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2018-05-11 第196回国会 衆議院 本会議 第25号
公式Web版
会議録情報
0
平成
三十年五月十一日(金曜日)
—————————————
平成
三十年五月十一日 午後一時 本
会議
—————————————
○本日の
会議
に付した案件
消費者契約法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
及び
質疑
午後一時二分
開議
大島理森
1
○
議長
(
大島理森
君) これより
会議
を開きます。
————◇—————
消費者契約法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
大島理森
2
○
議長
(
大島理森
君) この際、
内閣提出
、
消費者契約法
の一部を
改正
する
法律案
について、
趣旨
の
説明
を求めます。
国務大臣福井照
君。 〔
国務大臣福井照
君
登壇
〕
福井照
3
○
国務大臣
(
福井照
君) ただいま
議題
となりました
消費者契約法
の一部を
改正
する
法律案
の
趣旨
を御
説明
申し上げます。
消費者契約
におきましては、
消費者
と
事業者
との間に
交渉力等
の
格差
があることなどから、依然、
若年者
を含めた幅広い
年代
において
消費者被害
が生じております。 また、
平成
十三年の
施行
以降、
消費者契約
についての
裁判例
や
消費生活相談事例
が蓄積しており、この
傾向等
も踏まえ、適切な
措置
を講ずる必要がございます。 こうした
状況
を踏まえ、
消費者
の
利益
の
擁護
を図るため、
事業者
の
一定
の
行為
により
消費者
が困惑した場合について、
契約
の申込み又はその承諾の
意思表示
を取り消すことができる
類型
を
追加
する等の
措置
を講ずることとするため、この
法律案
を提出した次第でございます。 次に、この
法律案
の
内容
につきまして、その概要を御
説明
申し上げます。 第一に、
意思表示
を取り消すことができる不当な
勧誘行為
の
類型
として、
社会生活
上の
経験
が乏しいことから、
消費者
が抱いている過大な不安をあおったり、
消費者
が
勧誘
を行う者に対して
恋愛感情
を抱いていることなどに乗じて、
一定
の
内容
を告げることを
追加
することといたしております。 また、
消費者
が
意思表示
をする前に、
契約
を締結したならば負うこととなる
義務
の
内容
を実施すること等を
追加
することとしております。 加えて、
不利益
事実の不
告知
による
取消し
についても
所要
の
改正
を行います。 第二に、無効となる不当な
契約条項
の
類型
として、
事業者
に対し
消費者
が
後見開始等
の審判を受けたことのみを
理由
とする
解除権
を付与する
条項
、
事業者
にその
損害賠償責任
及び
消費者
の
解除権
の
有無等
を決定する権限を付与する
条項
を
追加
することといたしております。 第三に、
事業者
の
努力義務
についても、
個々
の
消費者
の
知識
及び
経験
を考慮した上で、必要な
情報
を
提供
することを明示するなどの
所要
の
改正
を行います。 なお、一部の
附則規定
を除き、公布の日から起算して一年を経過した日から
施行
することといたしております。 以上、
消費者契約法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
趣旨
を御
説明
申し上げた次第でございます。(
拍手
)
————◇—————
消費者契約法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
に対する
質疑
大島理森
4
○
議長
(
大島理森
君) ただいまの
趣旨
の
説明
に対して
質疑
の通告があります。順次これを許します。
尾辻かな子
君。 〔
尾辻かな子
君
登壇
〕
尾辻かな子
5
○
尾辻かな子
君
立憲民主党
の
尾辻かな子
です。 ただいま
議題
となりました
消費者契約法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
立憲民主党
・
市民クラブ
を代表して
質問
いたします。(
拍手
)
質問
に入る前に、一言申し上げます。
加計学園
の
獣医学部新設
をめぐる問題について、きのう、
柳瀬
元
首相秘書官
の
参考人質疑
が行われました。結果、
疑惑
はますます深まった、闇はますます深くなったと言わざるを得ません。 官邸で
首相秘書官
が特定の
学校法人関係者
に御丁寧に三回も会う。そして、
国家戦略特区
に関して面会したのは、何と
加計
の
関係者
だけ。しかも、
加計孝太郎理事長
は、
自他とも
に認める
安倍内閣総理大臣
の親友です。これが
特別扱い
でなければ、何だというのでしょうか。 にもかかわらず、面会の
内容
はおろか、会った事実すら
安倍総理
に全く
報告
もしていません、話もしていませんなどという話を一体誰が信じるというのでしょうか。
記憶
にないを連発していた
柳瀬
氏は、調整の結果なのか、さっさと
記憶
を取り戻したようですが、都合のよいところだけはやけに詳しく、肝心なところは闇の中。
疑惑
がますます深まった以上、今後も
関係者
に
国会
でお話しいただく必要がますます高まったと、この場でもあえて申し上げておきます。 また、本日の
財務金融委員会
における
麻生大臣
に対する私の
質問
に対して、
大臣
が、
女性記者
にはめられたとの見方があると改めて言及した上で、そういう
可能性
は否定できないと答弁されました。 四月二十七日に、財務省は前事務次官の
セクシュアルハラスメント行為
があったと
判断
し、テレビ朝日に謝罪したにもかかわらず、その組織のトップがいまだに
セクシュアルハラスメント
の二次
被害
を広げ、
被害者
をバッシングしているのは、とんでもない
発言
です。即刻、
麻生大臣
は
被害者
に謝罪し、
発言
を撤回すべきです。 さて、
消費者契約法
ですが、御
担当
は
福井照大臣
です。
消費者担当大臣
は、
消費者政策
を預かる重要なお立場であり、
人権感覚
がとても大事です。人格、品格が問われることは申し上げるまでもありません。
安倍内閣
には、
セクハラ罪
という罪はないなど、いろいろ信じられない認識をお持ちの
大臣
も居座っておられます。
世界各国
で
ミー・トゥー運動
が大きなうねりとなっております。
福井大臣
におかれましても、
セクハラ行為等
を指摘されたようなことはないものと信じております。 さて、近年の
消費者
を取り巻く
社会経済情勢
の
変化
に伴い、
商品
、
サービス
は
多様化
、複雑化し、新たな
消費者トラブル
が次々と発生するなど、
消費者被害
の発生は後を絶たず、特に、
加齢
や
認知症等
の影響により
判断能力
が低下した
高齢者
を狙った悪質な
訪問販売
や
電話勧誘販売
など、
不当勧誘販売
による
高齢者被害
は依然として増大しております。 また、
成年年齢引下げ
に関する
民法改正
の
動向
を受けて、
若年者
の
被害拡大
が
懸念
されており、
高齢者
及び
若年者等
の
被害
の
防止
、
救済
は喫緊の
課題
となっております。 このような実情を踏まえ、今般提出された本
法律案
は、依然として発生している幅広い
年代
における
消費者被害
に対して、
消費者
と
事業者
との間の
交渉力等
の
格差是正
を
前提
として、
消費者
の
利益
の
擁護
を図るための
法改正
でなければなりません。 私たちは、こうした
消費者被害
の問題に対して、本
法律案
が、
消費者
の
利益
の
擁護
を図るため、
消費者被害
の
防止
及び
救済
の
観点
から
実効性
のある
法改正
となるよう、
消費者目線
に立った
審議
を強く望み、
消費者担当大臣
と、一部を
法務大臣
に
質問
いたします。 二〇〇一年の
消費者契約法施行
後、現在もなお
消費者被害
が後を絶たず、
全国
の
消費生活センター等
へ寄せられる
相談
は、ここ十年間においても、年間約九十万件と高水準であり、二〇一六年には、その約三割を六十五歳以上
高齢者
が占め、
被害額
は
相談
一件当たり六十九万円と高額となっております。 こうしたことから、二〇一六年の第百九十回
国会
の一次
改正
に至らず積み残された
課題
と、さらに、
民法
の
成人年齢引下げ
の
動向
を受けて、今般の
改正
は、
消費者
からの安心して暮らしたいという声、
全国
の
消費生活相談
の
現場
や
適格消費者団体等
からの、
消費者被害
を
防止
、
救済
したい、
悪質事業者
ではなく、真っ当に働く
事業者
に当然入るべき
利益
が届くべきだという強い思いに対する結実として、非常に期待されているものでありました。 ところが、本
法律案
は、
消費者委員会
の異例の
付言
が盛り込まれた
答申
の
趣旨
を十分に踏まえたものとは言いがたい
改正案
になっております。 そこで、
消費者担当大臣
に
お尋ね
します。 本
法律案
は、
消費者委員会
の
答申
をどれだけ真摯に受けとめた
改正
になっているというのでしょうか。本
改正
の狙いと、本
改正
により、依然として発生している
高齢者
、
若年者等
の
消費者被害
がどれだけ
防止
、
救済
される
効果
があるとお
考え
ですか。お伺いいたします。 本
改正
では、
事業者
の
情報提供
の
配慮義務
について、
事業者
が
個々
の
消費者
の
事情
を考慮すべき
事項
として、
消費者契約
の目的となるものの性質に応じることと、
個々
