法は企業に対して強制力が働くために、環境上の目標達成が容易となります。また、環境上の目標達成だけでなく、規制を満たすために技術開発が進み、かえって経済的にも利益を生むということもございます。  近年は、直接規制に加えて、環境税、排出量取引などの経済的手法が世界各国で取り入れられて効果を上げています。しかし、残念なことに、日本では限定的にしか使用されておりません。  また、第四の自主的対策も広がっていますが、各国では拘束のある協定と組み合わされて目標達成が担保されているところが多いと私は認識しております。つまり、自主的対策といっても、事業者の自由に任せていては対策が進まず、経済効果も生み出されないということです。  十三ページ、御覧ください。  その上で、日本の省エネルギー政策について申し上げますと、省エネルギー政策は大きく三つに分かれてございます。第一に事業者、運輸業者、荷主省エネ、第二には建築物省エネ、第三に自動車と機器の省エネです。今回の改正案が第一の事業所、運輸業者の省エネ中心であることから、この点について述べさせていただきます。  現行の政策には幾つかの問題点がございます。十四ページ目、御覧ください。  まず第一点目に、自主計画であるということです。言い換えれば、事業者、運輸業者、荷主に対しては、省エネルギーについて義務や目標が与えられていません。そのため、実効性が弱いです。第二に、国に対する内容や計画は国民に対して公開されてございません。そのため、国民によるチェックも、また研究者を含む第三者によるチェックも行うことができません。これでは、事業者ができると思うことを報告するだけになってしまいかねません。政策としては非常に緩い方法であると考えます。  今回の改正においてもこの構造は変わってございません。つまり、あくまで自主計画であり、内容の公開もされないままです。これでは大幅な省エネは期待できないのではないかというふうに懸念しております。  十五ページ目です。  さらに、今回の改正では、問題となるのではないかと思われる内容も含まれてございます。それは対策の柔軟化というようなもので、これによって複数連携が可能となり、事業者によっては、言わばどこの削減にしてもよいということになるおそれがございます。これではエネルギー消費の実態が政策決定者にも分からなくなってしまうのではないかと考えております。むしろ、これまでの対策をより強化して、エネルギー消費量は個別事業所ごと、個別工場ごとに燃料別に報告を義務付けて、これを公表するような方向で改正がされるべきではないかと考えております。  次に、運輸部門についてですが、今回の改正によって、荷主と、ネット小売事業者が追加されるとともに、準荷主として荷受け側が追加されます。実態を踏まえて対象範囲が拡大されることについては評価できます。とはいえ、元々運輸部門省エネ対策も自主的なものにとどまるのであって、根本的な改善策にはなっていないのではないかという懸念がございます。  それでは、より根本的な施策というのはどういうものなのかということを述べさせていただきます。  十七ページ、御覧ください。  第一に、エネルギー消費量、燃料種別の消費量などの情報は、会社単位工場単位、プラント単位で報告させるべきです。これによって初めて適切な政策を取るための情報が得られるようになります。現行の制度改正省エネ法では、大規模事業所単位会社単位で一括して報告するとされております。これでは不十分です。  第二に、報告内容を国民に公表すべきです。業種によってエネルギー消費量の態様は異なります。これが分かるよう、丁寧に公表させるべきではないかと考えております。  時間がございますので、二十一ページ目に飛んでいただきます。  次に、より根本的には、自主計画ではなく、削減義務を含む規制へと転換すべきです。  二十二ページ目です。  大野さんがいらっしゃる前で恐縮なんですけれども、例えば東京都ではエネルギー消費削減義務化に踏み込んでおり、情報も一部の業種で公開するようになってございます。これによって企業対策が進み、基準年に比べて、削減義務一五%から一七%であったところ、二〇一六年には平均で二六%の削減を達成してございます。  二十三ページ目です。  国レベルでは、省エネ率の向上は遅れておりまして、東京都に比べて進んでおりません。国の政策日本社会省エネ化を進める必要がございます。  以上、簡単に大きく三点に分けて御説明いたしました。  現在は、環境の持続可能性の観点からエネルギー政策の抜本的な見直しが必要な時期にあると考えております。省エネルギー環境政策上極めて重要な施策でありますところから、より抜本的な制度改正が必要と考えます。  これで意見の陳述を終わります。この度は、貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございました。
  9. 浜野喜史

    委員長浜野喜史君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 吉川ゆうみ

    吉川ゆうみ君 自由民主党の吉川ゆうみでございます。  本日は、お三方の参考人の先生方、貴重なお話をいただきまして、誠にありがとうございました。  まず、私の方からは、三人の参考人の先生方に、今回の省エネ法改正、本法律案によって事業者連携による省エネの取組の制度が設けられるということになっております。制度があるだけでは事業者連携は進まないのではないかというふうに危惧をいたしておりまして、政府としても制度が有効に活用されるように十分な支援を行う必要があると私は思っております。  そういった中におきまして、現在の事業者が置かれた状況を踏まえ、本法律案が成立した場合、特に事業者連携が促進されるためにはどのような課題があり、またどのような対策が必要と思われるか、先生方に、簡単で結構でございますのでお教えをいただければと思います。
  11. 田辺新一

    参考人田辺新一君) 現状では、先ほど申し上げたように、企業単位省エネは大分進んできているんですけれども、なかなか効率改善が足踏みしていると。同業者やサプライチェーンの複数企業の方々がうまく連携すれば、配送を一緒にやるとか、あるいは、ある工程が一緒に作ってしまえば非常に効率的になるとか、ビジネスの状態が非常に変わってきていますので、こういう二者連携をするとか設備集約をするとか、ビジネスに柔軟に対応できるようなものを省エネとして認めることで省エネが進んでくるのではないかと。  もし、先ほど申し上げたように上工程が別の工場のものを引き受けて増えると、今までですとこれ増エネというので省エネ認められなかったんですけれども、これを連携して、省エネ量を企業間で分配できて、そういう新しいビジネスの方向が省エネとして認められるというところが非常に大きいというふうに考えております。
  12. 大野輝之

    参考人大野輝之君) 私も、企業間の連携でありますとか一体化した省エネ対策というのは、非常に有効であるし、今後の方向だと思います。  ただ、それを更に進めていこうと思いますと、そうした熱心に省エネ対策に取り組んで、それによって得られたものが経済的にも効果がある、経済的にも価値があるというふうなものになる必要があると思います。  個々の企業がどういう対策に取り組んだかというのを逐一行政が把握するのはなかなか難しゅうございまして、それがあるために、むしろ世界的には、個々の細かい対策を行政がコントロールしたり指示したりするのではなくて、経済的な効果を評価するという方向になっております。それがカーボンプライシングでございますので、今後の改正は、もちろん非常に前向きな方向であると思いますが、これにとどまらず、企業省エネ対策でやった効果経済的にも評価をされる、そういう仕組みを今後検討していく必要があるんじゃないかと、このように考えております。
  13. 大島堅一

    参考人大島堅一君) 連携に関しましては、合理的にエネルギー削減されるのであれば、私は非常に良い政策であるというふうに考えております。  もう少し踏み込んで、例えば、今は省エネルギー改善に関しては補助金などが出るようになっておりますが、再生可能エネルギーへの転換が例えば進むに当たって、それも省エネルギーというか、省エネルギーではあるんですけれども、それによって脱炭素といいますか、CO2の排出削減に大きく貢献いたしますので、再生可能エネルギーへの転換を進める場合にも補助金なりなんなりといったもので支援するような施策が必要なのではないかというふうに考えておりまして、単にエネルギー効率改善というだけではなくて、環境効率といいますか、CO2排出量や環境負荷に関する効率性を高めるような施策ないし視点が必要なのではないかというふうに考えてございます。
  14. 吉川ゆうみ

    吉川ゆうみ君 ありがとうございました。  次に、田辺参考人にお伺いをさせていただきたいんですけれども、田辺参考人は、主に建築物という観点から、我慢しない省エネでありますとかあるいは快適な省エネということで御研究をされていらっしゃいまして、先ほどもいろいろとお話をお伺いさせていただきました。  近年、産業業務部門を中心にまだまだエネルギーの消費効率改善が足踏み状態にあるという中で、私も、実は前職時代、国交省さんの環境不動産懇談会の民間委員をさせていただきましたり、あるいはイギリスのBREEAMとか、アメリカのLEEDあるいはエナジースター、もちろんCASBEEもですけれども、そういった部分をしっかりと推進していくための金融商品の開発をさせていただきましたり、まさに先生がおっしゃっておられましたESG不動産投資、こちらもGRESBみたいなもののベンチマークを活用していくことによって進むのではないかとかそういった取組をずっとさせていただいておりましたので、先生のお考えは本当に大賛成でございまして、今もいろいろと進んでいるんだなということを改めて聞かせていただいた次第でございます。  そのような中で、田辺参考人におかれましては、EMS、エネルギーマネジメントシステムの重要性についても御指摘をいただいておりますが、今後、この単一の住宅やビルというだけではなくて、複数事業者や住民が集う都市やコミュニティーのEMSがより重要になってくるだろうというふうに思っております。  従来からあります地冷でありますとか、あるいは、今、田町の再開発のところでスマエネパーク、スマートエネルギーネットワークですか、あのようなものもだんだん広がってきておりますけれども、この都市やコミュニティーのエネルギー管理という観点から、各地の都市のコミュニティーの将来の省エネの在り方、こういった地域全体をネットワークしていくという部分についてこの本改正に期待される部分、あるいは、この本改正でよりこのような形になればそういった地域全体での活動が進むのではないかというところをお教えいただければと思います。
  15. 田辺新一

