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2018-05-30 第196回国会 衆議院 外務委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十年五月三十日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 中山 泰秀君    理事 小田原 潔君 理事 木原 誠二君    理事 熊田 裕通君 理事 新藤 義孝君    理事 鈴木 貴子君 理事 山口  壯君    理事 末松 義規君 理事 小熊 慎司君    理事 遠山 清彦君       安藤 高夫君    上杉謙太郎君       小渕 優子君    木村 弥生君       黄川田仁志君    小林 茂樹君       高村 正大君    佐々木 紀君       杉田 水脈君    鈴木 隼人君       辻  清人君    渡海紀三朗君       堀井  学君    本田 太郎君       三浦  靖君    山田 賢司君       阿久津幸彦君    篠原  豪君       山川百合子君    関 健一郎君       鰐淵 洋子君    岡田 克也君       穀田 恵二君    丸山 穂高君       井上 一徳君     …………………………………    外務大臣         河野 太郎君    復興副大臣        土井  亨君    外務大臣        中根 一幸君    厚生労働大臣      高木美智代君    防衛大臣       山本ともひろ君    外務大臣政務官      堀井  学君    政府参考人    (外務省大臣官房審議官) 大鷹 正人君    政府参考人    (外務省大臣官房審議官) 相木 俊宏君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 鯰  博行君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 船越 健裕君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 紀谷 昌彦君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 塚田 玉樹君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           椎葉 茂樹君    政府参考人    (水産庁次長)      山口 英彰君    政府参考人    (経済産業省商務情報政策局商務サービス政策統括調整官)         江崎 禎英君    政府参考人    (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           小波  功君    政府参考人    (防衛省防衛政策局次長) 岡  真臣君    外務委員会専門員     小林 扶次君     ————————————— 委員の異動 五月三十日  辞任         補欠選任   杉田 水脈君     小林 茂樹君   辻  清人君     安藤 高夫君   中曽根康隆君     三浦  靖君   山田 賢司君     木村 弥生君   岡本 三成君     鰐淵 洋子君 同日  辞任         補欠選任   安藤 高夫君     辻  清人君   木村 弥生君     山田 賢司君   小林 茂樹君     杉田 水脈君   三浦  靖君     上杉謙太郎君   鰐淵 洋子君     岡本 三成君 同日  辞任         補欠選任   上杉謙太郎君     本田 太郎君 同日  辞任         補欠選任   本田 太郎君     中曽根康隆君 同日  理事鈴木貴子君同日理事辞任につき、その補欠として熊田裕通君が理事に当選した。     ————————————— 五月二十八日  TPP11(CPTPP)協定を批准しないことに関する請願(田村貴昭紹介)(第一二九二号)  同(玉城デニー紹介)(第一三四三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  政府参考人出頭要求に関する件  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 中山泰秀

    中山委員長 これより会議を開きます。  理事辞任についてお諮りいたします。  理事鈴木貴子君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中山泰秀

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  引き続き、理事補欠選任についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中山泰秀

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、理事熊田裕通君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 中山泰秀

  6. 中山泰秀

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  7. 中山泰秀

    中山委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。佐々木紀君。
  8. 佐々木紀

    佐々木(紀)委員 皆様、おはようございます。自由民主党石川二区の佐々木紀です。  きょうは、河野大臣出席のもとで質問の時間をいただきましたことを感謝申し上げたいというふうに思います。  河野大臣におかれては、昨日で在任日数三百日ということで、おめでとうございます。というか、お疲れさまでございます。海外出張回数も二十三回、訪問先三十七カ国一地域外務大臣会談が百五十九回、電話会談五十八回、大変精力的に御活動いただいているなと思うわけであります。得意の語学を生かして、ぜひ、物言う外務大臣として、国益を第一に考え外交をこれからも展開していっていただきたいな、そのように思うわけでございます。  日本を取り巻く外交環境、大変目まぐるしく変化をしてきている、動いてきているわけでございます。特に、北朝鮮をめぐっては、本当、毎日新しいニュースが出てくるような状況でございまして、特に米朝首脳会談の行方というか、皆さん注目をされているわけでもございます。  五月二十四日、トランプ大統領米朝会談の中止を発表して以来、開催に向けて、関係国が大変その動きも活発化しているわけでもございます。日本もすぐ日米電話会談をして、米朝会談前に日米首脳会談をすることも決めました。報道によると、報道というか、これはホワイトハウスが発表していますけれども、六月七日にアメリカ開催するということでもございますし、また、報道ベースでは、河野大臣シンガポール訪問される予定ということであって、米朝会談開催に向けて後押しをしているわけでもございます。  そこで、大臣にお伺いしたいのですけれども、米朝会談開催に向けた取組、特にこの大臣シンガポールへの訪問、この辺の事実関係と、あと、米朝会談、本当に六月十二日に開催されるのか、この辺の見通しについてお伺いしたいと思います。
  9. 河野太郎

    河野国務大臣 おはようございます。  佐々木委員から、外務大臣として物を言えということでございましたので、少し、答弁の前に言わせていただきたいと思います。  今、外務省職員月間二百時間を超える残業をしている者が少なからずおります。百五十時間あるいは百時間以上の残業をしている人間、これは月間でございますが、ざらにいる、そういう状況でございます。  特に、今朝鮮半島を担当している外務省職員、ほぼ全て百五十時間以上残業を強いられているというのが現状でございまして、外務大臣として、外務省を預かる責任者として、職員の健康問題、これは大きな課題になりつつございます。また、外務省職員の中には、子育てあるいは親の介護といったものをやらなければならない、そういう状況にある者も少なからずおりますが、今の霞が関勤務状況ではそれも正直ままならないのが現実でございます。  きょうのこの委員会質問通告最後に昨晩出てきたのは八時近くでございました。もう自動的に残業にならざるを得ない時間帯でございますし、最後質問が出るまで、どういう御質問をいただくかわかりませんから、少なからず外務省職員は待機を迫られるというのが現実でございます。また、いただいた質問の中には、残念ながら趣旨が正確にわからないもの、しかし問合せ不可と言われているものもあって、質問を担当する課は想定問答を多数つくらなければならないという状況もございます。  これは国会の運営のことでございますから、ぜひ国会の中で御議論をいただいて、霞が関職員が、世間的には働き方改革と言われている中で、百時間、二百時間の残業をしなければならないという状況改善をしていかなければならないと思います。  もちろん外務省の業務の効率化というのも今一生懸命取り組んでいるところでございますが、この状況が続けば、恐らく霞が関にこの給料で来たいと思う優秀な人間は先細りになるのが目に見えていると言わざるを得ないのだろうと思います。ぜひ国会皆様方の御検討、御配慮をお願いしたいと思うところでございます。(拍手)  ありがとうございます。  今の御質問でございますが、まず、先般の五月二十八日の日米首脳電話会談におきまして、米朝首脳会談の前に日米首脳会談をやるということで一致をいたしました。諸般の事情が許せば六月七日にワシントンDC首脳会談を行いたい、そういう方向で調整をさせていただいているところでございます。  他方、私のシンガポール訪問報道を、私も、昨日ですか、新聞を見ましてちょっとびっくりいたしましたが、私のシンガポール訪問その他につきましては調整中でございまして、何ら決まっているものはございません。  以上、申し上げたいと思います。
  10. 佐々木紀

    佐々木(紀)委員 大臣、ありがとうございます。本当に外務省職員皆さんのその献身的なお取組、大変な御苦労があってのことだということを本当に改めてしました。我々議員もしっかりその辺考えながら質問通告等していかなければいけないというふうに思いました。  今ほどあったとおり、米朝会談開催に向けて日本も取り組んでいるということであります。何とか六月十二日に開催をして、この懸案事項をしっかり前に進めていくということが必要かと思います。  日本においては、やはりこの米朝会談で拉致問題を解決に向けて前に進めていくということが必要であります。二十八日の日米電話会談においても改めて協力を要請されたということでもございますし、二十八日には拉致被害者家族総理面会をされて、最終的に解決するには日朝首脳会談をやらなければいけないと思っているということも述べられたということでもございます。けさのニュースでは日朝外相会談も八月に行うというような記事もございました。  この辺の事実関係も含めて、政府拉致問題解決に向けた取組とその決意について政府参考人にお伺いしたいと思います。
  11. 河野太郎

    河野国務大臣 参考人から御答弁申し上げる前に。  日朝外相会談ニュースが流れておりましたが、全くの誤報でございます。
  12. 鯰博行

    鯰政府参考人 拉致問題に関しての御質問でございますけれども、拉致問題については、我が国が主体的に取り組むべき課題でありますけれども、各国との連携も重要だというふうに考えてございます。  二十八日に行われました日米首脳電話会談において、同日に行われました安倍総理拉致被害者家族との面会におけるやりとりを踏まえ、安倍総理から御家族の切実な思いをトランプ大統領に伝達いたしております。  また、二十六日の日ロ首脳会談では、拉致問題の早期解決に向け、総理からプーチン大統領支持協力を呼びかけて、理解を得ました。  さらに、五月九日になりますけれども、日中韓三カ国のサミットにおきましても、拉致問題の早期解決に向けて、総理から文在寅大統領李克強国務院総理に対して支持協力を呼びかけ、両首脳理解を得て、その結果、成果文書に拉致問題が初めて言及されたということでございます。  こうした国際社会との連携を通じまして、北朝鮮に拉致問題の早期解決に向けた決断を迫っていくとともに、拉致被害者の方々を一日も早く北朝鮮から取り戻すため、全力で取り組んでいく所存でございます。
  13. 佐々木紀

    佐々木(紀)委員 ありがとうございます。  アメリカに対しては米朝首脳会談で拉致問題を取り上げると言質をとったわけでありますし、韓国についても南北の首脳会談で実際に拉致問題が提起をされたということでもございますし、中国においても日中韓サミットで明言をされたということ、またロシアについても協力を要請し理解を得たということでございまして、これらの国々拉致問題解決協力してくれるといった姿勢を示してくれたのは、やはり、安倍総理が長く総理を務めていて信頼関係ができ上がっているということ、安倍総理のリーダーシップによるところが大変大きいと私は評価をしたいと思います。  特に、日米首脳会談で、安倍総理自身が、この問題が解決しない限り政治生命を終えることはできないと拉致問題にかける熱意を伝えて、トランプ大統領に、シンゾウの情熱が乗り移った、拉致問題についてもベストを尽くすと言わせたことは、やはり、総理の拉致問題にかける決意が読み取れるだけではなくて、安倍総理トランプ大統領の個人的な信頼関係が強いということもうかがえるエピソードの一つだと思っております。  日本外交安全保障考えたとき、やはり、軍事力もない、インテリジェンスもない日本にとって米国との信頼関係が重要だということは言うまでもないわけでありますけれども、総理大統領との個人的な信頼関係、何かあれば電話できる関係、親密度、そういったことがやはり国益そのものなのではないかな、そのように思うわけでもございます。しっかりと前に進めていただければと思います。  次に、日中関係について御質問したいと思います。  ことしは日中平和友好条約締結四十周年、一月二十八日には日中外相会談外相相互往来は九年ぶりということでございました。四月十六日には、日中ハイレベル経済対話、二〇一〇年以来八年ぶり開催でもございました。五月四日、日中首脳電話会談、これは史上初めてのことでもございます。五月九日、日中韓サミット日中首脳会談を行ってきております。  日中関係の全面的な関係改善への動きが加速化しているということで、大変私は評価をしたいなというふうに思います。  一帯一路について少しお伺いしたいと思います。  日中ハイレベル経済対話では、この一帯一路について、ケース・バイ・ケース協力するとか、組めるところは組むと、前向きに協力していくような報道がございました。李克強首相との日中首脳会談においても、日中が第三国での経済協力を話し合う官民合同委員会の設置で一致したとあります。ただ、ある新聞には、覇権主義的な中国に手をかすことにならないかとの論評もありました。  一帯一路協力することは、これまでの政府方針を変えたように聞こえるのでありますけれども、一帯一路における協力に対する政府考え方をお伺いしたいと思います。
  14. 鯰博行

    鯰政府参考人 今月上旬に行われました日中首脳会談におきまして、第三国での日中のビジネス協力両国企業及び対象国の発展にとっても有益であるとの認識を踏まえまして、省庁横断官民合同で議論するための委員会を設立すること、また、民間企業間の交流の場としてフォーラム開催することで一致をいたしました。  一帯一路につきましては、インフラ開放性透明性経済性対象国財政健全性等国際社会共通考え方を十分取り入れることで地域世界の平和と繁栄に前向きに貢献していくことを期待いたしており、このような我が国考え方には何ら変更はございません。  我が国としては、このような観点から協力をしてまいりたいというふうに考えております。
  15. 佐々木紀

    佐々木(紀)委員 ありがとうございます。  日本は、国際スタンダードを守っていくという立場でございます。インフラ整備における開放性透明性経済性対象国財政健全性、こういったものを遵守していく限りにおいて協力をしていくということでございます。これまでの主張やスタンスには変わりはないということであろうかと思います。これまで日本の質の高いインフラ整備に賛同していただいている国々アメリカインドやオーストラリア、ベトナム、フィリピン、台湾などに誤ったメッセージとならないように配慮をしていただければなというふうに思っております。  続いて、自由で開かれたインド太平洋戦略についてお伺いしたいと思います。  来年は、第七回のアフリカ開発会議TICAD横浜開催をされます。総理が、二〇一六年八月、ケニアで開かれた第六回会合において、自由で開かれたインド太平洋戦略、これを初めて世界に向けて打ち出したわけでございます。  その際に、アフリカ支援に、今後三年間で、民間資金も合わせて三百億ドル規模を投じる方針を表明されました。日本が重視する質の高いインフラ整備人材育成に注力するということでございますけれども、この三百億ドル規模投資は進んでいるのかどうなのか、今後のインフラ整備など具体的な行動計画があるのか、教えていただきたいと思います。
  16. 紀谷昌彦

    紀谷政府参考人 お答え申し上げます。  二〇一六年八月の第六回アフリカ開発会議TICAD6において日本が発表したコミットメントにつきましては、官民総額三百億ドル規模アフリカの未来への投資も含め、同会合で採択されたナイロビ宣言の三つの柱、経済多角化産業化、強靱な保健システム促進社会安定化にのっとり、着実に取組を進めております。  具体的には、ODA等による質の高いインフラ整備人材育成を進めているほか、日・アフリカ官民経済フォーラム開催アフリカ貿易投資促進官民合同ミッション派遣等を通じ、民間投資を促進しているところです。  本年、東京で開催されるTICAD閣僚会合及び明年、横浜開催されるTICAD7に向けて、民間企業アフリカ各国国際機関等とも緊密に連携し、引き続き取組を進めてまいります。
  17. 佐々木紀

    佐々木(紀)委員 ありがとうございます。  来年には、この三百億ドルの達成度というのが問われるわけであります。ちょっと届きませんでしたということでは大変格好が悪いわけでございますから、しっかり進めていただきたいというふうに思います。  ただ、アフリカ日本からちょっと遠いということもあって、なかなか民間企業も、また地政学的にも日本投資が行き届きにくい地域だと思います。  そこで、ちょっと私から御提案なんですけれども、インドアクト・イースト政策、これに少し協力してはどうかという御提案をさせていただきたいというふうに思います。  二〇一七年五月二十四日、インドモディ首相アジアアフリカ成長回廊という構想を発表されました。アフリカを含むインド洋周辺から、東南アジア、そして日本につながる一大経済圏整備を目指しているわけであります。インドと組むということは、これは日本にとってもウイン・ウインの関係が築けるのではないかというふうに思います。  つまり、豊富な労働力を持つインドインドからは労働力をしっかり提供していただいて、日本からは技術を提供する。資金はお互いに出し合う。つまり、ジョイントを組んで、アジアアフリカ開発を行っていくというものであります。この日印協力のグッドプラクティスができれば、同じように東南アジア国々とも一緒になってインフラ開発ができるのではないかと思います。  例えば、豊富な労働力を持つ東南アジア国々、そして、技術資金日本から提供していく、それでアジアアフリカインフラ整備をしていけば、コスト的にも技術的にも資金的にも質の高いインフラ整備が可能となるのではないでしょうか。日本独自でアジアアフリカインフラ開発考えると、他国との過度な競争が発生をしたり、地政学的にもハードルは高いわけでありますけれども、インド東南アジア国々一緒に進めていけば、このインド太平洋戦略も進めることにもなりますし、アジアアフリカにとっても有益なのではないかというふうに思います。  そこで、自由で開かれたインド太平洋戦略具体例一つとして、名称はともかくとして、このアジアアフリカ成長回廊アクト・イースト政策を、まずはインドとともに進めていくということについて、いかがお考えでしょうか。
  18. 紀谷昌彦

    紀谷政府参考人 委員御指摘の自由で開かれたインド太平洋戦略につきましては、二〇一六年八月のTICAD6で安倍総理から発表されまして、それを推進する中で、インドとの間では、両国首脳間で、日本の自由で開かれたインド太平洋戦略インドアクト・イースト政策を一層連携させ、地域連結性強化等のため、日印協力していくこと、また、アフリカにおける連携協力を更に進展させていくことが確認されております。  我が国としては、自由で開かれたインド太平洋戦略のもと、アフリカ及び地域における安定と繁栄を促進するため、インドを含むさまざまなパートナーと引き続き連携し、支援を行っていく考えでございます。
  19. 佐々木紀

    佐々木(紀)委員 ありがとうございます。  ぜひ、経産省に任せないで、外務省も、外交戦略としてしっかり取り組んでいっていただきたいというふうに思います。  続きまして、今度、質の高いインフラ整備ということについてお伺いをしたいというふうに思います。  事例集というのがあって、日本各国でこういった高いインフラ整備してきましたという成功例がたくさん載っているわけでありますけれども、そこには、鉄道、道路・橋、空港・港湾、エネルギー、交通システム防災関連が列挙されていて、日本の強みを発揮できる分野というふうになっているわけであります。ここに宇宙インフラというのを加えていただきたいというふうに思っています。  これから、世界は第四次産業革命になって、宇宙利用は欠かせなくなるわけであります。できることならば、各国とも独自の衛星を打ち上げて利用したいものですけれども、しかし、宇宙開発には高度な技術が必要であって、新興国はなかなか難しいわけであります。  実際、人工衛星を打ち上げることができる国というのは、アメリカロシア、フランス、イギリス、イスラエル、インド、イラン、日本中国韓国と、十カ国しかないわけであります。アジアで確実に打ち上げができる国というのは、日本中国インドなわけでありまして、そこで、宇宙技術を持たない多くの国々にとっては、どこの国と組むかということが実はすごく大事なわけであります。  端的に言うと、アジアにおいては、日本と組むか中国と組むかということになってこようかと思いますけれども、日本と組みたいという国が多いというふうに私は伺っております。  宇宙開発は、高度な技術に加えて、多額の費用がかかる上に、国の安全保障に直結するものであります。一度組むと、運命をともにしないといけないというわけであります。  エコノミック・ステートクラフトという考え方、御存じでしょうか。これは、経済力を用いて相手国政策自国の利益にかなうように誘導していく政策のことでございまして、つまり、相手国自国の意に反した政策をとれば、経済制裁をちらつかせたり、あるいは衛星利用を中止するとか脅して言うことを聞かせる、こういったことであります。衛星共同利用は、軍事面での結びつきも強くなりますから、軍事協力にもつながるわけでもございます。  宇宙利用協力は、五年ないし十五年、経済安全保障も握られる、いわば首根っこをつかまれるという状況になってしまうわけであります。日本以外の国々では、この考えを念頭に置いて、外交インフラ整備も進めているのが現状であります。  一方、宇宙というのは、新しい産業としても魅力だと思います。アジア世界最大の宇宙市場であります。日本は、アジア国々とウイン・ウインの関係を、この宇宙インフラの分野で築くことができます。日本の持つ宇宙技術各国のニーズに十分応えることができますし、日本の成長にもつながります。宇宙開発には多くの資金と時間を要し、それゆえに、冒険がしにくく高い確実性が必要。これはまさに日本が得意とする分野であります。  また、宇宙開発は、これから、コストの削減や小型化、重要な課題でもあります。これまた日本の得意わざであります。宇宙開発は、日本企業にとって参入しやすい、成長できる産業だということになります。過度な受注競争を強いられている他の重要インフラ、道路や港湾だのですけれども、に比べたら、日本にとっても、アジアアフリカ国々にとっても大変有益であろうかと思います。  宇宙産業や宇宙利用について、他のインフラ同様に、政府が先頭になって、アジアアフリカ国々に売り込んでいくという考えについて、政府の見解をお伺いします。
  20. 塚田玉樹

