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2018-04-10 第196回国会 衆議院 経済産業委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十年四月十日(火曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 稲津  久君    理事 城内  実君 理事 平  将明君    理事 辻  清人君 理事 冨樫 博之君    理事 吉川 貴盛君 理事 落合 貴之君    理事 田嶋  要君 理事 富田 茂之君       穴見 陽一君    石川 昭政君       石崎  徹君    岩田 和親君       上野 宏史君    尾身 朝子君       大串 正樹君    大見  正君       岡下 昌平君    鬼木  誠君       勝俣 孝明君    門  博文君       神谷  昇君    神山 佐市君       神田  裕君    木村 哲也君       国光あやの君    小林 鷹之君       國場幸之助君    佐々木 紀君       佐藤 明男君    佐藤ゆかり君       杉田 水脈君    田畑  毅君       根本 幸典君    百武 公親君       福山  守君    藤井比早之君       船橋 利実君    穂坂  泰君       星野 剛士君    本田 太郎君       松本 洋平君    三谷 英弘君       三原 朝彦君    宮内 秀樹君       宮澤 博行君    八木 哲也君       中谷 一馬君    堀越 啓仁君       松平 浩一君    山崎  誠君       浅野  哲君    吉良 州司君       斉木 武志君    山岡 達丸君       國重  徹君    菊田真紀子君       笠井  亮君    谷畑  孝君     …………………………………    経済産業大臣       世耕 弘成君    環境大臣      とかしきなおみ君    経済産業大臣政務官    大串 正樹君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  三角 育生君    政府参考人    (経済産業省大臣官房長) 高橋 泰三君    政府参考人    (経済産業省大臣官房総括審議官)         飯田 祐二君    政府参考人    (経済産業省大臣官房技術総括保安審議官)    福島  洋君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           中石 斉孝君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           佐藤 文一君    政府参考人    (経済産業省経済産業政策局長)          糟谷 敏秀君    政府参考人    (経済産業省製造産業局長)            多田 明弘君    政府参考人    (経済産業省商務情報政策局長)          寺澤 達也君    政府参考人    (経済産業省商務情報政策局商務情報政策統括調整官)            吉本  豊君    政府参考人    (資源エネルギー庁次長) 保坂  伸君    政府参考人    (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            高科  淳君    政府参考人    (資源エネルギー庁資源燃料部長)        小野 洋太君    政府参考人    (資源エネルギー庁電力ガス事業部長)      村瀬 佳史君    政府参考人    (中小企業庁経営支援部長)            高島 竜祐君    参考人    (株式会社経営共創基盤代表取締役CEO)     冨山 和彦君    参考人    (森・濱田松本法律事務所弁護士)         増島 雅和君    参考人    (日本商工会議所中小企業経営専門委員会共同委員長)    (前橋商工会議所会頭)  曽我 孝之君    参考人    (日本労働組合連合会会長)           神津里季生君    参考人    (駒澤大学名誉教授)   福家 秀紀君    経済産業委員会専門員   佐野圭以子君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十日  辞任         補欠選任   上野 宏史君     杉田 水脈君   大見  正君     宮澤 博行君   勝俣 孝明君     藤井比早之君   小林 鷹之君     門  博文君   國場幸之助君     佐藤 明男君   佐々木 紀君     鬼木  誠君   穂坂  泰君     百武 公親君   八木 哲也君     福山  守君   中谷 一馬君     堀越 啓仁君 同日  辞任         補欠選任   鬼木  誠君     佐々木 紀君   門  博文君     岩田 和親君   佐藤 明男君     神谷  昇君   杉田 水脈君     上野 宏史君   百武 公親君     本田 太郎君   福山  守君     石崎  徹君   藤井比早之君     宮内 秀樹君   宮澤 博行君     船橋 利実君   堀越 啓仁君     中谷 一馬君 同日  辞任         補欠選任   石崎  徹君     根本 幸典君   岩田 和親君     小林 鷹之君   神谷  昇君     国光あやの君   船橋 利実君     三谷 英弘君   本田 太郎君     木村 哲也君   宮内 秀樹君     勝俣 孝明君 同日  辞任         補欠選任   木村 哲也君     穂坂  泰君   国光あやの君     國場幸之助君   根本 幸典君     八木 哲也君   三谷 英弘君     大見  正君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  生産性向上特別措置法案内閣提出第二一号)  産業競争力強化法等の一部を改正する法律案内閣提出第二二号)      ――――◇―――――
  2. 稲津久

    稲津委員長 これより会議を開きます。  内閣提出生産性向上特別措置法案及び産業競争力強化法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  本日は、両案審査のため、参考人として、株式会社経営共創基盤代表取締役CEO冨山和彦君、森・濱田松本法律事務所弁護士増島雅和君、日本商工会議所中小企業経営専門委員会共同委員長前橋商工会議所会頭曽我孝之君、日本労働組合連合会会長神津里季生君、駒澤大学名誉教授福家秀紀君、以上五名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言御挨拶申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、参考人各位からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。  それでは、まず冨山参考人にお願いいたします。
  3. 冨山和彦

    冨山参考人 おはようございます。冨山でございます。  本日は、こういう機会をいただきまして、大変ありがとうございます。  私の方から、お手元の「リスクマネーを巡る喫緊の重要課題」というレジュメをベースにして、とりわけ政府の、機関の側でいかにこのリスクマネーの問題に対峙していくかという点について、私自身の問題意識をお話ししたいと思っております。  まず一つ目ですが、「本格的なグロースキャピタルの不在」というふうに書いてございますが、とりわけ現在、今、それこそ第四次産業革命であるとかイノベーション時代と言われております。  これは皆さん御案内のとおりで、現在、特にグローバル経済経済圏で活躍している企業群あるいは産業群成長の鍵というのは、圧倒的にイノベーションの力ということになります。そのイノベーションのドライバーというのは、やはり圧倒的にメガベンチャーということになるわけで、結局、特に上場企業の上の方のレベルの成長力を比較しますと、日米欧で見てみても、やはり日本は圧倒的にメガベンチャーがないんですね。アメリカはほとんどが、上位は全部メガベンチャーです。それから、欧州でもSAPのような会社が出てきております。  これをどうしていくかというのは、要は極めて産業マクロ的に大きな問題でありまして、今やベンチャー議論というのは、マージナルな話ではなくて、むしろ産業の中核をどうするかという議論になってきております。  その上で、メガベンチャーをつくれるかどうかというのは、もちろんスタートアップの数をふやしていくことは大事なんですが、ここはゼロを一にする議論でありまして、問題は、この一を百にできるか、百を一万にできるかという百倍百倍のゲームになるわけでありまして、そうすると、今、おかげさまで、こういった皆さんのいろいろなサポートもあって、ゼロから一はかなり出てくるようになっています。問題は、一から百、百から千をどうするかなんですが、ここで、いわゆるユニコーンファイナンスユニコーンというのは一千億円を超える時価総額の未上場ベンチャーのことをいうんですが、こういった会社が、それこそウーバーとか、続々出てきているわけです。  要は、そこにどこまで早く持っていけるかというところが勝負でありまして、むしろ今、そこで上場しないのが一般的で、上場しちゃいますと、むしろ上場コスト、いろいろな手間もかかっちゃって、ある意味ではリスクをとれなくなっちゃうんですね。したがって、かなりまとまったお金をどんと入れて、プロのお金を入れて、むしろもっと大きくしてから上場するという流れに今はなっています。  これは、いわゆるラウンドBラウンドA、B、Cというのは、ファイナンスをするタイミングのことをA、B、Cというんですが、大体、ラウンドB、二回目の本格的なファイナンスで数百億円のお金をぼんと入れちゃうというのがむしろ今一般的でありまして、こういうお金というのは、数年で上場するということを想定していませんから、要は五年、十年という単位で数百億円のお金が寝るわけであります。  ということは、裏返して言っちゃうと、そういったお金を誰が出すんですかということになってくるわけで、今の日本ベンチャーキャピタルの普通のスタンダード、これはまず不可能です。というのは、ファンドのサイズが二百億円ぐらいしかないので、一発入れたら一社しか入れられなくなっちゃいますし、大体ファンドの期限が十年ですから、そうすると、一つ会社を持てるのが五年ですから、すぐIPOをしないといけないということになりますので、要は、こういった超長期のまとまったお金を誰が出すんですかという問題が非常にここにおいて大きな課題となります。  実際に私もユニコーンファイナンスをやったことがあるんです、我々の投資先で。我々がアーリーをやる、ラウンドAをやって、ラウンドBでやったことがあるんですが、結局どこから持ってくるかというと、アメリカのかなり大きな金融機関です。ゴールドマン・サックスとかモルガン・スタンレー、ああいうところですね。アメリカを除きますと、ほぼほかの国はソブリン・ウエルス・ファンドです。私どもが実際やったのはGICでした、シンガポールソブリン・ウエルス・ファンドです。要は、ソブリン・ウエルス・ファンドというのは、超長期、期間は無限大でありますので、したがって、彼らはこういうゲームができるということであります。  これが今現状でありまして、要は、日本国内にこういうプレーヤーはいないという問題が今ございます。ですから、一番おいしいところを、結局、今の状況、もし仮に日本からすばらしいスタートアップが出てきて、このメガベンチャーになる過程で一番おいしいところは、多分海外お金でやられてしまうという状況があるわけであります。  それから、次、二番目。もう一つリスクキャピタルがある意味では機能していない領域というのは、エンゲージメントファンドというやつでありまして、これはどういうものかというと、物を言う責任与党株主です、わかりやすく言っちゃうと。要は、物を言うんだけれども、安定的に長期に株を持ってくれて、真面目にその会社に寄り添って、その会社に物を言う、そういうタイプ株主であります。これは、少なくとも日本以外ではどんどん存在感を増しております。  今、日本では、いわゆる持ち合い株の解消をしようという流れがあるわけです。この後問題になるのは、持ち合い株のいい面、悪い面があるんですが、いい面は、長期保有株であったということは私はいい面だと思っていて、ただ、問題は、持ち合い株というのは、長期保有なんだけれども、物を言わない、やや無責任与党みたいなところがあって、これがちょっと問題なんですね。そうすると、やはりちゃんと言うべきことを経営者に言う、そういう安定株主をつくっていかなきゃいけない。これがいわゆるエンゲージメントファンドモデルであります。  要は、今いろいろな意味企業統治改革をやっておりますが、会社統治というのは基本的には資本民主主義であります。もうここにいらっしゃる皆さんには釈迦に説法ですが、やはり資本民主主義の質というのは、結局、最終的には、国民の民度であるとか、あるいはそこで選ばれてくる国民代表の質で決まるわけでありますから、その最終的な担い手はやはり株主なんですね。  そうすると、株主の質を上げるということは極めて大事でありまして、今、持ち合い株を出していくのはいいんですが、それがいわゆる短期的な、投機的な株主のところに行っちゃいますと、非常にむしろ資本民主主義が不安定になりますので、こういうエンゲージメントファンドをやはり大きくしていくということは非常に大事な課題でありまして、これもまた、日本には余りないんですね。ないんです。少なくとも国内ベースではないです。  大体、今入ってきている、海外から来ている連中は、どちらかというとちょっとハゲタカに近い人、いわゆる物言う株主というか、どちらかというとグリーンメーラーというか、そういうタイプの人、日本は狙われやすいので。  普通、エンゲージメントファンドというのは、その国の企業、その国の産業のことをすごくよく知っている人がやりますから、普通、その地域にベースのものがやはり強くなるというのがベースです。ですから、やはり日本ベースのちゃんとしたエンゲージメントファンドをどうつくっていくかというのも、これも非常に重要です。  通常、こういったところというのは、言葉で言うと「「働く株主」「モノ言う責任与党株主」」と書いてございますが、大体、金融系知見と、もちろん事業あるいは経営知見の両方とも持っているような、そういう人たちでないとできない。欧米、ヨーロッパに結構多いんですけれども、大体そういうメンバーでやっているファンドになります。  その後ろにあるお金というのは、これは当然超長期でないとこういう投資はできません。私の経験で言っちゃうと、私は、オムロンという会社の、これは非常に優良な会社なんですが、この会社の役員を十年ほどやっていましたが、これは、残念ながら国内ではなくて、海外のこの手のファンド一つ二つ、ずっとくっついていました。こういった会社は本当に長期保有です。私のいる間はずっと株主でした。やはりちゃんとしたエンゲージメントをやってくれていました。  ですので、彼らの背景にあるお金は、大体、年金基金とか大学のエンダウメントとか財団とかという、やはりすごく長期お金を預かっているアセットオーナーがそういうところにお金を預けております。ですから、そういった仕組みをやはり日本で今後つくっていくというのは、非常に今のガバナンス改革流れでいうと大事な課題だと思っております。  それから、最後に、これはやや非常手段的な話ですけれども、これは私が昔やっていた産業再生機構と同じモデルなんですが、やはり金融危機時にどう、いろいろな再編とかいろいろな企業のリシャッフルが起きるわけですが、そのときにどうリスクマネーを供給するかというのは、これは潜在的にあるテーマです。  要は、金融危機というのは今非常に起きやすい環境にありまして、かつ、これはグローバル化しやすいので、それが起きたときにどうするかという、一応、フォー・ア・レイニー・デー、いざというときのリスクマネーをどう用意しておくかという問題があります。  実は、前回のリーマンショックのときは、ここでも実はソブリン・ウエルス・ファンドが大活躍をしております。ですから、さっき申し上げたGICとかテマセクとかという会社が実は、要は市場お金はこういうときにはなくなっちゃうんですね。ですので、ちょうど日本航空の問題もこのときに起きていまして、このときは政府お金再編再生をしたわけですけれども、こういった問題も一応あるにはあります。  一応、この三つが恐らくリスクマネーをめぐる我が国の非常に大きな課題だと私は認識しております。  ということで、こういった状況を考えますと、繰り返しになりますが、こういうイノベーションが極めて経済成長を規定する時代、特に、破壊的イノベーション時代において、ここで必要となるべきリスクマネー、これはアメリカが多分私は例外だと思うんですが、アメリカは異常に多種多様なリスクマネー民間に大量に蓄積されています。ただ、これはもうほとんどアメリカだけと言っていいような例外的状況でありまして、欧州新興国などでは、むしろ、より純粋なプレーヤーとしてのリスクマネーを扱うソブリン・ウエルス・ファンドというのが存在感を増しております。  ちょっと余計なことを申し上げると、孫さんがビジョン・ファンドというのをつくりました。あれは、実体はソブリン・ウエルスです。あれはアラブの、中東のソブリン・ウエルスお金が入ってきているので、ああいう超長期のまとまった投資ができているんですね。民間の普通に集めてきたお金では、あれはできません。要は、そういうのが今の世界流れだと思っていただいて結構かと思います。  裏返して言うと、今、官民ファンドに向けていろいろな議論があるんですけれども、私も産業再生機構のときにいろいろな議論をされましたが、ここまで民業圧迫論とか民間が絶対政府よりも優位であるという議論がされているのは、今や日本だけだと思います。ちょっと、ややナイーブな感じがいたします。  むしろ、重要な問題は、官か民かではなくて、どういう目的原理で、いかなる動機づけとガバナンス構造組織と個人が機能するのかが鍵でありまして、要は、シンガポールってどっちかというと市場原理主義の国みたいに思われていますが、シンガポールのこういうリスクマネーの主役は、GICテマセクという正真正銘の政府系ソブリン・ウエルス・ファンドであります。  ただ、彼ら、あのファンドは、世界で最もある意味では尊敬されているリスクマネープレーヤーでありまして、要は、超一流の人材が集まって、超一流市場プレーヤーとしての機能を果たしておりますので、超長期にわたって高いパフォーマンスを上げている、そういうことであります。それが機械的にシンガポールの国富になっている、そういう構図であります。  ですので、むしろ大事なことは、これをどうしていくのかというのを、官か民かというある種原理主義ではなくて、どういう動機づけでどういう組織をつくっていくのかということが多分鍵なので、そこをどうしていくかということをやはり考えるべきだろうと思っています。  裏返して言っちゃうと、ちょっとまたこれも余計なことを申し上げますと、日本民間企業の中には、必ずしもどうかなという、そういう意味で言っちゃうと、官よりも官っぽい民間組織がいっぱいありますので、要は、出自が官か民かというよりは、むしろ、繰り返しになりますが、どういうふうにガバナンス構造組織、あるいはそこで働いている人間の動機づけをデザインするか、こちらの方が私は重要だと思っております。  そういった意味合いでいうと、そこでいかに政府系機関がどういう機能を果たしていくかというのは、検討すべき、検討する価値がありますし、実は、シンガポールにおいては、いっぱい民間ファンドもございます。民間の、世界でもかなりいい線をいっているファンドがどんどん出てきていますが、大体こういったファンドGICテマセク出身者です。要は、まずGICテマセク経験を積んで、やはり世界でそれなりに名をなしてから、スピンオフして自分ファンドをつくるというのが非常に典型的な流れになっております。  私は、どちらかというと、日本はそのモデルの方がフィットがいいんではないかなと個人的には思っていまして、自分経験した産業再生機構もそういう性格を持ちましたので、ですので、その辺、ぜひぜひ前向きに御検討いただければというふうに思っている次第であります。  以上でございます。ありがとうございました。
  4. 稲津久

    稲津委員長 ありがとうございました。  次に、増島参考人にお願いいたします。
  5. 増島雅和

    増島参考人 御指名いただきました、森・濱田松本法律事務所増島でございます。おはようございます。  本日は、このような機会をいただきまして法案意見を述べる機会をいただき、大変光栄に存じます。  今般審議されております生産性向上特別措置法について、少し御意見を申し上げさせていただきたいというふうに思います。  本日の私の参考人としての役割は、既存の法令が想定していない新たなビジネスモデルというのが起こってくる、こういうことに対して、民間事業者の方と各省庁の担当官がみずからの職務に忠実であればあるほどイノベーションを推進する芽を摘んでしまう、こういう現象が世界で共通して起こっている、こういうふうなことに今なっておるわけでございまして、このメカニズムを打破するために開発された新たな政策枠組みとしてのレギュラトリーサンドボックス、これが一体何を狙っているのか、どのように機能していくべきなのか、こういうお話を少しさせていただいて、審議参考としていただきたいというふうに思っております。  まず初めに、私が本日この場で法案審議についての参考人として呼ばれている背景について少しお話しすることをお許しください。  私は、東京に主たる事務所を構えております、国内の各都市のほか、アジア各地に拠点を置いて国際的な法律業務を担当しております森・濱田松本法律事務所でパートナーとして勤務しております。  リーマンショックの直前の二〇〇六年、二〇〇七年のころに、米国のシリコンバレーにあります、元駐日大使を務められたジョン・ルースさんが代表をやっておりましたウィルソン・ソンシーニという法律事務所で勤めておりまして、現地のイノベーションのダイナミズムというのを実地で経験してまいりました。  帰国後は、金融庁監督局におきまして課長補佐として保険と銀行の行政を担当しまして、こちらで行政庁における意思決定メカニズムみたいなものを学んでまいりました。  二〇一二年に民間に復帰後は、金融業、これは情報産業であろうというふうな確信を得まして、IT情報技術の観点から、金融機関に対する規制のアドバイスですとかMアンドAアドバイスなんかに取り組みながら、また同時に、革新的な技術ビジネスモデルを持つスタートアップ企業に対するリスクマネーの円滑な供給というテーマで活動に従事しておりました。  その中で、金融ITをかけ合わせた新たな事業領域としてのフィンテックというのがこれからどうも世界を席巻しそうだというふうに見えまして、日本金融全体が海外の新しい金融の勢力にディスラプトされる前にみずから革新を起こしていかなければいけないんだということを訴えまして、これに共感する事業者皆さんと革新のために行ういろいろな試行錯誤の実践を支援する、こういうことをやってきた、こういう出自でございます。  我々、こういうふうな活動をしていく中で、イノベーションに取り組むということをやるわけですが、このときに直面する重大な課題一つとして、革新的な技術を採用した新たなビジネスモデルの適法性というのを検討するわけですけれども、そのときに既存の法令がそのビジネスモデルを想定していないということが往々に起きてまいります。特に、事業者の活動を規制する業法の世界は、制定時の社会とか技術環境をもとに法令をつくっていますので、いかに一般的、抽象的な法令を書いたとしても、必ず後ろ側に想定する技術とかビジネスモデルが存在しております。  現在、第四次産業革命と呼ばれるIT分野における急速な技術革新が進展をするというふうな中で、既存の法令が想定した技術ビジネスモデルとは異なる技術とかビジネスモデルを使う、こういうものが出てきて、これに既存の法令を一生懸命当てはめるということをやっているわけですけれども、それで適法性を判断してくださいというふうなことになるわけですが、我々法律の実務家からしても、もともとこれは法令が想定していないので適法なのか違法なのかよくわからないということが非常にいっぱい発生してきている、こういうことでございます。  こういうものに対する民間の方の対応の一つとしては、一つは、割とリスクテークをするプロアクティブな事業者は、弁護士なんかと相談をしまして、これは適法だというアーギュメントを自分でつくって、それで前に進む、こういう方もいらっしゃるわけですけれども、他方で、行政庁による法令解釈と違う解釈で前に進むということにリスクを感じる事業者さんというのも、やはり特に大企業さんなんかを中心におりまして、そうすると、行政庁にやはり事前に法令照会をして自分事業の適法性を確認するということをすることになります。そうすると、そもそも法令が想定していないので、行政庁に行ってこれは適法ですかと言っても、確とした回答が戻ってこないということが普通に起こっているということであります。  これも、行政庁の現場の担当官の立場からすると、一生懸命皆さん、先例を調べてくださったりなんかして方向性を出すために頑張ってくださるんですけれども、結論が出ないということが非常に多くあります。彼らもほかの業務がいっぱいありますので、そんな中で、何とかしなきゃいけない、結論を出せというふうに言われますと、一番安全な回答としては、法令に適合していない可能性があります、こういう回答をするわけでございます、これが一番安全だということでありまして。  でも、もともと、よく考えてみると、法令上黒か白かよくわからない、こういうものでありまして、これを民間の人が持っていって、おまえ、これを白と言えというふうに言われても、白ではないので白とは言えないわけですね。グレーという言い方をするのが許されるのであれば、グレーはグレーであって、それはどんな行政庁であっても白にも黒にもならぬだろう、こういうふうなことでございます。しかも、彼らは大体二年でさまざまな部署をローテーションしているゼネラリストでございますので、彼らに専門的な見地からこれを適法かどうか判断してくれというのもちょっと無理があるのではないか、こういうふうな感じがしているわけでございます。  このような形で、民間行政の方々がそれぞれ真面目に法令を解釈する。まずは民間人たちが、法令が想定していない新しいビジネスモデルがある、じゃ、これの適法性を判断してもらおうというふうなことで行政庁に行く、そうすると、真面目な行政庁担当官が、非専門家の立場でありながら可能な限り職務に忠実に働こうとすると、適合していない可能性があります、こう答えなければいけない、こういうふうになりまして、この結果、結局、革新的なビジネスモデルの実施が頓挫してしまう。これが今起こっている課題だというふうに思っております。  このような状態の中で、本来どういうふうな活動であるべきなのかというふうなことで、少し法令の話をさせてください。  そもそも、法律を支える正当性というのは、立法事実というものに支えられているということになっております。ビジネスというのは、その法律の上で展開をされている。こういう三段構造になっているというふうに理解をしているわけですが、技術の進展というのは、まさにこの立法事実という土台が変動する、こういう状態だというふうに思っております。  この土台である立法事実が変動したときに起こることは何なのかというのが、ここで大事なポイントであります。  土台である、技術が変動したときに、何か法律が自動的に変わりまして、自動的に変わった法律の上に新しいビジネスが起こるというのは、これは全くの幻想だというふうに思っております。立法事実が動くと、まず初めにこれに反応するのは実はこの三段目にあるビジネスの方だ、こういうことでございます。まずビジネスが動いて、そのビジネスが多数の人々に支持される、要するに、みんながそのビジネスを使ってくれる、こういうことになると、このようにみんなに支持されているビジネスの法律上の位置づけが明確でないのはおかしいということで、民主主義の力が法律を変えていく、こういうことだというふうに思っております。  決して、法律が抽象的に変わって、その上に法律に適合したビジネスができてくるなんということは起こらないというふうに思っております。まさに、新たなビジネスなくして法改正というのは起こらないだろう、こういうふうなことでございます。  もしそうでありますと、今般の技術革新の大波みたいなところで、我々、我が国が生き残っていくということを考えたときには、まず新たなビジネスを試してみないとわからない。試してみて、これが人々が支持するかどうか、要するに、このビジネスモデルが成立するのかどうかというのを試してみないとしようがない。試してみて、もし本当に多くの人々がそれを支持するのであれば、この民主主義という偉大な力が、そのビジネスが適法になるように法律を変えるはずでございます。  具体的に、いい例として、恐らく、エアビーアンドビーというのがあると思います。まずビジネスがあって、これがみんなの役に立つ、みんながこれを使うということになる。でも、法律がうまく当てはまらないねということになって、でも、みんながこれは新しい法律をつくらないといけないよねと考えて、民主主義の力で住宅宿泊事業法というのができたのではないでしょうか。  これが恐らく現実だというふうに思っておりまして、実は、私がかつて勤めていたシリコンバレーではこのサイクルが高速に回っていまして、ルールを変える、ルールを変えると、そこは定義上ブルーオーシャンになっていますから、ここのブルーオーシャンを切り開いて、それを世界じゅうに広めて、先ほどありましたユニコーンと呼ばれるメガベンチャーを数多く輩出する。これが実はシリコンバレーのメカニズムであります。  さらに、もっと申しますと、実はこれは中国も全く同じ方式でやっておりまして、中国もこの方式でイノベーションのサイクルをつくっている。これが今の中国の躍進につながっているんだというふうに思っております。  日本を始めとする多くの国は、多分、コンプライアンスに対する考え方がこのシリコンバレーのようにはなっていないんだろうというふうに思っております。なので、先ほど申しましたように、官民の各プレーヤーが社会から期待されるところに忠実に動く、動けば動くほどイノベーションが起こらない、こういう構造になっているのではないかというふうに思います。  この構造を変えるために、新たな枠組みとして各国で提唱されているのがレギュラトリーサンドボックスでございます。  もともと、このサンドボックスというのは、テクノロジーの領域で新たなシステムを導入する際に行われる、一定の領域を切って新たなシステムを本番環境に入れてみて稼働状況を試す、こういうふうなITの用語であったわけですけれども、これをもとに、ビジネスの世界で、イノベーションを起こせない大企業組織体制を打破するための経営手法として、オープンイノベーションの文脈で開発されたのがビジネスサンドボックスと呼ばれているものであります。  このビジネスサンドボックスの要素というのは三つございまして、一つはまず、組織のトップがイノベーションにコミットするということでございます。イノベーションは既存の組織ではできないので、トップのコミットメントが第一に大事だ、こういうことであります。  第二に、イノベーションを専担する小さな組織をつくれというふうに言われています。イノベーションの担当部署というのは素早く意思決定をする必要があるので、なるべく小回りがきく部署がいいというふうに言われております。  第三に、既存の決裁パスとは異なる決裁パスをつくれというふうに言われています。この既存の決裁パスというのは、既存のビジネスに適合するようにつくっておりますので、そのような既存の決裁パスの中に既存のビジネスをディスラプトするようなビジネスアイデアを通そうとしても、まず潰れるでしょう。企画が潰されちゃうんですね。これは、仕組みが正常に動いていれば動いているほど企画が潰れてしまう。なぜなら、既存のビジネスモデルを推進しようとする決裁パスだからであります。  そういうふうに考えますと、結局、イノベーションにコミットしたトップとイノベーションを専担する小さな組織を直結させて、イノベーションの部署はトップに直接報告して決裁を仰ぐ、こういう仕組みを既存の組織の中に一つ通しておく、これがビジネスサンドボックスと呼ばれているものであります。  これを入れますと、既存の組織とは離れたところで、既存のビジネスモデルを壊しかねない革新的なスタートアップと協業することができるわけであります。その協業を通じて、失敗もありますけれども、発見された成功事例みたいなものが大企業の古いビジネスモデルを動かしていく、こういうことが起こるのでございます。  英国を始めとする各国は、厳格な規制がしかれている金融分野を中心に、フィンテックを推進するんだというのを目的に、このビジネスサンドボックスの仕組みを行政部門に応用しております。これがレギュラトリーサンドボックスの成り立ちだ、こういうことになるわけです。  このレギュラトリーサンドボックスのもと、民間事業者が、規制が想定していない新しいビジネスモデルを一定の領域を切ってまず試してみる、こういうことをします。それが利用者保護ですとか金融システムに悪影響を与えることがなく、人々の支持を得ることに成功するのであれば、これは許されるモデルだろうということになりまして、そのサンドボックスの中で、成功のもの、失敗のものがあるわけですけれども、これでデータを集める。このデータを使って、次の法令の改正、規制をどういうふうに変えていくかということを考える。これをぐるぐる回していくというのがレギュラトリーサンドボックスの真髄でございます。  今般審議いただいています生産性向上特別措置法案というのは、金融分野に限らず、幅広い規制領域でレギュラトリーサンドボックスを展開することを可能とするものというふうに承知をしております。この点は、恐らく、各国でも余り見ない、日本独自の工夫であろうというふうに思っております。  また、この法案は、新技術等実証計画と呼ばれている個別の対象プロジェクトに、主務官庁とそのプロジェクトに当たる事業を所管する担当官庁の両方を関与させる形で、対象プロジェクトを評価、認定をして、これを適切に行わせるよう支援する仕組みというふうに承知をしております。  プロジェクトの評価に当たって、民間の専門家から構成される革新的事業活動評価委員会というのが意思決定を支援する、こういう形をとることによって、先ほどお話をしました、職務に忠実な余り決めることができない行政担当官というボトルネックを打破しよう、そういう仕掛けが施されているものだというふうに承知をしております。  諸外国で展開されているレギュラトリーサンドボックスは、またそれぞれの諸外国のモデルがあるわけですが、今回のものは、それを参考に、我が国の官僚機構の行動パターンみたいなものを恐らく冷静に分析をしまして、民間の専門家の力をかりて、仕組みによって、行政庁意思決定イノベーション促進的なものに変えていこう、こういうことだというふうに理解をしておりまして、私としては、すぐれた仕組みだというふうに考えております。  最後に、本委員会の先生方のリーダーシップによって、今回、このサンドボックスのもとで適法性や安全性を確保しつつ、我が国の民間事業者イノベーションが力強く推進される仕組みが日本の法制度の中にインストールされる、これを我々は確信しておりますし、そのために私がお答えできること、また、それ以外にも何かお役に立てることがあれば何なりとお申しつけいただければと思います。  御清聴ありがとうございました。(拍手)
  6. 稲津久

    稲津委員長 ありがとうございました。  次に、曽我参考人にお願いいたします。
  7. 曽我孝之

    曽我参考人 日本商工会議所の中小企業経営専門委員会の共同委員長を務めます前橋商工会議所会頭曽我と申します。  群馬県前橋市にあります中屋商事という会社を中心といたしまして、全国展開する企業を含めまして数社の卸業を経営しております。  まず最初に、商工会議所の概要について御説明をさせていただきたいと思います。  商工会議所は、今から百四十年前の一八七八年に東京、大阪、神戸で設立されたのを皮切りに、現在では全国各地に五百十五の拠点を持ちまして、大企業から個人事業主まで包括した公的性格を持つ総合経済団体であります。地域に密着した民間組織でありながら、国や県など行政が進める施策を代行する役割も担っております。全国の総会員数は、百二十五万となっております。  日本商工会議所は、この全国五百十五の商工会議所を会員といたしまして、各地の商工会議所が、その地区内における商工業の総合的な発展を図り、兼ねて社会一般の福祉増進に資するという目的を円滑に遂行できるよう、全国の商工会議所を総合調整し、その意見代表している団体でございます。  我が国の経済の景況や課題について所見を申し上げさせていただきます。  我が国の経済は、個人消費の動きにはいまだ力強さを欠くものの、設備投資に動きが見られ、世界経済の改善を受けて輸出が堅調に推移するなど、総じて緩やかに改善してきていると思っております。特に、一時期ゼロ%近くまで落ち込んでおりました潜在成長率が、昨年四月―六月期以降、一・一%で推移するようになりました。  我が国の最大の課題は、日本経済の成長する力、すなわち潜在成長率の引上げです。一%をようやく超えた潜在成長率を更に引き上げていくために、生産性の向上に向けた強力な政策を実行し、今のうちに持続的な成長基盤を構築することが重要であると考えております。  そして、何よりも、我が国の持続的な成長と地域活性化の実現のためには、企業数の九九・七%を占め、雇用の七割を担い、給与支払いから発生する所得税収入の約四割、社会保険料負担のうち民間事業主拠出分五割を負担している中小企業、小規模事業者の活力強化が不可欠であります。  その中小企業、小規模事業者は、現在、人手不足という大きな経営課題に直面しております。この課題に対応するためには、設備投資IT、IoT、ロボット、AIなどの先端技術の活用などを促進し、生産性の向上に積極果敢に取り組んでいくことが必要であります。  このような状況の中、本委員会で御審議なされている生産性向上特別措置法案などによって中小企業等の生産性向上を力強く推し進めていただけることは、まことに心強い限りであります。  そこでまず、生産性向上特別措置法案に関しまして、三点意見を申し上げます。  一点目は、プロジェクト型の規制のサンドボックス制度についてです。  本制度の導入により、さまざまな革新的な取組が生み出されることが期待されます。その際、中小企業にも活用しやすいように、わかりやすいガイドラインの提供などの御配慮をお願いしたいと存じます。  二点目は、データの共有、連携のためのIoT投資の減税についてです。  IoTの活用は、今後、大企業だけではなく、中小企業においても必要であり、導入を促進する設備投資に係る減税等の支援措置は重要と考えます。そして、中小企業への一層の普及を図るためには、好事例の横展開も非常に効果的です。政府におかれましては、中小企業におけるIoT活用に関する好事例の収集とその普及をお願い申し上げます。  三点目は、中小企業の設備投資に係る固定資産税の減免等についてです。  中小企業の生産性向上を図るためには、設備投資の促進が欠かせません。固定資産税の減免であれば、赤字法人であってもその恩典を受けることが可能となり、より多くの中小企業に対する設備投資のインセンティブになると考えております。この制度が、多くの地域の中小企業に使われることを期待しております。  続いて、産業競争力強化法案の改正に関しまして、三点意見を申し上げます。  一点目は、技術等の情報に係る認定機関の認定制度の創設についてであります。  情報漏えいは、会社の信用力を大きく損ないかねません。情報漏えい防止を図る認定制度を創設していただくとともに、中小企業が対応できるように、情報管理の手法を解説した重要技術管理ガイドラインの周知徹底や支援もあわせて行っていただきたいと思っております。  二点目は、大学ファンドの支援対象の拡大についてであります。  前橋商工会議所では、十数年前から産学官金連携推進会議を開催し、地元大学や金融機関行政等が集まりまして、研究開発にかかわるセミナー、相談会等を実施しており、法改正により、東京大学など四大学発のベンチャーが各地方大学と連携する場合もファンド投資対象に加えていただくことは、地域の活力向上に大いに資するものと期待しております。  三点目は、創業の啓発に関する次世代の担い手確保であります。  創業の新たな担い手をふやすためには、創業への関心を高める取組が非常に重要であると期待しているところであります。  一方で、政府は開業率一〇%を目標としているのに対し、現在の開業率は六%弱にとどまっております。その中で、創業補助金の縮小や創業スクール事業の廃止など、創業支援予算は大幅に減少しています。政府目標の実現に向け、創業支援予算の拡充も必要だと考えております。  最後に、中小企業経営強化法の改正に関しまして、三点意見を申し上げます。  一点目は、再編による事業承継加速化についてであります。  団塊世代の経営者が大量引退期を迎えます今後五年から十年の間は、まさに大事業承継時代の到来となります。  事業承継が急がれる中、平成三十年度税制改正において、先生方の御尽力によりまして、日本商工会議所が強く要望しておりました事業承継税制の抜本拡充を実現していただきましたことに、心から感謝申し上げます。  さて、自社の話で恐縮でございますけれども、当社は八年前に、同業他社と事業部門を統合し、新しい事業会社を設立するという事業再編を行いました結果、おかげさまで経営力が向上してまいりました。その結果を受けて、県内そして近県の後継者が不在等の理由で廃業に追い込まれつつあった数社から、事業統合や吸収合併、子会社等の形で当社にその事業会社を引き継がせていただいた次第であります。  今回、法改正によりまして、経営力向上計画において、MアンドA等による事業承継を伴うものを対象に追加していただき、税制優遇等の支援をいただくことになっておりますが、事業承継税制とあわせまして、事業承継、再編が加速することを強く期待しております。  二点目は、経営基盤強化のための支援能力の確保として、商工会議所を始めとする認定支援機関の認定制度に更新制等の導入が盛り込まれております。商工会議所といたしましては、更新制等への対応を通じて、一層の支援能力の向上に努めてまいります。  なお、商工会議所、商工会では、平成二十六年に改正されました小規模支援法を踏まえ、事業者や地域の課題に応じて、国や地方自治体の施策の周知、活用支援等により、きめ細かい伴走支援を行い、実績を上げてきております。  また、平成二十六年に設立されました小規模企業振興基本法に基づく小規模企業振興基本計画は、今後、見直しに向けた検討が開始されていると聞いております。  商工会議所、商工会の役割は、今後、事業承継、生産性の向上、消費税引上げ、軽減税率、働き方改革など、ますます拡大し、業務量も増大の一方ですが、そのために必要な都道府県からの予算は減少傾向にあります。今後の基本計画の見直しにあわせまして、商工会議所、商工会の経営支援体制の強化に向けて、さらなる強力な御支援を心からお願い申し上げます。  三点目といたしましては、IT導入の加速化のための支援体制整備についてであります。  日本商工会議所は、かねてより、中小企業が安心してクラウドサービス等を活用できるようにするために、良質なIT事業者のリスト化、認定制度の創設を要望してまいりました。今回の法改正によりITベンダーの見える化がなされれば、中小企業IT活用に弾みがつくものと期待しております。  終わりに当たりまして、全国五百十五商工会議所といたしましては、経営支援力を更に向上させつつ、行政、議会や他の支援機関との連携を強化しながら、中小企業、小規模事業者の活力強化と地域経済の活性化に努力してまいる所存でございますので、引き続きの御支援をよろしくお願い申し上げます。  御清聴、まことにありがとうございました。(拍手)
  8. 稲津久

