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2018-04-02 第196回国会 衆議院 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十年四月二日(月曜日)     午後一時開議  出席委員    委員長 江藤  拓君    理事 赤澤 亮正君 理事 池田 佳隆君    理事 石崎  徹君 理事 辻  清人君    理事 村上 史好君 理事 松原  仁君    理事 竹内  譲君       安藤 高夫君    木村 哲也君       城内  実君    国光あやの君       杉田 水脈君    鈴木 憲和君       長尾  敬君    宮内 秀樹君       宮路 拓馬君    八木 哲也君       山田 美樹君    若宮 健嗣君       西村智奈美君    本多 平直君       源馬謙太郎君  もとむら賢太郎君       江田 憲司君    笠井  亮君       串田 誠一君     …………………………………    外務大臣         河野 太郎君    国務大臣    (拉致問題担当)     加藤 勝信君    国務大臣    (国家公安委員会委員長) 小此木八郎君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  横田 真二君    政府参考人    (警察庁警備局長)    村田  隆君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 市川 恵一君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 船越 健裕君    政府参考人    (外務省総合外交政策局軍縮拡散科学部長)   吉田 朋之君    政府参考人    (外務省アジア大洋局長)            金杉 憲治君    政府参考人    (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           小波  功君    衆議院調査局北朝鮮による拉致問題等に関する特別調査室長          辻本 頼昭君     ————————————— 委員の異動 四月二日  辞任         補欠選任   斎藤 洋明君     安藤 高夫君   細田 健一君     宮路 拓馬君   三浦  靖君     杉田 水脈君 同日  辞任         補欠選任   安藤 高夫君     国光あやの君   杉田 水脈君     三浦  靖君   宮路 拓馬君     宮内 秀樹君 同日  辞任         補欠選任   国光あやの君     斎藤 洋明君   宮内 秀樹君     八木 哲也君 同日  辞任         補欠選任   八木 哲也君     細田 健一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  北朝鮮による拉致問題等に関する件      ————◇—————
  2. 江藤拓

    江藤委員長 これより会議を開きます。  北朝鮮による拉致問題等に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官横田真二君、警察庁警備局長村田隆君、外務省大臣官房参事官市川恵一君、外務省大臣官房参事官船越健裕君、外務省総合外交政策局軍縮拡散科学部長吉田朋之君、外務省アジア大洋局長金杉憲治君及び防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官小波功君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 江藤拓

    江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 江藤拓

    江藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。辻清人君。
  5. 辻清人

    辻委員 自民党の辻清人でございます。  当委員会においてこうして質問させていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。  と申し上げますのは、両大臣もさることながら、このタイミング、それこそ総理が今月訪米をして首脳会談を行われる前、また、先月、中朝首脳会談、また、時系列的に見れば、平昌オリンピック以降、北朝鮮中心とした北東アジアの情勢は大変目まぐるしく変化をしております。  このタイミングでこの委員会を開く意義、私は、これは本当に、与党、野党問わず、心から感謝を申し上げながら、冷静に、この質疑において、限られた時間でございますが、しっかりと、この拉致の問題が前進するよう、しっかりと質問をさせていただきたいと思います。  私は、外交とは、熱い心と、冷たい、冷静な頭脳を持ってやることだというふうに教わりました。釈迦に説法でございますが、常に私の中では、この問題、もう大学に入った当初から、思えば、被害者家族方々のことを中心としたテレビ報道を見るにつけ、この問題は私が政治家になってから必ず解決しなければいけないという気持ちを持ちながら月日がたってしまい、じくじたる思いがございます。  そういう意味では、高齢化する家族皆さん、彼らのことを考えると、胸中いかばかりかと察して余りある思いがあると同時に、外交は常に結果と事実の積み重ねだと私は思っています。冷静と情熱の間でそういうことを考えながらバランスよく外交を行っていくことしか現実的な選択肢としてはないと私は思っています。  そこで、まずは数問、外務省中心質問をさせていただき、その後、拉致対策本部の方に質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  さて、先ほど来私が申し上げているように、外交的なチャンス、これは恐らく、この数カ月のこの機運というのは、日本としては、拉致解決に向けてしっかりと利用しなければいけない、ひょっとしたらこれが日本にとってもラストチャンスになる可能性もあります。  というふうな局面において、日本としては、やはり日本国のみならず、核、ミサイルの問題も含めて、バイやマルチの交渉も重ねていくことが重要だと思いますが、現在、こういうふうに、朝鮮半島融和タイミングに向かっている中で、米朝会談また南北首脳会談実現される見込みとなっておりますが、これから、今月、安倍総理訪米をしてトランプ大統領と話す、その中で、日本もこの枠組みの中にしっかり加わっていかなければならないと思っていますが、それについての外務省見解を教えてください。
  6. 河野太郎

    河野国務大臣 これまで北朝鮮に対して、国際社会を挙げて、安保理決議を始めとする経済制裁をしっかりとやってまいりました。これには、日米韓のみならず、中国、ロシアも賛成をし、国際社会、一致してこの北朝鮮に対して経済制裁という圧力をかけ続けていかなければならないというところで、ずっと一致してそうしたことが行われてまいりました。  オリンピックを契機に北朝鮮ほほ笑み外交が始まり、南北あるいは米朝会談が予定をされておりますが、今、国際社会は、北朝鮮対話に出てくるだけで対価を得るべきではない、きちんと北朝鮮非核化あるいはミサイルの放棄、拉致問題の解決に向けて具体的なステップをとったときに初めてそうした議論になるという、国際社会は今この一致した態度で北朝鮮と向き合っております。  我々としては、これから始まる南北対話、そして米朝対話を見据えながら、問題の解決に向けて何が最適かしっかり考えてまいりたいと思います。
  7. 辻清人

    辻委員 私は、日本の基本的なスタンスとして、特に圧力をかけしっかりと対話を導き出すというその方針自体は、もちろん北朝鮮はそれを認めませんけれども、今回はそれは成功している、だからこそ交渉のテーブルに着いた、そういう見方があると私は思っています。  一方で、韓国は、平昌オリンピックにともに彼らを加えて、その後の融和的な外交が成功した、そういう見方をしている方々もいます。ただ、私は個人的には、日本スタンスというのは、圧力をかけていたからこそ、それが一定の効果を得て今交渉きっかけを得ているんだ、私はそう思っています。  その中において、これは特に拉致の問題に関しては、日本北朝鮮で、バイでしっかりといずれ取り組まないといけない。いずれといいますか、そのタイミングというのは非常に大事だと思っています。  これを実現をさせていく中で、日本がこの大きな流れの中から取り残されているのではないか、そういう報道もここ最近目にするんですが、私は、むしろそうではなくて、思い返せば、私は外交を学ぶに当たって常に九四年の、日本韓国一緒に、当時のクリントン政権アメリカクリントン政権において、北朝鮮朝鮮半島エネルギー開発機構、KEDOといいますが、プルトニウムを抽出していた疑惑においてNPT体制北朝鮮が脱却をし、そこにおいてアメリカ北朝鮮で二国間で話合いをつけ、そして十五億ドルの資金を韓国日本がたしか七対三の比率で分担をして提供をし、このエネルギー開発機構をスタートをしました。しかし、二〇〇七年ですかに、実際、北朝鮮はその約束を守っていなかったことが発覚をし、またそこからゼロベースに戻ってしまった。そういう中で、日本韓国はお金を出しただけ出して、最終的には進展がなかった。  枚挙にいとまがないほど、北朝鮮非核化中心としたそういった動きというのは、過去にも失敗に終わっているケースがたくさんあります。  その中において、安易に北朝鮮への融和路線に向かわないように、また、この拉致の問題が取り残されないようにする必要があると思いますが、そういった観点も含めて、日朝首脳会談実現可能性を教えてください。
  8. 金杉憲治

    金杉政府参考人 お答えさせていただきます。  今委員も御指摘のとおり、北朝鮮は、一九九四年の枠組み合意、あるいは二〇〇五年の六者会合共同声明等を時間稼ぎの場として使ってきたという状況でございますが、日本外交をリードした結果としての最大限の圧力をかけるという方針から、北朝鮮が今対話を求めてきたという状況にございます。  その上で、日朝首脳会談でございますけれども、まずは四月の二十七日に予定されております南北首脳会談、また、五月末までに予定されております米朝首脳会談に向けて、引き続き日米韓三カ国で緊密に政策連携をしながら、また、今月予定されております総理訪米というのも見きわめた上で、何が最も効果的な観点かという観点から日朝首脳会談についても考えていくというのが今の方針でございます。  以上でございます。
  9. 辻清人

    辻委員 今、特に、米朝首脳会談を考えるに当たって、ここ最近のアメリカの国務省のさまざまな人事の混乱を見ていますと、やはりトランプ大統領中心として、個人的なディールメーキングを相当考えているというふうに私は考えています。であるならば、総理訪米をしてトランプ大統領と直接この拉致の問題を改めて話し合うということは、大変私は意義があって重要なことだと思っています。  振り返れば、昨年、被害者家族方々トランプ大統領が面会をし、また、国連の場においても拉致に関してトランプ大統領が言及したということは、大変私は意義が深いことだと思っています。  その中で、私の次の質問なんでございますが、拉致の問題というのは、もちろん日本固有の問題であると同時に、他国、一番象徴的なのは、南北分断によって韓国北朝鮮の間にも家族同士離れ離れになるという離散家族が存在しています。また、アメリカにおいても拉致被害者というのがいます。  そういった意味では、この本件について、やはり韓国北朝鮮アメリカも、拉致被害者家族たち自分たち家族を取り戻したいという気持ち、そこを十分に理解していただいて、日本国だけの問題ではなくて、これは本当に世界を含んだ大きな人権問題なんだということで、そこの部分をやはり改めてしっかりと認識をして共有することが大事だと思うんですが、そこの部分についての外務省認識を教えてください。
  10. 金杉憲治

    金杉政府参考人 お答えいたします。  委員指摘のとおり、この拉致の問題というのは、日本だけの問題ではなくて国際的な問題だというふうに我々認識しております。  例えば、韓国について申しますと、韓国統一部発表によりますと、朝鮮戦争等により韓国北朝鮮との間で家族離れ離れになった、韓国側のいわゆる南北離散家族生存者という方は、二〇一八年の二月現在、五万八千二百六十一人に上っております。  また、現在でも少なくとも三名のアメリカ人の方が北朝鮮によって捕らえられているということがございますし、タイを始めとして幾つかの国で北朝鮮による拉致の疑いが濃厚だという事案も発生しておりますので、我々としては、これは日朝間の問題だけではなくて、やはり国際的な問題として捉えて訴えかけをしていきたいというふうに考えております。
  11. 辻清人

    辻委員 ぜひお願いします。  やはりこの拉致の問題が絶対に取り残されてはいけない。外交とはプライオリティー優先順位つけ方というのが非常に大きなファクターの一つとしてありますが、それこそ、半島の安定化正常化、また、例えば今北朝鮮開発中であろうと思われるICBMの北米への到達、そういったさまざまな要素がある中で、この拉致に関する日本プライオリティーというのは、そういった非核化ミサイル同列で論じなければいけない。であるからこそ、日本政府が今まで掲げてきた、朝鮮半島正常化国交正常化拉致解決なくしてあり得ないというそのスタンスは、私はこれからも堅持していかなければいけないんだと思います。  その中で、ここ最近といいますか、ストックホルム合意、これは安倍政権合意をした後、私の認識では、北朝鮮がそれを一方的に今履行をしていない状況が続いているという認識なんですが、このストックホルム合意の現在においての有効性というのを教えていただけませんでしょうか。
  12. 金杉憲治

    金杉政府参考人 お答えいたします。  拉致問題は解決済みとしていた北朝鮮との間で、かたく扉が閉ざされていたわけでございますけれども、二〇一四年五月のストックホルム合意では、北朝鮮側拉致被害者を始めとする日本人に関する全ての問題を解決する決意を表明させたということでございます。この点において、ストックホルム合意は引き続き大きな意味があるというふうに考えております。  他方で、委員も御指摘のとおり、二〇一六年の二月、北朝鮮は、我が国ストックホルム合意の破棄を公言したということを一方的に主張し、全ての日本人に関する包括的調査全面中止及び特別調査委員会の解体を宣言しておりますけれども、我が国としては、こうしたことは全く受け入れられないというふうに考えております。  引き続き、対話圧力行動行動の原則のもとで、北朝鮮に対してストックホルム合意履行を求めつつ、一日も早く全ての拉致被害者の方の帰国を目指すということが政府方針でございます。
  13. 辻清人

    辻委員 ぜひともそこは譲らず、しっかりと頑張っていただきたいと思います。  続きまして、拉致対策本部の方に軸足を移して質問をさせていただきたいと思います。  先ほどから話に上がっているように、この拉致問題が置き去りにならないように、特に人道的な観点から、やはり国際連携が重要となっていくんだと思います。  個人的なエピソードとしていつもこの問題を考えるに当たって私が使っているのは、以前私がワシントンDCのシンクタンクで研究員をしていたときに、よくアメリカや他の国から、当時まだ日本ハーグ条約に加盟をする前だったので、そういう民法上の、国際結婚の中での子供の奪取、国際結婚をして離婚をした後、子供日本に連れ戻す日本人母親が多数いるということで、それをアブダクションだというふうに言っている、北朝鮮拉致同列で論じる方が、アメリカで多数いました。  それは私はとんでもない間違いであって、これは、主権国家が、ステートアクターがかかわって誘拐をしたキドナップだと。フェデラルなものであって、ノンステートの個人間の問題ではないというふうに言っていたんですが、二〇〇六年に横田めぐみさんのドキュメンタリーが、これはたしかオーストラリア人監督だったんですが、多数のドキュメンタリー賞世界でも受賞した映画が、これは大臣、ひょっとしたらもう既に見ているかもしれませんが、これが出て、それを、河野大臣も御卒業されているジョージタウンの大学の学生と一緒上映会をしたんです。  それで、このドキュメンタリーを見て、ああなるほど、こういうことだったんだと初めて気づく方々が非常に多くて、それ以来、こんなことを北朝鮮がしていたなんて知らなかったと外国方々がやはりそれに気づくということは、そういうことをもっともっと戦略的に行っていくことで、いかに非人道的なことが行われたかということを日本国内のみならず外国に対してもやはり宣伝をすること、それは本当に大事なことだと、私はその経験を通して認識しました。  あと、ここ最近、実は私も先日報道で知ったんですが、イギリスで、拉致を題材にした劇が今大変評判を呼んでいるということです。たしか、ザ・グレートウエーブ、大きな波という名前の、これはたしか監督母親日本人ということで、非常にこの劇が、イギリスのロンドンの名門のナショナルシアターで上演をされているということで、私もまだ見ていないんですが、そういった意味では、そういう宣伝活動等々含めて、国際的な啓発を進めるべきだと考えていますが、大臣見解をお願いします。
  14. 加藤勝信

    加藤国務大臣 今委員からお話しいただきましたように、まず、拉致問題、北朝鮮との関係では、核、ミサイルという安全保障上の問題が他方である中で、拉致を含めて人権上の問題があるということをしっかりと認識をし、そして、特にまた、日本拉致問題というのは実際どういうことだったのかということを深く理解をしていただくことは大変重要だというふうに思っております。  こういった観点から、在外公館とも連携しながら、アニメめぐみ」の上映会、あるいはパネルディスカッションシンポジウムといった拉致問題に関する国際啓発イベント、また政府広報活動、これに意を尽くしているところでありますが、また、機会があるごとに、拉致問題に対する海外メディアを通じた国際的な広報、あるいは海外メディアからの取材にも積極的に対応させていただいているところであります。  また、五月の連休には米国、欧州等にも出張し、国際シンポジウム開催等にも努めてまいりました。その中で、昨年五月にブリュッセルに参りましたときに、欧州議会において政策対話を行ったんですが、そのときに、アニメめぐみ」という、そのときはたしか英語版で上映したと思いますが、これを上映いたしました。欧州議員の方も参加をしていただいたり、あるいはそのスタッフの方にも参加をしていただきましたけれども、中には、本当に涙を流しながらこのアニメを鑑賞し、そして、本当にこれはひどいことだと言って、終わった後、直接私にも話しかけていただいた。そういった意味では、大変大きな効果があったというふうに思います。  また、今委員からお話がありました、イギリスにおいてそうした劇が上演されている。これは別に日本政府が何か働きかけをしたものではありませんけれども、実態はどうなっているか、実際、大使館の人間はもう見に行かれた。うちのスタッフも今ちょうど見に行って、またどんな連携ができるかどうかも含めて考える、そのまず最初として、中身がどうなのかということを拉致対策本部としてまず見ていこうということで派遣をさせていただいているところでありますけれども。  そういったことを含めて、やはり国際的な世論というものをしっかり沸き上げていくためにも、そうした国際的な啓発活動等、しっかりとしたそうしたことに対する取組、そして、何が効果的であるかということを不断に検証しながら進めさせていただきたいと思います。
  15. 辻清人

    辻委員 立法府としてもそれを後押しをしたいと思っておりますが、そんな中で、国内的に私が非常に懸念をしているのは、特に拉致被害者家族の皆様の高齢化でございます。  先日も、総理決議文をお渡しされている姿を私は映像を通して拝見をさせていただく中で、それこそ、非常にこの問題、もう何十年という月日がたちまして、家族会、救う会も含めて被害者家族皆さん、長年の御労苦の中で、月日がたつ中で高齢化をしています。  そして、その中で、その運動量といいますかモメンタムといいますかそういったものが、やはり次の世代も含めて、これから若い世代にももっともっとそれを伝えていくということは国内的にも重要になってきているというふうに思っていますし、やはりそういう、非常にこれはじくじたる思いといいますが、そこまでの月日がたちながらもまだこの問題を解決できていないということに対して大変大きな責任を感じながら申し上げているんですが、そういう若い世代方々に対してこれを伝える重要性、これを継承していく重要性、それについて見解をお願いできますか。
  16. 加藤勝信

