○内閣
総理大臣(安倍晋三君) 玉木雄一郎議員にお答えをいたします。
冒頭、昨日の本白根山の噴火により亡くなられた
自衛官の方に心から哀悼の誠をささげるとともに、
被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。
政府としては、本白根山について、新たに観測機器を設置し、観測
体制を
強化するなど、
対応に万全を期してまいります。また、今後、火山の監視、観測、研究
体制の充実
強化、登山者の安全
確保対策の推進など、火山防災対策の
強化に取り組んでまいります。
また、平昌五輪への出席についての御発言がございました。
諸般の
事情が許し、そして平昌五輪の開会式に出席できる場合、ぜひとも文在寅大統領と会談を行い、北朝鮮に
政策を変更させ、核・ミサイル計画を放棄させるため、あらゆる方法で圧力を
最大限まで高めていくとの
方針から、ぶれてはならないことを直接伝えたいと考えております。また、慰安婦合意について、日韓の合意についても
日本政府の考え方を明確に伝えてきたい、このように考えております。そして、韓国側にも、約束を誠実に履行していくよう働きかけてまいります。
格差や
子供の
貧困について
お尋ねがありました。
格差が固定化しない、許容し得ない
格差が生じない
社会を構築していくことが重要な
課題であります。
安倍政権発足後の
格差を示す指標の動きを見ますと、長期的に上昇傾向にあった相対的
貧困率については、政権交代後、
雇用が大きく増加するなど、
経済が好転する中で低下に転じました。特に、
子供の相対的
貧困率については、総務省の全国
消費実態調査によれば、ずっと上昇し続けてきたものが、
平成二十六年の調査において、集計開始以来初めて低下しました。
また、現役世代の
生活保護受給
世帯は、政権交代直後である
平成二十五年二月のピーク時の約八十八万
世帯より、前年同月比で四年六カ月連続で減少し、現在では約七十七万
世帯となっています。
こうした中で、
貧困の連鎖を断ち切るため、来年度
予算においては、一人親家庭に対する児童扶養手当について、五十万を超える
世帯で支給額をふやします。
また、
生活保護基準において、
母子加算の
見直しは行いますが、児童養育加算の支給
対象者を高校生に
拡大するなどにより、一人
親世帯の六割強では
基準額が増額となる見込みです。
さらに、
生活保護世帯の
子供の大学等への進学支援のため、進学
準備の一時金として、自宅から通学の方は十万円、自宅外から通学の方は三十万円の
給付を創設します。また、自宅から大学等に通学する場合に行っていた住宅扶助費
減額を取りやめるなど、支援を
強化してまいります。
引き続き、アベノミクスを更に加速させながら、成長と分配の好循環をつくり上げることで、
格差が固定化せず、全ての
子供たちが夢に向かって頑張ることができる
社会をつくってまいります。
給与所得控除の
見直しと
金融所得課税について
お尋ねがありました。
今般の
給与所得控除の
見直しにおいて、控除が頭打ちとなる給与
収入の
水準については、
与党の税制調査会において、御指摘の八百万円超とする案も含め、さまざまな
議論を行う中、最終的に、家計への影響や地方財政への影響等を総合的に勘案しつつ、八百五十万円超とされたところであります。
さらに、子育て
世帯、
介護世帯に配慮することにより、九六%の
給与所得者は
負担増とならない見込みとなっています。
このように、今般の
見直しは
与党の税制調査会における真摯な
議論を踏まえたものであり、官邸の鶴の一声との御指摘は当たりません。
金融所得に対する
課税のあり方については、
平成三十年度
与党税制改正大綱において、「家計の安定的な資産形成を支援するとともに税
負担の垂直的な公平性等を
確保する
観点から、関連する各種
制度のあり方を含め、諸外国の
制度や市場への影響も踏まえつつ、総合的に
検討する。」とされているところであり、丁寧に
検討する必要があると考えています。
二%の物価安定目標の達成時期について
お尋ねがありました。
日本銀行は、一月二十三日に公表した展望レポートにおいて、二%
程度に達する時期は二〇一九年度ころになる可能性が高いとしていると承知しております。