    稲津委員長 ありがとうございました。  次に、神津参考人にお願いいたします。
  9. 神津里季生

    ○神津参考人 改めまして、おはようございます。  働く者の立場から、こういった形で意見を述べさせていただく機会をいただきまして、心より感謝を申し上げたいと思います。  まず、総論的に、生産性向上ということに対しての連合としての課題認識について、若干述べさせていただきたいと思います。  まず、生産性三原則の重要性を、いま一度、社会的合意としていくことが大事だという点であります。  御承知のとおり、私ども連合は、今、春闘のさなかにあります。私どもは、底上げ春闘、底上げこそ大事だということを標榜しておりまして、まさに今その真っただ中におきまして、全ての働く者の賃金の底上げ、底支え、格差是正の実現、そして全ての労働者の立場に立った働き方の見直しの実現、これを目指して取組を重ねています。  そのもとで、昭和三十年以来、日本生産性本部が唱道をし、長年にわたって労使で確認をされてきています生産性の三原則、すなわち、雇用の維持拡大、そして労使の協力と協議、成果の公正分配、この三原則に基づいた生産性向上、このことの重要性をいま一度社会的合意としていかなければならない、こういったことを、この春闘、春季生活闘争の考え方の中に改めて入れ込んでいるところであります。  経済、社会の健全な維持発展のためには、異なる立場にある労使が、生産性向上とそこから得られる成果の公正配分、これを実現するために徹底した協議を重ねる、この緊張感と相互信頼に基づく関係こそが生産性三原則の根本理念だと思っております。  政府が我が国産業の生産性向上に正面から取り組む、このときには、まずこの原則の重要性の認識が社会的合意となることを目指しつつ施策を講じていただくということが重要だというふうに考えております。  次に、企業間における公正かつ適正な取引関係を確立する観点であります。  中小企業の生産性向上を妨げている根本課題として、取引における構造的な問題があると思います。中小企業の多くは、原材料費の高騰やエネルギーコスト増に加えまして、人材不足による人件費の高騰などを価格転嫁できていない、そういう実態に少なからずあると認識せざるを得ません。  この間の関係省庁あるいは産業横断的な取引の適正化に向けたさまざまな取組、これにつきましては一定程度評価をするものでありますけれども、まだまだ多くの中小零細企業にまでは及んでいないというのが現実ではないかと思います。  中小企業の生産性向上には、取引の適正化が不可欠であると思います。サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正な分配を実現するため、企業間における公正かつ適正な取引関係の確立に向けて、下請法を始めとする関係法令の周知とその遵守を徹底する必要があります。幾らいい製品やサービスが生まれても、その価格が上がらなければ生産性向上にはつながらないわけでありまして、そういった中では全ての施策はお題目に終わってしまう危険性が高いということを申し上げておきたいと思います。  次に、変化に適切に対応するためにも、労使が参画する枠組みの構築を求めたいというふうに思います。  我が国におきましては、IoT、ビッグデータ、AI等の技術革新が急速に進むと同時に、既に始まっている人口減少、超少子高齢化が急速に進んでまいります。このような中で、産業構造や就業構造には大規模な変化が必須だと思っております。  これらに的確に対応するためには、政府と研究機関産業界、労働界などが連携して、総がかりとなって、イノベーションによる新たな価値の創出及び組織の枠を超えたオープンイノベーションの促進に向けて、研究開発や設備投資に取り組むことが求められるところであります。  また、これらの構造変化に対応したセーフティーネットの構築や、働く者の学び直し、企業の職業能力開発に対する支援、これらを強化する必要があります。その際には、持続的、安定的かつ包摂的な成長を実現する観点から、特に中小企業を含めた支援体制の構築が重要であります。  連合に参画をいたします多くの労働組合は、日本生産性本部及び全国労組生産性会議の枠組みにおきまして、労使の共同参画により、これらの問題への深掘りを行ってきております。関係する施策を円滑に進めていく上では、これらの点も踏まえまして、労使が参画する枠組みを構築する必要があると考えます。  次に、今回の具体的な法案への受けとめについて、幾つか申し述べさせていただきたいと思います。  今回の法案につきましては、中小企業における設備投資IT化を支援する施策が多く盛り込まれていると思います。中小企業の負担軽減、底上げ、底支えに資するという方向性についてはおおむね評価できるというふうに考えております。  その上で、個別の課題につきまして、生産性三原則、先ほど改めて申し述べましたけれども、その中でも、とりわけ雇用の維持拡大、労使の協力と協議、それらの重要性などの観点も交えて、以下、幾つか意見を申し述べたいと思います。  まず、生産性向上特別措置法案における主な措置事項についてであります。  幾つか申し述べたいと思いますが、まず、プロジェクト型規制のサンドボックス制度についてです。  この制度につきましては、新技術の実証実験を行おうとする取組を促進させるものでありますから、その意義については理解をするところであります。  また、参加者や期間を限定することでリスクの適切な管理を図ること等によりまして、既存の新事業特例制度やグレーゾーン解消制度に比べて環境整備が進んでいることや、新たに評価委員会、革新的事業活動評価委員会や一元的窓口を設置することによりまして意見聴取や検討プロセスが充実する点については評価ができるというふうに考えます。  しかし、この制度のもとで、新たな規制の特例措置を雇用、労働に関する諸規制に適用するというようなことによって労働基準を後退させるようなことがあってはならないのは当然であります。また、同様に、国民の安全や健康の確保、環境保全など、社会の質にかかわる規制は除外をすべきだと思います。つきましては、その点を明確にされるよう強く求めておきたいと思います。  加えまして、実証計画の認定の透明性や納得性を高めるための措置を講じることも重要であると考えます。  次に、データの共有、連携のためのIoT投資の減税等についてであります。  ビッグデータの活用促進を目的とする制度創設に当たりましては、データのセキュリティー対策、共有されるデータと個人情報との遮断などが厳格に行われるべきであり、そのための万全の対策を講じるとともに、監視、チェックを行う体制整備が求められます。  また、この仕組みは、一定レベルのセキュリティー対策が確認できた事業者について、国や独法等に対しデータ提供を要請できる手続を創設するという制度でありますから、その対象は大手企業が中心となり、中小企業との格差が拡大するということも懸念をされるのではないかと思います。中小企業にも広く適用されるよう支援が必要だということを申し述べておきたいと思います。  加えまして、そもそも、IT人材、セキュリティー人材は必ずしも十分ではない、いかに確保、育成するかという課題もあります。これらの対策を講じることも極めて大事だということも申し述べておきたいと思います。  次に、中小企業の生産性向上のための設備投資の促進についてであります。  中小企業における設備投資の必要性がある一方で、その設備を使いこなす人材確保と教育が伴っていないという課題があります。そのため、産業界と教育機関等が連携し、中核的人材の確保、育成、技能、技術の伝承の充実に向けた支援を行う必要があると考えます。  また、この制度の対象となる設備投資の要件として、導入により労働生産性が年平均三%以上向上とあるわけでありますが、その算出方法をわかりやすく示す必要があると思います。  あわせまして、生産性向上を図るためには、投入時間とアウトプットだけの問題ではなくて、多能工化や付加価値を生むことができる人材教育、育成が必要であります。そのための支援を同時に進めるべきと考えます。  さらに、中小企業経営者にとって使い勝手のよい制度として有効に活用されるよう、窓口の一元化や手続の簡素化をあわせて進める必要があると思います。  次に、産業競争力強化法等の一部を改正する法律案における主な措置事項について幾つか申し述べたいと思います。  まず、会社法の特例措置等についてであります。  MアンドAによります企業買収におきましては、現実に労使関係が悪化をし、雇用問題や組合潰しが生じているケースも間々生じている、散見をされているところであります。また、そこまで行かずとも、事業再編再生は、雇用の維持、確保に大きな影響を与える可能性があることは言うまでもありません。従業員の主体的な関与と理解、協力なくしては事業の発展はあり得ないのでありますから、産業競争力強化法のそもそものあり方として、計画の策定、実施に際して、雇用の安定に十分な配慮を行うこと及び労働組合等との協議を前提とすることは不可欠であると考えるところであります。  そのため、産業競争力強化法を補強すべき点として、計画認定の要件に、計画の実施に際しては雇用の安定に最大限の考慮を払うこと、そして、労働組合等と十分な協議を行い合意を得ることを盛り込むこと、また、第百四十二条、雇用の安定等におけます雇用の安定、これにつきましては、直接雇用に限らず、派遣や請負といった間接的な雇用も対象とすることを盛り込むこと、これらをそれぞれ求めたいと思います。  次に、事業継承や創業の促進によります新陳代謝の加速化についてであります。  昨今、黒字企業が継承者不足により廃業するケースが増加していることは問題であります。再編統合による事業承継を後押しすることにより、社外承継における課題の解決を支援する点は評価ができると考えます。地域活性化あるいは特徴ある技能、技術の継承等、輝く中小企業づくりを後押しする施策の実行につなげていくことが必要であると考えます。  あわせまして、経営力向上計画を策定、申請し、認定を受けるまでの手続の簡素化が求められると思います。  もう一つ時代に対応した経営支援体制の基盤強化であります。  中堅・中小企業におけますIT導入において、ITに精通した人材が企業内に不足していることは大きな課題であります。本施策によりまして、支援体制が整備される点は評価ができると考えます。  先ほどの事業承継や創業の促進とも共通の課題でありますが、必要なときに指導、相談に乗ってくれる専門家の派遣や地域の経済団体との連携を含めた支援策の強化が必要であると思います。  以上、私どもからの発言とさせていただきます。  どうもありがとうございました。(拍手)
  10. 稲津久

    稲津委員長 ありがとうございました。  次に、福家参考人にお願いいたします。
  11. 福家秀紀

    福家参考人 駒澤大学名誉教授福家でございます。  きょうは、法案の審査に当たり、意見を述べる機会を与えていただいて、大変光栄に存ずる次第でございます。  まず、私の問題意識といたしましては、お手元の資料に即してお話をさせていただきたいと思うんですが、アメリカIT企業、この市場支配力の問題があります。  表の一、ちょっと字が細かくて、一枚の表にしたものですから、申しわけないんですけれども、GAFAと言われているグーグルそれからアップル、フェイスブック、アマゾン、それに加えてマイクロソフトのここ数年の営業実績を表にしてありますが、これをごらんいただいてもわかるように、各社とも売上高の伸び率というのは非常に大きい。二〇%は超えている。それから、売上高の営業利益率を見ましても、小売業のアマゾンを除きまして二十数%。我が国で、もうけ過ぎじゃないかといってたたかれることの多い携帯電話事業にしても、売上高の営業利益率というのは十数%、たかだか。これをはるかに上回る利益を確保している。いかに収益性が高いかということが御理解いただけるんじゃないかと思います。  この中でも、ちょっと付言しておきますと、グーグルとフェイスブック、これは広告収入に依存をしております。グーグルは、徐々に低下はしてきておりますけれども、やはり九割近い売上げは広告からだ。それから、フェイスブックに至りましては、ほぼ全額、これが広告収入。したがって、彼らが、個人データを収集してカスタマイズした広告を出そう、こういう戦略に躍起になるのは、こういう背景があるからだろうというふうに思っております。  同時に、広告をベースにしてこれだけ利益を稼いで、じゃ、それを何に充てているかというと、これからの新しい技術に対応したAI等最新部門に投資をしていっているわけでございまして、日本企業でこういう余裕があるところは非常に少ないんではないかというふうに思っております。  アマゾンの場合は、利益率が低いと申し上げましたけれども、二重線の上にAWS、アマゾンウエブサービスというのを挙げておりますが、これはクラウドサービスなんですね。これは非常に利益率が高くて、アマゾン自体は、このウエブサービス、クラウド事業で稼いで、それで会社が存続していると言っても過言ではないというふうに思います。  それでは、どうしてこういう企業が稼ぐことができるのか、高い収益性を確保しているのかということに移らせていただきたいと思うんですが、ここでは、ネットワークの外部性、特に両面性市場と言われておりますが、英語ではツーサイディドマーケットと言っておりますけれども、この特徴をうまく利用しているということが言えると思います。  経済学では、ネットワークの外部性というのは、取引所の当事者以外に取引によって何らかの影響を与える、これを外部性というわけですが、これは、ネットワークに関して言われるときにはネットワークの外部性というふうに称しております。一言で申し上げますと、ネットワークの利用者がふえればふえるほど、そのネットワークの効用が増し、消費者にメリットがあるから、ますますネットワークが巨大化をしていく、こういう現象でございます。  その中でも特に特殊なのがツーサイディドマーケットでありまして、これはどういうことかというと、ある企業の顧客に二つのタイプがある、例えばグーグルでいいますと、検索サービスの利用者、それから一方で広告主がいるわけで、その両者の関係をうまく利用してビジネス展開しているわけです。ですから、検索サービスの利用者がふえれば、それを対象に広告を出していく、広告を出す人がふえればアマゾンは懐が潤いますから、検索サービスを充実させることができる、そうすると利用者がふえる、利用者がふえればますます広告主がふえてくる、こういう好循環が生ずるわけでございまして、GAFAはいずれもこういう関係を利用しております。  こういうことをなぜ申し上げているかと申し上げますと、革新的なデータ産業という場合に、こういう仕組みをうまく利用していくということも必要なことではないかというふうに考えているわけでございます。  ただ、一つ問題がございまして、ネットワークの外部性、これを利用してどんどん事業が大きくなってくると、寡占化、独占化という現象が生じます。そういうことになると、経営者全員が善人というわけではないので、この市場支配力を濫用していこうではないかということが生じる可能性がありますので、独占禁止法の観点から、すぐに規制するということでないにしても、監視を強めていく必要があるんではないかと考えております。こういう点で日本の公正取引委員会はいささか規制に及び腰ではないかという危惧を抱いているわけでございます。  アメリカIT企業に規制適用に対して消極性ということで、今のとは直接は関係しないところでございますが、通信の秘密というものがございます。通信の秘密は、先生方は御存じのように、憲法で保障され、それを受けて、電気通信事業法で、電気通信事業者は通信の秘密を遵守しなければいけないということが定められているわけでございますが、ここで、何が、どういう企業が通信事業者かということでありまして、NTTのような通信会社、携帯電話会社、これは明らかに通信事業者なんですけれども、じゃ、グーグルはどうなんだということなんですね。  通信事業者の条件というのはいろいろありますけれども、第三者間の通信の媒介をしている、そうすると、グーグルのメールサービス、これは、皆様方がやりとりされる情報、これを媒介しているわけですから、通信事業者じゃないかということになるわけです。ところが、日本では、じゃ、これをどうするか。  グーグルは、例えば、行動ターゲティング広告と言っていますけれども、Gメールなどの内容を分析して、個々にカスタマイズした広告を出してきているわけですけれども、これはメールを見ているからなんですね。グーグル自体は、人が見ているんじゃない、機械が見ているから問題はないんだと称しているわけですけれども、これからAIがどんどん普及していってそういうことが言えるのかという疑問を持っているわけでございます。  これに対して、日本の、例えばヤフーが数年前にインタレストマッチという同様のサービスを提供しようとしたときに、これは通信の秘密の観点から問題があるということで、いろいろな条件をつけられたわけです。ところが、グーグルに対しては実質手をつけられない。こういうことが続きますと、ますます日本企業の国際競争力、これをそぐことになるのではないか。やはり、日本のあるいはアメリカ企業の間で、規制の適用について非対称性があってはならないのではないかと思うわけです。  じゃ、これに対して世界ではどうかということになりますと、参考資料の二ページ目に表二というのがございますけれども、個別の御説明は省略させていただきますが、いろいろな機会を捉えて、日本の独占禁止法に相当する競争法に違反しているではないかと告発しているわけです。現実に、一番上の買物検索については、昨年六月に、二十四億二千万ユーロ、三千億円近い課徴金を課しているわけです。こういうことに対して沈黙しているのはいかがなものかというのが一つ問題意識であります。  このことだけ言うとやはりまずいかなと思って、公正取引委員会も、最近、去年あたりから研究会で報告書を出したり、あるいは、先月末の日本経済新聞の記事によりますと、委員長がデータに関して独占禁止法の観点から検討すると言われておりますので、これは今後に期待したいと思うわけであります。  それからもう一つ、ネットワークの外部性にも関連するんですけれども、IoTあるいはビッグデータ、これをAIを活用して分析していくというときには必ずネットワークが使われます。そのネットワークが独占的になってきた場合に、これをどう考えるかということですね。  だから、いろいろなネットワークがあるときに、その間のインターフェースを標準化してやらないと競争が働かないという現象が生じます。例えば携帯電話ですと、三社のネットワークをお互いに接続をしているということで、先行事業者であるNTTドコモの独占力が働かないような仕組みが入れられているわけですけれども、これを考えていかなければいけないと思うんですけれども、なかなか厄介なのは、この分野というのは、そういう場合に標準化が必要になるんですが、公的な標準化がうまく機能するかというと、必ずしもそうではないわけですね。  グーグルの検索サービス、どこかが認めた標準かというと、そうではなくて、いろいろな人が圧倒的に使うからこれが事実上標準になってきている。そういう分野についてこれからどういうふうに考えていくか。これは単純な規制は難しいかもしれないけれども、やはり、監視をして、問題があれば是正をしていくということも必要になってくるのではないかと思います。  三番目に、次に、表が二つ、三の一と三の二とつけさせていただきましたが、我が国が個人情報保護の仕組みでやはりEUに立ちおくれているのではないかということでございまして、EUは、この二枚目のところに、九番目に、域外へのデータの移転という項目がありますけれども、EUと同様の個人情報の保護の仕組みが、個人データの保護の仕組みができていない国には個人データを移転してはいけない。  これは常に生ずるわけですね。日本企業がEUの利用者宛てにオンラインサービスを提供しようとすると、必ず利用者の情報がこちら側に来ないと提供できないわけです。そういう意味で、向こうのデータベースにあるデータをこっちへ持ってこようということではなくて、ビジネス展開する場合に必ず必要になってくる。  そういう意味では、ここで立ちおくれるということは、EUからEU向けのサービスを禁止されるおそれもあるということでありまして、特にどういうところが私が気になっているかといいますと、表の三の二に六から八までありますけれども、それから、その前のページに、五番目に、忘れられる権利、これは一番下にありますが、データが必要でなくなったり、要は、データを提供するという同意を取り消すとどうなるかというと、これは削除しなきゃいけないということになっておりまして、これは本当に真面目にやり始めているんですね。  先週も、SSRNという国際的な論文のデータベースを提供している機関があるんですけれども、そこからメールが来まして、おまえ、最近利用していない、今後も利用する気がないのならデータを削除する、利用する気があるのならその旨申し出よ、もう既にそういう行為をとっているわけですね。  次のページ、先ほど申し上げましたが、データポータビリティー、個人のデータを自分で取り戻してほかの企業に移転する、あるいはプロファイリングですね、AIで個人のデータを集めてきて、この人間はどういう人間だというのを分析をする、こういうことに対しても規制をかけている。それから、データの保護の責任者を置かなきゃいけないと言われているんですが、これは日本企業で本当に対応できているところはあるのだろうかということは危惧を抱いております。  しかも、十番目にありますように、違反に対しては巨額の罰金を科す、制裁金を科すということで実効性を高めているわけでございまして、この仕組み、日本ではここは対応がおくれている。おくれているからといってそれでいいのかというと、事実上ビジネスができなくなる可能性がありますので、しっかり対応していく必要があるのではないかなと思います。  以上に基づいて、まとめてでございますけれども、事業者が革新的な技術ビジネスモデルの実証プロジェクトを行う際に規制のサンドボックス制度を設けるということがうたわれておりますが、これはどの分野でやるということは決められていないので、データを利用する可能性というのは非常に高まってくるわけです。あらゆる分野のデータが対象になる可能性がございまして、これを、いろいろな仕組みの中でセキュリティーを確保していこうということはうたわれておりますが、現実にはどうなるんだろうか。  この法律自体は三年の時限立法ということになっていますけれども、集めたデータ、データは皆様方御存じのように、フェイスブックで問題になっていますけれども、一旦集めてデータベース化されると、取り戻す、もとへ戻すということはなかなかあり得ないところでありまして、じゃ、そういうものをどうしていくんだというようなことも考えていかなければならないということであります。  そういうことを考えていきますと、フェイスブックもまずいな、年金情報も漏れていっているのはまずいなということで、利用者から見ますと、こういうデータの提供、利用について消極的にならざるを得ないわけです。  そうならないようにするというのは何が必要か。個人が安心して個人情報を提供できる仕組みをつくり上げていかなければならない。利用者の保護がやはり確保されて初めて革新的データ産業の育成という、競争力の強化につながっていくんだろう。  消費者の安心感、信頼性の確保、ここがまず産業競争力強化のベースになるんではないかということを強調いたしまして、私のまとめとさせていただきたいと思います。  御清聴ありがとうございました。(拍手)
  12. 稲津久

    稲津委員長 ありがとうございました。  以上で参考人意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  13. 稲津久

    稲津委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。勝俣孝明君。
  14. 勝俣孝明

    勝俣委員 自由民主党の勝俣孝明でございます。  本日は、各参考人の皆様方におかれましては、それぞれのお立場の中で貴重な御意見をいただきましたこと、まずもって心より御礼を申し上げる次第でございます。  今回、生産性向上特措法及び産業競争力強化法案という形で、この両法案に対してそれぞれ参考人の皆様方のお立場でお答えをいただければというふうに考えております。  まず最初の御質問でございますので、参考人の先生方全員に、IT人材の不足について少しお話をさせていただきたいなというふうに思っております。  今回の両法案背景にある問題というのは、皆さんも御承知のとおり、やはり我が国が直面している少子高齢化、そして人口減少社会の進展に伴い生産年齢人口が減少傾向にあるということでございます。  昨年の平均の有効求人倍率は一・五倍ということで高水準になりましたけれども、逆に言えば、非常に人手不足に陥っている状況でもございます。これが、労働市場が非常に逼迫しているということも言えるのでありまして、経済成長に非常にストップがかかっているということも言えるわけでございます。  私は地元が伊豆半島でございまして、観光地でございます。今、熱海も非常に多くのお客様が来ていただいているんですが、宿泊客数が熱海市で今三百万人。これは三年間ずっと頭が三百万人で、なかなか抜け出せない状況です。人はにぎわっているんですけれども、働く方がなかなかいらっしゃらないということで、機会損失になってしまっているということが身近でもあるんですね。  各業界で、介護の業界もそうですけれども、さまざまな形で、人手不足ということで、経済成長の制約要因になっているという指摘もあります。  このような中で、私たちは、IoT、ビッグデータ、ロボット、AIといった第四次産業革命によって、ビジネスや社会のあり方を根本的に変革し、そして新技術を駆使して生産性革命をなし遂げて、そして人口減少に伴う供給制約や人手不足を克服し、経済成長を遂げていくということを狙いにしているわけでございます。要するに、人づくり革命と生産性革命という二つの革命を実現していくことで成長と分配の好循環を確立していくということでございます。  しかしながら、その生産性革命によって人手不足を補うということをする前に、その革命を起こすべく中心となる我が国のIT人材の不足が懸念されているわけでございます。  そこで、最初の質問でございますけれども、中小企業庁の調査の中でも、先ほども曽我参考人の方からもお話が出ましたけれども、IT投資を行わない理由のうち、四三・三%の中小企業ITを導入する人材がいないという結果も出ております。また、経産省の調査の中でも、IT人材の不足は、現在でも十七万人不足している、また二〇二〇年には約三十七万人の不足、二〇三〇年には七十九万人の不足とも言われております。  この各産業の人手不足を解消する前にIT人材の不足を解消していかなければならない中で、第四次産業革命に向けた人材力の強化を図っていかなければなりませんけれども、参考人の皆様のお立場で、IT人材の不足の解消策がございましたら、それぞれお答えいただければというふうに思います。
  15. 稲津久

    稲津委員長 それでは、順次参考人の方々に伺います。
  16. 冨山和彦

    冨山参考人 御質問、どうもありがとうございます。  多分、御案内の方もいらっしゃるでしょうけれども、私ども、地方でバス会社経営しております。東北地方、北関東で約五千人ぐらいの雇用を抱えております。  恐らく、生産性指標的にいいますと、地方バスの中では多分断トツに高い生産性になっておりまして、なぜそうなっているかというと、やはり今先生御指摘のように、実はITを非常に活用しております。例えば、ICカードを導入することによって路線別の収支をちゃんと把握する。あるいは、今入っていますドライブレコーダーというのを実は運転手の生産性向上にも使っております。  問題は、おっしゃるとおりで、なぜ我々ができてほかのバス会社ができないかというと、私どもは、ある意味では、それなりの人材を抱えている組織でございますので、そういった人間がそれぞれの地域のバス会社に張りついて、ある種、既存の技術だけでもそれだけの生産性を上げられるということになりますから、今後また新しい技術が自動運転を含めて出てまいりますと、多分そこで物すごく差がつきます。  ただ、そこで気をつけなきゃいけないのは、いわゆるITの専門家である必要はなくて、大事なことは、今既に世の中に存在しているIT技術を使いこなせるかどうか、自分で開発するわけではありませんので、あるいはITの専門家を使いこなせるか、そういうことだと思います。  そういった意味合いでいいますと、どちらかというと、経営側のITリテラシーの問題は私はすごく重要だと思っていて、必ずしも、いわゆるばりばりの、ちょっとナーディーなというかオタッキーなITの人をたくさん抱える必要はなくて、むしろ、ITがわかっている経営人材あるいは経営を補助する人材というものをどれだけ社会全体で厚みが持てるか。そういった人材が、私どもが青森から神奈川まで、そういう人はうちの会社は張りついていますが、そういった人間をもう一度地方に循環できるか、あるいは中堅・中小企業に循環できるか、この循環がつくれるかどうかが私は鍵だと思っております。  以上です。
  17. 増島雅和

    増島参考人 私はIT会社にいろいろアドバイスをするということをしておるわけですけれども、あとは金融機関アドバイスが非常に多くなっております。  その金融機関の方の方々は、とにかく今、フィンテックが来るということで、人材が余ります、どんどん人を減らすんですということをしている一方で、中にITの人材がいません、こういうことになっているわけでございまして、この中の人たちをどんどん、ITの人材化、切りかえていく、こういうような活動が必要なのではないか、こういうお話をしておるわけでございます。  その観点からいいますと、例えば、アップルの創業者のスティーブ・ウォズニアックという方がいますけれども、この方が今やっているビジネスは、企業向けにオンラインで、従業員の方のスキルチェンジのための、ITの人材化に切りかえるような、こういうサービスを今展開しているということをやっていまして、アメリカなんかでも同じような状況だというふうに理解はしていますが、既存の人たち、従業員、この人たちを切っていくということではなくて、雇いながらそのスキルをIT人材化していく、こういうサービスがいろいろ出てきているというのがあり、恐らく、日本もこういうことをやっていかなければいけないのだろうというのが一点でございます。  もう一点は、我々、MOOCsという形で申し上げておりますけれども、実は、ITの話というのは今、学ぼうと思えばほとんどただで学べる、こういう状態になっておりまして、あとは、これをどういう形で人々にインセンティブを持ってやってもらうか、こういうふうな大きな問題がある。  恐らく、それぞれの人たちはみんな、自分の今まで持っていたスキルがITから離れていたということで、どうしてもなかなかそこに向かうことができない、こういう状態にあると思うんですけれども、でも、ますますそういう人たちはこれから活躍の場がなくなってしまうということでありますので、実際、そういうただで提供されているサービスが存在して、それによって実はIT人材化することができる、こういうことなんですが、そのことすらも余り知られていない、こういう状態になっている。このあたりをどういう形で人々に知らせていって変わっていってもらうのか、ここは非常に大事なポイントなのではないかというふうに思いました。  ありがとうございます。
  18. 曽我孝之

    曽我参考人 生産性の向上や中小企業経営強化のためにITだとかIoTだとかAIが必要だということについて、まだ残念ながら十分理解されていない経営者がおりますので、まずそのことを気づかせるというふうなことがすごく大事じゃないかなと思っています。  そのためには、セミナーや相談会や専門家の派遣などの普及啓発の事業をやっていくというようなことが一つでございまして、そして、人材に関しましては、社員に対していわゆるIT教育をすることがすごく重要だと考えています。社員教育にかかわる支援というのを充実を図っていただければなと思っているところでございます。  なお、日本商工会議所では、来年からプログラミングに関する検定試験を開始いたしまして、IT人材の育成に努める所存であります。  ただし、社員教育を行うにしても、すぐに対応できるものではないことから、専門家の活用が不可欠となります。その場合、小規模事業者でも利用しやすいクラウドサービス、中でも複数のビジネスアプリの導入や活用に精通したIT支援人材の認定制度を創設していただきまして、中小企業者や小規模事業者がこれを活用してIT化を推進していく。そして、それらの方々、専門家の方々の業務を見ながらOJT的に社内の人材を育てていくというようなことが中小・小規模事業者にとっては大事なことじゃないかなと思っています。  以上です。
  19. 神津里季生

    ○神津参考人 IT人材の問題については、先ほど意見で申し述べた中でも若干触れているんですけれども、やはり人材教育、育成に力を入れるということはまず必須だと思います。  その上でなんですが、二つ申し述べたいなと思うんですが、一方で、やはりITというのはもう別に特殊なことでも何でもなくて、普通に我々、身近なところでいかにこの力を活用していくかという、そういう世界だと思います。  そういう中では、二つ申し上げたいと言っておりますうちの一つなんですけれども、やはり教育そのものの基礎的な力を日本はもう一度取り戻さなきゃいかぬということだと思います。  この二十年間、デフレの経済状況の中にあって最も日本にとって深刻なのは、やはり格差が開いてしまったということでありますし、教育の貧困だとか貧困の連鎖ということが、本当にこれは現実、重たい問題となってしまっているということだろうと思います。  これは、世界を見渡しても、私ども労働組合の国際的な連携もあるんですが、やはり貧困なり格差の拡大というのは世界で共通した問題です。これは、そのことの背景に、グローバル化そしてIT化ということがあることも事実だと思います。  そのこと自体は、これは時間を巻き戻すなんということはできるわけではありませんから、所与の前提として、IT化、グローバル化の中で、しからば日本としてこれからどうあるべきかということで考えると、教育においてITをしっかりと科目としてやるなんというのは当たり前の話だと思いますから、そもそもそういうことが受けられるような教育、教育の無償化ということも今非常にスポットを浴びていますけれども、本格的に奨学金の問題も含めて進める必要があるんだろうというふうに思います。  それから、二点目は中小企業にとっての視点ということで、これは今、曽我委員がおっしゃったこととかぶるかもわかりませんが、やはり、中小企業あるいは本当に小規模事業の方々は、IT人材を中に取り込むということがなかなか難しい実態もあろうかと思います。日本の中で、あるいは世界の中で、どういう人材が、どういう能力を持った人たちがいて、どういう利用ができるのかというようなことがわかりやすく提示されるということは極めて重要ではないかというふうに思います。  以上です。
  20. 福家秀紀

    福家参考人 必ずしも専門分野ではないので的確にお答えできるかどうか自信がないわけでありますが、二点お話をさせていただければと思います。  一つは、ITの活用という場合に、日本企業はとかく自前主義に陥りやすいわけでありますが、外部サービスを利用するということであれば人材の不足を補える、しかも、分母をふやすことによってそのサービスのコストを下げるということもできるわけでございますので、そういった視点も重要ではないかというのがまず第一点です。  それから、大学で教育に携わってきた経験で申し上げますと、ことしこそ就職難というのは解消してきているようでありますが、就職難の時代でも、ITの分野に希望すればいいじゃないかということを学生によく言っていたんですけれども、彼らは何と答えるかというと、ITは働かされるから嫌だ、そういう答えが多いわけですね。  ということは、やはり、ITの人材を確保したいということを考えると、労働条件、ともかく奴隷のように働かされると言われるところもあるわけですけれども、そうではないように労働条件をきっちり改善していくということもIT分野の人材確保という視点から重要なのではないかというふうに感じております。  以上、素人の意見で恐縮ですけれども、よろしくお願いいたします。
  21. 勝俣孝明

    勝俣委員 時間が来ましたので、本当に貴重な意見をありがとうございました。
  22. 稲津久

    稲津委員長 次に、國重徹君。
  23. 國重徹

    國重委員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。  本日は、何かと御多用な中、五名の参考人の皆様に当委員会までお越しいただきまして貴重な御意見を賜りましたこと、まずもって心より感謝と御礼を申し上げます。  まず、増島参考人にお伺いいたします。  先ほど意見陳述の中で、技術進展によって、立法事実、この土台が変動するんだ、立法事実が動くとビジネスが動く、多数の人が支持をする、そして民主主義の力で法律ができたり法改正がされる、これが現実なんだということをおっしゃいました。また、シリコンバレーではこういったサイクルが高速に回っている、また、中国もこの方式で躍進しているというようなことをおっしゃられました。  第四次産業革命で主導権をとろうと各国の競争が激化している中で、特に今回のサンドボックス制度というのは日本独自のものなんだ、諸外国とは少し違うんだというようなことでおっしゃった上で、このサンドボックス制度を評価するというふうに述べられました。  一方で、これまで、類似の制度として、新事業特例制度、またグレーゾーン解消制度、これが約四年前からスタートしたわけでありますけれども、新事業特例制度についての利用実績は十一件、また、グレーゾーン解消制度の利用実績は百十六件ということで、活用状況は低調になっております。  そういった中で、今回のこのサンドボックス制度、これを活用をより広げていくためにはどういったことが必要になってくるのか、ポイントになってくると思われるのか。また、先ほど言った、類似の制度は四年間でそのような低調な活用状況でありますけれども、今回のこのサンドボックス制度というのは三年間の時限法になっております。そういった中で、どのように広げていくことがポイントになってくるのか、三年間で足りるのか。こういったことについてまずお伺いしたいと思います。
  24. 増島雅和

    増島参考人 ありがとうございます。  今回の規制のサンドボックス制度がグレーゾーン解消制度ですとか特例制度の低調な状況のような二の舞にならないか、こういうふうなお話だというふうに思っていますが、我々、民間事業者さんにアドバイスをする際に、グレーゾーンありますよ、特例制度ありますよ、こういうお話を申し上げるわけですけれども、皆様がこの制度を使わない要因として一様にありますのが、遅いということを申し上げるという、こういうことになっているということでございます。もう一つは、やはり、それで本当にうまくいくのかどうかよくわからない、こういうふうなことをおっしゃるということであります。  今回のこの制度は、実はグレーゾーンとか特例制度とやはり大きく違っておりまして、いいかどうかよくわからないけれども、まずやる、こういう制度だというふうに承知をしております。  そのまずやるというのを行うに当たっては、やはり、まずスピードを持ってやるんだ、こういうふうなことだというふうに承知をしておりますし、あと、ビジネスをやられる方としては、やった結果、できなかったみたいなのが一番まずい、こういうことだと思いますので、そのやりたいことが一〇〇%もしかしたらできないかもしれないけれども、ここまでだったらできるよ、こういう形だったらできるよという形で、その領域ですとか期間ですとか人ですとか、こういうのを制限をして、前向きな形で一つ落着をさせることが恐らくこの制度ではできるのではないかと思っております。  ここでその実験をしてみる、結局、これはできるじゃないですかという話になれば前に進める、こういうふうな話だと思っておりますので、この制度のほかの制度との違い、特徴ですね、速い、そして、できる、ここを何かアピールすることができるとよいのではないかというふうに思っております。  ありがとうございます。
  25. 國重徹

    國重委員 ありがとうございます。  続きまして、今の続きですけれども、この規制のサンドボックス制度につきまして、革新的な技術ビジネスモデルの実証計画は、主務大臣がヘッドになって、革新的事業活動評価委員会意見を聞いた上で認定することになっております。この評価委員会の役割というのは、私は極めて重要になってくると思います。  規制所管省庁に前向きな検討をさせるためにはどのようなことが肝になってくるとお考えか、お伺いいたします。
  26. 稲津久

    稲津委員長 國重質問者、増島参考人でよろしいですか。
  27. 國重徹

    國重委員 はい。
  28. 増島雅和

    増島参考人 ありがとうございます。  結局、専門家の方であれば判断ができるということが幾つか起こってくるだろうと思っています。行政官の方は、そこの中で上がっていかなければいけないという中で、無謬性といいますか、間違えちゃいけないという問題意識から、比較的やはり保守的にお答えをされるというふうな中で、専門家の人たちはもう少し判断がより正確にできるのではないかという部分。  あとは、実際にやるものの中で、ここまでであればいいという限定解釈みたいなのがある程度できることによって、例えば、社会全体に行うとするとちょっと適法性が確保できないかもしれないけれども、この領域でやるのであればそれは業とは言えないのではないかとか、こういうような解釈を使っていって、できる領域というのを広げる。  こういうような評価、アドバイスというのが恐らくこの専門委員の方々に求められているんだろうというふうに思います。
  29. 國重徹

    國重委員 ありがとうございました。  それでは、曽我参考人にお伺いいたします。  先ほど、事業承継の重要性についてもお話をいただきました。二〇一五年に中小企業庁が実施した調査によりますと、在任期間が短いほど、親族内承継の割合の減少と従業員や社外の第三者による承継の増加傾向が見られる、特に直近五年間では、親族内承継の割合が全体の約三五%にまで減少し、親族外承継が六五%以上に達しているとの結果が示されております。  こういった親族外の第三者に事業承継をする場合、登録免許税また不動産取得税の軽減措置を、今回、講ずることとされておりますけれども、これだけで事業再編等、事業承継が促進されるとお考えかどうなのか、また、別に何が必要とお考えか。MアンドA、先ほど実際にされたというような御経験もお伺いしましたけれども、そういった御経験も踏まえた上での見解をお伺いできればと思います。
  30. 曽我孝之

    曽我参考人 おっしゃるとおりでございまして、なかなか法的措置だけでは無理な部分がございまして、基本的には企業企業のつながりでございますので、それをうまく組み合わせられるようなシステムあるいは組織が必要なんじゃないかな。  私どものケースの場合には、やはり金融機関が中に立っていただきまして、それで縁組ができたという形でございまして、ある意味では、企業承継のうちでのMアンドAなり吸収なり子会社化なりということについては、本当にその御縁をどうつくれるかがポイントだと思っていますので、会議所といたしましても、この事業承継につきましては、各会議所の分野の中で、そういう申出があったときにはつなぎ役を務めるように努力してまいりたいと考えています。  以上であります。
  31. 國重徹

    國重委員 ありがとうございました。  またさまざまな、ここについては、識者も言われているところがありますので、しっかりとまた今の御意見参考にして、私も研さんを重ねてまいりたいと思います。  事業承継の支援が大事である一方で、労働人口も減少していく中、必ずしも全ての企業を承継させる必要はないかと思われます。  生産性が高い、技術力を持った企業をしっかりと承継させる。それとともに、企業としては廃業したとしても、その雇用とか熟練した技能、技術が何らかの形で残っていくような支援が必要と考えますが、曽我参考人に、こういった点での商工会議所としての見解をお伺いいたします。
  32. 曽我孝之

    曽我参考人 これまた大変大事な問題でございまして、会議所といたしましては、力のある企業、しかしながら、後継者がいない、その他の理由によって廃業に追い込まれるような企業があるわけでございますので、これに対しましては、その技術その他がしっかり継承できるように、適切な方を御紹介して、事業の引受け、そして人の引受けも含めましてやってまいりたい。  特に、人材というのは物すごく大事でございますので、廃業、倒産という事態に至らないように、事前にその辺の情報をしっかり察知しながら、伴走型の支援をもちまして、企業はなくなってもその技術と人は次の企業にしっかり引き継いでいくということが物すごく地域にとりましても大事なことだと思っておりますので、その点、努力してまいりたいと考えております。  以上です。
  33. 國重徹

