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中泉松司君 私から質問をさせていただきましたその秘密にすることの必要性、まあメリットと言ってもいいのかもしれませんけれども、そういったところについても御
説明をいただきました。
でき得る限りというお話がありました。そのとおりだと思います。けれども、振り返って、TPPの交渉、そしてそれを地元に帰って私たちも
説明をし、そして合意の内容が分かって
対策をしっかり打っていくということを表明し、それをまた地元に
説明をしていき、関係者の理解を求めていく、そういった過程の中では、やっぱりできる限り、可能な限り情報を開示していただきたいという思いは強くいただきました。
先ほどの答弁で、その秘密にしなければいけない必要性ということも理解をいたしますけれども、そこに御留意をいただいた上で、今後、様々諸外国との交渉事はあり得ると思いますけれども、臨んでいただければ有り難いというふうに思っております。
そして、ここからは
総理への
お願いとさせていただきますけれども、
トランプ大統領は、先ほど申し上げたように、
日本を始めとした各国との今後の二国間での交渉に向けて非常に意欲的な発言をされております。
総理は、まずはTPPについて腰を据えてその意義について説得をしていく、
説明をしていくという意思を表示されておりますけれども、まずはそのことをしっかり取り組んでいただきたいと思います。
TPPにおいては、国会でも様々な
議論がなされ、また自民党内でも非常に多くの時間を掛けて交渉に向けて
議論をし、交渉内容が国益にかなっているのかどうか、そして重要五品目は守られているのかどうか、どういった
対策を取れば国内への影響を遮断できるのか、そういったことについて
議論をしてきました。また、そういったTPPのようなグローバル
経済圏をつくっていく中で、そういったものを見据えた今後の農政
課題の解決のためにどういった政策を打っていくべきなのかということも
議論をさせていただきました。
私も党の農林副部会長という役を仰せ付かっておりますので、その
議論に参画をさせていただきながら、地元を始め、農業団体、関係者の皆さんから様々な御意見をいただき、本当に厳しい御意見もたくさんいただきましたけれども、でき得る限り丁寧に
説明を申し上げた上で、
信頼関係の構築と御理解につなげるようにということで頑張ってきたつもりでおります。そういった意味では、本当に難産の末にぎりぎりの結果としてこぎ着けた国会承認であったと思っております。
当時の担当
大臣の発言を振り返りますと、TPPのときにも、衆議院、参議院それぞれの農林水産
委員会での決議が交渉における力強い後押しとなったという発言もございました。今回の国会承認というものも、今後の様々な交渉に向けてしっかりとした後押しとなるようなものにしていかなければいけないと
考えております。
今度、二月には
総理も訪米されるということでありますけれども、そういったところを踏まえて、是非簡単な譲歩等がないようにしっかりと臨んでいただきたいと思っておりますので、心から
お願いを申し上げて、TPPについては終わらせていただきたいと思います。
次に、今後の農
政政策について
農林水産大臣にお話をさせていただければと思っております。
私も農家のせがれでありまして、我が家は米を中心として集落営農で大規模に農業を営んでいるという農家であります。自慢ではありませんけれども、多分、国
会議員の中でトラクターも田植機もコンバインのオペレーターもしっかりできるのは私ぐらいじゃないかなというふうに思っておりますけれども、最近は国
会議員としての活動が続いておりますのでなかなかそういった作業をすることはできなくなってしまっておりますけれども、農政については今後も、当事者ではありますけれども、客観的な視点とそしてしっかりとした信念を持って
議論に参画をしていきたいと思っております。
今日は、今後の農政
課題について
大臣にお話をさせていただく機会をいただきまして、是非、私ども秋田県というのは米どころで有名ではありますけれども、今、生産調整の廃止等もうたわれております。来年度いっぱいで終了をし、今後新たな政策に転換していくということでありますけれども、そういったことに関して率直なお話をさせていただければと思っております。
今後の農政を
考えていくときに、様々な視点、
観点で
考えていかなければなりませんけれども、全体として私が最も重要だと
考えるのは、人口減少社会にどう向き合うかということであります。これは、農業に限らず、
社会保障であったり
経済的な
課題であったり、そういった全ての我が国の
課題に直結する問題であると思っておりますけれども、農業においても非常に重要な
課題であると認識をしております。
そこで、質問等に入る前に、現在の
