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2017-05-18 第193回国会 参議院 文教科学委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年五月十八日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月十六日     辞任         補欠選任      今井絵理子君     松村 祥史君      進藤金日子君     上野 通子君      関口 昌一君     小野田紀美君      神本美恵子君     蓮   舫君  五月十七日     辞任         補欠選任      松村 祥史君     今井絵理子君      山本 順三君     こやり隆史君      蓮   舫君     那谷屋正義君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         赤池 誠章君     理 事                 石井 浩郎君                 堂故  茂君                 斎藤 嘉隆君                 吉良よし子君     委 員                 今井絵理子君                 上野 通子君                 衛藤 晟一君                 小野田紀美君                 こやり隆史君                 橋本 聖子君                 大島九州男君                 那谷屋正義君                 宮沢 由佳君                 河野 義博君                 三浦 信祐君                 高木かおり君                 木戸口英司君                 松沢 成文君    事務局側        常任委員会専門        員        戸田 浩史君    参考人        全国専修学校各        種学校連合会        会長       小林 光俊君        日本労働組合総        連合会総合政策        局長       平川 則男君        法政大学キャリ        アデザイン学部        教授      児美川孝一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○学校教育法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付)     ─────────────
  2. 赤池誠章

    委員長赤池誠章君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、進藤金日子君、神本美恵子君、関口昌一君及び山本順三君が委員辞任され、その補欠として上野通子君、小野田紀美君、那谷屋正義君及びこやり隆史君が選任されました。     ─────────────
  3. 赤池誠章

    委員長赤池誠章君) 学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として全国専修学校各種学校連合会会長小林光俊君、日本労働組合総連合会総合政策局長平川則男君及び法政大学キャリアデザイン学部教授児美川孝一郎君に御出席をいただいております。  この際、参考人皆様方に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。  参考人皆様方から忌憚のない御意見をお述べいただき、本案審査参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。  次に、議事の進め方でございますが、まず、小林参考人平川参考人児美川参考人の順でお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員質疑にお答えをいただきたいと存じます。  また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。  なお、参考人質疑者共発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず小林参考人から御意見をお述べいただきます。小林参考人
  4. 小林光俊

    参考人小林光俊君) 皆さん、おはようございます。  私は、今、全国専修学校各種学校連合会会長を仰せ付かっているわけでございますが、特にこの参議院文教科学委員会の各党の皆様方には、大変協会としても御指導いただき、また御支援をいただいていることに心から感謝を申し上げます。  そして、今回、短期大学制度ができて以来五十三年ぶりの高等教育改革ということで、新しく専門職大学制度設置をするということを中心とした法案が皆様方の御審議の下で審議されるということになっております。私どもとしては、この日本職業教育国際社会からもちゃんと評価できるような制度にしていただくという意味において、是非この制度をまず設立していただきたい、設置していただきたいということを、まず冒頭にお願いを申し上げるわけでございます。  そして、今、我々専修学校というのは制度ができてから四十二年になるわけでありますが、まさに我が国中心的な職業教育機関として各県、各地にあり、学校数で約三千二百校ありまして、そこで学んでいる学生さんたちが六十五万人学んでいるということであります。いずれも職業教育を受けて自立を目指して学んでいる、そして卒業生も既に約一千二百万人の卒業生を出している機関でございます。地方活性化人材地方創生に寄与している人材ということでございます。  今、まさにグローバル化社会を迎え、職業教育高度化、国際的なハイエデュケーション時代対応した社会人学び直しや、そして産業生産性向上やイノベーションの促進等社会的にも求められている時代に変わってきております。  この度の専門職大学制度及び専門職短期大学制度制度化は、まさに時代に合った制度であると思っております。是非、このことに関しては設置を願いたいということであります。  そして、現在、国際的には、欧米を含めて、アカデミックラインとプロフェッショナルライン高等教育複線化がまさに世界の常識となっているということは、先生方も御存じのとおりであろうかと思います。日本もそういった対応ができる制度となってきているというふうに思うわけです。  EQFと言われる制度、すなわちヨーロピアン・クオリフィケーション・フレームワークとか、あるいはNVQと言われるイギリスで始まってEUや世界に広まっているナショナル・ボケーショナル・クオリフィケーション・フレームワークというようなものが今国際的な標準になろうとしているわけであります。日本もそれにきちっとキャッチアップしていける制度にする、特に職業教育というものを高度化して魅力のあるものにしていく、そのための制度でもあろうかと、こういうふうに認識しているところであります。  国際的な高等教育を学ぶ学生の半数以上が言わば実践的な高度な職業教育を求めているということでございます。学術に向かない学生や、ITやデザインあるいは物づくり対人サービス業を含め、専門的な職業教育を学び、国内あるいは国外で自信を持って活躍したいと考えている学生たちやあるいは若者たち、こういった人々に大きな希望を持たせる制度であろうと、こういうふうに思うわけであります。特に、アジア等世界若者たち日本の高度な実践的な職業教育を最も求めていると思うわけであります。  ただ、専門学校では国際通用性のあるディグリーが出ないために魅力がないということが大きな問題点でありました。それが、今回の専門職大学短期大学では、ディグリーも出されるということでありますから、国際的な要するに高等教育通用性ということで評価をいただける制度になるということで、大変魅力的な制度かと、こういうふうに思うわけです。  そしてまた、国民学び直し支援充実職業教育高度化を進めることは、我が国国民全体や産業界生産性を高め、付加価値を上げ、特に地方人々活性化地方創生につながると思うわけであります。また、国の社会的格差、特に経済格差あるいは地域格差教育格差是正国民活性化、特に若者のニート、フリーター化の防止にもつながり、長期的な視点で見れば、納税者を増やすことで国の財政安定化にも大きく寄与することになるのであろうと、こういうふうに思うわけであります。  まさに教育とは人々に志を持たせることであり、志を育むことが教育というふうに認識をしているわけでありますが、今後、国内地方産業空洞化を防ぎ、若者の定着を図るため、各県、各地にある専門学校等を含め、有効な社会資源とみなし、新たな専門職大学短期大学制度化していただき、言わば職業教育高度化を進め、有効に活用することが最も大切であろうかと、こう思うわけであります。地方、都市を問わず、実践力を養成する実学で国民一人一人の付加価値を高め、学び直しや留学生を含め、世界職業教育ハブ機能の役割を果たせるように日本職業教育高度化をしていただく、日本教育魅力を高める、そして世界からも日本で学んでいただけるような制度是非していただきたいと、こういうふうに願うわけであります。  以上、お願いということでありますが、あと三点、特にお願いをしたいことがあります。  この制度是非実現していただきたい、これは高等教育複線化と今申し上げたとおり、一点。二点目は、独自の時代に合った設置基準等制度是非つくっていただきたい、これが二番目。三番目には、やっぱり学ぶ学生に対する財政支援強化。特に、大学生もここ三十年間で二倍に増え、卒業生も二倍以上に増えましたが、国内生産性向上ということにおいてはほとんど寄与になっていないということであります。これはやっぱり私学助成に対する金額が三千三百億以上上がったことがないというのは、この三十年の歴史であります、経済成長はしても。  教育投資に対しての抜本的な改革是非進めていただきたいというのをお願いを申し上げて、私のお願いということにさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  5. 赤池誠章

    委員長赤池誠章君) ありがとうございました。  次に、平川参考人お願いいたします。平川参考人
  6. 平川則男

    参考人平川則男君) 連合総合政策局平川と申します。よろしくお願いいたします。  本日は、学校教育法の一部を改正する法律案に対しまして意見を述べる機会を与えていただき、感謝申し上げたいと思います。  それでは、連合の考え方を述べさせていただきたいというふうに考えております。  この間、中央教育審議会特別部会において、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関制度に関する議論審議が行われておりまして、連合からも副会長参加をして議論を深めてまいりました。その際には、連合としましては、学生保護者に分かりやすい制度とするために大学専門学校など既存高等教育機関との違いを明確にすべき、二つ目には、社会人学び直しを進めるため、有給教育休暇制度化など生涯学習の観点から検討すべきである、三つ目には、社会人を含めまして学生負担を軽減するために学費低額にしていくことなどについて指摘をしてまいりました。  今回の法律案につきましては、こういった学ぶ側の学生やその保護者、そして社会人観点からまだまだ議論を深めていく点があるのではないかなというふうに考えておりまして、意見三点、それから要望二点について述べさせていただければというふうに考えているところであります。  まずは意見でございます。  そのうち一つ目でございますけれども、先ほど言いましたように、大学専門学校など他の高等教育機関との違いの明確化でございます。法律案では、第四次産業革命の進展に伴って産業構造が変化する中、新たな価値を創造できる専門職業人材を養成するために専門職大学などを設置するということとされているところでありまして、これについては、連合としては基本的に賛同できるというふうに考えております。  ただ、一方におきまして、やはり既存大学専門学校などにおいても既に職業教育が行われているということや、新たに制度化される専門職大学及び専門職短期大学については既存専門学校からの転換が主になるのではないかということが予測されているということであります。二〇一九年四月に制度化されるということでありますので、現在の高校二年生ぐらいから専門職大学を選択をするというふうなことになると思いますが、そういった意味で、現在の高校二年生そしてその保護者にとって、既存高等教育機関との違いがまだまだ見えてこない、分かりにくいというふうな現状があるのではないかというふうに思っているところであります。  連合としましては、特別部会の中で、連合会長参加をしておりますけれども、物づくり産業労働組合立場から少し発言させていただいております。少し紹介させていただきますと、やはり産業高度化というのは目覚ましいものがありますし、情報産業自動車産業、さらにはエネルギー産業との融合領域に新たな産業構造が生まれているというふうなことであります。今日も地下鉄に乗っていまして、旭化成が自動車を造るというふうなこともありまして、しかし、産業高度化、そしてさらに産業融合というのが更に進んでいくということでありますので、それを開発する人材というのはやはり求められているのかなというふうなことであります。そういったことで、新たな高等教育機関職場で起きることに基づく実践的な知識、そして実践知を基にした教育機関ということにしてほしいということで特別部会の中で発言をさせていただきました。  今後、具体的な制度設計政省令で定められるということになっておりますけれども、やはり先ほど言ったように、衆議院の方でも附帯決議の中に入っておりますけれども、既存高等教育機関との教育課程の違いを明確にすべきということが入っておりますし、今後カリキュラムはどうなっていくのか、どのような仕事を対象としていくのかということを明らかにして、学生保護者にとって分かりやすいものにするようにしていくということが必要ではないかというふうに考えているところでございます。  それで、意見二つ目でございます。社会人学び直しの問題でございます。  法律案では、社会人が学びやすくするための措置としまして、社会人としての実務の経験について一定期間修業年限として通算することができるとしておりますが、まだまだ対応としては十分ではないのかなというふうに考えているところであります。  現在、高等教育機関学び直しをしている方は約十一万人おりますが、学生全体の二%でございます。OECDの平均では一八%となっておりますけれども、大きく下回っているという状況であります。東京大学の調査によりますと、社会人学び直しする際に壁となっているのは、やはり勤務時間が長くて十分な時間がないということや費用が高過ぎるということが上位を占めているところであります。  現在、政府が進めております働き方改革の方針に基づいて長時間労働是正というのが求められておりますけれども、やはりその中に、その一つとして有給教育休暇という、定める法律法整備を進めた上で、有給教育休暇を定めましたILO百四十号条約を批准をして、社会人学び直しをしやすくするための環境整備を整えるということが求められているのではないかというふうに考えているところであります。  先ほど言いましたように、長時間労働是正有給教育休暇制度、そして先ほど言いました学費低額化の取組ということも含めて、時間と費用の問題を解消し、誰もが生涯を通じて学び続けられる社会を実現するということが重要ではないかというふうに考えているところであります。  三つ目でございます。先ほど言いましたように、学費低額化の問題でございます。  中教審答申においても、産業界などにおける職業教育への支援協力体制の構築に向け、行政レベルでも省庁間の連携を推進する必要があるほか、学生費用負担軽減策についても検討を求めたいというふうに記載をされているところであります。加えまして、衆議院の方の附帯決議においても、私学助成関係予算の大幅な増額を図ることというふうな記載がございます。是非とも、私学助成の適用についてでありますけれども、卒業生を出した翌年度からというふうになっておりますけれども、専門職大専門職短期大学卒業生が出てから一年後の二〇二一年度までに運営に必要な経常的経費の額を算定し、私立大学等経常費補助を増額することで学費の引下げをしていく必要があるというふうに考えているところであります。  一方で、本年四月から給付型奨学金が実施されております。本格実施となる来年度以降でも最大で月額四万円、対象者二万人と、その事業規模については非常に限られたものになっております。この新たな専門職大学制度化きっかけにして、より多くの学生充実した奨学金を受けられるような形になるように、奨学金制度充実も求めていきたいというふうに考えております。  最後に、要望を二点述べさせていただきたいと思います。  まずは、学生専門職大学専門職短期大学に学ぶ際の企業内実習の在り方についてでございます。  衆議院附帯決議にもありましたように、企業などが学生を受け入れやすくするよう、実習期間実習内容などについて指針を示すよう努めるというふうに記載がございます。受入れ側企業が積極的に学生を受け入れ、企業内実習きっかけとして働きやすい職場となるような職場環境の改善や、職場においては後輩を育てるという職員の意識改革などにつながるよう前向きな指針を示していただければというふうに考えているところであります。  加えまして、一年間に百五十時間という長時間にわたる企業内実習を重ね、いざ専門職大学あるいは専門職短期大学を卒業した際に、せっかく培った専門性の高い就職先が見付からないということでは、これは困ります。事実、福祉系大学においても、苦労して取った資格が、就職先が限られているために資格を生かせない実態も生じているところであります。また同時に、教育の質の保証も重要でございます。学士教育でありますので、卒業時の到達目標を明確にするなど、質の保証についても確実に行っていただければと思います。  二点目は、労働教育、つまりワークルール教育カリキュラム化についてでございます。  連合は、全ての学校現場で、働く上で必要なワークルール労働安全衛生使用者の責任、雇用問題に関する知識を学び、知識を深め、活用できるよう労働教育カリキュラム化を進めることを求めております。是非とも、新たに制度化される専門職大学においてもこのような労働教育カリキュラムを進めることを要望したいというふうに考えているところであります。  以上、新たな制度について今国会において十分な審議が行われるよう要望いたしまして、私の意見とさせていただきます。  ありがとうございました。
  7. 赤池誠章