    塚田政府参考人 いわゆる質の高いインフラにつきましては、政府としましても、日本インフラシステムの海外展開のために官民一体となった取組を行い、その際はODAを戦略的に活用するというふうにしております。  具体的には、一昨年発表しました質の高いインフラ輸出拡大イニシアティブ等の施策のもと、道路や港湾、防災等のみならず、御指摘のありました宇宙関連の分野を含めまして質の高いインフラの海外展開を促進しているところでございまして、現在も幾つか案件が進行中というふうに承知しております。  今後とも、ODAを戦略的に活用しつつ、我が国の質の高いインフラの海外展開にしっかり取り組んでいく考えでございます。
  21. 佐々木紀

    佐々木(紀)委員 ありがとうございます。  ぜひ、宇宙システムの海外展開、また宇宙システム海外展開タスクフォースというのもあるやに聞いておりますので、こういったものを十分活用して、アジアアフリカ国々日本の高い宇宙技術宇宙利用、こういったものを売り込んでいっていただきたいと思います。こういう事例集に今後載ってくるように、ぜひお取組をいただきたいというふうに思います。  最後、少し時間がございますので、大和堆についてお伺いしたいと思います。  私、石川県でございますので、能登半島沖の大和堆、いよいよ六月に入りますと漁業のシーズンになってきます。昨年は、大変な漁業被害というか、北朝鮮籍と思われる違法操業に大変悩まされたわけでございます。  北陸の味覚というと、代表的なのはAKBといいまして、アマエビ、カニ、ブリというんですがね、AKB、このアマエビは、実はこの時期はこの海域でとるわけであります。  大和堆での安全な操業というのは、漁師の皆さんのみならず、石川県の観光、あるいは家庭の食卓にも影響してくる重大なことでございますので、ぜひ昨年の教訓を生かして早目早目の取組をしていただきたいというふうに思うわけでございますけれども、水産庁の取組をお聞かせいただきたいと思います。
  22. 山口英彰

    山口政府参考人 お答えいたします。  日本海の大和堆周辺はイカ、カニ等の重要な漁場となっておりますけれども、我が国排他的経済水域における北朝鮮漁船等による操業は、違法であるのみならず、我が国漁業者の安全操業の妨げにもなっておりまして、極めて問題だと考えているところでございます。  先生からも御紹介ございましたように、大和堆での我が国のイカ釣り操業、これは例年六月から開始ということになっておりまして、水産庁は、昨年の状況も踏まえまして、我が国漁業者の安全操業の確保のため、既に昨年同時期を上回る隻数の漁業取締り船を配備しており、海上保安庁とも連携して、放水等の厳しい措置により排除を行っているところでございます。  今後とも、北朝鮮等外国漁船の出現状況や漁業者の要望等も踏まえまして、漁業取締り船の効果的な配置を行い、海上保安庁を始め関係省庁とも連携をしつつ、違法操業を行う外国漁船に対して厳正に対処し、イカ釣り漁業者を含む我が国漁業者が安全に操業できるよう努めてまいりたいと考えております。
  23. 佐々木紀

    佐々木(紀)委員 ありがとうございます。  実際に早目早目の取組をしていただいているようでございます。海上保安庁とも連携をして、しっかりやっていただきたいと思います。  ただ、政府が対策をしていただいているのはありがたいわけでありますけれども、やっているよということをやはり漁協の皆さんにも伝えないと安心して操業に出られないわけでありますから、地元の漁協、漁師さんとのコミュニケーション、これもぜひやっていただきたいと思います。  昨年も、やっているんだけれども漁師の認識はやってもらっていないみたいな、ちょっとこういう認識の食い違いなんかも出てきたりしますから、ぜひコミュニケーションを大事にして今後とも取り組んでいただきたいと思いますし、外務省も、ぜひ外交ルートを通じて解決していくという努力も引き続きお願い申し上げたいというふうに思います。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  24. 中山泰秀

    中山委員長 次に、篠原豪君。
  25. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 おはようございます。篠原豪でございます。  きょうは、五月十一日以来、約三週間ぶりの一般質疑ということでございますので、その間にいろいろと進んだこともありますので伺っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。  まずは、北朝鮮問題について伺います。  朝鮮戦争を一回振り返ってみると、どういうことが三年間で起きたのかなということがちょっと思うところがありまして、少し述べさせていただきたいと思います。  一九五〇年に、六月二十五日、朝鮮戦争が勃発しました。三日後に、六月二十八日にソウルが陥落をして、七月四日には、吉田内閣が朝鮮戦争の米軍軍事行動に行政措置の範囲内で協力をするという閣議決定を行いました。そして、この四日後の七月八日、朝鮮の前線視察から戻ったマッカーサーが警察予備隊を設立し海保八千人増員を要求したという歴史があります。そして、八月十日には警察予備隊発足。これが七万五千人規模であります。九月十五日には仁川上陸作戦というのが行われて、十月六日、連合軍が日本に海上保安庁の掃海部隊の派遣を要請し、翌日にはもう第一掃海隊が出発をしています。そして、十月十九日ですけれども、中国義勇軍が参戦をし、連合国が翌日に平壌を占領いたします。そして、十二月の五日には中国軍が平壌を奪回するということが、一九五〇年。  次の年、一九五一年には、皆様御案内のように、サンフランシスコ講和条約が結ばれて、旧安保条約が調印という流れになります。そして、一九五二年二月二十八日に日米の行政協定の調印があって、四月二十八日、講和条約、安保条約が発効し、この日にGHQが廃止されるということであります。そして、五三年に朝鮮の休戦協定の署名があって、そして今日にずっと至っているということであります。  我が国は今、日朝平壌宣言が二〇〇二年にあり、そこからなかなか物が進まない。そして、安倍政権が、北朝鮮に対しては圧力を強めていくんだということでこれまで対応してきているということであります。  そして、きょうは、そういったことの前提を踏まえて少しお話を伺っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。  北朝鮮による核、ミサイルの脅威について、安倍首相が昨年十月の衆議院選挙で国難だというふうに強調していたことは、まさに解散の理由の一つということにしていましたので、皆さんまだ御記憶に新しいことと思います。ですが、ことしに入って、朝鮮半島情勢は非核化をテーマとした交渉の場へともはや大転換を遂げているということだと思います。  金正恩朝鮮労働党委員長は、ことしの一月一日に新年の辞で南北関係改善への意欲を表明し、これ以降、妹の与正氏を訪韓させ、そして文在寅韓国大統領に訪朝を要請するなど、過去に例のない手法で対話路線を展開してきています。ですので、きょうがまだ五月ですから、五カ月たっていないということですね。  この結果、文在寅大統領の特別使節団を平壌に迎えた三月五日の南北会談で、南北首脳会談を四月末、そして南北軍事境界線上にある板門店の韓国側施設の平和の家で行うことが決まりました。正恩氏は、その場で、非核化問題の協議と米朝関係改善のため米国と虚心坦懐に対話する必要があると表明をしました。  特別使節団にトランプ米国大統領宛てのメッセージを託したわけですけれども、トランプさんは、三月八日、特別使節団の一員であった韓国大統領府の安保室長からこの金正恩氏のメッセージを受け取ると、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談開催を即答したというふうにされています。安倍首相には翌三月九日の未明に連絡があり、トランプ大統領から、グッドニュースだと、この米朝首脳会談の実施を決定事項として初めて伝えられたと報じられています。  そこで、お伺いします。  日米は、挑発を続ける北朝鮮に最大限の圧力をかける方針でこれまで結束をし、三月六日に南北が首脳会談開催で合意した後も、対話のための対話では意味がないと米国と懸念を共有してきています。北朝鮮がIAEAの査察に応じるなど具体的な行動をとらない限り、対話や交渉には応じないという日本政府の主張にもかかわらず、それでも実際には、トランプ政権は日本との事前協議もなく対話を決断したと思われます。  米国の決断、また日本に事前協議がなかったのではないかということについて、政府は今この時点でどのような認識をお持ちでしょうか。
  26. 河野太郎

    河野国務大臣 累次の安保理決議に違反して、北朝鮮がミサイルの発射あるいは核実験というものを続けてまいりました。それに対して、国連の安保理は、累次の安保理決議を採択し、国際社会全体で北朝鮮に対して経済制裁をするということを決め、国際社会はこの安保理決議を履行してまいりました。その結果、北朝鮮の輸出による外貨収入はほぼなくなり、北朝鮮に対する石油精製品その他の流入も大幅に減少をするという事態に至りました。  それを受けて、北朝鮮が非核化を前提とする対話という申出をしてきた。これは、国際社会が安保理決議をしっかりと履行してきた、その結果、意味のある行動を引き出すことができるかというところに来ているんだろうというふうに思っております。  そういう意味で、国際社会がしっかりと結束して安保理決議を履行してきた、それがきょうのこの時点につながっているというのが我々の認識でございます。
  27. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 安倍首相は、昨年の九月二十日の国連演説で、北朝鮮との過去の対話の試みは無に帰したというふうにしていて、核・ミサイル開発放棄のために必要なのは圧力だと訴えてきました。文在寅政権が南北対話に積極的な姿勢を示してきたことについても、北朝鮮が非核化に向けた具体的な行動をとらない限り、圧力強化の路線は変えるべきではないとして、批判的な見方をとってきています。  三月五日の南北会談と三月八日のトランプ大統領による米朝会談の受入れは一体のプロセスで、米国が最初から極めて緊密に関与をして交渉してきたんだというふうに考えるのが自然だと思うんです。  この証拠として、初の米朝首脳会談を五月までに開くというこの歴史的な発表が、トランプ氏側でもマクマスター大統領補佐官でもなくて、訪米中の韓国大統領府の国家保安室長さんが記者団やカメラの前で行いました。つまり、韓国アメリカの信頼を得て戦略的に事を実は進めてきたのではないか。  日本は事前協議がなかったということで、突然トランプさんが対話を決断したということですが、その裏側では、実際にはもうこういったことがトランプさんと韓国の間で行われてきているからこそ、このような発表になるんだというふうに思います。これは、誰だって勝手にすぐ発表できるような話ではなくて、ちゃんときちっと練られて、そして国際社会の場での発言ということになっていくんだと思います。  ですので、軍事的な緊張状態から対話局面に大転換する戦略的な協議が米韓の間で進んでいたにもかかわらず、圧力一辺倒で進んでいた安倍政権には、私は事態が読めていなかったんじゃないかというふうに思うんです。  ですので、この事態が読めていなかったのではないか、あるいは、読めているんだったらそれは知っていたのかということについて、この時点で評価するのは大事なんですよ、大事なんです。ですので、お伺いしています。よろしくお願いします。
  28. 河野太郎

    河野国務大臣 国際社会は安保理決議に基づいて経済制裁を履行する、これは、国連加盟国のほぼ全ての国がこの安保理決議を履行してきたという状況がございます。南北の首脳会談あるいは米朝の首脳会談が行われても、この状況は維持される。  つまり、大事なのは、北朝鮮が核、ミサイルのCVIDをきちんとやるかどうかというところが大事なことであって、会談が行われるかもしれない、あるいは会談が行われた、それはそれで、会談が行われたということは一歩前進なのかもしれませんが、国際社会はこれまでどおり、安保理決議に沿ったことを履行していくということをこれからもやっていくということに何ら変わりはないというのが現状でございます。
  29. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 私がお伺いしたのは、安保理じゃなくて、米韓の間の中で軍事的な緊張状態から対話局面に大転換する戦略的な外交を実はもう既にやっていて、そこのところに対して、我が国の安倍政権がそのことについて事態が読めていなかったのではないかという質問でございます。
  30. 河野太郎

    河野国務大臣 報道をどのように解釈するかというのは、それは人それぞれ、いろいろな解釈があるでしょうから、どのように解釈をしていただいても構わないというふうに思いますが、今の北朝鮮をめぐる状況には何ら変わりはない、国際社会は安保理決議を履行している、その状況が続いている、そういうことでございます。
  31. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 済みません、これは答えになっていないので。私が聞いているのは、この時点で、米国の決断、また日本に事前協議がなかったことについて、政府はどのような認識を持っているのかという質問です。ぜひお願いします。
  32. 河野太郎

    河野国務大臣 トランプ大統領が米朝をやろうと決断をして、その場で安倍総理に電話がありました。日米首脳電話会談が行われた後、韓国の特使が、米朝の会談が行われるということが発表されたわけでございます。  日米は常に緊密に連携をしておりますから、特に、トランプさんのツイートですとか発表ですとか、一言一句について論評することはいたしませんけれども、今の北朝鮮情勢というのは、安保理決議を国際社会がみんなでしっかり履行していく、そういう段階にあるというのは、きょうの時点でも何ら変わりがないというのが我々の認識でございます。
  33. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 私が伺っているのは、別にツイートがどうとか、そんな分析じゃなくて、米韓で進んでいたこの戦略的な方針の大転換について、日本はそのことを事前に、最後は通告されましたという話じゃなくて、通告されたから、じゃそれでよかったんですなんという話じゃなくて、そこにどのようにかかわってきたのかということであります。  先ほどなぜ私が朝鮮戦争の年表を読み上げたかというと、日本は当事者なんですよ、かかわってきているんです。ですので、これは、今その状態から、一九五三年の朝鮮休戦協定の署名から、ここから変わっていくということが今非常に注目をされているというところなので、そのような、どこまで戦略的に日本が、言ってみれば、朝鮮半島の平和をつくっていくプロセスに日本が入っていかないなんという話は、蚊帳の外なんということになれば、これは外交上のミスだと私は思うので、ですので、これを今の時点で、こういうふうに時系列で起きていますから、どうだったのですかと聞いているので、もうちょっと詳しくお伝えいただければと思います。
  34. 河野太郎

    河野国務大臣 ですから、私たちが申し上げているのは、何ら変わりはないということを申し上げているので、委員が何か戦略的な転換があったという解釈をされるのは御自由でございますが、現実は、国際社会は安保理決議を履行している、その状況に何ら変わりはないということを申し上げているまででございます。(発言する者あり)
  35. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 認識じゃないんですよ。これは、中身の交渉が具体的にどうだったかという話でございます。それは、思われている方、私は、これは別に与野党でどうという話じゃなくて、本当に我が国がどうやってこのアジア地域においてプレゼンスを、今この状態で、過去からの歴史があって責任があります、ですので、そこに対してどういう話でしたかと。私たちも別に反対をして何か足を引っ張ろうなんという話じゃないので、ここはきちっと歴史の検証ができるように、委員会で、まさに五月十一日から開かれていないので、それを丁寧にお話をしたいという話なので。  ここは聞いても今以上は出てこないかもしれませんので、ちょっと聞き方を変えていきますので、しっかりと御答弁をいただきたいと思います。  トランプ大統領による米朝会談の受入れは、軍事行動も辞さないという強硬姿勢をとるトランプ氏と、一貫して対話による解決を訴えてきたティラーソン氏が対立をして、そして米朝首脳会談の準備が本格化する前に、三月十三日にティラーソン国務長官が解任される中で行われました。ですので、国務省が米朝、南北首脳会談についての協議から排除されたのも、これと一体の出来事なんです。私は、これが、トランプ米大統領の対北朝鮮政策が実は圧力一辺倒の安倍政権の対北朝鮮政策と決定的に異なっていることを理解することができる鍵ではないかと思っているわけです。  政府は、ティラーソン国務長官の解任とトランプ米大統領によるこの米朝会談受入れの関係を、ではどのように理解をされているのかということを少し教えていただければと思います。
  36. 河野太郎

    河野国務大臣 ティラソン国務長官とは何度もお目にかかり、バンクーバーの北朝鮮に関する会合でも御一緒し相当長時間話をいたしましたが、国際社会北朝鮮に対して経済制裁を累次にわたり安保理で採択をし、それを履行するというのが国際社会一致した方針でございまして、その中に、特に、トランプ大統領がとかティラソン国務長官が、あるいは日本が、米国がという違いはありません。  どこどこは圧力一辺倒だ、こう言いますけれども、どこかに穴があれば圧力というのは逃げていくわけでございまして、この人は圧力一辺倒だけれどもこの人はそうではないということにはならないわけでございます。それは、圧力釜なんかを見ていただければ、穴があいていれば圧力が逃げるというのを実感できると思います。  トランプ大統領は強硬派、ティラソンは何か対話でというのは、それはテレビなんかのコメンテーターが解説するのはおもしろいかもしれませんけれども、現実は、国際社会一致して安保理決議を履行するというのが国際社会方針であって、国際社会は安保理決議を今累次履行してきているというわけでございます。  それに恐らく何ら変わりはないわけでございまして、今起きている状況は、この安保理決議を国際社会が履行しているから今こういう状況にあるわけでございます。
  37. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 圧力釜だか鍋だかわかりませんけれども、そういう話ではなくて、これは、トランプ政権と安倍政権と対応力の差が、北朝鮮の非核化を実現するためには最大限に圧力をかけ続けるといいながら、どういう状況が生まれればこの圧力を逃がして対話に転じるのかという戦略の違いに帰着しているんじゃないかということで、そこについてどういうふうに、日本の立場が、この米韓との、今やっている現実的な話と違うんじゃないかということについて、これは日本日本で、日米で圧力をかけ続けていくという話で、実際にはそういうふうになっていないわけなので、その辺についてどう評価をされているかという話であります。  別に、北朝鮮の非核化という目標を誰もおろそうなんて思っていないですし、そうすれば、インドやパキスタンのように北朝鮮は実質上核保有国になってしまいますから、これでは韓国が、世論調査でですけれども、韓国では核兵器を保有することに対しては賛成が六割あるんですよ。これを考えると、次から次に核保有という状態を目指して東アジアが核ドミノの現場となって、まさに核不拡散体制が崩壊してしまうので、これは、そんなことは誰も、私も言っていないわけで、それは国連だって言っていないし、それはアメリカだって言っていないし、誰だって認めない話なんです。  そうじゃなくて、事は、ここまでのプロセスがどうかというようなところにどう評価をしているかという話で、多分全然答えられていないと思うんですよね。日本としてどう思っているかという話なんです、国際社会が、安保理がどうという話じゃないので。だから、多分、質問が、意味が通じているのかどうかというところなんですけれども。  これはやはり、私が聞いたのは、日本が、事前協議がなかったのについて政府がどのような認識を持っているのか、そして、通常の外交ルートが使われなかったことで、これは実は外務省が正確な情報を収集できていなかったんじゃないかということを聞いているわけです。このことについてどうですかという話です。  米朝、南北首脳会談についての協議は、これは韓国外務省と米国務省が関与せず、韓国大統領府の国家安保室長とマクマスター米国安全保障担当大統領補佐官との間で直接行われたとされていますので、なので、これは通例の外交ルートで行われなかったし、このことについて日本は乗りおくれて知らなかったんじゃないかと。話が終わった後に通報されましたという話じゃないので、その辺のところの事実確認をどう評価しているのかという質問なんです。もう一度お答えいただけますか。
  38. 河野太郎

