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2017-05-25 第193回国会 参議院 財政金融委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年五月二十五日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十三日     辞任         補欠選任      辰巳孝太郎君     小池  晃君  五月二十四日     辞任         補欠選任      鶴保 庸介君     高野光二郎君  五月二十五日     辞任         補欠選任      小池  晃君     吉良よし子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤川 政人君     理 事                 大家 敏志君                 中西 健治君                 長峯  誠君                 三宅 伸吾君                 大塚 耕平君     委 員                 愛知 治郎君                 石田 昌宏君                 高野光二郎君                 徳茂 雅之君                 中山 恭子君                 松川 るい君                 三木  亨君                 宮沢 洋一君                 山谷えり子君                 風間 直樹君                 古賀 之士君                 白  眞勲君                 藤末 健三君                 杉  久武君                 平木 大作君                 吉良よし子君                 大門実紀史君                 藤巻 健史君                 渡辺 喜美君    国務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        麻生 太郎君    副大臣        内閣府副大臣   越智 隆雄君        財務大臣    木原  稔君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        武村 展英君    事務局側        常任委員会専門        員        小野 伸一君    政府参考人        金融庁総務企画        局長       池田 唯一君        金融庁総務企画        局総括審議官   森田 宗男君        金融庁監督局長  遠藤 俊英君        財務大臣官房長  岡本 薫明君        財務省理財局長  佐川 宣寿君        経済産業大臣官        房商務流通保安        審議官      住田 孝之君        経済産業大臣官        房審議官     中石 斉孝君    参考人        日本銀行総裁  岩田規久男君        日本銀行理事   雨宮 正佳君        日本銀行決済機        構局長      山岡 浩巳君        日本郵政株式会        社常務執行役   田中  進君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○銀行法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 藤川政人

    委員長藤川政人君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、辰巳孝太郎君及び鶴保庸介君が委員辞任され、その補欠として小池晃君及び高野光二郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  銀行法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として金融庁総務企画局長池田唯一君外六名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  銀行法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁岩田規久男君、同理事雨宮正佳君、同決済機構局長山岡浩巳君及び日本郵政株式会社常務執行役田中進君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 銀行法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 中西健治

    中西健治君 おはようございます。中西健治です。  本日は、銀行法等の一部を改正する法律案についての審議ということであります。  まず、私の日本銀行に対するちょっと考えみたいなところから始めていきたいというふうに思っていますが、金融というとグローバルなイメージというのがあるかと思いますが、事個人分野個人金融リテール分野は基本的にローカルな色彩が強いというふうに思っております。それぞれの国の文化の中で育まれた一種独特の公共財のような性格を持っていて、おいそれと外から入ってこられるものではないと、こんな認識を持っています。例えば、例外的に世界中リテールバンキングを展開していたシティバンクですとかHSBCが日本のみならず多くの国の個人向け金融業務から撤退したのは、御存じの方が多いことだろうというふうに思います。  その日本個人金融部門の特徴ですけれど、これは一にも二にも消費者銀行を信頼しているということではないかと思います。私もアメリカにいた時期がございますけれどもアメリカでは基本的に銀行は間違えるものであると、こういうふうに思っている人が非常に多いです。ですので、公共料金、これを自動口座振替をしてもらっているという話をすると、みんな目を丸くするということであります。銀行員に勝手にお金を動かされたくないと、こういうような思いを持っているということであります。  そういう意味で、まあ今回の件ではありませんけど、商工中金バンクと名のって、商工中金バンクと名のっているわけですから、これは、今回の不祥事というのは大変深刻なことであるというふうに思っております。  この銀行ですけれども銀行の信頼が高い。今回、銀行法改正フィンテック動きが加速する中で、フィンテック業者それ自体信用度が高くない、どういう会社か分からないということで今回登録制にするんですが、銀行との契約内容などを開示することによって、言わば銀行信用力というものに依拠してこの制度の枠組みをつくっていくと、こういうふうになっているのかなというふうに思います。ですから、日本金融の文脈の中で今回の法改正というのは理解し得ると、私はそのように考えております。  しかし、今後のフィンテックの発展という観点から幾つかお聞きしたいというふうに思います。  一つは、元々IT分野金融というのは親和性は非常に高いというふうに思います。AIの進化などもありますので、これから想定もしなかったものがどんどん出てくるということになるだろうというふうに思います。いろんなフィンテック企業が出てきますけれども、今回の銀行法改正は、銀行の方でのAPIオープンにするということの義務というのは課されておりません。努力ということに、努力義務ということにとどまっております。  五十二条の六十一の十一というのを見ても、フィンテック業者などとの契約内容を公表し、不当な差別的取扱いを行ってはならないとなっていますが、いかにこの接続ということ、オープンということを有効性あらしめるものにするのか、お聞きしたいと思います。
  9. 池田唯一

    政府参考人池田唯一君) お答え申し上げます。  御指摘オープンAPIというものは、フィンテック企業のみならず、金融機関にとりましても、フィンテック企業との連携協働を進めることによりまして、創意工夫を生かして、IT進展等環境変化に積極的な対応を図っていくということを可能とするものだというふうに考えております。こうした趣旨に鑑みますと、できるだけ多くの金融機関オープンAPI導入して、フィンテック企業と幅広く接続することが重要であると考えられようかと思います。  このため、今回の法律案では、金融機関に対しまして、電子決済等代行業者等との連携及び協働に関する方針を策定、公表する、それから、御指摘のありましたように、併せて電子決済等代行業者との契約に関する基準策定、公表を求めている、そして、これも御指摘ございましたけれども策定した基準を満たす電子決済等代行業者に対して不当に差別的な取扱いを行ってはならないという規定を設けさせていただいているところでございます。  これらの規定を実施していきますことによって、オープンAPI自体は御指摘のとおり努力義務という扱いにはなっていますが、これらの規定全体を実施していくことによりまして、銀行電子決済等代行業者との適切な連携協働が幅広く図られ、利用者保護及びイノベーションの推進につながっていくということを期待しているところでございますし、そうした状況に進むことをよく注視をしていきたいと考えているところでございます。
  10. 中西健治

    中西健治君 オープンAPIに関しては、後から、いやあ、義務化しておけばよかったというふうに言われないように、政省令などで細部をしっかり詰めていただきたいと思います。  あと一つお伺いしたいんですけれども、今回はリテール金融、特に決済業務の要となっている銀行に関する制度整備ということでありますけれども、容易に想像が付くのが、今後、消費者側から一つのアプリで、銀行だけじゃなくて、証券保険、こうしたものに全てアクセスしたいと、こういうニーズが出てきて、それに対応するものというのが出てくるんだろうというふうに思います。  そうすると、この銀行法改正だけではとどまらないということになるんじゃないかと思いますが、そちらについて今金融庁はどのように認識しているのかということをお伺いしたいと思います。
  11. 池田唯一

    政府参考人池田唯一君) 御指摘のとおり、フィンテック動きは今後も多様に進展していくことが予想されるところでありまして、そうした中で、ITを活用することで規制領域をまたがるサービスが登場、拡大していくということは十分考えられるところだというふうに考えております。そうしたことを踏まえましたときに、法制の大きい方向として、より横断的な規制体系整備というようなことが一つの重要な視点になるということは、御指摘をそうしたものと受け止めておるところでございます。  その上で、具体的にどのような制度設計にしていくかということにつきましては、イノベーションを阻害するようなものになってはいけないところでもありますので、サービス実態利用者保護の要請の度合い等を踏まえて、基本的にはリスクの程度に応じてきめ細かな手当てというものが必要になってくるのだと考えておるところでございます。  いずれにしても、今後、法規制体系の在り方については幅広く勉強をしていきたいというふうに考えております。
  12. 中西健治

    中西健治君 二年も三年も制度設計までに掛かるということになると、その間に世の中は全く先に動いていくということになりますから、今回、銀行法改正と同じようなタイミングで次のことというのは考えておかなきゃいけないものではないかというふうに思います。ですので、できる限り早めにこうしたものに対する横断的な対応ということもしていただきたいというふうに思います。  次に、本日取り上げたいのは、国際金融の中で日本が大きく出遅れてしまっているリーガル・エンティティー・アイデンティフィケーション、LEIコードと呼ばれるものであります。  これは取引主体識別コードという日本語で訳されていますが、これはどういうことかというと、リーマンショック反省一つに、それぞれが保有する金融資産そのものリスク管理はできていても、取引相手先別リスク管理が不十分であったために、相手破綻等の事象が及ぼす影響金融機関自身金融監督当局が迅速かつ正確に把握することができなかったということであります。リーマンが破綻するときにうちはどれだけやられるんだということが分からない、こういう問題であります。この反省に立って、このLEIというのが海外でというか世界中整備をされているという状況であります。  リスク管理高度化ですとか、あと脱税マネーロンダリングテロ資金対策、さらには資本フロー情報ビッグデータとしての利用ども視野に入れて、今世界的にLEI導入が進んでいますが、このLEI、まだなじみのない方も多いと思いますので、金融庁、概略を簡潔に説明していただけますでしょうか。
  13. 森田宗男

    政府参考人森田宗男君) お答え申し上げます。  LEIとは、金融取引等を行う主体を識別するための国際的な番号でございまして、先生御指摘のとおり、今般の世界的な金融危機後、金融取引実態を効率的、効果的に把握する目的から、二〇一一年のG20カンヌサミット首脳宣言により導入が合意され、利用が進められてきたものでございます。  LEI導入によりまして、特に金融機関等が行うクロスボーダーでの取引把握が容易になり、また法人ごと取引量の集計が可能になる等、データ利便性透明性向上に寄与すると考えられますことから、世界各国でその利用が始まっております。  LEIは、我が国では東京証券取引所が二〇一四年八月から金融機関等への付番を行っておりまして、金融機関等の申請に応じて、二十桁の数字、アルファベットの組合せで構成される番号で、法人ごと一つ付番をしているところでございます。
  14. 中西健治

    中西健治君 その説明のとおりなんです。G20で決められて、これはもう国際的に金融機関そしてファンドなどは皆取得していきましょうと、こういうふうにされているものであります。  ところがなんです。グラフをお配りしていますけど、御覧いただきたいと思います。日本のこのLEI取得状況というのは極めて今良くない、取得件数も少ないという状況になっております。アメリカが十一万八千五百十五件に対して、日本は四千六百七十二件にとどまっております。  これはどういうことなのかということ、金融機関ファンドごと取得状況などを確認しているのか、そしてどうしてこんなに低いレベルにとどまっているのか、金融庁にお伺いしたいと思います。
  15. 森田宗男

    政府参考人森田宗男君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、本邦金融機関取得件数につきましては、グローバルな統計作成を開始いたしました二〇一四年以降増加傾向にはございますけれども、二〇一六年末には四千六百七十二件となっているものと承知しております。東京証券取引所によりますと、この内訳につきましては、銀行五十八件、証券会社五十二件、保険会社四十五件、年金や投資信託といったファンド三千九百五十件、その他五百六十七件となっているというふうに聞いております。  LEI業態ごと取得状況につきましては、例えば外国金融機関等クロスボーダー店頭デリバティブ取引等を行うなど、金融機関等業務内容等に応じた必要性の有無によってばらつきが生じているものというふうに考えてございます。
  16. 中西健治

    中西健治君 他国に比べてこれだけ取得率が低いということについてはどのように分析していますか。
  17. 森田宗男

    政府参考人森田宗男君) お答え申し上げます。  確かに、金融取引実態把握の強化というLEIの本来の趣旨に鑑みますと、我が国におきましても金融機関等に対してLEI取得促進していくことは重要であり、金融庁におきましても、これまでLEIの国際的な議論に関する説明会金融業界向けに行うなど、LEIに対する理解向上に努めてきたところでございます。  また、国際的にもLEI利便性向上利用促進等観点から議論が行われているところでございまして、金融庁といたしましては、こうした国際的な議論に積極的に参画いたしますとともに、今後とも引き続きLEI重要性等に対する金融業界理解向上に努め、更なる利用促進に向けて取り組んでいきたいと、このように考えてございます。
  18. 中西健治

    中西健治君 いや、国際的な議論に参加するのであれば、まず国内で取得率を高めるということをしなけりゃいけないんじゃないかと思います。  アメリカ取得件数が大きいのはリーマンショックの直接的な影響があったからだと、こんなような説明もあったりするんですが、見てください、二番目イタリアですよ。こうしたヨーロッパの国々のみならず、ほかの国々でも法整備というのは進んでいます。そして、これはもうLEIを使用しなければいけない、義務になっているという国がたくさんあるんです。  二枚目のA3の資料を御覧いただきたいと思いますけれども、米国やカナダ、EU、イギリス、こうしたところではたくさんの法律にもうLEIは書かれているんです。というのは、いろんな局面でLEIが必要ですよということがもう義務化されているということであります。我が国の名前はこちらには出ておりません。アルゼンチンですとかイスラエルというのも、強制力は伴わないまでも法規制というのを行っております。この状態でいいのかということであります。  私がいろいろと金融機関など聞き取り調査をしますと、今お答えがあったとおり、真面目に取り組んでいるところもあるんです、金融機関の中で真面目に取り組んでいるところもある。けれども、いや、これはもう義務化されていないんだから日本じゃ必要ないよと、こういうようなことを公言している金融機関というところもあります。それでいいのかということです。  金融庁は今プリンシプルベース金融行政というのに変わってきていると思います。以前は重箱の隅をつつくというふうに言われていましたけど、今はプリンシプル行政プリンシプルに基づいた監督ということでありますけど、このプリンシプルを守らない人がいるんです、プリンシプル理解していない金融機関があるということであります。そうしたところに対してどうすべきなのかということが問われてくるんじゃないかというふうに思います。  私が懸念していることは二つなんです。  一つは、こうしたLEI取得していない主体に対しては世界の主要な金融機関及び中央銀行取引をするなと、こういうことを言い出しています、そういう傾向が出てきています。そうすると、LEIを取っていない日本金融機関ファンドなどは、いや、それで取引してくれるところと言わば村社会取引だけを行っていく、世界から取り残されていく、こうしたことが起こり得るでしょうというのが一点です。  あともう一点、もう一点は、これは本人確認に関わることでありますから。数年前に我が国FATFからマネーロンダリング本人確認が弱いという先進国の中では異例の指摘をされてしまいました。それ、銀行性善説に立っている部分もきっとあったのだろうというふうに思いますけれども、やはり制度化をしっかりしているかどうかということで見られているということなんじゃないかと思います。  まさに本人確認に関わるこのLEI、次のFATFの第四次審査というのが二〇一九年にありますけれども、それに直接つながるかどうか分かりません。しかし、また日本マネーロンダリングやこうした脱税などについて審査が厳しくない、制度的に確立されていないと、こういう指摘を受ける可能性もあり得るんじゃないかというふうに思っています。ですので、これは早め手当てをしていくということが、法規制なのかそれとも指導なのか、いろいろあり得ると思います。しかし、この今の取得率では全然話にならないという状況なんじゃないかと思いますが、済みません、大臣に今までの話を聞いてお答えいただきたいと思います。
  19. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これ、カンヌの、カンヌでしたかね、たしかあのときのサミットで、これは二十桁の番号を入れてこういったのをやるという話が出たんだと記憶をしますけれども、あのとき以来今日まで、今言われたような状況になっておりますのはもう間違いないんですが。  いずれにいたしましても、こういったものをやらないと、これ国内的にはいわゆる銀行信用が高いものですから別に何ということないということになっていたんですけど、いわゆるこれ、マネロンの話が入ってきますので、こちらの方からもこれは結構いろんな話を使われるだろうなと私らもそう思いますので。このリーガル・エンティティー・アイデンティファイヤーというような、これ何でそんなものが必要なのかと、これ必ず聞かれますから。いや、これ、信用できる人たちばっかり相手にしているんじゃねえんだと、そうじゃないのがいっぱいいるからそれとの間のときを考えて、こちらの人の信用がないからこちらの信用もなくなった、結果としてクレジッタークレジッターというのは、やっている人の信用もなくなるというのでは、割食うのはこっちじゃないかと、だからちゃんとやってもらおうという話なんですけれども。  透明性向上するというのは結構大きなことなので、そういった意味では、これは私どもは、このいわゆるLEIというものが金融取引透明化に資する部分も極めて大きいというので、これマネロン対策上も大きいんだという点から、私どもとしてはこの利用促進というものを更にちょっとしっかり進めさせていただこうと、基本的にはそう思っております。  その上で全然数字が上がらないということになるのであれば、それはその段階でもう一回考えなきゃいかぬことになろうかと思います。
  20. 中西健治