    参考人田辺新一君) まず最初の一点目、実は今御指摘いただいたGRESBとか不動産なんですけれども、日本の不動産は成長戦略で三十兆ぐらいまで不動産拡大したいと。そうするときに、日本のオフィスは非常にきれいで快適である、省エネであると、そういったことを世界に訴えていくことは非常に必要なんですけれども、実はJ—REITの金融庁が公開している中にエンジニアリング・レポートという、このビルは耐震性に優れているかとかあるいはアスベストがあるかと書かれているんですけど、エネルギーについての項目がないんですね。私どもは、このビルが省エネ性が高いとかそういうことを不動産価値として認めるためには、是非不動産とか金融の中にそういうものを入れていっていただきたいというふうに訴えております。  また、省エネ性だけじゃなくて、最近は、国交省の不動産市場整備課でESG投資の不動産の在り方というものを三月二十八日に出しまして、快適で健康性が高くて働き方改革にも省エネで寄与するような、そういう新しいビルの在り方というのが求められているというふうに思います。これは日本だけのトレンドではございませんで、欧米の方が多分非常に進んでいると思います。  二番目の、その省エネ概念の変更ですが、先ほど十三ページでお示ししたんですが、今までは発電された電力を送って我々は使っていた、それを減らすのが省エネだった。ところが、今のエネルギー基本計画で、資源のない日本は、これはどうしてもやっぱり再生可能エネルギーをうまく使っていくしかないんですよね。ただ、今すぐできるかというと、なかなかこのグリッドの制御をアップデートしていかないといけないとか、住宅のビルの在り方を変えていかないといけないと。  その中で、例えば太陽光が余っているときは、ためたり、ずらしたり。住宅でも今までは夜余った電気を、作るというので蓄熱型の温水器があったんですけど、もうそれなんていうのは余り使っても意味なくなってきまして、発電した昼間に実はお湯を作っておくというのもありますし、蓄電池の代わりにも使えるわけですね。  町レベルでもこういうことができてきますので、スマートにお湯、それから冷水ですとか電気とか、融通してうまく操る技術というのがやっぱりこれからの日本の生きていく大きな道で、これを省エネに行き着けていくということが大切じゃないかというふうに思っております。
  16. 吉川ゆうみ

    吉川ゆうみ君 ありがとうございます。  そして最後に、田辺参考人に、今ちょうど、エネルギー基本計画の改正案が出されたところでございますけれども、田辺参考人エネルギーミックスについて、先ほどもいろいろなお話、端々に出ましたけれども、どのようなお考えでいらっしゃるか、是非お伺いさせていただければと思います。
  17. 田辺新一

    参考人田辺新一君) 日本は資源のない国であります。非常に周りの国にも影響されますので、まずはその日本で手に入る再生可能エネルギーをいかに使っていくかということが非常に重要だと思います。  そのときに、いろんな選択肢を用意しておかないと、これ地政学的にも、もうこれに決めたというとそのエネルギーが値段ばっと上がる可能性もありまして、やはりいろんな選択肢を見ながら対応していくことが重要で、余り一つに決めることが本当に日本にとっていいかというよりもいろんな選択肢を残しておくと。極力、私は、再生可能エネルギーを使って例えば原子力は減らしていくということが本当は正しいというふうに思います。
  18. 吉川ゆうみ

    吉川ゆうみ君 終わります。ありがとうございました。
  19. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 公明党の矢倉克夫です。  三人の参考人の先生方、貴重な御意見、大変ありがとうございます。  時間が限られておりますので、早速質問に入らせていただきたいというふうに思いますが、まず、田辺参考人にお伺いをしたいんですが、資料の四ページにも書かれてあるとおり、エネルギーミックス省エネ対策の下では五千三十万キロリットル程度の省エネ実現、これは家庭の消費量より更に超えるという、もうまさに改めて見ると大変な目標であるかなと思っております。今の私の理解では、その五千三十万のうち家庭は千百六十万キロリットルということでまず目標を掲げているというふうに思っているんですが、十ページの例えば建築などの基準、これを実現することも、これが達成することで千百六十万という理解であるかなというふうに思います。  まず、この十ページですが、確かに建築物の在り方による省エネ、非常に重要だなというふうに思います。ここに書かれている実現を目指すために、その制度とまた技術面でどういうところが更に改善が必要であるのか、御所見をいただければというふうに思っております。
  20. 田辺新一

    参考人田辺新一君) お配りしている資料の二十二ページというのをちょっと参考資料で見ていただきたいんです。私が作った資料なんですが、日本住宅全ての面積に対して、現在新築されている面積は一・五%しかありません。この逆数が大体住宅が何年もつかという数字になります。今七十年ぐらい要はもつような住宅になっているということです。三%になると三十三年になります。ということは、普通の物の家電製品の商品だと三年とか五年サイクルで省エネへ入れ替わってくるんですけど、住宅はとにかく長い年月掛けないと入れ替わっていかないと。  ですから、まずは新築をきっちり良いものにすると。それでも、古いものがいっぱいありますから、その古いものに対する修理、修繕するというその技術が一気に変わっていかないんですね。ですから、住宅建築制作をするときには新築から変えていかないといけないんですけど、修理に使えるような部品とか設備とか窓とか、そういうものが良いものしか手に入らないようにマーケットを変えていくというのが実は非常に重要じゃないかというふうに思っています。  一方で、非常に断熱性も悪かったり、必ずしも日本住宅世界に誇れる住宅ではないことから、質を上げていく、一方で健康対策とか質を上げていくことを省エネのもう一つの目標にすべきではないかというふうに考えております。
  21. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 ありがとうございます。  今その部品、良いものがマーケットに広がるようにするための具体的な政策としては、標準化とかそういうものも含めたということでよろしいんでしょうか。何か具体的に更にあれば教えていただければ。
  22. 田辺新一

    参考人田辺新一君) 先ほど申し上げましたが、五年、六年前に、住宅トップランナー建て売り住宅の方々に、中央値で基準を守ってくださいと、三割しか守れていなかったのが九十何%になりました。それから、ゼロエネルギーハウスが昨年多分四万棟ぐらい建っていると言われていますけど、そうすると、そこで使われている住宅部品は非常に質の高いものになります。それがマーケットの真ん中になってくると値段もこなれてきますから、特に窓なんかは非常に安くなっていまして、そうすると普通の人も改修などで簡単に使えるようになると。こういう好循環を生むことが非常に重要ではないかというふうに考えます。
  23. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 ありがとうございます。大変参考になりました。  もう一点だけ田辺参考人にまたお伺いしたいんですが、新しい省エネ概念というところ、それ非常に重要だなというふうに思います、私も。これをどういうふうにしていくのか、またちょっと抽象的な質問で恐縮なんですけど、使うのを少なくするから操るという形にする、そのためには制度とまた技術の面でどういうところを更に変えなければいけないのか、更に詳しく教えていただければと。
  24. 田辺新一

    参考人田辺新一君) 既に行われていますけど、例えばVPP、バーチャルパワープラントといいまして、もしあるときに少し電気を市場から調達するときに、発電事業者から調達するのか、省エネ量として調達することもできます。例えば、ビルで既にガスと電気を一緒に使ってビル用のエアコンを動かすようなシステムもありまして、電気が足りないときはガスの方で動かせば電気減るわけです。その量が売れるようになってきていますから、そういったシステムですとか、ディマンドレスポンスとか、昼間に太陽光があるときにお湯を沸かす、ヒートポンプで沸かせば、昼間の温度が高いので夜お湯作るより効率いいんですね。  こういったことを、今までだと使うんで駄目だと言われたことを認めていくことが、次の省エネ、ひいては、これ、実は技術競争としても極めて世界中で厳しい競争になっていますので、省エネの新しい概念の投資として研究や開発を行っていくべきだというふうに思います。
  25. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 その技術競争とともに、そういうものに対する投資を促進するという政策もそうだと思いますし、あとは、使う側の消費者がそういうものを選別するために誘導する、誘導するという言葉は良くないですけれども、それがいいというふうに思わせる、更に良くない言葉を使ってしまいましたけれども、そういうようなことを選んでいただけるような環境整備をするためにはどういう政策がよいのか、また教えていただければと思います。
  26. 田辺新一