    河野国務大臣 御質問の趣旨がよくわからないんですけれども。  一々、アメリカが何か決めるのに、全部日本に相談事をするかといったら、それはそうではありません。しかし、北朝鮮問題に関する重要なことは、ほぼ毎日、日米でやりとりを続けておりますので、日米でお互い何を考えているかというのはよく理解をしております。  トランプ大統領が米朝で話し合うというのは、それは話し合うということを決めたわけで、それをイの一番に、発表する前に安倍総理にトランプさんみずから電話をしてきて、話合いをすると。しかしそれは、話合いをするということであって、国際社会が継続している安保理決議を履行するということには何ら変わりがない状況でございます。  誰と誰がどうしてということを委員いろいろおっしゃっておりますが、それはいろいろな解釈はあるかと思いますが、安保理決議に基づいて各国がそれを履行してきた結果、北朝鮮がいろいろと対話の申出をしてきた、その相手はアメリカでございますから、アメリカがそれを受けるかどうかというのは、それはアメリカの判断でございます。  しかし、アメリカがどういう状況でそれを受けるに至ったかというのは、日々やりとりをしているわけですから、こちらも何となくわかっているわけでございますし、それにそごが日米間であるとは思っておりませんし、国際社会が安保理決議に基づいてそれをしっかり履行してきた、だからこそこういう状況になっているという認識は、国際社会、広く共有していることだと思います。
  39. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 私は、その中でも日本政府としてはどういうふうな考え方を持っているのかということを聞きたいということであります。  では、例えば、北朝鮮が一度手に入れた核兵器をなかなかみずから放棄することはあり得ないんじゃないですかということは、以前私もこの外務委員会の中で質疑させていただきました。  安倍政権は、これまで、圧力をかけると。安保理決議に基づいて全国みんなやっているし、さっき、石油製品の話もありました。これを石油も含めて全面的にストップすると、追い詰められた北朝鮮は国内をまとめることができずに暴発をし、そして戦乱に突き進む危険性が大きいというふうに考えていないのかどうか。そういうことについて、今どう考えているか。そして、圧力一辺倒の状態で、政府はどのようになれば、じゃ、日本としては対話局面に転換しようと考えているのか。  このことについて、現時点での考え方をお聞かせください。
  40. 河野太郎

    河野国務大臣 今やっている経済制裁というのは、安保理決議に基づいて各国がそれを履行しているわけでございますから、それをどうするかというのは、これは安保理を始め国際社会で決めることでございます。一つの国が圧力一辺倒でいくのかいかないのかというのを決めるというわけではないということをまずしっかり御認識をいただきたいと思います。  圧力をかけたら北朝鮮が暴発云々というお話はありますけれども、それも北朝鮮の交渉力を高めるということになっているわけで、今、国際社会は安保理決議をしっかりと履行するというところで歩調を合わせ、そのゴールは核とミサイルのCVIDということで一致をしております。日本もその国際社会と足並みをそろえているわけでございまして、先ほど申し上げましたように、どこかの国は圧力一辺倒とか、どこかの国は対話にかじを切ったとかということにはならないわけでございます。  圧力というのはどこかに穴があいたら逃げるわけでございまして、それは委員も御理解いただけると思いますが、国際社会は今全体で、安保理決議で決めたことを実行しようということで、国際社会みんなで、国連加盟国、恐らくほとんど全てと言ってよろしいかと思いますが、安保理決議をしっかりと履行しているという状況に何ら変わりはないというふうに申し上げております。
  41. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 では、私なりの考え方を少しお話をしていきたいと思うんですけれども。  米国の圧力政策については、マティス国防長官が昨年の九月の十八日に、国防総省の担当の記者団との懇談で、ソウルを重大な危険にさらさずに、北朝鮮に対してとれる軍事的オプションはあるかと尋ねられたときに、ある、だが詳しく話せないと述べたことに僕は鍵があるんじゃないかと思っています。去年の九月十八日の話です。  軍事的な解決に慎重な立場を示してきたマティス長官が軍事オプションにあえて言及をし、トランプ大統領は、その直後の、九月十九日の国連演説で、米国と同盟国を守ることを迫られれば北朝鮮を完全に破壊する以外の選択肢はないと北朝鮮に警告をしています。これは国連演説です。  この意味は、北朝鮮がミサイル発射と核実験を繰り返し、米本土に到達する核弾頭を装着したICBMの保有に向かって突き進んでいるのも、朝鮮戦争以来対峙してきたアメリカに対しみずからが強力な交渉カードを持つためであって、決してみずから進んで米国を攻撃するためのものではないと思います。  しかし、核のミサイル開発が完成間近い過程でアメリカのレッドラインを踏み越えかねない事態が生じたということは、これまででもこの委員会でも話されていますので、これは御案内のとおりだと思います。  そこで、マティス長官は、同じ九月十八日に、北朝鮮はある種の一線を越えずにどこまでいけるのか、限界に挑戦するような挑発を故意に行っていると言って、これは、八月八日に行われた、北朝鮮がグアムの島周辺への射撃作戦を検討するというのがありましたけれども、これは直ちに、トランプ大統領が、世界が見たことのない怒りと炎を受けることになるというふうに反応したことがあったのを覚えていらっしゃる方は多いと思います。  十一月二十九日には、北朝鮮が、火星15、本土に届くとされているものの発射を受けて、ミサイル強国、偉業が実現したと述べて、直後、トランプ大統領が、これは小さなロケットマン、彼は病んだ子犬だというふうに演説をし、これがアメリカのレッドラインを示された瞬間で、実は、これが北朝鮮を対話路線に走らせるきっかけであったと考えているのであります。  つまり、アメリカは、みずからが示したレッドラインを北朝鮮が越えない意思を示したことで対話路線に転換したんじゃないかと私は考えているんですけれども、政府はどのようにこの北朝鮮への路線転換、今私が話したことに対して認識をお持ちか、どういうふうに考えられるかということを教えていただければと思います。
  42. 河野太郎

    河野国務大臣 何か、路線が二つあって、それをポイントを切りかえるように切りかえているんだみたいなお話でしたけれども、それは全く私は違うと思います。  つまり、アメリカ日本中国韓国ロシアもイギリスもフランスもスペインもメキシコも、どこも安保理決議を履行しているわけでございまして、安保理決議を採択してから今日までずっと安保理決議をみんなで履行してきているわけで、それは一本道なんです。別に、どこかでポイントがあって、何か、アメリカがポイントを切りかえてこっちの路線に入りました、スペインはあっちの路線に入りましたということでは決してありません。安保理決議を履行していくという道はずっと続いていて、これからも恐らくまだ少し続くんだろうというふうに思います。  その中で、北朝鮮が話をしたいと言ったから、それじゃ話を聞こうということであって、別に、それが何か、路線が切りかわったとかなんとかというのとは全く話は違うんだろうというのが我々の認識でございます。
  43. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 私は、どこかでやはりポイントというのがあって、転換点というのがあって、そして物事は進んでいっているからこそ、今日こういうふうになっているんだと思うんですね。  北朝鮮が核・ミサイル開発にこれ以上突き進むと、アメリカの軍事攻撃を受けかねない状況があって、それを打開するために米朝直接対話に踏み込んだ。アメリカ北朝鮮のやりとりが、これはもう外交ですから、お互いにどこまで主張して、どういうふうに戦っていくか、それでどっちが最終的にどういう利益を得るかというのは、外交交渉、当然あるわけなので、この中ではその戦いが繰り返されている。  非核化の解釈に、その立場に大きな違いがあるんですけれども、金正恩氏はこのアメリカの要求を受け入れて、北朝鮮が保有する核弾頭とか核関連物質、ICBMの一部を半年内に国外に搬出するといったサプライズを演出するんじゃないかとか、核とミサイルの実験凍結には合意をして朝鮮半島の非核化にも原則一致する可能性は高いのではないかというふうに言われている状態なんですよ。  今のお話だと、どんどんどんどん交渉が進んでいっていて、これは全部スペインまでみんな一緒考え方だから日本としてもそれで一緒なんですみたいな話じゃなくて、一本道だみたいな話じゃなくて、現に心配なのは、ICBMの開発はひとまずとまっても、既に中距離とか、ミサイルの射程、日韓への脅威がやはり残ってしまうんじゃないかということがあって、日本とすればこれは何としても避けたい筋書きだと思うんですよ。それをやはり言っていくためには、モラトリアムもあり得ると懸念されるシナリオを政府考えているんだと思うんです。  ここに対して、これを、我が国として、こうなれば、朝鮮戦争の非核化に向けた交渉が日本抜きで進む深刻な事態になってしまえば、米国が、アメリカ安全保障上の脅威となるICBMの開発の凍結、放棄を条件に、日本を射程におさめる中距離弾道ミサイルの問題が置き去りになるということを避けなければいけないというふうに思っていて、だからこそ、この間にどういう交渉がされたのかということがやはり大事だし、これをどういうふうに考えているかという話なので。  では、日本としては、今の、日本抜きで進む深刻な事態が起きかねないという、このICBMの開発の凍結、放棄は言っても、日本を射程におさめるような中距離弾道ミサイルの問題が置き去りにされたら大変だと思っているんですが、そのことについてはどういうふうに考えていらっしゃって、どういうふうに行動をとるおつもりかということを伺いたいと思います。
  44. 河野太郎

    河野国務大臣 申しわけありません。その、日本抜きで何か進んでいるという意味がよくわからないので、ちょっとそこを説明していただきたいと思います。
  45. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 日本抜きで進んでいるというのは、累次申し上げていますように、この間、まさに、トランプ大統領が、三月八日の、特別使節団の一員だった韓国大統領府安保室長からメッセージを受け取ると首脳会談を即答した、安倍首相には事前に連絡があって、これは伝え聞いたけれどもという話ですが、こういう直接会談を始めるという話を、日本が、その交渉そのものにも、そういった大転換をしていきますよということに対して何かかかわってきたのかということだと思います。  これを日本抜きでやってきたということであれば、どんどん会談が決まっているということであれば、じゃ、これはどこの段階で日本は入っていくのかというような話、一応お伺いします。
  46. 河野太郎

    河野国務大臣 いや、北朝鮮が話をしたいと言ってきたので話を聞こうというのが大転換ではございません。何度も申し上げているように、安保理決議を今国際社会はしっかりと履行している、その路線に何の変わりもございませんので、何か転換が起きているということではございません。
  47. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 何か転換が起きているわけではないという御認識なんですね。  米朝会談が行われるというのは、この朝鮮半島、そしてこの地域にとって、一九五三年に朝鮮戦争の休戦協定が署名されてから何か大きな転換の意味のある動きだと思うんですが、それはそういう認識じゃないということでしょうか。
  48. 河野太郎

    河野国務大臣 米朝会談の中で、北朝鮮がどのように非核化に、あるいはミサイルの放棄に、拉致問題の解決にコミットするか、それをしっかり見きわめたいと思います。  北朝鮮がそうした意思、コミットメントを明確にすれば、それは大きな転換と言ってよろしいかと思いますが、米朝間、日朝間あるいは南北の間、さまざまな意思の疎通はいろいろなレベルであるわけでございますから、その中で米朝の首脳会談が起こるというのは一つ変わったことだよねといえば、それは確かに今までとは違ったことかもしれません。  しかし、路線自体は何の変化もその時点ではないわけで、そこで北朝鮮がどのようなコミットメントをするか、それを国際社会はしっかりと見きわめようとしているわけでありまして、何か、そこに至るまでに何かが変わっているという認識は持っておりません。
  49. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 私は聞いていて、果たして、じゃ、そういう何か、そこまでは何にも変わらないし、それは見てみないとわからないしみたいな、まさに他人事みたいな話、これでいいのかというふうに思うんですよ。  私は、おかしいと思うのは、例えば拉致問題一つについても、日本はこれまで、米朝、南北首脳会談で取り上げてください、お願いしますといって米韓政府に求めていますけれども、これがどうして主体的な外交なのかというのは非常に謎ですし、たとえトランプ大統領や文大統領が取り上げても、そんな、人にお願いして、よろしくお願いしますみたいな話で、そういうことしか話をしていないじゃないかというふうに思うわけです。  現に、それはバイでやってくださいとか言われていて、そして、更に言えば、四月二十七日の南北首脳会談では、金委員長は、拉致の問題、何で日本は直接言ってこないのかと語ったと報じられています。何にも言ってきていないから、こうやって言うんじゃないですか。それに対して、これは、そのときまで何が起きるかわかりませんから、それを見て評価するみたいな話じゃなくて、もはや、こういうふうに相手の国も言ってきているというふうに報じられているんです、金委員長がなぜ日本は直接言ってこないのかと語ったと報じられていて、じゃ、何でそれでこうなるんですかという話なんですよ。  このことに対して、拉致問題の解決一つとっても、安倍首相が今の時点で委員長に直接会うことが不可欠なんじゃないか、これは進めるときなんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  50. 河野太郎

    河野国務大臣 北朝鮮とはさまざまなルートで今までもやりとりをしてきておりますが、今、国際社会は、核、ミサイルの放棄に向けて、そして拉致問題の解決に向けて、安保理決議をきちんと履行をするということをやっているわけで、国際社会を代表してトランプ大統領が金正恩委員長シンガポールで会談が予定されているという状況でございますので、我々としては、そこで北朝鮮がどのようなコミットメントをするかしっかり見きわめたいというのが我々の考えでございます。
  51. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 政府は、米朝首脳会談の結果を見守ると言っているんです。その姿勢が今明らかになっているわけで、これは、北朝鮮から見れば、この一連の外交の場に顔を見せない日本に、何か日本にとって国益になるような、利するようなことを、成果を約束すると考えるのは楽観的過ぎるんじゃないですか、そこから考えると。今やらなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、もう一度お伺いします。
  52. 河野太郎

    河野国務大臣 何度答弁しても、お答えは変わりません。
  53. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 つまり、言いかえれば、何で日本は直接言ってこないんですかと言っているにもかかわらず、言いませんと。そして、拉致問題、これはほかの国にお願いします、それは何度言っても変わりませんと。私は、こんなことで果たしていいのかと思っているから、ここまで聞いているんです。実際にこういうことになっているから聞いているということなんですね。  そして、この金委員長の発言は、ストックホルム合意で拉致被害者や行方不明者を含む全ての日本人の調査北朝鮮と約束した後、北朝鮮側が一六年に特別調査委員会の解体と調査の全面中止を一方的に通告をした、これを最後に協議が進んでいないんです。  彼は、直接なぜ言ってこないかと四月二十七日の会談で言われていると思いますので、こんな絶好の好機を何もしないで、見逃します、楽観的に米朝首脳会談の結果を見守る、これは何度言っても変わりませんというのは、この状態を打開できるチャンスを、これは果たして本当にそれでいいのかと思うんですが、よろしいんでしょうか。
  54. 鯰博行

    鯰政府参考人 我が国は、従来から一貫して、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を目指すという考えであるということを示してきております。  このような日本の立場は、二〇一六年に北朝鮮が全ての日本人に対する包括的調査の全面中止及び特別調査委員会の解体を宣言した後も、例えば、昨年、本年につきましても、大臣総理からも繰り返し北朝鮮に伝えているところでございます。  問題は、北朝鮮がストックホルム合意の履行に向けた具体的な行動を示さなかったことにあると考えております。我が国としては、引き続き、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けた具体的な行動を示すよう、北朝鮮に対し決断を迫っていく考えでございます。
  55. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 どう具体的に迫る御予定なんですか。
  56. 河野太郎

    河野国務大臣 まずは、米朝の首脳会合北朝鮮がどのようなコミットメントをするか見きわめたいというのが日本政府の立場でございます。
  57. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 日朝平壌宣言ですけれども、今出たのでお話を少ししますけれども、これは、日本北朝鮮政策を進める上で大きな鍵になるのは間違いないんだというふうに思います。  拉致問題の解決をうたっている日朝平壌宣言は、国交正常化後に植民地時代の過去の清算を経済協力の形で実施すると約束しているので、これは経済制裁とは相入れません。では、これは、そこまでは経済制裁を続けるのか、あるいはそうじゃなくて、その前の段階でこれを少し変えていくということを考えているのか、その辺はいかがでしょうか。まあ言えないかもしれませんけれども。
  58. 河野太郎

    河野国務大臣 経済制裁というのは安保理決議に基づいて行われているものでございますから、日本だけ勝手にやめたというわけにはいきません。  日朝平壌宣言が申し上げているのは、核、ミサイル、拉致問題を包括的に解決をし、国交を正常化しようということでございますので、まず、国際社会と足並みをそろえて安保理決議をしっかり履行する、その中で、核とミサイルについて北朝鮮がどのようなコミットメントを米朝首脳会談でするか、しっかり見ていこうというのが現時点でございます。
  59. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 これは考え方の違いなので申し上げておきますが、北朝鮮アメリカとの対話に乗り出すに当たっては、仲介役を任せたのは中国じゃなくて韓国だったんです、今回は。韓国なんです。  金正恩委員長が最高指導者になってから、中朝関係が冷え込んできました。一三年の十二月に、中国との窓口役であったという張成沢国防副委員長が処刑されたみたいな報道があって、一四年七月には、北朝鮮を差しおいて習主席が先に韓国訪問したということで、中国の影響力はどうなっているんだという話があったんだと思いますね。さらには、中国が米国主導の制裁に同調をしたことで、中朝関係は史上最悪の冷却状態に陥ったというようなことも言われたことがあります。  北朝鮮に圧力をかける上で中国の存在が欠かせない、中国が朝鮮半島のキーパーソンと考えられた状態から考えると、正恩政権による韓国、米国への接近が中国の頭越しに行われたことは、中国外交としては危機だったというふうに思います。まさに日本が同じ状況に置かれてくるんじゃないか、置かれているんじゃないか。  中国は、朝鮮半島情勢への影響力を取り戻すために今何をやったかといえば、金正恩委員長の緊急訪中を受け入れて、一回じゃないですよ、これは大変なことが起きているんですよね、そして、その中で、北京で習主席とお会いをし、またその後もお会いをしたというふうになっています。  日本も、北朝鮮の非核化に向けた交渉が日本を抜きで進みかねない事態を回避するために、今こそ思い切った、相手が見てどうじゃなくて、この彼らの動きを見て、日本としてこうやって踏み切れてやれるところがあるんじゃないかと思っているんですよ。なので、きょうはそのお話をさせていただいているんです。これは、機を逸すると実は日本国益に資さなくなっていくということでありますので、今まさにこういう動いている、歴史が圧倒的スピードで動いているからこそやらなければいけないんじゃないかというふうに思っています。  今、日本政府は、あくまでも対話を拒否し圧力を続けるべきと主張していますけれども、これはやはり、これからどういうふうに対話をしていく、対話しないというわけにいかないわけですから、ですので、その中で開始をしようとするのかという方針をどの時点でどうするかというのは、これはやはりお考えはあるんだと思うので、これは国民の皆さんも、こういう状況になっていますから、非常に知りたいということでありますので、こういったときこそ、今こそ思い切った行動に出るのが必要じゃないか、これは日本国益に資するんじゃないかと強く思うわけですが、この点についてはいかがでしょうか。
  60. 河野太郎

