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2018-05-22 第196回国会 衆議院 国土交通委員会 第16号
公式Web版
会議録情報
0
平成三十年五月二十二日(火曜日) 午前九時三十分
開議
出席委員
委員長
西村
明宏君
理事
鬼木 誠君
理事
金子 恭之君
理事
新谷 正義君
理事
土屋 品子君
理事
盛山 正仁君
理事
矢上
雅義
君
理事
小宮山泰子
君
理事
赤羽 一嘉君
秋本
真利
君 岩田 和親君
上杉謙太郎
君 大塚 高司君 大西 英男君 加藤 鮎子君 門
博文
君 神谷 昇君 工藤 彰三君 鈴木 憲和君 田中 英之君
高木
毅君 谷川 とむ君 中谷 真一君 中村 裕之君 根本 幸典君
鳩山
二郎
君
藤井比早
之君 三谷 英弘君 宮内 秀樹君
宮路
拓馬
君 望月 義夫君 簗
和生
君 山本 公一君
初鹿
明博君 道下 大樹君 森山 浩行君 早稲田夕季君 伊藤 俊輔君
大島
敦君 階 猛君 森田 俊和君 北側 一雄君
高木
陽介君 もと
むら賢太郎
君 宮本 岳志君 井上 英孝君 …………………………………
国土交通大臣
石井 啓一君
国土交通
副
大臣
牧野たか
お君
国土交通大臣政務官
秋本
真利
君
国土交通大臣政務官
簗
和生
君
政府参考人
(
法務省大臣官房審議官
) 筒井 健夫君
政府参考人
(
国土交通省土地
・
建設産業局長
) 田村 計君
参考人
(
早稲田大学大学院法務研究科教授
)
山野目章夫
君
参考人
(
公共事業改革市民会議代表
)
橋本
良仁
君
国土交通委員会専門員
山崎 治君
—————————————
委員
の異動 五月二十二日
辞任
補欠選任
高木
毅君
上杉謙太郎
君
鳩山
二郎
君
宮路
拓馬
君
大島
敦君 階 猛君 同日
辞任
補欠選任
上杉謙太郎
君
高木
毅君
宮路
拓馬
君
鳩山
二郎
君 階 猛君
大島
敦君
—————————————
五月二十二日 船舶の再
資源化解体
の適正な実施に関する
法律案
(
内閣提出
第五三号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した
案件
政府参考人出頭要求
に関する件
所有者不明土地
の
利用
の
円滑化等
に関する
特別措置法案
(
内閣提出
第五二号) ————◇—————
西村明宏
1
○
西村委員長
これより
会議
を開きます。
内閣提出
、
所有者不明土地
の
利用
の
円滑化等
に関する
特別措置法案
を
議題
といたします。 本日は、
本案審査
のため、
参考人
として、
早稲田大学大学院法務研究科教授山野目章夫
君及び
公共事業改革市民会議代表橋本良仁
君、以上二名の
方々
に御
出席
をいただいております。 この際、
参考人
の
方々
に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多用中のところ本
委員会
に御
出席
をいただきまして、まことにありがとうございます。
本案
につきまして、それぞれのお
立場
から忌憚のない御
意見
をお述べいただきたいと存じます。 次に、
議事
の順序について申し上げます。 まず、
山野目参考人
、
橋本参考人
の順で、それぞれ十分以内で御
意見
をお述べいただき、その後、
委員
からの
質疑
にお答えいただきたいと存じます。 なお、念のため
参考人
の
方々
に申し上げますが、御発言の際にはその都度
委員長
の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、
参考人
は
委員
に対し
質疑
をすることができないこととなっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。 それでは、まず
山野目参考人
にお願いいたします。
山野目章夫
2
○
山野目参考人
おはようございます。 本日は
意見陳述
の機会を与えていただき、まことにありがとうございます。
早稲田大学
の
山野目
と申します。勤務する大学におきまして
法科大学院
の
教育研究
に携わっており、また、
国土交通大臣
の
諮問機関
である
国土審議会
の中に設けられております
土地政策分科会
の
分科会長
を務めております。 このたび
審議
されております
所有者不明土地
の
利用
の
円滑化等
に関する
特別措置法案
を
政府
が
準備
するに当たりましては、この
分科会
の中に設けられた
特別部会
の
調査審議
が行われ、これに参画いたしました。この経験に基づき、本日はこの
法律案
について
所見
を申し述べます。
所有者
又は
所有者
の
所在
が不明であるという事象がもたらす諸問題への
対処
ということが、時局的な重みを持って解決が要請されており、各
方面
の関心を呼んでいることは改めて申すまでもございません。 そこで、この
課題
につきまして、先ほど申し上げました
国土審議会
の
特別部会
の
調査審議
が昨年秋に始められ、十二月に
中間取りまとめ
を得るところまで参りました。その成果が、本日御
審議
をお願いしている
法律案
でございます。 改めて確認をいたしますと、
所有者
又はその
所在
がわからないという事態は、
所有者
がいないというものではありません。どこかに
所有者
がおりますが、それがわからないということでございますから、わからないところを明らかにすることにより解消することが求められます。 今般
法律案
も、二条におきまして、「相当な
努力
が払われたと認められるものとして
政令
で定める
方法
により
探索
を行ってもなおその
所有者
の全部又は一部を確知することができない
一筆
の
土地
」を
所有者不明土地
と定義し、
探索
という
契機
が強調されます。この定義は、あわせて、
所有者
の全部がわからない場合のほか、その一部がわからない場合を視野に含めることを明らかにしております。 もっとも、
所有者
の
探索
は常に成功するとは限りません。そこで、ひとまず
探索
をおいて、その
土地
を利
活用
することが強く望まれる
場面
もあります。それを可能とする
施策
もまた、今般の
法律案
には盛り込まれてございます。 まず、
所有者
を
探索
するという
課題
の方からまいりますと、その
探索
に用いるツールとしては、農地や森林については台帳を整備する
仕組み
が整えられており、それらの
土地
をめぐる
施策
の展開に役立てられております。そして、より一般的に
土地
の
所有関係
に関する公的な記録に任ずるものが、申すまでもなく、
不動産登記簿
にほかなりません。ここに、
不動産登記制度
が、
所有者
所在
不明
土地
問題を解決するに当たっての焦点として位置づけられる
契機
が見出されます。 少なくとも現在の
制度
において、
権利
に関する
登記
は、
関係
する当事者が
申請
することを端緒として行われます。そこで、
登記簿
が
土地
の
所有関係
を的確に反映する状態を保っていくためには、
国民
に対し所要の
登記申請
を求めていくという
施策
が要請されます。 今般の
法律案
の四十条におきましても、
長期相続等未了土地
についての
登記官
の権限として、
収用適格事業
の
準備
などのため
所有者
を
探索
する必要がある
土地
について、
所有権
の
登記名義人
が死亡した後の
長期
にわたり
所有権
の
登記
がされていない場合において、職権で、
長期相続登記等未了土地
である旨を
土地
の
登記
に記録することができるとする
仕組み
が提案されております。 そして、
登記官
は、
所有者
を
探索
する必要がある
土地
について、必要な限度で、
市町村長
などに対し
情報
の
提供
を求めることができるとされ、例えば、
固定資産税
に係る
情報
の適法な
活用
に道が開かれます。 その上で、
登記官
は、こうした
土地
に係る
所有権
の
登記名義人
の
相続人
などに対し、必要な
登記手続
を
勧告
することができるということも考えられてございます。 なお、
登記申請
の励行を
国民
に求めるからには、それを容易にする方策も用意されなければなりません。その点は、今般の
法律案
というよりも、それを待たずに、
不動産登記制度
の
運用
でも
対処
が可能な
事項
がございます。実際、
相続
の
登記
に関して、
制度
を
運用
する
法務省
が、二〇一六年以降、急ピッチで
手続
の
合理化
を進めるための
行政解釈
の発出を重ねているところでございます。 翻って、今般の
法律案
には、初めに
お話
し申し上げましたとおり、
あと一つ
の大きな
政策課題
への
対処
が盛り込まれてございます。すなわち、どうしても
所有者
又はその
所在
がわからない場合において、
公共
の見地からその
土地
を
使用
することが望まれる場合があります。それを可能とするためには、
土地
の
所有権
を移転させる
仕組み
と、
所有権
の変動を伴わないものとしつつ
土地
の
使用
を認める
制度
とが考えられます。 今般の
法律案
が提案する既存の
制度
の
見直し
としては、いわゆる
不明裁決
の
制度
の
改革
があります。三十二条及び三十四条において、
都道府県知事
の
裁定
で
収用
をすることとし、それをもって
収用委員会
による
裁決手続
とその前提としての
審理手続
にかえるという
構想
でございます。この
法制
上の
措置
とあわせ、
所有者
の
探索
を
合理化
する
運用改善
も望まれます。 また、今般の
法律案
が提案する新しい
制度
が、
地域福利増進事業
でございます。
地域福利増進事業
とは、二条三項において、
地域住民
などの共同の
福祉
又は利便の
増進
を図るために行われる
事業
であって、
法律
が定める種類のものをいうとされます。具体的には、
道路
、学校、公民館、図書館、
社会福祉施設
、病院、公園、緑地、広場、
運動場
や
災害復興
のための住宅や
施設
などとしての
使用
が考えられます。こうした
使用
のため、十条及び十三条が定めるところに従い、
都道府県知事
の
裁定
により
所有者
が不明である
土地
を
使用
することを認めるものです。同条三項により十年以下の
期間
を定めるものとされ、この
期間
は、十九条により延長が認められる
可能性
がございます。 このほか、
議題
とされております
法律案
においては、
不在者
の
財産管理
などにつきまして、その
手続
の開始を国の
機関
や
地方公共団体
の長が申し立てることができる特例なども盛り込まれてございます。 このような内容の
法律案
であり、お認めいただくことがかないますれば、
所有者
所在
不明
土地
問題について初めて講じられる体系的な
法制
上の
措置
となります。 その上で、今後の
課題
ということについても考えるところがございます。 まず、
所有者
やその
所在
がわからない
土地
が生ずるに当たっては、
相続
とは別な原因が
登記
上の困難をもたらしている局面もございます。
一つ
の例を挙げますと、
表題部所有者
が誰ほか十九名などと記録されている
土地
は、どのようにして
所有権
の保存の
登記
を実現することができるでしょうか。このような変則的な
登記
の解消を組織的に促進する体制が整備されなければなりません。従来の
行政解釈
の
見直し
のみならず、必要であるならば、その裏づけとなる
法制
上、予算上の
措置
も講じられるべきでありましょう。 また、
地図整備
も重要であります。
国土調査法
に基づく
地籍調査
は、少なくとも従来の
運用
において、直接には
所有者
を明らかにすることを目的とするものではございません。けれども、
一筆地調査
においては、多くの場合において
所有者
を探し、その
意見
を聞くことになるわけでございます。それは、
人々
の
所有者意識
を覚醒させるチャンスとなることでありましょう。
国土調査
の次の十カ年
計画
の策定も見据えながら、
国土調査
の
仕組み
においても工夫をするべき
事項
を整理しておかなければなりません。
最後
になりますが、今般の
法律案
が
相続
の
登記
の
申請
を
勧告
する
仕組み
を提案することは、
一つ
の前進ではあります。しかし、それのみでは
応急措置
であるにとどまります。
勧告
を根拠づける思想が用意されなければなりません。なぜ
勧告
をするか。それを明快に説明するためには、
土地
の保有など
権利関係
を明らかにすることについて
国民
が協力しなければならないことが明確にされなければならないものでありましょう。 現行の
土地基本法
は、
公共
の
福祉
の
考え方
を中核とする
土地
についての
基本理念
に即して
施策
や
事業
をする
責務
を国、
地方公共団体
及び
事業者
に課しておりますけれども、
所有者
を始め
土地
に関する
権利
を有する
人々
について、
理念尊重
の
責務
は明示されておりません。ここにも
課題
があり、今後、各
方面
における論議の深化が望まれるところでございます。 これらの
課題
をもにらみ、御院におかれましては、
議題
とされております
法律案
につきまして鋭意充実した御
審議
をいただき、また、
国会
として議決をいただく際は、
政府
において適切に施行の
準備
を進めていただくことを切望いたします。 以上が
所見
でございます。どうもありがとうございました。(
拍手
)
西村明宏
3
○
西村委員長
ありがとうございました。 次に、
橋本参考人
にお願いいたします。
橋本良仁
4
○
橋本参考人
公共事業改革市民会議
、そして、主に高尾山を始めとした
自然環境
や住
環境
を守りたい、そういったものを私
たち
の子孫に手渡したいというそういう思いで、四十年近く、こうした活動をやっております。 きょうは、せっかくお呼びいただいたのですから、現場で今、
土地収用
などが行われているそういう係争の
案件
などの
住民
がどういう点での悩みを持っているか、そういったところ
あたり
を
皆さん
にぜひ聞いていただきたい、そう思う。 そして、私は、この間ずっとこうした問題を、これは
ダム
、それから干潟、湿地、そして
スーパー堤防
などを含んだ
堤防
、その他もろもろの
公共事業
があるわけですけれども、こうした中で、不幸にもそれが
裁判
にもなったり長い間この問題に取り組んだために、五十年近くも
自分
の人生を費やしている、そういった方も多くいらっしゃる。そうしたことは、私は、この日本の国の中では大変な不幸だと思っています。
行政
も
国民
も協力して、本当に
合意形成
のできる
公共事業
の
あり方
というのを求めたい、それが私の基本的な
考え方
です。 なお、
公共事業改革市民会議
は、ここにもおられますけれども、
初鹿議員
を
事務局長
とする
公共事業チェック議員
の会の
皆さんたち
の協力も得ております。 私は、基本的にはこの
法案
には
反対
という
立場
ですが、
法案
の
中身一つ一つ
を全て
反対
ということではございません。 まず、
所有者不明土地
問題に対する基本的な認識ですけれども、ここにペーパーをお出ししましたけれども、これは、この問題ではやはり多大なコストもかかっているわけですし、そして、不明な
土地
、今、さきの
山野目参考人
がおっしゃられましたけれども、放っておくということはやはり非常にまずいわけです。したがって、この
土地
を、やはりきちっと
国民
の理解を得て
公共事業
などに利するということはあり得るというふうに考えております。 ただし、ここも基本的な私の考えですけれども、憲法に保障された
財産権
の侵害や、さらに、これを制約するという問題が起こりますから、これはよほど丁寧にやらないといけない。その点で今回の
法案
を考えてみたい、そういった点での
意見
を申し上げたいと思います。 まず、
法案
で期待できること、これはここにも書きましたけれども、
地域福利増進事業等
の
創設
については、これはこの調整を図ったものでありますので、
所有者
不明の
土地
がこれでどれだけ減るのか、その
効果そのもの
にはちょっと疑問はあるわけですけれども、
土地
の荒廃の防止などにはこれは一定の
効果
はあるだろうというふうに考えておるわけで、また、
所有者
の
探索
を
合理化
するための
土地等権利者関連情報
の
利用
及び
提供等
の
制度
の
創設
は、
空き家対策措置法
などももう使われているもので、必要な
措置
であると考えます。 では、この
法案
に私が
反対
する理由は、その次に書いております。 基本的な
考え方
は先ほど申し上げたとおりですけれども、いわゆる私
たち
が携わっている
公共事業
についての
最大
の問題は、
所有者不明土地
も含めて、
土地活用
が進まない、このことにあるのではないと考えております。
土地利用
や
土地活用
ばかりに目を奪われるべきではないだろうというふうに思うわけです。
最大
の問題は、
公共事業
の
決定プロセス
において、
情報公開
が著しく乏しく、
国民
の声が反映されるそういう
仕組み
が確立されていないことにあるのではないかと考えます。 例えば、
計画段階
から
評価
をするということで、
沿線住民
の、
関係住民
の声をこの
計画
に反映するということで導入された、
構想段階評価
というのが導入されておりますけれども、それが導入されている三カ所において、特に
中部横断自動車道
の
沿線住民
の方からは、これまでの
事業
の
あり方
と何も変わらず、簡単に言えば、ありきたりに言えば、先に
道路
建設ありきというこういうことで、
自分たち
がどんなに
意見
を述べてもこれが反映することがない、こういうふうな苦情がたくさん寄せられております。 この点で、今回の
法案
で問題となる
土地収用
という
場面
でも同様ではないかと考えるわけです。 今まで、
土地収用
をかけられても、
意見表明
の
方法
もわからずに、どうしたらいいのか。
土地収用
というのは、
国民
の
皆さんたち一般
には
強制収用
というふうな捉え方ですから、又は、
行政
の方が、
最後
はこの
土地収用法
があるからという、伝家の宝刀があるかのごとく、
住民
にはそこでおびえるという状況があるわけです。 したがって、これは非常に丁寧にやらなきゃいけない。大勢の
住民
が、例えば、
熊本
の
石木ダム
の
皆さんたち
は今
裁判
もやっておりますけれども、どう考えても、県民の世論からいっても、これは問題だ、つくる必要がないのではないかと思われている
石木ダム
について、
最後
に
強制収用委員会
を開いて
収用裁決
を出すという、こういうところまで来ております。 墳墓の
土地
を奪われる数十人の
地権者
の身になって考えていただきたいと思うんです。この点では、今回の
法案
とは直接
関係
はないと言われるかもしれないけれども、そういう精神が私はとても大事だというふうに考えているわけです。 時間がありませんから次に行きます。
土地収用法
の
事業認定
に至る
手続
は、
公聴会
を開催して
第三者機関
の
意見聴取
をすることになっております。しかし、この
第三者機関
というのは、
国土交通省
の
社会資本整備審議会
であり、主に
審議
するところは
土地収用部会
であります。この
委員
は、
起業推進
をする
国土交通大臣
がその
責任者
であり、その
審査
をするところも
国土交通省
の
事業認定庁
である。その後の、
知事
が
事業認定
をして、
知事
がこの
案件
では
裁決
もできるというふうになっていますけれども、ありていに言えば、左手で
答案用紙
を
自分
でつくって右手でサインをする、オーケーです、こういうことになるのではないか。そういう面では、
関係住民
の
皆さんたち
はこの問題に大変疑問を呈しておられます。 ここに、横浜の
環状道路南線
の
公聴会
の
意見
が出たことに対しての、
土地収用部会
での
議事録
を
住民
が要求したものがあります。開示されたものは、皆、こういう真っ黒けの
議事録
です。こんなものを出されても
議論
にはなりません。この
土地収用部会
でどのような
議論
があったのかということが明示されてこそ、この
事業
の
公益性
が担保されるのではないかと私は申し上げたいと思います。
最後
に、私は、四十年間この
公共事業
にかかわっている視点から申し上げたい。それは、かの
皆さんたち
も御存じかもしれない。
熊本
県の下
筌ダム
という
ダム
の紛争がありました。私の年代だとおわかりだと思います。いわゆる
蜂の巣城
の闘いと言われたものです。その
運動
のリーダーであった
室原知幸
さんはこのように言っております。
公共事業
は、法にかない、理にかない、そして情にかなわなければならないと。まさしく、私はこれは至言だと思います。 私は、そういう
立場
から、単に個別の
事業
に
反対
するのではなくて、それぞれのこうした問題について、
行政
の
皆さんたち
ともよくコミュニケーションをとって、そして、
公共事業改革市民会議
としても、
国会議員
の
皆さんたち
にもこの
改革
の
法案
を御提示して
議論
を進めていきたいというふうに考える所存です。 ありがとうございました。(