の
消費者
の
知識
及び
経験
を考慮することを
追加
していますが、
年齢
については、
知識
及び
経験
と一致する
側面
があるとの
理由
から、本
改正
には盛り込まれませんでした。 しかし、
知識
及び
経験
が浅いことによる
判断能力不足
と、
高齢者
や
若年者
それぞれの
年齢
に応じた
判断能力不足
の特徴は、必ずしも重複しません。
若年者
のみならず、
高齢者
の
消費者被害
の予防、
救済
を図るため、
事業者
に
情報提供
についての
配慮義務
を明確化する上で
年齢
を明記することが有効と
考え
ますが、
消費者担当大臣
の
見解
を求めます。 また、近年、
消費生活
の
環境変化
に伴い、
事業者
と
消費者
との
情報格差
は一層
拡大
しております。事実、
消費者委員会成年年齢引下げ対応検討ワーキング
・
グループ
では、
事業者
の
配慮義務
として、
当該消費者
の
需要
及び
資力
に適した
商品
及び
役務
の
提供
について、必要かつ合理的な
配慮
をすることと提案しています。 このような事実
関係
を踏まえれば、
事業者
の
情報提供
については、
消費者
の
需要
及び
資力等
についても考慮するよう明記すべきと
考え
ますが、
消費者担当大臣
の
見解
を求めます。 本
法律案
は、
事業者
が不安をあおる
告知
と
恋愛感情等
に乗じた
人間関係
の
濫用
という
不当勧誘行為
により、
消費者
が困惑して
消費者契約
を締結した場合の
取消権
を
追加
することとしています。 しかし、両
規定
には、
消費者
、
事業者
及び有識者で構成される
消費者委員会専門調査会
では
議論
の俎上にも上がっていない「
社会生活
上の
経験
が乏しいことから」という文言が、いつの間にか
要件
として
追加
されています。 そもそも、今般の
改正
は、
消費者委員会
に対する
内閣総理大臣
からの
諮問
を受けて
消費者委員会
で
検討
が進められたものであり、この
諮問
に対し、現下の重要な
課題
の一つとして、
高齢化
の
進展
への
対応
が挙げられていたはずです。 ところが、「
社会生活
上の
経験
が乏しいことから」という、
若年者
だけを
対象
に置いているかのようなこの
要件
が
追加
されたことにより、
高齢者等
の
被害
が
救済
されないような間違った解釈、運用になりかねません。
政府
においては、この
社会生活
上の
経験
が乏しいという
要件
は
年齢
を制限するものではない、また、この
要件
を削除することは、
対象
が広くなり過ぎ、
取引
の
安定性
を害すると
説明
しています。 しかし、過大な不安をあおり、正当な
理由
もないのに、
願望実現
のために必要であると告げること、好意の
感情
に乗じて、
契約
締結しなければ破綻すると告げるという
行為
は、健全な商
行為
ではなく、保護すべき
事業者
ではありません。これ以上、何の
要件
が必要なのでしょうか。
政府
は、「
社会生活
上の
経験
が乏しいことから」の
要件
について、救える場合と救えない場合を
逐条解説等
で
対応
すると
説明
していますが、この使いづらい
要件
がなぜ必要なのでしょうか。 実際、
個々
の
事案ごと
の
判断
になるのです。その基準は不明確であることから、最終的には、
交渉
の
現場
、
訴訟
の場面において
実効性
のない
規定
になる
可能性
が高いことは明らかです。 このような中、多くの
消費者団体等
から、「
社会生活
上の
経験
が乏しいことから」という
要件削除
を求める声が高まっております。 我が党では、「
社会生活
上の
経験
が乏しいことから」という
要件
を削除する修正を求め、以下の点をお伺いいたします。
消費者担当大臣
に、この
要件
を
追加
した
理由
を伺います。 また、明確な
規定
を設けるとしながら、不明確で曖昧な
規定
を更に
追加
し、
逐条解説
で
対応
するとしていることには大きな矛盾があると
考え
ますが、
大臣
の明確な
見解
を求めます。 この
要件
により
消費者被害
の
救済対象
が狭められる
懸念
に対し、本
改正案
で
適用対象
の
範囲
がどこまでとされているのか、この
改正規定
を使う
現場
の方々にわかるようにお示しください。
現行法
は、
契約
の解約時に
消費者
が求められる
キャンセル料
に関し、
当該事業者
に生ずべき平均的な
損害
の額を超える
部分
を無効とする
規定
があります。この平均的な
損害
の額の
立証
は
消費者側
に求められます。これは
消費者
に大変困難な
立証
であるため、平均的な
損害
の額の
推定規定
について、
消費者委員会専門調査会
で合意されましたが、本
法律案
には盛り込まれておりません。その
理由
についてお聞かせください。 また、平均的な
損害
の額の算定に必要な帳簿などの資料は
事業者
が持つことから、
事業者
に平均的な
損害
の額の
立証責任
を転換することも
考え
られますが、あわせて
消費者担当大臣
の答弁を求めます。 今
国会
に提出された、
成人年齢
を二十歳から十八歳に引き下げる
民法改正案
が仮に
成立
すれば、二百二十万人とも言われる十八歳、十九歳の
若年消費者
が
未成年者取消権
を失うことを意味します。 そもそも、
民法
の
成年年齢
を十八歳に引き下げるのが適当であるとした二〇〇九年の
法制審議会答申
では、
引下げ
の
法整備
を行うには、
消費者被害
のおそれ等の
問題点
の解決に資する
施策
が実現されることが必要であるとされました。 その後、
専門調査会報告書
、
消費者委員会
二次
答申
、
成年年齢引下げ対応検討ワーキング
・
グループ報告書等
でも明らかなように、
成年年齢
が引き下げられた場合に備えた
消費者被害対策
が求められております。 しかしながら、本
改正案
には、不安をあおる
告知
、
恋愛感情等
に乗じた
人間関係
の
濫用
など、ごく限られた場合の
取消権
しか盛り込まれておらず、日弁連を始め、
全国
の
消費者団体等
からは、これでは十八歳、十九歳の
消費者被害
を
防止
、
救済
するための
施策
としては不十分との声が上がっております。 十八歳、十九歳の若者への
救済策
として、
法制審議会答申
を契機として、それ以降、
成年年齢引下げ
に備えてどのような
取組
を行ってこられたのか、そして、本
法律案
のあるべき姿についてどうお
考え
なのか、
消費者担当大臣
にお伺いいたします。 また、
民法改正案
を提出する決断を下した
法務大臣
に、
成年年齢引下げ
に伴い心配される
消費者被害対策
が実現されたと
考え
る
根拠
についてお伺いいたします。
消費者契約法
は、
規制緩和
が進む中、
消費者
を守るための
法律
的な盾とならなければなりません。そのためには、
立憲民主党
は、
消費者契約法
の
消費者
の
利益
の
擁護
を図るという
立法精神
にのっとり、原案よりも一歩進んだ、全ての
消費者
、
国民
、
市民
のための
消費者契約法
の
成立
を目指して、与野党問わず協力してまいりたいと思います。 以上で私の
代表質問
を終わります。 御清聴ありがとうございました。(
拍手
) 〔
国務大臣福井照
君
登壇
〕
福井照
6
○
国務大臣
(
福井照
君)
尾辻議員
にお答えをいたします。
消費者委員会
の
答申
の受けとめ等について
お尋ね
がございました。 本
法律案
は、
消費者委員会
の
答申
で
法改正
を行うべきとされた
事項
について法制的な見地から
検討
を行い策定したものであり、
消費者委員会
において
検討
されていた具体的な
事例
については、基本的に
防止
、
救済
を図ることができるものと
考え
ております。 また、
答申書
の
付言等
につきましては、重要な
課題
であると
考え
ており、引き続き
検討
してまいります。 本
改正案
は、
高齢者
や
若年者
を含めた幅広い
年代
において生じている
消費者被害
のさらなる
防止
、
救済
を図るために必要な
法整備
であると
考え
ております。 次に、
事業者
の
情報提供
について、
配慮義務
について
お尋ね
がございました。
事業者
が
消費者
に
情報
を
提供
する際に考慮すべき
事情
としては、
消費者
の理解と
関連性
が高い、
知識
及び
経験
を明記することといたしました。
年齢
につきましては、
知識
及び
経験
と重複する
側面
があることから、法文上明記しなかったものでございます。 次に、
事業者
の
情報提供
に関し、
消費者
の
需要
及び
資力等
についても考慮すべきではないかについて
お尋ね
がございました。
消費者委員会専門調査会
におきまして、
消費者
の
需要
及び
資力
に適した
商品
及び
役務
の
提供
について、必要かつ合理的な
配慮
をすることについて
議論
されましたけれども、
消費者
の
需要
及び
資力
に適したものであるかどうかの
判断
は
事業者側
からは困難であるとの意見が出され、
コンセンサス
が得られませんでした。 こうしたことを踏まえ、現段階では、
消費者
の
需要
及び
資力
を
事業者
が
消費者
に
情報
を
提供
する際の
考慮事項
とすることは困難だと
考え
られます。 次に、不当な
勧誘行為
の
追加要件
である、
社会生活
上の
経験
が乏しいことについて
お尋ね
がございました。
消費者委員会
では、
知識
、
経験
の
不足
など、
消費者
の合理的な
判断
をすることができないような
事情
につけ込む
被害事例
について
検討
がなされました。本
要件
は、こうした
被害事例
を適切に捉えるため、
経験
の
有無
という客観的な要素により、
要件
の
該当性
の
判断
