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2017-06-07 第193回国会 参議院 政府開発援助等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年六月七日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  五月十日     辞任         補欠選任      山下 雄平君     大家 敏志君      竹谷とし子君     里見 隆治君  五月十一日     辞任         補欠選任      山添  拓君     井上 哲士君  六月六日     辞任         補欠選任      有村 治子君     宮島 喜文君      長浜 博行君     浜口  誠君      藤末 健三君     石上 俊雄君      井上 哲士君     大門実紀史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         野村 哲郎君     理 事                 中西 祐介君                 堀井  巌君                 三宅 伸吾君                 礒崎 哲史君                 河野 義博君                 辰巳孝太郎君     委 員                 朝日健太郎君                 石井 準一君                 岩井 茂樹君                 大家 敏志君                 大沼みずほ君                 木村 義雄君                 佐藤 正久君                 松下 新平君                 松山 政司君                 宮島 喜文君                 元榮太一郎君                 相原久美子君                 石上 俊雄君                 大塚 耕平君                 古賀 之士君                 浜口  誠君                 牧山ひろえ君                 里見 隆治君                 杉  久武君                 大門実紀史君                 清水 貴之君                 藤巻 健史君                 又市 征治君    事務局側        第一特別調査室        長        松井 一彦君    参考人        独立行政法人日        本貿易振興機構        アジア経済研究        所国際交流・研        修室長開発ス        クール事務局長        ・教授      山形 辰史君        認定NPO法人        国際協力NGO        センター事務局        長        若林 秀樹君        一般社団法人グ        ローバル・コン        パクト・ネット        ワーク・ジャパ        ン事務局次長   上野 明子君        株式会社イセキ        開発工機代表取        締役       松崎 彰義君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○政府開発援助等に関する調査  (持続可能な開発に向けた国際社会及び日本の  取組課題に関する件)     ─────────────
  2. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、山下雄平君、竹谷とし子君、山添拓君、藤末健三君、長浜博行君及び有村治子君が委員辞任され、その補欠として大家敏志君、里見隆治君、石上俊雄君、浜口誠君、宮島喜文君及び大門実紀史君が選任されました。     ─────────────
  3. 野村哲郎

  4. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 政府開発援助等に関する調査のうち、持続可能な開発に向けた国際社会及び日本取組課題に関する件を議題とし、参考人方々から御意見を伺います。  この際、参考人方々に御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。  議事の進め方でございますが、まず、山形参考人若林参考人上野参考人及び松崎参考人からお一人十五分程度意見を述べていただき、その後、委員からの質疑にお答えをお願いしたいと存じます。  御発言の際は、その都度委員長の指名を受けてからお願いいたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず山形参考人にお願いいたします。山形参考人
  6. 山形辰史

    参考人山形辰史君) 私、日本貿易振興機構アジア経済研究所国際交流研修室長開発スクール事務局長教授山形でございます。国際開発学会の副会長も務めております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。  本日は、個人としての見解を述べさせていただきたいと思います。  資料がお手元にあるかと存じますけれども、私が申し上げたいことの結論はこの資料の冒頭に記してございます。サステーナブル・ディベロップメント・ゴールズSDGsの逆説と題しました。サブタイトルが内向的な世界目標ということでございます。  申し上げたいことは、世界人々地球全体のために取り組むゴールとして設定されたSDGs世界各国の内向き志向に資する構造を有しているということでございます。このことについて今後十五分間お話をさせていただきたいと思います。  お話しするに際しまして、まず私は、ミレニアム開発目標サステーナブル・ディベロップメント・ゴールズ、持続可能な開発目標を比較いたします。その比較の中で私の論点を明らかにしていきたいと思います。  それで、最初にミレニアム開発目標についてお話しいたしますが、私は、まずミレニアム開発目標はおおむね成功したというふうに考えております。その理由は二点ございます。  一つは、実際に実績として、東アジア、南アジア、アフリカといった主要な世界地域貧困削減社会開発が進んだと、このミレニアム開発目標の期間内に進んだということでございます。もちろん、目標五の妊産婦の保健ですとか目標八の先進国の義務のところにつきましては課題はございましたけれども、それ以外の六つの目標については、地域を問わずかなり高い成績を遂げたということがございます。  二点目に、私がミレニアム開発目標が成功したというふうに考えております理由は、ミレニアム開発目標とそれからターゲットは、二〇〇〇年に設定されてから変化してまいりました。特にターゲットが増加したわけでございますけれども、具体的に申しますと、雇用ですとか生物多様性といったようなトピックのターゲットが増加しました。これは、雇用生物多様性関心を持つグループ方々が支持をした結果だと思います。  一方、たまたま私、児童労働ですとか障害者についての研究もいたしまして、そういう方々のために活動するグループと御一緒することも多かったんですけれども、そういう方々も、このミレニアム開発目標に、二〇一五年にこのミレニアム開発目標期限を迎える前に、ターゲットないし何かの形で入れてほしいというふうに運動をしていらっしゃいました。結果的に児童労働障害者はこのMDGsには入りませんでしたけれども、かなりの程度世界の多くの方々関心を持ってこのミレニアム開発目標に入りたいというふうにお考えになったことを見てきております。  このミレニアム開発目標でございますけれども、成功した理由があったと私は考えております。それは、成果主義に基づいた達成インセンティブ機能が効いていたということです。そして、私が本日申し上げたいのは、この持続可能な開発目標SDGsMDGsより達成インセンティブが弱いということを申し上げたいと思います。  まず、MDGs達成インセンティブが強かった背景を申し上げます。  MDGsは強く成果主義的だったわけですけれども、と申しますのは二つの要因がございます。①、②というふうに記しましたけれども、まず明確な数値目標があり、達成期限があった。例えば、貧困指標を十五年間で二分の一にするというような明確な数値目標と、それを二〇一五年までに達成しなければいけないという達成期限がはっきりしておりました。  それから、それが達成される見込みが薄いときに、特に途上国に対してですけれども、ペナルティーが効いていたということでございます。  それはどういうことかと申しますと、ミレニアム開発目標途上国貧困削減戦略文書にほぼそのまま導入されていました。この貧困削減戦略文書というのは、当時の途上国開発計画でございます。その開発計画MDGsが反映されていたわけですけれども、その理由は、このPRSP貧困削減戦略文書を書かないと世界銀行の中の譲許的融資、これをIDAという機関が担当しておりますけれども、IDA融資ですとかIMF譲許的融資が受けられない、あるいは債務削減ですね、債務削減を受けるためにも、このPRSPを書いて世界銀行IMFに承認される必要がありました。そして、こういうこの貧困削減戦略文書に書かれた内容を達成する道筋に乗っていないと援助が予定どおり実施されないというような形で、ペナルティーが効いていました。  このようにMDGsでは成果主義的な志向が強かったわけでございますけれども、SDGsは、これに対してこの成果主義的傾向が弱まったということを申し上げたいと思います。  論点二つございまして、一つには、もうこれは御存じのとおり、目標ターゲットの数が増えました。これによって一つ一つ目標ターゲット意味合いが薄れるということになってしまっているかと思います。MDGs目標が八、SDGs目標が十七でございます。また、MDGsターゲットは当初十八、SDGsターゲットは百六十九でございます。目標にしてもターゲットにしても増えているということがお分かりいただけるかと思います。  なおかつ、私、先ほどMDGsには明確な数値目標があったというふうに申し上げましたけれども、SDGsにおいてはこの数値化されたターゲット割合が著しく減少しています。具体的に申しますと、MDGsにおいては十八あったターゲットのうち五つ数値目標でございました。これは二七・八%に相当します。これに対して、SDGsにおいては百六十九あるターゲットのうち十一が数値目標であるにすぎません。これは六・五%に相当します。また、MDGsの場合でも、十八のターゲットのうち七つは先進国向けターゲットでしたので、それを、十八から七を引きますと十一のうちの五つ数値目標であったわけで、ほぼ半分ぐらいのターゲット数値目標だったということが言えます。それがSDGsでは減っていると。まあ、SDGsにおいては数値よりも文言として、貧困を根絶するですとか、あるいは政策を強化するというような散文的なターゲットが増えているということでございます。  そして、最後に結論に入ってまいりますけれども、私は、これらの特徴によってSDGsは困難を抱えていると思っております。それは世界目標としての縛りが弱いということでございます。  これは裏返せば各国自由度が高いということになりますけれども、今年七月にニューヨークでハイレベルポリティカルフォーラムが開催されるというふうに伺っております。この場で各国各様実施指針実施施策が策定され、報告されるかと思いますけれども、MDGsの場合には、このMDGs目標PRSP貧困削減戦略文書の中にほぼそのまま取り入れられていたのに対して、SDGs各国実施指針実施施策とのリンクは弱いということを懸念しております。  また、いま一つSDGs特徴として、民間部門活力国際開発への導入が挙げられます。しかし、縛りが弱いことが一因となって、実質上、自国企業に限った民間活力導入になっております。  SDGsは、スローガンとして、普遍主義、これはユニバーサリティーの訳でございますけれども、それを掲げており、具体的には、英語でノーワン・イズ・レフト・ビハインド、これは誰も取り残さないというふうに訳されておりますけれども、このノーワン、誰も取り残さないの誰もに先進国の必ずしも貧困でない人まで含むというふうに解釈する方々もいらっしゃるというふうに聞いております。  このようなことから、SDGsは、世界人々地球全体のために取り組むゴールとして設定されたわけですけれども、今のところ、世界各国の内向き志向を許容し、むしろ資することになってしまっているのではないかというふうに懸念しております。これがMDGsとの大きな相違点でございます。  これが私がお話をしたいことでございます。どうもありがとうございました。
  7. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) ありがとうございました。  次に、若林参考人にお願いいたします。若林参考人
  8. 若林秀樹

