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2017-04-12 第193回国会 参議院 資源エネルギーに関する調査会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年四月十二日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  二月二十二日     辞任         補欠選任      高橋 克法君     そのだ修光君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         金子原二郎君     理 事                 高階恵美子君                 長峯  誠君                 福岡 資麿君                 森本 真治君                 河野 義博君                 山添  拓君                 清水 貴之君     委 員                 青山 繁晴君                 赤池 誠章君                 岩井 茂樹君                 上月 良祐君                 島田 三郎君                 そのだ修光君                 藤木 眞也君                 森 まさこ君                 山下 雄平君                 石上 俊雄君                 石橋 通宏君                 浜野 喜史君                 矢田わか子君                 三浦 信祐君                 市田 忠義君                 片山 大介君                 山本 太郎君    内閣官房長官        内閣官房長官  野上浩太郎君    政府特別補佐人        原子力規制委員        会委員長     田中 俊一君    事務局側        第三特別調査室        長        山内 一宏君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       永井 達也君        内閣官房内閣審        議官       横田 真二君        内閣大臣官房        審議官      山本 哲也君        内閣府政策統括        官        平井 興宣君        内閣原子力委        員会委員長    岡  芳明君        内閣総合海洋        政策推進事務局        長        甲斐 正彰君        警察庁長官官房        審議官      白川 靖浩君        文部科学大臣官        房審議官     増子  宏君        資源エネルギー        庁資源エネルギ        ー政策統括調整        官        小澤 典明君        環境大臣官房審        議官       正田  寛君        環境大臣官房審        議官       早水 輝好君        原子力規制委員        会原子力規制庁        次長       荻野  徹君        原子力規制委員        会原子力規制庁        長官官房緊急事        態対策監     大村 哲臣君        原子力規制委員        会原子力規制庁        長官官房核物質        ・放射線総括審        議官       片山  啓君        原子力規制委員        会原子力規制庁        長官官房審議官  山形 浩史君        原子力規制委員        会原子力規制庁        原子力規制部長  山田 知穂君    参考人        東京電力ホール        ディングス株式        会社代表執行役        社長       廣瀬 直己君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○原子力等エネルギー資源に関する調査  (原子力問題に関する件)     ─────────────
  2. 金子原二郎

    会長金子原二郎君) ただいまから資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二月二十二日、高橋克法君が委員を辞任され、その補欠としてそのだ修光君が選任されました。     ─────────────
  3. 金子原二郎

    会長金子原二郎君) 原子力等エネルギー資源に関する調査を議題とし、原子力問題に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 青山繁晴

    青山繁晴君 ありがとうございます。  自由民主党・こころの青山繁晴でございます。まだ一年生議員でありますが、今回も質問機会をいただき、感謝いたしております。  不肖私のささやかな原則のとおり、党利党略のためでなく、ただ国益のためにこそ質問いたしますので、どうぞ国民のための御答弁をよろしくお願いいたします。  私の質問はどうも既存の省庁の枠にはまらない困った傾向があるようでして、今回も質問通告をいたしたところ、官僚の方々大変困惑をされまして、それを全て引き受ける形で原子力規制委員長田中俊一委員長のほかに官邸から野上浩太郎長官においでいただきまして、ありがとうございます。  さて、福島原子力災害は、生活や仕事を奪われたままの日本国民が多数いらっしゃるという意味では、今なお収束せず、進行中であります。一方で、放射線障害によって亡くなった方はいらっしゃらない、放射線障害で奪われた命がきちんとカウントできないほど多かったチェルノブイリと決定的に違うにもかかわらず、安倍内閣においてもなお同じレベル7にされたままです。すなわち、福島原子力災害への公平な評価、あるいは酌むべき教訓の正確な把握がいまだ行われていないという重大な課題があると思います。  その中には、万一に備えての避難誘導課題、問題があります。先ほど申しましたように、放射線障害での犠牲者は出ていませんけれども、反面で、無残な、理不尽な災害関連死は非常に数多く出ています。復興庁の発表した最新の数字では、福島だけでも実に二千八十六人、全国全体では三千五百人を超えるというすさまじいことになっております。災害関連死には様々な原因がありますけれども、そのうちのかなりの日本国民が過てる避難誘導によってたった一つの命を奪われたという厳粛な事実があります。  本日も御出席いただいている政府特別補佐人田中俊一原子力規制委員長におかれては、前回のこの調査会での私の質問への御答弁で、公式の議事録によれば、こうおっしゃいました。以下引用です。無理な避難をすることによって、もう既に、いろんな累計がありますけれども、二千人近い方が亡くなっているという、この六年間で、そういうことがありますと、そのようにおっしゃいました。そこには謙虚で痛切な反省があると、私は質問の最中にも実は実感いたしました。  すなわち、原子力規制委員会による新しい規制基準作りにおいては、例えばその基本となる原子力災害対策指針の中での避難計画あるいは避難誘導についても、規制委員会が新しく基準を定めていこうという趣旨が表れていたんではないかと思いますけれども田中委員長、そのような受け止めでよろしいでしょうか。まず、そこからお聞きします。
  5. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 先生指摘のとおりでありまして、福島第一原子力発電所事故については多々反省すべきところがあります。今先生指摘になったことが私どもにとっては非常に大きな反省点でありまして、災害対策指針を定めると同時に、新しい新規制基準を作るときには、そういった無理な避難をしなければいけないような事態は決して二度と起こさないという、そういう趣旨で新しい規制基準も作ってありますし、万が一何か起こったときでも災害対策指針はそういったことのないようにということで一応作成させていただいております。ですから、それをうまく活用していくというのはこれから大事だと思っております。
  6. 青山繁晴

    青山繁晴君 今、田中委員長からとても大切な御確認をいただきました。  さて、ここでたった今課題になるのは、つまり、今、田中委員長がお触れになった原子力発電所におけるいざというときの避難誘導に関して、たった今課題になるのは、朝鮮半島の異常な緊張をめぐるまさかの場合の想定です。  御承知のとおり、一週間ほど前にまだ起きたばかりの米軍によるシリア空軍基地への攻撃というのは、アメリカティラーソン国務長官が、言わば、表でマスメディアのインタビューに答えて、北朝鮮への警告でもあるというショッキングな確認もなさいました。  アメリカ海軍空母打撃群の現在の展開ぶりも併せて考えれば、米軍北朝鮮攻撃する可能性は、それを評論家のごとく云々するのではなくて、現実に国民を守るための危機管理として、冷静にかつリアルに捉えねばならないと思います。北朝鮮への攻撃がもしも万一あれば、周辺国への影響シリア攻撃と全く異なります。すなわち北朝鮮からの反撃として、在日米軍が駐留する日本への弾道ミサイル攻撃があり得ることも政府としては当然お考えになっていると思いますけれども、極めて重大なテーマであります。そのミサイル攻撃も、在日米軍基地だけではなくて、在日米軍の行動を制約する意図を持って日本原子力発電所を含む重要インフラを狙う可能性も考慮せねばならないのではないかと思います。  原子力規制委員会の定めた原子力対策指針には、例えば緊急時での住民への情報提供体制整備あるいは原子力災害時における医療体制整備などを含め、いざというときの屋内避難やあるいは住民除染などの指針が既に盛り込まれていると理解していますけれども、これらはヒューマンエラー自然災害によって起きる原子力災害だけを想定しておられるのか、それとも、有事かあるいは有事に近い事態が起きた場合にも原発に直接の被害が及ぶか、あるいはまだ及んでいなくても及ぶおそれがあるときの避難在り方についての指針も含まれているのか、あるいはいないのか、原子力規制委員長にできれば再度お尋ねいたします。
  7. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 私どもが作成しています原子力災害対策指針は、今先生指摘のようなミサイル攻撃のような一種の戦時、そういったものに対しての災害対応想定しておりません。ただし、今の災害対策指針は、そういった場合にどういう状況になるか分かりませんけれども、それを有効に活用するということはできるんだろうというふうに考えております。
  8. 青山繁晴

    青山繁晴君 今、田中委員長がおっしゃったのは、これはちょっとここまで通告していないんですけれども、ちょっと補足してお尋ねすれば、今委員長がおっしゃったのは、仮にそういう有事ないしは有事に近い事態があっても、原発に起きることは基本的には放射性物質漏えいであるから、それに対応して避難していただいたり、そういう対応基本は変わらないと、そういう御趣旨を述べられたという理解でよろしいでしょうか。
  9. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) ミサイル攻撃によってどういった事態が起こるかということはなかなか特定し難いんですが、いわゆる原子力災害みたいにいわゆる放射能の漏えいとか、そういうことが起こるということであれば、それに対する対応というのはやや類似のところがありますので、ある程度の対処はできるのではないかと。応用ができると言った方がいいのかもしれません。
  10. 青山繁晴

    青山繁晴君 当然ルールに従って私は質問事前通告していますけれども田中委員長とは一言もすり合わせをしていません。というか、この場以外でお会いしたことがありません。  僕は、国会に出るまでは、実は原発テロ対策民間専門家端くれでありましたが、実は今委員長がおっしゃったことは基本的に同感です。もう一度申します。すり合わせて申しているんじゃないです。  まず、弾道ミサイルといっても、ミサイルの種類に随分いろいろあります。それから、北朝鮮のようなミサイルですと、余計に性能が必ずしも安定していない可能性があるので、着弾したときにどんな爆発が起きて、丈夫な圧力容器格納容器に何が起きるかという想定は事実上ほとんど不可能です。したがって、もし想定するとすれば、自然災害ヒューマンエラーと違って、大規模なあるいは重金属を含む深刻な漏えいが起きるということだけですから、今委員長がおっしゃった応用ができるというのは、基本的には原則としては僕は間違っていないと思います。  その上で、ここから先、やっぱりやや原子力規制委員会の範疇を超えると思うので、先ほど申しましたとおり、野上長官にも公務の無理をお願いしておいでいただきました。  といいますのは、原子力規制委員会があずかるところの原子力対策指針などだけではなくて、実はもう十三年も前の平成十六年から施行されている国民保護法があります。そこの国民保護計画によれば、実は大体四分類してありまして、航空攻撃ゲリラ攻撃、あるいは着上陸侵攻に加えて、ちゃんと弾道ミサイル攻撃想定されていますね。  そうしますと、野上長官におかれても、今、田中委員長田中委員長の目を見ながら僕が申したことをお聞きいただいたと思うんですけど、基本的には放射性物質漏えいということでは同じなんですが、ただし、ヒューマンエラー自然災害と違って、例えばプルトニウムを始めとする一番深刻な重い核生成物質福島原子力災害では出ておりませんけれども、こういうものの漏えいがあり得る可能性が高まります。したがって、国民保護計画想定しているところの、今まで想定してきたところの避難計画と今後の朝鮮半島緊張考えれば、仮に今回の空母打撃群展開によってすぐ有事にならずとも、北朝鮮が核やミサイル開発を放棄しない以上は、何年間にもわたって日本の新たな対応というのは問われるべきだと思います。  ちょっと私は余り長話したくないんですけれども、しかし、政府方々にも、もちろん議員方々にも、そして傍聴人方々を始め国民方々にも聞いていただきたい事実が一個ありまして、平成十六年に国民保護法が施行されて、最初の訓練は鳥取で行われましたけれども、このときは、実は海岸からテロリストがなぜかわらわらと上がってくるというあり得ないような想定でありました。  そのときに、民間専門家端くれとしていろいろ意見を申しましたら、政府である程度勘案されたのか、新しい訓練が行われました。それは、関西電力の美浜原発ロケット弾が、弾道ミサイルじゃありません、一番最悪の場合でも巡航ミサイル基本的にはロケット弾のような、弾道ミサイルよりは威力は小さいけれども、しかし飛翔物が直接美浜原発建屋に当たるという想定で公開で実動訓練をいたし、美浜の地域住民方々とともに、そして自衛隊、警察だけではなくて海上保安庁の特殊部隊も史上初めて姿を現しまして、地域住民を実際にバスにお乗せするなどの避難訓練をいたしました。  この訓練が行われたこと自体はあれから十数年経た今でも僕は評価できると思います。ところが、この訓練には重大な問題、課題がありまして、どういうことかというと、全部暗記したマニュアル、打合せどおりに手駒のように動かしたので、実態とは実は懸け離れた面がありました。当然、私は専門家端くれとして、事態がどんどん動いていくという仮定の下で訓練することを提案いたしましたが、残念ながら今日までそれが取り入れられて新たな訓練が行われることはなく至りました。  そこで、野上長官にお伺いします。  今こそ、北朝鮮に対する抑止力を持つためにも、国民保護法に基づく国民保護計画と、それに基づく訓練在り方、その再検討をお願いできないでしょうか。副長官、お願いします。
  11. 野上浩太郎

    内閣官房長官野上浩太郎君) お答え申し上げます。  今御指摘のありました弾道ミサイルなどの武力攻撃によって原子力災害が発生した場合につきましては、あらかじめ地域を定めて避難等措置を講ずるものとするものではなくて、やはり、御指摘のとおり、事態推移等を正確に把握をして、それに応じて避難等対象範囲を決定することが大事だというふうに思っております。  具体的には、国民保護基本指針において、武力攻撃原子力災害が発生した場合には、PAZ、半径五キロメートル以内に相当する地域については、原則として直ちに他の地域への避難を指示することとする一方、UPZ半径三十キロメートル圏内に相当する地域については、まず屋内避難を指示し、状況に応じて他の地域への避難を指示することとしております。また、UPZに相当する地域外については、状況に応じてUPZに相当する地域と同様の措置を指示することとしておりますが、しかし、いずれにいたしましても、放射性物質放出状況ですとかあるいは武力攻撃状況等を総合的に勘案をして、的確な避難措置の指示をいたしてまいらなければならないというふうに思っております。
  12. 青山繁晴

    青山繁晴君 これも、今お聞きするのも細かくは通告していませんが、でも通告範囲内でお尋ねしますと、今副長官からお答えいただいた中の核心部分一つが、つまりゾーン設定ですね。このゾーン設定というのは実は福島原子力災害で違う厄災を引き起こしました。  三月十一日から原子力災害始まりまして、僕はその直後から無人の荒野になったような被災地域、車で回りましたけれども、四十キロ、政府が一応安全とみなした四十キロのところにある飯舘村にたくさんの避難の方がいらっしゃいましたが、そこに行って僕が自分の線量計、しかも念のため二種類あったやつを同時に測ると、実はこの福島第一原発が立地している地元の双葉や大熊の町よりも飯舘村の一部で線量が高かったです。  そこにたくさん避難民の方がいらっしゃったんで、言わば勝手に駆けずり回って事情をお聞きし、その後、菅野村長飯舘村の優れたリーダーでいらっしゃる菅野村長にお会いをいたしまして、実はこの同心円による避難というのが根本的に間違っていて、本当は風と地形によってあらかじめシミュレーションをして、その時々のデータを入れて実際の避難を変えねばならないのが、残念ながらそれができていなくて、機械的に例えば二十キロ、四十キロとやったのでこのようになったというお話をして、菅野村長と、当時民間人ですけれども対応策を何度かその後も協議したわけです。  そうしますと、もう一度申します、一応通告した中にこんな細かいことまで入っていないんですけれども、もしも北朝鮮弾道ミサイルが例えば原発建屋に着弾したり、そこまでの命中精度あるかどうかもはっきりしませんけれども、しかし何らかの被害が出たとき、あるいはミサイル原発に飛んできたというだけで、地域住民の不安というのは、福島の痛い記憶が生々しいですから、余計に社会的混乱もすさまじいと思われるんですね。  そうしますと、あえて焦点を絞ってお聞きしたいのは、その同心円という考え方を、できればそろそろ内閣全体として、原子力規制委員会の専門的な知見も生かしつつ、同心円は仮のメルクマールにすぎなくて、本当はあらかじめ地形と風によって、例えば重いプルトニウムだったらどういう拡散の仕方をするのか、それから今回福島で出たような非常に軽いもの、一番軽いもの、放射性ヨウ素やセシウムだけだったらどうなのか、そういうことまで勘案した計画をむしろこの朝鮮半島有事という今までは想定外だった、これは僕自身の反省も込めて申しますが、長いこと専門家やりましたけど、さっき田中委員長がおっしゃったとおり、それを外してきたんです、それを入れるともう想定できなくなるから外してきたんですが、今までどうだったかということじゃなくて、今そこにある危機が姿を現してきましたから、むしろこの機会を、さっき副長官が少しおっしゃった同心円考え方の改革も含めて、新たな取組、御検討いただけないでしょうか。
  13. 野上浩太郎

    内閣官房長官野上浩太郎君) 今お話のありました武力攻撃事態は、その手段、規模の大小、攻撃パターンが異なることから、これにより実際に発生する被害も様々でありまして、それに一概にお答えすることはできません。  その上で、弾道ミサイルなどの武力攻撃により原子力災害が発生した場合には、これはあらかじめ地域を定めて避難等措置を講ずるものとするものではなくて、事態推移等を正確に把握をして、それに応じて避難等対象範囲を決定することとしているところでございます。
  14. 青山繁晴

    青山繁晴君 十分な検討を本当に心よりお願いしたいと思います。  時間が限られていますから次のテーマに移っていくんですけれども、今後、副長官がおっしゃったとおり、計画あるいはそれに基づく訓練も是非充実させていただきたい。  それとともに、非常に聞きにくいことをまた聞くんですけれども、これは通告してあります。細かい点ですが、通告してあるのは、つまり、まだ有事が始まっていない、そして今よりは、たった今よりは緊急度が増していても、まだ、例えばアメリカが最終的にどういう決断するか分からない、そういう事前段階で、日本政府の独自の判断として、これは少なくとも原発立地に、これはさっき言ったゾーン設定とは似て非なるものだと思いますけれども、立地しているところと、それから通常の風向きだったら被害が及ぶ、隣接県も含めて、まだ事態有事まで至っていない段階でも、もし起きた場合の、ヒューマンエラー自然災害による事故とは違う重大な被害考えれば、事前避難する。  これ、もちろん課題は山のようです。経済活動をそこで停止するのか、あるいは公共交通機関を止めたらどうなるのかという難しい問題が山積みなんですけれども、これ、政府として事前避難というお考え検討されるお考えがあるのか、あるいはそれは国民経済への影響考えてこれは考えないのか、それはいかがでしょうか。
  15. 野上浩太郎

