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2017-05-15 第193回国会 参議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年五月十五日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  五月八日     辞任         補欠選任      元榮太一郎君     西田 昌司君      辰巳孝太郎君     吉良よし子君      青木  愛君     又市 征治君      松沢 成文君   アントニオ猪木君  五月九日     辞任         補欠選任      伊藤 孝恵君     古賀 之士君  五月十日     辞任         補欠選任      松川 るい君     中西  哲君  五月十一日     辞任         補欠選任      中西  哲君     松川 るい君  五月十二日     辞任         補欠選任      古川 俊治君     中西  哲君      松川 るい君     こやり隆史君      森屋  宏君     佐藤 正久君      古賀 之士君     小西 洋之君      斎藤 嘉隆君     石橋 通宏君      里見 隆治君     伊藤 孝江君      新妻 秀規君     高瀬 弘美君      又市 征治君     福島みずほ君  五月十五日     辞任         補欠選任      片山さつき君     堀井  巌君      こやり隆史君     松川 るい君      佐藤 正久君     森屋  宏君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岡田  広君     理 事                 二之湯武史君                 松下 新平君                 山田 俊男君                 大島九州男君                 河野 義博君                 田村 智子君     委 員                 阿達 雅志君                 片山さつき君                 こやり隆史君                 佐藤 正久君                 進藤金日子君                 そのだ修光君                 中西  哲君                 西田 昌司君                 藤井 基之君                 堀井  巌君                 松川 るい君                 丸山 和也君                 宮本 周司君                 森屋  宏君                 石上 俊雄君                 石橋 通宏君                 礒崎 哲史君                 小西 洋之君                 平山佐知子君                 伊藤 孝江君                 高瀬 弘美君                 吉良よし子君                 石井 苗子君                 片山 大介君                 福島みずほ君               アントニオ猪木君    国務大臣        法務大臣     金田 勝年君        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣     稲田 朋美君    副大臣        内閣府副大臣   水落 敏栄君        外務大臣    薗浦健太郎君        財務副大臣    大塚  拓君         ─────        会計検査院長   河戸 光彦君         ─────    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総長       今崎 幸彦君        最高裁判所事務        総局総務局長   中村  愼君        最高裁判所事務        総局人事局長   堀田 眞哉君        最高裁判所事務        総局経理局長   笠井 之彦君        最高裁判所事務        総局家庭局長   村田 斉志君    事務局側        常任委員会専門        員        秋谷 薫司君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       土生 栄二君        総務大臣官房審        議官       横山  均君        法務省保護局長  畝本 直美君        法務省人権擁護        局長       萩本  修君        法務省訟務局長  定塚  誠君        法務省入国管理        局長       和田 雅樹君        外務大臣官房長  山崎 和之君        外務大臣官房審        議官       水嶋 光一君        外務大臣官房参        事官       岡田 健一君        外務大臣官房参        事官       大鷹 正人君        外務大臣官房参        事官       志水 史雄君        外務大臣官房参        事官       小野 啓一君        外務大臣官房参        事官       牛尾  滋君        外務省アジア大        洋州局長     金杉 憲治君        外務省中南米局        長        高瀬  寧君        外務省領事局長  能化 正樹君        スポーツ庁次長  高橋 道和君        防衛省防衛政策        局長       前田  哲君        防衛省整備計画        局長       高橋 憲一君        防衛省地方協力        局長       深山 延暁君        防衛装備庁装備        政策部長     中村 吉利君        防衛装備庁プロ        ジェクト管理部        長        田中  聡君    説明員        会計検査院事務        総局次長     岡村  肇君        会計検査院事務        総局第一局長   鈴土  靖君        会計検査院事務        総局第二局長   腰山 謙介君        会計検査院事務        総局第五局長   寺沢  剛君    参考人        独立行政法人国        際協力機構理事        長        北岡 伸一君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成二十七年度一般会計歳入歳出決算平成二  十七年度特別会計歳入歳出決算平成二十七年  度国税収納金整理資金受払計算書平成二十七  年度政府関係機関決算書(第百九十二回国会内  閣提出)(継続案件) ○平成二十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第百九十二回国会内閣提出)(継続案件) ○平成二十七年度国有財産無償貸付状況計算書  (第百九十二回国会内閣提出)(継続案件)  (法務省外務省防衛省裁判所及び独立行  政法人国際協力機構有償資金協力部門の部)     ─────────────
  2. 岡田広

    委員長岡田広君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十二日までに、元榮太一郎君、松沢成文君、辰巳孝太郎君、青木愛さん、伊藤孝恵さん、新妻秀規君、里見隆治君、斎藤嘉隆君、松川るいさん、古川俊治君及び森屋宏君が委員辞任され、その補欠として西田昌司君、アントニオ猪木君、吉良よし子さん、高瀬弘美さん、伊藤孝江さん、福島みずほさん、石橋通宏君、小西洋之君、こやり隆史君、中西哲君及び佐藤正久君が選任されました。     ─────────────
  3. 岡田広

    委員長岡田広君) 平成二十七年度決算外二件を議題といたします。  本日は、法務省外務省防衛省裁判所及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 岡田広

    委員長岡田広君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれも省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 岡田広

    委員長岡田広君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記を止めてください。    〔速記中止
  6. 岡田広

    委員長岡田広君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  7. 岡田広

    委員長岡田広君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 佐藤正久

    佐藤正久君 自民党佐藤正久です。  まず、昨日、北朝鮮地対地新型弾道ミサイルと見られるものを発射いたしました。これは我が国にとっても新たな深刻な脅威だと認識しますが、この弾道ミサイル発射実験防衛大臣の評価、分析をお伺いしたいと思います。
  9. 稲田朋美

    国務大臣稲田朋美君) 現時点までに得られた諸情報を総合的に勘案いたしますと、北朝鮮は、十四日五時二十八分頃、北朝鮮西岸亀城付近から一発の弾道ミサイル東北東方向発射したと見られます。発射された弾道ミサイルは、二千キロメートルを超えた高度に達し三十分程度飛翔したものと推定をされます。そして、約八百キロメートル飛翔し、北朝鮮から約四百キロメートルの日本海上に落下したものと推定をされます。なお、発射された弾道ミサイル落下地点我が国排他的経済水域外推定をされます。  今回発射された弾道ミサイルは、三十分程度飛翔し二千キロメートルを超えた高度に達したものと推定されることなどを考えれば、新型弾道ミサイルであった可能性考えられるところでございます。  いずれにいたしましても、現時点において詳細を分析中でございます。
  10. 佐藤正久

    佐藤正久君 北朝鮮側新型弾道ミサイルという発表もしておりますし、今言われたように、高く上げるロフテッドで撃ったということも北朝鮮側発表しています。  ロフテッド軌道は、落下速度が極めて速く、迎撃も難しいというふうに一般に言われています。さらには、北朝鮮奇襲効果が高いTELやあるいはSLBMを持っているということを考えると、国民を守るためには、現在の中期防衛力整備計画をやっぱり前倒しをしてでも、イージス・アショアやあるいはSM3ブロックⅡA、これを前倒しで導入する等、ミサイル防衛の層を厚くし、また質を向上させる必要があると思いますが、防衛大臣見解を伺います。
  11. 稲田朋美

    国務大臣稲田朋美君) 今委員も御指摘になりましたように、約八百キロメートルの飛翔距離を二千キロメートルを超えた高度、これは今回初めてですけれども、に達して飛翔したと推定されることから、ロフテッド軌道発射された可能性があるというふうに思います。  こういった状況から、我が国自身防衛力強化するとともに、日米同盟抑止力対処力強化を図ることが重要でございます。そして、新たな迎撃ミサイル等の導入によって、ロフテッド軌道による攻撃への対処も含め、我が国弾道ミサイル迎撃能力はより一層向上するものと考えております。  そして、今御指摘の新たな装備品ということについてでございますが、我が国全域を常時防護し得る能力強化するためにも、御指摘イージス・アショアといった新規装備品も含めた将来の弾道ミサイル迎撃体制調査研究を行うなど種々の検討を行っておりますが、引き続きこのような取組を進め、弾道ミサイル防衛に万全を期してまいりたいと、このように考えております。
  12. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさに、国民は、万全を期してほしいと本当に真剣に思っていると思います。であれば、やはり検討スピードを加速化させるとか、現在の枠組みにとらわれずに前倒しで導入するとか、これは政治決断がなければ絶対無理です。我々の考えスピードをはるかに超えるスピード北朝鮮はこのようなミサイル開発をやっている。まさに、ロフテッドで、しかも二千キロを超えるというのは初めてで、これに対して我々真剣に対応しないといけないと思います。  そういう中で、ミサイル防衛の層を幾ら厚くしても、やはり飽和攻撃とかあるいロフテッドに対しては限界があるというのも、これも周知の事実です。であれば、やはり向こうの二撃、三撃を抑えるというためにも、抑止力観点から、自民党提言したように敵基地反撃能力、これを持つ検討も進めないと間に合わないというふうに思いますが、大臣のお考えをお伺いします。
  13. 稲田朋美

    国務大臣稲田朋美君) この点については、先日の予算委員会においても委員から御指摘をされたところでございます。まさしく、新たな段階脅威となっているところの北朝鮮核ミサイル開発運用能力向上にどう対処していくかということでございます。  自民党から、我が国独自の敵基地反撃能力の保有の検討開始について、提言を含む、弾道ミサイル防衛の迅速かつ抜本的な強化に関する提言提出を受けたところであり、防衛省としても、自民党からの提言、しっかりと受け止めて、今委員がおっしゃったような、北朝鮮のその能力向上スピードが非常に極めて高いということもございます。そういった点において、日米同盟抑止力強化し、国民の生命と財産を守るために何をすべきかという観点から、常に様々な検討を行っていくべきと考えております。
  14. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさに、日米同盟強化観点からも、日本役割分担を増やすというのは、これ、日米首脳会談でも合意されたとおりです。自衛隊防衛力、これを高めることが外交力の後押しにもなります。  外務大臣に伺います。  やはり、不退転の決意で北朝鮮は核・ミサイル開発を真剣にやっているということを考えた場合、外交というのは極めて大事であり、かつ難しい側面もあろうかと思います。対話対話では意味がないということを盛んに外務大臣もおっしゃっておられますけれども、今このフェーズが、日米韓中心となって中国ロシアを巻き込んでやはり圧力を掛け続けるフェーズにあると思いますけれども、外務大臣のお考えをお伺いします。
  15. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 北朝鮮との間で意味のある対話を行うためには、北朝鮮非核化に向けて真摯な、真剣な意思るいは具体的な行動、これをしっかり示すことが重要だと思います。その中にあって、十四日も北朝鮮弾道ミサイル発射したわけであります。今、現状においては、まずは圧力を掛けることが重要である、意味ある対話を引き出すためにも圧力を掛けることが重要であるということで、米国を始め関係国一致をして北朝鮮に対して圧力、明確なメッセージを送り続けている、これが現状であると思います。  今、現状においては、こうした対応国際社会としっかり連携を深めながら続けていくことが重要であると認識をいたします。
  16. 佐藤正久

    佐藤正久君 全く御指摘のとおりなんですが、ただ一方で、この圧力、制裁に関しての関係国の思惑というものが微妙に違うということも実情だというふうに言われています。  現在、昨日のミサイル発射を受けて、このロフテッド発射を受けて、関係国、特に韓国中国等反応、あるい国連安保理の動き、これについて御説明願いたいと思います。
  17. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、先ほど申し上げたように、意味ある対話を引き出すためには今圧力を掛けなければならない、米国との間においてはこの点について完全に一致をしていると認識をしています。  そして、それ以外の国々との関係でありますが、例えば昨日は、私自身日韓外相電話会談を行いました。発射直後でありました。その際に、北朝鮮とは対話のための対話では意味がなく、今は北朝鮮圧力を掛けていくことが必要であること、これを確認いたしました。  それ以外の国々反応中国は、北朝鮮安保理決議に違反して発射活動を行うことに反対する、地域情勢の緊張を更に高めることを行ってはならない、こうした発表を行ったと承知をしています。  また、北朝鮮に影響のある国としてはロシアがありますが、ロシアに対して、昨日、発射直後のロシア反応についてはちょっと今手元で確認しておりませんが、四月の段階日ロ首脳会談等を行うことによって、安保理常任理事国であり六者会合のメンバーであるロシアに対して責任のある対応をしっかり求めた、こういったことであります。  そして、国連においては、昨日、北朝鮮弾道ミサイル発射が確認された直後、米国韓国国連代表部と様々なすり合わせ、接触を開始いたしました。今月の安保理議長国ウルグアイでありますが、ウルグアイに対しまして緊急会合要請を行っております。是非緊急会合を開いて、そして国連安保理の場においても強いメッセージを発することが必要であるという認識の下に今取組を続けております。
  18. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさに日本側の新たな段階脅威日本に深刻な今脅威が直前にあるということを考えれば、外務大臣中心とした外交活動、これは極めて今大事な時期だと思いますので、しっかり対応をお願いしたいと思います。  次の質問に移ります。  先週の十二日に、拷問禁止委員会勧告がありました。その中で、勧告の中では、慰安婦に関しまして性奴隷という言葉を使ったり、あるいは一五年十二月の慰安婦に関わる日韓合意、これを見直すよう国連加盟国日本韓国に求めるというものも出ました。これに関する韓国内の報道ぶり政府対応について御説明願います。
  19. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘拷問禁止委員会報告書でありますが、まず、報告書発表後、韓国政府からは本件について公式な発表等があったということは承知しておりません。そして、韓国国内では、本件報告書を引用しつつ合意問題点指摘するような報道がなされているということ、これは承知をしております。  いずれにしましても、一昨年末の日韓合意、これは日韓両国間で約束したものです。そして、合意発表された直後、国際社会が、多くの国々が高く評価した合意であります。着実にこの合意を実施すること、これが重要であるという認識、これは変わらないと考えます。
  20. 佐藤正久

    佐藤正久君 そのとおりなんですが、ただ、この勧告法的拘束力はありませんけれども、やはりこの勧告委員会がする前に、当然日本政府からの意見聴取、これは求められませんでした、これは韓国に対するものなので。  ただ、この勧告の内容、あるい韓国における報道ぶり等考えれば、これは何らかの日本政府としての意思表示、これをしなければ勘違いをされるかもしれない。これまで、慰安婦問題について日本メッセージを発してこなかったという部分が問題を広げてしまっている反省も一部に指摘されております。これは何らかのメッセージを、正しいメッセージを出すべきだというふうに思いますが、外務大臣見解をお伺いします。
  21. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、今委員が御指摘になられたように、今回の報告書ですが、これは対韓国審査の結果発出されたものであり、この勧告はあくまでも韓国政府に対するものではありますが、先ほども申し上げましたが、日本政府としては、一昨年末の合意、これは慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることについて韓国政府の明確かつ十分な確約を得たものと受け止めております。  こうした考え方については韓国側に当然再三申し入れているわけですが、国際社会理解が重要だという御指摘、これはもう全くそのとおりだと思います。この拷問禁止委員会における議論においてももちろんしっかりと説明をしておかなければならないと思いますが、それに加えて、様々な外交の場において日本考え方はしっかり訴えていかなければなりません。国連の場、当然でありますし、各国の外相会談を始め、こういった場においてもこの日韓合意が高く評価されたこと、そしてこれが最終的、不可逆的な解決を確認したものであるということ、こういったことをしっかり説明しておかなければなりません。例えば、三月に米国ティラソン国務長官、訪日しました。その際に、日米外相会談を行いました。そして、その直後の共同記者会見の場で、ティラソン国務長官日韓合意への支持を明言してくれました。  こういった様々な場を通じてこの日韓合意重要性をしっかり説明し、そして理解を得て、そして国際社会としてこうした日韓合意の履行について支持をいただけるようにこれからも引き続き努力を続けていきたい、このように思っています。
  22. 佐藤正久

    佐藤正久君 是非とも、これ、日本の立場をいろんな場所で発表しないと、沈黙は金ではありませんから、ここはしっかり対応してもらいたいと思います。  それでは、次の質問に移ります。  資料一、これを御覧いただきたいと思います。これは、日本オイルシーレーン、これを描いたもので、この点線、これがオイルシーレーンです。特にシンガポールあるいマレーシアマラッカ海峡を通って南シナ海、台湾の南、バシー海峡から日本、これが主要な日本の油の道です。  ただ、この主要な油の道なんですが、この南シナ海シーレーンの脇に中国は七つの岩礁を埋め立てて人工島を建設し、ここにありますように、三つの岩礁においては三千メーター級滑走路を造り、戦闘機の格納庫とかレーダー、あるいは港湾の整備も行って着実に軍事基地化を進めているというように言われております。  そういうことから、このオイルシーレーンのリスクというのは最近とみに注目されるようになりました。海の安全保障観点から、フィリピンやベトナム、マレーシアインドネシア等ODAを使いながら巡視船を供与したり、あるい海上自衛隊、あるいは海上保安庁を使った共同訓練やあるい能力構築支援防衛省からはTC90、海上自衛隊練習機フィリピンの方に供与する等いろんなことをやっております。  ただ、安全保障観点からいうと、油の道が一本というのは当然脆弱です。と考えた場合、このもう一個の点々の油の道、これは一番近い代替ルートと言われるロンボク海峡マカッサル海峡を通ったものです。これは、この前のカール・ビンソンが日本海、東シナ海に行くときにもこのロンボク海峡マカッサル海峡を通っていったというふうに言われておりますが、この代替ルートを安定化するためにもODA支援というのは極めて大事だし、実際、インドネシア等からも、その監視機材とかいろんなものの要請があります。  この代替オイルシーレーン整備必要性、それに対するODA支援の在り方について外務大臣のお考えをお伺いします。
  23. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、シーレーン安全確保、これは我が国のみならず世界の平和と繁栄の基盤であり、自由で開かれ安定した海を守る、これは国際社会が連携して対応しなければならない、こういった課題だと思います。  その中にあって、まずは、このシーレーン重要性に鑑みて、海洋における法の支配航行の自由及び安全を確保するべく、シーレーンに位置するASEAN諸国に対して、委員の方からも御紹介がありましたように、人材育成ですとか巡視船艇の供与ですとか、こういったものを通じて海上法執行能力向上してもらう、そういったことによって、海洋における法の支配ですとか航行の自由、安全、これを守ってもらう、こうした体制をつくっていく、こういった取組を行っているわけですし、加えて、アジア海賊対策地域協力協定、こうした国際的な約束の作成についても積極的に関与しているわけです。まずは現在のシーレーンの安定、安全のために努力をしている、これが今の現状であります。  それに加えて、委員の方から、今、この代替ルート考えるべきではないか、こういった御指摘をいただいたわけですが、そういった御意見も参考にしながら、是非、動向について注視をしつつ我が国として必要な対応考えていく、これは大変重要な取組ではないか、このように考えます。今言ったような考え方で引き続き様々な点について検討を行っていきたい、このように思います。
  24. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさにそうなんですけれども、実は、日本の場合はこの油の道が、一本が余りにも太過ぎる。実際、日本に来る油の八三%がこの一本の道に頼っていて、しかも、そのタンカー、衛星で撮ると、ペルシャ湾から日本への油の道に約九十隻のタンカーが浮いていると言われています。そのタンカーには日本人船員がほとんどいません。何か事が起きたら、なかなか日本のために油を命懸けで運ぶという船員は少ないと言われています。  ということも考えながら、代替ルートは極めて大事で、これはインドネシアのスシ海洋水産大臣も、この代替ルート、これについては日本ODAが、非常に期待している部分があって、監視機材とかあるいは港の整備、これは極めて大事だと言われています。実際に、この五月、六月に、JICAの専門家がこの代替ルートの地点の港の整備の方にも入るという話もあります。いろんな面で、この代替ルート、今から二本、三本準備しておくということが極めて大事だというふうに思います。  そういう中で、特に東の大回りのシーレーンになると、太平洋島嶼国との連携が極めて重要です。日本も、二年に一度、太平洋・島サミットというものを開催しながら海洋安全保障を含めていろいろ議論をしておりますが、なかなかこの日本オイルシーレーンの方まではまだ議論が行っていない。  ただ、これは極めて我々にとっても大事な話なので、そういうふうに考えた場合、太平洋島嶼国の言わば大国、これは、一つにはパプアニューギニアがあります。これは資料二に、見れば分かりますように、やっぱり人口的にも面積的にも排他的経済水域的にも一番の大国がPNGと言われています。来年のAPEC、これはPNGが議長国になります。これは太平洋島嶼国の悲願であって、初めて太平洋島嶼国でAPECの開催が来年なされると。まさに、こういう発展途上国のような、APECを主催するときに、日本ODA支援、これは極めて有効だというふうに私も現地で聞きましたけれども、このPNGを例に取り、こういうAPEC支援におけるODAの活用、この考え方について外務大臣のお考えをお伺いします。
  25. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、PNG、パプアニューギニアですが、委員指摘のように、太平洋島嶼国の中の随一の大国であります。そして、我が国との間においても、エネルギーを始め様々な経済関係において緊密に結ばれている、こういった国であります。そのパプアニューギニアが来年、太平洋島嶼国として初めてAPECの議長を務めるわけですが、まずもって我が国はこのことを歓迎しています。そして、我が国としても、APECの成功という観点からも、また二国間関係強化という観点からもできる限りこれは支援を行わなければならない、このように考えます。  こういった考え方から、我が国は、パプアニューギニアからの要請に基づいて、投資環境整備、防災等のAPEC関連課題に関する職員の能力向上、あるい会議で使用する車両の供与、また歓迎行事で演奏する軍楽隊に対する支援、こういった支援を実際に行っております。そして、それに加えて、同国の持続的な発展を支えるために質の高いインフラ整備、この観点からも種々の開発支援、これを実施をしています。首都ポートモレスビーにおいてAPEC首脳会合までの完工を目指して下水道施設の整備、これを支援している、こういったことも行っております。  是非、引き続きパプアニューギニアに対する支援、積極的に検討を続けたいと考えます。
  26. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさに、初めてこういう形でAPEC主催国に対してのODA支援が極めてうまく絡み合っているというふうに私も現地の方で確認させてもらいました。極めて日本らしいきめ細かな音楽支援とか、加えて、太平洋島嶼国で下水整備ってまだほとんどなされていない。今回のパプアニューギニアが初めてのケース。ほとんど海に垂れ流し。まさに、今回主催をするPNGにとって下水の処理というものは極めて主要国の首脳が来られるときにアピール度が高い、物すごくオニール首相が肝煎りで今やっている極めて今回効果が高いODAだと思いますので、こういう面でも、いろんな面でこの支援というものを、APECとODAをどうやって組み合わせていくか、特に発展途上国の場合は極めてこれは目に見える形での効果が大きいものと考えますので、引き続きよろしくお願いします。  また、防衛省もこのPNGへの軍楽隊への演奏支援等、これは能力構築支援で行っております。ただ、太平洋島嶼国における能力構築支援というのはやはりまだ道半ばということが正直なところだと思います。特に工兵支援についても、東ティモールにやっぱり偏り過ぎているような感がどうしても実績から見ると見受けられます。アフリカの方でやっているように、早期展開支援とか、ケニアの方を中心に周りの方、あるいはPKOセンター中心にキャパビルをやると。アフリカでやっているように、例えばPNGの協力を得ながら、PNGで周辺国の工兵を集めて能力構築支援というのをやるのは、極めて私は効果が高いと思っております。  そういうこれからの太平洋島嶼国への能力支援の考え方、これは防衛大臣にお伺いしますし、また能力構築支援という観点、海の安全保障るいは遺骨収集という観点でもこの太平洋島嶼国は極めて大事なところであります。ガダルカナルもあるいはラバウル島もあります。という観点から、豪州に駐在武官は今三人います。三人を、やっぱりフィジーとかパプアニューギニア、主要な国に兼轄という形でやることによって、更に目に見える形ができると思います。  この点については外務大臣にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  27. 稲田朋美

    国務大臣稲田朋美君) 防衛省自衛隊による太平洋島嶼国に対する能力構築支援については、パプアニューギニアの先ほど委員も御指摘いただいた軍楽隊の演奏能力向上支援を平成二十七年度から継続的に実施をいたしておりますし、平成二十六年にはパプアニューギニアにおいて豪軍主催演習ロング・リーチ二〇一四に参加し、その中で人道支援、災害救援に関するセミナーを開催をした実績があるところであります。また、昨年九月には、豪州において開催された多国間訓練カカドゥ16に参加し、パプアニューギニアを含む参加国と対水上戦等の訓練を実施したほか、昨年十一月には、ニューカレドニアで開催をされた仏主催多国間訓練、南十字星16に参加し、パプアニューギニアやフィジーを含む参加国と国際緊急援助活動に係る実動訓練を実施した実績があります。  こういった能力構築支援を通じてしっかりと連携を図っていくこと、重要だと考えております。
  28. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、太平洋島嶼国は、我が国と太平洋を共有しているということでありますし、歴史的にも大変深いつながりがあります。そして、国際社会において様々な協力も行っているわけですし、天然資源の供給においても重要なパートナーです。こうした国々と太平洋・島サミットを通じて関係を構築してきたわけですが、引き続き、御指摘のパプアニューギニアあるいはフィジー、こういった国との関係強化していかなければなりません。  そして、その中にあって、御質問の防衛駐在官の派遣とか兼轄、こうした問題ですが、これは、派遣元は防衛省ですので、防衛省とも不断の協議を行って、軍事情報の収集、あるいは関連当局との協力、交流促進、こうした外交上の必要に応じた適切な配置となるよう取り組んでいるわけですが、今委員からの御指摘も念頭に、これ、国際的な安全保障環境の変化も踏まえつつ、限られたソースの中で適切な配置を考えていかなければなりません。是非防衛省とも協議を行いたいと考えます。
  29. 佐藤正久

    佐藤正久君 終わります。ありがとうございました。
  30. 阿達雅志

    ○阿達雅志君 自由民主党の阿達雅志です。  冒頭、まず、昨日の北朝鮮による新型弾道ミサイル発射、これは国連安保理決議二千二百七十号、二千三百二十一号に対する明確な違反であり、また国際社会への挑戦ということで、これを厳しく非難をしたいと思います。  その上で、まず、昨日、政府は、ミサイル発射直後に総理が会見をされ、また緊急参集チームの協議、そして六時五十四分には国家安全保障会議の開催、また北朝鮮への抗議、各国との協議と、もう非常にスピーディーに対応いただいたものと思います。  昨日、自由民主党におきましても、十時から北朝鮮核実験・ミサイル対策本部緊急役員会議を招集いたしまして、片山委員も予定を変更して参加をされたということでございますし、党としてもすぐに対応を協議したということでございます。また、今日お越しいただいております前田哲防衛政策局長にもそのときにも御参加いただき、説明をいただいたところでございます。  やはりこれだけミサイルが昨年来飛んでくると、まず大事なのは、我々、このミサイルを北朝鮮が飛ばすということに慣れてはいけない。何か、いつの間にかもう飛ぶのが当たり前のようになってしまっている、これはやっぱり極めて危険なことではないかと。その間に、彼らはもう着実に能力向上して新たな段階脅威に入ってきたと。やはりそういう中で国民に対しても今何が起きているかを正確に伝えていく、これは極めて大事なことなんであろうというふうに思います。慣れてはいけない、そして国民に実態を知ってもらう、これを特にこれから考えていく必要、政治の場としてあるのではないかというふうに思います。  そういう点から、先ほど佐藤委員からもう大分、昨日のミサイルに関して、また日本ミサイル防衛体制についての質問はございましたけれども、あえてもう一度お聞きをしたいと思いますけれども、やはり今までは、二十六年以降の防衛体制ということで二五大綱というものがあり、また、その前提の中で日本ミサイル防衛体制というのは構築をされてきたというふうに理解をしております。  ですが、先ほど佐藤委員からも御指摘がありましたとおり、北朝鮮ミサイル開発、そして新型の技術の進歩というのはどうもこの想定を相当上回っているのではないか、こういう想定を上回っている中で、もう日本が単独でミサイル防衛体制を構築できる状況にはないということではないかというふうに思うのですが、この点について防衛省見解をお聞かせいただきたいと思います。
  31. 前田哲