    國重委員 ありがとうございました。  続きまして、冨山参考人にお伺いいたします。  先ほど配付していただいたペーパー、また御説明をお伺いしましたけれども、そこで、リスクマネーをめぐる市場プレーヤーとして重要なのは、官か民かの原理主義ではなくて、どういう目的原理で、いかなる動機づけとガバナンス構造組織と個人が機能するのか、これが鍵になるんだということでおっしゃられました。  具体論として、こういったものに基づいてどういうものが今後必要になってくるとお考えか、お伺いいたします。
  34. 冨山和彦

    冨山参考人 要は、まずガバナンス構造でいいますと、少なくとも世界の超長期的にちゃんと機能しているそういった基金、ファンドというのはいっぱいあるわけであります。あるいは、GICを始めとして、ソブリン・ウエルス・ファンドもございます。  やはりああいった仕組みというのをちゃんと謙虚に学んで、なぜあれがちゃんと機能しているかというところにやはり立ち戻ることが大事で、加えて、やはり超長期的にやっていくということは、問題は、特に人材がどういう動機づけでそういった組織に集まってきて、どういう動機づけでそこで働くかということが大事になりますので、少なくとも公務員体系でいわゆる年功序列型ではやはり機能しないわけでありますから、当然プロフェッショナル型の組織にしていかなければなりませんし、一方で、プロ型の組織というのは、一つ間違えちゃいますと個人的利益をがっといっちゃって、逆に過剰なリスクをとることがあります。それをどう規制するか。そういう意味で、今度はガバナンスの問題が大事になってまいります。  あと、もちろん、最終的な受益者がソブリンであれば国民投資家ということになりますし、多くの場合、ああいうGICなんかも民間お金も入ってきていますから、ということは、当然、適切な開示ということも大事になってまいります。そういったことをちゃんと整えられるかどうかが私は鍵になると思っております。
  35. 國重徹

    國重委員 ありがとうございました。  産業革新機構が今月六日に公表しました産業革新機構の投資活動によりますと、本年一月末時点で、アーリー・ベンチャー企業投資のエグジット実績では、実投資額が七百二十一億円、回収額が六百三十六億円で、八十五億円のマイナスとなっております。この赤字案件があるのは仕方がないと思いますけれども、検証をしっかりと行うべきと思います。  先ほど参考人も、適切な開示ともおっしゃられました。  産業革新機構は、非上場の個別株式の売却金額等、こういったものを情報開示できないのか。産業再生機構に在籍されていた冨山参考人の御経験から、現在の産業革新機構の情報開示をどのように見られているのか。仮に、個別案件の情報開示について、ほかの投資家との関係で難しい面もあるとすれば、こういったものに失敗した場合、どのように検証を行って規律維持を図ればいいと考えるのか。最後の質問として、見解をお伺いいたします。
  36. 冨山和彦

    冨山参考人 非常に重要なポイントでございまして、確かにこれは、産業再生機構でも、個別案件、特に上場しちゃうケースは公募価格でわかりますので全て自動的に開示されるわけでありますけれども、やはりMアンドA等で相手方がいる場合に、それをつぶさに開示するのは非常に難しい問題がございます。  ですから、基本的には、まず、ポートフォリオとしてちゃんと厳密に見るということと、それから、当然、会計検査院も再生機構に入っていましたから、その中で一定の検証はされます。ただ、会計検査院も投資のプロではございませんので、そういった脈絡でいうと、私自身は、産業再生機構のときもちょっと疑問があったのは、産業再生機構の仕組みは、多分革新機構もそうなんですが、個別の投資案件について、実は委員会が、取締役が直接意思決定をしちゃっているんですね。ここは実はちょっと矛盾がありまして、要は、自分意思決定をしちゃっているものですから、その結果を自分で検証するというのも、ややちょっと難しい面があります。  私は、仕組みとしては、これは実はGICなんかもそうなっているようなんですが、むしろ個別の意思決定は、例えば子ファンド、その下の下にある種サブシディアリーというか、下のエンティティーをつくって、そこでやっていって、そこでやっていったことを、上の、今だと革新委員会ですか、私のときは再生委員会ですけれども、そこにまたモニタリングのプロを集めて、そこでちゃんと国民にかわって検証するという方法が、今先生が御指摘の問題に対する一番いい、いろいろな問題も含めて、トータルにいい解決ではないかというふうに思っております。
  37. 國重徹

    國重委員 ありがとうございました。  きょうは時間の関係で神津参考人福家参考人には御質問できなかったこと、申しわけございませんでした。  五名の参考人の皆様に心より感謝申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  38. 稲津久

    稲津委員長 次に、山崎誠君。
  39. 山崎誠

    ○山崎委員 立憲民主党の山崎誠でございます。こんにちは。  本日は、本当に御多忙中、参考人の皆様におかれましては、当委員会にお越しいただきまして、貴重な御意見、ありがとうございました。本当に多角的に今回の法案について理解を深めることができたと思います。  私からは、早速ですが、幾つか絞って御質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず、増島参考人にお伺いをしたいと思います。  規制のサンドボックス、レギュラトリーサンドボックスの意義、意味について、非常にわかりやすく御説明いただきました。行政の特徴、それをどうやって民間のニーズに合わせて変更していくのか、そのためにこの制度が大変有効であるというお話をいただきました。非常に私も、この制度自体に、そういう意味で期待をしたいという思いを強く持った次第でございます。  そういう中で、幾つか気にかかる点について御確認をさせていただきたいと思います。  一つは、参考人も御専門にしていますフィンテック世界であるとか、あるいはブロックチェーンだとか、そういった技術の分野というのは、大変新しいものではありますし、また、一般になかなか理解しにくい、目に見えにくい、そういう世界のお話に今なってきていると思います。  例えば、これは話が違うかもしれませんが、仮想通貨のコインチェックの不正アクセスの問題。一遍に五百八十億の預金が流出したなんというお話が流れました。今までではちょっと考えられないような世界に入っているのかなと思っています。  こういう世界について、このサンドボックスを使っていくということが一つの大きな目標になっているのかとは思いますが、一つは、こういったリスク、例えばセキュリティーをかけるとか、サーバーを切り離すとか、いろいろな技術的な手段はあるのかもしれませんが、そうはいっても、その事業自体の可能性みたいなものを評価しようとすると、ある一定のリスクを、言葉は悪いですが、冒して検証しなければいけないような場面が出てくるかと思いますが、そういったバランス、リスクと、そしてその実証の、実行のバランスみたいなお話、特にフィンテックのような世界についてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  40. 増島雅和

    増島参考人 どうもありがとうございます。  まさに、フィンテック世界というのはお金を操る世界でありますので、そのお金がどこかに行ってしまうというのがこの実験の中で起こってしまうということが起これば、当然そのユーザーの方々に御迷惑をおかけする、こういうふうな話になってまいりますので、これをどういうふうにコントロールをしていくのか、ここが大事な課題になってくるというふうに思っております。  結局、これは、その実験をするときの実験デザインをどういうふうにするかという、非常にデザインシンキングの世界に近いんだろうというふうに思っていまして、デザインをするときに、通常、そのリスクの量というのを計測したりいたします。その中で、その最大発生確率のリスク、これがどのぐらいのものなのか、それに対するコントロールというのをどういうふうにするのか。  コントロールの方法としては、当然、保険を付するですとか、一定、リザーブをしておくですとか、若しくは、リスク耐性の強い人たちから、まあ、お金持ちということですね、お金持ちの人たちに、もしかするとうまくいかないかもしれませんけれども許してくださいということで、構いませんという同意をとっておく。人の生命身体ではないという意味では、仮にそういうことが起こっても、一部の人たちから明示的な同意をとっていれば、もしかすると許される領域もあるのではないか。  きっと、この辺を組み合わせて許される領域はどこなのかというのを判断していくというのが実務上行われていくのだろうというふうに思っております。  ありがとうございます。
  41. 山崎誠

    ○山崎委員 ありがとうございます。  今、一つちょっと気になる言葉が、生命だとか、命にかかわるようなお話ということであると、一つ世界としてはバイオテクノロジーとか、そういった世界でこのサンドボックスを使うというような提案なんかもあると思うんですね。そういう場合にどういう配慮をすべきか、もし何か御見解があれば。
  42. 増島雅和

    増島参考人 ありがとうございます。  もともと実は金融世界よりも、金融世界というのはフィデューシャリーデューティーという言い方をしていて、プロフェッショナルがきちんと利用者を守らなければいけない、こういう考え方が非常に強いわけですけれども、バイオの世界には、一つ、インフォームド・コンセントという領域があるというふうに承知をしています。  今回のレギュラトリーサンドボックスは、比較的このインフォームド・コンセントの発想を全面的に適用しようというふうな発想が後ろにあるというふうに承知をしておりますけれども、現状、生命はあれかもしれないですが、身体についての一定のコンセントのもとで行えること、行えないことが恐らくあって、それは、現状ですと、治験のフェーズ分けの中でできること、できないことが決まっているということであろうと思います。  このサンドボックスを使って治験の制度を吹っ飛ばすというようなことができるのかできないのかというのは、多分個別論なので我々ちょっと承知をしないんですけれども、一定、そのコンセントで処分ができる、自己の法益の範囲内でできることが、この制度をもとにできるのではないかというふうに期待をしておりました。
  43. 山崎誠

    ○山崎委員 ありがとうございます。  増島参考人にもう一点だけ。  先ほども國重委員からもあったと思うんですが、事業者自体がこれを使うんだというインセンティブというか、そういうニーズを持っている方々がうまくこの制度にマッチしていかなきゃいけないと思うんですが、御経験から、こういう方々がたくさんいるんだというお考えをお持ちなのかどうなのかというのが一点。  それからもう一つ、論文を拝見したところで、シェアリングエコノミーとか、そういったことにも触れている論文がございました。シェアリングエコノミーなどはまさにこういう分野で大いに活用できると思うんですが、その辺の可能性について、増島参考人に。
  44. 増島雅和

    増島参考人 ありがとうございます。  この規制のサンドボックスの話というのは、英国がスタートで、フィンテック世界で出始めたという話であるわけですけれども、こういうのを日本でやった方がいいのではないかというふうな話を数年前からマーケットの方々と始めましたところ、これには非常に皆さん関心がある、こういうことになり、まあ、それだけ結局いろいろな案件が企画倒れで倒れている、こういうことだろうというふうに思っておりまして、現状、皆さんが、このレギュラトリーサンドボックスは一体いつできるんだというふうな形で言っておりますので、これが実際、法案が通れば、恐らくいろいろな人たちが使ってくれる。  むしろ大事なのは、使っていただいたときに、何かあんまり使えないねみたいな話にやはりならないようにする必要が非常にあるというふうに思っておりまして、通った後の運用、ここをもともとの、想定をしたとおりの運用ができるような形をちょっと目指さなければいけないのではないかということでございます。  その中で、金融以外の領域でやはり大きいのはシェアリングエコノミーの領域でございまして、シェアリングエコノミー協会というのがございますけれども、彼らは日々、規制の問題と闘っている、こういう状態でございます。  彼らもこの規制のサンドボックスの法案に非常に大きな関心を持っておりまして、結局、新しいことをやろうとしても、実際、規制がよくわからないので前に進めないというのを彼らこそたくさん持っております。なので、彼らなんかとも協力をしながら制度をマーケティングしていく、こういう発想が非常に大事だなというふうに思っておりました。  ありがとうございます。
  45. 山崎誠

    ○山崎委員 ありがとうございます。  それでは、次に神津参考人にお伺いをしたいと思います。  少し大きなお話をさせていただいて、生産性向上ということをどういうふうにお考えになるか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。  今までもいろいろな形で出てきましたけれども、グローバル競争環境はやはり激変していきます。発想の転換がやはり必要ではないか。  これまで日本は、どちらかというと高品質、低価格を実現するための生産性向上というような発想であったかと思うんですが、これからは、やはり高品質、相応価格で、文字どおり、世界市場に高付加価値を提供する、そういう産業を目指さなければいけないのではないか。  相応価格というものを考えたときには、その価格の構成要素であります人件費について相応な価格、すなわち働く皆さんが納得できる賃金の確保というのが真の生産性向上の基本になると考えるんですが、この点についてお考えをお聞きできればと思います。
  46. 神津里季生

    ○神津参考人 ありがとうございます。  私は、山崎委員がおっしゃられる問題意識というのは極めて重要なことだと思っていまして、冒頭に意見として出させていただいた中でも、本来の生産性三原則というのは、何も、人を減らすとかコスト削減だとか、そういう概念とは全く違います。むしろ真反対と言ってよろしいかと思います。したがって、そのことの原点をもう一度しっかりと社会全体が見詰め直す必要があるんだろうというふうに思っています。  分母と分子のうちに、ともすれば生産性という言葉が世の中に誤って捉えられている部分があって、つまり、分母のところを減らせばいいということに長い間この日本の社会は陥っていたのではないかと思います。本来、やはり分子のところを上げるということこそが重要なのでありまして、まさにおっしゃられたところの相応の価格、本当にいい製品、いいサービスを世の中に送り出しているんであれば、それに応当する対価を得るということが極めて重要だと思います。  本当に手前みそな言い方になって恐縮なんですけれども、そういった生産性の向上ということを実現する上でのいわばばね力になるのが労使関係だと思っていまして、働く者、我々の立場からすれば、一生懸命働いて価値を生み出すんだから、経営マネジメントはそれをもってしっかりともうけて、もうけた分を配分してくれというのが労使関係の一つの側面だと思っています。  したがって、そのことを更に高めていかなきゃいけないんですが、一方で、これはもう極めてじくじたる思いも含めて言えば、日本の労働組合の組織率というのは、最新の統計で一七・一%です。かつ、中小企業においては組織率は非常に低いんです。百人未満の中小企業組織率は〇・九%。要するに、ほとんど労働組合がないということですから、そういったばね力を持たないということがあります。  もちろん、世の中には意識の高い経営者、中小企業経営者、あまたおられますが、そうでない方々も残念ながら多いということでありますので、ひとつ、今回の法改正もばねにしながら、そして、意見の中でも申し述べましたが、やはり公正取引ですね。やはり、日本の社会にはどうも大企業の方が上で中小企業の方が下にあるような誤ったヒエラルキー的な雰囲気というものが支配していると思いますから、それを払拭するということとあわせて、この法改正の趣旨を進めていただきたいなというふうに思います。
  47. 山崎誠

    ○山崎委員 ありがとうございます。  時間の関係で最後になりまして申しわけございません。もう一度神津参考人にお聞きしたいんですが、今もお話がありました、私は、大企業と中小企業という図式の中でいろいろこの法案について議論はされていると思うんですが、もう少しやはり、業界別だとか、あるいは地域を見据えた、都会とあるいはもっと地方の企業、そういった視点でも見ていかなければいけないと思うんですが、傘下にたくさんの企業を抱える連合として、何か御所見が、このあたりの、業界別、地域別、そういった所見があればと思いまして、お伺いできればと思います。
  48. 神津里季生

    ○神津参考人 ありがとうございます。  この点につきましても、おっしゃられた点というのは非常に大事な視点だと思います。  これは、もうそれぞれ皆さん方先刻御承知のことだと思いますが、生産性と一口で申しましても、業種によって、あるいは企業規模によって随分と違いがあります。本来、日本の生産性というのは、統計上も高くてしかるべきなのかなと思うんですが、これも御承知のように、OECD諸国の中ではむしろ下の方にあるんじゃないのかみたいなことがあります。これは業種によって、端的に申し上げれば、特に地方のサービス産業、規模の小さいところ、ここの生産性はかなり低いというのが実態だと思います。  これは、先ほど申し上げたような、ばね力がなかなか働かないとか、あるいは公正取引の問題があろうかと思います。したがって、委員の御指摘のように、少しそこは、業種ごと、地域ごと、それと、今回の法の改正においても、それぞれ地方自治体ごとにどういう取組をするのかということもあるようでありますから、そこは一つ、切磋琢磨のようなところもあるかと思いますが、私は、地域ごとに、あるいは産業ごとに、労使を交えた、そういった枠組みをかませるということも一つ大事な要素ではないかというふうに思います。
  49. 山崎誠

    ○山崎委員 ありがとうございました。  時間になりましたので終わりにします。  冨山参考人曽我参考人福家参考人には御質問できませんでした。失礼いたしました。  ありがとうございました。
  50. 稲津久

    稲津委員長 次に、浅野哲君。
  51. 浅野哲

    ○浅野委員 希望の党の浅野哲でございます。  本日は、五名の参考人の皆様、御多忙のところこの委員会にお越しをいただきまして、ありがとうございました。  先ほど皆様からいただいたお話も、大変私にとっても勉強となる中身であり、それを糧にこの法案をしっかりした内容にしていけるようにこれからも議論をしていきたいと思っております。  本日は限られた時間ですので、早速質問に移らせていただきたいと思いますが、今回テーマとなっている法案生産性向上特別措置法及び産業競争力強化ということで、やはり産業の立場に立った目線でこの法案は十分に審議をしていかなければいけないというふうに感じております。  その点から本日は何点か質問をさせていただきますが、まず一点目は、規制のサンドボックス制度についてお伺いをさせていただきたいと思います。  こちらの質問、増島参考人の方に御質問させていただきますが、この規制のサンドボックス制度、これまでも同じような過去の施策がありましたが、実際には活用実績が低調に終わってしまったということで、その一つの原因は、先ほど参考人もおっしゃっておりましたが、遅い、スピード感の問題であったというふうに認識をしております。  そこで、今回はそのスピード感を担保するための対応もとられているということなんですが、もう御存じだと思いますので簡単に申し上げますと、今回は、まず、一元的な窓口を設けて一括して相談に乗れる体制を構築した。また、評価委員会というのを設けて専門的な知見から的確、迅速に判断ができるように整備をしたというところが大きな特徴になるかと思います。  この制度を活用して実証を行ったという、後の話をちょっとさせていただきたいと思うんですけれども、例えば自動運転ですとかドローンですとか、今、こうしたサンドボックス制度を使っていろいろな実証をしたい分野は多々ございますが、問題は、実証した後、規制改革をしっかりと行って、社会実装までをスピーディーにしていく、ここが一番重要なのではないかなと私は思っております。  これまでの施策の実績といいますか、過去の事例を調べてみましても、実証はしたけれども、実際、社会実装まで至らなかった事案の多くが、やはりこの規制の見直しに相当な時間を要してしまった、そういった反省点があると思いますけれども、今回、この規制のサンドボックス制度、幾つかの改善をして、法としてまた再提出をされました。これが施行された後、実証した結果をきちんと規制改革に迅速に、円滑につなげていく、そこまでを議論しなければいけないと私は思っています。  そういった部分で、参考人の、現在御認識をされている課題意識、あるいは今後の対策に期待をすることなどありましたら、お答えをいただきたいと思います。
  52. 増島雅和

    増島参考人 ありがとうございます。  まさに、この制度の本願というか本質は、規制のPDCAを素早く回す、ここにあるというふうに承知をしております。  これを行っていくに当たって、まさに、実証したデータがたまった、でも動かない、こういう状態をどういうふうに避けるか、こういう御質問だというふうに思っておりますが、我々、個別の案件の相談に乗りますと、実はひっかかっているものが何か運輸何とか局長通達とか厚労省課長通達ですとか、こういうのが理由で前に進まないというのが結構いっぱいあったり、若しくは、いわゆる府令、規則のレベルですね、このレベルで、これがちょっと想定していないんじゃないかみたいな話で話が前に進まない、こういうことが実は結構多うございまして、法律のレベルで全然だめだというものというのは意外と少ないなというふうに思っております。  もちろん、法律のレベルで大きな再編が要るということであれば、これは先生方によく議論をしていただいて法律を動かしていく、これはまさに先生方のリーダーシップだというふうに承知をしておりますけれども、規則、通達、このレベル感での物の変更というのは、これももちろん先生方からの強いリーダーシップと、あとは、民間側で、これは問題なかったですよねというこの実際があると、今まで物が動かなかった、こういうふうになるおそれがあるみたいな話で物が動かないというところに対して、いや、実際大丈夫だったじゃないですかというエビデンスを出すことができる、これが恐らく、多分大事なんじゃないかと思っています。  そこでも推していくのはやはり民間であり、また先生方、政治家の方々でありというのが推していかないと、なかなか政策の方、官僚の方は動かない可能性はまたあるんだというふうに思いますので、そこを捉えて、実証をやった、よかったねと言って終わらない、これは非常にやはり大事な要素だというふうに思いました。  ありがとうございます。
  53. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございます。  しっかりと規制改革、そして、その先にある社会実装、事業としての離陸というところまでしっかりと見据えた制度にしていくために、今後とも御指導をよろしくお願い申し上げます。  次の質問に移ります。  次の質問なんですが、冨山参考人の方に、リスクマネーに関して、産業革新機構について御質問させていただきたいと思います。  先ほども出ましたけれども、現在、産業革新機構が投資をした案件に対する回収状況というのは、特にベンチャー企業、また新分野向けの産業分野、これに関しては損失の方が上回っているというような状況が続いておりますが、それに対して、今回この法案では、投資基準を明確化して、そして事後評価を徹底するという方針がうたわれております。これはもちろん大変重要なことなのでありますけれども、それを誰がいかに実行していくかというところが大変重要なのだと思います。  参考人の方、過去にも、この官民ファンドの人材に関して、あるいはそのガバナンスに関していろいろな御提言をされておりますけれども、これから、産業革新機構が産業革新投資機構に変わって、投資能力をどんどん強化していこうとしている今の状況で、この人材の観点、また機構内のガバナンスの観点に対する御意見を頂戴したいと思います。
  54. 冨山和彦

    冨山参考人 どうもありがとうございます。  自分のことを言うのはちょっと言いにくいんですが、産業再生機構をつくったときには、あの組織は、どちらかというと日本の中ではオールスターでありました、人材のクオリティーでいうと。トップの斉藤さんを始めとして、かなり世界的にも名前が知れた人間が集まっていた。当時の日本としてはそういうメンバーでやっておりました。  要は、そのクオリティーの人をどう集められるかということになるのですが、今御指摘のあったベンチャー投資世界というのは、多分二つ課題があって、基本的に、一番リスクの高いいわばクラスなんですね。ということは、十中八九は失敗をします。そのうち、十のうちの一つか二つが百倍、千倍になって、トータルでリターンを上げるということになりますので、多分、先に出しちゃうのは、むしろうまくいかないものから出していきますから、今の段階でどうかというのは、ちょっと評価は時期尚早のような気がしますが、そういうゲームです。  少なくとも、ベンチャーキャピタル世界においてもう一つポイントは、日本の中で世界的に名が通っているベンチャーキャピタリストはほぼいません。唯一の例外が、日本人ということでいうと、あのジェネンテックの創業メンバーでありました金子さんという方が、これは本当に世界的な一流の人ですけれども、ほぼいません。  そうしますと、これからああいう領域を本当に育てていこうということになりますと、要は、どうやったら、必ずしも日本人にこだわらず、要するに、世界一級の人材を集められる、そういうフォーマットがつくれるか。やはり一流の人が集まらないと一流にならないんですよね、二流同士でやってもずっと二流なので。  ですから、今後それをもし投資機構として発展させるのであれば、やはりグローバルに、例えばクライナーとか、さっきのルースさんとか、そういうところと組むようなフォーマットをつくれる、あるいはつくるようなことを私は試みた方がいいような気がしておりまして、そうしますと、これはメジャーリーグの人とプレーすることになりますから、当然レベルは上がってまいります。私は、その辺が今後課題かなというふうに思っております。  ガバナンスについても同じくで、となると、これは本当に高度なことをやることにますますなってまいりますので、そのガバナンスは、やはりプロはプロでないとガバナンスがきかないんですよね。ですので、余り細かく、例えば議事録を開示するとかそういう話ではなくて、むしろプロをちゃんとガバナンスする側にも担わせて、もしそれが機能しなかったら、どちらかというとその人を交代させるというのが私は本来のあり方のような気がしております。
  55. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございました。  時間が残りわずかとなってまいりましたので、次の質問に移りたいと思います。  続いての質問なんですが、会社法の特例措置に関して、神津参考人の方にお伺いをさせていただきたいと思います。  今回、産業競争力強化法の中では、会社法の特例措置を設けて、MアンドAによる事業再編をやりやすくしたり、あるいはスピンオフを円滑化するような措置が含まれております。  そうしますと、経営者視点からいえば、これから将来性のある事業が効率のいい、生産性のより高い状況に変わっていくということで、望ましい、それは評価ができると思っておりますが、その一方で、やはりそこで働く人々のことを考えたときに、何点か懸念が残っております。  特に、事業の分割あるいはスピンオフといったことになりますと、もともと資本関係が別の資本関係に移るということで、労働環境、労働条件にも影響を与える可能性が十分に考えられるわけですけれども、これに関して、参考人が現在あるいはこれまでの事例も含めて懸念をされていること、あるいは法令の中で配慮すべき点等ございましたら、この場で御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  56. 神津里季生

    ○神津参考人 ありがとうございます。  一般論として申し上げるならば、働く者の立場において、より安定的で、かつ発展の望める事業で仕事をできるということは、将来に向けて活力を持てるということですから、そのこと自体はあってしかるべきだろうと思います。  ただ、浅野委員が御指摘されたような形というのは、やはり働く者にとっては不安を一方で持つことも事実であります。やはり、資本系列が離れてどういうことになるのかということは、これも一般論として言ったときには、大きい不安を持つことは事実でありますから、これもやはり労使協議を含めて、しっかりと働く者の納得感というものを担保するということが極めて大事だと思います。  労使協議というふうに申し上げますと、どうしてもある程度時間がかかる、丁寧さが必要だということで、まどろっこしさを感じる方もおられるかもしれません。  しかし、確かに経営においてスピードというものは非常に必要なことだと思いますが、今回の一連の考え方の中で、行政手続においてスピード感を高めるということは、これは極めて大事なことだと思いますが、本来、働く者の納得感をしっかりと担保するという意味では、急がば回れといいますか、本当の意味でのスピードを担保するのは労使協議が重要な鍵を握っているということを申し上げておきたいと思いますし、また、ふだんから労使双方がお互いにどんなことを考えているのかということが共有されていれば、そのことがむしろスピード感を担保することにつながるというふうに思います。  以上です。
  57. 浅野哲

    ○浅野委員 どうもありがとうございました。  続きまして、最後の質問に移りたいと思いますが、先ほどから何回か出ておりました、今回の生産性特別措置法案というのは三年間という時限つきの法案でございますが、この生産性向上の取組というのは、三年以降も継続的に我が国は取り組んでいかなければなりません。そのための原動力が人材でございます。  先ほども人材の確保について参考人の皆様から御意見を伺いましたが、ちょっと別の観点から。  地方において、どのようにこうした第四次産業革命時代の人材を育て続ける仕組みをつくっていくかという点について、冨山参考人にお伺いをいたします。  私は、以前より、地方における社会的課題、これを解決するために第四次産業革命時代のさまざまな技術革新が活用できるのではないか、そうであるならば、地方で地方大学を活用するなどした人材育成の必要性というのを訴えてまいりました。この地方での人材育成に関して、参考人の御意見をいただければと思います。
  58. 冨山和彦

    冨山参考人 非常に重要な御質問、ありがとうございます。  私も全く同じ考えでありまして、現状、実際の働き手の約八割は非製造業、その多くは地方で地域密着型の産業で働いております。そこの賃金水準が極めて低い、かつ生産性が低いという状況でありますので、そこの生産性と賃金をどう上げられるかというのは、もう日本経済全体の底上げにかかわる問題であります。  そこでの鍵は、むしろそういったイノベーションを利用するある種イノベーションですね、そういった力が勝負になってくるわけでありまして、となると、やはり、地方においてそういった基盤人材が極めて希薄になっているということは、そこはずっと、各参考人ありましたが、ポイントになります。  超長期的、中長期的には、若者に関しては、やはり地方大学がかなり真剣に、中途半端なアカデミックスクールではなくて、ちゃんとした職業能力、あるいはそういったスキル、これはリカレント教育を含めて、そういった底上げをする、私の言葉でいうL型大学なんですけれども、そこに徹してもらうということが大事だと思っていて、ところが、残念ながら、多くの地方の国立大学とか公立大学はミニ東大化しております。  あんな中途半端なことをやっていっても私はしようがないと思っておりますので、そこはもうかなり明確な差別化をして、基盤人材を押し上げていくところに彼らがフォーカスしていけば、恐らく地方大学に行く人はもっとふえます。私はそこを非常に期待しております。
  59. 浅野哲

    ○浅野委員 五名の参考人の皆様、ありがとうございました。  時間が参りましたので、終わります。
  60. 稲津久

    稲津委員長 次に、菊田真紀子君。
  61. 菊田真紀子

    ○菊田委員 御苦労さまでございます。無所属の会の菊田真紀子です。  きょうは、参考人の皆様、お忙しいところお越しをいただきまして、それぞれの立場での貴重なるお話をお聞きすることができました。まことにありがとうございます。  それでは、質問に入らせていただきます。  日本では、創業を希望する者が創業に至る割合がアメリカやイギリス並みである一方、そもそも創業に関心を持つ者が少ないということが一つ課題にあるということでございます。  市町村を中心に行う創業支援について、現状の創業を行おうとする者への直接的な創業支援に加えて、今回の法改正で更に創業に関する普及啓発を行うということでありますけれども、そもそも、なぜ日本では創業に関心を寄せる者が少ないのか、どういう背景があると考えておられるか、そしてこれを変えていくためにはどんなことができるか、何をしなければいけないか、御指摘をいただきたいと思います。全員の参考人にお願いいたします。
  62. 稲津久

    稲津委員長 それでは、順次お伺いします。
  63. 冨山和彦

    冨山参考人 貴重な御質問をどうもありがとうございます。  私、実は、東京大学の産学連携あるいは起業支援を二十年間サポートしております。事東京大学的な世界においては、この数年で明らかに風向きが変わりまして、もう今は起業の大ブームであります。その最大の理由は、東京大学の卒業生が典型的に昔就職していた役所と大企業がダサい就職先になったからであります。いいことだと思っております。とにかく大変なブームであります。特に、優秀な学生の第一希望はまず起業であります。起業のチャンスがなかった人間が、私どものようなコンサルティング会社とかそういうところにモラトリアムで来ます。でも、なので、数年の間にみんなやめちゃいます、要は、創業の。そういう流れはやはり上の方では起きております。  私は、このままどんどん推していけば、これは東大から京大へ、東工大へと広がっていくと思っているので大丈夫だと思っておりますが、もう一方で、地方、先ほど出ていました地方、地域において、まだまだ起業が少ない。  ここは、一つの要因は、今回の法案の中でも多少それが絡む部分がありますが、やはり、何だかんだいって、日本の現状は、会社を起こそうと思うと個人で連帯保証してお金を借りなきゃいけないんですよ。極めてリスクが大きいんです。大体、これでうまくいかないと、毎回毎回破産であります。  それからもう一つ、例えば企業との関係で、大企業向けのサービスなんかで始めますと、大体、押しつけられる契約書はいまだにとんでもない契約書です。とにかく守秘義務一方的、それから知財全部持っていかれるみたいなものが、平気で今でも横行しております。  ですから、こういった問題というのは、実は草の根のところでは解決されておりませんので、ここが変わっていかないと、そういった地域における創業というのはまだまだハードルが高い現状だと思っております。
  64. 増島雅和

    増島参考人 ありがとうございます。  まさに、多分、私が経験しているのも冨山さんとは全く同じ状況であるわけですけれども、現状、特に、おっしゃっていただいた、地方をどうするか、地方の開業率を上げるためにはどうしたらいいか、こういう話なんですが、どこと比べるといいかというと、実は途上国の人たちなんですね。  タイとかベトナムとか、ああいうところでは、途上国の人たちは普通にビジネスをやるわけです。もちろんITとかそんなすごいものではなくて、小売、小さなものを売ったり自分で何かをつくって売る、こういうような活動をしているわけですけれども、我々、一緒に支援をさせていただいているスタートアップの中では、それをスマートフォンのアプリの中で、自分で何か物をつくって売る、これが非常に容易にできる、こういうサービスを展開している人たちがふえていきます。  こういうものは余り実はお金が要らないんですね。そんなにお金が要らない。百万円ぐらい要るみたいな話があって、そういうときにはどうしたらいいでしょうかというと、我々、クラウドファンディングはやはり頼ろう、こういうことになっております。  そうすると、このクラウドファンディングにどうやって皆さんがたどり着けるかというのが非常に大事でありまして、今一生懸命クラウドファンディング協会でやっておりますのは、地銀さん、信金さん、こういう人たちは当然そういう小さい人たちお金を貸せないわけでして、貸すと、先ほど言った、担保をとったり保証をとったりというひどい状態になるわけでございますので。でも、彼らがお金を貸す前の段階で、クラウドファンディングがあるよ、これを使ってみたらどうですかと言って、これを使って実際に物を売ってみる、これが売れてみるということになると、次、この人たちお金が借りられるようになる、こういうような循環が起こってくるわけであります。  これは全然夢物語ではなくて、実際に、今クラウドファンディングが徐々に浸透していく中で、こういう成功例がふえている、こういうことでございまして、こういうふうなものが出てくると、例えばBASEさんというのは小さいお店をスマホ上で誰でも展開できるというサービスをしていて、そのペイメントみたいなものもすごく簡単にできるサービスを提供しているので、誰でもお店が開けますみたいなものがあるわけですね。  こういうものをどんどん皆さんが使える、使っていただけるようなところにたどり着くような活動がそれぞれの立場からできれば、恐らくもうちょっと底上げができるのではないかというふうに期待しております。  ありがとうございます。
  65. 曽我孝之

    曽我参考人 ありがとうございます。  現在、全国の商工会議所では、産業競争力強化法に基づきまして、特定創業支援事業者等として、創業スクールの開催や伴走支援を行いまして、創業支援に努めているところであります。  具体的には、創業予備軍となるような小学生や中学生、高校生に対するキャリア教育を推進しておりまして、会津若松商工会議所の青年部では、ジュニア・エコノミー・カレッジや横須賀商工会議所の、市役所、教育委員会と連携いたしました、よこすかキャリア教育推進事業など、さまざまな取組を行いまして、創業する若い人をそのベースからつくり上げようというようなことをやっています。  特に私の地元群馬県では、企業化して成功した三人の事業者が、地元の金融機関及び地元の新聞社と協力いたしまして、みずからのお金を出してイノベーションアワードをつくり、さらにはビジネスサポート大賞というものも設けまして、これらの試みを行いましたところ、ここ数年の間に、この二つの事業につきましても、特に高校生等々も意欲的に応募するようになりまして、全体的に、起業する心というのが相当地元に根づいてきたと思いますので、今後が大いに期待されると思っております。  以上であります。ありがとうございました。
  66. 神津里季生

    ○神津参考人 内閣府の調査で非常に示唆深いものがありまして、これは何かというと、設問が、あなたは自分会社に不満があるときにやめますか、転職しますかという問いでありまして、これが国際比較でありまして、二十代で抽出しますと、スウェーデンが四七%の人がやめる、転職すると。日本はこれが一〇%ちょっとだということなんですね。  これは、私は常々、やはり日本のセーフティーネットですね、いざ失業という憂き目に遭ったときに路頭に迷ってしまう。そのことをどうやって支えるか、セーフティーネットを持つかということの制度が残念ながら脆弱です。  御承知のように、スウェーデン、北欧はこの辺が極めてしっかりしていまして、解雇規制は緩いことも、これも知られている事実ですが、緩くても大丈夫なぐらい、国民を路頭に迷わすということは一切ない。職業訓練をしっかりやる、もちろん失業給付もきちんとありますし、そして、マッチングをして再就職先まできちんとお世話する、そういうセーフティーネットが完備しているんですよね。  私は、御質問に対してちょっと迂遠な答えをしているように聞こえるかもしれませんが、やはり日本人の働き方というのは、本来、自分が勤めているこの職場とか企業産業を、もっと発展してほしいとか、いや、もっとこういうことをやればもうかるのになという思いを持ちながら働いている人がかなり多いんですね。これは私は、日本人の働き方の一つの特徴だと思っていまして、しかしながら、一旦勤めたこの会社、どこか転職して自分の力を試したいという気持ちもないことはないけれども、うっかりミスったときには大丈夫だろうかという気持ちが、残念ながら若い人の方にむしろ強いということがあります。  私は、ですから、セーフティーネットをしっかりと張りめぐらすというのは、何も、私どものそういう、何というんですか、思いだけで言っているわけじゃなくて、社会における働く者の活力を高める、あるいは、その中に多分相当程度潜在しているだろう起業家意識、そういったものを目覚めさせるという意味でも極めて大事なことではないのかな、このように思います。
  67. 福家秀紀

    福家参考人 的確にお答えできるものは用意していないんですけれども、曽我参考人からもお話があったように、アプリだとかそういったものを活用していくというのは非常に大事なことではないかと思うんです。  インターネットというのは、非常に便利な仕組みというか、いい仕組みになっていまして、限界費用という、追加的な費用なしで利用できるわけですね。毎月定額の料金さえ支払えば後は自由に利用できる。そういう仕組みをうまく生かしていくということが、案外知らない人が多いわけでありまして、その辺をしっかり教育していくということも大事なんじゃないかと思うんです。  その場合に、例えば、先ほどグーグルはもうけ過ぎじゃないかという話をしたんですけれども、実は、グーグルの広告の仕組みというのはうまくできているんですね。コスト・パー・クリックとよく言われますけれども、一般のテレビ、新聞とかいったマス媒体の広告というのは、まとめてしっかりした金額を支払わなきゃ広告すら打てないわけですけれども、グーグルの仕組みは、実際に検索なりがあって、その検索ワードに対応した広告、これは広告といってもサイトへのリンクが表示されるわけです。これは先生方もよく使われていると思うんですけれども、そのサイトへのリンクをクリックして初めて、広告を出す側は費用を支払うという仕組みになっているわけで、中小企業であっても地方に住んでいても、この広告の仕組みというのは容易に利用できる。  そういったことについても、しっかり周知、教育していく必要があるんじゃないか。知っている人は知っているけれども、知らない人は知らないという仕組みですので、そういったことも重要なんじゃないかというふうに考えております。
  68. 菊田真紀子

    ○菊田委員 どうもありがとうございました。  神津参考人にお伺いしたいと思いますが、IoT、ビッグデータ、AI等の技術革新による産業構造や就業構造の大規模な変化に対して、日本生産性本部及び全国労働生産性会議において問題の深掘りを行っているというふうにお聞きいたしましたけれども、深掘りされているという内容を少しここで御紹介いただきたいと思います。
  69. 神津里季生

