○緑川貴士君 希望の党・無所属クラブ、秋田県に住んでいる緑川貴士と申します。(
拍手)
本題に入る前に、私からも、森友文書
改ざん問題について
お尋ねしなければなりません。
おととい、衆参両院において
佐川前
国税庁長官の
証人喚問が行われましたが、
佐川証人は
証言拒否を連発し、
真相究明どころか、疑惑はますます深まりました。
この問題は、国権の最高機関である国会の権威が行
政府によって冒涜されるという、憲政史上まれに見る政治的事件であります。国会が
国民の負託に応えるためには、
真相究明は不可欠であり、そのためにも、安倍昭恵総理夫人、迫田英典元
財務省理財局長、谷査恵子元総理夫人付、今井尚哉総理秘書官ら
関係者の
証人喚問は必須と
考えます。
さらには、森友文書
改ざん問題
調査特別委員会の設置も検討すべきであります。
事実に反する
答弁を国会で繰り返し、
証人喚問では、指示はなかった、またそんたくも否定し、それではなぜ
改ざんというあるまじき暴挙に出たのか、
財務省の矜持は一体どこへ行ってしまったのか、残念の一言しかございませんが、真相の究明とともに求められるのが、
責任の明確化であります。
佐川氏を
国税庁長官に起用したことについて、
適材適所だと胸を張られた
麻生大臣、
佐川氏の任命権者として、現在の率直なお
考えをお聞かせください。
かつて、大蔵省接待汚職事件で七人もの逮捕者が出た際、時の三塚大蔵大臣は引責辞任しました。
政治家として、これは当然の行動であったというふうに思います。しかし、今回の問題について、
政府・与党幹部の発言を聞いていると、
財務省理財局のみに全ての
責任を押しつけようという意図が明白であります。
今回の
議題である本
法案の条文では、
森林所有者の
責務が明確に規定されています。
国民にはその
責任を果たすことを強いながら、
政治家みずからはその
責任をとらないというのでは、示しがつきません。
麻生大臣、あなたは
政治家として誰よりもダンディズムを追求される方だとお見受けいたしますが、みずからは何ら
責任をとるおつもりはないんでしょうか。明確に
お答えください。
続いて、本題であります
森林経営管理法案について
質問をさせていただきます。
かつて天然杉の産地として名をとどろかせていた秋田県にあって、私が住む秋田県北部、そこを流れる一級河川である米代川の流域は、
木材の主要な
供給源として、
日本が近代国家の歩みを進める中で高まる
木材需要を長らく支えるなど、
国内の
林業において大きな
役割を担ってまいりました。人口が増加していた時代、集落圏の形成、
拡大はまさに
林業の
発展とともにあり、昭和期から展開された年間一万ヘクタール
造林運動などによって
森林整備が進められ、秋田県は、現在、全国一の杉
人工林面積を有しています。
本県では、本格的に
利用期に入っている
森林が多数を占め、その積極的な
伐採と、また
伐採後の
植林などの
森林を若返らせる事業、さらには、若い林齢の
森林の除伐、間伐といった
保育など一連の施業を通じて、適正な
森林管理と
木材の安定
供給に向けた
取組を進めているところであります。
森林資源の活用を通じた
地域経済の振興、若者の
林業の
可能性へのチャレンジなど
林業の再生に向けた
地域の
取組が活発化していく中で、本
法案への期待は大変大きなものを地元としても感じております。
本
法案の
趣旨は、
林業の
成長産業化と
資源の適切な
管理、その両立を図るために、
市町村を介して、
林業経営の
意欲の低い
小規模零細な
森林所有者の
経営を
意欲と
能力のある
林業経営者につなぐことで、
林業経営の
集積、
集約化を図るとともに、経済的に成り立たない
森林については、
市町村みずからが
経営管理を行う仕組みを構築していくこととされています。
一方で、おととし閣議決定された
森林・
林業基本計画では、
林業及び
木材産業を安定的に成長
発展させ、山村等における就業
機会の創出と所得水準の上昇をもたらす産業へと転換することとされています。
林業の
成長産業化に向けて、本
法案をどのように位置づけているのか、まず齋藤農林水産大臣の御所見を伺います。
また、
成長産業化という以上は、経済的に成り立たないとされる
民有林はそもそも少ないことが前提になると思いますが、今回
対象としている
民有林のうち、どのくらいの規模が
経済ベースに乗る
民有林と捉えているのか、さらに、今後検討を進めるとしている
国有林の活用についてはどのように
考えているのか、あわせて伺います。
林業の
成長産業化の展望については、農水省の意識・
意向調査によれば、
森林所有者のうちの八割が
森林経営への
意欲が低く、その多くがみずから主伐する意向がないと答えている
状況の中、その
所有者の
森林に
経営管理権が設定された場合は、新たな
経済的損失もなく
所有者としての
責務も果たせ、更にそこに
経営管理実施権が設定されれば、
市町村の
委託を受けてその
森林の
経営管理を行う民間事業者の
販売収入の一部から
利益を得ることも期待できます。
つまり、所有しているだけでもうけが出るとすれば、これまで
林業経営者として働いてきた
森林所有者の労働
意欲をそぐ形にもなりかねず、
経営管理を
委託して
利益を得ようというケースがふえていくことも
考えられます。そうした場合、結果として、
森林における所有と
経営の分離が一層進んでいくことになることが見込まれます。
市町村から
委託された事業者が
経営管理する際に、たとえ収益が見込まれる
森林であったとしても、事業を軌道に乗せていくためには効率的な
