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2018-03-23 第196回国会 衆議院 外務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十年三月二十三日(金曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 中山 泰秀君    理事 小田原 潔君 理事 木原 誠二君    理事 新藤 義孝君 理事 鈴木 貴子君    理事 山口  壯君 理事 末松 義規君    理事 小熊 慎司君 理事 遠山 清彦君       小渕 優子君    黄川田仁志君       熊田 裕通君    高村 正大君       佐々木 紀君    杉田 水脈君       鈴木 隼人君    高木  啓君       辻  清人君    渡海紀三朗君       中曽根康隆君    堀井  学君       三浦  靖君    山田 賢司君       阿久津幸彦君    篠原  豪君       山川百合子君    関 健一郎君       緑川 貴士君    岡本 三成君       鰐淵 洋子君    岡田 克也君       穀田 恵二君    丸山 穂高君     …………………………………    外務大臣         河野 太郎君    防衛大臣       山本ともひろ君    外務大臣政務官      岡本 三成君    外務大臣政務官      堀井  学君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  横田 真二君    政府参考人    (法務省大臣官房審議官) 筒井 健夫君    政府参考人    (外務省大臣官房長)   下川眞樹太君    政府参考人    (外務省大臣官房審議官) 大鷹 正人君    政府参考人    (外務省大臣官房審議官) 相木 俊宏君    政府参考人    (外務省大臣官房審議官) 川村 博司君    政府参考人    (外務省大臣官房審議官) 増島  稔君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 鯰  博行君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 船越 健裕君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 小泉  勉君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 塚田 玉樹君    政府参考人    (外務省中東アフリカ局長)            岡   浩君    政府参考人    (外務省領事局長)    相星 孝一君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           土屋 喜久君    政府参考人    (水産庁資源管理部長)  神谷  崇君    政府参考人    (原子力規制庁長官官房核物質放射線総括審議官) 片山  啓君    政府参考人    (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           小波  功君    外務委員会専門員     小林 扶次君     ————————————— 委員の異動 三月二十三日  辞任         補欠選任   高村 正大君     高木  啓君   辻  清人君     三浦  靖君   岡本 三成君     鰐淵 洋子君 同日  辞任         補欠選任   高木  啓君     高村 正大君   三浦  靖君     辻  清人君   鰐淵 洋子君     岡本 三成君     ————————————— 三月二十二日  盲人視覚障害者その他の印刷物判読障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約締結について承認を求めるの件(条約第一号)  二千九年の船舶の安全かつ環境上適正な再資源化のための香港国際条約締結について承認を求めるの件(条約第二号)  オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の改正の受諾について承認を求めるの件(条約第三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  盲人視覚障害者その他の印刷物判読障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約締結について承認を求めるの件(条約第一号)  二千九年の船舶の安全かつ環境上適正な再資源化のための香港国際条約締結について承認を求めるの件(条約第二号)  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 中山泰秀

    中山委員長 これより会議を開きます。  この際、一言申し上げます。  去る九日及び十四日の委員会におきまして、政党間の協議がまとまらず、やむを得ず開会に至ったことについて、まことに不本意でありましたこと、そして、今後は、このたびの出来事を委員会運営に十二分に生かしていく所存であることを申し上げておきたい、かように思う次第であります。      ————◇—————
  3. 中山泰秀

  4. 中山泰秀

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  5. 中山泰秀

    中山委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。末松義規君。
  6. 末松義規

    末松委員 立憲民主党末松でございます。  きょうは、ちょっと矢継ぎ早に何問か質問をさせていただきます。  まず、冒頭ですけれども、今、財務省の方で文書改ざんというものが出てきて、これが国民にも大きな衝撃を与えております。これは全省庁的に関係する問題なので、外務省におきましても大臣にお伺いしたいんですが、まさか外務省で、組織的、意図的な文書改ざん、こういうことはないと思いますが、念のため確認をしたいと思います。
  7. 河野太郎

    河野国務大臣 おはようございます。  外務省につきましては、外交文書機密文書が大変多い役所でございます。また、外務省外交においては、文書の果たす役割というのは非常に大きいものがございます。  そういう中で、機密文書の取扱いを含め、外務省の中で文書がしっかりと適切に取り扱われていきますよう、外務大臣としてしっかりと外務省を指導してまいりたいと思っております。
  8. 末松義規

    末松委員 そこはよろしくお願いを申し上げます。  では、まず、しょっぱなの質問ですけれども、今シリア拘束をされているフリージャーナリストである安田純平さん、この方が、今、シリアで二〇一五年の六月から拘束されていますから、三年近くになるんですね。  大臣は、所信表明で、在外日本人安全確保にも万全を期す、そういうふうに言われておりますが、この安田さんのケースについてはほとんど進展がないと言われています。  私も関係者の方とお話をする機会が何度かあったんですけれども、私に入ってくる情報では、シリアの某所でまだ拘束をされておられるということなんですけれども、これは、現状、今どうなのか、そして、救出の道のりというのはどういうふうに考えておられるのか、まずそこを質問したいと思います。
  9. 河野太郎

    河野国務大臣 政府といたしましては、邦人の安全確保政府の重要な責務との認識のもと、引き続き、この案件につきましても、さまざまな情報網を駆使して全力で対応に努めているところでございます。  事柄性質上、これ以上のお答えは差し控えたいと思います。
  10. 末松義規

    末松委員 事柄性質上差し控えるということは、私も立場は理解するんですけれども、そこは、その言葉だけでやるんじゃなくて、もう本当に実質的に進展をしてもらいたい、それを強く申し上げておきます。  次に、Eビザというんですかね、電子情報で、ネットでビザがとれるということ、世界でも、ブラジルとか豪州、アメリカなんかはやり始めているというのを聞いておりますけれども。日本も、観光立国ということで、今後四千万人を目途に観光客を呼び集める、あるいは六千万人だとか、非常に野心的な計画が今出てきております。  そういった意味で、私が所属している財務金融委員会でも、国際観光旅客税法というのを今審議をしていまして、出国時に税金として千円、みんな取られるということになりそうでございますけれども。  このEビザというのも、これはもう不可避だなと思うんですね。そこについて、今二〇二〇年からEビザというのが始まるという話も聞いておりますけれども、その点はいかがなんでしょうか。
  11. 相星孝一

    ○相星政府参考人 お答えいたします。  委員指摘のとおり、訪日外国人の一層の拡大、そして観光立国推進を目指すとともに、査証申請者利便性の向上、さらには、査証発給に係る経費の削減、セキュリティー対策強化のために、現在、次世代の査証発給システム開発中でございます。  新しい査証発給システムは、オンラインによる申請の受け付けや結果通知を行うとともに、紙のシールに加えて電子的にも査証を発給するものでございまして、二〇二〇年度、まずは査証発給数の非常に多い中国観光一次査証対象に導入する予定でございます。  中国観光一次査証は、二〇一六年の実績ではございますけれども、約三百四十万件の実績がございます。これがまずは電子査証の形で発給することになる予定でございます。
  12. 末松義規

    末松委員 これは、予算的にはどのくらいのものがあるんでしょうか。
  13. 相星孝一

    ○相星政府参考人 予算といたしましては、平成二十九年度は千六百万円の予算をお認めいただきまして、現在御審議いただいています平成三十年度予算においては、約五億円を計上しております。
  14. 末松義規

    末松委員 このシステム、これから何千万人という形になる可能性があるわけですけれども、アメリカなんか数百億円とかかけて非常に精緻なシステムをつくり上げようとしているというんです。  先ほど五億円という話でしたか、システムそのものは三億円という話もありますけれども、そういうのはちょっと少ないのかなという気がするんですけれども。まず中国人からという話なんですけれども、これは、今の予算で何千万人というふうな、対応できるようなこういう仕組みにもなっているんでしょうか。
  15. 相星孝一

    ○相星政府参考人 委員が御指摘の点で、まず、査証免除の国がございますので、査証免除の国に対して、一部、事前登録管理システムといったような制度もあわせて、これは平成三十二年から導入する予定で今準備も進めておりますけれども、その他の査証免除の国に対してはこのような新しい査証発給システム対象とはなりませんし、ほかの国の例を見てみましても、オーストラリアの場合、これは電子査証ではございませんけれども、事前登録を行うためのシステムのために開発経費が、日本円に直して約五億円弱というふうに聞いております。  ということで、我々といたしましても、中国のこの観光一次査証をまずは新しいシステムに変えて、その状況を見ながら徐々に他の国に対しても適用していきたいと考えております。
  16. 末松義規

    末松委員 そこは本当に頑張っていただいて、もちろん、予算的に足りないということであればしっかりとまた要求をしていくということで、よろしくお願いしたいと思います。  次は、二月八日の予算委員会での外務大臣とのやりとりの中で、外務大臣答弁について看過できない点がございましたので、そこを御指摘させていただきたいと思います。  皆様に、資料の一と二がございますけれども。実は何かというと、これは言葉尻を捉えるという低いレベルの話ではなくて、北朝鮮に対するアメリカ立場という、特に核戦略立場ということなんですけれども、これは外務大臣にちょっと認識を問うておかなければなりませんので、質問させていただきます。  資料一に書いてございますように、線が引っ張ってありますけれども、私の方でNPRについて議論をしているときに、北朝鮮脅威に対して、アメリカ小型核というものもこれから開発をするということを踏まえて、小型核北朝鮮についても使うのではないかという、そこに書いてあるような質問をしたら、河野外務大臣の方から、線を引っ張っていますけれども、アメリカ小型の核の開発をするのは北朝鮮に対して使おうとしているわけではありません、それは今回のNPRでも明確にそううたっているわけでございますと、アメリカ北朝鮮に対してはこの小型核を使わないというふうに、NPRでも明確にそう書いてあるんだということで答弁をされたと思うんですけれども、これに対して、私の方で、そういうことがNPRに書いていたかなと思って、そこをチェックをいたしました。  そうすると、この裏に資料の二というのがあります、英文で書いてございますけれども。そこで、これは原文の方でNPRの三十三ページなんですけれども、ここは、ア・テーラード・ストラテジー・フォー・ノースコリアという、対北朝鮮戦略の一項目の中でこの文章が出てくるわけでございますけれども、資料にもあるように、意訳すれば、結論的には、米国北朝鮮軍事施設攻撃するための一連の通常兵器核兵器を配備し続けることになると明確に言い切っております。  ということは、小型核開発の場合であっても、その対象北朝鮮には使わないということにはならない。北朝鮮核攻撃対象にもし得るのだというふうに私は認識をしているわけでございますが、その辺、ちょっと河野外務大臣との答弁にずれがあると思いますので、そこのところは河野大臣のこの御認識を伺いたいと思います。
  17. 河野太郎

    河野国務大臣 議事録を見ても、北朝鮮脅威に対して小型核を使うことがあなたはいいと思っているんですかという御質問でございましたので、このNPRにおいて米国が低出力核の選択肢に言及した一義的な目的は、敵対国による戦術核兵器の使用を抑止することであって、使うことが目的ではないということを申し上げているわけでございます。  特に、この今回のNPRでは、北朝鮮との関係では、北朝鮮戦略、非戦略核兵器を使用して紛争を有利に進めることができると思って誤って認識している可能性指摘した上で、それに対処するために柔軟な抑止力が必要であるとして、低出力核抑止目的としたものであることは明らかだと思います。
  18. 末松義規

    末松委員 ということは、抑止目的としているということと、北朝鮮アメリカ核戦略の中で別に対象外になっているという認識ではない、こういうことですね。
  19. 河野太郎

    河野国務大臣 もちろん、抑止対象であるというのはそのとおりなんだろうと思いますが、それは、巷間言われているような、北朝鮮攻撃をするためではないということを明確にこのNPRでは言っているんだろう、あくまでも抑止目的だということだろうと思います。
  20. 末松義規

    末松委員 抑止目的というのはわかるんですけれども、このNPRで、私が指し示したように、アメリカは、北朝鮮核攻撃対象として除外はしていないよということについても、ここに、NPRに書いてあるわけですけれども、そこはその認識ですよねということをお伺いしているんです。
  21. 河野太郎

    河野国務大臣 抑止対象であるというのはそのとおりだと思います。
  22. 末松義規

    末松委員 大臣が答えないので、これ以上言っても無駄のような気がしますから、そこはまた伺うときがあるかもしれません。  次は、中東外交について御指摘をさせていただきます。  所信表明では、「対中東政策を抜本的に強化します。」、こううたっているわけですね。  外務省で、私の方はアラビア語を学ばされて、通訳までさせられた経験があるわけですけれども、その意味からいっても、大いに頑張ってくださいという立場ではございます。  ただ、委員会に示された外務省予算を見ると、ちょっと、本当かなという、一瞬不安がよぎったわけでございます。  といいますのは、資料の三と四をちょっと見ていただきたいんですけれども、資料の三で、本省の所管の地域別外交経費について、アジア地域は、ここに書いていますように二十七億円つけられていて、北米地域は二・六億円、欧州地域は十三億円、アフリカ地域でさえ三・三億円に対して、中東地域が一・二億円しかないんですね。  また、裏ですけれども、資料の四を見てみますと、これは在外公館地域別外交費ということなんです。これを見てみると、欧州地域では十二億円、北米地域では四億円、アフリカ地域では四千二百万円に対して、中東地域はたった四百八十七万円しかついておりません。  人的な交流というのはやはり外交の力になるわけですから、河野大臣が、中東政策を抜本的に強化をする、河野四箇条とかいろいろ、あと日本のサミットのときに、いろいろな形のプログラムが示されたということも聞いてはおりますけれども、ここはもっと、中東への外交派遣人数、こういったものをきちんとふやすべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  23. 河野太郎

    河野国務大臣 御指摘ありがとうございます。  さまざまな外交課題地域ごとの需要がある中で、各地域重要性地域別のこの一般経費の多寡のみで単純比較するというのは困難だろうというふうに思いますが、中東外交に力を入れてまいりたい、特に政治的な取組について少しずつ強化をしていきたいということを申し上げました。  それがだんだんと効果を発揮するようになった場合には、当然、おっしゃるように、人の行き来というのもふえていくことになるんだろうというふうに思います。そのような状況になれば、もちろん、こうした予算についてもふやしていかなければならなくなるというふうに思っておりますので、中東関係のこうした一般経費がほかの地域と比べても大きくふえる、そういうような状況がつくり出せるように、まずしっかり下準備をしてまいりたいというふうに思っております。
  24. 末松義規

    末松委員 河野大臣も、大臣になられる前から、中東に対してはしっかりとしたいろいろなイニシアチブもやっておられますから、そこはぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。  それから、これも予算委員会の積み残しの質問なんですけれども、数年前に、スノーデンとか、あとウィキリークスという、世界の政治に激震が走ったことがございました。  昨年でしたか、私も「スノーデン」という映画を見てショックを受けたわけです。それにはどんなことが内容としてあったかというと、スノーデン横田基地に派遣されているときに、日本発電所とかダムとか大病院とか公的施設に対して、サイバーの世界で、マルウエアとか、あるいはウイルスを埋め込んだ。これは、日本アメリカ関係がいいときは当然それは作動しないんですけれども、もし日本アメリカに敵対するような、そういった状況になったら、そのウイルスを作動させて機能停止をするんだというようなことが映画にもあったわけですし、また、いろいろなそのスノーデンに関する文献を調べてみても、それがあったわけですね。  そこで私が一番ちょっと問題と思ったのは、この前のあの原発の事故が福島であった、電源がなくなったときに、爆発をする、そういう恐ろしい事態になるということがあったわけですけれども、これは、政府の方として、原発のサイバーセキュリティー、これについてはどういうふうに対応していますか。
  25. 片山啓

    片山政府参考人 お答え申し上げます。  原子力発電所についてのサイバーテロ対策は、原子炉等規制法に基づきまして、IAEAの最新の基準を取り入れた規則に基づいて実施をしているところでございます。  具体的には、発電用原子炉施設及び特定核燃料物質防護のために必要な設備又は装置の操作に係る情報システム、これが、電気通信回線を通じて妨害破壊行為を受けることがないように、外部からのアクセスを遮断することを求めております。  また、情報システムに対する妨害破壊行為が行われるおそれがある場合又は行われた場合において迅速かつ確実に対応できるように、情報システムセキュリティ計画を作成することも求めているところでございます。  これに加えまして、先般、事業者自身セキュリティー対策を継続的に改善していくということを促すべく、原子力施設情報システムセキュリティ対策ガイドラインを作成したところでございます。  事業者が行う防護措置内容体制有効性について、原子力規制委員会といたしまして、原子炉等規制法に基づき定期的に検査し、確認をしていきたいというふうに考えてございます。
  26. 末松義規

    末松委員 そういうことで、体制もきちんと整ってやってきているというのはよくわかったんですけれども。  ちょっと、これは別に突然の質問というわけじゃないんですが、その議論の延長なんですけれども、「スノーデン」とかそういうのを見たときに、映画見られましたか、見たときに、実際に原発のところにそういうウイルスとかマルウエアが仕組まれていたのかどうか、こういうのは確認されましたか。
  27. 片山啓

    片山政府参考人 お答えいたします。  原子力発電所情報システムというもののセキュリティー対策というのは事業者が一義的に行うというのが事業者の務めでございます。  そういう意味で、みずからの情報システムというのが今どういう状況にあるのか、セキュリティー上のチェックというものを日常的に行うというのは、事業者が責任を持って行っているというふうに理解をしております。
  28. 末松義規

    末松委員 できましたら、ちょっとこの御報告をいただければありがたいと思いますので、よろしくお願いします。  それでは、次の質問に移ります。  河野大臣が今回アメリカに出張されたということで、トランプ政権ティラーソン国務長官なんかを更迭をしたというような、ある意味では異常な時期にはなったわけですけれども。ここで北朝鮮の問題について、ティラーソン氏なんかはかなり話合いあるいは平和的解決について尽力をされてこられたわけですけれども、こういった動向がどうなるのか、ちょっと懸念をされているのでございます。これについてどんな、北朝鮮の問題について突っ込んだ話合いを行ったと私も聞いていますけれども、それはどういうふうな形なのか、そこをお聞かせいただきたいということと、それからもう一点。  自由貿易に反して鉄鋼とかアルミニウムの輸入制限措置トランプ政権がやり始めたということで、これは日本対象に入っているわけですけれども、この除外大臣の方で働きかけたということですけれども、これについてもどうなったのか、それをお聞きしたいと思います。
  29. 河野太郎

    河野国務大臣 先週、ワシントンへ行きまして、ペンス副大統領マティス国防長官、さらに、ティラソン国務長官職務代行となりましたサリバン国務長官マクマスター大統領補佐官を始め、さまざまな政権内の方にお目にかかりました。けさ方トランプ大統領のツイッターでマクマスター大統領補佐官が交代するというツイートが流れましたので、それを見てちょっとびっくりいたしましたが。  北朝鮮の問題については、まず、米朝首脳会談についてまだ何も北朝鮮側からアナウンスメントがないということで、意図について懸念をする声というのは多くございました。しかし、その上で、米朝会談になるとしても、現時点では、北朝鮮言葉コミットメント、厳密に言うと韓国経由で聞いた北朝鮮コミットメントだということで、これに対して何らかの対価というのは当然にないということは全ての人が一致しております。  また、北朝鮮が、完全かつ不可逆的で検証可能な非核化、これをやらなければならない、さらに、ICBMから短距離の射程のものまでミサイルを放棄しなければならない、日本の拉致問題、米国拘束者、そしてそのほかの国々の拉致被害者、こうしたものが包括的に解決されなければならないという認識も、政権内のほぼ全ての方々の認識は共通でありました。  そして、ミサイルの放棄、非核化あるいは拉致問題の解決に向けて北朝鮮が具体的な行動をとったときに初めて制裁について議論をする、それまでは国際社会挙げての圧力というものは維持されなければいけないというところで、これもアメリカ米国政権内、一致した認識でございました。  その後、ちょうど訪米中でした韓国の康京和外交長官ともお目にかかって日韓の外相会談をやりましたが、韓国についても、こうした具体的な北朝鮮の動きがあるまでは圧力は継続されなければいけないという認識は韓国も共通をしていたところであります。  そういう意味で、今この北朝鮮の問題について日米韓の認識は共通であると言ってよろしいかというふうに思います。  また、鉄鋼、アルミにつきましては、ライトハイザー通商代表とさまざま意見交換をいたしました。  今、さまざまな国がそれぞれの事情あるいはアメリカとの貿易の関係、そうしたもので、二三二条の対象になる、ならない、いろいろな仕分けというんでしょうか、いろいろな米国政府の対応が政権内で協議されているようでございますが、日本の輸出している、特に鉄鋼製品につきましては代替品がないというようなものが多いため、製品別の除外というのが四月の末までに申請をするということになっているようでございますので、この製品別の除外というものを申請をすることになるのではないかというふうに思っております。  日本全体についてこの制裁、制裁というか輸入制限措置対象にすべきでないということをそれぞれ申し上げ、日本からの輸入が安全保障上の問題にはならないのではないかという先方の一定した認識というものはあるんだろうというふうに思いますので、ここは日米間で引き続き、さまざま、これからやりとりをしてまいりたいというふうに思います。
  30. 末松義規

    末松委員 確かに、北朝鮮については、北朝鮮のトップ、金正恩委員長が一言もこれについてコミットもしていないというところ、これは確かに、韓国の情報だけだという、非常にそこは懸念をするわけでございます。そこは慎重なる見きわめが一番重要だと思っていますので、そこは引き続き頑張っていただきたい。鉄鋼とか、その辺についても、そこはがんがんいっていただきたいと思います。  それから、もう最後になりましたので、最後に、私の友人の方から得たアイデアなんですけれども、帰国大使が帰朝報告なんかをどんどん地方でやっていく。そういった回数をどんどんふやしていく。それが例えば在京のその国の大使と一緒になって、例えばいろいろな地域の小学校とか中学校、あるいはいろいろな講演会に行って、そうすると、地方で今度は姉妹都市がまたどんどんふえたり、あるいは地方で国際化の意識が起こったり、あるいは観光立国のための、自分の地域をどういうふうにすれば世界に知ってもらえるか、そういうことの大きな端緒になるんじゃないか、そういうことのアイデアを言われたんです。私も、それはいい案だと思って、推進すればいいじゃないかと思っているんですけれども、大臣、それについてどう思われますか。
  31. 河野太郎

    河野国務大臣 東京と諸外国の関係だけでなくて、地域との諸外国の直接のつながりの関係というのは、やはり非常に大切だと思います。特に、今、インバウンドで来られている外国の方の多くは、一度東京を経験すると、スルーしてさまざまな地域へ直接行かれるということもふえているようでございます。  地方の国際化を推進する取組は外務省もいろいろとやっておりますが、在外に赴任している大使や総領事が、大使会議を始めさまざまな用務で一時帰国したときに、地方を訪問し自治体の関係者情報交換をしたり、姉妹都市交流に関する意見交換というのは今もやっているようでございますし、また、大使、総領事より、中学校、高校、大学などを対象に講義を行ったりというようなこともあるようでございます。  また、地方の魅力発信のイベントを在外公館で行ったり、東京でも飯倉で、今晩も北海道だったかの魅力発信事業を飯倉公館でやらせていただきますが、外務省として、そういうことにこれまでも取り組んできてはおりますが、これは非常に大事なことだと思いますので、今お話のありましたことを含め、やはり大使その他が地方へ行って自分の任国の話をする、あるいは在京の大使に行っていただく。岸田外務大臣のときには、在京の大使を金沢やら何やらにまとまってお連れをして、魅力を見ていただいたり意見交換をしてというようなことがあったようでございますので、そういう地方との、地域との、外国との交流というのは、これからも積極的にやってまいりたいと思います。いい知恵があれば、ぜひおかりしたいと思います。
  32. 末松義規

    末松委員 将来の優秀な外交官をリクルートする上でも重要でございますので、ぜひ、そこは頑張ってください。  質問を終わります。
  33. 中山泰秀

    中山委員長 次に、阿久津幸彦君。
  34. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 立憲民主党・市民クラブの阿久津幸彦でございます。  末松委員に続きまして、大臣所信に対する質問に入らせていただきたいと思いますが、その前に、財務省の決裁文書改ざん問題について、大臣、先ほど、末松委員からの質問に対しても、外務大臣としてしっかり指導していくとお答えになったのは聞いておりますけれども、ちょっと質問通告が間に合わなかったんですが、昨日も、外交文書の欠落が認められたという話も聞いております。  それで、大臣、まさか外務省で決裁文書改ざん等、公文書にかかわるさまざまな問題が起こっていないかどうか、それから、起こらないために、きちっとした具体的な、問題を起こさないための防止策をどのように講じているのか、あるいは職員にどんな訓示をされているのか、伺わせていただきたいと思います。
  35. 河野太郎

    河野国務大臣 かつての外交文書外交史料館で見ますと、本当に丁寧なきれいな字で、手書きで書かれた外交文書というのがもう百年近く続いているようでございますが、最近の外務省内の文書というのは、これはもう電子的につくられる文書がほとんどで、手書きの文書というのは余り見たことが正直ないなという感じでございます。  今、こういうことを前提に、これまでの外務省文書管理というのは、手書きの時代から、紙で保存する前提のような文書管理のルールでございましたので、これを電子的に保存することにできないだろうかという検討を今してもらっているところでございます。その方が、スペースの問題もありませんし、後世の研究者が検索をかけるときにも、電子的に検索がかけられた方が便利だということもありますので、紙の形で保存をするのではなくて、電子的な形で保存することができれば、その欠落その他ということも恐らく未然に防ぐことができるんだろうと思います。  他方、電子的に保存をしていると、磁気で保存をするわけですから、そこに影響が起きたときに文書が失われてしまうということになってもいけませんので、これは、公文書担当大臣、私もやっておりましたが、公文書担当大臣などと相談の上、少しそうした形態にできないだろうか、それが恐らく職員の業務の効率化にもつながると同時に、公文書管理も的確にできるようになるという両方の側面があるのではないかということで、今検討させているところでございます。成果が出れば、御報告をさせていただきたいと思います。
  36. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 ありがとうございます。  大臣がおっしゃった、公文書に向けてきっちり管理していくということ、よくわかりました。  一方で、私、ちょっと懸念しているのが、全体としてモラリティーが低下する心配があるのではないかというふうに思っておりまして、これは答弁を求めませんけれども、ぜひ時々職員の方々に訓示をしていただいて士気を高めていただいて、そのことが職員を守ることにもつながると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。  続いて、ロヒンギャの問題について伺いたいと思います。  実は昨年末、外務委員会で私はこのロヒンギャの問題を取り上げました。昨年八月以降、ラカイン州北部でビルマ国軍によるロヒンギャ住民に対するレイプとか殺害とか放火とか恣意的逮捕などについて、私は、人権侵害ではないかというふうに指摘をさせていただきました。  日本も、国連や欧米諸国のように人権侵害を明確に非難するべきだというふうに大臣質問したんですけれども、大臣の方からは意外な答弁が私からするとございました。それは、日本とミャンマーとは、もう歴史的に友好関係がきっちりできていると。それで、もちろん人権の問題は深刻な状況と考えているけれども、欧米のように表で人権侵害じゃないかというふうにただすのも一つの方法だと思います、だけれども、日本はせっかく友好関係が歴史的にあるんだから、そこは丁寧に会って懸念をお伝えする、改善してくださいねと諭すみたいな方法もあるんだというふうにお答えになったんですね。  私は、そういう考え方もあるのかということで、その後の大臣の行動について注目をさせていただいていたんですが、実際にこの冬にミャンマーを訪問されております。河野大臣のミャンマー訪問における成果をまず伺いたいと思います。
  37. 河野太郎