    参考人田辺新一君) 住宅を例に取りますと、実は自分の家が寒いと思っていらっしゃらない方がいっぱいいらっしゃるんですよね。マンションに住むと、ああ、暖かかったとか、私は体験してもらうということは非常に重要だと思っています。  例えば、ゼロエネルギーハウスをデモで造ってそういうところに泊まっていただくとか、あるいはビルも、働きやすいビルで私は適切な温度にして働ける環境で働いてもらえば、ああ、こういうところで働けばよかったんだとか、我慢しなくたってよかったんだと。  我々のデータで、コールセンターという、電話のオペレーターが働いているところで一年間取ったデータがあるんですが、快適温度から三度高いと六%電話を受ける数が減るんです。これ、三十分残業しないと駄目なので、三十分のエネルギーも掛かりますから、効率をよくして早く帰って省エネ機器を使うというのは、これは働き方にも極めていいんじゃないかというふうに思います。
  27. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 ありがとうございます。大変興味深いお話をいただきまして、ありがとうございます。  続きまして、大野参考人にお伺いをしたいと思いますが、資料にありますところの下で、省エネということについての経営陣の意識を巻き込まなければいけないという御視点はそのとおりだなというふうに思いました。まず、裏を返せば、これまでは現場だけの感覚が強かったということかなと私理解したんですが、これまで現場だけの課題となって経営陣まで行かなかったその背景みたいなのをもし教えていただければと思うのと、あと、その経営陣をどういうふうに意識させるかということで、総量削減義務であったり、排出量というようなある程度義務化前提にした上での経営陣に対する意識付けというところの御視点だったと思うんですが、例えば、経営陣を巻き込んだ形、何かインセンティブを与える、政策としてどういうものが考えられるのかというのを御視点いただければ、御示唆いただければと思います。
  28. 大野輝之

    参考人大野輝之君) なぜ現場止まりになってしまうかということなんですが、これはよく、エネルギーコストが上がる、やっぱり電気料金が上がると非常に大変であるという話でよく出るんですけれども、これは、エネルギー多消費型産業、電気だとかガスとかこれをたくさん使う産業ですね、ここは確かにそうなんですけれども、実は、一般的に多くの産業の中では、エネルギーコストが経営に占めるコストって極めて小さいんですね。そんなに大きくないんです。ですから、そこが例えば一〇%上がったとしても、経営全体のコストに掛かるウエートは余り多くないんですよ。そうすると、経営陣にとっては、電気料金がどうかとかガス料金がどうかとか、そういうことよりもっともっと投資判断に大きな影響を与えるものがあるので余りそこに関心が行かないんですね。ですから、そういう、現場の人は省エネのことを知っていても、なかなかそういうところまで目が行かないというのが実態だと思います。  大企業の場合でもそうですし、特に中小企業の場合なんかは、自分の工場がどれぐらい電気料金を使っているか、エネルギーを使っているか、それ自体を知らないということがございます。ですから、そういう意味で、自主的な対策をするということだけ言ってもなかなか進まないという状況です。  したがって、そういうことを義務化をすることによって、この問題が、もし仮にこれ遵守をしなければやはりこれ企業名が公表されるとか、そういうある意味ペナルティーをやることによってやっていこうというのが一つでございます。  それから同時に、もう一つは、メリットを入れるというお話ですけれども、現在は、キャップ・アンド・トレード制度というのは、一方で削減の義務が掛かりますけれども、同時に、もっとその削減を義務以上にすることによってより大きな削減をした場合には、その削減する権利のようなもの、排出する権利を売買できるということで経済的メリットもございます。  ですから、キャップ・アンド・トレードは、一面では厳しい規制という面がございますが、同時にインセンティブという面もございます。そういう意味では経済的手法も活用しているものでございまして、そういう観点から世界的には利用が進んでいるということかなと思います。
  29. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 ありがとうございました。  経営の観点から、コスト面的な視点からすると意識が少なくなるという事実は、ああ、なるほどと今思いました。  あとは、今お伺いして思ったんですけど、それであれば、企業に投資する人たちがそういう部分を更に重視して投資をするというような意識になっていけば、それに反応して経営陣もまた変わっていくのかなというようなことも考えました。ちょっと時間があれば、また後でお伺いしたいというふうに思いますが。  ちょっとその次に、大島参考人にお伺いしたいんですが、再生可能エネルギーは私も拡大はしていかなければいけないなというふうに思っております。それで、いただいた資料の八ページ目に、目標が低過ぎるということをおっしゃっていただきました。これからは、分散型のエネルギー社会、それをやっぱりしっかりつくっていくのは再生可能エネルギーだと思いますし、資源のない日本にとっては再生可能エネルギーをやっぱり広げていかなければいけないなと本当に心から強くも思っているんですが、この再エネの目標を今までのトレンドをこのまま延長すればこうある、それに比べればちょっとやはり低過ぎるんじゃないかというようなお話であったかと思います。  例えば、これを延長し得るための課題であったり、どういうところを更に改善しなければいけないかというところを、もし御視点あったら教えていただければ。
  30. 大島堅一

    参考人大島堅一君) このグラフは、先生御指摘のように、そのまま線形に延ばしたものでありまして、再生可能エネルギーの普及というのは、むしろ、こういう線形に増えるというよりは、幾何級数的にといいますか、もう少しカーブが上向きになるものですので、かなり控えめに私は書いたつもりでございます。  再生可能エネルギーは、もう世界的な価格は非常に下がっておりまして、再生可能エネルギーが高いから、何でしょう、普及が進まないというような議論はもはやなくなってきております。  日本課題は、やはり幾つかの今までの電源の使い方が最も合理的になるような制度がございますので、再生可能エネルギーを中心とする分散型エネルギーを利用することを前提にしたインフラ整備であるとか、あるいはそのルールの設定というのが必要なのではないかというふうに考えてございます。昨今指摘されております系統運用におけるルールでありますとか、あと電気の優先的な使い方ですね、エネルギー基本計画では原子力や石炭に関してベースロード電源というような規定がございますが、そういったことをあらかじめ国として決めるのではなくて、やはりそのときそのときの経済的な合理性に従って使うというのが重要でありますので、もうベースロード電源、ミドル、ピークというようなやり方はやめて市場で判断させていくと。それによって再生可能エネルギーが増えていくというようなことになるのではないかというふうに私は思っているところです。
  31. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 三人の先生方、大変に貴重な御意見ありがとうございました。法案審査及びエネルギー政策にしっかりと反映していきたいというふうに思います。  ありがとうございました。     ─────────────
  32. 浜野喜史

    委員長浜野喜史君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、宇都隆史君が委員辞任され、その補欠として渡辺猛之君が選任されました。     ─────────────
  33. 石上俊雄

    石上俊雄君 おはようございます。三名の参考人の皆さん、本当に貴重なお話をありがとうございました。国民民主党・新緑風会の石上俊雄と申します。どうぞよろしくお願いします。  初めに、三名の参考人の皆さん、共通したテーマを一つお聞きしたいんですが、先ほど田辺参考人からは、省エネの進むスピードがちょっと鈍っていて、多少は減っているんだけど、それは生産数が減っているからかなというような危惧もあるという話もありましたし、先ほど大野先生からは、経営層の意識、関心という、そこもしっかりとやっていかないといけないのかなというお話もございました。  そんな中で、私、電機産業の出身なもので、いろいろ新聞を見ておりましたら、富士の三重工場が、「ものつくり」IoTプロジェクトというのをつくりまして、いろいろ工程を分析していきました。そこは自販機を造っているんですが、間締めをやったというんですね。間締めって、正直な真面目じゃなくて間を詰めるというやつで、これ、いろいろ分析して、間を詰めて効率を上げたと。さらには、今いろいろ周りで言っていますけれども、人工知能とかIoTとかビッグデータとかを活用していろいろ分析していくと、結構、乾いた雑巾をもう絞れないと言ったんだけれども、まだネタが出てきたんだよという、そういう報道を見たんですね。今まで、その報道によると、勘とかに頼っていた省エネじゃなくて、IoTとかデータを活用すると更にプラスになるんだという報道がありました。  さらには、三菱の、同じメーカーさんの名古屋工場というのがあるんですが、そこでシーケンサーというものを造っているんですね。そこもIoTとかで分析をしたらしいんです。シーケンサーって順番を決めるコントローラーみたいなものですが、それを組み立てるんですが、そのときにハンダ付けをするリフロー炉というのがあるんですけれども、そのリフロー炉の温度が本当にこのまま維持する必要があるのかというのを分析したらしいんですね。そうすると、いろいろ排気のところとか工夫しますとエネルギー効率三〇%ぐらい削減できたという話もあるんです。  こういうことをやっている一方で、私もいろいろ展示会とかに行くと、先ほど田辺先生からもありましたが、ZEHの家にしないかという結構宣伝があるんです。しかし、なかなか住宅の方は進まない。企業では何とか省エネにという意識でやっているんですが、その方々がうちに帰ると、まあいいかという話になるわけですよ。  ここがどこから来るのかなという話になるんですが、やっぱりいろいろなものを活用して対象化するというか、見える化というんですか、意識付けさせるというのがまずやっていかないと、これをやることによってこういうふうになるというこの対象化にしていくことが重要ではないかというふうに思うんですが、このことに対して三名の参考人の皆さんのちょっとお考えについてお聞きしたいと思います。
  34. 田辺新一

