運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2018-06-06 第196回国会 衆議院 経済産業委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十年六月六日(水曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 稲津  久君    理事 城内  実君 理事 平  将明君    理事 辻  清人君 理事 冨樫 博之君    理事 吉川 貴盛君 理事 落合 貴之君    理事 浅野  哲君 理事 富田 茂之君       穴見 陽一君    石川 昭政君       岩田 和親君    上野 宏史君       尾身 朝子君    大串 正樹君       大見  正君    岡下 昌平君       鬼木  誠君    神山 佐市君       神田  裕君    黄川田仁志君       小林 茂樹君    小林 鷹之君       佐々木 紀君    田畑  毅君       藤丸  敏君    古川  康君       穂坂  泰君    星野 剛士君       松本 洋平君    三原 朝彦君       宮澤 博行君    盛山 正仁君       八木 哲也君    中谷 一馬君       松平 浩一君    山崎  誠君       吉良 州司君    斉木 武志君       山岡 達丸君    國重  徹君       田嶋  要君    笠井  亮君       谷畑  孝君    菊田真紀子君     …………………………………    経済産業大臣       世耕 弘成君    経済産業大臣政務官    大串 正樹君    環境大臣政務官      笹川 博義君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 塚田 玉樹君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           中石 斉孝君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           松尾 剛彦君    政府参考人    (経済産業省産業技術環境局長)          末松 広行君    政府参考人    (経済産業省製造産業局長)            多田 明弘君    政府参考人    (経済産業省商務情報政策局商務情報政策統括調整官)            吉本  豊君    政府参考人    (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            高科  淳君    政府参考人    (資源エネルギー庁電力ガス事業部長)      村瀬 佳史君    政府参考人    (環境省地球環境局長)  森下  哲君    経済産業委員会専門員   佐野圭以子君     ――――――――――――― 委員の異動 六月六日  辞任         補欠選任   勝俣 孝明君     小林 茂樹君   神山 佐市君     黄川田仁志君   國場幸之助君     岩田 和親君   佐藤ゆかり君     宮澤 博行君 同日  辞任         補欠選任   岩田 和親君     古川  康君   黄川田仁志君     神山 佐市君   小林 茂樹君     勝俣 孝明君   宮澤 博行君     盛山 正仁君 同日  辞任         補欠選任   古川  康君     國場幸之助君   盛山 正仁君     鬼木  誠君 同日  辞任         補欠選任   鬼木  誠君     藤丸  敏君 同日  辞任         補欠選任   藤丸  敏君     佐藤ゆかり君     ――――――――――――― 五月三十一日  小規模事業者に対する社会保険料負担軽減支援策等に関する請願初鹿明博紹介)(第一五三〇号) 六月五日  原発稼働をやめ、エネルギー基本計画見直しで、再生可能エネルギーの比率を大幅に増加させることに関する請願赤嶺政賢君紹介)(第一八二六号)  同(笠井亮紹介)(第一八二七号)  同(穀田恵二紹介)(第一八二八号)  同(志位和夫紹介)(第一八二九号)  同(塩川鉄也紹介)(第一八三〇号)  同(田村貴昭紹介)(第一八三一号)  同(高橋千鶴子紹介)(第一八三二号)  同(畑野君枝紹介)(第一八三三号)  同(藤野保史紹介)(第一八三四号)  同(宮本岳志紹介)(第一八三五号)  同(宮本徹紹介)(第一八三六号)  同(本村伸子紹介)(第一八三七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  特定物質規制等によるオゾン層保護に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第四一号)      ――――◇―――――
  2. 稲津久

  3. 稲津久

    稲津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 稲津久

    稲津委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。山崎誠君。
  5. 山崎誠

    山崎委員 おはようございます。立憲民主党山崎誠でございます。  経済産業委員会もかなり大詰めだと思います。きょうもお時間いただきました。いろいろ課題がやはりございますので、一つ一つ質問させていただきたいと思います。  きょうは、オゾン層保護法案改正案ですが、それにちょっと先立ちまして、一点だけふれさせていただきたいと思います。やはりエネルギー関係で動きがあるとちょっと気になるもので。  フランス高速炉計画について、それを縮小するんだ、変更するんだということが六月一日のヒアリングの席で公式に表明があったというふうにお聞きしています。この変更内容、そしてその背景等についてちょっとお聞きしたいと思います。
  6. 村瀬佳史

    村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  今御指摘いただきました、六月一日に開催されました高速炉開発会議戦略ワーキンググループにおきまして、フランス原子力代替エネルギー庁、CEAの担当者から以下のような説明があったところでございます。  まず、現在のウラン市場状況等を鑑みますと、高速炉実用化緊急性が高くなっていないという状況の中で開発スケジュール等を見直すこととするが、核燃料サイクル政策を引き続き維持する方針であるという点。  次に、安全、高性能で競争力のあるナトリウム冷却高速炉を将来的に実用化させる必要があると考えていること。  三点目に、ASTRIDプログラムに関する現在の検討状況といたしまして、過去に実績のある百二十四万キロワットの実証炉、これはスーパーフェニックスという実証炉でございますけれども、これにより得られたデータ等を活用しながら安全性実証等を行うシミュレーションツールの開発を行う。また、十万から二十万キロワット規模の実証炉等実験施設を用いたデータ取得等を行う新たなシミュレーションプログラム検討されているということ。  それから、シミュレーションプログラムを用いた新計画は二〇二〇年から二〇二四年に実施予定であり、それに先立ちまして、本年中に本計画に関する第一次戦略ロードマップフランスにおいて策定すること。  それから次に、ASTRID計画には日本協力が不可欠であり、日本のほか、米国とも高速炉開発に関する協力体制を構築中であることなどについて説明があったところでございます。  以上でございます。
  7. 山崎誠

    山崎委員 日本核燃料サイクル計画に与える影響はいかがでしょうか。
  8. 村瀬佳史

    村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  今申し上げた戦略ワーキンググループの場における説明を受けたASTRIDプログラム全体といたしまして、日本高速炉開発にとって重要な技術的知見を獲得することができるものになるのか、二〇一八年末に向けてしっかり精査をしていきたいと考えてございます。  その上で申し上げますと、政府としましては、エネルギー基本計画で位置づけているとおり、高速炉開発を含めた核燃料サイクル推進というものを基本方針としておりまして、これらの意義は変わるものではないと考えてございます。  我が国としましては、高速炉実証ステージ研究開発に取り組んでいくということにしているところでございまして、この年末に向けて、このASTRID計画をしっかりと精査していく中で検討を進めてまいりたいと考えてございます。
  9. 山崎誠

    山崎委員 日本計画には影響しないというお話で、着々と核燃料サイクルを実現する、実証実用するんだという方針は変えていないというお話だと思います。  私は、こうやってフランスも、いろいろな変更があり、やはり見直しを行いながらやっていく、そして、二〇二四年に建設するかどうかの判断もするというような話も記事には出てきていますが、要するに、この計画自体がまだまだ生煮えであり、そして、国際的にも、この高速炉がどういうふうに進むかわからないという段階だと思います。そういうのを踏まえて今年度中に方針を決定するということだとは思うんです。  そういう中で、エネルギー基本計画にはなぜかそういう見直しだとか検討という言葉はなくて、言い切って、実証実用に向かっていくんだ、突き進んでいくんだという記述になっていると思うんですが、この世界の情勢を見て、頼りにしているフランスがこういう状況で、どうですか。
  10. 村瀬佳史

    村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  フランスも、先日の説明の中で、核燃料サイクル政策を引き続き維持する方針であるという明確な方針説明しているところでございます。また、具体的には、フランスは、ナトリウム冷却高速炉を将来的に実用化させていく必要があると考えており、関係国とも協力をしていきたいという明確な方針が示されているところでございます。  我が国といたしましては、エネルギー基本計画で、現在の基本計画ですけれども、決定している中で、高レベル放射性廃棄物の量の減少、それから放射能レベルの低減、資源の有効利用などの観点から、高速炉開発を含めた核燃料サイクル推進基本方針としているところでございまして、現在のパブリックコメントにかけられておりますエネルギー基本計画の案におきましては、二〇一六年十二月に決定された高速炉開発方針に基づき策定されるロードマップのもとで、米国仏国などと国際協力を進めつつ、高速炉などの研究開発に取り組むこととされているところでございます。
  11. 山崎誠

    山崎委員 ちょっと質問の切り口を変えまして、高速炉軽水炉関係というのはどういうふうになっているんですか。軽水炉発電高速炉発電というのはどういう関係にありますか。
  12. 村瀬佳史

    村瀬政府参考人 我が国は、現在、商業化されているものは軽水炉になってございまして、高速炉につきましては、将来の実用化に向けて研究開発を進めていくというステージにあるところでございます。
  13. 山崎誠

    山崎委員 軽水炉がもしなくなっても、高速炉というのは意味があるものなんですか。
  14. 村瀬佳史

    村瀬政府参考人 さまざまなありようがあると思いますけれども、将来的に高速炉開発された場合に、一般論としてでございますけれども高速炉だけで商業炉が成り立つという可能性はございますけれども、まだ我が国においては高速炉は将来の実用化を目指して開発途上でございますので、将来について、まだ、日本についての具体的な姿については、予断を持ったような説明は控えさせていただきたいと思います。
  15. 山崎誠

    山崎委員 何とも曖昧な答弁なんですが、エネルギー基本計画でのあの言い切りのすばらしさと今の答弁の曖昧さ、本当に日本政府はどうなっているんだろう。矛盾していると私は思いますよ。  私が問いたいのは、当然、皆さんの絵の中には、軽水炉サイクルがあって、軽水炉発電があって、高速炉があって、燃料有効活用をしたいという絵が描いてありますよね。ということは、軽水炉システムが回って発電をやっているというのが前提高速炉開発するんだというお話だと私は理解しています、あの絵を見る限りは。  そう考えたときに、私が聞きたいのは、高速炉実用化するのは二〇六〇年とか、フランスお話だと二〇八〇年とか、そういう話があります。そのときに軽水炉を動かしているということですね、日本は。
  16. 村瀬佳史

    村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  現在動かしている商業炉は全て軽水炉になってございますし、軽水炉サイクルを進めていくという方針で取り組んでいるところでございます。  高速炉に関しましては、将来の実用化を目指して開発途上でございまして、開発を進めながら将来の原子炉の姿をしっかりとやっていきたいと思います。
  17. 山崎誠

    山崎委員 世耕大臣にお聞きしたいんですよ。  二〇六〇年に例えば高速炉実用化しました、回り始めました。そのときに、軽水炉は一基もありません、もう原発発電していません。そういう状況で、軽水炉だけ単体で動かす。まあ、減容化だとかそういう話はあるのかもしれない。でも、あの皆さんが描いている夢のシステムというのは、軽水炉があり、高速炉があり、一体で動いてのシステムですよね。  私が言いたいのは、じゃ、二〇六〇年、二〇八〇年、高速炉がある時代まで軽水炉を動かすということかと。ということは、新増設をがんがんやらなかったら、日本にはそのころには原発はないんですよ。矛盾していませんか、世耕大臣。  高速炉をやるんであれば、あの絵を描いて維持をするんであれば、軽水炉も新増設をやりますと今言わなかったら、あの絵はインチキですよ。
  18. 村瀬佳史

    村瀬政府参考人 現在の軽水炉の中でまずは軽水炉サイクルを動かしていく。今御指摘にあったようなところで矛盾するようなことは生じていないと考えてございます。
  19. 山崎誠

    山崎委員 だって、高速炉が実現するのが二〇六〇年と言っているときに、じゃ、今のまま、新増設なくて、二〇六〇年に原発軽水炉は何基動いていますか。
  20. 村瀬佳史

    村瀬政府参考人 今、再稼働を進めているところでございまして、何年に幾つの基が動いているか……(山崎委員「二〇六〇年に何基ですか」と呼ぶ)二〇六〇年に。まあ、前提によりますので、再稼働、つまり四十年超運転がどれぐらいあるかということにもよってまいりますので、具体的に何年に何基動いているかというのは、仮定に、前提によってくるということになるかと思います。
  21. 山崎誠

    山崎委員 仮定をちゃんと計算してくださいよ。  だって、二〇三〇年に二〇%―二二%やるのに、フルフルですよ、フルフル動かして、二十年延長して何とかもっているんですよ。二〇六〇年、更に先ですよ、三十年先ですよ。そのときに、今ある原発、新増設しないで、動いているはずないじゃないですか。
  22. 村瀬佳史

    村瀬政府参考人 機械的な計算をするということであれば、例えば、全てが六十年運転することになれば、二〇五〇年では二十三基の原発が動いているということになりますし、全て……(山崎委員「二〇六〇年にどうですか」と呼ぶ)二〇六〇年に……(山崎委員「二十三基動いていますか」と呼ぶ)仮定をどう置くかによってくるということになると思います。
  23. 山崎誠

    山崎委員 時間がないのでやめますが、矛盾していますよ。高速炉開発計画軽水炉運転計画、明らかにおかしい。新増設しなかったら、軽水炉なしの、高速炉だけの世界日本は入っていく。だから、今描いている絵とは違う絵を描かなきゃいけない。それを皆さんは、いろいろな選択肢が、複数選択肢があって、いろいろな可能性があると二〇五〇年の提言の中で言っているわけじゃないですか。だから、当然、高速炉だってそういう複数の絵を描かなかったらおかしいですよ。何にも描いてないじゃないですか。  やめます。こういう矛盾は、いいかげんな答弁だったと思いますよ。条件を置いたって、じゃ、何を条件を置くんですか、七十年運転を認めるという条件を置けば今の原発が生きていますと言うんですか。そういう話になっちゃいますよ。そうでしょう。だって、いろいろな条件を変えれば動いているかもしれない、そういう話は不毛ですからやめますが、明らかにおかしいと思います。  なので、私は、この高速炉開発についても、全体の原発政策の中でやはり見直すべきだし、現実的な、もう原発をゼロにする、依存を低減していくというシナリオの中で、どこでゼロになるのかな、そのときに何が本当に必要なのかという議論をして予算を使っていっていただかないと、毎年五十億だとかフランス計画にお金がかかっていきますよね、こういったものに対して、本当にああいうところを見切りをつけていかなかったら、本当の必要な投資が回らなくなる、再エネだとか省エネだとか、そういうことを考えていただきたいと思います。  それでは、きょうの本題、オゾン層保護法案改正についての御質問をさせていただきます。  オゾン層保護、非常に大事なテーマでございまして、あと、フロン、これをどうやって扱っていくか、大変重要な課題でございます。  今回のオゾン層保護法案と、もう一つフロン排出抑制法二つ両輪になって動いていると思いますが、この両方の関係性あたりをちょっと御説明いただければと思います。
  24. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  まず、今回提案させていただいておりますオゾン層保護法でございますが、こちらの方につきましては、オゾン層を破壊する効果のあるフロンの生産、消費、これを規制するということで削減を図っていきますモントリオール議定書、これがございます。この条約の国内担保法としてでき上がったものでございまして、この議定書に定めます削減義務を果たすために、オゾン層を破壊する、これまでは特定フロン製造及び輸入規制するものでございます。  他方で、今ございましたが、フロン排出抑制法、正式にはフロン類使用合理化及び管理適正化に関する法律と申しますけれども、こちらの法律は、代替フロンを含めまして、国内でのフロン類排出抑制、これを目的といたしましてでき上がっている法律でございます。当初は、回収、廃棄のところに着目しておりましたけれども、その後、製造あるいは使用管理段階まで含めまして、ライフサイクル全般にわたって対策を行う仕組みとなっているものでございます。  今回の提出しております改正法案によりまして、私どもオゾン層保護法でも代替フロン製造及び輸入を新たに規制対象とすることを提案させていただいておりますけれども、あくまで、代替フロン製造段階におけます規制は、基本的にオゾン層保護法に基づくものでございます。  一方、製造段階以外、具体的には、代替フロン使用機器製造でございますとか機器のユーザーなどに対する規制は、フロン排出抑制法に基づくものでございます。  今、先生の方からも両輪でというお話がございましたけれども、今後とも、代替フロンにつきまして、両法が補完し合うことで実効ある製造消費規制、そして排出抑制を図っていきたいと考えております。
  25. 山崎誠

    山崎委員 ありがとうございます。  このフロン排出抑制法には、非常に大事なことがたくさん書かれていると思っています。  今までのオゾン層保護対策、あるいはフロン対策の流れとして、簡単にまとめると、オゾン層はまず保護しなければいけないということで、CFCとかHCFCだとか、それを抑制する、禁止をしていく。それで、切りかえていくことでHFCという世界に入ってきて、地球温暖化対策だということでございまして、今は政府方針としてはここにいるわけですよね。  この中で、フロン系のこのガス自体Fガスと総称されていると思いますが、これをとにかく減らさなきゃいけない、全廃しなきゃいけないというのが中長期的な目標ということで認識をしていますが、それでよろしいでしょうか。
  26. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘の点につきましては、フロン排出抑制法に基づきまして指針というものができ上がってございまして、そちらの中で、フロン類の中長期的な廃絶を目指すということがうたわれているところでございまして、全体の方向性としてはそういったものであろうかと思います。  他方で、御案内のとおり、今、技術的にそこまで確実に全てが代替できるかというところについて見通しができていないことから、モントリオール議定書での私ども先進国排出削減義務も、八五%にとどまっているという現状ではございます。
  27. 山崎誠

    山崎委員 指針にはこう書いてあるんですね。「今後見込まれるHFC排出量急増傾向を早期に減少に転換させることを含め、フロン類段階的な削減を着実に進め、フロン類を中長期的には廃絶することを目指す。」となっています。  この目標が、私は、最終目標でありまして、これに向かって整合をとっていかなければいけないというふうに考えています。  この中で、グリーン冷媒ですね。グリーン冷媒皆さんはノンフロンということで位置づけているのかと思いますが、この中には二つの種類がありますよね。いわゆる自然冷媒と言われているものと、それから化学的な、やはり弗素系のものを含んでいるものが入っています。これを混在させてはいけないのではないかという指摘に対して、どうお答えになりますか。
  28. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  今御指摘グリーン冷媒でございます。これは、私どもが今までやっておりました特定フロンから代替フロンということの転換を進めてきた、その代替フロン温室効果が高い、その温室効果が高い代替フロンにかわるものは何かということで考えておりますのが、このグリーン冷媒でございます。  このグリーン冷媒につきましては、今先生の方から御指摘ございましたように、いわゆる自然界にもともと存在するCO2でございますとかアンモニアといった自然冷媒と言われるもの、それに加えまして、人工的な物質でございます弗素系冷媒というものも含まれるというふうに考えてございます。  先ほども申し上げましたけれども自然冷媒で、つまりノンフロンだけで全て我々の生活、産業が成り立つ見通しがあるのであれば、そのようなことに踏み込んでいけるかと思いますけれども、今現状ではなかなかそうはいかないという状況の中で、中長期的にフロン類廃絶を目指すこととしながら現実的な対応をしていくというのが私どもの考え方でございます。
  29. 山崎誠