    参考人若林秀樹君) 今日は、このような機会をいただきまして、本当にありがとうございます。  実は、私は、特別委員会委員になったこともありまして、実際にそちら側から質問をしたことがあるということで、今日は十年ぶりにこの委員会室に足を踏み入れて、逆に景色はまるっきり違うので、ちょっと緊張しておるところでございます。  今は認定NPO法人国際協力NGOセンター事務局長ということで、JANICと呼ばれているんですけれど、国際協力をやっているNGO支援するNGOなんですね。ですから、中間支援組織ということになります。また、グローバルコンパクトネットワークジャパン、この後に陳述されます上野参考人次長をされているんですが、その理事もしているということでございますので、今日は、お題は政府NGOとの連携現状課題、今後の方向性について話をさせていただければなというふうに思っています。  今日の私のメッセージは、SDGs達成に向けてODAを組み替えて、そしてNGO戦略的パートナーとして支援し、活用していただきたいというのが私のメッセージです。繰り返しますが、NGO戦略的パートナーとして支援し、活用していただきたいということであります。  元々、国際開発におけるNGO役割というのは、やはり普遍的な人道主義あるいは人権を守るという、市民社会としての独立したあるいは中立的な立場での活動であります。それがゆえに、政府との役割としての補完機能を持っておりますし、代替サービスを提供できるのがNGOではないかというふうに思っております。  ODA政府政府援助に対して、我々はニーズに合わせたあるいはコミュニティーに合わせた、人々のやはり豊かさ、幸せのためにサービスを行うのがNGOではないかなというふうに思いますし、ある意味では、政治状況に左右されず、首尾一貫して中長期の視点で平和と人権を強化し、社会を豊かにするという役割を持っているんではないかなと思います。  ここで言う政治状況に左右されずというのは、例えばトランプ大統領が就任したことにより、いきなりODA予算三割カットとか、緊急援助については六割カットとか、あるいは援助のやり方について、やはり伝統的にアボーションの問題とか、人口、エイズの問題がありますので、いきなりそこには支援しないとか、これをしますと恐らく国際的な社会的な信用性を失われかねない。  しかし、NGO首尾一貫として人道主義に立って援助をするという意味における、国としての安定性を私はもたらすのではないかなというふうに思いますので、そういう意味では、一定程度日本ODAの中にNGOを組み入れるということが非常に私は政治的にも重要じゃないかなというふうに思っておりますし、NGOが入ることによって、そこにやはり市民ODAに対するサポートが生まれるんではないかなというふうに思っております。  私の説明、ちょっと後になりましたけれど、このレジュメに沿ってお話をさせていただきますので、資料を開けていただきますとそこにレジュメがありますので、それだけ取り出して、あとは資料に沿って見ていただければなというふうに思います。  その中で、NGOの厳しい現状についてお話をしたいと思います。  実は、政府によるNGOへの活動規制弾圧、あるいは強制失踪と拘禁、あるいはNGOが海外から受け取る資金に対する規制がどんどんどんどん強まっているところであります。  お手元資料の一番目に、G20のハンブルク・サミット議題における市民社会の取扱いに関する要請を付けておるところでございます。やはり、市民社会政府による人権侵害あるいは汚職等を明らかにするという役割もあると思います。そういう意味では、政府を脅かす存在として見られている国も多いんですね、実は。それがゆえに弾圧がある、市民社会スペースを狭めているというところがあります。  しかし、自由な市民社会というのは平和で公正な社会であるというのが前提でありますし、それがなければ、公平で公正な持続可能な社会の実現はやはり不可能ではないかなというふうに思っております。  これは世界的なことですけど、実は日本でも、例えば報道の自由度ランキングがどんどんどんどん下がってきている、今は、ある調査によれば七十二まで下がって先進国では最低という状況になっておりますので、必ずしも世界だけのことではないということは言えるのではないかなというふうに思っております。その意味で、SDGsにおけるターゲットの、目標の十六ですね、平和と公正を全ての人々にという、基本的な自由、司法へのアクセスということも我々JANICとしても取り組んでいるところであります。  そして、厳しいNGO財政、三番目ですが、国際的にも低い日本NGOによる援助水準というのが資料の三と四にございます。  資料の三の方に、ODAによるNGO支援の推移が書いてあります。二〇一六年度で百二十億円ということですので、これが多いか少ないかという議論はいろいろあるかと思いますが、世界的には極めて低い水準であります。  もう一枚開けると、そこにNGO補助金割合がパーセンテージで書いてありまして、日本は一%ということなんですが、二〇一七年度のODA予算円借款を含めると二兆円、その中の百二十億ということは、もう〇・五%程度なんですね、非常に低いんです、これは。  例えば、アメリカアメリカに、日本大使館にいたということもありますが、アメリカでは、彼らのデータを見ますと、二〇一三年度の数字ですが、約三千億、三千億がNGOを通して流れているんです。これは、戦略的なパートナーとしてNGOを使ってきめ細かな援助をする、そのことがODAに対するサポートであるということを位置付けて、八〇年代からずっと戦略的な投資をしていたということも経緯としてもありますが、やはりまだまだ、昔から比べれば確かに上がってはきているんですけれど、まだまだ低いレベルにとどまっているんではないかなというふうに思います。  そしてまた、四番目が、渡航制限による、世界から取り残される日本NGO緊急人道支援ということで、資料五を見ていただきたいんですが、レベル4という退避勧告が出ている国に対しては原則渡航できません、NGOであっても。  例えば、南スーダン、アフガニスタン、緊急人道援助が必要なのはこういう国なんですよね。しかし、NGO一般市民と同じような扱いで渡航できないということに対して、私は、やっぱり世界から取り残される可能性があるんじゃないかと、既にそういう状況が起きていると言っても過言ではないというふうに思います。  NGOというと、何かボランティアというイメージがありますけれど、基本的には援助のやっぱりプロなんですね。やっぱり専門集団なんで、しっかりセキュリティーを対応している、そういう基準を持ったり訓練をしている、そういうNGOに対してはどんどんやはり渡航して、自己責任において渡航してもらうということも必要だというふうに思います。  なぜそれが起きているかというのは、分かるんです。何かあった場合に、日本人に何かがあった場合に政府批判になるんです、何で許したんですかという。日本は非常にそのセキュリティーに対する、何というんですかね、やはり安心感の下で日本はありますが、何か起きたときに何で許したんだということに対する批判を恐れてなるべく慎重にしているというのは分かるんですけど、しかし一方では、この現状を見れば、本来この専門家集団セキュリティーの問題に対応しているにもかかわらずなかなか行けないということによって、世界から見た日本が取り残されているという状況もありますので、是非それに対する配慮もお願いしたいなというふうに思っています。  それから三番目に、NGO政府との対話の促進でございます。  これは一から五まで、それぞれある協議会をそこに示しております。これは結構、協議会としてはいろんなレベルでの政府との対話が行われておりますし、昨日も外務省との定期協議会で全体会議が行われました。ここでは、対話の枠組みもありますので、より実のある対話にしていただきたいということですが、まだまだ実質的な対話という意味では不十分ではないかなというふうに思います。会議のための会議ではなくて、日頃からの信頼関係に基づく実のあるやっぱり議論をできる限り今後とも進めていきたいなというふうに思っておるところでございます。  そして、四番目が、SDGs時代におけるNGOとの協働課題であります。  実は、NGOODAに関する連携中期計画というのを外務省との間で確認しておるところであります。そこには明らかに市民社会との連携が記載されております。五年計画の三年目ということで、残念ながら計画どおりには進んでいない状況も散見されるんではないかなというふうに思いますので、是非、援助効果の向上のためにも、当該国の公正で安定的な発展にとっても非常にこの市民社会との連携は重要でありますし、更に充実させていく必要があるんじゃないかなというふうに思いますし、NGOの例えば活動環境整備支援事業なんですが、これは能力強化のために支援をしていただいているんですけれど、その予算もどんどんどんどん今減ってきているという状況ではないかなというふうに思いますので、是非この連携中期計画に沿った内容について進めていただきたいなというふうに思います。それがお手元資料の六の中に、大体個別項目がそこに書いてあるところでございます。  それから、五番目が、二〇一七年度の開発協力重点方針予算課題についてお話をしたいと思います。  本体のこの資料のグリーンの表紙が付いたところの十一ページ目に、平成二十九年度開発協力重点方針がそこに書かれております。若干やっぱり懸念するところは、国益に資する開発協力というのを前面にここには打ち出されております。何をもって国益かということもこれは議論の対象になるかなというふうに思います。  ODAの第一の目的というのは、やはり途上国人々のためであり、貧困、格差解消、公正な社会の実現であります。当然、日本外交にとってODAというのは外交のツールである、そのことは否定しません。しかし、国益を前面に出してやることによって、被援助国も、あっ、国益のためにやっているんだ、日本はと、じゃ、もらって当然だというような関係にはなりはしないかと。  中身を見ますと、やはり昔とは違って、九〇年代に関わっていた人間としては、もう全面的に企業、中小企業の海外進出とか、インフラ支援円借款をここ数年増やしているというところもありますし、そこにタイドという、言葉は良くないんですけど、ひも付き援助的なものも割合として増えているんですね。九〇年代は、有償資金協力のタイドの借款はほとんどゼロでした。しかし、今は全面的にやはり政府としてもそういうところを、企業をサポートしたいというのも分かりますけれど、本来、日本が競争力ある支援であれば、タイドにしなくても当然日本も落札の中で勝てるわけですよね。しかし、最初からタイドを前提に円借款が行われているというのはここ数年の非常に大きな特徴ではないかなというふうに思いますので、申し上げたいことは、狭義の日本国益増進への傾斜が、国際公益の観点からは若干後退することがちょっと懸念材料ではないかなというふうに思います。  いずれにせよ、その重点方針である人道支援、難民支援、人間の安全保障等については、これはNGOが得意とするところでございますので、是非御活用いただければなというふうに思っております。そしてまた、ODAの非軍事主義の徹底というものでも、NGO側としては是非これを貫徹していただきたいなというところにございます。  そして、六番目、今後に向けた提言ということで、三つだけ皆さんに御支援をお願いしたいなというふうに思っております。  ODAは外交のツールではあります。その中で、伝統的に日本はインフラ支援円借款がやっぱり多かったのはこれ事実なんですよね。しかし、どうでしょうか、今。確かにアジア諸国においてもインフラのニーズはあるんですが、アジア開発銀行があります。もう一方では、AIIBというインフラ支援の銀行ができ、これから本格的な稼働をします。そうすると、必ずしも円借款のニーズというのはそれほど高くないんではないか。そうであれば、もう少し社会開発に向けた支援に少しやはりシフトしていくべきではないか。それに伴って、社会開発支援を行っている対NGO支援に少しその支援を増額も含めてお願いしたいと思いますし、資金提供に関するルールについてももう少し柔軟にしていただくと援助効果も上がるんではないかなというふうに思っております。  それから、二番目に、ODAの本体事業の無償資金協力枠へのNGOの参入促進と政府NGOの人材交流の実現であります。  これ、何のことか分からないですが、今の資金協力のスキームというのは、助成なんですね、NGOがプロポーズするのに対してはお金を付けると。そうじゃなくて、ODA本体の業務に対して一緒にNGOも加わってODAを供与するという、そういう枠組みまでまだ進んでいないんです。ですから、ここをワンステップアップして、本体事業にもどんどんどんどん組み入れていただきたいというのが、我々の要望でもございますし、政府NGOの人材交流の実現というのも是非していただきたいなと思います。  実は、私は、九〇年代に日本大使館のワシントンでODAの担当官をしていました。身分も全部外務省職員で、三年間やっておりました。そうすると、外務省の立場って非常によく分かるんですね。ああ、こういうところだから、それなりに理由があってやっているんだと。そのときは私はNGOに非難をされる場でありましたけど、やっぱりこういう人事交流というのが本来行われるといいと思うんですよね。  日本はその人材の流動性が少ないものですから、なかなかこういう機会というのはないんです。そうであれば、一時的に人材交流ということで、半年とか一年、政府の役人の方がNGOへ来るとか、NGO外務省へ行くとか、そういうことの人材交流というのを、是非短期的に進むと、お互いに着地点がその段階でどんどん見えてくるんではないかなと思います。  それぞれに論理あるんです。しかし、たどり着くところは一つなので、そこに対して、やっぱり相手の立場で考えるという意味での人材交流は是非進めていただきたいと思いますし、私もそれが経験があったもので、いろんな意味で話が私は進むんじゃないかなというふうに思っているところでございます。  そして最後に、持続可能な開発に向け、政府の重要なパートナーとしてのNGOとの協働を促進させる、国際協力基本法の制定と独立した開発援助庁の設置ということで、今もJICAがあるじゃないかというふうに思われますが、実は、実施の部分については一元化されていないんですね。ここは、外務省が無償資金協力の一部を担っていて、一方ではJICAはそれ以外というところとか技術協力とかをやっているんですが、ややそこに対して少し私はいびつな感じもしないわけでもないですし、もっと援助効果を高めるためには、将来的ですよ、将来的には一元化することが必要なんじゃないかなと思います。  例えばアメリカ、皆さん、先生方よく御存じだと思うんですが、国務省が無償資金協力をやるというイメージあるでしょうか。多分ないですよね。やっぱり、援助政策とか外交方針をつくるのが外務省であって、援助は一元化するというのは基本的に自然の流れだと思います。そのために独立した援助庁をつくるということも、将来的にはこれは外務省との関係を整理した上で私は必要なことではないかというふうに、これまでも議論をしていますけれど、一応プロポーズさせていただきたいというふうに思います。
  9. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 参考人、大変恐縮ですが、時間が参っておりますので、おまとめください。
  10. 若林秀樹

    参考人若林秀樹君) はい。そうですね。失礼いたしました。  ということで、これでやめますが、いずれにしましても、SDGs達成に向けてODAを組み替えて、NGO戦略的パートナーとして御支援、御活用いただきたいということです。  以上です。  大変失礼いたしました。
  11. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) ありがとうございました。  それでは次に、上野参考人にお願いいたします。上野参考人
  12. 上野明子

