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2017-04-13 第193回国会 参議院 厚生労働委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年四月十三日(木曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員の異動  四月十三日     辞任         補欠選任      太田 房江君     和田 政宗君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         羽生田 俊君     理 事                 島村  大君                 そのだ修光君                 高階恵美子君                 足立 信也君                 山本 香苗君     委 員                 石井みどり君                 小川 克巳君                 太田 房江君                 木村 義雄君                 自見はなこ君                 馬場 成志君                 藤井 基之君                三原じゅん子君                 宮島 喜文君                 和田 政宗君                 石橋 通宏君                 川合 孝典君                 川田 龍平君                 牧山ひろえ君                 熊野 正士君                 谷合 正明君                 倉林 明子君                 片山 大介君                 福島みずほ君                薬師寺みちよ君    国務大臣        厚生労働大臣   塩崎 恭久君    副大臣        厚生労働大臣  橋本  岳君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       堀内 詔子君    事務局側        常任委員会専門        員        吉岡 成子君    政府参考人        警察庁長官官房        審議官      小田部耕治君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    堀江  裕君        厚生労働省保険        局長       鈴木 康裕君    参考人        成城大学法学部        教授       山本 輝之君        公益社団法人日        本精神保健福祉        士協会会長   田村 綾子君        滋賀県立精神保        健福祉センター        所長       辻本 哲士君        全国精神病」        者集団運営委員  桐原 尚之君        東京アドヴォカ        シー法律事務所        所長        弁護士      池原 毅和君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出) ○政府参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、五名の参考人から御意見を伺います。  御出席いただいております参考人は、成城大学法学部教授山本輝之君、公益社団法人日本精神保健福祉士協会会長田村綾子君、滋賀県立精神保健福祉センター所長辻本哲士君、全国精神病者集団運営委員桐原尚之君及び東京アドヴォカシー法律事務所所長弁護士池原毅和君でございます。  この際、参考人皆様方に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。  参考人皆様方から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案審査参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  次に、議事の進め方でございますが、まず、参考人皆様からお一人十分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、参考人質疑者共に発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず山本参考人にお願いいたします。山本参考人
  3. 山本輝之

    参考人山本輝之君) それでは、私から意見陳述させていただきます。  私は、相模原市の障害者支援施設における事件検証及び再発防止策検討チーム、以下検証検討チームというふうに略させていただきますが、その座長及びこれからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会座長代理といたしまして、関わった者といたしまして、今回の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案に賛成する立場意見を述べさせていただきます。  まず、本法案の柱の一つは、措置入院から退院した患者に対する継続的な医療その他の支援を充実させるということを制度化するものでございまして、この点は、私が座長を務めました検証検討チームにおける現行制度に関する検証において明らかになった課題への対応を図るものであるというふうに受け止めております。  すなわち、現行法におきましても、第四十七条は、都道府県保健所設置市などの保健所を設置する自治体は、精神保健福祉相談員都道府県知事などが指定した医師をして必要に応じて措置入院者退院後の相談指導などをさせなければならないというふうに定めております。しかし、これは一般的な義務を定めたものにとどまりまして、実際の取組につきましては各自治体に委ねられており、制度化はされていなかったということでございます。この点が現行制度における大きな課題であったというふうに考えることができるように思われます。  そこで、今回の法改正は、こうした現行制度上の課題に対する対応として、措置入院者退院後に継続的な医療などの援助支援を確実に受けられ、社会復帰につながるよう、地方公共団体退院後の支援を行う仕組みを整備するということを制度化したものでございます。すなわち、法案では、措置入院者退院後における社会復帰促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な医療その他の援助を適切かつ円滑に受けることができるようにするという観点から、第四十七条の二に基づきまして、入院措置を行った都道府県、政令市が、患者入院中から通院先医療機関などと協議の上、退院支援計画作成し、退院後の医療その他の援助内容援助を行う期間について計画上明示すると、そして退院後は患者帰住先保健所設置自治体がこの退院支援計画に基づきまして相談指導などを行うということを制度化したものでございます。また、その作成した計画につきましては、支援対象となる患者本人にその内容を交付するということも定められているところでございます。  私は、検証検討チームにおける検討過程で、兵庫県における措置入院者退院支援取組についても視察させていただきました。そこでは、保健所を中心とした医療などの継続的な支援ということが行われておりまして、そのことによって措置入院から退院した方の症状の再度の増悪や医療中断を防ぐ効果もあるということを伺いました。このようなことから、私個人といたしましては、このような取組精神保健福祉法上に制度化するという今回の法案内容というものは大きな意義があるものというふうに考えております。  もっとも、このような法案の趣旨に対しましては、支援に名を借りた監視制度を創設するものではないかという御批判、御懸念があることは承知しております。  しかし、以上のように、今回の法改正というものは、従来から定められておりました都道府県知事などによる退院後の相談指導などというものをより具体的に制度化し、措置入院から退院した後の患者に対して医療などの継続的な支援を充実させ、患者地域において孤立することなく安心して暮らせるための制度を創設しようとするものでございます。したがって、そのような御批判というものは制度内容を誤解したというものでございまして、当たらないものであるというふうに考えております。  また、今回の法案におきましては、患者退院支援計画に従うことを義務付けてはおりません。つまり、退院後の支援計画を強制するものではないということでございます。  また、これは当然のことでございますが、退院後、医療などの継続的な支援を行うに当たっては、患者本人家族の意向を踏まえるということが極めて重要なことでございます。そのため、今回の法案では、退院後の支援計画作成に当たって、患者本人家族も参加する精神障害者支援地域協議会協議し、計画内容やその必要性について、患者本人家族に理解を求めるということになっております。このような点からも、先ほど申し上げました支援に名を借りた監視制度を創設するものではないかという御批判は当たらないものというふうに考えております。  今後の国会における法案審議過程で、こうした誤解や御懸念が払拭されることを切に望んでいるところでございます。  また、今回の法案におきましては精神保健指定医制度見直しを図るということも盛り込まれておりますが、これも、問題になりました精神保健指定医指定不正取得再発防止を図るという観点から、意義のある重要な法改正であるというふうに認識しております。  さらには、今回の法案には、医療保護入院入院手続につきましても見直しが行われまして、市町村長同意により医療保護入院が可能となる場合といたしまして、現行法における患者家族などがいない場合などに加えて、家族などが同意、不同意意思表示を行わない場合を付け加えるという改正も盛り込まれております。この点も、医療が必要な患者を速やかに医療に結び付けるという観点から、極めて重要で意義のあるものであるというふうに考えております。  私からの意見陳述は以上でございます。
  4. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) ありがとうございました。  次に、田村参考人にお願いいたします。田村参考人
  5. 田村綾子

    参考人田村綾子君) 日本精神保健福祉士協会の副会長田村綾子と申します。よろしくお願いいたします。  初めに、短く自己紹介をさせていただきます。  私は、現在は聖学院大学人間福祉学部人間福祉学科におきまして精神保健福祉士等の養成に携わっております。その以前は、神奈川県内精神科病院で、精神科ソーシャルワーカー、後に精神保健福祉士として十六年間勤務しておりました。その病院では、措置入院の方、医療保護入院の方、あるいは医療観察法での鑑定入院の方などもお引き受けしておりましたので、そういった方々への支援の経験を有しております。  また、私どもの所属しております日本精神保健福祉士協会は、全国に約一万一千人の精神保健福祉士が加盟している団体であります。その多くは、医療機関ですとか地域福祉事業所、また行政機関等におきまして、日々精神障害のある方々への支援に携わっております。  その立場から、本日は精神保健福祉法改正案に関する意見を述べさせていただきたいというふうに思っております。  まず、今回の法改正ですけれども、そもそも二十五年にこの法改正が行われたときに三年後の見直しということが最初から予定されておりましたので、その方針にのっとって検討されてきたものというふうに理解しております。  その二十五年の改正のときには、平成二十二年、障がい者制度改革推進会議が設置されまして、そこで障害者権利条約批准等の兼ね合いも含めて非自発的入院強制入院在り方等についても検討がなされてきたところかと思います。このときにも既に措置入院制度課題というのは現に表現されていたと思いますが、前回の改正におきましては、保護者制度見直しですとか、そのことに付随する医療保護入院改正の方にどちらかというと論点が置かれた関係で、措置入院に関しては当時は置き去りにされたということではないかというふうに思っております。  今回の改正におきまして、国や地方自治体責任が明確に示されたこと、これは評価できることだというふうに考えております。この点に関しましては、特に措置入院というのは、都道府県知事あるいは政令指定都市の長の命令による強制的な入院ということになりますので、その意味では、本来的には都道府県立あるいは政令指定市立病院において医療が提供されるべきであるところを、多数の民間病院に一部委託する形で措置制度が行われているということにもう少し目を向ける必要があるのではないかと考えます。そのことからいいますと、今回、指定医見直しが行われることは妥当だと思いますが、それ以外にも、実際には指定入院医療機関要件等についても再検討をされる必要があるのではないかというふうに考えます。ですので、今回の法改正の後も継続的に、措置入院制度のありようについて、国はきちんと実態把握をした上で、その後の更なる改正に向かっていただきたいというふうに考えております。  また、措置入院制度のことに関しては、少し前の時点、例えば二〇一〇年度の時点でも、措置入院方々のその後の調査というのが厚生労働研究で行われています。その中では、措置入院した方がそれ以前にその他の形で精神科医療の利用をしていた方が多いという結果も出ていますけれども、要するに、これは以前に精神科治療ですとか保健福祉支援対象であった方が、十分な支援がなされなかったために再度あるいは初めて措置入院になってしまった方というのもいらっしゃるということかもしれません。そういうことから考えますと、措置入院制度に限って今回は退院支援計画を立てるという形になっていますが、全入院患者さんに対してこれはきちんと行うべきものではないかというふうに私どもは考えております。  今回、このように措置入院のことに関連して法改正が非常に大きく動くことになったのは、相模原事件きっかけになっているというふうに思います。この間、多くの方々が御発言なさっていますし、私ども協会でも何度か見解や要望などを出させていただいていますが、精神障害の有無と事件との間に因果関係があるかどうかが分からない中でのこの間の検討、そして今回の法改正の提案ということに関しては、これはやはり道筋が違ったのではないかというふうに本協会は考えているところです。また、今回の事件きっかけにしなければ措置制度のずさんさが把握できなかったということにつきましても、これ自体がそもそも問題なのではないかというふうに考えます。今後は、実態把握をきちんとしていただくことが大事ではないかというふうに考える次第です。  それから、医療在り方ということになりますけれども措置入院患者さんは、実際には、措置指定入院機関において、その他の入院制度によって入院していらっしゃる方々と同じ病棟で同じような治療を受けることになります。ですので、その中で措置入院の方だけに手厚い支援を実行するというのは実際にはかなり医療機関においても労力を使うことになりますし、それを可能とするためにはそれ以外の精神医療全体の質の向上というものが求められるのではないかというふうに考えております。  現在、厚労省では、ガイドライン作成によって、精神科医療機関において診療ガイドライン等が作られる予定になっているかと思いますけれども、これらは措置入院制度入院患者さんに限らないところで広く運用されるようなものになっていくことを期待したいというふうに思います。  その中ではチームアプローチということが非常に重要になってまいりますし、退院後の支援ということを考えますと、地域で孤立した生活にならないように支えるためには医療だけでは十分とは言えないというふうに考えます。といいますのは、医療というのは当然病気治療ですとかその後の健康な生活というものを支援するものになりますけれども、人の幸せというのは、健康であればいいとか、病気が再発しなければいいというものではないと思います。その方がどんな暮らしをしたいかということや、何を好んでいて、どんなふうに自分らしく生きたいかということをきちんと聞くことから支援が具体的になっていくものであります。  私たち精神保健福祉士は、精神障害のある方々自己決定の尊重ということを第一に大切に考えています。ですので、退院支援計画作成におきましても、必ず御本人意思、御本人の希望というものをまず最初に確認し、それを実現するためにどのような支援をしていくことがよいのかという順序で考えていくことが必要だというふうに捉えております。  そのような支援を組み立てていくことができれば、御本人の方から支援を拒否するとか、こちらが提案した支援を受け入れないというときには、当然すり合わせが必要になります。そういうことを丁寧に行う、またそのマネジメントを行うためには専門職の配置ということが不可欠になります。今回、保健所設置自治体においてこのマネジメントをやられるということであれば、そこにはきちんと専門的な知識、技術を持った人を配置していただきたいというふうに考えております。また、そうしたことに関しても、自治体が中には民間医療機関等に委託することがあるかもしれないということを聞いておりますけれども、そこは安易な委託ということに至らないように、是非自治体責任においてきちんとしていただきたいというふうに考えております。  それからもう一つ、ちょっと時間がないので少し省略させていただきますけれどもグレーゾーンというお話が出てきていたかと思います。  警察の関与ということも含めてですけれども、実際に現場においては、これは本当に精神科医療が必要なんだろうか、それとももしかすると教育訓練、あるいは罰を与えてきちんと反省していただく、そしてそこから更生していっていただくことが必要なんだろうかということが悩ましい方に出会うことは多々あります。そのような方々を目にしたときに、警察官方々も実際に現場でお困りだと思うんですね。一方で、そういった方々を連れてこられた医療機関の方も、短時間の措置診察の中でそれが実際に強制的な医療が必要かどうかを判断するというのは本当に難しいことだと思います。ですので、指定医先生方の力量の向上というのは当然必要ですけれども、それだけに責任を負わせるのではなくて、警察方々とともに考えていくということは欠かせないと思います。そういう意味で、調整会議の、代表者会議警察官が入っていただくということや、地域会議でも警察官協議するということは必要だと思うのですけれども、個別の事例に関して、この場合は警察官を呼ぼうという判断にはしていただきたくないというふうに考えています。  まずは、精神障害というものをどういうふうに捉えていくのかとか、それから、社会の安定、安全を守るためにどういう仕組みが必要なのかということについて、この精神保健福祉法という法律の中だけではない枠組みにおいて検討していただきたいというふうに考えます。その点が相模原事件検証チームにおいては残念ながら、山本先生をお隣にして大変申し訳ないんですけれども、ちょっと残念だったところがあるのではないかというふうに思っておりまして、できることならば再度こういった検証について行っていただきたいというふうに考えております。  時間が来ましたので、済みません、一旦ここまでにさせていただきます。  ありがとうございました。
  6. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) ありがとうございました。  次に、辻本参考人にお願いいたします。辻本参考人
  7. 辻本哲士

    参考人辻本哲士君) 本日はこのような機会をいただきまして、ありがとうございます。辻本です。  基本的に、この配付している資料の一枚目、二枚目を御覧ください。後ろに説明の根拠となっている数字やポンチ絵、報告書その他の資料が付けられています。  まず、私の立場ですが、精神医療センター、百二十床の県立精神科病院に勤務している普通の臨床精神科医です。週二回の外来と月二回の当直をしております。  精神保健福祉センター地域精神保健福祉の中核となる公的機関所長をしています。滋賀県のセンターでは、精神保健相談自殺対策、引きこもり対策知的障害相談啓発活動精神障害者手帳通院公費負担精神医療審査会、最近では、依存症対策長期在院患者地域移行支援、災害時心のケア等を行い、さらに精神科救急情報センターの業務を担っています。正規職員は二十一人で、保健師精神保健福祉士臨床心理士、事務職その他、多職種で、医者は私一人です。全国精神保健福祉センター長会に所属し、全国センター長情報交換をしております。  精神科医の私が、医療保健福祉、両方の領域、プラス県行政で活動している理由は、精神障害患者支援には、医療、診断や薬物療法、精神療法、カウンセリングなどの治療だけでなく、保健福祉、人の関わりで健康を保ち、障害を補うことが重要だと考えているからです。そういう立場にある精神科医意見としてお聞きください。  措置入院患者フォローアップ精神科救急改正概要二を御覧ください。措置入院患者退院後に医療等の継続的な支援を確実に受けられる仕組みの整備、いわゆる措置入院患者フォローアップについてです。  滋賀県では、数年前からモデル事業として、措置入院患者フォローアップ体制を取っております。まだまだ不完全、不十分ではありますが、今回の法律案に近いシステムだと思っています。ただ、事業を始めた経緯は、相模原の不幸な事件きっかけにした成り立ちとは異なっています。精神科救急システムとリンクして、精神障害者地域支援の視点で始まっているのです。  少し精神科救急の話をします。一般科では、例えば急な頭痛や腹痛で病院を緊急受診したいとき、全国どこでも電話で一一九番ダイヤルすれば、救急車が来て適切な救急病院まで運んでくれ、診察が受けられます。精神科では、急な精神不調が起こったときにどうするのか。これは、この対応は各自治体によって違います。滋賀県では、警察が介入せざるを得ないほどの精神障害のために自傷他害のおそれがある精神不調に対し、措置緊急措置制度を活用して対応しています。警察等で保護された事例のところに行政職員が出向いていって、適切な調査を行い、必要に応じて警察等と連携を取りながら、協力いただいている民間公的精神科医療機関に搬送し、精神科診療を受けてもらっています。防犯ではなく、心病む精神障害者に一刻も早く適切な精神医療を受けてもらう目的で行っています。  措置緊急措置対応は、平日昼間は保健所が、夜間、休日は救急情報センターが受け持ち、精神保健福祉センター保健所職員が泊まり込むなどして二十四時間三百六十五日対応しております。平成二十八年度の実績ですが、措置緊急措置申請件数は二百二十九件、そのうち警察官通報は百五十七件、うち救急情報センター職員調査の上、措置緊急措置診察になった事例数は九十五件、措置緊急措置入院となった事例数は六十三件となります。  さて、精神科救急システム平成二十一年から運用しているんですが、困ったことが起きます。措置緊急措置入院を繰り返す事例があるのです。精神科救急として措置緊急措置入院をしてもらっても、知らない間に退院して、また警察官通報が出て精神科救急システムに乗ってくる、入退院を繰り返す人が少なからずおられるのです。治療中断例が三七%、五回以上入院している事例も散見されました。退院しても、それからの日常の地域生活を応援していかないと病状悪化を来し救急化してしまう。言い方が悪いかもしれませんが、火消しばかりではなく、予防しないと患者のQOLは保たれないということが分かってきたのです。  このような背景から、滋賀県では、精神保健福祉センター保健所が協力して、措置入院患者フォローアップ体制をつくりました。今回の法改正案で想定される措置緊急措置患者に対し、入院中に保健所等を中心として関係機関が協議し、退院後も患者支援を受けられることのできる体制は、このように地域援助ニーズから自然発生的に生まれました。  夜間、休日の救急情報センターの当番職員として勤務している保健所保健師が、精神科救急による措置緊急措置対応精神科病院入院時に患者と関わり、その患者退院してからも保健所職員立場で継続的に地域支援していることもしばしばあります。平成二十八年度の実績ですが、全ての措置入院患者五十九人のうち、入院中に精神保健福祉センター保健所が何らかの関与、支援した患者は五十四人、九一・五%でした。  今回の法改正が進まなくても、滋賀県の現場スタッフは措置入院患者フォローアップ体制を続けます。精神科救急退院後の地域支援は車の両輪の関係にあると考えているからです。どちらが欠けても地域精神保健医療福祉は前進しません。今回の法改正で、国としてより良い仕組みが整備されることを期待します。  精神障害者の孤立を防ぐ。改正概要三、精神障害者支援地域協議会の設置についてです。  なぜ措置緊急措置入院を繰り返す患者がいるのか。精神障害者病状悪化は、医学的要因だけではなく、社会的要因が大きいからです。生活困窮、就労、高齢・介護、教育、住居その他、様々のストレスが誘因となって精神不調を来し、治療を中断、誰にも相談しなくなって更に病状が悪化、自傷他害行為を起こしてしまう。孤立から精神不調を悪化させるパターンは、自殺、依存症、引きこもり、災害時のメンタル不調でも同様に起こり、精神障害全般で認められます。措置入院を繰り返す人は医療だけでなく社会からも疎外されていく、措置症状を出さざるを得なくなるのは社会からの孤立に対するSOSでもあります。  患者が誰かと相談できる孤立しない体制づくり、これは精神科医療だけではできません。また、ストレスを生む社会問題に対し、精神科の薬やカウンセリングは必ずしも有効ではありません。医療機関だけでなく、様々な地域関係機関が連携、協力して、継続して援助することが重要になります。  今回の法改正における精神障害者支援地域協議会の設置は、後で述べる精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築の基盤にもなります。協議会の活用は、措置入院患者退院支援にとどまらず、広く全ての精神障害者社会復帰、自立、社会経済活動の参加につながると思っております。  精神保健指定医精神保健福祉指定医としての視点を。改正概要四、精神保健指定医制度見直しについてです。  臨床の精神科医として、指定医の資質向上は最重要だと思います。さらに、今までお話ししてきたように、精神科医精神障害患者と接するには、医療保健福祉、両方の視点が必要です。入院医療中心から地域生活中心へと、精神保健福祉施策の基本的方策が出されて十年たちましたが、現場では精神科医療地域精神保健福祉はまだまだうまく連携できていません。医療保健福祉も車の両輪の関係にあります。どちらが欠けてもうまくいきません。  今回の改正見直しで、厚生労働省令で定めるところにより行う研修で、精神科医に精神医学とともに地域保健福祉や人権擁護、公務員職務等に関する知識や技能が実務経験の中で身に付くことと確信しています。精神保健福祉指定医といった役割を担っていただけると有り難いです。  精神保健医療福祉地域包括ケアシステム、我が事・丸ごと、いい町づくり。  これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会で、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築が報告されています。これは、厚生省社会・援護局から出されている我が事・丸ごとの地域づくり、地域共生社会の実現にも関連しています。今回の法律は、精神障害者にとってもいい町づくりをもたらしてくれる、そういった法律の進展だと思っております。  課題です。  充実した体制を取るためには、医療にも保健福祉精神保健福祉センター保健所地域関係機関にも十分な予算と人員が必要です。体制整備にも時間が掛かります。医療保健福祉地域差も大きな課題です。拙速に進めることは事務処理だけが増え、かえって地域支援が形骸化し、地域差が拡大することになります。十分な検討が必要です。  以上です。
  8. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) ありがとうございました。  次に、桐原参考人にお願いいたします。桐原参考人
  9. 桐原尚之