    政府参考人(前田哲君) お答えいたします。  北の脅威は新たな段階に入ったと、こう言われているわけであります。これは様々な議論がありますけれども、例えば、TELといった秘匿性の高い発射装置、あるいはSLBMという潜水艦から発射されるミサイル、こういったものを開発している。そして、保有している弾頭の数自体も、日本に届くノドンあるいはスカッドERというものがございますが、こういうものを数百発というオーダーで持っている、こういうことが言われているわけでございます。  こういう中で、我が国のBMDシステムでございますけれども、これは多目標対処を念頭に置いて一応つくってございます。SM3搭載のイージス艦そしてPAC3、これによって多層防衛のシステムをつくっておりまして、北朝鮮が複数の弾道ミサイル我が国に向けて発射された場合であっても対処する能力は、これは持ってございます。  ただ、先生が今御指摘になりましたように、北の能力の改善のスピードが非常に速いということがあるわけでございます。  現在、防衛計画の大綱に基づきましてこの多層防衛のシステムの能力向上を図っています。PAC3はMSEという新型のもの、これを導入していく、そしてイージス艦の増勢、増やしていく、あるいはイージス艦から撃つミサイルをSM3のブロックⅡAという、これも能力向上型のものにしていく、こういうことによって様々な撃ち方あるいは同時対処能力というのはより一層向上すると考えてございます。  またさらに、その先に新しいアセットといったものの検討もこれはしなければならないと思っているわけでありますが、いずれにしても、防衛省自衛隊、このような取組を通じて国民の安心、安全の確保に万全を尽くしてまいりたい、このように考えてございます。
  32. 阿達雅志

    ○阿達雅志君 ありがとうございます。  是非、これはやはり今のままでは駄目なんだと、次期防衛大綱を前倒しにする、あるいはもうそれとは別ででもとにかくこの防衛体制整備というのは緊急の課題ではないかというふうに思います。  また、このミサイル防衛というのを考えたときに、先ほど答弁にありましたとおり、向こうの数がどんどんどんどん増えていく、そしてまたこちらが体制整備する以上にもし向こうが整備してくるということも考えると、やはりこれはアメリカとの防衛協力、これをもっと実質的に進めていく必要も出てくるんではないかというふうに思います。  その中では、やはり日本というのは今まではあくまでミサイルが飛んできたものを落とすという、こういう前提で全て組まれていたわけですから、逆に策源地を攻撃する、こういうことも含めてしっかりとそういう体制ができるかどうか、能力を持つかどうか、これをやっていかないといけないんではないかと。  そういう意味では、先ほどこれも佐藤委員指摘がありましたけれども、いろんな形でこういうケーパビリティーギャップを埋める工夫をしていかないといけない。その中には、やはりアメリカとの間でも今まで以上にもっと実質的な具体的な防衛協力というのも必要になってくるんではないかと。  例えば、策源地攻撃をしようとしても、現実問題、敵のミサイル基地がどこにあるのか、そこに対してじゃ攻撃を仕掛けるとしてどういう攻撃の仕方をするのか。日本は今そういう攻撃能力そのものも持っていないわけですけれども、相手を察知する能力、そして攻撃する能力、またその後の反撃を防ぐ能力、いろんな能力が必要になってくる。こういった具体的なオペレーションに沿った具体的な協議というのもこれから日米間でもしっかりと詰めていかないといけないというふうに思いますけれども、そこについて防衛省見解をお聞かせください。
  33. 前田哲

    政府参考人(前田哲君) お答えいたします。  弾道ミサイル脅威に対して先生が御指摘いただいていることは、誠にそのとおりかと思います。  いわゆる敵基地の攻撃能力につきましては、我が国は現在政策として米国に依存しておりまして、自衛隊としてはこれを目的とした装備体系を保有しておりませんし、また保有する計画もないということでありますけれども、この弾道ミサイル脅威に対しては、一つは、我が国自身弾道ミサイル防衛システム、これを整備をするということ、もう一つは、まさに先生が御指摘になりましたように、安保体制による抑止・対処力向上させていく、これに努力することが必要だというふうに思っております。  いずれにいたしましても、日米間で適切な役割分担というものをつくって、その上で日米同盟全体の抑止力強化をする、そして国民の生命と財産を守るために我が国として何をすべきかという観点から常に様々な検討、これを行っていくべきだ、努力もしていくべきだと考えてございます。
  34. 阿達雅志

    ○阿達雅志君 ありがとうございます。  やはり、この安保体制抑止力強化、これをしっかり進めていただいて、それを前提に、そういう万が一にも軍事的衝突が起きないように、また軍事的アクションを取らなくて済むようにしていくということが極めて大事ではないかというふうに思います。  そういう中で、先ほど佐藤委員がおっしゃった対話圧力、この圧力、今現実にどういう圧力が掛けられるかということになると、やはり実際には今国連制裁あるい日本独自の制裁ということになってくるかと思います。  こういう国連制裁あるい日本独自の制裁ということでは、もうこのミサイル発射るいは核実験がなされるたびに都度ずっと進めてきているわけでございますけれども、ただ、なかなか日本独自での制裁、日本と今もう北朝鮮は、実質、物の流れも止まっていますし、人の流れも相当制限をしている。さらに、船舶、航空機の往来、これも基本的には全て止まっているという中で、資金の流れについても、日本として今できるような制限というのは相当しているとは思うんですけれども、こういう現在の北朝鮮制裁の実効性についてどのようにお考えか、外務省説明をお願いいたします。
  35. 志水史雄

    政府参考人(志水史雄君) お答え申し上げます。  日本が行っております制裁措置といたしましては、国連安保理により決められたものを実施すること及び独自の制裁措置をとっております。これによりまして、委員がまさに御指摘のとおり、人、物、金の動きを止めているということでございます。これがどこまで有効なのか、効果がもたらしているかということに関しましては、一定の効果が出ているというふうに考えております。  他方におきまして、更にこれを有効たらしめるよう既存のものをきちんとできるようにすること、そしてさらに、必要があれば何が更に有効になるかということを不断に考えていくことが必要かと考えております。
  36. 阿達雅志

    ○阿達雅志君 ありがとうございます。  なかなかやはりこれ、日本独自でやっていくというのは難しい部分がある。例えば、お金の流れというのも、金融機関を通じたお金の流れ、これは簡単に止められるわけですけれども、昨年二月に、現金等の携帯輸出、これについて金額を百万円から十万円に引き下げております。  ですが、この十万円に引き下げたもの、具体的に、じゃ、これ規制としてどうなのかと考えると、現実には、北朝鮮に渡航をするという人間が、こういうお金を持っていくという者に対して、財務省が届出を受けてそれに対して許可を与えない、こういう形なわけです。あくまで持っていく人間が届け出る、こういう中での規制にすぎないわけです。  ですから、極端に言うと、第三国に旅行をする方が百万円だ二百万円だを持っていく。この第三国から北朝鮮へ渡られる方が何も言わずにお金を北朝鮮へ持ち込むこと、これを今、日本の出国の時点で取り締まることというのはできない、こういう仕組みになっているわけです。ですから、なかなかやはりこれは、日本単独でこういうお金の流れを止めようとしても止め切れないということなのではないかと思います。  そういう中で、やはり今、国際制裁なされてはおりますけれども、まだ足りない部分としてはこのセカンダリーサンクション、これがあるのではないかと。このセカンダリーサンクションということでは、一部、北朝鮮と取引をしている企業、団体についての資産凍結、これはもう既に行われております。  それから、これはアメリカあるい国際社会としても行っているわけですけれども、ただ、これは、アメリカのこういう金融制裁ということで見ると、アメリカがイラン制裁をやったときに比べるとまだ極めて甘い状態にあります。  この甘い状態というのは、アメリカには米国愛国者法というのがあります。その中の三百十一条という規定にのっとって、通常は、アメリカはイラン制裁をやったわけですけれども、そのときには、この制裁、資産凍結をするための情報をまず出させる、これが一番大きなわけです。つまり、北朝鮮と取引をしている第三国、例えば中国のある企業、金融機関が北朝鮮と取引をしているということ、これを例えば中国のその企業に対して、そういう企業がアメリカに支店があったりアメリカにオペレーションを持っていたら、ここを通じて金融制裁を掛ける、あるいはそういう金融機関に対して一切ドル決済を認めない、こういう形での制裁をイラン制裁のときには行いました。  ですが、ここで一番重要なのは、実はそういう取引をやっているところに情報を出させることなんです。ですから、誰が実際に北朝鮮と取引をしているか分からなければ、幾ら資産凍結をしようにも資産凍結できない。ここを、情報を出させる権限というのを与えているのが先ほど言いました米国愛国者法の三百十一条ということです。そういう意味では、今もまだアメリカはこの規定に基づくそういう制裁というのは行っていないというふうに私は理解しております。  また、日本の場合も、そういう資産凍結はできるけれども、資産凍結の前提になる資料の提出命令、これがなかなかシステム的にはうまく今のところ規定されていないのではないかというふうに思いますが、やはり今後こういう国際制裁、さらに、今回のミサイル発射によって安保理でいろんな議論が出てくる際には、日本もこういうセカンダリーサンクションということをもっと真剣に考えて、そして日米韓中ロ、こういった国が本当に協調して国際制裁をより実効性あらしめるものにしていかないといけないと思いますけれども、このセカンダリーサンクションについてのお考えを、外務省、お聞かせください。
  37. 志水史雄

    政府参考人(志水史雄君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、不断に制裁の実効性を強化していくことを検討していくことが非常に重要だと思いますし、それに当たっては、日本そしてアメリカ、韓国中国などと連携していく、必要だと考えております。  こういう観点から申し上げますと、日米韓の間では、四月にニューヨークにおきまして日米韓外相会合を行っておりますけれども、これを含めまして様々な機会に緊密な連携を確認しておりますし、対北朝鮮措置についても政策のすり合わせを行ってきているところでございます。  また、委員指摘のセカンダリーサンクションということで申し上げれば、これも委員承知のとおり、昨年十二月に、日米韓におきましてそれぞれ独自の措置ということで、中国の団体、個人を資産凍結の対象に指定しているところでございます。このように、中国を含めた第三国の企業についてもその動向を注視してきているところでございます。  アメリカがどういうことを考えているかということについてでございますけれども、ティラソン米国務長官は、北朝鮮の違法行為を支援する第三国の団体、個人に制裁を科すことにちゅうちょしないということを最近述べていると承知しております。  今後の対応につきましては、御指摘の点も踏まえ、諸懸案の包括的な解決に向けて何が最も効果的かという観点から、アメリカ、韓国等、関係国と緊密に連携し、不断に検討していきたいと考えております。
  38. 阿達雅志

    ○阿達雅志君 ありがとうございます。  国際基軸通貨のドルを持っているアメリカと、そういう通貨を持たない日本では相当状況は違うとは思いますが、ただ、こういう日米韓、しっかり連携する中で、やはり実効性ある制裁を進めていただきたいというふうに思います。  では、次のテーマに移らせていただきます。  こういう今非常に外交がいろいろ問題がある中で、この外交体制強化、特に量と質を強化するということは非常に大事であろうということで、自民党におきましても、昨年、外交力強化を求める決議、この中で在外公館の在り方についてのいろんな提言をさせていただきました。また、外務省におかれても、財務省との間でしっかり議論をいただいて、単に数を増やすだけじゃなくてやはり質もしっかり維持していくんだということで、今まで行われてきました在外公館の小規模化による財源捻出、そして通常公館の増設というこのやり方を変えるべく今進めていただいているところでございますけれども。  ただ、今回、確かに、平成二十七年度を平成二十六年度から見た場合に、在外公館の数というのは二百七から二百十五に増える、そして二十七年から二十八年についてはまた五つ増えるという形で毎年幾つかずつ確実には増えていっているんですが、やはり気になりますのは、それとともに定員十人以上の通常公館が減って、逆にコンパクト公館、ミニマム公館の数だけが増えていっている、こういう状況がございます。  これは、今年は大分この換算率というか切替え率が変わったとはいえ、まだ私は不十分ではないかと。引き続きやはりここは予算措置まで含めてしっかり取り組んでいただきたいというふうに思いますけれども、この点について、外務大臣、御見解をお願いいたします。
  39. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、委員におかれましては、自民党外交部会長として外交実施体制強化に関する党の決議を取りまとめていただきました。こうした提言、決議をまとめる中で中心的な役割を担われたことに敬意を表し申し上げたいと思います。  そして、安全保障環境そして国際情勢、急激に今変化をしています。その中にあって、我が国としてしっかりとした情報発信を行う、あるいは海外で活躍する日本企業をしっかり支援していくなど、こうした多様化する外交課題に対応していくためにも、外交実施体制強化はますます重要になっていますし、急務でもあると考えます。  このため、主要国並みの外交実施体制を実施すべく在外公館の数の増加そして人員の拡充、これ、共に強化していかなければならないと思います。提言も踏まえながら、是非、在外公館、質、量、両面において拡充を図っていくべく外務省としても努力をしなければならない、強く認識をしております。
  40. 阿達雅志

    ○阿達雅志君 力強いお言葉、ありがとうございます。  ただ、この部分は、何分財政面での支えというのも要りますので、我々政治の側としても、やはりこの外交強化するためには、それはお金も何もなしで強化もできないんだということもしっかり認識した上で支えてまいりたいと思います。  また、その中で、今、質という話の中では、今までの外務省外交官だけではなくて、これだけいろんな分野でのいろんな問題が出てきているのであれば、やはり他省庁も巻き込んだオールジャパンの外交力の結集という、こういうことも是非検討いただきたいなというふうに思います。  本当はもう少し細かい質問もさせていただきたかったんですが、時間が迫ってきていますので、ちょっと次のテーマに移らせていただきたいと思います。  同じくこの外交力強化という中で大きな一つのテーマというのは、日本の対外発信の強化、これを外交力強化としても我々も提言をさせていただきました。こういう対外発信の強化というときに、どうしても中国韓国との間の歴史問題についての対外発信の強化という部分に議論が向く部分もあるんですけれども、私は、それとともに、やはり大きな意味での日本をよく知ってもらう、日本の文化を知ってもらう、これも非常に大事なことではないかというふうに思います。  そういう中で、ちょっと最近いろいろ聞いた幾つかの例でお話をさせていただきたいんですが、一つは、今アメリカで、全米桜祭りというのが非常にアメリカの中でも大きな祭りということになってきています。これは大体三月最後の土曜日から二、三週間の間行われる。ナショナル・チェリーブロッサム・フェスティバル・インクという、こういう会社が中心になって、この期間で百万人以上の人がワシントンの桜を見に来る、こういう一大フェスティバルになっているわけです。  外務省との関係でいくと、ジャパン・インフォメーション・アンド・カルチャー・センター、ここを中心にして特に日本文化の発信ということでやっていただいております。今年の例でいくと、例えば根付展だとかジャズだとか、あるいはピアノコンサートというのがある。過去においては、例えば和楽器だとか伝統芸能、歌舞伎といったものの実演を、外務省、このJICCを経由して支援をしていると。  これ自体は非常にすばらしいことだと思うんですが、実は実際に向こうの住んでいる方々にいろいろ話を聞くと、どちらかというと、このJICCがやっているところへ行くお客というのは、日本人あるい日本のことを非常によく知った方々なんですね。だから、ある意味日本通の人たちがよく行くようなところ。  それに対して、もう一つ、ワシントンの日米協会主催の桜祭りというのがございます。ここでジャパニーズ・ストリート・フェスティバルというこれが行われて、これは二日か三日ぐらいの間で大体五万人ぐらいの人が来る。これは日本をテーマにしたということで、日本を紹介する展示があったり体験イベントがあったりするんですけれども、実はここへ来ている方々というのが最近はコスプレ姿のアメリカ人の若者が非常に多くなっている。特にこれアニメ文化の影響で、また、ゆるキャラがぞろぞろといる、こういう状態になってきているわけです。  もちろん私は、こういう日本の文化としてのアニメを否定するわけでもコスプレを否定するわけでもないんですけれども、ただ、やはりこれは若干もったいないなという気がするんですね。さっき言ったような本当に日本通の人が来るところの部分と別に、日本について余りよく知らない人たちがこういうアニメを通じて日本を知ろうとしているところで日本の文化のいい部分というのを出し切っていないということで、これは、実は全体の全米桜祭りもこのワシントン日米協会主催の桜祭りも両方なんですけれども、やはり最近お金がないということが、これが非常に問題になっている。  実は、こういう中で、このワシントン日米協会に対しては、いっとき中国韓国から、彼らは日本をテーマにした祭りということに対する半分やっかみもあって、むしろ自分たちがお金を出すのでもっとオープンな祭りにしようというような提言がなされたこともございます。これに関しては、そのとき、幸い、いろんな日本コミュニティーが動いて何とか日本側の主催ということで続けているわけですけれども、こういう日本の文化、伝統を発信するという意味では、やはりこういう点も日本がしっかり後押しが要るんじゃないかというふうに思います。  そしてまた、ちょっと今度は別の切り口の話なんですけれども、日本武道館がいろいろ今実施している事業の中で、海外に日本武道を紹介するということで、毎年、平成二十七年度はサウジアラビア、そして昨年はオーストラリア、そして今年は、まだこれはこれからですけれども、マレーシアということで、日本の武道関係者が実際に現地に行って日本の武道を演武する、そして日本人学校あるい日本人会の皆さんと交流し、現地でそういう日本の武道を示すという、こういう事業をしています。これは、日本武道館なので本来は文部科学省の部分ですが、実際にはこれは外務省がこういう向こうでのロジスティック、相当応援をいただいて、お金自体は日本武道館の方が出してやっておりますけれども。  これが、去年の実際にオーストラリアでやった後の現地の日本人学校の子供たちが感想文というのを書いて、それを読むと、やっぱりその中で、日本という国、自分のお父さん、お母さんが生まれた日本というのがこんなすばらしい文化を持った国なんだ、礼儀を大事にする、あるいは武道精神というのがこんなに大事なんだということを改めて知って感動しました、こういうような作文がぞろっと出てくるわけですね。  そうすると、この日本の文化をやっぱり海外に知ってもらうという中で、日本武道館がやっているようなこういう海外での代表団の派遣事業、演武というようなものをですね、やっぱり非常に大きな外交的な意味合いを持っているんではないかと。これは、単に予算を付ける付けないの問題ではなくて、こういうことというのをしっかりやっていくこと自体がやはり日本の対外文化の発信になっていくのではないかというふうに思います。  そういう点で、やはりこれからも是非、海外へ発信する日本日本の対外発信というのは一体何をどういうふうに発信すればいいかというところを含めて、是非外務省においても前向きに取り組んでいただきたいなというふうに思いますが、最後に今の件について、ちょっと外務大臣の御意見をお聞かせください。
  41. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今委員から御指摘がありました桜祭りにしても、また武道派遣団にしましても、日本が様々な日本のすばらしさを世界に発信する、イメージを向上させる、さらには国際社会におけるプレゼンスを向上させる、こういった意味において大変重要な取組だと思います。こうした機会を日本外交としてもこれは失ってはならないと思いますし、逆にこれを積極的に活用する姿勢が大変重要だと思います。  御指摘の例も含めて、是非こうした場を大事にするよう外交の立場からも心掛け、そしてそういった取組を応援できるように検討を続けていきたい、このように考えます。
  42. 阿達雅志

    ○阿達雅志君 ありがとうございます。終わります。
  43. 中西哲

    中西哲君 自民党中西哲でございます。引き続いて質問をさせていただきます。  初めに、防衛大臣に一つ、今、佐藤議員の御質問に対する回答について確認したいんですが、私も、昨日、稲田大臣が、高さ二千キロメートルまで上がったという発言をテレビで見て本当に驚いたんですが、一般的に大陸間弾道弾と言われるミサイルは、一万キロ飛ぶとしたら、高さは大体千三百キロから四百、千三百から千四百の間だと言われております。したがいまして、もし二千キロメートル飛んだのであれば、まあロフテッド軌道ですから九十度に近い角度で発射したんだと思うんですが、ちょっと前倒しにすれば一体どこまで飛ぶんだろうと、もしも一万キロを超えるような距離届くのであればアメリカの対応が全く違ってくるという心配をしておりました。  ですから、今、これから多分検討を、分析するんでしょうけれども、あの飛距離、発射台の角度を前倒しにして飛ばしたときにどこまで飛ぶと分析されるのか、今分析中であるんならそれで結構ですが、防衛大臣のお考えをお願いします。
  44. 稲田朋美

    国務大臣稲田朋美君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、二千キロメートルですね、二千キロメートルの高度に達して三十分程度飛翔している、そして約八百キロメートル飛翔したということでございますので、今委員が御質問になった点も含めて詳細を現在検討中でございます。
  45. 中西哲

    中西哲君 ありがとうございました。  それでは最初に、平成二十七年度予算に八千二百トン級のイージス艦の予算があります。このイージス艦の建造目的について防衛省にお伺いいたします。
  46. 高橋憲一

    政府参考人高橋憲一君) お答えいたします。  委員指摘平成二十七年度から建造に着手したイージスシステム搭載型護衛艦、二七DDGと呼んでございますが、これは通常の汎用護衛艦より防空能力に優れておりまして、警戒監視や対潜水艦戦等の各種作戦を行う際に重要な艦隊防空において中心的な役割を果たすということが期待されております。  加えて、新型迎撃ミサイルであるSM3ブロックⅡAを搭載することで、より防護範囲を拡大した形で弾道ミサイル防衛にも対応可能な艦艇であり、防衛計画の大綱の考え方に基づき、今後とも整備に取り組んでまいるということでございます。  以上でございます。
  47. 中西哲

    中西哲君 ということは、DDGの中心、四つの護衛隊群に多分何隻かずつ配置していくんだろうと思います。  この四つの護衛隊群、平成七年からヘリ空母型の「ひゅうが」が就役する平成二十一年まで、護衛艦八隻と対潜ヘリコプター八機、通称八・八艦隊と言われておりました時期がありました。今、この間「かが」が就役したことによってヘリ空母型の護衛艦が四つの護衛隊群にそれぞれ一隻ずつ配置されましたので、八隻十二機体制というふうに聞いております。  これらの四つの護衛隊群を編成しているその編成の当初からの考え方、そして、今こういう体制を整えるという考え方についてお伺いいたします。
  48. 高橋憲一

    政府参考人高橋憲一君) 委員指摘のとおり、海上自衛隊の機動運用部隊でございますが、四個護衛隊群で編成されているということでございます。  武力攻撃事態等におきましては、対潜水艦戦、防空及びミサイル防衛、複数の任務が同時に生起した場合にも効果的に任務遂行可能な体制を保持するために、常時即応可能な護衛隊群を二個保有する必要があると考えてございます。検査、修理、訓練のための期間を踏まえますと、常時対応可能な護衛隊群を二個確保するためには、護衛隊群をトータルで四個保有しておく必要があるというふうに考えてございます。  また、先ほど御指摘がございましたように、各護衛隊群は、哨戒ヘリを多数搭載可能なヘリコプター搭載護衛艦、「いずも」あるいは「かが」でございますが、それを各一隻、防空能力に優れているミサイル護衛艦、イージス艦でございますが、このDDG型艦を二隻、汎用型護衛艦五隻の計八隻で構成されているというところでございます。  この八隻を一体として運用することにより効率的な各種オペレーションを行うことが可能になってございますが、また、より多数の任務が同時に生起した場合には、例えばイージス艦を中心として四隻を弾道ミサイル防衛の任務に、あるいはDDHを中心としまして他の四隻を対潜水艦戦等の任務に当てるなど、状況に応じより柔軟な運用を図っていきたいというふうに考えてございます。  以上でございます。
  49. 中西哲

    中西哲君 この四つの護衛隊群が日本の周り、言わば海に囲まれた日本の防衛の要でございます。そして、この護衛隊群がどこまで海の航行の安全を守るか。先ほど佐藤議員からもシーレーンの問題が出ました。実は、私もこの質問を用意しておりまして、私の場合は、東シナ海そして南シナ海、ここら辺りを具体的にどういうふうに民間の貨物船、タンカーが安全に航行できる体制を整えていくかと、こういう視点でお伺いしたいと思っております。一般に、この二つの海域を、海を通る日本の民間船舶、貿易量の五四%がこの海域を通るとも言われております。  そこで、まず東シナ海についてでございます。  日米新ガイドラインを私初めて読んだときに、ガイドラインのⅤの部分に、「地域の及びグローバルな平和と安全のための協力」の見出しに続きまして、相互の関係を深める世界において、日米両国は、アジア太平洋地域及びこれを越えた地域の平和、安全、安定及び経済的な繁栄の基盤を提供するため、パートナーと協力しつつ、主導的役割を果たすと書いておりました。  私は、この文書を読んだときに、あれっ、これは日本から中東までのシーレーンを守るという意味かなという思いがしたんですが、防衛省見解はどういうものでしょうか、お伺いいたします。外務省にお伺いします。
  50. 小野啓一

    政府参考人(小野啓一君) お答え申し上げます。  新ガイドラインにおける地域の及びグローバルな協力は、日米両国が各々の主体的判断によりアジア太平洋地域及びこれを越えた地域の平和及び安全のための国際的な活動に参加することを決定する場合に行うものでございます。新ガイドラインは、これらの活動の中での日米の協力の在り方の大枠及び政策的方向性を記しております。  より具体的には、新ガイドラインにおきましては、地域的及び国際的な活動における一般的な協力分野として、平和維持活動、国際的な人道支援・災害救援、海洋安全保障、パートナーの能力構築支援、非戦闘員を退避させるための活動、情報収集、警戒監視及び偵察、訓練・演習、後方支援を挙げております。これらの活動の実施において日米両政府が適切に協力をするほか、自衛隊と米軍との間で手続やベストプラクティスを共有することとしております。  さらに、三か国、多国間の安全保障、防衛協力を推進強化することとしておりまして、具体的には、地域内外のパートナー及び国際機関と協力するための取組強化し、そのための更なる機会を追求するとともに、地域の機構及び国際的な機構の強化のため協力することとしております。
  51. 中西哲

    中西哲君 具体的にここからここまでという範囲ではないということは分かりました。  それで、まず、日本から南に下がって東シナ海があるんですが、この日中中間線の状況について外務省にお伺いいたします。
  52. 志水史雄

    政府参考人(志水史雄君) お答え申し上げます。  日中の地理的中間線の中国側におきまして、これまでに計十六基の構造物が造られていることが確認されております。そのうち十二基は二〇一三年六月以降に新たに設置された構造物であり、また、そのうち計十二基の構造物でフレア、炎が確認されていると認識しております。
  53. 中西哲

    中西哲君 私もいつもこの十六基のプラットホームのニュースを見ていて、十二基でフレアが確認されているということは、確かにガスは出たんでしょう。  日本がこの地域を調査したときに、ガスも石油もあると、あるけれども、パイプラインを沖縄に引いたり九州へ引いたりあるいはタンカーで持っていったり、採算が合わないということでやめたというふうに私は承知しておるんですが、中国は本当にこのガスを、例えば海底のパイプラインで本国へ送っているとかあるいは貨物船を着けて中国本土へ運んでいるとかいう実態があるのかどうか。私は、むしろこれ軍事目的で設置しているんじゃないかと、この海域を中国海軍の支配できる海域にしようとしているんじゃないかという思いがするんですが、外務省見解をお伺いいたします。
  54. 志水史雄

    政府参考人(志水史雄君) お答え申し上げます。  まず、最初の御指摘の点でございますけれども、フレアが出ている場合には、一般的に申し上げまして、地中から採取した余剰のガスの燃焼を行っていることが考えられますので、生産が行われている可能性が高いと考えられます。  また、第二点につきまして、軍事目的かどうかということに関してでございますけれども、これは、現時点我が国安全保障への影響について確定的なことを申し上げるのは困難な状況認識しております。
  55. 中西哲

    中西哲君 了解いたしました。  この東シナ海を通って台湾とフィリピンの間、バシー海峡というのが台湾寄り、その南にルソン海峡というのがありまして、非常に狭い海峡でございます。特にこのバシー海峡、大東亜戦争当時はここで日本の軍艦やタンカーが、輸送船がめったくそにアメリカの潜水艦に沈められました。輸送船の墓場と呼ばれた場所でございます。  この国際海上交通路の要衝である海峡の交通路の安全を守るのは日本にとって大変重要なことであると考えておりますが、政府はどういう御認識を持っておられるのか、お聞きいたします。
  56. 前田哲

    政府参考人(前田哲君) お答えいたします。  まず、大きな話から申し上げますと、我が国、資源や食料の多くを海外との貿易に依存し、海洋資源の開発を通じて経済発展を遂げてきた、言わば海洋国家であるわけでございます。法の支配航行の自由といった基本的ルールに基づいて、開かれて安定をした海洋我が国の平和と繁栄の基礎でございますし、同時に国際公共財として世界の平和と安定、繁栄の基盤でもあると、こういう認識でございます。  その上で、シーレーンでございますが、ペルシャ湾、ホルムズ海峡からインド洋を経ましてマラッカ海峡南シナ海、そして我が国近海へと至っているということであります。資源エネルギーの多くを、先生も御指摘になりましたけれども、中東その他の地域からの海上輸送に依存している我が国にとってこれは極めて重要だという認識であります。  そして、御指摘バシー海峡であります。これ、南シナ海と太平洋を結ぶ海峡ということになりますけれども、こうしたシーレーンの一部として大変重要であるという認識です。防衛計画の大綱におきましても、開かれて安定した海洋の秩序を強化し、海上交通及び航空交通の安全を確保すること、これは平和と繁栄の基礎であるという記載をしてございます。こうした観点で海上交通の安全確保に万全を期す旨大綱でも述べておりますし、私どもも努力をしたいと考えてございます。
  57. 中西哲

