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2017-06-13 第193回国会 参議院 財政金融委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年六月十三日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月八日     辞任         補欠選任      上野 通子君     山谷えり子君  六月十二日     辞任         補欠選任      風間 直樹君     杉尾 秀哉君      藤末 健三君     宮沢 由佳君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤川 政人君     理 事                 大家 敏志君                 中西 健治君                 長峯  誠君                 三宅 伸吾君                 大塚 耕平君     委 員                 愛知 治郎君                 石田 昌宏君                 徳茂 雅之君                 中山 恭子君                 松川 るい君                 三木  亨君                 宮沢 洋一君                 山谷えり子君                 古賀 之士君                 杉尾 秀哉君                 白  眞勲君                 宮沢 由佳君                 杉  久武君                 平木 大作君                 小池  晃君                 大門実紀史君                 藤巻 健史君                 渡辺 喜美君    国務大臣        財務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        麻生 太郎君    副大臣        内閣府副大臣   越智 隆雄君        財務大臣    大塚  拓君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        武村 展英君    事務局側        常任委員会専門        員        小野 伸一君    政府参考人        金融庁総務企画        局長       池田 唯一君        金融庁総務企画        局総括審議官   森田 宗男君        金融庁検査局長  三井 秀範君        金融庁監督局長  遠藤 俊英君        総務大臣官房審        議官       堀江 宏之君        財務省理財局長  佐川 宣寿君        文部科学大臣官        房審議官     浅田 和伸君        経済産業大臣官        房審議官     小瀬 達之君    参考人        日本銀行理事   雨宮 正佳君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (金融機能再生のための緊急措置に関する法  律第五条の規定に基づく破綻金融機関処理の  ために講じた措置内容等に関する報告に関す  る件)  (経済財政運営改革基本方針二〇一七に関  する件)  (金融庁における検査及び監督改革に関する  件)  (国際的な金融規制改革に関する件)  (金融事業者における顧客本位業務運営に関  する件)  (金融機関における債券評価に関する件)     ─────────────
  2. 藤川政人

    委員長藤川政人君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、上野通子君、藤末健三君及び風間直樹君が委員辞任され、その補欠として山谷えり子君、宮沢由佳君及び杉尾秀哉君が選任されました。     ─────────────
  3. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として金融庁総務企画局長池田唯一君外七名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本銀行理事雨宮正佳君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 財政及び金融等に関する調査を議題といたします。  まず、金融機能再生のための緊急措置に関する法律第五条の規定に基づく破綻金融機関処理のために講じた措置内容等に関する報告に関する件について、政府から説明を聴取いたします。麻生内閣特命担当大臣
  8. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 昨年六月十日に、金融機能再生のための緊急措置に関する法律第五条に基づき、破綻金融機関処理のために講じた措置内容に関する報告書国会に提出いたしております。  報告対象期間は、平成二十七年十月一日以降平成二十八年三月三十一日までであります。  本報告に対する御審議をいただくに先立ちまして、その概要を御説明申し上げます。  初めに、管理を命ずる処分状況につきまして申し上げます。  今回の報告対象期間中に、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分は行われておりません。  次に、預金保険機構による主な資金援助等実施状況及び政府保証付借入れ等残高につきまして申し上げます。  預金保険機構による資金援助のうち、救済金融機関等に対する金銭の贈与は、今回の報告対象期間中に足利銀行に対する一億円の増額が生じたこと等により、これまでの累計で十九兆三百八十八億円となっております。  預金保険機構による破綻金融機関からの資産の買取りは、今回の報告対象期間中にはなく、これまでの累計で六兆五千百九十二億円となっております。  また、預金保険機構政府保証付借入れ等残高は、平成二十八年三月三十一日現在、各勘定合計で二兆一千百九十六億円となっております。  ただいま概要を御説明申し上げましたとおり、破綻金融機関処理に関しては、これまでも適時適切に所要の措置を講ずることに努めてきたところであります。  金融庁といたしましては、今後とも、金融システム安定確保に向けて万全を期してまいる所存であります。  御審議のほど、よろしくお願いを申し上げます。
  9. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 徳茂雅之

    徳茂雅之君 自由民主党の徳茂雅之です。質問の機会を頂戴しまして、感謝申し上げます。  まず、早速ですけれども、ちょっと通告の順番を変えまして、日本銀行金融緩和政策についてお尋ねしたいというふうに思います。  本委員会におきましても、これまで、金融緩和政策のある意味実効性、あるいは日銀バランスシート肥大化の問題、それから出口政策等についていろいろ議論協議がなされてまいりました。これまで、四年前に量的・質的な緩和、その後、マイナス金利導入イールドカーブコントロールと、いろんな金融政策日銀は打ってこられました。  先日の新聞報道でありますけれども、これまで八十兆円をめどにマネタリーベースを増やしていくというような取組をされてきたわけでありますけれども、これが最近、六十兆円ペースに少し低下してきているんじゃないかと、こういうふうな報道がございました。まだまだ二%の安定的な物価水準に至っていない中で、量的な緩和についてそのペースを落としてきているということであります。  これにつきまして、いよいよ量的な緩和については限界が出てきたのか、あるいは、出口の話でありますけれども、出口を見据えてバランスシートを少し縮減、圧縮しようとされているのか、あるいは、ほかの何か理由があるのか、これについてまずお尋ねしたいと思います。
  11. 雨宮正佳

    参考人雨宮正佳君) お答え申し上げます。  日本銀行は、御指摘のとおり、長短金利操作付き量的・質的金融緩和の下で、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するために最も適切と考えられるイールドカーブの形成を促していくこととしております。そうした下で、具体的には、現在、十年物の国債金利がゼロ%程度で推移するよう国債の買入れを行っております。  この買入れ額につきましては、保有残高増加額年間約八十兆円をめどとしておりますけれども、実際の買入れ額は金融市場状況に応じましてある程度幅を持って変動することになります。具体的には、目標としている金利水準と比べて、金利が上がりそうになれば買入れを増やしますし、逆に低くなれば買入れを削減すると、こういうオペレーションをやってございまして、実際に、昨年九月以降毎月の買入れ額を見ますと、計算上の買入れ額はこの八十兆円を上回ったり下回ったりしてございます。  このところ買入れが減少しているのは、この二、三月に見られました米国に端を発する長期金利上昇圧力がございましたけれども、それが相当引いて後退してまいりました。そうした圧力が低下してきたために減少していると、こういうことでございますので、あくまで適切な金利誘導という方針に基づいて国債買入れを運営している結果というふうに御理解いただきたいというふうに思います。
  12. 徳茂雅之

    徳茂雅之君 どうもありがとうございます。  これまでも国会答弁の中で、日銀出口戦略については幾つかの仮定を置いてシミュレーションはしているけれども、公表については市場の混乱を招くということで差し控えたいというような答弁をなされています。  先月、黒田総裁が、これは外国の新聞のイベントの中で、出口戦略については、日銀は十分なツールを持っていると自負しているというような発言をされたというふうに報道もされました。私、その中身については詳しく承知しておりません。出口戦略については、一般的に考えますと、これまで日銀が取ってきた異次元の金融緩和政策のある意味逆、反対の手法を取るいわゆる金融引締め政策を取っていくというのが一般的な形だろうというふうに思っています。  金利面につきましては、マイナス金利、ゼロ金利をやめる、日銀当預について付利している金利を引き上げる、あるいは、バランスシート、量の面ではバランスシートを縮小していく、今ある国債について八十兆円をめどに買入れしている部分をペースを落としていく、その償還で消滅していく国債分よりも更に落としていく、あるいは、場合によっては保有している国債を売却していくと、こういった手段が考えられるんじゃないか、このように思っています。  この場合、当然、市場金利が上昇しているわけですから、日銀バランスシートあるいは損益に何らかのマイナス影響を与えると、このようなことはあるんだろうというふうに思っております。  日銀バランスシートをちょっと決算で調べてみました。二十九年三月末時点で、負債の部には四・七兆円の引当金が積まれています。それから、資本勘定には三・二兆円ございます。合わせると約八兆円ほどのある意味経営上のバッファーを今お持ちだということでございます。それから、過去五年間の損益、これを見たところ、税引き後の剰余金、これ合計で三・二兆円、国庫納付金を約二・八兆円納付されているということで、フローの面でもこの過去五年間はプラス、余裕を持っておられるということでございます。  それで、一般論ということで大変結構なんですが、出口戦略について、まず、日銀当預に対する付利金利、これを引き上げるという選択肢を取った場合、資産側国債金利が入れ替わって運用利回りが上がってこなければ損益マイナスになるリスクがあるというふうに考えられます。これについてどのようにお考えかお伺いしたいというふうに思います。
  13. 雨宮正佳

    参考人雨宮正佳君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、このバランスシートを拡大した後の出口局面では、日本銀行当座預金に対する付利金利引上げによって収益が減少しやすいという面がございますが、その場合には経済物価情勢が好転しておりますので、恐らく長期金利も相応に上昇していると考えられます。  したがって、当座預金に対する支払利息増加する一方、日本銀行保有国債については順次入れ替わっていきますので、そのときに少し高めの長期金利になった長期国債が少しずつそれに入れ替わってまいりますので、資産サイド運用利回りも少しずつ上がっていくということが考えられます。  したがって、出口の過程における日本銀行収益につきましては、この支払利息増加とともに、受取利息増加も含めた全体について考える必要があるわけでありますけれども、これはやはりそのときにどういうタイミング、どういうテンポで短期金利を上げていくのか、そのときに長短金利の姿ですね、イールドカーブがどのような格好になるかということによって異なり得るものでございますので、現時点において一概に申し上げることは難しいということは御理解いただきたいというふうに存じます。
  14. 徳茂雅之

    徳茂雅之君 ありがとうございます。  もう一方の資産圧縮を行うという場合には、今、先日も御答弁ありましたけれども、日銀円貨建て債評価については時価ではなくて償却原価方式を取られているということであります。これは、市中金利が上がったとしても、一挙に含み損赤字になるというわけではなくて、実質は売却をしたときにその含み損が実現するというような仕組みになっているということでございます。  日銀の使命、政策目的というのは物価の安定ということであります。今、二%の水準に向けて物価の安定を目指しておられるわけでありますけれども、仮にそれを超えて物価が高止まりした場合には、先ほど申し上げた金融引締め策、これを取らざるを得ない状況も出てくるだろうというふうに思っています。この場合、先ほど申し上げたとおり、日銀当預の付利金利を引き上げていく、あるいは資産圧縮、こういったものを両方、複数の手法をいろいろ組み合わせつつ、恐らく短期的には今まで黒字を生んできたわけでありますけれども、一時的には赤字を生むケース、これはあるかもしれませんけれども、先ほど申し上げた引当金あるいは資本、こういったものの範囲内でしっかりカバーをして、長期的に国民負担を与えないように金融政策を取っていただきたいというふうに考えておりますけれども、いかがお考えでしょうか。
  15. 雨宮正佳

    参考人雨宮正佳君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、日本銀行責務物価安定でございますので、今後も、出口局面を含め、財務健全性に配慮しつつ、やはり物価の安定という責務を果たすために、必要な政策実施していくという方針でございます。  ただ、その上で申し上げますと、日本銀行は、どうしてもバランスシートを拡大する政策を行っておりますと、当初の段階では収益は上振れする、出口段階では下振れするという、時間軸に沿って大きく振れることになりますので、こういう収益の振幅を平準化して、財務健全性を確保する観点から、平成二十七年度より引当金長期国債に関する引当金であります債券取引損失引当金というものを拡充いたしました。この対応は大きな効果を持つと考えておりまして、事前の対応としては現段階では十分なものというふうに認識してございます。
  16. 徳茂雅之

    徳茂雅之君 どうもありがとうございました。よろしくお願いしたいと思います。  雨宮理事には、これで御退席いただいて結構ですので、よろしくお願いします。
  17. 藤川政人