    参考人桐原尚之君) 全国精神病者集団運営委員桐原です。本日はありがとうございます。  全国精神病」者集団は、一九七四年に結成した精神障害者の個人及び団体で構成される全国組織です。精神保健福祉法精神障害者への強制的なものを含む入退院手続を定めた法律であり、私たち精神障害者生活に大きく関わるものとして強い関心を持ってまいりました。精神保健福祉法の手続に基づき入院したり退院したりする当事者は精神障害者だけです。そのため、精神保健福祉法改正に当たっては、精神障害当事者の声を聞き、尊重してほしいと思っています。よろしくお願いします。  精神障害者の中には、強制的に入院され、数十年にわたって劣悪な処遇の精神科病院入院している仲間が全国各地にたくさんいます。石郷岡病院での事件は記憶に新しいと思います。法律は人の人生に大きな被害をもたらすことがあります。そのため、私たちは、結成当初から精神保健福祉法、当時は精神衛生法、それ自体の廃止を求めて運動をしてきました。  非自発的入院の廃止の主張は、世界に精神障害者の運動で共通しており、私たちのことを私たち抜きで決めるなの精神を反映してできた障害者権利条約の要請するところと一致しています。障害者権利条約第十四条は、障害を理由とした人身の自由の剥奪を禁止しており、精神障害者であることを要件とした非自発的入院制度障害者権利条約に違反すると指摘されています。  しかし、これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会では、障害者権利条約の趣旨や整合性を確認するための検討が一切なされませんでした。また、障害者権利条約では、障害当事者の政策の決定過程からの参画を求めています。しかし、精神障害当事者が少なく、障害当事者の声はほとんど反映されることはありませんでした。  相模原事件の月命日は全国各地で障害者団体による集会が持たれ、相模原事件は差別と優生思想の問題であり、措置入院の問題ではないという主張が確認されてきました。しかし、この改正法案は、そうした障害者の声と真逆の方向を示していると考えます。本日、追加資料でお渡ししたんですけれども、各地で集会されたリストを挟みました。  改正法案は、相模原市の障害者支援施設事件再発防止改正の趣旨であるとされています。この間の塩崎大臣の答弁では、相模原事件再発防止は目的ではなく、相模原事件再発防止を契機に発見された課題見直したものと答弁されていましたが、文字の配列を変えただけ、つじつま合わせなのではないかと、そういうふうに感じました。一般の国民が納得いく説明とは思えませんでした。  おととし、私の同郷の友人が神奈川県下の精神科病院警察官通報措置入院になり、入院後五日目にして身体拘束中に死亡しました。彼は、面会に来た母親に対して、今すぐ退院させてくれないと殺されてしまうというふうに叫んで訴えました。これは前日訴えたんです。精神科病院において、こうした事件というのは比較的頻繁に起きています。  本改正では、相模原事件再発防止策として、措置入院者退院支援というのが規定されました。措置入院者に対して、原則として、入院中から警察関係者を構成員として想定した精神障害者支援地域協議会の関与の下、退院支援計画作成する制度が新設されます。これは兵庫県の継続支援チームなどをモデルにしたと思われますが、継続支援チームの介入をストレスに感じて再発した人や、たまたま評判の悪い病院に輪番で、精神科救急の当番であったため入院し、そのまま当該病院への通院を強いられて体調を崩した例などを仲間を通じて知りました。やはり、退院フォローアップ、兵庫県のものは犯罪防止というような部分から出てきたような側面があります。実際の生活場面でも、精神障害者にとって日常生活の重圧になっている点で問題があると思います。  厚生労働省は改正法案監視ではないと言いますが、現行精神保健福祉法の運用自体が既に社会防衛的であり、監視的な側面を持っていると思います。なので、より監視的になるという意味で、精神障害当事者の多くは措置入院者退院支援を恐れています。措置入院になったらグレーゾーンと診断されて無期限に監視されるかもしれない、そうならないためにも、措置入院になる前に家族等に医療保護入院にしてもらおうかということを相談しておこうとか、そうすれば措置入院だけは回避できると、そういった形で、退院支援に乗らないための具体的な方策が障害者団体員の中で話し合われたりしています。  退院支援計画は、必要に応じて本人を参加させ、極力本人が決定に携われるようにするという答弁がありましたけれども、そもそも無理やり措置入院にされた後、精神障害者は、自分の決定を大きく否定、無力化されているわけですから、退院後の計画について真に自由意思に基づいて同意できるような状態ではなくなっています。第一、退院後のこと自体が分からないし、何で計画を立てるのかも分からない。私たちに必要な支援は、こうした、決定はできないという状態からの権利の回復をするためのものでなければならないというふうに思います。  私たちは、最低でも、支援と名を打つのであれば、退院支援計画本人の参加を原則とすること、計画期間に上限を設けて、周期を自分で決められるようにすること、それから、精神障害者支援地域協議会警察関係者が入らないようにすることが必要だと思います。私は、たとえ自殺防止のためであっても、警察官には見回りに来てほしくないと思っています。  措置入院者退院支援の立法事実は、相模原事件再発防止において発見された制度的不備とされています。しかし、現時点で容疑者の行為と疾病の因果関係で裁判は明らかにされてはおらず、鑑定留置の結果では責任能力ありとされました。この事件は、警察が初動で施設側に犯行手順の書かれた容疑者の手紙を見せなかったために施設側の警備意識が高められず引き起こされた事件という側面があり、それが容疑者に措置入院歴があったことが報道されたことで、精神障害の問題にすり替えられたものだというふうに思っています。  また、精神障害者の問題にすり替えられた原因は、措置入院という制度の構造に内在した問題に由来しているのではないかと思います。未来予測は科学をもってしても不可能な領域とされていますが、措置入院は、精神保健指定医がおそれを認められると仮定して成り立っています。それでも、完全に他害を防ぐことというのはできないわけですから、他害等が起きたとき、未来予測が可能であるという建前に立脚してしまった、その上での責任というものが発生するため、なぜ防げなかったんだという論点が生起してしまいます。この連鎖を断ち切るためにも、精神障害者に対する非自発的入院の廃止に向けた抜本的な見直しが不可欠ではないかというふうに思います。  私は、精神障害当事者として、精神障害を理由とした非自発的入院それから行動制限、これは隔離、身体拘束が含まれますけれども、特に身体拘束というのは、されたら、とても人格を否定されたというような気持ちにさせられます。こういったものの廃止に向けた取組を求めるとともに、本改正法案に対しては審議を一から検討し直してほしいというふうに強く思っています。  少し時間が余りましたけれども、僕からはこれで陳述を終わりにさせていただきたいと思います。
  10. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) ありがとうございました。  次に、池原参考人にお願いいたします。池原参考人
  11. 池原毅和

    参考人池原毅和君) 私からは五点申し上げたいと思います。お手元にA4三枚の精神保健福祉法改正についてと題する書面がありますので、お目通しいただきながらお聞きくださればと思います。  まず第一点目は、我が国の精神医療については国連から度重ねて改善を求められているという点であります。  その要点は、一つは、我が国の措置入院あるいは医療保護入院、両方ですけれども、要件が極めて広範である、つまり広過ぎるということですね。二点目は、諸外国に比べて強制入院が余りにも多用されている。これはOECD諸国の平均値の四倍の強制入院率というふうに言われています。三点目は、自由の剥奪を行っているにもかかわらず、弁護人に相当するような人権擁護者が法律上用意されていないと、この三点に集約されておりまして、自由権規約委員会からは一回、それから拷問等禁止委員会からは二回指摘を受けておりますが、その点についての改善がなされていません。  とりわけ、先生方はその措置入院対象になった人がどんな人たちかというイメージをお持ちか分からないんですけれども、日常的に我々が体験するところでは、例えば、DVがもめて、どちらかの配偶者が問題があるということで措置入院の通報をして措置入院になった事例とか、あるいは近隣迷惑が発展して措置入院になった事例などが日常的にはよく見られて、むしろ相模原事件のようなものは極めて例外的です。  さらに、先ほど精神科救急の話もありましたけれども精神科救急の代用として措置入院が使われている場合もあって、その場合には自傷他害の危険性というのがかなり低くても、例えば自閉が非常に長く続いているとか精神的に混迷しているとか、精神的な運動興奮状態にあるということで救急医療として措置入院が代用されているという場合もあります。つまり、これは要件が極めて広範なので様々な人が措置入院に流れ込んでくるということですね。その結果、今回の退院後のかぎ括弧付き支援ですけれども、それは、そうした雑多な人たちに全て無期限なフォローアップを行っていくという意味で大きな問題を残している。  国際的には、こうした強制入院は極小化していくべきだというのが大きな流れでありますし、国際人権規範の要請ですけれども、日本は残念ながら逆行しているというふうに言わざるを得ないと思います。  そして、平成二十五年の衆議院、参議院の両議院での精神保健福祉法改正についての附帯決議では、障害者権利条約の理念に基づいて具体的な法改正を行っていくということがされているわけですけれども、二ページ目を見ていただきますと、では、その障害者権利条約はどういうことを言っているかということで、既に御審議の中で何回か出ているようですけれども障害者権利条約十四条は、障害に基づく障害を理由とした自由の剥奪は許されないというふうに言っております。これについての解釈について、障害者権利委員会が十四条のガイドラインというのを提示しております。また、国連人権高等弁務官事務所もこの解釈を示しておりまして、その要点は、つまり、精神障害以外に自傷他害のおそれとか、あるいは医療必要性という要件が付加されても、やはり強制入院は許されないということを明確に宣言しております。  実は、これは権利条約の策定の過程で日本政府が精神障害のみを理由とした強制入院は許されないという規定にできないだろうかという提案をしたんですけれども、それが否定された結果、現在の規定になっています。つまり、それは、現在の規定というのは、明らかに自傷他害のおそれが加わってもやはり強制入院は許されないというのが十四条の趣旨であるという立場は明らかだということです。  二番目は、非自発的介入、強制入院を含めてですね、こうしたものが反治療的作用を持っているということです。  これも障害者権利委員会が国際的な常識として提示しているところですけれども、強制治療というのは効果がないということ、それが経験的に明らかにされているということと、強制治療の結果、深い苦痛とトラウマを患者に与えるということが指摘されています。  我々は、どちらかというと早期に強制的に医療の介入をすることがいいというふうに思ってしまいがちですけれども、これが患者さんには非常につらい経験になるということを無視してはいけないと思います。私の日常的な業務の経験でも、措置入院になった多くの方が、もう二度と精神科には行きたくないと、精神科のお医者さんはとんでもないというふうにおっしゃって、訴えたいという方はたくさんいらっしゃいます。  措置入院の経験者がなぜ医療中断をしてしまうのか。それについて、我々はともすると病識が乏しいからだというふうに考えてしまいがちですけれども、無理やりな強制的介入をした結果、かえって医療に対する敵対心とか反発心を深めてしまう、その結果、医療を受けることができなくなってしまうと、こういう反作用を持っているということについての視点が極めて重要だというふうに考えます。  三番目は、その通院を継続させるための措置が実際にはそれほど効果がないということですね。  これは国際的な研究で、裁判所の命令等によって通院を強制したグループとそれから自発的に通院をするという普通の一般的な医療との間で比較対照してみますと、その裁判所の命令で通院をしなければならないとされたグループの治療効果が特段認められないという実証的な結果が言われています。  確かに、今回の法改正で提案されている通院の継続というのは、法律的には義務ではないですけれども、しかし、措置入院という厳しい強制を受けた後に周囲の人から治療を継続するように事実上強制されるという結果になりますので、そうしたことをしてみたところで結果的にはほとんど効果が上がらないということです。  ちなみに、三ページ目を見ていただきますと、これは重大なことですけれども、心神喪失者等医療観察法、これは、強制入院の後に通院の義務付け化といいますか、通院の継続を確保する方法を定めているわけですけれども、この法律が施行されて十一年の間に五十二名の方が自殺をされています。  この五十二名というのは、自殺の、自死の意思が明らかである、遺書を書いているとか、あるいは自殺の方法が縊首、首をつって死んでいるとか、そういうことで自殺であることが明確な、しかも自殺が既遂の事例です。未遂の事例とか、あるいは自死の意思が明確でないものとか、あるいは自殺行為から死亡までの間に時間の経過があって因果関係が明確でないものというのは、この五十二名からは除かれています。  ですから、かなり正確ではあるけれども、もっと裾野の広い数字というふうに考えなければなりませんけれども、これを今までに医療観察法入院又は通院の処遇を受けた人の総数から算出しますと、自殺率が一・五六%ということになります。下の方の注を見ていただきますと、これは新潟県での調査ですけれども、一般の精神医療を受けた方の自殺率というのが一%を超えるということはないわけですね、〇・数%です。ですから、際立った数字になっている。  これはどういうことを意味しているかというと、強制的な医療ということが非常に強い反作用を持っていると。患者の心に深い傷を負わせたり、自尊心を傷つけると、そのことが自殺を誘発するということが容易に想定されるわけです。この点についてはもっと調査が必要だと思いますけれども、安易に医療を強制していくということがいいことではないということに十分注意を払う必要があるということです。  四点目は、警察が関わることの問題点ですけれども一つ精神医療そのものにとってはどうかと。  これは、結局、精神障害者あるいは措置入院対象になった精神障害者は、ある種特別な処遇の対象にするということです。それは、逆に言えば、社会に対して精神障害者をあぶり出していくということですね。あるいは、措置入院対象になった人をあぶり出していくという結果になってしまう。少なくとも、ノーマライゼーションという考え方とは全く逆です。ノーマライゼーションというのは、みんな同じように取り扱っていきましょう、なるべく特殊化しないということですけど、今回の方法は特殊化していくという方法ですから、全く逆の方向を取っている。  それから、精神医療から考えると、グレーゾーンの人たちが医療ではなくて警察でやってくれるというのは、これは医療を純化するという意味では、つまり医療を治安化しないという意味ではいい面があるんですけれども、じゃ、グレーゾーンの人たちってどういう人たちなのかというと、書かれているところによると、確固たる意思を持って犯罪を行おうとしている状態であると。でも、これはまだ頭の中で考えているだけの状態ですよね。そうすると、これは変ですけれども、共謀罪以上に本人の内心の問題に介入していくということを認めるということになります。これは、それ自体、やはり刑事司法の中で重大な問題を引き起こすだろうというふうに私は考えております。  最後、五点目ですけれども、これは医療保護入院に関してですが、医療保護入院は、今回、もし家族等が意思を表明しない場合には市町村長同意でできるということになっているということですけれども、これは家族同意も含めてですが、果たして、こうした医師の判断以外に同意者を含めることが効果があるのかどうかということですね。  制度的には、要件が加わるので人権保障に資するように思います。しかし、ちょっと反省として振り返ってみますと、精神科の中で隔離、拘束を行うことを行動制限というんですけれども、行動制限が慎重に行われるようにするために、行動制限最小化委員会というのを設置するというのが二〇〇四年に定められました。ところが、皮肉なことに、それ以降、隔離、拘束数は急激に増大しているんですね。なぜだろうかと。それは、隔離、拘束を指定医の方が単独で決めなければいけないとすると自分には重い責任が掛かります。しかし、行動制限最小化委員会がオーケーをしてくれれば自分だけの責任ではないということになります。つまり、これは責任分散システムとしての効果を持つことになるわけですね。  ですから、家族同意とか市町村同意を入れることは、一見すると人権保障に資するように見えますけれども、結果的にはむしろ人権を制約する方向に働いてしまう。更に言うと、ある調査では、市町村長同意やったときに、市町村の職員患者さんに会いに行っているか調べると、ほとんど会いに行っていません。入院後面会に行っているか、一年に一回会いに行っているのがせいぜい、行っていないという自治体もたくさんあります。つまり、これは単なる書面上の処理に終わってしまうということになるので、この点についても十分御配慮をいただきたいと思います。  以上です。ありがとうございます。
  12. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  13. 高階恵美子

    高階恵美子君 自民党の高階恵美子です。  参考人皆様、今日は、お忙しい中をお運びいただき、貴重な御意見を賜りました。誠にありがとうございます。  私は、地域精神保健活動というのは、健康生活を送る上で必要な支援に軸足があって、そして犯罪とは一線画すものであるということをまず明確にしたいと思います。そして、全ての入院及び医療というのは、適切な説明とそして本人同意に基づいて提供される、これが前提であるというふうに思っています。その上で、今日は皆様に御意見を伺いたいと思います。  まずは、入院医療についてなんですが、できれば山本先生からは学識のお立場から、そして桐原参考人からは当事者としてお答えいただければ有り難いなというふうに思うんですが、病のために意思表示あるいは治療の選択が難しい状況にある場合、御本人を守ってそして適切な医療サービスを受けていただくために、精神科領域では指定医による判断を基にした入院加療が法定化されているという状況にあります。特に現場では、やむなく措置入院となった方について、一日も早く措置解除に向かい、そして社会復帰へ、こういった思いの中で様々なケアというのが工夫されているというのが多いというふうに私は思いたいし、思っています。  こうした中でポイントとなるのは、今回の改正医療を受ける方々の尊厳が守られるような形に本当になっているのかどうかということと、それから、やむなく措置入院となった方々退院に向けた優しい支援というのが本当に実効性を持って用意できるのかどうかということにあるんじゃないかなというふうに思っています。  私は、特に退院調整という、現行の一般的な医療機関の中では既に加算ということで認められているもの、これが精神科領域の場合には少し置かれ方が違っているところに関心がありまして、例えば、入院期間が五年を超えるケースへの支援であるとか、あるいは一年を超える入院になると見込まれる方への相談調整というのは既に対応がされているわけなんですけれども、このところが今まではなかった。でも、今回の法改正では、措置入院ということに限って超早期の退院調整という仕組みを講じることになるというふうに思うんです。  非常に状態の不安定なとき、そして御自身でも入院の経緯とか当初の治療計画がどうであるかということが十分にのみ込めないような状況、あるいは特に初回の入院の方の場合は、先ほどお話があったように、強い不安とか不信感を感じやすい、疑念を持っておられる、こういう状況の中で支援を行っていくということになりますので、医療機関内にどういう人を配置し、そしてどういった処遇で、どういった陣容でこの支援というのを実効性のあるものに、御本人にとって有益なものにしていくことができ得るのか、具体的なアイデアというか、こんなことが欲しいというものがもしおありになりましたら、お伺いしたいと思います。
  14. 山本輝之

    参考人山本輝之君) ありがとうございます。  今回の改正におきましては、措置入院に関しましても病院管理者が退院生活環境相談員を選任するという規定を設けておりまして、これによって退院後に向けた生活環境の調整というものを責任を持って行うという体制が整えられるだろうというふうに考えております。  具体的にどういう職種の人ということにつきましては様々な場合があると思うんですけれども、一応、例えば精神保健福祉士の方とかあるいは保健師の方とか、あるいは看護師の方も必要かもしれません、そういう方が中心になってこの退院相談環境の整備ということを推し進めていくということが考えられるんじゃないだろうかというふうに思っております。
  15. 桐原尚之

    参考人桐原尚之君) 僕が病気になったときは十二歳のときで、そのときに初めて地元の精神保健福祉センターの診療所に通院したんですけれども、そのときは入院を勧められました。入院して良くなるとは限らないというふうに主治医に言われ、父は入院させた方がいいような悪いようなということで余り態度を決められなかったんですけど、母が猛烈に入院に反対したため、入院が見送られました。その後、特に良くなったわけではないんですけれども、五年が過ぎた段階でセルフ・ヘルプ・グループと関わるようになり、三か月ぐらいで今まで抱えていた症状が劇的になくなりました。で、今こうやっていろいろな活動ができるようになっています。  医療関係者が医療システムの中で精神障害者に関わるというだけではなく、もっといろんな地域の人が関われるような、そういったシステムに切り替えていく、医学モデルから社会モデルに切り替えていくことが必要ではないかなと思います。
  16. 高階恵美子

    高階恵美子君 ありがとうございます。同感です。  私は、一九八〇年代の真ん中辺くらいから九〇年代の前半、県の職員をしておりまして、宮城県の県内の保健所とか精神保健センターに勤務していました。そういう中で関わっていて非常に強く思っていたのは、精神障害方々って、端的に言うと愛すべき人たちというか、素直過ぎて傷つくことも多かったり、それから、状態が本当に悪いときのことを少し安定したときにお話をしていったり、並走型で一緒に暮らしていく隣にいる人たちなんだという感覚をいかに持っていくのかということが大事なんだということを教わったんですね。それは患者同士の支援もあるし、御家族等の関係もあるし、近隣の方とのつながりもある。そういう意味では、自助グループの活動というのは非常に有益だというふうに思います。  そして、今回は、特に入院早期のところの院内での体制を整えるというところが今までと違って少し手厚くなっているところだと思うので、精神医療の質の向上というか、そういったところをどういうふうにみんなで知恵を出して図っていくのかというのが、法律ができた後は最も重要になってくるかなという思いもするんです。  そういう意味でいいますと、田村参考人にお伺いできれば有り難いんですが、精神保健福祉士の活動というのは歴史を経て少しずつ社会にも浸透してきているかなと思うのですが、医療の場で精神保健福祉士配置加算というのが始まってまだそんなに全国に広く浸透はしていないかもしれないんですが、もしこのかさ上げが今回その先の同時改定で行われるとすれば、どういったようなことを希望されるかというか、もし具体的なアイデアとか提案があれば最後にお伺いしたいと思います。
  17. 田村綾子

    参考人田村綾子君) 機会をいただきましてありがとうございます。  精神保健福祉士は、医療現場におきましても、その方の地域生活をどのように支援していくかという発想で支援に携わっていきます。そうなりますと、画一的な関わりというのは非常に難しくて、お一人お一人の、今先生おっしゃられましたように、伴走しながら考えていくということが大切だというふうに思います。そうしますと、患者様何人に対して一人の精神保健福祉士を配置というような形で、出来高というよりも人数に対しての配置ということをまず基準に据えていただいて、どの患者さんに対しても精神保健福祉士相談にきちんと乗れるような、そういうまず人員的な配置ができるような加算をしていただきたいというふうに考えます。  あとは、その精神保健福祉士だけが支援をするわけではないので、実際にはチームで関わるということになりますから、そのチーム全体がどのように関わっていくかということにも合わせて、実際にはその医療機関の規模によったり、またチームの陣容のつくり方によっても多少変わってくるかと思うんですけれども、これだけの陣容をそろえている場合にはこれだけ大きい加算というふうな、何段階か踏むという方法もあるのではないかというふうに考えます。  あと、出来高ということもあるかと思うんですけれども、簡単に結果が出ない、例えば長期に入院していらっしゃる方の地域生活への移行となりますと、多様な資源を活用しなければなかなか実現に至らないということもありますので、退院できたら加算ということではなくて、そのプロセスに対して加算が付くような、そういう仕組みが構築していただけると有り難いというふうに考えております。
  18. 高階恵美子