が可能となるよう法制化したものでございます。 総じて
経験
が少ない
若年者
は本
要件
に該当する場合が多くなりますけれども、
高齢者
であっても該当し得るものでございます。 次に、平均的な
損害
の額の
推定規定
の
必要性
について
お尋ね
がございました。 平均的な
損害
の額の
推定規定
を設けるに当たり、
消費者契約一般
に通ずる
事業
の
内容
の
類似性判断
の基礎となる要因を見出すことが困難であったことなどから、更に精査が必要であったため、
改正事項
とはしなかったものでございます。
立証責任
を転換することにつきましては、
消費者委員会
における
検討
において
コンセンサス
が得られず、
改正事項
として提案されなかったものでございます。
成年年齢
の
引下げ
に備えた
取組
、本
法律案
のあるべき姿について
お尋ね
がございました。 まず、
若年者
が
消費者被害
に遭わないためには、
消費者教育
を
充実
させることが必要でございます。
答申
以降、
消費者教育
の
内容
が
充実
された
学習指導要領
が順次
施行
されるとともに、
消費者教育
の推進に関する
法律
や、これに基づき閣議決定された
基本方針
などを踏まえ、実践的な
消費者教育
のための教材「
社会
への扉」を作成し、昨年度は徳島県の全ての
高校
でこれを活用した
授業
を実施いたしました。 また、本年二月には、
文部科学省等
の
関係省庁
と連携をして、二〇二〇年度までの三年間を
集中強化期間
とする
アクションプログラム
を決定し、「
社会
への扉」を活用した
授業
が全ての都道府県の全
高校
で行われることを目指しております。 さらに、
相談窓口
の
充実
、周知にも取り組んできた結果、
全国
の
消費生活センター
の数は八百二十九カ所まで増加したほか、
消費者ホットライン
一八八に電話すれば
全国
どこからでも最寄りの
相談窓口
につながるようになりました。 また、
消費者契約法
は、不当な
勧誘行為
により締結された
契約
に対し
取消権
を付与すること等を
内容
とするものですが、本
法律案
では、不安をあおる
告知
や
恋愛感情等
に乗じた
人間関係
の
濫用
を
取消し
の
対象
となる不当な
勧誘行為
として
追加
するなどの
措置
を講じており、
成年年齢
の
引下げ
に
対応
するものと
考え
ております。 以上でございます。(
拍手
) 〔
国務大臣上川陽子
君
登壇
〕
上川陽子
7
○
国務大臣
(
上川陽子
君)
尾辻かな子議員
にお答え申し上げます。
民法
の
成年年齢
の
引下げ
に向けた
消費者被害対策
が実現されたと
考え
る
根拠
について
お尋ね
がありました。 これまで、
政府
としては、
消費者被害
の
拡大
を
防止
するために
各種
の
施策
に取り組んできました。
教育
の面からは、
平成
二十年及び二十一年の
学習指導要領
の
改訂
により、
消費者教育
、
法教育
、
金融経済教育等
の
充実
が図られており、現在の
高校
生は、既に
改訂
後の
学習指導要領
に基づく
教育
を受けております。 また、今
国会
には、
若年者
を中心に発生している
消費者被害
に
対応
するための
取消権
の
創設等
を
内容
とする
消費者契約法
の一部を
改正
する
法律案
が提出されております。この
法律
により、これまで
未成年者
であった
年齢層
以外の者も含めて、
消費者被害
の
防止
のための制度的な
対応
が行われることになります。 法務省としては、こうした
各種
の
施策
により、
成年年齢
の
引下げ
の是非について
国会
に御
判断
いただく
前提
となる
環境整備
は実現されたものと
考え
ておりますが、
環境整備
のための
施策
については、今後も省庁横断的に、更に
充実強化
を図る必要があると
考え
ております。
政府
としては、
成年年齢引下げ
を見据えた
環境整備
に関する
関係
府
省庁連絡会議
を開催し、
平成
三十四年四月一日の
施行日
に向けて、
工程表
を作成した上で全体的な
進捗管理
を行っていくこととしており、
施行日
までにこれらの
施策
が十分な
効果
を発揮するよう、引き続き努力してまいります。(
拍手
)
—————————————
大島理森
8
○
議長
(
大島理森
君)
西岡秀子
君。 〔
西岡秀子
君
登壇
〕
西岡秀子
9
○
西岡秀子
君
国民民主党
、長崎一区選出、
西岡秀子
でございます。 ただいま
議題
となりました
消費者契約法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
国民民主党
を代表して
質問
いたします。(
拍手
) 近年、家計の
消費支出構造
が
変化
し、物から
サービス
へ
支出
がシフトしており、
社会経済情勢
も激変しております。 そのような中で、
少子高齢化
の中、
ネット
上の
取引
の急激な
普及
など、
情報通信技術
の
進展
や
生活環境
の
変化
に伴い、我々
消費者
を取り巻く
環境
も複雑化しております。
悪徳業者
の手口が巧妙化し、従来では見られなかった
類型
の
消費者
問題が生じております。
消費者契約法
は、
消費者契約
に関する包括的な
民事ルール
として
平成
十三年に
施行
されました。
平成
十八年
改正
においては
消費者団体訴訟制度
を導入、
平成
二十年
改正
においては
差止め請求
の
対象
の
拡大
、
平成
二十八年
改正
においては
取消し
、無効に関する
民事ルール
を
改正
いたしました。 前回の
改正
におきまして、衆参両
消費者特別委員会
において、今後の
検討課題
について必要な
措置
を講ずる旨の
附帯決議
がなされました。その
内容
は、
勧誘要件
のあり方、
不利益
事実の不
告知
、
困惑類型
の
追加
、平均的な
損害額
の
立証責任
、
条項
利用者不利の原則、
不当条項
の
類型
の
追加
など、
平成
二十七年
報告書
において今後の
課題
とされた
論点
について、
成立
後三年以内に必要な
措置
を求めるとされておりました。 今回の
改正
は、この
論点
に沿った
改正
でございます。
消費者
と
事業者
の
交渉力
の
格差
に鑑み、
消費者契約
に関する
被害事例等
を踏まえたものとなっています。
消費者
を
世代別
で見ると、
高齢者
の場合は、さまざまな身体的な衰えに加えて、
判断力
の低下により、悪質な
訪問販売
や
電話勧誘
による
トラブル
に巻き込まれる
リスク
が高まっております。また、
認知症
についても、二〇二五年には約七百万人の方が
認知症
に罹患すると推定されており、五人に一人という
状況
が予測され、
認知症
の方の
被害
の
拡大
も
大変懸念
をされております。
若年層
については、特に、さまざまな
ネット
上の
トラブル
や
マルチ商法
の
被害
に巻き込まれる
事例
が多発し、
スマートフォン
の
普及
により、
消費者
の
被害
の
リスク
の低
年齢化
が進行しております。 そのような中で、
民法
の
成人年齢
を二十歳から十八歳へ引き下げる
民法改正案
が
国会
で
審議入り
をいたしました。この
民法改正自体
にもさまざまな
議論
があるところでございますが、
消費者保護
の
観点
から
考え
ると、
民法
五条二項の
未成年者取消権
の
喪失
によって
消費者被害
の
拡大
が
懸念
をされております。今回の
改正
は、それを踏まえた上での
改正
と承知をいたしておりますけれども、ほかにも、親権の
喪失
によって生じるさまざまな問題もございます。法案が
成立
した場合には、
成人年齢
の
引下げ
による
若年者
、特に十八歳、十九歳の
消費者被害
の
拡大
が
大変心配
をされます。 しかし、この
改正案
では、保護される
部分
が極めて限定的で、
若年成人者
の
保護規定
の
充実
がより必要であると
考え
ますが、
大臣
の
見解
を
お尋ね
いたします。 また、
若年成人者
という定義を設定する場合の
年齢
の
範囲
について、
大臣
の
見解
を
お尋ね
いたします。 今回の
改正
で、
意思表示
を取り消し得る不当な
勧誘行為
の
類型
というものが
追加
をされました。
現行法
では、
取消し
の事由として不
退去
及び
退去妨害
が
規定
されておりましたが、
消費者被害
の実例に鑑みて、
判断力
や
知識
、
経験
の
不足
、不安定な
精神状況
、断り切れない
人間関係
など、
消費者
が合理的に
判断
できない
事情
を
事業者
が不当に利用している例が多く発生しております。
消費者
の立場からは、
契約
の
取消し
が認められる場合を明確にし、
契約
の効力を否定する
規定
を設けるべきという指摘がある一方で、
事業者
からは、適用
範囲
を明確化しなければ、
事業
活動上、過度な規制や萎縮につながる旨の指摘がされておりました。 このような
議論
を踏まえて、今
改正
において、
困惑類型
と言われる不安をあおる
告知
、
恋愛感情
に乗じた
人間関係
の
濫用
の
規定
が新たに設けられました。この場合に該当すれば
消費者
が当該
契約
の
取消し
ができるものと
規定
されております。 この
改正
の
趣旨
は評価するものでございますが、第四条三項に
社会生活
上の
経験
が乏しいという文言が入ったことにより、
若年者
を意識した
規定
と捉えられるおそれがあり、霊感商法等の
事例
において、
高齢者
などの
救済
に規制的に働くおそれがあると
考え
ます。 本
規定
の
適用対象
となる
範囲
について、
若年者
から
高齢者
までどのような
事例
を想定しているのか、また、この文言の見直し又は削除する
考え
があるかどうか、
大臣
に
見解
を
