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2017-06-09 第193回国会 参議院 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年六月九日(金曜日)    午後一時三十分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山谷えり子君     理 事                 北村 経夫君                 島村  大君                 白  眞勲君                 山本 博司君     委 員                 青山 繁晴君                 赤池 誠章君                 井上 義行君                 衛藤 晟一君                 塚田 一郎君                 中山 恭子君                三原じゅん子君                 大野 元裕君                 川合 孝典君                 柳田  稔君                 横山 信一君                 武田 良介君                 高木かおり君                 伊波 洋一君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        国務大臣     加藤 勝信君    副大臣        防衛大臣    若宮 健嗣君    事務局側        常任委員会専門        員        宇佐美正行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       横田 真二君        内閣官房内閣審        議官       岡本  宰君        警察庁警備局外        事情報部長    加藤 達也君        外務大臣官房参        事官       久島 直人君        外務大臣官房参        事官       飯島 俊郎君        外務大臣官房参        事官       小野 啓一君        外務省アジア大        洋州局長     金杉 憲治君        外務省領事局長  能化 正樹君        文部科学大臣官        房審議官     松尾 泰樹君        経済産業省貿易        経済協力局長   寺澤 達也君        海上保安庁警備        救難部長     奥島 高弘君        防衛大臣官房審        議官       土本 英樹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に  関する調査  (朝鮮半島有事における拉致被害者を含む邦人  保護に関する件)  (拉致被害者認定に関する件)  (拉致問題の取組強化に関する件)  (日朝間におけるストックホルム合意に関する  件)  (拉致問題解決に向けた国際的連携に関する件  )  (北朝鮮の核・ミサイル開発国連安保理の対  応に関する件)  (北朝鮮に対する我が国制裁措置に関する件  )     ─────────────
  2. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) ただいまから北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官横田真二君外十一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) 北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 青山繁晴

    青山繁晴君 ありがとうございます。自由民主党こころ青山繁晴です。  去る五月十日の本特別委員会に、拉致被害者の御家族飯塚繁雄さん、横田早紀江さん、斉藤文代さんが支援者とともに参考人としておいでくださいました。そのお訴えをお伺いして、改めて御家族被害者の長い、毎日繰り返される苦しみが胸に迫りました。ほかの委員方々も同様だと思います。拉致被害者を一人残らず救出するためにこそ設置されたこの特別委員会であることを肝に銘じて質問いたしたいと思います。  先週の日曜日、六月四日に、拉致被害者有本恵子さんのお父様で、家族会の副代表でいらっしゃる有本明弘さんに神戸でお目にかかりました。恵子さんは、私と神戸幼稚園が同じです。年齢もそう大きくは変わりません。私は、幼稚園の同窓生に拉致被害者がいたから拉致事件に関わってきたのではなくて、一民間人として拉致被害者救出にささやかにだけ寄与しようといたしておりましたら、同じ幼稚園被害者がいることが分かりました。日本国民は、学校や職場あるいは親戚などをたどっていけばどこかで拉致被害者とぶつかる、それぐらいたくさんの同胞、はらからを拉致されたままになっている現実を示唆する一つの例だと思います。  その有本明弘さんがおっしゃったことをそのまま紹介はいたしませんけれども、私が問題提起と受け止めたのは、北朝鮮をめぐる情勢は依然極度の緊張状態にあって、実は窮地にもあるだろう北朝鮮の立場に着目した新たな日朝交渉をすべきではないかという趣旨だと思います。私は良い着眼点でいらっしゃると思います。米軍におびえる北朝鮮が、むしろ日本安倍政権に助けてほしくて拉致事件について妥協することはあり得ることではないでしょうか。  ストックホルム合意から三年がたち、再調査すら行われず、御家族の苦悩は深まるばかりです。水面下では日朝交渉も行われていると拝察はしていますけれども、表舞台でも、もはや既存の合意にはこだわらない、そして第三国に仲介もいただかない新規の直接交渉検討されてはいかがでしょうか。  ちょっとこの部分、通告していませんが、例えば東京と平壌で交互で行うような直接交渉も御検討いただけないでしょうか。加藤大臣、よろしくお願いします。
  6. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 今委員から拉致被害者有本恵子さんのお父様有本明弘さんのお話がありました。  私も様々な機会有本さん本人から、またそれ以外の拉致被害者の御家族方々からも様々なお話、思いを聞かせていただいているところでありまして、まさに、特に一年一年、一日一日たつ中で本当にそれぞれの皆さん方が年を重ね、また中には体調を崩される、こういう状況の中で、本当に一日ももう待てないんだという大変強い切迫感を強く感じ、我々も共有しなければいけないというふうに考えております。  そういう中で、今お話がありましたけれども、我々も従前から、拉致被害者の一日も早い帰国実現していくためには、対話圧力行動行動という原則の下で、アメリカ等国際社会とも連携をし、そして一連の北朝鮮に対する強い厳しい圧力をこれにてことしながらも、対話を通じてというのは、結果的には我が国政府が主体的に北朝鮮対話をしていかなければ答えが出ていかない。そうした対話をつくり、そしてその中で具体的な動きを引き出す、それに向けて我々としてあらゆる努力を傾注していきたいと、こう思います。
  7. 青山繁晴

    青山繁晴君 私は、さきの予算委員会質問いたしました際に、北朝鮮有事にも備えて、拉致被害者救出のために、自衛官、それに加えて警察官、消防官、そして医師、看護師保健師、あるいは方言も解する朝鮮語の通訳で構成する包括的部隊編成訓練を提案いたしました。大臣や副大臣皆様から、前向きに検討する趣旨答弁もいただきました。その中で、例えば若宮防衛大臣から、自衛隊訓練を開始していますという趣旨のとても大切な御答弁もいただきました。  これはあくまで自衛隊としての単独訓練のことかもしれませんけれども、新たな安保法制に基づいて拉致被害者救出をちゃんと念頭に置いておられることがよく伝わりました。そこから少し時間たちましたけれども、その後の取組はいかがでしょうか。若宮さん、お願いします。
  8. 若宮健嗣

    ○副大臣若宮健嗣君) 青山委員におかれましては、日頃から様々な意味で御尽力をいただいていることに改めてこの場を借りて敬意を表したいと思っております。  また、今委員から御指摘のございました三月二日の予算委員会におきまして、委員から、自衛隊を含めた形での包括的な能力を備える救出部隊編成訓練についての御提案もいただいたところでもございます。また、その後の四月の十二日には自民党の拉致問題対策本部から、また四月の二十日には超党派の拉致救出議員連盟から拉致被害者帰国実現に係る御提言も頂戴いたしているところでもございます。  この拉致問題は、もうまさに安倍内閣の最重要の課題でございます。拉致被害者方々安全確保というのは極めて重要だというふうに認識もいたしてございます。  私ども防衛省といたしましても、皆様方からのこの提言、そしてまた青山委員からの御指摘しっかりと受け止めまして、引き続き体制の整備に努めるとともに、先般、予算委員会で私からも御答弁申し上げましたとおり、必要な訓練というのを実施いたしまして、在外邦人安全確保にはもう万全を期してまいりたいと、このような所存でございます。  このうち特に訓練について申し上げますと、在外邦人等保護措置輸送訓練、これ実施をいたしてございます。例えばの例でございますが、多国籍訓練でございます、これはタイでいたしておりますが、コブラゴールドにも参加をいたしてございまして、引き続き部隊能力向上あるいは関係機関との連携をしっかりと図りながら強化をまいっていきたい、このような考えでございます。
  9. 青山繁晴

    青山繁晴君 今日は時間が十五分と限られておりますので、次の質問に移りたいと思います。  日本国民拉致被害者方々は、政府認定できたのは周知のごとく十七人です。これ以外にも多数いらっしゃるおそれが強く、民間の長年の努力がなされまして、この安倍内閣でようやく政府も、失踪者の中でも北朝鮮による拉致疑いがあるないしは残る皆様特定失踪者として公に扱うことを始めました。この特定失踪者の御家族有志の会を結成され、六月一日に各党の拉致問題対策本部代表者に伝えられ、今後の対応に関する要請も行われました。  政府がきちんと認定できる被害者の拡充を目指すのはもちろんのことですけれども、御家族方々も、民間支援努力を続けられる方々も、認定されればよいという姿勢では全くなく、あくまで認定拉致被害者と同様の救出を望んでおられると私は拝察しています。  そこで、認定に必要な条件、あるいは基準があるとすればその基準、そして特定失踪者もきちんと含めた救出への取組についてお伺いしたいと思います。加藤大臣、お願いできますでしょうか。
  10. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 拉致被害者認定は、御承知のように、関係省庁機関による捜査調査の結果を基に、北朝鮮当局によって実行された拉致行為有無、これを判断基準として行うということであります。  現在、十七人の方々事案についても、警察当局などの地道な長年の捜査調査の結果、拉致容疑事案として判断するに至ったというふうに承知をしております。委員指摘のように、この十七人のほかにも拉致可能性を排除できない事案が存在していると、この認識の下に、現在でも捜査調査等全力で取り組んでいるところであります。  今後、捜査調査の過程で北朝鮮による拉致行為に関する情報が入手された場合には、速やかに関係省庁による審議の場を設けて情報を整理し、それを踏まえ、拉致被害者に該当すると判断された者については拉致被害者として認定を行う、こういう仕組みになっているわけであります。  特定失踪者の御家族の方とも私もいろんな機会お話をさせていただきます。もちろん認定されれば事が済むわけではなくて、その方々拉致をされているとすれば、日本に一日も早く帰国をするということがもちろん大事でありますけれども、しかし、認定されていないということの不安定さに伴う不安等々いろいろお話を聞くところでありますので、そうした心情もしっかり受け止めながら、今申し上げたプロセスの中でそうした情報が確認されれば、それにのっとって速やかに認定等行為に進んでいく、こういう姿勢で取り組んでいきたいと思っております。
  11. 青山繁晴

    青山繁晴君 先ほど朝鮮半島有事可能性にも触れました。まだ米朝関係、どのように推移するかもちろん分かりませんけれども、つい最近、私自身アメリカ軍のある当局者に聞かれたことがあります。それは、日本のインテリジェンスは拉致被害者の人数、それぞれの年齢や現在の健康状態、さらには、居住なさっているのか、捕囚、つまり鉄格子があるようなところにとらわれているのか、あるいは、現在、北朝鮮アメリカ軍の脅威も感じて拉致被害者を分散させているのかあるいは集約しているのか、どこまで日本側が把握しているのかと。  問いかけはこれだけでありましたけれども、その背景にあるのは、アメリカにとっても何か有事があったときに日本拉致被害者を放置はしないでいたい、日本連携したいという意欲の表れだと、これは私の勝手な解釈でありますけれども、そう受け止めました。  大変お答えになりにくい質問であることは承知の上で、政府がこうした情報についてどこまで把握されているか、あるいは把握されようと努力されているのか、できましたら警察庁にお伺いしたいと思います。
  12. 加藤達也

    政府参考人加藤達也君) お答えいたします。  警察におきましては、拉致容疑事案全容解明に向け様々な情報収集を行っているところであります。  収集した情報の個別具体的な内容については、これを明らかにした場合、今後の警察活動に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。  いずれにせよ、引き続き、拉致容疑事案全容解明に向け、関連情報収集捜査全力を挙げてまいる所存でございます。
  13. 青山繁晴