拍手
)
西村明宏
5
○
西村委員長
ありがとうございました。 以上で
参考人
の
意見
の開陳は終わりました。
—————————————
西村明宏
6
○
西村委員長
これより
参考人
に対する
質疑
に入ります。
質疑
の申出がありますので、順次これを許します。
門博文
君。
門博文
7
○
門委員
おはようございます。自民党の
門博文
でございます。 先般、この
法案
について
質問
をさせていただきまして、また引き続き、本日は二名の
参考人
の
方々
に
質問
をさせていただきたいと思います。
所有者不明土地
、この間も
お話
をしたんですけれども、
人口減少社会
、そして
地方
から都市へいろいろなものが移動していった中で、
地方
のこういう
不動産
の価値が著しく低下をしていっている、そういうことがこの問題の背景に大きく横たわっているのではないかということを
お話
をさせていただきました。 私の地元も和歌山で、同じような
環境
におるわけですけれども、
所有者不明土地
の
利用
の
円滑化等
に関する
特別措置法
ということですけれども、今ある
所有者不明土地
をどう
公共事業
の中でしていくかという問題と、また、もっと大きな
フェーズ
は、先ほど
山野目先生
の
お話
にもあったかと思いますけれども、
所有者不明土地
の
発生そのもの
をこれから我々の時代でどう対応していくかというこの大きな
フェーズ
があるというふうに思いますけれども、その
あたり
、少しずつ両
参考人
の
先生方
に御
質問
をさせていただきたいと思います。 まず
山野目参考人
に
お尋ね
をしたいと思うんですけれども、いただきましたこの
資料
の表のところ、
資料
の一番最初に、「
所有者
またはその
所在
がわからない、という問題の意味」というところで、「相当な
努力
が払われたと認められる」というふうに書いていただいております。先ほども
お話
しいただいたかと思いますけれども、この
あたり
、今の
行政
のいろんな
仕事
の中でどの
あたり
がこういう相当な
努力
というふうに
評価
されるのか。その
あたり
、御見識の中でお答えをいただきたいと思うんですけれども、よろしくお願いいたします。
山野目章夫
8
○
山野目参考人
御
質問
いただきましてありがとうございます。 ただいま御指摘のとおり、
議題
としていただいております
法律案
の二条一項におきましては、
所有者不明土地
とは何かということにつきまして、相当な
努力
が払われたと認められるものとして
政令
で定める
方法
により
探索
を行ってもなお
所有者
の
所在
、
所有者
の全部又は一部を確知することができない
一筆
の
土地
をいうとされております。
探索
をしなければならず、しかも、その
探索
は相当な
努力
が払われたと
評価
できるものでなければいけないというところまでが、いわば、この
法律
が御採択をいただける際には、立法府から
政令
を定める
行政
府に対する指示といいますか、委任の範囲としてガイドが与えられているところでございます。 具体的に、これを受けて
政令
でどのような
方法
を定めていくのかということは、この
法律案
が
法律
として成立した後に、
国土交通省
を中心に起案をし、
政府
において
政令
を決定していただくのを待つほかないわけでございますけれども、
意見陳述
で申し上げました、
国土審議会
における
調査審議
の
過程等
においてイメージしておりましたのは、
探索
の
方法
として求められる水準として、
登記簿
はもちろんのこと、
関係人
の戸籍や
固定資産税情報
などを調査し、さらに、親族からの聞き取りなどを行いつつ、
土地
の現況を確認するなどして
探索
に努めることが期待されるものでありまして、そのような
方法
が
政令
で定められることが期待されており、また、想定されているところであると理解しております。
門博文
9
○
門委員
ありがとうございました。 続けて
山野目参考人
にもう
一つお尋ね
をしたいと思うんですけれども、私、
民間会社
でずっと
仕事
をしておりまして、そのとき、しばらくの間ですけれども、
新築マンション
を販売する
仕事
に携わったことがありました。 そのとき初めて、そんなことを言う人もいるんやなと思ったんですけれども、買われたお客さんが、
不動産
登記
しないと言われたんですよ。
登記
は、
権利
の方ですけれども、
第三者
に対抗するためにやるもので、しなくたっていいんだということで、結果的には、説得をしてしていただきました。そういう理屈が片っ方にある中で、
登記
を必ずしなければいけない。そしてまた、どなたかがお亡くなりになったときに
相続
をしていかなきゃいけないということで。 今の
意見
を言われた方はちょっと特殊な方かもわかりませんけれども、これもこの前この
委員会
で
質問
をしたときに
お話
をしたんですけれども、普通に生活をされている一般の市民からすれば、どなたかが亡くなって
相続
をしなければいけないというのは、これはめったにあるケースでもありませんし、現金、預貯金に関しては、すぐにでも
相続
をして手元に置いておきたいということなんですけれども、
不動産
に関しては、随分とほったらかしにされるようなことが多いと思うんです。 そのときに
一つ
御提案をさせていただいたのは、地元の市役所とか区役所とか町役場で、何か
不動産
登記
のことをもっと
手続
がやれるようにしたらどうかという提案をしたんですけれども、これはなかなか認められることでなくて、
法務省
は一生懸命、ではその窓口で死亡届を受け取ったら
相続
してくださいよということを啓蒙していると言うんですけれども、この
あたり
の
手続
の煩雑さと言ったらちょっと語弊があるかもわかりませんけれども、今まで民法の
関係
で御研究された中で、
相続
登記
そのものについて、今、日本が出くわしている高齢化、これからまたどんどんお亡くなりになる方がふえていく中で、何か改善していく
方法
を、もしアイデアなどをお持ちであればお聞かせをいただきたいんですけれども、よろしくお願いいたします。
山野目章夫
10
○
山野目参考人
ただいま議員御指摘のとおり、
相続
の
登記
を、もっと
国民
の皆様方にお願いをして、してくださいということをしていかなければ、本日
議題
としていただいております問題も克服していくことができないという状況にある。そのことはまことにごもっともなことであるというふうに感じます。 その上で私なりに感じていることを二、三、申し上げさせていただきますと、まず
一つ
は、ただいま議員も役場の窓口などで案内するというようなアイデアをおっしゃっていただいたんですが、それを受けとめますと、やはり、
国民
へのノウハウの
提供
ということを
政府
としてはしっかり
努力
をしてやっていっていただく必要があるのではないかと感じます。
相続
に係る
登記手続
のうち、簡易なものは当事者がみずからすることができるよう、
政府
として支援や広報することが望まれますし、また、
関係
者の連絡調整や複雑な
手続
を要する事案については専門家の実効的な支援を受けることができるよう、
制度
環境
の整備に努めることがよいと感じます。 しかし、それを進めていく上では、
国民
に対して
手続
の負担をお願いするものでありますから、それをお願いした
国民
が、さあそれをしようというときに、いやいや、それをしていただくと税金がかかるんですよ、登録免許税が千分の四かかるという現在の
制度
になっております、いろいろ特例はありますけれども。この登録免許税の
制度
の
改革
ということも避けて通れない
課題
であると感じます。 こうした
努力
を重ねていった上でのことではありますけれども、これは私の夢かもしれませんが、
一つ
のイメージの例示として、日本人の文化として、世代の交代により
土地
に関する
権利
の承継があった場合に、
自分
のために
相続
の開始があったことを知った日の翌日に起算する十月が経る程度までの間には、税金のことも
登記
のこともきちっとやってくださいねというような、何と申し上げたらよろしいんでしょうか、文化が育まれるとよいなというふうに感じます。 ただ、文化はほっておいて育まれるものではありませんので、それを促していく、先ほど申し上げましたようないろいろな
政府
の
施策
を期待したいところでございます。
門博文
11
○
門委員
ありがとうございました。 今、
参考人
がおっしゃっていただいたように、そのリミットというか期限というか、そういうものをきちんと明示すれば、我々、割と勤勉で真面目な
国民
性とよく言われるように、そういうことが実行されると思うんですけれども、あるとき払いの催促なしみたいに、いつでもいいやというふうに放置されると、ついついこういうことが起こっているんだというふうに私も理解をさせていただいております。 続いて
橋本参考人
に
お尋ね
をさせていただきたいと思いますけれども、今、陳述いただきました御
意見
の中に、
情報公開
が乏しい、それから、
公共
工事のその
評価
していく、
収用委員会
の
第三者機関
の
意見聴取
の問題、私も同感するところがあります。 よく、できレースと言ったら申しわけないですけれども、そういうことで
合意形成
を図ったかのように見られる部分というのは、正直言ってあるのかと思います。 それと、
情報公開
の部分も、これも私が、
自分
の今選挙区の中で二
案件
、
道路
のことで地元から御相談を受けているのは、国道と県道、都市
計画
道路
ですけれども、これも突然
計画
の図面が地元に公開をされて、また、変更されたのも突然変更された。一体全体、
自分たち
は、その
方々
は、用地の
提供
に対しては協力しようという前向きな
方々
でさえ、こういうことをされると、なかなか信頼
関係
が構築できにくいという指摘を受けているんです。 今、
意見陳述
していただきましたけれども、改めて、この
情報公開
や
第三者機関
の公平性ということに対してもう少し踏み込んで御発言をいただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。
橋本良仁
12
○
橋本参考人
御
質問
ありがとうございます。 今
委員
が
質問
されたことはとても大事なことだと。いつも、
関係
する
住民
は、必ずしも
反対
という
立場
で初めから
反対
しているわけではございません。協力をしようとしても、今おっしゃられたようなところで、
情報
開示も不徹底、ある日突然に降って湧いたように
自分
のうちが
道路
にひっかかる、こういうのが多いんです。 だから、これは、今きょうの
議論
では
法案
には直接的にはないでしょうけれども、ここのところは、やはりこういう
公共事業
を進める場合の最も基本的な視点だと思います。 そして海外では、ちょっと言いますけれども、オーフス条約というのがございます。リオの九二年のサミットに基づいて九八年にデンマークのオーフスという市で締結された、四十七カ国、現在批准しているそういう条約ですけれども、このオーフス条約というのは、
情報
開示の徹底、二つ目は市民の
事業
への参画の保障、そして司法アクセスへの簡易さ、これをうたっております。 そしてこれが、批准しているフランスやデンマークなどを私が調査した限りでは、日本の
公共事業
の状況を向こうの
行政
マンに
お話
しすると、考えられない、理解できない。 やはり私は、そういう面では、今も
環境
省の
皆さん
と五年間にわたって、このオーフス条約について検討してくれということを要望しておりますけれども、すぐにここにまでいかなくても、大事なのは、現在の
法律
の範囲でも、
行政
がその気があればかなり改善できる、コミュニケーションはとれるものだというふうに私は、
行政
の
方々
にもそういう信頼をしたいというふうに思っています。 以上です。
門博文
13
○
門委員
ありがとうございました。 いずれにしても、先ほどお示しいただきましたように、文書とかいろいろなものを、
資料
を請求しても、内容が不明確なままで提出されたりということが往々にしてあろうかと思います。我々もそういうところには注意をしながら、
行政
の透明性というか、そういうものも促していかなければいけない。ちょうど今そういう時節にあるのかなというふうに思います。 もう
お尋ね
してお答えをいただく時間がないので、こちらから一方的に
お話
をして終わらせていただきますけれども、
土地収用
に関しても、いろいろ今までもやっていると思いますけれども、更に丁寧な
手続
を進めていくということも必要かと思います。 また、反面、これも私の地元であったことですけれども、善意と悪意という言葉で言ったらあれなんですけれども、悪意で、
土地
を高く売るために
不動産
業者がその
土地
を入手して、
土地収用
手続
でその工事自体をおくらせていくというそういう悪質なことをやる人
たち
も中にはおりますので、
土地収用
についても、善意の方、悪意の方、それぞれの
立場
があると思いますけれども、また我々も、いずれにしても、丁寧な
手続
を今後も求めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 本日はどうもありがとうございました。
西村明宏
14
○
西村委員長
次に、早稲田夕季君。
早稲田夕季
15
○早稲田
委員
おはようございます。立憲民主党の早稲田夕季でございます。 本日は、両
参考人
に御参加をいただきまして、大変示唆に富んだ
意見陳述
をしていただきましたことをまずもって感謝申し上げます。
山野目先生
は、
国土審議会
土地政策分科会
の
特別部会
部会長もお務めをいただきまして、この
法案
に関してリードされてきたということも存じておりますし、また、
橋本参考人
におかれましても、
公共
工事の
改革
ということに非常に長きにわたり団体として御尽力をいただいていること、改めて御礼を申し上げます。 私も、これまでも空き地、空き家対策等に取り組んでまいりました。その中で、本当に
所有者
がいないということはないわけで、そこに、不明であって判明ができないという、しかも、また判明するのには多大な労力と時間がかかるということも、よくこれまで認識をしてまいりました。その中でのこの
特別措置法案
ということでありますので、非常に一歩前進、大きなものだと思っております。 そうした観点から何点か、お二人にお伺いをさせていただきます。 この
法案
の二つの柱が、
一つ
は
地域福利増進事業
と、それから
土地収用法
の特例
措置
ということだと思いますが、まず
地域福利増進事業
に関してでございますが、この
法案
では、
地域福利増進事業
の定義として、幅広い
公共
的目的というふうに
利用
の目標が書かれております。
事業
の主体としては、
行政
のみならず、NPOや民間の
事業者
も想定しているわけで、この
公共
的という、その的の言う中身が、非常にその基準というものの明確化ということがこれから求められるのではないかと私は考えておりますが、多様な主体を前提としている以上、
公共
的であることの基準に関して明確であることが望ましいと考えますが、どのような基準を持って
地域住民
の福利に資すると判断をするのか。その点についてまず
山野目参考人
にお伺いをいたします。
山野目章夫
16
○
山野目参考人
ありがとうございます。
地域福利増進事業
は、従来になかった、今般、
法律案
におきまして新たに提案している
制度
でございます。 ただいま議員から御指摘、また、あわせて御危惧をいただいたとおりでございまして、
公益性
ないし
公共
性ということに関して、きちっとした確認の上で進められなければならない
事業
であるというふうに考えております。 大きく二つの観点といいますか、二つの
仕組み
を用意して、この
地域福利増進事業
が、今後
法律
になる場合には、的確に運営されていくことがこの
法律案
では狙われているのではないかと理解しております。 二つのうちの
一つ
は、
土地
の
使用
権の取得を認めるための手順といいますか、
手続
の問題でございます。 その観点からは、
裁定
を受けた
都道府県知事
が、
関係
市町村長
や
関係
行政
機関
の長の
意見
を聞くという手順を経なければならず、また、
裁定
がされた場合、その主要な部分についての公告をし、
申請
の基本的な内容について公衆の縦覧に供さなければならないとされております。いやいや
自分
が
所有者
だよという人は、この縦覧、公告の機会に申し出るという機会も用意されております。 こうしたプロセスを経て、
都道府県知事
が
裁定
申請
を相当でないと認めるときには
申請
を却下しなければならないということも
法律案
において明らかにされております。 このような手順の問題とあわせて、中身の問題といいますか、
使用
権の取得が認められる実質的な要件としてどういうことを満たさなければいけないかということについても
法律
に縛りが用意されてございまして、
裁定
の
申請
を受けた
都道府県知事
は、十一条、十二条などにおきまして列挙されている多くの要件を、これはいずれかを充足すればいいということではなくて、全ての要件を充足していなければならないというふうにされておりまして、
一つ
でも内容的に疑問が残る場合には
裁定
申請
を却下するというふうな
手続
が用意されており、これらを通じて運営の適正が図られているものであるというふうに理解しております。
早稲田夕季
17
○早稲田
委員
それでは関連いたしまして
橋本参考人
に伺いたいのですが、市民の
立場
で、こうした
地域住民
の多様なニーズがその基準に反映する、あるいは、プロセスの段階で反映できるようにどのようにしていけばよろしいとお考えでしょうか。
橋本良仁
18
○
橋本参考人
今の御
質問
ですけれども、たまたま私のワイフが三つの保育園の今
理事
長をしております。保育園は、御存じのように大変な今状況なんですけれども、そういうのに、建てかえとかなんかのときも大変苦労するわけです。 当然、建てかえをする場合には一旦移らなきゃいけない。そんなようなときにはやはりこの不明の
土地
が、例えば
地権者
の不明の
土地
を一時的に
利用
させていただくというようなことも今度の
法案
の中にあるようですが、私は、こういうようなところも大変有効に使えるのではないか、それはそう思っております。 私は八王子に住んでおりますけれども、いろいろな面での市民参画というのは進めております。それはどこの市町村でもやっておると思います。だけれども、基本は、どれだけ市民の参加が得られるか、私はこれがキーポイントだと。 だから、どういった
事業
も、市民の偏ったニーズじゃなくて、公平にそのニーズをちゃんと酌み取って、それで
皆さんたち
に御提示して、それで進めるという基本が
行政
のサイドにあれば、私はうまくいくのではないかというふうに考えております。
早稲田夕季
19
○早稲田
委員
ありがとうございます。 プロセスの問題、それから中身については
法案
の方にということでありますけれども、いずれにしても、市民参加でプロセスを透明化して、そしてまた、この中に店舗というようなものも入ってくると、その
公益性
をどのように判断するのかという問題もございますので、ぜひそこは今後の
議論
を注視をしてまいりたいと思います。 次に、
土地収用法
の特例
措置
について伺ってまいります。 この
土地収用
に関しましては、これまで、憲法二十九条における
財産権
の問題がありますので、
土地収用
について、
収用委員会
で
裁決
をやり、十全を期して、十分な
期間
をかけて進めてきたものと承知をしております。 一方で、非常に時間がかかり過ぎるということで、
行政
の方でも、
政令
市長会の方でも、早く
行政
の適正な利
活用
に資するようにやってもらいたいというような要望書も出ていることは存じておりますが、この本
法案
におきましては、この
裁決手続
というのを省略をいたしまして、簡素化することで
知事
の
裁定
ということになったわけですが、こうした
裁決手続
を簡素化すること、これが
国民
の
財産権
を軽んじるものになりかねない。また、恣意的な
運用
につながらないかという懸念もあるところでございますが、これについて、いろいろ
収用
の方で御苦労をされていらっしゃる
橋本参考人
はどのようにお考えでしょうか。
橋本良仁
20
○
橋本参考人
御
質問
ありがとうございます。 私は、先ほど申し上げたように、今の
公共事業
の進め方、そのプロセスは、現在、
事業認定
をして、そして都道府県の
収用委員会
にかかって、そこで公開審理をして
裁決
する。この
制度
は決して、何というか、認める認めないじゃなくて、問題はたくさんあると考えております。もちろん、だから、最初の
構想
段階から、
計画段階
から考えなきゃいけない。 そして、たしか二〇〇二年か三年だったと思いますけれども、
土地収用法
の改正がありました。私
たち
の
立場
からすると改悪だと考えておりますけれども、
収用委員会
で、その
事業認定
、つまり、その
