○片山大介君 日本維新の会の片山大介です。
私は、我が党を代表して、
雇用保険法等の一部を
改正する
法律案について質問させていただきます。
少子高齢化と人口
減少が進む中、
労働生産性を高めるとともに、
雇用の安定を図り、
子育てや
介護をしながら就労もできる
環境を用意することは、
国民の福祉に資するだけではなく、
経済成長や財政再建のためにも必要です。また、限られた財政資金を
経済状況に応じて効率的に利用することも求められます。
今回の
改正案はこうした
目標に向けた一歩だと思いますが、あるべき
働き方の
実現を加速するため、以下に質問いたします。
まず、
雇用保険の
保険料率などの
引下げについて
お尋ねします。
最近の
雇用指標の
改善により、
労働保険特別会計では、フローでの剰余金もストックでの
積立金も膨大な額に上っていて、その有効活用が
課題となっていました。我が党は、こうした観点から、繰り返し
雇用保険の
保険料率と
国庫負担率の
引下げを訴えてきました。
改正案で、
保険料率は去年に続いて二年連続で引き下げられたこと、そして一般会計からの
国庫負担も引き下げられたことについては評価します。一方、今後の
給付と負担のバランスの検討に当たり、
積立金の規模に関する判断基準の明確化や
労使双方への更なる
説明も必要と考えています。
雇用保険も社会保険なので、
責任準備金に相当するストックが必要なのは理解できますが、その規模は適正なものであるべきです。現在の基準では、
積立金残高などが
失業給付費の二倍を超える場合に
雇用保険料の
引下げが可能となっています。今回の
改正では、
平成三十一年度の
積立金残高が
給付の二倍程度となり、三年間の
引下げなら安定的な運営が維持される見込みとしています。
この二倍という数字の根拠は何なのか、保険数理などの考え方から導かれたものなのか、
厚生労働大臣にお
伺いします。あわせて、
雇用保険制度について、
給付と負担のバランスという点から、資金の更なる効率利用の余地がないかどうか、御所見を
伺います。
次に、
雇用保険の適用について
お尋ねします。
日本型
雇用の慣行が変化しつつある中、複数の
職場における
労働者であるマルチジョブホルダーも増加傾向にあります。現行法令では、一か所で週二十時間以上の契約で
労働する人が
雇用保険の適用を受けますが、例えば、三か所で十時間ずつ、週の合計で三十時間という
労働者は
雇用保険の
資格要件を満たすことができません。
総務省の
調査によると、
平成二十四年時点で百五万人に上っていて、このうち
雇用保険が適用されない人はおよそ二十九万人と推定されています。また、全
雇用者のうち、副業をしている人の数を本業の所得階層別に見ると、二百九十九万円以下の階層が全体のおよそ七割を占めているなど、低所得者層においては兼業せざるを得ない
現状があります。
不安定な就労
環境の中、
失業の不安を抱きながら働かざるを得ない
労働者に
セーフティーネットが張られていないことはゆゆしき問題だと考えます。
政府として、マルチジョブホルダーへの
雇用保険適用について具体的にどのような対策を検討されるのでしょうか。
また、世界的にシェアリングエコノミーが拡大する中、誰もが個人
事業主になる
可能性が広がりつつあります。こうした新しいビジネスモデル、新しい就労モデルに対して、日本の
雇用保険制度はどのように
対応し、
セーフティーネットとしての機能を充実させるのでしょうか。
厚生労働大臣の御所見を
伺います。
次に、
専門実践教育訓練給付について
お尋ねします。
この
給付制度は、個人の主体的な能力開発や中長期的なキャリア形成を
目的としていますが、今回の
制度拡充は、この
訓練給付制度に係る
事業成果を定量的、定性的に把握した上で決定されたのでしょうか。具体的にどのような
効果が新たに期待できるのか、
厚生労働大臣の御所見を
お尋ねします。
続いて、
労働基準監督業務について
伺います。
本
法案では、一定の
労働関係法令の
違反を繰り返す
求人者などの
求人を
受理しないことなど、
ハローワークについての
求人段階でのルールの厳格化が求められています。いわゆるブラック
企業対策としてこれらの
対応は必要と考えますが、ブラック
企業に限らず、日本
企業ではまだまだ
労働法令の遵守が十分ではありません。
我が党は、去年の臨時
国会で、
労働基準監督署等の業務民間委託・職員配置
適正化法案を
提出しました。公権力の行使に当たるもの以外の事務を原則として民間
事業者に委託すること、それによって
労働基準監督官が臨検、強制捜査などの業務に専従できるよう、集中配置に向けて必要な
措置を講ずるとしています。残念ながら、審議されずに廃案となりましたので、今
国会でも、先週の九日、その他の百本の
法案とともに再
提出しました。
一方、最近になって開かれた規制
改革推進
会議で、
労働基準監督業務の民間活用タスクフォースの設置が決まりました。
会議では、
労働基準監督官の業務の一部を、社会保険労務士など民間に委託できないか検討することが提案され、今後、答申に向けた作業が進められるとのことです。
厚生労働大臣に
伺います。労基署の業務につき、今後、民間委託を広げる余地はどの
分野でどの程度あるとお考えなのでしょうか。さらに、民間委託を含めた効率化を前提とした上で、
労働基準監督行政への
予算、人員について、今後一層の充実を図る
おつもりはおありでしょうか。
次に、
育児休業に係る
制度の見直しについて
伺います。
今回、
育児休業の
最大二歳までの
延長を可能にし、あわせて、
育児休業給付の
支給期間も
延長する
改正案が提案されています。しかし、実際のところ、この
制度を利用できる
環境にある人は限られていると思います。特に、働く
女性の六割弱は非
正規雇用です。非
正規の
女性にとって、育休を取っても復帰できると考えている人は少ないと思います。
取得の要件は、この一月から緩和され、一年以上の
雇用継続に加え、子供が一歳半になるまでに契約が更新されないことが明らかな場合は駄目などとなっています。しかし、非
正規を含めた有期
雇用の人たちの八割が契約
期間が一年以内です。そして、更新回数も一回だけという人が二割近くいます。こうした人たちに対して、働きながら安心して子供を産み育てられると自信を持って言えるのでしょうか。
そこで、
伺います。育休
制度を非
正規雇用の
女性にとってもっと利用しやすい
制度にできないのでしょうか。そして、いまだに二%台にすぎない男性の
育児休業の
取得率を上げることにもっと積極的に取り組むべきではないでしょうか。二〇二〇年度までに男性の育休
取得の
目標は一三%、これは可能なのかどうか、併せて
厚生労働大臣の御所見を
伺いたいと思います。
我が党は、あらゆる
国民が性別や年齢によらず、生き生きと働けるように、
雇用の安定を図り、
経済成長を
実現し、将来世代により良い未来を築くことを目指していきます。
以上をお約束して、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣塩崎恭久君
登壇、
拍手〕