    青山繁晴君 あと二分残っていますので、中山先生にお譲りする前に、先ほどの二つ目質問、包括的な部隊について若宮大臣から丁寧な御答弁いただきましたけれども、これに関連して、政府参考人、例えば警察庁であったり、そういうところから答弁いただけるでしょうか。
  14. 横田真二

    政府参考人横田真二君) お答え申し上げます。  朝鮮半島有事の際の拉致被害者を含む邦人保護につきましては、政府全体として取り組むべき極めて重要な課題であり、内閣官房の調整の下、平素から関係省庁で様々な検討を行っております。  具体的な検討状況につきましては、邦人安全確保に重大な影響を及ぼし得ることから説明を差し控えさせていただきたいと思いますが、拉致被害者を含む邦人安全確保のために何ができるかという点につきましては、委員の御指摘も踏まえつつ様々な検討を行っているところでありまして、今後とも政府全体でしっかりと検討を行ってまいりたいと考えております。
  15. 青山繁晴

    青山繁晴君 終わります。
  16. 中山恭子

    中山恭子君 自由民主党こころ中山恭子でございます。  先ほど青山先生から質問がありましたものですから順番を変えて一つ先に、特定失踪者家族有志の会についてお伺いしたいと思います。  有志の会が結成されました際に出された請願書の中で、何十年もたった今では拉致証拠探しは全く困難です、証拠主義にとらわれず拉致疑いが認められるものは被害者認定してくれるよう御支援くださいというのがございました。  政府拉致被害者として認定するための条件というのを、どのようなものがあるか、お知らせいただけますか。
  17. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 拉致被害者認定については、関係省庁機関による捜査調査の結果を基に、北朝鮮当局によって実行された拉致行為有無、これを判断基準にしているところでございます。  先ほど申し上げましたが、現在、十七人の方々事案については、警察当局の地道な捜査調査の結果として拉致事案であるという判断に至ったわけであります。これ以外の方にも、十七人以外にも拉致可能性を排除できない事案が存在はしている、こういう認識の下で、捜査調査に今全力で取り組んでいるところであります。  今の特定失踪者有志の会の方々嘆願書の話も、私ども承知をしているところであります。また、先ほど申し上げた特定失踪者の御家族心情というものを我々もしっかり受け止めなければならないと思いますが、しかし、ここは、先方と議論するときにもやはりしっかりとした基準対応していくという必要性も別途あるわけでありますので、そういった意味においても、しっかりとこの捜査調査をして情報を入手し、そしてそれにのっとって的確に対応させていただきたいと、こう思います。
  18. 中山恭子

    中山恭子君 私も、特定失踪者と言われていらっしゃる御家族の方からお話を伺えば、ああ、これもきっと北朝鮮拉致された事案だなと思うことが相当多くございます。証拠が残されていないということが北朝鮮による拉致の最も特徴と言えると考えておりまして、その認定するときの条件の中に、拉致されたという証拠がはっきりないと駄目、又は北朝鮮にいるということがはっきりしていない限りは認定できないというようなことであるとしますと、これは認定が非常に難しいということになりますので、この認定について、もう一度改めて条件について御検討いただけたら有り難いことだと思っております。  さて、北朝鮮による拉致被害者家族会が結成されてからもう既に二十年過ぎました。被害者の御家族方々、高齢化していらっしゃるということは私から申し上げるまでもありません。大変心配しているところでございます。  今年の初め頃、雑誌等で、政府北朝鮮への対応日本人妻問題等全ての問題を並行して進めるとしているのだから、安倍総理拉致被害者家族に対して拉致問題を最優先で進めると言っているのはおかしいという文書があちらこちらで出回りました。  そういう状況の中で、私は、政府拉致被害者救出に向けた施策について確認する必要があると考えて、三月に質問主意書を提出いたしました。これに対する三月二十一日の政府からの答弁書では、安倍内閣としては、北朝鮮による拉致問題は政府の最重要課題一つとして位置付け、全ての拉致被害者の一刻も早い帰国実現に向けて最優先で取り組んでいるところであるとの回答がございました。  加藤大臣にお伺いいたします。政府拉致被害者救出を最優先で取り組んでいるという確認でございますけれども、政府取組について御説明いただきたいと思います。
  19. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 今、中山委員がお読みになられたのは、質問主意書に対する答弁書ということで閣議決定をしたものでありまして、まさに政府方針そのものということでございます。  その方針に沿って、今、安倍総理のリーダーシップの下で、拉致問題対策本部事務局、加えて外務省警察庁含め政府全体として緊密に連絡を図りながら、また御家族支援者方々などのお話も耳を傾けながら、一体となって取り組ませていただいているところでありまして、先般、G7のタオルミーナ・サミットにおいても、安倍総理のイニシアチブによって首脳コミュニケに、北朝鮮に対し、拉致問題の即時解決を含め人道及び人権上の懸念に対処するよう求めると、こういった旨の文言が盛り込まれるということで、私も先月ブリュッセルに行って、欧州議会等とも議論させていただきました。  そうした国際社会との連携、そして、国内におけるやはり日本国民皆さん方に大変強い関心を引き続き持っていただく、あるいはより持っていただく、さらには短波ラジオ放送を通じて情報発信をしていく、様々な手段を通じて、今申し上げた、最優先で取り組んでいく、その具体的な施策を進めさせていただきたいと思っております。
  20. 中山恭子

    中山恭子君 大変力強いお答えいただきまして、ありがとうございます。  ただ、私自身は、やはり二〇一四年五月二十九日のストックホルム合意については大きな疑問を抱いております。  このストックホルム合意では、全ての日本人に関する調査を包括的かつ全面的に実施し、調査は一部の調査のみを優先するのではなく、全ての分野について同時並行的に行うとありまして、今年の春出回りました、拉致問題を優先的に取り上げる安倍総理がおかしいということにつながっております。拉致被害者救出が最優先となっていないこのストックホルム合意については、大変この拉致被害者救出にとって、ある意味では大きなブレーキになってきたと考えております。  このストックホルム合意の中では、拉致被害者が発見された場合であっても日本帰国させることはありませんよというのがこの主題でございます。北朝鮮から見れば、日本政府拉致被害者救出重要課題考え優先で取り組むというのは合意と違うと考えているとしても、それは当然のことと言えるかもしれません。ストックホルム合意を結んだことは、政府は、北朝鮮に対する顔と、国内向け、拉致被害者家族向けの顔と、二つの顔を使い分けていると言っても過言ではないと思っております。  岸田外務大臣がそのような冷たい方でないということはよく承知しておりますけれども、これまでの外務省動きを見ますと、非常に厳しい問題が残されていると考えております。政府一体となって拉致被害者救出に取り組むというのであれば、外務省北朝鮮に対して、拉致被害者日本帰国させない限り国交正常化はないということを、拉致被害者日本への帰国日本にとって最重要、最優先であることを改めて明確に伝える必要があると考えますが、いかがでしょうか。
  21. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、二〇一四年五月のストックホルム合意におけるこの文書表現についてですが、委員指摘のように、これ、北朝鮮側は、拉致被害者を含む全ての日本人に関する調査を包括的、全面的に実施する、このような表現になっています。  この表現に至った経緯ですが、北朝鮮側協議する中にあって、もちろん他の日本人課題についてもこれは人道上大変重要な課題でありますが、拉致問題だけは絶対に後回しにしてもらっては困るということをしっかり訴え、そして、そうした協議の結果として、この文書表現する際に、拉致問題が後回しにされてはならない、こういったことを文書の上で確認するという考えに基づいて御指摘のような表現に落ち着いたということであります。  そして、我が国国際社会に向けての拉致問題への取組については、関係国、様々な国々と様々なレベル会談協議を行うわけですが、拉致問題については絶えずトップレベル会談において取り上げるということを続けております。米国においても、今年二月、日米首脳会談において、文書において初めて拉致問題の早期解決重要性、これを書き込んだわけでありますし、中国ロシアにおいても、中国とは先日来日した楊潔チ国務委員との会談において、あるいはロシアにおいては四月の首脳会談において必ず拉致問題を取り上げてきておりますし、そして、G7、先日、イタリアのタオルミーナでサミットが行われましたが、その際に拉致問題の早期解決に向けて理解と協力を呼びかけ、そしてG7各国の賛同を得るということで、このように様々な場面、トップレベルでの協議会談において拉致問題を取り上げ続けています。  委員おっしゃるように、北朝鮮に対しましてもしっかりとこれを訴え続けなければなりません。政府としましては、引き続き、拉致問題の解決なくして日朝国交正常化はあり得ない、この基本方針の下にしっかりと働きかけを続けていきたい、このように考えます。
  22. 中山恭子

    中山恭子君 この拉致問題、拉致被害者救出というのは、当たり前のことですけれども、机の上の外交交渉で成り立つ、良い結果がもたらされるということは決してないところでございまして、岸田大臣が各国との間でいろいろ御尽力いただいていることは非常に多としておりますが、実際に北朝鮮交渉する場合には、やはり外交交渉というよりは、もっと泥臭い形の交渉拉致対策本部辺りが中心になって、どこが中心になるかは政府にお任せしますけれども、交渉をしていかないと救出にはつながらないと考えておりますので、その辺り、是非、政府の中で調整しながら交渉を、交渉といいましょうか、もう被害者を取り戻すという、交渉というよりは、これ犯罪行為で、取り戻すという考えの下に、被害者救出に的を絞った形で動いていただきたいと思っております。  私自身、総理補佐官で拉致問題を担当しておりますときに、山谷先生も行ってくださっていると思いますが、東南アジアの国々、それからヨーロッパ、ドイツ、イギリスにお願いに上がったことがございます。そして、そこの、例えばドイツでしたら、首相までこのテーマを上げて、それで協力体制を取ってくれております。今でもイギリス、ドイツはこの問題に関していろんなところで協力してくれているはずでございます。  今日ちょっとお伝えしたかったのは、そのときに、ドイツでいわゆる情報関係方々と話合いを持ったことがございます。そのとき、東西ドイツが分かれていたときによくこの問題が起きていたということで、人質を取り戻すときには、やはり資金面でも、またそれ以外の面でも表に出ない動きというものが必ずあります。それがなしに被害者救出できませんでした。という中で、そういった役割を果たしたのは西、東にある教会が受け持ってくれたということでございました。日本の場合にも、あらゆる手だてを使って、国を挙げて拉致被害者救出に当たらないと非常に難しいことだと考えております。  拉致対本部始め政府方々が真剣に取り組んでくれるものと信じておりますが、その救出の成功を祈って、これまで以上に政府の中でコンビを組んで、水面下交渉を始めとして被害者救出に当たっていただきたいとお願いしたい思いでございます。  もう時間がないと思います。もし一言でも何かお考えがあれば。済みません。
  23. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) この拉致問題の解決も、安倍総理優先的に最重要で取り組むという、おっしゃっておられるわけでありますから、どこの省庁というよりも、安倍総理の強いリーダーシップの下で、我々対策本部、外務省警察庁関係省庁一体となって、そして本当に一日も早い全ての拉致被害者方々帰国に向けて全力で取り組ませていただきたいと思っております。
  24. 中山恭子