    山崎委員 先ほど言いました、オゾン層の問題があり、地球温暖化の問題があり、それで、今指摘されているのが、第三のリスクがあって、弗素系の人工の化学物質に対してはやはり環境に対する影響が大きいということが指摘をされていると思います。  人体への影響あるいは環境への影響、いわゆるHFOと言われているものですね。これはノルウェーの環境庁の調査報告書などがレポートで出ていましたが、こういうのを見ると、HFOに対する、ここで言っている、皆さんグリーン冷媒という中に入れている弗素系物質については、やはりまだ知見が足りていないよ、環境に対しての影響、あるいは長い期間にわたって大気でHFOが分解されて、トリフルオロ酢酸ですか、TFAと言われている、そういったものがどういう影響を出すのか明確になっていないよということが言われています。  ですから、こういったことを考えていきながら、長期的にはやはり自然冷媒に切りかえる、その速度をできるだけ早くする、あるいはそれを本当にターゲットにするんだということをメッセージとして出さないと、いろいろな技術開発だとか設備投資だとか、そういったものが無駄になるのではないか、二重になってしまうのではないか、そういうことも指摘されていますが、いかがですか。
  30. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  まず、今のノルウェーの環境庁の方の御指摘でございますが、私どもも拝見をいたします限り、二つのことを言っているかなというふうに認識をしております。  一つは、現在、学識経験者の中では、このTFA、今先ほど御指摘ありましたトリフルオロ酢酸でございますけれども、このトリフルオロ酢酸、これはHFOから生み出されるものではありますが、こちらが環境に与える影響はごくわずかであるという意見でほぼ一致している。ただし、この一致している意見を裏づけるためにはまだまだ知識のギャップが存在する、こういう論理立てかなというふうに思っております。  したがって、基本的に、現在の学識経験者の理解としては、今御指摘のありますHFOから生まれますトリフルオロ酢酸環境に与える影響はごくわずかだと考えているんだけれども、それを裏づける根拠が、もう少しまだ分析が必要かもしれない、こういう御指摘かと思っています。  今御指摘のあります、自然冷媒の方にどちらかというと優先して技術開発等々を進めていくべきではないかという御趣旨と承りましたけれども、御指摘のことが実際に今の現在の技術で可能であれば、我々の国民生活、産業への影響を避けながらやっていくことは可能だと思っておりますけれども、全世界的にも、そこはいきなり全部は難しいだろうということで八五%削減という目標が掲げられている中で、我々としては、その中でもしっかりと技術開発を今のうちから先進国の中でもリードをしていく役割をして、日本環境、そして競争力というものを高めていく、こういうふうに考えているところでございます。
  31. 山崎誠

    山崎委員 お聞きしますが、今、日本で使われているHFO、これは今どういう回収をされていますか。
  32. 多田明弘

    多田政府参考人 失礼いたしました。  お答え申し上げます。  現在、我が国におきましてHFOが使われている現状は、カーエアコンの冷媒として一部使われているところでございます。ただし、そのHFOは、現在、フロン排出抑制法の対象にはなってございませんので、現在は規制の対象とはなっていないところでございます。
  33. 山崎誠

    山崎委員 規制になっていないということは、どういうことですか。回収しないで大気に放出されているということでいいんですか。
  34. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  現在、フロン排出抑制法の対象となっていないと。既にその廃棄、回収の時点まで達しているかどうかは別ですけれども、もしそのような状況になっても、現在はそれを規制としては対象とはしていないということでございます。  これは、フロン類、それから我々が今回対象としています代替フロン特定フロン代替フロン製造輸入の対象とする規制法、それから排出抑制しておりますフロン類排出抑制法、いずれにおいてもこのHFOを現在対象としていないという事実があるからでございます。
  35. 山崎誠

    山崎委員 先ほどノルウェーの環境庁の話もありましたけれども、基本的にまだいろいろなリスクがあるかもしれない、まだ調査が必要だよというのがレポートです。それは、業界団体中心にはやはりこれはもう大丈夫だというのはありますが、それだけではいけないよというのがこのレポートの意味でありまして、少なくとも、日本政府環境省なのか経産省なのかわかりませんけれども、これについての分析を独自にやられて、安全性あるいは危険性、どういうふうに分析をされたか、その結果は独自にお持ちですか。
  36. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のノルウェー政府のレポートは昨年の十二月に行われたものというふうに承知をしておりますけれども、それに先立ちまして、二〇一一年の一月に、我が国の場合には産業技術総合研究所におきまして、先ほど来御議論となっておりますHFOの分解生成物であるトリフルオロ酢酸についての研究が行われておりまして、その研究の成果といたしましては、トリフルオロ酢酸による生態系リスクは高いとは考えがたいとの結論が得られているものと認識をしております。  委員指摘の、HFO規制の対象となっていない、今リスクが指摘されているけれどもという御指摘がございました。  確かに、リスクを指摘される向きはありますけれども法律において事業活動等々に義務を課したり何かをするということであれば、それは実際にリスクが科学的に検証されたものについて行っていくというのが我々の基本的考え方です。  加えまして、化学物質全般につきましては、別途、化審法という仕組みがございまして、その中で生態系に与える影響だとかそうしたものをきちんと審査をして、それで世の中に流通させていいかどうかを別途クリアをして行われているものだということは申し添えたいと思います。
  37. 山崎誠

    山崎委員 新しい物質が今生まれようとしているんですよね。冷媒として、いろいろな化学反応をさせて化学物質をどんどん生み出して、温室効果の低いものをつくろうとしている、それでいろいろないい特性のものを出そうとしているのはわかりますよ。でも、それって新しい物質でありまして、さっきの産総研ですか、どういう研究をしたか知りませんけれども、例えば生態系に与える影響なんていうと、やはり何年もかかるはずですよ、研究自体。何代かにわたって遺伝子の状況だとか、そういうのを見なきゃいけないと思いますよ。そういう研究をやっているかどうか。まあ、いいです。  もう一つ。今、グリーン冷媒というものにそういうものも入っている、ノンフロンと言われているものにそういうものが入っている、それをやはり事実として、きちっと中身を明確にする必要があると思います。要するに、皆さん誤解されて、ああ、グリーン冷媒、いいんだ、ノンフロン、いいんだと。  例えば、私、このグリーン冷媒の導入状況といういただいた表の中に「代替冷媒候補を検討中」とありますよね、ここは、いろいろな開発が起こるんだと思います。この中に、今お話ししたようなHFOのようなものが、新しいものがどんどん入ってくるという認識でよろしいですか。
  38. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  今委員指摘の資料でございます、私どもの作成した資料でございますが、御質問は、右下の「代替冷媒候補を検討中」のところにどうなるかという御質問でございまして、こちらに対してお答え申し上げますと、自然冷媒も入る可能性がございますし、それから、それ以外の弗素系化合物も入るかと思います。ただ、今までここはなかなか候補が見つかっていないということからいたしますと、自然冷媒というのはなかなか難しいのかもしれないなというふうに思います。  上の方をごらんいただきますと、御案内のイソブタン、CO2、さらには空気、アンモニア、CO2、こういったところはそれぞれ自然冷媒と称すべきものでございまして、既に今、市場に出回っているものの中では、このHFO1234yfという物質が該当いたします。  それから、恐縮でございますけれども、もう一度だけ誤解なきように申し上げますと、HFOという物質が我々人間に対して、あるいは環境に対して悪影響を与えるかどうかということについては、これは別途、化学物質審査ということで、新規物質、さまざまな形で新しい物質が出たとき、それを使っていいかどうか、これは別途の枠組みで化学物質を審査する法律がございます。そちらの方で、市場の中で使って構わないということは、審査をした上で問題なく使われているということは、御承知おきいただきたい。  私どもが、危ないことがある可能性があるものを市場に放置して、それを回収しないでそのままにしているということではないことは、御理解いただければ幸いでございます。
  39. 山崎誠

    山崎委員 一番初めにフロン排出抑制法の話をしましたが、フロン類の長期的な廃絶にこのHFOは入っていないということですね。
  40. 多田明弘

    多田政府参考人 お答えを申し上げます。  概念として、フロン類という広い概念の中にHFOというものが入るということは、入ると考えております。
  41. 山崎誠

    山崎委員 間違ってますよ。大丈夫ですか。間違ってますよ。入らないと言いたいんでしょう。  もう一回。
  42. 多田明弘

    多田政府参考人 大変失礼をいたしました。  フロン類の中にHFOは入らないというふうに考えております。
  43. 山崎誠

    山崎委員 私は、どう説明するかにもよるかもしれませんが、その考え方が間違っていると思います。あくまでも、この表の中で私が申し上げたいのは、やはり自然冷媒に今シフトするんだ、それで、フロン類を全廃するというのが抑制法の中の大きな方針なんじゃないんですか。  私が心配しているのは、ここにまた新しいいろいろな製品が入ってくるだろう。そのための、今、インセンティブというのがありますよね。画期的に温室効果ガスの低い冷媒製造等へのインセンティブを付与すると言っているのは、この開発を促進するためじゃないですか。この代替の冷媒を見つけるためのインセンティブではないですか。
  44. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  今御指摘のその表にそのまま、そこだけに限られるものではございませんけれども温室効果の低い冷媒というものが私どもとしては必要だというふうに考えてございまして、そうした新しい冷媒開発することに対するインセンティブを付与することは必要なのではないかと考えているところでございます。
  45. 山崎誠

    山崎委員 自然冷媒に対するインセンティブは何か与えていますか。
  46. 多田明弘

    多田政府参考人 大変恐縮でございます。今、御質問の趣旨がちょっと聞き取れませんでした。失礼しました。
  47. 山崎誠

    山崎委員 自然冷媒推進するためにどういうインセンティブを与えていますか。  環境省が補助金を出しているのはわかりますよ。経産省として、制度として、仕組みとして、このような代替の冷媒をつくるためにはインセンティブを与えている。自然冷媒のためにはどういう政策をしていますか。
  48. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど来お示ししておりますように、現在、市場では、こちらの、例えば家庭用冷凍冷蔵庫でございますとか自動販売機、あるいはカーエアコンといったところについては、グリーン冷媒開発されて市場に投入されつつあります。  特に、家庭用冷凍冷蔵庫、自動販売機については、イソブタン、CO2といったところが使われております。こちらにつきましては、私どもの、環境省さんと一緒にやっておりますフロン排出抑制法といった取組の中で、フロン排出抑制見通しとかを公表することによって、事業者の技術開発を後押しをしているということでございます。  したがって、その結果が、私どもは、この成果として、イソブタン、CO2とかの市場投入につながっているというふうに理解をしております。
  49. 山崎誠

    山崎委員 結局、やはり自然冷媒じゃなくて、新しいいろいろな冷媒開発する方を応援していて、自然冷媒はまだまだ課題が多いし、技術的にはこれからなのでというのが経産省のスタンスじゃないんですか。
  50. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  私どもとして、自然冷媒が人工系の、弗素系の化合物に劣るとか、そういったことは決して考えてございません。  私どもといたしましては、代替フロンというものが温室効果が高い、したがって、冷媒といった形で世の中に必要なものなんだけれども温室効果を下げていかなければいけない、そうした新しい冷媒、これを開発することが大事だろうと思っております。  その中には、自然冷媒もあれば、自然冷媒がどうしても適用できない部分もあります。そうした分野については、やはり弗素系化合物といったものを使っていくといったことが必要となる場合が現時点ではどうしても想定されるものですから、そこはニュートラルに取り扱うというのが私どもの考え方でございます。
  51. 山崎誠

    山崎委員 ニュートラルじゃだめだと私は思いますよ。最終目標、ビジョンがあって、それにいかに近づけるかじゃないんですか。ニュートラルということは、両方やるということですよね。  ちょっと資料を見てください、一番。  これはローソンの取組でございまして、ローソン、コンビニエンスストア中心にすばらしい事業を行っている方々です。その開発本部長の補佐の方の発言が載っておりました。ここのタイトルです。「長期的には自然冷媒とほとんどの人が考えている。いつ、変えるのかが一番重要な課題」ですと。ローソンは、ここに書いてありますように、冷凍冷蔵機器自然冷媒への切りかえをとにかく一生懸命今進めているということでございます。  ここで書いてある発言で、下の方に行くと、十年後どうするかではなくて、今から八年、十年において何をするかが重要なんだという御提言をしています。要するに、フロンという負の遺産を残さないように、とにかく今、最新の、できること、自然冷媒を最適化する、最適である、それをとにかく伸ばすことに全力を挙げると言っているわけです。  事業者の視点からいくと、要するに、段階を追うということは、実は合理的なように見えて、事業的には非常に不効率のときもありますよね。二重に三重に投資をしなければいけない。今までこれでよかったのに、HFCでよかったのに、じゃ、次、今度はこっちだ、だけれども最初はこれだというような誘導の仕方というのが経産省として適切なのかどうかですよ。  もちろん、できる分野、できない分野もありますよ。なので、時間的なそういう制約もあるでしょう。ですが、私は、産業政策としては、やはりこういうローソンの皆さんの言っているようなことをきちっと踏まえて、ターゲットは自然冷媒なら自然冷媒世界をどう実現していくか、それに向かってどう追っかけていくか、そこに力点を置くべきだと思います。  今回のオゾン層保護法お話を聞いていると、キガリ改定、キガリ改定なんですよ。条約を守るために、条約に合わせるために、それは大事ですよ。でも、いや、条約の削減目標八五%だから、そこに達成できればいいんだという指針をいつも頭に描いて、どう条約を守ろうかというのに終始しているように思います。  もちろん、条約を守ることは大事だから、守らないなんて論外ですけれども、経産省は産業を引っ張っていく戦略の府ですよね。なのであれば、例えばこの冷媒のテーマについても、自然冷媒というのがターゲットであれば、それに向かってどんな技術開発をしていくか、どんな後押しをしていくかというのを優先的に考えるべきじゃないですか。ニュートラルじゃないと思いますよ。
  52. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  まず、御紹介をいただきましたローソンの件でございます。非常にいい取組だと私どもも思います。  ただ、一点つけ加えさせていただきますと、実は、ローソンさんがお使いになっていただいている冷媒、これも私どもがこれまで研究開発で御支援をしてきたものでございます。  したがいまして、先ほどニュートラルと申し上げましたけれども、ニュートラルというのは、自然冷媒のことも含めて、それも一生懸命私どもは応援していくということでございます。  先生指摘の、八五%に満足せず一〇〇%の廃絶を目指してということについては、これはフロン法の方の方針に掲げられておりますので、私どももそれは念頭に置いてございます。  ただ、現時点で、この瞬間にどこまでどうするのかということにつきましては、現実で、目の前の産業活動、あるいは冷凍空調といった国民生活にもかかわる分野がございまして、今の我々の知見ですと、自然冷媒では必ずしも十分行けそうもないというところもあるものですから、人工系の、弗素系の化合物のことを排除することなく、そこも含めてグリーン冷媒と称してやっていこうというものでございます。  そこのところはぜひ、私ども自然冷媒を応援していないということではなくて、我々も、そこは一生懸命グリーン冷媒一つとしてしっかりと応援していきたいと思っております。
  53. 山崎誠

    山崎委員 時間がなくなってきました。  要するに、私はフロン排出抑制法にこだわるわけではないですが、フロン類を長期的に廃絶することを目指すと書いてありますが、これはどういう意味なんですか。フロン類ということだから、HFOども含めて、こういう人工化学物質廃絶するんだという意味で私は読んでいます。フロン類と書いてあるんですよ。そうじゃないんですよね、だから。どうですか。もう一回。
  54. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  フロン排出抑制法に定めますフロン類については、これは法律上の定義がございまして、大きく三つの物質群になっております。HFC、CFC、HCFC、この三種類がなっておりまして、したがって、先ほどから御議論になっておりますHFO法律上のフロン類の定義には含まれていない、こういう状況でございます。
  55. 山崎誠

    山崎委員 法律的に言っているんじゃなくて、まあ法律も大事で、法律的にはそうなんでしょうけれどもフロン類をなくすというのは、私の理解は、あくまでもやはり第三のリスク、環境への影響ども配慮して、もちろんオゾン層対策もあるでしょう、地球温暖化対策もあるでしょう。もう一つ環境影響。広い意味での、化学物質を拡散させない、そういうものがやはりベースにあるんだと思いますよ。  先ほどありました、リスクが確定されていなければと。環境世界は、やはり予防原則ですよ。新しい物質がどんどん出てきている中で、それに対するリスクをどう見るかというのはわからない。わからないというときはどうするか。まずはとめるんじゃないんですか。回収してくださいよ、少なくとも。あるいは、そういうものが入っていないんだったら、この法律を変えなければいけないと思いますよ。フロン排出抑制法の方をやはり変えていかないといけないと思いますよ。そうしないと、今指針で出している文章が空文化してしまうというのが私の思いでございます。  最後、フロン類、やはり自然冷媒に切りかえるべきだということで御提言をします。  やはり、フロン類対策の最終的な解決策である自然冷媒、二酸化炭素であるとか炭化水素であるとかアンモニアだとか水だとか空気等への転換を優先すべきです。また、技術的な事項に関しても検討をして、検討を踏まえ、当該ガスの利用に伴う条件の緩和や、安全に利用するための規制の整備、またインセンティブをきちっと検討していただきたい。  自然冷媒についてそういった手当てをしっかりとやっていただくことを要望して、質問を終わります。
  56. 稲津久