事業
の
公益性
について発言することはできないということになりました。それを担保するために
公聴会
を開いたり、そういう代替
措置
をとったわけですけれども、先ほど申し上げたように、実際は言うだけということで、これは
関係住民
にとってはフラストレーションがたまる一方。 そういうような状況ですので、今回のやつで一番私は
法案
で心配しているのは、
土地
不明者ということを急ぎ過ぎて、それをやれば楽だというふうに
行政
サイドがもしそういうふうになったとき、これを担保するものは何もないじゃないか、そういう不安はあるわけです。 したがって、そこの点でいえば、従来の
土地収用法
の
事業認定
、
収用裁決
という公開審理、こういう
手続
は十カ月ですから、十カ月のためにそこをそんなに急ぐ必要があるんですかと、私はちょっとそこは疑問なんです。 だから、今回の
法案
は、先ほど申し上げたように、
国民
の最も重要な、人の
権利
である
財産権
の侵害という、ここにかかわってくるわけですから、そこを丁寧にするとすると、今でも私は問題あると思いますけれども、今の
制度
を変えるべきではないだろう、そういうふうに思います。 二〇%ぐらいの
土地
不明者がありますけれども、調べれば〇・四一%というふうに、
行政
の方が御苦労されているというのは私も存じ上げています。だからといって、ここはやはり手を抜くべきじゃないだろう。不明者がいるということで、これは
地権者
はいるわけですから、そういうふうに考えている次第です。
早稲田夕季
21
○早稲田
委員
ありがとうございます。
土地
不明者の問題、長年不明でわからない
土地
をどのようにしていくか、大変大きな問題でありますし、今
参考人
がおっしゃったとおり、担保するものがなければ、
所有者
はいるんだからという
お話
も一定理解をさせていただきたいと思います。
収用委員会
のような
第三者
の目が入らないことへの懸念というものは残ります。そういう意味でも、恣意的な
運用
を防ぐような
仕組み
というものも求めてまいりたいと思います。
最後
に伺いたいのですが、
所有者不明土地
から見える
土地
制度
の
課題
ということであります。 この第一歩をこの
法案
で踏み出すわけですけれども、この
法案
だけでは、
所有者
が判明できない
土地
というものについて抜本的な解消にはならないことは皆様おわかりのとおりだと思います。 そのときに、
相続
登記
の義務化の是非でございますとか
土地
情報
の一元化など、いろいろ
課題
はあると思っております。その点からも、不明
土地
から見える
土地
制度
の
課題
、それから今後取り組まなければならないことについて、どのように御認識をされておりますでしょうか。お二人、両
参考人
に
お尋ね
をさせていただきます。
山野目章夫
22
○
山野目参考人
ありがとうございます。 議員御指摘のとおり、本日
議題
としていただいております
法律案
は、
所有者
所在
不明
土地
問題に関する体系的な
法制
上の
措置
として御採択いただければ最初のものになるものでありまして、もちろん、半歩の前進として意味のあるものでございます。 しかしながら、反面におきましては
応急措置
である彩りが強いものでございまして、引き続き、この問題について
政府
はさまざまな
施策
を
準備
していかなければいけないことはもとより当然でございます。 そういう細々した
施策
を進めていくことが大事であるとともに、あわせて重要なことは、
土地
政策の理念といいますか、
土地
所有者
の
責務
の問題にもかかわる思想の整理をきちんとしていかなければいけない。ここのところを今後強く意識して諸問題の検討に当たっていかなければならないであろうというふうに考えているところでございます。
土地基本法
はどうしても、高度経済成
長期
からバブルの時期にかけて、その状況を前提に制定された
法律
でありまして、
土地
が右肩上がりに価値をふやしていくんだという想定でさまざまな理念の宣明や
制度
の基本方針が定められておりますけれども、本日さまざま御
議論
をいただいておりますとおり、
人口減少社会
の中で、もはや、そういう我が国の社会経済の情勢とは全く違う状況なのであると。その状況の中で
土地
政策について国は新たにどういう心構えを持ち、そして
国民
に対してどういう理念でお願いしていくのかということの整理ということも、この秋からまた
国土審議会
の
土地政策分科会
の
特別部会
の
審議
が再開されますけれども、今般、
法律案
の
国会
における御論議なども拝見して、そういう宿題に取り組んでいかなければならないものと考えているところでございます。
橋本良仁
23
○
橋本参考人
基本的には、今御発言あった
山野目
さんとほとんど変わりませんけれども、私が考えているのは、今回の
法案
の前にまずやるべきことがあるのではないかと考えたものです。それは、こういった不明な
土地
を出さないような対策をもっと積極的に
政府
としてやるべきだろうというふうに思っているわけです。 そして、この
土地
の問題というのは、バブルの時期は特にそうでしたけれども、お金と結びついていた
不動産
というものがだんだんとその価値を失って、もはやバブルの時期に買った
地方
の物件がほとんど荒れたまま、売るにも売れない、もしかしたらお金をつけても売れない、そういう状況になっているというのは
皆さん
も御存じだと。こういったものは、単にお金の問題と考えるのではなくて、国土を保全していく、そういう視点が私は大事だと思うんです。 そういった点では、もっと
行政
は積極的にそういった
土地
を緑の保全だとかいろいろな点で役に立てていく、こんなことがあっていいのではないかと思うわけです。お金と直接結びつかない
不動産
も、ぜひそういう
活用
の仕方を考えていく、そういった視点でやるとやはり物事の
考え方
は少し変わってくるのではないかというふうに思うわけです。 以上です。
早稲田夕季
24
○早稲田
委員
ありがとうございました。 時間が参りましたのでこれで終了させていただきます。ありがとうございます。
西村明宏
25
○
西村委員長
次に、
小宮山泰子
君。
小宮山泰子
26
○小宮山
委員
国民
民主党の
小宮山泰子
でございます。 きょうは、
参考人
のお二方、本当に貴重な御
意見
をありがとうございます。 この
所有者不明土地
という問題は、大変さまざまな
課題
があるんだと思っております。きょうもお二方の
お話
を聞きながら、やはり最終的には、何のために
土地
というものがあるのか、その存在理由というものが大変重要なんだなということを感じております。 使えればいい、有効
利用
ができればいいだけではない。場合によっては、個人に対して言えば、
山野目参考人
いわくでは、
所有者
不明なのではなく、まだ確定をしていないだけだということでもありますし、また、
橋本参考人
の
お話
を聞きながら、やはりその
土地
の持つ意味や、また
一つ
には、個人が持つさまざまな歴史、
土地
が持つ歴史であったり、若しくは、その
土地
が地域の自然の中の一角を担うという意味での意味づけというものが経済的な論理ではあり得ないんだということ、その中でどう行っていくのかというのが大変重要なんだということ、示唆に富んだ
お話
で、本当に御提言ありがとうございました。 とはいいましても、やはり人口減少・高齢化社会の進行の中で、いわゆる
所有者不明土地
の
利用
というものは大変地域にとっては大きな意味合い、また必要性があると私は考えております。 また、
反対
する
権利
者がいなくて、建物、簡易な構造で小規模なものを除くがなくて、現に
利用
されていない
所有者不明土地
について、
公共
的な、公益に資するものに関しては
期間
を限って
利用
ができる、
活用
ができるようにしようという今回の
法律
を鑑みるときに、大変さまざまな
課題
、また、誰がこれを指定をするのか。そして、その
利用
に対しどのような公益というものを客観的に
皆さん
が判断をできるのか。 特に、今回の
法律
でいいますと、途中で
所有者
が返してくれと言っても、その
事業
の途中では返さないことになります。終了してからの返還という意味においては、当然、
所有権
の部分も多少出てくるものもあるかと思いますので、その中で、
公共
のものだからこそ、この
期間
というのは
利用
するんだということがやはり明確でなければならないんだと思っております。 そこで、この公に関しましての、
公益性
ということにつきまして、どのような形だったらいいのかというのを改めて御確認をしたいと思っておりますので、御
意見
をお二人に伺わせていただければと思います。
山野目章夫
27
○
山野目参考人
漢字三文字の言葉二つというふうに申し上げたらよろしいんでしょうか、
公共
性と経済性という二つのキーワードをちょっとその題材にして
お話
を差し上げるといたしますと、本日
議題
としていただいているようなテーマを考えるに際して、
公共
性と経済性という二つのキーワードがアンドで結ばれる、及びで結ばれるべきものなのか、オア、又はで結ばれていることで足りるというふうに考えるのかといったようなことをきちっと考えを深めておくということは、この領域における
土地
政策を進めていく上で非常に重要なことなんだろうと思います。 もちろん、一方においては経済性ということがなければ、例えば、
地域福利増進事業
に関与しようということで手を挙げる
事業者
があらわれる
可能性
がございません。したがって、
地域福利増進事業
の
裁定
をするに当たって
都道府県知事
は、
一つ
の要素として、資金の
計画
であるとか
権利
を取得した後の、その後の
事業
計画
などがしっかりしていますかということをチェックするということが要件として求められております。 しかしながら、ただいま議員が仰せのとおり、
所有者
を
探索
する
努力
はしますけれども、最終的にはお会いすることができなくて、当面、十年の範囲で使わせていただくということになります。そうすると、経済性だけがあればよろしいのかということになるわけでありまして、反面におきまして
公共
性ということが重要であります。なおかつ、その
公共
性の中身というものが大事なんだということが、きょう
橋本参考人
が繰り返しおっしゃっていることであろうというふうにも感じます。
地域福利増進事業
の場合で申し上げますと、
都道府県知事
が
裁定
をするに当たっては、十分にその
裁定
の内容を
審査
し、その中で、
地域福利増進事業
に該当するものであることを確認し、のみならず、公平かつ適正に
事業
が行われるということの担保を見きわめた上で
裁定
をするという手順が用意されております。 冒頭に申し上げた問いに対する答えの仕方で申し上げますと、
公共
性と経済性はばらばらであって、オアで結ばれているのでよくて、経済性があればよいのだということでこの領域の
施策
を進めるということは大変危険なことであります。この二つはアンドで結ばれていて、
公共
性が十分に満たされ、かつ経済性の見通しもやられるという、及びでつないだ上で、一件一件の事案を
都道府県知事
が適切な、慎重な手順で見きわめていって進めていただきたいというふうに感ずるものでございます。
橋本良仁
28
○
橋本参考人
小宮山先生は、大体私
たち
参考人
が申し上げていることをおわかりの上で御
質問
されているのではないか、私はそう感じるわけですけれども、やはりこれは繰り返しになりますけれども、今、
山野目参考人
もおっしゃられましたけれども、市民参画がどれだけあるかというのが僕は決定的だと思うんです。これが保障される、それは
行政
を預かる
立場
の人
たち
がやれることですから、これは何もこの
法案
が云々だけじゃなくて、いろいろな
施策
をする場合の基本的な観点は、市民参画、これを、形だけじゃなくてちゃんと魂を入れる、これが大事なのだと。これがあれば、今の
法律
の範囲内でも、例えばアセスでもそうですし、かなり前進すると思います。 そういうことが保障されていれば、
最後
のところのどん詰まりでもめるということはありません。これは先ほど、欧米のEU諸国が、私が調査した限りでも、むしろもめている日本が不思議だというぐらいのことを言われているわけです。 そんなような点から見ると、もう一度申し上げますけれども、
行政
を預かるそういう
立場
の人
たち
が市民と一緒になってこの問題を考える、そういう協働があればこの問題はかなり前進するというふうに思うわけです。 以上です。
小宮山泰子
29
○小宮山
委員
ありがとうございます。 本当に協働というのは大切だと思いますが、なかなかそれが現実にはできない。また、最初の、市役所等とか現場に行くと、対応の仕方とかでこじれる場合が多々あるというのはよく聞こえてくることでもあります。 私の住んでおります埼玉県では、圏央道のやはり最初のところでは、まずはそういった行き違いみたいなものも随分
収用
に関してはあったとも聞いております。その後、もちろん
自然環境
との共存の難しさというのもあり、少しずつ対応しながら道を通したということもございますので、大変よく理解いたしますし、ありがとうございます。 さて、
土地
の荒廃防止というのは大切なことかと思います。
質疑
等でもありますが、昭和初期の共同所有などで、最初は五十人ぐらいだったのが、何代かしていくうちにもう今は七百人、一人の方に何百人という対象者が出るということにおいては、大変これを利
活用
するためにも必要だといったときに、たとえ目的がよくても
収用
ができないというところも現実には起きているかと思います。 共同
相続人
の
所有者
の
探索
範囲を明確にするということは重要なのではないか。それとともに、
登記
をする側が放棄をせずに済むように、若しくは放置をしないためにも、
所有者不明土地
の
相続人
の負担軽減というのも重要かと思っております。 この点に関しまして、
参考人
お二方の御
意見
、また、具体的に何か提案がありましたら、改めてお聞かせいただければと思います。
山野目章夫
30
○
山野目参考人
ありがとうございます。 登録免許税の問題に絞って
意見
を述べさせていただきます。 まさに今議員御指摘のとおりでありまして、この問題提起をいただいたことを大変にありがたいと感じるものでございます。
相続
を原因とする
所有権
の移転の
登記
は、それを
国民
が
申請
する際、登録免許税が課せられるという
仕組み
になっております。
相続
登記
を推進する見地からは問題ではないでしょうか。建物を新築する際にしなければいけない
不動産
に関する表示の
登記
、すなわち表題
登記
につきましては
申請
が義務づけられている反面におきまして、登録免許税が課せられていないという扱いになっております。 なるほど確かに、登録免許税に関しまして、
国会
のこの会期におきまして、租税
特別措置法
に八十四条の二の三の規定を追加し、
場面
を限定して
土地
相続
登記
に対する登録免許税の免税
措置
が
創設
されたところでございます。しかしながら、ほんのかすかの免税
措置
でしかなくて、何というんでしょうか、暴言をお許しいただければ、こんなもので免税
措置
を講じたということで済ませていただいては大変困るわけでございます。 登録免許税の
あり方
を抜本的に再検討し、さらなる税制上の機動的な誘導を講じ、有効な
施策
を進めていただく上で、ぜひ立法府において応援を賜りたいというふうにお願いするものでございます。
橋本良仁
31
○
橋本参考人
基本的な
考え方
は
山野目
さんと同じです、私も。 ただ、やはり高齢化が進んでおりますし、この間、こういう問題がありました。年金の通知があって、百三十万ぐらいの人
たち
が税金を余計に取られちゃった。それは
仕組み
が、税金のその改正があって、所得税を申告しなければというか、きちっと書いて、例年だとはがき一枚のチェックでよかったのが、私も年金受給者ですから、私も、ああ大変だな、これは何か起こるなと思いました。
相続
に関しても、やはり認知症が進んだり、いろいろなことで苦労もあります。私自身も、つい最近
相続
がありました。きょうだいが少なければいいですけれども、又は争いがなければいいですけれども、大変です。 そういうふうなことを考えたときに、やはり今、
山野目
さんがおっしゃられたように、もっと積極的に軽減策をとるべきだろう、それは私も同感です。そうしなければ国土が荒れてしまう。 そういう意味では、そこにきちっと、この
法案
もある面いいところを持っているんですけれども、その大前提となる、そういうところを出さないようにするという
施策
にもっと力を入れる。それは、恐らくこの
委員会
で
皆さんたち
は一致できるのではないかと私は確信しております。 以上です。
小宮山泰子
32
○小宮山
委員
ありがとうございます。
努力
は認めていただいたのかなというところはあるんですけれども、まだまだ足りないということであります。これはまだ
国会
におきましてもさらなる
議論
というものをしなければいけない。また、
国土交通省
だけでできない部分もあるかと思いますが、この点に関しましても
努力
をしたいというふうに今感じたところであります。 時間の
関係
で
最後
になりますけれども、本当は
橋本
先生の実体験をもっと伺いたかったなと思うのですが、
土地
管理の放置を防ぐためには、
土地
の
所有権
の放棄の
あり方
というのも大変重要かと思います。この点に関しまして、義務化では問題解決に必ずしもならないというようなこともおっしゃっているようでありますので、
山野目参考人
から
最後
にこの点に関しましてお聞かせいただければと思います。
山野目章夫
33
○
山野目参考人
土地
の
所有権
を放棄したい、あるいは寄附をしたいというような
意見
が
国民
の各
方面
から時に聞かれるところでありまして、必ずしも無責任な発言としておっしゃっているのではなくて、真に迫られた事情があってそういうふうな御
議論
をいただいているということも理解しております。 反面、
政府
の方としてこれをどう受けとめるかということを想像いたしますと、現行の
法制
でいきますと、財務省の所管のもとに置かれる国有財産になってしまうものでありまして、最適な処分、最適な管理をしなければならないという負担を担わせられるということになります。 こういう発想を変えて、何というんでしょうか、国有財産の新しい形態、
所有権
の放棄を認めるというよりは「
土地
を自然に還す」というような発想で、従来の
行政
財産でも普通財産でもないような、また、もしかすると財務省の所管とは限らないような、新しい公的な
土地
保有の
あり方
をこれから研究していく必要があるのではないかということも感じております。
小宮山泰子
34
○小宮山
委員
大変貴重な御
意見
、ありがとうございました。
西村明宏
35
○
西村委員長
次に、赤羽一嘉君。
赤羽一嘉
36
○赤羽
委員
公明党の赤羽でございます。 本日は、
山野目参考人
、
橋本参考人
、御両名におかれましては、大変お忙しい中、足をお運びいただきまして、また、貴重な御
意見
、御指導をいただきましたこと、まず心から感謝を申し上げたいと思います。 今、
最後
の
山野目参考人
の御答弁の中で「
土地
を自然に還す」という発想があって、もともと言えば、よく地元に行くと先祖代々の田畑を守らなきゃあかんなんて言うけれども、大体これは明治時代以降の話で、本来はそういう話なんじゃないかということから考えれば、
土地
の
あり方
というのは、これは後で
質問
しますが、
山野目参考人
の公述の中で、理念、哲学というものを、その
理念尊重
の
責務
を明示しなければいけない、そういったことってやはり大事なんじゃないかな、こう思ったところでございます。 最初の
質問
に行きたいと思いますが、増田寛也先生が主宰されておりますあの
所有者不明土地
問題研究会、このところの発表でございますが、昨年の六月に、現在のいわゆる
所有者不明土地
というのはどのぐらいあるか。これは、約四百十万ヘクタール、およそ九州と同じだけの面積があるのではないか、そういう発表があった。今後年々増加をしていくという傾向にあって、推定では二〇四〇年には約七百二十万ヘクタールになって、これは北海道全土の面積になってしまうのではないか。こういった推計があるということでございます。 そうした中で東日本大震災のときの高台移転等々でさまざまな問題が起こって、この問題が、何とかしなければいけないという政治的なテーマになってきているんだと思います。 きょう、御両名の、お二方の御
意見
でも、
所有者不明土地
問題の現状を放置しておくことはよくない、これは一致した御
意見
だったと思いますが、これだけふえたものを何とかしなければ、それをどう
活用
するかということも
一つ
の問題でありますが、
橋本参考人
も言われたと思うんだけれども、
所有者
不明という
土地
をふやさないということを考えなければいけないんではないか。 小宮山さんが
最後
に聞かれたこととちょっと重なるんですけれども、やはり
土地
を所有したときに
登記
