運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2018-03-30 第196回国会 衆議院 経済産業委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十年三月三十日(金曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 稲津  久君    理事 城内  実君 理事 平  将明君    理事 辻  清人君 理事 冨樫 博之君    理事 吉川 貴盛君 理事 落合 貴之君    理事 田嶋  要君 理事 富田 茂之君       穴見 陽一君    石川 昭政君       上野 宏史君    尾身 朝子君       大串 正樹君    大見  正君       岡下 昌平君    勝俣 孝明君       神山 佐市君    神田  裕君       小林 鷹之君    國場幸之助君       佐々木 紀君    佐藤ゆかり君       田畑  毅君    穂坂  泰君       星野 剛士君    松本 洋平君       三浦  靖君    三原 朝彦君       八木 哲也君    石川 香織君       神谷  裕君    中谷 一馬君       松平 浩一君    山崎  誠君       浅野  哲君    吉良 州司君       斉木 武志君    山岡 達丸君       太田 昌孝君    國重  徹君       菊田真紀子君    笠井  亮君       谷畑  孝君     …………………………………    経済産業大臣       世耕 弘成君    経済産業大臣政務官    大串 正樹君    政府特別補佐人    (公正取引委員会委員長) 杉本 和行君    政府参考人    (内閣官房TPP等政府対策本部政策調整統括官)  澁谷 和久君    政府参考人    (公正取引委員会事務総局官房総括審議官)     南部 利之君    政府参考人    (財務省大臣官房審議官) 宮原  隆君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       高橋 俊之君    政府参考人    (経済産業省大臣官房総括審議官)         飯田 祐二君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           松尾 剛彦君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           上田 洋二君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           前田 泰宏君    政府参考人    (経済産業省通商政策局通商機構部長)       渡辺 哲也君    政府参考人    (経済産業省貿易経済協力局長)          石川 正樹君    政府参考人    (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            高科  淳君    政府参考人    (資源エネルギー庁電力ガス事業部長)      村瀬 佳史君    政府参考人    (特許庁長官)      宗像 直子君    政府参考人    (中小企業庁長官)    安藤 久佳君    参考人    (株式会社国際協力銀行常務執行役員インフラ環境ファイナンス部門長)   弓倉 和久君    参考人    (日本銀行理事)     前田 栄治君    経済産業委員会専門員   佐野圭以子君     ――――――――――――― 委員の異動 三月三十日  辞任         補欠選任   神田  裕君     三浦  靖君   中谷 一馬君     石川 香織君   國重  徹君     太田 昌孝君 同日  辞任         補欠選任   三浦  靖君     神田  裕君   石川 香織君     神谷  裕君   太田 昌孝君     國重  徹君 同日  辞任         補欠選任   神谷  裕君     中谷 一馬君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  経済産業基本施策に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 稲津久

    稲津委員長 これより会議を開きます。  経済産業基本施策に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として株式会社国際協力銀行常務執行役員インフラ環境ファイナンス部門長弓倉和久君及び日本銀行理事前田栄治君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房TPP等政府対策本部政策調整統括官澁谷和久君、公正取引委員会事務総局官房総括審議官南部利之君、財務省大臣官房審議官宮原隆君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官高橋俊之君、経済産業省大臣官房総括審議官飯田祐二君、経済産業省大臣官房審議官松尾剛彦君、経済産業省大臣官房審議官上田洋二君、経済産業省大臣官房審議官前田泰宏君、経済産業省通商政策局通商機構部長渡辺哲也君、経済産業省貿易経済協力局長石川正樹君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長高科淳君、資源エネルギー庁電力ガス事業部長村瀬佳史君、特許庁長官宗像直子君及び中小企業庁長官安藤久佳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 稲津久

    稲津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 稲津久

    稲津委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。吉良州司君。
  5. 吉良州司

    吉良委員 おはようございます。希望の党、吉良州司でございます。  きょうは、世耕大臣中心に、胸をおかりしながら、昨日から急に物議を醸し出していましたが、TPPのことについて、そしてインフラ輸出、その中でも特にベトナムを特出しして質疑をさせていただきたいというふうに思っています。  まず、TPP11、取りまとめ、大変お疲れさまでございました。  このTPP11の意義について、そして、TPP11が成立するという、取りまとめたことの意義について、そして、TPPの今後について、どうなっていくのか、どうしていくつもりなのか、このTPP11の今後の展開について、まずはお聞きしたいと思います。
  6. 澁谷和久

    澁谷政府参考人 お答え申し上げます。  TPP11は、二十一世紀型の自由で公正な新たな共通ルールアジア太平洋地域につくり上げ、人口五億人、GDP十兆ドル、貿易総額五兆ドルという巨大な一つの経済圏をつくり出すものでございます。  よく言われておりますのは、バイFTA、二国間のFTAというのは、FTAを結んでいない国から貿易投資転換、シフトさせる、そういう貿易転換効果を持つと言われておりますが、それに対して、TPPのような多様な国と結ぶ広域的な経済連携は、貿易投資を活発にするだけではなく、新しいグローバルバリューチェーンを構築する、これまでになかった製品やサービスの提供を可能とする、いわば貿易投資創出効果があるというふうに考えているところでございまして、アジア太平洋にとって非常に意義のあるもの、我が国が主導して、ほぼ半年でまとめ上げたということは大きな成果ではないかと思います。  三月八日、チリ署名式で発表された閣僚声明にあるとおり、十一カ国としては、まずはTPP11の早期発効に全力を尽くす。その上で、TPPは、生きている協定リビングアグリーメントということで、新しい国や地域の加盟を通じてTPPハイスタンダードルールを広めていくということが参加国共通思いでございます。  けさの新聞にも、タイの副首相が、TPPへの参加、年内に結論を出したいというような記事が載っておりましたが、さまざまな国や地域TPPへの参加に関心を示していることを歓迎した上で、そうした国々に対して必要な情報提供を行っていきたいと考えております。
  7. 吉良州司

    吉良委員 まず、私の立場を申し上げますと、TPP11をまとめ上げたこと、これを大変高く評価をしております。特に、米国が離脱する中で、ある意味米国に逆らってでもこのTPP11を、今答弁にもありましたけれども、短期のうちにまとめ上げたこと、これは大変有意義だというふうに思っていまして、私自身大変評価をしているところであります。  意義についてるる説明がありましたけれども、答弁の中でもありましたが、FTAとかEPAというバイ、これは非常に重要ではあるんですけれども、実は、日本企業がこの間営々とつくり上げてきたバリューチェーンサプライチェーンを考えると、線だけでは不十分、これは面が非常に重要でありまして、私自身外務政務官のときにコロンビア大統領就任式に出まして、そのときに日本企業の方々とお話をしました。コロンビアですよ。  そのコロンビアに進出している日系企業の方が言ったことは、当時、日本コロンビアEPA交渉が進んでいたわけでありますけれども、でも自分たちのニーズとしてはこれでは実は不十分なんだ、というのは、自分たち調達先というのは、日本企業東南アジア投資をしている先、そこから部品を調達してくるんだ、だから日本とだけEPAを結んでも効果というのは限定的だ、そういう意味では、東南アジア国々日本企業投資をして、そこで部品をつくっている、また組立て工場をつくっている、そこを含めた、面でのこういう広域連携が必要なんだという話をしました。  コロンビアですらそうでありますから、ましてや日本に地理的に非常に近い東南アジアを考えると、こういう、面で広域連携をしていくことは極めて重要だというふうに私自身は思っています。  そして、二つ目として、資料一枚目、これをぜひごらんいただきたいと思っているんですけれども、TPPというのは、もちろん経済の広域的な枠組みではあるんですけれども、実は地政学的、地域戦略的に極めて重要な意味を持つというのが、これは一目でおわかりいただけると思います。  断っておきますけれども、中国ロシアも大事な隣国であって、我々としては、南米に引っ越しができない以上、中国ともロシアとも末永く友好関係を築いていく、ウイン・ウインの関係を築いていく、いかなければいけないというのは、これは当然のことでありますけれども、ただ、今、現状を見た場合には、一方ではそうやって友好関係をより深めていかなければいけないという要素と、やはりリスクがある、又は安全保障上の潜在的な脅威であるということを考えたときに、その潜在的な、あえて野党だから脅威という言葉を使いますけれども、そういう部分も意識しなければいけない。  その中国が、今、AIIBというファイナンスソースをバックにしながら、御承知のとおり、上海協力機構という枠組みをつくっている、それで、一帯一路という政策を進めようとしている。それをこうやって地図上に色分けすると、かつてのモンゴル帝国ではないですけれども、このユーラシアを覆うようなこういう枠組みをつくろうとしている。  これは、ある意味ではランドパワーでありますけれども、一方、TPPが目指すもの、アメリカは薄く、そしてコロンビアを斜めの斜線であらわしていますが、このTPPというのは、まさに太平洋を挟んだ海洋国家中心となった国々であります。  海洋国家というのは、当然ながら、自由な投資貿易、そして自由な海上輸送というものを必要とします。そういう意味では、このTPPというものをより強固なものにしていって、先ほど言いました中国ロシア、大事な隣国ではあるけれども、ある程度このランドパワーに対抗し得るシーパワーという結束を強めた経済連携をつくっていかなければいけない。  これが、私自身が考えるTPPの地政学的な意味合いであります。  そういう意味で、このTPPというものは非常に重要で、私自身、大変高く評価しているということを念押しをさせてもらいたいと思いますが、先ほど、今後どうしていくのかということについては簡単にしか触れなかったのでありますけれども、この点について、今後どうなっていくのか、どうしていくのか、どういう展開になっていくのか、したいのかということで、もし見解があれば大臣の方からもお聞きしたいと思います。
  8. 世耕弘成

    世耕国務大臣 今の地図、まとめていただくと、非常にランドパワーシーパワーというのが地政学的にも明確になる。TPPというのは、単なる貿易協定ではなくて、地政学的な趣旨も持った協定なんだなということを改めて感じる次第であります。  もう既に、私がアジア各国貿易大臣と会談をしても、先ほどタイの副首相の話もありましたが、ぜひTPPに入りたいという声も複数、国や地域、聞こえてくるわけでありまして、そういう意味でも、このTPPルールに入りたいというところがあれば、それは積極的に情報提供もして巻き込んでいくということも重要だというふうに思いますし、ある意味、今度は逆に、TPPに入っていないとなかなかメリットがないなと感じてもらうということも今後重要になってくるのではないかなというふうに感じております。
  9. 吉良州司

    吉良委員 ありがとうございます。  今大臣のおっしゃった最後の段が非常に重要でありまして、TPPに入らないと不利になるという状況をもたらすことが非常に重要だと思っています。  そういう意味で、もう当然政府としては大前提でやっていることだとは思いますが、まずはアメリカをもう一回招き入れること。私自身は、米国中間選挙が終わったらトランプ政権のうちにでも入ってくる可能性があると思っていますし、ましてポスト・トランプにおいては間違いなく入ってくるだろうというふうに思っています。  それに加えて、先ほど地図でもお示ししましたけれども、コロンビアというものをぜひ招き入れていただきたい。  私は、ずっとコロンビアを招き入れるべしということを長年言い続けておりまして、コロンビアというのは、太平洋にも大西洋にも、もちろんカリブ海にも面した南米の大国でありまして、環太平洋といったときに、ペルー、チリが入っているのにコロンビアが抜けているというのは、本当に面で考えたときに違和感があります。  そして、これも私よく言うことなんですが、少し古い情報で恐縮ながら、二〇一〇年、私がコロンビアに行ったときに当時の寺沢大使からお聞きしたことなんですけれども、当時、米国本国派遣外交官が世界で一番多かった国が実はコロンビアなんですね。日本から考えると、えっ、何でと。イラクじゃないのとか、そういうことは容易に想像つくんですが、コロンビアだったんです、当時は。今でも恐らく三番以内には入っていると思います。  これはもちろん、さっき言った、コロンビア太平洋にも大西洋にも面した重要な国、それから、米州というところを見ると、これも地政学的に、重心、へそになるんですよね。そのコロンビア経由麻薬メキシコに、アメリカに入ってくる。それでメキシコアメリカも悩まされている。その麻薬売買資金でもってゲリラが活発に活動していた。コロンビアの隣には、当時反米政権であったチャベス、その後もベネズエラは反米色が強いですけれども。また、チャベスに同調する、当時でいえばエクアドルのコレア政権があった。  そういうコロンビア反米というようなことになりますと、米州全体が一挙に、いろいろな意味で、安全保障も、それから経済も含めて、リスクが高まってくる。そういう意味で、米国にとってコロンビアというのは極めて重要であるからこそ、本国外交官派遣が最も多い国であった。  私が申し上げたいのは、よく、日米関係が大事だ、日米同盟が大事だと言いますけれども、そういった議論をするときに、とかく太平洋だけを考えるんですよね。北米と東アジアしか考えない。だけれども、我々にとって大事なことは、アメリカが何を考えているかということは日米関係を考える上で極めて重要でありまして、そういう意味では、米国と一緒になってコロンビアの支援をしていく、経済発展に貢献していく、こういう発想も極めて重要だというふうに思っています。  そういうインフラという意味でも、コロンビアAPECに招き入れること……(世耕国務大臣TPP」と呼ぶ)いや、まずはAPEC、そしてTPPに招き入れることが極めて重要だと思っておりますので、TPPの今後の展開という意味では、今回、日本主導TPP11をまとめ上げたわけですから、発言権がかなり増していると思います。その日本発言権でもって、コロンビアをぜひ招き入れていただきたい、こういうふうに思っています。  それに加えて、先ほど地政学的な話をさせていただきましたが、まさに今の政府として力を入れているインドインド洋太平洋、これを重視するという観点から、このTPPを、一歩踏み込んで、太平洋インド洋経済連携にしていく、パートナーシップにしていくという試みも非常に重要だろうというふうに思っています。それは、当然ながら、インド洋インドも絡むからであります。  そういう意味で、大臣にお聞きしたいことが次にあるのは、大臣は、この前の所信の中で、「TPP11の早期発効日EUEPA早期署名を目指し、これらを活用した中堅・中小企業海外展開を積極的に支援します。また、RCEPについても、妥結に向けて一層努力してまいります。」こういうふうに書いています。  これ自体、異を唱える気はないんですけれども、少々異を唱えさせていただくと、私自身は、世耕大臣というのは非常に戦略的な目を持っておられると思っていますし、ある意味では政治家として一番重要な優先順位が明確である方だというふうに思っています。そういう中で、このTPP11とRCEPを同列に扱っている。これは、原課から上がってきた短冊をこうやって並べただけではないかとちょっと思われてしまうんですね。  TPP11とRCEP、どちらが大事でしょうか。
  10. 世耕弘成

    世耕国務大臣 どちらが大事と言われると、なかなか答えにくいんですけれども。  やはりTPPは、極めてハイスタンダードな内容だということです。  RCEPについては、これは先ほどからお話あるように、日本のいろいろな、特に製造業サプライチェーンが広範に広がっているアジア地域RCEPは面としてカバーをしているし、そしてまたインドが入っているということ、そしてまた、日本FTAEPAをまだ結んでいない中国韓国が入っているという意味で、RCEPの価値はあるというふうに思っております。  それぞれ私は役割があるのではないかというふうに思っています。  ただ、我々、政府としては、まずTPP妥結し、署名することをかなり力を入れて取り組んできたわけでありますので、今、署名に至ったという段階の中で、このTPPというハイスタンダードなものをしっかり見詰めながら、今、RCEP交渉について、去年までは、まだ中身が十分じゃない、特にルール分野レベルが低過ぎるということで、議論が全然されていないということで、私は、RCEPの中でどちらかというとやや孤立をしながらも、ハイスタンダードを目指すべきだということをずっと言ってきました。  今、TPP署名された段階において、今度は、少しTPPも横目で見ながらRCEPを、TPPほどのハイスタンダード、これはなかなか難しいんですけれども、RCEPも高いレベル、一定の質を目指しながら合意をしていこうということで、今努力をしています。  TPPRCEPはそういう関係性にあるというふうに思っています。
  11. 吉良州司

    吉良委員 政府としてはそう言わざるを得ないというのはもう十分承知しています。今大臣もおっしゃった、中国韓国がいる、そしてインドが入っている、そことの協力関係も非常に重要である。レベルが現在違うので、高いレベルの、TPPレベルに近づけていきたい、これも全くそのとおりだというふうに思っています。  ただ、先ほど言いました、経済のみならず地政学的な意味合いも含めて考えたときに、当然ながら、TPPレベルに、まずは、東南アジアの国の中で、先ほどおっしゃったタイを含めて、日本相当投資をしている国々TPPに引き入れていく。  RCEPが下手にまとまってしまいますと、そこで満足してしまう可能性がある。ましてや、今現在、十年、十五年の幅で考えますと、中国影響力が圧倒的に強いということになれば、中国が入って妥結した低いレベルRCEPで満足してしまう可能性があるし、中国にぐっと引き寄せられてしまう可能性がある。  それを考えますと、今言った、中国韓国インドもいる、まだTPPに加盟していない東南アジアもいるということを考えれば、RCEPについても引き続き交渉はしていかなければいけない。  ただ、極端な話をしますと、極端な話ですよ、たなざらしにしておいて、TPP妥結をもちろん急いで、そのTPPにまずは東南アジア諸国の、タイであるとかネシアであるとかフィリピンであるとか、こういう日本にとって大事な国、投資先バリューチェーンの重要な構成要素である国、ここをTPPに招き入れていくことの方が私は優先順位が高いと思っているんです。  繰り返しますけれども、政府でそうだそうだと仮に本音ではそう思っていても、言えないのはわかっていますから、私はそういうふうに思っていまして、そういう意味では、本音のところでは、きちっと優劣をつけて、TPPを充実させ、そこに日本にとって重要な国を招き入れていく、そういう方針で臨んでいただきたいというふうに思います。  いかがでしょうか、大臣
  12. 世耕弘成

    世耕国務大臣 これはぜひ、私は両面作戦でいくべきではないかというふうに思っています。  やはりハイスタンダードTPPに入れるだけのキャパシティーを持っているような、そういう国、もうタイはみずから今表明しつつあるわけです。ほかにも何カ国か、地域も含めてありますから、そういうところはうまく招き入れていく。  ところが、一方で、例えばカンボジアとかラオスのような国は、いきなりTPPはやはり難しい。これに関してはRCEPに入れる。RCEPも、高い目標は掲げておくんだけれども、いきなりそれは要求しないで、発展段階に合わせた国別の対応もしっかり織りまぜながら、しかし、一方で、RCEPに入ったことを契機に、日本としても、そういった国々のキャパシティービルディングに全面的に協力をして、その国々レベルをどんどんどんどん上げていって、そしてやがてはTPPに入ってこれるようにするということが重要ではないかというふうに思っています。  RCEPは、特に今、日本サプライチェーンは非常に広がりを見せていて、例えば自動車産業ですと、タイはまさにサプライチェーンのハブになっています、タイでつくっている日本車の数というのは日本国内でつくっているのともうほとんど並ぶぐらいになっていますので。ところが、今、そこから今度は部品カンボジアラオスでつくるというような動きも出てきているわけですから、そういったところは逆にRCEPでしっかりカバーをしていくということが重要ではないか。  だから、TPPRCEPをうまく両建てで使いながら、アジア地域における自由貿易の旗手として日本主導権を持っていくということが重要だと思っております。
  13. 吉良州司