    委員長藤川政人君) じゃ、雨宮理事、御退席いただいて結構でございます。
  18. 徳茂雅之

    徳茂雅之君 次に、先週九日に閣議決定されました経済財政運営改革基本方針二〇一七、いわゆる骨太方針二〇一七についてお伺いします。  我が国経済状況、四年半前のアベノミクスがスタートして以来、名目のGDPは着実に拡大、企業収益も大きく順調に拡大してきております。雇用の面でも、完全失業率は三%を切る水準、非正規よりも正規雇用の方がむしろ増えてきているというような状況の中、賃金もベアの着実なアップということで、ある意味、着実にその成果は出てきているというふうに思っております。今回の骨太方針も、このようなある意味成長と分配の好循環をしっかりとしたものにしていくと、そういう方針で取りまとめられたものだというふうに理解しております。  一方、我が国財政状況については、依然厳しい状況であります。二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化に向けて、ある意味、入りを量りて出るを制するという取組をされているんだろうというふうに思っていますが、本年一月の内閣府から出した試算によりますと、二〇二〇年度に仮に経済再生するケースでも八・三兆円の赤字になるというような見込みもございます。  財政健全化については、昨年の骨太方針には実はこのように書かれておりました。基礎的財政収支について、二〇二〇年度までに黒字化、その後、債務残高GDP比の安定的な引下げを目指すというふうになっておりました。今年の骨太方針は、基礎的財政収支を二〇二〇年度までに黒字化し、同時に債務残高GDP比の安定的な引下げを目指すというふうな形になっておりまして、微妙に書きぶりが変わっております。  このように書きぶりを変えた背景、まあ書きぶりというのはいろんな面で影響がありますので、財政規律が少し緩和したんじゃないかというふうに受け取られることもあろうかと思います。これについてお伺いしたいと思います。
  19. 大塚拓

    ○副大臣大塚拓君) 今回の骨太方針において、基礎的財政収支を二〇二〇年度までに黒字化しとこれは明記してあるとおり、二〇二〇年度のPB黒字化目標の位置付けは何ら変わっていないということでございます。もちろん後退しているわけでもありませんで、同時に債務残高GDP比の安定的な引下げを目指すと加えているのは、これは総理国会答弁をされているとおり、債務残高GDP比が安定的に引き下げられる経済状況をつくっていくことが重要であり、その重要性をより明確にする趣旨であるということでございます。  もとより、PB黒字化達成し、その後と書いてあったのは、通常の金利環境を想定すれば順番としてはそうなるだろうということを踏まえて、まずPB黒字化というのは大事ですよということを言っていたわけですけれども、そういう中で、委員会質問等国会質問等でも、ともすると債務残高GDP比については余り重視していないのではないかというふうに政府の姿勢を誤解しているのではないかと思われるような御質問もあったわけでございますので、そうしたことも踏まえて、どっちも大事なんですよということをはっきりさせたにすぎないということでございまして、ちなみにその種の質問の中で、総理もはっきり答弁されておりますけれども、これPB全然考えるべきではないという考え方は私は取らないわけでございますがというふうにもおっしゃっており、さらに、我々はその中で二〇二〇年PB黒字化を目指しているわけでありますがというようなことを繰り返し、これは三月一日の予算委員会における西田昌司委員に対する答弁でありますけれども、繰り返しおっしゃっておられるわけでございます。  こうした経緯も踏まえて、どっちも大事ですよということを示すために同時にということになったわけでございますけれども、もちろん、今後とも財政規律を緩めることなく徹底的な歳出の重点化効率化に取り組み、経済再生を図りながら財政健全化目標達成に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
  20. 徳茂雅之

    徳茂雅之君 どうもありがとうございます。  しかし、理屈の上でいきますと、GDPが増えていけば債務残高の対GDP比が下がっていくけれども、プライマリーバランスPBが下がっていかないというケースは想定できるというふうに思います。やはり、プライマリーバランス黒字化債務残高をある意味実額ベースでどんどんどんどん削減していくこと、国債残高を減らしていくこと、これが我が国財政に対する国際的な信認あるいは国債に対する信用を維持するためにも私は重要だろうと、このように思っております。  将来に対して、国民の不安、これをしっかりと払拭して、安心して個人が消費する、企業が投資する、こういったことができるためにも、やはり将来に対して負担を先送りすることなく財政規律財政健全化を保っていくことが、これが大切だろうというふうに思っております。  改めて、二〇一九年十月に実施が延期された消費税引上げについてお伺いしたいというふうに思います。  これもまた骨太方針記述の関係でありますけれども、実は昨年は消費税増税についての記述がございました。今年、今回の骨太方針には消費税一〇%への引上げについての記述がございません。昨年は二年半延期したということがありますので、ある意味念のため記述したということもあるかもしれませんが、一昨年は消費税引上げ消費税率の一〇%の引上げ平成二十九年四月に実施するというふうに具体的に書き込まれていました。  改めてということでありますけれども、二〇一九年十月の消費税引上げについて、今回の骨太方針変更はないのか、お伺いしたいというふうに思います。
  21. 大塚拓

    ○副大臣大塚拓君) 骨太方針二〇一七において特段の記述がないということでいろいろ臆測を生んでいるところもあるわけですけれども、消費税率一〇%への引上げは、国民の安心を支える社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場国際社会からの国の信認を確保するために不可欠であり、二〇二〇年度の財政健全化目標を堅持する中で、その達成を損なわないタイミングである二〇一九年十月に引上げ実施する方針に全く変わりはございません。  骨太方針は、これまでも消費税引上げについて記載がある年もあるわけでございますけれども、これまでどういうときに書かれていたかというと、その年に、引上げがある年であったり、あるいは方針の見直しがあった年であったり、そういう動きがある年には骨太にそういう記載があるわけでありますけれども、今回のは骨太二〇一七でありますけれども、二〇一七年度において方針変更であったりとか実際の引上げであったりとか起こるわけではありませんので、そういう意味で書いていないということは何ら不自然ではないというふうに考えているところでございまして、これまでどおりでいけば来年の骨太方針にはそうした記載が入ってくるんではないかなというふうに考えているところでございますけれども。  繰り返しになりますが、政府としては、二〇一九年十月の消費税率引上げが不可欠と考えておりますし、それが可能な環境を確実に整えるべく経済財政運営に万全を期してまいりたいと考えてございます。
  22. 徳茂雅之

    徳茂雅之君 よく分かりました。  骨太方針のサブタイトルであります人材への投資を通じた生産性向上というふうにうたっておりますので、来年度の予算編成、是非しっかりとお願いしたいと、このように思います。  続きまして、フィンテックについてお尋ねしたいというふうに思います。  当委員会でも銀行法等改正について議論をし、先日、銀行法改正が行われました。これは決済、金融分野でありますけれども、実は保険分野でもフィンテックというのは今非常に進展してきております。保険分野でありますので、インシュアランスとテクノロジーを合わせてインシュアテックというふうな呼ばれ方もしております。  特に生命保険分野で、保険といいますのは、保険事故、例えば生命保険であれば死亡とかけがをした、入院をしたといったときに保険金を支払うための査定業務、これを行う、これがある意味一番のコアの業務であります。これについては以前は、生命保険会社による保険金の支払漏れだとか不払といった問題も世の中を騒がせたということであります。  これについては、非常に単純な死亡というケースから、先ほど申し上げたとおり、けがだとか入院だとかという非常に複雑なケースがあり、やはり査定業務というのは本当に長年の経験、勘、勘というか経験が必要な分野でございました。この分野にAI、人工知能を導入するという動きが盛んになってきております。私も以前、かんぽ生命という生命保険会社にいたときに経験したことがあるんですけれども、昔は本当に、ある意味長年ベテランの査定士が紙と鉛筆ベースで査定をしていたということでありますけれども、かんぽ生命はいよいよIBMのワトソン、これを導入して、支払についてある意味効率化を図っていくと、こういったことをしていくというふうな報道がございました。  こういった生産性の向上、効率化だけではなくて、生命保険分野では、例えばウエアラブル端末、手に時計みたいなものを付けて、そのことによって個人の例えば運動習慣であるとか血圧であるとかあるいは心拍、こういった健康データを把握して、それをたくさん蓄積しビッグデータとして処理することによってある意味個人に合ったきめ細かい保険料を設定していく、こういった動きも出てきております。これについては、リスクに合ったきめ細かな保険ということでありますので、ある意味保険加入者にとってみれば極めて公平な問題でありますけれども、一方では、リスクが高い加入者にとってみれば保険料が上がる、そのことによって保険が加入しづらくなる、いわゆる保険難民という問題も出てくるというふうに報道されております。  しかしながら、生命保険というのは、我が国ではとりわけ世界の中でも最も普及している国であります。多くの加入者もおられるということで、こういったある意味個人が自らの健康管理、健康状態に留意することを促すような生命保険が普及することによって、当然、健康寿命が、個々人の健康寿命も延びますけれども、マクロ的に言えば国民の医療費の削減にもつながってくるというような効果があるんじゃないかなと私自身は思っております。  そこでお尋ねしたいと思うんですが、生命保険というのは元々は個人が自らの将来のために保険料をお支払いする自助の世界でありますし、保険というのは、ある意味大きな保険集団、保険の加入者の中でその危険を分かち合う、大数の法則を働かせて分かち合うという共助の世界でもあります。さらに、ある意味業界全体でこういった取組を促進することによって、もしや医療費等の削減等までつながってくるんであれば本当に公助の世界にも非常に効果があるんじゃないかなというふうに私自身は考えておりますけれども、金融庁としてはいかがお考えでしょうか。
  23. 遠藤俊英

    政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。  保険業界におきましては、各社における商品・サービス競争の中で、いわゆるインシュアテックに関する取組も進展しつつあるものというふうに認識しております。  例えば、これ、委員幾つか御指摘いただきましたけれども、例えばこの平準払い方式の医療保険におきまして、定期的に保険料の見直しを行うこととして、その保険料の見直しの際にはビッグデータを活用して、顧客の健康診断などの結果に基づいて保険料を変動させるということで顧客の継続的な健康診断受診と生活習慣の改善を促すといった保険商品、これは一つの例でございますけれども、こういった保険商品の販売なども行われているものというふうに承知しております。  金融庁といたしましては、保険会社各社が顧客や社会のニーズ、課題を踏まえながら、インシュアテックの活用も含めた商品やサービスの開発、提供に創意工夫をしていくことが国民の厚生の増大にもつながっていくものと考えております。引き続き、保険会社各社の利用者利便の向上に向けた取組を後押ししてまいりたいというふうに考えております。
  24. 徳茂雅之

    徳茂雅之君 是非とも、当局の後押し、フォローの方をお願いしたいと思います。  続いて、レグテックについて伺います。  余り聞き慣れない言葉でありますけれども、レグテックというのは、レギュラトリーとテクノロジー、ある意味規制と技術、テクノロジーの融合ということで、特に金融分野でも、国際的な金融規制、いろんな面で各国ごとに分かれているような規制、これに対応していくということで注目を集めている分野であります。  金融庁はこれまで、金融規制庁から金融育成庁ということで、規制から脱皮するということで、ある意味金融機関の規制対応コスト負担を削減するということでの取組をされてきました。しかしながら、国際的な金融取引がこれほど盛んになる中で、ある意味金融犯罪の防止、マネロンと言われる例えば資金取引の規制等、こういったものをしっかり強化していく中で、先ほど申し上げました規制に対する対応ということの取組、コストを、しっかりと対応していく必要があるというふうに考えています。  特に、中小企業ではそういう体力もないということで、こういったことに対応する、いわゆるレグテックをしっかりと取り組むような企業の育成に取り組んでいく必要があるんじゃないかなというふうに思っています。  今後、金融庁としてレグテックにどのように対応していくのかお伺いしたいというふうに思います。
  25. 三井秀範

    政府参考人(三井秀範君) レグテック企業と規制当局の連携についての御質問でございました。  先生御指摘のとおり、レグテックに関しましては、民間の専門家や研究などによりますと、例えばリスクデータの収集とかリスク分析、さらにはコンプライアンス違反の検知、あるいは決済、市場取引のリアルタイムのモニタリングなどなど、様々な分野でこのITのレグテックというのが有効に機能する余地があるということで、そういった分野に民間においてもかなり取組が始まっているというふうにお聞きしております。  そうしたことから、金融庁におきましては、この民間部門における情報通信技術の活用の進展状況とか、あるいは、これらの分野のサービスの提供を行う企業、先生御示唆のありましたレグテック企業、こういったものの出現、発展と、こういうものをしっかり踏まえながらこのレグテックにしっかり対応してまいりたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
  26. 徳茂雅之

    徳茂雅之君 どうぞよろしくお願いします。  国会の会期末までいよいよ、私もこの国会で最後の質問になるかなということで、是非、郵政グループについて質問させていただきたいなと思います。  お手元に資料を配りました。これは、日本郵便が報道発表しました投資信託の取扱局、紹介局の拡大という資料でございます。資料を御覧いただければよろしいかと思いますけれども、特に紹介局については一万局ほど増やすということであります。  これまでもこの委員会の中で、貯蓄から投資への流れをつくるということで、私も二度ばかり質問をさせていただきました。なかなかそういう流れがつくれないということの一つに、投信に身近に触れるチャンスが私は少ないんじゃないかな、特に地方において少ないんじゃないかなと、このように考えております。  前回の委員会におきましても、麻生大臣から、郵便局というのは極めて地域に密着した存在であるというようなお話もいただきました。まさに、こういう機会に投信に触れるチャンスを増やしていくことが私は本当に重要だろうというふうに考えております。  そこで、貯蓄から投資への流れを加速するために、今回のある意味取組、日本郵政グループの取組についてどのようにお考えなのかということをお伺いしたいと思います。
  27. 遠藤俊英