    参考人田辺新一君) 大変貴重な御指摘だと思います。  この委員会でも従前話されていますけれども、今のようなデータというのは、リアルデータと言われています。我々がインターネットで打つのがバーチャルデータで、これを利用していろんなことできるようになりましたけれども、製造現場やビルとかで出てくるリアルなデータを活用して、決して省エネだけじゃなくて、生産性の向上とか、こういうリアルデータというのはビッグデータの宝庫です。非常に日本は強い分野ですので、今おっしゃったみたいに、勘で生産したものを、ビッグデータをリアルデータとして活用していくというのは、これはもう日本としては必ずやっていかないといけないということだと思います。  その中で、AIが、生物がカンブリア紀というときに目を持って、そのときに生物の多様性がわっとできたんですね。今のディープラーニングはカメラなどでそういうことができるようになってきていますので、自動車も、非常に安い自動車も、高い自動車だけじゃなくて、安い自動車も結構最近はそういう制御ができるようになってきて、私はAI、IoT、非常に期待をしていまして、その基がビッグデータで、省エネもそれによってますます進めることができるんじゃないかというふうに考えています。
  35. 大野輝之

    参考人大野輝之君) 私も、やっぱり見える化、非常に大事だと思います。やっぱり問題が見えること、どの程度どのようにエネルギーを使っているか分かることがまず問題解決の第一歩ということです。  そういう意味では、日本はIT技術、本来もっと活用すべきですので、そういう点は大きく進めていくべきだと思いますが、エネルギー問題に関してその見える化でいうと、もっと根本的に見える化されていないものがございまして、それは実際に各工場や施設がどの程度エネルギーを使っているかというデータが公表されていないんですね。  あるいは、発電所にしても、例えば今ヨーロッパの国々などは、どの発電所がどれぐらいのどういうものを使って発電しているかというのがインターネットで見れるんですよ。だから、日本から、変な話が、スウェーデンのどの発電所が今どういう発電をやっているか分かるんですけれども、日本は分からないということでございますので、見える化が、まず根本にあるエネルギー使用データが分かるようにすることであるとか、工場がどれくらいエネルギーを使っていて、どのぐらいCO2を排出しているか分かることであるとか、あるいは発電所が今リアルタイムでどのぐらい発電しているのかとか、そういうことが分かるような制度改正やシステムの整備をすることも非常に大事ではないかと、このように思っております。
  36. 大島堅一

    参考人大島堅一君) データをどのように扱うかということなんですけれども、今、私先ほど申し上げましたように、大野参考人もまたお話しされましたように、エネルギーの消費に関するデータが、もちろん現場の方々も分かっていたり分かっていなかったりというのがあるかと思うんですけれども、国民の前に情報として出ていないので、やっぱりそこが一番大きな問題なのではないかというのが一つです。  二つ目は、省エネルギーに関連しては、住宅であっても何らかの規制ないし義務化を行っていって、市場で買うときに、一般の人がですね、更新時期に買うときに省エネを主に目的にして買う人はなかなかいないので、考えなくても市場に出ているものを買えば徐々に良くなっていくというようなものにしていかないといけないのではないかと。そういう意味では、義務化ないし規制をきちっとしていくのが省エネルギーを進める上で非常に大事なのではないかというふうに感じています。
  37. 石上俊雄

    石上俊雄君 ありがとうございました。  次が、見える化とか対象にしていろいろアプローチを掛けていくというふうな感じになるわけですが、そうすると、何ですかね、切り替わる、先ほどもちょっとお話に出ましたが、切り替わっていく期間というのがそれぞれ違うものがあると思うんですね。  例で言うと、トップランナー方式で進めてきた高効率のモーターですとか変圧器、これは、新しい変圧器に替えると効率が上がって省エネにつながっていくとか、高効率のモーターもそうなんですけど、そういったものを切り替えようとすると、やはり、先ほど住宅もありましたが、新築のものだったら始めから入るけれども中古で入れようとするとなかなか大変だというのと同じだと思うんですけど、そういう時間が掛かるものがあると思う一方、今、LEDの電球は、初めちょっと高いとかといろいろありましたが、結構普及って進んでいるんだというふうに思うんですよ。  この辺ってどういうところから来ているかというのを、ちょっと参考人の皆さんの御意見を賜れればというふうに思います。
  38. 田辺新一

    参考人田辺新一君) LEDについては、特に日本の青色ダイオードの発見といいますか、発明によって非常に世界中の中でも早く進んでいると思うんですけれども、LEDになると電力消費も少なくなりますけど、実は、こういう部屋だとLEDは発熱量が少なくなるので冷房するエネルギーも減るんですね。ですから、ビルなどではダブルでカウントできていきます。  やっぱり、マーケットにどうやって入っていって普及期を迎えるか、五%、一五%ぐらいからどうやって超えていくかということが非常に重要だろうというふうに思います。
  39. 大野輝之

    参考人大野輝之君) 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、高効率の機器というのは、やっぱりどうしてもイニシャルのコストがちょっと高いんですね。それで、投資をして高効率機器を入れると使用エネルギーが減りますので、その分当然コストが下がりますので必ず後で返ってくるんですが、何年掛かればそれがペイバックするかという、その期間がありますよね。これが普通、省エネ対策調べると、やっぱり一年以内であったら買い換えるとか、せいぜい三年ぐらいとか、そういう答えが結構多いんです。  東京都の場合は、それを二〇〇二年か三年ぐらいに一回調べたんですが、それをもっと長くしなきゃいけないと。最初イニシャルコストは掛かっても、高効率のいいものにすれば会社に効くのだからということで、それも一つ義務化意味だったんですが、それをやった結果、先ほどもちょっとお示ししましたけれども、やった結果、五年、六年掛かるものでも採用するようになっていったということがございます。  ですから、一つは、そういうやっぱり目標を、義務を決めていくと同時に、あとは、やっぱりイニシャルコスト高いので、特に中小企業の場合なんかには融資であるとかそういう補助制度を併せて使っていくことも非常に大事だと思います。
  40. 大島堅一

    参考人大島堅一君) 省エネは初期に投資が掛かるので、無理にすぐにやれということではなくて、機器の買換えが必要になった際にどういうふうな判断をさせるかということなんですが、高効率なものに替えるに当たって、やっぱり大体投資回収年三年ぐらいをめどにその対策を取るので、それが一年未満、一年ぐらいの回収年であってもなかなかそこが目に入ってこないであるとか、あるいは、五年から十年ぐらいになるともはやもう対象にもならないというようなことになってまいりますので、やはりよく義務とか規制というと何か追加的な負担を企業にさせるかのようなイメージを持たれるかもしれないんですが、むしろそれは投資を促して、企業に対してむしろ長期的には得な結果をもたらす、ひいては日本経済全体が高効率経済的にも非常に良いような社会になるので、規制や義務化というのが一種すごく抵抗はあるかとは思うんですけれども、意味合いをもう一度考え直して規制、義務化をきちっとしていく、五年、十年の投資回収年であっても促していくような制度設計をすればどの企業もそういうことをするようになるので、競争上は、何でしょう、何かゆがめるようなことがないんではないかというふうに思っています。
  41. 石上俊雄

    石上俊雄君 ありがとうございます。  最後のちょっと質問になるんですが、これも三名の参考人の方にお聞きしたいんですが、エネルギー基本計画というのが出されまして、今パブリックコメントになっているんじゃないかと思うんですが、そこの中で、私の考え的には電源別のベストミックスだというふうに思うんですけれども、それぞれいろいろな考えをお持ちの方がおられると思うんですけれども、やはり電源にはそれぞれ一長一短があると思うんですね、原子力にも石炭にもLNGもいろいろあると思うんです。  しかし、それぞれの長所をしっかり更に拡大させるようにそれに対応している人は一生懸命努力すると。あと、じゃ、どれを組み合わせていくかというのは、今は国の方が基本的な計画を立てるわけですが、行く行くは、何ていうんですかね、市場メカニズムで、市場原理で自然的になっていくような感じの方もいいんじゃないかなというふうに思うんですね。その方が、何ていうんですかね、市場のそれぞれやっている方々の合意形成というのがうまく進むんではないかというふうに思っているんです。このこと、この辺辺りの考えを参考人の方からお聞きしたいと思います。
  42. 田辺新一

    参考人田辺新一君) 特にエネルギーの輸入に関しては、やっぱり国である程度いろんなことを考えないといけないと思っています。  例えば、天然ガス輸入してくるんですけど、その後、ほかの国へ持っていけないとかかなり実は日本の天然ガスの輸入、制約掛かっていまして、こういうものを少し自由にして、多いときにはほかに持っていけるとか、そういう自由度はやっぱり国としてやらないと、個々の自由度だけではいかないのではないかという面もあると思います。あとは、マーケットを選ばせるというのも非常に重要ですけれども、分野によって変わるんではないかと思います。
  43. 大野輝之