    河野国務大臣 済みません。外務省は、今、政務官が二人、堀井さんというのがいて、私も時々混同するんですが。  まず、御指摘いただきましたように、私もミャンマーへ訪問させていただいて、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外務大臣及びミン・アウン・フライン国軍司令官、お二人とお目にかかりました。その前はバングラデシュの方へ行きまして、バングラデシュの政府の方々にお目にかかると同時に、コックスバザール付近のキャンプの様子というのも拝見をいたしました。  ラカイン州の情勢に関しては、やはり法に基づいた治安の回復が必要であるということをまずスー・チー最高顧問に申し上げ、そのために、人道支援、日本もミャンマーをしっかり支えていくということを申し上げました。  さらに、さまざまなステークホルダーあるいは諸外国を納得させるためには、事実調査を適切にやる、それからメディアのアクセスを拡大するということをやるべきだということを申し上げ、実は、私が訪問してラカイン州へヘリコプターで行ったんですけれども、そのときに、日本のメディアを全て連れていってよろしいということで、日本のメディアに全て同行をしていただいて、さらに、ヘリコプターもかなり低空で、現地の情勢がどうなっているかヘリからも見えるような感じで飛んでもらって、さらに、現地でも、そこに住んでいる仏教徒あるいはムスリムの方と意見交換もできるという状況でございました。  避難民を自発的に帰還をしてもらって再定住させるために、これはいろいろな方策が当然必要になりますし、日本もそれに向けては積極的な支援をしてまいります。  さらに、ミャンマー政府に、事実調査をやはりしっかりやると同時に、UNHCR、UNDPというのを、段階を踏んでになるかもしれませんが、しっかりと関与させていく必要がある、また、アナン勧告というのが出されておりますので、それの実施、さらにこの根本的な問題についてやはり対応していく必要があるということを申し上げました。  コミュニティーの間の融和というのが何よりも大事でございますし、もうじきモンスーンの季節になりますと、コックスバザール近辺のキャンプの状況というのも相当悪くなるというふうに思っておりますので、なるべく早期にさまざまな動きをとると同時に、キャンプの方の支援もやっていかなければならないと思います。  つい最近、バングラデシュに二十一日、二十二日、それからきょう、あす、ミャンマーに堀井巌政務官にそれぞれ行っていただいて、今、日本の提案をそれぞれにお伝えをし、意見交換をしてもらう、必要なら日本はさまざまな措置をとる用意があるよということを両側に伝えているところでございます。  この問題については、バングラデシュとミャンマーが既にさまざま意思の疎通を図ってきておりますので、それを大事にしながら、日本としても必要なことがあれば一歩前に出る用意がありますよということは伝えておりますので、この両国の取組をしっかりと見守りながら、一刻も早く、まず自発的な避難民の帰還、再定住、そしてこの問題の根本的な解決に向けて、日本としてもやってまいりたいというふうに思っております。
  38. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 私も、河野大臣おっしゃった事実調査の徹底、メディアアクセスの拡大、UNHCRなども使った国連を含む人道支援アクセスの拡大、それから、もちろん根底が、安全で自発的な尊厳ある避難民の帰還と再定住ということが最も大切なことだと思うんですが、現状を調べると、なかなか厳しいものがございます。  私の調べた限りの現状をお伝えしておきますと、二月二十三日の少なくともお昼の時点で難民の流出は続いています。それから、ラカイン州のロヒンギャ村の多くをビルマ政府が一生懸命更地にしているんですね。これは、更地にしてしまうとどうなるかというと、レイプとか殺人とか放火とか、そういう証拠がなくなってしまうんです。つまり、国連の正式な調査団が入ろうとしても、そのときにはもう更地になっていて何もわからなくなっちゃっている。これは避けなければならない。私は状況保全すべきだというふうに考えています。さらに、難民流出が続いている一方で、ビルマに帰還した難民が、現時点では一人も戻ってきている方が確認されていないというふうにも聞いております。  確かに、河野大臣含めた御努力もあって、バングラデシュ政府が難民のビルマ帰還については大筋合意しているというふうに聞いているんですけれども、一番の懸念は、帰還民がミャンマー政府を信じていないというか疑っているんですね、一つは更地にした問題とかです。それから、二〇一二年の民族浄化事件の後、十万人以上のロヒンギャ難民がテンポラリーキャンプというところに保護されて、保護という名で閉じ込められて、今もそれが続いているんですね。更地になった後、今度更地のところにトランジットキャンプをつくるといううわさも流れていて、いや、また自分たちが帰ったらそこに押し込められちゃうんじゃないか、そういう懸念も生じています。  ぜひその部分も、堀井巌政務官が行かれるというふうにおっしゃったので、そこのところも含めて、真実をお知らせいただきたいと思うんですが、安全で自発的な尊厳ある避難民の帰還と再定住の現況というのはどういうふうになっていますか。
  39. 河野太郎

    河野国務大臣 詳しくは堀井政務官の帰国を待って報告を受けたいと思っておりますが、バングラデシュからミャンマーに対して、帰還民の、避難民のリストが渡され、さらにそのリストについて両国間で何度かやりとりが行われて、今それに基づいた調査が始まっているというふうに認識をしております。そのリストに基づいて、ラカイン州のムスリム教徒がミャンマーに帰還を始める、まだプロセスは、実際に人が国境を越えてということにはなっていないというふうに承知をしておりますが、少なくともそれに向けての両国間での準備は進んでいるというふうに認識をしております。  ここは、おっしゃっていることと同じ認識かどうかというのはちょっとわからないんですが、まず避難民は国境を越えて、私も橋のところまで行ってまいりましたが、橋を越えてミャンマー側に戻ってくると、まずそこで宿舎があって、そこでいろいろな確認をする。その施設は今できておりまして、それは私も確認をいたしました。そこには、確認のためですから、割と短期間、恐らく数日ということになるんだろうと思いますが、数日そこへ泊まった後、その次の施設で数週間から一、二カ月なんでしょうか、再定住の準備をするための間泊まっている宿泊の施設というのが設けられるというふうに聞いているところでございます。そこで準備ができれば、再定住に向けて戻っていくということになろうかと思っております。  さまざまな、キャンプという名で呼ばれているものがそれを指しているのかどうか、ちょっとそこは今確認ができませんが、一応、そういう手順で、ミャンマー側も施設の準備を始めているというのは一部私も確認をしてまいりましたし、今度、堀井政務官も、そうしたものをまた確認をするということになっております。  また、この事実調査については、やはり、事実調査をしっかりやるのが大切だというふうに我々も申し上げておりますが、いきなり国連の事実調査団を送るのがいいのか、ミャンマー政府が納得する形で事実調査団をどう送り込んだらいいのかというところは、今さまざまやりとりがあるところでございます。  そういう中で、ミャンマー政府も納得しながら、対外的な透明性を確保するための調査というのをやることは必要だろうと思いますし、日本政府が避難民に対して行っている支援を通じて、UNHCRその他の国際機関がこのプロセスに少しずつ関与をし、ミャンマー政府とお互い信頼関係を得た上で、きっちり、こうした国際機関がこのプロセスに入っていくことが大切だと思っておりますので、日本としては、段階的に、お互いの信頼を確保しながら、こうした国際機関がこのプロセスに関与することができるように、日本の支援を利用してそうしたことをやっていただくのはウエルカムだということを申し上げておりますので、この国際機関が関与するプロセスにも日本はしっかり後押しをしてまいりたいというふうに思っているところです。
  40. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 二つの御趣旨はわかりました。ただし、私は、再定住の状況がタコ部屋的なキャンプに押し込められたままになっているのかというのは、これからも日本チェックしていく責任があると思っておりますので、そこのところをぜひよろしくお願いします。  それから、国連の関与なんですけれども、日本は国連に対しても強い発言力を持っているはずですので、ぜひ国連の密接な関与をもっともっとプッシュしていただきたいし、私は、ミャンマー政府が望むような調査団というのでは世界世論は納得しないというふうに思いますので、そこのところも、大臣、薄皮を剥がしていくような手法をとられるとは思うんですけれども、そこのところは一歩毅然とした態度で、ぜひ、国連の正式な、誰もが認めるような査察団を受け入れられるような状況整備をお願いしたいというふうに思います。  次の質問に移らせていただきます。  次は、大臣所信で大臣がおっしゃったことについて中身を確認したいというふうにまず思っているんですが、国際情勢に関する報告の中で、河野大臣は、国際協調主義に基づく積極的平和主義をうたった上で、最後のまとめのところで、日本の全ての力を集結し、世界各地の日系社会とも連携して、日本の国益や平和をしっかり守りながら、世界の平和と安全に貢献し、日本の影響力を増進していく考えだとおっしゃいました。  また、同じ日に行われた中根外務副大臣の方では、第四の柱として同じ内容が掲げられて、戦略的な対外発信を維持強化するという中で、日系社会を含む親日派、知日派の育成を強化し、国際社会における我が国の影響力を高めていきますというふうに述べているんですが、この大臣所信の中身について確認をさせていただければと思います。どういう中身なんでしょうか。
  41. 河野太郎

    河野国務大臣 日本から北米、ハワイあるいは中南米に移民をされた方が多くいらっしゃいます。明治元年というのが日本の近代的な移民のスタートで、元年者と言われた方々が渡っていったというのを皮切りに、ハワイ、北米、中南米、かなり多くの方がいらっしゃいます。  アメリカの日系人の方々とは、第二次世界大戦のときに、日系人が米国籍を持っているにもかかわらず強制収容所に入れられたという経験があり、当時の日系の親御さんたちが、自分たちの子供に、よき米国人になれという教育をその結果することになって、日本語あるいは日本とのつながりというものがなかなか次の世代につながっていかなかったということがございました。  日系人、日本語ができなくてもやはり日本とのつながりがあるんだろうということで、外務省としては、二〇〇〇年から、ハワイを含む、あるいはハワイ、グアムを含むアメリカの日系社会のさまざまなリーダーの方々を日本に招聘をするという活動をやってまいりました。  日本に一度も来たことがない、日本語もしゃべらない、日本に余り興味がなかったという方もいらっしゃいましたけれども、そういう方が日本に来て、中には、私が一番覚えているのは、自分の先祖のお墓のあるお寺に行ったら、何か何世代にもわたってその家のお墓が並んでいるのを見て、もう本当に自分は日本とつながりがあるのだというのを、その瞬間に、もう雷に打たれるかのごとく、むくむくとそういう気持ちが湧き上がってきたという話をされておりました。  このプログラムはずっと毎年続いておりまして、今、アメリカの日系社会と日本の間がだんだんだんだん非常に強いかけ橋で結ばれる。亡くなられたダニエル・イノウエ上院議員が米日カウンシルというのをつくられて、更にそれを強めていこうということで、今、相当アメリカの日系社会と日本の間の関係というのが強くなってまいりました。  また、中南米は、日系人の方々が政治的にも非常にリーダーシップをとっている国もあって、そういう日系社会とやはり日本との間のきずなというのをしっかりと構築をしていきたいというふうに思っております。  今、サンパウロあるいはロサンゼルスにジャパン・ハウスというのを今年度オープンをすることができるだろうと思っておりますが、そういう取組を通じて、あ、サンパウロはもうオープンしているのか、失礼、サンパウロは今年度、ロサンゼルスは年度でいえば来年度、オープンしますが、そういう取組、あるいは海外日系人大会などをしっかりと後押しをして、さまざまな地域で活躍されている日系人、そういう方々と日本のきずなを強めるとともに、なるべく日本からもこうした日系の社会に足を運んでいただいて、双方向のきずなを強めてまいりたいというふうに思っております。
  42. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 ありがとうございます。  私も、大臣が最初に昔のことをおっしゃったんですが、そのころの時代と、日系社会との結びつきも、私たちとの間も違ってきているのかなと。そこの根底にあるのは、国籍に関する考え方の違いも入っているのかなと思うんです。  というのは、国籍というと、敵か味方かという、戦争を想定したものだったと思うんですけれども、今はもうちょっと国籍に関する概念が変わって、ヨーロッパなどはほとんど重国籍を認めるようになっていますし、韓国もそれに近い方向で動いているというふうに聞いています。  そんな中で、日系社会の中には、国際結婚をして外国籍となった日本人も当然含まれるというふうに思います。それから、国際結婚によって日本国籍と外国籍の両方を持つ二十二歳未満の子供たちが国籍選択届を提出して外国籍となれば、彼らも日系社会に入ることになると思うんですが。  国際結婚をされた御家族から今、自分たちはもともと日本人だったんだから、自分たちの重国籍についても認めてほしい、保持させてほしいという要望が多数寄せられています。  これは、外務省ではなくて法務省の管轄になるので法務省の方に確認をしたいと思うんですが、ちょっと時間がなくなってしまいましたので私の方で簡単に申し上げてしまうと、国籍法十四条、十五条で、二十二歳になるまでに国籍を選択する国籍選択届の提出が求められているわけなんですけれども、これは、最終的には法務大臣の御判断になるんですが、ほっぽらかして国籍の選択届を出さないでいても、これまでに催告を受けて処罰されたというか日本国籍を奪われた例はないというふうに聞いているんです。  これは、憲法二十二条に、何人も、外国に移住し、国籍を離脱する自由を侵されないとありますので、国籍については離脱は個人の自由意思でなされるべきと明確にされていますので、慎重な運用がなされているのかなというふうにも考えているんですけれども。  一方、成人の重国籍に関連しても、法務省の方で随分と条件が緩和されてきて、今までだと五年以上住まなくちゃならないとかいろいろ細かい条件がついていたんですが、今では、日本の国籍をもともと持っていて失った方々は、日本の住所を有している者できちんとした方であれば、もちろん法務大臣の決裁になるわけですけれども、国籍復帰を認めるというふうにもされているようでございます。私は帰化という言葉はできるだけ使いたくないというふうに思っているんですが。  そこで、ちょっと外務大臣の方に伺いたいと思うんです。もちろん、国籍法に関することは法務省の管轄でございます。ただ、国籍の概念も時代によって変化するものだと考えておりますので、日本もその変化に対応したときには外交戦略の幅も広がるというふうに私は考えますけれども、大臣はいかがでしょうか、その点。
  43. 河野太郎

    河野国務大臣 国籍に関しては、これは法務省に聞いていただかなければいけないわけでございますが、これだけ時代が国際化しているという事実の中で、国籍についてさまざまなお考えが広がっているというのも現実にあろうかというふうに思いますし、国際結婚された方々のお子さんの国籍の問題について、私もいろいろと陳情を受けたりということもございました。  日本の国際的な力というものをふやしていく中で、どういうふうに国籍を考えていくのかというのは、これは外務省だけでなく法務省その他関係府省と連携して考えてまいりたいと思います。
  44. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 ありがとうございます。  大臣もおっしゃったとおり、この問題も時代とともに変化をしているというふうに私も認識しております。  ちなみに、ノーベル文学賞を受賞された石黒一雄さん、御存じだと思いますけれども、日本への愛情をにじませながらこんなことをおっしゃっています。残念ながら日本は二重国籍を許しません、イギリスは許しますけれども、少なくとも私がイギリス国民になったときは、一〇〇%日本人になるか日本のパスポートを捨てるかどちらかでした、ただ自分は、最終的には感情的には日本ですが、全ての実用的な理由から私はイギリス国籍を選びましたということを、日本への愛情たっぷりに語っております。実際、二重国籍になっているかどうかわかりませんけれども、テニスの大坂なおみ選手とか、いろいろなケースがこれからも出てくると思うんです。  国籍は、ある意味で人材資源の争奪の重要手段になってくると思いますので、ぜひここのところも少し既成の概念を取っ払ってお考えいただけますようお願い申し上げまして、私からの質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  45. 中山泰秀

    中山委員長 次に、篠原豪君。
  46. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 よろしくお願いします。衆議院議員の、神奈川の篠原豪です。よろしくお願いします。  お手元に今配付をさせていただいております三月十六日付の朝日新聞ですけれども、沖縄県のうるま市で、二〇一六年の四月、会社員の女性、当時二十歳の方が殺害された事件で、那覇地裁は元米軍属の被告三十四歳に対して、昨年十二月、無期懲役の判決を下しました。次いで、本年一月に遺族への損害賠償も命じています。  しかし、この事件では、被告は米軍の軍属ですけれども、直接雇用していないので補償金は支払わないというアメリカ側の二重基準で遺族側への補償金の支払いが拒まれているということがわかっています。  今後も同様の事態が起き得るということで、これは日米地位協定の不備だというふうに思いますので、本日は、この件を入り口に日米地位協定について、この協定の責任者である外務大臣である河野大臣に聞かせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  初めに、日米地位協定では、米軍人らによる公務外の不法行為については、加害者本人に支払い能力がない場合は被害者側が米国政府に補償金を請求できるという損害賠償命令制度というのがございます。しかし、今回は、被告側が賠償金を支払う能力がないと主張したにもかかわらず、アメリカ政府は補償金を支払う意思がないとしていますけれども、この事態について、現在も継続しているのか、あるいはその後問題解決に向けて何らかの進展があったのかについてお伺いをいたします。
  47. 河野太郎

    河野国務大臣 この事件は本当に大変痛ましい事件でございまして、御遺族のお気持ちを考えるといかばかりかと思います。御遺族になるべく御迷惑をかけないようにするのが政府として当然のことだと思っておりますので、米側とさまざまなレベルで協議をしているところでございます。
  48. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 今協議されているとおっしゃっていましたけれども、在日米軍は、外務省防衛省両省との協議の中で、米国政府に支払い義務のある雇用者の解釈について、被用者ですけれども、米軍が直接雇用している者であり、民間会社に雇用されていた被告は雇用者に該当しないと主張しています。  民間会社というのは、コントラクターのことを委員会で言ってもなかなか理解しづらいので、契約民間企業ということにさせていただきます。被用者を雇用者というふうに言わせていただきますけれども、米国政府に賠償責任がない根拠を今のことをもってしたんですけれども、これは間違いないのかということを確認させていただきたいと思います。
  49. 河野太郎

    河野国務大臣 この事件の御遺族に対する補償については、その具体的な手続等は防衛省が担当しておりますが、被害者側のプライバシーにかかわるものでもあり、また、防衛省、外務省双方で米側との間でさまざまなレベルで協議中でございますので、現時点で詳細についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  50. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 報道によりますと、そうおっしゃられても、今回は、軍属である被告人が刑事罰を受けるけれども、民事では払わないということです。アメリカ側が直接雇用している軍属の場合は、米側がまず、額は高くないというふうに、世界の中で一般的と言われていますけれども、それでも直接雇用の場合は米側が賠償金を支払います。そして、その足りない部分、日本に関して言えば、額に差がありますから、その点については補償金として日本政府が肩がわりをするということを実際にやっているのでございます。  しかし、この条件は、あくまでも米国政府が肩がわりをするという条件がもとなので、これは、その賠償をして足らない部分について今回日本側が、事件の問題点なんですけれども、日本外務省としては足らない部分も払うことができない、こういう構造に、一階建て、二階建ての二重の構造になっています。  ですので、被害者側は全く賠償が受けられないとこのままの状態ではなっていくと思いますので、現実には外務省防衛省が2プラス2の中でこの問題に対して米側に言っていると私も思います。米側は支払う対象ではなくて義務は負わないということを言っているわけですので、この点は日本側としてもしっかりと交渉していかなければいけないというふうに思いますので、河野大臣、よろしくお願いします。  この問題なんですけれども、そもそも殺人事件の被告は米軍の軍属なわけです。だけれども、直接雇用していないから米国政府は補償金を支払えないというのは、そもそも論理が逆転をしている現象が起きています。  なぜならば、在日米軍が特権的な地位を享受しているのは、日米安保条約に基づく任務を遂行しているからです。軍属でありますので、その一員と称していながら、在日米軍の指揮監督を全く受けていない、つまり民間会社に雇用されているからそういう状態にあるんだということになりますので、そもそも、そうなりますと、在日米軍の一員ではあり得ないから支払わないということだと思います。したがって、特権を享受する資格も本来的にはないんだと思います。  にもかかわらず、被告が軍属とされているという根拠は日本政府としてはどういうふうに考えていらっしゃるかということを伺いたいと思います。
  51. 船越健裕

    船越政府参考人 お答え申し上げます。  軍属につきましては、シンザト事件を受けました軍属に関する補足協定におきまして、軍属の定義の明確化を図ったところでございます。その定義に基づきまして、今後、このようなシンザト被告と同様の状況におきましては軍属に当たるようなものではないという点について日米共通の理解をしているところでございます。  また、ただいま御指摘いただきました点につきまして、日本政府といたしましては、日米地位協定第十八条六が規定する請求権の対象は、合衆国軍隊に直接雇用される軍属のみに限定されるわけでなく、間接雇用の被用者も含まれると理解しておるところでございます。  こうした考えに基づきまして、河野大臣からお答え申し上げましたとおり、米側といろいろなレベルで協議を行っておるところでございます。
  52. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 今、この事件、被告の名前をおっしゃいましたけれども、なぜ賠償しないかというと、今おっしゃられた被告が特殊な能力がないから、民間企業の雇用者は重要じゃないから賠償しないということなんだと思います。  そうなってくると、これから見直していくという話がありましたけれども、では、なぜ今の状態で軍属なのか。こうなってくると、そもそも軍属とは何なのかという根本的な問いがあって、もう一度繰り返しますけれども、特権だけ持っていて義務がゼロというような人間であることを、民間会社の従業員、雇用者というだけで、これはどういうことなのかというふうに思います。  今はそれをどうするかということは、米軍に特権があって、客観性がないとも言われている状態にしか見えず、アメリカ側が、必要不可欠であるかどうかといえば、はい、そうですということもないんだろうということを政府は意識も持っていると思うので、だからこそ、今おっしゃられた、二〇一六年にこの事件が起きて、二〇一七年一月十七日に補足協定をつくるということになりました。それでいいですよね。はい、わかりました。  その補足協定をつくる、そして、その中で、どこまで、誰がどういうふうに軍属ということになるのかということが議論になっていくんだ、今の御答弁はこういう御理解でよろしいですか。こういうことですね。
  53. 船越健裕

    船越政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘いただきました軍属に関する補足協定に基づきまして、日米地位協定に規定するところの軍属についての範囲を具体的に定めているところでございます。
  54. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 では、一般的にこれまでは定義が定かではなかったので、はっきりさせようということですね。  つまり、その補足協定というのは、今おっしゃったことを踏まえて、誰が軍属かということをはっきり定義づけるということが補足協定の目的であったというふうに思いますので、いいですね。今うなずいていらっしゃいますから、そういうことだということの前提の上で伺います。  軍属補足協定に基づいて、一月十五日に米側からの報告がありました。契約民間企業の雇用者数の総数が二〇一七年十月時点で二千三百四十一人で、その全員が軍属の資格を持ってされているということでありますけれども、それは間違いないでしょうか。
  55. 船越健裕

    船越政府参考人 委員指摘のとおり、軍属及びコントラクターの被用者の総数は、米側からの報告によりますと、二〇一七年十月時点で、軍属は七千四十八人、そのうちコントラクターの被用者は二千三百四十一人ということでございます。
  56. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 わかりました。ちょっとこの数字については、じゃ、後ほど少し伺いますけれども、結局、全員が軍属の資格を持っているということになります。つまり、補足協定で明確化をして、軍属で犯罪を抑止させるということが目的だと思いますので、それをどんどんどんどんとやっていこうということだと思うんですが、実際には全員が軍属の資格を持っている。  この今申し上げました昨年の一月に締結された軍属補足協定は、軍属にかかわる犯罪の抑止、特に契約民間企業の雇用者が軍属として特権を享受している現状を改めることに主眼があったというふうに理解をします。契約民間企業の雇用者全員が軍属であるというならば、協定に基づく軍属の範囲の明確化というのは何も変わっていないので、一体どういう意味があったのだろうかということなので、その点についてお伺いいたします。
  57. 船越健裕

    船越政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘いただきました軍属補足協定の目的は、軍属の範囲を明確化すること等でございます。軍属やコントラクターの被用者の数を絞ること自体を目的としたものではございませんが、こうした形で軍属の範囲を明確化することを目的としております。  米側は、新規雇用されるコントラクターの被用者を始め、軍属補足協定及び関連の日米合同委員会合意に定める基準に従って新たに軍属を認定するなど協定を履行し、また今後ともそうしていくとの説明をしておりまして、軍属補足協定は、そのように軍属の外縁を明確化するという目的を持つものと理解しております。
  58. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 それは、現状を見れば、たまたま雇われている全員が軍属であったということにすぎないんだろうというふうに思います。それを今後どうするかという話でありまして、実態はこういうことになっているんだと思います。そういった主張は、軍属となる客観的な基準が明示されないと、大体これからそういうふうにやっていきますという話になっても説得力がないわけです。  客観的な基準が明示されていなければ説得力がないんですけれども、政府は、この軍事補足協定は、二〇一五年に結ばれた環境補足協定と同じくして法的拘束力を有する協定であり、従来の運用改善とは一線を画す点で極めて重要と、その意義をこれまで強調してきています。  これまで安倍総理も岸田前外務大臣も、そして稲田前防衛大臣も、このことについて、この補足協定を説明するときには、これは運用ではなくてレベルが、これまでの日米地位協定内の取扱いから法的な拘束力を持ったものとして格段にレベルが上がったんだと、国民の皆さんにも説明をしてきているんだというふうに思います。  しかし、この軍属補足協定は、軍属の具体的な範囲、軍属に該当することとなる契約民間企業の雇用者の認定基準を直接明記しているわけではなくて、日米合同委員会で策定することとしているというふうに理解をしています。いいですね、それで。  つまり、今回の軍属補足協定も、実態は運用改善にすぎないのではないかというふうに、今の状況を見ると思われるんですが、私は先ほどから、実は質問の通告は大臣にさせていただいているんですけれども、少し、このことについてどう思われているかということを、本来であれば河野大臣に聞かせていただきたいと思うんですけれども、可能でしょうか。
  59. 河野太郎

    河野国務大臣 軍属の補足協定というのは、日米地位協定で定められている軍属の範囲を明確化する国際約束でございます。政府間の法的拘束力を有する国際約束という形でこの協定を締結したことは、日米地位協定の内容に係る運用のあり方を在日米軍との間で決める運用改善とは一線を画すものであって、重要な意義を持つものだというふうに私は考えております。  この補足協定の目的は範囲を明確にするということであって、軍属やコントラクターなどの被用者の数を絞るということ自体を目的としたものではないということは御理解をいただいていると思います。ここをしっかりと明確化するということで、この協定を結んだということは評価できるんだろうと思います。
  60. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 補足協定として、日米合同委員会が発表した合意には、軍属として八種別を挙げているわけです。その軍属の具体的な範囲を明確にさせることが目的であって、先ほど、数字、もともと、一六年末時点では、明確化する前は、軍属が何人いるかというふうにこの国は数えていて、約七千三百人と二千三百人だったということを言ってきたわけですね。この軍属とコントラクターの、コントラクターというのは民間企業ですけれども、契約民間企業の被用者が、雇用者ですね、一七年十月末には、先ほどおっしゃった数字の七千四十八人と二千三百四十一人という数字に減っていると。  だから、明確化されて、恐らくその数字で、安倍政権が今までやっているのは、明確化をしたことによって、運用改善が、本当だったら数は減っているんだと言おうとしたところ、約二千三百人と数えていたのが、実際にはこの民間企業の雇用者については二千三百四十一人ですから、四十一人ふえているということになっています。なので、これまでは推計値でやってきたものが、今回は補足協定に基づく報告としてちゃんと数えたので。  推計値も出ているし、ある一定のことがあったし、別に減らすということを目的にしていないということで言っているということでは、これは、そうはおっしゃっても、実にやっているところは、単に実数の計算をして、正確に数を数えて比べたことをやっているだけであって、言いかえれば、現実的に軍属や、目的じゃないとおっしゃるのかもしれませんが契約民間企業、この事件のことをもう一度考えていただいたときには、こういった事件、何が起きているかというと、つい最近までは、軍属の方であれば、何か事件を起こして、そして逃げ込んでしまう。そういった状況があると、これは、軍属であれば、軍人でないのでアメリカ国内でも軍法裁判にかけられないし、かといって日本でも、これはなかなか、実際にいろいろとやっていくのは難しいということになって、逃げ得というかわかりませんけれども、そういう時代があったのはもう実態だと思います。  日本立場を考えたときには、こういった人たちをしっかりと減らしていくということが大事だということなので、それがそういった目標のもとにあるものではないのかということがやはり問いになってきて、それをやはり明確化して、国際的な協定としてやっていくということであれば、これは、今おっしゃった、今回のような、それは全員がそうだというふうには全く思いませんけれども、こういった民間の雇用者の軍属の方々は推計値よりも実際にはふえていて、このような事件が起きたときに、今言ったような賠償がなされないというようなことの対象者が減っているわけでも何でもないので、やはりそういう根本的な問題としてそこはしっかりと、外務省としては、この軍属に対してどういうふうに、特に民間企業の雇用者である、コントラクターの被用者たる方々に対してのものを米側とこれからどういうふうに考えていくのかということ、これをちょっともう一度河野大臣に方針を聞かせていただきたいと思います。
  61. 河野太郎