を義務づけないと、これはどんどんふえていってしまうのではないかというふうに素朴に思うんです。何というんですかね、そこをいじらない限りどんどんふえていってしまって、その有効利
活用
というのはやるとしても、そこの線をとめないとなかなかうまくいかないのではないかと思います。
土地
の義務化についてはいろいろな
議論
があることを承知しておりますが、
山野目参考人
からちょっと御
意見
をいただければと思います。
山野目章夫
37
○
山野目参考人
少し性質の違う二つの論点を御紹介させていただくことになります。 一方におきましては、理念の整備という、ただいま議員も冒頭におっしゃっていただいた観点がございまして、現行
法制
のままで
国民
に対して
相続
の
登記
の
申請
をしなければならないと条文を一個書くこと自体は
法制
的にはあり得ない話ではないんですけれども、それは一体いかなる根拠でできるのですかと。 それが、あなた義務ですよと言われた
国民
から、いやいや、
申請
するかしないかは私の自由じゃないですか、なぜそういうことを
勧告
したり義務づけたりするんですかという反問を受けたときに、現在の
土地基本法
を頂点とする
土地
法制
の体系は、いや、やはりあなたが
土地
を所有している以上、
責務
なんですということをきちっと答えるだけの用意が整っていないという問題が
一つ
あります。 こういう理論的、抽象的な問題も大事であって、一方にはあるんですが、もう
一つ
は、この義務づけの実効性という問題がございまして、現在の
不動産
登記
法の百六十四条を参照して
一つ
の例を挙げさせていただきますと、建物を新築したときには表題
登記
を
申請
しなければならない、これは義務であります。それを履行しないと十万円以下の過料に処せられるということになっております。 こちらの
相続
登記
に関して同じような義務づけをしたときに、義務ですよという訓示規定でとどめるということにするとほとんど実効性を期待することができませんし、何らかの罰則を入れようとしたときに、しかし、その
相続
登記
の
申請
をしないと刑務所に入れられるということになるんですかね。 それはいかにも、恐らく憲法三十一条の要請は、適正
手続
の保障を定めていて、その一内容として罪と刑との均衡ということを要請しているという理解を踏まえて言えば、それはちょっと
法制
的にあり得ないんだろうと思うんです。 そうするとやはり、建物の表題
登記
のように十万円以下の過料にするというようなことしかイメージしていくことができない現在の
法制
の状況だと思います。 ここのところも、だからこの
課題
はもう全然検討する余地がないということにはなりませんけれども、やはり、宿題として認識しておかなければならないのではないかと考えております。
赤羽一嘉
38
○赤羽
委員
昨日、実は公明党のこのプロジェクトチームの会合があって、
法務省
と
国土交通省
が来てこういう
議論
をしたんです。やはり、頭のいい、極めてそういった理性の持ち主のお役人の発想じゃなかなか実効性が、何というかな、実現できない、義務化といっても。 義務化するにはペナルティーをどうするかという話になって、そうすると、突出したペナルティーをつけることはなかなか法体系を考えるとできないというような話になって、結局、ちょっと荒っぽい言い方ですけれども、将来的には、今の法
制度
の中で調和させるというのは大事ではあるけれども、これだけ大変な問題をどうするかというのは、もう少し政治的なアプローチというか、理念、哲学を持って、
土地
というのは本来
公共
的なものであって、家屋の所有とは全然違うんだというようなことから少しその理念性みたいなものを入れないとなかなか抜本的な解決はできないかなと思いますが、しかし、それは恐らく今回の法改正では全く解決ができない。やらなければいけない宿題だと私もそう思っております。 済みません、ちょっと限られているので、本当は
橋本参考人
にもその点を聞きたかったんですが、ただ、ちょっと二つ目に
橋本参考人
にお伺いしたいんですけれども、確かに
土地収用
みたいなことというのは、往々にしてやはり
行政
が全
住民
の意思を酌み取ることができず、大変な被害を生んできたというのは、恐らく数多く実例があって、
橋本参考人
もその現場の中で闘われてきたということで、私は先ほどの
お話
も聞いて、本当になるほどなと感激をしたところでございます。 私、実は神戸選出でございまして、阪神・淡路大震災のときの一期生でございました。数多くのマンションがつぶれて、あのときはマンションの建替え円滑化法という
法律
が実はなくて、区分所有法と民法だけだったんです。そうすると、全区分
所有者
が合意をしなければ建てかえも何もできないというルールだったんです。 ところが、大きなマンションに行きますと、区分
所有者
がそこに住んでいるマンションというのがそんなに数多くなくて、その区分
所有者
がどこにいるかということを探すのも大変。探し切れなかった場合には、それはもう全く何もできずに終わったという状況が続いて、いろいろなところで
裁判
が起こり、
長期
化して、そして、実はマンション建替え円滑化法という
法律
をつくりました。 このときも、区分
所有者
五分の四以上の賛成が得られれば建てかえができるという、ここがやはり
議論
があって、ある政党は、やはりそれは
財産権
にかかわることだということで
反対
をされた。それはそうなんです。非常にナイーブな
議論
のあるところだと思うんですけれども、その少数の方
たち
、また、見つからない人
たち
のために多くの方
たち
の新しい生活再建が進まないということは、やはりそれは
一つ
の考えなければいけない視点なんじゃないかということでああした
法律
ができたわけです。 ここはまだまだいろいろな
議論
があるかと思いますし、プロセスというのは丁寧にしなければいけないわけでありますが、そういったことを承知の上で、今回の
法律
の内容では、
反対
する
権利
者が存在しないで、建築物がなくて現に
利用
されていない
土地
に限定する、こうした内容で、
財産権
に配慮しつつ
手続
の円滑化を図られている
法案
の内容だとこう私は思うわけでありますが、この点について、まず
橋本参考人
、そしてその次に
山野目参考人
の御
意見
を伺わせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
橋本良仁
39
○
橋本参考人
不明者の
土地
が、増田
審議
会の中で、二〇%、九州、アイランドに匹敵するぐらいの、ただ、これはちょっとひとり歩きしていないか、私はそういう危惧感を持っています。(赤羽
委員
「それは聞いていない、その
議論
はしていない」と呼ぶ) それで今の御
質問
ですけれども、この
法案
そのものは、まともに読むとというか、私はその趣旨は
反対
するものではないと思います。 ただ、
努力
すれば〇・四一%まで落ちるわけですから、ここのやはり
努力
は、それは、十カ月短縮ができるということとこれは比較考量するものではないだろう。そこのところはやはり丁寧にやるべきだ。それだけやはり
財産権
は重たいというふうに思うわけです。 そして、先ほどの陳述では時間がなくて余り申し上げませんでしたけれども、現在、こういう事例があります。 リニア中央新幹線の工事が急ピッチで進んでおります。この
事業
は、東京品川から名古屋まで二百八十六キロのうち八六%が、都市部も含めて、南アルプスなどはトンネルで通過するわけです。ここから出る排出土は、ここで私も書きましたけれども、半端な排出土ではありません。東京ドーム五十一杯分、六千三百万立米、これはもう大変なんです。 今、この
事業
の進捗は……(赤羽
委員
「先生、ちょっと済みません、時間が限られているので先ほどの私の
質問
にだけちょっと」と呼ぶ)ただ、これが重要ですからちょっと。 これは残土置場が決まらなければいけません。残土置場は、私もこの間調査で行きましたけれども、山林や谷戸が圧倒的に多い。ここは、
地権者
が不明のところということでは多いというふうに考えられます。 そういった面では、うがった見方かもしれませんけれども、このリニア中央新幹線の
事業
を推進するための、こうやって出てきた
案件
の
一つ
かなというふうに思ったわけです。 これは、
委員
はそれぞれ
考え方
があろうことだと思いますけれども。ただ、ここだけを見たら、私はこれはきれいな
案件
だというふうに思います。 以上です。
山野目章夫
40
○
山野目参考人
今般
議題
としていただいております
法律案
で、
土地収用
の
制度
の特例を提案申し上げておりますけれども、意外にと言ったらよろしいんでしょうか、見かけほどこの
土地収用
に関する特例は、何といったらいいんでしょうか、大したことないよという部分がありまして、従来のいわゆる
不明裁決
の
制度
がうまく動いていないところを全部抜本的に解決するだけの大がかりなものが提案できているかというと、そうではございません。
所有者不明土地
の中の特定
所有者不明土地
に該当するものに限って、すなわち、簡易なものを除き建築物が存在せず、現に
利用
されていない
土地
であって、建築物の補償、移転料、営業補償などの算定を要しないというこの非常に限られた領域について、
土地
調書や物件調書の作成をしないで進めるという特例を導入しようというものです。 それは恐らく現場の感覚からいうと、こんなものよりもっと広げてもらわなければいけないというくらいの
議論
はあるだろうと思います。 しかし、先ほど小宮山議員の御
質問
にお答え申し上げた際に申し上げましたように、こういう政策は、半歩ずつあるいは一歩進めなければいけないので、余りにもラジカルに進めていくことの、つまり、経済性重視の問題というのもあるわけですから、今回はここまで進めさせていただきたいということでお願いさせていただいているところでございます。
赤羽一嘉
41
○赤羽
委員
それでは
最後
に、時間もないものですから済みませんが、所有を放棄して国が受け入れるとしても、先ほど
お話
も出ましたが、コストがかかる。森林なんかも荒れ放題で、今回新たに森林税をつくって、税金でその森林の維持管理をしていこうというそういったことができている。それはそれなりの
国民
共通の理解があるからだというふうに思っております。 冒頭申し上げたように、
山野目参考人
から、
土地
の保有など
権利関係
を明らかにすることについて
国民
が協力しなければならないんだ、そういった理念が醸成されることが大事だというふうに、私、大変感動して聞かせていただいたんですが、このことについて
最後
一言何か付言があれば、御
意見
を聞かせていただいて終わりにしたいと思います。よろしくお願いします。
山野目章夫
42
○
山野目参考人
ありがとうございます。 今般、
法律案
の
審議
の様子なども拝見させていただいた上で、この秋には、
国土審議会
の
土地政策分科会
特別部会
の
調査審議
を再開する予定でございます。 そこではまた考え込んでいかなければなりませんけれども、現在の
土地基本法
が抱えているいろいろな問題、今議員の御指摘との
関係
でいいますと、
土地
の
基本理念
を尊重して
施策
や
事業
をするというのは、何も国や
地方公共団体
、
事業者
だけではなくて、
土地
を所有している人
たち
、あるいは
国民
一般も
責務
として負ってくださいよという
考え方
を強く打ち出していったり、そのことの
一つ
の応用といいますか発展として、
自分
の
土地
の所有の保有
関係
を明らかにする、これも義務ですよというようなことを、本日の御
議論
のようなものを伺っていると、当然のことであるという意識が広がってきているんだと思いますが、きちっと
法制
上も明らかにしていって、それを踏まえた各個別法の展開をまた促していく必要があるのではないかと考えます。 議員に御賛同いただいて大変に励まされた思いでございます。ありがとうございます。
赤羽一嘉
43
○赤羽
委員
どうもありがとうございました。以上で終わります。
西村明宏
44
○
西村委員長
次に、もと
むら賢太郎
君。
もとむら賢太郎
45
○もとむら
委員
無所属の会のもと
むら賢太郎
です。 両
参考人
は、お忙しい中、本日のこの
委員会
に御参加いただきましたことをまずもって御礼申し上げます。 数点お伺いしてまいりたいと思いますので、早速
質問
に入らせていただきます。
所有者不明土地
が生じる大きな理由の
一つ
は
登記
を行うことにあるということでありまして、そこで、
登記
を義務化してはどうかという
議論
もございますが、
登記
の義務化についてお二方のお考えをお聞かせください。
山野目章夫
46
○
山野目参考人
先ほど小宮山議員から
お尋ね
をいただいて、赤羽議員からも問題提起をいただいたことに尽きるものでございますけれども、既に申し上げました、
土地
に関する
所有者
の
責務
、理念の整備ということに加えて、実際に
相続
登記
の
申請
を義務づけるに当たって、それを考えようとすると、考え込まなければいけない宿題がたくさんございます。 例えば、
相続
税の
申請
を的確にしないと五年以下の懲役に処せられることがあるんですが、
相続
登記
の
申請
をしないと五年以下の懲役というわけには恐らくいかないんだろうというふうに思います。罰則の程度をどのくらいにし、どういう内容の罰則を用意するかということを考え込まなければいけません。 合わせて四つ申し上げますが、二番目は、罰則を実効的に発動していくことができるんだろうかと。多くの違反事例が予想されるんですけれども、つまり、交通違反がたくさんあれば、お巡りさんを用意していて待機していていただいて、違反車両を見つけたらサイレンを鳴らして追っかけていかなくちゃいけないんですが、これを一体国のどの
機関
にマンパワーと予算を委ねてお願いしていくのかということがあります。 それから三点目ですけれども、例えば十万円以下の過料にするというような
仕組み
を入れたときに、十万円を一回納めると終わりなんでしょうか。つまり、十万円なら払ってやるよ、だけれども、
自分
は
登記
しないよというふうに居直られたときに、そこはもう
登記
がされないままの状態で続いていくことになります。難しい言葉を使って恐縮ですけれども、真正不作為犯の罪数の問題というのがございまして、一回処罰したら恐らくだめなんだろうと思うんです。こういう問題があります。 それから加えて、遺産分割の期限との
関係
という論点がございまして、例えば、お母さんが持っていた
土地
をお姉さんと弟が受け継いだ。弟さんとお姉さんが、おい、どっちの
土地
にするというふうに相談しているんだけれども、相談がなかなかまとまらない。五カ月、六カ月と過ぎていく。この相談をすること自体は大切なもので、待ってあげなければいけないはずなんですが、いや、
相続
登記
の
申請
が例えば六カ月以内、十カ月以内にされていないので処罰します、こういうことになるのかということも悩ましいところでありまして、先ほど赤羽議員の
お尋ね
にお答え申し上げたとおり、だからこの宿題はもう投げ出してしまうということにはなりませんけれども、これらのことはしっかり考え込んでいかなければいけないのだというふうに考えている次第でございます。
橋本良仁
47
○
橋本参考人
この問題は非常にやはり、私がこの問題を研究しているわけではありませんけれども、素人的に考えてもとても難しい、その
法制
化は。だから、
山野目先生
の言われることはかなり理解できます。 やはり、この日本という国土をどのように保全をして、壊さないで、その美しい山河を私
たち
の未来の人
たち
に手渡していくか、この視点が
国民
の中にどれだけ理解をしていただけるかということがあるんだろうと思うんです。 だから、そこは経済的な問題だけで考えないで、ある意味では大切なのは、美しい今の日本、まだある日本のこういったものをこれ以上壊さないで、そして、荒れたそういったところもないような、できるだけ積極的にというのは、これはやはり学習なしには絶対進まないと思うんです。 だから、そういう面でのやはり方策も考えながらいかないと、ただ
法律
だけというわけには私はいかない、そういうふうに考えます。 以上です。
もとむら賢太郎
48
○もとむら
委員
次に
山野目参考人
に
お尋ね
いたします。
登記
義務化は実効性がないとする
意見
がありますけれども、「クローズアップ現代」にも出演されたときのものを見させていただきましたが、
山野目参考人
からは、心地よく
登記
をする
環境
整備を行うことが重要だと指摘をされております。 具体的にはどのようなイメージを持っているのか、教えてください。
山野目章夫
49
○
山野目参考人
種々の方策を考えなければいけないところでございますけれども、差し当たり二つ申し上げさせていただきますと、一点目は、
国民
へのノウハウの
提供
でございます。 ただいま
法務省
のウエブサイトには、それを見ますと、
自分
で
相続
の
登記
をしようとすれば、簡易なものであればすることができることに向けての案内の画面が出てまいります。各法務局、地
方法
務局にも同じ内容のパンフレットが用意されております。 あれはあれで十分なものではありますけれども、もっと
国民
にわかりやすく、よおしやろうという気分になる何かすてきなウエブサイトの画面にしていただいて、
国民
に、御自身でできるものはやってください、難しいものについてはどこに相談すればいいんでしょうか、あるいは、その費用も解決していきますからお願いしますというような
措置
を、登録免許税や、それから、そのほかの点について講じていかなければいけないだろうと思います。 もう一点は、今少し述べました登録免許税の問題でございます。 小宮山議員に御指摘いただいたところで申し上げさせていただいたことの繰り返しでございますけれども、場合によっては義務づけをする、やってくださいというふうに言っていながら、これについて軽からぬ税金を課する、こういう
仕組み
でいいのかということについては、引き続き立法府において御関心をお持ちいただきたいと望むものでございます。
もとむら賢太郎
50
○もとむら
委員
次に
山野目参考人
に
質問
させていただきますが、間もなく、団塊の世代が七十五歳を迎える二〇二五年を迎えます。大量
相続
時代が訪れるわけでありますけれども、それまでに
所有者不明土地
を未然に防ぐ
環境
を整える必要があるということは
皆さん
認識が一致しておりますが、具体的な方策のアイデアとか、あわせて、
参考人
の御
意見
をお伺いしたいと思います。
山野目章夫
51
○
山野目参考人
今
お尋ね
のことも、種々の
施策
をいろいろ細かく組み合わせていかなければいけないことではありますけれども、
一つ
強調して申し上げるといたしますれば、
土地
情報
基盤の整備という要請が強く横たわっているのではないかと感じます。 現在の
仕組み
ですと、
不動産
の
所有権
の
登記名義人
になっている人が死亡したという届出は、市区町村の役場に対して出されます。しかし、その届出を受け取った市区町村の方は、その人が死んだということは届出が出てきてわかりますけれども、その人が
不動産
を所有している人で、
登記
上の名義人になっているということは知らないわけであります。ここに連携の欠落があります。 反面におきまして、
不動産
登記
を所管している国の
機関
は、もちろん、
登記簿
を管理していますので誰が
所有権
の
登記名義人
になっているかを把握していますけれども、しかし、その人が生きているか死んでいるかということを体系的に把握するすべを持っていないわけであります。 この
登記簿
及びそれを所管する国の
機関
と、戸籍及びそれを所管する
公共
の
機関
との間の連携がうまくとれていないという問題があります。 紙のやりとりをする明治、大正の時代であったならばいざ知らず、これだけ
情報
通信技術が発達してきている時代には、よおしやろうというふうに
政府
一丸で考えていただければ必ずできるはずです。 この
土地
情報
基盤の整備ということについても、立法府として
政府
に対して、督励、促しをしていただければ大変ありがたいと感じるものでございます。
もとむら賢太郎
52
○もとむら
委員
両
参考人
にお聞きをしますが、
相続
した
土地
が
活用
できず、自治体に寄附をすることもできないという事例は大変ふえております。この問題を突き詰めると、
所有権
の放棄を認めるかという話に行き着くのではないかというふうに思いますが、
所有権
の放棄についてお伺いいたします。
山野目章夫
53
○
山野目参考人
先ほど赤羽議員からの
お尋ね
でも、「
土地
を自然に還す」という発想を申し上げて、なるほどというふうにおっしゃっていただいて、大変ありがたい思いをいたしました。 「
土地
を自然に還す」、そういう発想による国有財産の新しい
考え方
というふうなことを唐突に申し上げますと、何か余り裏づけがないような
議論
であるような印象もおありかもしれませんけれども、恐らくそのようなことはなくて、
一つ
の例を挙げますと、二〇一八年四月十七日に催されました