    委員長赤池誠章君) ありがとうございました。  次に、児美川参考人お願いいたします。児美川参考人
  8. 児美川孝一郎

    参考人児美川孝一郎君) 法政大学児美川と申します。教育学専門にしておりまして、主として若者たち学校から職業への移行というところを研究の焦点にしております。本日は、そういう研究者としての立場及び大学人でもありますので、そういう観点から意見を述べさせていただきます。このような機会をいただきましてありがとうございます。  私の発言については、発言の要旨をお手元の資料で用意させていただいておりますので、そちらの方が正確だということで、多少付け加えながらお話をさせていただきます。  一点目が、大前提の認識でございますが、日本教育においては職業教育が極めて脆弱であるというところはかなりネックになってきておりまして、例えば後期中等教育高校段階職業教育教育課程を受けている生徒の割合は諸外国と比べてもはるかに少ない。あるいは大学も、日本大学のマジョリティーなゾーンボリュームゾーン私学の文系ということになりますので、やはり専門性が強い教育を受けている部分が少ないということがあります。  もちろん、今まではそれでも済んできたのはなぜかというと、基本的には、若い人たち学校から職業世界に渡っていく際には職業能力形成が必要となるわけですが、ただしその大部分企業内教育によって担われてきたからだというふうに考えられます。  ただ、その企業内教育に関しましても、九〇年代以降現在に至るまで確実に盤石ではだんだんなくなってきておりまして、現在では新卒就職を経て企業内教育できちんと職業教育を受けられるという層が一定割合に絞られてきている、むしろそこからはみ出る層も出てきているという問題もあります。  更に申し上げますと、働く者にとって、そもそも自らの職業能力形成企業内教育に全面的に委ねるということが必ずしも労働者にとって都合がいいことだけではないということがございますので、そういうことも含めまして、現在の日本教育において、とりわけ高等教育段階における教育において職業教育充実強化するということはもちろん必要なことであると思いますし、そのための政策が出されることは大いに歓迎したいというふうに考えております。  ただ、同時に、今回の専門職大学短期大学構想を拝見いたしますと、少なくとも高等教育段階における職業教育がそのまま充実するというよりは、むしろ懸念される点も少なくないというふうに考えておりまして、その点について三点述べさせていただきます。  そのまず前提ですが、現時点では設置基準等の具体的な制度設計がまだ明らかになっておりませんので、判断に苦しむところも正直ございます。ただ、中教審答申等々伝えられてきていることもございますので、そこから考えますと、以下の三点ほどのことについて懸念がございますということです。  一点目ですが、既存大学短大、あるいは職業訓練系職業能力開発大学校・短大、あるいは高専、専修学校専門課程、特に専門学校に関しては二〇一三年度より職業専門実践課程というものも職業教育強化の目的でできておりますので、そういうものにおいて職業教育充実強化していくということではなくて、なぜ新たにまた新しい高等教育機関をつくらなければいけないのかという、そこのところの根拠がいまいちよく、明確ではないのではないかというふうに思います。  新しい制度の創設によって期待されているということは何点かあるかと思いますが、専門職業人の養成にしても、あるいは産業界等との連携にしても社会人学び直しということにしても、今、上で挙げましたような既存制度を使っても十分可能なことですので、何ゆえに新たな制度でなければならないのかというところが問われてくるのかもしれないということです。  二点目になりますが、専門職大学制度設置基準等まだ具体的な制度設計は明らかではないのですが、少なくともこれまでの大学とは異なるというか独自の設置基準、独自の認証評価の仕組み等々を用いてやるということは、場合によっては大学という制度のある意味での必要な統一性というものを損ねてしまう危険性もあるのではないかという。もちろん、日本には大学、七百七十を超えてございますので、その中で機能別分化ということは当然必要ですし、職業教育かなり力を入れる大学ももっともっと出てきてよいというふうに思っておりますが、それは今の大学制度の中でも十分できることですので、あえてこれをつくるということはどういうことなのだろうかということでもあります。  教育基本法は、二〇〇六年に改正された際に、第七条というところで、大学についての条文が新たに加えられました。そこでは、大学学術中心として高い教養専門的能力を培うという、そういうことが目的規定されているわけですが、今回の専門職大学構想をいろいろ見ている限りでは、ここで言うところの学術であるとか高い教養という部分がどのように位置付けられ、どのように担保されているのか、その辺のところが甚だ心もとないというか、そういうふうに感じざるを得ないところもございます。  もちろん、専門職大学短期大学設置基準等、これから明らかになっていくところですので、それが当然、既存大学の水準は守った上で更に独自性を出すということも当然あり得ると思います。当然あり得るとは思いますが、もしそういう形になるとすると、今度は現状の専門学校専修学校専門課程、いわゆる専門学校からの転換ということを考える場合にはかなり障壁が高くなるということも考えられますし、既存大学専門職大学に移るという場合でも、大学としての基準を守った上で更にプラスアルファの基準があるわけですので、そこも余り進まないということもあるのではないかと。そうだとすると、せっかくつくっても、それって何のためにあったんだろうということも決して生じないわけではないだろうという、そんなふうにも思う次第です。  三点目です。懸念される三点目ですが、先ほどの教育基本法第七条は、第二項におきまして、大学においては何よりも自主性、自律性が尊重されなければならないということを規定しております。この点から考えますと、専門職大学の現在の、短大の方もそうですが、構想におきまして、この自主性、自律性というものがもしかすると損ねられてしまうのではないかということも危惧されます。とりわけ、実務経験のある教員が、中教審答申では四割以上でしょうか、あるいは長期の企業実習も年間何時間以上という形でやるというところだけではなく、大学教育課程の編成・実施、まあ開発ということも入っておりましたが、そこに産業界との連携が想定されるということは、先ほども申し上げた教育基本法大学の自主性、自律性の原則というところに照らしますと、果たしていかがなものなんだろうか、どうだろうかというところが感じざるを得ないというところもございます。  今回の法案を目にして強く、私が大学人であるからということもございますが、強く感じることがありまして、それは、大学というのは改めて何なのかというところが問われているというところかと思っています。もちろん、大学がいつまでも象牙の塔であってよいはずはありませんので、社会の変化にきちんと対応し、そして産業界の要請にもきちんと責任持って応答していくということは当然必要です。当然必要ですが、その根底には、先ほどの教育基本法ありましたように、大学側の自主性、自律性ということがきちんと担保されて据えられていなくてはいけないというふうに考えるわけです。  ですから、大学に求められるものは何だろうかというふうに考えたときに、産業界からの要請はもちろんお受けしなきゃいけないと思いますし、対話はしなきゃいけないと思いますが、それはただ単にそこに従うということでもないですし、一体になることともちょっと違うかもしれない。むしろ、距離を取って独立性を持っているからこそできることというのが大学教育にはあるはずですので、学問、研究の自由を前提として、そして独立性を重要視しながら、もちろん産業界社会とも対話をし、自主的、自律的に内側からそういう要請に応答していくことがふさわしいと、そのことが大学にしかできない形での社会とのつながり方であるし、社会貢献の仕方ではないのだろうかというふうに考えております。  私の方で意見申し上げたいと思いましたのは以上でございます。どうもありがとうございます。
  9. 赤池誠章

    委員長赤池誠章君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 上野通子

    上野通子君 自由民主党の上野でございます。  本日は、三参考人の皆様、朝早くからありがとうございます。また、貴重な御意見ありがとうございました。大変参考になりました。  私から三点お伺いしたいと思うんですが、一点目は小林参考人に対してお願いしたいと思うんですが、今までの職業教育において大変な御苦労もあったと思います。特に認識が、アカデミックな教育に比べてちょっと一段低く見られるという風潮があったんじゃないかと思います。この法整備によって職業大学化ということになると、先ほどお話の中にもありましたが、ディグリー制度も国際的に通用するものになっていくんじゃないかという期待をお持ちになっているということもございました。様々な問題もまだあるとは思うんですが、社会的風潮の改善にはかなり影響があるかどうかということを一点目、お伺いしたいと思います。  続けてですが、二点目として、平川参考人お願いしたいんですが、全ての参考人がお話しになっていた、この学び方改革についての一つの原因として、企業大学連携がまだまだ不十分であること、それから企業意識改革企業としての体制の遅れというものもあるのではないかということを先生方もおっしゃっていたんですが、そこで、企業にとってこれからどのようなことをしていけばいいかということですね、どのようなことが必要となってくるかということをお伺いしたいと思います。  三点目は、三人の参考人先生方にお聞きしたいんですが、どの先生方もおっしゃっていました教育全体への財政支出、公的財源が非常に少ない日本である、これをきちんと拡充していかないと教育も良くならないと。特に、本日は高等教育に対しての教育財源の確保について何かお考えがあったらお聞きしたいと思います。具体的に給付型奨学金制度充実するということ、平川参考人からもありましたが、更に何かもっと具体的な案、さらには、税制とか国債とかという問題も自民党内でも現在検討中でございますが、新しいアイデア等もございましたらお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  11. 小林光俊

    参考人小林光俊君) それでは、上野先生から大変貴重な御質問をいただきまして、ありがとうございます。  今までの専門学校教育社会的に下に見られているのではないかということ、そして今回、この新しい専門職大学というものができることによって職業教育そのものに対する社会的影響が良くなるかどうかということについての御質問ということでございますが、私は、やっぱり職業教育全体の、今度の新しい専門職大学ができることによって、国際社会から見れば日本職業教育がようやく高等教育機関として制度的にちゃんと組み込まれたという評価につながっていくだろうと、こういうふうに思うわけです。  ですから、そういう意味でいえば、専門学校教育というのは基本的には職業教育ということでありましたが、法律の立て付けでは、通常、要するに一条校と百二十四条校というふうに区別されて、準学校法人ということでやっぱりずっとその下に見られてきた四十二年間ということでありました。これを本来ならば、イギリスなどのように、ブレアが改革したように、二十年ぐらい前に、日本職業教育専門学校もちゃんと学校教育法の中に位置付けて、まあ位置付けられているんですが、一条校と同じようにすべきではなかったかと。そうすることによって、職業教育全体の高度化が図られ、そして産業界活性化にもつながっていく、あるいは生産性向上にもつながっていくということになったんだろうと思います。  そういう意味においては、遅ればせながらでも、日本職業教育国際社会からもちゃんと評価できるようになり、そこに、その大学専門学校学生も卒業後学べるということで職業教育全体の山が高くなると。富士山でいえば、一番上に専門職大学大学院があり、その下に専門学校があって、ちゃんと上を向いてちゃんと評価できるような制度日本として確立するということでは大変意義があると、こういうふうに思っております。  それから、三点目におっしゃいました財政的な支援の問題でございます。これは、私の資料の中の四ページに、まさに皆さん方御存じのように、高等教育への公財政措置に関する国際比較というのがあります。これ、平川参考人からも御発言がありましたが、まさに、ここにありますように、OECD加盟国の中で最下位ということですね。OECD平均がGDP比一・一%なのに、日本は〇・六%しかない、半分以下だと。これは、今まで専門学校生に対してのそういう支援もなければ高等教育全体に対するやっぱり支援が大変低かったということであります。  これは、三月十五日のスティグリッツ・コロンビア大学教授が申し上げているように、所得分配を是正教育に投資をする、日本を含む先進国で成長の成果が少数にしか届いていないのが問題であり、先進国はそういうことが共通している、生産性の伸びの鈍化や格差拡大といった課題を抱えている、まさに所得配分を是正して、そして教育など人への投資を重視した経済の再構築が必要であるとスティグリッツ博士もおっしゃっているとおり、日本の税制含めてこの高等教育に対するやっぱり財政支援というものをもう一回根本的に考え直し制度化していただくということが必要だろうと、こういうふうに思います。  その中で、こども保険の話とかあるいは教育国債の話とかいろいろ出ておりますが、ここはやっぱり具体的にきちっと何らかの新たな要するに財源を構築をして、私は、ちゃんと学ぶ学生に対する支援策をきちっと取らないと、国際的にもますます日本高等教育が遅れていくことにつながるというふうに思うわけです。  GDPに対する比率は、やっぱりこのOECD平均程度までできるだけ近づける努力をこれは政治として是非主導してやっていただきたいというのが私のお願いであります。  以上です。
  12. 平川則男

