○
石井正弘君
委員派遣における
調査の概要について御報告いたします。
昨年十二月十八日から二十日までの三日間、
沖縄の
振興開発問題等に関する実情
調査のため、
沖縄県を訪問いたしました。
派遣委員は、
石井委員長、
山田理事、江崎
理事、秋野
理事、儀間
委員、糸数
委員及び私、
石井の計七名でございます。
昭和四十七年に
沖縄が本土に復帰してから四十五年が経過いたしました。この間、国は、
沖縄の特殊事情に鑑み、自らの責務として
沖縄振興策を
推進し、十年置きに策定する
沖縄振興計画に基づき、本土との格差是正や民間主導の自立型経済の構築を図るための各種
施策が
実施されてきました。これまでの
取組の
成果は、
就業者数の増加、有効求人倍率の上昇、
社会資本の
整備状況などに現れており、成長した
観光・
リゾート産業が
沖縄経済を牽引していますが、雇用環境の改善や
基地負担の軽減などの
課題が依然として残されているほか、近年では、
沖縄の
子供の
貧困問題が深刻な
状況であることが明らかになり、国による緊急対策
事業も進められているところです。また、三十九の有人
離島を有する島嶼県の
沖縄においては、
離島振興も引き続き重要な
課題であります。
このような
状況を踏まえ、今回の
委員派遣では、
沖縄本島及び宮古島を訪問し、知事などの行政
関係者や
地元経済
関係者と意見交換を行ったほか、関連施設の視察等を通じ現地の実情の把握に努めました。
以下、
調査の概要につきまして御報告申し上げますが、詳細につきましては、お手元に配付されております報告書により御承知願いたいと存じます。
初日は、まず、糸満市の
沖縄県営平和祈念公園内の国立
沖縄戦没者墓苑にて献花を行い、同公園内にある平和の礎を視察いたしました。次に、浦添市に移動し、てだこ浦西駅予定地において、県から、
沖縄都市モノレール延長
事業について
説明を
聴取いたしました。モノレールの乗客数は順調に推移しており、延長
事業によってモノレールと高速
道路との結節点が
形成され、県中北部とのアクセスが改善すること等が期待されています。
次に、那覇市に移動し、特定非営利活動法人
沖縄青少年自立援助センターちゅらゆいが運営する
子供の居場所のkukuluにおいて、県及びちゅらゆいから、
子供の
貧困問題への
取組状況や
課題について
説明を
聴取した後、
沖縄県庁を訪問し、
沖縄県から大型MICE施設の
整備に対する
支援など二十一項目にわたる要望事項について
説明を
聴取し、翁長知事と意見交換を行いました。その後、
沖縄特有の
沖縄型神経原性筋萎縮症について患者から
聴取いたしました。
二日目は、まず、宜野湾市に移動し、佐喜眞市長から要望等を
聴取し、意見交換を行った後、市役所屋上から
普天間飛行場を視察いたしました。市長から、今回の
委員派遣の直前に発生した普天間第二小
学校への米軍ヘリ窓枠落下事故を踏まえ、
普天間飛行場問題について実効性のある解決策について要望がなされましたが、市の
中心部に位置する同飛行場を間近に見て、
県民の安心、安全な
生活の
確保は何よりも重要であり、一刻も早い危険性の除去が必要であると改めて感じました。なお、同市役所において、市内保育園の父母会から保育園上空における米軍ヘリの飛行禁止等を求める嘆願書を受け取りました。
次に、
平成二十七年三月に
返還され、現在、
沖縄健康医療拠点の
形成に向けて
取組が進められている
西普天間住宅地区跡地を視察し、同地区を今後の
跡地利用の
モデルケースとして成功させ、
沖縄の更なる
振興につなげたいとの
地元の意欲を感じることができました。
次に、
沖縄経済の現状と
課題について、
地元経済
関係者と意見交換を行いました。リーディング
産業である
観光は好調との
認識は共通でしたが、
観光客の滞在日数や消費額には
課題があり、北部
振興、
人材育成、
沖縄の特区・