    加藤国務大臣 拉致問題の解決、これはまさに政府が主体的に取り組む課題ではありますけれども、それに取り組むに当たっても、国民世論、特に、一日も早く全ての拉致被害者帰国実現させていくんだ、こういう強い決意がさまざまな場において示されるということは、大変強い後ろ盾になるわけであります。  そして、今委員からお話がありましたように、特に、拉致問題についてなかなか触れる機会の少ない若い世代皆さん方にどうアプローチをしていくのか、啓発を図っていくのか、大変重要な課題であります。  先月の七日、私と林文科大臣の連名で、アニメめぐみ」の教育現場での積極的な活用について、全国の教育委員会に通知を出させていただいたところでもあります。協力要請をしております。また、職員を学校等派遣をして啓発セミナー授業を行ったり、平成二十九年度からは、中高生を対象とした作文コンクールも行わせていただいております。  さらに、三十年度予算においては、学校における理解促進活動を一層強化するという目的で、小中高教員等対象とした、授業での拉致問題の取上げ方に関する研修会に係る経費も計上し、具体的にそういう研修も実施をしていきたいというふうに思っておりまして、いずれにしても、全ての拉致被害者の一刻も早い帰国実現に向けて、特に若い方々含め国民皆さん方のこれに対するさらなる理解に向けて、啓発活動周知活動、しっかり取り組みたいと思います。
  17. 辻清人

    辻委員 ありがとうございます。  もう最後になりますけれども、冒頭申し上げたように、これからの数カ月というのは、日本外交もそうですが、特に北東アジア外交にとって、大変大きな大きな転換期となることが私は予想されると思っています。その中であるからこそ、この拉致の問題、しっかりと解決をする、これがひょっとしたら最後きっかけになる可能性も出てくるわけでございます。  このタイミングでしっかりと、現政権のその試み、これから今月行われる日米首脳会談も含めて、南北首脳会談米朝首脳会談、いずれ行われるであろう、行ってほしい、しっかりとした日朝首脳会談も含めて、そういう試みに対して、一刻も早く拉致被害者方々が無事帰国することを心から祈念申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。
  18. 江藤拓

    江藤委員長 次に、竹内譲君。
  19. 竹内譲

    竹内委員 公明党の竹内譲でございます。  私からも、まず、このたびの北朝鮮金正恩委員長中国習近平国家主席会談についてお伺いしたいと思います。  まず、それぞれ、中国側北朝鮮側表明内容のポイントはどこにあるか、そしてまた、中国側北朝鮮側のそれぞれの狙いにつきまして、外務省にお伺いいたします。
  20. 金杉憲治

    金杉政府参考人 お答えいたします。  今般の金正恩委員長の訪中に関しましては、中国政府とそれから朝鮮中央放送などが対外発表を行っております。  中国側発表によりますと、今回の中朝首脳会談において金正恩委員長は、非核化実現に尽力するというふうに述べるとともに、南北米朝首脳会談実現に意欲を示したとされております。他方で、北朝鮮側発表ではこれらの点に言及していないといった、顕著な違いがございます。  それぞれの狙いでございますけれども、北朝鮮側は、やはり南北首脳会談、そして米朝首脳会談を有利に進めるために、中朝関係の改善を図ったという見方、また、中国側は、南北米朝首脳会談に向けた動きがある中で、直接北朝鮮と接触する機会を追求したという見方、さまざまな見方がございます。  いずれにしましても、中国北朝鮮それぞれの思惑が一致したということから、今回の中朝首脳会談実現したというふうに考えております。
  21. 竹内譲

    竹内委員 今、表明内容に違いがあるという点がございました。  中国外交発表によりますと、金正恩委員長から、朝鮮半島非核化実現するために努力するとか、南北首脳会談を行いたいとか、米朝首脳会談を開催したい旨の発言があったとされていますが、今お話がありましたように、北朝鮮側からは、これらの点につきまして言及がありませんでした。  この点につきまして、北朝鮮側の思惑は何と考えられますか。
  22. 金杉憲治

    金杉政府参考人 お答えいたします。  北朝鮮側の思惑としましては、やはり米朝首脳会談に向けた米側の動きを見きわめようとしているということ、さらには、金正恩委員長が下した決定を対外発表する前に、まずは北朝鮮内で金正恩委員長の考え方を浸透させる必要があるのではないかという見方など、さまざまな見方があるというふうに承知しております。  いずれにしましても、北朝鮮の意図、それから今後の具体的な行動というのを我々としては注視していきたいというふうに考えております。
  23. 竹内譲

    竹内委員 中国国営新華社が二十八日に伝えておりますが、段階的で同時的な措置をとるなら半島の非核化問題は解決できるという発表を、この会談につきましていたしております。  これが一体何を意味するか。例えば、韓国に核兵器を持ち込まないとの確約や、戦略核兵器の展開中止であるとか、在韓米軍の撤収など、米国が到底受け入れられないような条件を指しているのか。その点につきまして、どのように考えていますか。
  24. 金杉憲治

    金杉政府参考人 お答えいたします。  御指摘の、段階的かつ同じ歩調の措置をとればということでございますけれども、これにつきましても、北朝鮮側からまだ具体的な発表というのはないというのは御承知のとおりでございます。  その上で、北朝鮮が言うところのこの措置には、米韓合同軍事演習の中止、さらには在韓米軍の撤退が含まれるのではないかという見方が広くとられているというふうに思いますけれども、いずれにしましても、北朝鮮側から発表がない中で、我々として、北朝鮮の意図、さらには今後の具体的な行動というのをしっかり見きわめていきたいというふうに考えております。
  25. 竹内譲

    竹内委員 それでは、先ごろ、四月二十七日に南北首脳会談が行われるという発表がなされたところでありますけれども、これにつきまして、改めて、北朝鮮韓国のそれぞれの狙いについてどのように見ておりますか。
  26. 金杉憲治

    金杉政府参考人 お答えいたします。  四月二十七日の南北首脳会談に向けて、まず、韓国狙いでございますけれども、この点は、三月三十日に日韓の外相電話会談も含めて累次にわたり確認をしておりますが、韓国は、北朝鮮による完全、検証可能かつ不可逆的な核、ミサイルの廃棄を目指すというのが基本的な姿勢であろうというふうに思います。  その上で、日本としては、南北首脳会談拉致問題を取り上げるよう求め、拉致問題についても日韓で協力していくということで一致をしております。  他方で、北朝鮮側狙いでございますが、南北首脳会談を通じて南北関係の改善全般を図る、また、韓国による対北朝鮮支援を引き出すことを目指しているのではないかという見方、さらには、国際社会からの圧力から脱却するための突破口を南北首脳会談で見出そうとしているのではないかという見方があるというふうに考えております。  いずれにしましても、繰り返しになって恐縮ですが、韓国側の意図及び今後の行動について、しっかり見きわめて分析していきたいというふうに考えております。
  27. 竹内譲

    竹内委員 韓国側も、完全、不可逆的な廃棄であるとか検証可能な核の廃棄であるとか、こういうことに言及したということは大事な点であろうというふうに思っております。  そして、韓国の特別使節団による北朝鮮訪問結果を三月六日に韓国大統領府が発表しておりまして、この中でも、北側は朝鮮半島非核化の意思を明確にし、北朝鮮に対する軍事的脅威が解消され、北朝鮮の体制の安全が保証されるのであれば核を保有する理由はない、このように韓国大統領府は発表しているわけでありますけれども、この点につきましても、北朝鮮側からはいまだに全く発表がない。  そういうこれらの点を踏まえると、本当に北朝鮮非核化を進める気はあるのかどうか大変疑わしいのではないかというふうに思いますが、この点はどのように分析していますか。
  28. 河野太郎

    河野国務大臣 今御指摘いただきましたように、三月六日の韓国大統領府の発表した北朝鮮訪問結果には、北朝鮮側朝鮮半島非核化の意思を明確にしたとの言及が含まれております。また、今般の金正恩国務委員長の訪中に関する中国側発表にも、北朝鮮側朝鮮半島非核化実現に尽力するとの立場を表明したということがうたわれております。  しかし、北朝鮮側からは、非核化に触れた発表というのは一切ございません。北朝鮮がどういう意図を持っているのかというのは、これからもしっかり注視していく必要があるというふうに思っております。  日米韓、しっかり情報交換をしながら緊密に連携をし、南北あるいは米朝会談等を通じて、北朝鮮の真の意図がどこにあるのか、しっかり見きわめてまいりたいと思っております。
  29. 竹内譲

    竹内委員 韓国日本では、少し置かれた立場も違うのかもわかりませんけれども、韓国側がやはり北朝鮮の考え方を少し、甘く見るということはないと思いますけれども、楽観視してどんどんのめり込んでいくことも非常に、ちょっと我々としてはよく注視をし、また注意をしなければいけない点であるのではないかなというふうに思っております。  いずれにいたしましても、今回は大きなトップダウンで外交あるいは東アジアの情勢が変わりつつありますので、非常に重要な局面に来ておるわけでございますけれども、何といっても、一応五月に想定されている米朝首脳会談につきましてお伺いしたいと思います。  改めて、北朝鮮側狙いは何か、それからトランプ米大統領の狙いは何か、さらにまた、これが本当に開催されるかどうかは四月の南北首脳会談の内容次第ではないかというふうに思われますけれども、これらの点につきましてどのように分析をしておりますか。
  30. 金杉憲治

    金杉政府参考人 お答えいたします。  来るべき米朝首脳会談でございますけれども、アメリカ狙いは、韓国とほぼ同様で、北朝鮮による完全、検証可能、不可逆的な核、ミサイルの廃棄を目指すということであろうと思います。この点につきましては、三月三十日、河野外務大臣とサリバン米国国務副長官、現在は国務長官代行でございますが、との電話会談も含めて、さまざまな場で確認をしてきております。また、来るべき米朝首脳会談拉致問題を取り上げるよう求め、日米で拉致問題の解決に向けて引き続き協力していく、この点でも一致しております。  他方で、米朝首脳会談に向けての北朝鮮側狙いでございますが、北朝鮮側としましては、米朝首脳会談を通じて、米国による敵視政策を見直させ、いわゆる体制保証というのを引き出そうとしているのではないかという見方、さらには在韓米軍の撤退というのを実現する、それがみずからの安全保障の一番重要な枠組みだというふうに考えているのではないかという節がございます。この点につきましても、五月末に向けて、北朝鮮側からさまざまな行動が出てくると思いますので、それをしっかり分析していきたいと思います。  また、五月の末までに米朝首脳会談実現するのかということでございますが、確かに、四月の二十七日に予定されております南北首脳会談の結果を見るという必要があるのかもしれませんが、他方で、アメリカは、例えば三月十六日に行われましたアメリカ韓国との首脳電話会談の後に、トランプ大統領が、この電話会談において、五月末までに金正恩委員長と会う意思があるということを改めて確認したという発表がなされております。したがいまして、我々としては、五月末までに米朝首脳会談はあるのではないかということを想定しながら、米朝首脳会談の行方ということについてもしっかり分析していきたいというふうに考えております。
  31. 竹内譲

    竹内委員 北朝鮮は、特にトランプ大統領と会いたいと言ったのは、米朝首脳会談を開催したいと言ったのは本心ではなかったのではないかなというふうに私は思っているんです。まさかそんなことに、受け入れるはずはないだろうということで、勇気を示したというか、あるいはジャブを打ったというか、その程度の話だったと思うんですが、それにまともにトランプ大統領が、予想に反してこれを受けたということで、すごく慌てたんじゃないかなというふうに私は思っております。  その延長線上で、これではいかぬということで中国に会いに行ったのではないのか。いろいろな意味後ろ盾をもう一遍つくり直す必要があるだろう、さまざまな交渉の駆け引きに中国を巻き込みたい、このように考えたんだろうというふうに私は思っているわけでございます。  いずれにいたしましても、今後の日本の対応方針が問題でございますけれども、仮に米朝首脳会談が開催されたとしても、日本としては、拉致問題が置き去りにされては全く意味がありません。また、トランプ・アメリカ大統領のいわゆるディールが大陸間弾道ミサイル開発中止だけにとどまれば、日本を射程に入れる中距離弾道ミサイルの脅威はなくならないのではないかというふうに思います。  そして、非核化への行動を小出しにしながら、制裁緩和や支援を引き出し、その間に核開発を続けるという北朝鮮狙いが透けて見えるようにも私には思われます。  仮に北朝鮮がIAEAの査察を受け入れたとしても、数年単位を要するのではないでしょうか。この間に、北朝鮮の体制が保証されることになってしまうかもわかりません。北は時間稼ぎをしているだけではないのか。一九九四年以来の失敗を我々は繰り返すおそれはないか。  これらの点を踏まえまして、拉致、核、ミサイル問題の解決のために今後日本はどのように対応していく方針か、日朝首脳会談可能性も含めて、御答弁をお願いいたします。
  32. 河野太郎

    河野国務大臣 これまで国際社会は、少なくとも八度、北朝鮮対話を試み、そのたびに、かなり多額の支援を北朝鮮に送り出してきたという失敗をしてまいりました。今回、その失敗の轍を踏んではいかぬというのは国際社会の一致した認識でございます。  国際社会としては、対話に出てくることへの対価はないということをまずはっきりさせた上で、北朝鮮が核、ミサイル及び拉致問題の包括的な解決に向けて具体的な行動をとるかどうかというところをしっかり注視していかなければならないという共通認識を持っております。  北朝鮮が具体的な行動に出たときに初めて、国際社会として、経済制裁を始めとする圧力についてどうするか国際社会で考えていく。そういう共通認識のもと、今の時点は、国連の安保理決議に基づく、あるいは、さまざまな国が独自に行っている制裁を維持し、圧力を最大限にしたまま北朝鮮との対話というものをやっていくというのが方針でございます。  日本政府として、来るべき南北首脳会談あるいは米朝首脳会談などを見ながら、この核、ミサイル拉致問題の包括的な解決に何が資するのか、今後のやり方をよく見きわめてまいりたいというふうに思っております。
  33. 竹内譲

    竹内委員 制裁を維持しながら、この点、しっかり臨んでいただきたいというふうに思います。  そこで、警察庁も来ていただいておりますので、最近の制裁決議違反の事例と、その分析、評価について答弁をお願いしたいと思います。
  34. 村田隆

    村田政府参考人 お答えをいたします。  警察では、北朝鮮との間の貨物の輸出入禁止措置に違反する行為の取締りは、当該措置の実効性を確保するために重要であると認識をしております。これまでに三十八件を検挙しているところでございます。  最近では、例えば本年一月、合計二千四百万円相当の洋酒や日用品等を中国・大連を経由して北朝鮮に輸出した外国為替及び外国貿易法違反容疑で、貿易会社の経営者ら二名を検挙したところでございます。  これらの不正輸出事件におきましては、近年、第三国を経由した迂回輸出が確認されるなど、犯罪の手口が悪質、巧妙化している傾向が見られると分析しているところであります。  警察といたしましては、こうした最新の傾向も十分に踏まえつつ、国内外の諸情勢を的確に把握、分析するとともに、平素から関係機関と一層緊密な連携を図りつつ、法と証拠に基づき、違法な行為の徹底した取締りを推進してまいりたいと考えております。
  35. 竹内譲

    竹内委員 これらの点もしっかりとやっていただきたいと思います。  最後に、この拉致問題の理解促進、情報発信につきましてお尋ねをしたいと思います。  実は、昨年、世界で活躍するバイオリニストで私の知人でもあります五嶋龍さんが、拉致問題啓発チャリティーコンサートをしていただきました。彼は、昨年、拉致問題解決を願う気持ちから、全国六カ所、長野市、仙台市、大阪・豊中市、東京・小平市、岡山・勝央町、福岡市の六カ所で、「projectR“拉致被害者を忘れない。”」と題したチャリティーコンサートツアーを発案をしていただきました。  特に、拉致問題につきまして若い学生にも問題意識を持ってもらいたいとの思いから、関西学院交響楽団など幾つかの学生オーケストラに協力を呼びかけまして、一緒に演奏を行ってくれたわけでございます。  内閣官房拉致問題対策本部事務局の御協力もあり、各会場では拉致問題に関するパネル展も開くことができ、大勢の方が足を運んでくださいました。若い学生たちは、拉致問題を知らない人も多かったそうです。そこで、各ツアーで共演した百人近い学生たちと、リハーサル前後に、解決に向けて互いの意見を交わすディスカッションを行ったところ、皆、真剣で、いつも白熱した議論になったそうであります。  さらに、このコンサートの演奏は、北朝鮮に向けた短波ラジオ「ふるさとの風」でも流れましたし、アメリカの海外向け国営ラジオでも放送されることになっているわけでございます。  五嶋龍さんは、この問題についてこのように語っておりまして、この拉致問題につきましては、幼いころ私の母親から聞かされ、拉致被害者思い涙する母の姿を見てきました、大人になり私の中で問題解決を願う気持ちが強くなり、今回のプロジェクトを立ち上げました、また、被害者横田めぐみさんのお母様、早紀江さんからも話を伺い、この余りに不公平な人権侵害は何だという怒りが心に込み上げてきたのです、東京公演の会場には早紀江さんにビデオメッセージを寄せていただきました、このようにも言っていただいておるわけでございます。  そこで、今回のような大きな転機に当たりまして、やはり、若い方々を含め、国民への新たな理解促進、情報発信の工夫が必要ではないかと私は考えるわけでございますけれども、この点につきまして、加藤大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  36. 加藤勝信