    稲津委員長 次に、山岡達丸君。
  57. 山岡達丸

    ○山岡委員 御質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。山岡達丸でございます。  きょうはオゾン法の一部改正という審議でありますけれども質問に入る前に、昨今の動きとして、先週、働き方改革をめぐる法案が衆議院で通過ということでありました。高度プロフェッショナル制度を含む法案でありますので、当然私も反対で、その立場であります。それが衆議院通過ということで、非常に残念な、じくじたる思いであります。  それはそれとして、私もこの半年間いろいろ、この経済産業委員会に所属させていただく中で、経済産業関係者の皆様というか、職員の皆様ともいろいろ話す機会は多くございました。一般に職員の皆様は、こうした質疑があるときは夜遅くまで、非常に深夜まで、答弁書をつくるなり大変な思いをしているということである中で、世耕大臣がおつきになられてから、世耕大臣の号令もあって、できるだけ早く、できれば夜十時までに答弁書を作成して……(世耕国務大臣「十一時」と呼ぶ)十一時、終わらせると。複数の職員の関係者から非常にありがたいというお話は伺っているところでありまして、これは本当に心から敬意を表させていただくところであります。  上司の方のキャラクターにもよるところであるようでありますけれども世耕大臣が何とかなるはずだというお話をされていただいているというお話で、管理者によっては、あるいはトップに立つ人によっては、非常にそうした人々の働く環境というのはがらっと変わるということも一つあるわけであります。どこもかしこも全ての組織がそうした方がついておられるわけではないという前提に立ったときに、私も含めて、やはり働き方改革、高度プロフェッショナル制度を含むこうした考え方については反対の思いを強く持つわけでありますけれども、それはそれとして、そのことについてまずもってお伝えをさせていただきたいと思います。  そして、これも一つ、オゾン法に入る前で恐縮なんですけれども、私、先週の質問で、冒頭でありましたけれども米国の通商問題についてちょっとお話を伺いました。そのときに、世耕大臣は、この日の夜から出かけられて、そしていわゆるUSTRのライトハイザー代表を含めてお会いするのだ、そしてお話をするのだというお話もあのときあったかと思います。  ニュースにもなっていますけれども、今月に入って、G7の財務相・中央銀行総裁会議でも、非常に、アメリカを除いて、皆様で、アメリカに懸念と失望という言葉も含めて異例の議長総括がされ、米国以外の六カ国が総意として、鉄鋼輸入制限等を含めて、G7の団結と協調を危機にさらしているという非難をトランプ大統領に伝えてほしいということ、そうしたことが要請されたということも報道されているところでありますけれども会議後に公表する文書においても名指しするのは異例であるということでありました。  サミット、G7首脳会談に議論を持ち越すということでありますから、これからまたそうした議論もなされるんだと思いますけれども世耕大臣は、まさに先週、USTRのライトハイザー氏、それから欧州貿易担当委員のマルムストローム氏と面会されて、報道というかリリースによれば、三人の御閣僚は、第三国における非市場志向の政策についての懸念を表明し、現在の措置について議論し、近い将来に実施される可能性のある措置について議論したとリリースされていますけれども、とりわけ発展途上国とかほかの国も、第三国の皆様の産業補助金とかあるいは国有企業についてのルールについては、WTOのルールの完全な施行を求めるということを、WTOの枠組みを継続していくんだということを確認されたということであります。  ただ、大臣もたびたびおっしゃっておられますけれども、このアメリカの、米国大統領の鉄鋼、アルミニウム、そしてまた自動車をめぐる関税を一方的に引き上げるという考え方については、やはりWTOの枠組みから考えても、これは反するものだということを強く思うわけであります。  せっかくこうしてまた質問の機会をいただいておりますので、大臣に、この三閣僚のお話とあわせて、ライトハイザー氏とどういうようなお話を伝えられて、そしてどのような手応えがあったのか、そのことについて大臣からお聞かせ願えればと思います。
  58. 世耕弘成

    世耕国務大臣 G7の財務大臣会合の方はかなり強い政治的なメッセージが出たわけでありますけれども、実は同じ時期パリで開かれていたOECD閣僚理事会、そしてWTOの非公式閣僚会合、まさにここに各国の貿易担当大臣、私も含めて集まっていたわけでありまして、実はかなり実務的な話合いはこちらの側で行われたんですね。  ただ、残念ながら、日本から私に同行していく記者は誰もいなかったんですね。財務大臣の方は各社ついて、別の問題もあったからだと思いますけれども、ついていかれて、そっちの方が日本では大きく報道されていますが、かなり詰めた具体的な話をしたのはこのパリの方で、お互い貿易担当大臣同士でやらせていただきました。  まず、ライトハイザー通商代表に対しては、特にこの通商拡大法二百三十二条、今鉄鋼、アルミでは日本には既に適用されていますし、これから自動車・自動車部品に関して調査を始めるということでありますから、ライトハイザー通商代表に対しては、いかなる貿易制限措置もWTOルールに整合的でなければならない、世界市場の混乱を招いて、ルールに基づく多角的貿易体制に悪影響を及ぼすような措置は極めて遺憾であるということを強く申し入れさせていただきました。  また、マルムストローム貿易担当欧州委員とも、まず個別に会談を行いました。この話合いの中では、やはり日本とEUでアメリカの措置への懸念を共有をいたしまして、閣僚レベルの会合では異例なんですけれども、あえて紙で共同声明を出させていただいて、非常に日本とEUの強い懸念を世界に発信するということもさせていただきました。また、今後密接に日・EUで協力をしていくことと、日・EU以外の国ともしっかり連携をしていくということも、マルムストローム委員と確認をさせていただきました。  その上で、日、米、EUの三極貿易大臣会合もこのとき行いました。三時間やりました。ここでももちろん、私とマルムストローム委員からライトハイザー通商代表に対して、二百三十二条に関して強く申入れも行いましたし、WTO改革についてもかなり話し合いましたが、ここで非常に意味が大きいのは、こういう二百三十二条の問題でアメリカとその他の国が角を突き合わせているときに、日、米、EUの三極が、実は本質的な問題である第三国による市場歪曲的措置、これを改めない限り自由な貿易というのは本当の意味で成り立たない、実は今起こっているいろいろな問題の本質はここにあるわけでありまして、この問題にスポットライトを当てて、このときは三時間やりましたが、三極で話し合ったということが非常に意味が多くて、今回三回目になりますけれども、今回は話し合っただけではなくて、例えば、補助金に関する規律に関して国際交渉を早期に始めようということを合意をやりました。共同文書も発出をいたしました。  この貿易交渉波高き中で、この第三国による市場歪曲措置に対して、日、米、EUは共同歩調をとるんだということを発信できたということが、実は今回パリで一番大きな成果だったのではないかなというふうに、ちょっと長くなりましたけれども、そういう形で、パリではいろいろな話合いをやってまいりました。
  59. 山岡達丸

    ○山岡委員 御答弁ありがとうございます。  実務者の会談でありながら、記者がついていかなかったというお話でございました。私も記者出身でございまして、取材のスポットをどこに当てるのかということに非常に問題提起もいただいた気持ちもございます。  そして、お話もございましたけれども、まさに今、三国が歩調を合わせて、このWTOの第三国に対してのさまざまなルール、こここそが一番本丸なんだということを確認したということに意義が大きいというお話もございました。  まさに第三国にそういうことを求めていく中で、みずからの足元といいますか、みずからがそうしたWTOのルールの中で逆に追及されるようなことがあっては、アメリカとしても、こうした第三国を正す上で、それは非常にデメリットなことであるということを、また大臣のお立場から、さまざまな形での御交流はあると思いますけれども、そうした思いも込めながら、ぜひ、今波高きときのこの歩調を合わせるという取組を続けていただきながら、この大きな、鉄鋼、アルミニウム、そして自動車の問題については、北海道、私の地元もものづくりの町でもございますけれども関係者は本当に固唾をのんで見守っておりますので、ぜひ大臣にはこれからもそのお立場でお取り組みいただきたいという思いをお伝えをさせていただきたいと思います。  それでは、きょうのオゾン法をめぐっての質問に少し入らせていただきたいと思います。  これはいわゆる、既に特定フロンから代替フロンにかわって、特定フロンについてはおよそいろいろこの三十年間の取組もあろうかと思うんですけれども、せっかくの機会なので、そもそも、このオゾン法の、今回は地球温暖化防止という意味で代替フロンをなくしていこうという考え方であります。  私、今三十八歳でありますけれども、三十年前、小学生のころでございましたけれどもオゾン層に穴があくということは、当時非常に大きな社会問題といいますか、あらゆる報道でなされ、小学生の私も、本当にさまざま、恐怖におののいたといいますか、非常に紫外線が降ってきて、穴があくと、そしてがんになるとか、あるいはいろいろな悪影響が出てくるんだ、尾ひれがついたのかもしれませんけれども、そうした騒ぎがあったことをよく記憶しているところであります。  思えば、モントリオールの議定書がなされ、一九八八年に現行の最初の法律が成立したということでありますけれども、その前後の中で、そうした社会情勢とか、社会の、報道もあわせて機運が高まったものだということを理解しているところでありますけれども、この機会ですので、現在のオゾンホールといいますか、オゾン層状況というか、伺いたいと思うんです。  当時のような大騒ぎの状況というのは、思えばあの瞬間だけだったような気もするわけであります。その後はほとんど、余り社会的に、もちろん専門家、玄人の方はいろいろお話はされたかもしれませんけれども、一般の中でお話が盛り上がったという記憶は、私限りにおいてはなかなかないわけであります。  今、南極、そしてまた日本の上空を含めて、このオゾンホールの現状、どういうような状況になっているのか、そしてまた、紫外線を含めて、リスクが高いと言われる状況は、当時言われましたけれども、その状況はどうなっているのか、そのことについての現状についてお伺いさせていただきたいと思いますが、環境省にお伺いします。
  60. 森下哲

    森下政府参考人 お答え申し上げます。  地球規模のオゾンの量は、一九八〇年代から一九九〇年代前半にかけまして大きく減少いたしました。その後、減少傾向が緩和し、一九九〇年代後半からはわずかな増加傾向が見られていますが、現在も少ない状態が続いております。  オゾンホールにつきましても、一九八〇年代から一九九〇年代半ばにかけまして、先ほど御指摘がありましたように、南極におきまして急激に拡大をしております。その後、長期的な拡大傾向は見られなくなっておりますけれども、その規模は依然として大きい状態が続いております。  日本上空のオゾンの量でございますが、一九八〇年代から一九九〇年代半ばまで減少傾向を示しておりましたけれども、一九九〇年代後半以降は増加傾向が見られております。  オゾン層は紫外線を吸収するため、人体に有害な紫外線の防御機能の役割を果たすと言われております。紫外線は、皮膚の老化あるいは皮膚がんの発症率の増加、白内障の発症率の増加など、人の健康に影響を与えるほか、生態系にも悪い影響を及ぼすというふうにされております。  こうした点を踏まえまして、引き続きオゾン層保護に取り組んでいくことが非常に重要だというふうに考えてございます。
  61. 山岡達丸

    ○山岡委員 ありがとうございます。  引き続き、このオゾンをめぐってはまだ非常に回復している状態ではないというようなお話もございました。紫外線も今非常にまだ、これは一般論ではありますけれども、そうした危険な状況であるというお話もいただきました。  今回、法案はもう代替フロンをなくしていこうという考え方でありますから、特定フロンについては、私たちの理解としては一定のめどがついているという理解でありますけれども、この特定フロン、オゾンを破壊するというフロンについては、これはもうほとんどこの後ふえていくことを考えなくてよいという考え方に皆様立っておられているのか、そのことと、このオゾンホールが本当の意味で回復するというのは、これはいつになるのか、その見通しについてもちょっとお伺いしたいと思います。
  62. 森下哲

    森下政府参考人 お答え申し上げます。  まず特定フロン状況でございますけれども特定フロンは、一九八七年に採択をされましたモントリオール議定書に基づきまして、生産量、消費量の削減廃絶が進められてきております。我が国における特定フロン排出量につきましては、公表が始まった二〇〇一年度以降着実に減少してきておりまして、近年はおおむね横ばいという状況になっております。  それから、二点目のオゾン層の回復でございますけれども、こちらにつきましては、回復の時期につきましては、地域によってこれは異なりますけれども、例えば南極域では、オゾン全量が人為起源のオゾン層破壊物質による大規模な破壊が起こる前の一九六〇年レベルまで回復する時期は、二十一世紀末というふうに予測をされているところでございます。
  63. 山岡達丸

    ○山岡委員 ありがとうございます。  フロンというのは夢の物質だと言われている冷媒であったわけですけれども、一度本当にこうした問題が発覚すると、発覚といいますか問題が起こって、オゾンホールができていくと、回復するまでには、その原因となるものがとまっても、今世紀末まで回復しないのではないかという見通しであるということで、非常にそうした物質の恐ろしさというのを感じるわけであります。  今回、繰り返しになりますけれども特定フロンについては、お話もございましたけれども見通しはついているわけでありますけれども代替フロンをどうやって技術的な切りかえをして減らしていくかということが趣旨なわけであります。  この技術的な切りかえの議論はまた後ほどちょっとしたいと思うんですけれども、まず、現行使われている、この代替フロンが使われているとりわけ家庭用エアコン、この家庭用エアコンというのは、家電リサイクル法に基づいて、このリサイクル法自体はもっと大きな枠組みであるわけでありますけれどもフロンが含まれる、代替フロンも含めて含まれる機器については、適正な処理を行うことを含めて回収が義務づけられるということが既に日本では施行されています。  二〇〇一年に家電リサイクル法はできているわけでありまして、その後、近年になって数字目標も定められたという経過もありますけれども、このいわゆる家庭用エアコンの回収率についてちょっと伺いたいと思うんです。  平成二十八年の、皆様が行ったといいますか、モニタリング調査によれば、このエアコンの回収率というのが二九・三%である。三割しか回収できていないということがデータで明らかになっているところであります。テレビ、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機が、決して褒められた数字じゃないのかもしれませんが、テレビは五二・三%、冷蔵庫、冷凍庫は七〇・五%、洗濯機、乾燥機は七〇・六%と五〇から七〇%の回収をしている中で、このエアコンというのは一段と低い。今、代替フロンを技術的に切りかえていこうとしているわけでありますけれども、既にそれが含まれている機器についての回収が非常に低いままになっている。これは、今回の法案には関係なくても、理念上、やはり正しくない、よろしくない状況だということを強く思うわけであります。  これは、回収率が上がっていない、三割台にとどまっているということは、皆様としてどのように考えて、なぜこれは上がっていないのか、ここの部分についてもちょっと見解を伺いたいと思います。
  64. 吉本豊

    吉本政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、家庭用のエアコンにつきましては、家電リサイクル法に基づきまして、廃棄時において、小売業者による回収や製造事業者等によるリサイクル義務づけられております。  家庭用エアコンの回収率、この算出方法でございますけれども、出荷台数を分母といたしまして、それに対して、適正に回収、リサイクルされた台数を分子として算定をするということになってございます。この数字が、先ほど御指摘のとおり、平成二十八年度、我々の調査では二九・三%であるということでございます。  このエアコンの回収率、御指摘のとおり、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、家電リサイクルで定められたその他の家電製品と比べまして低い。この理由といたしまして、まず、エアコン自身が、廃棄を伴わない買い増し、つまり、買いかえではなくて買い増しをするということがほかの機器に比べて多いということで、出荷台数を分母とすると、おのずと回収率が低く算定されるということはございます。  ただ、それ以外に、実際にエアコンを取り外しますのは、建物解体の際、あるいは引っ越しの際ということで、小売業者以外の方に引き取られるという場合が多いというようなこと、さらには、エアコンの資源の価格、すなわち、これは冷媒を循環させます銅の管、そういったようなものが大量に含まれておるということで、こういった資源価格の高さから違法な回収業者による引取りが行われる、こういったことがほかの家電製品とは違う部分だろうということでございます。  こういうことを受けまして、私ども環境省さんと一緒になりまして、家電リサイクルの回収率向上のために、平成二十八年三月に特定家庭用機器廃棄物回収率目標達成アクションプランというものを策定いたしておりまして、これに基づきまして、小売業者等の関係主体と連携しまして、排出者による、つまり消費者の方による適正排出の促進、それから、違法業者、違法行為の取締り対策、指導、こういったことに取り組んでおります。  具体的に申し上げますと、建物解体業者、工務店への周知、指導監督、建物の解体の際には、事前に発注者がエアコンを取り外し、適正に排出する必要があることの周知、そして、こういうことをエアコンの買いかえが多い夏場において重点的に周知、広報する、こんなことも行っております。  また、今年度から廃棄物処理法の改正が施行になりまして、従来からの廃棄規制に加えまして、いわゆるこういった使用済み家電等の保管や処分を行う業者への規制、こういったものも行われ始めたというふうに承知をしております。これによりまして、適正に回収、リサイクルされない違法な回収ルートの適正化、これが進むと期待しております。  まだ精査中の数字でございますけれども、平成二十九年度の回収率を計算するための根っこになります、正規の家電リサイクル制度による引取り台数の絶対数、これが手元に報告が上がってきておりまして、エアコンにつきましては、昨年よりも一〇%程度、台数、絶対数自身は上がってきているといったような報告を受けております。  引き続き、我々、エアコンの回収促進に努めてまいりたい、こういうふうに考えてございます。
  65. 山岡達丸

    ○山岡委員 御答弁いただきました。  法律でも、また新たな法を制定する中で、廃品回収、違法な回収業者等も、これは正していきたいんだと。一〇%程度、まだ速報値でありましょうから確定ではないんでしょうけれども、上がってきているというお話もあるというお話もございましたが、二〇〇一年にリサイクル法が制定されて十七年になるという中で、着手したのはようやく今ですというふうに聞こえるわけであります。国際的に、モントリオール議定書もキガリ改定も行われている中で、ぜひ足元からきちんと正してほしいということを強く要請しながら、ちょっとこれはまた別途、場合によっては続きを質問させていただきたいと思います。  そして、今回、いわゆる代替フロングリーン冷媒に切りかえていこうというお話の中で、先ほど安全性の問題についても山崎委員からお話もございましたけれども、いわゆる議定書に基づいて進めていくという観点の中にあっては、まず、本当にそうした切りかえをしていくということ、開発された分野についてはしていくということも、非常に、これは早急に進めていかなければならないということなんだろうと思います。  私の地元北海道でも、スケートリンクのいわゆる冷媒の仕組みを変えたりとか、さまざま既に、キガリ改定を見越して進んでいるわけでありますけれども、この切りかえについて、もう既に切りかえ可能な状況については、どのような課題とどのような促進を進めていきたいか、このこともちょっと伺っておきたいと思います。お願いします。
  66. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  グリーン冷媒への切りかえ、大きく三分類できるかと思っております。  一つは、もう既に新規出荷分が全てグリーン冷媒に転換済みのような案件、これは家庭用の冷凍冷蔵庫でございますとか自動販売機といったようなところが当てはまるかと思っております。それに続くものとして、カーエアコンというのが今後代替が進むかなと。  二つ目の大きな分野としましては、代替候補の物質は見つかってきているんですけれども、実際の普及が課題にある。これは、コストが高いとかそういった面で課題がある。こちらについては、例えば大型、中型の業務用冷凍冷蔵庫、いわゆるショーケースなんかもそれに当たるかと思います。  三つ目の大きな分野といたしましては、まだ代替候補の物質が見つかっていない分野、これは、小型の業務用冷凍冷蔵庫でありますとか、あるいは業務用、家庭用のエアコンといったところがまだ決まっていないということでございます。  既に進んでいるところはよろしいかと思いますが、今後、八五%削減などを見据えますと、代替候補が決まっていない冷媒についての技術開発というものをしっかり進めていかなければならないということでございまして、私ども経済産業省では、ことしの平成三十年度予算から、グリーン冷媒の方は、温室効果は低いんですけれども燃焼性を有するという一つの欠点がございます。したがって、グリーン冷媒使用していくためには、漏えいした場合の着火リスクとかを考慮する必要がございまして、そうしたリスクというものを適切に評価する手法というものを確立していかないと市場になかなか出ていかないだろう、こういうことでございまして、三十年度予算から五カ年の計画で、一応、この評価手法を確立するためのプロジェクトを動かし始めているところでございます。  こうした分野は全世界で競争になっております。この手法を世界に先駆けて確立することができれば、我が国の企業の技術開発を加速することのみならず、国際競争力を強化することもできますので、国際標準化といった取組も含めましてしっかりと取り組んでいきたいと思っております。
  67. 山岡達丸