    中山恭子君 ありがとうございました。
  25. 大野元裕

    ○大野元裕君 民進党・新緑風会の大野元裕でございます。北朝鮮をめぐる情勢が緊迫する大事な時期に質問機会を与えていただいたことをまずは感謝を申し上げます。  また、両大臣、先ほど中山委員からストックホルム合意について取り上げられましたので、若干質問の順番が変わりますことを御容赦をいただきたいと思っております。  さて、今年に入ってからこの参議院で北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会が対政府質疑を行うのはこれが初めてです。これだけ情勢が緊迫しているというにもかかわらず、ただの一度も、会期が終わりに近づくこの時点まで対政府質疑が行われないことには正直驚いてきました。民進党の理事は幾度となく開催を働きかけてきました。しかしながら、外務大臣出席に難色を示したために与党がこれに応じることができなかったという話も聞いております。委員会の持ち方等については、もちろん国会が決めるものではありますが、通常は与党と政府協議をしながら、与党としての対応が決定されると理解をしております。  岸田大臣に是非お伺いしたいんですけれども、先ほど来も話がありました、拉致問題は安倍政権の最重要課題ということは何度もお伺いをしておりますが、それは口だけなんでしょうか。それとも、総理ではなくて、大臣自身優先するべき事項だと考えていないということなんでしょうか。教えていただきたいと思います。
  26. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 言うまでもなく、政府にとりまして拉致問題は最重要課題であると認識をしています。  国会の日程については、これは立法府たる国会が決めるものでありますが、行政府としては立法府の求めに応じて国会の審議出席する必要がある、こうした認識は持っております。外務大臣出席を拒んでいるというようなお話もありましたが、外務省としては、本委員会を含め今国会の様々な審議に対して、外務省として国会日程や諸般の外交日程を踏まえつつ、委員会出席に向けた調整は誠実に行わさせていただいたと認識をしています。  ただ、外務大臣というもの、御案内のとおり、出席を求められる委員会大変多いことがあったり、あるいはこの今国会会期中、度重なる北朝鮮によるミサイル発射等の対応も含め外交日程が多く予定された、そういった事情があったということは事実であると認識をいたします。
  27. 大野元裕

    ○大野元裕君 と申しますのは、実はこれ前国会でも白理事の方から取り上げられているんです、外務大臣出席については。それにもかかわらず、この時期まで一度も対政府質疑が行われていないということについて、私は疑問に感じたからお伺いをさせていただきました。  また、国会日程、他の委員会等でも呼ばれているという話がありましたが、大臣、私、大臣が所管されている外務省の法案や条約について担当している外交防衛委員会の野党の筆頭理事でもあります。協力いたしますので、是非閉会までに、もう一度でも結構ですからこちらの委員会にお出になって、極めて重要な問題で、残された時間は少ないという認識の下にも御協力をいただきたいと思っております。  その上で、お伺いをさせていただきます。加藤大臣にお伺いをさせていただきます、若干質問飛ばさせていただきますけれども。  北朝鮮のこれまでの行動のパターンを見ていると、圧力を掛けられた際に、人権問題、人道問題等で譲歩しているといったパターンも見えてまいります。北朝鮮によるミサイル発射等、もちろん正面から取り上げていく必要があります。しかしながら、その一方で、北朝鮮に対する国際的な圧力が昨今やはり強まっている、高まっている、そのように考えるからこそ、我々としては極めて重要なメッセージを届ける必要があるのではないかと思っています。  その重要なメッセージというのは、ミサイル発射や核実験の停止はもちろん北朝鮮の義務です、しかしながら、その一方で、対北朝鮮の制裁を解除若しくは我が国が緩和する唯一の道のりは拉致問題の解決である、これが極めて重要なメッセージではないかと私は考えています。その一方で、昨年来、政府北朝鮮に関して新たなフェーズに入っているという認識を示されておられますけれども、実は、それ以降でありますが、拉致問題が唯一の制裁解除の道のりというメッセージは伝わっていないようにも思われるんですけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。
  28. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) これまでも、対話圧力行動行動の原則にのっとり、国際社会連携しつつ、北朝鮮に対する一連のこの厳しい圧力をてことして、対話を通じて全ての拉致被害者の一日も早い帰国につながる具体的な動きを引き出すべくあらゆる施策を駆使していくということをこれまでも述べ続けてきているわけでありますけれども、そうした方針の下で、御指摘北朝鮮に対するメッセージの発出という意味においては、安倍総理もかねてより北朝鮮に対して、日朝平壌宣言を踏まえて、拉致問題の解決なくして北朝鮮がその未来を描くことは困難であるということ、それを理解させることが重要である、この旨を様々な機会で公言をされているところでありまして、こうした発信というのは、今議員御指摘の問題意識ともつながるところがあるんではないかというふうに思うところであります。  いずれにしても、北朝鮮に対しては、この総理の発言の趣旨を正確に理解をし、そして一日も早く全ての拉致被害者帰国実現させていく、そのように働きかけていきたいと思います。
  29. 大野元裕

    ○大野元裕君 北朝鮮にしっかりと未来を見せるためには、その前に必ず拉致問題の解決があるということについては強く発信をするべきだと思いますし、加藤大臣がおっしゃるとおり、あらゆる手段を尽くしていく、あらゆる方法、あらゆる施策を講じていくということは、これは全く同意であります。しかしながら、やはりそのメッセージが弱いのではないか、あるいはそのほかにも、今行っているほかにも様々なメッセージの出し方、施策というものがあるのではないかと思いますが、ちょっと後ほどこれは議論をさせていただきたいと思っています。  その上で、若干お伺いしたいのは、先ほど議論にもなりましたけれども、政府拉致可能性を排除できない行方不明者としているいわゆる特定失踪者でございます。警察庁は八百八十三名のこのような方々について捜査調査を継続をしているというふうにおっしゃっていて、ところが、これまでに拉致認定できたのは松本京子さんと田中実さんの二ケースだけだと理解をしています。しかも、最後に認定された松本さんのケースは平成十八年十一月で、あれから十年以上も追加の認定がないんです。  拉致被害者特定失踪者の御家族関係者の方々は高齢化しています。あるいは、拉致の問題、風化してしまうのではないか、こんな懸念の声すら聞かれているのが最近だと私は思っています。だからこそ、残された時間は少ないんだ、そういう指摘も私は極めて重く受け止めるべきではないかと思っています。  そこで、加藤大臣、お伺いしたいんですが、このままでは、十年ないんですけれども、特定失踪者の問題、闇の中に埋もれてしまうんではないかと懸念していますが、いかがお考えでしょうか。
  30. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 一つは、この拉致問題の解決に向けての方針として、この認定されている方のみならず、その有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全を確保し、そして一日も早い帰国実現をしていく、これが政府の変わらない方針であります。その中で、拉致可能性を排除できない方々については、関係省庁が緊密に連携してやはり捜査調査をしっかりと進めていきたいと思っておりますし、また、先ほども申し上げましたけれども、ここをしっかりしておきませんと、北朝鮮とのまたいろんな対話の中で逆にそこを突いてこられるということもございますから、やはりそこはしっかりとした我々として捜査調査をして認定をしていくということが一方で必要なんだろうというふうに思います。  他方、もちろん特定失踪者の御家族方々心情ということはしっかりと認識する必要がありますので、様々な機会を通じて状況説明を行う、あるいは御家族の声を聞く、そうした対応をしっかりと進めていきたいというふうに思います。
  31. 大野元裕

    ○大野元裕君 このままでは埋もれてしまうのではないかと言っているんですけれども、私は。変わらぬ政府の態度、十年間以上拉致認定にまで至っていないということですから、このままでは埋もれてしまうんではないかという危機感、大臣はないんですか。
  32. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 今申し上げましたように、一つは、これから対話を通じてあらゆる拉致被害者方々認定有無を問わず、一日も早い帰国に向けて努力をしていく、これがまず基本の方針であります。その中で、今おっしゃった拉致認定に関しては、関係省庁が緊密に連携して捜査調査をしっかりと引き続き進めていく、これを通じてやはりそれを認定ということはしていく、していかなければ、結果的に北朝鮮との対応においても様々な支障が生じるおそれもある。  したがって、今委員のおっしゃる懸念、私も十分理解するところはありますけれども、逆に、そういう中だからこそ、そうした捜査調査をしっかりと行っていく、そして情報が確認されれば速やかに認定をしていく、こういう方向で対応していくことは必要なんだろうというふうに思います。
  33. 大野元裕

    ○大野元裕君 担当大臣としてなかなか思い切ったことも言えないのもよく分かりますし、しかしながら、もどかしさを通り越す、我慢できない、そういう思いを抱いている御家族方々もおられること、これもまた同時に事実だと思っています。そこで、大臣、あらゆる手段とおっしゃいましたが、これまでとは若干違うんですけれども、御提案を差し上げたいと思っていますので、是非お答えいただきたいんですが。  先ほど大臣も言及された捜査調査状況、これ、何度も警察庁に尋ねました。そうすると、ほぼ同じ回答でございます。個別の事案は今後の捜査調査に支障を来すおそれがあるのでコメントを差し控える。これが、まあ分かるんです、法執行を伴うそういった捜査調査ですから。しかしながら、この政府の定番の回答を十年以上聞き続けている御家族方々をどういうふうに我々は考えたらいいのか。役所に尋ねれば普通はそうなんでしょう。しかし、普通じゃないのが今の状況なんです。したがって、拉致にせよ特定失踪者の問題にせよ、時間がもう残されていない中で、日本側捜査が特段進展もないという状況ではやはりよくないんだと思っています。  そこで、大臣、これまでの方針を若干変えていただいて、現在の捜査調査状況について、可能な方、可能なケースについては事案を公表して、例えば国内の世論を喚起をするとか、あるいはそういった情に訴えるようなこともとても大事だと思いますので、国際社会の関心を惹起する、そういった方法というものは考えられないでしょうか。是非御検討いただけないでしょうか。
  34. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 委員指摘のように、拉致をされた方々は、認定をされている方々のみということではなくて、その疑いを持つ方は八百人もおられるということを、私も海外においても度重なり申し上げているところでありますし、また、国内においても様々な国民の集い等々においても国民の皆さんに発信をしていくと、そういった意味での取組は非常に大事だというふうには思います。  ただ、この捜査状況について明らかにするということについて、しかもそれを一般に、関係する御家族に対して必要に応じて警察の方から御説明をするというのは、これは今でも行われていると承知をしておりますけれども、幅広く公表していくということは必ずしも適当ではないんではないかなというふうに思うところであります。
  35. 大野元裕

