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2017-04-27 第193回国会 参議院 経済産業委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年四月二十七日(木曜日)    午前十時五分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小林 正夫君     理 事                 岩井 茂樹君                 滝波 宏文君                 宮本 周司君                 石上 俊雄君                 石井  章君     委 員                 青山 繁晴君                 井原  巧君                 北村 経夫君                 林  芳正君                 松村 祥史君                 吉川ゆうみ君                 渡邉 美樹君                 礒崎 哲史君                 浜口  誠君                 平山佐知子君                 伊藤 孝江君                 石川 博崇君                 岩渕  友君                 辰巳孝太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        廣原 孝一君    参考人        一橋大学大学院        商学研究科教授  山内 弘隆君        東京理科大学大        学院イノベーシ        ョン研究科教授  橘川 武郎君        公益社団法人日        本消費生活アド        バイザー・コン        サルタント・相        談員協会代表理        事        大石美奈子君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○原子力損害賠償廃炉等支援機構法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 小林正夫

    委員長小林正夫君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  原子力損害賠償廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。  御出席いただいております参考人は、一橋大学大学院商学研究科教授山内弘隆君、東京理科大学大学院イノベーション研究科教授橘川武郎君及び公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会代表理事大石美奈子君でございます。  この際、参考人皆様に一言御挨拶申し上げます。  本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。  参考人皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、本案審査参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  それでは、議事の進め方について申し上げます。  まず、山内参考人橘川参考人大石参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員質疑にお答えいただきたいと存じます。  御発言の際は、挙手していただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。  なお、参考人質疑者共に御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず山内参考人にお願いいたします。山内参考人
  3. 山内弘隆

    参考人山内弘隆君) それでは、原子力損害賠償廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案につきまして、参考人として意見を述べさせていただきます。  本日は、このような機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。  私の資料、お手元にあります「原子力事故に係る賠償および廃炉費用負担について」という一枚の紙でございます。  福島原発事故電力システム改革ということでございます。  御承知のことでございますが、福島原発事故がございまして日本電力需要が大きく変わったという実態があります。しかし、その前に、電力自体が恐らく一九九〇年代ぐらいからシステムの大きな改革を遂げてきたという事実がございます。世界的に見ましても、電力事業改革をして自由化をする、その中で効率性あるいは費用の削減を目指していくと、こういう流れがあったわけでございます。  具体的に言いますと、電力事業というのは、基本的にこれは地域独占で行われてきた、地域独占で行われてきたことによるいろいろな弊害が目立ってきた、そういうことと、それから、さらには新しい技術、新しいイノベーションというものを推進していく必要がある、それで社会全体のコストを下げていくと、そういう目的があったわけでありますね。  そこで、事業をこれ切り分けるという表現をそこ使っておりますけれども、今まで垂直的に統合してきた発電と送電、配電、小売と、これが一体的にやってきたわけですけれども、それを切り分けることによって競争を実現すると、こういう動きになってきたわけであります。日本では、一九九〇年代の半ばから特別高圧といういわゆる産業用電力中心自由化を始めたということであります。そういう流れの中で福島原発事故というものが起こったということであります。  我々、もちろん原発事故を、これに対する対処というものを第一にしなければいけないわけでありますけれども、その背景として、今申し上げたような電力事業自由化改革すると、こういう流れがあったということを御理解いただきたいというふうに思っております。  しかし、福島事故が起こって、何がその教訓として得られたかということでありますが、例えば、福島の大きな発電所原子力発電所事故起きて、それでいろいろな周辺に被害を及ぼしたんですけれども、それだけではなくて、供給システム自体の、いわゆるその集中型の供給システムがいいのかどうかと、こういう問題ですね。例えばドイツのようなところでは、さらに分散型のシステムを取り入れているということもございます。そういたしますと、供給システムとして集中型がいいのか分散型がいいのかと、こういうことも考えなければいけない。  それから、デマンド・サイド・マネジメントといいますけれども、今までは電力というのはピークが立つとそれに合わせて発電をつくってきたわけでありますけれども、そういう中で需要の方を抑制する、コントロールすると、こういう視点はないのかどうかと、こんなような議論もあったというわけであります。  いずれにいたしましても、そういう自由化というものが進んで、その中でこの事故が起きたということであります。自由化が進むと、自由化といいますか、制度改正が進むとどういうことが起きるかというと、今までの体制と変わってきますから、そこで新しいシステム、新しい法体系の下では回収できないような費用というのが発生する、ストランデッドコストというような言い方をしますけれども、そういったことも一方であり、その中で今の事故の問題があったということであります。  東京電力在り方につきましてですけれども、事故以来いろいろな意見があったことを承知しております。東京電力自体法的整理をしてしまった方がいいんではないかということも言われたところであります。  私は、一貫して東京電力については法的整理をせずに現存の企業体として残しておくべきだというふうに主張してまいりました。その理由は幾つかございますけれども、一つは、原子力損害賠償法で言われる第三条のいわゆる責任問題というのがあって、それを完遂するためには今の事業体の方がよろしいんではないかというのが一つであります。それから、もう一つは、法的整理に伴っていろいろな賠償債務債権関係が非常に複雑になる、そうしますと、緊急を要し、しかも社会的にも絶対的に必要な賠償というものに対する、何といいますか、時間的な遅れとか複雑性とか、そういうものが生じるんではないかと、こんなふうに考えたわけであります。  そういう中で、法的な主体として残して、東京電力を残して、そしてある意味では責任を取っていただくと、こういうことが望ましいんではないかというふうに考えてまいりました。ただ、その責任を取るときに最も重要なことは、その責任を取るための安定的な資金長期にわたって確保していくと、こういう必要性であります。最初原子力賠償損害支援機構が成立をして、そこでそういう仕組みができたわけでありますけれども、それだけでは十分ではないと、こういうことが分かってきて、それで、御承知のように昨年の秋ですかね、夏以降、東京電力在り方についていろんな議論が起こってきたということであります。  そこで、私、そこにありますけれども、電力システム改革貫徹のための政策小委員会というものに参加させていただいて、その司会役、座長を務めさせていただいたということであります。これは、言うまでもないことでありますけれども、東京電力がどのようにあるべきか、どういうふうに改革すべきかという、そういうその姿、これは別のところで議論をされていたわけでありますけれども、そういうあるべき姿と、それから一方で、どれだけの費用が必要なのかと、これは将来にわたって必要なのかと、こういうようなこと、これも別のところで議論されていた。それを受けた上で、電力システム改革をする、先ほど申し上げたような自由化中心とする改革をする、こういったことを無事に、そして整合的に行えるためにどうしたらいいかと、こういうことを議論するための小委員会であったというふうに理解をしております。  これは非常に複雑な話でございますので、今日ここで全てを御説明して、そして私の意見を言うという時間がないと思いますけれども、基本的には、今申し上げた、市場改革をするという一方で、東京電力の安定的かつ将来的にわたるような資金確保すると、こういうことで、今そこにありますように、市場の整備のワーキンググループと、それから財務会計ワーキンググループという名前のワーキンググループをつくって、それぞれにおいて市場在り方資金在り方ということを議論したということでございます。  私は商学部に属しておりまして、そういう面では、技術的なことではなくて、今申し上げたような財務的な、あるいは、基本的には私の専門経済学でございますので、社会的にどういうふうな形で費用負担をしていくかと、こういう議論が私の得意なところ。その意味では、財務会計の方を担当させていただいたというわけであります。  財務会計ワーキンググループで、そこにありますけれども、四つ論点ということであります。  一つは、原子力事故に係る賠償への備えに関する負担在り方ということであります。これは御説明の必要もないと思いますけれども、事故によって生じたいろいろな損害に対して賠償をする、それをどういうふうに費用負担をしていくかと、こういう具体的な話であります。  それから、二つ目廃炉資金管理確保在り方ということであります。本日ここの場で議論されている法改正内容についてが直接これに関係するものだというふうに理解をしております。  それから、三番目が廃炉に関する会計制度の取扱いということです。これは事故炉以外の原子力発電所廃炉する際の会計的な扱いということであります。  それから、四つ目税制面の課題についてということで、これは法人事業税の取り方でありますけれども、ある意味ではこれはマイナーな問題と言えるかもしれません。  そこで、一番最初賠償備えに関する負担在り方というのが一番大きな議論になったところかというふうに思っております。  先ほど申しましたように、どれだけ将来的に費用が必要になるのかというのは、これは我々のところではなくて別のところで議論されていたわけでありますけれども、それに対して東京電力という枠組みを使ってきちっと損害賠償をしていくというためにどうしたらいいのか、その費用をどういうふうに負担したらいいのかと、こういうことになったわけであります。  そこで、基本的にはこれ、何らかの形で利用者国民皆さんに御負担いただくというのが前提になるわけでありますけれども、どういう形でそれをお願いするのかということであります。結論的に申し上げると、我々のところで取った策は、託送料金にその分を上乗せしてといいますか、託送料金の一部としてそれをお願いして御負担していただくと、こういうことだったわけであります。  これはなぜそういうことなのかということでありますけれども、今申し上げたように、私自身のこれは考えですけれども、国民方々広く御負担いただくというのが基本だというふうに思っておりますけれども、これ託送料金で取るのかあるいは税金という形で取るのかと、こういう議論になったところでありますけれども、これは両者メリット、デメリットあろうかというふうに思いますけれども、我々の取った考え方は、託送料金の形を取ることによって、ある意味では受益負担といいますか、そういうものを結び付けることができる、あるいは負担在り方も少しバリエーションを付けることができる、それが国民的な理解にとって非常に重要ではないかと、こういうふうに考えたところであります。  今申し上げました受益負担というところでありますけれども、受益、これは何かということでありますけれども、我々の考え方ではこれは過去分という言い方をしておりまして、これは非常に誤解を招きやすいのでこの言葉のワーディング自体は私自身も少しどうかと思っておりますけれども、過去分、要するに原子力発電を今まで消費してきたといいますか、その中で得てきた消費者利用者受益者需要者としての利益みたいなものを考えたらどうかということであります。  これは非常に分かりにくいんですけれども、これ逆に企業財務の方から見てみますとどういうことかということなんですけれども、これ、今までの電気料金というのは総括原価でやってきたわけでありますけれども、その総括原価でやってくると、その中で費用項目といいますか、費用はこれだけだということをある意味ではきちっと固めていくわけでありますね。ところが、それに含まれなかったような費用というのがあったのではないか、それは取りも直さず今回の事故で明らかになったいろいろなリスクですね、こういったものを取りこぼしてきたのではないかということであります。事故リスク、あるいはそれにまつわる様々なリスクですね、こういったところが、制度的リスクとも、先ほど申し上げたようにストランデッドコスト的なものでいえば制度的リスクということになりますけれども、そういったものを取りこぼしてきたのではないかということであります。  そういったものを考えたときに、その分だけ皆さんの御負担が小さかった、これはある意味ではそれを取り込めなかった自体ということが問題ではありますが、今考えてみればそれが利益受益というふうにつながるのではないかと、こういうふうに考えるわけであります。そこで、今申し上げた受益というものとそれから負担というものを結び付けるということによる、これの形でいえば託送料金という形が望ましいのではないかと、こういう結論に達したということでございます。  企業会計でいうと引当金というのがございますけれども、引当金というのは、ある意味では、今いろいろな事業活動を行う上で、それに備え意味で引き当てるというのがございますけれども、その中にもある意味ではリスクを含むということがあるわけでありますけれども、そういった引当金的なものが十分に行われなかったと、こんなふうに考えるわけであります。  ここが一番大きな論点であったわけでありますけれども、御承知のようにこれに対してはいろいろな御判断、御発言、御意見がございまして、税金でやるべきだという御意見もございましたし、いろいろな御反対もありました。我々としては、報告書の方にまとめましたけれども、そういう反対というものがあった上でこういうふうに決めましたということで御理解いただいたというふうに考えております。  それから、廃炉資金管理ということでございます。これは長期にわたって廃炉をしていく。この廃炉費用は、これは一般的な負担ということではなくて東京電力の全体としての負担としてやっていく。その資金確保するために、支援機構等を通じた明確な資金流れというものをつくっていく。これをするための内容ということになっております。時間の関係で詳細は省きますけれども、これにつきましても、長期的な資金確保という意味で非常に重要なものであると私は考えておる次第でございます。  総合いたしまして、大きなシステム改革の中で今回の事故があって、それを、システム改革との整合性を取りながらこれを処理していくといいますか、手当てしていくという必要性があって、今回の結論に至ったということであります。私自身は、やはり新しい制度の下で、競争あるいはそこから生まれるイノベーションというものが電力供給そのもの、あるいは更に言えば、日本インフラ産業の効率的な在り方というものを導き出していっていただきたいというふうに考えております。  御参考になればと思いますけれども、以上が私の考えであります。どうもありがとうございました。
  4. 小林正夫