    参考人大野輝之君) 元々、二〇三〇年のエネルギーミックスも、これもおっしゃっているように、これは上限を決めたものではなくて、あくまで見通しであるということでありますので、そういう意味では、おっしゃるように、市場の中で決まっていくのが一番自然なことだと思います。これは電力でいいますと、まあそういう方向で使われています。  ただ、問題は、公平な競争が行われるようなことを足かせが掛かっているような制度が残っているということでございまして、特に再生可能エネルギーに関して言いますと、昨今問題になっていますように、つくりたい人はたくさんいるんだけれども系統につないでもらえないと。じゃ、何で系統に使えないかというと、それはもう空いている容量がないということなんですが、その計算は、現在稼働もしていない原子力発電所が稼働しているということを前提にして計算をして空き容量を計算しているとか、こういう不公平な不公正なルールを除いて、その後本当にフリーにエネルギー間で競争をしていくということがいいんじゃないかと思います。
  44. 大島堅一

    参考人大島堅一君) 私も、国が特別に目標を持って何%何%というふうにやること自体は非常に違和感を持っております。やっぱり目標設定すべきは環境上の目標をきちっと定めることが大事でありまして、その下で公正な競争を促すようなものにしていくということが大事かと思います。  例えば、原子力に関して言いますと、一九五〇年代ぐらい、六〇年ぐらいから競争黎明期で、十分自立しているのでもう補助策は要らないわけです。ですので、様々な、何でしょう、エネルギー基本計画でも書かれておりますけれども、事業環境整備と称して原子力を優遇するような措置というのはもはやもうやめておいた方がよろしかろうと。その黎明期にあってまだ幼稚産業に近いようなものに関しては、それはある程度、五年、十年あるいは十五年というふうな年限を切って市場に入っていくように促す、それはすごく大事なことでありますが、もういいであろうと思われるものに関してわざわざ後押しすることはないのではないか、むしろ公平、公正にしていくということが大事なのではないかというふうに思っております。
  45. 石上俊雄

    石上俊雄君 ありがとうございました。  以上で終わります。
  46. 鉢呂吉雄

    鉢呂吉雄君 立憲民主党の鉢呂吉雄でございます。  お三人の方、大変どうも今日はありがとうございます。  そこで、いろいろもう前の質問が出ましたので、重ならないようにお話をさせていただきたいと思います。  まず、田辺参考人にお聞かせをさせていただきます。  二〇三〇年に五千三十万キロリットルの削減目標というのが出ておって、それが一般家庭の消費と重なるというようなことが言われました。  今回の法案も、この省エネ法は、事業者あるいは企業、そういうところの規制といいますか、そういうことが主であります。そういう技術の改善あるいは輸送等の改善、それもあるんですけれども、人々の、国民の行動の変化といいますか、こういうものも非常に大事でないかというふうにも最近言われておるわけでありまして、なかなか個人の方たちを規制するというのは難しいというお話も今も聞かされましたけれども、家庭部門や一般消費、例えば戸別配達でもやっぱり再配達というのが非常に多いわけでありまして、公法とか、あるいは先ほど体験というような話もありましたけれども、日本の法体系でなかなか個人の規制をするというのが難しいところはあるんですけれども、例えば、今たばこの喫煙を規制するとか、あるいは一般的な、公法的な意味合いで条文を作るとかそういうこともありまして、そういう観点でどのように考えられるか。法の制定という観点で、一般家庭や消費について、この省エネという観点で何か御参考になれば、お聞かせをいただきたいと思います。
  47. 田辺新一

    参考人田辺新一君) まず、世界的にも大体世帯の年収の五%ぐらいがいわゆる光熱費と言われています。それで、これが多くなると世帯なかなか大変になります。ビルの場合には、大体人件費を一〇〇とすると、エネルギー一ぐらいしかないんですね。ですから、ビルで、省エネだけを目的に働けるようにしようとすると人が暑くて働けなくなると人件費のロスの方が大きいので、なかなか省エネをやってくれないと。  そういったときに、例えばクールビズなんかが一番いいと思うんですけど、行動を変えることによって、我慢する必要はないんですけれども、今までよりも良くなると。あるいは、ちょっとこういう使い方が分かれば省エネになるよと、最近こういうのをナッジと言っていますけど、ちょっと教えてあげるとか背中を押してあげるとか、行動変容をうまくやるようなプログラムというのを持つことは非常に重要だと思います。  海外でも、省エネ法で言われているように、使われた住宅と、実際に四人家族が住むと非常に千差万別になるわけですね。個々にデータを持って対応していくようなことが今後はできていくと思います。そのときに、不便じゃない、働けるように環境をつくっていくということが今の行動変容を促す非常に重要な御指摘じゃないかというふうに考えています。
  48. 鉢呂吉雄

    鉢呂吉雄君 田辺参考人にお聞かせをいただきたいんですけれども、それを法として、法律として条文化すると、そういう時代にもう来ておるのではないかと。そこまでは行きませんか。
  49. 田辺新一

    参考人田辺新一君) 私は、規制的な方法を全てに行えばいいとは必ずしも思っておりませんで、やっぱり自由に生活する、基本的に、どんなところに行きたいとかそういうものの中でエネルギーをどうやって少なくして生活を豊かにしていくかということを考えるべきだと思いますし、規制的措置はやっぱり最終手段で、そのための行政コストというのも極めて高く掛かりますから、そういうふうに社会がなっていくということが本来正しい姿。  ただ、たくさん使っているところは規制的に行うと非常に効果が大きいので、そういうところは規制的に行うと。やっぱり行政的なコストも一緒に考えていくべきではないかというふうに考えています。
  50. 鉢呂吉雄

    鉢呂吉雄君 大野参考人に御質問します。  先般、五月二十九日に、自然エネルギー財団大野さんの自然エネルギー財団が主催して、東京で国の内外の十三人の方のエネルギーの今後ということで勉強会があったというふうに聞いておりますが、そういう中で、イギリスでは二〇二五年までに石炭火力を全廃する方針だと、あるいはフランスでも、今現在、原子力七五%比率ですけれども、これを五〇%、自然再生可能エネルギーを四〇%に増やすと、様々な意見が出たということであります。  日本は、御案内のとおり、石炭比率が逆に高まるような現状でありまして、現在、百基以上あるんですけれども、火力発電所、石炭、これが更に三十四基ほど新増設する必要があると。やっぱり石炭は一番CO2排出が大きいわけでありまして、この関係で何か参考になる点がありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  51. 大野輝之

    参考人大野輝之君) お話しいただいたのは、五月二十九日に開催されました石炭のフェーズアウトを考えるシンポジウムのことだというふうに思います。  やはり温室効果ガス削減、気候変動対策をやっていこうと思いますと、一番やはり排出の量が大きいところをターゲットにしていくことが効果的であります。もちろん、火力発電はこれからもしばらく重要な役割を果たしてまいりますので、すぐに一〇〇%自然エネルギーにはなりません。ただ、そのときにどういう化石燃料の発電を使うかということなんですけれども、やっぱり石炭火力は化石燃料を使う火力発電の中でも飛び抜けて排出量が高いということでございます。国では高効率の、例えば超超臨界と言われるものは環境性能がいいという話があるんですけれども、これにしたところで、今一般的に使われている天然ガスを使った火力発電所、これと二倍以上のCO2が出るんですね。同じ一キロワットアワーの電気をつくるのに、今普通に使われているガス火力発電所よりも二倍以上、最新鋭の石炭火力発電所から出るということでございます。  こうした状況を踏まえて、今、少なくとも、先進国の中ではもう二〇三〇年までに新しい石炭火力を造らないのは当たり前と。それだけではなくて、今使っている石炭火力発電所もやめていこうというのが大勢になってございます。これに反して、日本だけが先進国の中では新たに石炭火力発電所を、二〇一一年以上、やっぱり四十基以上の計画があって、もう既に稼働してしまっているのもあって、これから着工するものだけでも三十四基あるということでございますので、やっぱりそうしたことについては速やかに対応して、新たな石炭火力が造られないような対策が非常に重要であると考えております。
  52. 鉢呂吉雄

    鉢呂吉雄君 大島参考人に御質問します。  私どもの前政権、民主党政権の時代に東日本大震災があって、福島事故がございました。そういう形で、私どものエネルギー政策が、三〇年代原発ゼロ、あるいは再エネの普及、電力システムの改革ということで、今日、曲がりなりにもこの再エネ普及とか電力システムの改革というのは行われておるわけであります。  今回、第五次のエネルギーの基本計画が素案という形で示されました。同時に、私ども立憲民主党が今国会に、原発廃止の、いわゆる原発ゼロと言っているわけですけれども、その実現を図る基本法案、これ共産党さん、社民党さんと一緒に出させていただきました。簡単に言えば、基本法案ですから、法が成立して施行後二年以内をめどとしてこの実施法案を作り、法施行後五年以内に原発ゼロをつくっていくと。これは、ゼロということは、廃止という形であります。同時に、電気の需用量というものを三〇%以上、二〇三〇年は二〇一〇年対比ですけれども三割減らしていこう、再生可能エネルギーも二〇三〇年までに四〇%台に持っていこうと、こういう基本的な考えでありますけれども、これについて大島参考人はどのように評価するか、お聞かせをいただきます。
  53. 大島堅一