    中西健治君 是非これは厳しく前に進めていってもらいたいと思います。  東証が代行していますけど、このLEI取るの、料金としては二万円ですから、ちゃんとやるかやらないかという話だと思いますので、やっていくようにお願いしたいと思います。  私の質問終わります。ありがとうございました。     ─────────────
  21. 藤川政人

    委員長藤川政人君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、小池晃君が委員辞任され、その補欠として吉良よし子君が選任されました。     ─────────────
  22. 藤末健三

    ○藤末健三君 おはようございます。民進党・新緑風会の藤末でございます。  私は政治家として一つの目標がございまして、我が国経済産業イノベーションとグローバリゼーションを進めたいというのがございます。そういう意味におきまして、本日このフィンテック麻生大臣がおっしゃいますように、金融監督庁から金融育成庁に変えるという、その大きな大きな私は一歩だと思っておりまして、その法案について質疑をさせていただくことについて関係者方々に感謝を申し上げたいと思います。  また、今日はちょっと質問数がすごく多うございますので、政府参考人方々は限りなく短く、的確に答弁をいただきたいと思います。  ただ、まず、このフィンテックに入る前に、前回のこの財政金融委員会白委員から質問がございました森友に関するメールの問題、このメールの問題でございますけれど、いろんなやり取りをこのメールやり取りをして、わざわざメールを削除しているということがございますが、メールを削除するという規定、私ははっきり言って聞いたことございません。もうコンピューターのメモリーはどんどんどんどん大きくなっている中、メールは基本的にエビデンスを残すために、仕事を合理的に進めるために残すというのが一般的だと思いますが、その規定があるかどうか、そしてまた削除の指示が出たかどうか、財務省の答えをお聞きしたいと思います。
  23. 佐川宣寿

    政府参考人(佐川宣寿君) お答え申し上げます。  本件の土地の処分につきましては、二十八年の九月の売買契約締結をもって事案終了したところでございます。そういう意味では、その間、紙の資料であれメールでございましても、その管理につきましては、行政文書管理規則に基づきまして保存期間が満了すれば処分をしているところでございます。  したがいまして、委員の最後のその指示が出ていたのかという御質問でございますが、個別の指示ということではなく、紙であれメールであれ、文書管理規則に基づき保存期間満了して処分をしていると、こういうことでございます。
  24. 岡本薫明

    政府参考人(岡本薫明君) お答え申し上げます。  今委員の最初の御質問にございました、財務省でメールについての削除の規定等々があるかということでございます。  今、理財局長から申し上げましたように、メールを含みます電子データの行政文書につきましても公文書管理法に基づく管理をしているところでございますが、一方、メールに関して申し上げますと、財務省のシステムにおきましてもかなりの容量を確保するようにしておりますが、やはり大量のメールメールサーバーにありますので、これを長期間保存することはなかなかできないという事情がございます。また、メールの削除の規定ということでありますれば、財務省及び財務局の情報セキュリティーに係る規則において、不要なメールは速やかに削除する旨という規定はございます。  ただ、いずれにしましても、行政文書として一定の期間を保存する必要がある場合には、このメールにつきましても印刷をして、適切な保存期間を設定の上、紙文書として保存しているというふうに承知をしているところでございます。
  25. 藤末健三

    ○藤末健三君 今官房長が、メモリーが足りないから、容量が足りないからメールの削除をするというのは、初めて聞きましたよ、そういうのを。メールの削除をする作業のコストの方がはるかに大きいはずです、メモリーよりも。  ちょっと僕はお願いしたいんですけど、是非システムの概要をください、私に、チェックしますから。メモリーが不足するからメールを削除するということをやっている組織なんか私聞いたことないですよ。それだけはちょっと申し上げますし、本当に委員の皆さんも聞いていただきたいですよ、この異常さを。  私が申し上げたいのは、これ私、財務省の信頼をことごとく落としていると思うんですよ。私は消費税を上げなきゃいけないと思っています、はっきり申し上げて。そのために何が必要か。それは政府の信頼であり、我々国会の信頼ですよ。納税してきちんとお金を使ってくれるという信頼がなければ、僕は税金を上げることできないと思いますよ。その信頼ことごとく落としています。罪は大きい、はっきり申し上げて。それだけは申し上げます。  時間がもったいないので、このフィンテック議論にさせていただきたいと思いますが、皆様のお手元にちょっと資料をお配りさせていただいておりますので御覧になっていただきたいと思います。相当気合を入れて作ってまいりました、これは。  今回のこの銀行法改正、何がポイントかと申しますと、この一枚目にございますAPIの公開というのがございます。銀行のシステムは何かというと、いろんなシステム開発会社に閉じていたものを、ゲートウエーをつくり、そしてAPIという、オープンでコンピューターのネットワークをつなげられるようにする、それによって外部のフィンテック企業がどんどんどんどん生まれてくるという仕組みをつくるというのが大きなポイントになります。  フィンテックが起きると何があるかと申しますと、大きく、下に、二ページ目にございますように、送金の決済をスマホで行える。家計とか資産管理を一元にして、通帳でなくてもできるようになる。あと大事なことは、企業の会計や資金調達、後でお話ししますけど、資金調達ができるようになる。あと保険です。例えば、スマホを持っていて万歩計が付いていて、一万歩以上毎日歩いていると保険が安くなるとかですね。そういうサービスがもう具体的に生まれてきているというのが現状でございまして、やっぱり基本的なポイントは何かと申しますと、このAPIをきちんと設計すること、ここに尽きるわけでございます。  ただ、私が実際にいろんな金融機関方々と話をしていますと、何が起きているかと申しますと、一つありますのは、メガバンクみたいな大きなところはどんどんどんどん開発を進めている、もう準備が終わりそうになっているところもあります。一方、地方銀行で小さいところは全く何していいか分からない、APIって何だろうというレベル。あと信金、信組については協会で対応しようという動きが出ているわけでございます。そういう金融機関における格差。そしてもう一つございますのは、いろんなシステムを開発する会社がございますけれど、このAPIの開発の値段が、上は数億、数千、そして数百万円という、オーダーが二桁違うんですね。それが現状でございます。  恐らく、メガバンクが何をしようとしているかと申しますと、このAPIを公開するということで作業を進めていますけれど、このAPI利用料金、ゲートウエーの利用料金を高く設定するということをするところが出てくるのではないかと。そうしますと、新興のフィンテック企業は参入できないということが起きる可能性がございます。  そういうところにつきまして、是非とも金融庁におかれましては、これ、越智副大臣に、金融にお詳しい越智副大臣にお聞きしたいんですが、このAPI利用をなるべく進め、新しいフィンテックサービスが生まれるようにやっていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。お願いします。
  26. 越智隆雄

    ○副大臣(越智隆雄君) まず、オープンAPIは、金融機関のシステムに安全に接続する技術でございますけれどもフィンテック企業金融機関ITの進展を取り込むことなどによって、利用者利便の向上等に向けてオープンイノベーションを推進していく上で核となる重要な技術であるというふうに考えております。ここは委員とも感覚を共有するところだと思います。  このために、API接続に関する手数料等についてでありますけれども、御指摘のとおり、オープンイノベーションを着実に進めて新たなビジネスやサービスを創出していくとの観点を踏まえまして、金融機関フィンテック企業ITベンダーら関係者において、やり取りされる情報の内容等に応じて適切に設定されることが重要であるというふうに金融庁としても考えております。しかるに、金融庁としましては、その状況についてはしっかりと注視をしていきたいというふうに考えているところであります。
  27. 藤末健三

    ○藤末健三君 民と民の取引ですからなかなか官が介入をするのは難しいと思いますけれども、是非、フィンテックを育てるという意味で、このAPI利用状況をきちんとウオッチいただきたいと思います。  また、これ麻生大臣にお聞きしたいと思うんですが、先ほど申し上げましたように、システムを開発するシステムインテグレーターのベンダー間で開発のコストの差がございます。是非、監督官庁として、APIオープンAPIが推進されますよう、金融機関銀行のみならず、システムインテグレーター、システム開発会社、またフィンテックのプレーヤーなどと情報交換を積極的に行うような場をつくっていただきたいと思うんですが、大臣の見解を伺いたいと思います。お願いします。
  28. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) フィンテックなるファイナンシャルテクノロジーの急激な進歩というものを見ていきますと、利用者とか、中では利用者の便、不便という点もありましょうし、また、銀行代理業務等々をやっておられる人たち銀行業の間の人たち等々、いろんな意味での関係を見ていきますと、企業の生産性とかそういったものにきちんとこの技術の進歩がつながっていかぬと何の意味もないんですから、便利になったって何だっていう話ですから、生産性が上がっていかなきゃ意味がありませんので、そのためには、金融関係以外の人との連携とか協働とかそういうので、いわゆるオープンイノベーションとか、最近の言葉で言えばそういうことなんでしょうけれども、これを着実に進めていくことだと思っておりますので。この今回のAPI、いわゆるアプリケーション・プログラミング・インターフェースというようなものを見ていきますと、その核となる技術がこのフィンテックということになることは間違いないと思っているんですね、私は。更にもっと進みますよ、これから、技術が。  そういった意味から、金融庁としては、導入の費用というものに関しましては、これは複雑ないわゆる更新系の技術を付けて、この金をこっちの銀行からこっちに向けて移送してくれなんというような更新系の技術になると、これは金掛かるんですよ、これ。自分のだけ確認してというのだけだと数百万で済むけれども、更新、こっちからこっちにしてくれなんという話になるとすごい金が掛かるということになりますので。そういった意味では、このフィンテック全般について、これはフィンテックの企業とかベンダーの人も今言われたようにあるでしょうし、そういったもので意見をよく積極的に聞いて、この点に関しましてはどこが問題点なのかもう少しよく洗ってみぬと、数々おられますので、もう後から後からお見えになる人、言ってくることはみんなばらばらなことを言ってこられますから、丁寧に聞いていたらとてもじゃない、仕事なんてやっておられぬというぐらい物すごい数ですよ。  だから、そういうのに意欲があるのはええことなんですけれども、もうちょっとおたくらまとまって、どこが問題点か調べて一社にして持ってこいって、そっちの方が話がよっぽど早く進むよと。この間三人ぐらい会いましたので、同じことを三人ばらばらに言ったもんだから、三人まとめて一人でしゃべれ、言っていることは同じじゃないかと、こっちの時間を取られている俺の身にもなってみろと言って、この間ある会合で言ったことがあるんですけど、その横の連携は全くありませんからね。銀行みたいに横の連絡があり過ぎるのもいかがかと思うけれども、こっちは全くないから、ちょっと話にならぬなと思いながら、もうちょっと、しゃべっているんだったらまとめてね、こっちも時間が掛かるんだからなんと言って話をすると、お互いに初めてそこで俺が言われて名刺交換ですから、なかなかちょっと時間が掛かるかなと。でも、そういった意欲があることはすごくいいことだと思いました。
  29. 藤末健三

    ○藤末健三君 麻生大臣、本当にありがとうございます。  後で私、議論させていただこうと思っていましたけど、SIベンダー、システムインテグレーターベンダーは経済産業省の所管なんですよ。そしてまた、いろんなフィンテックのベンチャー系のことも経済産業省が所管で、意外と経済産業省でやっているんですよ、フィンテック議論。私はやはり、経済産業省と金融庁はもう極端な話言うと一体化して議論を進めていただかなければこのフィンテックの中身は進まないと思いますので、是非、役所も一つ、そしていろんな方々も集まるのが一つになっていただくということがこのフィンテックを進める起爆剤だと思いますので、是非大臣のイニシアティブで進めていただきたいと思います。  私、ちょっと皆さん、お配りしたページの三ページ目、ちょっと一枚めくって見ていただいてよろしいでしょうか。金融機関動きということでございます。  このフィンテックがどれだけインパクトがあるかというデータでございまして、例えばこれはマッキンゼーのレポートでございますけれど、二〇二五年までに銀行収益の一〇%から四〇%が消えるリスクがあるとか、あと自事業のうち三分の一がフィンテックで代替されて消えていくとか、あと当然のことながら店舗数も減っていく、そういうことが起きていくんではないかと。また、後で議論させていただきますが、ブロックチェーンという分散型のシステム、今は一緒、一つのところに集まっている集中システムでございますが、分散型によって送金、決済ができるようなことができるんではないかというふうに言われております。  ただ、今見ていますと、先ほどお話ししましたように、メガバンクなんかはどんどんどんどんAPIの開発などを進めておりますけれど、地方銀行の中には、他の銀行連携できず、このオープンAPI、どうやって対応すればいいんだろうかと言っているところも非常に多うございます。  ですから、是非とも金融庁として、銀行全体、金融機関全体がこのオープンAPI対応できるように指導していただきたいと思いますし、また、聞いていますとやっぱり、先ほど申し上げましたように、大きなシステムでいくと億行くようなオーダーになっていると。  是非、金融の安定化を所管する日銀としてもサポートいただきたいと思いますが、金融庁と日銀の見解をお聞かせください。お願いします。
  30. 池田唯一

    政府参考人池田唯一君) お答え申し上げます。  オープンAPI導入に関しまして、比較的小規模な地域金融機関の中に不安あるいは懸念を持っておられる方が存在するということは、我々も承知をしているところでございます。  このため、制度の円滑な実施に向けまして、全国銀行協会などの関係者連携しまして、制度の内容のほか、システムの導入に当たっての対応のポイントなどについて全国において説明をさせていただく機会を設けるなどの対応をしていきたいということを現在検討しているところでございます。  地域銀行でも七割程度の銀行は共同センターでシステムの対応をしておるので、そうしたところでの対応が可能かとは思いますが、そうでない銀行も三割程度存在しておりますから、銀行の実情に応じてきめ細かな対応をしていきたいというふうに考えております。
  31. 山岡浩巳

