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吉良委員 ありがとうございます。
今
大臣が
答弁された中身はもう全てそのとおりなんだろうと思いますし、そのことも私
自身は了としているところなんですが。
一方で、私も
外務省にお世話になったことがありますので、
外務省としては言いづらいけれ
ども実はこういう意義があるんだ、ただ、この
外務委員会もいろいろな国の大使館の方々がみんな見て耳をそばだてている中で言えないこともある、だけれ
ども日本の国益を考えたときに非常に有意義だ、そういうことは、野党と与党・政府とのかけ合いで、与党は、また政府は言えないこと、それを我々野党がきちっと発言をし、議事録にも残し、そして、政府としては言えないだろうけれ
ども、このTPPの意義については野党議員の中でこういうことを言う議員もいますということで、政府として言っているんじゃないんだという
言い方ができると思います。
なぜこのことを言うかといいますと、今
大臣がおっしゃった意義について、そのとおりなんですけれ
ども、私はよく
外務省を含め役所の方にも言うんですけれ
ども、言葉にすると非常にきれいなんだけれ
ども、いわば平面的で、立体的なイメージが浮かばないことが多いんですよ。それを、いろいろな具体例を出すことによって立体的に理解をしていく。
このTPPは、先ほど来の話にあるように、農林水産
関係者を含めて非常に抵抗も強い。けれ
ども、私は、さっき言った評価もしているし、進めていかなければいけない。そういうときに、どうやって多くの国民に理解してもらうのか。それは、そういう人たちが立体的に理解をしていってもらわなければいけない。そういう
説明も、さっき言った諸
外国との兼ね合い上言えないことは、こういう人もいるということで伝える、言えることはもうちょっと掘り下げて立体的に言うということを言ってもらいたいというふうに思っています。
私がこれから何点か、今
大臣の方から出なかった、私が考える意義についてお話をさせていただきたいと思います。
一点目は、もう当たり前のことではあるんですけれ
ども、私、先日の四月十九日の衆議院本
会議、インフラ展開の
質疑でありましたけれ
ども言わせてもらったこと、これは、世界経済と
日本経済というのは極めて強く連動しているということなんですね。これは、世界経済、米国経済、中国経済、OECD、ASEAN、BRICS等のGDP成長率の推移と
日本のそれとをグラフにあらわしますと、ほとんどシンクロしているんです。ということは、世界経済がよければ
日本経済がいい、世界経済がよくなければ
日本経済もよくない、物すごく単純な傾向を示しているんです。つまり、
日本は、このTPPを利用、活用しながら、まずはTPP11だけれ
ども、先ほどの
答弁にもあったように、これを拡大していきながら地域経済そして世界経済の向上に貢献することが必ず
日本経済の成長になって舞い戻ってくる、そういう効果があるんだということもやはり宣伝材料の一つにしていただきたいというふうに思っています。
二点目は、これも以前この
委員会の
資料として配らせてもらったものでありますけれ
ども、
資料の一をごらんいただきたいと思います。
これは、TPPと上海協力機構の加盟国また準加盟国を図で示したものでありますけれ
ども、これを見て一目瞭然のように、中国を中心とする上海協力機構、これは、ある意味ではユーラシア大陸全域をカバーするようなランドパワーというような位置づけができるのに対して、TPP加盟国、
アメリカは今入っていない、コロンビアもまだこれからということで少し色を薄くしておりますけれ
ども、これはシーパワー、先ほど河野
大臣も言っておられた自由貿易の一つの枠組みになっているわけであります。
シーパワーというのは、当然ながら自由な貿易・投資というものと自由な海上輸送、自由な航行というものを希求しますので、そういう意味では、このTPP11、そしてまた
アメリカを巻き込む、更に拡大する、この
国々をふやすことによって、先ほどおっしゃった、価値観を同じくする、また自由投資・貿易、そして航行の自由を希求する
国々との連携を深めていくという地政学的な意味合いがあると思います。
そして、三番目としては、私流の言葉で言わせていただきますと、