    内閣官房長官野上浩太郎君) お答え申し上げます。  ミサイルによる攻撃のおそれが高まった場合で武力攻撃原子力災害が発生するおそれがある場合には、これ、国民保護に関する基本指針において原子力事業所周辺地域における住民避難させることとしていることから、原子力事業所に近接している地域放射性物質等による被害を受けるおそれが高まった場合には事前避難させることはあり得るものであります。
  16. 青山繁晴

    青山繁晴君 今のは大切な、既に本当は決まっていることではありますけれども、今このタイミングで具体的な御答弁をいただいた意義は非常に大きいと思います。  副長官、じゃ、その上で、今僕が少し申しました国民経済への影響考えられます。それから、日本は自由な国ですから、もしも事前に備えていただいて何も起きなかったとする、経済的損失は恐らく必ずあります。そのときにどのように国民に御説明なさるでしょうか。これも、済みません、この細かい点、通告していませんけれども、もし可能でしたらお答えください。
  17. 野上浩太郎

    内閣官房長官野上浩太郎君) 今申し上げましたとおり、ミサイルによる攻撃のおそれが高まったと、そして武力攻撃原子力災害が発生するおそれがあるという場合ですね。その場合は、国民保護に関する基本指針において事前避難をさせることがあり得るということでございますので、この指針に沿って対応してまいりたいというふうに思います。
  18. 青山繁晴

    青山繁晴君 今回は原子力発電所危機管理について、今、目の前の朝鮮半島危機に絞ってお聞きしています。その観点からすれば、これは誰も、アメリカ北朝鮮も、つまり当事者も予測できないんですけれども、直接の軍事攻撃北朝鮮によって日本原発を含む重要インフラに起きなくても、例えば工作員による、いわゆる工作員によるテロリズムも当然考慮せねばなりません。  現在の朝鮮半島危機にも関連して、テロ対策については現在どのような充実を図っておられるでしょうか。これは、内閣に加えて警察庁からも御答弁いただきたいと思います。
  19. 片山啓

    政府参考人片山啓君) お答え申し上げます。  我が国の原子力施設のセキュリティー対策につきましては、原子炉等規制法に基づきまして、テロリストの侵入を阻止するための種々の防護措置を求めているところでございます。これらの措置はIAEAの核物質防護に関する勧告文書などに基づいたものでございます。  具体的には、原子力施設の周辺に立入り制限区域、周辺防護区域を設け、フェンス、センサー、監視カメラ等を設置し、警備員による巡視を実施すること、さらに、重要な設備を大きな衝撃から守るため周辺に防護壁を設置すること、また、身分証による従業員等の本人確認などの出入り管理の実施、あるいは重要な設備の周辺で作業する場合には二人以上で行うことといったツーマンルール、こういったことを我が国の国内規制に取り込んでいるところでございます。  また、原子力施設の警備につきましては、事業者による厳重な防護措置が講じられているほか、警察の部隊が二十四時間体制で常駐警備などを実施するとともに、海上保安庁では全国の原子力関連施設の周辺海域に巡視船艇を常時配備しているものと承知をしております。
  20. 白川靖浩

    政府参考人(白川靖浩君) お答えいたします。  警察では、全国の原子力発電所にサブマシンガンやライフル銃、耐爆・耐弾仕様の車両等を備えた原発特別警備隊を常駐させておりまして、海上保安庁とも連携しつつ、二十四時間体制で警戒に当たっております。また、原子炉等規制法に基づき原子力規制委員会等と連携して、警察庁職員による原子力発電所への立入検査等を積極的に実施して事業者による防護体制の強化を促進しているところでございます。  警察といたしましては、引き続き、関係省庁、事業者等とも連携を図りながら原子力発電所の警戒警備に万全を期してまいります。
  21. 青山繁晴

    青山繁晴君 今お答えいただいたところについて、済みません、もう少し踏み込んでお聞きしたいんですけれども、例えば、最初の御答弁でいわゆるインサイダーのことに触れられました。例えば、御承知だと思いますけど、ドイツにおいては、原子力発電所で働く人たちについては全て犯罪歴その他の照会をいたし、相当厳重な身元確認をいたし、そしてそれに合わない人は恐縮ながら働いてもらうのを遠慮いただくと、事実上の強制措置も行っています。  日本では、随分昔よりは進歩はしましたけれども、本当はスパイ防止法がないことも相まって、インサイダーに対する対策が十分だという話は、済みません、僕自身も思っていませんし、IAEA、国際原子力機関やあるいは米、英、仏、独、この辺りの治安当局からも日本のインサイダー対策について不安が語られています。  こういう危機を活用するという言い方は僕は絶対しませんけれども、しかし危機のときにしか進まない対策ってありますから、恐らくテロから守る側も一番御懸念されている、恐らくじゃなくて本当は、連携すべきは連携してきましたから、随分その話を僕も聞いています。何を申しているかというと、インサイダー対策についてもう一段踏み込んだ、つまり身元確認の精度を上げることと、それから不安がある人については御当人との協議も含めて原子力発電所で働いていただくことを遠慮願うという二点については、この朝鮮半島有事考えて、どのようにお考えでしょうか。もう一度できれば御答弁お願いできますか。
  22. 片山啓

    政府参考人片山啓君) お答え申し上げます。  委員指摘の原子力施設の内部脅威対策につきましては、昨年の九月に原子力規制委員会規則を改正をいたしまして、原子炉等規制法に基づく事業者に義務付けている防護措置の一環といたしまして個人の信頼性確認制度を導入いたしました。  対象となるのは、当面原子力発電所とあとは再処理施設を対象に、それら施設の重要区域への常時立入り者及び核物質防護秘密を業務上知り得る者を対象に自己申告とそれを裏付ける公的証明書類によって事業者が信頼性確認を行うという仕組みを導入したところでございます。  今年の三月末までに必要となる核物質防護規定の変更申請を義務付けて、全ての対象事業者からその認可申請がございました。今、それが我々の要求事項に的確に対応しているかどうか審査をしているところでございまして、我々が認可をした後、具体的にこの信頼性確認制度が動き出すというところでございます。
  23. 青山繁晴

    青山繁晴君 あえてお聞きするんですけれども、今おっしゃった進歩があったので、僕は昔よりは良くなったと申したわけですね。  ところが、もう御承知のとおり、まず自己申告がベースになっている、それから公の機関で確認するといっても、さっきドイツの例をあえて出したのは、つまり政府の内部で少なくとも犯罪歴は確認できると、情報が例えば民間の事業者であっても確認できるということが実は日本ではまだ担保されていません。  それから、個人について課題、問題があったときに働くのを御遠慮願うということも実は確立されていないんではないでしょうか。今すぐここでそれやりますと答えてくれというむちゃはもちろん言いませんけれども、与党、野党関係なく、できることとできないことがありますから。しかし、この二点がやっぱりテーブルの上にのってこないと本当のインサイダー対策にはならないんではないでしょうか。もう一度お答え願えますか。
  24. 片山啓

    政府参考人片山啓君) 委員指摘のように、諸外国では、恐らく一般的なクリアランス制度の上にのっとって、ある意味、原子力施設のそういう信頼性確認制度は、そういう一般的な制度を利用するというような形で種々の制度が導入されているものというふうに承知をしております。我が国においてはそういう制度はございませんので、原子炉等規制法に基づく核物質防護措置の一環として今の信頼性確認制度を導入したところでございます。  なお、この制度におきましても、先ほど申し上げました重要区域への常時立入り者、核物質防護秘密を業務上知り得る者についての確認の結果として、そういう業務に携わることをさせないといったような措置は当然事業者において講じられるものと承知をしております。
  25. 青山繁晴

    青山繁晴君 今のお二人の御答弁のうち、もう一点だけ。  原警隊、原警隊と言っても一般の国民になじみはないので、原子力施設に常駐している警察官部隊ですね、これを僕は評価をしていますというか、昔、僕も提案いたしました。あくまで原発民間事業者の施設ですから、そこに公の警察がいること自体、危機管理としては踏み込んだものとして評価はできるんですけれども。人数、ユニットの数は、僕は仮に知っていてもここでは絶対申しませんが、しかし、この朝鮮半島危機考えると、今までの想定とは違うので、その原警隊の人数も含め、少なくともテンタティブであっても、仮にではあっても強化をするというお考えはあるでしょうか、お願いします。
  26. 白川靖浩

    政府参考人(白川靖浩君) お答え申し上げます。  今御質問原発特別警備隊の体制等については、警備体制にあるいは警備実施に支障がございますので、お答えを差し控えさせていただきます。  ただ、昨今の情勢に鑑みまして、今申しました原発特別警備隊のみならず、周辺の警察署あるいは管轄する警察本部の執行隊も交えて、警戒の警備体制を今強化を努めておるところでございます。
  27. 青山繁晴

    青山繁晴君 今の御答弁は僕が次に予定していた質問とも関わりまして、つまり、もしも北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国の国家としての動きがあったとしたら、プロ集団ですから、原発だけではなくて、その周辺地域にテロその他によって不安を惹起して、原発の運転そのものを難しくするということも考えられますね。  今おっしゃったことは、原発そのものだけじゃなくて、周辺地域についてもテロ対策を強化するという理解でよろしいでしょうか。
  28. 白川靖浩

    政府参考人(白川靖浩君) お答え申し上げます。  原子力発電所の周辺地域におきましては、平素から、ただいま申しましたとおり、管轄する道県警察におきまして、原子力発電所に常駐する原発特別警備隊と情報共有を図るなど緊密に連携をしておりまして、パトロール等の警戒などの所要の活動を実施しております。  また、昨今の情勢を踏まえまして、パトロール等の巡回頻度を高めるなど、その対応の強化に努めているところでございます。
  29. 青山繁晴

    青山繁晴君 この一言に対してはもう御答弁いただかなくて結構ですけれども日本警察特有のパトロールについて、同じ時間に同じような陣容でパトロールするのを是非はっきり言ってやめていただきたいと思います。あれ、逆情報を与えていますから。したがって、アトランダムに、場合によっては乱数表も活用して、いつ現れるか分からないという状態を、それは警察官にとって大変な負担になりますけれども、少なくとも朝鮮半島有事が何らかの決着付くまでは、そのことを是非提案として御検討いただきたいと思います。  次にお聞きしたいのは、今テロのお話をしているんですけれども、例えば、既にミサイルが着弾して原発に大変な被害が出たとか、実は日本は原警隊もなくてと言うのは大学の先生で、いまだにテレビで、日本民間の警備員しか原発にいないということを公然と言っている人が全国放送でもいらっしゃいます。これは意図的とは思わずに単に無知なんだと思いますけれども、しかし、そういうメディアの在り方や情報の不備を使って誤情報を流したり、風評を立てたり、社会の混乱を惹起する、僕は勝手にこれを情報テロと呼んでいるんですけれども、これに対する備えも必要だと思います。  これこそ担当する省庁がなくて、昨日通告したときに、官僚の方々はちょっと大変だったんですけれども、できますれば、全てを統括するお立場からも御答弁いただけるでしょうか。
  30. 永井達也

    政府参考人(永井達也君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、原子力施設の安全に関しまして誤った情報が流布すれば、社会不安が生じたり、さらには社会に混乱を招いてしまうというおそれもあるものと認識をいたしております。これまでも政府におきましては、各種事案への対応に当たりまして、官房長官会見でありますとか各省庁による情報発信などを通じまして、国民に対する正確な情報提供、これに努めてきたところでございますけれども、御指摘のような懸念に対しましても、適時かつ適切な方法によりまして、国民に対して正確な情報を積極的に発信してまいりたいと考えております。
  31. 青山繁晴

    青山繁晴君 今、永井さんから積極的にという一言をいただきましたので、それを信じたいと思いますので、くれぐれも後手後手に回らないように、はっきり申せば官僚主義に陥らないように、政治家の私たちも努めますけれども、是非お願いしたいと思います。  その上で、時間はあと三分ぐらいしかないんですけれども、今日は東京電力の廣瀬社長にもおいでいただいています。といいますのは、今まで申し上げましたような朝鮮半島有事に関連する新たな危機考えますと、やっぱりいかな専門家でも、誰でも、まだ経験したことがないものは、福島第一原発におけるような大規模な廃炉作業、あるいは溶融した核燃料がデブリとなってはっきり所在も状況も分からない、そのときについては、今停止中の、つまり正常に停止中の原発あるいは再稼働中のごく一部の原発、それと福島第一の事態設定は異なるべきなのか、それとも基本同じと考えるべきなのか、そこをお答え願えますか。
  32. 廣瀬直己

    参考人(廣瀬直己君) お答え申し上げます。  基本的に、ミサイルが発射された場合、あるいはテロのようなことが起こった場合には、先ほど来るる皆さんからお答えがありますように、そういう考え方に基づいて対策をするという意味では、今停止中の原子力発電所も、私ども福島第一原子力発電所のような特殊な状態にあるものも考え方は一緒だというふうに思っております。そこに対して様々対策をしていくわけですけれどもテロ対策の詳細につきましては、物的防護の問題もありますし、セキュリティーの問題もありますので、詳細は控えさせていただきたいと思いますが、そこの点については御容赦いただきたいと思います。  ただ一方で、先生も何度も1Fに御視察いただいてよく御存じのとおり、この六年間で1Fの現場も大分状況が良くなってきております。当時は野戦病院のような状態でありましたが、今我々は、あの現場をいわゆる普通の現場にしようということで様々な対策を行っているところでございます。  汚染水を運ぶための配管も、昔は地べたにごろごろしてあって、それもホースのような部材を使っておりましたが、それをポリエチレンにするとか、各種の電源のケーブルも、まとめてはありましたけれども、これも地べたにこうあって、人が容易に踏み付けてしまうような状態ですが、それを少しラックのような形で地上から上げるとか、そういったようなことをやってきておりますので、そういう意味では、まずはテロ対策の以前の問題ですけれども、簡単に、容易に入った方が何らかのことをできないような、そうしたまずは対策をしていくということも併せて非常に大事なことだなというふうに思っているところでございます。
  33. 金子原二郎

    会長金子原二郎君) 青山君、時間。
  34. 青山繁晴

    青山繁晴君 今社長がおっしゃったとおり、僕は事故後、直後の四月、当時の四月二十二日に入ったときは冷却システムもまだ外付けという状態で、パイプの径が違ったりしましたけど、それは全部克服されたというふうに理解いたします。  その上で、あと一分というか、もう時間がありませんので、ちょっと……
  35. 金子原二郎

    会長金子原二郎君) 時間来ていますよ。
  36. 青山繁晴

    青山繁晴君 ああ、時間来ました。  それでは、最後に……(発言する者あり)はい、時間来ましたね。分かりました。  じゃ、いろいろ細かいことをお聞きしましたけれども、進歩、進化を期待しております。  ありがとうございました。
  37. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 民進党・新緑風会の石上俊雄でございます。  時間に限りがありますので、早速質問させていただきたいと思います。  今日は二点、大きくテーマを二つに絞って質問させていただきますが、一つは、福島の第一原子力発電所のデブリの取り出し、回収について、どんな感じで進んでいるのかといったところについて質問させていただくのと、もう一点は、今後の原子力ということに対しての利用をどういうふうに考えているかという、このテーマですね、この二つについて質問させていただきたいと思います。  福島の第一原子力発電所からデブリを取り出して、最後は、原子力発電所自体を解体をして更地にしていくというのが最終的なところだというふうに思います。しかし、いろいろ、今、日本の中では、普通に停止している原子力発電所であれば、資料の一にも付けさせていただきましたが、大体、原子力発電所を解体をする技術というのはもうほぼほぼ確立をされていて、日本でも既に実績はあるというふうに私は思っております。  しかし、この福島第一のものに限ると、デブリが溶解してどこまで広がっているのかというのが分からない。ここが一番のポイントで、じゃ、それを実際に取り出すことができるのかといったところが分からないものですから、いろいろな人が、チェルノブイリの石棺にしたらいいんじゃないかというような話も出てくるわけであります。しかし、私としては、石棺というのは、短期的には抑え込めたとしても、長期的なレンジで見れば安定しないわけでありますから、これは対応するということにはなり得ないんだというふうに思っております。  そんな中で、今日は、デブリの取り出しというところで、先月、一号機にカメラが入ったということでございますので、その辺についてちょっとまずはお聞きしたいというふうに思っております。  資料の三の一に付けさせていただきましたが、先月、カメラが入っていろいろ撮りました。撮った写真というのは、余り、不鮮明だったものを、皆さんの技術ですごく画像処理をして、ようやく少し見えるように改善したというのがこの写真だと、そういうことでございます。インターネットで御覧いただいている方と傍聴の皆さん、ちょっと資料がなくて申し訳ないんですが。  まずは、この測定点、バックグラウンドといったところとドレーンサンプと呼ばれる燃料デブリが露出しているという部分、そこを目掛けて行ったわけであります。要は、グレーチングといったところをロボットが行って、そこの隙間からカメラと線量計を垂らして、それで様々な撮影と線量測定をしたということでこの結果が出てきたわけでありますけれども、報道によると、砂のような堆積物が全体に広がっていたという表現をされておりますが、東京電力としてどういうふうな形で捉えておられるか、解説をお願いしたいと思います。
  38. 廣瀬直己