    ○大野元裕君 全てを公表して捜査しろというわけではなくて、可能なケースについてこれを出していくというのは私はあり得るんじゃないかと。是非御検討をいただく、個別のケースについて御検討いただくと有り難いと思っています。  その上で、大臣、お伺いしますけれども、例のカービー委員長等によるCOI報告書というのがございました。これ、日本政府拉致問題の解決に向けてどのように活用されていかれるおつもりなのか、教えていただけますでしょうか。
  36. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) カービー元委員長等によって作成されましたCOI報告書というのは、北朝鮮における深刻な人権侵害について包括的に記述、詳述されているわけであります。拉致問題を含む北朝鮮の人権侵害については人道に対する犯罪だということで結論付け、また、現在、国連を中心に国際社会において具体的な取組がいろいろ進んでおりますけれども、そうした動き、あるいは北朝鮮の人権状況の改善や北朝鮮による人権侵害の責任追及を行う、こういった上の基本的な根拠になっている文書、画期的な文書であり、国際社会においてこの拉致問題を含む北朝鮮の人権問題に対する大変高い関心、これを改善していかなきゃいけないという大きなうねりを生み出してきた、そうした文書だというふうに認識をしているわけであります。  我が国においては、こうした国際社会との緊密な連携、これは当然不可欠でありまして、現在、国連においてCOI報告書をベースとして進められております北朝鮮の人権問題への取組、これに対して積極的に関与、協力をさせていただいております。また、COI報告書に明記された日本人拉致問題についての国際社会の理解と協力を得て、人道に対する犯罪に当たると結論付けられているこの拉致問題の一日も早い解決を図っていきたいというふうに思っております。  具体的な活用ということでありますけれども、政府では、EUとともに国連総会、国連人権理事会において北朝鮮の人権状況決議を十年以上にわたって共同提案をさせていただいておりますけれども、同決議においてもCOI報告書の記述を引用し、拉致問題の早期の解決重要性を訴えるといった形で活用を図り、そして拉致問題の一日も早い解決を資すべく努力をしているところであります。
  37. 大野元裕

    ○大野元裕君 大きなうねりにするという、全くそれお願いをさせていただきたい。ただ、人権委においての決議に盛り込む程度の、これまでと同じパターンではなくて、本当に大きなうねりにしなければいけないと思っています。  その意味で、岸田大臣にお伺いしますけれども、昨年十二月にザイド・ラアド・アル・フセインという国連人権高等弁務官が報告書を出しています。これは、避難や拉致などによって自己の意思に反して離散させられた韓国と北朝鮮のいわゆる離散家族の問題についての報告書なんです。そこで北朝鮮を批判しているわけですけれども、実は、その前提として様々な離散家族のインタビューとかそういったものを具体的に書くことによって、国際世論もそれから韓国内も含めて関心を惹起するような、そういうやり方を取っています。  そこで、外務大臣、お伺いしますけれども、こういった例えば国連人権高等弁務官に対しても働きかけを行って、拉致被害者特定失踪者に関する報告の作成を求め、先ほど加藤大臣がおっしゃったような大きなうねりをもっと大きなものに変えていくという、そういう努力が必要ではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  38. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 日本政府としましては、これまでも国連人権高等弁務官に対しまして、北朝鮮による拉致問題等に関する深刻な懸念、あるいは早期解決重要性について様々な機会を捉えて説明を行ってきました。  そして、こうした説明を受け、委員指摘のように、昨年三月の第三十一回人権理事会に国連人権高等弁務官事務所が提出した報告書には、日本人拉致を含む国際的な拉致についての記述があり、また、北朝鮮に対し拉致問題の解決を求める国連人権高等弁務官による勧告、これも盛り込まれた次第です。  また、本年三月、三十四回人権理事会において採択された北朝鮮人権状況決議においては、北朝鮮の人権状況の監視、記録作成の取組強化のための国連人権高等弁務官事務所の能力強化に関する勧告の実行状況において、この国連人権高等弁務官に対して、三十七回人権理事会で口頭勧告を行う、あるいは四十回人権理事会において報告書を提出する、こういったことが求められています。  そして、委員の方からの御提案は、この拉致問題に特化したような報告書を出すように働きかけたらいいのではないかという趣旨だと理解いたしましたが、そういった内容の報告書も含めて、引き続き国連の高等弁務官に対しまして我が国として働きかけは行っていきたいと考えます。
  39. 大野元裕

    ○大野元裕君 ありがとうございます。そこは感謝をさせていただきます。  人権理事会の決議の中に盛り込むということは、これずっとやってきている話ですから、それだけじゃなくて、より大きな輪っかをつくりたいと。しかも、先ほど申し上げたように、韓国のケースについては、ある程度の大きな韓国国内で少なくとも流れができました。そういった意味では、我が方も、今のうねりをより大きなものにする、しかも今のタイミング、北朝鮮に対して核、ミサイル等で非難が集まっているような時期にこれをしっかりと活用していくという、そういうモメンタムを是非生かしていただきたい。これが私の言っている趣旨でございます。  実は、先ほど警察捜査云々という話聞きましたけれども、実はそれもこれに関連していて、韓国の先ほど申し上げた国連人権高等弁務官報告書が定義する離散家族というのは、登録ベースでいうと十二万九千六百十六名。これらの方々、本当に多くのサンプルの中で悲惨なケースを取り上げているんですよ。そうすると、当然の話ながら、まあ全部情に訴えかけろとは言いません、しかしながら、これもとても大事なことであって、それが具体的に出ることによって一定のものができたということなんです。  したがって、先ほど申し上げたように、特定失踪者もそう、拉致もそう、いろいろあるでしょうけれども、可能なことについては新しいアプローチを、先ほど中山先生もおっしゃっていました、つくり上げるためにも、もう一度、警察庁との闘いになるかもしれませんけど、是非大臣にはそこを御努力をいただきたいということを、ちょっと一言いただけますでしょうか。
  40. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 特定失踪者のそうした調査捜査状況の公表ということにとどまるのではなくて、実際、例えば拉致をされためぐみさんに関するDVDアニメーション、これ、欧州議会に行ったときにそれを皆さんに見ていただきましたけど、これ大変な見られた方は衝撃を受け、中には涙されている方もおられました。また、もちろん拉致被害者の御家族の方からも直接いろんなお話をいただきました。  そういった意味において、委員おっしゃるように、ある意味ではリアリティーというんでしょうか、そういったことを持ちながら、いかにこれが悲惨なものであり、そしてそれによって今なお多くの拉致被害者のみならず疑いのある方、そしてその御家族がどれだけ苦しんでいるのか、こういったこともしっかりアピールしていくということが非常に大事なことだというふうに思います。
  41. 大野元裕

    ○大野元裕君 若干質問を変えて、外務大臣にお伺いをさせていただきます。その前に、済みません、加藤大臣、是非よろしくお願いいたします。  外務大臣に伺わさせていただきます。  米軍の空母が日本海から離れたという報道もありますけれども、朝鮮半島情勢、依然流動化しており、緊張が引き続き高まった状況にあると思っています。朝鮮半島有事の際には、我が国は様々なリスクを抱えることになると思います。そのうちの重要な一つが、拉致被害者特定失踪者を含む朝鮮半島にいる、あるいは韓国にいる邦人の退避の問題だろうと思っています。  政府は、いわゆる安保法制のときに、あの安保法制は遠くに自衛隊を派遣をして専ら米国の下請にするという情けないものでしたけれども、それでも日本人の命に関わる部分については自衛隊法の改正に入っています。それは、車両による邦人等の輸送に関する隊法の改正であります。この隊法の改正については、その前提は外務大臣との協議になっていることは外務大臣もよく御存じのとおりだと思っています。  そこで、お伺いしたいんですけれども、邦人退避の際には、当然、相手国若しくは当該外国において施政を行う機関の同意が必要とされていますけれども、大臣、韓国政府が武装した自衛隊を韓国の領土、領海において活動させると、これを認める蓋然性をどうお考えでしょうか。また、朝鮮半島情勢が緊迫したことを捉えて、今回、日本政府は本件について韓国政府協議をしたんでしょうか、教えてください。
  42. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、韓国の対応に関して、仮定に基づいてこの質問お答えするということはこうした公の場においては控えなければならないと思いますが、政府としては、朝鮮半島において在留邦人保護あるいは退避が必要になった場合など、平素から様々な状況を想定し、必要な準備、検討を行っています。  そして、委員の方から今協議をしたのかという御質問がありました。こちらについても、韓国政府と具体的などんなやり取りをしているのか、どんな内容について協議をしたのか、これ、事柄の性質上から考えても、また相手との信頼関係考えても、これは控えなければならないと思います。  ただ、韓国政府とは、北朝鮮問題への対応、これ、平素から様々なレベルで緊密に連携しているというのは事実であります。
  43. 大野元裕

    ○大野元裕君 韓国と、もちろんアメリカも含めて、連携しているのは、それはもうよく私も承知をしています。武装した自衛隊を韓国の領土に受け入れることがあるか、そして、それを協議したことがあるかを私は具体的に聞いているわけであります。  というのは、民主党政権のときの話でありますけれども、韓国政府は、一度、そんな協議すらしていないとたしか言ったことがあったと思います。そしてまた、北朝鮮については、これ、自衛隊を受け入れるとは私も思えないし、韓国もとても難しいと思うんです。  そこで、これは両大臣に是非お伺いをさせていただきたいんですが、民進党が提出している周辺事態法の改正案、お読みになったことありますでしょうか。この改正案では、実は、相手国の了解がある場合の相手国の領海及び公海、公の海における退避する邦人等への自衛隊による支援が可能になっています。この場合には、自己の保護下に入った邦人等を守るための自衛隊による武器使用も認めています。これは実は、朝鮮戦争当時の状況も調べて熟慮した結果、私自身が入れ込んだ条項なんです。  というのは、現実の問題として、北朝鮮も韓国も、我が国自衛隊の車両を、あるいは自衛隊そのものを同国の領土、領海に受け入れるというのは政治的判断として難しいかもしれない。そして、せっぱ詰まった段階で実効的にどうやって日本人の命を救うべきであるかというふうに考えたときに、相手国の同意が可能性として少ないならば、実際に邦人を救う上でより可能性の高い選択肢を法律の中に入れ込みたいと考えたからであります。  実際に、例えばつまりですけれども、ソマリアとかイラクで、アメリカにかつて、日本人優先的に、アメリカ人と同様に扱われるということは残念ながらありません。そこはやはりなかなか難しい。その一方で、朝鮮半島のケースを見ても、米軍は軍のアセットは持っていますけれども、その一方で輸送手段は限定的であります。そんな中で、公海で我が方自衛隊アメリカ人を含む邦人等の退避を支援し、自己の保護下に入った場合に警護し、あるいは隊法の百二条が定めている借り上げ船舶で輸送するようなことを条件に、朝鮮半島に所在する邦人保護アメリカに取引する、交渉するということは私は可能じゃないか、より可能性が高いんじゃないかと、そう考えたからであります。  在外邦人保護を所管する外務大臣としてまずお伺いしますけれども、我々が一昨年来提出しているこの周辺事態法改正案、議論の俎上に上げて、国会で審議するように大臣からも働きかけをいただけないでしょうか。
  44. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 海外において邦人が危機にさらされたときに、その保護救出全力で当たるということ、これは国として当然の責務であると認識をしています。そして、政府においては、平和安全法制によって在外邦人救出や警護などの保護措置が可能になるなど、政府として邦人保護強化を図ってきているところであり、平素から様々な状況を想定して、必要な準備、検討も行っているところです。  そして、その上で、今委員の方から御説明がありました法案についてですが、その法案について国会でどう取り扱うかということについては国会が御判断されることでありますので、法案の取扱いについて行政府の私の方から何か申し上げるのは控えるべきであると考えます。
  45. 大野元裕