    吉良委員 失礼ながらというか、教科書的な、答弁としてはそれがベストだというふうに思いますので、その点については異を唱えませんけれども、私は、先ほど申し上げた、やはりある程度の優先順位をつけるべきであろうという思いは変わりません。  質問通告でこういう形で質問するとは言っていないんですけれども、広く捉えたら質問通告していることなんですけれども、ベトナムが、今回のTPP11、もちろんTPP段階からそうなんですけれども、非常に熱心にかかわってきた。そこにはどういう背景があると思いますか、大臣
  14. 世耕弘成

    世耕国務大臣 私も、ベトナムのような国と言うとちょっと失礼なんですが、ベトナムが今回TPPに入る決断をした、アメリカが離れた後でも、これは我々が一生懸命説得したということもありますが、入る決断をしたというのは、これはやはり驚くべきことだと私は思っています。  やはりこれは、ベトナムは今、発展段階で、恐らくこれから中進国のわなに入っていく。そういった中で、やはり、このTPPのようなハイスタンダード貿易協定に入ることによって、国内の構造改革をしっかり進めていって、この中進国のわなから抜け出さないと、今後さらなる発展がない、それぐらい腹をくくって、私は、ベトナムTPP参加をしているのではないかというふうに考えています。
  15. 吉良州司

    吉良委員 全くそのとおりだというふうに思います。  私自身の見解は、これに加えて、実は、日本外交の中で、御承知のとおり、チャイナ・プラスワンという政策がございます。私はこれが非常に大きいんだと思っています、ベトナムの背中を押している背景は。  先ほども言いました、中国とは仲よくしていかなきゃいけないけれども、リスクのある国でもあります。だからこそ、我が国としても、中国に進出しようとするとき、リスクをとれないかもしれない、リスクがあるなと思うところに対しては、東南アジアの中で中国にかわる投資先を用意する、日本政府としてもそのためのインフラを整備していく。私は、これは非常に重要な政策といいますか、考え方だというふうに思っています。  そういう意味で、TPPに入ると、私は、TPPの取決めの中で何が一番日本サプライチェーンバリューチェーンにとって大事かといいますと、これは原産地規則、原産地累積制度だというふうに思っているんです。  今まで、メード・イン・ジャパン、メード・イン・ベトナムということで、それぞれのバイEPAの中で初めて関税面でのメリットが得られた。これが、これからは、メード・イン・TPPということで、日本のマザー工場における主要部品が全体の中の付加価値の例えば二〇%であっても、でも、ほかの、例えばベトナムから三〇%、そしてマレーシアから二〇%、通算すると関税のメリットを受けられるレベルに達します、こういうことになれば、当然ながら、日本国内からわざわざ海外に工場を移す必要がなくなってくる。  そういう意味では、日本の事業所、工場、そして雇用が維持できるというメリットがあるというふうに思っていますし、先ほど来言っていますけれども、日本企業はもはや、一国のみならず、幅広く、面でサプライチェーンをつくっておりますので、それぞれを合算して、それぞれの事業所、工場を生かせる、これが日本企業にとって最も重要な、私は、今回のTPPの取決め内容だというふうに思っているんですね。  その際に、今まで、チャイナ・プラスワンということであれば、ベトナムを含めた東南アジアを考えていた。けれども、今後、では、日本企業で、仮にアメリカTPPに入る可能性が高くなったとしたときに、投資先をどこに選ぼうか。先ほど、タイが検討中だということはありました。でも、タイがまだ入らないということになれば、今までだったら、中国の代替としては、タイが一番、二番がネシア、例えば三番がベトナムだったかもしれない。だけれども、タイもネシアもTPPには入っていない。ベトナムが入っている、TPPのメリットが得られる、ルールについても、そして今言った関税についても。ということであれば、チャイナ・プラスワンの中国にかわる投資先ベトナムを選ぼう、この可能性は極めて高くなるわけですよね。  私は、ベトナムは明らかにこのことを意識していると思っていますし、私は、日本もこれがあるからこそ、借款供与ナンバーワンであったり、そして今回も、今大臣おっしゃったように、ベトナムの招き入れというのを最も重視したんだろうというふうに思っています。  だから、そういう意味もあって、私は、TPPというものが、繰り返しますけれども、RCEPも大事なんだけれども、チャイナ・プラスワンという日本経済外交の大事な柱と照らし合わせても、TPPが優先するというふうに思っているんですね。  もし、このチャイナ・プラスワンとTPPとの関係において、何か大臣、コメントがあればお聞きしたいと思います。
  16. 世耕弘成

    世耕国務大臣 これは、おっしゃるように、ベトナムの立場に立てば、まさに、ベトナムタイというのは自動車産業で競争しているというか、少しタイの方が先を行っているという状況の中で、このTPPタイが入っていなくてベトナムが入ったということは、ベトナムの目で見れば、いろんな意味ベトナムの産業を育てる大きなチャンスだというふうに思っています。  私も、TPP、締結して終わりではなくて、ベトナムにしっかりとした産業が、まさに日本のバックアップ、単なる借款とかだけではなくて、人材育成も含め、あるいはいろんなビジネスモデルを伝えていくことも含めて、ベトナムにそういう産業の根がしっかりと根づくことに関しては日本としてしっかり支援をしていかなければいけない、これがTPPの大きな意義だというふうに思っております。
  17. 吉良州司

    吉良委員 ありがとうございます。  TPPについてはこれぐらいにして、次のインフラ輸出について話題を移させていただきたいと思います。  大臣の所信の中ではインフラ輸出というのは言及がなかったんですけれども、日米関係の中で触れられてはおりましたが、今でもインフラ輸出というのは経済外交、日本経済の中で非常に重要な位置づけだというふうに思っています。  そのインフラ輸出の現状と課題について、特に課題について簡潔にお答えいただければと思います。
  18. 石川正樹

    石川政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘ありましたとおり、インフラ輸出について、二〇二〇年に約三十兆円という目標を掲げておりまして、重要政策として推進をさせていただいております。  そうした中で、課題につきましても、資金、コスト、人材、市場開拓など、さまざまな面がございます。  例えば、資金面につきましては、新興国において、初期投資の規模が膨大になる一方、事業期間が長いといったような、事業投資リスクが高いといったような問題がございます。  また、国際競争、コスト面におきましても、新興国の企業が低価格を武器に競争に参入をしてくる。また、欧米企業も、高い技術力を生かしながら、現地生産や第三国品の活用などを通じて競争力を高める戦略をとってきているという状況であると認識をしております。  日本企業といたしましても、高い技術力の維持とともに、資金面、また事業、ビジネスモデルの面などの競争力強化に取り組んでいくことが必要になっているというふうに理解をしております。
  19. 吉良州司

    吉良委員 ありがとうございます。  また改めて、課題一つ一つについて別の機会にゆっくり話をさせてもらいたいと思っていますが、今課題として答弁があった中で、初期投資が非常に大きいのに、事業期間、つまり回収期間が非常に長いという問題がある。これは言うまでもなくファイナンスの問題になってくるわけだというように思います。  そのファイナンスについて、今TPPの中でも私は触れましたけれども、ベトナムにフォーカスして、少し、ベトナム向けのインフラ輸出、その課題とその課題解決ということについて話をさせていただきたいというふうに思っています。  つい二カ月前に私はベトナムに行ってまいりました。そのときにお聞きした話として、ベトナムは、さっき大臣もおっしゃられたとおり、今後の発展を考えて、ベトナムとしてもインフラ整備、投資をしたいと。そういう意味では、需要は物すごく巨大なんですね。  ところが、ベトナム政府としては、これまでの投資もあり、非常に政府債務が大きくなって、これ以上政府債務をふやすわけにはいかないと。したがって、借款も重要な支援要素ではあるんですけれども、それも政府債務を膨らませてしまう。  また、PPPとかIPPとか電力では言われる事業型のインフラ整備についても、例えばJBICから、バイヤーズクレジット、借り入れる、そのときに、政府保証を求められても、その政府保証イコール政府債務の増大につながるということで、それはやりたくない。  こういう状況があって、今、インフラ需要は旺盛、政府としても進めたいんだけれども、政府債務の増大とベトナム政府から見た上限がネックになって進まない、こういう状況がありました。  そういう中にあって、私が、もうきょうはちょっと時間の関係もあるので、提案をさせてもらいたいと思っていますのが、実は去年の四月十九日の経産委員会で、頭出しだけさせてもらって、いずれちょっと突っ込んで議論させてもらいたいというふうに申し上げていた、米国証券市場におけるルール百四十四Aという、このルールを使った社債の発行、これをインフラの資金調達手段にできないか、こういう問題意識なんです。  そこでまず、財務省になるんでしょうか、ルール百四十四Aというものについて簡潔に説明願います。
  20. 石川正樹

    石川政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘の米国証券市場のルール百四十四Aでございますけれども、米国において証券を発行する際に、勧誘、販売対象を適格機関投資家に限定するなどの要件を満たす場合には、証券市場における一九三三年証券法上の登録規制、情報開示要請などの適用除外になるルールであるというふうに理解をしております。
  21. 吉良州司

    吉良委員 ありがとうございます。  私は元商社に勤めておりまして、商社マンの特性というのは、何か課題があると、何か壁があると、あらゆる手段を駆使してその課題を解決するといいますか、壁を乗り越えようとするんですね。  ですから、ビジネスチャンスとして、ベトナムにおいてのインフラ需要が旺盛だ、政府としてもやりたがっている、だけれども、政府としてはこれ以上の政府保証は出したくない、政府の債務は積み上げたくない、こういう壁があるわけですけれども、では、その壁を乗り越えられれば山のようにビジネスチャンスがありますね、こういう発想をしていくわけなんですね。  そういう中で、実は私自身が、これも随分古い話ではありますけれども、商社に勤めていた一九九〇年代の後半というか末に、メキシコで大型ガスだきコンバインドサイクル発電、それは事業投資型のプロジェクトではあったんですけれども、そこに、スイスを本拠にしますABBという世界的に有名な重電会社と私が当時勤めていました日商岩井という会社で、五〇、五〇でスペシャル・パーパス・カンパニーをつくりまして、そして、トータルプロジェクトコストというのは三百三十五ミリオンだったんですけれども、そのうち百ミリオンはスポンサーによるエクイティー、出資ですね、残りの二百三十五ミリオンというものを、まさにこの米国証券市場の百四十四Aというルールを使って一日で社債発行して、一日で調達したんですよね。もちろん、社債ですから、ムーディーズとS&Pにプレゼンに行って格付をとる必要はあるんですけれども、それももちろん行いました。  そのときの体験から、普通であれば、ファイナンスはどこか銀行団、銀行を連れてきてリスクを負ってやってくれということになるんですけれども、今の説明にもありましたように、やはり米国外の、途上国における高い利回りの債券、投資適格レベルなんだけれども高い利回りが欲しいという投資家がいっぱいいるわけです。そういうところは、ポートフォリオの中で多少のリスクがあっても、これだけの利回りがあれば投資できるという人たちがいるんですよね。だから、そういう投資家の資金を使わない手はないということで、今言いました、証券市場で発行した。  だから、そういう意味で、ベトナムにおいても、さっき言った、政府保証を必要とするような、そういうファイナンスというのは今現在難しいかもしれない。ということであれば、ベトナムにおいてSPCをつくって、そのSPCが発行する社債をこの百四十四Aルールに基づいて調達できないか、これが私の問題意識なんです。  これは誰になるかわかりませんけれども、このベトナムインフラ案件において、この百四十四Aルールを使った社債発行でネックになると思われるものは何か、お答えいただけますか。
  22. 石川正樹

    石川政府参考人 お答え申し上げます。  従来、日本企業が、ベトナムに限らず、百四十四Aを活用している度合いが小さいということにつきましては、いろいろ理由はあろうかと思いますけれども、例えば、従来は日本の金融機関から比較的長期かつ大規模な融資が受けられていたこと、また、債券発行に伴いまして格付の取得や契約書作成などの費用などが総体的にあるといったようなこと、また、従来、日本企業が間接金融による資金調達を中心に事業運営を行ってきており、比較的直接金融になじみが薄いといったようなことが一つの理由としてあると考えております。
  23. 吉良州司

    吉良委員 そういう意味で、先ほどの世界地図の次の二ページ目を見ていただきたいと思います。これは、最近の、発行時期が書いてありますけれども、ルール百四十四A債の主な発行例です。  日本企業も、ここにあるように、三井不動産、去年七月五億ドルで、ことしになって三億ドル、日本生命も八億ドル、三菱UFJリースも五億ドル、このルールをもとに社債発行して資金調達しています。ただし、これは、今取り上げようとしているインフラ向けの事業投資にかかわる起債とは違って、いわゆるコーポレートリスク、その返済はその会社の信用力において行うというものであります。  ただし、その下を今度は見てください。インドにおける太陽光発電事業の五億ドル、インドネシアの、二番目にあるパイトン、どでかい発電案件でありますけれども、これは二十億ドル。それ以外にも、例えば、アルゼンチンにおいて、五億ドル、それから一・六五億ドルのコンバインドサイクル発電事業、ペルーの三億四千万ドルの火力発電。それ以外にも、空港建設、それからコスタリカの道路建設等ありますけれども、私が資料で確認する限りは、これらは、今言った企業与信ではなくて、まさにプロジェクトファイナンス、プロジェクトが生み出すであろうキャッシュフローを唯一の返済原資とする事業投資型のインフラ案件に対する資金調達になっています。  これがある以上、これが実際に行われている以上、ベトナムでもやってやれないわけではないんではないかというふうに考えるわけですね。  先ほどの答弁でありますと、実際こういう事例はあるんだけれども、日本は間接金融になれている、こういうことを事業投資の中で活用する経験が乏しいということでありました。だからこそ、私には、この国会の場を通じて、こういう資金調達手段があるということをあえて公にさせてもらって、大臣始め、また経産省、それからJBICを含めて、ぜひこの活用を図っていただきたいというふうに思っています。  実は、この百四十四Aルールに基づく起債については、去年、私、財務委員会で麻生大臣に紹介もして、実は、御承知のとおり、一昨年、JBIC法が改正されて、JBICはボンドを引き受けるということが新たな任務として加わりました。去年の財務委員会で、JBICがこの百四十四Aルールに基づく社債を引き受けることができますかということについては、何ら問題がないという回答でありました。もちろん、米国証券市場におけるクオリファイド・インスティテューショナル・バイヤーズという資格を持っているか、新たに得る必要がありますけれども。  ということになれば、JBICがボンドを引き受ける用意があるという意思表明をしただけで、ほかの投資家が、ベトナムにおけるこの事業、その事業主体が発行するボンドを引き受ける可能性ができてくるわけですね。  そういう意味で、ぜひ百四十四Aルールに基づく社債発行というものを政府としても前向きに検討いただきたいと思っていますが、大臣、いかがでしょうか。
  24. 世耕弘成

    世耕国務大臣 委員と私は大きな問題意識は全く一致していまして、今、アジアのインフラというのは、これを整備することは、もう援助ではなくて、十分リターンが望める、経済発展段階からいってリターンが望める対象になってきているというふうに思います。  そういう中で、今支援しているのはJBICとかADBとか、あるいはAIIBであっても、みんなBがついていて、バンクなんですね。銀行なんですね。そうすると、おのずとローンが主体になってくるわけなんですけれども、私は、ここはそろそろ、やはりきちっとした投資対象としてまとめていかなければいけないと思っています。  今、欧米ではお金が余っていて、アジアのインフラは十分投資対象になるとみんな思っているわけですが、なかなかそれぞれ、案件の組成能力がない、案件を目ききする能力もなかなか欧米の機関投資家にはないということで、これは、例えば日本が間に入って、案件を組成しますよ、リスク、リターンも日本がきちっと明示をしていきますよ、場合によってはハイリスクのものとローリスクのものをパッケージにした投資商品をつくりますよ、そういうことをやって、欧米のお金を投資として呼び込んでいくということは、私は、これからアジアのインフラ整備のために非常に重要になっていますし、その中でまさに日本中心的な役割が果たせるんではないかというふうに思っています。  今議員御提案の一四四Aについても、そういった資金調達の手段の中の一つとして私は十分検討してまいりたいというふうに考えております。
  25. 吉良州司

    吉良委員 前向きな答弁、ありがとうございます。  私の方から言うと、二点あって、一つは、決して悪いことではないんだけれども、日本の、例えば経産省にしても、財務省にしても、JBICにしても、日本企業を支援したいとなると、政府なり政府機関が直接何かしてあげることがすごくありがたいだろうというふうになってしまう傾向があるんですね。だけれども、今大臣がおっしゃったように、十分インフラでも事業として成り立っていく。であるならば、リスクは誰かにとってもらえばいいんです。事業リスクを事業投資者として日本の企業がとる、そしてそこに重要な機器をサプライする、そこで日本企業がメリットを得てもらう。資金供与についてのリスクは、言い方は悪いですけれども、他人のふんどしでやる、これが一番いいに決まっているんです。そういう意味で、ぜひこのルール百四十四Aの起債を活用してもらいたいと思っています。  私の方から言いますと、二点目は、ただ、その際でも、では、私がアメリカの例えば機関投資家だったとします、ヨーロッパの機関投資家だったとします。では、ベトナムの発電事業で社債発行しますと。何の保証もなく買おうとするか、又は、その前に投資適格のレーティングが得られるかといったら、そこは難しいと思っているんです。  というのは、ペトロケミカルみたいな外貨が稼げるプロジェクトと違って、発電事業とか鉄道事業というのは現地通貨でしか収入がありませんので、いろいろな機器調達、サービス調達が外貨でなされる以上、外貨で払うという保証がない限り、なかなかそこのリスクはとれません。そういう意味では、外貨転換保証、そして外貨による送金保証、これは必要になろうかというふうに思っているんですね。  ただ、ベトナム政府からしてみると、発電所が回ろうが回るまいが、きちっと発電して、収入が、現地通貨でですよ、あろうがなかろうが、債務保証、返済責任を負う政府保証と、あくまでも現地通貨では収入があって、現地通貨だけで見ればプロジェクトが成り立っている、そこの現地通貨を外貨にする外貨保証というものだとレベルが随分違うわけですよね。そこについてはハードルが下がるわけですから、それでどうだというふうにベトナム政府にやはり働きかけていく。これが一点。  それからもう一点は、JBICは、先ほど言いました、ボンドが引き受けることができるようになったのみならず、最近は、需要が出てきている現地通貨建てのファイナンスもやれるようになっているし、やっているわけです。それで、さっき言いました、では、ベトナム政府が外貨転換の保証もちょっと厳しいとなった場合、まず第一は、あくまでも、それぐらいは出してよと迫るのが一番。  二番目としては、実は、現地通貨での収入がある限り、それを外貨に転換するところを、JBICが全部かその一部のリスクをとる、それも一案だと思うんです。  なぜならば、その担保としては、例えば発電事業であれば、発電所から上がる現地通貨を担保にできますから、わざわざ現地通貨でほかで調達しなくても、そこからの調達ができるということが一点。それともう一点は、実は、社債発行、私がメキシコでやった案件もそうなんですが、通常のファイナンスであると、元利均等とか元本均等返済なので、十年間といっても相当な毎年毎年の返済金額になるんですよ。ところが、社債ですから、毎年毎年はクーポンというか金利だけ払えばいい。それで、プロジェクトライフが終わった時点で一括償還できるわけなんですね。  ベトナムみたいに、将来的には必ず発展するというのが見込める、そういう国にあっては、毎年毎年の金利支払いというものは小さくして、将来、発展が確実になった時点で元本償還ができる、これであれば、毎年度毎年度の金利についての外貨転換の保証というのは十分できると思いますし、それから、さっき言った最後の元本償還のところも、JBICが全部又は一部の外貨転換リスクを負うことで、この社債を使った事業が前に回るというふうに思います。  もう時間が来たんですが、ちょっと一言、最後にお伺いして終わりたいと思います。
  26. 世耕弘成

