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2017-04-11 第193回国会 参議院 財政金融委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年四月十一日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月三十一日     辞任         補欠選任      元榮太一郎君     鶴保 庸介君  四月三日     辞任         補欠選任      徳茂 雅之君     自見はなこ君      松川 るい君     鴻池 祥肇君  四月四日     辞任         補欠選任      鴻池 祥肇君     松川 るい君      自見はなこ君     徳茂 雅之君  四月六日     辞任         補欠選任      松川 るい君     自見はなこ君  四月七日     辞任         補欠選任      自見はなこ君     松川 るい君  四月十日     辞任         補欠選任      風間 直樹君     宮沢 由佳君  四月十一日     辞任         補欠選任      宮沢 由佳君     風間 直樹君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤川 政人君     理 事                 大家 敏志君                 中西 健治君                 長峯  誠君                 三宅 伸吾君                 大塚 耕平君     委 員                 愛知 治郎君                 石田 昌宏君                 徳茂 雅之君                 中山 恭子君                 松川 るい君                 三木  亨君                 宮沢 洋一君                 山谷えり子君                 風間 直樹君                 古賀 之士君                 白  眞勲君                 藤末 健三君                 宮沢 由佳君                 杉  久武君                 平木 大作君                 小池  晃君                 大門実紀史君                 藤巻 健史君                 渡辺 喜美君    国務大臣        財務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        麻生 太郎君    副大臣        内閣府副大臣   越智 隆雄君        財務大臣    大塚  拓君    事務局側        常任委員会専門        員        小野 伸一君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       向井 治紀君        内閣官房日本経        済再生総合事務        局次長      宇野 雅夫君        人事院事務総局        人材局審議官   西  浩明君        内閣大臣官房        審議官      大塚 幸寛君        内閣公益認定        等委員会事務局        長        川淵 幹児君        金融庁総務企画        局長       池田 唯一君        金融庁監督局長  遠藤 俊英君        消費者庁次長   川口 康裕君        国税庁次長    飯塚  厚君        経済産業大臣官        房審議官     中石 斉孝君    参考人        日本銀行総裁   黒田 東彦君        日本銀行決済機        構局長      山岡 浩巳君        日本郵政株式会        社常務執行役   田中  進君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (フィンテックに関する件)  (金融資本市場の改革に関する件)  (ジャパンライフ株式会社に関する件)  (金融緩和出口戦略に関する件) ○国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送  付)     ─────────────
  2. 藤川政人

    委員長藤川政人君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、元榮太一郎君及び風間直樹君が委員辞任され、その補欠として鶴保庸介君及び宮沢由佳君が選任されました。     ─────────────
  3. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君外九名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁黒田東彦君、同決済機構局長山岡浩巳君及び日本郵政株式会社常務執行役田中進君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 藤末健三

    ○藤末健三君 おはようございます。  民進党・新緑風会の藤末健三でございます。  私は、本日、一般質疑の機会をいただきましたので、金融政策について、そしてフィンテック三つ目フィンテックの大きな担い手である郵政につきまして質問をさせていただきたいと思っております。ただ、一番冒頭に森友学園あと加計学園の問題について質問をさせていただきます。  森友学園につきましては、大阪地検特捜部が、豊中市議会木村議員らが行っています、不当に土地を安く売って国に損害を与えたということで提出していました財務省近畿財務局職員に対する背任容疑告発状大阪地検特捜部が受理している状況になっております。また、昨日も決算委員会礒崎委員が、財務省、置かれました産廃処理費用、八億円を超す産廃処理費用について、写真などの、この証明している資料がもうおかしいのではないかという指摘をさせていただいている状況でございます。  また、加計学園の問題もいまだ明確になっていない状況の中で、このような中で国家公務員などの倫理をどういうふうに考えるか、人事院見解を伺いたいと思います。お願いいたします。
  9. 西浩明

    政府参考人西浩明君) お答え申し上げます。  国家公務員として、国家公務員法を始めとする法令遵守は極めて重要であります。その上で、国民全体の奉仕者としての使命を果たしていくためには、法令遵守にとどまらず、高い倫理観使命感を持って職務に従事することが必要であります。  このような観点から、例えば人事院では、各府省行政運営の中核を担うことが期待されている職員等を対象とした階層別行政研修等を実施しており、その中で、公務員在り方公務員倫理考えさせる講義や討議を盛り込んでおります。加えて、古典講読などを通じてより高い倫理観の養成や士気向上に努めているところでございます。  人事院といたしましては、今後ともこのような取組を進め、公務員倫理観士気向上に努めてまいりたいと考えております。
  10. 藤末健三

    ○藤末健三君 人事院にもう一つお聞きしたいんですけれど、私は、今、天下りの問題とか今回のこういう森友学園とか加計学園の問題で、国家公務員に対する信用が大分、世間の信用が落ちていると思うんですが、そういうものに対する何か対応はお考えなんでしょうか。お願いいたします。
  11. 西浩明

    政府参考人西浩明君) お答え申し上げます。  今回の問題で、どのような国民皆様からの信頼につきましてという御指摘がございましたけれども、私どもといたしましては、日頃から公務員倫理在り方について繰り返し研修等を通じて徹底していくことが必要だと考えておりまして、引き続き、それらの対応を進めてまいりたいと考えております。
  12. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非人事院にお願いしたいのは、やはり国家公務員信用って非常に重要でございまして、何かと申しますと、ここは財政金融委員会でございまして、将来、消費税等を上げる中で、国家公務員がきちんと税金を使っているという信頼がなければ私は増税をすることは難しいんじゃないかと思っておりまして、是非人事院研修のみならず、やはり納税者あとやっぱり国民皆様に対して国家公務員信頼を上げていくような取組をもっと明確にやっていただきたいとお願いさせていただきたいと思います。  それでは、金融政策質問を移らさせていただきます。  今日、黒田日銀総裁にお越しいただいておりますが、今、皆様、お手元にちょっと資料をお配りさせていただいています。これは何かと申しますと、有効求人倍率がどのようになったかということで、この十年間。下の方が、黒い太線が実質輸出ということで、輸出推移でなっております。  これを見ていただきますと何があるかと申しますと、有効求人倍率がもう一・四を超している状況、かつ失業率も三%を割るという状況でございまして、私は完全雇用状況にあると思います。  一方では、この輸出推移を見てみますと何かと申しますと、円が安くなっても実は実質輸出はそれほど伸びていないというデータでございまして、これは何かと申しますと、国内の供給力、これはもう限界に来ているのではないかということでございます。  こういう中で、金融政策金融緩和政策をずっと続けているわけでございますが、諸外国であれば、例えば完全雇用雇用中央銀行政策目的だったりするわけでございますけれど、黒田総裁はこのような状況の中で金融緩和政策を続けるかどうか、金融政策在り方について御意見をいただきたいと思います。お願いいたします。
  13. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 御案内のとおり、日本銀行は、二〇一三年の四月に、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するということを目指して量的・質的金融緩和を導入いたしました。  その後の我が国経済物価は大きく好転しておりまして、実体経済面では、御指摘のとおり、失業率直近の二月には二・八%まで低下するなど、ほぼ完全雇用状態となっておりまして、需給ギャップ長期平均水準であるゼロ%近傍で推移するというところまで改善しております。また、物価面では、物価が持続的に下落するという意味でのデフレではなくなっているというふうに考えております。  もっとも、現状では二%の物価安定の目標までにはなお距離があります。日本銀行としては、今後とも、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するため、長短金利操作付き量的・質的金融緩和の下で強力な金融緩和をしっかりと推進していく所存でございます。
  14. 藤末健三

    ○藤末健三君 総裁は、この経済状況の中でも金融緩和による二%目標達成できるというふうにお考えなんですか。教えてください。
  15. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 現在、二%の物価安定目標に到達しておりません。ただ、直近金融政策決定会合におきましても議論がなされ、さらに、展望レポート等も公表しておりますけれども、今後の二%の物価安定目標達成につきましては、消費者物価の前年比は先行き二%に向けて上昇率を高めていくというふうに政策委員会は見ております。  その背景といたしましては、第一に、委員も御指摘のとおり、需給ギャップが改善しておりますし、今後とも経済潜在成長率を上回る成長を続ける下では、需給ギャップが一段と改善して、賃金上昇などを通じて物価上昇率高まりにつながっていくということが第一に挙げられます。  第二に、エネルギー価格による消費者物価押し上げ寄与が、従来は押し下げていたわけですが、それが今ほぼニュートラルになっておりまして、今後押し上げ寄与になっていくというふうに見ております。  第三に、こうした下で実際の物価上昇率高まりますと、日本銀行の強いコミットメントと相まって予想物価上昇率上昇して、より基調的な物価上昇率高まりにつながっていくということが指摘できると思います。  したがいまして、二%の物価安定目標に向けて徐々に物価上昇率上昇していくというふうに見ております。
  16. 藤末健三

    ○藤末健三君 今、黒田総裁三つの点をおっしゃっていただきました。人件費エネルギー価格、そして予想物価上昇率が上がっていくということなんですが、まず一つございますのは、統計を見ますと、完全雇用という状況にあるにもかかわらず人件費全然上がっていない状況でございます。  一点目であります人件費について、上がっていない中、私も総裁と同じ考えでございまして、人件費賃金が上がれば二%の目標には近づくとは思いますけど、実際にはそうなっていないという。それはなぜそうなっていないかというちょっと見解をお聞かせいただきたいと思いますし、それを超える方法をどうかという、まずこれ一つ人件費です。  二つ目には、エネルギー価格のことをおっしゃっていただきましたけれど、私は、よくエネルギー価格が上がれば物価が上がってという話をおっしゃる方がいると思いますけど、私はエネルギー価格が上がることは我が国経済にとっては絶対マイナスだと思っています。そのエネルギー価格の問題について教えていただきたいと思います。私は、エネルギー価格が上がって物価が上がりますよと、二%達成できますよというのは、おかしな物価上昇につながるんではないかと思っていますので、その二つ目と。  そして、三つ目が一番大きいところで、予想物価上昇が上がるからということをおっしゃっていますけど、今までずっと上がっていないと思うんですよ、四年間、同じ政策を打ち続けて。昨年は新しいまた政策を打ったわけでございますけれど、それでも全然期待というか、物価上昇に対する期待というのは私は盛り上がっていないと思っていまして、その三点目もなかなか効果がないんではないかと思うんですけど、以上三つのことについてお答えいただけますでしょうか。
  17. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) まず、ほぼ完全雇用状態にあるということで、四年連続でベースアップが実現するなど、賃金は緩やかには上昇しております。ただ、御指摘のとおり、労働需給の引き締まりの割には、これが賃金上昇に波及していく力がやや弱いということも事実であります。  この背景には、我が国ではデフレが長期間にわたって続いていたために、デフレマインドの転換に時間が掛かっているということがあると思います。例えば、デフレの下で企業従業員共に雇用確保を重視してきた経緯がありまして、賃金上昇に向けた姿勢になかなか切り替えられていないという面もあろうかと思います。また、我が国では、御案内のとおり、春闘等における賃金決定に際して前年度の物価上昇率を勘案するという慣行がございます。そうした下で、エネルギー価格下落影響などから、実際の消費者物価上昇率が伸び悩んだという下で賃金が上がりにくかったということもあろうと思います。  二番目のエネルギー価格の点につきましては、確かに日本エネルギーのほとんどを輸入しておりますので、エネルギー価格上昇いたしますと言わば国民経済全体として実質所得マイナス影響が出てくるということは事実なんですが、過去の状況を見ましても、そうした下でもエネルギー価格下落すると消費者物価下落する、エネルギー価格上昇すると消費者物価上昇するという傾向が明らかにございます。ただ、これはエネルギー価格自体が、いろいろな要因で、一時的な要因で上がったり下がったりいたしますので、それ自体物価上昇率の、あるい物価上昇の基調を決定するということにはならないというふうには思います。  その点で、三点目が物価上昇予想というか予想物価上昇率ですが、これについては昨年の九月に行いました量的・質的金融緩和等総括的検証でもかなり深く、詳しく分析しておりますけれども我が国においてはどうしてもこの物価上昇率が後追い的に、言わば適応的な期待形成があるものですから、実際の物価が下がると期待物価上昇率も下がる、実際の物価が上がると期待物価上昇率も上がるという傾向がございます。実際にも、二〇一四年には一時、物価上昇率生鮮食品を除いて一・五%程度まで上がりましたが、そのときには物価上昇予想というもの自体もそれに近いところまで上がっておりました。ただ、その後、エネルギー価格下落を受けて、実際の物価上昇率が下がっていく中で予想物価上昇率自体も下がっていったという経緯がございます。
  18. 藤末健三