    河野国務大臣 済みません、その思い切った行動という意味がよくわからないので御説明をいただきたいと思います。
  61. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 なぜ日本が直接言ってこないのかと言っているので、言ったらいいじゃないですか、何か交渉しているということが思い切った行動だと思いますよ。  それは、今度の米朝会談を見てからやろうというのじゃなくて、日本も、日本の利益はこうであるというふうに、交渉にしっかりとわかる形で入っていったらよろしいんじゃないですかね、今の時点で。お願い、お願いというか、交渉していったらよろしいんじゃないですか。
  62. 河野太郎

    河野国務大臣 それが思い切った行動だと私には全く思えません。  申しわけありませんが、国際社会で足並みをそろえて安保理決議をしっかり履行していく、米朝の首脳シンガポールで会談をし、北朝鮮がどのようなコミットをするか見きわめる、この方針に変わりはございません。
  63. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 では、北朝鮮が非核化の意思を表明したとはいえ、軍事的脅威が解消され、体制の安全が保証されれば核を保有する理由がないとして、非核化には前提条件がついています。  これは、完全かつ検証可能な非核化を実現するということとは矛盾する主張になりますので、このギャップを日本は埋めるというような努力をしていくのか、それとも、しないで、今まで言ったように、何も変わっていないわけですよ、そのまま、まだこれで突っ込んでいくのかというところについてはどうなんでしょうか。
  64. 河野太郎

    河野国務大臣 体制の安全を保証してくれというのとCVIDが矛盾するとは私は思いません。  核、ミサイルを放棄するから丸裸になるんだから、丸裸になった私が襲われないことを保証してくださいというのは、CVIDとは矛盾するものとは私には思えません。そこは、北朝鮮側としても、それぐらいのことはしてくれというのはあり得るんだろうというふうに思います。  それをどのように、それでは体制が保証されるということを担保するかというのは、これはこれから国際社会北朝鮮の間のいわば交渉なんだろうというふうに思います。それをこれからどのようにやっていくのかというのが考えていかなければいけないことなんだろうというふうに思います。
  65. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 北朝鮮が恐らく嫌うであろう、無条件で先行して核を放棄するリビア方式、このリビア方式について、トランプ大統領アメリカ側が適用しないということを明言すると、そうすると、日本の、今の、矛盾しないんだというところとはまた少し話が変わってくるんじゃないかと思うんですけれども、ここに対しての御認識はいかがでしょうか。
  66. 河野太郎

    河野国務大臣 リビア方式、リビア方式と言われますけれども、誰もリビア方式の定義をせずにリビア方式と言っているんだろうと思います。昨今の新聞その他を見ても、余りリビア方式とは何なのかという定義なく使われているというのが一つ。それから、リビア方式と言ったときに、核の放棄のやり方なのか、体制保証のやり方なのか、これも違います。  恐らく、トランプさんが、五月の十七日ですか、おっしゃったリビア方式というのは、体制保証のやり方としてリビア方式ではないよということであるならばそうなのかもしれませんが、それはCVIDあるいはそのプロセスとはまた別物でございますので。最近は、ボルトン大統領補佐官なんかも、リビア方式と言うと曖昧だしというので、そういう言葉はなるべく使わないようにしようとこの間おっしゃっておりましたけれども。  もう少しきちんきちんと言葉の定義をしながらやらなければいかぬと思いますし、このプロセスの問題は、それこそ国際社会北朝鮮との間の交渉事でございますので、このプロセスについてどうなのかというのは、申しわけございませんが、今お答えを差し控えなければならないと思います。ただ、現時点で、まだそこまで話は行っていないというふうに思っております。
  67. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 そうですね、五月十七日にトランプ米大統領が言った話です。北朝鮮の金正恩委員長が完全な非核化に応じれば、これはとても強い保護を得ることになるという言い方であります。それで体制保証の用意があるんじゃないかということですが、これはしっかりと、今おっしゃったことは確かにもっともなところもありますので、そこも含めてやはり日本も声を出していかないといけないと思います。  私は、我が国がこのままバックベンチャーに徹しているように見えて、徹しているというかバックベンチャーにいるようなふうに見えていて、この米朝首脳会談による一定の解決策がとられたとしても、これがその後の日朝首脳会談開催やあるいはトランプ大統領に任せ切りの拉致問題の解決には、なかなかこっちの、日本のいい形でつながっていかないんじゃないかというふうに思っていて、舞台とまではいかないんですけれども舞台の袖で、もはや何で直接言ってこないとおっしゃっていますので、今言った話で進んでいますから、ですので、これを話をしていくという外交を進めていく必要があると思いますけれども、表舞台で物を言うのはなかなか難しいかもしれないけれども、このことについてはどういうふうに考えていらっしゃるかというふうにお伺いします。
  68. 河野太郎

    河野国務大臣 バックベンチャーというお話がございましたけれども、例えば核の放棄については、これはもうP5以外は全員バックベンチャーでございます。今回の場合は、恐らく、核の放棄をどのようなプロセスでやるかというのは、これはもうある程度アメリカが線を引いて、ステップを決めてやるということになるわけでございまして、これはもうIAEAも、そのほかの施設の査察についてはIAEAが出ていく用意がある、日本はそれを当初からサポートする、そういう話になっております。  ですから、いろいろな役割がありまして、日本はどこで、何幕の何場で日本は主役を張るのか、アメリカはどこで主役なのか、韓国は第一幕の幕あけで主役を張った、次に中国が出てきた。恐らくそういうことで、これからもこの舞台の上は、さまざまなプレーヤーが、あるときは主役であり、あるときは脇役を務めるということになるんだろうと思いますが、そういう中で、誰が主役を務めるにしても、日米韓、今極めて連携をしながらいろいろな物事を進めておりますので、何というんでしょうか、一つの人形を三人で操っていると言うのがいいのかどうかわかりませんけれども、恐らくそういうことなんだろうと思います。  もちろん、日本としてゴールはこれと思っていることがございますし、韓国もこれがゴールだ、アメリカもこれがゴールと、いろいろな国がいろいろなゴールを持っているわけでございまして、それを北朝鮮とどのように交渉をしていくかというのがこれからの話でございます。  恐らく、六月の十二日のシンガポールでの会談が、そうした北朝鮮とのやりとりの皮切りになるんだろうというふうに思っておりますが、そのときに人形を操っている何人か、三人と言いましたけれども、極端なことを言えば、細かいところも合わせりゃ百九十三人でやっているわけでございますから、その百九十三人の中でどういう話をしているかというのを北朝鮮側に教える必要も私は全くないというふうに思っておりまして、日本がこれがゴールと思っているものをしっかりととるためにどうしたらいいのかということを日々やっているわけで、あるときには主役を張らせろということもあるかもしれませんし、あるときは黒子に徹するということが当然あるんだろうというふうに思っております。  最大限、日本国益にかなうようにやってまいりたいというところは、委員と全く同じだと思います。
  69. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 私も日本の最大限国益にかなうようにしていただきたいと思っていますし、これは与野党の話ではなくて、対決するような話じゃ全くないと思っています。  拉致の被害者の方々が帰ってき、この東アジア地域が本当に安定した状態になれば、それはもう誰もが望むことだし、そのために、河野大臣は、今この我が国外相として担当者でありますので、これはしっかり考えていただきたいと思いますし、きょうの報道を見ていますと、八月のいつかのときに日朝外相会談に入っていく調整に入ったというような報道があります。  ですので、これはどこから出てきたかわかりませんが、具体的にやはり出てくると、そこはタイミングなのか、どういう外交戦術かわかりませんが、外相にお会いするとありましたので、この報道について、最後に、どう考えていらっしゃるのか。  今おっしゃったような話は、抽象的な話がありましたので、仮に、もしそういうことが実現すれば、これはこれで大きな、日本にとっては久方ぶり北朝鮮に対する表の外交交渉の舞台になりますので、ここはすごく大事なところだと思います。  報道によれば、六月十二日の様子を見てから冷静に見きわめてやると書いてありますので、この報道についてどう思われるのかと、具体的に少し、もし仮にやるんだとすればどういう交渉のリストをどういうふうにやっていくかということについて、これは外交交渉ですから言える範囲があると思いますので、おっしゃれる範囲で、今の時点でお教えいただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
  70. 河野太郎

    河野国務大臣 私も報道を見てびっくりいたしまして、六月十二日の結果を見きわめるというのはそのとおりでございます。  それから、ASEANの関連外相会合には北朝鮮外務大臣もいらっしゃいます。昨年のマニラでは、夕食会の前のカクテルの場で日本側の立場を先方外務大臣にお伝えを直接させていただきました。  ですから、そういう場で立ち話をする可能性があるかと言われれば、それは昨年もやっておりますので、そういう可能性はあると思ってよろしいと思いますが、じゃ、それが会談なのかどうかということは、これはまだ何も、これは正直ベースで何も決めておりませんし、ということでございましたので、ちょっと、どこから出てきた報道かよくわからぬので誤報というふうに先ほど申し上げましたけれども、これは、ただ、六月十二日を見て、そこから先はいろいろな展開があり得るというふうには思っております。
  71. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 時間ですので終わりますが、日本国益のために最大限頑張っていただけますようお願いをして、きょうの質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  72. 中山泰秀

    中山委員長 次に、小熊慎司君。
  73. 小熊慎司

    ○小熊委員 国民民主党の小熊慎司です。  大臣、きょうは節目の日、就任三百日、在職三百日、おめでとうございます。六百日ぐらい分の外交をされているなという個人的な印象を持っていますが、引き続きよろしくお願いいたします。  今、北朝鮮の話題であったので、これは過日もやりましたけれども、先日、北朝鮮の豊渓里にある核実験場が閉鎖をされました、ただ、これをどう評価するかということをまずお聞きしたいと思います。  私としては、やはり、非核化に一歩前進したというのはいいんですけれども、実際は、この公開の仕方も、よく言われている、完全で検証可能かつ不可逆的な非核化、いわゆるCVIDの原則からは外れてしまって、検証可能ということになっていない。これをさせなかった北朝鮮の意図といったものを想像すると、いろいろあるんだろうなというのがありますし、本来的には、このCVIDにのっとってやるのであれば、どうぞ見てください、皆さんの納得する形で閉鎖しますよ、閉鎖するに当たっての技術的指導も下さいというのが、これは私は理想だったと思いますが。言葉は悪いかもしれない、下手なパフォーマンスで公開をしてあんな爆破をしている、実際は中がよくわからないというのは、よくなかったと思います。非核化に前進は前進だけれども、余りいい一歩ではなかったなというふうに思います。  その点について、まず御見解をお願いします。
  74. 河野太郎

    河野国務大臣 同じような認識だと思います。  核実験場を爆破して閉鎖しましたというのは、一歩前進ともとれますし、おっしゃるように、この核実験場が、今回の、どこまで閉鎖したか、それはいろいろな議論があるんだと思いますけれども、少なくとも、中でどういう実験をやってきたかという検証ができなくなったというのは非常に残念でございますし、IAEAも、許されるならばそこはしっかりと入って見たいというようなことを言っておりましたので、それをさせなかったというのはいかがなものかなというふうに正直思っております。  せっかく北朝鮮がこうして前向きな一歩を歩み出したわけですから、これがCVIDに向けての現実の一歩だった、振り返ってみてそう言えるようなことになってほしいというふうに思っておりますが、やはり、本気でやる気があるならば、ぜひ、検証可能なと言っているわけですから、検証できるような対応をしていただきたいというふうに思っているところでございます。
  75. 小熊慎司

    ○小熊委員 この後の米朝会談、これもいろいろ、トランプ大統領にしろ、金正恩にしろ、伝統的な外交手法ではないので、一日にしてあれだけ変わると、一喜一憂せずにしっかり見守らなきゃいけない部分もあるなと思いつつ、米朝会談がしっかりと実現をし、非核化に向けて動き始めるということを望みたいわけでありますけれども。  これは、外務大臣おわかりのとおり、北朝鮮は今まで、非核化をすると言って、やってこなかった。  ただ、これは、この委員会でも何回か言及しましたけれども、今ちょっと席を外れていますが、遠山委員を団長とする超党派の日中議連で、若手の日中の議連で昨年中国へ行ったときに、国際的な合意を果たしていないのはアメリカなんだ、だから北朝鮮も約束をほごにしたんだ、まずはそっち側なんだという見解を中国政府は持っていました。でも、私はそれも当たらないなと思っているんですけれども。とにかく、信頼関係が薄い中でこれからも進めていかなければいけないということだと思います。  その中で、今回の豊渓里の件も、信頼の上にこれをやったわけではないので、一歩は一歩なんですけれども、これはやはり、粘り強く、このCVIDについてもいろいろ言っていかなきゃいけないなというふうに思っています。  だから、非核化が達成されましたと言っても、CVIDにのっとっていなければ、やはりこれまでの経緯を考えれば信じるわけにいかない。そのぐらいの信頼性の薄さの中で今何とか進めようとしているということでありますので、これはしっかり国際連携を図りながら、しっかり言っていかなきゃいけないと思っています。  この間の豊渓里、これはメディア上の問題なのかもしれませんけれども、この豊渓里の坑道爆破については、これは検証可能じゃないんじゃないというような報道、見解ぶりがちょっと少なかったような気もしています。そういう意味では、各国政府が、爆破したことは一定の評価はするけれどもやはり検証可能ではないという指摘を、もっともっとやはり発信していかなきゃいけないんじゃないかなというふうには思いましたので、そういった情報発信も含め、各国政府連携も含め、ぜひ留意をして進めていただきたいなというふうに思っているところであります。  次に、手話言語の国際デーについて。  昨年国連で、これは日本提案者となって制定をされ、ことしの九月二十三日がこの手話言語の国際デーというふうになります。現在のところ、この手話言語に関しましてはいろいろ社会的に理解も進んでいますし、手話を広める知事の会は四十七都道府県全ての知事が入会をし、各自治体において、市区町村も含めですけれども、今百七十八自治体が手話言語の条例も制定されているところであります。  国会においても、今ユニバーサル社会の実現に向けてという議員立法がなされようとしていますが、その過程の中でも、手話言語法というのをつくった方がいいんじゃないかという意見も、党派を超えて意見表明されている議員もいました。  そういう中での国際デーが制定され、ことしからこの取組が始まりますけれども、まずはこの国際デーをきっかけとして、どのように社会全体に意識の向上を図っていくのか、とりわけろうあ連盟の皆様方堀井さんも会われていたところでありますけれども、この取組についてまずお伺いをいたします。
  76. 中根一幸

    ○中根副大臣 ありがとうございます。  昨年十二月に、第七十二回の国連総会におきまして、この今先生が言われました手話国際デー決議が行われ、我が国もこの共同提案国となる形で無投票採決されたわけであります。同決議では、毎年九月の二十三日、手話の国際デーと定めまして、手話の認知度を高めるために各国で毎年国際デーを祝うこと等を求める内容の記載がされていると承知しております。  政府としては、手話を含め障害者が円滑に意思表示やコミュニケーションを行うことができるよう、本年三月に閣議決定された第四次障害者基本計画に基づき、手話通訳などを担う人材の育成の確保、そして電話リレーサービスの実施体制の構築、字幕放送、解説放送、手話放送等の一層の普及などの施策をそれぞれの省庁で着実に実施していく考えでおります。  外務省としても、本決議の採択を契機に、引き続き障害分野の国際協力並びに国連を始めとする国際社会における議論に積極的に参加、貢献する考えであり、国内施策を担当する関係省庁とともに連携しつつ、手話に対する意識向上、促進、普及に取り組んでまいりたいと思います。
  77. 小熊慎司

    ○小熊委員 これ、堀井さんに答えてもらえばよかったね、会っていたからね。でも、堀井政務官も中根外務大臣も同じ大学だから、まあいいんだけれども。  これ、今答弁の中でちょっと足りていないのがあるんですよ。これは手話言語国際デーなんです。手話言語法を目指したい、手話言語の条例も制定しているって、これは国内でも私もいろいろ取り組んで、自分なりにも手話言語法というのを法制局とつくってみましたけれども、法制局とかほかの慎重論を唱える議員としゃべると、手話が言語だという規定が難しいという議論があります、日本の中では。そういうレポートも参議院の法制局の方で出されたこともありますけれども。  これはもう二周、三周おくれの考え方で、実際はもう整理されていて、例えば隣の韓国は、手話言語はもう、手語という言葉までつくって言語の一つとして規定していますし。そういう意味では、これは手話言語という概念を、手話の方々がどう社会活動をしやすくするかということの啓蒙ではなくて、意識発揚ではなくて、まず手話が言語だという概念をしっかり広めるということも実はこの国際デーの、だから手話言語国際デーなんですよ。手話の国際デーじゃないんです。  この意識を持って広めていくことが重要だというふうに思いますが、本当は堀井さんに答えてほしいところだけれども、中根副大臣、もう一度お願いします。手話言語という概念をちゃんと広めるということが意識として必要だということ。
  78. 中根一幸

    ○中根副大臣 委員、ありがとうございます。  今言われた意味もしっかり含めて対応していきたいと思っております。
  79. 小熊慎司

    ○小熊委員 いろいろな具体的な施策のほかに、やはり価値観とか意識の部分の変換が必要ですから、その点は、堀井政務官が造詣が深いと思いますので、ぜひしっかり取り組んでいただきたい。概念をしっかり規定をしていくということです。日本社会の中で手話は言語だということをしっかり広めていくということもこの国際デーには込められていますので、ぜひよろしくお願いいたします。  次に、医療ツーリズムについてお聞きをいたします。  これは、本当は医療ツーリズムという言葉も使っちゃいけないというふうに指摘されていることも踏まえて、あえて使っていますが。というのは、あくまでも医療は算術ではありません、産業ではありませんという前提に立てば、医療ツーリズムという言葉は本当はよろしくないんですが、今一般的にちょっと広まっているのであえて使わせていただきます。  これは民主党政権から始まった話です。その後、自民党政権に移って、より進化はしています。いろいろな最初の出だしのふぐあいも修正はされているところです。  先ほど言ったように、医療は算術ではありません、産業ではありません。これは公的な、公益性の分野でありますけれども、一方で、この医療ツーリズムによって病院の経営が安定をしていくという側面もあります。ですから、患者数が少ないところに海外から来た人を呼び込んで、その地域の病院を維持するという側面もあるのも事実ではあります。  また一方で、医療に関しては税金が伴っておりますから、税金を払っていない人が日本の医療の恩恵を受けるということのバランスが必要で、説明も必要だというふうに思っています。  この医療ツーリズムに関しては、最初はもちろん、インバウンドの一つの手段として導入された側面もあるのは否めません。でも、今は、医療に国境はないという観点から、また、いろいろな医学界の技術の進展、また医療の経営の安定性といった側面から、これが推進をされています。ただ、厚労省と経産省と、ちょっといろいろ反りが合わない部分があるのも事実ではありますけれども。  ただ、いずれにしろ、この公益性のバランス、これはモラルハザードに行きかねないところがありますから。逆に、海外の人がいっぱい来ていて地元の人が通えなくなったなんということがないようにしなきゃいけない。  この公益性のバランスに関しては、明確なガイドラインとか指標があるわけではないです。病院ごとによって違う。やめてしまった病院もあるということでありますから、明確なガイドラインが必要だというふうに思いますけれども、この対応についてお伺いいたします。
  80. 江崎禎英