    河野国務大臣 今まで軍属の範囲がはっきりしなかったところをこの補足協定できちんと明確にするという意味において、これは非常に意味があったと思います。  被用者の数というのは、安全保障をめぐる状況が変化すれば、これは当然数が増減するわけでして、この補足協定そのものでそれを絞り込もうとしているわけではないというのは、先ほど申し上げたとおりでございます。  さまざま、米軍の駐留においては、やはり地元の皆様の御理解を得るということが非常に大切なわけで、こうした痛ましい事件を受けてこの補足協定を結びましたので、これをしっかりと活用して軍属の範囲の明確化というものをやっていきたい、そして、それに応じて、地元の御理解を得られるような努力というのを今後もしっかりと続けてまいりたいというふうに思います。
  62. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 実際に今回起きていることは、協定によってこの軍属を適用除外にした人はゼロということでありますので、これがふえていけば、安全保障環境が変わればふえていくのは当然だみたい話じゃなくて、実際には一年間何も変わっていないということでありますので、そういった対象がこの事件を受けて減っていくということを、やはり日本政府も努力をしていただきたいというふうに思います。  これは、何でそういうことを、民間の軍属の方々というのは日本でこういうふうになっているのかなと思って他国を見てみると、日米地位協定は、アメリカがほかの国と提携している地位協定に比べて、軍属の範囲が広く定められているというふうに思うんです。そもそも、その点の見直しが行われていないと思います。NATOと比べても対象が違いますし、時間がないので先に申し上げれば、イギリスの場合は、米軍に直接雇用されていない契約企業の雇用者は米軍属の資格を持たないんですよ。明確なんです。わかりやすいんです。  日本は、補足協定をつくったといっても、その範囲が明確でも何でもなくて、どうするかということが指し示されていないんですが、海外と比べれば、もう一度申し上げますけれども、米軍属の資格を、契約企業の雇用者、つまり、今回の事件があって、その被告人となった方のような方はそもそも軍属として扱われないんですよね、なので、我が国もそろそろこういう客観的な基準を海外と比べて持つように努力すべきじゃないか、こう思うんですけれども、いかがでしょうか。
  63. 河野太郎

    河野国務大臣 米国は地位協定を日本を含めさまざまな国と結んできておりますけれども、その規定ぶりだけでなく、実際の運用、背景といったものは、その国、地域の歴史あるいは安全保障の状況その他、全体像の中で考えなければならないものだというふうに思います。  一つのことをとって、この地位協定とあの地位協定が違う、あるいは同じといっても、それは、合同委員会の合意議事録を含めた大きな法的な枠組みの中のものでもありますし、それぞれの米軍の駐留に至った背景、歴史といったものもそれぞれ違うわけですから、一つ一つを比べてどうこうというのは、これはなかなか難しいことなんだろうと思います。
  64. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 それはこれまでの政府の考え方と何ら変わっていないで、一概に論ずることができない、全体像の中で比較する必要があるため、実際の運用、背景等も含めたというのはこれまでの話と何も変わらないので、そこを変えていただけるのがよろしいんじゃないですかという質問です。  運用に関して言えば、運用改善、運用改善といいますけれども、実効性は持っていないというのは、これまでも幾つかのことで明らかだというふうに思っています。  例えば、米軍関連犯罪の起訴については、米軍人及び軍属の起訴の前の拘束の移転が極めて重要でということで、一九九六年に特別な配慮を払うという運用改善が合意されましたけれども、二〇〇二年に沖縄で、何というか、痛ましい事件が起きて、さらに、九六年以降でというと、凶悪犯罪が多く検挙されているにもかかわらず、日本が起訴前の引渡しを求めたのは非常に少ないということは、これまでも問題になっています。  運用改善は恣意的な要素が多くて、結果的に、先ほど地域住民の皆さんの理解をということでおっしゃっているということであれば、これは沖縄の住民の皆さんにも不信を深める役割を果たしているんじゃないかとこれまでも言われてきていますし。この運用改善は限界があるけれども、決して無意味ではないみたいなことをいつも政府はおっしゃっているんですけれども、ここは、今申し上げたのは今までの答弁と変わらない話なので、この地位協定を改定して、そして、米側の恣意的な裁量の余地をなく、客観的に対処する必要があるんじゃないかと思うので、この質問をさせていただいているんです。  もう一つ、運用改善について言えば、最近は、米軍のヘリコプターなんかは不時着が多発しています。これは米側の許可がなければ、日本の自治体や警察が現場の検証を行うこともできないわけです。お覚えでしょうけれども、沖縄国際大学にヘリコプターが墜落をして、二〇〇五年に米軍の基地の外における米軍航空機の事故ガイドラインというのをつくりまして、そして、事故現場は日米で共同管理をし、現場周辺の立入り規制を日本の警察が担当するというふうに規定しましたので、現場検証の捜査権を認める規定は盛り込まれていない。これは、海上であれば海上保安部ですし、県警が日米地位協定の十七条六項の(a)に基づいて協力を要請しても、無回答であることが多いとされています。  実例を挙げますと、神奈川県でも、三浦市にヘリが不時着をしたということが二〇一三年にありましたし、国民の皆さんの高い航空機でいえば、オスプレイですよね。このオスプレイが名護市の海岸に、二〇一六年の冬に大破したという事故がありました。不時着事件の件数を見てみると、二〇一六年より一八年の一月までで、在日米軍機の事故、不時着件数というのは十四件あるんですよ。だから、結構よく起きていることでありますので、やはり地位協定の改定がなければ実効性がないということなんだと思います。  時間ですので、最後、質問を伺いますけれども、河野外務大臣には、私は期待をさせていただいておりまして、大臣の就任前から、米軍基地に起因するような事件、事故、騒音、土壌汚染などの環境問題の抜本的な解決のためには地位協定を改正すべきであるということもおっしゃっていたように思います。そして、これは本当に、河野大臣だからこそ頑張っていただければと思うんですけれども、これは、外務大臣になられた今も協定の改定、改正が必要であるとお考えかどうか、最後に聞かせていただければと思います。
  65. 河野太郎

    河野国務大臣 政府としては、手当てすべき事項の性格に応じて、効果的で機敏に対応できる最も適切な取組を通じ、一つ一つの具体的な問題に対応してきております。  私としては、外務大臣として、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求してまいりたいと思います。
  66. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 大変短いお言葉で。  河野大臣には、何としてもこういったことにしっかりと取り組んでいただきたいし、就任前には御自身のお考えをおっしゃっていらっしゃるので、そういったことに基づいてやっていただきたいというお願いであります。  地位協定は、昭和三十五年の締結以来、一度も改定されていないという、現実的には極めて重い、そして大臣という立場も踏まえつつ、できる限りの努力をしたいということは、恐らくそういうことなんだろうと思います。  しかし、敗戦を機に占領軍として進駐して以来の、そのままの駐留を続ける在日米軍のあり方を変えることがいかに難しいかということは、私も理解をしています。しかし、そうした歴史があるからこそ、法的に対等な関係に位置づけることが、同時に未来志向の日米関係を考えることにつながっていくものと考えています。  ですので、河野大臣には、ぜひともそうした観点から初志を貫徹していただければというふうにお願いを申し上げまして、私のきょうの質問とさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  67. 中山泰秀

    中山委員長 次に、山川百合子君。
  68. 山川百合子

    ○山川委員 立憲民主党・市民クラブの山川百合子でございます。  初めての国会での、外務委員会での質問となります。  河野大臣におかれましては、二十年ほど前になるかと思うんですが、私がNGOでスタッフとして国内外で支援活動に携わっていた際に、非常に、NGOの活動についての重要性とか、ODAとそしてNGO予算の課題とか、いろいろなことで御理解をいただいて、御支援もいただいてきたわけであります。また、河野大臣大臣に就任されて、NGOの関係者からの期待も大変大きいですので、どうぞよろしくお願いいたします。  そして、きょうは、私にとりましては最初の質問ですから、非常に基本的なことも含めて、大臣の御見解や取組などについて伺っていきたいというふうに思っています。  まず最初に、河野大臣の日米同盟のさらなる強化ということについて、どのように図っていくかということについてお伺いをしたいというふうに思います。  施政方針演説の中で、まず初めに挙げられているのは日米同盟の強化、首脳間に加えて外相間でも緊密に連携し、日米同盟の一層の強化を図っていきますというふうにおっしゃられております。  実は、私、昨年の特別国会の際にはここで質問する機会はなかったんですが、質問主意書の方で、初めての質問ということで、非常にシンプルな質問で、日米同盟というのはいつ始まったんですかというような質問主意書を出させていただいたところ、そのお答えは、回答するのは困難ですというような趣旨の非常にそっけない、つれないお答えでございました。  そこで、改めてここで日米同盟について伺っていきたいというふうに思います。  条約が存在しているのは日英同盟であります。これは、一九〇二年、明治三十五年の一月三十日に第一次日英同盟条約が署名され、即日発効されました。これは、当時の大英帝国が唯一他国と締結した軍事同盟であり、その二年後の一九〇四年に日露戦争が勃発をしています。  これに対して、日米同盟という条約は存在をしておりません。日米同盟の根幹は日米安全保障条約であり、しかし、それはしばしば片務性の課題、問題が指摘されて、かつては単に日米関係とか日米安保体制などと言われてきたわけであります。双務性によって成り立つはずの日米同盟とは表現されてきませんでした。  しかし、いろいろ調べてみますと、日米同盟というのが公式に言及されたのは、一九八一年、昭和五十六年五月八日に発表された鈴木善幸首相とロナルド・レーガン大統領による共同声明の中のようでありました。そして、この共同声明の中で、「日米両国間の同盟関係」という表現で初めて日米同盟が公式に言及されているようであります。そして、当時は、この言葉が使われたことで、国会においても、あるいは社会全体においてもかなり議論になりました。  更に調べてみたところ、首相の施政方針演説で初めて日米同盟という言葉が使用されたのは、調べてみたところ、一九九一年、海部内閣によって、我が国の安全にとって必要な節度ある防衛力の整備を進めていくことは、日米同盟を将来に向かって強化するための不可欠の前提でありますと一回だけ述べられています。このときの文脈としては、防衛力の整備という文脈の中で言及されているわけであります。  以降、ちょっと細かくはなりますが、平成三年に述べられた後、施政方針演説で出されたのは、時代が随分あいて、平成十三年森内閣が一回、また少しあいて、十七年に小泉内閣が二回、ずっと毎年、一回、二回、四回のときもありますが、毎年毎年述べられて、そして、安倍内閣でも同様に言及されて、今年度の施政方針演説では四回の言及をされておられます。  この十七年間にわたって使われてきた日米同盟という言葉が、その使われるコンテクストを見てみると、必ずしも軍事同盟としてのみ言及されているわけではないようでありまして、例えば平成十三年の外交演説において、河野大臣のお父上であられる河野洋平大臣もこのようにおっしゃっていらっしゃいます。「自由、民主主義といった価値を共有する日米の緊密な関係は、アジア太平洋地域の平和と安定に大きな役割を果たしてきました。我が国としては、日米同盟関係強化に積極的なアメリカ政権との間で、あらゆる問題について十分な政策対話を行ってまいります。」と、単に軍事同盟と捉えるのではなく、より大きな外交的視野で述べていらっしゃいます。  先日、河野大臣が行われた外交演説においても、同様に、河野大臣は、「地域と国際社会の平和と繁栄を主導する日米同盟の揺るぎない絆を世界に示すことができました。外相間でも緊密に連携し、日米同盟の更なる強化を図っていきます。」と述べておられます。  つまり、日米同盟というのは、軍事同盟という側面だけではない。私は、戦争というのは外交に失敗した結果である、戦争は外交に失敗した結果なのだというふうに思っています。そうであるならば、戦争を回避するための外交努力は何よりも大切であり、日米同盟が果たすべき非軍事的オプション、非軍事的スキームが大変重要だというふうに思っています。  しかし、安倍首相がことしの施政方針演説で四回ほど述べられているんですけれども、そのコンテクストは四つあると思いまして、自衛隊のアメリカの艦艇と航空機防護北朝鮮情勢、外交、安全保障の基軸、抑止力といった、軍事同盟として日米同盟を捉える文脈で発信されているというふうに思えるわけであります。  そこで、ここで河野大臣に伺いたいんですけれども、まず、河野大臣の日米同盟とは何かという御見識をお聞かせいただきたいと存じます。
  69. 河野太郎

    河野国務大臣 何か大学の試験を受けているような気がいたしますが。  よく考えると、河野洋平外務大臣外交演説というのは私読んだことがなかったものですから、今、そういうことを言っていたのかと。ちょっと、自分も全文読まにゃいかぬなと反省をしたところでございます。  日本アメリカは、民主主義とか基本的人権とか、さまざまな価値を共有する、そういう二つの国なんだと思います。また、第二次世界大戦後につくられたリベラルな国際秩序という恩恵を最も受けてきた国のそれぞれ一つであって、この二つの国が同じ方向を向いて手をとり合っていくというのは、このリベラルな国際秩序を守り育て、世界の平和と安定あるいは国際的な経済の繁栄といったものに大いに寄与するものだと思いますし、それに寄与していかなければいけないんだろうというふうに思います。  もちろん、日米同盟の中には日米安全保障条約というのが含まれて、日本が提供する米軍の基地あるいは米軍の抑止力というものがアジア地域での平和と安定をつくり出す、いわば国際公共財のような役割を果たしているというのも事実だと思いますが、おっしゃるように、これは決して軍事力だけの同盟関係だと私は思っておりません。  日本が一生懸命努力をした例えばTPP11なんというのは、アメリカがいなくなってしまいましたが、本来は国際経済の繁栄の礎となるものであり、アジア地域、太平洋地域での新しいさまざまなルールを日米が一緒にリーダーシップをとってつくっていくはずのものがこのTPPだったんだろうと。そういうつもりで日米は一生懸命やってきたはずでありまして、そこから米国がこぼれ落ちてしまったというのは残念ですし、いまだに、米国がしっかりと戻ってきてもらいたいというふうに思っております。  また、国際社会の平和と安定と大上段にかぶるだけでなく、この日米両国の人的な交流というのは、非常に幅広い交流が行われているということもございますし、それはさまざま、文化の発展というところにもつながってくるんだろうというふうに思います。  もちろん、日米安保条約というのは、この日米同盟の大きな柱の一つであるというのは事実だと思いますが、決してそれにとどまるものだけではなく、さまざまな分野で日米が手を携えていくということがアジアを始め国際社会の平和と繁栄に寄与していく、そういうものでなければならないし、そういうものであったと言ってもよろしいのではないかと思います。
  70. 山川百合子

    ○山川委員 ありがとうございます。  日米同盟の軍事的でない、非軍事的な側面のいろいろなお考えを、御見識をお伺いいたしましたが、これを施政方針演説の中でも、さらなる強化を図っていくということでいろいろ述べられているわけでありますけれども、よりその施政方針演説を深掘りした形で、来年度、新年度の予算も含めて具体的に、この非軍事的な部分でこの分野をさらに強化していくというところをもう少しお答えいただけるとありがたいと思います。
  71. 河野太郎

    河野国務大臣 先ほど申し上げました、アメリカの日系人社会のリーダーを日本にお招きをするというような文化的なものもあれば、さまざまな分野で、特に貿易を始めとする経済のルールを日米で一緒につくっていこう、そういう議論も今、日米経済対話を始めさまざまな場面でアメリカと行っているところでございます。  また、ことしはPALM8のようなものもございますが、この太平洋島嶼国の発展について日米でさまざま協議をしていかなければいけないというのも事実でございますし、あるいは中東の和平、これは日本が少し政治的な取組を強化していきたいという地域でございますが、ここでアメリカの存在抜きに中東和平を語れないというのが今の現実だろうと思います。そういう中にあって、日米がしっかりコミュニケーションをとりながら、さまざまこの中東和平に向けて努力をしていくということもあると思います。  北朝鮮の危機が目の前にある中で、日米のさまざま、安保協力、防衛協力というのも強化をしていかなければいけないのはもちろんでございますが、経済、国際場裏あるいは外交、さまざまな分野で日米の連携を強めていきたいというのが私の方針でございます。
  72. 山川百合子

    ○山川委員 ありがとうございます。  いろいろと、特に新年度取り組まれることについてお伺いしたわけでありますが、中東の和平には日米同盟が非常に重要であると施政方針演説の中にもあるかというふうに思うんですが、私は、片側で、中東を始めとする世界、国際社会に日本がどういうふうにかかわっていくかということにおいて、余りアメリカに、日米の関係は非常に重要ですし、日米安保体制の中で今の日本があるということはもちろんなんですが、余りアメリカに偏り過ぎた世界、国際社会へのかかわり方というのが、かえって日本の安全保障を脅かすことにもなりかねないのではないか、そういうメッセージにもなりかねないのではないかという気が私はしているのであります。  それで、日米同盟が必ずしも軍事同盟という側面だけを意味しないのであるということが今確認されているわけでありますけれども、であるとすれば、日米双方がそれぞれ異なる役割を果たす、そして補完し合うことで日米安全保障条約の片務性の問題は総体的に解消されているものというふうに考えますので、現時点における日米同盟の片務性の問題が存在しないのであるとすれば、必ずしも、日米同盟のさらなる強化に向けて、私は、アメリカとの関係を強調して、安倍政権が進める憲法九条改正の議論は必要ではないのではないかというところも思っているわけであります。  この点について、ちょっと、河野大臣のお考えをお伺いできればというふうに思っております。
  73. 河野太郎

    河野国務大臣 済みません。御質問の趣旨がよくわかりませんが、この日米の両国の関係を緊密にするということと憲法九条の改正というのは、それは多少つながりがあるのかもしれませんが、全く別個の話だというふうに私は認識しております。
  74. 山川百合子

    ○山川委員 ちょっと唐突感があったかもしれませんけれども、私は、日米同盟というのは、既に日本アメリカというのは対等な関係にあって、アメリカに余り偏り過ぎた、アメリカの軍事的な側面に偏り過ぎた外交をするという印象を海外に与えるべきではないという点から、このことを質問させていただきました。ぜひ、日米同盟ということについて、国会での最初の質問ですので、確認させていただきたいというふうに思いました。  続きまして、積極的平和主義の定義、河野外務大臣の御見解を含めた定義についてお伺いをしていきたいと思います。  といいますのは、全て、今回の施政方針演説でもそうですし、安倍総理の演説でもそうですけれども、この積極的平和主義、これが必ず語られるわけであります。しかし、この積極的平和主義は何を意味するのかというところがいまいち国民に理解されていないのではないか、あるいは国会の中でも明確な定義として示されていないのではないかというふうに思うからであります。  といいますのは、この質問をするに当たっても、積極的平和主義の定義はということでいろいろ探しました。もちろん、外務省の方にもお聞きしました。そうしましたところ、ここに書いてありますよ、これですというような形で持ってきていただくとか、そういうことは全くなかったんですよね。  それで、では積極的平和主義とは何かというところ、やはりこれも基本的なところでありますが、最初の質問機会でありますから、確認をさせていただきたいというふうに思っております。  まず、その定義は何ですかと入る前に一つ確認をしておきたいんですけれども、この積極的平和主義という言葉、最初に公式にこの言葉が使われた、発表されたのはいつなのかということを私もちょっと自分で調べさせていただきました。私が調べた範囲でいいますと、二〇一三年、アメリカのハドソン研究所が出しているハーマン・カーン賞の授賞式に安倍総理が出席をされたとき、そのときのスピーチ、そこで初めて積極的平和主義という言葉が使われているようであります。  ちょっと引用させていただきますと、「みなさま、私は、私の愛する国を積極的平和主義の国にしようと、決意しています。 いまや私にはわかりました。私に与えられた歴史的使命とは、まずは日本に再び活力を与えること、日本人に、もっと前向きになるよう励ますこと、そうすることによって、積極的平和主義のための旗の、誇らしい担い手となるよう、促していくことなのだと思います。」というふうに述べられているわけであります。  そして、その次の日になると思うんですが、翌日、国連総会における一般討論演説で、「新たに「積極的平和主義」の旗を掲げようとするものです。」というふうにおっしゃられています。  これが、私が調べた中で、公式にこの積極的平和主義、これが日本の国の新たなありようなんだということを発信されたものというふうに認識しているんですけれども、まず確認ですが、それが最初だったということでよろしいでしょうか。
  75. 大鷹正人

    大鷹政府参考人 お答え申し上げます。  いろいろな設定があるかと思いますが、私どもが承知している限りは、まず、平成二十五年の十二月に政府が国家安全保障戦略を閣議決定いたしまして、その戦略におきまして、国際協調主義に基づく積極的平和主義を我が国の国家安全保障の基本理念として定めさせていただきました。  そして、平成二十六年の一月の第百八十六回国会のときに、安倍総理の施政方針演説の中におきまして、積極的平和主義という言葉を使ったということでございます。
  76. 山川百合子

    ○山川委員 そのことはもちろん承知しているんですが、日付的にいくとそれは十二月の話であり、今の御答弁は十二月でありますから、そのもっと前に、同じ二十五年の九月に、ハドソン研究所での受賞で一番先に語られたというふうに思うんですね。思うというか、時系列に並べるとそうなると思うんですが。  このことからもうかがえるように、やはり、積極的平和主義ってどういう意味なんだろうということが随分話題にもなりましたし、いまだ国民にちゃんと理解されているようになかなか思えないんですね。やはり、新たな日本の国のあり方だということでこの理念を、この考え方というんでしょうか、掲げていらっしゃるわけでありますから、私は、まず最初に国会で、あるいは国民に向けてそのメッセージを発信し、その国民的な理解を得るような努力が必要であり、まず最初がアメリカのハドソン研究所でのスピーチにあったということは大変残念なことであったかなというふうに思っているわけであります。  もう一つ、このハドソン研究所のハーマン・カーン賞というのは、何かアメリカの安全保障に貢献した人に出される賞だということも調べると出てきておりますので、そういうところで語るよりも前に国民に語ってほしかったなというふうに思うわけであります。  そのことを指摘させていただいた上で、この積極的平和主義、政府が掲げる積極的平和主義の定義についてお伺いをしていきたいというふうに思います。  この積極的平和主義って何なんだということで、いろいろな批評が行われてきたわけでありますが、この積極的平和主義という言葉の中に含まれる積極的平和という、この主義がないところ、積極的平和という部分が以前から既に平和学の概念として使用されてきた用語であるけれども、その意味する内容が必ずしも一致していない、むしろ逆の意味なんじゃないかというような指摘があるわけでありますが、この積極的平和主義と積極的平和、言葉が混同するということで、理解がなかなか進まないということの一因でもあるというふうに思っています。  河野大臣はもちろんこのことを御存じだとは思うんですけれども、平和学で言う、その提唱者であるガルトゥング氏によると、平和には二つある、その一つは、単に戦争や紛争のない状態、これは消極的平和であるというふうに位置づけまして、そして、単に戦争や紛争のない状態ではなくて、その社会に差別や抑圧や貧困や格差が存在しない状態、これを平和学では積極的平和、ポジティブピースと定義をしています。これは、人間の可能性を一〇〇%開花することを阻害する力、すなわちこれを構造的暴力と呼び、これが存在しない状態こそが積極的平和が目指すビジョンというふうにしているわけであります。  ですから、私は、この積極的平和というのは、実は武力によらない平和という意味であり、日米同盟を基軸とする平和安全法制や国家安全保障戦略などのいわゆる伝統的な安全保障政策が、防衛力とか抑止力といった軍事的な脅威に対抗する、これは武力による平和、武力によって戦争のない状態を維持しようとする、これは消極的平和と定義づけられる概念であるのだから、安倍政権の掲げる積極的平和主義はむしろこの平和学で言う消極的平和に軸足を置いているのだという指摘には、一理あるのだろうと私も考えているわけであります。  この点について、河野大臣、どのようにお考えでしょうか。
  77. 河野太郎

    河野国務大臣 今、さまざまな脅威は簡単に国境を越えてくるようになって、どの国も、一カ国だけで、一国のみでみずからの平和と安定を守ることはできないという状況がある中で、みずからの平和と安定を守るためには国際社会全体の平和と安定を確保しなければならないというふうになっているんだと思います。  国際協調主義に基づく積極的平和主義というのは、こういう現実を踏まえて、国際社会の平和と安定そして国際的な経済の繁栄の確保にこれまで以上に積極的に関与して、我が国の安全あるいは地域の平和と安定を実現していこうという考え方だと私は思っております。  また、日本は、人間の安全保障という提起をしてまいりましたから、平和国家を目指している日本が、戦争のない状態を目指すだけでなく、人間の能力を最大限に引き出すことができるように、一人一人の、個人の安全保障というものを担保しようという問題提起をずっとしてきたというところは、考えていくと、この先ほどおっしゃった博士の提唱される部分といろいろ重なってくるのではないかと思います。
  78. 山川百合子

    ○山川委員 ありがとうございます。  どのように呼ぶかというのは、安倍総理の進めるものはむしろ平和学で言う消極的平和主義で、同時に、平和学で言う積極的平和というものも含んでいるというようなことを私は申し上げて、消極的平和かどうかについては御答弁はいただけなかったですが、積極的平和主義の中には人間の安全保障を最大限にしていくというような取組も含むものだというような御答弁をいただきました。まさにそのとおりだというふうに思います。  特に、これは英語に直してみるとすごくクリアカットというかわかりやすいと思うんですが、積極的平和は、先ほども言いましたポジティブピース、積極的平和主義はプロアクティブ・コントリビューション・ツー・ピースというふうに訳されていまして、こっちの英語の方が、日本政府の、今、河野大臣がおっしゃられた、積極的に世界の平和に貢献していく、それは軍事面、軍事による抑止力だけではなくて、人間の安全保障を保障していく、最大限にしていくための取組も含んでいるんだということを今お答えいただいたんですね。  過去の国会での答弁を見ても、そのようなことは言われてはいるわけでありますが、この非軍事面での貢献、これについてのやはりPRというか国民への説明というか、そこが非常に私は足りないんじゃないかというふうに思っているわけですね。  だからこそ、軍事面が非常に目立つというか、すごく際立って、非軍事面の世界の平和に貢献するという、まさに外務省外交においてやるべきところのPRとそして取組がもっともっと必要であるというふうに思っているわけであります。  そこで、具体的に、では、積極的平和主義に含まれる積極的平和をつくる、河野大臣が幾つかのスキームを少し御答弁いただいたんですが、そのスキームについてもう少し伺っていきたいというふうに思います。  私は、これは自分の経験からお話を少しだけさせていただきたいんですけれども、NGOのスタッフとして、国内外の現場や、東京でのバックオフィスというんでしょうか、サポートに携わった経験から、現場で、私たちはNGOのスタッフとして行くわけですから、もちろん当たり前ですけれども、武力は持っていきませんし、私たちが持っていかないのと同時に、日本政府というか日本国としても武力を持ってその国に行くということはないわけであります。  私たちの団体は、人道支援、緊急支援ですとか、紛争地域の生活支援ですとか、あと復興支援ですとか、あるいは貧困地域の社会開発とか、そういったものを手がけてきたわけですが、そういう現場で、支援を受ける人々、社会の人々が一様におっしゃることとしては、特に中東とかアフリカの地域などでそういうことを耳にしたわけでありますけれども、日本は武器を持ってこない、だから日本人は信用できる、私たちの社会に混乱をもたらしに来るのではなくて、私たちの生活を何とかよくしようとして来てくれるんだということに、非常にそのことを高く、すごく評価してくれていました。  そのことは、私は、現場に、あるいは現場を後ろからサポートした経験から、こういうふうに地元の人たちは受けとめているんだなというふうに、本当に自分の経験からつかみ取ったんですね。  そのことというのは、実は、地道なことであるけれども、非常に日本外交においてとても重要なことだというふうに私は実感を持って、河野大臣も御存じいただいていることとは思うんですが、改めてこのことをお伝えしておきたいというふうに思うわけであります。  先ほどから言葉の定義のことでいろいろお話ししてきましたけれども、日本政府が進める積極的平和主義に含まれる積極的平和というものを、平和学で言うところの消極的平和と区別して、防衛を中心とした伝統的な安全保障政策とは異なる、先ほども大臣がおっしゃられた人間の安全保障、地球的規模の課題への取組などの平和外交手段をどのように具体的に次年度には施策展開をしていかれるのか、具体的なところとしてお伺いをしていきたいというふうに思います。
  79. 河野太郎