    政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。  人口の減少や高齢化が進む中で、国民の安定的な資産形成を促進していくことが重要であり、投資信託による長期、積立て、分散投資は有効であるというふうに考えております。  こうした中で、ゆうちょ銀行は、更なる企業価値の向上を目指して、本年三月に、ゆうちょ銀行として強化すべき業務分野、施策というのを今後のビジネス展開という文書としてまとめられました。この中で、郵便局ネットワークを通じた顧客本位の良質な金融サービスの提供をその施策の一つとして掲げられております。今般の投資信託の販売郵便局などの拡大もその一環であるというふうに承知しております。  今後、ゆうちょ銀行が、全国に展開され、国民が利用しやすい郵便局ネットワークを通じて、積立NISAの推進や簡明で分かりやすい資産運用商品を提供していくことは非常に意義のある取組であるというふうに考えております。  金融庁といたしましては、こうした取組を今後も促してまいりたいというふうに考えております。
  28. 徳茂雅之

    徳茂雅之君 どうもありがとうございます。しっかりと当局としてもサポートをお願いしたいというふうに思います。  最後に、ゆうちょ、かんぽの認可申請、新規業務についてお伺いしたいと思います。  三月三十一日に、政府に対して、ゆうちょ銀行、かんぽ生命が新規業務についての認可申請をいたしました。郵便局というのは、先ほどの投信の話もあるとおり、ある意味全国津々浦々にありまして、身近に利用できる金融機関ということで、過疎地を含めてユニバーサルサービスを提供する存在としては極めて重要だろう、このように思っております。  今回の認可申請につきましても、当然、地域における金融アクセス、金融サービスを利用できるという面で非常にメリットがあるとともに、郵便局のユニバーサルサービスを提供する上でも極めて重要だろうというふうに思っております。  明日、郵政民営化委員会が開かれるというような話もありますけれども、パブコメも終わって郵政民営化委員会で今調査審議が進んでいる状況だというふうに思いますが、今回の認可申請について現状どのような状況にあるのか、今後の認可の見通しについてお伺いしたいというふうに思います。
  29. 遠藤俊英

    政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。  ゆうちょ銀行、かんぽ生命の新規業務につきましては、郵政民営化法におきまして、内閣総理大臣及び総務大臣は、ゆうちょ銀行、かんぽ生命から新規業務の認可申請があったときは郵政民営化委員会の意見を聴かなければならないとされております。  委員指摘のように、本年三月三十一日に、ゆうちょ銀行、かんぽ生命から認可申請がありました新規業務につきましては、現在、郵政民営化委員会において意見の取りまとめに向けた調査審議、この中では先ほど申しました一般的な意見募集でありますとか様々な関係者に対するヒアリング等が行われているところでございます。こうした調査審議が行われているところというふうに承知しております。  したがいまして、今後の認可の見通しについて現時点で確たることは申し上げられませんけれども、郵政民営化委員会のこの意見も踏まえまして、総務省とも連携し、郵政民営化法等の関係法令に基づき、これは適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  30. 徳茂雅之

    徳茂雅之君 ありがとうございました。是非早期に認可できるようにお願いしたいと思います。  以上で質問を終わります。
  31. 大塚耕平

    大塚耕平君 民進党・新緑風会の大塚でございます。  今日は、FRC報告等について質問させていただきます。  まず、委員の皆様方のお手元にも、金融庁がまとめております預金保険機構による資金援助等実施及び回収状況についての資料をお配りをさせていただいております。九〇年代のバブル崩壊以降、延々と続いてきた不良債権処理もかなり峠を越したという認識は私も持っております。この機会に、公表されております数字の内訳について少しお伺いをしたいと思います。  まず、お手元の①番、預金者等の保護のために実施した金銭の贈与、十九兆円、これはまさしく預金者の保護のために公的資金が投入されたということであります。国庫が負担した分が注書きにございますけれども、それ以外は預金保険料でカバーされているということであります。いずれにしても、大変な金額が投入されたということには変わりはありません。  できるだけ少しでも多くの回収をして国民負担を減らすという方向で関係者は努力をしていただいたと思いますが、②番に、破綻金融機関等からの資産の買取りが九兆八千三百六億円と、それに対して回収等の累計額が十兆一千七百四十六億円となっております。この十兆は、左の九兆八千のうち幾らの資産を売った結果の十兆であるかということについて、まず数字をお伺いしたいと思います。
  32. 遠藤俊英

    政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。  資産の買取りとして破綻金融機関等から約、ここにありますように九・八兆円の買取りを実施しております。回収等累計額でございますけれども、まさにこの買取り金額に相当するものとして回収できたものは約七・四兆円ございます。それを上回る回収益に相当するものが二・七兆円ございますので、合計が、ここにありますように回収等累計額十・一兆円というふうになっております。  この残った資産でございますけれども、本来でしたらこの九・八兆円から先ほど申しました買取り金額に相当する七・四兆円を引けばいいんですけれども、それ以外にこの償却が生じておりまして、これが約〇・七兆円のマイナスでございます。こういった発生から、今残余の資産というのは約一・五兆円になっているというところでございます。
  33. 大塚耕平

    大塚耕平君 三番についてもお伺いします。  資本増強・資本参加に十三兆四百五十五億円が投入されたと。しかし、それを十三兆九千三百十三億円回収しているわけでありますが、この回収というのは投入した十三兆四百五十五億円のうち幾らに相当する部分に対して十三兆九千三百十三億円を回収したのか、御開示いただきたいと思います。
  34. 遠藤俊英

    政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。  資本増強・資本参加といたしましては、この金融システム安定化等のために、ここにありますように約十三兆円の優先株式の引受け等を実施しております。回収等累計額につきましては、この資本増強額に相当するもの約十二・三兆円、それを上回る回収益に相当するもの約一・六兆円の合計、ここにありますように十三・九兆円になっているということでございます。委員質問の部分に関しては十二・三兆円ということでございます。ということでございまして、残り、十三兆円から十二・三兆円を引いた株式、残余の株式は約〇・七兆円というふうになっているところでございます。
  35. 大塚耕平

    大塚耕平君 最後に、四番についてお伺いします。  これは、その他の資金援助で六兆三千億円投入しているんですが、回収が五兆一千億円。これも同様に、幾らの資金援助の部分を回収した結果五兆一千四十九億円になっているのでしょうか。
  36. 遠藤俊英

    政府参考人(遠藤俊英君) その他の資金援助ということで、ここの部分は特別公的管理銀行、すなわち旧長銀、日債銀に対する貸付けなど、約、ここにありますように六・三兆円の資金援助等実施している部分でございます。回収等累計額につきましては、貸付金額に相当するものなど約五・一兆円となっております。なお、償却等が生じておりまして、これが一兆円、約一兆円のマイナスになっておりますので、残余の資産というのは約〇・一兆円という形になっております。
  37. 大塚耕平

    大塚耕平君 今、数字をつまびらかにしていただいたんですが、このFRCの半期報告には今おっしゃった内訳は掲載されていますでしょうか。
  38. 遠藤俊英

    政府参考人(遠藤俊英君) FRCの半期報告に関しては、まさにここにある数字でございまして、この内部について、内訳について詳細には記載していないというふうに承知しております。
  39. 大塚耕平

    大塚耕平君 そういう観点では、今幾らの対象資産に対して幾ら回収したかという数字を開示していただいたのは、実はFRC報告が始まって今日が初めてだというふうに認識しています。これは、いろんな事情があってこれまでその内訳は開示されていなかったものと思いますが、今お伺いしたところによると、②番で残余の資産が一・五兆、③番で〇・七兆、④番で〇・一兆と、ここまで関係者の努力で残余が減ってきているわけでありますので、次回の報告書、次回というのは、もう既にこの後の半年分が公表されていますので、次回ということになると、今年の四月から今年の九月分が来年のしかるべき時期に、あるいは今年の年末に公表される次期の報告書になると思いますが、そろそろこれ、国民の皆さんには極力情報を開示した方がいいと思いますので、今御答弁いただいたような数字についてもFRC報告にちゃんと含めていただきたいというふうに思いますが、要望しておきますが、もし何かお答えいただけるようでしたらお答えいただきたいと思います。
  40. 遠藤俊英

    政府参考人(遠藤俊英君) 私、お答え申し上げましたまさに分析結果の集計がここに挙げられている数字でございます。こういった内部の分析をどういう形で国民に向けて開示していくのか、先生の、委員の御指摘を踏まえまして検討させていただきたいというふうに思います。
  41. 大塚耕平

    大塚耕平君 是非よろしくお願いします。  分析というよりも、まさしく膨大な国民負担をしながら処理をしてきた結果ですので、どのぐらい回収益が出たかということも含めて、やはりそれは国民の皆さんに全部お伝えするべきだと思いますので、是非前向きに御検討いただきたいと思います。  なぜそういうことをお伺いしているかというと、今お手元にはもう一枚、裏表にグラフが付いた資料、毎回お配りをさせていただいているものをまた配らさせていただいていますが、マネタリーベースと株価の方は若干、毎回お配りしているグラフではあるんですが、少し加工しておりまして、大臣、もしよろしければ一緒にグラフを御覧いただけると有り難いんですが、お手元にございますでしょうか。  そのマネタリーベースと株価の方のグラフの下のところに、まさしく金融行政ないしは金融環境がどういうことだったかということを非常にざっくりと整理してあります。  八九年に株価三万八千円付けるまでは、まさしく護送船団方式の下で金融行政が行われていたと。九〇年代はバブル崩壊で大変な混乱期にあったわけでありまして、最初は不良債権はそれほどないといって金融界は強弁をしていたわけでありますが、実際はそうではなかったというところから、九八年、大蔵省の財金分離、新日銀法などのエポックメーキングな出来事があった後は、不良債権処理が中心的にずっと行われてきたと。  この過程で、大臣がよくおっしゃる、新設された金融庁金融処分庁というふうに言われるようになり今日に至ったんですが、政権交代がありまして、私たちが担わせていただいたとき、金融担当大臣が亀井大臣の下で、私も副大臣させていただきましたが、亀井さんの下で中小企業金融円滑化法を作らせていただいた。これはもちろん賛否両論あったわけでありますけれども、亀井当時の大臣は随分物言いは大ざっぱな、ちょっと表現を変えて言うと乱暴な物言いもされるんですが、徳政令だなんておっしゃっておられましたけれども、しかし、その下で法律を作らせていただいた立場、そのとき一緒に仕事をさせていただいた皆さんが今局長でいらっしゃるわけですが、なるほど、長年政治家をやっていらっしゃった方の直感というか皮膚感覚というのは鋭いなということが、この円滑化法を作った結果として、その直感の正しさについて私も脱帽をしたわけでございますが。  その後、この金融円滑化法はもう廃止になりましたが、その精神は監督指針などに盛り込まれ、そしてこの不良債権処理時代に言わば絶大な力を発揮した金融検査マニュアルというものをこの度廃止の方向で金融庁は検討しておられるということですので、最後はてなを付けておりますけれども、この円滑化法時代を経て、さあ次はどういう時代を迎えるかという状況に今至っているというふうに認識しています。  そこで、大臣にお伺いしたいんですが、今年の三月に公表した検査監督改革の方向と趣旨という、私も今手元にあってこれ読ませていただきましたけど、これを取りまとめた背景とこの内容の骨子を少し御説明いただきたいと思います。
  42. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この紙にもありますように、九七年、八年、いわゆるアジア通貨危機というのが御存じのように発生するんですけれども、このときにいわゆる金融庁というのが、金融監督庁だったかな、最初は監督庁として九八年にスタートをして、その後、金融庁と名前を変えたのが二〇〇〇年かな、そんなものだと記憶をするんですが、いずれにしても、これがスタートしたのは、いわゆる財金分離とかいろいろな当時の中で、銀行の不良資産等々というのはこれは膨大なものがあって、あのときは金融国会とかいろんなことを言われた時代でもあったんですが。  そういう歴史的な流れの中で、とにかく金融庁というのは、銀行の倒産というのをとにかくきちんとあらかじめやっておかぬといかぬと。なぜなら、都市銀行でいえば北海道拓殖銀行が最初でしたかね、拓殖銀行が倒産して、その後、翌年、長銀が倒産、日本債券信用銀行も倒産、証券会社も三洋だ山一だと、大きなところが結構倒れておりますので。そういったところでは、とにかく貸出しの厳格ないわゆる資産の査定をやるとか、規制の状況というものの確認とかいったものを中心とする検査監督ということで、不良債権の問題をきちんと克服するというのを最大限の目標としてやらせていただいて、それなりの成果を上げたんだと思いますね、私は。  問題はありましたよ、ありましたけれども、日本が一番これ成功していますから、他の国に比べても。その意味においては、もっと早めにやればもっとよかったと、安く済んだと、私はそう思っていますけれども、結果として、当時の与野党の関係でああいうことになってあそこへ落ち着いた、曲がりなりの結論は出てそれなりの成果は出したんだと、私はそう思っております。  そういった意味で、これなりに成功したんですが、これを今ずっとそのまま継続しておるということになりますと、例えばこの担保とかいわゆる保証とか、個人保証とか、そういったものを必要以上に重視するという方向を取っていると、それなりの副作用というのが出てくるのは当然のことなのであって、そういった意味では、今は状況が、金融が逆に、資金需要が余って、史上空前、金利も全然付かないというような状況で超低金利時代になっている中に、人口減少なんという地域格差がありますので、東京は集中して増えておる、どこも増えておる、福岡も増えていますけれども、そういった中で地域格差が出てきますので、そういった意味では、これは地域の銀行等々においては金融機関の創意工夫を促していく必要があると。そうしないと、これ多分、地域銀行では地域銀行の統廃合というようなことが急激に起こりかねぬ。それがどういう影響を与えるか等々のことを考えて、これは処分庁のイメージから、だったものを育成庁に変えていくんだということを五年前に申し上げたんですけれども、それを有識者の方々に、この検査監督というものの金融庁が目指すべき方向というのは今までの方向とは当然違うのであって、それに合わせてやっていくべきというので御議論をいただいて、今年の三月でしたかに報告書を取りまとめていただいたところです。  これの中に、今御指摘のありましたように、規制を形式的にいわゆる遵守しているとか、そういったことよりも、実質的に良質な金融サービスをいわゆる提供しているかという点を、もっと重要なのではないかなどの新しい検査とか監督の方向性とか、またマニュアルの抜本的な見直しというのをやらないとちょっと問題ではないのかということを、具体的な課題で挙げてもらいたいという御提言をいただいております。  今後、この報告書を踏まえて、金融庁自身の考え方を公表した上で、関係者というか金融関係、もちろん借りておられる方々の、利用者の方々等の話を伺いながら、今後具体的な方向を更に進めてまいりたいと考えております。
  43. 大塚耕平