    加藤国務大臣 今お話いただきました五嶋龍さんには、昨年の夏から秋にかけて六回、学生団体との合同も含めたチャリティーコンサートを開催いたしまして、大変ありがたいことだというふうに思っております。  私も五嶋龍さんとお話をさせていただきました。そのときに五嶋さんからは、日本人拉致問題を忘れていないことを音楽を通じて伝えたいんだ、そして、今、横田早紀江さんとのお話がありましたけれども、その会話を通じて、自分が何もしないまま黙って見ていることにも強い憤りを感じ、そうした思いがこのチャリティーコンサートという企画につながった、こういうお話をされておったということを思い出したところでありますし、また、こうした機会を通じて、政府広報をさせていただきましたし、また、そこに参加されるオーケストラとの、若い方ともいろいろな話をする機会もいただいたという意味においては、本当にありがたい機会だったというふうにも思っております。  お話がありますように、こうしたやり方も含めて、より一層国民皆さんに対する周知啓発活動をしっかり行うことによって、拉致を許さないんだという強い怒りと、一日も早くこの問題を解決しなければならない、こうした強い決意が、より一層国民皆さんと共有していただける、これがまた、拉致問題の解決に向けて、もちろん我々が、政府が主体でやるべきではありますけれども、大変強い後押しになるところでございます。  政府においても、これまでも、アニメめぐみ」について、先般、先月七日に、私と林文科大臣で連名で、教育現場での積極的活用について全国の教育委員会に対して通知を発出し協力を要請する、また、職員を学校等派遣してセミナーや授業を行い、また、平成二十九年度からは中高生を対象とした作文コンクールを行い、さらには、三十年度においては、小中高教員等対象とした、授業での拉致問題の取上げ方に対する研修会を実施するなど、いろいろと工夫を凝らして考えているところでございますけれども、さらに、こうした状況を踏まえて、より一層国民皆さん方理解が深まっていただけるように、広報あるいは周知活動に対しても積極的に、また工夫を凝らしながら取り組ませていただきたいと思います。
  37. 竹内譲

    竹内委員 何とぞよろしくお願いしたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  38. 江藤拓

    江藤委員長 次に、本多平直君。
  39. 本多平直

    ○本多委員 立憲民主党の本多平直でございます。  私、五年間、議席を失って浪人をしておりまして、その間も、この問題、本当に関心を持って、御家族皆さん高齢化をされていく中、どうも膠着状態が続いている、そういう中で、しっかりとこの問題についてぜひ国会でももう一度発言をする機会を得たい、そんな思いで国会に戻ってまいりました。  そうしたさなかでありますけれども、今回、大きな朝鮮半島をめぐる外交の動きが起こってまいりました。本来であれば、私は、過去の膠着状態を、残念ながら、それぞれの立場で御努力はされてきたんだけれども、政治は結果ですから、この過去の本当に長い膠着状態を招いてしまったこと、いろいろな観点が必要なんだということをお話ししたかったんですが、まずは今、北朝鮮をめぐる大きな動きが起こっていますから、前向きなお話を、しっかりと取り組んでいただくためにも、お聞きをしていきたいと思っています。  まず、予想されている南北首脳会談でございます。  韓国が今の状況日本の、韓国にももちろん拉致被害者はいるわけですけれども、今の状況日本拉致問題について積極的に取り上げていただくのはなかなか厳しい、残念ながらそういう状況ではないかと思いますけれども、河野外務大臣韓国側にこの問題をしっかりと南北首脳会談でも取り上げてもらえるようにどのような働きかけをしていただいているのか、そして、それへの韓国側の反応を、言える範囲で構いませんけれども、どうした感触を得ていらっしゃるのかについてお聞かせをいただければと思います。
  40. 河野太郎

    河野国務大臣 韓国に対しては、来る南北首脳会談においてこの拉致問題を取り上げるよう、先般の日韓首脳の電話会談、そして私の訪米の折に韓国の康京和外交部長官とお目にかかって、この拉致問題の解決に向けて問題提起をさせていただきました。  今、日韓の間でこの拉致問題の解決に向けて引き続き緊密に連携をしていこう、そこは一致をしておりまして、三月三十日に韓国の康京和外交部長官と電話会談を行いましたが、その際に、南北首脳会談に向けてさまざま高官級の協議等をやっている、その様子などをブリーフしていただいた折にも、この拉致問題について再び取り上げてもらうよう提起をいたしました。  引き続き、日韓で緊密にこの拉致問題の解決に向けて連携していこうという両国の方針がございますので、それに沿ってしっかりとやってまいりたいと思います。
  41. 本多平直

    ○本多委員 今しっかりと働きかけをしていただいているその方向でお願いをしたいと思いますが。  報道によると、やはり韓国側はこの問題については日本バイなどでやるべき話ではないかといったような報道も見ているんですが、連携をとるというところまでは答えをいただいていると思うんですけれども、議題にしていく方向なのかどうか、韓国側の反応をもう少しお教えいただけたらと思います。
  42. 河野太郎

    河野国務大臣 今、南北首脳会談あるいは米朝首脳会談に向けて、日米韓でさまざまやりとりをしてございます。  何をどう議題にするのか、どう取り上げていくのかというのは、これは北朝鮮との交渉事の手のうちでございますので、お答えは差し控えたいと思います。
  43. 本多平直

    ○本多委員 ぜひ、しかし、私の感覚では、なかなか、韓国の立場としても、さまざまなテーマ、国益をかけた北との話合いになります。そして、韓国は民主主義国家ですから、おかしな合意をしたりおかしな妥協をすれば世論の厳しい批判を浴びる。本当に国益と自分の政治家としての立場もかけて首脳はこの南北会談に臨むわけですから、どうしても、日本課題であるこの問題を南北首脳会談で正面から取り上げていただく、なかなか厳しいかもしれないと思いますが、ぜひ引き続きよろしくお願いをしたいと思います。  もうちょっと可能性があるのは米朝会談で、昨年は、これは安倍政権にも御努力をいただいて、家族皆さんと直接お会いして、トランプ大統領にもこの問題は刻まれたと思います。こちらの方はもう少し可能性があると思うんですけれども、働きかけの状況と米側の反応についてお聞かせをいただければと思います。
  44. 河野太郎

    河野国務大臣 トランプ大統領が来日された折には、拉致被害者の御家族の方にもお目にかかっていただきました。また、国連の演説その他でもトランプ大統領にいろいろ提起をしていただいておりまして、日米間でもこの拉致に関する協議というのを行っております。アメリカ側からは、アメリカ人の中で少なくとも三人がいまだ北朝鮮内で拘束をされているという話もございましたので、この拉致あるいは拘束というのは日本だけの問題ではないという認識アメリカと日ごろから共有しているところでございます。  先日ワシントンに参りましたときにも、それぞれこの問題を提起させていただいて、緊密に連携をしていこうということで、これも問題に対する認識は一致をしております。三月三十日に今国務長官の代行をしているサリバン副長官と電話会談を行いましたが、その折にも確認をしております。また、四月に諸般の事情が許せば総理訪米をされることになろうかと思いますが、その際にも、トランプ大統領との会談の中でこの拉致の問題について直接働きかけをする考えでございます。  日本が重視をするのは拉致被害者の皆様の帰国実現することであって、そのためには、各国への働きかけにとどまらず、あらゆる努力をやってまいりたいと思っております。三月三十日に拉致被害者の御家族安倍総理が面会をした折に決議文をいただきましたので、その内容をしっかりと受けとめつつ、拉致問題の早期解決に向けて政府として全力を尽くしてまいりたいと思います。
  45. 本多平直

    ○本多委員 アメリカと、北朝鮮非核化する、そしてミサイルをしっかりと削減をさせていくということは一致をしていると思いますけれども、ミサイルの距離の問題、アメリカは長距離の方に関心がある、我々は中距離や短距離も残っては困るという重大な違いがあります。ここのところをしっかりとやっていただくことと、もちろん、今大臣おっしゃったとおり、アメリカ側にも三名の方、拘束者がいらっしゃいますけれども、実は、アメリカバイで時折拘束された方を解放するという行動をされています。私はこれは見習うべき行動だと思っているんですけれども、そういった面もありますので、日本拉致問題、これは長時間かかっている問題ですから、これをしっかりと解決をするということをトランプ大統領安倍総理からも伝えていただくように再度お願いをしたいと思います。  それで、ちょっと確認なんですけれども、これまで河野外務大臣の答弁を聞いていますと、米朝会談は、まだ北朝鮮から正式なコミットメントがないので、あるかないかわからないじゃないかという、ずっと、この米朝会談についての議論を今月のいろいろな委員会でされているときに、まずはあるかないかわからないというところから答弁を始められていたんですが、きょう、どうやらそういうことを言われなくなったので、そこはかなりニュアンスが変わったのかなと思うんですけれども、いかがですか。
  46. 河野太郎

    河野国務大臣 南北首脳会談については、四月二十七日という日付が決められて、今さまざまその準備会合が行われているところでございます。  米朝の首脳会合については、金正恩委員長トランプ大統領もやるという意思表示をされておりますから、それなりの動きはあるんだろうというふうに思っております。ただ、いまだ場所、日付というのは確定をしていないというのが現実でございますので、まあ、両首脳が意思表示をされておりますから、そういう方向でこれからいろいろ準備をしていくことになろうかと思いますし、また日米韓でもさまざま協議をしているところでございます。  余り予断を持ったことを申し上げるよりは、まず南北の準備状況を見ながら、米朝の準備状況も、日米間あるいは日米韓の三カ国で確認をしながらいきたいというふうに思っております。  現時点で、特に断定的にこうだと申し上げるようなことは米朝についてはまだないというのが現実でございます。
  47. 本多平直

    ○本多委員 少しほかの委員会の言い方から変わっていただいて、私はよかったと思っています。  もちろん、どんな、よくわかりませんけれども、ドイツとフランスの首脳会談だろうが、ドタキャンされることはいろいろな事情であるわけです。しかし、私は、これは、せっかくですから、北朝鮮非核化に向けて歓迎すべき動きで、ぜひやるべきだ、そこで、まずは米朝首脳会談でしっかりと日本の利益も反映していくべきだ、こういう言い方をここで前向きにおっしゃった方がそろそろいいのではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
  48. 河野太郎

    河野国務大臣 申し上げましたとおり、両首脳は前向きに発言をされておりますので、これからいろいろと準備が進んでいくんだろうというふうに思っております。その準備状況などをしっかり踏まえながら、しかるべきときにしかるべき発言をしてまいりたいと思います。
  49. 本多平直

    ○本多委員 この一連の平昌オリンピックから始まった動きの中で、我々野党などからすれば、委員会では蚊帳の外じゃないか、評論家の方も蚊帳の外じゃないかなどということがあって、河野外務大臣は、当然、委員会の場では反論をされて、蚊帳の外なんてことはないんだ、そして歴史でちゃんと証明するんだというようなことを力強くおっしゃっているわけです。  ですから、米朝会談がほぼ決まりかけているわけなのに、それについて、何か最後まで、まだ決まっていないんだとか言うよりも、私は、しっかりと、もうこれはあるものと捉えて、逆に前向きに捉えて、この場で日本の国益を反映させるように、特にアメリカ側にしっかりと働きかけをしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  もう一つ、余り頼りにしていいのかどうかわかりませんが、中国への働きかけについてお尋ねをしたいと思います。  大臣の先日のこの委員会での所信の表明で、韓国アメリカにはしっかりやっておるんだという答えをいただいたんですが、ふと気になったので、言葉尻で申しわけないんですが、中国にはこれから働きかけを行ってまいりますと、ちょっと語尾が違っていたんです。私は、拉致問題についての働きかけというのは中国にもずっと長い間やってこられたのではないかなと思っているんですけれども、前回の所信のこととそれから最近の動きについて、中国への働きかけはどうなっているかをお教えいただければと思います。
  50. 河野太郎

    河野国務大臣 語尾で誤解を生じたとしたら、それは私の問題でございまして、おわびを申し上げたいと思います。  おっしゃるように、中国も、北朝鮮への影響力ということを考えれば、この拉致問題の働きかけをする先として大変重要な先だというふうに思っておりまして、我が国として、これまで累次に中国ともさまざま働きかけをし、意見交換、情報収集といったことをやってきております。  昨年の十一月の日中首脳会談の中で、総理から習近平主席あるいは李克強総理に対して、この拉致問題の一日も早い解決に向けて中国側の協力、支持というものを求めたということもございます。  中国に対して、これからまた中朝間というやりとりが行われる可能性もあると思いますので、そういう中でもこの拉致問題を取り上げてもらえるように引き続き働きかけをしていくつもりでございますので、中国もこの拉致問題の中で大事なプレーヤーであるという認識で今後もやってまいりたいと思います。
  51. 本多平直

    ○本多委員 常識的に考えると、電撃的に行われました中朝首脳会談でこの問題がテーマになったとは余り考えにくいんですが、何か情報はございますか。
  52. 河野太郎

    河野国務大臣 この中朝会談の内容につきましては中国側からブリーフィングを受けておりますが、これは外交上の話でございますので、このブリーフィングの中身について公にするのは、今の時点で、申しわけございませんが、差し控えたいと思います。
  53. 本多平直

    ○本多委員 ぜひ、全ての外交の場面でこの拉致問題を主要国である韓国アメリカ中国以外にもしっかりと伝えていただく、その中で解決法を探っていただきたいというふうに思っています。  それで、日朝首脳会談について伺いたいと思います。  私は、ぜひやっていただきたいと思っているんです。先ほどからの局長の御答弁なども、何がベストなのか考えるということで、全否定をされておりません。  この拉致問題がもしないのであれば、核の問題、飛距離の問題はあります、長距離だけをとめるということで変な合意をされたら日本の国益には大変ですけれども、そこはしっかりと、今後の議論ということもあります。この拉致問題はやはり別な問題、一つ別な問題でありますから、これはバイで話さなければ、これを、それぞれ国益をかけて北朝鮮と議論をする文在寅大統領やトランプ大統領に全てをこの状況で任せる、こういう状況ではない。私は、まさに今こそ安倍総理がしっかりと首脳会談に臨むべきだ、今こそ早目に提起をしていくべきじゃないかと思いますけれども、いかがですか。
  54. 河野太郎

    河野国務大臣 日米の間で、核、ミサイルと並んでこの拉致問題、拘束者の問題を包括的に解決すべきだという認識を共有しているところでございます。  これから南北あるいは米朝首脳会談が行われますので、その内容をしっかりと吟味しながら、日米間あるいは日米韓の間で連携をし、何がこの拉致問題の解決にとって最適なのか、しっかり考えてまいりたいというふうに思っております。
  55. 本多平直

    ○本多委員 今、北朝鮮からも大変日本を挑発するような発言があって、皆さんもセンシティブになられているところはあると思うんですね。日本が慌てふためいている。永遠に平壌に来る切符がなくなるとか、そのような言い方、大変失礼な言い方だと私は思いますけれども、そういう言い方をしたり、評論家は蚊帳の外だと言われたりして、センシティブになられているのはわかるんですが、ちょっとこれはこんな後ろ向きでいいのかなと。  大臣、高知に行かれたんですかね、それで講演の中で、日朝は焦る必要はないという発言があったり、他の委員会では、与党議員、自民党の議員などからは、今こちらから求めると足元を見られる、こういった何か消極的な発言をしているんですが、そんな場合なのかと私は思うんです。  この拉致問題がこれだけ膠着をしてきて、そして、河野大臣の言い方で言えば、日本の、国際社会と協調した圧力のおかげだと。まあ、それもあるでしょう。しかし、私は、文在寅大統領であるとかトランプ大統領であるとか、いろいろなプレーヤーの努力によって今回の、あくまで局面打開のきっかけですよね、これがどちらの、いい方向に行くかどうかはまだわかりませんけれども、こういう状況が生まれた。私は、この状況下で何がリスクだと思っているのか、よくわからないです。  もちろん、相手はこれまでも日本に対して約束を守らなかった過去がある国ですけれども、これだけ膠着してきた問題を抱えて、我々だけだとなかなか打開点を見出すことができないこの何年間が続いてきて、日本も加わってかけてきた圧力の成果が出てと河野大臣は必ずおっしゃるわけですけれども、私は、さまざまな政治家の勇気ある決断だと思います。  こういう首脳会談などをやれば、成功すれば褒められるけれども、失敗したら民主主義国家では袋だたきに遭う、その危険を、文在寅大統領やトランプ大統領は決断をしているわけです。  我々は、残念ながら、非道なのは圧倒的に北朝鮮でありますけれども、足元を見られてもしようがない状態なんですよ。日本人拉致されて、そして御家族高齢化している。この何年間も議論が膠着をしてきた。この局面で、足元を見られたくないとか、メンツで政治をやられたら私は困ると思っています。  ぜひ今こそ、これは準備を進められているんでしたらいいですけれども、ぜひ首脳会談を積極的にやるべきだと重ねてお願いしたいんですけれども、いかがでしょうか。
  56. 河野太郎