    ○大野元裕君 北朝鮮にいる邦人はもっと難しいと思うんですね。加藤大臣も同じ御見解でしょうか。
  46. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) 今の外務大臣と基本的に同じ考え方であります。
  47. 大野元裕

    ○大野元裕君 是非、具体的に中身、本当に実効的な措置、これは、日本人の命ですから与党も野党も関係ありません、しっかりと議論を深めさせていただきたいと思いますので、是非よろしくお願いをさせていただきたいと思っています。  余り時間がないんですが、外務大臣にお伺いいたします。  二十六年の七月十五日の参議院の予算委員会安倍総理がおっしゃったことをそのまま読み上げますね。「救援に来援する米国の海兵隊は日本から出ていくわけでありまして、当然これは事前協議の対象になるわけでありますから、日本が行くことを了解しなければ韓国に救援に駆け付けることはできない」、これが総理発言であります。  しかしながら、事前協議の対象は、日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地使用、日本国内の施設及び区域の使用、つまり、航空部隊による爆撃、空挺部隊の戦場への落下、地上部隊の上陸作戦等の戦闘作戦行動に限られているはずであります。米軍施設から発進する場合に、韓国に米軍の飛行機等が、航空機等が発進する場合には我が国の許可が要るというのは、必ずしも正しいんではないんじゃないでしょうか、教えてください。
  48. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 日米の間におきましては、日米安保条約第六条の実施に関する交換公文、いわゆる岸・ハーター交換公文というものがあります。その中で事前協議の対象となる事項を定めているわけですが、その中には三点、一つは、合衆国軍隊の日本国への配置における重要な変更、二つ目として、同軍隊の装備における重要な変更、三つ目として、日米安保条約第五条に基づいて行われるものを除いた、日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設・区域の使用、この三つであります。この三つに該当するものは事前協議の対象であり、該当しないものは事前協議の対象とはならない、こうした整理をしております。
  49. 大野元裕

    ○大野元裕君 きちんと答えたくないんですかね。アメリカ日本の施設から発進する場合に許可が要るんじゃなくて、戦闘作戦行動の場合には許可が要るということですよね。それは、だから、総理のおっしゃっていることと違いますよね。だからこそ私は指摘をさせていただいているんです。  時間がないので進めますが、実は、やはり全く違う理解が、これは報道ですけれども、駐米の韓国大使館もしているんです。駐米の韓国大使館は、在日米軍基地は国連軍司令部の後方基地としての任務を遂行しており、日本政府が介入する根拠はない、米国政府も半島有事の際には事前協議なしに在日米軍を出動させることができると明言していると主張しています。これも全く私は日米の合意とは異なるというふうに思います。  そこで、私は異なると思いますけれども、まず確認ですけれども、例の休戦協定発効後の、在日の朝鮮国連軍後方司令部が設立され、地位協定に基づき七か所の在日米軍基地がその任務を今担っていますけれども、これ在日米軍とは異なり、確かに国連軍の後方基地から発進する航空機等の発進許可を我々は事前協議を受けることにはなっていませんが、米軍については、先ほどの日米の合意が当てはまること、そして、戦闘作戦行動は行われないわけですから、あくまでも補給等しか国連軍、米軍以外ですね、については行われないということ、これが私の理解ですが、つまり韓国側の理解とは全く違うということを是非言明いただきたいんですが。
  50. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 整理して申し上げますと、まず国連軍につきましては、国連軍地位協定においてまず事前協議制度というものは存在しないということを申し上げた上で、国連軍地位協定上想定されている朝鮮国連軍の活動は全て兵たん上のものであり、戦闘作戦行動に従事すること、これが想定されていない、これが国連軍全体に対する考え方です。  その中にあって、米軍に関しましては、吉田・アチソン交換公文等に関する岸総理・ハーター国務長官の交換公文において、その第三項に位置付けられていますが、国際連合統一司令部下にある合衆国軍隊による施設及び区域の使用並びに同軍隊の地位は、日米安保条約に従って行われる取決めによって規定される、このように了解されています。  よって、米軍に関しては、先ほど紹介させていただきました三つの条件が適用されるということであり、国連軍、要は、朝鮮国連軍の一部を構成する米軍であっても先ほど申し上げました条件が適用される、その三項目に該当するものは事前協議が必要とされる、それ以外は必要とされない、こういった整理になっていると認識をしています。
  51. 大野元裕

    ○大野元裕君 全く同じ理解であります。  ただ、その理解がどうも総理は共通して持っていらっしゃらないようですよ。戦闘作戦行動と、それから兵たんとか後方支援の場合とはちょっと違うようですよ。  そこで、大臣二つお願いなんですが、まずは総理の認識、正しいものに改めてください。これがまず一つ目のお願いであります。それから二つ目は、在米の韓国大使館も理解していないようです。先ほどの総理の御発言の後にはこう続いています。総理は、事前の了解を強調した上で、それゆえに日米韓の緊密な連携は必要だ、こういうことも含めて理解を求めていきたいと述べていらっしゃいます。そこで、韓国側に対しても、これはきちんとした理解をしてもらうことが大事ではないか。  その二点について、是非、外務大臣、よろしくお願いしたいんですが、いかがでしょうか。
  52. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 総理の答弁はいま一度確認したいと思いますが、総理も、今申し上げた日本政府のこの考え方、しっかり理解されていると承知をしています。  そして、韓国への説明でありますが、韓国との間、あるいは日米韓で緊密に連携をし、意思疎通を図っていくこと、これは大変重要なことであると認識をいたします。さきの日韓首脳電話会談あるいは大統領特使との会談においても、安全保障面も含めて緊密に連携していくことは確認をしています。是非、意思疎通をしっかり図っていくことは重要であると考えます。
  53. 大野元裕

    ○大野元裕君 理解を是非、この点については少なくともお願いしたい。  ほとんど時間がもうないので、最後に、多分最後の質問になろうかと思いますが、お配りをしている資料があります。その資料、以前、外務大臣、私と議論、たしか稲田大臣とやったのかな、議論のときに使わせていただいたものですが、北朝鮮による日本の恫喝の経緯をずっと書いてあります。これ、正直、武力攻撃事態の着手とも読めるほどのひどい発言があります。  そんな中で、例えば今年の五月二日については、朝鮮半島で核戦争が起こる場合、米軍の兵たん基地、発進基地、出撃基地となっている日本が真っ先に放射能雲で覆われるであろうという言語道断なふざけた発言を北朝鮮は行っています。ただ、その一方で、若干これ不安があるのは、米軍の兵たん基地となる場合にも我が国を、これ、普通に読むと核兵器で攻撃するぞというふうにも読めるんですね。  そうだとすると、大臣、我々もちろんこんなことは許すことはできないわけですが、他方でうまく連携を、意思疎通を図っていくためには、戦闘作戦行動だけではなくて、後方支援の役割を行うような場合についても米軍との間で、あるいは米軍から事前の協議を求めていくということは我が国政府姿勢としては正しいのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  54. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、日米の間の事前協議のありようについては先ほど整理させていただいたとおりであります。そして、その上で御指摘の点等を考えますときに、日米の間においては、一昨年、日米ガイドラインの見直しを行いました。その中で、同盟調整メカニズム、こういったメカニズムを設けることとなりました。これ、日米の間において平時から有事まで切れ目なくこの対応を調整していくというものであります。  こうしたメカニズムも活用しながら、日米の意思疎通を図りながら、具体的な事態にどう対応していくのか、これを考えていく、これが今の体制であり、あるべき姿ではないか、このように認識をいたします。
  55. 大野元裕

    ○大野元裕君 調整メカニズム、私は評価していますけど、ただ、まだうまく動いていないんです。特に、空と海は動いています。ただ、陸については、御存じのとおり今、朝霞で統合運用のための建物をまだ造っていますよね。その関係で実は調整が空と海ほど動いていません。全体でそういったものが動いていない中で、大臣、今別な話です。緊迫している状況が既に動いています。  そして、先ほども申し上げたように、拉致そして特定失踪者に関しては幅広い形でとにかく急ぐ必要がある。そして、北朝鮮ではもう一方、勝手に動いてしまっている。その中で我が方が必要な情報収集をすることもこれは極めて重要だと思うので、これでもう時間になりますのでやめますけれども、是非、大臣米軍との間で、2プラス2の御提案もあるようですから、この辺について検討いただくことをお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  56. 横山信一

    ○横山信一君 公明党の横山信一でございます。  拉致問題の解決に向けて少しでも前進できるような思いを込めまして、今日は主に外務大臣にお聞きをしてまいりたいと思います。  初めに、二〇一四年のストックホルム合意後に、我が国は人的往来、携帯輸出届出、人道目的の入港などの制裁措置の一部解除を行いました。これによりまして日朝間対話が活発になり、外相非公式会談、外交当局間会談あるいは特別調査委員会と、こうしたものの協議が行われるようになりました。  しかし、これらの一方で、北朝鮮は弾道ミサイルをストックホルム合意後でも六月に一発、七月に三発、そしてまた翌年の三月に一発という、度重ねて弾道ミサイルを発射をしてきました。これらに対して我が国は、船舶の入港禁止、そしてまた北朝鮮との輸出入の禁止の二年間延長を決めたわけであります。さらに、二〇一六年一月には水爆と称する核実験も実施をしたことに伴いまして、追加制裁として第三国籍船舶の入港禁止、あるいは北朝鮮向け送金の禁止など、日本独自の独自制裁も強化を発表しました。  これら一連の経過の中で、北朝鮮拉致調査の中止を発表してきました。安倍政権の下で、安倍政権になってから最も日朝が歩み寄ったと言えるのはこの二〇一四年から二〇一五年ではなかったかというふうに思うんですが、この最も歩み寄った期間に実はそれとは無関係のように進められた核・ミサイル開発、これをどのように分析をしているのか、外務大臣にお伺いします。
  57. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、二〇一四年には五月にストックホルム合意合意され、それまで北朝鮮は、拉致問題はもう解決済みだという強いかたくなな態度を取っていたわけですが、そのかたくなな態度の扉をこじ開けて、日本人に関する全ての問題を解決する、拉致被害者を始めとする日本人に関する全ての問題を解決する、この意思を表明させたという意味で、これは大変大きな意味があったと認識をしています。しかしながら、北朝鮮は、ストックホルム合意の前後にもこれは弾道ミサイルを発射しておりますし、昨年は二度も核実験を行っている、こうした状況であります。  是非、諸懸案を包括的に解決することをしっかり目指していかなければならないと考えます。すなわち、拉致、核、ミサイル、こうした諸懸案の包括的な解決を目指すことが重要であると認識をしておりますが、その中にありまして、従来から我が国対話圧力行動行動方針で臨んでいます。しかしながら、今現在においては、この意味ある対話は難しいということで、国際社会協力しながら、今はこの圧力強化するべきであるという認識の下に協力しながら、北朝鮮に対し圧力を掛け、明確なメッセージを発出している、これが現状であります。  是非、引き続き国際社会協力しながら、北朝鮮に明確なメッセージを送り続けなければならないと思いますし、その後につきましても、北朝鮮の反応を見ながら、最も効果的な対応は何なのか、こういった観点から不断の検討を続けていかなければならない、このように認識をいたします。
  58. 横山信一

