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大手参考人 名古屋市立大学の
大手でございます。
このような機会をお与えいただきまして、本当に心より感謝しております。また、平素、名古屋市立大学、また私が属しております
日本循環器学会が大変お世話になっていることを感謝申し上げます。
このプリントに沿って説明させていただきたいと思いますが、健康増進のための禁煙というプリントでございます。
一ページをあけていただきますと、ページ数を振らなかったという非常にミステークをしてしまいまして申しわけございません、フラミンガム研究、危険因子と冠動脈疾患発生頻度というグラフでございます。
一番中段に総コレステロールという欄がございますけれども、これが百八十五から三百三十五までふえると、冠動脈疾患の発生頻度が千人・八年あたり三・九人になるということがわかります。心臓の冠動脈疾患は、本来、コレステロールがたまって起こるのではないかというふうな理解でございますけれども、そしてその一段右へ行っていただきますと、耐糖能異常と高血圧が加わりますと、これが二十三・二人になります。これは指数関数的にふえていることが明らかでございます。その右側、
喫煙が加わりますと三十四・六、更に左室肥大が加わりますと六十・二に上がってまいります。
ここで、総コレステロール、耐糖能異常、高血圧、
喫煙、左室肥大で、我々がすぐ関与できるものといえば
喫煙であって、
喫煙をやめることによってかなりの
リスク軽減が得られるということがわかります。
次のプリントをお願いします。
日本人における急性心筋梗塞の
発症リスク、それぞれの
リスクファクターの重みでございますが、高血圧がございますと約五倍、
糖尿病ですと約四倍、
喫煙は約四倍、高脂血症、これは高コレステロール血症でございますけれども、一・何倍であって、コレステロールは、高いことが問題ではございますけれども、
リスクの重みは大して高くない。高血圧、
糖尿病、
喫煙が高いということが
日本人でもわかります。
この中で、先ほど申し上げましたように、
喫煙をやめることによってこの
リスクを一気に
軽減することができるというのが明らかでございます。
次のページをお願いします。
日本における二〇〇七年の非感染性疾患及び外因による死亡数への各種
リスク因子の寄与ということで、急性感染症を除いた場合の
日本人の死亡に何が関係しているかということでございますけれども、最上段が
喫煙でございます。
最上段が
喫煙で、ブルーの欄が心血管病、ダイダイの欄が、
がんですね。それから、緑の欄が
呼吸器疾患でございます。その下、高血圧でございますけれども、高血圧は一方的に
心疾患にかかわるわけですけれども、最上段の
喫煙は、心臓病、
がん、
呼吸器疾患全てにかかわって、
日本の非感染症の死因に最も関係することでございます。
数段下がっていただきますとヘリコバクター・ピロリの感染症がございますけれども、今ヘリコバクターが胃
がんの
原因であるということは周知のことでございまして、もし我々がヘリコバクターがあればすぐ
治療するわけで、私ももう既に除菌しておりますけれども、どうして
喫煙に関してはそれができないかということは、やはり
医師としては疑問に思うところでございます。
次のページをお願いします。
受動喫煙の冠動脈疾患に及ぼす影響でございます。
喫煙の
リスクは、もう既に今申し上げたように十分承知のことでございますけれども、では、
受動喫煙はいかがかということがここに掲げてございます。
これは、私は心臓ですので冠動脈疾患ということになりますが、
受動喫煙は、主流煙に比べて副流煙はその含まれる有害物質が多いということは既に周知のことでございますけれども、副流煙というのは大気に拡散しますので、その濃度はというと必ずしも高くないかもしれませんが、ここにございますように、相対危険率は、
受動喫煙の本数がゼロの人に比べて、一から十九本の人は一・二三倍、二十本以上の方は一・三倍になるということが示されております。これは
肺がんの
受動喫煙による発生と余り変わらない数字かと思います。
ここで重要なことは、一番下を見ていただきますと、この論文が一九九九年に出ているということでございます。これはもう相当前のことでございまして、既にこういうことは二十年前にわかっているということでございます。
次のページ、
加熱式たばこと通常
たばこ間における有害吸入物質の比率でございますが、
加熱式たばこのことがここに書いてございますけれども、確かに、揮発性有機物質とか非揮発性有機化合物、同じような範疇に入る。それから、無機化合物が減っております。ただし、左に赤で書いていますアセナフテン、これは二九五で、三倍含まれています。非常に発