    参考人上野明子君) グローバルコンパクトネットワークジャパン事務局次長上野明子です。本日はどうぞよろしくお願いいたします。  お手元に配付資料がございます。こちらの二ページに記載されていることにつきまして、これからお話し申し上げます。  三ページ、GCNJの設立の経緯へ参ります。  グローバルコンパクトネットワークジャパン、略してGCNJは、二〇〇三年に任意団体として国連広報センターの内部に組織化され、その後独立しまして、二〇一一年から一般社団法人として活動しています。会員は順調に増え続けておりまして、今年度三月末で二百四十一団体になっております。  四ページを御覧ください。  GCNJのようなローカルネットワークと呼ばれる組織が世界に八十ほどあります。我々の役割は国連グローバルコンパクトの十原則に、人権の保護、不当な労働の排除、環境への対応、そして腐敗の防止とSDGsの実践を通じてサステーナビリティー戦略の実践を目指す企業や組織に対して、学習、協働、発信を促す場として機能することです。  少々飛ばしまして、次に七ページの方に参ります。  どのようなSDGsに関して活動しているかということをまず歩みとして挙げております。二〇三〇アジェンダ採択からこれまで、主なことだけでもここに記載していることをいろいろやっておりまして、ただ企業向けの勉強会だけでなく、NGO政府、アカデミアと連携した活動をたくさん行っています。直近では、地球環境戦略研究機関、IGESと一緒にSDGsの実態調査、動き出したSDGsビジネスというものを発行しておりまして、この間のSDGs推進本部円卓会議でも配付しております。  それでは次に、SDGsに関わる活動の主なものを御紹介します。八ページを御覧ください。  GCNJは、昨年から、このSDGs、まだ日本での認知度が低いものですから、この認知度を上げるということに加え、実践を促す活動に重点をシフトしてあります。その中の一つの大きな役割を負っていますのは、会員企業の有志で構成されるタスクフォースというもので、ここの八ページに記載されているようなことをやっております。  次に、九ページの方を御覧ください。  いろいろやっているということを記載しておりますけれども、ここで認知を上げるために会員向けでなく一般向けにもSDGsとは何なのかというセミナー、シンポジウムをしておりまして、この一年間でも国連広報センター、KPMGジャパン、日経BP、日本経済研究センター、SDGs市民社会ネットワーク、JICAなど様々なアクターと一緒に共催を行って、認知度を上げるように努力してきております。  続きまして、十ページを御覧ください。  このSDGsの実践のためにはコミュニケーションツールというのも大変重要だと考えておりまして、国連グローバルコンパクトが出版したSDGコンパスやSDGインダストリーマトリックスというものを邦訳して公開することで関連セクターのアクションを促しています。特にSDGコンパスというのは、SDGsに取り組む企業の、団体のバイブルになっております。このような活動が今メディアでも数多く取り上げられるようになっておりまして、参考資料の方にも掲載させていただいております。  十一ページに移ります。  その認知度から実践へという活動の中で政府とどのような連携をしているかということを、この一年間でやったことをここに記載しておりまして、御存じのように、SDGsというのは企業個社単体で実現するのは大変難しい問題でございまして、政府はその大変大切なパートナーだと考えております。ここに記載しておりますように、SDGsの推進本部円卓会議や環境省のSDGsステークホルダー・ミーティング、経済産業省の持続的成長に向けた長期投資研究会などを始め、様々な場でGCNJの理事や事務局員が委員を務めて協議を行って、プライベートセクターのインプットを意見とさせていただいております。  その一環としまして、政府にどのような提言をしてきたかということが次のページに記載されています。ここでは、昨年、G7サミットのときに提言した内容とSDG推進本部の円卓会議に二度にわたって意見表明したものを載せております。  昨年十二月に、御存じのように、円卓会議のインプットが反映された政府からのSDGs実施指針というものが発表されております。ですが、ここで緑色太字でマークしているところの箇所ですが、ここの点に関しては議論がまだまだ必要だというふうに認識しております。私ども、日頃、国連グローバルコンパクトとのやり取りの中で、日本からの情報発信が不十分であるということ、それが課題だということを痛感しておりまして、この点はこの後再度触れたいと思います。  ここまでGCNJのSDGsへの取組状況について申し上げましたが、十三ページから、推進上の課題について申し上げます。  これは、さきに申し上げましたGCNJのSDGs推進取組状況の実態調査から出てきた政府に関する回答でございます。私ども、ODAに限った質問というのはないんですけれども、このグラフ一というのをまず見ていただきますと、SDGsを推進する上で最も影響力のあるセクターというのが政府という回答が四一%と圧倒的に多かったということが分かる反面、グラフ二は、課題として、四十四団体、三〇%が政府の方針徹底、関与が希薄と答えています。この回答、この政府に関する課題認識は二〇一六年の質問で初めて上がってきたものでございまして、政府の動きを待って企業の取組が停滞してしまうということがあるように見えます。つまり、調査は企業への訪問聞き取りも含んでいて、実際、フェース・ツー・フェースで意見を聞いたりしている中で、やはり政府の動きを待つという姿勢が如実でございまして、このヒアリングの過程でその辺が課題かなというのを私たちも認識しました。  さらに、十四ページですが、パートナーシップに関わる課題を挙げております。SDGsの推進においてはパートナーシップが大変重要だということはあらゆるところで強調されていますが、企業がSDG推進の重要なパートナーとして選ぶのが、政府が最もやはり多かったんですけれども、このグラフ三ですね、しかし、グラフ四を見ますと、実際にここ一年連携したのはどこかといいますと、政府は五番目でそこまで多くなく、企業が重要だと認識しているパートナーと実際の取組先に乖離があるということがあるかと思います。このような点が、この実態調査から政府関係で私どもが認識した課題でございます。  続きまして、課題だけですと企業というのはなかなか動きにくいものなので、企業を動かす上でどのような事業機会の提示があると分かりやすいかということを十五ページ、十六ページの方で挙げております。どちらもGCNJ会員企業さんの事例です。  十五ページでは、損保ジャパンホールディングスとJICAの協業事例を挙げておりまして、これ、金融サービス開発途上国援助に役立っている好事例だと認識しています。また、国連開発計画にも承認され、活動が加速しています。ここに出ているようなことがどんどん打ち出されています。よく言われますマイクロファイナンスもそうなんですけれど、特定のセクターができるサービスを分かりやすく示すことで、他企業もSDGへの取組のきっかけを見付けやすいのではないかと思います。  また、十六ページでは、大阪にあります会社のサラヤのウガンダでの事例を挙げています。これは、やはりユニセフと一緒に協業したことで、ローカルな政府そしてNGOとの連携ができて、サラヤ一人ではできなかったものがうまくいったというふうに実際聞いておりまして、このような連携事例というのを企業側に分かりやすく示していくということが重要かなというふうに思っております。  十七ページ、十八ページは、このような事業機会は企業にとって可視化されているということが重要だということで、それをサポートする調査レポートとして挙げております。  これは、一月にビジネス・アンド・サステーナブル・ディベロップメント・コミッションがベタービジネス・ベターワールドというものを出しておりまして、これによりますと、食糧と農業など四領域六十のホットスポットで開発途上国社会課題に取り組むことで大きな経済効果を生むというふうな算定がされています。これは一つ調査レポートでございますけれども、企業を動かすにはこのように有望な事業ターゲットというのを整理して数字で示すということが重要かという点から、今回参考として引用しております。  このレポートのいい点は、十八ページでちょっと述べておりますけれども、イノベーションを通じて事業を展開して事業を拡大していくということが開発途上国の抱える栄養、健康、教育、ジェンダー、雇用といった社会課題の解決につながるということを示唆している点ということで、こういったことを事業とのつながりで示すことが企業にとって行動を促す一つの契機になるかと思います。  最後に、十九ページへ参ります。  ここまで、GCNJの活動と、日本企業がSDGを推進する上で抱えている課題の一端と、企業を動かすモチベーションになるヒントについて触れてまいりました。こうしたことを踏まえまして、最後に、日本政府ODA政策への要望について申し上げます。五点ございます。  まず、さきの資料でも挙げましたように、イノベーション領域を重点的に拡大することで、過去の事業領域ではカバーできなかった新領域を通じた援助を今後目指していくべきかと考えます。日本企業の強みを生かし、昨今の人道支援の領域ではドローンや顔認証、サイバー技術などITがどんどん課題を解決しているような姿をODAでも目指すべきではないかと思います。そのためには、非ODA資金とほかの資金のカップリングといった工夫を促進してはどうでしょうか。単にODA資金を増やせということではなく、ほかの資金をうまく活用するということが重要かと存じます。  次に、二点目としまして、援助SDGsの精神である誰一人取り残さないことに合致し、児童労働、環境破壊などのネガティブインパクトを引き起こさないということを担保できるシステムを実現する、単にそこで協力して終わりではなく、ちゃんとそのインパクトを測っていくような仕組みが必要かと思います。  三点目としまして、過去の南南協力では見えにくかったかと思いますけれども、関与するアクターが、そこで協力に入っていく企業について理解しているパートナーシップとなるようなマッチングの仕組みの提供が重要かと思います。それぞれが良いものを持っていても、このマッチングがうまくいかないとパートナーシップが失敗するということもあるかと存じます。  四点目としまして、JICAなどの仕組み、これ大変すばらしいんですけれども、適用範囲がやはり限られていたり、分かりにくかったり、まだ企業に知られていなかったりという点で、この辺をもっともっと企業に知ってもらうように情報をどんどん流していただくということと、その頑張っている企業に対して評価をもっと開示していくようなことも考えることが必要かと思います。  最後に、さきの政府への提言でも触れておりますが、日本はいろいろいいことをしていても国際的な立場での発信がまだまだ不十分です。黙っていると理解されません。被援助国とのコミュニケーションは言うに及ばず、ウエブなどを通じた世界の情報発信を強力に実施すべきかと思います。  以上で私の意見を終わりといたします。御清聴ありがとうございました。
  13. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) ありがとうございました。  それでは最後に、松崎参考人にお願いいたします。松崎参考人
  14. 松崎彰義

    参考人松崎彰義君) ただいま御紹介いただきましたイセキ開発工機の松崎でございます。  私のこれからの御説明というかお話は、さきの三人の参考人の先生方のような大所高所からのお話じゃなくて、あくまでも中小企業のおっさんの目線でお話しさせていただきますので、もし何か失礼がありましたら御勘弁いただきたいなと思います。  まず、ページめくっていただいて、私どもの企業概要でございます。資本金六千万、従業員五十人、直近の年商は二十億、まさに中小企業、典型的な中小企業ではないかなと思っております。  当社の事業、製品ですが、右側の鳥瞰図がございまして、真ん中辺に緑色の塗った機械装置がございます。ここが私どもの製作、販売している機械でございます。これは遠隔操作して地下のトンネルを掘っていくという機械であります。その用途というのは、下水道であり、ガス管であり、上水管でありというのを道路下あるいは建物の下に掘っていくという用途に使われます。近年では、大断面、地下鉄の駅舎ですとか、この一番右下のところなんですが、こういうのに、丸いのがいっぱいぐるっと四角く囲ってあります。これ、一本一本が推進していって大きな断面を安全に掘っていくという工法であります。  次のページをお願いします。  これは、今回、JICAの普及・実証事業でいただいた事業の概要であります。  まず、これはインドネシアで調査の後に普及・実証事業をやらせていただきました。インドネシアのニーズとしましては、皆さん御存じと思いますけれども、ジャカルタ特別州、人口約一千万近い、東京都二十三区ぐらいのちょうど面積なんですけれども、ここで下水道の普及率がたしか三%、四%というふうに向こうでは言っておりますが、まあ、ほとんどないと、東京二十三区で下水が一本もないよというような状況であります。その状況の割には非常にビルはきれいに建っておりますし、車も新しいのがたくさん、交通渋滞あちこちというところで、その下水道管を入れていくためには、当然上から掘っていたらとんでもないことになるということで、今回、私どものこの機械でちょっとデモンストレーションをしてやっていこうと。  従来、向こうの国でも非開削の部分はあったんですけれども、二、三十メーターぐらいの短い距離をやっていくというのが精いっぱいで、今回当社で三百メーター一遍に推してしまおうと、そういう推進できるんだよというのを見せてあげようということで、今回採用されました。  それで、右側の方に行きますけれども、インドネシア側に見込まれる成果ですね、当然、この下水を普及して快適な生活、環境改善に寄与するというふうなところと、我々日本企業側の成果としては、この仕事中にあちらの政府から洪水対策の事業に協力してくれということを言われまして、政府のお金でもって洪水対策の事業を行いました。これについては後ほどまた詳しくやっていきたいと思います。  四枚目ですね、これがまた今回の普及・実証事業の概要であります。左の方に地図がありますけれども、この地図の中に色づけた緑だとか赤だとかありますね、これがジャカルタ特別州。この中が下水道がほとんど数%しかないというところ。これを全部やっていきますと、恐らく千キロ以上の下水管路を布設しなければいけないんじゃないかなというふうになっております。  左下は、参考までなんですけど、真ん中のバティック着ている方が前の鹿取大使ですね。右から二番目の方がJICAの佐々木所長です。何でこんな偉い方がいらっしゃったかというと、当時、前日からジョコウィ大統領が発進式に来られるのでということで皆さん寝ずに設営されていましたが、残念ながらお忙しくて来られませんでした。  それで、事業の概要は、右の方に移りまして、真ん中、グリーンの矢印がありますね。この左側の赤く、ちょっと見えにくいんですが、囲ったところから右側の方のグリーンの矢印の方に地下を三百メーター掘っていくという仕事であります。  次のページお願いします。  左の一番上、これはちょうど日曜日の早朝ですね。ですから、車はほとんどいないと。このすぐ後にここが、いわゆる、何というんですかね、車出入り禁止になる時間帯がありまして、そのときですから非常に少ないんですが、その下が一般の昼間の道路の状況。赤いバスが走っていますけど、そこがちょうどこのジャカルタ州を南北に突っ切るメーンストリート、スディルマン通りというところですね。右の上のところ、これが夕方の混雑の状況です。  こういうところに下水管を入れなきゃいけない、あるいは水道管も入れなきゃいけないとなりますと、当然上から掘っていたらとんでもないことになりますというのは十分あちらの政府の方も理解していただいたと思います。この右下の部分が、この機械で三百メーター掘りまして、右の黒いところが、テレビモニターを見ながら遠隔操作して進めていくというものです。  六ページお願いします。  JICAさんに応募した経緯なんですけれども、当社は非常に中小企業でちっちゃい会社なんですが、一九八一年から海外進出しておりまして、その第一号はフランス・ボルドーで我々の機械を輸出いたしました。その年に台湾にまた三台。その次の年には西ドイツ政府の小口径トンネル掘進工法プロジェクトというのがありまして、そこの資金によって私どもの機械を、装置を購入していただいたという経緯があります。  その後は、この西ドイツ政府、ハンブルク市がメーンになっていたんですけれども、一九八四年と八六年に、新規の機械を開発してほしいと、れき層を掘れる機械はないか、あるいはもう一つは、既設の下水道管を流しながら新しく管を入れる機械はできないかという要望をいただきまして、これに応えるべく、八四年と八六年にその実機を納めたという実績があります。その後、EU、北米、南米、アジア各国へ五百台以上のこの掘進機を直接販売しております。  数十年こういう形で一民間企業単独でやっておりましたけれども、ここ何年かはやはり限界を感じておりまして、やはり我々中小企業に足りないのは、人、物、金、全部足りないんですが、何しろ人が一番足りないということで、点の営業しかできていなかったと。  それと、ちょっと下、下線引いていますが、ここ十数年、外国のライバル企業がかなり力付けてきた。これは、かなり力を付けてきたのではなくて、かなり差を付けられてきたというのが実態でして、その前にドイツの話を少ししました。実は、これはドイツの企業なんです。このドイツの企業が物すごい力を付けてきまして、今やこの地下建機の中では世界でも有数な企業に育ってきたと。そこも実際、最初は私ども、出たときは影も形もない、向こうも中小企業でした。それが今はかなりの大きな立派な会社になったということですね。  我々は、五年前に、日本推進技術協会というのがありまして、そこでオールジャパンで新興国の方に推進を普及させてくれないかということをいただきましたので、それに一も二もなく応募したというところでございます。  次のページ、七ページお願いします。  四ポツですけれども、相手国との調整において直面した困難、特には、契約に至るまではJICAさんの応援をたっぷりいただきましたので特に問題はないんですが、実施後ですね、いろいろ、相手国の通関が遅れ、決裁、許認可の遅延等が日常的に行われていまして、これは大変苦労しましたというところです。  五ポツですが、JICAさんへの改善要望というのは、ちょっと支払条件でいろいろありまして、これは読んでおいていただければいいかなというのが①と②であります。③ですけれども、途中でインドネシアの政権が替わりまして今のジョコウィさんが大統領になられたんですが、それに伴って政府の御担当の方が徐々に徐々に大体ほとんど替わりまして、替わるたびに我々また行って、また一から事前に説明しなきゃいけないという、非常な苦労をJICAさんの方もされていましたが、我々にとって海外へ出たときにはJICAの御担当の方が一番の援助していただける方なんで、これからもそういう支援を期待したいと思っております。  次の八ページですけれども、今後の我々の海外における事業展開をつらつらと書きました。  先ほどもこの辺は言ってありますのでいいですが、②からですね。現在、駐在員事務所をインドネシア・ジャカルタに置いております。それをワンステップ、ツーステップ上げていくのが我々のこれからの事業展開というふうに考えております。中長期的には、日本国内と同様に、現地で機械製作、メンテナンス、事前調査、施工監理指導といった推進工事、工法のワンストップサービスを展開して、ローカル企業への技術移転、またそれに伴うローカルの雇用創出を目指していきたいと考えております。  課題としては、先ほどもちょっと言いましたが、ODA予算も付いて、インドネシアも下水道整備事業は最優先課題一つだよということをおっしゃっていますが、ここ数年全く進展がないというような状況です。ですから、インドネシア国の迅速な決定を望みます。  次の九ページでございますが、これがインドネシア政府の公共事業省から発注された工事であります。  左に、この二台の機械を納めました。右側の真ん中辺に、ちっちゃくて見にくいんですが、地図がございます。この地図の真ん中に黒い線が引っ張ってあるんですが、ここ、左側の氾濫する川から右側の用水路へ地下で三メーター五百の内径の管を二本、ワンスパン千三百メートルの事業を、事業といいますか、の機械の納入を我々いただきました。そこでやっております。  一番右下の方ですが、これは現地で推進管といいますか、コンクリート管を造っているところです。これも日本からの技術を供与して造ったものです。  次のページをお願いいたします。  これが、右の写真三枚、上の方ですね、これが毎年雨季になると氾濫する川です。三年に一遍物すごい洪水になりまして、私がちょうどこの写真撮ったときの雨季、この川の脇に立ちまして、ちょうど私の、そうですね、肩ぐらいまでですかね、水没ということで、家の一階部分はほとんど大半水没したという形なんですが、それでもまだここの方たちは立ち退かないでいらっしゃるんですね。で、事業が今ちょっと頓挫しております。  右下の広い河川が、これが放流の方の河川です。その隣の左が、ちょうどカーブしているんですけど、この下に内径三メーター五百の管が二本入っております。  左の方は、そのグラウンドブレーキングですね、起工式なんですけれども、このときはジョコウィさん、まだ首長、州知事ということでいらっしゃって、式の終わり頃いらっしゃったんですね。左の一番下ですけど、この白いシャツを着ていられる方がジョコウィさんですね。  十一ページ、最後になります。  我々の中小企業の支援していただく期待は、日本政府、JICAさん始めとして、今まで以上に後押しをお願いしたいと。さらに、先ほど言ったような海外のライバル企業に打ち勝つにはオールジャパンとして立っていかないと、敵はもう十数年前から国を挙げて政策的にやってきています。ですから、大きなプロジェクトは全てドイツのライバルに我々は負けておりますから、そうならないためにもこれから皆さんの御支援をいただきたいなというふうに思っております。  最後に、当然、我々民間企業ですから、我々も収益を上げていかなきゃいけないし、収益を上げて税金をお支払いするというのが我々の義務でありまして、その税金を使ってまたODAをやられるという循環の道だと思いますので、今後とも御支援のほどをよろしくお願いいたします。  以上でございます。ありがとうございました。
  15. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  参考人に対する質疑を行う際は、御起立の上、御発言ください。  参考人方々の御答弁につきましては着席のままで結構でございます。  また、各委員発言時間が限られておりますので、御答弁はできるだけ簡潔にお願いをいたしたいと思います。  それでは、質疑のある方は順次御発言をお願いします。
  16. 朝日健太郎