    参考人大島堅一君) 原発を廃止する法案の基本法については私は拝見しておりまして、前向きに捉えておりまして、画期的な法案ではないかというふうに思っております。  やっぱり原子力は、一つはリスクが非常に高いこと、あと追加的な安全対策費用も非常に重いことになりますので、早めに廃止した方がよろしかろうというふうに思っております。また、新設も非常に高くなっておりまして、これは昨今、イギリスの原子力発電所を建設するに当たって、日立がイギリス政府と交渉しながらいかに高く買ってもらえるかというようなことを交渉していることからも明らかになっているんではないかというふうに思っております。  ですので、再生可能エネルギーの伸びは、先ほど申し上げましたように、恐らく今後、自然な増加を見込んでも非常に高まってまいりますし、先生が御指摘いただいたような、二〇三〇年に四〇%くらいにはできるんじゃないかというのも、私もそれは十分に、公正な市場さえつくれれば十分に可能なのではないかというふうに評価してございます。  以上です。
  54. 鉢呂吉雄

    鉢呂吉雄君 現政権は世界一厳しい基準で今やっておるというふうに言うわけですが、世界的に見れば技術革新は次から次に進んでいまして、メルトダウンした場合にそれに対応できるような、更なるコアキャッチャーというような言い方で、を設置したり、格納容器を二重にしたりと、そうなると非常にコストが膨大、効率が悪くなると。そうはいっても、必ず事故は起こり得るというふうに我が党は思っておりまして、そういう観点からいけば、あの福島の教訓からいけば、原発を廃止をする、国民的な合意も得れるのではないかと、こういうふうに強く思っています。  その際に、今の世耕大臣も言われるわけですが、原発は非常に低コストだと、一キロワット時間当たり十円十銭というような言い方で、再エネについても二十円以上というような言い方をされるんですが、非常に私ども分かりづらい。  計算方式が、特に事故が起きた場合のリスクを非常に低く見ておると。先生の資料を見ますと、非常にここについて厳しく指摘をしております。実際に事故が起きた場合にかなり、今、現状の福島でも十一兆円から二十一兆円、さらに高レベルの廃棄物処理とかいうことを考えるとかなりコストアップするのではないかと。実際のこの実績に基づいて費用を算定した場合、原発コストの事故リスク対応費用というのが、前回は五十銭、〇・五円だったんですけれども、今はそれ〇・三円に下がっておると。  これに対する、この大島参考人指摘をしておるこれを少し詳しく、私も書いたものは勉強させていただいたんですけれども、これよりはもっと高くなるよという試算を出しておるんですが、少し我々に易しくといってももう四十分が私の限界ですので、一分でちょっとお願いをいたしたいと思います。
  55. 浜野喜史

    委員長浜野喜史君) 大島参考人、時間が来ておりますので、できるだけ。
  56. 大島堅一

    参考人大島堅一君) はい、ごく簡単に、済みません。  一つは、先生がおっしゃられるように、建設費用が非常に高くなっておりますので、資本費が三倍ぐらいになりますので、その十・一円というのは非常に過小に見積もっているであろうというふうに思います。  もう一つは、原発事故の費用に関して、安全対策をすれば事故のリスクが半分になるというのを実証性なく経済計算に入れているんですね。そこが大問題であろうかと。なぜああいうことをやるのか。  あともう一つは、コストに関して言えば、高い安いではなく、それもすごく大事なことですが、誰が負担するのかというところなんですね。もし負担が本当に安いのであれば事故の費用も電力事業者に全て乗せればいいわけでありまして、そうすればその企業の経営者が、実際に高ければやめるでしょうし、安ければ実施するであろうと。私は、そこをきちっと、事故の費用も全て電力事業者が支払うというようなものにすればほかの産業と同じになりますので、高い安いかはその経営者が判断できるのではないかというふうに思っております。
  57. 鉢呂吉雄

    鉢呂吉雄君 終わります。済みません、長くなりまして。
  58. 岩渕友

    ○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。  三人の参考人皆様には、今日は本当に貴重な御意見をいただき、ありがとうございます。  まずは大島参考人にお聞きをします。  先ほど来話が出ていますけれども、五月十六日に第五次エネルギー基本計画案が示されました。この中では、原発を重要なベースロード電源だというふうに位置付けて、電源構成比率でこれまでと同様の二〇三〇年に二〇から二二%というふうにされています。  この間の質疑の中で世耕大臣から、電力コストを下げる、自給率を上げる、CO2を削減する、これら全てを解決するのが原発だというような答弁がありました。  私は、福島の出身なんです。東京電力福島第一原発事故から七年二か月がたちましたけれども、事故も被害も終わっていません。先ほど、エネルギー基本計画案で、大島参考人から、避難指示の対象になっている方は二万四千人というふうにあるけれども、福島県の発表では五万人近くの方が避難をされているじゃないかと。これも、避難指示の区域内、区域外とありますから、区域外の皆さんで避難をされている方も含めればもっともっと多くの方が避難されているということになるのかなと思うんです。  確かに、その原発事故の被害の実態がきちんと反映されていないというふうに私も思います。被害が続く限り賠償しなくちゃならないというのは当然ですし、徹底した除染の願いも切実です。廃炉や汚染水対策のこともこれからの課題です。原発事故の処理費用がどんどん膨らんでいると。これでとてもコストを下げる電源というふうには思えないんです。  先ほどもありましたけれども、原子力のコストについて、先ほどちょっと話せなかったことも含めて、大島参考人の見解をお聞かせください。
  59. 大島堅一

    参考人大島堅一君) では、コストについて少しお話しさせていただきますと、新規の原発につきましては建設費用が二倍から三倍になっていると。これは安全対策が、安全規制が強化された結果でありまして、これはアメリカであれヨーロッパであれ同じような傾向にあるわけです。日本はまだ新設の原発について議論はされていないという認識にありますけれども、ただ、新しい原発を造る際に福島原発事故以前の原発を建てるというようなことになると、それはやっぱり国民的にも許されないであろうと。  原発の計算をする際にどういう想定をしているかと申しますと、福島原発事故以前の原発を建てることを想定して計算しています。それは当然ながら安く出るのでありまして、初めから安く出すつもりがあってやっているとは私は思いたくありませんけれども、そのように誤解されてもおかしくないというようなものになっています。  原発事故のコストも、発生頻度は半分になるからというようにやっておりますけれども、発生頻度の話は、どこが、どこのパーツが一番危ないのかということに関しては発生確率、確率的な評価をするわけですけれども、全体のプラントとして事故発生確率が何年なんだという話にはならないわけであります。実態的には、世界的には非常に高い現実には事故発生頻度でありますので、経済計算する際に技術的な確率的評価を用いるというのは正しくないというふうに思っております。  現実には数十兆円掛かっているわけです。政府が発表しているところによると二十一・五兆円と。民間の、日経センターですけれども、などは、もう七十兆円掛かるんじゃないかというようなものであって、もはや国家ですら支払い切れない、追加的には支払い切れないようなコストを与えているわけです。これは、これ以上、これ以上経済的に見合わないような電源というのは私はないというふうに考えています。もし本当に見合うのであれば、これ先ほど申し上げましたが、それは事業者が払うべきです。これは、全ての産業が自分の出した被害は全て払っているわけです。それは当然でありまして、原子力だけ国家が何か特別の仕組みをつくるというのは、それは国家に寄りかかった電源であるというふうにしか見ることができないというふうに私は思っているところです。  また、先ほど申し上げましたように、エネルギー基本計画では、区域指定されている、区域に指定されている人は二・四万人というふうに書かれておって、それ自体は、記述自体は間違いではありませんが、それを見ると、福島原発事故で避難されている方が二・四万人であるかのように見えるわけです。それは全く間違いであって、福島原発事故の被害者というのは非常に多いです。福島県が把握しているところだけでも四・六万人です。  つい最近、例えば大阪市などが避難者の数を評価したところ、実は、評価方法を変えたところ倍近くいらっしゃるとかそういうような話が出てきているわけです。ですので、こういった、あたかも、これも意図的にそういうふうにやっているとは私は思っておりませんが、ただ、実態を表す数字ではないのではないかと思っておりまして、やはり福島原発事故を踏まえて、ここを起こさないということがエネルギー基本計画に書かれておりますので、やっぱり実態を反映したものにしないと、それは福島県の方々ないしは被害を受けた方々から大きな批判が来るのではないかというふうに私は思っているところです。
  60. 岩渕友

    ○岩渕友君 ありがとうございます。  続けて大島参考人にお聞きしたいんですけれども、先ほどの話の中で、省エネ経済にとってもいい、最も経済効果が高いという話もありました。それで、IPCCであるとかその他の研究報告なんかでは、省エネ対策は最も経済効果が高い対策だとして捉えられているということのようなんですけれども、もしその中身について御存じだったら教えていただきたいなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  61. 大島堅一

    参考人大島堅一君) これは幾つかほかの参考人の先生方からも御指摘ありましたけれども、やはり、単純に言いますと、熱配管の断熱強化などでもその投資回収年を非常に短くできますので、その分利益が出るであるとか、LEDなんかは非常に簡単でありまして、照明を、もちろん機器そのものは高いわけですけれども、交換いたしますと一年から三年ぐらいで回収できるといったような内容がありますので、まず省エネというのは、温暖化対策の中で、マイナスのコスト、追加的な費用は掛からないものだというふうに研究上も認識されているところです。
  62. 岩渕友