    ○山岡委員 御答弁ありがとうございます。  本当に、最後に競争であるというお話もございましたけれども、お配りの資料、これは経産省の皆様がおつくりになった資料でありますけれども、いわゆる二〇一六年の七千百万CO2トンという数字から、もう既にかなり日本は深掘りをして話は進めているということで、この数字を見る限り、もう二〇二九年ぐらいまでには目標については何とか届きそうだというようなお話でもございました。  しかし、御担当者の方とも、先日というか、きのうお話ししましたけれども、いわゆる二〇二九年以降については、今お話にもございましたけれども世界的に見てまだ技術が伴っていない、この目標を達成するに至っては伴っていないというお話もございました。つまり、キガリ改正は、いわゆる二〇二九年以降については、世界の技術はまだそれ以上に削減できるほどの追いついているという見通しがない中で、ただ数字目標だけ定めているという、前向きといえば前向きなのかもしれませんが、前人未踏のそういう改正であるということが非常に言えるんだろうと思っております。  ここの部分について、時間もかなり限られているので、最後に大臣にお伺いしたいと思っておりますけれどもお話にもございました、非常にまだ見えていないこの技術の分野で、日本が技術的にここをブレークスルーできるのであれば、これは世界に、世界貢献はもちろん、国際貢献はもちろんのことでありますけれども世界的な課題であるいわゆる代替フロングリーン冷媒への切りかえ、特に家庭用エアコンとかまだまだ開発されていないものの普及のいわゆる市場、これは協定で、議定書で、改正で結んでいるわけでありますから、確実に存在するそうしたニーズ、ここに日本が進出していくという大きなビジョンが描けるんだろうと思っております。  お話にもありましたけれどもグリーン冷媒開発は、人工的なものもそうでしょうし、あるいは自然物を、安全性の高いものを利用していくとか、さまざまな視野の中でこれは技術開発の競争なんだということを思っておるところであります。  世界のこうした温暖化をめぐる課題に対して、日本の今回のフロンの法案の切りかえでありますけれども、これを機に大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、こうした市場を、あるいは世界貢献という名のもとの、日本として技術を世界に先駆けていくということの意義とこの戦略、見通し、こうしたことを含めて、大臣にせっかくの機会ですのでお伺いしたいと思います。
  68. 世耕弘成

    世耕国務大臣 このキガリ改正による二〇二九年以降の厳しい削減義務の達成というのは、これは日本にとっても非常に大きな挑戦であるわけですけれども、一方で、ほかの国にも厳しい削減義務が課されている中、日本世界の新たな市場を獲得するチャンスもあるのではないかというふうに思っております。  二〇二九年を見越して、今からグリーン冷媒技術の開発に産学官が一体となって取り組んでいくことが必要だと思っています。日本の化学産業もあるいは家電メーカーも非常に品質の高いもので勝負をしているわけですから、そういう意味では、このグリーン冷媒を使った商品、あるいはグリーン冷媒そのものの開発といった点で、日本企業がアドバンテージをとれる可能性があるというふうに思っています。  ただ、グリーン冷媒は、これは代替フロンとは異なって、地球温暖化対策としては効果があるんですけれども、一方で燃焼性を持っているという欠点があるものも多くて、これは家庭とか職場で使っているときに漏えいをして着火するリスクがあるというわけであります。それは、その安全性について評価する手法がまだ確立をできていないわけであります。  経産省としては、平成三十年度から、この燃焼性に関するリスク評価手法を世界に先駆けて確立する産学官のプロジェクトを開始をいたしました。これによって日本企業の技術開発を加速をして、この分野での国際競争力を強化をしていきたいと思いますし、加えて、この開発をした評価手法をそのまま国際標準にしていくという取組も行って、日本のすぐれた技術を海外に展開することを目指したいというふうに思います。  こういうことによって、世界の温暖化防止に貢献するとともに、日本企業の新たなマーケット獲得にもつなげていきたいと考えています。
  69. 山岡達丸

    ○山岡委員 大臣、ありがとうございます。  今、お話にもありましたけれども日本は燃焼性評価については非常にアドバンテージを、研究の積み重ねもあるというお話でもございました。まさに世界標準もかち取っていくんだというお話もありましたけれども、これはあくまでも国際貢献なわけでありますけれども、ただ、みんなで決めたこの枠組みの中で、日本が確実に安全性の高い技術を、あるいはその評価のあり方を先んじて進めていくということについては、ぜひこれは、大臣もそのことを念頭にまた力強く進めていただきたいという思いであります。  残りの時間、もう十分を切っている状況でありますけれども、ちょっとフロンの話から少し大きな話になるんですけれども、いわゆる世界的な課題として、オゾンホールから始まり、これを解決していこうということが今回のモントリオール議定書でもあり、キガリの改正でもあるという状況であります。  この課題の解決ということに関連して、大臣は常々いろいろな御答弁の中で、日本はこれから少子高齢化が進む、いわゆる労働力も不足していくだろう、でも、これはピンチではない、チャンスなんだというお話を、いろいろな御答弁でそうした趣旨のことをお話しされていたかと思います。  ちょっと、その大きな枠組みの、せっかくの、今回、法案が多分最後なので、大臣にお伺いする機会もこの国会中ではもしかしたら最後になるかもしれないので伺いたいなと思うんですけれども、いわゆる、大臣のおっしゃることは、つまり、日本がこれから少子高齢化あるいは労働力不足という中では、世界も同じ課題はこれから必ずおくれて出てくるんだ、先んじて日本がそういう課題があるのであれば、そこを解決するということに必ずニーズが生まれて、その市場があるからこそチャンスなんだというお話なんだろうと思っております。  しかし、私は、これは別に批判するということではなくて、そのとおりだと思っているんですけれども、非常に心配をするといいますか、これは本当に、市場は生まれるんですけれども、ただ、今の日本は、いろいろな課題は生まれる、確かにそれを解決する市場は生まれる、でも、それを解決していくのは外国の企業であるというような、例えばグーグルであったり、グーグルが最近は予約まで全てしてくれて、検索するとそういうところまでサービスするとか、さまざま広げているという状況もあったり、いろいろなことがあるわけであって、市場が生まれるということは、いろいろ競争もあるわけでありますけれども日本が生まれる課題に対して、日本としてチャンスということになれば、日本の関連する企業にとって、それをかち取る道筋が見えなければならないと思っております。  非常に難しい質問ではあるんですけれども、大臣として、その勝ち筋をどのように、市場獲得の勝ち筋はどこにあるかということをちょっとお伺いしたいと思います。
  70. 世耕弘成

    世耕国務大臣 日本はこれまでもいろいろな課題を解決、乗り越えていく中で産業競争力をかち取ってきたという歴史があるというふうに思っています。  例えば自動車なんかは、やはり、資源を輸入に頼っているという国、オイルショックへの対応という中から、燃費性能をいかに高めるかということを頑張った結果、今、今日、世界市場の三〇%をとるような自動車産業が生まれたわけであります。  今、高齢化でも既にもう産業は生まれていて、介護サービスというのは、世界が今、恐らく日本の介護サービスが今後世界へ展開をしていくことになるだろう。あるいは、介護の世界からロボットスーツみたいなものが生まれてきて、ここは非常に日本が先行している。あるいは、労働力人口が減っていくという中で、ロボット化というのが世界で最先端で進んでいて、そして、これも恐らく、産業用ロボットというのは、今日本世界トップシェアをとっていっているし、これからもアドバンテージを持っていくだろうというふうに言われているわけであります。これからも、自動運転世界もそうだと思いますし、いろいろな意味で、高齢化とか少子化とか労働力人口の不足といったことを技術で乗り越えていく中で、日本産業の強みというのが出てくるんだろうというふうに思っています。  ただ、やはり気をつけておかなければいけないのは、それで結局海外勢にとられてしまっては元も子もないというわけであります。残念ながら、GAFAという勢力に、いわゆるコンシューマーのビッグデータというのはかなりとられてしまった面があるというふうに思っています。  ただ、一方で、産業向けのデータというのは、まだ日本に宝の山が残っていると思っています。産業用ロボットのシェアが今五七%です。自動車のシェアが三〇%です。ということは、その分、データも日本がそれだけ持っているということです。  ただ、それが今、宝の持ち腐れになっていますから、これをしっかり連結をして、企業を超え、産業を超えて連結をして、そしてビッグデータとして共有をして、人工知能で解析をすることによってものづくりやサービスの質を高めていく、これが私は日本にとっての勝ち筋だろうということで、今、経産省として、コネクテッド・インダストリーズという概念を産業界と共有をしながら、そして協調領域をできる限り広げて、そして産業界がデータ共有をしてもらえるようにする、そして、その共有したデータをほかからとられることがないように保護するメカニズムもつくっていくということによって、このコネクテッド・インダストリーズをしっかり進めていくことが日本の勝ち筋ではないかというふうに考えております。
  71. 山岡達丸

    ○山岡委員 大臣、ありがとうございます。  大臣がお話しいただきましたように、産業用ロボット、シェアは非常に占めているんだというお話、データもあるんだというお話もございました。  ただ、本当に、これまでの歴史を見ると、日本は、一時期、非常にシェアをとり、その後いろいろ、ルールであったりさまざま、標準であったり、世界シェアであったり、押し返されて、最初は日本が勝っていたのにという分野が非常に多い。これは分析するとそうでもないのかもしれませんが、ただ、聞いている限りにおいてはそういう気持ちにさせられるわけでありまして、今非常にシェアを持っていて、世界で先駆けている分野だということであるのであれば、最後にお話しになりましたけれども、ぜひ海外勢に入られるということではなくて、強みを更に強くしていくという中で、これは勝ち筋をつくっていっていただきたいという思いであります。  時間の中でもう一個質問しようかと思ったんですけれども、それはおいておいて、最後にちょっと、発電、新エネルギーのことについて、これは大臣に問題提起も含めて伺っておきたいと思っております。  いわゆる新エネルギー、バイオマスのことについてのお話なんですけれども、北海道の私の地元に新冠町という町がありまして、酪農とか畜産とかも含めて農業の町でありますけれども、そこで百五十頭の牛を持っている農家さんと百頭の牛を持っている農家さんが一緒になって大きな法人をつくって、設備投資をするわけでありますけれども、その設備投資設備投資でするんですが、そこから生まれる多量の排せつ物をいわゆるバイオマスエネルギーにするという計画を一回立てられました。  バイオマスエネルギーというのは、太陽光とかと違って二十四時間安定的に供給できる。エネルギー排出量がどれぐらいか、産出量がどれぐらいかというのはおいておいても、そういう分野であります。何分、個別の地勢上の話で恐縮なんですけれども、北海道のように、あるいはほかの農村も全部そうかもしれませんが、大規模な畜産農家というのは、どちらかといえば町中から離れた場所に集落があるわけでありまして、そうすると、新エネルギーをつくっても、最初の電線といいますか、そこにつながるまでの自己負担分の価格が、距離があり過ぎて、高過ぎて、せっかく新エネルギーはたくさん生まれているんですけれども、そこの自己負担分が大き過ぎて採算に合わないので、そのバイオマスを新エネルギー化して出すことができないという状況になっているところであります。  きのう担当者の方からもお話を伺った中で、いや、世界のスタンダードはいわゆる負担してもらうものなんですというお話もありましたけれども、これも、せっかく地方で大規模化する中で、そこから生まれる、もちろん生乳も提供したりするわけでありますけれども、バイオマスエネルギーも無駄なく活用できるという枠組みがつくれる可能性がある中で、ぜひ、私の思いとしては、その送電者の負担を、これは大き過ぎる負担を何とかしてほしいという思いもあるわけであります。  そこの部分について、最後、時間も来ておりますので、大臣に少し見解を伺えればと思います。
  72. 世耕弘成

    世耕国務大臣 このバイオマスのような再生可能エネルギーの系統接続の問題というのは、特に工事費負担金が高いという声が再エネ事業者の方から上がっているのも事実でありまして、これをいかに工事費を軽減をしていくかとか、あるいは必要な投資がしっかり行われるための環境整備というのも非常に重要だと思いますし、この委員会でも何度か申し上げてきていますが、コネクト・アンド・マネージという形で、一定の条件があるわけでありますけれども、電源の接続を認めていくような仕組み、これも四月から運用を抜本的に変更をしているところであります。  今後も、発電事業者の意見をよく聞きながら、このルールを透明、公平なものにしていかなければいけないと思っていますし、今御指摘のような酪農場で排せつ物を使ってということであれば、できる限り地産地消という考え方もあると思います。牧場では当然車も動いているわけですから、それを電気自動車にしてそこで電力を使っていくとか、そういった地産地消の工夫というのも特にバイオマスに関しては考えておく必要があるんじゃないかというふうに思っています。
  73. 山岡達丸

    ○山岡委員 大臣から今御示唆もいただきましたけれども、農水省も絡む話かもしれませんが、そこにエネルギーが生まれていることは事実でありますので、それをどう有効活用していくかということについては、また別の機会がありましたときに大臣とも御質疑したいと思いますが、非常に意義のあるいろいろさまざまなお話をいただきましたことに心から感謝を申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございます。
  74. 稲津久

    稲津委員長 次に、田嶋要君。
  75. 田嶋要

    ○田嶋委員 無所属の会、田嶋要でございます。  きょうは、この法案に関してですが、答弁者を私の方からは指名をいたしませんでした。少し大臣ものんびりされていただいていいのかなという感じもするんですが、ちょっとほかの法案よりも、何というか、自然科学的で、CFCかHCFCか、何か頭が混乱しそうでございますけれども、冒頭、今までの委員とのやりとりを聞いていて、一つお尋ねしたいんですが、このグリーン冷媒という言葉はどこから出てきた言葉ですか。
  76. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  グリーン冷媒というのは、今回、私ども代替フロンから温室効果の低いものにかえるというときに、何かそれを総称する概念が必要だということで、私どもの方で考えさせていただいた言葉でございます。
  77. 田嶋要

    ○田嶋委員 心なしかふだんより多田さんの声が小さい感じがするのは私だけでしょうか。  このグリーン冷媒という言葉は何年も前はなかった言葉ですか。これは経済産業省オリジナルの、創作ですか。
  78. 多田明弘

    多田政府参考人 お答えを申し上げます。  私ども、全てを検索等々をしたわけではありませんので、ほかに使われていたことがなかったことを証明するのはちょっと難しいわけでございますが、私どもとして、グリーン冷媒という名前をつけさせていただきました。  ただ、これは、私ども、全てオリジナルであるということを申し上げる根拠も持ち合わせておりません。(田嶋委員「いつから」と呼ぶ)  私ども、今回の法案提出に当たりまして使わせていただいている言葉でございます。
  79. 田嶋要

    ○田嶋委員 法案提出で新しい命名をしたということで、何か不思議な感じがいたしますけれども。  自然冷媒というのはどういう言葉ですか。
  80. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  自然冷媒についても、直接何か学会とかで定義されているものがあるとは承知をしておりませんけれども、こちらの方は随分前から使われている用語であるというふうに承知をしております。
  81. 田嶋要

    ○田嶋委員 山崎委員などのやりとりを聞いていて、やはりちょっと問題ではないかなという感じが私もします。  そしてまた、聞いていまして、発電の話と非常に重なる感じがするんですね。非化石発電という何か用語がございますよね。  非化石発電には原発は含まれるんでしょうか、大臣。
  82. 世耕弘成

    世耕国務大臣 非化石発電というより、我々は、脱炭素発電というのが我々の今整理されている概念だというふうに思っています。  原発が非化石かどうか。ウランを使っているわけでありまして、そういう意味では、いわゆる化石エネルギーという意味では、それは石炭とか石油とかLNGということになるのではないかというふうに思っています。
  83. 田嶋要

    ○田嶋委員 非化石エネルギーですね。非化石エネルギーといったときには、再生可能エネルギー原発も一緒くたにしている概念でありますけれども、私はそれを思い出しまして、このグリーン冷媒という言葉は、やはりこれは、素直に考えれば、世の中の人は自然冷媒と思っちゃいますよ、これ。そう思いませんか。自然、緑ですからね。自然冷媒グリーン冷媒ですよ。だけれどもグリーン冷媒には先ほどのHFOが入っている、そういうことですよね。何かおかしくないですか、こういうこと。わざわざ何で考えなきゃいけないの、こういうこと。
  84. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  私どもの今回の法案の提案の理由でございますけれども、キガリ改正がきっかけとなってございます。これまでは、特定フロンオゾン層を破壊するということで規制をしてきました。しかし、その特定フロンから切りかえる先の代替フロンが、これはオゾン層を破壊しないけれども温室効果が高いということで、これも放置はしてはいけないということで、今回規制をすることにしました。  そうしますと、そこから先、何になるかですが、それは、私どもグリーン冷媒と称しているものですが、これは温室効果の低いものということでございます。私どもとしては、温室効果の低い冷媒ということをグリーン冷媒と称することで、これは、私ども、何かそれ以上の意図を持っているものではございません。
  85. 田嶋要

    ○田嶋委員 多田さんはそれ以上の意図はないかもしれませんが、しかし、温室効果が低いという点しか共通していないわけですよ、逆に言えば。違うものなんだから。片っ方は自然界に存在する、片っ方はまた新たに創作する、どこかの世界のメーカーがまた新たにつくるもの。自然界に存在しないものと自然界に存在するもの。そうですよね、理事。何か一緒くたにしてグリーン冷媒と呼ぶ理由がないじゃないですか。おかしいと思いませんか、それは。
  86. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  一緒くたにする理由があるかどうかということについては、直接のお答えにならないかもしれませんが、私ども、今回、特定物質代替物質という言葉で、法律用語としてそう代替フロンのことを称しております。そこから切りかわる先というものを、特に法律上は概念は定めてございません。したがって、法律に出てこない概念でございますけれども、しかし、特定フロンから代替フロンに行く、代替フロンを、じゃ、何に切りかえるんだといったときに、何かしら一つの概念があった方がいいだろうということで、私ども、頭をひねりまして、温室効果が低いというところに着目してグリーン冷媒とつけさせていただきました。
  87. 田嶋要