    中西哲君 このバシー海峡、台湾と日本は今国交はありませんのでなかなか、その周辺諸国と一緒にこの地域の安全を守るということは、フィリピンとではすんなりいくでしょうけれども、なかなか難しい面もあろうとは思いますが、後ほどもう一度このバシー海峡、ルソン海峡については触れさせていただきますが、是非民間船舶が安全に航行できるような体制を整えていただきたいと思っております。  次に、これを越えると南シナ海に入っていくんですが、二〇一三年九月にオバマ大統領が、米国は世界の警察官ではないという発言以降、中国が急速にこの南シナ海で、特に南沙諸島において岩礁を埋め立てたと。この埋め立てた地域について中国が今どういう主張を行っているのか、外務省にお聞きいたします。
  58. 志水史雄

    政府参考人(志水史雄君) お答え申し上げます。  まず、中国政府の主張について日本政府として詳細に御説明する立場にはございませんけれども、その上で申し上げれば、中国は、例えば昨年七月に発表された声明におきまして、南沙諸島を含む南シナ海において、いわゆる九段線を念頭に領土主権、海洋権益等の主張を行っていると承知しております。  なお、昨年七月のフィリピン中国仲裁裁判におきまして、この仲裁裁判所は、中国が主張する先ほどの九段線の根拠としての歴史的権利については国際法上認められないと判断したものと承知しております。
  59. 中西哲

    中西哲君 中国は、ここの岩礁を埋め立てる当初、中国ばかり批判するけどほかの国もやっているじゃないかという主張をしておりました。確かに、この海域、フィリピン、ベトナム、マレーシア、台湾などは軍事基地化、一部が軍事基地化している場所もあります。しかしながら、これらの国がその島を占有しているときには余り大きな問題起こっていないんですよね。中国が急に島を占有して基地化していることによって今問題が起きようとしております。  それで、七つの、防衛省は、島という、岩礁を埋め立てただけですから島という表現使っていなくて、七地形のうちで三つの地形で滑走路が完成しているということですが、これは軍事用として供用可能な滑走路かどうか、防衛省にお伺いいたします。
  60. 前田哲

    政府参考人(前田哲君) お答えいたします。  今先生御指摘になりましたように、中国が、南沙諸島にある七つの地形において、二〇一四年以降、急速かつ大規模な埋立活動を強行し、砲台といった軍事施設のほか、滑走路、格納庫、港湾、レーダー施設等、これは軍事目的にも利用し得る各種のインフラ整備を推進しているというふうに見ております。このような中国の行為、一方的な現状変更、そしてその既成事実化を一段と進めようとする行為で、大変懸念をしてございます。  御指摘滑走路でありますが、七つのうちのファイアリークロス礁、スビ礁、そしてミスチーフ礁において最大で三千メートル級の滑走路がそれぞれ建設をされております。  その上で、ファイアリークロス礁におきましては、これは一六年の一月、昨年の一月でございますが、民間航空機による試験飛行がこれは強行されました。そして四月に、去年の四月に、南シナ海哨戒任務中の海軍の哨戒機、これも急患輸送を目的としていますが、ここに着陸しています。スビ礁、ミスチーフ礁においては、一六年の、去年の七月に民間航空機による試験飛行が強行されているわけでございます。  これらの滑走路を含む各種インフラ、中国は南沙諸島の軍事利用の可能性をこれは厳密に言うと否定していないと思いますし、戦闘機等各種軍用機を格納可能とされる格納庫、この建設がこれ完成をしたと指摘されていること、さらに、今申しました航空機による試験飛行が強行されたことなどを踏まえますと、御指摘滑走路を将来的に中国の軍用機が平素から利用する可能性、これはあるのではないかというふうに考えてございます。
  61. 中西哲

    中西哲君 今の状況で、外務省としてはこれらの中国の動きに対する何らかの対処をされているのかどうか、お伺いいたします。
  62. 志水史雄

    政府参考人(志水史雄君) お答え申し上げます。  南シナ海をめぐる問題は、地域の平和と安定に直結し、我が国を含む国際社会の関心事項であります。我が国は、これまで一貫して南シナ海における法の支配の貫徹を支持してきておりまして、南シナ海をめぐる問題の全ての当事者が国際法に基づく紛争の平和的解決に向け努力することの重要性を強調してきているところでございます。  この関係で先般のG7外相会合が行われましたが、この際にも、武力による威嚇又は武力の行使、大規模な埋立て、拠点構築及びその軍事目的での利用といった緊張を高めるあらゆる一方的な行動に対し、強い反対を改めて表明するとともに、全ての当事者に対し、係争のある地形の非軍事化を追求し、国際法上の義務を遵守するよう要求する旨のG7の共同コミュニケが発出されております。  我が国といたしましては、引き続き、自由で開かれ安定した海を守るため、各国に海における法の支配重要性を訴えかけ、その実効性を高める外交努力を続けていきます。また、こうした訴えと併せて、現状を変更し、緊張を高める一方的な行動への強い反対を国際社会と共有することによって、緊張を高める行動に対してメッセージを送り続けていきたいと考えております。
  63. 中西哲

    中西哲君 アメリカは、この南沙諸島について航行の自由作戦をやったんですが、今、トランプ政権は少しやめるというような発言も、中止、休むという意味ですかね、ありますが、南シナ海、南沙諸島はフィリピンとベトナムの間の東半分、西半分はまだ多分自由に航行できるということで空いていると思うんですが、その地域に対して防衛省として民間船舶を安全に航行させるための対処方法があればお聞きいたします。
  64. 前田哲

    政府参考人(前田哲君) お答えいたします。  先ほども申し上げたような実態があるわけでございますが、中国は、既存の国際秩序と相入れない独自の主張に基づいて、力を背景とした現状変更の試み等をやってきているわけであります。  それに対して、我が国としては、これまで一貫して南シナ海における法の支配の貫徹を支持をする、そして、南シナ海をめぐる問題の全ての当事国が国際法に基づく紛争の平和的解決に向けて努力することが重要だと考えております。  こうした考え方について、稲田大臣も、マティス国防長官とお会いになったときにも、方針としては確認をし、アメリカの活動については支持をするとともに、南シナ海への関与を強化していくということで意見は一致をしております。  具体的な取組でありますが、もちろん情報収集や分析といったことをきちんと進めていくということが一つ。それから、対応策としては、一つは、フィリピン、ベトナムなど南シナ海周辺の国々に対して能力構築支援を積極的に行っていくということがあろうと思います。さらに、南シナ海においても海上自衛隊と米海軍等の各国軍隊の共同訓練を行うと、このことというのが地域の安定に資する活動につながっていくと我々考えておりまして、こういった点にこれからも積極的に取り組んでいきたいと考えております。
  65. 中西哲

    中西哲君 資料を見ていただきたいと思うんですが、先ほど前田局長の話にもありましたフィリピンの南沙諸島、スビ礁、ファイアリークロス礁、ミスチーフ礁、ここを三角形、これ小三角形と呼ばれているようですが、ここに三つの滑走路があります。そして、その上の図、この南沙諸島と書いてあるのがこの三角形なんですが、西沙諸島のウッディー島、これ左側ですね。右側がこれから問題になるであろうスカボロー礁、ここはまだやられていないんですが、何も。この大きな三角形を支配下に置くことによって中国は、九段線を完成させるというのが中国の恐らく戦略的な目標であろうと。この三角形は南シナ海トライアングルと今呼ばれておるんですが、まさにこの島々、もう不沈空母ですよね。  それで、何を目的にしておるかと。上の図面の海南島の南、三亜というところに中国の潜水艦基地がございます。中国の潜水艦基地は、戦略型も含めて最初、黄海、北の方の海におったんですが、青島とか大連とか旅順とか、ああいうところに基地を持っていたんですが、黄海は浅い、浅いもので、潜水艦が行動するのに制約があるということでこの海南島に潜水艦基地を移しまして、今、戦略型のミサイル、ジン級潜水艦、SLBM、長距離弾道弾を約十二基、発射機を備えておる潜水艦が四隻配備されていると言われております。そして、この潜水艦が南シナ海を自由に航行することによってアメリカを牽制すると。  また、さっきのバシー海峡、ルソン海峡というのは、このジン級の戦略型潜水艦に積んでありますJL2という長距離弾道弾ですが、射程が七千二百から七千四百、これ私が最近調べた数字なんですが、キロと言われておりまして、アメリカの西海岸にも届かない。届かせるためには西太平洋に出ていく必要がある。この行動をもうやっていると思うんですよ。これらに対して、当然アメリカの対潜水艦部隊は活動していると思われます。ですから、今後もバシー海峡、ルソン海峡が緊張するおそれがあるという話をさせてもらったわけでございます。  米ソ冷戦と言われた時代に、カムチャツカ半島の東側にペトロパブロフスクという軍港があります。ここは今でもロシア海軍の潜水艦基地としても使われておるんですが、ここにソビエトが当時のデルタ級の戦略型潜水艦を配備して、すぐ前の北西太平洋、そしてアリューシャン列島を越えてベーリング海、ここに戦略型潜水艦を潜ませることによって米本土を狙う、東海岸も西海岸も届く長距離ミサイルを搭載しておりました。  この戦略を潰すために、アメリカの対潜水艦部隊が封じ込めるために米ソが物すごく緊張感を持ったことがありまして、日本の対潜水艦部隊、海上自衛隊の対潜水艦部隊も独自に行動をし、そしてその情報を日米が共有することによってソ連の潜水艦部隊を封じ込めたというふうに聞いております。  アメリカは既にこの南シナ海でもうそういう活動に入っておるんでしょうけれども、ますますこの地域が緊張してくると、その中で日本がいかに航路の自由を守るか。先ほど佐藤議員の資料にもありましたが、この二本目のロンボク海峡を通るラインを通ると、日数も掛かれば燃料費も上がるんですね。したがって、物価が上がっていく、日本に大きな影響を与えるということで、非常に内航海運の皆様方は心配をしております。しっかりとここの安全を守っていただきたいと思います。  最後に、この間も「いずも」がシンガポールへ行きました。その前にも何隻か時々ベトナムとかフィリピンを訪問しておりますが、この目的についてお聞きいたします。
  66. 前田哲

    政府参考人(前田哲君) お答えいたします。  何回か巡航訓練というのをやっておりますが、護衛艦「いずも」、「さざなみ」、先般、シンガポール海軍主催の国際観艦式に参加する機会を捉えて、米軍のイージス艦二隻とともにバシー海峡からシンガポール付近に至る海域で共同巡航訓練、実施いたしております。  もとより、訓練でありましたので、戦術技量の向上、それから米海軍との連携強化を目的としてやるわけでありますが、同時に、このことは、厳しい国際環境の中で日米同盟全体の抑止力対処力を一層強化をする、そして地域の安定化に向けた我が国意思と高い能力を示すと、こういう効果もあるというふうに考えてございます。引き続きしっかり取り組んでいきたいと考えます。
  67. 中西哲

    中西哲君 ありがとうございました。  時間がなくなりましたので、残りの質問は次の機会にやらさせていただきます。     ─────────────
  68. 岡田広

    委員長岡田広君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、こやり隆史君及び佐藤正久君が委員辞任され、その補欠として松川るいさん及び森屋宏君が選任されました。     ─────────────
  69. 小西洋之

    小西洋之君 民進党・新緑風会の小西洋之でございます。  私からも、冒頭、昨日の北朝鮮ミサイル発射につきまして、国際法に違反する暴挙であるということ、また、民進党におきましては、昨日のうちに党として、これを断固許してはならないという党の見解を出していることを申し上げさせていただきます。  では、決算の審議の方の質問に参らせていただきます。  冒頭、会計検査院長に伺わさせていただきます。  去る三月八日の予算委員会の審議におきまして、私は、二〇一四年七月一日の安倍内閣の集団的自衛権を容認する解釈変更、この解釈変更に関する支出といたしまして、内閣法制局の執務資料、また防衛白書、そして内閣官房のホームページに関する支出を指摘した上で、これらの支出、これらの限定的な集団的自衛権行使の解釈変更に関する支出が憲法に違反するものでないかについて、合規性の観点から検査し、国会に報告いただくようお願いをいたしますという質問をさせていただいたところ、河戸院長の方から、「お尋ねの支出につきましては、委員の問題意識も踏まえながら適切に検査を実施してまいりたいと考えております。」という答弁をいただいたところでございます。  会計検査院は、合規性の観点、会計検査院法二十条の合規性の観点に基づき、憲法に違反する支出について検査をしなければなりません、一般論でございますけれども。会計検査院は独立機関でございますので、その憲法に違反するかの憲法判断は会計検査院が主体的に行う、そうした旨の答弁もいただいているところでございます。  会計検査院長に伺いますけれども、三月八日の答弁の趣旨の改めての確認なんですけれども、森友学園の質問で、国会法に基づく検査要請ではなくて、質問に対して、検査をしてくださいという質問委員からされたときに、検査をして国会に報告するというような答弁、そして過去のこういう国会議員の質問に対して徹底した検査をするというふうに答弁されておるんですけれども、三月の八日、私に対していただいた答弁、「検査はしっかりと実施してまいりたいと思っております。」というようなこともおっしゃってくださっているんですけれども、検査を徹底して行い国会に報告するという趣旨の答弁をしていただいていると、三月八日も、理解してよろしいでしょうか。
  70. 河戸光彦

    会計検査院長(河戸光彦君) 三月八日の予算委員会におきまして、内閣法制局の執務資料、防衛白書、内閣官房のホームページに係る支出の検査につきまして委員から御質問がございました。  これに対しまして、私から、委員お尋ねの点は、特定の法律が憲法に抵触するかと密接に関わる問題であると認識しております、そして、特定の法律が憲法に抵触するかにつきましては、国の収入支出の決算や法律に定める会計ではないことから、会計検査院はこれ自体を検査し指摘する立場にはないことを御理解いただきたいことなどを申し上げました上で、委員お尋ねの支出については、法律の規定に基づき、合規性の観点からも検査を実施してまいりたいと答弁したところでございます。  検査の結果として国会に報告すべき事態があった場合には、国会に報告することになると考えております。
  71. 小西洋之

    小西洋之君 ありがとうございました。  しっかり検査をするというのは徹底して検査をするという趣旨と受け止めさせていただきます。もし違うのであれば、後で訂正をいただければと思います。  今、会計検査院長がおっしゃられましたけれども、当然のことをおっしゃっていらっしゃるんですね。会計検査院は、職務として内閣法制局の意見事務のように憲法判断をする部署ではありませんが、会計経理の検査を憲法九十条に基づいて行う際に、ある支出が法令、そしてその法令の中には当然憲法も含まれるわけでございますけれども、それに違反していないかどうか、合規性の観点から検査をする法律上又は憲法上の義務を負っていらっしゃるわけでございます。そうしたことについて答弁をされております。  今、委員の先生方、お手元に資料を二つお配りをさせていただいております。  一つ目の「憲法は変わったのか」、これ、昨年の岩波書店の月刊誌の「世界」という、論文でございますけれども、学習院大学の法科大学院の野坂先生という方が、安倍内閣の集団的自衛権の解釈変更は法論理も何もない、単なる不正行為である、よって違憲であるという論文を書かれております。  太くマジックを引いてくださっているところ、非常に恐縮ですが、私が二〇一五年の七月に出版した本でございます。(資料提示)私のこの「私たちの平和憲法と解釈改憲のからくり」というのは、なぜ安倍政権の解釈変更が違憲であるか、法論理も何もない、昭和四十七年政府見解、今、私の左手にお持ちしております今から四十五年前に作られたこの政府見解の中に、作られた当時、作った吉國法制局長官らの手によって集団的自衛権を許容する憲法九条政府解釈の基本的な論理なるものが書き込まれていた、四十五年前からずっと合憲だったというのが安倍政権の七月一日の閣議決定に明記し後にも国会説明をしている唯一の合憲の論拠なんですけれども、この四十七年政府見解を作った吉國長官が、最終決裁した長官が作るきっかけになった僅か三週間前の国会答弁で、集団的自衛権は絶対にできないと、そういうことを繰り返し言っている、作られたものであることを証明して、安倍政権の解釈変更は法論理ではない単なる不正行為による絶対の違憲無効であることが立証されているところでございます。  今のこの野坂先生の論文の次のページをおめくりいただけますでしょうか。  これ、私が幹事を務めております参議院の憲法審査会の昨年の平成二十八年十一月十六日の各会派の見解表明でございます。民進党から白眞勲先生、そして社民党からは、いらっしゃいますけれども、この委員会委員でもございます福島みずほ先生が会派を代表しての見解表明をされております。それぞれ、白先生の冒頭ですけれども、「特に、この集団的自衛権の解釈変更は、いわゆる昭和四十七年政府見解の恣意的な読替えという、法解釈ではない単なる不正の手口によるものであることが安保国会で完全に立証されている」というようなことをおっしゃられているところでございます。福島先生についても、具体的な根拠を持っておっしゃっています。  その根拠なんですけれども、その次のページ、三ページ以降に、これ、三月の八日の予算委員会で付けた資料をそのまま同じものを付けさせていただいておりますけれども、今、私が申し上げましたような安倍政権の合憲の根拠、それが四ページ以降の、それを作った吉國長官の、請求をされた国会答弁に示されている文言、論理などによって完全に否定されていると、そのようになっているわけでございます。  では、会計検査院長に伺いますけれども、三月の八日に検査をしてくださいとお願いをして、検査をするという答弁をいただきました。検査に既に着手いただいておりますでしょうか、その事実の有無だけ答弁ください。
  72. 河戸光彦

    会計検査院長(河戸光彦君) 三月八日の予算委員会におきまして、内閣法制局の執務資料、防衛白書、内閣官房のホームページに係る支出の検査につきまして、委員から検査の御要望がございました。  委員から御要望のあった事項でございますが、内閣法制局、防衛省内閣官房の支出につきましては、検査担当局課におきまして検査を実施しているところでございます。
  73. 小西洋之

    小西洋之君 担当局課で検査を実施しているという明確な答弁をいただきましたけれども、検査に着手しているという理解でよろしいでしょうか。簡潔に。
  74. 河戸光彦

    会計検査院長(河戸光彦君) 委員から御要望のあった事項でございますが、内閣法制局、防衛省内閣官房の支出につきましては、検査担当局課におきまして検査を実施しているところでございます。(発言する者あり)我々は、検査を実施しているということが、という答えでございます。
  75. 小西洋之

    小西洋之君 今、理事からも確認をいただきましたけれども、実施しているというのは着手しているということでよろしいですね。違うのであれば訂正ください。簡潔に、ちょっと時間がありませんので。
  76. 河戸光彦

    会計検査院長(河戸光彦君) 会計検査院は国の収入支出につきまして常時検査をしておりますので、先ほどのような表現の仕方になってございます。(発言する者あり)
  77. 岡田広

    委員長岡田広君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  78. 岡田広

    委員長岡田広君) 速記を起こしてください。
  79. 河戸光彦

    会計検査院長(河戸光彦君) 改めて申し上げますと、会計検査院では、国の収入支出については常に検査を行っているところでございます。したがいまして、先ほどのような支出につきましては、委員の御質問があったことを、当然、御要望のあったことについては検討しながら検査するわけでございますけれども、それ以前から常に検査を行っているということでございます。
  80. 小西洋之

    小西洋之君 もう、ちょっと時間稼ぎはやめていただきたいんです。  では、明確に三月の八日に河戸委員長は、私が指摘した限定的な集団的自衛権行使の解釈変更に関する三つの支出、内閣法制局の執務資料、また防衛白書、内閣官房のホームページに関する支出について、委員の問題意識も踏まえながら適切に検査を実施してまいります、検査はしっかりと実施してまいりたいと思っておりますと言っております。  これら三つの事項について、検査に既に着手しているかどうか、始めているかどうか、それを伺っているんです。びっくりするような答弁拒否をされておりますよ。
  81. 河戸光彦

    会計検査院長(河戸光彦君) 検査を実施しているということは、着手しているということでございます。
  82. 小西洋之

    小西洋之君 院長、一言、私、会計検査院に敬意を表させていただいている議員なんですけれども、ふだんの職責に、そういう答弁拒否はひどいですよ、院長、独立機関としての矜持を持って頑張っていただきたいと思います。  では、院長に重ねて伺います。  三月八日の質疑では、検査していただくに当たって、安倍政権が集団的自衛権の解釈変更の合憲の唯一の根拠としている昭和四十七年政府見解、また、それと同じ、作成要求をされた同じ委員会、昭和四十七年の九月の十四日の委員会で同じく作られて、翌十月の十四日に、この決算委員会です、参議院の決算委員会提出されたもう一つの通称防衛庁政府見解というものがあります。  この通称防衛庁政府見解の中には、安倍政権が昭和四十七年政府見解の中に集団的自衛権が作成当時から作成者の手によって法理として書き込まれているという主張が文言と論理によって真っ正面から否定される文言が書かれているわけでございますけれども、そのことについては、安保国会で濱田邦夫元最高裁判事、伊藤真、日弁連を代表する弁護士の先生方からも具体的に陳述をいただいているところでございます。先生方のお手元に、今申し上げました濱田元最高裁判事、そして伊藤真先生のものは八ページ、九ページにあるわけでございますけれども。  会計検査院長に伺います。検査するに当たって当然必要な資料だと思いますけど、この二つの政府見解、会計検査院は既に今組織として保有されているという理解でよろしいでしょうか。
  83. 河戸光彦

    会計検査院長(河戸光彦君) 三月八日の予算委員会におきまして委員が配付された資料の中にお尋ねの会議録が含まれており、同日の予算委員会に出席しておりました私も会議録には目を通しております。また、検査に関係する者におきましてもその内容は承知しているところでございます。
  84. 小西洋之

    小西洋之君 院長、ありがとうございました。  これ、実物は国会で実は、今かざさせていただいているこの実物を会計検査院に実は国会でまたお渡しをさせていただいておりますし、私のホームページでも全く同じものを公表させていただいているところでございます。  では、院長に重ねて伺いますけれども、この昭和四十七年政府見解を作る、作成要求がされた四十七年九月十四日の吉國内閣法制局長官の憲法九条に関する解釈の答弁でございますけれども、先生方のお手元の資料の四ページからでございますけれども、この議事録、院長もしっかりと読んでいただいている、また責任の担当部局も読んでいただいているという理解でよろしいでしょうか。検査に着手しているというふうにおっしゃっていただいております。
  85. 河戸光彦

    会計検査院長(河戸光彦君) この資料につきましても、三月八日の予算委員会におきまして委員が配付された資料の中にお尋ねの会議録が含まれており、同日の予算委員会に出席しておりました私も会議録には目を通しております。また、検査に関係する者におきましてもその内容は承知しております。
  86. 小西洋之

    小西洋之君 ありがとうございました。  では、ちょっともう一点同じような質問をさせていただきたいんですけれども、実はこの昭和四十七年政府見解、先生方にもコピーを写し、配らさせていただいておりますけれども、吉國長官のほかに、当時の真田次長、そして角田第一部長、それぞれが作成に関与をしております。そのお二人の議事録につきましても六ページ、七ページにも付けさせていただいているところでございます。  先ほど御紹介を申し上げましたけれども、この安倍政権の昭和四十七年政府見解の恣意的な読替えについて、八ページでございますけれども、安保国会平成二十七年九月の十五日、濱田邦夫元最高裁判事は、日本語の読み方として、普通の知的レベルの人ならば問題なくちゃんとした読み方をするであろう、それがそうでないという、外国の武力攻撃というのが日本に対するものに限られないんだという読替えをするというのは、非常に、何といいますか、法匪という言葉がございますが、法匪というあしき例であると、とても法律専門家の検証に堪えられないというふうにおっしゃられておりまして、蓮舫委員質問に対して、この解釈変更は違憲であるか、違憲であるということもおっしゃっておりますし、ある国家機関に行って通るかというと、これはあくまで一私人としての推測になりますが、それは通らないであろうということをおっしゃっておりますし、日本語を普通に理解する人のみならず、法律的訓練を受けた専門家から見たならば、とてもそのような読み方はできないというふうにおっしゃられております。  また、宮崎礼壹元法制局長官も、九ページでございますけれども、四十七年見解の外国の武力攻撃という文言を同盟国に対するともなど読み替える、これを強弁するというのは、言わば黒を白と言いくるめる類いと言うしかありません、四十七年政府意見書から集団的自衛権の限定的容認の余地を読み取ろうというのは、前後の圧倒的な経緯に明らかに反します。つまり、作った人たちのその答弁に反するというふうに言っておるんですけれども、河戸院長、この議事録、また会計検査院の検査の担当者の皆さんは議事録を御覧いただいていると、読んでいるという理解でよろしいでしょうか。
  87. 河戸光彦

    会計検査院長(河戸光彦君) 三月八日の予算委員会におきまして委員が配付された資料の中にお尋ねの会議録が含まれております。私もその会議録に目を通しております。
  88. 小西洋之

    小西洋之君 ありがとうございました。  今御紹介をしたこの昭和四十七年政府見解を作った三人の作成者なんですけれども、吉國さん、真田さん、吉國長官、真田次長はもうお亡くなりになっております。ただ、角田当時第一部長、後の法制局長官、最高裁判事にもなられた方でございますけれども、まだお元気でございます。十三ページに、この四十七年見解を作成した当の御本人、角田さんが週刊朝日のインタビュー、これ後ろの方の共同通信の記事でも同じことをおっしゃられておりますし、実は私も、十一月の三日、角田先生の御自宅にお邪魔をさせていただいて、今から御紹介する週刊朝日の記事と全く同じ内容をお話しいただいて、そのことを外交防衛委員会の議事録に刻んでいるところでございます。  角田さんの、この週刊朝日の文字でございますけれども。集団的自衛権をいささかでも認めるなどという考え方は当時は全然なかった、与党、野党、内閣法制局を含めてね。集団的自衛権が何らかの形で認められるなんてどう考えてもなかったし、そういう主張をした人もなかった。横畠君がそう言っているの。そういう分析した記憶はないし、そういう理解はなかったと思いますね。ここに書かれている外国の武力攻撃日本そのものの攻撃のことです。日本が侵略されていないときにどうなるなんて議論は当時なかった。これを根拠に解釈改憲なんて夢にも思っていなかった。いやあ、よく掘り出したものだねと。作った御本人がこれを安倍政権の集団的自衛権合憲の根拠にすることを否定されております。  会計検査院長に伺います。  作った御本人が、安倍政権の唯一の合憲の論拠、この四十七年見解が集団的自衛権は合憲と書いた文書であるということを否定しております。まだお元気でいらっしゃいます。この角田先生、角田氏に直接ヒアリングをする、そこまでやらなければ私は検査として足りないとも思われますが、ヒアリングするお考えはありますでしょうか。
  89. 河戸光彦

    会計検査院長(河戸光彦君) 一般論といたしましては、会計検査院法上、検査上の必要により関係者に質問したり資料の提出を依頼したりすることができる規定が設けられておりまして、検査はこうした規定に基づくなどして実施しているところでございます。
  90. 小西洋之

    小西洋之君 是非検査をしていただきたいと思います。当時、法制局長官として使われた資料などを基に、雄弁にこれが集団的自衛権を合憲と書いた文書ではないということを御説明をいただきましたので、お伝えをさせていただきたいと思います。  実は、このように、安倍政権の集団的自衛権の合憲の根拠、この四十七年見解の中に、作った当時から作った方々の手によって集団的自衛権を許容する法理が書かれていたというのは、もう中学生でも分かる、私の本を読んでくださった尾木直樹先生がブログで、小西先生の憲法違反の説明、証明、これ子供でも分かるわよというふうに書いてくださっておりますけれども、また、先ほど、濱田元最高裁判事が、普通の知的レベルの人であれば、法律の専門家であれば絶対に認めないということをおっしゃっていましたけれども、まさに、一見極めて明白に違憲無効と認められるものでございます。  もし会計検査院が、このような一見極めて明白に違憲無効と認められる、憲法に違反する支出について合規性の観点から明確な検査をしない場合は、大変、もう会計検査院、独立機関としての存立そのものを失う、もちろん憲法に違反する検査を行うということになるのではないかというふうに御指摘をさせていただきます。  最後に、院長、この度のこの憲法違反に関する支出でございますけれども、先生方の資料の後ろに付けさせていただいておりますけれども、十五ページ、十六ページに付けさせていただいておりますけれども、昨年の九月十九日の朝日新聞の社説、翌日二十日の東京新聞の社説、そして七月一日の共同通信の全国配信記事、この共同通信の記事は角田先生に直接インタビューをされた記事でございますけれども、広く新聞の社説でも書かれていることでございます。国会で最も追及された憲法違反論点であり、社説でも、全国紙の社説等々でも書かれているこうした国民的課題について徹底的に決然としっかり検査をしていくと、そうしたお考えを持っているということでよろしいでしょうか。
  91. 河戸光彦