    委員長小林正夫君) ありがとうございました。  次に、橘川参考人にお願いいたします。橘川参考人
  5. 橘川武郎

    参考人橘川武郎君) ありがとうございます。橘川と申します。  それでは、原子力損害賠償廃炉等支援機構法改正に関しまして、参考人として意見を述べさせていただきます。  私、両隣の二人の参考人と違いまして、この法改正を準備しましたシステム改革貫徹小委員会委員ではございません。私、十数年来、経済産業省で、主として資源エネルギー庁でたくさんの審議会委員を務めさせていただいてきました。私の専門電力の歴史を研究する経営史家なんですけれども、なぜか専門電力でだけ審議会委員に呼ばれたことは一度もなくて、それ以外のことでは多分全ての原課委員を務めさせていただいたという者でありまして、よって、この法律改革についての細かい論点については、メンバーじゃないので私は十分には分かっておりません。したがって、それよりはもう少し大きく、あるいは広い観点から、福島事故事後処理在り方あるいは東電改革在り方という点から私の意見を述べさせていただきたいと思います。  お手元に青い題字のパワーポイント資料があると思いますので、それを見ていただきたいと思います。  一ページ目です。  エネルギー基本計画の冒頭の「はじめに」の部分を書かせていただきました。こちらの委員会には私、委員として参加しておりましたので。やはり福島方々に寄り添い、福島復興再生全力で成し遂げると、これがエネルギー政策を再構築するための出発点であると、ここが大事な考え方だと思います。  次のページをめくっていただきたいと思います。  そういう観点に立ちますと、東電福島事故に対処する事後処理に当たっての原則というのが私は二つあると思います。一つは、ともかく福島復興再生全力を挙げるという点であります。それから、もう一つ東京電力供給エリアとしていた地域において電気低廉で安定的な供給をきちんと確保すると。これが二大原則だと思います。東京電力がどうなるかということはある意味では二の次と言っては失礼かもしれないけれども、この原則を貫徹するということが一番大事だと、こういうふうに、この二つ原則が大事だと思っております。  次のページをめくっていただきたいと思います。  御存じのように、昨年の暮れ、現時点で東京電力福島事故事後処理費用が二十一兆五千億円に上るということが発表されました。特に廃炉費用については、まだデブリの存在も特定できていませんのでここは更に膨らむ可能性もありますし、汚染水処理なんかを考えますと更にやはり膨らむ可能性もあるということであります。  これを、筋からいきますと当然東電が払うべきではありますが、とても私は払い切れないと思いますので、最終的にはかなりの部分国民負担になるのはやむを得ないと考えております。それはなぜかといいますと、先ほどの第一の原則ですね、福島においてきちんと廃炉除染賠償が進められませんと福島再生復興はあり得ませんので、福島県民にお金が回らないと困りますので、やむにやまれずですが、国民負担はやむを得ないと。そういう意味では、事実上、東電責任有限責任という形にこの件に関してはなるのではないかと、こう思います。  ただし、その国民負担を具体化する前にやるべきことがあると思います。やはり、国民からすると、それを納得するためには事故を起こした東電がやるべきことをきちんとやると、全てをやった上で、ならば国民負担のことについて議論をしましょうというのが物事の順番ではないかというふうに思っています。  それでは、東電がやるべきことは何か。それは、発電所中心に資産を完全に売却する。特に、国民負担をしているにもかかわらずまだ東京電力原子力発電事業を続けるというのはなかなか納得ができないと思いますので、まずは柏崎刈羽原子力発電所、そして、そうしますと新々総合特別事業計画も成り立たなくなりますので、火力発電所を含めまして全ての発電所を売却し、その売却で得た収益をまずは廃炉費用に充てるということが重要なのではないかと思います。  この場合、決して私は、柏崎刈羽原発は比較的新しい原子力発電所でもありますので、規制委員会の承認が取れた場合には動かした方がいいという、そういう立場に立っております。それを動かす人たちは、今の東電人たちが新しい事業者に移るということです。火力発電所についても、事業主体が替わるけれども、実際に動かす人間、設備は同じということでありまして、二の原則の方の電気低廉安定供給の方にも支障はないと、こういうふうに考えております。それが私の基本的な考え方であります。  次のページをおめくりください。  ここで、やはり民意ということを考えますと、昨年十月の新潟県知事選挙の結果が非常に意味があると思います。なぜ意味があるかと申しますと、三・一一以降四回の国政選挙がありましたが、そこでは必ずしも原子力の問題というのは中心的な論点とはなりませんでした。原発問題が中心的な論点となった選挙二つしかありませんで、二〇一四年二月の東京都知事選挙と二〇一六年十月の新潟県知事選挙です。結果は全く逆でした。原子力に批判的な勢力が東京都知事選では敗れ、新潟県知事選では勝ちました。その理由は一体何なのかという点、私は二つあると思っております。  私、反原発だ、推進だという形で二項対立で議論が進むこと自体がおかしなことだと思っていますので、原子力問題というのは現実的に考えていかなきゃいけないという立場であります。  そういうことからすると、何でその都知事選新潟県知事選挙の結果が違ったというところに一つの大きなヒントがあると思うんですが、次のページにちょっとグラフを掲げましたけれども、エネルギー価格の動向です。細かいことは申しませんが、この一番上の黄土色の線がブレントで示された原油価格でありまして、あとの三つの線は、上から日本、ヨーロッパ、アメリカの天然ガス価格を示しますが、二〇一四年二月の東京都知事選の頃は原油価格が一バーレル当たり百ドルくらいでした。それに対して、二〇一六年十月の新潟県知事選挙のときには一バーレル当たり四十ドルくらいにまで下がっています。これによって日本貿易赤字は消えております。そして、原発が動くことによる電力コスト面での貢献というのもその分小さくなったというようなところがあります。私は、この辺のことを選挙民方々はきちんと判断されていて、違う判断になったんじゃないかと思います。  それから、もう一点重要なのは、再稼働自体が困難だと思われます福島第二を除きますと、柏崎刈羽が唯一の、原発が立地している地域がその会社の供給エリアでないという、いわゆるたこ揚げ地帯方式と言われるエリアであります。これに対する新潟県民の批判的な観点もやっぱりあったんではないかと思います。  そういうことを考えますと、この東京電力による柏崎刈羽原発の完全売却ということがいろんな問題を解決する出発点になるのではないかというふうに思います。  もう一度申しますが、国民負担議論の前に東電の徹底的なリストラが必要だと考えます。そもそも、貫徹小委と同時に行われました東電改革・1F委で打ち出されました東電から原発を分離して、分社して連携するという案は、東電が残りますので、ということは二十一兆五千億の福島リスクと必ず結び付けられますから、他の電力会社はこの案には絶対乗ることができないと思います。東電がいる限りそうなってしまうので、東電が完全売却してそれを廃炉費用に充てることによって福島リスクと切り離されると、初めて柏崎刈羽の再稼働の議論ができるようになると、こういうような物事なのではないかと思います。端的に言いますと、私は規制委員会の許可が下りれば柏崎刈羽は動かすべきだと思いますが、そういう立場からいって、東電、あんたは邪魔なのよと、こういうことであります。  それでは誰が買うのかという話になりますけど、やはり地元の電力会社でありますので、避難計画のことも考えまして、東北電力は必要だと思います。ただし、東北電力はキャッシュが足りないと思いますので、中心的な受皿になるのは日本原電なのではないかと考えます。日本原電は現在、敦賀一号機が廃炉、二号機が活断層の問題、東海第二は地元の自治体の長の同意がなかなか得にくいということで、事実上原発なき原電というような状況になっていますので、原電が役割を変えて、この問題児沸騰水のオペレーション会社みたいなような形になるのではないかと、こういうふうに思っております。  二つページをめくっていただきまして、この完全売却を行いますと波及効果があります。  そもそも、そういうやり方をして東電は大丈夫なのだろうかと、こういう話あろうかと思いますが、私は十分にやっていけると思います。東京の地下を走ります二十七万五千ボルトの高圧線、それに伴う世界最高の消費地へ向けての配電線、これが一番の競争力の源泉、コアコンピタンスになると思いますので、いわゆるネットワーク会社、グリッドパワーと、いわゆる小売会社、エナジーパートナーを中心にやっていけると思います。  これらの会社が堅実に上げた利益の一部を長期にわたって賠償に回すべきだと思います。ちょうどチッソと同じ方式であります。チッソは液晶の世界の半分を作り出して利益を上げて、それを半世紀にわたって水俣病の賠償に回してきました。世界史的にこんな会社はほかにありません。こういうことを東電についてもやるべきじゃないか。  一方で、福島責任はきちんと果たしていただかなければいけないので、その場合にも福島第一廃炉推進カンパニーの事業は継続していくと、こういうことになってまいります。  こういう形で原電を中心柏崎刈羽原発を管理するようになって、もしそれが再稼働ということになりますと、そこから出た電源は中立的な値段で電力市場に回すということができるようになります。現在、電力の離脱率約五%、頑張っていると思いますけど、まだまだ十分とは言えないと思います。それはやっぱり卸取引所のシェアが三%であることと強い相関関係があると思いますので、そういう意味で、この完全売却をやると、卸取引所を厚くして自由化を促進するという効果もあると思います。  一方で、更に火力発電所まで売りに出ますと、東京湾のLNG火力が売りに出ますので、今、東京湾をめぐっては、東京市場に参入したい他地域電力会社や石油会社やガス会社がたくさんの石炭火力発電所を造ろうという計画がありますが、それは東電が売りに出すLNGを買えばいいわけでありまして、あえて石炭火力を建てる必要がなくなりますので、これは地球温暖化対策に対しても貢献するのではないかと、そういう波及効果があるのではないかと思います。  最後に、一番最後のページですが、原子力をめぐってはネガティブキャンペーンを言っている時代は終わったと思います。どうやって解決していくのか、私は三つの方向が重要だと思っております。  何%であれ原子力を使うというならば、危険性を最小化しなきゃいけないのは当然であります。ということは、新しい炉を使った方がいいに決まっているわけでありますから、堂々と、使い続けるというのならば新しい原子力を建てるということを言うべきだと思います。一方で、古い原子力はどんどん畳んで依存度全体は下げると。リプレースと依存度低下を同時に追求するというのが道筋だと思っています。  そして、何よりも、使用済核燃料の処理問題、バックエンド問題を解決しなければいけません。そのためには、何といっても、一万年単位で危険な期間が続きますと、どこの自治体も最終処分地として受け入れることはできないと思いますので、「もんじゅ」が廃止になるのであればそれに代わる、「もんじゅ」は基本計画ではバックエンド問題の中心と位置付け直されていて、その方向は正しいと思うんですけれども、それが廃炉になってしまいますので、どうやってその危ない期間を短くするのかという、その毒性低減の炉の開発に全力を挙げるべきだと思います。あわせて、そのためには、時間が掛かりますので、原子力発電所の中で追加的なエネルギーが必要としない安全な形での空冷式の中間貯蔵を行うという、オンサイト中間貯蔵というような考え方が必要なんじゃないかと思います。  そして、バックエンド問題が解決しない場合には、やはり長期的には原子力を畳んでいかなければいけない。その場合、原発立地地域、福井県のような原発立地地域はどうするのかという話になると思いますので、そこでは、送変電線を使って火力シフトをする、廃炉で雇用を確保する、そしてオンサイト中間貯蔵に対して消費地から保管料を払うというような枠組みで、一つの選択肢として原子力からの出口戦略という選択肢も準備する必要があるんじゃないか。これ、原発をやめろと申しているわけではありません。バックエンド問題が解決すれば原発は使い続けることができると思いますが、二つの選択肢を持つ必要があるのではないかと思います。  以上で私の意見陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  6. 小林正夫