    大塚耕平君 そういう意味では、まさしく節目が来たので、金融行政の大きな方向性を今後どうするかということの検討のたたき台としてまとめられたということで、私も拝読しましたが、抽象的には大変いいことが書いてありますが、問題は、具体化するときに相当難しい問題があるということで、二、三お伺いさせていただきます。  報告書の中には、結局、この間の金融行政を振り返ると、市場の失敗もあるけれども、当局の失敗もあるというふうにちゃんと総括しておられるのは結構なことだと思うんですが、この市場の失敗と当局の失敗というのを、多分この審議金融庁の若い職員の皆さんも聞いておられますので、何が市場の失敗で何が当局の失敗だったかということを大臣のお言葉でちょっと簡潔にお述べいただきたいと思います。
  44. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この中で市場の失敗というのは、何らかの理由で市場が機能しなかったという、十分に機能しなかったというのが正確ですかね、いったことを指摘しているんだと思いますが、例えば、この間、大門先生の話にありましたけれども、例えば金融というか、貸し出す方が情報をきちんと提供していたかという話をすると、情報をきちんと提供していなかったがためにということで、いわゆる情報の絶対量は間違いなくそれを専門にしているところの方が多いわけですから、そちらの情報とこちらの顧客の情報との間に格差がかなり生じてくると、それを利用されるという点はこれは十分注意しておかないかぬところなんですが。  逆に、当局の失敗というのは、そういった点をばんばん指摘すると、今度は逆に大量の情報だけを持ってきて、七十五歳であんな小さな字が読めるかというぐらい小さな字で書いてあるでしょうが。紙の絶対量を減らすためにこんな小さく書いてあるのかと僕は何回か言ったことありますけれども、とてもじゃなくて、読めないような小さい、こんなのは読めやしませんから。そういった意味で、とにかく情報提供というのは形式ばかり言うとえらく偏ったことになりますので、とにかく分かりにくい情報を結果的に顧客に提供しているということになるという、多分これは行政というかいわゆる当局の失敗ということになるんだと思いますが。  とにかく、この点については有識者会議の方からこの両方を注意せよと、市場の失敗というのはほかにもいろいろあるんだと思いますけれども、そういったことをきちんと留意するように求められているものだと理解しておりますので。  私どもとしては、市場の機能が全体として最大限に生かされるようにしていくということが大事なんだと思っておりますので、これまでの行政手法の副作用とか弊害とかそういったものを軽減する、いわゆる規制が、必要な規制なんですけど、行き過ぎるとという話をされておられると思いますので、私どもとしては、その弊害というものをなるべく減らすということが一番、置いておかないかぬところで、これはやっぱり借りておられる方々からの話をよく聞かせていただかないと、どうしても役所にいますと関係者しか来ませんから、こちらから歩いて情報を集めるという努力が必要なんだろうと思っております。
  45. 大塚耕平

    大塚耕平君 今印象に残った言葉としては、当局の失敗、行き過ぎると失敗するというような御表現があったと思うんですけど、これ逆もまた真なりでありまして、今新聞報道等で金融庁がどっちの方向にかじを切ろうとしているか、あるいは大臣のこの委員会での御発言から推測しますと、要するに、もっと融資にシフトして、顧客の立場に立って、場合によっては無担保融資もどんどん増やして頑張れと、これは円滑化法を作ったときの精神とも共通する部分があるので、もちろん大きな方向性については賛成なんですけれども、しかし、これもまた行き過ぎると結局同じことで、また歴史は繰り返すわけですね。  以前この委員会で申し上げたと思うんですが、御覧いただいた期間ずっと金融に関わっている立場としては、途中からは国会の立場で関わっていますけれども、今のマーケットの環境と雰囲気は八七年によく似ているなというのが私の皮膚感覚なんです。そういう中で、今後、どうぞ金融機関は自由にもっと伸び伸びやってくださいという方向にかじを切ろうとしているんですが、報告書の十ページに、そうであったとしても、何かあっては困るので、現行の早期警戒制度の運用については改善をしていくべきであるというふうに書かれているんですが、現行の早期警戒制度の概要をちょっと御説明いただきたいと思います。
  46. 遠藤俊英

    政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。  早期警戒制度というのは、その前提となります早期是正措置というのがございます。これは最低自己資本比率を割った金融機関に対してどういった行政対応をしていくかというルールでございますけれども、それに加えた形でこの早期警戒制度というのが平成十四年に導入されました。早期警戒制度は、自己資本比率の最低基準を下回っていない金融機関に対しても、その健全性の維持、一層の向上を図る観点から行政上の予防的措置、総合的な措置を講ずるようにしたものでございます。  これ、具体的には四つのリスクカテゴリーを定めております。基本的な収益指標を基準にした収益性改善措置、それから大口与信の集中度合いを見ます信用リスク改善措置、それから有価証券の価格変動等による影響を基準といたします安定性改善措置、それから預金動向や流動性準備の水準を基準といたします資金繰り改善措置といったこの四つのカテゴリーを定めておりまして、このカテゴリーごとに一定の基準、閾値というものを設定しております。そこに該当した金融機関に対して、その原因及び改善策についてヒアリングなどを行って、必要な場合には銀行法二十四条に基づく報告を求めることを通じて必要な経営改善を促すこととしている仕組みでございます。  さらに、業務の改善を確実に実行させる必要があると認められる場合には、銀行法二十六条等に基づき業務改善命令を発出するといった仕組みもこの中に含まれております。
  47. 大塚耕平

    大塚耕平君 私も周辺分野にいる人間として、この報告書を具体化していく過程ではいろいろ意見は述べさせていただきたいと思いますけれども、そうすると、今のような早期警戒制度もうまく活用しながら、積極的に融資に応じていく金融機関を増やしていきたいと。  しかし、無担保融資などもやれば、それだけリスクも取るわけですし、何かあったときには一〇〇%負担をするわけですから、そうなると、例えば、今大臣がお考えのような、あるいは金融庁全体が考えているような方向にかじを切るときに、融資の引当金等の制度的枠組み、これも財務省と相談してというのは、大臣が御自分の中で金融担当大臣として考え財務大臣に相談するということを中でやっていただければいいんですけれども。  つまり、無担保融資をある一定の割合以上に増やして頑張った金融機関引当金の積み方、それの税制上の扱いについては、そうでない場合と比べて何がしかの優遇をするとか引き当て率を高くするとか、あるいは税制上の措置を少し濃淡を付けるとか、こういうことがあってこそ初めて実際にそういうインセンティブも湧くし、それから、何かあったときのカバーもできるということですから、この辺り具体化されるお考え大臣にはおありでしょうか。
  48. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今直ちにそれに対するお答えを、今これいただいたばかりなので、これから検討を開始させていろいろやってまいりますので。  やっぱりインセンティブというのは大きいものだと思いますので、こういったリスク取ってそれなりのものが得られればやったということ、これは経営としては当然なんですけれども、それ、失敗するリスクもある程度考えておかなきゃいけませんから、その分だけやっぱり利幅も大きくないと、今までどおりやっておいた方がよっぽど堅いですから、どうしても銀行とか金貸しの頭というのはそういう頭になっていますから、回収が先ですから、それがもうけということになりますので。  だから、基本的には、お金を貸してその利ざやでもうける人たちは、当然のこととしてそこのあれが一番最大の関心、企業でいえば売上げの利幅ということになりますので、そういったところのことを考えて、ある程度、これ横並び全部一律だったら何のインセンティブ働かない、とにかく堅くやっておけばいいやということになるのをいかにというところは、ちょっといろいろなやり方があろうかと思いますが、これはこれからの検討の課題の一つだと存じます。
  49. 大塚耕平

    大塚耕平君 マニアックな分野ですから関心のある人はそう多くないので、関心のある一人としていろいろ具体案は申し上げますので、よろしければ御納得のいただくものについては採用していただければなというふうに思っています。  さて、そういう中で、このところ新聞報道で、六月の八日、九日の日経新聞に、地銀の債券保有に新規制を導入するとか、それから、先ほど冒頭に申し上げましたように、検査マニュアルを廃止するとかというようなことが報道されているんですが、この事の真贋についてちょっと大臣にお伺いしたいのと、それから、地銀の債券保有新規制については、もしこれが、報道が大体事実であるということであるとすれば、これはどういうことを考えているのか、もし技術論であれば、これは事務方の方で結構ですので、それぞれお答えいただきたいと思います。
  50. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この六月八日でしたか、日経新聞に出ておりました地銀の債券保有規制という話なんですが、これは御存じのように、このところ国内の資金需要というものが低迷をしておりますので、逆に言えば、銀行では金が余っておると。これはもう過去、少なくともこれまで金が足りない分を政府金融機関で主にというようなことをずっとやってきた長い歴史が日本の昭和二十年以降の流れなんですけれども、そういったところにあって、逆に金が銀行に余って、とにかく銀行の、郵便局も含めましたら現預金が一千兆を超えるという話になって、個人金融資産が一千九百兆だというような話になってくると、これはとてもじゃないけれども、資金の需要が低迷している上に更に預金が増えると。そして、預かり金利は当然のこととして、貸出金利が低いんだから、それもう当然のこととして金利が安い。ほかの国って、世界中低金利ということなんですので。  そういった意味では、これ地域銀行の中においては、まあ地域の事情もありますけれども、いわゆる貸出しをやらない限りはというので、結構危ない橋を渡るというか、過度なリスクを取るという表現がいいんですかね、そういった意味で、過度なリスクを取って貸出しをしよう、利益を確保しようという動きもありますので、これは金融庁としては、金利のリスクに関しましては新しい監督の枠組みを検討せないかぬということなんだと思っております。  ただ、現在検討中の枠組みは、そもそも債券の保有というだけじゃなくて、貸出しや預金も含めた金融機関全体の金利リスクを対象として考えておりまして、こうした金利の変動リスクというものの全体を適切に管理するということが必要なんですが、これを画一的な規制でやるんじゃなくて、少なくとも金融機関に対してもう少しきめ細かいことをやらないと、その地域差とかその銀行の資金量の差とかその地域の企業の散在している差等々いろいろありますので、こういったものを考えていかないと駄目ですよということで、何となく安全で債券ということになるんですけれども、その債券金利がということになりますので、そういったものを、いろんなことを考えていかぬとということを考えているということで、これは一律的にやるんじゃありませんよということが主に言いたいところであります。
  51. 大塚耕平

