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参考人(
高村ゆかり君) ただいま御紹介にあずかりました名古屋
大学の高村でございます。
今回、この
調査会にお話をさせていただく機会をいただきましたことを改めてお礼申し上げたいと思います。
あわせて、院の先生方には調達
価格等算定
委員会の
委員に承認をいただいております。大変重い仕事を受け持っていると思っておりますけれども、励ましとともにお叱りもいただきながらやっております。
〔
会長退席、理事
福岡資麿君着席〕
私、今日は、省
エネルギーと
再生可能エネルギーとその政策の動向ということでお話を申し上げたいと思っております。大きく、再エネ、省エネをめぐる
世界の動向と
変化、そして四〇年、まあ三〇年、四〇年の見通し、主要国の動向、そしてそれを踏まえた
日本の政策について考えておりますことを申し上げたいと思っております。(
資料映写)
再エネと省エネと今申し上げましたけれども、実際は、先ほど
平沼参考人がおっしゃいましたように、大きな
変化が国際的に起こっていると認識しておりますのは
再生可能エネルギーの分野でございます。したがいまして、私の報告はそちらに焦点を置かせていただきたいと思いますが、質疑の中で御質問がございましたら、できる限り省エネについてもお答えを申し上げたいというふうに思っております。
こちらは
世界の
エネルギー需要のこれまでとこれからでございます。二〇一四年には二〇〇〇年に比べまして三割の
エネルギー需要が増加をしております。先ほど、
武石参考人からもありましたように、
国際エネルギー機関は二〇一四年から二〇四〇年に向けて年一%程度の増加の見通しということを記しております。こちらの図を見ていただくと分かりますが、先進国については
エネルギー需要は二〇四〇年に向けてほとんど
伸びておりません。主な
需要の
伸びというのは途上国で生じると見通しております。
〔理事
福岡資麿君退席、
会長着席〕
二〇一五年というのが大きな
変化の年だということを
参考人の方からもございましたけれども、一つの
変化の兆候というふうに思っておりますのがこちらでございます。これも
国際エネルギー機関の二〇一六年のデータを基にしたものですが、元来、先生方御存じのとおり、
経済成長に伴って
エネルギー需要が
伸びる、それに伴って温室効果
ガスの
排出量が
伸びるという
傾向がございます。まさにこの歴史的な
排出量の動向を見ていただきますと、
石油ショック、ソビエト連邦の崩壊、そしてリーマン・ショックの折に
経済停滞を経験をして
排出量が減るということを経験してまいりました。
しかし、二〇一四年、一五年というのがそういう意味では非常にそれとは違う
傾向を示したということを
国際エネルギー機関が指摘をしております。一四年、一五年と
世界経済は三%以上の
経済成長を記録しているにもかかわらず、一四年、一五年、
排出量が頭打ちになっております。これを分析をしているわけでありますけれども、一つには省
エネルギーの推進であります。そして、もう一つは
エネルギー転換でございます。これは、
エネルギー転換は、
排出量との
関係でいきますと、
石炭から
ガス、そして
石炭から
再生可能エネルギーでございます。
スライド、二つ飛ばさせていただきます。
日本の温室効果
ガス排出量も実はこの二年、同じ
傾向を示しております。二〇一四年、一五年の値は、これはまだ森林などの吸収の量をカウントしておりませんので暫定値、速報値でございますけれども、いずれも前年比で三%ずつ減っております。これについては
環境省さんの説明書きを、ございますので、あえて全部読みませんけれども、大きな要因は、震災以降やはり着実に進みました省エネ、そしてもう一つが
再生可能エネルギーの増大であります。
世界的な流れ、全体の
エネルギーの中での再エネの位置をこちらは示しております。
これ、
武石参考人からもあったかと思いますので簡単に申し上げますけれども、やはり
現状において
化石燃料というのが圧倒的に大きな位置を占めております。これは最終
エネルギー消費ですので、
電力だけではなく燃料、そして熱、そうした
エネルギー総体の中で見たときに
再生可能エネルギーは一九・二%を占めます。
ただし、留意しなければいけませんのは、そのうちの一〇%以上が特に途上国で使用されております伝統的バイオマス、まきですとか炭でございます。当然こうしたものの使用は健康への
影響等もございますので、それを近代的な
電力に転換をしていくというのが国連の中でも非常に重要な課題となっている。SDGの中にも、持続可能な発展目標の中にも記されております。
発電ベースで見ますと、
世界的には
石炭に次ぐ第二の電源に
再生可能エネルギーがなっております。なお
石炭がやはり四割を占めるわけでありますけれども、しかし、見方を変えますと、既に
