○志位和夫君 私は、
日本共産党を代表して、
安倍総理に
質問します。(
拍手)
まず、森友、加計疑惑についてです。
この疑惑は、公正公平であるべき行政が時の権力者によってゆがめられ、国政が私物化されたのではないかという重大疑惑であり、
自民党が総
選挙で多数を得たからといって絶対に曖昧にされてはならないものであります。
森友疑惑の核心は、
国民の財産である国有地が、なぜ八億円も値引きされ、ただ同然で売却されたのかにあります。
この間、売却に直接かかわった財務省職員と学園側とのやりとりを記録した音声データが報道で明らかになりました。音声データには、地下深くまでごみがあったことにして売却価格を引き下げるというシナリオを財務省職員の側から提案していたことが記録されています。売る側である財務省の側から値引きを提案するなどという信じられないことがなぜ起こったのか。籠池氏は
国会で、神風が吹いたと証言しましたが、神風が吹き出した時期と安倍昭恵夫人が名誉校長に就任した時期が重なっているのは、到底偶然とは考えられません。
真相を究明するためには、売却に直接かかわった財務省職員と、売却交渉のときの名誉校長であった昭恵夫人に
国会に来ていただき、直接話法で真実を語ってもらうことが必要であると考えますが、
総理の見解を問うものであります。
加計学園の問題の核心は、加計学園理事長の親友である
総理の関与によって、獣医学部新設に特別の便宜が図られたのではないかというところにあります。
総理は、獣医学部新設について、私が関与したと言った方は一人もいないと述べ、この一点をもって、みずからの関与を強く否定しています。しかし、獣医学部の新設が国家戦略特区に認定される過程で、
総理の御意向とか、官邸の最高レベルが言っているなどと記載された文書が文科省内で交わされ、圧力として働いたことは紛れもない事実であります。
総理がみずからの関与をあくまで否定するなら、
総理の名をかたって関与した人物が別にいるということになります。その人物を明らかにして、断固とした処置をとる意思はありますか。
総理はまた、加計氏から獣医学部新設の話をされたことはないと言います。しかし、加計孝太郎氏は、特区に獣医学部の新設を認める山場の時期に、当時の農水大臣、文科大臣、
地方創生大臣に相次いで面会し、獣医学部新設の話をしています。
民間の一学園理事長である加計氏が三人の大臣と直接面談すること自体が極めて異例なことですが、そのときに、加計氏が腹心の友である
総理の名をかたって、行政への働きかけを行った事実はありませんか。その究明のためにも、加計孝太郎氏の
国会招致は不可欠だと考えますが、
総理の見解を求めます。
北朝鮮問題への
対応について
質問します。
北朝鮮による核・
ミサイル開発は、
もとより断じて容認できません。同時に、破滅をもたらす戦争だけは、絶対に引き起こしてはなりません。この点で、
総理の
姿勢に二つの大きな問題点があることを率直に指摘しなければなりません。
第一は、
総理が、
対話のための
対話は意味がないと、
対話否定論を繰り返し述べていることであります。
現在の最大の危機は、米朝の軍事的緊張が高まる
もとで、偶発的な事態や誤算から軍事衝突が起き、それが戦争に発展することにあります。この危機を回避し、打開するためにも、米朝が直接
対話に踏み切ることが必要だと考えますが、いかがですか。
経済制裁の
強化は必要ですが、それだけでは事態を打開することはできません。制裁
強化と一体に、
対話による平和的
解決を図ることこそ唯一の
解決策であり、
日本政府はそのためのイニシアチブを発揮すべきではありませんか。
第二は、
総理が、全ての選択肢はテーブルの上にあるという米国
政府の立場を
支持すると繰り返していることです。
ここで言う選択肢の中には、米国による先制的な軍事力行使が含まれていることは明瞭です。万一、米国が先制攻撃に踏み切ったら、何十万、何百万もの人命が最初の数日間の戦闘で失われるという強い警告がされています。こうした危険な道にあらかじめ
支持を与えるなど、言語道断であります。米国
政府に対して、先制的な軍事力行使は絶対にやるべきではないと提起すべきではありませんか。
総理の
答弁を求めます。
暮らしと
経済について
質問します。
総
選挙の翌日、
日本経団連の榊原会長は、安倍政権には、
国民の痛みを伴う
改革にも取り組んでもらいたいとして、計画どおりの消費増税の
実行と
社会保障制度の
改革に勇気を持って取り組めと求めました。
この号令に呼応するように、財務省の財政
制度審議会、内閣府の
経済財政諮問
会議で、相次いで
社会保障改革の案が出されました。その内容は、
医療、
介護、
生活保護など、
社会保障のあらゆる
分野で給付削減の大なたを振るおうというものです。
介護では、要
介護一、二の在宅サービスを
介護保険の給付から外すことが提案されています。安倍政権の
もとで、既に要
支援一、二の百七十六万人の在宅サービスが保険給付から外されています。この上、要