    大塚耕平君 何となく分かりましたけれども。  ただ、特に債券の保有新規制は、その金融機関健全性云々の観点からは、まあ私などはふっと、何となく想像ができたんですけれども、マーケット関係者からは、これ、日銀金融政策との絡みで地銀に国債を放出させようということですかとか、そういう問合せがやっぱり来るんですよ。来るんですよ。これは、やっぱりそういう、邪推と言っては恐縮ですが、そういう推測を呼ぶのはやむを得ない面があってですね。  しかし、意図は別としてですよ、意図は別として、しかし、今大臣がおっしゃったような方向で、また新聞報道されていたような方向で指導をする、あるいは新規制を導入すると、結果として国債市場に放出をし、そして日銀が、さっき徳茂さんの御質問にありましたが、八十兆買うと言っていたのが今六十兆ぐらいしか買えなくなっている中で少しでも放出させるというようなことも合わせ技でやろうとしているんではないかというふうに思えてしまうんですが、この辺りについて、そうなのかそうではないのかをちょっとお伺いしたいと思います。
  52. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今言われるような話というのを考えられる方もおられるんだろうなと思って、はあ、なるほどねと思いながら伺っていたんですけれども、まあいろいろほかにいらっしゃいますから、この種の規制やれば、とにかくいかに裏でどうやって稼ごうかとかいろいろなことを考えるのは商売人としては当たり前な話ですから、いろんな規制が出たらそれをどうやってというのを考えるのは当然なんですけれども。  今私どもの考えているのは、いわゆる債券の保有というだけで何となく、まあ貸出先がないというのは最大の理由、資金需要がないというのは大きな理由なんで、債券というのは一番安全牌だ、金利が安くてもということでそういうことになるんですけれども、全体を考えておりますので、金融機関債券保有というものを画一的に制限するものでは全くありません。  したがいまして、私どもとしては、債券であれ貸出しであれ、金融機関の経営方針にのっとって、リスク、まあ適切なリスクという表現なんでしょうけど、リスクなしということはないでしょうから、適切なリスクの管理の下で行われるということが重要だろうと考えております。
  53. 大塚耕平

    大塚耕平君 分かりました。  金融に関する質問はこのぐらいで終わらせていただきますが、大臣、もう一回さっき御覧いただきましたグラフ見ていただいて、上の方に、「異次元緩和のデメリットが顕現化する中での金融行政の次は「・・・」か」というふうに箱に書かせていただいたんですが、つまり、護送船団方式、バブル崩壊、不良債権処理、円滑化法時代、さて、ここから先、後世何と言われる金融行政時代を迎えるかということなんですが、今、何かここに当てはまるような言葉でイメージされているものはありますか。
  54. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これ、私が例えば「・・・」と言うとですね、まず、一面トップであした出るので、ちょっと正直に申し上げて、うかつな発言は、この種の話、思い付く言葉は幾つもありますけど、とてもうかつにはしゃべれぬなと思っています。
  55. 大塚耕平

    大塚耕平君 護送船団方式という言葉に慣れ親しんだ私の世代としては、ちょっと一つアイデアを申し上げておきますが、これからまさしく金融再編、もうこれ避けられないですね、金融再編、それから、国際金融とどう向き合っていくか、それから、徳茂さんがフィンテックのこともおっしゃいましたが、サイバー空間とどう向き合っていくか、それから、異次元の金融環境とどう向き合っていくか、さらには、創業支援、金融機関企業をですね、創業支援をどうやっていくか、それから、自らの経営革新をどうするか、それから、法律に縛られるんじゃなくて金融界が自ら秩序をつくっていくという意味では金融界の自主秩序、これ七つなんですよ。  だから、護送船団方式で来ましたので、次は金融の大航海時代とか、そんな七つの海に出ていくということで今七つ考えましたので、使っていただけると有り難いなと、著作権は大臣に差し上げますので。  以上で金融の話を終わらせていただいて、お手元の先ほどのFRC報告の数字の載った裏側に、国有財産法改正案、我々が議員立法として出させていただいたものの概要がございます。  これは、森友問題に絡んで、やはりその国有財産の売却価格を非開示にしていたというところに事の発端があって、平成二十四年以降はもう実際非開示になったのは森友一件だけと、財務省絡みではという事実も明らかになっていますので、やはり私たちは、もう原則開示、国民の皆さんに国有財産の売却の履歴については全部縦覧して御覧いただくというのが当然だと思いますのでこういう法案を提出をさせていただいたんですが、大臣の号令一下で国有財産法を見直すおつもりがあるかどうかをお伺いしたいと思います。
  56. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 国有財産の売却についての情報開示というものは、これは現状においても通達が、何だったっけ、国有財産の売却等結果の公表についてというこれ通達があるんですが、それに基づいて、情報公開法などを踏まえつつ、原則、今開示をさせていただいているところであります。  具体的には、国有地の一般競争入札とか公共工事における随契等々について、原則、契約時期、土地の所在、面積、価格などの情報を開示をしておりまして、可能な限り情報の開示に努めているところであります。  いずれにいたしましても、大塚先生御指摘のとおり、国有財産の売却に関する情報の開示というのはもうこれは重要であろうと考えておりますので、今後とも、関連法令を踏まえながら、必要な取組はきちんと行ってまいりたいと考えております。
  57. 大塚耕平

    大塚耕平君 大臣には以前、愛知さんが副大臣の時代に、例の基金の見直しについても、結局法改正まではやっていただけませんでしたが、見直しについて工夫もしていただきましたので、この国有財産についても是非御努力をいただきたいと思いますし、私もまたいろいろ申し上げていきたいと思います。  さて、もう一つ、この国会で今も懸案になっています加計学園の問題なんですが、今日文科省にも来ていただいていますが、加計学園が今工事に入っているこの獣医大学のキャンパスの建設コストがどのぐらいになるのかとか、あるいはその学部の運営コストは開学後どうなるのかとか、これは認可申請の諸項目の中に入っているのかどうか、入っているとすれば幾らなのかということを少し教えていただきたいと思います。
  58. 浅田和伸

    政府参考人(浅田和伸君) 岡山理科大学獣医学部の新設については、今年の三月に学校法人加計学園から申請があり、四月に文部科学大臣から大学設置・学校法人審議会に諮問がなされ、現在、同審議会で審議が行われているところでございます。  なお、この獣医学部の新設に係る申請内容については、現在審査中であることから、現段階でお答えすることは差し控えさせていただきますが、最終的に認可された場合には、審査基準、これは文部科学省の告示ですが、この審査基準に基づいて、申請者の同意を得て、文部科学省において資金計画、収支計画等について公表することとしております。  なお、寄附行為の変更認可申請書については文部科学省で様式をお示ししておりますけれども、その様式の中には、経費の見積り及び資金計画を記載した書類、それから人件費等については収支予算決算書に記載すると、そういう様式を示しているところでございます。
  59. 大塚耕平

    大塚耕平君 確認ですが、そうすると、申請書類の中にはそういう数字も含まれているという理解でいいですね。
  60. 浅田和伸

    政府参考人(浅田和伸君) 先ほど申し上げたとおり、経費の見積り及び資金計画を記載した書類、収支予算決算書が提出をいただくことになっております。
  61. 大塚耕平

    大塚耕平君 この場では開示できないということですが、報道等によりますと、大体二百億円弱ぐらいの総工費で、補助金を九十五億円受領するという報道もされておりますが、この補助金というのは文科省からも出るんでしょうか、認可された場合ですね。
  62. 浅田和伸

    政府参考人(浅田和伸君) 一般論になりますけれども、通常、新しい大学、学部等が設置認可されますと、完成年度終了後、つまり、例えば四年制の学部でしたら四年間は出ませんけれども、その完成年度終了後からはいわゆる私学助成の対象となるところでございます。
  63. 大塚耕平

    大塚耕平君 いや、この建設コストについては補助金が出ますでしょうか。
  64. 浅田和伸

    政府参考人(浅田和伸君) 建設コスト等に係る補助金というのはございません。
  65. 大塚耕平

    大塚耕平君 報道等によると、その九十五億円というのは今治市から出るということになっていますが、これは文科省に要望しておきますので、今審査している審議会に是非お伝えをいただきたいんですが、これ国会委員会で発言が出たということで是非お伝えいただきたいんですが。  やはりその書類に書いてある総工費ですね、二百億円弱、これが過大ではないのかということも是非見ていただきたいと。あの土地の規模、それから建てているインフラ等、いろいろ情報を私も聞かせていただいておりますけれども、ひょっとすると相当過大なあそこで申請がされているとすると、今治市はこの建設コストに関して、市民の負担で九十五億円も補助金を出すというのは大変な不合理なことにもなりますし、一般論として申し上げますと、新しく学校を造るときに、学園ビジネスという言葉もあって、過大な建設コストを申請することで多額の補助金を得て、実際はその補助金以内で建設が成されれば差益を生んでしまうと、こういうことが一般論としてはあるわけであります。  加計学園の場合、一つの学部のキャンパスを造るのに二百億円、地方交付税の交付団体である今治市から九十五億円の補助金を得る。これについては数字をよく精査をしていただきたいということを要望しておきますので、確実に伝えていただきたいと思いますが、よろしいですか。一応念のため、お答えください。
  66. 浅田和伸

    政府参考人(浅田和伸君) 大学設置・学校法人審議会では、教育課程、施設設備、それから財務状況などについて、学校教育法、大学設置基準等の法令に適合しているかどうかについて、学問的、専門的な観点から審査を行っているところでございます。  そういう審査を行っている審議会にどういう形でお伝えするのが適切かというのは、ちょっと相談をさせていただきます。
  67. 大塚耕平

    大塚耕平君 じゃ、相談の結果、伝えるか伝えないか決めたら報告に来てください。
  68. 浅田和伸

    政府参考人(浅田和伸君) そのようにさせていただきます。
  69. 大塚耕平

    大塚耕平君 私はこれ、これだけ今問題になっているわけなので、この加計学園、まだ大学としての認可が出ていないのに工事だけは着々と進んでいるわけですが、これ、一回工事も差し止めるべきだと思っているんですが、文科省あるいは行政手続法上所管している総務省にお伺いしたいんですが、これ、一旦差し止める手続は行政手続法上あり得るんでしょうか、可能でしょうか、可能でないでしょうか、簡単にお答えください。
  70. 浅田和伸

    政府参考人(浅田和伸君) まず、文部科学省からお答えします。  文部科学省において現在行っている審査でございますけれども、通常のスケジュールですと、審査期間が終わった後、普通でしたら本年八月下旬頃に審議会から認可を可とする、あるいは不可とする、あるいは判定を保留して審査を継続すると、そのいずれかの判断がなされることになります。このうちの保留の場合は、申請内容の補正を求めて更に審査を継続するということになりますが、この場合でも年度内には最終的な結論を出すということになります。  御質問のキャンパスの建設については、それは文部科学省あるいは大学設置・学校法人審議会でその中止を命ずるというような権限は持っていないところでございます。
  71. 堀江宏之

    政府参考人(堀江宏之君) お答えいたします。  行政手続法にはお尋ねのような一時差止めに関する規定はございません。
  72. 大塚耕平

    大塚耕平君 誰も止められないまま造ってしまった、今治市は九十五億円渡す、大学は開学されないということになれば、これは市民に対しても申し訳が立たないですからね。  総務省にお伺いしますけれども、例えば行政手続法上の第十条に、申請者以外の者の利害を考慮すべきことがある場合には聴聞を開けと書いてあるんですが、今回の件で聴聞は開かれたかどうか、文科省、総務省、事実関係を教えてください。
  73. 浅田和伸

    政府参考人(浅田和伸君) 開かれていないと思います。
  74. 大塚耕平

    大塚耕平君 もっと大きい声で、もう一回。聞こえなかった。
  75. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 浅田審議官、もう一度答弁願います。
  76. 浅田和伸

    政府参考人(浅田和伸君) 開かれていないと思います。承知しておりません。
  77. 大塚耕平

    大塚耕平君 開かれていないとすれば、行政手続法第十条違反じゃないですか。
  78. 浅田和伸

    政府参考人(浅田和伸君) 済みません。  大学設置・学校法人審議会の手続の中にはそのような手続はないところでございます。
  79. 大塚耕平

    大塚耕平君 もうこれで最後にしますけれども、聴聞が開かれたか開かれていないかという事実関係とともに、開かれなかったとすればなぜ開かなかったということに関してお答えをいただきたいと思います。後日で結構ですから。(発言する者あり)いやいや、多分、十条を今持ってきて、当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合と、今そこを御覧になっていると思うんですけれども、例えば獣医師法には獣医師法の目的があって、その獣医師法の法目的に照らして利害関係があるかないかというところまで深く読み込まないと、形式的に要件が定められているかどうかだけという、そういう多分形式的な回答をこれからされるでしょうから、その回答はもう聞かなくて結構ですので、これだけ大きな問題になっているわけですから、本来は獣医師会は反対していたわけですから、聴聞を開くべきだったというふうに私は思っております。  行政というのは、やはり国民の皆さんに正直で、かつ、その行政の目的に照らして適切に法令を適用していくということに重きを置いていただいて、形式的に適用するだけで国民の皆さんに情報を適切に開示しないという方向に運用するということがあってはならないというふうに思っています。  行政手続法上の本来の趣旨もそういうことだと理解していますので、もう答弁は結構ですので、行政手続法上、第十条の公聴会、聴聞が開かれたかどうかということについて事実関係を確認して、後で結構ですから報告に来てください。それだけお願いして、終わりにさせていただきます。  以上です。
  80. 平木大作

    ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  私からは、本日、国際的な金融規制の枠組みについて少し議論をさせていただきたいと思っております。  これまでも銀行の健全性等のルールでありますいわゆるバーゼル3について、私も決算委員会等で様々取り上げさせていただいたんですが、報道によりますと、今週なのか直近今月なのか分かりませんけれども、このバーゼル3最終化に向けた話合いが大詰めを迎えているというふうにお伺いをしております。元々は本年の一月ぐらい、大分早い時期に決まると言われていたものが、なかなか決められなくてここまで来たというふうな状況でありまして、まず、このバーゼル3の意義というところについて少し議論させていただきたいんですね。  一番最初の1まで戻りますと、八〇年代、バーゼル1という規制ができてきて、そして、九〇年代の終わりから二〇〇〇年代にかけて金融取引が大分高度化してきて、リスク管理の在り方自体も大分複雑になってきたという中にあって、国際的な金融危機起こしちゃいけないということでバーゼル2つくったわけですけれども、結局リーマン・ショックが起きてしまった。その後、バーゼル2・5みたいな形で緊急的な手当てはしたわけでありますが、このリーマン・ショックの教訓といったものを一旦踏まえた上で今最終化を目指しているのがバーゼル3、若しくは今3・5というふうな言われ方もしていますが、3・5というふうに認識をしております。  改めて、これ、バーゼル3の意義について、最終化というわけでありますから、もう大体煮詰まった、きちっと議論が終わったところと最後積み残しのところとあるというふうに思っていますので、その最終化のめどと併せて是非お伺いしたいと思います。
  81. 森田宗男

    政府参考人(森田宗男君) お答え申し上げます。  リーマン・ショック後の金融危機の教訓を踏まえまして、バーゼル委員会は二〇一〇年に、普通株式等ティア1比率の引上げや自己資本に算入できる劣後債の条件の厳格化など、自己資本の量と質の向上を求める自己資本規制の強化に加えまして、流動性リスクに対応するための新たな定量的最低水準について合意をしたところでございます。  一方、残された論点といたしましては、自己資本比率の計算に関して、規制枠組みの簡素化を図るとともに、リスク資産の計測に内部モデルを使用した際に銀行間で見られるばらつきを抑制するための方策が挙げられます。これにつきましては、資本賦課の最終的な水準調整を含め、更なる時間が必要であるといたしまして、先ほど先生おっしゃられました本年一月に開催予定でありました中央銀行総裁・銀行監督局長官グループ会合の開催が延期され、現在なお議論が続けられている状況にございます。  バーゼル3の最終化時期について確たる見通しを申し上げることは困難でございますけれども、日本といたしましては、規制の不確実性を払拭するという観点から、早期に適切な形で最終化することが重要である旨繰り返し主張してきているところでございます。
  82. 平木大作

    ○平木大作君 今、自己資本規制のこと等いろいろ述べていただいたんですが、まずはその最終化、いつできるのかと。これ、実は国内の金融機関からも、何はともあれきちっと早く決着を付けてほしい、そもそものいわゆる資本政策に密接に関わってくるところでありますので、ここを早く結論を得てほしいというふうな声が上がっているわけでありますが。  ここで、いろんな要素あるわけですけれども、一番の不安定な要素というのは、実はアメリカの新政権が一体どういう姿勢でこの交渉に最後臨んでくるのかという点だというふうに思っております。トランプ政権発足をしましてから、二月には大統領令が出て、アメリカ・ファーストで、米国のあくまでも国益を向上させる形で国際的な金融規制についてももう一回見直すんだ、こういうことを言われているわけでありますし、今年の四月には、FRBの中でも金融規制を担当されてこられましたダニエル・タルーロ理事、辞任されて、いまだにその後任が見えないという中にあって、そもそも今回の会合もアメリカの当局者がどの程度の権限を持って実際に参加するのか、ちょっと不安だという声も聞かれているわけでありまして、ここについて、そもそも今回、今回のセッションで終わるのかどうかあれなんですけれども、その米国を含めた最終化って現実的に可能なのかどうか。  あるいは、可能としても、これ、端的に言ってしまうと、バーゼル3というのは法的な拘束力があるわけではない、言い方は悪いかもしれないですけど、紳士協定なわけでありますから、決めたんだけれどもやっぱりアメリカの国益にかなわないからやめたと、何かパリ協定の二の舞になるようなことだけは私、あっちゃいけないと思っているんですね。  この点について少し見通しをお伺いしたいと思います。
  83. 森田宗男

    政府参考人(森田宗男君) お答え申し上げます。  本年一月の米国トランプ大統領就任後、FRBを始めといたしまして金融関係当局の幹部交代等を背景に、米国を含むバーゼル委員会での国際合意の見通しが不透明になったのではないかという指摘があることは承知してございます。  一方、例えば本年三月に開催されました、米国も参加しておりますG20財務大臣・中央銀行総裁会合のコミュニケにおきましても、金融規制につきましては、銀行セクターにおける資本賦課の全体水準を更に大きく引き上げることなくバーゼル3の枠組みを最終化するためのバーゼル委員会の作業を支持する旨のメッセージが打ち出されているなど、国際的に統一された規制枠組みに合意することの重要性は関係国間で認識共有されているところでございます。  日本といたしましても、バーゼル3の最終化が早期に適切な形で図られるよう、バーゼル委員会での議論に引き続き積極的に参加してまいりたいと考えております。
  84. 平木大作

    ○平木大作君 この最終化をめぐって、やはり、先ほども一つ前の問いのところで御答弁いただきましたけれども、一番の争点の一つと言われておりますのが銀行の自己資本比率規制の在り方でありまして、特にリスクアセットについて、その計算方法で、ざっくり言ってしまうと、アメリカ側とそして日本、ヨーロッパ側とで大分対立がある、なかなかここは合意が難しいんじゃないかというふうに言われております。  アセットのリスクどう見るかということでありますから、どちらかというと日本とヨーロッパの金融機関というのはアセットに占めるいわゆる国債の比率が高い、米国はそうでないという中で、どうこれをいわゆるメジャーしていくのか、計測していくのかというところはやっぱり一つの論点になるわけです。  私の認識としては、まだこれ決着付いていないわけですけれども、大まかな方向性としては、金融機関のアセットの持ち方というのはいろいろあるんだけれども、ただ、やはりこれ、横比較がちゃんとできないとそもそも国際的なルールを作る意味がないという中で、このばらばらな、凸凹な部分をどうならしていくのか。これまで議論もされてきましたいわゆる内部格付を使った手法というのは維持はするんだけれども、そこにある程度のやっぱり制限を掛けていこう。そして、より主流になっていく標準モデルについては、このリスクアセットをどう計算していくのかというところで大事ないわゆるリスクウエートですね、ここは少し引き上げていこうというふうな、そういった方向が議論の中では何となく方向性としては出てきているのかなというふうに思っております。  ただ、私やっぱり心配するのは、これウエートの掛け方を間違えると、特に国内において貸出しに影響を与えてしまう可能性があるわけでありまして、ここ、例えば中堅あるいは中小企業に対する融資ですとかそういったところ、悪影響がないのか、ここについて少し、今政府の交渉の状況を御確認をさせていただきたいと思います。
  85. 森田宗男

    政府参考人(森田宗男君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、大きな方向性といたしましては、例えば、銀行間の比較可能性を担保するため信用リスク資産等の計測のための内部モデルの利用に一定の制約を掛けるほか、標準的手法につきましても一部のリスクウエートを引き上げる方向で議論が行われているという状況にございます。  金融庁といたしましては、同時に、こうした見直しが銀行の取るリスクに比べ過度な自己資本を求めることにつながらないこと、また、資本賦課の全体水準を大きく引き上げることのないようにすることが重要であるというふうに主張してきております。  こうした中、具体的には、例えば新しい信用リスクの標準的手法につきまして、二〇一五年十二月に公表された第二次市中協議文書におきましては、従来一律に一〇〇%とされてきた無格付の事業法人向けの債権のうち、中小・中堅企業向け債権のリスクウエートを八五%に軽減するなど、国内の貸出し等における金融仲介機能の発揮にも配慮した提案が含まれているところでございます。  金融庁といたしましては、今後とも、経済成長と金融システムの安定の両立が図られる適切な規制となるように努めてまいりたいというふうに考えております。
  86. 平木大作

    ○平木大作君 私も、これまでの議論の中で度々、このバーゼル規制の枠組み自体は本当に大事なものでありまして、リーマン・ショックの教訓というのをきちっと生かして、そして国際的な金融の枠組みを安定化させていかなければいけない、そのルール作りだというふうに認識をしているわけでありますが、ともすると、特にここ最近、二、三年の議論というのは安定性というところにばかり重きをちょっと置き過ぎていないかなという懸念を持っていたわけであります。  その点、様々これまでも指摘はさせていただきましたが、今御紹介いただいたように、例えば無格付の中堅企業については、これまで一律一〇〇%としていたところを八五というふうに、日本の政府の主張も実ってある意味勝ち取っていただいているというふうに認識をしましたので、これ、引き続き最終化に向けて、是非国内の金融情勢にきちっとかなった形での交渉、日本がリードしていただきたいということをお願いしたいと思います。  最後の質問に移りたいと思いますが、今回の一連のこのバーゼル規制も含めてなんですけれども、リーマン・ショック後に進められました金融規制強化について、これ、一部というよりは、いろいろ、日本のみならずヨーロッパですとかアメリカからも、実は経済成長を妨げているんじゃないか、こういう懸念の声ですとか、あるいは金融市場の機能低下を招いてしまっている、いわゆる意図せざる影響ということがよく指摘をされております。  これ、要するに、多くの規制が相互になかなか整合的になっていないということですとか、あるいは、実際のリスクの多寡というところよりも会計上の資産額に応じてこの資本の積み増しを求めるようなレバレッジ規制ですとか、そういったところが実は金融機関にとってのインセンティブをやっぱりゆがめているんじゃないかという指摘が大分なされてきているなというふうに思っております。結果として、実際に欧米の市場では、金融機関債券の在庫を圧縮する方向に動いていたりですとか、あるいは債券市場において大手の金融機関がマーケットメークから大分撤退をするみたいな動きも実際に出てきているわけでありまして、これ、きちっとやっぱりあらぬ方向に議論がならないように最後進めていかなきゃいけないというわけであります。  この国際的なルール作りに当たって、意図せざる影響をきちっと避けて、日本としてはどのように最後、最終化に向けて交渉に臨まれるのかお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  87. 森田宗男

    政府参考人(森田宗男君) お答え申し上げます。  持続的な経済成長と金融システムの安定の両立の必要性につきましては、金融庁としても重要な点であると考えておりまして、こうした観点から、リーマン・ショック後に進められてきた国際金融規制の強化が経済市場に与える影響について評価作業を行うべきであると国際的に問題提起を行ってきたところでございます。こうした我が国考え方は国際的にも受け入れられ、例えばFSBにおいて、金融規制改革経済成長を阻害したり意図せざる影響をもたらしていないかという観点からの規制改革実施状況のモニターや影響評価の作業が現在進められているところでございます。  金融庁といたしましては、こうしたFSBにおける作業に貢献いたしますとともに、残された金融規制改革項目につきましても、さきに御説明させていただきました我が国考え方を踏まえて最終化されるように引き続き努めてまいりたいというふうに考えております。
  88. 平木大作