    世耕国務大臣 今お話のあった委員の御提案も含めて、今ちょうど、私、最近、省内でちゃんと検討しろということを言っているんです。こういうインフラ案件の資金調達を、ローンだけじゃなくて、もう少し多様なものを組み立てられないか。それで、今おっしゃったようなことも含めて、やはり投資家から見て投資するに値するプロジェクトに仕上げていかなければいけない。  そういうことを少し今省内で検討を始めさせていますので、今あった御提案も含めて、しっかり前向きに検討していきたいと思います。
  27. 吉良州司

    吉良委員 前向きな答弁、ありがとうございます。  これで終わります。
  28. 稲津久

    稲津委員長 次に、浅野哲君。
  29. 浅野哲

    ○浅野委員 希望の党の浅野哲でございます。  本日は、先日行われました世耕大臣の所信演説に対する質疑を行わせていただきます。  先日行った所信演説、聞いておりますと、最初の一言目が人工知能、IoTの技術の登場というところで始まり、まさに今、日本が迎えている大きな産業転換を象徴するような、そこを強調されているような演説であったように私は聞かせていただきました。  ことしは平成三十年、来年には年号が変わるということなんですけれども、先日、ちょっと、平成元年に世界の経済状況はどういう状態だったかということを調べましたところ、時価総額でいうと、世界の時価総額トップテンのうち八社が日本企業でありました。今どうかと申しますと、平成の最終段階である今日、そのトップテンどころかトップ五十にも入っている企業が数社しかないという状況でありまして、今、我が国の産業が置かれている状況というのは、この平成が始まったときと今とで大きく変わってしまったんだなというのを改めて感じているところであります。  しかしながら、大臣が演説で触れていらっしゃったIoT、ビッグデータ、人工知能、こういった新しい技術をどう使っていくか、それによって我々の、我が国の産業がこれからまだまだ伸びていける、成長していける、そういうふうに考えておりまして、そういった思いを持ちながら、本日、時間の中で質疑をさせていただきたいと思います。  まず、一問目でありますが、第四次産業革命に入っていく前に、直近の状況について二、三、確認をさせていただきたいと思います。  アメリカ中国によるいわゆる貿易摩擦、輸入制限をかけているという件についてであります。  三月の二十三日、アメリカは、中国から輸入をしている鉄鋼製品及びアルミニウムに、それぞれ二五%、一〇%という関税をかけるという措置をするというふうに発表いたしました。この措置なんですけれども、EUや韓国といった国々は対象から外された一方で、日本というのは対象のままであったということも言われております。  こういう状況に対して、国民あるいは産業の現場からは、これからどういった影響が国内産業に及んでくるのか、今一体どういう状況なのかといった情報に対するニーズというのが高まっているように思っております。  そこで、一問目ですが、このアメリカ中国等による貿易摩擦が我が国にもたらす影響と、それに対する我が国の対応方針について、まずはお伺いいたします。
  30. 世耕弘成

    世耕国務大臣 米国の通商拡大法二百三十二条に係る関税、追加関税の措置に関して、日本が国として除外にならなかったということは、これは大変遺憾でありますし、私も、おとといもライトハイザー通商代表と電話会談を行いましたが、精力的に粘り強くこれからも除外に向けて働きかけをやっていきたいと思います。  ただ、この問題は冷静に考えなければいけない、余り感情的に反応してもいけないというふうに思っています。  今回除外された国々というのは、例えば、オーストラリア、ブラジル、アルゼンチン、こういった国々は、アメリカから見ると貿易黒字の国であります。あるいは、メキシコ、カナダ、これはもうNAFTA交渉を抱えているわけでありますが、ある意味、その交渉のてことしてこの除外というのが働いている可能性もある。  韓国もそうですね。今、米韓FTA、KORUSと言われますが、これの見直し作業の中の一つの出来事として今回の除外があって、私ども報道で見ている限りでは、自動車の関税あるいは非関税の部分でも韓国が何らかのコミットをした、あるいは、鉄鋼の輸出数量に関しても、これはどういうスキームを使っているか、私もまだ詳しくは知りませんけれども、一定の約束をした。  そういうことがあって除外ということでありますから、日本とその国と比べて日本が何かすごく不利になっているとか、そういうことはないんだろうというふうに思っていまして、冷静に対応していかなきゃいけない。  ただ、同盟国である日本安全保障上の理由でこの鉄鋼、アルミの輸入制限の対象にするということは、これはもうとんでもないことでありますから、引き続き求めていく。  また、これは品目別除外というのもあります。日本アメリカに出ていっている鉄鋼製品というのは、かなり、アメリカの例えば製造業あるいは石油産業から見ると、これは代替不能な商品が多いわけでありまして、品目別に適用除外というのも、これはまた別の手続で今進んでおりますので、これも出てくる可能性があるというふうに思っています。  本当の日本の影響という意味でいきますと、一番警戒しなければいけないのは、まず一つは、今後、各国が対抗措置の応酬をし始めると、まさにこれは自由貿易体制の崩壊ということになります。  そしてまた、アメリカで関税を課されることになったので、それからあふれた他国の鉄が例えばアジアとかそういう国に流れ込んでいってそこのマーケットが崩れることになると、これは日本の鉄鋼産業にとって影響がかなり出てくると思いますし、また、そういった国々が今度は逆にセーフガードだということでまた鉄鋼の輸入規制をかけ出すと、ドミノ倒しのように自由貿易が崩れていきかねないということでありますから、冷静に対応しつつも、そういうことがないように、きちっと日本としてやるべきことをやっていかなければいけないというふうに考えております。
  31. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございました。  おっしゃるとおり、今々の時点では具体的な影響というのは、市場において、産業の現場においてはまだ大きなものは確認されていないと思いますけれども、一部、マーケット、株価等に影響が出ている。これが示すものというのは、今後、少し中長期的な時間をかけて影響が国内産業に及ぶ可能性があるということで、きょう、あしたの対策というよりは、むしろ周知、情報提供、こういったところが当面の大きな求められていくことになるのかというふうに思っておりますので、ぜひ経済産業省から、国民、産業に対する適時適切な情報発信、重ねてお願いをさせていただきたいと思います。  では、二問目に移りたいと思います。  大臣の所信の中に、昨年末、約二千社の地域未来牽引企業を選定したという内容がございました。  これは、経済産業省のホームページを見てみますと、地域未来牽引企業についてのプレスリリースがされておりました。この地域未来牽引企業というのは、地域経済を牽引する事業の担い手の候補となる地域の中核企業というのを選出をしまして、今後、さまざまな情報提供や、あるいはいろいろな対象企業が一堂に会する機会をつくって、そこから新しい事業を生み出していく、そういった構想があっての取組だというふうに書かれておりました。  具体的に申し上げると、二千百四十八社が今回選定をされたということでありますが、まず初めに、この地域未来牽引企業をそもそも選定をしようとした背景、そしてその選定方法、また選定された企業に対する支援のあり方について御答弁をいただきたいと思います。
  32. 世耕弘成

    世耕国務大臣 これは、さきの国会で成立させていただいた地域未来投資促進法というものに基づいているわけであります。  この地域未来投資促進法というのは、今まで地域経済を活性化するというと、よそから大企業の工場を誘致してということだったんですが、ちょっと発想を切りかえて、地域にある光り輝く企業、あるいは地域のいろいろなお金の流れ、人の流れ、物の流れの中核にいるような会社を核にしながら地域経済牽引事業というのを推し進めていって、それを支援するということの発想なわけであります。  ただ、これをいきなりぱっと各地方にやれと言われても、じゃ、どういう会社が中核になるのかわからないということでありますから、これは、我々の方で例えばこういう企業が中核になり得ますよというのを選んだのがこの地域未来牽引企業二千百四十八社ということになります。  選ぶに当たっては、例えばRESASのようなデータベースを活用をして、地域経済への波及効果をずっと見ながら、一体その中核にいる企業はどこなんだろうかということをビッグデータ解析で選んでいったという方法が一つ。  それだけではちょっと数字の議論だけになるかもわかりませんので、自治体ですとか、あるいは商工団体、あるいは地域の金融機関といった関係者から、逆に彼らの目で見て、やはりこの地域の中核になっているのはこういう会社だよということを、貢献度とか地域での評価というのを教えていただいて推薦をいただくという経過を経て、この地域未来牽引企業二千百四十八社を選ばせていただきました。
  33. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございます。  今おっしゃっていただいたように、地域未来牽引企業の選定方法、これはホームページに簡単には書いてございましたが、データベースに基づく客観的な評価と、そしてその地域の商工会、あるいは自治体による推薦、こういった主観的な手法、これ二つを組み合わせて選定をされたということでございますが、ここに私の地元の茨城県で選出された地域未来牽引企業のリストがあります。  これはホームページで全都道府県ダウンロードして自由に閲覧ができるものになっておりますけれども、ざっと拝見したところ、私が実際にこれまで何回か足を運ばせていただいた企業もございました。経営者の方のお話を伺った企業もございます。その上で、率直な感想を言えば、確かに今回の選定方法、しっかりとした企業が選ばれている、そんな印象を持たせていただいております。  しかしながら、地元の多くの企業を歩いてみますと、これ以外、ここに掲載されている企業以外にも、まだまだたくさんの、意欲のある、そしてこれからいろいろなアイデアを実行に移そうとしたいと思っている企業さんもあるんです。  この地域未来牽引企業を選定をして、そしてそういった企業の皆様に地域未来投資促進法を適用し、地域産業の活性化につなげていくという基本方針は賛同できるものだと思っておりますけれども、その一方で、中小企業の皆さんたちに平等な機会を提供する責任というのも行政にはあると考えております。  そういった点で、今回二千百四十八社ということですけれども、今後この対象企業を拡大していくおつもりがあるか。また、ぜひ私としてはそうしていただきたい、意欲のある地域中小企業の皆さんが平等な機会の中でこうした国の制度を活用できるような、そういった環境をつくっていただきたいと思いますので、それに関して大臣の御意見を伺います。
  34. 世耕弘成

    世耕国務大臣 まず御理解いただきたいのは、この地域未来投資促進法に基づく支援措置というのは、何も地域未来牽引企業二千百四十八社だけというわけではないわけであります。この二千百四十八社が中心になってということをある程度想定はしていますが、それ以外の会社でも、中心になって地域の活性化を牽引していけるような事業計画を立てていただけるんだったら、我々は、それは積極的に認定をしてまいりたいというふうに考えております。  また今後、もう一度、これを進めていく中で、地域経済状況がまた変わってきて、新たな、これは牽引企業にふさわしい会社だということが出てくれば、それは追加の選定の可能性というのは否定するものではないというふうに思います。
  35. 浅野哲

    ○浅野委員 前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。  経済産業省のホームページには、この地域未来投資促進法を活用して、今後三年間で約二千社を支援することを目指していますと、そういう一文が書かれているんですね。ですので、今御答弁にあったように、必ずしもこの二千百四十八社に限らず、意欲のある、そして可能性のある中小企業の支援を展開していただくように、体制面も含めて、引き続きの御検討をよろしくお願いいたします。  それでは、三点目の質問に移りたいと思います。  再生可能エネルギーについて質問をさせていただきます。  現在、再生可能エネルギーをつくり出す機器、普及促進がとられておりますが、これは二〇〇九年からFITが始まりまして、間もなく十年がたとうとしております。今、一つ言われているのが二〇一九年問題、いわゆるFIT期限が到達した機器に対する今後の対応についてであります。  これに関連して、私、本日、三つの懸念をお伝えをさせていただきたいと思います。  一つ目の懸念は、新規設置案件がこれからも維持、獲得できるのかという懸念であります。  FIT価格は新設コストと連動して設定をされているというふうに認識をしておりますが、その装置を導入することのコストは相殺できるものの、当初ほどのインセンティブが消費者に対して伝わりづらい状況になっているのも、これまた事実であると思いますが、今後、新設案件の維持に向けた懸念というのが一点目。  そして、二点目の懸念は、FIT期限切れ設備が継続利用をしっかりされる環境をつくれるかどうかであります。  直近のさまざまな報道を見ますと、FIT期限が切れた後の機器に関しては、電力会社による購入義務が消滅をする。それはすなわち、それ以降は個別契約で売買契約を結ばなければいけませんが、それが今、法律的には担保されておりません。こうした環境の中で、FIT期限が到来した機器をしっかりと今後も継続できる環境をどう国として整備をしていくのか、これが二つ目であります。  三つ目の懸念は、使用済み設備への対応であります。  当然、寿命がやってまいります。そうすると、更新時期が参りますけれども、そこで大量の廃棄物が発生をする。また、中には、設置をしたままそれを放置するケースが出てくるとも考えられます。また、再利用、再活用といった方法も検討していかなければならないのではないかと思っております。  この三つの懸念、整理をしますと、新規案件をどう維持していくのか、そしてFIT期限切れの設備に対する国の対応、また使用済み設備に対する対応、この三つについて、国の今の方針、御見解をお伺いをいたします。
  36. 世耕弘成

    世耕国務大臣 まず一点目の御懸念の、今後も再生可能エネルギーの新規投資をしっかりとふやしていくということについては、まず、国民の負担を抑制しながら最大限の導入を図っていくというのが引き続き政府の基本方針でありますので、それを堅持しながら、コスト効率的な導入を促すように、改正FIT法が今もう施行されていますので、これをしっかりと適切に運用していくということ。また、やはり系統制約というのが今大きな問題になっていますので、これも、コネクト・アンド・マネージの考え方の導入とかを使って何とか克服をしていくということ。規制改革、研究開発、そういった総合的な政策も講じていくことで新たな投資を促進する取組をしっかりやっていきたいというふうに思います。  二点目は、買取り期間が終わった後の対応であります。  おっしゃるように、買取り義務というものがなくなりますので、これは、しっかり再生可能エネルギーの事業者が自立をして経営をしていかなければいけないということになります。  そういった中で、まず一つは、例えば、電気自動車ですとか蓄電池と組み合わせることによって、自家消費を始めとするいろんなビジネスモデルをやはり組み立てていくということも重要だというふうに思いますし、あとは、小売電気事業者に対して相対契約、自由契約をしっかりと結んで電力を売っていくというような取組も重要になってくると思いますし、新たなビジネスモデルですとか新たな売買契約といった、そういった環境整備をする上で、我々としても、やるべきことをしっかりやっていきたいというふうに思っています。  最後の御懸念点の、終わった後の廃棄をどうするかということであります。  実は、FITの調達価格には廃棄に必要な費用というのもちゃんと計算をして盛り込んでいるわけでありますけれども、でも、その買取り価格の中に入っちゃっていますので、必ずしも、太陽光を中心とする事業者が、廃棄をするときに必要な費用というのを今積み立てているかどうかというのは、これはわからない。このことをしっかり担保をしていくことが必要だと思っておりまして、例えば、きちっと会計を分けて外部で積立てを行っていくような仕組みとか、こういったことをことし一月から審議会で今検討を開始をしているところであります。平成三十年度中を目途に、可能な限り早期に結論を得たいというふうに思います。  それを待たずに、やれることにはしっかり着手をしていくということで、事業者に毎年報告を義務づけている年次報告というのがあるんですが、その報告の中で、発電コストなどの報告に加えて、来年度からは、廃棄費用の積立て計画とその進捗状況についても報告をしてもらって、そしてその内容を公表するということを考えています。特に悪質な事例が生じた場合には、報告徴収、指導、改善命令を行うことにしてまいりたいというふうに考えています。
  37. 浅野哲

    ○浅野委員 非常に明快な御答弁、ありがとうございました。  この再生可能エネルギー、これから日本としても主力のエネルギー源にしていきたいという方針も先般出されたと伺っておりますが、この使い終わった後の問題あるいは制度の期限が来た後の問題、ライフサイクル全体を見通した国の制度設計、施策の展開といったものは、やはり時間軸を意識しながら我々も議論していかなければいけないと思っております。  特に二〇一九年問題というのは、もう二〇一九年というのはすぐ目の前にあるわけで、そこに対して今検討を進めているということでありますが、その時間軸をしっかりと意識した上で、私たちも引き続き議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、次の質問に移りたいと思います。  第四次産業革命に関連した人材育成についてお伺いをいたします。  今回、コネクテッド・インダストリーズの重点分野、五つあるというふうに伺っております。自動運転・モビリティーサービス、そしてものづくり、プラント・インフラ保守、またスマートライフ、素材・バイオといった、こういう分野だと認識をしておりますが、この多くの分野が、主に地方において社会的課題の解決に寄与をし得る、そんな分野ではないかというふうに考えることができると思います。  今のこの第四次産業革命の波に日本の産業としてもしっかりと乗っていかなければいけない、こうしたことを考えると、これもまた時間軸を意識した取組、施策の展開というものが必要だと思っております。  こういった新しい事業をつくり出すためには、一般的に、まず研究開発がありまして、実証、そして製造、また社会実装、その後、運用、こういった段階を踏んで進めていかなければいけませんけれども、これらの全てが、今、地方が主戦場になるのではないかというふうに考えられております。  こういったことを念頭に置くと、これからの第四次産業革命時代の人材育成というのは、やはり、その主戦場である地方において活発に行っていけるような施策が検討されるべきではないかというふうに思っておりますが、そこで注目をしておりますのが、地方大学の活用であります。  そこで、お伺いいたしますが、地方には競争力のある産業、企業がたくさんございます。また、これからの社会課題は主に地方から発生していく、そこで解決をしていくようなことが求められる中で、地方大学を活用した人材育成について、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  38. 世耕弘成