    会計検査院長(河戸光彦君) 検査の結果として国会に報告すべき事態があった場合には国会に報告することになると考えております。
  92. 小西洋之

    小西洋之君 三月の八日、しっかりと検査を行う、徹底と意味が違うんだったら訂正くださいと言いましたけれども、しっかりと検査を行うということでよろしいでしょうか。そのことだけもう一度お願いいたします。
  93. 河戸光彦

    会計検査院長(河戸光彦君) 法律に基づきまして適切に検査を実施してまいりたいと考えております。
  94. 小西洋之

    小西洋之君 ちょっと奥歯に物が挟まったような答弁かもしれませんが、もう既にいただいていますので、ちょっと時間がありますので、問題がありますので前に進ませていただきますが、独立機関の存在の全てに懸けて国民のためによろしくお願いをいたします。憲法違反の支出で国民が死ぬ、あるいは諸外国の人を殺すようなことがあってはいけませんので、そのことをどうぞよろしくお願いを申します。  では、次の質問、最高裁に質問を移らさせていただきたいと思います。  先生方、ちょっとお手元の別の資料でございますけれども、「法の支配の全う等のための裁判所法の改正について」という資料でございます。  最高裁に、冒頭、一般論として伺わせていただきますけれども、憲法に司法権がなぜ存在するのか、そして司法権の在り方はどうあるべきか書かれておりますけれども、司法権の行使というのは、裁判所で出される判決、その判決は最高裁の判決で全て決まるわけでございますけれども、その最高裁の判決文における裁判当事者を含めた国民への説明責任についてどのようにお考えになっているでしょうか。少し早口でお願いします。
  95. 中村愼

    最高裁判所長官代理者中村愼君) お答えいたします。  最高裁判決は、司法としての最終判断でございます。下級裁の裁判の指針となる判例という役割を担っているものでございますので、その重大性に鑑みますと、事案の最終的解決としての適切さや判決としての説得力は極めて重要なことであるというふうに考えております。
  96. 小西洋之

    小西洋之君 ありがとうございました。  今、判決としての適切性また説得力ということでおっしゃいましたけれども、その二つについて、ちょっと今の最高裁の判決文の出し方というのが問題があるのではないかというのがお配りさせていただいている資料でございます。  何かと申し上げますと、ちょっと簡単に申し上げさせていただきますけれども、最高裁の判決なんですけれども、最高裁は十五人の大法廷、そして三つの五人から成る小法廷から成ります。それぞれ裁判所法の規定によって多数決で判決の勝敗が決することになっております。その多数決で分かれたときなんですけれども、いわゆる多数意見とそれに対する少数意見というのがございます。その少数意見なんですけれども、三つに分けられまして、多数意見の補足説明をする補足意見、もう一つ意見というものがあるんですけれども、最後に今日議論させていただくのは反対意見というものでございます。  その反対意見は、多数意見と理由、結論、全部違う、もう多数意見と全く異なる考え方ということなんですけれども、その反対意見は、その判決文を読むと、当たり前のことなんですけれども、多数意見の理由と結論がなぜ間違っているのか、自らの存在に懸けて一生懸命論理を尽くして論駁をしております。ところが、多数意見は、その反対意見に対して、なぜ反対意見が間違っているのか論理的に全く触れていない、触れもしないというような判決文がはっきり言いますと非常に散見されるところでございます。  実はこの問題、今お配りさせていただいている資料の日付でございますけれども、今から三年前の四月、このまさに決算委員会質問させていただきました。それから三年たったんですが、資料八ページ、済みません、ちょっとコピーが小さくなってしまって恐縮なんですけれども、三年前に出された最高裁の判決、これは最高裁のホームページに載っている最高裁判決に限りますけれども、それの中で、二十一、私が確認できただけで反対意見が付いている判決がございました。ところが、その二十一なんですけれども、先ほど指摘させていただいた問題、反対意見がなぜ間違っているのか、多数意見は全く一言も触れていないわけでございます。触れていない代表例、分かりやすいと思うようなものを九つ今私の方で選ばさせていただいているのが先生方のお手元の資料でございます。  この多数意見と反対意見の擦れ違い、何がいけないかということなんでございますけれども、委員の先生方にも是非呼びかけさせていただきたいと思うんですけれども、我々国会が作った法律が我々の過ちにより違憲であると、最高裁の違憲立法審査権によって違憲無効というふうに法律が葬り去られることがございます、戦後十余り例がございますけれども。ところが、その判決文を読みますと、違憲でない、この法律はまだ合憲だと言っている、反対意見を言っている最高裁の判事が何人かいらっしゃるわけでございます。ところが、多数意見は、この法律は違憲だと言って、法律を違憲無効、すなわち殺し、言葉はあれですけれども、殺しながら、いや殺してはいけない、合憲であると言っている反対意見がなぜ間違っているのか一言も論理的に説明していない、触れてすらいない。  これは、我々立法府の立場からいたしますと、唯一の国民代表機関として国民のために合憲である、必要であると考えて作った法律を最高裁が憲法から与えられた権限によって違憲無効とするにしても、なぜそれを合憲だと言っている反対意見が間違っているのか、そのことをちゃんと多数意見の判決文の中で示さなければ、国会、そしてひいては議院内閣制、そして国民主権に基づく国民への説明責任を果たしたことにならないと思うんですけれども、最高裁の見解はいかがでしょうか。
  97. 中村愼

    最高裁判所長官代理者中村愼君) お答えいたします。  最高裁の事件の審理におきましては、各裁判官が当該個別の事件の内容に即しまして、これは一般論でございますが、多数意見に立たれる方、反対意見に立たれる方を問わず、その内容を吟味して議論、そして判決書を作成しているところと承知しているところでございます。最終的に、裁判官十五人、大法廷であれば十五人、小法廷であれば五人、判決書に署名するわけですが、その署名するときには、当然のことながら多数意見も記載されておりますし、反対意見、補足意見等も記載されているものに署名するということでございます。  したがいまして、判決に署名する段階におきましては、その内容が多数意見の方が十分でないというふうに考えれば多数意見に更に加筆されるでございましょうし、また、反対意見の方がそれでまだ足りないということであればまた同じようなことをされるということでございまして、裁判官は、審理を尽くして作成した判決の内容をもって当事者そして国民にその判断の当否を問うているものでございます。裁判官がその判断と責任の下に独立して職権を行使する中でその説得力の向上に努めるべきものというふうに考えているところでございます。
  98. 小西洋之

    小西洋之君 今の答弁ですけれども、先ほどもおっしゃいました、判決文の説明責任のその説得力が必要であるということを最後に今もおっしゃいましたけれども、説得力ないですよね。国会が作った法律が合憲だというふうにおっしゃっている裁判官がいるのに、そういう反対意見を付けているのに、それに一言も論理として言及しないまま多数決だけで、国会が作った、国民が選んだ国会が作った法律を葬り去るのであれば、国会に対する、また日本の民主制、国民主権に対する私は説明責任が全うされていないというふうに考えます。  先生方のお手元の資料には、これ、こういう問題だけではありませんで、例えば、ちょっと具体的な例で申し上げますと、八ページ御覧いただけますでしょうか。ちょっとコピーが大変小さくなっていて恐縮でございますけれども、八ページ、多数意見と反対意見の擦れ違い例を今回私が三年間のものを集めたものでございますけれども。  この一番なんですけど、これ、殺人事件についての判決でございます。殺人事件についての判決、小法廷で無期懲役でございました。ただ、五人殺した殺人事件だったんですけれども、お一人の裁判官は、死刑が適当である、死刑でなければおかしいという反対意見を出されております。ただ、死刑でなければおかしいというその理由について、これ、私だけではございませんで、ある法律の専門家たちにもサポートを得ながらこの資料を作らせていただきましたけれども、答えていない。  やはり、死刑の問題の是非をここで私は論じるつもりはありませんけれども、人の命を奪う、また無残に殺された人の、殺されてしまった被害者の尊厳、また残された遺族の方々の思い、そういうものも含めての司法制度だと思いますので、やはりちゃんと、その反対意見がなぜ適当でないのか、それを書いていただく必要が私は憲法上もあるのではないかと思います。  なお、十一ページでございますけれども、今申し上げたような、十一ページの資料、右側の資料二でございますけれども、反対意見に対して多数意見が反論を行っている例が実はございます。やろうと思えばできるわけでございますから、国民への説明責任、また、こういう、ちゃんと裁判官がそれぞれの意見を交わしたこと、それで、それがなぜ間違っているのか等々について判決文で明らかにするというシステムがあって初めて裁判所における評議が実効化するというふうに私は考えますので、そうしたことをしていただきたいと思います。  ちょっと先ほどの資料に、済みません、戻らせていただきたいと思いますけど、八ページですね、資料ゼロ番で、八ページの右の七番、八番は、実は、平成二十七年の十二月の十六日の大法廷、十五人の大法廷で出された判決文でございます。七番が再婚禁止期間の合憲性が問われたもので、八番が夫婦同姓の法制度の合憲性が問われたものでございますけれども、実は八番の方には、これ、寺田長官なんですけれども、寺田長官の補足意見が付いております。その補足意見の中で反対意見に触れられております。ところが、七番には補足意見すら付いておりません。同じ日に出された反対意見、それぞれ違憲であるという反対意見が付されております。違憲論点が提示された反対意見において、片方は補足意見で違憲だという反対意見がなぜ適切でないか論じている補足意見があるのに、片方はないと。  私の主張は、多数意見の中で、主文の中で行うべきということでございますけれども、こういう点を見ても、国民に対し公平公正な裁判なのかということは問題意識としてあるわけでございます。  一言、私、司法権の独立を絶対に尊重しなければいけないという国会議員でございますけれども、正直、この三年間のお取組を見る限り、遺憾でございます。判決を受ける当事者の思いになって、わらをもすがる思いで国民国会や行政によって権利を侵害されたときにそれを救済を求めているのが最高裁であるわけですから、その国民の権利が守られなければいけないという反対意見、行政が行った、あるい国会が作った法律は違憲であるというような反対意見が付けられて、それを多数意見で葬るのであれば、その違憲の主張がなぜ間違っているのか、それを論じなければ司法権の私は行使の名に値しないと思います。誠に遺憾である。国民代表の国会議員として、国民主権に基づく司法権の在り方として、そのように申させていただきたいと思います。  では、最後、限られた時間でございますけれども、ちょっと一般論で最高裁に伺います、一般論で。  最高裁は、司法権の独立、そして法の支配、今年、寺田長官、五月三日の憲法記念日でも法の支配を守っていくというようにおっしゃっておりますけれども、一般論で結構ですから、最高裁が行う出向人事においては、いささかも我が国の法の支配や立憲主義にもとる、反するようなことがあってはいけないと、一般論で当たり前のことですけど、そういう認識でよろしいでしょうか。
  99. 堀田眞哉

    最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君) お答え申し上げます。  裁判官が裁判官の身分を離れて行政機関の一員として活動するということは行われておるわけですけれども、その際、裁判官の公正性を損なうことがないように、そういった点については適切に判断をしてまいる必要があると、そういうふうに考えております。
  100. 小西洋之

    小西洋之君 先ほど、濱田元最高裁判事が法匪と言われていた国家機関があります。そことの関係で、司法権に対する国民の信頼、あるいは法の支配、立憲主義の擁護の在り方というものが問われていると思いますので、具体的には申しませんが、必ず善処をしていただきたいと。しなかったら、国会質問をまたさせていただきたいと思います。  じゃ、ちょっと次の質問をさせていただきますけれども、実は私、ある新聞社の論説委員から名誉毀損を受けて、この度最高裁で勝訴の判決をいただきまして、ありがとうございました。  それについてなんですが、その裁判をやっているときに夏期休廷というものがございまして、実は、最高裁も含めて日本裁判所の多くが夏の二十日間ほど休廷を、丸ごと法廷を休むわけでございます。そのことによって、私の実経験なんですけど、私の公判、法廷が開かれるのが二か月遅れてしまいました。  夏期休廷は、国民の裁判を受ける権利を妨げ、救済を遅らせているという負の問題があると思いますので、どこの行政機関も行政機関丸ごと休むということはやっておりませんので、それは是非改めていただくということでよろしいでしょうか。
  101. 中村愼

    最高裁判所長官代理者中村愼君) お答えいたします。  夏期休廷期間を設けるか否か、あるいはその期間については、各庁の裁判官会議によって判断されているところでございます。大体二十日程度を設けているところが多いということは御指摘のとおりでございます。  夏期休廷期間を設けることにより、期日指定の間隔が空く場合がございますが、そのことにより当該事件のトータルの審理期間が長くならないよう、各裁判官において審理の運営の工夫をしているのが実情でございます。  もちろん、夏期休廷期間が設けられていましても、各裁判体の判断で、必要性や緊急性等を考慮した上で夏期休廷期間内に期日指定をすることが許されないわけではございませんし、その期間内に緊急に処理を要する事件が生じたときに対応できる体制を庁として整えているものであって、夏期休廷期間を設けることが直ちに迅速な裁判を受ける権利を損なうことにはつながらないというふうに考えております。  裁判官は並行して多数の事件を担当しているため、通常の執務の中ではじっくり記録を検討したりすることが困難であるということから、夏期休廷期間中に大きな事件につきまして集中して判決起案等を行うということで、審理の充実、迅速な解決に結び付いている面もあり得るというふうに考えております。  委員指摘のとおり、適正、迅速な裁判の実現が裁判所の使命であることは肝に銘じております。裁判官、裁判所職員の心身の健康にも確保しながら、今後とも、迅速な裁判を受ける権利を損なうというような批判を受けることのないよう、執務体制の確保には努めてまいりたいと考えております。
  102. 小西洋之

    小西洋之君 時間なので終わらせていただきますが、会計検査院と最高裁が、憲法上の独立機関、そして司法権の独立に懸けて、信念を持って、矜持を持って、何物にも屈することなく、恐れることなくその権限を振るっていただく、そして国民と人権を守っていただく、そのことを、法の支配を守っていただくことをお願いして、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  103. 石橋通宏

    石橋通宏君 民進党・新緑風会の石橋通宏です。  冒頭、私からも、昨日の北朝鮮によるミサイルの発射、本当に度重なる暴挙ということで、強く抗議をさせていただきたいと思いますし、外務大臣お見えでございますが、政府におかれましては、米国始め関係国との緊密なコミュニケーションの強化、これがまず第一だと思いますので、しっかりと外交努力を尽くしていただきたい、そのことをお願いをさせていただいて、議題であります決算の審議に入らせていただきたいと思います。  今日もずっと聞かせていただいておりまして、時節柄、あたかも外交防衛委員会のような感じになっておりますけれども、やはり憲法の平和主義、国際協調主義、これを追求、具現化していく上で大変重要な要素でありますODA、この点に絞って今日は私は時間を使わせていただきたいと思います。外務大臣とは決算委員会でもODA特別委員会などでも度重なってやり取りさせていただいておりますし、今日はJICA北岡理事長にもお見えをいただいておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  それでは早速質疑に入らせていただきたいと思いますが、まず、外務大臣、何度も何度もしつこくお伺いをしておりますが、資料の一にもお付けをしておりますとおり、残念ながら、我が国ODAの国際的なポジションといいますか国際約束であります対GNI比、約〇・二に張り付いてしまっていると。この間、外務省政府としても努力はいただいていると理解はしておりますが、下から数えた方がよっぽど早いというこの状況、これ何とかしないといけないというふうに思いますが、この国際約束〇・七%の実現、放棄したわけではないというふうに思っておりますが、重ねて、外務大臣、お伺いをします。放棄したわけではありませんね。実現に向けて努力をされている、それでよろしいでしょうか。
  104. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 対GNI比〇・七%というのは、国際社会として確認をした目標であります。我が国としましても、国際社会においてその平和と安定と繁栄のためにしっかり責任を果たしていくためにも、こうした目標、これはしっかり掲げ続けていかなければならないと思います。財政厳しい中でありますが、是非こうした目標に向けては引き続き努力を続けていかなければならない立場にあると認識をしています。
  105. 石橋通宏

    石橋通宏君 大臣、恐らくずっと外務大臣就任以来同じ答弁を続けられていると思います。二年前も三年前もここでお伺いした、同じ答弁でした。今も同じ答弁です。  一体いつまで、努力を続ける、でも実績が上がらない、この状況が続いていくのか。大変、国際的には、もう大臣言うまでもなく、今日資料の二もお付けしておりますけれども、一昨年以来、SDGsの実現に向けて新たに十七項目の目標、これ今全力を挙げて様々な国々努力をしているわけです。気候変動対策、パリ協定、これも多くの国々努力をされております。UNCTADの推計によりますと、このSDGsだけでもこれだけの資金需要がある、ニーズがあると。今ギャップとして二・五兆ドルという資金ギャップが予測を、推計をされております。二・五兆ドルです。これどうしていくのかと。  大臣今答弁をされた、安倍総理も盛んに各国で言っておられる、責任を果たしていくんだ、世界のリーダーとして。だったら、この二・五兆ドルの資金ギャップ、我が国として具体的にどうその努力をしていくのか、具体的な、はっきりとした提言、提案をしていく、国民の皆さんにそれを提示していかないと、国民の皆さんの理解が必要ですから。その意味では、国際連帯税始め、既に革新的資金調達メカニズム、いろんな案はあるわけです。もうしっかりと具体的な案を国民に提示していく、そういう段階に来ていると思いますが、国際連帯税の実現も含めて、大臣、具体的にどのようにこれ実現していくお考えか、改めてお聞かせください。
  106. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 対GNI比〇・七%の目標をいつまで掲げるのかという御指摘をいただきました。そうした御指摘は大変重たいものがあると思います。現状我が国〇・二%程度ですので、こうした目標に向けて、引き続きこれからもしっかりと目標を掲げて努力を続けなければならないということであります。  そして、その中にあって、我が国の財政状況等を考えますと、こうした増大するODA等国際的な国際開発等の資金をしっかりと確保するためには、財政資金、もちろん重要でありますが、民間資金も含めた幅広い開発資金の調達、動員、これが必要になってくるということだと思っています。その中にあって、今委員が御指摘がありました国際連帯税の導入、これも一つの大変有力な手段だと外務省としては認識をしております。そういったことから、平成二十二年度以降、外務省としましても、税制改正要望において要望をし続けているわけです。  そして、具体的にどうしていくのかという御質問でありますが、この国際連帯税につきましては、昨年度、外部のシンクタンクによる具体的な制度設計等に関する委託調査を実施いたしました。この調査結果を踏まえつつ、関係者と議論を深め、そして国民関係者の理解を得るための努力を進めていかなければならないと思います。  国際連帯税につきましては、委員が国際連帯税創設を求める議員連盟の事務局長を務められ、長年にわたって御努力を続けておられること、承知をしておりますし、こういった取組に敬意を表し申し上げたいと思いますが、外務省としましても、また私自身としましても、今申し上げた道筋で、是非、国際連帯税に向けて前向きにしっかりと取組を続けていきたい、このように考えます。
  107. 石橋通宏

    石橋通宏君 大臣、今議連の話も触れていただきましたが、御党、自民党の多くの先輩議員の皆さんがメンバーとして関わっていただいて、一緒にやらせていただいております。  今、大臣、委託調査触れられましたが、三月に結論がもう出ています。次なるステップどうするのか、これが今求められているわけです。大臣の責任において、この三月に出た委託調査の結論に基づいてちゃんと次なるステップへ行くんだ、このことも今答弁いただけますか。
  108. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 調査結果、これをしっかりと踏まえて具体的な対応考えなければなりません。調査結果、要は制度設計をお願いしたわけですから、それに対しての答えを踏まえながら、具体的な取組、続けたいと考えます。
  109. 石橋通宏

    石橋通宏君 これは是非、具体的に個別の案件、具体的な調査をすべきだ、更なる検討を進めていくべきだという結論ですので、それを踏まえて是非前に進めていっていただきたい、我々も応援していきたいと思います。  その上で、次の案件に進みますが、今申し上げた、これからやはりしっかりと我が国としても財政的な貢献も、SDGs、パリ協定、イニシアチブを取っていかなければいけない。ただ、先ほど申し上げましたように、やはりそのためには国民からの信頼、理解というものが必要不可欠だと思っています。残念ながら現状で幾つかその点について懸念がある具体的な事案がありますので、今日、残りの時間でそのことを幾つか質問してまいりたいと思います。  まずは、ODA事業に関連した不正事案について確認をしていきたいと思います。お手元資料の三に一覧をお配りしております。  御記憶かと思います。ちょっと前に、平成二十六年にJTC事案という巨額の不正事案が発生をいたしました。残念ながら、その前に大きな事案があって、外務省、JICAでも様々不正防止対策を取っていていただいたにもかかわらず、平成二十六年にこのJTC事件が起こってしまいました。  そのときにまたいろんな対応を取っていただいたわけですが、今回、私も改めて資料を出していただいてびっくりしました。今回の決算の当該年度であります二〇一五年度含めて、その後も引き続きこれだけの不正事案が発生をしております。もちろん金額、規模の多寡はありますけれども、不正としてはなくなっていないというのが実態です。  今日、北岡理事長にお見えをいただいております。なぜこれなくならないんでしょうか。JICAとしてもいろんな御努力はいただいていると理解はしますが、現にこれだけの不正事案が発生をしている、国民の貴重な税金がこういう形で不正に使われてしまっている。理事長としてどういうお考えか、どういう対策を取られているのか、この件について御答弁をお願いします。
  110. 北岡伸一

    参考人(北岡伸一君) お答え申し上げます。  JTC事案以後の現状でございますが、現在までの十一件の不正に対する措置を実施しております。その事案の様態や軽重は様々でございますけれども、平成二十六年度がJTC事案を含めて六件、二十七年度は二件、二十八年度は四件となっております。これはどう見るか。  再発防止策の一環として不正腐敗情報相談窓口というものを強化しております。ここへの通報はあると。そしてまた、JICA不正腐敗防止ガイダンスでも改めて企業にコンプライアンスの徹底を求めております。そういう中で、企業自身が不正を自主申告したということもございまして、不正の発見、探知が増加しているというふうに、不正は増えているというよりは、不正の発見、探知が増加しているのではないかというふうに考えております。JTC事案を受けて強化した再発防止策は一定の機能を果たしているというふうに考えております。  しかし、御懸念のとおり、なくなっておりません。最近、時々ございますのは、JICAへの経費の不正請求事案が幾つかございまして、これに対する再発防止策を更に強化することが重要な課題だと認識して、チェック体制、ペナルティーの強化等に取り組んでいるところでございます。
  111. 石橋通宏

    石橋通宏君 今理事長からも、不正防止対策の結果として探知、発見が促進されている面もあるんだと、そのことは評価をしたいと思いますが、それを言ってしまいますと、じゃ、それ以前にはやっぱり知られていなかった不正はもっとあったんだろうなということにもつながってしまうわけで、まだまだ残念ながら明らかになっていない、そういうケースも間々あるのではないかということも含めて、外務大臣にも改めて、全力でこの不正撲滅に向けて、これは外務省としてもJICAへの指導徹底も含めてきちんと対応いただきたいと思いますが、大臣、そういうことでよろしいですか。
  112. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今ありましたように、平成二十六年十月の強化対策以降、不正の発見、探知が進んでいるという点はあるのかもしれませんが、そもそもこうした不正はあってはならないわけです。そして、不正は存在するわけですので、この事実は重く受け止めなければならないと思います。一層の対応が求められていると考えます。  その際に、まず、不正を行ったら必ずそれは、不正を行ったこと、これが見破られるということ、そして、行ったならばこれは厳しいペナルティーが科せられるということ、この二つの認識を更に徹底させることが重要なのではないかと思います。そういった観点から、チェック体制を一層強化することと併せてペナルティーの強化、この二つの柱を中心に更なる対応考えていかなければならない、このように認識をしております。  引き続きJICAとも連携しながら取組を進めていきたい、このように考えます。
  113. 石橋通宏

    石橋通宏君 大事な答弁をいただいたと思いますので、その方向でしっかりやっていきたいと思いますし、是非いろんな幅広いステークホルダーがチェックができるように体制をつくっていっていただきたい、そのこともお願いをしておきたいと思います。  次に、これも大臣御記憶だと思います。二年前の新ODA大綱の策定の際に盛んにやり取りさせていただきました、いわゆる他国の軍隊、軍人に対する非軍事目的のODA支援、このことについて大丈夫なのかという観点質疑をさせていただいて、そのときに私がお願いしたのは、これによって劇的にそういった案件が増えるのではないか、グレーゾーンを含めて。いや、そうなってはいけないし、これがちゃんとチェックできるように透明性がある形でこれをしっかりやってほしい、軍事転用などなど絶対にあってはいけないということで、これは大臣からも答弁をいただいておりました。  資料の四に、これも資料として今回出して作っていただきましたけれども、これまた少しびっくりするわけですが、今回資料として出していただきました。明らかにこの二年間で、いわゆる軍又は軍籍を有する者に対する、非軍事とはいえ、ODA案件がこれだけ増えてきております。やっぱり増えたなという気がするわけですが、問題は、大臣が約束していただいた、じゃ、その適正性、これを担保するためのメカニズムが本当に客観的に、我々若しくは国民がチェックする体制も含めて、客観性、透明性ある形で公表、公開されているのかと改めて見てみたんですけど、無理です。一般国民の方がちゃんとチェックできる体制に僕はなっていないと思います。  つまり、大臣の約束が守られていないのではないかと、そういうふうに懸念をしますが、大臣、今の現状について、これちゃんとした体制つくっておられると、透明性、そういう観点で、そういう見解ですか。改めてこれ御説明をお願いします。
  114. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、開発協力大綱においての御指摘のような案件に対する対応ですが、基本的に、まず、ODAを軍事目的に用いないというこれまでの原則、これは変わってはおりません。平和国家としてふさわしい開発協力を推進する方針を堅持する、この方針は変わっていないわけです。  ただ一方、現実を見た場合に、感染症対策あるいは紛争後の復旧復興の民生分野、さらには災害救援、こういったときにこうした非軍事目的の活動において軍や軍籍を有する者が重要な役割を果たす、こうした案件が増えているというのが現実であり、こうしたものにどう対応していくのか、これを方針として明確化した、これがこの開発協力大綱のありようであります。  御指摘の資料がありました。増えたのではないかということですが、かつての資料を見ますと、これは対象主体が軍組織又は軍籍を有する者そのものとなる案件について示していた、こういった資料があったようですが、最近の資料は、今言った考え方に基づいて、協力の対象主体、これは軍主体のみならず国防省傘下の文民組織など、より広く軍関係者が関係し得るものを含めて報告を行っている、こういった実態もあるようであります。  いずれにしましても、新しい体制においてもしっかりチェック体制をつくっていかなければいけない、それが機能していないのではないかという御指摘に対してしっかりと応えていかなければなりません。  これは、従来、委員ともいろいろ議論する中で説明してきましたが、新しい体制の中で、協力の趣旨、目的、対象主体、内容、効果、こういった観点から個別具体的にしっかり検討を行う、これは当然のことですが、実際に行うに当たって、相手国との間に文書においてしっかりそれを確認するとか、在外公館においてモニタリングを行うとか、さらには、一般の方の目が届いていないのではないか、こういった御指摘がありましたが、その点につきましては、協力の対象主体に軍や軍籍を有する者が関係する場合には、NGOですとか経済界等の外部有識者による開発協力適正会議、この会議にしっかりと報告をする、そして議事録や資料は全て外務省のホームページで公開をする、こういったことを通じて、より透明性を高めるような努力をしています。  こうした仕掛けは大変重要であると思っています。是非、こうした適正会議の仕掛け等を通じて透明性を高め、国民の皆さんの目が行き届くような努力は続けていきたい、このように考えています。
  115. 石橋通宏

    石橋通宏君 資料の五に、今大臣が触れられたモニタリングのメカニズム、それを見て私は今日質問しているわけです。  大臣、当然大臣お忙しいですから議事録読んでおられないと思います。議事録、見てみました。これ、二年前、まさにその議論を我々の間でやった後に適正会議委員からこういう発言があります。甚だ時間が不足している、とてもじゃないけれども、適正性をチェックするための時間が足りないというふうにちゃんと議事録に残っています。ということは、適正会議の実施、時間、一つ一つの案件をきちんと精査するための時間、これも含めてこの二年間でちゃんと対応されたと、大臣、そういう理解でしょうか。それ確認されていますか。メカニズムがあるだけじゃ駄目なんです。実効性ある質疑、議論、意見、そしてそれが外部にも公開をされて我々もそれをチェックできる。それを聞いているんです。だから今日あえて質問させていただいているわけです。  大臣、改めて、今日、ここは答弁結構です、もう一回これ確認してください、大臣の責任において。ちゃんとこの二年間で、じゃ、本当に適正会議そのものが適正ある形で審議を行っているのか、そうではないという意見が委員から出ていますから、そこは是非対応いただきたい。そこだけ答弁ください。
  116. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 適正会議のシステム自体は大変重要だと思います。それが十分機能しているのか等については様々な意見があります。それはしっかり受け止めながら、適正会議のより効果的な、そして的確な運営のために是非努力をしていきたいと思います。御指摘もしっかり受け止めたいと思います。
  117. 石橋通宏