    参考人山岡浩巳君) お答え申し上げます。  日本銀行といたしましても、銀行とそれからIT企業、スタートアップ企業がAPIオープン化を通じて協力していくというオープンイノベーションは、フィンテックを通じて日本金融サービス利便性向上させていくという上で大変重要であるというふうに考えております。  日本銀行は、APIオープン化を含めまして、銀行の投資費用そのものを直接に助成するといったスキームは持っておりませんけれども、このAPIオープン化という極めて重要な問題につきまして、中央銀行の立場からどのようなサポートが行っていけるかということを真摯に考えまして、実際にいろんな取組を行っております。  まず、日本銀行は、昨年の四月にフィンテックセンターを設立いたしまして、昨年十一月にはこのオープンイノベーションオープンAPIに焦点を当てましたフィンテックフォーラムを開催しております。このフォーラムでは、銀行それからスタートアップ企業、IT企業など広範な主体を招聘いたしまして、日本金融を便利にしていく上で、様々な銀行と企業が協力していく、オープンAPIを通じて協力していくことの重要性について認識の共有を図ったということでございます。  それから、APIオープン化を進めていく上では、サイバー攻撃に対するセキュリティー対策、これも大変重要だと思っております。これにつきましても、日本銀行は自らのセキュリティーに関する調査研究の成果をこうした場で提供していくといった活動も行っております。  日本銀行といたしましては、今後とも、中央銀行の立場からAPIオープン化という大変重要な課題に向けまして、そういったオープンイノベーションを進めやすい環境の整備に向けて力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  32. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非日銀も連携して作業を進めていただきたいと思います。  先ほど申し上げましたように、恐らく三割の地銀が単独のシステムということでございまして、そういうところはやっぱりAPIオープンAPI対応がほとんど進んでいないんですよ、私が聞いている範囲だと。ですから、銀行間の格差が出てくると恐らく金融の安定的なシステム運用はできなくなると思いますので、日銀の業務として是非やっていただきたいとお願いさせていただきます。  それで、このオープンAPIの話に戻させていただきますと、一つございますのは、今のこの一ページ目に戻らさせていただきますと、この銀行等の中にゲートウエーという言葉が書いてあります、赤字で。これ、なぜわざわざ出しているかと申しますと、今の銀行は、勘定系システムと申しまして、実名を挙げますと、IBMや富士通、NEC、日立とかいう、そういうシステムインテグレーターがつくったシステムを使っていると。今どういうことかと申しますと、このオープンAPIをつくるゲートウエーのところも大体勘定系のシステムがつくっているような状況でございます。できましたら、ここをオープンにしていただきたい。  ですから、その勘定系システムとゲートウエーシステムを分けて、競争して開発をしてもらうようにすれば、ここは恐らくコストが下がったりするんではないかというふうに思っていますので、インターオペラビリティーの話をひとつやっていただきたいということと、そして、もう一つございますのは、これ、基本的に法律では二年以内にAPIオープン化を進めるということでございますが、二年ははっきり言って私は遅いと思います。  メガバンクさんなどにおかれては、一年以内にはもう対応できるようなところもあるわけでございますが、遅い方に合わせてこれ二年となっているという状況でございまして、私はなるべく早くこのオープン化、APIオープン化を進めていただきたいと、それも期間を明示していただきたいんですね。  なぜかと申しますと、外部のプレーヤーが、いつまでに何があるかということが分からなければ、投資できません、はっきり言って、これは。二年以内にやりますよじゃなくて、一年以内にここまで行きますということを是非金融庁においては進めていただきたいと思いますし、同時に、監督官庁として、このAPIの公開の現状把握をきちんとやって、それをきちんと公開していく、プレーヤーの人たちに、フィンテック企業人たちにということをやっていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。お願いします。
  33. 池田唯一

    政府参考人池田唯一君) お答え申し上げます。  まず、最初にございました金融機関のシステムの関係ですが、ITの進展を我が国金融経済の発展につなげていくためには、オープンAPIを含めたシステムの開発にも、従来からシステムを整備しているIT業者にとどまらず、多様な事業者が競争的に参加できる状況が望ましいというふうに私どもも考えているところでございます。  そういう視点で考えましたときに、我が国の多くの銀行のシステムは、比較的大規模な基幹系システムを中心に個別のシステムが相互に密接に結合する形で構築されていると。その結果、外部システムの連携ですとかシステムの部分的な改修の容易性といった点では劣る面があるという指摘がしばしばあろうかと受け止めております。  ただ、最近では、例えばシステムをクラウドに移行するですとかシステム間の連動を少なくするなどを通じまして、こうした課題の改善を図ろうとする取組も出てきていると理解をしております。  私どもとしましては、システム開発については基本的には各金融機関において判断されることではありますけれども、今申し上げたような問題意識に立ち、金融機関等との間で対話を深めていきたいというふうに考えているところでございます。  実施時期につきましては、御指摘のとおり、今回の法律案では最大三年の期間が設定されているわけですけれども、御指摘のとおり、この期間を待たずにオープンAPI導入が可能な金融機関においてはできるだけ早期に体制の整備が行われることが期待されるところでございまして、関係者にはその旨を伝えていきたいというふうに考えております。  よろしいでしょうか。
  34. 藤末健三

    ○藤末健三君 とにかくしっかり見える化してほしいということでございますので、お願いしたいと思います。  また、これは大臣にお聞きしたいんですが、今いろんなフィンテック会社のお話を聞いていますと、銀行代理業の業務の枠組みというのがちょっと不透明であると。ですから、例えば、いろんな、中国なんかでも行われているスマホでQRコードを見せて決済をしていく、で、個人の決済を集めて最後に銀行にお金を引き落とすようなサービスとかを今開発しているところがあるんですよ。ただ、そのときに、銀行代理業のどこの範囲に触れるかとか、それがちょっと不透明であるという話もございます。  かつ、新しいフィンテックの活動を起こすためにも、この銀行代理業という枠組みがどうなるかというのは非常に注視するという人たちが非常に多うございまして、是非、この銀行代理業の枠組みを見直すことを、新しいフィンテックサービスを行うために見直すことを検討いただきたいと思うんですが、麻生大臣の御見解をお聞かせください。
  35. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 銀行代理業、一番でかいのが多分郵便貯金ですかな。郵便貯金というのはゆうちょ銀行銀行代理業をやっておるわけですから、簡単に言えば。誰もそんなことを思って見ている人はいないでしょうけど、あれは銀行代理業というのは大きなあれで仕事なんですが。  これは基本的に、今、今度の電子代理決済業をやる人たちは、これは郵便局のためにやっているんじゃない、こっちは、顧客のためにいわゆる銀行等に対して決済の指図をするとか、そういった銀行などから口座情報の取得というようなことを行うということができるようになりますから、これは。そういった意味では、これは銀行のためにやっているんじゃなくて個人のためにやっておりますので。  こういったことからいきますと、利用者保護とか銀行の健全性の保全とか、そういったものもちろんあるんですけれども、そういった重要な枠組みだと思います。その枠組み自体を直ちに見直すということでは必ずしも考えてはいませんが。  しかし、銀行の代理業というのはこれはもう、いわゆる先ほど言いましたICTの進歩というもののスピードからいっても、これはどう考えても、このシステムが、銀行代理業が導入されたときの時代とはもう全然、ICTの進歩に対する時代とは違ったものになってきているのではないかと思って、いわゆるあの時代とは違ったサービスですな、サービスが猛烈な勢いで急速に広まってきているという現状を考えましたときには、少なくとも規制の適用についてはもう少しもっといろいろ考えないといかぬのではないかということは、これは今御指摘のあったところなんですけれども。  ほかにもいろいろ、こういった点はいろいろ審議会等々から御意見のあっているところでもありますので、私どもとしてはこの問題に関しては検討していかないかぬところだと思っております。
  36. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、ありがとうございます、検討いただきたいと思います。まさしくスマホによる金融業務とか、そういうことは今まで想定していないものがございますので、この銀行代理業の枠組みをどう見直すかによって私はもうフィンテックの推進が大きく変わると思いますので、お願いしたいと思います。  ちょうど麻生大臣からもお話がございましたけれど、この郵政、ゆうちょ銀行でございますけれど、私はもうゆうちょ銀行こそフィンテックの最大の担い手ではないかと思っています。私は、フィンテック利便性は、都会よりも例えばATMとかそういう窓口が少ない地方の方が大きな恩恵が得られるんではないかと思っています。  そういう意味では、全国に局ネットワークを持つゆうちょ銀行フィンテック親和性は高く、特に郵政グループは公益性、地域性の発揮というものが求められておりますので、是非ゆうちょ銀行はこのオープンAPIが進む中でフィンテック利用していただきたいと思いますが、その点についてお考えをお聞かせください。お願いします。
  37. 田中進

    参考人田中進君) お答え申し上げます。  ゆうちょ銀行といたしましても、お客様の取引の安全を確保するということがもちろん第一義でございますけれども、今御指摘金融イノベーションを積極的に取り入れまして全国のお客様の利便性を高めてまいりたいという具合に考えてございます。このような認識に立ちまして、私どもフィンテック協会に加盟をさせていただきますなど、フィンテック企業の皆様といろんな意見交換を積極的にさせていただいているところでございます。  今後とも、良質な金融サービスを提供させていただくために、先ほど御指摘のございますオープンAPIに関する体制整備も含めまして、フィンテック企業との連携協働の取組を更に推進してまいりたいという具合に考えているところでございます。
  38. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非議論を進めていただきたいと思います。もう既にパッドですね、郵政グループのパッドを配っていただいたりしているわけですから、そういう中にこういうフィンテックのものを組み込むというのは私は非常にビジネスチャンスがあると思いますし、何よりも利用者の利便性が高まるのではないかと思います。  最後でちょっとAPI関係で細かいところをお話しさせていただきますと、今回、電子決済等代行業者というものが法的に定義されるわけでございますが、是非、一つは、この電子決済代行業者の協会などをつくっていただき、先ほど大臣からお話ございましたけれど、やはりまとめて声を出してもらう、整理してもらうということをしていただきたいというのが一つ。  そしてもう一つございますのは、この三月十六日、全銀協がオープンAPIのあり方に関する検討会ということで中間報告を出していただいています。その中で電文仕様標準というものを策定されておりまして、その中で、複数のフィンテック企業等との接続を前提として当面このオープンAPIは何をするかということで、例えば預金に係る残高照会、あと振り込みを行うこと、そしてもう一つ、入出金の明細照会ということを書いてあるんですが、私はこれは余りにも銀行サイドに寄り過ぎているんではないかと思います、全銀協が作ったこの仕様は。私としては、これに振替とか認証とか、新たな、更新をするようなAPI機能を付加しなきゃいけないと思うんですが、その点につきまして是非とも金融庁がどう考えているかということを教えていただきたいと思います。  以上、お願いいたします。
  39. 池田唯一

    政府参考人池田唯一君) まず、協会についての御指摘がございました。  フィンテックの進展に適切に対応していくためには、個別事業者の取組に加えまして、様々な関係事業者連携による取組も重要だと考えております。そうした観点から、今回の法律案におきましても、自主規制機関として認定電子決済等代行事業者協会に関する制度を設けさせていただいているところでございます。金融庁としては、こうした認定電子決済等代行事業者協会も活用して関係事業者との対話を深めていきたいというふうに考えております。  それから、全銀協の検討会におけますAPIの仕様の標準化について御指摘がございました。  御指摘のとおり、まずは残高照会、入出金明細照会、振り込みのサービスについて標準化するということが取りまとめられたと承知をしておりますけれども、この検討会では、今後更に他の業務についても標準化の対象とすべきものについては検討が続けられていくものと理解をしております。その中におきましては、御指摘のあった振替あるいは認証といったものも重要な点であると私どもも考えておるところでございます。
  40. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、このフィンテック、新しいプレーヤーがどんどん入ってくるわけでございますから、そのプレーヤーをきちんとまとめていただいて、銀行のみならず新しいサービスを行う人たちの声を盛り込んでいただきたいということは絶対にお願いしたいと思います。  特にこの振替とか認証といったサービスAPIで対象とされなかったら、恐らくほかの国との競争という意味じゃ僕は勝てないと思いますよ。後でいろいろ議論させていただきますが。そこはお願いしたいと思います。  続きまして、フィンテックによる期待の一つとしまして、私は、日本のいろんなベンチャー企業や新しい技術を持った中小企業に対してリスクマネーを提供できることがあるんではないかと思っています。お配りした資料の二枚目の下にあります四と書いた資料でございますが、フィンテック社会の実現に向けた道筋というのがございます。個人に対するフィンテック利便性とか企業に対する利便性というのがございますけれど、その中で、赤い枠で囲んでいますように、資金調達の強化というのがございます。  私は、この間、外国のピア・ツー・ピア・レンディング、個人から例えば個人に若しくは企業に対してお金を貸すようなシステムをつくっている人と話をさせていただいたんですが、非常に印象的だったのは何かと申しますと、資金を銀行を通さずに個人がリスクを取って投資をしていく、融資していくという仕組みがどんどん動き出していると。日本でもある程度は育っている状況でございますが、海外はもう兆レベルを超えている状況でございます。  私は、一つお願いがございますのは、このP2P、ソーシャルレンディングともいいますけれど、是非そのソーシャルレンディングを育てていただきたいということと、もう一つは海外の資金が日本のベンチャーに届くようにやっていただきたいということでございます。ですから、海外の例えばシリコンバレーの人が日本の企業を見て、ああ、この技術を持ってこの新しいビジネスプランに投資をしたいと思ったらインターネットをスルーしてお金が集まるような世界、そして情報が集まるような世界をつくってほしいと思っています。私は、産業育成という意味ではこれ大きな起爆剤になるんではないかと感じておりまして、その点につきまして、金融庁経済産業省、両方の御意見をお聞きしたいと思います。お願いします。
  41. 池田唯一

    政府参考人池田唯一君) 我が国経済の成長を図っていく上で、新規企業あるいは成長企業へのリスクマネーの供給というのは大きな課題であると認識をしております。その際、ソーシャルレンディングを含みますいわゆるクラウドファンディングがリスクマネーの供給促進に資するというふうに考えているところでございます。また、そうした際に、海外からの資金が我が国のベンチャー企業等へ行き届くようにしていくことも重要であると認識をしております。  金融庁としましては、利用者保護あるいは資金需要者の保護などを適切に確保しつつ、リスクマネーの供給促進等の観点から、ベンチャー企業への資金の円滑な供給が図られるような環境整備に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  42. 中石斉孝

    政府参考人(中石斉孝君) お答えします。  ベンチャー企業や中小企業にとりまして、成長資金のための資金調達、安定的な運転資金の確保や資金繰りの把握というのは不可欠であるというのは言うまでもありません。  フィンテックが発展する中で、例えば日々の取引データを用いて運転資金等を融通するトランザクションレンディングですとか、それから広く個人から資金を集めるクラウドファンディングといったものは、ベンチャー企業や中小企業の資金調達の可能性を高めるものと捉えております。今後も、そういった資金調達の強化を含めたフィンテックの活用促進に向けて、現状でいかなるサービスが展開されているかの把握ということと、それからそれに関します課題や方策などの検討を進めてまいりたいと思います。
  43. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非進めていただきたいと思います。私は、国内的には例えば手形をなくすとかいうあと効果もあると思っておりますし、ただ、お願いしたいのは、やっぱりグローバルな資金の流通をこのフィンテックでやってほしいというのが私の願いでございますので、是非とも経産省と金融庁連携してやっていただきたいと思います。  先ほどのお話の続きでございますが、海外のP2Pのレンディング、ソーシャルレンディングのフィンテック業者が機動的に日本で活動できるようにできないかと思っています。  私は、海外のバンカーなんかの、先ほども中西委員からもお話がございましたけれど、外国の金融関係者なんかの話を聞くと、日本の規制は透明度が低い、で、リスクが測れないから困るんだよねということを言っている方がおられまして、例えばうちのシステムを日本に持っていこうとすると、いろんな何かチェックを受けて、国内にサーバーを置けと言われたり、態勢こうしろとかセキュリティーを何とかといろいろと言われると。もうそういうのも全部海外で終わっていることを、また何かいろいろ規制されるようなことがあるということを言う方がおられまして、何人か言っていました、そういうことを。  そういう過度の監督が、何か規制が、そういう海外のいろんなサービスなんかを日本に持ってくる一つのバリアになっているんではないかということを危惧していますけど、遠藤局長、その点いかがでございましょうか。
  44. 遠藤俊英