    参考人平川則男君) 御質問ありがとうございます。  最初の、学び方改革というか、企業大学連携、そして企業意識改革観点でございます。  基本的には、大学というのは自主自律、自主性を尊重すべきものであるというふうに考えておりますが、やはり社会情勢の変化に応じて企業との対話、そして連携というのも当然必要になってくるのかなというふうにも思っているところであります。  そういった中で、企業意識改革でございますけれども、やはり人材を育てるというふうな基本的な姿勢にまずは立ち返っていく必要があるのではないかなと思います。最近までは、即戦力の人材を求める傾向が大変強くて、その中で若い新規採用者を採らないような傾向が強かったんですけれども、人材不足の中でやはり人材をしっかり育てるという方向が強くなってきているということはいい評価できるのではないかなというふうに思っているところであります。  ただ一方で、先ほど言ったように、働く者の能力を更に高めていき、そして生産性を高めていくということについては、やはり企業としても、先ほど言ったような有給の学び直しの休暇であるとか労働者のキャリアアップをしっかりと支えていくということが重要ではないかなというふうにも考えております。  例を申し上げますと、ちょっとこれ医療系の話になってしまいますが、例えば精神病院に働いている看護師さん、やはり患者さんを地域に帰していくというふうな取組をする中で、やはりさらに、単なる看護、療養の世話だけじゃなくて、地域に患者さんを帰していくためには地域でどうやって暮らしていく仕組みをつくっていくのか、そしてそれをどうやってつなげていこうかというふうに考えるわけであります。そういった中で、例えば新たに精神保健福祉士の資格を取りたいというふうに考えれば、その資格を取るためにやはり資格の取り直しというのがあります。それもキャリアアップの仕組みだと思いますので、それをどうやって支えていくのかということも必要でありますので、そういうことも含めて、しっかりと企業、そして事業者も御理解をいただくということも重要ではないのかな、それがひいては日本の全体の生産性向上につながっていくのではないかなというふうに考えているところであります。  それからもう一つ教育全体の財源の問題であります。これ、大変難しい問題であります。  社会保障と税の一体改革の関係でいいますと、社会保障と税の一体改革の中では残念ながら教育の支出の問題については対象となりませんでした。そういった意味で、子ども・子育て支援については相当充実をし、待機児童解消のためにはかなり貢献はしていると思います、まだまだ財源十分ではないと思いますが。  そういった中で今後の財源の確保の問題でありますけれども、教育国債若しくは子供国債という考え方も一部あるようでありますけれども、やはりこれはどうしても将来、国債でありますので、単純な赤字国債でありますので、実質的にはこれはもう将来に対しての借金を将来の子供に対して負わせてしまうんじゃないかというふうな疑念もありますので、やはりしっかりと税制改革などによって財源を確保していくというのが基本的な考え方ではないのかなというふうに考えているところであります。  考え方の中で、税でやるのか社会保険でやるのかというふうな考え方もございます。基本的には税制でやるというのが大変、基本的な姿だと思いますけれども、一方で、社会保険というのは財源調達能力が高いというふうな面もございます。かつて介護保険制度創設のときも、税制でやるのか社会保険でやるのかというふうな議論がございました。そのときも議論の中で、やっぱり税制よりも社会保険の方が国民の理解もできるし財源調達能力も高いということで介護保険制度が、二〇〇〇年ですけれども、社会保険制度としてスタートしたわけであります。  ただ、教育若しくは子ども・子育てをじゃ社会保険でやるということになると、社会保険というのはリスクに対しての、リスクに対してどうやってみんなで支えるかというふうな仕組みでございますので、教育若しくは子育て支援がリスクとなり得るかどうかという問題も深く議論をしていく必要があるんではないかなというふうに考えておりますので、これについても検討の余地があるかなと思います。  いずれにしましても、連合としましては、社会保障と税の一体改革について充実をしっかりと進めていく、今消費税八%でありますけれども、しっかりと、一〇%にして既存社会保障政策についての財源を確保した上で、更にその先に教育、そして二〇二五年以降の高齢化社会に向けた社会保障政策教育政策を含めた財源確保について国民的な議論を早急に進めていく必要があるというように考えております。  以上でございます。
  13. 児美川孝一郎

    参考人児美川孝一郎君) 高等教育に対する財政支出が少ないという貴重な御指摘と御質問、ありがとうございます。  私が勤務しておりますのは私立大学でございまして、私学に対する私学助成、経常費補助はかつては三〇%近くまではあったんですが、今はついに一〇%を切りまして、なかなか各大学、大変な状況にございます。また、国立大学にも知人がたくさんおりますのでいろいろ話を聞きますが、当然、運営交付金が年々減らされていく中で、今では本当に、ある先生が定年で退職されたとしてもその後の人事ができない、定年不補充という形で何とか財政をやりくりするみたいな、そんなことも続いておりまして、相当に深刻な問題であろうという。  この点の問題点はもちろんどこに行くかというと、一つ学生に対する教育条件が良くなく、悪くなっていくということなんですが、もちろん大学学生教育のところにしわ寄せするということをしませんので、そこは何とか踏ん張ろうとするわけですが、そうすると、今一番深刻なのは、実は研究生産性が相当に落ちているという、論文数等々国際比較をしても、この間減ってきているのは日本ぐらいじゃないかということになっておりまして、そこは何とかしていただかないと本当に困ってしまうという。  なぜこういうことになっていくのかというときに、結局、高等教育に対する財政支出のその規模というかパイ自体が増えていないわけですね。でも、実は高等教育を受けるようになる学生数というのは倍増ぐらいしているわけで、通常、学生が倍になったんだったら財政も倍になってもおかしくないはずですが、そういう発想になっていないというところを抜本的に転換していただきたいというふうに思っておりまして、これだけの人たち高等教育を受けるわけですから、その条件のためのお金はきちんと出していただき、そしてその下でやっていくという体制を是非つくっていただきたいというお願いを申し述べまして、私の意見とさせていただきます。  どうもありがとうございます。
  14. 上野通子

    上野通子君 先生方、ありがとうございます。大変参考になりました。どうもありがとうございました。
  15. 大島九州男

    大島九州男君 どうも、民進党の大島でございます。今日は、参考人の皆さん、ありがとうございます。  私は常々、社会を構成している、これは生け花に例えると、見えている花は非常に美しい、じゃそれを支えているのは何かといったら剣山が支えている、その剣山というのは高さはみんな一緒ですねと。だから、プロフェッショナルラインの人もアカデミックな人も、全てはみんな貴い人材、まさにここが社会を支えていると。だから、そういった意味で、職業教育を受けて社会に出る人たち大学でアカデミックな教育を受けた人たちもみんな同じ等しい人材だという、そういう意識でずっと私は生きてきたんですね。  先ほどちょうど平川参考人から質の保証という話がありました。私自身は専門学校の卒業する生徒さんたちというのも大変優秀だというふうに理解をしていて、小林参考人に質問なんですが、いろんな資格だとかそういうものを取って出ると、例えば大学出てそういう資格を受ける人もいる、いろんな種類があると思うんですけど、一例で結構ですから、大学を出た人たちの例えば国家資格がこれぐらいの合格率で、専門学校に行った生徒さんはこれぐらいの合格率なんだというようなことをちょっと一例でも示せるものがあれば示していただきたいというふうに思いますので、よろしくどうぞ。
  16. 小林光俊

    参考人小林光俊君) 大島先生、ありがとうございます。  これは私どもの専門学校一つの例として話をさせていただくんですが、今、例えば私の学校というのは東京にありまして、専門学校が五つ、保健、医療、福祉の専門職をいずれも養成しております。具体的に言えば、例えば介護福祉士とか社会福祉士とか精神保健福祉士とか、あるいは言語聴覚士、そして理学療法士、作業療法士、そして柔道整復師等、こういった専門職を主に養成をしている学校でございます。  これはいずれも厚生労働省の指定養成施設という認定を受けている学科ということでございます。これに関しましては、厚生労働省は国家試験をいずれもしておりまして、国家試験の受験資格を得るための教育ということであります。そういう意味でいえば、指定養成施設は専門学校であれ大学であれ、ほとんど指定養成施設としての役割を果たしているということであります。  一例ということでいえば、例えば、社会福祉士の養成学科というのがあります。これは昨年度学んだ学生の国家試験の全国平均合格率は二五・八%、これが全国平均、大学卒業生専門学校卒業生も含めてということであります。私どもの学校の学科の卒業生は、一番高いと言ってはあれなんですが、大体昼間部では八九・四%、夜間部の学生の方がちょっと高いんですが九一・四%、一般的な大学卒業生の三倍以上の合格率ということになっております。  これはなぜかといいますと、基本的に、学ぶ学生たち大学卒業生学び直し学生さんたち、したがって問題意識をきちっと持って学んでいる学生さんたちということかと思うんですね。ですから合格率が非常に高いということであります。通信教育で学んでいる学生さんたちでも五五・五%ということですから、全国平均の二倍の合格率ということであります。  ですから、専門学校、規模小さくても教育の内容としては決して大学に劣るということはないということの一つの証左かと思います。  あわせて、精神保健福祉士の方も全国平均は六二%、私どもでは、昼間部は八八%、夜間部は八五%ということであります。ですから、これも高い。それから、理学療法士、作業療法士も同じく国家試験を受けるということであります。これは合格率が、全国平均も高いんですが、九〇・三%、理学療法士、私どもでは一〇〇%ですね。作業療法の方も、全国平均が八三・七%、私ども一〇〇%の合格率ということであります。  以上です。
  17. 大島九州男

    大島九州男君 今、小林参考人から聞かせていただきましたように、やはり意識を持って学ぶ人というのはすごく大事だなということを感じさせていただきました。  平川参考人、先ほど小林参考人の方から設置基準という話がありました。まさに学び直し、働きながら学んでいく、キャリアをアップするという人たちが働きながらやっぱり通っていこうとするその学校というのは、やはり利便性のいいところでないとと、私はそういうふうに思うんですね。そうすると、平川参考人の考えるその学びやすい環境、そしてまたそれは当然学費の関係もそうですけれども、学びやすい環境というのはどういう環境だと思われますか。
  18. 平川則男

    参考人平川則男君) ありがとうございます。  実は私も若干学び直しをしたことがございまして、短いんですが介護職員の初任者研修を受けたことがございます。その場には介護現場で働く方も資格を取るということで通っておりました。その方々はやはり働きながら通っていると。事業所の配慮によって、月—金は働き、土日はちゃんと学校に行きなさいということですから、かなりハードです。もう休む暇がないと。みんな、居眠りはしていませんでしたけれども、かなりつらそうに研修を受けておりました。更にキャリアアップをするということでいえば介護福祉士の資格も取りたいということになると思いますけれども、そういった意味で、その通学の苦労を考えていけば、やはりある程度利便性の高い交通の便のいいところというところが、まあ都会であればそういうところは必要かなというふうに思います。  そういった意味で、学び直しの環境づくりというふうに言いましたけれども、そういった意味で物理的な環境も一つ重要なポイントじゃないかと思います。大学によっては、よく駅の近くにサテライトを置いて社会人教育を行っているところもありますけれども、そういうところもしっかりと参考にしていくべきじゃないかなというふうに考えております。
  19. 大島九州男

    大島九州男君 ありがとうございます。  やはり、設置基準というものが、広い校舎と運動場というような、既存大学と同じであるとそういう機能が果たせないという部分は我々もしっかり理解しているので、そこは文科省に対しても設置基準の柔軟な対応は求めたいというふうに思っているんですね。  児美川参考人に御質問なんですが、やっぱり学校大学と今度できる専門職大学の役割、これ明快にアカデミックな部分とプロフェッショナルな部分、要は学術と、それと技術とか物づくりだとかいうふうに私ははっきり分けた方がいいと思っていて、はっきり言うと、間にあった短大は四大に進化できるところは四大に進化しましたと、で、進化しないところで今非常に生徒を集めるのに困っていると。そうすると、新しい学科を創設してやっていこうと思ってもなかなか学科をいただくのも、許可もらうのも大変だったりとか、非常に動きがしづらいと。  だから、ある意味短大がこの専門職大学という一つの新しい職種に逆に進化するということも僕はありなのかなと思っていて、やっぱり短大の先生たちは一条校だというその確かにプライドといいますか、そういうものは私はやっぱり時代とともに変化するので、そういった意味では、この制度をうまく活用することによって大学も生まれ変われるんじゃないかと。いろんなことをやろうと思ってアカデミックなところに何か違う要素を入れて何かぼやけちゃったんじゃないかと。だから、はっきりそういうところはもう明快に今回のことで分けていくことによって進化できるんじゃないかと、私、個人的にはそう思っているんですけれども、先生の見解を。
  20. 児美川孝一郎

