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吉村参考人 大阪市長の
吉村です。
本日は、こういった機会をいただきまして、大変ありがとうございます。
大阪市は、
全国の
自治体の中で
生活保護者の数が圧倒的に多いという
現状でありまして、そして
保護の比率も圧倒的に高いという
現状であります。いわば
生活保護における諸
課題も山積しておりまして、それに先進的に取り組んでいるという、ある
意味、
生活保護に関しては最先端を行っているエリアだというふうに私は思っています。
そんな中で、
生活保護に関する、
生活困窮者等の
自立支援のための一部
法改正、
生活保護関連法案と呼ばさせていただきますけれども、この
審議の
参考人にお呼びいただいたことについては、まず感謝申し上げたいと思います。
一方で、
国民にとってこれだけ重要な
法案にもかかわらず、この場において維新以外の野党の
皆さんがいらっしゃらないということは非常に残念に思いますし、異議を申し立てたいというふうに思います。
まさに、今、
国民の
立場で見ていますと、
国会において、あるいは政府において、さまざまな
不祥事が生じ、その
不祥事を責任追及するというのは、それは大切なことだと思いますけれども、一方で、こういった重要な
法案審議は別の話だというふうに思っています。
この
法案審議において
出席されないというのは、僕は
職務放棄だというふうに思っている。そして、まさに私
自身は、この
法案審議を深めたいという思いで、
さまざま大阪市役所の業務もある中、
大阪市から参っているわけであります。私が
参考人として参っているのに、何で
国会議員の
皆さんがいないんですか。おかしいじゃないですか。こんなことを許しているということ
自体が僕は許されないというふうに思います。
国会は、憲法四十一条でこう書いてあります。
国会は、国権の
最高機関であり、国の唯一の
立法機関であると書いてある。つまり、
法案の
審議をできるのは、まさに
国会議員の
皆さんしかいないわけであります。ですので、この場にいないということが非常に残念だということをまず申し上げたいと思います。
まず、
大阪市の
現状ですけれども、実態ですが、
生活保護の
受給世帯は、現在、十一万五千
世帯の方が
生活保護で、
全国最多であります。次に多いのが、二番目、三番目が
札幌市や
横浜市でありますが、では、どのぐらい数がいるのといえば、大体五万ちょっとぐらいです。つまり、二番手、三番手である
札幌市や
横浜市の倍ぐらいの数が
大阪市の
生活保護の
受給世帯になっているという
状況です。
それから、
保護率ですけれども、
全国では大体一・六七%ですが、
大阪市における
保護率は五・二%という形になっています。
生活保護における
大阪市の当初予算ですけれども、二千八百二十三億円、これは
大阪市の
一般会計に占めます一五・九%、約一六%を占めるという
状況です。
これについて、やはり看過できないということで、さまざまな
課題に取り組んでまいりました。
大阪市において、
平成三年ぐらいから数えても二十年間以上ずっと、
生活保護は
右肩上がりの
状態でした。そういった中で、
平成二十三年度から
前橋下市長、そして私の
時代において
生活保護に取り組んできたわけであります。
生活保護制度を考える上でやはり重要なのは、
制度に対する
国民の
信頼だと思います。
これから
少子高齢化を迎える中で、
国民の
皆さんに
負担を求めていかなければなりません。これは
国会の
皆さんの
役割でも僕は思っています。
自治体の
役割でも思っていますが。いいことばかり言っている
時代ではなくなるわけです。
負担を求めていかなきゃいけない。
そして、
生活保護においては、全て税で賄われているというような
状況ですから、そういった中で
生活保護制度そのものの
制度の
信用を守ること、厳格に運用を図って
国民の
皆さんの
信用を図るということが、本当に
生活保護を必要とする方を守ることにつながるんだろうというふうに思っています。そういった
観点が政策の背骨になる
理念として今進めているわけであります。
特に、
就労の
自立支援、それから
不正受給対策、
医療費の
適正化の
取組について
強化してまいりました。その
強化することで、二十年以上増加してきました
右肩上がりの
生活保護については、ここ六年間は、常に減少しているという
状況にあります。こういった
取組を進めてくる中で、さまざまな
課題も明らかになってきています。
今回の
制度改正案についてですけれども、大学への
