○田名部匡代君 民進党・新緑風会の田名部匡代です。
私は、会派を代表し、ただいま議題となりました
農業競争力強化支援法案につきまして
質問をいたします。
冒頭、十八日に経済産業大臣政務官を一身上の都合で辞任された中川俊直衆議
院議員について触れざるを得ません。報道されている
内容が事実とするならば、
国会議員として以前に、人としてあるまじき行為であります。一人の女性として、一議員として、このような行為を認めるわけにはいきません。
また、中川議員はフェイスブック上で報道
内容の一部を否定していますが、
国会議員は
国民の負託を受けており、どこかの御夫人のように、フェイスブックで見解を表明して逃げるということは許されません。
国会議員は、
国民の前で自らの
言葉によって説明をする責任があります。説明責任を果たそうとしないその姿勢も認めるわけにはいきません。このような人物を経済産業大臣政務官にふさわしい人物であると考えた安倍総理の任命責任はもちろん、
国会議員としてふさわしいと考えていた鑑識眼を疑わざるを得ないことを冒頭訴えさせていただきます。
本年三月、東
日本大震災の被災地を訪問した際に出会った女性は、この六年、仕事で気を紛らわせながら一日一日を過ごしてきましたとおっしゃっておられました。人々は、今なお笑顔の裏に悲しみや苦しみを抱えながら過ごしておられるのです。私たちは、その目に見えないことに対しても心を砕き、希望を一つ一つ積み上げていかなければなりません。
しかし、復興を担当する今村大臣は、自主避難者の
方々に対し、自己責任だとおっしゃいました。心にないことは口から出ません。裁判でも何でもすればいいという
言葉から伝わってくるのは、不満ならば訴えればいいという大臣の本音です。抱える苦しみがあるときでも、それを全身で受け止めてくれる人がいるとき、人は時に救われた気持ちになり、頑張る力が湧いてくることもあるのではないでしょうか。しかし、今村大臣の
言葉は被災者を傷つけるものでしかありません。しかも、そうした心ない
言葉に
子供たちは敏感に反応し、更なるいじめにつながっていくことすら想像もできていないのだと思います。被災者の気持ちが少しでもお分かりになるなら、大臣の取るべき行動は一つ、辞任であります。
このように安倍
政権では、失言、暴言、うそか本当か記憶を消したり書類を消したりと、全てが
国民を愚弄するものであり、許すことはできません。
また、森友学園も疑惑を残したまま、新たに加計学園の問題も浮上しました。獣医師は家畜伝染病への対応を担う畜産業の安定的な
発展には欠くことのできない存在であり、この加計学園の獣医学部新設の件は、経営の維持
発展に努めておられる畜産や酪農を営む
方々にも深く関係する重要なことでありますので、お伺いします。
国家戦略特区の議事録を見ても、いつ誰がどこで決めたのか、全く不透明であります。なぜ加計学園に決まったのか、いつ誰が獣医学部設置を一校と定めたのかも非常に不明確です。
我が党の櫻井議員から、過去に国家戦略特区で設置を決めた医学部と同様の、関係省庁から成る合意文書はあるのかという確認をしたところ、あるとかないとか言いながら、後に提出をされたわけですけれども、作成日は確認できません。委員会質疑で作成日を確認できるデータの提出を求められたことに対し、松本内閣府副大臣は、プロパティーデータも含めて提出する準備をすると御答弁されていました。しかし、その後の委員会では、出せないという答弁に変わりました。
山本
地方創生大臣、経緯を明確にするために御提出をしていただけないでしょうか。出せないというのであれば、その理由をお伺いいたします。
獣医師に関する所掌事務は農林水産省でありますから、
山本農林水産大臣にもお伺いをいたします。
農林水産省は、これまでも獣医師の確保、
地域偏在などに取り組んでこられたはずです。そして、偏在はあるものの、獣医師は不足をしていないとの認識を示されてこられました。そうした現場の
状況を国家戦略特区諮問
会議で伝えてこられたのでしょうか。
また、ここにはもう一つの問題があります。加計学園の理事長は安倍総理にとって心の奥でつながっている友人であると報じられていることです。非常に不透明な決定に対し、その個人的な関係が国家戦略特区の
認定に影響したのではないかということも懸念いたしますが、その点も含めて、どういう経緯だったのか、御説明をください。