    参考人児美川孝一郎君) 貴重な御意見ありがとうございます。  確かに、今回転換するところ、どこがあり得るだろうと考えたときに、短大というのが一つの有力なラインかなという。今、短大の中でもやっぱり人文系のところとかかなり学生募集等々で困難抱えておりまして、でも逆に職業教育をやっているところは十分成り立っているところはいっぱいございますので、そういうところがこの枠がもしできた場合に活用していくというところは大いにあるだろうというふうに思いますが。  他方で、要するにそういう高等教育段階での職業教育をきちんと実施するというときに、大学という制度でなくてはいけないのかというところからまずは考えるべきだというふうに思っておりまして、例えば、先ほど小林参考人の方から、NVQとかEQFとかという国際的な、アカデミック系とプロフェッショナル系というか職業教育系の資格を等級付けるみたいなことがもう世界の常識だというようなお話がありましたが、全くそのとおりなんですが、例えば私がよく知っているのはオーストラリアの例なんですけど、オーストラリアのAQFという、仕組み上は、大学はあくまで学術なんです、アカデミックなんです。ただし、職業教育職業訓練のセクターがありまして、そこでこれだけの教育を受けたら大学の学士と同等にしよう、ここまで受けたら大学の修士と同等にしよう、こっちだったら博士と同等にしようということで、大学大学職業訓練は訓練、だけど社会的には価値は一緒ですという、そこの枠組みをつくっているんです。  そういうやり方もございますので、今回のような形で大学という制度に入れ込むことがよいのか、それとも、きっちり役割分けるのであれば、むしろ変に大学なんて名前付けない方が分かりやすいということもありますのでそういう方がいいのか、そこは検討次第だろうというふうに思っている次第です。  以上でございます。
  21. 大島九州男

    大島九州男君 ありがとうございます。  今おっしゃったように、日本は、大学に行くことが貴いみたいな、大学行くといいんだみたいな感じで、私も実は塾の先生だったんで、子供たちに何と言ったかというと、とにかく大学へ行って、それで四年間、選択肢を広げてきなさいとかいうような指導をしていたのを非常に今恥じているんですけど。  だから、やっぱり目的意識を持って、そして自分が社会に出てどういう役に立っていくのかということを私は十五のときに決められたらすばらしいと思うんですよね。うちの父は、鉄工所で十五から来ていた職人さんが七十歳になっても会社を支えていただいていたというのを、すごくそれが思いがあって、そういう手に職を持った人の貴さというのをやっぱり我々がもっともっと発信しなければならないと。我々のそういう声が少なかったものだから、何か大学行かないと社会に何か受け入れられていないような錯覚を起こしていると。だから、そういう錯覚を埋めるのに、今回この専門職大学という名前が付いていることによって、そのまやかしを少し薄めている効果はあるのかなと個人的には思っているんです。  だから、児美川参考人がおっしゃったように、私も、そういう名前にこだわる必要はないんだけれども、やはりこの国の法律制度がそういうふうになってしまっているものだから、そういった大学という名前を付けることによって同じような資格、そして同じような国民が受けるそういうものに、まやかしをちょっと解くというような効果はあるのかなというふうに感じているところであります。  時間がないので質問ということはできないので、最後、私の思いを言いますと、企業人材を育てていたんです、昔はね。それは終身雇用だったんですよ。ところが、今のように非正規になって、本当にもうそのときだけ、そのときだけいい人だけを持ってきたいとかいうような時代になっちゃった以上は、個人が自分でスキルを上げて、そして武装しないともう生きていけないと、何かそうやって苦しみながら働きながらキャリアアップしている人たちをたくさん見ているんですね。だから、本来そういう、企業も自分のところでしっかり人材を育てて、本当は終身雇用をしていただく日本の昔の文化というものは僕は非常に貴いと思っていて、何かそういう意味での日本を取り戻すというような、そういう政策になってもらうのは非常に有り難いと思うんです。  だから、そういったことも含めて、この専門職大学という一つの石を投げて波紋が広がっていく、その中で生きていく私たち社会で生きていく人たちが貴い人材として評価をされていくような、そのきっかけにうまいように進化をさせていく設置基準だったりとか、そういうみんなの考え方の醸成をしていただくことを心から望んで、質問を終わります。
  22. 三浦信祐

    ○三浦信祐君 公明党の三浦信祐でございます。  本日は、参考人先生方、大変勉強になるお話を伺いまして、本当にありがとうございます。  少し角度を変えて質問させていただきたいと思うんですけれども、先日、高卒の学生さんと大学卒業の学生さんの生涯年収、大体七千万円ほどのギャップがあるというデータを文科省から拝見をさせていただきました。これというのは、先ほどのプロフェッショナルラインとアカデミックラインと、これパラレルでいったときにそんなことがあってはいけないようなことというのがまさにそこに表れてきているのかなというところを痛感をさせていただいたんですけれども、やはり、貧困の連鎖を絶つという観点からしても、手に職があってきちっと必要な対価がもらえるような社会をつくっていかなければいけないんだろうというふうに私は今、問題意識を持っております。  その上で、この専門職大学、私は大事な制度で推進をすべきだろうというふうに思っているんですけれども、大事なことは、この専門職大学で修学をした後、きちっと就職をして対価が得られるというような体制に社会がなっていく、またそれが認知できるような環境をつくっていくというのが私は大事なんじゃないかなというふうに思います。その上で、必要な準備と取組だったり、行政がしっかりここに能力を費やしてもらいたいということに関して御意見があれば、小林参考人平川参考人是非伺いたいと思います。
  23. 小林光俊

    参考人小林光俊君) ありがとうございます。  今おっしゃっていただいたように、この新しい専門職大学が、まさに職業教育の重要性というものが国際社会の中でもちゃんと教育として認められていくということにつながるということですね。  これはどういうことを意味するのかということなんですが、例えば、今から二十年前、日本の例えば電気製品などはかなり高スペックなもの、オーバースペックな商品と言われて、国際社会の中では、大量生産というよりは、例えば電気釜なら電気釜、安い電気釜が、日本円ですれば五千円程度のものと五万円程度の電気釜があるとすれば、日本のものはもう高スペックで御飯が立って大変おいしく炊けるもの、しかし、国際社会ではまだそこまで行っていないので、五千円以下の安いものが国際社会でずっと中国始め東南アジアあるいは世界に広まったという、これは二十年以上前の話ですがね。  ところが、今はまさにそういうものが全部世界に広がって、まさに高スペックなものが今求められる時代になってきている。ですから、そういう意味においては、こういう職業教育ということも全て、やっぱり高度なものが国際社会でも受け入れられる基盤が国際社会としてもうでき上がってきたというふうに思うわけです。  そんな中で、やっぱり日本職業教育、今まで、要するに百二十四条校ということで専門学校は格下だというイメージを、今回の専門職大学ができることによって、日本が本来はアジアの中で一番最初に先進国になったわけで、それはやっぱり物づくりの技術が発展をして経済が発展をしたという背景が今から三十年、四十年前にあったわけですよね、あるいは五十年前からずっと。それがもう一回見直されることに私はつながっていくというふうに思うんですね。  アジアを含めて、世界はもう物があふれる時代になった。今度はまさに高スペックなものが、より高度なものが見直される時代にはなってきて、そこで、やっぱりこの職業教育日本における高等教育化という制度化、この専門職大学制度というのはそういう人材養成にきちっと機能していける教育機関ということになっていく。すなわち、高度な専門職の養成機関ということが国際社会にちゃんと認知されていくということであろうかと思うんです。  ですから、大変、そういう意味でいえば非常に私はいい制度であるというふうに思う。日本のまさに、今まで高度経済成長をして、この二十数年停滞をしていたが、ここでもう一回それが活性化をしていく、それは教育によって活性化をしていく、そういう制度につながっていくだろうと、こういうふうに評価しているところであります。
  24. 平川則男

    参考人平川則男君) 御質問ありがとうございます。  まさに先生のおっしゃるとおりでございまして、入学はしたけど、それに対価が得られる就職先があるかどうかというのはかなり関心が深いところかなというふうに思っているところであります。  絶対、一〇〇%就職そこにできるということは別に、それはそこまでは言いませんけれども、やはり、特定の産業、特定の職種を十八歳、入学の時点で選ぶんですよね。結局、それを選んだことが失敗にならない、四年後、ああ、こんなところ、職種を選んでしまった、それは失敗だったということにならないような社会ニーズの見極めであるとか、産業構造の変化というのを踏まえた形での教育カリキュラム内容というのは私極めて重要なんではないかなというふうに思っています。  さっき言った医療系や福祉系の大学などは資格職でありますのでその辺はかなり対応関係が分かりやすいということもありますが、それ以外の産業、職種を対象とするのであれば、その辺しっかりと慎重に見極めながらこれから更に検討を深めていただきたいなというふうに考えております。  ありがとうございます。
  25. 三浦信祐

    ○三浦信祐君 ありがとうございます。  その上で、続けて質問させていただきたいんですけれども、社会的ニーズと専門職大学で教えるその科目というのか業界の業種というのか技能、この辺の体制がしっかりマッチングをしないと今の就職的課題というのが解消できないんじゃないかなという問題意識が私はございます。  具体的な例を挙げればいいと思うんですけれども、例えば建設業、現業職従事者が今三百三十三万人おられます。しかし、五年、十年たちますと、高齢化が進んでおりますので、約三割の方が五十歳以上ですから、そっくりそのまま現場の方がいなくなると。ですので、同じく建設業界に入るとしても、現業職の方が社会としては求められている。  また、同じく現場監督が少ないというのをたくさん現場で聞いております。となると、現場監督の能力を持たせて社会に出さないと、業界はいいけれども業種が合わないというケースもたくさんあるんではないかなと。そう考えたときに、このマッチングという体制を私は取っていかなきゃいけないんじゃないかなというところも思っています。  加えて、実は大学化をすることに対する課題というのは先ほど児美川先生からもありましたけれども、実は私の背景としては、親が大学行ってほしいというニーズの方が本人以上に高い。これが、親の満足と本人の対価と、そしてやりたいことができる。加えて、大学には行ったんだけれども、三年たったときに、どれぐらいの人が就職をして自分がやりたかったこと残っているか、恐らく半分ぐらいしかいないんじゃないかなと。そのためには、学び直しをする機会があって、かつ社会のニーズに合って、対価が取れて、そして望んでいることができるような社会をつくっていくというのが、これきっかけになるんじゃないかなというふうに今私は考えております。  ですので、この社会的ニーズと専門職大学の学問のテリトリー、これをマッチングをさせるということにこれから政治の部分も行政もしっかり図っていかなきゃいけないかなと。また、経営側の方もそれを敏感に感じ取らなきゃいけないかなというふうに私は思うんですけれども、この辺に関して、お三方の参考人から是非意見をいただきたいというふうに思います。
  26. 小林光俊

    参考人小林光俊君) それでは、お答えさせていただきます。  今おっしゃいましたように、社会的ニーズの変化とか、あるいはマッチングということも大変大切なことだと思うわけであります。  よく日本高等教育、また特に大学卒業生のことが言われてきたのは、例えば大学卒業生が三年で三割、一回就職した者は辞めてしまうと、こう言われてきましたね。三割の人たちが、一回就職した者が辞めてしまうと言われている。これは、やっぱり自分の性格に合わない職業に就いたということで辞めるというようなことだったんだろうと思うんですが、こういったことの、やっぱり適性に対する学び直し機関としての、おっしゃったように、今度の専門職としては、学術に向かない、やっぱり物づくりとかデザインとか、これはやっぱりどちらかといえば今回の新しい専門職大学のテリトリーだろうと思う、国際社会的にもそうなっているわけでありまして。そういうやっぱり職業教育をきちっと評価できる制度に私はなっていくということで大変大きな期待が持てるのではないかと。学術に向かないそういう職業デザインとかあるいは物づくりとか含めて、そういう人たちに自信を持たせる制度になるんだと、こういうふうに思うわけであります。俗に、今まで三割の人たちが、大学を卒業して三年たつと三割が離職するとも言われていた。こういう人たちは、やっぱりもう一回職業教育学び直しをして、そして新しい知識、技術を身に付け、そして社会へ出ていくと。  これは例えば、私、ドイツやヨーロッパ、あるいはアメリカ等の視察も毎年毎年定期的にやらせていただいているんですが、まさにドイツや北欧などでは、そういう、要するに専門職大学のような制度はまさに国民学び直し機関としての機能を果たしているということなんですね。ですから、大学卒業してももう一回新たに学び直しをして、そして新たなノウハウを身に付けて、そして社会で活躍できるという制度にきちっとつながっていくということを、今度の専門職大学できればそういう機能をきちっと果たせるようになるだろうと、こういうふうに思う。  今の大学は、御存じのように、学び直し学生さんたちは国際的には十分の一以下しかいないんですね。要するに、一・何%しか学び直しの人がいない。国際社会では、ヨーロッパでは約一八%以上、二〇%近い人たちが全て学び直し学生さんたちで、常に自分をリフレッシュして、新しい知識、技術を身に付けて、そして社会で貢献できる。そういう教育機関に今度の新しい専門職大学というのはなっていく、そういう可能性は非常に高いと、こういうふうに思っているところであります。  以上です。
  27. 平川則男