日本の産業構造、産業生態系の変化に対応する仕組みであるということですね。
これはどういうことかといいますと、
日本企業の中で、そこまでハイスペックではない製品をつくっている工場が、いい悪い両面ありますけれ
ども、どんどん海外に投資をして出ていっている。
日本は、人口減少、少子高齢化もあって、国内マーケットが残念ながら先行き縮小してしまう可能性がある。そうなってしまいますと、どうしても国内において投資するというインセンティブというか投資意欲が欠けてしまう。そうすると、国内で閉じてしまうと、ますます
日本経済がシュリンクしてしまう。そういうときに、このTPPを始めとして、面としての経済連携を拡大していくことによって、
日本国内では残念ながらもうなかなか通用しなくなったけれ
ども、まだその製品を必要としている国がある、企業がある、人がある。
そして今回、このTPPの大事な意義というのは、一つは、経済的に
日本のようにGDPの大きな国も、ブルネイも、ニュージーランドという、この規模の大小が違う
国々も入っているということ、また、ベトナムに象徴されるように、発展段階が違う
国々も入っているということ、これが非常に重要であります。
私は商社勤めをしておりましたが、大概、ビジネスモデルとか商品、製品というのは、悔しいけれ
ども大体
アメリカが発祥の地で、そこではやったものを
日本に導入してくる。それで、
日本である程度それをはやらせる。ところが、だんだんブームが去ってしまうと、これを今度、東南アジアに持っていく。そしてまた、何年かそれで食っていく。またそれも少し下火になってくると、これは南アジアに持っていく。最後は、
言い方は失礼だけれ
ども、アフリカに持っていって、そこで商品ライフが終わってしまう。こういうようなことを、ここで終わりだからといって絶対諦めないというのが我々商社マンの性癖なわけですけれ
ども。
そういう意味では、
日本で通用しなくなっても、製品にしろビジネスモデルにしろ、まだまだ通用する国がある。だから、発展段階の違う国もこの枠組みに入っているということは極めて重要な意味を持つというふうに思っています。それが三つ目の意義です。
それからもう一点は、意義というより、なかなか政府として、余り政府側から言わないことなので私の方から言わせていただきますと、ISDSです。
これはどうしても、多くの
日本人、そして国
会議員もそうですけれ
ども、
アメリカ企業の訴えによって
日本が窮地におとしめられる、またそれによって
日本の大事なルールを変えなきゃいけないんじゃないか、そういうふうになってしまうんじゃないかという危惧を持ちますけれ
ども、山野内さん御存じのように、これは、
日本が結んでいるEPAには基本的に全部盛り込まれている内容であって、なぜ盛り込んでいるのかというのは、
日本企業が、特に途上国、政権交代等によってルールが大きく変更されるおそれがあるその国に投資するときに、このルールがなければ
日本企業の利益を守れないからこの項目が入っているのであって、
アメリカも確かにNAFTAの中でメキシコとカナダを訴えていますけれ
ども、訴える理由があるんですよね。訴えても、結果は別にしまして、
日本がそういう訴えられるような扱いをしない限りは、先進国の中で訴えられることは私は極めて少ないと思っていまして、逆に、
日本企業が今言った途上国に出ていくときの
日本企業の利益を守る、この意味合いの方がはるかに大きいということをもっともっと強調していただきたいと思っています。
これについては、ちょっと手前みそにはなりますけれ
ども、海外でそうやって投資のビジネスとかをやってきた、私を含めたそういう経験を持つこの辺の周辺にいるビジネスマンの数と、それから農業者を中心とした
日本のTPPまたISDSがあると困ると思っている人たちの数の圧倒的な非対称性がありますので、なかなかこのISDSの意義について強調するという人が少ない。また、政府の側からはその話を私は余り聞いたことがありません。
攻められたときに守る一方になっていますから、ぜひそのことも強調していただきたいというふうに思っています。
以上、私
自身が申し上げた意義、先ほど言いましたように、そのとおりですと言えないことは承知の上ですけれ
ども、河野
大臣の方から一言あれば、お願いします。