世界の四分の一は
再生可能エネルギーになっております。ただし、ここも留意が必要でして、そのうちの一六・六%、大きな
部分が大
規模水力でございます。
ただ、先ほど申し上げました二〇一五年というのがこれまでの
傾向に大きな一つの
変化をもたらしているように思われます。
もちろん政策的には、先ほど申し上げました持続可能な発展目標、これは
日本でもこれを目指して推進をしていくということになっております。その中に、
エネルギーへのアクセスを全ての人に、そして
世界の
エネルギーミックスにおける再エネの割合を大幅に拡大をさせ、そして
エネルギー効率を改善させるという
方向を出しています。
そして、パリ協定、先生方がよく御存じのパリ協定でございます。パリ協定は、気温上昇を二度未満に抑えるという、二度を十分に下回る水準に抑えるという目標と、今世紀後半に排出を実質ゼロにするという削減の目標を示しておりますけれども、この目標というのが一つの指針となって今国際社会が動いているということであります。
確かに一五年というのは、そういう意味では政策的に非常に重要な位置を持っていたわけでありますけれども、もう一つは、実際の足下で大きな
エネルギーの
変化、
エネルギーシステムの
変化というものが起こっているということを
国際エネルギー機関のビロル氏が一六年十月に、ワールド・エナジー・アウトルック二〇一六を公開をした際に、現在の
状況をこのように評価をしております。
例えば起きている
変化を
再生可能エネルギーに引き付けてみますと、二〇一五年というのは、これは先ほど既に
平沼参考人からありました、史上初めて
再生可能エネルギーの設備容量が
石炭の設備容量を超えます。新たに設置をされる
再生可能エネルギーの設備の容量は、新規の
化石燃料、原子力発電所の設備容量を一五年に超えます。そういう意味では、我々が今まで想定をしていた以上の速度で導入が拡大をしているということが言えます。
再エネ
投資の方を見てみますと、二〇一五年は史上最高を記録しております。特にその中身をよく見てみますと、大
規模水力を除きますいわゆる最近の太陽光とか風力といったような再エネの
投資額が、既に
石炭、
ガスへの
投資額の二倍になっているという点であります。先ほど言いましたように、
現状は
化石燃料がなお支配的ですけれども、現在の新規
投資が明らかに
再生可能エネルギーに移ってきているということは、将来、設備が老朽化をしてリタイア、なくしていく際には、そちらに取って代わるということをこれは暗示をするものであります。
次に続きます図というのは、今申し上げた点を分かりやすい図をお付けしようということで付けたものですので、簡単にお見せしてまいります。先ほど言いました再エネの設備容量が非常に大きく
伸びているというのをお示ししたものです。
それから、一三年、そして一五年に、これは
平沼参考人のところからもありました、新規の設備導入量で五割を再エネが占めるというようになってきているというものであります。
こちらはそれぞれの設備ごとの導入量でございます。
今、設備の容量のお話をしましたが、発電量そのものも増えておりまして、二〇〇一年比で見ますと二・五倍になりました。一五年に約二三%という図を先ほど御紹介いたしましたが、二一年には
国際エネルギー機関の見通しでは二八%、三割に近い水準まで発電量が達する予定であります。
今、公開された、しかも
日本が加盟をしております
国際エネルギー機関の
資料を使っておりますけれども、専門家の中で言われますのは、常に
国際エネルギー機関の、特に
再生可能エネルギーの導入量の見通しが実際の導入量に追い付いていないという点であります。若干、
国際エネルギー機関をかばいますと、一つには、非常に導入の速度が加速をしているために、どうしても分析、情報収集のために掛かる時間を考えますと、二年ぐらい前のデータを基に見通しを作らざるを得ないという点がございます。
更にもう一つ申し上げますと、
各国が持っております政策の見通しを踏まえて、あるいはその目標を踏まえて導入見通しを作っておりますので、その結果、
各国の見通しを踏まえた結果として出したものが実際上はずれているということであります。これは言い方を変えますと、
各国が想定をしている以上の速度で
再生可能エネルギーが導入をし始めているということを示しているものかと思います。
投資の方を見てまいります。こちらは国連の
環境計画とブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスというシンクタンクのものでございますけれども、二〇一五年にやはり
投資額が大
規模水力を除いても
石炭、
ガスの
投資額の二倍以上を占めるといった点がこちらから見えます。
先ほど、これも
平沼参考人からもありましたけれども、一旦、二〇一三年のところで
投資額、落ちておりますが、
効率的な導入、つまり太陽光等々の