経済の好循環は着実に回り始めており、今後とも、
日本銀行が、二%の物価安定目標の達成に向けて、大胆な金融緩和を着実に推進していくことを期待しております。
賃金について
お尋ねがありました。
賃金が上昇していく中において家計の支出も
消費も順調にふえていく、そうした
経済の好循環を回していくことが重要と考えております。
実質
賃金は、二〇一六年に前年比プラスとなった後、二〇一七年に入ってからは、おおむね横ばいで推移しています。
一方、名目
賃金については、賃上げは、中小企業を含め、今世紀に入って最も高い
水準の賃上げが四年連続で実現し、多くの企業で四年連続のベースアップを実施、パートで働く方々の時給は、統計開始以来、最高の
水準となっています。正規の方、非正規の方、それぞれ
所得環境に
改善が見られ、二〇一四年春以降、増加傾向にあります。
雇用者数の増加を加味した
国民みんなの稼ぎである総
雇用者
所得を見ると、名目で見ても、実質で見ても、二〇一五年七月以降、前年比プラスが続いています。
こうした中で、御指摘の
日本銀行の調査において、
暮らしにゆとりが出てきたと昨年九月に答えた方、七・三%は、近年で最も高い数値であります。十二月は一%近く下がったと言われましたが、十二月の六・五%は、近年でそれに次ぐ高い数値であります。
ちなみに、御党の前身である民主党政権末期の二〇一二年十二月を見ると、三・三%でありました。
また、二〇一七年の内閣府の調査によれば、現在の
生活に満足と回答した者の
割合は、七三・九%と過去最高となっています。
所得、
収入面で満足と回答した者の
割合も、
平成八年以来、二十一年ぶりに不満を上回っているところです。
ことしの春季労使交渉においては、生産性革命をしっかり進める中で、三%以上の賃上げが実現するよう期待しています。
政府としては、大胆な税制、
予算、規制改革、あらゆる施策を総動員することにより、
賃金アップの勢いを力強いものとし、更に
国民に実感が広がっていくよう取り組んでまいります。
日本銀行によるETFの買入れについて
お尋ねがありました。
日本銀行によるETFの買入れは、物価安定目標を実現するための金融
政策の一環として行われているものであり、特定の株価
水準を念頭に置いているものではないと承知しております。
その上で、
日本銀行は、資産
価格の動向を含むさまざまな
リスク要因も十分に点検し、
経済、物価、金融情勢等を踏まえながら、適切に金融
政策運営を行っていると理解しています。
金融
政策の具体的な手法は
日本銀行に委ねられるべきであると考えており、私は、黒田総裁の手腕を
信頼しております。
外国人
労働者の受入れ
制度の
見直しについて
お尋ねがありました。
我が国の活力を維持するためには、あらゆる場で誰もが活躍できる全員参加型の
社会を構築することが必要と考えています。
その上で、今後の外国人材受入れのあり方について申し上げれば、
経済社会基盤の持続可能性を
確保していくため、真に必要な分野に着目しつつ
内容の具体化を
検討していく考えです。
なお、安倍政権として、いわゆる移民
政策をとる考えはありません。
また、昨年十一月より施行された技能実習法に基づき、技能実習
制度の適正化を図っているところであり、外国人技能実習機構による実地検査等により、
労働基準監督署等と連携しつつ、技能実習生の適切な
労働条件、安全衛生の
確保に取り組んでまいります。
働き方改革について
お尋ねがありました。
働き方改革は、一人一人の
事情に応じた多様な働き方を選択できる
社会を実現するための、
労働基準法制定以来、七十年ぶりの大改革であります。
過労死、
過労自殺の悲劇を二度と繰り返さない。強い決意で長時間
労働の是正に取り組みます。
働く方の健康の
確保を大前提に、ワーク・ライフ・バランスを
改善し、子育て、
介護など、さまざまな
事情を抱える方々が意欲を持って働くことができる
社会に変えていく。こうした
社会を実現するために、
労働時間法制の
見直しが急務であります。
そのために、労使が合意すれば
上限なく時間
外労働が可能となる現行の仕組みを改めます。
史上初めて、
労働界、
経済界の合意のもとに、三六協定でも超えてはならない、罰則つきの時間
外労働の限度を設けます。
具体的には、時間