それでは、今回提出された
法案について順次お伺いしてまいります。
本
法案は、
事業再編又は
事業参入を
促進するための
措置を講じ、
農業者による
農業の
競争力強化の
取組を
支援することで、
農業及び
農業生産関連事業の健全な
発展に寄与するということが目的とされています。しかしながら、
事業再編等の
取組が本当に
農業者の
所得向上につながるのか、全く見えてきません。
農業資材のコストを下げて
農業所得を
向上させることには
反対はいたしません。ただ、その方法として
肥料や
配合飼料を念頭に銘柄を集約することが規定されており、
政府は、
生産性の低い工場が乱立し、多品種少量生産となっていることで
生産資材価格の高止まりが起きており、これを引き下げる必要があると主張されておられます。
本当にそうでしょうか。
業界の再編や
事業者数の整理で数が減少すれば、寡占状態となり、
競争原理が働かず、逆に価格の高騰を招くことになるのではないでしょうか。市場原理からしてもそれが常識的な考え方なのではないかと思いますが、農林水産大臣の御所見を伺います。
また、銘柄が著しく多数であるため、生産規模が小さく、
事業者の
生産性が低いものについて基準の
見直しや集約の
取組を
促進する旨の規定が設けられています。
生産性が低いと一くくりにしていますけれども、
生産性が低いとはどのような基準によって定義されるのでしょうか。例えば
肥料など多品種かつ少量生産となっているものについては、それぞれの土壌に合わせたきめ細やかなニーズがあるからこそ、多様な銘柄が販売され使用されているのです。
そもそも、
農業者のニーズと合致しなければ、商品として成り立たないのではないでしょうか。それを一概に
生産性が低いものと切り捨てることはいかがなものかと思われますが、この点について
山本農林水産大臣の見解を
お尋ねします。
農業者の
所得向上のために
農業生産関連
事業者の
努力義務が定められていますが、関連
事業者は民間企業であり、当然
競争原理の中で
努力をしておられます。しかしながら、あえて
努力規定を設けたということは、関連
事業者はこれまで良質かつ低廉な
資材供給や
流通の
合理化を行ってこなかったという意味なのでしょうか。この
努力規定でどういう
取組が期待できるのか、
山本農林水産大臣、御答弁ください。
次に、
農業者は、有利な条件を提示する
農業生産関連
事業者との取引を通じ、
農業経営の改善に取り組むよう努めよと、
農業者の
努力規定も設けられています。この一文に対しては、農家の
方々から、農家を見下しているのかという声が上がっていることを大臣は御存じでしょうか。
農業者は、これまでも、必要な
農業資材を選択し、良質な
農産物を提供する
努力をされてこられました。農家の
努力が足りないということなのでしょうか。具体的にどのような
努力をすればいいのか、併せてお答えください。
また、
農業者の組織する団体は
農業者の所得の増大に最大限の配慮をするよう努めるということについてですが、ここでいうところの
農業者の組織する団体というのは主に
農業協同組合のことを指していると思われますが、その解釈で間違いないでしょうか。そうであるならば、農協については、既に
農業協同組合法第七条二項において、「事業を行うに当たつては、
農業所得の増大に最大限の配慮をしなければならない。」と定められており、改めて法定化する必要性はないと思われます。
本
法案の根拠となっている
農業競争力強化プログラムにおいては、農協に対し、組織
体制や人事の在り方にまで口を出し、数値
目標や
計画の策定を半ば強制的に求め、そのフォローアップを行うことが決められました。この第五条に記された
努力義務によって、国による農協への過剰介入にお墨付きを与えるものにならないかと危惧しています。協同組合原則に基づき相互扶助と共助の精神に基づく活動をしている農協に対し、過剰な介入は厳に慎むべきだと考えますが、農林水産大臣の見解を求めます。
農業機械の分野について、
政府は、国内出荷額全体の八割を大手四社が占めており、寡占状態にあることで価格が高くなっていると説明され、本
法案には、事業の再編や
事業参入の規定が設けられています。しかも、価格を韓国とのみ比較し、
日本は海外メーカーとの