国土審議会
の
計画
推進部会国土管理専門
委員会
におきましては、必ずしも国有地、公有地に限った話ではありませんけれども、
人口減少社会
における
土地
の管理というのは、何でもかんでも全力疾走で最適管理、最適処分をしようという時代ではなくなっていくと。 そこで出てきているキーワードの
一つ
に、粗放的な管理があり得てよいのではないかと。粗放的な管理を賢くしていくことができるかどうかということが今後の日本社会において問われているんだろうというふうに思いますし、それを、
公共
に帰属させた
土地
であってもやはり同じでありまして、そういうふうな工夫が要るのではないかなというふうに感じているところでございます。
橋本良仁
54
○
橋本参考人
この問題に関しては、
法制
上の問題とか何かにとどまらない。ある意味では、国土の保全はお金もかかるわけです。 例えばこういう事例があります。
自分
はふるさとが遠くにあって、東京に来ている。おじいさんや御両親が住んでいたその
土地
を放棄したい、そういうふうに自治体に届け出た。きょうだい
関係
も了解している。しかしながら、大変な問題が起こっちゃったと。これは何かというと、自治体はそれを管理できないんです。つまり、荒れ放題になって、ぼうぼうになって、そこからいろいろな草刈りだ何だと周りの人がもう困っちゃって、放棄しないでくれと言われた。どうしたらいいだろうか。こういう事例は必ず出てきます。
最後
です。やはりこの問題を考えるときに、緑の保全や国土の保全というのには一定のお金がというのは、かなりのお金がやはり必要となると思います。私の持論は、不要不急の
公共事業
をやるお金をそういうところにぜひ使ってもらえないか、ここでのきょうの
法案
の
審議
には当たりませんけれども、私はそう思っております。 以上です。
もとむら賢太郎
55
○もとむら
委員
山野目参考人
にお伺いします。
所有者不明土地
はさまざまな問題が原因となっていると思いますけれども、災害時や防災といった観点からどのような問題が起きるのか、事例とあわせて教えていただければというふうに思います。
山野目章夫
56
○
山野目参考人
二〇一六年の三月十三日、震災から五年がたつ年の三月十三日になりますけれども、NHKの放送に登場した南三陸町長は、おくれがちである仮設住宅から
災害復興
住宅への入居が、
土地
の
権利
者の問題がなければ、ここが本日の
議題
との
関係
で重要な点ですが、
土地
の
権利
者の問題がなければあと二年は早かったというふうにお述べになりました。 津波に襲われた場所は、都市
計画
上、住宅をつくってはならない場所になっております。新しく家を建てる場所を人は高台と呼びますが、高台という言葉は響きがよ過ぎるのではないかと感じます。高台とは、長く
利用
されず注目されてこなかった
土地
にほかなりません。しばしば、取引の対象とされず、
固定資産税
非課税地であることもあります。
相続
の
登記
がされないままこれを復興のための
事業
に用いようとすると、多くの困難が
所有者
の確認という
関係
で立ちはだかります。 今般、
法律案
は東日本大震災には間に合わなかったんですが、災害、災厄の多いこの国において、次なる復興において、次なる災害の際の復興において、この南三陸町長のような嘆きのことを繰り返してはならない。そういう観点からの
施策
の要望に応える側面もあるのだということをぜひ御認識いただければまことにありがたいと感ずるものでございます。
もとむら賢太郎
57
○もとむら
委員
最後
に
橋本参考人
に、きょうの
資料
の中に、先ほど赤羽
委員
の
質問
にもお答えになっていましたが、今回の
法案
はリニア中央新幹線の建設を促進するためということで書かれておりますが、私の地元も、神奈川県相模原市でありまして、中間駅ができます。この
法案
とどのようなかかわりがあるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
橋本良仁
58
○
橋本参考人
これは先ほどちょっと申し上げましたけれども、これだけ大量の土砂が出ますので、昨年の十月段階だと思いますが、この大量の土砂の約二割ぐらいしか行き先が決まっていないというふうに聞いております。これは、相当大きな、工事の進捗にはネックになるんです。この辺は
皆さん
おわかりだと思うんです。 それで、一番私が心配するのは、
地権者
が不明だということで
裁決
されちゃって、この
法案
に従ってやる。そうなったときに、その残土も、並の普通の量じゃないですよ、百万立米とか。私、工学をやった人間から見ると、こんなのつくったら、水の問題が、もう谷戸だとかなんとかというのはどんどん水が入りますから、これは一番弱いところ。そんなような
関係
からいくと、下流域の
住民
が物すごい今心配しています。 そんなことで、相模原も、あの辺は地下ですから、あれは何か川崎に持っていくというふうなことを言っていますけれども、そんなような
関係
で、この
法案
は、さっきちょっとうがった見方というふうに申し上げましたけれども、かなりこれと関連しているんじゃないだろうかというふうに考えている次第です。 以上です。
もとむら賢太郎
59
○もとむら
委員
これで
質問
を終わりにします。ありがとうございました。
西村明宏
60
○
西村委員長
次に、宮本岳志君。
宮本岳志
61
○宮本(岳)
委員
日本共産党の宮本岳志です。 お二人の
参考人
には、私からも心からお礼を申し上げます。 まず、
山野目参考人
にお伺いしたいんです。
土地収用法
が定める
収用
手続
は、言うまでもなく、憲法二十九条が保障する
土地
所有権
そのものを
公共
のために
権利
者の意に反してでも奪うという、最も
財産権
の侵害度が高い場合の
手続
だと思うんです。
権利
者に対する十分な
手続
保障があってこそ、
公共
目的で
権利
を奪うことが正当化されております。 現行法でも実は、
不明裁決
、
土地収用法
四十八条四項ただし書きの
制度
というのがありまして、
収用委員会
の
手続
を残したままで
所有者不明土地
の
収用
は可能であると思います。 また、国交省自身のデータでも、
事業認定
までの
所有者
探索
の結果、
登記簿
だけでは
所有者不明土地
が二〇%あるのに対して、頑張って〇・四一%に下がる、こういうふうに判明しております。 これを
合理化
するための
制度
ということでありますけれども、そこまで
努力
されているという現状に鑑みて、やはり、これまで使われてきた、現状でもあるこの
不明裁決
という
手続
でなぜいけないのか。この点についてお伺いしたいと思います。
山野目章夫
62
○
山野目参考人
お尋ね
ありがとうございます。 ただいま
議題
としております
法律案
におきましては、御指摘のとおり、
土地収用法
の通常の規律とは異なる特例の提案を差し上げているところでございます。
法律案
に盛り込まれている特例によりますと、起業者は、
事業
の認定がされてから一年以内に
都道府県知事
に対し、特定
所有者不明土地
の
収用
に限って、この特定
所有者不明土地
の
収用
について
裁定
を求めることができるとされておりますけれども、その際には、
裁定
の
申請
において、特定
所有者不明土地
の
所有者
の全部又は一部を確知することができない事情をきちっと説明しなければならないものとされております。 それを受けた
都道府県知事
は、
お話
し申し上げているとおり、公告をし縦覧をした上で、最終的に適切でないと判断するときには、
裁定
申請
を却下することもあり得るものでございます。 このような手順の用意の上に、特定
所有者不明土地
、すなわち、簡易なものを除き建築物が存在せず、現に
利用
されていない
土地
に限って対象とするものでありまして、個別性の強い建築物の補償や移転料、営業補償の算定を要しない局面に限定して、
土地収用
の
制度
、議員御指摘の
不明裁決
の
制度
の特例を用意しているところでございます。 御注意いただいておりますように、今後仮にこれが
法律
になります際には、その
運用
について、間違っても議員御指摘のような不適正な運営がないように
政府
としてしっかり
運用
していかなければなりませんし、
国会
としてもきちっと監視していただかなければいけないことはもとより当然であるというふうに考えますけれども、この
制度
それ自体は、昨年秋の
国土審議会
の
土地政策分科会
特別部会
における
調査審議
の成果を反映して提案申し上げているものでありまして、それとして根拠があるのではないかというふうに理解しているところでございます。
宮本岳志
63
○宮本(岳)
委員
そういう御説明でありました。 ただ、私どもが気になりますのは、本
法案
の
土地収用法
の特例を見ますと、
収用委員会
にかわって、
知事
の
裁定
による
収用
手続
が認められることになります。そのため、
事業者
の
事業認定
を
事業者
が行うという場合が出てくるわけですよ。 例えば、市町村が行う
事業
は
都道府県知事
が
事業認定
するわけでありますけれども、その
都道府県知事
が
裁定
すれば足りるという
場面
が出てきます。 ですから、
裁定
申請
を却下もできると今話がありましたけれども、そういう場合は、みずからやりたい
事業
をみずから
裁定
するということになるわけでありまして、これは、こういう
場面
が出てきたときに、
住民
の声を無視して、利害
関係人
に何ら説明せずに
事業
が進められることになりはしないか。こういう心配を私
たち
は持っているわけです。 まずは
橋本参考人
と、そして
山野目参考人
に、端的に少しそういう心配についてお答えいただけますか。
橋本良仁
64
○
橋本参考人
ありがとうございます。 この今の
委員
の御指摘は、私が先ほど公述して、又は、御
質問
にお答えした内容と重複いたします。 基本的な
考え方
は、今宮本
委員
の言われた考え、そこに私は不安を持っている、感じている。先ほども、左手で
答案用紙
をつくって、右手で解答を出してパスさせる、これでは、全くある意味何でもありというふうになっちゃうという、これはちょっと極論ですけれども、そんなような危険性があるということを十分認識した上で今回の
法案
を
審議
していただきたいというふうに思うわけです。
山野目章夫
65
○
山野目参考人
どうもありがとうございます。 三つのことを申し上げます。
一つ
は、先ほどから申し上げております
国土審議会
における
調査審議
の経過の御紹介ということになります。 ただいま議員が御指摘いただいた、左から右という
お話
なんですけれども、
裁定
申請
をする
事業者
が
都道府県知事
であり、また、
裁定
をするのがその
都道府県知事
であるというような局面があるのではないかという
お話
なんですが、その論点は、
国会
審議
になってから議員のような御指摘をいただいて、それを聞いて初めて、えっ、そんな論点あるのという感じで、これはちょっと考えていませんでしたという、そういう話では恐らくないんだろうと思うんです。
国土審議会
の
調査審議
の中でも私からも発言した経緯がありましたし、
議事録
を見ていただくとおわかりいただくことができますけれども、そういうふうになることがありますよね、
都道府県知事
が
申請
し、
都道府県知事
が
裁定
する、これについて問題はありませんかということをそこにいた
国土交通省
の事務局にもただして、
調査審議
が進められました。 そこでの
議論
はまた
議事録
を見ていただければよろしいんですけれども、従来の
土地収用法
の
運用
の中でも、
裁定
とか、それから
審査
請求なんかの局面で、しょっちゅうではないんですけれども、今のように、求める人と判断する人が同じになるという局面が全くないわけではございません。そこについて、決定的な何か従来の
運用
の中で問題事案が指摘されていたというふうにも認識しておりません。 そういうふうな
調査審議
を経て、ここのところはそういうふうに仕組むということでまいりましょうというふうに進めたものを
政府
が独断でその内容を変えたのではなくて、答申の内容を反映したものを本日
法案
として提案申し上げているということです。 二点目ですけれども、では、具体的には事案の処理としてはどういうイメージになるのかといいますと、
都道府県知事
が出したものを
都道府県知事
が
裁定
するという
お話
なんですけれども、都道府県にはたくさんの職員の方が働いておられるし、部局が分かれております。
事業
を行おうとする部局が判断して使わせてほしいというふうに言い、しかし、別の部局の人
たち
がまた一生懸命、本当にそれで大丈夫なのかということを
審査
して、それぞれの権限を行使する
都道府県知事
を補佐するものでありまして、そういうふうにしていただくことになるんだろうと思います。 そこのところ、同じ都道府県の県庁の建物の中で働いているから何かいいかげんにやっているんじゃないかというふうに言ったら、それはそこの都道府県の職員の
皆さん
にも失礼な話なので、それは少なくとも今までの
運用
を見ると、一生懸命やっていただいているんだろうと思います。 三点目、今後の
土地収用
制度
の
改革
を視野に置いてということで申し上げるとすれば、確かに、しかしそういうふうには申し上げましたけれども、そのことについて今後の
運用
の中で問題が出てくるのであれば、やはりそれは、この
法律案
のこの場所だけではなくて、
土地収用法
一般について考えてみるべき
課題
が横たわっているということなのかもしれません。 そこは
国会
においても厳しく見ていっていただきたいと思うんですが、ただ、それは単に同じ人になっているからいけないとかいいかげんになるじゃないかという話ではなくて、主体が違っていても、
橋本参考人
がずっといろいろな
土地収用
の事案で辛苦をなめておられて、また、強くおっしゃっておられるその問題は、何か名義人を分ければ済むという話ではないんだろうと思うんです。 そこはもう議員は見抜いておられて、しかしなお指摘しておられるんだと思いますけれども、御検討いただくのであれば、そこの抜本まで立ち返って、多分この
法律案
の
審議
の場所ではなくて、また改めて御検討いただくことになるのではないかというふうに感ずるものでございます。
宮本岳志
66
○宮本(岳)
委員
従来もないわけではない、おっしゃるとおりだと思うんですけれども、だからこそ厳格な
土地収用
手続
というものが、それが煩雑であっても、時間がかかってもやってきた。それを要するに
合理化
する、簡素にするということに問題はありはしないかという御指摘を申し上げているわけです。 それで
橋本参考人
にお伺いするんですけれども、先ほど来、リニアということも出てまいりました。百万トンの土を処理する上でこれが使われるのではないかという危惧も
参考人
から出されました。 それで、今こういう
手続
がないからこそ、相当頑張って〇・四一まで調べてということをやっているんだけれども、これからはややもすると、この
手続
ができた、では
所有者
不明のところは、もうこの
手続
もあることだから、そういう場所にどんどん
活用
しようじゃないかというような使われ方はしはしないか、こういう危惧を随分持っているわけですが、
橋本参考人
はどのようにお考えでしょうか。
橋本良仁
67
○
橋本参考人
この問題については、かなり現地に行って、特に長野県の大鹿村とか、それから中川村、そして豊丘村、飯田市、リニアの通る沿線ルートです、ここから大量の搬出土が出ます。この地帯が物すごい崖崩れがあったり、三六災害というか、何百人という人が大鹿では死んでいるんだよね。今でも河川のところは土砂崩れがもう絶え間なく起こっている。活断層もあって非常に悪いところ。これは地元の人もよく知っている。 私が一番危惧するのは、この
法案
が通ったときに、不明者の
土地
というのは出てきます。それから
地権者
がわかっている
土地
もです。その
地権者
も、賛成ばかりじゃなくて、
反対
の人が出たとする。この
反対
の人は別にしてこれは
収用委員会
にかける、賛成の人はそっちはパスするというふうに
国土交通省
の職員の方からレクチャーを受けました。そうすると、その部分を使ってもう工事が始まっちゃう。こういう心配が、
収用委員会
にかかったのは時間はもっとかかるから、そっちはそっちでやっていくということが僕は十分できちゃうんじゃないかと。 それで本当に心配しているのは、
地権者
だけの問題じゃないんです、これは。搬出土が渦高く十数メートルから二十メートル積んだ百万立米以上のやつが流れ出るのは
地権者
のところから出るかもしれないけれども、それは、下流の人が住んでいるところ、ここに被害が及ぶ。だからこの人
たち
の
権利
はどうするのということで、今地元ではてんやわんやなんです。 こういった問題をクリアにしないと今回の
法案
というのは、それだけではよしとするわけにはいかないというのが私の主張です。 以上です。
宮本岳志
68
○宮本(岳)
委員
ありがとうございます。 私どもは、
地域福利増進事業
の
創設
や
所有者
探索
の
合理化
ということには
反対
はいたしません。賛成であります。これからまだまだその
課題
は多いということを
山野目参考人
もおっしゃいました。 しかし、そういう
課題
を本当に進めていく上では、私は、今、現場の職員の数というのは圧倒的に足りないんじゃないかとこう思うんです。毎年、
国会
でも、この法務局の職員の
方々
の数をしっかりと確保する、ふやしてほしいと。これは、請願、珍しく全会派一致で
法務省
に関しては採択されたりするテーマなんですけれども。 こういうことを本当に、この
法律
にかかわらず、さらに、先ほどからおっしゃっていたような、一層しっかりと検討していく、進めていく上では職員ももっときちっとふやしていく必要があると思うんですが、
最後
に
山野目参考人
の御
意見
をお伺いして
質問
を終わりたいと思います。
山野目章夫
69
○
山野目参考人
議員におかれましては、ただいまその法務局の職員のことを案じていただきまして、本当にありがとうございます。心から感ずるところでございますけれども、法務局の職員を減らすのをやめていただきたいと考えます。 今まででも、
不動産
登記
の事務、人権擁護、供託、戸籍にかかわる事務をするのに手いっぱいの状態が続いていました。しかし、この
所有者
所在
不明
土地
問題、それから
相続
登記
の推進という新しい
課題
に、これからもちろん
政府
一丸となって、
関係
閣僚
会議
で決められておりますとおり、進めていきますけれども、恐らく、幾つかある最前線の一番典型的な最前線で奮闘していただくのはこの法務局の職員の
方々
なんです。間違っても過労死をするような方が出たりしてはいけませんし、きちっとした
環境
で適切な
仕事
をしていただくということについて引き続き立法府として御関心を抱いていただければ、本当に、まことにありがたいと感ずるものでございます。
宮本岳志
70
○宮本(岳)
委員
ありがとうございました。以上で終わらせていただきます。
西村明宏
71
○
西村委員長
次に、井上英孝君。
井上英孝
72
○井上(英)
委員
日本維新の会の井上英孝です。 本日は、
山野目
、
橋本
両
参考人
におかれましては、本当にお忙しい中、今週お忙しい中、この席にお越しをいただきまして
意見
を開陳いただいて、本当にありがとうございます。 私もきょう七人目で、この
参考人
質疑
では七人目で
最後
なので、もうほとんど多くの
委員
先生方
がお聞きになられているのでちょっと重なる点も出てきますけれども、御理解をいただきまして御容赦いただきますようにお願いをいたします。
山野目参考人
が先ほど、
所有者
所在
不明
土地
問題について初めて講じられる体系的な
法制
上の
措置
だというふうにおっしゃっておられました。 そういう意味では、まずはさまざまな
課題
もあります。
財産権
の侵害というか、脅かされることがないかとか、そういったさまざまな問題はありますけれども、
所有者
不明の
土地
をやはり少しでも少なくしていこうという
考え方
に立って、非常に有意義な特措法なんではないかなと我々は思っています。 まず、さまざまな細かい
質疑
に入らせていただく上において、
所有者
不明の
土地
が九州ぐらいの
土地
があるというふうに言われていますけれども、こういう現状になったことについて両
参考人
はまずどのようにお感じになられるか、お答えいただけますでしょうか。
山野目章夫
73
○
山野目参考人
本日の
委員会
の御
審議
においてもたびたび御指摘をいただいておりますとおり、戦後の我が国の歩みを振り返ったときに、高度経済成
長期
それからバブル期という、経済の動きが顕著であった時代が一定の固まりを持って長く続きました。 その時代、この
相続
登記
をしてくださいとか義務づけますとかいうような
お話
をしなくても、
登記
はおのずと、
土地
がその多くの場合においてお金を生んでいくものでありましたから、
国民
が求めなくても励行してきたという側面があって、我が国の