がん性の強い物質がやはり含まれているということですね。それから、その他に書いてございます、ニコチンが八四%で余り減っていない。つまり、
加熱式たばこも習慣性を持たせる作用があるということが、これを見ると明らかであると考えます。
一番下に、これは英語で少し書いてありますが、そのとおり写してきました。ノースモーク、確かに煙は出ない。しかし、ジャスト・キャンサー・コージング・ケミカルズと書いてあります。これは、
がんを起こす物質であるというふうに編集者は言い切っております。
では、次のプリントをお願いします。
これは名古屋市立大学、
名古屋市立大学病院による取組でございますけれども、右側の言葉は、これは市に
提出した言葉で少しきつくなっておりますけれども、我々、患者中心の
医療の
推進、療養環境の整備と利便性、療養環境というのが非常に重要でございまして、
受動喫煙を防止するということが重要でございます。
キャンパス内は全面禁煙でございますし、右側は、キャンパスから外の歩道に向けて、歩道での
喫煙は歩行者の方に迷惑がかかりますと。これは、近隣から苦情が参りますので、こういうふうに掲げてございます。実は、患者さん方が少し吸っておられたんですけれども、最近はそれも見かけることはなくなりました。この取組は非常にうまくいっていると思います。少なくとも、大学という、大学
病院という環境においてはうまくいっているというふうに考えております。
次のページをお願いします。
日本循環器学会新禁煙宣言二〇一三、赤線を引いてございます、その上がちょっと抜かっていまして、
喫煙はさまざまな
疾病を引き起こす危険因子の中でも確実に取り除くことが可能である、自分の意思で取り除くことが可能でありまして、また、
受動喫煙では、環境を整備することによって取り除くことが可能でございます。
循環器疾患における
喫煙の相対危険度は、冠動脈疾患で一・七から三倍、脳卒中、一・七から八倍、突然死、一・四から十倍と極めて高いということがわかっています。
下の赤線の部分ですが、
受動喫煙防止条例を実施している欧米諸国では、急性冠イベントの発症率が条例施行後速やかに減少しているという事実がございます。
循環器学会は、これを目的に、二〇〇二年に既に禁煙宣言を行っています。先ほどの一九九九年ですか、それとほとんど遜色ないというか、スタートのラインは非常に近接して起こっておりまして、こういう取組をやっております。
また、最下段にございますように、東京都に対しても要望を出しております。
次のページをお願いします。
第一次脳卒中と循環器病疾患五カ年計画ストップCVDというのを循環器学会は
推進しておりまして、これは脳卒中学会と循環器学会、そして、中段にございますように循環器系のほとんど全部の学会がこれに賛同しております。
ステージ1で、
喫煙率を二〇一五年の一九%から一五%、五カ年で減らしたいと。つまり、数値
目標を持ってこれに取り組んでいきたいというふうに考えております。そのために、脳卒中・循環器病対策基本法の制定を先生方にお願いしておりますが、まだ日の目を見るに至っておりませんので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
その次のページをお願いします。
日本循環器学会の取組です。これはスワン君という人形がございますが、スワンというのは、
たばこを吸わぬということなんですけれども。真ん中が二十二とございます。毎月二十二日は禁煙の日でございますけれども、何で二十二かというと、真ん中の黄色いところを見ていただきますと、スワンが二羽いる。これはスワンスワンなんですけれども、何で二匹いるかというと、一人、一匹では負けてしまうんですね、
喫煙ということで。二人おればそれを克服できるのではないかということで、スワンスワンで二十二日は禁煙の日であるということをぜひ御記憶いただければありがたいです。
最後のページです。
健康増進法の一部を改正する
法律案が今出ていますが、線を引いてあるところでございます。ここで個人又は中小
企業五千万円以下という定義がございますし、百平方メーター以下のところでは標識の掲示により
喫煙可ということが提案をされておるわけですけれども、百平米というのはかなり広いですね。かなり広い。今はそこにとどめたいと思いますけれども。
そうやって、我々は健康の尺度で物を考えるわけですけれども、資本金とか広さというのは、尺度が違うことで物事を言うということになってしまうのではないかというふうに思います。
しかしながら、何よりも早くこういう法案が成立していただくということも大事であるというふうに考えておりますので、その辺を鑑みまして、先生方の、平米とかそういうことを、なかなか難しいことですけれども、なるべく小さい方にこだわっていただいて決定していただければというふうに思っております。
以上でございます。御清聴ありがとうございました。(拍手)