外労働の
上限は、月四十五時間かつ年三百六十時間と法律に明記します。その上で、労使が合意した場合でも上回ることができない
上限を年七百二十時間とし、その範囲内において、複数月の
平均では八十時間以内、単月では百時間未満と定めます。
また、
高度プロフェッショナル制度の創設、
裁量労働制の
見直しや時間
外労働の
上限規制は、いずれも、健康を
確保しつつ、誰もがその能力を発揮できる柔軟な
労働制度へと改革するものであり、
一つの
法案でお示しすることが適当と考えます。
六百兆円
経済の実現について
お尋ねがありました。
昨日公表された中長期の
経済財政に関する試算は、過去の実績や足元の
経済状況を組み込んだ現実的な試算にすべきとの
経済財政諮問
会議の
議論を踏まえて作成したものです。この試算においても、二〇二〇年ごろ六百兆円
経済を実現するという姿は変わりありません。
批判することは容易であります。しかし、私
たちに課せられた
責任とは、具体的な
政策を掲げ、それを実行し、結果を出していくことであります。
かつて、一九九七年にGDPは五百三十六兆円、過去最高を記録しましたが、残念ながら、その後だんだん縮小に向かいました。我々が政権を奪還する前は、とうとう五百兆円を切っていた。人口が減少すれば
経済は成長しないとも言われていました。それに私
たちは、三本の矢の
政策を示し、挑戦をしたわけであります。
そして、その結果、現在、デフレではないという
状況をつくり出す中で、名目GDPは一一・四%成長し、五十六兆円増加し、GDPは五百四十九兆円、過去最高を更新いたしました。
この流れをより確かなものとするため、引き続き、生産性革命、人づくり革命など、あらゆる
政策を総動員し、名目GDP六百兆円
経済の実現を目指してまいります。
また、
平成二十八年十二月に実施したGDP統計の
基準改定では、RアンドDの資本化などの最新の国際
基準への
対応のほか、建設投資について、建設工事にかかった
費用ではなく、実際の販売額を活用するなどの推計手法の
改善、産業連関表や住宅・土地統計など、最新の基礎統計の反映などを行いました。
これにより、結果として、二〇一五年については、国際
基準への
対応以外の
要因で七・五兆円の上方
改定となっています。
財政健全化目標と
予算審議について
お尋ねがありました。
二〇一九年十月に
予定されている
消費税率引上げ分の
使い道の
見直しにより、プライマリーバランスの黒字化の達成時期に影響が出ることから、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化は困難となります。
ただし、これまでも繰り返し申し上げてきたとおり、財政健全化の旗は決しておろさず、プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかりと堅持しております。
今般国会に
提出した来年度
予算は、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化に向けて
政府として決定した
経済・財政再生計画の集中改革期間の最終年度の
予算として、
経済再生と財政健全化を両立する
予算としております。
具体的には、人づくり革命や生産性革命といった重要
課題に重点化しつつ、薬価
制度の抜本改革など、改革努力や歳出削減努力を積み重ねることにより、
一般歳出や
社会保障費の伸びについて、
経済・財政再生計画の目安を達成し、国債発行額を六年連続で縮減するとともに、
一般会計のプライマリーバランスも
改善させております。
本年
予算を国会で御審議いただくことが不誠実との御指摘は当たりません。
なお、プライマリーバランスの黒字化につきましては、この夏までに、その達成時期と、裏づけとなる具体的かつ実効性の高い計画を策定してまいります。
幼児教育の
無償化と
待機児童対策について
お尋ねがありました。
待機児童の
解消は待ったなしの
課題であり、最
優先で取り組んでいきます。新しい
経済政策パッケージのもと、
幼児教育の
無償化は二〇一九年度から段階的に進めていくのに対し、子育て安心プランは、
補正予算も活用して、今年度から早急に実施します。これにより二〇二〇年度末までに三十二万人分の保育の受皿を