進学する際の準備金の支給であったり、あるいは
就労インセンティブの
強化、
ジェネリックの原則の義務化、それから法六十三条
返還金の
保護費との
調整が可能になる、さまざまありますが、これは
生活保護の
適正化に向けた
方向性としては感謝申し上げたい、
一定評価する部分だというふうに認識しています。
ただ、加えまして、これだけではやはり抜本的な解決にはならないと思っています。特に申し上げたいのは、
医療費の一部自己
負担、これをぜひ
実現していただきたいと思っています。それから、あわせて、不正受給に対する監督権限の
強化、これをぜひやっていただきたいと思っています。
まず、一点目の
医療扶助ですけれども、これは実は
国民の
皆さんのほとんどは知らないと思うんですが、
生活保護費の約半分を占める、これが
医療扶助になっています。これから
医療の高度化とかあるいは高齢者の
皆さんがふえていく中で、これは更にふえる。今、完全に無料になっていますから、全く
負担することがない。つまり、
負担の感覚がないというのが今の
生活保護の実態であります。
では、どういうことが起きるのかというと、これは窓口において自己
負担がありませんから、総
医療費についての認識というのが持たれない。そして、それが頻回
受診であったり重複処方につながってくる、これが
一つの大きな
課題であります。
これに対して
大阪市においては、レセプトの点検
強化、分析、これを徹底的に行っています。頻回
受診であったり重複処方、それに
対応する指導、それから
ジェネリック医薬品についての
使用促進というのは、先進的にもう既に取り組んでいるところであります。
ただ、それでもなかなか、全体の
生活保護を考えますと、
適正化には至らない。その
適正化に至る抜本的な解決には、
医療費の一部自己
負担が必要だというふうに思っています。
それから、
不正受給対策についてですけれども、これも先ほど申し上げました、いわゆる
生活保護制度そのものの
信用性に対するものとして非常に重要だというふうに思っています。しかしながら、一方で、
生活保護受給者とかあるいはその扶養義務者に対する調査権限、指導権限が
自治体にとって不十分だという
状況であります。
大阪市においては、
平成二十四年から、
大阪市は二十四区、行政区があるんですけれども、二十四行政区の全てに
生活保護の不正受給調査の専任チームを置いて、警察のOBであったり専任官というのを全二十四区に置くというのを、橋下市長
時代、そして僕の
時代で続けていっています。それによって不正受給への
対応を
実施しているというところであります。
そんな中で、この六年間に限っては、二十年以上伸びてきた
生活保護費も、この六年間に限っては減っているという
状況でありますが、ただ、調査についてはなかなか
限界がある。
平成二十五年の
法改正で、二十九条調査によって官公庁の回答というのは義務化はされましたけれども、一方で、民間
事業者に対する回答の義務化というのが認められていないという
現状であります。ぜひこれを
実現いただきたいというふうに思っています。
それから、
生活保護のいわゆる
生活扶助についてですけれども、これは現物支給であったり、あるいはプリペイドカード方式でできないのかという問題意識があります。
これは法三十一条において自由意思に任せるというのが原則ですから、なかなか難しいところではありますが、ただ、
大阪市においては、これを先進的にまず
実施しました。
平成二十五年以降、いわゆる自由意思ですから同意いただいた方に限ってですけれども、プリペイドカード方式というのを
実施した。そうすると、やはりさまざまな、いわゆるパチンコとかギャンブルに使うんじゃないかとか、そういった懸念は払拭されますし、そして、
家計の管理というのもしっかりできるようになる、指導もできるようになるということで導入しましたが、結果、ただ、あくまでもこれは自由だということで、なかなか賛同してもらうのも難しくなりまして、今はできていないという
状況であります。これもぜひ
実施していただきたいと思います。
生活保護においては、
国民の
信頼を守るために、そのために、やはり厳格に運用することが大事だと思っています。それによって本当に
支援を必要とする人をしっかり支えていくということが、本当の
意味での
支援を必要とする人の支えになるというふうに思っていますので、ぜひ深い
議論をしていただきたいというふうに思います。
以上です。(
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