    石橋通宏君 是非確認して、必要があるときにはしっかりと拡充、充実を図って適正性を担保していただきたい。我々も引き続きチェックをさせていただきたいと思います。  その上で、時間が余りありませんが、具体的な案件で残念ながら幾つか、ミャンマーしかり、インドネシアしかり、JICAのODA案件で懸念される事案が発生をしております。今日、特にモザンビーク案件について、これも本委員会でも繰り返し外務大臣ともやらせていただいて、大臣からもしっかり対応しなければいけないという答弁もいただいてきたところです。ところですが、残念ながら事態はこの二年間で更に悪化をしている、もうどうにもならないところまで残念ながら行ってしまっているのではないか、そこまで私は心配、懸念をしております。  お手元、皆さんには資料の六、七、八、九、関連資料、これまでの予算、決算の額、それから政府の答弁、大臣の答弁も含めて、さらには、この案件について、これ不正があったのではないか、調達不正ではないか、日本のNGOから会計検査院に対して、これ何というんでしょうか、報告というんでしょうか、告発というんでしょうか、既に資料共々されております。大臣お聞きだと思います。  特に関係者が心配をして懸念をして不正だと言っておられるのが、昨年の十月、資料の八ですけれども、JICA現地事務所と現地のNGOソリダリエダーデ、この契約について、これが調達不正であると。事前にJICAとの間で、既に当事者間で協議があって談合があった、さらには、その談合の中で、何と、この事業への賛成派に対していかに資金を供与するか、反対派をいかに懐柔をしてその分断を図るか、そういうことまで協議をしていたというのが、当事者が署名をされた議事録、これ垂れ込まれたわけですが、それによって明らかになってしまっています。  政府はいろいろと言い訳をされておりますが、今日、大臣是非このことについて、大臣当然御存じだと思います。そこで、今後、もし本当に真摯に市民団体、農民団体、当事者の皆さんとの協議をもう一度信頼回復に向けてやっていこうとされるならば、まず真っ先に、この昨年十月の当該調達不正ではないかと疑われている案件について即刻契約を中止又は破棄していただいて、この調達不正が本当にあったのかなかったのか、外務省外務大臣の責任において調査をいただきたい、そう思いますが、大臣、いかがですか。
  118. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、御指摘のプロサバンナ事業ですが、これ、持続可能な農業開発を通じて小規模農家を中心とした地域住民の生計向上に貢献する、こうした目的を持った大変重要な事業だと思います。そして、その事業を進めるに当たって、反対派を含めて関係者の皆さんの声をしっかり聞いていく、このことは大変重要であると認識をしております。  その中にあって、委員の方から、JICAとソリダリエダーデの契約について調達不正があるのではないか、こういった御指摘をいただきました。  その点については、私自身は、この契約はJICAの調達規則にのっとり公正な調達手続を経て行われた、このように報告を受けている次第です。引き続きJICAには確認をしてみたいとは思いますが、認識としては今申し上げたとおりであります。
  119. 石橋通宏

    石橋通宏君 大臣、残念ながら、恐らく現場の皆さんも頑張っておられるとは思いますが、それはそうですよ、不正やりましたってなかなか上げてこないでしょう、大臣。ちゃんとやりましたと言うに決まっていますよ。でも、もし大臣がそう言われて、トップとしてその考えでこれからも押し通せと言われたら、絶対に動きません。大臣、もうそういう事態ではありません。  その十月の調達不正、そしてこの間にも、三月十四日、市民団体とのいわゆる公聴会、これ延期すると言っていながら、資料の九にお付けしておりますが、現地との対話活動を延期していると言っている中で、実は三月十四日に関係者が集まって、これまた、どう市民団体の懐柔を進めていくのか、そんな案件も含めた会議が行われて、JICAから資金供与までされていた。これもJICAに聞いたら、最初は、そうではない、そうではないとおっしゃっていましたが、次第に次第にその説明があやふやになって、どうも最初に言っておられたことと違う。こういうことが続いているんです、大臣。  この状況で、大臣、ちゃんとやっているって、いや、このまま行ったら絶対に、慎重、反対、疑問を呈されている現地の市民団体、農民団体の皆さん、もうJICA、外務省対話したくないとまでおっしゃっています。とてもそんな土俵にはのれないというふうにまでこじれてしまっています。  大臣、ここで表面的に、いや、大丈夫だ、頑張ると言っても、絶対に動きませんよ。だから断固たる決意を大臣に求めているわけです。一旦この契約を破棄して、そして、いかなることがあったのかなかったのか、そのことも含めて大臣の責任において追及しないと、このままでは、これまでの日本国民の本当に貴重な税金がどんどんどんどん投入されているんです、浪費されているんです。そして、それが現地のモザンビークの皆さんの分断を招いている、こんなことあっていいわけないでしょう。  もしそれを共有いただけるのであれば、大臣、一歩立ち止まるべきです。貴重な国民の税金が無駄にされている、大臣、その認識おありですか。であれば、一歩立ち止まりませんか。改めてお願いします。大臣、いかがですか。
  120. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、先ほど申し上げました、私自身としていま一度確認をしたいと申し上げました。確認はしたいと思います。  その上で、このプロサバンナ事業につきましては、今年三月ですか、これはモザンビーク大統領と安倍総理の間で首脳会談が行われました。この中で、事業の計画策定及び実施において市民社会及び農村コミュニティーとの緊密な対話を継続する、こうしたコミットメントも発出されているわけですので、反対派との対話の立ち上げについてはしっかり努力をしなければならないと思います。  税金の無駄遣いがずっと続いているのではないかという御指摘がありましたが、この事業自体は、冒頭申し上げました、これは大変重要な事業であると認識をしております。これを進める中にあって、その税金の使われ方が効率的であるか、効果的であるか、こういった点についてはしっかりとチェックしながら進めていかなければならないと思います。こうした全体の事業を進める上において何が必要なのか、是非しっかり検討しながら取り組んでいきたい、このように思います。
  121. 石橋通宏

    石橋通宏君 この事業の重要性については我々も全く同意なんです、最初から、貴重な、大切な事業だから。モザンビーク、大変な、まだまだ貧困層が非常に多くて、食料も非常に困難で、だから、この事業によって、多くの貧困にあえいでいる食べ物がない国民に、きちんと自国で生産をして、そして貧困から脱却していただけるのではないか、そのために大変重要な事業だというのは、これは最初から僕らも言っているわけです。だから余計に現状が残念でならないわけです。ここまでこじれてしまった。まさにその当事者たる、裨益者たる農民、小農の皆さんが、多くが反対している。これでいい事業ができるわけないじゃないですか。  大臣、先ほど大臣の責任においてもう一度ちゃんと精査をすると答弁いただきました。是非それやってください。我々もそこについてはしっかり見ていきたいと思います。  JICA理事長がお見えでございますので、今日はこの点についてるる今大臣ともやり取りをさせていただきました。もちろんJICAの現地の皆さんもいろんな努力、この間はされてきておりますが、現実問題として残念ながらこういう事態になってしまっているということについては、是非理事長の責任において、これも改めて理事長、一体何が起こっているのか、どこでどうボタン掛け違えているのか、なぜ現地の皆さんでこれだけJICAに対していろんな不満なり不平なりそして不信なりが沸き起こってしまっているのか、その辺精査をして、もう一度信頼回復に向けて理事長として御努力をいただきたいと思いますが、最後にお聞きして、終わりにしたいと思います。
  122. 北岡伸一

    参考人(北岡伸一君) お答え申し上げます。  委員からは、現地の反対が高まっているという御指摘が大前提で、以下様々な御指摘があったんですが、我々の集めている情報では、現地におけるこの事業に対する理解、期待はむしろ高まっているというふうに考えております。委員が二、三年前に指摘された反対団体の幾つか、挙げられたうちの幾つかはこの対話メカニズムへの参加を肯定しておりますし、現地の理解は確かに深まっております。  それから、途中でお触れになりました、調達違反と触れられましたのはソリダリエダーデとの契約のことだと思いますけれども、これは、御指摘のこのソリダリエダーデとの契約についての調達については現地の新聞二紙に公告しまして、そして誰でもこの情報には参加可能でありまして、その結果四者が応札しました。その中から公正なプロセスで交渉相手、ここを一位として選んだわけでございます。  それからまた、最近の動きについて、コンサルテーションメカニズムというのをつくった。これもそもそも、元々、モザンビーク政府が現地との対話をすると、そのやり方は乱暴だと言われるので、じゃ、中立的なコンサルテーションメカニズムをつくりましょうというのでこれを始めたわけでございます。このコンサルテーションメカニズムになかなか入ってくださらない方が八団体ほどあったわけであります。参加してくださる団体は数百に上ります。そして、しかし我々はできるだけ丁寧にやりたいというので、慎重にやってくれというふうに現地にも言っております。  そして、三月十四日の会談なるものは、それはこの反対の方々とどうアドレスして付き合っていこうかということを相談したものでありまして、このコンサルテーションメカニズムを動かしたわけではありません。コンサルテーションメカニズムはしばらくおいておこうというのはそのとおりやっておりまして、我々はこの間どういう言を左右にしたことがあったかということについては全く記憶にないところでございます。
  123. 石橋通宏

    石橋通宏君 時間ですので終わりにしますが、JICAの理事長からこういう答弁があるかもしれないなというのは想定内でした。残念ながらそういう答弁を理事長がやっておられる限りは恐らく進まないでしょう。岸田大臣、このことも踏まえて先ほどの約束を是非果たしていただきたい、そのことをお願いをして、今後、我々もしっかりとまたいい意味で応援はしていきますので、そのことを申し上げて、質問終わりにさせていただきます。  ありがとうございました。
  124. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。今日はよろしくお願いいたします。  まず、私からは、一つ目のテーマとしまして、最高裁判所の研修施設の有効活用の問題についてお聞きをいたします。  一般職及び特別職の国家公務員に対していろいろ研修をすると。そこで、最高裁判所におかれましては、研修用の施設として、教室また宿泊施設を保有されております。ところが、これらの研修施設、特に宿泊施設については余り利用されていないという現状にあり、会計検査院からも稼働率の低さについて指摘を受けているところでもあります。  まず、裁判所の研修用の宿泊施設に絞ってお聞きをいたしますが、前提として、研修用の宿泊施設を全国に何か所保有し、それらの稼働率はどの程度なんでしょうかということをお答えいただきたいと思います。
  125. 笠井之彦

    最高裁判所長官代理者(笠井之彦君) お答え申し上げます。  最高裁判所の研修宿泊施設といたしましては、司法研修所、司法研修所分室、裁判所職員総合研修所及び全国七つの高裁所在地にございます裁判職員総合研修所分室、いわゆる総研分室の合計十施設がございます。これらのうち総研分室の稼働率は一〇%を切るものが多くを占めているなど、非常に低い状況になっていると認識しております。
  126. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 ありがとうございます。  今一〇%を切るということで御説明いただいたんですが、いただいた資料によりますと、高松分室では一・〇%、また名古屋分室では二・八%、札幌では四・五%などという形で、一〇%を切るといっても、かなり低い、ほとんど使われていないというのが現状かと思います。  それらの宿泊施設につきまして、維持管理費用は全体でおおむね年間どの程度を要するものなのでしょうか。大幅な改修費用など特別な費用を除いて、平均的な金額をお教えいただければと思います。
  127. 笠井之彦

    最高裁判所長官代理者(笠井之彦君) お答え申し上げます。  稼働率が低い状況となっております総研分室七施設の維持管理に要した費用でございますけれども、平成二十七年度においては約二千二百万円でございます。ほかの年度においてもおおむね同様であると認識しております。
  128. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 ありがとうございます。  営業とか利益を上げるという観点で見る必要がない施設であるとはいえ、それでも稼働率が余りにも低い、ほとんど利用されていないという現状の中で、複数日数にわたる研修自体が減っているという事情があるのでしょうか。ないとすれば、宿泊施設の利用が低いことにおいてはいかなる原因によるものと分析をされているのか、お答えいただければと思います。
  129. 笠井之彦

    最高裁判所長官代理者(笠井之彦君) お答え申し上げます。  総研分室は高等裁判所における一般職員の研修等を円滑に行うための施設として維持してきておりますが、現状におきましては、研修が年間を通じて常時実施されるものではないこと、長期の研修あるいは研修参加者全員に宿泊施設を利用させる研修といったものが少ないこと、整備当時に比べまして交通機関や近隣における民間の宿泊施設の状況も変化していることなどから、宿泊施設の稼働率が低くなっているものと考えております。
  130. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 維持管理費用が年間二千二百万円ほど掛かるという中で、現状のままで利用率がいいというわけにはいかないと思っております。  他府省庁では、研修施設を保有せずに、その都度有償で会場を確保して研修を行っているところもあるというふうに認識をしております。会計検査院からは、研修施設の有効活用を図るために、可能な範囲で他機関への施設の使用承認等を考慮して各府省間において連携、融通を図るように求めているところでもあります。  最高裁判所の保有施設に関して言えば、宿泊施設だけではなく、教室についても稼働率は高くないという現状の中で、最高裁判所としては、今後研修施設の利用についてどのような方向を目指されるのでしょうか。宿泊施設の稼働率を上げるために手だてを講じて有効活用を図る方向を目指すのか、宿泊施設は難しいということがあっても教室の方の稼働率を上げるのか、あるいは売却も視野に入れて考えるのか。会計検査院の指摘を踏まえて研修施設の保有の在り方についていかなる検討が現在なされているかについてお伺いいたします。
  131. 笠井之彦

    最高裁判所長官代理者(笠井之彦君) お答え申し上げます。  研修施設の有効活用につきましては、今後の総研分室の在り方ということで検討を始めたところでございます。会計検査院の報告の指摘等も踏まえまして、研修にどのように利用していくかということはもとよりでございますけれども、他省庁との連携、融通といった点も含めまして、今後の具体的な活用の方策についても検討してまいりたいと考えております。
  132. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 ありがとうございます。  しっかりと無駄のないように検討、そして実施をしていっていただきたいと思っております。  では、次のテーマに移らせていただきます。家庭裁判所の新任調停委員に対する研修についてお聞きをいたします。  家庭裁判所では、家事調停、離婚や相続など、裁判などの法的手続をめぐる意識の変化などに伴い利用も増え、国民からの期待も増しているところであります。  家事調停を充実させるためには調停委員の役割が重要になるところ、調停委員は、弁護士などの専門職士業や元公務員、民間企業を退職した方など、多様な職業、経歴の方が採用をされております。社会における知見や経験は豊富である一方、弁護士委員を除けば、調停委員に就任する方のほとんどが実際の調停を見たことも経験したこともありません。また、調停は非公開であり、裁判のように実際の調停を傍聴して学ぶということもできません。そこで、新任調停委員に対する研修を充実させる必要があると考えております。  現在、新任調停委員に対してどのような研修がなされているのでしょうか。家庭局長、よろしくお願いいたします。
  133. 村田斉志

    最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。  新任の家事調停委員に対しましては、各家庭裁判所におきまして、家事調停委員として調停運営に携わっていくための、そのために必要な心構え及び基本的知識を習得させることを目的といたしまして、新任の家事調停委員全員を対象に新任家事調停委員研修を実施をしておるところでございます。  この研修における具体的な研修事項といたしましては、家事調停委員の役割と心構え、服務規律、家事調停事件の処理について必要な基礎的知識、当事者対応における基本的留意事項等としておるところでございます。  各家庭裁判所におきましては、研修効果を高められるように、先ほど申し上げたような具体的な研修事項を踏まえまして、各庁の実情に応じて、裁判官等の職員による講義あるいは家事調停見学、さらには家事調停委員研修用DVDの視聴といった研修を実施しているものと承知しております。
  134. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 ありがとうございます。  今挙げられた中で調停見学ということがありましたが、その点についてお伺いしたいと思います。  今は調停見学で調停を見る機会を実際につくっているということと思いますが、ただ、事前にレクでお聞きした説明では、ある事件では初回期日を見て、別の事件で成立の日を見て調停期日を見学するという、本当に単なる見学でしかないと思われるようなやり方で、これでは一番大事な調停委員の役割を見ることができません。  私自身、七年か八年ほど調停委員をしておりましたが、大阪の家庭裁判所では、私が調停委員になった頃は、新任研修としまして、通常の調停委員二名にプラス三人目という形で新任委員も事件を一緒に担当して、実際の事件を最初から終わりまで数件担当するという形での研修がなされておりました。これも、ただ、予算でということでお聞きしましたが、なくなっているというふうに聞いております。  親権とか養育費などの考え方などの理屈の話は講義を受けることである程度対応することができます。ただ、実際の調停においては、理屈を説明して、法律や裁判例ではこうなるのでこれで納得をしてくださいで成立する調停はまずありません。当事者の気持ちをしっかりと聞いて、本人の性格や考え方も見極めながら気持ちをほぐしていき、期日を重ねて、過去の出来事に対する感情にとらわれているということがあれば、それをどうやって目を前に向けて解決方法を考えていただくか、そこに尽力をする、両当事者に納得と理解をいただくというのが調停委員にとっては一番大切な仕事になります。  調停委員がそのために実際に何をどう見て考え、どのように当事者に接しているのか、これを実際の現場で学び、感じることが不可欠だと思います。ただ、これは期日を重ねる必要があり、時間の掛かる作業でもあります。でも、それを現場で学んでこそ意味のある研修だというふうに私は考えております。その調停の実態を見ることもないまま調停委員として事件を担当するというのは、当該の新人調停委員にも、また組んだ相調停委員にも酷な話ですし、当事者にとっては研修として自分の事件が使われるというような状況は何よりも望ましくないというふうに考えております。  新任調停委員が実際に調停期日を重ね、当事者への接し方などを含め経験するという重要性について、家庭裁判所としてはどのように考えているのか、御所見を伺います。
  135. 村田斉志

    最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 新任の家事調停委員に対する研修の一環として実際の調停期日における家事調停の進行等を直接見聞きして経験するということは、その研修効果を高めるという観点から非常に重要であるというふうには認識をしております。そのため、新任の家事調停委員に対する研修の一環として先ほど申し上げた調停見学を位置付けているところでございまして、各家庭裁判所におきましては、各庁の実情や他の研修項目の内容をも踏まえまして、適切に事件や期日の種類を選択するなどして相当な日数あるいは回数により調停見学を行うことができるようにしております。  多くの家庭裁判所におきましては、新任の家事調停委員に対する研修として調停見学を実施しておりまして、一定の研修の効果を高めているものというふうに理解をしております。
  136. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 ありがとうございます。  調停見学という、本当にやり方をどうされているのかというのが疑問があるような研修ではなく、しっかりとまた御検討いただきたいというふうに思っております。  具体的な研修内容につきましては各裁判所に委ねるしかないというところはあるかと思いますが、裁判所の人員にもかなりの差がある中で、裁判所ごとに取組に大きな違いが出るということは絶対に避けなければなりません。  新任研修について、裁判所ごとの研修の格差をなくすための取組が必要と考えますが、この点、どのような取組をされているのか、お伺いしたいと思います。
  137. 村田斉志

    最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 新任家事調停委員研修につきましては、先ほど申し上げましたような研修項目を一応定めておりまして、各家庭裁判所におきましては、そのような研修事項について新任家事調停委員研修を実施しております。また、新任の家事調停委員への研修効果を高めるために、家事調停委員としての基本的知識等を内容とした家事調停委員研修用のDVDも作成しておるところでございまして、研修においてこれを活用することにより、一定の研修内容、同じような内容が担保されるということにも努めておるところでございます。  これらの研修は、各庁の実情を踏まえて各家庭裁判所において実施されるものでありますため、委員の御指摘のとおり、各家庭裁判所ごとに研修内容等に若干の差異が生じるということはあり得るところでございますが、最高裁判所におきましては、各家庭裁判所で効果的な研修が行われるよう各家庭裁判所に対して研修結果の報告を求めておりまして、その報告を受けた中から参考になる研修内容を示すなどしまして、新任の家事調停委員に対する研修に関する留意事項、留意点等の周知を図っているところでございます。  引き続き各庁における研修の支援を行ってまいりたいと考えております。
  138. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 ありがとうございます。しっかり取り組んでいただきたいと思います。  次のテーマに移らせていただきます。  再犯防止における統括保護観察官、薬物事犯における統括保護観察官の役割と今後の方向性についてお聞きをさせていただきます。  法務省では、今年度から薬物依存者への対応に特化した統括保護観察官を配置をされております。薬物依存者には専門的な対応が必要ということがあると思いますが、これまで保護観察官が担ってきた役割や課題を見据えた取組でもあると思います。  まず、現状として、おおむね一人当たりの保護観察官が担当する対象者数、そのうち薬物事犯者数、そして今回配置された統括保護観察官が担当する対象者はどの程度の人数と見られるのか、その現状を踏まえて、統括保護観察官が置かれた目的を御説明いただけますでしょうか。
  139. 畝本直美

    政府参考人畝本直美君) 統括保護観察官を新たに置くこととした十二の保護観察所におきまして、一人当たりの保護観察官が取り扱う対象者数は約八十件でございます。そのうち、覚醒剤事犯者が約一四%を占めております。  この度、薬物処遇を担当する統括保護観察官を置いた目的でございますけれども、一つは、昨年六月、刑の一部執行猶予制度が施行されました。これによりまして、薬物事犯者を始めとするこれまでよりも数多くの保護観察対象者をこれまでよりも長期間処遇することになります。また、専門的なプログラムの実施が義務付けられるなど、質、量共に増大する保護観察事案に対応するということがございます。  また、平成二十四年の七月に犯罪対策閣僚会議で刑務所出所者等の二年以内再入率を十年間で二割減少させるという政府目標が掲げられましたが、覚醒剤事犯、覚醒剤取締法違反者はほかの罪名に比べましてなかなかそれが下がらない、高止まりという傾向にございまして、政府目標の達成のためにも、薬物依存のある保護観察対象者に対してより一層充実した処遇を行っていく必要があるというところにございます。  なお、この十二庁におきまして、新設の統括保護観察官が一年間に新たに取り扱うこととなる覚醒剤事犯者は、平均して約二百四十人ということになります。
  140. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 ありがとうございます。  統括保護観察官が二百四十人ほど対応されるということで、かなりの対象者の数になるのかと思うんですが、実際に統括保護観察官がどのような業務を行うのか、また、それにより保護観察官の業務に与える影響としてどのような想定がなされているのか、保護局長にお伺いいたします。
  141. 畝本直美

    政府参考人畝本直美君) この統括保護観察官は、実際に覚醒剤事犯者を担当する観察官とチームを組んで担当していくということになりますけれども、その統括保護観察官の担う業務、まず一つは、薬物再乱用防止プログラムをグループを作って薬物依存に対する専門的な処遇を行うということがあります。また、薬物事犯者に対する保護観察の状況を保護観察官を含めて多角的、複眼的な視点で検討して適切な処遇を行うという、そういうケース検討会議というものを実施していきます。さらに、薬物事犯者の家族の方々などに対してサポートをするために、引受人・家族会を実施するということをやっていきます。  このほか、薬物事犯者への処遇は薬物依存の治療という観点が非常に重要になってまいりますので、この統括保護観察官が保護観察所における医療機関等の支援団体などとの連携に関する統一的な窓口となって、関係機関との連携調整を適切かつ迅速に実施する、そういうことも担っていくこととしております。  こういった業務を担当することによりまして、保護観察所の人的資源を効率的に活用して、薬物事犯者に対してより効果的な処遇を可能とすると、そういうことを目的としているところでございます。
  142. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 今回十二か所の保護観察所に統括保護観察官が配置されるということで、その効果などを検証し、これからどのように拡大していくのかを検討するという流れかと思いますが、統括保護観察官の業務からするとどういうふうにその効果を評価するのか、大変難しい問題でもあります。  今後の配置を検討するに当たり、新設されたこの統括保護観察官の業務の何をどう見て、どう評価をするのか、また、その配置も含め薬物犯処遇体制に関する今後の方向性について、金田法務大臣の御所見をお伺いいたします。
  143. 金田勝年

    国務大臣(金田勝年君) 伊藤委員の御質問にお答えをいたします。  私ども法務省の保護局長からただいま御説明を申し上げました。全国に五十か所あります保護観察所における薬物事犯者に対する処遇の充実強化を図るために、薬物処遇を担当する統括保護観察官を今年の四月から十二庁に新設をいたしました。そして、円滑かつ効果的な運用に努めているところであります。  法務省としては、今後とも、薬物事犯者の二年以内の再入率を引き下げていく安全、安心な社会を築くとともに、刑の一部の執行猶予制度導入に伴います保護観察官の業務負担の増加に対応するために、薬物処遇を担当する統括保護観察官の配置に伴う効果について薬物事犯者の再犯の状況等によって検証していく、その上で必要な保護観察処遇体制整備に努めていきたい、このように考えておる次第であります。
  144. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 ありがとうございました。以上で終わります。
  145. 高瀬弘美

    高瀬弘美君 公明党の高瀬弘美でございます。よろしくお願いいたします。  私の方からは、主に外務省に対して質問をさせていただきたいと思いますが、質問に入る前に、昨日の北朝鮮による弾道ミサイル発射についてお伺いしたいと思います。  これまでの度重なる弾道ミサイル発射に重ねての昨日のミサイル発射については、断じて容認することはできませんし、また強く抗議をするものでございます。政府におかれましては、国民安全確保、迅速な情報提供に万全を期していただきたいと思います。  この弾道ミサイル発射につきまして、米国との連携はもちろんのこと、特に新しい大統領の下で出発をした韓国、そして中国との連携も重要と思いますが、今、日中韓のサミットがまだ開催されていない中で、北朝鮮の問題に対応するためにも日中韓のサミットを早期に開催すべきと考えますが、このことに対する外務大臣のお考え、また各国との連携についての御決意をお伺いしたいと思います。
  146. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、北朝鮮問題に対応するに当たりまして、米国韓国中国、こうした関係国との連携は極めて重要だと認識をしております。  昨日、弾道ミサイル発射が行われたわけですが、その直後、米国との間においても、両国のNSC、マクマスター補佐官と我が谷内局長との間で電話会談を行いましたし、韓国との間にあっては私と尹炳世外交部長官との間で電話会談を行いました。中国との間においても、二月に続いて四月、日中外相会談を行うなど、様々な形で中国に責任ある役割を果たしてもらうよう働きかけを行っています。  こうした中国韓国米国との関係、しっかりと重視して対応を進めていかなければならないと思いますし、加えて、今委員の方から日中韓サミットについてどうかということでありますが、これは、昨年来、日本で開催するべく努力を続けてきました。是非、引き続き、日本で、そして早期に開催するべく中国韓国に働きかけていかなければならないと思います。まだ具体的な日程は決まってはおりませんが、是非早期開催に向けて働きかけを続けていきたい、このように考えます。
  147. 高瀬弘美

    高瀬弘美君 外務大臣、ありがとうございます。大変力強い御答弁をいただいたと思います。  それでは、決算に関する質問に入らせていただきます。  済みません、少し質問の順番を入れ替えさせていただきたいと思います。  この北朝鮮の問題もそうでありますけれども、国際機関において様々連携をすることが大事になってまいります。そうした中で、三月の末に大変うれしいニュースがございまして、日本人の中満泉さんという方が国連の軍縮部門のトップである軍縮担当上級代表に就任をするということが決定したとの発表がございました。  国際機関において邦人職員の数が拠出金に見合っていない、日本人の幹部職員が慢性的に不足しているという問題は長く言われておりますが、まず確認といたしまして、直近の国際機関における邦人の職員数及び邦人幹部の人数を教えていただけますでしょうか。
  148. 水嶋光一

    政府参考人(水嶋光一君) お答え申し上げます。  国連関係機関におけます邦人職員数ですが、直近の取りまとめ、二〇一五年の十二月末現在でございますが、によりますと七百九十三名でございます。そのうち、幹部職員に当たりますDポスト以上の人数は七十名となっております。
  149. 高瀬弘美