不動産登記制度
は、その内容の充実度、
運用
する職員の質の高さなどにおいて世界に冠たるものであるというふうに私は信じておりますけれども、それがまさに適正に動いてきた幸福な時代が続いたものでございます。 しかしながら、議員御承知のとおり、ここに至りまして、バブル崩壊からこの方、
土地
が必ずしも、持っていると何か価値を生むとは限らないという時代状況、社会経済情勢の変化を迎えました。 これを踏まえた
土地
政策の大きな転換、きょう指摘申し上げましたように、理念の整備をし、その上で各法分野における個別法の整備を、もし仮に今般この
法律案
を御採択いただいた後は、これで安心ということではなくて、いわばこれをスタートにして進めていかなければならないというふうに考えております。
橋本良仁
74
○
橋本参考人
この問題は、何度も申し上げていますけれども、私は、基本的にはこのバックグラウンドは、今
山野目
さんがおっしゃられたことだと思います。 それと、非常に急速に高齢化が進んでいますから、かつては七十歳、私はことし七十三になるわけですけれども、もう大体あちらに行っていたんですよ。今は、私もそうですけれども、まだ元気です。本当に日本は、僕は高齢化社会というのは一面悪いだけとは思いませんけれども、ますますこれが進むのはもう間違いないと思うんです。先ほど年金の問題もありましたけれども、お金と結びつかないですから、この
不動産
がだんだん。 例えば東京でもそうですけれども、昔は、山を持っている山地主といったら大したものですよ。だけれども、今は奥多摩の杉の木一本が、三十年以上たったこれだけのものが、出してくる費用の方が高くて、放置が多いんです。どこに
自分
の
土地
があるかもわからないという方がうんとふえている。関心が薄れているんです。 だから先ほど申し上げましたように、やはりこれは個人の
努力
では十分いかないんだろうと思います。 したがって、ある意味での
法制
化と、国土の保全をどうしたらいいかという大きなやはり
考え方
の上でしっかりと
議論
をしないと、これは一年、二年ですぐ結論が出ないと思います。 そういう意味で、
国会議員
の
皆さんたち
にもこの問題を真剣に御
議論
いただけないかと。これは単なる今回の
法案
だけの問題じゃないだろうというふうに思うわけです。 以上です。
井上英孝
75
○井上(英)
委員
不動産
価値の流れだとか、そういうものが変わってきたということなんですけれども、もっとこう細かく僕が個人的に思うのは、
不動産
の価値があろうがなかろうが、
所有者
不明というものを生まない、そういうシステムというのが今後やはり必要になってくるのではないかなと。 その
契機
となるように、この
法案
を含め、それからまた、先ほど
橋本参考人
がおっしゃったような今後の国土の保全も含めて、やはり進めていく上においてのベースとなる
法案
となってもらえたらなというふうに思っています。 それが九州ぐらいあるというのは、やはり聞くと違和感が非常にありますので、そういう
所有者
不明の
土地
に関する問題というのはたくさん多岐にわたっていると思うんですけれども、今回、
政府
においては、
所有者不明土地
のこれがまた、
公共
的な
利用
の円滑化を喫緊の
課題
というふうに捉えています。
法案
を提出していますけれども、両
参考人
においてお聞きしたいのは、
所有者不明土地
問題についてやはりまず第一に取り組むべき本当の
課題
というのは何で、改めて、特措
法案
の
評価
できるところ、それからまた懸念するところをちょっとお聞かせいただけたらというふうに思います。
山野目章夫
76
○
山野目参考人
ありがとうございます。 今般の
法律案
は、当面、
地域福利増進事業
及び
土地収用
制度
の
改革
を中心に御提案を差し上げ、あわせて、
不動産
登記
の
制度
の面でも
運用
の改善を図ろうとしているものでございます。 今後に求められる
課題
といたしまして、既にきょうたびたび御指摘申し上げましたように、
土地
所有者
の
責務
の明確化ということがされなければなりませんし、細かな問題を続けますと、登録免許税の
改革
、
土地
情報
基盤の整備、
不動産登記制度
の一層の
見直し
、
合理化
、
国民
へのノウハウの
提供
の充実、それから、民法を始めとする民事関連法令の中でこの
課題
の観点から見直すべき点があればその
見直し
をする。 こうした
施策
の積み重ねを通じて、
相続人
になった方に、
自分
のところに代がわりがあったんですということの届出、それを
登記申請
という形でするのがいいのか他の
仕組み
を用意するのかは検討してみる必要がありますけれども、届出を励行、徹底していただくという文化をつくっていくということが重要なのではないかというふうに考えております。
橋本良仁
77
○
橋本参考人
私はちょっと違うというか、今まで
お話
ししたことと違うことをちょっと申し上げます。 必ずしも海外の事例が日本に当てはまるわけではありませんけれども、やはり高齢化社会に向かっているという面では、ヨーロッパの諸国もかなり近い面も持っている国があります、その国の大きさや人口には差がありますけれども。 ただ、そこで私が非常に感じているのは、小学生を始めとした教育、そういうところからきちっと、国土の問題、自然の問題、
環境
の問題、それは倫理的な問題も含めて、ある意味、世界観、社会観のところまで、その年代によって違いますけれども、そういうことをやっているということに大変感心をしました。 特にデンマークへ行ったときに感心したのは、小学校四年生のクラスの授業を見せていただいた。そのときに校長先生と行って、私は驚きました。何をやっているかといったら、日本の水俣病の勉強をしているんです。小学校四年生の子供
たち
が、日本の水俣病が解決していないということを学んでいるんです。同じ海に囲まれたデンマークが、やはり
環境
は大切にしなきゃいけない。校長先生は言いました。このことは必ず家庭に帰ってもしゃべります。子供
たち
は生き生きとして話します。だから
国民
も教育されて、将来、こういう国づくりにということで、デンマークが全部いいわけじゃありません。だけれども、それは日本も学ぶべきだろうと私は思います。 だから、それぐらい長いスパンで少し物事を考えないと、拙速とかということではなくて、この
法案
、私も先ほどから何度も、賛成のところはもちろんあります。だけれども、いろいろな問題をまだ含んでいます。その大前提が、やはり
国民
の理解がどれだけ生まれるかということがないと、この
法案
も絵に描いた餅になってしまう、そういう心配があるというふうに考えております。 以上です。
井上英孝
78
○井上(英)
委員
ありがとうございます。 種々、本当にそれぞれの
先生方
の思いというのもあるんですけれども、なかなかちょっとそれに細かくお聞きをする時間がありませんので、拝聴させていただいて、またこの後、
国民
民主さん、
質疑
もされますし、あしたまた
質疑
もありますので、また
先生方
の御
意見
というのを参考にさせていただきたいというふうに思います。 この特措
法案
において、今度は
公共事業
のために
所有者不明土地
を
利用
する場合についてでありますけれども、現在の
土地収用法
による
手続
を
合理化
、簡素化、円滑化することとなっていますけれども、
収用委員会
にかわって、何度ももうお答えになられているのでお疲れかもわかりませんけれども、
都道府県知事
が
裁定
するということができるというふうになっています。
所有者
の
財産権
の保護という観点から、改めて、問題はないかということを両
参考人
に見解をお伺いしたいと思います。
山野目章夫
79
○
山野目参考人
議員におかれましては、お疲れをというふうにおっしゃっていただいてありがとうございます。決して疲れてはおりません。今
お尋ね
いただいたところ、大変重要なところでありまして、説明のチャンスをいただいたことに強く御礼申し上げます。 いわゆる
不明裁決
の
制度
の
改革
ということをこの
法律案
に盛り込んでおりますけれども、誤解があってはならない、もちろん
先生方
は御理解いただいた上での御
審議
だと思いますが、なお念押しして申し上げるとすれば、この
法律案
が提案している
不明裁決
の特例というのは、決して、
土地収用法
が定めている普通
法制
上の標準的な
不明裁決
のルールを根こそぎ否定して、あれを丸ごと引っこ抜いてきてこっちの
法律案
に入れて、それで物すごく簡単な形で進めるようにしてしまいましょうという
お話
を差し上げているものでは決してありません。
所有者不明土地
のうち、特定
所有者不明土地
、すなわち、
法律
で精密に定義を差し上げていますけれども、簡単に言えば、使っていない
土地
、それに限って、補償額の算定において困難な問題を伴わない
場面
であるところから、
収用委員会
における
裁決手続
とその前提としての
審理手続
にかえ、
都道府県知事
の
裁定
の
手続
を導入し、あわせて、
土地
調書、物件調書の作成をしなくてよいこととするという提案を差し上げているところでございます。 これは、それとして
国土審議会
の
調査審議
の成果を反映するものであって、根拠があるものであるというふうに私は理解しております。 もちろん、先ほどから
橋本参考人
が心配なさっておられるような観点について、引き続き、
国会
として遺憾なく
政府
に対して監視のお役目を担っていただきたいということもあわせて感ずるものでございます。 どうもありがとうございます。
橋本良仁
80
○
橋本参考人
山野目
さんと実はこの
委員会
が始まる前に、二人だけでしたからいろいろ
お話
をしていました。今の、私
たち
のここで
お話
ししたことというのは、もちろん
委員
の
皆さんたち
、理解していただけるのではないかと。 だから、単にいいとか悪いじゃなくて、こういう問題があるんだよということをやはり理解した上でこの
法案
を見てみるということが大切であり、
公共事業
は、一番の上流があって、これは
計画段階
から始まって、
土地収用
は
最後
のどん詰まりです。
事業認定
もそうです。 だから、そういう点では、先ほど私が何度も申し上げましたけれども、
国民
の理解が得られないということではこれはいかぬ、そういう危惧感を私は持っているんだということをたびたび申し上げたわけです。 以上でございます。
井上英孝
81
○井上(英)
委員
ありがとうございました。 時間が来ましたのでこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
西村明宏
82
○
西村委員長
これにて
参考人
に対する
質疑
は終了いたしました。 この際、
参考人
の
方々
に一言申し上げます。 本日は、大変貴重な御
意見
を賜りまして、まことにありがとうございました。
委員会
を代表して厚く御礼を申し上げます。(
拍手
)
参考人
の皆様は御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。
—————————————
西村明宏
83
○
西村委員長
この際、お諮りいたします。
本案審査
のため、本日、
政府参考人
として
国土交通省土地
・
建設産業局長
田村計君及び
法務省大臣官房審議官
筒井健夫君の
出席
を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
西村明宏
84
○
西村委員長
御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
西村明宏
85
○
西村委員長
質疑
の申出がありますので、順次これを許します。階猛君。
階猛
86
○階
委員
国民
民主党の階猛です。 本日は、
質問
の機会を与えていただきましてありがとうございました。
所有者
不明の
土地
問題については、私、被災地の岩手の出身でございまして、早い段階からこの問題に関心を持ってまいりました。 先ほど
参考人
の
お話
の中でもありましたけれども、
所有者不明土地
問題が移転先の
土地
確保などについて大きな障害になっているということで、私も野党の一員としてこのたびも
法案
を
国会
に提出しましたし、この
所有者不明土地
問題については、ぜひ与野党を超えて、積極的に
議論
し、有意義な解決策を見出していきたいと思っております。 その上で今回の
法案
の
質疑
でございます。
所有者不明土地
問題について取り組まれる姿勢については、私も賛同いたします。ただ、この
所有者不明土地
を減らすということが私は究極的には大切なことではないかと思っておりますが、基本的なことを
お尋ね
します。 本
法案
が成立した場合に、
所有者不明土地
はどの程度減少すると
大臣
はお考えでしょうか。
石井啓一
87
○石井国務
大臣
本
法案
は、
所有者不明土地
の
利用
の円滑化を図るものでありまして、
所有者不明土地
を減らすことを直接の目的とするものではございません。
所有者不明土地
の発生の抑制や解消に向けた抜本的な対策につきましては、
登記
制度
や
土地
所有の
あり方
等と深く関連をするため、
政府
一体となって検討することが必要であります。 このため
政府
におきましても、
所有者不明土地
等対策の推進のための
関係
閣僚
会議
を開催をいたしまして、その中でも、「
土地
所有権
や
登記
制度
の在り方など
財産権
の基本的な在り方に立ち返って、
土地
に関する基本
制度
についての根本的な検討を行う」こととしているところであります。
国土交通省
といたしましても、
登記
制度
を所管する
法務省
など
関係
省と連携をしつつ、引き続き、
土地
所有に関する基本
制度
の
見直し
につきまして検討を深めてまいりたいと考えております。
階猛
88
○階
委員
今
お話
しのとおり、この
法案
自体は、
所有者不明土地
を減少させることを目的としていないということであります。 ただ、この
法案
の中に、第三条、「基本方針」というところがありまして、「特定
登記
未了
土地
の
相続
登記
等の促進に関する基本的な
事項
」というものが列挙されております。ここが私は重要なところだと思っておりまして、今
大臣
からも
お話
しありましたとおり、
関係
各省と協議した上で、ぜひここは早く進めていただきたいということで、私からは、その
関係
で幾つか提案などをさせていただきたいと思っております。 まず、この
法案
の中で、
所有者
探索
の
合理化
ということに関連する項目があるわけですけれども、
探索
の
方法
は「
政令
で定める」というふうに条文では書いてあります。 他方で、きょうお配りしている
資料
、ポンチ絵が一枚目にありますけれども、この中で、下の方に米印があって、私どもの方で波線を引きました。「照会の範囲は親族等に限定」というふうに書かれてありますが、この「親族等に限定」とあるところ、具体的に何親等まで照会するものなのかということを
参考人
からお答えいただけますか。
田村計
89
○田村
政府参考人
お答えいたします。
所有者
の
探索
は、これまで過失なく行うとされていたところであり、地元の精通者や海外の県人会等への聞き取りに多大な労力を要してまいりました。 しかし、こうした調査につきましては、地縁の希薄化等を背景に
情報
を得られにくくなっていることや、個人
情報
保護の観点を踏まえ、今般、一定範囲の親族、現地の占有者、海外の在外公館等に対し照会を行うことを明確化いたします。 一定範囲の親族の
考え方
でございますが、まず、
登記名義人
の法定
相続人
につきましては、親等が離れていましても
相続
により
所有者
となり得ることから、
探索
の範囲の限定はいたしません。 法定
相続人
以外の親族につきましては、
相続人
ではない者も含まれますが、調査の過程の中で
所在
が把握できた者に限定して照会をするということといたします。 これらによりまして
所有者
探索
の範囲を明確化することで、これまで
所有者
探索
に要している多大な時間、費用、労力を軽減することができるものと考えております。
階猛
90
○階
委員
今の
お話
ですと、法定
相続人
であれば、何代にもわたって調べなくちゃいけない。まさにそのことが被災地では問題になって、法定
相続人
が六百人ぐらいいるというケースもあったわけです。
合理化
するというのであれば、ある程度のところで区切って、それで照会するというふうにしないと、今までと余り変わらないような気がするんですが、その点について、これはできれば
大臣
からお答えいただければと思うんですが、
参考人
ですか。結構ですよ。
田村計
91
○田村
政府参考人
お答えいたします。 確かに、法定
相続人
ということであれば、子供が亡くなっていても、孫とか、代襲
相続
ということで、世代を下の方に広がっていくということはございますが、やはり不明ではあっても
所有権
は持ち得るということでございますので、それを
探索
の範囲から外すということにつきましては、
財産権
の保障の観点から、やはり
探索
する必要はあるのではないかということ。 ただし、一方で照会の、調査の仕方といたしましては、書面の送付、その他の合理的な
方法
によるということで、現地へ赴いて事情を聞いたりとか、そういったことにつきましては要しないというふうなことにしたいと考えておりますし、それから、法定
相続人
以外のところについては、先ほど申し上げましたけれども、調査の過程で
所在
が把握された者に限定をするということでございますので、そういったところでも
合理化
が図られるものと考えております。
階猛
92
○階
委員
これが
合理化
と言えるかどうか。私は、民間ではなく役所にとってはプラスなのかもしれませんけれども、一般の人にとってはなかなか厳しいと思っていまして、それで、今回の
法案
は、主に
公共
の
事業
に役立てるための
所有者
探索
を念頭に置いているんだと思うので、その観点からの
合理化
なんだと思うんですけれども、やはり、民間の
所有者不明土地
を減少していく、既存の
所有者不明土地
を減少させていくためには、
公共事業
や
地域福利増進事業
という今回の
法案
で設けられる
事業
、こういったものの対象となる
土地
でなくても、一部の
相続人
等からの求めがあれば、
登記官
が、先ほどおっしゃった照会すべき範囲で
所有者
を
探索
して、それらの者に通知を行い、遺産分割と
相続
登記
を促す
仕組み
をつくるべきではないかというふうに思っています。
法案
でいえば四十条の
関係
になるかと思いますが、四十条では、あくまで今申し上げました
公共
的なもののためだけに
登記官
が調査をして
情報
提供
するという
仕組み
になっているんですが、そうではなくて、
所有者不明土地
を極力減らすという観点からは、一般私人にも
登記官
がそういうサービスをしてあげる、これをぜひやるべきではないかと思うんですが、
法務省
いかがでしょう。
筒井健夫
93
○筒井
政府参考人
お答えいたします。 本
法律案
における
不動産
登記
法の特例は、ただいま御紹介ありましたように、
公共
の利益となる
事業
を実施しようとする者からの求めに応じて、当該
事業
を実施しようとする区域内の
土地
を対象として、
登記官
が
相続人
等の
探索
を行うものでございます。 これは、現在、
所有者不明土地
の増加によって、
公共事業
用地を取得しようとする際に、その
事業
主体が
所有者
の
探索
に膨大な労力等を要しているという問題に対応することを目的とするものでございます。 御指摘がありましたのは、
公共事業
用地の取得等の
場面
に限定しないで、一部の
相続人
等からの求めがあれば、
登記官
が
所有者
を
探索
するなどの
仕組み
を構築すべきであるというものと理解いたしました。 ただ、このような
仕組み
の構築に当たりましては、本来、全ての共同
相続人
を
探索
するための負担は、遺産分割や
相続
登記
をしようとする
相続人
自身が負うものであるとされていて、それにもかかわらず、これを国が負担すべき理由などにつきまして慎重な検討が必要であると考えております。 既に発生している
所有者不明土地
への対策を含めた
登記
制度
、
土地
所有権
等の
あり方
については、平成三十年度中の
法制
審議
会への諮問を目指して、現在、研究会において検討を進めているところでございます。
所有者不明土地
の解消に向けて、
関係
省庁とも連携して、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
階猛
94
○階
委員
今ある
所有者不明土地
問題、この
所有者不明土地
を減少させていくためには、
相続
登記
、放置されているものをしてもらわなくちゃいけないという中で、まず一番目にネックになっているのは、今申し上げました
所有者
の
探索
です。
所有者
の
探索
は、先ほどの答弁にもあったとおり、かなり
合理化