    政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。  システムリスク管理態勢でありますとか情報セキュリティーの管理態勢ということにちょっと例を取ってお話しさせていただきますと、例えばシステムリスク管理態勢というのは、我々、監督指針において、全社的なシステムリスク管理の基本方針というものを策定していることを求めている等々の監督指針の記述がございます。また、情報セキュリティー管理態勢についても、例えばコンピューターウイルス等の不正プログラムの侵入防止対策というものについての態勢整備ということを求めているところはございます。  ただ、こういった我々の求めている管理態勢のルールというのは、事業者の規模でありますとか、あるいはその業務内容の特性を踏まえて過度な対応にならないように配慮しているところでございます。委員指摘のように、もう既にその会社というのは海外においてそういった態勢整備ができているということであれば、まさにそれを御説明いただいて、我々対応を考えるということだと思います。  なお、御指摘の海外事業者に対してサーバーの国内設置などを求めているということは、これは日本のルール上ございません。  それから、日本の規制の透明性を高めるということに関しては我々は相当やっぱり意を使っておりまして、今年の二月でございましたけれども、特に海外のそういう事業者が何らかの登録をしてくるということに関しては、この登録の一般的な流れについて、あるいはその審査の着眼点について、あるいはその審査の手続において議論すべき論点に関して、これは英文でどういったことが必要なのかということは発表し、これを海外向けに私の方から説明をしております。  それから、審査手続においても、できるだけ効率的、透明性を高めるために、審査手続の早いタイミングでどういった議論を行うべきなのか、それからタイムスケジュールも含めてその見通しというのをお示しするような形で、これもやっぱり英文で公表しておりますので、そういった形で金融行政透明性というのをより一層高めるように意を用いていきたいと思います。
  45. 藤末健三

    ○藤末健三君 遠藤局長、是非お願いしたいと思います。  私、ちょっと資料を配っていまして、五ページ目ちょっと見ていただけますでしょうか。飛躍的に成長を遂げるベンチャー企業ということでございまして、フィンテックへの投資額の比較を付けさせていただいています。  オレンジのところにフィンテック投資額とございますが、我が国データを見ますと、大体六十五億円ぐらいでございます。アメリカを見ますと、もう兆を超しているという状況でございます。また、イギリスなんかも日本のもう十倍以上の投資をしているという状況でございまして、正直申し上げて、いろんな、この間、ハイ・フリークエンシー・トレードのシステムの話もございましたけれど、金融におけるITのやっぱりテクノロジーというのは私相当もう遅れているところがあると思っていまして、ある程度はやっぱり外国の、日本の場合、イノベーションを推進することも重要でございますが、海外に優れた技術などがあれば日本に取り込むということを是非意識的にやっていただかなければ私は追い付かないんじゃないかと実は思っていまして、その観点監督局の方でも是非対応をお願いしたいと思います。  こういう中で、イノベーション我が国の中で進めなきゃいけないわけでございますが、一つ私、契機となるのは、レギュラトリーサンドボックスと申しまして、イギリスやシンガポールは、レギュレーションを試しに変えてみて、ある範囲だけで新しいフィンテックサービスの実験を行うような制度をつくってございます。そういう規制のサンドボックスを是非このフィンテック分野でやっていただきたいと思いますが、特に未来投資会議で議論されていると思いますけど、具体的な数はどうなるか、これ是非、越智副大臣、お示しいただきたいと思います。
  46. 越智隆雄

    ○副大臣(越智隆雄君) 今委員指摘の、まずイノベーション推進ということでありますが、そのための仕組みとしましてはこれまでも様々な取組があったと思います。  そういう中におきまして、レギュラトリーサンドボックスについては未来投資会議の枠組みの会合におきましてこれまで議論してまいりましたが、五月の十二日の第八回未来投資会議におきまして、民間議員から、日本版レギュラトリーサンドボックス創設の提言というのがございました。この中身としましては、第四次産業革命という新次元の環境の中では、まず試みることを認めないと前進できないと、参加者や期間を限定することにより、まずやってみることを許容する取組として、フィンテックなどのイノベーションを対象とした日本版レギュラトリーサンドボックスを創設するべきとの提言でありました。これを受けまして、総理からもイノベーションの成果をいち早く社会に取り込めるよう新しい枠組みを創設する旨の発言があったところでございます。  こうした提言や発言を踏まえまして、これから策定します成長戦略に必要な措置を盛り込むこととしたいというふうに考えております。また、具体的な適用等につきましては、事業者のニーズなども踏まえまして検討していきたいというふうに考えているところでございます。
  47. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、元金融機関で働いておられた越智副大臣にお願いしたいのは、このレギュラトリーサンドボックス、是非やっていただきたいと思うんですね。それはなぜかと申しますと、日本政府が本気で取り組んでいるということを海外に知らしめるすごいいい旗印、フラッグになると思いますので、是非やっていただきたいと思います。  レギュラトリーサンドボックスの五原則というのはもう御存じだと思いますけど、実証優先主義とかリスク管理、高いレイヤーでの政府の一元的な体制、これも是非お願いしたいのは、関係省庁は一元的にやってほしいということ、あとハンズオン支援ということ、あと事後的な検証ということで、現場のことを聞いてPDCAを回していただきたい、あとトップマネジメントの関与ということでございますので、これやはり各省庁、いろんな関係省庁がございます、日銀も含めて、そういうものを一元的にトップのイニシアティブで進めていただきたいということをお願いさせていただきます。  また、オープンAPIの関係でございますけれど、私が先ほどもお話ししましたように全銀協が中心となりまして今年の三月に検討会の報告を公表していただいているわけでございますが、今後の展開がどうなるかということ、政府がどのように指導していくか、そしてまたAPIの接続先のチェックリストを金融情報システムセンターが事務局となって作っていくということを計画していますけれど、政府としてどういうふうに関係していくかというのをまず教えていただきたいと思います。  そして同時に、私はこのAPIオープンAPIでございますけれど、国際的な標準にどう適合するかが非常に重要だと思っています。ヨーロッパはどちらかというと政府主導でこのAPIの標準を進めるし、またアメリカはいろんな民を中心に進めておりまして、私が一つ注視していますのは、野村総合研究所の崎村夏彦さんが議長を務め、アメリカにおいてオープンAPI、もうそのオープンIDファウンデーションというものが世界標準の金融APIをつくろうとしています。私、日本の人が議長ということで非常に注目しているわけですが、こういう国際的なAPIの標準化の動きについてどう考えるか、池田総務企画局長の見解をお聞かせください。
  48. 池田唯一

    政府参考人池田唯一君) 御指摘がありましたように、全銀協ではオープンAPIのあり方に関する検討会が設置されております。そこには銀行のほかITベンダーやあるいはフィンテック協会の方などが参加されて、金融機関だけではないメンバーにより検討がされておりまして、現在、情報セキュリティー、利用者保護に関する基本的な考え方、あるいは、先ほどもありましたが、API接続を円滑に進めるための標準仕様の策定などについて議論がされているところでございます。また、御指摘のありましたFISCにおきましてもAPI接続先のチェックリストの策定作業が進められているところでございます。金融庁はこれらの会合のメンバーにもなっておりますので、こうした議論には積極的に参画し、適切な対応を図っていきたいというふうに考えているところでございます。  そうした中で、API仕様の標準化などをやっていきます場合に、世界標準化の動きと整合的なものにしていくことが重要だというのは御指摘のとおりだと考えております。御指摘のありましたオープンIDファウンデーションにおきましては、API仕様に係ります認証技術に関します世界標準の策定を目指して、世界各国IT業者フィンテック企業等による検討が行われていると承知をしています。  先ほどの全銀協のオープンAPIの検討会におきましても、オープンIDファウンデーションの理事長の、先ほどありました崎村夏彦氏を招聘して最近の検討状況について説明を受け、それも踏まえて、API仕様の標準化に向けた検討が行われていると承知をしているところでございます。
  49. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、金融庁、経産省、日銀の方々に申し上げたいんですけど、私は何を心配しているかというと、スマホみたいになるんじゃないかなという、携帯みたいに。  日本はiモードという新しい仕組みを世界で初めて開発しましたと、私たちはずっと進んでいるんですよねと言っていましたら、スマホが来てあっという間に特定の企業が支配するプラットホームに支配されているわけじゃないですか。私は、金融フィンテックも同じことが起きると思います。恐らく金融の決済のあるシステムがプラットホームを握ったらそこが全部握っちゃう、恐らく、ハブを握ったところが。若しくは、インターフェース、操作性とかを握ったところが全ての利益を握っちゃう。真ん中のところはほとんど利益がないという世界になると思いますよ、私は、正直申し上げて。  その中で、我々がやはりスタンダードをきちんと、国際的なスタンダードを押さえておかなければ、私たちの金融機関が二十一世紀、食べていくことはできなくなるんじゃないかと思っていまして、もう積極的に取りにいくようなことをやっていただきたいですよ、正直、いや、本当に。  ですから、海外の、どんどんどんどんスタンダードの動きがもう幾つかのオプションがある中で、我々が今どこにいて何をしなきゃいけないかと。恐らくスタンダードが取れなければ、我々がどんなにオペレーション頑張っても利益落ちないですよ、恐らく、間違いなく、これは。ハブを押さえたところが勝つのがこのネットワークビジネスですから。是非、国際的な視野でやっていただきたいと思います。  それに関連しまして、是非これは経済産業省にお聞きしたいんですけど、ブロックチェーンが恐らくこのフィンテックの中で一つのコアテクノロジーになると思いますが、フィンテックのみならず、コアテクノロジーとしてのブロックチェーンテクノロジー、どのように日本、政府として押さえていくか、その見解をお聞かせください。お願いいたします。
  50. 中石斉孝

    政府参考人(中石斉孝君) お答えします。  ブロックチェーン技術などフィンテックを支える中核的な技術につきましては、金融分野を超えて、例えばサプライチェーンの効率性向上ですとか、それから取引プロセスの全自動化といった広く実用化、活用される可能性が高いものと認識しております。  経済産業省としましては、ブロックチェーンの活用を推進するために、まず活用可能性の調査を様々行います。それと、さらに、既存システム等との比較評価を行えるように、品質、保守、運用、コストの観点からの評価軸というものを整理しました。この評価軸に基づきまして客観的な分析をしたいというふうに考えています。  それからまた、本年三月末に総務省と連携プロジェクトを立ち上げまして、実証実験やFSなどを通じて具体的な利活用事例の発掘とか、さらには社会実装の推進などを行うなど、具体的なプロジェクトを進めていきたいというふうに思っています。  それからさらに、仮想通貨や認証システムを開発するベンチャー、様々なフィンテックベンチャーがあるわけでありますけれども、こういったベンチャーに専門のメンターを派遣して人材面でも協力するなど、ベンチャー支援の一環としても取り組んでいきたいというふうに思っています。  引き続き、これらのフィンテック関連技術の活用を通じて、一層イノベーションを進めていきたいというふうに考えております。
  51. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、実装を進めていただきたいと思うんですね。  先ほどレギュラトリーサンドボックスの話を申し上げましたけれど、私は一番有力なのはこのブロックチェーンのテクノロジーじゃないかと思っています、実装としていくのは。海外ではもう、たしかエストニアでしたっけ、政府が実際に実証試験を始めているところもあるわけですから、是非、各省庁連携してやっていただきたいと思います。  最後の質問でございますけれど、キャッシュレス化について話をさせていただきたいと思います。  前回キャッシュレス化の議論がこの財政金融委員会でもございましたけれど、オリンピックまでに私はキャッシュレス化を進めないとちょっと恥ずかしいんじゃないかと思っております。実際に中国人の友人が何言ったかというと、日本は何でこんなに金持たなきゃいけないんだと言うわけですね、現金を。  私、実際にゴールデンウイークに中国に超党派で伺いました。それで、会議が終わった後に、夜中にフードコートというか屋台みたいなところに行ったんですよ。で、何が起きたかというと、現金で買えなかったんですね、現金で。おまえはあれで買えなきゃ駄目、これしか受け付けないとか言われて、買えなかったという経験があります。それぐらいキャッシュレス化している。ちなみに西安、行ったところは。  私はそのときに、ああ、もう中国は聞いていたよりも進んでいるなと思ったんですが、雨宮理事、もう簡単に、なぜキャッシュレスが遅れているかということを簡単にちょっと御説明いただいてよろしいですか。お願いします。
  52. 雨宮正佳

    参考人雨宮正佳君) お答え申し上げます。  これは、原因は大変難しい、分析が難しい面があるわけでありますが、その上で申し上げますと、三つぐらい考えられまして、一つは、国内の治安が相対的に良く、盗難等による現金を失うリスクが他国より低いことが挙げられます。  それから、二つ目でございますけれども日本では偽造をされた銀行券、お札が非常に少なく、銀行券、お札に対する信頼、国民の信認が高いということが挙げられると思います。この点、前回の実は委員会でもお答え申し上げたんですが、ちなみに、私どもが昨年十二月に行いました生活意識アンケート調査、こういうものがございまして、この中で、携帯、スマートフォンを利用した決済を使わない理由として、セキュリティーや紛失時などの安全性に不安があるといった回答のほか、支払は現金でしたいというのが多かったということがございます。  それから、三番目でございますが、やはり長年にわたる低金利環境が続く下で、現金を銀行預金に小まめに預け入れるというインセンティブが低下しているということも理由の一つかと存じます。
  53. 藤末健三

    ○藤末健三君 理事、一つお願いがありまして、治安がいいといったら、スウェーデンはもう九八%のキャッシュレス化なんですよね。治安、関係ないと思いますよ。あと偽造札がないとかいう話も僕は違うと思う、スウェーデンなんかと比較した場合に。あと、何ですか、低金利。世界的に低金利じゃないですか。私は、ちょっと申し訳ないんですが、学術的に分析されたことをおっしゃっているかどうかを確認したいんですよ。  私の仮説は違います。私は、クレジットカードがおかしいからだと思っています、はっきり言って、日本の。手数料が高いんですよ、はっきり言って。ほかの国だったら一%か二%の間のものが、我が国だったら、例えば百円買ったら三円か四円ぐらい、三から四%取られていると。そうすると、売っている方は使いたくないですよ、クレジットカードを。あとペイメントシステムがクレジットカードに偏り過ぎている、ほとんど。というのは私の仮説ですけれど、全く私は違う見解ですし、日本銀行が余り分析されていないことを言ってほしくないんですよ、国会で、正直申し上げて。エビデンスがあるかどうかをお聞きしたいと思っています。  ただ、そう批判ばかりできませんので、申し上げたいのは、やっぱり私は、オリンピック・パラリンピックまでにキャッシュレスを進めないと、日本って遅れた国だねという印象を与えるんじゃないかということを心配しています。先ほど申し上げましたように、スウェーデンは九八%のキャッシュレス化ということでございまして、その多くは、クレジットカードではなく、銀行口座を直接使った電子決済、銀行の口座を使った決済になっているということにありまして、先ほど治安のという、批判を受けるかもしれませんけど、インドでは五年間でクレジットカードをなくすという方向になっていると。これは何かというと、カード番号がばれるからなんですね。キャッシュ、で、クレジットカードもなくそうと言っているんですよ。  クレジットカードに頼らないキャッシュレス化を進めるべきだと思うんですが、このクレジットカードを担当する、所管する経済産業省と金融を所管する金融庁の見解をお聞かせください。お願いします。
  54. 住田孝之