    河野国務大臣 さまざまなことが盛り込まれていると思いますが、例えば、今おっしゃってくださったような日本の支援というのは、途上国を対等なパートナーとして、その国の発展のために、あるいはその国の人材を育成するためにどうしたらいいのかということを常にパートナーとして考えてきた、そういうことがあるのではないかと思います。  本来なら、そんなにいいものならもっともっと予算をふやせばいいではないかという議論もあるかもしれませんが、残念ながら、我が国の財政の制約を考えると、なかなかODAだけ突き抜けてというわけにもいきません。しかし、そんな中で、それぞれの地域の方々の開発支援、あるいは、テロ、感染症、さまざま国際的な問題に対してしっかりと手を打っていく、そうしたことを日本が努力していくということはとても大切なことなんだろうというふうに思っております。  また、月曜日、核軍縮に関する賢人会議というのを開催させていただきます。それは軍事だから消極的な方に入るんだ、こう言われるかもしれませんが、日本として、やはり、それぞれの地域で、この核軍縮に向けた動きというものをいかに兵器国と非兵器国の間で橋渡しをしていくか、これも日本の重要な、大きな役割の一つだというふうに思っております。  また、小和田判事が退任をされましたが、ICJのような国際機関の中で、多くの日本人が働いている。一人一人の日本人が、この世界の平和と安定のためにさまざまな国際機関の中で頑張っている、それをしっかり後押しをしていきたいというふうに思っております。  そういう中で日本人が頑張って、国際機関の中を通じてそうしたところへ活躍できるというのも積極的平和主義と言ってよろしいかと思いますし、また、多くのNGOが今日本では育ちつつあると思います。欧米と比べると、やはりまだまだ規模の問題あるいは能力構築、能力支援が必要なところというのはあるのかもしれませんが、国内だけでなく世界に向けて努力をするNGOというのがふえてきている中で、少しこのNGOと一緒になって、そうしたNGOのやっている取組をもう少し積極的に後押しをしていくのも必要なのではないか、そうしたことを来年度の予算の中でしっかりと実現をしてまいりたいというふうに思っております。
  80. 山川百合子

    ○山川委員 ありがとうございます。  もともと河野大臣は、大臣になられる前から、NGOの支援も含めて、いわゆる民間外交ですとか、平和をつくり出していく、軍事による抑止ではない、世界の、平和学で言うところの貧困や差別や抑圧や格差を取り除くとか、紛争を起こさない状態、起こらないような状態をつくり出していくということにすごく御理解をいただいてきたものと思いまして、今の御答弁もすごく希望を持ってお聞きしていたわけでありますが、私は、一つやはり課題があるなというふうに思っているのは、国際協力とか国際支援とか、こういったことがめぐりめぐって日本の安全保障に寄与するということについての国民の理解が、もっと私は国民の理解が必要であるというふうに思っているわけなんですね。  例えば、NGOの力をつけていかなければいけないということは、私も、自分も当事者としてそこで働いていましたから、そのように思うわけでありますけれども、そのためにはいろいろな経験を積み重ねなければいけないということがあって、欧米のNGOと日本のNGOは、やはり資金的な格差とそれから経験の差というのが非常に大きいというふうに思うんですよね。  この間ちょっと御相談を受けたんですけれども、南スーダンに日本のNGOがなかなか支援活動に、渡航の退避勧告があって、なかなか行かれない。ところが、欧米のNGOは行っていると。もちろんNGOも、みずからの命を危険にさらすために行くわけではないわけですけれども、安全はちゃんと確保した上で、それで使命感を持って行く。現場で経験をできるかどうかというのは、やはり力をつけるということにも大きく影響してくるわけですよね。ただ、そのためには、やはり国民の理解というものが非常に私は重要であると思うんです。  もう時間もないようですが、日本のNGOが世界各地で行っている援助が、私は自分の経験から、本当に現地の人たちから感謝をされ、本当に高く評価をされているということを日本の国民が余りにも知らないんじゃないかというところを危惧しているわけであります。  ですから、大臣にいろいろと御答弁いただいて、特にNGOについての能力向上とかということについて御答弁いただいたことはすごくありがたく、希望を持っているわけでありますが、やはり国民の理解を、国民に、日本はこれだけのことをしているんだ……
  81. 中山泰秀

    中山委員長 山川君に申し上げますが、既に持ち時間が経過しておりますので、質疑を終了していただきますように、よろしくお願いします。
  82. 山川百合子

    ○山川委員 そうですか、失礼しました、わかりました。  国民の理解、日本人がこれだけ貢献をしているんだということについての理解を進めていっていただきたいという、これは要望として、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  83. 中山泰秀

    中山委員長 次に、関健一郎君。
  84. 関健一郎

    ○関(健)委員 希望の党の関健一郎でございます。  委員長におかれましては、質問機会をいただきまして、ありがとうございます。  早速質問に移らせていただきます。  北朝鮮情勢に関してお尋ねをいたします。  一連の昨今の動きの中で、北朝鮮、当初、金正恩政権が打ち出していた、核開発と経済発展を進めていくという並進路線を宣言した中で、徐々に国際社会の中での圧力が、これは複数のジャーナリストや専門家の話を聞いていると、やはり国際社会の圧力がしっかりと効いてきている、かなりあっぷあっぷになってきているというのが現状のように推察をされます。  その中で、大臣にお尋ねします。  北朝鮮非核化にこの一連の動きが本当につながるのかということです。その心は、非核化に向けた具体的な行動が確認をできる前に経済支援、規制緩和だけが進むということになると、北朝鮮のお約束の、これまでの歴史の繰り返しになるという懸念がありますが、大臣の御所見を伺います。
  85. 河野太郎

    河野国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。  これまで、北朝鮮アメリカ米朝枠組み合意、あるいは朝鮮半島の南北の首脳会談というのもございました、あるいは六者協議というのもございましたが、いずれも非核化の成果につながらなかった。そのときに、日米韓を始め、北朝鮮に流れた金額というのは、少なく見積もっても数十億ドルに上るだろうと思います。  今回のこの動きは、実は、北朝鮮がまだ何も言っていない、明確なコミットがない中で、非核化にコミットをしていると韓国を通じて我々は聞いておりますが、金正恩委員長を始め北からはしっかりとしたメッセージがないというのが恐らく現実で、先日訪米をした折にも、アメリカ側も、北朝鮮から何のメッセージも出されていないことを懸念をしておりました。  ワシントンでは、アメリカトランプ政権の中で、これまでの過ちを繰り返してはならないという部分は政権内でしっかり共有をされておりますし、ワシントンに来ておられた康京和韓国外交長官との会談の中でも、お互いに、言葉だけでは制裁を緩めるわけにはいかない、具体的な動きを見た上で圧力について我々の方も議論をしていかなければいけないという、過ちを繰り返してはならないというところは、それぞれ深く認識をしていると思います。  ただ、今の動きが、じゃ現実にどこまで米朝首脳会談につながっていくのか、その先にどうつながっていくのか、そこもまだよくわからないところはございますが、少なくとも、今、北朝鮮とそれから国際社会を代表してアメリカトランプ大統領会談をするという方向性が出ておりますので、これを突破口にして、北朝鮮非核化というものにしっかりと結びつけていくような努力をしてまいりたいと思います。
  86. 関健一郎

    ○関(健)委員 回答ありがとうございます。  今おっしゃられたとおり、引き続き国際社会がしっかりと連携して圧力をしっかりとかけていただいて、非核化に向けたプロセスを加速させていただきたいと思います。  その一方で、対話ムードが進む、これは非常にいいことではあるんですけれども、これはまさに前回質問させていただいたんですけれども、北朝鮮の暴発のリスクというのは常に潜在的にあるわけです。ただ、今、対話ムードが進むことで、北朝鮮に一定程度の核戦力保有を所与のものとするというか、認めるような風潮、これは断固、当然認めるべきものではありませんが、所与のものとして受け取るようなリスクというのが、あってはならないと思いますが、あると思うんですが、大臣の御認識を伺います。
  87. 堀井学

    堀井(学)大臣政務官 お答えいたします。  平和的、外交的に問題を解決することが重要であることは言うまでもありません。  しかし、北朝鮮が、一九九四年の枠組み合意、二〇〇五年の六者会合共同声明を時間稼ぎの口実に使い、核、ミサイルの開発を進めてきたとの反省を踏まえれば、北朝鮮とは対話のための対話では意味がないということが我々はわかっているわけであります。北朝鮮非核化にコミットし、それに向けた具体的な行動をとるまで、意味のある対話は期待できません。北朝鮮の核保有を一定程度認めるという考えは、大きな誤りであると思います。  北朝鮮の完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法で核、ミサイル放棄をさせるとの目標は絶対に譲れないものであり、この目標に向け、最大限の圧力を維持しなければならないものと考えております。このことは、十六日、日韓首脳電話会談において、そして河野外務大臣が訪米した際のペンス米国大統領米国関係閣僚、康京和韓国外交部長との会談においても改めて確認をさせていただいたところであります。  今後とも、日米韓三カ国で緊密に協力をし、北朝鮮の核、ミサイル、そして何よりも重要な拉致問題の解決のために全力で取り組んでまいる所存でございます。
  88. 関健一郎

    ○関(健)委員 ありがとうございます。  まさに今、最後に私が言おうとしたことをおっしゃってしまったんですけれども、北朝鮮非核化を進め、これは当たり前のことですし、今、政府の姿勢を改めて確認させていただきましたので、引き続き北朝鮮に対しては圧力をかけていただきたいということをお願いするとともに、何より、まさに今、重複したんですけれども、我が国が掲げる非核化、これは当たり前の話ですけれども、その上に、一刻も早い拉致問題の解決、これが私たちが一番やらなければいけないことですので、それに対する姿勢の、さらなるスピード感ある解決に向けた努力をお願い申し上げまして、北朝鮮に関しての質問を終わらせていただきます。  続きまして、租税条約に関してお尋ねをさせていただきます。  租税条約なんですけれども、日本人が仕事をしていて海外に転勤をした場合、また海外の方が日本で仕事をしてもらう場合、いろいろな、租税条約締結している場合さまざまなメリットがあるということですけれども、どのようなメリット、デメリットがあるのか、また、租税条約締結していない場合どういうデメリットがあるのか、説明をお願いします。
  89. 堀井学

    堀井(学)大臣政務官 租税条約において、まず、納税者のメリットであります。  一つ目に国際的な二重課税の除去、並びに、これは徴収者側のメリットでございますが、脱税及び租税回避行為の防止等のための規定を導入するものであります。これにより、二国間の健全な投資、経済交流が一層促進されることが期待をされる条約となっております。
  90. 関健一郎

    ○関(健)委員 デメリットに関しては。説明をお願いします。
  91. 小泉勉

    小泉政府参考人 お答え申し上げます。  租税条約につきましては、今、政務官から、納税者側のメリットということで二重課税の回避ということがございました。  若干、ちょっと敷衍してお答えをさせていただければと存じますが、例えば、日本人が日本に居住地を持ったまま海外で勤務をされるという場合に、その方が受け取られる給料などについて、行った先の国でも課税されることがございます。そうすると、日本でも税金を取られ、また行った先の国でも取られる、二重課税という状況が生じ得るというケースがございます。この場合に、租税条約が相手の国との間でございますと、課税権を調整することによりまして、一定の要件を満たされた場合には、行った先の国では税金を取られない、日本でのみ課税されるということになりますので、二重払いを避けることができます。  委員お尋ねのデメリットということでございますが、実は日本の場合は、既に国内の所要の法律におきまして外国税額控除制度というのが設けられておりまして、一定の限度において今申し上げたような二重課税を回避することができる仕組みは実はございます。ただ、この外国税額控除制度につきましては、一定の制限がありますほか、納税される方が一々個々申告をしなきゃいけない、手間暇がかかるということがございますので、その点がデメリット、ない場合のデメリットということかと存じます。
  92. 関健一郎

    ○関(健)委員 回答ありがとうございます。  これは実は日常生活の中で意外にというか、とても役立っていることがちょっとわかりまして、それが質問の意図なんですけれども。  実は、私、地元が豊橋市というところなんですけれども、海外からの労働者の方が多く、二万人を超える方がいらっしゃいます。その中で、東海税理士会の豊橋支部という皆さんが、外国人の労働者の皆さんの確定申告の無料相談を受け付けておられます。無料でというのももちろんすばらしいことなんですけれども、もしこの人たちがその無料相談を通らずに税務署に行っちゃうと、とんでもない混乱が更に起きるリスクがあるわけです。ですから、その無料相談というのが非常に機能しているわけなんですね。  その税理士の方にお話を聞いたら、租税条約を結んでいる人たちの相談件数はやはり少ないんだそうです。その一方で、租税条約を結んでいない国の人に関しては、例えば、どっちで税金を払えばいいんだとか、また、年をとったお父さん、お母さんは扶養控除の対象となるのかとか、自分の本国へ置いてきた子供の扶養控除、そういうのは対象となるのかとか、いろいろ、租税条約があることでまさに手続の簡素化というのは実現をされているんだそうです。  これから、豊橋でも実はフィリピンの方がふえているとか、ここからが質問なんですけれども、日本に働きに来てくれている人の数がふえていたりする国はどこがありますかという質問と、それに対して、その国との租税条約というのは結ばれていますか、これについてお尋ねします。
  93. 小泉勉

    小泉政府参考人 日本に働きに来られている方という限定をかけた統計というのは、申しわけないんですが、とり切れませんでした。  かわりではないのですが、昨年度の法務省入国管理局の統計で、日本に入国された方ということでお答えをさせていただければと存じます。上位十カ国、順番に挙げますと、韓国、中国、台湾、香港、アメリカ、タイ、オーストラリア、マレーシア、フィリピン、シンガポールとなっております。これら十カ国との間では、既に日本は全て租税条約のネットワークを構築しておりますので、ある状態になっております。  また、御参考までに申し上げますと、アジアの国の中でまだ日本との間で租税条約のネットワークができ上がっていない国は、実は少のうございまして、モンゴル、それからネパール、ブータン、あとミャンマーとラオス、カンボジアとなっております。逆に言いますと、そのほかの国は全てネットワークはでき上がっているという状況でございます。
  94. 関健一郎

    ○関(健)委員 ありがとうございます。  今言及いただいた、まさにカンボジアという具体例が地元でもありまして、日常の生活とかけ離れているようで、やはり条約というのはとてもそういう人たちの生活に密接に関連しているものですし、わざわざ、わざわざというか、日本に働きに来てくれているわけですから、気持ちよく税金も納めていただいて、そこを簡素化させるのは言うまでもないですし、そういう環境整備は引き続き進めていただきたいと思います。  そして、最後ですけれども、今、租税条約の中で、ことし、エストニア、ロシア、デンマークと、かなり地理的に遠い国々と次々と締結をされていますけれども、この意義について説明をお願いいたします。
  95. 川村博司

    川村政府参考人 お答え申し上げます。  リトアニア、エストニア、そしてアイスランドと我が国との間の人的交流、また経済交流が活発化しておる昨今でございますが、G7の各国の中でこれら三カ国と租税条約締結していない国、これは実は日本のみでございます。その結果、日本の企業が、租税条約締結しておる他国の企業と比較して、こうした三カ国におきまして不利な競争条件を課されるという状況でございますので、それを回避するためにも、この条約の早期の締結が望ましいかというふうに考えております。  今般、これら条約締結につきまして御承認いただきますれば、配当、利子、使用料といいました投資所得に対する源泉地国での課税が軽減又は免除されるということによりまして、その結果、日本とこれら三カ国との間での二重課税のリスクが低減をされる、さらには、これら三カ国との間の投資あるいは経済交流が更に促進されることが期待されるところでございます。  また、条約の特典の濫用を防止するための規定を導入いたします。その結果、両国の税務当局間の租税に関する情報交換、さらには租税債権の徴収を相互に支援する徴収共助の仕組みを導入するということによりまして、結果といたしまして、国際的な脱税あるいは租税回避行為、これに対して効果的に対処することが可能になるというふうな意義があると考えております。  実は、リトアニア、エストニアとの間では、ハイレベルでの要人往来が実現をしております。ことしの一月には総理が訪問をされております。また、二〇一六年には日・アイスランド外交関係樹立六十周年を迎えたということも、この租税条約締結に向けての動きの機運の一つとなったというふうに考えております。
  96. 関健一郎

    ○関(健)委員 ありがとうございます。  今のお話の中でまさに言及された国々がありましたけれども、大手の商社の皆さん方と話をしていると、今言及された国の名前がやはりよく出てくるわけですね。ビジネスチャンスとして、当然、そういう民間企業がビジネスのチャンス、可能性を感じている国々なわけです。  ですから、民間の海外への展開の足かせにならない意味でも、イコールフッティングというか、租税条約、そういう手続上での簡素化と、他国とのまさにイコールフッティング、これを進めていただけるようにお願いを申し上げます。お願いを申し上げまして、この租税条約に関しては質問を終わらせていただきます。  続いて、看護職員条約についてお尋ねをいたします。  ちょっと唐突なので、この看護職員条約というものについて、概要について説明をお願いいたします。
  97. 塚田玉樹

    塚田政府参考人 御指摘条約につきましては、一九七七年に国際労働機関の総会で採択されたものというふうに承知しております。  この条約の締約国は、看護業務及び看護職員に関する政策を採用し適用することを規定しておりまして、その上で、看護職員は、労働時間、週休、年次有給休暇、教育休暇、出産休暇、疾病休暇、社会保障の分野で、その国の他の労働者と同等又はそれ以上の条件を享受するということが規定されております。  なお、日本はこの条約は批准をしておりません。
  98. 関健一郎

    ○関(健)委員 ありがとうございます。  今、この国の、日本の看護にかかわる職員の皆さんの労働環境が余りにも劣悪で、これは世界的にも、相対的な比較をした観点から見ても労働環境が悪いという問題意識から、この条約について質問をさせていただきます。  批准をしていないということですが、この理由についてお聞かせください。
  99. 塚田玉樹

    塚田政府参考人 我が国におきましては、個々のILO条約につきまして、我が国の雇用慣行とその適合性、あるいは条約の意義等を十分に検討し、締結することが適当と考えるものにつきまして、国内法制との整合性、それをしっかり確保した上で批准するというふうにしております。  御指摘の看護職員条約につきましては、国内法制と相違する可能性があるということから、批准には現時点では慎重な検討が必要だというふうに考えております。
  100. 関健一郎

    ○関(健)委員 ありがとうございます。  国内法との整合性ということなんですけれども、これはおっしゃるとおりというか、そこに課題があるのは明確なんですけれども、私、この外務委員会質問をさせていただく理由も、やはり、相対的に国際的に各国のデータを比較して、条約批准という形で国内の働き方改革に寄与できるものかなというその可能性について探りたく、質問を引き続きさせていただきます。  今、ILOとかでまさに議論をされている一つのキーワードが夜勤ですね。これに対して、夜勤というのが、まさに精神的にも、そして肉体的にも、さらには労働、それぞれの働く場所ですね、その環境に、生産の結果、つまりその生産物の結果にも悪影響を及ぼしている。長時間の夜勤が持つ負の影響に関しては、誰もが当然のこととみなすようになってきているわけです。働く方御自身にとっての悪影響、これは言うまでもなく、結果的には離職をしてしまったりとか、医療過誤のリスクなんかも上がってしまうわけです。さまざまな負の影響が社会的にも出てきている。  これは、日本医労連の十一万人の皆さんに聞いたアンケートらしいんですけれども、十六時間以上の長時間夜勤、五五・一%の人が経験をしているんだそうです。十六時間というと、私も記者時代に泊まり勤務をしましたけれども、十六時間やってしまうと、もうその次の日、体が動かないですよね。こういう過酷な勤務を続けて、長時間夜勤がふえます、夜勤の回数が多いです、インターバルが短いです、こうなってしまうと、もうやめざるを得ないというのが今の現状なわけです。  ちょっと具体例を申し上げますと、私の義理の妹も看護師だったんですけれども、赤ちゃんを産みまして一旦産休に入ったんです。産休をして、一年たったら復帰しようと思っていたんですけれども、ところが、いざ復帰をしてみると、なかなかもとの勤務サイクルに体をならすことができない。さらに、子供は突然熱を出したりしますから、そういうときに、子供が熱を出したので夜勤やめますということはやはり言えないわけです。そういうことから、看護の仕事を引き続きやっていくということはちょっと無理だということで、一回引っ込んでしまったわけですね。  さらに、国際的な比較をすると、ベッド百床当たりの看護師さんの数が、アメリカは二百三十三人なんです。イギリス二百二十四人、ドイツ百八人、フランス九十一人、それで、日本が何と五十四人。これは、かなり過酷な環境で仕事をさせられているというのが現状なわけです。  こういう現状を受けて、改めて、条約の批准に向けて課題となっている国内法との整合性というのは、これは課題解決に向けてはどういうことが必要なのかお尋ねをします。
  101. 土屋喜久

    土屋政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のございました看護職員条約につきましては、先ほど外務省からも御答弁がございましたように、その第六条におきまして、看護職員は、労働時間、各種休暇、社会保障などの分野におきまして、他の労働者の条件と同等又はそれ以上の条件を享受すると規定されておるところでございますが、一方、我が国の労働基準法では、原則として法定労働時間は週四十時間と定めている一方で、一部の業種において、常時使用する労働者が十人未満の事業場では労働者を週四十四時間まで労働させることができるということとしておりまして、看護その他保健衛生業もここに含まれているところでございます。  この特例は、週四十時間制に移行する過程において、業務の状況等に鑑み設けられたものでございますが、このように、条約内容と相違する点があるということから、条約の批准には慎重な検討が必要であるというふうに考えているところでございます。
  102. 関健一郎

    ○関(健)委員 ありがとうございます。  今、医療の現場で百六十万人の方が看護の中で働いておられます。そして、現在の政府が、二〇二五年までに二百万人の人を確保しますよとおっしゃって、数字を示しておられます。その中で、七十万人の方が潜在的な、看護師の資格を持っているんだけれどもそっちには戻らないよという方が七十万人おられるわけです。ですから、政府としても、看護の職員の皆さんが働く環境の改善というのは喫緊の課題なのかなと思いますけれども。  今、数字、働く時間に関して言及いただきましたけれども、労働時間に関する条約というのが存在するんでしょうか、教えてください。
  103. 塚田玉樹

    塚田政府参考人 労働時間に関する条約のお尋ねがございましたが、ILOによって締結が推奨されております労働時間に関するILO条約、例えば商業及び事業所における労働時間の規律に関する条約、あるいはパートタイム労働に関する条約、これらを含め全部で十本ほどございます。  例えば、パートタイム労働に関する条約では、年次有給休暇などにおいて、パートタイム労働者が比較可能なフルタイム労働者と同一又は同等の保護を受けていることを確保するための措置等について規定しております。
  104. 関健一郎

    ○関(健)委員 ありがとうございます。  これは日本は批准していますでしょうか。
  105. 塚田玉樹

    塚田政府参考人 現時点では批准しておりません。
  106. 関健一郎

    ○関(健)委員 ありがとうございます。  つまり、日本は、働くILOに関連する条約に関して、一個も入っていないということなんですよね。  私は、国内法との関係に抵触するリスクは、当然、それはもう論理的には当たり前のことだと思います。そして、我が国固有の習慣、慣習、そして働く習慣に関して、現場に対する敬意を持つ、これは当然のことだと思います。  その一方で、今、看護の世界、ILOとかの専門の人に日本の看護の実態を聞くと、あきれるばかりだと。つまり、十六時間の勤務なんというのをまださせているのかと。世界では、夜勤、そんなに夜勤をどんちゃかどんちゃかやらせると、結局、心の問題であったり、体の問題であったり、そして職場を離れて、もう二度とそこには行きたくない、こういう状況になってしまうわけです。  国内の伝統なり習慣、慣習、現場の現実的な諸課題には敬意を持った上で、相対的に、国際社会の中である程度当然視されている権利について、先進国である日本が、批准するかどうかは別として、そのレベルのものに到底達していないということに関しては、強い問題意識を持たなければならないと思います。また、この条約批准に向けて、その環境整備を強くお願いをしたいと思います。  そして、安倍内閣におかれましても、働き方改革国会と銘打っておられますし、これは本当に、働く皆様の働く環境がよくなるのであれば、これはどんな形でもいいわけです。ですから、国際的な比較、相対的な観点から、日本の医療、看護の現場の皆さんの環境が余りに劣悪だというデータをお示しするとともに、条約の批准ということを通して国内法の整備、また、一番の究極の目的は、ひとまずは看護職員の皆さんの現状の劣悪な労働環境の改善に向けて、この条約の批准に向けた取組をお願いしたいと思います。  最後に、その取組に向けた御所見と、これは実際に批准となるとどういう手続が必要になるか、これを教えてください。
  107. 塚田玉樹

    塚田政府参考人 条約の批准に当たりましては、それぞれの条約目的内容、我が国にとっての意義、こういったものを十分検討した上で、その時々の国内の意見集約、あるいは国際世論、国際的な潮流、こういったものを勘案して批准するか否かを検討しております。  批准することが適当と考えられるものにつきましては、国内法制等との整合性を確保した上で、国会承認をいただいた後に、ILOに批准書を寄託し批准する、こういう手続になっております。
  108. 関健一郎

    ○関(健)委員 ありがとうございます。  まさに今言及されましたけれども、国際的な潮流、つまり、ILOの中でも、夜勤というものの負のリスクについて問題視がされているわけです。その中で、日本が看護職員条約に関して批准していない。だから、これは批准に向けて、その究極の目的としては、現場の看護職員の皆さんの環境の改善に向けた取組、条約の批准についての検討をしていただくことをお願い申し上げまして、質問を終了とさせていただきます。  ありがとうございました。
  109. 中山泰秀

    中山委員長 次に、緑川貴士君。
  110. 緑川貴士

    ○緑川委員 皆様、お疲れさまでございます。朝の質疑からまた昼前となりますけれども、よろしくお願いいたします。希望の党・無所属クラブの緑川貴士と申します。  私からは、私の地元が秋田県ですので、現在二〇二三年度に配備が検討されているイージス・アショアについて、ひたすらという感じに三十分なりますけれども、よろしくお願いいたします。  早速、入らせていただきます。  おとといの日ロ外相会談におきまして、ラブロフ外相が、日本が導入する地上配備型弾道ミサイル迎撃システム、イージス・アショアに懸念を表明したことに対して、河野大臣、我が国の国民の生命財産を守るための防御システムで、ロシアを含めた周辺諸国に脅威を与えるものではないというふうにお答えをしたということです。  ここでおっしゃられた意図について確認をしたいんですけれども、これは、将来にわたって北朝鮮による脅威だけに対応するためのミサイル迎撃システム、こういう認識でよろしいのでしょうか。
  111. 河野太郎

    河野国務大臣 イージス・アショアを含む我が国のミサイル防衛システムについては、我が国の国民、生命財産を守るための純粋に防御的なシステムであるとともに、日本が主体的に運用するものであり、周辺諸国に脅威を与えるものではございません。  ロシアからは、おっしゃられたようなことがたびたび提起をされておりますが、都度、そうした懸念に対して、懸念には当たらないということを申し上げているところでございます。  当面、北朝鮮日本の上空を超えるミサイルを発射し、また核弾頭に向けての開発をしている中で、この北朝鮮のミサイルから我が国をどう守っていくかという必要性から、このミサイル防衛システムの検討をしているわけでございますが、世界的にそうした心配がなくなれば、当然こうした設備も要らなくなるんだろうと思いますが、残念ながら、この東アジアをめぐる情勢は、まだまだこうした日本に対する脅威がさまざまな形でありますので、それに対して、政府としては、国民の生命と財産をしっかり守れるような準備をしてまいりたいと思っております。
  112. 緑川貴士

    ○緑川委員 ありがとうございます。  ロシアとか中国にとっては、この東アジアの情勢の中で日本がこういう動きをしていると、これは何か北朝鮮だけの対応にも見えない、それだけには見えないように映っている、そうした懸念も私はあると思うんですね。  実際には、ラブロフ外相、イージス・アショアについて、ロシアの安全保障に直接触れるものであるということも述べられております。また、昨年十二月、イージス・アショアが閣議決定で導入が決まった際に、ロシア外務省のザハロワ報道官も、こうした行動はやはりロシアと日本の軍事的、政治的信頼醸成を優先する姿勢と全く矛盾するという強い表現で、残念ながら平和条約締結交渉も含めて両国関係のムード全体にマイナスの影響を及ぼすというふうに、昨年の十二月に発言をされています。  イージス・アショアが検討されている配備先などについて、詳しくは後半で、私の地元秋田についてもお話させていただきたいと思いますけれども。  まず、海外との関係で、今後、配備に向けた動きが具体的に二三年度に向かって進んでいくとすれば、日本とロシアの両国の関係のムード、五年間のこのムードがますます悪い方向に向かっていくんじゃないかと私は心配しているんですけれども、いかがでしょうか。
  113. 河野太郎