    ○神津参考人 ありがとうございます。  冒頭の意見の中でも申し述べたように、生産性本部は昭和三十年からという長い歴史を持つんですが、労働組合の立場からの生産性運動を自分のものとしてしていくということで、これは一九五九年、昭和三十四年から全国労組生産性会議というものを組織をしています。  これは余り世の中に知られていないんですけれども、まさに生産性運動ということを労使の協議ということの中でどう具体化していくのかということにおいて、さまざまな研究集会、あるいは討論集会、シンポジウム、こういったものを開催をしてきております。また、生産性本部との連携した事業活動なども行っておりますし、さまざまな調査研究活動もそういった中で進めてきているということです。  冒頭の意見の中でも申し述べましたけれども、これから第四次産業革命、これは正の部分と負の部分と双方に極めて大きなインパクトがある内容だと思いますので、そういったことについても少し知見を深めながら分析をしているということであります。  ありがとうございます。
  70. 菊田真紀子

    ○菊田委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  71. 稲津久

    稲津委員長 次に、笠井亮君。
  72. 笠井亮

    ○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。  本日は、お忙しいところ、五人の参考人皆さんには、それぞれのお立場から貴重な御意見をありがとうございました。  早速質問させていただきます。  まず、神津参考人に伺いたいと思います。  本法案と働き方にかかわってのことでありますけれども、第四次産業革命という言葉を発信したのがドイツということで、このドイツでは、AIやIoT、ビッグデータなどの新しい情報通信技術を活用して生産性を向上させようとする取組がやられていて、そこで、雇用と労働にそれがどう影響するかということが問題意識になっていると聞いております。  そこで、ドイツの連邦労働社会省が労働四・〇という白書をまとめて、技術革新をどう良質な雇用に結びつけて、雇用破壊や劣化がないようにするか、検討、分析、対応しようとしているというふうに承知しているんですけれども、日本の場合、率直に言って、政府が、生産性革命と人づくり革命のスローガンのもとで、雇用によらない働き方を推奨して、企業のもとで働く個人をフリーランスや請負にすることで、労働時間や最低賃金、残業代、有給休暇など、労働者保護法制の対象から外そうという動きが出ている。そこには、ドイツと比べても良質な雇用の視点が欠落しているんじゃないかというふうに感じるんですけれども、この点について、神津参考人はどのように見られているでしょうか。
  73. 神津里季生

    ○神津参考人 ありがとうございます。  まず、委員が最初にお触れになったドイツの例ですね、非常に私どもとしては参考にすべきところがあると思っていまして、その点でちょっと付言しますと、やはりドイツは、政労使三者構成の徹底のもとで、そういった検討をする際に、今回も金属労組の代表者を入れて議論を行ってきたやに聞きます。やはり労働の視点というものが欠くべからざるところだと思いますので、そういったことも含めて、大いに参考にすべきところがあると思います。  それから、御質問の中のフリーランスの問題、これは私どもとしても極めて大きな問題意識を持っています。個人契約といいながら、実は労働者性を相当程度持っているという事例が多く見られます。あるいはまた、いろいろな形の社会保険、そういったものも結局抜け穴になってしまうという事例が多々あるわけでありますから、ここのところは、一方で、積極的に自分の力を本当に活用しているという例がもちろんないわけじゃありません、そこのところの意味合いはしっかりと見据えつつも、ただ、やはり悪乗りをしている事例というのが相当あります。  私ども、具体的に、ベルコという冠婚葬祭事業をやっている企業がありまして、ここは正社員が三十五人ぐらいしかいなくて、そういう個人契約が何と数千人おるというような実態がありまして、ここは極めて問題のある行為を行っています。私ども、労働委員会でありますとか、あるいは裁判闘争を今行っているところでありますが、こういった極端な例はともかくとして、かなり、そういう意味では、グレーのところが世の中にはあるのではないのかということについては問題意識を持っているということを申し上げておきたいと思います。
  74. 笠井亮

    ○笠井委員 ありがとうございました。  次に、福家参考人に伺いますが、通信の秘密にかかわってであります。  今回の問題でも、憲法二十一条の二項、それに基づく電気通信事業法の規定を厳格に守る立場の重要性を改めて痛感しているところなんですけれども、福家参考人の御著書で、「IoT時代の情報通信政策」というのを拝見をいたしまして、この中で、百九十ページのところにこれに該当するところがありますけれども、そこで、サーバーが日本国内に設置されていなければ、当該サーバーに接続する電気通信回線が国内に存在しないのであるから、事業法上の電気通信事業者とみなすことはできず、通信の秘密を負わないことになるというふうに指摘をされております。そして、この注のところで、グーグルがサーバーの設置場所を明らかにしていないので、この点は確認できないというふうにあるわけですけれども、これに関連したことについてや問題点について説明をいただければと思うんですが、いかがでしょうか。
  75. 福家秀紀

    福家参考人 ありがとうございます。  なかなか専門的な話になるので、皆さん全員が御興味をお持ちになるかどうか難しいところなんですけれども、日本の電気通信事業法の仕組みの中では、通信事業者、これを、厳密にはちょっと違うところがあるかもしれませんが、他人の通信の媒介をするサービスを提供しているのが通信事業者ということになっているわけでございます。  そうしますと、電話、携帯電話も、もちろんメールもこれに該当するわけですけれども、それ以外に、検索サービスなども利用者間で情報をやりとりしているということで通信事業者になるんですけれども、その通信事業者の中でも後者の部分については、通信の秘密の遵守義務を除いては、その他の規制は適用しないと、非常に軽くなっているわけです。ですから、検索サービスなどは、通信事業者であるけれども、通信事業に関する、例えば大規模だと登録したり届け出たりとかいったような義務は負わない、ただ、通信の秘密は守らなきゃならないというふうになっております。  その際に、総務省の見解だと、まず、国内にサーバーを設置している場合、これは当然国内の電気通信事業法の規制対象になりますけれども、海外に設置していればどうか。それは、国内の拠点から海外のサーバーをコントロールしていれば、事実上日本の規制に服すわけですけれども、そうでない場合、例えばグーグルなどは、幾ら日本の法人に聞いても、サーバーはどこにあるの、そっと教えてよと言っても教えてくれない。それは教えないことになっていますというので、本当はよくわからないんですけれども、日本の拠点からコントロールしないで、Gメールだとか検索サービスというのは基本的にクラウドの形でサービス提供をしておりますということは、日本の通信の秘密の遵守義務などを負わせることはできないということになるわけです。  これは、今後、IoT、ビッグデータ、AI、この普及に伴ってクラウドのサービスの利用がますますふえてくると思うんですけれども、それが、海外企業が提供している場合に日本の規制権限が及ばないという問題がますます拡大をしてくるのではないかということを危惧しております。そこのところをきちっと対応していく必要があるのではないかというのが私の問題意識でございます。
  76. 笠井亮

    ○笠井委員 個人情報とプライバシー保護の問題について、引き続き福家参考人に伺いたいと思うんですが、この御指摘の中でも、EUと比べて日本は立ちおくれているというお話がありました。  いただいた資料の中で、「第三者提供の制限」ということで、この表の中にもありますけれども、日本では、行政機関が持つ個人データを、匿名加工さえすれば本人同意がなくても第三者の民間に提供できること自体大きな問題だと思うんです。大量の情報のひもづけによって個人の特定につながっていく。  今回の法案では、更に認定事業者が国や独立行政法人等に対してデータ提供を要請できる仕組みまでつくろうとしておりますけれども、そうなりますと、プライバシーに対する一層深刻な懸念があるんじゃないかと思うんですけれども、この点について、福家参考人はどのように見ていらっしゃるでしょうか。
  77. 福家秀紀

    福家参考人 お答え申し上げます。  なかなか難しい問題があると思うんですね。匿名化するということは、誰が該当するかということが特定できないわけですから、これのデータの利用は自由であっていいではないかというのは、これはある意味当然のことだと思うんですけれども、ただ、危惧されるのは、匿名化というものがどこまでの範疇で考えられるかということでありまして、匿名化しても、いろいろなデータを寄せ集めてくると、これは誰であったかというのが特定できるというようなケースも出てきておりますので、匿名化という場合の条件というのが、個人情報保護委員会なんかでも細かいものが示されてはおりますけれども、それをもう一回、本当にそれでいいんだろうか。まあ、幾らやっても限度がないではないか、そうしたら個人情報なんて利用できないではないかということにもなりかねないわけですけれども、そこの関係、再度、どういう条件を満たせば匿名加工情報に該当するのかというところをしっかり再整理をしていく必要があるのではないかという問題意識を持っております。  以上です。
  78. 笠井亮

    ○笠井委員 もう一問、関連してなんですが、EUでは来月に一般データ保護規則が施行されるというふうに聞いております。これは、人間の尊厳の観点から、プライバシー権や個人情報の自己コントロール権を保障するものということなんですけれども、そうした規則ができた背景に何があるのかということについて福家参考人に伺いたいんです。  EUが、あるほかのところとの関係での競争力の関係もあるのかなと思ったりもしますし、かつての歴史との関係でいうと、私もあるもので読んだことがありますが、ナチスによって収集された個人情報が乱用されてアウシュビッツの悲劇をもたらした痛苦の反省と教訓が刻まれているということも聞いているんですけれども、EUの場合に、そうした新たな規則をつくっていくような形でこの問題を厳格にやっていこうということについて、どのような背景があるのかについて、いかがでしょうか。
  79. 福家秀紀

    福家参考人 私も十分に理解をしているわけではないわけですけれども、二つのポイントがあるのではないかと思います。  一つは、EUの場合、ほかのいろいろな分野も同じなんですけれども、電気通信の分野も同じなんですが、いろいろな加盟国が寄り集まってできてきて、そこで市場統合を進めていこうというのが一貫した政策になっているかと思います。市場統合を進めるためには各加盟国の仕組みが共通になっていかなければならない、そういう視点から、個人情報保護の仕組みについても加盟国でばらばらになってはいけない。これを一つの仕組みにすることによってEU域内の市場統合が進められる、そうすればEUの国際競争力が増していくのではないか、そういう視点がまず一つとしてあるというふうに考えております。  もう一つは、やはり、EUの場合に、企業の視点と利用者、消費者の視点のバランスをうまくとっていこうという考え方があるように思います。ですから、個人情報についても、伝統的に、自由あるいは個人の権利、これを重視するというところが非常に色濃く出ておりますので、そういう視点からの仕組みをつくっていく。それによって、結局、最初の意見の中でも申し上げましたけれども、利用者が安心して個人情報を利用できるではないか。そうすることによって個人情報の提供も進んで、企業は有効に個人データを活用できる、それによって国際的な競争力が高まっていく、そういう仕組みを構築していこうとしているのではないかというふうに理解をしております。
  80. 笠井亮

    ○笠井委員 時間が来てしまいましたので、冨山参考人増島参考人曽我参考人には伺えなくて残念なんですが、冒頭の御意見をしっかりと拝聴したということで、御容赦願いたいと思います。  ありがとうございました。
  81. 稲津久

    稲津委員長 次に、谷畑孝君。
  82. 谷畑孝

    ○谷畑委員 日本維新の会の谷畑孝でございます。  きょうは、お忙しい中、参考人皆さん、本当に御苦労さまでございました。また、貴重な意見、私どももしっかりと学ばせていただきたい、このように思っております。  それでは、まず、曽我参考人あるいは神津参考人福家先生に少しお聞きしたい、それぞれの立場からお聞きしたいと思っております。  それは、この日本、特に私は、大阪の八尾、その隣が東大阪、これは東京の大田に匹敵する中小企業が集積しているという有名なところであります。この中小企業日本の経済を支えている、そのように思っているわけでありますけれども、しかし一方では、大企業に比較して日本の中小企業の生産性というものが非常に劣っておる、このように言われております。  そこで、私どもは、そういう生産性が劣っているとしたら、中小企業が大企業に比べて、その原因と、生産性の向上に向けてどういう政策が、我々も、行政の立場あるいは政治家の立場、それぞれの立場でどういうことが必要であるのか、そういうことを、曽我先生、神津先生、福家先生、それぞれの立場で一言教えていただきたいと思います。
  83. 曽我孝之

    曽我参考人 ありがとうございます。  まず、先ほどもちょっと触れてまいりましたけれども、やはり企業者そのものに、生産性の向上というのが、今後、事業の、ビジネスの質を高め、なおかつコストを下げていくためには絶対必要なんだということを理解していただくような活動をきちっとやっていくことが必要である。  特に、ややもいたしますと、地方、そして地方における中小企業においては、生産性の向上というのは大企業のことだ、製造業のことだというような古い概念を持つ方がいらっしゃいますので、その方々に対して、今後はこのことは絶対必要なんだというようなことを、いろいろな機会を通じて広く啓蒙していく必要が一つあるだろうと思っています。  なおかつ、その後で、ICT、IoT、AI、ロボット、ビッグデータ等々に取り組む際に、やはり中小企業者が取り組みやすいようなお手伝いを支援機関挙げて協力しながらやっていくということがすごく大事だなと思っています。  以上であります。よろしくお願い申し上げます。
  84. 神津里季生

    ○神津参考人 ありがとうございます。  私は、生産性の向上というのは、まさに生み出している製品やサービスに応当する価格をとってくるということが今一番大事なことだというふうに思っておりまして、そういった観点から、意見の中でも申し述べておりますけれども、やはり公正取引、これの徹底ということを更に更に強化していくということが大事だと思います。  今回のこの法案にもかかわりますけれども、やはり中小企業こそが主役だということですね。いろいろな施策も、単に中小企業を保護するというようなことではなくて、むしろいかに活性化していくのか、意欲ある中小企業を更に自律的に展開できる、さらには業容を拡大する、そういったことを可能ならしめるような施策が重要だというふうに思います。  それと、私は生産性本部の副会長も兼ねているんですが、今、生産性本部で、新しい年度においていろいろなことを計画しているんですが、業種、業態ごとに生産性というのは一体どういうことになっているのか、こういったことをしっかりと拾い上げて、それを分析していこうということを打ち出しております。生産性といっても、かなりばらつきがあると思いますので、そのことは極めて有効だろうというふうに思っています。
  85. 福家秀紀

    福家参考人 ありがとうございます。  なかなか、中小企業と一言で言っても、その業種がどうかということを把握しなければ、まず前提として、対策は考えられないんじゃないかなというふうに思っているわけですけれども、日本の中小企業は、私の理解では、サービス業が中心になっているのではないか。そうすると、一番、人手に頼るところが多くて、生産性の向上というのが難しい業種が多いのではないかというふうに考えられるわけです。  ただ、そうはいっても、例えば小売業でも、最近、スーパーでも自動精算機を入れるというのがどんどんふえてまいっております。そうすると、そういったものを中小企業、中小の小売店が利用できるような仕組みというのは考えられないか。つまり、AI、IoT、ビッグデータと言われているわけですけれども、こういったものを組み合わせて、ネットワークとしてクラウドベースで中小企業向けにサービスを提供する、こういう仕組みも考えられるのではないか、大事なことではないかというふうに思うわけであります。  ということで、データの活用という、規制のサンドボックスの中で、ぜひ、そういった中小企業向けのサービス、これについても取り組んでいけるような仕組みが実際に動き出すとありがたいなというふうに考えております。  ありがとうございます。
  86. 谷畑孝

    ○谷畑委員 いろいろと御意見ありがとうございました。  この両法案を出していく背景というのは、やはり、第四次産業革命と言われるIT分野における急速な技術革新がだあっと進んできている。そういう中で、国際的な競争条件が非常に激しくなってきている。そういう中で、我々として、そういう競争にやはり勝って、日本産業をしっかりと育成をする、そういう視点でこういう法案が出されておると思うんです。  そこで、福家秀紀参考人さん、そして曽我孝之参考人さん、これは、商工会としての立場、そして一方では大学の先生、学者という立場で、このような目覚ましい情報技術の進化の中で、我が国産業の現状をまずどのように認識をして、そして、今後は、先ほど言いましたように、国際競争力を強化していって、どのようなところを日本が改善をしてこれに勝っていくべきか、こういうところに一言意見をお伺いしたい、このように思っております。
  87. 稲津久

    稲津委員長 谷畑君に確認しますけれども、ただいまの御質問に対するお答えは、福家参考人曽我参考人のお二人でよろしいですか。
  88. 谷畑孝

    ○谷畑委員 そうです。
  89. 福家秀紀

    福家参考人 冒頭でも、アメリカIT企業市場支配力ということで申し上げましたけれども、やはり日本は、IT分野というのが、一番競争力が現状劣っている分野ではないかと思うわけですね。  皆さん方が使われているスマートフォンにしても、日本はやたらとアップルのシェアが高い。あるいは、テレビにしても、十数年前までは、サムスンのテレビなんか、あんなもの故障するから使えないと言っていたのが、今やもうどこへ行ってもサムスンになっている。こういうふうに、ITの、情報通信の分野で大きく日本は立ちおくれているのが現状ではないかと思うわけであります。それでこういった二つの法案が出てきている背景にもあるのではないかというのが、私の理解であります。  じゃ、今後どこに力を入れていくんだということでありますが、単純な製造業の分野、これはもう明らかに、賃金水準が周辺国に比べるともう比較にならないわけですから、単純な製造業というところで競争力を発揮しようとしても、事実上大変難しい。だから、こういった分野が海外に依存をしていくというのは、ある意味自然なことでもある、これは困ったことではあるんですけれども。  じゃ、その製造業とITを組み合わせて高度化した産業、これをどうやって育成していくか。私にいい考えが今あるわけではないんですけれども、それが今後の課題になってくるのではないかというふうに考えております。
  90. 曽我孝之

    曽我参考人 ありがとうございます。  そのことにつきましては、私といたしましては、産業力強化、経営強化、生産性向上、全ての分野において、産学官金の連携が物すごく大事じゃないかなと思っています。シーズとニーズをしっかりマッチングをとりながら、本当に必要なものを手を組んで開発して、それを企業の中に投入していくことによって一つ果たせるかと思っておりますし、さらには、地方の場合には、地方の学校が、大学が、産業人材育成というような形に最近大変力を入れてきてくださっていますので、そういう意味で、地方においてもより高度な研究が、産業界の中で既に仕事に従事している方も学ぶ機会をつくっていただいているというようなことでございますので、このことがより充実してまいれば、地方における経営力のある人材が数多く輩出されるのではないかと思っております。  以上であります。ありがとうございます。
  91. 谷畑孝

    ○谷畑委員 どうもありがとうございました。  やはり、これから日本が国際競争に勝って、そしてやっていこうとすれば、そういう産業を育成することも大事ですけれども、人材というのか、高校、大学教育というのをちゃんと、産業が求めるのにぴたっと合っていくような、そういう形をしないと、学校を出たってもう一度企業がゼロからやり直さにゃいかぬ、こういう現状が、よくお話を聞くわけでありますけれども、それらの点について、商工会議所の立場、そして大学の先生からの立場、お二人から意見をお聞きして終わりたいと思います。
  92. 稲津久

    稲津委員長 谷畑委員に確認します。  ただいまの御質問のお答えをいただくのは、曽我参考人、もう一方は福家参考人ですか。
  93. 谷畑孝

    ○谷畑委員 はい、そうです。  短くお願いします。時間がありませんので、一言で。
  94. 曽我孝之

    曽我参考人 わかりました。  おっしゃるとおりだと思っていますので、これからもいわゆる産学官連携をきちっと推進しながら、いい人材を育ててまいりたいと思っています。よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  95. 福家秀紀

    福家参考人 つい最近まで大学にいた立場としては非常に申し上げにくいところもありますが、実は、私自身は、三十年間企業に勤めまして、その後で大学に移った。そういう視点から見ると、今の大学教育、先生御指摘のとおり、見直さなければいけないというところはたくさんあると思います。もう今は大学を離れてしまいましたけれども、各大学でそういった方向性というものを取り入れて、教育の充実に取り組む必要があるんだろうというふうに考えます。  以上でございます。
  96. 谷畑孝

    ○谷畑委員 じゃ、時間が来ましたので、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  97. 稲津久

    稲津委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。  この際、参考人各位に一言御礼申し上げます。  参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会代表いたしまして厚く御礼申し上げます。(拍手)  この際、暫時休憩いたします。     午後零時四分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十九分開議
  98. 稲津久

    稲津委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き、内閣提出生産性向上特別措置法案及び産業競争力強化法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官三角育生君、経済産業省大臣官房長高橋泰三君、経済産業省大臣官房総括審議官飯田祐二君、経済産業省大臣官房技術総括保安審議官福島洋君、経済産業省大臣官房審議官中石斉孝君、経済産業省大臣官房審議官佐藤文一君、経済産業省経済産業政策局長糟谷敏秀君、経済産業省製造産業局長多田明弘君、経済産業省商務情報政策局長寺澤達也君、経済産業省商務情報政策局商務情報政策統括調整官吉本豊君、資源エネルギー庁次長保坂伸君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長高科淳君、資源エネルギー庁資源燃料部長小野洋太君、資源エネルギー庁電力ガス事業部長村瀬佳史君及び中小企業庁経営支援部長高島竜祐君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 稲津久

    稲津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  100. 稲津久

    稲津委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。落合貴之君。
  101. 落合貴之

    ○落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。  まず冒頭に、これは新しいニュースなので通告はしていないんですが、お伺いできればと思います。  加計学園問題への柳瀬経済産業審議官の関与についてなんですが、報道によりますと、柳瀬審議官が総理秘書官だった当時、獣医学部設置について国家戦略特区等の制度を活用することについて首相案件としていたことが愛媛県の記録文書に残っているというふうな報道がされております。それで、柳瀬審議官が報道とほぼ同時にこれを否定するコメントを発表しております。この首相案件としていたことが事実であれば、加計学園問題は制度の恣意的な運用を行った可能性が高まる、文書のこれまでの改ざん問題と並ぶような大問題であると思います。  これに関与した柳瀬氏が経産省の事務次官クラスの経済産業審議官についているということで、見方によっては、財務省における佐川元国税庁長官と同じように、論功行賞人事なのではないかと見ることもできるわけでございます。  そこで伺いますが、この疑惑、これが事実であれば、またこれは、疑惑がずっとつきまとうのであれば、今のポストも柳瀬さんにやめてもらうというようなこともあり得ると思うんですが、省のトップとして、大臣、いかがでしょうか。
  102. 世耕弘成

    世耕国務大臣 この件に関しては、柳瀬審議官御本人が、これは個人としてということだと思いますが、けさほどコメントを出されたというふうに承知をしております。  いずれにしても、これは総理秘書官時代の話であるわけでありますので、経済産業大臣の立場としては、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
  103. 落合貴之

    ○落合委員 本日、柳瀬さんの参考人招致をお願いしたんですが、かないませんでした。引き続き協議をさせていただければと思いますので、委員長、お願いいたします。
  104. 稲津久

    稲津委員長 理事会で協議させていただきます。
  105. 落合貴之

    ○落合委員 それでは、本日、新法の生産性向上特別措置法案及び産業競争力強化法等の一部を改正する法律案について質問をさせていただければと思います。  通告とちょっと順番を変えまして、産業革新機構のところから質問をさせていただきます。  これは、産業革新機構を、今回、新しい組織産業革新投資機構として衣がえをして、平成四十五年まで期限を延長しますということがこの改正案には書かれているわけでございます。  まず、衣がえする前の産業革新機構の実績について伺えればと思います。
  106. 世耕弘成

    世耕国務大臣 産革機構では、二〇〇九年七月の設立以来、ことし三月までに、LP出資を通じたものも含めて、計三百六十二件、一兆四百九十三億円の支援決定を実施してきております。金額では再編関係が半分となっていますが、件数ベースで見ますと九割以上がベンチャー関係の投資となっております。  ベンチャー関係の投資については、二〇一二年以降、年々支援決定額を増加させてきておりまして、日本ベンチャーキャピタル投資全体の二割程度、約二千五十四億円となりますが、この二割を下支えをしておりまして、日本全体ではベンチャーの資金調達が八千七百五十五億円に至っているわけであります。特に、民間ベンチャーキャピタルでは対応が難しいバイオですとか創薬、宇宙、素材、ロボットなどの分野における長期、大規模な資金を中心に投資を行ってきているほか、こうした分野における民間投資主体を育成するという観点から、素材分野に特化したベンチャーキャピタルの立ち上げ支援などに取り組んできたところであります。  こうした活動を通じて、平成二十九年九月までに、ベンチャー関連以外も含む産革機構の実投融資が八千三百七十一億円、これによって五千四百六十二億円の民間の投融資を誘発するなど、民業補完の観点から、あるいは民業の呼び水効果という意味から一定の成果を上げてきたというふうに考えております。  また、投資に対する回収という実績を見ますと、ことし一月末時点では、ベンチャー部門については、既に株式売却を行った案件の実投資額が七百二十一億円、回収額が六百三十六億円ですので、収支は八十五億円の赤字、投資額の〇・九倍の回収となっております。一方で、全体として見れば、株式売却を行った案件の実投資額は三千六十九億円、回収額は六千八百七十五億円、収支は三千八百六億円の黒字で、投資額の二・二倍の回収を行っているところでございます。
  107. 落合貴之

    ○落合委員 これは、我が国の政府系ファンドの中ではかなり大きいものであるわけでございます。  これは、衣がえをするに当たって、収益は数字は出していますけれども、組織のあり方ですとか、それから、今までのやり方がどうだったかということの総括、これは一つの区切りですので行う必要はあると思うんですが、大臣はいかがですか。
  108. 世耕弘成

    世耕国務大臣 我々もいろいろベンチャー業界ですとかあるいは有識者の声も聞いているわけですけれども、例えば、今の一般のベンチャー企業では、なかなか、十億円集めるというのが大変難しいわけですよね。そういうところにやはり産革機構がリスクをとって出資決定をするというのは、これは非常にありがたいという話ですとか、あるいは、民間の資金だけで三桁、ですから百億を超えるような案件の組成というのはなかなか難しい。  特に、AIなどのテクノロジーへの投資を百億円を超える規模で支援するという観点からは、やはりINCJも必要ではないかということ、あるいは、やはり取引先から、INCJが投資をしてくれたということで信頼向上につながったとか、あるいは、産革機構のメンバー自身がハンズオン支援というのも一生懸命やっています、これが経営力アップにつながったとか、あるいは、ベンチャーキャピタル投資をしているというケースもありますので、ベンチャーキャピタルが信頼が上がった、ブランド力が強まったというような声も出てきているわけであります。  ただ、やはりこれは投資機関であります。だから、一個一個の投資案件で必ずしも全部成功しなくてもいいわけでありますけれども、一方で、これは官民ファンドという形で国のお金が入っている以上は、政策目的が一体どうなっているのか、この辺はやはり明確にもっとしていかなければいけない。その政策目的を実現するためにどう取り組んでいくのかということをやっていかなければいけない。そしてもう一つは、やはり、株式会社なんですが、一方で、これは投資機関でありますから、投資に適したガバナンス、こういったものもしっかりとつくっていかなければいけないということ。この二点を大きく見直して、産革機構の投資機能の強化を図りたいというふうに思っています。  明確なミッション設定については、政府投資基準を策定することによって、第四次産業革命の社会実装など、国の方針に沿ったミッションの明確化を図りたいと思っていますし、投資に適したガバナンスの実現については、方針を策定して評価を行う組織投資実務を行う部門、これを分離して、事後評価と成果主義を徹底することで、適正な規律と現場での迅速かつ柔軟な意思決定を両立させていく必要がある。こういうニーズに基づいて、今回法改正をさせていただいているところであります。
  109. 落合貴之

    ○落合委員 産業革新機構から産業革新投資機構へどのような観点から組織を衣がえしていくかということをお話しいただきましたが、これは、二〇〇九年から九年間組織が運営されていて、よかった点もありますけれども、悪かった点もしっかり総括をして、その上で衣がえであるということでよろしいですね。
  110. 世耕弘成

    世耕国務大臣 これまでやってきたところのいいところは大切にしながら、更に改善した方がいいという点を、特に投資機関としての能力を更にアップしていくという観点からの改善を行うための法改正であります。
  111. 落合貴之

    ○落合委員 これは、金額が大きい、それから、ある意味経済産業大臣の差配でいろいろな施策を打ってお金も充てていくことができるということで、重要な組織であると思います。  こういった組織が長くなればなるほど、制御がきかなくなる、いろいろな問題が起きてくる、そういったことは考えられるわけですので、ぜひ今回の衣がえを機に、悪い部分はしっかりと大臣の指示で直していく、こういったプロセスをしっかり経ていただければと思います。  今回、新しく産業革新投資機構となることで何点か新しく機能が変わるわけですけれども、そこで、私がきょう取り上げたいのは、ファンド・オブ・ファンドができますということでございます。  ファンド・オブ・ファンドといっても、民間ファンド投資をするのではなくて、ここに書いてある、二分の一以上政府が出資しているファンドに対して出資をすることができると。要は、政府系ファンドに対して出資をすることができるようになるわけでございます。  政府系ファンドというのは、経済産業系のクールジャパン機構ですとかそういうのもありますし、あと、国土交通省ですとか総務省の所管のファンドもあると思うんですが、これは、所管を超えて出資をして、しかも産業革新投資機構が口も出せるようになる、それを所管している経済産業大臣も、他省庁の管轄しているファンドに出資をしたら口も出せるという解釈でよろしいんですね。
  112. 世耕弘成

    世耕国務大臣 経産大臣が他省庁のファンドに積極的に口を出すというつもりははっきり言ってありませんけれども、やはりこの産革機構というのは規模も大きいわけです。これが、経産省所管の、しかも産革機構が直接やるやつだけではなくて、ファンド・オブ・ファンズとしての機能を発揮して、他の官民ファンドに対して資金供給をしていくことによって更に投資の活性化を図る、そういう目的であります。  何か他省庁の領域に足を踏み入れるというよりは、こういったベンチャー投資とか、あるいはいろいろ、国の第四次産業革命へ向けての取組に関しては、産革機構のもとだけでやるのではなくて、他省庁がやっていることであっても、それに対して資金を供給することによってもっと広がりをつくっていこうということであるというふうに考えております。
  113. 落合貴之

    ○落合委員 要約すると、お金は出します、意義があるファンドには。口は極力出さないということでよろしいでしょうか。
  114. 世耕弘成

    世耕国務大臣 これは当然、機構は、口は出さないとはいっても、それぞれのファンドの業務の実績については機構がしっかり評価をしていくことになるというふうに考えております。
  115. 落合貴之

    ○落合委員 私もいろいろな委員会でいろいろな政府系ファンド官民ファンドについて取り上げてきたんですが、このまま放置していたら何にも実績がなく終わってしまうんじゃないかというファンドですとか、このまま進んでいったら大変なことになっちゃうんじゃないかという危惧が感じられる、そういうファンドもたくさんあるわけでございます。  こういう問題があるファンドに単にお金を出すだけ、それから、評価をするとおっしゃいましたが、それだけでは、傷口を塞ぐだけで、国民の税金はつぎ込まれていく、財投がつぎ込まれていくということになってしまうわけです。  これは民間世界でも、出資者というのは口も出していかないと収益がとれないわけでして、問題あるファンドにはちゃんと口も出していく、行動もしていく、組織も立て直していく、これを約束しなければ、お金だけ出すだけでは国民は納得できないと思うんですが、大臣、いかがですか。
  116. 世耕弘成

    世耕国務大臣 全く落合議員と私は同じ問題意識を持っています。  官民ファンドが、ほっておくと政府の補助金のかわりに使われるというようなことがあってはいけない。これは私、実は官房副長官時代から官邸で強く主張しておりまして、当時、官邸に各種官民ファンド、今はもう十を超える官民ファンドがあると思っています、少なくとも。それをちゃんと横串を通して政府全体で見ていこう、それで、それぞれの政策目的をはっきりさせてKPIを定めていこうというのはずっと取り組んでまいりました。  その延長で、今回の制度は、平成二十九年十二月に閣議決定された新しい経済政策パッケージにおいて、官民ファンドの統合ですとか連携強化によって業務の効率化を図りつつ、ベンチャーが各ステージで抱える課題の解決を支援する体制を整備する、この方針に基づいて今回の措置が行われているんです。  産革機構はもともと、幅広い業種に対して大規模な投資を行ってきたという経験を持っています。分野横断的な視点ですとか、あるいは、広範な、いろいろビジネス界との、あるいは金融界ともネットワークを持っています。他の比較的小規模な官民ファンドと比べて、例えば投資人材の確保ですとかあるいは間接部門の充実を図りやすいといった立場にあるわけです。  こうした特徴を生かして、他の官民ファンドに対して、例えば投資案件の付加価値を高めるような異業種とのマッチングですとか、あるいは投資人材を産革機構から派遣をするとか、あるいは間接部門の機能支援のサポートということができるというふうに考えております。  ですから、まさに今回のこの法改正というのは、落合委員の指摘、持っておられる問題意識に対応するために、一番大きな規模である官民ファンド、そしていろいろな経験事業再編からベンチャー投資経験のある産革機構のノウハウを他の官民ファンドと共有をして、ということは、当然、それなりに人も送ればお金も送れば意見も言うということになろうかと思いますが、他の官民ファンドの活性化も図っていくということになるんだろうと思います。
  117. 落合貴之

    ○落合委員 ファンドのあり方を考えた上で、今大臣がおっしゃったことは重要なことであると思います。  ただ、実際にやるとなりますと、今までの経緯で省庁縦割りで政府系ファンドが立ち上がってしまっていると、これは、口を出すにしてもちゃんと適正にできるんですかという問題が一つ、先ほど指摘させていただいた点があると思います。逆に、遠慮して口を出さなかったら損をするのは国民ですので、このバランスというか、日本政府系ファンド官民ファンド特有の問題であると思いますので、ぜひここは注視をいただきたいと思います。  それから、経済産業省が所管しているほかの官民ファンドもあるわけですけれども、例えば、ここ一、二年ぐらいですかね、言われている、クールジャパン機構、うまくいっていないじゃないか、これだけお金を出しても全然うまくいっていないんじゃないかと言われているわけですが、これは、単独でやっていくというのははたから見て難しいと思うんですが、ここにファンド・オブ・ファンド産業革新投資機構が絡んでいく、この可能性は大いにあるということですね。
  118. 世耕弘成

    世耕国務大臣 これから産革機構がファンド・オブ・ファンズとして対応するファンド、一体どういうものになるかということについては、これは、先ほど申し上げた新しい経済政策パッケージで示された方針に基づいて、まず、所管しているクールジャパン機構について検討していきたいというふうに思っております。
  119. 落合貴之

    ○落合委員 こういった問題があるファンドがいっぱいあるわけですので、単に損失補填のようなことができたからあと十五年大丈夫だというようなことにならないようにしなければならないと思います。これは所管が経済産業大臣ですし、この法文を見ましても、経済産業大臣ができることというのは規定はされているわけでございますから、経済産業大臣の責任というものは重いと思います。  今まで取り上げてきた政府系金融機関もありますが、融資の場合は融資をした責任がある。しかし、出資の方がちょっと責任が軽いわけです。先ほど補助金という言葉がありましたが、返ってこなかったら補助金を上げたことと同じことになりますので、恣意的な運用がされないようにしっかりとガバナンスをきかせて、そして、大きな政府系ファンドが迷走しないようにしていく責任が経産大臣にはあると思いますので、ここでそういうふうにはならないということをきっぱり御説明いただければと思います。
  120. 世耕弘成

    世耕国務大臣 政府系官民ファンドというのは、本当にあり方として非常に難しいわけであります。  ファンドとしては、個別の案件がたとえ損が出たとしても、全体としてきちっと利回りがあれば、それでファンドとしては成立をするわけであります。ですから、まずその点はしっかり見ていきたい。先ほども申し上げたように、産革機構は、全体で見れば二・二倍、投資に対して実績は出ているということでありますから、今のところ、そういう意味ではうまくいっているんだろうと思います。  ただ、一方で、この官民ファンドという性格を考えると、たとえ利回りが出ていなくても、やはり政策目的がしっかりと説明できなければいけない。こういう政策的成果を得ようとして、民間ではできないので官民ファンドとしてやったんだということがしっかり説明できなければいけないというふうに思っております。  今回の産革機構の改革を機に、そういった部分の説明責任もしっかり果たせるように充実をさせてまいりたいと考えています。
  121. 落合貴之

    ○落合委員 私は、ファンドである限りは、利回りが出なくてもというのは、そういう姿勢は余りあってはならないと思います。  それから、先ほどの参考人質疑でもあったんですが、この産業革新投資機構にかかわりが深い方でも、もう少しディスクロージャー、情報の開示は気をつけた方がいい、もっと気を使った方がいいというような発言がありました。これは、もう少し透明性を高めていくという必要が、組織が大きくなればなるほど、機能が大きくなればなるほどあると思いますが、それについて、改善する意向はありますでしょうか。
  122. 世耕弘成

    世耕国務大臣 国からのお金が投入されている官民ファンドという性格上、情報開示は適切に行われることが重要だと思っていまして、産革機構としても、積極的な情報開示に向けて不断の見直しを行っているところであります。  一方で、やはり個別の企業、しかもまだ成長段階にあるような、いわゆる一部上場企業で有価証券報告書で全部情報が公開されているという企業ではない企業の情報開示については、これは一定程度の制約が生じるという面もあります。あるいは、この産革機構が投資する先は、それは最終的にはどこかへ譲渡、売却するということが前提になりますから、譲渡先についても配慮も要るということであります。そういった面も踏まえながら適切にやっていく必要があるというふうに思っています。  今回の法改正において、第三者による評価機能を強化するため、機構に置く産業革新投資委員会について、社外取締役は過半数を占める旨を法定をして、そして、機構の下に置かれる認可ファンドの個別の投資決定には関与はせず、第三者的な立場から認可ファンド投資業務について事後的に徹底した評価を行うという機能を持たせることにいたしました。  こういうことを通じて、少しでも産革機構の情報開示が進むように努めてまいりたいと思います。
  123. 落合貴之

    ○落合委員 では、急ぎ足で次の話題に移らせていただきます。  中小企業の支援なんですが、今回の特徴として、MAというものが出てきています。MA自体は重要なことだと思います。私も金融機関時代、少し携わっていたこともありますけれども。しかし、これはメリットもあるんですけれども、気をつけなきゃいけない点もあると思います。  会計上、短期の利益を出せる場合も出てくる、あと、株主価値を高めることばかりに注力することになってしまうなど、経済活動が、今までは技術力、技術力でやってきたことが、それを切り売りしたり継承したりしていくに当たって、金融の部分の要素がどんどんどんどん大きくなっていくことも考えられると思います。  余りにもMアンドAがやりやすくなってしまうと、技術というものが簡単に、技術を持っている組織が簡単に売買をされるようになっていく。これによって、今まで日本の、中小企業を中心に、技術力を磨くことに注力してきた、短期的な利益だけではなくて中長期的な視点に立って技術を磨いてきたことに価値があった、こういった企業、こういった伝統が失われるのではないかというような危惧もあるわけですが、MアンドAは促進しながら、そういったデメリットは克服できるんだということでよろしいですね。
  124. 世耕弘成