    ○田嶋委員 何がしか一つの新しい概念があった方がいいなんて誰が言っているんですか。別に概念は二つあったっていいんですよ。頭をひねるんじゃなくて、頭を冷やした方がいいですよ、それは、局長。  これは、多田さん、もうちょっと経済産業省の立場を離れて冷静に考えてくださいよ、違うものなんだから。しかも、先ほどの山崎さんの議論を聞いていてわかるでしょう。経済産業省の立場と心配している人たちの立場はちょっと違うんですよ。自然冷媒の方にもっと力を入れた方がいいという世の中の大きな声も確かにあるんですよ。それは、もうけたい人もいっぱいいるから、それじゃ困るという人も片っ方にいるでしょう。  しかし、そこは、そういういろいろな声があるんだから、経済産業省が何か一緒の概念が必要ですと。一つの概念なんて必要ないですよ、別に。分けてくださいよ、自然冷媒自然冷媒、それ以外。それで何にも、誰も困りませんよ。どうですか。
  88. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  私ども一つの概念でくくった方が説明しやすいと思いましたけれども、今、そうではないというお考えがあるだろうという御指摘でございます。  法案成立後、普及していく際に、どういった説明の仕方がいいのか、法案成立させていただければの話でございますけれども、よく考えていきたいと思います。恐縮でございます。失礼いたします。
  89. 田嶋要

    ○田嶋委員 余り弱気にならなくていいと思うんですけれども。  だから、ことしになってこの法案のためにグリーン冷媒なんという言葉を編み出したというのはおかしいと思いますよ、私は。必要ない。それはやめてほしいと思います。  それから、少し多田さんの声が小さいのと同時に、先ほど聞いていて、答弁を逆にしましたですね。最初、法律フロン類HFOは入っているとおっしゃって、後で、入っていないと。これは、勘違いされたのか、ひょっとしたら、失礼ながら知識が足りなかったのかわかりませんけれども、しかし、これはわかりにくいんじゃないですか、このこと自体が。HFOというのは、これは、Fというのは、フロンですよね。どうなんですか、もう一度、改めて。
  90. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど、答弁で私が言い間違えましたことは大変申しわけなく思います。  今御指摘のFは、これは弗素のことでございまして、記号でございます。  先ほども委員の御指摘でお答え申し上げましたけれども、今のフロン類の定義は、CFC、HCFC、そしてHFC、この三つでございまして、私が先ほど山崎委員からの御質問HFOについて入っていますというふうに申し上げたのは、これは私の単純な言い間違いでございます。
  91. 田嶋要

    ○田嶋委員 やはりこれは本当にわかりにくいですよ。だから、グリーン冷媒自然冷媒なんという新たな言葉を使って、僕は市場を攪乱させる要因になると思いますよ。多くの一般の方々がやはり勘違いをする。多田局長だって勘違いする。だから、みんな勘違いしますよ。  ぜひこういうことをよくよく注意していただきたいし、やはり、市場に対して物を説明するときに、確かに温室効果ガスの効果がないという意味ではどちらも一緒かもしれないけれども、違うものなんですということを強調される方が私はいいのではないかというふうに考えております。  あるメーカーさんのQアンドAというところに例えばこういう表現がありました。フロンって環境に悪いイメージがあるのですがエアコンに使っていて大丈夫なのですか。例えば、そうした説明でも、エアコンは冷媒としてフロンが使われているけれども、普通に使っている時点では環境影響を与えませんとか、非常に不正確なことがたくさん私は世の中に出回っているような気がいたします。HFCは温暖化ガスだと聞きました、温暖化に影響があるのになぜHFCを使うの。  こういうQアンドAがいろいろありますけれども、ぜひともここは、市場の混乱を惹起しないような対応をお願いしたいというふうに思います。  そして、一点、改めて確認させていただきますが、先ほどもインセンティブの話がございました。ニュートラルという言葉もお使いになりましたが、自然冷媒も今回のこのインセンティブ付与では当然対象になっているという理解でよろしいですか。これはどちらでも結構です。
  92. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  自然冷媒につきましては、今回、これまでの代替フロン規制対象とするという部分については、対象から外れているものでございます。  したがいまして、今回、インセンティブというふうに申し上げておりますのは、毎年の製造でありますとか輸入について各事業者に割り当てる際に、前年度に比べまして一定の削減率を掛けて割り当てていこうとするところに対してプラスアルファを設けようというものについての話でございますので、それは、自然冷媒のところは関係のない話になります。
  93. 田嶋要

    ○田嶋委員 法案の説明資料には、画期的に温室効果の低い冷媒という表現もあるわけですが、これは何を指すわけですか。
  94. 多田明弘

    多田政府参考人 画期的なものでございますので、現時点で何かを想定しているものではございませんけれども、例えば、冷媒の中に入っている代替フロンの分量が相当減るとか、それでも同じような効果を与えるようなものができ上がるとか、そういったようなことがあれば、それは結果として画期的に温室効果が下がるだろう、こんなことを今頭の中では考えております。具体的な物質を考えているわけではございません。
  95. 田嶋要

    ○田嶋委員 だから、これは、新たにどこかの会社が製造する、世の中に存在しない物質だけを指しているんですか。
  96. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  あくまで今回の話は、今回、特定物質代替物質として規制の対象として追加をするHFC十八種類のものの中での話でございます。
  97. 田嶋要

    ○田嶋委員 大臣、一問だけ。通告してありますけれども。  これまで振り返れば、フロンが最初世の中に出て普及したときは、フロンがまさかオゾンを壊すなんて知らなかったわけですよね、人類は。それをどなたかが発見した、そういうふうに資料にも書いてございました。そうやって、後からわかることというのがあるわけでございます。そして、温室効果ガスの問題もだんだんわかってきた。これは今後、第三のリスクという話もありましたけれども、どういうことが後々発見されるかわからないと思いますよ。  そう考えますと、先ほどもHFOの話がありましたけれどもFガス開発にインセンティブを与えるようなことをすれば、これは当然、自然冷媒への転換や技術開発を阻害していく、そういうことにもつながりかねないんじゃないかなという感じがするんですが、大臣、いかがですか。
  98. 世耕弘成

    世耕国務大臣 あくまでも、今回の法改正は、いわゆるキガリ改定に我々がしっかり国際社会と歩調を合わせて対応するための改正ということで、代替フロンをしっかりと管理していく、そして、代替フロン以外の温暖化効果の低い冷媒に関してはその外に置いていくというための法改正なわけであります。  また、HFOが今後いわゆる温暖化以外のどんな環境負荷を与えるかとか人体への影響を与えるか、これは化審法とか、あるいは厚生労働省、環境省もそれは見ていくということになるんだろうというふうに思っています。  我々も、自然冷媒はしっかり応援をしているわけです。環境省は補助金をつけていますし、我々としても、この自然冷媒が、発火性がどうなるかとか、そういったところの研究開発、試験というのには一定の予算を割いて取り組んでいるわけでございますから、我々は自然冷媒も非常に重視をしている。技術的に可能であれば、当然、自然冷媒へ行く方向性というのは我々もにらんでいるわけであります。
  99. 田嶋要

    ○田嶋委員 にらんでいながら、経済産業省はなぜ補助金をつけないんですか。
  100. 世耕弘成

    世耕国務大臣 我々は、安全性を担保するための試験研究でお金を使っているということでございます。
  101. 田嶋要

    ○田嶋委員 これは確かに、どちらにもいろいろなまだ検討、研究しなきゃいけない要素はあるとは思いますよ。しかし、やはり私も、究極的には自然冷媒の方に行くことが大きなトレンドとしては間違いないんだろうというふうに思うんですね。やはりいろいろなことを考えると、今回の法案の中身も含めて、もう一つ踏み込んだ形で自然冷媒に誘導していくような努力が、私は経済産業省として今後必要なのではないかという感じがいたします。  そして、配付した資料の一枚目に戻りますけれども、この代替フロン規制に関しても、記事ではこういうような記事があるわけでございますが、これは大分そういう声はありますね。日本が一番おくれているという指摘もあるわけでございますが、経済産業省はどういう認識でございますか。
  102. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  幾つかちょっと申し上げさせていただきたいと思います。  まず、私ども日本としては、これまではHCFCの対策というものを、議定書で与えられた削減義務よりは速いペースで進めてきているということは事実として申し上げておきたいと思います。  その上で、この新聞記事になっております部分は、あくまで特定フロンから移っていく代替フロンのところを取り上げたものでございます。その意味で、この記事にもございますけれども、他国で代替フロン排出量減少傾向にある中で、日本では排出量が増加している、この点を捉えまして、日本代替フロン削減の取組がおくれているという指摘というふうに承知をしておりますけれども日本排出量の最近の増加といいますものは、HCFCからの転換分でありますとか、そうしたものであると考えてございます。  代替フロンの推計排出量、これを人口一人当たりの排出量で換算いたしますと、日本はアメリカと比較して約六割という水準になってございます。  また、今、特定フロンそのものの消費量について申し上げますと、日本はベストテンからランク外に出ているということでございまして、先ほど申し上げましたように、議定書で与えられた削減義務よりも速いペースでやってきておりますので、代替フロンがもともとある特定フロンを下げて、それの切りかわる代替フロンというもの、これを両方見て私どもは取組全体を評価すべきではないかと考えているところでございます。
  103. 田嶋要

    ○田嶋委員 局長、何でアメリカと比較されるんですか。この記事は、欧州や中国に比べてもおくれていると言っているんですよね。欧州、中国に比べてどうですか。
  104. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  中国は、開発途上国としての義務でございますので、日本と比べますと緩い削減義務でございます。今現時点では、全世界の半分以上が特定フロン排出国は中国ということでございます。今回の記事は代替フロンの方だけを取り上げておりますので、その辺の実態がなかなか、全貌が見にくい記事になっているかなとは思っております。  欧州との比較につきましては、ほぼ私どもと同じような取組である、EUに比べまして日本の方が進んでいるとは申し上げられないと思います。
  105. 田嶋要

    ○田嶋委員 私も計算してみましたけれども、EUに比べると、やはり単位GDP当たり、あるいは単位人口当たりの数字は大分見劣りしますよ、日本は。  それから、中国に関しても、ああいう国ですから、逆に日本よりも一気にやるということが得意かもしれない。以前話したキャッシュレスなんかもそうですね、もう彼我の差がありますけれども。やはり、ある方のお話だと、オバマさんと習近平さんのお話で、業務用のエアコンに関しては全部ノンフロンに入れかえるような施策をトップダウンでやったというような話もあるわけでありまして、私はもうかなり差がつきつつあるのではないかという危機感を持っております。  そういう意味で、ぜひとも、これはこの法案の問題だけではありません、大変憂慮される問題でありますし、ちょっと電力の話と重なるような感じもしますけれども、自然エネルギー自然冷媒ということで第一に取組を強化していただきたいというふうに思います。  実は、過去に私、逆にそちら側に座って、答弁者に回ったことがございまして、フロンのことで。その答弁と矛盾しない質問をしなきゃいけないわけでありますけれども、議事録を見たら、おかしなことは言っていなかったので安心をしましたけれども、情報公開について確認させていただきます。  七年前に私が答弁したときは、情報公開、非常にある意味では問題が多かった。そういうことで、私も更に検討していきたいということを答弁させていただきましたが、今回、いわゆる代替フロンに関しても規制対象になっていくわけでございますけれども、このHCFC、そしてCFCに関して、今後の情報公開ということがどのようになっていくのか。キガリ改正規制対象となる十八種類の代替フロンについて、例えば、全体量とかではなくて、ガス種別ごと、企業ごとの情報公開はちゃんと行うのか。七年前は、行えないという政府答弁もあったわけでありますが、そこはいかがでしょうか。
  106. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  情報公開についてのお尋ねでございますけれども、私ども代替フロン製造量あるいは輸入量のデータにつきましては、現在、フロン法に基づきます使用合理化計画における取扱いも参考にしながら、一つは、国全体の代替フロン製造量、輸入量。  それから、加えまして、ガス種別の製造量、輸入量、それぞれの合計。ただ、こちらにつきましても、それぞれのガス種別につきまして、一社とか二社しか製造又は輸入していない場合はちょっと除かせていただきまして、三社以上が製造又は輸入しているガス種に限ってそのようにしたいと思っております。  そして最後に、個社名とはひもづかない形で事業者別に製造量、輸入量というものを公開するということを検討させていただいております。
  107. 田嶋要

    ○田嶋委員 ぜひともそのように、これまでよりは一歩、二歩踏み込んだ情報公開をしっかりとやっていただきたいというふうに思います。  続きまして、二〇二〇年の問題に関してお尋ねをしたいというふうに思います。  今の特定フロンに関しましては二〇二〇年以降は製造できないということでございますが、最終的な、そのHCFCを冷媒とする設備というのは、いつ出荷されたものでしょうか。
  108. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  特定フロンであるHCFCを冷媒として使用する設備でございますけれども、こちらにつきましては、既に二〇〇九年末までに最終の設備出荷は終わっているものと認識をいたしております。
  109. 田嶋要

    ○田嶋委員 二〇〇九年ですから、まだ十年ですね。ということは、たくさん世の中には存在するということでありまして、もう一年半後にお尻は迫ってきているというわけでありますけれども、前の年、二〇一九年の末に生産も輸入も全面停止となるこのHCFCについて、それまで使ってきた企業としては、今から何ができる、あるいは二〇二〇年以降にどんな選択肢があるかということを私は正確に政府が示す必要があると思いますが、どんな選択肢がございますか。
  110. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  基本的に、大きく分けますと三つの選択肢があろうかというふうに思っております。  一つは、先ほどありましたように、まだ、二〇〇九年末までに出荷されたものでございますので、その機器を使い続けることが可能なわけでありますが、それは漏えいとか故障しないでしっかりと続けることができる、これが一つ選択肢でございます。  それから、二つ目には、過年度に製造輸入された在庫の分を使用するということも、これも可能かと思っております。  そして、三つ目でございますけれども、再生冷媒というものを使うということも可能かと思っております。これは、実は平成二十五年にフロン排出抑制法改正いたしまして、フロン類の再生行為というものを適正化するという観点から、冷媒として充填されているフロン類の再生を業として行う者を許可する、許可制としたところでございます。  こうした制度を使うことで、再生冷媒を使っていくということも可能かと思っておりまして、今申し上げたように、二〇二〇年以降に臨まれる事業者の方々がこの三つの選択肢の中から選んで対応していかれることになろうかと思います。
  111. 田嶋要

    ○田嶋委員 今使っている設備をそのまま使うのであればということですね、多田さん。何かありますか。今使っている設備をそのまま使うんだったら今の三つの選択肢だという、そういう理解だと思いますけれども、加えて、当然ながら自然冷媒などの新たな設備投資選択肢も私はあると思っておりますけれども、いずれにしても、これは大変わかりにくいんですね。  何か追加で答弁されたいようでございますので、最後に多田局長の答弁でお願いしたいと思います。
  112. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  私、ちょっと補足させていただきたいと思います。  先ほど、二十五年改正の際に許可制ということを申し上げましたが、これは登録制の誤りでございます。その点を申し上げたかったわけでございます。
  113. 田嶋要

    ○田嶋委員 わかりました。  いずれにしましても、わかりにくい。多田さんのそういうお姿を余りふだん見ませんけれども、やはりこれは本当にわかりにくいから、世の中はもっとわかりにくい。ぜひグリーン冷媒という言葉は使わないでいただきたいと思います。世の中を混乱させるもとです。  そして、ぜひとも、やはり自然エネルギーと同じように自然冷媒の方向に進むというのが大原則の中でいろいろ考えていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。
  114. 稲津久

    稲津委員長 次に、谷畑孝君。
  115. 谷畑孝

    ○谷畑委員 世耕大臣含めて、本当に長いこと御苦労さまでございます。  本法案は、国際的な枠組みによる代替フロン規制に関連したものであると私は認識しています。  この代替フロンは、化学工業によって製造され、いろいろな機器に利用されることから、代替フロンに関する議論を深めていくためには、まず、広く我が国の化学工業について確認をし、認識をしていくことが大事だと思っております。  化学工業は、いろいろな機能を持つ素材を製造して幅広く供給しており、それらはさまざまな分野で利用されています。例えば、前回の省エネ法改正案の審査において省エネルギー取組の成果と説明されたLEDもそうですし、自動車やスマートフォン等で使われている蓄電池や液晶もあります。今回の本法案により規制しようとしている代替フロンもその一つです。そのほかに、塗料、医療品、肥料、プラスチック製品やゴム製品などがあります。  このような化学工業の特徴から、産業の米、産業の血液などと称されております。具体的には、日本化学工業協会の資料を見ますと、化学工業、プラスチック製品やゴム製品も含めると、二〇一五年の出荷額で四十四兆円、付加価値額で十六兆円と、製造業では自動車産業に次ぐ地位を占めています。また、従業者数は、二〇一六年で八十七万人と、製造業の中でも第三位を占めております。我が国の経済社会において非常に大きな位置を占めています。  このようなことから、化学工業は、まさに我が国産業の土台、基礎の役割を担っている重要な産業であり、こうしたすぐれた化学工業の存在こそが、我が国産業競争力の源泉となっているのではないかと考えております。  そこで、政府においては、我が国産業競争力の源泉である化学工業やその他の基礎産業の一層の活性化に向けて、引き続き取り組んでいただきたいと思います。  そこで、政府にお伺いをいたします。  我が国が景気回復の状態にある中で、この化学工業の現状について、政府の最新データをもとに説明をしていただきたい。また、産業政策における化学工業の位置づけ、今後の見通し課題について説明をお願いいたします。
  116. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど委員の方から御指摘ありました、日本化学工業協会が政府の統計を活用して各種のデータを公表しているものと承知をしております。  政府の最新の統計といたしましては、実は一年新しいものがございまして、具体的には、平成二十九年工業統計速報の中で、出荷額、付加価値額については二〇一六年の数字、それから従業員数については二〇一七年のデータがございます。  これによりますと、出荷額は、残念ながら、四十二兆円と、前年と比べまして二兆円減少しております。しかし、他方で、付加価値額の方は十六・四兆円と、前年より〇・二兆円ほど増加をしておりまして、引き続き自動車産業に次ぐ第二位の位置づけでございます。加えまして、従業員数の方でございますが、こちらは二万人ほどふえておりますが、これも引き続き第三位となっておりまして、我が国経済における主要産業として大きな位置を占めていると思っております。  化学工業、今委員の方からも御紹介ございましたけれども、大きく分けますと、エチレンなど汎用的な用途に用いられます基礎・汎用化学品分野と、それから特定の機能を高めて特殊な用途に用いられます機能性化学品分野とに分かれると思っております。近年では、多くの化学企業が後者の機能性化学分野を収益源としているほか、航空機向けの炭素繊維でありますとかヘルスケア分野等へ裾野を広げている状況でございます。  課題という御質問もございましたけれども、基礎・汎用化学品分野につきましては、二〇一四年に産業競争力強化法第五十条に基づく調査を実施させていただきました。国内需要の減少を見据えての設備集約や事業再編等の構造改革等の必要性を指摘させていただいているところでございます。  足元では、各社、構造改革に取り組まれて、また、市況も好転されていることで好調を維持しておりますけれども、中長期的にはポートフォリオの見直し課題ではないかと思っております。  他方で、機能性化学品分野の方は、御紹介もありましたように、各種分野で世界シェアの大きなところを日本企業が持っておりまして、高い競争力を有している素材は多いと思っています。  一方で、製品サイクルの短期化でございますとか、あるいは新興国メーカーの追い上げなどもございまして、競争環境は厳しさを増していると思っておりまして、こうしたものに対して、化学工業はしっかりと対応していくことが必要かと思っております。
  117. 谷畑孝