    朝日健太郎君 自由民主党、朝日健太郎です。  本日は、四人の参考人の先生方、貴重な御意見ありがとうございました。  我々参議院といたしましても、ODAのモニター、これは参議院としての大きなテーマでもあります。先日も決算委員会で二十七年度の決算も承認をされたということで、やはり決算、そしてODAの参議院ということで、しっかりと国民の税金が使われているのか、こういった観点から質問をしていきたいと思います。  本日、やはり持続可能性というところでSDGsというのは世界的に見てもトレンドになっているかと思いますけれども、今日の四人の先生方のお話を聞いていると、お立場お立場で非常に多岐にわたる印象を受けました。  まず、山形参考人に質問をさせていただきたいんですが、MDGsからSDGsに切り替わることによって、拘束力の弱まりであるとか数値目標も脆弱になったとか、非常にネガティブな印象を受けたんですけれども、逆に今、世界の民間であるとか国の方向性としてもSDGsをというような潮流の中で、そういったネガティブに捉えられる中で、じゃ、山形参考人的には、どういったところを克服していけばこのMDGsからSDGsにより幅が広がったことによる効果というものが期待できるのかというのをお聞かせください。
  17. 山形辰史

    参考人山形辰史君) 御質問ありがとうございます。  まず、私、注目しておりますのは、七月の国連におけるハイレベルフォーラムがどのように開催されるかということでございます。各国からどのような方が出席なさり、どの程度積極的な発言をなさるかということを注目しております。  私、ネガティブなことを申し上げたというふうに解釈していらっしゃったかと思うんですが、課題を挙げたということでございまして、今後、サステーナブル・ディベロップメント・ゴールズに向けて推進したいという気持ちは一緒でございます。しかし、この縛りが弱いという課題を意識しつつ、どれだけ多くの国々がこの目標にコミットできるかということをニューヨークの会議で見てみたいというふうに思っております。  ありがとうございます。
  18. 朝日健太郎

    朝日健太郎君 ありがとうございます。  非常に課題克服というテーマで私も注目していきたいなと思います。ありがとうございます。  続いて、上野参考人に質問させていただきたいんですけれども、国連グローバルコンパクトネットワークの一団体という、日本の中で組織をされていると認識をしておりますけれども、実際、企業や団体が今SDGs取組が非常に加速化しているという認識を持っております。そうした中で、是非、今の現場の潮流というんですかね、企業や団体がこのSDGsの十七のテーマ、ゴールというんですかね、特にこういった中でのトレンドというんですかね、満遍なく全体的にそういったものを目指していっているのがはやりなのか。特に、貧困対策なのかとか多様性、いろんなテーマがあると思うんですけれども、上野参考人の中で、こういったものが特に日本の中ではトレンドだという認識がもしあればお聞かせください。
  19. 上野明子

    参考人上野明子君) 御質問ありがとうございます。  これは、実は議論がある御質問かと思いますが、今企業がやっているのは、それぞれの企業のやはり企業方針ですとか強みのところを棚卸しして、その企業に一番いいこと、例えば衛生陶器を作っている会社さんでしたら衛生面、環境面での支援をしていたら環境面のところのターゲットを十七のうちから棚卸しして、その中でやはり一番強みを出せるところを頑張っていらっしゃるというのが多いようです。  ただ、これに関しては、NGOですとかアカデミアなどからはチェリーピッキングでやれるところしかやっていないという批判もございまして、この点に企業が今後どう応えるかというところが更なるトレンドというか課題になっていくかと存じます。  以上です。
  20. 朝日健太郎

    朝日健太郎君 ありがとうございます。  おっしゃるとおり、やはり非常に日本の強みというものを最大化していくという意味では、世界共通認識としてSDGsというものをビジョンに掲げながら進んでいくという意味では非常に有効かと理解しました。  それで、続きまして松崎参考人に質問をさせていただきたいと思いますけれども、JICAを通じて今回インドネシアの都市開発に取り組まれたということで、実績とそしてそれに伴う課題、こういったものを御発表いただいたと思います。  一方で、この委員会ODAで、政府開発援助ということで、日本の資源をしっかりと世界に届けるという意味で、都市開発というそういう建設とか土木的な人材に関して非常に日本は一方で人材不足という側面もあるというところを認識しておりますけれども、それでもなおかつやはり、世界にしっかりと貢献をしていくという、そこはしっかりと目指すべきビジョンとして今後も取り組まれるのかというのが一点目と、もう一つこれ聞きたかったのが、松崎参考人がそういう海外を目指すことによって御社のそういう企業風土というかそういったものに、国際貢献に携わることでの風土の変化というものがもしあればお聞かせをください。
  21. 松崎彰義

    参考人松崎彰義君) まず、後の方のお話させていただきますと、我々、先ほど冒頭に御説明させていただいたように、海外、一九八一年ですか、その頃からずっとやっておりますので、そんなに違和感のない仕事でずっと続けてきております。  この我々の機械を使う仕事というのは、国内はもう成熟したマーケットで、いっときから比べると半減以下になっております。ただ、これからは、新興国に関してはそういう需要はまだまだ百年たってもあるだろうという考えで、日本を捨てるわけじゃないですから、日本で縮小した部分を海外で補おうというのが一つの考えですね。  それから、技術者が足りないだろうと、おっしゃるとおりなんで、今、日本もいろいろオリンピックだとかなんとかで技術者も作業員も足りなくなってはきております。ただ、私どもは、機械を、物を作って、それには指導するという立場なんで、今まで海外の工事はやっておりません。ですから、機械は作れば幾らでも作れる、そこに技術者が一人付いて現地の方たちに大体一か月とか二か月とか教えて、それで引き揚げてくるというようなローテーションでやっております。それでも確かに人は足りませんが、これからもそういう人材は必要だなと思っております。  以上です。
  22. 朝日健太郎

    朝日健太郎君 ありがとうございます。  続きまして、若林参考人に質問をさせていただきたいと思います。  政府開発援助の中でNGOに掛けられる予算が非常に小さいと、そこを非常に問題視されているというのは認識をいたしました。その中で、今日のお話の中で一つ気になったのが、やはり日本のこういったNGOに関わる人材が世界に出ていく中で、今、安全面、セキュリティーという部分というのは非常に注視をされているわけですけれども、やはり世界中で活躍していただきたいという思いがある一方で、そういった安全対策とかまたセキュリティーというものは、各日本NGOそれぞれやられていると思うんですけれども、そういった部分において参考にさせていただくような事例があればお願いいたします。
  23. 若林秀樹

    参考人若林秀樹君) そういう緊急援助の必要性のある国々に対して日本だけが派遣できないというのは、やっぱりトータルとして非常に損失ではないかなというふうに思っています。今は、御存じのとおり一律に扱われて、せっかくセキュリティーに対して日頃からの研修、トレーニング、あるいは基準を設けて、チェックリストでそれなりに対策を取っているNGOに対してまでも一律適用はどうなのかなという疑問ですので、そこはしっかり、逆に政府の立場で、一応どういう条件がいいのか、それはお互いにNGOからも出し合って確認作業をしていくことが重要ですし、私は、やっぱり、それなりに経験がある、もう既に実績がある、そういうところに対して、それを踏まえてチェックしていくのが重要なんじゃないかなというふうに思いますので、安全についてもNGO側の今スキームができましたので、そこでも活発にトレーニングとか基準の在り方とか議論をしていますので、そういうところと政府との対話を進めていくことによって着地点は見えてくるんじゃないかな。  確かに、弱いNGOもあります。しかし一方で、しっかりやっているところに対しても一律適用はどうなのかなということに対して、日本人が万が一何かあった場合に対する社会からの批判というのは分かるんですけれど、もう少し前へ踏み出していただければなと思います。
  24. 朝日健太郎

    朝日健太郎君 ありがとうございます。  もう一問、若林参考人にお願いをしたいと思います。  国内には、四百程度でしたっけ、NGOがあるというふうに伺いました。その中で活躍される人たちがいらっしゃると思うんですけれども、本日のテーマである持続可能性というところにおいては、やはり人材の部分をしっかりと供給していくというのが重要だと思います。  私自身も、スポーツでいろいろ世界に出ていくと、やはりいろんなビジョンであるとか目標であるとか、こういったものを明確にしてあげることで、やはり新しい人材の供給も生まれる。そういった人材の循環というところにおいて、世界で活躍されるNGOの中で、特にそういう人材に関して御意見があればお聞かせください。
  25. 若林秀樹

    参考人若林秀樹君) ありがとうございます。  日本には四百、五百、NGOがあると言われておりますが、やっぱり戦後の様々な経緯を経てNGOが生まれて今日来ているんですが、なかなか、二極化というんですかね、大きなNGOと小さなNGOという差がやっぱり現実的にはあるのが現実ですけれど、一方、海外の国際NGOというのもやはり日本に来て活躍されているという意味においては、そういうNGOは比較的成長は早いというか、そのノウハウがありますのでそれはありますけれど、やはりNGOだからということで、例えば給与面の問題とか将来のキャリアプランという面でなかなか描き切れないのも現実ではないかなというふうに思っておりますので、そういう意味で、それはNGOだから給与面、条件面が低くていいなんというふうに全く思いませんので、どうしたらこれを、優秀な人材が来てくれるような条件面での整備が必要かということは日頃から議論をしているところで、そのためにも、NGO自身の努力とともに、戦略的に、繰り返しになりますけれど、政府からの援助もしていただけると、それに伴って様々なキャパシティービルディングというんでしょうか、そういうこともやっぱりできるんじゃないかなというふうに思います。  アメリカ政府は、七〇年代、八〇年代に戦略的に投資したことによって伸びていきましたし、日本は残念ながら一番欠けているのはファウンデーション、財団が少ないんですよね。その少なさと、規模もないですから、結局自己資金力だけに頼らざるを得ない部分において非常に厳しさがあるのではないかなと思っております。
  26. 朝日健太郎