    ○藤末健三君 済みません、しつこくて。  今、総裁の御説明を伺っていますと、金融緩和をこれから続けていて実際にその二%が達成できるかどうかという説明余り関係ないような気がしていて、結局答えは何かというと、昨年九月の総括検証の中身を見て私が思ったのは、結局、消費者とか国民マインドが変わらなければ変わらないんですよというような何か落ちだったような気がするんですよ、結局は。  先ほど、賃金の話も、春闘とか、あと賃金に対する考え方が変わっていないからということですし、また、予想物価に、指数についても、現実のものが変化することに合わせて変わっていくということなんですけれど、実際に、私個人の意見を申し上げると、恐らく、私は質問をこう書かせていただきますけれど、完全雇用になった今、需給ギャップもゼロ%に近くなった今何が必要かというと、もう人件費を上げることが最大の経済効果だと思うんですけど、その点いかがですか。
  19. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) その点はそのとおりだと思います。  そもそも、私どもの二%の物価安定目標達成ということも、ただ単に消費者物価が上がればいいということではなくて、企業収益賃金上昇する下で好循環が実現して緩やかに物価上昇率が二%に向かって上昇していくということを目指しているわけでありまして、そういった意味では、先ほど申し上げたように、賃金が全然上がっていないというわけではなくて、四年続きのベアもありましたし、それなり上昇はしていますけれども労働市場需給が非常にタイトになって、人手不足というふうにも多く言われているわけですけれども、その中でもその需給のタイトさの割にはやや上がり方が弱いかなと。  ただ、これも先ほど申し上げたように、潜在成長率、まあ我が国潜在成長率は一%未満だと言われていますけれども、それを上回る成長が続く中で需給ギャップが縮み、改善し、労働市場がタイトになっていく中で賃金上昇し、物価上昇につながっていくというふうに考えております。
  20. 藤末健三

    ○藤末健三君 私は、金融政策は今のトレンドではいいとは思っていません、正直申し上げて。  是非私が提案させていただきたいのは、日本労働人口というのは一九九七年がピークだったわけでございますけれど、今は、昨年、二〇一六年とそのピーク時を比べると、労働人口一二%減っております、一二%。このトレンドはずっと続くという方向の中で、今は完全雇用状況になっているという中で、私は、やはり賃金を上げること、賃金を上げることは恐らくもう生産性上昇しかないんではないかなと思っておりまして、特によく、私は経済産業省出身なんですけど、やはり我々の頭が製造業に寄り過ぎているんではないかなという。  後でもう一つ質問しようと思っていますのは、やっぱり、円安になることによって日本製造業輸出へシフトしてもうけて、それが経済にプラスになりますよという議論があったわけですけれど、それもなかなかもう回っていないんではないかと私は思っております。  今、製造業と非製造業付加価値のシェアを見ますと、今は本当に、今から三十年ぐらい前は製造業が大体八割で非製造業が二割ちょっとという感じだったものが今は逆転していまして、非製造業が約八割、付加価値生産、で、製造業が二〇%、約二割という状況でございますので、是非この非製造業にターゲットを当てたような、資金が回る仕組みをつくっていただくことが重要じゃないかと思います。  ちなみに、製造業と非製造業生産性上昇を比べますと、二〇〇〇年代以降ですけど、製造業はもう二%以上の生産性向上を毎年やっている。一方、非製造業は〇・二%から〇・五%と約四分の一になっていますので、そういうその産業構造に適した金融政策みたいなことを考えていただくことも必要じゃないかと思うんですけど、いかがですか、総裁
  21. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 二つ申し上げられると思いますが、第一点は、産業構造の変化が起こっているということはそのとおりでありますし、非製造業生産性上昇率が低い、ここを上げていかないと全体としての生産性上昇率が上がっていかないと、そして、労働生産性が上がっていかなければ実質賃金は持続的な形で上げるということはできないわけです。  ただ、私ども考えておりますのは、もちろんそういう実質賃金るい実質成長率、そういったものが上昇していくことが望ましいわけですけれども金融政策の役割としては、あくまでも物価の安定、二%の物価上昇率を持続的に実現するということが目的でございますので、それに向けて金融政策を運営していくと。もちろん、財政政策とか構造政策等成長率を引き上げていく、労働生産性を引き上げていくということは非常に重要だと思っております。  そうした上で、日本銀行としても、実は成長支援のための特別の融資制度というのも設けておりまして、これによって金融機関が特定の成長を支援するような貸出しをした場合には特別に有利な形で日本銀行金融機関資金供給するという仕組みを取っておりまして、これはそれなり効果を上げていると。そういった面では、委員指摘の点も含めて、日本銀行としても今後とも努力してまいりたいと思います。
  22. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非とも成長に対する資金供給ということはある程度政策としてやっていただきたいなと私は思っています。  実際に、私の周り、ベンチャー企業経営者が多いんですけれど、日銀やった政策で、銀行が無担保で資金提供をやっている例があるんですよ。実際にその資金はだんだん回り始めているとは思っていますけれど、ただまだ不十分じゃないかなと思っていまして、是非金融緩和という政策を続けられる中で、やはりその資金がどこに回っていくかということも是非考えになっていただきたいと思います。もう、ちょっとここで提案だけさせていただいて、終わらさせていただきます。よろしいでしょうか。じゃ、どうぞ総裁、もう結構です、これで。
  23. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 黒田総裁、退席していただいて結構でございます。  質問続けてください。
  24. 藤末健三

    ○藤末健三君 失礼しました、委員長権限を。  それで、次にフィンテックについてお話をさせていただきたいと思います。  この間、BIS会合がございまして、その中でフィンテック議論があったわけでございますけれど、日銀山岡局長出席いただいたということでございますが、その状況についてちょっとお話をしていただいてよろしいでしょうか。お願いします。
  25. 山岡浩巳

    参考人山岡浩巳君) お答え申し上げます。  中央銀行の集まりでございますBIS国際決済銀行でも現在フィンテックは大きな関心事でございます。そうした関心の背景としましては幾つかの要因が挙げられるように思います。  まず、フィンテックですけれども、新しい情報技術を使って金融を効率化する、生産性を上げるということ、それから、金融とほかの産業との結び付きを実現していくということを通じまして経済や産業を活性化させるという力を持っているということでございます。  それから、従来は余り金融サービスが発達していなかった、例えば銀行店舗が余りない、ATMといったものが余りないと、そういったような途上国ですとか新興国、こういった国々でも、今やスマホが世界的に普及しておりますので、こうしたものを使いまして国民金融サービスを一気に普及させることができるのではないか、これ金融包摂と言われておりますけれども、こういった観点からも期待されているということでございます。  それから、フィンテックの潮流の中で、IT企業とか新しい主体がどんどん金融に参入しております。こうした中で、またビットコインのような仮想通貨も出ておりますので、金融の構造ですとかリスク、こうしたものも変化していくのではないかということから注目を集めているということでございます。  こうした中でBISでは、イノベーションの方は阻害しないように、一方でフィンテックがもたらし得るような構造変化とかリスクにはきちんと対処していくと、こういった観点から議論を進めているということでございます。このような検討も踏まえまして、BISの関連会合では、ビットコインなどのデジタル通貨、これに関する報告書、それからフィンテックの代表的技術と考えられております分散型台帳技術、これに関する報告書など、幾つかのレポートも公表しております。  日本銀行といたしましては、引き続きフィンテックをめぐる国際的な議論に積極的に参加をしてまいりたいというふうに考えております。
  26. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非活動を続けていただきたいと思います。  多分フィンテックって余りまだ日本では知られておりませんけれど、非常に海外では動きがございまして、スマホが普及してどんどんどんどん、例えばお金のやり取りを友達のスマホとの間でやり取りをするとか、あと、お金が必要な人がネットで借金を募集して個人から個人にお金を貸すことができるとか、あとは、海外に送金するのがほとんどただに近いような状況になるとか、あと日本ではちょっと遅れていると思うんですけど、クレジットカード、我々は大体五パーぐらいの手数料をクレジットカード会社に払っているんですけど、ほとんどそれが一%ぐらいになるようなもう技術が実際に生まれているような状況でございます。  私は、このフィンテック動き出しますと、恐らく今あるメガバンク、地銀、そして信金、信組といったような構造自体が大きく変わるんではないかと考えております。その中で、金融庁の取組、どのような取組をなされているかというのを教えていただきたいと思います。特に私が思いますのは、このフィンテック、ガラパゴス化したら多分恐らく日本はもたないんじゃないかなと思っていまして、携帯電話も日本独自仕様になって全然海外で売れずに結局海外のスマホに全部市場を取られてしまったような状況もございますので、海外と連携して、やはり日本のイノベーションが海外に普及できるようにしていただきたいと思いますが、金融庁、いかがでございましょうか。
  27. 池田唯一

    政府参考人(池田唯一君) お答え申し上げます。  フィンテックの動きが御指摘のように世界規模で進展している中にありまして、民間における連携に加えまして、当局間での、海外当局との連携ということも重要な課題の一つだというふうに認識をしております。こうした観点から、金融庁では、今年のこの三月に、イギリスの金融行為規制機構、FCAという機関、それからシンガポールの金融管理局、MAS、マスとの間で相手国への進出を望むフィンテック企業の紹介や相談支援などに係る協力枠組みの構築に合意をしまして、そのための書簡を交換したところでございます。  今後とも、必要に応じ、海外当局との協力関係の構築、強化を図りまして、我が国フィンテック企業の海外展開やイノベーションに向けた取組金融庁としても支援をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  28. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非フィンテックブリッジと言われている政府の連携でございますけど、今やっぱりイギリスと先ほどおっしゃったシンガポールが中心となって、例えばオーストラリアとイギリス、あと韓国とイギリスとかそういう感じになっていまして、我が国は真ん中というよりも参加者でしかないようなちょっとイメージがあるんですけれど、その点、いかがですか。私は、もっと大きなグループみたいなものをつくって規制の在り方とか、あとは促進政策とかを議論すべきだと思うんですけど、その点、局長、いかがでございますか。
  29. 池田唯一

    政府参考人(池田唯一君) 先ほどお答え申し上げましたように、今回の書簡の交換というのは、今後のより強い海外との協力関係のスタートであるという認識を持っております。御指摘も踏まえながら、今後、更なる海外当局との連携強化に努めてまいりたいと考えております。
  30. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、海外との連携が非常に重要だと思っておりまして、何かと申しますと、もう繰り返しでございますけど、やっぱり、我が国のイノベーションが世界に出ていくようにしなければ、国内だけで縮小する中での通用するサービスじゃなく、日本の技術で外国にどんどんどんどん進出するようにしていただきたいと思っております。  ただ一方で、フィンテックについては、我々日本は大きく私は遅れているというふうに感じております。何かと申しますと、実は、今日ちょっとお配りしたかったんですが著作権の了解がもらえなくて出せなかったんですけれど、実はあるフィンテック会合で、日本とアメリカとヨーロッパのフィンテックのプロコンといいますか、いい条件と悪い条件というのが書かれておりまして、日本はどういうふうに書かれているかと申しますと、日本は非常にソフィスティケーテッドされたよくテクノロジーが分かった消費者が多いことがプラスであるということと、またホワイトスペース、インターネットなんかのインフラが整っているというところがプラスであるということですが、一方で、このコン、マイナスのところを言いますと、一つ資金フィンテックに投入されていないということが書いてございます。もう一つございますのは、レギュレーションの、規制のハードルが高過ぎるということが指摘されておりまして、その点について局長はいかがお考えですか。
  31. 池田唯一

    政府参考人(池田唯一君) お答え申し上げます。  資金の投入ということについては、確かにそういうフィンテックベンチャーに対しての投資の数字などを見ますと、日本では投資額が海外に比較して比較的少ないということは言えようかと思いますが、これは、政府レベルというか、民間での取組を基本に私どもとしてどういうサポートができるかという問題かと考えております。  レギュレーションにつきましては、御指摘のような危惧に対応するためにも、金融庁としましては、現在サポートデスクというものを設置しまして、フィンテック企業の相談に一元的に対応するということで、これまでの実績ですと平均四営業日で照会にお答えするというような対応をしておりまして、御指摘のような懸念の払拭に努めていると、今後もそういう取組を進めていきたいと考えているところでございます。
  32. 藤末健三