したといっても複雑ですし、相当な法的な知識がないと一般私人は難しいと思うんです。だからこそ公的な支援が必要だということで、ぜひここは御検討いただきたい。 それとあわせて、これから先の
所有者不明土地
の新規発生を防ぐため、これは、今の話よりは
登記官
はまだ負担が少ないかな、
登記官
にお願いできる話かなと思うんですが、まず、誰か
所有者
たる
登記名義人
が亡くなった場合、
登記官
から法定
相続人
に速やかに連絡して、遺産分割をせよ、あるいは
相続
登記
をせよというふうな促す
仕組み
をつくれば、新規の
所有者不明土地
の問題は防げるのではないか。これぐらいはまずやってもいいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
筒井健夫
95
○筒井
政府参考人
現行法のもとにおきましては、
所有権
の
登記名義人
が死亡した場合に、
登記官
が直ちにその死亡の事実を把握することができる
仕組み
とはなっておりません。 御指摘がありました、その
所有者
が死亡した場合において、
登記官
が法定
相続人
に対して速やかに連絡する
仕組み
を構築しようとする場合には、その前提として、
不動産
登記
と戸籍等を連携させ、
登記官
において
所有権
の
登記名義人
が死亡したかどうかを適切に把握することができるようにすることが必要であると考えられます。
法務省
といたしましては、
所有者不明土地
の問題に対応するため、
土地
所有者
情報
のうち基本的な
情報
である
不動産
登記
を中心として、
関係
行政
機関
が
土地
所有者
の
情報
を円滑に把握することができるようにする
仕組み
の構築について検討を行っているところでございます。 このような
土地
所有者
の
情報
を円滑に把握することができるようにする
仕組み
の構築も含めた
登記
制度
、
土地
所有権
の
あり方
等について、
関係
省庁と連携しながらしっかりと検討を進めていきたいと考えております。
階猛
96
○階
委員
戸籍の方も
不動産
登記
の方も
法務省
の所管ですから、
関係
省庁と連携しなくても
皆さん
のところでできるんじゃないですか。そして、マイナンバーもあることですし、そういったツールも使いながら、亡くなった方の
情報
が法務局に届く、これはすぐできると思うんですけれども、何でそんなに慎重にやらなくちゃいけないのかわからないんですが、もう一度御答弁願えますか。
筒井健夫
97
○筒井
政府参考人
御指摘がありましたように、戸籍についても
法務省
の所管でございますので、連携を図っていくことを検討しております。 現時点で直ちにできないのは、
不動産
登記
における
登記名義人
を特定する
情報
というのは必ずしも
登記簿
にはございませんので、戸籍との連携をどのように図っていくか、まず、その点についての技術的
方法
に関する検討が必要であるためでございます。 この点について現在鋭意検討を進めているところでございまして、その点について、また、そこで得られた
情報
、
不動産
登記
に関して得られた
情報
を
関係
省庁にも
提供
していくようなそういった
情報
の連携も含めた検討を今後進めていきたい、そういう趣旨で、先ほど答弁した趣旨でございます。
階猛
98
○階
委員
ぜひ、責任感を持って、当事者意識を持ってここは進めていただきたいと思います。 それから次の
質問
なんですけれども、
相続
登記
をする前に遺産分割をするケースが多いと思います。遺産分割をする場合に、
相続人
の中に複数の
所在
不明者がいる場合というのがあると思います。その場合、現行法によりますと、
不在者
財産管理
人をそれぞれの
所在
不明者につき一人ずつ選任しなくちゃいけない、こういう問題があるわけです。実は、この点も東日本大震災の復興のときに現場からそういう声がありまして、私どもの方で
法律
をつくったものがあります。 これは東日本大震災対応ではあるんですけれども、
資料
の二ページ目の
法案
の概要なんですけれども、「第二」というところで「
不在者
財産管理
人に関する民法等の特例」ということで、「
相続
により共同
相続人
等が取得した移転促進区域内の
土地
等について、遺産の分割がされておらず、かつ、複数の共同
相続人
等が
不在者
であるときは、弁護士等である
不在者
財産管理
人は、民法第百八条等の規定にかかわらず、複数の共同
相続人
等を代理することができる。」ということを定めております。 今回は、被災地に限らず全国共通ルールという観点もあるかと思うんですけれども、今、共同
相続人
の中にそういう複数の
所在
者不明がいて、原則どおり一人ずつ
不在者
財産管理
人を選ぶと、一人につき家庭
裁判
所に三十万円も納付しなくちゃいけなくて、仮に
不在者
財産管理
人を三人選べば、それだけで九十万円です。そのことがネックになって、遺産分割が進まない、
相続
登記
も進まない。これも解消していかなくちゃいけないと思うんです。 ですから、私どもが今、
国会
に出した
法案
なども参考にして、
不在者
財産管理
人を一名だけ選任すれば足りるような
仕組み
というのを構築すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。 〔
委員長
退席、新谷
委員長
代理着席〕
筒井健夫
99
○筒井
政府参考人
遺産分割の
場面
で共同
相続人
中に複数の
不在者
がある場合に、複数の
不在者
について一人の
財産管理
人を選任したときには、その
財産管理
人は、複数の
不在者
の利益が相反する場合に、いずれか一方に不利益となる行動をとらざるを得なくなることから、
不在者
にとってその利益が害されるおそれがあるほか、
財産管理
人としても、各
不在者
に対する善管注意義務を果たすことが困難になると考えられます。 したがいまして、
委員
御指摘のような法
制度
を設けることについては、慎重な検討が必要であると考えております。 もっとも
財産管理
制度
は、
所有者不明土地
問題への対応策としてさまざまな
場面
で
活用
され、重要な機能を果たしておりますことから、
委員
御指摘のような
場面
に限らず、
土地
所有者
のうちに
不在者
が複数ある
場面
一般についても、その
土地
を管理するために複数の管理人を選任しなければならないのは煩雑であって、負担も大きいとの指摘がございます。
法務省
といたしましては、
登記
制度
や
土地
所有権
の
あり方
について研究会で検討しているところでございますが、御指摘がありました
財産管理
制度
の
あり方
についても、その機能の向上を図るという観点から、
不在者
の利益保護にも配慮しながら、
関係
機関
と連携してしっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。
階猛
100
○階
委員
今の答弁の中で利益相反問題について触れられましたけれども、その点についても、きょうは時間がなくて触れませんけれども、我々は
法案
の中で手当てをしていますので、ぜひ、それも含めて御検討ください。 さて次に、先ほどの
参考人
質疑
の中で、
相続
登記
を促進していく上で、登録免許税の減免だけでは足りないのではないか、あるいは、
相続
登記
を懈怠した場合に罰則を設けるというふうにしたとしても実効性はないのではないか、こんな
議論
がありました。 私もそれはそのとおりだと思っておりまして、
相続
登記
を促進するためのインセンティブとしては、例えばですけれども、
相続
登記
をした人がその
土地
を利
活用
するために、例えば家を新築したりリフォームしたりといった場合に、一定の補助金を設ける、しかも時限的に設けるなどして
相続
登記
を促進するというのは、この問題の解決にもつながるだけではなくて地域の活性化などにもつながるということで、あめとむちでいえばあめの方、ここを充実させるということをぜひ考えていただきたいんですが、国交
大臣
いかがでしょうか。
石井啓一
101
○石井国務
大臣
所有者不明土地
問題の解決に当たりまして
相続
登記
の促進は重要であり、そのためのインセンティブとして、
相続
登記
をする者の負担軽減につきましても重要な検討
課題
と認識をしております。 一方で、税制
措置
や補助金の
創設
に当たりましては、公平性や
公益性
の観点にも留意する必要があります。 御提案の、
相続
登記
を促すことを目的に、時限的に家の建てかえやリフォームを行うことについて補助金を設けることにつきましては、既に適正に
相続
登記
をされた方や家を建てられた方等との公平性や、補助金の対象として、
公益性
の観点から適正であるか等について慎重な検討が必要と考えております。
相続
登記
に当たっての負担軽減につきましては、平成三十年度税制改正において、
相続
登記
に係る登録免許税の免税
措置
が
創設
をされております。また、
相続
登記
に係る
手続
の負担軽減についても、現在
法務省
において検討中と承知をしております。 引き続き、
政府
一体となりまして、
相続
登記
の促進など、
所有者不明土地
対策の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
階猛
102
○階
委員
今
大臣
の答弁にありました税制改正の概要について、
資料
の四ページ目につけております。 大きく二つありまして、「数次にわたる
相続
を経ても
登記
が放置されている
土地
」、先ほど被災地の例も出しましたけれども、何代にもわたって
相続
登記
がされていない。その場合に、直前の人から
自分
に対する
相続
登記
については登録免許税は減免しないけれども、そこに至るまでの代々のものは免除するというのが
一つ
目です。 そして二つ目については、
一筆
十万円以下の「
相続
登記
を促進すべき地域における少額
土地
」ということになっていて、まず二つ目については、これは、十万円だとすると、千分の四だと四百円です。これで
登記
を促すとは思えないんです。
一つ
目のところ、これはある程度、特に何代にもわたって放置されていた場合には、登録免許税の減税によって得られるものはあるかもしれません。 ただ、逆に言うと、これも今私の提案について
大臣
が慎重になった理由である、要は、真面目に
登記
した人との公平という面では問題があると思うんです。代々
登記
を放置して、そして費用を浮かせてきた人、その人が、遺産にも何がしかはその額というのは反映していると思うんです。私もこの間、みずから
相続
登記
をやりましたけれども、ちょっとしたところでも何十万とかかりますよ。 そういうことを考えると、公平性、多分そのことも加味してこれは時限的な減税
措置
になっているんだと思うんですけれども、公平性ということでいえば、既にこの税制改正の1の方でも、一定程度そこは捨象した上で
制度
設計されているわけですから、本当にこの問題を解消する気になれば、もうちょっと踏み込んだあめの部分を考えていかないと私は難しいんではないかと思います。
大臣
、もう一度、その公平性ということについて、もう少し柔軟に考えていただけないかということから、先ほどの提案について御
所見
を伺います。
石井啓一
103
○石井国務
大臣
重ねての答弁になりますが、
相続
登記
をする者の負担軽減については重要な検討
課題
と認識をしておりますが、税制
措置
や補助金の
創設
に当たりましては、やはり公平性や
公益性
の観点にも留意する必要がございます。そういった全体的な観点から検討していきたいというふうに考えております。
階猛
104
○階
委員
ぜひここは、役所の発想ではなかなか今の三十年度税制改正の内容が限界だと私は思うので、そこは政治主導で、
相続
登記
をどうやったら促進できるかということを柔軟に考えていただきたいということを申し上げます。 そして、震災復興のような緊急を要する場合、今回、
土地収用法
の特例を設けておりますけれども、私はさらなる踏み込んだ対策が必要ではないかと思っております。 それで、仲間と一緒に野党で
法案
を提出したものが、三ページ目につけておりますけれども、この三ページ目の東日本大震災復興特区法改正案。 これは、復興整備
事業
の用に供する
土地
について特例
措置
を設けましょうということで、今回の
政府
案との大きな違いということでいえば、ポンチ絵にありますとおり、今回の
政府
案では、
反対
する
権利
者がいないという場合にこの特例が
利用
できるわけですけれども、我々の案は、仮に
反対
する人がいる、異議がある人がいたとしても、このフローチャートでいうと左側の方になるんですが、「特例
事業者
の用地
委員会
に対する
収用
・
使用
裁決
の
申請
」、二週間縦覧した後に、異議申出がない場合は右側で更に簡便な
手続
になりますが、異議申出があったとしても、
権利
取得
裁決
の
手続
を経て、これが終われば明渡しになって、
土地利用
が開始できる。実際の補償はどのタイミングで払われるかというと、その後、
土地利用
の開始をした後、各人別の損失の補償額を
裁決
して払う。 要は、
事業
を開始する、
土地利用
の開始する前の
手続
は、損失の補償についても各筆の
土地
ごとで足りるようなことにしていまして、この
権利
取得までは迅速にできて、かつ、補償が実際に払われる前に明渡しで、
使用
が開始できるということであります。こういうふうにすることによって、特に緊急を要する被災地の復興のような
場面
において、更によい手だてになるのではないかと思っています。 これは
所有者
不明の
土地
問題からは若干離れる部分もありますけれども、ぜひこうしたことも、被災地の復興という観点からも検討していただきたいんですけれども、この点について
大臣
のお考えを伺います。
石井啓一
105
○石井国務
大臣
本
法案
におけます
土地収用法
の特例につきましては、
反対
する
権利
者がいない場合に対象を限定しておりまして、
反対
する
権利
者がいる場合には、
土地収用法
による
裁決
などを
活用
していただくこととなります。 御指摘の震災復興のような緊急を要する場合において、
反対
する
権利
者がいる場合にも適用可能な
制度
といたしましては、東日本大震災の復興
事業
において、被災地に特化した
土地収用
制度
の加速化
措置
が講じられているものと承知をしております。 同様の
措置
は、大規模災害からの復興に関する
法律
にも盛り込まれておりまして、今後、
制度
の的確な
運用
を図っていきたいと考えております。 なお、今
委員
から御紹介いただきました東日本大震災復興特区法改正案、これが
国会
に提出されることは承知をしてございます。この
法案
につきましては、
国会
で御
議論
をいただくものと承知をしております。 〔新谷
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
階猛
106
○階
委員
所有者不明土地
問題とともに、震災の復興に必要な
土地
をいかに早く確保して
事業
を進めていくか、これもぜひ御検討いただきたいということを申し上げます。 そして、
最後
の
質問
になりますけれども、
所有者不明土地
問題とともに、使う当てのない
土地
、
所有者
がいてももう管理する意欲もないといった
土地
について、
所有権
を放棄したいというニーズがあります。 現状、
土地
の
所有権
を放棄したいという人はどういう
手続
をとるのかはっきりしないと思うんですけれども、この点について
法務省
から御答弁をお願いします。
筒井健夫
107
○筒井
政府参考人
お尋ね
がありました
土地
の
所有権
の放棄につきましては、民法上、明文の規定がなく、誰に対して放棄の意思表示をすることが必要かも不明であり、確立した最高
裁判
所の判例も存在いたしません。 このため、どのような
手続
をとればよいかを含め、
土地
所有権
の放棄の可否については、一概にお答えすることが困難でございます。 一般論として、
土地
所有権
の放棄が可能と解するといたしましても、放棄を認めると、一方的に
不動産
の管理コストや
固定資産税
の負担を免れ、これらを国の負担とすることになりかねませんため、個別の事案における
土地
の
所有権
放棄の可否については、当該事案における具体的事情に照らして、極めて慎重な検討が求められるものと認識しております。 とはいえ、御指摘のような、
土地
の
所有権
を手放す
仕組み
というものをどのようにしていくのかということについては、今後も引き続き、十分な検討をしていきたいと考えております。
階猛
108
○階
委員
質問
時間が終わりましたので、
最後
に一言だけ申し上げます。 今回新たに設けられる
地域福利増進事業
、これは民間の
事業者
も
活用
できると思うんですが、この
法案
を見ますと
申請
の
手続
がいろいろ定められておりまして、十条の三項とかその
あたり
だと思うんですが、非常に添付書類が多くて大変だと思います。 本当にこれを
活用
するのであれば、この
あたり
も、なるべく
事業者
の負担を少なくするよう、ちょっとこれから検討していただきたいということも申し上げまして、
質問
を終わります。 ありがとうございました。
西村明宏
109
○
西村委員長
次に、森田俊和君。
森田俊和
110
○森田
委員
国民
民主党の森田俊和でございます。
所有者不明土地
の
利用
の
円滑化等
に関する
特別措置法案
ということで
質問
させていただきます。三十分のお時間をいただいております。よろしくお願いいたします。 この
法案
の大きな目的といいますのが、公的な
事業
を行うときに円滑に用地が使えるようにということだというふうにお伺いしておりまして、私もいろいろと、周辺、地元の自治体の状況を聞いてみました。県と、それから、私の地元は五市ありますけれども、ただ、この五市に聞いたときに、今のところそういうことには該当しないよ、特に困っていないよというところが、五市のうち四市ありました。加須、行田、鴻巣、熊谷というところなんですけれども、羽生というところだけは、何件かそういった事例に相当するかなと思われるようなものを抱えていますということだったんですけれども、これからいろいろと各自治体、県、市町村等でこの
制度
が
運用
されていくということなので、ぜひ、なるべく具体的に役に立つような形で
お尋ね
をしていきたいなと思っておりまして、それぞれのケース、状況についてお答えをいただいてまいりたいなというふうに思っております。 羽生市の
お話
を伺ったときに出てきた事例でございますけれども、もともとの
土地
の所有をしていらっしゃった方、女性がお亡くなりになって、法定
相続人
が五名出てきたと。お子さんが五名ということなんですけれども、その長男の方が
所在
不明でありまして、残り四名。残り四名のうちの次男の方がその四名分を全部を引き受けて交渉に当たるというような状況だったということなんです。長男の方が連絡がつかないということなんですけれども、現状で、今弁護士がそこに入って、その長男の
権利
も、次男の方がほかのきょうだいと同じような形で代行するような形で契約を進めるのはどうかということで整理、調整を行っているというような、そんな
お話
がございました。 その売買契約等を結んだ後に、その後、長男の方の
所在
がわかったら親族間で調整してもらったらいいんじゃないかということで整理をしつつあるというような
お話
だったんですけれども、このような複数の
相続人
があるという場合に、そのうちの一名だけ不明だったような、特に今みたいな形で、親族が代理で契約をするといったようなことができるのかどうなのかということで御答弁をお願いしたいと思います。
筒井健夫
111
○筒井
政府参考人
一般論としてのお答えということになりますけれども、
土地
が
相続
されて複数の
相続人
の共有となっている場合に、その
土地
を売却するためには、共同
相続人
全員の同意が必要でございます。 その同意は、
所在
不明者がその親族に対してあらかじめ
土地
売却の代理権を付与していたといったような例外的な場合であれば親族の同意でもよいわけですけれども、一般的にはそのような代理権は付与されていないと考えられます。 したがいまして、共同
相続人
のうちの一人が
所在
不明である場合には、例えば国や
地方公共団体
は、たとえ他の共同
相続人
全員が売却に同意していたといたしましても、その
土地
を買い受けることができないことになります。 このような場合にその
土地
を買い受けるためには、その
所在
不明者について
不在者
財産管理
人の選任を請求することが考えられます。 この
不在者
財産管理
の
制度
とは、従前の住所や居所を去って
所在
不明となった者について、利害
関係人
又は検察官の請求により家庭
裁判
所が
財産管理
人を選任するという
制度
でありますけれども、
公共事業
のために
不在者
の
土地
を取得しようとする国や
地方公共団体
は一般に利害
関係人
に当たると解釈されているため、このような
方法
によることが可能であろうと考えられます。
森田俊和
112
○森田
委員
ありがとうございます。 全員の同意が必要だということなんですけれども、先ほど