    高階恵美子君 ありがとうございます。  長いお付き合いが必要ですよね。ですから、入退院も繰り返していいと思うんです、状態が不安定な時期ってありますし。そのことが問題なのではなくて、孤立してしまうこと、そして御本人の自尊心が傷つけられてしまうこと、これがやっぱり生活に復帰していくときに大きな障壁になってくると思うので、そこを払拭できるような医療の質の改善、そして地域精神保健の充実、私どもも知恵を出していきたいというふうに思います。  本日はありがとうございました。
  19. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 民進党・新緑風会の牧山ひろえです。よろしくお願いいたします。  参考人皆様方には、本日、大変ためになるお話ありがとうございました。  先ほどお話にありましたように、我が国の障害者施策の特徴としまして、当事者の参画が重視されない、あるいは、意見を述べる場があったとしてもなかなか取り上げられないという状況が指摘されております。当局の当事者を軽視するこの姿勢というのはどのような背景あるいは理由から出てくるのか、まさに当事者であられる桐原参考人と、「当事者中心の権利擁護のあり方」というテーマで論文をお書きになっておられる池原参考人にそれぞれお答えをいただければと思います。よろしくお願いいたします。
  20. 桐原尚之

    参考人桐原尚之君) 当事者参画というのは進んでいません。その中には三つの理由があると思っています。  一つ目は、精神障害者自身の社会的な地位に関する問題です。医師を頂点としたヒエラルキーの構造の中の恐らく一番下のそのまた更に下に精神障害者が置かれているのが現状ではないかと思います。  二つ目は、審議会等における構成員の精神障害者の人数、割合です。多勢に無勢といいましょうか、やはり医師が多くて、十何人というふうに入っていて、それに対して精神障害者の構成員が一人とか二人というのが現状です。  そして三つ目は、障害者団体としての力、特に経済的な基盤というものが脆弱であり、そのため活動が難しくなっている、困難になっているという状況があります。職能団体とかの収入というのは、やっぱりその職の関わる収入で団体の活動、運営できる費用というのは得ているんですけれども、例えば我々の場合は、自分で働いたお金をそのまま活動費に充てて使ってこうやって出席したりとか意見を述べたりとかしなければならないという状態になっています。  これらが当事者中心というものをなかなか実現できていない原因になっていると思っています。
  21. 池原毅和

    参考人池原毅和君) ありがとうございます。  私も桐原参考人と基本は一緒ですけれども、一点だけ少し強調しておきたいのは、障害者権利条約が医学モデルから社会モデルへの転換を図っているということですね。  つまり、医学モデルの下では精神障害者というのは患者であって医療対象であると、だから主体にはなり得ないわけですね。あるいは、これは長いこと福祉の世界でもやはり福祉サービスの対象者であって主体ではないという捉え方をされてきてしまいました。しかし、障害者権利条約はその考え方を逆転して、むしろこうした人たちが社会の中でなぜ生きづらいということが起こるのかというと、それは社会の側に問題があるんだと、社会を変えていくことが必要なのだというのが最大のメッセージです。  ですから、そうなれば、更に言うと、障害者権利条約は、例えば精神障害を持っていることも人間の多様性の一部として尊重しなければならないと、さらに、障害者権利条約十七条は、心身がそのままの状態で尊重される権利と、つまり精神障害を持っているということそのもの自体を尊重される権利ということまで保障しているわけですね。  こうした観点からすると、当然、私たちと同じ社会の一員であるということになるわけで、こうした発想の転換というのがまだ私たちはできていないと。やはり、例えば措置入院をやっていくというのは、これはやっぱり治していかなきゃいけないという、つまり対象者なわけで、決して主体にはならないと。その辺りの発想の逆転というのが、世界ではもう既にできているわけですけれども、残念ながら日本はまだ立ち遅れているということだと思います。
  22. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 ありがとうございます。  今回の相模原障害者支援施設における殺傷事件きっかけとした精神保健福祉法改正を始めとしました当局の取組の方向性は、共生社会の理念と逆行していると思います。障害者に対する偏見又は差別を助長するおそれがあるのではないかと懸念しております。  桐原参考人に、相模原事件後にお感じになっていらっしゃる当事者としての危機意識、あるいは障害者の方に具体的なマイナスが生じた実例があれば御教示いただければと思います。
  23. 桐原尚之

    参考人桐原尚之君) ありがとうございます。  私どもが把握している限りでも、職の内定が取消しにされたとか、そういった相談が複数件ありました。  私たちがなぜこうやって活動をしているかというと、精神医療に実際にかかって、少なからず良くないというか悪い経験をしているからなんです。退院支援に対する不安というのは大きくて、特に警察官の関与に関しては、どのような言葉を尽くして説明があっても、その不安というものは払拭されるものではありません。精神医療にかかって良くない経験というものをしてきたその背景には、良くなりますよというような説明を受けて、それで信じて実際は違ったということを何度も経験しているからです。  そういったことがあります。
  24. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 ありがとうございます。  最近の状況で具体的なマイナスが生じているということがよく分かりました。ありがとうございます。  今回の相模原障害者施設殺傷事件再発防止として、それを立法事実として今回の精神保健福祉法改正が提起されておりますが、しかし、五か月間に及ぶ鑑定の結果、本年二月二十日に容疑者は刑事責任能力があるとの精神鑑定結果が出ております。そもそも今回の改正には立法事実がないのではないかという心配があります。  ただ、当局の姿勢だけではなくて、相模原障害者殺傷事件精神障害者によって引き起こされたという決め付けは世論の一部にも見受けられます。このような誤解に基づく論調が発生する原因について、田村参考人池原参考人、それぞれに御意見をお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。
  25. 田村綾子

    参考人田村綾子君) 精神保健福祉法改正につきましては、当初、平成二十五年の改正時点から三年後に見直しということで予定されていたものであったと思いますので、その点においては相模原事件がなくても法改正は必要だったというふうに考えています。  ただ、八月の初めに相模原再発防止検討チームが立ち上がり、その、言い方は悪いかもしれませんけれども、構成メンバーに偏りがあったのではないか。それは、事件の原因が措置入院後の支援が不十分だったからという予測の下に、確固たる証拠はないままの予測の下にそういった立ち上げになったこと自体が良くなかったのではないかというふうに考えております。  先ほど、これまでの審議をいろいろと伺っておりますと、あくまでも事件のことをきっかけとして精神障害のあるいは措置入院制度のことに光が当たり、そこに対して課題視することが可能になったというそういうお話もありますが、本来であれば、こういった事件がなくても非自発的入院在り方についてはきちんと考えることはそもそも必要だったというふうに考えています。  以上です。
  26. 池原毅和

    参考人池原毅和君) ありがとうございます。  立法事実がないという御指摘は非常に重要でありまして、少なくとも今回の相模原事件そのものについて、措置入院制度改正したからといって何かが改善できるというものではない、元々刑事的な対応をすべきだったということになると思います。  さらにもう一点ですけれども、この相模原事件の最終の報告書、今回のこの白表紙の厚い資料ですと九十七ページですけれども、いろいろな自治体を調べてみたらば、相模原市と同様に、訪問指導等に関する意見とか障害福祉サービスの活用に関する意見について全体の二割ぐらいは空欄であったと、だからずさんだという指摘がされているんですが、しかし、その結果、じゃ、措置入院の人にどういう困った状態が発生したのかということについては何の調査も報告もないわけです。つまり、単に形式的に、確かにルールは守っていなかったという事実は指摘されていますけれども、その結果措置入院の人にどんな困ったことが起こりましたかということは、調査結果は、つまり立法事実がないわけですね。しかし、何か措置入院に問題があるというのは相模原事件だということになるけれども、これは全く異例な一事件でしかないので、とても立法事実にはなり得ないわけです。  あえて私が申し上げる必要はないと思いますけれども、立法事実がないのに法律を作るというのはどういうことかというと、対象者になる人の人権を不必要に制限すると同時に、必要のないことに税金を使うということですね。これはとても許されないことだと思います。
  27. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 ありがとうございます。精神障害者に対する世間の偏見というのは根深いものがあるなというふうに今思いました。  ありがとうございました。
  28. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合正明です。  本日は、五人の参考人皆様方におかれましては、限られた時間の中で端的なまた分かりやすい陳述をいただきまして、大変ありがとうございます。  私の方から、まず、実際現場支援を行っていらっしゃる辻本参考人また田村参考人に、人材面だとか財政面の国の支援在り方について最初にお伺いしたいと思っております。  精神障害者に対する医療というのは、当然、犯罪防止、治安維持が目的じゃなくて、本人のためのものでございます。本人のためであるということであれば、医療中心から、医療のみならず、また保健、福祉、この連携、チームでの体制というのが重要であるということでございます。そうしたことを考えていきますと、まさにこれからあるべき姿として、人材面の育成であるとか、また政府のバックアップであるとか、行政のバックアップであるとかいうことが大事になってまいります。  今回は措置入院者退院後の支援計画というのが定められているわけでありますが、退院後の支援というのは、入院形態に関係なくて、支援を必要とする方にしっかりと支援が行き届くようにするということは、田村参考人も言われておりましたけど、まさにそのとおりだというふうに思っております。  そうしますと、ますます実際に地域精神医療に携わる専門職の方に対する支援ということが課題になると思います。辻本参考人も最後に課題としてその点を挙げられました。私も、地元の岡山市の精神保健福祉センターを訪れました際にもそういう声が上がりました。特に保健所保健師さん、精神保健福祉士さん、こうした方々の仕事も、だんだん仕事の範囲が増えてきて、地域医療のところに集中する時間や余裕がだんだんなくなってきているのじゃないかという話もございました。また、事務処理の問題、結構そういったところに追われているという話もございました。  改めて両参考人に伺いますけれども、今後の財政面、人材面での支援在り方について御所見を伺いたいと思います。一応政府としては地方交付税措置精神保健福祉士を二百名分の増員するための予算措置を今年度設けるということでありますけれども、もう少し具体的な御提言があれば伺いたいと思います。
  29. 辻本哲士

    参考人辻本哲士君) 御質問ありがとうございます。  なかなか数字を挙げるのは難しいとは思うんですが、一つは、先ほどから話が出ている、強制力を持って治療を継続させるわけではないわけですよね。信頼感を持つということで治療は継続していくもの、支援は継続すると思うと、信頼感をつくるには人と時間と質を担保せないかぬわけですね。  だから、専門職が何人だとかそういうものじゃなくて、質というか、信頼関係をできるような業務のバランスというか、人間関係をつくるのには時間が掛かるわけなんで、そういうための人員、予算というのが必要だと思います。そういう意味では、それは多い方がいいという結論になってしまいます。
  30. 田村綾子

    参考人田村綾子君) 御質問ありがとうございます。  私も、辻本参考人の御意見にまず賛成です。そして、例えば、先ほど精神保健福祉士について御質問いただいたんですけれども、現在、養成している学校が全国で約百六十五校ほどありまして、また、毎年、国家試験の受験者としては七千人強、そして合格者が四千人ほどというような状況であります。ただ、それでも、その全員が精神保健福祉士として実際に働くわけではない現実もありまして、まだ多分現場で充足してはいないのだろうというふうに思います。  ですので、養成がまだまだ必要だということをまず国がメッセージを出していただくということも必要かと思います。この資格が比較的新しいものですから、私たちの仕事自体は戦後すぐから特定の精神科病院では採用されていた仕事でありますけれども、国家資格化して専門職が輩出されたのは一九九八年以降ということになりますので、そうなりますと、まだそれほど知られていないんですね。ですので、十分知られていくようなメッセージというのは欲しいところというふうに、これは私たち自身、専門職団体課題でもありますけれども、行いたいというふうに考えています。  それから、実際に配置していただいたときに、例えば精神科病院においてもそうですし、行政においてもそうですが、そこで何をしなければいけないのかということが不明瞭だったり、多様な業務と兼務ということですと、なかなかこの精神障害のある方々への寄り添って信頼関係をきちんと構築していく支援ということは難しいかと思います。どうしても、行政機関においては異動があったりですとか、それから事務的な仕事も含めた兼務という状況に置かれることが多いかと思うのですが、精神保健福祉相談員というシステムもございますので、それがもう一度きちんと活用されるようになっていくといいなというふうに、現在その配置がなされていない保健所も多くございますので、是非配置されていくような促進をしていただければというふうに考えております。  以上です。
  31. 谷合正明

    ○谷合正明君 ありがとうございます。  医療保護入院について山本参考人にお伺いしたいと思います。  前回の改正では、保護者による同意に代えて、家族等のいずれかによる同意が要件とされました。ただ、患者家族等が患者本人との関係の悪化や患者と疎遠であることを理由に同意、不同意意思表示を行わないケースについて、必要な入院医療につながらないといった課題が生じているという中で、今回また法改正になっているということでございます。  そこで、山本参考人は論文の中でも、医療保護入院の要件ということで、精神障害者の権利擁護の観点からどう捉えていくのかということでいろいろと論述されておりますけれども、まず、そもそもこの医療保護入院の要件と精神障害者の権利擁護、この両方の観点から、あるべき家族同意等の在り方についてどう考えていらっしゃるのか。厚生労働省としても、この附則、施行後五年以内の見直しの中で家族等の同意在り方について検討を深めていきたいというふうにありました。参考人の御所見を伺いたいと思います。
  32. 山本輝之

    参考人山本輝之君) 私の個人の意見といたしましては、やっぱり家族同意というものが必ずしもそれじゃ精神障害者の権利擁護として有効であるかどうかということについては、やっぱりかなりちょっと問題があるんじゃないだろうかと。家族間にもいろんな関係がございますので、家族等が患者の権利擁護に資するものであるというふうなことは必ずしも十分に常に言えることではないんじゃないだろうかと。  ただ、多くのやっぱり家族は、患者に寄り添う、あるいは患者の利益というものを勘案するものであろうというふうに考えておりますので、その辺のもう一度実態をよく調べた上で、この五年後の見直しについて、この家族同意在り方ということについてもう一回検討していくということがやっぱり必要なんじゃないだろうかというふうに考えております。  精神障害者の権利擁護に関しましては、やはり本来は、精神医療審査会でこの権利擁護というものを行っていくというのが、やっぱり私は論理的には筋であろうというふうに考えておりまして、だから、入院させてもすぐにやっぱり精神医療審査会にかけて、その入院が本当に必要なのかどうか、精神障害者の権利が本当に図られているのかどうかということをやっぱり精神医療審査会で直ちに検討する、審査するというやり方が本来の在り方であろうというふうに考えております。
  33. 谷合正明

    ○谷合正明君 医療保護入院について、池原参考人にお伺いします、ちょっと時間が短いんですけれども。  参考人、最後に、人権保障を狙っているんだけれども人権制約の面もあるんじゃないかということで、あるべき姿を検討していただきたいと結ばれましたけれども、最後に参考人の御所見を、あるべき姿についての御所見を伺いたいと思いますが。
  34. 池原毅和

    参考人池原毅和君) 究極的なあるべき姿というのは、障害者権利条約十二条からしますと、意思決定支援を十分に行わなければいけないと。つまり、一見すると自己判断ができないように見える人について、何とかしてその判断を導けるようにするということですね。  これは科学的に不可能なように言われる場合がありますけれども、例えばフィンランドのオープンダイアログという手法はかなりの急性期の統合失調症の患者さんに非常に有効な効果を上げていて、強制的な手法を取らずに医療ができているという実践が、イタリアももちろんありますし、世界で幾つかの実践例があります。ですから、そういうものに向かっていくことが必要だと思います。  当面の医療保護入院に関して言うと、医師以外の誰かが同意という形で関わらなきゃいけないのかという問題ですけれども、例えば私なども成年後見人として同意に関わることがありますが、何をするのかというと、せいぜいセカンドオピニオンを取って、本当に適正な入院判断なんだろうかということをチェックする機能なんですね。だから、そうだとすると、そこはもっと医療的な判断に純化してしまった方がいいのではないかと。先ほど申し上げたように、責任分散をするというよりは、医療責任を持って判断をするというシステムの方が私はいいと思っています。
  35. 谷合正明

    ○谷合正明君 終わります。ありがとうございます。
  36. 倉林明子

    ○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。  今日は、五名の参考人の皆さんの貴重な意見を聞かせていただき、ありがとうございました。時間の関係で全ての皆さんにお聞きできないことをまずお断り申し上げておきたいと思います。  最初に、池原参考人に、非自発的な入院について権利条約も引いて御説明をいただきました。私も、これは代表質問で政府の見解も確認させていただいたんですけれど、政府は、障害のみを理由としたものではないのでこの障害者権利条約には違反しない、先ほども既に、こういう否定された警官の御説明もあったんですけれど、いまだにそういう答弁を国会ではしているということに対して、改めてもう一度、池原参考人の考えをお聞かせください。
  37. 池原毅和

    参考人池原毅和君) ありがとうございます。  この点は無意識に障害者権利条約が作られていなくて、八回のアドホック委員会というのが国連で二〇〇二年から二〇〇六年にかけて開かれていまして、その中で、この十四条に関して、やはりどこの国でも日本と似たような、つまり、精神障害以外に自傷他害の危険性であるとか医療必要性であるとか判断能力の欠如であるとか、そういう付加的な要件が付いて強制入院を認める制度は、まあ二十世紀にはたくさん存在していたわけです。  それに対して、つまり、条約の審査に入っている各国の代表が、例えば日本は、精神保健福祉法を維持していくためには、精神障害のみを理由とした強制入院は許されないという、自由剥奪は許されないという規定にできないだろうかということを提案して、否決されています。それから、ヨーロッパとか幾つかの国が、精神障害以外の理由が付加されている場合は自由の剥奪が許容されるというような規定ぶりにはできないだろうかという提案をして、これも否定されています。つまり、現行障害者権利条約十四条、つまり障害を理由とした自由剥奪は正当化されないというこの規定は、精神障害以外の何かの付加的な要件が付いてもそれは許されないのだということを明確に意識して規定されているわけですね。  ですから、日本は、二〇一四年でしたか、条約を批准して、一六年にこの条約の履行状態について条約委員会に政府報告を出していますけれども、その審査結果としては、日本の精神保健福祉法は条約に違反しているという指摘を受けることは避けられないだろうというふうに思います。
  38. 倉林明子

    ○倉林明子君 ありがとうございます。  今日は、当事者ということで代表して桐原参考人に御出席いただいて、本当にありがとうございます。  先ほど来、様々な事例の御紹介もいただいたんですけれども、今回の法改正についてたくさんの当事者の方々の御意見があろうかと思うんですね。先ほど来御紹介もいただいたんだけれども、言い切れなかった部分もたくさんあるんじゃないかと思いますので、どうぞ御紹介をいただきたいなと思います。
  39. 桐原尚之

    参考人桐原尚之君) ありがとうございます。  とにかくこの精神保健福祉法という制度法律自体が、精神障害者の多くの国の団体がまず廃止してほしいというふうに要求しています。僕たちも、世界の精神障害者団体と同じく、そういうふうに主張してきました。  そして、障害者権利条約でも、精神障害を理由とした非自発的入院というものは廃止ということを明記されているし、それを補足的に説明するための例えば十四条ガイドラインというものが障害者権利委員会によって出されていますが、ここにはもう明確に、障害のみだけではなく、障害と複数の要件によって非自発的入院が行われる場合もこれは条約に違反するということが明記されています。なので、条約の政府審査というものを二〇二〇年前後行われると思うんですけど、これを受けた検討ではそこは意識した検討がなされるべきではないかというふうに思っています。  それから、やはりこの法案自体に対しては、警察が入って自殺をしないように見回りに来るとか、やはり僕らの生活警察側が関与してしまう、入ってしまうということに対して強い不安がありますし、それから退院支援の、これも支援であればいいというようなものではなくて、やはり支援がすごく、何というんでしょう、迷惑というか余計なこととか、そういうように作用している部分も現実ありますので、そうならないようにするためにも、こうした仕組みではなく、もっと本人意思に基づいた仕組みにしていかなければならないのではないかなというふうに思います。  できればこの審議自体を見直して、次回の改正のときはこうしたことが起こらないように当事者の声を反映した検討というものをしっかりしてほしいなと思っています。
  40. 倉林明子

    ○倉林明子君 ありがとうございます。  最後に、田村参考人が最後の方で時間がなくて意見がお述べできなかった部分が、省略された部分があろうかと思いますので、そこを御紹介していただいて、終わりにしたいと思います。
  41. 田村綾子

    参考人田村綾子君) ありがとうございます。  精神障害者の福祉の部分の法律がこの法の中から障害者総合支援法ができた時点でかなり抜けています、法改正されたことによりまして。ですので、実際には、現在この法律の中では、ほとんど精神科医療あるいは国民の健康、心の健康の保持増進ということで保健の部分はあると思うんですけれども、福祉に関してはかなり抜けています。  それは、精神障害者だけの福祉というよりも、障害者全体を一元化して総合支援法の中であるいは総合福祉法の中で見ていくという、そういった法律の変遷があったためだということで、決してそれ自体が悪いわけではないのですけれども。ですので、精神障害のある方の地域生活支援を考えるときに、この法律の中だけでやろうとするとどうしても足りないところというのは当然出てくるんですね。  そこをどういうふうにつないでいくかというのは、結局、法律があれば全てがうまくいくということではないと思いますので、法制度を変えるということだけではなくて、実際の運用の在り方をどのように工夫していくかという、そこは人がどうやって工夫するかということだと思うのですけれども、そういう知恵を出し合う必要もあるというふうに考えています。具体的には、それは専門知識や技術を持った職員の配置ということになるんだというふうに考えています。  あとは、報酬の体系につきましても、今回の法改正の中でも、措置入院の方の退院支援計画を考えるときに地域の福祉援助事業者も一緒になってというふうになっていますが、そこのところが、この法律の中で報酬を出すということは具体的には難しい状況で、総合支援法の中での報酬をどのように位置付けるかということが必要になります。そこでは、市町村をどうやって絡ませていくか、市町村における精神障害者地域移行支援事業をきちんと活用しながら、措置入院の方もあるいはそうでない方も含めて、実際に医療と福祉が本当に連携する形で支援ができるようにしていかなくてはいけないので、そこに関してはもう少し運用上の工夫が必要になるところではないかというふうに考えています。  以上です。
  42. 倉林明子