    世耕国務大臣 なかなか難しい御質問なんですけれども、一方で、結局、事業承継する人がいなくて、すばらしい技術が死んでいくのでは、私は意味がないというふうに思います。この委員会でもたしか注射針の会社のことが取り上げられていましたが、やはりそういった技術が大企業あるいは中堅以上の企業MアンドAされることによって存続していくということも、それでまた、その技術者がちゃんとそのまま育てられていって、その後継者も育っていくという観点も重要ではないかというふうに思っています。  いわゆる何でもかんでも切り売りみたいになるのは私も歓迎はいたしませんけれども、その辺は、大企業経営者とそして中小・小規模事業者経営者が緊張感を持ちながらやりとりをしていくテーマになるのではないかというふうに思います。
  125. 落合貴之

    ○落合委員 これは重要な問題ですし、時間がたって経過を見てみないとわからない点もありますので、これは改めて時間をとって議論をさせていただければと思います。  では、最後に、規制のサンドボックスのところなんですが、新技術認証に係る新たな規制の特例措置の求めということで、規制のサンドボックスということが始まるわけでございます。これは主務大臣がいろいろと認定することができるわけですけれども、透明性ということが重要であると思います。  例えば、国家戦略特区でも今言われているような問題があるわけですけれども、サンドボックスをブラックボックスにしてはいけない。その中で、透明性、公平性、中立性を確保するために第三者の評価委員会というものを立ち上げるわけですけれども、この評価委員会は、恣意的な運用はされないんだ、しかも権限も持っているんだ、公平性を確保するためにこの評価委員会機能するんだということでよろしいですね。
  126. 世耕弘成

    世耕国務大臣 この評価委員会については、まず、委員の直接の利害を有すると考えられるような議題が上がる場合には、その委員審議に参加しないこととするなど、公平性に疑念を抱かれないよう運用を工夫したいと思いますし、また、一部の、特定の企業の営業上の秘密につながるようなことを除いて、会議ですとか議事録を速やかに公開することによって、議事内容の透明性を確保してまいりたい。そういったことを通じて、運営をしっかりと透明に行っていけるようにしていきたいと思っております。
  127. 落合貴之

    ○落合委員 これが透明性が確保されているかどうかということが一番重要な問題ですので、ぜひここは注視をさせていただきたいと思います。  時間ですね。ちょっときょうは時間が短かったので、また議論させていただければと思います。  ありがとうございました。
  128. 稲津久

    稲津委員長 次に、中谷一馬君。
  129. 中谷一馬

    中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。本日もよろしくお願い申し上げます。  私からも、生産性向上特別措置法案及び産業競争力強化法等の一部を改正する法律案などについて質問をさせていただきます。  経済産業省は、国富の分配ではなく国富の拡大を唯一追求する官庁として重大な役割を担われており、日本が今後も豊かな社会を持続し、国民が安心して御飯を食べていけるかどうかは、まさにこの経済産業省の皆様を中心に行う経済政策のかじ取りにかかっていると私は考えています。  その中で、ミッション・オブ・METIという経済産業省の説明資料にこんなことが書いてありました。「国際的な視野で、世界の中で生きていく日本の現実を見据え、豊かな未来を切り拓く。常に斬新な発想で改革をデザインし、果断に実行していく。」「METIの使命は、当時も今も、そしてこれからも、変わらない。」すばらしいミッションだと思います。  こうしたすばらしい思いをこの法案措置事項にもしっかりと組み入れていただき、真に日本産業競争力が強化され、生産性の向上が図られるような政策を実行していただきたいと思いますので、これらの観点を踏まえながら、政府が示されている法案に係る経済施策について、意見、提言を交えながら順次質問をさせていただきます。  私からは、まずレギュラトリーサンドボックスについて伺わせていただきます。  日本へ第四次産業革命を牽引する新技術、新事業、それらを扱う人材の確保のために、規制を緩和して、トライファーストで新たな技術ビジネスモデルの社会実装を研究することを目的としたレギュラトリーサンドボックスを進めることは必要なことだと思いますが、まず根本的に、これはプロジェクト型と地域型と、制度が分けられている理由が私にはよくわかりません。  私の頭の中の発想では、基本的に、そもそもプロジェクトがあって、それらの革新的な技術ビジネスモデルの実証を地域を限定してやるものであるのか、又は全国的、国際的、若しくはインターネットを介したバーチャルな枠組みで行うものかなど、こうしたことを検討した上で、社会実証データを蓄積した上で必要な規制改革につなげることを目指す取組がそもそもサンドボックスなんじゃないかと捉えているわけでありますが、わざわざプロジェクト型と地域型を分けているメリットがわかりにくいので、制度は一つに組立てを変えて、その中で柔軟性を持ったあり方を検討した方が打ち出し方としてもシンプルでわかりやすいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。所見を伺います。
  130. 世耕弘成

    世耕国務大臣 今おっしゃっている地域限定型のサンドボックスは、これは国家戦略特区の方で措置をされるわけでありますが、これは、対象地域を特区の自治体に限定をして、そして、国と自治体と事業者、三者が一体となって先端的な実証実験の具体化を図るものであります。また、テーマについても、自動運転ですとかドローン、電波利用といった特定の分野ということになっておりまして、適切な事後チェック体制のもと、関連する事前規制の最小化を図る法改正を行う、こういう形で進められていく、これが地域限定型のサンドボックスであります。  一方、今言っていただいている、今回の法案で規定される新技術等実証制度、これがプロジェクト型のサンドボックスということになりますが、これはあくまでも民間事業者側が提案、いろいろなアイデアを思いついた民間事業者側が国とか自治体関係なしで提案をして、そして、これは地域を限定しないで、期間や参加者を逆に限定をして、規制が適用されない環境下でスピーディーな社会実証を可能とするものであります。  こちらのプロジェクト型が、地域型と比べて、特区に指定されていない地域でも活用が可能であるということ、また、自治体による提案は不要だということ、そして、実証のための法改正というのを前提としていないといった点、そういう意味では非常に身軽というか、そういう感じだというふうに思っています。  このように、両制度は、提案主体、地域性、法改正を伴うかどうかといったことで異なることから、制度自体を一つにすることは難しいというふうに認識をしていますが、一方で、この制度、両方が縦割りになってはいけないというふうに思っておりますので、ここはよく制度間の連携はやってまいりたいと思っております。
  131. 中谷一馬

    中谷(一)委員 今御説明をいただきました。  地域型は自治体とのそういったやりとりが必要だということなんですけれども、私は、グローバルマーケットで規模の拡大を目指す企業は、迅速かつ容易に市場での競争に参画するために実証実験の取組を行うには、そもそも異なる管轄区域であったりとか国の規制を超えた取組が必要になることも当然あると思っています。  その中で、例えばイギリスの金融行為規制機構、FCAが行っているようなグローバルサンドボックス、インターナショナルサンドボックスと言ってもいいかもしれないんですけれども、こうした発想でこのサンドボックスを今後進化させる可能性が出てくるんじゃないかなということを思うんですが、そうなったときには、仮に言えばプロジェクト型と地域型と国際型の三つになってしまうのかとか、そういったことがあるんだとしたらやはりわかりづらいので、そもそもこのプロジェクトを基本としてレギュラトリーサンドボックスの制度をしっかり設計をして、その中で企業と地域と政府世界各国が相談できる事業として一元的にまとめられるような基本的な法整備を組み立てた方がやはりわかりやすいんじゃないかなと思うんですけれども、大臣がお答えできるようでしたら、見解について伺いたいと思います。
  132. 世耕弘成

    世耕国務大臣 御指摘の趣旨は一定の理解はしますけれども、我々は今、法案をお願いしている立場であります。  今、御懸念を解消するという意味では、事業者にとってどちらの制度がいいのかというのは、これはどっちを持っていっていいかわからないなんということになったら困りますから、例えばフィンテックでこういうことをやりたいんだという人がどっちへ行けばいいかというようなことを、これは内閣官房に設置する一元窓口において提案を受け付けて、そして事業者の取組、事業者の話をよく伺って、それだったらこっちの制度を使った方がよりスムーズにやれますよということを相談に乗るような予定をしておるところでございます。
  133. 中谷一馬

    中谷(一)委員 一元型の相談窓口を設けて事業者の提案をさばきやすくするような体制をつくっていることというのは、僕ももちろん一定の評価をしているんです。  ただ、これは何も実は私だけが言っているわけじゃなくて、サンドボックスについて議論がされている未来投資会議の構造改革徹底推進会合の中で、参加者及び社会実装のスコープは国内に閉じず市場を広範に捉えるべきであり、そのためには、インターナショナルサンドボックスの創設や複数間のパスポーティング制度などの必要も、可能性があると述べられている方がいらっしゃいますので、これらについてもどのように考えているのか、所見を伺いたいと思います。
  134. 糟谷敏秀

    ○糟谷政府参考人 お答え申し上げます。  新技術等実証制度、いわゆる規制のサンドボックスでございますけれども、プロジェクト型のサンドボックスでございますが、インターナショナルサンドボックスのように使えないかということの御質問でございますが、日本において、事業で行う場合であれば、海外事業者であっても申請を行うことができます。海外事業者による制度の活用が進むことで、第四次産業革命の成果である革新的な技術などの日本社会における実装が一層進むということを我々も期待をしております。  他方で、日本国内に社会実装を限るのではなくて、海外市場への展開も見据えた展開をスピーディーに図っていくということが重要であるということも確かに大事なところでございます。  この観点から、これまでも、有望なベンチャー企業をシリコンバレーなどの海外イノベーション拠点に派遣をして成長を促進するといった事業などを行ってきております。  我が国ベンチャー企業などが海外で実証を行って海外市場への展開を図ろうとする場合に追加的にどのような支援策が必要になるか、これは必要に応じて検討してまいりたいというふうに考えております。
  135. 中谷一馬

    中谷(一)委員 この議論はこの程度にとどめておきますが、シンプルでわかりやすく、やはり使いやすい制度にしていただくことが一番だと思いますので、その点を踏まえた検討をしていただきますように要望させていただきます。  次に、サンドボックスの必要性やあり方を考える一方で、最近、ウーバーがアリゾナ州で行っていた完全自動運転車の実証実験中に歩行者の女性をはね、女性は病院に搬送されましたが、死亡させてしまったという事件が発生をいたしました。これを受けて、ウーバーが、アリゾナ州、カリフォルニア州、そしてオハイオ州で実証してきた公道での完全自動運転車の走行テストを中止したという発表があったということでありますが、ウーバーの事故は、実証実験の制度設計に欠陥があった事故であるのか、又は技術の問題や企業の怠慢から生まれた事故であるのかなど、ウーバーの事故原因を把握した上でこのレギュラトリーサンドボックスの制度設計をすべきであると考えます。  そうした中で、これについての所見を伺いたいのと、また、規制緩和の前提は、やはり刑法に違反をせず、人の生命や財産、人権に危害を加えないということが担保されること、これは当然のことだと思いますが、その中で、政府は、人の生命、財産、人権の侵害も想定し得る規制の見直しを行うことに対して、利用者保護と実証実験中の十分なモニタリング体制の構築については万全を期する必要があるかと考えますが、現在、政府としてはどのような策をとられていこうと考えているのか、教えてください。そして、具体的に、安全性の担保と自由度のある実証実験関係のバランスについても、見解があれば教えてください。
  136. 世耕弘成

    世耕国務大臣 法律が成立した後、長期間経過している規制法令の中には、従来の手法ではなくて、革新的な技術を利用することで、特に安全面とかの規制の目的を一層適切に達成することが可能なものがあるわけでありますから、今回のこのサンドボックスでは、新しい技術と規制の関係が時代に適合しているのかどうか、これを検証するということが、ある意味一つの大きな目的だというふうに思っています。  ただ、一方で、人の生命、財産、人権に危害を加えないということ、これを前提にするということは何よりも重要なことでありまして、これらを守るためには一定の規制は必要だというふうに思っています。このサンドボックスをやっていく上でも、こうした観点には十分配慮することが前提となります。  このため、サンドボックスにおいては、実証期間及び当該実証に参加する者のまず範囲を特定する、そして、実証を適切に実施するために必要となる措置を講じる、こういうことを事業者に対して求めています。その上で、その計画に記載された新技術等に関する規制を所管する主務大臣が、実証計画の内容が当該規制に違反するものではないことなどを確認の上、計画を認定することになります。  また、実証の実施中においても、主務大臣は、措置の実施状況などについて報告を求めて、必要な対応を指導するとともに、この実証が認定計画に基づいて実施されていない、もともと計画どおりやっていないじゃないかということになった場合には、認定計画を取り消すということもあり得るわけであります。  また、ウーバーの事故であります、自動走行についてでありますけれども、仮にこのような事業について事業者から申請が行われれば、実証を適切に実施するために必要となる措置が講じられているかどうかを確認、このウーバーの件から何かフィードバックがあればそれもその中に含まれるかもしれませんが、そういうことを確認をして、評価委員会の御意見も聞いた上で、主務大臣が計画の認定を判断することになります。  こういった手当てをしておくことによって、事業者による実証をしっかりとモニタリングすることで、非常に重要な安全性ということを確保しながら、一定の条件下において事業者が試行錯誤をするということは認めることで、規制改革につながる情報や資料を収集して、規制をより合理的かつ現代にマッチしたものに見直していくことにつなげていきたいと思っております。
  137. 中谷一馬

    中谷(一)委員 今、人の生命、財産、人権に危害を加えない、これは前提だという趣旨の御答弁をいただきました。  ぜひその方向で、しっかりこのサンドボックスの制度を組んでいただければと思っておりますが、その中で、今、評価委員会の話が少し出てまいりましたので、本日の加計学園の報道を受けて、このサンドボックスと絡めて大臣に伺っていきたいところがあるんですけれども、本日の朝日新聞の報道で、獣医師養成系大学の設置に係る内閣府藤原次長・柳瀬首相秘書官との面談結果についてという文書が公表されました。  これは、加計学園の獣医学部新設をめぐっては、早期開学は総理の御意向などとする文書が昨年五月に流出をして以来、加計孝太郎理事長と安倍晋三首相が四十年来の友人であることから、国家戦略特区を活用して学部新設を認める過程で首相官邸周辺が働きかけを行ったんじゃないかという疑惑が浮上して、行政手続がゆがめられたのではないかという指摘がされております。  その中で、これまでないと回答されていたこの加計学園が愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画について、二〇一五年四月、愛媛県や今治市の職員、学園幹部や柳瀬元首相秘書官、現経済産業審議官、藤原元内閣府地方創生推進室次長、現経済産業審議官等と面会をした際に愛媛県が作成したとされる記録文書が出てきたということは、大変驚くべきことだと思います。そして、その中の記載に、柳瀬氏の主な発言として、本件は首相案件となっており、内閣府藤原次長の公式のヒアリングを受ける形で進めていきたいと述べたということが記されております。  柳瀬氏は、昨年七月二十五日の参議院予算委員会や本日の報道機関の取材に対して、この面会について、自分の記憶の限りでは愛媛県や今治市の方にお会いしたことはないという趣旨の発言を複数回答えられておりますが、こうした記録が出てきていることや、経緯を知る愛媛県関係者からは、加計学園の誘致交渉を進める中、国への要望を行う過程でさまざまな国の関係部署に状況を説明するため配付した文書である可能性は否定できないとしており、疑惑は深まるばかりです。  このほかにも柳瀬氏は、国家戦略特区でいくか構造改革特区でいくかはテクニカルな問題であり、要望が実現するのであればどちらでもいいと思う、現在、国家戦略特区の方が勢いがあるなどと解説をし、国が指定した地域に限り規制を緩和する国家戦略特区制度をお勧めしたという記載があります。  これらの事実を踏まえたときに、政権や官邸が自分たちに近い人へ便宜を図るためにこの規制緩和制度を利用したのではないかと疑われても仕方がないかと思うんですけれども、政権に対する国民の信頼が大きく揺らいでいると指摘をせざるを得ない状況の中で、現時点で、このサンドボックスの設計は、内閣総理大臣が評価委員会を任命したり、評価委員会の勧告も内閣総理大臣を通じて行うこととなっており、これでは国民の理解が得られづらいのではないかと危惧を持ちますが、まず大臣に、これら一連の報道に関する所感を伺いたいのと、また、このサンドボックス制度への影響についてもあわせて所見を伺いたいと思います。
  138. 世耕弘成

    世耕国務大臣 一連の報道については、これは経済産業大臣としてはコメントは控えさせていただきたいというふうに思います。  今御指摘の点は、恐らく、革新的事業活動評価委員会、この委員会の例えば委員の任命を内閣総理大臣が行うようになっている、あるいは、この評価委員会による勧告が内閣総理大臣を通じて行うことになっているという点を御指摘なのかなというふうに思うわけですけれども、これは、あくまでも総理大臣というのは内閣府の長でもあるんですね。ですから、この評価委員会というのはあくまでもこれは内閣府に設置をされるわけですから、内閣総理大臣の名によって任命をされるわけでありますし、また、勧告についても、そういった仕組み上、内閣府の長としての内閣総理大臣を通じて行う。内閣総理大臣は、評価委員会の主管である内閣府の大臣として、委員会の名前で出された勧告を対象となる主務大臣に伝達をするということでありますので、これは、ほかの内閣府所管の審議会とかと同様の扱いということになります。  その上で、評価委員会審議状況については、原則として、企業の営業の秘密にかかわることは除いて、会議又は議事録を速やかに公開することによって、議事内容の透明性をしっかりと確保してまいりたいと考えております。
  139. 中谷一馬

    中谷(一)委員 今大臣からるる御説明をいただいたんですけれども、本当にその言葉の、今言ったとおりの、額面どおりのことで進んでいけば私も問題がないかと思うんですけれども、今、残念ながら、特に安倍首相に対する国民の信頼というものは私は揺らいでいるんじゃないかなと思っていて、その関係で、せっかくいい制度であったとしても、それが、実行する方に対して疑念を持たれてしまってはうまく進まないんじゃないかなということを思っています。  要するに、報道にあった、まさに本件は安倍首相案件ということは、つまり、加計学園の獣医学部新設は、国家戦略特区で議論される以前から安倍首相マターとして特別扱いを受けてきたできレースではないかというやはり疑念が持たれていることは当然だと思います。そして、この柳瀬氏個人が、仮にこの文書記載どおりに加計学園幹部らと面会をして、特別扱いする理由があるとすれば、それはやはり、首相案件で、総理の腹心の友の学校だからと疑われても仕方がないと思います。  そのほかにも、森友問題やペジーコンピューティングなど、現在問題となっている多くの事案の中で安倍政権の中枢に近い方の関与が取り沙汰されており、政権に対する国民の信頼が揺らいでいるのかなということは指摘をせざるを得ません。  こうした観点から、このサンドボックスは、総理大臣の強過ぎる関与を外して、クリーンでフェアでオープンな制度だと国民に理解を得られるように設計をし直して、一連のスキームを組みかえるべきであると思いますが、いかがでしょうか。  また、他国のサンドボックスと比較して、総理大臣がこれだけ権力を持つ制度設計がされているのか、それもあわせて教えてください。
  140. 世耕弘成

    世耕国務大臣 あくまでも、このサンドボックス制度というのは、各省に対していろいろな調整をしていかなければいけないんですね。それができる役所というのは、基本的には内閣府ということになるわけであります。  これは何か内閣総理大臣としての権限ではなくて、内閣府の長たる、内閣府の大臣たる総理としての権能として行うということになるわけですから、その点は御理解いただきたいと思いますし、先ほども申し上げましたように、審議過程をしっかり透明化をしていくことによって、どういう理由でそのサンドボックスが選ばれたのかということを、しっかりと説明責任を果たしていけるようにしてまいりたいというふうに思っております。
  141. 中谷一馬

    中谷(一)委員 この議論はこの程度でとどめておきたいと思いますが、こうした話はやはりもうちょっと深く聞いていかなければわからないと思います。  それで、柳瀬氏、藤原氏、この本人の話も聞かなければならない状況かと思いますので、サンドボックスに関連することでもありますから、委員会への参考人招致をお願いしたいと思います。
  142. 稲津久

    稲津委員長 理事会にて協議します。
  143. 中谷一馬

    中谷(一)委員 続きまして、中身の話に少し触れさせていただきたいんですけれども、規制の見直しを含めた事後の検証では、実証実験の成果を広く展開することにつなげることを想定し、事前の実証実験のデザインを行うことが必要であると考えますが、各地域での成果やリスクを統一的に比較検証できるような評価指標を設定し、定量的、定性的な評価を行える体制を整備した上で、規制の見直しのエビデンスの蓄積をしていくことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。  また、新事業実証計画から最終的に規制の見直しや法令改正に至るまで、どの程度の期間を想定しているのか、教えてください。
  144. 糟谷敏秀

    ○糟谷政府参考人 事業者が申請する実証計画は、あらゆる分野、領域の新技術等を対象としておりまして、新技術等関係規定も多岐にわたることが想定をされるわけであります。このため、特定の評価指標をあらかじめ設定して、これに基づく統一的な比較検証を、少なくとも定量的に行うことは容易ではないというふうに考えております。  こうした事情があるものですから、実証計画を主務大臣が認定するに際しまして、主務大臣の適切な判断に資するように革新的事業活動評価委員会を設置いたしまして、新技術等の社会実装によるイノベーションの経済全体への効果について、省庁横断的な見地から、専門的かつ客観的な評価を行うこととしております。  評価委員会におきましては、新技術等の属する事業分野や領域ごとに評価を行えるよう、適切な調査審議の体制を構築して、情報、資料を収集、蓄積していくことを予定しております。  御質問いただきました規制見直しのエビデンスについても、必要に応じて、蓄積する情報に含めることが考えられるわけであります。  また、規制見直しや法令改正にどの程度の期間がかかるかという御質問でございますが、この新事業実証計画の提出から最終的な規制の見直しに至るまでの期間につきましては、個別の計画に記載された実証期間がどれぐらいであるか、また、関連する規制法令の種類や性質がどんなものであるかということに応じて、さまざまであろうかというふうに考えられます。  しかしながら、規制法令が、法律であれば当然国会で御審議いただく必要がございますけれども、政省令や解釈など行政において判断できるものでございますれば、速やかに対応できるようにしていくことが望ましいというふうに考えております。
  145. 中谷一馬

    中谷(一)委員 今御答弁いただきましたとおり、私もできるだけスピーディーにこれは進めていただいた方がいいと思うんです。なので、極力簡潔に、わかりやすく、使いやすく、制度をつくっていただければいいなと思っているので、そのエビデンスの蓄積もしっかりやっていただきますように要望させていただきます。  そしてまた、実は、未来投資会議構造改革徹底推進会合の中でこうした意見が出ているんです。  技術主導型ではなく、マネタイズまでしっかりと視野に入れた課題解決型で参加者を募るべきであり、まずはユースケースをつくり、それを社会実証するために必要なシステム、法規制等のアーキテクチャーを組み立てる必要があるとおっしゃっている方がいますが、これに対しての見解を伺わせていただきたいと思います。
  146. 糟谷敏秀

    ○糟谷政府参考人 御指摘いただきましたように、単なる技術主導ではなくて、課題解決など、市場のニーズに適切に対応した社会実装が必要であるというふうに考えております。仮説を立ててスピーディーに試行錯誤を繰り返す、これによって、有効なユースケースを確立するために世界じゅうの企業がしのぎを削っているというふうに考えております。  このサンドボックスは、期間や参加者等を限定し、規制が適用されない環境のもとで新技術等の実用化に向けた社会実装を我が国でもスピーディーに行うこと、これを可能とするものであります。これによって、規制の見直しに必要な成果を早期に得て、社会実装に必要な制度やシステムを実現することを目指しております。
  147. 中谷一馬

    中谷(一)委員 今御答弁をいただいたんですけれども、サンドボックスが、単なる実証に終わらず、マネタイズに結びつけなければ事業者にとっては意味がないと思います。なので、この社会実証をするために必要なアーキテクチャーを組み立てていただくことを要望させていただきたいと思います。  続きの質問がまだるるあるんですけれども、そろそろ時間が参りましたので、私の質問はこれにて終了させていただき、また次回の委員会議論をさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  148. 稲津久

    稲津委員長 次に、松平浩一君。
  149. 松平浩一

    ○松平委員 お疲れさまです。立憲民主党の松平浩一です。どうぞよろしくお願いします。  ちょうど先週、本会議での質疑に対して、御答弁どうもありがとうございました。  ビッグデータに関する大臣の御答弁で、グローバル競争の主戦場は、海外企業が強みを持つバーチャルデータから、日本のものづくりの現場等に強みがあるリアルデータに移行しているというふうにおっしゃられておりました。  私も非常に同感でございまして、確かに、リアルデータはインターネット上を飛び交っているデータではございませんので、その意味でいうと、米国におくれをとっているわけではないというふうに私は思っております。  それで、一つここでリアルデータの活用の例というものを御紹介させていただきたいんですが、AIによる介護システムを提供するCDIという会社がございまして、介護事業では、要介護認定のために七十四項目もの詳細な体の状態を検査を行っている、それで、その膨大なデータがあるんです。これをCDIの創業者がスタンフォード大学の博士に話したところ、米国にはそのようなデータはない、これはイノベーションが起きるぞというふうに大変に驚かれたそうです。  日本には、こういった日々の仕事の中でため込んできたデータというものが探せば結構あるというふうに思うんです。CDIさんは、このリアルデータを使って、AIを使って、よい介護プランの作成をしているということなんですけれども、これがリアルデータの非常にいい活用事例というふうに言えると思います。  今回の法案、リアルデータの活用という観点から、データ共有を行う民間事業者を支援する制度というものを整えようとされていると理解しております。大臣、こちらは具体的にどのような支援なんでしょうか。教えてください。
  150. 世耕弘成

    世耕国務大臣 まさに日本は、現場に蓄積したリアルデータが強みだというふうに思っています。それは、製造業とかサービス産業だけではなくて、それこそ介護、医療といった現場にも、そういったデータ、国民皆保険制度のもとで貴重なデータが存在をしている。まさに、これから第四次産業革命の中で、日本の勝ち筋はこれら現場に蓄積をされているリアルデータの活用だというふうに思っています。  我々は、コネクテッド・インダストリーズという旗を掲げまして、自動走行・モビリティーサービス、あるいはものづくり・ロボティクスといった重点五分野を設定をして、官民の取組の加速化を図っているところであります。  具体的には、企業間で、まず、何でもかんでも競争するんじゃなくて、データは共有しましょうというような協調領域を特定をして、データの共有、共用を促進をする。そのために、生産性向上特別措置法案において、革新的データ産業活用に対する支援策を講じるということにさせていただいております。  まず、資金面の支援として、企業の内外におけるデータ連携に必要なセンサー、ロボット等の投資に対する減税措置に加えて、中小企業基盤整備機構による債務保証などの金融上の支援も講じたいと思っております。  また、データ収集面の支援として、協調領域におけるデータの共有を行う事業者について、一定のセキュリティーを確認した上で、公的データの提供を国や独法などに対して直接請求できる制度も創設をいたします。  さらに、こうした生産性向上特別措置法案による措置に加えて、平成二十九年度補正予算を活用して、重点分野を中心にデータ連携を実現するためのフィージビリティースタディーですとかシステムの構築を支援して、データ連携の具体的な事例創出を後押ししてまいりたいと考えております。
  151. 松平浩一

    ○松平委員 どうもありがとうございます。  協調領域においてデータの共有を進めていく、そういう御趣旨でさまざまな支援を御紹介いただきましたけれども、一つ、公的データの提供をしていくというところで、その制度について詳細に教えていただきたいなというふうに思っております。  国が持つ貴重なデータについて、有効活用しなければもったいない、国が持つデータで競争力強化、イノベーションを生み出そうというコンセプトは非常にわかります。ただ、一方で、ちょっと懸念も指摘されるところではあると思います。  例えば、非常に革新的な領域でのビッグデータを収集して他の企業に売る、そういうビジネスモデル企業があったとしまして、ただ、もしかしたら、その領域で同等のデータというのは、国も、国家として保有しているかもしれない。そうなったときに、ただ同然の価格で国にデータ提供を要請することができるというふうになると、その会社ビジネスモデルというのがちょっと不安定になってしまうのかなというふうに思ったりもします。  あるいは、ある会社が新規事業を行うということに当たって、データの収集が必要です、それで、その新規事業のためにデータを収集するために何億円も投資しようとした、しかし、そのときに、この制度の創設を聞くと、投資することにちゅうちょしてしまうかもしれない。投資がとまったらデータの収集がおくれてしまいますので、結局、ビジネスも進まないことになります。  それで、この制度においてどの程度のデータがどこまで公開されて、どこまでもらうことができるのか、どういうふうに利用できるのかというところ、これがはっきりしないと、投資しようとしている事業者もどうしていいかわからなくなってしまうというふうに思うんです。  そこで、今回の制度について詳細をお聞きしたいんですが、まず、国に対してデータを請求できる主体というのは誰なんでしょうか。
  152. 寺澤達也

    ○寺澤政府参考人 お答えします。  今御質問がありましたデータ提供要請制度を利用できる、活用できる事業者について、法律上、何か特定の事業者、類型に限定するわけではございません。  他方で、データ協調領域においてデータ共有を進めるという事業の性格上、典型的には、共同出資会社あるいは業界団体が主体的に役割を担うということは想定されるわけでございます。  続きまして、法律上の要件について少し説明いたします。  データ提供要請制度を活用するために、まず計画認定を受ける必要がございます。このためには、その事業が革新的データ産業活用指針に照らし適切なものであること、そして、その事業が円滑かつ確実に実施されると見込まれるもの、これが必要となるわけでございます。加えて、政府とか独立行政法人の持っているデータの提供を受ける事業者というのは、高いレベルのセキュリティーが必要になってくるものですから、独立行政法人情報処理推進機構、これはIPAと言われていますけれども、による調査を経た上で、高いレベルのセキュリティー対策がなされていることの確認を受ける必要がございます。  こうした認定と確認を受けた事業者が、このデータ提供要請制度の活用が可能になるということでございます。
  153. 松平浩一

    ○松平委員 どうもありがとうございます。  では、提供を受けることができるデータというのはどういったデータなんでしょうか。
  154. 寺澤達也

    ○寺澤政府参考人 お答えします。  オープンデータ化を進めるという観点でやっているものですから、データ提供の対象については、基本的には幅広く提供するということを前提にしながらも、法律上、一定の要件を課しています。  具体的には、三つの要件を満たす必要がございます。  第一には、当該データの収集がその事業の効果的かつ効率的な実施に不可欠なものであると認められること、第二に、当該データの提供が、他の法令に違反し、又は違反するおそれがないものであること、第三に、公益を害し、又はデータ保有機関の所掌事務若しくは事業の遂行に支障を及ぼすおそれがないものであると認められた場合、この三つの条件、要件を満たした場合に、その範囲のデータが提供の対象になるわけでございます。  したがって、例えば、個人情報の中でも、行政機関個人情報保護法が求める本人同意などの手続がなされていないデータ、これは対象外でございますし、あるいは、公にすることにより国の安全が脅かされる懸念があるようなデータ、これも対象外となるわけでございます。
  155. 松平浩一

    ○松平委員 どうもありがとうございます。  それでは、今おっしゃっていただいたデータを国から取得するに際して、お金はかかるんでしょうか。もし有償だとしたら、大体金額は幾らぐらいなんでしょうか。  また、取得したデータについて、例えば第三者に販売してもいいのかどうか、第三者に使わせてライセンス料ですとかレベシェアを取ってもいいのかどうか。こういった部分に関していかがでしょうか。
  156. 寺澤達也

    ○寺澤政府参考人 お答えします。  まず、政府で推進しているオープンデータ政策において、データ提供における有償、無償のあり方については、CIO連絡会議決定というところで指針が示されていて、その中では、国民など一般に対して提供する情報については、原則として無料提供を行い、受益者が限られ、相当の費用を要する場合については、その情報提供に係る実費を負担させることというふうにされているわけでございます。  この指針を踏まえた上で、今回新たに設けますデータ提供要請制度においても、受益者が限られ、相当の費用を要する場合には、実費の範囲内で必要な手数料を徴収するものとしつつ、国民など一般に対して提供する情報については、無償を含めて減免を行うことができるという制度としております。  今後、施行に向けて、その詳細については、鋭意具体化をしていきたいというふうに考えています。  また、委員の方から、データの単なる横流しということについての御質問があったと思います。  このデータ提供要請制度ということの利用のためには、まず、革新的データ産業活用計画の認定を受けることが必要になってくるわけでございまして、その計画認定に当たっては、データを革新的な技術又は手法を用いて収集し、産業活動において活用するものであって、生産性向上につながるものであることが必要になってくるということでございますので、単に右から左に公的データを得て横流しをする、そうした事業はこの制度の対象外になると考えているところでございます。
  157. 松平浩一

    ○松平委員 どうもありがとうございます。  今おっしゃっていただいたところ、本当にはっきり明確にならないと、この制度を使うのか、それともデータを民間自分で収集するために多額の投資をするのか、どうすればいいのかわからなくなるので今回お聞きさせていただきました。基本的にオープンデータ化していくという方向ということで理解させていただきました。  次に進めさせていただきますが、データ連携、データ共有という点で更に御質問させていただきます。  私は、ちょっと前まで、上場しているとあるチェーンストア企業の役員をやっていたんですけれども、そのときの話なんですが、その会社が他の会社経営統合することになったんです。それで、その経営統合の際に一番苦労したのは何かというと、まさにシステム統合とデータの共有というところでした。  どういったセグメントで、どういったものがいつ売れて、購入者の層はどういった方々なのか、そういうデータ取得の細かい設定であるとか、分類項目、その反映の仕方というものまで、同じ業界なのにやり方が全然違ったんですね。  統合の際には、もちろんデューデリジェンスを行って、会計面であるとか法的なリスク評価をしたんですけれども、こういったリスク評価で余り出てこなかったシステム統合とデータ共有の部分で、結構な労力と時間とお金がかかってしまいまして、苦労した覚えがあります。  今、各事業者がデータを共有や連携をしてという話をしておりますけれども、このデータ共有が現実的にスムーズになるようにするためには、日ごろのデータの規格化であるとか標準化というものが必要だと思うんです。そうしないと、その会社自身しか使えないクローズドなデータで終わってしまって、先ほどの私の例ではないんですが、データを共有して、いざ利活用しようとしても、かなりの労力と時間がかかってしまうということになってしまいます。  その意味で、データ間の相互運用の確保というのが非常に大事な点だと思うんですけれども、この部分を進めようと思っても、なかなか民間だけではうまく進まないというところもありますので、やはり国がリーダーシップをとって進めていってもいいのではないかというふうに思うんですけれども、大臣、この点いかがでございましょうか。
  158. 世耕弘成

    世耕国務大臣 御指摘のように、異なる企業間のデータ連携を進めるためには、やはりデータのフォーマットを整えるということが非常に重要になる。これがまさに、企業が協調していけるかどうかがかかっているところだと思います。自社の過去のやり方にこだわらずに、お互い譲り合って、一つの共通のデータの標準化というのができるかどうか、これは非常に重要だと思っています。  また、日本がしっかりリードをしていくんですが、日本だけがガラパゴスになってはいけませんので、このデータの標準化を進める上では、国際的な連携というのもしっかり視野に入れていかなければいけないというふうに思います。  今既に、具体的に幾つかの分野で取組を始めております。例えば、ものづくり・ロボティクスの分野においては、工場の内外における製造プロセスに伴って出てくるデータ、これの記述ルールの標準化を今国内で実証するとともに、また、ドイツの標準化の専門家との会合も継続的に実施しています。これは、ドイツはEUにいるということもありまして、非常に標準化に関しては強みを持っておりますから、ドイツとよく連携をしていきたいと思っています。  もう一つの分野は、プラント・インフラ分野であります。インフラ保安の分野でありますけれども、プラントの異常検知ですとか、あるいは腐食度合いの解析の予測モデル、これの実証を進めておりまして、この結果を踏まえて、データの記述ルールの標準化を検討していきたいというふうに思っております。  また、民間団体においても、分野横断的なデータの標準化を検討する動きも出てきていると聞いておりまして、こうした動きとも連携をしながら、経産省としても、この分野横断的な産業データの連携も視野に入れて、平成二十九年度補正予算において産業データの標準化の調査検討を支援をしていきたいと思いますし、経産省としてはやはり、協調領域としてデータの標準化が重要なんだというメッセージは、いろいろな場面でしっかりと業界団体等に出していきたいというふうに思っております。
  159. 松平浩一

    ○松平委員 どうもありがとうございます。  やはり、メッセージを出して、その機運を業界として高めていくというのは、非常にマインドを変える意味でも大切なことだと思いますので、ぜひ積極的にお願いしたいと思います。  次に、規制のサンドボックスについてお伺いしたいと思います。  本会議大臣の御答弁で、今回の規制のサンドボックスについて、規制対象となる通常の事業でない、実証であると整理をし、既存の規制の適用を受けることなく、社会実証をスピーディーに行うことを可能とするものというふうにおっしゃっておられます。  ここのところをちょっと再度御確認させていただきたいんですけれども、お配りした資料一に参照条文を載せていますけれども、生産性向上特別措置法の第十一条の四項のところ、三つ目のところに書いてありますけれども、「新技術等実証計画が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をする」というふうに書かれています。そして三号で、次の適合するもののうちの三号なんですが、「この法律及びこの法律に基づく命令並びに前項第六号に掲げる新技術等関係規定に違反するものでないこと。」というふうに記載されております。  それで、この「前項第六号に掲げる新技術等関係規定」というのは、これは、平たく言うと、その新技術に関しての命令、法律、告示を指すことになります。つまり、新技術について、命令や告示に違反しないということで初めて計画認定が受けられるということになるんです。  ここで質問なんですが、そもそもですけれども、新技術が現行の規制に違反しないというのであれば、計画認定を受けなくても実証実験できるということでよろしいですよね。
  160. 中石斉孝

    ○中石政府参考人 お答えします。  現行の規制に違反していないことが明らかなものにつきましては、新事業等実証計画の認定を受けずに事業者がみずから実証を行うことは可能と思っています。  ただ、今回、この制度をつくるに当たりましていろいろな方のお声を聞きましたところ、やはり、何が規制の対象外なのかの整理が不明確ということもありますし、また、先ほど午前中の参考人質疑にもちょっとありましたが、専門家の方の御意見も聞きながらやっていきたいという声もありました。さらには、各省の担当官の判断が後で変わることもあったりするというようなお声もありまして、今回、その計画の認定を受けることによって、例えば法文十二条では、認定証を交付しまして、ちゃんと主務大臣としては、これは規制に当たりませんよということも公にわかるように交付をするということも可能であります。  それ以外にもさまざま中小企業関係の支援措置もつけておりますので、全体として支援をしていきたいということで考えています。
  161. 松平浩一

    ○松平委員 どうもありがとうございます。  認定証を交付されるとかなり明確になるので、いいと思いますね。  ここで、この法案の九条と十条の関係というのがちょっといまいちわかりにくいんです、確認させていただきたいんですが、十条は、事業者が、自分の新技術が規制に反するかどうかの確認を求めることができるというふうにされています。  そこで、十条で規制の適用の確認を求めて、仮に規制に違反しないという回答になった場合、その事業者は、今度は、九条にある新たな規制の特例措置の整備というものを求めなくても実証実験に行ってもいいということでよろしいんですよね。こちらもちょっと確認させてください。
  162. 中石斉孝

    ○中石政府参考人 お答えします。  法案第十条に規定します規定の解釈及び規定の適用の有無の確認手続によって、事業者が実施しようとする新技術等実証について、当該実証に係る規制の適用がないと確認された場合には、当然ながら、九条の規制の特例措置の求めを行う必要はありません。  実は三段階ありまして、全く規制に関係ないもの、それから規制に関係するかよくわからないもので確認をするもの、規制にかかわるのでこの特例措置を行う、こういう三段階があるというふうに御理解ください。
  163. 松平浩一

    ○松平委員 ありがとうございます。  それでは、三段階あるということなんですけれども、じゃ、十条に基づいて規制の適用の確認を求めて、仮に回答が、新技術が規制に違反するとなった場合についてちょっと質問をします。  これは論理的に考えると、ある技術が規制に違反しますとなると、特例を適用して違反しない状態にして、それで初めて命令や告示に違反するものでないことという状態になるというふうに思うんですね。それが自然だと思うんです。  しかし、条文を見てみると、特例が適用されるのは計画が認定された後になっているんです。これは十五条を見ていただけば、そういうふうになっているんですけれども。認定は、計画が認定されるのは、命令や告示に違反するものでないことが条件になっているんです。  つまり、普通に考えると、命令や告示に違反しないようにするために特例を適用するのにもかかわらず、特例が適用されるのは命令や告示に違反しないことが確認された後なんですよね。  この法文のたてつけというのが果たして論理的に大丈夫なのか、トートロジーになっているのではないのかというふうな疑問が非常に強くありまして、その部分、確認させていただければと思います。
  164. 中石斉孝

    ○中石政府参考人 お答えします。  まず、十五条の解釈でありますが、これは確認規定でありまして、政令で定められたものについての特例としては政令だ、省令のは省令だということの関係を改めて確認していることでございます。  実際、全体としてこの制度は、新しい実証計画をやろうとする際に、その実証計画をやろうとしたらそれについて規制がある、したがって、その実証試験ができないために永遠に、データもとれない、実績も上げられないということで、何もスタートができないというものについて限定をすることで実証を始めていこう、そういう趣旨で始めたものでありまして、そして、その中では、特例措置を講ずるというのが今回の求めでありますけれども、これは、特例の措置を求めまして、主務大臣の方でそれをお認めいただいて、お認めいただければそれを計画に盛り込んで、計画に盛り込んだものを全体としては認定してもらうことで使えますよ、そういうことを意味しているものでありまして、ここはトートロジーといいますか、手続をちょっと順番に書いているのが、やや法文でばらばらということで御理解いただければと思います。
  165. 松平浩一

    ○松平委員 どうもありがとうございます。  盛り込んだ計画において、だから、それを盛り込んだことを踏まえて命令や告示に違反しないということが確認される、それで認定が出せるということでよろしいですよね。重要な部分なので、ちょっと確認だけさせてください。
  166. 中石斉孝

    ○中石政府参考人 お答えします。  特例措置というのは実証のための特例措置でありますので、その実証とは何かというと、計画に書くことです。計画に書くことによって初めてその実証の特例措置が使えるということになります。  よろしいでしょうか。
  167. 松平浩一

    ○松平委員 どうもありがとうございます。  ちょっといまいち、やはりわかりにくい部分はなくはないんですけれども、この規定の仕方ですね、いろいろな規定の仕方があると思いますので、今おっしゃられたことを踏まえると、命令や告示にあくまでも違反しないということで解釈されるのであれば、そういうふうに明言されるのであれば、私としてはそれで了解でございます。  私としては、ただやはり、このスキーム自体、もうちょっとシンプルにできるんじゃないのかなと思って、資料二を実は用意したんですけれども、ちょっと時間が来てしまいましたので、また次の質問で続きをやらせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  168. 稲津久

    稲津委員長 次に、菊田真紀子君。
  169. 菊田真紀子

    ○菊田委員 無所属の会の菊田真紀子です。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、この法案審議に入る前に、確認をしておかなければならないことがございます。  委員の皆様のお手元にも、委員長の御地元でありますけれども、北海道新聞の記事を配らせていただきました。  北海道のニセコ高校でエネルギー問題に関する講演が行われましたが、北海道大学大学院の助教授が原子力発電所の短所を指摘しようとした部分について、経産省北海道経済産業局の幹部が事前に講演資料を入手し、助教授に変更を求めていたと報道されていますが、まず事実関係を、経産省、お答えください。
  170. 保坂伸

    ○保坂政府参考人 お答え申し上げます。  資源エネルギー庁では、小中高校生を対象に、多様なエネルギー源のメリットやデメリットなど、エネルギーに関する課題や解決策を学び、考えることに取り組む意欲的な学校を支援する委託事業として、エネルギー教育モデル事業を平成二十六年度以降実施してございます。  この事業は、エネルギーの課題について国が設定した上で、興味、関心のある学校に自主的な判断で御応募いただき、外部有識者による第三者委員会においてモデル校が選定される仕組みとなってございます。  委員御指摘の本事案でございますけれども、モデル校に選定されたニセコ高校が本事業の一環として講演会を行うに当たりまして、北海道経済産業局の職員が、エネルギー教育に関心の高いニセコ町やニセコ高校に対して従来から本事業についての情報提供などを行っていたことから、昨年十月十六日に開催される講演会の話をお伺いし、講演会に先立って、十月十二日にニセコ高校から講演資料を事前に入手いたしまして、同日の十月十二日に講師を務められる方を直接訪問し、エネルギー源のメリット、デメリットを公平に伝える観点から、原子力に関する論点について指摘を行ったと聞いているところでございます。
  171. 菊田真紀子

    ○菊田委員 ほかの高校に対してもこういう講演をやる前にこのような介入とも言える事前の確認というのをやっているのかどうか、確認いたします。
  172. 保坂伸

    ○保坂政府参考人 お答え申し上げます。  本件のほか、北海道経済産業局の職員が講演資料を事前に確認した事案が一件ございましたけれども、資料の修正依頼は行ってございません。ニセコ高校の件についてのみ、北海道経済産業局の職員の依頼を踏まえ講演者が資料を修正しているところでございます。  これら以外につきましては、エネルギー教育モデル事業が始まった平成二十六年度から平成二十九年度におきまして、資料の事前確認や修正が行われた案件は承知してございません。
  173. 菊田真紀子

    ○菊田委員 これは、国民が幅広い意見を聞いて、そして原子力発電への理解を深めるという場を私は奪うものだというふうに思います。甚だ問題があります。  そこで、確認をさせていただきたいんですが、きのうのレクで、資源エネルギー庁の担当者に、このエネルギー教育モデル事業にあった応募の数、先ほどの御説明だと平成二十九年度では合計三十一校採択されているんですね。小学校九校、中学校十二校、高校十校、ここにニセコ高校が含まれているんですけれども、応募はどれくらいの数があったのか、幾ら質問して聞いても、今現在に至るまで、確認します、確認中ですということでお答えいただけないんです。仕方がないのでこの場で聞かせていただきたいんですが、何校ありましたか。
  174. 保坂伸

    ○保坂政府参考人 お答え申し上げます。  御依頼の御返答が遅くて恐縮でございますが、平成二十九年度につきましては、申請が、小学校で十一校、中学校で十四校、高等学校十三校、合計三十八校でございます。
  175. 菊田真紀子

    ○菊田委員 合計三十八校が応募してきて三十一校が採択をされた、こういうことですね。  何でこんなことがすぐ答えられないんですか、二日もかかるんですか。
  176. 保坂伸

    ○保坂政府参考人 申しわけございません。  件数のチェックに時間がかかりましてこういうことになりました。大変申しわけございません。
  177. 菊田真紀子

    ○菊田委員 とても簡単な数字ですよ、これ。だから、何かやましいことがあるんじゃないかと思っちゃうわけですよね。  例えば、実際には自分から応募してくるような学校がほとんどなくて、経済局などが学校に出向いたり、お願いしたり、働きかけたりして応募してもらっているということはありませんか。
  178. 保坂伸

    ○保坂政府参考人 本事業につきまして、地方局、地方支分部局を通じて周知徹底をしているところでございます。
  179. 菊田真紀子

    ○菊田委員 いやいや、答えていない。私の質問に答えて。
  180. 保坂伸

    ○保坂政府参考人 本件のプロジェクトを進めるに当たりまして、広く周知をするために、本事業をいろいろな学校等に周知をして広報しているということは事実でございます。
  181. 菊田真紀子

    ○菊田委員 だから、学校に直接、どうですか、こういう事業があるんですがいかがですかと個別に当たっているケースがあるかどうか聞いているんですよ。
  182. 保坂伸

    ○保坂政府参考人 済みません、現時点で、私ども、直接やっているかどうか認識はしていませんが、少なくともこのニセコについては、ニセコ高校が従来からこういう案件について、エネルギー教育等について関心が高かったために、北海道局が周知をした可能性はございます。
  183. 菊田真紀子

    ○菊田委員 全国で応募した学校が三十八校、そのうち三十一校が採択された。全体を見ると、そんなに多くの学校が手を挙げているわけじゃないですよね。でも、意欲を持って、これ勉強しよう、エネルギー政策について学ぼうとせっかく手を挙げてくれた学校の一校がニセコ高校だったということですけれども。  私、この事案を聞いたときに、文科省による、前川前事務次官が名古屋市教育委員会からの依頼で講演したとき、これもいろいろあったわけです。いわば不当介入、行政による教育現場への不当介入ではないかということで批判が噴出したし、私はこれはあってはならないことだというふうに思っておりますけれども、そのことを思い出しました。経産省もこんなことやっているのかな、とりわけこの原子力政策、国民に広く理解を求めていかなければならない、そういう場で、学校現場でそんなことやっているのかしらと本当にびっくりしました。  大臣は、このことに関してどんなふうな認識をお持ちでしょうか。そして、二度とこういうことが生じないように、地方の経済産業局を含めて指示を徹底していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  184. 世耕弘成

    世耕国務大臣 事実関係は先ほどから説明があるとおりでありますけれども、今回は委託事業になるわけですね、それが学校の授業のカリキュラムの中で行われていたということになるわけであります。  ですから、委託事業の内容に経産省が一定の責任を持つという必要はあるんだろうとは思いますけれども、一方で、今回の事案は、北海道経済産業局の職員が講師の方を直接訪問して、しかも、原子力の論点だけ取り上げて言及をしたということは、これは誤解や懸念を招きかねない行為であったというふうに考えておりまして、この点は大変遺憾であり、慎重さを欠いていたことを真摯に反省をしなければいけないというふうに思います。  これは、国のお金を出して、一種広報活動を、今回の場合は、はっきり言うと、学校の単位が取れるカリキュラムの中であったわけです。まさに、授業そのものに足を踏み入れたらこれは完全な介入になってしまうわけですけれども、ちょっと今回、この広報活動のやり方として、少し誤解を招きかねないようなところが本質的にこの事業にあったのではないかというふうに私は考えておりまして、こうした誤解や懸念を今後生じさせないようにするために、今回の事案の対象でありますエネルギー教育モデル事業については、今後新規募集は行わないで、来年度以降は事業全体を廃止したいと思っています。三十年度は、既にもう公募をして、学校側のカリキュラムに組み込まれている分がありますので、これは慎重にも慎重を期した上で実施をしていきたいと思います。  ただ一方で、エネルギー教育を担っていただく先生方を支援することは引き続き重要でありますので、例えばエネ庁のホームページ上で、学生向けのわかりやすいエネルギー教育のコンテンツを充実させるとか、あるいはエネルギー教育に意欲的に取り組まれる教員や教育関係者の方へ教育コンテンツの情報提供などの取組はしっかりと進めてまいりたいと思っております。
  185. 菊田真紀子

    ○菊田委員 委託事業なのに経産省の北海道経済産業局の幹部が、学校ではなくて、講師のところまで行って言うというのは明らかにやり過ぎだし、私は、これは不当な行政による教育への介入だということを指摘させていただきたいというふうに思います。  それでは、こればかりやっているわけにいかないので、法案について質問していきたいと思いますけれども、産業競争力強化法改正案の中で、情報の漏えい防止の措置に係る認証を行う機関の認定制度の創設が盛り込まれています。まず、この制度の概要及びなぜ必要なのか、経産省に伺います。
  186. 多田明弘

    ○多田政府参考人 お答え申し上げます。  御案内のとおり、昨今、サイバーはもとより、紙やUSBなどの情報媒体を通じまして、さらには人を介しまして、企業にとって競争力の源泉の一つであります技術等の情報が社外に流出してしまうといった事態が散見されます。  こうした中で、技術等の情報を適切に管理することの重要性が高まっているところでございます。特に、共同研究などのオープンイノベーションに取り組む際には、自社内の管理はもとより、相手方におきまして技術等の情報について適切な情報管理が行われているか、こういった点をしっかりと確認できなければ安心できないといった声も聞かれるわけでございます。  こうした状況を踏まえまして、今般御提案をさせていただいております認証制度は、希望する企業に、みずからが一定の基準を満たす方法、体制によって情報管理を行っていることを明らかにするその一つの手段として、第三者機関によります認証を受ける、こういった仕組みを用意しよう、こう考えたものでございます。これによりまして、企業における適切な情報管理につきましての外部からの予見可能性が高まって、結果としてオープンイノベーションが進み、日本産業競争力の強化につながるものと考えております。  具体的な仕組み、ちょっと細かくなりますので割愛いたしますけれども、まずは認証を行う第三者機関の質を確保する、これが重要でございますので、認証を行う機関が主務大臣の認定を受けることができる、こういう仕組みを設ける。そして、認定基準などにつきましては大臣が指針として定める。そして、認定を受けた認証機関が個別の認証を行う際の基準につきましても主務大臣が定める、このような仕組み等としているところでございます。
  187. 菊田真紀子

    ○菊田委員 中央省庁の職員のものと見られるものが含まれるメールアドレスとパスワードが流出しました。内閣サイバーセキュリティセンター、通称NISCは件数を公表していませんが、報道によれば、延べ約二千人のメールアドレスが外部に流出し、NISCは各府省庁に対して注意喚起を実施したと伺っています。事案の概要と対応策をNISCに伺います。
  188. 三角育生

    ○三角政府参考人 お答えいたします。  インターネットサイトにアカウント情報として登録されたメールアドレスと当該サイトで用いられるパスワードが漏えいしていること、その中には政府機関の職員のものと見られるものが含まれていることにつきましては、政府機関以外の組織が運営するインターネットサイトからこれらの情報が流出したものと認識しております。  本件は政府機関の情報システムがサイバー攻撃を受けたものではございませんが、平素から、流出した情報が極力悪用されることがないよう、対策を講じることが重要と考えております。  具体的には、政府機関における情報セキュリティー対策を定めた統一基準におきまして、政府機関の内部と外部のシステムにおいて共通のパスワードを使用すること、それから、政府機関の業務のために使用しているメールアドレスやパスワードを私的に利用することについて禁止しているところでございます。  NISCにおきましては、把握した情報や分析結果をもとに、適宜、各府省庁や独立行政法人に対して注意喚起を行ってきているところでございますが、今般改めて注意喚起を行ったところでございます。政府として、引き続き必要な対策を行ってまいりたいと存じます。
  189. 菊田真紀子

    ○菊田委員 流出したメールアドレスの中には、経産省のものもあったと伺っています。  まず、経産大臣として、この事案に対してどのように受けとめているのか伺います。あわせて、経産省における情報管理のこれまでの取組と、今回の事案を踏まえた対応策について伺います。
  190. 世耕弘成

    世耕国務大臣 セキュリティーの観点から、個別の事案の詳細をお答えすることは控えさせていただきたいと思いますが、今回の事案についても、NISC等と連携をしながら、状況を確認し、適切に対応をとっております。  この件にかかわらず、当然、これは経産省だけではありませんが、霞が関の人は、名刺交換などで自分のメールアドレスを不特定多数の外部の方々に事実上公開しているということになるわけであります。そのため、経産省のシステムは、メールアドレスの情報だけではシステムの中に侵入をしたり、情報漏えいにつながることのない設計にしております。  また、今、NISCからも答弁があったように、従来から、政府統一基準に基づいて、当省の規定においても、業務用のアドレスを私的に利用することを禁止するということ、また、業務用のパスワードを私的に利用することを禁止するということをしておりまして、研修などを通じて周知徹底を図っているところでございます。
  191. 菊田真紀子

    ○菊田委員 経産省が所管する独立行政法人産業技術総合研究所において、業務システムに、二月、不正アクセスがあり、三月二十九日まで一カ月以上も外部へのインターネット接続ができないという状態になっていました。  事実関係をお答えください。
  192. 佐藤文一

    佐藤政府参考人 お答えいたします。  二月の六日、産総研の情報システムを担当する職員がシステムのアクセスログの分析中に、不正と考えられる外部からのアクセスがあったことを発見いたしました。  その後、被害拡大防止及びシステムの点検などのために業務システムやインターネット接続を一時停止させるといった措置を講じ、関係機関の協力も得て対応を進めてきたところでございます。  これまで、業務システムは安全性を確保して既に大半を稼働させ、インターネット接続も監視機能の強化等を図り、先月末に再開をさせていると聞いているところでございます。  なお、被害の全容や攻撃元については現在解析中でありまして、知的財産に関する情報や個人情報の流出の可能性なども含め、確認を進めておりますが、現時点では、重要な研究情報の流出は確認されていないとの報告を受けてございます。
  193. 菊田真紀子

    ○菊田委員 産業技術総合研究所は経産省のまさにお膝元の組織であり、ホームページを見ますと、我が国最大級の公的研究機関として、ナショナルイノベーションシステムの中核的、先駆的な立場で研究開発を行っておりますとあります。  その産総研がこのていたらくで、情報漏えいの認証を受けてほしいと経産省から各企業に胸を張ってお願いできるんでしょうか。そもそも、産総研やメールアドレスが流出した経産省を含めた中央省庁が、情報漏えいについて認証を受けられない水準なのではないかと私は心配していますが、大臣として、この産総研の事案への所感と、改善すべき点があるとお考えか、お答えいただきたいと思います。
  194. 世耕弘成

    世耕国務大臣 重要な研究情報の流出は今のところ確認をされていないということでありますけれども、いずれにせよ、今回、産総研においてこのような事案が起こったということはまことに遺憾であります。  現在、NISC等の関係機関と緊密な連携をとりながら、産総研において徹底的な原因究明を行っているところであります。  また、外部有識者を交えた調査も進めているという報告を受けておりまして、可能な限り早急に、できれば五月末を目標にして、その結果の報告を受けたいと思います。  今後、再発防止に努めるとともに、今回の事案を通して得られた産総研の知見を他の機関ともしっかり共有していきたいと考えております。
  195. 菊田真紀子

    ○菊田委員 これはNISCの方にもぜひお願いしたいと思いますけれども、一カ月以上も外部との接続を遮断せざるを得なかったということですから、なぜこんなに長期間にわたってこれほどの事態になっているのか、しっかりと原因を解明していただいて、また国会にも御報告をいただきたいというふうに思います。  時間は大丈夫かしら。終わり。  ということで、質問時間が参りましたので、またあす質問をさせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  196. 稲津久

    稲津委員長 次に、田嶋要君。
  197. 田嶋要

    ○田嶋委員 田嶋要でございます。  きょうは、午前中、参考人、そして午後は法案質疑ということでございますけれども、大変残念なことがいろいろ続くということをどうしても言わざるを得ません。  先週金曜日、ニセコの問題が表に出て、きょうは朝日新聞で一面にぼんと出ました。  経済産業省というのは、いつも不要論とか解体論がよくあるわけでございまして、文部科学省と同じぐらいよく言われるんじゃないかなと思うんですが、そう言われるからこそ、常に緊張感を持って、ほかでは出せない付加価値をつけるために世界じゅうを飛び回っていただいている。そういう意味では貴重な、先ほどもお話がありました、富を分配するのではなくて富を拡大するための唯一の役所であると。白洲次郎さんが創設に力を尽くされたということであるようですが、にもかかわらず、先週の金曜日から起きていることは、非常に残念であります。  きょうは政府参考人ということでお願いをしてみたわけでございますが、残念ながら柳瀬さんは来られないということでございますし、大臣の立場からは御答弁ができないことも多かろうと思いますが、一つお尋ねをしたいと思います。  もう既に柳瀬さんは記者会見もされたそうでございますけれども、よくある枕言葉でございますが、自分の記憶の限りでは愛媛の方とは会っていないと。必ずこういう、自分の記憶の限りではという言葉がつくわけでございますが、この枕言葉をつけると、事実に関してあったかなかったかを言っているんじゃなくて、あくまで自分の主観を言っているにすぎない、だから、もし後から、実は会っていたという事実が判明しても、うそを言ったことにはならないという逃げ方ができるわけですね。  だから、私は、この自分の記憶の限りではというのは、非常に常套手段であり、非常にひきょうな言いようじゃないかなというふうに思うわけです。  そこで、大臣にお尋ねするんですが、世耕大臣も官邸に大分おられたわけで、私がよくわからないのは、首相秘書官のような重要ポストにおられる方が外部の方と面会をされる、それもわざわざ愛媛県から東京に来てお会いになっているようでございますけれども、記憶に頼らないと記録が残っていないというのは非常に不思議な感じがするんですね。  自分の記憶の限りでは会っていませんということなんですが、どうなんですか。総理はもちろんですけれども、世耕大臣の御経験から、秘書官であっても、どなたと面会したかということを、記憶に頼るのではなくて、きちんと記録が残っているのではないのかなと私は想像するんですが、おわかりになる範囲で世耕大臣に御答弁いただきたいと思います。
  198. 世耕弘成

    世耕国務大臣 官邸のその手の管理がどうなっているかというのは、ちょっと残念ながら、私も官邸の事務の方をやっていたわけではありませんので、私自身、わかりかねるところでございます。
  199. 田嶋要

    ○田嶋委員 これは本当に国家の中枢の中枢でありますが、総理が誰と面会しているかは当然全て把握されていなきゃいけませんが、総理を支える秘書官が公式にお会いしているいないがその人の記憶に頼らなきゃいけないなんという日本の危機管理、私はおかしいと思いますよ。どう思います、それ。  事務方をやったことがないからわかりませんという、それはちょっと、世耕大臣は官邸が長いですよね。官邸の常識として、そんなことは考えられないと思うんです、私は。一般人じゃないですよ。数少ない、日本の中でも数少ない、首相御本人を支えている秘書官が誰と会っているかがその人の記憶に頼らなきゃいけない、その人が覚えていないと言ったらもうどうしようもない、確認しようがない、そんなことあるわけないと思いますよ。  世耕さん、わかっているんでしょう。お答えください。
  200. 世耕弘成

    世耕国務大臣 いや、本当に、その秘書官の面会した人の記録がどうなっているかというのは、私は全くわかりません。
  201. 田嶋要

    ○田嶋委員 まあ、ここから先は平行線でしょうから、証人喚問も要求しているようでございますので、引き続き真相究明をしていきたいというふうに思います。  それで、きのう、少し私の部屋に自動車関係の方に来ていただきましたけれども、きょうは質問通告なしで大臣にもお尋ねをしたいと思います。きょういらっしゃいますか、その方々。来ていらっしゃいませんか。  大臣、答えられる範囲でお答えください。  きょうも、国会、本会議で温暖化の話がありましたけれども、自動車産業、これから激動ですね。そういう中で、今までのエンジン自動車、これがハイブリッドとか電気自動車になっていくわけですけれども、エンジン自動車よりもハイブリッドや電気自動車というのは環境に優しい、こういうことは言えないんですか、言えるんですか。
  202. 世耕弘成

    世耕国務大臣 CO2という観点でいえば、ハイブリッドは、少なくともガソリン車よりは確実に減らすことになるだろうというふうに思います。EVも、ガソリン車と比べればCO2は減らすことにつながっていくんだろう。ただ、EVの場合、注意しておかなければいけないのは、その電源が一体どういう形で発電をされているか。これが石炭火力であれば、CO2は事実上出しているということになるわけであります。
  203. 田嶋要

    ○田嶋委員 まさにその点でありますけれども、日本の文脈ではどうなんですか。  要するに、日本の今の電源構成、それによって電気をとって、充電をして電気自動車を動かす。今たしか経産省は、そうした高付加価値の電気自動車等には補助金もつけていらっしゃるんだろうというふうに思うんですが、今の日本の現状では、そういうガソリン車に比べて環境に優しい、温室効果ガスの問題を中心に、ということが言えるのか、それとも、それは見解がいろいろ分かれるということなのか。どうなんですか、経産省の考えは。
  204. 世耕弘成

    世耕国務大臣 御通告いただいていないので、ちょっと数字がややアバウトだということは御理解いただきたいと思います。  あるどこかの機関会社が一度計算をしていましたが、ガソリン車のCO2の排出量を一〇〇とした場合に、ハイブリッド、これは世界共通で、大体六〇前後、五八だったかと思いますが、約六〇。EVについては、これは国によって全然違いまして、フランスとかあるいは北欧の国だともともと電源が原子力とか水力なのでぐんと低くなるんですが、日本の場合は、ハイブリッド約六〇に対して、EVは今現状では五〇ぐらいにしかならない。これが、東日本大震災前のころであれば日本でも三〇ぐらいになっていたというふうな話を一度聞いた記憶はある。ちょっと数字はややアバウトかもしれません。
  205. 田嶋要

    ○田嶋委員 さすが、よく勉強されていると思いますが、要するに、ハイブリッドより一〇ポイントしか下がらないよということですね、日本は比較的まだ火力に頼る部分が多いから。  しかし、前提となるガソリン車は一〇〇という、そういう前提でおっしゃっておるということは、ガソリン車に対して、相対論としては、電気自動車は、あるいはハイブリッドも、明らかに環境には優しいし、温暖化の問題としては、推進すべき、経産省はそういう立場であるということでよろしいですか。
  206. 世耕弘成

    世耕国務大臣 ガソリン車に比べてという前提ではそういうこと。これは、国によっては、ハイブリッドよりもEVの方が結果としてCO2を出すという国も出てきちゃうんですね、石炭火力の比率が多ければ。ただ、日本においては、少なくともハイブリッドもEVもガソリン車よりはCO2の排出量が少ないという意味で、当然普及を進めていく立場であります。
  207. 田嶋要

    ○田嶋委員 こういう講演をされている方がいらっしゃるんですね。「電気自動車は、エンジン車よりも一般的に環境に優しいと言われているが、果たしてそうなのか。電気をどうやって作っているかによって、二酸化炭素の排出量は変わってくる。石油や、石炭に頼っている現在の日本において、電気自動車の電源は、再生可能なエネルギー源からという前提はなく、石炭、石油等による電力で走行している現在、一概に環境に優しいとは言えない。」というふうに、こうはっきり言い切っている人がおいでなんですが、これは間違っていますね。  要するに、一般にはそういうふうに言われている、電気自動車が優しいと言われているけれども、現在の日本においては一概に環境に優しいとは言えないということをおっしゃっている方がいらっしゃいますよ。これは、今の御説明からすると、経産省のスタンスとは違いますよね。
  208. 世耕弘成

    世耕国務大臣 ちょっとその講演の全体像がわかりませんし、趣旨として何をおっしゃっているのか、例えば廃棄物の話とかリサイクルの話まで含めておっしゃっているのか、その辺ちょっと私は定かではありません。  やはり事前にそこはチェックをさせていただいた上で、人の発言に関して論評するとなった場合は、通告をいただいた上でないと、ちょっと控えさせていただきたいと思います。
  209. 田嶋要

    ○田嶋委員 飛ばして読んでいるわけじゃございませんけれども、これをおっしゃっている方は、まさに今回のニセコの問題で、こういう説明をするなという介入をされた御本人でございます。その方御自身が北海道科学大学というところで一月十七日に御講演をされているわけでございますが、私は、ここで言っている、「電気自動車は、エンジン車よりも一般的に環境に優しいと言われているが、果たしてそうなのか。」これは、まさに補助金をつけている経産省のスタンスと大分違うことを御自身の講演の中でおっしゃっておる、こういう事実が確認できたわけですね。  私は、こういうこと自体、経産省の方針とは大分違うことを経産省の職員自身がやっておる。いかがですか、それは。大臣、おかしいと思いませんか。
  210. 世耕弘成

    世耕国務大臣 いずれにしても、ちょっと講演の全体像を見せていただかないと、この場では論評は控えさせて、ただ、経産省とすれば、もちろん、エコカー減税とかやっているわけですから、そういった車の普及を進める立場であることは間違いないと思っております。
  211. 田嶋要

    ○田嶋委員 北海道のニセコの件でございますけれども、大臣、このニセコの高校に対する、圧力と言っていいと思いますが、これは事前の検閲だというふうに疑われても仕方がない、大臣はそのようにお考えですか。
  212. 世耕弘成

    世耕国務大臣 今回、これはあくまでも我々の支援事業なんですね。広報活動なんです。経産省が予算をつけて、講師の手配とかその旅費とか、そういうのを負担をして行っている事業ということになりますから、その内容に関して責任を持つということは重要だというふうに思いますが、今回の件は、特に原子力に限ったことを幾つか指摘をしているという面で、誤解を招いてもしようがなかったと思います。  残念ながら、私、今回この問題が報道される直前までは、この事業について余り詳しく、済みません、知りませんでした。経産省全体で何千億の予算の中の一・五億の案件でしたが、ちょっと済みません、詳しく知りませんでしたが、中身をよく聞いてみると、例えば、単位が与えられる具体的カリキュラムの授業の中で行われているのであれば、それに対して何らかの形で政府が口を出すということであれば、これは、今おっしゃるような授業に対する介入になる。これが例えば課外活動であったらどうなのかとか、その辺の詰めがはっきり言って甘かったというふうに思っています。  ですので、もう新規募集というのは、これは一旦やめて、少しあり方をしっかり考えていく。方向性としては、そういう授業そのものを支援するのではなくて、授業で使っていただけるような例えばコンテンツについて経産省で作成して、そして、それを自主的に、ああ、おもしろい、授業で使ってみようという先生方がいらっしゃるんなら使っていただく、そういう形に切りかえていきたいというふうに思っております。
  213. 田嶋要

    ○田嶋委員 検閲の疑いがあると思われても仕方がないかどうかについて御答弁ください。
  214. 世耕弘成

    世耕国務大臣 憲法上の判断となると、ちょっと、法制局長官に答えてもらわないと、私の立場ではなかなかその判断は難しいというふうに思いますが、少なくとも、誤解を与えかねない対応であったということは認めざるを得ないと思います。
  215. 田嶋要

    ○田嶋委員 原発の事故の爆破の写真、これが印象操作だというようなことを言ったというふうに報道されておりますが、それは大臣、どのように考えられますか。
  216. 世耕弘成

    世耕国務大臣 まあ、担当者は、恐らく、補助事業である、支援事業であるということで、その授業の内容に責任を持とうとしたのかもしれませんけれども、いずれにしても、今おっしゃっているところを、指摘したことも含めて、誤解を与えかねない対応だったというふうに思っております。
  217. 田嶋要

    ○田嶋委員 今回、そうは言っても、私はこのニセコの問題、よかったと思うんですよ。よかったという意味は、こういうことをやっているんだということが表に出たということでは、やはりニセコの町の方々が環境の問題とかに非常に敏感だからこそ声を上げられた。大臣でさえ御存じないようなわずかな予算といえば全体の中では小さな予算でこういうことが何年も続いていたということは、やはり見方によっては、特定の方向性に意図したエネルギー教育を押しつけているような印象がある。  私、副教材なんかもちょっと中を見させていただきましたけれども、余り、小学校、中学校、高校生に、これからの方々に学んでいただく内容を教えているとはちょっと思えないですよ、本当に。  だから、そういう意味では、抜本的に見直されるということを言っていますけれども、例えば、これは最近出た本で、エネルギーのユーティリティー三・〇という本があるんですが、これは電力業界の方が書かれた本なんですけれども、こういう本の中身なんかだったら未来先取りのような話でありますが、どうも旧態依然とした中身の授業をやっているような事例が多いんじゃないのかなというふうに私は思います。  あと、これからもう一切やめるということでおっしゃっておられるんですか、補助事業は。
  218. 世耕弘成

    世耕国務大臣 いわゆる学校の授業というところを使った形での、ちょっと授業と事業がわかりにくくてあれですが、授業、学校のいわゆるクラスを使った授業そのものを支援するという形での広報活動はやめさせてもらう。  ただ、コンテンツの提供、今、田嶋委員がおっしゃったような、古いタイプではなくて、私もそのユーティリティー三・〇は二回繰り返して読んでいますが、未来型の、これから日本のエネルギーがどうなっていくかということの教材などをしっかりそろえたコンテンツをこちらから提供して、それをどう授業で使っていただくかというのは、これはもう学校現場、先生、それぞれの判断に任せるというような、そういう支援事業、支援事業というか予算の使い方にしていきたいというふうに思っています。
  219. 田嶋要

    ○田嶋委員 未来の世代にエネルギーのことを学んでもらうというのは悪いことではもちろんないわけでありますが、しかし、少し古めかしい内容で教えても、彼らが大人になったころにはどうなっているかわからない。  だからこそ、未来先取り型の中身によく考えていただきたいと思うのと、やはり私は、このような疑いをかけられるような中身ではなくて、例えば、大臣、経済産業省だけで考えるんじゃなくて、環境省なんかとやはり共同で温暖化の問題や自然エネルギーの問題も含めてプログラムを考えていく、こういうことも私は必要なんじゃないかというふうに思いますが、大臣、いかがですか。
  220. 世耕弘成

    世耕国務大臣 最近は、我々、例えばエネ基の検討の場ですとか、あるいは二〇五〇年に向けての懇談会の場でも環境省には参加をしてもらって意見を言える状態で座っていてもらうというように、環境省とも、あるいは外務省とも連携をしております。  教材づくりに関しても、環境省そのものとやるかどうかは別にして、有識者も含めて、コンテンツづくりに当たっては、外部の御意見もいただきながらいいものをつくっていきたいというふうに思います。
  221. 田嶋要

    ○田嶋委員 ぜひとも、そうやって外部から疑いをかけられないように、当該の方は三・一一のときに保安院におられた方のようでございますが、とりわけ原発ということに思いが強かったんだろうと思いますが、しかし、ああいう大事故を間近で経験しておきながら原子力の部分だけにあのような介入をすれば、やはりいろいろな疑いをかけられるというふうに思います。ぜひとも大きく見直していただいて、未来の世代にためになる教育ということでやっていただきたいなというふうに思います。  それでは、次の質問に移りたいと思いますが、世耕大臣、コネクテッド・インダストリーズという言葉を発明されたそうでございますけれども、違うんですか。はい。  これは、言葉が躍るという感じが本当にしますね。第四次産業革命というのはドイツだということで、何か違いを出さなきゃいけないということでありますが、どんなことが込められているのか。非常に短目に答えてくださいね。しゃべり出すと十分ぐらいかかっちゃうかもしれないから、短目でお願いいたします。
  222. 世耕弘成

    世耕国務大臣 あえてドイツのインダストリー四・〇との比較という面においては、ドイツは、やはり製造業のシステムというのが一つ企業一つIT企業がしっかりと押さえている。企業間の連携もまた別の企業が押さえている。その中に組み込んでいくというのがドイツのアプローチであります。一方で、日本は、残念ながら、そういう企業は、IT企業は存在をしていない。どちらかというと、それぞれセクション別に別々の会社が担当しているという状況になっています。  そういう中で、じゃ、日本が第四次産業革命に対応していくためにはどういうアプローチがあるだろうかという議論をしたときに、やはり現場に質の高いデータがある。しかし、それが残念ながら眠っている。比較的、ものづくりの場合、中小企業でも割とIT化が進んでいる企業があって、そういったデータが現場に蓄積をされている。これをつなぎ合わせてビッグデータにして、そして人工知能で解析していくことによって、ものづくりですとかサービスのレベルを上げていく。これが日本のアプローチではないかということで、コネクテッド・インダストリーズという概念を導き出した。  これはもう、一年言っていますけれども、大分産業界でも御理解をいただき、今、コネクテッド・インダストリーズに向けた取組が産業界でも自主的に始まっているというのが現状だと思っております。
  223. 田嶋要

    ○田嶋委員 民間の広報分野で御活躍された世耕さんの本領発揮という感じもする。ネーミングをつけるのはいいと思いますよ。やはりそういうブランディングで、みんながそれで結束していくという、いろいろな効果もあろうかと思うんです。  ただ、中身が伴うかというのがやはり大事なところでございまして、一年半前に、所信表明を秋に世耕大臣がされたときに、私、一度質問をさせていただいております。そのときは、所信の中で大臣御自身が、おくれをとっているのではないかという声もありますがというようなことを言われて、しかし、そういう悲観論を御自身、私の問いに対して打ち消されておるわけですね。そういうことで第四次産業革命に乗りおくれているのではないかという悲観をする声もあるけれども、自分はそうは思っていない、こういうことでございました。  私が、今回、改正案と新法で新たなコネクテッド・インダストリーズの提案をされてきたこの状況の中で、非常に気になるのは、お配りした資料の一枚目をごらんください。  これは所信ではなくて、所信の中では大臣は何とおっしゃったかといいますと、「第四次産業革命時代日本世界をリードするためには、コネクテッド・インダストリーズの実現が重要」だ、こういう非常にフラットな言い方をしているわけですが、役所からいただいた資料では、第四次産業革命による新しい技術の社会実装に伴う付加価値構造の大きな変革が必要だが、我が国の対応にはおくれがある。おくれだということで、国際競争力がこれ以上毀損しないよう施策強化が急務であるということが経産省の資料の中に書かれている。  前回の、一年半前にはこういう明確な言葉はなかったわけであります。大臣自身の所信の中で、悲観論もあるけれども、自分はそうは思っていないと。しかし、今回は、政府みずから、おくれていることを、第四次産業革命のおくれを認めているわけであります。  ちょうど同じころに、真ん中の部分でございますけれども、これは昔の通産省の次官でありました福川さんの新聞の記事の引用でございますが、彼もここで、「新たな分野では米国が先行し欧州や中国が追いかける構図。日本の遅れは顕著だ。」ということで、大変、OBとして、現在の経産省のありよう、そして取組のおくれに警鐘を鳴らしているという印象がございます。  また、一番最後の資料は日経ビジネスオンラインでございますが、ドイツのインダストリー四・〇にかかわった中心人物のようでございますけれども、この方も第四次産業革命への日本のおくれを指摘している。  こういうような論調がこの一年半、前回も第四次産業革命議論をさせていただいたにもかかわらず、非常に悲観的な論調が強まっているし、悲観論のみならず、実際にもう差をつけられつつあって、その差が開きつつあるというような論調が私は広がっているような印象を受けるわけです。そこで焦って大臣は、新たなネーミングで違う花火をぶち上げてみようというような思いに至ったのかもしれない。  私、ちょっとそこら辺が、一体どういうことにこの一年半なってきたのか。二年間。日本もいろいろやってきたはずなんですが、彼我の差が広がってきているのではないかという印象を受けますが、大臣、いかがですか。
  224. 世耕弘成