    委員長小林正夫君) ありがとうございました。  次に、大石参考人にお願いいたします。大石参考人
  7. 大石美奈子

    参考人大石美奈子君) ただいま御紹介にあずかりました大石と申します。  本日は、このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。  私は、先ほど最初に御発言いただきました山内先生と同じ、俗に言う貫徹委員会委員として参画しておりました。今日のお話は原子力損害賠償廃炉等支援機構法の一部を改正する法律の案についてということではありますが、その基本となりました貫徹委員会の中に参加した消費者の代表としての意見を述べさせていただきたいと思います。  それでは、お手元にお配りしてあります資料をおめくりいただきますでしょうか。  もう既に衆議院の方は通ってしまったということではあるんですけれども、私は、そもそも今回のこの電力システム改革の中での貫徹委員会結論というのは大変大きな問題を抱えたままでいるというふうに認識しております。  まず、そもそも第一番目の問題として、私たち消費者は、今回、電力システム改革というものに大変大きな期待を持って臨んでおりました。今まで自分の使う電気の電源、これを我々は選べないできたわけですけれども、この電力システム改革一つの大きな目的として、電気事業者を選ぶことができる、自分が使う電源も選ぶことができるということを大きな期待を持って見ておりました。  一方、事業者の方も今までは参入できなかった発電部門及び小売部門に対して参入ができるということで、これをもって自由な競争が起きて、それがひいては電気料金の低減又は多様なサービスの提供ということで消費者への利益が増すものというふうに期待しておりました。  ところが、今回の貫徹委員会での結果をもちますと、廃炉費用原子力発電所廃炉費用の積立て、これが不足した場合に原子力発電所が破綻するというおそれがある、この事態を防ぐためには廃炉会計という、私たち消費者にとっては幾ら説明を受けても理解し難い理屈ではあるんですけれども、原子力を使わないことを選択した消費者にも託送料金廃炉費用負担を求めるという内容になっております。消費者は、自分が選びたい電力を選んだとしても、最終的には原子力発電所廃炉費用というのを負担し続けなければいけないと。それから、参入する小売事業者にしても、自分たちは消費者の意向を受けて原子力を使わない電気消費者に小売していこうと考えても、やはりそこで原子力廃炉費用というのを払わなければいけないという、そもそもの電力システム改革の目的に大きく反する内容になっていると思っております。  それから、二枚目ですけれども、今回、先ほど山内先生のレジュメの中では四つ論点があったというふうに書いてありましたけれども、その上の三つを私は今回取り上げてあります。  現在停止・稼働中の一般の原子力発電所廃炉費用の問題、それから一方、この大きな事故ですね、福島第一原子力発電所廃炉費用の問題、それから事故賠償費用の問題、この三つが論議されたわけですけれども、今回同じ議場で論議されてはしまいましたけれども、この一番と二番、三番というのは、これはまさしく別に議論すべきものであったと思っております。なぜならば、やはり国民は今回の福島事故に対して大変心を痛めております。費用を払うというときに嫌だと言うのはとても倫理的に反するということで、なかなか声を上げられないという実情があると思います。  一般廃炉費用というのは、これは託送料金ではなく、原子力発電所を持つ各発電事業者が売電、電気料金の中で回収すべきものであって、もしそれで廃炉費用が足りないというのであれば、電気料金を値上げして事業の中で賄うべきものだというふうに思っております。  一方、二番、三番の福島第一の事故責任というのは、これは先ほど橘川先生のお話にもありましたように、東京電力若しくは国に第一義的な責任はあるとはいえ、やはりこれだけ大きな事故ですから、事故炉廃炉それから賠償費用が今後足らなくなるというのはもう今の時点で明らかです。それを全てどこかに押し付ければいいというふうには国民は思っておりません。復興のため、税金なのか賦課金なのか、これはこれからの議論になると思いますけれども、広く国会の場で議論をして、本当に国民全体としてどうやってそこをみんなで担っていくかということをきちんと議論すべきだというふうに思っております。  それから、三番目として、今回の議論の進め方ですけれども、消費者団体からいろいろなパブコメですとか意見も出されたわけなんですけれども、余りにも拙速。昨年の九月から始まって、十二月にはもうほぼ結論が出ておりましたし、パブコメを一応取りましたけれども、そのパブコメの内容というのが中間とりまとめにはほとんど反映されないということで、かなり国民の声を無視した拙速な進め方で決められたということに対して大変不満を持っております。  まず、貫徹委員会財務ワーキングでは消費者代表というのは私一人でした。それから、非公開で開催された東電委員会と並行して開催されて、その影響を受けつつ、短い時間で決着をしてしまった。それから、そもそも私たち、例えば何かの費用を払わなきゃいけないというときは、例えば住宅を買うにしても、自分が幾らの住宅を買って、それを支払っていくためにはどれだけの期間どういう方法で支払っていくかということを考えるわけなんですけれども、今回、その負担すべき費用というのが提示されたのはパブコメ直前の最後の委員会でした。ですので、回収の方法だけを先に議論して、じゃ実際に幾ら払わなければいけないかという数字が出されたのが最後であったということからも、今回の議論というのはとても難しかったというふうに思っております。それから、先ほども申し上げましたように、議論の途中、私以外の消費者団体ですとかNPO、NGOの多くの市民グループから何度も意見書が出されましたけれども、それについては全く取り上げられなかったことも大変残念に思っております。  ということで、今回、託送料金を使われるということに対してやはり消費者はとても大きな不安と不満を持っておりますので、その内容について述べさせていただきたいと思います。  まず、一般原子力発電所廃炉費用ですけれども、これ、通常炉の廃炉というのは、これを託送料金で取るというのはこれは全く本末転倒の話で、発電事業者がやはり電気料金の中で回収するのが正当であるというふうに思っております。  着実な自由化が進みますと、新電力に移る消費者が増えて着実な費用の回収の見込みが立たないので、自由化の中でも規制料金として唯一残るこの託送料金の仕組みを利用して回収することが妥当というふうな結論が出されたわけですけれども、そもそも託送料金というのは、これは託送のための費用に使われるべきであって、発電事業者費用として回収されるというのは間違っているというふうに思っております。  発電事業者というのは別に原子力一つ持っているわけではありません。原子力二つ、三つ持っていらっしゃるところもありますし、それからそれ以外の火力、水力、いろいろな発電所を持っているわけで、その中のたった一つ原子力発電所廃炉費用が足らない、なのでそれを国民から託送料金で回収するというのはどうなのかというふうに思います。  廃炉をするかしないかというのは最終的にはその発電事業者が決めることであって、廃炉会計を利用したからといって必ず廃炉に結び付くというものではないと思っております。そういう意味では、もう廃炉会計のあるなしにかかわらず、やはり再稼働をするというときであれば、やっぱりそれは事業者としてはある程度の収益の見込みがあるから再稼働をするのであり、また費用を掛けて再稼働するのは事業として成り立たないと思うから廃炉を考えるのでありますから、よって、託送料金でこの費用を回収するというのは全く本末転倒だというふうに思っております。  それから、次のページになりますけれども、原子力事故備え確保されておくべき賠償備え、先ほど山内委員長からもお話がありましたけど、この過去分という考え方、これについても全く消費者は納得しかねます。  通常の経済活動では、過去に積み立てておくべきだった費用を現在、未来の消費者に求めるということはあり得ないわけです。以前、話が出たと思いますけど、レストランで食事をしたときに、使っていた調味料の代金が高くなったので、あなた、その分賄ってくださいよということを決して事業者は言わないと思います。  過去分というのであれば、では、これから払っていかなければならない未来の消費者、一度も原子力を使っていない未来の消費者にはこれをどのように説明していくのか、納得いく説明ができるのかということを大変疑問に思っております。  現在、もう既に託送料金の中には託送料金以外のものが入っているのも事実です。バックエンド費用でありますとか電源開発促進税というのが含まれていることは周知のものでありますけれども、これはきちんと国会で議論されて法律で定められた中でこの送配電の部分に乗せようということが決まったのであって、今回の場合は、経済産業省の中だけですね、省令の中で議論が進み、自由にこれは省令だけで変更できるというのは、全く消費者にとっては不安以外の何物でもありません。  それから、最後のところになりますけれども、原子力発電所事故処理費用の一部を送配電部門に賄わせるという話ですね。これについても託送料金を利用するということになっているんですけれども、この部分についても消費者としては納得ができません。送配電部門が独立し、中立的な運営をすることが求められる、これが電力システム改革の大きな一つの目的であったはずです。それを、値下げをしないのだからいいだろうと、その値下げのしない分を託送料金で回収して廃炉の、賠償費用に充てようというのは、これはやはり値上げをしているのと全く同じことだというふうに思っております。  もっと言うならば、東京電力パワーグリッドの経営合理化分を東京電力ホールディングスの廃炉費用に充てるということは、託送料金の不正使用であって、違法ということも言いかねないというふうに思っております。  ということで、次の八ページになりますけれども、託送料金で回収することの問題点として、やはり託送料金というのはそもそも送配電事業者が送配電事業のために使うべきものだというふうに思っております。  昨年十月十二日、霞が関も影響を受けたと思いますけれども、新座洞道の火災事故が起きたことは記憶に新しいところですけれども、今後、自由化によって送配電分離をした場合には、こういう送配電部門の点検費用ですとか保守費用というのが更に掛かってくると思います。そういう意味では、託送料金というのはその託送の費用のためだけに使われるべきだと思っておりますし、あと、電気料金の四割を占めるのが託送料金なんですね。ということで、消費者にとってはこの託送料金というのは大変電気料金への影響が大きく、消費者委員会からも厳格な託送の見直しをこれまでも求められてきております。そういう意味では、今後この託送料金の適正さをどれだけ厳格に検証できるのかというところ、大変消費者としては気になっております。  また、先ほども申しましたけれども、今回のこの託送料金というのは経済産業省の省令のみで変更ができると。もし一度この仕組みが認められたならば、必要な金額が増えたという場合には、また、あってはならないことですけれども、再度このような大きな事故が起きた場合には、青天井で託送料金の中に転嫁されるということにならないかということを大変懸念しております。  そういう意味で、本当にこれが必要な金額であるということであれば、国会で論じて、税金として回収すべきであるというふうに思っております。常に国民福島のことを忘れずに一緒にいるためにも、必ずこれを見える形で、国民に見える形で徴収していただきたいというふうに思っております。  最後に、まとめとしまして、今までお話ししてきました三つの費用ですね。今回、一般原子力廃炉費用にも、それから福島第一の事故炉廃炉費用にも、それから損害賠償費用にも、みんなこの託送の仕組みを使って回収するという案が出されました。けれども、これはどれを取っても託送が適当であるとはどうしても思えません。一般廃炉については、これは電気料金発電事業者が回収すべきですし、二番、三番の事故炉廃炉費用、それから損害賠償費用については、これは広くやはり国会で再度議論をして、税金で求めるべきというふうに思っております。  最後になりましたけれども、事故処理費用というのは、日本経済研究センターのまとめによりますと、さらに五十兆円から七十兆円になるとの報告も出されております。国家予算に匹敵する、百兆円の国家予算に匹敵するようなこの費用を国会の議論を経ずにここで決定してもいいものかということを疑問に思っております。このままもし強行することになれば、国民からの行政への不信感、また原子力神話ですね、今まで安い、安全だと言われてきてそれを信じてきた国民の不信感というのが更に増大することになるというふうに思っております。これから何十年、何百年と続く廃炉のものについては、将来世代にもきちんと説明できるよう、再度国会できちんと議論をしていただきたいと思っております。  以上です。
  8. 小林正夫