    江崎政府参考人 お答えをいたします。  今議員御指摘の医療ツーリズム、あえてということでしたけれども、医療インバウンドにおきまして、この適切な推進につきましては、平成二十七年六月に内閣官房医療国際展開タスクフォースにおきまして、医療渡航支援企業の認証や情報発信についての考え方を取りまとめたところでございます。  これを受けまして、経済産業省におきましては、昨年度、外国人患者の医療渡航促進に向けた医療コーディネート事業者のあり方に関する研究会を、厚生労働省、日本医師会、日本病院会等の参加のもと、開催したところでございます。  この中におきましては、今、議員御指摘ありましたように、現在、日本の高度な医療を求めて訪日する外国人が増加しており、これらの患者に対して医療サービスを提供することは国際貢献の観点から重要であること、また、こうした医療渡航者を受け入れることは、日本の医療機関にとっても、医療資源の活用を促進し、より高度な医療機器・サービスを導入する契機となり得ることから、地域医療における医療提供の確保を前提に、受入れを行うことを確認したところでございます。  さらに、具体的な取組といたしまして、受入れ意欲と能力を有する医療機関をジャパン・インターナショナルホスピタルズ、JIHと呼んでおりますが、として推奨する制度を立ち上げまして、外国人医療渡航受診者の適切な受入れと実態把握に努めているところでございます。  今後、実際の受入れ状況を踏まえながら、厚労省始め自治体、医療関係者等と連携しつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。
  81. 小熊慎司

    ○小熊委員 今の説明ありましたけれども、今、お配りの資料に載っている、経産省の資料ですけれども、医療ビザの発給件数というのは激増しています。よく見てみると、中国が一番多い。めちゃくちゃ多いんですけれども。  それにしても、今言った、医師会とかいろいろな関係団体との協議の中でも、課題というのは何だろうというと、言語の問題が出てきます。今は中国だけですが、今後、ある意味、アジア地域の医療ツーリズム、伸展が激しい。その隣の資料を見てください。タイがすごく多いんですけれども。  こういう中で言うと、一言語だけでは対応もできなくなってきます。命にかかわる現場でもあるので、言葉のコミュニケーションがしっかりなされていかなきゃいけないという意味では、いろいろな課題がある中で、やはり一番先に上がってくるのは言語への対応、多言語への対応だということになってきますので、この点については、課題解消についてどういう取組しているのか、お聞きいたします。
  82. 椎葉茂樹

    椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。  平成二十九年の訪日外国人は二千八百六十九万人に上り、今後のラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックを控えまして、訪日外国人の増加が見込まれる中、医療現場における多言語対応でございますが、訪日外国人患者が安心、安全に日本の医療機関を受診できる体制を整備するためにも、大変重要な要素の一つであると考えているところでございます。  厚労省といたしましては、これまで医療機関における多言語対応を支援するために、受診申込書、また問診票、同意書、請求書等の多言語資料の作成、また、医療通訳者の医療機関への配置、そして医療通訳者を育成するためのカリキュラムの作成などの取組を行いまして、厚生労働省のウエブサイトへも掲載しているところでございます。  委員御指摘の多言語対応に向けた課題といたしましては、特に、小規模な医療機関における医療通訳者の確保や希少な言語の医療通訳者の確保が挙げられるところでございます。  このため、これまで実施してきておりました医療通訳者の配置や質の向上のための取組に加えまして、平成三十年度からは、遠隔地でも希少言語を含めて対応可能な電話通訳サービスの利用を促進するための補助事業を開始し、各医療機関の実情に応じた取組支援しているところでございます。  こうした取組を通じまして、訪日外国人の方が安心して医療機関を受診できる体制の整備に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。
  83. 小熊慎司

    ○小熊委員 これだけ激増、そのグラフにあるとおり激増していますから、多分、現実はなかなか追いついていないというふうに思っています。  私の地元でもやっていることは、民間の大きい病院ですけれども、研修生を受け入れていれば、医療通訳士じゃなくてもその国の言葉は何とかできるというのがありますので、そういう人事交流も含め対応していくという、いろいろな、多角的にトライしていかないと、医療通訳士だけでは多分間に合いません、これだけの激増に追いつくという意味では。  そういう意味では、研修医の交流を逆に活発にさせていくことによって多言語にも対応するということももうちょっと工夫をしていただきたいと思いますし。言葉の間違いでもし命が失われたとしたら、日本の医療業界のブランドに傷がつきます。もちろん失ってはいけない命の問題でもありますから。だから、そういう意味では、しっかりこれは対応していただきたい。  多角的なアプローチも検討していただくことをお願いを申し上げて、次に移りますけれども。  他方で、これはそのまま、丸々お金を払っている患者さんもいれば、外国人であっても保険が使えるパターンが幾つかあります。これは詳細に私も調べているわけではないですが、現場の声を聞くと、明らかに不正をしているなというのがわかっても、病院からすればお金が入る話だし、目の前に患者さんがいるから、片目をつぶっているみたいなところがあるんですけれども、だから実態把握もなかなかできていないけれども、明らかに保険制度の悪用をしているケースがあるという指摘がなされています。医療の現場から上がりにくい案件でもあります。まして、多額の税金が使われます。  医療費が年々ますます日本において増大している中で、日本の善意で始まっているものを悪用している件数を、このモラルハザードをしっかり何とかしていかなければ、これは件数がますますふえますから、だから比率でいえばそっちもふえていくということになってきます。ただ、これをぎっちりやり過ぎると、医療ツーリズムが崩壊をします。絶妙なバランスというか、だめなものはだめですけれども、これもやりつつ伸展も充実化も図っていかなきゃいけない点もありますから、これについての対応はどうしますか。
  84. 高木美智代

    ○高木副大臣 委員御指摘のとおり、公的医療保険制度につきましては、その財源は被保険者が負担する保険料や公費でありまして、制度の信頼を確保するためにも適正な資格管理に努める必要があると認識しております。  まず、健康保険制度につきましては、雇用関係と扶養関係を基礎として、国籍や居住地を問わず被用者とその家族が加入する仕組みであるわけですが、これまで、海外居住の被扶養者の認定の確認方法が保険者によって不統一であるといった課題がありました。そのため、本年三月、通知を発出いたしまして、公的証明書等により確認するといった統一的な取扱いに改めたところでございます。  また、国民健康保険制度につきましては、中長期在留者また特別永住者などの住民基本台帳法の適用を受ける場合など一定の条件を満たす外国人については適用対象としておりますが、在留資格に沿った活動を行わず高額な医療を受ける外国人被保険者がいるのではないかという指摘もあるところでございます。  こうしたことを踏まえまして、本年一月から、市町村は、在留資格の本来活動を行っていないと判断した外国人を入国管理局に通知をする、そして、入国管理局でその事実が偽装滞在と判断した場合、市町村は、被保険者資格を取り消し、給付の返還請求を行うなど、市町村と入国管理局が連携する新たな枠組みを創設したところでございます。  引き続き、各保険者におけるこうした資格の適正管理のための取組を徹底してまいりたいと考えております。
  85. 小熊慎司

    ○小熊委員 高木副大臣は真面目な方なのであれですけれども。  これはもちろん、偽装はだめなんですよ、偽装はもちろんだめ、それはちゃんとやっていかなきゃいけないけれども、一方で、今の現行制度で、書類もそろっている、条件も合致している、でも明らかに制度のすき間を縫っているなという案件があるんですよ。本来的な目的ではなくて、ただ制度上合致しちゃっている、その人は。そういうテクニックを使って保険を利用しているという点もあって。  先ほど言った公益性、公平性というのはしっかり確保していかなきゃいけないので、現在の制度上で偽装はちゃんと見破って摘発をしていってほしい、対応をしていってほしい。だけれども、現在の制度の本来的な目的ではなくただルールにはちゃんと合致をしているという場合も見直しをかけて、はっきり言えばハードルを上げてほしいという話です。これは悪用でもない、合致はしちゃっているけれども、常識的には目的とはちょっとずれているよねというものがあるんです、今の制度のままであれば。だから、制度の見直しを図っていただきたい。これについてはどうでしょう。
  86. 高木美智代

    ○高木副大臣 まず、ただいま申し上げましたように、本年一月、三月、それぞれこのような形で新たな確認の手法等を変えたところでございます。  そこで、今御指摘の、例えば今もう既に国保の中に入っているという方たちもいらっしゃいます。その方たちについては、例えば限度額適用認定証、要するに、高額医療を使うときの申請というのが市町村に参ります、それを一つの確認のタイミングといたしまして、やはりこれは確認に次ぐ確認を重ねていくしかないというふうに考えております。
  87. 小熊慎司

    ○小熊委員 ぜひ検討していただきたい。  ちょっと一点だけ指摘をしますけれども、例えば、こっちに会社があれば、ペーパーカンパニーを使って、それでやれちゃうというのがあります。高額医療になる場合は、五百万ぐらい捨て金で会社をつくって、やろうと思えばやれちゃう。こういったようなのは、でも、それは合致しているんですよ、ルールに。確認したって、ルール上は合致しちゃっているんですよ。オーケーなんですよ。だけれども、本来的ではないんですよ、本当はね。  だから、これはしっかりと、現行制度をもう一度よく見直してやっていただきたい。高木副大臣みたいに性善説で相手してもいい人ばかりでもないので、これはしっかり厳しい目でもう一回見直しを図っていただきながら、公益性を確保しつつこの医療ツーリズムの伸展に取り組んでいただきたいということを指摘して、次に移ります。  たびたびやっています学校保護宣言ですけれども、これはゴールデンウイーク前の質疑で、大臣、署名を集めている高校生と会いますといって、確認したら全然会っていないんですけれども、大丈夫ですかね、今後会っていただけますか。
  88. 河野太郎

    河野国務大臣 お目にかかろうとは思っておりますけれども、一つは、国会会期中でございますので、これは学校を平日休んで来てもらわなきゃいかぬということになると、済みません、国会日程で空振りになりましたというわけにはなりませんから、国会が閉じた後お目にかかるということに一応しようと思っております。  それから、今、政府内でこれについて検討を進めておりますので、来てもらう以上、しっかりとした回答ができるようにしたいというふうに思っているところでございます。
  89. 小熊慎司

    ○小熊委員 平日でも、実はきょう高校生たちが来ます、国会に。これは公明党さんの青年局とお会いになる。夕方です。夕方であれば別に学校をやっている平日でも大丈夫でありますので、平日の夕方も含め、お会いいただくことをぜひ検討して。会いますと言いましたから、内容も含めですけれども、とりあえず会って署名を受け取るということです。  ちゃんとしたコメントをしたいというのじゃなくて、政府のコメントの前に、まず署名を受け取っていただいて、返答は後日でもいいですから、近々にぜひ調整をしていただきたいと思いますし、きょうは公明党さんの青年局の方々がその高校生たちと会いますから、同じ与党の公明党さんからもその事情を聞いて、ぜひ大臣の日程を調整していただきたいと思います。  ちょっとこの点については、今多分、政府がいろいろ慎重に当たっているというのは、ガイドラインの一から六までの間の中で、これは、万が一という場合に自衛隊が支障を来すということを想定して慎重になっているんじゃないかと。一から六まで、どういった点が支障を来すと想定しているのか、お伺いをいたします。
  90. 岡真臣

    ○岡政府参考人 お答え申し上げます。  学校保護宣言、そしてそのガイドラインに関する御質問でございますが、まず、自衛隊法第八十八条第二項にも規定されておりますとおり、防衛出動を命ぜられた自衛隊が武力の行使をする際には、国際人道法を含む関連国際法及び慣例を遵守することは当然であり、その際、民間施設や子供を含む民間人への被害を回避するよう努めることは当然のことであります。  その上で、御指摘のガイドラインにつきましては、既存の国際人道法の義務を超える内容が言及されており、その用語の意味についても不明確な部分があると承知をしております。  したがいまして、まずは、これを支持することによって何が求められることになるのかといった点ですとか、とるべき具体的な措置というのは何なのかといった点についてより明確化することが必要というふうに考えておりまして、自衛隊の活動にこのガイドラインがいかなる影響を及ぼすかということについて、現時点で予断を持ってお答えすることは困難であると考えております。  いずれにいたしましても、防衛省・自衛隊といたしましては、防衛出動や国民保護等派遣などに際し、国民の生命、身体、財産を守り抜くという任務が万が一にも果たせなくなるようなことのないよう、関係省庁と協力連携しつつ、引き続き慎重に検討してまいりたいと考えております。
  91. 小熊慎司

    ○小熊委員 これは木原さんがいろいろ骨折ってやっていただいて、四年以上にわたる起草の中でも、日本が大きな役割を果たしてきたものでありますけれども。  今、慎重な対応をするというような趣旨のことがありましたが、実際、いろいろ聞いてみると、実は、ガイドラインの一と五は想定しているという話でありました。一と五については想定しているということでありますから、とりわけこのガイドラインの一と五、これを乗り越えるためにどうかということは、ぜひ、外務省防衛省としっかり検討していただいて、このガイドライン一と五を想定するのであれば、しっかりこれを乗り越える対応の中で、この学校保護宣言に署名をしていただきたいと思っていますので。その一と五について、より深い検討を図っていただくことを指摘させていただき、また、大臣におかれては、近々に署名を受け取るということをまずやっていただきたいということをお願い申し上げて、次に移ります。  先日、福島県内のいわき市で行われた島サミット、PALM8でありますけれども、非常に、7より8、更に進展をしたなということで、大変評価をするところでもありますし、大臣始め外務省皆さん取組には大変感謝をいたします。  また、さまざまなレセプションでは、福島のお酒を始め、また、急遽提案をさせていただいた、日本で二つしかない天然の炭酸水の産地が福島県の金山町にありまして。一つは大分のところにありますが、これは硬水です。軟水というのは会津だけにあるんですけれども。この炭酸水も、大臣提案をさせていただいたら、一言で、分科会の方で使っていただき、飲んでいただいた各国首脳には大変喜んでいただいた。そういった話も含め、大変成功したなというふうに思っています。  今回は、ちょっと通告に漏れちゃったんですけれども、新たなメンバーが、フランス領ポリネシアとニューカレが入りましたけれども、これは国ではないんですね。国ではない、まさに島。でも、これは、いわゆる島嶼国の脆弱性といったものは、例えばODA対象国じゃなくても支援をしていくというのは、CARICOMでも示された一つの方向性、哲学です。そういう意味では、国であろうとフランス領であろうとというところがありますが、ポリネシアやニューカレドニアに関して、でも、普通の独立国とはやはり違う支援はしなければいけないというのは現実的だというふうには思います。  そういう意味では、こういった国々への連携支援について、改めてお伺いをいたします。
  92. 相木俊宏

    相木政府参考人 お答えを申し上げます。  仏領ポリネシアとニューカレドニアの太平洋・島サミットへの参加につきましては、日本と太平洋島嶼国・地域が共通の課題に対処をし、パートナーシップを強化する上で望ましいとの観点なども含めまして、総合的に検討した結果、今般、日本政府として招待を決定したものでございます。  太平洋・島サミットの枠組みなどを通じまして、気候変動、防災などの、地域が抱える諸課題への対応を一層強化するべく、仏領ポリネシア、ニューカレドニアとの間でも連携を強化してまいりたいというふうに考えております。  また、仏領ポリネシア、ニューカレドニアの本国でありますフランスとの間におきましても、インド・太平洋地域における連携協力を強化する方針一致をしておりまして、今回の太平洋・島サミットへの参加も踏まえまして、これらの地域における日仏協力も一層強化するべく取り組んでまいりたいと考えております。
  93. 小熊慎司

    ○小熊委員 独立国ではないので、直接的な投資というのは難しいとは思います。ただ、必要なことは、やはり、人的交流、交流人口をふやしていく。観光面もあるし、まさに教育の分野で人的交流をふやしていくということをとりわけやっていかなきゃいけないですし、あとは民民の、いわゆる官から民へではなくて、民民のいわゆる経済協力を促進しやすいようにしていくということが、この独立国じゃない地域への貢献の仕方かなというふうに思いますので、とりわけそういった、今回、学生の交流も前回よりまたふやしているわけでありますので、そういった点を、特に直接的にODAを出せない島に関しては、意識をしてやって、連携を深めていただきたいと思っています。  そういう点においては、ちょっとこれは時間がないので質問を省きますけれども、この島サミットの参加国、今、アメリカやニュージーとかがどんどんどんどん投資を引き揚げているので、国際支援を引き揚げているので、中国の台頭が著しくて、しかも、対中債務がこの国々の問題にもなっています。  この島国は、驚くべきことに、驚くというか、台湾と国交を結んでいる国も多い。それを、陰に陽に圧力を中国からかけられているところもあります。もちろん、中国をとるのか日本をとるのかというような、そういう瑣末な形で島々に当たってはいけないと思っています。日本と島との関係でしかないと思っていますが、とはいえ、傍若無人な、本当にその国の、島の発展につながらないようなものに対してはやはり排除、排除というか、守っていかなければいけないという点については、この対中債務の問題に関しても、しっかり島々への支援がなされるようにしていかなければならないというふうに思っています。  かといって、では、日本中国以上にお金を出せるというわけではない。そこは質で担保するということ、質の担保というと、やはりお金の額でいえば負けていますから、では質の担保というのは何かといえば、人的貢献が一番影響が大きいと思いますから、そういう面も含めて、より一層の人的貢献をしていく、交流をしていくということを意識していただきたいというのを指摘して、島サミット最後質問です。  首脳宣言は非常にすばらしいものでありました。しかしながら、ここに東日本大震災という言葉はあって、原発事故災害というのがないんですよ。これは、復興も情報発信をしていくということでのPALM8でした。これは何で削られたんですかね。何で原発事故災害という言葉が入らなかったのか、東日本大震災だけになったのか、お答えください。
  94. 中根一幸

    ○中根副大臣 ありがとうございます。  これは、東日本大震災は、津波、地震、原発事故、これの複合災害でありまして、今回の首脳宣言に用いた東日本大震災の文言は、今お話がありました東京電力福島第一原発事故についても含意するものであると考えております。
  95. 小熊慎司

    ○小熊委員 復興副大臣、来ていますか。それでいいんですか。
  96. 土井亨

    ○土井副大臣 小熊先生には、地元の議員として大変御尽力をいただいておりまして、改めて敬意を表させていただきたいと存じます。  ただいま外務大臣からお話しいただきましたこの文言等々につきましては、たびたび先生から御指摘をいただいていると承知をいたしております。  今回の島サミットにおきましては、吉野大臣が参加をさせていただきながら、原発事故等々に対しての政府取組また考え方各国、島嶼の首脳皆さん方に御説明をさせていただいております。  残念ながら、言葉が含まれていなかったという点は重々承知をしながら、私どもも、複合災害であり、原発事故は当然含まれているもの、そういうふうに承知をいたしておりますし、大臣にも参加をしていただいて、その旨しっかり伝えさせていただいているというふうに認識いたしております。
  97. 小熊慎司

    ○小熊委員 これはだめなんですよ。含まれているという考えはだめだというのは、逆に、吉野大臣が、昨年、安倍総理が慰霊祭のときに原発事故災害という言葉を使わなかったからこれはよくないということで、吉野大臣が、ことしの慰霊祭の追悼の言葉には入れるようにというのを言ってあるんですよ。  これは、大震災がきっかけで原発事故が起きていますけれども、質が違うんです。地震と津波。原発事故災害は今でも継続中の災害です。風評被害を始め、まだまだ拡大しているものもある。被害が固定化しない。これはやはり別建てでやらなければ、それは包含はしない。包含するという考えは捨ててください。だから、吉野大臣だって総理に言ったんですよ、ことし、追悼文にちゃんと入れるように。  これは、だから、聞きましたよ、包含されていると。とんでもない。それは被災地になんか寄り添っていない。  まして、復興副大臣、その考えは捨ててください。そのもとに大臣は言ったんですから、総理に。同じですよ。東日本大震災に原発事故災害は含まれていません。包含するというのはとんでもない考え方です。吉野大臣にもう一回指導を受けてください、それ。  外務省においても、これは包含するという説明を受けました、とんでもない。全閣僚が復興大臣という気持ちでやるというのが安倍内閣でしょう。なっていない、その象徴です。これが風化の一つです。  土井副大臣、包含しているなんて言葉は捨ててください。もう一回。
  98. 中山泰秀