    河野国務大臣 来るべき南北首脳会談米朝首脳会談の内容をしっかり吟味しながら、日米あるいは日米韓で緊密に連携をし、何が最適かしっかり考えてまいりたいと思います。
  57. 本多平直

    ○本多委員 時期の問題なんですけれども、南北より前ということはもう難しいと思いますけれども、米朝の結果を見てからで本当にいいんですかね。米朝の結果で、大きくいい方に進展した後の方が難しくなることもあり得るんじゃないですかね。今からしっかりと絡んでいくということも一つの外交チョイスだと私は思いますけれども、いかがですか。
  58. 河野太郎

    河野国務大臣 南北首脳会談米朝首脳会談の内容を見ながら、しっかり最適なことを考えてやっていきたいと思います。
  59. 本多平直

    ○本多委員 内容を見てからもいいんですけれども、今からいろいろな準備をされているというふうに先ほどの局長の答弁がありましたから、ぜひ、その会談があった後だと逆に交渉しにくくなる局面もないとは言えないわけですから、先にさまざまな交渉を進めるということも含みで答弁をいただければありがたいんですけれども、含みの答弁をいただけないですか。
  60. 河野太郎

    河野国務大臣 何が最適か、しっかり考えてまいりたいと思います。
  61. 本多平直

    ○本多委員 全ての選択肢を入れていただいたということで、本当にぜひ、この大きく動いている局面ですから、私はほかの問題では安倍政権としっかり対決をしていますし、安倍総理とも対決をしていきますけれども、この問題は残念ながら野党の政治家ではどうすることもできないし、与党であっても国会議員の皆さん、なかなかやれることは限られている。まさに、外務大臣安倍総理にかかっているわけです。  そして、こんな大きなある意味チャンスはないと私は思っていますので、ぜひこのチャンスを、足元を見られるだのメンツだのそんなことをかなぐり捨てて、被害者の方や家族のために、ここは安倍さんと河野さんに仕事をしていただきたいと私は心から強く強く願っています。  残念ながら、この問題が膠着をしてきた理由、これだけ長い間かかっている、我々政治家の側に本当に大きな責任があると私は思って、反省を政治家のみんなでしていかなきゃいけない課題だと思っています。  そのときに、先ほどからこれから先の前向きの話をさせていただきましたけれども、若干、ずっと感じていたこの問題に関することについて外務大臣の御意見を聞かせていただければと思います。  質問が決まってから、改めて蓮池さんの書かれた本も、タイトルが非常に刺激的なので自民党の先生方は読まれたかどうかわかりませんけれども、蓮池さんの本を読んでみて、自分も最初は強硬論だった、しかし、途中から、強硬論だけではなかなかこうした問題は解決しないんだ、周りにもあおられて強硬的な論を言っていたということを述べられて、自分の反省も含めて立場が変わられたということを御家族の立場で表明をされているところを私は大変関心を持って読みましたし、私の問題意識と近いところがあります。  与野党ともにこの問題に真剣に取り組んでこられた多くの政治家がいることを私は存じ上げていますが、どうしても強硬論を厳しく言う方が多くて、融和策、こういうものを言うとネットには北朝鮮の回し者と書かれたり、なかなか言いにくい。こういう空気がつくられて、北朝鮮の回し者である理由はどこにもないわけでありまして、ひとえに拉致問題などを解決するには、強硬策も要るでしょうけれども、時には政治家が責任を背負って、なかなか国民に説明のつきにくい融和論をやるというのは、私は一つのあり方だと。結果責任をとっていく、こういう政治家というのはいないのかな、私は、そういう意見をこの委員会で言いたい、そう思ってあの浪人時代を過ごしておりました。  特に、蓮池さんの著書の中には、河野外務大臣のお父様の、外務大臣だったころの米支援の話、外務省の前まで行って反対の論陣を張った、北朝鮮に塩を送るなどというのは何事だと。しかし、そのとき、河野外務大臣が、当時のお父様の方の外務大臣が言われた、こういうふうに対話きっかけをつくっていくんだということが、今は正しかったことがわかると。  私は、常に融和策というようなものはなめられて結果を出せない、これは当然だと思うんですけれども、両面必要だ。その中で、大変残念ながら、この十年以上にわたる膠着状態、若干強硬策に寄ってしまって膠着を招いた部分があるんじゃないかと私は思っているんですけれども、大臣はどうお考えでしょうか。
  62. 河野太郎

    河野国務大臣 政府としては、当該国の主権を尊重しつつ、邦人保護の立場から、人質あるいは拉致、誘拐といった事案が起きたときには、安全に救出されるように最大限の努力を行うわけでございます。  しかし、日本政府に対して要求があった場合には、不法な手段を用いて不法な要求を行う犯人に対して譲歩すべきではなく、また、さらなる犯罪の助長を防ぎ、日本人日本権益が将来にわたって標的となることを防ぐ観点からも、政府としては、国際的に確立したノーコンセッション、譲歩はしないの原則に基づいて対処することとしております。  犯人側の要求に屈しないことと人命を最優先させること、両立させることは容易ではありませんが、政府としては、この二つの原則を確保するべく、あらゆる手段を尽くしてまいりたいと思います。
  63. 本多平直

    ○本多委員 ちょっと河野外務大臣らしくないなと思ったんですが、それは私が次にする質問の回答でございまして、一般的な海外における拉致事案、誘拐事件などについていろいろな方法があるんじゃないかという質問を次にしたときにそういうお答えをいただくんだなというのを今理解したんですが。  私が先ほど聞きましたのは、この北朝鮮拉致問題に関する包括的な御意見を述べていただければと思って伺いました。
  64. 河野太郎

    河野国務大臣 日米韓あるいは中ロの協力を得て、国連の安保理で北朝鮮に対してこれまでにないレベルの経済制裁を含む安保理決議を累次採択をしてまいりました。今、こうした国際社会の一致した圧力のもと、南北あるいは米朝対話が始まろうとしているときでございますので、日本としては、この一致した国際社会の中で、北朝鮮に対して最大限の圧力をかけ、核、ミサイル拉致問題を包括的に解決するというのが今の政府方針でございます。
  65. 本多平直

    ○本多委員 なかなかストレートにお答えをいただけない。  大きなテーマでしたので、この十年、十五年、なぜここまで拉致問題の解決が遅くなってしまったのか、もちろん日本政府のせいだけではありません、そもそもは非道なのは北朝鮮政府でありますし、アメリカの国内の政権がかわった事情があったり、いろいろ交渉を進めているときに北朝鮮国内の代がわりがあったり、いろいろ我々の努力だけではどうしようもないこともあった、これも一方ではあるんですけれども、私は、こうした問題のときに、強硬策だけが前に出てしまってということが少し気になる問題点としてずっと思っておりますので、ぜひ今後とも議論させていただきたい。  先ほど河野外務大臣が少し前に先走ってお答えをいただいたことは、実は、これは、私、一般的な他の海外での拘束事案や誘拐事案などについての日本政府の姿勢についても言えることなのではないかということで、一般論としてお答えをいただきたいと思って質問しようと思っていたことであります。  もちろん、事案によってケース・バイ・ケースであります。昨年の毎日新聞で、この四十年間の主な海外での邦人誘拐、拘束事件というのが載っております。計三十件、この四十年間である。一概に言うと、この解放率というのが低い率のときと高い率の時期があるわけです。もちろん個別の事案でそれぞれにケースがあるわけですけれども、最近、安倍政権になってから、大変、残念ながら、この解放率というのが低い経緯をたどっています。  もちろん、今、先ほど大臣がお答えになったように、こんなところで日本政府はいろいろ非道な犯人との交渉に応じる、そんなばかげたことをこんな国会の答弁で言ってもらうつもりは全くありません。しかし、硬軟織りまぜた、ヨーロッパの諸国などでは、いかにもそういうことをやっているなという国が時々あるわけです。同じ拘束事件なのに、ヨーロッパのある国の拘束者だけはなぜか生還をしていく。非常にそれなりのいろいろな動きが背後にあったのではないかなという推察をしたりしています。  こういうときに、私は、日本政府が、常に、原則はもちろん曲げないでいただきたい、しかし、我が日本政府というのは、例えば一九七〇年代のハイジャック事件の際には、福田赳夫元総理は、大変多くの人を殺害した犯人、テロリスト、過激派を釈放する。これは、きょう小此木大臣もお越しですけれども、警察官の方が本当に必死な思いで捕まえた犯人をやむを得ず、ハイジャックでとらわれた人たちの命を救うために、もちろん当時でも賛否両論ありましたし、今でも賛否両論のある話だと思います。単純にこれがよかったと言えるとも限らないのはよくわかりますけれども、皆さんの大先輩の、自由民主党の総理大臣である福田赳夫さんはこういう判断をされた時期もありました。  私は、ぜひ幅広い視点を持って、政府は、拉致問題もそうなんです、こういう、人質がとられたとき、これには、もちろん正義も大事ですけれども、そのとらわれになっている人の人命、こうしたことを両立して、そして最後、政治責任をとっていく、そういう政府日本政府があってほしいと思いますが、御所見があれば、河野外務大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  66. 河野太郎

    河野国務大臣 政府としては、日本人日本権益が将来にわたって標的となることを防ぐ観点からも、国際的に確立したノーコンセッションの原則に基づいて対処することとしております。
  67. 本多平直

    ○本多委員 私の要求として、ぜひ心に。  最近こういう事件が、一つ、新しくは発生していないんですが、残念ながら、安田純平さん、ジャーナリスト、シリアで拘束をされて、大変長い間の拘束になっています。もちろん詳細は言えないことがあると思うんですけれども、最新の情報がもしあれば、河野外務大臣交渉状況日本政府の取組の状況、お答えをいただければと思います。
  68. 河野太郎

    河野国務大臣 邦人の安全確保は政府の重要な責務と認識をしておりますが、事柄の性質上、詳細を申し上げるのは差し控えます。
  69. 本多平直

    ○本多委員 時間の経過でなかなか報道もなくなり、御心配をされている家族や関係の方も多いと思います。他の委員会でも質問が出たようですが、ぜひこの機会に、どうなっているんだということをもう一度外務省の中で担当の方と外務大臣には議論をしていただければ幸いですが、いかがでしょうか。
  70. 河野太郎

    河野国務大臣 詳細について申し上げるのは差し控えます。
  71. 本多平直

    ○本多委員 あと、拉致担当大臣にも一つお聞かせをいただければと思います。  前回、参考人の方に来ていただきました。被害者の方、家族の方、被害者の方と家族の方、支援団体の方に来ていただきました。  その際、私が大変驚いたのは、家族の方に、あれは江田憲司先生の質問の中だったでしょうか、情報提供が非常にないと。不確かなものであっても、小さな情報でも欲しいというのが私は家族の方の気持ちだと思うんですが、全くその情報提供がないというお声を聞きました。  そこのところはどうなっているんでしょうか。ぜひ、家族の方は民間人で守秘義務をかけられないわけですから、しかし、人道上、これだけ長い拘束の中で、小さな情報でも内々に伝えられるようなことができないものかと私は素朴に思ったんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  72. 加藤勝信

    加藤国務大臣 拉致被害者の御家族、また特に、長い時間、拉致されてから期間がたつ中で、それぞれ、拉致をされた方も、また家族の方も御高齢化する中で、北朝鮮にとらわれている拉致被害者の方の状況がどうなっているのか、またそれに対する政府の取組がどうなのか、この一つ一つに対して大変な高い関心を持たれ、その情報を強く求められているということ、これは、私も御家族の方にいろいろな機会にお会いをさせていただき、また話をする中でも痛いほど痛感をさせていただいているところでございます。  政府としては、できる限り、何か、例えば日朝関係の動きがあれば、その節目節目で、私が主宰して外務省等関係省庁にも来ていただいて説明会をしたり、また事務局職員が個別に面会をしたり、あるいはメールでお伝えをするなど、できる限りやれることはやらせていただいているところでもございますけれども、まだまだそういった思いが御家族の方にあるということはしっかりと認識をしておきたいというふうに思います。
  73. 本多平直

    ○本多委員 時間が来たので終わりますけれども、大きなチャンスを迎えていると思います。ぜひ、政府におかれましては、この機会を逃さずに、拉致問題の解決に向けて、ことしこそ本当に成果を出せるように御努力いただくことを心からお願いをして、私からの質問を終わります。
  74. 江藤拓

    江藤委員長 次に、源馬謙太郎君。
  75. 源馬謙太郎

    ○源馬委員 希望の党の源馬謙太郎でございます。  きょうはこの拉致問題等に関する特別委員会で初めて質問させていただきますこと、大変ありがたく思います。  私、初当選させていただいたばかりなんですが、県議時代も静岡県議会で初めてこの拉致問題に関する議連を設立したり、ふだんも、落選時代も浜松ブルーリボンの会の皆さん一緒に署名活動させていただいたり、この拉致問題の解決というのは、ライフワーク、ライフワークというか、すぐ終わらせなきゃいけない問題だというふうに考えてきました。  そういった中で、今回も、初めて議席をいただいて、普通の常任委員会はどこも希望しなかったんですが、この拉致問題特別委員会だけは入れていただきたいとみずから希望させていただいたので、しっかりと前向きに議論をさせていただきたいというふうに思います。  今さら私が申し上げることじゃありませんが、この拉致問題の解決はもう本当に時間がないというのは、みんな一致した思いだと思います。そうした中で、十五年前の二〇〇二年九月の小泉総理の平壌訪問から、その同年、五名の被害者の方がお帰りになって、大きく物事が動いたわけですが、それから残念ながら十五年間成果が出ていないという認識を、これも多くの国民皆さんが持っていると思います。そうしている間にだんだん関心も薄れてきて、私もブルーリボンの会の皆さんの、毎月やられているんですけれども、署名活動に参加をしておりますけれども、やはり署名してくれる人の数も正直どんどん減ってきています。  こうした状況で、私は、つい最近まで国政とは遠い存在だった新人として、やはり物すごくもどかしい思いをしてこの問題を見てまいりました。  まず、加藤大臣に、この十五年以上にわたって進展していない今の拉致問題に対して、この現状をどう認識されて、どうお考えなのか、お考えをぜひ伺いたいと思います。
  76. 加藤勝信

    加藤国務大臣 もう拉致をされてから四十年あるいはそれより長い期間がたち、今委員指摘のように、二〇〇二年に五人の拉致被害者方々帰国して以来、一人の拉致被害者帰国実現できないどころか、それに向けての道筋も残念ながら見出し得ていない。これは、我々にとっても痛恨のきわみでもございます。  私も、今ちょうど拉致問題担当大臣になって三年目を迎えておりますけれども、そういう中で、進展が見えないということについては、拉致被害者方々また御家族方々にも、またこうした御支援をいただく活動をされている皆さんにとっても、本当に申しわけなく思うところでございます。  そういう中で、一年一年拉致被害者の方も御家族の方も高齢化をされ、そして中には、御家族と抱き合う日を夢見ながら残念ながら亡くなられた方々もおられるという状況でありますし、また、家族会、救う会の運動方針の中にも、昨年に初めて、今年中という言葉が盛り込まれ、そして、今回一月に決定された運動方針でも、今年中の解決を再度求めるとされたところであります。もはや一刻の猶予もないという切迫感、これを改めて感じ、そして共有をしていかなければいけないと思っております。  そういう中で、先ほど来委員の中でも、この委員会でもお話がありました、北朝鮮をめぐる状況が今変わろうとして、変わるかもしれない、こういう状況でもあります。そういった中において、こうした状況も、日本、米韓両国との連携、また国際社会が最大限の圧力をかけてきた、こういった成果だというふうに思っておりますけれども、こうした中で拉致問題が埋没することがあっては絶対にならないわけであります。  四月の安倍総理訪米を始め、あらゆる機会を通じて、来る南北米朝首脳会談拉致問題が取り上げられるよう米国、韓国に働きかけ、また、北朝鮮首脳会談を行った中国に対しても、中朝間のやりとりで拉致問題を取り上げられるよう引き続き働きかけをしていくといった国際社会との連携をしっかり進めていくとともに、また、拉致被害者方々も、特にトランプ大統領に対して、訪日の際にもお会いをされているわけでありますけれども、ぜひ、自分たち思いを伝え、しっかり働きかけてほしいということでありますので、先週の金曜日、総理が御家族の会の方とも面会をして、その切実な思いも直接受けとめられたところであります。  我々も、そうした思いを共有しながら、安倍総理を先頭に、本当にあらゆる政策手段を駆使して、全ての拉致被害者方々が一日も早く帰国できるように全力で取り組みたいと思っております。
  77. 源馬謙太郎

    ○源馬委員 今、御答弁の中にもありました、北朝鮮をめぐる状況が変化しているということは、私もやはりこれは大きな一つのチャンスではないかというふうに思います。これは、今までの、きょうの委員会での議論があったとおりだというふうに思います。  ただ一方で、私は、この問題で政府の足を引っ張ったりとかするつもりは全くありませんが、少し認識が違うのが、やはり日本始め、世界各国がかけてきた圧力のおかげと言いますけれども、私はそうじゃない部分も結構あるんじゃないかなというふうに思っています。  トランプ大統領というあの個性と金正恩氏のあの個性で今回のこの米朝会談の表明ということになったというのが、圧力のおかげというわけではないのではないかというふうに認識をしていますが、なので、この実現も含めて過度に期待をすべきではないんじゃないか、そう思っております。  これは通告はしていないんですけれども、河野外務大臣にお伺いをしたいわけですが、先ほども質問がありましたけれども、本当にこれは実現するというふうに思われますか。
  78. 河野太郎