    参考人(廣瀬直己君) お答え申し上げます。  先生のお配りいただいた資料の三に幾つか写真がございますので、これに基づいて御説明をさせていただきます。  これはまず、そもそも一号機でございます。一号機のほか、二号機、三号機についても我々今いろいろな調査をしているところでございますが、まず一号機ですけれども、左下に写真のAというのがございますが、これは余りはっきり写っておりませんけれども、もう少ししっかり解析をしますと、先ほどおっしゃったように、砂のように見える堆積物が格納容器の底にあると、これはあくまでも映像から見える範囲のことでございますけれども、あるように見受けられます。今回実施したほかの調査点、この矢印のありますBGという辺りが、Aの写真ですけれども、それ以外の調査点でも似たような堆積物が見て取れております。  続いて、写真のBですけれども、右上ですが、BとCというのは、ドレーンサンプといいまして、一番格納容器の底の部分に水がためられるように少し低くしてある水受けのような部分がありますが、そこに取り付けられているポンプのバルブであります。このハンドルだというふうにBとCは見て取れます。ここを見る限り大きな損傷は確認されておりません。  それから、写真のDでございますけれども、これは、この矢印の場所の絵でございますけれども、何か落ちている、落下物が見えるということでございますが、これが何であるかというのはこの画像からだけでは特定することは難しいと思っていますので、もう少ししっかりと見ていく必要があろうと思っています。  続いて、その下の方のE、F、Gの辺りですけれども、それよりも、済みません、今、Dのところの落ちているものですが、今の段階では特定できないんですけれども、これは、我々の見方ではありますが、溶ける融点の低い鉛がございますので、鉛は先に高温になって溶けてまいりますので、それの遮蔽体やその部品、あるいは配管の保温材といったような溶けやすいものが恐らく溶けて落ちたのではないかなと、そういう可能性があるんじゃないかなと見ております。  済みません、それで、この後、下のE、F、Gですけれども、まずEでございますけれども、これはドライウエルの中にございますジェットデフレクターという、これ元々あった装置ですけど、これが写っておりまして、見る限り大きな損傷はないというふうに見ております。それから、FとGですけれども、これは、やっぱり先に砂のように見える部分が見て取れます。特にGは、右上にうっすらとですけれども、遮蔽体のつり具の一部と思われるようなものが見えております。ちょっとこれぼわっと見えておりますけれども先生の写真ですと落下物と書いてあるところの先っぽにあるものでございます。  それから、続いて、HとI、この両写真は同じところを写しております。ただ、Hの方は更に少し近づいて撮影をしましたものですから、そのカメラの影が写っておって、黒く少し焦げたような色になっているのは、HとIというのは同じものですけれども、ちょっと近づいたためにその影が写っているということでございます。ここのときに特に堆積物が舞い上がったようなことは確認されておりませんので、恐らくこの堆積物というのはある程度の重さがあるものだというふうに推定されているところでございます。  続いて、最後のJですけれども、これは先ほどのDと同じように、何か写っておるんですけれども、これが何であるかというのは先ほどのDと同じようにまだ特定できておりませんが、やはり溶けやすいものが下に落ちているんではないかなというふうに考えているところでございます。  以上でございます。
  39. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 ありがとうございました。  ちなみに、そこの資料の二に大体の原子炉格納容器とかの図を付けておりますので、参考に見ていただければと思うんですが。  ここに青いものがこれ写っているんですが、この青いものはちょっと回収をして分析に回しているという話も聞いているんですけれども、その辺についてちょっと御説明をいただければ幸いです。
  40. 廣瀬直己

    参考人(廣瀬直己君) この例えばJとかDの青いものということではないんですけれども、別の場所から下にたまっている水を抜きました。その水の中には当然その落下物の砂のようなものが混じっておりますので、それを今まさに分析をして、どのようなものかというのを推定しようとしているところでございます。
  41. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 この分析によって、ある程度この下にはデブリがあるとかというのは分かってくるようなものなのでしょうか。
  42. 廣瀬直己

    参考人(廣瀬直己君) もとより、今回の調査というのは、カメラを入れて幾つかの地点でいろいろな測定をして、もしどこかの場所にデブリがあってどこかの場所にデブリがなければ、その差が当然、写真でも分かるかもしれませんし、測定結果でも分かるかもしれないということから、何らかの推定ができるのではないかなということ、そういう狙いといいましょうか、そういう目的で行ったものであります。もちろん、そうした考え方に基づいて、今、画像データとかあるいは線量のデータ取ってきましたので、それらを比較、分析しているところでございます。  まだちょっと結論までは出ていないというところでございます。
  43. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 先ほど線量のデータというふうな話が出ましたけれども、資料四に、今回の一号機の状況線量を調べた値を付けさせていただきました。  この、まず資料の四の一の方の上、以前公表されたグラフになるわけでありますが、この右肩下がりのグラフでありますが、縦軸の目盛りが入っていないんですね。そもそも、ここに溶解をした燃料そのものがあった場合、どれくらいの線量になるものかといったところをちょっとよろしければ教えていただきたいということと、さらには、この下の方の線量のデータがあるわけでありますが、この線量データを基にどれくらいまでこのデブリが広がっているか。ペデスタルという中に収まってはいないというふうに思っているわけでありますが、どれくらい広がっているというふうに推測しておられるか、その辺について御解説をお願いします。
  44. 廣瀬直己

    参考人(廣瀬直己君) 先生のお配りいただいた資料の四の右上にあります直線のグラフのようなものでございますけど、これ、確かに先生おっしゃるように、左肩のところに線量率というふうに単位は書いてあるんですが、目盛りが振ってございません。  これは当初、我々、実は目盛りを振ったものをお見せしたんですけれども、実はこれは燃料デブリと称されるものが、何というんでしょうか、一〇〇%のそれだけのものだった場合にはこういう相関関係が出るだろう、つまり、これ横軸は距離ですので、距離が離れれば離れるほど線量が落ちていくという、ある意味当たり前のグラフでございますけれども、そうしたことが見て取れるので、どの辺にあるかで大体分かるんじゃないかということだったんですが。  ただ、ちょっとこれ誤解を皆さんにお与えしてしまうかと思って、この縦軸のあれを取ったのは、そもそも一〇〇%燃料デブリであるということって分からないです。何か溶けたものを巻き込んで入っているという可能性が非常に高うございます。そうしますと、当然その量は少なくなりますので、線量が低くなりますので、またそれが逆に誤解を与える、また誤った判断を与える可能性もあります。  また、セシウムのような揮発性の高いものは、当然、飛び散って周りの壁とかに恐らくべったりくっついているんだろうと思うんですけれども、そうしたところからの線量も当然測ってしまいますので、これをうまく峻別してやるということも、なかなか正確に取れているんだろうか。実験室みたいなところで、周りに何もなくて、燃料デブリと称されるものがぽっとあって、それに対してやると多分こうした結果にはなるとは思うんですが、現状を考えるとなかなかここまで言い切るのも難しいと考えております。  したがって、その資料の四の下の、先生のお示しになった三点も、これもある意味そうしたことを踏まえた検討をしていきませんといけませんので、ちょっと今の段階ではまだそこまで申し上げられていないというのが正直なところでございます。
  45. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 ありがとうございました。  さらに、資料五に、二号機の、一月にカメラが入りまして、それで撮った写真を更に画像解析をして作ったやつがこの資料なんですね。  なかなか、もわっとしてよく見えないんですが、この写真の分析をされて最近分かったことがあるようであれば教えていただければと思うんです。何か湯気のようなものが出ているというふうな報道もあるわけでありますが、ちょっとその辺を解説いただけますでしょうか。
  46. 廣瀬直己

    参考人(廣瀬直己君) これも、先生のお配りになった資料で御説明をさせていただきます。  画像処理を私どもは行いまして、その結果、ペデスタルという、一番分かりやすいのが下のパワーポイントの左側に、これ五号機のペデスタル内ということで、先生が青い枠を囲んでいただいているところでございまして、これは五号機ですので、きれいな、何の爆発も損傷もない、本来であればこういうふうになっているはずだというものと、それから、右側の実際の写真とを見比べていただくということだと思いますが、グレーチングが脱落してございます、右側の方では。それから、燃料、制御棒というのを上下に上げる、するための装置がございますが、それを包んでいる金属製の筒がございますけれども、その周辺からケーブルが出ているんですけど、それが、少し損傷が分かってまいりました。これが大きな点であります。  それから、これ、この静止画像ですと分からないんですが、我々動画を見ておるんですけれども、動画から確認いたしますと、ペデスタルの中の中央部分のグレーチングが脱落しているというのが分かります。そこから、これちょっと分かりにくいのは、先生のお示しになった写真の湯気と書いてあるところのちょっと右側に確かに湯気らしいもやっとしたものが見えますけれども、これは湯気ではありません、これは画像処理上のものであります。実際に動画から我々が湯気を見たのは、もうちょっと上の、一メートル掛ける一メートルと書いた場所がございまして、ほぼその写真の中央ですけれども、ここ、ちょっとこの写真ではそういうふうに見えないんですけれども、ここにも大きな穴がございまして、そこからは確かに、映像で見ますと、一メートル、そこからは湯気があるように見えております。したがいまして、そこの下に水あるいは熱源があって、その熱源によって水が温められて何らかの湯気が出ているのではないか、そういう可能性があるというふうに判断しておるところでございます。
  47. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 しっかりと、少しずつですが明確にしていただいて、取り出しの方法を決めていただくということで、夏までに、夏頃に決まるということでありますから、是非進めていただければと思います。  それでは、これからまたちょっと違う二つ目のテーマでありますが、原発依存度を可能な限り低減する、そういう時代と、その先の原子力利用についてお伺いをさせていただければと思います。  福島原子力発電所事故が起きてから、原子力の分野というのは何となく揺らいでというか、背骨がちょっと揺らいでいるというふうに思うわけでありますが、やっぱりエネルギーの安全保障、さらには温暖化回避の観点から、持続可能な新しい役割を明確に意識して、本気にその模索をしていくべきではないかなというふうな観点で質問させていただきますが。  資料の六の一に、エネルギー基本計画で示された内容をちょっと記してあります。原発依存度を可能な限り低減する、方針で使われておりますその原発とは具体的に何を意味するのか、この具体的な定義はあるのでしょうかといったところをお聞きしたいと思うんですね。要は、原発の中には高温ガス炉や核融合炉、さらには高速炉、さらには日本が開発した最新のABWRですね、それも含まれるのかどうかというところをちょっとエネ庁からお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
  48. 小澤典明

    政府参考人(小澤典明君) お答えいたします。  二〇一四年に閣議決定いたしました現行のエネルギー基本計画におきまして、先生指摘原発依存度の低減という部分で用いている原発という用語につきましては、これは商業用の原子炉、いわゆるPWRとかBWRを念頭に置いたものでございます。これには、先生指摘の既に商業炉として運転実績のあるABWR、これは含まれてございます。他方、我が国において商業利用をした実績がない高温ガス炉あるいは高速炉、あるいは核融合炉につきましては、その現行のエネルギー基本計画における原発依存度の低減という中においては念頭に置いているものではございません。
  49. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 そうですね、今のちょっとこの御答弁だと、要は、何ですかね、核エネルギーを全否定しているわけではないんですということですね。商用かどうかという、そういう切り分けがあるんでしょうけれども、それである程度使い分けをしているんですということでよろしいんでしょうか。    〔会長退席、理事福岡資麿君着席〕
  50. 小澤典明

    政府参考人(小澤典明君) 先生の御指摘のとおりで結構でございます。
  51. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 それでは、二つ目ですが、エネルギー基本計画、これは資源エネルギー庁が原案の取りまとめをしたというところでございますが、文部科学大臣も参加をされまして閣議決定されたというふうに考えております。  そういった視点でちょっと御質問をさせていただきたいというふうに思いますけれども、その原発依存度を可能な限り低減するとのその政府方針と、将来の発電システムとしての核エネルギー研究の推進ということ、これはそもそもどういう関係になっているのかということですね。原発の依存度を下げていくということ、それとほかに、将来の発電システム、核エネルギーの研究を推進するということは整合が取れているのかという、そこをどういう組立てというかロジックで考えていけばよいのかということです。  今のこれから発展していこうとしていくその科学技術を全否定をすると、この国が進む方向を誤ってしまうのではないかなというふうに考えるわけでありますけれども、文科省のお考えをお伺いします。
  52. 増子宏

    政府参考人(増子宏君) お答え申し上げます。  先ほど資源エネルギー庁から御答弁ございましたように、エネルギー基本計画で示されている原発とは、商業用の原子力発電所を念頭に置いたものということでございます。  一方で、エネルギー基本計画では、我が国が抱えるエネルギー需給構造上の脆弱性等の課題を解決するために、革新的かつ長期的な研究開発の必要性が明記されておりまして、その中で、先生指摘の将来の核エネルギーとして期待される高温ガス炉や核融合に係る技術課題が位置付けられているということでございます。  そのため、文部科学省では、水素製造を含めた多様な産業利用が見込まれ、固有の安全性を有する高温ガス炉や、燃料が海水から実質的に無尽蔵に得られ、連鎖反応でエネルギーを発生させないことによる固有の安全性を有する核融合、このような研究開発を推進しているところでございまして、今後も引き続き必要な研究開発を推進してまいりたいと考えているところでございます。
  53. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 一方で、原子力のエネルギーというのは依存度をなくしていくということをやりながら、別で、まあ別の分野と言われれば別の分野なんでありますけれども、共通するところもあるわけでございまして、そこの技術者の確保とかそういったところについては文科省としてはどういうふうにお考えになられているか、教えてください。    〔理事福岡資麿君退席、会長着席〕
  54. 増子宏

    政府参考人(増子宏君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、軽水炉のような原発、それから核融合とか高温ガス炉、このような将来の技術、いずれにしても人材育成というのは非常に重要ですし、いろいろ材料とか原子炉物理とか非常に共通部分もございますので、そういう観点で、大学とかあるいは研究機関を連携しながら、ネットワークをつくりながら、着実に人材育成については取り組んでいきたいと考えております。
  55. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 ありがとうございました。  廃炉をするにしても技術者はいないといけませんので、しっかりその技術者がモチベーションを維持できるようなしっかりとした体制を構築していただければと思います。  それで、資料七に、原子力委員会からのメールマガジン、さらにはアメリカにおける軽水炉利用の経緯をちょっとお示しをさせていただきました。  本日は、原子力委員会の岡委員長にお越しいただいております。岡委員長は、これまで様々な種類の原子炉や概念設計などの研究に取り組まれてきたという経緯をお持ちでございまして、そこでちょっとお尋ねをさせていただきたいと思いますけれども原子力委員会に身を置く立場から、原発依存度低減時代とその先の我が国の原子力利用についてどのようなお考えを持たれているかをちょっとお聞かせいただけますでしょうか。
  56. 岡芳明

    政府参考人(岡芳明君) 原子力利用については、まだ国民の原子力への不信、不安が非常に根強く残っている状況だと認識しています。  この認識を踏まえて意見を申し上げますが、今後の原子力利用については、今先生がおっしゃいましたように、米国が、スリーマイル島原子力発電所事故がございましたけれども、その後行ったことは日本に大変参考になると思っております。  具体的には、米国は自主的安全性向上と規制の改善を進めまして、稼働率向上と運転期間の延長を達成しております。これによって、発電電力量は五〇%増加、事故など重大事象の頻度は三十分の一に低下しております。安全性の向上と経済性の向上が米国では両立したということが示されております。  日本原子力発電所の再稼働の後はこれを参考にして、国民に安全で安価な原子力発電の役割を実感していただけるように、二〇三〇年、原子力の割合が二〇から二二%という見通しございますが、これに向けて原子力関係者が努力するのがよいと考えております。  それから、原子力発電は、現在利用可能な技術であって、低炭素かつ運転コストが低廉なベースロード電源であります。温暖化防止と国民経済の両立に貢献できるという点も特徴があるかと思います。  原子力委員会では、現在、原子力利用の基本考え方というのを作っております。国民に多大な御迷惑をお掛けして負担をもたらした、そういう反省を踏まえまして、課題を認識して解決を図っていく必要があると考えているところでございます。  具体的には、軽水炉長期利用と安全、過酷事故と防災、廃止措置と放射性廃棄物などのテーマについて、原子力関係組織の役割分担した連携を進めることや、放射線リスクや安全、放射性廃棄物、地球環境とエネルギー、エネルギーセキュリティーなどの問題について根拠のある科学的な情報、あるいは政策情報を作成して国民に提供すること、それから、これらを通じて人材育成を図ることが重要と考えております。
  57. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 ありがとうございました。  いろいろその技術は開発されるわけでありますが、一方で様々なことが起こっておるので、国民の皆さんの不安もあるということでありますが、そういったところをしっかりと解決をさせていただきながら前に進めさせていただくような質疑をさせていただきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。  質疑を終わります。ありがとうございました。
  58. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 民進党の浜野喜史でございます。御質問をさせていただきます。  まず一つ目ですけれども、四月の七日に炉規法の改正が成立をいたしました。四月の六日の環境委員会におきまして、その法改正に関して十六項目から成る附帯決議がなされました。  今日は、資料を配らせていただいております。  そのうちの一つの項目でございますけれども、「原子力規制委員会は、今回新設される第六十二条の二の二の趣旨を踏まえ、国際的な基準や先行する海外事例との整合を図りつつ、バックフィットの運用に関するルールや判断基準を明確化し、規制化するためのプロセスを整備すること。」と、こういう項目が附帯決議の中に盛り込まれております。  これを踏まえて、規制委員会において誠実に検討がなされるものというふうに理解をしておりますけれども田中委員長基本的な考え方をまずお伺いいたします。
  59. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 先日の参議院の環境委員会においてなされた法案に対する附帯決議については、その趣旨を十分に尊重して努力してまいりたいと存じております。
  60. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 是非、真摯に検討していただくようにお願いを申し上げます。  その上でお伺いをいたします。  資料の一でございます。バックフィットに関する基本的な考え方が、平成二十七年十一月十三日、原子力規制委員会において決定がなされております。  読み上げさせていただきます。  基本考え方は以下のとおりとする。一つ、新たな規制基準を既存の施設等に適用する場合には、規制基準の決定後一定の期間を確保した施行日を定めるか、又は、当該規制基準の施行後の経過措置として当該規制基準対応するために必要な期間を設定することを基本とする。一つ、これらの期間は、原子力規制委員会が、当該規制基準の新設・変更の安全上の重要性、被規制者が対応するために必要な期間等を総合的に判断して、個別に設定する。一つ、なお、安全上緊急の必要性がある場合には、新たな規制基準の新設・変更に際し、当該規制基準を即時に適用することもあり得る。  こういうことで決定されております。  四月四日の環境委員会の質疑におきましても、バックフィットルールに関する考え方は、決定されたのはこれだけであるというような御答弁もいただいております。この内容は、私は基本的には真っ当な内容だというふうに理解をいたしております。まずは必要な期間を設定することを基本とすると、こういうこと、その上で規制委員会が判断するんだということになっております。  ただ、二つ目の項目ですけれども、安全上の重要性、被規制者が対応するために必要な期間等を総合的に判断して、個別に設定するというところ、ここをもう少しまずは明確にする必要があるのではないかとも考えるものでございます。  前回の四月四日の環境委員会におきまして、荻野次長はこのように御答弁をされました。新たに設けるであろう基準の中身によってその重要性の程度も異なりますし、また、被規制者側で要するコストでありますとか工事等に対応する時間等も異なりますと、こういう御答弁がなされました。  こういうような評価の項目をまずはお示しいただくということでも考え方の明確化ということが図れるんだろうというふうに私は思うんですけれども、見解をお伺いいたします。荻野次長で結構でございます。
  61. 荻野徹

    政府参考人(荻野徹君) バックフィットといいますのは、要するに、新たな知見が得られたときに、それを新たに規制を設けて、それを既存の施設についてどう当てはめていくかということでございます。先ほど委員も御指摘になりましたように、こういったものにつきましては、安全性に係る重要性、緊急性、あるいは想定される対策等々を、必要に応じて事業者からの情報を収集しつつ、総合的に判断をしなければならないと思います。  そういった意味で、判断すべき項目といいますのは、例えば公式の文書という形では、今日お配りいたしましたそういった資料の中で、平成二十七年の十一月の十三日の文書の中にも書かれておりますけれども、判断項目の明確化というものはそれぞれ具体的なものによりますけれども、そういった点につきましても、より明確なプロセスでいろんな新しいルールが策定されるように努めてまいる必要があろうかと思います。
  62. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 私は、このバックフィットルールに関して御質問させていただいておりますので、新たな基準策定とは切り離して答弁をいただければと思います。  バックフィットに関して判断をしていく評価項目というものが正式に規制委員会において決定されて存在するのかどうか、お答えをいただければと思います。
  63. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) そもそも、バックフィットというのは大変厳しい規制要求だというふうに認識しております。しかし、これは福島第一原子力発電所事故、重大な事故を踏まえてバックフィットルールが原子炉規制法に導入されたわけであります。これは、要するに、安全上の重要度を鑑みて、一旦許可をされたものであっても、新たな知見が得られた場合にはそれをきちっと適切に反映するということがバックフィットルールの肝でありますので、私どもはそういった観点から総合的にその安全上の重要性を鑑みながら個別に判断していくということを、この資料一の平成二十七年十一月十三日に確認したところであります。
  64. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 それは私も否定しておりません。その上で、バックフィットに関して、四月の四日、環境委員会でも、安全上の重要性であるとかコストであるとか、それから工事に要する期間などがあるんだということを荻野次長おっしゃったわけですので、そもそも、整理をされた、決定された評価項目というものが存在するんですか、どうですかということをお伺いをしております。
  65. 荻野徹

    政府参考人(荻野徹君) お答えを申し上げます。  まず、バックフィットの運用に関する基本的な考え方は、今日お配りしていただきました平成二十七年の文書でございますが、このほか、新たな知見を規制に反映させるプロセスにつきましては、平成二十八年の十一月二十二日の原子力規制委員会におきまして、最新知見を規制に反映させるためのプロセスという形で原子力規制委員会としても文書を作成したところでございます。  さらに、先週になりますけれども、四月六日には、主要な原子力施設の設置者、被規制者、事業者でございますが、そこの原子力部門の責任者とも意見交換をいたしまして、先方からは、予見可能性が高まるという意味で、バックフィットに関するプロセスの整備や判断基準の明確化に取り組むべきであろうという御提案がありました。そういった点で、どういった形のものがよいかということにつきましては、現時点でこうだということはございませんけれども、こういった新たな知見についてのスクリーニングのプロセスを開示するとか、できるだけ透明性、予見性を持つものにしていくといったことで、引き続き改善に努めてまいりたい、先方とも努力をしてまいりたいと思います。
  66. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 ちょっともう一回確認させていただきますけれども、私が申し上げている評価項目というものはないということかと私は理解をいたしましたが、そういうことでいいのかどうか。  その上に立って、そんなようなことも今後検討をしていく課題だというふうに認識をされているというふうに私は理解するんですけれども、そういうことでよろしいでしょうか。
  67. 荻野徹

    政府参考人(荻野徹君) 最新知見等を規制に反映していくバックフィットルールについて、それをどのような経過措置期間を設けていくかということにつきまして、基本的な考え方委員長からも私からも申し上げたとおりでございます。  そこについてはいろいろな検討項目があります。それについては、代表的なものについては当然申し上げているところかと思います。それを網羅的に、これだけみたいな形で文書にするということは困難かと思いますけれども、いずれにしましても、規制についての透明性を増す、あるいは予見性を増すというのは重要な作業だと思いますので、常にそういった努力は努めてまいりたいと思います。
  68. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 冒頭、前向きに、前向きにという表現はなかったかも分かりませんけれども、附帯決議を踏まえて検討していただくということでありましたので、是非、被規制者からの率直な意見等も踏まえて議論をし、検討していただければというふうに思います。  この関係でもう一つお伺いしますけれども、四月四日の環境委員会で荻野次長はこうもおっしゃっておられます。その考えるプロセスを明確化するということは当然でありますということもこのバックフィットルールに関する審議の中でおっしゃっていただいています。  現状、先ほど説明されましたけれども、プロセスは一定のものを明確化して、それが示されているというふうにお考えかどうか、お願いいたします。
  69. 大村哲臣

    政府参考人(大村哲臣君) お答え申し上げます。  最新知見を規制に反映するためのプロセスについてということで、これは昨年十一月でございましたけれども、これはIRRSの課題一つで、そういうプロセスを文書化をすることという課題、宿題がございましたので、規制庁としまして、最新の知見、これをその基準に反映するというプロセスにつきまして、スクリーニングの考え方であるとか体制、それからあと炉安審、燃安審の審議、それから規制委員会への規制庁からの提案というような形で、これを、プロセスを文書化をしたというものは昨年十一月に行ってございます。
  70. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 その資料、私の手元にもございます。昨年の十一月に決定された、最新知見を規制に反映するためのプロセスについてという確かに文書を決定されておりますけれども、これを私も見てみました。見てみたんですけれども、この中に私が申し上げておりますバックフィットをどのように行っていくのかというような記述が、私はどうしても見付けられなかったんです。  バックフィットに関してのプロセスもこの中に含まれているということになるんでしょうか、それをお伺いいたします。
  71. 大村哲臣

    政府参考人(大村哲臣君) お答え申し上げます。  今の資料は、今御指摘がありましたように、最新知見を規制に反映するためのプロセスについてということでございますが、そこの中で、そのバックフィットの運用につきましては、先ほども度々議論になっております新たな規制基準のいわゆるバックフィットの運用に関する基本的な考え方平成二十七年の十一月のものでございますが、この文書によるということで、これは一体といいますか、一連のものとして捉えております。
  72. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 そういうことなんですね。おっしゃったように、昨年の十一月には最新知見を規制に反映するためのプロセスということは決定しています。ただ、そのプロセスの中に記述されているバックフィットの考え方は、平成二十七年十一月十三日、資料一でお示ししたこの内容なんです。  ということは、プロセスはあるのか、明確化されているのかというお答えに対して先ほどお答えになられたのは、ここに示した資料一ですと、平成二十七年十一月十三日原子力規制委員会決定のバックフィットの運用に関する基本的な考え方、これが考え方でありプロセスだというふうに説明されているんだというふうに思うんですけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。
  73. 大村哲臣

    政府参考人(大村哲臣君) お答え申し上げます。  バックフィットに関しましては、新たな基準が策定ないし見直しをされると、これは既設のプラントにおきましても基本的にこれは満足する必要があるという意味でございますので、そのバックフィットという意味合いにおきましては、新たな基準が作られるとそれは基本的にはバックフィットはされるというものだというふうに理解をしております。  それで、今御指摘の昨年の十一月に策定したものにつきましては、新たな様々な知見が私ども収集しておりますし、国際的にもいろいろな様々な検討がされておりますので、そういうものをどういったプロセスで新たな基準なり規制の中に反映をするのかという、そこのプロセスについてこれを検討して文書化をしたというものでございます。
  74. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 意図的かどうかあれですけれども、お答えになっていただけていないというふうに私は理解するんですね。  四月四日の環境委員会でも資料として示させていただきましたけれども、米国の制度のような基準までということを私、問題提起させていただいているつもりはありません。  例えば、この考え方規制委員会として検討していくに当たっては、例えば第三者からこういうタイミングで意見を聞きますよとかいう、そういうやはり何らかの枠組みのプロセスが検討されて、明示がされていくということが必要なのではないかということを少なくとも私は考えるんですけれども、いかがでしょうか。
  75. 大村哲臣

    政府参考人(大村哲臣君) お答え申し上げます。  今の新たな知見、これを規制に反映させるプロセスの中には、炉安審、燃安審という助言機関ございますけれども、そういうところに、知見の反映の考え方であるとか事の軽重、そういうものも全部お諮りをして、助言をいただいて、これらの第三者の、有識者の助言をいただいて、具体的なその反映の仕方について検討すると、こういう仕組みでございます。
  76. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 時間も迫ってまいりましたので質問を、これについてはある程度区切りをさせていただきたいと思いますけれども。  例えば、こういう附帯決議がなされたので、問題提起がなされたので、炉安審、燃安審としてその附帯決議に関して検討してくださいという指示をしていただくということは私は可能だというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  77. 荻野徹

    政府参考人(荻野徹君) 先生御案内のとおり、炉安審の審議事項につきましては、原子力規制委員会から指示をすることになっております。それで、今年度の審議していただくべき事項につきましては、以前も御紹介、御答弁したかと思いますけれども、幾つかの点について、今年の二月でしたか、指示を出しているところでございます。  ただ、いずれにしましても、こういった附帯決議をいただきまして、それにきちんと対応しなければならないということでございますので、それについてはきちんと誠実に対応してまいりたいと思います。  炉安審、燃安審には既に幾つかの事項をお願いしているということもございますので、そういったこともございますので、新たに追加することができるかどうかというのは再び委員会の方で議論をする必要があろうかと思いますけれども一つの御意見として承りたいと思います。
  78. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 ありがとうございます。是非前向きに御検討いただければと思います。  時間もそろそろ参りました、最後にさせていただきます。  資料の三を御覧いただければと思います。荻野次長が先ほど御説明された新たな調査審議事項ということが、今年の二月一日、原子力規制委員会において決定されております。この中で、こういう新たな調査事項が示されております。原子力規制委員会が目指す安全の目標と、新規制基準への適合によって達成される安全の水準との比較評価、国民に対する分かりやすい説明方法等について調査審議を行い、助言を含めその結果の報告を行うことを追加すると、こういうことが決められております。  私はこれ非常に重要な中身だというふうに思うんですけれども、この中で、原子力規制委員会が目指す安全の目標ということが明確になっているのかどうか、加えて、新規制基準への適合によって達成される安全の水準というものが明確になっているのかということ、それが明確になっていなければ、比較評価を分かりやすくすることを検討せよと言われてもなかなか難しいんではないかなと私は推察するんですけれども、少しこれは通告していない部分もあるかも分かりませんけれども、これを最後にお伺いをして、質問を終わります。
  79. 山田知穂

    政府参考人(山田知穂君) お答え申し上げます。  まず、お尋ねの原子力規制委員会の目指す安全目標ということでございますけれども、これについては原子力規制委員会の方で議論がされてございまして、百テラベクレル、十のマイナス六乗という、毎年当たりその回数といったような安全目標というものが議論の結果としてまとめられているところでございます。  それから、原子力規制委員会が目指す安全の水準ということでございますけれども、具体的に申し上げさせていただくとすると、それは新しく設けられました基準というものを満足をしていただくということがまずは求められる水準として定めているというものであるというふうに考えてございます。
  80. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 終わります。
  81. 河野義博

    ○河野義博君 公明党の河野義博です。  まず、エネルギー基本計画に関して伺います。  エネルギー基本計画とは、エネルギー政策基本法において明らかにされた安定供給の確保、環境への適合及びこれらを十分配慮した上で市場原理の活用という基本方針にのっとって、十年程度を見通してエネルギーの需給全体に関する施策の基本的な方向性を定性的に示したものでありまして、我が国のエネルギー政策の根幹を成しているものだと私は承知をしております。政府は、エネルギーをめぐる情勢の変化を勘案して、エネルギーに関する施策の効果に関する評価を踏まえ、少なくとも三年ごとにエネルギー基本計画検討を加えて、必要があると認めるときにはこれに変更を加えなければならないというふうにされておるわけであります。  直近のエネルギー基本計画、第四次計画は二〇一四年四月に策定されておりまして、三年ごとに検討を加えるということでありますけれども、ちょうどこの四月でその期限が来るわけでありますけれども、現在の政府における検討状況を教えてください。
  82. 小澤典明

    政府参考人(小澤典明君) お答えいたします。  先生指摘の現行のエネルギー基本計画でございますが、二〇一四年の四月に閣議決定いたしました。東日本大震災それから福島原発事故等の教訓を踏まえまして、言わばその大議論の末に結論を出したものでございます。  現在、策定から三年を経過いたしまして、法律上の検討の時期が来ております。エネルギーをめぐりましては、石油やLNGなどの資源価格の動向、それから世界的な再生可能エネルギーの導入拡大、あるいはパリ協定の発効による各国の温暖化対策、水素などの技術革新といった動きがございます。こういった情勢、様々な動きを幅広く視野に入れながら、エネルギー基本計画の見直しの要否も含めて、予断を持たずにしっかりと検討していくことが重要というように考えております。現在、具体的な進め方について検討しているところでございます。
  83. 河野義博

    ○河野義博君 三年ごとに見直すと言っておりますが、まだ検討に着手されていないということでしょうか。
  84. 小澤典明

    政府参考人(小澤典明君) 現在、エネルギー基本計画の見直し、そういった要否も含めて、具体的なその検討の進め方について検討しているということでございます。
  85. 河野義博

    ○河野義博君 法律を読むと、どう考えても、少なくとも三年ごとに検討を加えるというふうに書かれているわけですから、もう三年、今月でたってしまいます。今から検討を、検討することを検討しますというのではややちょっとスピード感が、スピード感といいますか、時間軸がややずれているのではないかなという気が率直にいたします。  また、答弁の中にもありましたけれども資源エネルギーを取り巻く上流の価格はこの三年で姿が大きく変化をいたしましたし、国内の二次エネルギーの動向も日々刻々と変わっているわけであります。パリ協定も発効いたしました。早くこれはやるべきだと思いますし、基本計画ではありませんけれども、その先にある長期エネルギー需給見通し、いわゆるエネルギーミックスも、これもやっぱり見直していかなければならないんじゃないかなと思います。特に再生可能エネルギーですけれども、二〇三〇年、二二から二四%というのは余りにも低過ぎると私は思います。原子力を可能な限り依存度を下げていくという中にあって、やっぱり再生可能エネルギーが一つの柱になるのは間違いありませんし、二〇三〇年、二〇四〇年、先進諸国は四〇%、五〇%という目標を掲げて推進をしている中で、我が国が二二から二四で果たしていいのかというと、私は決してそうではないと思いますので、基本計画の見直しは早期にやる、そしてその先にある長期エネルギー需給見通しもしっかり検討していくということが必要なのではないかなというふうに思います。  次に、原子力発電の再稼働に向けた審査状況に関して伺います。  規制委員会が発足をいたしまして、新規制基準策定からも四年余りが経過をいたしました。この中で、再稼働にこぎ着けた原子力発電所は国内で三か所というふうになっております。この状況について、原子力規制委員会並びに経産省として、それぞれどのように評価をしておられますでしょうか。安全性の担保と審査の効率性というバランスをどのように取っていくか、こういった観点についても御答弁をいただきたいと思います。
  86. 山田知穂

    政府参考人(山田知穂君) 原子力発電所の審査につきましては、新規制基準への適合性について厳格に審査を進めてきているところでございます。現時点においては、川内原子力発電所一、二号機、高浜発電所一号機から四号機、伊方発電所三号機、美浜発電所三号機、そして、玄海原子力発電所三、四号機の計十基に対して設置変更許可を行い、その後の工事計画認可、保安規定認可までの手続を終了しているものについては五基にとどまっているという状況でございます。  こういった審査を効率的に進めるためということで、適合性審査の結果のみならず、主な論点なども合わせてまとめた審査書の作成、公表や、適合性審査で確認する事項の整理、公表、複数の申請に共通する論点の合同審査といったような工夫を続けてきているところでございます。また、審査体制を強化するということで、継続的な実務経験者の中途採用や関係省庁からの人的な支援も得て、順次審査を担当する職員の増強も図ってきているところでございます。  審査の進捗につきましては事業者の対応によるところも大きく、今後の見通しについては一概にはお答えできないところでございますけれども、引き続き新規制基準への適合性については厳格に確認する一方、審査を効率的に進めるということについても努めてまいりたいというふうに考えてございます。
  87. 小澤典明

    政府参考人(小澤典明君) 資源エネルギー庁の方から同様の質問についてお答えさせていただきます。  原子力発電所につきましては、これはエネルギー基本計画にも規定してありますとおり、いかなる事情よりも安全性を最優先いたしまして、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の一貫した方針でございます。  今、原子力規制庁の方から御答弁ございましたが、こういった中で新規制基準へ適合性審査を申請したもの、これは全体で二十六基ございます。原子炉設置変更許可が出されたものは十基でございます。さらに、現在許可を得るべく審査中のもの、これが十六基ございますが、このうち大飯の三号機、四号機につきましては、審査書案ができてパブリックコメントが終了した段階、許可へ向けて大詰めを迎えているということと認識しております。  このように、新規制基準の下、原子力規制委員会による審査というものは進展しているというふうに理解しておりますが、原子力事業者、電力会社におきましては、引き続き、スケジュールありきではなく、安全確保最優先に審査等に真摯に対応していただきたいというように考えております。
  88. 河野義博

    ○河野義博君 安全第一であることは言うまでもありません。厳格な審査は必要だと思います。その一方で、規制委員会からの答弁もありましたけれども、効率性も求められるかと思いますので、このバランスしっかり取っていくべきだというふうに考えます。  次に、最終処分場の選定に関して経産省に伺います。  使用済燃料を再処理しまして、プルトニウムなどを取り出した後の液体を加工したガラス固化体を我が国では高レベル放射性廃棄物というふうに定義をしております。ガラス固化体は、数万年以上にわたり環境や人体に有害な放射線を発するために、地下三百メートルより深いところに隔離する地層処分が計画をされています。特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律では、NUMO、認可法人原子力発電環境整備機構、このNUMOが地層処分の実施主体というふうに定められておりまして、NUMOは二〇〇二年より地層処分を行う候補地を公募してまいりましたけれども、この処分地の選定には全くめどが立っておりませんで、二〇一五年に改定された最終処分基本方針では、国が科学的有望地を提示し、調査への協力を自治体に申し入れるというふうにされたわけであります。二〇一六年にも科学的有望地が示されるはずだったわけでありますけれども、スケジュールが遅延しております。  最終処分地選定に向けた現状の検討状況、そして想定される今後のプロセスに関して御説明をいただきたいと思います。
  89. 小澤典明

    政府参考人(小澤典明君) お答えいたします。  先生指摘の高レベル放射性廃棄物の最終処分の問題、これは現世代の責任で解決すべき重要な問題というふうに認識をしております。  御指摘のありました最終処分法に基づく基本方針、これ一昨年五月に改正をしまして、その中では、科学的に適性が高いと考えられる地域、科学的有望地を示し、国民に関心と理解を深めていただくということで進めてまいりました。  その上で、昨年末までにその有望地を示していこうということで取り組んでまいりましたが、その後、専門家の方にお集まりいただきまして精力的に検討を進め、その上で、昨年十月に原子力委員会から、昨年夏に実施しましたパブリックコメントなども踏まえて、国民の目線に立って注意深く慎重に検討すべきといった御指摘もいただいたところでございます。  こういった指摘も踏まえまして、審議会で更に議論を重ねてきておりました。三月二日に開催されました審議会ワーキンググループにおきまして、地域の科学的特性を全国地図の形、いわゆるマッピングの形として示すための要件、基準の案が取りまとめられました。先月末まで改めてパブリックコメントを実施いたしまして、その結果につきまして、この四月の十四日、金曜日でございますけれども、審議会を開催する予定でございます。  この審議会でしっかりと議論を尽くしていただくということがまずは重要であると考えておりまして、その先のことについて現時点で予断を持ってお答えすることはやや難しいわけでございますけれども、審議会の議論が取りまとまれば、その内容等は改めて国民あるいは自治体の皆様に丁寧にお伝えしていくということが重要というように考えております。  したがいまして、スケジュールありきということではございませんが、引き続き丁寧に着実にプロセスを進めてまいりたいというふうに考えております。
  90. 河野義博

    ○河野義博君 最終処分場ができて初めて、この一連の原子力のプロセスが完了するわけであります。簡単な問題ではありませんし、様々な困難も予想されますので、引き続き丁寧な周知というのが必要なんではないかなと思います。  次に、玄海原子力発電所の再稼働に関連をして二問伺います。  九州電力の玄海原子力発電再稼働をめぐる動きでございますけれども、再稼働の安全性や必要性について、立地住民の皆さんのみならず、隣接する地域住民に対しても丁寧に説明をして理解を得るということが非常に大切だろうというふうに思います。これまで経産省として、国が前面に出るということは繰り返し説明はされてきたんですけれども、具体的にどういうことをしてこられたのか、そしてこれからどういうことをやっていかれるのか、御答弁をお願いします。
  91. 小澤典明

    政府参考人(小澤典明君) 先生指摘のとおり、原発の再稼働に当たりましては、原子力発電所の立地自治体のみならず、周辺の自治体も含めまして、理解活動を丁寧に進めていくということが重要というように考えております。  玄海原子力発電所三号機、四号機の再稼働に当たりましては、佐賀県、長崎県及び福岡県で実際に住民説明会を開催させていただきました。佐賀県では五回、それから長崎県でも五回、福岡県では一回説明会を開催いたしまして、エネルギー、原子力政策、あるいは原子力発電所の安全性、避難計画等につきまして、資源エネルギー庁、原子力規制庁、内閣府から説明を行うなど、理解活動に取り組んできたところでございます。また、県議会あるいは市議会といった地方の議会に対しましても、求めに応じまして関係省庁と連携をして丁寧に説明をしてきたところでございます。  このような理解活動に終わりはございません。引き続き、関係者の皆様の声にしっかりと耳を傾けるとともに、地域の皆様そして国民の皆様に継続して丁寧な説明を尽くし、幅広い理解が得られるよう粘り強く取り組んでまいりたいというように考えております。
  92. 河野義博

    ○河野義博君 住民説明会を開催したということでありましたけれども、各地で開催をされてはおりますけれども、参加された方というのは非常に限定的でありまして、御答弁の中にもありましたけれども、やっぱりこれからも不断の努力というのは必要なんだろうと思います。果たして住民説明会に来られる方だけが関心を持っているかというと、そうではありませんし、やり方というのはいろいろ考えていくべきなんだろうと思います。やりましたという実績を積み重ねていったという点については評価ができるかと思いますが、この住民説明会が本当に実効性があるもので、皆さんが理解ができて安心することができたという結果を出すのが目的なんじゃないかなというふうに思いますので、引き続きの御努力をお願いしたいと思います。  もう一点、避難計画でございます。既に策定された避難計画の実効性を高めていくということも大切です。避難のための道路や施設整備、また玄海原子力の周りには離島もたくさんございます。離島住民避難のためのハード、ソフト両面からの支援についても責任を持って支援していく必要があると思いますけれども、当局の認識を教えてください。
  93. 平井興宣

    政府参考人(平井興宣君) お答えいたします。  玄海地域ですが、避難計画を含めた緊急時対応について、昨年、玄海地域原子力防災協議会で具体的かつ合理的なものであると確認し、十二月の原子力防災会議で報告、了承されたところでございます。  しかし、一旦策定した避難計画であっても、政府として支援を継続して行い、原子力災害対策の一層の充実強化を図っていくことは重要であると考えております。  避難経路に関しては、関係省庁と自治体が連携し、その改善充実に取り組んでおり、内閣府としても、避難経路の課題調査等について支援を行っているところであります。また、屋内退避の効果を高めるため、玄海地域避難施設等の放射線防護対策についても支援を行っており、特に陸路で避難できない離島について、島民全員が退避できる放射線防護対策施設を整備し、住民にとってより安心して屋内退避ができるよう対策を講じているところであります。  今後も、関係自治体等と一層緊密に連携し、避難計画の更なる充実強化に継続的に取り組んでまいりたいと思っております。
  94. 河野義博

    ○河野義博君 継続的に取り組んでいくという答弁をいただきました。  避難計画に関連をいたしますけれども福島第一原子力発電事故影響によって避難指示が出されていました福島県内十一市町村では、帰還困難区域を除くほとんどの地域避難指示が解除されております。三月末時点では帰還住民の割合は一三・五%にとどまりますけれども福島復興の要となる住民帰還に向けた課題に関しては、引き続き国も前面に立ったサポートが必要であると考えます。  一方で、該当する五市町村では、再び原子力災害があった場合に備える避難計画を策定できていないということが報道されております。自治体に策定義務が課された避難計画に関しまして、責任は一義的には自治体にあるわけでありますけれども、国は要請があった場合には支援に応じると、こういう基本的な立場、これは分からなくもないんですけれども、そうはいっても自治体では専門知識がなかったり人が足りないということで策定されていないケースもあるというふうに伺っておりまして、国としてはやっぱりプッシュ型の支援というのが避難計画策定においても必要なんじゃないかなというふうに考えますけれども、当局の認識を教えてください。
  95. 平井興宣

    政府参考人(平井興宣君) お答えいたします。  福島地域については、福島県の地域防災計画、広域避難計画が策定されており、原子力災害対策重点区域の全十三市町村の避難先市町村等について定められております。福島県の地域防災計画、広域避難計画を勘案し、関係市町村が避難計画を策定することとされておりますが、御指摘のとおり未策定が五市町村あり、住民の帰還状況等を踏まえつつ現在策定中又は住民の帰還後に策定予定等とされております。  内閣府では、福島地域原子力防災協議会を設置し、国が前面に立ち、初期段階からきめ細かく関与し、関係自治体と一体となって避難計画の策定、充実化に向けて検討を行っております。  今後とも、国がしっかり関与しながら、関係自治体とともに地域の原子力防災体制の充実強化に取り組んでまいりたいと思っております。
  96. 河野義博

    ○河野義博君 少なくとも、帰還が始まっている地域では是非とも早急に策定する必要があると思いますので、サポートをお願いしたいと思います。  次に、再生可能エネルギーに関連して、最後に二問伺います。  FIT法施行以来五年がたとうとしておりますが、なかなか思うように進んでおりません。その大きな原因の一つは、私、環境アセスメントの対象規模要件にあるというふうに考えておりまして、それが全てではありません、系統制約、様々問題はありますけれども、環境アセスも非常に長い時間を要する、かつ対象規模が、本アセスの対象規模というのが、火力発電所は十五万キロワット、水力発電所は三万キロワット、地熱発電所は一万キロワット、風力は一万キロワット、太陽光は対象外といったこういう要件になっておりまして、これがそもそもおかしいんじゃないのかという問題提起は私ここ三年間ずっとし続けてきたわけであります。火力発電所で十五万キロまではアセスメントが要らないのに、ほかの再エネは一万キロないし三万キロでアセスが必要になってきますよと、こういう状況があるわけであります。  火力発電、十五万キロワットといいますと、大体約三十万世帯ぐらい賄えてしまえる大型の発電所です。面積も、大体東京ドーム一個分ぐらいの面積を要する。この発電所はぎりぎり十五万キロを超えなければ環境アセスは要りませんよとなると、当然、本アセスを逃れるかのような、この十五万キロ以下に抑えた石炭火力発電所がどんどんどんどん建設が、予定が進められております。一方で、風力で一万キロといえば、風車三本です。風車三本建てるのに本アセスが適用されまして、遅々として開発が進まないと。  アセスの必要性というのは、無論その重要性というのは認識をしておるつもりですし、必要ないと言うつもりは毛頭ございませんが、この規模感というのがそもそもおかしいんじゃないでしょうか、見直しされてはどうでしょうかということを繰り返し申し上げてきたわけですけれども、改めて環境省の認識を教えてください。
  97. 正田寛

    政府参考人(正田寛君) お答え申し上げます。  環境影響評価法は、規模が大きく環境影響の程度が著しいおそれがある事業を対象としており、規模要件の設定に当たっては、発電所の種類ごとの環境影響を勘案して設定しておるところでございます。例えば、御指摘ございました風力発電所につきましては、以前から騒音やバードストライクなどの環境影響が報告されていたことを踏まえ、脆弱な環境の動植物に対する影響に加え、土地改変面積の観点から火力発電所の対象規模要件と同等であることなども踏まえて規模要件を設定したところでございます。  また、風力発電所につきましては、平成二十四年十月より手続の対象としておるところでございますが、現時点で法に基づく全ての環境アセスメント手続を完了し供用を開始した発電所の事例はまだございませんので、引き続きその実態を見定めていく必要があると考えておるところでございます。  このような状況の中、昨日開催されました再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議におきまして、御指摘のような論点も踏まえた必要な対策の検討や、環境アセスメントの期間半減・高度化、風力発電の導入促進に向けたエリア設定など、関係府省庁が連携して取り組む施策について定めたアクションプランが決定されたところでございます。このアクションプランにおきましては、環境アセスメントの規模要件の見直しや参考項目の絞り込みといった論点も踏まえた必要な対応検討のため、データ収集等を進めることとされております。  これらの点も踏まえながら、環境や地元に配慮しつつ、風力発電の立地が円滑に進められるよう、再生可能エネルギーの導入促進のための必要な対策について総合的に引き続き推進してまいります。
  98. 河野義博

    ○河野義博君 やっと議論の土台にはのったということで、早期の改善を期待をします。  最後に、洋上風力発電に関しまして、港湾区域内では洋上風力発電事業が行われるようになりまして、案件の進捗が始まりました。一方で、港湾区域を越えた一般海域においても、ルールがそもそも定まっていないという点でルールの整備が求められているわけでございますが、この一般海域の制度整備に関して最後に簡潔に伺って、質問を終わります。
  99. 甲斐正彰

    政府参考人(甲斐正彰君) お答えいたします。  洋上風力発電につきましては、先生指摘のとおり、港湾区域において占用公募制度が創設されるなど、制度整備が進んでおります。今後は、一般海域においても海域利用のルール作りなどの制度面での整備が重要です。昨日開催されました再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議におきましてもアクションプランが決まりまして、その中で、総合海洋政策推進事務局及び関係府省庁は海域の利用調整の実態や利用条件について調査し、海域利用のルール化を検討することが明記され、総理からも着実に実行するよう指示がありました。  当事務局は、昨年度、一般海域での適用法令や施設設置の実態について調査を行いました。また、その結果を踏まえまして、今後の一般海域の利用のルール化に関し、課題整理のため、関係省庁とも意見交換を密接に行っているところでございます。  今後とも、引き続き関係省庁と連携しながら、一般海域利用のルール化等の政策に取り組んで、洋上風力発電などの再生可能エネルギーの導入拡大に貢献してまいります。
  100. 河野義博

    ○河野義博君 終わります。
  101. 山添拓

    ○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  四月の四日ですが、今村復興大臣が、福島原発事故避難者に関わって、自主避難は本人の責任だと、こう発言しました。とんでもない発言だと思います。政府避難指示を継続している地域はもちろん、その後解除された地域避難指示区域以外も含めて広範な地域放射性物質によって汚染されたわけです。  子ども・被災者支援法では、避難指示区域以外でも、一定以上の放射線量地域での居住、他の地域への移動及び移動前の地域への帰還についての選択を自らの意思によって行うことができるよう、被災者がそのいずれを選択した場合であっても適切に支援するものでなければならない、こうしています。この法律をまつまでもなく、復興大臣としてはあるまじき、被災者を、被害者を突き放した発言だったと考えます。  そこで、今日は東京電力に伺いたいんですが、事故に責任を負っている東京電力として、とりわけ区域外の避難者について、その避難が自己責任だと考えているでしょうか。
  102. 廣瀬直己

    参考人(廣瀬直己君) お答え申し上げます。  私ども東京電力といたしましては、中間指針等を踏まえまして、実際に避難をされているかどうかにかかわらず、事故発生時において自主的避難等対象区域に生活の本拠となる住居があったかどうかということを基準といたしまして賠償金をお支払をしているところでございます。私どもとしては、そうした考えにのっとっております。
  103. 山添拓

    ○山添拓君 避難指示の対象区域以外の区域にお住まいだった方についてどのような認識か、お答え願えますか。
  104. 廣瀬直己

    参考人(廣瀬直己君) 繰り返しになりますが、自主的避難区域対象内に事故時点において生活の本拠となるような住居があったかどうかということが問題でありますので、判断の基準となりますので、実際に御避難をされたかどうかにかかわらず賠償金をお支払をしているというところが私ども考え方でございます。
  105. 山添拓

    ○山添拓君 避難が必要になった方については、当然国や東電、責任を負うべきものだということだと思うんですね。そもそも、避難指示区域というのは国が一方的に決めて一方的に解除していると。被災者が選べるものではありません。国や東電が区域外の避難者に対しても責任を負うというのは当然であり、この点からも復興大臣の発言は誤りだと言わなければなりません。  汚染対処特措法は、年間二十ミリシーベルトを下回る地域であっても、一時間当たり〇・二三マイクロシーベルト、年間一ミリシーベルトに相当する放射線量地域除染の対象として、除染費用は最終的には東京電力が負担するものとしています。  国は、これまでに除染費用として市町村等に対して幾ら支払っているんでしょうか。
  106. 早水輝好

    政府参考人(早水輝好君) お答えします。  環境省では、除染事業のうち市町村が実施する除染に係る費用を市町村に対して支出しておりますけれども、市町村除染に係る平成二十七年度までの決算額、それから二十八年度の予算額、さらに二十八年度への繰越額を含めてこれらを合算いたしますと、一兆四千六百六十億一千三百万円となります。
  107. 山添拓

    ○山添拓君 これは全部避難指示区域以外の分なんですね、国が支出した分というのは。国が直轄で行っている分はまた別途ありますけれども、国が支出した今おっしゃった費用というのは東京電力に求償することになっているかと思います。この中で、東京電力が支払を拒否した分というのはあるんでしょうか。
  108. 早水輝好

    政府参考人(早水輝好君) お答えいたします。  環境省では、市町村が実施した除染の費用につきまして、順次東京電力に対して求償をしております。これまで、約六千二百三十九億円の請求に対しまして、平成二十九年二月末現在で約四千三百七十一億円が応諾されております。  残りのまだ応諾されていないものについては、東京電力におきまして証憑書類を確認しておるために応諾保留となっているものであり、支払を拒否されたものはございません。
  109. 山添拓

    ○山添拓君 そして、これを東京電力は、原子力損害賠償法に基づいて、国からの交付金も含めて支払うことになるわけです。国も東京電力も、区域外であっても除染が必要な汚染があり、それが原発事故に起因するんだと、このことを前提に除染を行って費用を負担しているわけです。区域外の被害に対しても国や東電が責任を負っているからこそ、こうした対応になっています。  原発事故により、放射線被曝を余儀なくされ、健康への影響に対する恐怖や、また不安によって避難を選択し、現在も避難を継続していることには合理的な理由があります。国と東京電力の責任を認めた三月十七日の前橋地裁の判決でも、一定の範囲でこの避難に合理性があるとしているところです。  避難指示が解除された地域では、除染が不十分であるとか、あるいは病院や学校、職場など、暮らせる条件が整わないという事情もあります。戻りたくても戻れない人がいる中で、自己責任だと突き放すのはもってのほかだと指摘しなければなりません。  次の話題に移りますが、今度は規制委員会に伺いますが、二〇一三年に策定された新規制基準の下での原発の津波対策について伺いたいと思います。  津波対策の前提として、どのような津波を想定するんでしょうか。基準となる津波はいかなる根拠に基づいて策定されるのか、御説明をください。
  110. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 原子力発電所等の基準津波については、最新の科学的、技術的知見とか、国内だけではなくて世界で起きた大規模な津波の事例を踏まえて地震学的な見地から想定すること、さらに、敷地周辺における津波堆積物とか歴史記録などから推定される既往の最大を上回るレベルの津波を想定すると、そういったことを総合的に判断して、最大の津波高さを基準津波と設定しております。
  111. 山添拓

    ○山添拓君 資料の三ページにございますが、津波対策としては、今御説明あったとおり、既往最大を上回るレベルの津波を基準津波とするんだとあります。基本は既往最大、過去に経験した最大値が目安となっているわけです。  既往最大というのは、おおよそ何年ぐらい遡ることになるんでしょうか。
  112. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) よく地震については十二、三万年前ということを基本にしておりますけど、津波については、何年前というようなことではなくて、周辺の津波の痕跡とかそういったものを調べますと、大体一千年とか二千年とか、そういう範囲だとは思いますけれども、そういったことを丹念に調べて、その上で基準津波を策定、設定しているということでございます。
  113. 山添拓

    ○山添拓君 先ほど歴史記録に基づいてということもおっしゃったんですけれども、歴史記録を踏まえると大体何年ぐらいということになりますか。
  114. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 歴史記録といっても、記録がきちっと残っているところ、残っていないところもあります。それに、場所によって大分津波の痕跡というのは違いますので、一概に何年ということは言うことはできませんが、周辺のいろんな、ボーリングとかいろんなことの調査の中で、既存、かつて地震津波があったかというようなところを調べて、それをきちっと踏まえた上で津波の高さを設定しているということになります。  ですから、申し訳ありませんけど、何年前というのを一律に申し上げることはできません。そこが少し地震動なんかの評価と違うところでございます。
  115. 山添拓

    ○山添拓君 今明確にはおっしゃらなかったんですけど、私どもの方に規制委員会からおいでいただいて御説明を伺ったときには、歴史記録というのは大体三百年、四百年の話ではないかと、この辺まで津波が過去来たことがあるという、これ歴史文献ですね、残っているのはそれぐらいだというお話を伺っておりました。  今委員長からもお話あったように、基準地震動の策定に当たっては、例えば活断層の評価では十二、三万年前と、必要であれば四十万年遡るということで基準があるわけです。津波は地震の随伴事象として起こります。もちろん、火山や地すべりのように地震以外の要因の場合もありますけれども、しかし地震に伴って起きる現象であると。地震については十万年以上前まで見るべきだとする一方で、津波については、先ほどは一千年という話がありましたが、文献記録ということであれば三百年、四百年だと。これは余りにもアンバランスだと思います。地震の随伴事象である津波について既往最大だと、つまり、記録で残っている、分かる限りでというのを基準とするのは不合理だと言うべきです。  あの福島原発事故について、国や東京電力は、これは津波は想定外だったんだ、こうおっしゃっている。今後また、歴史的に判明している既往最大を一つ基準とするのであれば、それを超える津波が来れば、また想定外だということになってしまうわけです。万が一にも安全に、その基本的な在り方にも反することになるだろうと私は考えます。  そこで次に、今御説明のあった基準津波に対してどのような対策を取ることになっているか、御説明をお願いします。
  116. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 先生の今おっしゃったことに少し誤解があるので訂正させていただきたいと思うんですが、歴史的なそういう堆積物の調査に合わせて、例えば今回の東日本大震災のようなもの、それから東南海地震のように予測されるような大きな地震動によって起こる津波というのも基準津波の想定の中に入っておりますので、そこは誤解のないようにお願いしたいと思います。  その後の御質問は……。
  117. 大村哲臣

    政府参考人(大村哲臣君) お答え申し上げます。  新規制基準におきましては、耐震重要度が最も高い設備のある建屋について、遡上する波が到達しない十分高いところに設置するということを求めております。また、遡上する波が到達する高さにあるという場合には、防潮堤、水密扉等の設置を求めているというところでございます。それから、取水路、放水路から津波の流入がある場合がありますけれども、この防止のために、流入の可能性のある開口部等に浸水防止対策というものを求めているところでございます。それからさらに、敷地への津波の襲来というものを察知をして、水密扉等を確実に閉止をするための屋外の監視カメラ等のこの監視の設備、こういう設置も求めているところでございます。
  118. 山添拓

    ○山添拓君 いろいろ挙げられるんですけれども基本的には敷地の高さで防ぐんだと、高さが足りなければ防潮堤を設置するんだと、こういうところが前提になっているかと思います。  基準津波を超える高さの津波、防潮堤を越えて押し寄せる津波、これによって敷地が浸水する事態というのは考えないということなんでしょうか、それともそれに対しても対応できるようになっている、こういうことなんでしょうか。
  119. 大村哲臣

    政府参考人(大村哲臣君) お答え申し上げます。  新規制基準におきましては、基準津波による津波を敷地に遡上又は流入させない、いわゆるドライサイトというものでございますが、これを基本としているところであります。ただし、津波が防潮堤を越えて敷地に流入するという事象も考慮いたしまして、こういう事態に対しても一定の耐性を有するということで、多層的な津波の対策を求めているというものでございます。  具体的には、遡上する波の防護や漏水への防護に加えて、重要な安全機能を有する設備が含まれる建屋に対して浸水対策を求めている、水密を行うということでございます。さらに、仮に設計基準を超える事象に至った場合におきましても、炉心損傷の防止等の、これは重大事故等対策と申し上げておりますが、こういう対策を要求をしているところでございます。
  120. 山添拓

    ○山添拓君 既往最大、先ほど委員長からはそれだけじゃないんだというお話があったんですけれども、しかし、地震について遡るべき評価対象と、津波について遡って想定すべきものとは圧倒的に違うわけです。そして、現に規制委員会が対外的に示しているこの資料の中では、既往最大を上回るレベルの津波であればこれでいいんだというふうに記しているわけですから、そういう一定の判明している歴史の範囲の中での津波が想定のベースになっているということは言えるんだと思います。  これを超えることは十分あり得るわけです。それが福島事故の教訓でもあります。したがって、防潮堤を越えて敷地に津波が浸水した場合にも安全を確保する、これは当然に求められるわけです。今一定の体制を持つようにという発言がありましたけれども、それはもちろん当然なんだろうと思います。敷地高さを大きく超える津波に対しては重大事故の対策だと、シビアアクシデント対策だということだと思います。ここではどのような対策を取ることになるんでしょうか。
  121. 大村哲臣

    政府参考人(大村哲臣君) お答え申し上げます。  新規制基準では、基準津波を超える津波などにより仮に重大事故に至ったような場合、これも想定をいたしまして、常設の重大事故等対処設備とは異なる場所に可搬型の設備を保管をするというようなことを要求してございます。  具体的には、電源車等の可搬型の代替電源設備、それからポンプ車等の可搬型の注水の設備、こういうものを高台に分散して配置をするというようなことを求めております。
  122. 山添拓

    ○山添拓君 重大事故ですからそうした対策になるんだということです。  資料の五ページを御覧ください。浜岡原発の津波対策として紹介されているものですが、これは敷地内の浸水防止策として防波壁を設置するとともに、仮に津波が防波壁を越えた場合でも原子炉建屋内への浸水防止策として幾つかの措置を講じています。海水冷却機能の維持と、建屋内への浸水防止、重要な機器のある部屋への浸水防止と、大きく三つです。  このうち、建屋内への浸水防止には、建屋の外側の壁の防水構造扉の二重化をするとか水密化をする、建屋外壁の開口部、外に開いているところからの浸水防止策、建屋貫通部からの浸水防止対策が含まれています。防波壁を越えて浸水した場合にも安全上重要な機器に影響を及ぼさないようにという趣旨でこれらの対策を取ったんだと説明がされています。  規制委員会もこの浜岡原発の適合性審査についてこうした措置確認されているかと思いますけれども、ここで挙げられている、防潮堤を越えて浸水した場合に建屋内への浸水を防止するための対策、これらは有効な対策だとお考えでしょうか。
  123. 大村哲臣

    政府参考人(大村哲臣君) 御指摘の防潮堤の水密扉等につきましては、かなり従前からあるという技術でございます。ここ……(発言する者あり)それは十分に、今申し上げましたように従前から効果が確認されているということでございますので、十分な効果があるというふうに考えております。    〔会長退席、理事福岡資麿君着席〕
  124. 山添拓

    ○山添拓君 その次の質問についても答えていただきましたけれども、つまり、こうした浜岡原発でこれから取られようとしている、今準備をされている対策というのが従前から既に得られている技術的な対策であり、これは津波対策として有効なんだという御説明でありました。  そこで、東京電力に伺いたいんですけれども福島第一原発において建屋内への浸水防止策、例えば現在、浜岡原発で行われている海水による冷却機能の維持、建屋内への浸水防止のための扉の強化、あるいは機器室内への浸水防止などを行っていれば、東日本大震災によって生じたような深刻な事態は避けられた、あるいは進行を遅らせることができた、こう考えられるでしょうか。
  125. 廣瀬直己

    参考人(廣瀬直己君) お答え申し上げます。  今先生が述べられた様々な対策というのは、新しい規制基準で必要とされている対策というふうにお聞きいたしました。新規制基準というのは、福島第一原子力発電所事故を受けて対策の基準考えられ、その他新しい知見も盛り込まれてできた大変厳しい基準であるというふうに認識しておりますので、私どもは、そうした基準にのっとってしっかりとした設備を造っていくことで、今後、福島第一原子力発電所と同様、相当規模の津波が来たとしても、福島第一原子力発電所と同等の事故は防げるものというふうに考えております。
  126. 山添拓

    ○山添拓君 規制委員会としても同様に考えておられるでしょうか。
  127. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) そのとおりであります。  1F事故の教訓を踏まえて作られた規制基準ですから、この規制基準にのっとって1F事故が再び起こっては、それはもう全然お話になりませんので、それを、さらに1F事故に加えていろいろ世界のいろんな状況を踏まえ、さらに自然現象の怖さというのも十分に踏まえて策定しておりますので、新規制基準に適合していれば、津波のような、ああいう1F事故のような状況は起こらないというふうには申し上げられると思います。
  128. 山添拓

    ○山添拓君 ということなんですね。  ところが、三月の前橋地裁の判決の事件やあるいは全国で被害賠償を求めて行われている裁判では、国や東電は、様々な対策を取ったとしても結果は避けられなかったんだ、こう主張しています。回避の可能性がなかったんだと、こういう主張を行っています。現在、浜岡原発などで行われている措置をとったとしても福島事故は避けられなかったんだと、こういう主張になっている。これは大きな矛盾だと言わなければなりません。    〔理事福岡資麿君退席、会長着席〕  東京電力に改めて伺いますが、避けられたんだとすれば、また技術としては目新しい技術ではなかったんだと、こういうことであれば、福島第一においても事故前に津波対策を取ることができた、取っておくべきだったんではないかと。この対策を取れなかった理由というのは敷地の高さを超えるような津波が想定外だったからだと、こういう説明になるんでしょうか。
  129. 廣瀬直己

    参考人(廣瀬直己君) 現在訴訟進行中でございますので訴訟に関わるコメントは控えさせていただきたいと思いますけれども、私どもは、今後、新規制基準をしっかり満たし、さらに、私ども事故を起こした事業者でございますので、今後も、福島事故から学ぶべき最大の教訓として、もうこれで十分だと思ってはいけないというふうに考えておりますので、それも踏まえて、今後とも、新しい技術ができたり新しい現象が海外並びに他の発電所で起こるようなことがあればそれをしっかり取り入れて、絶えず安全を高めていくというような努力はしていきたいというふうに思っております。
  130. 山添拓

    ○山添拓君 それは質問に答えていないと思いますね。対策を取ることができたんではないか、取らなかった理由は何だと考えているのかということです。
  131. 廣瀬直己

    参考人(廣瀬直己君) 繰り返しますけれども、新規制基準というのは、福島第一原子力発電所事故を受けて、それの対策を万全に期すということでできたというふうに認識しておりますので、新規制基準を満たすことによって、今後、福島第一原子力発電所に来た津波と相当のものが来ても、福島第一原子力発電所事故と同様な事故は防げるというふうに思っています。
  132. 山添拓

    ○山添拓君 これまたお答えにならないと。技術的には事故の前でもこれ対策は取ることはできたというものだと先ほどもお話がありましたし、また、福島第一原発で敷地の高さを超えるような津波が襲来する可能性、そのことについては予見ができたというのがそれこそ先日の前橋地裁の判決内容でもありました。ですから、結局、やれたことをやらなかった、その結果としての今度の事故だったということになろうかと思います。  今、訴訟が進行中のことは答弁を控える、こういうお話ありましたけれども、それはそれこそとんでもないと思うんですね。今、訴訟で相手になっているのは、被害者の皆さんからして相手になっているのは、今お話しになっている東電と同じ東電なんですよ、あるいは同じ国なんです。その国や東電が裁判で言っていることと国会で言っていることとが違うんだということになれば、これは重大な問題だと思います。  そして、今、新規制基準、既往最大を一定の基準としている、津波対策としてですね。これは、私は不十分なものだと考えます。防潮堤を越える津波が来ることは基本的にはないんだ、ドライサイトという話がありました。乾いている前提だ、こういう対策を考えている。福島事故への反省を踏まえたものとはそもそも言えない、津波対策の一点を取っても再稼働を認めるべきではないということを申し上げておきたいと思います。  残った時間でもう一点質問させていただきます。  新規制基準では、こうした津波対策と一体のものとして、取水施設、放水施設における浸水対策、重要な施設を含む建屋の扉や開口部、貫通部、この浸水対策などを進めています。ところが、二〇一六年の九月に北陸電力志賀原発二号機で雨水が流入し漏電したという事故があり、その後、全国の施設が調査されましたが、三月末までに、全国十の施設で合計六百九十二か所になります、建屋貫通部の止水措置が未実施だと判明しています。  資料の八ページ、九ページに三月末時点での調査結果を載せています。この中で、福島第二の一から四号機と、それから柏崎刈羽の一から七号機、確認中となっているんですが、いつ報告されるんでしょうか。
  133. 山田知穂

    政府参考人(山田知穂君) まず、状況を御説明をさせていただきたいと思います。  御指摘の東京電力の調査結果が確認中となっている件につきましては、従来報告を受けていたものに対して柏崎刈羽原子力発電所建屋貫通部に係る調査結果に誤りがあったということで、調査結果の再確認とそれから追加調査を改めて報告するということを連絡を受けているところでございます。  それで、調査結果につきましては、実は今日報告をするというふうに東京電力から連絡を受けているところでございますので、今もう報告を受けた、受け取ったかどうかという、そういったタイミングでございます。
  134. 山添拓

    ○山添拓君 それでは速やかに公表していただきたいと思います。  これは止水措置の完了予定としては、平成二十九年の九月末とか三十年の三月末と書かれています。この先、梅雨や台風の時期も迎えることになります。雨水の流入で非常用設備が水没しかけたというのが志賀原発のトラブルでした。これでは津波対策には程遠いと思います。調査と対策、急がせる、浸水対策、津波対策を今の時点でも万全を期すべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  135. 片山大介

    片山大介君 日本維新の会の片山大介です。  私は、まず最初に、原発いじめについて聞きたいと思います。  福島から避難した子供たちへのいじめについて、昨日、文部科学省による全国調査の結果というのが初めてまとまって公表されました。それによると、その数は二百件に及ぶという数字になっています。それで、何でこれをここで質問するかといいますと、原発事故から六年になる前の、先月の十日ですか、田中委員長が職員の訓示でこの原発いじめについて触れているからなんです。そして、田中委員長は、根拠のない風評や誤解による差別やいじめで言葉に尽くせない苦悩と怒りに苦しんでいると、こう述べられたんですね。私、全くそのとおりだと思っていて、委員長もこの原発いじめに対する思いが強いのかなと思って、まずそのことを聞きたいと思います。お願いします。
  136. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 私ども原子力規制委員会それから原子力規制庁は、福島第一原子力事故反省の下に生まれたものです。ですから、私どもはいつも、通常の役所ですと年頭の挨拶とかそういうことで訓示を行うんですが、私どもとしては、三月十一日に訓示を行って、我々が発足をした原点を忘れないようにということで、いつも私自身は毎年福島のことに触れさせていただいております。  特に今年の場合は、もう六年もたちましたけれども、それで、幾つか居住制限区域等の解除も行われましたけれども、表面的にはそうなんですけれども、実際に現地の人から見ると、まだ風評被害はもちろん、農業、漁業、いろんなところに被害が及んでいるし、かつ、福島避難されている方、まだ大勢おられますけれども、そういった方に対して、特に子供たちに対するいじめみたいなものが多々報道されるということについては私自身も非常に怒りを覚えていますけれども、やはり、その怒りを共有しながら、規制の重要性というものを、原点を振り返ってほしいという意味で申し上げて訓示を行いました。
  137. 片山大介

    片山大介君 いや、全くそのとおりで、私も、実は国会議員になる前、記者として避難している人たちの取材を続けてきたんですね。それで、この問題というのは、今でこそ顕在化してきているんだけれども、別に今に限ったことじゃなくて、これ、原発直後からある問題なんですよね。  それで、避難している人だとか移住せざるを得なかった人たちというのは、みんなつらい思いしながらこれまでもひっそりと暮らしてきていたんですよね。特に、私も子供のことがすごく気になっていて、子供の心の傷に残るんじゃないかというのはすごく心配した覚えが、当時取材をしていて思いがあるんですね。それで、昨日、松野文科大臣はその子供たちに向けてのメッセージというのを発しているんですね。  それで、この問題なくしていきたいというのは思いはみんな一緒だと思うんですけれども、そうすると、これ、規制委員会として何ができるか、何をしたいと思っているか、次に聞きたいんですが。
  138. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) やはり非常に広く捉えれば、放射線被曝とか放射能に対する、私から見ると若干誤解があると思うんです、被曝影響について。これはいろんな先生方もそういうことを申しております。今後、福島の人が戻って復興に携わるにしても、やはりその辺についてはきちっと大人も子供ももう少し放射線に対する知識というのを持つ必要があるということであります。  特に、その訓示の中で私申し上げましたけれども、我が国の規制基準というのは各省ばらばらで、世界から見るとちょっと異常だと言う規制委員長もおります、外国には。そういう状況の中で、やはり国際基準というのがICRPとかIAEAで決まっておりますので、大きな知識ベースの下で決められておりますので、そういったものを参考にしてきちっとした整合性のある基準を決め、それで放射線教育についてもきちっとやっていただくと。  放射線教育は私どものあれではありませんけれども地域の放射線モニタリングは私どもの所掌ですので、そういった福島地域のモニタリングをきちっとやりながら情報を提供する、そういったことも含めてできるだけのことを努力していきたいと、そんなふうに考えています。
  139. 片山大介

    片山大介君 おっしゃるとおり、放射能は目に見えないから間違った恐れだとか誤解を生みやすいので、正しい知識を持つというのはすごく大切だと私思っています。それは是非、規制委員会としてしっかりやっていっていただきたいなというふうに思います。  それで、次の質問に行くんですが、次は原発の運転期間の延長についてなんですね。  まず、原発事故の後、原子炉規制法というのが改正されて、運転期間は原則として四十年になった、そしてその上で、規制委員会の認可を受ければ最大二十年において一回だけ延長が可能になった、こうなっています。  これ、一枚目の資料に書いてあるんですが、それで、まず聞きたいのが、この四十年という期限、何で決めたのかというのと、そして何で最大が二十年で、しかも一回だけなのか、これも併せてお伺いしたいんですが。
  140. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) これは私が決めたんではなくて国会の議論の中で決められたものですので、私がいろいろ、こうですという説明をするのはなかなか困難なんですが、一般的に四十年という、当初、設計してから四十年というと相当、普通の技術は少し古くなってまいりますし、四十年使っていれば劣化もしてまいります。ですから、それ以上使うとなると、それなりに高経年化についての評価が要るということです。  アメリカの場合はよく寿命延長をやっているといいますけれども、寿命延長をやるについては、環境影響評価から全く新規の原子炉と同じような審査をした上で寿命延長を認めています。我が国も、そういう趣旨も踏まえながらきちっとした高経年化の評価をした上で、延長して可能かどうかということであります。  だから、アプリオリに二十年でいいということではなくて、最大二十年ということ、途中で当然ペリオディックに検査をしながら、これはもう駄目ですという場合もあり得るということは申し上げておきたいと思います。
  141. 片山大介

    片山大介君 そうなんです。それで、その期間の四十年ということで、今、その後、電力会社というのは、今四十年に近づいてきている原発が多いから、それぞれを判断をしているんです。  それが二枚目の資料なんですが、まず、この規制法が改正になったのが平成二十四年だと思うんですが、この五年間で、この左側にある関西電力の三基の原発、これがもう運転延長を認められた。  その一方で、これ、右側の一番下にある四国電力の伊方原発なんですが、こちらは間もなく四十年になるんだけど、こっちの方は廃炉を決めた。何で決めたかというと、安全対策に係る費用、規制委員会の審査を通るために必要な経費が一千七百億円掛かると。その一方で、仮に延長したとしても、その後の修繕効果で見込まれるお金というのは一千五百億円だと。そうすると、採算性からこれは余り得じゃないといって、これやめちゃったと。こういうふうに、電力会社がいろんな判断をし始めているんですね。  そうした中で、規制委員会は今年度から原子炉格納容器の耐久力の評価、これの研究に着手するというのをちょっとニュースで見たんですけれども、これ、長年の中性子や経年の劣化による調査というのをきちんと調べて、それで、設計の段階想定していなかった事象が起きた場合にどの程度であれば格納容器の破損を防げるかだとか、放射性物質の放出を防ぐことができるかということを調べようと。  何で今年度からこれを始めることにしたのか、そして、これを今さっき言っていた四十年だとか期間で決めている原発の寿命というものに対して何か反映をさせるつもりがあるのか、これについてお伺いしたいんですが。
  142. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 今先生の御指摘のような取組をすぐに早速始めるということを決めたわけではありません。検討中であります。  これは、我が国においては、四十年あるいは四十年を超えた運転履歴を持ったような実用原子力発電所というのはほとんどありません。その中で廃炉というような選択の論も出てきていますので、そういったものを利用してきちっと、どの程度劣化するものか、例えば中性子による圧力容器の材料の劣化、あるいはコンクリートの経年、時間がたちますと含水量が減って劣化するとか、いろんなことがあります。それから、ケーブルも当然劣化してまいります。  そういったことを踏まえて、高経年化の評価というのは非常に多面的に行うものですので、そういった基礎データが得られれば、今後のそういった寿命延長の審査に役立てられるんではないかという議論はしております。
  143. 片山大介

    片山大介君 私は是非それやってほしいと思うんですよ。そうすると、原発の運転延長でやった場合の、規制委員会が認可したときの場合も、国民が納得しやすくなるんですよ。今のだとよく分からないところがある。だから、是非これやってほしいと思うのと、それで、これ、平成三十三年までに計画をまとめるというふうになっているんですけれども、資料とか見ると、そうすると、これは、反映させるというのはその後大分先の話なのか、どんなイメージなのか、簡単に教えてほしいんですが。
  144. 大村哲臣

    政府参考人(大村哲臣君) お答えいたします。  今御指摘のところ、新聞の報道でいろいろ出ている話かと思います。現在まだこれは計画中でございまして、実際に実機の廃炉材を使ったいろんな試験をやってみようということで、これ、事業者の方とどういう形ができるのかということを現在少し打合せなり意見交換をしているという段階でございまして、いついつまでに何ができるかというところの具体的な計画のところまではまだ行っていないということでございます。  ただ、一点、この試験のといいますか、この研究の目的でございますけれども、従前、例えば圧力容器であれば監視試験片という形で、加速試験ですね、加速的に観察をしているということでしたが、これを実機で見ることによって、これまでいろいろ積み重ねてきた様々なデータ、これが実機で本当にそのとおりになっているのかどうか、この辺りの検証ができるものだというふうに、そういう目的で今、計画を今から立てようかと、こういう段階になっております。
  145. 片山大介

    片山大介君 それで、一つ規制委員会にお願いしたいのが、是非国民に分かりやすくというのをやってほしいと思うんですね。この研究の計画書って、私、取り寄せてみたんですけど、ほとんど何書いているかよく分からないんですよ。それで、規制委員会の資料って、いつも見て思うんですけれども、専門性が高いのは分かるんだけど、非常に分かりづらい。それで、国民に分かってもらうということを絶えず心掛けてほしいと思うんですよね。それが国民原発に対する信頼にもつながると思うんですけれども、これについては、田中委員長、どうお考えですか。
  146. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 実際の技術的データを取るとか、そういうところは非常に分かりにくいところ当然あるかと思いますが、取られたデータとか、取る方法も含めまして、是非、国民の方に理解しやすいような説明に心掛けていきたいというふうに思っております。
  147. 片山大介

    片山大介君 是非よろしくお願いいたします。  それで、ちょっと時間がないので、次、使用済核燃料の保管のことについてちょっとお伺いしたいんですが、規制委員会は今年から水や電気を必要としない空冷式の保管の容器、これの導入をどんどん進めていこうということを決めたというふうに言っています。それで、それはどのようなものかといいますと、資料のこれは四枚目になるんですが、左側になります、これまでは原発のプールの中で冷やす、これを水冷保管だったんですけれども、これに対して右側の方が、原発のプールじゃなくてそのまま地表に置いて保管していく、そして空気で冷やしていこうという、これを空冷保管、別にまた乾式貯蔵というんですけど、これを行うことになって、それで、具体的にはこの乾式貯蔵の施設建設に当たっての耐震性とかの基準を今後緩和していこうということになったんですけど、これまでこの乾式貯蔵というのはなかなかこれ、進めていたけど導入してこなかった、電力会社が。今回、ここに来て基準を緩和してまでこれを進めていこうという考えに至ったのはなぜなのかを教えていただきたいんですが。
  148. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) これも1F事故の教訓なんですが、プールに大量の使用済燃料があるということが潜在的に非常に大きなリスクがあると。そういう点で、1Fの事故が起きたときに、東京電力第一原子力発電所には乾式容器に詰まった使用済燃料が海側にありまして、それ、建屋はぼろぼろに壊れましたけど、中に入っていた容器と燃料は全く健全だったということがあります。  このように、やはり乾式容器に、使用済燃料を容器に入れるためには五年あるいは七年ぐらいの冷却期間が必要なんですけれども、それぐらいたった使用済燃料はできるだけ乾式容器に入れておけば安全上非常に安心できるという意味もありまして、乾式容器に入れるようにしていただきたいと。  乾式容器といいましても、単なる貯蔵用の容器とそれを輸送する場合の容器とあります。今回は輸送する容器についての規制緩和を考えております。輸送するというのは、公道を数十キロで走るとか、九メートルの上からおっことしても大丈夫だとか、火災が起きても健全性が保たれるとか、そういったテストが済んだような容器でございますので、耐震性それ自体は、容器がもう地震で何が起こるというようなものではないので、それを入れる、保管するような建物についてまで、いわゆるSSというような最高級の地震動に耐えられるような容器は必要ないだろうと。そういうことでの規制緩和を図って、乾式容器の普及というか、その方が安全なので、安全という点でそういうことを行おうとしているところでございます。
  149. 片山大介

    片山大介君 私は、それプラスもう一つあるんじゃないかと思っていて、今全国の原発にあるのはプールですけれども、プールの保管容量というのは大体もう七割ぐらい埋まっていると言っている。それで、それぞれの原発から運び出して、その運び入れる青森の中間貯蔵施設の建設も止まっている。だから、これからどんどん原発を再稼働していく可能性もある、そうなると使用済核燃料がたまっていくけど出せない、そうなるとやっぱりこの乾式貯蔵を造らざるを得ないという判断もあるのかなと思っていますが、これについてはどうお考えでしょうか。
  150. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) プールがいっぱいになってくると、電力会社から、幾つかもう既に出ておりますが、リラッキングといって、できるだけプールにたくさんの燃料が置けるような、もう一度保管の仕方を変えるとか、そういう申請が来ております。  しかし、私、これ、規制基準ではありませんけれども、そういうことよりはやはり乾式に入れて、プールに置く量をできるだけ少なくしていく方がいいということで、いいというのは安全だという、安全の観点からだけ申し上げております。
  151. 片山大介

    片山大介君 それで原発の立地自治体、地元がそれだけであと納得するかという問題が私はあるかと思っていて、そうすると、もうプールじゃなくてこの乾式貯蔵でやっていくとなると、原発の敷地内にどんどん保管容器は置いていけるわけだから、そうすると、一番その地元自治体とかが懸念しているのが使用済核燃料の保管の長期化ですよね。そういう懸念が実際にもう声としてもある。  これに対してはどのように対応していくおつもりなのか、次聞きたいんですが。
  152. 小澤典明

    政府参考人(小澤典明君) 今の点は資源エネルギー庁の方からお答えさせていただきますけれども先生指摘の使用済燃料の貯蔵能力の拡大というのは我々重要な課題と思っておりまして、エネルギー基本計画でもこれは進めていこうということにしております。特に、乾式貯蔵施設、それに対する重点的な支援というものを国としても行っておりまして、その上で、事業者に計画を作ってくれというお願いをしまして、今、使用済燃料対策推進計画というのを電力会社が作って、それで進めているということでございます。  その際、これも先生指摘のように、地元の理解というのが非常に重要でございまして、これは、しっかりと保管をするけれども、最終的には使用済燃料は再処理するということで六ケ所の方に、青森の方に運んで処理をしていくということが基本ですよということを丁寧に御説明していただきながら推進していくことが大事かと思います。  実際に、中部電力の方からは、乾式貯蔵施設を造りたいということで原子力規制委員会の方にも既に申請が出ている状況でございますので、こういった動きが更に進展していくということが望ましいというふうに考えております。
  153. 片山大介

    片山大介君 それで、あと、今後これを進めていくんだったら、私はそのガイドラインのようなものも必要じゃないかと思っていて、例えば費用だとかスペックだとか、そうしたやっぱり全体計画をきちんと提示してやらなければ、なかなかそれできないような気もしています。  それで、この技術、実は何か調べたらアメリカの方が進んでいるという文献もあったりしたんですけれども、具体的にこれを今後進めていくにはどういうようなイメージでやっていこうと思っているのか、これはどうでしょうか。
  154. 小澤典明

    政府参考人(小澤典明君) お答えいたします。  先ほども少し触れましたですけれども、実際に今、事業者の方に使用済燃料対策推進計画というものを作っていただいて、なおかつ、経済産業大臣と事業者との間で協議会をつくりまして、その中で、言わば毎年フォローアップをしていこうという仕組みにしております。その中で実際に課題とかそういったことが発生してくれば処理をしていくということで、しっかりと進めていきたいというふうに考えております。
  155. 片山大介

    片山大介君 分かりました。  ちょっと時間がないので、次のテーマに行きたいんですが、次は凍土壁、福島第一原発の汚染水処理対策で、原発の、囲むように造っている陸側遮水壁のことについてちょっとお伺いをしたいんですが、これ五枚目の資料に付けています。  それで、この凍土壁に関しては、開発と建設は国が費用を負担する、それから運用については東電が負担するということになっている。それで、実際にその開発や建設費としては二十六年度と二十七年度で合わせて四百八十億円のお金が費やされる、これ国費ですよね。  そうした中で、去年の十二月の規制委員会検討会で、海側の凍土壁の凍結結果に係る東京電力の報告について、規制委員会委員長代理の更田さんは効果が限定的だというふうな評価をしているんですよね。それで、先月の三月になって、規制委員会は、未凍結のままでまだ凍結処理をしていない山側の五か所のうちの四か所について、その凍結作業を認可して、次の日から東京電力が作業を始めたという。  ちょっとこれどうなのかなというふうに思うのは、そもそも海側の方の処理が、海側の方の遮水の効果が限定的なのに、山側までこれやったとして本来目的としていた遮水効果というのがきちんと得られるのかどうか、私、これ不思議に思うんですが、ここについてはどのような説明ができますでしょうか。
  156. 山形浩史

    政府参考人(山形浩史君) お答えさせていただきます。  規制庁の、規制委員会の立場といたしましては、遮水壁を使って遮水をした場合、それが原子炉建屋、そういうところに悪影響を与えないかということを慎重に見極めて進めていきたいというふうに思っております。  したがいまして、まずは海側から凍結をして、その効果というものは、それは一〇〇%ではございませんので、限定的なものという評価でございます。その上で、建屋、一号機から四号機の建屋に悪影響を与えないだろうということをある程度見込んだ上で、山側を少し閉めると。そして、その結果をよく慎重に見ながら、最終的に閉めるかどうかということは考えていきたいというふうに思っております。
  157. 片山大介

    片山大介君 海側が限定的だったら、その限定的だというのをまず改善する方が私先なんじゃないかと思うんですが、それは違うんでしょうかね。
  158. 山形浩史

    政府参考人(山形浩史君) お答えさせていただきます。  原子炉建屋周辺の地下水の水位を下げるという方法は幾つかございます。サブドレーンと言いまして、建屋周辺の井戸のようなものから地下水を引き上げるという方法、それといわゆる遮水壁ですけれども、そういうもので山側から水が入ってこないようにすると、そういうようないろいろな方法がございますので、そういうものをトータルで行っていくべきであろうし、我々としては、サブドレーン、井戸から水を引くという方が比較的確実に行えるのではないかというふうに考えております。
  159. 片山大介

    片山大介君 そうすると、海側の凍結作業を行う前に、恐らく検討だとか実証みたいなこともやっているはずだと思うんですよね。それで初めて作業をするということになると思うんですけれども、その作業を行う前の実証だとか検討とかというのは一体どういうものだったのかと思うんですけど、そこら辺はどうなんでしょうか。
  160. 山形浩史

    政府参考人(山形浩史君) お答えさせていただきます。  まず、地下水の流れ、遮水壁がない場合、凍土壁がない場合の状況というのをよく見まして、それが壁を造った場合にどう変わるのか、これはある種シミュレーションを行っていくというものでございます。シミュレーションを行った上で、実際に今凍結をさせて、それが大体合っているのかどうかということを確認する、そういうことを一つ一つ計算で確かめ、さらに少し閉めて実際にどうなるのか、そういうことを一歩一歩確実にしていくことが重要かと思っております。
  161. 片山大介

    片山大介君 いずれにせよ、それ四百八十億の国費を投入しているわけですから、だからそれで効果が限定的だということも、そういう評価もされたんであれば、そのことに対するちょっと重みをしっかり考えてこれやっていっていただきたいと思います。  それで、時間が来たので、最後、田中委員長お話しすることができれば、何かお答えできれば。
  162. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) この凍土壁の事業主体はエネ庁と経産省ですので、私の方から、私どもの立場としては、先ほど規制庁の方からお答えしましたように、安全上の問題だけを見ていくということで、やはりサブドレーンできちっと原子炉の建屋の中の濃い汚染水が外に出ないようにするということを中心にやってきております。  凍土壁がうまくいくかいかないかということについては、この評価はエネ庁の方でやっていただく必要があるんだろうと思っております。
  163. 金子原二郎

    会長金子原二郎君) 時間が来ていますので、じゃ、小澤調整官、簡単に。
  164. 小澤典明

    政府参考人(小澤典明君) じゃ、簡潔に。  凍土壁全体として見たら、まだ最終的に、大詰めの段階ですけれどもまだ完成はしておりませんので、これについては原子力規制委員会の認可をしっかりいただきながら、東京電力と協力してしっかり進めていきたいというふうに考えております。
  165. 片山大介