    ○藤末健三君 フィンテックに対する投資の話を申し上げますと、実は、アクセンチュアというコンサルティング会社が昨年のフィンテック投資のレポートをしておりまして、世界全体で二百三十二億ドルということですので、約二兆五千億ぐらい、その中でアメリカが大体九十二億ドル、欧州が二十四億ドル、中国が百億ドル近いというようなデータが出てございます。  何かと申しますと、一方で日本は幾らかというと、一億五千四百万ドルということなので、約二百億円ぐらいということで、アメリカと比べてももう規模が五十倍から七十倍ぐらい違うような状況、中国と比較しても、下手すると五十倍ぐらい違うという状況でございまして、私、今、多分投資額の差がこのまま産業力の差になるんではないかということをすごく懸念しているんですけれど、その点、局長、どういうふうにお考えですか。  私は、圧倒的なこの投資額の差を見たときに、恐らくこのまま行くと、金融庁がどんなに努力をして、今努力をしていただいていると思うんですけれど、やっぱりアメリカとか、また、僕は中国の、この間、ベンチャーやっている、ベンチャーといっても非常に大きいんですけど、彼らがもう完全にゲームからフィンテックにどんどんどんどんシフトしていて、かつ、彼らの活動を見ていると、何かというと、中国から東南アジアへ行って、実はもう中近東までサービスを伸ばしているという、そして彼らの中のゲームコインを流通させているという会社と僕は直接会ってお話をしたんですけれど、投資規模がもう数百億なんですね、一社で。そういう中で我が国がどうやってこのフィンテックを伸ばしていくかということを考えたときに、やはり資金が回るような仕組みをつくることが大事じゃないかなと思うんですけれども局長、いかがお考えですか、その点について。
  33. 池田唯一

    政府参考人(池田唯一君) お答え申し上げます。  御指摘のようなケースがあることは私どもも伺うことがしばしばございますが、まず前提として、我が国においてはベンチャー投資自体が海外に比べて必ずしも多くないと、そういう中でフィンテックベンチャーについてもしかりという面もあろうかと思います。そういう意味では、フィンテックだけに限らず、ベンチャー全体のそういうエコシステムの形成みたいなことが全体として大きい課題になっているのかと思いますけれども金融庁としても、特にファイナンスの部分については私どもとして取り組んできているつもりでありますが、更に一層いろいろ検討して、研究してまいりたいというふうに考えております。
  34. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、プレーヤーをどうするかというのが一つ観点だと思っていまして、私自身、これ個人の見解でありますけれど、日本フィンテックのプレーヤーは何となく金融庁の方々は何かメガバンクを中心に考えておられるんじゃないかなという、私はそういうふうに感じます。  一方で、アメリカはもう完全にベンチャーばかりばあっと出ていると。一方で中国は、Eコマース、アリババとかEコマースをやっているところが、どんどんどんどん彼らが持っている金融部門が大きくなって、それがもうフィンテックを独自にやり始めているという状況になっていると思っておりまして、私はどちらかというと中国形式が正しいんじゃないかと思っています。今、日本フィンテックの方々にお会いしていると、やっぱりアメリカを見ながらアメリカと同じようにベンチャーが出てきているような状況なんですけど、個人的にはもうなかなか追い付くのは難しいのかなと思っています。  ただ一方で、EC、エレクトリックコマースの世界の中で、中国はアリババなどがどんどんどんどん自分たちが持っているファイナンスサービスを大きくしてそれでフィンテックをつくっていくという方向になっているわけでございますが、日本もどちらかというと中国タイプじゃないかと思うんですけど、局長はいかがお考えですか。どういうプレーヤーが日本フィンテックを担うかということは非常に私は重要だと思っておりますが。お願いします。
  35. 池田唯一

    政府参考人(池田唯一君) どういう担い手が担っていくか、あるいは担うべきかということについて政府なり金融庁の立場からお答えすることは必ずしも適切ではないかと思います。  私どもとしては、金融機関であっても、金融機関でない非金融機関の方であっても、基本的には顧客の利便性の向上、それを通じた経済生産性向上、そういうものに資する、そのために関係者の方が時として競争し合い、時として連携しながら全体としてイノベーションが進んでいく、そうした市場の状況をつくっていきたいと考えておりまして、特定のプレーヤーがどうということを申し上げることは必ずしも適切ではないのではないかと考えているところでございます。
  36. 藤末健三

    ○藤末健三君 お立場上そういうお答えになるとは思うんですけど、私はやはりある程度、もうキャッチアップしなきゃいけないような状況でございますので、やはりある程度プレーヤーを想定した政策を取らざるを得ないんではないかと私は思います。  そういう中で私は、規制の大きな方向の見直しの話をさせていただきたいと思います。  今、金融関係の規制は、銀行とかあとは保険とか証券といった形でその業種によっていろいろな規制があるわけでございますが、今、EUとかシンガポールの議論を見ていますと、例えば決済のサービスとか、そういうサービスによる規制の方向に向かいつつあるんではないかと思います。アクティビティーベースの規制というふうに言われておるわけでございますけれど、そういうアクティビティーベースの規制については金融庁としてはどのようにお考えでしょうか。教えていただけますでしょうか。
  37. 池田唯一

    政府参考人(池田唯一君) お答え申し上げます。  ITの進展など金融業を取り巻く環境が変化する中で、将来的な法制の在り方として、サービス供給者、エンティティーの業態に着目した法制ではなくて、より機能、ファンクションですとか御指摘のアクティビティーといったものに着目した法制を検討をすべきであるという考えがあることは承知をしておりまして、また、そうした考え方は一つの貴重な考え方であると受け止めております。  同時に、現実に機能に着目して法制の整備を図るという方向性を考えた場合、例えば現行の法制では必ずしも規制の対象とはされていないサービスについても幅広く規制の網が掛かることにならないかといった問題、あるいは、シンガポールの例について指摘がされているように、個別の機能に応じて規制の内容を調整して適用する、そうした形の法制を取った場合、当局の裁量が大きなものとなって、そうした規制の在り方我が国の法制になじむのかどうかといった問題、あるいは、銀行業などに代表されるように、危機時の破綻処理などを考えましたときにエンティティーベースの制度も必要とならないかといったような問題、そうしたことにも同時に留意が必要だと考えているところでございます。  金融庁としましては、これまでも金融審議会などの場で、例えば決済サービスに係る横断法制の在り方などについて議論を行ってきているところでございますけれども、御指摘のような法制の在り方については、今申し上げましたような留意点も踏まえつつ、引き続き幅広く検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  38. 藤末健三

    ○藤末健三君 このアクティビティーベースの規制というのは、非常に私、重要だと思っておりまして、今までみたいに銀行、保険というふうに業種別じゃなくて、銀行業務の特定の一部だけをフィンテックでやろうというところが必ず、もう既に出ていますので、そういう人たちに例えば銀行業の免許取ってください、銀行代理業取ってくださいというのは非常に大きな負担となると思っております。ですから、まさしく新規参入が阻害される要因でもあると思いますので、恐らくほかの国が先んじて制度をつくって日本が後追いということにならないように是非お願いしたいと思います。  そういう中で、私、注目していますのは、レギュラトリーサンドボックスという、フィンテックなどを対象にある閉じた範囲で新しいサービスなどを行うレギュレーション、規制を実験的にやろうというような取組が未来投資会議などで議論されているわけでございますけれど、このレギュラトリーサンドボックスを日本でつくるということについて具体的な今後のスケジュールなどを教えていただけますでしょうか。お願いします。
  39. 宇野雅夫

    政府参考人(宇野雅夫君) お答え申し上げます。  本年一月二十七日の第四回未来投資会議におきまして、有識者議員の御提言、御意見を取りまとめましたこれまでの議論経緯と今後の検討の可能性という紙の中で、新たにチャレンジを促進する制度的な枠組みとして日本版レギュラトリーサンドボックスを検討することが打ち出されたところでございます。  第四次産業革命とその社会実装のために新たなビジネスモデルの確立に向けた試行錯誤は不可欠でございまして、いわゆる日本版レギュラトリーサンドボックスは、こうした試行錯誤の機会を生み出すことにより新しいビジネスモデルの発展を促そうというものであると理解しております。  年央に取りまとめる新たな成長戦略に向けまして、今後、引き続き未来投資会議等で議論を深めてまいることとしております。  以上でございます。
  40. 藤末健三

    ○藤末健三君 ちょっと具体性が余りなかったんですけど、是非進めていただきたいと思います。  実際に私が話を聞いている中でも、例えば地銀が集まってクレジットカードに代替するような新しい、スマホで全部決済できるようにする、ある地域だけという企画ももう出ていますので、そのようなものを是非レギュラトリーサンドボックスで、もう恐らく今のお話聞いていると例えば銀行代理業を取るだけでも半年掛かるとかそういう状況でございますので、やっていただきたいと思います。  同時に、次の質問でございますが、これは越智副大臣にお聞きしたいんですけれど、先ほど申し上げましたように、日本フィンテックの投資、アメリカの五十分の一ぐらい、七十分の一ぐらいしかないという話を申し上げました。かつ、中国に対しても五十分の一ぐらいになっているという中で、私はやはりフィンテックの促進に向けまして税制面とかいろんな促進政策をつくるべきだと思うんですが、いかがでございましょうか。御意見ください。
  41. 越智隆雄

    ○副大臣(越智隆雄君) まず、フィンテックと言われます金融とITの融合の動きは、従来見られなかったような新しい金融サービスの提供をもたらしまして金融の将来に大きな影響を及ぼし得るものと認識しておりまして、これは藤末委員の御認識ともちろん一緒でございます。  こうしたフィンテックの動きを日本経済金融の発展につなげていくことが重要だと。こうした観点から、フィンテックの動きを、まずはその利便性の向上、そしてまた我が国金融業の国際競争力の向上につなげていくよう検討を進めておりますけれども、今議員が御指摘のような点も含めて、幅広い観点から引き続きしっかりと検討していきたいというふうに考えております。
  42. 藤末健三

    ○藤末健三君 越智副大臣金融出身であられますので、是非このフィンテックを進めていただきたいと思います。  私、非常に心配していますのは、スマホと同じように外国の企業の製品で全部仕切られちゃうというパターンが生まれかねないと思うんですよね、このまま行くと。是非お願いしたいと思います。  その中で是非お聞きしたいのは、マイナンバーをフィンテックに活用していただきたいということと、もう一つ質問をさせていただきたいのは、経済産業省が今ブロックチェーンとかクレジットカードと中小企業金融などの議論をされていますけれど、マイナンバーの活用と、あと金融庁と経産省の連携について御意見いただけますでしょうか。お願いいたします。
  43. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  マイナンバー制度は、見方を変えれば、個人本人、個人をネット上でも対面でも特定又は証明する手段のインフラということと捉えることもできると思いまして、そういう点におきましては、ITと金融が融合いたしました新たなサービスでありますフィンテックと親和性は高いのかなと思っております。  特に、マイナンバーカードに搭載されておりますICチップを使った公的個人認証、これは電子的に本人を証明できる手段でございまして、これらにつきましては民間にも開放されておりますので、さらに金融分野での利活用というのを進められるように、より利便性の高いものにしてまいりたいというふうに考えております。
  44. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非お願いしたいと思います。  マイナンバー法を作るときに、あれは我々が政権時代に作ったものでございまして、民間の利用を促進するというのを附則付けていますので、それを是非このフィンテックの分野でやっていただきたいと思いますし、あと経済産業省の方に、金融庁との連携についてお聞かせいただけますでしょうか。
  45. 中石斉孝