    ○谷畑委員 ありがとうございました。  次に、世耕経済産業大臣にお伺いをいたします。  先ほど、化学工業について議論してきたところでありますけれども、大臣におかれて、化学工業の重要性について、大臣の基本的な認識、今後またどのように取り組んでいくのか、そういうことについてお伺いをいたします。
  118. 世耕弘成

    世耕国務大臣 日本の化学工業は、十六・四兆円の付加価値を生み出していて、八十九万人の雇用も持っているという産業であります。  これだけでも非常に大きいわけですが、自動車産業や家電と比べると目立たないんですが、実は、人々の生活や産業になくてはならない素材を供給しているわけでありまして、日本にとって本当に重要な産業だというふうに思っています。  また、新たな素材やサービスの提供を通じて社会課題を解決する無限のポテンシャルを秘めている産業だと思っている。今、新型航空機なんかは羽根が炭素繊維でできているわけですが、炭素繊維をくっつけるような接着剤なんというのはやはり化学物質で、これは日本が非常にいい技術を持っているわけであります。  ただ、一方で、基礎・汎用化学品分野では、やはり中長期的にいろいろな品ぞろえのポートフォリオを見直していくということも必要だと思っていますし、機能性化学品の分野では、やはり製品のサイクルがどんどんどんどん短くなってきているとか新興国が追い上げてきているということで、競争環境は非常に厳しくなっていると思っていまして、この化学工業分野においても、第四次産業革命にしっかり対応して、競争力強化を図っていくことが重要だと思っています。  コネクテッド・インダストリーズの重点五分野の中に、バイオ・素材という分野、これはまさに化学工業が関係するところでありますが、取り上げさせていただいています。  先月二十一日、化学工業界を含む産業界から、各社において活用していないけれども、自分の会社ではもう使わないんだけれども、もしよかったら、ほかで何か活用できるんだったら使ってもらっていいですよというような化学物質とかリソースとか、そういったものを登録して共有するプラットホームですとか、あるいは、AIを使って、これとこれを組み合わせるとこういう素材ができるんじゃないかというようなことをやれるようなプラットホームを構築してはどうかという具体的なアクションの提案もいただいた。  各社、いろいろな物質を持っているんですが、活用し切れていないんですね。場合によっては、それがほかの会社から見るとこっちで使えるというようなことがあるので、そういうところはお互い協業していこうという取組が化学業界でも始まっているわけでありまして、こういった取組を通じて、化学工業の競争力を強化して、また生産性の向上も後押しをしていくというふうに考えております。
  119. 谷畑孝

    ○谷畑委員 どうもありがとうございました。  次に、代替フロン規制に伴う事業者への影響について質問をいたします。  本法案は、二〇一六年にオゾン層保護に関するモントリオール議定書キガリ改正代替フロン規制され、これを国内で実施するための措置を講じようとする内容でありますので、これに反対するものではもちろんありません。  しかし、この代替フロン規制による影響は、国内で見ても、代替フロン製造する事業者のほか、エアコンや業務用冷蔵庫などの代替フロンを利用した機器製造する事業者、そしてこれらの機器を購入して利用する事業者や国民に至る多方面に及ぶものと認識しています。  事業者を始めとする産業界や国民の視点から、本法案による影響について確認をしていきたいと思います。  代替フロン規制に対する政府の認識。  そもそも、本法は、エアコンや冷蔵庫等で利用されたフロンについて、オゾン層を破壊するおそれがあるとして国際的に問題視されたことから、フロン規制する国際協定が成立し、これを受けて一九八八年に成立をしたわけであります。以降、本法に基づいて事業者のフロン削減に向けた取組が行われ、今では全廃をされています。その一方で、代替フロンへの転換が国民の協力のもとで行われ、現在では代替フロンが広く利用されています。  事業者からすれば、フロンを全廃し代替フロンに転換したと思ったら、今度は代替フロン規制されるというわけで、フロンに続いて代替フロンまで規制となると、事業者もさぞかし困惑をしている、このように懸念をしておるところであります。  そこで、政府にお伺いをいたします。  これまで転換、普及を進めてきた代替フロン規制することとなったことについて、基本的な認識を説明していただきたいと思います。
  120. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  代替フロン規制することになった経緯に関してでございます。  そもそも、モントリオール議定書は、オゾン層保護を目的として、オゾン層を破壊する物質の生産、消費規制するもの、こういうことで特定フロンを対象としてまいりました。  今回の議定書改正といたしましては、オゾン層破壊物質の代替として使用量が増加してきた代替フロン、これが、オゾン層の破壊はしないんだけれども高い温室効果を有していることから、その規制対象に加えよう、こういうものでございます。  私ども日本がこの改正を受諾しまして代替フロン削減義務を果たすということは、グローバルな課題であります地球温暖化対策に積極的に貢献していくという意味でも意味が高いと思っておりますし、あわせて、世界に先駆けてグリーン冷媒技術の開発普及を進めて、日本産業競争力を強化していく観点でも重要であると考えております。  政府といたしましては、キガリ改正の発効が二〇一九年一月一日に確実と見通しが持たれてきておりますので、その一月一日から削減義務を確実に履行し、環境先進国としてキガリ改正に積極的な姿勢を示すことで、引き続き世界の温暖化対策オゾン層保護をリードしていきたいと考えているところでございます。
  121. 谷畑孝

    ○谷畑委員 それでは、あと一問質問します。  代替フロン規制が実施された場合、事業者等にどのような影響があると認識しているか、具体的な事例を説明していただき、また、規制による影響について、設備の改修や廃棄など、我が国産業にとってどのような影響があるのか、非常に簡単で結構ですので、時間がありませんので、お願いいたします。
  122. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  産業界の影響ということでございますが、一言で言いますと、二〇二九年以降、これは基準値から七〇%削減というより厳しい削減義務となることから、現時点から、国、産業界、ユーザーなどの関係者が一丸となって、新しいグリーン冷媒への代替技術の開発でありますとかその導入を計画的に進めることが重要だろうと思っています。  事業者への影響という観点からは、当然、新しい設備を導入する更新投資が必要だ、その価格が上がってしまうだろうとか、そういった影響があろうかと思っておりますが、現在、日本国内代替フロンの市場規模は二百億円程度でございます。冷凍空調機器の市場規模は一・一兆円程度でございまして、この分野で世界に先駆けて新たなグリーン冷媒への代替技術の開発だとかその導入を進めることで、これらの市場におきまして国際的な競争力を獲得する契機だというふうに考えていきたいと思ってございます。
  123. 谷畑孝

    ○谷畑委員 時間が中途半端ですけれども、これで終わります。  ありがとうございました。
  124. 稲津久

    稲津委員長 次に、國重徹君。
  125. 國重徹

    國重委員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。  本日は、いわゆるオゾン層保護法の一部改正案について質疑をさせていただきます。  成層圏にあるオゾン層が破壊されると、地上に届く紫外線が増加をする。そうなると、皮膚がんや白内障といった病気の発症、免疫機能の低下など、人の健康に影響を与えるほか、生態系にも悪影響を及ぼすと考えられております。  オゾン層破壊物質段階的な削減義務づける国際的な枠組みとして、一九八七年にモントリオール議定書が採択され、これを担保するため、翌一九八八年にいわゆるオゾン層保護法が制定をされました。  法律が制定をされてから三十年が経過をいたしましたが、この間、世界的に実施をされてきた取組によってオゾン層破壊物質の大気中の濃度はどのように変化をしてきたのか。世界的に実施されてきた取組の成果について、その評価を含めて伺います。  あわせて、人為起源物質によるオゾン層破壊が最も顕著にあらわれ、世界的なオゾン層破壊の指標となっている南極のオゾンホールは、世界全体の取組が開始されてからどのようにその面積が推移してきたのか、今後の見通しを含めて伺います。
  126. 森下哲

    森下政府参考人 お答え申し上げます。  オゾン層破壊物質のうち、クロロフルオロカーボン、CFCにつきましては、モントリオール議定書規制によりまして、先進国では一九九五年末までに、途上国では二〇〇九年末までに生産と消費が全廃されたことから、大気中濃度は既にピークを越えており、今後緩やかに減少していくと予測されてございます。  それから、オゾン層破壊物質のうち、ハイドロクロロフルオロカーボン、HCFCにつきましては、先進国では二〇一九年末までに、途上国では二〇二九年末までに生産と消費が原則全廃されることとなっていますので、大気中濃度は今後ピークに達しまして、その後減少すると予測されてございます。  このように、モントリオール議定書に基づく国際的取組によりオゾン層破壊物質環境中への放出が規制されたことは、オゾン層保護の観点から極めて意義があったというふうに考えてございます。  また、御質問のございました南極のオゾンホールの面積につきましては、一九八〇年代から一九九〇年代半ばにかけて急激に拡大をいたしました。一九九〇年代後半以降では、長期的な拡大傾向は見られなくなりましたが、その規模は依然として大きい状態が続いております。  今後、南極域のオゾン層が人為起源のオゾン層破壊物質による大規模な破壊が起こる前の一九六〇年レベルまで回復をする時期は、二十一世紀末になるというふうに予測されてございます。
  127. 國重徹

    國重委員 オゾン層保護という世界規模の課題について世界じゅうが一致して行動することで、徐々に効果が出ている、また、今後さらなる効果が予測されるということでありました。  今回のこの代替フロン対策についても、より多くの国が早期に締結をすることが重要であります。  今回のキガリ改正は、二〇一六年十月に採択をされまして、二〇一九年一月からの規制開始に向け、これまでに、イギリス、ドイツ、カナダ、フランス、オーストラリアなど三十七カ国が締結済みと聞いております。  それでは、オゾン層破壊のメカニズムを最初に発見した国で、キガリ改正の交渉の取りまとめの過程においても大きな役割を果たしたアメリカ、途上国と先進国とが対立する中、オバマ政権下の当時のケリー国務長官が会合に参加をして、議論を主導し、七年にわたり続いた改正論議を合意に導きましたこのアメリカや、今や世界最大のフロン生産国となった中国の締結に向けた動きはどうなのか、お伺いいたします。
  128. 塚田玉樹

    塚田政府参考人 今委員より御指摘のありましたアメリカでございますけれども、アメリカはこの改正の採択に向けて非常に重要な役割を果たしたということは、御指摘のとおりでございます。  アメリカの本議定書改正国内における締結に向けたスケジュールにつきましては、いまだ明らかになっていないところでございますけれども、現在、関係省庁、すなわち国務省、環境保護庁、こういったところにおいて、締結について真剣な検討がなされているという段階にあるというふうに承知しております。  また、中国につきましても、具体的なスケジュールにつきましては明らかにされておりませんが、本議定書改正の締結に向けて国内で積極的に取り組んでいるところというふうに承知しております。  いずれにしましても、我が国としては、引き続き両国の動向を注視しながら、この議定書改正を早期に締結することを通じ、改正された議定書効果的な実施に向けた機運の醸成を図っていく考えでございます。
  129. 國重徹

    國重委員 次の質問に移ります。  グリーン冷媒のうち、特に弗素系冷媒については、人工物であることから、人体や環境への影響について十分な評価が必要である、こういう主張もある一方、アンモニアやCO2、炭化水素などの自然冷媒こそ推進すべきだというような主張もございます。  ただ、自然冷媒の中でも、例えば、アンモニアは人体への毒性があります。炭化水素は強い燃焼性があることで知られております。このように、自然冷媒であっても、人体や環境への影響について十分な評価が必要なものも多く存在します。  こうした中で、弗素系冷媒についてのみ殊さらに人体や環境への影響を懸念する考え方は、科学的根拠に欠けるようにも若干感じます。自然冷媒であろうが、人工物である弗素系冷媒であろうが、必要な評価を行って、事業者による適切な利用がなされるよう努めていくことが重要と考えますが、これに関する見解をお伺いいたします。
  130. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  自然冷媒の中にも、御指摘のとおり、毒性を有するアンモニアでございますとか、あるいは燃焼性を有する炭化水素、イソブタンなど、冷媒として実用化する上で、人体や環境への影響について十分な評価が必要なものも多く存在するというのは、私どもも同じ認識でございます。  したがいまして、人工物である弗素冷媒が一律に自然冷媒よりも人体や環境への影響の度合いが大きいという指摘は必ずしも適切ではないだろうと思っております。  大事なことは、自然冷媒あるいは弗素冷媒のいずれを使用するに当たりましても、人体や環境への影響について必要な評価を行うということが大事なことであると思っておりまして、その必要な評価を行った上で、適切な利用がなされていくよう努めていくことが重要ではないかと考えております。
  131. 國重徹

    國重委員 続いて、国内対策の進め方についてお伺いいたします。  日本がキガリ改正を締結すれば、先進国である我が国は、国全体の代替フロンの生産量、消費量について、規制開始年である二〇一九年から基準値比で一〇%、さらに、二〇二四年からは四〇%、二〇二九年からは七〇%の削減、最終的に、二〇三六年以降八五%の削減が求められることになります。  とりわけ削減義務が厳しくなる二〇二九年以降の義務を達成していくためには、グリーン冷媒とそれを活用する機器技術開発を可能な限り早期に進めることが不可欠になってまいります。そうした中で、世界に先駆けてキガリ改正削減義務に対応できる技術を確立することができれば、日本の技術で海外の代替フロン削減に貢献できるとともに、日本の冷凍空調産業の国際的な競争優位の確保にもつながります。  技術開発現状課題、そして、今後の開発促進に向けた経済産業省の姿勢、意気込みについてお伺いいたします。
  132. 世耕弘成

    世耕国務大臣 まず、技術開発現状に関して申しますと、このグリーン冷媒は、代替フロンに比べまして、一般的に、燃焼性があるとか、あと、適切な温度で気化とか液化をしないといった物性面の課題があるわけであります。  このために、冷媒量が少なくて、冷房用途だけに使うカーエアコンなどの分野ではグリーン冷媒への転換のめどは立っているんですけれども、一方で、冷媒量が非常に大きくて、そして暖房の用途にも使われる、冷暖房で使うことになる家庭用ですとか業務用のエアコンでは転換のめどが立っていないというのが現状であります。  キガリ改正によって二〇二九年以降の厳しい削減義務の達成ということは、日本にとってこれは大きな挑戦になりますけれども、一方で、ほかの国にも厳しい削減義務が課される中で、日本世界の新たな市場を獲得するチャンスだというふうに思っておりまして、グリーン冷媒開発に産学官が一体となって取り組みたいと思っております。  特に、グリーン冷媒は燃焼性を有するものが多くて、漏えいした場合の着火リスクを考慮する必要があるわけですが、その評価手法がまだ確立をしていません。  このため、まず、経産省では、平成三十年度から、燃焼性に関するリスク評価手法を世界に先駆けて確立するための産学官プロジェクトをスタートさせています。これによって、日本企業の技術開発を加速して国際競争力を強化していきたいと思いますし、開発した成果は、国際標準化をしていくことによって、日本のすぐれた技術を海外に展開してまいりたいと考えております。
  133. 國重徹

    國重委員 ぜひよろしくお願いいたします。  続きまして、グリーン冷媒機器の導入の加速についてお伺いいたします。  グリーン冷媒機器の技術が既に開発されている分野におきましても、現状では、導入に係るコストが高いなど、本格的な普及には課題がある分野も存在をいたします。  二〇二九年以降の削減義務を達成していく上で、こうした技術の普及は待ったなしの課題であります。環境省では導入支援事業を実施しているということでありますが、グリーン冷媒機器と従来のフロン冷媒機の初期導入コストの差は現状どの程度なのか、また、そうしたコスト面の課題がある中で、さらなる導入を加速していく方策についてお伺いいたします。
  134. 森下哲

    森下政府参考人 お答え申し上げます。  グリーン冷媒を用いました機器のうち、冷凍冷蔵倉庫などの分野につきましては、二酸化炭素などの自然界に存在する物質冷媒として用います自然冷媒機器の技術が開発をされておりますけれどもフロン冷媒を用いた機器に比べて御指摘のように導入費用が高いということが課題となっております。  そうした状況を受けまして、環境省では、平成二十六年度より、関係省庁と連携をいたしまして、省エネ型の自然冷媒機器の普及を図るための補助事業を進めてまいりました。その成果もあり、例えば大型の冷凍冷蔵倉庫では、平成二十五年度末には約二倍を超えていた価格差が、平成二十九年度末は約一・七倍程度まで低減をしている状況にございます。  一方で、依然として価格差がございますので、補助事業によりまして、自然冷媒機器を普及させ、そして低価格化を図ることで、今後ともさらなる導入の推進を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
  135. 國重徹

    國重委員 よろしくお願いいたします。  最後の質問になります。  オゾン層保護法は、フロン製造輸入量を段階的に削減をする、いわゆる蛇口の規制になります。一方で、フロンによるオゾン層破壊、地球温暖化を防止するためには、市中に出荷されたフロン冷媒の大気放出を抑制することもまた重要な課題であります。  こうした観点から、日本独自の対策として、フロン排出抑制法が制定され、フロン冷媒機器廃棄する際に、機器ユーザーに対してフロン冷媒の回収を義務づけております。  フロン排出抑制法に基づく機器廃棄時の冷媒回収率については、地球温暖化対策法に基づく地球温暖化対策計画において、二〇二〇年に五割とすることを目標としておりますが、現状では二〇一六年で三九%にとどまっております。この冷媒回収率を向上させていくための今後の対策について答弁を求めます。
  136. 森下哲