お尋ね
いたします。 また、今回、限られた場合の
取消権
しか認められていないことは問題があると
考え
ます。どのような
理由
でこの二つの
類型
を
規定
されたのか、
規定
以外の
部分
について今後どのように
対応
していくのか、また、
法改正
以外にどのように
成年年齢
の
引下げ
に
対応
していくおつもりなのか、
見解
を
大臣
に
お尋ね
いたします。 次に、専門委員会において
法改正
の合意が得られていた平均的な
損害額
の
立証責任
に関する
規定
は、今回盛り込まれておりません。
現行法
において、
契約
解除時に
消費者
が求められる
キャンセル料
は、
当該事業者
に生ずべき平均的な
損害額
を超える
部分
は無効とすると
規定
されておりますが、平均的な
損害額
及びこれを超える
部分
は、基本的には
消費者
に
立証責任
があるとされております。 今回問題となっているのは、平均的な
損害額
を算定するための
根拠
となる資料が主に
事業者
に保管され、それらの資料が
事業者
から積極的に提出されるということは
考え
にくく、
消費者
が平均的な
損害額
を
立証
することは極めて困難であるという点です。
報告書
においては、そのことを踏まえて、
法律
上の
推定規定
を設けることとされておりました。今回、なぜ
改正案
に盛り込まれなかったのか、その
理由
と、今後どのようにこのことに
対応
されるのか、
見解
を
お尋ね
いたします。 次に、
事業者
の
努力義務
に関する
改正
について
お尋ね
をいたします。
事業者
の
情報提供
についての
配慮義務
として、
知識
及び
経験
のみが今回明示をされました。
年齢
については明示されず、個別の
消費者
の
事情
を考慮した上での
情報提供
が
規定
されていない
状況
です。これでは、弱い立場の
消費者
の保護、つまり
高齢者
や
若年者
、ハンディキャップをお持ちの方などに
配慮
したものとはならないと
考え
ます。 例えば、
消費者
の
加齢
による
判断力
の低下や
消費者
の生活の
状況
を踏まえた
需要
、
消費者
の財産の
状況
を踏まえた
取引
可能な分量等が
考慮事項
として明示されておりません。 また、その解釈についても疑義を生じないという文言が
追加
されましたが、この文言は極めて抽象的で、どれだけの
効果
があるか疑問です。
情報提供
の
義務
化についても、現在、
努力義務
であり、法的な拘束力がないために、
実効性
の
観点
から不十分であると
考え
ます。このことについて
大臣
の
見解
を
お尋ね
いたします。
国民
が
消費生活
を送る上で、どこに住んでいても、安心して
消費生活
を送り、何か問題が発生したときには質の高い
相談
を受けられ、
救済
されることは、
消費者
行政の基本であります。
消費者
行政の第一線を担っている地方公共団体が、より
消費者
に近い立場からしっかりと取り組んでいただくためにも、財源や人的な支援、研修などの面で国の支援が何より重要です。地方によって、限られた人員、体制の中で御苦労いただいている
状況
もあり、より一層の
消費者
行政の体制強化を図っていただきたいと
考え
ますが、
大臣
に今後の
取組
について
お尋ね
いたします。
消費者
庁においては、
成人年齢
の
引下げ
を見据えて、自立的な
消費者
として主体的に
判断
できるように、
消費者教育
推進法に基づいて
消費者教育
に取り組んでおられます。
消費者
庁の
消費者
行政新未来創造オフィスが徳島県庁に開設されて八カ月が過ぎ、徳島県内の全
高校
において、「
社会
への扉」という
高校
生向けの
消費者教育
教材を使い、
消費者教育
が行われています。二〇二〇年までに
全国
の
高校
生が
消費者教育
を受けることができるプロジェクトが進行しておりますが、今後どのように展開をされるのか、
大臣
に
お尋ね
をいたします。
国民
にとって、
消費者
問題は大変身近な問題であり、関心の高い分野であるものの、
消費者契約法
という
法律
についての認知度や、その
内容
についての
知識
が十分でないという現実があります。今後一層、
消費者
の立場に立ったきめ細やかな広報活動、
各種
説明
会の実施が必要であります。 現在、
消費者
が重要な
情報
を得ているのはテレビ等の媒体が中心でございますが、インター
ネット
による
情報
を望む方も急増しており、特に
若年層
において要望が高いデータが出ています。 また、
消費者
相談
の窓口の
充実
に関連して、
消費者ホットライン
一八八とあわせて、
国民
生活センターにおいてSNSを活用されておりますが、特に
若年層
に対してはLINEを使った
相談窓口
が有効であると
考え
ますが、
大臣
の
見解
を
お尋ね
いたします。 以上、今回の
改正案
は、十分と言えないまでも、
消費者保護
の
観点
に立ち、
被害
を未然に防ぎ、
救済
の道を
拡大
するものであり、
一定
評価したいと
考え
ます。一方で、
消費者
の
利益
の保護とともに、
事業者
の健全な
事業
活動の負担にならないための
配慮
も大変重要な視点であります。 特に私が申し上げたいのは、
社会
的に弱い立場の方々に立った
消費者
行政を一層推進していただけますように強く
大臣
にお願い申し上げます。 最後に申し上げます。
加計学園
問題について、
柳瀬
元秘書官は、昨日の予算委員会
参考人質疑
、官邸で三度も
加計学園
関係者
と面会したことを認めました。 これについて、
柳瀬
氏との官邸での面会記録を残してきた愛媛県からは、中村知事が
柳瀬
氏の答弁を受けた記者会見で、全ての真実を語らない方だ、愛媛県の信頼にかかわるような
発言
があったことは非常に残念だと語りました。 真相を究明するには、もう一つの当事者である愛媛県の中村知事に
国会
にお越しいただきたいと
考え
ます。ぜひとも、来週月曜日の予算委員会における中村知事の参考人招致を与党に求めたいと思います。 今の
国会
において、さまざまの信じがたい問題が噴出をいたしております。
安倍総理
は、さまざまな問題が表面化したときに、その都度、最終的な責任は私にありますと述べられておられます。 今の
国会
の現状を行政の最高責任者としてどのように感じておられるのか。また、御自身の道義的な責任をどのように感じておられるのか。次世代を担う子供たちに、虚偽の答弁やうそが当然のようにまかり通る今の
国会
の現状をどのように御
説明
されるのか。 今回、どのように責任をとられるか、
国民
が注視しています。総理は、みずからがまさにこのような問題の当事者であるということをもっと認識されるべきです。決して官僚だけの責任で幕引きを図ることがあっては断じてならないと
考え
ます。 行
政府
の長として
安倍総理
の責任は大変重いということを申し上げて、私の
質問
を終わります。 御清聴いただきありがとうございました。(
拍手
) 〔
国務大臣福井照
君
登壇
〕
福井照
10
○
国務大臣
(
福井照
君) 西岡議員にお答えを申し上げます。
若年成人者
の
保護規定
の
充実
、
年齢
範囲
について
お尋ね
がございました。 本
法律案
は、不安をあおる
告知
と
人間関係
の
濫用
の二
類型
について、
消費者委員会
の
答申
を踏まえ、取り消し得る不当な
勧誘行為
として
追加
するものであり、
消費者委員会
において
検討
されていた具体的な
事例
は基本的に
救済
されるものと
考え
ております。 また、
消費者契約法
は
消費者
と
事業者
の
契約
に広く適用されるものであり、
消費者
の
年齢
範囲
を定義して特別の
規定
を設けるものではありません。 次に、不安をあおる
告知
と
人間関係
の
濫用
の二
類型
について
お尋ね
がございました。
社会生活
上の
経験
が乏しいという
要件
は、
取消権
の適用される
範囲
について、
消費者
に
類型
的に困惑をもたらす不当性の高い
事業者
の
行為
を特定し明確化するために必要なものでございます。 この
要件
を設けたとしても、
高齢者
の
被害事例
を含め、
消費者委員会
において
検討
されていた具体的な
被害事例
は基本的に
適用対象
となるものと
考え
られます。 また、不安をあおる
告知
と
人間関係
の
濫用
の二
類型
については、
消費者委員会
の
答申
において、取り消し得る不当な
勧誘行為
として
追加
すべきものとされたことを踏まえ、
改正
法案を策定したものでございます。
成年年齢引下げ
への
対応
といたしましては、
若年者
の
被害
の発生、
拡大
を
防止
するため、法制度の見直しに加え、
消費者教育
の
充実
に取り組むとともに、
被害事例
の傾向や特徴の紹介、
消費者
が活用できる
被害
救済
手段や
被害
に遭った場合の
相談窓口
等の周知啓発に万全を期してまいります。 次に、平均的
損害額
の
立証
に関する
推定規定
について
お尋ね
がございました。 平均的な
損害
の額の
推定規定
を設けるに当たり、
消費者契約一般
に通ずる
事業
の
内容
の
類似性判断
の基礎となる要因を見出すことが困難であったことなどから、更に精査が必要であったため、
改正事項
とはしなかったものでございます。
推定規定
を設けることに関しては、引き続き
検討
を進めてまいります。 次に、
事業者
の
努力義務
に関する
改正
について
お尋ね
がございました。
事業者
が
消費者
に
情報
を
提供
する際に考慮すべき要素としては、
消費者
の理解と結びつきが強い、
知識
及び
経験
を明記することとしたものでございます。 「解釈について疑義が生じない」を
追加
する
趣旨
は、
消費者契約
の
条項
の中に、解釈に疑義が生じるおそれのある不明確な
