○伊波洋一君
沖縄の風の伊波洋一です。
議題の
給与法
改正案は
人事院勧告に沿ったものであり、
沖縄の風も異存ありません。
自衛隊の敵
基地攻撃能力論の背景には、
自衛隊は盾、米軍は矛で、米軍が敵を
攻撃するという従来の
日米安保の役割分担はもはや対中国では成り立っていないのではないか、オフショアコントロール戦略に見られるように、米軍が
攻撃する
対象には中国本土は想定されていないという
認識があります。アメリカにおいても、中国本土を
攻撃せず、米軍が
攻撃され続けることが
指摘されています。
安倍政権は、南西シフトの名目で石垣島、宮古島、奄美大島への
自衛隊ミサイル部隊の配備を進めていますが、五月二十五日の
外交防衛委員会で稲田前
防衛大臣は、南西シフトはエアシーバトル構想、オフショアコントロール論に
対応していると
答弁されています。エアシーバトル構想やオフショアコントロール戦略では、初期段階での中国の
ミサイル攻撃に対して、在
日米軍はグアム以東に退避し、
自衛隊が南西諸島から九州にかけての第一列島線を守ります。いずれも、
沖縄、
日本の国土が戦場になり、圧倒的な中国の
攻撃により
自衛隊が消耗し、
国民も犠牲になることが想定されています。
七十二年前の
沖縄戦においても、
日本軍の配備のなかった島や地域は、米軍の
攻撃を免れ、住民の被害も少なくて済みました。島という狭い地域が戦場になれば守り切れない、部隊配備は島嶼
防衛には役立たないというのは、
沖縄戦や南洋、南太平洋の島嶼における戦史の教訓です。
十二月五日の
委員会で
指摘した
小野寺大臣の
質疑と自民党の提言、
平成二十六年二月の中澤剛一等陸佐の「
米国のアジア太平洋戦略と
我が国防衛」論文、今年九月の
米国スティムソン・センターにおける岩田元陸幕長の発言、「海幹校戦略研究」の各種論文及びコラム、これらはネットで確認できます。このほかにも、トランプ政権の国家通商会議議長ピーター・ナバロ氏による「米中もし戦わば」など、多くの証拠があります。
米国は、オフショアコントロール戦略に基づいて、アジア太平洋における軍事戦略を策定しています。お手元に
資料配付した「米中もし戦わば」では、第一列島線の主要なアメリカ軍
基地には中国第二砲兵部隊が既に照準を合わせている、
基地は固定され、どこへも移動しない。繰り返し
攻撃される。中国軍は
米軍基地の座標を打ち込んで
ミサイルを一斉に
発射すればアメリカ軍の施設を一気に破壊することができる。当然、第一列島線上のアメリカ軍の作戦継続
能力は著しく弱体化する。
このような
基地の脆弱性に対し、アメリカ軍は次の三つの戦略を提起しています。一つは、既存
基地を遮蔽物で
強化する。今、グアム島で行われております。二番目に、受入れ国での
基地の分散。
日本で行われています。三番目に、空母重視を改め、機雷や潜水艦への軍備再編戦略です。中国の
ミサイル攻撃の第一撃を確実に吸収できるようにするとしています。
分散で
基地や艦船を
日本列島全体に再配置することで、例えばおよそ一千キロにわたる琉球諸島には、アメリカや同盟諸国の空軍や海軍が使用できる港湾や
飛行場が数多く存在すると。琉球諸島の南西の島々にまで軍を分散して配置することができれば、中国にとってターゲットを絞り込むことは困難になると
指摘しています。このようなことは、南西諸島や
日本列島をまさに戦場にすることにほかなりません。
さらに、
沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡は、中国海軍が東シナ海から西太平洋に出るお決まりのルートであると。中国側が激しく抗議する中、
日本は宮古島に既に設置済みの高性能レーダーに加えて八八式対艦
ミサイルを配備した。この
ミサイルは、中国艦船が宮古海峡のどこを通過してもたやすく射程内に収めることができると
指摘しています。
自衛隊が行った二〇一三年の地対艦
ミサイル配備訓練のことでしょう。
オフショアコントロールで、
日本や韓国、グアムのアメリカ軍
基地は
ミサイルの集中
攻撃の格好の標的として取り残されてしまうということも
指摘されています。オフショアコントロールによる経済封鎖は、中国だけでなく同盟国にも深刻なすさまじい経済的打撃を与えるので、果たして同盟諸国が自国の経済を犠牲にしてまで台湾の独立を
維持しようとするだろうかと
指摘しています。そうです。このオフショアコントロール戦略は、
日本国土を戦場にしますが、アメリカの台湾
防衛のための戦略です。
ピーター・ナバロ氏は、かなりの人命や資産が失われ、世界経済が崩壊寸前に追い込まれれば、アメリカも足並みのそろわない同盟諸国も、戦争の原因になったものが何であれ、例えば台湾あ
るいは尖閣諸島などがその原因であったにしても、それを中国にくれてやってでも戦争を終わらせようとするだろうということは想像に難くないと述べています。つまり、本来の目的は達成されないんですね。
安倍政権の進める南西シフトや離島奪還訓練などの
取組が、アメリカの代わりにこのオフショアコントロールなどの戦略を
自衛隊が戦う仕組みです、というふうに私は
考えています。何のためなのか、どこの国益なのかを見詰め直す必要があります。
今
沖縄では、住民が反対する中で、辺野古新
基地建設や、あ
るいはまた各地で、奄美大島や宮古島、石垣島への地対艦
ミサイル基地建設のための新
基地建設が行われています。このような米軍戦略が今行われている一環です。アメリカの利益のために
我が国国土が戦場になるということは許されません。是非、ここら辺のことはしっかりと
考え直していかなければならないだろうと、このように思っております。
私はやはり、今の中国の大国化の中で、アメリカ軍がこの
沖縄の、
日本のような前進配備されたところに居続けるということはかなり困難になっている、こういう
状況をしっかりと受け止める必要があると思います。
日米同盟の
強化というのは、
日本国土を戦場にする米軍の戦略を受け入れることです。核武装を含む自主
防衛は、韓国の核武装など東アジアの軍拡競争を招くでしょうし、
我が国の財政では負担も大きく、持続できません。やはり、何よりも
国民の
財産を守るものになりません。それに対して、やはり私たちは新たな、新しい戦略、安全保障の戦略を
考えていく必要があるのではないかと
考えます。中国と
米国の二大国のはざまにあって、中規模の国家、ミドルパワーとしての
日本の現状を直視する必要があると思います。そのためには、やはり中国との
信頼関係をいかに醸成するかということがとても大切な時代になっていくと思います。
私たちは、今中国と
日本の間には、「すべての紛争を平和的手段により解決し及び武力又は武力による威嚇に訴えない」とする日中平和友好条約を含む四つの基本文書が既に存在しているということをしっかりと受け止めなきゃいけないと思います。現在の安倍政権は、その文書の存在、その四つのお互いの合意を軽視している、そういう中で今
外交を進めているのではないかと大変気になっています。
私は、やはり来年いよいよ日中平和友好条約四十周年を迎えるこの二〇一八年に、日中両国で再び「すべての紛争を平和的手段により解決し及び武力又は武力による威嚇に訴えない」ということを確認することを再度確認していただき、日中両国の間に友好醸成の
機会にしていただきたいと思います。
そこで
質問をいたします。
来年は日中平和友好条約四十周年です。先日、十一月十一日、十三日に安倍首相は習近平主席、そして李克強国務院総理と相次いで会談をいたしました。具体的にはどのような成果があったのでしょうか。まずお答えください。