価格、コストが下がったことによって、同じ金額でも導入が増えるということが観察をされております。
その
投資額に関して言いますと、現在では途上国が先進国の再エネ
投資額を抜き、同時にその中心的な、途上国の四分の三、七割以上の
投資というのは
中国、インド、ブラジルで生じている、つまりこの三つが非常に大きな再エネの市場になっているということであります。
恐らく先生方のもう一つ大きな関心ではないかと思いましたのが雇用であります。
日本でも
再生可能エネルギーの導入の一つの効用として、地方再生、地方の創生、そして地方での雇用創出ということが、その効果が期待されるわけでありますけれども、現実に、二〇一五年では
再生可能エネルギー全体で三十八・八万人の雇用を生み出しているという評価でございます。一番大きな雇用というのは、先ほどの
投資市場と合致をするわけでありますけれども、一番最初に
中国、そしてEU、ブラジル、
アメリカ、インドに次ぐ六番目の位置を
日本は占めております。主な
投資分野は、
日本においては太陽光でございます。なお、一つ申し上げないといけません。ここで言っております再エネ、雇用の評価、大
規模水力は除いております。
じゃ、なぜ、想定している、つまり
政府が想定している以上の速度で
再生可能エネルギーが導入をしているのかという点でありますが、この点は、太陽光、まあ太陽光だけではございませんけれども、
再生可能エネルギーのコストが大きく低減をしているという点であります。特に、太陽光のコストは、二〇一〇年から一四年の五年間で約半分に低下をいたしました。
このスライドにあります横のオレンジ色のレンジというのは、火力発電所のコストレンジ、コストの幅でございます。見ていただきますと、既に二〇一〇年の段階で、例えばバイオマス、地熱、陸上風力などは火力発電所と競争的な、つまりコストとして競争ができる段階に入っておりますが、この五年間でその
傾向は変わっていないということが見て取れます。一番印象的なのは、いわゆる太陽光の、この真ん中にあります黄色のドット、一番斜めに下がっているところでありますが、これが先ほど言いました太陽光のコストがこの五年間で半分になったというところであります。
先ほどお見せした図というのは、太陽光あるいは風力など
再生可能エネルギーを導入することによる二酸化炭素の削減、あるいは
大気汚染の防止に掛かる費用を含めておりません。先生方から向かっていただいて右側というのは、火力発電所のコストレンジが少し上がっておりますけれども、これは二酸化炭素削減対策、
大気汚染の防止対策を取ることを前提としてコストに上乗せをするとこうした形になります。つまり、より
再生可能エネルギーがコスト競争力を持つということであります。
恐らく先生の中には、で、
日本はどうなっているのというふうにおっしゃる先生いらっしゃると思うんですが、ここが大変
日本の一つの大きな課題であろうと思います。これは、国際
再生可能エネルギー機関の二〇一六年の報告書、一五年までのデータを見たものでありますが、見ていただきますと分かるように、
日本の太陽光のコストというのは大変高い位置にございます。向かって左側が、
中国と
ドイツが一番低いのでありますけれども、
中国と
ドイツと比較をいたしまして
日本の太陽光のコストは三倍であります。この太陽光のコストをどのように下げていくかというのが
日本の政策の一つの大きな課題であります。
ドイツがなぜ下がっているのかという点は、一つ申し上げないといけないのは、
ドイツはやはりかなり早い段階から
再生可能エネルギーの導入政策を入れてまいりました。一九九〇年の太陽光の
システムコストと比べて二〇一五年の段階で十分の一まで下げてきたわけです。そういう意味では、このコストを下げる政策をどういうふうにしていくかというのが
日本にとっての一つの課題と考えています。
今まで足下の話をしてまいりました。これからどうなるのかということであります。
先ほど何人かの
参考人からございましたように、パリ協定が一つのきっかけではございますけれども、主要先進国は高い再エネ目標を二〇三〇年に向けて掲げております。一つ一つ御紹介はいたしませんけれども、発電量ベースでいきますと大体四〇%から四五%、一次
エネルギーベースでまいりますと三〇%前後を二〇三〇年の目標として掲げている先進国が多くございます。
アメリカについては、政権の交代もありますけれども、少なくとも州の段階で、つまり
エネルギー政策に大きな権限を持っている州がどういう行動をしているかということで、カリフォルニアとニューヨークとハワイという、まあ一番野心的な目標を掲げている州を御紹介をしております。
再生可能エネルギーと併せて、欧米諸国の電源構成の推移について
資料を付けております。原子力発電については、国によってその政策の位置というのはかなり違っております。
ドイツのように二〇二二年までに原子力を全てなくす、原子力発電をなくすという国から、イギリスのように原子力発電を更に維持をするという