    中山委員長 土井復興副大臣、申合せの時刻が来ておりますので、答弁は簡潔にお願いします。
  99. 土井亨

    ○土井副大臣 大切な御指摘、ありがとうございます。  もう先生からは、この問題についてはたびたび御質問、御指摘をいただいております。包含ではなくて、原発事故というものを率直に、緊張感を持って受けとめて、政府一体として取り組んでいく、その姿勢をしっかりと打ち出してまいりたいと思います。
  100. 小熊慎司

    ○小熊委員 これは私の個人の考えじゃないです。地元の新聞記者も、首脳宣言が出たときに地元の記者会見で指摘をされています。これは県民の意識です、県民の願いです。ぜひこれは復興庁が中心となって各省庁に徹底をさせてください。包含なんかはしない、ちゃんと並列で語る。ぜひお願いをいたします。  最後質問を残しましたが、森友問題については、谷さんに関して国会招致を各党が申入れをさせていただいていますので、これは今外務省職員というふうになっていますから、ぜひこの点について協力をいただけるよう外務大臣に申し上げまして、時間が来ましたので、質問を終わります。  ありがとうございました。
  101. 中山泰秀

    中山委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  102. 中山泰秀

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡田克也君。
  103. 岡田克也

    ○岡田委員 それでは、まず、先般の日ロ首脳会談について、外務大臣と議論したいというふうに思っております。  五月二十六日のプーチン大統領との日ロ首脳会談において、共同経済活動の実施に向けた作業が新たな段階に入ったということが確認された、今後、事業者の特定を行うとともにビジネスミッションを四島に派遣することになったという発表がなされました。他方で、法的基盤の諸問題についての進展はなかったと報じられております。  この法的基盤の諸問題ということについて少し議論したいと思うわけですが、まず大臣、法的基盤の諸問題というのは具体的にどういった問題なのか、国民にもわかりやすいように説明をしていただきたいと思います。
  104. 河野太郎

    河野国務大臣 日本ロシアと、それぞれの立場が違うわけでございますから、双方の法的立場を害することなくこうした共同経済活動をやらなければなりませんので、お互いの法的立場を害することなくどういうふうにやるかというのが、この法的基盤の問題の難しいところでございます。
  105. 岡田克也

    ○岡田委員 お互いの法的立場を害することなくというのは、具体的にどういうことですか。
  106. 河野太郎

    河野国務大臣 この北方四島につきましては、それぞれの政府がそれぞれの立場を主張していることでございますので、それぞれの立場を害することない枠組みでいろいろなことをやっていかなければいけないということでございます。
  107. 岡田克也

    ○岡田委員 もうちょっと具体的に御説明いただけますか。  そのお互いの立場を害することなくというのは、例えばこういうことだという御説明がないと、国民にはわからないと思うのですが。
  108. 河野太郎

    河野国務大臣 例えば北方四島へのビザなし訪問のようなことだと思っていただければよろしいかと思います。
  109. 岡田克也

    ○岡田委員 例えば法律の適用の問題ですね。例えば、共同事業を行うということになると、日ロで事業者が例えば合弁事業を立ち上げるとか、そういうことも考えられる。そのときに、契約法、商法とか民法の適用というのはどうなるのかというのが、これは法的基盤の諸問題の具体的な一つの例ではないかというふうに思うわけです。  ロシアの商法や民法、そういう名前の法律があるかどうかわかりませんが、そういったことが適用されるということであっては、これはロシアの主権を認めたことになるし、といって、日本の商法、民法の適用ということにも、それはロシアは認めない、そこでどういう知恵が出るかということで私は議論しているというふうに思うわけですが。具体的にどういった方向で議論されているんですか。
  110. 河野太郎

    河野国務大臣 今申し上げましたように、双方の法的立場を害さないでどういう枠組みができるだろうかというところにクリエーティブに知恵を出そう、そういうことでございます。
  111. 岡田克也

    ○岡田委員 この共同経済活動という話が持ち上がったのは二〇一六年十二月のプーチン大統領の訪日時、たしか山口で会談もされた、そのときの話だと思うんですね。もう一年半前の話であります。  そして、その中で、特別な制度とか新しいアプローチということで、何か大きな前進が期待できるかのような、そういった打ち出し方だったと思うんです。あれから一年半たって、具体的にこういう問題についてこのようなことが今議論されているとか、あるいは合意がされたとか、そういったことについて、一例でいいですからお話しいただけませんか。
  112. 河野太郎

    河野国務大臣 おっしゃられたように、一六年十二月の日ロの首脳会談で、プーチン大統領安倍総理は、平和条約を解決するみずからの真摯な決意を表明するとともに、この北方四島において、双方の法的立場を害することのない形で共同経済活動を実施するための交渉を開始いたしました。  具体的に、この七月、八月、事業者中心のビジネスミッションを四島に派遣する。その後、日ロ次官級協議を開催する。さらに、五件のプロジェクトの候補について、具体的に、海産物の共同養殖プロジェクト、温室野菜栽培プロジェクト、島の特性に応じたツアーの開発、風力発電の導入、ごみの減容対策、こういった具体的なプロジェクトの候補が絞り込まれてまいりまして、それぞれについて具体的な進展を確認していこうというところになりました。  真摯な決意が表明されてまだ一年半でございますが、少しずつこの共同経済活動が進んでいるというふうに認識できるのではないかと思います。
  113. 岡田克也

    ○岡田委員 先ほど言いましたように、先般の日ロ首脳会談で新たな段階に入った、そして、今大臣言われるように、事業者の選定、五つのプロジェクトについてそういう議論もされているということですが、私が不思議に思うのは、法律関係が、どういう法律が適用されるかすらはっきりしない。  北方四島で、日本の事業者が出ていって合弁事業をやるなり、養殖とか風力発電とか今おっしゃいましたが、それをやるときに、まあ日本の法律が適用されるということはないと思いますが、では、ロシアの法律が適用されるのか、あるいは第三の道みたいなのがあるのか、そういうことが全く明らかでない状況で、事業者を選定したり、あるいは、どうぞ出てくださいという話には絶対ならないと思うんですね。そんなことを無視して、いや、投資しますという事業者がいたら、私はお目にかかりたいと思うんですよ。  だから、この話はどこかおかしいというふうに思うんですが、いかがですか。
  114. 河野太郎

    河野国務大臣 少しずつ、このプロジェクトを具体的に進めるために、調査や協議を行っていこうと。最終的には法的な枠組みをどうするかということが決まらなければならないのでしょうけれども、例えば、一つ一つのプロジェクトについて、採算性はどうなのか、現実性はどうなのか、どんな手法が適用できるのか、そうしたことを視察し、考え、ある程度の準備をするということは恐らくできるんだろうと思います。  法的な枠組みが決まらなければそうした視察もできないということではないというふうに思いますので、どこかの段階でそうしたものが一つにまとまらなければならないと思いますけれども、枠組みができなければ何もやらないということにはならないのではないかと思います。
  115. 岡田克也

    ○岡田委員 物事の順序からいうと、枠組みがまずある程度明確になって合意される、その上で投資をという、普通、常識はそういうことだというふうに思うんですね。  例えば、パートナーとトラブルになったときに、どこの法律を使ってどういうふうに解決していくのかということが全く明確でない中で、それは投資家だって投資できるはずがないと私は思うんです。いかがですか。
  116. 河野太郎

    河野国務大臣 実際に投資をする前にさまざまなことを見きわめる、あるいは、投資をする可能性があるかどうかを視察する、こういうことはできるんだろうというふうに思っております。
  117. 岡田克也

    ○岡田委員 例えば、その事業所の中で犯罪があった。どこの国の刑法を適用するんですか、そして、どこの国の裁判所で争うんですか。
  118. 河野太郎

    河野国務大臣 どういう枠組みをするかというのを、そうした視察をしたり、いろいろ検討したりということと並行して決めていこうということでございます。
  119. 岡田克也

    ○岡田委員 どういう枠組みかというのは、これは事業者の問題ではなくて、国と国との話合いの問題、ある意味では切り離された問題、独立にこれはきちんと対処しなきゃいけない問題ですよね。その検討状況は、報道ではほとんど進んでいないというような報道もなされているわけですが、いや、そうじゃない、このぐらいのところまで来ているということがあれば、ぜひ国民にわかるように説明してください。
  120. 河野太郎

    河野国務大臣 この枠組みについては、検討しているところでございます。
  121. 岡田克也

    ○岡田委員 検討しているのはもう一年半前から検討しているんでしょうけれども、何かそれが合意ができる見通しが、ある程度あるんですか。もしなければ、今までやったこと、全部これは無駄になるんですよ。いかがですか。
  122. 河野太郎

    河野国務大臣 少なくとも、この北方四島の帰属の問題を解決し平和条約を結ぼうというゴールがある中で、さまざまクリエーティブに知恵を出そうというのが、最初から全部できなかったら無駄だと言っていたら、こんなものはできません。一生懸命、今、両国首脳が真摯な決意をあらわして、それぞれ両国の間で協議をしているわけですから、さまざまな努力をして、この四島の帰属の問題を解決し、平和条約締結に向けて努力をしている、その努力全部が無駄だとは私は思っておりません。
  123. 岡田克也

    ○岡田委員 今、帰属の問題の議論の話をしているのではなくて、その前に、共同経済活動をするという中でどういう枠組みでそれを行うかという、その話合いをまずしているはずですよね。それについて、今やっているというお話があるんですが、一体、果たして見通しがあるのかどうかというのは全く、御説明を聞いてもわからないわけです。  私が非常に恐れるのは、結局、功を焦って、最終的には、今実効支配しているロシアの法律とかロシアの仕組みの中でやっていくということになってしまったのでは、これは事実上、北方四島の帰属について既成事実ができてしまいますから、そうならないためにどういう知恵を絞っておられるのかということを聞いているわけです。何か少しぐらいは御発言があっていいと思いますが、いかがですか。
  124. 河野太郎

    河野国務大臣 この共同経済活動の実現に向けた取組を通じて、日ロがともに北方四島の未来を描いて、その中から双方が受入れ可能な解決策を見出していこうというのがこのアプローチでございます。  そのために、双方が未来志向の発想の中で、まず両方が受け入れられるようなものをクリエーティブに考えていこうということをやっているわけで、この北方四島の問題というのはこれだけ時間がかかって解決ができていないわけですから、半年、一年で解決ができるものとはお互いに思っていないだろうと思いますが、そんな中でも未来志向にやっていこうというところで、首脳が合意してさまざまな議論をしているわけでございますので、しっかりとこの努力を続けてまいりたいと思います。
  125. 岡田克也

    ○岡田委員 先ほど言いましたように、この話は二〇一六年十二月の首脳間での合意に基づいて、まずは共同経済活動で実績をつくろうということで始まったものですが、今のお話を聞いていても、実際の枠組みがこれは本当にできるのかな、できないんじゃないかという、そういう懸念さえあるわけですね。  結局、その共同経済活動というところに焦点が当たっている限り、その先にある領土交渉というのは、ある意味では完全に足踏みしてしまっている。だから、こういう、まず共同経済行動をやる中で領土問題に打開策を見出していこうというアプローチそのものが、私はもう限界にぶち当たっているんじゃないかと思うんですね。それよりは、やはり領土交渉そのものをしっかりと正面からやるべきじゃないか、そういうふうに私は思うわけですが、大臣の御見解を聞きたいと思います。
  126. 河野太郎

    河野国務大臣 岡田委員外務大臣をやられておりましたから、この日ロの領土交渉がどういうものかというのは、よく御存じのはずだと思います。
  127. 岡田克也

    ○岡田委員 わかりませんので、御説明ください。
  128. 河野太郎

    河野国務大臣 日ロのこの北方領土の問題は、ずっと長きにわたって未解決でございますから、少しクリエーティブなアプローチをやっていこうということで、双方の首脳が合意をしてこのアプローチをスタートいたしました。まだスタートして一年半足らず、一年半少しでございますか、ということでございますので、しっかりこの努力を続けてまいりたいと思います。
  129. 岡田克也

    ○岡田委員 私は、このアプローチが成功しているとは思えないわけですね。二〇一六年十二月には、先ほど言いましたように、特別な制度とか、新しいアプローチということが強調されました。今回の首脳会談では、新たな段階に入ったと。言葉は躍るわけですが、実際の基本となる法的枠組みの基盤のところの議論というのは、今大臣の御答弁を聞いても何もわからない。途中だから言えないという部分はあるかもしれませんが、しかし、多少お話しになってもいいにもかかわらず全然出てこない。  だから、私は、この共同経済活動というアプローチがうまくいっていないんじゃないかということを申し上げたいわけです。  何か、やっている、やっているという印象を国民に与えるには成功しているかもしれませんが、実際の実績が一年半たっても出てこない。それは、事業者の選定はいいですよ、そういうことで受ける事業者が出てくれば。だけれども、実際にそれが事業展開できるかどうかというと、枠組みが明確にならない限りできないわけですから。  この間、ロシア連邦やサハリン州の北方四島に対する投資といいますか予算というのは急激に拡大をしています。中国韓国企業投資も進んでいる。そして、安全保障面では、地対艦ミサイルの配備も新たになされた。  ですから、この数年間で、私は、北方四島が日本に帰属する、北方四島、北方領土の問題が解決するという、むしろそこから遠ざかってしまっているんじゃないかという懸念を持つのですが、今申し上げた、州政府やあるいは連邦政府投資が行われたり、外国企業投資が行われたり、ミサイルが配備をされていることについて、大臣はどう考えておられるんですか。
  130. 河野太郎

    河野国務大臣 今御指摘いただいたことは、我が国の立場とは相入れませんので、極めて問題であると思いますし、受け入れられない旨、ロシア側に申入れをしてきておりますが、そうした個別のこととは別に、この新しいアプローチをしっかり進めていく、そして、北方四島の帰属の問題を解決し平和条約の締結をしていく、そういう努力をしっかりやってまいりたいと思います。
  131. 岡田克也

    ○岡田委員 新しいアプローチを免罪符に、実際の領土交渉は全く進んでいないのではないかという疑念をここであらわしておきたいというふうに思います。  次に、北朝鮮の問題について少し議論したいと思いますが、きょうはストックホルム合意についてお話ししたいと思うんです。  北朝鮮はだまして核開発を進めてきたということがよく言われるわけですが、六カ国協議の話は、前回というか前々回いたしました。それから、米朝合意の話というのもありました。  しかし、日本が当事者という意味では、このストックホルム合意、ここから何を教訓として学ぶかということは、私は非常に重要なことではないかというふうに思います。当事者は、まさしく安倍政権そのものであります。  北朝鮮は、拉致被害者を含む全ての日本人に関する包括的かつ全面的な調査の実施を約束した。これは二〇一四年ですけれども、ストックホルム合意は五月です、七月に北朝鮮が特別調査委員会の立ち上げを発表。これを受けて、日本は、独自の対北朝鮮措置の一部を解除。十月には、外務省アジア大洋州局長を含む政府担当者が平壌に派遣されて、調査の現状を聴取。  この段階までは、国民は非常に大きな期待を持った。解決に向かって進むんじゃないかということでありますが、その後、少なくとも、目に見える動きというのはとまってしまった。  翌々年、二〇一六年一月の核実験、二月の弾道ミサイル発射、それを受けての日本政府による措置を受けて、北朝鮮は、ストックホルム合意の破棄を発表した。こういう流れであります。  私は、これは非常に珍しい外交失敗の一例ではないかと思うわけですけれども、なぜこのストックホルム合意の交渉はうまくいかなかったというふうに大臣考えておられるでしょうか。
  132. 河野太郎

    河野国務大臣 拉致問題が解決に至っていない中で、北朝鮮が安保理決議に明白に違反をして、核実験及び弾道ミサイルの発射を強行したことを受けて、二〇一六年の二月に我が国北朝鮮に対する新たな独自措置を発表いたしました。これに対し、北朝鮮は、我が国がストックホルム合意の破棄を公言したことになると一方的に主張し、全ての日本人に関する包括的調査の全面中止及び特別調査委員会の解体を宣言いたしました。我が国として、こうしたことは全く受け入れられません。  北朝鮮の意図についてお答えする立場にはございませんが、いずれにしろ、問題は、北朝鮮がストックホルム合意の履行に向けた具体的な行動を示さなかったことにございます。  北朝鮮の方から対話を求める中、この機運を拉致問題の早期解決にもつなげていく必要があるかと思いますが、我が国としては、引き続き、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けた具体的な行動を示すよう北朝鮮に向けてしっかり迫っていきたいというふうに思います。
  133. 岡田克也

    ○岡田委員 少なくとも、二〇一四年中はうまくいっているように見えていたわけですね。局長が平壌まで行って話合いをしている画像も随分流れました。その後、少なくとも、我々の目には突然動きがとまったように見えた。  この間、何があったのかというのは、核実験とかそういうのは更に一年後ですからね、一年間の間にどういうやりとりがあったのかということは我々はうかがい知ることはできないわけですが、外務省はわかっているわけですね。  では、具体的に質問しますが、拉致被害者あるいはその他の日本人に対しての一定の調査結果というのは、北朝鮮から日本に示されたんでしょうか。
  134. 河野太郎

    河野国務大臣 通告がなかったものですから、後で調べてお答えしたいと思います。
  135. 岡田克也

    ○岡田委員 通告しておりませんでしたので、今無理に答弁は求めませんが、大臣も、ここもよく調べられた方がいいと思うんですね。北の出方というのを知るために、ストックホルム合意をめぐる交渉というのは、日本が当事者ですから、私は非常に参考になるんじゃないかというふうに思うわけですね。  考えられる何らかの調査結果が出てきたが、極めて不十分で、日本としてはとても受け入れられないということで拒否したか、あるいはそもそも出なかったのか、これによっても北朝鮮の対応は違うということになるわけですから、ぜひここはお調べをいただきたいというふうに思います。  ストックホルム合意ができたときに、例えば菅官房長官も記者会見で、一年を超えることはないだろうと思っていると、これは二〇一四年五月三十日の記者会見ですね、そういうふうに一見楽観的な見通しを述べておられたわけです。  何か根拠がないとここまで楽観的になれないというふうに思うんですが、ストックホルム合意をしたときの日本政府あるいは外務省の、合意できる可能性が高いというその自信の根拠、裏づけというのは何かあったんでしょうか。
  136. 河野太郎

    河野国務大臣 二〇一四年五月二十六日から二十八日の日朝政府間協議の中で、北朝鮮側は、拉致被害者及び拉致の疑いが排除されない行方不明の方々を含む全ての日本人に関する包括的かつ全面的な調査を実施するということを約束いたしましたので、当時、北朝鮮はこの問題に前向きに、真摯に取り組むということだろうというふうに政府考えたとしても無理はないのではないかと思います。
  137. 岡田克也

    ○岡田委員 その調査、包括的、全面的な調査というのはなされなかったということですか。それとも、北朝鮮は、やった結果として何らかのものを出してきて、それはとても日本としては受け入れられないような、そういう中身だったということなんでしょうか。
  138. 河野太郎