競争がないことで高いのだということも指摘をされておられました。国際的にビジネスを展開する海外企業を参入させたいとの意図があるのではないかと感じます。
そこで、どのように
事業参入を進め、どの程度の参入を見込んでいるのか、また、
農業機械業界において海外資本企業が一定のシェアを占めるようなことも想定されているのか、農林水産大臣にお伺いをいたします。
次に、卸売や小売事業、また、
農産物を原材料として使用する製造や
加工事業に対し、効率化や
生産性の確保のために、適正な
競争の下で
事業再編、
事業参入を
促進するとの規定について伺います。
一体、適正な
競争とはどういうものでしょうか。民間企業に対し、法律で
事業再編や
事業参入について
促進させようとしているわけですが、これに国はどう関与をしていくのか、そして、そのことによって
農業所得がどう
向上していくのか、
山本農林水産大臣、御答弁願います。
あわせて、
農業競争力強化プログラムでは卸売市場を抜本的に見直すとされておりますが、卸売市場の果たす
役割は非常に大きいと感じています。
政府として、
流通に係る卸売市場の抜本的
見直しということについてどうお考えなのか、また、
流通等事業に係る
環境整備に対する必要な
措置とは一体どういうものなのか、
山本農林水産大臣、お答えください。
現在、自給率
向上を旨とした
食料の安定
供給の確保という農政の重要
課題への対応は危機的な
状況にあります。今生じている危機に対して、
政府は有効な手だてを講じているでしょうか。
農林水産業には、一産業として以外の大きな
役割もあります。しかし、
競争だ、経済だと、
家族経営を切り捨てるような政策を推し進めているようにしか思えません。
過去の民主党
政権が導入した
農業者戸別所得補償制度は、
農業の衰退に一定の歯止めを掛ける
役割を果たしてきました。しかし、
安倍内閣はこれを
平成三十年には廃止をする予定です。こんなことで、
我が国の
食料安全保障や自給率の
向上、また、食の安全、安心を求める
全国の消費者の期待に応えることができるでしょうか。
民進党は、全ての販売農家を対象とする
農業者戸別所得補償制度を法制化する
議員立法を衆議院に提出しています。
我が国の
農業を再生し、持続可能なものとし、
競争力を付けるためにも必要だと考えています。
農業競争力強化と言うのであれば、まずこの
法案こそ
国会で論じられるべきだと考えていますが、
政府・
与党は全く議論の対象にすらしようとしていません。なぜ議論すらしないのか、
山本農林水産大臣の見解を尋ねます。
私の
地元青森県でも、
農業、漁業に多くの方が携わって生活をしています。
地方にとって、一次産業は
地方経済そのものを左右し、衰退すればドミノ式に
地域全体を崩壊させていくことになります。しかしながら、
地方創生を担当する山本特命大臣は、今年二月、
規制改革推進
会議農業ワーキング・グループの会合で、農地
規制が
地方創生の最大の障害だ、稼ぐための施設をやるにも
規制があって一番いいところが使えないとおっしゃっています。文化学芸員の
方々の活動についても御理解をされていないようですけれども、全く
地方のことも御理解いただいていないと思います。この
発言について、山本
地方創生大臣の真意をお伺いをしたいと思います。
最後に申し上げます。私たち
国会議員は、それぞれ
地域において
地元の声を聞き、そして現場の声を聞き、その人たちの生活が少しでも豊かになるようにと活動をしていかなければなりません。しかしながら、今の
政治の在り方はどうでしょうか。その分野の専門家ではない有識者と言われる人たちにより、大臣も関係省庁も飛び越え、さらには
与党の議員の
皆さんも飛び越え、現場の声を全く無視した政策がつくられているような気がしてなりません。本当にそれで私たちに託されたその
役割を果たすことができるのでしょうか。このように全く現場を無視した政策が次々とつくられていくのであれば、私たち議員の存在意義はありません。
私たち民進党こそ、
地方の声を大切にし、そして現場の声を大切にし、本当の意味で未来を生きる
子供たちのためになるいい政策をしっかりと堂々と提言をしてまいりますことを申し上げ、私の
質問を終わります。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣山本有二君
登壇、
拍手〕