    片山大介君 終わります。ありがとうございました。
  166. 山本太郎

    山本太郎君 会長、ありがとうございます。  自由党共同代表、山本太郎です。自由・社民の会派、希望の会を代表し、東電社長に御質問いたします。  社長は六月で退任になりますが、五月いっぱいですか、新首脳陣と交代ということですけれども、退任前に御自身が一番やり残したと心残りがあるもの、一つで結構です、一番やり残したと心残りがあるものを教えていただけますか。
  167. 廣瀬直己

    参考人(廣瀬直己君) 事故から六年間がたちましたけれども、本当にこの間、大変皆さんに御心配をお掛けするようなことがたくさん多発をいたしました。そうした中にありましても、地域の皆様、あるいは国や自治体、県や自治体の皆様、また株主の皆様、お客様、それから金融機関始め皆さんから、大変御心配をお掛けしましたけれども、御指導をいただいて、御理解をいただいてきました。また、現場で特に福島第一ではたくさんの人に働いていただいておりましたので、まずはそうした皆さんに感謝を申し上げたいというふうに思います。  申し上げるまでもなく、まだまだたくさんの課題が残っております。なかなか一つ挙げるのは難しゅうございますが、新しい体制の下でそうした課題をしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っているところでございます。
  168. 山本太郎

    山本太郎君 何も言っていない退任の挨拶みたいになっちゃいましたけれども。  先日、新首脳陣が加害責任を果たすということをおっしゃっていました。現社長廣瀬さんが在任期間中にはこの加害責任を果たすという気持ちでお仕事に取り組まれていたんでしょうか。
  169. 廣瀬直己

    参考人(廣瀬直己君) 私ども、これは何度も私自らの口からも申し上げたことがございますけれども、東京電力が破綻処理を免れて存続を許されてきたのは福島の責任を果たしていくためだというふうに、これは私だけでなくて社員全体の腹に落として、この間、いろいろ御心配をお掛けして、なかなか百点満点というふうになると程遠いところでありましたけれども、そういう思いでずっとやってまいりました。
  170. 山本太郎

    山本太郎君 加害責任を果たすというお気持ちでやってこられたということでよろしいですか。もう一度お願いします。
  171. 廣瀬直己

    参考人(廣瀬直己君) はい、もちろんそのとおりでございます。
  172. 山本太郎

    山本太郎君 まずは、二〇一五年、平成二十七年七月、復興特別委員会でも廣瀬社長に質問をいたしました。倒壊の危険性がある福一内の排気筒についてお聞きする前に、まずはそのおさらいからさせていただきたいんですね。  資料の一。東電福島第一原発の一号機、二号機のすぐ裏、いわゆる山側に高さ百二十メートルの排気筒が建っているというのはもう皆さん御存じのことだと思います。元々この排気筒、ベントだけではなく、通常、日常的に放射性気体廃棄物を外に出していましたが、現在は使われてはいないと。  資料の二。この排気筒の根元、二〇一三年、平成二十五年の測定で超高線量の放射線源が確認されていた。表面付近の汚染は二十五シーベルト、ミリじゃありません、二十五シーベルト。線源二の表面付近というのが十五シーベルト。七シーベルトで人間は死亡レベルとかって話も聞いたことありますよね。なので、近づけないと。  その後、二〇一五年、平成二十七年の測定で線量が下がったとされたんですけれども、測定方法が違うために、そして十分な時間をそこに割けない、それはそうですよね、高線量ですから、しかも、十シーベルト以上測定できないということなので、外部環境から計算した上で出した。だから、ちょっと下がったといったって、以前のものとは比較のしようがないんですよね。  全長百二十メートルの排気筒の話にまた戻りたいんですけれども、この排気筒のほぼ真ん中部分、六十六メートルのところに切れ目、変形、破断があることが二〇一三年、平成二十五年に分かった。  資料の三。二〇一三年、平成二十五年の十月七日、東電会見での配付資料です。排気筒の破断五か所と変形部分、破断の可能性がある部分が三か所。これ以前にされた点検と比べても劣化が進んでいることが確認されました。  以前、質問をする前にレクチャーを受けた際には、これらの状況は逐一東電から規制庁に報告するんですかと聞いたところ、状況に変化があれば規制庁に報告する体制とのことでした。つまり、東電が変化がないということにすれば報告しないで済むという形だったんですね。  以前の質疑では、変化があろうがなかろうが報告させる必要あるんじゃないですかって、東電の自主性に任せるぐらいだったら規制庁要らないと思うんですけれどもと突っ込んだ後に、廣瀬社長に排気筒の倒壊の危険性について伺ったところ、破断している部分がなくてもしっかりサポートできる、解析モデルをつくっての耐震解析を行っており、事故が起こった地震と同程度の地震が来ても問題ないという解析であり、私どもとしてはそういう認識だと。お手盛りですよね、これ。お手盛り解析結果、堂々と披露していただいたんですね。  そして、現在、二〇一七年春、この排気筒、新たな情報が入りました。新しい情報。資料の四。新たな破断が発見されたとのこと。  資料の五。これ、パネルもあるんですね。(資料提示)見に来てくださっている皆さんにも見えるように。資料お持ちじゃないですもんね、皆さんはね。東京新聞の公式ツイッターアカウントにアップされた画像ですね。こちらのパネルですけれども、全体像がつかめるということなんです。これまでの破断、黄色い丸の部分。その下にある赤丸の破断が新しいもの、この春、発見された。  資料の六。この排気筒の倒壊の危険性、以前から規制庁も気にしていたんですね。二〇一三年、平成二十五年十一月八日、規制庁と東電の面会記録の中でも、規制庁から、一、二号機排気筒倒壊に伴う放射線の状況等を踏まえたリスク評価を示すことと指示がありました。つまり、規制庁ちゃんと言っているんですね。東電さん、排気筒倒れた場合、そのときの被害想定ちゃんとしておいてくださいよという話なんですよね。  規制庁にお聞きします。このときに規制庁が指示を出した排気筒倒壊の場合のリスク評価、東電は示したでしょうか。
  173. 山形浩史

    政府参考人(山形浩史君) お答えいたします。  本日現在、まだ受け取ってございません。
  174. 山本太郎

    山本太郎君 本日現在、受け取っておりませんと。  規制委員会、東電は規制委員会の求める排気筒倒壊の場合のリスク評価を何年の間作っていないことになりますか。
  175. 山形浩史

    政府参考人(山形浩史君) 現在まで約三年半ということになります。
  176. 山本太郎

    山本太郎君 これ、もうちょっと細かく言うと、三年七か月ぐらいになりませんか、最初の通告からいくと、最初の東電に求めたというのからいくと。三年半、一か月足らないぐらいなんですかね。六か月か七か月かということですね。要は、規制庁が幾ら言っても東電は三年半以上無視し続けているということなんですよ。すごくないですか、これ。規制庁は監視する役目、しっかりとそのことを監視して、そしてそれをやらせるという役目でずっと言い続けているけれども、東電は無視し続けていると。  規制委員会、三年七か月、まあ六か月の間、東電に対して排気筒倒壊の場合のリスク評価を行う指示、規制庁として何回求めていますか。
  177. 山形浩史

    政府参考人(山形浩史君) お答えいたします。  この一、二号機排気筒の倒壊に係るリスク評価につきましてですけれども、少なくとも四回、数え方によりますけれども、少なくとも四回は求めております。  そして、その過程におきまして、平成二十八年四月に開催いたしました第四十二回監視・評価検討会におきまして、東京電力より排気筒の上半分は解体するという説明がございました。したがいまして、現在、この解体の計画について監視、指導を行っているところでございます。当該排気筒、汚染している状況のため、東京電力、作業員被曝の観点から遠隔装置を用いて解体の計画をしておりますので、その現在準備を行っているというふうに承知しております。  いずれにいたしましても、早期の解体が望ましいということで、引き続き監視をしてまいりたいと考えております。
  178. 山本太郎

    山本太郎君 なるほど。やり取りの中では出てこなかったことが今新しく出てきました。上半分をとにかく削るんだと。削るというか、それを、何て言いましたっけ……(発言する者あり)解体、ありがとうございます。上半分を解体するんだというお話ですよね。  じゃ、その解体というのはいつから始めるんですか。何月か。何年何月ということが分かっていれば。
  179. 山形浩史

    政府参考人(山形浩史君) お答えいたします。  これも監視・評価検討会で東京電力から報告があったものでございますけれども、現在、解体装置の設計を行っているというふうに承知しております。そして、二〇一七年度、一八年度上期まで装置の製作ですとかモックアップを行いまして、二〇一八年度後半より解体工事に入るというふうに聞いてございます。
  180. 山本太郎

    山本太郎君 それ、予定は未定じゃないですか、はっきり言って。今作っているところなんでしょう。今まで五回、五回ですよ、規制庁が求めてきたのは。リスク評価しろよって、倒壊したときのリスク評価を求め続けたのが四回とおっしゃったけど、数え方によるって。一番最初に求めたものも含めれば五回ですよ。この間、ずっと無視し続けてきた。  今日はちょっと規制庁いじるのやめておこうと思ったんですよ。規制庁いじって東電いじってじゃ、ちょっとフォーカスがずれるから。東電に東電の責任をしっかりと示していただこうと思ったんですけど、規制庁がそういうアプローチ、東電を守るアプローチで来るのであれば、規制庁にも言わせてもらいますよ、これ。  規制庁としての役目を果たせてないじゃないですか。三年七か月、六か月もの間、これ、倒壊のリスク評価さえも東電が示さずに来たということをずっと許し続けたわけでしょう。今になって上半分解体しますからって、その計画いつできるんですかって。一応、二〇一八年の終わりぐらいにはという話にはなっているけれども、じゃ、その間の倒壊のリスクというものはないという話なんですか。上半分解体させるんだったら、それと同じように、今まで求め続けてきたその排気筒の倒壊のリスク評価も併せて出させるというのが筋でしょう。  ちょっと待ってください。長い話にしないでくださいね。これも併せて、排気筒の倒壊のリスク評価はもうさせないということにするんですか。それとも、これからも求めていくんですか。いかがでしょう。
  181. 山形浩史

    政府参考人(山形浩史君) これは先日も、東京電力から……(発言する者あり)今回の新しい、見付かった箇所について含めて再評価をするようにというふうに指示を出しております。
  182. 山本太郎

    山本太郎君 ということは、倒壊のリスク評価は東電は出さなきゃいけないんですよね。指示しているわけですよね、そのように。しているか、していないか、お願いします、もう一回。
  183. 山形浩史

    政府参考人(山形浩史君) まだリスク評価について、それは行わなくてよいというふうには言っておりません。新しい傷も含めて強度の評価、またそれの影響というものは引き続き求めてまいります。
  184. 山本太郎

    山本太郎君 当たり前ですよね。ありがとうございます、規制庁さん。続けて求めていただけるということに少し安心しました。  でも、三年七か月、三年と半年、分からないですけれども、それぐらいの長い期間、規制庁が求めることを無視し続けた東電なんですよね。この先もそれ出されるかどうか分からないけれども、でも、本当にこの先何もリスクがないかどうかということは分からないわけだから、それが倒れた場合のどういうような影響があるかということは絶対に示させないといけない、当然のことだと思います。ここまで排気筒倒壊の場合のリスク評価がなされなかったのは、規制庁が東電に完全になめられているという以外ありませんよね、これ、はっきり言って。とはいっても、規制庁は東電への指導は今もずっと求めてくれていると。  二〇一七年、今年の三月二十二日、第五十二回特定原子力施設監視・評価検討会では、座長の更田さんが、サイト全体のリスク評価の中で排気筒部分が含まれていなかったこと、つまり排気筒の倒壊した場合のリスク評価を東電がしないことに対してこのようにおっしゃったんですね。今この排気筒が横倒しになったら一体どんなことが起きるんですかと、荒唐無稽なことまで考えてくれと言うつもりはないですけれどもというお話をされているんですね。これ、リスク評価として当然ここも含めるべきだということを言っているんですよね。荒唐無稽な話じゃないということをおっしゃっているわけですよね。これは、二〇一三年、先ほども言いましたけれども平成二十五年から規制庁が五回にわたって東電に求め続けていることです。  もう一度資料戻っていただきたいんですけれども、先ほどの資料の五、赤丸の破断について東電にお聞きします。  新たな破断、これ発見されたんですよね、春にね、今年の。これを最初に発見したのって誰なんですか。
  185. 廣瀬直己

    参考人(廣瀬直己君) 東京新聞様で、四月の四日に私どもにお知らせが来ております。
  186. 山本太郎

    山本太郎君 お聞きします。福一には、ごめんなさい、省略しちゃって、福一には日常的に東電の社員さんというのは何人ぐらいいらっしゃるんですか。
  187. 廣瀬直己

    参考人(廣瀬直己君) 約九百人の社員が働いております。
  188. 山本太郎

    山本太郎君 規制庁にお聞きします。  福島第一原子力規制事務所には何人、そして現地、福一の中に保安検査官という方々は何人ぐらいいらっしゃるという状況なんでしょうか。
  189. 山形浩史

    政府参考人(山形浩史君) 福島第一原子力発電所規制事務所には、これは事務の方も含めると十四名でございます。このうち、原子力保安検査官は十一名在籍しております。
  190. 山本太郎

    山本太郎君 この新しい破断を内部で発見できなかった、その理由について社長はどのように説明を受けていますか。
  191. 廣瀬直己

    参考人(廣瀬直己君) 先生のお配りになっていただいた資料をちょっと使わせていただきますが、一番最初の地図を御覧になっていただきますと、この一、二号の排気筒というのはこの場所に建っておりまして、上側が海側であります、東側であります。東側からは、一号機、こうした建物がございまして、ここをなかなか下から見上げるということはできません。したがいまして、一号機とこの排気筒の間に入って確認するということはもちろんできるんですけれども、先ほど先生も御指摘になったように非常に線量が高くて、これはある意味、調査に行って作業員が被曝するそのリスクと、それから、そこまで見に行って何か見付かるかどうかということの、見付けるためのそうしたリスクのある意味トレードオフでございました。  したがって、私どもは、この部分、東側の下の方、五十メートルより以下の部分ですけれども、建物の陰に隠れてしまうのは、そこの部分については見れていないという認識の下で、逆に残り三面、あるいはその上の方、全部を確認をして、その上で評価をしてまいりました。その評価の結果、それらを踏まえて倒壊のリスクはないというのがこれまでの評価であります。  ただ一方で、今回、東京新聞さんからこのような指摘を受けました。そこで、今度はその場所がはっきりここだというのが分かっておりますので、この一号機、二号機のTBと書いてあるタービン建屋ですが、この上に作業員を上らせてその部分を撮りました。  ですので、少なくとも、今回そうした指摘をいただいたので、もう少しその場所、角度、あるいはドローンを飛ばす等々のことで今まで見えていないところについてももう少し見てみようということでの検討を始めておるところでございます。
  192. 山本太郎

    山本太郎君 今、社長が二分ぐらい使って説明してくださったんですね。さんざん言い訳されましたけど、第一発見者の東京新聞は、報道陣お決まりの視察コースからこの破断を山側から発見できるものだったと言っています。たまたま来た外部の人、しかも報道機関が発見し明らかにした新しい破断の事実、年に一回、マスコミが大勢で取材するプレスツアーで遠くから写真を撮って、たまたま東京新聞が見付けた。毎日いる東京電力の社員や規制庁、関係者などの方々が見付けられなかった。これ大問題じゃないですかって。  年中福一の敷地に出入りしている東電や規制庁が破断を見付けられない。年に一回の外部取材者によって発見された事実。これは、リスク管理上、東電は既に破綻しているということの表れなんですよ、象徴なんですよ。  排気筒倒壊の場合を含むリスク評価、三年七か月の間放置し続けている東電。そして、原発事故を起こしてなお自ら目に見える部分の破断すら見付けることができない東電。現在進行形の人類史上最悪の核惨事を起こした事業者の姿とは思えないし、そのような者たちに原発再稼働などもってのほかだと思うんですよね。  ここまで来ると、お取り潰し以外ないんじゃないかとも思えてくる。東電社長、そうならないためにも、規制庁にも、規制庁でさえ五回も求めてきた排気筒が倒壊した場合のリスク評価、最後のお仕事として廣瀬社長がやっていただけないですか。やる、やらないでお答えください。
  193. 廣瀬直己

    参考人(廣瀬直己君) リスクの評価につきましては、規制庁からの指示に基づいてこれはしっかり進めていこうということでずっとやってまいりました。ただ、先ほど来ございますように、これを正しく評価するためにはかなりのデータが必要になってまいります。例えば排気筒の中がどのぐらい汚染されているのか等々のデータが必要になっております。ところが、それを見付けるには、またなかなか、そのデータを採取するにはなかなかの被曝が考えられます。そのための治具も開発しなければなりません。  したがいまして、そうした方法を取らずに想定値を使って解析をするという方法もあったわけですが、相当想定値が多過ぎてしまって、今度は解析結果に信頼性が持てないというようなことがあった結果、こうしたことになってきたということであります。  したがいまして、先ほど規制庁の方からお話ありましたように、そうしたことを一方で進めつつ、とにかく倒壊しないようにするための最高の方法はこれを解体していくということだと思っておりますので、今上部の方から少しずつ取っていくというための設計を始めて、先ほど来のスケジュールに基づいて進めようとしているところでございます。
  194. 山本太郎

    山本太郎君 スケジュール進めていっているって、まだそれもできないんですから、その前にリスク評価していただく必要があるんですよ。  規制庁に言われているとおりって、これまで三年七か月の間、それを少しでも進めたのかという話ですよ。進めてこなかったんでしょう。最後のお仕事として、加害責任、それさえもやらないのかって。加害責任を果たすと最初に言ったじゃないかって。それさえもやらないんですか。やると言ってくださいよ、最後のお仕事で。
  195. 金子原二郎

    会長金子原二郎君) 廣瀬参考人、時間が来ておりますので、簡潔に。
  196. 廣瀬直己

    参考人(廣瀬直己君) はい。  繰り返しになりますが、作業員の線量被曝とのトレードオフの問題がございますので、その辺を慎重に見極めて今後対策を練っていきたいというふうに考えます。  以上でございます。
  197. 金子原二郎

    会長金子原二郎君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時四分散会