    参考人平川則男君) 御質問ありがとうございます。  社会的ニーズと専門職大学の学びのマッチングの解決というのは、大変これは、先ほど言いましたように、しっかりとやっていく必要があるのかなというふうに考えているところであります。  ただ、一方で、大学でありますので学士になるわけであります。そういった意味で、コミュニケーション、その基礎となるもの、考え方、物の考え方、若しくは社会や環境との関係において自己を理解する能力であるとか、あと創造的思考力を育成するための教養教育というのもやっぱり重要でありますので、その両方をどうやって実現していくのかということが重要ではないのかなというふうに思っていますので、先ほど、最初に既存教育機関との違いを明確にするという意味を私、言わせていただきましたけど、その辺もうちょっと、もっと深く議論していかないと駄目じゃないのかなと。単純に産業界社会のニーズだけ、それも必要ですけれども、それだけではない、学士ですから、その両方を成り立たせていく仕組みというのが極めて重要ではないのかなというふうには考えているところであります。  ありがとうございました。
  28. 児美川孝一郎

    参考人児美川孝一郎君) 御質問ありがとうございます。  専門職大学短期大学をつくる場合には、当然、社会のニーズに沿った教育課程をどう担保できるかというところが重要になってくるというのは御指摘のとおりだというふうに思っております。  ただ、その上で申し上げますけれども、是非お伝えしたいことは、大学教育課程というのはなかなか変わりにくいんです。変わりにくいという意味は、例えば、今社会にこういうニーズがありそうなので新しい学部、学科つくりましょうという構想をするのに一年、二年掛かります。当然、文科省の設置審査を受けますと一年掛かります。そして、募集が始まって、ようやく受け入れてから四年間でやっと完成するわけです。その間、六、七年たちます。  でも、今の状況で社会のニーズといった場合には、もうその六、七年って待っていられるんだろうかみたいなこともありまして、だから大学学術中心で、むしろ基礎的、理論的なことをきっちりやる、そのことによって実際に現場に出たときには応用が利く、あるいは専門教育職業教育をどうしても受けなきゃいけない場合、もっと柔軟なカリキュラムが素早く組めるようなところで学ぶということの方が制度設計としてはいいのではないかというふうにも思っております。  以上でございます。
  29. 三浦信祐

    ○三浦信祐君 時間になりました。ありがとうございました。
  30. 吉良よし子

    吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。  三人の参考人の皆さん、今日は本当に様々な御意見ありがとうございます。大変に参考になっております。  それでは、私からも質問させていただきますが、まず小林参考人に伺いたいと思っております。  先ほど来言っているように、参考人のお話を伺っても分かるように、やはり若者又は学び直しを求める社会人などのニーズに応える形で展開されてきた専修学校というのは、本当に今も一定の役割を果たしている重要な教育機関だと思っております。しかし、一方で、社会的にも制度的にもその地位が決して高くないということは私も問題だと思っておりますし、だからこそ、そうした専修学校等や、その職業訓練、教育内容に対する社会評価向上というのは必要だと思うわけです。  参考人も、全国専修学校各種学校連合会としてその地位の向上というものを求めてこられたというお話は先ほど来されておりますけれども、その思いについてもう少し詳しく聞かせていただきたいのが一点と、そしてあわせて、今回制度化された場合のことなんですが、今日お配りいただいた資料の中に職業実践専門課程の認定状況というのがありまして、それを見ると、認定されているのは三割にとどまっているという言い方でよろしいのか、になっているということなんですが、じゃ、今回制度化された場合に、その専門職大学専門短大に転換できる、若しくはそれを希望している、できると思われる専修学校というのは全国でどの程度あると見ておられるのか、その辺の見解、お聞かせいただければと思います。お願いします。
  31. 小林光俊

    参考人小林光俊君) ただいまの吉良先生からの御質問でございますが、まさに職業教育社会評価を上げることに、今回は制度を、やっぱりつながっていくんだろうと、こういうふうに思っております。  今まで、やっぱり国際社会では、ほとんど専門職大学のような制度は複線型としてアカデミックラインとプロフェッショナルラインが並列化して、先進国はほとんどそういうふうになっている。日本だけ先進国の中でそういう意味でいえば教育制度として遅れていたというふうに思うんですね。要するに二条ということで、専門学校制度としては格下の教育機関というようなイメージがずっと付きまとっていたという背景があります。    〔委員長退席、理事堂故茂君着席〕  ただし、我々のような専門学校で学んでいる学生さんたちの大部分、私のところで学んでいる学生さんたちが、例えば在学生が三千五百人ほど、東京の高田馬場にあるんですが、三千五百人ほど学んで在学している学生さんたちですが、この約七五%が大卒生の学び直し機関なんですよ、としての機能を果たしているんですね。ですから、教育内容としてはまさに職業教育を求めてきているということで、職業教育が格下だというイメージは本来はないんですが、学校教育法の中ではやっぱり専修学校というのは要するに百二十四条校ということで、格下というイメージがずっと付きまとっていたということなんですね。  国際社会ではそれがちゃんと並立化している。イギリスにおいても、二十五年ぐらい前から既にプロフェッショナルスクールを含めて大学と同等にして、ヨーロッパは皆そうなってきている。日本だけが遅れてきたというようなところがあるんだろうというふうに思います。  そんな中で、今おっしゃっていただいたように、まさに日本専門学校で学んでいる学生さんたちに対してちゃんと評価を、あるいは職業教育を学んでいただく学生さんたちにきちっとした評価をしていただける制度が今度の新しい専門職大学制度だと思うわけです。  専門学校専門職大学がきちっとつながっていくような制度にきちっとすべきだと私は思っているんですね。大体、専門学校というのは、基本的には高等学校を卒業して二年課程がほとんど中心になっているわけですよね。約八割以上が二年課程ですね。それを終わった人たちが更に専門職大学の三年課程に希望者は編入学もして学んでいけるような制度になることによって、更に高度な要するに職業人あるいは専門職を育成するということにつながっていけるような制度に私はすべきだというふうに思っているんです。そういうことをすることによって、国際社会のやっぱり職業教育高度化にもきちっとキャッチアップしていける教育制度にきちっと改革ができるんだと、こういうふうに思っております。  そういう意味では、今回の専門職大学制度ができることによって職業教育そのものがちゃんとフットライトを浴びて、そして魅力付けにきちっとつながる制度だと、こういうふうに思っております。私はそういう認識で、是非この制度は実現していただきたいということでございます。
  32. 吉良よし子

    吉良よし子君 ありがとうございます。    〔理事堂故茂君退席、委員長着席〕  もう一度、確認なんですけど、この制度によって専門職大学専門短大に移るだろうと思われるその規模感というのはどの程度かというのを、短く端的にお答えいただければと思っています。
  33. 小林光俊

    参考人小林光俊君) どの程度移れるかということは、これはもう設置基準が大変厳しい制度になっていますから、ほとんど従来の大学設置基準を持ってきたような制度に基本的にはなっていますので、ここが大変難しいところですね。  ですから、専門学校って、どちらかといえば、例えば地方都市においても都市の交通の利便のいいところに専門学校って割に多くあって、そして、まさに国民学び直し機関職業学び直し機関としての機能をずっと果たしてきているんですよね。それが大学としてちゃんと位置付けられていくということで、数としては、私は最初からはなかなか、従来の大学設置基準とほとんど変わりないというようなことになれば、大変、専門学校から新しい専門職大学に移れる学校というのは限られてきているというふうに思う。  このやっぱり設置基準を少し、少しというよりかなり大幅に緩和をしていく、国際社会のように緩和をしていくということは是非求めたいと。今回の制度の中では、緩和策としては、まさにグラウンドとか体育館とか、こういうものは職業教育ですから余り必要ないというようなことにもなってきているわけですから、そこのところはかなり改善されているということであります。  しかし、やっぱり学び直し機関として、働きながらも更に自分を向上させるための学び直し機関としての機能を果たすということであれば、やっぱり都市の交通の利便性のいいところに学校として立地をしていく、それがやっぱり国際社会にちゃんとキャッチアップできる学位、ディグリーが出る、ディグリーバチェラーなり、あるいは、更にその上にマスターコースもできていくということになれば、国際社会教育とも、日本教育職業教育としてちゃんと魅力のあるものになっていくだろうと、こういうふうに思うので、是非そういうふうに先生方の御指導、御協力をいただきたいなというところでございます。
  34. 吉良よし子

    吉良よし子君 ありがとうございます。設置基準次第かなというお話だったかと思うわけですけど。  次に、児美川参考人に伺いたいのですが、参考人からは逆に、専門職大学に対する懸念として、既存大学という制度統一性を損ねてしまう危険性もあるとの指摘がありました。  そういう意味では、そうした、先ほど設置基準を緩めないと専門学校が、専修学校大学になるというのは難しいというお話もあったわけですけれども、そういう中で本当に専修学校大学化というのがこの法案によって進むのだろうかという点についての参考人の御意見を伺いたいのが一点と、もう一つ、先ほど来、学び直しという話もあるわけですけど、現時点で学び直しを希望されている社会人など、もう既に大学などでも多く受入れをしていると思われるわけですけれども、文科省の調査見ると、社会人の多くは大学よりも、まあ専修学校というのもありますけれども、大学院へ進学している例というのが多いというふうなことも聞いておるわけで、専門職大学というのができたときにそこが本当に学び直しの場となるのかという疑念もあるわけですが、その二点についてお答えいただければと思います。
  35. 児美川孝一郎

    参考人児美川孝一郎君) 御質問ありがとうございます。  一点目ですが、確かに設置基準次第ではありますけれども、そのことは、そもそもこの今回の制度大学という制度の下に置こうとしていることの矛盾というかジレンマだと思うんですね。既存大学並みにしてしまうとなかなか転換できる専門学校さんはそんなに多くないということに恐らくなるでしょうし、じゃ、大胆に規制緩和をして基準を緩めるとそれは大学制度なのかという逆の問いが出てきてしまうので、そこら辺の難しさが現れているのかなというふうに思います。  二点目の学び直しの点でございますが、既存大学でも社会人の受入れは一生懸命やっておりまして、ただ、ピークはやっぱり十年ぐらい前でしょうか、その頃は私の勤めている大学でも社会人入学枠で入試をするとかなりの受験者が来て、そして合格されて学ぶということがありましたけれども、現状はだんだんだんだん大学院の方が社会人の方のニーズ高まってきているということもあります。  ただ、既存大学社会人学び直しを受け入れられないということではございませんので、そこは工夫次第だと思いますし、ニーズのあるところには対応していかなければいけないというふうにも考えております。  以上になります。
  36. 吉良よし子

    吉良よし子君 児美川参考人にもう一点伺いたいのですが、先ほどお話もあったかとは思うんですが、本法案では産業界等との連携ということで、教育課程の開発、編成などについても産業界連携していくというお話があるわけですけれども、確かに先ほど来あるように、諸外国では職業訓練セクターと産業界とが結び付くことによってその卒業後の出口を確保するなど、そうした体制を確保してきたという実績もあるという話も聞いているわけですけど、先ほど来のお話聞いていると、そういう産業界との連携という意味でいえば、専門職大学である必然性はないのではないかというところも考えられるのですが、参考人も本法案への懸念として、産業界の要請に応答していく上で大学の自主性、自律性損なわれるという点の危惧も示されたわけですが、その点、もしよろしければもう少しお聞かせいただければと思っております。
  37. 児美川孝一郎