    森下政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のございましたように、フロン排出抑制法に基づく廃棄時の冷媒回収率でございますけれども、一定の向上が見られますものの、十年以上にわたりまして三割台で低迷をしておりまして、平成二十八年度におきましては、お話のありましたとおり、約三九%というふうになっております。地球温暖化対策計画で定めます二〇二〇年度五〇%、二〇三〇年度七〇%の目標達成に向けまして、さらなる対策の強化が必要と考えているということでございます。  このため、現在、中央環境審議会と産業構造審議会の合同会議において進めているフロン類対策のフォローアップの中で、フロン類廃棄時回収率低迷の要因とそれから対策についての調査、分析を進めているところです。  具体的には、機器廃棄フロン類の回収の実態を把握するための調査を、都道府県、フロン類充填回収業者等の協力を得まして、鋭意進めているところでございまして、その結果も踏まえて、経産省様ほか関係省庁と協力して必要な措置を講じて、フロン類のさらなる排出抑制に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
  137. 國重徹

    國重委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  138. 稲津久

    稲津委員長 次に、岡下昌平君。
  139. 岡下昌平

    岡下委員 自由民主党の岡下昌平でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  オゾン層保護に関する法律の一部を改正する法律案、今回の改正案は、二〇一六年十月、ルワンダ・キガリで採択されたモントリオール議定書締結国の会合での議定書改定を踏まえたものでありまして、温室効果係数が大きい代替フロン十八種を新たに議定書規制対象に追加し、製造輸入量の段階削減を各国に義務づけるというものであります。  昨年十一月に、キガリ改正を受け締結した国が発効要件の二十カ国を超えたことから、二〇一九年一月一日の発効が正式決定されて、日本でも早期の法改正が必要になりました。  けれども、ことしの三月二日に、国連から、モントリオール議定書の原文に誤りがあって、五月三十一日までに各締約国から異議申立てがなされなければ確定するという通知があったと伺っております。  また、本年二月二十三日に国会に提出された議定書改定の和訳が誤っていたという話も聞きました。まず、その内容と現状についてどのようになっているか、お答えください。
  140. 塚田玉樹

    塚田政府参考人 モントリオール議定書改正につきましては、その締結につきまして国会の御承認を求めることに関しまして、本年二月二十三日に閣議決定をし、提出をさせていただいたところでございます。  その後、まさに今御指摘のとおり、政府が作成しました同議定書改正の和訳の中に一点誤訳が確認されたところでございます。  また、相前後して、議定書改正の条約正文に関しましても、国連から本年三月二日付で全締約国宛てに、条約正文の中で訂正が一点必要であるという通知がございました。  この国連による条約正文の訂正につきましては、国連の手続に従いまして、一定の期間を経ていずれの国からも異議がなかったということから、国連事務局の存在するニューヨーク時間の五月三十一日深夜二十四時をもって確定をいたしました。  これを受けて、一昨日六月四日に、条約正文の訂正及び和訳の誤りの双方につきまして、必要な正誤の手続をとらせていただいたところでございます。
  141. 岡下昌平

    岡下委員 ぜひ誤りのないようにお願いいたします。  今回のモントリオール議定書は、二〇一九年一月一日から規制を開始して段階的に削減するというものでありますけれども、二〇一一年から二〇一三年の三カ年の実績平均値に基づく我が国代替フロン消費量の基準値について、まず経産省は約七千百万CO2トンと推計をしております。この数値は、今後の代替フロン削減の政策を検討していく上で基礎となって、極めて重要なものとなります。  そこで、この推計値をどのような方法で出して、そしてその確度をどのように考えていらっしゃるのか、お答えください。
  142. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  今回の基準となります二〇一一年から二〇一三年の製造あるいは輸入に関するものでございますけれども、私ども今出しております七千百万CO2トンという推計は、こちらにつきましては二十九年度に私どもの方で調査を行いまして、この当時、二〇一一年から一三年当時に国内代替フロン製造などを行った可能性がある百三の事業者を対象といたしましてアンケートをしたものでございます。したがって、これはあくまで任意の調査による推計と言わざるを得ないと思っております。  したがいまして、この改正法案が成立すれば、私ども、実は改正法案の中に附則の規定を設けさせていただいておりまして、この中で、経済産業大臣は、平成二十三年から平成二十五年までの間に議定書附属書F、これは代替フロンでございますが、に掲げる物質製造、輸出又は輸入を行った者に対し、当該物質について、その製造数量、輸出数量あるいは輸入数量の報告を求めることができるという規定を設けさせていただいております。  この規定を使わせていただきまして、改めて、国内の事業者に対して報告徴収を行って、そのデータに基づきましてこの基準限度をきちんと定めていこう、このように考えているところでございます。
  143. 岡下昌平

    岡下委員 先ほども申し上げましたけれども、この基準値というものは本当に非常に重要なものとなってまいります。昨今、データの信頼性等々が揺らいでいる中で、これはくれぐれも慎重な上に慎重を期した上で御対応いただきますように、よろしくお願いを申し上げます。  次に、この本法案は、規制対象に十八種のHFCを追加して、製造経済産業大臣の許可制、輸入は外為法に基づく経済産業大臣の承認制とするものでありまして、規制対象になるのは、例えばダイキン、旭硝子、三井・デュポンフロロケミカルや商社など、冷媒等に使用するフロンガスの製造業者と輸入業者となります。さらに、フロンガスを使用する冷凍空調機器製造使用事業者も今後は大きな影響を受けることとなります。  そこでお尋ねをいたしますけれども、新たなHFC規制の具体的な運用というものをどのように考えていらっしゃるのでしょうか。また、経産省は、基準限度の公表や事業者別の初年度分の製造輸入量の割当てを年内に終えなければならないと思いますが、その点はどのようにお考えになられていらっしゃるのか。  そして、今回の法改正は、我が国代替フロン製造輸入規制するものでありますけれども、キガリ改正の対象となる十八種類の代替フロン、これは、GWP、地球温暖化係数が大きいものもあれば小さいものまで多種多様になっております。我が国全体の代替フロン削減を進めていくためには、事業者がよりGWPの低い製品を開発した場合、そういった場合は何らかのインセンティブを与えるべきだと考えます。事業者のイノベーションを進めるための施策、こういったことを検討されていらっしゃるでしょうか。あわせてお答えください。
  144. 大串正樹

    大串大臣政務官 来年一月の規制開始に向けた年内の準備といたしましては、まず、附則第三条に基づきまして、各事業者に対して、基準年である二〇一一年から一三年における代替フロン製造輸入等の実績報告を求めるとともに、そのデータを用いまして、議定書に基づく日本代替フロンの生産量及び消費量の限度を定め、公表することとしております。  続いて、代替フロン製造及び輸入を希望する事業者から申請を受け付けまして、その内容を審査し、各事業者に対して来年分の製造量、輸入量の割当てを行うことを考えております。  また、各事業者への割当てにつきましては、各事業者の安定供給の確保や事業の継続性に留意しつつ、議定書上の義務を遵守すべく、個別の事業者に対して、前年実績をベースに、一定の削減率を掛けた代替フロンの数量を割当てする予定でございます。  他方で、将来の日本全体での代替フロンの一層の削減を図る観点から、画期的に温室効果の低い冷媒製造輸入する事業者に対してインセンティブを付与することも重要であるということは考えております。  具体的には、議定書義務の上限と、そして事業者への割当て数量との差分を活用して、こうした画期的な冷媒製造輸入を行う事業者に対して追加的な割当てを行うことを考えております。
  145. 岡下昌平

    岡下委員 次に、先ほどの質疑の中からいろいろと取り上げられております自然冷媒グリーン冷媒の違い、これをはっきりさせるべきだという御主張がございました。  弗素系冷媒は人工物であるから人体にどういった影響を受けるのか、そういったものをしっかりと検証しなければならない。しかし、自然冷媒の場合であれば、アンモニア、あるいはイソブタン、プロパン、こういったものが非常に強い燃焼性を有する。ただ、やはり、自然冷媒グリーン冷媒、この区別ははっきりしなければならないということも御主張がございました。  私は、グリーン冷媒という主張は、よくお考えになられたお名前だと思います。クリーン冷媒であれば問題だと思います。グリーン冷媒、濁点がついているわけですから、濁りもあるわけですからね。こういったことで、自然冷媒グリーン冷媒、私はよく考えた名前だと思います。  そこで、やはり、人工的に開発された弗素系冷媒よりもすぐれているという自然冷媒の主張、これが果たして正しいのか、その点、いかがお考えになられているのかお聞かせください。
  146. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、自然冷媒の中には、毒性を有するアンモニア、燃焼性を有するイソブタンなど、冷媒として実用化する上では人体や環境への影響について十分な評価が必要なものが多く存在する、こういう認識をしております。  したがいまして、自然冷媒と人工物である弗素冷媒、いずれを使用するに当たりましても、これは、人体や環境への影響について必要な評価を行った上で、適切な利用がなされていくよう努めていくことが重要だということでありまして、両者を区別することは必ずしもないのではないか、このように考えているわけではございます。
  147. 岡下昌平

    岡下委員 技術が追いつけばという先ほどの御答弁もございました。もちろんそうだと思います。したがって、今現在では、自然冷媒グリーン冷媒という表現、これを継続していくべきであると私からも指摘させていただきたいと思います。  最後の質問に入らせていただきますが、フロン排出抑制法に基づいて、二〇二〇年度四千三百四十万CO2トン、二〇二五年度は三千六百五十万CO2トン、この削減見通しがついています。  しかし、二〇二九年の七〇%削減はさらなる対策強化が課題でありまして、代替フロンにかわるグリーン冷媒とその使用機器開発や導入というものが急がれると思います。  現在、家庭用冷凍冷蔵庫、自動販売機、カーエアコンは代替が進んでおりますけれども、大型業務用冷凍冷蔵庫及びショーケースなどの中型の業務用冷凍冷蔵庫等については、代替機はあるんですけれども、価格が高くてなかなか普及拡大が進んでいないというのが今の現状課題であります。  私の地元大阪の企業で、フリーザーを中心とした冷却設備、空調設備などの設計、施工、運営をしている会社がございます。その社長さんにお話を伺ったんですけれどもグリーン冷媒機器を導入したいと考えている食品産業の会社さんはたくさんあるそうなんですけれども、やはりコスト、価格が高いので導入することをためらっている、あるいは迷っているという会社がたくさんあると伺いました。  現在、環境省の事業で、冷凍冷蔵倉庫、食品製造工場、そして食品小売店舗において省エネ型自然冷媒機器導入の補助事業がございます。この制度を使って今後さらなる普及拡大というものを図る必要があると考えますので、ぜひこの補助事業というものは継続していただきたいと思います。  問題は、グリーン冷媒ではない小型業務用冷凍冷蔵庫、業務用エアコン、そして家庭用のエアコンであります。研究開発は進んでおりますけれども、発火のおそれがあるという問題があると伺っております。今後のものづくり日本の技術を結集させて、世界をリードする開発をどんどんと推し進めていくべきであると考えます。  経産省では、平成三十年度から平成三十四年度まで五カ年で次世代冷媒のリスク評価手法を確立し、省エネや低温室効果を達成できる次世代冷媒、冷凍空調機器等の開発をするための予算を、三十年度、新規で二億五千万円計上しております。この予算をNEDOに交付して、NEDOからの委託を受けた大学や公的研究機関等がグリーン冷媒のリスク評価手法の開発をすることとなっております。  そこでお尋ねをいたしますけれども、このリスク評価手法というものがどのように我が国の冷凍空調産業の国際競争力強化につながっていくとお考えか、その点をお答えください。
  148. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  これまで使用されてきました代替フロン、こちらは温室効果が高いという一方で燃焼性は低い、したがってこれが使われてきたということでございますが、グリーン冷媒はその一方で、温室効果は低いけれども燃焼性を有するものが多いということで、なかなか、漏えいした場合等の着火リスクというものを考慮する必要がある、こういったことを背景といたしまして、これまではグリーン冷媒使用が限定的であった、このように考えております。  したがいまして、逆に言えば、グリーン冷媒を普及させていくためには、この燃焼性リスクをいかにマネージしていくかというところが大事になってきます。したがいまして、グリーン冷媒を広く活用していくためには、燃焼性が生じる要因を分析して機器設計にそれを反映していく、それで確実にリスクを抑制するということで機器ユーザーの安全性を確保することが必要不可欠であると考えております。  もちろん、こうした機器開発自体は民間企業によって進められるべきものだと考えておりますけれども、じゃ、実際に燃焼性のリスクが抑制されているかどうか、そこが正しく評価する手法がないとこれはよろしくないのではないか。私ども国としても、こうした正しく評価する手法を確立することは機器ユーザーの安全を確保する観点からもちろん必要でございますし、民間企業の技術開発を効率的あるいは信頼性の高い形で進める観点からも極めて重要だと思っております。  こうした評価手法を確立することはまさに全世界的な課題であると思っておりまして、この手法を私ども日本世界に先駆けて確立することができれば、日本企業の技術開発を加速し、国際競争力を強化することができる、こういうふうにつながるというふうに考えているところでございます。
  149. 岡下昌平

    岡下委員 温暖化対策は大変重要であります。今後の対策をしっかりしていただきたいと要望して、質問を終わります。
  150. 稲津久

    稲津委員長 正午から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十九分休憩      ――――◇―――――     正午開議
  151. 稲津久

    稲津委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。笠井亮君。
  152. 笠井亮

    笠井委員 日本共産党の笠井亮です。  オゾン層保護法改正案は、日本エネルギー政策全般にかかわってくる。そこで、まず前提として、この間の私の質問に対する世耕大臣答弁について確認をしたいと思います。  五月三十日の当委員会で、日本原発の平均稼働率について、世耕大臣は、震災後の二〇一六年度は三基のみが稼働していて、その平均稼働率は七七・二%と答弁されました。稼働している三基の原発のみを取り出して日本原発稼働率と言うわけですが、私、こんな数字は初めて聞きました。各界からも仰天と、のけぞるという思い、声が広がっております。  政府エネルギー基本計画案、これは今パブコメもかかっていますが、これをめぐって国会でも議論がされてきましたが、大臣の答弁というのは、この間言われたようなデータに基づいてやられているということなんですか。
  153. 世耕弘成

    世耕国務大臣 私の記憶をたどれば、あのときの質疑で、エネルギーミックスの中で原発が二二から二二%、これが、エネルギーミックスの中で出てきた数字が達成できるのかどうかという議論の中で、原発稼働率を、原発稼働率というのは動いている原発稼働率を八〇%として、そして機械的に計算をすれば、四十年の炉が全て動いたとして一七、それを更に二十年延長までするものを含めたら二八%ということになるので、このエネルギー基本計画は達成可能と考えているという答弁をさせていただいたわけでございます。
  154. 笠井亮

    笠井委員 世耕大臣は三十日、今言われたのは前々回の質疑でしたけれども、前回の質疑で先ほどの七七・二%という話があって非常に驚いたわけですが、その前回、三十日の質疑の中で、世耕大臣他方で、全く、余り意味のある数字ではないと思いますけれども、では、あえて稼働していない原発も足したら、当然、四十三基の原発が、今、廃炉が決まっていないもの四十三基が存在しておりますので、それも入れた稼働率というのは余り意味はありませんが、平均稼働率は五%ということになります、こう答弁された。間違いありませんね。
  155. 世耕弘成

    世耕国務大臣 そういう意味では、あのとき笠井委員と私は議論がなかなかかみ合わなかったものですから、ただ、最終的には、笠井委員のおっしゃっている意味での稼働率というのを出せば、それは五%ということになるとお答えをさせていただきました。
  156. 笠井亮

    笠井委員 大臣がかみ合わせなかったというふうに私は感じましたけれども。  本当に、全く、余り意味のある数字ではないのか。これまで、日本で多くの反対がありました、歴史的にも経過がありましたが、それを押し切って原発がつくられ、動かされてきて、そして原子炉の火がともって以来、毎月毎月統計がとられて議論されてきたベースがあります。  それは、日本に存在する全原発の認可出力掛ける暦、暦時間数を分母にして、実際の発電電力量を分子にした基礎データが使われてきて、どれだけ日本原発が動いているか、稼働率はどれぐらいかということが議論されてずっと暦年で見てきた。日本原子力産業協会や電事連もそういうデータを出して、そして歴代政府も使ってきたというわけであります。  例えば、この原産協会の資料、ずっと暦年のもあります。例えば二〇一六年暦年ということで、大臣が意味のないと言われた二〇一六年五%というのは、ここに五%と書いてありますが、そういう形でなっているのを始めとして、ずっと暦年、これで追っかけてきて、今原発がどうなっているのかという議論のベースになってきたということでありますけれども世耕大臣は、そうした歴史的に積み重ねてきた議論、その中でベースになってきた稼働率のデータについては、全く、余り意味のある数字ではないと否定されるということになりますか。
  157. 世耕弘成

    世耕国務大臣 あくまでもこれは文脈で御理解いただきたいんですが、私は、エネルギーミックスで二二から二二%という数字が達成できるかどうか、それを裏打ちをする機械的計算をするときに、原発が、四十年まで動かせば一七%、延長するものも全部動かせば二八%、ただ、その前提となっている稼働率が八〇%ということを申し上げているわけで、その議論をするときに、完全にとまっていることが前提になっている原発も分母に入れて稼働率を言っても、私の文脈では全く意味がないということを申し上げているわけであります。そこは御理解いただきたいと思います。
  158. 笠井亮

    笠井委員 大臣、ごっちゃにされているんですけれども、前々回のときに確かにエネルギー基本計画の議論をして、そういう議論をやって、二〇三〇年にどうなるのか、稼働率八〇%としたときに、日本にある四十年未満、これを全て動かした場合に一七になるとか、そういう議論がありました。  その次、三十日、私が質問したのは、ずばり、冒頭に、日本原発の平均稼働率でありますけれども、二〇一一年の東電の福島第一原発事故直前と、それから、今から直近を比べて、それぞれ何割となっていますかと聞いたのに、それに対して、稼働している原発三基についてやって七七・二%という答弁をされたわけですね。  これまで言ってきた日本原発の平均稼働率の議論をしていて、その話はどうなっているのか、比べたらどうですかと言ったときに、いきなり、動いているやつだけ、話を大臣がされたわけであります。  実際に、経産省の審議会、ことし二月の総合資源エネルギー調査会の電力・ガス事業分科会の原子力小委員会、ここにも経産省資源エネルギー庁が事務局として資料を提出されていますが、その中でも、「原子力の自主的な安全性の向上について」という事務局提出資料で、そこにちゃんと、前の審議のときにも、私、ちらっと見せましたけれども、結局、日米における稼働率の推移ということでいうと、ずっと日本の方は落ちてきて、わずか数%となっているグラフを経産省自身が出してきたわけです。  それを、日本原発稼働率、どうですか、平均でと言ったときに、動いているもの三基について言えばこうですという話は、全くすりかえているということになってくるわけで、まさに稼働率の推移について聞いたところで、それを五月三十日の大臣答弁で突然変えたということになるので、これは、経産省自身が言ってきた、しかも、データをもとに、原産協会や電事連が言ってきたのをもとにやってきたと言っていたのに、それを全く自己否定する話になると思うんですよ。  稼働している原発のみ取り出して、日本原発稼働率と言う大臣の答弁こそ、私は全く意味がないと言わなければなりません。今後のエネルギー基本計画をどうするかという重要なタイミングで基礎データをごまかすようでは、議論にならない。  五月三十日、私が聞いたのは、日本原発平均稼働率、震災前と、あの東電の福島原発前と後、直近ではどうかと比べて聞いたのに、わざわざ違う数字を言った。あの答弁については、撤回してください。
  159. 世耕弘成