日本の人口減少と人口構造の変化について触れさせていただきたいと思います。
皆さん御案内のとおり、秋田県というのは、人口減少が進むこの我が国において最も早く人口減少社会に直面をし、
課題を乗り越えていかなければいけない地域であると言われております。少子高齢化が進み、人口減少率が全国トップの秋田県だと言われていますが、そういった秋田県だからこそ頑張っていかなければなりません。
そこで、現在の
日本の
状況と、一番進んでいると言われているという秋田の
状況について、比較をしながら御紹介をさせていただければと思っております。
日本の人口は、二〇一七年、
平成二十九年、今年の一月現在で一億二千六百八十六万人です。戦後、我が国の人口は増加を続け、一九六七年、昭和四十二年に初めて一億人を突破しました。二〇〇八年、
平成二十年の一億二千八百八万人をピークに減少を始め、このままいくと、二〇四八年、現在の元号でいいますと
平成で六十年になりますけれども、一億人を割り込むとされております。
対して、秋田県の人口は、現在百万人強です。昭和三十一年がピークでありまして、昭和三十一年は百三十五万人が秋田県に暮らしておりましたけれども、その後減少を続けており、
平成二十九年度中、つまり今年中に百万人を割り込むことが確実な
状況と見込まれております。ちなみに、秋田県の人口は二〇四〇年頃、
平成でいけば
平成五十二年になりますけれども、今から二十三年後には七十万人程度となると言われております。我が国全体よりもはるかに速いペースで人口減少が進んでいます。
消滅可能性都市というのがあります。これは増田リポートと言われる中で言われていたテーマでありますけれども、今日、
蓮舫先生の質問にもありましたけれども、二十代から三十九歳までの、九割以上、子供を産み育てていらっしゃる世代の方々が住民に対してどのぐらいの割合いらっしゃるかということを表したそのデータを基にして、今後、長い目で
考えたときに消滅をする可能性がある都市というものを選別している、そういったレポートでありますけれども、秋田県は二十五市町村ありますが、二十四市町村が消滅可能性都市と言われています。一つだけ消滅可能性都市でないのが大潟村というところでありまして、国策で八郎潟を干拓をして、大穀倉地帯としてつくり上げたその大潟村だけが消滅可能性都市ではなくて、それ以外は秋田市も含めて消滅可能性都市と言われています。
この消滅可能性都市というのは非常に怖い話ではありますけれども、今後の人口の推移については危機感を持って見ていかなければなりません。加えて、今後の社会を
考えるときには人口構造の変化についても
考えていく必要があると思います。
経済的な消費という意味で人口減少と人口構造の変化には大きい影響があると言われておりますけれども、食の消費という意味でも、人口減少に加え人口構造の変化が大きいと
考えるからです。
そこで、生まれてくる子供の数に注目をして
考えてみたいと思います。
昨年、我が国で生まれた子供たちの数が初めて百万人を割り込みました。九十八万一千人となりました。人口動態総覧の年次推移を見てみますと、
日本の人口が激増したのはいわゆる団塊の世代の登場です。団塊の世代、昭和二十二年に生まれた子供の数は我が国全体で二百六十七万八千七百九十二人、約二百六十八万人がこの世に生をうけました。昭和二十七年まで二百万人台で出生数は推移をしますけれども、昭和二十二年から昭和二十五年までの四年間だけで一千万人の子供が生まれております。そして、その後は百万人台後半で推移をし、団塊ジュニア世代になると再び二百万人台を記録しますけれども、その後はまた減少を続け、先ほど申し上げたように、昨年百万人を切り、九十八万一千人となりました。
同じように、秋田県についても御紹介したいと思います。秋田県でも全国と同じように昭和二十二年生まれの方が最も多い出生数でありまして、四万七千八百三十八人、四万八千人弱おりました。ちなみに言いますと、私の父もその一人であります。そして、その四万七千八百三十八人生まれた子供たちは、今、今年で七十歳になろうとしています。その後、秋田県では、出生数は残念ながら団塊ジュニア世代でも少しずつ減少を続け、途中経過は省略しますが、
平成七年に一万人を割り込みました。そして、県の努力もあって減少ペースは緩やかになったんでありますけれども、ついに
平成二十六年には六千人を割り込み、一番新しいデータでは、
平成二十七年の出生数は五千八百六十一人となっております。
つまり、簡単に言いますと、昔は二百六十七万人がおぎゃあと生まれた
日本で、今は三分の一程度の子供の数になっています。また、昔、四万八千人弱がおぎゃあと生まれたこの秋田県で、今は八分の一の六千人を切る子供たちの数となってしまいました。県面積が全国で六位を誇る秋田県で、生まれた子供の数、全県足しても六千人を切るというのは非常にショッキングな数字であると私は思っております。