確保し、
待機児童を
解消することとしています。
この子育て安心プランによる必要な保育の受皿三十二万人分については、二十五歳から四十四歳までの女性の就業率が二〇二二年度末に八割まで上昇すること、その就業率と相関して保育の利用申込み率もゼロ歳から五歳全体で見て五割を超える
水準まで伸びることを想定して、必要な
整備量を推計したものであります。
待機児童の
解消に当たっては、保育の実施主体である市区町村が、
待機児童の
状況や潜在ニーズを踏まえながら保育の
受皿整備を行うことが重要であり、引き続き取組を加速してまいります。
消費税の軽減
税率について
お尋ねがありました。
消費税率一〇%への引上げに伴う低
所得者への配慮として、
平成三十一年十月に軽減
税率を実施することとしており、その
財源については、
平成三十年度末までに歳入及び歳出における法制上の措置等を講ずることにより、安定的な恒久
財源を
確保することとしております。
総合合算
制度の見送りにより生ずる
財源以外で必要となる〇・六兆円
程度の
財源については、今後、歳出歳入の両面からしっかりと
検討していきます。
介護離職ゼロについて
お尋ねがありました。
介護離職ゼロに向けて、
介護サービスが利用できずやむを得ず離職する方や、特養に
入所が必要であるにもかかわらず自宅待機する方をなくすため、二〇二〇年代初頭までに五十万人分の
介護の受皿の
整備を進めていきます。
また、その大きな目標に向かって、
介護人材確保への取組を
強化します。既に、自公政権で月額四万七千円の
改善を行いましたが、来年秋からは、リーダー級の職員の
皆さんを
対象に、更に、八万円相当の
給与増を行えるような処遇
改善を実現することで、他産業との
賃金格差をなくしてまいります。
さらに、認知症は誰もがかかわる可能性のある身近な
病気です。認知症の方ができる限り住みなれた地域で暮らすことができる取組を進めていく必要があります。
このため、我が国の認知症国家戦略である新オレンジプランに基づき、認知症の方やその家族の方に寄り添いながら、認知症の方々が自分らしい
生活を営めるよう支援してまいります。
こうした取組を総合的に進め、
介護離職ゼロを目指していきます。
農業、農村の
所得倍増と米
政策について
お尋ねがありました。
安倍内閣においては、農業の成長産業化を図るため、農地の集積、集約、
輸出促進や六次産業化の推進など、生産性や付加価値を向上させ、マーケットを内外に広げる農政改革を進めているところです。
攻めの農政によって、生産農業
所得は、過去二年で約九千億円も伸び、直近で三兆八千億円となりました。農村地域の関連
所得も着実にふえ、
平成二十七年度には一兆五千億円となりました。
関係者が一体となって努力を積み重ね、
消費者ニーズに応えた強い農業をつくり上げていくことができれば、農業、農村全体の
所得倍増は十分に実現可能性があると考えております。
また、我が国の主食用米については、需要が年々減少する中で、恒常的な生産余力があるところです。このため、主食用から自給率の低い飼料用への転換、国内向けから新たな需要
拡大が見込める
輸出向けへの転換などを促し、水田のフル活用を図っているところです。
国内には十分な量の国産米が供給されており、
日本人は、おいしくて安全な国産米を食べています。また、中食、外食等の業務用米についても、国内産地と中食、外食等とのマッチングを進め、こうした需要に
対応した生産、販売を促進しているところです。
安倍内閣は、
消費者の方々においしくて安全な国産の農産物を食べてもらい、農家の方々の
所得も上がっていくよう、引き続き農政改革を強力に推進してまいります。
受動喫煙対策について
お尋ねがありました。
二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを目指し、受動喫煙対策を徹底することが重要です。このため、必要な
法案を今国会に
提出するべく、現在、
与党及び
関係省庁において調整を進めています。
大切なことは、望まない受動喫煙をなくしていくことであり、受動喫煙に関する普及啓発や
事業者への支援措置なども含め、
皆さんがしっかりと守っていただけるような実効性のある総合的な対策を進めてまいります。