    河野国務大臣 両方の首脳は首脳会談をやる意思を表明しているわけでございますが、現時点で場所や日時は確定をしておりません。日米間で少し緊密に連携しながら、この米朝会談に向けての準備状況というのをしっかり確認をしていきたいというふうに思います。
  79. 源馬謙太郎

    ○源馬委員 もし、もちろん実現をすれば、何か大きなダイナミズムがあるときに物事が動く可能性があるということで、チャンスといえばチャンスだというふうに思います。  そうした中で、ただ、チャンスではあるんだけれども、どうアメリカに、トランプ大統領に、具体的に、この拉致問題の解決の道筋を、レールを日本側がつくっていって、北朝鮮に対して物申してもらうかということがやはり大事になってくると思います。  これまでも国連の一般討論演説等で拉致問題について触れたということはありましたが、やはり今度は、触れるだけじゃ不十分だ、メンションするだけじゃ不十分だというふうに思います。  実際にこの拉致の被害に遭っている方たちをもう帰国させる、その道筋をきちんとトランプ大統領からも言ってもらって、その後続いていく実務者協議にもこのことを盛り込んでもらう、そういったことがない限り、私は、当然、アメリカにとっては、この拉致問題よりも、正直言えば、多分核の問題の方が重大関心事だと思いますので、きちんと、この拉致の被害に遭われている方たちをどう帰国をさせるか、そこまで、実務者協議にまで落としてもらうことが重要だと思いますが、その点どのように、もし仮に米朝会談実現した場合にどう依頼をしていくのか、お考えを伺いたいと思います。
  80. 河野太郎

    河野国務大臣 おっしゃるように、この拉致問題は、別に、それに触れればいいというものでは決してございません。拉致被害者方々帰国をどう一刻も早く実現するかというのが大事なところでございます。  その中で、この米朝会談の中で核、ミサイルと並んで拉致問題を包括的に解決をしていく必要があると我々は思っておりますし、アメリカも、この拉致問題は解決されるべき問題であるという我々と共通の認識を持っているわけでございます。  米朝会談につきましては、今さまざま、先ほど申し上げましたように、場所あるいは日時、そして議題、これから日米間あるいは日米韓の間で連携をして詰めてまいりたいというふうに思っておりますので、この場で議題について、中身についてどうこう申し上げるところまでまだございませんが、我々が申し上げているのは、この拉致問題にただただトランプ大統領が言及するということではなくて、被害者の皆様を帰国させる、それを実現するためにどうするか、最適な方法を考えてまいりたいと思います。
  81. 源馬謙太郎

    ○源馬委員 ありがとうございます。非常に前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。  ぜひ、メンションだけではなくて、具体的な道筋までつけてもらえるように、特に実務者協議にまで落とし込んでいただけるようにお願いをしたいと思います。  一方で、先ほども少し申し上げましたが、私は、今度の米朝会談が行われるかもしれないという今の現状は、一つチャンスであって、望ましいことであるというふうに思うことは確かなんですが、しかし、本来は、拉致被害者の御家族皆さんがよその国の政府にお願いに行ったり、そうしなくてはいけない状況だったりとか、日本政府が、ほかの外国、具体的に言えばアメリカ韓国北朝鮮対話をする、そういった外的要因が最大のチャンスと捉える状況というのは、これはやはり恥ずかしい状況だと考えなくてはいけないというふうに思っています。本来は日本政府が、自分たちが主体的にこの問題を解決しなくてはいけないのに、十五年間何の成果も出なかったということがあると思います。  同時に、この米朝首脳会談実現しない可能性だってあるわけですし、仮に実現しても、今、河野外務大臣からは、きちんと具体的にその方法論まで落とし込んでいただくという御答弁がありましたけれども、これがアメリカによって行われなかった場合なんかは、今の最大のチャンスであるこの機会以外の、日本としての拉致問題への取組というのをやはり考え直していかなくてはいけないんじゃないかというふうに思っています。  私も、アメリカ人の専門家にも伺ったこともあります。やはり表面上は、アメリカにとってもこの拉致問題というのは大事だと言いますけれども、中には、刑事事件の一つだというふうに捉えている、そういう分析もありますし、核問題の方がより重要だというふうに捉えている、そういった分析もあります。ですから、なおさら日本が主体的に解決を図っていかなくてはいけない。  そこで、我が党の拉致問題対策本部で、安倍総理に対して要請文を出しました。対策本部長の松原先輩、それから副本部長には中山恭子元拉致担当大臣がいらっしゃいます。その中にこういう文章を盛り込ませていただきました。これまで長い間一人も拉致被害者を救出できていない事実を、拉致問題にかかわってきた私たちは分析、直視をして、拉致被害者救出の対応のあり方を変えていかなければならない、つまり、これまでの政府外務省及び拉致対策本部の活動が失敗であったと言わざるを得ませんということをこの要請文の中に書いてあります。  お二人の拉致担当大臣がこういう発言をされるというのはすごく重い決断だと思いますが、それでもやはり、結果が出なかったということは失敗だった、失敗だったと認めて初めて新たな対策ができるのではないか、こういう提案をさせていただいているわけです。  私も、これは失敗だったからといって、何か文句を言うとか、ほら見ろ失敗だったじゃないかと揚げ足をとるつもりは全くなくて、でも、やはりやり方を変えなきゃいけないという観点から、これまでの政府の取組は不十分だった、失敗とまで言わなくても不十分だったと認めるべきであると思いますし、そこから新たな対策を練るべきだと思いますが、この点について担当大臣から御所見を伺いたいと思います。
  82. 加藤勝信

    加藤国務大臣 先ほど申し上げたとおり、残念ながら、この間、五人の方が帰国をして以降、お一人の方の帰国実現できずに、また帰国実現に向けての道筋も残念ながら見出し得ていない、そのことは我々謙虚に受けとめていかなきゃなりませんし、一つ一つのことについて、反省すべきところは反省し、変えていくべきところは変えていかなきゃいけないというふうに考えております。  そういう中で、御党からも、特に、拉致問題担当大臣を務められた、きょうおいでの松原委員と、あるいは中山委員からも、あらゆる機会を通じてそうした御指摘をいただいているところでございます。特に、こうした対応を総理直轄でやるべきだ、あるいは違う形で進めるべきだという御指摘はいただいているところでもございます。  ただ、私どもとしては、これまでも、安倍総理を中核として、安倍総理直轄の中で、私ども拉致対策本部、また外務省、また警察を始め関係省庁一体となって取り組ませていただいているところでございますので、そういった意味においても、やり方等、それぞれについては、もちろん常に反省等あるいは見直し等させていただきながら、全ての拉致被害者の一日も早い帰国に向けて全力を尽くさせていただきたいというふうに思っております。
  83. 源馬謙太郎

    ○源馬委員 今御答弁の中にもありましたけれども、具体的な、ではその対策を変えていく方法として我々が提案させていただいたのは、今御答弁の中でも触れていただきましたけれども、総理直轄で、拉致被害者帰国させる、そういった任務を特化して、今の拉致対策本部というのはいろいろなお仕事をされていると思うんですよね。もちろん北との接触であったりとか、それから拉致の被害に遭われた方の御家族に対する対応ですとか、又は広報啓発活動、いろいろなことをされていると思いますけれども、やはり扱うことが大きくなればなるほど、そうした、被害者を実際に帰国させるという一番大事な使命がやや薄れてしまうのではないかと思うので、この帰国させるという、これは、例えば外務省が北と接触をしたりとか、警察や公安もかかわると思います、また、いざ有事になったら防衛省もかかわると思いますが、こうした部門だけを特化して、広報ですとかそういったところとは切り離して、総理直轄の組織にするべきだというふうに思いますが、その点について御所見を伺いたいと思います。
  84. 加藤勝信

    加藤国務大臣 繰り返しになって恐縮なんですけれども、一番大事なことは、全ての拉致被害者の方の一日も早い帰国をいかに実現をしていくのかということだというふうに思います。  そういった意味においても、安倍総理が先頭に立って今いろいろな取組をし、先ほどから答弁をさせていただいていますように、対外的には、トランプ大統領、文在寅大統領とも直接あるいは電話首脳会談等々を通じて働きかけ、あるいはさまざまな各国首脳とも働きかけをされておられる。国内的には、私ども拉致対策本部、また外務省、警察、またさまざまな関係、そうしたところが総理のもとに一体となって取組をさせていただいているというのが今の状況でございまして、別に我々がばらばらにやっているわけではなくて、最終的には全て総理のところに統一的にいろいろなものが上がり、そして総理の判断を受けながらそれぞれがやらせていただいている、こういう状況にございます。
  85. 源馬謙太郎

    ○源馬委員 ありがとうございます。  時間が来ましたので終わりますが、やはりこの問題は、本当に与野党なく、しかも限られた時間ですので、必ず解決できるように、私もしっかりこれからも取り組んでいきたいと思います。  ありがとうございました。
  86. 江藤拓

    江藤委員長 次に、もとむら賢太郎君。
  87. もとむら賢太郎

    ○もとむら委員 もとむら賢太郎です。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、ストックホルム合意について、一点、加藤拉致担当大臣にお伺いしていきたいと思いますが、先ほどの御答弁からも、拉致問題解決は済みとしていた北朝鮮が、このストックホルムから大きく立場を変えたことは評価をしなくてはなりませんが、北朝鮮の宋日昊日朝国交正常化担当大臣も、ストックホルム合意は既になく、拉致問題は誰も関心がないような発言を過去にされていたり、もう既にストックホルム合意が機能していないではないかという観点も私自身は持っておりまして、なぜ今なおこの履行を求めているのか、お伺いしてまいりたいと思います。
  88. 加藤勝信

    加藤国務大臣 一つは、北朝鮮側からもいろいろな発信があります。それ一つ一つに我々が一喜一憂する、あるいは対応云々ということにはすべきではないんだろうというふうに思います。  ストックホルム合意については、先ほど河野大臣あるいは外務省当局からもお話がありましたけれども、いろいろな経緯の中で前に進まない中で、少しでもということでこのストックホルム合意がなされたわけであります。残念ながら、その履行というものは現在行われていないし、また、日本側が放棄したのではないかという一方的なことも言われているわけでありますが、日本としては、この合意を放棄する必要はないというふうに思います。  ただ、大事なことは、先ほど申し上げておりますように、全ての拉致被害者の方の帰国をどう実現していくのかということが最大の問題であります。そういったことに資するよう、我々はあらゆる政策を常に駆使して、北朝鮮から全ての拉致被害者方々帰国実現に導く、こうした行動を引きずり出してくる、こう申し上げているわけですから、そういった観点からも、このストックホルム合意というものも、活用できるものをしっかり活用していく必要があるんだろうと思います。
  89. もとむら賢太郎

    ○もとむら委員 ことしの三月七日、国連のキンタナ特別報告者が、北朝鮮政府に対し日本人などの拉致問題について即時調査実施を勧告する報告書を公表しておりますが、この中で、ストックホルム合意を見直すよう提案もしておりますし、また、拉致被害者救出が最優先となっていないこのストックホルム合意だというふうに私自身受けとめておりますが、この拉致被害者救出にとって、ある意味ブレーキになっている点もあるんじゃないかというふうに指摘をしてまいりたいと思います。  また、今加藤大臣お話しされましたが、やはり国対国の話で、こちらから一方的に履行を求めても、先方の北朝鮮履行を求めないという話であって、これは、外交としてやはり話が前に進まないわけでありますので、ストックホルム合意に関しては、引き続き我が国としても、履行を求めるならば、やはり対話圧力、そして行動行動の中での対話というカードもしっかりとっていく中で前へ進めていただきたいというふうにお願いしてまいりたいと思います。  次に、四月に安倍総理訪米をするということで、拉致問題を米国にどのように伝えていくのか注目をしているところでありますが、拉致問題について取り上げるよう働きかける、拉致問題の解決のために協力をお願いするということでありますが、三月二十九日に、家族会の皆様から、緊急集会で、取り上げるだけでは不十分、解決という言い方ではだめで、一括帰国を迫ってほしいという、一括帰国という新しいキーワードもお話をされているわけでありまして、先ほど河野大臣の方からも、三月三十日、家族会総理に対し直接決議文をお渡しになって、お受けになっているという話もございます。  こうした声について政府はどのように受けとめているのか、加藤拉致担当大臣、そして河野外務大臣にお伺いいたします。
  90. 加藤勝信

    加藤国務大臣 先般も、総理拉致被害者の方、御家族の方から直接お話を聞き、そして今委員指摘お話もあったわけでございますので、それを踏まえて、また四月に総理訪米される際に、トランプ大統領との間で、この拉致問題、米朝、この扱いそのものについては先ほど河野大臣からお話がありましたけれども、それが行われる場合にはしっかり拉致問題を取り上げてほしいということ、そして、単にそれを取り上げるだけではなくて、どういう形にしていくのかを含めて、総理の方からしっかりとお話をされるというふうに考えております。
  91. 河野太郎

    河野国務大臣 政府としては、あらゆる機会に各国に対し拉致問題を提起し、協力を要請してきたところでございます。  アメリカに対しましては、これまでもさまざま、首脳会談、電話会談、あるいは私がワシントンを訪問した際、あるいは先日のサリバン国務副長官との電話会談の際、拉致問題を核、ミサイルとともに包括的に解決するように、今後、米朝首脳会談等で取り上げてもらうようお願いをしてきているところでございますし、日米間でこの拉致問題の解決も、今回のこの北朝鮮の、米朝あるいは南北首脳会談の中でしっかりと解決されるべき問題であるという認識は一致をしているところでございますので、今後とも日米間、緊密に連携をしながらやってまいりたいと思います。
  92. もとむら賢太郎

    ○もとむら委員 この中で、決議文の中に一括帰国というキーワードがございますが、これについては、両大臣、どうお考えでしょうか。
  93. 加藤勝信

    加藤国務大臣 これまでも家族会、救う会等からは全ての拉致被害者の一日も早い帰国ということを言っておられるわけでありますから、それを踏まえた言葉だというふうに受けとめさせていただいております。
  94. 河野太郎

    河野国務大臣 今、加藤大臣から答弁がありましたとおり、全ての拉致被害者の皆様、一刻も早く帰国していただくために、しっかりと努力してまいりたいと思います。
  95. もとむら賢太郎

    ○もとむら委員 次に、日朝会談の開催について行う意思があるのか、ちょっと外務大臣にお伺いしていきたいと思うんです。  先ほどから南北首脳会談米朝首脳会談、この結果を見てだという話もお話しいただきましたが、三月二十六日の参議院予算委員会河野大臣は、日米首脳会談は否定するものではなく、必要なことはさまざまな可能性を考えていかなきゃならないと少し前向きなお話をいただいておりますが、二十九日の菅官房長官からは、この日朝首脳会談について記者から聞かれ、否定はされなかったということでございますが、三十一日の高知市内で講演した河野大臣の、この日朝会談については少し慎重な御意見もあったということで伺っておるんですが、この日朝会談の開催について行う意思があるのかどうか、河野大臣にお伺いしてまいりたいと思います。
  96. 河野太郎

    河野国務大臣 今の時点で、来るべき南北首脳会談あるいは米朝首脳会談の内容をしっかりと踏まえて、何が最適か考えてまいりたいと思います。
  97. もとむら賢太郎

    ○もとむら委員 それでは、四月二十七日の南北首脳会談、そして五月に行われると言われている米朝首脳会談の結果を見てからでないと外務大臣としての判断をされないということでしょうか。
  98. 河野太郎

    河野国務大臣 先ほどから答弁を申し上げておりますように、四月二十七日に南北首脳会談というのが予定をされております。また、五月末までに米朝首脳会談というのが予定をされております。南北首脳会談につきましては、今さまざまなレベルでの準備がスタートをしているところでございます。  私どもとしては、政府としては、この南北会談の内容、米朝会談の内容を踏まえながら、何が最適か考えてまいりたいと思っております。
  99. もとむら賢太郎

    ○もとむら委員 次に、北朝鮮非核化、これは非常に大事な問題だと思うんですが、かつて河野大臣は、米国の核の傘を、いざというときには単なるぼろ傘になってしまうというふうな表現もされていたわけでありまして、これも今国会、各委員の方からも指摘をされておりますけれども、この北朝鮮非核化に向けた動きは歓迎すべきものであるとは思いますけれども、他方で、唯一の被爆国であり、原発事故からの復興に取り組む我が国こそ、世界非核化、核不拡散を先導していくべきではないかというふうに考えますが、外務大臣見解をお伺いいたします。
  100. 河野太郎

    河野国務大臣 北朝鮮の核並びにミサイル開発は、我が国にとって差し迫った脅威であり、非核三原則を掲げる日本としてアメリカの拡大抑止に頼らざるを得ないのが現実でございます。  アメリカは、最近のNPRの中で、同盟国に対して核の抑止をすることを明確にうたっておりまして、それについて我が国として高く評価をしたいと思っております。  他方日本としては、現実の安全保障上の脅威に適切に対応しながらも、核兵器国と非核兵器国の双方に、そして、非核兵器国の中もさまざま立場がございますが、そうした立場を乗り越えて、現実的な観点から核兵器のない世界実現するための努力を積み重ねてまいりたいと思っております。  具体的には、核兵器国と非核兵器国双方が参加をしているNPTの維持強化というのはもちろんのこと、CTBTの早期発効、あるいはFMCTの早期の交渉開始に向けて粘り強く取り組んでまいりたい。特にアメリカに対してCTBTの批准というのを累次求めてきているところでございまして、NPRの中にCTBTの批准に向けた文言がないのは極めて残念なことだと思っております。  また、昨年の国連総会に核兵器廃絶決議案を提出し、多くの国々、特に核兵器国、そしてさまざまな立場の非核兵器国の支持をいただいて、この決議案を採択することができました。  また、賢人会議の開催を通じて、核兵器国あるいは非核兵器国の間の橋渡しをしっかりとするために、日本として何をしたらいいのか、国際社会として何をすべきか、有益な提言を頂戴したところでございます。  この賢人会議からの提言をもとに、日本政府としての考え方を四月下旬から開催されます二〇二〇年のNPT運用検討会議第二回準備委員会にしっかりとインプットし、核軍縮の実質的な進展のために日本としても先頭に立ってまいりたいと考えております。
  101. もとむら賢太郎