秋田県というのは、皆さん御存じのとおり、新潟などと並んで我が国有数の米どころの一つです。生産調整が来年度で終わるということに不安を抱える人も少なくはありませんが、そういった方々に今後の農政についてお話をさせていただく際に、よくこの人口減少と人口構造の変化についてお話をさせていただいております。
日本の主食用米の需要は、現在八万トンペースで減少をしているのは御案内のとおりです。生産調整という制度の中で、
平成二十八年度、今年度の生産数量目標は七百四十三万トン、来年度は最終年度ということでありますけれども、八万トンの需要減を受けて七百三十五万トンの生産数量が設定されたと伺っています。そして、来年度をもって終了し、今後新たな農政に切り替えるということが示されております。
米だけに限った話ではないんですけれども、特に米というのは、作りやすく、そしてリスクが少なく、安定して経営しやすいという意味では非常に魅力的な作物であると思います。そういったものだからこそ作りたいという方は多いのでありますけれども、その米について、
日本人の需要がなぜこれだけ減ったのかということを真剣に
考えなければいけないと思っております。
日本人が一番米を食べていたのは昭和三十七年、一人当たり年間百十八・三キロ消費をしていました。簡単に言うと二俵弱です。そして、それが今どのぐらいになったかというと、
平成二十七年の数字で五十四・六キロになりました。つまりは、簡単に言うと、半世紀以上前は二俵のお米を年間食べていたのが今は一俵も食べなくなったということになります。
こういった話をするとすぐに、
日本人は米を食べなくなったもんなという話をされる方がたくさんいらっしゃいます。確かに、半世紀が過ぎて、一番食べていた頃に比べると、
日本の食文化というのは大きく変わりました。ラーメンを食べたりパスタを食べたりピザを食べたり、そういった文化の変化というものは大きくなりますので、そういったもので食を満たすのではなくて、御飯をもっと食べようよという気持ちもよく分かります。
ただ、先ほどお話を申し上げた人口減少、人口構造の変化ということを
考えれば、
日本人、米を食べようよという話をしただけでは需要
対策には限界があるのも事実だと私は思います。
簡単に言うと、昔は子供たちが多くてお年寄りが少なかった、それは先ほど申し上げたとおりです。今は、そのお年寄りの数が増え、子供たちの数が圧倒的に減ってきています。昔はお代わりをして、あしたから頑張ろうという子供たちがたくさんいたのに対して、今はその子供たちが本当に少なくなって、そして、お代わりしなくてももう十分だよという方が本当に増えてきました。そういった構造の中で、需要
対策だけで主食用米の需給バランスを取っていこうとすると、簡単に言うと、お年寄りにも御飯をお代わりしてくださいねということも言わなければいけません。そういった意味では、これは限界があるということを私たちは認識をしなければいけないのではないかと思っております。そういった
状況の中でどのようにして需給バランスを取っていくのかということを
考えていかなければならないのが今なんだと思っております。
国内の需要が減ってくる中で、どのようにして供給を抑えて、そして需要に応じたバランスを取っていくのか、そして米価を安定させていくのかということは喫緊の
課題でありますし、そういった国内消費、需要が減っていく中では戦略的な輸出体制を整備していかなければいけない。また、
世界で戦っていける
日本食を中心とした
日本食文化の発信もしていかなければなりません。また、国内においては、しっかりと持続可能な農政体制を築いて、コスト削減や人材の育成といった
取組を進めて次の時代にバトンを渡していかなければいけないし、家を維持するという意味では、
中山間地
対策というものをしっかり進めていかなければいけません。今のこの人口構造の変化等を冷静に分析をした上で、きちんとした農政転換が今求められているのだと思います。
そこで、そういった
観点から幾つか御質問をさせていただきたいと思っております。
初めに、
中山間地
対策についてお伺いをいたします。
日本の国土の七割を占める
中山間地は、傾斜地などの条件不利性とともに、人口流出や鳥獣被害など大変厳しい
状況にさらされております。一方で、平野部に比べ、豊かな自然、景観、気候、風土等の条件を生かして収益力のある農業を営むことができるのも
中山間地の魅力だと思います。
自民党でも、党の下で
中山間地農業を元気にする
委員会というものを立ち上げて、長野県の
中山間地に詳しい宮下一郎先生を中心に、私も副
委員長として、また、参議院でいくと
山田修路先生が
委員長代理、
長峯誠先生が副
委員長として
議論に参画をさせていただき、ヒアリング等を行った上で政策を取りまとめ、昨年十二月、
山本大臣に提言をさせていただきました。
そこで、この提言の受け止めと今後の
取組について
農林水産大臣のお
考えを伺いたいと思います。