    政府参考人(中石斉孝君) お答えします。  フィンテックは、個人の資産形成や消費活動に大きなインパクトを与えるとともに、中小企業等の生産性向上にも大きく寄与するものと思っています。  経済産業省としましては、フィンテック金融に閉じずに広がりを持って対応しなければいけないと、そう思っておりまして、我々の方でフィンテック検討会合というのを開催してございます。その中では、今後の具体的な方策、例えば中小企業においてフィンテックの活用を後押しする施策ですとか、あるいは電子レシートですとかクレジットカードのIC対応のような、フィンテックが普及するための前提を整えるような施策といったものを議論しておりまして、この中では、金融庁の方にもオブザーバー参加していただいて検討を進めております。  また、クレジットカードにつきましても申し上げますと、クレジットカード利用に係るAPI連携に関する検討会というのを三月末に立ち上げておりまして、検討を進めております。この検討会には金融庁にもオブザーバーとして参加していただき、さらに、銀行業界における対応を参考にさせていただいております。  それから、委員指摘の中小企業につきましては、銀行の決済インフラの更新に合わせて商流情報を標準化して、銀行の振り込み業務がデジタルに完結するような、そういった連結というのを進めていきたいと思っております。  もう一個、最後に、ブロックチェーンにつきましては、本年三月末に総務省と連携プロジェクトを立ち上げておりまして、様々な利活用の場面を想定した実証実験というのを進めています。  このように、金融庁を始めとしまして様々な関係省庁と連携しまして、フィンテック時代に対応したような環境整備を進めたいと思います。よろしくお願いします。
  46. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非お願いしたいと思います。  私の認識は、もうはっきり言って、一周くらいフィンテック日本は遅れているという認識でございますので、是非、役所だけで何とかなるものとは思いませんけれど、経済産業省と金融庁、連携していただきたいと思います。  最後に、ちょっとフィンテック関係の御質問でレグテックの話をさせていただきたいと思います。  このレグテックは何かというと、レギュラトリーテクノロジーという言葉の略でございまして、簡単に言いますと、ITシステムなどを使いまして様々なコンプライアンスチェック、不正が行われていないかどうかのチェックとか、あと金融機関から金融規制当局への報告をITを使ってやったりとか、そういうことをできるようにしようということでございまして、是非レグテックの議論を深めていただきたいと思いますが、麻生金融担当大臣、いかがでございましょうか。お願いします。
  47. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) レギュレーションテクノロジー、略して造語でレグテックという言葉が出始めているのはもうおっしゃるとおりなんですけれども、この技術的な進歩というものは非常に革新的に進んでいますので、銀行の支店なんというものはもう大体半分くらいなくなると思いますけれどもね。ATMとスマホがあったら大体用はないんじゃないの、支店なんてあんなに、と金融庁を監督をする立場の者が言うと、みんな、地銀なんかみんな嫌な顔をするんですけど、事実だもの。使いませんもの、みんなね。あんないい場所にあんなに並んでいるから金掛かるのよと。もう少し、あんなところに要らないんだからと当然みんな思っているんですよ。だけど、みんなやらないから。結果として、今、人口は減っているし、それからどんどん地銀が吸収合併というようなことになっていますでしょう、現実問題として、遅れているところもいっぱいありますけど。だから、そういった技術の進歩というのに対してやっていく。  ただ、もう一個、ほかの国は進んでいる進んでいるって、それは、ほかの国、中国なんかはより進むといったって、だって、お金を送金できないしさ、偽札は多いしさとみんな思っているじゃない。だからみんなこういうものに頼らざるを得なくなって、ビットコインで、日本に対して買った、会社の金、売った会社の金、日本に送金、今はできないんですよ、現実問題として、SDR取っておいてですよ。何のことだか訳分からないでしょうが。  そういったようなことになってくれば、当然のこととして、その十数億の金を、なろうという金をビットコインで送ろうと、それ以外にほかに方法がないって。ちょっと大丈夫かよと思う方が普通なんじゃないの。だけど、それしかほかに方法がないというぐらいのところまで来ているという、お金の信用がいま一つなんですよ。日本みたいに、お釣銭一円間違うと来ますから。ところが、向こうへ行ったら大体、間違えても別に何ということはないというところでしょう。それは違いますから。  だから、全くそういったもの、機械に頼るとそれは間違いなくすっと行けるというのが向こうの置かれている、需要の絶対量が違うんですよ、日本と。だから進むんですよ。ディマンドとサプライの関係ですから。だから、それはもう通産省が叫べばみんな従ってくるなんという発想はもう全然やめた方がいいですから。我々が一生懸命やり始めたら、今度は野党から、おまえら役人が介入し過ぎだなんというまた別のことを言われるのが落ちですからね。だから、そういったところは、物すごくよくここのところは考えないといかぬと思っております。  ただ、現実問題として、この間も、財金でしゃべったか予算委員会でしゃべったか忘れましたけど、銀行といわゆるフィンテックの人たちの会合というのを、フォーラムというのをやったんですよ、あれは日経新聞の主催だった。僕は呼ばれて行ったんですけど、物すごく面白かったのは、こっち側半分はほとんどジーパン、Tシャツ、スニーカーというあんちゃんたちと、こっち側にはこういう何かあか抜けない背広を着た人がずらっといるわけですよ。それが一緒の会合をやっているの。だから面白いなと思って、予定十分だったんだけど、しばらくずっと見ていたら、会話がこいつら成り立つのかなと思って、すごいしゃべったのは、非常に多かった、面白いと思ったのは、英語が多かったことと、外人じゃないですよ、日本人、やたら英語の単語が多くてちゃんとしゃべった人と、こっち側のあか抜けない銀行の方も意外と若い人がいるのね。それで、結構事は進んでいるんだなと思って。  銀行も、結構、手数料だけで生き延びようなんという発想なんかじゃやっていけないのははっきりしているんですから、だから、そういった意味では、少しこういったようなものに関するディマンド、いわゆる需要がこちら側の方も上がってきているということなのかなと思って。私は、こういうのは需要と供給で、役人が介入したり政府が介入するよりは、まずそういったものからスタートさせないと、なかなか、やれやれと言ったってやりませんから。だから、そういったところからスタートせぬといかぬのじゃないかなと思っていますので。  今、フィンテックの話は、テクノロジーの面からいったら、間違いなく、日本の場合使いこなす人の絶対量が多いですから、きれいに使い切るんだと思っていますので、もうちょっと需要が出てこなきゃいかぬかなというのが正直なところですけど。ただ、この数年見て、特にこの一、二年ですけど、急激に増えてきているなという感じだけは率直な実感です。
  48. 藤末健三

    ○藤末健三君 大臣、どうもありがとうございます、率直な御意見をいただきまして。  私も、見ていると、どちらかというとベンチャーサイドとのお付き合いが多いんですけど、やっぱり銀行の方とこのベンチャーサイドではもう周期が違うんですよね、五倍ぐらい。ですから、こっちに話すとすぐ返ってくるけど、こっちに話すと五日か一週間ぐらい返ってこないと、返事が、ということも経験していますので。ただ、その中で新しいものが生まれるのではないかと期待しております。  最後でございますけど、ちょっとこのフィンテックをこれから担っていただくであろう郵政についてちょっとお話をさせていただきたいと思います。  先月末に、平成二十四年に申請された新規事業が申請が取り下げられまして、新しい事業の申請になったわけでございますけれど、これまでにどのような理由で四年近くこの申請が凍結されていたかということを、是非金融庁遠藤監督局長、教えていただきたいと思います。お願いします。
  49. 遠藤俊英

    政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。  まず、認可、承認の枠組みから申し上げます。  ゆうちょ銀行の新規業務につきましては、郵政民営化法上の認可と銀行法上の承認が必要でございます。これらの認可、承認につきましては幾つか審査する項目がございまして、一つは、他の金融機関等との適正な競争環境を阻害するおそれがないか、二つ目は、新規業務に係る収支見込みが良好か、三つ目が、新規業務を適切に遂行できる体制が整備されているか等々について審査することとされております。  ゆうちょ銀行が平成二十四年九月に認可申請した新規業務に関しましては、個人向け貸付け、それから法人向け貸付けについて、これ、ほぼ貸付けのフルラインについての申請がされました。これは、ゆうちょ銀行にとって自己勘定によって貸付業務全般を行うということでございますので、まさに銀行一つつくるのと同じような形の全く新しい業務でございます。  そういった観点から、こういった新しい業務が適切に業務運営を行うための体制整備としてきちっと整備できているのかどうかというようなことについて、体制整備の状況でありますとか収支計画など、これ議論すべき項目は非常に多くて、例えば法人向け貸付け一つ取っても、中小企業、中堅企業に対する営業体制をどうするのか、それから審査体制はどうするのか、その審査体制の中には、財務諸表などの定量的なものを見る体制だけではなくて定性的なものまで見るような体制ができているのかとか、それから、信用情報というのをどのように集めて、信用格付をいかに作るのか、あるいはそれに見合った金利設定というのをどのようにするのか等々、一つ法人向け貸付け取ってみても、かなり一から議論する項目が非常に多うございました。  法人向け貸付けだけではなくて個人向け貸付けの様々なローンでございますので、決して藤末委員おっしゃるように、何といいますか、審議を止めていたとかそういうことではなくて、これはもう一つ一つのイシューについて粛々と議論をして今に至ったということでございます。  その後、そういった、ずっとゆうちょ銀行との間で議論を続けてきたのでございますけれども、ゆうちょ銀行は二十七年四月に中期経営計画というのを発表いたしました。上場企業に求められる企業価値向上を目指したものでございます。この中期経営計画におきましては、資金運用の高度化、あるいは郵便局ネットワークを活用し、優れた金融商品の販売、地域金融機関との連携に取り組むということを対外的に公表されました。  こうした中、認可申請以降四年半が経過して、その間の金利低下などによって貸付業務の収益性の低下など経済環境の大きな変化も踏まえまして、企業価値の向上のために何を優先すべきかを含めて、ゆうちょ銀行において改めて総合的に検討がなされたというふうに聞いております。こうした検討の結果、今回三月三十一日に新規業務の認可申請と併せまして、平成二十四年九月の認可申請を取り下げたものというふうに承知しております。
  50. 藤末健三

    ○藤末健三君 これ、なぜ私が質問させていただくかと申しますと、これ二〇一二年九月の三日に郵政が申請させていただいた新しいサービスなんですけど、私そのとき郵政担当の副大臣だったんですよ。いろいろ議論する中で、何を申し上げたいかというと、例えば住宅ローンとか、あとカードローン、あと中小企業に対する法人のローンとか、あと損害保険などを売れるようにしましょうという話をしていて、ポイントは何かと申しますと、新しい郵政が生まれて、その中で新しい利用者に対するサービスを行う、利用者に対する利便性を上げようというのが大きな目的だったわけでございますけれど、やはり私は、四年半もずっと動かなかったということについては、利用者の利便性という意味では私は大きなマイナスだったと思います、正直申し上げて。  したがいまして、今回取り下げたものはもう私が申し上げることはできませんけれど、新たに申請された業務の認可の可否の検討のスケジュール等について、是非局長あと日本郵政田中常務、お話を聞かせていただけないでしょうか。お願いします。
  51. 遠藤俊英

    政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。  ゆうちょ銀行の新規業務につきましては、郵政民営化法におきまして、内閣総理大臣、これは権限は金融庁長官に委任されます、内閣総理大臣及び総務大臣は、ゆうちょ銀行から新規業務の認可申請があったときは、郵政民営化委員会意見を聴かなければならないというふうにされております。  本年三月三十一日にゆうちょ銀行から認可申請があった新規業務につきましては、郵政民営化委員会におきまして、調査審議の参考とするために現在意見募集というのを行っております。四月四日から四月二十五日にかけての意見募集でございます。今後、同委員会において調査審議が行われるものというふうに承知しております。  この新規業務の認可の可否の検討スケジュールや見通しにつきましては現時点で確たることを申し上げられませんけれども、今後この郵政民営化委員会意見などを踏まえまして、郵政民営化法に基づきまして我々適切に審査してまいりたいというふうに考えております。
  52. 田中進

    参考人田中進君) お答え申し上げます。  私ども、先ほど先生御引用いただきましたように、本年の三月三十一日にゆうちょ銀行の新規業務を認可申請をさせていただきますとともに、四年強前に出しておりましたものを取下げをさせていただきました。  これにつきましては、私ども、ちょうど民営化十年の節目にも当たることもございますので、企業価値の最大化を図るために、維持向上を図るために持続的なビジネス展開をどうしていくかということを検討いたしまして、今後のビジネス展開の骨子をまとめて、それに沿って認可申請を見直したものでございます。  今後につきましては、私ども認可申請をさせていただいている立場でございますので、先ほど政府の方から御説明ございました手続、法律に定まった手続につきまして全力を挙げて、グループを挙げて対応してまいりたいという具合に考えております。
  53. 藤末健三

    ○藤末健三君 最後でございますが、郵政金融のユニバーサルサービスの義務が課されています。もう全国津々浦々に局ネットワークサービスがございまして、私はまさしくこの郵政が、ユニバーサルサービスを維持し、かつ利用者のための利便性を上げるために、恐らくこれからフィンテックみたいなことにどんどん乗り出していくと思うんですね。そのためのやはり資金をどう維持するか。  私は是非、この郵政金融子会社二社の株式売却益を新たな郵政グループの成長に投資するようにすべきだと思うんですが、大塚大臣、お考えをお聞かせください。
  54. 大塚拓