    ○もとむら委員 河野大臣は、三月三十一日の高知市内で講演した中で、北朝鮮が新たな核実験に向けた準備と受け取れる動きを見せているというような発言をされたというふうに伺っておりますが、現状、今、河野大臣が知り得る限りの動きについてお伺いしてまいりたいと思います。
  102. 河野太郎

    河野国務大臣 北朝鮮政府は、これまで、明確に非核化に向けたコミットメントというのに言及をしていないというのが事実でございます。また、さまざまな公開情報によっても、核兵器あるいは核開発関連施設での動きが続いていたということもございます。  私も、北朝鮮を訪れた韓国の特使団の一員でありました徐薫国情院長からかなり詳細なブリーフィングをいただきました。また、中国から中朝会談の内容についてのブリーフィングというのも日本として承っているところでございますが、依然として北朝鮮から非核化に向けたコミットメントがないという状況に変わりはないというのが今の現状の分析でございます。
  103. もとむら賢太郎

    ○もとむら委員 次に、国際社会連携のためには外務省の役割が非常に大きいというふうに私自身も考えております。同じ神奈川県選出の河野大臣、小此木大臣も閣内にいらっしゃって、ここは本当に党派を超えて非常に期待をしてまいりたいと思いますし、加藤拉致担当大臣のリーダーシップにも期待をしてまいりたいと思っているところでありますが、ストックホルム合意の内容において、主導したのが外務省でありまして、その内容が拉致を最優先にしていないため、外務省拉致問題に対して積極的ではないのではないかという世間の評判もございます。  そういった声がある中で、河野大臣外務大臣になっていただいたことは非常に大きな期待をしていきたいと思っているんですが、外務大臣拉致問題解決に関して全ての被害者帰国に向けた意気込みを、大臣からお伺いしてまいりたいと思います。
  104. 河野太郎

    河野国務大臣 いまだ拉致問題を解決せず、することができず、拉致被害者方々がまだ北朝鮮で暮らしていらっしゃるという状況を変えることができないのは、本当にじくじたる思いでございます。  我が国といたしまして、あらゆる機会にさまざまな国々にこの拉致問題について働きかけを行い、例えば、北朝鮮外務大臣が最近訪問した国々でも、そうした国々から拉致問題についての提起をしてくださるようになりました。  日本政府としてこれまで粘り強くこうした働きかけをしてまいりましたが、南北首脳会談あるいは米朝首脳会談というのが行われる見込みでございますので、こうした動きの中で、核、ミサイルとともに拉致問題を包括的に解決できるように、最善の努力をしてまいりたいと思っております。
  105. もとむら賢太郎

    ○もとむら委員 ぜひ、河野大臣の強いリーダーシップで、外務省が本当にやる気を出して前向きに取り組んでいるんだということを、家族会を始めさまざまな国民皆さんが注視しておりますので、強いリーダーシップをお願いしてまいりたいと思います。  最後質問になりますが、北朝鮮からの漂流船が相次いでおります。漂着した生存者に対して、拉致被害者及び特定失踪者の情報の確認などは行ってきたのかどうか、そしてさらに、今はもう本当に手いっぱいの活動を行っている海上保安庁との連携はどのように行っているのか、小此木国家公安委員長にお伺いしてまいりたいと思います。
  106. 小此木八郎

    ○小此木国務大臣 警察においては、昨年十一月、今おっしゃいましたように、秋田県の由利本荘市、また北海道松前小島に朝鮮半島からのものと思料される木造船が漂着して、生存者が確認された事実を認知いたしました、警察においてでございます。警察において、また関係機関と連携して対応を実施してきたところであります。  個々具体の内容については、事柄の性質上、お答えを差し控えさせていただきますが、警察においては、関係機関とともに、これまで生存して発見された乗組員に対し、予断を持たずに、さまざまな事柄について事情聴取を行ったと承知をしています。  次に、日本海沿岸の警備についてでありますけれども、御案内のように、長大な海岸線を持つ我が国において沿岸警備の徹底は重要であると認識をしております。  警察としては、平素から海上保安庁等の関係の機関と連携をいたしまして、まず、日本海沿岸地域のパトロール等の警戒警備、地域住民や防犯団体に対する不審者や不審物等を発見した際の通報の呼びかけ等の水際阻止に向けたさまざまな措置を講じていると承知しています。  国民の不安を解消するためにも、こうした取組を徹底して、国民の安全、安心の確保に万全を期すように、引き続き警察を指導してまいります。
  107. もとむら賢太郎

    ○もとむら委員 では、これで質問を終わりにします。ありがとうございました。
  108. 江藤拓

    江藤委員長 次に、江田憲司君。
  109. 江田憲司

    ○江田(憲)委員 まず、拉致担当大臣にお聞きをいたします。  昨年末、拉致被害者家族会皆さんにも当委員会に来ていただきまして、私も質問をさせていただいたんですが、先ほど本多委員も触れましたけれども、とにかく、家族皆さんにとって、どんな小さな情報でも、被害者の消息情報でも、喉から手が出るほど欲しいんだ、ただ、残念ながら、政府からは十分な情報がもたらされていない、特に横田早紀江さんはそうおっしゃっていましたけれども。どういう頻度で、どういう場を通じて、全面解決まで、やはりそういった情報提供をされているのか、今の現状をお聞きしたいと思います。
  110. 加藤勝信

    加藤国務大臣 先ほども御答弁させていただきましたけれども、拉致被害者の御家族の方から見れば、北朝鮮にとらわれた家族がどういう状況にあるのか、また、それについて政府がどういう取組をしているのか、今委員指摘のように、もう本当にわずかな情報でも欲しい、その気持ちは我々もしっかり共有していかなければならないというふうにも思いますし、私もいろいろと御家族の方とお会いをするときに、また、そういうお話を聞かせていただいているところでございます。  先ほどもお話をさせていただきましたけれども、まずは、政府としては、日朝関係の動きがいろいろある段階の中の節目節目において、外務省等の関係省庁にも来ていただいて、家族会皆さんに説明をするということ、また、あるいは、これはもう個々の方なので、それ一個一個について説明は控えさせていただきますけれども、それぞれの方においても、事務局の職員が直接お話をさせていただいたり場合によってはメール等でお伝えをするなど、さまざまな形で、その御家族に直接お伺いする等々、可能な限りの情報提供には努めさせていただいているつもりでもございますし、それから、やはり、政府としてお伝えする以上、それなりのものでなければならないというものも当然あるわけで、うわさで聞いた話をそのままというわけにもなかなかいかない、そういったことがございますけれども。  ただ、先ほど申し上げた、御家族方々がそういう思いを持っておられる、そのことはしっかりと我々も受けとめて、今後とも、御家族のお気持ちにできるだけ沿えるように対応させていただきたいと思っております。
  111. 江田憲司

    ○江田(憲)委員 まあ節目節目も大事なんですけれども、やはり、定期的に決めて、いろいろな情報があろうがなかろうが、政府の姿勢として提供する、そういうことでぜひぜひやっていただきたいと思うんですが、どうですか。
  112. 加藤勝信

    加藤国務大臣 定期的というのはありますけれども、もちろん何もなければ全然接触しないということであってはならないというふうに思います。その辺も踏まえながら対応させていただきたいと思います。
  113. 江田憲司

    ○江田(憲)委員 ぜひそうしていただきたいと思います。  そこで、先月、一部報道ではありますが、お二方の拉致被害者の方の情報が報道されたんですね。  三月十六日の共同通信の報道では、拉致被害者に認定されている田中実さんが、実は、北朝鮮が二〇一四年、日本側との接触で、入国していた、我々の立場では入境していたと伝えていたことが十六日わかった、しかも日本政府関係者が明らかにした、こういう報道なんですね。  それから、二十六日には同じく共同通信が、これは今まで全く言及のなかった、金田、これはリュウコウさんとお読みするんですかね、金田龍光さんについても、北朝鮮が二〇一四年の日本側との接触で、入国していた、入境していたと伝えていたことが二十五日わかった、これも日本政府関係者が明らかにしたと書いてあるんですね。  この事実関係をはっきりさせていただきたいと思います。
  114. 加藤勝信

    加藤国務大臣 一つ一つのマスコミの報道に対するコメントは差し控えたいと思いますが。  ただ、今お話がありました田中実さんについては、拉致認定がされておられる。それから、第三回の協議、日朝国交正常化交渉、これは平成十四年十月、クアラルンプールで行われた、そのときの第三回の協議において、北朝鮮側から、北朝鮮に入境したことは確認できなかった旨の回答があったという方であります。  それから、金田さんは、金田タツミツさんとお読みするというふうに思いますが……(江田(憲)委員「タツミツさん、失礼しました」と呼ぶ)これは拉致の疑いが排除されないと我々が考えている方でございます。  ただ、そのお二人も含めて、拉致被害者の方については平素から情報収集に努めているところでありますけれども、今後の対応にも支障を来すというおそれがあることから、一つ一つについてはコメントは差し控えさせていただいているところでございますが、いずれにしても、一日も早く全ての拉致被害者の方の帰国に向けて努力を更に傾注していきたいと考えております。
  115. 江田憲司

    ○江田(憲)委員 いや、本当に北朝鮮が認めたのであれば、それは公表するのが当たり前でしょう、政府は。何が差しさわりがあるんですかね。  二〇一四年といえば、五月にはストックホルム合意がありましたよね。その場でも一切こういう情報についてはもたらさなかったんですか。
  116. 加藤勝信

    加藤国務大臣 先ほど申し上げた、報道の一つ一つについてのコメントは差し控えさせていただきたいということを申し上げたところでございます。
  117. 江田憲司

    ○江田(憲)委員 いやいや、事実関係を聞いているんです、報道がどうあろうが。まさに、先ほど申し上げたような拉致家族会皆さん始め関係者の皆さんは、喉から手が出るほど欲しいんですよ。まさにこんな、北朝鮮が今まで認めなかった入国を一転して認めたという情報があるのであれば、それは真っ先に政府として公表しなきゃだめでしょう。そんな情報があるのに、また隠蔽したとなりますよ、これは。森友、加計問題じゃありませんし、何が支障があるか、私はわからない。  未確認ならば、なかなかそれは公表までいかないけれども、北朝鮮が本当に、これがもし事実とすれば、特に田中さんについては当然我々も認定しているわけです、当然、北朝鮮も認めたということは公表すべきだと思いますけれども、それを公表していない、今みたいな、はぐらかすということは、それは間違いだということですね、この報道は。これははっきりしていただかないと、このぐらいの情報ははっきりさせていただかないと、何の情報提供だと。さっきの大臣の政治姿勢、節目節目とか云々も全部、何か本気度を疑わせるような話になりますから。田中実さんについてはいかがなんですか。はっきりさせてください。
  118. 加藤勝信

    加藤国務大臣 一つ一つについて、これはどうだ、あれはどうだと言われても、これはなかなか……(江田(憲)委員「一つ一つが大事なんですよ」と呼ぶ)いやいや、だから一つ一つについて申し上げられても、それについて、一つ一つの状況について申し上げるということは、今後の対応にも支障を来すということがあるわけでございます。  ただ、今お話がありましたように、それ自体、今の話、政府の関係者で云々ということも含めて報道なされているわけでありますけれども、それについてはコメントを差し控えなければならないというふうに思いますけれども、一般論として、一般論として申し上げさせていただければ、新たな事実というものが我々としてしっかり確認されれば、それはそれとして対応していくということになるんだろうというふうに思います。
  119. 江田憲司

    ○江田(憲)委員 いや、全く理解ができないんです。  なかったのならばなかったと。それから、あったのであれば、まずはこの田中実さんの御家族や関係者の方には当然知らせないと。そもそも北朝鮮が認めたのであれば、その話ぐらいは。  では、なかなかそういう今の立場ではあれかもしれませんけれども、一般論として、個別の拉致被害者の方の情報がこういう形で入れば、それはちゃんと伝えているんですね。
  120. 加藤勝信

    加藤国務大臣 あくまでも一般論として申し上げれば、そうした意味において、政府から提供できるものについてはしっかり提供させていただいている、それぞれの御家族に対して提供させていただいているということでございます。
  121. 江田憲司

    ○江田(憲)委員 本当に、れっきとしたメディアがこういう報道をしている。これは、申しわけないけれども、後で判明したとなると、またあの森友、加計と同じになりますよ。なかったのならばなかったと、事実関係をはっきりさせることが家族会家族皆さんのためにもなると私は思いますからね。全く闇の中ですよ、こういう報道があって。間違いなら、ちゃんと共同通信に間違いだといって抗議すべきでしょう。だけれども、否定もされない、肯定もされない。  だから、こういう状況だから、国民にとっては、家族会皆さんは当たり前のことですが、本当に国民にとってはわけがわからないですよ、この状況。だから、小泉政権以降、全く一ミリも進んでいないと言われるんですよ。小泉政権以降、拉致問題の解決に向けて一ミリも進んでいないじゃありませんか、美辞麗句は躍っても。  ぜひ、この関係は今後どういうふうになるのかしっかり私も見きわめさせていただいて、またしかるべき場で政府の対応を問いただしていきたいというふうに思います。  さて、これも出ましたが、三十一日、高知で河野大臣が、北朝鮮には次の核実験の用意があるんだと。これも一部報道で、恐らくアメリカの偵察衛星の画像を見てそうおっしゃったんだろうと。一方で、米国の研究機関によれば、北朝鮮の核実験の動きは今はおさまっているという情報もありまして、これは非常に重要なことなんですよ。  段階的、同時並行的な措置だと何か勝手に言っているようですが、まただまされないためにも、こういったことをおっしゃったわけだから、普通は余り米国の偵察衛星のことを外務大臣はおっしゃらないと思うんだけれども、おっしゃったわけだから、その事実関係を問いたいと思います。
  122. 河野太郎

    河野国務大臣 私も、先ほど申し上げましたように、北朝鮮を訪れた韓国の特使団の一員でありました徐薫国情院長から、詳細に北朝鮮側の反応その他のブリーフィングを受けました。また、中朝会談の内容についても中国側からの説明を受けました。  ただし、いまだに北朝鮮非核化について何らみずから言及をしていないというのが事実でございます。また、一般に公開されている情報を見ても、北朝鮮が核関連施設、あるいは核開発に関連をする施設の活動を続けていたというのも事実でございます。そういうことから、日本政府として、北朝鮮非核化に向けたコミットメント、あるいは非核化へ向けた意図というのがどこにあるのか、しっかりとこれからも把握をしてまいりたいと思います。
  123. 江田憲司

    ○江田(憲)委員 外務大臣国民にこういう情報を提供していただくのは非常にいいことだと思いますよ。ですから、今後とも、こういう核開発の動きがあるのであれば、やはり外務大臣として、三十一日に発言されたようなものを発言してください。これは、本当にこれからの日朝米朝、いろいろな会談に影響してきますから、ぜひ、そこを別に批判しているわけじゃないので、情報を公開していただきたいというふうに思います。  さて、そこの同じ場で、日朝首脳会談について、何もしなくていいのかという評論家もいるが、何もしなくて構わないというような発言もかぎ括弧つきで引用されております。  これは一方で、安倍総理が参議院の予算委員会でしたか、どこかの委員会の場で、今、日朝会談については北京の外交ルート等を通じて調整をしているという発言と一緒なのか矛盾するのか、違いはあるのか、大臣の真意をお聞きしたいと思います。
  124. 河野太郎

    河野国務大臣 おっしゃるように、北京の大使館ルートなどを通じた北朝鮮とのやりとりというのはございます。  今、我が国としては、これから来るべき南北首脳会談あるいは米朝首脳会談の内容を見きわめながら、核、ミサイル、そして我が国にとって拉致問題の解決のために、何が最善の方策かというのを検討してまいりたいというふうに思っております。
  125. 江田憲司

    ○江田(憲)委員 いや、今はそういうことじゃなくて、真意ですね。  要は、私も別に批判しているわけじゃなくて、拉致問題を始め、北朝鮮が何も対応しないのであれば、日朝会談を開かないという考えも成り立つし、だから、一方で、一般論として言えば、やはり平時のときよりも、こういう国際情勢が激動しているときに、そのチャンスを捉まえて、流れを捉まえて、拉致問題を解決に持っていくというような考えと両様成り立つと思うんですよね。  ただ、この場であえてこういうことをおっしゃった趣旨というか、真意をお聞きしております。
  126. 河野太郎

    河野国務大臣 南北あるいは米朝が始まったから、あれもやるんだ、これもやるんだというような中で、日本日朝をやらぬのかと言う方もいらっしゃいますが、何もそんなに焦って、日朝やります、やりますと言う必要性はない、そういう意味で申し上げたところでございます。
  127. 江田憲司

