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大島九州男君
民進党・新緑風会の
大島九州男です。
私は、会派を代表し、
平成二十七年度決算の是認に反対、
平成二十七年度
国有財産増減及び現在額総
計算書の是認に反対、無償貸付
状況総
計算書の是認に反対、
内閣に対する警告案等に賛成の立場で討論を行います。
まず、本題に入ります前に、
文部科学省における天下り問題、
内閣府及び
財務省等における不適切な
国有財産の売却及び国家戦略特区における
獣医学部開設に係る不適切な手続について一言申し上げます。
決算委員会においても、
文部科学省において
組織的に行われていた天下りのあっせんについて厳しく指摘され、また、大阪府豊中市における
国有財産の売却や
愛媛県
今治市における国家戦略特区制度に基づく
獣医学部新設の認可に関して、その手続の
在り方の是非や事実の究明を
政府に強く求めてまいりました。
行政に対する
国民の信頼を得る基礎となるものは、
決算審査を通して事実関係や予算執行
状況を明らかにし、次年度以降の予算に反映させることにより効率的、効果的な
行政運営を行うこと、そして何より公平であることです。
しかし、全く遺憾なことに、
安倍内閣は自らの都合により制度をねじ曲げ、そして真実を何ら語ろうとしていません。このような不公平、不公正な態度を直ちに改めるとともに、疑惑の解明と情報提供を早急に行うことを強く求めます。
それでは、以下、
平成二十七年度決算の是認に反対する理由を申し述べます。
第一の反対理由は、長期債務の抑制に対して何ら有効な手だてを講じることができていない点についてです。
平成二十七年度一般会計予算においては、国債、借入金及び
政府短期証券の残高合計こそ前年度末に比べ三・九兆円減少し、一千四十九兆三千六百六十一億円となったものの、このうち、主として将来の租税を償還
財源とする普通国債については、前年度末に比べ三十一・三兆円増加し、八百五兆四千百八十二億円に達しており、その増加に全く歯止めが掛かっておりません。
安倍内閣においては、本年に入り、財政健全化計画を見直し、三十二年度におけるプライマリーバランスの対GDP比の黒字化目標を撤回し、公債等残高の対GDP比の削減も重視するべきとの
考え方を示しています。
内閣府が本年一月に公表した中長期の
経済財政に関する試算によると、
安倍内閣の
方針転換を裏付けるかのように、非常に楽観的な前提に基づいた
経済再生ケースであっても、三十二年度のプライマリーバランスの対GDP比の黒字化達成は不可能とされています。これは
安倍内閣による財政健全化の
取組が全く不十分であることの証左と言えます。
安倍内閣はまたしても
実現が非常に困難な目標を掲げることで自らの失政から
国民の目をそらそうとしていますが、二十七年度決算はまさにそのような欺瞞を白日の下にさらすものであります。
第二の反対理由は、歳出項目の硬直化により、弾力的な
政策運営ができていない点についてです。
平成二十七年度決算において、
社会保障関係費が三十一・三兆円、国債費が二十二・四兆円となり、両歳出項目のみで歳出決算総額の五四・九%を占めるなど、歳出項目は硬直化しています。
我が国は
世界でも類を見ない
少子高齢化の進展と膨れ上がる長期債務という二つの大きな危機に直面しており、それに伴い、
社会保障関係費と国債費が歳出予算に占める割合も年度を追うごとに増加し、
行政需要に応じた弾力的な予算配分が困難なものとなっています。
しかし、
安倍内閣は、
我が国が抱える抜本的な問題に正面から取り組むことを避け、文教及び科学振興費を前年度から二年連続で三千億円削減するなど、未来を生きる子供たちの思いを踏みにじることによって対応しようとしています。一方、
安倍内閣は、事実を覆い隠してでも、
自分たちの仲間だけを利すること、そして守り抜くこと、その姿勢を鮮明にしていますが、果たしてそのような姿勢は政権を担う姿として正しいものだと
考えられておられるのでしょうか。
もちろん、
少子高齢化等の
社会情勢の変化の全てが
安倍内閣を要因とするものであろうと言うつもりはありません。
安倍内閣が、歳出項目の硬直化により弾力的な行財政運営が困難となっているという