不在者
財産管理
人の
お話
が出てまいりまして、こちら、例えば今のケースだけではなくて、県の
事業
をやるようなときにも、やはり
土地
の売買に関して
不在者
財産管理
人、この選任がという
お話
も出てまいりましたので、確かに、そういう形をとれば処分ができるというような話なんですけれども、このときに問題になってくるのは、
裁判
所が選任した弁護士が
財産管理
人になるなんということもあるということで、高額な
財産管理
費用も必要になってくるというようなケースもあるということでございまして、これは今回の
法律
のものとは直接は
関係
ないのかもしれませんけれども、なかなか普通の方がこういった高額な弁護士費用を払うということになると厳しい面もあるかなと思いますので、ぜひこの
あたり
も御配慮をお願いできればなというふうに思っております。 それで次のケースなんですけれども、これは私が県議をしているときに出てきた
土地
なのでよく覚えておるんですが、熊谷市に押切橋という、もともと冠水橋だったところをかけかえた橋がございまして、その取付け
道路
の部分の
お話
だったんですけれども、比較的新しい県道ということもあるんですが、その歩道が一部欠けている部分があって、どうしたんだろうなということを伺ったところ、この
法案
で問題となっているような共有名義で、かつ、その
相続人
がもう何十人もいるようなケースだということで御説明があったということなんです。 さらに、その
相続人
だと思われる人の一部はブラジルに移民で行っちゃったというようなそういうケースだということで、今ブラジルにいるかどうかというのも正直わからない中での話なんですけれども、とにかく何十人もいるし、海外にも移っちゃっているかもしれないしということで、なかなかそれ以上の捕捉ができないというようなことで、そのまま手つかずになって歩道が欠けているというようなそんなことがございました。 そこで御
質問
なんですけれども、
相続人
の一部が海外にお住まいだというような推定がなされる場合には、今回のこの
法律
においてはどのような対応が考えられるでしょうか。御答弁をお願いします。
田村計
113
○田村
政府参考人
お答えいたします。
所有者
が海外に居住していることが推測されるというふうな場合につきましては、一定範囲の親族や当該国の在外公館に対して照会を行うことになります。 これによりまして
所有者
探索
の端緒となる
情報
が得られた場合には、書面の郵送等により調査を改めて行うこととなります。 従来は、遠隔地に居住している場合にも実際に現地を訪問しての
探索
が行われる場合もありますが、コストに見合う成果を得られることが少ないため、今後は遠隔地への直接の訪問は要さないということといたします。 このような
探索
を行った上で
所有者
情報
が得られなければ、その
土地
は今回の
法案
の
所有者不明土地
として取り扱われることとなり、更に一定の要件を満たせば、特定
所有者不明土地
として新
制度
を
活用
することが可能となります。
森田俊和
114
○森田
委員
ありがとうございました。まさにこの
法案
の想定の内容に相当するケースだということでございました。 これまで、海外にいらっしゃるような場合には、先ほどもちらっと御答弁の中にも出てきましたけれども、現地に行ってなんということもありまして、先ほど申し上げたブラジルなどということを考えると、非常に多額のお金がかかるということもございまして、なかなか現実的ではないということもあったのではないかなと思います。 そういった意味では、先ほど
お話
にもあったように、これからは簡易な
方法
で、郵便だとか電話等々も含めての
相続人
の
探索
をするということでございましたので、非常にそういった意味では簡便な形で
手続
が進めるようになるのではないかなというふうに思っております。 それから次のケースなんですけれども、
土地
にこれは家が建っておりまして、それで、住んでいる方と、その地面の方の、底地の方の名義が一致していないということで、それも
登記
をなされていないということで、住んでいる方と
相続人
である方とはどうも親族だということまでは推定ができるんですけれども、その親族ともお住まいの方が連絡をとりたくないんだということで
事業
がとまっちゃっているケースなどもある。先ほどの例のように、下の
土地
の名義というものがかなり古い方の名義ということで、何十人というような
相続人
が出てきてしまっているということなんです。 こういった場合にどうすればよいかということなんですけれども、
土地
の
相続人
とお住まいの方が異なるようなケース、こういった場合にはどのような対応が考えられるでしょうか。
田村計
115
○田村
政府参考人
お答えいたします。 この
法案
では、新
制度
の対象を、
所有者不明土地
のうち、簡易なものを除き建築物が存在せず、かつ、業務の用など特別の用に供されていない特定
所有者不明土地
に限定をしております。 今御指摘のありましたようなケースは、家がある、家が建っているということでございますので、居住の用に供されているということで、特定
所有者不明土地
には該当せず、新
制度
の対象にはなりません。 このため、
所有者
が判明せず
収用
する場合には、現行の
土地収用法
による
不明裁決
を行うということになります。
森田俊和
116
○森田
委員
ありがとうございました。 今回の
法案
では、住んでいる方がいる場合にはこちらは適用にならないということでございます。ありがとうございます。 それから続きまして、法人の場合にはどうかなということでございます。 これは、市が周辺も含めた
土地
の開発をしたいというようなケースでございますけれども、よくうちの近所にもあるんですけれども、残土を入れてそのまま置きっ放しになって、どこに行っちゃったかよくわからないようなそういう
土地
があるということで、
所有者
を当たってみると法人である。その法人の名義の
登記
を当たってそこに書いてある
所在
地には行くんだけれども、そこに全く実体がないというケースということなんです。 こういった法人名義の場合は、今回の
法案
で想定されている
制度
、どのように適用できるのか。お答えいただきたいと思います。
田村計
117
○田村
政府参考人
お答えいたします。 法人のケースということでございますが、
土地
の
登記名義人
が株式会社等の法人である場合には、例えば株式会社であれば、その商業
登記
によりまして、法人の名称、
所在
地、解散の有無等を確認することになります。 法人が解散している場合につきましては、選任された清算人がいる場合は、清算人との間で
土地
の取得交渉を行うことができるということであります。 また、選任された清算人がいない場合には、
所有者不明土地
として取り扱われることになるため、その他の要件を満たせば、特定
所有者不明土地
としてこの
制度
を
活用
することが可能となります。
森田俊和
118
○森田
委員
ありがとうございました。 清算人がいる場合、いない場合ということで御説明がございましたけれども、清算人の選任といったことも、先ほどの
不在者
財産管理
人の
お話
とも共通する部分もあるんですけれども、やはり、清算人の選任ということが弁護士に限定をされるということで、かなり費用負担が大きいというような
お話
も伺っております。 これは別にこちらの
法案
そのもののことではないんですけれども、ぜひこの
あたり
のことも、
利用
促進ということを考えると、御配慮いただきたい部分だろうなというふうに思っております。 続きまして、
相続人
を今度は当たっていく、さかのぼっていくときの問題についてお伺いをさせていただきます。 これは熊谷市の方から指摘をされた問題なんですけれども、名義人の方がお亡くなりになった、その後の
登記
がなされていないということで、そうするとどういうふうにいくかというと、市役所の
住民
登録の
情報
を当たっていくということだと思います。しかし、この
住民
登録の
情報
の保管の期限が五年間ということでございます。お亡くなりになってから五年間ということで、その五年間を過ぎると、保管しているところも、自治体もあるけれども、する義務がないということでございまして、破棄されてしまっている
住民
登録の方の
情報
を当たることができなくなってしまうということでございます。 そうすると、当然、戸籍の
情報
に入っていたような本籍地から親族の方を手探りで見つけていくとかということもできなくなってしまうということでございますけれども、
住民
登録の
情報
がさかのぼれないようなときにつきましては、今回の
制度
、どのような対応ができるでしょうか。
田村計
119
○田村
政府参考人
お答えいたします。 新
制度
におきましては、具体的な
所有者
探索
の
方法
として、
住民
票、戸籍等の書類に記載された
情報
の
提供
を求めることとすることを想定をしております。 御指摘のように、
所有者
の死亡又は他の市町村への転出から五年以上が経過している場合には、
住民
票の除票の保存
期間
を過ぎているため、それ以上
所有者
情報
が得られない場合があります。 この場合、その時点で判明している一定範囲内の親族等に対しまして照会を行い、これにより
所有者
探索
の端緒となる
情報
が得られた場合には、その
情報
に基づきまして、
住民
票や戸籍等の公簿に基づく調査を改めて行うこととなります。 このような
探索
を行った上でなお
所有者
情報
が得られなければ、その
土地
は
所有者不明土地
として取り扱われることになり、その他の一定の要件を満たせば、特定
所有者不明土地
として新
制度
を
活用
することが可能となります。
森田俊和
120
○森田
委員
ありがとうございます。 五年を過ぎてその
情報
が破棄されていると、それ以上追わなくてもいい、
探索
する義務がなくなるということでございまして、そういった意味では、自治体の
立場
からすると、相当助かるのではないかなというふうに思っております。 次に、
登記簿
上の
所有者
がよくわからないという例があるということで
お尋ね
をしていきたいと思うんですけれども、これは埼玉県の県道の拡幅に関して出てきたケースでございますけれども、恐らくは、これは明治時代の
土地
台帳から引き継いだ
情報
等を
登記簿
に引き継いでいるというようなことだと思うんですけれども、
登記簿
上の
所有者
が、大字何々とか、あるいは字何々といったような
所有者
の
情報
になっているということでございます。 こういった場合には、
土地
のやりとりをする場合ですから、
権利
能力を持つ人、法人でなければいけないということになると思いますけれども、当然、その字とか大字というのはそれには相当しないということになると思います。 伺っているところによりますと、自治会などに認可の地縁団体になっていただいてやりとりをしなくてはならない。そうすると、まずその認可地縁団体なるものを自治会の
皆さん
と協議をしながら設立をして、それを更に市にその認可の
申請
を行っていく。認可地縁団体として認められるとその先に進むことができるといったようなことになってこようかなと思います。
お話
を伺ったところでは、自治会、市、県、あるいは法務局、こういった
関係
者もろもろの方が協議を重ねて進めなくてはいけないということで、非常に手間がかかるということでございました。 そこで
お尋ね
でございますけれども、
登記簿
上の
所有者
、字であったり大字であったり、いわゆる字持の場合にはどのような対応ができますでしょうか。御答弁をお願いいたします。
田村計
121
○田村
政府参考人
お答えいたします。
登記簿
上、
表題部所有者
欄に大字何々といった等の記録がされている
土地
、いわゆる字持地につきましては、
登記簿
から
所有者
の固有の氏名や住所がそもそも明らかでありませんので、直ちに
登記
や
住民
票等から
所有者
を
探索
することはできないということになります。 このため、このような場合には、
土地
の現地占有者などに対して照会を行いまして、これにより
所有者
探索
の端緒となる
情報
をまず探します。そういった
情報
が得られなければ、これは
所有者不明土地
として取り扱われることとなりまして、その他の一定の要件を満たせば、特定
所有者不明土地
として新
制度
を
活用
することが可能となります。
森田俊和
122
○森田
委員
ありがとうございます。 こちらの字持のケースは、県道の越谷市の事例でこういうものがあったということでございまして、相当、越谷市も含めた協議を重ねながら進めているということが、今の話ですと比較的容易な対応になってくるのかなということで思っております。 それから、無地番地の問題についてお伺いをさせていただきます。 これも県道の拡幅のときの事例なんですけれども、山の中の県道でカーブを緩やかにするような形で拡幅を行うために用地を取得するというようなときにそういう問題が出てきたということなんですけれども、測量をしていっていろいろと公図を当たっていくと、どうしてもそこに載っていない、
登記
もされていないというような
土地
が出てくる。これは山の斜面のような
土地
でございますので、そういうことであっても今までは特に問題にならなかったんだろうなというふうに思っております。この調整にも大分手間がかかったという
お話
を伺っております。 もちろん
登記簿
そのものが存在をしていないということですので、基本的には国の持ち物だということで処理を進めるというような
お話
を伺っておりますけれども、とはいっても、やはり本当に
所有者
がいないのかどうなのかということを
関係
者に当たるとか慎重に調べる、財務省が国のほかの省庁などにも紹介をして、確認をとりながら進めていかなくてはいけないというふうに伺っております。 そこで
お尋ね
ですけれども、この無地番地への対応というのは、この新しい枠組みの中ではどのように対応していかれるでしょうか。
田村計
123
○田村
政府参考人
お答えいたします。 御指摘をいただきました無地番地、地番のない
土地
、
登記
されていない
土地
につきましては、これまでの
国土交通省
の直轄
事業
の事例から見ますと、国又は
地方公共団体
が所有しているケースがほとんど通常でございます。 このため、一般的には、その
土地
の所轄地を管轄する
地方
財務局又は
地方公共団体
に対して照会をすることにより、通常は
土地
所有者
が判明することとなります。 仮に、このような
手続
を経た上で当該
土地
が無主物であることが明らかになった場合には、民法上、
所有者
のない
土地
で、国庫に帰属することとなり、その後、
事業
用に供するということであれば、
事業者
に譲り渡されるというそういった
手続
になります。
森田俊和
124
○森田
委員
ありがとうございます。今回の
制度
とは直接は
関係
ないのかなというところだと思います。 ただ、この時代に至っても公図に載っていないとか測量がなされていないとかというと、果たしてそれでいいのかなという単純な疑問もございますので、今回の直接の
法案
とは
関係
ないかもしれませんが、ぜひそういった
土地
の整理というものを進めていただいて、いざ
活用
するときにはすぐに行動ができるような形でお願いをしていきたいなと思っております。
最後
に
大臣
に
お尋ね
をさせていただきます。 こうやって今までいろいろと各事例について御
質問
させていただきましたけれども、いろいろと今までも市町村が、あるいは都道府県も含めて、あるいはもちろん国もそうだと思いますけれども、かなり苦労して進めてこられたということでは、経験もそれなりに積み上がっているところに新しい
制度
が入ってくるんだというふうに理解をしております。 そうすると、新しい
制度
がいかにして円滑に、有効に
活用
ができるかということが大きな
課題
になってくるかなというふうに思っておりますけれども、
土地
に絡むことでございますので、
登記
だとか
権利
だとか、あるいは
権利
を持っていらっしゃる方の家庭の
環境
であったりとか、あるいは先ほどの自治会が出てきたりとかというのが、そういった地域の事情であったり、いろいろなことがこれまでの経緯も含めて複雑に絡み合ったところを縫っていくような形の
制度
運用
になっていくんだろうなというふうに思っております。 そういったところに新しい
制度
が入ってくるということでございますので、その
運用
等についてはかなり自治体の方でも戸惑う
場面
が、特にその立ち上げのところは出てくるのではないかなと思いますし、また、資格を持った専門の方も同様に、今までの
制度
になじんできたという背景もございますので、新しい
制度
がどんなようなものなのか、どのような
運用
ができるのかということになじんでいただくまでには相当の手間暇がかかってくるのではないかなというふうに思っております。 そこで
大臣
にお伺いしたいのは、この
制度
について、これから自治体、あるいは
関係
をすると思われる専門家の
皆さん
、この新しい
制度
を使いやすくするように、周知であったり、あるいは研修であったり、そういった機会を持つべきだと思いますが、どのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
石井啓一
125
○石井国務
大臣
御指摘のとおり、新
制度
を円滑に
運用
するためには、新
制度
において大きな役割を担っていただく
地方公共団体
や
関係
する専門家等に対して、新
制度
を周知をし、着実に普及促進を図ることが重要であります。 このため
国土交通省
といたしましては、本法の円滑な施行に向けまして、ガイドラインの整備や、
地方公共団体
等に向けた説明会の開催等に取り組んでまいります。 また、各
地方
整備局に、
地方公共団体
や関連する士業団体、法務局などから構成されます協議会を設置をいたしまして、新
制度
を含めた関連
制度
の周知や、
所有者
探索
に関するノウハウの共有、構成員による講習会の開催等を行ってまいります。 さらに、本法に基づきまして、
地方公共団体
から
国土交通省
に対して、
所有者
探索
に関する専門的な知識を習得させる必要があるとして職員派遣の要請があった場合には、
所有者
探索
のノウハウを有する職員を派遣するよう努めまして、各
地方公共団体
ごとに、きめ細やかな支援を行ってまいります。 以上のような取組を通じまして、新
制度
が
活用
されるよう、新
制度
の周知や
地方公共団体
等への支援に積極的に努めてまいりたいと考えております。
森田俊和
126
○森田
委員
ありがとうございました。 ガイドラインを策定をしていただいたり、あるいは説明会を開いていただく、あるいは、士業の団体の方には講習会等もやっていただけるということでございます。先ほど、職員を派遣をしていただけるというような
お話
もございました。特に
制度
の立ち上がりのときには、本当に、細かいところ、細部にわたって疑問が出てくるというようなケースも相当出てくると思いますので、ぜひ、きめ細かいフォローをしていただきたいなというふうに思っております。 今回の
法案
そのもので扱うものではないと思うんですけれども、先ほど
参考人
の方からの
お話
にもございましたけれども、これは、いろいろと伺っていて熊谷市の担当者の方からも出てきた
お話
なんですけれども、
相続
がこれからなされないであろう、そういう見込みがある
土地
、こういったものが、いろいろと
事業
に関連して
土地
を調べていると相当数あるということなんです。 やはり、みすみす
所有者不明土地
にしてしまわないようにする取組というのも必要なんではないかなという
お話
も出ております。 具体的には、今、単身で暮らしていらっしゃる方も相当おいででいらっしゃいます。全く身寄りがなくて、
相続人
に相当するような方がおいででいらっしゃらないという方もいらっしゃるでしょうし、又は、いらっしゃっても、例えば私も介護の
仕事
をしていて、親族はいるのになかなか連絡がとれないという方なんかも結構今おいででいらっしゃいます。 そういった、みすみす今回の
法案
で想定するようなケースに入っていってしまわないようにするといういろいろな取組もしていく必要があるのではないかなというふうに思っております。 伺うところによりますと、これから
法務省
等と、事前の贈与などで
所有者不明土地
が出ないような
仕組み
の方も考えていただいているというような
お話
も聞いておりますけれども、今回の
法案
は今回の
法案
ということで、
所有者不明土地
が出ないような取組についても、なるべく早い段階で考慮し、取組として進めていただければということをお願いをさせていただきまして、時間でございますので、私の
質問
を閉じさせていただきます。 ありがとうございました。
西村明宏
127
○
西村委員長
次回は、明二十三日水曜日午前八時五十分
理事
会、午前九時
委員会
を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時三十八分散会