    参考人児美川孝一郎君) 御質問ありがとうございます。  産業界との連携はもちろん必要ですし、きちんと大学としての応答責任を果たしていくということも大事だと思いますが、ただ同時に、先ほど教育課程の話も申し上げましたが、大学というところがどういう形できちんと責任を果たすのかという果たし方は、恐らく諸外国の職業訓練のセクター、先ほどからの話でいいますとプロフェッショナルラインの方でやっているような形で果たすというのはなかなか難しいのではないかというふうにも考えておりまして、かつ、それを果たそうとすると、今度は大学としての本来の在り方としてどうなのか、自主性、自律性はどうなのかという点も出てきそうですので、なかなかそこら辺が悩ましいということを先ほども申し上げたつもりでおります。  以上です。
  38. 吉良よし子

    吉良よし子君 ありがとうございます。  私自身の話をしますと、私は就職氷河期世代でして、数十社回っても内定一社しか取れなかったという実体験があるわけです。だからこそ、今回、高等教育段階職業教育支援していくということは本当に重要な課題だとは思っているんですけれども、そういう意味では、今ある高等教育の学びとはどうあるべきなのか、職業との接続部分はどうあるべきかという、そういうところの議論というのは本当に必要だと思うわけです。  とりわけ、様々な事情から社会へ出ていくことに困難抱えている若者は多いわけですし、不本意ながら非正規雇用という方もいる、正社員でもブラック企業で働く若者も少なくないという状況の中で、本当にそうした若者を支える大学や、それに準ずるというか、それと同等の高等教育機関専修学校も含めたところでの学びというのはどうあるべきかというところは重要な課題だと思うわけですが、その点について、最後、児美川参考人、そして平川参考人も様々そうした学びというところもお話しされていたかと思うので、その点、伺わせていただければなと思っております。よろしくお願いします。
  39. 児美川孝一郎

    参考人児美川孝一郎君) 御質問ありがとうございます。  今、若い人たち社会に出ていくときの状況というのは、本当に議員御指摘のとおりでございます。なかなか厳しいところもありますし、そのためにはそれなりの準備をして、自分の中にある種の、言い方は悪いですけれども、ある種の武装をした上で出ていかないとなかなか大変だと。そのときに、私自身の考えでは二つあると思っております。  一つが、今回のテーマになっております職業的な能力あるいは専門的な能力。やっぱりこれが自分の強みだというものを持っていなければ、なかなか今のような状況の中できちんと働いていくということは大変ですし、また、一旦働いたところから次に転換するみたいなこともそうだと思いますので、職業教育専門教育のところが一つ軸になる。そこがきちんとできることがあります。  ただ、もう一つ、それだけではなくて、今御指摘のように、非正規雇用の方々がなかなか厳しい状況で働かざるを得ないですとか、あるいは正社員になったとしてもブラック企業のところがあっていろいろ問題があるということであるとすると、そういう現実に対してもきちんと身を守っていく、あるいは、必要なことについては、それは違うんじゃないか、おかしいんじゃないかと声が上げられる、仲間と一緒に現実を変えていけるというようなところもあると思いまして、それは先ほど平川参考人がおっしゃった労働教育ですとかワークルール教育も含めて、ある意味での本物のキャリア教育みたいなところと、その二本柱が今どきの専門学校を含めて高等教育機関には必要かなというふうに思っております。  以上でございます。
  40. 平川則男

    参考人平川則男君) ありがとうございます。  本当に、大学若しくは高校を卒業してからの就職の問題、そしてその先の雇用の問題というのは、深刻な問題だというふうに認識をしております。現在、たまたま労働市場が切迫をしているという状況の中で、一方で、さらにまた少子化の中で働き方改革が迫られているという状況の中で、このチャンスを生かしてしっかりと雇用の問題の解決について進めていく必要があるのかなと思っています。  雇用の問題の話になりますけど、例えば三六協定は、今の働き方改革が法案化されれば、三六協定締結していない場合はそれで超勤させればそれは罰則付きの犯罪という形になります。そういった意味で、一方で強制力をそういう枠組みで強化をしていくということも重要でありますけれども、一方で社会全体が働くことに対してのルールということをしっかりと押さえていくという、そういう社会的な共通理解というものも重要ではないかなというふうに考えているところであります。  そして、この今回の大学の話になりますと、やっぱりその職業能力の強みというのをしっかりと生かしていけるよう、手に職が付いたということに対してのその強みをしっかりと生かしていくことが重要だというふうに思います。  先ほど言ったように、この選択が逆に弱みになってしまわないような、ことにならないようにしっかりと慎重な議論というのが重要だ、必要だというふうに思っているところであります。  以上でございます。ありがとうございました。
  41. 吉良よし子

    吉良よし子君 ありがとうございました。
  42. 高木かおり

    高木かおり君 日本維新の会の高木かおりでございます。  本日は、貴重な御意見を本当にありがとうございました。  早速質問の方に入らせていただきたいと思います。  まず、小林参考人にお伺いをしたいと思います。  今日の御発言の中にもございましたし、中央教育審議会特別部会の方でも、我が国のアカデミックラインに並立して実践的な職業教育の体系としてプロフェッショナルラインの柱を確立して、複線型の教育体系を構築することが大変重要だということをヨーロッパの事例なども挙げられておっしゃっておられたかと思います。先ほども、ドイツなどヨーロッパの方へも、視察の方へも行かれているということでございました。  このドイツでのデュアル教育システムのメリット、デメリットにつきまして、やはり今、日本での文化の違いもあるかと思います。そういった中で、日本に果たしてこういったことが根付いていくのかということも含めてお聞かせいただきたいと思います。
  43. 小林光俊

    参考人小林光俊君) ありがとうございます。  高木先生から今御質問ありましたが、私はドイツへ何回か、ここ数年、定点観測的にドイツの高等教育機関、特に職業大学を視察させていただいているんですが、おっしゃったように、例えば一つの例として申し上げますと、ドイツのケルンにありますケルン・カソリック応用大学という大学があります。ここはまさに学び直し機関としての大学というイメージを私持ったんですが、まさに、学んでいる学生さんたちの平均年齢は幾つですかと聞きましたら、三十四歳だというんですね。ほとんどがすなわち学び直し学生さんたちだと。これはケルン市内のケルン駅から、市内の中にある、非常にある意味では交通の便のいいところにある大学で、学び直し機関としての機能を果たしているということです。ですから、日本大学とはかなり違う。平均年齢がまさに三十四歳ということであります。  したがって、ここでは我々と同じような保健、医療、福祉の専門社会福祉等の専門職を養成をしている大学ということでございましたが、四学科ぐらい社会福祉系の学科を持っている大学でありましたが、そういう、平均年齢とすると日本大学とは全く違う学び直し機関としての機能を果たしている大学だという認識を持ったわけであります。  私どもの、じゃ、その機能をどこがどう果たしているかというと、職業教育でいえば、私の資料の七ページにあります下の円グラフの資料を見ていただくとお分かりのとおり、大学院の社会人の入学者からずっとありまして、この紫のところ、専修学校の入学者のうち就業している者がすなわち一万五千百九十九名と、こう出ていますね。それから、一番下に専修学校の附帯教育事業というところで四万七千、これが一番大きい。これはほとんど学び直し学生さんたちだということです。附帯教育、私どももそういう意味でいえば、学んでいる学生さんの三千五百人ほどの七五%ぐらいがまさに大学卒業生学び直し機関なんですよ、としての学生さんたちと。これは東京の高田馬場中心にありますので、そういう学生さんが多いということです。そういうのは、今まで専修学校専門学校の言わば附帯教育として学び直し機関、あるいは学科もそうですよね、学科の一部もそういうことで果たしていると、それが日本の形。  今度、この新しい専門職大学ができることによって、学位もちゃんと取れるということになると大きな魅力になるし、そしてドイツや欧米と同じように肩を並べた職業教育機関としての高等教育という位置付けになるということで、私としては是非この制度は進めていただきたいと、こういうふうに思っているところであります。  以上です。
  44. 高木かおり

    高木かおり君 貴重な御意見、ありがとうございます。  実は、私も十歳の頃にまさにドイツのケルンに住んでおりまして、そのときちょうど、キャリア教育といいますか、アカデミックラインとプロフェッショナルラインにちょうど分かれるような時期でして、ドイツではすごく、日本ではちょっと考えにくいんですけれども、まだ幼い時代にそういったところで分かれていくというような教育システムだったかと思います。  そういったドイツの教育システムの中では、そういった小林参考人がおっしゃったような学位を持って学び直しというものがその社会全体で認められているというような状況だと思うんですけれども、少し重ねて御質問させていただきたいんですが、そういったことを目指して今回の法改正ということもあるのかも分からないんですが、そのドイツに何度も行かれている御経験の中で、日本でそういうことが根付いていくのかどうか、率直な御意見お願いいたします。
  45. 小林光俊

    参考人小林光俊君) ありがとうございます。  今、高木先生おっしゃっていただいたように、今回のこういう制度ができることによって、私は、高等教育として正式にと言っちゃおかしいんですが、要するにディグリー制度にのっとった職業教育高等教育機関がきちっと誕生することによって、そこに今の我々のやっている専修学校専門課程がちゃんとつながるようになっていくということで職業教育全体が魅力のあるものになっていくだろうと、こういうふうに思っております。そういう意味では、非常に今回の制度は私は意義があると、こういうふうに思っております。  ドイツは、ドイツのいろんな都市へ行きましたが、地方産業の衰退というのは余り起きていないんですね。日本みたいに、要するに地方産業の空洞化、地方の空洞化というのは起きていない。これはなぜかというと、やっぱりドイツはそういう職業教育高等教育としてきちっと地域地域にあって、それがきちっと発展をしているということで、地方産業の空洞化というのは起きていない。そこで地方に必要な人材をそこの教育機関が、まさに応用大学のような、要するに今度できる専門職大学と同じような制度が、ちゃんとそこで地方に必要な人材養成をしていることによって地方活性化がきちっと保たれているというのが私はドイツやヨーロッパを見て感じたことです。日本もようやくそういうことになっていくのかなというふうに思って期待をしているところです。  以上です。ありがとうございます。
  46. 高木かおり

    高木かおり君 ありがとうございました。  それでは、続きまして平川参考人に伺いたいと思います。  先ほど来も出ておりましたけれども、今まででしたら、将来何をやりたいかも決まっていない、取りあえず大学へ行こうと、そういった学生さんも多かったように思います。現在は、そのようなことでは将来設計は成り立たないというような時代になってまいりました。非正規雇用を余儀なくされる現状を目の当たりにしなければならない中で、今回の法改正は改善策になるとお考えでしょうか。率直にお願いいたします。
  47. 平川則男

    参考人平川則男君) ありがとうございます。  御質問のとおり、取りあえず大学に行こうという方がかなり多いんじゃないかなというふうに思います。そういった意味で、明確に目的を持って、こういう職業に就きたいという明確な目的を持って大学に行けるということは、これはその選択肢が広がる可能性があるということについては率直に評価をしたいなというふうに思っているところであります。  ですから、その中身が、カリキュラムがどうなっていくのか、大学の目標はどうなのか、その後の雇用への接続はどうなっていくのかというのを明確にしていく必要があるのではないかなというふうに考えております。  以上です。
  48. 高木かおり

    高木かおり君 続きまして、改善策になっていくであろうと期待をしていただいているということなんですけれども、少し観点を変えまして、企業におきまして女性の活躍を支援するという意味でも、先ほどから学び直しということが出ておりますけれども、私はこの女性の活躍の後押しにも今回の件はなるのではないかというふうに考えておりますが、その点について御意見ありますでしょうか。
  49. 平川則男

    参考人平川則男君) ありがとうございます。  女性の活躍ということにつきましては、一つは、学び直しという観点でいいますと、これ申し訳ありません、資格の問題にどうしても私の場合はつながってしまいまして、例えば一人親家庭、比較的、一人親家庭の中で女性の方が多いんですけれども、やはり看護学校へ行って、そこで資格を取り、それが就職につながるという例は大変多いのではないかなというふうに思っているところであります。  そういった意味で、まあ女性だけじゃありませんけれども、女性がより就業率を高めていく、女性がしっかりと安定した職につなげていくということについては、現状においても看護系の学校においてもそれぞれ実現されていることであります。それがより幅広く、学び直しによって、看護だけじゃなくて様々な職種に広がっていくと、それが社会的に評価を受けるような資格であったり技術であったりというのが認知をされていくということに関していえば、やはり女性の活躍の場を広げていくということに関しても、そういう方向についても資していくのではないかなというふうに考えております。
  50. 高木かおり

    高木かおり君 ありがとうございます。  それでは、最後に児美川参考人に伺いたいと思います。  児美川参考人は、法政大学でキャリアデザイン学部が誕生し、設立以来教壇に立っていらっしゃるということで、このキャリア教育研究の先駆けということでいらっしゃいますけど、日本のキャリア教育というのは夢追い型教育というふうに御指摘されておられると思います。その点からも、やはり今回の法改正にも疑問を投げかけられているのかということでございますが、先生の、仕事に対しての社会貢献という観点が今抜け落ちているのではないかというふうにおっしゃっている文献を読ませていただきましたが、その点について少し御見解を伺いたいと思います。
  51. 児美川孝一郎