    河野国務大臣 ロシア側は、このシステムを使って日本が何か他国を攻撃できるようなシステムを導入するのではないかという懸念を持っているようでございまして、日本が導入を検討しているイージス・アショアというのは、飛んできたミサイルをいわば撃ち落とすというミサイル防衛システムであって、このシステムを使って専守防衛を旨とする日本が他国を攻撃することはないということを繰り返し申し上げているところでございます。  恐らくロシアもそうしたことはわかっているだろうと思いますが、なぜそういうところを繰り返して提起をしているかというのは、これはさまざまな考え方があろうかと思いますが、日本の憲法についてもロシアはよく承知をしておりますし、日本の専守防衛という考え方についてもロシアはよく理解をしているというふうに思いますので、繰り返し、そうした問題提起には、日本の考え、日本立場というものをしっかりと説明に努めてまいりたいと思います。
  114. 緑川貴士

    ○緑川委員 どうもありがとうございます。  また、その周辺国との関係で、一方では中国があるわけですけれども、日中平和友好条約締結から、ことし、冬ですか、四十周年ということを迎えます。  先ほどの話に加えて、影響を与えそうなお話があります。小野寺防衛大臣がことしの一月、ハワイを訪れたときに、日本が導入するイージス・アショアについて、今は弾道ミサイル防衛で考えているが、いずれは巡航ミサイルなどさまざまなミサイル防衛に総合的に役立つインフラに発展させたいと述べられました。  これは、北朝鮮からの弾道ミサイルに加えて、巡航ミサイルを迎撃する機能を備えていくということを明言したことになるかと思います。直接言及されていませんけれども、巡航ミサイルの開発を今、中国そしてまたロシアが進めている、この両国に対して日本としての備えにも映るわけですけれども、山本副大臣、結局のところ、これは想定していることになるのではないでしょうか。
  115. 山本ともひろ

    ○山本副大臣 お答え申し上げます。  我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、弾道ミサイルのみならず、巡航ミサイルも含めたさまざまな脅威から国民の生命財産を守ることは政府の重大な責務であると認識をしております。  現在、防衛省において、このような問題意識のもと、自衛隊の防空及びミサイル防衛の統合のあり方について検討を行っているところです。  そのような中、委員指摘のイージス・アショアにおきましては、弾道ミサイルのみならず、巡航ミサイルの迎撃機能を付加することが可能でございます。ただ、我が国が導入予定のイージス・アショアは、弾道ミサイル防衛能力の抜本的な向上を図るべく導入するものでありまして、現時点において、弾道ミサイルに加えて巡航ミサイルを迎撃する能力を付与するかについて決定をしておりません。  さまざまなミサイル脅威から国民の生命財産を守るとの観点から、引き続き必要な検討を進めてまいりたいと考えております。
  116. 緑川貴士

    ○緑川委員 ありがとうございます。  考えてはいなくても、いずれにしても実装できるという能力を備えているということで、やはり、これは考え方によっては想定できるというふうにも言えると思うんですね。  そして、周辺国を結局仮想敵国というふうにしているようにも見えるこの方針の結末は、やはり国の財政再建の道をまた先送りにするわけですけれども、防衛費がますます積み上がる。こういう軍拡競争の激化という道筋をたどることになるのではないでしょうか、いかがでしょうか。
  117. 山本ともひろ

    ○山本副大臣 お答え申し上げます。  先ほど河野外務大臣からもありましたけれども、あくまでもイージス・アショア等は防衛のためだけのものでございまして、もちろん、周辺諸国に対して脅威になるようなものでもございませんし、それを導入することによって我が国が軍拡競争をあおるというような趣旨のものでもなく、あくまでも国民の生命と財産を守るために必要な防衛装備品を導入するということでございます。
  118. 緑川貴士

    ○緑川委員 もちろん、日本で原則として掲げている専守防衛、この理念、やはりこれを堅持するという、ここがもちろん大前提であるというふうに考えております。  ロシアが安全保障上警戒しているようなこうした今回の配備を、結局これは、大陸側に向けながら、脅威は与えません、大丈夫です、心配しないでくださいというふうに、河野大臣、ラブロフ外相にお話をして、ここで改めて確認ですけれども、これで相手が、この懸念が完全に払拭できるかどうかというのは、やはり私は心に残ってしまうものがあるわけですね。  そんな状況で平和条約を結びましょうというふうに言い寄って、本気とは受け取ってもらいにくいんじゃないかなと。ますますこれは不信感が募るような形で、これは大切な北方四島の帰属というゴールがあるわけですね、そのゴールすらもやはり遠い方向に向けてしまうのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  119. 河野太郎

    河野国務大臣 日ロの現在の交渉は、プーチン大統領そして安倍総理の二十回にわたる会談で培ってきた信頼関係のもと、北方四島の帰属の問題を解決し、日ロ間で平和条約締結しようという両首脳の強い思いのもとで行われているわけで、その条約締結するためにはさまざまな論点というのはあろうかと思いますが、それを日ロ両国政府の間で一つずつこなしていって、最終的に条約締結に向けていこうということでございます。  何度も繰り返しますが、このイージス・アショアというのは、相手国を攻撃する兵器ではありません、飛んできたミサイルを迎撃するというシステムでございますから。これが日本に配備されたからといってロシアに何らの脅威を与えるものでないというのは、繰り返し申し上げているとおりでございます。
  120. 緑川貴士

    ○緑川委員 ありがとうございます。  今、安全保障面でのお話の中で、これはやはり、いずれにしても、別に武器というふうに私は言っているわけではありません、安全保障面での緊張というのが取れないわけですね。そうした中で平和ムードを醸成するという、これは難しい話だと思っています。  平昌オリンピックでフィギュアスケートで金メダルをとったザギトワ選手、ロシアの選手がいますけれども、私の秋田の地元の秋田犬が、地元から贈られるとは思ったんですけれども違うようではあるんですが、秋田犬が贈られるということで、大変これは喜ばしいことであるというふうに考えております。  そうした、ロシアの選手に対してこうやって平和ムードを高めていこうという中でのこうした動きですので、やはりロシア外交でいい形で前に進めていっていただきたいということを、地元秋田の人間としても、重ねてお願いを申し上げたいというふうに考えております。  そもそも、イージス・アショアが閣議決定された経緯がまたちょっと不透明であるので、確認させていただきたい思いがございます。  中期防衛力整備計画になかったこのイージス・アショアの導入について、米国との調整を経て、二基で常時国内を持続的に防衛できるとの結論に至ったため導入を閣議決定したという、これは一月の参議院予算委員会での小野寺防衛大臣の御答弁ですけれども、これを、また副大臣に伺いたいんですが、アメリカとの調整という、具体的にはどういうことでしょうか。
  121. 山本ともひろ

    ○山本副大臣 委員指摘の点でございますが、確かに、先日、一月三十一日の参議院の予算委員会において、イージス・アショアの配備に係る閣議決定に至る経緯について、小野寺防衛大臣が御質問を受けて、政府部内の検討や米国との調整などを経て、イージス・アショア二基により我が国を常時持続的に防護し得ると判断に至った旨のお答えをさせていただいております。  議員からの御質問の、米国との調整とはどういうものかということでございますが、昨年の夏にイージス・アショアを中心に新規アセットを検討するとの方針が示されたことを受けまして、新規アセットの性能面、既存の装備体系との親和性、要員養成の効率性、費用対効果に関して検討を行うために、必要な情報収集や所要の調整を米側と行ったということでございます。
  122. 緑川貴士

    ○緑川委員 どうもありがとうございます。御説明いただきました。  イージス・アショアの導入の話、この経緯を少しまとめさせていただきましたけれども、これは一年ほど前にお話が出てきたと。去年の三月ですね。自民党安全保障調査会で、政府への提言で検討すべき弾道ミサイル対策の一つに挙げて、当時、小野寺大臣はその検討チームで座長を務めていらっしゃった。イージス・アショア導入の閣議決定はそれから九カ月という、これは急ピッチなわけですね。トランプ大統領の来日の本当にすぐ後でした。翌月ですね。急に湧いた話のようにしか私は思えないんです。  イージス・アショア導入の理由として、イージス艦において乗組員の洋上勤務が繰り返されているからその負担軽減のためというふうに、何というか、理解も一瞬あるんですけれども、イージス艦の運用上の問題は、最初の運用からもう二十年以上たっているわけで、その性質はわかっていたはずだと思うんですよ。そうした問題は、ほかの対応を計画に盛り込めたはずなんです。イージス・アショアが計画に盛り込めていてもおかしくなかったタイミングだと思っているんです。  これが急に、整備計画にないこの装備が急に浮上してきて、これはなぜ早急に必要なんでしょうか。
  123. 山本ともひろ

    ○山本副大臣 お答え申し上げます。  今委員の方から、少し唐突にこの導入が決まったというような御指摘がございましたけれども、現行の中期防において、弾道ミサイル防衛用の新たな装備品を含め将来の弾道ミサイル防衛システム全体のあり方についての検討を行うということに既になっておりますし、さらには、さかのぼれば、平成二十六年度から既に、将来の弾道ミサイル迎撃体制についての調査研究ということで、イージス・アショア等の新たな装備品を含め、我が国における防衛体制について分析を行うなど、既に検討を進めてまいりました。  加えて、北朝鮮の核あるいは核兵器、ミサイルの開発というものは、もう御案内のとおり、我が国の安全保障にとって重大で、かつ、差し迫った脅威となっております。  そういう状況の中で、我が国の弾道ミサイル防衛が、ミサイル発射の兆候を早期に察知して、イージス艦あるいはPAC3を機動的に展開するということを基本としてまいりましたが、その中で北朝鮮が、発射の兆候を事前に察知しにくい移動式発射台、いわゆるTEL、あるいはSLBMと言われる潜水艦から発射をする弾道ミサイル、そういったものをどんどんどんどん研究開発、配備をしてきた。  そういう状況を踏まえて、より国民の生命と財産を守るためには、イージス艦、あるいはPAC3、それに加えてイージス・アショアの必要性を我々は考えたということでございます。
  124. 緑川貴士

    ○緑川委員 御丁寧に説明ありがとうございます。  北朝鮮の核・ミサイル開発、本当にこれは、もう日進月歩というか、すごいスピードで急速に進んでいるように、やはりこれは報道のとおりであります。  しかし、新たな段階の北朝鮮の差し迫った脅威といいながら、地上イージスの契約から稼働までの期間は、やはり、私がお話ししているとおり、五年程度、二〇二三年度からやっと実戦配備できるシステムですね。これまでの防衛能力に、これが配備されるまでの五年間、これから五年間は、何も防衛能力に変わりはないんです。  今言われている差し迫った脅威に対処できないということになると思いますけれども、このあたりはいかがでしょうか。
  125. 山本ともひろ

    ○山本副大臣 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、当然、新規の装備品でございますので、それを仮に決定をして、購入をして、配備をして、そのための要員の訓練をして実戦配備するというのにそれなりの時間がかかるということは当然のことでございますが、それまでの間、我々が何もしないというわけではございませんで、イージス艦の増勢増艦というのも決めておりますので、逐次、防衛力の向上を図っているところでございます。
  126. 緑川貴士

    ○緑川委員 ありがとうございます。  今後、この五年間がなかなか、イージス・アショアに期待が大きかった分、ほかの部分での防備の強化というところがどのぐらいなのかというところはまだわかりませんけれども。今後五年の間にこの差し迫った脅威が国内に万が一被害をもたらす結果となった場合でも、やはりイージス・アショアというのはあくまで五年後なので、なかなかこれは大きく期待されていたものが使えない。これだと、やはりこれは、北朝鮮脅威というものを口実にしているようにしか私には思えないんですね。五年後の国際情勢、差し迫った脅威があるかないか、よくわかりませんけれども、とりあえずアメリカに勧められるままに買ったというのが実際のところではないんでしょうか。  このように言うのは、やはりイージス・アショアを導入する閣議決定のすぐ前、前の月にトランプ大統領が来日している。アメリカ国内の雇用創出や貿易赤字を削減するために、武器輸出にとにかく熱心なのがトランプ大統領です。今、ほかの品目でも関税を設けている、もうそういう発言が飛び出している一方で、こういう輸出には大変意欲的なわけですね、外貨を稼げればどんなこともやると。大統領が来日した際にこう言いました、安倍総理は大量の軍事装備を購入するようになるというふうに、はっきりと述べております。  結局、小野寺大臣が御答弁されたアメリカとの調整というのは、さっき御説明いただいたんですけれども、やはり推測されるのは、アメリカへの配慮でイージス・アショアを買うということではないでしょうか。どのようにお考えでしょうか。
  127. 山本ともひろ

    ○山本副大臣 お答え申し上げます。  委員指摘の点は、昨年十一月の日米首脳会談後の記者会見でのトランプ大統領の発言だと思われますが、トランプ大統領から購入を勧められたから我々が購入するというものでは決してございません。  我が国を取り巻く安全保障環境が一層激しさを増している、そういった中で、我が国の防衛力については、質及び量を必要かつ十分に確保することが不可欠であると我々は認識をしております。そうした観点から、米国の装備品を含め、高い性能を有する最新鋭の装備品を導入することは、我が国の防衛力を強化するために非常に重要であります。  新たな装備品の導入については、我が国の防衛に必要な能力を有するものであることを確認するとともに、費用対効果を踏まえて決定しております。  その上で、イージス・アショアについても、先ほど申し上げたとおり、北朝鮮の核・ミサイル開発が新たな段階の脅威となっていることを踏まえ、御指摘トランプ大統領の発言よりも前から、先ほども、中期防の話あるいは平成二十六年度からの検討、そういったところもお話を申し上げましたけれども、大統領の発言の前から我々は検討作業を既に始めておりまして、我が国自身の判断として導入をするということにしたものでありまして、繰り返しになりますが、トランプ大統領から求められたので購入するものでは決してございません。
  128. 緑川貴士

    ○緑川委員 ありがとうございます。さらなる問いに対しての丁寧なお答えをいただきました。  私も、もちろん、有事への備え、ミサイルが飛んできたときに、やはりこれを防衛する能力は当たり前に必要です。その備えを否定するものではありませんが、どうしても、時系列で見たら、これは素人でも疑うことなんですよ。  交渉上の秘密、また防衛機密があるにしても、これはやはり、納得できる説明をしてきたかどうかということも大切だと思うんですね。なかなかこれは公にお話しされていないことだと思うんです。そうした丁寧な説明を行っていただきたいということも申し上げたいと思います。  もう一つ丁寧な説明をしてほしいということが、ちょっと時間がなくなってきましたけれども、配備先についてなんです。  これは、より丁寧な姿勢で対応が求められる慎重なお話だと思うんですけれども、国があくまで検討しているとされていて、報道上でしか報道されていないんですね。ことしに入ってから、私も防衛省に何度か問い合わせましたが、やはり未定であるというお答えで、しかし一方で、それとは裏腹に、地元では大変、これは配備されるんじゃないか、どうなんだろう、でも、地元の知事は、全然国からアプローチが来ていないし説明もない、検討状況もわかりませんという記者会見で、そして、国では適地調査の来年度予算も既に組み込んでいるわけです。そういう、地元は、勝手に決められている感が大変強いです。  配備先の具体的な検討、これからだとしても、きょうまでのどんな取組をしてきて、あるいはこれからどういうふうにしていくのか、済みません、かいつまんでお話をいただきたいと思います。
  129. 山本ともひろ

    ○山本副大臣 お答えを申し上げます。  もう、委員今御指摘のとおり、何度となく防衛省の方にもお問合せをいただいているということでございますが、そういう意味合いでは、繰り返しのことになりますけれども、まだ、確かに報道等ではいろいろ取り沙汰されているようでございますけれども、我々として、どこか配備先を決めているというような状況ではございません。  可及的速やかにそういう候補地を決めなければいけないということは認識をしておりますけれども、具体的にどこかというところが決まっているわけではございません。  さらに、一般論で申し上げますと、防衛省・自衛隊として、駐屯地あるいは新設で何か装備品の配備をする、そういった際には、地元の理解と協力を得ることが極めて重要であるという認識に立っておりますし、そのためには、従来から行っておりますけれども、地元の首長あるいは住民の方々に対して丁寧に説明をしていくということを我々も常に心がけておりますので、引き続きそういう対応をとってまいりたいと思っております。
  130. 緑川貴士

    ○緑川委員 どうもありがとうございます。  きょうは、住民の方からいただいたお手紙もあって、読もうと思ったんですが、一部だけ。幼稚園や小学校、高齢者福祉施設などが隣接している配備候補地、そこに配備計画を進めることは余りに拙速だと言わざるを得ませんというふうにつづられております。  こうした思いも踏まえて、情報もこれはやはり、安全性とか電磁波の問題もあります、そしてこのイージス・アショア自体に対する破壊工作、テロの行為、そうしたことでの住民への危害の影響、こうしたことも大変心配されている中で、何ら説明がなされていない。配備先がまだわからないからということもあるかもしれませんけれども、こういう現場の声、何とか重く受けとめていただきたいんですけれども、副大臣、いかがでしょうか。
  131. 山本ともひろ

    ○山本副大臣 お答え申し上げます。  先ほども申し上げたとおり、ふだんより我々防衛省・自衛隊は、駐屯地あるいは基地を抱えていただいている自治体の皆様、その地域の住民の皆様には防衛政策に対する御理解を賜るよう努力をしているところでございますし、今後とも、どこかそういった、今御指摘のイージス・アショア等、配置先が決まるということになれば、当然その前にきちっと住民の皆様、地元の関係自治体の皆様には説明を丁寧に行って、皆様の御理解を得た上で行ってまいりたいと思っておりますし、今委員指摘の御懸念、テロや敵の攻撃対象になるのではないか、そういった御懸念があるということも承知をしておりますので、警備ということはきちっと我々もやっていかなければならないと思っておりますし、その際には、防衛省だけではなく、警察あるいは海保、そういった関係省庁とも連携をしっかりとってまいりたいと思っておりますので、御理解を賜ればと思っております。
  132. 緑川貴士

    ○緑川委員 御丁寧に、本当にありがとうございます。  この国民に対する情報提供そして丁寧な説明、これを何とか尽くして、議論もより一層深めてまいりたいと思います。今後も質問に立たせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  133. 中山泰秀

    中山委員長 次に、小熊慎司君。
  134. 小熊慎司

    ○小熊委員 希望の党の小熊慎司です。  まず、RCEPの話をさせていただきます。  大臣、訪米お疲れさまでございました。一定の成果があったことだというふうに思います。評価をするところでもあります。  ただ、アメリカのトランプさんの政策がいろいろ、一つ一つあげつらっていい悪いは言いませんが、不確実であることは否めない状況でもあります。今、これは今国会でもTPP11についても議論しなければなりませんし、いろいろやっているんですけれども、アメリカは大きな、グローバル化、自由貿易といったものに逆行するような形に最近はなっているところでもあります。  昨年も、首脳会合が行われ、昨年中の妥結は見られなかったわけでありますが、このRCEPについては、五年近くなる中で、少しスピード感が足りないのではないかというような批判も聞こえてきているところであります。  また、国民の中においても、TPP以上の議論がなされていない。TPPの交渉の段階に当たってもいろいろな御意見をいろいろな団体からいただきましたけれども、RCEPの意見も下さいと例えば農協さんに言っても、それ、何ですかというような状況も結構ありました。これは、もっとしっかり議論していかなければいけない。メリット、デメリットをしっかりと議論する、国民の中でもそういうことが起きてこなければならないんですが、情報発信も少ない中で今交渉が進んでいます。  まず初めにお伺いするのは、御承知のとおり、人口でいえば世界の半分、GDPベース、貿易額ベースでは世界の三分の一程度を占めている大きな枠組みであります。TPP11と重なる部分もありますが、この連携というか、TPP11もありながらRCEPを進めていく中で、メリットの部分はどういうふうに効果を発揮していくのか、まずお聞きいたします。
  135. 堀井学

    堀井(学)大臣政務官 お答えいたします。  日本は、自由貿易の旗手として、世界で最もダイナミックに成長するアジアの太平洋地域において、あらゆる手段を通じて、自由で公正な貿易ルールを構築していく考えであります。  RCEPは、TPPに参加していない中国やインドを含めた十六カ国が参加し、世界人口の五割、貿易額の三割をカバーする広域的経済圏を創設するものであり、経済的意義は非常に大きいものと考えております。  ことしに入りまして、ASEANを中心に、RCEPの年内交渉妥結の機運が高まっております。我が国は、三月三日、シンガポールで行われた閣僚会合において、市場アクセス、ルール分野及び協力のバランスをとりつつ、一定の質が確保されることを前提として、年内妥結を目指すASEANを支持する旨を表明したところであります。我が国としては、包括的バランスのとれた質の高い協定の早期妥結を目指し、引き続き精力的に交渉を進めていく考えであります。  TPP11については、三月八日にチリにおいて、米国を除く十一カ国で署名式を行ったところであります。アジア太平洋地域におけるハイスタンダードな貿易・投資の枠組みの早期成立を図る観点からも、早期発効に全力を挙げたいと考えております。  政府としましては、TPPや二国間協定とともに、アジア太平洋地域において多層的な経済連携のネットワークを構築し、自由貿易の拡大に向けた相乗効果を発揮することができるよう、RCEPをしっかり交渉してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  136. 小熊慎司

    ○小熊委員 その上で、質の高いというのは、各国によってこれは違うからここまで妥結がなされていないというところがありますし、大体、お互いの思い、中国やインドは早期の妥結で、少し緩やかな感じでもいいんじゃないかと言っている。日本やオーストラリアは、今言った質をちゃんと担保しなきゃいけない。例えば、電子商取引なんかはちゃんとやろうぜと言っているんですけれども、インドや中国は、まあまあまあとなっているというのもあるし、ASEANの中では、これはちゃんと共同声明の中でも、発展段階に応じて丁寧にやりましょうというのは、ここはいろいろピンどめされたかなとは思っていますが、その質を確保するというところで、日本とオーストラリア、自由貿易側と中国側との差がまだ、ずっと平行線で来ていますから、これをやりましょうよと抽象的に言ったとしても、具体的に埋まるものがちょっと見えてこないんですよね。ここが、だからそのおくれている要因の一つであって、全てではなく一つではあるんですが。  この際、それは包括的な議論をしていくんですけれども、多分、折に触れ、これは大臣もやられていると思いますが、とりわけ中国にしっかりそこを訴えていかなきゃいけないんじゃないんですかね。その点についての特段の努力というのは、今後どうされていきますか。
  137. 河野太郎

    河野国務大臣 おっしゃったように、日本は少し質の高いルールづくりというのをやはりやっていきたいと思いますし、それが必要なんだろうというふうに思います。他方、質の高いといっても、なかなかついてこられないというところもあるわけで、そこは、発展段階に応じてやはり細かく対応していくという必要はあるというふうに思います。  他方、国家資本主義のような、自由貿易と逆行するような動きがやはり強くなりつつあるというのも国際社会の現実としてあるんだろうと思います。今の国際経済の礎の一つは、やはり、戦後つくられてきたリベラルな国際秩序に恩恵をこうむって、日本経済というのはそれなりの成長を遂げてきた。我々としては、それを更にレベルアップしながら、ほかの国にもそこのレベルまで努力をして上がってきてもらうというのが、国際経済のさらなる繁栄につながっていくというふうに認識をしております。  そういう中で、やはり、ただただ新しい貿易のルールをつくればいいというところではない、これから、おっしゃられた電子商取引を始め、二十一世紀型の経済ルールという中にかちっとしたルールをつくって、みんなこれに基づいてやろうと言わなければいけないルールというのがやはりあるんだろうと思います。  そこについては、余り妥協せず、やはりきちんと粘り強く、それをルールとして定着させていく動きをやらなければいけない。それは、国家資本主義のような動きについても同様ですし、不公正な貿易に対してもきちんとしたルールをつくっていかなければならないんだと思います。  他方、これだけ多くの人口あるいは貿易をカバーするRCEPですから、これをやることが日本の経済のメリットにもなるという部分があります。ですから、そこは粘り強く、質の高いルールを早期につくるという、いわば二律反するようなことではありますが、それをしっかりとやり遂げてまいりたいというふうに思っております。
  138. 小熊慎司

    ○小熊委員 その上で、本来的にはアメリカもこの流れに乗っかってなきゃいけないんですけれども、逆にアメリカも、今大臣が言われた、懸念する国際的な流れの中のそっち側に入っちゃっていますから、このトランプさんのリスクをどうはねのけながら、逆にもう一回目を覚まさせてもらうということもやりながらこれを進めていかなければいけませんし、また、先ほど言ったとおり、これは国民にとってどうなのかということも大事なんですけれども、これは余り議論されないんですね、国内で、TPPのときよりは。  これは、RCEPをやるにしても、先ほど政務官が答弁なされたとおり、世界の人口の半分ですよ、経済の三分の一を占めていて、ある意味、最初のTPP、アメリカが入ったTPPよりも影響も大きい部分もあると思います。同じような懸念も払拭していかなきゃいけない。  例えば、農業の問題、食料安全保障の問題、中小企業対策、あと、逆に日本の資本が海外にどんどんどんどん流出しないかという、こうした懸念もしっかりとあわせてやはり議論しなければならないんですが、これは、我々政治家もマスコミも、逆にTPPのときに反対していた団体も、RCEPに関してはほとんど、その分量からしたら議論していないんですよね。これは余りよくないことだというふうに思います。  しっかりと、そういう意味では、国民的な議論を惹起していくためにもどんどんどんどんもっと情報を出していって、国民的議論に高めていくことがこの成功にもつながっていくことだというふうに思いますので、それをぜひお願いしたいと思います。  確認ですが、このRCEPをやるときに、これまで何回も質疑していますけれども、いわゆる東電の原発事故災害によっていろいろな禁輸措置をとられている、いろいろな努力によってそれが解消されてはいるんですが、とりわけ残っているのはこのアジア地域です。RCEPの参加国が多いんですね。  これはやはり、公正なルールづくりという意味では、先ほどは韓国も、これは提訴されましたけれども、国際裁判所で一定の判決が出ましたけれども、RCEPの交渉事で、これを交渉の一つのテーマにするのか、それはそれとして別個にやっていくのか。これまでどういうふうに進めてきましたか。これからどういうふうに進めていくのか、確認です。  私は、それも入れてちゃんとやっていくべきだと思いますけれども、これは交渉事ですから、いや、それは外してやった方が成果は得られるよというなら、それはそれでいいんですが、今現在どういうふうにそれを交渉のステージにのせているのか、のせていないのか、今後のせるのか、のせないのか、あわせてお聞きいたします。
  139. 小泉勉

    小泉政府参考人 お答え申し上げます。  現状における被災地の産品に対する規制の撤廃そのものは、RCEPを含みますこの手の国際条約そのものの対象として規律されることになるものではないと思います。  と申し上げた上で、外務省といたしましては、委員御案内のとおり、あらゆる外交機会を捉えて、二国間またマルチの場を含めた働きかけをやっておるところでございまして、その一環としてRCEPの交渉の場も活用するということは、これは当然あると思います。  加えまして、いろいろな二国間の会談ですとか、また、さまざまなレセプションなんかの機会も捉まえまして、要は、あらゆる外交機会を通じて、極めて高いレベルも含めまして、いろいろな働きかけをやっているというところでございます。  こういったのが少しずつは成果を上げてきておりまして、本年に入りましても、トルコが規制を全廃してくるということがございました。これまでに、合計で二十七の国が規制を全て撤廃してくれたということがございます。また、その他でも、五十一の国と地域で規制の緩和の措置がとられてきておるところでございます。  ただ、今委員から御指摘がありましたように、地理的に近いということから、ある意味で理解はできなくはないのですが、RCEPに参加をしている国を含めまして、近隣の国々でまだ規制が残っているというのは事実でございます。  こういった国との会談におきましては、冒頭申し上げましたとおり、あらゆる機会を通じて引き続き働きかけを行うと同時に、また、風評被害対策みたいなこともやって、それがひいては規制の緩和、撤廃にもつながっていくだろうということも考えております。  例えば、いまだに規制を維持しておりますいろいろな国、地域におきまして、被災地の産品のPR活動、また、現地からの報道関係者をお招きして実際に現場を見てもらって、それを国に帰って発信してもらうということで、風評被害の払拭、ひいてはこれは規制の緩和、撤廃にもつながっていくということをやっているところでございます。
  140. 小熊慎司