    ○横山信一君 拉致、核、ミサイルの包括的な解決を目指しながら、今は圧力のときだという、そういう分かりやすい御説明、いただきました。  この北朝鮮の度重なる弾道ミサイル発射に対しまして、今国際社会では、国連安保理で六月二日に、資産凍結や入国・領域通過禁止の対象について新たな追加指定をする内容の決議二三五六号を採択をいたしました。これまでの国連安保理における北朝鮮に対する制裁決議は、北朝鮮の核実験や、あるいはまたテポドンが日本の上空を通過するような、そういう長距離弾道ミサイルが発射されたときに採択をされてきたわけですが、今回は北朝鮮による度重なる弾道ミサイル、そしてまた核実験に対して制裁対象を追加する措置となっております。  報道ベースでは、追加指定をするという内容ですから、従来の制裁措置に追加指定をするという内容ですから、実効性を疑問視する報道もあったわけでありますが、このタイミングでこの安保理決議が採択された意義というのはどういうものなのでしょう、これも外務大臣にお伺いいたします。
  59. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 北朝鮮の脅威につきましては、昨年二回の核実験を行う、そして昨年から今年にかけて三十発以上の弾道ミサイルを発射している、これは我が国を含む地域や国際社会の重大な脅威となっていると認識をしています。先日のG7のサミットにおきましても、G7として圧力強化し、国際社会取組を主導していく、こういったことでも一致をいたしました。  そのような中で、御指摘の決議二三五六が採択されました。全会一致で採択されたわけでありますが、これは、北朝鮮国際社会の度重なる警告を無視して挑発を続けていることに対して、国際社会が一致をして北朝鮮に対する圧力強化する、こうした意思をしっかりと示すことができるという意味でこれは評価できるのではないか、このように思います。こうした北朝鮮に対する圧力国際社会が共有するメッセージであるということを確認する意味で、今回の決議は意義があると認識をしております。
  60. 横山信一

    ○横山信一君 国際社会全体で北朝鮮に対して圧力を加えていくというそういう状況の中で、先ほど外務大臣もおっしゃられておりましたけれども、拉致、核、ミサイルという包括的な解決を目指しながらも、その国際的な圧力のときというふうに考えると、拉致に関しての日朝間交渉というのがなかなか難しい状況には今なっているというところです。  ちょっと質問の順番変えまして、今度は加藤大臣にお聞きをしたいんですけれども、そこで、拉致問題の解決に向けてどうしていくかということなんですが、二〇一四年のストックホルム合意では、北朝鮮側がとる行動措置としては、一九四五年前後に北朝鮮域内で死亡した日本人の遺骨及び墓地、残留日本人、いわゆる日本人配偶者、拉致被害者及び行方不明者を含む全ての日本人に関する調査を包括的、全面的に実施ということが北朝鮮にする義務として約束をされました。しかし、北朝鮮からのこれらの調査の報告がないまま、昨年二月、北朝鮮は一方的にこのストックホルム合意と特別調査委員会の解体を宣言してきました。さらに、本年四月十七日には宋日昊大使が、ストックホルム合意は既になく、拉致問題は誰も関心がないと、非常に何というか不誠実な発言をしてまいりました。  その一方で、北朝鮮は、日本人埋葬地をメディアに公開したり、あるいは在日朝鮮人とともに北朝鮮に渡った日本人妻の団体、咸興にじの会を設立するなど、明らかに対話の糸口を探っているというふうにも見えるわけであります。  こういう状況の中で、政府は、ストックホルム合意を今後どのように位置付け、そしてまた北朝鮮に対して拉致被害者帰国をどう求めていくのか、加藤大臣にお伺いいたします。
  61. 加藤勝信

    国務大臣加藤勝信君) この間、一人の拉致被害者帰国実現、また実現に向けての道筋を見出し得ていないということは本当に痛恨の極みということであります。そして、今御指摘ありましたストックホルム合意に関しては、昨年二月、北朝鮮が、我が国ストックホルム合意の破棄を公言したことになると一方的に主張し、全ての日本人に関する包括的調査の全面中止及び特別調査委員会の解体を宣言した、こうした発言は全く受け入れられるものではない、我が方としてストックホルム合意を破棄する考えはないというのが政府考え方であります。  そうした中で、拉致被害者方々、大事なことは全ての拉致被害者方々の一日も早い帰国実現するということでございますから、それを安倍政権、最重要課題、また最優先に取り組むということで、対話圧力行動行動の原則の下で、今のこの北朝鮮に対する厳しい圧力、そして北朝鮮に対するこのストックホルム合意の履行を求めつつ、そうした圧力をてことして一日も早い全ての拉致被害者帰国実現すべく全力で取り組んでいきたい、このように考えております。
  62. 横山信一

    ○横山信一君 決意は非常に大事でございますので、是非とも、こういう厳しい状況の中でも日朝交渉をしっかりやっていただきたいと思います。  それで、北朝鮮による拉致というのは、日本だけではなく、先ほど来出ているように多くの国々で行われてきたわけでありますが、お隣の韓国は約五百人の被害者がいるというふうにも聞いております、拉致された人がですね。また、今、今回誕生しました文在寅政権、北朝鮮との対話に前向きとされております。残念ながら、弾道ミサイルどんどん飛ばしますのでなかなかそういうところに結び付いていないという現状だと思いますが、この文在寅政権の誕生などを踏まえて、拉致問題の解決に向けて韓国と連携、どのように連携していくのかということも、これは外務大臣にお伺いしたいんですが。  あわせて、日韓関係最近ちょっとぎくしゃくをしておりますので、実は日韓共同宣言が結ばれて今年がちょうど二十年目という節目になります。これは当時、二十年前、小渕総理、そしてまた韓国は金大中大統領、この二人によって日韓共同宣言が発表されました。それ以降、ここには具体的な行動計画も作られているわけでありますが、それに載っていない事項として、北朝鮮の核・ミサイル開発という新たな大きな課題も出ておりますし、あるいはまた、最近頻発をしております自然災害に対して日韓でどのような協力ができるのか、あるいは、今、海洋ごみというのが日本と韓国、そしてまた中国との間で大きな問題にもなっているのでありますが、こうした新たな課題が生じております。  この二十年の節目に際して、この日韓共同宣言、これを見直してはどうかという提案でございます。あわせて、この際、この日韓共同宣言の中に拉致問題の解決も明記すべきというふうに思いますけれども、外務大臣の所見を伺います。
  63. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、委員指摘になられたように、韓国にも拉北者と呼ばれる北朝鮮による拉致被害者が五百名以上いるとされています。韓国政府との間では、これまでも累次にわたり拉致問題の解決に向けた協力を確認しており、関連情報の交換等も行ってきております。五月に発足した文在寅政権との間においても、日韓首脳電話会談、あるいは大統領特使一行との面会等を通じまして、北朝鮮問題について緊密な連携、確認をしており、引き続き、拉致問題の早期解決に向けた国際社会への働きかけを含め、日韓で協力していく考えであります。  そして、御指摘の日韓共同宣言ですが、おっしゃるように、この日韓共同宣言には拉致という言葉は含まれていないわけでありますが、韓国との間において拉致問題を含む北朝鮮問題における協力、具体的な行動、これは大変重要であると考えています。新たな文書を作成するかどうか等を今この場で何か具体的に申し上げるのは控えますが、ただ、この拉致問題を始めとする様々な分野における日韓協力を進めていくためにはどうあるべきなのか、こうした具体的な方策については、今後とも緊密に連携しながら韓国とともに不断に検討をしていきたい、このように考えます。
  64. 横山信一

    ○横山信一君 ちょうど、繰り返しになりますけれども、二十年という佳節でありますので、対話の糸口、そしてまた日韓の協力関係を一層深めるという意味においても、是非見直しの検討をしていただければというふうに思います。  またちょっと順番を変えまして、時間も少なくなってまいりましたので、先ほどの国連決議の二三五六号、これに対しては、中国ロシアもこれに賛成をしているわけであります。  中国は、北朝鮮をどちらかというと支援をしながらやってきているわけですが、今回のこの国連安保理決議を受けて石炭の輸入の禁止、これは北朝鮮にとっては非常に大きな経済的な影響が出るものでありますけれども、そうした決断もされております。こうした中国の安保理決議に果たした役割というのをどう見るのか。そしてまた、中国との協力関係の中で、中国に対して拉致問題の解決にどのような協力を求めていくのか。  あわせて、ロシアも同じような関係にありまして、ロシア中国以上にというか、北朝鮮支援しているように見えるわけでありますが、今年の一月から三月のロシア北朝鮮間の貿易額というのは前年同期に比べて八五%も増加しておりますし、また、万景峰号をウラジオ、羅先特別市との間に就航させるということもしていると。どちらかというとロシア北朝鮮関係はいいと。  そういうことを含めると、日本からロシアに対して北朝鮮への拉致問題の解決の働きかけということも重要だというふうに思うわけでありますが、この中国ロシア、これについての外務大臣のお考えを伺います。
  65. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、安保理決議二三五六号につきましては、中国ロシアも賛成する形で一致して採択できたということであります。  そして、中国の役割、これは、中国国連安保理の常任理事国であり、六者会合の議長国であり、北朝鮮との貿易の九割を占める、こうした存在ですので、この中国の役割、極めて重要であります。中国に対しても、我が国として拉致問題を提起し、協力を要請してきています。例えば、これまでも中国において日朝政府協議を開催したということもありますし、昨年中国で開催されたシンポジウムの機会北朝鮮からの参加者に対して直接拉致問題の解決を働きかけた、こういったこともありました。楊潔チ国務委員あるいは王毅外交部長との会談の際にも、私の方から、拉致問題、理解と支持を期待する旨しっかり働きかけたところであります。  そして、ロシアの方ですが、ロシア北朝鮮との間においては船舶の新航路が開設されるなど、ロ朝間には経済関係強化しようとする動きがある、このことについては承知をしております。  しかしながら、ロシアも安保理常任理事国でありますし、六者会合のメンバーであります。北朝鮮に影響力を有しています。是非ロシアに影響力を行使するべく働きかけていかなければならない。こういったことで、三月の日ロ2プラス2においても、四月の日ロ首脳会談においても拉致問題を取り上げさせていただいております。  引き続き、ロシア、さらには先ほどの中国、働きかけは続けていきたい、このように考えます。
  66. 横山信一

    ○横山信一君 是非、中国ロシアにも御協力をいただいて、拉致問題の解決に結び付けていただきたいと思います。  もう時間に間もなくなりますので、御答弁は結構ですけれども、求めませんが、最近、我が国の排他的経済水域内で北朝鮮の漁船がイカを捕っているということが水産関係者の間で話題になっております。実は、イカというのは国内的には非常に大変に不足をしておりまして、水産加工関係の方たちは原料不足で困っているわけですが、それが日本海の北大和堆というところに北朝鮮の漁船が来ている。ところが、日朝間は国交がありませんので、日本の排他的経済水域内だということで日本の取締り船が行くわけでありますけれども、なかなか日本の排他的経済水域ということを分からせるということが難しいというか、無視してやってくるというか、そういう状況にあるということであります。  今、北朝鮮に対して国連が結束して経済制裁をしている中で、我が国の排他的経済水域内でこうした経済活動を行っているということに対しては、やはり外交交渉を通じてしっかりと北朝鮮に対して対応していただきたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
  67. 武田良介