    ○岩渕友君 ありがとうございます。  次に、大野参考人にお聞きします。  第五次エネルギー基本計画案なんですけれども、この中で、再生可能エネルギーの比率が二二から二四%というふうになっています。自然エネルギー基盤とする社会の構築目指しということで、自然エネルギー財団の御説明いただきましたけれども、国際的な組織との連携調査研究を行われている立場からこの目標をどのように見ていらっしゃるかというのが一つです。  加えて、世耕大臣が、第五次エネルギー基本計画案で再生可能エネルギーを主力電源と位置付けた、それはなぜかというと、技術革新などによって世界的には低コストで再エネの導入が増大をしているし、産業競争力の観点も踏まえて大量導入を図っていく決意を示したという答弁を行っているんですね。  これ、再エネを主力電源と位置付けるというふうに言っているんですけれども、一方では、日本は再エネのコストが非常に高いというふうにも言っているんです。再エネのコストが高いということについてお聞かせいただければと思います。
  63. 大野輝之

    参考人大野輝之君) まず、目標については二二から二四%、これ低いということは間違いないと思います。各国で今二〇三〇年目標を立てておりますけれども、例えばドイツは二〇二五年までに四〇から四五%、英国も二〇二〇年までに三〇%、フランスも二〇三〇年までに四〇%、アメリカでも、大きな州でありますカリフォルニア州やニューヨーク州は二〇三〇年までに五〇%という目標を立てています。ですから、大体先進国標準としてはざっくり言って二〇三〇年までに四割以上はやろうというのがほぼ相場観でございますので、もうその半分にとどまっているということでございます。  ですから、その主力電源化にするという方針が出たことは大変すばらしいことだと思いますし、いいことだと思います。ですが、問題は、主力電源化にするのであれば、やっぱり目標も同時に引き上げていくことが本来あるべきではないかと思います。  コストなんですけれども、コストは、おっしゃるように世界的には非常に安くなってきております。今世界で最も安い太陽光発電風力発電は、一キロワットアワー二セントを切っております。二セントを切るということは、日本円にしてもう二円を切っているという段階です。これ、もうちょっと信じられないコストだと思うんですけれども、まさにこれが現に入札の結果、出ております。ただ、こういう入札結果が出るのは、やっぱり太陽光であれば中東のように非常に日照が多いところであるとか、風況が非常にいいということなので、なかなかここまではやはり世界的にはいかないと。ただ、世界的にもう太陽光も風力発電も一キロワットアワー当たり日本円でいって十円を切るものがざらになっているということでございます。  日本も、高い高いと言われながら、下がってはまいりました。太陽光発電の買取り価格、四十円以上からスタートしましたが、現在では実際一番安いものはもう二十円を切るものになっておりますし、風力発電に至っては、日本でも一番安いのは十三・八円だと思いますが、そういう数字が出ております。ですから、日本でも下がってきております。ただ、世界の下がり方はもっと早くて、やはりギャップはむしろ広がっているという状況です。  何でそうなのかということをよく聞かれるんですけれども、これは先ほど申し上げましたが、なかなか系統につなごうと思う場合、これいろんな理由を付けて系統への接続がなかなか認めてもらえない、系統に接続するんだったらこれぐらいのコストを払えというふうなやっぱり電源的な制約があってそこでコストが加算していく。  あともう一つは、やはり発電コストを分析してみますと、例えば太陽光発電ですと、パネルの価格自体はそこまでは海外と違わないんですが、やっぱり設置に掛かるコストが違うんですね。これは、やっぱり設置に関していろんな制約条件があったり、例えば、よく日本では風力発電を造る適地がなくて山の上の方に造るので土木費掛かるという話があるんですけれども、調べてみますと、日本でも二〇〇〇年代の半ばまでは農地でとか牧場で造れたんですね。そうすると、フラットなところなので建設コストも安いということなんですが、これが、二〇〇〇年代の半ばに農地法の改正があったりあるいは運用規則が難しくなったりして、それでそういう農地や牧草地での建設が極めて難しくなってしまったと。いろんな、やれるようにする方法もできているんですけど、依然として難しいと。したがって、なかなか造りやすいところで造れないような土地利用の規制があると。  もちろん土地利用規制は必要なんですけれども、不合理な規制があるということで、電源系統の問題と土地利用の問題、こういうことを直していくことがやはり日本でも世界で実現しているような安い再エネを享受できるようにする、そういう道じゃないかと思います。
  64. 岩渕友

    ○岩渕友君 続けて大野参考人にお聞きをするんですけれども、先ほど、参考人東京都の排出量取引制度の導入に関わっておられたという話ありました。  先ほどもちょっと質問あったんですけれども、激しい反対があって、CO2の削減は必要なんだけれども、ビジネスへの悪影響を懸念するというような意見もあったと。こうした声をどのように乗り越えたのかということで追加でお話しいただけることがあれば教えていただきたいのと、国レベルの導入についてどのようにお考えでしょうか。
  65. 大野輝之

    参考人大野輝之君) 東京都、二〇〇七年にこの計画を発表しまして、二〇〇八年、翌年に東京都議会で全会派一致で条例が成立いたしました。  作るに当たって、経済団体の方々、NGOの方々も、経済団体十四団体・企業だったと思いますけれども、お招きして、ステークホルダー会議という議論する場を設けました。当初はやっぱり、非常に難しいと、強い反対でありますとかかなり困難であるというふうな御意見が多かったんですが、議論を重ねていくうちに、経済団体、企業の中で、反対にも二種類あるなということが分かりました。  一つは、これはもう今、あえて言ってしまうと、ポジショントークと申しますか、もう反対と決めて言っている意見と。つまり、これは東京都の制度に反対しているのではなくて、東京都でキャップ・アンド・トレード制度が導入されてしまうと国への導入で道を開くかもしれないと、だからとにかく反対なんだと。当時、経済団体、一部の経済団体が出された意見書の中には、いかなる改善をしても反対であると、こう書いてあるんですよね。これはもう話しようがないと、これが一方でございました。  その一方で、もう一つ、東京都の不動産の業界でありますとか商工会議所なんかからの意見は、東京でビジネスをやる場合に実際にこの制度が障害になってしまうのではないかとか、そういう実際の懸念でございました。ここについては丁寧な話合いをいたしまして、どういう点に心配があるのかという意見をお聞きしまして、それで改善を図っていったということによって実現をしていったと、こういう経緯でございます。
  66. 岩渕友

    ○岩渕友君 ありがとうございます。  時間が来てしまったので田辺参考人にはお聞きすることができませんでしたが、貴重なお話をいただいてありがとうございました。  今国会、原発ゼロ基本法案が野党四党によって提案されていますけれども、原発ゼロ、再生可能エネルギーへの転換が大きな国民の世論になっています。この国民の声がエネルギー基本計画にもしっかり反映されることが必要だということを改めて感じました。  参考人の皆さん、ありがとうございました。
  67. 石井章

    ○石井章君 今日は、参考人の皆さん、貴重な御意見ありがとうございます。  日本維新の会、石井章です。  それでは、質問に入りたいと思います。  御案内のとおり、政府の方でエネルギー基本計画が出されまして、二〇五〇年に向けて主力電源化を目指すという方針が示されました。二〇三〇年における再エネの比率については、先ほど来出ていますけれども、二二から二四、原発の比率については二〇から二二と。それから、前回の二〇一五年の七月に策定された目標からは今回の数字が修正変更されていないということであります。これまで道府県や政令都市の協議会などからも、政策提言として、二〇三〇年における自然エネルギーの割合を三〇%、世界に比べればちょっと低いとは思うんですが、三〇%とすべきであるという政策提言もなされていたわけでありますが、政府は再エネの主力電源化を目指すと言ってはいますけれども、地方や国民の声に耳を傾けようとしているのかどうかは疑問であります。  私は、個人的には、発送電の分離を契機としました系統運用の見直しなど、ここで強力な政府の政策誘導によりまして再生可能エネルギーの割合を高めることは十分に可能だと考えております。  そこで、参考人のそれぞれの方々にお伺いいたしますが、政府の二〇三〇年のエネルギー基本計画における電源構成、原子力が二〇から二二、再生可能エネルギーが二二から二四、そして火力が五六%という割合についてですが、この数字についてどのように評価されるか、それぞれのお考えを聞かせていただきたいと思います。
  68. 田辺新一

    参考人田辺新一君) 今回のエネルギー基本計画の「はじめに」に書かれていますけれども、私は、やはり今回、二〇五〇年に向けて再生可能エネルギー拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減すると書かれたことが非常に大きなことで、その過程に二〇三〇年があるわけですけれども、そこを早くやって、そういうものをもっと早く二〇五〇年の前に変えていくのかと言われれば、やっぱり二〇五〇年の目標があるわけですから、早く変えていくというのが本当の正解だろうというふうに考えております。
  69. 大野輝之