    高瀬弘美君 ありがとうございます。  この七百九十三名という数、外務省を始め、政府として大変努力されてこの数まで到達したものと理解をしております。  国際機関への入口というのは多数ございますが、純粋に国際機関が実施する競争試験に合格するというのはもう大変難しいことでございまして、まず、修士号以上の学位が必要、つまり大学院を卒業していないといけないということに加えまして、応募する職種によりますけれども、実務経験も三年以上求められる等、競争試験に受かるというのは大変ハードルが高い現状となっております。  そうした中で、国際機関への拠出金に見合った邦人職員数を確保するべきという視点から、また国連外交重要性も考慮した結果としまして、三十五歳以下の若い方の中で応募資格を満たした方を対象にした、日本政府が派遣をするJPOという制度がございます。この制度を通じて、まずはJPOとして二年働いていただき、そこから国際機関への正式な就職をしていただくというのが最も現実的な道でありまして、日本人の職員数の増加にも結び付いております。    〔委員長退席、理事松下新平君着席〕  現在、政府の成長戦略の一環として、政府は二〇二五年までに国際機関に働く日本人の職員数を千名を目指して取組を継続しておられまして、これまでの成果はそれを着実に積み上げてきた結果だと思っておりますが、平成二十七年度の決算との関係で申し上げますと、今回、十六・四億円の予算の額に対して六十五名のJPOの派遣を行っているということでありまして、これは過去十年ぐらいを見ていきますと、平均して年間当たり三十人から四十人ぐらいの派遣数であったのが、一・五倍から二倍近いという数になっております。  こうした努力が実を結んできている反面、予算額もまた二十七年度から毎年積み上げられて、今年度は、二十九年度としましても大幅に増額をして派遣者数も増えておりますが、一点注目すべきは、志願者数が激減をしているというところでございます。これは年々減少しているというふうに理解をしております。  十年前と比べますと、このJPOへの志願者数は三分の一程度、落ち込んでいるものと理解をしておりますが、その要因の分析というのは外務省の方でどのようにされていらっしゃいますでしょうか。
  150. 水嶋光一

    政府参考人(水嶋光一君) お答え申し上げます。  ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー制度、JPO制度ですけれども、平成二十七年度以降、今委員指摘ございましたが、国会でも予算の増加をお認めいただいております。これに伴いまして、派遣者数も増えてきているところであります。  一方で、今御指摘のありましたとおり、最近の応募者数、これは二〇〇四年度に約千人というピークがございました。その後、それ以降は大体ピークの三分の一程度の約三百名前後ということで推移をしてきております。  これらの減少要因ですけれども、一概に論ずることは困難と思いますけれども、まず第一に、応募者がピークでありました二〇〇四年度、千名の応募ございましたが、予算上の制約で派遣者数が実は対前年度の約六十人から三十五人程度にほぼ半減をしたということがございました。その結果、候補者の方で倍率的に難易度が上昇したのではないかというふうに認識をされてしまったのではないかというのが一つございます。  それから二つ目には、二〇〇七年度から、国際機関からの要求、つまりジュニア・プロフェッショナル・オフィサーとして派遣されるときに、その後の就職も考えまして、要件をより国際機関が求めるものに合わせようということで、語学などの面で応募要件を厳格化いたしました。そういうことも一つの要因かと思われます。  また、一九九三年から二〇〇七年にかけましてはバブル崩壊後の就職氷河期に当たっていたということで、大卒の有効求人倍率が二倍を下回っていたということもありましたので、二〇〇七年にかけて公務セクターの応募者数全体が増加をしていたという時期でもある、そういうことで、公務員試験と同様だと言えるJPOの派遣制度の応募者も多かったのではないかというふうに考えております。
  151. 高瀬弘美

    高瀬弘美君 ありがとうございます。  このJPO制度、本当にすばらしい制度だと思いますし、予算も増えておりますので、是非広報の面でも力を入れていただいて、国際機関で働きたいと思っている方にこういう制度があるということを知っていただいて、活用いただけるように御努力をいただきたいと思っております。  こうして、JPO制度等を使って国際機関に働いていただける方の人数増えてきておりますけれども、せっかく国費でJPOとして働いていただいたとしましても、一度終えられて離れてしまうと、日本政府としてはその方々を把握することができないという状況になっております。こうした方々は専門の分野をお持ちで、高い専門性をお持ちでありますので、個人情報の問題等難しいところはあるかと思いますが、何とかこういう方々の情報ベースというものを作っていく必要もあるのではないかと思っております。特に、今外務省の方では、高度な専門家をJPOとして働いていただこうということで、お医者さん、弁護士、公認会計士の皆様など、こうした方々へもガイダンスを実施していると理解をしております。  まず、お聞きしたいのは、こうした高度な専門家集団への働きかけの結果として、今実際どれくらいの方が発掘をできているのかということ、また、将来的に、国際機関で働いていただいた方に関するデータベースを作っていく必要性あると思いますが、これについて御検討いただけるかどうか、この二点、お聞きしたいと思います。
  152. 水嶋光一

    政府参考人(水嶋光一君) お答え申し上げます。  国際機関におきまして、高度な専門家のニーズがある一方で、国内のそのような潜在的候補者の間では国際機関への就職についての認知度が必ずしも高くないという事情がございます。そのため、二〇一三年度からは、国際機関への就職、あるいはキャリア形成において競争力を有する医師、弁護士、公認会計士など高度の資格を持つ専門家集団等へのガイダンス、こういったことを実施をしてきております。その結果、二〇一二年度は一名であった高度の専門家の派遣数が、二〇一三年度は四名、一四年度は六名、一五度は十名、一六年度は四名ということで、毎年一定の人数を派遣をしてきているというのが実情でございます。  今後とも、このような専門高度人材の派遣に向けて、積極的に認知度が上がるような努力を続けてまいりたいと思っております。  また、人材データベースのお尋ねございました。邦人職員の増強に向けまして、国際機関への就職希望者を具体的に支援をすると。そのためには、候補者となり得る人材からの任意の情報提供、これに基づきまして、その個人の能力や背景、専門性に応じたアドバイスを与えていく必要があると思っております。  外務省といたしましても、国際機関を志望といたします人材から任意で情報を受けた後、データベースを作成しております。これは個人情報の取扱いという難しい問題もございますけれども、その辺を留意しながら、国際機関と関係がある関係府省庁の関係機関、それから人材を抱えている研究機関や民間団体、そういうところと連携をして人材発掘に努めて候補者の層を厚くする、そういった取組ができないか、検討してまいりたいと思います。
  153. 高瀬弘美

    高瀬弘美君 ありがとうございます。  任意での人材のデータバンクを作られているということですが、各国においては国際機関で働いた方の情報も集積されていると理解をしておりますので、是非、ポストが空いたときにそこに適材適所で日本政府からいい人材を送ることができるように、今後も御検討いただければと思います。  少し前のことになりますが、二〇〇九年の参議院のODA調査派遣団の報告を見てみますと、日本人の職員数を増やしていくために明確なビジョンと戦略を打ち出す必要性があるというようなことが指摘をされております。  その理由としましては、ほかの国は自国の国連職員を送ることで自らの国益や価値観を反映させるツールとして考えている面もあるということで、日本政府としても諸外国の動きに対抗していく必要性があるのではないかと思っております。  冒頭に御紹介をさせていただきました中満軍縮部門上級代表につきましては、核兵器禁止の機運が国際的に高まっていく中で大変に意義深いタイミングでの御就任であり、もちろん中満さん御自身日本政府を代表しているわけではございませんが、ただ、日本が重視する政策分野に関してお金だけでなく人的貢献も積極的にやっていくということはもう非常に重要でありますし、また国際的なルールメーキングをつくり上げていくという意味におきましても、日本が存在感を発揮していくために大事なことだと思いますが、この点につきまして大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  154. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、五月一日に、中満泉氏、国連事務局の事務次長、そして国連軍縮担当上級代表という役職に就任をされました。事務次長というのは、事務総長、そして副事務総長に次ぐポストですので、幹部の職員であるということ、これは間違いありません。  中満氏については、今までは国連難民高等弁務官事務所、UNHCRで緒方貞子氏の下で仕事をされたほか、国連PKO局アジア・中東部長、そしてUNDP、国連開発計画の本部危機管理部長、こうした要職を経験されてこられました。  私もこれまでいろいろなところでお会いし、共に仕事をした方でありますが、こうした方が、特にこの軍縮分野という我が国が重視し、またリーダーシップを発揮している分野で担当する事務次長になったということ、このことについては大変心強く思っていますし、歓迎をしています。日本人幹部職員の存在、これは、我が国が人的貢献の面でも、あるい国際社会の様々な課題への取組に寄与しているということを示すという意味においても意義あることでありますし、日本の顔であるとも認識をしています。  そして、今委員の方からも御指摘がありましたこうした国連機関職員、これは国際機関と出身国との橋渡し役、これも期待されます。国連、国際機関の要所に日本人職員がいれば、日本がイニシアティブを発揮しようとする課題を効果的に進めることもできる、このように考えます。  このように今回の就任を歓迎しているわけですが、是非、これからもこうした優秀な邦人の方に国際機関の邦人職員として御活躍いただけるような環境づくりに注力をしていきたい、このように考えます。
  155. 高瀬弘美

    高瀬弘美君 大臣、ありがとうございます。  それでは、時間が少なくなってまいりましたが、次のテーマに移らせていただきます。    〔理事松下新平君退席、委員長着席〕  今後の日本外交考えていくときに、親日派を増やしていくというのは大変重要なことでございます。実は、参議院の国際経済・外交に関する調査会におきまして、どうやって日本の広報をしていくか、親日派を増やしていくかというテーマを議論をしましたときに、やはりNHK、特にNHKワールドでの報道ですとか、また日本のアニメですとか、こうした日本のコンテンツをもっともっと海外で発信していくことが重要というお話がありました。  その調査会の中でもう一つお話がありましたのは、そのコンテンツを発信していくときに、もちろん外務省の皆様も御尽力されるわけでありますが、必要に応じて専門家のお力もお借りをしながらある意味効率的にそうしたことに取り組んでいく必要があるのではないかという御指摘もございました。他国を見てみますと、韓国中国、大変こうしたコンテンツ事業というのを力を入れておりまして、海外に住んでいると本当に頻繁に中国韓国のテレビに接する、音楽に接する、そうした機会が増えてきております。  そうした中で、外務省として展開されている放送コンテンツ等海外展開支援事業というものがございまして、今この事業、予算を取りながらされているというふうに考えておりますが、この事業、今後外務省としてどのように発展をしていきたいというふうにお考えであるか、また、その際にそのノウハウを持っている専門家に外注できるところはしていく必要もあるのではないかと思いますが、この点、外務省のお考え、いかがでしょうか。
  156. 大鷹正人

    政府参考人(大鷹正人君) お答え申し上げます。  御質問いただきました放送コンテンツ等海外展開支援事業でございますけれども、外務省としては、独立行政法人の国際交流基金を通じまして、あるいは国際交流基金の事務所がない国につきましては国際交流基金から在外公館を通じまして、商業ベースでの販売が困難な途上国等の現地テレビ局に対して日本のドラマですとかアニメ、ドキュメンタリー、映画、バラエティー等の番組を提供して、海外の一般市民に向けて日本の魅力を発信していくというものでございます。  平成二十六年度補正予算では約三十億円、平成二十七年度補正予算では約二十五億円の予算をいただいておりまして、それぞれの予算額に対して全額を国際交流基金に支出しているところでございます。そして、基金の支出執行額について現在集計中でございます。大体、例年六月中ぐらいに取りまとめということになりますので、今集計中でございます。  全体でいいますと、百二十の国・地域におきまして延べ約千七百の番組が放送済み又は放送予定でございますけれども、そのうち、現時点では六十四の国・地域におきまして延べ三百九の番組が放送済み又は放送日時決定済みという状況でございます。  この事業を進めるに当たってのいろいろな、効率性の向上ですとか、あるいは外部の事業者を使うべきではないかという議論につきましては、現在、本事業の実施に当たりまして、在外公館又は実施主体である国際交流基金の担当の者が現地テレビ局と技術的事項の調整をしているところなんですけれども、御指摘のとおり、業務の効率化は国際交流基金が経験を積むことによって徐々に改善してはいるんですけれども、引き続き課題だというふうに認識しております。そういう中で、今後、事業の効率化の観点から、業者等に一部外注を図ることを含めて、事業スキームの改善の可能性検討してまいりたいというふうに考えております。  いずれにしましても、委員指摘のとおり、対日理解の醸成、親日派の形成、インバウンド観光の促進の観点から、日本コンテンツの強みを生かした本事業の意義はとても大きいというふうに考えておりますので、引き続き取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  157. 高瀬弘美

    高瀬弘美君 ありがとうございます。  大変大事な事業と思いますので、これからもしっかりと応援をしてまいりたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。     ─────────────
  158. 岡田広

    委員長岡田広君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、片山さつきさんが委員辞任され、その補欠として堀井巌君が選任されました。     ─────────────
  159. 田村智子

    ○田村智子君 日本共産党の田村智子です。  今日は、まず、在日米軍のパラシュート訓練についてお聞きいたします。  東京の横田基地では、米軍特殊部隊によるパラシュート降下訓練が二〇一二年に突然始まりました。はるか上空から次々と降下する部隊に地域住民の方々は驚愕し、何が起こったのかと不安が広がっています。  まず、確認いたします。今年、二〇一七年、横田基地でのパラシュート訓練について、米軍からの事前通告の回数、また直近の訓練の降下人数を教えてください。
  160. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。  お尋ねの横田飛行場におけるパラシュート降下訓練につきましては、今年、平成二十九年でございますけれども、これまで米側から五回の事前通報を受けております。  直近のパラシュート降下訓練についてでございますが、米側から、平成二十九年四月二十四日から四月二十七日まで、横田基地所属のC130輸送機を使用した人員降下訓練を実施し、その際、降下する予定の人員は延べ二百名程度といった内容の事前通報を受けたところでございます。  なお、その際、防衛省としては、関係自治体に情報提供を行うとともに、米側に対しまして、訓練の実施に当たっては日米合同委員会合意を遵守して、周辺住民に与える影響を最小限にとどめるよう申し入れたところでございます。
  161. 田村智子

    ○田村智子君 資料で、二〇一二年以降、事前通知のあった訓練、それからその降下人員一覧を配付をいたしました。  これ、事前通知の回数を見ても、最初の年、二〇一二年は五回なんです。そこから増加をしていって、昨年、二〇一六年には十二回、今年は四か月で既に五回。降下人員も、通告のあった人数を足し上げただけでも、二〇一五年、平成でいうと二十七年ですけれども、延べ約七百七十人、昨年は約四百六十人、今年は既に二百七十人で、これ見ていただいて分かるとおり、不明、つまり通知がないというものもあるんですよ、どれだけの規模かということが。  横田基地の監視活動を続けている羽村平和委員会によりますと、今年は四月末までに三百五人の投下を、人員の投下ですね、これを確認したといいます。これ、事前通知なしに行われた訓練もあるんですね。例えば、二〇一七年一月八日から九日にかけてC130H三機が編隊飛行訓練を行い、このうち一機が、一回目は物資と人、二回目は人だけの降下訓練を行っていることが確認されています。  米軍はこうした事前通知さえ行わずに物資投下、人員投下の訓練を行うことができるということなんでしょうか。
  162. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。  米軍は日米安保条約の規定に基づきまして我が国において施設・区域を使用することが認められておりまして、同条約の目的達成のため、訓練等、軍隊としての機能に属する活動を一般的に行うことを当然の前提としておるところでございます。  一方、米軍は全く自由に訓練等を行ってよいわけではなく、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきことは言うまでもありません。米側もこの点については十分留意しており、訓練を行うに当たっては必ずしも日本側に対し事前の通報が義務となっているものではありませんけれども、例えば横田の飛行場におけるパラシュート降下訓練の実施に当たっては、通常、防衛省に対して、今先生からも御指摘がありましたが、事前通報を行っているところでございます。防衛省として得られた情報については、地元自治体に情報を提供しているところでございます。  防衛省といたしましては、引き続き、米側に対しまして、訓練の実施に当たっては安全に最大限の配慮を求め、地元の皆様に与える影響が最小限にとどまるよう申入れを行うなど、適切に対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  163. 田村智子

    ○田村智子君 それでは、もう一点確認したいんですけど、義務ではないと、事前通知は。それじゃ、一体この事前通知というのは米軍の何によって行われているということなんでしょうか。これ、私たち説明受けたときには好意的配慮だというようなことも言われたんですけど、そういうことでよろしいんですか。
  164. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) 今、さきの答弁で申し上げましたとおり、訓練を行う際に我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきことは言うまでもないということでございます。こうしたことは、我々、累次にわたって米軍にも伝えておりまして、その結果、米側がこうした連絡を、事前通報を行っていると。好意的通報という言葉も使われることもありますけれども、これは、そうした我々の申入れの結果として、米軍がそうした事情を考えて我々に連絡をしてくれているものと理解しております。(発言する者あり)
  165. 田村智子

    ○田村智子君 横からそんたくという声も聞こえてきたんですけれども、地元自治体は、住民に影響の与える訓練については少なくとも事前の情報提供を行うようにということは繰り返し求めています。私たちは、人や物の投下訓練、これはもうやめるべきだという立場ですけれども、せめて、自治体が求めているように、事前通知もないような訓練、これは行わないというように米軍に求めるべきだと思いますが、防衛大臣、いかがですか。
  166. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) 事実関係について一点補足させていただきます。  横田基地に関しましては、先生御指摘もありましたけれども、平成二十五年一月に自治体に対する、まあこれは私どもに対するという意味でもありますけれども、事前通報がなく訓練が行われたのではないかと御地元の方から問合せを受けまして米側に確認したところ、米側からは、その場合は、このケースにおいては事前通報なく訓練したのは事実で、今後はこのようなことがないように気を付けるという回答も得ているところでございます。  我々といたしましては、横田につきましては、現在、事前に、累次、今年の件数については申し上げ、御指摘もありましたが、通報を受けているところでありますので、今後引き続きこうしたことが継続して行われるように米軍には当然求めてまいりたいと考えております。
  167. 田村智子

    ○田村智子君 問合せじゃなくて、抗議とか、やらないでほしいということは是非言ってほしいと思うんですけど、大臣には次の質問でお答えいただきたいと思うんですが、これ横田基地でのパラシュート訓練、どういうものか、これ資料の後ろの方に写真を付けたので見ていただきたいんですね。最初の写真は羽村平和委員会が監視活動を行っていて撮ったものなんですけれども、これ、私がぱぱっと目視で確認しただけでも、パラシュートの数、約四十あるんですよ、写真に収まっているだけで。これ、一気に降下してくるわけですね。次の写真二枚は、米軍の横田基地のホームページにアップされているものなんです。ここ、キャプションで何と書いてあるかというと、上空一万フィートからのジャンプだと書いてあるんです。これ、一万フィートというのは約三千メートルですから、言ってみれば北アルプスの立山や乗鞍岳から、その山頂から一気に降下してくるというのと同じなんです。その次の写真は夜間訓練です。これもかなりの高高度からの訓練で、しかも、これパラシュートはできるだけ低い高度になってから開けるんだということが書いてあるわけですよ。本当に危険で異常な訓練が行われているということです。  しかも、どういう部隊なのか。これ、横田配属の部隊だけじゃないんです。遠くはアラスカ州空軍やテネシー州空軍がわざわざ横田基地でこのパラシュート訓練を行ったということも分かっています。  大臣、何で人口密集地に隣接する横田基地でこのようなパラシュート訓練を行うようになったのか、日米間でいつどのような取決めがあったのか、お答えください。
  168. 稲田朋美

    国務大臣稲田朋美君) まず、米軍は日米安保条約の規定に基づいて我が国において施設・区域を使用することが認められており、同条約上の目的達成のため、訓練等の軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことを当然の前提としております。しかしながら、一方、米軍は全く自由に訓練等を行ってよいわけではなく、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきものであることは言うまでもないというふうに認識をいたしております。  お尋ねの横田飛行場におけるパラシュート降下訓練については、米軍が部隊の練度の維持向上を図り即応態勢を整えておくとの観点から行う必要な訓練の一環であるというふうに認識をいたしております。また、ちなみに、先ほど委員からも御指摘ありましたが、陸上自衛隊が行っている人員投下訓練においては、三千メートル、約一万フィート以上の高度で実施している場合もあるところでございます。  しかしながら、いずれにいたしましても、防衛省としては、関係自治体に情報提供を行うとともに、米軍に対し、訓練の実施に当たっては周辺住民に与える影響を最小限にとどめるということを申入れをしているところでございます。
  169. 田村智子

    ○田村智子君 質問に答えていないんですよ。横田基地を使っている、これはいかなる取決めがどのように行われたんですかということにお答えいただきたいんですよ。横田基地でパラシュート訓練を行う、その取決めはあるんですか、ないんですか。
  170. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) 事実関係でございますので、まず事務方からお答えいたしますと、米軍は日米安保条約の規定、具体的に言うと六条でございますけれども、これに基づきまして我が国の施設・区域を使用することが認められておりまして、同条約の目的の達成のため、訓練等の軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことを当然の前提としております。  こうしたことに基づきまして、横田基地においてもかかる訓練を行うと承知しております。一方、パラシュート訓練につきましても、こうした条約の取決めに基づいて行っていることでございます。  先生のおっしゃることは、例えば個別に横田基地でパラシュート降下訓練を行うという日米合同委員会合意があるかというお尋ねであれば、そのような個別の合意はないと承知しております。
  171. 田村智子

    ○田村智子君 安保条約だけということですよ。端的にそれだけ答えればいいんですよ。  沖縄では読谷補助飛行場がパラシュート訓練の基地となっていましたが、これ事故が相次いで、一九九六年十二月のSACO最終合意でパラシュート訓練は伊江島補助飛行場に移転となりました。この読谷補助飛行場での訓練実態は、沖縄県の統計資料によれば、これも資料でお付けしましたが、十八年間で百八十六回、投下人員は六千八百七十八人。これ、移転前の五年間見ますと、大体投下人員は百七人から五百九十五人の範囲なんです。そうすると、今、横田で行われているのと同じ規模なんですよ。それが読谷では危険だということでSACOの最終合意で移転になったんです。  ところが、横田基地の場合は安保条約だけだと。横田基地をパラシュート基地のまさに拠点にするというような取決めもないままに訓練を行っているということになるんじゃないんですか。
  172. 稲田朋美

    国務大臣稲田朋美君) 先ほど深山局長が答弁をいたしましたように、法的な根拠というものにおいては、日米安保条約の規定ということでございます。  なお、伊江島の補助飛行場については、読谷補助飛行場の全面返還に当たって、読谷補助飛行場でのパラシュート降下訓練の機能の移転が必要であったことからSACO最終合意に盛り込まれ、日米合同委員会合意された上でパラシュート降下訓練が移転されたものというふうに承知をいたしているところでございます。  防衛省としては、横田飛行場におけるパラシュート訓練は米軍が部隊の練度の維持向上などを図る訓練の一環であると認識をしておりますけれども、引き続き、米側に対して、訓練の実施に当たっては周辺住民に与える影響を最小限にとどめるよう申し入れていく考えでございます。
  173. 田村智子

    ○田村智子君 これ、いずれにしても、沖縄は伊江島でやるときにちゃんと合意しているんですよ。それで、沖縄では、一九九六年、このSACO合意によって伊江島飛行場でパラシュート訓練を行うことになった。しかし、嘉手納基地での訓練が何度も行われて、関係自治体が強く抗議をしているんです。その抗議の根拠も、SACO合意違反じゃないかということで抗議しているわけですね。  一点確認しますが、今月十日夜にも事前通知なく嘉手納基地でのパラシュート降下訓練が行われて、この訓練については、稲田防衛大臣、米軍に遺憾の意を表明しているのではないですか。事実関係だけ。
  174. 稲田朋美

    国務大臣稲田朋美君) 今お尋ねの五月十日の嘉手納飛行場で実施されたパラシュート降下訓練については、これは伊江島に移転をして、例外的な場合に限ってのみ嘉手納飛行場については使用することが、訓練場として使用することができると日米両政府間で認識の共有をしております。したがって、なぜそのような例外的な場合に当たるのかについて米側から十分な説明もなく、事前に日米で認識を共有するに至らないまま訓練が行われたことについては、先日の私の記者会見でも申し上げましたし、遺憾なことであって、地方協力局長からも米側に対しその旨申入れをしているところでございます。
  175. 田村智子

    ○田村智子君 少なくとも合意に基づいて遺憾の意を表明しているということですが、ただ、この嘉手納基地、ちょっと一問聞いておきたいんですけれども、沖縄県議会の米軍基地関係特別委員会の皆さん大変怒っていて、沖縄防衛局に抗議意見書、また米軍にも抗議意見書を出しているんですね。  その際に、沖縄防衛局は、例外的な場合に限って使用されるという取決めがあるので、五月十日はこれは遺憾だと。しかし、四月二十四日にもやっぱりパラシュート訓練行われているんだけど、これは容認するという立場を説明されているんですよ。同じことを稲田防衛大臣も記者会見の場でもお話をされているんですね。沖縄県議会側は、一体何が例外的な場合に当たるのかも分からないと。これでは、例外だ例外だと言いながら嘉手納基地がパラシュート訓練の常態化してしまうんじゃないか、こうやって反論をしています。これ、もっともな主張だと思いますね。  例外的な場合というのはどういう場合なのか、御説明ください。
  176. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。  伊江島補助飛行場にパラシュート降下訓練が移設した後でございますが、平成十九年に嘉手納飛行場におけるパラシュート降下訓練につきまして、要点だけ申しますと、日米両政府はSACO最終合意に沿って引き続き基本的に伊江島補助飛行場を使用することとしており、嘉手納飛行場はあくまでも例外的な場合に限って使用されるものであるという点について日米合同委員会で日米双方が共通の理解に達したという発表をいたしておるところでございます。  この例外的な場合については、個別事例ごとにその具体的な事例に即して判断することが必要であり、あらかじめ一概に述べることは困難だと考えております。その上で申し上げれば、天候等の制約により伊江島補助飛行場で訓練が行われない一方、即応態勢を維持するために訓練を行う喫緊の必要があるような場合については例外的な場合に該当し得るものではないかと考えております。  なお、御指摘がありました嘉手納飛行場における四月二十四日に行われたパラシュート降下訓練につきましては、米側からは事前に、気象状況や隊員の資格、これはパラシュート降下をする資格という意味であると理解しておりますが、この資格を維持するためなどにより、あくまで例外的に嘉手納飛行場で実施することとしたという説明を事前に受けておるところでございます。  いずれにしても、防衛省としては、パラシュート降下訓練はSACO最終報告に沿って伊江島補助飛行場において実施するように引き続き米側に対して求めていく考えでございます。
  177. 田村智子

    ○田村智子君 でも、事実上、事前に政府説明があったらやっていいよというふうにも聞こえるんですよ。こういう市街地にある嘉手納基地での訓練を事実上認めるような抜け穴だらけの合意や取決めというのは、これは早急に見直すべきだというように思いますが、同時に、横田の場合は何の協議も取決めもないんですよ、個別具体的には。横田基地をパラシュート訓練の拠点基地にしている。これ、余りに異常です。  夜間の降下訓練、事前通知なしの降下訓練など、横田基地で行われたパラシュート訓練について、日本政府は米軍に遺憾の意を表明したことはありますか。
  178. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) 先ほど、二十五年一月、我々が把握している中でも二十五年一月に横田におきまして、事前通告はなかったにもかかわらずパラシュート訓練が行われたことがあったということは申し上げました。現在まで調べたところによりますと、その際、防衛大臣から直接遺憾の意を表されたという記録は見付かっておりません。  その後は、基本的には米側は事前通告を行った上でパラシュート訓練を行っていると理解をしておるところでございます。
  179. 田村智子

    ○田村智子君 もう何にも言わずに夜間のパラシュート訓練まで行われているということなんですね。  何で問題にしているか。これ、沖縄でも何でこういう合意に基づいてパラシュート訓練の拠点基地移されたか。それは、やっぱり幾つもの事故が歴史的に起こっているからですよね。一九六五年の読谷補助飛行場で、これはパラシュートじゃないですけど、ヘリコプターからつり下げられたトレーラーが落下をして、道を歩いていた小学校五年生の少女が圧死をしたと。一九七〇年、特殊部隊の兵士三人が民家に落下。七九年、七キログラムの鉄のおもりを付けたパラシュートが民家から十三メートルのところに落下。八一年、小学校の朝礼中の生徒の頭をかすめて米兵が落下。最近も、東富士演習場外への落下、横田基地に隣接するIHI、石川島播磨の工場内への落下と、こういう事故が相次いでいるんですよ。  読谷補助飛行場でのパラシュート訓練、これ、幾度となく日米協議が行われてきました。その一つ、一九九五年の2プラス2、ここでの協議で、防衛施設庁史についてどのような記載があるのか、これ紹介してください。
  180. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) 御指摘の記述は、防衛施設庁史二百九十六ページの記述であろうと思います。二行にわたっておりますが、その部分のみ読み上げさせていただきます。  「また、同年九月のSCCにおいても、」、この同年と申しますのは平成七年でございますが、「同年九月のSCCにおいても、パラシュート降下訓練の実施に伴う危険性を可能な限り早期に解消するため、精力的に協力することで日米双方の認識一致した。」と記述がございます。
  181. 田村智子