    朝日健太郎君 ありがとうございます。  最後の質問を上野参考人に。先ほど、若林参考人からNGO活動を中心にありましたけれども、このグローバルコンパクトネットワークジャパンに加盟されている企業若しくは団体の中での、NGO的な、何というか、共存というか、その辺りのすみ分けとかいうのがもしあれば、若しくはグローバルネットワークジャパンの中からの人材のこういった交流であるとか、そういったものがあればお聞かせください。
  27. 上野明子

    参考人上野明子君) お答えいたします。  実は、グローバルコンパクトネットワークジャパンは、企業だけではなくて、NGOや大学、そして川崎市も署名されていまして、ここに若林さんのところのJANICさん、それから児童労働で有名なACEも会員になっています。そういう意味で、会員の中で、NGO、企業だけに限らずそういう勉強会がありまして、いつもお互いの状況を共有するようなことをしていますというのがまず内部的に一つございます。  あともう一つは、先ほども言いましたように、SDGs市民社会のようなNGOと今一緒に共同して政府への提言をするとか、来週も公明党さんの勉強会を共同でさせていただくとか、いろいろ共同していまして、一緒にできることを一緒にやろうというふうな、境を置かずにやろうという方針でやっております。  以上です。
  28. 朝日健太郎

    朝日健太郎君 終わります。ありがとうございました。
  29. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 民進党・新緑風会の牧山ひろえでございます。  参考人の皆様、本日は、大変ためになる御講演、ありがとうございました。  さて、二〇一五年の二月に改定されました開発協力大綱、これにおきまして、政府は、新たに国益の確保に貢献する、こういった表現も加えて、日本にとっての戦略的重要性を踏まえて対外援助を行う方針を鮮明に示しておられます。  私は、日本の平和国家としての使命は、憲法の前文にある平和的生存権を国際社会において実現するために全力で取り組むことであると私は考えております。かかる点に鑑み、地球共生社会を実現するODAは、外交上極めて重要な柱となり得ると思います。  そこで、日本ODAによって目指すべきもの、狭い意味での国益という考えもあれば、一方で地球益ないし国際公益という考え方もあると思いますけれども、その辺りについての御所見を、日本ODAに対する現状の認識も含めて、若林参考人山形参考人、お二人に御教示いただければと思います。よろしくお願いいたします。
  30. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) それでは、若林参考人から御答弁ください。
  31. 若林秀樹

    参考人若林秀樹君) ありがとうございます。  先ほどの私の陳述の中で少し申し上げましたけれど、何のためにODAを行うかという目的に帰するような質問ではないかなというふうに思います。  国益は、何をもって国益が確保されるかということは、やっぱり世界の安定と平和に対して日本ODAが貢献することによって、結果として裨益して日本国益になるという言い方は多分できると思うんですが、ただ、中身的には、純粋にそれぞれの地域人々のやはり貧困なり格差解消なり、豊かさにつながるものになることによって結果的に裨益するというのが本来の在り方ですから、経済成長のために云々だけでは私はないかなというふうに思います。  そういう意味では、例えばライツベースアプローチというのがあるんですけれど、これはNGOが得意としているんですが、やっぱり人権が侵害されている状況からそれを回復するのをお手伝いするのがODAだというふうに捉えれば、また違った面でODA支援の在り方がやっぱり出てくるんじゃないかな。結果、ライツベースでやることによって安定的に持続可能な開発にやっぱりつながっていると、いっときだけのインフラ支援だけじゃなくて、それと組み合わせることも重要じゃないかなという、それが最終的に日本のためになりますし、国際公益としての視点も私は満たされるのではないかなというふうに思っておりますので、そういう意味では、バランスの取れた均衡ある開発というものが日本の本来目指すべきものではないかなというふうに思っております。
  32. 山形辰史

    参考人山形辰史君) ありがとうございます。  私も若林参考人と基本的に意見は同じでございます。  まず、私思っておりますのは、一国が自国の産業を振興するのはそれは当然のことだと思うんですけれども、国際開発国際協力は、私は、筋としましては、相手のためになることをして、回り回って自分たちの国の理解であるとか評価を高めるということであるかと思っておりますので、当然、ウイン・ウインの関係になるものについて、それを国際開発の文脈で実施するということに問題はないかと思うんですけれども、通常の産業政策と国際協力は分けた方が自然だろうというふうに思っております。
  33. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 我が国の外交政策、とりわけODAですけれども、ODAの政策は決して一国の利益のためであってはならないと思います。憲法前文に明記されているとおり、地球益の実現こそが真の国益にかなうものであり、岡田元外務大臣が提唱されておりました開かれた国益、これが重要であると私は考えております。  開発協力大綱でもうたっている国益について、政府は事あるごとに狭い意味での国益ではないと説明しているんですけれども、今年度予算案の説明用に外務省が作成しているポンチ絵の「国益に資するODAの更なる拡充」の部分を見ますと、「テロその他の脅威から在外邦人や国内を守る安全対策」や「地方を含む日本経済を後押しするための開発協力」、こういったことなど、狭い意味での国益に視点が、余りに前面に出過ぎているような印象を受けます。そういったことに私は懸念を持っております。  一方で、ODAに対する世論の動向を見ますと、政府開発援助については、今後の現状維持ないし減額希望が優位を占めており、現在よりも予算を拡充すべきとする意見は少数にとどまっております。これが一九九〇年代のようにODA支出額が世界一の頃というならば問題ないと思うんですけれども、現在のODA実績は最盛時の半分以下なんですね。また、ODAのGNI比では〇・二%にすぎないんです。これは、DAC加盟の二十九か国の中で第二十位と低迷しておりますし、また、国連が目標とする対GNI比〇・七%から程遠いレベルにあります。バブル以降ODA予算が削られ続けたのも、現在のODA実績が低迷しているのも、元をたどればODAに対して国民の御理解がいただいていないというところに行き着くのではないかなと思うんですね。  より国民の理解や支持に基づくODAとするためにはどのような対策が考えられるのでしょうか。若林参考人山形参考人に御教示いただければと思います。よろしくお願いいたします。
  34. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 今度は山形参考人から行きましょうか。山形参考人
  35. 山形辰史

    参考人山形辰史君) 御質問ありがとうございます。お答えいたします。  二〇〇五年にイギリスはグレンイーグルズ・サミットを主催いたしましたけれども、その際に、世界的にリストバンドを巻いてみるですとか、国を挙げて国際協力するということをイギリスのイメージ向上に役立てました。それから、フランスは国際連帯税というものを提唱しまして、世界に対するフランスの貢献をアピールしました。そういったような形で、国際協力を、あるいはこのODAをイノベーティブな形でアピールしていくというのが取り得る方策かと思います。  当然、日本にとっては、人間の安全保障という概念ですとかあるいはユニバーサル・ヘルス・カバレッジといったような概念があるわけですけれども、それらがどの程度実際に国際的にアピールするのかということを見極めながら知恵を絞っていただかなければいけないと思います。  以上です。
  36. 若林秀樹

    参考人若林秀樹君) 私の方は、NGOの視点ということに絞ってお話をしたいというふうに思います。  九〇年代に断トツで日本がトップドナーだったときに本当に国民の支援があったかどうかというのは、私はちょっと分からないところがあります。しかし一方で、財政赤字になって、そんな余裕があるのかということで徐々に厳しい反応になっていったというふうに思います。  そこで、私は、やっぱりアメリカの例に例えるのであれば、開発に関わるパートナーの数をできる限り増やしていくという、そのことによって、市民が直接ODAに関わることによってODAへの理解が深まり、国民的な支持基盤がこれ強くなるんです。ですから、アメリカ政府は常にそれをやってきたことによって、一定程度のやっぱりODAに対する支援が根底にあるということは事実じゃないかなというふうに思いますので、戦略的にODAの有効性を高めつつ、一方、開発に関わるパートナーとしてのNGOを増やしていくということは、これはやはり中長期的に非常に目的にかなうんではないかなというふうに思います。  ちなみに、アメリカはやっぱり六百五十の団体が実際にODA支援に関わっている、だから人数にすれば相当なものが関わっているということになるんじゃないかなと思います。  以上です。
  37. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 ありがとうございます。  私は、ODAに関しての政策決定過程をより国民の側に近づいていき、国民の選択に基づくODA、こういったことにしていくことが国民の理解と支持の拡大につながっていくのではないかと考えております。そのためには、やはり国会、そしてこのODA特別委員会役割は非常に重いものであると私は考えております。  スイスのNGOアドバイザーが規模や活動内容などを精査し、NGOのランキングを発表しております。国境なき医師団ですとか、あるいはオックスファム、セーブ・ザ・チルドレン、ワールド・ビジョンなど、こういった有名どころの世界NGOが上位に名を連ねていますけれども、こういったランキングで日本NGOはなかなか名前が挙がってきていないんですね。もちろん、日本にも良質な活動を行ってくださっているNGOが数多くあるのも私は存じておりますけれども、ですが、活動範囲ですとかあるいは事業規模などにおいて世界的なNGOに及ばないのは事実だと思うんですね。  そういう観点から、なぜ日本NGOは欧米に比べて規模ですとか世界的な影響力において後れを取ってしまっているのか、こういったこともお聞きしたいですし、またそれに対する改善策、対応策としてはどういったことが考えられるのか。国際協力NGOセンターの事務局長でいらっしゃる若林参考人にこれもお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  38. 若林秀樹

    参考人若林秀樹君) ありがとうございます。  国際協力に関わるNGOも、やっぱり七〇年代、八〇年代に世界でも創立されているんですが、元々は一人ですよね、一人のやはり思いが形をつくってやって、急激に発達し、それが日本に入ってきて国際NGOとして活動しているということにおいて、やはりそれを考えますと、国民の、市民NGOに対する信頼度というんですか、支持基盤がやはりあるんではないかなというふうに思いますし、海外へ行きますと、国連よりもNGOの方が信頼度が高いんですね。日本は逆なんです。日本はUN機関がすごい信頼度が高い。これはやっぱり戦後の国連中心主義をした結果かもしれませんけれど、例えば日本ユニセフ協会というのは世界最大の、ユニセフの中での最大のやっぱり資金調達能力があるところなんです。結局、UN系に集まって、普通の日本NGOがやっぱりなかなか支援を受けられないというところもあります。  一方で、国際NGO日本活動しているんですよ、ワールド・ビジョンとかプランとか。じゃ、そこが非常に大きいかというと、世界のワールド・ビジョン、プラン、セーブ・ザ・チルドレンに比べればやはり日本も苦労しているんですよね。そういう意味では国際NGOといえども苦労しているのは一緒なんですけれど、もっともっと、さっき申し上げましたように財団がやっぱり少ない、ファウンデーションが少ないというところから見ると、この資金調達能力をどうやって上げていくか、そのために国民の信頼度をどうやって上げていくかというところも同時作業でありますので、これは結構時間が掛かることかもしれませんけれど、当面はやはり政府からの御支援、あるいは基盤強化のための御支援もいただけると、そのチャンスをいただけると、今後、五年、十年たって、日本からも、日本発の世界に通用するNGOがどんどんどんどんやっぱり増えるんではないかなというふうに思っております。
  39. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 どうもありがとうございます。  欧米の諸外国は国際的な影響力を持つNGO連携してそれぞれの外交目的を実現している、そういった側面も私はいろんな方々とお会いし感じているんですけれども、日本もやはり国際的視野に立ってのNGOとの連携もより強化していくことも必要だと思います。  時間となりましたので終わらせていただきます。  参考人の皆様、ありがとうございました。
  40. 里見隆治

    里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。質問の時間をいただきまして、誠にありがとうございます。  また、本日は、四人の参考人の先生方、貴重なお話をいただきまして、本当にありがとうございます。  先生方にお伺いをしてまいります。  まず、上野明子参考人にお願いをしたいと思います。  本日、議題となっております持続可能な開発、成長の実現には、政府また国際機関が主導、推進するのみならず、いかに裾野を広げて、民間、特に経済活動の主体たる、プレーヤーである企業においてその取組を推進していただけるかということが重要だと思います。  そうした意味で、グローバルコンパクトネットワークジャパン様のお取組で、こうした企業にその取組を広げていると、非常に重要な意義を持つというふうに認識をしておりますし、またその活動に敬意を表しております。  その活動内容の中で、事前にいただいておりました資料の中にあったんですが、二〇一六年度の分科会活動におかれて、十四の活動がおありですけれども、その中でサプライチェーン分科会というのが設置、活動されております。この活動内容について御紹介をいただければと思います。
  41. 上野明子