方向を出している国もございます。
しかし、一つのトレンドとして見ていただくのは、明確にやはり
石炭を減らし、天然
ガスと
再生可能エネルギーを拡大するというところは大きなトレンドとして見て取れるかと思います。
スライドを少し飛ばしてまいります。スライドの三十一でございます。
二〇四〇年の見通しについて、やはりほかの
参考人からございましたけれども、
再生可能エネルギーは、現在想定をされている、取られるであろう対策を想定をしたときに、三七%ぐらいまで、再エネ、電気ですが、拡大をすることが見込まれております。しかし、見方を変えますと、なお
化石燃料が支配的であるという
傾向は現時点では認めざるを得ません。
それを表しておりますのが、ここにあります四五〇ppmシナリオという、一番先生
方向かって右側でございますけれども、これがいわゆるパリ協定が目指している長期目標とほぼ合致をするシナリオでございますけれども、それには足りていないということがお分かりいただけます。
これと併せて、
日本もそうなんですが、一つの大きな
再生可能エネルギーであり省エネの課題は、熱の
部分と交通部門です。見ていただくと分かりますように、
再生可能エネルギーは、電気の分野と異なって、やはり
化石燃料依存度が高いまま推移をするというのが、現在の対策を想定をしてもそういう
傾向が見通されております。ここがもう一つ
世界的にも
日本でも課題となります。
時間の
関係もございますので、簡単に主要国の動向だけお話をして、最後に申し上げたいと思っております。
まず、EUでございます。
EUは、目標は先ほど表でお見せしましたが、目標の水準はEUで設定をしておりますけれども、具体的な促進策は
各国に委ねております。全体としては、FIT制度、
固定価格買取り制度を導入している国が多くございますけれども、いろいろな課題も抱えているのは間違いございません。
比較的うまくいっているのは、私は
ドイツだと思います。
ドイツは、その固定
価格の買取り制度を市場ベースの支援策に変えたり、あるいは入札を導入をすることによって、できるだけ国民の負担を下げていくということを実現しようとしております。
実際、卸
電力市場での市場
価格というのは、二〇一一年と比べて一五年には半分になっております。したがって、
ドイツの
経済界は、賦課金を免除されるとともに、安い卸
電力を卸
電力市場から調達をできるという意味で、競争力上、非常にある意味では優位といいましょうか、利益を得ているということが言えます。
他方で、メリットオーダー効果、つまり、
再生可能エネルギーはバイオマスを除きますと稼働費ゼロですので、相対的に高い
ガス火力が閉鎖をせざるを得なくなってきている。つまり、その結果、今度は
石炭火力が動いてしまうという、そうした
傾向があるのは間違いございません。
そういう意味では、苦労しながら、恐らく
日本も起こり得る、再エネ導入を拡大したときに起こるいろいろなシチュエーションをここから学びながら準備をしていく必要があるかと思います。
欧州についてもう一つ申し上げるのは、更に導入を四割あるいは五割と増やしていくために、系統の運用と拡充というのを、つまり送電線の拡充と運用を再エネ
対応に合わせていくということをヨーロッパ大で決めているということです。この点、もし御質問があれば受けたいと思っております。
アメリカについてです。
アメリカは、基本的には
エネルギー政策は州が主導しておりますが、政権の交代で
再生可能エネルギーあるいは温暖化対策のための対策というのはなかなか出てこないかというふうに思っておりますけれども、しかしながら、これも
平沼参考人からございましたでしょうか、再エネ
投資の減税策は既に共和党優位の議会を含めて一五年末に五年間の延長を決めております。つまり、再エネ
投資の促進という観点から連邦の減税策は続いておりまして、さらに、こちらを御覧に入れようと思うんですが、スライドの三十七でございます。
アメリカ国内の
エネルギーコストの
状況を見てまいりますと、先ほど
シェールガスのお話を
武石参考人からありましたけれども、既に天然
ガスの方が
石炭よりもコスト優位でございます。
黄色い線がたくさんございます。州ごとの補助金が付いたときの太陽光のコストでございます。この補助金によって、太陽光のコストは半数の州で天然
ガスと競争的、ほとんどの州で
石炭のコストを下回っている状態であります。
したがいまして、私
自身は、連邦の政策は余り積極的なものは出てこないかもしれませんが、このコスト
構造から、市場が選択をして
再生可能エネルギーの導入というのは止まらない、これは同時に
ガスも止まらないと思っているんですけれども、止まらないと思っております。
中国についてです。
中国について、これはもう読んでいただければ結構かと思いますが、国際目標としても二〇三〇年に現在の非化石の