    政府参考人(住田孝之君) ただいま御指摘のクレジットカードの件でございますけれども、やはりクレジットカードの利用というのもこのキャッシュレスを進めるという上では非常に大事だと思います。  そのためには、クレジットカードが安心、安全に使える環境を整えなければいけないということで、さきの臨時国会においては割賦販売法を改正をさせていただきまして、加盟店にIC対応などのセキュリティー対策を講ずるということを義務付けたわけでございます。一方で、商店街などでのクレジットカード対応端末の普及促進といったようなことを進めておるわけでございます。  また、外国人のお話が出ましたけれども、外国人訪日客の中では、やはりクレジットカードの利用をされる方、今でも五四%ぐらいいらっしゃいます。こうした方々のリクエストに応えるためにも、クレジットカードの利用環境の整備というのは引き続き大事であるというふうに考えてございます。  今手数料の件がございましたけれども、この加盟店の手数料の高い低いというのは、これは世界比べてみましてもいろいろな数字がございまして、これなかなか一定の定まった見解があるという状況ではございません。  一方で、先ほど御指摘のございましたように、今やカードを使わない決済、スマホとかですね、そういうものを使う決済というのはこれは増えてきているというのは事実でございます。  これは、何を使うかというのはそれぞれの消費者の方の選択なのだと思いますけれども、いろいろな技術が出てくるときに、それが使いやすいように、あるいは妨げるものがないようにしていかなきゃいけないというのは私どもも認識をしておるところでございまして、やはりそうしたものが安全、安心に使っていけるような環境というのは常に考えていかなければならないと思っておるところでございます。
  55. 池田唯一

    政府参考人池田唯一君) 現金以外の決済方法には、クレジットカードのほか電子マネー、デビットカード、さらには御指摘のありました銀行口座を直接利用する電子決済サービスがありまして、キャッシュレス化を考える際にはこうした決済方法も重要であると御指摘のとおり認識をしているところでございます。  その際、例えば銀行口座を直接利用する電子決済サービスということになりますと、今回御提案をさせていただいておりますオープンAPIというのはその際の極めて重要な核となる技術だと、そういう考えもあって今回法案を提出させていただいているところでございます。  いずれにしましても、金融庁としては、安心、安全の確保を図りつつ、利用者利便の向上等に向けて引き続き努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  56. 藤末健三

    ○藤末健三君 皆様、お手元にお配りした資料の七ページ目、一番最後でございますが、キャッシュレス決済の普及状況というのがございます。右側を見ていきますと、国際比較で、日本、韓国、中国、アメリカと書いてございますが、キャッシュレスの比率が、日本は一八%、韓国、中国はもう五〇%を超えているという状況でございます。恐らく中国に行くと、大都市に行けばますますキャッシュレスが進んでいると。  一方、左側を見ていただきますと、キャッシュレス決済の内訳がございますが、ほとんどがクレジットカードになっていると。先ほどスウェーデンの事例を申し上げましたけど、スウェーデンの方は銀行の口座で直接決済をできるようにしているということになります。  ちなみに、中国のことを申し上げますと、アリペイという、アリババというエレクトロニックコマースの会社がキャッシュレスシステムをやっているんですが、大体利用者は四・五億人いるといいます。これで少額の決済や、あと保険サービス、あとお金の使い方により信用調査まで行うというような状況。あとウイチャットという、中国、これテンセントという会社がやっているウイチャットという電子マネーは八・七億人が使っていると。これは何かと申しますと、スマホなんかに画面が出てきて、例えば店で買物をするときにクーポン出てくるわけですね、そこに。全部連動していると。  そこまでのサービスが進んでいるわけでございまして、私は、是非、先ほど池田局長からもお話ございましたけれど、銀行の口座でも決済をできるようなものも含めてサービスを進めなきゃいけないと。  私は、これに書いていますように、キャッシュレスが進まない原因はクレジットカードのウエートが高過ぎるからだと私は思っております。  特に私がお願いしたいのは、資金決済法の話をさせていただきますと、電子マネー等の利用においても五〇%の準備金を保有するというような制度がございます。世界を調べてみますと、この五〇%、いろんな電子マネーを使うときに使う金額の五〇%をちゃんと担保しておかなきゃいけませんよ、持っておかなきゃいけませんよというようにしますと、電子マネーの発行額が制限されるということでございます。いろんな国の基準はあると思いますけど、私は、もう半分を準備金、出したマネーの、例えば一億円出したら五千万円をちゃんと持っておかなきゃいけないようなことすると、なかなか電子マネーが普及しないんじゃないかと思うんですが、その点につきまして金融庁の見解をお聞かせいただきたいと思います。私は、キャッシュレスを進めるためには、この資金決済法の見直しが必要じゃないかと思っています。いかがでしょうか。
  57. 池田唯一

    政府参考人池田唯一君) 資金決済法では、電子マネー等の前払式支払手段につきまして、これは利用者が発行者に対する信用供与をしていると。そういう中で、発行者の破綻により決済に利用できないということになりますと利用者が不利益を被るということになりますことから、未使用残高の二分の一以上の額について資産保全を行うことを求めているものでございます。  EUなどの法制などの例では、国によりましては未使用残高全額の資産保全を求めているような国もあると理解をしておりますけれども我が国においては、発行者に過度な負担とならないというようなことにも配慮して、保全割合は二分の一とされているところでございます。  我が国の実情を踏まえますと、実際に、前払式支払手段の発行者の破綻によりまして、保全された資産からの還付が行われた事例も存在しておるところでございまして、現時点におきまして、この資産保全に係る規制を見直すということについては十分慎重な対応が必要であるというふうに考えているところでございます。
  58. 藤末健三

    ○藤末健三君 余り日本の規制ばっかり進めていますと、私が聞いたのは、海外にもサーバーを置いて、海外で決済機能を持って資金決済法の範囲外から決済やろうという話もしているところいましたですよ、正直申し上げて。ですから、国際的な規制の調和を是非図っていただきたいと思います。私は、もう日本がどんどん規制を強化すればするほど海外に逃げていくという現象が起きると思いますので、安全性も必要ですけれど、ある程度その利便性、そして産業を育てるという観点を持っていただきたいと思います。  以上で私、質問終わらさせていただきますが、最後に申し上げたいのは、今日お配りした資料、実は経済産業省の資料がほとんどでございまして、経済産業省のフィンテック議論、私は正直、金融庁とは違った観点で進んでいると思います。やはり金融庁金融サイドの考え方からやっておられ、やっぱり経済産業省は、利用者である産業であり、そして個人の、あと若しくはIT企業の観点からやっていまして、是非、麻生大臣、あと越智副大臣におかれましては、経済産業省、金融庁、そしてもう一つは日銀、この三者を統合したフィンテックの推進体制をつくっていただくことをお願いしまして、私の質問終わらさせていただきます。  ありがとうございました。
  59. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民進党の大塚耕平でございます。  今日は、この法律に後ほど附帯決議を付けるべく皆様方に御提案を申し上げたいと思うんですけれども、今回の附帯決議、かなり具体的な意味を持つ内容だというふうに思っておりますので、それに関連して若干質問等をさせていただきたいと思います。  その前に、大臣、先ほど藤末さんとの質疑の中で、ゆうちょ銀行銀行代理業の典型のような存在だという趣旨のことをおっしゃったんですが、これはどういう意味でございましょうか。
  60. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 郵便局というのは、みんな郵便局は銀行代理業務をやっているということを知っている人いますかね。私聞いてみて、えっ、そんなことってみんな言うけれども、あれ、実際は代理業務やっとるんですよって、あなたのやつ。実際、飯塚の隣の町の話ですけれど、いや、これは代理業なんですがって言って、という話を例に引いたんですが。
  61. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 それなら分かりました。  ちょっと議事録確認してみますが、ゆうちょ銀行が代理業だというふうにおっしゃったように聞こえたものですから、ひょっとすると、なかなかゆうちょ銀行の新たな業務の認可申請に認可が出ないのも、そういう御認識が前提になっているのかななどと思ったりしたんですが、郵便局が代理業をやっている、これは理解できます。理解できます。  その上で、このフィンテックにどういうふうに向き合っていくかというのは本当に日本金融ないしは産業界全体にとって大きな課題であると思うんですが、フィンテック一・〇、フィンテック二・〇という言い方もございまして、フィンテック一・〇は、銀行のシステム部門とか銀行の資本下にあるシステムベンダー、従来、銀行のシステム化をしてきたそういう周辺企業を中心にした動きフィンテック二・〇というのは、今、藤末さんもいろいろお話があったようなITベンダーであったり、非金融のかなり技術オリエンテッドな企業が対応している動きであるわけですが、実は、そういう整理がされていたのはもうおととしから去年にかけてなんですが、今年の年初の新聞各紙は、元旦の特集なんかでもAIの嵐なんですね。  恐らくフィンテック二・〇の中にもAI的な要素はもう入ってきていますけれどもAIがかなり深く関連するフィンテックフィールドが恐らくフィンテック三・〇というような形で登場してくると思うんですが、例えば、大臣、今後、もう既に始まっていますけれども、投資相談とか資産運用の相談、あるいは今後は借入れの相談なんかでもAIがインターフェースになっていろいろ顧客の相談に応じるというケースが出てくると思うんですが、こういうAIの指示に従って損失が出たりあるいは何らかのトラブルに巻き込まれたときに、この責任というのは銀行側が持つべきものですか、それとも、このAI銀行が何らかの契約によってどこかのシステムベンダーやAI業者から提供を受けていたとしたら、その事業者に責任があるべきものでしょうか、どのようにお考えになられますか。
  62. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今の話はいただいていたこのアバウトの通告には全く入っていなかったので、今の場合の件では、私の個人的見解といったら、それは銀行とそのITベンダーの会社の間の契約の内容次第ですな。
  63. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 全くおっしゃるとおりで、この契約の内容次第というのが今後大きな課題になってくるんですね。当然、金融界は責任回避をそれは企業の本能としてするでしょうから、今のような投資相談のようなこと以外でも、例えば決済トラブル、こういうものが起きたときに、いや、それは銀行の責任じゃなくてベンダー側のバグの問題ですとかって、こういうことになったときにどこが責任を持つかというのが、これが顧客サイドから考えると非常に大きな課題だと思います。  頭の体操ですけれども、例えば預金利息などでも、これ小数点で利息が掛かったときに、円未満の、日本でいうと銭の単位の何らかの端数が出てきたときに、この端数を全部集めてきてどこか一か所に落とし込むというようなことが目に見えない世界で行われた場合には、一人一人の被害額とかはほとんど分かりませんから認識はないわけですけれども、何らかの形で、ちりも積もれば山となるですから、大変な不当利得を得るようなシステム的な犯罪も行われ得るわけですけれども、こういう顧客に対する責任あるいはITの進化に伴う新たな課題、犯罪も含めてですね、こういうものに対して今回の法律はどのような展望を描いているのか。  これは通告させていただいた一つ目の質問と、言わば質問に含まれる、ないしは接点がある話ですが、つまり、片方で日本フィンテック世界の潮流から劣後しないためにどういう方針で臨むのかということもあるわけですが、今申し上げたような新たな課題もあるわけで、この辺りを所管大臣としてどういうふうにお考えになって今回の法律を御提出されておられますか。
  64. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) コンピューターとかAIというものが発達すると、今、日本で今年も多分世界一になると思いますが、ペギーコンピューターというのが出てきました。今ある世界一のコンピューター、スーパーコンピューター「京」の百五十八ペタフロップスという、世に全然見えてませんけれども、見えている人たちにはよく見えているところなので、こういったようなものが、丸ビルぐらい大きさのものが、このコンピューターは冷蔵庫五台かぐらいの、洗濯機五台ですな、五台ぐらいの大きさもう既にあります、あるようなものが出てくると、今言ったようなこれは銭厘から毛の話まで全部集めてやられるというのは技術的には可能です。  そういったようなものが出てくるので、将来的な金融の方向性を大きく変えるのは間違いないですよ。そういったような方向の中にあって、これは利用者の便というものを考えないかぬところは確かなんですが、同時に、先ほど言われましたように、これは利用者の便プラス生産性が向上して、回り回って国家、国民のためになっていくというようなことも重要なんだと思いますが、そこにもう一個セーフティーというのがすごく出てくるんだと思いますので、この安全性というところと三つ掛からないとなかなかこの話が進んでいかない。  特に、信頼というのは日本銀行というのはやたらありますから。少なくとも二〇〇八年のああいったもの以降、特にそういったことになってきているとは思いますけれども。間違いなく日本銀行というのは最も信用のある、高い銀行というのは、堅いという意味でも、いわゆる間違いがないという。日本はちょっと間違えても大騒ぎですけど、ほかの国行ったら誤差の範疇みたいな話でもう相手にもされないような話というのはいっぱいありますから。海外に住んでいたらよく分かるところなんですけれども。  そういった意味では、いろんなことを考えながらやっていかないかぬと思いますけれども、コンピューターの更なる進歩というものがどれぐらい予想できているかというのはもう極めて難しい部分なので、今じゃ考えられないようなことがどんどんどんどんできてくることはもうはっきりしていると思っていますので、是非そういった意味では、この分野でも、日本がスーパーコンピューターの部分でも世界一になっていく、うちはおたくと違って二番目になろうなんていうつもりはありませんから、間違いなく一番になろうとうちは思っていますので。  そういった意味では、是非こういったようなものを更に進めていくという技術と、今ある信用というのを、きちんと両方相まっていくような方向を考えないかぬというところのさじ加減、バランスの取り方が最も難しいかなと思っております。
  65. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 是非そのバランスをしっかり取っていただきたいと思います。  最後に、藤末さんから中国の電子決済企業の御紹介ありましたけれども、東京でタクシーに乗ると、タクシーの助手席の後ろにアリペイとか中国の決済カード使えますよという告知がありますよね。あれは当然、中国のお客さんがそれを使うようになっているからでありまして、銀座等の百貨店や量販店でも中国の決済カードを使えるようになっているんですよ。そういう業種の皆さんにとってみれば爆買いの中国のお客さんを囲い込むために中国のカードを使えるように一生懸命宣伝したんですけれども、これ、気が付いたら日本の決済ビジネスは中国のカード会社にほとんど占領されているわけですね。  だから、是非、財界の経営陣の皆さんによくよくそういうことを警鐘鳴らしていただいて、もしそれに対応するための日本独自の動き日本法律や規制が障害になっているのであるならば、それは国民保護とバランスを取りながら、可及的速やか、かつ弾力的に変えていかなくてはならないと思いますが、本当に大変な勢いで日本の決済ビジネスやフィンテック分野が、侵食というか、元々なかったわけですから、事実上占領され始めているというような危機意識を持って御対応いただくことをお願い申し上げまして、私の質問に代えさせていただきます。  終わります。
  66. 平木大作

    ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  オープンAPI導入を主な柱とする今回の銀行法改正案、私としても、かつて自らを装置産業と呼んでいた銀行業の実態を考えると、本当に隔世の感のある法案だなというふうに思っております。恐らく十年前だとこんなもの考えることすらできなかっただろうなと思います。    〔委員長退席、理事長峯誠君着席〕  装置産業という意味にはいろいろ込められているわけでありますけれども一つは、本当に恒常的に巨額のシステム投資を課せられる、そういう使命があるわけでありますが、一方で、それを続ける限りにおいては高い高い参入障壁をつくるという、その守られた中で商売できるというのも一方の意味でありまして、今回の法案というのはその大きな参入障壁にある意味穴を空けるというわけでありますから、なかなかこれきちっと進んでいくかどうかというのがやはり大事なわけであります。  私も最近フィンテック企業の方たちと意見交換させていただく場がありまして、本当に今回の銀行法改正というのは期待が大きい。これ前向きに捉えているところが大きいわけですが、じゃ、これから何が課題になるかというと、まさに法律上は、制度上はこれからAPIというのは開放されるわけでありますけれども、それが実態として、このオープンAPI、ちゃんと進むのかどうかというところを一番見ていますというふうに皆さん口をそろえておっしゃっているわけでありまして、まさにここを実態としてどう進めていくのかということが問われる。  先ほども質問の中にありましたが、今回の法案の中でもこの附則の十一条の中には、オープンAPI対応できる体制の整備について銀行努力義務とすると、一律の義務じゃなくしたわけですね、努力義務とした。この点について、まず、なぜ努力規定になったのかということ、背景についてお伺いをしたいと思います。
  67. 池田唯一