    参考人上野明子君) 御質問ありがとうございます。  サプライチェーン分科会は、実はGCNJの十四ある分科会の中で最も活発に活動している分科会の一つです。今年度というか、一六年度、八十名以上の方々が参加していろんな議論をしています。  一つは、やはり社内的な人材、そのサプライチェーンに関わる知識を増やすためのキャパシティービルディングをするというような課題もあるんですが、ここ数年、サプライチェーン分科会で行っていますのは、よく言われるCSR調達、責任あるサプライチェーンをどのように実現していくか、そのために、自社だけではなくサプライヤーさんにどのように理解をしていただくかというためのノウハウですとか、教育になるようなアセスメントツールということを行っていまして、それが今回、近々セルフアセスメントチェックツールというもので公開するようなものをアウトプットとして出ています。  この中で大変気を付けていますのは、やはり人権ですとか、環境ですとか、腐敗ですとか、そういった社会的な課題に、社会の幸せに反するようなものを排除できるようなものをサプライヤーさんが自分でチェックしていくことによって、バリューチェーン上、悪影響を及ぼさないようなことが自分で分かるようなツールをつくるですとか、そういうツールを提供するということをやっておりまして、つまり、各企業さん、個社だけに自分たちのノウハウをとどめないで、みんなでそれを共有することでより良いバリューチェーンをつくる、サプライチェーンマネジメントをしていくというような活動特徴になっております。  以上です。
  42. 里見隆治

    里見隆治君 大変ありがとうございます。  私も、このサプライチェーン含めてのバリューチェーンをつくっていくと、この点、今後、世界経済をこのSDGsに即した活動に近づけていくという意味で大変重要だというふうに考えております。  二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックに向けても、この三月に組織委員会が持続可能性に配慮した調達コードを策定されて、今後その推進に当たられていくと。SDGsの推進という観点からも、非常にこれを促していくものだと、重要な意味を持つものだというふうに認識をしております。  私、ILO活動推進議連というのにも入っておりまして、今このサプライチェーンの問題は、ILO、国際労働機関の中でも非常に労使の間で議論になっているところで、非常に理念、概念としては重要だけれども、実際に、アジアあるいはアフリカ等、発展途上国に行って何らかの取引をしていくと、こういった中で、実際にはいわゆるインフォーマル経済といいますか、なかなか裏に何があるか分からないという取引の中で日本企業の皆さんも非常に苦労されていると。そうした御苦労の中で、それでもなおこういった世界的な経済活動の中での責任を求められていくと。非常に経済の主体である企業の皆さんもちょっと戸惑っていらっしゃるというか、それだけにそういう活発な活動になっておられると思うんですけれども。  そこで、重ねて上野参考人にお伺いいたしますけれども、そうした今の企業の皆さんのサプライチェーンに対するお取組といいますか受け止め方、またどういったことを課題として捉えられているか、その点をお伺いしたいと思います。
  43. 上野明子

    参考人上野明子君) 回答いたします。  サプライチェーンというのは、本当に実は企業にとって最重要事項の一つかと思います。というのは、サプライチェーンのマネジメントをきちんとしていないと、もうそれは、先ほどの国益という話がありましたけど、日本企業がグローバルな市場でちゃんと戦っていけないというその根幹になるからです。  ただ、そのときにいろいろ出てきますのは、やはり人権の考え方ですとか環境の考え方ですとか、今ですとやはり欧州の考え方が世界的な標準になっていて、日本がそれを後追いしているという状況にございまして、今、日本の企業は一生懸命その後を追って、欧州から言われている基準を満たそう満たそうと一生懸命頑張っているところかと思います。ただ、そこのところが後追いでという形でいますと、なかなか優位の競争パターンに持っていけないというのが、日本企業が特にグローバルで商売を、ビジネスをしようとするときの悩みかと思います。  ただ、その逆に、それが励みになりまして、例えば先ほどILOのお名前が出ましたけど、バングラデシュでやっているベターワークのような、つまり、国を超えたある同じ、例えば繊維業界なら繊維業界でまとめて一緒になってサプライチェーンを良くしようなどというような動きが出てきていますので、そういう中に、日本も、ただ日本でやるのではなくて、一緒に入って世界のプレーヤーと一緒にやっていくということで、更にそのサプライチェーンの健全性を守るということに日本は貢献できるんではないかと思っています。  以上でございます。
  44. 里見隆治

    里見隆治君 さらに、済みません、同じこの案件でもう少し深く掘り下げていきたいと思うんですけれども。  日本企業のCSR活動、どちらかというと、これは私が受けていた印象かもしれませんけれども、最初に環境面での取組が進んで、ようやくここ最近、人権とか労働といった面にだんだん重点を置いてきたのかなというふうに思っております。  そうした意味で、人権、労働、こうした点をきちんと日本企業も理解していないと、進出した先で、例えば工場で余計な、何というんでしょうか、コミュニケーションが不足すること、あるいは人権への配慮が欠けてしまったことによって、労使紛争が起こってしまう、ストライキが頻発してしまうと。あるいは、ともすると人権侵害とも取られかねないような事案が発生する。もしかして、それは故意か悪意か、裁判にもつながってしまうと。非常にそういった意味での企業リスクでもあるわけだと認識しております。  そうした労働法規とか人権というのは、これはもう最低限のルールであるはずで、グローバルコンパクトの理念というのはもう少しそれよりは、法規的な水準よりはもう少し高いレベルのものだというふうに考えます。  そうした意味で、日本企業がもっと人権、労働といった点で力を入れていくべきだと、またそういった情報を共有しながら、またそうしたアセスメントツールを策定されているということですけれども、今後どういったところに企業の皆さんお取り組みになるべきか、もう少し深掘りをして教えていただければと思います。
  45. 上野明子

    参考人上野明子君) 先ほどの質問とも絡むかと思いますが、実は今のような日本企業が抱えているサプライチェーン上のを解消していく上で、企業の規模がやはり大きい小さいに限らず、実はサプライヤーさんというのが一次があって二次があって、しかもそのサプライヤーさんが更に業務委託をしていて、ある一つのビジネスモデルを構成しているアクターが山ほどいて、自分たちの企業だけでは見切れない実は非常に広がりがあります。  それで、日本企業、そういうことで、例えば中国で、サプライヤーではないんだけど、そのサプライヤーの委託先が強制労働していたとかいうことでNGOから言われたりとか、そういうことがある中で、どこまでその企業が本当に自分たちの力をもって責任を持ってサプライチェーンを健全にしていけるのかということが、これはなかなか簡単ではないことですけれども、考えていかなければならないことです。  あと、その人権、労働というところで、やはり日本の企業はどうしても労働面での対応が弱いところがあるかと思います。人権はある程度、まあ人権も難しいんですけど、やはり労働面での対応というのが難しくて、ほんの小さなところの誤解で進出国で労働争議につながったりするということがございますので、これは例えばジェトロさんなんかでもいろいろ窓口をお持ちだと思いますが、やはり企業だけではなく、そういう公的な機関がノウハウ等を提供して、バックで支援してアドバイスをできるようなことをもっと拡充していくことによって、またその一つの事例を横方面に共有することによってリスクを下げていくということもできるのではないかと思います。  以上です。
  46. 里見隆治

    里見隆治君 どうもありがとうございました。  こうした、まあどちらかというと環境とかが表に出ていたものが、これからやはり労働とか人権、そういったものが大事になるというふうに私感じておりますけれども。  この視点を政府の方に移しまして、これは山形参考人にお伺いをしたいんですけれども、事前にいただいておりましたアジ研ワールド・トレンドのナンバー二百三十二で、「日本政府関心が、開発途上国貧困削減から離れ、環境問題にのみ向けられることを懸念している。」というふうに書いておられるわけですけれども、確かに日本の、特に政府の得意分野といいますか、そういった技術協力あるいはインフラ整備、そしてまたその延長に環境ということも考えられるわけですけれども、私は、やはりこの人権とか人道という支援をもっともっと増やしていくべきだというふうに考えておりますし、そういった意味で、この懸念、実現してしまっては困るなということなんですけれども、この点について深掘りをして、どういった御懸念をお持ちなのか、さらに、それを克服するにはどのような点、政府として気を付けてほしいのかという点、お伺いをしたいと思います。
  47. 山形辰史

    参考人山形辰史君) 御質問ありがとうございます。  サステーナブル・ディベロップメント・ゴールズは、サステーナビリティーとディベロップメントの合体でございますので、そもそも最初から、設定からして、目標が増えた、それによって、当然のことですけれども、この焦点はぼやけやすくなる。そして、先ほど申し上げましたように、ゴールターゲットも増えていますので、おのずとどの国も全部は達成できない、全部に同じぐらいの強度で取り組むことができるとは想定されないというような認識を持ちやすいかと思います。  ですから、これは、逆に申しますと、日本は環境分野で非常に競争力があるというふうに認識をしておりますので、おのずと、まあそれはドイツもそうですけれども、二つある開発とサステーナビリティーの中でサステーナビリティーにのみ、のみといいますか、にかなり注力するとディベロップメントの方が薄まらないかという懸念を個人的に持っているということを表明したものです。  ありがとうございます。
  48. 里見隆治

    里見隆治君 どうもありがとうございました。  以上で終わります。
  49. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。  四人の参考人の皆さん、本当に貴重な御意見、陳述、本当にありがとうございます。  まず、山形若林上野参考人にお聞きしたいと思います。  報道されているとおり、アメリカのパリ協定離脱表明というのがされました。これが世界に衝撃を与えております。今現在、国連の海洋会議というのも開かれておりまして、その中でもアメリカの離脱表明に対して厳しい批判が寄せられているところでもございます。  SDGs目標十三の中にも、気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じるというものが盛り込まれておりまして、アメリカの離脱表明というのはまさにSDGsへの挑戦といいますか、そういうことになろうかと思います。  そこで、三人の参考人の方に、この米国のパリ協定離脱表明に対しての受け止め、感想、あるいはSDGsにどれだけのインパクトを与えるのか、また、これからNGO市民社会がこの目標に向けてどのように取り組むべきなのか、どう対応、対処していくべきなのか、御意見がありましたらお願いいたします。
  50. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) それでは、順番で、山形参考人から行きましょうか。よろしくお願いします。
  51. 山形辰史

    参考人山形辰史君) 御質問ありがとうございます。  まず、アメリカはパリ協定を離脱するに際して、私の知っている限り、ステートメントとしては、独自の何か施策をなさるんだというふうにおっしゃってといいますか表明していて、それが何であるかというのが私には、今のところは明らかになっておりませんので、当然それが、何かアメリカが非常に独自でイノベーティブで効果的なことをやるのであれば、もしかして一緒に併せてこのパリ協定の離脱のマイナスの効果を補い得るのかもしれませんけれども、それが、アメリカの新しい環境政策がそれほど有効なものでないとするならば、やはりこれは非常に残念なことだというふうに個人的には思っております。  以上です。
  52. 若林秀樹

    参考人若林秀樹君) 個人的な感想になりますけれど、極めて残念なことだというふうに思います。  国際的な協定に対して米国政府も合意したわけですので、それはやっぱり政権が替わっても、引き続きそれは約束したものとして受け止めていくことが必要じゃないかと思いますし、そのことによるアメリカの信頼性がどれだけこれで失われるかという、総合的に考えたときに私は極めて残念だと思います。  ただ、気候変動の問題は、トランプ政権だけで終わるものじゃないので、やっぱり今後ずっと長い歴史の中で引き続き取り組んでいく問題ですので、市民社会としてもアメリカ政府に引き続き働きかけていきたいというふうに思いますし、中国そしてアメリカがやはり排出国としてその責任を持つということについては、これからも働きかけていきたいと思います。  以上です。
  53. 上野明子

    参考人上野明子君) 個人的な意見になりますが、繰り返しですが、私も残念なことだと思います。  ただ、このアメリカの協定離脱表明がどのような本当にインパクトをもたらすかは実は余り今のところ分かりませんし、アメリカという国が地球で単独で存在しているわけではなくて、これだけいろいろなものがつながって、みんな一人では生きられない社会ですので、逆に、我々、ビジネスあるいは消費者として、みんながそういうグリーンな世界を目指すというふうに風潮が変わっていくことでそういうものに影響を与えることができる。  ですから、アメリカ単独の責任ではなく、ほかの国々である私たちもそこに対してよりポジティブな姿勢を示していくことが重要かと思います。  以上です。
  54. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 ありがとうございます。  日本政府としても、やはりこの離脱表明、何とか思いとどまらせるように働きかけていくべきだというふうに私は思います。  それと、続いて、若林参考人にお聞きをしたいと思います。  陳述の中で、今、NGOへの規制が強まっているというお話がありました。その中で一つ弾圧があるというような話もありました。私は、このODA委員会で何度か、JICAの事業であるモザンビークのプロサバンナの問題というのを取り上げてまいりました。  このモザンビークで行われていることでNGOの皆さんからたくさんの意見批判があるわけですけれども、この度、JICAの資金が入ったもので、ODAの資金が入ったもので、予算が使われているもので、いわゆる事業に反対する市民組織の影響力を低下させるための戦略書というものが作られていたということが明らかになっております。この中で、モザンビークの市民社会組織の重要性を奪うことでモザンビークで活動する外国NGOの力をそぐことができるんだと。住民らとの会合では文書記録が作成されなければならず、またビデオと音声で記録されなければならないというようなこともありまして、あからさまに現地のこの事業に反対する市民組織への介入提案と行動計画というのがODA予算でされているということが明らかになっております。  そこで、先ほどの様々なODAに対する規制弾圧という話があると思いますけれども、このモザンビークの件というのは、やはり現地の方々人権がないがしろにされているんじゃないかということにもつながっていく問題だというふうに思います。  そこで、今、人権がなかなか、侵害されているんじゃないかと、そう思われるようなこの事案、一体、このモザンビークの件も含めてですけれども、現状がどういうことになっているのか、またなぜこのようなことが起きるのかなどについて、若林参考人意見を伺いたいと思います。
  55. 若林秀樹