経営管理など一定以上の
努力が求められ、たとえ成果を上げたとしても、その
販売収入の一部は
所有者に還元していく必要性が生じる中で、モチベーションを保ちながら継続できるだけの事業性、採算性の見通しはあるのか、そもそも、
意欲と
能力のある
林業経営者とは具体的にどのような主体であるのか、お
考えを伺います。
林業経営者の事業体の一つに
森林組合がありますが、
森林組合は時代とともに合併が進み、組合員の数も減少しています。
林業の
成長産業化を進める上で、
地域林業のこの中核的な担い手である組合を本
法案ではどのように位置づけ、事業量の
拡大、
経営基盤の強化、施業
集約化に当たって具体的に国としてどうサポートしていくのか、
お尋ねいたします。
また、
経営管理を
委託されるのは、
国内事業者だけでなく外国資本による
経営管理も想定されますが、事業者の中には、その収入減少分をカバーするために、短期的な
利益を求める余り、再
造林や育林事業などの
森林資源の適正
管理への
取組が薄れる懸念もあります。
経営管理実施権に基づいて
市町村が
委託したとはいえ、その後の事業者に対する監督が十分に行われることも、この新たな
森林管理システムを実効的なものにする大前提であると
考えますが、大臣の御所見を伺います。
以上のように見ていきますと、成長産業として進める上では不十分な面があり、この新たな
システムのもとで
木材供給がふえていくことを見込む中で、
木材産業における需要を今後高めていくために、高付加価値な
木材加工事業や低コスト化に向けた流通改革、
販売促進など、川下における
政策が一層重要になっていくと
考えられますが、需要の掘り起こしはどのように進めていくお
考えでしょうか。
秋田県北部に位置する私の地元、大館北秋田
地域は、林野庁の
林業成長産業化地域創出モデル事業を行う
地域の一つに選ばれました。各自治体と
森林組合などの素材
生産者、また製材加工業者、苗木
生産者など民間事業者を交えた協議会がこのほど発足し、かつてない規模で川上から川下までが連携し、増産可能な体制づくりとともに、
需要拡大に向けた動きを強めております。
秋田の伝統工芸品、大館曲げわっぱは、樹齢百年以上を超える木が適しているとされ、その安定的な原料
供給に向けた、高樹齢木の育成計画や、若くてもその技法にたえ得るような良質な木々の選定についての研究も進められているほか、木質バイオマス関連事業においては、木の根元や枝など低質材のさらなる活用が検討されております。
地域経済を支える柱の一つとして期待されるこうした
取組を、本
法案の制定によってどのような
支援が可能となるのか伺います。
各
地域の
取組を支える上で、それぞれの
市町村は、これまでの
森林・
林業行政に係る
業務に加え、
森林管理の新たな仕組みの
中心的役割を担うことによる行政の過重な負担が想定されます。
都道府県が
市町村の事務をかわりに行うことも一部可能ではあるといえ、先ほど触れた、民間事業者に対する監督のほか、
経営管理集積計画を定める場合の
森林所有者不明問題への
対応など、根気の要る
取組が求められます。
現場では、
森林の区画が細かく、所有地が驚くほど分散されていたり、相続のたびに
森林所有が細分化されているケースを
考えれば、所有が不明となっている
森林の
集積に当たり、
市町村職員の負担が相当にかかっていくことが予想されます。
市町村の
林業部門の職員数は全体としていずれも長期的に減少しており、
市町村ごとにその体制や
能力はさまざまであることを踏まえ、行政にかかる負担をどのように解消し、
取組を進めていくのか、
お尋ねいたします。
なお、
所有者不明の問題については、今国会では、
所有者不明の土地
利用の円滑化、あるいは農業
経営基盤の強化を促すものなど複数の
法案が上がっている中、本
法案は、
所有者不明である
森林の
利用促進を図るものではあっても、その
所有者を特定することに力点を置いた抜本的な解決を図るという
内容ではありません。
森林法で定める
地域森林計画の
対象となっている
民有林については、売買や相続、贈与、法人の合併によって、その土地を新たに取得した場合には届出が義務づけられていることを踏まえ、届出の際に登記を促していくことも時代の要請であると
考えますが、大臣の御見解を伺います。
私が住む
地域は、若手の
林業者もふえている一方、
林業者の四割近くを六十歳以上が占めるなど、依然として高齢化率が高く、リタイアする数の方が増しており、
林業の担い手としては全体として年々減少している傾向です。
秋田県内の中山間
地域では、農業、
林業の担い手の減少と相まって、耕作放棄地の増加とともに、これまで人が手を入れて
管理してきた里山林も、
利用されないまま放棄されている場所がふえています。
見通しの悪い耕作放棄地や里山林は、野生動物、例えば熊が身を隠して移動するのに都合よく、近年は人の生活圏にまであらわれて、農作物を狙ったり、人を襲ったりというケースが目立っています。現代、経済的に暮らしが豊かになっている一方で、人の生活圏が縮小し、熊が押し寄せております。
人里、里山、奥山と呼ばれていた構造に異変が生じており、野生動物の暮らしの垣根の明確な線引きも難しくなっている
状況の中で、適切な
森林管理のあり方が改めて問われている時代に来ていると私は思います。
広大な
森林県に暮らす者として、また国政を預かる
政治家として、これからも真摯に議論を進めてまいります。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣麻生太郎君
登壇〕