    ○小熊委員 これは、この委員のメンバーの遠山議員が代表でやっている日中次世代交流委員会というので毎年中国を訪中していて、私も副団長で行かせていただいて、このテーマを中国にぶつけると、もう政治問題ですということをはっきり言われます、中国政府外交部からは。解決の仕方は、逆にこれだけでやろうとするとなかなか大変なので、いろいろな総合的なテーブルの交渉事の中で解決した方がいいんじゃないですかということは中国側が言っているんですね。  だからこそ、このRCEPの交渉の中で、公正なルールづくりですよ、であるならば科学的根拠でちゃんとやりましょうよということをやっていくということが、中国にとっても聞きやすいんじゃないですかね。  我々、一超党派の訪問団ではありましたけれども、そういった言葉中国政府からもいただいていますので、ぜひこれはそういうことも検討していただいて、この対策、このいわれなき科学的根拠のないそういった貿易規制に関しては、大きなテーブルの中でもきちっと議題に入れておくということが、相手の国にとっても解決しやすい、もうテーマにこれだけ時間がかかってしまっていますから、というふうになっているという側面も、相手政府の国から出た言葉でもありますので、ぜひそういったことも検討していただきたいなというふうに思っております。  明治百五十年、私から言うと戊辰百五十年の話で、これは重要な話でありまして、外務省としてどう取り組むか。  先ほど、日系移民の話、大臣からもありましたけれども、アメリカに行ったというのは、よく元年者と言われる、明治元年にハワイに行かれた方々。でも、あの当時は、ハワイはハワイ王国ですから、アメリカではありません。アメリカに集団で渡った初の入植者というのは、カリフォルニアです、これが会津の人たちでした。明治二年、一八六九年、来年百五十周年を迎えます。  これは、政府がやっている明治百五十年、我々の戊辰百五十年は戊辰戦争の百五十年の瞬間の話ですけれども、明治百五十年というのは明治維新以降の歴史を検証するということですから、日系人社会とのつながりというのは大事だと先ほど大臣答弁でもありましたとおり、来年、これは百五十年を迎えるわけですね、初の入植。これはもっともっと検証していかなきゃいけないなと思いますし、まさに、この政府がやろうとしている百五十周年の記念事業の明治の精神の三つ、和魂洋才、機会均等。これは機会均等はなかったと思います、沖縄の方々に失礼だと思っていますけれども。あと、チャレンジ精神というのを入れているんですね。まさにチャレンジ精神のきわみの一つですよ、これは。  これは、一昨年、私も訪米して、ダニエル・イノウエさんとも私も少なからず親交がありました、もう残念ながらお亡くなりになりましたけれども、奥様がやっている、先ほど御紹介のあった米日カウンシルにも訪ねていって、日米でこれは盛り上げていこうよ、まさに、日系人のフロンティアスピリッツを検証するに当たっていいことだということで、提言もしてきました。  これは、明治百五十年のチャレンジ精神にも合致しますし、先ほど大臣答弁された日系人社会との進展といったものにも寄与する形になると思いますので、ぜひ、この記念事業なり検証なりをしっかり外務省としても取り組んでいくべきだというふうに思って、御見解をお聞きしたいんですが、午前中、時間となりましたので、答弁は、引き続き、夕方のときにわたりたいと思います。ぜひ、この間、超前向きな答弁、よろしくお願いします。
  141. 中山泰秀

    中山委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十五分休憩      ————◇—————     午後四時十五分開議
  142. 中山泰秀

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小熊慎司君。
  143. 小熊慎司

    ○小熊委員 午前中に引き続き、答弁からお願いを。質問して終わっているので。
  144. 中山泰秀

    中山委員長 了解でございます。  河野太郎外務大臣
  145. 河野太郎

    河野国務大臣 よく将棋で封じ手というのがありますけれども、何か委員会の封じ手みたいでございまして。  まず、先ほどの食品の話でございますが、あす、あさってと私は香港へ参ります。ちょうど会津若松の市長がお見えになっていらっしゃるようで、会談の時間等の都合もございますが、時間が許せば、御一緒に香港のスーパーマーケットでプロモーションをさせていただきたいというふうに思っております。  また、戊辰百五十年、明治百五十年とも申しますが、それに関連して、あれはゴールドヒルでしたか、若松コロニーの話でございますが、若松コロニー、それから、先ほどもありました元年者、やはり、この日本人のチャレンジ精神というところでは非常に学ぶべきものは多いと考えますし、こういう日本人のさまざまな歴史をしっかりと検証し、共有するというのは大切なことだと思いますので、この明治百五十年の関連の取組の中で、しっかりとこうしたことを盛り上げてまいりたいというふうに思います。
  146. 小熊慎司

    ○小熊委員 ありがとうございます。  大事な点が二つありました。  大臣、若松コロニーと言っていただいたんですけれども、これはそういうふうになっているし、向こうの公園も若松ティーコロニーパークとなっているんですが、移民博物館はただのコロニーとなっているんですね。日本人で初めて来たコロニーがカリフォルニアのと書いてある。若松コロニーと書いてなくて、私、当時の現地の新聞の写しとかを持っていって、若松コロニーと当時から言われていたと言っていても、なかなか見解をちゃんと出していただけない。そこは、大臣も若松コロニーとこの委員会で言っていただいたので、移民博物館にちょっと問合せをしていただきたい。そういった名前もしっかりやっていくということが、ただのコロニーでは、これは伝わりませんから。これは我々会津人の偉業ではなくて、まさに日系社会の始まりだったわけですから、最初の土地でありますから、我々日本人としても、その歴史をちゃんと振り返る、たたえていくというのは必要ですし。  今、何をやるというレセプションがあるというわけでもないんです、来年百五十周年で。私は、アメリカ側の米日カウンシルに、ぜひやりましょうという申入れをしてきましたけれども、政府としても何らかの形でアメリカ側と、これをたたえる、顕彰するという何か記念事業的なものをぜひ検討いただきたいなというふうに思っていますので、ぜひ、この移民博物館への、大臣からも問合せというか確認をしていただきたい点と、アメリカとの共同の何か記念事業といったものをやるのはお願いをしたいなと思っています。  また、香港の話、ぜひよろしくお願いします。とりわけ、中国と香港、違う形でやっているのは御承知のとおりですし、何回かこの委員会でも質疑させていただきましたけれども、ある大手の外食チェーン店が、福島のものは使っていないというポスターを上げて、それは一回言っても直らなくて、二回やられた経緯があります。そのぐらい風評被害がひどいから、勘弁してよという言葉も向こうから聞いているんですけれども、そういうことに負けちゃいけない。それだと正しい知識が広まらないということになるので、そういう背景もある土地でもありますから、その点も踏まえて、ぜひ御尽力をいただきたいなというふうに思っています。  次に行きます。  ことし開かれます第八回太平洋・島サミット、PALM8、これは福島県のいわき市で二回連続でなって、以前は、五回、六回が沖縄、七回、八回が福島。同じシマンチュ、フクシマンチュとしていいなというふうに思っているんですが。  外務省としても、これは実は、沖縄のときは沖縄県が後押ししたんですね。いわきの場合は、いわき市が一義的にやって大変だったのでもういいとなっていたんですけれども、外務省の評価が高くて、議長国のサモアという国の名誉領事館がいわきに置かれたときに私も参加をさせてもらったときに、外務省側から、ぜひもう一回いわきでやりたいんだという話があって、レセプションですから、かなり盛り上がっていたので、いわき市の市長が私の県議会の先輩だったので、市長、これはやった方がいいよと言って、周りに市の職員が、だめ、殿とやっていたんですけれども、大分いろいろ進んでいたので、やろうかと盛り上がって、この第八回につながっているという経緯があります。  実際、被災地でもあり、震災、その復興も抱えながらやる。いろいろなプラスになる部分もありますが、負担も多いのも確かでありますので、これはやはり国として、この島サミットの成功に向けて、同じことをやっても仕方ありませんから、七回よりもさらなる充実をするために、国としてこれをどうやっていくのか、島側、島嶼国への支援がどういうふうにバージョンアップしていくのかと、また、そのいわきとの連携といった点も含めて、お答えをいただきたいと思います。
  147. 河野太郎

    河野国務大臣 まず、島サミットでございますから、島側で申しますと、島という、太平洋の島嶼というぐらいですから、経済が規模の小さい、それから、領土が広い海域の中に点々と点在をしている、また、世界の主要経済市場からはかなり距離的にも遠い、それから、気候変動など自然災害の影響を受けやすい、そして、航空路がハブと結ばれていてなかなかぐるっと回れない。さまざまな、小さい島嶼国に共通の特徴を抱えているということがありますので、我が国は、この島サミットのプロセスを活用して、防災、気候変動、環境、人的交流、持続可能な開発、海洋漁業、貿易・投資、観光、その他さまざまな分野での支援を実施してまいりましたし、また、ここできっちりと支援をしていかなければいけないというふうに思っております。  他方、いわき市は、非常に前回がよかったということは聞いておりまして、なるほど、今の話を聞けば、相当御迷惑もかけているところはあるんだろうなというふうに思いますので、そこは外務省として、無理難題を言わないように、また余り御迷惑にならないようにしっかりやりたいと思います。  ただ、これだけさまざまな首脳が来ていただきますし、それなりにメディアも、今からさまざまメディアの取材も、いろいろ質問も来ているところでございますので、これをいわきでやっていただくことでメリットもあるだろうと思いますので、メリットの方をなるべく大きくできるように、外務省としてもしっかり地元と協力してまいりたいと思います。
  148. 小熊慎司

    ○小熊委員 今大臣言われたとおり、いろいろな、人材育成やら何やらとありますが。まさに、実は、いわきでやることの意味が、議長国のサモアも数年前に津波の被害に遭って、実は、私の妻が青年海外協力隊で赴任していたのがサモアで、何回か訪れてはいるんですけれども、その津波の後もしっかりと復興もされていました。  やはり気候変動などにも対応しなきゃいけないということで、これは日本は正式メンバーじゃないですけれども、SPREPという南太平洋地域の国際機関、組織があります。日本はオブザーバーでしか入っていませんが、しっかり予算をつけていただいていて、そういう予算河野大臣のもとで大分切られているのもいっぱいある中で、これは御理解をいただいて確保されているということで、また、日本が率先して寄附をして、気候変動センターも近々着工になるということも聞いております。  とりわけ、この間も、準備の段階で来られたサモアの政府関係者と対談をさせてもらったんですけれども、やはり日本に期待することは人材育成なんですよね。いろいろな日本のすばらしさはあるけれども、やはりすばらしいのは人材だと。この人材育成をどうやっていくか。彼らもやはり自立をしたいという願いがありながら、大臣御案内のとおり、これはCARICOMもそうですけれども、なかなか、人口規模やら面積やらいろいろな背景から、地理的要因から自立に結びつかないようなところ、でも、彼らなりに何とか自立でやっていきたいという思いがある中で、そのためにはやはり人材がしっかり必要なんだというところがあります。  このPALM7から8にかけて、テーマはほぼ同じなんですけれども、人材育成とか海洋資源とか気候変動もやっていきますといっても、前回もそれは方向性は同じです。7から8になったときに、どこがどうバージョンアップしているのか、更に付加したものが何なのか。毎回毎回同じことをやっていたって発展性がありませんから、どうバージョンアップしているのか、その点、ぜひ、政府参考人でも結構ですから。
  149. 増島稔

    増島政府参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘いただきましたけれども、本年五月にいわき市で開催予定の第八回太平洋・島サミットでは、太平洋島嶼国の取り巻く環境及び直面する課題の変化を踏まえまして、自立的かつ持続的な発展、それから人的交流、往来の活性化、北朝鮮問題や国連安保理改革を含む国際場裏における協力といった分野、こういったものに加えまして、先生御指摘ありましたように、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序、こういったものについても議論を行っていきたいというふうに考えております。
  150. 小熊慎司

    ○小熊委員 具体的に、7と8じゃ、どのぐらい付加する部分ってあるんですか。
  151. 増島稔

    増島政府参考人 お答え申し上げます。  海洋秩序の部分につきましては、これから支援の内容については検討してまいるということでございますけれども、例えば、違法漁業対策のような、法執行を含む海上保安分野の人材育成支援、こういったものについては日本の役割があるのではないかというふうに考えております。
  152. 小熊慎司

    ○小熊委員 いずれにしても、それぞれが小さな国ではありますけれども、国連においては一つの国としてカウントされて、これは重要な国々でもありますし、また、日本に対する思いというのも大変近いものがあるということでもありますので、ぜひこのPALM8成功のために、しっかりとしたコミットメントが出せるように、そしてまた、これはある意味、東京オリンピック・パラリンピックと同じように国際的な催物でもありますから、いわゆる復興の姿をしっかり世界に発信をしていくという意味でも、福島県にとっても重要な会議となりますので、ぜひ地元との連携も図りながら、PALM7以上の成果が得られるようにぜひとも御尽力をいただきたいというふうに思いますし、私も、同じ福島県人としてしっかりお支えをしていきたいなというふうに思っていますから、よろしくお願いを申し上げます。  次に移りますが、違法・無報告・無規制漁業について、いわゆるIUU漁業についてであります。  これは、日本、国際社会の中でここは非常にいろいろな指摘をされて、いわれのない指摘も中にはあるのも承知はしておりますが、驚くべきことに、輸入、天然の魚の三割がこのIUU漁業によるものじゃないかという報告まで一部出されています。日本の食卓に上がっているものが、三割がこうした違法によってとられたものであるというのは、これは日本人としてじくじたるものがあります。  これによって、違法操業ですから、いろいろな環境破壊にも、乱獲にもなっていて環境にもよくない。また、そうした操業は児童労働もあったりして、そうしたものも支えているという状況がある。あと、これは私は未確認ですが、言われているのは、北朝鮮のものも、こうやっていろいろな産地を偽装して、そういうものの中に入って日本に入ってきているんじゃないかという指摘すらあります。  まず、このIUU漁業についてどのような認識を国でお持ちか、お伺いをいたします。
  153. 神谷崇

    神谷政府参考人 お答えいたします。  IUU漁業につきましては、水産資源の適切な管理を脅かすものとして、世界的に問題となっております。  IUU漁業の規模を正確に推定することは困難でございますが、例えば、国連食糧農業機関、FAOと呼んでおりますが、これの二〇一六年世界漁業・養殖業白書においては、IUU漁業による漁獲は、多く見積もると年間二千六百万トン、これは、世界の年間漁獲総量の一五%以上に及ぶと推定されております。  また、公海における水産資源を管理する地域漁業管理機関では、IUU漁船リスト、いわゆるブラックリストを作成しておりまして、例えば太平洋の北部公海を管轄する北太平洋漁業委員会では、二十三隻の漁船がこのブラックリストに登録されておるところでございます。
  154. 小熊慎司

    ○小熊委員 これは、食料の安全保障という観点からも、しっかり把握していないということではよくないんですね。把握しなきゃいけないんですよ。  だって、今、日本食が世界的にもブームで、そもそも輸入する魚というのがほかの国にとられて入りにくいという状況の中で、ほかの国は、先進国は、このIUU漁業、日本以上に厳しく規制をかけていこうとしている中で、これはちゃんと把握しておかなければ、今までの食卓、食文化というのが大きく崩れかねない、変化をしなきゃいけないという状況があるんですよ。簡単な話じゃないんですね。  そういう意味では、実態をちゃんと把握するということが大事じゃないですか。していないということが驚きなんです。しかも、数%入ってきているという話じゃなくて、まあ、本当は程度問題じゃないんですけれども、ただ、ある調査では三割も、日本人が食べているものの三割も違法な漁業なんですよという指摘もされている中で、把握していませんというのは、これは非常に問題だと思うんです。  これは徹底調査すべきじゃないですか。日本の食卓もおかしくなりますよ。どうですか。もっと認識を厳しく持った方がいいんじゃないですか。真剣に受けとめていただきたいと思うんですけれども、もう一度答弁お願いします。
  155. 神谷崇

    神谷政府参考人 お答えいたします。  先ほどの私の説明の中で若干不足の部分がございましたが、IUU漁業の規模を正確に推定するということは、実際、FAOにおきましてもかなり困難になりますので、私がお伝えしたかったのは、あくまでも推定の域を出ないということでございまして、決して把握に対する努力を怠っておるということではございません。  特に、今御指摘のありましたように、輸入というものに対してどういう対応をとるのかというところでございますが、現在、我が国といたしましては、地域漁業管理機関におきましてIUU漁船のブラックリストを作成しておりますし、さらに、太平洋まぐろ類保存委員会におきましては、漁獲証明制度を導入しております。これらの設立に日本としては主導的な役割を果たしてきたわけでございます。  その上で、日本国内では、外国人漁業の規制に関する法律に基づきまして、IUUリストに掲載された漁船の寄港規制に加えまして、IUU漁獲物などの我が国への陸揚げの禁止措置を行うとともに、日本に輸入されるマグロ類に関しましては、外国為替及び外国貿易法に基づきまして、事前審査を行い、IUU漁獲物が輸入されないように措置してきておるところでございます。  我が国といたしましては、引き続き、IUU漁業の撲滅に向けて、関係国とも連携しつつ、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  156. 小熊慎司

    ○小熊委員 今マグロの話も出ていましたが、この中で覚えておられる方もいらっしゃるかもしれませんが、北太平洋の漁業資源を守る国際条約を、リーダーシップを発揮して枠組みをつくったのは日本です。こういう取組もありますが、そのときに、魚種が決まっていったり、いろいろ対象国が決まっていったりもしたんです。  今、世界の大きな流れは、包括的にこれに規制をちゃんとかけて漁業資源を守っていく、適正に管理をしていく、環境を保護していく、そうした違法な労働をさせないといったことをやっていこうという流れの中で、今マグロとかという話が出ていましたが、包括的にどうやっていくかという対策が望まれるところですし、ほかの国ではこれはもうやり始めますよね。具体的には、アメリカは来年か再来年か、もうそのパックというものでやるわけですけれども、その流れからすると日本の対応はおくれていると思います。品目ごとじゃなく、包括的にこれをどうやっていくのかという意味では、どうなっていますか。
  157. 神谷崇

    神谷政府参考人 お答えいたします。  まず、国際的には、FAOの違法漁業防止寄港国措置協定を二〇一七年五月十九日に締結したほか、さらに、EU、アメリカ等と我が国はIUU漁業対策のための共同声明を発出するなど、積極的に取り組んでおるところでございます。  さらに、御指摘の輸入の包括的な対策という点につきましては、我が国に輸入されている水産物にIUU漁獲物が含まれている可能性指摘されております。的確に対応していく必要があると考えておりますので、今後、IUU漁獲物が存在する可能性が高いと認められる輸入品目につきましては、地域漁業管理機関を通じた取組などを進めていくほか、EUやアメリカの取組も参考にしつつ、我が国としての対応を考えてまいりたいと考えております。
  158. 小熊慎司

    ○小熊委員 EUとかアメリカは、これから取り組むのは、彼らは、漁獲量を船ごとにも制限をかけて、そうした秩序を守っていこうという方向性になっています。それによって、もう既にそういった形で取り組んでいるヨーロッパの国々は、乱獲がとまったり、こういう違法操業というものが減ってきたという事例もあります。  今、EUやアメリカを参考にしていくということですが、参考にしていく中での検討の選択肢として、船ごとの漁獲量といったものを制限をしていくということも検討されているという理解でよろしいでしょうか。
  159. 神谷崇

    神谷政府参考人 お答えいたします。  現在、漁獲量全体を決めるTAC制度というのを我が国では七魚種に導入しておりますが、その中から可能なものについては、さらに船ごとに漁獲を割り当てるというIQシステムへの移行というのも今検討しておるところでございます。
  160. 小熊慎司

    ○小熊委員 ありがとうございます。結局、これはそういった方向性でしっかりやっていかないと、やはり漁業従事者の方々もいろんな意味で格差が生まれてくるというところもありますし、適正な漁業、そして適正な環境保護といった意味でも、船ごとのということがこれからは大きな中心となっていかなければいけないというふうに思っています。  いずれにしましても、国際社会から日本はある意味、悪者のレッテルを張られています。今、取組をされているといっても、国際的にはまだまだ日本はやらなきゃいけないという指摘を、国であれ、いろんな国際的な民間団体であれ、めちゃくちゃ指摘を受けていて、日本に不名誉な状況が続いていると言っても過言ではありません。  ただ、一方で、日本食も世界遺産になったり、また日本食ブームで世界各国でいろんな日本食が広まっているという中で、どうこの大切な海洋資源を守っていくか、持続可能な漁業にしていくかということは喫緊の課題でもありますし、国内に目を向ければ、まさに食料の安全保障といった観点にもなってきますから、これはしっかりと対応していかなければいけないというふうに、もっと加速度的にやらなきゃいけないし、今やっていると言ったけれども、国際的には、日本は頑張っていますねとか評価を受けているものは私は見つけられませんでした。国際的な評価は、日本がちゃんとやっているという評価は、ほとんどないと思います。厳しい指摘ばかりですよ。  その点を踏まえて、もっと加速度的にやらなければいけないんじゃないですか。どうですか。実態とは違うとは言っても、国際的な評価というのは低いものですよね、日本の対応というのは。どうですか、そういう認識はありますか。
  161. 神谷崇

    神谷政府参考人 お答えいたします。  例えばEUなどは、IUU対策を進めるに当たって、国内の漁業管理が進んでいない国にイエローカードを発出しております。具体的には韓国とか、その他のアジアの国が入っておりますが、少なくともEUの観点から見ると、日本というのはそれなりの適切な管理を行っているというふうに認識されておりまして、まだイエローカードとか、そういうような段階には行っておりません。むしろ日本と協力してIUU対策を進めたいという意向がありますので、そういう意味では、EUと日本でIUU対策の共同声明を結んで発表したところでございます。
  162. 小熊慎司

    ○小熊委員 韓国とは比べなくてもいいんですけれども。  いずれにしても、これは北太平洋の漁業協定みたいなものをやったみたいに、ぜひこれは海洋国家日本としても、指摘される側とか後追いしていく側ではなくて、まさにこれは世界の先頭に立っていくということが重要であります。まさに食文化といっても、魚については、日本世界遺産にもなった食文化を持つところもありますので、逆にリーダーシップを発揮するぐらいの対策をとっていかなければならないと思いますが。  最後になりますが、大臣、この点に関して日本も、だからこれも積極的な外交の一つであり、日本が果たすべき役割の立ち位置にいるんじゃないかなというふうに思って、先ほど言ったとおり海洋国家であるという点、また魚の食文化がすばらしい点ということも踏まえれば、日本は、後追いではなくて、逆に世界の最先端を走って、こういったものをしっかり、IUU漁業を撲滅していく先頭に立つという姿勢を示していく対策をとっていくということが重要だと思いますが、大臣、どうでしょうか。
  163. 河野太郎

    河野国務大臣 島国でもあり、魚を食べる食文化がこれだけ発達している日本の周辺の漁業資源が随分減っているという報道を、最近とみに目にするようになりました。  やはり先人から引き継いできたこの海洋資源というものを我々はきちんと次の世代に受け渡していく責任が大いにあると思います。  そういう意味で、おっしゃるとおり、非常に広い海域を抱えている我が国が、やはり世界の中で応分の責任を果たしていく、リーダーシップをとっていく必要性はあるんだろうというふうに思いますので、そこは政府を挙げてしっかり対応してまいりたいと思います。
  164. 小熊慎司

    ○小熊委員 これはしっかりやらないと、日本のイメージにもかかわることで、ただでさえ、日本は乱獲している、世界のいろいろな漁業資源を食い荒らしているみたいなイメージを持っている部分もほかの国には多分にありますから、そうしたものを払拭するためにも、しっかりこれは世界の先頭に立っていくということ。  IUU漁業対策は、先ほど答弁の中にありましたとおり、これは産地というか、どこでとれたかというトレーサビリティーの対応もしっかりしなければIUU漁業対策というのはできないことにもなっています。私も未確認だからそこは深掘りしませんでしたが、北朝鮮のものがいろいろなところを迂回して日本に入ってきているというような指摘も中にはありますから。  トレーサビリティーをしっかりしていくということとIUU漁業対策をしっかりやっていくというのを、今後も今以上にぜひ対策をとっていただいて、大臣が言われたように世界の先頭に立っていくような、そういう思いでぜひ今後取り組んでいただくことをお願いを申し上げ、質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  165. 中山泰秀

    中山委員長 次に、岡田克也君。
  166. 岡田克也

    ○岡田委員 民進党・無所属の会の岡田克也です。  私からは、まず、当面の北朝鮮政策について大臣の御意見をお聞きしたいと思っています。  まず、三月五日、六日の二日間、韓国大統領府の鄭義溶国家安保室長と徐薫国家情報院の院長が特使として訪朝して、それをきっかけに、四月末の南北首脳会談、それから、五月までとされている米朝首脳会談を行うことになりました。  この間の韓国政府の対応について、まず、総括的に大臣はどのように評価しておられるのか、お聞きしたいと思います。
  167. 河野太郎

    河野国務大臣 今回、日米韓三カ国が連携をし、また中国、ロシアの協力も得て、国連の安保理で制裁決議案、かなりこれまでになかった厳しい経済制裁を北朝鮮に対して行うということになりました。  この状況の中、いずれ北朝鮮が何らかの行動に出ざるを得ないとは思っておりましたが、随分予想よりも早く動いたなという気が正直しております。平昌オリンピックという場がありましたので、それを利用した、いわば北朝鮮のほほ笑み外交と言ってもいいのかもしれません、そういう機会を捉えて北朝鮮が動いたということなんだろうと思いますが、そうした機会からここに至るまでの韓国政府の努力というものに敬意を表したいというふうに思っております。  北朝鮮に韓国は特使団を送り、金正恩委員長との直接の面談というのもあり、そこで北朝鮮非核化へのコミットメントを明確にした、非核化への意思を明確にしたという報告を、私も、特使団の一員であった徐薫国家情報院長から直接詳細に説明をいただきました。  しかし、いまだに、北朝鮮側からは、非核化へのコミットについて直接の言及がないんだと思います。このことについては、アメリカも、やや北朝鮮の意思について懸念を持っているという表明がございました。  我々としては、南北の首脳会談あるいは米朝首脳会談に向けて、北朝鮮の意思あるいは北朝鮮の意図というのをしっかり分析をしていく必要があると思いますし、これまで国際社会は北朝鮮とたびたび対話をし、その対話が成果を上げることができなかったという失敗を繰り返してはならないという、ここは、日米韓だけでなく、広く国際社会の中で共有をされている認識だというふうに思っております。  北朝鮮が、まず、完全かつ不可逆的、そして検証可能な方法で非核化をする、そして、ICBMだけでなく短距離ミサイルに至るまでのミサイルを放棄する、そして、日本拉致被害者だけでなく、米国拘束者、あるいはさまざまな国の拉致被害者の解放に向けてしっかりと行動をとるということを国際社会として求めていく必要があるというのは共通認識だと思いますし、北朝鮮が具体的に行動をとるまで北朝鮮に対する圧力というのは維持していかなければならないというのが、米国政府内、あるいは日米、日米韓の共通認識と言ってよろしいかと思います。  我々としては、引き続き北朝鮮の意図をしっかり分析をしながら、他方、北朝鮮は、いまだ核関連施設、ミサイル関連施設での活動を停止しておりません。さらに、瀬取りを始めとする制裁を逃れる方法をかなり巧妙に今でも続けているというのが現実でございますので、北朝鮮の動き、北朝鮮の意図というのをしっかり見据えながら、南北の首脳会談米朝首脳会談に向けて、これから起こり得るさまざまな出来事の中で、日米韓の連携をしっかり維持していきながら対応してまいりたいというふうに考えております。
  168. 岡田克也

    ○岡田委員 私は、北の対応もありましたが、やはり韓国の外交が非常にダイナミックに動いたなというふうに受けとめました。ちょっとうらやましくも思ったりしたわけですが、ただ、中身についてはいろいろ問題もある。その点、今から少し議論していきたいと思います。  大臣は今、包括的にいろいろなことを言われましたが、まずは、韓国大統領府の発表文の中で、北側は朝鮮半島非核化の意思を明確にしたというふうに書いてありますが、このことについて、徐薫長官とのやりとりその他、より具体的に説明があったんでしょうか。何かここで言われていることがかなり信憑性があるというふうに確信を持たせるようなことがあったのかどうか、お聞きしたいと思います。
  169. 河野太郎