    ○倉林明子君 ありがとうございました。終わります。
  43. 片山大介

    ○片山大介君 日本維新の会の片山大介です。  今日は五人の皆様に大変貴重な意見いただきまして、ありがとうございました。  私は、それぞれの参考人の皆さんが言われた中でちょっと気になった点を何点か質問させていただきたいと思います。  まず、山本参考人なんですが、退院支援計画について義務付けるものでもないし、それから患者本人にも理解を求めるというふうにおっしゃっていたんですが、それで、桐原参考人からは、そもそも措置入院時点で自由意思剥奪されているので、そうしたものに理解が得られるものではないと言っているんですけれども、これについてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
  44. 山本輝之

    参考人山本輝之君) 確かに措置入院のときには自傷他害のおそれがあるということで強制的に入院させるということになっておりますけれども退院した後にどのような支援を行うかということにつきましては、これはまた別のステージになるわけですから、これについてはやはり、そこでどういう支援を行っていくかということにつきましては、やっぱりこれ本人が理解しないと、本人の理解によらないとこれは十分な支援というのはできないと。これはもう当然のことだろうと思うんですね、医療にしても福祉にしても。したがって、本人が納得していただかないとこれはできないということだろうと思いますので、これについて本人同意を得て、理解を得て退院支援計画に生かしていくということは、これは当然のことだろうというふうに思っております。
  45. 桐原尚之

    参考人桐原尚之君) ありがとうございます。  やはり同意を取ることは非常に重要なんですけれども、非自発的入院の件数自体は増えていると言わざるを得ないかなと思っています。そういう意味では、丁寧に同意を取るという作業というものはもしかしたら十分に行われていないのではないかと。僕自身やはり精神医療かかって、あるいは仲間の同行をする中で見る光景は、かなり説明がされていないという印象を持ちます。
  46. 片山大介

    ○片山大介君 確かに桐原さんの言われたその懸念というのがあって、そうすると、理解を得られなかった場合はどうなるのか、そこは山本参考人、どのようにお考えでしょうか。
  47. 山本輝之

    参考人山本輝之君) 論理的に言えば、そういう同意が得られない以上は、こういう支援対象にならないというふうになろうと思いますが、やはり支援が必要であるということにつきましては、よく御本人の納得を得る努力を最後までして、得て、その上で支援を行っていくということを粘り強く行っていくということがやっぱり必要であろうというふうに考えております。
  48. 片山大介

    ○片山大介君 それで、続いてちょっと田村参考人にお伺いしたいんですが、言葉の中で措置入院者だけの手厚い支援になっているとおっしゃっていて、私も実際そう思っていて、医療形態の違いで何でこれだけ分けなきゃいけないのかというふうに私も実は思っています。その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  49. 田村綾子

    参考人田村綾子君) 病院に勤めていたときの経験からお話ししますと、措置入院の方というのはやはり都道府県からのお預かりものというふうに民間病院としては意識するんですね、指定病棟、病床を使っていただいている方ということで。ですので、提出をしなければいけない書類も多いですし、配慮しなければいけない事項もありますので、そういう意味で、制度上どうしてもそこだけ色分けをして支援をするということは実際に法律仕組みとしてなっているというところがあるかと思います。  ただ、先ほども申し上げたことですけれども、提供する医療機関の質全体が上がっていかないと措置入院の方だけにいい支援をするということは実際には不可能ですので、精神科医療の全体の質を上げるということを考えたときには、措置入院制度に限ってこういうことをするというのではなくて、また、前の法改正のときは医療保護入院の方だけにということでしたけれども、そういうことではなくて、全入院患者さんに対して退院生活環境相談員を選任するとか、退院に向けた支援計画地域事業者も含めて入院時から行っていくとか、そこには全ての患者さんの御本人意思に基づく、自己決定に基づく支援を展開するということ、そこを原則とすることが必要ではないかというふうに考えております。
  50. 片山大介

    ○片山大介君 そうすると、全患者に対して退院支援計画を作るべきだという御意見になるのかと思うんですが、やはりその支援計画に対する懸念の声というのはあると思うんですが、それについてはどのようにお考えでしょうか。
  51. 田村綾子

    参考人田村綾子君) これも実際に現場で関わっている方々からはよく言われることですが、精神障害のある方が一度聞かれて、すぐに御本人、こうしたいというふうにおっしゃらない場合というのも多いんですね。それはやはり私たち専門職への信頼がどのぐらいあるかということでもあるでしょうし、また、御本人意思というものも変わっていくということもあります。もちろん、病状の変化だけではなくて、様々な情報がもたらされることによって、ああ、それだったらやってみたいなというふうに変わっていくということもあるんですね。ですので、退院支援計画作成するときにも、一度御本人の希望を聞いて駄目だったから、じゃ、この人はもう作れないということではなくて、粘り強い関わりということは忘れてはいけないんだというふうに思っています。  そうした粘り強い関わりをするということは、当然時間が掛かります。ですので、それだけの時間を一人の患者さんに掛けられるようなマンパワーの配置というものをしていかないといけません。精神科医療に関しては、精神科特例ということがかつて設けられて、そのために一般の医療に比べて少ない人手で処遇できるということになっているわけですけれども、これをやはり全廃して、そして手厚い人手によって丁寧に時間を掛けて御本人の希望やお気持ちをしっかり聞けるような、そういう時間が確保できるような仕組みにしていくということが必要ではないかと考えます。
  52. 片山大介

    ○片山大介君 そして、あと、これも田村参考人なんですが、個別ケース検討会議なんですけれども、先ほどの田村参考人意見だと、これ警察も入るべきという認識だったと思うんですが……(発言する者あり)違いますか。個別じゃなくて、じゃ、どうぞ。
  53. 田村綾子

    参考人田村綾子君) 個別ケースということではなくて、先ほど申し上げたのは、警察の方も実際に措置の通報などがあったときに、これを警察官として通報すべきかどうか、あるいは普通に逮捕の方向に持っていくのか判断に迷われることというのは多々あるというふうに聞いておりまして、判断に迷ったときに、取りあえずどこかに持っていかないといけないので、精神科に、まあ言い方は悪いですけれども、押し付けてしまうというような、そういうことがあってはいけないというふうに思っているんですね。  そのためには、警察官方々にも精神科医療とか精神障害のことについて勉強していただく必要はあるというふうに思います。これを警察の中だけでやるのではなくて、私たち精神保健福祉あるいは医療関係者と一緒に考えるという場はある方がいいと思いますので、調整会議の、代表者会議には警察官の方にも入っていただいて、そういったことを検討する必要はあると思うのですが、個別のケースについて、この方は警察のお世話になるかもしれないから警察官を入れるという発想は私は反対というふうに申し上げました。
  54. 片山大介

    ○片山大介君 それで、桐原参考人はやっぱり警察は入るべきじゃないというふうに言っておって、そこは、じゃ、桐原さんと同じような考えに近いということなのか、そこをお伺いしたいのと、あと桐原参考人にもお伺いしたいんですが。
  55. 桐原尚之

    参考人桐原尚之君) 基本的に同じ考えです。
  56. 田村綾子

    参考人田村綾子君) 同じとおっしゃっていただいたので大丈夫だと思うんですが、自殺のおそれがあるからといって、じゃ、警察官呼びましょうとか、そういったことは私も申し上げておりません。
  57. 片山大介

    ○片山大介君 それで、最後に池原参考人にお伺いしたいんですが、グレーゾーンで、やはり内面にまで入り込んでいくと、私も全くそうだなと思っていて、今この法改正で出ている代表者会議と個別ケース検討会議、これの在り方について池原参考人はどのようなお考えをお持ちなのか、最後、お伺いしたいと思います。
  58. 池原毅和

    参考人池原毅和君) ありがとうございます。  私は、個別計画はもとより、代表者会議においても警察が介入するということは適切ではないと思っています。  先ほど田村参考人がおっしゃられたことは、これはそういう枠組みの中ではなくて、通常の勉強会として行う、情報を提供するということの方がもっと民主的な方法で進めることができるので、あえて制度的な枠組みをつくってそこで警察と情報をやり取りする、あるいは情報やり取りの枠組みをつくるということは、実は、大変申し訳ないですけど、むしろ警察側に主導されていくということに恐らくなってしまうと思いますね。そこは気を付ける必要があると思います。  そこで、更に言えば、精神医療で扱う対象ではないけれども、考え方としては非常に危険な人だというのをもし警察の側に情報を提供するということになるとすれば、それは、まさしく何ら外部的な行動が起こっていないのに既に警察の防犯対象にするということに医療、福祉側が協力するということになってしまうので、これは非常に地域の体制としては好ましくないというふうに私は思っています。
  59. 片山大介

    ○片山大介君 分かりました。大変貴重な意見、ありがとうございました。
  60. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  今日は、お忙しい中、五人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。  まず、今朝、私自身はとても驚いたことがありまして、厚生労働省の方からポンチ絵の差し替えをしてほしいと。差し替えでなく追加にしてほしいというのが大体野党側の理事懇での意見だったんですが、何かといいますと、改正の趣旨の部分で、「相模原市の障害者支援施設事件では、犯罪予告通り実施され、多くの被害者を出す惨事となった。二度と同様の事件が発生しないよう、以下のポイントに留意して法整備を行う。」、この部分を削除するというものなんですね。これはもうびっくり仰天で、これは、法律提案理由説明でも、相模原市の障害者支援施設で発生した殺傷事件というのは冒頭に出てきているわけで、この法律案を提出いたしましたとなっているわけです。つまり、相模原事件があったから、明確にこのポンチ絵も、厚労省作成ですが、「二度と同様の事件が発生しないよう、」となっているわけで、再発防止のためにこの法案出すんだと厚労省言ってきたんですが、これをこの時点で削除するというと、一体何なんだと。北海道に行く飛行機に乗ったつもりが、何か沖縄に行くことになりましたというか、ちょっと例が変かもしれないんですが、つまり、その立法趣旨そのものが一体何これという感じなんですね。  私は二つあると思います。  相模原事件とこの法案をリンクするのはおかしい。さっきも田村さんからもありましたが、現に公益社団法人日本精神保健福祉士協会は、本協会精神科医療措置入院制度在り方及び退院後の継続的な支援在り方事件再発防止策として論ずることに反対いたしますとおっしゃっているわけです。だから、そもそもこの法案は、相模原事件再発防止と位置付けて法案を作ったという点が大間違い。  二度目の間違い。それを削除すると言ったからといって、この法案の骨格である警察への通知とか共同の監視体制という兵庫方式の全国化という点は変わらないわけだから、もしこの提案理由の改正の趣旨を取るんであれば、法案取り下げろということになると思います。  この二点について、池原参考人桐原参考人、いかがでしょうか。
  61. 池原毅和

    参考人池原毅和君) 私も今お話を伺ってびっくりしましたけれども、この法律の立法事実と呼ばれているものは、一つは、相模原事件のようなものが、どうやら措置入院制度の運用の欠陥というか、不十分なところから起こったのではないかということが一つあり、ただそれは、結果的には相模原の被疑者は、完全責任能力であるかどうかはまだ分かりませんが、少なくとも刑事責任が問える状態であって、刑事的対応をすべき対象者だったということが明らかになっているので、これは措置入院の問題ではないということが明らかになってしまったと。  そこで、もう一つの立法事実としては、でもやはり措置入院全般に何となく欠陥があるのではないかということが立法事実になり得るかもしれないんですけれども、先ほど申し上げましたように、実は確かに行政的な内部の自治体対応で、必要な書式が整えられていないとか、連絡が取られていないという事実はあるように検討会調査結果では見えていますけれども、しかし、その結果どういう不都合が発生したのかと。つまり、肝腎の立法事実になる部分はないわけでして、結局のところ、そうなると今回の法律は支える事実がないということになるわけですから、ましてや相模原事件とは全く関係ないんだということになるのだとすれば、法案自体の基礎が失われることになるので、これはもう一度出直しをすべきであると私は思います。
  62. 桐原尚之

    参考人桐原尚之君) ありがとうございます。  例えば、立法事実といったときに、この措置入院制度全般の中で何らかの不備があったと仮にしたとして、その不備によって具体的に生じている問題があって、それを解決しなければいけないから法改正ということであればまだ分かるんですけれども、そういった事実の確認というのは検討過程で行われたというふうには私は認識していないので、その意味でも立法事実はないというふうに言い切っていいんではないかと思っています。  議論の経過から見ても、それからこの間のいろいろな資料とか見ても、これ明確に相模原で起きた事件措置入院の問題だというふうに認識して進めてきた検討というものが余りにも批判が多かったために、取りあえずそれを契機にしたというような言い方に変えたと。こういったことを繰り返してきた結果、今こういった説明で、テクストの上だけでは何となく文字の配列上つじつまが合っているんだけれども、コンテクストとしては全くつじつまが合っていないという状態だというふうに思っています。
  63. 福島みずほ

    福島みずほ君 それと、当事者、精神障害者の皆さんたちが、これ監視だ、保安処分だという意味というのは非常によく理解ができるんですね。  堀江部長が、あらかじめ精神障害者支援地域協議会において協議された対応方針に基づいて、措置権者である自治体から警察に対して情報提供が行われる場合がございます、患者支援期間中に転居した場合におきます転居先の保健所設置自治体と転居先の警察との間の情報共有につきましては、当該保健所設置自治体精神障害者支援地域協議会において協議されました、代表者会議において協議されました対応方針に基づいて判断されるものと考えておりますと答弁しています。  どういうことかというと、代表者会議調整会議、個別のは確かに違う。しかし、代表者会議の中で警察に情報を共有すると決める、あるいは転居先にも通知すると決めれば、保健所保健所に基本計画が例えば転居しても行くので、その保健所から警察に通知が行われるということになると。つまり、代表者会議でそういう情報共有をしようということを決めれば通知が行くわけですね。  薬物依存や、そういう、ダルクを始めとした様々な皆さんとも話をしました。薬物依存にも二つ、違法薬物の場合と睡眠薬などの薬物依存というふうにあるわけですが、通知が警察に行くとなると、もうずっと監視されるというか、何も別に悪いこともしていないのに警察が通知があって、何か常に居場所も分かられ見られているというふうになると、もう本当に人権が守られないんじゃないか、しかもそれは措置入院した人だけに起きることで、それも変だというふうに思いますが、この点について、池原参考人桐原参考人、いかがでしょうか。
  64. 池原毅和

    参考人池原毅和君) 全くおっしゃるとおりだと思います。  この代表者会議と通常の地域協議会というのは別枠にしてみたところで、結局大きな枠組みの中で、自治体間で移動したときには情報を共有化するということになれば、全く無期限に一つ監視体制というのが構築されるということになってしまう。これは非常に人権上、個人のプライバシーとかあるいは居住移転の自由とか、こういうものについて重大な問題を含んでいると思います。  それと同時に、もう一つは、治療的な意味で本当にそれはいいのだろうかということがあります。  例えば統合失調症の人などについて考えてみると、こうした、いつも誰かから見られているのではないか、ずうっと付いてこられているんではないかというのは、まさにその妄想を賦活させる一つのファクターになりますよね。だから、そうしたことがかえって本人地域での健全な生活ということを阻害するというマイナスの部分も十分に考えるべきで、社会制度を考えていくときには、特に医療とか福祉だとやっていくことが全部いいことだというふうに考えがちですけれども、やり過ぎることによって逆の効果が発生するということについても十分慎重な配慮をする必要があると思っています。
  65. 桐原尚之

    参考人桐原尚之君) ありがとうございます。  済みません、ちょっと、先ほど片山議員からの質問の僕の同感というものの部分が、代表会議警察入れることがオーケーという文脈に聞こえるような形での同感というふうに何かちょっと誤解を受けた可能性があるということだったので、ちょっと訂正しなければならないかなと思ったんですけれども。  代表者会議警察が入るということはそもそも陳述のとおり反対しているわけなのだし、警察がそもそも関与すること自体に反対しているんですけれども、例えば措置入院のときに警察が入ってくるわけですから、実際に、それについては、我々に対して暴力的に移送の方に入れたりとかそれから留置場入れたりといったことがないようにということで、何らかの学習の場があっていいだろうということで、あと調整会議警察入るべきではないという部分とか、その部分を取ってちょっと時間の関係でそういうふうに言いました。ちょっと誤解を与えたなら申し訳ない、訂正させていただきます。  それから、そういうわけで、警察がどちらの会議に入るとかという以前に、もう警察が入ること自体が僕らとしては納得しかねると思っています。
  66. 福島みずほ

    福島みずほ君 どうもありがとうございました。  時間ですので、終わります。ありがとうございました。
  67. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。よろしくお願い申し上げます。  まず初めに、山本参考人にお伺いさせていただきたいと思っております。  実は、今回の検証チーム、五点にわたりまして、その報告書の中で更なる取組を要求されていたかと思います。第一点目の共生社会の推進に向けた取組、そして第五点目の社会福祉施設等における対応、これは全く私は解決につながっていないと考えております。  この中の二、三、四の、いわゆるこの部分だけが取り沙汰されて今回施策が進んでいったことということについて、検討チームの一員として先生の御意見をいただきたいと思います。お願い申し上げます。
  68. 山本輝之

    参考人山本輝之君) まず、共生社会をつくっていかなきゃいけないということは、これはもう当然の前提でございまして、それがうたうということは、これはもう当然の前提をうたったものでございまして、それが必ずしも今回の検証の点において余分なものであったとかそういうことではなくて、これ共生社会をつくっていくということはやっぱり障害者に対する差別や偏見をなくしていくということにつながっていくものですから、これはもう当然のことであろうというふうに考えております。  それから、社会福祉施設における防犯体制ですか、その点を先生言われている。これもやはり防犯体制につきましては、点検項目等を出してちょっと調べましたように、やっぱり必ずしも社会福祉施設における防犯体制が十分ではなかった点もあろうかと思います。  それで、それについて厚生労働省としては、これ必ずしも通知をきちっと出していなかったということがございますので、それをきちっと出して、点検項目をきちっと出していただいて、それによって自ら防犯体制を確立していただくということを意味するということでございまして、それが今回の検証の段階で明らかになったことでございますので、それも将来の課題として取り上げたということでございます。
  69. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  この検証チームといたしまして、これは皆様方の御提案の全てが反映された法案ではなく、一過程だというふうに確認してもよろしゅうございますか。
  70. 山本輝之

    参考人山本輝之君) 一過程というのは、ちょっともう一回、どういう御趣旨でございますか。
  71. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  何か、先生方検討チーム意見がここに反映をされてしまった、その反映されてしまった事実というのが、相模原事件がオリジンとしてこのような法案改正になった。今回、今日訂正されたわけですけれども、本当はもっと検証した中で重要な事項というものがたくさんあって、それがまだまだ実際に政策として反映されていないというふうに私は考えているんですけれども、先生の御意見はいかがでしょうか。
  72. 山本輝之

    参考人山本輝之君) 検証チームにおきましては、先ほどからもいろいろ議論になっておりますけれども、一応相模原事件というものを契機に現行制度見直してみたと、そこでいろいろな課題が見付かりましたよということで、そういう課題についてはやはりこれは対応しなきゃいけないということで今回の法案を提出させていただいたということでございまして、そこではあくまでもこの検証チームの段階で分かった事実を前提にこのような検証あるいは再発防止策を行ったということでございまして、今後、裁判の過程でいろんなことが分かってくるかもしれません。  しかし、それについては今後また検討するということが設けられることもあるかもしれませんので、それについてはそちらの方に委ねたいと思っておりますが、ただ私どもといたしましては、その時点で分かった事実に基づいて検証を行ったところで不備が見付かった、不備があったということで、現行制度において不備があったと、これやっぱり対応しなきゃいけませんねということで行ったということでございます。  といいますのは、やっぱり──もうちょっとよろしいですか、この事件の裁判に今かかっているわけですけれども、これ、本当に分かるとすれば裁判が終結しなきゃ分からないわけですね。そうしますと、もしかしたら最高裁まで行くかもしれないということになるとこれ何年掛かるか分からないと。その間この課題をそのまま放置するということはこれはできませんよということでございますので、これは、今回の法案について、それについての対応を提出させていただいたということでございます。
  73. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  私、医師の一人として大変反省すべき点でもあるんですけれども、実際に精神科医療というのが何か医療の中でも大変聖域のような形で、普通の内科だとか外科だとかって診療をしている者からするとなかなか理解しづらい世界だというふうに思っております。  そこに当たりまして、やはりその教育システムであったり研修システムといったようなものも今後見直していかなければならないと思うのと、この指定医在り方についても、いわゆるペーパー指定医のような方々も実際に多く、診療報酬が付くということで取りあえず取っておこうかなというところで、一年間、二年間たっても指定医の仕事というものをしなくて結局は宝の持ち腐れというような方々も多いというふうに伺っておりますけれども辻本参考人、その辺りのことを御意見いただけますでしょうか。
  74. 辻本哲士

    参考人辻本哲士君) どうも御質問ありがとうございます。  今の精神科の領域において、国がやるべき措置入院だとかそういうふうな制度においての精神科在り方と一般医療としての精神科在り方が一緒になって動いているというところがあります。だから、そこを、一般医療の中での行政の役割だとか公務員としての役割が、病院もそうなんですけど、一緒になっているというところをもうちょっときれいに整理していかないと、行政としては医者が少なくてなかなかうまくいけないところを民間の先生方にお願いしているというところなので、そうするんであれば、そういうふうな役割をちゃんと学んでいただいて意味のある指定医でいていただきたいと思います。
  75. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございました。  それから、池原参考人にもお伺いしたいんですけれども、実は、私いろいろ調べておりましたら、ある国におきましては、このような措置入院になった患者様方について、全員弁護士がアドボケーターとして付いているような国、もうそれがすごくよろしいようだというような感覚を得たんですけど、その辺りの御意見いただけますでしょうか。
  76. 池原毅和

    参考人池原毅和君) ありがとうございます。  ヨーロッパ諸国の比較研究では、強制入院率を下げる最も主要な要因は何かということを調べると、例えば入院要件が厳格であるとか、あるいは精神医療審査会みたいなものが審査するとか、それから患者の権利擁護者として弁護人のような人が付くとかって幾つかのファクターで調査をしますと、有意に統計上反応するのは、弁護人のような代理人が付いている国においては強制入院率が低いという実証データがあるんですね。  これは今日触れられませんでしたけど、一九九一年の精神障害者の保護及びメンタルヘルスケア改善のための原則というのが国連で採択されていますけれども、ここでは当然、自由の剥奪を伴うような強制入院をさせる場合には弁護人を付けなければいけないというのが国際的なスタンダードになっていまして、そこから考えると、日本国憲法の弁護人依頼権というのは基本的には刑事手続を想定していますけれども、やはり精神医療においても、現状では強制入院があるわけですから、その前提であれば、当然それとのセットとして強制される側の権利を擁護する者を付けるというのは、これは不可欠の国際的な要請、人権の要請だというふうに考えます。
  77. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございました。  最後に、田村参考人にお伺いさせていただきたいと思います。  日本のやっぱり精神科医療の質の向上が必要だという御意見でございましたので、最後に、どの部分というものを中心に私どもは施策として取り組んでいったらいいのかお教えいただきまして、質問の最後とさせていただきます。お願い申し上げます。
  78. 田村綾子

    参考人田村綾子君) もちろん、現場精神科医療に携わる、あるいは保健福祉に携わる一人一人は努力をしていると思うんですね。ですので、今の質が低いということを言っているわけではないのですが、先ほど先生もおっしゃられたように、医療の中でも精神科が特別な領域のように見えるということが、医療においてもそうですし、福祉においても少し前までそうだったわけですし、それから、地域社会においても精神障害ということが何か特別なもののように捉えられてしまう背景には、やはり町中で精神障害のある方々と接する機会の乏しさということがどうしてもあるんだろうというふうに思っています。  先ほど高階先生がおっしゃったように、実際に触れ合ってみると非常に愛すべき方々だというふうなお話もありましたように、関わった方々はそういう感覚を持てるんですけれども、余りにも私たちの近くにいらっしゃらないように見えているために、なかなか知る機会がないということが大きいと思うんですね。ですので、まずは知る機会を増やしていって、そして、我が事としてこのことを考えられるようにしていくことによって関心が当たるのではないかというふうに思います。  今回、措置制度のことに関しても、あるいはこの精神保健福祉法改正に関しても、これだけ大きく取り上げられているのは、多分、相模原事件という本来は関係ないはずの事件が発生したことによっていると思います。こういう事件がないとこのように取り沙汰されない精神科医療あるいは保健福祉ということ自体を変えていくことが本当は必要なのではないかというふうに考えています。  以上です。
  79. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)  午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  80. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、太田房江君が委員を辞任され、その補欠として和田政宗君が選任されました。     ─────────────
  81. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省社会援護局障害保健福祉部長堀江裕君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  83. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) 休憩前に引き続き、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  84. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 民進党・新緑風会の石橋通宏です。  火曜日の川田委員それから川合委員に続いて質問させていただきますが、冒頭一言、院の違う話ではありますけれども、昨日、衆議院の厚生労働委員会で介護保険法関連法案、強行採決ということになりました。大変残念ですし、憤りも感じております。法案関係のない質問をしたからと。いや、しかし、これは与党の皆さん含めて両院で、我々その時々に大変重要な課題について国民の代表として質問権を持って質問するわけです。それをもって質疑打切りというのは、これ、与党の皆さんもさすがにいかがなものかと思われるのではないかと思います。改めてこのことについては強い懸念を表明しておきたいというふうに思います。  その上で質疑に入るわけですけれども、午前中の質疑のときに福島委員からも取り上げられましたが、この法案質疑でも驚愕する事件が発生をいたしました。今日、先ほど我々の手元に法律案の概要を修正したものが配られたわけですけれども、これ、一体どういうことですか。法案の概要を政府が作って説明をしてきた。これまで我々、これに基づいてずっと議論をして、質疑をしてきたわけです。それが、趣旨の大変重要な一番最初の冒頭二行が削られたものが今配られました。しかも、法案の重要な根幹に関わる、例えば家族本人の関与ですとか、それが大きく変えられる内容で、これ、修正案が今このタイミングで配られました。  大臣、これは大臣御自身が、厚生労働省がこれまで指摘をしてきた、我々が指摘をしてきた、そして多くの方々が指摘してきたこの法案、そもそも立法事実がないのではないか、立法事実が違うのではないか。このことを大臣自らお認めになってこの修正をしてきた、そういう理解でよろしいでしょうか。
  85. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 今日の理事会で本法案の概要資料の一部を今御指摘のとおり修正をすることについて資料をお配りをし、そしてまた御説明を申し上げたところでございます。  これ、去る十一日のこの委員会におきます議論を踏まえて、概要資料のうち改正の趣旨を法案内容に即したものにすることで、より分かりやすくするために修正をしたものでありまして、法案内容に変更を加えるといったものではございませんので、そういう観点で御理解を賜れれば有り難いなというふうに思っております。
  86. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 いや、全く理解できません。これは法案の趣旨で政府が説明してきたやつですよ。ということは、中身はその趣旨に沿って法案が立てられてきたはずでしょう。看板だけ書き換えて、いや、中身は、そもそも看板書き換える、趣旨が違うのであれば、これ中身も変えなきゃいかぬ、これ法案出し直さなきゃおかしいでしょう、大臣。これ、是非出し直してください。要求したいと思いますが。
  87. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) これは、与党の審議をいただくときに事前にお配りをしたものであり、また厚生労働省のホームページにも昨日まで載っていたものではございます、確かに。しかし、国会の方でお願いを申し上げたときの提案理由説明は、このような表現にはなっておりませんで、もうあえてまた繰り返すことはいたしませんが、特に内容の変更に至るようなことを申し上げているわけではなく、先ほど申し上げたとおり、これは改正の趣旨を法案内容に即したものにするということで、より分かりやすくすることでの修正でございますので、御理解を賜れたらというふうに思います。
  88. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 大臣、もちろん御記憶だと思いますが、参議院の本会議でも、そしてこの委員会の趣旨説明でも大臣は触れておられます。相模原市の障害者支援施設で発生した殺傷事件を踏まえて、それを趣旨説明として大臣が本会議でも当委員会でも言っているんです。それを、この説明資料法案の中身に即してそれを削ります、じゃ、大臣、趣旨説明やり直すんですか。大臣の趣旨説明自体、そこ削ってやらないとおかしい。  そういうことで、大臣、もう一回趣旨説明やり直さなきゃおかしいと思いますが、そこはどうされるんですか。
  89. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたとおりでありまして、今読み上げをいただいた提案理由説明については、先ほどの、相模原市の障害者支援施設で発生した殺傷事件等を踏まえということになっておりますが、そういう意味では、この間来この委員会でも申し上げている一つの契機としてこの措置入院制度というものを見直してみると、これはいろいろ直さなきゃいけないところがあるなと、こういうことになって、一つきっかけがこの事件であったということでございますので、今回お出しをしている法律の中身に関わるような変更では全くないというふうに理解をしております。
  90. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 大臣、とっても苦しい説明だと思いますよ。趣旨説明で大臣が自ら述べておられる、それを、この紙だけ変えて、趣旨説明は、いや、そのとおりでした、それじゃ通らないですよ。  済みません、今日、僕のこの質問も昨日までの前提で用意しているわけです。レクもしているわけです。レクのときには全くその修正の話は出ていませんでした。今日、この説明、そういうこれまでの提案に基づいて質問準備しているわけです。それ、どうしてくれるんですか。中身変えざるを得なくなっちゃう。おとといの議論、火曜日の川合委員から、ほかの委員の質問も、その前提で時間使って立法趣旨の議論しているんですよ。その質問権どうしてくれるんですか。  これ、ちょっと明らかにおかしな話なので、今後のちょっと改めて質疑のやり直しも含めて、これ時間取っていただくこともやっていただかなきゃいかぬので、この辺は改めて理事会でしっかり議論をして、今後の議論の進め方を含めて協議をお願いしたいと思います。委員長、お願いします。
  91. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) 後日理事会で協議いたします。
  92. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 その上で、準備をしてきた今日の質問ですので、少し、若干中身変えざるを得ない部分はお許しをいただきたいと思いますが、今の点、改めて大臣、いや、法案の中身変えていないんだ、そもそもその中身に合う形なんだというふうにおっしゃいましたが、改めて確認します。  これ、今回出てきた法案、いかなる検討なり検証なりを根拠にこれ出てきたんでしょうか。検証チームの報告、それを踏まえてこれ出してこられたんじゃないんですか。事実関係確認しますが、それは違うんですか、違わないんですか。
  93. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) お答え申し上げます。  今回の法案は、検証チームとあり方検討会において現行制度検討を行った結果、措置入院について、患者退院した後の医療地域福祉等の支援が不十分であるなどの課題が明らかになり、これに対応するため提出したものでございます。したがって、今回の法案は、相模原市の事件検討の経緯の一つではありますけれども相模原市のような犯罪を防止することを目的としたものではございません。  なお、警察について、検証チームとあり方検討会での双方の議論において代表者会議に参加する関係行政機関とされたものでございます。
  94. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 これ、大臣、趣旨説明の話ですからね。これ大臣、答えてくださいね。  大臣、じゃ、検証チーム、昨年、あの事件の後に立ち上がりました、検証チームにどういう諮問をされていますか。第一回会合の冒頭、大臣御自身が検証チームの目的どうやって説明されているか、大臣御存じですね、覚えておられますね。何をしてください、何をするための検証チームです、大臣、述べられましたか。
  95. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 前回の委員会でも申し上げましたけれども、改めてこの事件を契機に、措置入院そしてまたその後の扱いについての、特に支援に関して余りにもいろいろな問題がありそうだということで、これに関係することは全て私どもとしては御議論をいただきたいという気持ちでお願いをしていると思います。具体的な今文言は持っておりませんが、そういうことだというふうに理解をしております。
  96. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 代わりに申し上げましょう。議事録、まあ議事要旨しか出ておりませんが、大臣最初の冒頭のチームの目的、趣旨、狙い、こうおっしゃっています。現行制度の下で何をしておけばこの事件を防ぎ得ていたのかよく検証するんだと、そして今後の再発防止策として提案をしていくことが重要であると、そのための検証チームなんだと。検証チームの論点でも明確にそれが書かれています。  その後の検証チームの議事録、私読ませていただきましたが、結局、報道ベースの様々な話を用意をされて、そして意見交換の下にあっさりと中間取りまとめを出されています。これ、どこが措置入院制度全体の問題点を議論した上での検証チームの結論なんですか。全然そんな出ていませんよ。何でそんな分かりやすい、大臣、うそつくんですか。  大臣、じゃ、もう一回お聞きします。検証チームでどれだけ時間を掛けて措置入院制度在り方の議論されていますか。大臣御存じだと思いますので、これ教えてください。
  97. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 報告書は二つ出ていると思います。中間報告、今お触れになりましたが、これは基本的には、何が現行制度の下で守られていなかったのかといったことなどを含めてファクトファインディングをまずしようということで中間報告を出しているわけであります。そこでは、ですから、まだこの措置入院についてどうあるべきかということは書いていないというふうに記憶をしております。後に、十二月に最終報告が出てきたわけでありまして、そこで具体的な提案が出されてきているという、指摘があって、今回の法案につながるものの一つになっているということだと思います。
  98. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 これ公表されている議事録、議事要旨、これ大臣、いや、もちろん大臣は全部分かって今答弁されているのかどうか分かりませんが、その後の検証だって、正直申し上げて、措置入院制度全体の調査、分析、それに基づく議論、議事要旨を見ただけでは全く分かりません。全く分かりません。  重ねて聞きます、大臣。あり方検討会で、大臣、お聞きになっていますか、大臣。あり方検討会の方でどれだけ時間を取って措置入院在り方議論をされて、この法案に結び付いておられるか、大臣、お答えください。大臣、お答えください。
  99. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) あり方検討会の方は、昨年の一月に設置されまして、改正精神保健福祉法の附則に盛り込まれております医療保護入院における移送及び入院の手続の在り方医療保護入院者の退院促進措置在り方精神科病院に係る入院中の処遇、退院等に関する精神障害者意思決定の支援在り方に加えまして、長期入院精神障害者地域移行に向けた具体的方策の今後の方向性を踏まえた精神科医療在り方の更なる検討を行っておりまして、これに加えまして、その後に発生した事件によって明らかになりました課題への対応など、現在の精神保健医療福祉に係る様々な課題検討し、その過程において、検討会及び分科会における計十七回における施策の全般の見直しに向けた検討を行いまして、報告書として取りまとめられたものでございます。
  100. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 堀江さん、お願いしていないし、しかも違う答えされているので、要求しない限り答えないでくださいよ。  大臣、今、堀江さん、いろいろるる言われたけれども、あり方検討会で少なくとも議題に措置入院がのったのは今年の一月が初めてなんです。去年は医療保護入院在り方云々は検討されていました。措置入院在り方は全然検討されていません、少なくとも議事録を見た限りでは。今年になって初めて一月にそれが議題に出てきた。でも、すぐその後に取りまとめの素案が出てきているんです。一体どこに措置入院制度検証検討があったのか。これ、大臣、明らかにまともな検証をされていない、だから立法事実がないんだという指摘を午前中の参考人でも複数の参考人がそれを指摘されている。だから、もう破綻しているんです、大臣、御説明は。  一月の安倍総理の施政方針演説、もちろん塩崎大臣御存じだと思います。安倍総理が明確に、この精神保健福祉法改正再発防止対策をしっかり講じてまいりますと安倍総理が施政方針で言っているじゃないですか。そのためのこの法案でしょう。そして、その立法事実をこうやって削除して変えてしまった。そもそも、これ、もうこの法案成り立たないですよ、大臣、幾ら繕っても。  これから、もしこれ、このまま強行審議されるのであれば、しかし、みんな、これ聞いておられる方、当事者の方々、絶対にそれ忘れませんよ。そもそも、立法事実に基づかない今回の対策、そして中身、一体どこから出てきた中身なのか。これで到底、御不安や御懸念、払拭できないというふうに申し上げます。  だから、今このタイミングで出し直すことを大臣、決意すべきです。そうしないと、ますます、そもそもこの精神保健全体の在り方がおかしな方向に行ってしまう、これ強い懸念を申し上げておきたいと思います。是非、これからるる質疑あろうかと思いますので、その点は重ねて強調しておきたいと思います。  本当にこれ、出し直さないとおかしなことになりますよ、大臣大臣、もう一度これ出し直すことを決めませんか。このまま強行したら本当におかしなことに、この後いろいろ各論聞きますけど、答えられるんですか。出し直してください。
  101. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたとおり、中身にわたるような修正を今回申し上げたわけではございませんので、是非、そもそも、元々こういうようなものでこれまで概要として厚生労働省のホームページにも載せてきた、そのこと自体は大変申し訳なく思って、今修正するに当たっても反省をしているところでございますが、いずれにしても、先ほど申し上げたようなことで、特に内容にわたるようなことでは決してございませんので、是非、法案については引き続き御審議を賜りたいというふうに思います。
  102. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 これちょっと、大臣、今修正と言われたけれども、これ、修正は認められていないと、追加資料として当委員会に今配付をされたと理解をしています。一体誰が修正認めたんですか、これ。
  103. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) いや、修正をするという意味で、正式な扱いとして別に法案を修正したわけではもちろんございません。
  104. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 この資料についてお伺いをしているんです。  これ、資料の修正じゃないですね。我々は修正として認められていないと理解をして、あくまで追加でこの資料が出てきたという扱いで今僕はここに議論に立っているんですが、大臣、同じ理解なんですか、違うんですか。
  105. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 理事会での扱いについては理事会でお決めをいただくことなので、そういうことで、私どもとしては、これまでの考え方というか、表現を直すということで御提起申し上げているということでございます。
  106. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 重ねて、これまだあくまで追加資料として配られただけですので、そこは改めて確認はしておきたいと思います。  大臣、是非、立法事実があるというなら、この後少し幾つか論点確認しますので、しっかり大臣、お答えいただきたいと思います。  まず、警察からの通報の現状、課題について、第二十三条通報について確認をしたいと思います。  これも少し火曜日の質疑でも出ておりましたけれども警察庁、今日来ていただいていますが、今ほとんどこれ通報が警察からの通報で、しかも、この間ずっとそれが増えています。平成二十三年以降急増しています。これ、何で警察からの通報がここまで急増しているのか、そして、なぜあれだけ都道府県で大きな格差があるのか、それ、端的に説明してください。
  107. 小田部耕治

    政府参考人小田部耕治君) 警察におきましては、警察官職務執行法等に基づきまして、迷い子、病人、負傷者、精神錯乱や泥酔のため、自傷他害のおそれのある者等で応急の救護を要するものと認められる者を保護しているところでございます。  警察におけるこれらの保護の取扱い総数は近年増加傾向にありまして、こうした増加傾向の中で、精神錯乱のために自傷他害のおそれのある者の保護取扱いも同様に増加傾向にございますけれども、これらの増加要因については必ずしも明らかでないところでございます。
  108. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 大臣は、この事実は御存じだったんでしょうか。  資料の二に、今警察庁から御説明があった流れについてお配りをしております、皆さんもう御存じだったかもしれませんが。警察庁から、近年保護が増えているからという御説明がありました。でも、じゃ、保護がどれだけ増えているのか、特に保護の中でも、ここに言う警察官職務執行法第三条第一項第一号、精神錯乱等々によるというのがどのぐらい増えているのか。いや、確かに増えているんですが、実は、それ以上に二十三条通報が増えているんです。この数字以上に、第二十三条通報がある都道府県がかなりの数に上ります。これ、一体どういうことですか。
  109. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) 警察官通報につきましては、これまでそれぞれの自治体の実情に応じた運用がなされてきたと認識しておりますが、警察官通報の件数が増加傾向であることや自治体ごとの通報件数のばらつきがあることは御指摘のとおりです。  厚生労働省では、その原因を分析するとともに、通報の取扱いについて国としてガイドラインを示すことを考えてございます。具体的には、警察庁と厚生労働省で警察官通報地域差を含めました実態を共有し、国としての通報のルール等につきましてガイドラインを示してまいりたいと考えてございます。
  110. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 結局理由は分からないと。火曜日の答弁を聞いていて僕はびっくりしたんです、理由が分かりません、これから調べますと。ちょっと待ってください、立法事実あるんでしょう。警察、今回関与させるんですよね。でも、今、現状の制度の下で、二十三条通報で警察が関わっている、ばらばらな基準でこれだけ運用にばらつきがある。  大臣、一部の都道府県で物すごい二十三条通報の数があるんだけれども、実際に、じゃ、指定医による診断がほとんどなされていない、これ、資料の一でお示しをしております。どれだけ通報があって、都道府県別に、どれだけ、じゃ実際に診察に向かっているのかいないのか。一部の県では九九%近く診察に至っていない、これ明らかに何かおかしくないですか。濫用されていませんか、二十三条通報が。  今日午前中の質疑池原参考人措置入院制度が救急医療の代替として使われていないだろうか、一部濫用がないだろうか、そういう御指摘があった。この点について調査も精査もしていないんですよ、大臣。それで何で今回の改善策が出てくるんですか。それをちゃんと議論せずに警察の関与に道を開く、おかしくないですか。大臣、どうお考えですか。
  111. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 基本的には、今御指摘のように、こういったことがまだ厚労省によっても分析ができていないというのが現状であるということは御指摘のとおりであって、これも含めて、今回、いろいろなことをやっぱり考え直さないといけないなということがよく分かって、それでないと、措置入院から社会に復帰をするといっても、なかなかその支援の手から何も与えられないままに社会に放置されてしまうということになってきたんだろうと思います。  この警察官通報に関しましては、これまでもそれぞれの自治体の実情に応じた運用がなされてきたわけでございますけれども、通報件数が増えておりまして、結果として、このうち診察を受けた者の数及び措置入院に至った者の数の割合がそれぞれ減少、低下している、あるいはこれらの割合についても、自治体ごとに御指摘のとおりばらばらであります。  そういったのは御指摘のとおりでありまして、まさに、この原因については分析をするとともに、扱いの跛行性というものはやはりできる限り統一した扱いをされるように、私どもとしてもガイドラインを改めて分析の上で作っていきたいというふうに考えているわけでありまして、もちろん警察との連携もしっかりやらなければいけないと思います。ただ、今回の改正は、二十三条の警察官の通報について仕組みを変えるということにはなっていないところでございます。
  112. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 大臣、結局、これ、大事な措置入院制度全体の根幹に関わる部分ですよ、スタートラインですからね。そこがこのようにばらばらな運用で、都道府県でばらばらになっている。これ、昨日今日指摘された話じゃないですよ。ずっと言われてきたことですよ、大臣。  前回、平成二十五年改正の、そのときのいろんな質疑、その後の様々な関係団体からの提案、障害者権利条約との整合性、ずっと議論されてきた。今になってこれ調べないといけませんね、調べないままにこの法案出てきている、だから立法事実ないじゃないかと。大臣が自ら今認めてしまったことになります。それが調査もされないままに、そしてこの対応についてちゃんとした対策もこの法案にはないということも、今大臣最後にお認めになった、そういう代物だということを大臣自身が認めてしまった。これ、駄目でしょう、こんなの。これも今、全国関係者の皆さん聞いておられますよ、大臣。  これの絡みでいうと、大きな問題は、これ自傷他害のおそれ、自傷のおそれ、他害のおそれ、これ、一体、ちゃんとした基準があって、ちゃんとした運用がなされているんですか。全国警察で自傷他害のおそれ、ちゃんとした基準で統一の運用をされて、それに基づいてやられているんですか。
  113. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) 精神保健福祉法に規定する自身を傷つけとは、自殺企図等、主として自己の生命、身体を害する行為を指し、他人に害を及ぼすとは、他人の生命、身体、自由、貞操、名誉、財産等に害を及ぼすことを指します。自傷他害のおそれとは、そのような行為に至る可能性があることを指します。  措置入院対象となるのは、精神保健指定医診察の結果、その者が精神障害者であり、入院させなければ精神障害のために自傷他害のおそれがあると認められる場合でございます。病状又は状態像や自傷他害のおそれの認定に関する事項については告示で定めてございます。  なお、精神保健指定医は、一定以上の精神科診療の経験を有する者であり、認定に当たっては、自らの精神医学に関する知見を用いて当該者の既往歴、現病歴及びこれらに関連する事実行為等を考慮して、告示で定められた事項に基づき判断するものでございます。
  114. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 これ、ちゃんとそれが基準として定められていて、それが全国警察も含めて、通報に関わる皆さんに共有をされていて運用されているのであれば余計に、先ほど都道府県であれだけのばらつきがあることがおかしな話になるわけです。だから、ここのところも、一体どういう原因で、それ、分からなかったら、制度そのものの問題が解明に向かいません。  これ、確認しますが、これは堀江部長で結構ですが、自傷のおそれがある方と他害のおそれがある方というのは、これ、明確に区別されているんですね。
  115. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) そのとおりでございます。
  116. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 これ、大臣、大事なところですからね、後で戻りますけど。  自傷のおそれがある方、それから他害のおそれがある方、明確に区別をされているんだそうです。私も今回改めて勉強させていただきました。これ、後の警察の関わり方のところで関わってきますので、大臣、御記憶ください。  もう一点確認ですが、では、退院に当たっては、これは自傷のおそれ、他害のおそれがなくなった時点退院が可能になる、退院になる、そういう理解でいいですね。つまり、退院したときには自傷のおそれ、他害のおそれ、入院していなくてもそれは大丈夫だということになったから退院になる、そういう理解でよろしいですね。これも堀江部長で結構です。
  117. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) そのとおりでございます。
  118. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 これもその後のフォローのところで大事なところですので、これも大臣もう御存じだと思いますが、確認をさせてください。  その上で、支援計画について議論させていただきますが、これも支援計画在り方、作り方、今回大きな懸念、心配があります。一体いかなる立法事実に基づいてこれが出てきたのか。その辺が問題になるわけですが、これ、支援計画、堀江部長、一体いつどの時点で策定されなければならないですか。
  119. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 策定時期のお尋ねでございましたが、退院後の支援計画につきましては、原則として措置入院者入院中に作成をするというのが原則だと思います。  例えば、治療が進んで退院の見込みが立った時点作成をするということが想定をされるわけでありまして、具体的に入院中のどの時点から作成をするのが適当かということについてはそれぞれケース・バイ・ケースでございますけれども、そこについては今後ガイドラインとして自治体あるいは医療機関宛てにお示しをする予定でございます。  また、措置解除の要件はこの法の改正前後で変わることはございませんので、退院支援計画作成の有無が措置解除の可否の判断基準となることはございません。例えば、入院期間が非常に短い場合、前回も質問があったと思いますが、措置解除後速やかに退院後の支援計画作成をすれば足りるということとするわけでございます。  法の施行に当たっては、適切な運用が行われるように、ガイドラインも含めて自治体に対してしっかりと周知をしていかなければならないというふうに思います。
  120. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 先の質問までお答えをいただきましたが、確認しますけれども、今大臣答弁されましたね、この支援計画の策定は退院のための要件にはならないんだ、このことは大変重要なポイントです。それから、作成の時期について今大臣は、入院中、ただ退院の見込みが立った時点というようなこともおっしゃった。それをガイドラインで明確に示すんだ、そういう話だったと思います。  一つ確認ですが、これ繰り返し、人権の尊重ということを今回明確に提起されているわけです、第二条のところで。ということは、これ、退院後の在り方についても、当然ながら御本人意思、御本人の希望、尊重されなければならない。つまり、本人がその策定に関与しなければならないし、意見を言わなければならないし、同時に、もし本人が明確に拒否されるのであればその支援計画は成り立たないということでなければならないと思いますが、それもそのとおりでよろしいですか。
  121. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) これは前回も随分議論になりましたが、退院後の支援計画は、当然これは本人家族の意向をしっかりと踏まえた上で作られないといけないということだと思います。退院後の支援計画作成に当たりまして、措置入院先の病院、ここにおいて本人のヒアリングを含めて退院支援のニーズアセスメントをこれは当然実施をすることになるわけでありまして、その結果を踏まえて支援計画というのが作られると、こういうことでございまして、また、退院支援計画協議する個別ケース検討会議には本人家族も参加すべきであることを退院支援ガイドラインにおきまして周知を自治体に対して私どもからしてまいりたいというふうに考えております。
  122. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 今、大臣、ヒアリングと言っていただいた。必ず御本人、ヒアリングをするんだ。ちょっとヒアリングという言い方、まあヒアリングも大事なんですが、可能な限り御本人がその検討に参加、参画をされて、御自身のことですから、一緒にそれを作るんだ。そこのところと、加えて、これ調整会議、先ほど大臣言われたとおり、必ず調整会議開くことになっています、個別の検討会議。そこにも、今回追加資料でいただいた部分に、昨日までは必要に応じてと書かれていた資料で議論していましたが、今回の追加では本人家族、参加者として位置付けられています。そこにも必ず御本人が参加、参画をするんだ、そういうことで、二段構えで必ず本人の参加は保障されるんだ、それでいいですね。確認だけもう一度お願いします。
  123. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) そのとおりでございまして、ヒアリングとさっき申し上げたのは、このニーズアセスメント、医療側でやることについてのヒアリングと申し上げたので、この支援計画を作る際には、本人家族が参加をするべきであるということを私どもから明確にしていこうと、こう思っているところでございます。
  124. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 問題は、法案にそれどこにも書かれていないわけです。本来、本人の参加、人権の尊重と入れたんだから、じゃ、こういう支援計画の策定とか退院後の様々な在り方本人意思の尊重、人権の尊重を最大限それは法案に書き込むべきなんですよ、大臣、そう思いませんか。それがないから皆さん懸念を持たれる。何か警察は参加する、でも本人は参加するかどうか分からない、そういう話だから問題、懸念として指摘をされてきたわけです。  繰り返します。これ、法案修正すべきです。本人の参加を法案の条文上担保すべきです。大臣、そうしませんか。
  125. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) この提案をしております第八章の五十一条の十一の二の三ですね、ここに、協議会は、前項第二号の協議又は連絡調整を行う場合には、関係行政機関等のうち支援対象者の退院後の医療その他の援助関係者をもって構成する合議体というふうに書いていますが、私どもとしては、これは本人家族が入るのはその関係者の言ってみれば一番先に上がってくることでございまして、御本人支援計画でございますので、当然入るべきというふうに考えているところでございます。
  126. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 これ、条文読めば、大臣、今大臣読まれて、これ、じゃ、本人をどういう扱いをされているんですか、その他なんですか。本人ですよ。  第二条の目的、今回、人権の、全く整合性が取れていないじゃないですか、条文上。本人の参加、参画を法律でちゃんと規定をして、それを担保することこそ、今回、その目的規定に合致する修正じゃないですか。それがなされていないことそれ自体、大臣、問題だと思わないんですか、思うでしょう。大臣、是非修正してください。
  127. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) それは、私がその他の中に御本人が入ると言っているわけではなくて、本人家族が入るのはこれは当然のことであって、それでなければこの退院支援計画にはなり得ないということでいるわけでありますので、私どもとしても本人家族には参加をいただくということで徹底してまいりたいと言っているわけでございます。
  128. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 結局、これ支援対象者の退院後の医療その他の援助、そもそもこれ法文どう読んでも、当初これ作った人は御本人の参加を保障しようなんという気持ちさらさらなくてこの条文書いたとしか思えませんよ。全く読めないですよ。後になって言われたから慌てて、いや、それも入るんですと言ったとしか思えません。この法文では、どう考えてもそれを元々想定されていたとは思えません。これ、大問題だと思います。大臣、これ修正しないと、本当に後々禍根残しますよ。  そのことを指摘したいし、さっき答弁漏れが一点あったので、大臣、確認します。であれば、御本人が納得をしない、承認をされない、合意をされない支援計画、これは認められないということでよろしいですね。
  129. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) まず第一に、よく、例えば尾道方式なんかでもそうですけれども、カンファレンスというのをやりますが、これは当然本人を中心にカンファレンスが行われるわけでありまして、支援計画本人支援をするのをどうするかという計画でありますから、当然それは常識としてもこれは本人が参加をして本人に理解をしていただくということがなければ支援にならないということだと思います。  御本人が拒否をした場合にどうなのかということですが、支援計画自体は拒否をされたとしてもそれはやはり支援をするということでお作りをするということだと思います。
  130. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 本人が関わるのは当然ですと言っておきながら、本人同意しない、拒否しても支援計画は有効なんですか。これは全く矛盾しているじゃないですか。  大臣資料で必要に応じてと調整会議で書いていたじゃないですか。おとといの答弁だって、可能な限り必要に応じてと答弁していたじゃないですか。一体どこが当然に本人が入るんですって、今日になって何で急に答弁が変わるんですか。そもそも想定していなくて、後付けで、言われたから説明変えて、でも、本人同意しなくても計画は有効です、全然違う、矛盾だらけですよ。それどうやって権利条約との整合性、本人の人権の尊重、整合するんですか、大臣。当然にと言われながら、全く矛盾しています。  本人同意しない場合、それは有効でない、改めてそれ確認してください。
  131. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) これは御本人社会復帰のために作る支援計画でございます。ただ、それについて御本人が拒否をされるということを最後までされたとしても、私どもとしてはこういう支援があるべきだということをお示しをして、従わない場合は、それはもちろんあるかも分かりませんが、できる限りそれはしっかりと医療や福祉関係者がケアをしていくということをやっていきたいというふうに思っておりますので、御本人と一緒に作るのが支援計画であるということは変わらないことだというふうに思います。
  132. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 大臣、その答弁をされることでもう全国にメッセージ、今回、追加資料で出された、でもこれはあくまで何か繕いで出されて、本音の部分は、いや、本人同意がなくても支援計画は作るんだ、それで強制的に、つまりそれ強制ですからね、自発的じゃないわけですから、それがその後の、退院後の医療も強制される、様々な支援も強制される、本人が納得をされていないままそれが実行される。いや、大臣、手を振っておられますけど、今そういう答弁されたわけですよ。計画としては有効だと、それに基づいて支援が行われるのであれば、本人同意なきままに、それが監視だって言っているわけですよ、大臣
  133. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) ちょっと余りにも私の言ったことと違うことをおっしゃるので申し上げますが、御本人が最終的にその支援計画同意をされないということはあり得ますが、強制をするようなことをやることは何もないわけでありますので、本人が拒否をすればそれはそれまでのことですが、しかし、御本人社会復帰のためにプラスになることを支援計画として計画的に作るということを申し上げているわけでありますので、それが医療あるいは福祉の地域での在り方についてのどういう形が一番社会復帰にいいのかということをお作りを申し上げるということでありますから、何ら矛盾していることではないというふうに思います。
  134. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 大臣、今の答弁自体が矛盾しています。御本人同意されなければそれまでのこととおっしゃった。でも後段は、でも本人のためと。本人が納得しない、誰かがそれを本人のためだと言って決めて、それを強制的に運用するのであれば、御本人意思の不在のままにそれが強制される、そういうことになるじゃないですか。だから言っているんです。本人同意がなければ計画自体は有効なものではない、認められない、それがもし言われないのであれば、結局、強制のままにやられることになるじゃないですか、大臣
  135. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 何度も申し上げますけれども、強制をすることはありません。これはあくまでも支援計画であって、支援をするのに支援が要らないという方にはどうしようもないわけでありますから、その際には繰り返し御説明をしていくということだし、それは医療でも治療を拒否される方は患者さんの中ではたまにはおられるわけでありまして、多分、お医者さんはそれで苦労されると思います。しかし、それは最後は患者の自由でありますから、拒否をされるということはあり得ますけれども、しかし、それで本当に御本人のためにどうだろうかということで、繰り返し御説明を申し上げて御理解をいただけるようにして、支援がしっかりと届くようにしていくというのが私どもの考え方でございます。
  136. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 そこを大臣、変えられないのであれば、もうこの問題、今回のこの措置の問題点、これはもう払拭されません。  結局、いや、強制はしない、でも計画は作る。できた計画、何でやらないのにわざわざ計画作るんですか。本人同意がないままに計画ができる、結局計画が独り歩きするでしょう。その計画に基づいて協議会なりなんなりでその後の対応、結局本人意思不在のままに進められてしまう。そのことを多くの皆さんが心配をされている、懸念をされている、結局監視につながるのではないか。本人同意がないままに、いろんなことが本人のためと称して、医療のためと称して使われてしまう。そのことを懸念されているわけで、今の、大臣、むしろその皆さんの懸念を残念ながら裏付けてしまった答弁だとしか思えません。もう結構です、時間の無駄なので。  今、これ大変重要な点を、大臣、改めて確認をいただきました。  もう一つ、これ、計画の期間について、おととい、これ堀江部長だったと思いますが、六か月という期間が出されました。これも、どこにも根拠も何もないのでこれも心配をされていますが、これ改めて確認をしますけれども、これはあくまで最大の上限が六か月であって、それ六か月以内で適切なものを、まあ我々はやっぱり本人の参加、参画の下に、御本人同意の下に、納得をされれば、じゃ、それが一か月、二か月の話なのか、六か月まで行かなきゃいけないのか、そういうことで決められるべきだというふうに思いますが、そういう確認でよろしいですね。
  137. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) お答え申し上げます。  退院支援計画に基づき支援を行う期間については、今後、国において退院支援ガイドライン作成し、半年以内程度の期間を目安に、患者の病状等に応じて適切に設定すべき旨を示す予定でございます。  具体的な支援期間は保健所設置自治体が設定しますが、最初に設定した期間については、患者の病状等に応じ延長や短縮を行うことは可能でございます。その際は、個別ケース検討会議を開催し、本人家族の意向も踏まえて検討を行うべきものであることをガイドラインで示してまいりたいと考えてございます。
  138. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 結局、ここのところも、期間の問題、一体いつまでというのを物すごくやっぱり心配されている、懸念されている。で、さっきの大臣の答弁がある。  御本人は参加をする。でも、御本人同意がなくてもこれ計画はできてしまう。計画の有効期間がある。そうしたら、今度調整会議やる。でも、また、御本人同意しないかもしれない、嫌だとおっしゃるかもしれない。いや、それじゃ駄目でしょう。御本人意思不在のままに結局名前だけ御本人が参加をされても、本人同意なくそれがどんどんどんどん進んでしまう制度的になっていたら、これ大問題ですよ、大臣。だから、さっきの答弁、物すごく重要だったわけです。そして、これ、残念ながら、繰り返しますが、懸念は全く払拭されないどころか、むしろ心配が強まってしまいました。  警察の関与、これ、今、支援計画の話、退院後の実行の話、もう一つ皆さんが大変心配されているのが、なぜ警察の関与が制度的に今回位置付けられたのか。この部分を本当に心配をされています。  警察庁に確認します。現行措置入院制度の下で、警察の関与、第二十三条通報以外に何が具体的にありますか。
  139. 小田部耕治

    政府参考人小田部耕治君) 現行措置入院制度における警察の関与といたしましては、精神保健福祉法第二十三条に基づく警察官の通報がございます。ほかについては、運用上でございますけれども措置診察等に際しまして、精神障害者の方が診察場所に移送する際に同席するといったようなものがあると認識しております。
  140. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 退院後のフォローに何らかの関わりを持っていますか。
  141. 小田部耕治

    政府参考人小田部耕治君) 退院後についてはないと承知しております。
  142. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 現行制度ではないんですね。現行制度警察の関わりがないことに何が問題がありますか。何か具体的な立法事実があるか、教えてください。
  143. 小田部耕治

    政府参考人小田部耕治君) 今般の法案におきまして、都道府県等に新たに精神障害者支援地域協議会が組織され、同協議会の中の地域における精神障害者支援体制を協議する代表者会議警察関係行政機関として参加することが想定されているものと承知しております。  この代表者会議におきましては、関係機関の間の役割分担や情報共有の在り方措置入院の適切な運用の在り方といった制度の運用に関する対応方針を協議することが想定されているところ、警察警察官による通報といった同法の目的であります精神障害者の保護に関係する機関であるということから、この会議に参画することとされているものと認識しております。
  144. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 そんなこと聞いていないんです。現行制度の下で、警察退院後の支援に関わっていないというのは先ほど答弁された。関わっていないことで具体的にどこにどういう問題があったのか、立法事実を教えてくださいと申し上げているんです。
  145. 小田部耕治

    政府参考人小田部耕治君) 今回の法案の立案につきましては、厚生労働省の方で検討されているところであるというふうに思いますので、厚生労働省に御説明、御答弁いただいた方が適切な御答弁をいただけるんではなかろうかと思うところでございます。
  146. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 つまり、警察庁としては、ここに至るまでの議論、主体的に参加もしていない、意見も申し上げていない、立法事実に基づく問題提起もされていない、厚労省が勝手に決めた、警察は巻き込まれた、そういうことですか。
  147. 小田部耕治

    政府参考人小田部耕治君) そういうことではございませんで、警察としましては、先ほど申し上げましたように、こういった今回の法案改正に際しまして、代表者会議については、先ほど言いましたように、私どもも関わりがございます通報についての緊密化を図っていくことが精神障害者の保護にも資するものであるということで、関係機関として参加することになっているというふうに認識しております。
  148. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 いや、済みません、質問に答えてください。  僕らは、まさにその立法事実を確認しているわけです。大臣が、立法事実はあるあるあるあるとずっとおっしゃる。じゃ、どういう検討がなされて、今、現状の制度で何が問題があって、じゃ、警察が関わっていないことで具体的にどういう問題があった、事例を分析をされた、現状を調べられた、それで警察が物申された、検討チーム警察、入っているじゃないですか。そこで物申されたんでしょう。それを教えてくれと。立法事実を確認させていただいているわけだけれども、立法事実がないということを今警察庁、答弁されちゃった。  塩崎大臣、立法事実ないじゃないですか。立法事実ないのに、何で警察が関与することによって支援、これが充実につながるという、どこからこの話が出てきたんですか。津久井やまゆり園のあの話以外に具体的な調査をされて、調べられて、立法事実出てきたんですか。教えてください。
  149. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) 本法案によりまして、精神障害者支援地域協議会警察が参画することによりまして、これまでに加えまして、警察による精神障害者支援体制についての代表者会議への参画、それから退院医療等支援について、自殺等のおそれがある場合など、本人の保護の観点から例外的に支援関係者からの求めに応じ、個別検討会議に参画するという関わりが増えるものでございます。  警察は、あくまで精神障害者社会復帰促進のために関与するものでございまして、監視を行うようなものではないという趣旨に沿った運用が行われますよう、国において退院後の医療等支援ガイドライン作成し、自治体にしっかりと伝えてまいります。  なお、兵庫県では、精神障害者地域で安心して生活するための方策について検討するための個別事例検討会を設けてございまして、この検討会に必要に応じ警察が入っている事例があるということは承知してございます。
  150. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 繰り返させないでくださいよ。もう質問に関係ないことをだらだらだらだらと、法案の概要説明、聞いているんじゃないんですよ。立法事実の確認しているわけですよ。  今日ずっと、大臣が立法事実があるという、じゃ、どんだけちゃんとした具体的な問題、課題調査をされて、精査をされて、分析をされて、立法事実としてこれやってきたのか。それ聞いているんじゃないですか。それを全然説明できないままに立法事実がある。  大臣、全然ないじゃないですか。警察は説明できない、いや厚労省に聞いてくれ、厚労省に聞いたら、法案の概要説明して、どこに立法事実があるか何の説明もできない。どこにあるんですか。
  151. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 今回、相模原の事案は一つきっかけであって、私どもは、改めて、この事件が起きて措置入院制度とその後の障害者の皆さん方の社会への復帰の実態を知るにつけて、やはり計画的な支援仕組みがないということがよく分かりました。そのことをもって、で、ちょうど兵庫県で昨年から今回私どもがやるようなものに近いようなことを始められていましたが、それは兵庫県内のことでございました。  私どもとしては、基本的な考え方は兵庫県に学ぶところは多いなと思いましたが、それをいきなり全部国レベルでやるわけにはもちろんまいりませんが、はっきりしていることは、計画的に措置入院をされた後、退院をして、計画的な支援、それは医療支援であったり、それから福祉的な支援、あるいは就労関係支援とか、こういうものが体系立ったプログラムを持ってやるということはなかったわけであります。  それは、じゃ、ない方が、そのまま今のままいくのがいいとおっしゃるなら、先生、いいですけど、やはりどうやったらこの支援がしっかりできるのかということを考えてみると、こういう計画的な支援を、医療的、福祉的、あるいは就労面での、あるいは生活面でもそうでしょうが、それぞれの地域がしっかり支援をしていくということが大事なので、基本的には警察は、この支援計画そのものには大概の場合は余り関係がないわけであります。  そんな中で、今日の午前中の参考人の際にも、田村参考人は、代表者会議警察が入ることは必要だが、個別ケースに入ることは適当ではないという御意見をおっしゃっています。それは、代表者会議のような大きなフレームワークのときにはいてもいいということを、協力するべきことはあるんだということをこのPSWの副会長さんはおっしゃっているんだろうというふうに思いますので、立法事実がないということは全くないのではないかというふうに思います。(発言する者あり)
  152. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) もう一度質問をしてください。それにきちっと答えをお願いいたします。
  153. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 時間の無駄です。済みません。  委員長にお願いします。立法事実があると先ほど来大臣も答弁されているので、資料要求したいと思います。昨年の検討チーム会議、議事、それからあり方検討会の議事、全てにおいて、警察の現状の制度措置入院制度における関わりを議論をした、具体的な事例調査をして、それに基づいて議論をした、それ、議事録全部、委員会に提出をさせてください。
  154. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) 出ますか、資料は。ありますか。  理事会で議論させていただきます。
  155. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 これ、ちゃんと説明してくださいね。それを見て、本当に立法事実があるのか、改めて委員会で議論させていただきます。  もう本当、悔しいですけど、時間がなくなってしまいましたけれども大臣、先ほど、聞きもしないのに、午前中の参考人質疑の云々お話しされましたけど、堀江さんがおとといの質疑でもされた、これすごく心配なんですけど、結局、とどのつまりは、これ法制度上も、各地域協議会でそう決めれば、警察の関与の仕方というのは決めることができるという説明です。さっき堀江さんもそういうふうに答弁されました、個別の調整会議への関与の仕方も協議会で決めるんですと。  協議会で決めるということをやっちゃったら、これ大臣触れられなかったけど、午前中の参考人でも、結局警察主導になるんだと、警察が関わらせてくれ、警察が情報を教えてくれ、結局各協議会で、そういうふうに警察主導で支援在り方とか警察の関わり方とか情報の共有の在り方とか決められちゃう。だから、問題なんだ。  これ、でも、答弁されているので、確認です。警察の関与の仕方、各協議会で結局そこで決めるんだと、それはそのとおりでよろしいんですね。
  156. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) 警察が関わるという、体制の会議で、グレーゾーン事例などについての対応方針につきましては、今後、全国的な方針を検討し、協議会の運用に関するガイドラインで示してまいることを考えてございます。
  157. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 ちょっと、ちゃんと答えてください。  結局、そういうことも含めて、警察の関与の在り方、情報共有の在り方協議会で決定される、そういう立て付けになっている、それでよろしいんですか。
  158. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) 今申し上げましたのは、国において全国的な方針につきまして、ガイドラインとしてお示しして、各都道府県、政令市にお示ししてまいりたいと考えてございます。
  159. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 個別ケース検討会の参加者というのは、支援対象者の退院後の医療その他の援助関係者のみということになっています。こういうことから、防犯の観点から警察が参加するということはあり得ない、これがまず第一であります。  そして、しかし、例外的に警察が参加することがあるということをこの間申し上げましたが、それは警察医療その他の援助関係者に該当するというふうに警察以外の医療その他の援助関係者が思ったときであって、警察が自ら俺は関係あるんだといって入ってくることはないということでありますし、具体的には、これは前申し上げましたが、自殺のおそれが認められる者あるいは繰り返し応急の救護を要する状態が認められている者などについて、患者への支援を目的に医療その他の援助関係者から参加を求められた場合に限られるわけであります。他害のおそれがあるか否かに関わりなく、繰り返し応急の救護を要することがあれば、あくまでその方の支援を目的に、今申し上げたように、警察以外の医療その他の援助関係者から求められた場合に限って警察は個別ケース検討会に参加することもあり得るということでございます。
  160. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 時間が来てしまったのでまとめなきゃいけないんですけれども大臣、何かどんどんどんどん、法案にどこにも書いていない、説明資料にも書いていない、それをここで何か繕ったように突然言われる。これ、やっぱり作り直し、また追加資料ですか。もうずたずたですよ。一番心配されている、懸念持たれている部分について、まともに立法事実も出せない、答えられない、追加資料で修正する、答弁で繕う。これじゃ到底納得は得られないし、これ、審議成り立ちません。  そのことを強く表明して、これ、もう廃案にして、出し直して、ちゃんと作り直していただくしかないということを重ねて申し上げて、これ審議、もし本当に続けるなら全然尽くされていませんので、僕、今日、三分の一もできなかったので、また機会をいただくこともお願いして、終わりにしたいと思います。  ありがとうございました。
  161. 倉林明子

    ○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。  ちょっとこれはないだろうと思いました。今朝、私の部屋をコンコンとたたく小さなノックの音がありまして、開けてみたら、厚生労働省の担当の方がお見えになって、この大臣言うところの修正の一部改正法律案の概要を持ってこられました。改めて、三十年ぐらい国会で働いている秘書さんに聞いてみました、法案審議途中でこのような概要の変更があったのかと。彼女は記憶がないと申しました。  そこにいらっしゃる方々に確認したい。法案審議途中に概要の説明書きを変えると、こんなことあるんですか。
  162. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) 本日の理事会でその概要資料の一部を修正することについて御説明申し上げまして、理事会の方では追加資料と取り扱われたところでございますけれども、本委員会での御議論を踏まえ、概要資料のうち、改正の趣旨を法案内容に即したものにすることでより分かりやすくするために修正したものでございまして、法案内容に変更は加えたものでは全くございません。
  163. 倉林明子

    ○倉林明子君 質問への答弁の用意がないんだったら、手挙げないでほしいんですね。  記憶あるんですかって聞いたんですよ。こんなことやったことあるんですか。誰かそういうことをやった経験ありますか。大臣ありますか。
  164. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 通告のなかった御質問なものですから、ちょっとすぐには……(発言する者あり)
  165. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) ちょっとお静かにお願いいたします。
  166. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 通告を受けていないものですから、今悉皆的に調べろと言われても調べられませんが、追加の資料ということはいろいろあったと思いますが、今回のことについては、私が先ほど申し上げたとおり、より分かりやすくなるようにということでありますけれども、こういう形になったことについてはおわびを申し上げたところでございます。
  167. 倉林明子

    ○倉林明子君 おわびを説明の時点でいただいたという記憶は、私、今朝のことですけど、ありません。こういうふうに変更したいということでペーパーを持ってこられたにすぎません。お昼に来られた課長は、こういった記憶はございませんと明言されましたよ。こういうことをやったことがあるのかないのかと、私は重大な問題だと思うから確認しているんですよ。その自覚があるのかないのかぐらい答えられないんですか。
  168. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 過去にあったかどうかは調べてみたいと思いますが、いずれにしても、今回こういう形になったことは、国会に趣旨説明のときに申し上げた言葉ではございませんけれども、追加でこういう形で出したことについては申し訳ないと思っております。
  169. 倉林明子

    ○倉林明子君 いや、申し訳ないと謝られる前に、私はきちんと、変更するなら変更する、修正するなら修正する、何をどう変えたのかというきちんとした説明がこの委員会ではまだ一回もないんですよ。どこをどう変えたのかということをきちんと委員会でも説明をして、部屋では説明聞きましたよ、部屋では聞きました、委員会への説明が正式に、修正なり変更なり、ここをこうしたということはないわけですよ。記録に残らないまま変更を了解してくれって、こんな話は通らない。どう思いますか。説明のやり直しは最低限やるべきだ、どうでしょう。
  170. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) これは私どもの方から理事会にお諮りを申し上げて、理事会の方で御差配をいただいたというふうに思っております。
  171. 倉林明子

    ○倉林明子君 我々理事会で確認したのは、これを修正の、差し替えたいという提案を受けました。文書の中身については提案を、説明を受けておりません。その上で我々は、修正、差し替えは認めることができないということで、追加の資料として了解したということですよ。十分理解してもらわないと困るんですね。  それで、この追加の資料について私確認したいと思うんです。この追加の資料なるものを一体誰がこの追加、修正の指示を出したのか。いつ出したのか、いつ決めたのか、国会への説明はいつ誰がやったのか、具体的に説明してもらえますか、経過。
  172. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) これ、前回のここの場で委員会で御指摘をいただいて、そのときにも非を認めていたわけでありますから、それを受けて、組織としてこの書き方をより分かりやすくするということで、今日理事会の方にお諮りを申し上げたということでございます。
  173. 倉林明子

    ○倉林明子君 答えていない。誰がいつ決めたんですか。
  174. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) さっき申し上げたとおり、厚労省として、組織としてやりましたから、当然私まで上がって判断をしているということでございます。
  175. 倉林明子

    ○倉林明子君 いつ国会への説明ということですか。いつしたんですか。説明いつしたんですか。答えていないですよ。
  176. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) 本日の、今朝の理事会で報告をさせていただきました。
  177. 倉林明子

    ○倉林明子君 いや、説明は受けていないと言っているんですよ。説明したというのと紙渡したというのは違うんじゃないですか。
  178. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) この御指摘の資料は国会に提出、元々していないものでございます。しかし、ホームページにも掲載をされ、広く使われてきたものではありますから、分かりにくさを分かりやすくするということで、前回御指摘をこの場で受けましたから、それをより良くしようということで、この間の問題点、指摘を受けて直したものでございます。
  179. 倉林明子

    ○倉林明子君 これを使って法案の説明をずっとしてきたわけですよ。そこの改正の趣旨が二行抜けるというのは、単純に二行抜けるというだけにとどまらない変更なんですよ。  そもそも、抜いた二行は何だったかと。「相模原市の障害者支援施設事件では、犯罪予告通り実施され、多くの被害者を出す惨事となった。二度と同様の事件が発生しないよう、以下のポイントに留意して法整備を行う。」、これ、前提として書かれている文章が丸々消えるんですよ。これが趣旨の変更でなくて何なんだと思うんですよ。元々の法の趣旨が誤解される説明だったから抜いたんだというんだけれども、これ、改正の趣旨のこの二行が抜けたら、元々の説明の趣旨が変わるんじゃないですか。  私は追加というよりも変更だというふうに受け止めましたけれども、いかがですか。
  180. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたとおり、この概要資料のうちで改正の趣旨を法案内容により即したものにすることで、より分かりやすくするための直しをしたものでございまして、法案内容自体に変更を加えるものではないということを先ほど申し上げたとおりでございます。
  181. 倉林明子

    ○倉林明子君 余計分からなくなるわけですよ、何のための立法だったのだと。  先ほど来、立法事実に対して質疑ありました。私どももここが本当に大きく、立法事実があるのかという質疑もさせていただいた中心部分だったわけですよ。それを修正だ、差し替えだということで取ってしまうということをペーパー配って済まそうなんというのはもってのほかだ、国会軽視も甚だしいと。修正案出し直して、説明のやり直しを私は厳しく求めたいと思う。そうでないとまともに法案審議できませんよ。  どう考えているんですか、大臣
  182. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたとおり、この資料は広く使われてきたことは事実でありますけれども、正式に国会に提出した資料ではございません。  しかし、今申し上げたとおり、法案説明の際に使われてきたということもございますから、それはやはり分かりやすく、より実態というか、この改正の趣旨により合ったものにした方がいいということで、今回のものを追加配付をさせていただいたということでございます。
  183. 倉林明子

    ○倉林明子君 じゃ、改めて、現時点で立法事実は何だったんでしょうか、この法案
  184. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) 相模原事件一つの契機といたしましてこの精神保健福祉法措置入院につきまして検証を行いまして、この退院後の支援が欠けていたということでございましたので、それにつきまして現行制度検討を行った結果、措置入院について患者退院した後の医療地域福祉等の支援が不十分であるなどの課題が明らかになり、これに対応するために提出したものでございます。
  185. 倉林明子

    ○倉林明子君 私は、確かに立法事実の議論をした経過も踏まえて、誤解のないように改めて法律案の概要のペーパー書き直しをしたいということであるならば、きちんとそれに沿って説明のし直しをして、議論のし直しをしないと、お互い誤解の上に成り立った議論をしても本当に無駄だと思います。  まして、これは精神障害者の人権に関わる重大な法案なんですよ。そんな、立法、スタートのところをいじるような修正、変更というんやったら、私は、やっぱり丁寧にもう一回出し直しの議論ということをやるべきだと、そうでないと本当に議論にならないということを強く求めたいと思うんです。  これは理事会でも諮っていただいて、もう一度丁寧な立法事実及び改正趣旨についての説明のし直しを求めたいと思います。
  186. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) お答えありますか。  理事会で諮ります。
  187. 倉林明子

    ○倉林明子君 立法事実についての議論を踏まえた、こうした新たな概要の出し直しというような極めて異例なことが起こっています。  この精神保健福祉法に関しては、この法案が提出された、この概要がホームページにも掲載された、それから多くの当事者たちが本当に心配と不安を増幅させて、連日私どものところにも御意見、御要望が集中しているわけです。根幹のところでそういう修正をするという、もう一回、自分たちで振りまいた誤解なんですよ、言うておきますけど、これを振り払いたいのであれば、もう一回丁寧な説明を重ねて求めて、もうちょっと時間あるので、もう一回答弁を求めたいと思う。振りまいた責任はあなたたちの方にあるんだということを私は言いたい。どう思いますか。
  188. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 繰り返して恐縮でございますけれども、今回の法案の提案理由というのは別にしっかり出しておるわけでございまして、それこそが提案の理由でございます。  今回使われてきたものの資料について、追加的に配付をさせていただいたことに至ったことについてはおわびを申し上げるわけでございますが、中身については、法案内容につきましては、私どもとしてはこれを変更するというものではないというふうに思っておりますので、今回の追加資料の趣旨は、あくまでも法改正の趣旨を法案内容により即したものにすることで分かりやすくするためにしたものでございますので、御理解を賜りますようにお願いを申し上げたいというふうに思います。
  189. 倉林明子

    ○倉林明子君 とっても御理解できるレベルではないと思います。  そもそもこの法案提出に至った経過については、私、十一日の質疑でも指摘したとおりだと思うんですね。三年後の見直しということで準備してきた議論、ここが相模原事件で大きく、それ検討会での議論も変わったと田村さんもおっしゃっていましたよ。そういう経過たどった。その出発点は何だったかというと、事件直後に総理が、事件を徹底的に究明し、再発防止、安全確保に全力を尽くすと言って立ち上げられた、厚生労働省を事務局とする検証検討チームだったわけですよ。  先ほど石橋さんからも指摘あったけれども現行制度の下で何をしておけばこの事件を防ぎ得ていたのか。これ、再発防止の考え方ですよね。更に踏み込んで、現行制度に加え、いかなる新たな政策や制度が必要なのか等、今後の再発防止策として提案していくことが重要である、再発防止が目的でないと繰り返し言うんだけど、出発点の目的はそこにあった、そういうことじゃないでしょうか。指摘して、終わります。
  190. 片山大介

    ○片山大介君 日本維新の会の片山大介です。  私も、この朝からの一連の動きのことについて聞きたいと思います。質問通告はしていましたけど、その質問は今日するのはやめました。  それで、やっぱり私も、これまでの議員が言われたとおり、私も大変驚いたんです。朝の理事会でいきなり紙が配られて、それで何かなと思って見たら、おととい議論していたことが全部削除されているんですよね。何のための議論だったのかと私もまず思ったんですよ。  それで、その上で今の議論を見ているけど、だけど法案の修正は別に必要ないと言っているんですよね。だけど、我々って、これ何度も話出ていますけど、この資料を基にこれまで何時間か議論をやってきたわけですよね。これを変えたのに法案の方は関係ないというと、これ、何のための資料だったのかと思うし、やっぱり法案審議するこの委員会の場というのが私は軽視されていると思いますよ、これは。だから、それについての考えと、おとといからの経緯というのをまずしっかり教えてほしいと思います。
  191. 橋本岳

    ○副大臣(橋本岳君) 今、経緯についてのお尋ねがございました。  前回、四月十一日にこちらの委員会で御議論いただいたわけでございますが、そのときに、川合委員との御質疑の中で、今回、追加資料の方で削除させていただいた部分について誤解を招くのではないかという御指摘をいただいたわけでございまして、その中で、大臣からも、誤解を招く表現ぶりだということで、大変そこは申し訳ないと思いますがと、特に、二度と同様の事件が発生しないようと書いてあるのがそのように誤解されるのかなということでございますがと、こういうふうに申し上げているわけでございます。  私たちとしては決して国会を軽視しているということではなくて、むしろ、そこでそういう御議論いただいて、私どもとしても、そこが誤解を招くんだ、確かにそうだなということで反省をするということで大臣も申し上げたわけでございますから、そこのところについて正した資料を改めて作成をすべきだということで、先ほど大臣が答弁をしたとおり、省内でそのような方向となって、今回、資料を配付をさせて、理事会でのお許しをいただいて配付をさせていただいたと、こういう経緯でございますので、むしろ、私たちとしては、国会で御議論いただいていることをしっかり受け止めて対応させていただいているんだと考えております。
  192. 片山大介

    ○片山大介君 だったら、法案もやっぱり変えるところが出てくると私思うんですね。  例えば、さっき、必要に応じてと、会議のところで、本人とそれから家族ですか、があったですけれども、それが、必要に応じてを取られているんですよね。そして、それじゃ、法案にどこに反映されているかといったら、さっき大臣の回答で、その他の援助関係者に当たるとかって言って……(発言する者あり)ちょっとそこ、じゃ、もう一遍きちっと、大臣、教えていただけますか。副大臣でも結構です。
  193. 橋本岳

    ○副大臣(橋本岳君) 経緯の関することでございますので補足をさせていただきますが、川合議員との御質問の中で川合議員がおっしゃったことは、私が申し上げたいのは、要は、こうした、私は率直に申し上げまして、障害を背負って一生懸命説明しておられる方々に対して配慮に欠ける文章だと思いますよ、こうおっしゃっておられるわけでございます。こういう書き方をされたら、怖い、危ないといった印象を周りの方に植え付けてしまうじゃないですか、法律の文章を変えろとか何だとかということについて議論する前に、この趣旨説明のこの紙、けしからぬ内容ですよと、こういう御指摘をいただいたわけでございます。  ですから、私たちは川合議員とのやり取りの中で法律についての御説明をさせていただいておりましたが、それに当たって、この説明の紙の表現がけしからぬという御指摘をいただいた、それを承って、私たちとしては、まさに反省をするということでその説明の紙を直させていただいたと、このように考えております。
  194. 片山大介

    ○片山大介君 いやいや、それだったら、それはやっぱりその配付資料で作った内容を基にじゃないんだけど、それはその法案のことをこの配付資料の中に落とし込んで我々に説明しているわけですよね。その配付資料がやっぱりちょっといけていなかった、間違っていた、直さなきゃいけないというんだったら、それはやはり法案にも関わってくることなのかなと思うし、もし本当にその必要に応じてを取るんだったら、これ、本人のことはここに、支援対象者だとかってほかのところには書いてあるんですよね。だから、その支援対象者ということが主語になった文言がなきゃやっぱり私はおかしいと思います。それが、などでこれを終わるとかっていうのは、それは私、やっぱりこれ不親切なように思いますよ。そこはどうでしょうか。
  195. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) この退院支援計画につきましては、本人家族の意向をしっかりと踏まえた上で作成されることが必要だということはるる述べさせていただいているところでございまして、その旨を明確にするように、する資料とさせていただいたものでございます。(発言する者あり)
  196. 片山大介

    ○片山大介君 私も答えになっていないと思うんです。これ、もう一遍、文章を読まないで、きちんともうノンペーパーで話していただけることを話していただければいいと思うんですが、お願いしたいと思います。
  197. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) 退院支援計画は当然その患者本人のために作るものでございまして、その際には、本人家族の意向をしっかりと踏まえた上で作成されるべきものだということで、その趣旨を説明資料上も明確にしたものでございます。
  198. 片山大介

    ○片山大介君 やっぱり書いてないから、私も、だから明確になってないと思うんです。だから、そこは素直に、虚心坦懐というか、きちんとそれを受け入れてもいいんじゃないのかなというふうに思います。  もしそれで今のような主張をするんであれば、やっぱり私は今回の新しい資料、これ消してどうするという感じなんですよね。だったら、消さないで、やはり今の主張をきちんとやった方がまだ説得力があるのかなと思っています。それで、消したということは、やっぱり判断に迷いがあるということなのかなと思います。そうすると、それが信念を持って本当に法案を成立できるのかどうかということにつながってくると思うんです。そこら辺はどうですか。
  199. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 元々これを国会に出してはいないといえども概要として出回ってきたわけでありますから、皆さん方はそれを基に御審議をいただいて、説明にも使わせていただいてきたと、こういうことであります。したがって、これを追加資料という形で別のものを出すというのは大変申し訳ないということは先ほど申し上げたとおりでありますが。  実は、今回は大きな固まりとして三つの固まりがあります。それはもう御案内のとおりでありますけれども一つはこの措置入院後の退院後の支援をどうするのかということ、それとこの指定医在り方、それとこの医療保護入院入院手続等の見直し、この三つがあるわけです。元のやつは、この三つは下に丸で書いてありますが、これは結局一番目の、今申し上げた、措置入院退院後の、解除後の支援の、医療あるいは福祉、地域福祉の支援在り方についてのこっちの部分だけを書いているものです。  ですから、本当は三つ書かないといけなかったし、そもそも、何度も申し上げているように、この相模原での事件は、今回の修正、法改正きっかけ一つとしてということを何度も申し上げております。これをやって全部、二度と同様の事件が発生しないようにという気持ちを込めて、もちろん、足らざるところを今支援計画という形で地域に帰られた精神障害者の皆さん方の医療、福祉の支援を総合的にやろうということを計画立ててちゃんとやろうということを申し上げているわけでありまして、そういう意味で、まずこれを今新たな形で追加配付をさせていただいたということであります。  それと、先ほどのあれですね、この必要に応じてというのを変えたじゃないかと、こういうことでございます。私も実はこれ、やや誤解を招くなというふうに思いました、これを見たときに。これ、なぜかということを聞いてみますと、本人家族が、先ほど石橋委員との間でもやり取りありましたけれども本人とあるいは家族が出席を同意しないということがあり得るということで必要に応じてと書いたというので、いや、それはなかなか誤解されるんじゃないかということもあって今回直させていただいているということでございます。  したがって、法改正内容そのものは何ら変更があるものではないということでございますので、いろいろ不手際があったことはおわびを申し上げますけれども内容については何ら変更するものではございませんし、何よりも今までの措置入院あるいは措置入院から退院を、解除されて退院する際の扱いについての不十分なものというものが大変多く浮き彫りになってきた、そういう中でどうやって地域支援をしていくのかということを今回御提起を申し上げているのが一つの大きな固まりだということでございます。
  200. 片山大介

    ○片山大介君 その考え方によってこの文書も、ちょっと出したり消したりとかというふうにおっしゃっているんですけれども、我々はこの文書を、この資料を見ながら、これ一字一句見ながら、そこの行間ににじんでいることまで考えて我々は質問しているわけだから、それは、そちらの判断でこれを削除してもらったとしても、その意図は簡単に通じないですよ。今回は、そこで、その文言取ったから、だけど変わらないとかといっても、それは、こちらの受取手はそうじゃないということをよく分かっていただきたい、それが一点。  あともう一つ。今回は、今朝になって我々は知らされたわけですよね。だけど、昨日の時点で我々は質問通告をしている。質問通告というのは、基本的には紳士協定なのかもしれないけれども、我々は質問通告をすることによって深い議論をしていこう、それが根底にあるわけなんですよね。だけど、その質問通告をした次の日の朝にこういうものが出されると、そもそもその紳士協定とすらなくなってくるのかなというふうに思ってしまいます。だから、そこは重々反省していただきたいと思うんですけれども、それをお伺いしたい。誰が答えられるでしょうか。
  201. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 御指摘のとおり、変更があったということについて、それも質問通告をされた後にお届けさせていただき、また理事会にも諮って御説明をさせていただく形になったことはおわびを申し上げたいというふうに思います。  したがって、このようなことが今後ないように努力をしていきたいというふうに思います。
  202. 片山大介