    ○平木大作君 以上で終わります。ありがとうございました。
  89. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門です。今国会最後の質問だろうと思いますので、金融行政の在り方全体、基本的なことについて質問をしたいと思います。  この国会財務省は本当にみっともない姿をさらしたわけですけど、金融庁は本当に頑張っていただいたなというふうに思っております。銀行のカードローンの問題でも、過剰貸付け改善の方向にアンケート調査もしていただいているということであります。ただ、まだまだサラ金と同じようなことをやっているメガも地銀もありますので、引き続き指導をお願いしたいと思いますし、損害保険の問題も、業界全体の在り方に関わりますけど、ヒアリング開始していただいているということで、いずれにせよ対応を迅速にしていただいているところであります。  しばらく質疑の場がないというふうに思いますので、現場の情報などを引き続きお知らせすることがあればお知らせしたいと思いますけれども、カードローンも損保の問題も大事なことは、あれこれよりも顧客本位考えてどうなのかということに尽きると思うんですけれども、そういう点で引き続き御尽力をお願いしたいと、秋にはまた質問させていただきますけど、その点、一言、遠藤さんにお願いできればと思います。
  90. 遠藤俊英

    政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。  銀行や損害保険会社が、委員指摘のような顧客本位業務運営、この観点から、何が顧客や借り手のためになるかを顧客、借り手の立場に立って自ら考え、適切に業務運営を行っていくことは、これ極めて重要であるというふうに考えております。  こうした観点から、金融庁といたしましては、引き続き銀行のカードローン業務の運営状況や損害保険会社の代理店に対する対応が顧客目線から適切なものとなっているか実態把握に努めるとともに、今後も必要に応じて改善に向けた対応を求めてまいりたいというふうに考えております。
  91. 大門実紀史

    大門実紀史君 ずっと見てまいりまして、この間、やっぱり今までの金融庁に比べると変化を感じるといいますか、顧客本位、利用者保護の姿勢が明確に具体的になってきているなというふうに思っているところであります。  国会に来てから今まで、銀行とか保険会社の不祥事をもういっぱいこの委員会で取り上げさせていただいてまいりましたけれども、何といいますか、口では顧客保護とかいうことを言うんですけれど、それがもう建前になっていて、例えば金融の通貨スワップの商品の問題を取り上げたことがありますけれど、銀行が取引先の中小企業に優越的な地位を利用して通貨スワップ商品をよく分からない相手に販売した問題だったんですけれども、銀行は、ちゃんと説明をしましたと、説明して判こをいただきましたと、だから説明責任は済んでいるんですというふうな、何か説明責任とか法令遵守とかそういうものが逆に、そういうことをクリアすれば何をやってもいいみたいなというようなことがずっとあったのではないかというふうなことを感じてきて、それはやっぱり金融機関だけの責任ではなく、金融庁自身が業界をそういうふうに仕向けていったような過去の歴史があったのではないかということも含めて大変厳しく指摘させてもらってきたんですけれども、このしばらくで見ると、麻生大臣、畑中前長官、そして森長官、スタッフとして遠藤さんや池田さんがおられて、本当に、更に本気でやれと、顧客第一主義をですね、ということを大変感じるところで、歓迎しているところであります。  その一つのまとめ的なものが今年三月三十日に出た、お手元に資料配付いたしましたけれど、顧客本位業務運営に関する原則というものであります。大変重要な文書で、これだけで本当に三十分ぐらい質疑したいぐらいなんですけれど、時間の関係で申し訳ありませんけど、ちょっと要点だけ簡潔に説明してもらって、特に、ちょっと難しい言い方なんですけど、フィデューシャリーデューティーですかね、これ大変重要な言葉だと、これは今の金融庁のいろんな文書に出てきますけれど、改革のキーワードだというふうに思いますので、その意味も含めて、時間ないところで申し訳ありませんが、簡潔にちょっと説明をお願いしたいというふうに思います。
  92. 池田唯一

    政府参考人池田唯一君) お答え申し上げます。  人口の減少や高齢化が進展する中で、国民の安定的な資産形成を推進していくということが大きな課題とされているわけですが、その際には、何よりも、金融事業者において顧客本位業務運営が行われることが重要であると考えるところでございます。  そして、御指摘がありましたように、顧客本位業務運営という点につきましては、フィデューシャリーデューティーという言葉も使わせていただいておりますが、これは、金融サービスを受ける方々が金融事業者に対してサービスを依頼するということは、委託している、託していると、そういう信頼にもとることのないような顧客本位業務運営を求めていくという考え方に基づくものでございます。  こうした観点から、金融審議会におきまして審議を行ってまいりました。昨年十二月に報告書を取りまとめていただいておりますが、その際には、先ほど御指摘がありましたように、これまで法令改正等により投資家保護のための取組を進めてまいりましたが、一方で、これらが最低基準、いわゆるミニマムスタンダードとなってしまい、金融事業者による形式的、画一的な対応を助長した面もあるのではないかと。むしろ、本来、金融事業者が自ら主体的に創意工夫を発揮し、顧客本位の良質な金融商品・サービスの提供を競い合って、より良い取組を行う金融事業者が顧客から選択されるメカニズムの実現が望ましいのではないかと。そのためには、従来型のルールベースの対応のみを重ねるのではなく、プリンシプルベースのアプローチを用いることが有効であるということが提言されまして、こうした提言を踏まえまして、この三月三十日に金融庁としまして顧客本位業務運営に関する原則を取りまとめ、公表させていただいたものでございます。  私どもとしては、この原則が全ての金融事業者において幅広く採択されていくことを期待しておるところでございますが、原則は七つの原則から構成されておりますけれども、その中核となります二番目の原則におきまして、金融事業者は顧客の最善の利益を追求すべきであり、こうした業務運営企業文化として定着するよう努めるべきであるとされているところでございます。  さらに、原則では、この顧客の最善の利益の追求の重要な構成要素としまして、利益相反の適切な管理、あるいは手数料の明確化、重要な情報の分かりやすい提供、顧客にふさわしいサービスの提供といったことを規定しているところでございます。この原則では、金融事業者に対しまして、顧客本位業務運営に関する方針を策定し公表し、その方針に係る取組状況を定期的に公表することを求めているところでございます。  また、この原則は、金融事業者に対しまして、以上申し上げたような事項を促進するよう、報酬・業績評価体系の整備や従業員の研修あるいはガバナンス体制の整備等を適切に行うといったことも求めているところでございます。  金融庁としては、今後、金融事業者においてこの原則が適切に実施されていくよう、努力を積み重ねてまいりたいと考えているところでございます。
  93. 大門実紀史

    大門実紀史君 今までこういう文書を見たことないんで、重要な文書だなと思います。フィデューシャリーデューティーですか、これは金融庁の姿勢を示す大事な言葉だというふうに思いますけれど、余り国会では、今の金融庁を示す大変大事な言葉なんですけど、ほとんど議論されてこなくて、中西さんがちょっとどこかでこの言葉を使われたと思いますが、ほとんど国会では議論されず、もっと議論されるべきいい中身だというふうに思います。  これは、資産運用関係だけでなく金融機関全体に向けられた、金融行政全体に向けられた言葉だと思いますけれども、一言で言いますと、麻生大臣と一度議論させてもらったことがありますけれど、企業が自分たちの利益ばっかり追いかけて働く人とか消費者とか下請とかを大事にしないと結局その企業の利益にもならないよと、中長期的に言えばですね。それは金融機関も同じで、目先の利益ばっかり追いかけるのではなくて、顧客の利益、顧客と共通の利益を追求することが中長期的にその金融機関も発展するんだというような哲学ではないかというふうに思うわけですね。これは、単に無担保でどんどん貸せとかそういうことではなくて、きちっと寄り添って目利きをして本当に一緒に発展していけと、いくべきだというようなことではないかなというふうに思って理解しております。  ただ、余り片仮名は使わない方がいいんじゃないかと。覚えにくいし、これ特に発音しにくいんですね。大体、政府が片仮名を使うときはうさんくさいと思われがちなので、これいい内容なんだから何かいい日本語ないのかなと思いますし、顧客本位と言うんだったら顧客が使える言葉がいいと思うんですよね。お客さんが金融機関に対して、おたくフィデューシャリーデューティーやっているのかというふうに言えないですよね。もっと、顧客本位ならお客さんにも使える、お客さんが金融機関を諭すときに使える言葉を考えてもらいたいななんて思ったりもするんですけど。顧客本位業務運営だとちょっと当たり前過ぎて今までと何が違うのかとなりますので、工夫はお願いしたいと思いますけれども。  麻生大臣に、これ大事な問題なので本当にお伺いしたいんですけれども、先ほど申し上げましたとおり、基本的な経営姿勢が問われているといいますか、一番大事なところが問われている言葉だと思うんですけれども、この国会で取り上げた銀行がサラ金化していく問題とか、生保、損保の不払もありましたけれど、そういう保険会社の問題とか全て、やっぱりそういう経営の根本的な在り方のどっかが間違っていて絶えずそういう不祥事を起こすのではないかと思うわけですね。  ですから、いま一度、企業全般は特にそうですけど、銀行、保険会社もいま一度自分を振り返って、目先の利益ばかり追うのではなくて、顧客本位とは本当は何なのかということを徹底的に考え抜いて、このフィデューシャリーデューティーですかね、言いにくいんですけれども、この考え方を、金融業界全体は当たり前で、経済界にもやっぱり浸透していくべき言葉ではないかというふうに思うんですけれど、そういう点で更にこれを広げてほしいし、徹底してほしいと思いますが、大臣のお考え、伺いたいと思います。
  94. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) フィデューシャル、いわゆる信託されるというような意味ですけれども、いわゆるフランス語でノーブレスオブリージュという言葉がよく一般的に昔言われたんですけれども、最近、まずそういった感じのする人が国会にもいませんし、余り一般的に見かけなくなったせいもあるんだと思うんですが。  このフィデューシャリーデューティーという言葉は、間違いなく今後広まっていくかというと、こんな発音しにくい言葉が広まっていくはずがないと、私はそう思っておりますので、これをしかるべき日本語というのはちょっとなかなか考えにゃいかぬところなのかもしれませんけれども、少なくとも信託される側の義務というのを満たしているかという話を簡単にはしているんですけれども、もうちょっときちんとした、ちゃんと意味のある内容の言葉を考えないとちょっといかぬのじゃないのかなと思っております。  例えば、よく最近、どうですかね、いい例で、今、アパート経営というのを、結構高齢者が退職した後に、建てた家、マンションにしてというのじゃなくて、そこをアパートにしてアパート経営というのをやるというわけですよね。結構地方でもおられると思いますし、京都なんかでも結構あるはずなんですが。銀行が持ってくるわけですよ、土地担保に建物全部建てます、入居者も全部探しますよと。全部見たら、全く文句ないようにできているんですよ。それに乗るでしょうが。余り訳の分かっていない御高齢者の方々は、まあ息子も田舎帰ってこないし、じゃあというので。で、入室者を確実に探してくれるといったら、何も努力しなくて金が入ってくるし、遺産相続対策にもなるじゃねえかとかいろんな、全部うそじゃありませんから。  しかし、じゃ、その隣にもっと立派なアパートというか二十階建ての高層マンションができたら、少なくともこちらの入居する予定者はこちらに移りますよ。こちらの分は探してくれる約束だったじゃないかと。約束していますよ。だけど、これ多分、当然のこととして値段が下がるんですよ、一部屋二十万円が一部屋十万円じゃなきゃ借りてくれる人はいませんと。その種の話になってきたら、いや、それはちゃんと契約書そう書いてありますからって。よく読むと小さな字で書いてあるわけです。これはフィデューシャリーデューティーとしてどうですかって、これ、私、質問した内容の一つなんですけれども、それは間違いなく、これちゃんとそこの近くにマンションが建つかもしれないという情報というのを持っているのは金融側若しくは建設業者側ですから。  そういったところも一つの例として、私の周りで見ているとそういった話になるんですが、こういった話は残念ながら永田町とか霞が関にいたら絶対入ってこないんですよ、こんな話は。だって、この辺にそんなやついませんから。だから、自分で歩いて探さにゃしゃあない。だから、国会議員というのはちゃんと地元歩いたり人の情報を集めにゃいかぬというのを僕はよく、国会議員も二回生、三回生になってきたやつ以上になってくると、みんな必ずその話をするんですけれども。  是非そういった意味で、こういったものは基本中の基本なんですけれども、これはなかなか、商売をする側からいったら、それは黙っておいて、とにかくこれだけというのを先に考えるのは分からないこともありませんので、ここのところはやっぱり、ノービリティーオブリゲーションとかノーブレスオブリージュという言葉と重なってくるところなんですけれども、是非そういった基本的なところを定着させていく、あきんどとして又は商売人としてのきちんとした魂というものの一番の根源のところだと思いますので、これはなかなか浸透させていくには時間が掛かるんだとは思いますけど、きちんと、これは日本人がもう本来持っていた一番肝腎なところだと思いますので、大事にさせていきたいと思っております。
  95. 大門実紀史

