○青山
繁晴君 加戸
参考人におかれては、旧文部省で官房長まで務められたお方で、先ほど申しましたとおり、
前川参考人の先輩でもいらっしゃいます。
文科省あるいは旧文部省が守ってきた言わば既得権益、規制の壁と、それから自治体、特に地域の
方々、そして
危機に備えなきゃいけない務め、そういうことが実はやっぱりそごを来していたということが、率直に御
自分を誇らずにお話しになられたと思います。
その上で、先ほど
前川参考人から加計ありきが問題じゃないかという趣旨のこともおっしゃいましたので、時間がだんだん少なくなりますけれども、このお話、この御
質問をいたしたいと思います。というのは
経緯です。
愛媛県の今治市に
加計学園の岡山理科
大学獣医学部を新設することについては、今日の審議でも様々な
文書が議題になりましたけれども、省内の
メモというのはふだんから、僕も政治記者の時代からよく存じ上げております、あふれているということを。そういうことに依拠するよりも、閣議決定やあるいは
国家戦略特区をめぐる議事録、公に公開されているものを丹念に調べていけば、これは私の個人見解ですけれども、
経緯は非常にはっきりしていると考えています。
まず、
文科省は、先ほど
前川参考人がおっしゃった告示、これを西暦二〇〇三年に、最初にこの件について出しております。この告示というのが、実は、今日の部屋にいらっしゃる方は御存じであっても一般
国民には非常になじみが薄いものであって、法律でも政令でも省令でもなくて、言わば役所が出す一種の、命令というのは言い過ぎかもしれませんけれども、相当な力を持っているものを役所が実は出すことができると。そういうものが
存在していること自体、実はマスメディアは、僕は元記者なので、この告示のチェックまで正直やったことないです。ということは、
国民の
方々がこの告示の実態に触れるのは
関係者になったときだけですね。
したがって、この告示にまず注目せざるを得ないんですけれども、その告示によって、これはまさしく
前川参考人がおっしゃったとおり、
獣医師などの
大学新設を事実上差し止める告示が二〇〇三年に出されました。これは公平のために言っておくと、
獣医師だけではなくて、お医者様、歯医者様、
獣医師の
方々、そして船員の
方々、この四種についてですけれども、そういう差止めが行われたわけです。
この二〇〇三年の告示の前からこういう
姿勢だったですけれども、告示で改めて
確認したということですから、そのために、
獣医師の
大学・学部は、半世紀の間、実に新設されていないわけです。これに対して、今、加戸
参考人がおっしゃったとおり、愛媛県と今治市が共同で獣医学部を誘致し、
加計学園だけがこれに応じたのが告示の三年後の二〇〇七年です。ですから、さっき加戸
参考人は十年の苦闘と、苦闘という
言葉ではありませんでしたけれども、そういう趣旨をおっしゃったのは非常に正確な時系列でおっしゃっています。
その後八年間にわたって、
加計学園だけではなくて、ここにいらっしゃるまさしく加戸さん、当時の
愛媛県知事ら自治体の働きかけがあって、では、新しい需要があることなど四つの条件を満たせば
国家戦略特区の中に
獣医師の学校をつくってよしという閣議決定がなされた、これがおととしの二〇一五年の六月三十日です。
この前年にはこの
国家戦略特区の基本方針がやはり閣議決定されていて、だから、どんな方も読むことができます。その中にこういう趣旨があります。これは先ほど
山本大臣がおっしゃったことでもあると思いますけれども、
答弁は必要ないですが、ある省庁が規制の緩和を困難とする場合にはその正当な理由を
説明するのを義務とすると、これを難しい
言葉で言うと挙証
責任と言っているわけですけれども、そういう趣旨が盛り込まれました。そのために、先ほど申しました四条件に基づいて
文科省は新しい需要が
獣医師にあるのかないのか、二〇一五年度末、つまり去年の三月三十一日までに
説明する
責任が実質的に生まれました。ところが、
文科省は年度末までにそれができなかった、それを見てなのか、そこで新たに京都産業
大学が名のりを上げました。つまり、ちょうどその頃、二〇一六年の三月です。
しかし、
政府、この場合は安倍政権は、これをもって
文科省の言わば敗北とはせずに、半年延ばして二〇一六年九月十六日に
国家戦略特区ワーキンググループのヒアリングを行いました。この席で
文科省の方はこうおっしゃった。新しい需要があるかないかという挙証