    参考人若林秀樹君) ありがとうございます。  個別の案件について必ずしも詳細に掌握しているわけではありませんので、申し訳ありませんが、ちょっとそこについてのコメントは避けさせていただきたいと思いますが、いずれにせよ、人権に関する団体とかNGOに対する弾圧というのは、実は今始まったわけではないんですね。昔からずっとこの問題については続いていて、最近それが脚光を浴びているということにすぎません。  私は、前職というか、ついこの間まではアムネスティ・インターナショナル日本事務局長をしておりましたので、まさにその問題を扱って五十五年ということになりますので、ただ、これはやはり、JICAなり日本政府がそこでプロジェクトをやることによってそれが人権侵害につながっては、なってはならないことですから、そういうガイドラインもあるわけですから、それは、日本政府としての影響力を最大限行使し、もしそういうことが分かれば援助をストップするというぐらいのやはり強硬な姿勢も必要なんではないかなと思っています。  先ほど、ビジネスと人権という話に関わることなんですが、元々、九〇年代にナイジェリアでシェル社が石油開発のために環境問題起こして、そこに反対した活動家を実は政府が逮捕して処刑してしまったんですね。それがやっぱりかなり世界的にショックなニュースとして流れて、これはビジネスと人権の問題についても取り組まなきゃいけないという流れがこの九〇年代後半から来ておりますので、その中に、今日この問題が人権問題として取り扱われているということですから、当然今後も、まあ当然のことながら、これが人権侵害につながるような案件は絶対避けてほしい、やはり現地コミュニティーとしっかり話し合って進めていくという作業は当然ながら必要じゃないかなというふうに思っておりますので、そういう見解にさせていただきたいと思います。
  56. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 ありがとうございます。  続いて、松崎参考人にお伺いしたいと思います。お待たせをいたしました。  海外での下水道管の布設ということで様々事業もされてきたと思いますが、よく言われることに、日本の技術は非常にレベルが高いんだけれども、しかし高いんだというようなことが言われると思うんですね。これはJICAの事業を様々されていると思うんですけれども、やはり相手国の予算の関係もあろうかと思います。  その中で様々な苦労も、例えば技術を落とさなければならないとか、いや、そんなことはする必要ないんだと、あるかもしれませんけれども、その予算の面で、また技術の面で抱えている課題であるとかありましたら、是非教えていただけたらと思います。
  57. 松崎彰義

    参考人松崎彰義君) 確かに先生のおっしゃるとおり、平たく言うと物価が違うので、我々が一千万すると、新興国に対して一億ぐらいのいわゆる感覚を持ってしまうというところで高いとか安いとか出てくるとは思います。じゃ、高いから安くして技術を落とすということはこれは絶対あり得ない話で、中枢の部分を供給して、できるだけその周辺の部分についてはローカルで調達できるものは調達していこうというふうな形でローカルの方々には指導といいますか、そういうふうにやっております。いよいよとなれば、私ども、機械まだ二百台ほど持っておりまして、いわゆる中古ですね、中古の機械を供給したりする場合もあります。そんな形でコスト的には対応しておりますけれども。  でも、私どもやっているのは本当にニッチな世界なので、大きな地下鉄のトンネルとかじゃないものですから、これは間違いなく日本が一番世界中に誇れる技術だと思います。絶対新興国では必要な技術だと思います。ですから、是非私としてはタイドの案件でやっていただければいいかなと。そうしないと、技術持っていない人間が入ってくるんですね。これが一番困るんじゃないかなと思います。
  58. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 ありがとうございました。  日本でも下水道の老朽化というのは深刻な社会問題としてありますので、日本でも布設の工事はされているかと思いますので、是非応援したいと思います。  続けて、上野参考人にお伺いしたいと思います。  SDGs推進に向けた企業の抱える課題というお話がありました。先ほどそれぞれの企業の強みを棚卸しして頑張るんだという話があったと思うんですけれども、それを超える例えばインセンティブといいますか、企業にとっていわゆる利益につながるというだけではなくて、こういうインセンティブでSDGsの実現に向けて取り組むべきではないか、取り組んだらいいのではないか、そういう御意見がありましたら教えていただけたらと思います。
  59. 上野明子

    参考人上野明子君) ありがとうございます。  幾つかあるかと思います。これは、まず税制面で、何でも税制優遇という話になってしまうかもしれませんが、単純に税を安く、企業、税を安くしろということではなくて、そういうプロジェクトにかかっている開発、RアンドD費などに関して、例えばそこに対してはそういう手加減をして開発をするモチベーションをするということが一つあろうかと思います。  あと、二点目は、これは企業というのはやはりいいことをやっているときというのはそれを認知してほしいという気持ちがありまして、単純に何か賞をつくればいいというわけではないと思うんですが、何回かの円卓推進会議でも申し上げているのは、例えば、SDGsのそういうリーディング何とか賞みたいなもので国として認知していくようなことをすれば、やはり企業というのはもっとやろうという気になるかなと思います。  以上です。
  60. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 以上です。  ありがとうございました。
  61. 清水貴之

    ○清水貴之君 日本維新の会の清水と申します。どうぞよろしくお願いをいたします。  本当に貴重なお時間と御意見と、どうもありがとうございます。  まず初めに、山形参考人にお伺いをしたいと思います。  MDGsSDGsの違いというのをお話しいただきました。そもそも、基本的なところになってしまうんですけれども、なぜそういった違いが生まれたかというところで、これを見ていかないと、次の目標を立てるに当たっても同じようなことが起きてしまって、なかなか成果、結果が出てこないということになるんじゃないかなというふうに思います。  私が思ったのは、お話を聞いていて、いろいろ世界課題というのも多様化をしています。だから、いろいろなものを盛り込まなければいけなくなったのかなと。もう一点は、いろいろな例えば団体とか組織とかが議論に加わってきたことによる多様性というのも生まれたのかなというのも思いましたし、根絶とか強化という言葉が多くて具体策がないという話ですけれども、具体化することによって困る団体、組織、若しくは国というものがあるのかなと、こういったことも考えたわけですが、参考人はどのように思われますでしょうか。
  62. 山形辰史

    参考人山形辰史君) 御質問ありがとうございます。  まず、SDGsMDGsに比べて目標が増えた理由は、私が思いますに、MDGsの成功だったと思います。MDGsの中にトピックとして入れられることによって、よりそのトピックの重要性が国際社会に認知されるんだという理解が深まったかと思います。例えば、平和、ピースということに関しては、MDGsでは入っていませんでしたけれども、SDGsで入ったというようなこともございます。  それから、明確な数値目標がなぜ減ったかということに関しては、私は以上のように考えております。それは、MDGsの時代から、目標の八番、これは先進国に向けられた目標だったんですけれども、先進国に向けられた目標に関してはペナルティーがありませんでした。それが、SDGsはユニバーサリティー、普遍主義ということで、環境のトピックは先進国にまで広がったわけです。先進国に、信賞必罰といいますか、インセンティブを付けるようなメカニズムはなかなか国際社会も構築できなかったということだというふうに私は解釈しております。
  63. 清水貴之

    ○清水貴之君 先ほどパリ協定の話もありましたが、となりますと、この七月の各国の指針などを見てみなければというお話でしたが、なかなかそれぞれやっぱり各国かなり温度差があるんじゃないかなというふうに想像いたしますが、どのように考えられますか。
  64. 山形辰史

    参考人山形辰史君) 今の時点で私が確固たる答えを持っているわけではありません。しかし、先ほど来話題に出ておりますパリ協定についても、これも各国各様目標設定が許されています。ですから、最近は、自分で自分を縛るんだと、それがゆえに自由度が高くなっているということから考えますと、同様に幅の広い目標設定になってくるのではないかなというふうに想像しています。
  65. 清水貴之

    ○清水貴之君 ありがとうございます。  続いて、若林参考人にお願いをいたします。  私、南スーダンへの渡航制限に関するお話を各NGO方々が各党への説明をするということで、維新の私、担当といいますか、代表という形でお話を聞かせていただきました。確かに、お話を聞いていて、来られたNGOの皆様というのも、支援の実績があったり、安全対策に対する姿勢であったり、こういうものもしっかりとやっていらっしゃって、なぜ我々が行けなくて、やっぱり国際的に日本が遅れてしまうんだという思い、すごく伝わってきました。  ただ、一方で思ったことが二点ありまして、まず一点目なんですけれども、これについてお聞きしたいと思うんですが、なかなか、やっぱり様々NGOがある中で、本当にどれぐらいの活動量があったりとか、どれぐらい安心、安全が担保されているかとか、こういったことを測る指標というのは非常に難しいんじゃないかなというのを実感として感じました。密に政府が対応して、話をしてということまですればいいのかもしれませんけれども、なかなか難しいんじゃないかなと。  これは、対政府だけではなくて世論としても、国内的にも様々なNGO、NPOまで含めていいか分かりませんけれども、ある中で、やっぱりしっかりやっている、もちろん頑張っているところもあれば、申し訳ないけれどもそうではないところもあるわけですね。こういったところをしっかり、違いというのをある程度やっぱり明らかにしていく、若しくはやっているところのアピールであったり、こういったことをしていく必要があるのではないかなというのを私は話を聞いていて感じたんですけれども、この辺り、若林参考人、いかがでしょうか。
  66. 若林秀樹

    参考人若林秀樹君) ありがとうございます。  おっしゃるとおり、それぞれのNGOにおけるやっぱり経験差、能力の差、日頃からの活動の実績等に差があるのは当然だというふうに思っていますので、私も、先ほどから申し上げているのは、一律適用は問題ではないかと。ですから、それぞれのNGOをやっぱり見て、それぞれの実績、トレーニング、安全対策をどうやっているのかというその指標を、政府だけつくると、政府も逆に指標をつくって認めたので行っていい、でも、何か起きたときということもありますので、そこはやっぱり政府NGO、関係者でそういう指標をつくって、お互いに合意できるような内容をつくっていくことも必要じゃないかなというふうに思っています。  これ、PKOの派遣にもつながることなんですけれど、NGOもそれぞれやはり安全対策をやっていますし、それなりのやっぱり実績がありますから、最後はやはり本当に危険なところで、危ないところには活動してはならないということはそれぞれの判断で多分あると思いますので、是非そこについて一歩踏み出していっていただければなというふうに思います。  政府は、やはりそれが社会からの批判になることに対して非常に慎重になっているというのはもう間違いないんですね。ただ、一方では、せっかくの機会を失っているということに対して、どうやってお互いに歩み寄ってやっぱりできるかというのを是非話合いに着いていただければ有り難いなと思っています。
  67. 清水貴之

    ○清水貴之君 もう一点なんですけれども、費用の面で思ったことが、もう今、憲法で移動の自由、渡航の自由というのが認められているわけですから、行こうと思えば行けないことはないわけですね。ただ、行くことによって、NGOで、政府からの資金提供なりを受けているNGOというのは、そこの、政府からの資金の部分でストップをされてしまうというお話を聞きました。となると、最終的には、この資料四でいただいたとおり、政府開発援助に占めるNGO補助金割合ということで、各国かなり違いがあります。日本は相当低いという話です。  これが、私、いいアイデアがあるわけではないんですけれども、もっとうまく、ファウンデーション、財団の話もありましたけど、もっとうまく費用が、国からだけに頼るんじゃなくて、もっと違う形で回っていけば、それこそ、国とももちろん連携は必要です、勝手に行っていいとは思わないんですけれども、とはいえ、ある程度国からの制約なく自分たちの意思で動くことができるのではないかなというふうにも思いました。  このやっぱり財政面というのは非常に活動する上で大切なことなんですが、難しい案件なんだなというのを感じたわけですけれども、このお金の部分、財政面についてはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
  68. 若林秀樹

    参考人若林秀樹君) 政府から助成を受けると、そのことによって逆に依存してしまうという悪循環も生まれかねないんですよね。ですから、更に増やしてほしいというところもありますが、一方では、NGOもそれぞれ資金調達を政府以外のところでやろうとして非常に努力しているのもこれは事実なんです。ただ、残念ながら日本は、さっき言ったように、財団、ファウンデーションがない、あるいは資金源がなかなかNGOに集まってこない、国際機関に行くんだけど、なかなかこちらに来ないというところもあります。  恐縮ですが、アメリカの例でいうと、さっき三千億という政府からの援助ありましたが、ただ、そのNGOが個別で集めているのがその十倍あるんですね。これは、政府の数字で、二兆七、八千億という私の記憶だとありますので、それだけ外にもそういうリソースを得るというところがあるというのがやっぱり日本アメリカの最大の違いじゃないかなというふうに思っていますので、我々も、日々その政府外の予算を、資金調達をやるというのは努力をしていますので、ただ、その努力をする際にも、当面の間、やっぱり政府のお金も含めて御支援をいただきたい。直接的なプログラムもそうなんですが、NGO活動の基盤を整備する意味でのやっぱり御支援も非常に有り難いなと思っていますので、そういう観点から御理解をいただけないかなと思っております。
  69. 清水貴之

    ○清水貴之君 ありがとうございます。  続いて、松崎参考人、お願いをいたします。  掘削機械を販売されて若しくはレンタルで、技術者を派遣してというお話をされておりました。松崎参考人の会社の事業形態の話なので大きなお世話かもしれないですが、私が思ったのは、販売、レンタルだと一過性である意味終わってしまって、技術は現地の方に移ってしまって、その機械がある限り同じような工事が現地でどんどん進んでしまうと。販売のときの最初の初期費用だけしかある意味入ってこないと。そうじゃなくて、工事まで請け負って現地で作業を進めていく方が、技術は外には出ないし、売上げの面でも、本当に大きなお世話だと思うんですけれども、いいんじゃないかなというふうにも思ったんですが、そういったビジネスモデルに関してはどういう考えで進めていらっしゃるのでしょうか。
  70. 松崎彰義