    河野国務大臣 徐薫国情院長から説明をいただきましたが、金正恩委員長非核化の意思を明確にした、ざっくり言うとそういう御説明でございました。  徐薫院長も、北朝鮮で意思決定ができるのは金正恩委員長一人しかいないということなんだろうと思いますが、その金正恩委員長非核化の意思があるということを伝えた、それを特使団経由で我々も聞いたということでございます。  この非核化コミットメントがあるということを裏打ちするために例えばこういう行動をするとか、そういう説明は全くありませんでしたし、恐らく、それを何か具体的に裏打ちをするものはなかった。しかし、金正恩委員長非核化の意思があるんだということを手がかりにして、この南北の会談そして米朝会談というものに今持ち込もうとしているわけでございます。  これは、金正恩委員長の方から、米朝会談をやる意思があるということをアメリカに伝えてくれという話があって、特使団はそのままアメリカへ向かって、トランプ大統領にその旨伝えたところ、トランプ大統領がそれじゃやろうということになりまして、安倍総理にトランプ大統領からまず電話をいただいた後、そういう記者発表があったということでございます。  ですから、この非核化の意思というのは、金正恩委員長が特使団にそう言ったというところでありまして、しかし、対外的にそれが北朝鮮から発表されているわけでもなく、行動をもって裏打ちをされているでもないということは、核関連施設が動いているという情報からも、裏打ちをする行動には至っていないというふうに思っております。
  170. 岡田克也

    ○岡田委員 大臣おっしゃるように、これは対外的に北朝鮮が何かアナウンスしているわけでもないし、合意された紙があるわけでもない。ただ金正恩氏が言ったということを聞きましたというだけですから、ある意味じゃ非常に、幾らでも、そんなこと言っていないと言って開き直られてしまうと話としてはそこで変わってしまうという、かなり問題のあるところだと思うんですね。  先ほど大臣アメリカの中にも懸念を持っているところもあるというふうに言われたと思うんですが、もっと厳しく、非常に懐疑的だ、北朝鮮が核放棄に応じることを示す兆候はないと、アメリカの上院軍事委員会でコーツ国家情報長官は言われています。  かなり受けとめ方に幅があるんだというふうに思うんですね。その曖昧なものを前提にいろいろなことが進んでいくというところに心配はあるものの、しかし、動き出した船、やはりこのチャンスを生かそうということだと思うんです。  私、安倍総理の発言を聞いていて、ちょっと気になることがあるんですね。安倍総理は、三月九日の電話による日米首脳会談の後の会見でこういうふうに言われたんですね。北朝鮮非核化を前提に話合いを始める、そう北朝鮮の側から申し出たこと、この北朝鮮の変化を評価するというふうにおっしゃっているわけですね。  私はこれ、おやっと思ったんですが、北朝鮮非核化を前提に話合いを始めるというふうには言っていないわけですね。先ほど言ったように、北側は朝鮮半島非核化の意思を明確にしという、これしかないわけですから、非核化を前提に話合いを始めるというのは、私はちょっと受けとめ方として踏み込み過ぎているんじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。
  171. 河野太郎

    河野国務大臣 安倍総理の発言は、さまざまな発表のほかに、トランプ大統領からの説明や韓国側からの説明を踏まえた上での発言であるということを申し上げたいと思います。  いずれにしろ、対外的に発表はない、具体的な活動の停止といったようなものもないという中で、懸念を共有しているというところは大いにあるんだろうと思いますが、少なくとも、北朝鮮が明確な行動に出ない限り圧力は最大化されたまま維持されるというところで、今国際社会は一致をしております。  ワシントンでも、国際社会が損をすることはないという発言をされた方がいらっしゃいましたが、北朝鮮の意思が果たして本当なのかどうなのかというのはわからないまでも、北朝鮮がただ非核化にコミットしますと言っているだけでは何も得るものはない、そういう発言に対して対価は何も与えるわけではない、本当に北朝鮮がそういう非核化への意思があって、それを具体的な行動に移していくならば、国際社会としてそれに対応するということになりますので、対話を始めるということに関して言えば国際社会は今のところ失うものは何もないということなんだろうと思います。  ただ、この先、南北の会談が行われる、あるいは米朝会談が行われる中で、さまざまなやりとりがある中で、北朝鮮の意図というのがもう少し明確になっていくんだろうというふうに思っておりますが、そのときに、本当に北朝鮮非核化にコミットしているのか、あるいはそれをどう行動につなげていくのか、そうしたところを我々としては明確に見ていきたいというふうに思っております。
  172. 岡田克也

    ○岡田委員 安倍総理が電話会談などで特別の情報を得ているならともかくとして、私は、素直に見ると、ちょっと踏み込み過ぎじゃないかと。北朝鮮が、韓国政府の発表文ですが、北側は朝鮮半島非核化の意思を明確にしたというのは、言葉をかえれば、全ての条件が満たされれば非核化をしてよい、そういうことだと思うんですね。そのことと、安倍総理が言われた、非核化を前提にしたというのは、私はかなりニュアンスの差はあると思うんです。受けとめ方としてちょっと前のめり過ぎではないかということは申し上げておきたいと思います。  それでは、そこで、制裁圧力との関係です。先ほど大臣も言及されましたが、大臣は、日米韓の認識は共通であるというふうに午前中答弁されたと思います。また、別のところで、北朝鮮が具体的な動きをするまでは圧力は緩めないというふうに大臣はおっしゃっています。  他方で、例えばペンス副大統領はこう言っているんですね。全ての制裁は維持され、最大限の圧力攻勢は北朝鮮が核計画の終了のために具体的、恒久的、検証可能な措置をとるまで続くと。  同じ意味でしょうか、大臣と。
  173. 河野太郎

    河野国務大臣 少なくとも、北朝鮮がそうした具体的な行動をとるのが制裁について議論をする大前提であるというところは申し上げてよろしいかと思います。  北朝鮮が、例えば、我々が申し上げているのは、完全かつ不可逆的、なおかつ検証可能な非核化というわけですが、これは別に、それじゃやりますと言ってボタンを押したらそうなるというわけではなくて、IAEAの査察チームが入り、さまざまな行動が行われ、最後、核兵器をどう解除し、更に何をやってという一連のプロセスがあるわけでございます。  その間に国際社会としてどのように対応していくかというのは、これはこれから北朝鮮とさまざま交渉する中で、いわばこちら側の手のうちでございますから、なるべく、どういうふうにしたらどういうふうにするんだということは申し上げない方がよろしいかというふうに思っております。  ですから、我々としては、さまざまな言い方はあると思いますが、少なくとも、ただ言葉で言っているだけでは対価は得られない、北朝鮮が具体的な行動をとることが必要で、具体的な行動が出るまで制裁は最大限の圧力のもと続けられるという言い方をしているところでございます。
  174. 岡田克也

    ○岡田委員 ペンス副大統領言葉、具体的、恒久的、検証可能な措置をとるまでは圧力攻勢は続くというのは、現実には、やはり交渉の中で、相手の出方によって、場合によってはそういった圧力を一部緩めるとか、それは交渉ですからそういうことは当然あり得るというふうに思っております。大臣がおっしゃっているのもそういう意味だというふうに理解してよろしいですか。
  175. 河野太郎

    河野国務大臣 向こうが何かをやったらこちらが何かをやるということでは、以前と同じような、食い逃げされていることにもなりかねませんので、なるべくこちら側の手のうちは申し上げないようにしておきたいというふうに思います。
  176. 岡田克也

    ○岡田委員 今までと比べるとより厳しくやる、そういうふうに理解をしておきたいと思います。  そこで、この間、米韓の外交当局というのは私は緊密に連絡をとってきたんだろうというふうに思うんですね。全くばらばらに、特使が行って、そしてその後アメリカに行ったということではなくて、やはり緊密な連係プレーというのがあったんじゃないかというふうに思うわけです。  それに比べると、日本外交の存在が非常に薄かったのかな。もちろん我々の見えないところで何らかのことをやっているのかもしれませんが、私が承知する限りは、やはり、米韓が緊密にこの間進めてきた、それに対して日本は少しおくれをとったというか、蚊帳の外だったというふうに思えてならないわけです。  ただ、これからやはり日本がどういうふうにそこにかんでいくかということは非常に重要で、南北首脳会談、そして米朝首脳会談、その過程で、日本もしっかり、韓国、アメリカだけではなくて、準備作業というか、いろいろな事前の交渉について一定の役割を果たさなければ、日本の国益は実現できないというふうに思うわけです。  この点について、大臣の基本的な考え方をお聞きしたいと思います、具体的なことは言えないと思いますから。
  177. 河野太郎

    河野国務大臣 最近、さまざまな評論家とか専門家という方々が、どうも日本は蚊帳の外じゃないかとか、米韓はやっているのに日本は何だとか、いろいろなことをおっしゃっている話は聞こえてまいりますが、別に日本が手柄話をしても意味がないわけで、それは、将来、歴史が判断をすればいいことであって、我々当事者がそこで、我々がやっているんですなんというのを大上段に振りかぶって言う必要も全くないと思いますし、それは言いたい人が好きなように言っていればいいことだと私は思っております。  大事なのは、この北朝鮮の危機をどのように平和裏に解決するかというのが大事なのであって、誰かが手柄を誇るとか誇らないとか、そういう話では全くないというふうに思っております。  これまでも、日米韓、極めて緊密に連携をしてまいりましたし、国際場裏では中国、ロシアにもしっかりと協力をしていただいて、国連の安保理決議を累次採択をしてまいりました。  その中には、これまでにないような、北朝鮮にとって大変厳しい決議案も採択をし、それを国際社会が一致して維持してきました。  また、ヨルダンのように北朝鮮と国交を断絶するというアクションをとってくれた国もあれば、多くの国が大使を追放し、あるいは北朝鮮からの大使の受入れを拒否する、日、米、韓、中国だけでなく、ラトビアのような少し離れた国も独自の経済制裁をするというようなことをやってきてくれて、国際社会で今認識を共通して、この北朝鮮危機というのは決して東アジアあるいは米朝間の問題だけではない、国際社会に対する脅威だという認識を共有をしてくれております。  だからこそ、国際社会挙げて経済制裁が続き、瀬取りのような巧妙な制裁逃れがあれば、それを直ちに国際社会で物事を共有し、是正の対応をさまざまな国がとってくれているということなんだろうというふうに思っております。  日本といたしましては、こうした国際社会の中での結束というものをこれからも維持し、さまざまな国がこの北朝鮮危機に関する情報をとれば、それが直ちに今共有されるというメカニズムもございます。そういう中で、国際社会一致してこの北朝鮮問題を解決する方向でしっかりと動かしてまいりたいと思っております。
  178. 岡田克也

    ○岡田委員 圧力を強める、あるいは北朝鮮問題の重要さを世界認識を広げるという意味日本外交が重要な役割を果たしてきたことは、私もそのとおりだと思うんですが、今回の、どういう結果が出るかはわかりませんが、米朝首脳会談、これは、当然、韓国とアメリカが事前にいろいろな協議をしつつ、特使が行ってカードを切ったというか、そういうことだと思うんですね。その間、緊密な連携というのは韓国とアメリカの間ではなされていた。  日本は、対話のための対話では意味がないなどといって、ほとんど、これは何も言っていないに等しいわけですけれども、具体的な対話のための活動があったというふうには私には見えないものですから、申し上げたところであります。  それでは。六カ国協議というのがかつて行われておりました。これは、この北朝鮮問題について、日本がきちんとそこにかむための一つの工夫だったというふうに思うんですね。ほっておくと、アメリカ、韓国、中国、そういったところがプレーヤーで、日本というのはその枠の中から外れてしまう可能性がある、だから六カ国協議という、そういう形をつくって、その中でかんできた、議論の中、枠の中に入ってきたというふうに私は思うんですが、この六カ国協議的なものをどこかの段階で再び立ち上げるということはお考えですか。
  179. 河野太郎

    河野国務大臣 北朝鮮の意図もまだ明確ではないというのが現在の状況なんだろうと思います。北朝鮮非核化にコミットをすると言っておりますが、先ほどから申し上げているとおり、それが果たしてどこまで真実なのかもよくわからないという状況の中で、余り先走った話をすべきではないんだろうと思っております。  まず南北の会談が行われ、その後、米朝会談が行われるわけですから、そこまでのやりとりを通じて、あるいはこの首脳会談の中で北朝鮮の意図を明確にし、北朝鮮がそうした、先ほどから申し上げたような行動に具体的に出るところをしっかりと後押しをすることができるかどうか、そのためにどういう取組が必要なのかというのを、日米韓、しっかりと連携をしながら、今後の対応を検討してまいりたいと思います。
  180. 岡田克也

    ○岡田委員 私が気になるのはイランの非核化に向けての交渉。本来の歴史的な経緯とか関係の深さからいうと、私は、日本は当然当事者としてもっとかんでよかったはずだと。しかし、残念ながら、その交渉からは外れていた。ドイツなどが入った、ドイツやイギリス、フランス、そしてアメリカという中で日本は外れてしまった。  北朝鮮は、イランよりも更に日本にとっては利害関係が深いわけですから、そういうことにはならないと思いますが、いずれにしても、日本の国益を実現していくために、しっかりとこの協議の中にこれからも入り続けてもらいたい、そういう思いで申し上げたところであります。  さて、これは当然否定されると思いますが、一部の報道で、日朝首脳会談というようなことを言われていますが、このことについて、これは事実かどうか、多分お答えにならないと思いながら聞きますが、いかがでしょうか。
  181. 河野太郎

    河野国務大臣 そういう報道があったというのは事実だと言っていいと思いますが、まず南北の会談、あるいは南北、米朝首脳会談というのが今予定をされておりますので、その中でのやりとりなどを通じて、北朝鮮の意図、あるいは北朝鮮が行動に移すために、どういう枠組みがいいのか、どういう行動が必要なのか、それをまず日米韓でしっかりすり合わせてまいりたいというふうに思います。
  182. 岡田克也

    ○岡田委員 すぐ思い出すのは小泉訪朝ですけれども、あのときには、当時の局長だった田中均さんが会談を非公式に重ねて、一つの大きな絵を描いて、その中で訪朝がなされて平壌宣言というところまで私はいったと思うんですが、単に行けばいいというものではもちろんありませんので、いろいろなことを積み重ねる中で、もちろんタイミングがあれば首脳会談ということは当然あるかもしれませんが、そのためには十分な積み重ねということが前提になるということは申し上げておきたいというふうに思います。  さて、次に、拉致問題についてお聞きをしたいと思います。  大臣が訪米された折に、来る米朝首脳会談で拉致問題の解決に向けて問題提起、あるいは解決に向けて協力を要請したというふうに、十六日の臨時会見の中で河野大臣は述べられております。何人かの方にお会いしたわけですが、この米朝首脳会談で問題提起をするということを米側は受け入れたんでしょうか。
  183. 河野太郎

    河野国務大臣 ワシントンで、ペンス副大統領マティス国防長官サリバン国務長官、それから当時の、当時のというかまだ四月までは現職ですが、マクマスター補佐官、その他さまざまな方とお目にかかる中で、この核、ミサイルに加えて、拉致問題の解決が重要であると。特に、米国にはまだ三人拘束をされている人もおりますし、日米以外の国でも北朝鮮に拉致されている、拘束をされている人がいる、この問題もあわせて解決されなければならないということを申し上げ、アメリカ側は、トランプ大統領がこの拉致被害者の問題をこれまでも発言をされていたり、非常に深く認識をしているということに触れ、日米でこの問題についてしっかり協力をしていこう、そういうところで一致をいたしました。  韓国の康京和外交長官もワシントンにいらっしゃっておりましたので、日韓の外相会談を行いまして、韓国とも引き続きこの拉致問題で緊密に連携し合っていこうということを確認いたしました。
  184. 岡田克也

    ○岡田委員 私がお聞きしたのは、米朝首脳会談でこの拉致問題を取り上げることについて、米側に受け入れられたのかどうかということを聞いているわけです。
  185. 河野太郎

    河野国務大臣 これから行われるさまざまな準備会合、あるいは南北、米朝首脳会談の中で何がどう議論されるかというのは、それはもう国際社会側の手のうちでございますから、それを申し上げるのは差し控えたいというふうに思います。
  186. 岡田克也

    ○岡田委員 やがて結果の出ることですからこれ以上申し上げませんが、それでは、大臣は、日朝平壌宣言に基づいて、拉致、核、ミサイルといった懸案を包括的に解決し、国交正常化を目指す考えに変わりはないと説明したと、訪米のときにですね、言われていたわけですが、核、ミサイルだけではなくて、拉致も含めて包括的に解決するということについて、これは、日米間で、了解といいますか、共通の理解に達したんでしょうか。
  187. 河野太郎

    河野国務大臣 この三つの問題が解決される必要があるということでは、共通認識だと思います。
  188. 岡田克也

    ○岡田委員 では、韓国側ですが、康京和外交長官との会談でも、南北首脳会談でこの拉致の問題を取り上げてほしいと申し上げたというふうに大臣は言われたわけですけれども、これについての韓国側の反応はいかがだったんでしょうか。
  189. 河野太郎

    河野国務大臣 繰り返しで恐縮でございますが、準備会合、あるいは南北、米朝首脳会談の中で、何をどのように取り上げるのか、何をどのようにテーブルの上にのせるのかというのは、これは国際社会の手のうちでございますので、そこを申し上げるのは差し控えたいと思います。
  190. 岡田克也

    ○岡田委員 ちょっと気になる発言がありまして、先ほどの徐薫国家情報院長の発言なんですが、大統領府が言っているわけですけれども、河野大臣に対して、今後、日本北朝鮮の実質的な関係改善が進む過程で論議や協議が進むことができると河野大臣に伝えたというふうに大統領府は発表しているんですね、徐薫さんが。  この言い方だと、日本北朝鮮がバイでやるときに拉致の問題は提起すればいいではないかということで、かなり、決して積極的な受けとめ方ではなかったというふうにも思えるんですが、こういうことについて、韓国側は発表しているわけですが、そういうやりとりはあったんでしょうか。
  191. 河野太郎

    河野国務大臣 日韓では、核、ミサイル、拉致問題についてさまざま協議をし、こうした北朝鮮に関する問題を解決するところで、引き続き日韓が緊密に連携をしていくというところで一致をしているというのは、先ほどから申し上げてきたとおりでございます。
  192. 岡田克也

    ○岡田委員 なかなか答えにくいと思いますが、私としては、やはり、韓国側もしっかりと認識を持ってもらって、日本と共通の認識の中で、拉致の問題についてもきちんと正面から受けとめてもらう。もちろん、韓国側にも同じような問題、あるいは、人数的にいうとそれ以上の問題があるわけですから、そういうふうに考えております。  あと、包括的な解決という中で、例えば、拉致問題についてのみ北朝鮮側が何らかの具体的行動をしたというときの制裁とか圧力というのは、どうなるんでしょう。
  193. 河野太郎

    河野国務大臣 この経済制裁というのは、国連の安保理決議に基づいて行われているものでございますから、当然、どうするというのは、国連の安保理でさまざま議論が行われなければならないものだと思いますが、先ほどから申し上げているように、北朝鮮がどうすれば国際社会がどうするのかというのを申し上げるのは、これは交渉前に手のうちを明かすようなことになりかねませんので、中身については差し控えたいと思います。
  194. 岡田克也

    ○岡田委員 もちろん、安保理で決めた制裁は、当然、日本だけの判断でそれを緩めることはできませんが、日本独自の制裁もあります。そのことと拉致についての一定の具体的行動ということがリンクしてカードが切られる可能性というのは、私はかなりあるんだろうなというふうに思っております。今、それについてのお答えをいただく必要はないんですけれども、そのことも念頭に置きながら賢明な対応をしていただきたいというふうに思っています。  次に、対米貿易、通商問題について質問したいと思います。  まず、知的財産保護、通商法三〇一条に基づく知的財産権保護のための投資の制限や関税の引上げ、あるいは、二百三十二条に基づいて鉄鋼製品やアルミニウム製品に対する関税を引き上げる、こういう措置についてお聞きをしたいと思います。  まず、鉄鋼、アルミが、日本もその対象に入っているわけですけれども、これの我が国に及ぼす影響というのはどの程度のものでしょうか。私はそう大きなものではないんじゃないかというふうに思っているんですが、いかがですか。
  195. 河野太郎

    河野国務大臣 御指摘のとおり、日本からの鉄鋼、アルミニウムの輸出のうち、アメリカ向けの割合は、鉄鋼で約六%、アルミについては九・八%でございます。もちろん、その輸出している業界、企業からしてみれば大きな影響ということになるのかもしれませんが、割合的には、今申し上げた六・〇%、アルミは九・八%というのが、数字ではそうなっております。  これをどう判断するか、大きいか小さいか、いろいろな立場の方、それぞれの御判断があるとは思いますが。他方、米国の今回の二三二条の措置は、同盟関係にある日米両国の経済関係、協力関係あるいはWTOの体制全体に影響を及ぼしかねないものであって、そういう問題は大きいのではないかなというふうに思っております。  日本の鉄鋼、アルミの企業への影響そしてWTOとの関係を十分に精査した上で、引き続き適切に対応してまいりたいというふうに思います。
  196. 岡田克也

    ○岡田委員 今回の措置で、EUや韓国は適用除外、残念ながら日本は適用対象外というふうにはならなかったわけであります。この辺の理由についてもお聞きしたいと思いますが、ただ、そういった、自分の国は適用を除外してくれ、こういう話も大事ですけれども、大臣もおっしゃたように、やはり、自国の問題も当然あるけれども、全体としてこれは自由貿易を阻害する、そのことが世界に及ぼす影響がいかに大きいかということを私はぜひ日米間で話し合ってもらいたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  197. 河野太郎

    河野国務大臣 アメリカ政府のこの二三二条の輸入制限措置、既に発動されているわけでございますが、これは、日本からの鉄鋼、アルミの輸出が米国市場から、締め出されるわけではないんですが、制限措置が課せられるというわけでございますが、当然、アメリカがこういう措置をとりますと、世界市場が混乱をすることにつながるわけで、なおかつWTO体制に非常にネガティブな影響を及ぼすことになる。これは極めて遺憾と言わざるを得ないと思います。  日本は、TPPあるいは日・EUのEPAなど、今や自由貿易の旗頭になったかのような状況でございますが、自由貿易を堅持する立場から、鉄鋼やアルミニウムの問題は、本来世界的な過剰生産にどう対処するかというのが問題の本質なんだろうと思います。アメリカ輸入制限措置をとったから対抗措置をとるというような、これの応酬をやってもどの国の利益にもならないというふうに考えております。  先週の木曜日の夜でしたか、ライトハイザー通商代表とかなり長い時間いろいろ意見交換をさせていただきましたが、ライトハイザー通商代表も、この鉄鋼、アルミの問題に非常に詳しく、状況はよく把握をされているんだろうと思います。  我が国のこうした懸念を伝えると同時に、我が国の企業に対しても影響を与えないでほしい、つまり、日本からの鉄鋼をアメリカが輸入することはアメリカの安全保障上何ら問題はないわけでございますから、少なくともそうしたことを考慮してほしいということを申し上げると同時に、こういうやり方ではWTO体制に悪影響が出るし、世界経済にとってもプラスなことはないということを申し上げてまいりました。
  198. 岡田克也

    ○岡田委員 世界経済全体がシュリンクするということになれば、それは世界全体にとって大きな影響を及ぼす。きょうの株価なども、そういったことを懸念してのあらわれだというふうに思っています。  もう一つは、今回の措置を見ていると、やはり中国狙い撃ちという感がなきにしもあらずです。知的所有権の問題もそうだし、関税もそうですね。他方で、中国は、北朝鮮問題を考えたときに、非常に重要な役割を我々としては期待している。制裁の手を緩めない。一方であなたが必要だと言いながら一方でぼかんと殴るような、こういうやり方は私は決して賢明ではないと思うんですけれども、そういうことについても米側と話をされたことはありますか。
  199. 河野太郎

    河野国務大臣 この北朝鮮の問題、特に経済制裁に関しては、中国北朝鮮との貿易額の約九割を占めるわけで、中国の役割というのは非常に重要でございます。それはもうアメリカ側もよく認識をしている。  そして、中国はロシアとともに国連の一連の安保理決議による制裁に賛成をし、この制裁を現実に行っており、また、中国は独自の制裁を北朝鮮に科しているということもありますので、最大限の圧力を北朝鮮にかけて、北朝鮮非核化に向けて動かしていくという中で、中国が果たす役割というのは非常に大きい。ここは日米間でも共通認識でございます。  他方、アメリカは、中国の知的財産権の侵害ということを非常に問題視しております。また、さまざまな不公正貿易、あるいは過剰生産能力といった問題に対処しなければならないという強い思いをアメリカの現政権は持っているわけでございまして、そういう中での三百一条の調査、あるいは二百三十二条の輸入制限措置といったことになっているんだろうというふうに思います。  日本としては、我が国の考えをアメリカにしっかり説明をしながら、問題の根本的な解決に向けて、必要な努力、協力というものをやってまいりたいというふうに思っております。
  200. 岡田克也

    ○岡田委員 先ほど、鉄、アルミの話をしましたが、次に出てくるのは自動車じゃないかと。もし自動車についての関税の引上げとかあるいは量的規制とか、こういうことになりますと、これは日本経済に及ぼす影響は極めて大きいということになると思います。  そうならないための協議というのは非常に重要だと思いますが、副大統領と麻生副総理の間の日米経済協議、余り活発にやっているというふうには思えませんが。今まで二回やっただけ。昨年十月以来は開催されていない。ここがもっときちっと機能しないといけないのではないかというふうに思いますが、最後に、その点について大臣の見解をお聞きしておきたいと思います。
  201. 河野太郎

    河野国務大臣 御指摘のとおり、日米経済対話は、昨年四月に第一回の会合、昨年の十月に第二回の会合が開催されました。  現在は、三回目の会合の開催に向けて、貿易及び投資のルール、それから、先ほど申し上げました、さまざまなこのWTO体制の中での課題にどう対応していくかという共通戦略をつくる、あるいは、経済その他の構造政策の分野での協力、分野別の、牛肉ですとか、それこそ自動車ですとか、さまざまな分野での協力の三つの柱の中で、事務的レベルでのさまざまな会合を重ねてきているところでございまして、それぞれの成果が出たところで三回目の経済対話というのが行われることになるんだろうというふうに思っております。  この経済対話を通じて日米の経済協力をしっかり進めると同時に、できればTPPの意義のようなものをしっかりとアメリカに説明をし、アメリカの、短期的には無理かもしれませんが、長期的な政策転換につなげてまいりたいというふうに思っております。
  202. 岡田克也

    ○岡田委員 終わります。
  203. 中山泰秀

    中山委員長 次に、穀田恵二君。
  204. 穀田恵二

    ○穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。  私は、まず河野大臣に、森友学園との国有地取引をめぐる財務省の決裁文書改ざん問題について所見を伺いたいと思います。  参議院予算委員会では、与野党が一致して求めた資料改ざんされていたということも、予算委員会の冒頭、委員長もお話しされていました。  河野大臣は、三月十三日の会見で、元公文書担当大臣として、公文書の書きかえというのはあってはならないということでございますと述べておられます。公文書改ざんの重大性についてどのように認識をしておられるか、まずお伺いしたいと思います。
  205. 河野太郎

    河野国務大臣 公文書管理の担当大臣をやらせていただきましたので、国立公文書館にも何度も足を運び、また外務省が所管をする外交史料館にも足を運び、これは、先輩が残してくれたさまざまな文書というのがしっかり残っているということにまず驚くとともに、その大切さというのを改めて認識をしたところでございます。  特に外務省外交文書機密文書の多いところでございますから、機密を管理するということとあわせてこの公文書管理をしっかりとやっていかなければならないというところは、外務省をしっかり指揮してまいりたいと思っております。  また、昨年、日本・デンマーク百五十周年という節目の年でございましたが、徳川慶喜公が最後に署名をした海外との条約がこの日本、デンマークの条約でございます。ところが、日本側ではこの条約が失われてしまいまして、デンマーク側には原本が残っている。その原本を借りて、日本の技術で極めて精緻な複製をつくってということが、昨年、百五十周年の記念事業として行われました。  外務省にしてみれば、外交というのがきっちりと文書で残っているというのが大事なことであって、この外交文書改ざんされるということは外交がつながらなくなってしまうということでもありますので、そうしたことが断じてないようにしっかりやってまいりたいと思います。
  206. 穀田恵二