    ○江田(憲)委員 よくわかりました。私も同感できるところがありますが。  いずれにせよ、段階的で同時並行的な措置なんという言葉はいつか聞いた言葉ですよね。我々は二度だまされているわけですよ、大きく言って。今度、三度だまされたら、だます方も悪いですけれども、だまされた方も悪いとなりますからね。ですから、拉致問題が進まない限り、一銭も経済協力、お金は出さないとかね。  だから、その気のさらさらないような北朝鮮に対しては、全く譲歩しない、そういう気概を今外務大臣が示されたというふうに私は理解したんですが、それでよろしいですね、大体。
  128. 河野太郎

    河野国務大臣 おっしゃるように、国際社会はこれまで北朝鮮対話をし、韓国南北対話を何度もし、恐らく、少なくとも八回やったんだろうと思います、国際社会南北合わせて。恐らく、少なくとも、そこで八十億ドル近いお金が北朝鮮にその結果として流れ、結果として何も生み出さなかった、この過ちを繰り返してはならないというのが今の国際社会の共通認識だろうと思いますので、言葉だけ、あるいはただ対話に出てきたからといって、北朝鮮が何か対価を得ることはないというのが国際社会の共通認識でございます。
  129. 江田憲司

    ○江田(憲)委員 これも一部報道で恐縮ですが、北朝鮮内の幹部向けの学習用資料に、日本から朝鮮総連ルートを通じて日朝会談を申し込まれているという明確な記述があるというんですが、申しわけないけれども、それは私も昔政府におりましたから、いろいろなルートを使うのは、それはありなんですけれども。  しかし、この総連ルートを通じてやっているというのは、これは事実に反すると思いますが、明確に答えてください。
  130. 河野太郎

    河野国務大臣 そのような報道をどこかで見た記憶が私もございますが、外務省として、全く関知していない話でございまして、こういう状況ですから、どこで誰が何をやっているのか、全てはわかりませんけれども、少なくとも、現在、外務省として、そういうルートでどうこうということはございません。
  131. 江田憲司

    ○江田(憲)委員 朝鮮総連ルートといえば、官邸のある人がすぐ思い浮かぶわけで。  ただ、御承知のように、朝鮮総連に対しては、幹部の渡航制限とか、いろいろな制裁措置が今あるわけで、ここを通じて日朝首脳会談実現するようなことがあれば、やはり朝鮮総連に借りをつくるということになって、そこのところの根本が揺らいできますから。  ちょっと、聞き方を変えてやりますけれども、一般論として、朝鮮総連ルートを使うことについての外務省の評価というのはどうなんですか、いい悪いは。
  132. 金杉憲治

    金杉政府参考人 お答えいたします。  今、河野大臣からもお話もありましたとおり、外務省として、今、朝鮮総連ルートを使って何か調整をするといったことはございませんし、これまでも、外務省認識としては、ございません。
  133. 江田憲司

    ○江田(憲)委員 外務省としてはというのは苦渋の答弁で、官邸はやっているかもしれぬ、こういうことでしょうね。ぜひちょっと、それは借りをつくらないようにしてくださいよ。外務省としてもしっかり目を光らせておいてほしいと思います。  四月十八日に、訪米日程はもう確定したんですか。
  134. 船越健裕

    船越政府参考人 現在、四月中旬、具体的には、諸般の御事情が許せば四月十七日から二十日の日程で総理が御訪米するべく、調整中でございます。諸般の事情をお許しいただければということでございまして、本日、きょう総理から御発言されたと承知しております。
  135. 江田憲司

    ○江田(憲)委員 それでは、その場で、当然この拉致問題については、しっかりトランプ大統領から北朝鮮にも言っていただきたいというのは、累次いろいろな場で総理からも大臣からも聞いておりますが、それは当たり前のこととして、じゃ、ここで、もう二十回もトランプさんと今まで電話だ何だ会談してこられた安倍さんがわざわざ行って、一体何をくぎ刺してくるんですか。トランプ大統領にレクというのは失礼ですけれども、どういうところを一番重点的にくぎを刺されるんですか。
  136. 河野太郎

    河野国務大臣 来るべき首脳会談につきまして、さまざまなことが議題になると思いますが、その詳細について、この時点でつまびらかにするのは差し控えたいと思います。
  137. 江田憲司

    ○江田(憲)委員 時間もありません。最後、一問。  北朝鮮のこれからの出方として、中朝でやった以上は、また後ろ盾を求めようと、今度ロ朝会談というものを多分画策しているんだろうと思いますけれども、外務省としての今の分析。私は、近々またロ朝会談をしかけてくると思いますよ、どの時期かは別として。外務省としてはどうごらんになっているか、見解を求めたいと思います。
  138. 河野太郎

    河野国務大臣 三月二十六日のロシア側の報道で、北朝鮮外務大臣が訪ロを検討している、また、三月二十八日、ロシアの大統領報道官が、ロ朝の首脳会談については焦眉の問題になっていない、そういう発言がございました。外務省認識は以上のとおりでございます。
  139. 江田憲司

    ○江田(憲)委員 終わります。
  140. 江藤拓

    江藤委員長 次に、笠井亮君。
  141. 笠井亮

    ○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。  北朝鮮問題の解決に向けて、この間、劇的な進展が見られる。四月二十七日に予定をされている南北首脳会談の開催、さらに米朝首脳会談の動き、そしてさきの中朝首脳会談の開催など、北朝鮮問題の対話による平和的解決を促進する動きとして歓迎するものであります。  この流れは、朝鮮半島非核化と緊張緩和、核、ミサイル拉致問題など諸懸案の包括的解決の上でも重要と考えます。拉致被害者家族横田早紀江さんも、訴え続けてきたことがここまで来た、チャンスを逃さないでほしいと言われておりますけれども、改めて、加藤担当大臣、そして河野外務大臣の所見を伺いたいと思います。
  142. 加藤勝信

    加藤国務大臣 先日、総理も、直接、横田早紀江さん始め家族会皆さん方からもお話を聞かせていただいたところでございました。  そうした中で、それを踏まえて、これから四月、先ほど話がありましたけれども、トランプ大統領との日米の首脳会談等を通じて、特に米朝会談においてこの拉致問題をしっかり取り上げてもらえるように努力をしていきたいということでもございますし、また、南北首脳会談に対しても、拉致問題を取り上げていただけるように、また、先般、米中の首脳会談がございましたけれども、そうしたことも踏まえながら、引き続き、中国に対しても、この問題に対してしっかり働きかけをしていきたいということ。  それ以外の首脳に対しても働きかけをさせていただいておりますけれども、国際社会挙げてこの拉致問題に対してしっかり取り上げていただくという環境の中で、最終的には日本政府が主体的に取り組むべき課題ではありますけれども、そうした取組にしっかりと努力をしていきたいというふうに思っております。
  143. 河野太郎

    河野国務大臣 日米韓並びに中国、ロシアが、国連の安保理で、累次にわたる経済制裁のための安保理決議案の採択に努力をしてまいりました。今、国際社会挙げて、この北朝鮮に対する圧力を最大化したまま維持していかなければいけないという認識は共通でございます。  また、国連の安保理による経済制裁にとどまらず、日米韓あるいは中国その他、EUあるいはさまざまな国が独自の経済制裁というものを科すようになってきた。ヨルダンは国交を断絶し、かなり多くの国が北朝鮮の大使を追放し、あるいは新規受入れを拒否するというような、国際社会挙げての圧力というものが功を奏して、北朝鮮平昌オリンピックという場面でほほ笑み外交を始めてきた。そして、そこから南北対話米朝対話というものに今つながろうとしておりますが、これまで国際社会は、たびたび、この北朝鮮との対話で、いわばだまされてきた過去がございます。国際社会として、これまでの失敗を繰り返さないように、北朝鮮の言葉、あるいは北朝鮮対話に臨むということだけで国際社会は対価を与えないというところで今一致しているわけでございます。  これからさまざま場面があるというふうに想定をしておりますが、国際社会で一致団結し、北朝鮮にしっかりと圧力を維持し、核、ミサイル拉致問題、拘束者の問題、こうしたものを包括的に解決するよう、しっかりと努力をしてまいりたいと思っております。
  144. 笠井亮

    ○笠井委員 一連の流れで、南北首脳会談に向けて、三月六日に鄭義溶韓国国家安保室長が発表した南北協議における合意で、重要な内容が確認されていると考えます。  特に、これを見てみますと、第三項で、北側は朝鮮半島非核化の意思を明確にし、北朝鮮に対する軍事的脅威が解消され、北朝鮮の安全が保障されれば核を保有する理由がないと、非核化のある意味出口を明確にした。それに向けた入り口として、第五項で、対話が持続される間、北側は追加核実験及び弾道ミサイル発射など戦略挑発を再開することはないというモラトリアムを明確にしている。  安倍総理も、韓国特使の徐薫国家情報院長との面会で、非核化を前提に話合いをすることを日本は評価すると述べておられますけれども、このように、出口、入り口の工程表といいますか、ある意味ロードマップが南北会談で設定されたというふうに思うんですが、河野大臣、いかがでしょうか。
  145. 河野太郎

    河野国務大臣 おっしゃる六項目、これは韓国の大統領府が発表したものだというふうに理解をしておりますが、この三項の中に、北側は朝鮮半島非核化の意思を明確にしとございますが、この韓国特使団が訪朝して以降、北朝鮮自身は非核化や挑発行動の停止について直接言及をしていないという事実がございまして、北朝鮮の意図は一体どちらがどこにあるのかというのをしっかりと分析する必要があるというふうに思っております。また、この第五項の戦略的な挑発という言葉、これが何を意味しているのかが必ずしも明らかになっておりません。  北朝鮮の核やミサイル開発というものは、安保理決議案に違反をし、そもそもやるべきでないものでございますので、やってはいけないものをやめたからといって、そこに何か褒美があるということにはならないというふうに思っております。  これから南北会談に向けてさまざま準備が進められると思いますので、完全かつ不可逆的、そして検証可能な核の放棄、短距離ミサイルからICBMまでのミサイルの放棄、そして拉致問題、拘束者の問題、離散家族の問題、こうしたものを包括的に解決するべく、日米韓、そして国際社会、しっかりと連携をしてまいりたいと考えております。
  146. 笠井亮

    ○笠井委員 大臣、今いろいろ言われましたけれども、南北間で六項目で合意をしたということについては、やはり出口、入り口という工程表が設定されたという意味では私は大事だと思います。これで全て終わったわけじゃなくて、これからのわけであります。  米朝間ではどうかという点でいいますと、これまで、二〇〇〇年の十月に当時のオルブライト国務長官が訪朝をして金正日委員長会談したのが最高レベルの対話ということになっていて、今度、トランプ大統領金正恩委員長との首脳会談実現すれば、そういう意味では史上初めてのことになる。  北朝鮮が核兵器と長距離ミサイル開発、保有している今、以前よりも困難とはいえ、朝鮮戦争の休戦から六十五年間対立してきた米朝両国による首脳会談というのは、問題解決の動きを促進する可能性を持つ。可能性を持つというふうに考えるんですけれども、この点で、河野大臣、いかがでしょうか。
  147. 河野太郎

    河野国務大臣 この米朝首脳会談がさまざまな可能性を持つということは、可能性はあるんだろうというふうに思いますが、現時点でなかなか、日時、場所がまだ確定をしておりませんし、北朝鮮非核化に向けた意思というのも明らかになっておりません。まだまだこの米朝首脳会談については予断を許さないことが多いのではないかと思っておりますが、少なくとも、可能性があるかと問われれば、それは可能性はもちろんあるということだろうと思います。
  148. 笠井亮

    ○笠井委員 北朝鮮非核化の意思というのは、南北の話合いの合意の中で、はっきりあるというふうに確認していることではあると思うので、それは踏まえる必要があるとは思っています。  日本共産党は、北朝鮮の核・ミサイル開発を厳しく糾弾するとともに、国際社会が一致結束をして、中国、ロシアを含めて経済制裁を強化する、このことと一体に、対話による平和的解決を図ることが唯一の解決策だと強調してまいりました。  米朝が対立激化した中で、万一、偶発、誤算による軍事衝突が核戦争にまで発展する事態になれば、おびただしい犠牲は避けられない。  昨年八月には、危機打開のために米朝が直接対話に踏み出すことを我々は提唱しまして、その努力を日本政府と関係国に要請してきたところであります。  私自身も、昨年八月、日韓・韓日議員連盟の合同幹事会でソウルを訪れた際に、穀田議員とともに李洛淵韓国首相と懇談をして、この問題でも意見交換をしたところであります。  南北米朝首脳会談に向かう今日の動きは、破滅をもたらす戦争だけは絶対に引き起こしてはならない、軍事対軍事のエスカレーションではなくて、紛争の平和的解決を求める国際的な世論外交の中で生まれたものにほかならないと確信をいたします。  そこで、河野大臣に更に伺います。  やはり今大事なのは、こういうときこそ日本政府が、劇的に進展する対話による平和的解決の流れに積極的にコミット、関与していくことではないか、このように強く思うところであります。今後の関係国の協議に当たっては、朝鮮半島非核化北東アジア地域の平和体制の構築というのを一体的、包括的に進めることが重要だと考えます。  この点で伺っておきたいんですが、二〇〇五年九月十九日の六者会合、六カ国協議、アメリカ北朝鮮韓国中国日本、ロシアの共同声明、ここでは、朝鮮半島非核化とそれから地域の平和体制の構築についてどのような合意がなされたということでしょうか。
  149. 河野太郎

    河野国務大臣 二〇〇五年の六者会合の共同声明は、地域の平和と安定に大きな役割と責任を有する関係国と北朝鮮が平和的な方法による朝鮮半島の検証可能な非核化を目標として確認した、意義あるものだというふうに思います。また、我が国北朝鮮は、同共同声明において、日朝平壌宣言に従って国交正常化するための措置をとることを約束いたしました。  他方、六者会合共同声明後も、北朝鮮は同声明を無視し、核・ミサイル開発を続けてきたというのも現実でございまして、拉致問題についても、北朝鮮は何ら具体的な行動を示しておりません。  こうした過去の教訓を踏まえると、まずは、今回、北朝鮮の意図をしっかりと見きわめ、日米韓三カ国で緊密に連携しながら今後の展開を注視してまいりたいと思っております。
  150. 笠井亮

    ○笠井委員 今、冒頭に、大臣は六カ国の共同声明については意義あるものというふうに言われましたけれども、この六カ国協議の共同声明の中では、第一項で非核化という問題、そして第二項で平和体制の構築ということを確認し、これらを一体的、包括的に進めるというロードマップになっているということだと思うんです。また、それを進める方法として、第五項で、約束対約束、行動行動の原則による段階的解決を明記している。私は、今日なお、このことについては、この共同声明、重要な意義を持つものだと思います。  国連安保理が昨年十二月に全会一致で採択をした決議二三九七においても、同年十一月の北朝鮮の弾道ミサイル発射を非難し経済制裁の強化を決める一方で、六カ国協議と二〇〇五年の共同声明の支持を表明して、対話を通じた平和的かつ包括的な解決を容易にする各国の取組を呼びかけたばかりであります。  河野大臣にお伺いしますが、日本を含む関係国がこの共同声明に立ち返って問題解決を図ることが求められているんじゃないか、共同声明以降いろいろなことがあったとおっしゃるけれども、やはりここに立ち返って問題解決を図ることが大事なんじゃないかと思うんですけれども、この点はいかがですか。
  151. 河野太郎

    河野国務大臣 先ほど申し上げましたように、この六者会合の共同声明はそれなりの意義のあるものであったというふうに思っておりますが、他方北朝鮮がこの共同声明を無視し核・ミサイル開発を続けてきたことが、この北朝鮮危機を迎えることになったその唯一の原因でございます。  現在、北朝鮮は、先ほどから繰り返しておりますように、非核化に向けたコミットメントをいまだに明確にしていないということを考えると、国際社会として、まず、現在の圧力をしっかりと維持したまま北朝鮮の現実の行動というものを見きわめていきたいというふうに思っております。
  152. 笠井亮

    ○笠井委員 いろいろな経過があったという話なんですけれども、やはりそういう中で今日、対話の流れができているということでいえば、どこによりどころを関係国が求めていくか、日本政府も求めるかということが大事ではないかと思うんですね。  北朝鮮といわば拉致問題でやり合った当時の薮中元外務次官は、こういう状況の中で今北朝鮮対話姿勢に変わりつつある、圧力だけが非核化実現する選択肢の全てではない、米韓と北朝鮮との具体的な交渉日本は直接かかわっていくべきだ、緊密な連携が必要だ、訴えるだけじゃなくて日本の立場を厳しく言い続けるべきだ、これまでの六カ国協議のように、日本非核化に向けた交渉枠組みに完全に入るべきだ、拉致問題は置き去りにしてはいけないのはもちろんだという中で、こういう形で強調されております。  河野大臣に重ねて伺いますが、今こそ日本政府は、日朝平壌宣言とともに、六カ国協議の共同声明に基づいて、今劇的に進展している、あるいは進展する対話による平和的解決の流れに積極的に関与すべきではないか、それ以外にないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  153. 河野太郎