状況に目を背け、本来優先的に配分すべき予算を大幅に削減している点が問題なのであり、このような
平成二十七年度決算を是認することはできません。
第三の反対理由は、
安倍内閣による
経済政策、いわゆる
アベノミクスの失敗が明らかとなった点についてです。
安倍内閣は、政権による大きな成果の一つとして、大胆な金融
政策、機動的な財
政政策、新たな
成長戦略等を内容とする
アベノミクスにより日本
経済を
再生させ、税収増へと結び付けたとしています。
しかし、
平成二十七年度決算においては、租税及び印紙収入の歳入額が補正後予算額に比べても千三百八十五億円のマイナスとなり、特に法人税の歳入額が予算額に比べても九千百三十五億円のマイナスとなるなど、
我が国の
経済が今なお脆弱であることが明らかとなりました。
加えて、
安倍内閣においては、財政健全化目標については、その
実現に向け、
経済再生なくして財政健全化なしとの
基本方針の下、
取組を進めていくとされていますが、
平成二十七年度決算に表れている
我が国経済の脆弱性は、
安倍内閣の
経済政策が事実上破綻しており、また財政健全化へ向けた
取組についても前提が崩れているとの証左であると言えます。
安倍内閣に求められていることは、自らの
政策の過ちから学び、声なき声にも謙虚に耳を傾け、素直に失敗を失敗と認めて、そこから学んだ知恵を生かして速やかに政権の
方針を見直し、国家
国民のための
政策を実践することです。その姿勢の感じられない政権運営の結果の今年度決算は、
国民を幸せに導く結果を得ることはできません。
以上が、
平成二十七年度決算に是認に反対する理由です。
次に、
決算委員会においては、
内閣官房及び
内閣府における不適切な物品
管理や商工中金における不正行為に関しても
質疑がなされました。
内閣官房及び
内閣府本府においては、
組織の新設、統廃合に伴う物品検査が適切に行われていなかったことなどにより、
平成二十六年度末の重要物品二百八十四個六十九億円分の
管理が不適切な状態になっており、
会計検査院から指摘される事態となりました。
そして、商工中金における危機対応業務においては、全国三十五支店で百九十八億円に上る不正な融資が行われていたこと、内部監査で不正の一部が発覚したにもかかわらず隠蔽されていたことなどが明らかになりました。
このように、二十七年度決算の審査におきましては、
安倍内閣における物品
管理の
在り方及び
政府系金融機関への監視監督体制等に問題があることなども明らかとなったのです。
政府に対し、これらの不適切な事態について遺憾の意を表明し、抜本的な改善措置の実施を強く求める今回の
内閣に対する七項目の警告決議については賛成いたします。
また、措置要求決議の国家戦略特区制度の運用についてにおいて指摘された、
内閣総理大臣を議長とする諮問会議で
内閣主導で
規制を緩和する制度の仕組みに鑑み、事業主体の選定理由や経緯等については、透明性、公平性の確保をするため、これまで具現化した事業の検証を行うとともに、今後認定される事業についても常時点検を促す等の指摘をする
決算委員会としての大変重要な視点の措置要求、
規制改革推進会議による各府省等設置の審議会等における
検討状況の把握について等の十項目の措置要求決議案についても賛成いたします。
さらに、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた
取組状況についてなど二項目について、
国会法第百五条に基づいて
会計検査院に対して
会計検査を
要請することについても賛成いたしますが、
野党からの要求のあった「もんじゅ」の
廃炉についての
会計検査の要求については、与党の了承が得られなかったことは誠に残念であります。長期にわたり
国民の大切な税金を投入した研究開発について、
文部科学省として、この研究から得られた知見を今後の
原子力行政に生かしていくためにも、しっかりと検証するため、
会計検査院による検査を行うことは大切なことだと指摘をさせていただきます。
「もんじゅ」という名前が付いているこの施設から我々政治家は多くのことを学び、
政府にとって不都合な結果から国家
国民のために必要な知恵を出していくことが本当に求められていることだと、それを私たち政治家に求められている本当の姿であるということを申し上げ、討論を終わります。