地域制度などへの様々な提案、要望が寄せられました。また、新たな成長
産業として県が力を入れている
情報通信関連産業については、高付加価値化による賃金アップにより、
県民所得の向上を目指したいとのことでした。製造業については、特区、
地域制度や各種の
支援制度が
沖縄への
企業誘致につながっている一方で、まだ効果は十分ではなく、中長期での
支援策が必要とのことでした。農業については、夏場の野菜不足という
沖縄特有の問題を、植物工場という新しい
事業形態により改善する
取組が紹介されました。
那覇市においては、那覇港管理組合から、那覇港におけるクルーズ
振興への
取組状況について
説明を
聴取いたしました。
平成二十九年の同港への
寄港回数は県内では最多であり、全国の
港湾別順位でも三位の実績となっておりますが、クルーズ船の大型化が進んだ結果、現在のクルーズターミナルでは対応できず
課題があるとして、第二クルーズバースの
整備について要望がなされました。その後、対馬丸事件の悲劇を後世に伝えている対馬丸記念館を視察し、
那覇空港滑走路増設事業の進捗
状況等について
内閣府
沖縄総合事務局から
説明を
聴取した後、宮古島に向かいました。
宮古島では、まず、宮古島市及び多良間村で構成される同圏域の市村長等から要望を
聴取し、意見交換を行いました。宮古島市からは、待機児童対策及び認可外保育施設への
支援の拡充などの五項目について、多良間村からは、農業農村
整備のための国営
事業の
推進などの二項目について、要望がなされました。
三日目は、地下ダム資料館及び仲原地下ダム工事現場において、
内閣府
沖縄総合事務局から、地下ダムによる水源
開発を契機とする宮古の農業の発展や現在行われている国営かんがい
事業の意義などについて
説明を
聴取いたしました。その後、社会福祉法人みやこ福祉会が運営する就労継続
支援A型
事業所である野菜ランドみやこ、
沖縄の貴重な地場
産業である泡盛製造業の菊之露酒造株式会社を視察いたしました。
続いて、平良港に移動し、
内閣府
沖縄総合事務局から、同港において進められている平良港漲水地区複合一貫輸送ターミナル改良
事業について
説明を
聴取いたしました。同港では、
平成二十五年には一回だったクルーズ船の
寄港回数が
平成二十九年には百三十回にまで急増していますが、クルーズ船専用の岸壁がなく、五万トン級を超えるクルーズ船は接岸できない
状況にありました。同
事業は十一万トン級のクルーズ船の受入れを可能にするものですが、
平成二十九年十二月に岸壁の暫定供用が開始され、五万トン級のクルーズ船の受入れが可能となりました。また、同年は、十四万トン級のクルーズ船の受入れが可能となる平良港国際クルーズ
拠点整備事業もスタートしております。
そして、伊良部大橋を経由して伊良部島に移動し、最後に宮古製糖株式会社伊良部工場において、原料糖の製造工程を視察いたしました。
以上が
調査の概要でございます。
今回の
委員派遣では、現地において多くの
方々から多岐にわたる御意見、御要望及び御提案をいただき、
沖縄が抱える様々な
課題について
理解を深めることができました。また、当
委員会として
平成二十四年一月以来となる宮古島への訪問では、伊良部大橋の開通後、
島民の
生活環境が改善されたことを実感することができました。今回の
成果を踏まえ、当
委員会においても、審議等を通じて、更に
沖縄振興への
取組を進めていくことが重要です。
最後に、今般の
委員派遣に際し、御
協力いただきました
内閣府
沖縄総合事務局を始め
沖縄県、
関係市町村及び各視察先の
皆様に厚く御礼申し上げます。また、現地でお話を伺った嵩原弘宮古島市議会議長が一月二十八日に逝去されました。心から哀悼の意を表し、御冥福をお祈り申し上げます。
なお、
委員派遣の文書による報告につきましては、本日の会議録の末尾に掲載されますよう、お取り計らいをいただきたいと存じます。
以上でございます。