    大門実紀史君 終わります。
  96. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 日本維新の会の藤巻です。よろしくお願いいたします。  まず、金融庁にお聞きしたいんですが、メガバンクと地銀と主要行に分けて教えていただきたいんですが、簿価会計が適用されるポートフォリオ勘定と、それから時価評価されるトレーディングアカウントを、保有される債券の割合を、どちらがどのくらいかということを教えていただければと思います。
  97. 遠藤俊英

    政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。  二〇一六年九月末時点における業態ごとの投資信託等を含む債券の保有比率を申し上げます。  まず、メガバンクでは、時価計上されるもの、これは売買目的有価証券あるいはその他目的有価証券でございますけれども、これが九二%、それから簿価計上されるもの、これは満期保有目的でございますけれども、これが八%でございます。地域銀行では、同じく時価計上されるものは九六%、簿価計上されるものは四%でございます。メガバンクでもない地域銀行でもないその他の主要銀行、これは、例えばりそな銀行とか三菱UFJ信託、みずほ信託、三井住友信託、それから、新生、あおぞら銀行でございますけれども、このその他六行におきましては、時価計上されるものが九〇%、簿価計上されるものが一〇%という形になっております。
  98. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 意外と時価計上されているものが多いなと思って感心したんですけれども。  次の質問いたしますが、その前に、銀行というのはとかく、というか、現場としてはとかくその簿価会計をしたいものですよね、毎日毎日損益がぶれるというのは極めて心臓に良くないのでなるべく簿価会計に入れたいと思うんですが、そのポートフォリオ勘定かトレーディング勘定を振り分ける基準について教えていただければと思います。
  99. 池田唯一

    政府参考人池田唯一君) 銀行法令上、いわゆるトレーディング勘定を設置する銀行におきましては、銀行が金利等の短期的な変動や市場間の格差等を利用して利益を得る目的等で行う取引やその財産についてはトレーディング勘定において経理するということとされております。  そして、トレーディング勘定において経理される債券のうち、時価の変動により利益を得ることを目的とする売買目的有価証券、これにつきましては時価で評価をして評価差額を当期の損益に計上すると。それから、トレーディング勘定以外の債券につきましては、満期まで所有する意図を持って保有する債券、いわゆる満期保有目的債券については取得時の価額に基づいて評価を行うと。それ以外の債券、いわゆるその他有価証券に属する債券につきましては、時価で評価をしますが、評価差額は原則として当期の損益には計上しないといった処理がされているということでございます。
  100. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 ちょっと最初の遠藤局長の話に戻るんですけれども、これ単なるコメントですけどね、今お聞きしていると、時価会計がかなりほとんどで簿価会計がかなり少ないという印象だったんですが、それにしては地銀の毎年毎年の利益が余りにも一定しているなと。普通、時価会計だったらかなり上下すると思うんですが、それにしては安定するなというイメージがありました。ただ、これ質問通告していませんので、いずれお聞きしたいなというふうに考えて、単なるコメントです。  次に、質問続けますけれども、簿価会計の債券、時々、金利動向が逆になると思うと金利スワップ等でヘッジをする、逆方向の取引をする可能性もあると思うんですが、そのときの金利スワップは時価評価になるんでしょうか、簿価評価になるんでしょうか。例えば七割ぐらいの相関関係、コリレーションがあれば簿価会計にするとか、そういうような決まりがあるのかどうか、教えていただければと思います。
  101. 池田唯一

    政府参考人池田唯一君) 御指摘のありました売買目的以外の債券に係るリスクをスワップ等を用いてヘッジする場合ということになろうかと思いますが、そうしたスワップ等が企業のリスク管理方針に従ったものであり、かつ、ヘッジ対象となる債券とそのスワップ等の損益が高い程度で相殺されると、そうした要件が満たされますときには、スワップ等に関しましては時価で損益を認識しますが、その認識しました損益を繰り延べるということによりまして、債券に係る損益とスワップ等に係る損益を同じタイミングで認識することができるというような会計処理が認められているところでございます。
  102. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 これはちょっと聞くまでもないことだと思うんですが、簿価会計とそれから時価会計をして、きちんとしたカテゴリー別にきちんと各金融機関が分けているというのは、当然検査対象に入っているということでよろしいでしょうか。
  103. 三井秀範

    政府参考人(三井秀範君) 先生御指摘のとおりでございまして、トレーディング勘定については、そういう区分経理をするということになっていますので、それがきっちりその運用ルールとして定義されて、かつその明確な組織区分と独立した意思決定権限を有しているか等々について必要に応じて検査をしておるところでございます。
  104. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 次にお聞きしたいのは、アメリカ証券取引委員会、SECですけれども、銀行のポートフォリオとかトレーディングアカウントだろうと全て時価評価を要求しているという私は認識があるんですが、それは正しいでしょうか。
  105. 池田唯一

    政府参考人池田唯一君) アメリカの会計処理、私どもの理解していますところでは、企業が保有する債券につきましては、アメリカの会計基準におきましても、日本の会計基準におけますと同様、売買目的の債券については時価で評価をしまして評価差額を当期の損益に計上いたしますが、満期保有の債券については取得時の価額に基づいて評価をする。それから、その他有価証券に属する債券につきましても、時価で評価した上で当期の損益には計上しないといった基本的には日本と同様の取扱いになっていると理解をしているところでございます。
  106. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 これもちょっとコメントなんですけれども、私は十五年アメリカの銀行におりましたけれども、会計基準ではどうであれ、債券それからスワップ、全て時価評価なんですよね。昔は今局長がおっしゃったとおりの会計をしていましたけれども、業績評価で簿価会計が入ってくることは全くなくて、私どもの現場、会長、社長の業績全て時価会計でボーナスが決まると。まあ外資の場合、ボーナスが大きいあれなんであれですけれども、まさに行動パターンを決めているのは全て時価会計なんですね。  ですから、そういう面でいうと、現場であった私の、リスクテークをしていた私は、最初はポートフォリオ勘定、要するに簿価会計ができるポートフォリオ勘定とトレーディング勘定、要するに時価会計をしなくちゃならないトレーディング勘定、二つ持っていたわけです。なるべく簿価会計の方に入れようとしていたんですけれども、それが全くなくなりましたので、もう勘定を一つにしまして、どっちに入れようと全て時価会計ということで、そういうふうになった。私は自分の経験からして、これがアメリカの銀行のかなりの強みになったのではないかと思っています。  会計というのは物すごく銀行の行動パターンを変えるなということを実感したんですが、その感覚、経験からちょっとお聞きしたいんですけれども、まだポートフォリオ勘定を簿価会計をしているときに、ヨーロッパのある我が銀行の支店、物すごく今後金利が上がってくるだろうと皆が思っているときに、あるトレーダーがどんどんどんどん長期国債を買っていったんですよ、買い増していた。先ほどの雨宮理事の回答もありましたけれども、要はポートフォリオをこう積み上げていくと、長期金利の方が短期金利よりも高いですから、買えば買うほど利益が上がっていくんですね、その年は。でも、銀行としてはそんなことやっちゃいけないわけですよ。でも、そのトレーダーとしてみると、それをどんどんやっていった。それで、大きい金利差が、ボリュームが大きくなれば多額の利益が出ますので、そこで大きいボーナスをもらって翌年辞めちゃったわけです。そうすると、その年、翌年は、どんどんどんどん短期金利もマーケットの予想どおり上がっていって、短期金利の方がその買った長期国債利回りよりも逆転しまして、その後物すごい損失を計上したということがあるわけです。  ということは、長期だとして買うにしても、これ簿価会計だと銀行の利益とトレーダーの利益とは相反しちゃうんです。日本でいえば、経営者の利益と銀行の利益とが相反しちゃうと思うんですね。そういうことを考えると、そういう金利が上がるときは必ず長期国債売らなくてはいけませんから、上がった後買うというのが正しい判断ですから、上がるとき、それが時価会計であればきちんと売るんですよね。要するに、役員にしろ、それからトレーダーにしろ、その利益と会社の利益が時価会計をやっている限り一致するんです。そういう意味でいうと、だからこそアメリカのSECは全てを時価会計にしろという判断になったかと思います。  次に、ちょっと大臣にお聞きしたいんですけど、その前に、そういう、今私が申し上げた考え方についてどう思うか、担当者の方からお聞きできればと思います。
  107. 遠藤俊英

    政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。  御指摘のように、銀行の保有する債券がどういった会計勘定になるかと。売買目的有価証券及びその他有価証券につきましては時価評価されていると。したがって、金利が低い局面で売却し、金利が高い局面で購入する誘因が働く可能性があるという一方で、満期保有目的の債券につきましては、これ、そもそも売却を意図したものではなくて、時価ではなく簿価で貸借対照表に計上されているということでございますので、長期金利が上昇する局面において売却しようという誘因は働かない可能性があるという先生の御指摘は確かにそのとおりだなというふうに思います。  他方、先ほど答弁したとおり、我が国の銀行の保有する債券はこれほとんど時価評価されているということから、総体として見れば御指摘の懸念というのは日本の銀行に関しては小さいのではないかなというふうに考える次第でございます。
  108. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 私も、最初の質問で、時価評価がかなり少なくて簿価評価ばかりだったら、もう是非、全部時価評価にしろというふうに主張するつもりだったんですが、もう随分改善されているということだったのでその主張はしませんけれども、ただ、やっぱり米国の銀行にいた経験からしますと、時価会計というのは債券だけじゃなくて物すごくメリットがあるなと私は思っているんですね。  例えば、バブル崩壊のときも、あれは簿価会計だったがゆえに日本はバブル崩壊から立ち上がれなかったと私は思っています。なぜならば、時価会計であれば、新しい社長は昨日と比べて損切りをするかどうかを決められるわけです。というのは、損失というのは、昨日まで、もう全部計上されているわけですね。ところが、簿価会計で持っていると、前の社長がやらなかったその損を、売却することによってどおんとそのときに出ちゃうわけで、かなり意思決定が遅れる。だからこそ私はバブルの崩壊がずっと長引いたと思うんですよね。  だから、そういうことを考えると、時価会計のメリットというのはかなり大きいと思うので、いろんな、先ほど大塚耕平議員が真贋について質問をしていましたけど、六月八日の日経新聞に地銀の債券保有に新規制ということがありましたが、いろいろ新規制を考えるよりは、もう全てに時価会計という概念をやればかなりのガバナンスが利いて日本の金融機関というのは健全になるのかなと。  特にアメリカ、その経験からすると、やっぱり土地の保有とか、それから株の保有とかいう、持ち合い株なんというのはアメリカの銀行ないわけで、それは本業に関係ないところで損益がぶれるのは嫌だということで本業に回帰していくわけですよね。  ですから、会計というものをきちんと考えるということは極めて重要なのかなと思うんですが、その辺について、大臣、お答えいただければと思います。
  109. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今言われましたように、別にするというのは大事なところだと思っておりますが、少なくとも今資金需要が低迷しているという事情、傍ら金は銀行に余っておる、個人金融資産はとにかく一千九百兆とかいうようなレベルの話になってくると、銀行にとりましては、これは、どんどんどんどん預金は増えるわ、借りてくれる人はいないわという話になると、あれ、金借りてくれる人がいないと金貸しという商売成り立ちませんから、いろんなほかのところでそれ補おうとされるというので、いろんなリスクを取って収益を確保されようという動きというのは、特に地域銀行、地方銀行において多いような感じはしますけれども。  その金利のリスクに関わることに関しては、私どもとしては、地銀の債券保有というものに関していわゆる新規制とか、いろいろ表現は使っていますけれども、そういったものにどんどん、そっちの方が安全というか、これは仮に、今言われましたように、今日、今晩だか、あしたの朝かFRBが出しますけど、それが仮に上がった場合は、間違いなくアメリカの金利が上がればアメリカのドルの値打ちがいわゆる上がるということになる可能性というのはもう十分にあるんだと思いますけれども。  そういった意味で、私ども、いろんなことを、こういったリスクに関わるものはほかのところに分散してもらわなきゃ駄目ですよという話を申し上げておるんでありまして、ただ、今我々が言っておるこの話は、何も債券の話だけをしているんじゃありませんので、貸出しとか、また預金を含めたような話で、金融機関全体の金利リスクというものに対して我々としては検討してもらいたいということを申し上げているので、これは画一的な規制とするわけではありません。先ほど大塚先生にもお答えしましたけど、画一的な規制をやるのではなくて、金融機関に対してきちんとしたもので我々としては細やかなことをやっていかないかぬのだということを目的としたものであります。  今御指摘になりました金融機関債券の保有に関する金利リスクのみに着目したものでは必ずしもありませんので、枠組みの代替になるものではないのではないかというのが率直な実感です。
  110. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 佐川局長と経産省お呼びしたんですが、大変申し訳ないんですが、時間がなくなってしまったので今日はここで終わりにさせていただきます。  ありがとうございました。
  111. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時六分散会