エネルギーを約二倍の割合まで増やすということを約束をしております。明確にその中の再エネ割合については書かれておりませんが、幾つか
国際エネルギー機関のデータなどを見たときに、こうした、今ここに書いておりますような、かなりそのうちの多くの
部分が
再生可能エネルギーであるということが分かります。特に、
中国は、二〇五〇年に
再生可能エネルギーを最大、非常に高いレベルで入れたときの
経済影響のシナリオを
研究をしているという点がもう一つ注目されるところでございます。
ちょっと飛ばしてまいります。
企業がどうか。これまでは恐らく
エネルギー問題というのは供給側の論理で見てきたと思いますけれども、この一つの大きな
変化というのは
需要側が選択をする中で
再生可能エネルギーが選ばれるようになっているという
世界的なトレンドであります。
ここではRE一〇〇という再エネ一〇〇%の取組を御紹介しておりますけれども、残念ながら欧米中心でございますが、
自動車、IT系といったメーカーさんも入っていらっしゃいますが、自らの製造活動に関わる、あるいは事業活動に関わる
エネルギーを全て
再生可能エネルギーで賄うことを約束をする、自ら誓約をする取組であります。
単に象徴的ではございませんで、こちらはブルームバーグさんの
資料でありますが、企業の再エネ調達が極めて大きな水準になってきています。二〇一六年ベースで十四ギガワットでありますが、これは
日本のこれまで導入された太陽光が三十ギガワットを切るぐらいでございますので、どれぐらいの調達がされているかの
規模感というのはお分かりいただけるかと思います。これは個社さんの水準、アマゾン、グーグルといったような企業がこうした調達を先導をしている形であります。
さて、以上の動向を私なりに踏まえたときに、先生方と是非
意見交換をさせていただければと思っていますのは、私は、かなり大きな従来とは違う動きというのが出てきていると思っております。パリ協定は一つのきっかけだと思いますが、私はむしろ、政策ではなくて市場原理に基づいて、つまりコストが下がって、コストが安いので再エネが選ばれているということが一つの大きな特徴ではないかと思います。
二〇一五年、インド、インドネシアの目標についてここに御紹介していますが、その背景には途上国の中で非常に安い再エネの導入を実現をしている例というのがこの間出てきているということであります。
二〇一五年には、モロッコの風力、それからドバイの太陽光は一キロワットアワー
当たり三円という入札
価格です。チリはそれを切りまして二・九円、約三円弱という入札
価格であります。そうしますと、途上国はまさに安いので再エネを選択をする、それがこうした大
規模な再エネ導入を促している、の方に向かっているというふうに思います。
日本にとってコストが非常に課題だと申し上げました。私は、
再生可能エネルギーというのは、二〇三〇年の
エネルギーミックスの中で、いろいろ高い低いの
議論はございますけれども、少なくとも
日本の基幹電源の、しかも純国産の基幹電源になるという点は間違いないというふうに思っています。
しかし、ここで、またさらに三〇年を超えて広がる電源でもあるはずだというふうにも思います。それは、
エネルギーの安全保障、
日本の自給率を考えたときに、あるいは燃料費の負担、つまり外からの輸入によって我々の
エネルギーコストが左右されないという点、あるいは国富が流出しないという点、地域の振興、雇用の創出。そしてもう一つ、私申し上げたいと思いますのは、
日本企業がこの分野で極めて強い競争力を潜在的に持っているという点であります。
こちら、スライドの四十八に御紹介していますのは、
世界知的所有権
機関が作りました再エネ技術の特許トップ二十社であります。これは、太陽光、太陽熱、風力、バイオマスに限定をしておりますけれども、実に十二社。ちなみに、ヴェスタスさんは三菱さんが出資されておりますけれども、それを入れなくても十二社入っております。特許数で見ますと、
日本が
アメリカ、
中国をしのいで一位であります。
そういう意味では、
再生可能エネルギーの導入というのは、電源の問題だけではなくて、
日本の企業、
経済が持っている力をどういうふうに拡大する市場の中でうまく支援をしていくかという側面も持っているというふうに思います。
幾つか課題がございまして、コストの問題はもちろんございますし、FIT制度が適切に運用されるということも必要です。更に申しますと、やはり系統の問題、あるいは
需要側、先ほど企業が調達をすると言いましたが、そうした企業さんも含めた
需要側の調達、これは国の調達、自治体の調達も含めてですね、こうした
再生可能エネルギーをより使っていくというインセンティブをうまく与えていくことが必要だと思います。もちろん、熱、そして燃料対策というのが加えて重要であることは言うまでもございません。
以上で私の報告を終わらせていただきます。