    委員長小林正夫君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 青山繁晴

    ○青山繁晴君 まず、参考人の先生方、お見えいただいてありがとうございます。  慣例によりこの質疑は座ったままということになっているそうで、ちょっと失礼かなと思うんですけれども、座ったままお聞きしたいと思います。  まず、山内参考人にお聞きしたいと思います。  先生は、経産省の電力システム改革貫徹のための政策小委員会の座長として、私の受け止めですと、要するに現実的な良策、解決策を模索されて、その取りまとめに尽力なさったと思います。そこに感謝申し上げたいとまず思います。  その上で、将来像について、つまり、余り予備知識のない有権者、国民方々のためにあえて言葉をやや通俗的な意味も含めて申しますと、要は現在の東京電力を基礎にして事に当たりましょうということですね。それ、現状の打破としては僕も理解するんですけれども、しかし、福島廃炉でいえば三、四十年掛かるというのは一応今の常識ですし、ほかのことについても大変長い時間が掛かると。そういう将来像を考えたときに、現在の東京電力を基礎にするというやり方がいつまでも果たして通用するのか。それから、先生も先ほどちらりとおっしゃったと思うんですけど、やや、ややというか、個人的には非常に複雑な仕組みでスタートすることになると思っていますから、そうすると、この三・一一からだんだん記憶が外れていく将来の国民のことを考えても、本来、複雑な仕組みというのはやっぱり簡素化していかなきゃいけないんじゃないかと思います。  そうすると、もう一度その将来像について、政府は今のところ、例えば一部の事業について再編や統合など、一部共同事業という構想ですね、果たしてそれで足りるのか、もっと全面的な再編というものが必要かどうか、そこをまずお考えをお聞かせ願えますか。
  10. 山内弘隆

    参考人山内弘隆君) 東京電力の将来像についての御質問でございますけれども、私自身は今の形での東京電力で将来永劫もこれを請け負っていくというふうに考えてはおりません。  まず最初に、先ほどちょっと言葉が足りなかったんですけれども、東京電力でこれを責任を持ってというのは、現在の形の東京電力である必要はないというふうに思っています。感情的なものも含めて、東京電力について責任ということで、経営者の問題、株主の問題、こういったことを責任取るべきだという意見あります。私は、その意味では、経営者がどのようになろうと、あるいは形態がどのようになろうと、東京電力がどのようになろうと構わないというふうに思っておりますけれども、責任を取れる形をしっかりと取っていただきたいというふうに思っています。  その意味では、先ほど橘川参考人がおっしゃったような形の資産の売却の在り方というのも一つ検討に値するのかも分かりませんし、これ、そのとおりだというふうに言っているわけではありませんけれども、何らかの形で国民理解できるような形の東京電力、そしてまた、これを永続的に責任を持っていけるような東京電力在り方、これは探っていくべきだろうというふうに考えております。
  11. 青山繁晴

    ○青山繁晴君 ありがとうございます。  今、山内参考人からも橘川参考人のプランについて少し言及があったと思うんですけれども、次は橘川参考人にお聞きしたいと思います。  先生は言わば非常に大胆な提案をなさっていらして、先生がおっしゃったとおり、この小委員会に属していらっしゃらないから余計に思い切った傾聴に値すべき御提案がなされるんじゃないかと思いまして、実は僕も、民間時代、長くこの電力というかエネルギー安全保障の問題に関わってきましたが、その観点からも注目すべき御提案いただいたと思っています。  その上で、例えば、先ほど先生はお触れにならなかったんですけど、資料を拝見しますと、あるいは過去の御主張を拝見しますと、さっきおっしゃった、日本原電をかませると要は準国営化となると、それもメリットの一つとして挙げられています。実はそこがどうしてなのかお聞きしたいと思いまして、釈迦に説法ですけれども、有権者、国民のために申せば、日本原電という会社は元々電力九社で八割の出資をして、残り二割を電源開発で持って出発しました。しかし、電源開発はその後完全に民営化されていますから、今、日本原電という会社は当然あくまで民間会社ですね。その日本原電が東北電力と一緒になって例えば柏崎刈羽の買収を行うと。さっき申しましたとおり、柏崎刈羽は世界最先端あるいは最大出力の原発一つですから、そこに着目されるのは正しいと思うんですけれど、これは、日本原電の参画で準国営化となるというのは、それはどういう御趣旨なんでしょうか。
  12. 橘川武郎

    参考人橘川武郎君) 今、青山先生が言われましたように、原電自体は民間の会社です。ところが、今最大株主は、二八%、東京電力ということになっておりまして、その東京電力が国有化されている現状ですから、それで準国営化とみなしていいんではないかと、こういうふうに考えております。  私は、それで、国が出てくると電力会社の民間活力下がるんじゃないか、そこの意見全く賛成しますけれども、原子力というものがかえってあるがために、日本電力業界は民間活力を失ってきた側面がありまして、もっと原発がなくてもやっていける会社あるいは原発を選ぶ会社、いろいろ分かれると思いますけど、民間活力を出すためにもこういう一部に準国営化が入るというのはいいことではないかと、こういうふうに考えております。
  13. 青山繁晴

    ○青山繁晴君 橘川先生に、引き続き今おっしゃったことに関連してお聞きしたいんですけれども、これも釈迦に説法ですけど、三・一一が起きて国の関与が深まったときに、残りの原発をやってきた九社、つまり沖縄電力を除く会社は、実は先生がおっしゃったとおり、一様に国有化を心配したんですよね。それには両面あると思っています。民間活力とおっしゃったとおり、民間の自主性を守るという面もあるし、それから地域独占に基づく既得権益を守りたいと、そこに公的なものが入ってくるのをとにかく嫌がるという両面あったと思うんですね。  そのとき、最近余り議論されなくなってしまったけど、一般的によく地域議論されていたのは、そもそも原発を全部切り離して国で統合して、その部分だけ国有化してはどうかと。先行き、その原発の比率をどうするか、あるいはやめてしまうのか続けるのかというのも、国の方針として国会の論議を経て決めるべきだという意見がありましたね。  最近その議論は影を潜めてますけど、橘川先生は、あえてお聞きすれば、そういう方針に根っこでは賛成のお立場なんでしょうか、それとも違う意見をお持ちなんでしょうか。
  14. 橘川武郎

    参考人橘川武郎君) 賛成です。元々、三・一一の大分前から民間活力のために原子力発電所は国営にすべきだと、こういう議論を展開しておりました。ただし、私は、大胆と言われましたけど、現実的でもあると思っておりまして、現実には今の柏崎刈羽のところは準国営になると思いますけれども、再稼働が始まりました加圧水型の西日本中心とする民間会社は原発を手放さないと思いますので、すぐにはそういう形にならないで幾つかの道に分かれて、まず柏崎刈羽から準国営化が入っていくのではないかと、こういうふうに思っております。
  15. 青山繁晴

    ○青山繁晴君 今のお話は、山内先生にもお聞きした将来の在り方とも関わってとても大切な部分だと思うんですけど、おっしゃったとおり、今回、BWR、沸騰水型軽水炉が事故を起こして、加圧水型軽水炉、PWRを持っている会社はなかなか手放さないというのはそのとおりだと思うんですね。  仮に、いや、僕は必ずしも国有化に別に賛成しているわけではないんですけど、先生が賛成だとしまして、おっしゃったとおり、どうやって民間の事業者が手放すように促していくという構想なんでしょうか。
  16. 橘川武郎

    参考人橘川武郎君) 元々民間の所有物です。でありますので、これを手放すというのは経済原理で手放さないとおかしいと思いますので、やはり原子力の依存度が高過ぎるとかえって経営上困るというようなことを民間の会社の株主が気付いて、発言するようになるというプロセスを経て国営化という道が選択されるのではないかと思います。強制的ではないんではないかと思います。
  17. 青山繁晴

    ○青山繁晴君 それでは、次は大石参考人にお聞きしたいと思います。  大石参考人がおっしゃったこの法律、法案の基になる審議の在り方についての問題提起は、僕も大切なものとして受け止めました。  その上で、大石参考人、大石先生のおっしゃっていることをまたちょっと乱暴ですけど簡単に申せば、要はこの福島原子力災害で起きた問題を託送料金負担させるのではなくて、どうしても必要なお金ということを確認した上で税金で、ということは、端的に言うと増税でという御提案が中心だと思うんですね。大石先生自らその税金の名前、例としてだと思いますけど、例えば東北復興税といったことも問題提起あるいは提案されています。  そこでお聞きしたいのが、例えば、これはそうしたときの課題の一つなんですけれど、もちろん全体に増税に対して嫌だという国民の声もあると思いますが、特に沖縄県民の問題ですね。もし、例えば、仮の名前だろうとは思うんですけど、東北復興税でやるときに沖縄県民は含むのか含まないのか。  時間の関係で縮めて聞かなきゃいけないので、済みません、ちょっと一気に聞いちゃいますけど、沖縄県民を含むんだったら、そもそも沖縄電力として一度も原発を持ったことがない、その沖縄県民が負担することについては沖縄県民の方々はどう思われるのか。逆にこれ含まないんだったら、先生の名称にあるとおり、この福島原子力災害も含めて、福島、東北を全体に復興させるということについて、沖縄県民の方々は言わばちょっと外にこの部分では出ることになってしまわないか。  税金にした場合の懸念、沖縄について僕は感じるんですけど、それは、大石参考人はどのようにお考えでしょうか。
  18. 大石美奈子