条項
があると、
契約
締結後に
消費者トラブル
を招くおそれがあることから、明確でわかりやすい
条項
を作成する
事業者
の
取組
を促すためのものでございます。
事業者
の
情報提供
は
努力義務
であるものの、
消費者契約
という局面で具体化された
義務
を
規定
していることに意義がございます。 地方
消費者
行政の体制強化について
お尋ね
がございました。 地方
消費者
行政については、どこに住んでいても質の高い
相談
、
救済
を受けられる地域体制を
全国
的に整備するため、地方
消費者
行政推進交付金等を活用して整備されてきた体制を維持するよう支援を行います。 また、新たに創設した地方
消費者
行政強化交付金を活用して、国が取り組むべき重要
消費者政策
を実施する地方公共団体を支援しながら、さらなる地方
消費者
行政の
充実
を図ってまいります。 次に、
消費者教育
の
全国
への発信、展開の方針について
お尋ね
がございました。
成年年齢
の
引下げ
を見据え、実践的な
消費者教育
を確実に行うため、本年二月、
文部科学省等
の
関係省庁
と連携して、二〇二〇年度までの三年間を
集中強化期間
とする、
若年者
への
消費者教育
の推進に関する
アクションプログラム
を決定したところでございます。 これに基づき、
文部科学省等
と連携をして、
消費者
庁が作成した教材「
社会
への扉」を活用した
授業
が全ての都道府県の全
高校
で行われるよう働きかけを進めてまいります。また、昨年度、徳島県内で
授業
を行った中から
授業
例を収集し、
提供
することで、より
効果
的な
取組
を
全国
に展開してまいります。
消費者
相談窓口
の
充実
について
お尋ね
がございました。
消費生活相談
は、双方向のやりとりを通じて
消費者
が抱える問題の所在を把握し、適切な解決を図っていくことが基本となります。 このため、まずは
消費者ホットライン
一八八の周知を図り、若い世代も含めて一八八の利用の
普及
が重要と
考え
ております。
消費者
庁ツイッター、首相官邸LINE等のさまざまなツールを用い、
普及
啓発を行っておりますけれども、今後とも、時代の
変化
に応じて、
消費者
が適切に
相談
を行える
環境整備
について
検討
をしてまいる所存でございます。 以上でございます。(
拍手
)
—————————————
大島理森
11
○
議長
(
大島理森
君) 濱村進君。 〔濱村進君
登壇
〕
濱村進
12
○濱村進君 公明党の濱村進でございます。 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま
議題
となりました
消費者契約法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして
質問
いたします。(
拍手
)
消費者契約法
は、
消費者
と
事業者
との間に
情報
の質及び量並びに
交渉力
の
格差
があることに鑑み、不当な
勧誘
による
契約
の
取消し
及び不当な
契約条項
の無効等について
規定
した
民法
の特別法でもあります。
平成
十二年
成立
、十三年の
施行
の後に累次の
改正
を重ねてきており、直近では、
平成
二十八年に
改正
され、二十九年六月に
施行
されました。その際、衆参の
消費者
問題特別委員会において
附帯決議
が付され、
改正
法
成立
後三年以内に必要な
措置
を講ずることを要請されていたところであります。 そこで、福井
消費者担当大臣
に伺います。 今般の
改正
は、法
成立
後三年以内との
附帯決議
にもかかわらず、それよりも早い段階での
改正案
提出となっていますが、
成年年齢
を二十歳から十八歳に引き下げる
民法
の一部を
改正
する
法律案
との関連等を含め、その背景や
理由
についてお伺いいたします。
消費者契約法
は、
消費者
の
利益
の
擁護
を図り、もって
国民
生活の安定向上と
国民
経済の健全な発展に寄与することを目的としております。つまり、
消費者被害
の
救済
とともに、円滑な
事業
活動の確保を両立することが必要です。
消費者契約法
は、雇用
契約
以外の
事業者
と
消費者
との間における
契約
全般を
対象
とする包括的な
民事ルール
であり、広範な業種、業態にかかわるものであるため、
事業者
の予見
可能性
を担保するとともに、
事業
活動が円滑に進むように留意することが重要であります。 このたびの
改正案
では、
事業者
に対して、
消費者契約
の
条項
が、その解釈について疑義が生じない明確なものとすることが
追加
で求められております。しかし、この
規定
は抽象的であり、人によってその程度が
変化
し得ると
考え
ます。 不明瞭な
条項
による
トラブル
を防ぐという
趣旨
は理解しますが、具体的にどのような
条項
であれば、その解釈について疑義が生じない明確なものと言えるのか、具体的にお示しください。
消費者委員会専門調査会
においては、
判断力
不足
により合理的な
判断
ができない
状況
を利用して
契約
を締結させる、いわゆるつけ込み型
勧誘
に対する
取消権
の設定について
検討
されましたが、適用
範囲
の明確化がクリアされていないため、
事業
活動の過度な制約や萎縮につながるおそれがあると指摘されており、かつ、十分な
検討
時間の確保もできなかったために、今後の
検討課題
となったと聞いております。 その一方で、
消費者委員会
の
答申書
においては、
高齢者
、若年成人、障害者等の
知識
、
経験
、
判断力
の
不足
を不当に利用し過大な
不利益
をもたらす
契約
の
勧誘
が行われた場合における
消費者
の
取消権
について、早急に
検討
し、明らかにすべきであると
付言
されております。 これは
政府
として重く受けとめるべきと
考え
ておりますが、今後どのように
検討
を進めていくおつもりか、
大臣
の御所見をお伺いいたします。
消費者契約
の申込み又はその承諾の
意思表示
の
取消し
、四条において、いわゆるつけ込み型
勧誘
の
類型
については今回の
改正
に盛り込まれなかったわけでありますが、不安をあおる
告知
と
恋愛感情等
に乗じた
人間関係
の
濫用
という二つの
行為
類型
に対してのみ
取消権
は
追加
されることとなりました。 なぜ、このように
行為
類型
を
規定
し
追加
するように
判断
したのか、その
理由
を確認いたします。
不当勧誘行為
によって
消費者
が困惑し、
消費者契約
を締結した場合に、その
消費者契約
を取り消すことができるという
規定
が
追加
されるわけですが、それぞれの
行為
類型
の条文には、
社会生活
上の
経験
が乏しいという
要件
がついております。 これはどういう
要件
なのか。
若年者
だけが該当するのか、それとも
高齢者
も該当するのか、具体的な
事例
も交えてお示しください。
成年年齢
を二十歳から十八歳に引き下げる
民法
の一部を
改正
する
法律案
によると、
民法
の
未成年者取消権
がなくなることとなります。これにより、十八歳、十九歳の世代において
消費者被害
が
拡大
するおそれがあるとの見方があります。これまでは
未成年者取消権
が行使できていた世代が、悪質な
事業者
によって狙い撃ちにされ、
被害
救済
できずに
消費者被害
がふえるということはあってはなりません。
若年者
が安心して
社会生活
を送ることができるように、また、法的
安定性
の確保の
観点
から、今般の
消費者契約法
の
改正
で、可能な限り
対応
するべきであると
考え
ます。 そこで、重要なのは、これまでの
未成年者取消権
の行使の実態です。どのような
消費者契約
について
取消し
が行われ、どのような
規定
の
追加
を
消費者契約法
で行わなければならないのか、エビデンスに基づいて
検討
されるべきと
考え
ます。現状、
未成年者取消権
が行使された
消費者契約
は何件程度存在し、その種類についてはどのような分析を行っているのか、確認いたします。
現行法
第九条第一号において、
契約
の解除に伴う
キャンセル料
については、
当該事業者
に生ずべき平均的な
損害
の額を超える
部分
は無効としております。この
当該事業者
に生ずべき平均的な
損害
の額及びこれを超える
部分
については、事実上の推定の働く余地があるとしても、基本的には
消費者
に
立証責任
があると最高裁判決で整理されております。 しかし、平均的
損害額
を算定する
根拠
資料が
事業者
から提示されない現状を鑑み、専門調査会で
対応
策が
検討
されました。その
検討
によると、
消費者
が、
事業
の
内容
が類似する同種の
事業者
に生ずべき平均的な額を推定した場合には、その額が
当該事業者
に生ずべき平均的
損害額
とすることが取りまとめられましたが、本
改正案
では盛り込まれておりません。その
理由
について確認するとともに、どのようにして
消費者
による平均的
損害額
の
立証
の困難さを軽減していくおつもりか、確認いたします。 また、
消費者
団体を始めとして、平均的
損害額
の
立証責任
は
事業者
が負うべきであるとの意見もある中で、
消費者
庁として、今後、その
立証責任
を
事業者
に転換するということについてはどのように評価しているのか、
大臣
の御所見をお伺いいたします。 安定した
消費生活
と、
事業者
による予見
可能性
を高めることは、
政府
を挙げて取り組んでいる経済の好循環の基盤となるものと
考え
ます。
成年年齢
の
引下げ
とともに
消費者教育
の
充実
を行うことで、
消費者被害
の撲滅に取り組むべきと申し上げ、私の
質問
を終わります。 ありがとうございました。(
拍手