    政府参考人池田唯一君) お答え申し上げます。  オープンAPI導入につきましては、現状、インターネットバンキングを導入していない中小の金融機関どもあるところで、経営判断に及ぶものでもありますので、強制的な義務付けとせずに努力義務としているところでございます。  もっとも、この法律案におきましては、金融機関に対して、オープンAPIに関する方針の策定、公表、それから電子決済等代行業者との接続基準策定、公表、さらにオープンAPI導入に係る体制整備に努めることを義務付けておりまして、これらによってオープンAPI導入を促していく制度としているところでございます。  また、仮に一律に義務付けるということにした場合には、恐らく電子決済等代行業者の要件にはもう少し厳しいものが求められるということになる可能性が高いと考えております。そうしたものは電子決済等代行業者イノベーション観点からどうだという議論もあろうかと思います。そうした全体のバランスの中で、今回のような法律の立て付けにさせていただいたということでございます。
  68. 平木大作

    ○平木大作君 実態としては義務化に近いものなのかなというふうに私も捉えているわけでありますが、今答弁いただいた中で大変大事な点にも触れていただいていまして、要するにこれ、オープンAPIって、そもそもの前提として、銀行がインターネットバンキングサービスを提供しているということが大前提なんですね。  そこで、ちょっと確認の意味も込めてまずお伺いしたいのが、現在、日本の中でこのインターネットバンキングサービス、提供できていない金融機関ってどのくらいあるのか、可能であればそのちょっと口座数の内訳も含めてお示しいただけたらということと、ちょっと時間の関係で質問まとめますけれども、今後、私、これ基本的には、インターネットバンキング今まだ提供できていないところについても、このままにしておいて、努力義務規定ですよとしてほっておくと、ある意味、先を行っている金融機関との差ってどんどん開くばかりだろう。この銀行業界自体が大きく今変わろうとしているときにそのままにしておいてしまうと、そのもう進歩がなくなってしまうというわけでありまして、これ是非、このインターネットバンキングサービス導入については金融機関を積極的に政府としても支援していただきたい。    〔理事長峯誠君退席、委員長着席〕  更に言えば、提供しているんだけど、実はアカウントを作っているんだけれども利用していないというところも結構多いですね。中小の法人を含め、結局最後は窓口に並んでいるという銀行の使い方しているところが本当にまだまだ多くて、ここは是非、金融業界銀行業界と一緒になって政府、このサービスを、どうせアカウントを作ったんだったら活用していただくというところも含めて、これ併せて施策を進めていただきたいと思うんですが、まとめてお伺いをしたいと思います。
  69. 武村展英

    大臣政務官(武村展英君) お答えいたします。  インターネットバンキングサービスを提供していない口座数については必ずしも悉皆的に把握をしておりませんが、提供していない金融機関の数につきましては、主要行等、地銀、第二地銀百十五行のうち、法人向け、個人向け共に一行、そしてまた信用金庫、信用組合、労働金庫四百三十一機関のうち、法人向けは百三機関、個人向けは九十二機関であるというふうに承知をしております。  議員御指摘の点につきましては、金融庁としては、金融機関がいかなるサービスを提供するかはまさに各金融機関の個別の経営判断に係る事柄ではあるものの、一般論として、各金融機関におきまして利用者のニーズ等に応じた多様で良質なサービスが提供されることが重要であるというふうに考えています。  こうした観点から、金融庁といたしましては、今後、金融情報システムセンター等と連携をしましてインターネットバンキングの利用状況把握に努めるとともに、引き続き、金融機関の自主的な創意工夫の発揮によりまして利用者のインターネットバンキングの活用が促進をされることを期待しております。
  70. 平木大作

    ○平木大作君 基本的には、今、内訳も少しお示しいただきましたが、やっぱり小規模な金融機関ではなかなか対応が追い付いていないという実態があって、それで今回の法改正の中でも努力義務規定というのが設けられたというふうに理解をしております。  やはり、先ほど藤末委員からもありましたし、私も先日キャッシュレス化についても質問させていただきましたが、これ本当に今でも五・十日になると銀行の窓口のところに長い行列をつくって企業の経理とか会計担当の方が通帳の記帳みたいなのをしている、この光景はやっぱりどれほどの無駄なんだろうと思うわけであります。  なかなかこれやっぱり現場で変えていただくということは難しいなというのは私も常々感じているんですけれども、先ほど申し上げたように、フィンテック企業の方たちとこれどうやったら変わりますかねという話をすると、彼らから一律で返ってくる答えというのは、やっぱりもう最初の、一番最初のユーザーエクスペリエンスをいわゆるしていただけるかどうかなんですということをおっしゃっていました。使ったら便利だな、こんな並ぶ必要ないなということをやっぱり実感として、体験としてつくっていただけるかどうかというところ、ここを、最後はやっぱり金融機関努力になると思うわけでありますが。ATMの前にやっぱりATMの使い方を指導する方が二人とか三人、人が張り付いているというのが今の現状であります。これはメガでも一緒。やっぱりこれは、だったらこの列の横に来ていただいて、インターネットバンキング一緒にまず使ってみるとこんなに楽になりますよというところに例えば人を誘導する、これだけでも大分違ってくるんじゃないかなと思っております。  是非ともこれ、指導監督含めて金融庁も一体になってやっていただきたい、政府としても推進していただきたいということをお願いしたいと思います。  利用者の利便性と同時にやっぱり大事なのが安全性でありまして、今回の法改正というのも、基本的には今もう既にフィンテック企業というのはいろいろサービスを提供している。これはスクレーピングという技術に基本的に基づいて提供しているわけですが、今回の法が施行されますと、大体二年をめどにして、これが今回のオープンAPIの技術に移行されていくわけですね。これが見越されるわけでありますけれども、仮に今のフィンテック企業の皆さんがスクレーピングのままサービスを提供し続けようとするとどうなるのかという点、これ確認させていただきたいと思います。  というのも、ユーザーの皆さんというのは結構最後はものぐさなんですね。このスクレーピングで自分のいわゆるパスワードとか預けておくと危ないですよ、情報漏えいの危険性ありますよと幾ら言っても、もう預けているし、いいやという判断をされる方って実際にたくさんいらっしゃるわけでありまして、これ実際に今提供している企業にとっても引っ込みが付かないというのはやっぱりあるというふうに思っております。  この扱いはどうなるのかということ、そして続けるとしたら安全性は大丈夫なのかという点についても政府の見解をお伺いしたいと思います。
  71. 池田唯一

    政府参考人池田唯一君) 電子決済等代行業者が猶予期間経過後もいわゆるスクレーピングによりますサービスを提供し続けようという場合につきましては、今回の法律案におきまして、そうした場合でも金融機関契約を締結することが義務付けられることになります。  そして、その際、利用者保護及び決済の安定性の確保などの観点から、今回の法律案では、電子決済等代行業者及び金融機関に対しまして契約を締結して情報の安全管理等に関する事項を定め、これに基づき業務を行うことを求めることとしているところでございます。  こうした措置を講じますことによって、金融機関電子決済等代行業者に対しましてスクレーピングによるサービス提供を認める場合には相応の安全管理等の措置を行わせると、そういう枠組みが確保されているものというふうに考えております。
  72. 平木大作

    ○平木大作君 この安全性の配慮、是非これしっかり見ておいていただきたいと思います。  今お話をしたような、フィンテック企業がもう既に提供をしているような、顧客からの委託を受けてITを活用した決済指図の伝達ですとか、あるいは口座情報を取得する、顧客に提供する、こういったものというのは、結局今なりわいとしてやっているところというのがそもそも法律規定されていない、だから今回の法律の中にきちっと定義付けようということで電子決済等代行業者というのが定義付けられたわけであります。  そして、それがきちっと登録も課されたということでありますが、先ほど質疑の中でもありましたけれども、やっぱりこれ聞いたときに必ず議論に上りますのが、もう十年以上前、平成十八年の四月施行の改正銀行法で創設をされました銀行代理業者とどう違うのか、そもそもということなんですね。  定義についてまずちょっと確認をさせていただきたいということと、私、これ、いずれ今のまさにフィンテック企業の皆さんがいわゆる両方にまたがるということが当然出てくると思っていまして、ここについても、これ政府の金融審議会のワーキンググループの中でも将来的な規制緩和も含めて結構議論されているというようにお伺いしましたので、今の議論の検討状況について少しお示しいただけたらと思います。
  73. 武村展英

    大臣政務官(武村展英君) お答えいたします。  まず、定義についてです。電子決済等代行業者銀行代理業者の違いについてですが、電子決済等代行業者は、利用者からの委託を受けて銀行等に接続をして銀行等に対する決済指図の伝達や銀行等からの口座情報の取得等を業とする者である一方で、銀行代理業者は、銀行からの委託を受けて預金、融資、決済等に係る契約の代理又は媒介を業とする者であり、両者は銀行のために行うのか顧客のために行うのかとの点において違いがございます。  さらに、本法案における電子決済等代行業への規制は、利用者保護等を確保しつつオープンイノベーションの進展を図るものである一方、銀行代理業規制は、委託元の銀行の健全性確保と預金者等の保護を図るものでございます。  次に、銀行代理業規制の見直しについてお答えいたします。  銀行代理業規制につきましては、金融審議会におきまして、例えば銀行代理業者銀行から直接又は間接的に経済的対価を受領する場合は実務上広く銀行代理業に該当すると考えられてきたところでございますが、IT等の進展に伴いまして制度導入時には必ずしも想定されていなかったような新しい決済サービスが登場し、従来の基準によると銀行代理業に該当するか否かの適用関係が必ずしも明確でない事例が登場しております。また、地方におきまして、過疎化が進み、支店網の維持が困難となる中での解決策として銀行代理業の活用が検討されているといった状況の変化を踏まえまして、銀行代理業規制の適用関係の明確化や実務経験者の営業店ごとの配置義務の見直しなどについて検討を進めるべきとの御指摘があったところでございます。  今後、金融庁といたしましては、こうした御指摘を踏まえ、適切な対応を検討してまいりたいと考えております。
  74. 平木大作

    ○平木大作君 もうこれは先ほど大臣答弁の中でもいただきました。要するに、代理業をつくったときと明らかにもう今技術環境は違ってきてしまっているわけですね。状況が違ってきてしまっていると。こういう中にあって、やはりこれ、代理業の持っている、でも使命って大きいと思っていますから、きちっと今の時代に合わせた形で、特に今おっしゃっていただいたようないわゆる地方部でこれからその代理業の役割というのが大きくなってくると思っておりますので、是非とも検討の方を進めていただきたいと思います。  もう一問、二問ほどさせていただきたいんですが、このフィンテック企業銀行との間で電子決済等の代行業に係る契約の締結ということが今回義務付けられますと。このときに、契約項目って実は結構多岐にわたっておりまして、例えばAPI開放するにしても、じゃ、電子決済等代行業者フィンテック業者に求められるセキュリティー項目、一つ一つのセキュリティーの水準ですとか、あるいは先ほども質疑の中にありましたけれども、もし利用者に損害が生じた場合にどういわゆる責任、賠償の負担を分担していくのか、こういったことを一つ一つ詰めていかなきゃいけないわけですね。  やはり、多数の銀行と接続をする可能性があるフィンテック企業の側から見てみると、これ個々ばらばらに契約一つ一つ詰めていくとなると本当に大きなコミュニケーションコストというのが掛かる。特に、いわゆるフィンテック企業というのはベンチャーであることが多いわけでありますので、これが本当に数多くある金融機関一つ一つ一つ一つの項目について一から契約をつくるというのは大変なことなわけです。  こうした契約事項について、やはりあらかじめ一定程度の標準化、あるいはひな形みたいなものが示されてしかるべきだと思っておりますが、この点について政府としての見解をお伺いしたいと思います。
  75. 池田唯一

    政府参考人池田唯一君) お答え申し上げます。  御指摘のあった電子決済等代行業者との契約に係る基準でございますが、その詳細な内容について一律に定めるということに仮にしますと、各金融機関がそれぞれの経営方針に基づいて戦略的に対応していくことの妨げとなりまして、かえって金融機関電子決済等代行業者連携協働が図られない可能性があるということには留意する必要があると考えております。他方で、御指摘のありましたように、各金融機関が定める基準に不必要に過度なばらつきが生じますと、フィンテック企業に過大な負担を強いることになるおそれがあるということは私どもも認識をしているところでございます。  このため、特にばらつきを生じかねない例えば情報セキュリティーですとか利用者保護に関する基準につきましては、全銀協におけますオープンAPI検討会といった場、あるいは金融情報システムセンター、FISCにおけますワーキンググループの場などにおいて、必要の範囲で一定の共通化を図っていくための議論が進められているところでございます。私どももそれらの検討会のメンバーになっているところでございまして、状況をよく注視していきたいというふうに考えているところでございます。
  76. 平木大作

    ○平木大作君 この銀行APIを開放することの意義って、端的に言うと、銀行以外からも銀行のインフラを活用した便利なアプリケーションが提供されるということが結果としてユーザーの利便性向上につながるんだという、こういうことに尽きるんだと思っております。このときに、じゃ、この銀行のインフラにアクセスをしようとしている大宗がベンチャーであるフィンテック企業、ここに過度な負担が生じてしまうと、結果として、これ冒頭申し上げましたけれども実態としてのAPI開放が進まない、オープンAPIが進まないということでありますので、ここを是非、一律にやってくださいということではなくて、先ほど申し上げたように、過度なばらつきが生じないような形での、いい意味でのひな形なりモデルなり、そういったものを一緒につくっていっていただきたいということをお願いしたいと思います。  最後に一問、お伺いします。  今回の法改正によりまして、銀行は、フィンテック企業との契約を締結するに当たりまして、基準を満たす業者に対しては不当な差別的な取扱いを行っちゃいけないと、その基準もインターネットできちんと公開しなさいという形で義務付けられるわけであります。つまり、正当な理由なくAPIの公開は拒めないというふうになったわけですが、ただ、これ単純に、じゃ、もうとにかく手を挙げたところを全部公開しようという話では当然ないというふうに思っておりまして、特にこれまでの議論の中では、いわゆる口座情報を取得するだけのような参照系のAPIという話と、それから利用者に代わって口座のある意味入出金操作、トランザクションまで行うようないわゆる更新系のAPIについては、そもそもこれ差があってしかるべきだという議論があったというふうに思っております。  この点について最後政府の見解をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。
  77. 池田唯一

    政府参考人池田唯一君) 御指摘のとおり、今回の法律案では、金融機関に対しまして、電子決済等代行業者と締結する契約に係る基準策定して公表するということを求めております。その際には、各サービスの内容、リスクに応じまして情報セキュリティーや利用者保護のための措置を講じていくことが重要になるというふうに私ども考えております。  したがいまして、具体的な基準は各金融機関において定められるものではありますけれども、御指摘のあったような更新系のAPIと参照系APIとで措置が異なる内容になるというようなことは十分あり得るものであるというふうに考えているところでございます。
  78. 平木大作