    参考人大石美奈子君) ありがとうございます。  私は、結局税金にした方がいいというのは、原子力を使ってきたから払わなきゃいけないというそういう考えではなくて、やはり国民全体として福島の復興に関わっていかなければいけない、その福島の復興というのが日本国にとって必要なものだという考え方なので、別に原子力を使ってきた人が払わなきゃいけないという考え方ではないので、沖縄を除くということは私は思っておりません。  以上です。
  19. 青山繁晴

    ○青山繁晴君 もう二分半ぐらい時間がありますので、済みません、橘川参考人にちょっと戻ってお聞きしたいんですけど。  柏崎刈羽原発の完全売却ということなんですけれども、あくまで仮の話にすぎませんが、もし外資が手を伸ばしたら、それで、これは当然、外為法に基づいて、もしそういうことが起きれば、当然、事前審査で中止を勧告して、応諾がなければ中止命令ということを政府は考えるでしょうけど。  ただ、個人的に、例えば中国ですとか、それからアメリカの、もう破綻しましたけどエンロンとか、そういうところが日本の優れた原発に関心を持ってきた事実を足で稼いで確認していますので、もし売却ということが前面に出てくれば、さっきおっしゃった東北電力日本原電の連合軍以外に、必ず、より例えば東電にとって良い条件を提示して出てきて、そのときに完全に政府が阻めるかどうかというのは、信じたいですけれども、リスクはあると思います。こういう外資については、橘川先生はどうお考えなんでしょうか。
  20. 橘川武郎

    参考人橘川武郎君) 一般的には可能性あると思いますが、柏崎刈羽の場合には、事業規模の大きさ、それから問題の複雑さから外資は敬遠し、電力業界に関しては、むしろほかにも、小さなJパワーですとか北陸電力ですとかというところが外資の脅威の可能性あると思います。  私は、電力業界はこれに対して、自由化の下でドイツで起きたように、MアンドA等を使って対抗していくというようなことが考えられると思います。
  21. 青山繁晴

    ○青山繁晴君 じゃ、もう時間ありませんので、最後、もう一点だけ橘川先生に。  リプレースということに重きを置いていらっしゃる、そういう認識でよろしいですか。それは、当然、新技術の取り込みということですね。
  22. 橘川武郎

    参考人橘川武郎君) 新技術というよりも、危険性を最小化する技術の取り込みという、そういうことです。
  23. 青山繁晴

    ○青山繁晴君 時間ですので、終わりたいと思います。ありがとうございます。
  24. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 民進党・新緑風会の石上俊雄でございます。  三名の参考人の先生の皆さん、本当にお忙しい中お越しいただきまして、様々な角度からの御示唆、本当にありがとうございます。  時間に限りがありますので早速質問をさせていただきますが、まず大石参考人にお聞きしたいと思います。  需要家、消費者皆さんが支払う一般の負担金とこの再エネの賦課金という、この金額の比較のところでちょっと御意見を賜りたいというふうに思うんですが、いろいろな試算が出ていますけれども、今回の七・九兆円で、うち五・五兆円を東電を含みます電力事業者十一社で賄っていくわけでありますが、それを朝日新聞が試算しますと、家庭向け電力料金で回収している分、一キロワット時で約〇・一一円から〇・二六円という試算で、一般家庭だと、月大体二百六十から三百キロワットと言われていますので、大体年間四百円から千円の負担だというふうに出ておりました。  一方で、再エネ発電賦課金というのは、電力料金などの明細の下に書いてありますが、二・二五円キロワット時なんですね。これを年間に直すと七千円から八千円というふうになるんですが、この辺について大石参考人のお考えをお聞きできればと思いますが、よろしくお願いします。
  25. 大石美奈子

    参考人大石美奈子君) 御質問ありがとうございます。  再エネ賦課金につきましては、やはり国民の中にもいろいろな意見があるのも事実でして、確かに、どんどん金額として上がってきていますと、やはり消費者にとっては電気料金の上昇につながるので、いろいろな意見はあると思いますけれども、ただ、この再エネ賦課金といいますのは、やはりちゃんと国会の議論を経て、そして国として再エネを増やしていくために必要であるということで決められているものですし、今回見直しが行われましたけれども、そうやって外に出しているからこそ、このままだと高くなり過ぎるねというと見直しが利くわけですよね。でも、託送料金の中に入ってしまったものというのは国民が気が付いたりおかしいから見直しをしましょうねということができない。そういう意味で、再エネ賦課金については、確かに余り高止まりするのは良くないとは思いながら、やっぱりそういう議論ができる形になっているということがとても重要だというふうに私は思っております。  以上です。
  26. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 ありがとうございました。  それでは、続きまして山内参考人にお聞きしたいと思います。  本当に、中間とりまとめ、政策小委員会の座長ということで、本当に御苦労さまでございました。  その中で、先ほども先生から触れられておりましたけれども、いわゆる過去分という言葉が出てくると、ここにいろいろな方が反応して、違和感というかな、違和感と言っていいのか分かりませんが、どういうふうにそういう話になったのかというところでいろいろお聞きしたいんだというふうに思うんですけれども。  中間とりまとめの中でも、先ほどもお話がありました、税金にしようか託送料金で乗っけようかという話もいろいろある中で過去分というところの発想が生まれてもきたんだという話がありましたけれども、これはその小委員会の中で、どういうタイミングで、どなたがそういう発想をして、どういうアイデアの下にこういうのが出てきたのかといったところをちょっとお聞きしたいのと、当然、過去分を要は回収する、回収と言ったらいいんですか、回収してくるんですから、もし、あってはならないと思いますが、この前の委員会でも委員からちょっと質問が出ていましたが、今後何か事故があったときに、じゃ、そのことについてはどういうふうな手当てができている仕組みになるのかといったところについて、小委員会の中で議論された経過についてちょっとお聞かせいただければと思います。
  27. 山内弘隆

    参考人山内弘隆君) 過去分についての御質問でございます。  過去分については非常に分かりにくいというのは御指摘のとおりだというふうに思っております。  私自身考え方で申し上げますと、この過去分の議論をする前に、最初に原賠支援機構をつくったときに負担金という形を取って一般負担金と特別負担金でやる、そのときの考え方というのは保険的な考え方であったということであります。要するに、保険料を過去払ってこなかった分を一般負担金という形で取っているということであります。ある意味ではそれに近い発想だというふうに思っております。  今回の過去分についても、この議論の中でどこでというのは正確に記憶しておりませんけれども、これ、委員が何か発案したというのではないのもまた事実であります。事務局としてこういう考え方はどうですかというような御提示があって、それでこれを議論したという経緯であります。比較的早い時期からそういうことが言われたというふうに思っております。  それで、その意味では、我々としては過去分ということを議論して、それをどういうふうに扱っていくかということになったわけでありますけれども、報告書に、読んでいただけると分かると思うんですけれども、この過去分というのはこうこうこういうふうな額になるんだという計算の下に額を特定してといいますか決定して、それを負担していただくという形になっておりますので、将来的に何かこれが上がっていくというような性質のものではない、そしてまた一回限りのものであると、こういうことだというふうに思っております。  その意味では、最後の御質問でありますけれども、将来何か仮に事故が起こった場合どうするんだということについては、この考え方でまた御負担いただくというのはちょっと論理的には難しいのかなというふうに思っております。
  28. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 ありがとうございました。  続きまして、橘川参考人にお聞きしたいと思いますが、新々総特と共同事業体の早期設立という話がその中に入っているんですが、さらには、先ほど橘川参考人からもございましたけれども、設備の売却ですね、ここの辺の関係にちょっとついてお聞きしたいんですが、新々総特の中に要は共同事業体の早期設立を目指すというふうには書いてあるわけなんですけれども、これずっと読んでいくと、何か原子力発電所を安定的に稼働させるためにそれをつくっていくんだと言っているんですが、そんな中で、いろいろ読んでいくと、先ほど橘川参考人が言ったように、電力会社が持っているもの、要は電力会社が持っている設備等を売却して安定的に動かすということと何か同じような感覚なんですね。しかし、新々総特の中にはそこまで踏み込んでいないというところもあるんです。  この辺がしっかりしないと、せんだっての委員会議論でもあったんですが、果たしてこの先、東電が年間五千億もの何か利益を上げ続けられるのかといったところがやっぱり疑問になるわけで、その辺の新々総特の決め手、方針と先生が思われているところ、この辺の関係についてちょっと御意見を賜れればと思います。
  29. 橘川武郎

    参考人橘川武郎君) 全く違うものだと考えております。東京電力が残る形で連携するというやり方ということは、東電原発事業を続けていくわけでありまして、そういう状況で国民負担国民は納得することができないと思います。  それに対して、原子力を完全にやめる形でその売却益を賠償に払うという枠組みであれば、国民の納得感が違う。それと、組む側の電力会社にしても、東電が残っている限り常に二十一兆五千億と結び付けられますから、その話に乗るわけにいかない。だけれども、完全売却してもう既に廃炉の方にお金が入っていると、福島リスクから切れた形になれば柏崎刈羽に対して投資することができるということで、一見似ているように見えるかもしれませんけど、全く違うものだと私は理解しております。
  30. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 それとちょっと関係があるかないかも分かりませんが、先生がリプレースという話を先ほどされましたけれども、原子力発電所の四十年という、四十年稼働制限というのがあるんですかね、あと許可したら二十年というのもありますけれども、その四十年に達して、先ほど新しいものにリプレースしていくということもおっしゃっておられましたが、この四十年ということに対して先生はどのようにお考えかをお聞かせいただければと思います。
  31. 橘川武郎

    参考人橘川武郎君) 私、文科系の人間でありまして、その四十年に技術的な根拠があるかどうかと問われますと、はっきり言って分かりません。  しかしながら、ちょうど福島第一の一号機は、七一年三月に運転開始したものが四十歳の誕生月に水素爆発を起こしているわけでありまして、ちょうどあの頃造った原発は、やっぱり技術的に非常に今から比べて大分低位であるということは明らかだと思いますので、民主党政権の時代に決めたことだと思いますけれども、この四十年廃炉基準というのが国会で通った以上、今のところそれを前提にすべきだと思っております。
  32. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 ありがとうございました。  さらに、ちょっといろいろな方に振っていっちゃいますが、大石先生にちょっとお聞きしたいんですが、先ほど、山内先生、橘川先生は、東京電力の将来について多少御意見の中で触れられたというふうな認識を持っています。大石先生においては、この先、近じゃなくて将来ですね、将来、この東京電力というところの将来像というのをどのように捉えられているかというところについて御意見を賜れればと思います。
  33. 大石美奈子

    参考人大石美奈子君) ありがとうございます。  私のようなものが将来像というのは語れないわけですけれども、少なくとも今回の電力システム改革で発送電分離ということが言われておりますので、今のパワーグリッドはやはり会社として残ってその役目を果たすべきというふうに思っております。  一方、発電事業者として、それから小売の事業者として東京電力がどのように残るのかというのは、責任は果たさなければいけないとは思いますけれども、今の形のままで残るということはあり得ないだろうというふうに思っております。  以上です。
  34. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 ありがとうございました。  それでは、山内参考人にまた戻っちゃいますけど、済みません、御意見を賜れればと思います。  先ほど、お話の中にもございましたけれども、東京電力の将来像というのがありました。やはりその中には、どうしても買手が付かないのでやはりその設備を売るということに対してはちょっと二の足を踏んでおられるという小委員会のまとめだというふうに理解はしているわけでありますけれども、今後どうやって、じゃ東電利益を出していくのかといったところについて、要は御意見があれば伺えればというふうに思います。
  35. 山内弘隆

    参考人山内弘隆君) 今、ちょっと済みません、買手が付かないので資産を売らないというのが小委員会のというのは、これ、我々の小委員会のという意味でお聞きでしょうか。
  36. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 そうですね、専門家の中で原子力部門の売却を求める意見もあるわけでありますけれども、ほかの電力会社の買手が付かないというところがやっぱり最大の問題になっているというところが課題だというふうに思っているわけであります。  じゃ逆に、買手が付くためには、そこを買手が付くということがやっぱり年間の利益が上がっていくということにもつながるわけなので、そこに持っていくためにどういうようなことを進めないといけないかというところについて、御意見があれば伺いたいというふうに思っております。
  37. 山内弘隆

    参考人山内弘隆君) 先ほど橘川参考人がおっしゃっていたように、いろいろな工夫によって買手を付けるというやり方もあるかと思うんですけれども、私の今イメージしているところは、将来は別にして、当面は現状の体制において徹底的な効率化を進める中で利潤を出して、それによって原発関係廃炉費用も含めてこれを返済していくというのが姿かというふうに思っております。  経済合理性に従って何らかの利益が上がるということであれば、それを資産として売却するということはオプションとしてはあり得るのかなというふうに思っております。
  38. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 それでは、時間の限りが来てしまいますので最後になるというふうに思いますが、橘川先生に最後ちょっとお聞きしたいと思います。  著書の中で、「火力発電と化石燃料の未来形」という著書がございますが、そこの中で、政府が二〇一五年に決定した電源構成というのの電源ミックスということに対して、これは公約違反だということでお書きになってられるということで確認はさせていただいているわけでありますが、このことについてちょっと具体的に御紹介いただけますと幸いです。
  39. 橘川武郎

    参考人橘川武郎君) 二点で公約違反だと思っています。  原発依存度を可能な限り下げる。ところが、今の二〇から二二%という、新築なしの場合ですと延長しかないわけですね。延長の可能性がある二十基のうち十五基くらいを六十年延長しないとこの数字に行かない。これは、可能な限り低減するというのに合わないと思います。  もう一つは、再生可能エネルギーを最大限導入するという数字ですけれども、やっぱり三〇%ぐらいと言わないと最大限にはならないと思いますので、二二から二四というのは少な過ぎると、こういうふうに思っております。
  40. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 三名の先生方、本当にありがとうございました。  また来月、最後の質疑があるわけでありますが、そこの中で皆さんの御意見参考にさせていただきながら、しっかりとこの法案の審議を進めてまいりますので、よろしくお願いします。  どうもありがとうございました。
  41. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。  今日は、三名の参考人の先生方、本当にありがとうございました。  私の方から質問をさせていただきます。  まず、賠償責任東電の負っている賠償責任についてということでなんですけれども、山内参考人、また橘川参考人の方で、結局のところは経済的に東京電力が最終的に賠償を全部負担をするというのはやっぱり現実的ではない、あるいは橘川参考人の方からは、事実上、有限責任であるというような表現でお話しいただいたかと思います。  その中で、これまで東京電力の方では一般負担金、特別負担金で、また今回、廃炉等積立金ということでの金額の負担をしていただくという方向での今法改正が審議されているわけですけれども、例えば廃炉等積立金については毎年三千億か五千億かという金額が出てはいるところですが、東京電力が結局負担全部できない、全部負担するというのは現実的ではないと。  例えば、山内参考人がおっしゃられるのは、近い将来、もう現実的になかなか厳しいのではないかという話なのか、それか将来的に経済的、社会的な事情の中でできなくなるのではないかという話なのかということで、またあるいは、橘川参考人におかれましては、有限責任だと事実上思われている根拠といいますか、東京電力の実際その責任がどこまで果たされる見込みかというところについての、あくまでも推測というところになるかとは思いますけれども、お二人からの御意見をいただければと思います。
  42. 山内弘隆

    参考人山内弘隆君) 東京電力が全てを負担するのは現実的ではないということに関しましては、私の意見は、現状の東京電力の経営体制、それから収益の獲得する能力といいますか、そういったことからして、試算されているような賠償廃炉費用を全て経済的に負担するのは不可能だというふうに考えています。  その意味では、これをどういうふうにするかということで元々支援機構ができたわけでありますけれども、企業それだけで、単体でそれを負担するのは不可能だというふうに考えております。
  43. 橘川武郎

    参考人橘川武郎君) 廃炉賠償除染でちょっと違うと思います。  廃炉については、もう完全に可能な限り東電自身が払うべきであると、そのために資産売却のお金を全部そこに投入すべきだと考えます。一方、除染はすぐにやらないと、福島の方困るわけであります。それから、賠償は、これも福島の方困るわけですけれども、長期にわたって支払われなければいけないという性格があります。  よって、国民負担でまずは除染のところ、それから賠償のところ入りますけど、賠償については、長期で収益を上げる東京電力の後継会社が残るのならば、その利益の一部、ボーナスはちゃんと払いながらも賠償金は支払っていくという、こういう枠組みをつくるのが一番健全な責任の取り方なのではないかと思います。  それでも足りませんので、結果的には有限責任になると、こういうふうに考えております。
  44. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 山内参考人にお伺いします。  今、先ほどお答えいただいた東電の現実的には難しいというところは、もう近い将来というかここ何年という話なのか、あるいは十年、二十年、三十年という単位なのか、東京電力の決算状況とかも踏まえていろいろお考え今回の法案についてなられたところはあるかと思うんですけれども、その辺り、もし御検討された内容があるのであればお教えいただければと思います。
  45. 山内弘隆

    参考人山内弘隆君) これは将来どれだけの費用が掛かってくるかということに関わるかと思います。  今、橘川参考人がおっしゃったように、賠償とそれから廃炉費用除染はまた違っていて、除染は公的な負担というような形を取られて、おっしゃるように、廃炉については自己資金でできる限りということでやっていくと。私は、これも将来にわたって掛かってくることなので、将来的にそれをきちんと担保すべきだというふうに思っております。  賠償については、一応、試算を前提とすれば、東電だけのお金では賠償負担することは難しいと、こういうようなことで、それは現時点で比較的明らかになっていることではないかというふうに思っております。
  46. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 済みません、もう一度山内参考人に、今どれだけの費用が掛かるかというところとの兼ね合いというお話もありましたけれども、先ほども大石参考人の方からもお話でありましたように、委員会での議論の中で、結局その費用の具体的な額が出てきたのが最後の委員会のときだったというお話があったかと思うんですけれども、その費用が幾ら掛かるかというところが最後になってしまったことと、今回の方向性を考えるに当たっての議論の中でその金額が分からなかったことがどういう影響があったのかなかったのかというところについて、お答えいただけますでしょうか。
  47. 山内弘隆

    参考人山内弘隆君) 我々の議論の終盤においてその額というものがはっきりしてきたというのは事実でありまして、ただ、これ我々としては、予見といいますか、我々の別のところで試算されていたものであって、それを前提として我々議論しなきゃいけないという、そういう立場でございますので、最後の方になって出てきたということ自体に我々は非常に困ったといいますか、いうところはあろうかというふうに思っておりますが。  ただ、考え方として、先ほど私がるる御説明させていただいたような考え方皆さん議論をしてきたという、そういう経緯でございますので、その中で、金額が出てきたときにそういう対応をする、負担の仕方を当てはめたといいますと変ですけれども、そういう形になったというふうに考えております。  それで、報告書の中にもありますように、こういう形で積み上げた金額であるので、先ほどの御質問とも関連いたしますけれども、額としてはこれだけ一回限りであって、それを我々は負担していただきたいというようなことで額を決めたということであります。
  48. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 ありがとうございます。  ちょっと少し話が変わりますけれども、電力供給システム在り方改革ということで、システム改革ということも今回併せて考えていかなければならない課題かと思っていますけれども、それぞれお三名の参考人の方から、国としてこれからの電力システム改革の方向性について、今の方向性どういうふうなところを目指せばいいのか、またそのために一番ネックになっているものは何かというところを、それぞれから簡潔にお教えいただければと思います。
  49. 大石美奈子

    参考人大石美奈子君) ありがとうございます。  消費者立場というのもいろいろありますので、その一つとして御紹介させていただけると、私どもは、やはり電力システム改革によって私たちの生活、暮らしがより良くなるということを一番期待しておりました。その一つとして、やっぱり電源を選べる、それからそれが暮らしの中、ひいては電気料金の値下がりにもつながるということを希望していたというふうに思います。  そういう意味では、今の現状ではなかなか自分たちが自由に電気を選べるというところになっていない。諸外国を見ますと必ず電源表示も義務付けられておりますし、当たり前のように選べるというものがそうなっていない。ガイドラインでは一応認められていますけれども、それもスイッチングなどが進まない一つ理由かというふうに思っておりますので、さらに、情報提供も含めて、消費者がきちんと選べる、持続可能な電力を選べる、情報提供も含めてやっていただきたいというふうに思っております。  以上です。
  50. 橘川武郎

    参考人橘川武郎君) ありがとうございます。  私、電力問題の本質は、端的に言いますと高い現場力と低い経営力のミスマッチだと思っております。本当に発電所の、原発、1Fの方も含めてすごく頑張っておられます。でも、一方で、総括原価に守られてきたことがあって、経営力が十分だとは言えません。そこが、全面自由化によってガバナンスが利くことによって経営が良くなるという側面が、消費者の方の観点から違う観点をあえて言うとすると、そこがあると思っています。  そういう意味で、自由化が、進めていただきたいんですが、一番のネックは卸取引所の規模が小さ過ぎることだと思っております。先ほどの柏崎刈羽の話もありますが、一方で廃炉会計ですね。大石参考人と若干意見違うのは、廃炉会計によって私は廃炉が進んだというメリットもあると思うんです。ただし、廃炉が進んだんですけれども、そのときに一時的に、一挙に特損出さないで、ある意味で、金融市場から評価下がって社債も発行できなくなるというようなことから逃れた電力会社はやっぱり得している部分ですから、その会社がもし再稼働した場合には、その分、見合い分をやっぱり卸取引所に中立的な値段で出すべきだと思います。そういうやり方で卸取引所を厚くして自由化をもっともっと活発化させるということが政策的にできる一つ重要なポイントだと考えております。
  51. 山内弘隆

    参考人山内弘隆君) システム改革について、私は先ほどの陳述の中でも自由化競争ということを強調しましたけれども、基本的に私はシステム改革はそれだけではないというふうに考えています。自由化して競争をして、そして社会的に効率化を達成する、あるいはイノベーションを達成すると、こういうことでありますけれども、基本的に重要なのはイノベーションの問題だというふうに思っています。  先ほどもちょっと触れましたけれども、例えば、集中型の供給システムから分散型、あるいは今使っている発電システムから別のシステムに変えていく、それは、一つは再生可能エネルギーもそうですし、あるいは再生可能エネルギーを使った新しい供給システムというのをどういうふうにつくっていくかと、こういうことだというふうに思っています。  先年ドイツを訪問しましたけど、ドイツでパワー・ツー・ガスという実験を拝見いたしました。これは、再生可能エネルギーの電気で水素をつくり出して、それを、水素という形にすれば電源の変動というのはないわけでありますから、それでエネルギーとして活用するということでありますけれども、そういうイノベーションのようなものが起こりやすいシステムにする、これが基本的にはシステム改革の目的ではないかというふうに思っています。  その意味では、何がボトルネックになるかと言われると、幾つかのものがあると思います。一つは、これ、福島の問題というのはボトルネックであるというふうに思っています。ただ、それをある意味では中立化するために、費用負担のところについて、これ御反対もありますけれども、託送料金的なもので皆さんに御負担していただきながらそれを解決していくということでありますし、もう一つは、今の取引の話もそうであります。いわゆる卸電源的なものをどういうふうにするかということであります。それで、今まさに橘川参考人おっしゃいましたけれども、例えば原子力で得た電源についてのメリット、それを、今の会計の話もそうでありますけれども、それをシステム全体として還元していく、こういうやり方はあると、こういうふうに思っております。  ですから、我々の貫徹委員会も、電源部門のシステム改革、これは競争を促進するためにどういうふうな形にしたらいいのかということで、例えば卸の市場をどうするか、あるいは電源の切り出しをどうするかと、こんなようなことを議論しつつ固定費用負担の問題を考えた、そういう連携の中で成立するものであるなというふうに思っております。
  52. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 ありがとうございます。  橘川参考人にお伺いします。  今後の東電在り方というところで、先ほどお話しいただいた中では、東電をまず売却、原子力部分ですね、売却をして、そこからしかなかなか納得も得られないし、結局はその賠償の作業なりということがしっかりと進んでいかないのではないかというようなお話だったかと思うんですけれども、そういうその国民の納得というところとは、またあわせて、東電の経営という観点から見たときに、今も低い経営力というお話も、電力会社に対しての評価がありましたけれども、仮にその原子力部門を売却した後の経営という観点から、売却という方法も一ついいのではないかという、何かその観点でのお話があればお教えいただければと思います。
  53. 橘川武郎

    参考人橘川武郎君) グリッドパワーとエナジーパートナーで十分経営は成り立つと思います。それで、従業員数も半分ぐらいになりますから、リストラ効果も上がります。そして、ほかの人たちは、勤める会社の名前は変わりますけど、安定供給は変わりません。雇用もちゃんと維持されます。よって、この枠組みは、聞くと物すごく衝撃的に見えるかもしれないんだけれども、現実的なソフトランディング、東電の経営の改革のためにも重要だと、こういうふうに思っております。
  54. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 ありがとうございました。  しっかりと私たちも取り組んでまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。  以上です。
  55. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。  今日は、お三人の参考人皆さん、お忙しい中、本当に貴重な御意見ありがとうございました。  まず、大石参考人にお聞きしたいと思います。  いわゆる有識者会議は最初から結論ありきだったのではないかというお話もあったかと思うんですけれども、大石参考人としては、結果としては報告書というのが出ているわけでありますが、まずこの委員会に入っていろんな意見をお聞きしたいという話があったと思うんですけれども、そのときに、この委員会の中で、どういう気持ちでこの委員会に臨んで、いわゆる電力システム改革流れの中でどういう負担在り方がいいのか、どういうお気持ちでまず臨まれたかということをお聞きしたいと思います。
  56. 大石美奈子

    参考人大石美奈子君) ありがとうございます。  先ほどの中でも述べましたけれども、やはり消費者の代表というのがたった一人でありましたので、周りが事業者の方ですとか学識経験者の方で、やっぱり生活者の現実といいますか気持ちというものをどうやったら代弁できるだろうかということが一番大きかったです。  それと、あともう一つは、今のこの現時点を見てどうするかというよりも、今回の話の内容というのは、これから何十年も、もしかしたら何百年も掛かるかもしれないものを、この本当に数か月の会議の中で簡単に結論付けていいのだろうかと。やっぱり未来の人たちへの責任というのをどういうふうに私たちは考えなければいけないのかというのを一番最初議論が始まったときから一番気になっておりました。  以上です。
  57. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 ありがとうございます。  続いて大石参考人にお聞きしたいんですけれども、端的に原発というのは高いのか安いのかという議論があると思います。いわゆる原発コストということなんですけれども、いわゆる計算の方法が二通りあると。政府がしているのはいわゆるモデルケースというものでありまして、これで計算すると、原発というのは大体一キロアワー当たり十円とかそれぐらいだと、十・一円とかその程度だと。一方で、いわゆる今回の福島事故を受けて、様々な廃炉費用賠償費用除染費用を加えた、また汚染水処理もあるでしょう、それらの実績を加味して考えますと、これは原発は高いのではないか。これが二つ拮抗し、議論があると思うんですけれども、大石参考人としては、国民消費者立場から訴えるといいますか呼びかけるときには、やはり原発というのは高いのか安いのか、どちらだとお考えでしょうか。
  58. 大石美奈子

    参考人大石美奈子君) 今回の事故が起きるまでは、消費者も安いと言われれば、ああ、安いのかなと。確かに、稼働中であれば、原子力というのは原料さえあれば安いのかもしれませんけれども、やはり今回の三・一一の事故があって国民も気が付いたと思いますけれども、一旦事が起こってしまった場合に、その事故に対する廃炉費用ですとか賠償費用ですとか、想像も付かないような額が掛かってくると。    〔委員長退席、理事石上俊雄君着席〕  結局、先ほどから過去分の話が出ていますけれども、過去には、原子力は安全であり、事故を起こしたとしてもそれほどの費用は掛からないということで積立てもされていたし、計算もされていたと思うんですけれども、やはりこれだけ先が見えない状態になっているのに、なおかつ、それでも原子力は安いんだと言われることに対しては、大変国民としては不満です。というか、信じられないという気持ちです。  加えて、やはり今の原子力費用というのは、バックエンドの費用というのはほとんど考えられずに計算されています。これから先、高レベルの放射性廃棄物をどこにどうやってきちんと処分していくのかということはまた更に費用が掛かってくることで、それを入れずに計算して安いと言われていることに対しては、今まで安いですよと言われてきただけに余計不信感を持っているというのが今の現状です。  以上です。
  59. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 ありがとうございます。  続いて、山内参考人にお聞きしたいと思います。  貫徹小委員会委員長として議論もまとめていただいたと思います。大変御苦労されたと思いますけれども。  先ほど、同僚議員の質問の中で、いわゆる賠償費用の過去分の在り方について、もう過去分というのは、あってはならないことですけれども、万が一の事故があったときにでもこれは駄目、過去分という取り方はできないだろうと、こういう御意見だったと思うんです。    〔理事石上俊雄君退席、委員長着席〕  私、先日の委員会の質問でも、過去分というよりも、今現在、一般負担金として各電力会社が一千六百三十億円積み上げているわけです。これはあくまでもし事故があった場合に備えてということで備えている、一方で、事故を起こした東電というのは特別負担金というのを負担している、ただ、現実問題としては、これらは現在、福島第一原発事故費用のために回されていると、実態としてはこうなっているわけです。  万が一事故が起こったときに、じゃ、その事故の原因者は特別負担金を負担するということになるんでしょうが、一般負担金の金額の決め方、在り方として、安定的な電力供給、そして機構がきちんと業務ができるということがありますから、さほど一般負担金のこの一千六百三十億円というのを増やすことは、私はできないのではないかと。余裕があるんだったら今も積み増しすればいいわけなので。となりますと、もう一度やはり過去分という話、若しくは託送という話になってこないのかという危惧が私は少しあります。  先ほど過去分というのはないという話がありましたけれども、その上で、託送料金にということもこれはするべきではない、あくまで万が一事故が起こったときはその事故の原因者が、発電の部門でやるべきというお考えでしょうか。これをお聞きしたいと思います。
  60. 山内弘隆

    参考人山内弘隆君) 先生御指摘のとおり、現在の立て付けですと、先ほど申し上げましたように、今の時点での過去分ということを計算した上での負担の額ということになるわけでありますので、将来的に何か起こった場合に、これが同じように託送料金で過去分でと、こういう議論ではないというふうに考えています。  ただ、非常に個人的な意見を申し上げますと、私は原子力損害賠償法の三条の無過失無限責任自体に矛盾を感じておりまして、これは個人的な意見ですけれども、将来原発を進めて何かあるということであれば、そういったところから考え直す必要があろうかなというふうには考えております。
  61. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 ありがとうございました。  それでは、橘川参考人にお聞きしたいと思います。  橘川参考人の御意見というのは、原発立場は様々あるけれども、きちんと賠償しなければならない、廃炉しなければならない、そのためには東電改革が必要だということだと思います。  先ほど、民間活力を高めるためにもこの原発部門を切り離した方がいいんじゃないかという御意見があったと思うんですね。同時に、私の受け止めでは、なかなか原発というのはリスクがあったりすると、もうからないとか、いろいろそういう側面もあっておっしゃっているのかなというふうに思ったりもするんですけれども、そういう理解でいいんでしょうか。まず、そのことをお聞きしたいと思います。
  62. 橘川武郎

    参考人橘川武郎君) やや違います。比喩的に言いますと、もうかり過ぎるから問題だというふうに思います。  例えば、大津の地裁で高浜三、四号機止まりました。それで関電何やったかといったら、値下げメニューを撤回したわけですね。ひっくり返しますと、先ほどの高いか安いかという話は、既設と新設でも大分違いますし、事故を起こしたところと今のところ起こしていないところでも大分違いまして、起こしていない既設の原発は現在やっぱり私は安いと思います。だから電力会社は必死になる。やると、動き出すと、やっぱり原発いいねということになって、どんどんどんどんそこに打ち出の小づちのようにはまっていっちゃうと。こういう経営が僕はかえって良くないんじゃないかと。だから、原発から自由になった方がもっといろんな個性を発揮して民間活力を発揮できるんじゃないかと。  だから、端的に言いますと、もうかり過ぎるところに原発は問題があると、こういうふうに思っています。
  63. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 原発そのもの単体ということだけではなく、様々国の関与というのもその中に恐らくあって、それで原子力というのが利益が出ているという側面もあるんじゃないかと私自身は思っているところなんですけれども。  時間もあれですので、最後にお三方全員にお聞きしたいんですけれども、今回議論の中では、負担在り方をどうするのかという少しテクニカルな話を、議論を、法案も含めてやっているわけなんですけれども、改めて福島原発事故と我々がどう向き合うべきなのかということをお聞きしたいと思うんですね。  御承知のとおり、復興大臣の様々な発言がありまして、国会も昨日は開かれないということにもなりましたけれども、今日、新しい復興大臣の所信表明演説の中でも原発という言葉が出てこなかったんです。帰還困難区域という言葉はあるんですけど、しかし、それは原発事故があったからであって、それが出てこない。  改めて、三人の参考人の方に、我々がこれを、どう向き合っていくべきなのかと、福島事故と今の現状、復興。是非お聞かせいただければと思います。
  64. 橘川武郎

    参考人橘川武郎君) そういう立場から私は発言したつもりであります。  それで、東電福島に対する責任の果たし方は、まず柏崎を売ることです。そうするとみんなで国民負担議論ができるようになるわけで、それが福島の復興につながっていくわけですから、そこをちゅうちょしていたら事が始まらないので、順番が間違っていると思います。国民負担の前にちゃんと資産売却をやるべきと、これが私の向き合い方です。
  65. 大石美奈子

    参考人大石美奈子君) ありがとうございます。  先ほども申し上げましたけれども、やっぱりこの福島事故というのは国民にとってとても大きな心の痛みにもなっております。国民としてというか、国としてやはり福島人たちを支え、寄り添っていかなきゃいけないというふうに考えますと、やはりこの今回の改革の中で、私たちは税金ですとかそういう本当はっきりした形で一緒に負担していく必要があるというふうに私自身は思っています。  以上です。
  66. 山内弘隆

    参考人山内弘隆君) 福島の震災、そして福島事故、これについて、基本的に私は、やはり現在の法律の立て付けからいっても、東京電力がそれと向き合って長期的にコミットして、そして地域の振興とそれから可能な限りの賠償、原点復帰ですか、これをやるべきだというふうに考えています。それをやった上で国民的な理解が得られるのではないかというふうに思っています。  そのために今回、資金的なことで我々議論したわけですけれども、繰り返しになりますけれども、東京電力がどのような形態になろうかというのは、私自身は、これ国民理解の中でいろいろ変わっていくべきだというふうに思っています。ですから、資産の売却もそうでしょうし、経営陣の問題もそうでしょうし、そういった形で長きにわたってコミットしていく、これが基本ではないかというふうに思っています。  以上です。
  67. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 ありがとうございました。終わります。
  68. 石井章

    ○石井章君 日本維新の会、石井章でございます。  今日は、参考人皆さん、貴重なお時間ありがとうございます。また、参考人関係資料皆さん資料を読まさせていただいた上で、それぞれの皆さんに御質問をさせていただきます。  まず、託送料について参考人皆様方にそれぞれお伺いいたします。  本来は、原発事故費用負担については、東電とその株主や金融機関が十分な責任を果たすことが担保された後に初めて国民負担についての議論が出てくるべきであると私は思うわけでありますが、実際にはそうなっておりません。  事故後の緊急的な措置としては致し方ないとも思いますけれども、国民への費用負担をお願いするのであれば、なし崩し的に託送料金に上乗せするという手法ではなく、過去における、例えば税金でありますけれども、復興特別税などのように、時限的な立法によって正式な租税としてきちんと国民皆様方に御負担をお願いするべきだという考えがありますけれども、皆さんのそれぞれの御意見をお伺いいたします。
  69. 山内弘隆

    参考人山内弘隆君) 先生御指摘のように、株主や金融機関の責任というのもあろうかというふうに思っております。東電事故のすぐ後にそういった議論出たわけですけれども、これも御指摘のように、その時点で株主、金融機関に責任を問うということは、賠償あるいは廃炉のスキーム自体が非常に作れないのではないかというふうに私は考えていました。その意味で、今回いろいろな形で政府も出資をするというような形になったわけですが、考え直すという時期ではあろうかというふうに思っています。  ただ、先ほど申しましたように、それであっても、東電東京電力だけで少なくてもその賠償については全てを賄うことは不可能だというふうに考えていて、そして何らかの形での国民負担ということをお願いする。その際に、繰り返しになりますけれども、税金なのかあるいは託送料なのかということでありますけれども、税金でやるということも一つの選択肢ではあろうかと思いますけれども、託送料でやることによって、先ほど申しましたように、それぞれの受益負担関係、あるいは今までに原子力にどこまで依存してきたという、そういった経緯ですかね、そういったものとの関係を反映できるということが一つあろうかというふうに思っています。  先ほどの御議論の中でもありましたけれども、例えば再生可能エネルギーの買取り制度、調達価格があって、決めておりますけれども、これ、法律で決まっているのは買い取るという形になっていて、幾らで買い取るというのは委員会で決めている話であります。その意味では、今回の賠償について託送料金を前後するということ、これあり得ないと思いますけれども、でも、ある意味ではそういう同じようなプロセスで決めるということでありますので、税金で決めるのか託送料金で決めるのかという、そういうことについては、これ極めて効率的といいますか、そういった形での決め方になるんではないかなというふうに思っています。  以上です。
  70. 橘川武郎

    参考人橘川武郎君) まずは国民負担の前に東電がやるべきリストラをやるべきである、資産処理をやるべきであると、これがまず大前提ですから、その後、国民負担議論になった場合に託送か税金かという選択肢があると思います。  その場合、私は原則的な観点に立って、福島にちゃんとお金が安定的に届く仕組みはどちらなのかというふうに考えます。その点からすると、やや税金よりも、税金はやっぱり政治的な事情によって左右されるところがあると思うので、託送の方に若干一日の長があるかなとは、そういうふうには思います。
  71. 大石美奈子

    参考人大石美奈子君) 全く先生がおっしゃるとおりだと私は思っております。  といいますのは、今お二方の先生から、原則としては東京電力責任を持つ、その上で、多分それでは足りないだろうからやはり国民負担はしなきゃいけないというのは全く同じなんですけれども、その方法として、では、なぜそれが託送でなければいけないのかというところについては私はいまだに理解ができておりません。なぜ経済産業省の省令だけで変えられるという、本当に国会の議論を経ずにそういう回収方法を取るのかというところで大変不満に思っております。  といいますのは、やはりこれは国民全体が考えていかなければいけない問題だからこそ、せめて国会での議論というのを経て、その上でやはり託送の方がいいですねということに決まったのであればそれはそれで認めざるを得ないと思いますし、国民は何も負担しないと言っているわけではないんですね。だけれども、やはり公の場できちんと議論をされた後決まったことであるということが今後に向けても大変重要であるというふうに思っておりますので、まずは、そういう意味では、国会での議論を是非再度お願いしたいというふうに思っております。  以上です。
  72. 石井章

    ○石井章君 続きまして、山内参考人橘川参考人のお二方にお伺いいたします。  まず、原発発電コストについて、政府は、F1の廃炉賠償除染、そしてバックエンドコストを含めてもその費用は青天井に膨らむことはないと、事故対策費の二十一・五兆円という数字は合理的でもあり、もし事故関連費用が一兆円増加したとしても一キロ当たり〇・〇二円の微増でしかなく、石炭やLNGと比較しても安い電源であるとして、これまで同様に原発の安価神話を改めようとはしておりません。  しかし、そもそもエネ調の各種電源コストの算出根拠自体に様々な疑念を抱く識者の方も多いのも事実であります。また、さきの日本経済研究センターのF1事故の対応費用の試算では、政府の三倍以上ともなる五十兆から七十兆円ともなる数字も出されております。それにもかかわらず、かたくなに原発は安いという姿勢を崩さない政府に対しては、疑いの念を禁じ得ないのも事実であります。  それでも原発は安い電源なのかどうか、お二方にお伺いいたします。
  73. 山内弘隆

    参考人山内弘隆君) 福島事故以来、各電源の電源コストについていろいろな試算がなされ、政府がそれを主導してやったというのがございます。  そこで、私自身考えるに、今のやり方をしている限りは、今おっしゃったような形の、仮に賠償廃炉等のコストがかさんだとしても、恐らく計算上は原子力発電発電コストが小さいということになるのではないかというふうに思っています。  ただ、このやり方でそれが小さいということと、それから、それをどういうふうにこういう政治的な場で議論して決めていくかというのは少し違うのかなと思っております。安いからこれでいいんだというだけではない。それは、皆さんの恐らく感情とか社会的な反応とか、そういう中で決めていく問題ではないかなというふうに思っております。
  74. 橘川武郎

    参考人橘川武郎君) ありがとうございます。  私は、石井先生と同じく強い疑問を持っております。  そもそもエネルギーミックスを決めたときの発電コストの検証委員会結論自体が、原発が一番安いと言われたのは下限値でありまして、上限値はそもそも青天井になっているんですよね。ですから、政府の見解自体が僕は青天井になっていると思います、コストに関して。  それから、二十一兆五千億についても、先ほど言いましたように廃炉はまだデブリも見付かっていない状況で八兆円と特定できるはずがないので、必ずこれはもっと上がると思いますし、それから、そのほかのところも、日本経済研究センター、あれ、一番大きいのは汚染水処理の問題なんですけれども、そこを入れるとああいう数字が出てくると。ただ、あれ、五十から七十というところが問題ですし、その二十兆円の幅というのは汚染水の海上廃棄をするかしないかと、これだけで二十兆円変わってくるというそういう話でありますので、もう私はこの件に関しては全く同じ意見で、トータルして全体的に安いとは言えないと思います。
  75. 石井章

    ○石井章君 的を得た、説得力のある御答弁、ありがとうございました。  続きまして、大石参考人にお伺いをいたします。  電力システム改革貫徹のための政策小委員会は、総合資源エネルギー調査会の下部組織として正式に国の制度議論するところとなったわけでありますけれども、さきの委員会において、私がかつて与党議員のときに、経験に鑑みて、政府の有識者会議は往々にして政府の自己都合で結論ありきの会合であると、先ほど山内参考人の方から過去分という言葉もいつの間にか出てきたような形でという話がありましたけれども、国民の批判についてお尋ねをいたしました、私の立場からですね。政府は、F1に関する会合については最適な人選による厳しく有意義な会合であったという答弁をいただいたわけであります。  国民の疑念は私は払拭できたものではないと考えておりますけれども、大石参考人が実際に委員として参加されて感じられたことを改めて詳しくお聞かせください。
  76. 大石美奈子

    参考人大石美奈子君) 何とお答えしていいか迷ってしまいますけれど、先ほどもお話ししましたように、やはり消費者立場というのが一人であったということ、それから、皆さん現時点での物事を考えられるんですね。例えば、原発が安い、事業者の方も今原発を動かせば安い電気が得られるので事業がうまくいくと。なので、皆さん今の時点のことだけで論じられて、未来、それが、未来の将来世代にどういうツケが回るのかとか、将来の人たちがどういうことで実際困ってくるのかとか、そういう未来のことを考えて議論してくださる方がいらっしゃらなかったというのは、もう中にいてとても残念でした。  以上です。済みません。
  77. 石井章

    ○石井章君 時間もないので最後の質問になりますが、最後に橘川参考人にお伺いしたいと思います。  政府は、国民負担を抑制するために、東電の経営改善による収益性の向上が最重要課題の一つと位置付けております。柏崎原発の再稼働は必要不可欠な要素と考えているようでもありますが、しかし、参考人東電の更なるリストラと柏崎原発を含む発電設備の売却によっても補償費が確保されるという考え方は、多くの国民が留飲を下げ得るものと感銘を受けております。  そこで、参考人の手法によりますと、国民負担は現在の政府施策と比べてみてどのようになるかなど、更に詳しくもしお聞かせいただければと思います。
  78. 橘川武郎

    参考人橘川武郎君) 申し訳ありません、私、その件の説明、専門家ではないので、完全売却したら本当にどれぐらいのお金になるかということの計算はできません。ただし、相当規模の、八兆円の中で払うことはできるんではないかという見通しは持っております。  考え方が一番大事で、まずちゃんとやるべきことをやり切ったということをやっていただきたいと、こういうふうに考えております。
  79. 石井章

    ○石井章君 私の質問はこれで終わりにします。ありがとうございました。
  80. 小林正夫

    委員長小林正夫君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三分散