    ○副大臣大塚拓君) 平成二十六年十二月に日本郵政日本郵政グループ三社の株式上場についてというのを公表しまして、その中で、金融二社株の売却収入については、今後の日本郵政グループの企業価値及び株式価値の維持向上のために活用していくというふうにしているわけでございます。  金融二社株式の売却については現時点では未定であると承知しておりますけれども、その使途について、一義的には日本郵政の経営判断でありますけれども、政府としても株式を保有しておりまして、日本郵政企業価値の最大化を是非図ってほしいというふうに思っておりますので、今、今日ずっと、るる御指摘のあったフィンテックども含めて、しっかりと日本郵政がグループとして企業価値を高めていく投資をしていただくように強く期待しているところでございます。
  55. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非よろしくお願いしたいと思います。  私は、やはり郵政金融のユニバーサルサービスの義務というのは非常に大きいものでございまして、かつ、やはり利用者の利便性を上げるためのこのフィンテック郵政に取り組んでいただきたいと思います。意見を申し上げまして、私の質問を終わらさせていただきます。  ありがとうございました。
  56. 平木大作

    ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  私からは、今日は日本金融市場の発展の在り方についてというちょっと大きなテーマなんですけれども、限られた時間で質疑させていただきたいと思っております。  なぜこのテーマを扱おうと思ったのか。最近、東京都政の方から随分いろんな情報が入ってくる、都政について声が聞こえてくるわけでありまして、昨年当選をされました小池都知事がその公約の一つとして掲げられましたのが、アジアナンバーワンの金融市場として東京を復活させるんだというテーマでありました。  東京の金融市場というのは、ニアリーイコールで日本金融市場と言ってもいいかと思いますので、東京として掲げていただくのは大いに結構で頑張っていただきたいと思うわけですが、同時に、金融市場の大きな改革をやろうとするときに、東京都だけで頑張ってくださいという話には当然なりませんので、これ非常に関心を持って今お伺いをしております。ただ、これ、そもそも何をもってアジアナンバーワンと言うのかとか、ちょっとやっぱり具体像がまだ見えてきていないなというところを正直に感じるわけであります。  東京が今目指しております世界に開かれた金融先進都市と、表現はすてきなわけでありますけれども、この具体的な中身に入る前に、同じくかつてアジアの金融センターというものを目指して取り組みまして、フリー、フェア、グローバルな金融市場を東京につくっていくんだ、日本につくっていくんだというふうに取り組まれた、いわゆる日本版の金融ビッグバン、これについてやっぱりきちっと総括をしておくべきなのかなと思っております。  もう早いもので、金融ビッグバンというのが打ち出されて二十年以上がたつわけですね。私も、九七年に就職活動しましたので、ちょうどこの金融ビッグバンのまさに議論がわっと沸騰しているときに金融市場の中に自分自身が飛び込んだ、大変いろんな記憶があるわけでありますが、あのときというのは、九六年の末に日本金融ビッグバンの構想というのが打ち出されまして、いよいよ何か変わっていくのかなという期待感があったわけですが、その期待の前に、九七年にいわゆるアジア通貨危機というのが起きまして、例えば北海道拓殖銀行ですとか山一証券ですとか、そういったところがどんどん破綻をしていった。ある意味、市場が変わる前に、これまで絶対に守ると言ってきたいわゆる護送船団方式というものがもう変わっちゃうんだな、なくなるんだなということを突き付けられた、こういう大きな金融改革が日本版の金融ビッグバンのまず最初にあったというふうに思っているわけであります。  私自身の総括として、あのビッグバンというのは、数年掛けて大分いろんな必要な法整備等もやってきて、私、評価するところも本当に大きいなと思っているわけですが、まず、政府として日本金融ビッグバンについて今どう捉えているのか、同時に、課題も私残ったと思っていますので、その点についてもお伺いしたいと思います。
  57. 越智隆雄

    ○副大臣(越智隆雄君) 今委員お話しされました九六年に掲げられた日本金融ビッグバン構想でありますけれども、その下で、フリー、市場原理が働く自由な市場、フェア、透明で信頼できる市場、グローバル、国際的で時代を先取りする市場の三原則に基づいて、政府としては金融市場の市場改革を現在でも進めているというふうに考えているところであります。  その結果として、証券会社の株式売買委託手数料の自由化、あるい銀行等の投信窓販の解禁など、仲介サービスの質の向上や競争の促進に向けた取組のほか、例えばPTSなどの取引の場やあるいは上場デリバやETFなどの取引商品の多様化、市場の透明性向上などが図られてきたものと認識しております。具体的に、株式売買委託手数料については、九二年に平均で〇・五六だったのが、例えば二〇〇五年には〇・一五になっていたり、投信の窓販は、二〇一五年で銀行が四三%、証券会社が四四%となったり、一定の進展はあったというふうに考えております。  ただ、一方で、委員の御指摘の部分だと思いますけれども、依然として我が国の家計金融資産の過半が現預金でありまして、国民の安定的な資産形成が図られているとは言い難い状況にあります。この現預金の割合で見ますと、九六年の五二%から、実は足下でも五二%ということでございます。  このような課題を認識した上で、政府においては、国民の安定的な資産形成を促進するために、例えば少額からの長期、分散、積立投資の促進を目的とした積立NISAの創設や、金融事業者においては、顧客本位の業務運営に向けた取組が行われていくための原則の策定その他の取組や、あるい企業の持続的な成長と中長期的な投資リターンの拡大を図るためのコーポレートガバナンス改革の形式から実質への深化など施策を講じているというところでございます。
  58. 平木大作

    ○平木大作君 今いろいろ具体的に御答弁いただきました。  私も大変評価しているところが大きいんですけれども、平たく言ってしまうと、私、当時象徴的に覚えているのが、九八年の四月から私自身が金融の業界で働き始めたわけでありますが、入社する前に卒業旅行ってよく行かれますね。そのときに私自身の頭の中に何があったかというと、自分はこれから、当時、いわゆる銀行のATMって基本的に二十四時間やっておりませんでした、今みたいにコンビニの中にあったりすることもなくて、私が就職することになっていた銀行というのが、当時、日本の中で唯一、二十四時間三百六十五日ATMを稼働させていましたので、すごく先進的な銀行に入るんだ、こういう形で胸を高鳴らせて四月から就職したわけでありますけれども、三月に卒業旅行に行って、トルコに行ったんですね。トルコに行きましたら、名前聞いたこともないような銀行がもう三百六十五日二十四時間ATM普通に稼働していまして、あれっというふうに思いました。  要するに、一つ、これは別に規制を緩和したからできるようになったとかいうことではなくて、金融ビッグバンってある意味、何というんでしょうね、世界で先進的な金融市場をつくるというその前に、そもそも当時から世界で当たり前に行われてきたことがようやく当たり前に日本でも行われるようになったという、その一つの端緒だったんだろうなというふうに思っております。ようやくそういった意味で自由で公正な競争というものが始まって、ああ、じゃ、ATMみたいなものももっと稼働時間延長したらどうかとか、コンビニの中につくったらどうかとか、そういう話が広がっていったわけですね。  やっぱり本当に目指すべき、今、東京としてアジアナンバーワンということを掲げられているわけでありますけれども、例えば、もう取引規模でナンバーワンとか、余りそういう抽象的なところを狙うんではなくて、やっぱりきちっとゴールを、これ何のためにそもそもやるのかというところも含めて議論していかないと、なかなかこれ改革として実のあるものというのはできないんじゃないかと思っておりまして。例えば、そういった意味でいくと、先ほど越智副大臣から御紹介いただいたような、いろいろな施策によって市場が効率化して、金融技術を高度化して、金融機関の立場からするとグローバルな市場の中で戦える力を付けるんだと、こういうことが当時から言われていて、実際に、リーマン・ショックの後、外資系の金融機関が軒並み力を落とす中で、今、日本金融機関というのは割とグローバルに打って出て存在感を出してきている。私、それ一つのビッグバンの成果だというふうに思っております。  一方で、じゃ、例えば個人とか家計のところから見たときに、そもそも、それ以前というのは株式の売買委託手数料も含めて全部決まっていたと、競争というものは基本的に制限されていた。こういうのが一つずつ崩れる中で、今だと例えば株式を買おうと思ったらネット証券でクリック一つで買えるようになったわけでありますが、当たり前になったわけでありますけれども、一方で、家計にとっていわゆる資産運用とかというものが身近にはなったけれども、御答弁の中にあったように、じゃ、実際にそれ使いこなせているか、資産形成、資産運用というものが我々にとって身近なものに本当の意味でなったかというと、まだやっぱり道半ばなわけですね。ここについてきちっと検証して、そしてこれ最終的には、じゃ、東京の改革どう進めていくのかというときに、この蓄積、経験があるのって基本的には国の方にあるというふうに思っていますので、やっぱりこの連携を具体的にどう図っていただくかということに尽きるんだというふうに思っております。  そして、じゃ、東京の改革、国際金融都市ということを掲げられているわけでありまして、今普通に公表資料等を見ていくと、やっぱりさっき、少し冒頭に申し上げましたけれども、具体像がちょっといま一つなんですね。  こういう例えばことが書いてあります。大手町から兜町地区を、国、関係区、民間事業者とタッグを組んで、二〇二〇年には海外の高度金融人材が集積するショーケースへと大改革するんだとあります。ちょっとどういうことかなと思ってより見てみますと、例えば内外の大手の金融機関とか弁護士、会計事務所、こういったものを同じエリアに集積していくんだとか、あるいはその近くに製薬企業とかいわゆるライフサイエンス系の企業が集積しているんだから、そこと交流、連携活発にするんだとかいうことがいろいろいろいろありまして、何かこれが本当の意味でアジアナンバーワンの金融市場への道なのかなというと、ちょっとクエスチョンなんですね、私自身は。  そこでまたお伺いしたいんですが、今、東京として掲げているこの金融改革、目指すべきビジョンを今国としてどの程度共有できているのか、あるいは、そもそもこの東京が国際金融市場として発展することで日本の例えば家計とか企業にとってどういう恩恵というものが今考えられるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  59. 越智隆雄

    ○副大臣(越智隆雄君) まず、日本再興戦略二〇一六には、我が国経済活性化のためには、その基盤となる資金供給を担う金融の分野の活性化が必要だということを書かれております。こうした観点から、東京が世界中から人材、情報、資金が集まって、国内外の必要な部門に資金供給される拠点として発展していくことが重要だというふうに考えております。  そして、まず、様々なニーズですとか様々なビジネスチャンスがあるというふうに思います。例えば、先ほど議題になりましたフィンテックにつきましては、金融庁としてはフィンテックサポートデスクをつくって、そういった産業振興に資するように対応しているところでありますし、また、東京都の話もございましたけれども、最近の具体的な取組としては、金融庁は今月、海外の金融事業者を対象にしました金融業の拠点開設サポートデスクというのを開設しまして、一方で、今月ですね、同じく、東京都が金融法令以外の部分について手続に関する相談窓口として金融ワンストップ支援サービスというのをつくりました。こういったものが連携して、ニーズまたビジネスチャンスをしっかりと捉えて、前に進める環境をつくっていきたいというふうに考えております。  この点では、金融庁としては、いずれにしましても、東京が国際金融都市として機能を十分に果たすことができるように引き続き東京都と連携をしていく、そういう中でこの東京の国際金融センター構想をしっかり前に進めていきたいというふうに考えております。
  60. 平木大作