    世耕国務大臣 まさに第四次産業革命に対応していくための、我々はコネクテッド・インダストリーズという構想で今進めているわけでありますが、その中で、人材育成というのは極めて重要だというふうに思っています。  特に、デジタルはわかるんだけれどもものづくりはわからないとか、あるいはバイオには詳しいんだけれどもデジタルがだめとか、これがやはり横断的に、ものづくり、バイオがわかるんだけれどもデジタルもわかるというような、そういう人材を育成をしていくということが極めて重要だというふうに思っています。  そんな中で、地方大学の果たす役割というのも非常に大きいと思います。第四次産業革命、コネクテッド・インダストリーズは日本各地で展開していきたいと思いますし、各地の経済成長の大きな原動力になるというふうに思っておりまして、地方大学の強みを生かした実証プロジェクトなども進めながら、現場人材の育成にも取り組んでいきたいと思っています。  例えば、広島なんかでは、地元の大学が自治体や企業と共同で、自動車産業で今まで実機をつくっていろいろなことをやっていたわけですが、それをつくらずに、デジタルシミュレーションの活用によって自動車のモデル開発を進めるモデルベース開発と呼ばれる手法の、これは講座を大学と企業が連携をして開設をして、地域での人材育成の取組というのが進んでいる。こういう例も出てきておりますので、こういった例が全国にしっかりと広がっていくように後押しをしてまいりたいというふうに思っています。
  39. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございます。  繰り返しになりますけれども、本当にこれからは、地方における社会課題の解決、現場での開発、そして同時に人材の育成、こういったことをしっかりと進めていくことが将来的な日本の産業競争力の基盤強化にもつながるというふうに思っておりますので、ぜひ、この地方大学の活用も含めて、人材育成への積極的な取組をお願いしたいと思います。  では、次の質問に行きたいと思いますが、次は、データの利活用について質問をさせていただきます。  今、データ利活用環境を整えるために、政府でもさまざまな法案の整備、検討が進められていると思いますが、その大前提として、安心してデータをやりとりできる環境をつくるということがあるというのは、大臣も所信演説で述べられておりました。  その一方で、過度にデータを守ってしまうことによって、市場の寡占化といったものが懸念をされると思っております。特定の企業あるいは特定の事業者のみがデータを手にすることができる環境が続くことで、それ以外の国内企業の技術開発機会を失ってしまうおそれがあるのではないか、そんな懸念を感じております。  またその一方で、世の中は今、人手不足で、人手が足りないんだけれども確保ができない、そういった環境もあります。  そこで、一つお伺いしたいのは、データの一部オープン化によって、例えば公共性の高いインフラあるいは公共交通といった、そういったデータをオープンにして、民間の技術開発機会をつくり、そして産業を育成する、そんな施策も必要なのではないかと思いますが、これに対する御所見を伺います。
  40. 世耕弘成

    世耕国務大臣 やはり、オープンデータの取組というのは、これから極めて重要になってくるというふうに思っています。その中でも、特に国が持っている情報をオープンにして、利活用してもらうということも極めて重要だと思っています。  経産省としては、例えば法人情報のオープンデータ化などについても取り組んでおりますし、今後もより具体的なデータ利活用ビジネスの創出支援をしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。  今、国会に提出させていただいている生産性向上特別措置法案において、一定のセキュリティーの確認を経た事業者が、政府による認定を得ることで、事業活動に直結する公的データの提供を国や独立行政法人に対して直接要請できる制度の創設を盛り込んでいるところであります。  また、こういった動きに中小企業もしっかり参加できるように、これはIT導入補助金ですとか、あるいはデータ連携、利活用に関する減税措置などを通じて、中小企業もこういったオープンデータの動きについていけるように支援を行ってまいりたいというふうに思います。
  41. 浅野哲

    ○浅野委員 時間が参りましたので、これで終了とさせていただきます。  引き続き、この第四次産業革命、またそれに向けた人材育成や中小企業の支援、こういった幅広い施策について議論させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  42. 稲津久

    稲津委員長 次に、斉木武志君。
  43. 斉木武志

    ○斉木委員 斉木武志でございます。  このアベノミクスが始まってから今六年目、丸五年が経過をいたしました。今の株価の動きを見ておりますと、日本に本当に、経済成長期待が投資家から見て剥落してきているのではないかと私は強く懸念を持っております。本当にもう一度日本経済の真の成長を取り戻すためにどういった方策をとるべきなのかという点について、きょうは、日銀、そして世耕経産大臣に伺いたいというふうに思っております。  まず、日銀にお伺いをいたします。  おとといの日経新聞の記事ですけれども、日銀がETFを三月単月で最大に買っているという記事が載りました。三月二十八日まで、おとといまでに八千三百九億円、三月単月、一カ月だけで買っているということでございます。これは事実でしょうか。
  44. 前田栄治

    前田参考人 お答えいたします。  三月のETFの買入れでございますけれども、三月二十八日までで八千三百九億円の買入れを行ったということは事実でございます。
  45. 斉木武志

    ○斉木委員 この八千三百九億という数字ですけれども、これは、二〇一三年一月にアベノミクスが開始して以来最大の単月の買入れ額でございます。  また、今月、そして年初来の日経平均や世界じゅうの株式の動きを見ますと、日本、日経二二五の下落率というのが一番、主要国、米国中国と比べて、ハンセン指数やNYダウ、ナスダックと比べて、日経二二五がやはり下落率が大きい。  要するに、日銀が最大に買っているのに、一番下がっているのが日本の市場である。これはまさに、投資家が日本経済の成長力に疑問を持ち始めている証左ではないかと思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。
  46. 前田栄治

    前田参考人 お答えいたします。  本年入り後の海外株式市場の動きを見ますと、御指摘のように、二月以降、米国において金利上昇を契機に株価が調整され、これが投資家のリスク回避姿勢の強まりを通じて多くの国の株価下落につながったということが指摘されております。その後も、米国の通商政策をめぐる不確実性が意識され、株価の振れが相応に拡大した状態が続いております。  こうしたもとで、委員御指摘のように、我が国の株価の下落幅がやや大きくなっているという背景としましては、さまざまな要因があるものと思われますが、市場では、米欧の株価が大幅に調整したことに加えて、為替が円高に振れているということや貿易摩擦の広がりに対する懸念が意識されていることなどが指摘されているもの、このように私どもとしては理解しております。
  47. 斉木武志

    ○斉木委員 米欧の株価が調整してなぜ日本株が最大に下がるのか、しかも、日銀がアベノミクスが始まって以来最大の買入れをしているにもかかわらず、日本が突出して悪いのか、ここにやはり問題意識を持つべきだと私は思います。  ちょっと、短期だからそうだというような御答弁だったので、きょうは年度末ですね、三月三十日、この一年間を、では、長期で俯瞰してみたいと思います。  この一年間の一番株価の大きいところ、米、中、日というものを比べてみましょう。そうすると、一番この一年間で上昇率が高かったもの、これは中国のハンセン指数です。そして、二番手がアメリカのナスダック指数です。そして、三番手がNYダウ三十種です。四番手が日経二二五。要するに、米、中、日の主要三市場の中で、最大に停滞して足踏みをこの一年間してきたのが日経平均なんですよ。これはやはり、成長期待というものがあれば投資家はお金を突っ込んできますので、日本企業が長期にわたって、将来、売上げとEPSを伸ばしていけるという確信を投資家が抱けなくなっている証左ではないかというふうに思います。  株価の指数だけではちょっと物足りませんので、では、時価総額で比較してみたいというふうに思います。  今の、現状の世界株式時価総額、御存じのとおり、トップテンは全て米中の企業です。一位がアップル、アメリカ、九十兆円。そして二位が、二位と三位が大体ほぼ同じでグーグルとアマゾン、これがおよそ八十兆円。四位がマイクロソフトで、トップスリー、トップフォーまでがアメリカのIT企業が占めている。そして、次に来るのが中国ですね。五位が中国のテンセント。そして、八位にアリババ、これが大体五十兆円ぐらい。トップテンを見ていると、全てアメリカ中国であって、日本企業は一社も出てまいりません。  そして、日本企業が、じゃ、何位に位置しているのか。最高位がトヨタです。トヨタが四十位前後に位置をしております。二十兆円です。これは昨年もそうです。一六年、一七年と、このトップフィフティー、世界の株式時価総額上位に名を上げているのは、トヨタ一社のみなんですね。これは非常に寂しい、非常に危機感を持たなければいけない状況だと思います。  九〇年代は全然違いました、このランキングというのは。九〇年代は、五十社中に必ず十社程度は日本企業が入っていた。トヨタだけではなくて、金融機関、証券会社、多くの会社がランクインをしていたにもかかわらず、この二十年間で日本のまさに経済のプレゼンスというものが、世界で見るとどんどんシュリンクしていっている。これに対する危機感というのは経済当局は持つべきだというふうに私は思うんですけれども、この点、世耕経産大臣、いかがでしょうか。  長期そして短期で見ても、日本の株価がETFを日銀が最大買っているにもかかわらず下がっているし、この一年で見ても米中に劣後している、二十年で見ても日本企業はどんどんどんどん落ちていっている。これに対する危機感、そして対策というのはどうお考えですか。
  48. 世耕弘成

    世耕国務大臣 おっしゃるように、時価総額ランキングを見ると、上位にアメリカ中国の企業がずらっと並んでいる、しかもこれがIT系の新興企業ということになります。一方で日本は、ものづくりのトヨタが何とか二十三位ですか、で先頭ということでありますから、そういう意味では、日本企業の存在感が低下をしてきていることは事実だと思います。  この原因は、やはりIT革命にうまく乗れなかったというところ。中国の企業というのは、中国の大きなマーケットをある意味、いろんな、少し他国とは違った環境の中で伸ばしてきたという面があろうかと思いますけれども、やはりアメリカとの比較においてはIT革命にうまく乗り切れなかった。そしてしかも、プラットホームをがちっとうまく押さえられてしまっているので、なかなかそれを切り崩すことができないというところだというふうに思っています。  ただ、これから第四次産業革命というのが起こってまいりますので、これを特にしっかりとチャンスとして捉えて、日本企業が再び世界の時価総額の上位に入れるようにしていきたいというふうに思っています。  特に、データの利活用というのが大きな勝負だというふうに思っています。  コネクテッド・インダストリーズというのは、まさに、BツーCのビッグデータは、申しわけありませんが、これはGAFAになかなかもう食い込むことができないわけでありますけれども、このコネクテッド・インダストリーズという考え方は、まさにBツーBのデータを、これは一社で独占とかではなくて、みんなで共有することによって日本の産業の競争力を高めていこうという発想でありまして、こういったことをうまく使いこなしながら、再び日本企業がしっかりと大きな立場で世界をリードしていけるように努めてまいりたいと思います。
  49. 斉木武志

    ○斉木委員 IT革命に乗り切れなかったということをおっしゃっておりましたけれども、やはり、BツーCにしろ、BツーBにしろ、じゃ、なぜ日本企業が乗れなかったのか。やはり、そこをしっかり分析をして、このBツーBにおいても、企業を興していこう、応援していこうということであれば、その反省をしっかり生かさないといけません。  日本でなぜIT分野においてこれだけ米中に先行を許してしまい、私は、もう中国、この五年、アベノミクスの間に、テンセントやアリババの時価総額の伸びを見ますと、やはり三周回おくれぐらい日本はもうしてしまったな、これを取り戻すのは非常に大変だろうというふうに危機感を持っているんですけれども、なぜそういった企業が、グーグルそしてアマゾンへの言及もありました、フェイスブックへの言及もありましたけれども、そういった企業がなぜ日本で出てこないのか。ここをどうお考えですか。
  50. 世耕弘成

    世耕国務大臣 これは、議論し出すと切りがないぐらい、いろんな論点はあると思っていますが、やはり、ベンチャースピリットを持った起業家の数が足りなかった、また、そこに資金を供給するメカニズムが不十分だったんじゃないかということ。あるいは、特に日本の大企業はすり合わせ型のサービス開発は得意ですけれども、このITビジネスに見られるような、ばっとこう網をかけていくようなサービスとか製品の開発は得意ではなかったとか、いろんな原因があろうかと思います。  これを解決していくには、やはり経営者のマインドを変えていくしかないというふうに思っています。そういう意味では、今言ったようないろんな原因を解決していくためには、やはりコーポレートガバナンスを強化をしていくということだというふうに思っています。  しっかりと成長分野に対して積極的な投資を行って企業を成長させていく経営者がしっかりと株主から評価をされるというメカニズムを、ようやく今、日本でもコーポレートガバナンス・コードというのが各社制定をされて、前へ進み始めていますが、そういう取組こそが最も本質的な重要な取組になってくるというふうに考えています。
  51. 斉木武志

    ○斉木委員 まさに、この本国会においても、そういったサンドボックス制度であるとか、さまざまな法案が出てまいりました。  私、国会は久しぶりなんですけれども、何で今さらこんなものを出してくるのかな。今サンドボックスって、まさに、IT企業が勃興し始めた九〇年代、二十年前にやる施策でしょう。なぜ今さらサンドボックス、お砂場ですか、を出してきているのはツーリトル・ツーレートではないかなというふうに思うんですけれども、まあ、やらないよりはやった方がましだと思いますよ。  それは、このタイミング、どうお考えですか。今からキャッチアップできるとお考えですか。
  52. 世耕弘成

    世耕国務大臣 まず、規制に対する考え方ですね。アメリカは、こういうIT企業が出てきた背景には、とりあえずやってしまう、後で問題が起こってきたらそれは修正するというのがアメリカの考え方だというふうに思います。日本はなかなかそうはいかなかったわけでありまして、やはり規制をきちっとクリアをして前へ進んでいくということがどうしてもこれは日本のカルチャーとしてあったんだというふうに思っています。  そういう中で、でもやはり、規制を突破していくいろんな取組が行われてまいりました。特区制度、いろんな形で活用してきたのもそうです、あるいは、ノーアクションレターの制度ですとか、グレーゾーン解消制度ですとか、いろんな手を打ってきたわけでありますけれども、やはりここへ来て、一旦、それも、今申し上げてきたような取組というのは、あくまでも規制を前提にして、それに合うか合わないかの議論でやってきたわけでありますが、一度規制のない状態で取り組んでいくことが重要ではないかということで、サンドボックス制度というのを入れさせていただきました。  サンドボックス制度というのは、だからアメリカにははっきり言って必要がないわけでありますが、例えば、イギリスですとかあるいは中東のUAE、そういった国ではごく最近導入が始まっているわけでありますから、確かに日本の規制の考え方というのはいろいろ問題があると思いますが、このタイミングでやるということは決して遅過ぎるということはないというふうに思っております。
  53. 斉木武志

    ○斉木委員 御発言を聞いていても、私は前向きな点がないかなと思って探していたんですけれども、やはりまだまだ課題は多いなというふうに認識を新たにいたしました。  人材育成、教育分野とか、マインドということをおっしゃいましたので、そういった部分も含めて、日本トータルとしてのこれは取組が今からでも必要ではないかなというふうに考えておりますので、また議論を深めていけたらと思っております。  せっかく日銀さんがおいでですので、ちょっと、今のアベノミクスの一つのキーになっております金融緩和政策に関してもお聞きをしたいというふうに思います。  金融緩和、特にマイナス金利、これをいつまで続けるのかという点でございます。  マイナス金利というのは、例えば、FRB、議長が交代いたしましたけれども、前任のイエレンさんは、マイナス金利をやると逆に経済が、これは萎縮政策なのでアメリカにとってはマイナスだ、だからやりませんということをイエレンさんは明言をしておりました。ECBを見ていても、ドラギ総裁の発言を聞いていても、これは、マイナス金利の弊害がやはりかなり大きいということを認める発言をされております。  日本のマイナス金利が始められて数年経過いたしましたけれども、今、例えば金融機関の経営状況を見ていても、私は北陸ですが、北陸で、じゃ、地銀が一行しか残らないんじゃないかとか、非常に経営に危機感を持つ地方金融機関というのは多くなってきております。  こういったやはりマイナス面というのをあえて、無視とは言わないですが、あえてのみ込んでまでマイナス金利をこれからどこまで続けるおつもりなのかという点を日銀にお伺いしたいと思います。
  54. 前田栄治

    前田参考人 お答えいたします。  私ども日本銀行では、マイナス金利も含めた強力な金融緩和をやっておりますけれども、現在は、マイナス金利も含めて、長短金利操作つき量的・質的金融緩和ということを継続しているということであります。  したがって、この強力な金融緩和政策全体をいつまで続けていくかということになろうかと思いますが、これは、やはり二%の物価安定の目標の実現を目指すということで、これを安定的に持続するまで、必要な時点まで続けるということにしております。  現在、御案内のとおり、日本の物価上昇率、少しずつ高まっておりますけれども、なお二%の物価安定の目標の実現までには距離がある状況でございます。したがって、いわゆるマイナス金利も含めた現在の政策の調整ということにつきましては、そのタイミング、その際の対応を検討する局面ではなく、現在の強力な金融緩和を粘り強く進めていくということが重要、このように考えております。
  55. 斉木武志

    ○斉木委員 日銀の組織目標である物価安定、そしてそれを二%の物価上昇率を達成するまで続けるという御発言がありましたけれども、私は、まさに政治目標に縛られて金融政策がゆがめられていると思います。  二〇一三年の一月、アベノミクス、安倍政権が発足をして、日銀と安倍政権共同で宣言を出しましたね。二〇一三年一月、安倍政権として二%の物価目標を達成していくということを政府、日銀一体で掲げられました。要するに、選挙で訴えたこと、そして政権が訴えたことを何とかクリアするために、それを達成するまで無理をしてでも続けているように私には映ってなりません。  じゃ、実際、今の世界の物価上昇率はどれぐらいなのか。アメリカは大体今一・四%ぐらいですかね。そして、EU、これが大体一%台後半ぐらい。日本は一%を達成できるかできないか、そこの境界線をさまよっている。これを二%まで持っていくのは、私は、これは事実上非常にハードルは高い。これ以上ETF、今月、最大買いましたね、八千三百億円以上購入されている。それでも日経平均は下がっているし、原油価格が非常に高騰でもしない限り、二%というのは達成できないし、それは日本経済にとって非常にマイナスの局面だろうというふうに思っております。  政権、政治目標に、二%に日銀が振り回されているこの現状を私は非常に危うい状況だと思っているんですが、世耕経産大臣はその経済の影響をどのようにお考えですか。
  56. 世耕弘成

    世耕国務大臣 あくまでも、これは日銀と政府の連携で二〇一三年一月に公表された共同声明というものがあるわけであります。そこで述べられたことをどういうふうに具体的に実現をしていくか、これは金融政策の具体的な方法、手法になるわけでありまして、この点は日本銀行に委ねられるべきだというふうに考えております。  ただ、いずれにしても、今後とも、政府、日銀の共同声明にのっとって、両者で緊密に連携をしながら、あらゆる政策を総動員をして、力強い経済成長とデフレ脱却を目指してまいりたいと思います。
  57. 斉木武志

    ○斉木委員 目標が違うと思うんですよ。大臣がおっしゃっている、日銀もおっしゃっているのは、まさに二〇一三年一月の政府、日銀共同声明を達成すると。これが目標じゃないんですね。日本経済の成長を取り戻すことが目標でしょう。だから、日本経済の成長をもう一度、時価総額ランキングトップフィフティーに二社でも三社でも入ってくるような状況をつくる。そして、世界で米、中、日というような、常に米欧が下がったらそれ以上に日経平均が低下する、振り回されている、シクリカル銘柄ばかりだと、成長しない市場だと見られている、この現状こそが最大の危機じゃないですか。違いますか。
  58. 世耕弘成