    ○片山大介君 私、これで終わります。
  203. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  私も、朝これを聞いて、理事懇談会で聞いて本当にびっくりしました。これ、削除するということを厚生労働省が言い出したことそのものが、この法案の欠陥を明らかにしたというふうに思います。  というのは、「相模原市の障害者支援施設事件では、犯罪予告通り実施され、多くの被害者を出す惨事となった。二度と同様の事件が発生しないよう、以下のポイントに留意して法整備を行う。」。再犯防止のためにこの法律を作ると、このペーパーは、厚生労働省のペーパーは言っているわけじゃないですか。それを削除するとしても、実はこの法案がこの再発防止のために作られた法案だという、この法案の問題点は払拭できないんですよ。  だから、これは骨格そのものがもう厚労省自身が恥ずかしくてこれ出せないと判断したのであれば、この法案、一旦取り下げてください。でないと何の説得力もないですよ。頭隠して尻隠さずじゃないけれど、本音を実ははっきり言っていたんですよ。本音言っていたけれど、再発防止というのは国会の中では評判が悪い、だから取り下げるんですよ。でも、法案自体は再発防止じゃないですか。  この間の十一日の審議の中でも、再発防止という言葉はたくさん出てきています。例えば、総理の発言からこれはスタートするわけですが、総理からは、この事件で被害者の皆様やその御家族皆様を始め多くの方々が大変な不安を感じておられます、事件を徹底的に究明し、再発防止、安全確保に全力を尽くしていかなければなりません、厚生労働大臣を中心に関係閣僚が協力して、施設の安全確保の強化、措置入院後のフォローアップなど、様々な観点から必要な対策を早急に検討し、できるところから速やかに実行に移していくよう指示があったものと承知してございます。これ、堀江さんの答弁ですよ。  まさに、再発防止と総理が強く言ったことを受け止めて、措置入院後のフォローアップなどできるところからやっていくと答えているじゃないですか。再発防止があって、だからこの措置入院後のフォローアップと政府自身が答弁しているんですよ。  つまり、今日も田村参考人からもありました、措置入院だけ何でやるんだ、これはここの多くの委員が共有していることだと思います。任意入院の人も措置入院の人も通院の人も、それは支援が必要ですよ。だったら、ワンストップサービスで手厚くボトムアップでそこをやるべきだということであれば、ここにいらっしゃる委員の皆さんも、それは必要だよね、そこに予算は振り向けるべきだよねと思っていただけると思います。しかし、再発防止からスタートしたから、まさに堀江さんが、政府が答弁しているとおり、措置入院後のフォローアップなんですよ。この被告人が措置入院していたということがあるから、措置入院者の全てに、本人が望むと望まないとに全く関係なく支援計画作るんですよ。本人が拒絶しても全員作るんですよ。そして、協議会をつくると。  大問題なのは、厚労省のやっぱり今回の態度が問題だと思うのは、条文の第八章、精神障害者支援地域協議会という条文があります。しかし、皆さんたちが作ったポンチ絵はあたかも代表者会議協議会がぱっちんと分かれているようなものを作っているが、こんなの全然条文にはないんですよ。  今日の答弁でも、堀江さんはこれからガイドライン作ると言いました。どんなガイドラインか示せないじゃないですか。  警察は入る、だから代表者会議警察は入るわけで、そして個別の協議会、ここにも警察が入ることがあり得るわけでしょう。しかも、個別の協議会とこちらは連携し、かつ保健所から代表者会議に対して情報が通知される、あるいは県を越えても通知は行き得るということはこの間答弁されたじゃないですか。警察がどこにでも出てくるんですよ。そういうことは、しかしこの条文には書いてないんですよ。  個別の協議会にも警察が関与し得るということで、改めて堀江さん、よろしいですね。
  204. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) 改正法案におきまして、個別ケース検討会議の参加者は、支援対象者の退院後の医療その他の援助関係者のみとされてございます。そのため、防犯の観点から警察が参加することはございません。  例外的に、前回も申し上げましたが、警察が参加するのは、警察医療その他の援助関係者に該当する場合に限られます。具体的には、自殺のおそれが認められる者や繰り返し応急の救護を要する状態が認められている者などについて、患者支援を目的に医療その他の援助関係者から参加を求められた場合に限られるものでございます。
  205. 福島みずほ

    福島みずほ君 条文にそのことは書いてないんですが、この中の、委員会質疑の中で明らかになったことは、代表者会議には必ず警察はというか入るわけで、個別のケースの個別の協議会の中にも警察が入るということを認めているということじゃないですか。だから、私たちは、代表者会議にも個別にも入るから、これは本当に問題にしているわけです。  例えば兵庫県における現在の措置入院退院支援策、兵庫方式などと呼ばれているものについては、個別ケースを扱う協議会に警察当局も参加しており、違法薬物に関する情報を通報する場合もあるという回答だったというふうに厚生労働省から聞きました。  法案が成立する前からこういうことをやっている、法案が成立する前からまさに個別協議会に入っているわけで、それでいいということですよね。
  206. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) まず、協議会でございますけれども協議会、個別ケースの方でございますが、協議会は、前二号の協議又は連絡を行う者は、関係行政機関のうち支援対象者の退院後の医療その他の援助関係者をもって構成する合議体で当該協議又は連絡調整を行うものというふうに明記してございます。それから……(発言する者あり)いや、ですから、済みません、続けさせていただきますけれども、先ほど申し上げていますように、個別ケースの検討会議に防犯の観点から警察が入ることはございません。  それから、兵庫県でございますけれども精神障害者地域で安心して生活するための方策について検討されるための個別事例検討会を設けておると聞いてございまして、その検討会に必要に応じ警察が入っている事例があることは承知してございます。これについて、警察患者の保護を目的に、医療その他の援助関係者として個別事例検討会に参加しているものであるというふうにお聞きしてございます。  本法案の個別ケース検討会議につきましては、警察は原則参加しないこととしていることは先ほど申し上げたことでございます。
  207. 福島みずほ

    福島みずほ君 原則として参加しないといったって、参加する場合もあることを認めているじゃないですか。兵庫方式は個別の協議会に警察入っているんですよ。これ、いいんですかと先ほど私は聞きました。いいんでしょう、だって入ることもあるわけだから。兵庫方式の全国展開化なんですよ。  この委員会の中で明らかになったことは、代表者会議にも個別の協議会にも警察は入るんですよ。入ることもあり得るわけで、条文上も除外していないし、今日の答弁でも認めているんですよ。個別の協議会に警察が入るということであれば、薬物依存の人や薬物使用の人やそういう人たちは、常に自分は個別ケースで、自分のケースで見張られているというふうに思うじゃないですか。しかも、その通知は県を越えても住所を変えても付きまとうんですよ。これって、措置入院した人に対して、おまえたちをずっと監視するぞ、必要があれば警察は個別協議会にも入ると答弁されているわけで、まさに再発防止のためにやるというそのものじゃないですか。  そして、このポンチ絵で消えたものに、この代表者会議調整会議、両会議における課題や結論を相互に反映となっているんですが、これ相互に反映しないんですか、今後は。
  208. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) まず、兵庫県の警察の関与でございますけれども患者の保護を目的に医療その他の援助関係者として個別事例検討会に参加しているものだというふうに聞いてございますので、防犯のためではございません。  それから、言いますればグレーゾーンのような場合につきまして、警察との間で情報共有することが必要と判断されるのは非常に例外的な場合に限定されるわけでございまして、グレーゾーン事例対応方針は、今後、全国的な方針を検討し、協議会の運用に関するガイドラインで示してまいります。また、該当する事例を把握した場合には、代表者会議では個別ケースは扱わず、個別ケース検討会議は退院支援計画に基づく支援内容等の協議を行うものであることから、協議会の場で警察に情報提供が行われることはなく、協議会とは別に自治体警察が連携して対応すべきものでございます。
  209. 福島みずほ

    福島みずほ君 問いに対して常に答えないというのはなぜなのかちょっとよく分からないんですが、私の質問は、両会議における課題や結論を相互に反映というのが削除、今回されましたけれども、でも、実際、相互に反映するんでしょうということなんです。
  210. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) 元々書いておりましたのは課題の話でございまして、個別の情報ではございません。
  211. 福島みずほ

    福島みずほ君 というか、私は、ガイドライン作るというんだったら、そのガイドラインの中身をむしろ法案にきっちり入れるべきじゃないですか。よく分からない答弁を繰り返すよりもそっちの方がよっぽど親切ですよ。  それから、今日の今までの答弁ではっきりしたことは、代表者会議協議会があって、協議会の中に防犯ではないが警察はケアのために入るということじゃないですか。協議会に入るんですよ。そうしたら、個別のあるAという人のケースで警察がそのチームの中に入るんですよ。そして、情報は自治体とその警察との間で共有するわけで、引っ越してもその自治体警察との間の情報共有がずっと続いていくわけですから、ずっとやっぱりその個別ケース、こういうAという人が実は薬物使用であったというようなことは情報共有として続くんですよ。だから、私も、これは監視であると、保安処分じゃないかというふうに思い、反対をしているものです。  でも、協議会において防犯ではないが警察が入り得るとはっきり言っているわけで、そうしたら、それはやっぱりこの法案認めるわけには本当にいきませんし、せめてそれは条文にちゃんと書くべきだと思います。  それで、退院支援計画が終了した後に、計画過程警察に伝達された情報は破棄されるんでしょうか。
  212. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) 退院支援計画が終了した時点警察において適切に廃棄されるものだと考えてございます。
  213. 福島みずほ

    福島みずほ君 適切に処理されるものだと思うってどういうことですか。でも、個別協議会に警察は入って、Aという人がどこどこに住んで、その人は薬物使用だって分かっているんですよ。支援計画が終わって廃棄するんですか。しかも、廃棄したことを誰がどう確認するんですか。警察にその人が薬物使用の人であるということは残るんですよ。
  214. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) 答弁を訂正させていただきます。  警察において適切に判断されるものだと考えてございます。
  215. 福島みずほ

    福島みずほ君 警察において適切に判断されるというんだったら消さないですよ。消さないですよ、悪いけれど。だって、また何か事件とか起きたら大変だという意識があるから、薬物使用の情報やそういうのは消さないですよ。警察において適切に判断するものと思われますだったら消さないですよ。  つまり、この答弁の中で明らかになったのは、一旦措置入院になったら、本人が嫌だと言ってもとにかく全員に対して支援計画が作られる。そして、協議会の中に、例えばAという人のケースの中でも警察が、個別ケースの中のチームに警察が入ってくる。そして、支援計画は、じゃ、三年たってなくなりました、警察はそれを適切にするものと思いますと厚労省が言うんだったら、じゃ、一旦措置入院した後、ずっとその記録はその地域に、その地域警察に残るんですよ。そうしたら、まあ、尾行されているんじゃないかとか、見回りされているんじゃないかとか、あるいは職務質問を受けたら、あっ、あなたは薬物使用を犯したことがありますね、だったらちょっと任意で尿検査してくださいというようなことも起こり得るわけですよ。だったら、本当に一旦措置入院したらずっと警察に未来永劫死ぬまで見張られるんじゃないかという不安は払拭できないじゃないですか。
  216. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) まず、基本的に、個別検討会議チームには警察は入りませんというのは先ほど申し上げたところでございます。(発言する者あり)原則、原則として。(発言する者あり)例外は、ですからその本人が自殺を企図しているような場合というような非常に例外的なものでございます。
  217. 福島みずほ

    福島みずほ君 本人にとって自分の個別ケースに警察が入るかどうかというのは、やっぱり大きいことだと思いますよ。そして、自殺とか言うけれども、被害とか薬物使用だって入るかもしれないじゃないですか。原則だ、例外だと言うけれども、そんなの全然当てにならないですよ。入る可能性があるということに私たちは問題にしているし、情報が代表者会議自治体警察と共有されたり、それがまた個別のことにも反映するということに関して非常に危惧を持っているわけです。今日の答弁でも、警察が適切に処理されると思いますだったら、このデータは続きますよ。  私は十六分までなので、今日質問する予定のことは次回にすることにいたします。質問通告していてちょっと申し訳ないんですが、やっぱり今日ショッキングな事態が起きたので、もう駄目ですよ、これ。駄目ですよ、これ。誰が考えても駄目ですよ。だって、再発防止再発防止再発防止再発防止と言って、ところで再発防止ではありませんと言われて、でもこの柱は措置入院退院後のフォローアップを主眼にしているものじゃないですか。誰が見ても措置入院者退院後の支援計画フォローアップなんですよ。それは再発防止というふうに考えて作ったんですよ。でも、それって、やばいというか、それは良くないと思って取ったんですよ。でも、法律の骨格は残っています。だから、これ、法案、一旦取り下げてください。これ、駄目ですよ。でたらめの上に審議するわけにはいきません。法案を取り下げるべきだと申し上げ、質問を終わります。
  218. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。  いや、本当に今日は何を議論していいのか、私もこの取っ散らかった議論の中で大変迷っておりますけれども、実は私、今日質疑させていただきたいと思っていた内容は、皆様方の今お手元にも配っておりますが、この検証検討チーム報告書、私は、この一文消されましたけれども、この一文が入るのであればもっと別に検討すべき事項、もっと強調すべき事項があったのではないかということを大臣に申し上げたかったんです。これまでの議論の中で、なぜ我々野党がこんなに心配をしていたか。それを素直に、多分素直にだと私は受け取っておりますけれども、解釈してくださってこの一文をやっぱり消さなきゃまずいなというふうに感じてくださったんだというふうに思います。しかし、そこには様々な歴史があったということが余りにも配慮がなかったのではないかということです。  これまでの障害者皆様方が感じられている差別、そして様々なところで今まで受けてこられた言葉による暴力、言葉だけではないかもしれません、そういうものの上に私どもはしっかりと法案をまずは立案をしていただきたいと思います。それがないと、私どもが今危惧しているように、いつまでたってもそうやって自分たちの人権というものが侵害し続けられるんじゃないか、いつまでも監視し続けられるんじゃないか。ということは、信頼関係が元々今できていないんですよ。だからこそ、これだけ心配が広がっていらっしゃる。元々、そういうもののベースがあるのであれば、ここまでの議論はなかったと思うんです。  だからこそ、私は、厚生労働省でこの報告書が上がってきたときにイの一番に議論をしていただきたかったのが共生社会の推進に向けた取組、まずここをしっかりと議論して、じゃ、自分たちが何をやるべきなのか、何を発信していくべきなのか、それがなく、いきなりこの二、三、四番のところだけが急に法案として出てきたからこそ、更にまた信頼関係というものが失われてしまったんじゃないでしょうか。  そして、その五番目でもそうです。社会福祉施設における過重労働であったり環境の悪化というものがこういう事件を生んでしまったじゃないか、だったら、まずここから解決していこうじゃないかと、こういう姿勢がなく、いきなり二度と事件が発生しないようにというもので法整備を行いますというこの前文は、余りにも、私どもだけではなく、障害をお持ちの皆様方に対して大変失礼な態度であったと思わざるを得ないんですけれども大臣、一言いただけますでしょうか。お願い申し上げます。
  219. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) おっしゃるとおり、今回のような事案も含めて地域で共生をできる、そういう社会仕組みを、助け合いの仕組みをつくり直さないといけないということはそのとおりだと思いますし、それぞれが助け合う町、地域、コミュニティーを形成をした上でそういった助け合いをお互いにしていくということをやろうというのは、我々も、地方共生社会づくりということで我が事・丸ごとという今運動をさせていただいているわけであります。  そういう意味においても、実は今回、相模原事件を契機に、一つの契機に、措置入院制度というものを見て、共生社会として、こういった方が退院地域で暮らしていくには余りにも放置されてどこからも支援が来ないということでは、これは、こういうような事件が繰り返して起きていいはずがないわけでありますから、何らかのいろいろな形でやらなきゃいけないことは、政府としては、それこそ総理は、別にこれだけで、今回の法案で全部解決するだのようなことを言っているわけではもちろんないわけで、あらゆることをやはりやっていかなければいけない中の一つとして今これを出しておりますが。  やはり私どもとして、この助け合いの仕組みの中で、地域で、医療にしてもあるいは福祉にしても、さらには生活をしていく最低限の条件を整えるとか、あるいは働くとか、こういうようなことがしっかりと計画的に図られていくことでスムーズにまた社会復帰ができていくようにするということを求めている中で、今回は、他の指定医の問題とかあるいは医療保護入院の話も元々検討してきたということもあって、併せて御審議をいただこうということでお出しをしているわけであります。  今回問題となった法律案の概要については、一面的なことしか御説明ができていなかった文章で大変申し訳ない限りでありましたので、実際のやる中身を、三本立てでございますので三本にして、これで全部かのようなふうな誤解を招かないようにしようということにさせていただいたということだと思います。  いずれにしても、共生社会をつくって、いかなる立場の方でもそれぞれの力いっぱいに生きていけるようにしていくというのが我々のやらなきゃいけないことだというふうに思いますので、御指摘のとおりの問題意識をしっかりともっと前面に出していくべきだったということは思います。
  220. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  ですから、温かい見守りの体制をつくっていくというのが本来の趣旨ではないんですか。監視じゃないですよね。しっかりと皆様方に手に取っていただいて、その皆様方が困らないような支援の手をどれだけの多くの方々に結んでいただけるのか。その結んでいただいた手の一本がもしかしたら就労支援につながるかもしれない、結んでいただいた手の一本がもしかしたら教育研修につながるかもしれない。そうやって地域皆様方にその人そのものを受け入れていただくために、じゃ、厚労省として何を考えていったらいいのかなという温かい視点からそれこそ発想をしていただければ、多分こういう文章というのが一番初めに並ぶことはなかったのではないのかなと思います。  しっかりと、その根底にあるものは何なのか、そして最近のいろんな報道でもございますけれども、私ども医療者でももちろんその指定医の問題もございます。今まで、先日の議論でもいたしましたけれども、その障害者施策、そして障害皆様方に対する政府の考え、そして一般の国民からもまだまだ障害をお持ちの皆様方が差別をされているこの現状というものを踏まえた上で大臣に答弁をいただきたいんですけれども、今まで拘束、そして長期の入院、人権を無視されたようなこの精神保健の施策というものがまかり通ってきた、これは事実でございます。  参考人の今日も意見がございましたけれども、これ世界的に見ても改善が必要だという勧告も受けているじゃないですか。やはりこういった信頼関係がない中の議論の中で、今いきなりそれを結んでくれといっても無理かもしれません。でも、長期的ビジョンとして、大臣若しくは厚労省として、どのような共生社会を描いていきたいのか、そして精神保健の施策というものを将来的にどういうふうに構築していきたいのか、まずそのビジョンをしっかりと打ち立てていっていただけますでしょうか。お願い申し上げます。
  221. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 精神医療については様々な問題があって、社会的な長期入院というのが非常に多い、諸外国と比べてももちろん数字でもはっきり分かるぐらい長期入院をしている方々が多かったと、今もまだ多いということで、いろいろ地域で中間的に、家庭に行く前に中間的に滞在するあるいは住む、そういうようなところが外国に比べてもはるかに少ないというようなことは、よく私どもも理解をして問題意識を持ってきたところでございます。  大事なことは、やはりこの差別や偏見をなくして、全ての人がお互いの人格と個性を尊重し合う、先ほどの共生社会、これを目指さないといけないというふうに我々、今厚労省で挙げて思っておるところでございまして、そういう中で、精神障害者について長期入院が多かった実情、そしてそれに対して本人の意向を最大限に尊重して、医療面だけでなくて、お住まいだったり、あるいは生活面だったり、あるいは家族関係、就労、学校とかそういうのもあると思いますが、様々な課題を調整しながら地域移行というものを、社会に溶け込んでいくということをやっていく必要があると思います。  このためには、入院先の精神科病院だけではなくて、退院後に患者を支える家族であったり職場だったり、市町村、保健所医療機関、介護福祉事業所地域のそれぞれの町内会であったり、そういう関係者が入院中からチームとなって患者支援する仕組みがないと、突然出てきて、病院から、社会に戻ろうとしても、その支援の手は差し伸べられないままにまた問題を起こす。  今回の相模原のケースでも、薬物に手を出していることが分かっていながら、それを、一度は説明したと聞いていますけれども、何らアクセスをしない、再アクセスをしない、手だては打たれていないし、少なくとも消退届には何も書いていないと。  そういうことが、しかしこのケースに限らず広く蔓延をしているということであるわけでございますので、精神障害者の方が地域の一員として安心して自分らしく暮らすことができるように様々な組合せでもって適切な支援を受けられる環境を整備しないといけない、そういう思いで今回この法律をまず出させていただいておりますけれども法案だけではなかなか説明し切れない大きい理念もビジョンも、今お尋ねをいただきましたが、ありますので、こういうような形で述べさせていただける機会をいただいたことに感謝申し上げたいと思います。
  222. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  だから、どこに向かって走っているかが分からないからみんな不安なんですよ。個別個別で法案を出されてしまうと、どういった自分たちがケアを受けられるのかも分からなければ、何か行き当たりばったりじゃないかと。  でも、私は産業保健の中でメンタルケアをやっておりますが、症状で見ちゃいけないんですよ、病名で見ちゃいけないんですよ。何がその人のきっかけになったのか、そしてその人がなぜ悪化したのか、そこを突き詰めていかないと問題解決にならないじゃないですか。それは全く今回の解決には結び付いていないんですよ。形だけつくってしまっても本当の解決策にはなりません。  私、本当に見直すのであれば是非お願いしたいことがございまして、資料にも配らさせていただきましたように、自殺対策基本法の改正案を私ども作りました。そのときにどうしても入れたかったというもので、御家族に対する支援というものの法案内容も入れました。  個別の様々な事案を見ましても、御本人だけではないです、御家族の方も相当様々なことでお悩みになっていらっしゃる、この現実はございますが、この法案、法文、どこ読んでも家族支援という言葉は見付かりません。とても私は大切なことだと思います。そうやって連鎖をして家族がまた病んでしまう、またその家族が病んだらまた誰かが病んでしまう、こういうこともどこかでストップをしていかなければならない。  それが、もし全体像が見えているのであれば、どこかに加えられてしかるべきだと思っておりますけれども大臣、最後に一言だけいただけますでしょうか。お願い申し上げます。
  223. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 自殺未遂によって救急外来で搬送された患者に対して、身体的な治療のみならず精神科医が、失礼しました。御家族が安心をして障害者精神障害者本人を支えていくことができるように、御家族が抱える不安とか負担を軽減するための支援体制の構築が今御指摘をいただいたように大変重要だというふうに思っております。  今回の改正では、患者、そして家族が参加をして退院支援計画作成をすることで総合的な支援計画的に受けることが可能となり、これまでよりも家族の負担が軽減をするようになるようにという思いを込めているところでございます。  また、医療に結び付いていない方や治療を中断をしている方の御家族から保健所等へ御相談があった場合に、医師を始めとした専門職が家庭を訪問するなどして御家族の不安に寄り添って、患者本人に対する家族としての対応方法の助言とか、あるいは継続的にその後支援を行うことも考えられるのではないかということで、平成二十九年度からは、精神障害者家族相談に丁寧に応じ、家族のニーズに応じた支援を行う都道府県に対して必要な経費を補助する事業も開始をしたところでございます。  そういうようなことで、取組を通じて御家族に対する支援を行って、障害者精神障害者方々地域において安心して自分らしい暮らしを少しでもできるようにしていく、そういうことで支援体制をしっかり構築していかなければいけないというふうに思います。
  224. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 以上で終わります。ありがとうございました。
  225. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時三十三分散会