    ○平木大作君 どうしても、今、改革のこの具体的な施策を見ていったときに、割と前面に出てきているのが、例えばビジネス環境、さっき言ったように、いろんなものを集積するですとか、あるいは家族を含めた住環境みたいなものをつくっていく、子供たちがいわゆるインターナショナルスクールに通えるような環境をつくっていくという議論があって、これって結構ほかの分野でも、金融じゃなくてもよくある議論ですよね。例えば研究者、世界的な高名な研究者を日本に連れてくるだとか、いわゆる経営の人材を連れてくるというときに私これはとっても効くというか大事なポイントだと思うんですけど、同時に、事金融に関しては、この業界というのは基本的には非常にレバレッジを高くすることで付加価値をどんと付けれる業界ですから、はっきり言えば、ビジネスチャンスをきちっとつくってあげればほかのものが整っていなくても来るんです、基本的には。やっぱりここを外しちゃうと、幾ら環境を整えてみたところで、ああ、東京の市場に行っても面白い仕事できないなと思われた瞬間に、やっぱり来ない。だから、やっぱりここは絶対に外さないでいただきたいと思っております。  この日本金融ビッグバンの結果、なぜ日本はアジアナンバーワンの金融センターには今のところなれていないのかというところはきちっとやっぱりもう一度検証していただいて、そして、今御答弁いただきましたけれども、やっぱり東京都と連携して、うまくこれ進めていただきたいと思うんですね。  現在、例えばいろんな課題あると思っています。東京の金融市場がなぜそれほど、それほど存在感がないのか、全くないとは言いませんけれども。例えば、やっぱり、これ実体経済自体がそんなにまだ活発でなかったら、当然資金調達をしようというニーズ自体が少なかったりする。あるいは、そもそもの金利環境が極めて低いところにあるわけでありますから、余りいろんな高度な金融技術使わなくても基本的に資金調達簡単にできてしまうわけですね。そうすると、東京で新しい金融技術をそもそも開発しようとか使ってみようという動機がないわけであります。  あるいは、最近の東芝の事例で見てみても、東京の市場でいわゆる財務情報を開示しているところを見てみると、ここは信憑性がないなと思われた瞬間に、投資家にとってはこれ当然投資コストの高い市場ということになっちゃうわけですね。そもそもの財務情報の信憑性自体が疑われてしまうと市場としての信用性も実は低下してしまう。ですから、やっぱりこのビジネスチャンスのど真ん中のところをきちっとまずやっていただいて、その上で、例えば住環境だとか集積だとかという話、順番としてはそうなるんだと思っています。  是非とも、この本丸のところ、決して外していないと思っておりますので、是非東京都とまた連携しながら取り組んでいただきたい、お願いしたいと思います。  ちょっと時間押してまいりました。  もう少し、じゃ具体的に、この金融市場を語る上で、やっぱりデットとエクイティー、両方、もうちょっと具体的なところも入っていきたいんですが、まずデットサイドについて議論してみたいんですけれども、ちょうど前回の議論の中で、私、アパートローンを扱ったときに、今、アパートローンを原資産としたいわゆる証券化の商品、出回っているんじゃないですかという質問をさせていただいて、答弁は基本的に出回っていませんというふうにいただきました。私も本当かなという思いでちょっと自分なりに探してみまして、例えば格付投資情報センターですとか日本証券業協会ですとか様々なところ、この証券化商品の情報を出していまして、やっぱりこれ、アパートローンを原資産としてというものは基本的にほとんどないという公表資料ありましたので、ああそうなんだというふうに思ったんですが、同時に、ちょっと気になりましたのが、結局、こういういわゆる証券化商品というのが、実はアメリカで始まったサブプライムローンの問題、それが深刻化した二〇〇七年以降、実は日本においてこの発行額というのが結構低迷しておりまして、今でも、少し戻してきているんですけれども、今でもピーク時の大体半分以下なんですね、発行額でいうと。  これ、本家本元のアメリカの方では実はもう結構勢いを戻しているというふうに言われていまして、何でなんだろうと。この日本の証券化市場というのが今ちょっとまだ出遅れているという要因を政府としてどう捉えているのか、活性化に向けた施策とともに是非お示しいただきたいと思います。
  61. 池田唯一

    政府参考人(池田唯一君) お答え申し上げます。  まず、我が国におけます証券化商品の発行額、件数でございますけれども、御指摘のとおり、世界的な金融危機の影響もあって二〇〇七年度以降減少をしまして、その後、発行額については二〇一〇年度、件数については二〇一二年度頃に底を打った後、発行額、件数共に若干の増加は見られるものの、足下、なお二〇〇七年度の半分程度の水準で推移しているところかと考えております。  そして、その要因についてのお尋ねでございますけれども、これは市場関係者からの指摘などを踏まえますと、一つに、低金利環境の下、資金調達者にとって銀行融資など他の資金調達手段が利用可能であって、証券化のニーズが必ずしも高くないというようなこと、あるいは、実体経済状況背景に、オートローン債権ですとかリース料債権など、証券化対象資産そのものが伸び悩んでいるということ、それから、世界的な危機を受けてということかと思いますが、証券化商品は高リスク商品であるというイメージが広まっているということ、そうしたことが市場関係者から指摘されているものと認識をしております。  証券化は、それが適切に運用されれば資金調達、資産運用の重要な手段の一つであって、証券化に係る技術、ノウハウの蓄積というのは重要なものであると認識をしております。  金融庁としましては、これまでも証券化市場の適正化に向けた国際的な議論に積極的に参加して国内のルール整備にも努めてまいったところでございますが、投資家から信頼された持続可能な証券化市場の整備に向けて、今後ともそうした国際的な議論を踏まえながら対応していきたいというふうに考えているところでございます。
  62. 平木大作

    ○平木大作君 今るる御答弁いただきまして、そもそも日本の市場環境自体がこの証券化商品を組成するなかなか動機がつくりにくいというところがやっぱり根っこにはあるんだと思っております。  ただ、やっぱり大事な点は、いわゆる伝統的な金融商品、資金調達手法である例えば株式ですとか債券というのは、基本は発行主体の信用力ですとか収益力、これに基づいて資金調達していくわけです。  こういう証券化商品の一つの意義というのは、やっぱりそこだけではなくて、発行主体というところだけではなくて、いわゆる事業ベース、プロジェクトベースで資金を調達していく。同時に、これいわゆる投資家、運用するサイドからすると、それによって多様な、ある意味、運用の商品、環境を、収益機会を提供していく、こういう意義があるわけです。よくこういったものは金融仲介機能における多様性とアベイラビリティーと言うわけでありますが、まさにここを担っているわけであります。  今御答弁いただいたように、そもそも低利で調達できる東京市場においてこれは必要ないんだと言ってしまえばそれまでなんですけれども、こういう多様性とアベイラビリティーというのはやっぱり持ち続けるということが私とっても大事だと思っていまして、結局、今は日本の国内だけで見ると基本的には金余りですね。資金余剰の状況にあるわけでありますけれども、これ、少子高齢化の中で、もしかすると逆の状況って当然長い目で見ると生じるわけであります。  資金が余剰から不足するという金融構造の転換があったときに、改めて、きちっと日本の中で頑張っていただく、企業にも資金調達していただける、あるいは事業ごとに資金調達の手段がある、多様性が確保されているということがやっぱり大事なわけでありまして、なかなかニーズがない中において、でもやっぱりきちっと東京の市場の中でこれ発行し続けていただく、あるいは市場の規模をある程度、一定以上保つことで人材と技術が保たれるということがあるわけでありますので、ここを是非意識して取り組んでいただきたいということを最後にお願いしたいと思います。  エクイティーの側も質問準備しておったんですが、時間になりましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。
  63. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門です。  私の方はちょっと生臭い問題を取り上げさせていただきますけれども、お年寄りを食い物にしてきた悪徳商法の問題です。  これ税の問題、国税庁も絡みますのでこの委員会で取り上げたいと思いますけれども消費者庁は、先月の十六日に、お年寄りを対象にペーパー商法、後で説明いたしますが、ペーパー商法、マルチ商法を続けてきたジャパンライフという企業に業務停止命令を出しまして、昨年の十二月に続いて二回目の業務停止処分でございます。  この問題は、いつ表面化といいますか爆発するか分からないんですけれども、規模からいって、潜在的な契約額、噴き出せば被害額となるわけですけれども、それが数百億、一千億を超えるとも言われておりまして、そうなれば第二の豊田商事事件に匹敵する大問題になりかねない問題であります。  資料を配っていただきまして、一枚目がその処分の消費者庁長官の談話であります。要するに、全国的な広がりのある重大事案ということで言われております。  どういうことをやってきたかというのが次の資料で、ビジネスモデルというのがございますけれども、何といいますか、磁気、磁石が付いたベルト、磁気治療器、ベストとかネックレスに磁気、磁石の入った、そういう磁気治療器を、金額でいえば二十万から何百万まであるんですけれども、それをお年寄り、大体八割が七十代、八十代で、四分の三が女性でございますので、おばあちゃんを中心に対象に販売をして、それをおばあちゃんに売るわけですけれども、ジャパンライフが売ったものを、更にまたジャパンライフがその商品を一応、形上預かって、ほかの人にレンタルして、レンタル料をもらってそれをそのおばあちゃんに渡すという、こういう仕組みであります。  ただし、実際に商品をやり取りするわけではありませんで、こういう仕組みだよということでおばあちゃんに説明をして、お金を預けてほしいということで、商品のやり取りは実際はなくて、お金を預けてほしいと、代わりに利息のようなものをあげるという、投資といいますか、そういう形の勧誘で、いわゆる現物まがい商法、ペーパー商法であります。その契約者の数は数千人と言われておりまして、平均契約額も二千万円近くになっております。  例えば、要するにレンタル料としては六%というようなことを言われていますので、おばあちゃんが一千万預ければ年間六十万円の収入になるよと、銀行に預けているよりいいよということで勧誘をして、ジャパンライフの社員が銀行まで付いてきて定期預金まで解約させてこちらに投資させるというか、お金を吸い上げるということであります。その六%というのは一応払うわけですけれども、これも何のことはなくて、おばあちゃんから出させたお金から六%ずつ本人に渡しているだけの話でありまして、いつかは破綻するスキームでございます。  磁気治療器という新しい商品使っていますけれど、これはもう古くからある手口で、豊田商事の場合は金でございましたけれども、今回はこの健康用品、治療機器を使っているということでございます。  国税庁との関係で先に聞いておきたいんですけれども、次の資料に、これはジャパンライフそのものが、これは元営業部員の方から入手して、ちょっとこの資料そのものは古い資料なんですけれど、今も同じやり方やられているということでありますが、右の方に八つのメリットというのがありまして、その四番目に、十年間で減価償却で十年間は無税です、レンタル料もらってもそれは税金掛かりませんというようなことを宣伝文句にして勧誘をしているわけですね。下の方に八番目のメリットと書いていますが、相続税評価額が、ここにお金を預けていてもですね、それは相続税評価額が一〇〇%免除されますと。こういうものを売り物にしてお年寄りに勧誘をしているわけであります。  つまり、どういうことかというと、この磁気ネックレスとかそういうものの減価償却というのは、国税庁の耐用年数表によりますと、医療機器で主として金属製のものは十年間となっております。例えば百万円の磁気ネックレスを人にレンタルを、実際にはしないんですけど、したということにすると、百万円を、十年間が耐用年数ですから、毎年減価償却で十万円ずつ減価償却費として経費にできると。百万円のレンタル収入は六%だと六万円ですよね。収入は六万円で減価償却費は十万円なのでマイナスになる、赤字だ、だから税金掛かりませんよと、多分そういうことを言っているんだと思います。相続税評価額も、相続税評価額というのは物件の評価額なんですけれども、これも減価償却していけば評価額は下がっていくわけで、これも十年後にゼロになるから一〇〇%の免除という、こういう宣伝をしているわけなんですね。  こういうことを宣伝文句にどんどん勧誘してお金を預けさせているという手口でありますけれども、これは国税庁からお墨付きをもらっていますという言い方で宣伝をしているんですけど、お墨付きを与えるわけはないと思いますけれども、一般論で結構です、一般論で結構なんですけれども、これは実は消費者庁が業務停止をしたのは、実際にそういう現物のレンタルを行っていない、そういうブツそのものがない、物がないということを消費者庁が調べたので、ペーパー商法だということを調べたので業務停止をやっているわけなので、ペーパー商法というのは明らかなんですけれども、それはちょっとおいておいて、一般論で聞きますけれど、実際に現物がレンタルが行われていない取引なのにその減価償却費を引くということは認められるわけがないと思いますけれど、国税庁、いかがですか。
  64. 飯塚厚

    政府参考人(飯塚厚君) 一般論でお答えさせていただきたいと思いますが、減価償却費は、事業者等が有する減価償却資産につき、その取得に要した金額を資産の減価に応じて費用化するものでございます。  したがいまして、先生がおっしゃいますような貸している現物がないという状態が減価償却資産を取得していないという状態であれば、取得していない資産が減価償却資産となることはないということでございますので、それに伴う減価償却費を計上することもできないということでございます。
  65. 大門実紀史