    世耕国務大臣 それは全く同感であります。日本企業が成長していくことこそが重要ということで、我々は成長戦略というのもしっかり実行していかなければいけませんし、今まさに生産性革命とか人材革命、人づくり革命というのも、そういう視点で我々は取り組んでいるわけであります。やはり日本経済の、ひいては日本企業の成長力をしっかりと高めていくということこそが本質だというふうに思っております。
  59. 斉木武志

    ○斉木委員 そのためには、私は、二%に達するまでマイナス金利に拘泥するような、目的と手段が逆になっているような政策というのはやはり再考すべき時期ではないかなというふうに思っております。  もう一つ、最近の金融政策、そしてマーケットの関係者の発言を聞いておりますと、アベグジットという発言が非常に今出てきております。今、政局として森友学園問題が報じられていて、もう安倍さん、政権はかわるんじゃないか、そうしたらこの金融緩和政策は、黒田日銀体制もやはり政策を変えざるを得ないんではないか、それを投資家が先回りをして、アベグジットを見越しているから、米中に比べてこの二月、三月、大きく下がっているんではないかということが投資家の間で言われております。  このアベグジットという投資家の投資姿勢に対して、まず日銀さんはどうお考えですか。
  60. 前田栄治

    前田参考人 私からお答えすることは適当ではないと思います。
  61. 斉木武志

    ○斉木委員 世耕経産大臣、どうでしょうか。
  62. 世耕弘成

    世耕国務大臣 私は全くそういうことは意識をせずに、安倍内閣というのは、仕事をしっかりやって成果を上げる、これは経済でも外交でもそういう姿勢で閣僚として取り組んでいく、それに尽きるんだろうというふうに思っています。
  63. 斉木武志

    ○斉木委員 マーケットというのはいろいろな臆測を読み込んで動くものですので、まさに、政局が起きると、アベノミクスというより、もう既にアベグジットを織り込んだ株価に日経平均株価が下がり始めている。だから、やはり、金融緩和で幾ら吹かしても、EPSであるとか売上げであるとか、これが常に右肩上がりでいく、まさにグーグルやアマゾン、そしてアップル、テンセント、アリババといった企業はそういった企業だろうというふうに投資家がみなしているからこそ、トップフィフティーを占めているし、そして指数も上がっていっている。  日本企業はどうなのか。安倍さんがいなくなったら投資する価値がない、だから下がる、これは非常に本質的に危うい状況だと思いますが、その点どうでしょうか、世耕経産大臣
  64. 世耕弘成

    世耕国務大臣 なかなか答えにくいんですけれども、一方で、やはり安倍政権に対するマーケットの期待が逆に強いということの今の状況はあらわれではないかと。もう一度しっかり体制を立て直して、マーケットにもいい影響が与えられるような政権として、しっかり仕事に頑張ってまいりたいというふうに思います。  あと、おっしゃっているように、やはり成長の期待を持たれる企業を一つでも多く生み出していくということが重要だと思います。アマゾンにしても、例えば、ほとんど利益は出ていないわけであります。ただ、そのビジネスモデルがやはり今後マーケットを大きくとっていくだろうという、現にとっている面もあるわけですが、そういった期待感、新しいサービスを生み出していく期待感から株価が高くなっているというのがアメリカの、特にIT企業の特徴だというふうに思います。  それが日本人の性格になじむかどうかは別として、やはりそういう期待の持てる企業を一つでも多く生み出すために、これはなかなか政策だけで生み出せるものではありませんけれども、経産省としてもやれることはしっかりやってまいりたいと思います。
  65. 斉木武志

    ○斉木委員 まさに経産大臣は金融政策はらち外でございますので、まさに成長期待を取り戻すための政策というものを我が党としても提案をしていきたいですし、またこの委員会で議論を深めさせていただければと。  やはり、一番必要なのは、おっしゃったとおり本質的な成長期待です。金融政策じゃないです。金融政策で幾ら吹かしても成長期待が取り戻せないということを、私はこの五年間で証明されたと思っております。だから、やはり、この成長期待をいかに取り戻すのか、当委員会で集中して議論させていただきたいというふうに思っております。  あと五分程度ですので、原子力発電についてお聞きしたいと思います。  私の地元は福井二区でして、商業用原子力発電所が十三基、そして「ふげん」と「もんじゅ」、高速増殖原型炉が二基、小選挙区で十五基の原子力発電所や増殖炉が立地をしている、日本一の集中立地地域でございます。そこで今、何が皆さん懸念されているかというと、この福井県においても、十五基ある商業用原発や高速増殖原型炉のうち、大飯の一、二号機、そして美浜の一、二号機、敦賀一号機、「ふげん」、「もんじゅ」と、十五基中七基が廃炉決定、廃炉作業中でございます。日本各地の原子力発電所が老朽化、もう寿命を迎えて、これは各地でこれから廃炉と向き合っていかざるを得ない状況に入っている、廃炉時代に入っていると私は認識をしております。  そのときに、およそ一年数カ月前ですけれども、「もんじゅ」の廃炉決定を政府としてなさりました。そのときも、やはり福井県議会、知事、そして市議会を始めとして、国策にこれまでつき合ってきて、全部協力をしてきたのに、頭ごなしに決められたということで猛烈な反発があったということは御記憶、世耕大臣も矢面に立たれたことと思います。  この廃炉時代に、地元が何を気にしているか。それは要するに、かわる雇用をどうつくっていくのか、かわる産業をどうつくっていくのか、そこが全く不透明であるということです。  原子力発電所が大量に廃炉を迎えるこの日本の今にあって、これまで国策に協力をしてきた立地地域の雇用や経済、かわるものをどういうふうにつくっていくというふうにお考えでしょうか。
  66. 世耕弘成

    世耕国務大臣 まず、原発立地地域の御協力なくして我が国の原子力エネルギー政策は成り立たなかったわけであります。そして、立地地域が我が国の電力供給を支えていただいてきていること、このことはしっかり肝に銘じて、忘れてはならないことだというふうに思っています。  その上で、廃炉というのがこれから出てくるわけでありますけれども、廃炉交付金というものによって、自治体財政に与える影響を緩和するための措置を講じさせていただいています。  また、こういった交付金だけに限らず、廃炉によって立地地域に生じる環境変化の影響を緩和をするために、例えば、地域産品の開発ですとか販路開拓、観光誘致といった地域振興の支援ですとか、あるいは逆に、再エネを活用して雇用創出を図る取組に対して支援を行っているところでありますし、今後も行ってまいりたいというふうに思います。
  67. 斉木武志

    ○斉木委員 地域産品の開発、まあ農産品だと思うんですけれども、それで生まれる雇用と原発で生まれる雇用の桁は、二桁から三桁ぐらい違います。産品を開発して生まれる数名から十数名の単位の雇用と、発電所一カ所で、関連する作業会社も含めれば数千人単位の雇用、これが、数千人単位の雇用がごっそり抜け落ちるものを、とても産品の開発というものではなかなか代替できないだろう、これは素人でも想像のつくところでございます。  やはり、今、地元の不満というものは、頭ごなしに決められて、じゃ、かわるものが提供されていないじゃないか、地域産品で本当に地域の雇用を担えるのかというところに対する不信感なんですよ。  私は一つ提案したいんですけれども、これは、今週、国立国会図書館の調査で上がってきたものですけれども、廃止措置中の地域振興そして廃炉作業中の地域振興で、イギリスの例が紹介されております。  廃止措置中の原子力施設の立地地域に、SSG、サイト・ステークホルダー・グループという、地域のステークホルダー、これは住民も含みます、地域のステークホルダーが参加する会議体が設置されております。イギリスにおいては、事業者、電力事業者ですね、政府機関との協議を通じて、意思決定の質向上と正当性の確保が図られております。  地域住民が主体的に廃炉措置中であるとか廃炉後の地域社会のあり方についての意思決定に参加する仕組みというのが、イギリスでは既にもう動いているんです。日本にそういう地域住民の参加する会議体はありますか。
  68. 世耕弘成

    世耕国務大臣 経産省が所管する範囲では、ないというふうに思っていますが、我々は、あくまでも地元自治体と濃密にコミュニケーションをしながらいろんな原子力の政策も進めておりますので、まさに、その地元自治体の意見の集約の中に住民の皆さんとのコミュニケーションというのが含まれているのではないかというふうに考えていますが、今御指摘のような枠組みが、じゃ、制度として今、国が知る範囲であるかというと、それはないということだと思います。
  69. 斉木武志

    ○斉木委員 ここは私も、まさに地元のことでございますので、協力は惜しみません。ですので、このSSGのような、まさに地域住民が、地域の雇用と、原発が、そうした廃炉によってどういう地域を、じゃ、これから目指していくのか、そういうものに地域住民の方が直接、ステークホルダーとして、まさにSSGとしてかかわるような仕組みというのをぜひこれは日本政府としても考えられた方がいいというふうに思っておりますが、いかがでしょう。
  70. 稲津久

    稲津委員長 答弁者、世耕大臣に申し上げます。  申合せの時間が経過していますので、簡潔にお答えください。
  71. 世耕弘成

    世耕国務大臣 これはもう、よく、まずは、我々は自治体の声をしっかり聞いていきたいというふうに考えております。
  72. 斉木武志

    ○斉木委員 これにて終了いたします。
  73. 稲津久

    稲津委員長 次に、菊田真紀子君。
  74. 菊田真紀子

    ○菊田委員 無所属の会の菊田真紀子です。  世耕大臣、どうぞよろしくお願いいたします。  早速、質問に入りたいと思います。  まず、国民の大切な年金の情報に関して重大な問題が生じております。  きょうは厚生労働省にもお越しをいただいております。  日本年金機構が個人データの入力を委託した情報処理会社による入力ミスや中国の業者への作業の再委託が判明をいたしました。国民の大切な年金に対する信頼を著しく損なう事態であり、消えた年金問題に続き、国民に年金に対する大きな不安を与えることとなりました。  厚労省に伺います。今回の事案の概要と発覚したきっかけ、対応策についてお答えください。
  75. 高橋俊之

    高橋政府参考人 お答え申し上げます。  日本年金機構では、年金からの源泉徴収税額の計算を行うために、扶養親族等申告書を年金受給者の方から提出していただいております。その入力業務を、今般、株式会社SAY企画でございますが、委託をしていた、そこの問題でございます。  今般の委託業者は、委託要領に定める方法、ベリファイで正確に入力するという方法でございますが、これを契約違反でとらずに、OCRで読んで、目視で確認するという契約違反の方法をとってございました。また、その入力結果の確認作業を怠っていたということがございます。それからもう一つ、国内で、かつ、定められた事業所で行う、こういう契約でございましたが、契約に違反しまして、無断で業務の一部を海外の関連事業者に再委託していたことが明らかになりました。  このため、入力漏れ、入力誤りが多数ございまして、入力漏れで七・九万人の方、入力誤りで七万人の方に二月の源泉徴収税額が正しく算定されず、多くの方に多くの御迷惑をおかけいたしました。おわびを申し上げます。これにつきましては、四月のお支払いで正しい源泉徴収税額を算定するということでございます。  この発覚の経緯でございますけれども、入力漏れ、入力誤りが多数生じたということは、二月の支払いの通知が行きまして、お客様から、例年と額が違う、こういうお問合せを多数いただきまして、調べたところ、入力誤りや入力漏れが多数見つかったということでございます。  また一方、中国の関連事業者への再委託の件でございます。  これの発覚の経緯は、昨年末に機構の法令違反通報窓口のメールに通報がございまして、年初めから監査を始めたところ、見つかったところでございます。これは、SAY企画は、国内の事業所で入力するという契約でございましたけれども、申告書のうちの氏名の漢字、仮名の部分だけはどうしてもベリファイをするということで、その部分を、画像を切り取って、機械処理でトリミングをしまして、関連の中国におけます事業者に送って、そこでベリファイ入力をしておったという点でございます。  これにつきましては、日本年金機構の契約しておりますセキュリティー支援業者で現地にも調査に行きまして、現地におきまして情報流出等のことは生じていない、また、現地に送ったデータは漢字、仮名の部分のみであるということを確認してございます。  また、これを受けまして、この事業者に対しましては、機構は、三年間の競争入札資格の停止、また、その三年間の停止期間終了後でありましても、改善が十分に図られるまで競争入札への参加を制限するという処分をしてございます。  改めて、多くの方々に御迷惑をおかけいたしましたことをおわび申し上げます。
  76. 菊田真紀子

    ○菊田委員 これは本当に大変な不祥事だというふうに思っております。厚生労働省として、しっかりと検証をし、反省をしていただき、再発防止に取り組んでいただきたいということを強く要望します。  もうお帰りになって結構です。  日本年金機構以外の公的機関も、国民や民間企業等の情報を所有しており、適切に管理をしなければいけません。  今回問題を起こした株式会社SAY企画に業務を委託したことはあるのか、経済産業省、そして公正取引委員会、お答えください。
  77. 飯田祐二

    飯田政府参考人 お答え申し上げます。  今お手元に資料を配らせていただいておりますけれども、経済産業省からSAY企画に対し行った業務委託の状況につきまして、平成二十七年度から三年間分について調査をいたしまして、合計二十七件、総額約三億円、業務を同社に委託していることを確認しております。
  78. 南部利之

    南部政府参考人 お答えいたします。  公正取引委員会におきましては、株式会社SAY企画に対しまして、平成二十七年度から二十九年度までの三カ年で、書面調査の回答入力あるいは集計業務等につきまして、四件、総額で約千四百万円の業務委託を行っております。
  79. 菊田真紀子

    ○菊田委員 再委託等、不適切な取扱いがなかったのか確認したんでしょうか。お答えをいただきたいと思います。また、SAY企画以外の発注案件にも、再委託等、問題のある委託がないか調査したのでしょうか。していないとすれば、するつもりがあるかどうか。あわせてお答えください。経産省と公取です。
  80. 飯田祐二

    飯田政府参考人 お答え申し上げます。  経済産業省、業務の委託、例えばデータ入力ですとかシステムの開発等、さまざまな委託を行っておりますけれども、業務を外部に委託するに当たりましては、業務の特性を踏まえまして、契約の各プロセス段階で適切に契約が行われるかどうかということをチェックをいたしております。そうした中で、SAY企画との契約で問題は現在生じてございません。  あと、念のため、SAY企画に、再委託が禁止されているにもかかわらず再委託を行っていないかどうかを確認いたしまして、そういう委託は行っていないという回答を得ております。  それから、平成二十七年度から三年間分の業務委託につきまして調べましたけれども、禁止された再委託を行うなど、業務の不適切な取扱いにより指名停止措置のような不適切な事案は確認できておりません。  そういう状況でございます。
  81. 南部利之

    南部政府参考人 公正取引委員会の状況についてお答えいたします。  現在のところ、今申し上げました四件の業務委託につきまして、特段の問題は生じていないと認識をしているところです。  また、中国の業者への再委託といった問題につきましては、今回の日本年金機構の問題を踏まえまして、当委員会よりSAY企画に対して、これまで当委員会が委託した全案件について再委託の有無について確認を求めましたところ、再委託はなかったという報告を受けております。  これまで公正取引委員会がSAY企画以外の事業者に委託したデータ入力等の業務につきましては、個人情報あるいは企業情報につきまして、現在のところは不適切な取扱いがあったということは認識しておりませんし、このような問題は生じていないのではないかと理解をしております。  なお、今後、情報の不適切な取扱い等の疑いが認められました場合には、検査を行い、事実関係を確認するなどの適切な対処を図ってまいりたいと存じます。
  82. 菊田真紀子

    ○菊田委員 委員の皆様にも、お手元の資料をごらんいただきたいと思います。  SAY企画への発注は、経済産業省では平成二十七年から約三億円、公正取引委員会では約千四百万円あったということになります。  昨日、経産省に、不適切な取扱いがあるのかないのか確認しているのかということをお聞きをいたしましたら、昨日の段階では確認中ですというお話でございましたが、今ほどの答弁ですと生じていないということですから、しっかりと確認をされたということなんでしょう。  少し前までホームページで公開されていた情報によりますと、このSAY企画の従業員数というのは八十名しかおりません。日本年金機構など、ほかの機関から発注した業務もある中で、わずか八十名で再委託しないでこれだけの業務をこなせるというのは、なかなか考えられません。  もし不適切な取扱いが今後確認されるようなことがあったらどのように対応するのか、大臣の見解をお聞かせください。
  83. 世耕弘成

    世耕国務大臣 今この資料を見ていただいても、比較的小さな委託という形になっているんだろうというふうに思います。  我が省で確認をしたところ、SAY企画に関しては出ていないということでありますが、今後出てきた場合は、厳正に対処してまいりたいというふうに思います。
  84. 菊田真紀子

    ○菊田委員 現に、中国での再委託に関しては、日本年金機構の事案は内部通報がきっかけになっているんです。SAY企画からの単なる聞き取りだけでなくて、独自に調査する考えというものが公正取引委員会にあるのかどうか、お聞かせください。
  85. 南部利之

    南部政府参考人 お答えいたします。  公正取引委員会において、これまで、実態調査等の回答データの入力、集計等の業務を委託する場合におきましては、契約書や仕様書を定めまして、その中で、再委託の禁止、機密保全、情報漏えいの防止等についての規定をいたしております。  この誓約書ないし仕様書におきまして、必要と認める場合には、情報の管理状況について確認をするために受託者の事業所等の関係箇所を検査するということができるようになっておりますので、必要に応じて、今後、そうした検査を行ってまいるなどの対策を講じてまいります。
  86. 菊田真紀子

    ○菊田委員 業務委託を行う際に情報が流出しないような仕組みは、現行の枠組みで本当に大丈夫だと考えますでしょうか。何らかの措置を講ずる必要がないのか、業務を委託する組織の長である経産大臣及び公正取引委員会の見解をお聞かせください。
  87. 世耕弘成

    世耕国務大臣 例えば、今回の年金の事案のように、個人情報に係るデータ入力事務を委託する事業については、これは契約の中で、再委託を禁止する規定を盛り込んでいるほか、契約期間中に随時データの取扱状況を検査することができる規定があるわけであります。  一方で、委託をするときに、契約締結時に確認をする、作業が全部終わった後に検査をするというだけでは、やはりその間で何をやっているかというのがなかなか確認できないというふうに思いますので、三十年度の委託事業からは、ルールを改定して、契約期間中は、少なくとも月に一回以上は受託事業者に連絡をとって、今、事業の進捗がどうなっているか、当然、間に合わないからといって外注に出したり再委託したりしていないかどうかとか、そういったことをしっかり確認することにしたいというふうに思っています。  業務委託については、やはり、丸投げをするのではなくて、しっかり当事者として適切な管理をしていくことが重要だというふうに思っています。  今後、日本年金機構の事案の原因究明も進んでいくと思いますので、その結果も踏まえながら、不正防止のために有効な対策が必要であれば、しっかりとやっていきたいというふうに思います。
  88. 杉本和行