    参考人児美川孝一郎君) 御質問ありがとうございます。  日本のキャリア教育のことを最近研究しておりまして、その中で御指摘のようなことを申し上げたことはあるんですが、例えば学生やあるいは高校生、中学生ぐらいに、人は何のために仕事をすると思うという質問をしたときに、大学生でもそうなんです、残念ながらそうなんですが、一つ目の理由はもちろん賃金を稼ぐため、もちろんそれは大事なことです。二つ目が自己実現のため、仕事を通じて自分が輝きたい、そこまでは思い付くんですけれども、普通、人はなぜ働くかということを考えるときに、職業社会学なんかでもそうなんですが、三つ目がありまして、当然、社会参加社会貢献という、仕事を通じて人は社会参加して、そこに貢献していくわけですので、そういう発想があるかというと、なかなか今の若い人たちにないんですね。  そして、日本のキャリア教育も、今、始まってから十年ちょっと以上、十年ちょっとですか、たっておりますけれども、当初はやっぱり、あなたの夢は何、やりたいことは何ですかというところでずっと迫ってきましたので、夢追い型という名付けがいいかどうかは別として、そこが随分前面に出てしまっていて、むしろ、社会に出てきちんと役割を果たす、自分は、じゃ、こなせる役割は何なんだ、自分が貢献できることは何かという、そういう発想が弱かったということは感じておりまして、それは今後のキャリア教育等々においては非常に大事なことだというふうに考えております。  以上です。
  52. 高木かおり

    高木かおり君 以上です。ありがとうございました。
  53. 木戸口英司

    木戸口英司君 希望の会(自由・社民)、自由党の木戸口英司でございます。  今日は、三人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。  それでは早速、小林参考人からお伺いをいたします。先ほど来議論のあるところでありますが、少し重ねての質問になるかもしれません。  まずは、現在の専門学校の在り方ということについてであります。  教育再生実行会議第五次提言で、高等教育機関職業教育をということが最初言われたわけですが、ここで、専修学校専門課程が必ずしも適切な社会評価を得られていないということを断じているということ、そこからだったと思います。その中で、先ほど小林参考人もおっしゃっておられました、今回の大学として設置される中で、一つこの職業教育というものが大きく評価を上げていくのではないかと、底上げにつながるのではないかと、そのことは十分理解するところでありますが、一方、大学へということの数もそれほど多くないのではないかということ、そういう中で、専修学校の底上げというものをしっかりと見ていかないと、むしろ二層化、そして大学も含めると三層化がはっきりしてくるのではないかという懸念もいたします。  その中で、今年の三月、これからの専修学校教育の振興のあり方についてという、これ国からの報告が出されておりますけれども、この中身を見ますと、どうもその現状認識をなぞるようなものであって、専修学校改革に踏み込んだものになかなかなっていないのかなという印象も持ちます。もちろん、自主性、自律性というのは大事ですので、余り国からの介入ということも、これもよしとしないところでありますが、そもそも、やはりこの専修学校の底上げということ、このことのお考えをまずはお聞きしたいと思います。お願いいたします。
  54. 小林光俊

    参考人小林光俊君) ありがとうございます、木戸口先生。  まさに、専門学校の底上げも大変重要な課題だというふうに思っております。学ぶ学生たちに、区別、差別ということではなくて、やっぱり共通に国の支援としてちゃんと対応していただくように、本来は国際社会、どこでも大体できているんですね、先進国は、特にヨーロッパを中心にですね。日本がそういうふうになっていなくて、まだ専修学校はやっぱり百二十四条校ということで、一条校と比べて区別、差別がされているという現状です。  これは本来は是非変えていっていただきたいことの一つだというふうに思うんですが、取りあえずは高等教育の方の専門職大学制度が今回できることによって、まさに職業教育に大きな魅力、フットライトが浴びれるようになるという意味で私は大変評価をさせていただいているというところであります。  そして、今先生おっしゃっていました専修学校の底上げに関してのあり方検討会ではまだ踏み込んでいないという御指摘もいただきましたが、今の制度の中ではやっぱり百二十四条校ということでどうしても格下に見られるというところが大変厳しいところでありまして、やっぱり一条校で学んでいる学生さんたちと同じようにいろんな制度において同等にちゃんと評価していただけるように、是非この文教委員会先生方の御指導をいただいて、本来はそういうふうに国際社会と同じように変えていただく、そういう時期に来ているんだろうと思うんですね。それが一つ。  そして、今回の新しい専門職大学ができることによって、職業教育というのは、国際社会からも日本職業教育魅力のあるものになるということは私は間違いないと思っている。その意味において、私は専修学校の代表でありますが、今回の新しい専門職大学制度化ということには大いに評価をし、これに期待をしている。そして、これは同じく職業教育を学ぶ人たちにとっても大変魅力のあることになるんだろうというふうに思っております。  そして、設置基準を一部やっぱり弾力化していただくことによって、専門学校からやっぱりちゃんとその新しい専門職大学にくら替えをしていくという学校がある程度の数をきちっと確保していかないといけないだろうと、こういうふうに思っております。少なくても私は、やっぱりこの制度ができて三年以内にできれば百校程度、あるいは制度ができてから三年ぐらいで百校程度できれば理想だと思うんです。少なくても半分、五十校以上は是非できるべきだと、各県に少なくても一校程度は配置できるように是非先生方の御指導、御協力もいただきたいなと、こういうふうに思っているところであります。
  55. 木戸口英司

    木戸口英司君 ありがとうございます。  もう一点お聞きしたいと思います。  産業界企業との連携ということが言われております。これはもう、もちろん既に専門学校において企業産業界との連携ということは様々行われていると思っております。私、岩手なものですから、岩手における専門学校も本当に一生懸命頑張っておられる、就職も非常にいい数字を残しておられると思っております。  その中で、しかし、地方創生ということが最近の大学改革の中で強く言われておりまして、特にこういう産業界との連携ということは国立大学においても私立大学においても強く言われ始めているという中で、特に地方において、様々な業種、産業があるわけですけれども、一つ地場といいましてもなかなか大きいこれというもの、残念なことでありますけれども、そういう中で、これを、産業界との連携、また民間資金も活用しということも強く言われております。  そういうことを模索していく中で、非常に、専門学校専門性といいながらも様々汎用的な教育をしながら様々な就職機会を得ているんだろうと思うんですが、むしろ単線的な形、複線的なところからむしろそういう形が強まってくる、それと企業との連携ということが本当に現実的であるのかと、大学設置していく中で、そういう特に地方においてということ、そういう懸念がないか、それは私の杞憂なのか、小林参考人の御意見をお聞きしたいと思います。
  56. 小林光俊

    参考人小林光俊君) ありがとうございます。  まさに、何というんでしょう、地方創生というのは私も大きなやっぱりテーマの一つだというふうに思っています。ここ二十年ぐらいで、日本においてはやっぱり地方産業の空洞化というのは激しく起きてしまった。これはどうして起きたかという背景を考えれば、これは僕は大きくは三つあるというふうに思っているんですが、一つは、残念ながら政策のミスマッチの連続であったということが一点ですね。二つ目は、その延長上で、極端な円高を是正することができなかった、過去においてですね。円がやっぱりドル評価で七十円とか八十円じゃ、国内で何を生産しても国際社会では勝負にならないということで、日本産業が全部海外へ出てしまって、そして地方産業を含めて空洞化してしまったということが大きな問題。  その原因が何かといえば、一つはやっぱり職業教育というものを軽視をした。この例えば四分の一世紀の中で、大学卒業生の数は二倍に増えている、あるいは大学生の数も二倍以上に増えているんですね。それは先ほども申し上げましたが、私学が圧倒的に増えているわけですが、私学生の数を含めて、まさに二倍以上にこの四分の一世紀で増えているが、私学支援ということでいえば全く増えていない。ですから、中身のない教育をしていた、だから国際社会から日本大学はレジャーランドだなんというような悪い批判を浴びるようなこともあったというのは過去の問題だろうと思う。  これをやっぱり是正する制度にも今回の制度はつながっていくことだ、大学の見直しにもつながっていくことだと、こういうふうに思う。そういう意味で、産業界連携というのはやっぱり私は職業教育として重要なことだと、こういうふうに思っております。  今、専門学校でも、今から三年前に職業実践専門課程という大臣認定にしていただいて、産業界連携をして、そして教育評価をきちっとしていく、教育成果の評価をしていく、それを公表していくという制度もスタートして今年で四年目。これからその成果がきちっと見られるようになってきているというのは一つあります。それは、まさにこの新しい専門職大学ができる一つの先行的な事例として、文部科学省で設定をしていただいた制度ということでございます。これも大きく機能をしていくだろうと、こういうふうに思うわけでありますが。  やっぱり基本的には、私は、日本の高度経済成長というのは、まさに物づくりを含めて、職業教育が一時は高度化して、少なくても専修学校制度ができて四十二年ということでありますが、その前は、各種学校時代はほとんど、各種学校職業教育を学んでいる人たちが百三十万人以上ずっといた時代がある。その人たちが、まさに日本の高度経済成長をきちっと支えてつくってきたという背景がある。これはほとんど職業教育を受けていたんですね。その子弟がみんな大学大学へということで大学へ行くようになって、そして、この四分の一世紀は日本がほとんどGDPが増えないというようなことがずっと続いてきて、ようやくここへ来てGDPが増え出してきたということだと思うのね。  そういうことにもきちっとつながっていることだと思う。そういう意味においても、私は、今回の制度等ができることによって職業教育あるいは専門学校の底上げにもつながっていく制度になる、職業教育全体の魅力が高まることによって、地方においても学び直し人たちに対する、まあこれは財政的な支援も必要ですけれども、そういうことをしていただくことによって日本職業教育あるいは専門性というものは更に高度化されて、国際社会にもちゃんとキャッチアップし、国際社会、特にアジアの職業教育ハブ機能専門学校専門職大学制度連携をしてちゃんと果たせるようになっていく、あるいは既存大学も含めて、こういうことによって変わっていく大きな契機になるんであろうと、こういうふうに思っております。
  57. 木戸口英司

    木戸口英司君 分かりました。ありがとうございます。  それでは、平川参考人にお伺いいたします。  実はこれ、地元の新聞で五月一日に出たんですが、県内短大専修学校、増える県外就職という記事が出まして、この理由は五輪需要で首都圏へということなんですね。非常に地方とすれば残念なことなんですが、一つの大きな流れでもあろうと思います。人口流出は一定の数で増えるわけではなくて、そのときの国の政策によってかなり幅があるということが言われております。地方創生地方でも一生懸命取り組んでいるところでありますけれども、やはりこういう学生の就職のまた自由ということもこれあるんだろうと思いますし、こういった中で、まず今の地方創生ということの政策連合さんでもいろいろ提言もされているんだろうと思うんですが、今回の大学、そして就職という観点で何か御提言があればお伺いしたいと思います。
  58. 平川則男

    参考人平川則男君) ありがとうございます。  私も北海道出身でございますので、北海道の中でも札幌集中が激しくなり、ほかの地方都市はなかなか人口流出が続いているというふうな状況があるのかなと思っております。  そうした中で、各大学においては、私立の大学はなかなか運営が厳しいということで、私立の公立大学化も一方で各地方で進められているのかなと思っています。その是非は、その評価は別にしても、やはり地域にある大学位置付けというのはかなり重要でございまして、大学があることによって、そこに様々な知識や関わり、運動が集中するというふうなことがあるのかなと思っています。  そういった中で、地方創生については本当に連合としても大変重要な取組だというふうに考えているところであります。その中で、やはり今までもずっと各地域においては様々な、地方創生制度の取組が始まる前から様々な工夫がされてきているというふうなことでありますけれども、やはり雇用の問題、雇用をどうやって拡大していくのかというのがやはり最大の問題でありますし、その中でも地場産業がより魅力的なものにしていく必要があるのかなと思っているところであります。  いわゆる賃金の格差というのが一方でやっぱり大きいと思いますね。やはり北海道と関東近辺ではかなり最低賃金の差もありますし、それ以上に実質的な賃金の格差がありますので、その賃金格差ということについてもしっかりと意識、格差について、地方は首都圏に追い付いていくというふうな努力というのも一方では重要ではないかなというふうに思っているところであります。  地方創生時代は大変重要だというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  59. 木戸口英司

    木戸口英司君 時間になりましたので児美川参考人にはちょっとお聞きできないでしまいましたが、資料を読ませていただいて、大変共有する部分は私も多いと感じております。じっくりとこの資料を読ませていただいて、勉強させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  60. 松沢成文

