○森ゆうこ君 希望の会(自由・社民)の森ゆうこでございます。
私は、
農業災害補償法の一部を改正する
法律案に反対の
立場から討論をいたします。
まず、
共謀罪について、
中間報告という禁じ手を使い、一昼夜を使って強行に採決をしたことに強く抗議をしたいと思います。
安倍政権の数のおごり、強権政治、そして、反対の意見を唱える者には、どんな手を使ってでもその意見を封じ、潰す恐怖政治、これからの日本の将来に対して大変なおそれを抱いております。
農業災害補償法の一部を改正する
法律案について、反対の理由を述べます。
第一の理由は、本改正案で導入されようとする
収入保険制度が、農業者に真に役立つ選択肢になっていない上、農業共済の弱体化、ひいては食料安全保障や多面的機能の発揮が危ぶまれる事態を招きかねないからです。そもそも政策決定のプロセスがおかしい、こう申し上げたいと思います。
今
国会に
提出された
農林水産関係八法案の基となっている農業競争力強化プログラムは、農業の専門家でもない規制
改革推進会議などのメンバーが、現場の声を聞かずに、
岩盤規制に風穴を空ければよいという乱暴な論理で
提案されたものをベースにしております。政府の標榜するもうかる農業、果たして、現場の声を聞かず、現場のニーズに合わない改正で
実現できるのでしょうか。現在うまく運用されている制度、種子法や畜安法もそうでしたが、それをいたずらに改正し、あるいは廃止し、社会実験でもしようというのでしょうか。失敗したときは誰が
責任を取るのでしょうか。
安倍政権は農業、農村の所得を倍増すると言い、今
国会審議した八法案について、
大臣は、農業の成長産業化を図り、農業者の所得向上を
実現していくことが重要と
説明していましたが、どのくらい所得が向上するかを
質問しても、農業者が自主的に取り組む施策なので国が数値を掲げることは適当でないとし、具体的な言及がありませんでした。
農林水産省はこれまで、農業者に寄り添って、そして国が
責任を持って再生産可能な農業政策を打ち出し、食料安全保障、多面的機能の持続的発展に向け努力を続けてまいりました。これからもそういう施策を更に充実すべきであります。
本改正案で導入されようとする収入保険は、農業共済の対象になっていない品目も含めて収入減少をカバーするという特徴があり、農業者にとって新たな選択肢になると政府は
説明しております。しかしながら、現場の農業者は
自分の経営に合うかどうか懐疑的です。制度をよく研究しておられる本
委員会の参考人の
方々も、農業共済と収入保険は選択制なので両方に加入できない、品目ごとの収入保険ならばよかったとの御意見がありました。
また、来年から米の直接支払交付金はなくなり、生産調整は農業者任せへと移行します。需給調整がうまくいかなかった場合や、価格の下落、災害が続くと収入保険の基準収入は下がり続け、収入保険は所得の下支えになりません。
農業共済については、米麦の当然加入制を廃止して任意加入とすることにより制度の安定性が損なわれかねません。全ての農業者にとって、災害に見舞われた後も農業の再生産を可能にするためのセーフティーネットだった農業共済は、今後も安定した制度として成り立つのでしょうか。
参考人から、農業共済がこれまで果たしてきた役割は大きかったとの評価がありました。また、米の直接支払交付金は農地の集積や機械の更新等に非常に役立ったとの評価もありました。そして、所得補償制度の必要性の指摘がありました。
費用対効果の小さな本改正案に国費を投入し、日本の農業を社会実験にさらすのではなく、こういった現場のニーズに合う
制度改正、これまでうまく運用されてきた農業共済の強化の方向で改正すべきであります。
東京一極集中、人口減少、高齢化で疲弊している地方は、農業が地域産業の核となり地域住民をつなぐ役割を果たすことで何とか持続してきましたが、本改正案はそこに追い打ちを掛けるものです。小規模ながらも赤字にならないよう工夫しながら経営している農業者、こういう
方々も含めて農業を継続していけるような政策こそ今必要とされるものであります。
地域を守るため、農業共済の強化と米の直接支払交付金の継続、戸別所得補償制度の復活、充実を行うべきであると改めて申し上げ、そして最後に、今回の
中間報告の暴挙は、
安倍総理が、一にも二にも
加計学園問題、この追及から身をかわしたい、そのわがままから出たものであると、断じて許せない、このことを申し上げて、私の反対討論といたします。