    ○杉本政府特別補佐人 公正取引委員会では、外部の事業者に委託している業務は個人情報とか個別の企業の情報に係るデータも含まれていることから、これらの情報の管理には万全を期す必要があると考えております。  これまでも、事業者につきましては、情報管理体制や過去の業務実績、契約の違反の有無などについて審査を行ってきたところでありますし、また、委託の期間中におきましても、事業者と連絡をとりまして、進捗の管理に配意しているということに努めているところでございます。  今後は更に、こうした事業者の信頼性につきまして、より厳格に審査を行うとともに、委託先につきまして、進捗管理にも適切に対応することによって、委託先の事業者の信頼性確保に配意してまいりたいと考えているところでございます。
  89. 菊田真紀子

    ○菊田委員 しっかり対応していただきたいと思います。  次に、森友問題について、財務省により決裁文書の改ざんという決して許されない違法行為が行われ、今週二十七日火曜日には、衆参の予算委員会で佐川前国税庁長官の証人喚問が行われました。しかし、真相の解明には遠く届かず、安倍昭恵夫人、迫田元国税庁長官、谷査恵子元首相夫人付らの、御本人の公の場における説明が必要です。  問題となった、改ざんした文書を提出するという行為は、国会に対する冒涜にほかなりません。また、省庁中の省庁とも言われる財務省が文書の改ざんに手を染めたことは、行政に対する信頼を決定的に失墜させました。  経産省における決裁文書、国会提出資料は財務省で行われたような改ざんはないと自信を持って言い切れるか、大臣に伺います。  野田総務大臣は、総務省内で点検をすると発言し、点検の結果、総務省内では問題がなかったようですが、経産省は調査したのでしょうか。する考えがあるのかないかもあわせてお答えください。
  90. 世耕弘成

    世耕国務大臣 財務省における文書書換え問題については、国民の皆さんから厳しい目が向けられていることを真摯に受けとめる必要があるというふうに思います。  行政の仕事は国民の信頼で成り立っているわけでありまして、今回の文書書換え問題がその信頼を大きく傷つけたと受けとめて、信頼回復に全力で取り組んでいく必要があるというふうに考えています。  経産省では、これは当然、改ざんなんということはもう常識で考えてあるわけがないわけでありますので、また、我々はそういうことが何か起こっているという認識ではありませんので、現時点で調査の必要はないと考えていますが、何か問題があれば、それはもう当然、徹底して調査をしたいと思います。  やはり、私としては、今後こういったことがシステム的に起こらないようにしていくことが非常に重要だというふうに思っていまして、公文書を適切に管理する仕組みを、さらに改善をして、つくり上げていくということが重要だと思っています。  今、省内では一〇%ちょっとと言われていますが、まずは、電子決裁システムへの移行を加速しなければいけないと思っています。どうしても紙で行った決裁の場合でも、事後的に変更ができないよう決裁後の文書一式についてPDF化をして、一元的な文書管理システムに登録をして、その後さわれない、あるいは、さわった場合はしっかりと痕跡が残るという形にしていくことが重要だと考えています。
  91. 菊田真紀子

    ○菊田委員 各種世論調査を見ても、麻生財務大臣及び安倍総理大臣の責任を問う国民の声は大多数です。  民間企業でこのような事態が生じれば、トップである社長は辞任をし、責任をとるのが常識だと考えますが、財務大臣及び総理大臣の責任について、世耕大臣の見解を伺います。
  92. 世耕弘成

    世耕国務大臣 ちょっと、答弁を訂正させていただきます。  電子決裁の利用率は、今、九五%を超えているというのが経産省の状況であります。残りをしっかりと電子決裁化していきたいというふうに思っております。  あと、総理や副総理・財務大臣の責任に関しては、もうこれは御本人がおっしゃっているとおりだというふうに思っております。  私の立場に逆に置きかえて考えたときに、例えば、地方支分部局で行われている決裁あるいは局の次長クラスの決裁文書が改ざんされているかどうかを、これを事前になかなか見抜くということは難しいと思います。  だから、そういう意味では、私は、やはり監督責任というのが極めて重要だというふうに思っておりまして、こういった公文書が改ざんされるようなことがないような仕組みをしっかり責任を持ってつくり上げていくということが、私が考える責任ではないかというふうに思っております。
  93. 菊田真紀子

    ○菊田委員 大臣は今、安倍総理や麻生大臣が、御本人がおっしゃっているとおりと言ったんですけれども、きのうの参議院の財政金融委員会での麻生大臣の発言ですね、全く当事者としての自覚や反省が足りない。本当に私はもうびっくりしました。  改めて、お二人の責任、追及をしていかなければならないというふうに思います。  次に、ほかの委員からも質問がありましたけれども、トランプ政権が二十三日に鉄鋼、アルミニウム製品への新たな関税を発効したことについて伺います。  知的財産についても制裁措置の対象とされた中国が報復関税で対抗するなど、貿易戦争とも言える状況が生じているのではないかと大変危惧されるわけであります。  まず、トランプ政権が新たな関税を発効する原因となった鉄鋼及びアルミニウムについて、世界の供給体制が現在どのような状況にあるのか、また、その現状認識はトランプ政権と共有しているものなのか、大臣、お答えください。
  94. 世耕弘成

    世耕国務大臣 まさに鉄鋼については、二〇一七年の世界の生産量、これは約十七億トンになりますけれども、そのうち中国が八億トン強を占めているという状況であります。また、全世界で約七億トンとされる過剰な生産能力についても、中国が約半分を占めているというふうに見られています。  このような過剰生産能力は経済貿易などに悪影響を与えると認識をしておりまして、この認識は日米で完全に共有をしていると思います。EUとも共有をしております。  そういうことから、二〇一六年十二月に、日、米、EUに加えて、中国を含む主な鉄鋼生産国が参加する鉄鋼グローバルフォーラムというのが立ち上げられて、この過剰生産問題についての議論と対応が行われているところであります。
  95. 菊田真紀子

    ○菊田委員 三月九日に大臣大臣談話を出されておりまして、その中でも、「我が国は、かねてより市場歪曲的な補助金によって世界的な供給過剰が生じている事態を憂慮し、国際協調により、G20、鉄鋼グローバルフォーラムなどで積極的な取組を続けてきた。」こういうふうに談話を発表しているわけでありますが、したがって、今のお話ですと、市場歪曲的な補助金を行っている国というのは中国を指すということでよろしいんでしょうか。また、中国が行っている補助金というのはWTO協定に違反していると考えますか。お答えください。
  96. 世耕弘成

    世耕国務大臣 まさにそれは今、鉄鋼グローバルフォーラムで議論が行われているところだというふうに思っております。  グローバルフォーラムの中で特定の国を名指しにしていない以上は私も名指しにするわけにはいかないんですけれども、先ほど申し上げたように、世界の生産量十七億トンのうち、中国が八億トンを占めている、アルミに関しても、世界の生産量六千万トンのうち、中国が三千万トン強を占めているというこの事実があるというふうに思っております。
  97. 菊田真紀子

    ○菊田委員 また、世耕大臣は、ライトハイザー米通商代表部代表、ロス商務長官と交渉を行っておられます。  三月二十日の閣議後の記者会見では、日本の鉄鋼、アルミ製品はかなりアメリカの産業界の役に立っている、しかも代替するものが余りないという商品が多いですので、品目別に、かなり除外される可能性は高いのではないかと考えていますと自信たっぷりに発言されていたので、私も期待を寄せていたんですけれども、完全に当てが外れてしまったのではないでしょうか。  なぜこのような見込み違いが起きたとお考えでしょうか。
  98. 世耕弘成

    世耕国務大臣 それはちょっと違うんですね。  適用除外というのは二通りありまして、国別除外と製品別除外というのがあります。国別除外については、これは通商代表が取りまとめ役になっています。製品別除外というのは、これはロス商務長官が取りまとめの責任者になっています。  私が会見でそのとき申し上げたのは、製品別。これは手続も全然違うんです。国別除外というのは、あくまでもUSTRが事務局になって、大統領が判断をしてやっていくという形になるわけですが、製品別除外は、逆に、アメリカのユーザーが商務省に対して、うちはこの製品に課税をされると困るので除外をしてくださいという除外が行われるということになっています。  今、日本の鉄鋼のアメリカへの輸出を細かく見ますと、大体、丸めて三分の二ぐらいは他国の製品でなかなか代替できないレベルの製品です。例えば、石油のパイプラインに使われているようなパイプですとか、あるいは自動車の製造に使われる鋼板ですとか、こういうところは非常にもう、日本の製品じゃないとだめということなので、こういったところは商務省の手続の中で除外される可能性が多いのではないかということを私は申し上げました。  ただ、一方で、国別除外されなかったこと、これはもう大変遺憾でありまして、これは、国として日本アメリカの同盟国であって、今回のアメリカの追加関税の措置というのは安全保障上を理由にしているわけでありまして、日本アメリカ安全保障上の何か支障、問題を起こすことはあり得ないわけでありまして、にもかかわらず日本が国単位での除外対象にならなかったということは、これは極めて遺憾でありまして、今後も粘り強く除外は求めてまいりたいというふうに考えています。
  99. 菊田真紀子

    ○菊田委員 日米同盟といいながら肝心なところは外されているような気がして大変失望しておりますが、ぜひ、これからの交渉、頑張っていただきたいというふうに思います。  いろいろ質問したいんですけれども、余り時間がないのでちょっと飛ばさせていただきます。  原発に関してですが、昨日、茨城県東海村にある東海第二原子力発電所について、日本原子力発電と原発から三十キロ圏内にある六つの自治体は、再稼働の際に自治体側の実質的な事前了承が必要となる新たな協定を結びました。原発を再稼働させる際の事前了解の対象が立地する自治体以外に広げられたのは全国で初めてのケースになります。  原発を再稼働させる際、電力会社はこれまで、自治体と結んでいる安全協定に基づき、原発が立地する自治体と県にだけ事前に了解を得る手続をとってきました。しかしながら、この第二原子力発電所のように、周辺の自治体の同意を再稼働の前提として明確に位置づけることは、非常に大事であり、必要なことだと私は考えます。  日本原子力発電と自治体との協定ではありますけれども、経産省としてこの協定をどう受けとめているのか、大臣の見解をお聞かせください。
  100. 世耕弘成

    世耕国務大臣 この安全協定については、電力会社と自治体が任意に締結しているものでありまして、今御指摘の東海第二原発に関するものも含めて、国は直接関与する立場にはありませんので、コメントは控えさせていただきたいと思います。  ただ、他の電力会社においても、周辺自治体も含めて事前協議を行うといった、地域との真摯な取組というのは既に実施されているというふうに認識をしています。  いずれにしろ、各電力会社においては、自治体との信頼関係を大切にしながら、必要な対応を誠実に行うことが重要だというふうに思っております。
  101. 菊田真紀子

    ○菊田委員 原発に関しては、また別の機会に議論させていただきます。  最後に、質問通告していなくて恐縮なんですけれども、プレミアムフライデーについて、極めて簡単な質問ですので、お答えいただければと思います。  きょうは、三月最後の金曜日、プレミアムフライデーです。昨年の二月二十四日に初めて実施されてから十四回目となりますけれども、ある程度浸透してきたという評価がある一方、余り経済効果がないのでプレミアムフライデーの対応をやめたというような飲食店があるということも聞いています。  その政策効果については改めて伺いたいと思いますが、きょうは、このプレミアムフライデーの旗振り役である経済産業省の幹部の皆さんがどんな過ごし方をされるのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。  副大臣と政務官はいらっしゃらないので、政府参考人として来ていただいている幹部の方、お一人ずつ、プライベートなことをお答えしたくなかったら、早期に退庁するかどうかだけでも結構ですので、順次お答えをいただき、最後に、感想を含めて大臣からも御答弁いただきたいと思います。
  102. 飯田祐二

    飯田政府参考人 本日はプレミアムフライデーということで、私は地域経済産業グループを担当しておりまして、まず、職員に、三時ぐらいだと思いますけれども、もちろん仕事がある人もいると思いますけれども、ちゃんととるようにというお話をし、私も、ちょっと時間を申し上げづらいんですけれども、早く帰る予定でございます。
  103. 松尾剛彦

    松尾政府参考人 私は、きょうは家族で軽井沢の方に旅行に行く予定にいたしております。
  104. 上田洋二

    上田政府参考人 製造産業局でございますが、局長以下、局内で、まずはプレミアムフライデーをしっかりやるようにという告知をした上で、私自身も速やかに帰って家族と過ごしたいというように思っております。
  105. 村瀬佳史

    村瀬政府参考人 私も同様の対応で、私の方は、夜、飲みに行かせていただきたいというふうに思っております。
  106. 世耕弘成

    世耕国務大臣 私は、これは証人がいっぱいいますので、実は数カ月前からもう振りかえ宣言をしていまして、きょうはしっかり仕事をして、四月六日に、来週の金曜日に私は振りかえるということを宣言しました。  ただ、私のもくろみは二つの意味で外れてしまいまして、なぜ四月六日に数カ月前に設定したかというと、私の友人の自宅で、すごくきれいに桜が見えるところがあって、そこで明るいうちから花見をしようということを計画していたんですが、思ったより早く桜が咲いてしまった、多分来週にはもう散っているのではないかということと、来週は、もしかしたら、こちらの委員会が開かれて、夕方まで仕事をしなければいけないのではないかということであります。  いずれにしても、まだ道半ばだと思います。プレミアムフライデーというのは、働き方改革と消費喚起を目指すものであります。認知度は大分上がっていますが、実施度が、特に中小企業とか地方を含めてまだまだということでありますから、クールビズも浸透するのに一定の時間がかかりましたので、これからも、一年で何か考えを変えるのではなく、粘り強く、改善をやりながら進めてまいりたいというふうに思っています。
  107. 菊田真紀子

    ○菊田委員 終わります。ありがとうございました。
  108. 稲津久

    稲津委員長 次に、笠井亮君。
  109. 笠井亮

    ○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。  今、国民の怒りが沸騰している森友公文書の改ざん事件は、国民主権と議会制民主主義の根本にかかわる重大問題であります。当委員会でも世耕大臣の所信表明では当然、ぜひこの問題に言及すべきであると私が理事懇談会で求めたところ、自民党の吉川筆頭理事からは、御心配なきようという話がございました。ところが、実際には一言も言及されませんでした。なぜかという問題であります。  今、菊田議員の質問に対して書換え問題ということを繰り返し言われましたが、一昨日は、落合議員の質問には、決裁文書の改ざんは国民の信頼を大きく傷つけたと、改ざんとはっきり言ったのに、今度は書換えとなっちゃっているので、ちょっとまたそういう問題があるのかと思いますが、改めて伺いますが、安倍内閣の閣僚の一員として、この公文書改ざん問題をどう受けとめていらっしゃいますか。
  110. 世耕弘成

    世耕国務大臣 改ざん、書換え、私は余り意識しないで使っていまして、いずれにしても、改正や修正ではないと思っております。悪意を持って書き換えたということで、改ざんという言葉も当たると思いますし、書換えも、悪意を持って行えば、これは書換えはいけない行為でありますと……(笠井委員「ただ改ざんとはっきり言ってください、それは」と呼ぶ)改ざんと私は申し上げて全然構わないというふうに思っています。  行政の仕事は国民の信頼で成り立っているわけでありまして、今回の文書書換え問題がその信頼を大きく傷つけたことについては、真摯に受けとめる必要があるというふうに思っています。  公文書は国民が共有する知的財産でありまして、これが書換えや改ざんがされないような仕組みをつくることこそが重要だというふうに思っています。  電子決裁システムは、今九五%以上採用されていますが、これは、残りの部分も含めて、まず電子決裁へしっかりと移行を加速することが重要だと思っています。また、紙決裁をどうしても行うものであっても、事後的に変更ができないよう、決裁後の文書一式についてPDF化をして、一元的な文書管理システムに登録をして、万が一書換えや改ざんが行われた場合には、その内容が記録に残る仕組みをしっかりとつくっていくことが重要だと思っています。  私みずから先頭に立って、職員の意識改革を図って、経産省における適切な公文書管理を徹底させてまいりたいと思います。
  111. 笠井亮

    ○笠井委員 今大臣も言及された問題でいいますと、公文書管理法の第一条は、公文書等は健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源で、主権者である国民が主体的に利用し得るものというふうに言っております。そして、行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する義務が全うされるようにすることを目的としていると。  大臣も当然そういうことも含んだ認識を持って職務に当たっていらっしゃる、それでよろしいですね。
  112. 世耕弘成

    世耕国務大臣 そういう意識を持って当たってまいりたいと思います。
  113. 笠井亮

    ○笠井委員 それを最悪な形で踏みにじって、民主主義の根幹を掘り崩して、そして国会の国政調査権を侵したのが今回の改ざん事件であります。  経産大臣として、今後どういう仕組みをつくってやっていくかという決意を述べられたんですが、それ以前に、まず、省内には公文書管理法の目的、趣旨を逸脱するような問題はなかったのか。先ほどの質疑では、何か問題があればということを言われたんですが、そうではなくて、なぜこういうときこそ大臣が徹底調査、点検を指示されなかったんですか、されないんですか。
  114. 世耕弘成

    世耕国務大臣 それは、公文書を改ざんしないなどというのは、これは当たり前のことであるからであります。  本当に何か問題があれば御指摘をいただきたいと思いますが、問題が出ていない以上、私はやる必要はないというふうに思っていますし、もし出てきたら迅速に対応したいと思いますし、そもそもできないような仕組みをしっかりと構築してまいりたいと思います。
  115. 笠井亮

    ○笠井委員 当たり前と思っていたことが、そうじゃなくて、財務省で現に起こってこんな大問題になっている、そして日本の政治を揺るがしているという問題であります。  では伺いますけれども、安倍政権は、二〇一六年の十二月二十一日に、高速増殖炉「もんじゅ」を廃炉にして、そして、新たな高速炉開発の方針を決定しました。東京電力の福島第一原発事故の収束もできないまま、「もんじゅ」の破綻にも懲りずに、核燃サイクルに固執をして新たな原発開発に突き進むという、ある意味重大な政策転換でありますが、この方針を決める過程で高速炉開発会議という会議が行われましたが、世耕大臣、議長を務められたと。  何回、合計何時間何分、この会議は開かれたんでしょうか。
  116. 世耕弘成

    世耕国務大臣 高速炉開発会議については、二〇一六年十月の第一回から十二月の第四回までの間に、合計で四回、二時間三十二分の議論を行ったところであります。
  117. 笠井亮

    ○笠井委員 四回合わせて、これだけ重大な問題でしたが、わずか二時間三十二分ということであります。  そして、この高速炉開発会議の議長は世耕大臣で、顔ぶれは、「もんじゅ」を所管する文科大臣、原子力規制委員会から運転の資格なしとされた日本原子力研究開発機構の理事長、それから高速炉開発を担う三菱重工の社長、そして原発推進の電気事業連合会の会長の合わせて五人と、文字どおり、「もんじゅ」を一体になって進めてきた利害関係者だけで、傍聴も認めずに密室で重大な政策決定を行っている、こういうことになったわけですね、これは。
  118. 世耕弘成