) 〔
国務大臣福井照
君
登壇
〕
福井照
13
○
国務大臣
(
福井照
君) 濱村議員にお答えをいたします。
改正
法案提出の背景、
理由
について
お尋ね
がございました。
消費者契約法
につきましては、
消費者委員会
の
平成
二十八年一月の
答申
にて残された
論点
につきまして、
平成
二十八年
改正
の際の衆参両院の
附帯決議
を踏まえて、同委員会において約一年間、精力的な
検討
が行われてきた経過がございます。 その結果、
平成
二十九年八月に、速やかに
改正
法案を策定した上で
国会
に提出すべき旨の
答申
が示されたことから、今般、
改正
法案を
国会
に提出したものでございます。 本
法律案
では、
成年年齢引下げ
にも
対応
するものとして、不安をあおる
告知
や
恋愛感情等
に乗じた
人間関係
の
濫用
を、
取消し
の
対象
となる不当な
勧誘行為
として
追加
をいたしました。このほか、
消費者
が後見開始の審判等を受けたことのみを
理由
として
契約
を解除できることとする権限を
事業者
に付与する
条項
を、無効となる不当な
契約条項
として
追加
するなどの
措置
を講じております。 次に、
事業者
の
努力義務
について
お尋ね
がございました。 「解釈について疑義が生じない」を
追加
する
趣旨
は、
消費者契約
の
条項
の中に、解釈に疑義が生じるおそれのある不明確な
条項
がありますと、
契約
締結後に
消費者トラブル
を招くおそれがあることから、明確でわかりやすい
条項
を作成する
事業者
の
取組
を促すためのものでございます。 具体的には、例えば、
契約
書の中で、単にAとBを読点で結んだ場合は、AかつBなのか、A又はBなのか不明確であり、解釈に疑義が生じ得ますけれども、かつ、又はのいずれであるかを明記すれば、その解釈について疑義が生じない明確なものと言えると
考え
ております。 いわゆるつけ込み型
勧誘
に対する
取消権
について
お尋ね
がございました。 つけ込み型
勧誘
による
被害事例
につきましては、
平成
二十八年
改正
により新設された過量
契約
の
取消権
の
規定
や、本
法律案
により
追加
する不当な
勧誘行為
の
規定
等によって、
被害
の
救済
を図ることができる場合もあります。 ただし、より
消費者
の
被害
の
救済
を図る上で、
答申
の
付言
は重要な
課題
であると
考え
ており、
被害事例
や
裁判例
の分析等を進め、引き続き
検討
をしてまいります。
行為
類型
に対する
取消権
追加
の
理由
について
お尋ね
がございました。
平成
二十九年八月の
消費者委員会
の
答申
においては、
法改正
を行うべき
事項
として、これらの二つの
類型
を、取り消し得る不当な
勧誘行為
として
追加
すべきとされました。
消費者
庁としては、これを踏まえ、法制的な見地からさらなる
検討
を行い、これらの二
類型
について
改正
法案を策定したものでございます。 「
社会生活
上の
経験
が乏しい」の
対象
について
お尋ね
がございました。
社会生活
上の
経験
が乏しいとは、
社会生活
上の
経験
の積み重ねが、
契約
を締結するか否かの
判断
を適切に行うために必要な程度に至っていないことを意味するものでございます。 総じて
経験
の積み重ねが少ない
若年者
は本
要件
に該当する場合が多くなりますけれども、
高齢者
であっても、
契約
の目的となるものや
勧誘
の態様との
関係
で、本
要件
に該当する場合があります。 例えば、霊感商法のように、
勧誘
の態様に特殊性があり、積み重ねてきた
社会生活
上の
経験
による
対応
が困難な事案では、
高齢者
でも、本
要件
に該当し、
救済
され得るものでございます。
成年年齢引下げ
との
関係
で、
未成年者取消権
の行使の実態について
お尋ね
がございました。
未成年者取消権
の行使により紛争が解決されている事案の中には、
消費生活センター
への
相談
等として顕在化していないものもあるため、
消費者契約
における
未成年者取消権
の行使件数は明らかではございません。 なお、
成年年齢
の
引下げ
により、十八歳、十九歳の者の
消費者被害
が
拡大
するおそれがあるとの指摘があり、
消費者
庁としては、二十歳代の
若年者
に多く見られる
相談
の
情報
等を分析し、その結果等を踏まえて本法案を作成したものでございます。 平均的
損害額
の
立証
に関する
推定規定
について
お尋ね
がございました。 平均的な
損害
の額の
推定規定
を設けるに当たり、
消費者契約一般
に通ずる
事業
の
内容
の
類似性判断
の基礎となる要因を見出すことが困難であったことなどから、更に精査が必要であったため、
改正事項
とはしなかったものでございます。 今後は、
裁判例
のさらなる調査、標準約款における
損害
賠償の額を予定する
条項
の作成過程に関する業界ヒアリング等に取り組み、
推定規定
を設けることに関する
検討
を進めてまいります。 平均的
損害額
の
立証責任
について
お尋ね
がございました。
立証責任
を転換することについて、
消費者契約法
専門調査会における
検討
では
コンセンサス
が得られず、
改正事項
として提案されなかったものでございます。 ただし、裁判や
消費生活相談
において、
消費者
による平均的な
損害
の額の
立証
が困難な場合があると
考え
られることから、
立証
に関する規律のあり方について、引き続き
検討
を進めてまいる所存でございます。 以上でございます。(
拍手
)
—————————————
大島理森
14
○
議長
(
大島理森
君) もとむら賢太郎君。 〔もとむら賢太郎君
登壇
〕
もとむら賢太郎
15
○もとむら賢太郎君 無所属の会のもとむら賢太郎です。 会派を代表し、ただいま
議題
となりました
消費者契約法
の一部を
改正
する
法律案
について
質問
します。(
拍手
) まず冒頭に、六月十二日に米朝首脳会談がシンガポールで開催されることが発表されました。大きな局面の中で、非核化はもちろんのこと、我が国の拉致
被害者
全員を帰国させなければなりません。
政府
としても、米国などとしっかり連携し、拉致問題を解決するために万全を尽くすことを強く要請いたします。 さて、今回の
改正案
では、
困惑類型
として、不安をあおる
告知
と
恋愛感情等
に乗じた
人間関係
の
濫用
が
追加
され、この
要件
として、「
社会生活
上の
経験
が乏しいことから」という文言が
追加
されました。 本
要件
は、
消費者
や
事業者
の代表者も加わった内閣府
消費者委員会
の場でも
議論
されておらず、
答申
にも含まれていないにもかかわらず、
追加
されたものです。
消費者
団体や法曹界からは、
若年者
層向けの
規定
に読まれ、
高齢者
層などの
救済
に制約的に働き、あっせんや裁判の際に混乱を来すのではないかとの大きな
懸念
が示されています。 仮に、
民法改正
による
成年年齢
の
引下げ
を視野に、
若年層
の
消費者被害
防止
への
対応
を明確とするために本
要件
を加えたとしても、その結果、
高齢者
が
取消権
の
対象
から排除されることとなっては、
改正
の
趣旨
からして本末転倒であると言わざるを得ません。 本
要件
が盛り込まれるに至った経緯について、誰の要請で、いつ、どこで、どういった
議論
を経て
追加
に至ったのか、具体的に御
説明
ください。 また、
高齢者
の霊感商法
被害
や、ジャパンライフ事件のように老後の生活や健康に関する不安につけ込んで
契約
を結ばせる大型
被害
が発生している中で、
高齢者
が
取消権
の
対象
から排除される
可能性
があるにもかかわらず、本
要件
が必要である
理由
と、仮に削除した場合の弊害について、
消費者保護
の
観点
から御
説明
ください。 加えて、本
要件
により、同一の
被害
を受けた
被害者
であっても、その
救済
に差が生まれ、
被害者
の分断を招く
可能性
など、
消費者保護
に逆行し、
悪徳業者
を利する結果となるのではありませんか。お答えください。 今回の
改正
では、
消費者委員会
消費者契約
専門調査会報告書
で
措置
すべきとされた
論点
のうち、平均的な
損害額
の
立証
に関する
推定規定
が盛り込まれませんでした。 平均的な
損害
の額については、
立証
に必要な資料については専ら
事業者
が保有しており、
消費者
が
立証
を行うことは著しく困難であることから、
推定規定
の
検討
にとどまらず、
事業者
への
立証責任
の転換について、期限を設け
検討
すべきであると
考え
ます。
見解
を求めます。 加えて、つけ込み型
勧誘
に関する
取消権
については、二つの
困惑類型
の
追加
という
勧誘
の
類型
の一部に対する
措置
にとどまっています。
消費者契約法
が
消費者被害
に関する包括的な
民事ルール
であることからしても、
高齢者
、若年成人、障害者などの
知識
、
経験
、
判断力
の
不足
を不当に利用し過大な
不利益
をもたらす
契約
の
勧誘
が行われた場合における
消費者
の
取消権
についての
規定
が包括的に
検討
されるべきと
考え
ます。 三月八日付で
消費者委員会
が出した本
改正案
に対する意見では、今回本
改正案
に盛り込まれなかった
事項
について、速やかにその
検討
を進めることを強く要請するとしています。
消費者
庁は、
民法改正
による
成年年齢引下げ
の実施までに、具体的に期限を定め、これらの項目について
検討
を行うべきではありませんか。
見解
を求めます。 本
改正案
を見れば、
消費者
庁が、本当に
消費者
、生活者の立場に立ち、
被害者
をおもんぱかりながら