    参考人大野輝之君) 私も、やはり、先ほど申し上げましたが、再生可能エネルギーの目標は世界的に低過ぎるわけでありますし、原発については二〇から二二というのはいかにも高過ぎまして、これはエネルギー事業者の方と話していても、とてもそこまではいかないというのが普通の標準的な見解でございます。  一方で、やっぱり火力発電については五六%ですが、その中でも石炭火力が二六%を占めるというものでございますので、これについてはやはり見直しが必要であろうというふうに考えております。
  70. 大島堅一

    参考人大島堅一君) 今回のエネルギー基本計画の中で、先生が御指摘のように、エネルギーミックスは変えておりません。前回のものから変えておりません。ただ、その後、非常に大きな変化がたくさんございました。パリ協定も結ばれましたし、東芝も経営危機に陥るなど、非常に大きな変化がございましたので、本来であればエネルギーミックスは見直すべきです。エネルギー基本計画が先にあるべきですので、エネルギーミックス前提にして基本計画を作るというのは本末転倒です。私はそう思っておりまして、やっぱりいろんな新しい課題対応できるようなものに変えていくべきであろうと。  あと、二〇三〇年の目標は、たしか第一次基本計画は二〇〇四年か五年かだったと思うんですけれども、その時点で二〇三〇年の目標はありました。今一八年です。もうこの間何していたのかということになりますので、やはり二〇四〇年、二〇五〇年、あと二〇三〇年だけではなく、二〇二〇年、二〇三〇年、二〇四〇年、二〇五〇年、どういうようなパスになっていくのか、軌道になっていくのかというのを示さないと、二〇三〇年まで、直前まで政策を放置しているようなことになってしまいますと、やっぱりできなかったとかできるとかいう話になるわけでありますので、やっぱりその軌道といいますか、どういうような断面を、二〇三〇年だけではなく、二〇四〇、二〇五〇という断面を示しながら具体的な政策を決めるべきではないかというふうに思っております。
  71. 石井章

    ○石井章君 ありがとうございました。  その計画の間に、七年前に未曽有の被害をもたらしました福島の原発事故があったわけです。政府は、エネルギー基本計画において、原発をエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源というように位置付けております。原発ありきのエネルギー政策にはほとんど変化がないということであります。  一方、ほかの海外では、福島を教訓として、ドイツにおいては、福島事故を真剣に受け止めましてエネルギー政策を大転換させたことは広く知られておるところであります。メルケル首相はそれまで原子力擁護派だったわけですね。ですが、福島事故から四か月、僅か四か月後に、二〇二二年末までには、僅か十一年のうちに原発を全廃するという法制化をしたわけであります。世界、特に日本の原発推進派からは懐疑的に見られておりますけれども、これまで大きな障害もなく、あと四年でドイツから原発は全てなくなるということであります。  ドイツには、日本と違いまして電力輸出入による補完機能を有しているなど、日本と単純に比較することはできませんけれども、政府が国家国民の安全と生活を最優先してドラスチックに極めて大きな政策転換を図ったことは、現在の日本の政治もそこは見習わなければならないと思っております。  そこで、大島先生、大野先生、両先生にまずお伺いしたいんですが、日本では国民の約七割以上が脱原発を求めています。しかし、一向に脱原発が進まないのも事実であります。その原因についてどのようにお考えなのか。多岐にわたると思いますけれども、先生方のそういった考えの主要因に対して、そして打開策についてお聞かせいただければと思います。
  72. 大島堅一

    参考人大島堅一君) 私は、福島原発事故以降、原子力の発電量に占める割合は極めて低くなっておりますので、もう事実上脱原発しているというふうに認識しております。それで重大な経済的な危機に陥ったかというと全くそうではなく、また、そのエネルギー、電力各社が出しております電力供給計画、向こう十年の電力供給計画を見ても、原子力の依存度をほぼゼロにしても安定供給できるというふうになっておりますので、政府は、残念ながら、私からすれば残念ながら、二〇から二二%に維持、私からすれば維持するということですけれども、このまましていれば脱原発になってしまうのではないかというふうに考えております。  それをわざわざ、わざわざといいますか、政府の側から再稼働を進めるというようなことをする必要はもはやないのではないかというふうに考えておりまして、むしろ、原子力発電をなくした、あるいは手放す、廃止するといったものに対して何らかのインセンティブといいますか、を付けるような政策を取った方がむしろいいのではないかというふうに考えている次第です。  以上です。
  73. 大野輝之

    参考人大野輝之君) 私、やっぱりエネルギー転換が進まない一つの要因は、原発でありますとか再生可能エネルギーについての正しい情報がなかなか国民の中に伝わっていかない、逆に間違った情報が出されているということがあると思います。  一例ですと、例えば原発の建設コストですけれども、今でも資源エネルギー庁のホームページを見ますと、新設原発の建設コストは、一キロワットアワー十・一円であると書いています。これはもう先ほどから話が出ていますように、建設費のコストをかつてのものを使っていて、イギリスやアメリカで現在造っている原発に比べると二分の一以下の建設費でこれを計算しているということであります。これを現在実際に造られているもので当てはめますと、それだけで四円ぐらい上がってしまうと。全く経済的にも成り立たない。こういう情報が正しく紹介されていないということ。  あるいは、よく言われるのは、ドイツは既に今三六%自然エネルギーを使っているわけですけれども、言われるのは、ドイツが脱原発をできるのは隣の原発に依存しているフランスから電力を供給してもらっているからだと、こういう話があるわけでございますが、これも事実はまるで逆でございまして、これは、商業貿易でやられている量を年間比べますと、ドイツがフランスに対して純輸出国であります。ドイツからむしろフランスに電力を供給している分の方が多いというのが実態でございまして、今年の二月に、フィガロ、フランスの新聞でございますけれども、が、フランスが非常に極めて寒い冬に襲われて電気が足りなくなったときにドイツからの電力供給でしのいだことがあるんですね、そういうことも大きく取り上げておりました。  こうした正しい事実というのが伝えられていないことが、エネルギー転換がなかなか進まないという一つの原因であろうと思っております。
  74. 石井章

    ○石井章君 ありがとうございました。  では、最後に田辺参考人に、まずクールビズについてお伺いいたします。  オフィスの温度を二十八度に設定ということで、所管は環境省だと思いますけれども、先生から配付していただいたものにも先生の御意見が記載されております。  昨年、環境副大臣やあるいは官房副長官など、クールビズ導入当時の環境省の担当課長だった法務副大臣など、二十八度に科学的知見がないとか、あるいは逆に洗濯物が増えるとか、そういった、正直不愉快だなどという意見も出まして、その見直しを訴えましたが、それに対して、当時導入を決めたのは小池都知事、環境大臣の小池知事だったわけでありますけれども、〇五年の夏だけでも四十六万トンのCO2削減につながったということで反論する一幕もあったわけであります。  そのとき、二十八度がもう少し低くなるかなという期待した国民も多いと思うんですけれども、しかし、結局、環境省は二十八度だということで、あくまでも目安であるということではありますが、残念ながらこれ以上踏み込んだ議論にはならなかったわけであります。  私も個人的には同意見でありまして、二十八度で決めていくのは反対でありまして、正直言って、私は茨城なんですけれども、茨城の県南で非常に暑くて、体感的には非常にこんなのじめじめして暑いなと思うのがありまして、二十八度に設定してあっても自分で事務所の温度を二十五度まで下げちゃったりしているんですが。  そこで先生にお伺いしたいんですけれども、先生のお考えの賢い省エネというのは具体的にどのようなものなのか、また、室温を二、三度下げた場合にCO2削減への影響についてどのようにお考えなのかをお聞かせください。
  75. 田辺新一

    参考人田辺新一君) まず、二十八度の根拠は、私どもの学会に当時の厚生省から委託があって、何度ぐらいにビル管法を作るときに上限をするかとなりまして、いろんな文献調べて二十八度と決めているんですが、その報告書の中でも、冷房は二十二から二十四度なんて書いてあるんですよ。もう間違っても推奨にはしないでくださいと元の報告書に実は書いてありまして、我々が実は裸に近い状態で寝ているときの快適温度が二十九度なんです。ですから、それに近いところで働くというのは実は相当大変でございます。もちろん、女性の中の一部とか、そういう温度がいい方もいらっしゃるんですが、日本の空調って大体二十六度に設計をされていまして、それを上げると湿度が取れないんです。冷やすことによって除湿をしていますので湿度が取れないと。ですから、新しい技術開発によっては、二十七度で除湿すれば大丈夫というのも技術としてはあり得ると思います。  シンガポールとかすごく寒いんですけれども、これはアメリカのマニュアルで設計していまして、大体二十三度なんですね、設計が。シンガポールの方も実は寒いので、上げようとするとやっぱり除湿ができなくて蒸し蒸ししてしまいまして、あの温度にしないとなかなか駄目だというふうになっています。  これは、設計のやり方を変えていけばもっと省エネになると思います。ただ何も考えないで温度だけ下げるとやはり増エネにはなります。ただ、働き方改革で、快適にして早く帰った方が私はいいんじゃないかと思っています。
  76. 石井章

    ○石井章君 これで終わりにします。ありがとうございました。
  77. 浜野喜史

    委員長浜野喜史君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十一分散会