介護一、二の二百四十万人のサービスまで保険給付から外したら、要
支援、要
介護と認定されている人の実に六五%が保険給付の枠外に置かれてしまいます。
高い保険料を払って要
支援、要
介護と認定されても、六割以上の人がサービスを受けられない。これでは、国家的詐欺と言うほかないではありませんか。
こうした
制度改変で大変困るのは、
介護が必要な家族を持つ
現役世代であります。
介護離職は十年間で百五万人に上ります。
総理は
介護離職ゼロを掲げておられますが、六割以上の人から保険給付を取り上げて、どうして
介護離職ゼロになりますか。それを深刻化させるだけではありませんか。
生活保護では、
子供のいる
世帯を狙い撃ちにした切り下げが検討されています。母子加算を初め、
子育て世代に支給される各種加算を軒並み切り下げ、
生活扶助費の本体についても、
子供の多い
世帯ほど厳しく削減していくというのが
政府の方針です。これが
実行されれば、子だくさんの貧困家庭に事実上のペナルティーを科すことになります。
総理は、
少子高齢化を
克服する、貧困の連鎖を断ち切ると言われますが、やろうとしていることは全く逆のことではありませんか。
総理は、総
選挙で、
社会保障制度を全
世代型に転換すると公約しましたが、
選挙が終わってやろうとしていることは、全
世代に対する
社会保障切り捨てにほかなりません。こうした
姿勢を根本から改め、
社会保障拡充への
政策転換を図ることを強く求めるものであります。
経団連がもう
一つ、
国民の痛みを伴う
改革として要求しているのが、計画どおりの消費増税の
実行であります。
重大なことは、経団連が
消費税増税を法人税実効税率の二五%への引き下げとセットで要求していることです。既に安倍政権の
もとで、四兆円の法人税減税、大
企業減税のばらまきが行われましたが、さらに二兆円を超える法人税減税を求めているのです。
総理、
国民には
社会保障削減と大増税の激痛を押しつけながら、自分の税負担はひたすら軽くしてくれというこの財界の要求は余りに身勝手だと考えませんか。
消費税一〇%への大増税は中止し、増税するなら、
アベノミクスで空前のもうけを手にしている富裕層と大
企業に応分の負担を求める税制
改革こそ
実行すべきであります。明確な
答弁を求めます。
沖縄の米軍基地問題について
質問します。
総
選挙では、沖縄の四つの小
選挙区のうち、一、二、三区の三つで、辺野古新基地に反対するオール沖縄の候補者が勝利しました。新基地建設に反対する沖縄県民の
民意がはっきり示された結果であることは明らかであります。ところが、
政府は、そのわずか二週間後に、新たな護岸工事の建設に着手しました。
総理に伺います。
総
選挙で沖縄県民が新基地建設反対の審判を下したという事実をあなたはお認めにならないのですか。
政府の暴挙は、沖縄には民主主義は適用しないという宣言に等しいものだと考えますが、いかがですか。しかとお答えいただきたい。
米軍ヘリが炎上、大破した事故も、沖縄県民の怒りを広げています。こんな重大事故が
住民の
生活する民有地で起こったのに、
日本の警察は立入調査すらできませんでした。機体の一部に放射性物質が使われていたにもかかわらず、十分な調査ができませんでした。昨年のオスプレイ墜落事故のときにも、海上保安庁は原因究明に関与することができませんでした。
総理、これで独立した主権国家と言えますか。この屈辱的な現状を正すために、
日米地位協定の抜本見直しが必要だと考えますが、いかがですか。
答弁を求めます。
最後に、憲法九条改定について
質問いたします。
総理は、憲法九条の一項、二項は残しつつ、自衛隊を明文で書き込む憲法改定を主張しておられます。
総理は、ただ存在する自衛隊を書くだけで、何も変わらないと言いますが、とんでもありません。極めて重大な問題が生まれてきます。
法律の
世界では、後からつくった法律は前の法律に
優先する、このことが一般原則とされています。ですから、仮に九条二項が残されたとしても、後からつくった条項で自衛隊が明記されれば、こちらが
優先され、九条二項の空文化、死文化に道を開くことになるのではありませんか。そうなれば、九条二項によってできないとされてきた武力行使を目的にした海外派兵や集団的自衛権の全面的発動が可能となり、海外での武力行使が無制限になるのではありませんか。こうした大改悪には我が党は断固反対であります。
大体、
総理に憲法改定を語る資格があるでしょうか。安保法制、秘密法、共謀罪、どれもこれもが憲法違反の法律を数の暴力で通してきた。野党が憲法五十三条に基づいて臨時
国会召集を要求しても、三カ月も放置したあげく、冒頭解散を強行しました。憲法を守らない
総理に憲法を変える資格などありません。
今、
日本に求められているのは、憲法を変えることではなく、憲法をきちんと守る
政治を取り戻すことだということを訴えて、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇〕