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2017-02-22 第193回国会 参議院 国際経済・外交に関する調査会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年二月二十二日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  二月十五日     辞任         補欠選任      室井 邦彦君     東   徹君  二月二十一日     辞任         補欠選任      古賀 之士君     浜口  誠君      高瀬 弘美君     里見 隆治君      伊波 洋一君     糸数 慶子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         鴻池 祥肇君     理 事                 酒井 庸行君                 柘植 芳文君                 宮本 周司君                 藤田 幸久君                佐々木さやか君                 武田 良介君                 東   徹君     委 員                 今井絵理子君                 小野田紀美君                 尾辻 秀久君                 大野 泰正君                 中山 恭子君                 丸山 和也君                 三木  亨君                 宮島 喜文君                 吉川ゆうみ君                 大塚 耕平君                 杉尾 秀哉君                 浜口  誠君                 真山 勇一君                 里見 隆治君                 横山 信一君                 木戸口英司君                 糸数 慶子君    事務局側        第一特別調査室        長        松井 一彦君    参考人        聖心女子大学教        授        NPO法人国際        協力NGOセン        ター理事     大橋 正明君        立教大学大学院        21世紀社会デザ        イン研究科教授        NPO法人難民        を助ける会理事        長        長 有紀枝君        NPO法人ジャ        パン・プラット        フォーム共同代        表理事        NPO法人ピー        スウィンズ・ジ        ャパン代表理事  大西 健丞君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○国際経済外交に関する調査  (「アジア太平洋における平和の実現地域協  力及び日本外交在り方」のうち、外交能力及  び戦略を向上させるための取組課題NGO  など多様な主体との連携)について)     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) ただいまから国際経済外交に関する調査会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、室井邦彦君、伊波洋一君、高瀬弘美君及び古賀之士君が委員辞任され、その補欠として東徹君、糸数慶子君、里見隆治君及び浜口誠君が選任されました。     ─────────────
  3. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事東徹君を指名いたします。     ─────────────
  5. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 国際経済外交に関する調査を議題といたします。  本日は、「アジア太平洋における平和の実現地域協力及び日本外交在り方」のうち、「外交能力及び戦略を向上させるための取組課題」に関し、「NGOなど多様な主体との連携」について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。  本日は、聖心女子大学教授NPO法人国際協力NGOセンター理事大橋正明参考人立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授NPO法人難民を助ける会理事長長有紀枝参考人及びNPO法人ジャパンプラットフォーム共同代表理事NPO法人ピースウィンズ・ジャパン代表理事大西健丞参考人に御出席いただいております。  この際、一言御挨拶申し上げます。  お三方の参考人先生方には、御多用の中、誠にありがとうございます。  本調査会の今後の調査のために、忌憚のない御意見を賜ることを心からお願いを申し上げます。ありがとうございます。  本日の議事の進め方でございますが、まず、大橋参考人、長参考人大西参考人の順でお一人二十分程度御意見をお述べいただいた後、午後四時頃までを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、大橋参考人から御意見をお述べいただきます。大橋参考人
  6. 大橋正明

    参考人大橋正明君) 今日は呼んでいただきまして、ありがとうございます。  お手元のパワーポイントの印刷されたものにございますように、私は大学の教員をする傍ら、日本国際協力NGO、これをどういうふうに定義するかというのはまたいろいろあるんですけど、大体五百ぐらいが比較的何年も活動してある程度の規模というふうに大体申し上げておりますが、そういうものの中で最大約百十ぐらいのNGOをネットワークしているのがこの国際協力NGOセンターJANICという団体で、一昨年の六月まで八年間ここの代表理事を務めておりまして、今も理事を務めておる関係上、日本NGOのことを少しお話しするというようなことが役割としてあるんではないかと思っております。  今日は、下の方にありますように、まず全般として、露払い役ですね、長さんと大西さんが控えておりますので、日本NGOの全体像というのをごく簡単にお話しした上で、後半について、私が考える、あるいはJANICとしても大体考えている、NGOというのはこういう価値があるので、日本外交にとってこういう役割というものを果たせるんではないか、あるいは、外交にとって、NGOから見るとこういうふうにお願いをしたいといったことを述べていきたいというふうに思っております。  一枚おめくりいただいて、このNGOについてのことについては今更詳しく申し上げることはないと思います。ただ、いわゆる、この二ページ目の上の方の図ですが、公益、他益というのを上に取り、右側左側営利、非営利というのを取ったときに、各政党とか宗教団体と同じようにNGONPOも含まれると。NGOの多くはいわゆるNPO法人という格を取っているものが多いわけですけれども、この中にNGONPOというものが含まれていると。下の方に行くと共益という形になりますので、自治会みたいなものというものが増えてきます。  NGONPOはどう違うかということも先生方に必ずしも詳しく説明することはないと思いますが、一般的な使い分け日本でこういうふうに使い分けになっていて、アメリカやイギリス、あるいはインドに行ってこのように通じるわけではなくて、それぞれの国ではそれぞれの呼び名がありますので、日本の場合は、ただ国際的な課題、特に開発貧困、あるいは人道的な問題、環境保健衛生とか医療、あるいは人権とか、国境を越えて共通したような問題を扱う団体NGOと呼ぶものが多く、地元の問題とか、国内の問題とか、裏山、自分の近くの山の環境の問題というものをNPOと呼ぶことが多いというだけで、どこにもきちっとした定義があるわけではございません。基本的には、NGOというのは国際的課題を扱っているというふうに一般的に使われているということにすぎません。  一枚めくっていただいて、三と書いてあるところですが、日本NGOは、戦争前から続くというものはほとんどございませんで、基本的には戦後になり、しかも高度成長が一応終わった七〇年から八〇年代。八〇年のときに、御存じのとおりインドシナ難民というのがベトナムとカンボジアとの関係で主にカンボジアから出てまいりますけれども、これに対応する形で日本NGOというのが本格的に始まり出したというふうに言われています。  だから、バンコク辺りで、カンボジアとの国境辺り難民キャンプ活動するために日本NGO幾つか生まれた。それ以前に生まれたものも幾つかありますけれども、一番の最初の部分は八〇年の初め。そして、九〇年のところで最大のピークを迎えたと言われておりますが、これはいろんな理由があると思いますが、一つ大きいのは、外務省含め政府の方からNGOに対する資金協力が本格的に始まり出したということも私たちの数が増える大きな助けになったというふうに一般的には理解をしています。その後またちょっとずつ落ちてきておりますけれども社会関心というものが多少変わってきているんだろうと思います。  四番目のスライドですけど、日本NGOが主にどこで活動しているかというと、日本政府開発援助ODAも多少似たような傾向があるんですけど、日本NGOはどうしてもやっぱりアジアが圧倒的に多い形になります。これはやっぱり、資金の力も余りないということもありますけれども近親性とか、問題をよく理解できるというようなこと、団体によってはやっぱりアジアに対する贖罪という意識を持っている団体もあると思います。それからアフリカということになりますが、アフリカもいわゆる英語圏のものが多くて、右側の方にどこが多いかということが書いてあると思います。  先生方の中には御存じの方もいらっしゃると思いますが、例えばインドみたいな国は非常に人口が多いので本当はもっと多くてもいいんですが、インド政府外国NGOは余り来てほしくないというふうに考えていますので、それぞれの国の外国NGOに対する政策によってもこの数というのは影響されてきています。もちろん、繰り返しますけど、やっぱり西アフリカフランス語圏というのはなかなか行きづらかったり、南米には行きづらいという物理的な障壁もありますけれども相手国政府政策によって日本NGO在り方が変わってきているということも御了解いただければと思います。  どんな分野活動しているかということを、ごく簡単ですが、やっぱり日本NGOは教育、保健医療というのが圧倒的に強いというのも次の五枚目のスライドのところにお示ししたとおりでございますが、最近は自然災害とか、また必ずしも自然とは限らず、長さんのところも大西さんのところもそうですけれども緊急事態に対する人道的な援助というものも多いですが、数的には圧倒的にやっぱり、小さくても、小学校の子供たちを学校に行ってほしいというような、長く一生懸命続けていらっしゃる団体さんが多いということです。  それを財政規模から見たのが次の六のところで、全体から見ると、日本NGOは何だかんだいって全体で多分四百億円とか五百億円ぐらいしか使えていないというか、これは日本ODAから日本NGOに来ているのが、大体百億円ぐらい頂戴しているんですけど、それを合わせて五百億円ぐらいかなと。  御参考までにですが、私はバングラデシュとかインドのことを主にやっていて、バングラデシュの一番大きなNGO、BRACさん一つ単体年間五百億円を超えておりますので、バングラデシュ政府の大体予算の五%ぐらいを一つNGOが占めている。日本がもし百兆円が年間政府予算だとしたら五兆円規模NGOバングラデシュには存在しているという形で、やっぱりNGOのステータスといいますかイメージみたいなものがすごく国によって違ってくるということも先生方に知っておいていただけると有り難くて、日本NGOが、残念ながらまだまだ規模としてはもっと大きくなっていい、ゼロがもう一つ二つ大きくなっても世界的にはおかしくないんだというふうに思っておりますが、これは多分後で先生方からお叱りを受けるかもしれませんけれども、私たちの力も及ばず、なかなか寄附というものを集めることができないというふうに思っております。  どこに行ってしまうかというと、不快に思われる先生もいらっしゃるかもしれませんが、やっぱりブランド団体に、私も前職は赤十字に勤めていたので余り言えないんですけど、そういうNHKとか赤十字とかユニセフ協会という、私からすればブランド的なものにどうしてもお金が集まりやすくて、片仮名の名前JANICとか、そういうところはなかなか、何それというふうに呼ばれてしまうというところがあって、ここをどうするかというのが大きなあれです。  全体のうちの多くの、特に、次のページに書いてありますけれどもNGO年間収入が一億円以上の団体というのは五十三団体、これは三年ぐらい前の統計ですけれども、その一七%で全体の八六・六%の金額を集めていて、反対に一千万円未満の団体というのは百三あるんですけれども年間収入の〇・九四%。要するに、すごく大きな団体とすごく小さな団体に分かれている。  しかも、左側に大きな団体名前を少し挙げておきましたけれども、大きいといっても一番大きなところでも七十億円でしかなくて、バングラデシュで申し上げたように、五百億円とか、ヨーロッパなんかでも大きな団体は三百億、四百億と集めておりますけれども、その規模から比べるとちょっと格段の差がある。  また、御存じかと思いますが、韓国の方が人口日本よりも半分より小さいと思いますが、各団体が集めているお金日本のこういう団体よりももっと多いというふうに理解をしていて、ここら辺、日本寄附文化の問題、あるいは市民社会の問題、御理解の問題ということ辺り日本外交の一環として幅広く捉えるならば、先生方一緒に変えていくべき課題に私どもも直面しているというふうに理解をしております。  日本政府ODA資金との関係というのは、これ示したところ、丸を見ていただければあれですけれども、分かりやすく言うと、下に書いてありますように、日本NGOを通じた贈与額は国全体でも一人当たりでも非常に少ないということです、先ほど申し上げたことですね。これはOECDの統計ですけれども日本人がやっぱり世界的には多分貧困とか低開発に対して関心が低いというふうに見られている可能性が十分高い、あるいは寄附文化が希薄である。やっぱりある程度健全なCSO市民社会組織NGOがもう少し育たないと国際水準としていかがなものかということが見えてしまっている。  金額だけを見ますと日本政府NGOへの資金割合G7DAC並みですけれども、中身的にもう少し工夫をしていただいたり、もう少し柔軟性を増やしていただいたりとか、量的にこれはいわゆる援助先進国と呼ばれている北欧と比べると日本NGOに対する供与は全く少ないという割合が見えてくるんですけれども、もう少し工夫をしていただく可能性もあるのではないかというふうに思っております。  これ以外にも、DACG7国々日本政府も約百億円弱ぐらいを現地NGOに配っておりますけれども、ここももっとうまいやり方があるのではないかというふうに思っておりまして、そういうところをもっと私たちとも協働して、やっぱり援助する人間というのは援助屋ですから、こういうところとよく協働して、もちろんJICAさんとも協働してということはあると思いますけれども、やる余地があるかなと思っております。  また一枚めくっていただきまして、七、政府との対話ということに書いておきましたが、対話のスポットもかなりつくってきていただいております。外務省との定期協議というのが年七回開かれておりまして、冒頭のだけが、お忙しいので、多いですから、政務三役の一人が参加していただけるようになっております。それから、これは国際協力局とですけれども、もう一つの局の総合政策審議官一緒に国際的なGIIやIDIに関する定期協議というのも年に数回、これは主に保健関係です。そこからMDGとかSDGとかG7とかG8といったものが出てきたときにはスピンアウトした会議。それから、JICAとも年四回、財務省とも年四回という形です。  先生方、もう随分あれですけれども、九〇年頃に国際協力基本法とかNPO法を作ろうという運動が随分あったときには与野党との話合いとかパイプがたくさんあったんですけれども、その後の定期協議ができたことがどう影響しているかはともかくとして、政党NGO話合いは非常に少なくなったというふうに理解をしておりまして、これは少し変えていかないと。お役人が悪いというわけではなくて一生懸命やってくださっているわけですけれども先生方の関与というものをもっと考えなくてはいけないんじゃないかと私ども感じております。  ここからが私が申し上げたいところに変わりますけれども、まず最初に、ローマ数字のⅡの国際開発あるいは協力におけるNGO価値連携というところですが、NGOは、先ほどからちらちらと申し上げているとおり、市民社会組織というふうに理解をしていただいた方が、ノンガバメント、非政府組織というよりは市民社会組織だというふうに理解をしていただいた方がいいかなと思っています。  参議院が衆議院に対して抑制的、補完的であるというように、あるいはマスコミが第四の権力として権力に対して不正を発見してその問題点を発見するように、NGOというのは、政府開発援助とかいわゆる開発政策に対して、開発在り方に関して、普遍的な人道主義立場、あるいは人権重視市民社会立場から独立かつ異なった立場役割を負っているものだというふうに私は認識をしています。これも、政府協力することは決してやぶさかではないんですけど、全く一体化してしまうとこれはちょっとおかしなことになっちゃうんじゃないかというふうに思っています。  ですから、やっぱり、特にスラム、大きな建物を建てるときにスラムの貧しい人たちが立ち退かされてしまうとか、貴重な自然資源が破壊されてしまうとか、格差が開いてしまうというようなことに対して、やっぱり問題点を指摘し、同時に、必要なサービスあるいは代替するサービス、オルタナティブなものを提供していくという、どちらかというとサービス提供だけが強調されがちなんですけれども、そういう大きな役割があるだろうと。だから、短期的、狭量、非常に狭い範囲での国益とか経済益とは必ずしも一致しないというふうに理解をしております。  もう一枚めくっていただきまして、二のところで、市民社会組織がですから追求するものというのは、市民社会とは何かというのもまた先生の前にあれですけど、普遍的な定義はどの辞書をめくってもなかなか出てこないわけでありますけれども、基本的によく言われているのは、自由と平等を獲得した自立的個人である市民によって成り立つ社会というふうによく言われておりますが、その拡大を追求しておりますので、やっぱり強権国家とかいわゆる開発独裁という、余り最近は言われなくなりましたけど、そういう国々ではNGOの数というのは比較的少ないか、あったとしてもお飾り的なものの方が多いというふうに考えております。  ですので、市民社会組織というのは、国民国家の枠組みを超えたり偏狭なナショナリズムを超えてグローバルな普遍的価値を共有しようという志向性が非常に強くて、私たちNGOのレベルでもアジアあるいは太平洋各国NGOとの連携というのがネットワーク段階でも進んでおります。  開発協力の形態も、当初は日本NGOが行って、頑張って日本人がヒーロー、ヒロインになってやるというパターンが分かりやすいものですから一番多いんですけれども、国際的には、現地NGOがそれをやるのを私たちが側面から協力させていただくという傾向が全般的には強くなってきている。これは分野によっても多少違いますけれども、全体から見れば、現地NGOさん、CSOさんが活動されるのをどうサポートするのかということに、多くなってきていると思います。早口で申し訳ございません。  御存じのとおり、国連で採択された持続可能な開発目標SDG、この中にも、ちょっと三の二を先に読むと、十七のターゲットの十七というやつですが、様々なパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会パートナーシップを推進、奨励するというふうに明記されておりまして、SDGを作るプロセスでもNGOは随分積極的に関与させていただきました。  NGOにとっては、このSDGの十七とそれから十六、上に一つ戻りますが、平和と正義の十番目のターゲットで、特に、国内法規及び国際協定に従って、情報への公共アクセスを確保し、基本的自由、基本的人権と読み替えてもいいかと思いますが、保障するということが、NGO活動する幅を確保し役割を十分に発揮するために非常に必要な政策環境なのだ、この政策環境日本のみならずアジア太平洋でも確保していくということに、先生方一緒に、あるいは日本外交一つ役割として果たすことがあるんだ、必要があるというふうに私どもは強く考えてきております。  また一枚めくっていただきますと、そうは言いつつも、いろんなところのNGO各国の話を聞いていますと、SDGに示されたような理想は、逆に言えばないところがあるからこそSDGに掲げられたわけでありまして、NGOに対して、一部の大国や途上国の一部で、資金の受取とかNGO活動、特に政府の批判をすることに対する非常に厳しい目というものが出てきているということです。  ですから、いわゆる非常に国家が強いところでは、官製を除いてNGOがほぼ存在しない国というのが幾つもある。そういう主義主張の場合、仕方がないんですけれども、なかなか難しい。あるいは、受け入れたとしても、外国資金外国NGOに対して非常に警戒的な立場を取っている国というものもございますし、それから、政府協力的でない自国のNGOに対してもやっぱり非常に批判的になっていて、よくNGOの人と話すると、ウイ・アー・ノット・ラブド・バイ・ザ・アワ・ガバメントといいますか、自分の国の政府にとって気に入られていないので非常に活動がやりにくいというような形のものが出てきてしまっていると思います。それぞれの社会にとってもこれは必ずしもいいことではない。  一方で、先生に申し上げるのもあれですけれどもグローバル化で物、金、情報というのの行き来は自由になっているのにかかわらず、NGOの人、金の往来、特にビザを取るとか大変面倒くさい形になってきています。その活動も自由化せず、政府管理下あるいは政治的な管理下に入っているということが多いと。日本がそうだと申し上げているわけではなくて、改善すべき事実がそこにあるだろうというふうに思っているわけです。  日本にとってみては、やっぱり幅広い外交といいますか重厚な外交をやっていただいて、それを私たちもお手伝いする、あるいはその逆もまた真なりだと思いますけれども、そういうものに日本外交在り方、特に援助政策国際協力在り方というものを関わっていただきたいなというふうに思っています。  というのは、私たちの目から見ると、こういうNGOが自由闊達に動くということは、中長期的にこのアジア地域において平和と人権を強化し、社会を豊かにするものに違いないというふうに思っておられるわけで、どこでも、社会でも、マスコミが例えば健全に強化しなければ社会在り方がおかしいと思うように、NGOが自由闊達にその国の開発政策についてあるいは援助政策について語れないというのは社会の方が良くないんだというふうな共有的意識を持っていただきたいと、あるいは持っていらっしゃることをもっと強化していただきたいと思っております。  ですから、そういうNGOを積極的に多様に私どもが支援することで、アジア太平洋社会が、あるいはもちろん経済もそうですけれども、一層成長し、同様の価値観を持つような政策各国政策を変えることができる。これは、NGO各国でそういうアドボカシーといいますか政策提言をされるわけですから、そういうものを、直接、例えばある国でそのNGO政策提言することを支えるとなると内政干渉ですけれども、その国のNGO活動を支えて、そのNGOが結果的に自国の中の政策環境を変えていって自由な市民社会活動を可能にするということは、アジアにとって非常に似たような価値観を持つ豊かな関係ができると、それこそが日本の目指すべき外交ではないかというふうに、まあ先生方を前にあれですけれども、強く感じております。  今、いわゆるナショナリズムというのはいろんな意味がありますけれども、いわゆる短期的な排外的なナショナリズムの中で、日本はやっぱり普遍的な価値観に基づいた市民外交というものを成し遂げていかなくちゃいけない。そのためには、私は市民社会グローバル化あるいは社会グローバル化というものがなされなくちゃいけないんじゃないかというふうに思っております。  あと時間が一分半ぐらいですので、あと、具体的な私どもが何度か申し上げているようなことを幾つか申し上げて、先生方がいつかこういうことを実現していただくときの参考にしていただければと思います。  一つには、政府開発援助ODAが多元化するということをもっと積極的にやっていただきたいと。私自身は、今回の開発協力大綱の見直しの委員をさせていただいて、かなり厳しい論議をさせていただいて、私は心ならずして、必ずしもその内容に満足はしていないというか、これはますます日本は良くない方向に走ってしまうんではないかということを非常に懸念をしております。  やっぱり、しかしそうはいっても、開発協力大綱が平和と繁栄のうち普遍的な人道主義に基づいたということは強調しているわけですので、ODAのうちの少なくとも半分かそれ以上は、経済的、特に短期的な利益、国益ではなくて、もっと長期的な人道的な利益に基づいた、なるほど日本すごいよねというふうに言われるような活動に使えるような、短期的に日本との関係がどうかとかということとは関係なく、人道主義に立った、いわゆる短期的な外交とは離れた、なるほどすごいですよね、日本ってそれだけお金を持ってこういうことをやられるんですねというふうなODAというのを、人道主義ODAというのをもっと強めていただきたいなというふうに思っています。この中ではNGOが随分お手伝いできるんじゃないかと思っております。  それから、この大綱の中にやっぱり入れてあるんですけれども、外務省、JICAにおいては、社会開発分野の人材育成、体制整備に取り組むというふうに書かれておりますので、これがまだ実施をされていないと私は理解しておりますので、是非、これをやることによってNGOとの対話がずっと進みますので。今、外務省、在外公館へ行っても、相手の社会を見ている人っていないんですよ、NGOを見たりとか貧困問題。こういう人たちがいると話がぐっと近寄ってきます。経済とか文化の担当者はいるんですけど、社会の担当者って外務省の中や在外公館にいらっしゃらないものですから、ここも是非改善していただきたい。  それから六の三は、いろいろ言っているんですけれどもNGOと外務省あるいは皆さんとの人材交流というのがもっとやられてほしいと書かれているんですけど、なかなか進まない。それから、資金提供の在り方をもっと幅広く柔軟にやっていただきたいということと、この六の五はなかなか実現しないでしょうけれども、私どもは、国際協力基本法とか国際協力省という形で、外交というのも全部外務省がやるわけではなくて、いろんな省庁がやるのと同じように、人道的な目的というものを遂げるための独自の、一定の独自性を持ったものをつくり上げていただくことによって外交の多様性、重厚性というのが実現するのではないかと思います。  ちょっと延びまして申し訳ございませんでした。また、早口だったことをおわびいたします。ありがとうございました。
  7. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) ありがとうございました。  次に、長参考人から御意見をお述べいただきます。長参考人
  8. 長有紀枝

    参考人(長有紀枝君) ありがとうございます。  長と申します。どうぞよろしくお願いいたします。  改めまして、本日は、こうした大変貴重なお席に私たちをお招きいただきまして、本当にありがとうございます。  私は、御紹介にありましたように、難民を助ける会というNGO理事長をしておりますが、こちらは、一九七九年にベトナム、ラオス、カンボジアからインドシナ難民の方々が日本に来たときに、困ったときはお互いさまという日本の古来の伝統を身近な人だけではなくて外の人たちにも見せていこうということでできた組織でございます。現在、緊急人道支援、難民支援に加えて、障害者の方の支援であったり地雷対策を行っております。また、大学では、そういった活動で見聞きしたことなども含め、人間の安全保障ですとかジェノサイドの予防などについて講義をしております。  本日、私に与えられたお題といいますのが、国際社会で、海外でどのような関係NGO政府の間で築かれているのか、その部分を優先的にお話しするようにということですので、その御依頼に沿ったお話をしてまいります。  まず、レジュメに沿って参りますけれども、冒頭で、国際社会の諸課題に関する主要な国際協力活動というのを、これJICAのホームページを参考にしまして出しました。こういった多様な部分に特に国際NGOが関わっているわけなのですが、大橋先生がおっしゃられたことと少し重なりますが、述べてまいりたいと思います。  まず、物ですとかサービス、その中には人道支援ですとかリハビリテーション、様々なものが入るわけですが、そうした物やサービスの提供者、あるいは開発支援や平和構築の担い手として、こちらが先生方も、あるいは一般の日本の国民の方々もNGOに対して抱いているイメージではないかと思います。  ただ、それだけではございませんで、国際公共財というとちょっと難しく聞こえてしまうかもしれませんが、条約や制度をつくる担い手にもなっています。例えば、藤田先生こちらにいらっしゃいますが、九七年にできました対人地雷の禁止条約を作る原動力となったのが、世界の百か国を超える国々NGOの連合体の地雷禁止国際キャンペーンです。いろいろな安全保障につきましては御意見があると思うのですけれども、少なくともこのICBLでは、地雷を保有することによる国益よりも、地雷をなくすことによって得られる国益の方を重視した政府とともにこういった地雷禁止条約を作ってまいりました。この地雷禁止条約につきましては民主主義の成熟度を測る指標にもなっているんだというようなお話がありましたが、まさにそうした部分でNGOが働きかけてきたわけであります。  同様に、クラスター弾の禁止条約、こちら二〇〇八年にできておりますが、これも世界各国NGOと賛同する政府が共につくり上げたものです。また、ICC、国際刑事裁判所、これは日本最大資金の拠出国でございますけれども、こちらのICC、国際刑事裁判所設立のローマ規程を作るに当たっても、やはりNGOの連合体が大きな役割を果たしました。  また、残念ながら世界各地で人権侵害や国際人道法違反が起きているわけですが、そういったことを実際に現地でモニターしているのも国際協力NGOです。特に、当該政府人権侵害を、その国の方々が声を上げられないときに、外から、外国NGOがそれに対して、告発と言ってはちょっと物騒かもしれませんが、そうしたことを行うという活動もしております。  また、オルタナティブな政策立案者というのも書きました。これはイギリスの国会議員の方がお話ししたことでもあるのですが、NGOは絶対自分たちに必要なんだと、なぜかというと、オルタナティブな代わりの政策を示してくれるので、それがいいかどうかはまた別かもしれませんが、常に対案を見せてもらうことによって御自分たちの取った政策を様々な視点から測ることができると。そういった意味で、オルタナティブな政策立案者としても大変貴重な存在だということをおっしゃられた方がおられます。  また、国内の啓発やアドボカシー、さらには、NGOがそんなことするんですかと思われるかもしれませんが、紛争地で実際にその地に長くいる方たちが特定の政府などと連携して調停者の役割を果たすようなNGOもございます。  そうした様々なNGOに対して主要ドナー国がどのように捉えているか、こちらを今日お持ちしました資料に基づいてお話をしてまいりたいと思います。経済協力開発機構、OECDの開発援助委員会、DAC統計資料から出したものです。  まず、もう既に大橋先生から、日本NGO日本の財政の中にどれほどの規模を占めているかいないかというお話がございましたが、その続きでございます。DAC加盟国によるNGO向け又はNGOを通じた二国間のODAの比率を出したのがこの統計の一です。これを見ますと、日本がないんじゃないかと。右からずっと下の方に行きますと、左から三つ目にジャパンというのがございまして、DACの二十九のメンバーのうち日本は二十七位です。  でも、二十八位にフランスがいるではないか、やはり国際協力を中心的に行っている国がいるのではないかと思われるかもしれないのですが、フランスの場合は先生方も御承知のように寄附構造が大分違いまして、例えば世界有数のNGOであります国境なき医師団のフランスのファンドレイジング、資金調達の表などを見てみますと、政府からいただいているのは一千八百万円程度ですが、一般の皆様からの募金は百九億円。これはもう日本ではとても考えられないような額なのですが、一つ団体で百九億円もの募金を集めておられると。その結果、政府からの助成が少なくても世界有数のNGOとしてやっておられるというような傾向があるかと思います。もちろん、お金が得られたとしても国境なき医師団が政府からいただくかどうかは、こちらはまた別問題ではありますが、少なくともそういう現実があります。  さらに、一番最後のギリシャは二十九位でございますが、こちらは御承知のように財政破綻をしている国ですので、そういったところから見ると日本は比率的には本当に一番下にいるという事実がございます。  次のページに統計の二で示しましたが、こちらはNGO向け及びNGOを経由したODAの額で比べたものです。先ほどはパーセンテージ、比率で二十七位と申しましたが、額的には十四位でございます。  次のページに参りまして、NGOの類型別に見るODAの拠出割合ということなのですが、類型と申しますのは、NGOと一口に申しましても、その国、例えば日本生まれの日本NGO、それから国際的に活躍されている、世界各地に支部であったり、支部という言い方がよくないかもしれませんが、拠点のある国際NGO、さらには途上国にあるNGO、こういったものを分けたときに、DACのメンバーは、途上国NGOよりもドナー国や国際NGOにより多くの助成をしているという統計がこちらでございます。二〇一三年度の統計で、国際NGO及びドナー国のNGOに七・五倍も出していると。さらにもっと言うと、国際NGO、国籍が一つではないNGOよりも自分たちの国のNGOにより多く助成しているという状況がございます。  同じページの統計四を見てみますと、これはNGOの今申し上げたような類型別に見るODAの拠出割合ですが、DACのメンバーの十か国がNGO向け資金の八割以上を自国のNGOに拠出しているという統計がございます。ここはもう明らかに政策的な意図があってそういうことをしているというふうに言えるかと思います。その典型例が、アメリカ、ドイツ、スペイン、フィンランド、ベルギーです。  他方で、途上国NGOが直接DACのメンバーの資金にアクセスする機会が限られてはいるのですが、多くのこういったDACのメンバーが自国のNGOに対して、お金は出すけれども必ず途上国NGO連携して活動してくださいよということを義務付けていると。ですので、途上国NGOを完全に無視しているわけではなくて、必ず途上国NGOのところにお金は行くのですが、自国のNGOを通じることによって自国の顔を見せるというようなことをされているという実態があるかと思います。  次のページに参りまして、統計の五ですが、済みません、ちょっと一つ戻りますが、他方、日本は草の根資金などで直接途上国NGOに支援も行っていると。これはある意味政策的には非常に優れたものもあると思いますので、一概的にどちらがいいということは言えないと思いますが、自国と途上国、直接どういうふうにするかというのは極めて政策的な面もあるということを改めて御指摘したいと思います。  資料の統計の五に戻ります。こちらはNGO向け及びNGO経由の二国間援助割合や比率でございます。  これをちょっとより分かりやすくしたのが次のページのものでございまして、国別で、国際NGO、それから自国のNGO、それから途上国NGOにどのようにお金を出しているか、二〇一一年、一二年、一三年というふうに経緯がたどれます。  次のページに、こちらのものを日本語にして計算し直したものが補足統計と出したものの一でございます。自国及びドナー国のNGO向けの実績額を順でいいますと、日本は十七位です。例えば、アメリカを見ますと自国のNGOに八二・三%、あるいはドイツも九五・六%ものNGO向け資金を自国のNGOに出していると。非常にそれぞれの国の考え方が表れるのではないかと思います。  次のページに参りまして、補足統計の二でございます。同じデータを比率で比べました。比率で比べますと、日本は四四・三%で、二十五位になります。ただし、先ほど申し上げましたように、途上国向けでは、日本はポルトガルに次いで二位の三二・七%を途上国NGOに出しているということでございます。  また、次のページ、統計七ですが、NGOを通じた二国間援助の領域でどういったものが選ばれているかというものがこちらの表でございます。非常に多様なものであることがお分かりいただけるのではないかと思います。  駆け足で統計を見てきましたけれども、まず、こういった国際NGOが今どのような課題を抱えているかということも触れておきたいと思います。  まず、これは先ほど申し上げたような地雷の対策でもそうなのですが、非常に政策に関与を深めていると。今までそれは難民政策であったり環境問題だけであったりしたものが、特に地雷禁止の運動以降、安全保障の分野にも積極的に出るようになってきていると。そうしたことをする正統性とか説明責任ということが非常に問われる時代にもなっていきます。一体誰の声を代弁しているのかと。そのためにも、NGO自身が、独自の意思決定の手段ですとか方法ですとか、そういったことをホームページなどで明らかにしています。  それから、南のオーナーシップといいますか、北のNGO、いわゆる先進国のNGO国際協力をすることの正統性はどこにあるのですかと。直接途上国NGOを支援した方がよいのではないか、その方がより現地に裨益するのではないかと。日本政府の取っておられる行動の一つはそういうことだと思うのですが、先ほど御紹介しましたDACの資料を見ましても、南のオーナーシップ十分に認めつつも、自国のNGOを経由した支援を行っている。それは、この後に述べますそれぞれの国にとっての外交との関係から自国のNGOを通じたものをしているんだと思います。  これも繰り返しになりますが、自国のNGOを通じると途上国NGOを無視するのではないかということにならないように、あくまでも途上国NGOと組んで活動することを義務付けながら、南のオーナーシップというものを担保しながら進めているというような現状があるかと思います。  また、政府資金が多い場合、NGOとしての独立性とか自主性、こちらをどのように考えるのかということから、財源の多様性ですとか透明性、メディアや企業との関係ども大きな課題としてあるかと思います。  特に、一般の皆様からの募金が潤沢に期待できる欧州の国々と異なりまして、日本の場合は、特に緊急人道支援の場合には政府からの支援金が非常に重要なものになってまいりますが、そうした場合の独立性をどのように考えるのかと。これは大変重要な問題ではありますけれども政府お金と申しましても、皆様、私も含め国民一人一人の税金から成っているお金であり、そういったものを途上国の支援に使うことに対しましては、そのために政府の意向を一〇〇%生かすような外交の一手段になってしまっているということではないというふうに思っております。  それから、ポスト冷戦、ポスト九・一一以降、人道支援の分野に軍ですとか商業アクターが関与することが非常に多くなり、人道の原則や人道的空間が危機にさらされているというような意見もございます。また、先生方も御承知のように、高まる危険、紛争地や、それからISの問題などもございます。そういった地域の安全管理や危機管理が非常に大きな課題になっています。  こうした現状がある中で、日本政府にとってNGOとの連携がどのような意味を持つのか、あるいは持つべきかということについて、最後、申し述べさせていただきたいと思います。  私も、外交というのは、一義的には日本政府が担うものではありますが、決して一義的だけではなくて多義的なもので、多様な主体があって初めて自国の安全というものが確保されるというふうに考えております。本日、こうした調査会に私どもをお招きいただきましたのも、先生方がそうした御意見を共有してくださっていることの証左であるというふうに考えております。  NGOというアクターは、どの国にとってもなくてはならないものだと思います。私がここで声を大にしていろんなことを申し上げたいと思いますのは、必要不可欠なセクターでありながら日本の中では余りにもその地位が低い、弱過ぎること、これはひいては多様な外交を考える上で日本の弱点にもなりかねないというようなことがあるのではないかと思います。なくてはならない存在のNGOを強化することは、決して日本の国益を損なうものではなくて、一義的な国益ではない多様な国益というものを担保する重要な手段になるのではないかというふうに思っています。  NGO外交のアクターとしてどう捉えるかと。まさに、私たち外交の一翼を担っているというふうに考えております。現地で私ども日本人を実際に派遣しまして、現地の職員と一緒活動をしているわけですが、日本という多くの場所にとって政治的にも利益の余り関係ないところ、利害のないところから届いた支援というのを非常に現地の方々は喜んでくださっており、日本というものを日本の製品以外で意識する非常に重要な場になっているかと思います。  もちろん、援助を受ける側にとっては、それがどこの国であろうと援助が届けば一番いい。それはもちろんなのですけれども、同時にそこに外国、特に日本の顔や人が入るということで、自分たちは国際社会あるいは日本という国から、見捨てられていないと言うと言葉が悪いかもしれませんが、私たちのことを考えてくれている人が見ず知らずの国にいるんだということを、実際に受益者の方たちから私たちはよく耳にしております。そういったことの積み重ね、非常に小さなことではありますけれども、それがひいては日本の国益に資しているというふうに強く感じております。  お時間になりましたので、以上にいたします。ありがとうございます。
  9. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) ありがとうございました。  次に、大西参考人から御意見をお述べいただきます。大西参考人
  10. 大西健丞

    参考人大西健丞君) では、時間も押していますので、早速始めたいと思いますが、大西健丞と申します。  今日いただきましたタイトルで考えますと、多分、それぞれの社会の領域において、その領域を超えまして、お互いに協力してこういったグローバルな公益活動国内の公益活動にどう当たれるのか、どういう仕組みをつくれるのかということだと思いましたので、卑近ではございますが、二十二、三年前に私がこの小さな業界に入っていろいろと体験してきたことを、物語風で大変失礼ではございますが、ちょっと二十年少々の歩みを御説明しながら、どこに障壁があり、どこで助けられ、どういったことが達成でき、どういったことが達成できなかったかということをお話ししたいと思います。では始めます。  二十六歳のときに、学校を卒業させていただいた後に、こういった小さな日本NGOでイラクで人道支援をされていましたところに見習として入れていただきました。当時、郵政省のボランティア貯金から二千万円ほど予算が付いておりましたが、紛争が激しくなりまして、イラクの中で、多くの人道支援家が撃ち殺されるという事態が発生しましたので、予算を返上するということになりました、その団体は。そのときに、私は経験ございませんでしたが、たまたま英国の大学院で現地調査しておりましたので、返すぐらいなら素人でもやらさせていただけませんかということで、その団体に飛び入らさせていただきまして、給与はあるのかないのか怖くて聞けなかったんですが、やはりありませんでしたが、二年間、随分その二年間食うのに苦労いたしましたが、非常に有意義な経験を、紛争地帯、イラク中心にさせていただきました。  その写真が、左の写真でございますが、小学校を建てるためになけなしの寄附金で地下を基礎を造るために掘ったところ、大量の遺体が出てまいりまして、サダム・フセイン政権が一九八八年に北部クルディスタンでエスニッククレンジングを行っておりましたので、その日、夜に連れていかれて射殺されて埋められた死体だということが、たった一人、ラミネートに包まれた身分証明書を持っておりましたのでそこから判明しまして、実はこの写真、左側に遺族が来て生前の写真を並べております。右側に実はBBCがおりまして、ちょうど安全地帯になりましたクルディスタンでそのサダムの非道をBBCに訴えかけているシーンです。  左下が、これが私の事務所を襲いに来られましたゲリラの方々でして、実はたまたま覚えたてのクルド語で、しかも彼らの大ボスを存じ上げていましたので、クルド語で丁寧に、問題を起こすからやめた方がいいということで、実は三軒隣も襲った後に火を付けてこられた後だったんですけれども、何とかクルド語が通じましてお帰りいただいて、その後、その大ボスはイラク共和国大統領まで上り詰めましたけれども、そういった紛争地帯ならではの、夜盗同然の方が大統領まで上り詰めるという戦国時代みたいな状況でありました。  さらに、二十万人の飲料水を賄う給水施設でございますが、そういった状況でしたので、アメリカ合衆国援助庁が余りに危険だということで資材を実質放り投げて撤退されましたので、それを全てかき集めまして計画中の上水道施設を完成させました。もちろん、この時期も銃撃戦とか砲撃とか、もちろん地雷はいつでもありましたが、いろんなものの危険に囲まれて、今考えると死んでいてもおかしくないケースはたくさんありましたけれども、幸いにして生き残ることができました。  最後に、最初のページのこの立派な病院は、日本政府の御支持を得まして、化学兵器で一九八八年に五千人がたった一日で殺されました、特にサリンとマスタードのカクテルを落とされた町でして、我々が行った頃は土壌汚染のために、特にマスタードの被害で遺伝子障害を持った子供がたくさん生まれておりまして、母子の病院がなかったというか、診療所すらまともに機能していなかったんですが、そこに日本政府の御支援をいただき、初めて、国連経由ではありましたけれども、WHO経由で随分中抜きされてしまいましたが、後で申し上げますけれども、こういった形で病院を建てられました。これは単体ではまず無理だった話です。  次、お願いします。  そうこうするうちに、コソボ、東ティモールで九九年に緊急人道支援が必要な大規模な難民が発生する事態が起こりました。我々、何とか一億円ほどの団体に成長しつつあったんですが、普通の一般の方々からの寄附でして、ただ、それを二つに分けると大したことができませんでした。  お願いしましたのは、まず神戸市に仮設が、ちょうど神戸の被災をされてから四、五年たっておりましたので、それを無償でいただきまして、五百一戸を高速コンテナ船で冬が来る前にコソボに運ばせていただきました。それを、ネズミ返しとか、それから、雪が降って重くなったときのための強化とかいろんなことをしまして設置をしました。  ティモールでは、国連の難民高等弁務官事務所と契約を初めてさせていただきまして、これはイラクでの活動が評価されていたのでスムーズに契約をさせていただきました。当時、日本NGOで国連と普通に契約を取れるというケースはほとんどなかったので、まだ画期的な話でありました。  ですが、我々はこのとき焼け石に水だというふうに非常にじくじたる思いを持っておりました。当時、日本は世界でODAが一番だというふうに外務省はおっしゃっておられましたけれども、紛争地帯に直接投入できる緊急援助用の資金が実質存在しませんでした。国連等には資金を提供するということはありましたけれども、やはり自国のNGO、それから海外のNGO現地NGO含めて、当時は一銭も資金緊急事態NGO側に回るということはございませんでしたし、企業社会緊急事態で回るということも全くございませんでした。  三十になるかならないかの青年が、いい家に生まれついたわけでもございませんでしたのでコネクションもなく資産もなく、どうやって日本として紛争地帯の中でより良きコミットメントを行う仕組みがつくれるのかという自問が現場で常に起こりました。砂をかむような思いも何回もいたしましたが、ついに、そういった中で、まず企業社会の方々に訴えかけ、有名な企業のオーナーの方々がちょうど戦中派の方々でして、九十九里でざんごうを掘っていて、もし米軍が上陸していたら俺はそこで戦死していたとか、グラマンに掃射されて死にかけたとか、そういった経験をお持ちの企業経営者の方、創業者の方が多かったので、紛争地の話を、私どもがうそをついていないということをすぐ見抜いていただきまして、ならば支援しようということでいろいろ御支援をいただき、御紹介をいただき、コネクションがなかった若造が経団連会長も含めていろんなところを御紹介いただいて、まず企業社会に御説明をし、納得していただくということで成功しました。  その次に、財務省主計官がお電話をされてこられまして、外務省ではなくて財務省、当時大蔵省と申しましたけど、が、この話面白いのでどうにかならないかということを逆に主計局から御提案をいただきました。これはもう非常にチャンスだということで、日経新聞にもお手伝いをいただきつつ、外務省、それから当時通産省も実は交渉しましたけれども政府の方々との交渉を経て、市民社会であるNGOを企業社会政府のクロスセクター、つまり、社会的領域を超えて協力し合って、マネープールを保持しつつ、緊急のときには即効で対応できるようにする、なおかつ、資金切れが起こらないように政府も企業社会も一般の方々からも御支援をいただくという仕組みを、いわゆるコレクティブで、集団安全保障ではございませんが、単体では不可能なことは集団でやるということで二〇〇〇年に訴えかけまして、たった半年ほどで了解を取り付けることができまして、一年以内に発足させることができました。これは本当に、当時の行政の方々、それから企業社会の方々、NGOの熱意、さらに政治でもたくさん応援していただいた方がおられましたのでこんなに短い期間の間にこういうものができたと思います。その後、十五年間で四百億円以上、現在はもう五百億円に近づいておりますが、官民の資金がここを流れて日本NGO現地で使うということが起こります。  次のページ、お願いします。  実は、九・一一の二か月前にこういった仕組みをつくっていただきましたので、今まで不可能だった難事にチャレンジしようではないかということで、タリバーン政権下のアフガニスタンを選びます。当時、人道危機も実は併発しておりまして、余り戦争前は外に情報が出てこなかったんですが、基本的に国連も欧米のNGOもたたき出されておりましたので、非常に避難民の方々、難民の方々、困窮されておられました。この写真は、その地域のタリバーンが管理していた避難民、難民のキャンプです。アップはテントのズームアップですけれども、基本的にぼろぼろになったじゅうたんとかでテントを作っていて、これは夏の風景ですけれども、冬はブリザードコンディションになりますのでたくさん子供から先に死んでいくという状況で、夏でも汚染された水で赤痢とかその他の鞭毛虫とか、単純な病気でも脱水症状を起こして子供から先に亡くなっていくという状況がたくさんありました。タリバーンも座視していたわけではなくて、彼らなりに真剣に取り組んではいたんですが、ああいう状態でしたので非常に孤立をしておりました。  もっといろいろ大変だったのは、写真撮るのも禁止だったんですけれども、実はこれ、ひそかにこのタリバーンの将校と交渉して、撮らせてくれ、でないと日本理解されないということを言ったら、俺は許可は出せないけれども、向こうを向いている間に撮れということになりまして撮った写真になります。  その後、援助が始まらんとしているときに、我々も余り想定しておりませんでしたが、次のページの米同時テロが起こってしまいまして、しばらくの間、一か月ほどはフリーズではございましたが、できるだけ早くその人道危機に対応するために、ジャパン・プラットフォームとして九つの日本NGOに助成を決めました。  そのうちの一つ、私が責任者をやっておりましたピースウィンズ・ジャパンは、ヒンドゥークシュ山脈という、六千メーター、もうほぼ七千メーターの山々を越えていくロジスティクスを担いまして、テントから始まって、毛布、食料その他を、約四割をパキスタンから、ウクライナからチャーターしてきた当時最大だった輸送機を借りましてトルクメニスタンまで飛ばし、そこから北部のアフガニスタンまでトラック輸送しました。さらに、六割はサラン峠というアレキサンダー大王が越えられなかった峠を冬に越えるという命題をいただきまして、何台かトラックを失いましたが、崖から落ちたり、まあ我々の場合は対戦車地雷ではなくて対人地雷を踏んだので軽い破損で済みましたけれども、対戦車地雷を踏むと運転手ごとばらばらになりますので非常に幸運ではありましたけれども、何台か失ったことはありましたが、人命を失うことはなく軽傷で済んだので、何とかその四千二百メーターのサラン峠を何百台というトラックを通しまして、北部の人道援助に駆け付けることができました。それが次の写真で、さっきの同じ場所、ぼろぼろのテントがあった場所が新品のテントと食料と医薬品とその他必要なものをほぼ全て満たした形で、たった一か月で非常に難しいミッションが完了しました。  これは単体であります我々NGOではまず不可能でした。こういったジャパン・プラットフォームという基盤があってこそ我々を応援していただきまして、それはもう市民社会からも企業社会からも政府からも応援していただきまして、こういったことが短期間でなし得た。これは一年前にはなし得ませんでした。コソボのときには我々を含めて数団体しか、隣にお座りの団体ぐらいしか見受けられずに、しかも我々を含めて不完全な支援しかできなかった。焼け石に水という状態でした、先ほど御説明したように。でも、国際的に見て余り劣らない援助を欧米の援助より早く展開しておりましたので、そういった意味では、こういったイノベーションが非常に役立ったケースだというふうに思います。  次のページをお願いします。  最近のプログラムですが、先ほど御説明しましたように、もう五百億円に近づいておりますが、千二百事業を既に人道支援として展開をしておりまして、日本NGO最初十五団体、本当は十団体ぐらいでスタートだったんですが、本当にできるのかいなというお話もあってなかなか信じていただけなかったんですが、今は四十六団体加盟しておりまして、こういった形で日本の内部の大規模災害にも対応するという形でいろいろと動いております。  次、お願いします。  ちょっとこれは課題でございますが、実は私、創業のときから四年ほど代表を務めさせていただきましたが、残念ながら、ほとんどの政治家の方には御理解をいただきましたが、一部御理解をいただけなかった方がおられまして衝突してしまいましたので、私も責任を取って第一期で辞めることになりました。その結果といってはおこがましいですが、我々が目的にしておりました企業社会、一般の方の巻き込みというのが非常に不足しております。ですので、東日本の頃には自発的に七十一億円という大金を短期間に一般の方々から御支援をいただいたんですけれども、まだまだここは改善の余地があるかなと。  政府は比較的頑張って拠出をしていただいていますが、ただ先進国の例から見ると、他の、先ほど長さんの御説明にもありましたように、今日本の無償資金一千六百億円ありますが、それの百億円程度がNGOというのは少し少ないかなというふうに、あえて僣越ながら申し上げたいと思います。  さらに、次の話は、同時に国内の大規模災害への対応です。  実は、ジャパン・プラットフォーム、定款ではこういった日本の大規模災害もできるということになっていたんですけれども、元々海外のという話が多かったので、私ども参加NGOとしては、ジャパン・プラットフォームが確実に国内の大規模災害に対応するかどうかということは分かりませんでしたので、あえて少し小さいバージョンの国内版プラットフォームをシビックフォースという名前を付けてつくらせていただいておりました。二〇〇九年にできます。ヘリ会社と優先契約を結びまして、陸の孤島化した場所にいち早く調査と必要物資と人員を送れるようにということで、四機、五機動員できる体制に実は二〇〇九年からしておりました。  それが多少ワークしまして、あと企業社会国内ということで別々にアライアンスを結ばせていただきまして、大手の輸送会社さんは最初はやると言っていただいていたんですけれども、国交省さんに押さえられてしまいましたので、泣く泣く社長さんからできないという涙の電話をいただきましたが、我々も紛争地帯でバックアッププランというものを常に持ちますので、引っ越し屋さんは経産省のマンデートということは承知しておりましたので、引っ越し屋さんにもお話をしておりました。このとき、東日本のときに四トントラック百六十台分と書いてある、もう少し多かったんですが、これを毎日十台以上提供していただきまして、計、企業千社以上の方々から無償で物資を提供していただきました。さらに、資金も三十六億円ほど、短期間で一般の方々、企業の方々から提供されまして、コンビニエンスストアも含めて募金をしていただき、奨学金も含めて支援が可能になりました。さらに、気仙沼湾でトモダチ作戦の後に大型の物資を輸送できずにいた離島、大島に対して、瀬戸内海からモスボールされておりましたフェリーを一年間の燃料と運航費と保険代と船検費を付けて無償貸与いたしまして、地元の船会社に、で、一年間こちらの費用で運航させていただきました。それも全て一般の方々の寄附です。一〇〇%一般の方々の寄附です。  そういったものを、もう終わりますが、クロスセクターでそういった非常事態に対応する仕組みを今ジャパン・プラットフォームモデルとして海外に御紹介をいたしておりまして、韓国、フィリピン、インドネシア、スリランカ、バングラデシュが正式加盟国として、新しい形の国際的な構築物として、英語で申しますと、インターナショナルアーキテクチャーとして今、日本のイニシアチブの中でつくろうとして、外務省からも拠出金をいただいております。  実はもう韓国の企業、最近話題のサムソンも含めて、サムソングループからも実は寄附をいただいていたりしておりまして、あとインドネシアの企業からも寄附をいただいていますし、スリランカの商工会議所は、商工会議所四つありますが、全て参加してくださっていて、寄附もいただいているし、物資の提供もいただいております。  アジア中にこういったクロスセクターの仕組みを広げていくことをやっておりまして、日本発の、十九世紀型でない、国連のようでない、ビューロクラシーに頼らない新しいインターナショナルアーキテクチャーの構築のイニシアチブに貢献できたらというふうに思って、残りの人生を懸けたいというふうに思っております。  ありがとうございました。
  11. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。  質疑及び答弁の際は、挙手の上、原則として私の指名を受けてから着席のまま御発言くださいますことをお願いを申し上げたいと思います。  まず、大会派順に各会派一名ずつ指名をさせていただき、その後は、会派にかかわらず御発言をいただきたいと存じております。  委員の一回の発言時間は答弁も含めまして十分以内になるようにお願いし、また、その都度答弁をしていただく参考人の方の御氏名を明示していただきますように御協力のほどお願いを申し上げます。  それでは、質疑のある方は挙手願います。  中山恭子君。
  12. 中山恭子

    ○中山恭子君 自民・こころを代表しております、今は個人でよろしいのかと思います、こころ代表の中山でございます。  お三方から世界的な活動を進めておられるその御意見を伺い、また参考資料も読みまして、本当に心から敬服しております。また、よく皆様御無事でいらっしゃったと、本当に有り難いことでございます。  いろいろな国の方々から、特にアフガニスタン、東南アジアの国の友人たちからは、日本の方々は決して押し付けてこない、みんなの様子を見ながら動いてもらえているということで、心から感謝しているということを何度もこれまでにも聞いております。  九九年から二〇〇二年まで、中央アジアの国、タジキスタンとウズベキスタンの特命全権大使を務めておりました。大西先生の何ページかの地図にドゥシャンベの位置が書かれておりまして、そこで、NGOではありませんで、NPOでもありませんで、当時この地域はまだ国のメンバー、それから国際連合のメンバーしか内乱の中で入れなかったということがございまして、JICAなどが派遣しておりましたが、そのメンバーのうち四人がイスラム原理主義グループに拉致されたという事件がございました。また、その前の年には、秋野先生が、筑波大の、国連のUNMOTの政務官としていらしていて射殺されたという事件がございまして、民間の方々は入ってはならないという状況でございました。  そういった中で、その四人の人質の救出に当たりながら一つ非常に心配にずっと、今もそうですが、なっておりますのは、日本は、敗戦の後、国家が国民を守るというような単語を使うことはタブーでございました。これがふだん使えるようになりましたのは、拉致問題で北朝鮮による拉致被害者四人が日本に帰国しましたとき、国家の意思でこの四人を日本にとどめるという決断を政府がしました。その辺りから国家が国民を守るという言葉を使えるようになったというのが現在に至っております。したがって、NGONPOの皆様が海外で事件に巻き込まれたとき日本としてどうするかというと、その事件が起きた国に全てを任せるというのがこれまでの方針でございました。最近少しずつ変わってきておりまして、国家が国民を守るのだということを、又は国防という単語も通常で使えるようになっております。  そんな中で、NGONPO活動をする、やはり危険も伴う活動が多いかと思いますが、その中で安全についてどのようにお考えであるのか。それからもう一つは、自由で独立した判断に基づいてと大橋先生からもありましたが、そういう作業をしていく中で、日本政府が、資金が足りないとおっしゃっていましたが、まだまだNGONPOに対する考え方、政府の中でもまだ日が浅くて不十分であるように考えております。資金面でのお話もありましたが、それ以外にもいろいろ御意見がありましたら、大橋参考人始め長参考人大西参考人、簡単で結構ですが、お答えいただきたいと思います。
  13. 大橋正明

    参考人大橋正明君) それではかいつまんでお答えいたします。御質問ありがとうございました。  私自身は、前、赤十字活動していたものですから、赤十字の仲間というのはよく捕まって殺されたりをします。やっぱり赤十字の中で一番強調されたのは、武装をしていると思われるな、あるいは武装の、要するに警護の人たちがそばにいるように見せるなということを、軍人に間違えられるなということを非常に強く言われます。私たち誰も、赤十字の人間も死んでいいなんということは誰も思っていません、死ぬことが尊いことだとも思っていませんし。ただ、できる限り、だからみんなで出かけるときはコンボイを組んで一緒に行ったりとか、できる限り夜は出かけないといったようなことをしますが、私たちの場合、赤十字の場合もそうですし、NGOはいろんなNGOがありますので、だから私個人は、やっぱり逆にそういう姿勢であることをきちっとアピールしたことの方が、もちろん犠牲が出ないとは言いませんけれども、かえって守ることになるんではないかということ。  人道援助と軍事の問題という、まあその安全の問題でもいいんですけど、これは非常に悩ましい問題で、九九年のコソボ紛争のとき以来、国際社会で大きな論議になっておりますけど、私は、どちらかといえばそっちじゃないと、かえってそういう力を使うことによってまた紛争に巻き込まれていくというようなことも相手は当然考えるだろうというふうに思っておりまして、状況にもよるでしょうけれども、基本的には丸腰であることの方が、だからって何もしないという意味じゃなくて、いろんな工夫は取りながらも基本的に私は武器を持たない方がかえっていいのではないかという立場に立っております。
  14. 長有紀枝

    参考人(長有紀枝君) 御質問ありがとうございます。  私どもも危険が付き物であることは十分承知しておりますが、それが訓練であったり様々な対策を講じてコントロールできるものもあるということも承知しておりますので、コントロールできる危険はできる限り小さくするようなことを心掛けておりますし、その時々の紛争地であったり災害地であったり最前線というのは、絶対的な尺度が決まっているわけではなくて、その時々の団体規模であったり経験であったり財政力であったり、いろんなものが関わってくると思いますが、その時々の最前線で危険を抑えるような取組を行っております。
  15. 大西健丞

    参考人大西健丞君) 御指摘の点なんですが、ちょうど二〇〇〇年ぐらいからのアルカイダの登場によって、我々人道援助関係者若しくは国連関係者のセキュリティーに関する状況が変わったと思います。というのは、今までは偶発的に巻き込まれるということはあったとしても、意図して人道援助団体等を柔らかな外郭、ソフトシェルといいますけれども、として意図的に狙ってくるということはなかったんですが、イラク戦争中からその様子が変わりまして、アルカイダの登場によって、さらにそれがイスラム国が継承する形で続いておりますので、更に難易度が上がっているというふうに承知しています。  ですから、実は現地で得られる情報というのは、自分たちで言うのもなんですが、諜報機関かと思うぐらいの膨大な量のその情報現地、紛争当事者同士の内部の情報も含めて、できるだけ手に入れられるように工夫をしております。そういった努力がないと、残念ながら死亡したり誘拐されるケースがあるので、そこに関しては自己資金をたくさん使いながら、今のところまだ一人も日本人スタッフを殺されていることはございませんが、非常に注意をして展開をしております。
  16. 中山恭子

    ○中山恭子君 ありがとうございます。  国と国の関係というのは、まさに人と人の、個人個人の関係に戻る、そこが根底にあるということを痛感しておりまして、NGOの皆様、そしてNPOの方々がこういう形で活動してくださっているということは、もちろんその地域に対しても、その人々の生活の向上に役立っているということは当然のことでございますけれども、それだけではなくて、やはり日本についての印象なども変わってくるはずでございますので、基本法を作っていくとか、そういったことを私たちはこれからも頑張ってやっていかないといけないんだとつくづくと思ったところでございます。  これからも十分お気を付けいただいて、基本的には自分たちの考えで動くという、そのことをもって御活躍いただきたいと思っております。  ありがとうございました。
  17. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 藤田幸久君。
  18. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 今日は、三人の方々、ありがとうございました。  大西さんは何か今日、余り本当のことを、一番言いたいことをおっしゃらなかったのかなという気がしているんで、ちょっと済みません、取りあえずほかの二人に質問させていただきたいと思います。  長さんがおっしゃった、やっぱり多様な外交上、NPONGOの関わりというのは国益を担保するために重要だと、その観点から、主に長さんと大橋先生にお聞きしたいと思います。それは、一つ予算と、それから外務省の体制の問題、それから議会、政党の関わりという観点からです。  まず予算からいいまして、例えば草の根援助がそうなんですが、基本的にハードの援助の体系になっているので、例えば戦略的なこと、例えば宗教、紛争解決の受皿がないんです。これがまず一つじゃないかというのが一つ。  それからもう一つは、この間もアメリカの国務省へ行ってきたんですが、例えば紛争解決の部署があるんです、あるいは宗教の自由を守る部署とか。部長クラスです。日本にないんです。多分それは欧米にはあるんだろうと思うんです。その予算関係、外務省の部署の関係についてが二つ。  それから、議会と政党で、昨日、エーベルト財団の五十周年ってあったんですが、やっぱり欧米は議会とか政党のシンクタンクがNGO一緒に紛争解決、仲介等やっています。それが三つ目の観点かなと思うんです。  それで、じゃ、まず大橋先生に伺ってその幾つか答えていただいて、答えていない部分を長さんにという形であればダブらないと思いますので、大橋先生から。十分なので端的にお答えをお願いいたします。
  19. 大橋正明

    参考人大橋正明君) ありがとうございます。  草の根援助の問題というのは、まさに先ほど申し上げたように、外務省が直接取り扱っているんですね、在外公館が現地NPOに対して。大使館の方は優秀な方ですけれども、どこにトイレがあるべきかとかスラムはどうしてあるのかということについては必ずしも専門家ではないわけで、それは私たちのような者が専門家だし、JICAの一部にはそういう方たちがいらっしゃる。先ほど私のプレゼンテーションの中で、社会開発の専門家というものを外務省やJICAにもっと入れていかないと相手の社会の顔が見えてこないということを申し上げたと思います。  多分、体制的に、今、藤田先生がおっしゃったような宗教とか紛争というものまで分化する以前に、まずそういう社会的なものに目を向けるということが重要なんだと思うんです。そこから更にそういうふうに発展させるべきだと思うんですけど、日本の場合は全般的に、いい意味でも悪い意味でも経済の成長というものを優先していくというところ、あるいは下手すると最近は日本の企業のというところを優先してしまうので、やっぱり現地社会がどうなっていて、どういう社会問題を抱えていて、それを多分一方的に援助したらまた大きな問題になってしまうと思うので、そういう目を持った人たちがきめ細かな援助をできるというようなことをやらないと、このままじゃまずいなというふうに感じておりますので、是非そういう方向で考えていただきたいというふうに思っております。  それから、現地NGOと話しておりますと、やっぱり欧米系、特にヨーロッパ系が多いんですけれども、やっぱりいろんな政党や議員との関わりの中でこういうまたプロジェクトができているという話はしばしば耳にします。えっ、どうしてそんなことができるのと聞くと、やっぱりそういうふうな政党がつくったような財団、今先生もおっしゃいましたけれども、の支援でこういうプロジェクトができているんだということがしばしばあって、なるほど、そういう視点の中からまたいろんなものが出てくる。  やっぱり、繰り返しますけど、私の場合は、いろんな多面性というものが出てこなくちゃいけないし、今ODAが、どちらかといえば、私が基本法と申し上げたのは、議員の先生方が関わってくださる土台みたいなものができてこないといけなくて、これを国民的な議論としてODAがどうあるべきか、そのときに、一つの、一枚岩ではなくいろんな多様性のものを講ずるためには、まさに議員とか政党がどう関わってくるかということは、現地社会も同じように複雑なわけですから、そのための受け口として極めて重要だと思っております。  以上です。
  20. 長有紀枝

    参考人(長有紀枝君) 藤田先生、ありがとうございます。  今御指摘いただいた点なのですが、外務省のこのODAなどに関わる部分の体制が、やはり外務省自体の予算関係もあり、やはり十分とは言えないような部分があるのではないかと拝察しております。  そう思ったときに、巡り巡って私たちNGO役割なのですけれども日本人、選挙民といいますか、納税者一人一人にこうした国際協力の必要性などを訴え続けることで、こういった面に国の財政の一部が使われることを国民の方たち一人一人が理解して初めてできるという部分があるのではないかと思います。その意味でも、私たち活動というのは、海外での活動と同時に、日本の納税者の方々に国際協力の必要性、あるいはその重要性であったり、広い意味での日本の国益にどう資しているかということをお話しすることによってこういった部分の予算が増えれば、御指摘いただいたような点の解決にもつながるのではないかと思います。  その意味でも私たち活動というのは非常に重要だと思いますし、国内での啓発活動につきましてはどこからも助成金は出ませんので、NGOが皆自己資金でやっている活動でございます。
  21. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 それで、長さんの難民を助ける会、あるいは大西さんもそうですが、最初は人道援助から始まっているんです。だけれども、結局、緒方貞子さんもおっしゃるように、これ紛争の根っこを解決しなければ現象としての人道援助もできないということで、紛争解決等まで関わるようになって、法律の改正まで関わってこられた。というのは、実は議会というのもある意味では法律を作るところで、最終的に落としどころを議会も行政府に対して提言していかなければいけない。となると、やっぱり議会とNGOがそのチェック機能を発揮することによって出口を探さなければいけない、出口の部分で協力できる部分が非常に大きくなってきているんだろうと思うんですけれども、その意味で、今、出口を見た場合に、長さんがその紛争の解決まで、予防外交も含めてとおっしゃった場合に、どういうふうにしたらその議会なりも含めて、あるいは国民の世論も含めて、NPOがその出口の部分まで活躍できるようになるかについて、お考えがあればおっしゃっていただきたいと思います。
  22. 長有紀枝

    参考人(長有紀枝君) それも私どもの自己資金なりでできれば一番なのですが、まだそこまでできるほど各NGOの力が強くはないです。  その意味では、政府の助成金なりを、先ほどハードの部分が中心というお話がございました。もちろん、今は大分それが広がってきてはおりますけれども、紛争解決そのものに資するような助成の仕組みであったりとか、今も相当柔軟になってきてはおりますが、より柔軟な仕組みをつくっていただくことを特に参議院の先生方一緒にできればということを思っております。
  23. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 大西さん、今日はおっしゃりたくなかった、あるいは控えている部分も含めて。  実際には二〇〇九年にコソボで動かしました、財務省も経産省も含めて。で、細田先生とかつくりました、プラットフォーム、緊急援助。だけど、その段階に比べて今はもうちょっといろいろ展開しなきゃいけない部分があるんだろうと思うんですけれども政府なり議会に対してこれは言っておきたいということがあればおっしゃっていただきたいと思います。
  24. 大西健丞

    参考人大西健丞君) 実は、二〇〇〇年のタリバーンとの交渉も、麻薬を生産することを政策として推さなければアメリカ国務省が別のインセンティブを示すと言っていたので、実はアメリカ国務省とタリバーンとの間の仲介をトライしておりました。残念ながら九・一一で全て崩壊しました。  さらに、先ほどイラクの大統領と申しましたが、彼が、タラバーニーという人間ですけれども、彼が大統領になる前に、イラクの中の党派抗争というのも予想されましたので、クルド人のボスに近い人間を日本政府に紹介しつつ、シーア派のバグダッド政府との間に日本政府がコンフリクトレゾリューション若しくはコンフリクトマネジメントのエンドーサーとして入れるということを期待して、亡くなられた二外交官を実は大統領の秘書官に事前調査として紹介をして、その行く途上で亡くなられました。実は、あのときの発表と少し違う事実がございますが、本当はそういった紛争解決の努力をみんなでやっておりまして、実はそこに全く予算がなかったので、外務省としても、奥さん、井ノ上さん、亡くなられた方々は非常に苦労されていました。我々よりひどい装備で頑張っておられました。我々も自己資金を使ってやっておりました。  ですから、そういったところに議会として予算を付けて、コンフィデンシャリティーが必要な交渉ですので、是非少数の議員の方に理解をしていただいて後押ししていただくという作業が非常に重要かというふうに思います。
  25. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 これは会長にもお願いでございますが、やはり議会、立法府が外交政策に対して関与する度合いが欧米が非常に機能的にやっていると思っておりまして、会長の下でこういう調査会をやっていただいておりますので、今日いただいた提案も含めて、是非、議会としての関わり方が国益、あるいは多様的な外交、機能的な外交で重要であるという点を是非酌み取っていただいて更に調査を進めていただきますと、今、中山先生もうなずいておられますが、有り難いと思いますので御提案を申し上げたいと思います。
  26. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) ただいまの藤田君の御提案につきましては、また後に理事相寄りまして、前向きに相談したいと思います。
  27. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 時間が参りました。三名の皆さん、ありがとうございました。
  28. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 続いて、横山信一君。
  29. 横山信一

    ○横山信一君 公明党の横山信一でございます。  今日は、三人の参考人先生方、大変にありがとうございました。  まず、大橋参考人にお伺いしたいと思うんですが、このいただいた資料の五番目のところの、重厚な外交が後押しする市民社会というところをもう少し詳しくお伺いをしたいなと思うんですけれども。  独立した自由闊達なNGO活動は、中長期的に平和と人権を強化し、社会を豊かにする、そして、NGOを積極的に多様に支援することで、NGOアジア太平洋で一層成長し、同様な価値観を持ち、各国政策に影響を与えることで、これはアドボカシーだと思うんですけれどもSDGsを実現できる、それは日本こそ出来る外交というふうにおっしゃられているんでありますけれども、我が国のNGOのほとんどが国際協力NGOということで、現場を知っている人たち政策提言をするというのは非常に大事なことだというふうにも思うんですけれども、この日本こそ出来る外交というところなんですが、まず、なぜなのかというのをもう少し詳しくお伺いしたいのと、それから具体的な事例等がありましたら御紹介いただきたいと思います。
  30. 大橋正明

    参考人大橋正明君) ありがとうございます。  ここで申し上げたのは、私、先ほど申し上げましたように、日本ODAの大綱のときに関わった委員をやらせていただきましたので、そこでされた議論というのが余りにもアジアの中の大国を意識して、それと同じようなことを逆にやろうとしているという感じがして、日本にしかできないことって、多分、こういうNGOというのが自由闊達に動いているというのは日本のすごくいい特徴だと思うんですね。もちろん、韓国なんかも似たような状況ありますけれども、そういう、何というか、大きなものに対して対抗していくというよりは、もっと人道主義立場に立って、ほかの国がなかなかできないような厚みを増していくということが日本にしかできないことなんだろうというふうに思っていて、何かこう同じものをぶつけ合っても、どうせ規模が違ってくれば必ずどこかで劣ってしまうわけですけれども、それができないというふうなところに対してきちっと私たち立場を示していくということをここで申し上げたくて、そういうふうになれば、各国でも、そうでないような国でも、こういう市民社会がきちっと出てくれば、その国の民主化とか人権というものも当然そこからアドボカシーの活動で強化されていくという、そういうことを日本が全体としてはリードしているんだねということは、多分、日本が一番やりやすい立場にいるんだというふうに思って、こういうふうに書いたわけでございます。  ちょっと分かりづらくて申し訳ございませんでした。
  31. 横山信一

    ○横山信一君 また後でお聞きすると思います。まず、三人の先生方それぞれにお聞きしたいので。  長参考人にお伺いしたいんですけれども、あらかじめいただいていた資料の中に、長参考人のその人間の安全保障のことについてお詳しく述べられていて、開発協力NGOの持つ専門性を生かしつつ現場での人間の安全保障を実践するには、それぞれのNGOが人間の安全保障を意識しながら活動していくということが重要だと思うんですけれども、またそれを実践する能力を身に付けるということも必要だと思うんですが、それぞれの専門性を持っているNGOを有機的に結び付けていくような、そういう調整機能の役割を果たすようなNGOもまた必要なんじゃないかと思うんですけれども、そうした、それぞれのNGOが人間の安全保障のために関わっていけるような、そういう仕組みというか、そういったものを先生考えていらっしゃれば、ちょっと教えていただきたいなと思います。
  32. 長有紀枝

    参考人(長有紀枝君) 御質問どうもありがとうございます。  今おっしゃられた調整の機能、特に人間の安全保障のためというわけではないのですが、大橋先生が関わっていらっしゃるJANICでありますとか大西さんが代表するジャパン・プラットフォームがその調整機能というものを、それは、人間の安全保障実現のためというよりは、より良い援助をするためのものでありますが、その調整機能の大きな部分を担っております。  現場では、やはりプラットフォームが担うこともありますが、それぞれの現場でそれぞれの分野ごとに国連機関やその分野の主導的な役割を果たしているNGOが調整も行っているのですが、人間の安全保障というような切り口そのものではありませんので、そういった部分もこれから提案などをしつつ行ってまいりたいと思います。
  33. 横山信一

    ○横山信一君 ありがとうございます。  大西参考人にもお伺いしたいんですが、今ジャパン・プラットフォームがそういう役割を果たしているというようなお話があって、端的に聞くと、NGOによる、災害派遣なんかがそうですが、多くの救援活動を行うときに、それを効果的に行うには、やはり行政の役割というのが重要なんじゃないかと思うんですが、ジャパン・プラットフォームが調整機能を発揮するというのは分かるんですけれども、行政による調整というのをどう考えるか、まずお聞きをしたいと思います。
  34. 大西健丞

    参考人大西健丞君) それは海外の話ですか、国内の話ですか。
  35. 横山信一

    ○横山信一君 じゃ、国内で。
  36. 大西健丞

    参考人大西健丞君) 国内で。  大規模災害が国内で発生した場合に、我々NGOとしても多少の貢献をさせていただいているつもりなんですが、内閣府防災担当、それから国交省、あと、もちろん防衛省、まだ統括的に機能調整をしていただける場所が実質存在しません。ですので、FEMAほどぜいたくなものが許されるかどうか分かりませんが、いずれにしろ、そういった形で、もう少しプラットフォーム型の、二十一世紀型の運営スタイルでもいいかもしれませんが、一〇〇%ビューロクラシーじゃなくても、そういったものが日本国内にはやはり南海トラフの話を迎えてしまう前に必要かというふうに存じますし、その中で、例えば具体的に、今日は病院船の運動をされています砂田先生いらっしゃっていますので、参考人参考人じゃなくて、傍聴人。病院船等も、実はその話、どこに落ちていいか分からない話になっていまして、そういったものを政府、議会としていろいろ推進をしていただいておりますが、明確にその固まり、エンティティーを決めていただいて、民間も参加できる形でそういったものの運用をできるような、病院船のみならずいろんなものができるようにしていただければ、次の大規模災害にもう少し企業社会、それから市民社会の力を使えるかなというふうに思います。
  37. 横山信一

    ○横山信一君 もう少し大西参考人に聞きたいんですが、これは国際協力の話ですけれども、事前にいただいていた資料を読ませていただいて、民間に新しい仕組みづくりへの投資をというふうに呼びかけていらっしゃるんですね。  投資という言葉が気になったんですけれども資金援助とか資金投入ではなくて、投資というふうにおっしゃられるその意味を教えていただきたいんですけれども
  38. 大西健丞

    参考人大西健丞君) 寄附のみだとビジネスマンに響かないと思いまして、社会的投資という意味での投資です。  例えば、ソーシャル・インパクト・ボンドという新しい仕組みですと、元金に近いところは返ってきますけれども、利益に回るはずのところは全て社会貢献に使われるというような、寄附ですと一〇〇%キャッシュアウトですので、やはり経営とかビジネスに携わる人からはちょっと抵抗があるということなので、部分だけでもヘッジしていただいて、元金はお返しするけれども利益の部分は寄附してくださいというような仕組みとかも最近ではありますので、そういった意味での投資という言い方をしました。社会的投資というのは英語ではソーシャルインベストメントという一般用語ですので、私は社会的投資と言ったつもりなんですけれども、多分記者がそこを外してそのまま使っているかと思います。
  39. 横山信一

    ○横山信一君 分かりました。  最後、大橋参考人にもう一度お伺いしたいんですけれども、今日いただいていた資料の中に、国際協力NGOによるODA大綱見直し十の提言をいただいております。この中の重点項目の五番目に、初等教育や必要な保健医療へのアクセスの保障などという、こういった、読みますと、世界の全ての人々が持つ基本的な権利と人間の安全保障を実現するための援助を強化するという提言がなされているんですが、一方で、日本NGO活動の大半が教育と保健というふうになっているというところで、何が足りないのかというか、何が足りなくてここで重点項目として挙げられているのか、もう少し教えていただきたいと思います。
  40. 大橋正明

    参考人大橋正明君) ありがとうございます。  基本的に私ども感じておりますのは、NGOが教育とか保健というものに力を入れているということは間違いないことなんですが、日本の全体としては、まだそっちのいわゆる社会開発と言われている分野についての力がとても足りていないというふうに感じております。  これは長さんが引いておりましたけれどもDAC統計なんかを見ておりますと、日本ODA分野統計というのが出てまいりまして、どこに力を入れているか入れていないかということが出てまいりまして、日本の場合はどうしても経済インフラ、経済成長に対しての資金配分が多くなってきているということから、ODAに対してはそういう要請というものをもっとしたいというふうに思っていまして、そういうものに関しては、先ほどからちょっと出ていますように、外務省が持っていらっしゃる草の根資金援助という在外公館が持っているものについても、もっとそういう方向で、私どもも力を貸して一緒にやってそういうところの分野に増やせないか。  ただ、なかなか中身が、ハードといいますか建物だけになってしまっているので、そういうものを動かすためには、日本援助って、学校は建てられるんですけど教師になかなかお金を出さないというのがこのODAの実は原則。これも大論争になったんですけれども、相手国のやっぱり動かすためのお金というのも、無責任にならないようにきちっと出していくというようなことの政策点検も必要だと思います。済みません、それはちょっとここでは短くて言い切れていない部分です。
  41. 横山信一

    ○横山信一君 ありがとうございました。以上で終わります。
  42. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 続いて、武田良介君。
  43. 武田良介

    ○武田良介君 今日は三人の参考人先生、本当にありがとうございます。  日本共産党の武田良介です。  今日のNGOとの連携ということで、日本政府外交とまた人道の問題で、現地NGOの皆さんが活動されているその現場との関わりというのは非常に重要ではないかなというふうに思っています。  昨日の衆議院の方の予算委員会の中央公聴会の際にも、NGO日本国際ボランティアセンターの今井さんという方がお話しされておりますが、今、南スーダンで情勢は悪化しているという認識も示され、そういうときに自衛隊が駆け付け警護をすれば戦闘の当事者になってしまうと、その後、日本への敵対感情が起きNGO活動がやりにくくなるというお話をされているということを聞きましたが、イラクだとか南スーダンに限らなくてもあれですが、現地活動されてきたそういった経験をお持ちの三人の参考人の皆さんに、そういった点での御見解をお聞きできればというふうに思っております。
  44. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) じゃ、まず、大西参考人からお願いします。
  45. 大西健丞

    参考人大西健丞君) 駆け付け警護に限ってお話をさせていただきますと、もちろん危機の際に何らかの救命手段があるというのは有り難い話ではあるんですが、この五年間に石油収入を南スーダン政府はたくさん得ておりますので、私が見る限りでも非常に武器のグレードが上がっております。今の残念ながら自衛隊の装備を拝見していると、真っ向から駆け付け警護を行うと被弾多数で死傷者多数という中国軍と同じ羽目になるというふうに思いますので、ここは政治的判断の分かれるところですけれども、そういう装備のまま送っていいのかとか送るべきじゃないのかというのは私が今日ちょっと言及するところではございませんが、いずれにしろ、現実としては今の装備では南スーダン軍に歯が立ちません。対戦車ヘリまで飛ばしていますので上から装甲を撃ち抜かれたら終わりになりますし、いずれにしろ、我々が紛争地帯で得た経験で、武器は素人でしたけれども、今では音聞いただけで何撃っているか分かりますので、そういう意味では非常に厳しい状況だと思います、現場は。
  46. 長有紀枝

    参考人(長有紀枝君) 直接のお答えになるかどうか分からないのですが、今、自衛隊がPKOで出ているのは南スーダンだけなのですけれども、例えば難民を助ける会、今十七か国で活動をしておりますが、自衛隊と接点があるのは一か国だけです。というのは、自衛隊がそこしか出ていませんので。私たちにとっても、その自衛隊が出ているところというのは非常に、何というんですかね、特例でありまして、そのたった一つの特例から全てを議論するのが難しい状況にまずあるかと思います。  もう一つ、これはあくまで個人的な見解ですけれども、駆け付け警護に関する議論で少し違和感を覚えますのが、他国で起きているああした紛争や人権侵害などに日本人、特に自衛隊が関わることで何がしかの、何というんですかね、リスクは背負っているわけですが、どこまで私たちは自国の国益とは関係ない場所で起きているそういった人権侵害、人道侵害に日本人がコミットするのかというような議論がきちんとなされていないような気がします。  これは正解はないと思うんですね。例えば、ちょっともう時間がないのですけれども、ルワンダの紛争やそれからボスニアの紛争でも、ベルギー隊であったりとかオランダ隊が自国の兵士の安全確保を優先したことによって撤退するというような判断もしていて、そこで虐殺などが起きたとか止めることができなかったというような事例もあります。どこまで私たちあるいは日本がそういったことにコミットできるのかというようなそもそもの議論を、もっと国民の間でも広くすることが必要ではないかなということを思っております。
  47. 大橋正明

    参考人大橋正明君) 前のお二人と違って、私それほど、赤十字幾つか難民とか紛争はやっておりますけれども、いわゆるNGOとしてその辺にコミットしているわけでは、直接それをやっていた、それほど何かやっていたわけではないんですが、バングラデシュでこの前、七月一日に日本人の方が七名の方が亡くなられました。あのときのニュースを詳しく読み、私自身もバングラデシュにはしょっちゅう行きますので、覚えていらっしゃるかどうか分かりませんが、七七年のときに赤軍のハイジャック事件があってダッカに飛行機が飛びまして、あのときにちょうど日本の運輸省の政務次官の方が行かれているときにクーデターに巻き込まれまして、実は、日本人だ、撃つなと言われたときに、日本人なら撃たないと言って、有名な話がありまして、そのまま人質の身代わりになっていかれたわけですが、今度のときも一人の方がそういう発言をされたそうですが、もうそのときには日本人はもうそのような言い訳は聞かないというふうになって殺されてしまったというふうに報道されておりますし、恐らくそうであろうというふうに思っております。  私自身も、九〇年のときの湾岸戦争、九一年のときですか、赤十字バングラデシュに参っていたときに、日本政府はどうしてヨーロッパ、アメリカ軍にお金を出すのだというのが私のドライバーの強い不満でありまして、これをどういうふうにだから外交と組み合わせていくのか。  日本は昔はそれほど力がなかったからもちろん目立たなかったということがありますけれども、多くの人にとって日本は今や一体となって、十字軍といいますか何といいますか、そういうものと動くぞというふうに認識をされてしまっている。これをどういうふうにするのかという答えがあるわけじゃないんですが、ただ、そういうふうに世界はもう変わりつつあるので、私どもNGOの中に幾つかの声として、そういうふうに軽々に見られるようなことが、また、それをまた警護しなくちゃいけないという議論になっていってしまうよりも、そうじゃない、さっきから言っている日本役割みたいなものをもっと打ち出すことによっての守り方というものもあるんじゃないかと、これは全てについて当てはまるかどうかは分かりませんけれども、そこはよく是非考えていただきたいというふうに思っております。
  48. 武田良介

    ○武田良介君 ありがとうございました。  大橋参考人にもう一問お聞きしたいんですが、今日配っていただいた資料の中で、先ほどの横山先生とちょっと似通った話になるかもしれないですが、その五番目の、重厚な外交が後押しする市民社会というところの、五の一番最後、五の四のところ、ナショナリズムの台頭の中で、日本普遍的価値に基づいた市民外交の展開促進、そして市民社会グローバル化の促進で存在感をというふうにあるんですが、もうちょっとそのお話をということなんですけど、その日本は普遍的な価値に基づいたと、その普遍的な価値というのは何を指しているのか、私はざっと読んで、こういった文脈の中から憲法の精神なのかなと思ったりいろいろして読んだんですが、ちょっとそこら辺のお話をもう一言お聞かせいただければと思います。
  49. 大橋正明

    参考人大橋正明君) ありがとうございます。  一枚戻していただいて、三のSDGsが追求する理想というところとかにもちらっと書いておいたんですけれども、あるいはその前のところにも書きましたが、国連憲章とか日本の憲法の中にあった平和と正義というような、あるいは人権といったようなものがやっぱり普遍的な価値なんだろう、国際的にそれは了解されてきているんだろうと。ただ、これについて解釈がいろいろ変わることがあるということはもちろん了解できるけれども、それを全面的に打ち出すのが、多分、日本政府もそうだし、NGONPOというのはそれを更にもっと重視していくという立場に立っていくんだろうというふうに思っています。  やっぱり、それができていることというのは日本のある意味で誇りであるだろうというふうに思っていて、そういうことを、現実には幾つかのアジアの国では自由にNGOができないところもあるし、できていてもすごい制限が加えられている、私たちが、下手をすれば外国から受け取ったお金で自国政府を批判してはいけませんという規則ができたりするということもあって、そうなると、何か、私は社会グローバル化が必要だし市民社会グローバル化というものが必要なんだ、その一部として必要なんだと。今までは経済のグローバル化だけが叫ばれてきたんですけれども市民社会というのはそういう人権とか自由とか平等という概念を掲げて前へ行くものであって、そういう価値観を推すということが日本しかできない外交だというふうに申し上げたいというか、世界、少なくともアジアの中に、日本でいえばそういうことを、市民社会を後押ししてくれているんだ、それぞれの国でそういう声を上げていって、それぞれの国の政策が変わっていくというようなことが一番望まれているんじゃないかというふうに申し上げたかったことです。
  50. 武田良介

    ○武田良介君 ありがとうございました。大変参考になりました。  ありがとうございました。
  51. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 東徹君。
  52. 東徹

    東徹君 日本維新の会の東徹でございます。  今日は大変お忙しいところ、三人の参考人の方々、来ていただきましてありがとうございます。  改めて、NGO活動について大変学ばせていただいたという率直な感想でございます。ODA予算が二十九年度であれば五千五百二十七億円で、昨年から考えますと八億一千六百万ぐらい増えているというようなことにはなっておるんですけれども、じゃ、その中で実際NGOに幾ら使われているのかというところ、なかなかよく見ていかないと分からないということもありまして、私自身、今日のお話も聞かせていただいて、しっかりとNGO団体に今どれだけのお金が拠出されていっているのか見ていって、是非応援させていただかないといけないなというふうな思いをさせていただきました。  その中で、一方、国の支援というものをやっぱりしっかりと充実させていくということは大変必要だというふうに思いますけれども、先ほど長参考人とかからもありました、フランスでは一般からも非常にお金を募っているとか、そしてまた、大西参考人からは、経済界からも支援を受けてきたというふうに話がありました。  そんな中で、大橋参考人と長参考人の方から、そういった民間の資金を得ていくためにはどうしていったらいいのかとか、その辺のところも併せてお聞かせいただければ有り難いなというふうに思います。
  53. 大橋正明

    参考人大橋正明君) ありがとうございます。  非常に痛いところを突いていただきまして、大西さんの活動を、私たちほかはちょっと羨ましく、嫉妬を交えながら見ていることがよくあるんですけれども、やっぱり比較的、何というか、日本って比較的大きな企業になればなるほど、私ども、なかなかそういうところとパイプを持ち切れなかったので、もっと具体的に多分話をしていけば恐らく具体的なことは理解していただけるんだと思うんですが、恐らくイメージとして、NGOというのは元々活動家が多かったんじゃないかというようなイメージを持たれている方も多いし、それからNGOの中には実際企業批判をしているところももちろんあるんです。それは、そういう役割を持っている。NGOというのは、一つの思想ででき上がっているわけじゃなくて、いろんな思想を持っている人たちがいる中で、企業のやり方が現地で問題を起こしているというふうに批判をする団体は当然あるというふうに思っています。  だから、その辺の幅があるということを理解していただくような機会を私どもがつくり切れていないので、もし先生たちお願いするとしたら、そういうことで、いろんな幅があるということが、議員の中にもいろんな幅があるからこそ健全な議論が行われるわけですから、そういうところを多分理解していただけるような機会を、私ども大西さんに少し学びながらやらなくちゃいけないかなと思っております。
  54. 東徹

    東徹君 そうしたら、もう一人、長参考人からもお願いいたします。
  55. 長有紀枝

    参考人(長有紀枝君) 民間資金というのを私どもは自己資金という言い方をしておりますけれども政府からいただく税金から成る資金と、直接企業の方や個人の方たちからいただく募金ですが、やはりいかに政府からの助成金が増えても自己資金と言われる部分がなければ事業というのは一切行うことができません。  先ほど大橋先生が使われた資料のNGOの財政は大規模と小規模NGOの二極構造というグラフがございましたけれども、こちらを見てみますと、一位から八位までが全て、外資系という言葉を言っていいのかどうか分かりませんが、日本に拠点はあるけれども本来外国で生まれたNGOであったり国連を応援するためのNGOであったりしまして、日本NGOが出てくるのは九位以下なんですね。  これは、大西さんともよくお話をするんですが、さらには赤十字であったり、そこにお金が行っているわけで、私たち活動寄附者の方々にお伝えする方法がまだ十分ではないのかと考えたりですとか、あるいは、やはりどうしても基盤の部分で、日本NGOはゼロから始めているわけですが、国際NGOというのは、本来外国の拠点からある程度最初の運転資金といいますか、そこを助成いただいたことによってより大規模なファンドレイジングができるというような強みもおありだと思います。  どちらがいいとか悪いとかではないと思うのですが、その部分を私たちが、日本NGOというのも絶対、繰り返しになりますが、外交にとっては必要なものだと思いますし、そこをどうしていくかというのをもう何十年も考えながら今現在もこういう状況、まさにちょっとじくじたる思いがあるところなのですが、これからもちょっと工夫しながら活動してまいりたいと思っています。まさにそこが私たちの今の弱点だと思っております。
  56. 東徹

    東徹君 そうしましたら、非常にお金も大事だというところで、次に人材についてお伺いさせていただきたいと思っておりまして、これはできれば現場で御活躍された大西参考人にお聞かせいただければというふうに思います。  こういったNGO活動する人材をいかにどうやって集めていくのかというところと、そしてその集めた人材をどうやって教育というか訓練というか、そういったことを行っていくのかというところの二点について教えていただければ有り難いと思います。
  57. 大西健丞

    参考人大西健丞君) 最近では実は国内活動もしておりまして、国内向けの人材募集もしつつ国際的な募集もしておりますのでその差がよく分かるんですが、実は国際的な募集の方が容易であります。  というのは、我々が税金を払ってつくったわけではございませんが、欧米の大学、大学院にこういった紛争関係の学部、それから大学院のコースが紛争のみならず国際協力一般でたくさんございまして、そこを日本人はある意味フリーライドさせていただいて勉強させていただいたと、私もそのうちの一人でございますが。その結果、余り現場経験を踏まずに一度我々のところにトレーニーとして応募されて、現場経験を踏み出して、理屈と理論とそれから現場とを融合させていくという過程があるので、しかも狭き実はNGOは門でして、この間もTOEIC満点の人を落としましたけれども、私はもう入れないと思うぐらい難しい何か状況で、難民を助ける会もほかの団体もですね。  比較的採りやすいんですけれども、ただ、問題は離職率が高い部分もありまして、それはやっぱり給与が低いということで、つい最近まで男が結婚退職すると言われていた業界でして、もっと稼がなきゃいけないんで、結婚するから、だから辞めますみたいな話は本当にあったんです。  もう少し待遇面を改善していくというのが課題でありますけれども、最近では外務省が一般管理費を認めていただきまして、働けば働くほど援助貧乏にならないように少しずつ改善をしていただいているので、今、五%なんですけど、欧米は実は二〇%なんですね、一般管理費の割合。もう少し努力をさせていただくと、もう少し日本NGOまともに伸びていくかなというふうには思います。
  58. 東徹

    東徹君 人材の教育について、時間があればちょっと。
  59. 大西健丞

    参考人大西健丞君) もう少し文科省傘下にある日本の大学院ともちょっと提携して、現場の中でいろいろと教育できる仕組みをつくった方がいいかなというふうに呼びかけたことはあるんですが、残念ながら、ちょっと省が分かれていることと、それからNGOとか現場を持っている団体、一段低くアカデミズムに見られているところもありまして、最近ではNGO出身の人が大学の教授とかというのもたくさん出てきましたけれども、もう少し現場との融合という形で、日本でせっかく育ちつつあるNGOを教育の現場で、特に大学院レベルで有効に使えというふうに別系統からのお話がありましたら随分変わると思います。我々もちょっと現場では努力しておりますけど、文科省の壁は非常に高いので、是非お力をお貸しいただければ。
  60. 東徹

    東徹君 どうもありがとうございました。
  61. 鴻池祥肇

  62. 木戸口英司

    木戸口英司君 希望の会、自由党の木戸口英司でございます。今日は本当にありがとうございました。  それでは早速、大西参考人にお伺いをしたいと思います。先ほど若干触れられました災害体制、そのプラットフォームづくりということのお話をもう少し詳しくお聞きしたいと思います。  私も岩手でございまして、災害対応、様々お世話になったということ、まずは御礼を申し上げます。それは各三人の参考人先生方にも様々な形でお世話になっていることだと思いますので、まずは御礼を申し上げたいと思います。  大変な御活躍をいただいたという中で、災害対応の人材とそのプラットフォームづくりということ、現場で経験した中で大変今危機感を持っているということ、私もそのとおりでありまして、これしっかり取り組んでいかなければいけないと、そのように思っております。  災害対応の中で、私も県庁におりましたものですから、FEMA、アメリカの取組、むしろ地方分権が進んでいるアメリカにおいてやはり危機対応は中央集権的に進めると、日本においてはやはり地方中心という対応であること、だんだんそこも改善はされてきているわけでありますけれども、やはり地方においてそういった対応をする人材の養成、それからそれを束ねるプラットフォームづくりというのはもう喫緊の課題であろうと思います。  その中で、NGOとして今大きな役割を担われてきている大西参考人でありますが、NGOとしてのこれからの大規模災害におけるプラットフォームとしての今どこまで役割を担えるか、その中で、やはりもう一度国のこれから考えていかなければいけない対策、対応ということ、また、そこにやはり企業、様々な主体がどのように連携をしていけばいいかということ、この辺りをもう少し詳しくお話をお伺いできればと思います。
  63. 大西健丞

    参考人大西健丞君) 最近の熊本の対応をめぐって、防災担当大臣になられた河野大臣、当時ですけれども、非常によく対応していただきまして、現場にいる我々からの直接の電話もお取りいただいたりして、すごく機動的に対応していただきました。少々属人的な御活躍でしたので、ここはやっぱり機能として政府・与党としてももう一度考慮していただいて、我々民間の活力を使われる場合には、やはりその受付窓口がちゃんと機能していないとコーディネーションボディーとして難しいと思います。内閣府防災担当は残念ながら二十人以下の少人数でやられていまして、ほとんど寝る間もなく頑張られておられましたけれども。  あともう一つ、地方が確かに大規模災害の核を担うということは原則としては思想上正しいのかもしれないんですけれども、現場の中では、県庁の方も、それから役所の方も、基礎自治体の役所の方も被災者になられてしまうケースが多いので、そうなるとやはり機能不全にならざるを得ない。  そのときにやはり、よくプッシュ型という議論が出ましたけど、今回は、プッシュ型と言わずとも、もう少ししばらく代わりに働いてくれるプロフェッショナルのチームが必要かと思います。残念ながら、内閣府防災の方々もずっととどまるわけではございませんし、せっかく専門性ができた段階で転任されてしまいます。あと、ほかの省庁もそのとおりなんですが、御存じのようにFEMAはやっぱりスペシャリストの留任期間が極めて長いので、やっぱりそういった特殊技術、特殊的な経験を積み重ねていって、そういう人材群がプールされているというのは非常に大事だと思いますので、是非政府としても政党としてもその辺御考慮いただきたいと思います。  我々が今努力しているのは、実は、個別のちょっとお名前を出すのはどうかと思うんですが、IT関係の企業で、インターネットのハブをお持ちで、日本最大の企業と今連携をし、最近火災で大変な傘下の企業とかも含めて連携をさせていただいて、次の大規模災害のときには、もっと複雑ですけれども、多層な企業社会に御貢献をいただけるような仕組みを今一生懸命つくっております。是非そこを政府とリンクしたいので、お力をお貸しいただければと思います。
  64. 木戸口英司

    木戸口英司君 ありがとうございます。  重ねてお伺いいたします。  防災、そして、ここにもありますが災害支援、これはもう緊急的なところ、そして中期的なところ、それから復興までという、やはり人材の専門性も変わってくると思います。そういう中でこれをどのようにプールしていくか。被災地には様々なストックができてくるわけですけれども、災害はどこで起きるか分からないわけでありますし、この辺りを皆さんのような活動の中で連携をしていければということだと思うんですが。  また、国では防災スペシャリスト養成研修なども今始めておりますけれども、やはりなかなかこれ、一人養成して、それが自治体に帰ってもなかなかその力を発揮するというところまでいかないと思うんですが、もう一つ、人材養成、その各段階のですね、その辺り参考人、何か御提案があればお願いいたします。
  65. 大西健丞

    参考人大西健丞君) もう少し踏み込まさせていただきますと、FEMAのような完全なビューロクラシーで、年間二兆円ぐらいのたしか予算を持っていたと思いますが、そういった大量な予算を今の財政状況の中で投下するというのはたとえ一兆円でも五千億円でも難しいと思いますので、やはりプラットフォーム型で、政府お金を入れるけれども、民間も入れ、一般の個人の方々からも寄附をしていただくような仕組みづくり、なおかつ、政府の人間はもちろんですけれども、民間の人間も登用できるような、政治任命制度でも構いませんが、そういった仕組みづくりが必要だと思います。  議論をしている暇はもうないと思います。さっさと作業に入らないと、内陸型の地震は今日起こってもおかしくありませんし、南海トラフもフィリピン海プレートが太平洋プレートに必要以上に押されていますので、三十年という範囲ではなくて十何年と言う学者もたくさんいますので、急ぐべきかというふうに思います。
  66. 木戸口英司

    木戸口英司君 ありがとうございます。  まだまだお聞きしたいんですが、長参考人にお伺いいたします。  仙台で行われた、おととしですね、国連防災会議に参加をされて御提言をされているとお聞きしております。日本としてやはりポスト三・一一という考え方で国際貢献、やはり被災地とすれば、様々な海外からも御支援をいただいておりますし、是非御礼をしたり貢献をしたりしたいという気持ちもあります。  そういう中で、国連防災会議を経験されて、今後、日本として、また被災地としてどのように世界に向かっていけばいいか、またどういう貢献ができるか、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
  67. 長有紀枝

    参考人(長有紀枝君) 御質問ありがとうございます。  先生方御承知のように、東日本大震災では非常に多くの国々から御支援をいただきました。その中には、本当に、後発途上国であったりとか、とても援助できるような財政ではないんではないかという国々が大変多うございました。他方で、日本では、経済がこれだけ停滞している中で海外への支援はもっと削るべきだというような御意見もあり、そういうときにまた改めて東日本大震災で途上国の方たちからいただいた御支援を考えると、これはもう経済的な情勢云々とは別にして、やはり国際社会に対する大きな責任が日本にはあるというふうに考えております。  その意味で、東日本大震災で私たちがしていただいたことというのは忘れるべきではなく、それは今後の国際協力に生かしていくというのが一番のお返しの方法ではないかと思います。その中には、被災地の経験であったり、いかに災害のリスクを減らすかとか、いろいろなことがあるかと思います。
  68. 木戸口英司

    木戸口英司君 終わります。ありがとうございました。
  69. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 糸数慶子君。
  70. 糸数慶子

    糸数慶子君 沖縄の風の糸数慶子と申します。よろしくお願いいたします。  本日、三人の参考人の皆様には、本当に時宜を得た大変示唆に富むお話をしていただきまして、ありがとうございました。  そこで、実は沖縄県のことをちょっと紹介をさせていただきたいと思いますけど、沖縄県は、広く世界に目を向けた幅広い視点に立って国際平和の創造に貢献するために、沖縄平和賞を創設をいたしました。これは、実は二年に一度表彰しておりますけれども、まず第一回目は二〇〇二年の中村哲を支援するペシャワール会、それから、二〇〇八年、これ第四回ですけど、本日参考人として来ていただいております難民を助ける会、そして昨年の第八回は難民支援協会が受賞されたわけですね。  実は、沖縄はかつて琉球王国時代、万国津梁時代というふうに言われておりましたけれどもアジア国々をつなぐ一つの懸け橋として活躍をした時代がありました。多様なものを受け入れる寛容さといいましょうか、相互扶助の精神、さらには未来を創造するためのたくましい県民性があったわけです。  ところが、去る太平洋戦争で沖縄は過酷な地上戦が展開されて、二十万人余に及ぶ尊い生命を失っています。さらに、多くの貴重な文化遺産が失われて、その後ですけれど、二十七年間にも及ぶ米軍の施政権下の歴史を通して、やはり戦争の悲劇を再び繰り返してはならないと固く誓って、それが実は平和の実現を強く求めていく、その中に、やはり世界で今なお地域紛争が後を絶たないわけですけれども、その中にある貧困、難民、民族、宗教問題、多くの課題があるわけですが、これを解決するためには、何といっても世界の人々がやはり相互理解に努めていく、そして協力していくことが大切だということで、この沖縄平和賞の設立がなされました。  沖縄県は、沖縄平和賞の運営を通して平和への思いを国内外に発信をしていく、さらに恒久平和の創造に貢献していきたいという、そういうことで平和賞が設立されたわけですが、私も沖縄県民の一人として、このことは本当に、賞の創設ができたことは、微力だとは思うんですけれども、やはり平和に対する具体的な貢献であるということで誇りを持っております。  そこで、一昨日でしたけれど、難民支援協会主催の円卓会議がありました。これ、民間と協働で難民を多く受け入れているカナダの事例を伺いましたが、やはりカナダでは、トルドー首相、その発言をしておりますね。信仰に関係なく、迫害やテロ、そして戦争から逃れてきた人をカナダは歓迎する、多様性は我が国の強みであるという発言がありまして、このことが世界から称賛をされています。これを考えていきますと、翻って我が国の難民の受入れということを考えていきますと、大変に少なく、ある意味恥ずかしい状況ではないかなというふうに思うわけです。  そこで、大西参考人にお伺いをしたいと思います。  国連難民高等弁務官事務所、いわゆるUNHCRが公表しておりますけれども、難民のその数、今この増加している状況を見ても、難民の受入れを日本が積極的に行うことは、国際社会の一員として、さらにG7の一国として、アジア太平洋地域の平和実現とそれから地域協力、それを考えていくと大変重要な役割だと思うわけです。  地理的な要因で日本には難民が少ないというふうなことも言われておりますけれども、でも実際には、アジア太平洋地域である例えばオーストラリア、さらにはニュージーランド、韓国の認定数と認定率を比較しても、今日資料として皆様のお手元にお配りをしておりますけれども、やはりこれは難民を受け入れる大変厳しい状況に日本はあるわけですね。もう本当にこの表を見ていただくと一目瞭然なんですけど、韓国でも難民を受け入れ、それが積極的に民間の関わりがあるということを聞いておりますし、その保護活動もしているというふうに伺っております。  難民が逃れる周辺国支援ということをやっていることも大変重要ではありますけれども、さらに平和で安心して暮らせる環境を提供する、それが、日本が民間と協働して積極的に受け入れるということが大事だと思いますけど、その点についてどうお考えか、改めてお伺いしたいと思います。
  71. 大西健丞

    参考人大西健丞君) 議員の御指摘のとおりでして、第三国定住を入れても三十人ほどしか日本は認めておりませんので、ほとんどのケースが、不認可というのもたくさんありますが、認めた場合でも就労ビザのみというケースがたくさんありますので、ゼロとか十とか二十とか三十とかというのは先進国としては非常に恥ずかしい数字かと思います。  あと、難民の受入れに関して、例えばNGO、難民支援協会を始めとしたNGO等を活用していただきますと、地域の受入れに対してできるだけスムーズに便宜を図ることができるように思いますので、是非御考慮いただきたいと思います。現実にはもう既に難民支援協会と実は当方も協議をさせていただきまして、我々、今、本部が過疎地にございますので、過疎地の事情をよく存じているつもりですので、そういったところに優秀な人材である難民の方がたくさんいらっしゃいますので、受け入れて、そこになかった新たな産業を創造するというところにチャレンジする準備をしている最中でございます。
  72. 糸数慶子

    糸数慶子君 ありがとうございました。  時間の関係で、長参考人にまずお伺いします。  特に日本医療技術などを考慮いたしますと、紛争で傷ついた方、脆弱性の高い方を日本に呼び寄せて保護をすることなど、これまでの医療支援など、そういう経験を使って官民連携ができるのではないかと思いますが、御見解を伺います。
  73. 長有紀枝

    参考人(長有紀枝君) 御質問ありがとうございます。  難民支援ということに限定してお答えいたしますけれども、例えば、今、シリアの難民、世界で最大の難民を出す国になっておりますが、トルコでお目にかかったシリア難民の方たちの中で、日本に是非来たいと言っていた方は本当に少数でして、でも、その方たちの声の多くが、お子さんが戦争で非常に大きなけがを負って、あるいは難病でリハビリが必要だとか高度な医療が必要という方たちが是非日本で治療を受けたいと言っている方たちがおられました。そういう方たちを積極的に数は少なくても第三国定住の形でできるのではないかというふうに私も思っております。
  74. 糸数慶子

    糸数慶子君 時間の関係で、大橋参考人にはもう一巡してくるときに実は御質問をさせていただきたいと思います。私の持ち時間があと二分しかございませんので、よろしくお願いしたいと思います。  終わります。
  75. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 以上で会派一巡が終わりましたので、これより自由な質疑を行いたいと思います。  質疑のある方は挙手をお願いします。  今井絵理子君。
  76. 今井絵理子

    今井絵理子君 自由民主党の今井絵理子です。  この度は貴重なお話をお伺いでき、心から感謝申し上げます。  実は、私自身、二〇〇三年、当時十九歳のときにセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンというNGO団体一緒活動したことがあります。内容は、世界の恵まれない子供たちの現状をたくさんの方々に知ってもらいたい、そして何ができるか一緒に考えてほしいという思いで、当時SPEEDというグループの四人で集まってベトナムの貧しい農村部を訪れて、その当時は、ベトナムでは急速に発展する都市部と取り残された農村部の格差が深刻な問題になっていました。村の子供たちは栄養状態が悪く、水道もなく、井戸から水をくむ生活をしていたり、また、教材も不十分で学ぶことが難しい。そんな中、栄養改善計画や幼児の発育事業を微力ながらお手伝いさせていただきました。  その経験を通して、世界の中にはこういう生活をしている人たちがいるんだという驚きとともに、最初に犠牲になるのは子供たちであると、これからも目を向けていこうという思いで、今の私につながる大切な経験をさせていただいたと思っております。  参考人のお三方にお聞きしたいのですが、私自身、国際貢献や国際協力といったNGO本来の役割を果たせたことに喜びを覚えると同時に、先ほど述べましたように、この活動を通して、世界中の人たちが抱える問題などに非常に大きな関心を寄せる機会にもなりました。しかし、多くの日本国民が必ずしもNGONPO理解しているとは言えないと思います。ちょっと言葉を選びますが、余りにも多くの団体NGOや又はNPOという看板を掲げているために、信用できる組織かどうかということを判断が付かず、戸惑っている現状があるのではないかと思います。  日本の若い世代、若い方たち外交の重要性また国際貢献、社会貢献の目を培ってもらうためにもNGONPOの信頼を確立する必要があると思うのですが、この点についてお三方の御見解をお聞かせいただければと思います。  よろしくお願いします。
  77. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) まず、大橋参考人からお願いいたします。
  78. 大橋正明

    参考人大橋正明君) ありがとうございます。  非常に重要な質問で、先ほどの企業等の話もありましたし、私たちは、NGOは確かにいろんなNGOがありますけれども、私は、いろんなNGOがあるということはやっぱりある価値観なんだと思うんです。  逆に言うと、どのNGOをどう支援したらいいかというのは、例えば、皆さんも八百屋に行ってどのトマトがいいかというのを選ばれると思うんですね。僕、そういう目を、要するにNGOという、言わばお金を下さる、そこにお金を消費するわけですから、それを見る賢い消費者になっていただくしかないというふうに思っていて、どういうものがいいかというのは、軟らかいトマトが好きな人も固いトマトが好きな人もいるだろうと。まあ、圧倒的多数はこうであるということで市場メカニズムが働くのは当たり前。だけど、いろんなものがあるから、どこかの歌じゃありませんけど、それに価値があるんだというのはやっぱり一方であるわけで、私は、先生方お願いしたいのは、先生方と私たち、やっぱり政治のことをやっちゃいけないとNPO法人言われているので、政治家の先生と余り近づかないですよね。官僚の方も近づかないんだけど、私は、NGOを出て外交官になった、国連に行った、議員になった、教員になった、そういうふうなキャリアパスをたくさんつくっていただいて、先生たちも私たちのメンバーになって、ある党の方だけじゃなくていろんな党の方が来ることで積極的に、そして選挙区の中でも、こういうNGOというのは、こういう活動は大事なんだよというふうに言っていただくということが大事で、結局、こっちでこうやって絞ると、やっぱり価値観で絞ってしまいますので、それはやっぱりある意味で首を絞めてしまうかなと思っていて、皆さんが、やっぱりNGOって日本が孤立しないで生きていくために大事なんだよというふうに先生たちも言っていただいて、私はこれがいいと思うよ、こういう理由でというふうに言っていただくような方が私は発展的なような感じがしております。
  79. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 長参考人お願いします。
  80. 長有紀枝

    参考人(長有紀枝君) 御質問、どうもありがとうございます。  まず最初に、SPEEDの時代にベトナムに行かれたということは、そのファンの皆様にどれほど大きな影響力があったかということは、今更ながらに思っております。それまでベトナムあるいは国際協力を考えたこともなかったような層の方たちが、今井さんやSPEEDの皆さんが現地に行かれたことによって一挙に裾野が広がった部分もあるのではないかというふうに思っています。  大橋さんのと重なるのですが、例えば企業といったときに、企業というだけで全ての企業がいいとか悪いとか、自分関係があるとかないとかと思わないように、NGOも同じぐらい多様でいろいろな組織があるかと思います。大橋さんのを借りれば、本当に消費者の方たち自分が好きなメーカーなりを選ぶように、NGOももっともっと身近になれば同じような感覚でここを応援してみようというふうに思えるのではないかと思います。  その意味で、先生方に、一般に外交とかNGOを応援しても票にならないというようなことをよく言われるのですが、是非こういう活動もあるということをお示しいただければというふうに思います。  ありがとうございます。
  81. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 大西参考人お願いします。
  82. 大西健丞

    参考人大西健丞君) とはいいつつも、トマトでも最近トレーサビリティーの話が出てくるような時代ですので、我々、トマトよりはもうちょっと複雑な話を扱わせていただいていますので。トマトを作るのは難しいですけどね。  我々として、まずジャパン・プラットフォーム加盟に対しては監査を実施しております。第三者による監査で、かなり厳しい監査をしております。さらに、難民を助ける会などの上位の規模の大きいNGOは国際機関と個別にも契約を結んでいますので、更に厳しい第三者監査を要求されておりまして、英語でその証明書を出せる監査に堪えないと国連等から資金を出していただけません。ですので、実はNGONPOの中でも極めてちょっと最近は厳しい環境に置かれていまして、監査に関してですね、かなりきちっとしてきたかなと僣越ながら思います。  これを全ての民間の公益団体に広げていく必要があると思いまして、国内でもいろんな取組はありますが、私の秘書の話では、今動物福祉の話をやっておりますので、その分野もかなり会計ひどいので、今外部監査を導入したところに助成をするという話をし出しております。  そういった条件付けが必要で、第三者証明がやっぱりトレーサビリティーと一緒で必要だというふうに認識しております。
  83. 今井絵理子

    今井絵理子君 ありがとうございます。  将来にわたって日本が国際貢献をしていくことや自らが社会貢献をしていくためには、若い世代、十代、二十代の方たちの意識付けが重要だと思いました。現在の活動を活発化することで若者たちの意識を喚起できるよう、私たち政治家も頑張って働きかけたいなと思っております。  最後に、長参考人にちょっと質問なんですけれども、先ほど難民やまた障害の方々に力を入れていらっしゃるということですね。その際に、支援をするに当たって特別に配慮していることなどあればお聞かせ願えたらなと思っています。
  84. 長有紀枝

    参考人(長有紀枝君) 私ども、難民支援をしていく過程で、地雷の被害者の方たちなどに会い、そこから障害者の問題にも関心を持つようになりました。  世界各地で障害者の方たちの支援活動をしておりますが、物やサービスの支援をするのはもちろんなのですが、そのときに、その方のいる地域であったり御家庭であったり、そちらにも働きかけて、私たちが支援している方たちが自立できたり、そういうことによって一つのモデルケースになって、それまで障害者の方は御家庭の中でも、もう外に行けないとか家計的に何の助けにもならないというようなところから、いや、学校に行けるんだとか自分で動けるんだとか、私たちが支援した方たちがモデルケースになって障害に対する見方そのものが変わるような支援というのも心掛けております。
  85. 今井絵理子

    今井絵理子君 ありがとうございます。  以上、質問を終わりたいと思います。
  86. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 藤田君。
  87. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 済みません、改めて質問させていただきます。  まず大西さんですが、紛争が起きたあるいは地震が起きたと、真っ先に駆け付けるのがNPONGOの皆さんだろうと思います。その後でメディアが行ったり外交官が行ったり、コソボの場合もそうでした。  その際に、先ほどのお話のように、NGOの皆さんが現場で危険地域に行っているときに、政府なりの支援あるいは認知があると大分活動がしやすくなるのではないかと思うのですが、それについてお聞きしたいのが一点と、自衛隊の派遣の話が出ました。PKOが、元々は施設部隊、工兵隊で建設部隊でした。ところが、最近は要するに住民保護ということで必要に応じて戦闘もすると。PKOの任務が変わったことによって、そこにNPOの人がいた場合に、多分カンボジアの頃は、自衛隊カンボジアに行っていてもむしろ相互補完関係でよかったんだろうと。多分、南スーダンの場合は大分変わっているので、より危険が認識される。昨日の衆議院の質疑もそうだったんだろうと思うんですが、その性格の変化によって、あるいは日本の、先ほど大橋さんがおっしゃったように、場合によっては十字軍的な支援も入っているというふうに見られているがゆえに危険度が増している。つまり、PKOの任務、そして日本のイメージが変わっていることによって、自衛隊、PKOがいるところとNPOの方がいらっしゃるところの日本の危険性がどういうふうに捉えられているか。二点についてお聞きしたいと思います。
  88. 大西健丞

    参考人大西健丞君) では、まず政府機関の現地での介在についてなんですけれども、大使館が機能している場合には大使館とよくお話をさせていただくケースはあるんですが、残念ながら大使館が機能していないケース、つまり破綻国家とか極めて厳しい紛争状況にあるケースでは、残念ながら大使館が退避若しくは元から存在しないケースもありましたので、そのときはやはり日本政府として一部の訓練されたチームを前出し、つまり現地に投入するということを考えていただいてもいいかなという気がします。  やはり百聞は一見にしかずでして、現地である程度、多少リスクは伴いますが、現場レベルの情報を収集していないと、実際にはやっぱりメディアの報道と懸け離れた状況ということはよくありますので、そういった紛争にコミットできるスペシャリストの養成を外務省等の中で始めていただく必要があるかなと思います。外務省のキャリアの方々のキャリア形成の中で、紛争地帯に関わると回り道というような話もありますので、もし日本政府が地域武力紛争にコミットを良い意味でするということをお決めになるのであれば、是非そういった政府職員のレベルの養成はマストであるというふうに感じています。  逆に言うと、外務省は大学院、修士、博士終わっている人は逆に少ないので、そういった専門知識が足りません。ストレートに言いますとそうなります。現場での経験も足りません。首都での経験のみという方もたくさんいらっしゃいますので、やはり紛争地帯でリスクを取る外交官はそれなりのコースが逆に約束されていなければそういったリスク取りませんので、そういったスペシャルな、特別な配慮をお願いしたいと思います。  次に、PKOですが、おっしゃるように、紛争の状態の変化というものが二〇〇一年以降ありますし、さらにPKOの部隊の使命の変化というのもありますので、我々、今現在、まずPKOを出しているからといってNGOを締め出さないでいただきたいということは外務省にお願いをしております。さらに、PKO部隊との、もしも交戦とか、現地政府若しくはその他の部隊との間にあった場合に、自分たちが同一のグループだと見られる危険性については認識を高めつつ、場合によっては退避をすることになるかと思います。  実はここも、我々現場におりますと、やはり防衛省との直接のパイプラインはないので情報過疎に置かれることがありますので、是非一報に関してはできるだけ速やかにいただけると助かります。ただ、南スーダンのケースに関しては、今回は速やかに対応していただきましたので、我々も難を逃れたというか無事に脱出させることができましたので、それに関しては今回は感謝しております。
  89. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 大橋先生NPOからキャリアを積んで国会議員という話で、私も数少ない一人で、もうちょっと増やしていただきたいと思っておりますが。  基本的に、やっぱりODAそのものの基本法のようなものというものがいよいよ先ほどの長さんの論点からも踏まえて必要かと思いますが、いかがでしょうか。
  90. 大橋正明