    河野国務大臣 これまで我が国は、国連の安保理で、経済制裁北朝鮮に対して科すという中で、日米韓連携を強化し、中ロの協力を得ながら、北朝鮮に対して国際社会圧力を最大化しそれを維持するということに積極的に関与してまいりました。  現時点で、北朝鮮が言葉あるいは対話に出てくるということで対価を得られないということを明確にし、北朝鮮が具体的な行動に出る、そこまで国際社会が一致結束をし、現在の圧力を最大限に維持するという国際社会の取組を一致結束して続けていくことにしっかりと関与してまいりたいと思っております。
  154. 笠井亮

    ○笠井委員 北朝鮮に対する経済制裁、これの強化と一体に、やはりいかにこの対話による平和的解決の流れを本当につなげて実らせるかということになってくると思うんです。  最後加藤大臣に伺いますが、安倍総理は、三月十六日の文在寅韓国大統領との電話会談で、日本として、日朝平壌宣言に基づいて拉致問題を含む全ての諸懸案を包括的に解決国交正常化を目指す考えに変わりはないと表明をされて、この間の国会答弁でもその旨を明確に述べておられます。  六カ国協議の共同声明とともに、二〇〇二年九月十七日の日朝平壌宣言に基づいて、今こそ、拉致問題を含む諸懸案解決のために、対話による平和解決、平和的解決の流れに積極的に日本政府がコミットしていく必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  155. 加藤勝信

    加藤国務大臣 今お話がありましたように、日朝平壌宣言に基づき、核、ミサイル、そして何よりも重要な拉致問題、これの包括的な解決に向けて、引き続き国際社会と緊密に連携をしながら、まずそのためにも、しっかりとそうした方向に向くように最大限の圧力を維持していく必要があると思います。  総理が国連の演説でも言われましたけれども、北朝鮮には勤勉な労働力があり、地下資源も豊富なので、北朝鮮が正しい道を歩めば経済を飛躍的に伸ばすこともできる、北朝鮮の最高指導者には、拉致問題を解決しなければ北朝鮮は明るい未来を描くことができない、こういう安倍総理が言われる言葉の真意、これをしっかりと理解させていく必要があるというふうに思います。  そういった意味においても、この四月の安倍総理訪米を始め、あらゆる機会を通じて、南北米朝首脳会談拉致問題を取り上げるよう米国、韓国に働きかける。また、北朝鮮首脳会談を行った中国に対しても、中朝間のやりとりで拉致問題を取り上げるよう働きかけるなど、安倍総理が司令塔となってあらゆる施策を駆使して、全ての拉致被害者の一日も早い帰国に向けて、北朝鮮から具体的な動きを引き出すべく全力で取り組ませていただきたいと思います。
  156. 笠井亮

    ○笠井委員 時間が来ましたので終わりますが、今、大事なときです。北朝鮮問題で、対話による平和的解決の流れが劇的に進展しているからこそ、日本政府は、六カ国協議共同声明、日朝平壌宣言の当事者としてこの流れに積極的にコミットしていくべきことを重ねて強調して、質問を終わります。
  157. 江藤拓

    江藤委員長 次に、串田誠一君。
  158. 串田誠一

    ○串田委員 本日の質疑最後となりました。この時期にこのような委員会の開催、そして質疑を許していただいた委員長に深く感謝を申し上げます。  ところで、今回の北朝鮮の動きというのは、私にとっては、あの平昌オリンピックを境にして非常に唐突な感じがしないでもないんですけれども、このような動きが行われていたというのは、これまでの経済制裁効果なのか、あるいは米国による先制攻撃などもニュースとして流れていたわけでございます、また別な理由も考えられるかと思いますけれども、河野外務大臣としてはどのような分析をされているのか、お聞きしたいと思います。
  159. 河野太郎

    河野国務大臣 北朝鮮に対する経済制裁というのを、累次国連安保理決議として採択をしてまいりました。その結果、例えば二〇一七年の中朝の貿易総額は前年比で約一五%減少し、特に、二〇一七年の中国による北朝鮮からの輸入額は前年比三七%減と、顕著に減少してきております。また、二〇一八年の中朝の貿易は、それより更に大きく減少してきています。  また、韓国政府発表によれば、北朝鮮のガソリン価格が、二〇一七年十二月の時点で、二〇一七年の初めに比べて二倍から三倍上昇しているという韓国政府発表もございますので、北朝鮮に対するこうした経済措置といった一連の措置は、北朝鮮の厳しい経済状況をあわせて考えた場合、一定の効果を及ぼしてきたというふうに考えておりまして、それが、この平昌オリンピックを利用した北朝鮮ほほ笑み外交の端緒になっているのではないかと考えております。
  160. 串田誠一

    ○串田委員 これまでの委員質問においても、対話そして圧力、どちらが重視されるのかというのはまちまちであったと思います。  私は、これまでは圧力を緩めるのが少し早過ぎるのではないかという立場でございます。先ほど外務大臣の方からも、これまで八回行われ、そして八十億ドルを支出はしているけれども、なかなか結果を出せなかった。そしてまた今回も、ほほ笑み外交ということで、これまでも大体、そのような譲歩をほのめかしては経済制裁を解く。これが果たして平和につながっていくのかというのは、私は大変疑問に思っているわけでございます。経済制裁を解いて資金的に豊かになり、そしてそれを核開発へと向けていく。何が平和になるのかと私には大変疑問でございます。  したがって、今回は、交換条件ではなくて、結果を見てから制裁を解くべきではないかと私は思うんですが、河野外務大臣の御意見をお聞かせください。
  161. 河野太郎

    河野国務大臣 先ほど申し上げましたように、国際社会はこれまで北朝鮮との対話でだまされ続けてきたと言ってもよろしいかと思いますので、今回は、北朝鮮の言葉あるいは対話に出てくるという姿勢ではなくて、具体的な行動をもって評価をしなければならないというところで一致していると言ってよろしいかと思います。北朝鮮が具体的にどのような行動をとるかということを見ながら、圧力について国際社会の中でしっかり議論してまいりたいと思います。
  162. 串田誠一

    ○串田委員 我が国のいろいろな経過の中で、二〇〇二年というのは大きな成果を上げたわけでございます。拉致被害者五人が国に戻ってきたということでございますけれども、今回もそのような成果というものをぜひとも求めている国民だと思いますが、この二〇〇二年のときに実現をしている環境と現在の環境というのは同じなのか、それとも違うのか。なぜ二〇〇二年は実現できたのか、そのときの対話圧力というのがかなりうまく進行したのか。その点についての分析はいかがでしょうか。
  163. 金杉憲治

    金杉政府参考人 お答えいたします。  これまでの北朝鮮行動を見てみますと、やはり経済制裁、それから軍事的な圧力というのが高まったときに一定程度の譲歩をしてきているということが言えるんだろうと思います。  二〇〇二年のときについても、アメリカとの関係も非常に難しい状況であった、あるいは韓国との関係は一定程度よかったときもございましたけれども、その後厳しくなっている。そういう状況の中で、国際社会に対して譲歩の姿勢を見せたということでございます。  今回について申し上げますと、今河野大臣からもお話がございましたとおり、経済的な制裁が一定程度きいてきている、それからトランプ大統領が、全ての選択肢はテーブルの上にあるという非常に強い軍事的な圧力、その二つが相まって、北朝鮮が今のような対話の姿勢を見せてきているのではないか、二〇〇二年との間で一定程度の類似性はあるのではないかというふうに考えております。
  164. 串田誠一

    ○串田委員 かつてそのような成果が出たときもあるわけでございますから、類似性があるところを最大限に利用するというようなことも研究をしていただきたいと思います。  ところで、河野大臣の所信の中で、そしてきょうの回答におきましても、北朝鮮の側から非核化の言及はない、あくまで韓国を通じた言及であるということ、これまた非常に疑わしいといいますか怪しいといいますか、通常であればみずからが宣言をするべきだと思うんですけれども、ただし、河野外務大臣の所信の中には、このような経緯の中で、韓国に対して努力に敬意を表しますというようなことがあります。この敬意を表するというのは、何に対しての敬意というふうに考えたらよろしいでしょうか。
  165. 河野太郎

    河野国務大臣 北朝鮮平昌オリンピックに向けてほほ笑み外交を始めたわけでございますが、それをこうした南北首脳会談にまで結びつけたというのは、これは韓国側のさまざまな御努力があったからだというふうに認識をしておりまして、まず、北朝鮮がどういう意思を持っているのか、国際社会が確認をすることができる場としての最初の南北首脳会談というのが四月の二十七日にできるようになりました。  ここまでさまざま韓国がやってきた総体的なことについて感謝を申し上げたいと思います。
  166. 串田誠一

    ○串田委員 また、別のところでは、北朝鮮による完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法での核、ミサイルの廃棄を実現するため国際社会が最大限の圧力をかけ続けることが必要です、こう述べられているわけです。  これにちょっと、私は大変心配があるのは、今、南北融和をしている、そして今度は米朝首脳会談が行われる、その中では、やはり一番のタイトルというのはこの核、ミサイルの廃棄だと思いますし、河野大臣もこれについては述べられているわけですが、拉致問題というものが解決されない限りは、たとえ南北の条約あるいは米朝の何らかの合意があったとしても、我が国としてはそれにはくみしない、そういう理解でよろしいんでしょうか。
  167. 河野太郎

    河野国務大臣 今、国際社会として、核、ミサイル拉致問題、あるいは拘束者の問題を包括的に解決しようというのが一致した認識でございますので、今後の南北首脳会談あるいは米朝首脳会談の中で、北朝鮮が真摯な意図を持って対話に臨むならば北朝鮮がそういう行動をとる、とらないならば圧力をかけ続けるということになろうかと思います。
  168. 串田誠一

    ○串田委員 今のお答えというのは、米国が仮に経済制裁というようなものを解くようなことがあったとしても、我が国としては、拉致問題が解決しない限りはそれには応じない、同調しないというような回答であるというふうに理解させていただきました。  といいますのは、所信の中でも、この拉致問題というのは我が国の主権の問題だというように述べられております。この主権の問題であるというのは、改めて、どのような理由で主権を持ち出されたのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  169. 河野太郎

    河野国務大臣 我が国の領域内で北朝鮮によって日本国民が拉致されたということは、我が国に対する主権の侵害であるということを念頭に置いた文言でございます。
  170. 串田誠一

    ○串田委員 改めて確認をさせていただきましたのは、核、ミサイルというものが廃絶されたとしても、拉致問題というのは主権を侵害されている、まさにミサイルで今攻撃をされ続けているという認識を持たなければ、核、ミサイル解決をしたとしても、我が国としては全くもって主権を回復をしていないという認識を持っていただかなければならないと思います。  その点で、三月九日に日米首脳電話会議というのが行われたということでございますが、この中でトランプ大統領理解を得たところですと。この理解を得たというのは、具体的には、トランプ大統領がどのような発言をされたのか、どのような態度で今度の米朝会談を行うのかというようなことを回答してきているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  171. 河野太郎

    河野国務大臣 三月九日、安倍総理トランプ大統領との電話会談で、安倍総理から、昨年十一月にトランプ大統領拉致被害者の御家族の皆様と面会された際、御家族の皆様がトランプ大統領拉致問題に対する姿勢に感銘を受けていたことを伝えるとともに、拉致問題の解決のためにも、トランプ大統領に協力を依頼し、拉致問題の解決に向けて日米で協力していこうということで一致をいたしました。  外交儀礼上、先方の発言についてはつまびらかにしないということにさせていただきたいと思います。
  172. 串田誠一

    ○串田委員 また、十六日には日韓首脳電話会議が行われたということであります。そして、文在寅大統領に南北首脳会談において拉致問題を取り上げるよう働きかけ、拉致問題の解決に向けて引き続き協力していくことで一致しましたということであります。  これは、今回の南北首脳会談において日本拉致問題というものが取り上げられるという認識でよろしいでしょうか。
  173. 金杉憲治

    金杉政府参考人 お答えいたします。  三月十六日の安倍総理と文在寅大統領との電話会談では、安倍総理から、日本として、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決国交正常化を目指す方針に変わりはないということをお伝えをし、来る南北首脳会談では拉致問題を取り上げてもらいたいということを依頼をしました。  今後とも、南北米朝首脳会談に向け緊密に連携していくことを改めて確認をしたところでございます。  南北首脳会談でどのような議題を取り上げるのかにつきましては、先ほど来河野外務大臣からも御答弁がありますとおり、今後の南北間の交渉というのもありますので、予断を持ってお答えするのは難しゅうございますけれども、日本政府としての立場というのは韓国には十分伝わっているというふうに考えております。
  174. 串田誠一

    ○串田委員 非常にその部分が所信の表現とはかなりちょっと食い違いがあるのかなというふうに思ってしまうんです。  我が国の希望を申し上げているというのと、協力していくことで一致しましたというのは、これはちょっと違うんじゃないか。希望に対してわかりましたというのが、協力していくことで一致したということになるのではないかと思うんですが、この所信はそういう点では間違いだということでよろしいですか。
  175. 河野太郎

    河野国務大臣 拉致問題というのが非常に大切な話であって、拉致問題だけでなく、拘束者の問題あるいは離散家族の問題といったものがございますが、国際社会の中でこうした問題を核、ミサイルとあわせて解決しなければならないという認識を共有をしている、そこの時点で、日米あるいは日米韓、一致をしているということを申し上げたまででございます。
  176. 串田誠一

    ○串田委員 ちょっと大変失礼な物言いだったかもしれませんけれども、これまでのことを考えますと、我が国の希望というものを申し上げるだけではなくて、わかっていただけたんですねという念押しというものも必要ではないかなと思っているわけでございます。  ですから、そういう部分について、所信どおりの行動をしていただいているということを私としても希望いたしますし、ちょっと強引だな、外交としてはちょっと行き過ぎだなというようなことがあったとしても、今回の問題は我が国の主権が侵害されているわけですから、そこは遠慮なく徹底的にやっていただきたいと思います。  次に、アニメめぐみ」、めぐみさんのことですけれども、これはタイトルですので「めぐみ」と呼ばせていただきますが、これを教育現場での積極的な活用にしていく、その理由としては、若い世代への啓発が重要な課題であるとの視点からということで、全国の教育委員会等に対し通知を発出し協力を要請したところですということなんですが、ちょっとこれは、あれっと思ったのは、このアニメめぐみ」というのは二〇〇八年に作成されているわけでございますので、十年もたって、要請したところですというのは大変違和感を感じるんですが、これはどういう意味なんでしょうか。
  177. 加藤勝信

    加藤国務大臣 平成二十年度に、全国の小学校、中学校及び高等学校等アニメめぐみ」のDVDを配付させていただきました。そして、そのときにも、拉致問題対策本部の事務局の室長名で、各都道府県・政令指定都市教育委員会に対し、教育現場での活用促進等を要請する通知を毎年発出をさせていただいているところでもございます。  また、その上で、多分、今委員お話しのはこの三月の話だと思いますけれども、私と林大臣との連名で、アニメめぐみ」の積極的活用、作文コンクールへの参加、教員研修会への参加について、各都道府県の教育委員会等に通知を発出し協力を要請している、こういう状況でございます。
  178. 串田誠一

    ○串田委員 小中高校の教員を研修するということでありますが、そのDVDを学校に送ってそれの研修の要請をするということでございますけれども、個々の学校でどの程度これが活用されているのか、これがわからなければ、恐らく、小中高の教員を研修するといっても、現在どういうような利用方法をしているのかということがわからなければ、研修プログラムもつくれないかと思うんですけれども、個々の学校がどのような活用をされているのかということを具体的に調査をするというようなことは行われているんでしょうか。
  179. 加藤勝信

    加藤国務大臣 先ほど申し上げました、室長名で通知を出しているということを申し上げましたけれども、その中で、アニメめぐみ」を学校で視聴した場合に、これは任意ということでありますけれども、アンケートの提出をお願いし、活用状況の把握に努めているところでございますが、ただ、残念ながら、そのアンケート結果を見ると、活用されている状況は決して高くない、こうした状況もございまして、今般、そうした通知も発出させていただく。また、平成二十九年度からではありますけれども、単に「めぐみ」を視聴していただくと同時に、それについての感想文等々を中高生に書いていただく、そういう作文コンクールも並行して実施をしているところでございます。
  180. 串田誠一

    ○串田委員 非常に重要なのは、この拉致問題というのは、実は継続をしているにもかかわらず、発生しているのが随分昔ということもあって、この問題について若い世代がわからない、先ほどの委員の話もありましたけれども、わからないというような若い世代も出ている中で、今、国が何らかの駆け引きを行うに当たっては、拉致問題というものを非常に重大に考えている、これなくしては他のものは譲歩できないんだというようなことを公表したときに、なぜ拉致問題がここまで問題になるのかということの生の事案というものをしっかりと国民理解をしていくということがやはり政府を支えることにもなるのではないかと思うんです。  そういう意味からして、このような、アニメめぐみ」、これはDVDでなくても、めぐみ、動画と検索をしていただければ、ダウンロードなくしてそのまま画像を見ることができるので、大変わかりやすく、そして、やはり、お子さんをなくした御両親の悲しさ、つらさ、苦しさというものが大変よくわかるものでございますから、これを普及するというようなことをもう少し文科省としても進めていただきたい。  昨今、文科省に対して国会議員が何かを言うといろいろと問題を指摘されることもありますけれども、やはり指摘をしなければいけないときには、学校が変わらないということは間違いないと思いますので、その点はやはり進めていただきたいと思います。  最後に、今回の件、もう一度確認をといいますか申し上げておきたいのは、やはりこれは、核、ミサイルというものが解決したとしても、拉致問題が解決をしない限りは我が国としては間違いなく譲歩はしないんだというようなことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  181. 江藤拓

    江藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三分散会