    ○平木大作君 終わります。ありがとうございました。
  79. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門です。  今回の銀行法改正案については賛成でございます。附帯決議も賛成したいところなんですけれども、微妙なニュアンスで気になる点がありますので、反対ではありませんけど、賛成保留ということであしからず御了解いただきたいと思いますが。  このフィンテックというのは、今年一月、長峯さんと一緒にアメリカに行って、メガバンクの要望も聞いてきたところでございます。何よりも大事なのは、このフィンテック企業の電子決済が急拡大しているところで、今回の改正利用者保護、個人情報保護、また金融機関リスクを低下させるということにつながることが期待されることであります。  附帯決議との関係で若干ちょっと言わせていただきますと、まず、きちんとした利用者保護の上にこそ健全なフィンテック企業の発展も成長もあるのではないかと、逆ではないのではないかというふうに思います。規制という言葉は余り私も好きじゃありませんが、やっぱりルールがあってということですね、企業も健全に発展するということで、企業のためでもあると、いい規制、ルールというのはですね、というふうに組み立てるべきではないかなと思っているところでございます。  法案については既にもうレベルの高い質疑がされておりますので、私の方は銀行関連でまたカードローン問題を取り上げさせていただきたいというふうに思います。  決算委員会とこの前の財政金融委員会、今回で三回目でありますが、この間、麻生大臣の御指示、金融庁努力もあって、マスコミで報道されているように各銀行とも多重債務を増やさない方向での取組が始まっております。いいことだというふうに思っております。ただ、本当に実効性のあるものになるかどうかという点では、日弁連とか一部のマスコミからもまだ心配の声が上がっているところでありますので、そこで今の段階でどこまで進んできているのか、何が次の課題なのか、若干質問をさせていただきたいと思います。  まず、改めて根本問題、問題の所在を確認したいんですけど、そもそも改正貸金業法の施行に合わせて二〇一〇年の六月に銀行向けの監督指針も変更があって、その中に、要するに、銀行は、貸金業、サラ金に課せられている総量規制とかないんだけれども、サラ金問題の教訓から多重債務を増やさないように態勢整備をしなさいという監督指針があったわけですね、二〇一〇年六月からですね。それをきちんと守ってこなかったから、実行してこなかったから、今回のように銀行が高利貸しだと、サラ金化しているというふうになって批判されるようになってきたわけであります。このことは、私が各行のヒアリングをさせていただいたときも、各銀行の方から、メガバンクの方から、その点留意が足りなかったという率直な反省の言葉も聞いてきたところであります。  麻生大臣に伺いますけれど、もっと法的な規制をやれとかいろんな声がありますけれど、まず何よりも、監督指針で既に明らかになってこうしなさいとなっていたことを守らなかったことが一番の問題でありますので、原点に返ってこの監督指針に書いてあるようなことを監督指針どおりやってもらうということがまず第一に重要かと思うんですが、いかがでしょうか。
  80. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今の御指摘のありましたいわゆる監督指針というものの一番、二番から五番ぐらい書いてあったと思いますけれども、その中で一番、二番のところでもう、これだけで、常識があればこの二行で十分なんですけれども銀行等による貸付けが債務者にとって過重とならないか等を確認する態勢を構築しているか、一です。二番目、貸付けに保証を付す場合であっても、当該保証のみに頼ることなく、債務者の借入れ状況や返済計画など、銀行等自らがその返済能力等を適切に確認する審査態勢となっているかと。この二つさえやってもらえば大体基本的にはできる話なんですけれども。  残念ながら、そういう意味ではそうではなくて、昔、あるデパートがイエス・キャッシュ・イエスなんて広告やっていたでしょうが。ふざけているんじゃないか、この広告といって、あのとき、何をやっていましたかね、何か言いに行きましたよ、おまえのところふざけていませんかと、社長を知っていたものですから。言いに行ったら、知らなくて、本人も。何ですか、これと。これ、おまえ、サラ金の広告をデパートでやっているということだよ、これはと言って、えっと言われた記憶があるんですけれども。まあ宣伝部というのはそういうことになるんだという例もありますので。  とにかく銀行のカードローン利用については、これは銀行自らの社会的責任というのを十分に自覚してもらって、そもそも何でこのサラ金の話が始まったかといえば、金利やら多重債務やらいろいろありましたものですから、この監督指針というのを踏まえた上で適切にやってもらわないかぬという上で個人の資金需要に応える、丸々やめちゃうということだとこれ個人の資金需要に応えられないということになって、こういった話が全部闇に潜りかねませんから、そういったことが重要なんだということで、多重債務問題を起こさないように過剰な貸付けというのが起きるということを避けた上、いわゆる需要者というか顧客の要求に応えられるようにきちんと創意工夫を行うことで、いわゆる顧客の目線に立ったビジネスというものをちゃんとやってもらわないと、今後ともこういったものは更に厳しくなってみたり、本来のあれとは全然違った方向に行きかねませんよという話だと思いますので、その目線に沿ってきちんと対応してまいりたいと考えております。
  81. 大門実紀史

    大門実紀史君 具体的に聞いてまいりますけれども、まずテレビCMなんですけど、これもかつてサラ金問題のときにテレビCMが大問題になって自粛の方向というふうになったわけですが、このメガバンクのカードローンのテレビCMの規制はほとんどなくて、サラ金CMの倍以上テレビCMをやってきているわけですね。ただ、この間いろいろ指摘があって、それも自粛をするという方向なんですけれども。  ただ、私、みずほ銀行ですね、実は昨日、みずほ銀行の方に来てもらっていろいろヒアリングさせてもらったんですけど、みずほ銀行というのはそもそもテレビCMやっていないんですよね。全くやっていないんですよね、カードローン。やっていなくても、ほかの東京三菱、三井住友とそう引けを取らない実績があるわけですよね。  だから、有名タレントを使って莫大なCM費使って、広告代使って、その分金利を上乗せするならばやめたっていいんじゃないかと思うんですよ、これ。みずほ、だって、やっていないんですから。やっていなくてもそれなりの業績を上げているわけですから、もう自粛とか何だとかぐだぐだ言っていないで、メガバンクの社会的責任からいって、もうやめることを指導したらどうですか、みずほは実際やっていないんですから。遠藤さん、いかがでしょうか。
  82. 遠藤俊英

    政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。  全国銀行協会の申合せには、カードローンの広告、宣伝を実施する場合には、改正貸金業法の趣旨を踏まえて適切な表示等を行うよう努めるという形でこの申合せが行われました。  実際に全国銀行協会が各銀行に対してこの申合せというものを連絡する際には、貸金業界の自主規制も参考にするようにという形で各行に周知しております。その結果、既に三菱東京UFJ銀行は若年層に影響が大きい時間帯での放映は停止していると。みずほ銀行というのは元々これに関してはCMを行っていなかったと。それからさらに、各行におきましても周知内容を踏まえた対応の検討が鋭意進められているというふうに聞いております。  顧客にとって過剰な借入れとならないように、配慮に欠けた広告、宣伝の抑制に努めるということが何よりも重要だというふうに考えておりますので、各銀行の取組状況につきまして引き続きモニタリングしてまいりたいというふうに考えております。
  83. 大門実紀史

    大門実紀史君 今、遠藤監督局長おっしゃった貸金業の自主規制、広告の自主規制あるんですよね。  こういうことかなと思うんですけど、昔、銀行というのは個人向けには住宅ローンとあと教育ローンぐらいで、個人ローンというのはもう大体消費者金融がやっていたんですよね。ああいう問題が起きて、消費者金融を自分たちの傘下に入れてメガバンクも乗り出すという中で、三井住友のプロミス、三菱東京のアコム、これまさに傘下に入れたわけですね。そのサラ金と同じ手法を、宣伝も含めて、やり続けていると。みずほはオリコなんですよね。信販会社系なんですよね。そういうカルチャーの違いがあって、みずほの場合はテレビCMとかかつて消費者金融がやっていたようなことをやろうとはしないというようなことがあるわけでありましてね。まさに貸金業化しちゃっているんですよね、メガバンクは、この分野でいけば。  そうなりますと、今、遠藤さんがおっしゃったとおり、貸金業者の自主規制、CMは月に百本以下、午前七時から九時、午後五時—十時は流さないと、このレベルには必ず、必ず合わせ、自粛させるべきだと、そういう方向で指導されているということだと思うんですけど、それは強く申し上げておきたいというふうに思います。  もう一つ、一番の問題は総量規制でありまして、貸金業者からの、消費者金融からの借入れは年収の三分の一までしかできないと。これも歴史がありまして、それ以上貸すと返せなくなって多重債務に陥って抜け出せなくなるという教訓があってそういう制限を掛けたわけですね。  ところが、銀行ローンには制限がないということで、よく使われる手口が、例えば年収三百万円の人がいたといたします。生活費が足りなくて、例えばアコムで、消費者金融のアコムで借りていって、その借金が百万円になったと、年収三百万で百万円になってしまったと。年収の三分の一で、これ以上アコムから借りられないと。そういうときに次の手があるわけですね。同じ系列の東京三菱からカードローン使えますよということで、東京三菱から今度は二百万円借りて、アコムに百万円返して、新たに百万円借金できると。これをおまとめローンという言い方しますけれども、過去の借金と新たな借金まとめて借りると。これ銀行世界に移りますので、年収の三分の一の制限がなくなって、どんどんどんどん貸し込むことができるということが今一番の問題になっているわけですね。  ですから、総量規制というのはどうしてもまず手を着けなきゃいけないんですけれども、この間、メガが年収証明書を五十万円以上借り入れる場合はもうみんな出してもらうというふうに改善は改善されたんですけれど、問題は、そういう証明書を出してもらっても、実際に制限を掛けるかどうか、そこに踏み出すかが課題だと思うんですけれども、その総量規制についての三大メガの状況は今のところどうなっているか、簡潔にちょっと報告してくれますか。
  84. 遠藤俊英

    政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。  委員指摘のように、銀行が総量規制、貸出額の量的抑制の仕組みというものをどのように入れていくのかということが重要ではないかなというふうに考えております。  全国銀行協会の申合せを踏まえまして、各銀行は貸金業法上の総量規制を意識してこういった量的抑制の仕組みの検討が進められているというふうに我々承知しておりまして、一つは、今のおまとめローンも意識した動きだと思いますけれども、顧客の年収に対する貸金業者、それから自行、自分の銀行、それから他の銀行の貸付けを全て勘案するとともに、年収に対する借入れの状況と代位弁済率との相関関係など分析した上で適切な貸出し上限基準を設定するといった方法によって過剰貸付けというものを抑止していこうという、そういう量的抑制の仕組みの検討が進められているというふうに承知しております。  金融庁といたしましては、この監督指針あるいは申合せを踏まえまして、過剰な借入れというものを実効的に防止することができる適切な措置というものが講じられるようになっているのかどうか、引き続きモニタリング実施し、改善に向けた取組求めてまいりたいというふうに考えております。
  85. 大門実紀史

    大門実紀史君 これも昨日、みずほ銀行、ヒアリングしたんですよね。そしたら、みずほ銀行はもう既にやれるところから総量規制やろうということで、みずほが貸している分と消費者金融が貸している分、これを合わせて、この部分で年収の三分の一以内に抑えるということをもう四月からスタートしている、開始をしているということを聞いて、すごいなというふうに思いました、率先してやっていただいているなと。  先ほど言いましたように、みずほ銀行というのはテレビコマーシャルやっていませんし、おまとめローンもやっていないんですよね。おまとめローンという形、サラ金から引き継いでがばっと貸しちゃうというようなね。これ、おまとめローンもやっていないと。なぜやっていないんですかと聞いたら、お客様本位に考えるとやるべきことではないんじゃないかというふうな意識を持っているということで、私は大変いい姿勢だなというふうに本当に思いました。うちの住宅ローンは東京三菱ですけど、もうこの際みずほに借換えしようかと思うぐらい、やればできるんだなと、やればできるんだなということをみずほの話を聞いて思ったんです。  このみずほがやり始めた、自分の銀行と、みずほと消費者金融部分だけでも先行して三分の一規制を踏み出すということは、これどういう意味があるかというと、先ほど申し上げましたおまとめローンというのは、サラ金で目いっぱいになったのを、自分のところの系列のサラ金で目いっぱいになったのを自分のところの銀行で貸すわけでしょう。そうすると、このみずほのように、自分のところの銀行消費者金融を合わせて考えて三分の一超えたら貸さないということを、これ、東京三菱も三井住友もほかの銀行もやり始めれば、おまとめローンができないということになるわけですね。一番最大、今最大のですね。  ですから、この問題は非常に重要なので、遠藤さんおっしゃるように、全体見ていろいろ考えているというのは分からなくはないんですけど、まず自行とサラ金と合わせて三分の一はやろうと思えばできるわけですから、それをやることによっておまとめローンができなくなって、まず今、どんどんどんどん多重債務者まだ増えていると思いますけど、食い止めることができると思うんですよね。  まず、ここに踏み出すべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
  86. 遠藤俊英

    政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。  委員も御指摘のように、まさにみずほ銀行は、自分の貸出し、それから貸金業者の貸出しというものは情報として入手できるということを前提にして、今できることは何かということの結果としてこの収入額の三分の一という規制を入れたんだというふうに聞いております。  さらに、ほかの銀行がどれだけ貸し出しているのかという情報も何らかの形で入手して、自分たちの自主的な規制というものを更に発展させていこうという、まさに検討中だということを聞いております。顧客本位ということで、そういった対応をするというのは金融庁といたしましても評価すべき対応だと思いますので、そういった対応がほかの銀行にも広まるように議論してまいりたいというふうに考えております。
  87. 大門実紀史

    大門実紀史君 是非、本当にまずそこから手を着けてもらいたいなと思います。具体的な解決に向かうと思います。  残念なのは、この前、サンデー毎日の五月二十八日付け読んでいて、メガバンクの幹部がこんなことを言っているんですよね。カードローン規制すると闇金融に流れると。これ、どこかで聞いた話ですよね。二〇〇六年のときに、貸金業法の改正のときに、サラ金の、消費者金融の幹部がサラ金を規制すると闇金に流れますよと、同じことを言っていたんですよね。そんなこと、情けないですね、メガバンクの幹部が言っているわけであります。こういう認識そのものが問われていると思うんですね。これ本音で、匿名だから、雑誌の記者にしゃべったんだと思いますけれども、これがまだまだこういうカルチャーというか、こういう意識だからここまで問題を大きくしてしまったんだと思いますので、引き続き、今回、今日提案したことも含めて厳しい対応をしていただきたいということを求めて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  88. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 日本維新の会、藤巻です。  一昨日の委員会で、前日に質問通告をしながら当日体調を崩しまして、せっかく準備をしていただいたのにもかかわらず御迷惑を掛けまして、麻生大臣、岩田副総裁、そして各省庁の皆様、日銀の皆様、そして委員の皆様に御迷惑掛けたことをおわび申し上げます。  質問に入りたいと思いますが、まず、電子決済登録業者フィンテック業者ですね、を今回の改正登録制としたわけですけれども、なぜ許可制でなかったのか、許可制でなくても大丈夫だというふうに考えられた理由を御説明いただければと思います。
  89. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは御存じかと思いますけれども電子決済等代行業者というのは、顧客の委託を受けていわゆるITを使った送金を指示したりするようなサービスとか口座の情報提供サービス等々をやることになるんですけれども、これ、郵便貯金を預かって郵便局でやっているような、現金、キャッシュを触るということはありませんから。銀行代理業の場合は現金を触りますから、そこで。これは全く触ることはありませんので、全然状況が違うと思っておりますので。顧客から金銭を預かってやる資金の移動業者がこれは登録制というものになっているということを考えてみますと、フィンテック企業の参入をいたずらに阻害しないというような観点から、この電子決済等代行業者登録制とすることが自然なんだと思っております。  また、この法案では、電子決済等代行業者のこの登録に当たってその要件を課しております。その業務を適正確実に実行するのに必要な財産的規模は基礎ちゃんとありますでしょうねと、それから、必要な体制の整備がちゃんと行われているということを求めたりいたしておりますので、情報の安全管理義務というのを課すことなどの処置等々を、これら三つ講じておりますので、必要な利用者保護というのはこの登録制で十分に図られているのではないかと、そのように考えております。  更にこの技術が進歩してもっと裏口ができるようになるんじゃないかとか、それは考えればいろいろ出ますけど、その段階でまた考えます。
  90. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 経済学者のハイエクなんですけれども、彼が通貨の脱国家論を主張していたわけですね。通貨は国や中央銀行以外が発行してもいいんではないかと、こういう主張だったわけで、これは一九七六年に書いた国貨発行自由化論の中で主張されているわけなんですけれども。昨今、ブロックチェーン技術を利用したビットコインがまさに史上最高値を更新しています。一ビット三十万円超したかなくらいの数字が二、三日前だったと思うんですけれども。価格だけでなくて世界的には量も大拡大しているということなんですが。そういうことを思ってみますと、このハイエクの通貨は国家のみで発行しなくてもいいんではないかという、その現実として現象が現れているんじゃないかなという気もするわけですが。  そうなりますと、通貨発行益というのは今まで国とか政府のみが持っていた一種の権益だったわけですけれども、その権益が侵されているという気がしないでもないんですね。それについてその認識をちょっと財務省にお聞きしたいというか、これは時代の流れだから通貨発行益がほかの人に移っていっちゃうのもしようがないと考えるのかどうか、その辺をちょっとお聞きしたいと思います。
  91. 木原稔