    大門実紀史君 こういうことですね。ですから、これは、ペーパー商法でこういうことをやると脱税になりますよね、それぞれの方が。そういうことを勧めているわけでありまして、国税庁のお墨付きをもらっているなんてことで宣伝しているわけでございます。  このジャパンライフの会長の、次のページにありますけれども、この会長の山口さんという人はもう日本のマルチ商法の創始者の一人でありまして、国会にも参考人で、マルチ商法が問題になったときですね、一九七五年に国会で参考人で呼ばれている方でありますし、一九八五年にはこの国会、衆議院ですけれども、このマルチ商法のジャパンライフの羽毛布団の販売で集中審議まで行われていたわけです。そういう人物でありまして、一旦雲隠れして、またこういうことをずっとこの間やっているわけであります。  政官工作に大変力を入れておりまして、この前消費者問題特別委員会指摘したんですけれど、いろんな方に、ちょっとお中元リストというのが手に入りまして、このジャパンライフは政治家三十人ぐらいにお中元を配っているんですね。これは残念ながら野党の皆さんもあるわけです、うちはありませんけど、あるわけですね。そういう方、それはまあお中元だろうなと思って、それは一々言いませんけれど、そのメンバーを一人一人調べている中で、下村博文当時の文科大臣が献金をもらっているとか、いろいろ出てきているわけで、まだ調べている最中なんですけれども。  一番驚いたのは、ちょっとこれ資料が微妙なもので配付はできませんけれど、現職の大臣までがジャパンライフの広告塔の役割を果たしているということであります。加藤勝信働き方担当大臣なんですけれども、今日は加藤さん御本人を呼べる委員会ではありませんので事務方に事実関係だけ確認してほしいということで言ってありますけれども、一月の十三日に、これジャパンライフが宣伝しているんです、チラシで宣伝しているんです。一月の十三日、安倍内閣の重責閣僚の加藤大臣とこのジャパンライフの山口会長が会食して、ジャパンライフの取組を非常に高く評価していただきましたというふうに宣伝チラシで会員向けにやっているんですね。  これはどういう時期かといいますと、一回目の処分が十二月十六日にありまして、中が非常に動揺している時期ですね。契約者も本当に大丈夫ですかとか、だまされているんじゃないかと、こう動揺している時期に、この加藤大臣、写真入りで山口会長と会食したということが宣伝されて、安心してくださいと、今の大臣も評価してくれているんですということで内部向けにチラシがまかれているわけであります。  それで、今日、大臣呼べませんのでちょっと事務方に確認してもらっているんですけれども、この一月十三日に加藤大臣がこの山口会長と会われたことは事実ですか。
  66. 大塚幸寛

    政府参考人大塚幸寛君) お尋ねの件につきましては、これは加藤大臣の政務活動に関わる事柄でございまして、私はこの場でお答えをする立場になく、お答えを差し控えさせていただきます。
  67. 大門実紀史

    大門実紀史君 昨日夕方のレクでは、出版社の講演会で加藤大臣が講演をされて、そのときに山口さんが来ているのは知っていたというふうに昨日夕方教えてくれたんですけれど、それも含めてもう答えないと、取りあえず答えないということですか。一言伺いたい。
  68. 大塚幸寛

    政府参考人大塚幸寛君) 繰り返しになりますが、私この場でお答えする立場になく、お答えを差し控えさせていただきます。
  69. 大門実紀史

    大門実紀史君 うちの方でも調べますから結構です。  加藤大臣と直接、いろいろ、一回だけじゃないんですよね、実は、二回お会いされているんですね。それも含めて加藤大臣に直接にやらせてもらいたいと思います。  とにかく、このジャパンライフというのは、パンフレットにずっとありますけれど、政治家工作だけじゃなくて官庁、特に経産省、経済企画庁のメンバーをスタッフに据えてやってきているということでありまして、これは、この前消費者問題特別委員会指摘をしました。  この中に永谷さんという方がいらっしゃいますけれど、この方がこの山口さんとパートナーのように一緒にやってこられた方でありまして、実は、消費者庁の取引対策課というのは、経産省、経済企画庁から出向していずれ戻る、そういう人たちが消費者庁の中でこういうジャパンライフのこういうマルチとか訪問販売とか、こういうものの取締役をやっているということで、人脈的につながっているということで、民進党の皆さんからも、この立入検査から処分まで時間が掛かり過ぎたのは、そういうことも含めて、天下り等も含めて問題があるんじゃないかと指摘をされてきたところでありますけれども、そういう役所対策も大変力を入れてきている、そういう会社、企業であります。  次の資料で、ライフサイエンス振興財団とあります。これも、これはもうちょっと時間の関係でこちらで説明しちゃいますけれども、このライフサイエンス振興財団というのは、やっていることは大変立派なことをやっていらっしゃると思います。個々の研究者にいろんな助成をしてあげて研究頑張ってくれということをやっていらっしゃいますけれども、ここはどこがスポンサーかというと、ジャパンライフがスポンサーであります。  つまり、こういう振興財団というのは、何も変なことをやっているわけじゃないんですけど、こういうところに支援していますということを自分たちのビジネスに宣伝材料として使っているということで、右下にこのライフサイエンス振興財団との記念撮影があって、ど真ん中にマルチ商法の山口さんが座っていて、こういう写真が宣伝に使われて信用がありますということで、そういう勧誘にも使われてきたということであります。  それで、消費者庁の川口さんに来てもらっていますけれど、一月二十二日にまたジャパンライフは内部に文書を出しておりまして、十二月に業務停止を受けたけれども消費者庁からの指導は全面解決しておりますというようなことを内部に宣伝しております、動揺しないようにということで宣伝しておりますし、店舗販売は続けております。店舗販売といっても、訪問販売も、訪問販売法に引っかかるのは、店舗で契約しても、そこに契約じゃないほかの理由で呼び寄せて契約させるというのも訪問販売の一つになりますから、しかも、ここで売っているものは六十万円の変なネックレスが実は原価八千円や一万円のものでありますので、それをSF商法、催眠商法なり、まがいもので、セミナーで売り付けるということをやっていますから、店舗で販売すればいいというものでもないと思うんですけれども。  逆に、店舗販売だけは大目に見たといいますか、そういう抜け道をつくったんじゃないかと、皆さんの、経済企画庁、川口さんも経済企画庁出身ですけど、そういう経産省のその人脈が、皆さんのファミリーがあるからそういう抜け道をつくったんじゃないかという批判もあるぐらいでありますので、私は川口さんと長い付き合いですから、消費者庁をつくるときからのあれですから信用しておりますけど、逆に言えば、それだけに厳正に対処しなければならないんではないかと思っておりますので、もうジャパンライフは消費者庁、政府をなめ切っておりますので、より厳しい対応を求めたいというふうに思います。  ちょっと時間が余りなくなりましたけど、せっかくですので麻生大臣にお聞きしたいんですけれど、国税庁のお墨付きをもらったとか言って、こういう節税対策とか言って、脱税ですけれども、こんなものまで宣伝してお年寄りからお金を吸い上げている企業であります。この山口さんというのは一九八四年に脱税でも有罪になっている方であります。こういう商法が今現在も行われているということについて、麻生大臣、コメントがあればいただきたいと思います。
  70. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) これは結構有名人ですよ。この人は結構有名人。でしょう、こっちは余り知らないかもしれないけど。結構詳しいよね。これ結構やらされたんで、この話は、昔。あの山口さんがまだ生きていたのかと思って、これ見たんで、さっき、写真見たぐらい、この人はその時代から結構有名な方で、マルチという言葉が始まった最初の頃からもう出ていた方だったと思いますけれども。  いずれにしても、これは私どもの役所の所掌外なのでコメントは差し控えさせていただきますけど、とにかく、高齢者が今個人金融資産をやたら持っている、現預金で九百何十兆も持っておるという今の時代ですから、何となく、預けた金に金利が付かないから、うまい話というのは普通眉に唾付けて聞かないかぬところなんでしょうけど、欲が絡むと何となくそっちがちょっといいんじゃないかな、ただのところが六万円も金利が付いたら悪くないなと、それは分かりますわ、六%も付けばと思うんですけれども、そういったのでだますという手口ですから、これは明らかに。  そういった意味では、これはもう話のほかなので、これは消費者庁が多分中心でやるところなんだと思いますけれども、この種の話というのは厳正に対処すべきものだと思っております。
  71. 大門実紀史

