○
伊佐進一君
公明党の
伊佐進一です。
公明党を代表し、
働き方改革法案について、
賛成の
立場から
討論をいたします。(
拍手)
本
法案は、戦後の
労働基準法制定以来、七十年来の
大改革となる
法案です。
労使では長らく決められなかった点について、自公政権において
政労使の枠組みをつくり、政治が調整を促すことで合意につながった
法案でもあります。あくまで、
労政審を含め、
労使の合意をベースに作成されたものであるということを、まず申し上げます。そして、そこに至る政治の触媒の役割については、
参考人質疑においても高く評価されたところです。
その最たるものが長時間
労働の是正です。日本で初めて、
罰則つきの時間
外労働の
上限を設けました。単月百時間未満、
複数月平均八十時間未満という
上限は、
労使が交渉の末にぎりぎりで合意したものであり、他党
対案にある実現可能性のない理想の
数字ではなく、
責任ある実行可能なスタートラインと言えます。
しかも、これはあくまで
上限であって、この百時間、八十時間ぎりぎりの時間
外労働をよしとするものではなく、ここからさらなる努力で長時間
労働を減らしていくという
政府の姿勢が明確に示されていることは非常に重要です。
本
法案においては、さらには、
中小企業への
割増し賃金の
適用や、産業医・産業保健機能の強化、有給休暇取得に向けた指定
制度、同一
労働同一
賃金によってパートや
有期雇用の
皆さんの処遇を改善するなど、数々の画期的な施策が盛り込まれています。
また、我が党がこれまで強く主張してきた点も多数盛り込まれております。本
会議の
趣旨説明、
質疑において、
総理からは、
罰則つきの時間
外労働の
上限規制や同一
労働同一
賃金と並んで、
勤務間インターバル制度についても、我が党の提言をしっかりと明記したと発言がありました。
この
勤務間インターバル制度については、現在、導入している事業所が一・四%という現場の状況にも配慮しつつ、努力
義務として初めて法文化したことは大きな一歩だと評価します。
あわせて、日本の
雇用の七割を担う中小・小規模事業者において、本
法案の
実効性を
確保する配慮も重要です。空前の人手不足と言われる中、また取引条件の改善が十分になされていない事業所もある中で、
働き方改革のしわ寄せが中小・小規模事業者に来るようなことがあってはなりません。
本
法案においては、準備期間として、
中小企業への施行期日を一年間おくらせ、また、行政官庁は助言指導において配慮することとしています。さらには、
日本維新の会の
提案により、地方公共団体、
労働者団体、
中小企業による協議会の設置が盛り込まれたことは、
公明党が進めてきた地方版
政労使会議とも意を同じくするものであり、評価できます。
本
法案は、新たな
社会の
ニーズに応えるものとなっております。これまで
我が国において
労働力の
中心と考えられてきた男性現役世代が減少し、現在は、多様な人材が多様な形で活躍する
社会が求められています。そして、それを可能とするためには、残業削減と柔軟な
働き方をともに実現することが必要不可欠です。多様な人材の能力を最大限に生かす施策として本
法案に盛り込まれているのが、同一
労働同一
賃金であり、また
高度プロフェッショナル制度です。
本
法案においては、
高度プロフェッショナル制度の恣意的な濫用を避けるため、
年収要件や業種の限定のほか、本人の同意、また
労使同数の
労使委員会で五分の四以上、すなわち
労働者側の過半数の
賛成が必要条件となっています。更にその上で、年間百四日間の休日
確保に加え、その他の選択的
措置が
義務づけられるなど、
平成二十七年
法案から
健康確保措置が充実されています。
今後、
対象がむやみに
拡大されるのではないかとの
指摘がありました。しかし、そもそも
年収要件は
法律事項であるため、
国会で
審議、可決しなければ変えられないこと、また業種については
労政審の
審議が必要であること、何よりも、本人同意に加えて、同意を
撤回する
手続についても
法律上盛り込まれたことにより、幾重にも慎重な運用がなされることとなっております。
また、
労災認定については、高
プロにおいて把握される
健康管理時間が
一般労働者で把握される実
労働時間とほぼ同義であり、
労災認定手続は
一般労働者と比べて変わるものではないことは、
質疑を通じて確認されております。
いずれにしても、高
プロ制度に限らず、あらゆる法
制度は、悪用を防ぎ、適切に運用されることが重要であり、我が党としては、現場で働く
人たちを守るため、
政府執行機関に対して引き続き厳格な運用を求めてまいります。
今回の
労働実態調査については、異常値が二割にも上るような手法で
調査を行ったこと、しかも、
裁量労働制との時間比較で使ったことで、
審議に混乱を来しました。これは残念なことであり、
政府には猛省を求めます。
結果、
裁量労働制に関する事項は
削除されました。その際、我が党として、早急に適切な手法によって
実態調査を行い、単なる
裁量労働制の
対象業務の
拡大だけではなく、
健康確保措置についても充実させるよう、
政府に緊急申入れを行いました。その申入れの中で、本
法案において先んじて明記されたものもあります。例えば、
裁量労働制のようなみなし
労働時間制においても
労働時間を把握する
義務を
法律上規定したことであり、これにより、
裁量労働制の恣意的な運用を防ぐことにつながります。
この
データ問題は、多くの
野党の
皆さんが
指摘されるような、
議論の結論を変え、本
法案の
内容に影響を与えるものではありません。本
データが
労政審において使われたのは、長時間
労働の是正と
中小企業における時間
外労働割増
賃金の
適用についての
議論でした。
厚労省が
データの誤りを精査し直した結果、例えば、一月の法定時間
外労働が四十五時間を超える事業場は精査前後でともに一割程度存在し、今回の
データ問題によって、長時間
労働の是正や
中小企業の割増
賃金の
必要性がなくなるとは到底思えません。
データを
労政審に差し戻して
議論すべしとの御
意見は、単に長時間
労働是正の取組をおくらせるものであり、全くの的外れだとはっきりと申し上げたい。
本
法案に盛り込まれた
内容の多くは、与
野党を超えて広く賛同されるものです。事実、例えば時間
外労働の
上限規制について、連合の
神津会長からも、一刻も早くスタートさせていただきたいと、
参考人質疑において強く発言されました。
ほぼ毎日、御
家族にとって大切な命が
過労死によって日本のどこかで奪われているというこの現状において、
働き方改革は待ったなしです。残業を減らしていこう、
過労死をなくそう、この思いは、この議場にいる誰もが共有しているはずです。
今必要なことは、こうした原点に立ち返り、前向きな
議論を積み重ねていくことであって、生産的な
法案修正協議を行った
日本維新の会、
希望の党の
皆さんには、この場をおかりして感謝を申し上げます。
改めて、柔軟な
働き方を可能とし、また長時間
労働の是正に大きく切り込む本
法案に対し、議員各位が良心に沿って御判断いただくことを
希望し、
賛成の
討論といたします。
ありがとうございました。(
拍手)