    ○副大臣(木原稔君) 経済学者のハイエクに絡めての御質問でございますが、仮にでありますけれども、そういった今委員おっしゃるようなビットコインなどの仮想通貨が普及を続けて、そして将来的に法定通貨を代替する存在になれば、通貨発行量は減少して、それに伴って通貨発行益が反射的に減少するのではないか、そういった議論があるということは承知をしているところです。  一方で、日銀の通貨発行量は日銀が法定通貨への需要を踏まえて決定しておりまして、法定通貨への需要は経済・物価情勢等を含む様々な要因によって変動し得るものであるため、仮想通貨の普及による影響について現時点では必ずしも明確にお答えすることは困難であることはお分かりいただけるものと思います。  なお、現段階では仮想通貨が法定通貨を凌駕して広がる可能性は低いとの見方が国際的にも多いものというふうに承知をしております。  仮想通貨については、現時点では価格変動リスクが大きくて、マネーロンダリング等に関する議論があることにも留意しつつ、今後の動向を注視してまいりたいと存じております。
  92. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 同じ内容を岩田副総裁にもお聞きしたいんですけれども日本の、現状は違いますけれども、伝統的金融政策においては通貨量というのは、マネーサプライ、マネタリーベースの管理というのは非常に重要だったと思うんですが、これ、ビットコインがみんなが使うようになってしまうと、通貨量のコントロールというのは極めて日銀として難しくなる、世の中全体のですね、それに対する危惧というものはないのかどうかお聞きしたいと思います。
  93. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 日本銀行としましては、情報通信技術の発展が通貨制度や決済システムにどのような影響を及ぼすかについて、中央銀行の立場から幅広い観点で調査研究を行っているところであります。  委員指摘の仮想通貨ですが、国際決済銀行やIMF、海外中央銀行などでも研究、議論が進んでおります。  例えば、BISの決済・市場インフラ委員会の報告書によれば、仮想通貨が金融政策の遂行に与える影響は、既存の通貨が仮想通貨にどの程度代替されるか、また既存の通貨と仮想通貨との連係の度合いに依存するとされております。この点、仮想通貨の決済への利用は現在のところ限定的でありまして、これが金融システムや金融政策の波及メカニズムに及ぼす可能性は近い将来において極めて低いと考えられます。  いずれにせよ、仮想通貨をめぐる今後の動向については、中央銀行日本銀行としても今後とも研究してまいりたいと思います。
  94. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 中国ではビットコイン、非常に使われているということを聞いていますけれども、まあそれは資本規制があって、なかなか人民元に対する信認がいまいちということもあると思うんですね。となると、万が一、日本銀行が政策を間違えて円の信認が崩れるようなことがあると、ビットコインに取って代わられちゃう可能性もなきにしもあらずかと思いますので、それに関連してちょっとお聞きしたいんですけれども。  先日、五月十八日の財政金融委員会のときに私質問しまして、自分で岩田副総裁議論をしながら計算していまして、暗算を間違えていたようなんで、議事録を読んでいて、間違えた、しまったなと思ったんで、それを修正の意味でももう一度確認をさせていただきたいんですけれども。  五月十八日に、岩田副総裁、二〇一六年下期のデータはまだ発表できないということだったんで、上期の数字をお聞きいたしました。お配りしましたバランスシートで、国債、資産の方の国債、これは三月末ですけれども、上期の平均は〇・三三二%と。この保有国債から受け取っている国債利息収入は六千二百八十四億円だというふうにお聞きいたしました。これは半年間です。一方、これは今度、下期の数字になって申し訳ないんですけれども、負債サイドの日銀当座預金の超過準備、これは平残で三百八兆円だということもお聞きいたしました。これ、このお配りした表は三月末で三百四十二兆円。増えておりますけれども、当然、下期の平均残高は三百八兆円と、こういうふうにお聞きいたしました。  あのときに、二〇一六年度上期当初に景気が上昇して付利金利を一%引き上げたと仮定しますと、要するに収入の方が六千二百八十四億円で支払金利が一兆五千億ということだったということで、年間一・八兆円の損を日銀が生じることになると、まあこれは仮定の話ですけれども。要は、今後、景気が良くなったり、そしてインフレが加速したりして日本銀行が日銀当座預金に付利をしなくてはいけなくなる、一%の付利をすると一年間で一・八兆円であると。  日銀は、今二%の消費者物価指数を目指しているわけですから、消費者物価指数が二%に安定的になれば、加速するのを防ぐために、前回はちょっと三%の例でお聞きしましたけれども、二%にはしなくちゃいけないと思うんですね。まさか消費者物価指数が二%のときに規制金利が一%であれば当然インフレ加速するでしょうし景気も過熱してしまうでしょうから、二%にしなくてはいけない。  その二%にした場合には、そうしますと年間の日銀の損失は三・六兆円になってしまう。このバランスシートの負債サイドを見ていただくと分かりますように、引当金勘定が四・五兆円、準備金が三・二兆円ですと三月末で七・七兆円しかないということで、日銀が付利金利を二%に引き上げれば二年間で債務超過に陥ってしまうと、単純計算ですけれども、こういう計算になってしまいますが、これについて、私の計算が正しいのかどうか、確認させていただければと思います。
  95. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 前回も申し上げましたが、将来の出口の過程における日本銀行の収益に対する影響については、経済・物価情勢が好転し、当座預金に対する付利金利を引き上げる場合には、長期金利も相応に上昇すると考えられます。したがって、当座預金に対する支払利息が増加する一方で、日本銀行の保有国債についてもより高い利回りの国債に順次入れ替わってくるわけであります。そのため、受取利息も増加することになります。  その上で、御指摘の点について、消費者物価上昇率が安定的に二%程度で推移するようになった場合の付利金利の水準ですが、これはそのときにおける経済情勢や物価上昇のモメンタムなどによって決まるものであって、現時点で申し上げることは困難です。  例えば米国では、消費者物価上昇率はおおむね今二%程度で推移していますが、付利金利は一%にとどまっております。あるいはイギリスでも、消費者物価上昇率は二%を上回って推移しておりますが、付利金利は〇・二五%にとどまっております。
  96. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 前回も申し上げたんですが、最初の方の岩田副総裁議論というのは極めて逃げだと思うんですね。資産サイドの国債の利回りも金利が上がっていけば上がるから受取収益が上がるという議論だと思いますが、前回も申し上げたと思いますけれども、保有国債は今十年とか三十年とか四十年国債を買っているわけで、固定金利国債ですから四十年国債だったら四十年たたないと利回りは上がらない、三十年だったら三十年たたないと上がらない。  特に、非常に今買っております十年国債は、例えば〇・二%の国債を買えば、残存期間、八年か九年かは〇・二%のまま上がらないわけですから、収入が上がるのは極めて遅いということになるかと思います。その間に日銀の引当金の金利を上げなければ、かなり上げなければいけないというときになれば、かなり大きい債務超過が起きているということがあると思いますし、もう一つ言えば、国債の長期金利が上がっているということは日本銀行が保有しています国債の価格が大暴落をしているわけで、日本銀行の評価損はもう極めて大きい。  たしか前回聞きますと、うろ覚えですけど、一%上がれば二十三・八兆円という金額になるというふうにお聞きいたしましたけれども、これが例えば数%に上がれば物すごい評価損で、確かに財務諸表上では損は出てこないといえども当然マーケットは評価損を入れて、例えば東芝だって別に財務諸表で株価を上げるわけじゃなくて、評価損を含めて株価というのは評価されるわけで、株は決めるわけであって、別に財務諸表に表れないから日銀が大丈夫だということは決して言えない。まさにマーケットというのは、評価損を含めて、何と財務諸表で発表しようと大変なことになるのではないかと私は思いますので、今の日銀副総裁の御回答には極めて、ちょっと逃げかなという気がいたします。  それで、その後、質問通告のを続けますけれども、この四十年間でアメリカのフェッドファンドレートが最も高かったのは、これは私が思うに、一九八〇年、八一年ぐらいかな、アメリカがスタグフレーションでボルカー・ショックをやったときだと思いますけれども、どのくらいのパーセンテージまで行ったのか、要するに政策金利ですね。  一方、日本も四十年間、有担オーバーナイトコールレート、政策金利がどこまで上がったのかということをお聞きしたいと思います。
  97. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) この四十年間でアメリカのFFレートが最も高かったのはいつかというと、第二次オイルショック後の高インフレ期でありまして、このときインフレ率は一一・六%ぐらいまで上がりました。そのときのFFレートは一九・一%であります。  同様に、日本の有担コールレートの翌日物の最高値は一九八〇年七月の一二・七%でありまして、当時のインフレ率は八・七%ぐらいであります。
  98. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 日本の場合、当時のインフレ率八・七%ということは、決してハイパーインフレではなかったわけですけれども、通常のインフレ、過去の歴史からいっても、そこまで金利が上がる状況があると。そういうときに、日銀当座預金が一二・七%になったらば日銀のPLはどうなってしまうんだろうかと。先ほど岩田副総裁がおっしゃっていたように、保有国債の利回りが平均残存七・四年とこの前おっしゃっていましたけれども、七・四年たってかなり上がってくる、そのときまでに金利を極めて低く抑えておけるのかどうかということで、非常に楽観できるような状況ではないかなというふうに思います。  そうしますと、あと時間四分なので、次の八番の方に行って財務省にお聞きしたいんですけれども、これをなぜお聞きするかというと、以前、この委員会で岩田副総裁が、金利を上げる方法として、日銀の付利金利を上げるという方法と、もう一つ、バランスシートを縮める方法があると、二つの方法がまず考えられると、ほかにあるのかもしれませんけれども、二つの代表例をおっしゃっていらっしゃったんで、これをお聞きいたしますけれども。  日銀のバランスシートを縮める、すなわち保有国債をアメリカのように借換えをしない、若しくはもうちょっと積極的に、売却をするということがありますので、その参考例として、一九九八年十二月に資金運用部ショックというのがありました。要するに、資金運用部がもう国債を買わないよという、宮澤喜一大蔵大臣のときだったと思いますけれども、そのときになぜ資金運用部ショックと言われるほどのことがあったのか、そのときにどういうことが行われたかということと、そのときに資金運用部は国債発行額のうちの何%ぐらいを購入していたかということをお聞きしたいと思います。  ちなみに、今、日銀というのは国債発行額の八〇%を買っているという認識なんですが、その前提の下に、資金運用部ショックでマーケットはどういう動きをしたか、そして、どのくらい、資金運用部が全体発行額の何%を買っていたか、その辺をお聞かせいただければと思います。
  99. 木原稔

    ○副大臣(木原稔君) いわゆる資金運用部ショックについてでございますけれども、一九九八年の長期金利の話になりますけれども、この年は、後半に入りまして、金融システムの不安の高まりもありまして長期金利は低下傾向で推移しておりましたが、その後反転をしまして、一九九八年の十一月から十二月の間には上昇幅が一%を超えております。この金利上昇については、一般的には、同年十二月十一日に成立した補正予算における国債増発、これが十二・三兆円でございました。また、同年の十二月二十二日の資金運用部による、委員指摘の国債の市中買入れ停止の公表などが背景にあると指摘されておりまして、いわゆる資金運用部ショックと言われていることもあると承知しております。  なお、一九九八年度の国債発行額は約七十六・二兆円でありまして、このうち、資金運用部が同年度に直接引き受けた金額は十五・二兆円でありまして、市中からの既発国債の購入額は約二・二兆円でございます。
  100. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 約二〇%を買っている資金運用部が購入を停止するということだけでマーケットは大きく動いた。いろんな説明をされておりましたけれども、私は当時現場におりましたからよく覚えておりますけれども、これは明らかに資金運用部の国債停止のニュースによる大荒れだったというふうに思います。そのときに、やはりそれを、大蔵省の方は購入停止をするのをやめるということで継続をしたのでマーケットは落ち着いたわけですけれども、一九%を買っていた資金運用部が購入をやめるというだけであれだけの大騒ぎがあったんですが、時間がないので最後に、ちょっと質問通告していないのでお答えいただかなくても結構でございますけれども、日銀副総裁、今八〇%を買っている日銀が国債を買うのをやめると言ったときにマーケットは大丈夫だと思われるかどうか、お聞きしたいと思います。
  101. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 今、出口におけるお話ずっと続いていると思うんですけれども日本銀行は、出口にもし入るという場合にも非常に慎重に、そんなに急に金利が上昇するような、そして市場が混乱するようなことのないように出口を進めたいと思っておりますので、御心配のようなことはないというふうに確信しております。
  102. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 時間になりましたので終わりますけれども、気概だけではマーケットをコントロールできませんので、是非具体的に慎重にお考えいただければと思います。  終わります。
  103. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  銀行法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  104. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、大塚君から発言を求められておりますので、これを許します。大塚耕平君。
  105. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私は、ただいま可決されました銀行法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・こころ、民進党・新緑風会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     銀行法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 フィンテックが急速に進展する中で、IT企業等を含む多様な参加者による金融サービスイノベーション促進を支援する観点から、電子決済等代行業者等に関する規制については、関係事業者等から十分に情報収集した上で、目的に照らして必要最小限とすること、新規参入に対する過度の障壁としないこと、報告徴求・検査等が関係事業者等の活動やイノベーションを阻害しないこと等に留意するとともに、利用者保護やシステムの安定性等にも配意し、関係省庁が適切かつ機動的な対応を進めること。  一 オープンAPIによる金融機関電子決済等代行業者との接続の推進が、イノベーション促進利用者保護、システムの安定性等の観点から重要であることに鑑み、銀行代理業規制の適用範囲の適切な設定、金融機関及び関係事業者等によるオープンAPI普及に向けた取組の支援等の環境整備に努めること。  一 本法に基づく金融機関及び電子決済等代行業者等に対する規制については、金融機関及び電子決済等代行業者等において相応のシステム対応等が必要になることから、施行までに適切な準備期間を確保できるよう配意すること。  一 利用者保護観点から、フィンテック等に係るシステム障害等によって利用者に損害が及ぶことのないよう、金融機関及び電子決済等代行業者等に対して適切な指導等を行うこと。  一 本法に基づく制度の運用に当たっては、情報通信技術の急速な進展等を踏まえ、金融機関金融関連IT企業等との適切な連携協働の推進及び利用者保護観点から、実効性のある検査及び監督体制を整備すること。    その際、中小・地域金融機関等の検査及び監督を主に担当する財務局も含め、優秀な人材の確保と職員の専門性の向上を図るとともに、必要な定員の確保、高度な専門的知識を要する職務に従事する職員の処遇の改善、機構の充実及び職場環境の整備に努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  106. 藤川政人

    委員長藤川政人君) ただいま大塚君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  107. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 多数と認めます。よって、大塚君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、麻生内閣特命担大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。麻生内閣特命担大臣
  108. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。
  109. 藤川政人

    委員長藤川政人君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十四分散会