    世耕国務大臣 この高速炉開発会議の趣旨というのは、そもそも原子力関係閣僚会議の決定を踏まえながら、今利害関係者とおっしゃいましたが、まさに高速炉開発にかかわる人たち、民間事業者も交えて、今後の方向性について関係者でしっかりと議論をして、頭合わせを行うものであります。  四回にわたって開催をされて、国内外の技術動向を始めとするさまざまな情報をもとにしながら真剣な議論を重ねたわけであります。  密室とおっしゃいましたけれども、各四回ともそれぞれ議事要旨、議事録は後刻公表をさせていただいています。  なぜフルオープンにしなかったかといいますと、それは、海外から来る方も含めて、民間個社の事業にかかわる話が出る部分については、やはり公開できないということで、議事録公開という形にさせていただいていますし、四回目の会議はフルオープンで開催をさせていただいております。
  119. 笠井亮

    ○笠井委員 これだけ重大な政策破綻とそして変更にかかわることについて、反対が国民の中にもたくさんある、各界にもある、専門家にもある中で、結局、進めていくという方々を集めて決めた。閣僚会議のもとにと言うけれども、そうやって決めて、閣僚会議に上げて決定したわけです。  まさにそういう状況の中で、そして、後で公表された議事録があると言われましたが、これも私は読みました。しかし、それを見ても、各メンバーから配付資料の簡単な説明やコメント、意見表明、それぞれあったわけですけれども、初回から、原発を使い続ける以上、核燃サイクルとその実現のために高速炉開発は不可欠だと、結論ありきの会議をやっているんですよ、これは。  そこで、この開発会議に事務局から提案された高速炉開発の方針の骨子というのがまず途中で出ました。案というのが出て、そしてその後、方針案が出て、それを確認、決定したということになりますが、方針の骨子案と方針案について、では、担当部署が起案して、稟議を経て決裁に至るまでの経過の詳細はどういうものか。  当然、こうやってその五人の方が集まって会議をするときには、事務局が準備して、そして、こういうことをつくっていくというので骨子案をつくって、そしてまたそれを方針案にして、それをまたやるという経過があるわけですが、こうした方針骨子案と方針案について、担当部署がどうやって起案して、稟議を経て決裁に至ったのかという経過、やはりこれは非常に重要だというふうに考えました。  そこで、私どもは、我が党として、昨年一月から経産省に再三再四資料を求めてきました。ところが、答えは、該当するものはない、無駄な仕事はしないんです、はっきりこんな形で述べた一点張りの回答でありました。  これでは、事務局の意思決定過程と事務の実績も跡づけられない、検証もできない。これは明らかに公文書管理法の趣旨に反するんじゃないかと思うんですが、大臣、この点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  120. 世耕弘成

    世耕国務大臣 まず、結論ありきとおっしゃいますが、この会議はそもそもエネルギー政策の方向性を議論するものじゃないんですね。これはあくまでも、エネルギー基本計画で閣議決定をされ、かつ、関係閣僚会議で決定された方針をどう実行していくかという方向性でやっているわけですから、そういう意味で、関係者の議論ということになるんだろうというふうに思います。  資料については、これはしっかり、その会議で配られた資料は配付をされているわけであります。それ以外の資料がないということであれば、そういうことなんだろう。その会議に向けて資料をつくって、その完成した資料を公表させていただいているし、公文書として存在するものもその資料だけだということなのではないでしょうか。  私もそこは詳しく事務方から聞いておりませんので、作成の経緯については、ちょっと私、大臣としては正確にはお答えできないわけでありますが、そういうことではないかと推測いたします。
  121. 笠井亮

    ○笠井委員 これは、繰り返し大臣は言われるんですが、うまくいかなかった政策についてどうするかという重大な変更についての議論なんですよ。  しかも、今、会議に向けて出した資料はそうやって公表も後でしているということも言っていますけれども、そういう資料、あるいは方針の骨子や方針案について、では、どうやって事務方が準備して、作成して、決裁を得て出したのかということについて、やはりこれは大事なことですから、当然、ちゃんとそれを出すようにと言ったら出さなきゃいけないというのがやはり趣旨だと思うんですよ、公文書管理法でいえば。結局のところ、求めても出てこなかったのは、それはないということになってしまいます。  公文書管理法の第四条は、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡づけ、又は検証することができるように文書を作成しなければならないというふうにして、その一つに、行政機関の長で構成される会議又は省議の決定又は了解及びその経緯も挙げているということでありまして、世耕大臣が議長をされる会議で、改ざんどころか、それ以前の、決裁文書の作成もしていないということになったら、これは極めて重大だと思うんですが、きちっと調べる必要があると思うんですが、いかがですか、大臣
  122. 世耕弘成

    世耕国務大臣 いや、まさにこれは会議なんですよ。その会議で使われた資料というのは、まさに意思決定過程にあるものであるわけであります。その会議の結論というのが一つの方向性、まさに決裁に相当するものなのではないでしょうか。  そういう意味で、きちっとその議事の議事録も公開をし、資料もしっかりとお出しをし、そして、そこで四回議論が行われ、最後はフルオープンをされ、そしてその上で、高速炉開発の方針についてという政策がしっかりと決まったということでありますから、公文書管理法に照らしても、何ら疑義のあることはないのではないかというふうに思います。  これに関する決裁文書があるかないか、私も、済みません、きょう私に御通告をいただいていませんでしたので正確には答えられませんが、私は、この高速炉の開発方針を決めるに当たっての経過は、十分この会議の公開、資料の公開をもってなされているのではないかというふうに考えます。
  123. 笠井亮

    ○笠井委員 私、質問通告では、方針骨子案と方針についてどうやって決めたかということについて聞きますということはちゃんと述べてありますので、大臣にということを言ってあります。  しかも、私は、結局、今問題にしているのは、その表の会議に向けて出す資料、あるいは方針の骨子、あるいは方針案について、やはりそこについてもきちっと後で検証できるようにしなきゃいけないということが問題になって、公文書管理法になっているんですよ。  二〇一二年に大問題がありました。政府の原子力委員会が、東京電力福島第一原発事故後にですけれども、核燃サイクル政策の見直しをめぐって電力関係者などを集めた裏会合をたびたび開いていた、そして、報告書の書き直しまで行っていたことが大問題になりました。私もよく覚えています。その再発防止策ということで、あのとき議論になって、原子力委員会の方で決定されたのが、業務運営方針というのがありますけれども、そこでは、決定文書案のドラフトと、それに対するコメントなど、「修正履歴を明らかにした上で、委員長に確認を求める」と。だから、準備段階の文書だって大事なんだと。  つまり、高速炉開発会議に向けて、表に出す、その向けての方針骨子案、どうやって、稟議して、つくって、決裁したのか、そこだってきちっと残さなきゃいけないということが、問題になってきた大きな教訓だと思うんですよ。それにも反するということになる。  これは大臣、しっかりとこの問題、経過を調べていただきたい、まずはちゃんと、どうだったかと。それは確認できますか。
  124. 世耕弘成

    世耕国務大臣 この会議の前に何か決裁がとられたということは、私は、ないんじゃないかと思います。まさにこの会議が、決定するための会議でありますから、だから、そこに出されている資料、議事録が、まさに政策を決める過程のものをきっちり残していっているということだ、私はそれに尽きるというふうに思います。  この会議の前の決裁文書がないかどうか、それは御要望ですから調べます。決裁文書があれば、それは文書番号も含めてきちっと残っているはずでありますから、私は今の段階でそういうものがあるとは思えませんけれども、あるかなきかについては、それは省内、しっかり調べさせていただきます。
  125. 笠井亮

    ○笠井委員 これは私は大問題だと思うんですよ。だって、表の会議に出すときに、事務局が文書を作成して出すわけですよ、案を。事務局案として出しているわけですから。この議事録にもあります。  事務局がどうやって出すかといったら、個人的に勝手に出すわけじゃなくて、表の会議をやりましたから、じゃ、それはこんな感じで骨子でというのを勝手に出すわけじゃなくて、それは、事務局として、省庁内で、省内で、こういう案を出します、よろしいですねと言って出すんですよ、判こを押して、こうやって。そうやって出さなかったら、そんなものは検証できないじゃないですか。  表で勝手に会議をやっているからそんなものはないんですなんて言ったら、これは、役所の仕事、その根本から問われますよ。表の会議で、大臣が議長をされていて、事務局が出すやつ、どんな文書が出てくるか、誰が確認して、どうやって議論してつくったかと、その骨子案だって決裁されなかったらだめなんですよ。  それを幾ら求めても、一年間出してこないわけですから。出してこないということは、ないと。今大臣もないと言われたけれども。なかったら、これは大変な問題ですよ。歴史に対して検証できないということになります。  今、調べると言われたから、きちっと調べていただきたい。  そして、このようにして決められた高速炉開発の方針というのは撤回をして、再処理と核燃サイクル政策をやめることはもちろんですが、公文書管理法の視点から経済産業行政の総点検を行うべきであるということを強く求めておきたいと思います。  次に、改ざんにとどまらずですけれども、日立と日本政府が一体となって英国への原発輸出を進めている問題でも、国会と国民に真実を語らず行政を進めることがあってはならないと私は強く言いたいと思います。  私、二月六日の衆議院予算委員会で質問いたしました、この問題。その一週間後の二月十三日に、日立の中西宏明会長は、日本経団連の次期会長としての記者会見で、この英国のウィルファ原発建設についてこう言われています。インベスタブルな、投資額を回収できる計画であることが全ての前提条件だ、建設中のリスクを誰が負うのか、政府がコミットしないと事業ができない、それが日英政府と我々の共通理解となった、こう述べておられます。  世耕大臣は、二月の六日の私との予算委員質疑で、結局、そういうことについて示すような文書については答えを差し控えるということを言われましたけれども、やはり、この事業の当事者である中西会長が言われている、共通理解となるような日英政府間の文書というのが存在しているんじゃないんですか。     〔委員長退席、富田委員長代理着席〕
  126. 世耕弘成

    世耕国務大臣 今お話しいただいている点については、これは外交上のやりとりに関することでありまして、今おっしゃっている文書については、あるかないかも含めて、お答えは控えさせていただきたいと思います。  いずれにしろ、このプロジェクトに関して、日本政府の対応あるいは英国政府の対応について、何か方針が決定されたという事実はありません。
  127. 笠井亮

    ○笠井委員 同じ答弁ですが。  二〇一七年十二月に日英両政府エネルギー担当相が交わしたとされる書簡で資金面を含む協力内容が取り決められているのではないかと私が予算委員会でただしても、大臣は書簡の存否すら言わない。今も、存否も含めてと、あるかないかも言わない。まさに不誠実、隠蔽とも言える態度だと言わざるを得ません。  中西会長の発言だけではなくて、日立の西山光秋執行役専務も、一月三十一日、二〇一八年三月期第三・四半期、報道機関向け、機関投資家、アナリスト向けの決算説明会というのがありましたが、そこでこのように述べています。政府系機関と相談は当然している、日英政府にいろんな支援をお願いしている、こう明言しているわけですが、一体、じゃ、どんな相談が政府系機関に、あるいはどんな支援要請が日本政府に日立から寄せられているんでしょうか。     〔富田委員長代理退席、委員長着席〕
  128. 世耕弘成

    世耕国務大臣 いろいろと、当然、日立に限らず、我々は、民間企業と対話をしているわけであります。  ただ、現時点において、何か政策的な支援について政府として決定をしたという事実はございません。
  129. 笠井亮

    ○笠井委員 だから、どのような支援要請が来ているんですか。決定したという事実はないとさっきも言われたんだけれども、どんな支援要請が日立から政府に来ているんですか。
  130. 世耕弘成

    世耕国務大臣 英国における原発建設計画については、これまで関係者の間でさまざまな議論をしておりますけれども、現時点で、政策的支援を含めて具体的に何らかの決定がされた事実はありません。
  131. 笠井亮

    ○笠井委員 結局お答えにならないんですよ。  決定された事実はないとしか言わない。どんな支援要請が来ているのかも結局言えない。何でですか。
  132. 世耕弘成

    世耕国務大臣 当然、所管している分野のいろいろな企業と我々は日常的なコミュニケーションをとるわけであります。これは別にこの件だけに関して申しているわけではなくて、個別の案件に関する個別企業とのやりとりについては、その企業の利害に影響を及ぼす可能性がありますので、お答えは控えさせていただきたいと思います。
  133. 笠井亮

    ○笠井委員 この件について聞いているんですが、このプロジェクトについて、日立は、建設を推進する全額出資子会社のホライズンが英国政府から出資を受けること、それから、日本貿易保険、NEXIの債務保証、日本政策投資銀行や国際協力銀行等の政府系金融機関から投融資を受けられるよう日英両国政府に相談中であるということを日立の側は明らかにしております。明らかにしているのに、政府側は、個別企業ですから言えません、こういうふうになっている。いかにもおかしいと思います。  日立による英国政府との原発交渉は、難航して、支援の確約が先方からはなく、日立の最終投資決定は二〇一九年、来年ということであります。それまでに必要な出資、融資が集まらなければ、このウィルファ原発建設計画そのものを撤回するか継続するか最終判断しなければならない。英国からの支援がなくてもあくまで計画を推進するなら、さらなる日本政府による支援は避けられないということになってきます。  事業費三兆円規模の巨大プロジェクトであり、一〇〇%の政府保証をつければ、ツケは国民に回ることになる。それを、現時点では決まったことはありませんと、一切国会にも国民にも明らかにしない。そして、このような政府支援のあり方について、日本の国会と国民に秘密裏に進めるということは絶対に許されてはならないと思うんですけれども、その点はいかがですか、秘密裏に進める。
  134. 世耕弘成

    世耕国務大臣 これは、外交上のやりとりというのは、基本的には必ずしも全てがオープンにできるものではないということは御理解いただきたいと思います。  その上で、当然、歴史に対する説明責任という形で、公文書として認定されたものについてはきっちりと保管をし、そして、これは最終的には公文書館の判断になるんだろうと思いますけれども、公開すべきものは将来において公開をされ、歴史に対する説明責任が果たされていくということだというふうに思います。  一定のところ、外交上のやりとりがその進行中の時点において秘密であるというのは、これはいたし方のない部分があろうかと思います。
  135. 笠井亮

    ○笠井委員 結局、大臣は、個社の問題だ、外交上のやりとりだと言われながら、一切明らかにしない。そして、決まったらいずれ歴史には残るように公文書館にみたいな話になりますが、結局、決まった時点ではもうツケは国民に回ることになっちゃっていたら大変なことになるわけですよ。どうやって責任をとるのか。ただ歴史に残せばいいという話じゃないでしょう。やっちゃいけないことは絶対にやめなきゃいけない、やっちゃいけないんですよという問題ではないかと思います。  日立の中西会長は、政府保証が必要なほど高リスクの事業を進めるべきかという記者会見での、先ほどの記者会見ですが、質問に対して、投資可能だと説明することが難しくなったのは事実と述べて、純粋な民間事業として推進するのは困難だと認めました。その上で、投資家に保証として日本政府が保険も考えようと言っている段階だ、しっかり物をつくって不信感をはね返す、こう答えているわけですね。  一方、事業を進める主体である日立は、そうやってどんどんどんどん具体的に日本政府に要請していますよ、支援もと。そして、今、日本政府はこうやって保険も考えると言っていますよと。  片っ方では個社の問題と言いながら、個社の方はどんどんどんどん世間に向かって公表しているわけですよね。投資家に向かっても説明しているわけですよね。政府が黙り続けるというのは余りにおかしいんじゃないですか。  それだけじゃありません。  大体、この日立と経産省との本当に濃密な関係というのは、私も先日も指摘をさせていただきました。次期日本経団連会長でもある中西日立会長は、安倍首相が議長を務める未来投資会議のメンバーで、その中でインフラ輸出、原発の問題も議論になっている。そして、現在、日立の社員が経産省通商金融課に出向していて、日立の経営陣には、元経産省の事務次官、資源エネルギー庁の長官を歴任して、メーカーと一体に原発輸出を推進してきた望月晴文社外取締役がおります。このことを予算委員会で明らかにしましたが、それだけじゃなかったんですね。  質問直前のことし一月末ですが、日立の執行役常務に伊藤仁元特許庁長官が就任をして、渉外担当と東原社長付ということになっております。資源エネルギー庁で総合政策課長も経験した専門家でありますけれども、こうやって全部固めて一体になって原発推進、輸出推進をやっている、これが実態じゃないですか。  世耕大臣は、個人の就職先については関与しないと先日も答弁されましたけれども、ここまで濃い日立との関係について、一体どう国民に説明責任を果たすんですか。
  136. 世耕弘成

    世耕国務大臣 それぞれ再就職に関しては、これは法律にのっとって行われている、我々が関与した形で行われているわけではないということを明確に申し上げておきたいと思います。  我々の政策というのは、何も特定の社のためにやっているわけではありません。日本全体のエネルギー政策、特に持続可能なエネルギー政策、それに資するものについて、きちっと政府としてとるべき方針をとっていくということに尽きると思っております。
  137. 笠井亮

    ○笠井委員 そう言われますけれども、先ほど紹介した望月晴文氏は今、社外取締役ですが、この三月二十八日、つい先日の指名委員会で、六月の株主総会でも引き続き社外取締役の候補ということで決定されている方ですが、それだけではなくて、この指名委員会では、次期の株主総会の中で望月氏は指名委員長にも推薦をされ、そして報酬委員長にも推挙される。  文字どおり、ぐっと経営の中心に深くかかわっていくという社外取締役の位置づけが高まってきているという状況があって、今、特定の社のために働くんじゃないというふうに言われましたけれども、ここまでやったら国民はそんな説明に納得しませんよ。ますますこの関係が疑われるということになってまいります。  私は、こういう関係についてもしっかりと説明して、納得いかないんだったらそういうことも全部改めるべきだということでやる必要があると思います。得られませんから、国民の納得が。  原発建設というのは大体ハイリスク、ハイコストで、イギリスでも、欧州企業がこの事業を請け負うかというと、もうどんどん手を引くという状況で、アメリカの原発で失敗した東芝も諦めて、結局、今、日立だけが残っているという状況であります。  しかし、日本のメガバンクは、政府保証がなければ怖くて原発に融資ができない、だから日立を一生懸命政府は応援するんですよとこうやってアピールしているんだけれども、政府は表立ってはそのことも明らかにしない。  融資に政府保証をつければ、事故が起こったりあるいはイギリスで政策が変わるということがあり得る、そこで原発をつくったけれども損害が出るということになったら、全て日本国民にツケが回るということになってくる。こういう性格を持つ大問題であります。  加えて、日本の官民が進めてきたトルコへの原発輸出ですが、私もこの協定については外務委員会で質疑もさんざんやってきましたけれども、結局のところ、押し切ってこの協定を強行したということでありますけれども、このトルコへのシノップの原発輸出でも、総事業費は当初の、二兆円超と言われたのが今五兆円というふうに言われていて、二倍以上に膨らんでいる。いわゆる括弧つき安全対策で金がかかるとかいろいろなことを言われていますが、そういう形で、原発建設はハイリスク、ハイコストだから世界じゅうがどんどん手を引くという状況になっている。  そういう中で日立が輸出をする、そういうことに対してきょう質疑してきましたが、大臣は、いや、外交上の理由だ、個社のことだと言いながら、結局のところ、国会にも国民にも明らかにしないままに、秘密なだけでこうやって原発輸出の支援をする。こんなことはきっぱりやめるべきだと思うんですが、大臣、いかがですか。
  138. 世耕弘成