消費者
庁の使命を全うしようとしているのか、残念ながら、その姿勢に疑問を抱かざるを得ません。本
改正案
をより
消費者被害
の
防止
と
救済
に資するものとすべく、しっかりとした
議論
を重ねていくことの
必要性
を訴え、私の
質問
とさせていただきます。 最後に、きのうの
柳瀬
元
首相秘書官
の答弁は、
加計学園
問題に関する
国民
の疑念を更に深めました。
安倍総理
におかれては、みずからイニシアチブを発揮して疑念を晴らすことを求めて、終わりにします。(
拍手
) 〔
国務大臣福井照
君
登壇
〕
福井照
16
○
国務大臣
(
福井照
君) もとむら議員にお答えをさせていただきます。 「
社会生活
上の
経験
が乏しいことから」という
要件
を設けることとした経過について
お尋ね
がございました。 内閣府
消費者委員会
の専門調査会では、
知識
、
経験
の
不足
など、合理的な
判断
をすることができないような
事情
につけ込む
被害事例
について
検討
が行われ、できる限り客観的な
要件
をもって明確に定める必要があるものとして、昨年八月に
報告書
が取りまとめられました。 本
要件
は、その
報告書
等を踏まえ、こうした
被害事例
を適切に捉えるために、
政府
内での
検討
を経て法制化したものでございます。 「
社会生活
上の
経験
が乏しいことから」という
要件
が必要である
理由
と、削除した場合の弊害について
お尋ね
がございました。 本
要件
は、
取消権
の適用される
範囲
について、
消費者
に
類型
的に困惑をもたらす不当性の高い
事業者
の
行為
を特定し、明確化するためのものでございます。仮に本
要件
を置かなければ、本来法が想定していない場合についてまで
取消し
が主張されてしまうおそれがございます。 また、本
要件
を設けたとしても、
消費者委員会
において
検討
されていた具体的な
被害事例
は、
高齢者
の
被害事例
も含めて、基本的に
救済
されるものと
考え
られます。 「
社会生活
上の
経験
が乏しいことから」という
要件
は、
消費者保護
に逆行し、悪徳
事業者
を利する結果とならないかという
お尋ね
でございました。 例えば、霊感商法等の悪徳
事業者
による
消費者被害
については、
勧誘
の態様に特殊性があり、通常の
社会生活
上の
経験
を積んできた
消費者
であっても、一般的には本
要件
に該当するものと
考え
ております。 このように、悪徳
事業者
との
関係
では、
被害者
の
救済
に差はなく、本
要件
が
被害者
の分断を招くなどして
消費者保護
に逆行し、悪徳
事業者
を利する結果とはならないと
考え
てございます。 平均的な
損害
の額について
お尋ね
がございました。 その
立証責任
を
事業者
に転換することについては、
消費者委員会
における
検討
において
コンセンサス
が得られず、
改正事項
として提案されなかったものですけれども、
消費者
の
立証
の負担を軽減するための規律のあり方については、引き続き
検討
を進めてまいります。
改正
法案に盛り込まれなかった
事項
の
検討
について
お尋ね
がございました。 本年三月の
消費者委員会
の意見において指摘された
付言
事項
への
対応
、平均的な
損害
の額の
立証
に関する規律のあり方、
困惑類型
の
追加
という本
改正
法案に盛り込まれなかった
事項
については、引き続き
検討
してまいります。 以上でございます。(
拍手
)
—————————————
大島理森
17
○
議長
(
大島理森
君) 藤野保史君。 〔藤野保史君
登壇
〕
藤野保史
18
○藤野保史君 私は、日本共産党を代表して、
消費者契約法
の一部を
改正
する
法律案
について
質問
します。(
拍手
)
安倍総理
は、今
国会
の施政方針演説で、「
成人年齢
を十八歳に引き下げる中で、
消費者契約法
を
改正
し、若者などを狙った悪質商法の
被害
を防ぎます。」と述べています。この総理の演説に示されているように、
成年年齢
の
引下げ
と
消費者被害
は、極めて密接に関連しています。
成年年齢
が引き下げられれば、十八歳、十九歳の若者が親の同意なくローンを組んだり、クレジットカードを利用できるようになると同時に、これらの若者から
未成年者取消権
が失われるからであります。 ところが、本法案は、取り消し得る不当な
勧誘行為
として、不安をあおって
告知
を行って
契約
させた場合、
恋愛感情等
に乗じた
人間関係
を
濫用
して
契約
させた場合の二
類型
を
規定
していますが、この二
類型
だけで悪質商法の
被害
を
防止
できるのでしょうか。また、若者に
被害
の多い美容医療やマルチ
取引
等に
対応
できるのでしょうか。さらに、法案には、
社会生活
上の
経験
が乏しいとの
要件
が設けられていますが、これでは中高年の
被害
が
対象
外となってしまうのではありませんか。
未成年者取消権
は、未成年であることだけを証明するだけで、だまされたとかおどされたと
立証
するまでもなく
契約
を取り消すことができます。
未成年者取消権
は、
消費者被害
から
未成年者
を保護する鉄壁の防波堤の役割を果たしているのではありませんか。 日弁連や
消費者
団体などからは、十八歳、十九歳の若者を
未成年者取消権
による保護から外すことで、若者の
消費者被害
が増加するとの強い
懸念
が示されています。この
懸念
にどう応えるのでしょうか。 十八歳になった若者から
未成年者取消権
の保護を外す
理由
は何ですか。明確な答弁を求めます。
消費者教育
推進法が
施行
されて五年が経過しましたが、若者の
消費者被害
の実情は一向に改善していません。専門家からは、
消費者教育
は一応行われているが、要素が点在しており、
消費者
の自立の
観点
から体系化されていないと指摘をされています。この指摘をどう受けとめているのでしょうか。 そもそも、
成年年齢
をどうするかは、若者のみならず、日本
社会
のありようにかかわる大問題です。本法案や
民法改正案
のみならず、二百本を超える
法律
が
関係
し、必要な
施策
や
担当
する省庁も多岐にわたります。
成年年齢
とは何か、それを引き下げることに伴う
国民
生活や日本
社会
への影響について、
国民
的な
議論
が必要ではありませんか。 ところが、二〇一三年の内閣府の世論調査では、十八歳から十九歳の八五%が、
成年年齢引下げ
の
議論
について知らないと答えています。ことし四月の読売新聞の世論調査では、
引下げ
に反対が五六%であり、これは三年前の同調査の五三%よりもふえています。なぜこうした結果になっているのか、その
理由
をどのように認識していますか。
成年年齢引下げ
について
議論
した二〇〇九年の法制
審議
会の最終
報告
は、
法整備
に関して、若者の自立を促すような
施策
、
消費者被害
の
拡大
のおそれを解決する
施策
が実現されること、これらの
施策
の
効果
が十分に発揮されること、
施策
の
効果
が
国民
の意識としてあらわれることという三つのハードルをクリアすることを求めています。これらのハードルはクリアされたと認識しているのでしょうか。 二〇〇九年の法制審の際には、日弁連や
消費者
団体の意見を聞く機会が設けられました。ところが、今回、上川
法務大臣
は、こうした
会議
を開催していないと答弁しています。その
理由
は何でしょうか。
成年年齢
の
引下げ
は、
国民
一人一人の人生、日本
社会
の未来にも大きな影響を与えるものです。今後どのような
環境整備
が必要なのか、
政府
としての検証を行うべきではありませんか。 以上、明確な答弁を求めて、
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣福井照
君
登壇
〕
福井照
19
○
国務大臣
(
福井照
君) 藤野議員にお答えをいたします。 本
法律案
で
追加
する不当な
勧誘行為
の
取消し
と悪質商法の
被害
防止
の
関係
等について
お尋ね
がございました。 本
法律案
では、不安をあおる
告知
と
人間関係
の
濫用
の二
類型
について、
消費者委員会
の
答申
を踏まえ、取り消し得る不当な
勧誘行為
として
追加
することといたしております。 また、この二
類型
につきましては、
社会生活
上の
経験
が乏しいの
要件
を設けたとしても、中高年者の
被害事例
も含め、
消費者委員会
において
検討
されていた具体的な
被害事例
は基本的に
救済
、
防止
されるものと
考え
ております。 御指摘の美容医療やマルチ
取引
等に関するものを含む
若年者
の
被害
の発生、
拡大
の
防止
のため、
消費者教育
を
充実
させるとともに、所管法令の厳正な執行にしっかりと取り組んでまいる所存でございます。 十八歳、十九歳が
未成年者取消権
を失うことの
懸念
について
お尋ね
がございました。
消費者
庁は、
成年年齢
の
引下げ
に際しては、本
法律案
による不当な
勧誘行為
への
取消権
の
追加
に加え、
消費者教育
の
充実
、厳正な法執行、さらには
消費生活相談
窓口の
充実
、周知などのさまざまな
施策
の実施に全力を挙げて取り組んでまいります。 中でも、
消費者教育
の
充実
は特に重要であることから、実践的な教材「
社会
への扉」を作成し、昨年度は徳島県の全ての
高校
でこれを活用した
授業
を実施いたしました。 さらに、本年二月には、
文部科学省等
の
関係省庁
と連携をして、二〇二〇年度までの三年間を
集中強化期間
とする
アクションプログラム
を決定し、「
社会
への扉」を活用した
授業
が全ての都道府県で行われることを目指します。 このような
取組
を通じ、自立した