    ○武田良介君 日本共産党の武田良介です。  北朝鮮が昨日、短距離の地対艦巡航ミサイルと見られるミサイル数発を発射したと伝えられております。北朝鮮のミサイル発射は四週連続となりました。北朝鮮のこの暴挙にまず強く抗議をしたいというふうに思います。  北朝鮮は、この五月から毎週のようにミサイルを発射しております。北朝鮮行動は世界の平和と安定にとって重大な脅威であって、累次の国連安保理決議、六か国協議の共同声明、それから日朝平壌宣言にも違反をし、この地域を航行する船舶、航空機の安全にとっても重大だというふうに考えております。度重なる暴挙に厳しく抗議をしたいというふうに思っております。  まず、先ほどもお話がありましたが、六月の二日に採択されました国連安保理決議二三五六の概要に関わってお聞きをしたいというふうに思っております。  安保理決議二三五六、概要を最初に紹介をしますが、前文のところで、北朝鮮が度重なる弾道ミサイルの発射及び発射の試みを通じて関連安保理決議に違反し続けてきたことに深刻な懸念を表明し、また、北朝鮮の禁止された武器販売が核兵器及び弾道ミサイルの追求に流用される収入を生み出してきたことに強い懸念を表明するというふうにしております。  主文のところで、二〇一六年九月以降に実施した一連の弾道ミサイル発射を含む核兵器及び弾道ミサイルの開発活動を非難して、北朝鮮に四つのことを求めております。全ての核兵器及び既存の核計画の放棄。そして、弾道ミサイル技術を使ったいかなる発射、核実験、いかなる挑発などもこれ以上許さないと。三つ目に、弾道ミサイル計画に関連する全ての活動を停止し、ミサイル発射モラトリアムに係る既存の約束を再確認すると。最後に、その他のいかなる既存の大量破壊兵器及び弾道ミサイル計画も、完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法で放棄する。この決定を再確認したと。報道もされておりますように、資産凍結の対象としては、新たに附属書Ⅰ、Ⅱに十四個人、四団体を追加する。また、入国・領域通過禁止の対象として、新たに附属書Ⅰの個人を追加すると。この主文の最後に、対話を通じた平和的かつ包括的な解決を容易にするための努力を歓迎し、緊張緩和のための取組重要性を強調していると、こういう国連決議になっております。  大臣にお伺いしたいと思うんですが、こうした安保理決議が全会一致で採択された、このことは非常に重要ではないかと思うんですが、岸田外務大臣、いかがお考えでしょうか。
  68. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、国連安保理決議二三五六号が全会一致で採択されたわけですが、このことは国際社会が一致をして北朝鮮に対する圧力強化する意思を示したものであると、我が国としても評価をしている次第です。
  69. 武田良介

    ○武田良介君 そもそも、この国連安保理決議というのはいかなるものなのかということを確認したいと思うんです。この国連安保理決議の位置付けについて外務省から説明いただきたいと思います。
  70. 飯島俊郎

    政府参考人(飯島俊郎君) お答え申し上げます。  国連加盟国は、国連憲章第二十五条の規定によりまして、安保理の決定を受諾しかつ履行する義務を負っているものでございます。
  71. 武田良介

    ○武田良介君 この安保理決議というのは、法的拘束力があるし、加盟国はこれを遵守しなければならないというふうに思いますが、間違いないでしょうか。
  72. 飯島俊郎

    政府参考人(飯島俊郎君) 申し上げましたとおり、国連憲章二十五条の規定によりまして、加盟国は安保理の決定を受諾しかつ履行する義務を負っておりますので、これは拘束力があるものでございます。  他方で、決議の中のどの部分についての拘束力があるかにつきましては、個々の具体的な文言や前後の文脈から判断されるものになっております。
  73. 武田良介

    ○武田良介君 法的な拘束力もあり、大変重要なものだということを確認しておきたいというふうに思うんです。  先ほど紹介しました国連安保理決議二三五六ですが、主文の最後のところに、対話を通じた平和的かつ包括的な解決を容易にするための努力を歓迎し、緊張緩和のための取組重要性をこの主文の最後のところで改めて強調している、私はここに注目をしております。  こうした安保理決議が全会一致で採択されたというわけなんですが、この主文の最後の部分、岸田外務大臣、どのように評価されておられるでしょうか。
  74. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、基本的には、今回の安保理決議二三五六号ですが、国際社会が一致をして北朝鮮に対する圧力強化する意思を示したものだと評価をしています。  その中にあって、安保理決議の中に、事態の平和的、外交的かつ政治的解決の約束、こうした取組重要性について記述があるわけですが、こうした事態の平和的、外交的かつ政治的解決が重要である、これは言うまでもないことだと思います。ただ、その中にあって、対話のための対話であっては意味がないということも我が国は再三強調してきたところであります。対話を行うためには、北朝鮮側から非核化に向けて建設的な言動が必要であるということを申し上げてきました。  北朝鮮の挑発的な言動が続いているこの現状においては、まずは圧力を掛けなければならないということで国際社会が今一致をし、そして協力をしているというのが現状であり、そうした意思をしっかり示したというのが決議二三五六の最も大きな意味ではないか、このように認識をしております。
  75. 武田良介

    ○武田良介君 もう一点、安保理決議二三五六の中で、平和的、外交的、政治的な解決に関与することというのも表明をされております。  重ねてですが、この点重要だと思うんですが、岸田外務大臣、いかがでしょうか。
  76. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 対話を通じた平和的、包括的な解決、さらには事態の平和的、外交的かつ政治的解決の約束、こういった部分、もちろんこうした取組は重要であり、外交を通じて平和的に事態を解決するということが最も大事であるということは全く異存はありませんが、ただ、その中にあって、北朝鮮問題にどう対応するかということを考えた場合に、対話のための対話であっては意味がないということを申し上げてきております。  対話圧力、共に重要でありますが、今は圧力を掛けるべきときである、こういったことが国際社会において共有され、それが安保理決議二三五六の採択にもつながったと認識をしております。
  77. 武田良介

    ○武田良介君 この問題の解決というのは、その安保理決議も強調しているように、やっぱり外交的解決しかないだろうというふうに考えております。経済制裁の全面的な実施、強化ということは当然だと思いますが、やはりその目的は対話に置かれなければならないだろうというふうに思うんです。  関係国北朝鮮との外交交渉に踏み切って、その中で核開発、ミサイル開発を止めていくこと、またその放棄を迫るということが、今本当に急務になっているだろうというふうに思います。特に、日朝平壌宣言の当事国、当事者である日本が、対話を否定して圧力だけを言うということではなくて、六か国協議を含めて対話による解決を図る先頭に立つという点で関係国と力を合わせることを求めて、質問を終わりたいというふうに思います。
  78. 高木かおり

    高木かおり君 日本維新の会の高木かおりです。  ちょうど一か月ほど前に、拉致被害者の御家族の方、また拉致された方々救出するために御尽力をされている方々から貴重な御意見をお聞かせいただきました。本日は、そのときの参考人方々の御意見を基に政府にお伺いをしていきたいと思います。  早速質問に入らせていただきたいと思いますが、先月の参考人質疑は、ちょうど韓国で大統領選挙が行われ、文在寅新大統領が誕生した日でもありました。韓国も同じく、我が国と同じ拉致被害国であります。文氏は北朝鮮に深い理解があると聞いておりますけれども、文大統領誕生を受けて拉致問題も大きく動いていくのではないかとも言われておりました。私も大変これには関心を持って見ておりましたけれども、先ほどの御質問とも重なりますけれども、この大統領就任から一か月が過ぎ、拉致問題への協力体制について何か進展があったか、また早期解決に向けてどのように働きかけをしていくことが効果的なのか、外務大臣にまずはお伺いしていきたいと思います。
  79. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 拉致問題は、我が国の主権そして国民の命や安全に関わる重大な問題であり、安倍政権にとりましても最重要課題です。政府としましては、対話圧力行動行動の原則の下で、北朝鮮に対してストックホルム合意の履行を求めつつ、一日も早く全ての拉致被害者帰国実現するべくあらゆる努力を傾注する決意であります。  その中にあって、米国、韓国を始めとする関係国との連携、あるいはロシア中国といった国々への働きかけ、大変重要であります。そして、その中にあって、今委員から御指摘がありました韓国における新政権との関係でありますが、新政権発足後、既に日韓首脳電話会談あるいは大統領特使の来日など両国政府の間で意思疎通に努めているところであり、北朝鮮問題についての緊密な連携についてはしっかり確認をしています。  是非、そうした確認された連携を基に、具体的に北朝鮮問題に関しまして韓国政府とも協力を進めていきたい、このように考えます。
  80. 高木かおり

    高木かおり君 ありがとうございます。  韓国は、日本と距離も近いですし、拉致問題解決には大変重要な国だというふうに思っております。その他の関連する各国とも是非とも連携をして、更なる御尽力をお願いしていきたいと思います。  時間もございませんので次の質問に移らせていただきますが、参考人質疑の際に特定失踪者問題調査代表の荒木氏が、日本の海岸線は約三万四千キロある、どこからでも入れる、表に出ていない工作員の侵入、脱出は限りなくあるというふうにおっしゃっておられました。実際に、過去、秋田県ですとか富山県の方でも工作員の出入国の証拠もあるということでございます。  今現在、沿岸警備はどうなっているのか、まずは海上での警備について教えてください。
  81. 奥島高弘

    政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。  海上保安庁におきましては、平素より、我が国周辺海域におきまして巡視船艇、航空機による哨戒を実施いたしますとともに、警察等の関係機関と緊密な連携を図りながら、漁協や一般市民からの協力も得て、不審事案の発見に努めているところでございます。また、過去の事案を教訓といたしまして、不審船、工作船対応を主目的といたしました速力、武器、それから防弾等の性能を向上した巡視船十二隻を整備し、毎年訓練を行うなど、対応能力の維持向上に努めております。  引き続き、不審船対策につきましては、関係機関等と連携し適切に対処してまいりたいと考えてございます。
  82. 高木かおり

    高木かおり君 今御答弁のとおり、海上保安庁の方では目を光らせていただいているということでございます。  それでも、その警備の網をくぐり抜けて沿岸に上陸し、日本国内に入り込むという可能性も否定できないと思います。では、この上陸した後についてはどのような警備体制になっているんでしょうか、お聞かせください。
  83. 加藤達也

    政府参考人加藤達也君) お答えいたします。  警察におきましては、海上保安庁等の関係機関連携しつつ、日本海沿岸地域のパトロール等、所要の警戒警備の実施、地域住民や防犯団体に対する不審者や不審物等を発見した際の通報の呼びかけ、地元の自治体や関係機関との迅速な連絡体制の確保等の必要な措置を講じているところであります。  また、北朝鮮工作員による対日有害活動については、我が国の国益を侵害するとともに、国民の生命や身体に危険を及ぼすおそれのある重大な問題であると認識しております。引き続き、公共の安全と秩序を維持するという責務を果たす観点から様々な情報収集活動を行うとともに、違法行為に対しては法と証拠に基づき厳正に対処してまいる所存でございます。
  84. 高木かおり