    世耕国務大臣 私はそんな悲観論には立たないんですけれども、一方で、冷静に見て、おくれている部分もあるんだろうと思います。  例えば、インダストリー四・〇という概念は、大分先行してドイツは打ち出して、我々のコネクテッド・インダストリーズはそれを追いかける形で出ていったというのも、これも現実であります。  ただ、一方で、ではインダストリー四・〇が今物すごく何か進んでいるかというと、まだそんな成果が出ているわけではない。逆に、ドイツの場合は中小企業IT化がまだおくれていると言われていますから、それをどう組み込んでいくかというところに今必死に取り組んでいるというのがドイツの現状だろうというふうに思います。  ですから、このコネクテッド・インダストリーズという概念で、今いろいろな、特に人手不足で産業ロボットを使っていかなきゃいけない、製造用ロボットを使っていかなきゃいけない日本の立場をうまく使いながら、十分キャッチアップ、そして追い越していくことができるのではないかというふうに思っています。  また、AIなどの分野は、やはりこの一年半で急展開をいたしました。残念ながら、日本は、研究者の数もまだまだ少ない、研究の資金も、かなり我々も頑張ってとっていますけれども、アメリカに比べると全然少ないという中で、AI分野ではアメリカあるいは中国の物量の前にはなかなか勝てていないという面もあるんだろうというふうに思っております。  この点もこれから、我々は確かにAIの論文の数では負けているかもしれないけれども、最終的に物を動かすという分野では日本は非常に強みを持っているわけでありますから、AIとそういったところを組み合わせるということによって何とかこのAIの分野でもしっかりと勝つ方向性を見出していく必要があるというふうに思っています。
  225. 田嶋要

    ○田嶋委員 私も悲観論には立っておりませんけれども、実際に司令塔である経産省がそのおくれを認める資料になってきているというのは非常に残念であるし、ぜひ奮起をしていただきたいというふうに思います。  特に今回の中で一つ私が気になったのは、IT人材の不足のみならず、IT人材がサービスの提供側、IT企業に偏在をしているという、資料の2をごらんいただきたいんですが、この話と、そして、よく、IT投資をなぜ行えないかの理由として、下の棒グラフでございますが、ITを導入できる人材がいないということをまさに重ね合わせますと、特に中小企業、サービス産業ということだろうというふうに思うんですが、これはこういう現実があるんだなということで、私は、この偏在ということは今回初めて知りました。全体としての絶対量が足りないという話はいつも言われますが、IT企業側に偏り過ぎている。  これは何かショートタームで、今回の法律も三年間集中で頑張るんだと言っているわけですから、何か手が打てないのかなというふうにも考えるんですが、大臣は、この現実を受けとめて、これに関しては何か対策を考えておられるのかどうか。その点についてお答えください。
  226. 世耕弘成

    世耕国務大臣 まず、これは中小企業中心になりますけれども、やはり経営者の意識改革というのが必要だというふうに思います。恐らく、こういう人材構成になっているということは、そういう人材はある意味雇わなくていいと経営者が判断したところもあるんじゃないかというふうに思っています。  今、サービス産業IT化を進める、生産性をそれで向上させるということで、我々はプラットホームというのをつくっております。今回、補正予算で、IT補助金で五百億円つけてもらいました。これで十三万社をカバーしながら、それにとどめることなく、百万社にこのプラットホームを使いながら、いい事例を水平展開していくということをやっていきたい。  そういったことを通して、やはり、例えば新卒採用するんだったらこういう人材を一人は入れておいた方がいいよとか、そういう機運が中小企業経営者の中に広がることに期待したいというふうに思っていますし、新卒だけじゃなくて、やはり、例えばものづくりの中小企業でこれからITが要るぞというときに、今我々はリカレント教育というのも推進をしていっています。プログラミングなんかであれば、十分、例えば夜自宅で勉強するとか、そういったことも可能になってきますから、このリカレント教育なんかをうまく使いながら、今現役の社員をIT人材につくりかえていくというような取組が中小企業で出てくることも期待したいというふうに思っております。
  227. 田嶋要

    ○田嶋委員 この偏在の問題は、全体の絶対量をふやす問題と同時並行で、ぜひ力を入れていただきたいと思います。これはいつまでたっても同じ問題が続いているという印象を否めませんので、よろしくお願い申し上げます。  もう一点、私はそもそもその司令塔の経産省のありようも大丈夫かなという感じがいたします。情報収集のアンテナというか、情報収集力というのは衰えていないんでしょうか。  大臣、悲観論には立たないということであります。私も悲観論には立ちたくございませんけれども、先ほどの白洲次郎さんじゃありませんが、世界を向こうに回してやはりいろいろ動き回る、飛び回るということが本来私は経産省のイメージでありますけれども、例えば、ドイツはこういう状況になっている、規制のサンドボックスがこういう動きがあるぞというのは、今回法案の中で入ってはいるんですけれども、したがって、そういうものを真正面からこんなのはだめだとは言いにくいんですね。言いにくいんだけれども、どうも後ろからおくれて走っているような印象が強いわけでありますが、どうなんですか。  それは、大臣になられて、例えばドイツやアメリカやいろいろなところに経産省の人間を張っているわけですね、デンマークにはいないようでありますが。やはりそういうところからのびんびん入ってくる海外の動きを察知して、おくれることなくそういったものに取り組んでいかないと、フィンテックでもう十カ国、二十カ国がそうやっていますといって、今から法案審議をするような、そこだけでもう差をつけられているような印象を私は受けるんですよ。  大臣、そこら辺は、大臣になられて、ちょっと今の経産省のありようにも問題があるんじゃないのかなと私は感じるんですが、何かやるべきことはありませんか。
  228. 世耕弘成

    世耕国務大臣 私個人の、大臣を一年半ほどやってみた感触でいくと、アンテナは別に低くなっていないと思っています。いっぱい情報は入っていると思います。やはり、それを政策に落とし込むところ、そこの力量というか省庁間の調整とか、そういったところにやや時間がかかってしまうというようなところがあるんではないか。これはまあ、安倍内閣ができる以前からのずっと問題でもありますけれども、こういったところをいかに短縮をしていくかというところが私はポイントではないかというふうに思っています。  特に今、私、もっとアンテナを高めて制度をもっと早くつくれと言っているのは、エネルギー分野であります。エネルギーの政策に関しては、今、世界各国がある意味いろいろなイノベーションを起こしていまして、やはりそういった情報をしっかり取り入れながら、このエネルギーの自給率の低い日本でどういう制度を導入していけばいいか、イノベーティブな政策をぜひ開発をしていく必要があるということを痛感しております。
  229. 田嶋要

    ○田嶋委員 エネルギーの話も言っていただきましたが、私は、今の経済産業省、役所の世界は二年ごとの人事であります。少し短いような感じがします。もう少しそれぞれの分野に人がしっかりと腰を落ちつけて動きをした方が、今、民間企業は四年から五年の人事異動だというふうに伺っておりますが、そういうことも、昔からのやり方に正解が必ずしもあるとは言えないわけでありますから、こういう激動の時代、改めて、白洲次郎さんの思いに立ち返って、もう一度、今経産省がどういう体制でこういった司令塔の役割を果たすべきかということを、この第四次産業革命、コネクテッド・インダストリーズの時代によくよく考えていただきたいなと。私は今の経産省のありようには非常に心配な面が多いというふうに感じております。  エネルギー政策に関して触れさせていただきたいと思いますが、私、第四次産業革命の中で、あるいはコネクテッド・インダストリーズの資料を見ていても、やはりちっともエネルギーのことが出てこない。これは何か意図的に下げているのかなという感じがやはりしますね。やはりこれは原発とかに、まあ、皆さんのお立場はそういう立場ですから、引きずられて、結局何かこのイノベーションをみすみす私は見逃しちゃっているような気がしますよ。まあ、世耕さんは今、それをわかっているようなお話をされましたけれども。  次の資料をごらんください。資料三。  世耕大臣、就任以来、海外に何度行かれたか。何度でしたっけ。ああ、どうぞ。
  230. 保坂伸

    ○保坂政府参考人 お答え申し上げます。  世耕経済産業大臣でございますけれども、御就任以来、二十八回海外へ出張しているところでございます。
  231. 田嶋要

    ○田嶋委員 大変御苦労さまでございます。体力勝負だなと、私も短い時間政務官やって、つくづくそう思いましたけれども。  これは、その中でエネルギー視察は何回ですかといって資料をつくってもらいましたら、五回、エネルギー関係、行っているんですかね。これはそうですね、世耕さん。  これを見てちょっと私は違和感を感じて、やっぱりなと思ったわけですよ。これは、事故を起こした原発があるからチェルノブイリはやはり行きますね。私も行きました。それから、最終処分の関係がありますから行きますね。これは私も行きました。あとは、日本パビリオンばかり行っていますね、日本パビリオン。これはやはり、経産大臣というお立場になると、そういうどうしても行くしかないところというのはたくさん出てくるわけですよ、やはり日本代表ですから。  だから、こうやってかなり海外に体力を使って回りましても、私は、世耕さんは、先ほどおっしゃいましたけれども、エネルギーのこの激変している現状に関してどのぐらいキープアップしていらっしゃるのか、失礼ながら、大変心配をいたします。優秀であっても、やはり体は一つであります。そういう中で、中東もアフリカもヨーロッパも、どんどん今変わってきていますよね。第四次産業革命の中でのエネルギー分野の言及が非常に少ない。世耕さん、やる気があるのかなと。  民間の話を聞いていると、この間、こういう表現を聞きましたよ。ビッツ、ワッツ、モビリティー。ビッツ、ワッツ、モビリティーといって、ビッツ、ITですね。ワッツは電力、エネルギー。そしてモビリティー。これがキーワードだというような感じの話を二カ所で聞いたことがある。どちらにしても、エネルギーの分野に、例えばブロックチェーン技術も含めて、大変可能性があるというふうに見られているわけなんですが、どうも経産省は、少しそこは弱目になっている印象ですね。  世耕さん、世界じゅう行かれても、やはり日本パビリオンに行くことがメーンになっているようじゃちょっと心配ですよ、私。それで、分刻みの中で、やはり役所の振りつけどおりの発言をされているので、全体の流れを、失礼ながら、捉えられていらっしゃらないんじゃないかという不安もありますよ、本当に。所掌が全然違いますから、我々と違って。物すごく幅の広いことをやっておられるので、それは無理もない気もしますけれども、そこはやはり日本意思決定メカニズムの中で、リスクもあると思う、最新情報を大臣がちゃんと仕入れて判断をしていただきたいというふうに感じるわけでございますが、私は、日本のエネルギーの状況というのは大変おくれてしまっているというふうに感じておるんですけれども、いかがですか。
  232. 世耕弘成

    世耕国務大臣 ジャパン・パビリオンだけ行っているわけではありませんから。行ったときにはそれ以外のこともいろいろやっていますので。ちゃんとやっています。相手国と再生可能エネルギーの議論もしています。そういったところの協力の議論もしております。  私は、やはり、それこそユーティリティー三・〇の本を、これも非常に読んでいますし、世界のエネルギーに関する、それは再生可能エネルギーが大きなドライブになっているというふうに思います。そういったことの情報収集は、行く行かないは別にして、徹底的に収集しなければいけないというふうに考えておりまして、そういった政策の情報収集を強化せよという指示もしていますし、私自身もいろいろなルートを通じて勉強もさせていただいております。  特に、二〇五〇年へ向けてのエネルギー情勢懇談会には、精力的に海外から来てもらいました。いろいろな分野の方々、いわゆる伝統的エネルギー産業の方にも来てもらいましたし、再生可能エネルギーに特化して頑張っているようなところにも来てもらいましたし、そういう意味で、私は田嶋委員と全く思いは一緒でありまして、世界の情勢をしっかりキャッチをしながら日本のエネルギー政策を考えていかなければいけないと考えています。
  233. 田嶋要

    ○田嶋委員 思いは一緒であってほしいと思います、本当に、大臣。  資料の四をごらんください。これは河野外務大臣の演説原稿ですね。少し前にニュースになりましたよ。特に線を引いたところ。  再生可能エネルギーの導入では世界から大きくおくれている日本の外務大臣がと、若干自虐的ですけれども、日本国内再生可能エネルギーをめぐる現在の状況は嘆かわしいと思いますと国際社会に向かって大臣がおっしゃっているんですね。世界の趨勢から目を背けているんですよ、日本は。変化を恐れて現状維持を優先しているんです。おっしゃるとおりだと私は思いますよ。  日本が二〇三〇年に目指す数値が今の世界の平均ということは、日本の外務大臣として、何とも悲しくなります。これまでの日本の失敗は、世界の動きを正しく理解せず、短期的なその場しのぎの対応を続けてきた結果です。  私は、河野さんとはぴったり合っているんです、思いが。だけれども、世耕さんは、僕は、河野さんと合っているような気がしませんよ。結果として、私と合っている気もしません。  世耕さん、これを全く違和感なく受け入れられますか。これは、日本国の外務大臣が外に向かってこうやってしゃべっているんですよ。世耕さん、同じ演説できますか。こういうことを言えますか、はっきりと。  私は、どうもずれていると思うんですよ。だから、日本は二枚舌で、国際社会では外務大臣がこういうことを言う、ああ、だから日本もやってくれるのかなと。だけれども、内向きには経産大臣は全然違うことを考えている。全然違うとは言わないけれども、ずれたことを言っている。私はそういう感じがするんです。  世耕さんが私と本当にぴったり同じなんだったら、私は河野太郎さんとはぴったり同じですから。これは本当に私が言いたいことをそのまま、よく言いますよ、彼は、こういう立場で。よくここまで言い切るなと思いますよ。恥ずかしいと言っているんだから。  どうですか、世耕さん。本当に世耕さんだって演説できますか、こうやって。
  234. 世耕弘成

    世耕国務大臣 私は、そういう演説はしません。
  235. 田嶋要

    ○田嶋委員 それはニュアンスのことをおっしゃっているのか、どういう意味ですかね。それは、ぴったり考え方が合っている、内閣不一致はないということなんですか。
  236. 世耕弘成

    世耕国務大臣 我々は、やはり閣議決定されたエネルギー基本計画に沿って政策を進めていく。また、今その見直しの作業をやっているという立場でありますから、私は、自分の性格的に言って、そういう立場を尊重したスピーチをするわけであります。  河野さんとは私もいろいろ意見交換をしています、大変親しい政治家でありますから。河野さん自身は、もともと大臣になる前はいろいろな御持論があったわけでありますけれども、内閣の方針に従って、今、外務大臣として仕事に取り組んでおられると思っていますし、あえて言えば、二〇三〇年、二二から二四というのをもっと頑張りたいという気持ちを示されたんだろうというふうに思っていまして、この二二から二四%というのは、別に何か上限を決めてそこでやめるという話ではありませんから、現状に満足することなく、国民の負担を抑制しながらたゆまず進めていくという決意を示しているものでもありますから、そういう意味では、河野大臣と私の間に大きな違いはないと思っております。
  237. 田嶋要

    ○田嶋委員 いや、全く違うと思いますね。  だから、外に向かっては外務大臣がこういうことをおっしゃって、非常にダブルスタンダードですよ、それは。世耕さんは、経済産業大臣として、この河野外務大臣のおっしゃっているような危機感を共有されているかどうかですよ、要は。あのニセコの問題も含めて。外務大臣が、嘆かわしい、心配だ、悲しいというようなことをメッセージとして出されているわけですね。私は、世耕経済産業大臣も、日本のパビリオンだけじゃなくて、いろいろごらんになっていらっしゃるんなら、日本が本当にまずい状況にあるということをよくわかっていらっしゃると思う。  これを二回読んでいらっしゃるんだったら、私は立派だと思いますよ、本当に、そういう意味では。だけれども、これは東京電力の方がつくっていますからね、一部。だから、東京電力の方もわかっていらっしゃるんですよ。だから、忙しい中、そこまで御研究されていらっしゃるなら、同じ危機感を持って、今度、日本のエネルギー基本計画をまた考えるわけでありますが、全然違うものにしていかないとだめだと思いますよ、大臣、本当に。  同じ思いですよね。もう一回お願いします。そういう覚悟を見せていただきたいと思います。
  238. 世耕弘成

    世耕国務大臣 一方で、世界のことを勉強すればするほど、やはり各国、いろいろ事情が違うんだなというところがいっぱい出てくるわけであります。  我々のエネルギー政策というのは、パフォーマンスでやるわけにはいきません。一刻たりとも停電を起こすわけにはいきません。そういう視点でしっかりと責任あるエネルギー政策に取り組んでいきたい、これが私の思いであります。
  239. 田嶋要

    ○田嶋委員 その思いは私も同じでありますが、ちょっと時間がなくなりまして、ごめんなさい、済みません。  せっかく来ていただいたんだけれども、おわびを申し上げなきゃいけないんですが、石炭火力に関しても、きょうも本会議場でございましたが、副大臣、一言だけ。  内閣不一致じゃないという理解でいいですか。どうもこれも、外務省と経産省でずれがあるように、環境省と経産省は違うことを言っているような感じがしますよ。一緒になって、共同責任で責任をとれますね。石炭火力、四十もつくるとかなんとかと言っていますけれども、大丈夫ですね。きょうの本会議を聞いている限りは、もうぴったり合っているという話ですけれども、一言だけ。
  240. とかしきなおみ

    ○とかしき副大臣 お答えさせていただきます。  安倍総理、今国会で、地球温暖化対策は内閣の最重要課題である、そして、温暖化対策、国内での大幅削減と、そして我が国の経済成長、両輪、両方をしっかりと両立させていくこと、これが重要であるということで、環境省と経産省は、両省とも向かう方向は同じであるということで、積極的に今取り組まさせていただいているところであります。  ということで、石炭火力発電は、確かに、天然ガス火力の二倍もあるということでありますので、これからも、そういった問題点を克服しながら、両省協力しながら取り組んでいきたい、このように思っております。
  241. 田嶋要

    ○田嶋委員 同じことをおっしゃっているのかどうかよくわからない御答弁でありますけれども、最後に世耕大臣に、これは、温室効果ガスの面でぎりぎりクリアできる部分で何とか調整しながらやっていくというようなことなんでしょうけれども、たとえその点でクリアできても、私は民間企業にとっては大変なリスクだと思いますよ。  巨額の設備投資を行って、資金回収するのは三十から五十年かかるわけですよね。規制環境が変わる、国際世論がこれから変わる。そんなことを今ゴーさせて、後々後悔するようなことにならないのかなと私は大変心配するんですけれども、これはもう何度も歴代の大臣に言っていますが、世耕さん、そういうことを想像して、今じゃないですよ、今のキャッシュフローじゃなくて、三十年後、五十年後、ちゃんと回収できるビジネスモデルになり得るかということまで責任が問われると私は思いますけれども、どうですか、大臣。大丈夫ですか。
  242. 世耕弘成

    世耕国務大臣 だからこそ、二〇三〇年の姿、さらに二〇五〇年の姿を我々はお示しをしている。それに基づいて、経営者として、それぞれの事業者が判断されることだと思っております。
  243. 田嶋要

    ○田嶋委員 世論はそれを上回って、私は、強い力が出てくるというふうに思いますよ。  今の大臣の御答弁はわかりました。ぜひとも足並みをそろえて頑張っていただきたいと思います、内閣不一致を起こさずに。  ぜひ、同じ危機感を持って自然エネルギー社会をともにつくるということもお願いをしたいというふうに思います。  以上です。ありがとうございました。
  244. 稲津久

    稲津委員長 次に、山岡達丸君。
  245. 山岡達丸

    ○山岡委員 御質問の機会をいただきましたことに心から感謝を申し上げます。山岡達丸と申します。  本日は、生産性向上特別措置法案産業競争力強化法等の一部改正ということでありますけれども、この法案の中身はもとより、ちょっと個別の課題につきましても、せっかくの機会でありますので、大臣にいろいろ御質問、そしてまた意見交換もさせていただければなと思っております。きょうは本当に大分遅い時間までということでありますので、ほとんどの質問に大臣みずからお答えになっているということに心からの敬意を表しながら、私自身もまた大臣にさまざまお話を伺えればと思います。  そして、今回の法案の中にこそ文言はないわけでありますけれども、大臣は、これらの法案、本会議でもそうなんですけれども、説明されるに当たって、たびたび、革命、生産性革命という言葉を使われます。これは別に、大臣が生み出したお言葉というよりは政府全体で使っているという言葉なのかもしれませんけれども、この革命という言葉の定義云々は、これはさまざまあるんだろうと思いますけれども、ただ、政府の立場にある方がこの表現というのは、非常に重みがありますといいますか、ただただ変えていくんじゃないよ、大きく変えていくんだということでもとどまらないような、そんな意味が含まれているように感じる、そうした言葉でもあります。  全体の質問になるんですけれども、各個別の話の前に、まず大臣は、この生産性革命、特に革命という言葉を引用して使っておられるその意味、意義、そして決意についてどのように考えておられるか、このことについてお伺いさせてください。
  246. 世耕弘成

    世耕国務大臣 革命という言葉には大きく二通りあると思っていまして、いわゆるロシア革命、フランス革命といった、ある意味、「従来の被支配階級が支配階級から国家権力を奪い、社会組織を急激に変革すること。」これは広辞苑にそう書いてあります。そういう革命と、もう一つは、「ある状態が急激に発展、変動すること。」これが産業革命とか技術革命。  我々は、今回、この革命、生産性革命と言っている革命はまさに後者の方でありまして、近年のIoT、ビッグデータなど新しいイノベーションによって、二〇二〇年までの三年間の集中期間で革命的に生産性を押し上げることを目指す法案であるということを示そうとして、こういう言葉を使わせていただいております。  新しい経済政策パッケージにおいては、あらゆる施策を総動員して生産性革命を実現することによって、日本の生産性を二〇一五年までの五年間の平均値である〇・九%の伸びから倍増させて、年二%向上させるなどの目標の達成を目指すことにしております。  生産性向上特別措置法案は、この生産性革命を実現するため、短期集中で必要な施策を講じようとしているものであります。  今回の生産性向上特別措置法案による措置に加えて、賃上げに積極的な企業への税制支援や中小企業の設備投資支援、そしてIoT設備投資に対する減税措置など、さまざまな施策を集中的に講ずることで、まさに革命的な生産性の向上実現に万全を期してまいりたいと思っております。
  247. 山岡達丸

    ○山岡委員 ありがとうございます。  いわゆる産業革命という言葉になぞらえて、そうした急激に変化させていくんだというお話と具体的な数字もいただいたわけでありますけれども、産業革命というのは、まさに私たちが歴史を学ぶ上で出てくる言葉にも値する、この日本における歴史を変えるというぐらいの意味合いの言葉として使われているんだとしたら、これはやはり革命という言葉が妥当なのかなと思うわけでありますけれども、これまでの延長線上というような中身であるとすれば、やはりちょっとこの言葉が、まだまだその重みに中身が足りていないのではないかなという少し心配もございます。  その心配の一つの理由は、まず、三年間の集中期間だということでありますけれども、お話ございました、パーセンテージとしてさまざま数字は並んでいると思うんですけれども、例えば設備投資、二〇二〇年までに一〇%上げるんだとか、あるいは、この生産性革命ということとはまた別に、政府として二〇二〇年にGDP六百兆円とか、そうした目標も掲げておられるわけでありますね。  この中身について、やはり、その数字のためだけの措置になってはほしくないなという思いは私自身持たせていただいて、その思いの中で質問させていただきたいと思っております。  今回の中身の一つ、中小企業の支援のことについて、固定資産税をゼロにすることも含めて、この法案の中には含まれているということでありました。  私、地元の企業の皆様とか経済関係者の方に、この固定資産税ゼロというのはどうかということをちょっと聞いて回ったりとかもしました。私の個人的な問題意識としては、固定資産税というと、一般には大きい企業ほど恩恵があって、小さい企業ほど、数字でいえば、比較すれば恩恵が少ないのかなという思いもありながら聞いて回ったんですけれども、ただ、返ってくるお話としては、いや、これは本当に、まず初めてのことで、画期的なことで、こんなことはこれまでなかったから、とにかく、数字の問題じゃなくて、これは踏み込んだということがすごいというお話も率直にいただいたところでありました。  今回の仕組みとしては、固定資産税は当然地方税でありますから、地方の収入が減る、これは総務省のマターでありますけれども、その七五%も国から後押しをする。これは、やはり固定資産税ゼロということも自治体は考えるものだと思います。  そして、四月三日に発表された経済産業省の調査によれば、ほぼほぼ、ほとんどでしょうか、これを利用すると言ったところのほとんどがゼロ%にするというような結果も出ているということでありました。これは、本当にある意味、この法案に、準備して、今各所で、これは乗ろうという方向が大きく動いているんだということも、私の実感としても、調査としても出ているんだろうということは強く実感するところであるんですね。  先ほど、午前中の参考人のお話にもありましたけれども、いわゆる固定資産税ですから赤字企業の皆様も恩恵があって、そして、もの補助というんでしょうか、ものづくり補助金とか、そうしたことも有利になるということになれば、やはり、投資する、設備投資できるもとのお金は固定資産税の減免から生まれて、そして、それを使ったときに補助も更につくというような形であれば、多分これは、この期間中、相当な方が、相当な企業が乗ってくるんだろうということも、手応えとしても想像するところであるんです。  これそのものは何か問題だとかいうことではないんですけれども、ただ、気になりますのは、三年間の集中投資期間なわけでありますね。数字上、この三年間で大きく伸びると思うんですよ。GDP六百兆円に行くかどうか、これはわからないとしても、ただ、やはり政権が掲げるいろいろな数字の上乗せにもなっていくんだろうなということも想像するわけであります。  安倍政権のGDPの発表に関しては、二〇一六年ごろだと思いますけれども、いわゆる研究費も投資の中に含むんだということで、GDPの上乗せをしたり、その見せ方を上乗せしようということもこれまであったわけでありますけれども、この集中投資期間に、いわゆる政府支出のかわりに固定資産税の減免の中の支出の中で、この期間だけ設備投資を促すというような中身ではあってほしくないという思いなんですね。  といいますのは、私の、北海道なんですけれども、地元、室蘭という町でも、いわゆるものづくりの町でありまして、前回の質問のときにも大臣にいろいろな御心配もいただいたりして、そうしたこともあった町であるんですけれども、地域未来投資促進法も相まって、いわゆる今回の導入基本計画をつくって、例えば航空産業に大きく踏み出そうという決意をした町でもあります。それは、この制度を大きく利用して、この三年間のことも含めて、町として取り組もうという話であります。  ただ、三年間だけの小手先の投資にとどまらないんですね。町としては、六年間、十年間、中期、長期という計画を立てて、そして、それに基づいて大きく動こうとしている。この期間だけの投資の、この期間だけの支援の制度を超えて、後、自分でやって失敗したらそれは自己責任だと言ってしまうのは、やはりこの制度を導入するに当たっては、革命を起こすんだという意味に当たっては、私はなじまない考え方だと思っております。  私は、せっかく大臣にこうして御質問の機会をいただいておりますので、今回の制度を利用して、こうした室蘭のような、この室蘭の町に対するまず御評価も一言伺いたいと思いますし、あわせて、集中期間というのがあったとしても、この期間にとどまらないんだ、これは経済産業省として、この期間にいろいろ取り組んだ地域に対して責任を持ってその後もしっかりと対応していくんだと、そのことについてまずお話をいただければと思うんです。     〔委員長退席、富田委員長代理着席〕
  248. 世耕弘成

    世耕国務大臣 まず、今回、中小企業の設備投資に伴う固定資産税を三年間ゼロにする、これは非常に、今評価をいただきましたけれども、いいインパクトを与えたというふうに思います。私自身も、以前、二分の一の特例をつくったときでもすごいなと思いましたが、これをゼロにするという思い切り踏み込んだことを今回やらせていただこうということになったわけであります。  今まさに、中小企業がこれをうまく活用して、設備投資を積極的に行って、ただでさえ大企業に比べて少し老朽化が進んでいる中小企業の機械類をどんどんどんどんかえていこうというムーブメントが一種起こっているんじゃないか。  自治体でも、先ほどお話しいただきました、今我々が調査したところでは、千七百のうち千四百の自治体がもうゼロにするということを表明をしてくれているわけでありまして、まさに今、国を挙げて、中小企業経営者だけじゃなくて、これで何とか中小企業の生産性を上げていこうということが、機運が高まっているというのは、これは非常に重要なことだというふうに思っています。  また、室蘭市においても、今回、この特措法に基づいて導入基本計画を策定をされている。JXTGの石油精製所が閉まって、非常に苦しい状況にある中で、この制度を御活用いただいて、付加価値の高く、そして成長性のある航空機産業の需要を取り込んでいこうという取組をしておられるということ、これは非常にすばらしいことだというふうに思っています。  室蘭市からは、現在、導入促進基本計画の作成予定というふうに聞いております。地域未来投資促進の基本計画と同様の趣旨で、地域の産業集積等の特性を踏まえて、室蘭市内の中小企業の生産性向上を目指す基本計画を策定をしていただくということは、まさにこの法案の趣旨と合致をしたものだというふうに考えております。  一方で、これを三年でやめないでくれというお話であります。  今回の特措法は、まずは期限を切って、この集中投資期間内に、生産性の向上に関する施策を集中的に講じていこうということでありますけれども、その後についても、この三年間の成果ですとかその時点での経済情勢などを踏まえて、施策を継続することも含めて、必要な措置を講じていきたいというふうに考えております。  一方で、産業競争力強化法、今回もう一つ審議いただいている法案でありますが、これは、産業競争力強化の基本法として、必要な支援については期間の限定をなくして支援の継続、拡充を行うことにしています。  この法案を両方使っていただくことによって、まずは三年の集中的施策を講じて、生産性革命をしっかりと実現をした上で、その後についても必要な支援措置を講ずることによって、日本産業競争力強化を図ってまいりたいと思いますし、室蘭市においても十分御活用いただきたいというふうに考えております。
  249. 山岡達丸

    ○山岡委員 ありがとうございます。  本当に、決意も含めて、その後もまた検討するんだというお話もございました。その支援の中身は、また、時代時代、都度都度、いろいろあられようと思うんですけれども、これは本当に心強く、自信を持って、勇気を持って町が取り組んでいるということに御理解を示していただいていることに心から感謝を申し上げます。  そして、革命を起こすんだとおっしゃっておられるということであれば、これはやはり、設備投資だけが全てではありません。ですから、必要な指導をできる体制も経産省はお持ちだと思っておりますから、これは航空産業だけではないんですけれども、いろいろな分野に、各町、室蘭も航空だけではありませんけれども、取り組む中で、これは今後も、この期間中であってもその後も含めて、ケアをしっかりしていただきながら、方向を導いていただきたいなという思いでございます。  次に、革命という言葉でもう一つ伺いたいと思うんですけれども、政府が使う革命という言葉では、もう十八年ぐらい前になるんですけれども、私は学生のころでありましたけれども、IT革命という言葉もございました。二〇〇〇年ごろでしょうか。あれから十八年たって、世界を席巻しているのはアップルであり、グーグルであり、アマゾンであり。当時の会社がどうだったか。まあ、二〇〇〇年の段階でも日本はちょっと出おくれたかもしれませんけれども、やはり随分差がついたものだなということを強く感じるわけであります。  率直に、大臣は、当時そういうふうに掲げて進んできた中で、この大きく開いた差はどこにあるということをお感じか、そのことをまず伺わせてください。
  250. 世耕弘成

    世耕国務大臣 ちょっと、余り差を認めると、さっきの田嶋委員への答弁とそごが出てくるわけでありますけれども、でも、こういったIT、いわゆるGAFAというような巨大企業は生まれてこなかったというのは事実だと思っています。  これはいろいろなファクターがあるというふうに思っています。残念なことに、二〇〇〇年ごろ学生だったとおっしゃいました、私はもう国会議員になっちゃっていたんですが、もっとその前から言うと、実は、今主流になっている、例えばアイフォンとか検索サービスもそうですね、あるいは電子書籍とか、こういうのは全部日本製が先に出ていたんですね。  私は新しいもの好きですから、例えばシャープのザウルスなんというのは、アイフォンが出るはるか前からまさにスマートフォン的な機能を持っていたんですね。今、キンドルという、アマゾンが電子書籍をすごく、あるいは、アイパッドとかのタブレットもそうですけれども、これだって、ソニーが一番最初に電子ペーパーというのを出して、非常に高いクオリティーを持っていたわけであります。あるいは、音楽の配信サービスも、これはソニーが一番最初に始めて、メモリースティックというのに入れて持って、メモリースティックウォークマンという。これは、済みません、私はこの手の話になると幾らでも話がとまらなくなるんですが。  これ全部日本が先に出していたのに、後から来たGAFAと言われている、検索エンジンだってそうですよ。もともとは、あのgooというのはNTTが最初にやっていたんですね。私は、グーグルが出てきたとき、これはパロディーかと思ったぐらい、NTTのgooというやつの方が検索エンジンとしては先に行っていたんですけれども。  そういうことも含めて、やはり日本は、アイデアもある、技術もあるんだけれども、それをビジネス化するとか、プラットホームをとっていくというところがやや苦手だったのかなというふうに思っております。そういったところを何とか乗り越えていくということが今後の展開上重要なんだろうと思っております。     〔富田委員長代理退席、委員長着席〕
  251. 山岡達丸

    ○山岡委員 ありがとうございます。  誤解のなきように申し上げますと、田嶋委員と思いは一緒でございます。潜在力は持っていてもどうして現実にこういうふうになっているのかという思いを持って、私も伺わせていただいたということをあわせてお伝えしながら、今大臣からお話があったわけでありますけれども、本当に、アイデアとかいろいろあっても、例えばグーグルでいっても、検索から、今はもうグーグルマップであり、更に写真まで、グーグルアースという、こうなったらおもしろいな、こういう世の中だったらおもしろいなということを本当に実現させていく、そうした力というのは、私は、本当に、日本にアイデアがあっても、それを認めて広げる力をもっとつけていかなきゃいけないと思います。  どうか、経済産業省は、設置法の中には経済の活性化とあるわけでありますけれども、誰もがこういう世の中だったらおもしろいな、こういう世の中であったら楽しいだろうなということについて、やはり経済産業省としてビジョンを描いていくような、そうしたことも視野に、これはやはり経済を導いてほしいなという思いもございます。  この中で、ちょっとこの閣法の話とは話がずれるんでありますけれども、地域未来牽引企業というのが、二千百四十八社選んだということがございました。これは私、この話を、私は昨年の十月より復帰させていただいた身なので、この議論にはなかなか参加してはいなかったんですけれども、ただ、こうしたことについて経産省が取り組まれたということに本当に驚きました。  それは、先日も別の委員の方からお話がございましたけれども、経産省がみずから選んで、企業を選定して、そして、そこに対していろいろな措置をしていくという考え方は、ある種、行政の考え方からは少し踏み込んだ中身なんだろうなということを強く感じております。  御担当の方も全国の企業を回られるという話もしていますから、こうした取組そのものには本当に敬意を表しますし、私の活動している地元からも、数社ではありますけれども選んでいただいて、そうした方は大変大きな意欲を持ってこの次のステップに歩もうという気持ちを持っておられますので、この取組そのものは非常に評価する思いなんですけれども、選ばれた企業、大切なんです、これはすばらしい取組をしている方なんです、ただ、私のように北海道の地方都市で活動している身からいいますと、やはり、妥当なところといいますか、ああ、ここだったら確かに間違いないよねというところの企業さんが選ばれています。それは、もちろんデータに基づいて、成長性に基づいて、地域の中で中核だということで選ばれているんだからだろうと思っております。  この取組そのものは大切にしてほしいんですけれども、先ほどのように、新たに楽しいと思う世の中をつくる、アイデアを出していきたい、やれることをやっていきたいといったときに、私は、地域の未来を牽引する企業ということであるんであれば、私は三十八歳なんですけれども、若い経営者であったり、若くて、いろいろ取り組んで、いろいろな思いを持っておられる、こういう方をピックアップして、そして、今の地域経済の実情でいえば、確かに商業団体というのはいろいろ御労苦はされているんですけれども、じゃ、若い人たちとの関係性の中できちんとした経産省の取組のいろいろな情報が伝わっているかといったら、若い人たちは独自にいろいろ動いているようにも見えるんです。  ですから、経産省が横串で、そうした人たちにアクセスをしながら、例えば、今回議論になりますサンドボックスのこともそうですけれども、そうしたいろいろな情報を伝えられるような仕組みというのもぜひ検討していただきたいなと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  252. 世耕弘成

    世耕国務大臣 今回、地域未来牽引企業、二千百四十八社選びましたけれども、これは、どうしても、RESASというデータベースから選んだ関係上、やはりそれなりに実績のある企業になってしまうということは御理解をいただいていると思うんですが。  一方で、割と企業としての年齢が若い会社も結構入ってきておりますし、北海道でも調べてみますと、まさにベンチャー企業ともいうべき、三十代の方が経営をしている、例えば、今出てきているものでは、これは創業間もない、三十代の方が社長の会社ですが、北海道産のお米を世界各地に輸出する会社、WakkaJapanというような会社ですとか、あるいは医薬品、再生医療に必要とされている原料を北海道の牛から製造する株式会社ジャパン・バイオメディカル、これも三十歳でありますから、結構、若手経営者であっても、やはり地域未来牽引企業に選ばれるような力をつけてきている会社もあるんだなというふうに思っております。  いろいろな意味で我々はまだ、中小企業に対する情報提供を、いろいろな形でやっていますけれども、もっともっと充実をさせていかなければいけないと思っていまして、そういう中で若手の経営者の方々に向けた情報提供というのも考えていかなければいけないというふうに思っていますが、まさに今回北海道でも、地域未来牽引企業、三十代の経営者の方がいらっしゃいますから、この地域未来牽引企業に選ばれた三十代の経営者の方が、逆に地域でまた若手の仲間を引っ張っていくような関係をつくっていっていただければおもしろいんじゃないかなというふうに思っております。
  253. 山岡達丸

    ○山岡委員 ありがとうございます。  ぜひ、別にベテランの皆様がどうということではないんですけれども、将来をつくっていこうという思いあふれる、この牽引企業の中にもたくさんいらっしゃるということであれば、またそんな視点を持って経産省として当たっていっていただきたいなという思いであります。  サンドボックスについて少し伺います。  このサンドボックス制度、やはり、このいただいた資料の中にもあるんですけれども、未熟でも奇想天外なアイデアを募集し、サンドボックスの利用可能性を深掘りするんだということが、これは経産省からいただいた資料にも書いてありましたけれども、いろいろな概念は躍るんだと思います。  これまで、法ではグレーな話であっても、場所とあるいは人員を限定して試験的にいろいろやってみるということに道を開くということでありますけれども、これは三年間限定でありますから、利用者が多くないと意味がないと思うんですよね、利用者というか活用者といいますか。いろいろなアイデアを吸収できる期間が三年間だということであれば、やはりここをどういうふうに周知していくか、どういうふうに具体的に示していくか、そのことについて大臣に伺わせてください。
  254. 糟谷敏秀