東京一極集中の是正について
お尋ねがありました。
人づくり革命などを進めることで若者人口自体の減少に歯どめをかけると同時に、若者の減少率が東京圏よりも地方においてより深刻となる中で、地方から東京圏への転出入の均衡は喫緊の
課題です。
また、東京圏は出生率が相対的に低いことから、東京圏への人口集中はさらなる出生率の低下につながりかねず、少子化対策の
観点からも、地方への若者の流れをつくることは極めて重要であると考えています。
こうした
観点から、東京二十三区における大学定員の抑制だけでなく、あわせて、先端科学、観光、農業といった地域の特性を生かした分野で世界レベルの研究を行い、
日本全国から学生が集まるような、きらりと光る地方大学づくりを進めてまいります。
そうした地方大学を核に、地場の企業の知恵を生かしながら、産学連携により地方
経済の
活性化にもつなげてまいります。さらに、地方拠点
強化税制による魅力ある仕事づくり、地方企業でのインターンシップ推進などにより、地方への若者の流れを生み出してまいります。
学びにおいても働く場としても地方にこそチャンスがあると若者
たちが感じられるような地方創生を力強く進めることで、地方から東京圏への転出入の均衡を目指してまいります。
日ロ
関係についての
お尋ねがありました。
プーチン大統領の発言に公の場でコメントすることは、交渉に支障を来すおそれがあるので差し控えますが、ロシア側とは、
安全保障面を含むさまざまな事項について粘り強く協議を進めてきています。
共同
経済活動については、双方の法的立場を害さない形でプロジェクトを早期に実施すべく、さまざまなレベルでロシア側と鋭意協議を進めています。
北方
領土問題の目標は、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結することであり、その実現のため、
政府一体となって粘り強く交渉を進めてまいります。
今後の
防衛力のあるべき姿と、いわゆる敵基地攻撃能力について
お尋ねがありました。
まず、はっきり申し上げておきたいことは、脅威をつくり出しているのは、それはまさに北朝鮮の側である。
日本ではないということをはっきりと申し上げておきたいと思います。
その脅威に対して、
国民の命を守るためにしっかりと備えをしていくことは、私
たちの大きな
責任であります。
スタンドオフミサイルは、我が国防衛に当たる自衛隊機が相手の脅威の圏外から対処できるようにすることで、隊員の安全を
確保しつつ、我が国を有効に防衛するために
導入するものであります。イージス・アショアは、弾道ミサイルの脅威から我が国全土を、二十四時間三百六十五日切れ目なく防護する能力を抜本的に向上させるものです。いずれの
装備も、
専守防衛のもと、
国民の生命財産、我が国の
領土、領海、領空を守り抜くため、自衛隊の
装備の質的向上を図るものであります。
我が国を取り巻く
安全保障環境は、戦後最も厳しいと言っても過言ではありません。今後とも、従来の延長線上ではなく、
国民を守るために真に必要な
防衛力とは何かを
検討し、見定めていくことが必要です。
他方、いわゆる敵基地攻撃については、日米の役割分担の中で、
米国の打撃力に依存しており、
政府としては、今後とも、日米間の基本的な役割分担を変更することは考えていません。
日本海側の沿岸警備
体制の
強化について
お尋ねがありました。
長大な海岸線を有する我が国において、沿岸警備の徹底は重要な
課題であり、平素から、海上保安庁と警察が緊密に連携し、
日本海沿岸区域のパトロールの実施、不審者対策を推進しているところです。
また、
平成二十九年度
補正予算においては、
原発等テロ対処能力の
強化のため
日本海
対応の大型巡視船一隻のほか、
日本海を含めた海洋監視
体制強化のための新型ジェット機一機の増強のための
予算を計上し、
日本海側の海上保安
体制の
強化を図っているところです。
今後とも、我が国の
領土、領海を断固として守り抜くとの決意のもと、我が国周辺海域の警戒警備、
国民の安全、安心の
確保に万全を期してまいります。
石炭火力について
お尋ねがありました。
我が国は、再生可能エネルギーや水素など、二酸化炭素の排出削減に資するあらゆる選択肢を用いて、世界の脱炭素化を牽引しています。