    ○田村智子君 パラシュート降下訓練の実施に伴う危険性なんですよ。危険性を認識して伊江島に、まあ伊江島でやることもどうかというのはあるんですけれども、少なくとも人口密集地ではないところにパラシュートの拠点基地移したんですよ。  両大臣にお聞きしたい。まず、稲田大臣にお聞きしたいんですけれども、これ、読谷補助飛行場におけるパラシュート降下訓練は、やっぱり危険性と負担の除去、これが協議をされて、基地閉鎖ということも伴っていますけれども、これで対応が行われたということですよね。危険性があることを認めているならば、横田基地について何の取決めもない、夜間訓練まで認めている、これおかしいと思うんですよ。何らかの協議行うべきだと思いますけれども、いかがですか。
  182. 稲田朋美

    国務大臣稲田朋美君) まず、先ほど御答弁いたしましたとおり、伊江島の補助飛行場については、読谷補助飛行場の全部返還に当たって、読谷補助飛行場でのパラシュート降下訓練の機能移転が必要であったことから、SACO最終合意、最終報告に盛り込まれて、日米合同委員会合意された上でパラシュート降下訓練が移転されたものと、このように承知をいたしているところでございます。  そして、横田飛行場におけるパラシュート降下訓練については、引き続き、米軍の訓練の状況を注視するとともに、米側に対し、訓練に当たっては安全面に最大限の配慮を求め、地元の皆様に与える影響が最小限にとどまるよう申入れを行うなど、適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
  183. 田村智子

    ○田村智子君 岸田外務大臣にちょっと別の角度からなんですけど、こうなると、日米安保条約さえあれば危険な訓練はどこでもできるということになっちゃうんですよ、こんなやり方だと。これはやっぱり危険性に着目をして国民の安全守るという立場から何らかの協議必要だと思いますが、いかがですか、外務大臣として。
  184. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 具体的な対応については今防衛大臣から答弁があったとおりでありますが、日米安全保障条約に基づく米軍の駐留は、訓練等、軍隊としての機能に属する活動を前提としているものの、これは全く自由にこういった訓練が行えるというものではないと考えます。これは我が国の公共の安全に妥当な配慮を払って活動をすべき、これは当然のことであり、米軍もこれは当然認識をしていると考えます。  外務省としましても、防衛省としっかり連携しながら、地元住民への影響を最小限にとどめるよう努力をしていかなければなりません。その際に、米国に対しての申入れ、これはもう様々な機会を捉えて申入れを行っていきたいと考えます。
  185. 田村智子

    ○田村智子君 これ、特殊部隊のパラシュート部隊というのは夜陰に紛れて敵地に侵入する、だから夜間、低空に達するまでパラシュートを開かない、こういう訓練ですよ。これは私、二〇一五年の決算委員会でも取り上げましたけれども、特殊部隊というのは、敵地潜入、要人の誘拐、暗殺、反政府勢力の組織化などを任務とするものです。日本の防衛と何の関係もないですよ。そして、その危険な訓練が首都東京で好き勝手にやられている、これでは日本の主権に関わる問題だということを厳しく指摘をしておきます。  時間がもうないので、最後になんですけれども、北朝鮮の核・ミサイル問題について私も一、二問お聞きしたいと思います。  昨日の早朝、北朝鮮弾道ミサイルの実験を行った、もう言語道断の暴挙です。とりわけ、米国韓国などが対話に向けた姿勢を示す中で何で新たな武力挑発を行うのか、私も強い憤りを禁じ得ません。国連安保理決議の履行である経済的制裁、本当に真剣に取り組むべきだと思いますが、同時に、武力衝突を絶対に起こさないという立場での問題解決がいよいよ求められていて、各国が抗議の意思や経済制裁と並行して、どうやって北朝鮮対話の協議のテーブルに着かせるか、これは戦略持って追求することが必要だと思いますが、外務大臣見解
  186. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、外交手段を用いて平和を守っていくというのが重要だということ、これは間違いないと思いますし、基本だと考えます。そして、我が国は、対話圧力、行動対行動の下に北朝鮮問題に対処しているわけですが、その中にあってこの拉致問題等、拉致問題、核開発、ミサイル開発、こうした諸問題に対応する上において、対話という要素、これは欠くことはできないと思いますが、ただ一方で、対話のための対話であってはならないということを申し上げています。意味ある対話のためには、北朝鮮非核化に向けて真剣な意思や具体的な行動を示すことが重要であると考えます。にもかかわらず、昨日も弾道ミサイル発射されました。  今、現状においては、まずは国際社会と協力しながらしっかり圧力を掛けていくことが重要である、こういった認識に基づいて、米国始め関係国と協力をしながらメッセージを発出しているわけであります。対話圧力、この関係についてしっかりとバランス等も考えながら、北朝鮮から具体的な行動を引き出すために何が最も効果的なのか、これを考えていかなければならないと考えます。
  187. 田村智子

    ○田村智子君 私も制裁か対話かということを言っているわけじゃないです。同時並行でやっていかなければ問題解決にならないでしょうということなんですよね。  例えば、中国は四月に安保理閣僚級会合の中で、米国北朝鮮の軍事的対決が緊張状態強める下で、北朝鮮の核実験の一時停止と米韓の大規模な軍事演習の一時停止、この二つの一時停止ということを提案をして、米朝の対話のきっかけをつくろうと、こういう努力をしていたと。私も五月の三日から六日、日中友好議員連盟の中国訪問の一員として行ってまいりましたので、そこで武大偉朝鮮半島事務特別代表ともお話をして、様々に中国が、もちろん経済制裁もっとやってほしいと私たちも言いに行ったわけですけれども、同時に、問題解決の言わば軟着陸という言葉も使いましたけれども、どうしたら米朝対話ができるかということで様々にアメリカと対話をしている、ほかの国と対話をしている、働きかけしている、このことを感じました。  五月一日にはトランプ大統領、条件が整えば金正恩総書記と会う、こう表明をした、今ちょっと条件が整っていないですけれども。それから、五月三日、ティラーソン米国務長官が条件が適切なら喜んで対話に応じると。先週八日、九日、ノルウェーで米朝の水面下の対話が行われたと。もちろん、その後のミサイル実験ですからとても許されないことなんですけれども、しかし、こういう努力を行うことは同時並行的に必要だと私は思うんです。  これらの対話をつくろうとする努力について、岸田外務大臣はどのように評価されていますか。
  188. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、御指摘の点の前半部分ですが、まず、どの政府にとっても国民の命や暮らしを守るということ、これは最も大切な責務です。そして、今、国際社会において、どの国も一国のみでは平和や安定を守ることができない、これが常識になる中にあって、この地域の平和を守るために努力をする、こういった取組、米韓の合同演習等こういった取組は大変重要であると思います。こういった取組と累次の安保理決議に違反し続けている北朝鮮の行動、こうした挑発行動を同列に論ずることは適切でないと、まず基本的に思います。  その上で、対話努力、いろいろ行われている、こういったことについてどう考えるのかという御質問でありますが、米国においても、トランプ大統領のこの発言については、スパイサー報道官、これ現時点では諸条件が満たされておらず、近いうちに実現するとは考えていない、こういった発言をしておりますし、ティラソン国務長官もスピーチの中で、交渉するための交渉は北朝鮮と行うつもりはない、こういったことを発言しています。先ほど申し上げました対話のための対話であってはならないという我が国対応とこうした発言は整合的であると考えます。御指摘がありましたノルウェー・オスロでの動きについては報道等を承知しておりますが、引き続き情報収集、分析には努めていきたいと思います。  いずれにせよ、先ほど申し上げました対話圧力、行動対行動の原則の下で、具体的な行動を是非北朝鮮に強く求めていくべく国際社会と連携をしていきたい、このように思います。
  189. 田村智子

    ○田村智子君 北朝鮮が今や核兵器を持つことは我が国の権利であるとまで言っているときに、私は、被爆国の、戦争被爆国の外務大臣としては、なぜ北朝鮮が核を放棄しなければならないのかということについてもやっぱり論陣張るべきだと思うんですよ。制裁はもちろんです。制裁はもちろんだけれども、なぜかということをもっとアピールして、対話や協議が行えるような努力ということもやるべきだということを申し上げて、質問を終わります。
  190. 石井苗子

    ○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。  私は、ミサイルではなくて、日系四世の入国について、外務省法務省にお伺いします。  資料一ですが、今年の二月の衆議院予算委員会の議事録でございます。最上段に安倍総理の発言がありまして、総理は、日本維新の会の下地衆議院議員の質問に対して、自分も南米を回ってきた、日系四世の方々にお会いして、日本に対する熱意を感じた、日本国としても応じていく必要があるのではないかと前段で発言され、その後、どういう対応ができるか、もっと前向きに検討していきたいとお答えになっています。  現在、日系三世までは家族も含めて日本への定住が認められています。四世については、二十歳になる前の未成年者か、あるいは未婚の方は扶養家族として日本に定住が認められます。この方々が日本に来た後で日本で御結婚されれば、四世の方は定住が認められます。しかし、御自身の国で成人して、あるいは家族がいてというような場合は、四世の方、専門的な資格というものがなければ日本に在留できません。これはほかの外国の方も同じ条件です。原則的に専門的な資格を必要とします。  お配りいたしました資料の二ですが、これは、総理がおっしゃった前向きな検討の一案として、日本維新の会から出しました日系四世の入国容易化法案でございます。改正後というところの欄を見ていただきますと、要するに、法務大臣の告示の改正によって日系四世の定住者としての入国を容易とすることができると提案しております。法務大臣の特別な配慮という言葉遣いになっております。この改正後は、日系四世を含め日本人の子孫に対する特別な配慮をしていただき、法務大臣の告示を改正することによって日系四世が定住者として入国することが容易になるというものでございます。  今年の三月十日に文部科学委員会がございまして、伊東議員から、同じような日系に関する質問法務省入国管理局長が、その件については現在検討中ですと答弁されました。こうした状況下ですと、政府に何らかの検討策があるのではないかと思っております。  法務大臣そして外務大臣から、それぞれ現時点での御所見をお聞かせください。
  191. 金田勝年

    国務大臣(金田勝年君) 石井委員の御質問にお答えをいたします。  いわゆる日系四世につきましての現状でございます。定住者の在留資格で在留する日系三世の扶養を受ける未成年で未婚の実子であれば日本への入国、在留が認められることになります。  総理の発言でございますが、本年二月二日の衆議院予算委員会において、安倍総理から、日系人の方々と現地で会い、ひいおじいちゃん、ひいおばあちゃんの国である日本への強い憧れを持っているということを本当に感じた、日系四世の皆さんにどういう対応ができるかを前向きに検討をしたいという内容の答弁がございました。  このことを受けまして、現在、法務省におきましては、入国管理局におきまして、若年層の日系四世の方に我が国のことを知ってもらい、我が国と海外の日系人社会との懸け橋になる人材を育てるような制度を設けることができないか検討を進めているところであります。  以上、お答え申し上げます。
  192. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 海外に住む日系人の方々のコミュニティー、ネットワーク、これは我が国外交にとって財産であり、貴重な存在だと考えます。政府としても、日系人の方々との連携は重視をしています。  外務省としましては、例えば、毎年日本で開催される海外日系人大会、これを後援し、外務大臣もレセプションを主催するなど、将来の日系人社会との連携の在り方について意見交換を行っていますし、特に中南米地域においては世界最大の日系人社会があり、現地の人々から信頼を集めるとともに、日本と中南米各国の懸け橋となっています。  こういった状況の中で、外務省におきましては、日系社会を通じて中南米諸国との関係を一層強化するため、中南米日系社会との連携に関する有識者懇談会を立ち上げました。そして、先日、五月九日ですが、報告書提出いただきました。その中で四世以降の在留資格について検討すべきことが提言されています。  外務省としましては、この日系四世受入れに関しても関係省庁と緊密に連携し検討いたします。
  193. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございます。  資料の三を見ていただきたいです。  ブラジル日系四世の方々を対象とした意識調査です。つまり、日系の方々がどう思っていらっしゃるかという調査でございます。多くの方が日本で働きたいという意欲を持っているという結果が出ました。この調査は、ブラジルの現地の新聞が日系ブラジル四世を対象に行ったアンケートで、国外就労情報援護センターというのが出した集計でございます。  これまで長い間、日系の方々の日本語の語学力というのが問題だと言われてきましたが、このアンケートによれば、日本の語学の学習というのは十分受けていらっしゃるのではないかと思います。私は、現在の日本の深刻な労働不足の問題を考えますと、四世の方々が望んでおられるのなら是非日本に来ていただきたいと思っています。  外務省政府参考人の方にお伺いします。  日系ブラジル人の総数、現在最も多いと言われておりますが、その総数、永住者、定住者の数についてデータ的なものを教えてください。もう一つ、もし日系四世の方々から積極的に日本で働きたいとおっしゃっているのであれば、定住について国内での議論を急ぐべきだと私は思いますが、法務省として議論は現在どの段階でございましょうか、政府見解をお願いいたします。
  194. 和田雅樹

    政府参考人(和田雅樹君) お答えいたします。  入国管理局では、ブラジル人の方のうち、いわゆる日系人の方を特定した統計というものは有しておりませんので、日本に在留される全てのブラジル人の方の数ということでお答えさせていただきます。  平成二十八年末現在におきます本邦に在留するブラジル人の方は十八万九百二十三人でございます。そのうち、お尋ねのありました永住者の在留資格で滞在されている方が十一万九百三十二人、定住者の在留資格の方が四万九千五百四十二人となっております。この二つの在留資格で全体の約八九%を占めているところでございます。  それから、二つ目のお尋ねの検討状況でございますが、先ほど大臣の方から御答弁ございましたように、入管局におきまして種々の関係省庁等とも協議しながら今現在検討しているということで御理解いただければと思います。
  195. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございます。  私が四世の定住を認める議論を急ぐべきだと申しました背景には、もちろん日本の労働人口の減少があります。介護に関する人手不足については深刻でございまして、サ高住と呼ばれているサービス付き高齢者住宅での事故、相次いでおります。サービス提供する側の労働力が限界に来ているのではないかと思っております。  今後、ますます地域包括ケアに頼っていくようになる時代において、介護は、一部は機械化は進めることができるとしても、工場のように何でもかんでもロボットに頼んで生産性を上げるというわけにはいかない、人がやらなければ意味がないというのが介護の分野でございます。人材育成と労働力の確保に時間が足りていないという現実がありまして、人手が追い付かないということに焦りを感じている次第であります。  もちろん、日本に定住される方が全て介護の世界の職に就いてくださるとは思っておりませんが、労働力の強化ということについては早急な対策が求められる中、昨年秋に改正されました法律に出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律というのがあります。中で、在留資格のところに「介護」という文言が新しく入りました。  政府参考人の方にお聞きします。この改正、この制度で現在までにどのくらいの状況の変化が見られておりますでしょうか。
  196. 和田雅樹

    政府参考人(和田雅樹君) お答えいたします。  先生御紹介のとおり、在留資格の「介護」につきましては、昨年十一月の出入国管理及び難民認定法の一部改正で新設されております。既に関連する省令の改正も終えて公布されておりまして、本年の九月一日から在留資格「介護」による外国人の受入れが可能となっております。  なお、改正法の施行日よりも前でありましても、在留資格「介護」による入国の要件を満たす方につきましては、本年四月一日から在留資格「特定活動」ということで、本邦におきまして介護福祉士としての就労を認める特例措置を実施しているところでございます。
  197. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございました。是非進めていく必要があると思います。  介護の現場だけに人が来てくれる特別な政策というようなものはない、それはよく分かっているわけなんですが、あれこれと政策を考えて全体的な日本の産業の人手不足を解決していく議論が必要だと思っております。  介護保険法一部改正と相まって介護サービスの充実を図っていけるように何とか方策を考えていかなければならないと思っているのですが、法務大臣にお尋ねいたします。  エコノミック・パートナーシップ・アグリーメントという、EPAという教訓がありまして、その教訓も生かして、制度というものが円滑に進むようになるにはどうしたらいいか、どこを強化すればいいかという大臣自身のお考えをお聞かせください。
  198. 金田勝年

    国務大臣(金田勝年君) 先ほども入国管理局長から申し上げておりますが、法務の中の入国管理行政を預かる立場として考えますのは、私どもで受け入れるべき人たちにはしっかりと我が国に入ってきて働くなりそういうことをしていただくということを考えて、やはりこれからのそういう入国管理の問題については対応していくべきではないかなというふうに考えております。
  199. 石井苗子

    ○石井苗子君 もう少し煮詰めていかないといけないかなという感想を持ちましたが、時間がございますので、また次の機会にいたします。  外務省にお伺いします。  先ほどから北朝鮮のお話やミサイルの話が出てきておりますけれども、そういう外交政策というのが中心でありましょうが、そのほかにも日本の文化の紹介や世界経済の発展の貢献というのも大切な仕事です。  資料の四を見ていただきたい。決算委員会ですので申し上げますが、平成二十七年度政府予算のクールジャパン関連予算、省庁名外務省、上から四段目、見ていただきます。文化交流・海外広報、在外公館文化事業というところですけれども、これ一般会計政府予算四億四千万です。要求額ゼロとなっていますから、要求はなかったが、外務省の主導型ということになります。  真ん中に、仕事の名目ですが、余り小さいので読まさせていただきますね。在外公館が管轄地域における対日理解の促進、親日層の形成を目的として外務省設置法に基づき外交活動の一環として主催したり共催することによって日本文化紹介事業を行うとあります。  資料の五を御覧ください。私、調べましたところ、これが今年度予算でやっているようなものです。写真のようなことをやっているのですが、非常に閑散とした風景でございます。  トルクメニスタン、中国、インドネシアの国々でイベントを開催されたという記録が残っておりますが、先ほどの予算の使い方、ODAもありましたけれども、一体どんなイベントをされてどのような効果があったのか、予算に見合った事業の評価があったのか、親日関係というのをどう醸成したのか、データに基づいた費用対効果の分析政府参考人の方にきっちり御説明をお伺いします。
  200. 大鷹正人

    政府参考人(大鷹正人君) お答え申し上げます。  在外公館文化事業ですけれども、在外公館が管轄地域におきまして対日理解の促進、そして親日派の形成を目的といたしまして、外交活動の一環として主催あるいは共催する日本文化の紹介事業でございます。  具体的には、日本の祭り、あるいは邦楽公演、日本映画の上映、日本語弁論大会の開催、和食の紹介など、いろんなものを様々な事業として行っているところでございまして、これらを通じて多様な日本るい日本文化の魅力を発信しているというものでございます。平成二十七年度は、スポーツ関連事業ですとか日本語普及事業、地方の魅力発信事業、日本の祭り事業、和食紹介事業等を含めまして、合計二千四百六十六件の事業を実施いたしました。  外務省といたしましては、在外公館による事業評価の結果などを踏まえまして、対日理解の促進、親日派の形成等、日本外交を展開する上での環境整備にこの事業が貢献したものと評価しているところでございます。今後も引き続き、この事業を通じた対日理解の促進に努めてまいりたいというふうに考えております。
  201. 石井苗子

    ○石井苗子君 費用対効果という意味は、私はこういうことは決して無駄だとは思いませんが、四億四千万です。先ほど、石橋議員からODA質問もありましたが、四億円です。この予算です。もう少し使い方というのを考えたらどうかと思います。決算ですから申し上げておきます。  次、外務省のホームページを見ました。中小企業向け海外安全対策マニュアル、これは先ほどのイベントよりは無駄じゃないと思いますけれども、あのイベントは非常に無駄なお金を使っていると思いますが、このホームページは、使い方はいいと思っております。特に、今年の三月にゴルゴ13がキャラクターとして登場いたしまして、中小企業向け海外安全対策マニュアルというのが出てきたわけですが、漫画の世界ではゴルゴ13は一人テロリストみたいな仕事をしておりますけれども、このキャラクターのユーモアというのが理解されたか分かりませんけれども、人気を博しているということで、外務省政府参考人の方にお一つだけお聞きします。  このアクセス数は幾つあるでしょうか。
  202. 能化正樹

    政府参考人能化正樹君) お答え申し上げます。  御質問のゴルゴ13のマニュアル、これ、中堅・中小企業向けの安全対策を強化するものでございますけれども、三月二十二日にウエブページを立ち上げまして、五月十二日時点での累計アクセス数、これが約五十五万件となっております。
  203. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございます。  五十五万件、すごいですね。今やコンテンツ産業は日本を引っ張っていく成長戦略の一つです。海外から日本にいらっしゃる方、特に若い方はコンテンツ産業に興味を強く持っています。  外務大臣にお伺いします。  先ほどのゴルゴ13のような取組ですが、こうしたものが本当に中小企業の経営にどうプラスになっているのかということです。これまで文字情報だけだったんですが、絵で分かりやすくなっていったわけですけれども、これが中小企業の経営にどうプラスになっているかという実感がございましたらお聞かせください。
  204. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 国際的な協力、ODAを始めとする開発協力の世界においても、かつては主役は国であり大企業でありました。しかし、地方あるいは中小企業においても日本のすばらしい技術があり、魅力があふれています。こうした海外における日本の開発協力の世界においても、従来のように国あるいは大企業が主役というだけではなくして、やはり地方自治体あるいは中小企業、こういった存在の役割、大変大きくなっているというのが現状であります。  ただ、中小企業においては、海外進出のノウハウもそうでありますし、また何よりも大切な海外での活動での安全の確保、こういった面において大変な苦労があるという現実があります。そういった中にあって、より的確に情報を提供し、そして自らの身を守るためのノウハウについて様々な情報を提供する、こういった取組は大変重要であると思います。  より多くの方々にこうした情報にアクセスをしてもらい、中小企業関係者を始め多くの方々に海外における安全、安心について思いを深めていただき、自ら身を守ってもらう、こういったことにつながるということは、結果として中小企業の活動においても大きな意味があるのではないか、このように認識をいたします。
  205. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございます。  日本のコンテンツ産業の特徴です。どうして世界で受けるか。中身の面白さ、数の多さ、多様性です。これが魅力的な商品に変化するわけです。これが日本の経済を引っ張っていく要になっていくわけなんです。  三月三十一日に観光庁が出しました平成二十八年訪日外国人消費動向調査ですが、コンテンツを購入目的でいらっしゃる観光客数は順調に増えております。消費も上がっているということが分かります。これで、どれだけ力強い将来性があるかということがこのデータで分かるんですが、ところが、資料の七を見ていただきたいと思います。五輪のしわ寄せです。ビッグサイト二十か月利用制限、日本の中小企業が悲鳴とあります。売上げ一兆円の損失、ここの試算ですが、日本展示会協会を調べますと一兆二千億円損失と出しております。  この件でオリンピックの運営に対するクレームは東京都に来ているそうですけれども、この記事にある東京のビッグサイトですが、ここが会場となっておりますものにコミックマーケット、コミケというのがありまして、毎年、先ほどのアクセス数と同じですけれども、五十五万人という人が訪れる大きなイベントで、外国の方がこの一割を占めております。これが開催できないのではないかということで、ネットが炎上寸前状態になっております。  五十五万人のマーケット、コミケもクールジャパン政策の一つであって、あった方がいいと私は思うのですが、外務大臣にお聞きします。この一兆二千億円の損失をどう見ていらっしゃるか、東京都に対応を打診する計画がおありか、丸川オリンピック大臣と相談して国の政策を出されるというようなおつもりがございますでしょうか、大臣の御方針を教えていただきたいのと併せて、このコミケの五十五万人の皆さんにもこの場でコメントなりメッセージを出していただきたいと思うのです。よろしくお願いします。
  206. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、我が国としましては、国の戦略的な取組として、政府全体でクールジャパン戦略を推進しています。様々な日本の魅力、文化、しっかりと発信していかなければなりませんし、幅広い取組を続けていかなければならないと思います。  その中にあって、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの場もこのクールジャパンの推進に資する大変重要な機会であるとも感じています。是非、様々な機会を捉えて我が国の魅力を積極的に発信したいと思いますが、御指摘のビッグサイトの利用については本年四月に説明会が行われ、その結果、大きな反響が出ているということ、承知をしております。結果、これは、この問題については経産省を中心に、これは関係自治体や関係省庁で利用制約の影響が少なくなるよう調整を行っていると承知をしています。  この問題についてはオールジャパンで取り組まなければなりません。この経産省を中心としている調整、しっかりと見守っていきたいと思いますし、外務省の立場からも、日本のこのクールジャパン戦略を始め、国際的な取組を前進させるためにどうあるべきなのか、さらには個々の企業においてどんな影響が出るのか、その影響を最小限にするためにはどうしたらいいのか、こうした議論にしっかりと貢献をしていきたい、このように考えます。
  207. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございます。  今日はせっかく法務大臣がいらっしゃるので、資料の六も見ていただきたいと思います。先ほどの続きですが、クールジャパン危機、共謀罪でコミケどうなるという見出しです。コミケ、コミケとばかり言っているように思われますでしょうが、記事のポイントはオリンピックでもコミケでもありません。国際組織犯罪防止条約、これは政府としては早期に締結したいと。北朝鮮も昨年締結しております。  日本は、二年後にラグビーのワールドカップ、三年後に五輪東京大会、最低限の義務を履行できる国にならないと国際的な信用を得られない、テロの対象として狙われることだってないとは言えないではないかと、ここが大前提にあってテロ等準備罪となっているんですが、国民としては、それはそれで分かりますが、一つ一つのことについて安心できる説明が欲しいわけです。一つ一つに大丈夫だと納得できないというジレンマを感じているんですね。  決算のこの場も見ている方がいらっしゃいます。例えば、著作権法違反については著作権の保有者の訴えがあって初めて成立するものだったはずのものが、密告者によって捜査の対象となってしまうということが、表現の自由を持っている自由者という方々、これ、おびえというものを生み出しております。一方で、国際的に見れば、著作権侵害で組織犯罪集団の資金源をつくり出す可能性だってあるから取締りの対象とするのだという説明ですが、この辺りに先ほど私が言ったジレンマというのがあるわけで、日本の文化的感覚にいえば、犯罪の準備をしているという理由で捜査を受けたとすれば一生が吹っ飛んでしまうと新聞記事に書いてあるし、ずばりこの言葉が、不安の心理というものが表現していると思います。  例えば、自分の作風が反社会的なものだったとします。それをまともに受け取った人が、誰かが通告を実行した結果、共謀罪に問われるという、捜査を受けることがあるかもしれない、そんなことがあったらどうしようと。だから、この記事のように、コミケの次回の出展は迷っておりますというような形で、クールジャパンが危機にあるんではないかと。  出展を迷っているというような人が増えたら開催はどうなるということなんですが、仕事に影響もそれは心配でしょうが、それよりやはり個人の人生や生活を脅かすことになってしまわないかという不安が取締りに対してあるわけで、そこの説明がしっくりできていないということが問題なんだと思います。  金田法務大臣は連日の御答弁で苦労をされている御様子を私もよく存じておりますが、この新聞記事を見て、今のこうした仲間たちに、あなた方はどのような認識を持っていれば安心なのだというメッセージというか、そういう御説明をひとつお願いしたいと思います。
  208. 金田勝年

    国務大臣(金田勝年君) 突然の御質問でございます。通告はありませんが、申し上げさせていただきたいと思います。  テロ等準備罪における組織的犯罪集団というのは、組織的犯罪処罰法における団体のうち、その結合関係の基礎、共同の目的が一定の重大な犯罪等を実行することにあるものをいうわけであります。このような点に該当し得ると考えられるのは、法文上例示しておりますテロリズム集団、あるいは暴力団、薬物密売組織といった違法行為を目的としている団体に限られるわけであります。  そもそも、組織的犯罪処罰法における団体は、その構成員が任務の分担に従って指揮命令に基づいて行動すると、こういうものでありますが、今御指摘の点について申し上げれば、あくまでも一般論として申し上げるわけでありますが、御指摘の事例にあるようなこういうコミケ、こういったようなものは、その構成員がこうした指揮命令や任務の分担に従って行動するものではありませんので、組織的犯罪処罰法における団体には当たらないということになります。  加えて、一般のサークルの目的は懇親等であって、一定の重大な犯罪等を実行することを構成員の結合の目的としているとは考えられないわけであります。したがいまして、一般のサークルはテロ等準備罪における組織的犯罪集団には該当いたしませんので、テロ等準備罪が成立することはないものと申し上げることができると考えております。
  209. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございます。安心していいのだというメッセージでよろしいでしょうか。  問題があると思いますが、私の持ち時間が二十九分までですので、次の質問はほかの機会にさせていただきたいと思いますが、天下りの件に関しまして、他方から指摘を受けない外務省の外郭団体として、天下りはこういうのを持った方がいいんじゃないかという提案がございましたので、今度の機会に質問させていただきます。  ありがとうございました。
  210. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  まず、共謀罪についてお聞きをいたします。  五月五日の朝日新聞に、ニコス・パッサス教授が発言をされています。お手元の配付資料がありますが、条約は対テロ目的ではないというものです。このパッサス教授は、立法ガイド、国連でのこの条約の立法ガイドの作成に関わった人です。これに関して、これはテロ目的ではないと、金銭的利益その他の物質的利益を得ることとあえて入れているのはその表れで、思想信条に由来した犯罪のための条約は既に制定され、国連安保理の決議もある、テロを取り締まるためにはこれらが国際基準となっていると明言しています。  大臣、テロ等準備罪って、うそじゃないですか。
  211. 金田勝年