    ○松沢成文君 無所属クラブの松沢成文と申します。  今日は、三人の参考人先生方、ありがとうございます。  私は最後なので、大くくりの質問をしたいので、お三方それぞれにちょっと御意見を伺いたいのですが。  大きな改革をするときには、やはりスクラップ・アンド・ビルドが必要だと思います。時代の要請に合わせて新しい制度を導入するのであれば、もう時代に合わなくなった古い制度を廃止するとかやめるという改善も一緒にやらないと、やっぱり古い制度には既得権がみんな付いちゃっていますから、新しい制度は導入するけど古い制度を崩せないとなったら、これ改革も十分に進んでいかないわけですよね。そういう観点から、今回の専門職の大学を新しい制度として導入するということは私は時代の要請として必要なんだと思います。そういう意味では、総論としては賛成なんですね。ところが、じゃ、日本で今いろんな高等教育学校があるけれども、もう時代に合わなくなってしまっているのに、まあずっと長く続いてきたので廃止はできないからというのもあるんじゃないかというふうに見なきゃいけないと思っているんです。  それで、ちょっとあえて、これ関係者もいるので皆さんなかなか発言しにくいかもしれませんが、日本には短期大学という制度がありますよね。これ、できたのは五十数年前ですから、ちょうど戦後がようやく終わって高度経済成長期に入る頃ですね。主に、総合大学ではなく短期で行くわけですから、どちらかといったら女子教育のために、まあ学問もこれからの時代は必要なんだと、でも、そんなに女子に長い間勉強してもらってもなかなか、おうちも財政力もあるので困るので二年間ぐらい、それでどうかいいところに就職して、そこでいい旦那さんを見付けて幸せになってほしいというようなところで、私のイメージですけどね、短大というのは何かそういう社会背景の中で誕生してそれなりにずっと続いてきたんだというふうに思います。  ただ、この短期大学の目的を見ると、深く専門の学芸を教授研究し、職業又は実際生活に必要な能力を育成することとなっているんですね。僅か二年間の間で深く、何というんですか、専門の学問も探求しながら職を身に付けたり実際生活に役立つものも勉強するって、なかなか、もう今の時代社会が相当複雑化していますから、難しいと思うんです。  今回、専門職大学ということで、学位を与えるしっかりとしたプロフェッショナルラインですか、こういう人たちを複雑化する産業構造の中でもしっかり対応できるように育てていこうというのをつくった。つくったのであれば、私は、この短期大学からこちらに移行するのも多いと思いますが、短期大学も大分経営苦しいところもあると思います。先ほど、児美川先生の発言の中にはかなり成功して頑張っているところもあると聞きましたが、もう私は短期大学がこの社会の中で大きな役割を果たせる時代ではなくなってきているという認識を持っているんですね。  それぞれ皆さんの専門の分野と関係するところでありますから、また短期大学の方も恐らくそういう団体があるのでなかなか言いにくいところあるかもしれませんが、私は、この高等教育の中で、新しいものをつくるのであれば古いものは廃止していくというスクラップ・アンド・ビルドもやらない限り、ずっと既得権があるものを引きずりながらやっていっても、そこでまた新たな競合が始まったりしてしまうんじゃないかと思うんですが、この短期大学の在り方についてはいかがお考えでしょうか。どちらからでも構いません。
  61. 児美川孝一郎

    参考人児美川孝一郎君) 御質問ありがとうございます。  私自身が勤務しているのは四年制大学ですので、短期大学がどうのというのはなかなか言いにくいんですが、研究的な目で見てということで申し上げますが、一つ短期大学、もうくくれないというふうに思っていまして、例えば看護ですとか保育の分野等々では立派な職業教育をやっていて卒業生もきちんと就職していくというところも当然学部レベルでも大学でも残っていますし、でも他方で、じゃ、人文系、文学部だったり家政系だったりというところでなかなか募集も困難でというところが出てきているのは事実ですので、くくるのではなくて後者の方をじゃどう考えていくかみたいなところが一つのポイントなのかなというふうに思っておりまして、ただ、現実のそういう短期大学さんどうされているかというと、もう入学時点で大体二つのコース分けていて、一つが就職を目指す子たちがそれなりの訓練をする教育コース、もう一つが、他大学ないし自分の大学、四年制持っている場合ですけれども、編入を目指すコースなんですね。実際上、編入が相当出ています。  それについて高等教育論の方では、短大というのは短期の高等教育ですので、ある意味でのファーストステージなんだ、そこで完結するのではなくて、そこで学んだことを生かして更にセカンドステージのところに進めばいいという議論もありますので、単純にスクラップすればいいというふうに言うつもりはなくて、短大をベースにしてその次をつなぐということができるのであれば可能性もあるかもしれない、だけど、それもなく何もないのであれば、おっしゃるように、今の時代状況からしてどうなんだろうかという側面も当然あるだろうというふうに思っております。  ですので、結論的に言うと、細かくきちんと腑分けをして議論しなきゃいけないかなということでございます。  以上です。ありがとうございます。
  62. 平川則男

    参考人平川則男君) 大変難しい御質問で、連合がこれについて何かを語るというのはなかなか難しいところがあるのかなと思っております。  私も、短期大学につきましては、特に保育分野については相当優秀な保育士さんを養成してきた歴史がございますし、大きな役割を果たしてきているのかなというふうに思っています。短期大学も二年だけじゃなくて、三年というところでいえば看護というのもありますので、やはり専門職をしっかりと世の中に出していくというふうなことでいえば大きな役割を果たしているというところであります。  それが制度的に今日の状況とマッチングしないというふうな問題がありましたら、しっかりと移行措置みたいな形を、そういう社会資源を活用しつつ移行措置というのも一つ考え方としてあるのかなと思っています。
  63. 小林光俊

    参考人小林光俊君) まさに今先生おっしゃったように、短期大学もかなり時代に対して変わってきているのは事実だろうと思います。おっしゃったように、昔は女子教育中心で、良き家庭人を育成するということが大部分でありまして、今、一部はやっぱり職業教育に切り替えたりされている短期大学も多いわけですけれども、私は、短期大学短期大学制度として、これはこれでやっぱり一つのニーズはあるんだろうと思います。  それはそれとして、今度のその専門職大学短期大学の関連どうなるのかと。我々、先ほど大島先生からもお話がありましたが、短期大学と例えば新たな専門職大学連携をして人材養成をしていくというようなことも考え方としては私はあるのではないかと。法人同士連携をして、そしてよりいい人材養成をきちっとしていく制度として、そういうことも大胆に組み替えるようなこともあってもいいんではないかというふうに思っております。  特に専門学校は、今までやっぱり高卒生の二年課程が量的に多かったから、どうしても短期大学とバッティングするところがかなり多くあったということであります。ですから、短期大学さんは専門学校学生を取られるというイメージを一部はお持ちだったかもしれませんが、これは社会のニーズにやっぱり合った教育を展開をしていくという意味においては、私は短期大学短期大学の機能としてこれはこれで必要だろうというふうに思うし、またそれはそれでその機能を果たしていただければいい、そして今度の新しい専門職大学に移行をされる短期大学もたくさん出てきてもいいんではないかと、こういうふうに思っております。そして、専門学校の側も、やっぱり職業教育高度化していく上において中心的な役割を新しい専門職大学制度の中できちっと果たしていくというふうになるのが理想的だろうと、こういうふうに思っております。
  64. 松沢成文

    ○松沢成文君 次の質問は、先ほど木戸口先生が地方創生部分で質問した関連なので、それには平川先生はお答えになっていますので、児美川先生と小林先生にお聞きしたいんですが。  やはりこの新しい大学ができると、少し政策的にサポートしない限り、また東京一極集中あるいは大都市圏一極集中が進んでしまうんじゃないかという危機感を私すごく持っているんですね。今どんどん地方が廃れて、人が増えているのは東京圏のみです。そのいろんな、もちろん企業が集まってくるとか情報が集まってくる、そこに人が集まってくるってありますが、そのうちの一つに、やっぱり高等教育機関大学、特に総合大学として多くの学生を集めたいとなったら大きな市場がないと困るわけですね。ですから、やっぱり大都市圏に出したいと。また、地方高校卒業した若者はもちろん都市へ、大都市にも、東京にも憧れますし、それからまた、お金がある子、あるいは優秀な成績な子は行きたい大学なんというのは首都圏にしかないんで、みんな一言で言えば東京に出ていってしまう。だから、大学の首都圏集中というか大都市集中がもたらした東京集中、東京一極集中というのが一つ私はあるんじゃないかと思っているんです。  それで、今回こうした形で職業学校、でも、やっぱり資本力がある学校というのは大都市圏に多いですよね。また、生徒を集めやすいというのも大都市圏ですよね。ですから、何も併せて政策を打たないで単に職業専門大学をたくさんつくってください、やりましょうとなると、ますます大都市圏への集中が進んでしまって、逆に言えば地方が廃れてしまう、過疎化の原因になってしまうということもあり得ると思うんです。  さあ、そこで、それをもう少し政策によって大学をある意味地方にもどんどんつくってもらえるようにするには、やはり地方産業との連携、あるいは地方自治体との連携というのが非常に私、重要になってくると思います。ただ、大学ですから、先ほど児美川先生がおっしゃったように、学問の自由、研究の自由というのがありますから、余り大学の運営に対して政策的にああしなきゃ駄目だ、こうしなきゃ駄目だ、こういう条件を付けろと言うのはよくないことですけれども、私は、このままではますます大学学生たちも大都市圏集中が進んでしまうと思う。  ですから、逆に言えば、一つ提案があるとすれば、例えば地方自治体もこの専門職大学の運営にかんでもらうとか、あるいは地方の経済団体、商工会議所とか、もちろん先生方の何割は現場実践がなければいけないとか、あるいは企業での研修の時間も組み込まれるわけですので、そういうところの連携をしっかりやって地方で学んで地方で働く、こういう形をつくっていかないといけないと思うんですが、児美川先生、小林先生、御意見はいかがでしょうか。
  65. 児美川孝一郎

    参考人児美川孝一郎君) 御質問ありがとうございます。  確かに地方の問題は深刻な問題だと思いますし、今回の制度が、ただ単に仮にできた場合に一番危惧するのは、先ほどおっしゃられた先生がいらっしゃいましたが、既存大学、そして専門職大学専門職大学にはなれなかった専門学校というような三層構造ができてしまって、なれないところは恐らく地方の都市、小都市にあるような専門学校さんでしょうから、そういうところがますます顧みられなくなるみたいなことが一番危惧されるところですので、そうならないような仕組みみたいな、もしこれを制度化するのであれば、そうならないような仕組みをどうつくるかということが大きな課題になるんだろうなというふうに思っております。  そのときに、だからどう考えるかなんですけれども、専門職大学ないし短期大学という制度に飛び付くのがいいのか、いや現状でも頑張っている地方専門学校はいっぱいあるんです。でも公費の助成はほとんど行っていないわけですね。そこをまず充実すべきじゃないかとか、あるいは現状でも、そういうところは地域自治体や地域の経済団体さんとも連携しながらやられているので、そこが連携しやすくするようないろんな支援をするだとか、まずはそういうことを考えてもいいのではないかと。制度の器を変えることが本当にそういうところを助けることになるのかということについてはちょっと判断が付きませんので、制度ができなくてもまずやれることはありますよというところを是非強調したいというふうに思いました。  以上でございます。
  66. 小林光俊

    参考人小林光俊君) 松沢先生、ありがとうございます。  今、地方活性化のためにこの教育機関が機能できるかということも含めての御質問かと、こういうふうに思っておりますが、現状はまさに大都市集中というのが一つの形として現れておりますが、私の資料の八ページを開けてみていただきたいんですが、八ページには、専門学校大学卒業者における地元の就職の状況ということで、これは棒グラフがあります。これは、赤いのがまさにその専門学校なんですね。ですから、大学と比べてほとんど専門学校の方が地方定着率って非常に高いですね。  ですから、私としては、今度の新しい専門職大学も、先生おっしゃっていただいたように、地方企業やあるいは地方の自治体と連携をして、そして地方専門学校中心になって、四十七都道府県なら四十七都道府県にそれぞれ少なくても一校ぐらいはここ五年以内にできるようにしていくというのが理想だと、こういうふうに思っております。  職業教育をやっぱり地方に定着をさせて活性化していくというのは、日本全体としては大変重要なことだと私は思っております。今まさに地方産業の空洞化をここは大分取り戻すということがここ数年できてきているわけでありますが、まだ一〇%程度戻ったということであります。  これからもっともっと、あるいは地方産業活性化をしていくにはやっぱりこういった地方職業教育高度化し発展させていくと、そして地方に、留学生も含めて入れていくことによって新たな視点で新たな要するに文化なり新たな目線で新たな価値が生まれる、こういう教育機関に私はしていくというのは大変重要なことだというふうに思います。  そういう意味では、先生おっしゃっていただいたように、地方企業地方の自治体、あるいは文化と連携をして、そしてこの新しい専門職大学地方にもきちっとできていくということを政策としても先生方是非御指導いただいた方が有り難いなと、こういうふうに思っております。
  67. 松沢成文

    ○松沢成文君 ありがとうございました。終わります。
  68. 赤池誠章

    委員長赤池誠章君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十五分散会