    参考人大橋正明君) 私が今日お配りしたペーパーの一番最後に国際協力基本法というふうに書いておきました。ODA基本法というふうに言ってもいいし、あるいはもう国際共生基本法というふうに言ってもいいかもしれないと私は思っています。  元々私たち、多分、今私六十三ぐらいですけれども、子供の頃は、日本というのは資源小国なので世界と仲よく貿易していかなくちゃいけないんだよというふうに言われていたというのをよく覚えておると思います。やっぱり、こういうふうなグローバル化した状況の中で、世界の国々一緒に生きていかないと生きていけないということ。  ナショナリズムが急に出てきたときに、やっぱりこういううちの誰からも指さされないような姿勢というものをちゃんと明文化して打ち出して、それをODAにも反映していくし、NGOはもちろんその旗を持って先頭で走っていくというような、そういうことをしないと、繰り返しますが、さっきから申し上げているようないろんな施策というのは、やっぱり法律的に裏打ちをされていかないと、要するに、議員の先生たちがやれていないじゃないかというふうに指摘をしないと、行政の手のうちにある限りは、行政がこう必要だと言われれば行政の長に従ってやるしかない。でも、それって非常に、外交というものがそれでいいのか、広い意味での外交というのが。  それは多分皆さんも危惧を持たれているからこういう研究会をされているんだろうと思うので、是非、外交というのは、繰り返しますけど、外務省だけでもないし、いろんな省庁が関わってきていろんな分野外交が行われていて初めて日本の全体の外交になるのであって、日本の私はODAみたいなものは、なるべくほかの国ができないような、本当に日本でしかできないものというものをやるようなという形で、それを法律的に作らないと、また結局行政によって全て変わってしまうというのは本当はまずいんじゃないか。そういう行政で、外交でいいのかというふうに世界的にも見られてしまうように思いますので、もちろん言うはやすし行うは難しでいろんな議論はあると思いますけど、是非そういう方向で基本法的なものを作り、私たちの考えというのを世界に、憲法にのっとって、精神みたいなものをやっぱり打ち出していただきたいと私は強く思っております。
  91. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 参考までに、こういう基本法がある例えば先進国でどういう国があり、こういういわゆる国際協力省的なものがある国はどんな国があるか、簡単で。
  92. 大橋正明

    参考人大橋正明君) 一番有名なのはイギリスが有名でして、どっちの政党が勝つかによって外務省の一部になったり独立省庁になったりで、今まで、ヨーロッパ、それからカナダもそうですけれども、みんな外務省からODA省といいますか国際協力省を切り離して外交ODA在り方というのの差別化を図ってきたんですけれども、最近は御存じのとおり、全体に経済状況も厳しいので、またそれを一体化させているという話がありますが、そういうときだからこそ、日本も経済決して楽じゃありませんけど、そうはいったって、イギリス〇・七%、GNPの〇・七%守るというふうに言っているんですね、ODAに増やす金額を。  日本は全然、〇・〇何%ですけれども、そういうときにこそ、やっぱりそういう法律があるということが、SDGなんかにも宣言されているわけですけれども、議員が行政に対して迫る根拠になっていくんじゃないかというふうに考えておりまして、今までの欧米の例というものを是非見ていただきたいというふうに思っています。
  93. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 長さんに、最後になると思いますが、先ほど来のNGO財政規模、二極構造、これ見ていまして、確かに上の八つまでは国際系なんですが、他方、結構いろんな団体が後に付いている。国際系だけじゃなくて、それで幾つか議連もあるんです、日本に。それがかなり、何というんですか、日本の企業なりも集めて、これだけかなり財政的にやっているんだろうと思うんですが、他方、下の方は、紛争が起きたときに画面に映像が出ればぱっとお金は集まる、だけれども、それが過ぎるとなかなか難しいというような形で、工夫しながらやっていると。  そうすると、一つはそういうメディアの使い方と、それから団体、それから議連までつくってお金を集めている団体、その辺の工夫によってこの二極構造の差を埋めていくことができるのではないかと期待もしているんですが、その辺についていかがでしょうか。
  94. 長有紀枝

    参考人(長有紀枝君) 以前、私、国際機関を支援する日本NGO資金構造などを国際社会のほかの国々と比べたことがあるのですが、例えば、国際機関に多くのお金を出している国ではこういった国内委員会が小さい。反対に、国際機関に余り出していない国では国内委員会の動きが非常に活発であって、その両方のバランスを取っているのですが、日本は、国際機関に政府としても出し、かつ、こういった国内委員会も両方出している珍しい国の一つでありました。  その結果何が起きているかといいますと、民のお金政府も出している国連機関により多く行く。それはそれでいいことではあるのですが、他方で、日本市民社会の育成という部分からは、日本全体、総体で見たときには戦略的にマイナスに働く部分もあるのではないかと思います。  一点だけ追加でなのですが、それがどういうことにつながるかといいますと、先ほど来、人材育成のお話などもありましたが、私どもの組織にも比較的初心者の方は常時、初心者といっても海外で修士号を取ったりですとか社会人としては経験がある方ですが、国際協力団体としては初心者の方が多くいらっしゃいます。他方で、中堅の方たちは離職する場合が非常に多くて、これはまた安全管理とも関わってくるのですが、一年生、二年生、比較的、年齢は三十歳前後ですが、この業界で初心者の方たちは常時いるけれども、中堅の例えば紛争地で安全管理もきちんとして代表クラスになるとほとんど人が集まらないというような構造になっておりまして、それもやはりこういった財政基盤が不十分であることからきていると、いろんなことが堂々巡りになっているという部分があるかと思います。
  95. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 ありがとうございます。  時間が参りましたので、先ほど大橋先生がおっしゃった関係の資料と、今、長さんがおっしゃっていただいた関係の資料を、もし、会長の方でお計らいをいただきまして、この調査会の事務局の方に後で御提出をいただければ大変有り難いと。お願いでございます。
  96. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) お二人の参考人はよろしゅうございますでしょうか。  それじゃ、是非ともよろしくお願いいたします。
  97. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 ありがとうございました。
  98. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 武田君。
  99. 武田良介

    ○武田良介君 ありがとうございます。  改めて、今日、三人の参考人先生のお話を聞いて、NGOと政治の距離といいますか、そういうお話もありましたし、私も懇談といいますか対話を深めていければなというふうにも思いますし、それから、NGO外交上どう位置付けるのか、多様な主体の中でNGO一つのアクターとしてというお話もありまして、本当にそのとおりだなと思って聞かせていただきました。  その上で、まず一つ大橋参考人の資料の中で、四番の厳しい現実に直面しているというところに、政府協力的ではない自国のNGOに対する活動規制や政府批判の抑止という傾向があるというのがあって、これも非常に残念だなというふうに思いながらお聞きしたんですが、何か事例のようなものだとかあればお聞かせいただければと。
  100. 大橋正明

    参考人大橋正明君) 具体的な国の名前をちょっとここで公式な席で申し上げるのはどうかと思いますけれども、具体的な事例としては、外国からの資金を受け取ることに関して比較的事前の許可を厳しくしているという国が少なくとも幾つかございます。しかも、その許可も簡単ではなくて比較的細かいところまで口を出してくるという形で、送金して、送金はできるんですけれども向こうの銀行から引き出せない、その許可証がなければ。しかも、それを取るためにもいろいろ交渉術が掛かってくるというようなプロセスが掛かってきて、しかもそういうお金で自国の政府の批判というのをやっていると、自国の政府というか政府の中の政策の批判というのをしていると、そういう許可のキャンセレーションとかが起きてしまうという事例ができてきています。  これは、もちろん全くけしからぬものも中にはあり得るわけですけれども、ここはどういうふうにするか、それは日本だってそういうことがあり得るわけですけど、ある程度の中で自浄作用なり、さっき大西参考人がおっしゃいましたけど、私自身もお互いにあれしていますけれども政府だってもちろんそういうものをチェックする姿勢があってもいいと思いますが、なるべく基本的にNGOというのはそういうものだというふうな理解を強めていただかないと、NGO自身がない国というのももちろん幾つかあるんですけど、非常に困っております、そういうところとのパイプをどう持つかということですね。だから、そういう価値観のやっぱり問題なんだろうというふうに私は思っております。
  101. 武田良介

    ○武田良介君 ありがとうございます。  最後にもう一つだけお聞きしたいと思っているんですが、そういうNGOの重要性を深めていく上でも、長参考人にお聞きしたいと思ったんですが、今日のお話の最後の方にもあったかと思うんですが、NGOがそれぞれの現場に入って、非常に現地から感謝されるといいますか、もちろん人道支援なんかはそういうことが非常に分かりやすいと思うんですけど、経験上といいますか、現地でどういう支援がされ、外交上の重要なファクトという点でも日本NGOがそういう活動をやったということの現地の声といいますか、何か御紹介いただければと思って、お聞きしたいと思います。
  102. 長有紀枝

    参考人(長有紀枝君) 今、例えばシリア難民がいるトルコでの活動なのですが、難民の方々に援助物資を届けるだけではなくて、様々な法律相談ですとか、それから、なかなか女性が外に出られないというようなときに、女性の方たちだけを集めた美容のコースであったり、もちろん職業訓練もですとか、そうしたときに、やはりどの国の支援も同じように有り難いと思うのですが、やはり日本という国が持つブランドというのが、いろいろ御意見おありかもしれませんが、私はあるように思っております。  例えば、先ほど来お見せしているDACの資料ですが、こちら、先進国の中で途上国支援をしている国々の中で欧米以外の国というのは、入っているのは日本と韓国だけなんですね。韓国をどのように捉えるかなのですが、キリスト教が非常に多く浸透していてキリスト教系のNGOが海外に多く出ているというふうに、宗教的にはキリスト教が色濃いと考えると、キリスト教圏以外でDACのこのメンバーに入っているのは日本だけというように言うこともできるんじゃないかと思います。そういった意味で、そもそも多様な価値観を体現できる国として日本という国が認められているという部分があるのではないかと思っています。
  103. 武田良介

    ○武田良介君 ありがとうございました。終わります。
  104. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 他にございませんか。  糸数君。
  105. 糸数慶子

    糸数慶子君 先ほどお伺いしようと思ったのですが、時間がなくて申し訳ありませんでした。  もう既にお聞きされていることではあるんですけど、改めて大橋参考人に伺います。  重厚な外交が後押しする市民社会、資料の中にも五番目にございますけれども、改めてこの点についてお伺いをしたいと思います。
  106. 大橋正明

    参考人大橋正明君) ありがとうございます。  私は、どうしても今までNGOというのは何かボランティアの延長で、すなわち、ボランティアというのはいい意味でもあるんですけど、悪い意味でいうとお金をなしで頑張ってやっている、そういうふうな延長だとやっぱり中身がプロフェッショナル化していかないというふうに思っています。そういうことで、キャリアパスみたいなことをいろんなふうに考えていただきたいとお願いもしていますし、そういうものが理念としてどこに結び付いているかという全体の位置付けみたいなものがはっきりしていないといけないんじゃないかというふうに思っています。  結局、例えば私たちがやっているようなこととか、社会開発と取りあえず申し上げていますけれども、それって、ちょっと、十年前までだと思うんですけど、外務省にあったのは経済協力局だったんですね、国際協力局じゃなかったんです。経済と社会というのはやっぱりバランスを取っていくものじゃないですか。だから、今、出先機関に行っても、経済班とか経済協力班というのはあるんですけど、社会協力班というのがないんですね。  だから、社会について見ていて、その社会というのは、さっきも言いましたように、その先がまたもっと分化していくべきだし、宗教とか、さっき藤田先生がおっしゃったように、分化していくべきなんだけど、基本的にやっぱり経済を中心に見ようとしているか、せいぜい文化という形で日本の文化を紹介しようとしているだけで、相手の社会をどれだけ見ているかということを私はちょっと非常に不安に思っています。  例えばスリランカの紛争というのがありましたけれども、あれはタミル人の人たちから見ると、日本がどう助けてくれるのか。シンハラ人の人たちは仏教徒ですから、日本を仏教国と規定するならですが、やっぱり日本が果たす役割は物すごくあったと思うんですね。だけど、結果的にはそれがもうなかなか、すごく頑張ったと思います、僕らの仲間としても。ただ、外交的にはなかなかそういうふうにいかないままに非常に悲しい状態になって、タミル人の人たちというのは言わば蹴散らされてしまったというか、まああれはもちろんやられたタミルの側にもいろんな問題はたくさんあると思うんですけれども、もっとそういうときに現場に入っていって、外交人たちも私たちも、あのときに外交官の方に言われたのは、大橋さんたち、是非中に入っていって様子をどんどん見てきてよというふうに言われていたんですね。そういうものがたくさん後押しされれば、もし仮にあの紛争がまた別な結果になっていたら、そういうパイプが物すごく大きな役割を果たしていたことにもなるだろうというふうに思うんですね。  だから、当然政府としては、行政府としてはいろんなパイプを使っていく、赤十字なんかもそういうときには、例えば北朝鮮と話するときに赤十字パイプを使ったりするようにNGOパイプというものが存在しているんだということ、それがプロフェッショナルなものなんだと、いわゆるボランティアとしてすごく頑張ってちょっとの期間やるんじゃなくて、プロフェッショナルなものとしてあるんだという認識を強めていただきたい。これはもう先生方に是非お願いして、そういうものがあるんだよ、これはNGONPOもそういうものなんだよというふうに、元々ボランティア精神ではあっても、そういう社会の一部であるということを位置付け、それを更に持ち上がったところの土台としての国際協力というのがあるんじゃないかというふうに思っているということであります。
  107. 糸数慶子

    糸数慶子君 ありがとうございました。  再度、大西参考人に伺います。  先ほどもちょっとお話が出ておりますが、日本ではこの難民認定制度を本来の形ではない就労目的で使用することが問題になっているわけですけど、スウェーデンとかドイツでは難民の受入れと同様に積極的に行ってきた移民政策、それを官民連携で取り組むことで正式に移民を受け入れているわけですが、他の先進国と同様に、日本では今、少子高齢化ですね。労働力人口の減少、さらに中小企業の人材不足の課題など、ドイツなどに倣って、この難民受入れをコストとして見るのではなく将来への投資機会と見ることについてどうお考えでしょうか。
  108. 大西健丞

    参考人大西健丞君) 現状では実習生等もたくさんの外国人を残念ながら安い労働力として使ってしまっているケースが多くて、その実数に比べれば、難民をたとえ千人受け入れたとしても社会に及ぼす影響の中で悪影響というのは限られているというふうに思いますし、さらに、民間で難民の受入れでスペシャリストである難民を助ける会とか難民支援協会等もう既に存在していますので、そういったところと提携をさせていただきながら受入れを円滑に、それから基礎自治体とも協力しながらというのは十分可能です。  単純労働という発想ではなくて、やっぱり難民の中には非常に優秀な方たくさんいらっしゃるので、そういったところも含めて新規産業をつくれるというチャンスだというふうに捉えてもいいかなと。具体例だけ一個申しますと、実はアラビア語が堪能で英語ができる人は少ないので、シリア難民の英語ができる難民を受け入れつつも、日本の農産物をアラブ圏に売り込む会社をつくってはどうかというふうに実は地元では提案しております。TPPの機運がなくなったのでちょっと流れ的に押される追い風はないんですけれども、でもいずれそういうことは必要かなというふうに思っています。
  109. 糸数慶子

    糸数慶子君 ありがとうございました。  私の質問の時間はこれで終わりますけれども、本当に示唆に富んだすばらしい今日はことを勉強させていただいたと思います。今後の活動参考にさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。終わります。
  110. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 他に御発言もないようでございますので、本日の質疑はこの程度といたします。  一言御挨拶を申し上げます。  参考人の三人の先生方、長時間、誠にありがとうございました。大変貴重な御意見を頂戴いたしました。これからの調査参考にさせていただきたいと存じます。ますますの御活躍を祈念申し上げております。ありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十二分散会