    参考人松崎彰義君) 工事に関しては、人も足りないというのが一番にあります。それから、もうちょっと先生の認識をあれしていただくと、確かに各国で数台しか売れていないというところもあります。ただ、当社の機械、一年にそう多く仕事ができる機械ではないんですね。せいぜい千メーターとか二千メーターぐらい掘るのが精いっぱいと。そうしますと、日本で例えばいいますと、ちょっと前まで日本ですと下水道五か年計画というのがありまして、毎年毎年下水道の普及率を何%上げましょうと。そのときには、うちで年間、何台だろう、何十台ですね、まあ百台近い需要がありまして、それをほとんど販売で、まあ販売とレンタルもありますけど、やってきました。  そういう形ですから、インドネシアにしても、フィリピンにしても、ベトナム、マレーシアにしても、まだまだインフラ整備全然できていないというところですから、それに、まだ彼らとしてはその機械を作るだけの能力もない。  実際、中国にも、私ら直接売ったのは数台ですけど、中古品で多分二百台、三百台ぐらい入っています。彼らはコピー作っています。ただし、国内では彼らのコピー作ります。彼らが、中国の方が海外へ出て仕事するときは当社のオーダーでやっていただいています。例えば、この前でも、ムンバイですね、そこに中国石油が進出して推進をやられたときには当社の機械を購入して施工してもらいました。まだまだ技術的には劣っていますし、将来的には中国は当然我々を凌駕してくる可能性も十分ありますので、その辺は気を付けなきゃいけないんですけれども。  ほかのインドネシアですとかフィリピン、ベトナムとかでは、近々というか中長期的にはローカルプロダクトでコストダウンと技術移転していきたいなというふうには考えております。
  71. 清水貴之

    ○清水貴之君 どうもありがとうございました。  日本は隣の某大国とは違うと最後に書いてあって、これ、最後、済みません、一言だけもしいただけましたら。今みたいな思いでいらっしゃるんですかね。一言、何かもしありましたら。
  72. 松崎彰義

    参考人松崎彰義君) 某大国は、例えばODAやると全部根こそぎ持って帰られますよね、何にも残さないで。我々はそんなこと、絶対日本人はそんなことしませんよというところを話すと、非常に支援国も納得はしていただいています。納得はしていただいていますけど、実際にどういうふうに付き合っていくかというのはまたいろいろ国の事情もあると思いますけれども。  それから、もう一つ書いてあるのは、G国、打倒G国と、これ日本挙げて戦いたいと思っています。  以上です。ありがとうございました。
  73. 清水貴之

    ○清水貴之君 ありがとうございました。
  74. 又市征治

    ○又市征治君 希望の会、社民党の又市です。  今日は、貴重な御意見、御提言、どうも、皆さん、ありがとうございました。  今日のお話や事前に読ませていただいた文書を踏まえて何点か質問をさせていただきたいと思いますが、まず初めに、山形若林上野、三人の方に、参考人にお聞きをしたいと思うんですが。  御案内のとおり、SDGsは、従来の開発目標とは異なって、その普遍性が強調されるようになってまいりました。つまり、単に発展途上国だけではなく、日本も含めたいわゆる先進国にもその目標の達成が求められると、こういう状況に変わってきたと思うんですね。以前でしたら、日本支援する人、支援する国、こういう感じだったわけですが、日本人は国際支援の問題をそういう格好で考えていましたけれども、それだけでは済まなくなったということだと思います。  これに関連して、先日ある全国紙にドイツのベルテルスマン財団が昨年公表した国別の目標達成率が掲載をされました。全体として日本は百四十九か国中十四位、こういうことなんですが、目標のうち達成したのが、質の高い教育、安全な水とトイレ、産業と技術革新基盤の三項目で、達成にはちょっと遠いんですが、貧困、ジェンダー平等、クリーンエネルギー、気象変動への対策、豊かな海、豊かな陸、目標達成に向けたパートナーシップ、以上の七項目でした。つまり、十七目標のうち半数弱ということだったと思うんですが、この目標達成率自体いろんな意見があるのかもしれませんけれども、皆さん方はこのことについてどのように感想をお持ちなのか、お聞きをしたいと思います。
  75. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 又市委員、順番はどなたから呼んでもいいですか。
  76. 又市征治

    ○又市征治君 はい、三方。
  77. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) じゃ、私の方で御指名させていただきます。まずは上野参考人から。
  78. 上野明子

    参考人上野明子君) お答えいたしますというか、その中で一つ、ジェンダーに関して申し上げたいかと思います。  日本は、政府、国を挙げて今そこのところに力を入れていますが、実際のいろんなシーンではまだまだそこはかなり遅れております。一つ、国連グローバルコンパクトと私たちローカルネットワークでやっている試みを御紹介しますと、例えば、あるイベントなりパネルをやるときに、男の人だけはお断りという指針でやっております。ですから、人選をするときにも必ずジェンダーバランスを考える、逆にそのくらい配慮していかないとジェンダーの問題は解決しないと思いますので、是非いろいろな、参議院のいろいろな場でもそういうふうなキャンペーンなりをやられてはいいのではないかと思います。  以上です。
  79. 若林秀樹

    参考人若林秀樹君) 御指摘のあったトイレ、水、貧困、クリーンエネルギー等は日本の技術力をもってそれが前に進んでいる、あるいは教育についてもほぼ一〇〇%と、まあ九十何%ということになりますのでそういう評価があってもいいとは思うんですが、じゃ、それ以外についてどうかといえば、例えば、さっきのビジネスと人権に関わっては、これはSDGs人権が非常に関わりがあるんですよね。この十七の目標をひっくり返すと全ての人権にこれ通ずるという意味においては、もう少し全体を通して人権の視点を通した取組が必要じゃないかなというのが私の思いでありまして、国も国別行動計画を作らなきゃいけないという、このSDGsとの関係で今問われているんですね。  できていないのは日本ともう一つの国だけなので、それについてはSDGsとの関係で、国もその部分について計画を作って併せてSDGsを達成するということがやっぱり必要だと思いますし、是非お願いしたいのは、立法府としてSDGsを達成するためにどういう法律が必要なのかと。それを通じて、国内実施を含めてやっぱり達成していただくことを、是非、一通りSDGsという枠の中で点検していただいて、足りないところを是非取り組んでいただきたいなと思っています。
  80. 山形辰史

    参考人山形辰史君) どうもありがとうございます。  率直に申しまして、私、このベルトマン財団というふうにおっしゃいましたでしょうか、そのドイツの財団の指標については知りませんでしたので、これから勉強させていただきたいというふうに思っております。  ただ、例えば、このゴール、十七ございますけれども、ゴールの十七番目は先進国がどう貢献するかということに関する指標です。しかし、そのゴール一から七までは、まず、かつてのミレニアム開発目標に近い形になっておりまして、先進国でしたらある意味水準としては既に満たしているものです。ただ、目標が大体は改善度になっていますので、日本が仮に、まあ実際そうだと思うんですけど、かなり貧困指数が低いと。それを二分の一にするというようなことが達成しにくいのは当然なわけなんです。  それから、その貧困指数も、通常途上国は絶対水準貧困線として使い、先進国は相対水準貧困線として使うことが多いんですけれども、相対水準といいますのは、全体の何%を貧困と定義するというようなことになりますので、貧困率を削減するのが非常にこれ難しいということになります。  したがって、先進国がこのゴール一から七、自分の国に関して改善するのはかなり難しいわけで、環境関係のゴールゴール十一から十五までございますけど、ここは当然ですね、ここは当然日本も達成に向けて進めたいところなんですけれども、そういうゴールの性格を区別して分析していかないと、ちょっと私、より詳しく申し上げかねるところです。
  81. 又市征治

    ○又市征治君 どうもありがとうございました。  それじゃ、山形参考人若林参考人にお尋ねをいたしますが、事前に山形先生の東日本大震災と国際協力の関係について文書を読ませていただきました。大変感銘を受けたところであります。特に、お礼を言われるのはお礼を言ったときだと、こういうふうにお書きになっていましたけれども、そういうことだなと、こう思いました。これ見よがしに、支援しているのだよと見せ付ける態度というのは歓迎されないということだと思います。  また、二〇一四年九月に発表された国際協力NGOによるODA大綱見直し十の提言も読ませていただきましたけれども、その趣旨にも賛同するところですが、それを踏まえてお二人にお聞きをするんですが、日本の国際支援は、現在、国益に資する開発協力というモットーで行われるという格好に変わってきている。具体的な課題については賛同するものも多くあるんですけれども、国益に資する開発協力というのは、結果としてそういうことになるのかもしれませんけれども、正面からそのことを主張されるとなると私は違和感を持たざるを得ないんですが、お二人はこのことについてどのようにお受け止めになっているか、お聞きをします。
  82. 山形辰史

    参考人山形辰史君) 御質問ありがとうございます。  先ほどの別の質問に対する回答と類似したことになりますけれども、私は、国際協力国際開発を目的とした日本の貢献と、それと日本の産業を育成する産業政策は別個であるのが自然じゃないかというふうに思っている方で、ウイン・ウインのときにはそこは妨げられないかというふうに思ってはおりますけれども、そうですね、それがまずはございまして、申し訳ございません、それで回答とさせていただきます。  どうも申し訳ございません。
  83. 若林秀樹

    参考人若林秀樹君) これも先ほどの私の答弁と繰り返しになるかもしれませんけれど、やはり何のためにODAをやっているかといえば、やはりそのお金の行き方、施策が本当にかなうという意味では、途上国のその人たちの、人々の豊かさとか貧困解消とか、やはり社会的な開発につながると。結果的に治安が安定し経済が潤っていけば、結果として日本がそれを裨益するということはあるわけですから、当然、日本の税金を使っているという使い道においては有効に使われると。  その有効に使われるには、やはり純粋に、ある意味でその途上国のためになることが私はやっぱり最終的につながっていくということですから、あえて最初から国益振りかざす必要は全く私はないんじゃないかなというふうに思いますし、それを言えば言うほど、被援助国から見れば、ああ、日本のためにやっているんだというふうに思われるんですよね。それは損ですよ、売り方としては。  ですから、それは一回避けて、みんなのためにやっているんだ、それが日本のためになるんだという、そういう構図をやっぱりもう一回フレームワークの中で変えていく方が得策じゃないかなというふうに思います。
  84. 山形辰史

    参考人山形辰史君) 先ほどは申し訳ございませんでした。言いたいことをちょっと忘れてしまいましたので、今また思い出しましたので、付け加えさせていただきたいと思います。  私、私の所属している研究所の開発スクールというスクールで教えておりますが、アジア、アフリカからの外国人研修生を招聘しております。  そういう彼らは、日本の、まあ日本のみならず、世界のドナーの援助のモチベーションについて非常に敏感です。そういう方々の中には、ドナーは自分たちのためにやっているんですよねというふうに、そういうふうな認識をおっしゃる方もおられます。私はそういうときに、自分たちのために回り回ってなるとは思っているけれども、しかし、ODAをやる私たちの日本政府の、もちろんNGOも、企業の中にも、本当にウイン・ウイン、相手のためにもなるということを考えてやっている人たちがいるんだということを強調するようにしていまして、非常に受取国側の国民は敏感だと、ドナーのモチベーションに関しては敏感ですので、私はその少しの変化でも彼らは認識を変えかねないという懸念を持っています。
  85. 又市征治

    ○又市征治君 ありがとうございました。  それじゃ、上野参考人にお伺いしますが、上野参考人活動は、企業の活動を持続可能な成長を実現するための枠組みの中に統合していこうということだというふうに思いますけれども、率直に言って、日本の企業相手では大変な苦労をされているんだろうと思います。  先日も、クラスター爆弾製造企業に投資を日本企業が行っているとNGOが発表をいたしました。日本の企業に企業の社会的責任を自覚してもらうとか、SDGsの実現の一翼を担ってもらうように活動していく上で一番苦労なさっている点、簡単に御説明いただければと思います。
  86. 上野明子

    参考人上野明子君) この緑の参考資料の中でアンケート調査が載っておりまして、実はそこを見ていただきますと、済みません、五十二ページを御覧いただけますでしょうか。ここの一番左側に二つグラフが載っているところの上側ですけれども、このSDGsの認知度を組織内で浸透する上でどの程度になっているかというときに、経営陣に定着しているというのが二八%、二〇一六年度にございました。これ、ところが、欧米は大体これ八割ぐらいトップに、経営者に認知されていると別のアンケートで答えがありまして、日本はやはり経営陣の認知度あるいはそこのコミットメントが低いというのが一つ課題です。  なので、私たちの組織としては、そこは大変難しいところなんですけれども、CSR担当部門にだけこういうことを呼びかけていては変わりませんので、この経営陣の意識を変えていくために流れを今後つくっていきたいと考えております。  以上です。
  87. 又市征治

    ○又市征治君 時間の関係で、松崎参考人に本当はインドネシアにおける努力の点、今後のJICAとの関係の問題をお聞きしようと思ったんですが、時間がなくなってしまいました。申し訳ありません。  終わります。
  88. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 以上で参考人に対する質疑を終了いたします。  この際、参考人方々に一言御礼を申し上げたいと思います。  本日は、大変貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。本委員会を代表しまして心から厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時二十八分散会