    大門実紀史君 この手口は、おばあちゃんたちをセミナーとかマッサージしてあげるというようなことで呼び込んで、決しておばあちゃんたちはお金もうけしたいとか、そういう入口じゃないんですよね。それだけに悲惨な問題でありますので、川口さんにもう答弁求めませんけれども、引き続きやりますけれど、時間オーバーしているので、厳正に対処してもらいたいということを申し上げて、質問を終わります。
  72. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 日本維新の会の藤巻です。よろしくお願いいたします。  まず、麻生大臣にお聞きしたいんですけれども、麻生大臣日本国債の信頼性をお話しするときに、よく大臣は、日本人しか国債は買っていないから大丈夫だとおっしゃるんですよね、おっしゃいますですね。これは元々、そうはいったら、じゃ、戦時国債はどうなんだと、一〇〇%日本人が買っていた戦時国債は戦後のハイパーインフレで紙っぺらになったじゃないかという反論はしたいんですが、それ以上に、まず今日は、なぜ日本人しか日本国債を買っていないのかと、それをどういうふうに分析しているか、お聞きしたいと思います。
  73. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) どこの文章を取られたんだか知りませんけど、日本人しか買わないと言った記憶はありませんので、その文章をまず示していただきたいと思っておりますのが一点。  それから、日本人の買っているのが問題なのではなくて、これは、売っている売買の内容は全て円です。外債で売っておりません。ユーロでもなければドルでもない。自国通貨だけでこういった国債を売っている国は多分日本とアメリカと、それとスウェーデンとスイスかな、どこか北欧に一か国あったと思いますけど、それとスイス、その四か国だけが自国通貨だけで売っているんだと思いますので、日本の場合はそのうち約九〇%ぐらいが日本人、外国人が買っている場合もこれ円で売買がされておるはずですから、そういった意味では、日本の通貨だけでやっているという意味においては極めて安全性が高いということを申し上げたと記憶します。
  74. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 分かりました。そういう意味であるならば、確かに、外債、外貨建ての債券が大きいと円がディプリシエート、円安になっていきますとかなり負担が政府に掛かりますから大変だというのは分かります。  ただ、じゃ、麻生大臣がおっしゃらなかったとしても、現状として長期国債に関しては日本人がほとんど買っているという現実、これは、やっぱり思うに外国人にとって魅力のない債券だと。要するに、別に最初に日本人にだけ売って残りを外国人に売っているわけではなくて、用意ドンで売っているわけですから、もし魅力があれば、同じように外国人もたくさん買っている。それがないということは、取りあえず日本人にしか魅力のないのが日本国債だと私は思っています。  それで、じゃ、次に黒田総裁にお聞きしたいんですけれども、昨年、二〇一六年、アメリカ政府が発行している国債と、そして、そのうちFRBがどのくらい買っているかということを教えていただきたいと思います。
  75. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 米国の財務省資料を基に計算しますと、二〇一六年中に米国政府が発行した長期国債は約二・二兆ドルであります。これに対して、FRBが償還分の再投資として新たに取得した国債は約〇・二兆ドルであります。
  76. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 約一〇%を買っていると。テーパリングは終わっていますから借換債しか買わないということで、その借換債が発行額のうちの、まあ借換債しか買わないんですけれども、何はともあれ、その発行額の一〇%をFRBは買っているということだと思います。  それで、この前、先週、FRBがFOMCの議事録を発表いたしました、四月五日に。三月のFOMCの議事録なんですけれども、これによりますと、FRBは年内に保有資産の縮小に入るというふうに発表されたわけですね。これはかなり大きいニュースだと思うわけです。要は、テーパリングは終わって、要するに、資産の拡大はやめてこれから資産の減少に入るという、第二ステージに入るということなわけですね。そのときに、今は一〇%買っているから、それを減らしていかなくちゃいけない、要するに借換債をもう買わないということですけれども、これ、たかが一〇%なんですね、今買っているの。  その前に申し上げちゃうと、資産を縮小するというのはマーケットでは来年だろうと言われていたんですから、それが前倒しになっているということは、かなりFRBが景気過熱を気にしているせいじゃないかと思うんですね。かつ、意外とマーケットに影響してくる。すなわち、今回、あと二回FRBが利上げを考えているとマーケットが予想していたところが、規模の縮小まで始まるということで、かなりのインパクトがある。ドル・円もきっと上がるでしょうから、そういう面でいうと、きっと。一般的に考えればドル・円が上がってきます。長期金利が上がって、アメリカの長期金利が上がってドル・円が上がって、日銀にとっては消費者物価指数の二%達成が早くなるのかなという気はするんですが。  それはさておいておいて、一番問題は、一〇%を買っているFRB、かなり慎重に縮小を図ると言っているわけです。彼らは、その一〇%を買っているものをやめて売り出せばマーケットが崩れるだろうから、まあ満期待ちをしようと、もう満期まで待っている、そうすることによって、だんだんだんだん満期が来て、保有債券の満期が来て資産規模が縮まるということを考えているわけですね。  じゃ、日銀ですけれども日銀、この前、百五十兆年間政府が発行しているうち百二十兆買っているわけです。要は、約八割を買っているんですね。一〇%のFRBが資産縮小にそれだけ慎重になってそれだけ大変なのに、八〇%を買っている日銀が、まずテーパリングで借換債だけを買うことにして、その後、借換債を購入をきっとまた減らしていくということになると、とんでもないことになるんではないかと。  FRBがあれだけ、一〇%を減らすのにあんなに大変なのに、日銀は八〇%をこれから減らしていかなくちゃならない。これ、大丈夫ですか。黒田総裁、お願いします。
  77. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 日本銀行が二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現する、そしてそれを安定的に持続するために金融政策を運営しているわけでありまして、先行きの政策運営については、いわゆる出口の局面も含めて、こうした考え方に基づいて判断してまいります。  その上で申し上げますと、この量的・質的金融緩和の出口に当たっては、当然のことながら、金利水準の調整のほか、拡大した日本銀行のバランスシートの扱いなどが課題になります。その際には、保有国債の償還あるいは各種の資金吸収オペレーションのほか、いわゆる付利の引上げなども考えられると思います。  日本銀行は各種の政策手段を有しておりますので、バランスシートの縮小も含めて、市場の安定を確保しつつ、その時々の経済物価情勢に応じて最も適切な金融政策を運営していくことは十分可能であるというふうに考えております。
  78. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 可能であると言って頑張るだけじゃ物事は解決しないわけでして、確かに、今まで出口語るのは時期尚早とおっしゃっていた総裁が、三月の後半ぐらいから、付利金利を上げることとバランスシートを縮めることであるというふうにおっしゃい始めました。岩田副総裁もそういうふうにおっしゃい始めました。  付利金利を上げるという方に関しては、やはりそういうことをするとネガティブなシニョリッジ、通貨発行損が発生してしまうので大変ではないかという議論もさせていただきました。  ですから、二つ挙げられたもう一つの方の資産規模の縮小に関して、私は、FRBがあれだけ大変なのに日銀は大丈夫なのかなと、こういう危惧を持っておるわけです。デフレ脱却のためにいろんな金融、量的緩和を続けるのはいいんですが、出口がないことには怖くて怖くて、今は良くても、本当にそれこそじり貧を脱しようとしてどか貧になってしまうんではないかと、こういう懸念があるわけですよね。ですから、大丈夫だ、縮小するにはこういう方法がある、FRBは心配しているけれども日本銀行はこういう方法があるということをおっしゃっていただかなければ、怖くて怖くてしようがないわけですよ。  それはともかくとして、今後またこれについてはいろいろ議論させていただきたいと思いますけれども、次の質問に入りますが、それに関連しているんですけれども、三月二十二日にやはり黒田総裁にお聞きしたときは、アメリカの資産規模ですね、FRBの資産規模というのは、対GDPに対してテーパリングを開始したときは二四%だと、こうおっしゃったわけです。ECBの資産規模は、ユーロのGDPに対して三三・八%、バンク・オブ・イングランドに関しては二二・二%だとおっしゃったわけです。それで、もう一つおっしゃっていたのは、日銀は八八・三%だと。物すごいメタボなわけですよ。ですから、FRBというのは二四%から資産規模を減らしていったわけですけれども、今でさえ日銀は八八%から資産規模を落としていかなくちゃいけないわけですね。これはとんでもないことになるんではないかなという気がするわけです。  確かに、ECBとかFRBも、バンク・オブ・イングランドも異次元の量的緩和をやったといつもおっしゃいますけれども、言葉で言うのは同じく簡単というか、言葉で聞けば確かにどこも異次元の量的緩和をやっているというふうに言えますが、FRB、ECB、バンク・オブ・イングランドも異次元の量的緩和をやったというのであるならば、今やっている日銀はもう異異異異次元の量的緩和になっちゃうわけですよ。そういう段階から通常に戻せるのか。  それで、更に八十兆円ずつ、毎年、長期国債、資産規模が増えるように、八十兆円増えるように買っていくとおっしゃるということは、一五%ずつぐらいまた増えていっちゃうわけですよね、資産規模はかなり。ただでさえこれから縮小するのが大変なのに、更に年間八十兆円増やして、一〇〇%を超えるようなメタボのようなバランスシートを作って、大丈夫なんですかと。私は、これはもう本当にインパール作戦で、絶対もう撤退できない、どんどんどんどん奥へ行っちゃうような、補給線が延びていくような気がしているんですけれども、大丈夫なのか、お教えいただきたいと思います。
  79. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 従来から申し上げておりますとおり、日本銀行金融政策はあくまでも二%の物価安定目標を実現する、それを持続的に安定的に維持できるようにするという観点から行っているわけであります。  したがいまして、バランスシートの規模は大きいということは事実ですけれども、先ほども申し上げたとおり、二%が達成され、それが安定的に推移する段階になったときには当然のことながら出口ということになるわけですけれども、その際にも、経済物価に最も適切な金融政策で十分対応できるというふうに考えております。
  80. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 何か、後は野となれ山となれというような発言に聞こえてしまうんですけれども黒田総裁あと一年ちょっとで任期が切れてしまうんですが、日銀はそれに対処していかなくちゃいけないわけで、これは大変な問題だと思うんです。それは感覚的にも大変だと思いますし、この前も一度お聞きしたと思いますけれども金融史が専門のハーバード大学のファーガソン教授が、中央銀行のメタボ度合いというのはインフレに物すごく関わっているという研究発表をしているわけですね、これは机上の学問だと言われるかもしれないけれども。実感としてもそうであるのに加えて、学問的にも非常に危ないという研究成果が出ているわけです。  要するに、一九五〇年から八〇年代の中銀の肥大化がインフレと深く関わっていたと。一九〇〇年以降、主な中央銀行の資産規模はGDP比のほぼ一〇から二〇%だった、日銀は一〇〇%超しそうなんですからね。そういう警告をしているときに、じゃ、黒田総裁は、ファーガソン教授のその理論というのはまさに机上の学問で、日銀はその歴史を変えてやるんだと、こういう気概があるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  81. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) このファーガソン教授の研究というものは、今御指摘にありましたように、一九〇〇年以降の主要国の中央銀行のバランスシートの動きについて様々な観点から分析したものであります。  ファーガソン教授の分析では、一九五〇年から一九八〇年にかけて中央銀行のバランスシートの拡大とインフレ率に相関が見られるとした上で、その相関の度合いは国によって異なるというふうに述べておられます。また、この両者の相関は一九八〇年以降崩れているが、その背景としては、近年、中央銀行金融政策運営に対する信認が高まっており、人々のインフレ予想がアンカーされているという可能性を指摘しておられます。  日本銀行は、先ほど来申し上げておりますとおり、量的・質的金融緩和の下で二%の物価安定の目標の実現に対する強く明確なコミットメントを行うとともに、これを裏打ちする大規模な金融緩和を行うことによって、人々の予想物価上昇率も引き上げることを狙いといたしております。  日本銀行の資産規模の対GDP比は、御指摘のとおり、主要中央銀行のバランスシートの規模と比べても大きいことは事実でありますけれども、これはあくまでも二%の物価安定目標のために大規模な金融緩和を行っている結果であるというふうに認識しております。
  82. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 いや、そのためにはいいんですけど、二%達成のためにはいいんですけれども、普通、政策というのは落としどころというか、撤退まで考えて作るのが当たり前の話で、後は野となれ山となれじゃ、これは極めて危険な政策じゃないかと私はもう当初から思っているわけです。  あと五分なのでちょっと質問の順番を変えたいんですけれども、去年の八月二日に、これ新聞報道ですけれども黒田日銀総裁財務大臣政策協調を確認した後の記者会見で、麻生大臣が四十年国債の増発を検討すると表明された。たしか三千億から今年は六千億に増発することになったと思うんですけれども、そのときの新聞記事によると、金融政策による超低金利を生かす狙いがあると、こうおっしゃっていたわけですよ。  これは当然の話だと思いますよね。金利が低くてこれから上がってくると思うのであるならば、長期の国債を発行して、低金利のものを発行して長い間低金利で済むようにしようと、これは発行サイド、財務省サイドとしては当然の理屈だと思うんですが、ここで黒田総裁にお聞きしたいのは、その四十年債、異次元の量的緩和で日銀が買う気があるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  83. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 四十年国債は、イールドカーブ全体の金利低下を促す観点から、二〇一三年四月の量的・質的金融緩和の導入以来、買入れ対象になっております。
  84. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 なっておりますと、そこでやめられたということはきっと買うんじゃないかなと思うんですけれども、それから考えますと、日本銀行財務省のバランスシートを合体した統合政府のことを考えますと、政府サイドの負債と日銀サイドの資産がキャンセルアウトして、残るのは、政府の資産、橋とか道路、負債サイドは日銀の発行銀行券と当座預金になっちゃうわけですよ。  要するに、金利が上がるということで長期国債を発行して低金利をエンジョイしようと思ったら、日銀がそれを買ってその努力を曖昧にしちゃって、残るのは当座預金と発行銀行券、まさに超短期債務になってしまって、日銀が金利を上げたら一発で支払金利が上がっていっちゃうんですよ。  まさに、その長期国債を買うということは、これから金利が下がるならいいですよ、日銀としてもね、普通、民間であれば。金利が上がるときに超長期国債を買うなんというのはナンセンスもいいところであって、まさに財務省がやっている低金利をエンジョイしようというものを日銀が無駄にしているということになるのかと思うんですが、いかがでしょうか。
  85. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) どういったロジックで言っておられるのかよく分からないんですが、あくまでも、日本銀行の量的・質的金融緩和以降もそうですし、現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和もそうですけれども経済が持続的な成長を遂げる中で賃金物価が徐々に上がっていって二%の物価安定目標達成し、それが持続的に、安定的に続くという状況を実現するために様々な手段を使っているわけでありまして、短いところだけでなく、バランスの取れた形で短期、中期、長期、超長期の国債の買入れを行っているわけでございます。
  86. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 どういうロジックで言っているのか分からないとおっしゃる方が私は分からない、意味が分からないです。私は、黒田総裁はすごく頭のいい方だと思ったんですけど。  それはいいとして、もう一つ、債務を短期化するということと同時に、さっき申し上げましたように、日銀が四十年物国債も買ったらマーケットに売れないですよ、資産を縮小したいときにね。さっきから申し上げていますけど、満期待ちしかないんですけど、金利がインフレになったときに四十年間もその国債待つんですかということ、非常に疑問に思います。時間がもうないので、もし、簡単に御回答いただければと思います。
  87. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 先ほど来申し上げておりますとおり、拡大したバランスシートをどういうふうに扱うかということは出口における重要な論点の一つであるということはそのとおりでありますけれども、現時点で、短期、中期、長期、超長期の国債についてどのような対応をするかということは、そのときのやはり経済物価、特に金融情勢を十分勘案して適切な形で対応するということに尽きますので、今の時点で超長期債についてどういうふうに対応するかということを申し上げるのはやはり時期尚早であるというふうに思っております。
  88. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 終わります。ありがとうございました。
  89. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  90. 藤川政人

    委員長藤川政人君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、宮沢由佳君が委員辞任され、その補欠として風間直樹君が選任されました。     ─────────────
  91. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。麻生財務大臣
  92. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) ただいま議題となりました国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  国際開発協会は、世界銀行グループの中核機関として、所得水準の特に低い開発途上国に対し、超長期かつ低利の融資や贈与等を行うことを主たる業務とする国際機関であります。先般、同協会の本年から三年間の財源を確保するため、第十八次の増資を行うことが合意をされております。  政府におきましては、開発途上国の経済成長と貧困削減に果たす同協会の役割の重要性に鑑み、この第十八次増資に係る追加出資を行うこととし、本法案を提出した次第であります。  本法律案の内容は、政府が国際開発協会に対し、三千四百五十九億三千二百飛んで八万円の範囲内において追加出資を行い得るよう所要の改正を行うものであります。  以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、よろしく御賛同いただきますようお願いを申し上げます。
  93. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三分散会