    世耕国務大臣 これは、笠井先生とは、その前の質疑の中から、エネルギーミックス二〇―二二が達成できるのかという議論になっていたわけです。ですから、私は、その頭の中で、その前提となる、わかりやすく言えば、原発一基当たりの稼働率、稼働する原発一基当たりの稼働率が八割だとするとという機械的計算の前提として申し上げているわけであります。  当然、じゃ、とまっている原発も入れて稼働率は何%かと聞かれたら、私は、その二〇から二二を達成できるかどうかの議論上、意味はないけれども、五ですということも明確にお答えをしているわけですから、答弁撤回の必要はないと考えております。
  160. 笠井亮

    笠井委員 私、前回の質問と言いました。そして、インターネットでもごらんになっている方がいる、そして会議録をごらんになる方がいる。実際、私が聞いているのは、二〇三〇年の議論をしていないんですよ。  冒頭から日本原発の平均稼働率について議論して、大臣とやりとりしていても、二〇三〇年ということを一切議論していなくても、大臣は、全く、余り意味のある数字じゃないけれども、そんなふうに聞くんだったら言いますけれども、五%ですと言われたんです。  まさに、国民が見て、そして聞いたら、結局五%しか動いていなくても、あたかも原発が安定電源かのように、政府、経産省に都合のいい数字になるように無理やりデータをつくっている、厚労省のデータ捏造とどこが違うのかということになります。ここにも安倍政権のうそが出てくる。ほとんどの原発が動いていないことは、国民は知っています。都合のいい数字にすりかえながら、無理やり再稼働を強行する狙いを覆い隠しちゃだめだ、うそ、ごまかしじゃなくて、正直に真実を語ることが全ての出発点だと、改めてこの問題でも申し上げておきたいと思います。  さて、法案に入りますが、昨年十月に、オゾン層を破壊する特定フロンの生産量及び消費量の段階削減義務づけたモントリオール議定書の締約国会合で、代替フロン削減対象物質とするキガリ改正が採択をされました。  本法案は、その国内担保措置として生産量、消費量の削減義務が課されることになったために、十八種類の代替フロン製造輸入規制しようというものでありますが、経産省に伺います。日本世界有数のフロン排出国であります。二〇一五年のHFCの推計排出量と、先進国四十八カ国での順位というのはどのようになっているでしょうか。
  161. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  国連の気候変動枠組み条約事務局によりますHFC排出量、これは主要国について出されているものがございます。  お尋ねの二〇一五年のものでございますが、我が国は数字で申しますと三千九百二十万CO2トンとなります。主要国、全部で四十八カ国ございますが、四十八カ国の中で、一位が一億六千二百四十二万トンであるアメリカ、これに次ぐ三千九百二十万トンで日本となってございます。
  162. 笠井亮

    笠井委員 日本ではオゾン層保護対策として率先してHFCの導入を進めてきたこともあり、世界第二位の排出国となっております。  世耕大臣に伺います。  我が国を含めた先進国は、これまで多くの温室効果ガスを排出してきたという歴史的責任を踏まえた、やはりこの点でも削減義務を果たす必要があるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  163. 世耕弘成

    世耕国務大臣 二〇一六年十月に採択されたキガリ改正は、代替フロンとして開発された、オゾン層破壊効果はないけれども温室効果の高い代替フロン規制対象に追加したものであります。  日本がこの改正を受諾をして率先して削減義務を果たすことは、環境先進国としてグローバルな課題である地球温暖化対策に積極的に貢献をしていくとともに、世界に先駆けてグリーン冷媒技術の開発普及を進めて、日本産業競争力を強化していく観点でも重要だと思っています。  キガリ改正における二〇二九年以降の厳しい削減義務の達成は日本にとって大きな挑戦ではありますが、一方で、ほかの国にも厳しい削減義務が課される中、日本世界の新たな市場を獲得するチャンスだというふうに考えています。二〇二九年を見越して、今からグリーン冷媒開発に産学官が一体となって取り組みたいと思います。  グリーン冷媒は、代替フロンとは異なって、温室効果は低いですが燃焼性があるという問題点もあります。漏えいした場合の着火リスクを考慮する必要がありますが、その評価手法は確立をしていませんので、経産省は平成三十年度から、この燃焼性のリスク評価手法を世界に先駆けて確立する産学官のプロジェクトをスタートをしているところであります。  これによって日本企業の技術開発を加速し、国際競争力をしっかり強化していきたいと思いますし、この手法を標準化することによって、すぐれた日本の技術を海外に展開することで、地球温暖化対策に貢献をしていくということも考えてまいりたいと思っております。
  164. 笠井亮

    笠井委員 今大臣、グリーン冷媒のことを強調されましたけれども、脱フロン社会の実現に向けて、やはり、目標を掲げて政府を挙げて取り組むべきだということがありますし、その上では、まず自然冷媒、これへの転換ができるものは速やかに転換をして、新規製品へのフロン類使用をゼロに近づける必要があると思います。  環境省に伺います。  脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業というのがありますが、これによる設備導入補助を行っているわけですけれども、補助対象となる機器自然冷媒というのはどういうものでしょうか。
  165. 森下哲

    森下政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘の脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業は、フロン類に比べて温室効果の極めて小さい冷媒を用いた機器の導入促進を図るものでありまして、その補助対象となる機器自然冷媒とは、二酸化炭素、アンモニア、空気、水など、自然界に存在する物質のことでございます。
  166. 笠井亮

    笠井委員 化学物質であるフロン類ではなく、自然界に存在する物質を用いた自然冷媒を使った設備導入補助ということで、非常に大事だと思うんです。  CFCなどの特定フロンというのは、扱いやすくて便利だとして、これまで大量に使われてきたわけです。オゾン層破壊が問題となって、代替する冷媒としてHFCに転換されましたけれども、これも温暖化への影響が大きいために規制対象となった。  そこで、笹川環境政務官に伺いますが、自然冷媒への直接転換というのは、将来的に脱フロン、低炭素化が進み、国際的な削減目標の達成にも資するし、中小企業にとっても二重投資抑制にもつながると思います。そこで伺いたいんですが、国内外の規制動向を受けて、特定フロン代替フロンから自然冷媒への直接の転換がやはり望ましいのではないかというふうに思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
  167. 笹川博義

    ○笹川大臣政務官 ありがとうございます。  まさに委員の御指摘のとおりでありまして、自然冷媒機器を含むグリーン冷媒機器に転換することは、脱フロン化、低炭素化の観点からも望ましいというふうに考えております。  現在、冷凍冷蔵倉庫などの分野についてはこの自然冷媒機器開発をされておりますが、フロン冷媒を用いた機器に比べて導入費用、コストが高いというのがやはり大きな課題というふうになっております。  そういう状況を受けながら、環境省としては、関係省庁と連携をし、自然冷媒機器のうち特に省エネ型のものに対する補助事業を進めております。これにより、HCFC、HFCからの自然冷媒への転換を加速化し、脱フロン化、低炭素化を推進してまいりたいというふうに考えております。
  168. 笠井亮

    笠井委員 やはりグリーン冷媒というのは、低いといっても含まれているわけですから、そういう点では、自然冷媒というのが、直接転換が本当に望ましいということだと思うんです。  もう一つフロン類排出抑制には、使用済みの機器冷媒として使われていたフロン類廃棄時の確実な回収というのが不可欠だと思います。しかし、この間ずっと回収率の低さが課題となってきました。  環境省に伺います。  京都議定書目標達成計画では目標回収率六〇%としておりましたけれども、実際の回収率はどう推移してきたか。そして、この先の回収率の目標というのはどのようになっているでしょうか。
  169. 森下哲

    森下政府参考人 お答え申し上げます。  フロン排出抑制法に基づく廃棄時の冷媒回収率についてでございますけれども、平成十四年度、二〇〇二年度は三五%、二〇〇七年度、平成十九年度は二七%、そして二〇一五年度、平成二十七年度は三八%というふうに推移をしてございます。  また、地球温暖化対策計画におきましては、廃棄時の回収率を、二〇二〇年度、平成三十二年に五〇%、二〇三〇年、平成四十二年に七〇%とすることを目標といたしてございます。
  170. 笠井亮

    笠井委員 実際の回収率は、目標の半分程度の二割台後半から三割台にとどまってきた。  環境省に伺いますが、その要因についてはどのように分析されていますか。
  171. 森下哲

    森下政府参考人 お答え申し上げます。  フロン類廃棄時回収率につきましては、一定の向上は見られるものの、十年以上にわたって、御指摘のように三割台で低迷をしております。二〇一六年度、平成二十八年度におきましては約三九%となっております。地球温暖化対策計画で定める目標達成に向けまして、廃棄時回収率が低迷している要因を分析し、効果的な対策を講じることが必要であるというふうに考えております。  このため、現在、中央環境審議会と産業構造審議会の合同会議において進めておりますフロン類対策のフォローアップの中で、フロン類廃棄時回収率低迷の要因と対策についての調査分析を進めているところでございます。  具体的には、機器廃棄フロン類の回収実態を把握するための調査を、都道府県、そしてフロン類充填回収業者等の協力を得て鋭意進めているところでありまして、その結果も踏まえて、関係省庁と協力して必要な措置を講じ、フロン類のさらなる排出抑制に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
  172. 笠井亮

    笠井委員 現在は、フロンの回収義務がユーザーにあって、回収費用もユーザーが負担する仕組みになっていますけれども、私は、生産者責任の観点での対策、これが必要ではないかと思います。  笹川政務官に伺いますが、二〇一六年五月十九日の参議院環境委員会での温対法改正の附帯決議の第五項目で、フロン類の回収・破壊などにおいては生産者責任にも留意した対策検討というのを求めておりますけれども、これを受けて、環境省としてはどのような検討を行ってきたんでしょうか。
  173. 笹川博義

    ○笹川大臣政務官 ありがとうございます。  委員の御指摘の附帯決議五を受けてでありますが、フロン類につきましては、平成二十七年四月に施行されましたフロン排出抑制法に基づきまして、回収・破壊、漏えい防止の取組を進めております。  生産につきましては、判断基準、告示を定め、国内におけるフロン類使用量の見通しを国が公表する、業務用エアコン等につきましては、指定製品の製造業者等に対して、温室効果低減のための目標値、また目標年度を定めることなどにより、製品におけるフロン類使用量の低減を図ってまいりました。  ただいま御審議いただいておりますオゾン層保護法改正案に基づきまして、代替フロン製造等を規制することにより、グリーン冷媒への転換を進めてまいりたいと思っております。  さらに、このほかのフロン類対策の取組につきましては、平成二十九年九月から、産業構造審議会、中央環境審議会の合同審議会においてフォローアップを行っているところであり、その結果も踏まえた上で、フロン類排出抑制になお一層取り組んでまいりたいと考えております。
  174. 笠井亮

    笠井委員 なお一層取り組んでいくということでありますけれども、生産者責任の観点で、例えばメーカーにフロン回収費を負担させる仕組みにすれば、回収費用は製品価格に内包化されます。  政務官に伺いたいんですが、フロンを使った製品はその分高くなりますから、価格の面からもノンフロン自然冷媒への転換を促すことにもなるんじゃないかと思うんですが、そういう点についてはいかがお考えでしょうか。
  175. 笹川博義

    ○笹川大臣政務官 ありがとうございます。  委員の御指摘につきましては、平成二十五年のフロン排出抑制法改正の際の附帯決議、フロン類の生産抑制排出抑制に向け、関係者の回収インセンティブの向上への効果、負担の公平性及び必要とされる行政コスト等を総合的に勘案しつつ、経済的手法のあり方について検討を進めなさいとされておりますので、このことを踏まえながら、回収費用の負担を含めた経済的手法のあり方につきましては、産業構造審議会、中央環境審議会合同会議においてさまざま議論を行ってきたところでもあります。  他方で、その効果、負担の公平性、行政コスト等の課題もあるところであり、結論を出す上ではさらなる検討も必要ではないのかというふうに考えております。  環境省といたしましては、ワーキンググループを開催しており、引き続き検討を続けてまいりたいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、フロン排出抑制法改正オゾン法に基づく取組を着実に進めていくことにより、フロン類排出抑制に鋭意取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  176. 笠井亮

    笠井委員 これは大きな問題で、やはり一刻も早くという問題、問われていることだと思いますので、附帯決議も受けながら検討を進めている、さまざま議論があってやっているということでありますけれども、やはり、ぜひ、自然冷媒への転換を促すという点での、生産者責任に着目した点での対策といったことも、早急に具体的に実施をするということでやっていただきたいと思います。  世耕大臣に伺いますが、二〇一四年十二月十日に、フロン排出抑制法に基づく指針というのが、経済産業省、国土交通省、環境省の三大臣の連名で出されております。  その中で、「目指すべき姿」として、今後見込まれるHFC排出量急増傾向を早急に減少に転換させることを含め、フロン類段階的な削減を着実に進め、フロン類を中長期的には廃絶することを目指すということを掲げております。  その後、大臣はかわりましたが、望月環境大臣の方は、その指針に基づいて、国としてフロン類廃絶を目指すことを明らかにしたものだと答弁もされております。  この指針が掲げるフロン類の中長期的な廃絶に向けて、やはり、経済産業省、国土交通省、環境省の取組を進めることが、本法案の成立を契機にいよいよ重要になっていると思うんですけれども、その点で大臣の所見をお願いします。
  177. 世耕弘成

    世耕国務大臣 今御指摘指針に掲げられているフロン類の中長期的な廃絶に向けては、現状ではやはり、代替フロンを用いている分野においてグリーン冷媒への転換技術を確立をして、導入を促進していくことが重要だと思っております。  グリーン冷媒を用いた冷凍空調機器開発や普及に当たっては、難燃性に関するリスク評価手法が確立していないこと、あるいはイニシャルコストの高さといったことが課題となっています。  このため、経済産業省は研究開発を担い、そして環境省は普及を促進する、この役割分担のもと、経産省としては、平成三十年度から、燃焼性に関するリスク評価手法を確立するプロジェクトを開始をしました。  また、現在も市中にあるフロン冷媒機器からの冷媒排出抑制していくためには、やはり機器廃棄時の冷媒回収を促進していくことが重要でありまして、冷媒回収率の向上に向けて、現在、環境省と合同で要因分析を進めています。  さらに、環境、国土交通省との連携のもと、都道府県に対して、フロン排出抑制法と建設リサイクル法との合同パトロール実施を依頼をして、建物を解体するときの廃棄機器から適切に冷媒が回収されるよう、連携して指導も行っております。  引き続き、関係省庁と連携をして、中長期的な廃絶に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
  178. 笠井亮

    笠井委員 終わりますが、先ほど多田局長が田嶋委員質問にも答弁したように、グリーン冷媒という言葉はこの法案のために経産省がつくり出した言葉にすぎないと。  自動販売機やカーエアコンの代替冷媒となっているHFO1234yfというのは、熱分解すると腐食性の強い弗化水素それからハロカルボニルなどの毒性ガスが生じるおそれも指摘をされております。温暖化係数が低くても、環境影響やそして人体の影響などの第三のリスクをももたらしかねないわけで、まだ環境影響についての研究が乏しい。日本の高い技術力で脱フロンの新しい製品が生まれてその製品が世界各国で活用されれば、地球温暖化対策にも大きく貢献することになると思います。  世界では自然冷媒の活用が広がっております。そして、日本国内でも今そういう方向で切りかえが始まっている。世界的なHFC対策を率先して進めていく上でも、我が国において最終的な解決策である自然冷媒への転換、これを大原則に、優先をし、加速させることを強く求めて質問を終わります。
  179. 稲津久

    稲津委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  180. 稲津久

    稲津委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出特定物質規制等によるオゾン層保護に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  181. 稲津久

    稲津委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  182. 稲津久

    稲津委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、城内実君外五名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党、無所属の会及び日本維新の会の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。山崎誠君。
  183. 山崎誠

    山崎委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提案者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     特定物質規制等によるオゾン層保護に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 モントリオール議定書キガリ改正の下で定められたハイドロフルオロカーボン(HFC)(以下「代替フロン」という。)の削減計画に即した確実な削減を実施するため、「代替フロン」の製造事業者等による対応のみならず、機器製造事業者やその最終消費者も含めた全般的な理解と協力を得るよう努めること。  二 特定物質等が破壊されたこと又は破壊されることが確実であることを証明するための制度を整備するとともに、この制度を活用できる環境の整備に努めること。  三 特定物質等の破壊量を生産量から控除する制度の実施については、我が国における特定物質等の過去の生産量及び使用量と市場に残された量(バンク)の膨大さから、今後地球温暖化係数(GWP)の低いフッ素系ガスの生産量がすべて相殺される事態になりかねず、本来の削減の目的に反するおそれがあることから、本来の目的である削減に資するよう慎重に検討し、運用すること。また、回収破壊量のダブルカウントの懸念、副生ガスなどの破壊による生産量水増しの懸念などについても考慮すること。  四 特定物質等の生産量及び消費量は、可能な限り物質ごとに開示することとし、削減強化やグリーン冷媒転換に向けた幅広い議論を促すこと。  五 グリーン冷媒は、その評価を可燃性にとどまらず、人体及び環境への影響、分解後に拡散された場合の環境影響を客観的かつ多角的に評価するものとし、事業者等による適切な利用がなされるよう努めること。  六 フロン類使用合理化及び管理適正化に関する法律において、フロン類使用規制強化に向けて指定製品の対象範囲の拡大や、指定製品の製造業者等の判断の基準において長期的な削減目標の設定を率先して行い、フロンの中長期的な廃絶に向けた具体的な削減ロードマップを描くこと。 以上であります。  附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  184. 稲津久

    稲津委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  185. 稲津久

    稲津委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、世耕経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。世耕経済産業大臣
  186. 世耕弘成

    世耕国務大臣 ただいま御決議のありました本法律案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。     ―――――――――――――
  187. 稲津久

    稲津委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  188. 稲津久

    稲津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  189. 稲津久

    稲津委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十二分散会