    高木かおり君 日本海沿岸警備は拉致問題でも大きく関わっていると指摘されているにもかかわらず、実際にはどの程度しっかりと対策がなされているのかなかなか我々には見えない部分がございます。もちろん公にできない部分はあるかとお察しいたしますけれども、拉致問題のみならず、昨今のテロ対策等もございます。大変重要な部分かと思いますので、特に強化をし、今後とも予算、人員等をしっかり充てていってほしいなというふうに要望をいたしておきます。  続きまして、拉致問題とは少し離れると思われるかもしれませんが、最後に、北朝鮮への技術漏えいについてお伺いをしたいと思います。  北朝鮮は、今年に入りましてからも、一月に核実験を行い、二月から直近でも本当にミサイル発射実験を重ねております。技術的にはかなり高度なところまで来ていると聞いております。  一般的に、ミサイル発射の報道等がなされますと、国民はやはりそちらに関心を持ってしまいます。そういった中で、我々は、被害者の御家族からすれば当然この拉致問題、早期解決を願うんですけれども、そもそもこれらの技術がどこから来ているかといえば、北朝鮮籍の学生や研究者が海外で学んだものを持ち帰っている、その中には日本で学んだものも含まれるということも言われております。  日本アメリカ圧力を掛けていくにしても、どんどん北朝鮮での核やミサイルの技術が高まっているわけです。先日お越しいただきました西岡参考人も書籍の中で書かれておりますけれども、やはり日本からの技術の漏えい等を何としても食い止めていかなければなりませんが、現状はどのような規制を掛けているんでしょうか、お聞かせください。
  85. 寺澤達也

    政府参考人(寺澤達也君) お答えします。  経産省におきましては、平成十八年から北朝鮮向けの輸入を外為法に基づいて全面禁止をし、二十一年からは輸出も全面的禁止をしているところでございます。また、技術取引についても、安保理決議に従って、大量破壊技術に関連して技術取引を禁止しています。さらに、今国会におきましては、こうした制裁とか規制に違反した場合の罰則を大幅に強化をするという外為法改正法を成立させていただきました。  経産省としましては、関係省庁連携しながら、こうした措置をしっかり厳格に執行してまいる所存でございます。
  86. 高木かおり

    高木かおり君 ありがとうございます。  今、大幅に外為法も改正をしていくというふうに御答弁もいただいております。技術が物になっている場合、情報となっている場合は流出を制限できると言えるかと思いますけれども、しかしながら、そうなる前、つまり大学等で学んでいるような段階では、国籍で差別ができないですとか教育を受ける権利は認められるというようなこともございまして、大学に対して通達を出すぐらいのことしか今はできていないと。  大学が機微技術の流出拠点になっているのではないかと私としては大変危惧をするんですが、大学においてもしっかりとこの機微技術管理を行っていく必要があると思いますけれども、最後に、文部科学省の大学の研究機関の危機管理体制、どうなっているのか、お聞かせください。
  87. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) 時間ですので、手短に。
  88. 松尾泰樹

    政府参考人(松尾泰樹君) はい、手短にお答えさせていただきます。  文部科学省では、大学におきまして、組織的な輸出管理体制の構築、そして意識啓発を推進するということを非常に重要だと思っております。そして、外為法の遵守、これが図られるように累次の通知を出しておりますし、また大学等を集めた関係会議でもその旨を啓発に努めているところでございます。例えば、大学を対象にして経済産業省とも連携しながら説明会等々を行っておりますし、例えば大学、研究機関用のガイダンスについても周知を図っております。  こういったことに基づきまして、全国立大学、そしていわゆる理系を置いている国公私の大学でも体制が整備されているところでございまして、随時経産省とも連携しながら取り組んでまいりたいと思っております。
  89. 高木かおり

    高木かおり君 済みません。時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。
  90. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一です。本日は、参議院改革協議会と重なり、本委員会に遅れましたことを申し訳なく思います。  去る五月十日には、当委員会において、北朝鮮による拉致被害者家族皆様家族会、救う会の方から貴重な御意見をお聞かせいただきました。解決の糸口が見えない御家族関係者の皆さんの、御高齢になるなど、私たちはもう待てないんだという本当に痛切なお声をお聞きいたしました。  その中でも触れておられましたが、今、北朝鮮をめぐる情勢は核・ミサイル問題をめぐって緊迫しております。拉致被害者の方の状況も、御家族関係者の皆様の御心痛はいかばかりかとお察しする次第です。  そこでお聞きいたします。政府は、この間の北朝鮮情勢に関連して、米国、韓国や中国とのコミュニケーションを取ると言っていますが、拉致被害者救出に向けてどのようなやり取りがあったのでしょうか。
  91. 金杉憲治

    政府参考人(金杉憲治君) お答え申し上げます。  累次の機会に御答弁ございましたとおり、アメリカ、韓国、中国ロシアといったところとは緊密にコミュニケーションを取り、拉致問題についての協力というのを求めてきております。その中でも、特にアメリカ、韓国と緊密に連携するとともに、北朝鮮に公館を設置している各国とも情報交換を行い、朝鮮半島有事の際にはこうした国々とも協力して拉致被害者を含む在留邦人安全確保に努めてまいりたいというふうに思っております。  さらに、アメリカにつきましては、拉致被害者に関する情報を提供し、拉致被害者の安全が脅かされる事態に至った場合には拉致被害者安全確保のために協力するよう米国政府に依頼しているところでございます。  今後とも、アメリカを含む国際社会連携しながら全力を尽くしてまいりたいと思っております。  以上でございます。
  92. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 今後とも、拉致被害者を念頭に、それぞれの国との連携を取っていただきたいと思います。  五月十九日には、沖縄県議会の文教厚生委員会に、北朝鮮による拉致可能性が捨て切れない失踪者の早期救出と真相解明を求める家族会皆様出席されて参考人質疑が行われました。家族会皆様は、昨年十二月の県議会に対する陳情で、第一に、県独自のポスターの制作、第二に、県民大会の開催、第三に、県の専門部署の設置の三点を求めていらっしゃいました。  陳情書では、北朝鮮による拉致可能性を排除できない失踪者は沖縄県警管轄内に三十二名いらっしゃると訴えておられました。また、県議会委員とのやり取りにおいて、国はいろいろな情報を持ちながらなかなかそれを国民に開示していないとか、埼玉の家族会に来てもらって講演をしてもらっているが、そのときにしか情報は入ってきませんとか、国もどこが窓口なのか私たちは知りませんなど、国に対する要望も出されておりました。  そこでお聞きします。現在、政府対策本部から全国の御家族の皆さんにどのような情報提供を行っているのでしょうか。
  93. 岡本宰

    政府参考人(岡本宰君) お答えいたします。  政府といたしましては、認定有無にかかわらず、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現全力を尽くすこととしておりまして、まず、拉致可能性を排除できない行方不明者、いわゆる特定失踪者の御家族に対しまして、御希望に応じて、定期的に直接郵送又はメールで政府拉致問題に関する取組などについて情報提供を行っております。それから、拉致被害者家族への説明会というのを折に実施しておりますけれども、その際は特定失踪者問題調査会からも出席をいただきまして、調査会を通じて特定失踪者の御家族にも情報提供をしているところでございます。  それから、拉致問題担当大臣も、全国各地における集会等に出向いたときなど、様々な機会特定失踪者の御家族と直接お会いして、状況説明を行うとともに、御家族の声をじかにお伺いしているところです。さらに、内閣官房拉致問題対策本部事務局においても、御家族からの御相談、御要望に随時対応しているところでございます。  今後とも、御家族に対する情報提供や御要望の聴取等、丁寧な対応に努めてまいりたいと考えております。
  94. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 この県議会の参考人皆様の訴えを拝見しますと、個別の失踪者に対する具体的な進展がなくても定期的に情報が欲しい、国や県、誰にどうお聞きすればよいか分からないというお気持ちのようです。  例えば、政府対策本部から定期的に各都道府県に赴いて、御家族皆様に対して面談したり説明したりする機会を設けることはできないのでしょうか。
  95. 岡本宰

    政府参考人(岡本宰君) 先ほども申し上げましたとおり、政府は、拉致可能性を排除できない行方不明者、いわゆる特定失踪者の御家族に対しまして、希望される御家族に対する定期的な直接の情報提供や特定失踪者問題調査会を通じた情報提供、そして拉致問題担当大臣が直接各地に赴きましたときに面会等を実施しているところでございまして、引き続き個別に丁寧に対応してまいりたいと考えております。
  96. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 国と県の関係でいえば、拉致被害者支援の最終的な責務は国にあるというのが拉致被害者支援法の規定です。最終的には国が責任を持って対応するにしても、御家族関係者の皆様に身近な都道府県の担当窓口がきちんと機能して御家族と国との間をつなぐことは大変重要だと思います。  沖縄県でも、毎年十二月十日から十六日の北朝鮮人権侵害問題啓発週間に、県庁ロビーや那覇市役所においてパネル展示や、あるいは県内市町村におけるポスター配付と掲示などを行っています。  このような中、この間の御説明では、支援法改正後に実施して以降、政府対策本部が全都道府県の担当者を集めての研修会やあるいは説明を行うことなどはなされていないというようであります。特定失踪者の御家族の皆さんに毎年何回も御提供しているレターも、各都道府県には届いていないようです。  全都道府県の担当者を集めて研修会や説明会を行ったり、政府取組に関するレターを定期的に都道府県担当部署に送付するなどの政府対策本部から都道府県への働きかけを御検討いただけないでしょうか。
  97. 岡本宰

    政府参考人(岡本宰君) 特定失踪者家族への情報提供は、先ほども申し上げましたとおり、直接定期的に行う、あるいは調査会を通じて行うなどしております。県を必ずしも通じなくても、プライバシーに関わることもございますので、そのような対応を取らさせていただいているところです。  それから、全国の都道府県の担当者を集めて一堂に会しての説明会というのは開催したことございませんけれども、全国四十七都道府県及び政令指定都市にはそれぞれ拉致問題担当部署が置かれておりまして、政府拉致問題対策本部事務局におきましては、これらの部署をカウンターパートとして、国民の集いですとか舞台劇「めぐみへの誓い」などの啓発イベント等の開催について共催を呼びかけましたり、あるいは各都道府県及び政令指定都市の教育委員会に対して拉致問題に関する教育についての協力依頼、例えば今年度は新規施策として拉致問題に関する中高生を対象とした作文コンクールを実施することとしておりまして、来週六月十二日からこの募集を開始することとしております。  そういったことへの参加を呼びかけるなど、都道府県に対して様々な働きかけを行っております。引き続き都道府県に対する働きかけについて適切に対応してまいりたいと考えております。
  98. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 私が申し上げたいのは、都道府県に窓口をやはり確実に確立していくためには、何らかの国側からの働きかけが必要なのではないか。例えば、私たちは国会で、外務省から拉致問題に関する解決その他北朝鮮当局による人権侵害への対処に関する政府取組についての報告というのを年一度もらっているわけでございます。  それから、先ほどあったレターのようなことを発信しているわけでございますが、残念ながら、それが今のところは担当部署の県にまでは届いていないということをお聞きしましたので、そのことを含めて、そういうことを取り組むことによって、より窓口的意識を持ってもらうということを実現したらどうかという提案でございます。  以上です。終わります。
  99. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時三十五分散会