    河野国務大臣 調べて、後ほどお答えしたいと思います。
  139. 岡田克也

    ○岡田委員 いずれにしても、これは日本が直接当事者となった話ですから、ぜひこれからの教訓にしていただきたいというふうに思います。  この北朝鮮をめぐる問題で、私、非常に気になっていることがあるのですが、ブッシュ政権で国務長官を務めたコンドリーザ・ライス、安全保障担当補佐官もやりましたが、彼女の回顧録の中に日本について触れている部分があるんですね。  その中で何て言っているかというと、まずその前に、ブッシュ政権の中で国務省と国防総省の溝は深く、また、国務省の中にも亀裂があったということを言っているわけです。これは当時のボルトン次官との対立などを言っていると思うんですが、同時に、日本についてこう言っているわけですね。小泉の退任後、とても国を前進させることができるとは思えないような首相が何人も続いた、日本訪問するのがどんどん憂うつになってきた。  私はかなり失礼な物の言い方だとは思いますが、しかし、同盟国であるアメリカの国務長官が日本総理あるいは日本に対して、行くことが憂うつに思えるようになってきたというふうに言っているというのは、これは、今はそうじゃないということだと思いますけれども、安倍さん、福田さん、麻生さんの時代のことを言っているわけですけれども、どう思われますか。なぜそういう感想になったんでしょうか。回顧録にわざわざ書かれているわけですね。
  140. 河野太郎

    河野国務大臣 アメリカの国務長官が退任後回顧録に書かれたことに、一々どう思っているかそんたくしても仕方がないわけでございますが、少なくとも現状、日米首脳は他国がうらやむほど長い時間を共有できるそういう関係を築くことができたというふうに思っております。
  141. 岡田克也

    ○岡田委員 これは時間じゃなくて中身の話だというふうに思いますが、こういうふうにも言っているんですね。もしかして日本は六カ国協議の失敗を望んでいるのではないか、そういうふうに感じることが多くなってきたと。こういうのは相当な表現だと思うんですけれども。  やはりこれだけ、私も外務大臣をやらせていただいて、日本としては一定の役割をしっかり果たしている、そういう自覚を持って外務大臣をやらせていただいたわけですが、アメリカから見るとこういうふうにも映っているのかなと、ややというかかなり寂しくなるわけですが、大臣、何か感想がありましたら。
  142. 河野太郎

    河野国務大臣 特に感想といっても、どういう思いで書かれたかというのをお話を聞いているわけでもございませんし、私、この回顧録は読んでいないものですから、どういうコンテクストで書かれているかもわかりませんから、なかなか申し上げるのは難しいところでございますが、今、日米は質、量ともにかなりいい関係をつくっている、そういうふうに認識をしているところでございます。
  143. 岡田克也

    ○岡田委員 最後に、大臣がきょう最初に言われた、外務省職員が非常に過重な残業、労働になっているというお話は、確かに大変重要な御指摘だと思いますし、私も外務大臣のときに、省の中でいろいろな議論をしてまいりました。ただ、しかし、一方的にそれを国会の審議ということにされてしまうと、その準備ということにされてしまうと、私は少し違うんじゃないかと思うわけですね。  もちろん、早く質問の趣旨を伝えるということは非常に大事なことだというふうに私は思います。私も役人時代、夜遅くまで答弁づくりに没頭したそういう時期もありましたので、少なくとも五時までには出すということは、この三十年近くの間、恐らく一回の例外もなくやっているつもりですけれども。  でも、同時に、やはり日程が決まらないと、本来であれば一日置いてその前日までに出すことになっていますが、委員会の日程そのものがなかなか決まらないということは現実にあるわけですね。それを議論するに当たっては、やはり大臣外交日程というのは非常に重要になってくるわけです。  先ほど議論に出た八日の日程もまだ何も決まっていないというふうにおっしゃいましたが、一部には報道されていて、八日行かれるか行かれないかでモントリオール議定書の審議の日程が変わってくるわけですね。  私に言わせると、八日行かれれば、実際の採決はその翌週にならざるを得ないというふうに思うわけです。そして、その日程がなかなか決まらないと、質問をする準備の時間がなくなって、ついついその質問の趣旨を伝えるのが遅くなってしまうということですから、外交日程、ざくっとはわかっているわけで、可能性がこのあたりはあるということは私はやはり理事会には前広にお伝えになる責任があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  144. 河野太郎

    河野国務大臣 そうしたこともあるということで、副大臣を認証官にし、副大臣国会で答弁できるということになっているはずでございます。残念ながら、そうしたことがこれまで行われてこなかったのも事実でございます。  このように、北朝鮮問題その他で外交がさまざま動く中で、外交日程というのは直前まで決まらないことがしばしばある。だからこそ、認証官の副大臣外務省は二人いただいているわけでございます。  日程その他につきましては国会がお決めになることでございますから、それは私がとやかく申し上げることではないというふうに思っておりますが、少なくとも、当時、大臣のもと、政務次官ではなく認証官の副大臣を置く、そういうことが与野党で合意をされて決められた、そういうことでございますので、外交日程に対しては一定の御配慮をいただけるものというふうに考えております。
  145. 岡田克也

    ○岡田委員 私が外務大臣のときの野党自民党は本当に激しかったですよ。本当に、平日、海外に出るというのは、よほど限られた、決められた会議しか許してもらえなかったですよ。副大臣はもちろんいましたよ。だから、今、声高に言われるのは私はいかがかと思いますよ。  やはり、これは話合いで、我々もむちゃを言うつもりはないんです。だけれども、なるべく早く日程を示して、そしてお互い合意形成できるようにもっと努力を大臣からもしていただきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。  終わります。
  146. 中山泰秀

    中山委員長 次に、穀田恵二君。
  147. 穀田恵二

    ○穀田委員 きょうは、まず、自民党の安全保障調査会と国防部会の出した提言についてお聞きしたいと思います。  五月二十五日、政府が年内にも策定する新たな防衛大綱と中期防に向けた提言をまとめています。  提言は、我が国を取り巻く安全保障環境は激変しており、戦後最大の危機的情勢を迎えると位置づけて、現在の防衛大綱が掲げる統合機動防衛力にかわる新たな概念として、多次元横断(クロス・ドメイン)防衛構想を提唱しています。陸海空に加えて、宇宙、サイバー分野も活用した軍事力の強化を求めています。  ことし三月に提示された提言骨子では、戦闘機の離着陸が可能となる多用途防衛型空母の導入やF35Bなどの取得が盛り込まれたが、今回の提言では、引き続きF35Bの取得を明記するとともに、「いずも」型護衛艦の改修を念頭に、多用途運用母艦の導入を挙げています。さらに、敵基地反撃能力の保有を提起し、長距離巡航ミサイルやイージス・アショア等々、共同交戦能力の導入などを列記するなど、三月の骨子と、違憲といいますか、憲法違反の本質は全く変わっていないのが特徴であります。その上で、提言は、これらの必要かつ十分な予算、基盤を確保するためにNATOが目標としている軍事費のGDP比の二%を明記しています。  安倍総理は、昨年の三月二日の参議院予算委員会で、安倍政権においてはGDPの一%以内に防衛費を抑えるという考えはないと答弁しています。河野大臣は、提言にあるGDP比二%という提起を是とされますか。
  148. 河野太郎

    河野国務大臣 防衛関係費のあり方につきましては、我が国防衛に必要な人員、装備品等の要因と安全保障環境等の対外的な要因等の双方を踏まえる必要があり、GDPと機械的に結びつけることは適切でないと考えます。  防衛省におきましては、これまでも我が国の平和と安全を確保するために必要な経費を計上しているものと承知をしております。  我が国を取り巻く厳しい安全保障環境を踏まえ、政府として、国民を守るために真に必要な防衛力の強化に引き続き取り組んでいくべきだと考えております。
  149. 穀田恵二

    ○穀田委員 結局のところ、要因をそれぞれ考えなあかんというのは、それはそちらの主張ですが、結局、二%を是とするのかということについては答えておられません。  では、山本副大臣にお聞きします。  GDPの二%に関して、安倍総理は、ことし一月三十一日の参議院予算委員会で、防衛費のGDP二%目標を掲げるべきとの御提言はしっかりと受けとめたいと答えています。この答弁からも、今後GDP比の二%というものもあり得るということなのではないか。  山本防衛大臣考えはいかがですか。
  150. 山本ともひろ

    ○山本副大臣 お答えを申し上げます。  委員御指摘の本年一月三十一日ですけれども、自民党の委員から、防衛関係費の対GDP比を二%にすべきではないかというような御質問をいただきまして、その際に、安倍総理からは、防衛費のあり方を検討するに当たっては安全保障環境等の対外的な要因を踏まえる必要があり、安倍内閣としてはこれまで一貫して、防衛費をGDPと機械的に結びつけることは適切ではないと御答弁を申し上げているところでございます。  各年度の予算は、我が国安全保障の基本方針である国家安全保障戦略や、防衛力の基本指針である防衛計画の大綱のもとに定められた、五年間の防衛力の整備計画である中期防衛整備計画に規定する防衛関係費の総額の範囲内において、合理化、効率化の努力を行いながら、我が国の平和と安全を確保するために必要な経費を計上してきているものであり、総理の答弁にもありましたように、GDPと機械的に結びつけることは適切ではないと考えているところでございます。
  151. 穀田恵二

    ○穀田委員 適切ではないというのは、そう言ってはるのは、山本副大臣のお考えはわかりました。  しかし、そのときに、総理大臣は、同じ日に、都合のいいところは使ってはるんですけれども、この一%枠ということについては既に閣議決定により撤廃をしております、しかし、現在、GDP比一%枠というものがあるわけではないわけでありますが、大体一%で推移しているのは事実であります、こうも言っているんですね。  だから、やはりそれが一つの基準であるということ、そして、この間の中でいいますと、それに、枠にとらわれずに、さらに、今お話があったように、あなたが、副大臣がおっしゃるように、厳しさを増す安全保障環境等を踏まえて、現在の中期防衛整備計画では五年間で実質平均〇・八%伸ばす計画になっておりまして、実際、五年連続で増額を図っているところでございます、こういうふうに、ふやすことについて答えているわけですよね。だから、そんなふうに、何か、枠にどうのこうのというより、きちっとそういうことについては言っているということが一つの問題だと。  しかも、この提言についてどう思うのかということについて私は聞いているわけですよね。つまり、二%にしようという提案を提言しておられる、それについてどう思われますか。
  152. 山本ともひろ

    ○山本副大臣 お答えを申し上げます。  御指摘の自民党の提言というものでございますが、私も報道等に接して承知はしておりますけれども、正式に政府に対して申入れがなされていませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。  その上で、防衛関係費のあり方につきましては、一般論として、今、河野大臣も御答弁されておられましたけれども、我が国防衛に必要な人員、装備等、そういった要因、あと安全保障環境の要因、さまざまな要因を踏まえつつ、GDPと機械的に結びつける必要性というものを適切でないという理解のもとで、防衛関係費を積み上げてまいりたいと考えております。
  153. 穀田恵二

    ○穀田委員 単なる比率だということではないんです。これはやはり、今までの政治の争い事の中で一%という問題がずっと議論されてきた長い経過があってということを忘れてはならないと思います。  しかも、ごらんになっていないと。それはないと思うんですよね。もしそうだとしたら、いつも何を見てはんのやろなと私は思わざるを得ないんですね。  だって、その提言をまとめた五月二十五日の合同会議には、省庁の出席者として、防衛省からも、大野大臣政務官、高橋大臣官房長、前田防衛政策局長、四幕僚の幹部など十数名が出席しているわけですよね。つまり、一体となって進めていて、それが今後の重要な内容にかかわってくるということになってきて、それを読んでいないと言われた日には、これほど大事な問題について、肝心の大与党である自民党が提言しているのを読んでいないとすると、何のための仕事かなと率直に思わざるを得ません。これは普通の人は誰かてそう思います。また、自民党の方が聞いたら、ほんまかいな、これほど大事な提言をしているのにと。  しかも、報道を見ている、それから、正式に提出されていない。だけれども、みんな出席者も知っているし、それから、提言も今週末ぐらいにはやるということをみんながおっしゃっているわけですから、きちんと見る必要があるだろう。  それじゃ、もう少し具体的に聞きましょう、せっかくですから。  一部報道によりますと、次期中期防での軍事費の年平均の伸び率について、現在の中期防の〇・八%を上回ると指摘されているけれども、これは事実ですか。
  154. 山本ともひろ

    ○山本副大臣 お答え申し上げます。  先ほど委員、今、私が読んでいないというふうに御指摘をされましたけれども、私は、報道等を通じて承知をしていますと申し上げているわけで、読んでいないとは一言も申し上げておりません。承知をしていますが、正式に政府に申入れをまだいただいていませんので、具体的なコメントは差し控えさせていただきますと申し上げただけで、読んでいないとは一言も申し上げておりませんので、訂正をさせていただきたいと思います。  御質問の件でございますが、平成三十一年度以降の防衛関係費のあり方につきましては、年末までに実施いたします防衛計画の大綱の見直し、また新たな中期防衛整備計画の策定に向けた検討の中で、効果的かつ効率的な防衛力の構築とともに、我が国の厳しい財政事情や防衛産業を含む経済状況技術動向といった観点から議論を深めてまいりたいと考えているところです。
  155. 穀田恵二

    ○穀田委員 二つ言っておきたいと思うんですね。  つまり、見ていないか、承知していないか、現物は正式に提案されていないからというような話じゃないんですよ、まずね。それは是かと聞いていることに対してそう答える。少し指摘をすると、そうでないと答える。こういうやり方は、本質的な議論を避けるものと言わなければなりません。  もう一つ、それほど二%が重要でないということをあなたはおっしゃったということなんですね。  つまり、大臣も、それから山本副大臣も、それはいわゆるパーセント、比率だけの問題じゃないと。比率がとても大事だということを私は言っているんですね。世の中もそれほど大事だと言っている。それを大事でないとおっしゃっておられるということが結論だということなんです。  なぜ、〇・八%も問題にしているかというと、政府関係者が〇・八%の伸び率では足りないと言っていることもあるから言っているわけです。  では、聞きますけれども、これは、二〇一八年度予算ベースで見た場合、GDP比二%になれば、日本の軍事費は一体幾らになりますか。
  156. 山本ともひろ

    ○山本副大臣 お答えを申し上げます。  防衛関係費の対GDP比算出の前提となる平成三十年度のGDPは五百六十四兆三千億円でございますが、その二%、これを機械的に計算いたしますと十一兆二千八百六十億円となります。
  157. 穀田恵二

    ○穀田委員 十一兆二千八百六十億円ということになる。まあ、とてつもない金だということになりますよね。  だから、比率で考えないなどと言わずに、そういうことを自民党が提唱しているということは、ここまでふやせということを言っているということがとんでもないことだと言わなければならないということなんですよね。それを是とするのか是としないのかということが問われている。そのときに、比率の問題じゃない、こうすると、まさに、それこそ論議がかみ合わないという最たるものだと一言言っておきましょう。  それでは、二〇一四年九月に行われたNATOウェールズ首脳会議で、この会合では、NATO指標の対GDP比二%未達成国に対し、十年以内に同水準に向けて引き上げるよう目指すということで合意していると思うんですけれども、外務大臣、それは間違いないですよね。
  158. 山本ともひろ

    ○山本副大臣 お答えを申し上げます。  委員御指摘の二〇一四年九月に実施されたNATOウェールズ首脳会議でございますが、我々防衛省といたしましては、その会議に参加をしておりませんので、委員御指摘の点につきましては、評価を行うことは差し控えさせていただきたいと思います。
  159. 穀田恵二

    ○穀田委員 差し控えるというのじゃなくて、これは外務省のホームページから出ていまして、NATOウェールズ首脳会議概要ということで出ている内容で、「NATO指標の対GDP比二%未達成国は十年以内に同水準に向けて引き上げるよう目指し、防衛予算の研究開発を含む主要装備品支出充当率も二〇%に増額するよう目指すことに合意。」と。  だから、私が言っているのは、ウェールズ首脳会議でそれはあったよね、間違いないねと聞いているわけです。だから、参加しているか参加していないかという話を聞いているんじゃなくて、それが確かだという、これは外務省報道ですから、だからそれを外務省に聞いたわけですよね。  では、あわせて言っておきますと、これまた外務省なんですけれども、これですね、これは二〇一六年七月に行われたNATOワルシャワ首脳会合でも、加盟各国の軍事費をGDP二%と定めた目標値に達するよう、増額する重要性を再確認しているんですね。  だから、たび重なってそういうことをやってきていることの背景、動きというのをしっかり見ておく必要があるんだと思うんです。  そこで、また外務大臣に少しお聞きしたいんですけれども、米国防総省報道官だったジェフリー・ゴードン氏は、二〇一六年十一月の韓国メディアのインタビューに対して、トランプ大統領は同盟国が米国と同様の役割を負担するよう望んでいるとしながら、NATO基準、対GDP二%から見ると、韓国はかなり基準に合わせている、韓国よりも日本にさらなる圧力が加わるだろうと答えていると。こういうインタビューなんですね。  結局、軍事費二%というのは、米側の強い要求でもあるということじゃないんでしょうか。
  160. 河野太郎

    河野国務大臣 日米首脳会談の中でも、日本は、日米同盟の中でそれ相応の費用を負担しているということを申し上げ、トランプ大統領はそれを了解しているというふうに私は認識をしているところでございます。
  161. 穀田恵二

    ○穀田委員 常日ごろ、それこそトランプ氏の発言をしっかりお聞きになって、またそれを引用されている大臣にしては、少しあれじゃないですかね。  トランプ氏は、そういう、米国における与党の会合で、日本中国韓国など経済成長を支援してきた、米国は、日本韓国、サウジアラビアを防衛しているが、米国がですよ、これらの国はわずか一部しか費用を負担していない、これは貿易とは無関係だが現実の問題だということで、その認識を一度ならず二度ならずずっとやっているということについて見ておかなければならないと思います。  そしてさらに、トランプ大統領は、この五月二十四日に行った記者会見の中で、北朝鮮との間で不幸な状況が必然的に起こった場合は、韓国日本が、作戦中に米国の活動で生じた財政的負担の多くを喜んで引き受けるだろうと述べています。  日米間で軍事作戦に対する費用分担についての取決めがあるのでしょうか。
  162. 河野太郎

    河野国務大臣 トランプ大統領がどういう意図でそういうことをおっしゃったのか、それはよくわかりません。一々、大統領のお言葉にコメントするほどのことでもないと思います。
  163. 穀田恵二

    ○穀田委員 一々コメントすることではないじゃなくて、そういうことが発せられていること自体が問題だと私は思うんです。要するに、一々発する必要がないということは、大した問題にしていない、無視しているということなのだかどうかということになると思うんですね。  それでは、そういうことについてどう政府は反応しているかという問題について、今大臣はそうおっしゃった、ところが、このトランプ大統領の発言に対して官房長官は、五月二十五日の会見で、財政負担について米国との間で緊密なすり合わせを行っていると発言しているんですね。  そうすると、取決めがあるのかと聞いたら、一々……。これはいつもそうなんですよ、そういう取決めがあるのかと聞くと、発言の方をまず知らぬ、こう言うわけですね。あるのかという本質を避ける。こういう答弁の仕方というのは、私はまずいと思うんですよね。  その上で、私は、この発言があるとしたら、やはり極めて大事な問題じゃないのか、こう捉える必要がある。その上で、なおかつ官房長官は米国との間で緊密なすり合わせを行っていると発言していると、話は違ってきますよね。  大臣はそういうことは知らぬというふうにまた言うのかしらぬけれども、やはり米国との緊密なすり合わせを行っているんじゃないかということについて、疑問に思ったり質問をするのは当たり前じゃないでしょうか。
  164. 河野太郎

    河野国務大臣 在日米軍に係る費用の分担その他について、日米は緊密に連携をしておりますから、官房長官のそういう発言があったとしても不思議ではないと思います。
  165. 穀田恵二