責任は
大学へ、これ、
言葉を補っていますけれども、
大学や学部を新設したいという側にあると、これはちょっと
言葉を補いましたが、要するに
文科省にないということをおっしゃったわけです。
ところが、ワーキンググループ側に、今日、例えば
衆議院で
参考人にいらっしゃった原さんなどが、いや、
文科省にあると、原さんの
言葉を正確に言うと逆さまになっていると、むしろ挙証
責任あるのは
文科省の方なのに逆さまに言っているということをおっしゃって、この議事録を、どなたでも読めますから、議事録を見ていただくと、この後に
文科省の反論は一切ないんです。したがって、議論はそこで決着してしまっている。なぜこの挙証
責任が
文科省にあるかといえば、これは
大学や
学部新設の許認可は全て
文科省が握っているからです。
文科省もこれが分かっているから反論しなくて、言わばそれで決着しているわけです。もう一回申します。これは僕の推測とか勝手な組立てで申しているんじゃなくて、こういうものをメディアも読み込んでいけば
本当は分かることです。
文科省がいつも話題、問題になる
総理の意向があるという内部
文書、
前川参考人の御
答弁におかれてもこれが
メモであるという趣旨は感じられますが、これを作成したのはこの事実上決着した僅か十日後のことです。二〇一六年九月二十六日のことです。すなわち、課長級の交渉、この場合直接は課長補佐ですけど、クラスでいうと大体課長級の交渉で決着してしまったことに改めて
内閣総理大臣が口を出すというのは、およそ行政の現場にいる人からしたら信じられないことです。これ、実は、外務省や
防衛省に至るまで僕の記者時代の知り合い全部に聞いていきましたけど、一人もそんなことはありませんということで、どうして
国会でこういう議論になるんでしょうかという疑問がむしろ僕に提示されました。
これは、すなわち、ここは僕の推測です、フェアに申しておきますが、
文科省の内部向けに、敗北したことであっても、それは
総理の御意向だから仕方ないでしょうという内部向けに弁明する
文書だったと見るのが一番真っ当な解釈ではないでしょうか。
この解釈が当たっているかどうかは別にして、現実に動いたのが日本
獣医師会です。先ほど加戸
参考人がおっしゃった。
獣医師会の蔵内勇夫会長は、最近、西日本新聞のインタビューに答えて、こうおっしゃっています。規制緩和が決まった後は、つまりこのワーキンググループのヒアリングで事実上決着したということを当事者の
獣医師会が一番痛切にお感じになったわけですから、規制緩和が決まった後は、確かに一校にしてくださいと。せめて一校にしてくださいと
お願いしましたと、新設を回避できないならせめて一校に限るべきだと思ったからですと。これもどうぞインタビューの元を確かめてください。
これを受けて、この年、まさしくこの年の十一月秋になって新規参入の京都産業
大学が次回以降に期待をつなぐ形で、これも済みません、お
名前申せませんが、京都産業
大学、取材に応じていないようですけれども、僕の知り合いに
確認しましたら、今回駄目でも次回以後期待できるということで、無理をせずにここで矛を収めましたと。これは、ただし非公式な
発言ですから信憑性は
確認できません。個人の
発言ですから分かりませんが、しかし、皆さんお聞きになってどうですか。これ、ごく真っ当な話ですよね。
そして、その京都産業
大学の撤退を直接受ける形じゃないと思いますけど、翌年、つまり今年の一月に
加計学園が特区事業者に認定されたわけです。そして、
獣医師会の強い希望、そして、これ、僕は自由民主党のために
質問しているんじゃありませんから、国益のために
質問していますから申しますが、
獣医師会による自由民主党を含めた政界への働きかけによって一校に絞られたときに、もしも去年に初めて参入した京都産業
大学になっていれば、それこそ何があったのか大変な問題になったんではないでしょうか。逆に言えば、京都産業
大学が今回については断念なさったのは、
獣医師会の強い働きかけがあったことも一因ではないかと考えられます。これが正直、公開された
文書を何度も何度も読み返し隅々まで全部調べたら、この
経緯しかないんです。
この
経緯について、
前川参考人にお尋ねします。ちょっと失礼な物言いになることは許してください。そもそも、こういった
経緯について、現職のときに、こうやって
国会においでになるようなときの前に、詳細に御存じだったでしょうか。