    ○糟谷政府参考人 規制のサンドボックスでございますけれども、海外では中小企業でもこれを活用してうまくいっている例なんてございます。例えば、ブロックチェーン技術を用いた個人間の送金サービスについて、事業化をしたベンチャー企業も、サンドボックスを用いて事業化をした例もあると理解をしております。  日本国内でも中小企業からいろいろなニーズがあるわけでありますけれども、いずれにしても、こういう制度を、新たなビジネスに取り組もうとしている中小企業に広くお使いいただくということが非常に大事であります。そのためには、中小企業皆さんがイメージしやすい事例を示しながら、さまざまな中小企業の関係の団体、また商工会、商工会議所などの支援機関とも連携をして、普及啓発に取り組んでいく必要があるというふうに考えております。  また、中小企業にとってはどの規制が自分のビジネスに関係するのかということを把握するのが難しいこともありますので、その辺については、内閣官房に一元的な窓口を設置をして、この一元的な窓口では事業者の相談に応じて、事業者がチャレンジをしようとしているビジネスモデルに合わせたきめ細かなハンズオン支援を行ってまいりたいというふうに考えております。
  255. 山岡達丸

    ○山岡委員 ありがとうございます。  サンドボックスは、そうした意味で、期待する部分もありますけれども、心配な部分もございます。  先ほど中谷委員も御質問した話でもあったんですけれども、この法文の中の第三十一条には、革新的事業活動評価委員会の所掌事務といいますか、そうしたことが書かれているわけであります。こうすると、全て中身は、経済全般への効果ということは書かれているんです。いわゆる経済に対する評価はあるよという中で、じゃ、一方で、公共性、安全性、特に規制については他省庁にかかわる話でありますから、ここの部分は非常に、どういうふうに考慮するのかということがポイントになるんだろうと思います。  恐らくは、最終的には各大臣が判断するのだからというお話をされるわけでありますけれども、ただ、法文に、この全般について総理大臣を通じて勧告できるというふうにあるわけです。意見とは違うわけです、勧告なわけですから。  昨今の、いろいろ多くは申し上げませんが、総理大臣がさまざまかかわる中で、物事を強引に動かしているんではないかという疑いが非常に強いこの中にあって、特に規制にかかわる部分、他省庁との間の中で、やはり、非常にこれは問題があるということをある省庁が言ったときも、勧告というところまでいくというのは極端なケースだと思うんですけれども、勧告という制度があるばかりに、最終的には、評価委員会が経済性のみを判断した、そういう経済的評価のみを判断してこの中身を押し通すということによって、いろいろな問題が起こる可能性があるということも心配されるわけです。  このあたり、大臣、どうお考えでしょうか。
  256. 世耕弘成

    世耕国務大臣 今回、サンドボックスを実施していく中では、事業者に対して、当然、安全性ですとか公益性を確保するため、期間、場所、方法を限定をして、そして参加者の同意を得ること、そして実証実験の管理監督を行うことなど、実証を適切に実施するために必要となる措置を講ずることを求めているわけであります。  これを踏まえて、主務大臣のうち当該実証に係る新技術等に関係する規制を所管する大臣が、こうした措置が適切に講じられていることも含めて、安全性や公益性を保護する規制法令に違反するものでないなどを確認した上で、実証実験を認定することになっています。  また、実証の実施段階においても、仮に、事業者が、認定を受けた実証計画に従って必要となる措置を実施していないという場合には、主務大臣は認定を取り消すこととしているわけであります。  こういった手続を通して、個別の計画の認定ごとに安全性、公共性を担保をしていきたいというふうに考えています。
  257. 山岡達丸

    ○山岡委員 ただ、勧告するに当たっては、総理大臣を通じてというふうにあるわけでありますね。  これは、先ほどの答弁では、たまたま内閣府が所管するからというお話もございましたけれども、ただ、当然ながら、勧告に当たって、総理大臣の名のもとにということになれば、総理大臣のイエスかノーの意思があって、勧告、ゴーということになるんだということになると思えば、それぞれの大臣の判断だといっても、これは相当大きなパワーを持つのではないかということを思いますが、いかがでしょうか。
  258. 世耕弘成

    世耕国務大臣 そこは御心配ないと思います。  評価委員会がしっかりと勧告を淡々と出す。そこに総理大臣が何か絡むということはありません。その評価委員会が勧告を出すということを決めたときに、それを内閣府の長として総理大臣が手続として行うわけであります。  経産省でも、例えば、いろいろな免許とか出しますが、それは私の名前で出されていますけれども、私はそれは、受かった人に関して、この人嫌いだから外すとか、そういうことはできないようになっているわけでありまして、それと同じことだと思います。  あくまでも評価委員会が決めていく、そのことを総理大臣が、内閣府の長として、内閣府の大臣として淡々と手続を行うということだろうと思います。
  259. 山岡達丸

    ○山岡委員 大臣より、そこに意思はかかわらないんだということを御答弁いただきましたので、これは今後の運用も含めて、また注視しながら、これはまた見ていかなきゃいけないなということの思いであります。  規制ということなので、ちょっと閣法の話からはずれるんですけれども、地域の、北海道の大きな関心事でもありますけれども、水素のことについても少しお伺いできればと思います。  先ほど、田嶋委員のお話の中で、自動車の話も言及されまして、電気自動車とハイブリッドというお話がありましたけれども、水素燃料自動車も、これは大きな方針として政府として推進を掲げておられるものだと思っております。  この水素燃料自動車の普及に伴って、水素ステーションも、これは大きく本当に広げていくという政策の最中だというふうに理解をしているところであります。  今、百カ所、全国である中で、これから百六十カ所程度に、まずは段階的に、普及台数とあわせて広げていくという理解でありますけれども、まさに、この水素ステーションの普及に当たって、大きな規制がはばかっているところがございまして、これは幾つもあって、要望は上がっていると思うんですけれども、その一つの事例として、いわゆる無人化の問題について、要は、今、有人化ですけれども、これを無人化していくという観点の問題について、ちょっと大臣の見解を伺いたいんです。  海外では、この水素ステーションというのは、いわゆる無人化。もちろん、遠くでモニタリングをして複数のステーションを監視しているという状況なのかもしれませんけれども、そうしたことがある中で、いわゆる大型ガスプラントと同じ扱いの法律といいますか、そうした法律に基づいてこの水素ステーション、いわゆる水素の燃料補給のステーションが考えられているために、必ず保安員と販売員と二人はいなければならないような、そうした今法律になっているものだと理解しているところであります。  一つの場所に五個も十個もステーションがつくれるほど普及台数が多ければまた違うんですけれども、今とにかく箇所数を大きく広げていくという中で、ランニングコストが非常に高いと、これは普及に大きな問題、障害になるというふうに理解をしているところであります。  じゃ、この規制はどこにあるのかといったら、経済産業省の中にある。つまり、経済産業省の中に、水素ステーションを推進したいというところもあれば、それは法律に基づいてだめだというところもある。この問題については、やはり経済産業省の中で解決する問題だと思っております。  私は、普及のためには無人化を推進していかなきゃいけないと思いますけれども、大臣はどうお考えでしょうか。
  260. 世耕弘成

    世耕国務大臣 私は、この水素の利活用というのは非常に重要だと思っています。先ほどから議論になっている再生可能エネルギーを使っていく上でも、最終的に他国とつなぐことができない日本は、やはり水素で蓄電をするというのが一つのブレークスルーだというふうに思っています。  そんな中で、今まずできることとして、いろいろありますけれども、やはり水素自動車を普及させていく、そして、その普及のためには、これはもう鶏と卵なんて言っていないで、先に水素ステーションをしっかりとふやしていくことが非常に重要だと思っていまして、そのためには、やはりいろいろな意味での規制の見直しというのも重要だと思っていまして、私は今、省内、かなりの部分が、消防法とかうちの規制じゃない部分もありますけれども、かなりの部分が経産省の規制になっていますので、これは徹底的に、特に保安要員の削減とかそういったことの規制の見直しを指示をして、今取り組んできているところであります。  また、去年の六月に閣議決定をされた規制改革実施計画においては、三十七の規制見直し項目が盛り込まれています。こういったことを早期に実現するために、これまで事業者、学識経験者などから成る検討会議を五回にわたって開催をして、全ての規制項目について議論を一巡をしたところであります。  その中には、今委員御指摘の水素スタンドの無人化についても盛り込まれておりまして、まずは、その最初の一歩として、その実現に不可欠となるセルフ充填、これもまだ水素は認められていません、セルフ充填について、平成三十年度中に可能とすべく検討を進めているところであります。このセルフ充填でまた得られた経験海外の実態なども含めて、次のステップとして無人化の議論というのを進めてまいりたいというふうに思っています。  しかし一方で、安全確保ということも重要でありますので、安全確保を前提に、科学的知見に基づいてしっかりと規制の見直しを進めてまいりたいと思います。
  261. 山岡達丸

    ○山岡委員 御答弁ありがとうございます。  海外で実現していることと、いわゆるガソリンスタンドのセルフのスタンドのところまでまだ追いついていない、そこにまず追いつけようというお話だと思います。  ガソリンスタンドのセルフは、五個も十個もスタンドがあって、要は給油機があって、大きく運用できるから、これは複数に対して一人、二人の担当者でもいいんですけれども、繰り返しになりますけれども、ステーションは、まず一つの場所に一カ所とか、一つしか設置できない。その中にあって、セルフといえどもそこに人を置くのであれば、これは人件費が大きくコストがかさむということには変わらないので、これは一歩ずつだというお話でもありますけれども、そこも踏まえた中で、大きく普及させていくということを含めて、その観点から、安全性の観点からもその辺の多角的な視野も持たなきゃいけないんですが、ぜひ推進していただければなという思いであります。  あわせて、ランニングコストが大きくかかるという話に絡んで、私の、自分の地元で活動している室蘭の話で恐縮なんですけれども、前回質問させていただいたときに、室蘭では経済産業省の支援がなくとも独自に水素ステーションをつくった、そうした町であるということを大臣にお伝えしたところ、独自につくるなんてさすがだという大変ありがたい御評価もいただいたところでありました。あわせて、この室蘭市が水素という新しい切り口で産業のステップを踏み出していくというそのつもりがあるのであれば、いろいろな形で支援をしたいということも、大変ありがたくそうしたお言葉もいただいたところでありました。  実は、経済産業省が支援をして設置した水素ステーションは、その後のランニングコストも支援する制度があるんですけれども、独自につくったところに対しては、経済産業省は全く支援していない。勝手につくったんだから、それは自分たちで運営してくださいというのが今の状況であります。  政府としても、経済産業省としても、これはこれから面的に水素ステーションを大きく広げていくというさなか、室蘭は、このランニングコストも大きくかさんで、一週間に一遍とか、そういう充填の期間にするという工夫もしたりしているわけでありますけれども、それがなおさら商用ステーションとはほど遠いという評価をいただいて、支援の対象にならないようなことも言われたりしました。  でも、この三月にようやく札幌にも一個、経済産業省の支援のもと、できまして、これから面的に北海道にもふやしていくという段階であろうと思います。このときに、目的になぞらえて言えば、町が、市が独自につくったものであったとしても、これはやはり、面的に広げていく過程の中で、室蘭の水素ステーションも経済産業省によるランニングコストの支援の対象にしていただきたい、その思いを強く持っているところであります。  どうか大臣、その考えを、また、その方向に導いていただけませんでしょうか。
  262. 世耕弘成

    世耕国務大臣 改めて、地域独自に水素ステーションをつくっておられることには敬意を表したいと思いますが、水素ステーションの整備、運営費とも非常に高額でありまして、水素ステーションの整備を今後進めていくためには、こういったコストの低減が不可欠であります。  経産省としては、水素ステーションの整備、運営を支援するとともに、先ほどお話しした規制の見直しですとか技術開発を進めて、二〇二〇年ごろまでにはコストを半減したいというふうに思っています。  一方で、普及の初期においては、やはり燃料電池自動車そのものが高額であることも相まって、一足飛びに全国でみんなFCVが走り回るということも困難であります。限られた官民の投資を最大限生かすべく、まずは四大都市圏を中心に、次に地方の大都市圏に、次いで地方の中核都市へという形で、段階的に水素ステーションのネットワークを広げていくというのが官民のコンセンサスになっております。  まだ水素ステーションが整備されていない地域から、水素ステーションを整備したいという声をいただくことがありまして、大変ありがたいことだと思っていますが、一方で、水素ステーションの整備、運営は、当面は先行投資としてFCVの普及を待つことになるわけでありまして、FCVの普及状況とのバランスをとりながら水素ステーションの普及を進めていくことが重要だというふうに考えています。  いずれ、札幌のような地方の大都市圏から室蘭市も含めた地方の中核都市へと水素ステーションのネットワークを展開していく際に、FCVの普及とバランスをとりながら、適切に支援をしていきたいと考えております。
  263. 山岡達丸

    ○山岡委員 ありがとうございます。  札幌にもできまして、いずれこのネットワークというのは広がっていくものだと思います。  適切に支援という今お言葉がありました。確認ですけれども、これは、適切な支援という中で、独自につくったステーションに対してもきちんとしたそういう、ほかのステーションと変わらない支援も考えていくということでよろしいんですか。
  264. 世耕弘成

    世耕国務大臣 いずれにしても適切な支援をしっかり検討してまいりたいと思います。
  265. 山岡達丸

    ○山岡委員 これはぜひ、いわゆる政府の方針にのっとって、今、結果的にかもしれませんけれども、その町の取組が広がってやっているという実態でもありますので、これは、適切なという中にこの室蘭市のことも含めて考えていただきたいと思いますし、大都市圏の、人口圏を中心に考えますと、北海道はどうしても札幌を中心に広げていくということになろうかと思うんですけれども、これは、北海道の地域事情からいえば、空港を中心に都市間の移動、自動車が非常に盛んな地域でもありますし、町と町の間が五十キロであったり六十キロであったり、非常に離れているという場所でもあります。ですから、人口だけにとらわれず、この普及というのは地域事情に合わせて面的に広げていただきたいと思っております。  その普及についての考え方について、大臣にお伺いしたいと思います。
  266. 高科淳

    ○高科政府参考人 お答えいたします。  水素ステーションの整備に当たりましては、限られた資源の中で、そのステーションの設置に伴いますFCVの需要創出を最大化しながら、FCVユーザーの利便性向上に資するように、最適に設置していくことが必要であります。  このため、水素ステーションの事業者は、自動車会社とも連携しながら、シミュレーションなども活用して水素ステーションの整備計画を立てているものと承知してございます。  この際、御指摘のとおり、単純な人口密度のみならず、エリアごとの自動車の販売台数や都市間の移動を考慮して、FCVの需要ポテンシャルが比較的大きく、水素ステーションが事業としてより早期に成り立つ地点を割り出しております。  北海道におきましては、現在、札幌市におきまして水素ステーションが開所しておりますが、こうしたFCVの需要創出やFCVユーザーの利便性の観点から、室蘭市の水素ステーションとともに新千歳空港を含む道央エリアの水素ステーションネットワークが面的に広がっていくものと認識してございます。
  267. 山岡達丸

    ○山岡委員 ありがとうございます。  非常に市としては、経産省の支援を待たずにつくっていったということはあろうかと思うんですけれども、今お話にもありましたけれども、室蘭も含めて面的に広げていくことが重要だというお話もいただきました。  そのことと、先ほどおっしゃっていたように、面的に広がる中で適切な対応をするというお話を総合すれば、私は、きちんとした、経産省としてもこの水素エネルギーに取り組む室蘭市の支援並びに評価をしていただけるものだという理解をさせていただきながら、まだこの閣法についても御質問の機会もありますので、きょうはここまでの質問とさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  268. 稲津久

    稲津委員長 次に、笠井亮君。
  269. 笠井亮

    ○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。  まず、本法案の大前提である行政のあり方にかかわって質問いたします。  先ほど菊田委員からも議論があって、質疑、やりとりがありましたが、前川前文科省事務次官の公開授業の不当介入事件に続いて、北海道の町立高校のエネルギーに関する公開授業に、経産省の北海道経済産業局が原発の資料を変更するように求めたという問題であります。  世耕大臣、昨年十月のニセコ高校のエネルギー授業の際に、道経済局幹部が事前に講師を務める北海道大学大学院の山形定助教を訪問した、そして、東京電力福島第一原発の水素爆発時の写真を添えて原発の危険性を示した、あるいはコストを説明した資料を、特定の見方だ、印象操作だと指摘をして、そして変更を求めたことが発覚したわけであります。  町民からは、国の不当介入だという怒りが広がっております。経産局は、公平に伝えるように求めただけというふうに言いわけしておりますが、明らかに、原発の広報、推進の立場から圧力をかけて介入した、こういうことじゃないんですか。
  270. 世耕弘成

    世耕国務大臣 今回、昨年十月に国の支援事業の一環で開催された講演に際して、事前に資料を入手し、講師を務める方に対して、北海道経済産業局の職員が、エネルギー源のメリット、デメリットを生徒に公平に伝える趣旨で行われたというふうに認識をしておりますが、これは国の予算を使っての支援事業でありますから、その事業の中身に責任を持つということは当然であるわけでありますが、しかし、一方で、当該職員が講師の方を直接訪問し、そして原子力の論点だけを取り上げて言及をしたということは、誤解や懸念を招く行為であったというふうに考えております。  この点は大変遺憾でありまして、慎重さを欠いていたことを真摯に反省しなければならないというふうに思います。  今後は、こうした誤解を生むようなやりとりが二度と発生することがないよう、事業の運営方法を抜本的に見直したいと考えております。
  271. 笠井亮

    ○笠井委員 国の支援事業だから中身に責任を持つのは当然というふうに言われましたが、それも問題だ。そして、誤解というふうに言われましたが、誤解などという問題ではないと言いたいと思うんです。  事業の募集要項を見ますと、エネルギーミックスで原発を位置づけながら、そして、現に山形助教は経産局から、原発を進めるという国の方針があるから指摘をしているというふうに言われたということであります。  ニセコ町は、北海道電力の泊原発から三十キロ圏内のUPZにある。原発再稼働を進めたい国の意向が透けて見えるということであります。  この事業については、先ほどちょっと出ていましたが、二〇一四年以降、モデル校に指定、選定というのが、全国の都道府県で、数えてみますと、私も資料をいただきましたが、百二十の小中高に及んでおります。こんなような今回のケース自体を他のモデル校でもやっていないのか、やっているんじゃないかという問題について、しっかりやはり調査が必要だと思うんです。  先ほど経産省の方は、北海道にはないと言われましたが、全国でこういうモデル校の選定をしているわけですから、徹底してまず調査するのがしかるべきだと思うんですが、いかがですか。
  272. 世耕弘成

    世耕国務大臣 本件のほか、北海道経済産業局の職員が講演資料を事前に確認した事案が一件、先ほどお話ししたとおり、ありました。ただ、これは、資料の修正依頼は行っていないということであります。ニセコ高校の件についてのみ、北海道経済産業局の職員の依頼を踏まえ、講演者が資料を修正したということであります。  これ以外について、エネルギー教育モデル事業が始まった平成二十六年度から二十九年度においての資料の事前確認や修正が行われた案件は今のところ承知をしておりませんが、引き続きよく確認をしたいと思います。
  273. 笠井亮

    ○笠井委員 今のところ承知していないがということですから、確認が必要だと。調査が必要です。  この事業の委託先である科学技術振興財団は、会長の三村新日鉄名誉会長のほか、評議員、理事のリストを見ますと、東京電力、日立、東芝、鹿島など、いわゆる原発利益共同体の役員と経産省関連団体の幹部がずらり並んでいて、これまでも、調べてみますと、国の補助金で原発の広報や核燃サイクル推進の活動を展開してきた。しかも、かつて、新聞、雑誌などの不適切、不正確な情報への対応と称して、全国紙、立地県地方紙、ネットへの監視というのをこの財団がやっていたことが大問題になったわけであります。  世耕大臣は、誤解だとおっしゃりつつ、広報活動でそれをやったと認めながら、学校現場に足を踏み入れたというふうに先ほど言われたんですが、それ自体がやはり重大な介入だと言わなきゃいけないと思うんです。  姉崎洋一北海道大学名誉教授がずばり指摘されているとおり、現在の原子力行政の推進を前提にした教育内容への不当な介入ではないか、しかも、大学の研究者には学問の自由があり、科学的な判断に基づいて講演内容を構成すると。事前に、しかも経産局の三名が訪れたのは夕方六時過ぎ。もう終わっている時間です、普通。その時間に、いかにも緊急で、もう慌ててという状況でしょうが、そんな時間に研究室を訪ねて講演内容の修正を迫るというのは、私は、誤解どころか大問題であって、余りに異常だと思うんです。  重大な介入、そして異常な事態、大臣にはそういう認識がないんですか。
  274. 世耕弘成

    世耕国務大臣 今回のような誤解や懸念を生じさせるような事態が起こったということは、大変私としても遺憾だと思っております。  ですから、このような誤解や懸念を二度と生じさせることがないようにするため、今回の事案の対象でありますエネルギー教育モデル事業については、平成三十年度の新規募集は行わず、来年度以降は事業全体を廃止したいというふうに思っています。三十年度については、既に学校が選定をされて、カリキュラムに組み込まれている分のみ実施をしていきたいというふうに思っています。  ただ、一方で、エネルギー教育を担っていただく先生方を支援することは引き続き重要でありますので、エネ庁のホームページ上での学生向けのわかりやすいエネルギー教育のコンテンツの充実、エネルギー教育に意欲的に取り組む教員や教育関係者への教育コンテンツの情報提供などの取組をしっかりと進めてまいりたいと思いますし、その際にも、教育現場への介入と誤解されることがないよう細心の注意を払ってまいりたいと思います。
  275. 笠井亮

    ○笠井委員 今、まだ誤解というふうに言われたり懸念と言われるんですが、教育現場に入ってそういうことを言ったら、これはもう介入なんですよ。事の重大性の認識が全くないと大臣には言わなければなりません。  まず、来年度以降は事業を廃止すると言われましたが、もう直ちにやめるべきだ。そして、まず大臣がやるべきは、今回の問題が不当な圧力、介入であったことを認めて、山形助教、ニセコ高校、ニセコ町民に謝罪をして、おわびに行くことではないか。その上で、なぜ、何のために変更を求めたのか、モデル事業でほかにないのか、そういうことについては確認が必要だと言われたけれども、徹底して調査するように指示する、これが全ての出発点じゃないんですか。その点、はっきり言えないんですか。
  276. 世耕弘成

    世耕国務大臣 当然、これは我々の予算を使っている事業でありますから、その内容に関してきちっと責任を持つことは非常に重要なことだというふうに思っています。  ただ、今回、原子力に限ってのみ修正を申し入れたということ自体は、誤解を招きかねない事案だったというふうに思っております。  いずれにしても、他の事業でこういったケースがなかったかどうかについては、よく確認をしたいと考えております。
  277. 笠井亮

    ○笠井委員 原子力に限ってやったということが問題だというのは、公正中立といいながら、結局、そういう形で教育の現場に持ち込んだわけですから、その問題の認識はきちっとしなきゃいけない。そして、徹底してこの問題については調査、確認するということで、まず、きちっと謝りに行くというぐらいやるべきだと強く申し上げたいと思います。  さて、生産性向上特措法案産業競争力強化法の改正ですけれども、これらは、安倍総理が議長を務める未来投資会議、昨年十二月八日に閣議決定した新たな経済政策パッケージをもとに、我が国の産業産業構造を、AI、人工知能やIoTなどの進展に対応させるとして、異次元の構造改革と規制緩和を推進するものだというふうに思います。ならば、この二十年間の構造改革と規制緩和が何をもたらしたか、その総括がどうしても必要だと強く言わなければなりません。  世耕大臣は、この問題で私の本会議の質問にお答えになりませんでしたが、この間、労働者の実質賃金はマイナスを続けて、労働生産性の向上は賃金の上昇に結びついてこなかった。  実際に、二〇一五年版の労働経済白書は、賃金と生産性を国際比較して、次のように分析しております。「ユーロ圏及び米国では実質労働生産性が上昇する局面において、若干の水準のギャップはみられるものの実質賃金も上昇を続けている。一方、我が国においては、実質労働生産性は継続的に上昇しており、その伸び幅もユーロ圏と比較するとそれほど遜色ないといえるが、実質賃金の伸びはそれに追いついていない状況がみられ、両者のギャップはユーロ圏及び米国よりも大きいことが分かる。」こう指摘しているわけですよね。  世耕大臣、主要国で日本だけが労働生産性の上昇が賃金に結びついていない、これは明らかではないかと思うんですが、いかがですか。
  278. 世耕弘成

    世耕国務大臣 御指摘のあった厚労省の平成二十七年版労働経済の分析においては、我が国で労働生産性の上昇が賃金上昇に必ずしも結びついてこなかったことについて、四つの仮説が可能性として示されていると承知をしています。一つは、企業の利益処分が変化をし、人件費への分配が抑制された可能性、二つ目が、交易条件の悪化に伴う海外への所得流出によって賃金が押し下げられた可能性、三つは、非正規雇用の増加によって一人当たり賃金が押し下げられた可能性、四つ目が、組合組織率の低下など賃金決定プロセスや労使の交渉力の変化が生じた可能性。  また、安倍政権が発足して、二〇一五年半ばまでの間に実質賃金が減少したとされますが、これは、デフレ脱却に向かう過程で物価が上昇したこと、景気が回復し、雇用が増加する過程において、パートで働く方がふえたことが要因となっておりまして、つまり、アベノミクスによる景気回復の過程で、雇用が拡大し、物価が上昇基調に転じたことも背景にあるものと考えられます。  このように、労働生産性と賃金上昇との関係については、さまざま複合的な要因が影響するものと認識をしております。  いずれにしろ、政府として、今後三年間を生産性革命集中投資期間と位置づけて、大胆な政策を断行していくこととしておりまして、特に、中小企業については、平成三十年度税制改正において所得拡大促進税制の抜本的な拡充を盛り込むとともに、補正予算や今国会に提出した法案などを通じた生産性向上や下請企業の取引条件の改善など、環境づくりにより、賃上げを強力に後押ししてまいりたいと考えております。
  279. 笠井亮

    ○笠井委員 仮説の上にとか要因がとか、いろいろ言われましたが、白書自体が、労働生産性の上昇が賃金に結びついていないということについては事実だということであります。  そして、実際に、アベノミクス五年間でも労働者の実質賃金が年収換算では十六万円も減となったのは、これまた厳然たる事実。他方で、自動車、電機などの大企業は、世界的な多国籍企業成長して、史上空前の利益を上げて、内部留保はついに四百兆円を超えるに至ったということであります。  では、伺いますが、製造業の海外生産比率、海外の進出企業ベースで結構ですけれども、本法案の前身である産活法ができた一九九九年と、直近の、二〇一六年度まであると思うんですけれども、それぞれ何%になっているか。また、業種別で、輸送機械、自動車、それから情報通信機械についてはそれぞれ何%かということで、指標を大臣、よろしくお願いします。
  280. 世耕弘成

    世耕国務大臣 製造業全体及び輸送機械産業海外生産比率については、経産省として行っている海外事業活動基本調査によれば、一九九九年度から二〇一六年度まで、それぞれ年度により増減しているものの、全体としては増加をしている傾向にあります。  具体的には、製造業全体で見ますと一一・四%から二三・八%に、輸送機械産業は二三・四%から四六・一%にそれぞれ推移をしております。  また、情報通信機器産業海外生産比率については、一般社団法人電子情報技術産業協会による調査によれば、数字が捕捉できる二〇〇七年度から二〇一六年度まで、年度により増減はあるものの、五六%から六二%に、全体としては増加をしております。  なお、国内に製造業の生産機能を戻す動きも最近は見られております。経産省が実施したアンケートによりますと、海外に生産機能を持つ企業のうち、二〇一六年には一一・八%の企業が、二〇一七年には一四・三%の企業が、過去一年間で海外生産の製品、部材を何らかの形で国内生産に戻した旨回答をしているところであります。
  281. 笠井亮

    ○笠井委員 この同時期で結構ですが、海外従業員というのは何万人から何万人になっているでしょうか。
  282. 世耕弘成

    世耕国務大臣 経産省が実施をしております海外事業活動基本調査によれば、海外現地法人の従業員数は、一九九九年度に三百十六万人であったものが、二〇一六年度に五百五十九万人となっております。
  283. 笠井亮

    ○笠井委員 産活法のもとで、二十年間に製造業の海外生産比率、戻っているのもあるにしても、全体として大幅にふえている、そして、海外従業員も二倍近くなっているということであります。  一九九九年の産活法は、大企業が人、物、金の三つの過剰をそぎ落とすための事業再編、リストラ、人減らしによって競争力を強化すれば日本経済はよくなるとして、株主資本利益率、ROEの向上を最優先した大企業を税金を使って応援するものでありました。企業世界で一番活躍しやすい国を目指すとして、二〇一三年の産競法で拡充強化してきたのが安倍政権だったわけであります。  世耕大臣に伺いますが、このもとで大企業はリストラ、人減らしによっていわゆる筋肉質になって、日本経済は果たしてよくなったか。富が一握りの大企業株主、富裕層に集中をして、働く人の所得が奪われて、内需は低迷して、格差と貧困を広げただけではないかと思うんですが、大臣、いかがですか。
  284. 世耕弘成

    世耕国務大臣 産業活力再生特別措置法、これは一九九九年制定でありますが、及び産業競争力強化法、これは二〇一三年制定でありますが、それぞれにおいて、産業活動の新陳代謝を進めるという観点から事業再編などへの支援を行ってきているところであります。  その際、雇用の安定は重要な政策課題と認識をしておりまして、事業再編計画などの認定に当たっては、従業員の地位を不当に害するものでないことを法律上の要件としてきています。  一方で、国内外の経済状況産業構造の変化に合わせて、新たに良質な雇用が安定的に生まれることが重要と考えておりまして、実際に、法律に基づく認定を受けた計画を実施して雇用をふやした企業も存在するなど、委員の御指摘は必ずしも当たらないものと考えております。  現在、第四次産業革命の進展に伴って就業構造の変化が見込まれておりますけれども、そうした状況のもとで国内に良質な雇用を生み出していくためには、日本産業が従来から強みとしてきた現場力や現場の良質なデータを生かして、コネクテッド・インダストリーズの促進などを通じて生産性革命を実現することが喫緊の課題だと思います。  このため、規制のサンドボックス制度やデータ利活用の促進など、生産性革命を実現するための施策を生産性向上特別措置法案及び産業競争力強化法等の改正案に盛り込んでおり、これらの施策を活用しながら、日本企業の競争力強化、ひいては国内における質の高い雇用の創出に向けて取り組んでまいりたいと思います。
  285. 笠井亮

    ○笠井委員 必ずしも当たらないと言われましたが、じゃ、伺いますが、十三の電機大企業グループを見ますと、電機・情報ユニオンの調べによれば、三十五万人ものリストラが計画をされております。パナソニック、東芝、ソニー、日立製作所、そしてルネサスエレクトロニクス、NEC、富士通、リコー、シャープ、TDKの十社を見ますと、それぞれ一万人規模にもなっております。  例えばルネサスエレクトロニクスはどうかといいますと、この企業は、NEC、日立、三菱電機による、システムLSIを中心とした半導体部門を分割、統合して設立されましたけれども、産活法を活用するということで、これによってどんな認定が、さらにはどんな支援を受けてきたでしょうか、大臣
  286. 世耕弘成

    世耕国務大臣 ルネサス社に対しましては、まず、二〇〇三年、経営資源の効率的な活用の観点から、日立製作所と三菱電機の半導体事業を分社、統合する際に、産活法の認定を行い、登録免許税の減免ですとか日本政策投資銀行の低利融資を実施しています。また、二〇一〇年、同様の観点から、NECの半導体事業を統合する際に、産活法の認定を行って、登録免許税の減免を実施しております。二〇一三年、オープンイノベーションを支援するため、ユーザー企業八社とともに、産革機構が約千四百億円の出資を実施しております。  こうした支援を通じて、ルネサス社の強みである高い信頼性などを生かしながら、事業の選択と集中などを進めて、業績を大幅に改善してきたところであります。  この結果、IoTの進展の中で、それに欠かせない半導体の重要なサプライヤーとして競争力強化を実現をしてきております。  東日本大震災による被災やタイの洪水などを背景に、一時急激に業績が悪化しておりましたけれども、競争力の強化を実現することにより、最近では、国内雇用や平均年間給与も増加していると聞いております。
  287. 笠井亮

    ○笠井委員 今言われたような、産活法で支援をして、政府系ファンド産業革新機構が筆頭株主の国策企業が黒字リストラ、人減らしを先頭になって進めているというのが実態であります。  ルネサスは、二〇一〇年四月の設立時に四万六千人いた従業員を七年余りで二万人に減らしました。実に二万六千人もの大量リストラを強行した。労働者の広域配転、一カ月間で八回もの面談など、退職強要を繰り返してきました。  一方で、同社は、去る三月二十九日の株主総会で、取締役の年間報酬総額の上限を現在の四倍の二十億円に引き上げる議案を承認いたしました。有価証券報告書によりますと、二〇一七年十二月期の取締役の報酬総額は五人で約三億円、会長は一億四百四十万円、社長は一億六千四百三十万円も受け取っているというわけであります。  それなのに、そういう形で、一方では、リストラで強要するというので、退職強要をやっている。  世耕大臣、こんな官製リストラということを許していいのかということは、問題じゃないですか。
  288. 世耕弘成

    世耕国務大臣 このルネサスは、東日本大震災による被災ですとか、あるいはタイの洪水などを背景に業績が非常に厳しくなって、希望退職の募集ですとか、あるいは生産拠点の一部譲渡、閉鎖を含む厳しい構造改革を行ってきたことは事実であります。  しかしながら、そういった状況を乗り越えて、IoTの進展の中で、それに欠かせない半導体のサプライヤーとして競争力強化を実現してきた結果、最近では、国内雇用もふやしていますし、給与も増加しているというふうに聞いております。
  289. 笠井亮

    ○笠井委員 震災の影響と言われますが、東日本大震災前から産活法でルネサスを支援してきたわけです。  小さい企業が多いよりも、まとまって世界に勝つ競争力をつけたい、政府にとっても重要産業であり、なくなったら困るので必ず助けたい、身ぎれいにした上で会社として動きやすくするための支援ということで、そのものをやってきた結果で、今こういう形で、一方では大量の人減らし、リストラ、退職強要がやられている。  この四月三日に、山形県のこのルネサスの米沢工場に勤務していた三十八歳の男性が過労死として労災認定されていたことが判明をいたしました。  御遺族の手記にはこうあります。  夫は、二十四時間稼働している半導体製造工場に勤務しており、過大なノルマを課され、深夜、休日を問わない機器トラブルへの対応、明らかに難しい納期への対応、職場での理不尽な指示や要求などにより、心身にストレスを抱えていました。家族旅行もできぬまま、子供を残して、苦しみながら逝ってしまいました。過労死をなくすために広く報道してほしいと、痛切な思いを語られております。手記があります。  世耕大臣、いろいろいいことを言われますけれども、実際には現場でこういうことが起こっている。そして、経営者は、結局、国策企業でどんどんともうける。そして、みずからもたくさんの収入を得ながら、一方では二万六千人もの方々が首切り、リストラされている。そして、こういう痛ましい事件が起こっている。過労死として認定されるということが起こっている。  大臣、この御遺族の無念をどのように受けとめられますか。
  290. 世耕弘成

    世耕国務大臣 過労死などということは、これは我々、なくしていく、働き方改革の中でなくしていくということでありまして、本当に、御遺族には心からお見舞いを申し上げたいというふうに思っております。
  291. 笠井亮

    ○笠井委員 結局、ルネサスの場合、革新機構、株を持っていて、これは保有比率がこれから下がっていくことが一方で言われていたりしますが、それでも、現在の四五・六%が三三・四%になるというもので、なお三分の一を占める。売却後も、合併など重要議案の拒否権は維持されるという状況で、こういう状況は続いていくわけです。こんなことをやっていくと、国策は大いに進めていくということでいいのかという問題になってくると思います。  いわゆる合成の誤謬という問題があります。私も、参議院議員時代の一九九八年に、当時の与謝野通産大臣の次のような答弁を鮮明に覚えております。「リストラというのはその一つ企業にとってはバランスシートをきれいにするという意味では大変いいわけですが、全部の会社がリストラをやるということは全部の会社で不況運動をやっているのとほとんど同じことで」「いわば合成の誤謬ということがここで発生する」と。批判は痛烈でありました。  合成の誤謬の旗を振ってきたのが、産活法以来の国の政策だ。その反省もなく、生産性の向上の名でこの道を更に突き進んでいいと大臣はお考えでしょうか。
  292. 世耕弘成

    世耕国務大臣 やはり、しっかりと競争力をつけることによって雇用や給与の上昇につなげていくことこそが、本質的に重要なことだと思っております。  このルネサスにおいても、最近では国内雇用をふやしているし、給料もふやしているということであります。
  293. 笠井亮

    ○笠井委員 今、日本が多国籍企業化しているということでありますが、その多国籍企業の利益と国民の利益が一致しないということは、既に一九九二年の段階でも、通商白書でもはっきりと指摘をされておりました。  私も改めて読んだわけですが、企業活動の国際展開が進むにつれて、従来の国家と企業との関係にも変化が見られるようになってきている。かつては、一国の企業活動の活発化は、その国の雇用を増大させ、豊富な財を提供することによって国民生活に貢献するものであった。しかし、国際展開が進んだ企業は、資本の国籍にかかわらず、現地の雇用者を多数擁し、現地の市場を中心として財・サービスを提供する。国民の暮らしに結びつかないというわけであります。  大臣、こういうことについても、改めて、今日の時点でしっかりと受けとめて、今回の法案についても、やはり、この二十年間でどうなったかということで、しっかりと総括しながら、このまま進めていいのか、更に加速していいのか、そういうふうに立ちどまって考え直すときではないかと思いますが、いかがですか。
  294. 世耕弘成

    世耕国務大臣 逆に、この法案は、この二十年の縮み志向、リストラをやっていればいい経営者なんだという、このデフレマインドから切りかわるという意味で、私は非常に重要だと思っています。  これから積極的に投資を行い、そしてしっかりと会社も利益を上げ、そして従業員の働き方も改革をされ、賃金が上がっていく、こういうことが重要なんだろう、そのための今回の法案だというふうに私は考えております。
  295. 笠井亮

    ○笠井委員 私は、この道を更に突き進んでいったら、この先、日本の経済の先がないとはっきりと言いたいと思います。少なくとも、この二十年間の構造改革と規制緩和路線の影響について、やはりきちんとした総括が必要だ、そして、そういう中で、ただAIやIoTの流れに乗っていれば競争力がつくなどという単純な話では決してないということを強く指摘して、きょうの質疑を終わります。
  296. 稲津久

    稲津委員長 次回は、明十一日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十分散会