    ○穀田委員 だとすると、先ほど言っているのと、重視しているし、そういうことが現実には行われているのだろうということについて否定をしないということになりますわな。いわゆる論理の問題ですよね。ですから、はぐらかしというのではなくて、論理上の問題でいいますと、そういうことをやっているかもしれないというのはあり得べしということになりますわな。  そこで、じゃ、最後は、朝鮮半島をめぐる解決の方向についても少し質問をしておきたいんですけれども。  私は、対話で問題を解決するという大きな流れが生まれている、それ自身は喜ばしいことだ。それで、四月の南北首脳会談では、完全な非核化や朝鮮戦争の終結を宣言し、非核化と平和体制の構築を同時並行で進めることで合意されたと。  これからも、確かに、六月十二日に開催するかどうか、米朝の会談が開催するかどうかも含めて、今後とも紆余曲折は私はあるんだと思うんですね。だけれども、やはり、対話で問題を解決するという大きな流れを推進する、そういう方向でしか問題解決の道はないんじゃないかというふうに思うんですが、その辺の見解を河野大臣にお聞きしておきたいと思います。
  166. 河野太郎

    河野国務大臣 国連安保理決議を国際社会がしっかりと履行しているということがきょうの状況を生み出したわけでございまして、問題解決のためにこの安保理決議を国際社会一致して履行していくということが非常に大事だと思っております。
  167. 穀田恵二

    ○穀田委員 だから、安保理は、経済制裁とそういう平和的解決、話合い、外交解決、両方言っているわけですよね。そういう点では当たり前の話を言っているわけで、私が言っていることはさして問題じゃないと思うんですね。きちんとした話だと思うんです。  大臣は、前回の私の質問に対しても、またこの間言っておられる、CVIDの解決、達成するまで、こうおっしゃっていますよね。私は、完全かつ検証可能で不可逆的な非核化の解決を求めることが中心になるということは、これは論をまたないと思うんですね。これは当然だと。  問題は二つあると思うんです。  そこで、よく聞いてほしいんですけれども、問題は、その一つはプロセスにあると思うんです。  それは、米朝首脳会談で仮に非核化の大きな方向性について合意するとしても、凍結、それから無能力化、廃棄、検証など、一段階ずつ進んでいくアプローチが現状では唯一の方向だと私は考えるんです。それは、単に私が考えているだけじゃなくて、二〇〇五年九月の六カ国協議では、約束対約束、行動対行動で段階的に進むと合意していることを遵守することだと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
  168. 河野太郎

    河野国務大臣 プロセスというのは交渉の手のうちでございますから、申し上げるのは差し控えたいと思いますが、行動対行動という、ステップ・バイ・ステップでやって失敗してきたというのがこれまでの教訓だろうと思っております。
  169. 穀田恵二

    ○穀田委員 そうではないと思うんですね。  私が言っているのは、アメリカ側も不安になっているのは、一括でやることはなかなか検証ができないと言っているわけですよね。それは全然、私は、アメリカ考え方とも違うと思うんですね。  一つ一つステップを踏みながら検証して、それを約束どおり進まなければならない。そこにあるのは、約束対約束、そして行動対行動、これは六カ国協議でも認められた原則であり、日本の安倍首相も含めてそういうことが望ましいんだということは、何回もそれは主張しておられるわけですよね。  そのことが、検証することによって段階を少しずつ前へ進めていくということを通じて最終的な非核化と平和体制構築ということで、大臣がおっしゃるように、CVIDの、完全な、検証可能で不可逆的な非核化の解決を求めることが中心だということと、それを裏づけるやり方、手のうちという、いわばどう交渉するかという話じゃなくて、今後の段階を経ていく上で、段階的に一つ一つ解決しなけりゃならないよねということを言っているわけです。
  170. 河野太郎

    河野国務大臣 どういう言い方をされても、プロセスについて手のうちを申し上げることは差し控えます。
  171. 穀田恵二

    ○穀田委員 それは、手のうちと言っているんじゃなくて、アメリカもそういうふうに段階的にと言っているんですよね。それは明らかだと私は思います。  これは、手のうちと言ったら、だから、それじゃ、あそこの六カ国協議で話をされた内容というのは、あれは手のうちなんですか。違うんですよ。みんなで合意して、六カ国が朝鮮半島を非核化する方向では、そういうことの一つ一つの段取り、つまり、今までそういう意思疎通ができない状況のもとで一つ一つ段階的にやっていくことが大事だよねと、手のうちじゃなくて、みんなで合意した内容ということであって、これを言っていることが手のうちとなると、少し私は、明らかに違うと思います。  そこで、最後に、私は、米朝首脳会談で一定の合意を見る可能性は大いにあると思うし、大いに期待したいと思うんですね。そこで、問題は、その後が結局大事ですよね。  交渉を続けて非核化と地域の平和体制の確立をやり遂げる、いろいろな困難はあるでしょう、でも、やはり大事なのは、交渉を続けて先に進む。私は、こっちの方が歴史の教訓ではないかと。だから、朝鮮の非核化協議で得た最も大きな教訓の一つは、いかなる状況のもとでも交渉を続けなければならないということだと私は考えています。見解を問いたいと思います。
  172. 河野太郎

    河野国務大臣 過去の教訓を踏まえれば、北朝鮮が対話に応じたことのみをもって北朝鮮に見返りを与えるべきでないというのが過去の教訓だろうというふうに思っております。
  173. 穀田恵二

    ○穀田委員 どうもその辺はすれ違いだと思いますね。そこでは、だから、六カ国協議の精神、つまり、対話対対話、行動対行動、そして話合いを続けるといった合意の、いわば声明ですね、それとはちょっと違うなというのが率直な実感です。  私は、そういう意味でいいますと、本当の意味での解決を交渉で実らせていくという、結構時間がかかる問題だと思うんですね。やはり、そのためには全ての関係国が理性と英知を発揮して解決に当たることが何よりも求められていると思うんです。これは、手のうちをどうのこうのという話じゃなくて、大局的に、どういう立場で物事を解決していくのかということが問われているということだと思っています。  こうした中で、一等最初に述べました軍事費のGDP二%を掲げるなどというのは、幾ら自民党の提言であっても、まさに、逆に言うと、自民党の提言だからこそ、私は、軍事挑発に軍事力強化で対抗し合う悪循環を加速させる以外の何物でもないと断じざるを得ません。  きょうの議論で明らかになった最大のポイントは、やはり二%について、国民が関心を寄せ、これはと思っている、十一兆も超えるような額になるということが初めて明らかになり、そのことについて、二%論に固執しているわけではないんだ、GDP比という問題で水準を考えているんじゃないんだと。  今まで国民が、いわば三木内閣以来いろいろなことを議論して、日本の軍事費の比率の問題について一つのメルクマールとして考えてそれを議論してきたことからすると大きな乖離があって、まさにこのことが日本の軍事大国への道としてつながっているということを指摘せざるを得ないし、政府としてもしこういう内容を是とするということになれば平和の流れに逆行するということを強く指摘して、きょうの質問を終わります。
  174. 中山泰秀

    中山委員長 次に、丸山穂高君。
  175. 丸山穂高

    ○丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。  私からも、一般質疑、二十分間やらせていただきます。よろしくお願いします。  まず、前回、防衛関係で、いわゆるサイバー攻撃に関する質疑をさせていただいた中で、もう少し詳しく聞いておきたいことがありますので、そこの部分からお伺いしたいと思います。  いわゆるマルウエアという形で、ウイルスのようなものを使って、防衛のために、反撃等のために第三者サーバー、他国の、敵国ではない第三者サーバーを介して攻撃を行ったりする場合に、これは現行、憲法上どうなのかというお話をこの間聞いて、憲法上は、個別具体的な状況によるけれども、必ずしも阻害されるものじゃないというお答えだったと思うんですが、一方で、現行法、憲法の下の刑法とか、あとは不正アクセス関係の不正アクセス防止法等々、こういった部分に対しての違反には当たるのかどうか。  こうした部分、特に、反撃する場合には事前にこうした準備をしなければならないと思うんですけれども、この準備をした場合には、こうした刑法や不正アクセス防止法の観点上どうなっているのか、お答えいただけますか。
  176. 小波功

    小波政府参考人 お答えいたします。  ただいま御指摘のございました、サイバー空間における対処に係る自衛隊の具体的な対応につきましては、もう議員御案内のとおり、状況に応じて異なると考えられるため、一概に申し上げることは困難であり、御指摘のような対応に関するものも含め、個別の法令の適用関係についても、一概にお答えすることは困難であると考えております。  ただ、先生御指摘がございましたので、その上で、自衛隊の行動の法的位置づけについて申し述べれば、一般に、自衛隊法七十六条第一項の規定により防衛出動を命じられた自衛隊は、我が国防衛するため、同法第八十八条に基づき、国際の法規及び慣例を遵守し、かつ事態に応じ合理的に必要と判断される限度内において、必要な武力を行使することができるとされております。  その際、自衛隊は、国民の生命や財産を守るため敵を排除するという戦闘行為を行うこととなりますが、このような戦闘行為に際し、行政法規等の国内法令に従えない場合があるとしても、同法八十八条の要件を満たしている限りにおいて、それは同条に基づく正当な行為として許されると考えています。  いずれにいたしましても、我が国として自衛権を行使するに当たっては、武力の行使の三要件に従い、必要最小限度の武力の行使にとどまることは言うまでもないと考えております。
  177. 丸山穂高

    ○丸山委員 今、有事の際の解釈をいただきましたけれども、これは、逆に言えば、その条件に当たらなければ、例えば平時、何もない状況であればこうした準備はできないということでよろしいんですか。
  178. 小波功

    小波政府参考人 お答えいたします。  一般論としてでございますけれども、ある行為が不正アクセス禁止法等によって禁止される行為に該当する場合に当たるかどうかについては、当然のことながら、先生御指摘のような前提を置けば、違法行為となる可能性があると考えざるを得ないと考えております。  ただ、サイバー空間における自衛隊の具体的な対応については、状況に応じて異なると考えられるため、一概に申し上げることは困難ですが、いずれにいたしましても、自衛隊のサイバー空間における対処については、有事、平時を問わず、関係する国内法及び国際法を遵守する考えであることは言うまでもないところでございます。
  179. 丸山穂高

    ○丸山委員 大分整理してお答えいただいて、ありがとうございます。  踏み込みにくいところだったと思うんですけれども、一応やはり先にきちんと整理しておかなきゃいけないですし、恐らく、サイバー攻撃を急にその場になってやるというのは非常に、特にDDoS攻撃なんかは難しくて、ふだんからマルウエアをいろいろなところにまいて敵はやってきますし、それに対して、限られたサーバーで対抗しても、有効な反撃になるのかというと、厳しいところがあります。  そう考えると、有事じゃなくて平時からある程度準備も考えておかなきゃいけないんですが、今の御答弁だと、場合によりますが、ひっかかる可能性があるということなので、この辺の整備も含めてしっかり整理と、あと、必要であれば、必要なので、今の戦争はもう完全に物理的よりもまずはサイバー攻撃からだと思います、ここを押さえられてしまったら、一番、被害が更に拡大する最初の点ですので、しっかりと、この辺、必要があれば法整備もお願いしたいというふうに思います。  今回はちょっと、状況を整理したかったというところがありましたのでこれぐらいにしまして、残りの時間は慰安婦のお話を聞いていきたいんですけれども。  先日、フィリピンでは交渉がうまくいきまして撤去と相なりましたが、一方で、特にアメリカでかなりこの動きが加速化している、活発になっているなというふうに感じます。先日、ニュージャージー州で、これも公的な公園ということですが、ここで新たな慰安婦像が設置されたということです。  大臣、これについての見解と、また今度、連邦議会の議事堂、アメリカの連邦議会でこうした特別展示みたいな形で慰安婦像を展示しようという動きがあるということですが、重ねて、これらの動きについての御見解をお伺いできますでしょうか。
  180. 河野太郎

    河野国務大臣 御指摘のような動きは、我が国政府の立場、あるいはこれまでの取組と相入れない、極めて残念なことだと受けとめております。  政府として、さまざまな関係者にアプローチし、日本政府の立場について説明を行ってきております。  今後も、引き続きしっかりとこうした取組を続けてまいりたいと思います。
  181. 丸山穂高

    ○丸山委員 大臣、これは、フィリピンと、うまくいった事例と、こうやってなかなか、向こうの有利な状況になっている、こちらとしてはうまくいっていない状況になっている、この違いというのはどのあたりにあるというふうに考えられているでしょうか。そのあたりの見解について、大臣、お伺いできますか。
  182. 河野太郎

    河野国務大臣 フィリピンのケースアメリカケース、これを単純に比較するのは困難なことでございますが、諸外国における慰安婦像の設置は日本政府の立場と相入れない極めて残念なことであるというのは、これはアメリカケースもフィリピンのケースも同様でございます。  フィリピンのケースで申し上げれば、周辺道路の改善工事のための撤去が必要になり、フィリピン政府側の決定により慰安婦像が撤去されたというふうに承知をしております。  いずれにいたしましても、アメリカにおいてもその他の国におきましても、引き続き効果的に相手に働きかけをするという努力を不断に続けてまいりたいと思っております。
  183. 丸山穂高

    ○丸山委員 状況は国によりますし場合によりますが、じわじわと、特にアメリカを中心にふえているというのが現状です。  これは特に、向こうも意図的に、戦略的にやっているんだと思いますので、こちらも何かしら戦略性を持ってやっていかなきゃいけないんですが、そうした中で、うまくいっている事例を分析して、うまくいっていない部分に対してどう対処するかというのはしっかり考えていただきたいですし、ちょっと我々も、議会としても、立法府としても考えていかなきゃいけないなというところだと思うんですけれども。  そういった意味で、韓国は、私は、これは例の日韓合意に反するような行為を行っているんじゃないかなと思います。特に、こうした慰安婦像を建てていくという点は民間がやっている部分がありますが、政府としてもこうした部分に、日韓合意に違反する、これ以上慰安婦に関して触れないという形の合意があるにもかかわらず、最近、昨今、非常に、こうした部分について国際会議韓国の閣僚が触れるといった形で、違反なんじゃないかというふうに思える事象が出てきております。  まず最初に政府に確認しておきたいんですが、通常、外交の細かい部分というのはなかなか出てこないんですが、韓国側がこの日韓合意に関して経緯を検証した報告書というのを去年十二月に出しております。そこで、日本政府韓国政府の間で、いわゆる性奴隷という表現を使用しないという合意が含まれていたという形でこの報告書が出てきているんですけれども、こうした合意がとられたというのは、この報告書どおり、政府としても事実だという見解でよろしいんでしょうか。
  184. 河野太郎

    河野国務大臣 性奴隷という表現は事実に反するので使用すべきでないというのが日本政府考えでございまして、この点は二〇一五年の日韓合意の際に韓国側とも確認をしております。  昨年十二月に発表された慰安婦合意検討タスクフォースの報告書が明らかにしたとおり、二〇一五年十二月の日韓外相会談において、日本側から、韓国政府は今後性奴隷という言葉を使用すべきではないという旨述べたのに対し、韓国側から、韓国政府のこの問題に関する公式名称は日本軍慰安婦被害者問題だけであるとの応答があったものでございます。
  185. 丸山穂高

    ○丸山委員 今大臣が述べたように、日本側がそういう見解ですし、同時に韓国側も、今お話をした報告書にそう書いているわけで、これは両国ともこういった同じ見解なんですが、一方で、じゃ、韓国側がきちんとこの合意を守っているかというと、非常に、昨今の韓国側の、特に閣僚の動きはこの合意の違反ともとれるような状況が続いていると思います。  例えば、ジュネーブの国連欧州本部での女子差別撤廃委員会で、韓国の女性家族相が発言されています。そこの中に、性奴隷という形の発言をされています。これは先ほど大臣がおっしゃった合意に明らかに違反しているものじゃないんでしょうか。日本としてはどうお考えなのか、この点、お伺いできますか。
  186. 河野太郎

    河野国務大臣 本年二月、国連の女子差別撤廃委員会の対韓国審査におきまして、鄭鉉栢女性家族部長官が、日韓合意の際に確認していた事項に反し、性奴隷との言葉を用いたと承知をしております。  二〇一五年の日韓合意は、先ほど申し上げましたように、慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認したものであって、これらの発言は我が国として受け入れられません。特に、性奴隷という言葉は事実に反するので使用すべきではないというのが日本側の考え方であり、この点は日韓合意の際に韓国側とも確認していたにもかかわらず、鄭長官が性奴隷との言葉を使用したことは、我が国として受け入れられず、極めて遺憾でございます。  慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認した日韓合意が着実に実施されることが重要だと考えておりまして、引き続き、韓国側に対して、合意を着実に実施するよう強く求めてまいりたいと思います。
  187. 丸山穂高

    ○丸山委員 もうめちゃめちゃですよね、本当に。国同士で結んだ合意に対して誠実に履行しないというのは、その国の信用をおとしめますし、何を信じていいのかわからなくなります。我々としても、交渉がなかなかしづらい状況になっていくと思いますが、明らかにこの発言は、事前に文書をつくるわけで、そうした中で、悪意を持って、破る前提で読んでいるというのが明らかです。  そうした中で、十億円も払いましたけれども返ってきませんし、一体どうなっているんだと言いたいところですが。  日本としての立場、今大臣おっしゃいました、合意をきちんと履行するように求めていく、抗議をするというのはもちろん必要なんですが、今後同じような状況が続いていった場合には、もうちょっと日本としても踏み込んだ何かしらの措置が必要になってくるんじゃないかなというふうに私は思うんですけれども。  もう一つ聞きたいのは、韓国は、この慰安婦問題の研究所を開設するんだという表明まで同時に閣僚の発言がされていますが、これについては、大臣、どのように認識されていますか。
  188. 河野太郎

    河野国務大臣 五月十七日、韓国女性家族部が軍慰安婦研究所を本年八月に開設する旨明らかにいたしました。日韓双方が未来志向の関係を発展させようと努力している中で、本件がそのような努力に水を差すことになりかねないことを懸念しております。  日韓合意にこの軍慰安婦研究所開設についての記述はございませんが、こうした動きは、慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認した日韓合意の趣旨、精神に反しているということで、韓国側に対して外交ルートで、我が方の立場を伝え、適切な対応をとるように申入れをいたしました。  文在寅政権との間で累次確認しているとおり、未来志向の関係で日韓関係を発展させていきたいと考えております。
  189. 丸山穂高

    ○丸山委員 遺憾だけ言っても、韓国には多分、この状況だと余り効果がないというか、むしろ、国内の政治的対立、前政権に対する批判の動き一つとして多分加速させている状況があるんだと思いますが。  このままでいいかというと、非常によくないですし、外交なので、片方は殴り合っていても必ず片方は握手していないとだめだとは思いますが、しかし、日本状況考えて、これは今考えると、本当になめられている状況だというふうに思います。  ここで、やはりある程度、これ以上続くようであれば、何かしら日本としても、具体的な動き、更に踏み込んだものが必要になるというふうに思いますけれども、大臣、現時点ではお考えじゃないという今のお答えかなと思うんですが、このあたりも含めて、将来的な方向性、どのようにお考えですか。
  190. 河野太郎

    河野国務大臣 慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認した日韓合意が着実に実施されることが重要であり、引き続き、韓国側に対して、合意を着実に実施するよう強く求めてまいります。  先日の日韓首脳会談においても日韓合意について提起したところであり、引き続き、粘り強く働きかけてまいりたいと思います。
  191. 丸山穂高

    ○丸山委員 時間なので終わりますけれども、しっかりと韓国との関係を築いていくためにもこれは見過ごせませんので、私も引き続きチェックしながら、日本の利益になるような形に前に進めていきたいというふうに思います。よろしくお願いします。  以上です。
  192. 中山泰秀

    中山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時四十八分散会