    世耕国務大臣 原発輸出一般論として申し上げますけれども、原発を輸出するということは、日本の原子力技術に対する期待の声が各国から寄せられているわけであります。原発を何か縮小するあるいはやめる国が目立ちますけれども、やはり継続している国あるいは新規に始めたいという国も非常に多いわけであります。そういった国々に対して、安全最優先を前提として、世界における原子力の平和利用、気候変動問題への対応にしっかり責任を果たしていくべきだと思います。  加えて、海外での原発事業というのは、日本の原子力技術、人材基盤の維持強化に貢献するものでありまして、今後の日本の原発の安全な運転、保守、廃炉、そういったものにも資するというふうに考えておりまして、政策意義があると考えております。
  139. 笠井亮

    ○笠井委員 時間になったので終わりますが、世界銀行のキム総裁も、難しい問題だが、原発はリスクが未知数なため世銀は投資の対象にはしないと絶縁状を突きつけております。また、福島の技術は最先端ではなかった、新しい技術で本当に安全な原発ができるのか、核廃棄物の貯蔵や取扱いを安全にできるのか、その証拠を示せなければ国民の納得は難しいと厳しく批判しております。  一言ですが、今こそやはり原発ゼロを決断して自然エネルギーに転換するときだと、前回の委員会で立憲民主党の山崎委員から報告、提起がありましたけれども、立憲民主党、日本共産党、自由党、社民党の野党四党が共同提案している、いわゆる原発ゼロ基本法案を速やかに審議し、成立させるように委員の皆さんに強く呼びかけて、私の質問を終わります。
  140. 稲津久

    稲津委員長 次に、谷畑孝君。
  141. 谷畑孝

    ○谷畑委員 世耕大臣、本当に連日御苦労さまです。  きのう、私は、久しぶりに神楽坂からずっと歩いて、夜、余りの桜の美しさに引かれて、ついついタクシーに乗るのを忘れて、歩いてまいりました。やはり日本人は桜が好きというのか、いいときにはきれいに咲き、時にはさっと散っていく。私も、桜のように人を引きつけて、そして去るときには去る、そうなきゃならぬなと思いながら歩いておったわけであります。  世耕大臣、忙しいけれども、桜を見に行きましたか。どうでしょうか。
  142. 世耕弘成

    世耕国務大臣 なかなか時間がないんですが、ちょっとだけ、先週、週末に見に行きました。
  143. 谷畑孝

    ○谷畑委員 いやいや、安心しました。やはり忙しい中でも、ちょっと余裕を持って見ていただいたらありがたいな、そう思います。  それでは、これは事務方にちょっとお聞きするんです。我々はいつも、中小企業対策、中小企業対策、中小企業を守れ、中小企業の親方は苦労していると。何ゆえ苦労しているかというたら、まず融資、資金繰り、これは一番、中小企業の命だ。次は、そこに働いている人たちが定着すること、ずっと確保すること。そんなことを、私、いつも中小企業の社長からそういう相談事を受けるわけですけれども、もう一度ひとつ、事務方からですけれども、中小企業日本国に対する果たしている役割、そして中小企業の持っている悩み、少しでいいですから、我々に教えてもらうために発言をお願いします。
  144. 安藤久佳

    安藤政府参考人 お答え申し上げます。  中小企業の皆様方が日本経済の中で担っておられる役割ということで申し上げますと、委員も御案内かと思いますが、日本の企業全体、約三百八十一万と言われておりますけれども、このうちの何と九九・七%がいわゆる中小企業の皆様でございます。そしてまた、雇用の七割が、中小企業、小規模事業者の皆様方が担っておられるということでございまして、中小企業の皆様方のお悩みはまさに日本経済全体の悩みではないか、かように考えておる次第でございます。  中小企業、小規模事業者の皆様方が今直面をしておられる課題、たくさんございますけれども、一つは、中小企業の経営者の皆様方も、大変、今高齢化が進んでおられるということでございます。残すべきお仕事、残すべき雇用をしっかりと引き継いでいただくために、事業承継をいかに円滑に進めていくのか、こういったことが大変大きな課題だと認識をしております。  また、御案内のとおり、働き方改革を進めていく中で、今、中小企業、小規模事業者の皆様方は大変人手不足に悩んでおられるということでございまして、人手不足を解消していくための、ITの導入等々を含めた生産性の向上ということが大変大きな課題ではないか、かように思っております。
  145. 谷畑孝

    ○谷畑委員 今、的確に問題点を語ってもらったわけであります。でありますけれども、どうしても、大企業と中小企業というのはやはり格差がある。これは避けられないところがあります。  それは、一つは、そこに働いている人たちの福利厚生。これから高齢になっていきますから、一番心配になるのは年金ですよ、やはり。中小零細企業では年金がないところもありますよ。本当に、気がついてみたら年金がついていないということで、我々も相談を受けたりすることもあります。  そういうことが非常に大事な問題になっていくと思いますので、もうちょっと、今、大分答えてもらったんですけれども、そういう格差をなくしていく、そのためにはどういう努力をされて、どういう政策を打たれているのか、もう一度、確認のためにお聞きします。
  146. 安藤久佳

    安藤政府参考人 お答えを申し上げます。  今御指摘のございましたように、中小企業の皆様方と大企業と比較をいたしますと、社会保険の加入率の問題、あるいは福利厚生の問題、このようなことで差がある、このように認識をさせていただいております。  その差の根源は一体何であるのかということを考えますと、やや抽象的になりますけれども、中小企業の皆様方が、大企業と比べて、やはり収益力について全般的に劣っておられるのではないか、そこに格差が発生をしておるのではないかというふうに思っております。  それが、先ほど申し上げました、まさに労働生産性等々を含めます稼ぐ力の相対的な力が、大企業と比べて、中小企業、小規模事業者の皆様方が、やや、向上はしておるんですけれども、まだまだ力強さに欠けておる、このようなことだと思っておりまして、したがいまして、今御指摘のような社会保険あるいは福利厚生等々の格差を是正をしていくためには、やはり、稼ぐ力、生産性を向上させていくという、そこの根本要因が大変大切であろう、かように思っております。
  147. 谷畑孝

    ○谷畑委員 九九・七%が日本中小企業の占めている位置というのは大きいですよね、これは言えば。案外、経済産業省の仕事というのは、比率からいうても、中小企業にもう全力を挙げてもええというぐらいに大事な位置だと思うんですよね。だから、ぜひ、もちろん大臣含めて、中小企業政策というのは非常に大事だということで政策を行っているということは、もう十分、百も承知ですけれども、さらなる力をひとつ入れていただきたい、こう実は思っています。  次に、今までは、私らが中小企業と出会ったころは、まだ海外という意識をするのはなかった。ほとんど国内のところで、いわゆる自分のところの、下請をやっていますから、本元の顔色を見ると言ったら悪いですけれども、そこのおつき合いをしっかりして、そして切られないようにずっと受託をして、そういう中で利益を得る、これが中小企業が神経を使ってやってきたことですよね。  その中でいえば、もう一度言いますけれども、やはり、従業員を確保すること、そして回転資金という資金をしっかりする、これが中小企業の命だ、こう思うんですね。  ところが、最近、中小企業の皆さんとお話ししておりましても、いや、この間、中国から帰ってきたところでねと。ほとんど、国内だけじゃなくて、もう今や海外が主力ということになっています。  中小企業というのは、そんな、大企業じゃありませんので、なかなか、海外のトラブルだとかいろんなこと、それから国際、そういう弁護士だとか、いろんな今まで予期しないようなところを経験してくるわけですね。そういうことについて、中小企業の海外に対する展開に対する支援、そしてそこに起こったトラブル、どういう支援、そういうものをされておるのか、それをお聞きします。
  148. 安藤久佳

    安藤政府参考人 お答え申し上げます。  やはり、人口減少等々によって国内市場を取り巻く環境が大変大きく変化をしておる、このように認識をしております。海外需要をしっかりと中小企業の皆様方がとっていくということが大変重要だと思っております。  私どもといたしましては、海外展開といっても、御案内のとおり、いろんな段階がございます。まず最初に、必要な情報の収集段階、そして計画をつくって準備をする段階、そして現実に進出をする段階、そして進出をした後、事業の安定、拡大を図っていく、このような各段階ごとに、それぞれの専門機関あるいはさまざまな支援機関、こういった皆様方が総力で対応させていただきたいということで、新輸出大国コンソーシアムというものをつくらせていただいております。ジェトロ、独立行政法人中小企業基盤整備機構、商工会、商工会議所、そして金融機関等々が参加をいたしまして、きめの細かい、かつ切れ目のない形での御支援をさせていただいているところでございます。
  149. 谷畑孝

    ○谷畑委員 それでは次に、いずれにしましても、そういう中小企業が海外に展開をしても、日本国としてもそれをしっかりと支えて、そしてさらに、その販路が広がっていくよう、これもまた大臣に旗を振っていただいて、各国の国との友好というのも非常に大事ですし、そういうことがこれから更に必要だと私は思っております。  次に、やはり、日本の商品、それぞれの先輩たちが苦労をして、改良を加えたり、そして発明というものをしたり、そういうようにして立派な商品をつくり上げてきたと思うんですね。ところが、どうしても、世界に回っていきますと、いつの間にか知らぬ間にコピーを、全く同じようなものが出回るという。名前も、何かソニーに似たような名前があったり、間違い、えっというような名前をつけられたり、そういうことがあると思うんですけれども、そういう意味では、知的財産の保護というやつ、これはやはり非常に大事な問題だと思うので、その点についてどう考えておられるか、お聞きします。
  150. 宗像直子

    宗像政府参考人 お答えいたします。  特許庁では、海外展開を目指す中小企業の皆様のために、外国の知財制度などの情報収集から侵害対策に至るまで、各段階の支援策を講じております。  まず、海外の状況はどうなっているかという情報収集でございますけれども、全国四十七都道府県に知財総合支援窓口というものを設けておりまして、ここで弁理士や弁護士などの専門家が海外進出の際の知財リスクや外国出願の手続などについて情報提供や助言を行っております。  外国の出願にはお金がかかります。そこで、出願の際には、翻訳であるとか代理人費用などの半分を補助しております。  外国で権利化できた後では、販路開拓の支援なども行っているんですけれども、先生御指摘のような知財紛争に巻き込まれた場合には、まず、権利を確保しておりますので、例えば、模倣品が出回ってしまった場合にはその製造販売事業者に警告状を送るための調査費用とか、あるいは悪意の第三者が自社のブランドを先取りしてしまった場合にはその先取り出願された商標権を取り消すための審判請求の費用であるとか、あるいは海外企業から訴えられたような場合にはその弁護士費用を賄う保険に加入する費用などの一部について補助しております。  パンフレットなどもつくりまして、それを各支援機関や地域の金融機関などにも置かせていただいて、中小企業の皆様に広く情報提供させていただいております。
  151. 谷畑孝

    ○谷畑委員 いずれにしても、しっかりと、そういう知的財産保護を含めて強力にそれを守っていくことが日本のものづくりに対する大きな支援でもあるし、大事なことだ、そう思っております。  さて、我々もよく中小企業者からの悩みを聞くんですけれども、やはり中小企業の親方というのは、地元でたたき上げてきて、資金繰りとかそういうような苦労が多いわけですね。調子のええときはいいんだけれども、先ほど言いましたように、人手不足も来たり、それで最近は、外国人労働者も、よく中小企業に行きますと、採用したりしています。非常に今、そういうところは割と苦労されておるわけであります。  そういう中で、中小企業者は、こんな自分みたいな苦労はもうさせたくないということで、自分の子供にすごく力を入れて、一流大学、どれが一流かどうかそれはよくわかりませんけれども、まあ一流、世間でそういう、一生懸命子供に教育をかけて、そして大学へ行かせて、そしていい企業に入って、ちゃんと年金もあり、ちゃんと定年になればまたどこか天下りもできそうな、中小企業の親方というのはほんまにそういう子供に自分の苦労をさせたくない、こういうことで一生懸命にやられているわけであります。  しかし、私は、そういうことも非常に大事だろうけれども、やはり中小企業が九九・七%、日本に占めて、これが日本の、前に言うた、国家を支えて、日本のいわばこの社会の根底を支えている。これはやはりずっと守り続けて、中小企業で働きたい、こういう環境をつくっていかないといけない、私はこう思うんですね。だから、もう一度、事業承継を見据えて、そういう子供たちが継ぐことが可能な、それにはいろんな政策が要ると思う。税制であったり、さまざまな優遇政策が、そこへ誘導していかなきゃならぬと思います。  もう一度、だめ押しで悪いですけれども、事業承継をしていくためのいろんな政策、税制含めて、もう一度お聞きをして、この件についてもう終わりにしたいと思います。
  152. 安藤久佳

    安藤政府参考人 御指摘のように、事業承継税制を含みます事業承継のあり方が、今、中小企業、小規模事業者の経営者の皆様方にとって大変重要な課題になってきております。御案内のとおり、ここ二十年ほどで中小企業、小規模事業者の経営者の年齢がかなり高齢化をしておるということでございまして、これまでと比較をして、今後の五年、十年が、中小企業の経営者の皆様方の世代交代を円滑にできるかどうか、これはまた日本経済全体にかかわる大きな問題として大変重要な課題である、このように認識をさせていただいております。  御指摘のように、事業承継税制だけではこの問題は解決がつかないのではないかと思わせていただいております。まさに御案内のとおり、事業承継をしていく魅力のある会社にできるだけしていかなければいけない。事業承継を契機として、いわゆる会社経営あるいは業務全般の見直しを行っていただいて、承継しやすいようないわば磨き上げをこの段階で行っていただくということが大変重要ではないかと思っております。  また、後継者の方がおられない方が大変今ふえておりまして、いわゆる第三者承継という形での情報のマッチングが大変大事であろう、このように思っております。  また、相続、贈与をしていただく際には、今回大きな御支援をいただいております事業承継税制という形で、承継時におきます負担を最大限軽減をさせていただく、このようなことが大事だと思っております。  さらに、事業承継をした後の会社がしっかりと羽ばたいていけるように、事業承継を契機として、経営革新、生産性向上の取組を促していく、こういったことも大事であると思っています。したがいまして、いろいろな問題が事業承継に絡んで発生をいたしますので、それについて一つ一つ丁寧に切れ目のない形で御支援をさせていただく、こういったことが大切だと思っております。
  153. 谷畑孝

    ○谷畑委員 一般サラリーマンでは、最近、定年六十歳、あるいはこれから延長されて六十五というふうになりますけれども、中小企業の場合はこれが定年やというようなものがないわけで、自分の、たたき上げてやってきたけれども、企業も、だんだん取引先も高齢化して、また市場も狭くなってと、まあ、ぼちぼちやめていかないかぬなというようなことはそれぞれ経営者は思うんだろうけれども、しかし、これは基本的には定年がない。だから、ついつい筒いっぱいまで、自分の体いわしていくまでいってしまう可能性がある。  しかし、非常に大事なときは、やはり経産省としても、そういう中小企業との経営者とのつながりが、非常にパイプが太いわけですから、やはり自分が現役でまだ元気なときに、いかにして企業を、承継をどうしていくかということを考える機会というのか、そういうのは商工会議所という形を通ずるのか、そういうことをちゃんと教育をしていくというのか、そうしてスムーズに引き渡していく、そういう施策が必要やと思うんですけれども、そういう施策をどう考えておられるのか、またされておるのか、お聞きいたします。
  154. 安藤久佳

    安藤政府参考人 今御指摘のございましたように、できるだけ早目早目に事業承継の必要性について経営者の方が腹を決めていただいて、準備をしていただく。先ほど申し上げましたように、御親族以外に承継をお願いをしなければいけないケースがこれからどんどんふえてくると思いますので、そうしますと、まさにマッチング等々においても相当時間がかかるということが現実に起きておるわけでございます。  したがいまして、事業承継に向けたまず経営者の気づきの機会ということで申し上げておりますけれども、承継の準備を早目に促させていただくということが大変大事だと思っております。  地域の支援機関、金融機関でございますね、あるいは税理士の皆様、経営者の皆様方に寄り添った形で経営状況がよくわかっておられる方、そういった方々が御参加をいただきまして、事業承継の、いい意味で早目早目の背中を押させていただくということが大変大事であろうというふうに思っております。  それを、私ども、事業承継診断という形で簡単なQアンドAのようなものを設けさせていただきまして、御要請をされるというよりも、少し出かけていかせていただきまして、プッシュ型の情報提供を行って、経営者の早期の承継のきっかけにしていただく、こういうことが大変大事だと思っております。これから全国都道府県にわたりましてこういった活動を組織的に展開をしてまいりたい、このように思っております。
  155. 谷畑孝

    ○谷畑委員 同じようなことを、最後の質問になりますので、世耕大臣、同じ近畿で頑張っておられることをうれしく思います。  やはり、一億総活躍社会ということが大事ですし、誰もが生きがいを持って、体の元気な間は、サラリーマンであろうと経営者であろうと、この世に生まれた限りは精いっぱい働きたい、また、働くことによって社会貢献できる、こう思いますので、最後に大臣に、一億総活躍社会という形の中で、中小企業におけるそういう零細社長さんもそれにのっとって働けるように、大臣の旗振りをひとつお願いしたいと思いますので、決意をお願い申し上げます。
  156. 世耕弘成

    世耕国務大臣 この事業承継の今、支援というのは、何も経営者に早くやめてくれと言っているわけではなくて、頑張れる方は幾らでも頑張ってもらったり、ただ、御高齢になってくるとフットワークがなかなか重たくなるとか、やはり体がしんどくなるということであれば、早目に後継者は決めておいていただきたい。  本当に、人生百年時代、一億総活躍でありますから、例えば、今回の事業承継税制でも、例えば息子さんに代表権は譲ったんだけれども、役員として十年ぐらい残って、大所高所から息子のバックアップをする、後継者のバックアップをするということは可能なふうにしてありますので、この事業承継税制も一つ選択肢として考えていただきながら、いろんな形でみんなが活躍をするという形に持っていければというふうに思っております。
  157. 谷畑孝

    ○谷畑委員 ちょっと時間は早いんですけれども、予定していた質問はこれで全部終わってしまったので、済みません本当に、これで終わりたいと思います。  御清聴をありがとうございました。
  158. 稲津久

    稲津委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十九分散会