    ○穀田委員 外交問題に触れられて、つながらないということはまずいとおっしゃいました。私は、そういう文書館なんかに行ったと一生懸命言ってはんねんけれども、やはり、公文書管理法というのは何なんだということがとても大事だと思うんですね、多分そういうことについて本来は言っておられるんだと思うんですけれども。やはり、第一条には、「目的」として、国民主権にのっとりということを書いているんですよね。単につながるとか機密だとかというんじゃないんですよ。  それは、「民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」、さらには、先ほど大臣もおっしゃったように、「現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにする」、こう述べている。そういう点ではそっちの方を言っておられるんだと思うんだけれども、ここがじゅうりんされているという問題なんですね。  したがって、私は、改ざんは、行政府による国政調査権に対するじゅうりんであって、立法府への冒涜にほかならないと考えています。物事の本質がそこにあるということを私は認識してもらう必要があると思っています。  経済同友会の小林さんは、立法府がある意味ではばかにされたというか無視されたという印象だ、立法府を無視することは国民を無視するのと同じ、民主主義の重大な問題で、行政の長としての監督責任は明確にあると述べておられます。  ですから、この問題の一つのポイントは、今お話ししたように、民主主義の根幹、国民の権利、こういったこととの関係で、それがじゅうりんされた場合は行政府の長たるものの責任は極めて重大だ、ここにはっきりした問題の核心が二つ目にあると思うんですが、その点はいかが御認識か、どうでしょう。
  207. 河野太郎

    河野国務大臣 今回の問題については、財務大臣のもと、徹底的な調査が行われていると承知をしておりますので、財務省の対応をしっかり見守ってまいりたいと思います。
  208. 穀田恵二

    ○穀田委員 いや、財務省の対応じゃないんですよね。今大事なのは、そういう、いわば国権における最高機関たる立法府に対して行政がじゅうりんをしているという事態の問題の性格を言っているわけです。その性格からして、本来、行政の長たるもの、単なる財務省の大臣の責任というには済まない問題を私は感じているからであります。  そういう認識にならないということについては、違うねんなということでしゃあないけれども、ですから、そういうことでみんな逃れようとするわけだけれども、極めて事は重大だ、かつてないことだというふうに私は思うんですね。  そこで、例えば朝日の世論調査では、改ざんの責任は首相にあるというのが八二%なんですね。事の重大性は、やはり長の責任という国民の世論を真摯に受けとめて、それに私たちはどう対応するのかということが、お一人お一人立法府に身を置く者として問われる、また行政に、一つの長として活動されておられる大臣も問われるんだということについては、あえて言っておきたいと思います。  そこで、次に、在外公館法の改定案の採決の問題について、私は態度を明らかにしておきたいと思うんです。  三月十二日に財務省によって公文書改ざんの事実が明らかになりました。事は、今述べたように、民主主義の根幹にかかわる問題であり、行政府による立法府への国政調査権のじゅうりんだということを先ほどから指摘してきましたが、私どもそう考えています。したがって、冒涜という事態であって、これは、与野党の別なく一年有余にわたって国会と国民を欺いてきた。この改ざん問題についての解決を図らなければならない。常識的に言えば、ほかに改ざんがないのかとの疑問も生まれるわけであります。  したがって、私は、これらの解決が先だと主張してまいりましたし、そういう野党の意見を全く無視して三月十四日に外務委員会を開催し、野党の審議権を奪ったまま質疑を行って、さらに採決まで行ったことについては、全く許しがたいと言わなければならない。この点も指摘をしておきたいと思うんです。こういうのは事の性格をはっきりさせなあかんということだけ言っておきたいと思うんです。  そこで、在外公館法に関連して幾つかお聞きしたいと思います。  河野大臣、大西洋条約機構、NATOの条約第五条には、欧州又は北米における一又は二以上の締約国に対する武力攻撃を全締約国に対する攻撃とみなすとして、集団的自衛権を掲げているわけですが、これは間違いないですね。
  209. 河野太郎

    河野国務大臣 北大西洋条約第五条は、締約国は、ヨーロッパ又は北アメリカにおける締約国に対する武力攻撃を全締約国に対する攻撃とみなすことに同意し、そのような武力攻撃が行われたときは、国連憲章第五十一条の規定によって認められている個別的又は集団的自衛権を行使して、攻撃を受けた締約国を援助することに同意する旨規定をしております。
  210. 穀田恵二

    ○穀田委員 今答弁がありましたように、NATOは、条約第五条で、締約国に対する武力攻撃を全締約国への攻撃とみなすと規定しています。集団的自衛権行使を掲げるアメリカを中心とした、ある意味で、そのとおりですが、軍事同盟だということが言えます。  その軍事同盟であるNATOは、二〇一〇年に新戦略概念を発表しています。それに基づいて、二〇一一年に新パートナーシップ政策を策定しました。外務省作成のNATOの資料を見てみますと、この新パートナーシップ政策には次のように書かれています。NATO主導の作戦に係る決定及び戦略形成に、作戦上のパートナーが関与できる枠組みを構築する、このように書かれています。  具体的にはどんな関与ができるとされているのか、御答弁ください。
  211. 相木俊宏

    相木政府参考人 パートナーシップ文書でございますけれども、パートナーとどのような協力ができるかということにつきましてメニューのようなものを書いてございます。それに基づいて、日本もパートナーの一つでございますが、それぞれのパートナーとどのような協力をするかということについては、国別に、国ごとに協力パートナーシップ計画というものを設けて別途定めているところでございます。
  212. 穀田恵二

    ○穀田委員 もうちょっと、一般論をばくっと言わぬと、そこに書いているのやから、その書いているのを読みなさいよ。そんな、誰が聞いたかてわからへんやん、そんなこと。わかるようにしゃべって。
  213. 相木俊宏

    相木政府参考人 お答え申し上げます。  日・NATOの国別のパートナーシップ協力計画でございますけれども、これは、二〇一三年に当時のラスムセンNATO事務総長が訪日をしたときに発表したものでございますけれども、そのときの共同政治宣言を踏まえまして、その後、二〇一四年の五月に安倍総理とラスムセン事務総長とが署名、発表したものでございます。  この協力パートナーシップの中では、日・NATO間におきまして、ハイレベルの対話の強化防衛交流の促進に加えまして、幾つかの優先分野においての実務的な協力を推進するということを定めてございます。  具体的な分野といたしましては、ちょっと長くなりますが、十分野ございまして、サイバー防衛、人道支援及び災害救援、テロへの対応、軍縮、軍備管理、大量兵器とその運搬手段の不拡散、海賊対策等の海上安全保障、紛争管理への包括的アプローチ、防衛科学技術、パブリックディプロマシー、平和ミッションにおける女性、平和、安全保障の視点の主流化、日本及びNATOにより共通の利益として特定される安全保障及び防衛に関するその他の分野ということで協力分野を定めてございます。
  214. 穀田恵二

    ○穀田委員 NATOのパートナーシップ政策というのは、おたくのところが出しているのにちゃんと書いているわけやんか。それをちゃんと言っているのやから、それを読んでくれたらええやんか。  そこにはこう書いているわけですよ。NATO主導の作戦に係る決定及び戦略形成に、作戦上のパートナーが関与できる枠組みを構築したと。枠組みと聞いているのやから。そこにはこう書いているわけですやんか。NATOの主導作戦に軍が貢献する、又は北大西洋理事会が承認した他の方法で支援する国。わかりやすく言うと、次は、意思決定前に全ての問題に関し意見提出ができ、作戦コンセプト、作戦計画、交戦規定等の文書議論に関与可能だということで間違いありませんね。一言だけ言って、じゃ。
  215. 相木俊宏

    相木政府参考人 御指摘をいただきました新パートナーシップ政策は、NATOのパートナーシップ政策についての、二〇一一年のものでございますが、先ほどお答えしましたとおり、そのような全体的なパートナー諸国との政策の中で、日本との間では具体的にどのようなパートナーシップを結ぶということは、先ほど申し上げた日・NATOの協力パートナーシップ計画の中で別途定められているところでございます。
  216. 穀田恵二

    ○穀田委員 ほんまに、これはこのとおりやなと聞いているんです。それはそうなんでしょう。うんとうなずいてくれたら、よろしいわな。
  217. 相木俊宏

    相木政府参考人 パートナーシップ政策の文書そのものについては、ちょっと、あらかじめ必ずしも通告をいただいていなかったように思いますので、今、その文書等そのものについて、おっしゃったとおりというところについては、ちょっと確認させていただかないと難しいところでございます。
  218. 穀田恵二

    ○穀田委員 NATOの話で一番大事なのはパートナーシップと言っているわけやから、それは、そう書いているのは、おたくのところの資料でそう書いているわけやんかね。そういうことも聞いて、パートナーシップについても一般論を言って、そのことの中心問題は何かと聞いて答えられぬって、どないするのかと私は思いますね。  今言ったように、作戦上のパートナーとして、NATO主導の作戦に軍が貢献するということが書いてあるし、もう一遍言いますと、意思決定前に全ての問題に関し意思提供ができ、作戦コンセプト、作戦計画、交戦規定等の文書議論に関与可能だと。つまり、NATOの交戦規定が決める打合せに参加するということなんですよね。そんなのは冗談やないと私は思うんです。  そこで、じゃ、大臣に聞きますけれども、二〇一三年に日本とNATOは日・NATO共同政治宣言を発表して、駐ベルギー大使をNATO日本代表に任命しています。今回の法改定で、NATOに日本政府代表部を設置し、特命全権大使を置いて関係強化をするとしています。それは、NATO側から日本がNATO制度上の代表者として受け入れられ、他の代表部の代表者と一緒になって軍事作戦にかかわっていくということではないのか。それはいかがですか。
  219. 河野太郎

    河野国務大臣 二〇一三年の共同政治宣言にありますように、日本とNATOは、自由、民主主義、人権、法の支配といった共通の価値を支持し、多国間あるいは対話を通じた紛争の抑止、危機予防を重視する、そういう関係にございます。サイバー、テロ対策、軍縮、大量破壊兵器の不拡散、海賊対策など、日本とNATOが認識をともにするグローバルな安全保障上の課題について協力をするということになるわけでございまして、日本とNATOが日本の憲法の枠内で協力することができる分野というのはあるんだろうと思います。
  220. 穀田恵二

    ○穀田委員 パートナーシップ、日・NATO共同政治宣言、この点でいいますと、このポイントは何か。これは、日本が正式にNATOに代表部を置くということは、NATOの枠組みの中で日本が軍事的な責任を果たしていくということになる、そういうことなんですね。NATOの一員として、日本が軍事行動の担い手として主導的に軍事作戦を行うことになるんじゃないか、それがNATOの領域を一層広げることにもなる、こういう関係にあるんだと私は判断するわけであります。  そこで、二〇一四年七月の集団的自衛権行使容認の閣議決定後、同年九月に行われたNATO首脳会談の分科会にNATO日本代表に任命されている坂場駐ベルギー大使が出席し、このように述べています。集団的自衛権行使を容認する閣議決定はNATOとの連携強化も後押しすることになる、こう言っているんですね。そして、同年九月と十一月には、初めて自衛隊がNATO主導の海賊対処部隊間の共同訓練に参加しています。  自衛隊がNATO主導の軍事行動に参加していく、その道を開こうとするのがNATOとの関係強化の中心ではないのか、そこをどうお考えですか。
  221. 相木俊宏

    相木政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘いただきましたとおり、これまで日本とNATOの間で、ソマリア沖・アデン湾での海賊対処のための共同訓練の実施、あるいはサイバー関連演習でございますとか、ウクライナとモンテネグロでの人道支援・災害救援演習へのオブザーバー参加、その他人的交流等の協力を行ってきたところでございます。  軍事協力という点の、軍事協力の意味するところ、なかなか難しいところもあるかと思いますけれども、日本はこれまで、NATOのいわゆるオペレーションに参加した実績はございませんで、また現時点において、NATO主導のオペレーションに参加することは検討しておらないところでございます。これまでは、共同訓練、あるいは演習へのオブザーバー参加、その他人的協力ということでやってきたところでございます。
  222. 穀田恵二

    ○穀田委員 なぜこんなことを私は指摘しているかというと、軍事行動に参加していく道だという点は、米海軍の制服組トップ、グリナート作戦部長の発言からも裏づけられます。  同氏が二〇一四年に日本で行った講演で、日本の集団的自衛権行使容認は、海上自衛隊を米軍の空母打撃群やミサイル防衛に統合することを可能にし、任務のほとんどの局面で実際に一つの部隊としても作戦できるようになる、こう指摘し、将来的にはNATO軍と同じような統合部隊化も考えるべきだとまで述べています。これは日経でも報道されています。  ですから、その意味でいいますと、軍事行動に参加していく、そういう道を開くんじゃないのか、オブとかなんとか言っていますけれども、極めて重要なところに踏み込む事態になってやしないかと再度問いたいと思います。
  223. 河野太郎

    河野国務大臣 先ほど答弁ありましたように、NATOのオペレーションに参加した実績はなく、現時点において、NATO主導のオペレーションに参加することを検討してもおりません。  我が国がNATOとどういう協力を行うかというのは、憲法の枠内で行われるのはもちろんのことでございます。
  224. 穀田恵二

    ○穀田委員 そういう事実があるし、相手の側もそういうことを言ってんのやから、よう見ておいた方がよろしいで。  それで、二〇一六年六月に河野統合幕僚長は、アデン湾における海賊対処活動部隊によるNATO派遣部隊との共同訓練など、引き続き、日・NATO防衛協力、交流を一層推進させていくと述べています。そういう意味でも、NATOとの軍事的な協力が一層加速していくということは、共同訓練を見ても明らかだと思います。  そこで、大臣にお聞きしますが、昨年、二〇一七年十月にNATOのストルテンベルグ事務総長が訪日した際に、安倍首相と会談し、日・NATOの国別パートナーシップ協力計画を見直そうということを盛り込んだ共同プレス声明を発表しました。  現在の日・NATOパートナーシップの協力計画は、集団的自衛権行使容認の閣議決定前に策定されたもので、集団的自衛権行使容認、安保関連法が、戦争法が成立した今、NATOとの関係強化としてこの協力計画を改定するというのは、その改定内容は、まさに自衛隊がNATO主導の軍事作戦に積極的に参加していくことを盛り込むということではないのかという点はいかがですか。
  225. 相木俊宏

    相木政府参考人 お答えを申し上げます。  御指摘をいただきましたとおり、昨年の十月の日・NATO共同プレス声明の中で、日・NATOの協力計画について改定をしていくということを示してございます。  これは、現在の協力計画がことし期限を迎えるということも関係しておりますけれども、いずれにいたしましても、我が国がNATOと協力をしていくに当たりましては、それは憲法関係法令内の枠内で行われるということでございます。
  226. 穀田恵二

    ○穀田委員 憲法、関連法規内に行われる、その一点張りを答えても、それはあきまへんで。やはり、今の危険の具体的事実をずっと経過的にも示しているわけだから、どないなんねんということを言っているわけですやんか。  そういう点で、私は改めて、この在外公館法の改定案に対する私たちの態度は反対だということをこの際述べておきたいと思います。  その一つは、日本政府代表部を新設するNATOは集団的自衛権を掲げる軍事同盟だということ、二つ目に、日本とNATOの関係強化によって、これまで非軍事の関与にとどまっていたものが、日本が軍事的な担い手として実質的に軍事作戦を行うことになるということ、そして三つ目に、日米安保だけでなくて欧州とも軍事的につながり、自衛隊が世界の裏側まで出ていき戦争に加担するという軍事大国への道を歩むことになるからであります。  そういう点を指摘して、同時に、なお、フィリピンの在ダバオ日本国総領事館の新設については、観光都市としての人気がある一方、マラウィ市占拠事件が起きるなどテロの危険性もある中、邦人の保護、日本企業支援の必要性は高まっていると言えます。  また、外務公務員の在勤手当の基準額及び子女教育手当の支給額の改定は、為替、物価等の変動を考慮した必要な措置であるというふうに私たちは考えているということを、言えなかったので言っておきます。  次に、米空軍と航空自衛隊の共同作戦について、お待ちかね、山本副大臣にお聞きしましょう。  私は、昨年十二月六日の本委員会で、航空自衛隊のF15戦闘機が昨年八月、核兵器を搭載可能な米軍のB52戦略爆撃機と日本海上空で共同訓練を実施していた問題をただしました。その後、山本防衛大臣は、航空自衛隊では日本の空域でB52との共同訓練を複数回実施していることを明らかにしました。  そこで、確認ですが、航空自衛隊では、昨年八月以降も日本の空域でB52との共同訓練を実施しているのかどうか。実施しているとすれば、訓練日、訓練空域、参加した部隊について説明を求めたい。
  227. 山本ともひろ

    ○山本副大臣 お答え申し上げます。  平成三十年一月二十二日、航空自衛隊は、日米共同対処能力及び部隊の戦術技量の向上を図るため、東シナ海上空の空域におきまして米空軍の戦略爆撃機B52との共同訓練を実施いたしました。具体的には、航空自衛隊の戦闘機F15四機が米空軍の戦略爆撃機B52二機及びB1B二機と編隊航法訓練を実施いたしました。  防衛省としましては、この共同訓練を実施した結果として、日米同盟全体の抑止力、対処能力を一層強化し、地域の安定化に向けた我が国の意思と高い能力や強固な日米同盟関係を示す効果があるものと考えております。  なお、日米の間では平素からさまざまな共同訓練につき企画、検討をしておりまして、内容や時期、公表のあり方などについて調整の調ったものについて実施しておりますが、相手方との関係もあることから、先ほど述べました訓練以外については、その存在の有無も含め、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  228. 穀田恵二

    ○穀田委員 私が言ったのは、参加した部隊も問うてんねんけれども、それは、だから、言われへんということやね。
  229. 山本ともひろ

    ○山本副大臣 御質問の意図は、参加した航空機の所属部隊はどこかということかと思いますが、残念ながら、訓練の詳細については、相手国との関係等もありますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  230. 穀田恵二

    ○穀田委員 結論としては、ことしに入ってもB52との共同訓練を行っていたということです。私は極めて重要だと思うんですね。  訓練空域については、当然、お話がありました、東シナ海上空と説明がありました。  今回の訓練では、B52はグアムのアンダーセン空軍基地からB1戦略爆撃機とともに飛来し、沖縄上空を通過、その後、那覇基地から発進した航空自衛隊のF15戦闘機と東シナ海の沖縄周辺空域で合流し、F15部隊に護衛される形で編隊飛行を行っていたというのが簡単に言うと訓練の概要じゃないのかというのはどうですか。
  231. 山本ともひろ

    ○山本副大臣 お答え申し上げます。  繰り返しになって大変恐縮でございますが、お尋ねの共同訓練実施の際の詳細につきましては、相手国との関係もあることから、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  232. 穀田恵二

    ○穀田委員 そのB52というのは一体どこから飛来したのかとか、そういうのを含めて言われないというのは、ちょっと、否定するんだったら、そういうなぜという根拠を私は示すべきじゃないかと思うんですね。河野大臣、国会にも国民にもこういう詳細を明らかにせず秘密裏に訓練が行われている、とても私は看過できないと言っておきます。  政府は、今回の訓練でもこれまでと同じくB52が核兵器を搭載していたかどうかについて確認していないのですね。
  233. 河野太郎

    河野国務大臣 共同訓練を実施する際の調整の詳細については、自衛隊及び米軍側の具体的な運用にかかわることと承知しており、また相手国との関係もあることから、お答えを差し控えたいと思います。
  234. 穀田恵二

    ○穀田委員 それは違うでしょう。調整の話じゃないでしょう。普通ですよ。  大臣、前回のお答えはどうだったか覚えてはりますか。私は覚えているんだけれども、要するに、そのときに答えたのは、私は核兵器を搭載していたかどうか確認したかと聞いているわけですよね。そうしたら、今、調整だというような話をしていますが、前回は違うんですよ。前回は、アメリカ日本の非核三原則の立場を理解している、だから核兵器搭載は想定されていない、こういうふうに言っているんだよね。だから、そうすると、前回と、今回は調整の話なので違うということになるんですか。
  235. 河野太郎

    河野国務大臣 そもそも、おっしゃるとおり、米側は我が国の非核三原則に係る立場をよく理解していることから、米国核兵器搭載の戦略爆撃機を我が国に飛来させたり領空を通過させるようなことは現状において想定しておりませんということでございます。
  236. 穀田恵二

    ○穀田委員 でも、大臣、これはB52、B1もそうなんだけれども、結局のところ、こういう言い方は失礼ですけれども、非核三原則のもとで、岡田さんもこの間の本会議も含めて質問されていましたけれども、アメリカの核の新しい体制が出てきている、そういうもとで条件が変わっている、それは総理大臣もお認めになった。そういう条件が変化している中で、このことについて、今までは積まずに来ていますという報告だったけれども、条件が変わっているもとで、もしかしたらそれは新しい変化が起きる可能性があるというのは誰もが考えているわけですやんか。だから、非核三原則のもとでそれが確認されなければ、それはきちんとした対応にはならぬと私は思うんです。  そこで、核兵器の搭載の有無というのを確認しないということはどれほど重要なことか、危険なことかということについて少し述べたいと思います。  河野大臣は、米軍のB52がたびたび墜落などの重大事故を起こしていることは御存じですね、河野大臣
  237. 河野太郎

    河野国務大臣 事故を起こしたことはあるんだろうと思います。
  238. 穀田恵二

    ○穀田委員 大臣、私、B52という問題、たびたび墜落などの重大事故を起こしているということをなぜ聞きたいか、なぜこだわっているか。それは、私は忘れがたい出来事を想起するからであります。それは、一九六八年、アメリカによるベトナム戦争の時期に、沖縄でのB52爆撃機の墜落事故があって、本当にベトナム侵略戦争と沖縄が直接つながっていて、戦争というものをじかに感じたからにほかなりません。  ここに、米軍安全センターが公表したB52の事故に関する資料があります。これを見ますと、米軍はなかなか正確でして、航空機事故について、死亡者が出るなどの重大事故をクラスA、それから負傷者が出るなどの事故をクラスBと分類しています。B52は、一九五五年の運用開始以降、昨年までにクラスAの事故を百三件、クラスBの事故を二百二件も起こしています。直近の十年を見ても、クラスAで五件、クラスBで十一件の事故を起こしています。しかも、二〇一六年の五月にグアムのアンダーセン基地で起こった墜落事故では、事故当時、核兵器を積んでいたかどうかを不明と報道されて、今日に至ってもその結果は明らかにされていない。  つまり、B52というのが事故が多い、そしてこの直近でもこういう事態が起きている、さらに、グアムの基地で起きた墜落事故では、当時、核兵器を積んでいたかどうかもわからないということが報道されている。  こうした事態を見ても、核兵器搭載の有無も確認せずに日本の空域でB52と共同訓練を繰り返していることが、国民の生命、安全にとってもいかに重大かは明らかではないでしょうか。その所見を伺いたいと思います。
  239. 河野太郎

    河野国務大臣 繰り返しで恐縮ですが、米国は我が国の非核三原則に係る立場をよく理解していることから、米国核兵器搭載の戦略爆撃機を我が国に飛来させたり領空を通過させたりすることは、現状において想定しておりません。
  240. 穀田恵二

    ○穀田委員 先ほど、私自身の経験という問題を触れましたが、沖縄県では、一九六八年、嘉手納基地所属のB52が離陸に失敗して墜落、爆発するという事故が起きました。この事故で、嘉手納の方々十六名が重軽傷を負い、校舎や住宅にも多大な被害をもたらしました。  これは、当時の週刊誌、サンデー毎日ですけれども、そこには、「戦争の恐怖に襲われた」ということの紹介があります。その中には、「十一月十九日午前四時十八分。地鳴りを伴った大爆発音で嘉手納村民はハネ起きた。」当時、村だったということですけれども、「爆発音とともに、家がゆれ、壁が落ち、ガラスが飛散った。」と。これは、この週刊誌によりますと、嘉手納消防隊の方が証言しておられるんですね。それで、村民はとっさに戦争、水爆を連想したと書かれています。  その沖縄周辺で、国会や国民も知らない中で、秘密裏にB52との共同訓練が行われている。しかも、核搭載の有無を確認すらしていない。こういうことで、山本副大臣、ほんまにこれでええのかということはいかがですか。
  241. 山本ともひろ

    ○山本副大臣 お答え申し上げます。  河野大臣と同じ答弁になってしまいますけれども、我々としましては、米側、米国は我が国の非核三原則に係る立場をよく理解していることから、米国核兵器搭載の航空機を我が国に飛来させたり領空を通過させたりするようなことは、現状において想定されていません。
  242. 穀田恵二

    ○穀田委員 まあ核兵器、水爆を積んだりするB52がおっこったのは、少なくとも、ヨーロッパでも随分、随分と言っちゃあれだけれども、二回ほど大きな事故があるんですよね。そのときは、当該の国は、極めてそういう問題について、NATOに参加してはいたけれども、この問題についての重要性について指摘をし、国を挙げて抗議をしているんですよね。そのときに、あるとかないとかというような話をして、そんな話をして、もちろん、あっちの国は非核三原則はないと言えばそれまでやけれども、重大な抗議もしているわけですよね。  だけれども、私は、こういう事態が起こっているもとでええのかということが、今、先ほど山本副大臣は、B52について、それは概要についてもお答えにならないし、どこから来たかということもお答えにならない。  なぜ、どこから来たかということを聞いているのは、そこに基地があって、そこから飛んだ飛行機というのは核を積んでいる可能性があるということをみんな知っているからですやんか。だから、私の方は、どこから飛んできたのか、どういう訓練をやったのか、概要はどうやと。そして、そういうもとで、かつて起こった事故との関係で、悲惨な事故が起きている、そういうことを起こしちゃならぬという立場から、もうちょっときちんと言えることはないのかということを言っているわけです。  再度お伺いしたいと思います。
  243. 山本ともひろ

    ○山本副大臣 お答え申し上げます。  共同訓練の詳細、どういった飛行ルート等々、なぜ答えられないのかということでございますが、先ほど河野大臣答弁をされましたけれども、そういった具体的な飛行ルート等々につきましては、日米の運用に関する事柄であるため、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  244. 穀田恵二

    ○穀田委員 最後にしますけれども、私、共同訓練の実態からしまして、秘密裏にやっているということの中で、少なくとも、今危険な状況があるし、今事故も起きているという問題も指摘しているわけだし、核を積んでいるか積んでいないかという問題が新たに問われている。そういう事態のもとで共同訓練をやるというのはもうあかん、やめなあかんでということを述べて、終わります。
  245. 中山泰秀

    中山委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後六時十三分休憩      ————◇—————     午後六時十七分開議
  246. 中山泰秀

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  盲人視覚障害者その他の印刷物判読障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約締結について承認を求めるの件及び二千九年の船舶の安全かつ環境上適正な再資源化のための香港国際条約締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。  これより順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣河野太郎君。     —————————————  盲人視覚障害者その他の印刷物判読障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約締結について承認を求めるの件  二千九年の船舶の安全かつ環境上適正な再資源化のための香港国際条約締結について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  247. 河野太郎

    河野国務大臣 ただいま議題となりました盲人視覚障害者その他の印刷物判読障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この条約は、平成二十五年六月にマラケシュで開催された世界知的所有権機関の外交会議において採択されたものであります。  この条約は、視覚障害者等が著作物を利用する機会を促進するため、利用しやすい様式の複製物に関する国内法令上の制限及び例外、利用しやすい様式の複製物の国境を越える交換等について定めるものであります。  我が国がこの条約締結することは、我が国の視覚障害者等による国内外の著作物の利用の機会を更に促進するとともに、視覚障害者等による著作物の利用の機会の促進に関する国際的な取組に貢献するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約締結することについて御承認を求める次第であります。  次に、二千九年の船舶の安全かつ環境上適正な再資源化のための香港国際条約締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この条約は、平成二十一年五月に国際海事機関の主催により香港で開催された国際会議において採択されたものであります。  この条約は、船舶の安全かつ環境上適正な再資源化のため、船舶における有害物質を含む装置等の設置及び使用の禁止又は制限、締約国によって許可を与えられる船舶の再資源化施設の要件等について定めるものであります。  我が国がこの条約締結することは、船舶の安全かつ環境上適正な再資源化を通じて、環境の保護及び労働者の安全確保並びに海事産業の持続可能な発展に貢献するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約締結することについて御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  248. 中山泰秀

    中山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十分散会