消費生活
を送ることができる若者を育成できると
考え
ております。
消費者教育
の体系化に関する指摘について
お尋ね
がございました。
平成
二十五年に閣議決定されました
消費者教育
の推進に関する基本的な方針を踏まえ、
社会
の一員として行動する自立した
消費者
を育成するため、
関係省庁
等を挙げて、総合的かつ一体的に
消費者教育
の
充実
を図ってまいりました。 本年三月の
基本方針
の変更に当たっては、
若年者
への
消費者教育
の
充実
を当面の重点
事項
と位置づけており、学校や地域など、さまざまな場における多様な担い手による
取組
が
効果
的に進められるよう、引き続き積極的に取り組んでまいります。 以上でございます。(
拍手
) 〔
国務大臣上川陽子
君
登壇
〕
上川陽子
20
○
国務大臣
(
上川陽子
君) 藤野保史議員にお答え申し上げます。 まず、十八歳になった
若年者
が
未成年者取消権
による保護を受けられないこととした
理由
につきまして
お尋ね
がありました。 今
国会
に提出している
民法
の一部を
改正
する
法律案
においては、公職選挙法の定める選挙権の
年齢
が満二十歳以上から満十八歳以上に改められたことや、今日の十八歳、十九歳の者には独立した主体として生活している者も多いことなどに鑑み、
民法
上の
成年年齢
を十八歳に引き下げることとしております。
成年年齢
の
引下げ
には、若者の自己決定権を尊重するとともに、その積極的な
社会
参加を促すことにより、
社会
を活力あるものにするという意義があるものと
考え
ます。 そして、
成年年齢
の
引下げ
のための
環境整備
として、
政府
においては、これまでも、
消費者教育
の推進等、
消費者被害
の
拡大
を
防止
するための
環境整備
のための
施策
に取り組んできました。 また、今般の
消費者契約法
の
改正
によって
追加
される、不安をあおる
告知
や
人間関係
の
濫用
によって締結された
消費者契約
に関する
取消権
は、
若年者
に多く見られる悪質な
消費者被害
への
対応
を図るものであり、他の
施策
と相まって、十分な
消費者被害
への対策となるものと
考え
ております。 以上のとおり、
成年年齢
の
引下げ
には積極的な
理由
や意義があることに鑑み、
消費者被害
の
拡大
を
防止
する
施策
をとった上で、
成年年齢
を十八歳に引き下げ、十八歳、十九歳の者は未成年であることを
理由
として
取消権
を行使することができないこととしたものです。 次に、
成年年齢
の意味や、その
引下げ
に伴う影響について
国民
的な
議論
が必要ではないかとの
お尋ね
がありました。
民法
の
成年年齢
の
引下げ
は、明治九年の太政官布告で二十歳と定められたところから数えると、約百四十年ぶりの
改正
であり、また、
民法
が
成年年齢
としている
年齢
二十歳は、
民法
以外の多数の法令において
各種
の基準
年齢
とされ、
国民
生活に大きな影響を及ぼすものであることからすれば、その
引下げ
に当たっては、
国民
の意見を広く聴取するなど、
国民
的な
議論
が必要であるものと認識しております。 次に、世論調査において、
成年年齢引下げ
の
議論
を知らないと答えた人や、
引下げ
に反対であると答えた人が多かった
理由
をどのように認識しているのかについて
お尋ね
がありました。 内閣府が
平成
二十五年に実施した世論調査では、
成年年齢
の
引下げ
が
議論
されていることを聞いたことがない、
議論
の存在を聞いたことがあるが
内容
は知らないと回答した者が七五%前後となっていました。このことは、
成年年齢
の
引下げ
に関する
議論
については、これに向けた
環境整備
の
施策
の
内容
等も含めて、周知が十分でないことが原因になっているものと思われます。 次に、御指摘の新聞社が実施した世論調査においては、
成年年齢
の
引下げ
に反対する意見が過半数を占めていますが、その
理由
としては、経済的に自立していない人が多いから、大人としての自覚を持つと思えないからといった回答が多かったものと承知しています。 この結果については、さきに申し上げた
平成
二十五年の世論調査では、反対した方の中にも、
一定
の
環境
が整備されれば
成年年齢
の
引下げ
を容認するという意見の方が相当程度含まれていたことに照らせば、新聞社が実施した調査における反対意見の方にも、同様の意見の方が含まれているものと
考え
られます。
政府
としては、これまでも、
消費者被害
の
拡大
を
防止
するための
施策
など、
成年年齢
の
引下げ
の
環境整備
のための
施策
の
充実
に努めてきたところですが、これらの周知が不十分であることが、
成年年齢引下げ
について反対意見が賛成意見を上回った原因の一つになっているのではないかと
考え
られます。 法務省としては、今後も、さらなる
環境整備
の
施策
の
充実
やその周知に努め、
成年年齢
の
引下げ
について
国民
の十分な理解が得られるよう努めてまいりたいと
考え
ております。 次に、法制
審議
会の最終
報告
で掲げられたハードルがクリアされたと認識しているか、
お尋ね
がありました。 これまで、
政府
としては、
消費者被害
の
拡大
を
防止
するため、
学習指導要領
の
改訂
により、
消費者教育
、
法教育
、
金融経済教育等
を
充実
させるなど、
各種
の
施策
に取り組んできました。 また、今
国会
には、
若年者
を中心に発生している
消費者被害
に
対応
するための
取消権
の
創設等
を
内容
とする
消費者契約法
の一部を
改正
する
法律案
が提出されています。 さらに、
若年者
の自立を促すような
施策
としては、全閣僚から成る子ども・若者育成支援推進本部を設置し、キャリア
教育
などのキャリア形成に対する支援や
教育
現場
へのスクールカウンセラー等の配置の推進などの
施策
に取り組んできました。 法務省としては、これらの
施策
が相応の
効果
を上げ、
国民
にも浸透していると
考え
ており、法制
審議
会の最終
報告
で掲げられた条件を満たしているものと
考え
ていますが、
環境整備
の
施策
については、今後も、省庁横断的に、更に
充実強化
を図る必要があると
考え
ています。
政府
としては、
成年年齢引下げ
を見据えた
環境整備
に関する
関係
府
省庁連絡会議
を開催し、
施行日
に向けて、
工程表
を作成した上で全体的な
進捗管理
を行うこととしており、
国民
の理解が得られるよう、引き続き努力してまいりたいと
考え
ています。 次に、
民法
の
成年年齢
を引き下げる
民法改正
法案を提出するに当たり、
関係者
の意見を聞く
会議
を開催していない
理由
について
お尋ね
がありました。 私は、四月五日の参議院法務委員会において、
成年年齢
の
引下げ
のための条件が満たされたかどうかを
判断
するために、日弁連や
消費者
関係
団体の意見を聞く
会議
を開催したことはないと答弁しております。
民法
の
成年年齢
の
引下げ
についての法制
審議
会の
答申
は、
民法
が定める
成年年齢
を十八歳に引き下げるのが適当であるとした上で、
引下げ
の
法整備
を行う時期については、
国民
の意識を踏まえた、
国会
の
判断
に委ねるのが相当であるとしています。 法務省としては、これまでに取り組んできた
環境整備
の
施策
の
状況
や、公職選挙法が
改正
され、実際に十八歳、十九歳の者が参加する選挙が実施されるなどの
社会経済情勢
の重要な
変化
等を踏まえ、
国会
の御
判断
を仰ぐ条件が整ったものと
考え
ており、
成年年齢
の
引下げ
のための条件が満たされたかどうかを
判断
するために
会議
を開催することはしておりません。 もっとも、
成年年齢
の
引下げ
の
環境整備
に向けた諸
施策
については、今後も引き続き取り組む必要があると
考え
ており、本
法律案
が
成立
した後は、その
内容
の周知等も必要であると
考え
ています。 今後、
消費者
関係
団体や日弁連などからの意見聴取や意見交換の機会を設けるかどうかは未定ですが、今後の
環境整備
に向けた諸
施策
や周知を
効果
的なものとするために、
関係
諸団体からの意見の聴取についても積極的に取り組んでまいりたいと
考え
ております。 最後に、
成年年齢
の
引下げ
に関し、どのような
環境整備
が必要なのか、
政府
として検証を行うべきではないのかとの
お尋ね
がありました。
成年年齢
の
引下げ
に向けた
環境整備
の
施策
としては、これまでも、
若年者
の自立を促すための
施策
や
消費者被害
の
拡大
を
防止
するための
施策
など、さまざまな
環境整備
の
施策
を実施してまいりました。もっとも、
成年年齢
の
引下げ
の
施行
に向けては、
環境整備
に万全を期すため、更にどのような
施策
が必要かについて検証を行っていくことも必要であると
考え
ております。 本年四月には、
成年年齢
の
引下げ
に向けて、
法務大臣
を
議長
とする
成年年齢引下げ
を見据えた
環境整備
に関する
関係
府
省庁連絡会議
の第一回
会議
を開催いたしました。この連絡
会議
の場において、これらの
施策
の
進捗管理
と検証などを的確に行っていきたいと
考え
ております。 以上です。(
拍手
)
大島理森
21
○
議長
(
大島理森
君) これにて
質疑
は終了いたしました。
————◇—————
大島理森
22
○
議長
(
大島理森
君) 本日は、これにて散会いたします。 午後二時三十二分散会
————◇—————
出席
国務大臣
法務大臣
上川 陽子君
国務大臣
福井 照君 出席副
大臣
内閣府副
大臣
あかま二郎君