こうした中で、新興国を中心に、効率の低い石炭火力発電所がいまだ数多く稼働している
状況下で、我が国の高効率の石炭火力発電に対するニーズがあれば、その
導入を支援することで、実効的な世界の二酸化炭素の排出削減に貢献しています。
国内の石炭火力発電については、単に活用を図るだけではなくて、既存の低効率発電所の稼働抑制や休廃止を進めることで、
政府一体となって、エネルギー
政策と整合的な形で、二〇三〇年の温室
効果ガス排出目標を達成する考えであります。
行政文書の保存について
お尋ねがありました。
昨年末の行政文書の管理に関するガイドライン改正に当たっては、紙文書、電子文書の別を問わず、意思決定過程等の合理的な跡づけや検証に必要となる行政文書について、一年以上の保存期間を設定することを義務づけることにより、現在及び将来の
国民への
説明責任を全うするという
公文書管理法の趣旨の徹底を図ったところです。
また、どのような文書が
公文書管理法の行政文書に該当するかについては、電子メールについても、他の形態の文書と同様、文書の作成又は取得の
状況などを総合的に考慮して実質的に判断することが必要であると考えています。
いずれにせよ、
政府としては、公文書を扱う職員の意識の向上も含め、今後、公
文書管理の質を高めるための不断の取組を進めてまいります。
スーパーコンピューターに係る補助金について
お尋ねがありました。
補助金の交付等については、それぞれの所管官庁、実施機関において、法令や
予算の趣旨にのっとって適正に実施されるべきものであり、御指摘の事業について、そのように行われているものと承知しております。
また、行政文書等については、
公文書管理法や
情報公開法等の法令に従い、各省庁において、公開すべきはしっかりと公開してまいります。
国会改革、党首討論について
お尋ねがありました。
この国会においては、さきの総
選挙における
国民の負託に応えることができるよう、玉木議員を始め、希望の党の
皆さんとも充実した
政策論議を行わせていただきたいと思います。
具体的な国会改革、党首討論のあり方については国会がお決めになることであり、各党各会派においてしっかりと
議論を行っていただきたいと考えております。
国民投票における広告宣伝活動の規制において
お尋ねがありました。
国民投票法は、
平成十九年に議員立法が制定されたものですが、その際、各党各会派でさまざまな
議論がなされた結果として、広告放送を含めた
国民投票運動については基本的に自由とし、投票の公正さを
確保するための
必要最小限の規制のみを設けるとの結論に至り、現在の
制度となったものと承知しております。
憲法第九条の改正について
お尋ねがありました。
御指摘の昨年五月の私の発言は、自由民主党総裁として、憲
法改正の
議論を深めるため、一石を投じたものであります。
国会の
憲法審査会において
議論される憲
法改正の
内容について、私が内閣
総理大臣としてこの場でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、
お尋ねですので、あえて
自民党総裁としての考えを申し上げるとすれば、現行の第九条第二項の規定を残した上で自衛隊の
存在を
憲法に明記することによって、自衛隊の任務や権限に変更が生じることはないものと考えております。
米軍機の
事故への
対応と日米
地位協定について
お尋ねがありました。
米軍機の飛行安全の
確保は、
米軍が我が国に駐留する上での大前提です。
関係当局においても、所要の調査や捜査を行っています。
米側からは、再発防止について、重要な
課題として取り組むとの表明がありました。安全の
確保は、最
優先の
課題として日米で協力して取り組んでまいります。
地位協定については、今まで、
地位協定が結ばれてから、さまざまな
議論がありました。しかし、この日米
地位協定を締結してから半世紀を経て初めて、二つの補足協定の策定が実現されたわけであります。
今後とも、事案に応じた最も適切な取組を積み上げていくことにより、日米
地位協定のあるべき姿を不断に追求してまいります。(拍手)
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