    国務大臣(金田勝年君) ただいまの御指摘に対しましてですが、通告がまずありません。そして、それに対しましてお答えをしたいのですが、ただいまの趣旨がはっきりしませんので、もう一度御質問をいただければと思います。
  212. 福島みずほ

    福島みずほ君 パッサス教授がテロ対策ではないと言っているので、政府がテロ等準備罪と言っているのはうそではないかということです。
  213. 金田勝年

    国務大臣(金田勝年君) まず申し上げますが、お尋ねは、条約の性質、内容、解釈に関わる事柄であります。外務省の所管するところであります。したがって、外務省において答弁されるべきものであると考えておりますが、あえて、お尋ねでありますので、所管外ではありますけれども、これまでの外務省説明を前提にお答えを申し上げたいと思います。  御指摘報道承知しておりますが、個別の記事についてのコメントは基本的に差し控えたいと、このように申し上げます。  そして、一般論として申し上げれば、TOC条約により国際社会はテロリズム集団等による国際的な組織犯罪に効果的に対処することが可能となるのでありますから、本条約締結のための担保法の整備もテロ対策には効果的なものとなると考えております。  一般に、テロリズム集団が実行することが想定されるテロ行為は典型的な組織犯罪であると考えられる上、そのような組織が活動資金を得るために国際的な組織犯罪を行うなど、国際的な組織犯罪とテロ活動との間には関連性があるわけであります。現に、本条約を採択した二〇〇〇年の国連総会決議にも、国際的な組織犯罪とテロ犯罪との関連が増大していることを指摘しながら、国連加盟国に対し、本条約をその規定に従ってあらゆる形態の犯罪と闘うに当たって適用することを求めております。また、二〇一四年十二月の国連安保理決議は、各国に対し、テロ防止のために、テロの資金供給源となっております可能性の高い国際組織犯罪への対処を含めた幅広い分野における協力を求めるとともに、本条約を含めた関連する条約の締結及び実施を各国がその優先事項として行うように求めております。  テロ等準備罪を設けることによりまして、テロを含む組織犯罪について、実行着手前の段階での検挙、処罰が可能となり、その重大な結果の発生を未然に防止することができるようになるわけでありますし、さらに、テロ等準備罪を整備してTOC条約を締結することによりまして、国際的な逃亡犯罪人引渡しや捜査共助、情報収集において国際社会と緊密に連携することが可能となります。  このように、テロ等準備罪を含むTOC条約を締結するための国内法の整備はテロ対策として有効であるということを申し上げさせていただきます。
  214. 福島みずほ

    福島みずほ君 時間が限られておりますので、コンパクトで、自分の言葉で語っていただきたいと思います。  テロ等準備罪という犯罪はないんですよ。しかも、立法ガイドを作っている人ですよ。立法ガイド、私は読みました。この人がテロ対策ではないと言っているのをテロ等準備罪というのはうそですよ。うそですよ。うそついて法律を成立させることはできません。  では次に、今大臣は実行着手前の重大犯罪と言いました。そのことについてお聞きをいたします。  二〇〇五年十月二十一日、衆議院法務委員会外務省国際社会協力部長が、共謀罪の成立の要件としてオバートアクトの代わりに予備行為を要求することが条約の趣旨に反するか否かということにつきましては確固たる定義はございませんというふうに言っております。  何が言いたいか。つまり、今現在、陰謀罪八、共謀罪十三、予備罪三十七、準備罪八、合計六十六の罪状が既に規定をされております。重大犯罪にどういうものがあるかという外務省が各国に問い合わせたものでは、スウェーデンやいろんな国も非常に限られているんですね。何が言いたいか。もう既に陰謀罪や準備罪そして予備罪を入れて六十六ある。今度二百十七つくったら二百八十三個になるんですよ。つまり、予備罪で、このオバートアクトを予備罪で、三十七あるわけですから、それで可能とする見解は取れるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  215. 金田勝年

    国務大臣(金田勝年君) 福島委員には重ねてお願いをしたいと思いますが、通告にはございませんが、お答えをさせていただきます。通告をいただければ、もっと直ちの対応ができることを申し上げておきます。  お尋ねは条約の解釈にわたるものでありまして、まずは外務省から答弁されるべきものであると思います。  一方で、国際組織犯罪防止条約、TOC条約第五条は、締約国に対し、重大な犯罪を行うことの合意又は組織的な犯罪集団への参加の少なくとも一方をその未遂又は既遂とは別に犯罪化することを義務付けておるわけであります。しかし、現行法上参加罪は存在しない一方、共謀罪、陰謀罪が設けられているのはごく一部の犯罪にすぎません。また、予備罪は予備行為を処罰するものであって合意を処罰するものではない上に、客観的に相当の危険性がなければ処罰の対象とはなりません。したがって、個別に予備罪を設けたといたしましても本条約第五条の趣旨に反するおそれが高いものと承知をいたしております。  このように、我が国の現行法ではTOC条約の義務を履行できないために、同条約を締結するためにテロ等準備罪を新設する必要があると、このように申し上げる次第であります。
  216. 福島みずほ

    福島みずほ君 今、法務大臣が読み上げた五条がまさにそうで、「犯罪行為の未遂又は既遂に係る犯罪とは別個の犯罪とする。」となって、オバートアクトの推進行為がまさに予備罪で可能かどうか、それは定義できないとかつて答えているんですよ。だとしたら、予備罪で可能だと思います。五条には、当該合意の内容を推進するための行為を伴い、推進する行為の準備行為がまさに予備罪で可能だということはあり得ると思います。共謀罪を必ずしもつくらなくていい。  そして、政府は、こういうことがあるからテロ対策に穴があると結局立証できていないじゃないですか。だから、それは問題で、こんな二百七十七の共謀罪も要らない。そもそも共謀罪に反対ですが、そう思います。  そして、自民党はかつて修正で、二〇〇六年の段階で、みんなに不安を与える可能性があるとして非常にこれを狭めております。自民党修正案、百二十八にまで絞っております。みんなの不安が大きい組織的威力業務妨害罪、組織的強要罪、組織的信用毀損罪は、当時自民党の修正案からは全部落ちています。当時の自民党は百二十八まで絞ったんですよ。何でこれらの組織的威力業務妨害罪などの共謀罪が入っているんですか。当時の自民党の修正案よりはるかに悪くなっているんですよ。いかがですか。
  217. 金田勝年

    国務大臣(金田勝年君) 対象犯罪の選定に当たりましては、組織的犯罪集団が現実的に実行することが想定される犯罪を対象として選んだものであります。
  218. 福島みずほ

    福島みずほ君 かつて自民党が、二〇〇六年、百二十八まで絞ったと。にもかかわらず、今回なぜ二百七十七、数え方によって三百十七なんですか。組織的威力業務妨害罪の共謀罪など、とりわけ認めることはできません。  共謀の段階で、予備行為もありますが、共謀で処罰する。つまり、冗談で言ったのか、軽い気持ちで言ったのか、あるいは本気で思ったのか、まだ実行行為に着手していないので分かりません。市民社会に対して国家権力が物すごく早く介入してくるわけです。  大臣、結局、共謀で、準備行為もありますが、花見のときだってそうですよね、これで処罰をするわけですから、自白強要が起きるんじゃないですか。どうですか。
  219. 金田勝年

    国務大臣(金田勝年君) ただいまの指摘につきましては、他の犯罪と同様に刑事訴訟法の手続に従って正確に行いますので、自白強要という問題は生じないと、このように考えております。
  220. 福島みずほ

    福島みずほ君 捜査の方法が変わるんですよ。刑法は、初めに行為ありき、犯罪が発生し、法益侵害が発生して、殺人であれ強盗であれ、窃盗だってやるんですよ。でも、共謀罪は、まだ何も起きていないんですよ。法益侵害が起きていない、その段階で処罰をするので、結局、どうしようとしていたのかって、自白強要になっちゃうんですよ。それが問題です。  そして、まだ何も起きていない、何もやっていないわけですから、これはまさに大臣がおっしゃるメールやLINEや、そして場合によっては盗聴、屋内盗聴、これやらなければ共謀の立証できないですよね。共謀の立証ってどうやるんですか。
  221. 金田勝年

    国務大臣(金田勝年君) ただいまの御指摘にお答えをいたします。  テロ等準備罪の捜査につきましては、先ほども申し上げましたが、他の犯罪の場合と同様の方法で、刑事訴訟法の規定に従って適正かつ必要な捜査を行うことになります。その際、テロ等準備罪に該当する行為が行われたという具体的な嫌疑があって初めて捜査が開始されるのでありまして、他の犯罪の場合と同様に、必要かつ適正な捜査によって証拠物や供述の確保が行われることになります。  そして、テロ等準備罪の捜査の内容としましては、実際に行われる捜査の内容としては個別具体的な事案により様々であると考えられますけれども、例えば、実際に行われた別の犯罪の捜査の過程で計画についての供述や犯行手順が記載されたメモのような証拠が得られることや、あるいは計画に参加した者の自首や計画の状況を聞いた者からの情報提供等によって計画の存在や実行準備行為の存在が明らかになることもあるものと考えられるわけであります。したがって、自白の強要という心配はございません。
  222. 福島みずほ

    福島みずほ君 全く納得できないですよ。今、自首と言ったけれども、そうなんですよ。共謀罪はもう既遂になります。唯一共謀罪から救われる方法は自首です。その人間だけ必要的減免が行われるんですよ。だったら、垂れ込みあるいはスパイとして入って、あの人たちはあんなことを話していましたみたいな手法でしかできないですよ。だって、共謀ですもの、まだ何もやっていないんですよ。誰も法益侵害発生していないんです。だとしたら、おまえたちはこういう計画をやっていたんだなというか、あるいは共謀の前の段階で監視するかという方向しかないんです。自白の強要をしないという大臣の答弁、これは全く当てはまらないですよ。  大臣大臣裁判所の令状があるのでおかしな共謀罪のあれはないとおっしゃっています。では、お聞きします。日本における逮捕状の却下率、そして捜索の却下率、どれぐらいだと思いますか。
  223. 金田勝年

    国務大臣(金田勝年君) できれば、福島委員にも事前に通告をしていただければ、私もこの場で直ちにお答えできたと思います。そういう点を御理解をいただきたいと、このようにお願いを申し上げます。
  224. 福島みずほ

    福島みずほ君 だって、大臣は、裁判所がちゃんとチェックするから共謀罪でおかしなことが起きないと答弁しているじゃないですか。だからお聞きしているんです。  却下率、どれぐらいですか。というか、どれぐらいだと思いますか。だって、法務大臣でしょう。この共謀罪が仮に成立したら、これで処罰されるんですよ。捜索、差押えがあって逮捕されて、そして起訴されて有罪になるんですよ。刑法犯、処罰されるんですから、答えてくださいよ。
  225. 金田勝年

    国務大臣(金田勝年君) お答えをいたします。  通告があれば直ちにここで申し上げますが、正確な数字を申し上げたい、そういうふうに思っております。  もう一つ、私は、確かに福島委員がおっしゃったように、最終的には裁判所審査というものがあるんですということは申し上げております。
  226. 福島みずほ

    福島みずほ君 幾らなんですか。どれぐらいだと思いますか。
  227. 金田勝年

    国務大臣(金田勝年君) 通告がないので、私どもの付添いも数字を持ち合わせていないようであります。
  228. 福島みずほ

    福島みずほ君 これ、有名な数字ですよ。逮捕だって、これ、〇・〇二%なんですよ。一万件で二件しか却下されないんですよ。残念ながら、捜索令状も逮捕令状も自動販売機のように出てきて、ほとんど、ほとんど、〇・〇二%しか却下されないんです。だから、そのことも知って発言されているのかなと思ったんです。裁判所の令状があるから大丈夫だなんというのは信頼ができません。  それで、五月十二日の衆議院法務委員会質疑の中で、組織的犯罪集団の構成員一人と非構成員一人で、かつ当該集団が組織的犯罪集団であると認識していない者とが共謀した場合、共謀罪が成立しますか。
  229. 金田勝年

    国務大臣(金田勝年君) ただいまの質問も通告を受けておりません。したがって、これについては、直ちに答弁を申し上げることは困難であることを御理解いただきたいと思います。
  230. 福島みずほ

    福島みずほ君 これ、五月十二日に、枝野幸男さんが衆議院の法務委員会質問しているんです。だって、大臣そこにいたわけでしょう。これすごく重要な議論ですよ。  組織犯罪集団というか、それに属している人と、それを知らない人とが共謀したら共謀罪が成立するか。実は林局長の答弁が、罪が成立するのは構成員一人と答弁をしました。じゃ、これ、二人以上でやるのが共謀罪だ、計画だということと反するというふうに思います。おかしいですよ。一人だけで成立するわけでしょう、一人だけで。罪が成立するのは構成員一人、これは全く共謀罪の性格から合わないと思います。大臣、これ、五月十二日、衆議院の法務委員会にいたわけでしょう。何でこんなことを言うかというと、これが刑法の処罰規定だからです。  一般人についてお聞きをします。  一般人については、盛山法務副大臣は、一般人も対象になり得ると言っています。あるいは、嫌疑が掛かった段階でそれは一般人とは言えないと言っています。ということは、結局、嫌疑が掛かったら一般人じゃないということになるんじゃないですか。だから、一般人も、嫌疑が掛かった時点で一般人じゃない。じゃ、みんなに掛かってくるということでよろしいですね。
  231. 金田勝年

    国務大臣(金田勝年君) 一般の方々もテロ等準備罪の捜査の対象となるのかという御質問と同じだと思います。一般の方々がテロ等準備罪の被疑者として捜査の対象となることはないと、このように申し上げております。  一般の方々の意味は、文脈によって、使用される文脈によってその意味は異なるものとは思いますが、我々は、一般の方々はテロ等準備罪の捜査の対象とならないという文脈においては、組織的犯罪集団と関わりがない方々、言い換えれば、何らかの団体に属しない人はもちろんのこと、通常の団体に属して通常の社会生活を送っている方々という意味で用いております。  その上で、テロ等準備罪は、犯罪の主体を組織的犯罪集団に限定したことによって、組織的犯罪集団と関わり合いがあるという疑いがなければその者に対する捜査は行われません。そして、組織的犯罪集団とは、国内外の犯罪情勢等を考慮すれば、テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織など違法行為を目的とする団体に限られるのでありまして、一般の方々がこれらと関わり合いを持つことのないのはもちろんのこと、関わり合いを持っていると疑われることも考えられないのであります。  このように、組織的犯罪集団と関わりのない一般の方々、すなわち何らかの団体に属しない人たちはもちろんのこと、通常の団体に属して通常の社会生活を送っている方々はテロ等準備罪の被疑者として捜査の対象とならないと言えるわけであります。
  232. 福島みずほ

    福島みずほ君 それは盛山副大臣の答弁と全く矛盾しています。そして、組織犯罪集団の定義に、別に過去に違法行為をやっていたとかそういう定義は一切ないですよ。一切ないんですよ。一変すれば組織犯罪集団になると。組織犯罪集団が共謀したかどうかということで嫌疑が掛かれば、それはもう一般人じゃないんですよ。  この共謀罪が、二百七十七以上のまさに共謀の段階で、しかも実はその前から捜査が始まりかねない。この余りに早く成立する共謀罪、しかも大臣の答弁は全く心もとない。これで処罰される人が出るというのはもう納得がいかない、廃案しかないということを申し上げ、質問を終わります。
  233. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 今日は許可をいただいていないんですが、いいでしょうかね。元気ですか。元気があれば何でもできる、元気があれば怖いものがないという。  夏もだんだん近づいてまいりました。この時期になると出るものは蚊だけではありません。足のないもの、幽霊です。  先日、ブラジルの、いろいろネットで拾っていたところ、ブラジルの首都ブラジリアにある大統領公邸に、アウボラーダ宮殿に幽霊が出るということで、嫌な感じがするというのでテメル大統領が早々に退去をしました。こんな記事が出ておりましたが。  一九七九年から八五年にかけてのフィゲレード大統領、よく公邸に私も招待されまして、庭でシュラスコを食べたり、大統領が世界から集めた馬に乗ったりということで良くしていただきましたので非常に印象の多いところなんですが。前からうわさがありますが、首相公邸にも幽霊が出るということを聞いたので調べてみたところ、歴代の首相が、塩をまく、お香をたく、おはらいをするといったようないろいろ努力をしていたようです。  加賀谷健議員、亡くなられていますが、一九九三年ですか、このことについて質問をされたようですが、いろいろ取り寄せたんですが、当時安倍総理ですが、どういう答えをしたのか、ちょっと手元にありません。菅官房長官も記者会見で、幽霊の気配を感じるかと聞かれ、いろんなうわさがある、言われればそうかなと思うと述べたそうです。安倍総理が公邸に入居をしないのは幽霊が出るからではないかという、今日、本当は総理がおられるかなと思ったらおられないので、直接聞くことができませんが、そんなことで、私もまだ見たことありません。  本題に入ります。  四月三十日、麻生大臣が、ジャパン・ハウス開会式のためにブラジル・サンパウロに訪問されました。親日派の拡大のために日本の魅力を発信する拠点にできることは、我が国にとって重要なことだと思います。レセプションでテメル大統領を始めいろんな方、話をされたと思いますが、本当に、先ほども石井同僚議員が質問されていましたが、私も十四歳のときにブラジルに移民をいたしましたので、非常に、移民というか、あるいは当時は出稼ぎという言葉もありましたが、これから本当に人口が減少していく中ではそういうようないろいろ力も借りなきゃならないかなと思います。  そこで、今回の会談、手応えはどうでしたか。ジャパン・ハウス、評判についてお聞かせください。
  234. 薗浦健太郎

    ○副大臣薗浦健太郎君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、四月三十日、我が方からは麻生副総理、ブラジル政府からテメル大統領の出席を得て、開館式、行わせていただきました。ブラジル側からは、外務大臣や文化大臣、またサンパウロ州知事、サンパウロ市長も参加をいたしまして、またメディアも四十社以上参りまして、非常に期待の高さというものがうかがえる、そしてまた盛況でございました。  その後、五月六日に一般公開が始まりましたけれども、当日、翌日含めて七千五百人の方がいらっしゃって、最大で二時間待ち、また七日に行われました野外でのオープニングコンサートには一万五千人の方が集まりまして、非常に順調に滑り出したと考えております。  御指摘を踏まえ、更なる親日派、知日派の裾野を広げる取組強化してまいりたいと考えております。
  235. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 次に、オリンピックの跡地ということで、さんざんまだいろいろな問題が残っていると思いますが、一方で、リオのオリンピックの跡地、本当に、この間写真で見ましたが、たった半年で廃墟化してしまい、治安が悪化していると。また、リオの知事も今汚職で収監されているという。本当に、一つは、せっかくの世界のイベントとしてやったものが状況がこんなになってしまった。私もブラジルには非常に思い入れもありましたので、その廃墟化した事情について、分かる範囲内で結構です、お聞かせください。
  236. 大鷹正人

    政府参考人(大鷹正人君) お答え申し上げます。  現地の報道によりますと、本年の二月現在、リオ大会で使用された競技施設のうち十四施設が閉鎖されておりますけれども、その半数以上について必ずしも利用の見通しが立っていないということでございます。  それも踏まえて、私どもの在リオデジャネイロ日本国総領事館の方で調査を行いましたところ、やはり現時点では競技施設を後利用する計画は必ずしも進展していないのではないかという情報に接しているところでございまして、引き続き注視していく必要があるというふうに思っております。
  237. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 オリンピック施設については、本当に、日本はそんなことにはならないと思いますが、やっぱり今までのいろんなオリンピックも必ず、あと、この前の鳥の巣も、中国のあそこも行ってまいりましたが、跡地が非常に再利用できないということで困っているようです。  東京オリンピックの後の使い方、あるいはどのぐらいのことを決めているのか、今現在で結構ですが、決まっている範囲内でお聞かせください。
  238. 水落敏栄

    ○副大臣(水落敏栄君) お答えいたします。  ただいま外務省が御報告申し上げましたように、本年二月現在、リオ大会で使用された競技施設のうち十四施設が閉鎖されておりまして、その半数以上について必ずしも利用の見通しが立っていないということであります。東京大会では、国が整備を行う新国立競技場を始め、開催都市であります東京都が、有明アリーナ、海の森水上競技場等を新たに恒久施設として建設する予定としております。  私は、今月四日に、フランス政府が所有し民間業者が運営するスタジアムでございますスタッド・ド・フランスを視察をいたしました。スタジアムの運営は、サッカー、ラグビー、コンサートなどの収入を得て採算が成り立っていること、レストランやボックス席の利用がセットになった企業向けのチケットの採算性が高いこと、スタジアムの整備やその後の運営までを念頭に置いて民間事業者が実施したことなどを聞いてまいりました。  新国立競技場については関係閣僚会議整備計画で民間事業化を図るとされておりまして、現在、私を座長とするワーキングチームにおきまして、コンセッションなどの手法を活用したスタジアムの運営方法などについて具体的な検討を行っているところでございます。  海外の事例なども参考にして、新国立競技場の収益性を高める取組検討を進めたいと考えております。  なお、東京都におきましては、新規恒久施設について大会後の活用方策の検討を進め、本年四月十九日、大会後の施設運営の指針となる新規恒久施設の施設運営計画を公表したところであるというふうにお聞きしております。
  239. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 私が一九八九年に国会に出まして、そのときにスポーツ省をつくりたい、当時のスポーツ平和党の公約にも入っていましたが、その後、安倍晋太郎、今の総理のお父さんに何回かお目にかかった節に、是非スポーツ省をつくりましょう、つくってくださいという話をしたときに、猪木君、それはとにかく言い続けなさいと言われたことが非常に記憶に残っておりますが、あれから二十六年、二〇一五年十月一日、スポーツ庁が設置されました。  私は、各国のスポーツ大臣ともいろいろお会いしてきましたが、今、スポーツ庁はどのようにこれから行くのか。何でもそうですが、でき上がったときには非常に派手にいろいろ話題にもなりますが、その後尻切れとんぼというか、全くどうなっているか分からないと。今日は、本当は鈴木大地スポーツ庁のじかの話を聞きたかったんですが、具体的な活動内容と今後の方針についてお聞かせをください。
  240. 高橋道和

    政府参考人高橋道和君) お答え申し上げます。  スポーツ庁は、鈴木大地長官の下、平成二十七年十月の発足以来、誰もが気軽にスポーツを楽しむことができる環境整備など、スポーツ立国の実現を目指して取組を進めてまいりました。  具体的に五点ほど申し上げますと、例えば、スポーツを観光資源とした地域活性化や地域スポーツの活性化促進、厚生労働省から移管された障害者スポーツの振興、スタジアム・アリーナ改革などスポーツの成長産業化の推進、日本版NCAAの創設検討など大学スポーツの振興、東京大会やその先も見据えて我が国の競技力強化を支援するための鈴木プランの策定、実施、こういった取組を進めてまいりました。  また、本年三月には第二期スポーツ基本計画を策定して、例えば、今後五年間で成人の週一回以上スポーツ実施率を六五%にする、二〇二五年度までのスポーツ市場規模十五兆円、これは約三倍に拡大する、東京大会における過去最高の金メダル数の獲得支援など、二十の数値目標を掲げたところでございます。  スポーツ庁では、これらの目標を着実に実現するため、今後、スポーツ団体、民間事業者、地方公共団体等、関係者と一体となって更に取組を進めてまいります。
  241. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 北朝鮮問題は、もう大臣も何遍も聞かれているのであれかもしれません。この間、外交防衛でも質問させてもらいました。これは私の体験談ということで、ちょっと聞いていただければ有り難いと思います。  本当に今回の報道を見まして、実際、コメンテーターの皆さん、みんな専門家ですから、この影響力も大変強いんですが、実際どういうことが起きているか、どうなっているか、あるい北朝鮮が、本当に一方的なニュースだけですから、そんな点について、韓国でも日本報道の在り方は行き過ぎじゃないかという批判も出たようです。  先ほども申し上げたとおり、委員会でも質問させてもらいましたが、百六十二か国外交関係がある。その中身が、本当によく分かって伝わってこない。百聞は一見にしかずということで、私も三十一回訪朝していますので、スポーツ交流を通じて世界平和、どんな場合でもどこかのドアを開けておくべきだというのが私の終始一貫した考え方なんです。  食べ物でも、野菜が畑にあると、大根かニンジンか分かりませんが、それを取って、収穫して、それから料理をしてどういうふうにおいしいものにするかという。外交の情報というのは、多分にもう最初の段階で料理が決まっているんだろうと私は思います。それから料理されて、我々の前に来るときにはもう既に方向も決まって、いろんなものができている、そういうような感じがしますが、これはなかなか裏の話ですから質問しにくいんですが。  そういうわけで、北朝鮮における人脈という部分では、李洙ヨン氏、今回外交委員長にもなりました。ほかに金容淳さん、あるいはいろんな方も会談をさせてもらって、あちらの考え方ということも、是非、行ってみればそうかなということもあります。  そういう中で、やはり先ほど圧力というのが、この間も対話のための対話はしないと。それも含めて、しかし、どこかでその扉を開ける。これからアメリカも今方向が少し変わり、中国も、そういう中にピンポン外交というのがありましたが、かつて、そういう外国が動いたときに日本がそれから慌てて動くのではなくて、日本独自の外交をしっかり持っていく必要があると思います。  その点について率直な意見をお聞かせください。
  242. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、北朝鮮問題において情報収集、分析が重要であるということは言うまでもありません。関係国と緊密に連携しながら、平素から重大な関心を持って情報収集、分析に当たっているわけですが、我が国としては在外公館等を通じて鋭意情報収集、分析に努めているわけですが、その際に、米国るい韓国、こういった国々との連携、もちろん重要でありますが、加えて、北朝鮮に在外公館を有する国々るいは地域があります。全部で二十四か国一地域が北朝鮮に公館を持っているわけですが、こういった国々との連携、情報交換、こういったことは重要であると認識をし、動向を注視している次第です。  そしてその上で、対話ということを考えた場合に、先ほど来申し上げておりますように、対話のための対話であってはならない。意味ある対話を行うためには、まずは北朝鮮非核化に向けて真剣な意思るいは具体的な行動を示すことが重要であると考えております。ただ、にもかかわらず、昨日は弾道ミサイルが更に発射をされました。まずは、今は圧力を掛けることが重要であるという関係国との共通した認識の下に、国連の場等を通じて取組を続けています。  こうした取組を進めながら、今後については、北朝鮮反応も見ながら、具体的な行動を強く求めていかなければなりません。反応も見ながら、具体的な行動を引き出すためにはどうあるべきなのか、これを検討しながら対応を続けていきたい、このように思っています。
  243. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 何とか平和的な方向へという、その礎としてスポーツ交流をやってまいりましたので、また状況が変われば、ひとつ、自民党の中の人でも是非一回行きたいという声もありますので、そういう代表団をしっかり連れていかれたら、日本の役割というのを是非果たしていただきたいと思います。  次に、恩給について、最後に、決算委員会なので恩給関連予算についてお伺いします。  旧恩給法により、他の費用のように今後増えていくものではありませんが、旧軍人遺族恩給についてはどのくらい残るんでしょうか。  先日、奥さんに先立たれた旧軍人の方が、最後に若い人にお金を残すために再婚されるという話も聞きました。そうなると、かなりの長い間恩給が続くことになりますが、そういったケースがどのくらいあるのか、最後、お聞かせください。
  244. 横山均

    政府参考人(横山均君) お答えします。  まず、御指摘のとおり、恩給予算は年々減少しており、今年度は二千七百九十三億円で、昨年度に比較して四百五十二億円の減となっております。  恩給の受給権は、旧軍人などの公務員が死亡した当時、公務員により生計を維持し、又は生計を共にしていた遺族に扶助料という恩給が支給されています。  御質問のどのくらい残るかにつきましては、現在受給されている公務員の方が、養子縁組や婚姻などによりどのような家族をおつくりになられるかということにより変動します。このため、正確に予測することは困難であります。なお、平成二十九年度における委員のおっしゃる旧軍人遺族恩給の受給者数は約三十五万一千人となっております。  また、委員から、若い人にお金を残すために再婚しているケースがどのぐらいあるかというお尋ねをいただきました。私どもとしましては、若い人にお金を残すために再婚しているなどの個々のケースについては把握しておりません。
  245. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 もう最後、時間が来ましたので。  憲法改正についてこれから論議されると思います。自衛隊がこれから軍隊とした場合に、旧軍人恩給のような制度が存続するのか。お答えは要りません。  ありがとうございました。
  246. 岡田広

    委員長岡田広君) 他に御発言もないようですから、法務省外務省防衛省裁判所及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門決算についての審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十二分散会